以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明に係る高分子化合物(E)は、両末端にカルボキシル基を有するポリエステル(A)から構成されたブロック、および、両末端に水酸基を有する化合物(B)から構成されたブロックが、各ブロックのカルボキシル基と水酸基とにより形成されたエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)と、アミノ基を2個以上有するポリアミン化合物(D)とが、ブロックポリマー(C)のカルボキシル基とポリアミン化合物(D)のアミノ基とにより形成されたアミド結合を介して結合してなる構造を有する。
まず、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)を構成する、両末端にカルボキシル基を有するポリエステル(A)のブロックについて説明する。かかるポリエステル(A)は、両末端にカルボキシル基を有するものであればよいが、好ましくは、下記一般式(2)で表されるような、ジカルボン酸のカルボキシル基を除いた残基と、ジオールの水酸基を除いた残基とが、エステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる構造を有するものとする。
上記一般式(2)中、A1はジカルボン酸のカルボキシル基を除いた残基を表し、A2はジオールの水酸基を除いた残基を表し、nは1〜50の数を表す。上記一般式(2)で表される両末端にカルボキシル基を有するポリエステルは、例えば、ジカルボン酸とジオールとを重縮合反応させることにより得られる。
ジカルボン酸は、ジカルボン酸の誘導体(例えば、酸無水物、アルキルエステル、アルカリ金属塩、酸ハライド等)であってもよく、誘導体を使用してポリエステルを得た場合は、最終的に両末端を処理してカルボキシル基にすればよく、そのままの状態で、次の、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)を得るための反応に進んでもよい。また、ジカルボン酸およびその誘導体は、2種以上の混合物でもよい。
ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸が挙げられ、脂肪族ジカルボン酸としては、好ましくは炭素原子数2〜20の脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。これら脂肪族ジカルボン酸の中でも、融点や耐熱性の点から、炭素原子数4〜16のジカルボン酸が好ましく、炭素原子数6〜12のジカルボン酸がより好ましい。
また、芳香族ジカルボン酸としては、好ましくは炭素原子数8〜20の芳香族ジカルボン酸が挙げられ、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、ホモフタル酸、フェニルコハク酸、β−フェニルグルタル酸、α−フェニルアジピン酸、β−フェニルアジピン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウムおよび3−スルホイソフタル酸カリウム等が挙げられる。
ジオールとしては、脂肪族ジオール、芳香族基含有ジオールが挙げられる。また、ジオールは、2種以上の混合物でもよい。脂肪族ジオールとしては、例えば、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオール、シクロドデカンジオール、ダイマージオール、水添ダイマージオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これら脂肪族ジオールの中でも、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAが、熱可塑性樹脂との相溶性と、帯電防止性の点から好ましい。
また、上記一般式(2)で表される両末端にカルボキシル基を有するポリエステルは、疎水性を有することが好ましいので、脂肪族ジオールのうち、親水性を有するポリエチレングリコールは好ましくない。但し、これら以外のジオールとともに使用する場合はその限りではない。
芳香族基含有ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、1,2−ヒドロキシベンゼン、1,3−ヒドロキシベンゼン、1,4−ヒドロキシベンゼン、1,4−ベンゼンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、レゾルシン、ピロカテコール等の単核2価フェノール化合物のポリヒドロキシエチル付加物等が挙げられる。これら芳香族基を有するジオールの中でも、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンが好ましい。
両末端にカルボキシル基を有するポリエステル(A)は、例えば、上記ジカルボン酸またはその誘導体と、上記ジオールとを重縮合反応させることにより得ることができる。ジカルボン酸またはその誘導体とジオールとの反応比は、両末端がカルボキシル基となるように、ジカルボン酸またはその誘導体を過剰に使用することが好ましく、モル比で、ジオールに対して1モル過剰に使用することが好ましい。
重縮合反応には、エステル化反応を促進する触媒を使用してもよく、触媒としては、ジブチル錫オキサイド、テトラアルキルチタネート、酢酸ジルコニウム、酢酸亜鉛等、従来公知のものが使用できる。
また、ジカルボン酸の代わりに、カルボン酸エステル、カルボン酸金属塩、カルボン酸ハライド等の誘導体を使用した場合は、それらとジオールとの反応後に、両末端を処理してジカルボン酸としてもよく、そのままの状態で、次の、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)を得るための反応に進んでもよい。
両末端にカルボキシル基を有するポリエステル(A)は、(B)成分と反応することでエステル結合を形成し、ブロックポリマー(C)の構造を形成するものであればよく、両末端のカルボキシル基は、保護されていてもよく、修飾されていてもよく、また、前駆体の形であってもよい。また、反応時に生成物の酸化を抑えるために、反応系にフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤を添加してもよい。
次に、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)を構成する、両末端に水酸基を有する化合物(B)のブロックについて説明する。
両末端に水酸基を有する化合物(B)としては、親水性を有する化合物が好ましく、前記一般式(1)で示される基を一つ以上有する化合物がより好ましく、前記一般式(1)で示される基を有するポリエーテルがより好ましく、下記一般式(3)で表されるポリエチレングリコールが特に好ましい。
上記一般式(3)中、mは5〜250の数を表す。mは、耐熱性や相溶性の点から、好ましくは20〜150である。
両末端に水酸基を有し、前記一般式(1)で示される基を一つ以上有する化合物としては、エチレンオキサイドを付加反応させて得られるポリエチレングリコール以外に、エチレンオキサイドと、他のアルキレンオキサイド(例えば、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−または1,3−ブチレンオキサイド等)の1種以上とを付加反応させたポリエーテルが挙げられ、このポリエーテルはランダムでもブロックでもいずれでもよい。
両末端に水酸基を有し、前記一般式(1)で示される基を一つ以上有する化合物の例を更に挙げると、活性水素原子含有化合物に、エチレンオキサイドが付加した構造の化合物や、エチレンオキサイド及び他のアルキレンオキサイド(例えば、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−または1,3−ブチレンオキサイド等)の1種以上が付加した構造の化合物が挙げられる。これらはランダム付加、ブロック付加のいずれでもよい。
活性水素原子含有化合物としては、グリコール、2価フェノ―ル、1級モノアミン、2級ジアミン及びジカルボン酸等が挙げられる。
グリコールとしては、炭素原子数2〜20の脂肪族グリコール、炭素原子数5〜12の脂環式グリコール及び炭素原子数8〜26の芳香脂肪族グリコール等が使用できる。
脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びチオジエチレングリコール等が挙げられる。
脂環式グリコールとしては、例えば、1−ヒドロキシメチル−1−シクロブタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1−メチル−3,4−シクロヘキサンジオール、2−ヒドロキシメチルシクロヘキサノール、4−ヒドロキシメチルシクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及び1,1’−ジヒドロキシ−1,1’−ジシクロヘキシル等が挙げられる。
芳香族グリコールとしては、例えば、ジヒドロキシメチルベンゼン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2−フェニル1,3−プロパンジオール、2−フェニル1,4−ブタンジオール、2−ベンジル1,3−プロパンジオール、トリフェニルエチレングリコール、テトラフェニルエチレングリコール及びベンゾピナコール等が挙げられる。
2価フェノールとしては、炭素原子数6〜30のフェノールが使用でき、例えば、カテコール、レゾルシノール、1,4−ジヒドロキシベンゼン、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、ビナフトール及びこれらのアルキル(炭素原子数1〜10)又はハロゲン置換体等が挙げられる。
1級モノアミンとしては、炭素原子数1〜20の脂肪族1級モノアミンが挙げられ、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、s−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−アミルアミン、イソアミルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−オクタデシルアミン及びn−イコシルアミン等が挙げられる。
2級ジアミンとしては、炭素原子数4〜18の脂肪族2級ジアミン、炭素原子数4〜13の複素環式2級ジアミン、炭素原子数6〜14の脂環式2級ジアミン、炭素数8〜14の芳香族2級ジアミン及び炭素原子数3〜22の2級アルカノ―ルジアミン等が使用できる。
脂肪族2級ジアミンとしては、例えば、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジブチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルプロピレンジアミン、N,N’−ジエチルプロピレンジアミン、N,N’−ジブチルプロピレンジアミン、N,N’−ジメチルテトラメチレンジアミン、N,N’−ジエチルテトラメチレンジアミン、N,N’−ジブチルテトラメチレンジアミン、N,N’−ジメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジエチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジブチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルデカメチレンジアミン、N,N’−ジエチルデカメチレンジアミン及びN,N’−ジブチルデカメチレンジアミン等が挙げられる。
複素環式2級ジアミンとしては、例えば、ピペラジン、1−アミノピペリジン等が挙げられる。
脂環式2級ジアミンとしては、例えば、N,N’−ジメチル−1,2−シクロブタンジアミン、N,N’−ジエチル−1,2−シクロブタンジアミン、N,N’−ジブチル−1,2−シクロブタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ジエチル−1,4−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ジブチル−1,4−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ジブチル−1,3−シクロヘキサンジアミン等が挙げられる。
芳香族2級ジアミンとしては、例えば、N,N’−ジメチル−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−キシリレンジアミン、N,N’−ジメチル−ジフェニルメタンジアミン、N,N’−ジメチル−ジフェニルエ−テルジアミン、N,N−ジメチル−ベンジジン及びN,N’−ジメチル−1,4−ナフタレンジアミン等が挙げられる。
2級アルカノ―ルジアミンとしては、例えば、N−メチルジエタノ―ルアミン、N−オクチルジエタノ―ルアミン、N−ステアリルジエタノ―ルアミン及びN−メチルジプロパノ―ルアミン等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、炭素数2〜20のジカルボン酸が使用でき、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び脂環式ジカルボン酸等が用いられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、メチルコハク酸、ジメチルマロン酸、β−メチルグルタル酸、エチルコハク酸、イソプロピルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸、トリデカンジ酸、テトラデカンジ酸、ヘキサデカンジ酸、オクタデカンジ酸及びイコサンジ酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、ホモフタル酸、フェニルコハク酸、β−フェニルグルタル酸、α−フェニルアジピン酸、β−フェニルアジピン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム及び3−スルホイソフタル酸カリウム等が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、例えば、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジ酢酸、1,3−シクロヘキサンジ酢酸、1,2−シクロヘキサンジ酢酸及びジシクロヘキシル−4,4−ジカルボン酸等が挙げられる。
これらの活性水素原子含有化合物は、1種でも2種以上の混合物でも使用することもできる。
両末端に水酸基を有する化合物(B)は、(A)成分と反応することでエステル結合を形成し、ブロックポリマー(C)の構造を形成するものであればよく、両末端の水酸基は、保護されていてもよく、修飾されていてもよく、また、前駆体の形であってもよい。
本発明に係る両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)は、上記ポリエステル(A)から構成されたブロックと、上記化合物(B)から構成されたブロックとを有し、これらのブロックが、カルボキシル基と水酸基とにより形成されたエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる構造を有する。かかるブロックポリマー(C)は、下記一般式(4)で表される構造を有する。
上記一般式(4)中、(A)は両末端にカルボキシル基を有するポリエステル(A)から構成されたブロックを表し、(B)は両末端に水酸基を有する化合物(B)から構成されたブロックを表し、tは繰り返し単位の繰り返しの数であり、好ましくは1〜10の数を表す。tは、より好ましくは1〜7の数であり、最も好ましくは1〜5の数である。
両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)は、両末端にカルボキシル基を有するポリエステル(A)と、両末端に水酸基を有する化合物(B)とを、重縮合反応させることによって得ることができるが、上記ポリエステル(A)と上記化合物(B)とが、カルボキシル基と水酸基により形成されたエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる構造を有するものと同等の構造を有するものであれば、必ずしも上記ポリエステル(A)と上記化合物(B)とから合成する必要はない。
上記ポリエステル(A)と上記化合物(B)との反応比は、上記化合物(B)がXモルに対して、上記ポリエステル(A)がX+1モルとなるように調整すれば、両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)を好ましく得ることができる。
反応に際しては、上記ポリエステル(A)の合成反応の完結後に、上記ポリエステル(A)を単離せずに、上記化合物(B)を反応系に加えて、そのまま反応させてもよい。
重縮合反応には、エステル化反応を促進する触媒を使用してもよく、触媒としては、ジブチル錫オキサイド、テトラアルキルチタネート、酢酸ジルコニウム、酢酸亜鉛等、従来公知のものが使用できる。また、反応時に生成物の酸化を抑えるために、反応系にフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤を添加してもよい。
次に、アミノ基を2個以上有するポリアミン化合物(D)について説明する。
本発明に用いるポリアミン化合物(D)としては、第1級アミノ基及び/または第2級アミノ基を、2個以上有するものであれば特に制限されず、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン等のアルキレンジアミン(例えば炭素原子数2〜12);2,2’,2”−トリアミノトリエチルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン等の脂肪族ポリアミン;ジエチレントリアミン等のポリアルキレンポリアミン(例えばアルキレン基の炭素数2〜6、重合度2〜5);1,6,11−ウンデカントリアミン、1,8−ジアミノ−4−アミノメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリアミン等のアルカントリアミン;メラミン、ピペラジン、アルキレン基の炭素原子数が2〜6のN−アミノアルキルピペラジン(N−アミノエチルピペラジンなど)、特公昭55−21044号公報記載の複素環式ポリアミン等の複素環式ポリアミン;ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミン、ビシクロヘプタントリアミン等の脂環式ポリアミン(例えば炭素原子数4〜20);フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジフェニルエーテルジアミン、ポリフェニルメタンポリアミン、トリフェニルメタントリアミン等の芳香族ポリアミン(例えば炭素原子数6〜20)等が挙げられる。かかるポリアミン化合物(D)は、2種以上を使用してもよい。
本発明に係る高分子化合物(E)は、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)と、2個以上のアミノ基を有するポリアミン化合物(D)とが、ブロックポリマー(C)の末端のカルボキシル基とポリアミン化合物(D)のアミノ基とにより形成されたアミド結合を介して結合してなる構造を有する。また、かかる高分子化合物(E)は、さらに、上記ポリエステル(A)のカルボキシル基と上記ポリアミン化合物(D)のアミノ基とにより形成されたアミド結合を含んでいてもよい。
高分子化合物(E)を得るためには、上記ブロックポリマー(C)のカルボキシル基と、上記ポリアミン化合物(D)のアミノ基とを反応させればよい。ポリアミン化合物のアミノ基の数は、反応させるブロックポリマー(C)のカルボキシル基の数の、0.5〜5当量が好ましく、0.5〜1.5当量がより好ましい。また、上記反応は、各種溶媒中で行ってもよく、溶融状態で行ってもよい。
反応に際しては、上記ブロックポリマー(C)の合成反応の完結後に、ブロックポリマー(C)を単離せずに、反応系にポリアミン化合物(D)を加えて、そのまま反応させてもよい。その場合、ブロックポリマー(C)を合成するときに過剰に使用した未反応のポリエステル(A)のカルボキシル基と、ポリアミン化合物(D)の一部のアミノ基とが反応して、アミド結合を形成してもよい。
本発明の高分子化合物(E)は、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)とアミノ基を2個以上有するポリアミン化合物(D)とが、それぞれのカルボキシル基とアミノ基とにより形成されたアミド結合を介して結合した構造を有するものと同等の構造を有するものであれば、必ずしも上記ブロックポリマー(C)と上記ポリアミン化合物(D)とから合成する必要はない。
本発明において、高分子化合物(E)における、ポリエステル(A)から構成されるブロックの数平均分子量は、好ましくはポリスチレン換算で800〜8,000であり、より好ましくは1,000〜6,000であり、さらに好ましくは2,000〜4,000である。また、高分子化合物(E)における、両末端に水酸基を有する化合物(B)から構成されるブロックの数平均分子量は、好ましくはポリスチレン換算で400〜6,000であり、より好ましくは1,000〜5,000であり、さらに好ましくは2,000〜4,000である。さらに、高分子化合物(E)における、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)から構成されるブロックの数平均分子量は、好ましくはポリスチレン換算で5,000〜25,000であり、より好ましくは7,000〜17,000であり、より好ましくは9,000〜13,000である。
本発明の帯電防止剤は、さらに、アルカリ金属の塩および第2族元素の塩からなる群から選択される1種以上が配合されてなる帯電防止剤組成物とすることも好ましい。
アルカリ金属の塩および第2族元素の塩としては、有機酸または無機酸の塩が挙げられ、アルカリ金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム等が挙げられ、第2族金属の例としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられ、有機酸の例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等の炭素原子数1〜18の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸等の炭素原子数1〜12の脂肪族ジカルボン酸;安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の炭素原子数1〜20のスルホン酸等が挙げられ、無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、硝酸、過塩素酸等が挙げられる。中でも、帯電防止性の点から、アルカリ金属の塩が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウムがより好ましく、リチウムが最も好ましい。また、帯電防止性の点から、酢酸の塩、過塩素酸の塩、p−トルエンスルホン酸の塩、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩が好ましい。
アルカリ金属の塩および第2族元素の塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、p−トルエンスルホン酸リチウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム等が挙げられる。これらの中で好ましいのは、酢酸リチウム、酢酸カリウム、p−トルエンスルホン酸リチウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、塩化リチウム等である。
アルカリ金属の塩および/または第2族金属の塩は、本発明の帯電防止剤に用いる高分子化合物(E)に配合してもよいし、高分子化合物(E)とともに熱可塑性樹脂に配合して使用してもよい。アルカリ金属の塩および/または第2族金属の塩の配合量は、高分子化合物(E)の100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量部がより好ましく、1〜10質量部が最も好ましい。
また、本発明の帯電防止剤は、界面活性剤を配合して、帯電防止剤組成物として使用してもよい。界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を使用することができる。非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤;ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビット若しくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン界面活性剤などが挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等のカルボン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられ、カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤などが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。本発明においては、上記界面活性剤の中でも、アニオン性界面活性剤が好ましく、特に、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩が好ましい。
界面活性剤は、本発明の帯電防止剤に用いる高分子化合物(E)に配合してもよく、高分子化合物(E)とともに熱可塑性樹脂に配合して使用してもよい。界面活性剤の配合量は、高分子化合物(E)の100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量部がより好ましく、1〜10質量部が最も好ましい。
さらに、本発明の帯電防止剤は、高分子型帯電防止剤を配合して、帯電防止剤組成物として使用してもよい。高分子帯電防止剤としては、例えば、公知のポリエーテルエステルアミド等の高分子型帯電防止剤を使用することができ、公知のポリエーテルエステルアミドとしては、例えば、特開平7−10989号公報に記載のビスフェノールAのポリオキシアルキレン付加物からなるポリエーテルエステルアミドが挙げられる。また、ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックとの結合単位が2〜50の繰り返し構造を有するブロックポリマーを使用することができ、例えば、米国特許第6552131号明細書記載のブロックポリマーを挙げることができる。
高分子型帯電防止剤は、本発明の帯電防止剤に用いる高分子化合物(E)に配合してもよく、高分子化合物(E)とともに、熱可塑性樹脂に配合して使用してもよい。高分子型帯電防止剤の配合量は、高分子化合物(E)の100質量部に対して、0〜50質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。
さらにまた、本発明の帯電防止剤は、イオン性液体を配合して、帯電防止剤組成物として使用してもよい。イオン性液体の例としては、室温以下の融点を有し、イオン性液体を構成するカチオンまたはアニオンのうち少なくとも一つが有機物イオンであり、初期電導度が1〜200ms/cm、好ましくは10〜200ms/cmである常温溶融塩であって、例えば、国際公開第95/15572号に記載の常温溶融塩が挙げられる。
イオン性液体を構成するカチオンとしては、アミジニウム、ピリジニウム、ピラゾリウムおよびグアニジニウムカチオンからなる群から選ばれるカチオンが挙げられる。このうち、アミジニウムカチオンとしては、下記のものが挙げられる。
(1)イミダゾリニウムカチオン
炭素原子数5〜15のものが挙げられ、例えば、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチルイミダゾリニウム;
(2)イミダゾリウムカチオン
炭素原子数5〜15のものが挙げられ、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム;
(3)テトラヒドロピリミジニウムカチオン
炭素原子数6〜15のものが挙げられ、例えば、1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム;
(4)ジヒドロピリミジニウムカチオン
炭素原子数6〜20のものが挙げられ、例えば、1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7,9−ウンデカジエニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7,10−ウンデカジエニウム。
ピリジニウムカチオンとしては、炭素原子数6〜20のものが挙げられ、例えば、3−メチル−1−プロピルピリジニウム、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムが挙げられる。ピラゾリウムカチオンとしては、炭素原子数5〜15のものが挙げられ、例えば、1、2−ジメチルピラゾリウム、1−n−ブチル−2−メチルピラゾリウムが挙げられる。グアニジニウムカチオンとしては、下記のものが挙げられる。
(1)イミダゾリニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数8〜15のものが挙げられ、例えば、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム;
(2)イミダゾリウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数8〜15のものが挙げられ、例えば、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム;
(3)テトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数10〜20のものが挙げられ、例えば、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム;
(4)ジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数10〜20のものが挙げられ、例えば、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム。
上記カチオンは1種を単独で用いても、また、2種以上を併用しても、いずれでもよい。これらのうち、帯電防止性の観点から好ましくはアミジニウムカチオン、より好ましくはイミダゾリウムカチオン、特に好ましくは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンである。
イオン性液体において、アニオンを構成する有機酸または無機酸としては、下記のものが挙げられる。有機酸としては、例えば、カルボン酸、硫酸エステル、スルホン酸およびリン酸エステル;無機酸としては、例えば、超強酸(例えば、ホウフッ素酸、四フッ化ホウ素酸、過塩素酸、六フッ化リン酸、六フッ化アンチモン酸および六フッ化ヒ素酸)、リン酸およびホウ酸が挙げられる。上記有機酸および無機酸は、1種を単独で用いても、また、2種以上を併用しても、いずれでもよい。
上記有機酸および無機酸のうち、イオン性液体の帯電防止性の観点から好ましいのは、イオン性液体を構成するアニオンのHamett酸度関数(−H0)が12〜100である、超強酸の共役塩基、超強酸の共役塩基以外のアニオンを形成する酸およびこれらの混合物である。
超強酸の共役塩基以外のアニオンとしては、例えば、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素および臭素)イオン、アルキル(炭素原子数1〜12)ベンゼンスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸およびドデシルベンゼンスルホン酸)イオンおよびポリ(n=1〜25)フルオロアルカンスルホン酸(例えば、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸)イオンが挙げられる。
また、超強酸としては、プロトン酸およびプロトン酸とルイス酸との組み合わせから誘導されるもの、およびこれらの混合物が挙げられる。超強酸としてのプロトン酸としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタン、過塩素酸、フルオロスルホン酸、アルカン(炭素原子数1〜30)スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸等)、ポリ(n=1〜30)フルオロアルカン(炭素原子数1〜30)スルホン酸(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸およびトリデカフルオロヘキサンスルホン酸)、ホウフッ素酸および四フッ化ホウ素酸が挙げられる。これらのうち、合成の容易さの観点から好ましいのはホウフッ素酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸およびビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸である。
ルイス酸と組合せて用いられるプロトン酸としては、例えば、ハロゲン化水素(例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素)、過塩素酸、フルオロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸およびこれらの混合物が挙げられる。これらのうち、イオン性液体の初期電導度の観点から好ましいのはフッ化水素である。
ルイス酸としては、例えば、三フッ化ホウ素、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、五フッ化ヒ素、五フッ化タンタルおよびこれらの混合物が挙げられる。これらのうちでも、イオン性液体の初期電導度の観点から好ましいのは三フッ化ホウ素および五フッ化リンである。
プロトン酸とルイス酸との組み合わせは任意であるが、これらの組み合わせからなる超強酸としては、例えば、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、六フッ化タンタル酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化タンタルスルホン酸、四フッ化ホウ素酸、六フッ化リン酸、塩化三フッ化ホウ素酸、六フッ化ヒ素酸およびこれらの混合物が挙げられる。
上記のアニオンのうち、イオン性液体の帯電防止性の観点から好ましいのは超強酸の共役塩基(プロトン酸からなる超強酸およびプロトン酸とルイス酸との組合せからなる超強酸)であり、さらに好ましいのはプロトン酸からなる超強酸およびプロトン酸と、三フッ化ホウ素および/または五フッ化リンとからなる超強酸の共役塩基である。
イオン性液体のうち、帯電防止性の観点から好ましいのは、アミジニウムカチオンを有するイオン性液体、より好ましいのは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンを有するイオン性液体、特に好ましいのは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである。
イオン性液体の配合量は、高分子化合物(E)の100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量部がより好ましく、1〜10質量部が最も好ましい。
さらにまた、本発明の帯電防止剤は、相溶化剤を配合して、帯電防止剤組成物としてもよい。相溶化剤を配合することで、帯電防止剤成分と他成分や熱可塑性樹脂との相溶性を向上させることができる。かかる相溶化剤としては、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基およびポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基(極性基)を有する変性ビニル重合体、例えば、特開平3−258850号公報に記載の重合体や、特開平6−345927号公報に記載のスルホニル基を有する変性ビニル重合体、あるいはポリオレフィン部分と芳香族ビニル重合体部分とを有するブロック重合体などが挙げられる。
相溶化剤は、本発明の帯電防止剤に用いる高分子化合物(E)に配合してもよく、高分子化合物(E)とともに熱可塑性樹脂に配合して使用してもよい。相溶化剤の配合量は、高分子化合物(E)の100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
本発明の帯電防止剤および帯電防止剤組成物は、特に好ましくは、熱可塑性樹脂に配合して、帯電防止性樹脂組成物として使用できる。熱可塑性樹脂の例としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、架橋ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチルペンテン、ポリ−4−メチルペンテン等のα−オレフィン重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂およびこれらの共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレンおよび/またはα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、SBS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等);ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等の芳香族ポリエステル及びポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサン、ポリ(2−オキセタノン)等の分解性脂肪族ポリエステル;ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタムおよびポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS樹脂、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂およびこれらのブレンド物を挙げることができる。また、熱可塑性樹脂は、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ナイロン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等のエラストマーであってもよい。本発明において、これらの熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併せて使用してもよい。また、熱可塑性樹脂はアロイ化されていてもよい。
これらの熱可塑性樹脂は、分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)等に関わらず使用することができる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、帯電防止性の点から、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂およびそれらの共重合体からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
本発明の帯電防止性樹脂組成物中の、熱可塑性樹脂と、帯電防止剤または前記帯電防止剤組成物との質量比は、99/1〜40/60の範囲が好ましい。
高分子化合物(E)の熱可塑性樹脂への配合方法は特に限定されず、通常使用されている任意の方法を用いることができ、例えば、ロール混練り、バンパー混練り、押し出し機、ニーダー等により混合、練り込みして配合すればよい。また、高分子化合物(E)は、そのまま熱可塑性樹脂に添加してもよいが、必要に応じて、担体に含浸させてから添加してもよい。担体に含浸させるには、そのまま加熱混合してもよいし、必要に応じて、有機溶媒で希釈してから担体に含浸させ、その後に溶媒を除去する方法でもよい。こうした担体としては、合成樹脂のフィラーや充填剤として知られているもの、または、常温で固体の難燃剤や光安定剤が使用でき、例えば、ケイ酸カルシウム粉末、シリカ粉末、タルク粉末、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、または、これら担体の表面を化学修飾したもの、下記に挙げる難燃剤や酸化防止剤の中で固体のもの等が挙げられる。これらの担体の中でも担体の表面を化学修飾したものが好ましく、シリカ粉末の表面を化学修飾したものがより好ましい。これらの担体は、平均粒径が0.1〜100μmのものが好ましく、0.5〜50μmのものがより好ましい。
高分子化合物(E)の熱可塑性樹脂への配合方法としては、ブロックポリマー(C)と、ポリアミン化合物(D)とを熱可塑性樹脂と同時に練り込みながら高分子化合物(E)を合成して配合してもよく、また、射出成形等の成形時に高分子化合物(E)と熱可塑性樹脂とを混合して成形品を得る方法で配合してもよく、さらに、あらかじめ熱可塑性樹脂とのマスターバッチを製造しておき、このマスターバッチを配合してもよい。
本発明の帯電防止性樹脂組成物には、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の各種添加剤をさらに添加することができ、これにより、本発明の樹脂組成物を安定化させることができる。
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6―ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。これらのフェノール系酸化防止剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。これらのリン系酸化防止剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
上記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、および、ペンタエリスリトールテトラ(β−アルキルチオプロピオン酸)エステル類が挙げられる。これらのチオエーテル系酸化防止剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。これらの紫外線吸収剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜30質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましい。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.001〜30質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましい。
また、熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂を使用する場合は、必要に応じてさらに、ポリオレフィン樹脂中の残渣触媒を中和するために、公知の中和剤を添加することが好ましい。中和剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸金属塩、または、エチレンビス(ステアロアミド)、エチレンビス(12−ヒドロキシステアロアミド)、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド化合物が挙げられ、これら中和剤は混合して用いてもよい。
本発明の帯電防止性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、芳香族カルボン酸金属塩、脂環式アルキルカルボン酸金属塩、p−第三ブチル安息香酸アルミニウム、芳香族リン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール類等の造核剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、ホスフェート系難燃剤、無機リン系難燃剤、(ポリ)リン酸塩系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、シリコン系難燃剤、三酸化アンチモン等の酸化アンチモン、その他の無機系難燃助剤、その他の有機系難燃助剤、充填剤、顔料、滑剤、発泡剤等を添加してもよい。
上記トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ピロリン酸メラミン、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3−ヘキシレンジメラミン等が挙げられる。
上記金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、キスマー5A(水酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)等が挙げられる。
上記リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリスイソプロピルフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス−(t−ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェートなどが挙げられる。
上記縮合リン酸エステル系難燃剤の例としては、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレンビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
上記(ポリ)リン酸塩系難燃剤の例としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ピペラジン等の(ポリ)リン酸のアンモニウム塩やアミン塩が挙げられる。
その他の無機系難燃助剤としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、タルク、モンモリロナイトなどの無機化合物、およびその表面処理品が挙げられ、例えば、TIPAQUER−680(酸化チタン:石原産業(株)製)、キョーワマグ150(酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)、DHT−4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(亜鉛変性ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、などの種々の市販品を用いることができる。また、その他の有機系難燃助剤としては、例えば、ペンタエリスリトールが挙げられる。
その他、本発明の帯電防止性樹脂組成物には、必要に応じて通常合成樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、発泡剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
本発明の帯電防止性樹脂組成物に配合される添加剤は、熱可塑性樹脂に直接添加してもよく、本発明の帯電防止剤または帯電防止剤組成物に配合してから、熱可塑性樹脂に添加してもよい。
本発明の帯電防止性樹脂組成物を成形することにより、帯電防止性樹脂成形体を得ることができる。成形方法としては、特に限定されるものではなく、押出加工、カレンダー加工、射出成形、ロール、圧縮成形、ブロー成形、回転成形等が挙げられ、樹脂板、シート、フィルム、ボトル、繊維、異形品等の種々の形状の成形品が製造できる。本発明の帯電防止性樹脂組成物により得られる成形体は、帯電防止性能およびその持続性に優れるものである。また、拭き取りに対する耐性も有する。
本発明の帯電防止性樹脂組成物およびこれを用いた成形体は、電気・電子・通信、農林水産、鉱業、建設、食品、繊維、衣類、医療、石炭、石油、ゴム、皮革、自動車、精密機器、木材、建材、土木、家具、印刷、楽器等の幅広い産業分野に使用できる。
より具体的には、本発明の帯電防止性樹脂組成物及びその成形体は、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、複写機、ファクシミリ、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子手帳、カード、ホルダー、文具等の事務、OA機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、コタツ等の家電機器、TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレーヤー、スピーカー、液晶ディスプレー等のAV機器、コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、LED封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計等の電気・電子部品および通信機器、自動車用内外装材、製版用フィルム、粘着フィルム、ボトル、食品用容器、食品包装用フィルム、製薬・医薬用ラップフィルム、製品包装フィルム、農業用フィルム、農業用シート、温室用フィルム等の用途に用いられる。
さらに、本発明の帯電防止性樹脂組成物及びその成形体は、座席(詰物、表地等)、ベルト、天井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレイ、カーペット、マット、サンバイザー、ホイルカバー、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、吊り手、吊り手帯、電線被覆材、電気絶縁材、塗料、コーティング材、上張り材、床材、隅壁、カーペット、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、デッキ材、壁材、柱材、敷板、塀の材料、骨組および繰形、窓およびドア形材、こけら板、羽目、テラス、バルコニー、防音板、断熱板、窓材等の自動車、車両、船舶、航空機、建物、住宅および建築用材料や土木材料、衣料、カーテン、シーツ、不織布、合板、合繊板、絨毯、玄関マット、シート、バケツ、ホース、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、楽器等の生活用品、スポーツ用品等の各種用途に使用することができる。
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。なお、以下の実施例等において、「%」および「ppm」は、特に記載がない限り、質量基準である。
下記の製造例に従い、帯電防止剤を製造した。また、下記の製造例において数平均分子量は、下記分子量測定方法で測定した。
<分子量測定方法>
数平均分子量(以下、「Mn」と称する)は、ゲルパーミションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定した。Mnの測定条件は以下の通りである。
装置 :日本分光(株)製GPC装置,
溶媒 :テトラヒドロフラン,
基準物質 :ポリスチレン,
検出器 :示差屈折計(RI検出器),
カラム固定相 :昭和電工(株)製Shodex KF−804L,
カラム温度 :40℃,
サンプル濃度 :1mg/1mL,
流量 :0.8mL/min.,
注入量 :100μL
〔製造例1〕
セパラブルフラスコに、1,4−シクロヘキサンジメタノールを360g、アジピン酸を416g、酸化防止剤(テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、アデカスタブAO−60(株)ADEKA製)を0.5g、酢酸ジルコニウムを0.5g仕込み、160℃から200℃まで徐々に昇温しながら常圧で4時間、その後200℃、減圧下で3時間重合して、ポリエステル(A)−1を得た。ポリエステル(A)−1の酸価は56、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で3,200であった。
次に得られたポリエステル(A)−1を300g、両末端に水酸基を有する化合物(B)−1として数平均分子量2,000のポリエチレングリコールを200g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60) 0.5g、酢酸ジルコニウム0.5gを仕込み、200℃で7時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−1を得た。この両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−1の酸価は11、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で10,000であった。
得られた両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−1の200gにポリアミン化合物(D)−1としてヘキサメチレンジアミンの4.6gを仕込み、240℃で2時間、常圧下で重合して、本発明の帯電防止剤(E)−1を得た。
〔製造例2〕
セパラブルフラスコに、1,4−ビス(b-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンを300g、アジピン酸を258g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.4g、酢酸ジルコニウムを0.4g仕込み、160℃から220℃まで徐々に昇温しながら常圧で4時間、その後220℃、減圧下で3時間重合して、ポリエステル(A)−2を得た。ポリエステル(A)−2の酸価は56、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で2,500であった。
次に得られたポリエステル(A)−2を200g、両末端に水酸基を有する化合物(B)−1として数平均分子量2,000のポリエチレングリコールを100g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60) 0.5g、酢酸ジルコニウム0.5gを仕込み、200℃で9時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−2を得た。この両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−2の酸価は11、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で10,000であった。
得られた両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−2の200gにポリアミン化合物(D)−2としてキシリレンジアミンの5.5gを仕込み、240℃で2時間、常圧下で重合して、本発明の帯電防止剤(E)−2を得た。
〔製造例3〕
セパラブルフラスコに、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を413g、アジピン酸を235g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.5g、酢酸ジルコニウムを0.5g仕込み、160℃から200℃まで徐々に昇温しながら常圧で4時間、その後200℃、減圧下で5時間重合してポリエステル(A)−3を得た。ポリエステル(A)−3の酸価は56、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で2,100であった。
次に得られたポリエステル(A)−3を300g、両末端に水酸基を有する化合物(B)−1として数平均分子量2,000のポリエチレングリコールを150g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60) 0.5g、酢酸ジルコニウム0.5gを仕込み、200℃で7時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−3を得た。この両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−3の酸価は11、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で10,500であった。
得られた両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−3の300gにポリアミン化合物(D)−3としてジエチレントリアミンの2.1gを仕込み、240℃で3時間、常圧下で重合して、本発明の帯電防止剤(E)−3を得た。
〔製造例4〕
セパラブルフラスコに、水添ビスフェノールAを382g、アジピン酸を276g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.4g、酢酸ジルコニウムを0.4g仕込み、160℃から200℃まで徐々に昇温しながら常圧で4時間、その後200℃、減圧下で4時間重合して、ポリエステル(A)−4を得た。ポリエステル(A)−4の酸価は56、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で2,900であった。
次に得られたポリエステル(A)−4を300g、両末端に水酸基を有する化合物(B)−1として数平均分子量2,000のポリエチレングリコールを150g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60) 0.5g、酢酸ジルコニウム0.5gを仕込み、200℃で5時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−4を得た。この両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−4の酸価は11、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で9,300であった。
得られた両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−4の300gにポリアミン化合物(D)−4として2,2’,2”−トリアミノトリエチルアミンの2.9gを仕込み、240℃で2時間、常圧下で重合して、本発明の帯電防止剤(E)−4を得た。
〔製造例5〕
セパラブルフラスコに、1,4−シクロヘキサンジメタノールを188g、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を259g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.3g、酢酸ジルコニウム0.3g仕込み、160℃から200℃まで徐々に昇温しながら常圧で4時間、その後200℃、減圧下で5時間重合して、ポリエステル(A)−5を得た。ポリエステル(A)−5の酸価は56、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で3,200であった。
次に得られたポリエステル(A)−5を300g、両末端に水酸基を有する化合物(B)−1として数平均分子量2,000のポリエチレングリコールを150g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60) 0.5g、酢酸ジルコニウム0.5gを仕込み、200℃で7時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−5を得た。この両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−5の酸価は11、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で11,000であった。
得られた両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−5を300gにポリアミン化合物(D)−5として2,2’,2”−トリアミノトリエチルアミンの2.9gを仕込み、240℃で3時間、減圧下で重合して、本発明の帯電防止剤(E)−5を得た。
〔製造例6〕
セパラブルフラスコに、1,4−シクロヘキサンジメタノールを177g、セバシン酸を269g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.3g、酢酸ジルコニウムを0.3g仕込み、160℃から200℃まで徐々に昇温しながら常圧で4時間、その後200℃、減圧下で4時間重合して、ポリエステル(A)−6を得た。ポリエステル(A)−6の酸価は28、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で5,200であった。
次に得られたポリエステル(A)−6を200g、両末端に水酸基を有する化合物(B)−2として数平均分子量4,000のポリエチレングリコールを100g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60) 0.2g、酢酸ジルコニウム0.2gを仕込み、200℃で6時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−6を得た。この両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−6の酸価は9、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で13,000であった。
得られた両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−6の200gにポリアミン化合物(D)−3としてジエチレントリアミンの1.2gを仕込み、240℃で2時間、常圧下で重合して、本発明の帯電防止剤(E)−6を得た。
〔製造例7〕
セパラブルフラスコに、水添ビスフェノールAを373g、イソフタル酸を283g、酸化防止剤(テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、アデカスタブAO−60(株)ADEKA製)を0.6g、酢酸ジルコニウムを0.6g仕込み、190℃から230℃まで徐々に昇温しながら常圧で4時間、その後230℃、減圧下で5時間重合して、ポリエステル(A)−7を得た。ポリエステル(A)−7の酸価は28、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で4,300であった。
次に、得られたポリエステル(A)−7を400g、両末端に水酸基を有する化合物(B)−2として数平均分子量4,000のポリエチレングリコールを200g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.6g、酢酸ジルコニウムを0.6g仕込み、220℃で7時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−7を得た。この両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−7の酸価は9、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で13,100であった。
得られた両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−7の200gにポリアミン化合物(D)−1としてヘキサメチレンジアミンの4.6gを仕込み、240℃で2時間、常圧下で重合して、本発明の帯電防止剤(E)−7を得た。
〔製造例8〕
製造例7で得られた両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−7の200gにポリアミン化合物(D)−2としてキシリレンジアミンの5.5gを仕込み、240℃で2時間、常圧下で重合して、本発明の帯電防止剤(E)−8を得た。
〔比較製造例1〕
製造例1記載の方法で、両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)−1を合成した。これを比較帯電防止剤(1)として比較例に用いた。
〔比較製造例2〕
セパラブルフラスコに、1,4−シクロヘキサンジメタノールを328g、アジピン酸354g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.5g、酢酸ジルコニウムを0.5g仕込み、160℃から200℃まで徐々に昇温しながら常圧で4時間、その後200℃、減圧下で3時間重合して比較ポリエステル−1を得た。比較ポリエステル−1の酸価は28、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で5300であった。
次に得られた比較ポリエステル−1の400gに数平均分子量4,000のポリエチレングリコールを200g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.5g、酢酸ジルコニウムを0,5g仕込み、200℃で7時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有する比較ポリエーテルエステル−1を得た。この比較ポリエーテルエステル−1の酸価は9、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で12,200であった。これを比較帯電防止剤(2)として比較例に用いた。
〔比較製造例3〕
セパラブルフラスコに、製造例1記載の方法で得られたポリエステル(A)−1を300g、数平均分子量2,000のポリエチレングリコールを300g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.5g、酢酸ジルコニウムを0.5g仕込み、200℃で8時間、減圧下で重合して、片末端が水酸基である比較ポリエーテルエステル−2を得た。この比較ポリエーテルエステル−2の酸価は5.6、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で10,200であった。これを比較帯電防止剤(3)として比較例に用いた。
〔比較製造例4〕
セパラブルフラスコに、比較製造例3記載の方法で得られた片末端が水酸基である比較ポリエーテルエステル−2を200g、ヘキサメチレンジアミン2.3gを仕込み、240℃で3時間、常圧下で重合して比較帯電防止剤(4)を得た。これを比較例に用いた。
〔比較製造例5〕
セパラブルフラスコに、製造例1記載の方法で得られたポリエステル(A)−1を200g、数平均分子量2,000のポリエチレングリコールを300g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.3g、酢酸ジルコニウムを0.3g仕込み、200℃、減圧下で5時間重合して、両末端が水酸基である比較ポリエーテルエステル−3を得た。この比較ポリエーテルエステル−3の水酸基価は11、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で10,000であった。
得られた比較ポリエーテルエステル−3の200gにヘキサメチレンジアミン2.3gを仕込み、240℃で3時間、常圧下で重合して比較帯電防止剤(5)を得た。これを比較例に用いた。
〔実施例1〜16,比較例1〜10〕
下記の表1〜3に記載した配合量に基づいてブレンドした帯電防止性樹脂組成物を用いて、下記に示す試験片作製条件に従い、試験片を得た。得られた試験片を用いて、下記に従い、表面固有抵抗値(SR値)の測定および耐水拭き性評価試験を行った。同様にして、下記の表4〜5に示す配合で、比較例の樹脂組成物を調製し、それぞれ評価を行った。
<インパクトコポリマーポリプロピレン樹脂組成物試験片作製条件>
下記の表中に示す配合量に基づいてブレンドした帯電防止性樹脂組成物を、(株)池貝製の2軸押出機(PCM30,60mesh入り)を用いて、200℃、6kg/時間の条件で造粒し、ペレットを得た。得られたペレットを、横型射出成形機(NEX80:日精樹脂工業(株)製)を用い、樹脂温度200℃、金型温度40℃の加工条件で成形し、100mm×100mm×3mmの試験片を得た。
<表面固有抵抗値(SR値)測定方法>
得られた試験片を、成形加工後直ちに、温度25℃、湿度60%RHの条件下に保存し、成形加工の1日および30日保存後に、同雰囲気下で、アドバンテスト社製のR8340抵抗計を用いて、印加電圧100V、印加時間1分の条件で、表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。測定は5点について行い、その平均値を求めた。
<耐水拭き性評価試験>
得られた試験片の表面を流水中ウエスで50回拭いた後、温度25℃、湿度60%の条件下で2時間保存し、その後、同雰囲気下にて、アドバンテスト社製、R8340抵抗計を用いて、印加電圧100V、印加時間1分の条件で、表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。測定は5点で行い、その平均値を求めた。
*1:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
*2:インパクトコポリマーポリプロピレン、日本ポリプロ株式会社製、商品名 BC03B
*1:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
*2:インパクトコポリマーポリプロピレン、日本ポリプロ株式会社製、商品名 BC03B
*1:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
*2:インパクトコポリマーポリプロピレン、日本ポリプロ株式会社製、商品名 BC03B
*1:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
*2:インパクトコポリマーポリプロピレン、日本ポリプロ株式会社製、商品名 BC03B
*1:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
*2:インパクトコポリマーポリプロピレン、日本ポリプロ株式会社製、商品名 BC03B
上記表中に示したように、実施例の帯電防止性樹脂組成物によれば、少ない帯電防止剤または帯電防止剤組成物の添加量で優れた帯電防止効果が得られており、時間経過または水拭きによっても帯電防止効果が低減しないことが確かめられた。