JP2022165548A - 帯電防止剤、これを含む帯電防止剤組成物、これらを含む帯電防止性樹脂組成物、および、その成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】合成樹脂に優れた帯電防止効果を持続的に付与でき、保存安定性に優れ、得られる成形体の透明性に優れる帯電防止剤、帯電防止剤組成物、帯電防止性樹脂組成物およびその成形体の提供。【解決手段】エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールの少なくとも一方、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールおよびジエチレングリコールから選ばれる1種以上、テレフタル酸若しくはその誘導体またはテレフタル酸若しくはその誘導体とイソフタル酸若しくはその誘導体との混合物、並びに水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物から得られるポリエステル由来のポリエステルセグメント(A)と、ポリエチレングリコールまたはその誘導体由来のポリエーテルセグメント(B)が、エステル結合を介し結合した構造を有する高分子化合物(C)を含有する帯電防止剤。【選択図】なし
Description
本発明は、帯電防止剤、これを含む帯電防止剤組成物、これらを含む帯電防止性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」とも称する)、および、その成形体に関する。本発明は、詳しくは、合成樹脂に対して、優れた帯電防止効果を持続的に付与することができる帯電防止剤、これを含む帯電防止剤組成物、これらを含む帯電防止性樹脂組成物およびその成形体に関する。
熱可塑性樹脂等の合成樹脂は、軽量で加工が容易であるのみならず、用途に応じて基材を設計することができる等の優れた特性を有しているため、現代では欠かすことのできない重要な素材である。また、熱可塑性樹脂は電気絶縁性に優れるという特性を有するため、電気製品のコンポーネント等に頻繁に利用されている。しかしながら、熱可塑性樹脂は、あまりにも絶縁性が高いため、摩擦等により帯電しやすいという問題がある。
帯電した熱可塑性樹脂は周囲の埃や塵を引き付けるため、樹脂成形品の外観を損ねるという問題が生ずる。また、電子製品の中でも、例えば、コンピューター等の精密機器は、帯電により回路が正常に作動することができなくなる場合がある。さらに、電撃による問題も存在する。樹脂から人体に対して電撃が発生すると、人に不快感を与えるだけでなく、可燃性気体や粉塵のあるところでは、爆発事故を誘引する可能性もある。
このような問題を解消するために、従来から、合成樹脂に対して帯電を防止する処理が行われている。最も一般的な帯電防止処理方法は、合成樹脂に帯電防止剤を加える方法である。このような帯電防止剤には、樹脂成形体表面に塗布する塗布型のものと、樹脂を加工成形する際に添加する練り込み型のものとがあるが、塗布型のものは持続性に劣ることに加え、表面に大量の有機物が塗布されるために、その表面に触れたものが汚染されるという問題があった。
かかる観点から、従来、主として合成樹脂に練り込んで使用する高分子型帯電防止剤が検討されており、例えば、特許文献1、2では、ポリオレフィン系樹脂に対する帯電防止性付与のためにポリエーテルエステルアミドが提案されている。また、特許文献3では、熱可塑性樹脂に対し帯電防止性(制電性)を付与するためにポリエーテルエステルが提案されている。
しかしながら、これら従来の帯電防止剤は、帯電防止性能とその持続性において、必ずしも充分とはいえず、さらなる改良が望まれているのが現状である。特に、樹脂に多量に添加しなければ充分な性能を得られないため、帯電防止剤の結晶性が高かったり、樹脂との屈折率差が大きかったりすると、成形体の透明性に悪影響を及ぼすという問題があった。また、特に透明ABS樹脂、例えば、メチルメタクリレートアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(MABS樹脂ともいう)等の、透明性が必要とされる合成樹脂においては、透明性に悪影響を及ぼす問題が深刻であった。
一方、従来の高分子型帯電防止剤は、長期保存時や、高温状態での保存時に、べたついたり、ブロッキングしたりする等、その保存安定性に問題があった。特に、高分子型帯電防止剤は、重合して得られたポリマーをペレット状にカッティングして使用することが多く、これらペレットの長期保存時や、高温状態での保存時に、べたついたり、ブロッキングしたりする等、その保存安定性に問題があった。
そこで、本発明の目的は、合成樹脂に対して、優れた帯電防止効果を持続的に付与することができ、保存安定性に優れ、得られる成形体の透明性に優れる帯電防止剤、これを含む帯電防止剤組成物、これらを含む帯電防止性樹脂組成物、および、その成形体、特には、透明性に優れる成形体を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、所定の構造を有する高分子化合物が、合成樹脂に対して優れた帯電防止性能を付与することができ、保存安定性に優れ、結晶性が低く樹脂との屈折率差が小さいため透明性に悪影響を及ぼさず、これを用いることで、上記課題を解消することができることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の帯電防止剤は、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)とを有し、
前記ポリエステルセグメント(A)が、
(a1)エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールのうちの少なくとも一方、
(a2)ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上、
(a3)テレフタル酸若しくはその誘導体、または、テレフタル酸若しくはその誘導体とイソフタル酸若しくはその誘導体との混合物、並びに、
(a4)水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物、
から得られるポリエステル由来のポリエステルセグメントであり、
前記ポリエーテルセグメント(B)が、(b)ポリエチレングリコールまたはその誘導体由来のポリエーテルセグメントであり、
前記ポリエステルセグメント(A)と前記ポリエーテルセグメント(B)とがエステル結合を介して結合した構造を有する高分子化合物(C)の1種以上を含有することを特徴とするものである。
前記ポリエステルセグメント(A)が、
(a1)エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールのうちの少なくとも一方、
(a2)ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上、
(a3)テレフタル酸若しくはその誘導体、または、テレフタル酸若しくはその誘導体とイソフタル酸若しくはその誘導体との混合物、並びに、
(a4)水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物、
から得られるポリエステル由来のポリエステルセグメントであり、
前記ポリエーテルセグメント(B)が、(b)ポリエチレングリコールまたはその誘導体由来のポリエーテルセグメントであり、
前記ポリエステルセグメント(A)と前記ポリエーテルセグメント(B)とがエステル結合を介して結合した構造を有する高分子化合物(C)の1種以上を含有することを特徴とするものである。
本発明においては、前記高分子化合物(C)における、前記(a2)ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上の割合が、前記(a1)エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールのうちの少なくとも一方と、前記(a2)ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上と、の合計モル数に対して、5モル%以上80モル%以下であることが好ましい。
また、本発明においては、前記高分子化合物(C)における、前記(a4)水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物の割合が、前記(a1)エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールのうちの少なくとも一方と、前記(a2)ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上と、前記(a4)水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物と、の合計モル数に対して、0.05~10モル%であることが好ましい。
さらに、本発明においては、前記高分子化合物(C)における、前記ポリエステルセグメント(A)と、前記ポリエーテルセグメント(B)と、の質量比(A)/(B)が、0.1~4.0であることが好ましい。さらにまた、本発明においては、前記高分子化合物(C)が、60℃以上200℃以下の範囲内の融点を有することが好ましい。
本発明の帯電防止剤組成物は、上記帯電防止剤に対し、さらに、アルカリ金属の塩およびイオン性液体からなる群から選択される1種以上が配合されていることを特徴とするものである。
本発明の帯電防止性樹脂組成物は、合成樹脂に対し、上記帯電防止剤が配合されているか、または、合成樹脂に対し、上記帯電防止剤組成物が配合されていることを特徴とするものである。
本発明においては、前記合成樹脂が、ポリスチレン系樹脂およびそれらの共重合体からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、透明アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂であることも好ましい。
本発明の成形体は、上記帯電防止性樹脂組成物からなることを特徴とするものである。
本発明によれば、合成樹脂に対して、優れた帯電防止効果を持続的に付与することができ、保存安定性に優れる帯電防止剤、これを含む帯電防止剤組成物、これらを含む帯電防止性樹脂組成物およびその成形体を提供することができる。本発明の成形体、特に、合成樹脂として透明ABS樹脂を用いて得られる成形体は、静電気が発生しにくく、静電気による表面の汚染や埃の付着による商品価値の下落を生じにくく、透明性に優れる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
まず、本発明の帯電防止剤について説明する。本発明の帯電防止剤は、高分子化合物(C)の1種以上を含有しており、この高分子化合物(C)は、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)を有している。ポリエステルセグメント(A)は、(a1)エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールのうちの少なくとも一方、(a2)ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上、(a3)テレフタル酸若しくはその誘導体、または、テレフタル酸若しくはその誘導体とイソフタル酸若しくはその誘導体との混合物、並びに、(a4)水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物、から得られるポリエステル由来のポリエステルセグメントである。また、ポリエーテルセグメント(B)は、(b)ポリエチレングリコールまたはその誘導体由来のポリエーテルセグメントである。高分子化合物(C)は、このようなポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)とがエステル結合を介して結合した構造を有している。
本発明の帯電防止剤において、ポリエステルセグメント(A)のポリエステルを構成するモノマーである(a1)成分は、エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールのうちの少なくとも一方であり、エチレングリコールのみでもよく、1,4-ブタンジオールのみでもよく、エチレングリコールと1,4-ブタンジオールとの混合物でもよい。(a1)がエチレングリコールと1,4-ブタンジオールとの混合物の場合、この混合物における1,4-ブタンジオールの割合は、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、両者の合計モル数に対して50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらにより好ましく、90モル%以上がさらにより好ましい。(a1)成分としては、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、1,4-ブタンジオール、または、エチレングリコールが好ましく、1,4-ブタンジオールが最も好ましい。
本発明の帯電防止剤において、ポリエステルセグメント(A)のポリエステルを構成するモノマーである(a2)成分は、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上である。(a2)成分としては、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールが好ましく、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールがより好ましく、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオールがさらにより好ましく、ネオペンチルグリコールが特に好ましい。
本発明の帯電防止剤において、(a1)成分および(a2)成分は、ポリエステルセグメント(A)のポリエステルを構成するモノマーであるジオール成分であり、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、(a2)成分の割合が、(a1)成分と(a2)成分との合計モル数に対して、5モル%以上80モル%以下であることが好ましく、10モル%以上70モル%以下であることがより好ましく、20モル%以上60モル%以下であることがさらにより好ましく、30モル%以上55モル%以下であることが特に好ましい。
本発明の帯電防止剤において、ポリエステルセグメント(A)のポリエステルを構成するモノマーである(a3)成分は、テレフタル酸若しくはその誘導体、または、テレフタル酸若しくはその誘導体とイソフタル酸若しくはその誘導体との混合物である。(a3)成分としては、テレフタル酸またはその誘導体でもよく、テレフタル酸またはその誘導体とイソフタル酸またはその誘導体との混合物でもよい。
(a3)成分として、テレフタル酸またはその誘導体とイソフタル酸またはその誘導体との混合物を使用する場合、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、イソフタル酸またはその誘導体の割合が、テレフタル酸またはその誘導体とイソフタル酸またはその誘導体との合計モル数に対して、80モル%以下であることが好ましく、70モル%以下であることがより好ましく、50モル%以下であることがさらにより好ましく、40モル%以下であることが特に好ましい。(a3)成分としては、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、テレフタル酸またはその誘導体が最も好ましい。
(a3)成分であるテレフタル酸の誘導体およびイソフタル酸の誘導体における誘導体としては、水酸基と反応してエステル結合を形成できるものであればよく、例えば、酸無水物、エステル(例えば、メチルエステル等のアルキルエステル)、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)、酸ハライド(例えば、酸クロライド)が挙げられ、反応の容易性の点から、メチルエステル等のアルキルエステルが好ましい。
本発明の帯電防止剤に係る高分子化合物(C)においては、本発明の効果を損なわない範囲で、(a3)成分のテレフタル酸またはその誘導体およびイソフタル酸またはその誘導体以外の、ジカルボン酸またはその誘導体が使用されてもかまわない。テレフタル酸およびイソフタル酸以外のジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸または脂環族ジカルボン酸が挙げられ、例えば、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
本発明の帯電防止剤において、ポリエステルセグメント(A)のポリエステルを構成するモノマーである(a4)成分は、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物である。水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)としては、水酸基を3個以上有するものであれば特に制限されず、例えば、グリセリン、1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、2-メチル-1,2,3-プロパントリオール、1,2,3-ペンタントリオール、1,2,4-ペンタントリオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,3,4-ペンタントリオール、2-メチル-2,3,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、2,3,4-ヘキサントリオール、2-エチル-1,2,3-ブタントリオール、トリメチロールプロパン、4-プロピル-3,4,5-ヘプタントリオール、2,4-ジメチル-2,3,4-ペンタントリオール、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、1,2,3,4-ペンタンテトロール、2,3,4,5-ヘキサンテトロール、1,2,4,5-ペンタンテトロール、1,3,4,5-ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ソルビタン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の4価アルコール;アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグリセリン等の5価アルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、アロース等の6価アルコール;さらには、トリペンタエリスリトールが挙げられる。また、多価アルコール化合物の分子量には特に制限はなく、ポリペンタエリスリトールやポリビニルアルコール等の高分子量の多価アルコールも使用できる。本発明の帯電防止剤において、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の帯電防止剤において、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)としては、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパンが好ましく、グリセリンが最も好ましい。
高分子化合物(C)における、(a4)成分の割合は、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、(a1)成分と、(a2)成分と、(a4)成分と、の合計モル数に対して、0.05~10モル%であることが好ましく、0.1~9.0モル%であることがより好ましく、0.3~8.0モル%であることがさらに好ましい。
本発明の帯電防止剤において、ポリエーテルセグメント(B)は、(b)ポリエチレングリコールまたはその誘導体由来のポリエーテルセグメントである。(b)ポリエチレングリコールは、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、下記一般式(1)で表されるポリエチレングリコールが好ましい。
本発明の帯電防止剤において、(b)ポリエチレングリコールの数平均分子量は、水酸基価の測定値から算出することができ、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、好ましくは200~11,000であり、より好ましくは400~9,000であり、さらに好ましくは600~7,000である。水酸基価の測定方法、および、水酸基価からの数平均分子量の算出方法を以下に記す。
<水酸基価からの数平均分子量の算出方法>
下記水酸基価の測定方法により水酸基価を測定し、下記式に従い、数平均分子量(以下「Mn」とも称する)を決定した。
数平均分子量=(56110×2)/水酸基価
下記水酸基価の測定方法により水酸基価を測定し、下記式に従い、数平均分子量(以下「Mn」とも称する)を決定した。
数平均分子量=(56110×2)/水酸基価
<水酸基価の測定方法>
・試薬A(アセチル化剤)
(1)トリエチルホスフェート 1560mL
(2)無水酢酸 193mL
(3)過塩素酸(60%) 16g
上記試薬を(1)→(2)→(3)の順に混合する。
・試薬B
ピリジンと純水とを体積比率で3:1に混合する。
・試薬C
500mLのイソプロピルアルコールにフェノールフタレイン液を2~3滴加え、1N-KOH水溶液で中性にする。
・試薬A(アセチル化剤)
(1)トリエチルホスフェート 1560mL
(2)無水酢酸 193mL
(3)過塩素酸(60%) 16g
上記試薬を(1)→(2)→(3)の順に混合する。
・試薬B
ピリジンと純水とを体積比率で3:1に混合する。
・試薬C
500mLのイソプロピルアルコールにフェノールフタレイン液を2~3滴加え、1N-KOH水溶液で中性にする。
まず、200mL三角フラスコにサンプルを2g量りとり、トリエチルホスフェート10mLを加え、加熱溶解させる。試薬A15mLを加え、共栓をして激しく振盪する。試薬B20mLを加え、共栓をして激しく振盪する。試薬C50mLを加える。1N-KOH水溶液で滴定し、下式に従い計算する。
水酸基価[mgKOH/g]=56.11×f×(T-B)/S
f:1N-KOH水溶液のfactor
B:空試験滴定量[mL]
T:本試験滴定量[mL]
S:サンプル量[g]
水酸基価[mgKOH/g]=56.11×f×(T-B)/S
f:1N-KOH水溶液のfactor
B:空試験滴定量[mL]
T:本試験滴定量[mL]
S:サンプル量[g]
本発明のポリエーテルセグメント(B)における(b)成分は、ポリエチレングリコールの誘導体でもよく、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、ポリエチレングリコールの主鎖中に芳香環が1個以上導入された、芳香環導入ポリエチレングリコール誘導体が好ましい。
芳香環導入ポリエチレングリコール誘導体としては、例えば、芳香族ジカルボン酸の両末端にポリエチレングリコールがエステル結合した構造のもの、芳香族グリコールの両末端にポリエチレングリコールがエーテル結合した構造のもの、2価フェノールの両末端にポリエチレングリコールがエーテル結合した構造のもの、芳香族2級ジアミンの両末端にポリエチレングリコールがアミノ結合した構造のもの等が挙げられる。
上記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、ホモフタル酸、フェニルコハク酸、β-フェニルグルタル酸、α-フェニルアジピン酸、β-フェニルアジピン酸、ビフェニル-2,2’-ジカルボン酸、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、3-スルホイソフタル酸ナトリウムおよび3-スルホイソフタル酸カリウム等が挙げられる。
上記芳香族グリコールとしては、例えば、ジヒドロキシメチルベンゼン、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2-フェニル-1,3-プロパンジオール、2-フェニル-1,4-ブタンジオール、2-ベンジル-1,3-プロパンジオール、トリフェニルエチレングリコール、テトラフェニルエチレングリコールおよびベンゾピナコール、ビスフェノキシエタノールフルオレン等が挙げられる。
上記2価フェノールとしては、炭素原子数6~30のフェノールが使用でき、例えば、カテコール、レゾルシノール、1,4-ジヒドロキシベンゼン、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン、ビスクレゾールフルオレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、ビナフトールおよびこれらのアルキル(炭素原子数1~10)またはハロゲン置換体等が挙げられる。
上記芳香族2級ジアミンとしては、例えば、N,N’-ジメチル-フェニレンジアミン、N,N’-ジメチル-キシリレンジアミン、N,N’-ジメチル-ジフェニルメタンジアミン、N,N’-ジメチル-ジフェニルエーテルジアミン、N,N’-ジメチル-ベンジジンおよびN,N’-ジメチル-1,4-ナフタレンジアミン、ビスアニリンフルオレン等が挙げられる。
芳香環導入ポリエチレングリコール誘導体の中でも、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される芳香環導入ポリエチレングリコール誘導体が好ましい。
一般式(2)中、Dは芳香環を有する2価の基を表し、tは2~150の数を表し、uは1~100の数を表す。Dが表す芳香環を有する2価の基としては、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、下記式で表すものが好ましい。
帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、一般式(2)中、tは5~100の数が好ましく、6~75の数がより好ましく、uは1~50の数が好ましく、1~30の数がより好ましい。
一般式(3)中、Dは芳香環を有する2価の基を表し、tは2~150の数を表し、uは1~100の数を表す。Dが表す芳香環を有する2価の基としては、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、下記式で表すものが好ましい。
帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、一般式(3)中、tは5~100の数が好ましく、6~75の数がより好ましく、uは1~50の数が好ましく、1~30の数がより好ましい。
芳香環導入ポリエチレングリコール誘導体の中でも、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、下記一般式(4)で表される芳香環導入ポリエチレングリコール誘導体が特に好ましい。
一般式(4)中、tは2~150の数を表し、uは1~100の数を表す。帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、tは5~100の数が好ましく、6~75の数がより好ましく、uは1~50の数が好ましく、1~30の数がより好ましい。
芳香環導入ポリエチレングリコール誘導体については、その製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いればよく、芳香族ジカルボン酸の両末端にポリエチレングリコールがエステル結合した構造のものを例とすると、芳香族ジカルボン酸(エステル等の誘導体でもよい)とポリエチレングリコールとをエステル化反応させればよい。他の方法としては、芳香族ジカルボン酸をエチレンオキサイドと付加反応させてもよい。製造が容易である点と、分子量調節が容易である点から、芳香族ジカルボン酸(エステル等の誘導体でもよい)とポリエチレングリコールとをエステル化反応させる方法が好ましい。
高分子化合物(C)における、ポリエステルセグメント(A)の数平均分子量は、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、ポリスチレン換算で、好ましくは800~10,000であり、より好ましくは1,000~8,000であり、さらに好ましくは1,200~7,500である。数平均分子量が800未満であると保存安定性に劣る恐れがあり、10,000を超えると、高分子化合物(C)を得るための反応に時間がかかり経済性に劣る恐れや、得られる高分子化合物(C)が長時間の反応により着色する恐れがある。
ポリスチレン換算による数平均分子量の測定方法としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を用いることが好ましい。その測定方法を以下に示す。
<ポリスチレン換算による数平均分子量の測定方法>
数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定できる。Mnの測定条件は以下の通りである。
装置 :日本分光(株)製GPC装置
溶媒 :クロロホルム
基準物質 :ポリスチレン
検出器 :UV検出器
カラム固定相 :昭和電工(株)製Shodex LF-804
カラム温度 :40℃
サンプル濃度 :1mg/1mL
流量 :0.5mL/min.
注入量 :30μL
数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定できる。Mnの測定条件は以下の通りである。
装置 :日本分光(株)製GPC装置
溶媒 :クロロホルム
基準物質 :ポリスチレン
検出器 :UV検出器
カラム固定相 :昭和電工(株)製Shodex LF-804
カラム温度 :40℃
サンプル濃度 :1mg/1mL
流量 :0.5mL/min.
注入量 :30μL
ポリエステルセグメント(A)の数平均分子量は、高分子化合物(C)の製造工程で得られる中間体であるポリエステル(A’)、ポリエステル(A”)等のポリスチレン換算の数平均分子量を測定し、それらから算出してもよい。この場合のポリスチレン換算による数平均分子量についても、上記GPC法によって測定することが好ましい。
また、高分子化合物(C)における、ポリエステルセグメント(A)の重合度は、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、3~50が好ましく、4~40がより好ましい。
本発明の帯電防止剤に係る高分子化合物(C)は、(a1)エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールのうちの少なくとも一方、(a2)ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上、(a3)テレフタル酸若しくはその誘導体、または、テレフタル酸若しくはその誘導体とイソフタル酸若しくはその誘導体との混合物、(a4)水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物、並びに、(b)ポリエチレングリコールまたはその誘導体を、エステル化反応させることにより得ることができる。エステル化反応は、反応によりエステル結合を形成するものであればよく、エステル交換反応も含まれる。
反応の容易性の点から、(a3)成分としては、テレフタル酸においてはテレフタル酸メチルエステル、イソフタル酸においてはイソフタル酸メチルエステルを使用することが好ましい。
エステル化反応(エステル交換反応も含む)には、エステル化反応(エステル交換反応も含む)を促進する触媒を使用してもよい。このような触媒としては、ジブチル錫オキサイド、テトラアルキルチタネート、酢酸ジルコニウム、酢酸亜鉛等、従来公知のものが使用できる。エステル化反応またはエステル交換反応は、減圧下で行ってもよい。
また、反応時に生成物の酸化を抑えるために、反応系にフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤を添加してもよい。
高分子化合物(C)を得る好ましい製造方法は、以下のとおりである。まず、(a1)エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールのうちの少なくとも一方と、(a2)ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上と、(a3)テレフタル酸若しくはその誘導体、または、テレフタル酸若しくはその誘導体およびイソフタル酸若しくはその誘導体から、ポリエステル(A’)を合成する。その後、そのポリエステル(A’)と、(a4)水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物、および、(b)ポリエチレングリコールまたはその誘導体とを、エステル化反応(エステル交換反応も含む)させる。反応に際しては、ポリエステル(A’)の合成反応の完結後に、ポリエステル(A’)を単離せずに、(a4)水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物、および、(b)ポリエチレングリコールまたはその誘導体を反応系に加えて、そのまま反応させてもよい。(a4)水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物および(b)ポリエチレングリコールまたはその誘導体は、同時に反応系に加えてもよいし、先に(b)ポリエチレングリコールまたはその誘導体を加えてから、その後に、(a4)水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物を加えてもよいし、その逆の順序でもよい。
ポリエステル(A’)は、高分子化合物(C)を得るためのその後の反応の容易性の点と、得られる高分子化合物(C)の合成反応時の着色抑制の点から、両末端が水酸基のものが好ましい。
ポリエステル(A’)の合成反応において、(a1)エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールのうちの少なくとも一方と、(a2)ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上と、(a3)テレフタル酸若しくはその誘導体、または、テレフタル酸若しくはその誘導体およびイソフタル酸若しくはその誘導体と、の仕込み比、すなわち、(a1)成分、(a2)成分および(a3)成分の仕込み比は、反応時に(a1)成分および低沸点成分である(a2)成分が系外に留出することを考慮し、かつ、両末端が水酸基となるように、(a1)成分および低沸点成分である(a2)成分を、過剰に使用することが好ましく、例えば、(a2)成分がすべて低沸点成分である場合には、理論量の1.1倍で使用することが好ましい。
低沸点成分である(a2)成分としては、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコールおよびジエチレングリコールが挙げられる。ここで得られた両末端が水酸基であるポリエステル(A’)と、(a4)水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物および(b)ポリエチレングリコールまたはその誘導体とを、エステル交換反応させることによって、好ましく高分子化合物(C)を得ることができる。このエステル交換反応では、ポリエステル(A’)の両末端に結合している1,4-ブタンジオールもしくはエチレングリコール、または、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上がエステル交換され、それらは反応系外に容易に除去できるため、反応が容易に進行し、好ましく高分子化合物(C)を得ることができる。また、この場合、得られる高分子化合物(C)が、合成反応時に着色することもなく、好ましい。このエステル交換反応は、減圧下で行うことが、反応が容易に進行するため好ましい。
ポリエステル(A’)の数平均分子量は、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、ポリスチレン換算で、好ましくは900~10,200であり、より好ましくは1,100~8,200であり、さらにより好ましくは1,300~7,700であり、特に好ましくは1,300~5,200であり、最も好ましくは1,300~4,200である。数平均分子量が900未満であると保存安定性に劣る恐れがあり、10,200を超えると高分子化合物(C)を得るための反応に時間がかかり、経済性に劣る恐れや、得られる高分子化合物(C)が長時間の反応により着色する恐れがある。なお、この場合のポリスチレン換算による数平均分子量についても、GPC法によって測定することが好ましく、その測定方法は前述のとおりである。
他に、高分子化合物(C)を得る製造方法としては、まず、(a1)エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールのうちの少なくとも一方と、(a2)ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上と、(a3)テレフタル酸若しくはその誘導体、または、テレフタル酸若しくはその誘導体およびイソフタル酸若しくはその誘導体と、(a4)水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物と、からポリエステル(A”)を合成し、その後、そのポリエステル(A”)と、(b)ポリエチレングリコールまたはその誘導体とを、エステル化反応(エステル交換反応も含む)させる方法も挙げられる。反応に際しては、ポリエステル(A”)の合成反応の完結後に、ポリエステル(A”)を単離せずに、(b)ポリエチレングリコールまたはその誘導体を反応系に加えて、そのまま反応させてもよい。
ポリエステル(A”)の数平均分子量は、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、ポリスチレン換算で、好ましくは900~10,100であり、より好ましくは1,100~8,100であり、さらにより好ましくは1,300~7,600である。数平均分子量が900未満であると保存安定性に劣る恐れがあり、10,100を超えると高分子化合物(C)を得るための反応に時間がかかり、経済性に劣る恐れや、得られる高分子化合物(C)が長時間の反応により着色する恐れがある。なお、この場合のポリスチレン換算による数平均分子量についても、GPC法によって測定することが好ましく、その測定方法は前述のとおりである。
ポリエーテルセグメント(B)の数平均分子量は、(b)ポリエチレングリコールまたはその誘導体の数平均分子量から算出すればよい。ポリエーテルセグメント(B)の数平均分子量は、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、好ましくは180~10,980であり、より好ましくは380~8,980であり、さらに好ましくは580~6,980である。
高分子化合物(C)においては、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、ポリエステルセグメント(A)と、ポリエーテルセグメント(B)との質量比(A)/(B)が、0.1~4.0であることが好ましく、0.2~3.0であることがより好ましく、0.3~2.5であることがさらに好ましい。
本発明の帯電防止剤に係る高分子化合物(C)は、帯電防止剤の帯電防止性とその持続性、および、成形体の透明性と保存安定性、加工性の点から、融点が60℃以上200℃以下の範囲内であることが好ましく、70℃以上190℃以下であることがより好ましく、80℃以上180℃以下であることがさらに好ましく、80℃以上150℃以下であることがさらにより好ましい。融点が、60℃未満であると、保存安定性が悪化する恐れがあり、また、200℃を超えると、高温で加工せざるを得ず、加工可能な温度範囲が制限される恐れがある。
本発明における融点は、以下の融点測定方法により測定される。
<融点測定方法>
融点は、示差走査熱量測定器(DSC)を用いて測定することができる。
試料を、アルミニウムパンに3±1mg秤取り、50℃から250℃まで10℃/分で昇温し、250℃から-20℃まで10℃/分で降温し、その後、250℃まで10℃/分で昇温した際の第二昇温時の融解ピークのピークトップを融点とする。
融点は、示差走査熱量測定器(DSC)を用いて測定することができる。
試料を、アルミニウムパンに3±1mg秤取り、50℃から250℃まで10℃/分で昇温し、250℃から-20℃まで10℃/分で降温し、その後、250℃まで10℃/分で昇温した際の第二昇温時の融解ピークのピークトップを融点とする。
本発明の帯電防止剤に係る高分子化合物(C)は、ハンドリング性の点から、ペレット状で使用することが好ましい。ペレット状にするには、重合反応後に、ポリマーを押出機から押し出し、カッティングしてペレット状とすればよい。カッティングには、ペレタイザー等の機械を使用してもよい。
次に、本発明の帯電防止剤組成物について説明する。
本発明の帯電防止剤組成物は、本発明の帯電防止剤に対し、さらに、アルカリ金属の塩およびイオン性液体からなる群から選択される1種以上が配合されてなるものである。本発明の帯電防止剤は、さらに、アルカリ金属の塩およびイオン性液体からなる群から選択される1種以上を配合することにより、優れた帯電防止性能とその持続性とを有する帯電防止剤組成物となり、好ましい。
以下、まずはアルカリ金属の塩について説明する。アルカリ金属の塩としては、有機酸または無機酸の塩が挙げられ、アルカリ金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム等が挙げられる。有機酸の例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等の炭素原子数1~18の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸等の炭素原子数1~12の脂肪族ジカルボン酸;安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸;メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の炭素原子数1~20のスルホン酸等が挙げられる。無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、硝酸、過塩素酸等が挙げられる。中でも、摩擦帯電圧と表面抵抗率、生体や環境に対する安全性の点から、リチウム、ナトリウム、カリウムの塩が好ましく、ナトリウムがより好ましい。また、帯電防止性とその持続性の点から、酢酸の塩、過塩素酸の塩、p-トルエンスルホン酸の塩、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩が好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩がより好ましい。アルカリ金属の塩は2種以上でもよい。
アルカリ金属の塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム、p-トルエンスルホン酸リチウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウム、p-トルエンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム等が挙げられる。これらの中で、帯電防止剤組成物の帯電防止性とその持続性、および、生体や環境に対する安全性の点から、好ましいのは、p-トルエンスルホン酸リチウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等であり、最も好ましいのはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
アルカリ金属の塩は、本発明の帯電防止剤に係る高分子化合物(C)に配合してもよいし、高分子化合物(C)とともに合成樹脂に配合して使用してもよい。また、高分子化合物(C)の製造時に、その反応容器に添加して配合してもよい。アルカリ金属の塩の配合量は、帯電防止剤組成物の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、高分子化合物(C)100質量部に対して、0.01~35質量部が好ましく、0.1~30質量部がより好ましく、3.0~25質量部が最も好ましい。
次に、イオン性液体について説明する。イオン性液体の例としては、100℃以下の融点を有し、イオン性液体を構成するカチオンまたはアニオンのうち少なくとも一つが有機物イオンであり、初期電導度が1~200ms/cm、好ましくは10~200ms/cmである常温溶融塩であって、例えば、国際公開第95/15572号に記載の常温溶融塩が挙げられる。
イオン性液体を構成するカチオンとしては、アミジニウム、ピリジニウム、ピラゾリウムおよびグアニジニウムカチオンからなる群から選ばれるカチオンが挙げられる。
このうち、アミジニウムカチオンとしては、下記のものが挙げられる。
(1)イミダゾリニウムカチオン
炭素原子数5~15のものが挙げられ、例えば、1,2,3,4-テトラメチルイミダゾリニウム、1,3-ジメチルイミダゾリニウム;
(2)イミダゾリウムカチオン
炭素原子数5~15のものが挙げられ、例えば、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム;
(3)テトラヒドロピリミジニウムカチオン
炭素原子数6~15のものが挙げられ、例えば、1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4-テトラメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウム;
(4)ジヒドロピリミジニウムカチオン
炭素原子数6~20のものが挙げられ、例えば、1,3-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウム、1,3-ジメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウム、8-メチル-1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7,9-ウンデカジエニウム、8-メチル-1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7,10-ウンデカジエニウム。
(1)イミダゾリニウムカチオン
炭素原子数5~15のものが挙げられ、例えば、1,2,3,4-テトラメチルイミダゾリニウム、1,3-ジメチルイミダゾリニウム;
(2)イミダゾリウムカチオン
炭素原子数5~15のものが挙げられ、例えば、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム;
(3)テトラヒドロピリミジニウムカチオン
炭素原子数6~15のものが挙げられ、例えば、1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4-テトラメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウム;
(4)ジヒドロピリミジニウムカチオン
炭素原子数6~20のものが挙げられ、例えば、1,3-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウム、1,3-ジメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウム、8-メチル-1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7,9-ウンデカジエニウム、8-メチル-1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7,10-ウンデカジエニウム。
ピリジニウムカチオンとしては、炭素原子数6~20のものが挙げられ、例えば、3-メチル-1-プロピルピリジニウム、1-ブチル-3,4-ジメチルピリジニウムが挙げられる。
ピラゾリウムカチオンとしては、炭素原子数5~15のものが挙げられ、例えば、1、2-ジメチルピラゾリウム、1-n-ブチル-2-メチルピラゾリウムが挙げられる。
グアニジニウムカチオンとしては、下記のものが挙げられる。
(1)イミダゾリニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数8~15のものが挙げられ、例えば、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリニウム、2-ジエチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリニウム;
(2)イミダゾリウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数8~15のものが挙げられ、例えば、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリウム、2-ジエチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリウム;
(3)テトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数10~20のものが挙げられ、例えば、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウム、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-4-エチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウム;
(4)ジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数10~20のものが挙げられ、例えば、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウム、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウム、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-4-エチル-1,4-ジヒドロピリミジニウム、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-4-エチル-1,6-ジヒドロピリミジニウム。
(1)イミダゾリニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数8~15のものが挙げられ、例えば、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリニウム、2-ジエチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリニウム;
(2)イミダゾリウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数8~15のものが挙げられ、例えば、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリウム、2-ジエチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリウム;
(3)テトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数10~20のものが挙げられ、例えば、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウム、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-4-エチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウム;
(4)ジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数10~20のものが挙げられ、例えば、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウム、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウム、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-4-エチル-1,4-ジヒドロピリミジニウム、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-4-エチル-1,6-ジヒドロピリミジニウム。
これらカチオンは、1種を単独で用いても、また、2種以上を併用しても、いずれでもよい。これらのうち、摩擦帯電圧および表面抵抗率の点から、好ましくはアミジニウムカチオンであり、より好ましくはイミダゾリウムカチオンであり、特に好ましくは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオンである。
イオン性液体において、アニオンを構成する有機酸または無機酸としては、下記のものが挙げられる。有機酸としては、例えば、カルボン酸、硫酸エステル、スルホン酸およびリン酸エステル;無機酸としては、例えば、超強酸(例えば、ホウフッ素酸、四フッ化ホウ素酸、過塩素酸、六フッ化リン酸、六フッ化アンチモン酸および六フッ化ヒ素酸)、リン酸およびホウ酸が挙げられる。上記有機酸および無機酸は、1種を単独で用いても、また、2種以上を併用しても、いずれでもよい。
上記有機酸および無機酸のうち、イオン性液体の、帯電防止性とその持続性の点から好ましいのは、イオン性液体を構成するアニオンのHammett酸度関数(-H0)が12~100である、超強酸の共役塩基、超強酸の共役塩基以外のアニオンを形成する酸およびこれらの混合物である。
超強酸の共役塩基以外のアニオンとしては、例えば、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素および臭素)イオン、アルキル(炭素原子数1~12)ベンゼンスルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸およびドデシルベンゼンスルホン酸)イオンおよびポリ(n=1~25)フルオロアルカンスルホン酸(例えば、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸)イオンが挙げられる。
また、超強酸としては、プロトン酸およびプロトン酸とルイス酸との組み合わせから誘導されるもの、および、これらの混合物が挙げられる。超強酸としてのプロトン酸としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタン、過塩素酸、フルオロスルホン酸、アルカン(炭素原子数1~30)スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸等)、ポリ(n=1~30)フルオロアルカン(炭素原子数1~30)スルホン酸(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸およびトリデカフルオロヘキサンスルホン酸)、ホウフッ素酸および四フッ化ホウ素酸が挙げられる。これらのうち、合成の容易さの観点から好ましいのはホウフッ素酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸およびビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸である。
ルイス酸と組合せて用いられるプロトン酸としては、例えば、ハロゲン化水素(例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素)、過塩素酸、フルオロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸およびこれらの混合物が挙げられる。これらのうち、イオン性液体の初期電導度の観点から好ましいのはフッ化水素である。
ルイス酸としては、例えば、三フッ化ホウ素、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、五フッ化ヒ素、五フッ化タンタルおよびこれらの混合物が挙げられる。これらのうちでも、イオン性液体の初期電導度の観点から好ましいのは、三フッ化ホウ素および五フッ化リンである。
プロトン酸とルイス酸との組み合わせは任意であるが、これらの組み合わせからなる超強酸としては、例えば、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、六フッ化タンタル酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化タンタルスルホン酸、四フッ化ホウ素酸、六フッ化リン酸、塩化三フッ化ホウ素酸、六フッ化ヒ素酸およびこれらの混合物が挙げられる。
これらアニオンのうち、イオン性液体の帯電防止性の観点から好ましいのは超強酸の共役塩基(プロトン酸からなる超強酸およびプロトン酸とルイス酸との組合せからなる超強酸)であり、さらに好ましいのはプロトン酸からなる超強酸およびプロトン酸と、三フッ化ホウ素および/または五フッ化リンとからなる超強酸の共役塩基である。
イオン性液体のうち、帯電防止性の観点から好ましいのは、アミジニウムカチオンを有するイオン性液体であり、より好ましいのは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオンを有するイオン性液体であり、特に好ましいのは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである。
イオン性液体は、本発明の帯電防止剤に係る高分子化合物(C)に配合してもよいし、高分子化合物(C)とともに合成樹脂に配合して使用してもよい。また、高分子化合物(C)の製造時に、その反応容器に添加して配合してもよい。イオン性液体の配合量は、帯電防止剤組成物の帯電防止性とその持続性、保存安定性および成形体の透明性の点から、高分子化合物(C)100質量部に対して、0.01~35質量部が好ましく、0.1~30質量部がより好ましく、1~25質量部が最も好ましい。
なお、本発明の帯電防止剤組成物においては、アルカリ金属の塩とイオン性液体とを併用してもよい。
本発明の帯電防止剤組成物を得るためには、高分子化合物(C)と、アルカリ金属の塩およびイオン性液体からなる群から選択される1種以上と、さらに必要に応じて他の任意成分とを混合すればよく、混合には各種混合機を用いることができる。混合時には加熱してもよい。使用できる混合機としては、例えば、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型混合機、W型混合機、スーパーミキサー、ナウターミキサー等が挙げられる。また、高分子化合物(C)の合成反応中に、反応系にアルカリ金属の塩およびイオン性液体からなる群から選択される1種以上を添加したものでもよい。
また、本発明の帯電防止剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、第2族元素の塩を配合して、帯電防止性を有する帯電防止剤組成物として使用してもよい。第2族元素の塩としては、有機酸または無機酸の塩が挙げられ、第2族元素の例としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。有機酸の例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等の炭素原子数1~18の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸等の炭素原子数1~12の脂肪族ジカルボン酸;安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸;メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の炭素原子数1~20のスルホン酸等が挙げられる。無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、硝酸、過塩素酸等が挙げられる。
第2族元素の塩は、高分子化合物(C)に配合してもよく、高分子化合物(C)とともに合成樹脂に配合して使用してもよい。第2族元素の塩の配合量は、高分子化合物(C)100質量部に対して、0.01~20質量部が好ましく、0.1~15質量部がより好ましく、3.0~12質量部が最も好ましい。
また、本発明の帯電防止剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤を配合して、帯電防止性を有する帯電防止剤組成物として使用してもよい。界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を使用することができる。
非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤;ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビット若しくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン界面活性剤等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等のカルボン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。本発明の帯電防止剤組成物においては、これらの界面活性剤の中でも、アニオン性界面活性剤が好ましく、特に、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩が好ましい。
界面活性剤は、高分子化合物(C)に配合してもよく、高分子化合物(C)とともに合成樹脂に配合して使用してもよい。界面活性剤の配合量は、高分子化合物(C)100質量部に対して、0.01~20質量部が好ましく、0.1~15質量部がより好ましく、1~10質量部が最も好ましい。
さらに、本発明の帯電防止剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、高分子型帯電防止剤を配合して、帯電防止性を有する帯電防止剤組成物として使用してもよい。高分子型帯電防止剤としては、例えば、公知のポリエーテルエステルアミド等の高分子型帯電防止剤を使用することができ、公知のポリエーテルエステルアミドとしては、例えば、特開平7-10989号公報に記載のビスフェノールAのポリオキシアルキレン付加物からなるポリエーテルエステルアミドが挙げられる。また、ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックとの結合単位が2~50の繰り返し構造を有するブロックポリマーを使用することができ、例えば、米国特許第6552131号明細書記載のブロックポリマーを挙げることができる。
高分子型帯電防止剤は、本発明の帯電防止剤に係る高分子化合物(C)に配合してもよく、高分子化合物(C)とともに、合成樹脂に配合して使用してもよい。高分子型帯電防止剤の配合量は、高分子化合物(C)100質量部に対して、0~50質量部が好ましく、5~20質量部がより好ましい。
さらにまた、本発明の帯電防止剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、相溶化剤を配合して、帯電防止性を有する帯電防止剤組成物としてもよい。相溶化剤を配合することで、高分子化合物(C)と他成分や合成樹脂との相溶性を向上させることができる。かかる相溶化剤としては、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基およびポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基(極性基)を有する変性ビニル重合体、例えば、特開平3-258850号公報に記載の重合体や、特開平6-345927号公報に記載のスルホニル基を有する変性ビニル重合体、または、ポリオレフィン部分と芳香族ビニル重合体部分とを有するブロック重合体等が挙げられる。
相溶化剤は、本発明の帯電防止剤に係る高分子化合物(C)に配合してもよく、高分子化合物(C)とともに合成樹脂に配合して使用してもよい。相溶化剤の配合量は、高分子化合物(C)100質量部に対して、0.1~15質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましい。
本発明の帯電防止剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、高分子化合物(C)、および、これまで挙げた成分以外にも、任意の成分として他の成分を配合してもよい。これら他の成分は、本発明の帯電防止剤組成物に直接配合してもよいし、高分子化合物(C)や本発明の帯電防止剤組成物を熱可塑性樹脂等の合成樹脂に配合して、帯電防止性を有する樹脂組成物として使用する場合に、合成樹脂に配合してもよい。
次に、本発明の帯電防止性樹脂組成物について説明する。
本発明の帯電防止性樹脂組成物は、合成樹脂に対し、本発明の帯電防止剤または帯電防止剤組成物が配合されてなるものである。本発明の帯電防止剤に係る高分子化合物(C)および帯電防止剤組成物は、合成樹脂、特に好ましくは、熱可塑性樹脂に配合して、帯電防止性を有する帯電防止性樹脂組成物として使用できる。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、架橋ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリブテン-1、ポリ-3-メチルペンテン、ポリ-4-メチルペンテン等のα-オレフィン重合体またはエチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等の、オレフィンモノマーの単独重合体または共重合体であるポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、スチレンおよび/またはα-メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)樹脂、ACS樹脂、SBS樹脂、MBS樹脂、MABS樹脂(メチルメタクリレートアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、耐熱ABS樹脂等)等の、スチレンモノマーの単独重合体または共重合体であるポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン-酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル-マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル-シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;石油樹脂、クマロン樹脂、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等の芳香族ポリエステルおよびポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサン、ポリ(2-オキセタノン)等の分解性脂肪族ポリエステル;ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタムおよびポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS樹脂、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂およびこれらのブレンド物を挙げることができる。また、熱可塑性樹脂は、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ナイロン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等のエラストマーであってもよい。本発明の帯電防止性樹脂組成物において、これらの熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併せて使用してもよい。また、熱可塑性樹脂はアロイ化されていてもよい。
これらの熱可塑性樹脂は、分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)等に関わらず使用することができる。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、帯電防止性樹脂組成物の帯電防止性とその持続性、および、成形体の透明性の点から、ポリスチレン系樹脂およびそれらの共重合体からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、透明ABS樹脂がより好ましく、メチルメタクリレートアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(MABS樹脂)が特に好ましい。
透明ABS樹脂の例としては、ゴム相に、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)を用いたものや、MABS樹脂が挙げられる。
本発明の帯電防止性樹脂組成物中の、合成樹脂と、本発明の帯電防止剤に係る高分子化合物(C)または本発明の帯電防止剤組成物との質量比は、99/1~40/60の範囲が好ましい。
本発明の帯電防止剤に係る高分子化合物(C)の、合成樹脂、特に好ましくは熱可塑性樹脂への配合方法は特に限定されず、通常使用されている任意の方法を用いることができ、例えば、ロール混練り、バンパー混練り、押し出し機、ニーダー等により混合、練り込みして配合すればよい。そのときに、さらにアルカリ金属の塩およびイオン性液体からなる群から選択される1種以上を同時に、混合、練り込みしてもよい。また、高分子化合物(C)は、そのまま合成樹脂に添加してもよいが、必要に応じて、担体に含浸させてから添加してもよい。担体に含浸させるには、そのまま加熱混合してもよいし、必要に応じて、有機溶媒で希釈してから担体に含浸させ、その後に溶媒を除去する方法でもよい。こうした担体としては、合成樹脂のフィラーや充填剤として知られているもの、または、常温で固体の難燃剤や光安定剤が使用でき、例えば、ケイ酸カルシウム粉末、シリカ粉末、タルク粉末、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、または、これら担体の表面を化学修飾したもの、下記に挙げる難燃剤や酸化防止剤の中で固体のもの等が挙げられる。これらの担体の中でも担体の表面を化学修飾したものが好ましく、シリカ粉末の表面を化学修飾したものがより好ましい。これらの担体は、平均粒径が0.1~100μmのものが好ましく、0.5~50μmのものがより好ましい。
さらに、本発明の帯電防止剤に係る高分子化合物(C)の配合方法を挙げると、射出成形等の成形時に高分子化合物(C)と合成樹脂、特に好ましくは熱可塑性樹脂とを混合して成形品を得る方法で配合してもよく、そのときにさらにアルカリ金属の塩およびイオン性液体からなる群から選択される1種以上を配合してもよく、さらに、あらかじめ高分子化合物(C)と合成樹脂とのマスターバッチを製造しておき、このマスターバッチを配合してもよく、そのときにアルカリ金属の塩およびイオン性液体からなる群から選択される1種以上を配合してもよい。
本発明の帯電防止性樹脂組成物には、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の各種添加剤をさらに添加することができ、これにより、本発明の帯電防止性樹脂組成物を安定化させることができる。
これら酸化防止剤等の各種添加剤は、合成樹脂に配合する前に、本発明の帯電防止剤組成物中に配合しておいてもよい。また、高分子化合物(C)の製造時に配合しておいてもよい。特に、酸化防止剤は、高分子化合物(C)の製造時に配合することで、製造中の高分子化合物(C)の酸化劣化も防ぐことができるので、好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ第三ブチル-p-クレゾール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6-ヘキサメチレンビス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’-チオビス(6-第三ブチル-m-クレゾール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-第三ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-第三ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-第三ブチル-m-クレゾール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ第三ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4-第二ブチル-6-第三ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、2-第三ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロイルオキシ-3-第三ブチル-5-メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6-ヘキサメチレンビス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2-第三ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-第三ブチル-5-メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5-トリス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。これらのフェノール系酸化防止剤の添加量は、合成樹脂100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.05~5質量部であることがより好ましい。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2-第三ブチル-4-(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ第三ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-n-ブチリデンビス(2-第三ブチル-5-メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10-ジハイドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、2,2’-メチレンビス(4,6-第三ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-第三ブチルフェニル)-オクタデシルホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2-〔(2,4,8,10-テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ〕エチル)アミン、2-エチル-2-ブチルプロピレングリコールと2,4,6-トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。これらのリン系酸化防止剤の添加量は、合成樹脂100質量部に対して0.001~10質量部であることが好ましく、0.05~5質量部であることがより好ましい。
チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、および、ペンタエリスリトールテトラ(β-アルキルチオプロピオン酸)エステル類が挙げられる。これらのチオエーテル系酸化防止剤の添加量は、合成樹脂100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.05~5質量部であることがより好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)等の2-ヒドロキシベンゾフェノン類;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ第三ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第三ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-5’-第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2,2’-メチレンビス(4-第三オクチル-6-(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第三ブチル-5’-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ第三ブチルフェニル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2,4-ジ第三アミルフェニル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2-エチル-2’-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4’-ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル-α-シアノ-β、β-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-5-メチルフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)-s-トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。これらの紫外線吸収剤の添加量は、合成樹脂100質量部に対して、0.001~30質量部であることが好ましく、0.05~10質量部であることがより好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-オクトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ビス(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)・ビス(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-ブチル-2-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、1,2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ポリ〔{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、1,2,3,4-ブタンカルボン酸/2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール/3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパナール/1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルエステル重縮合物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)=デカンジオアート/メチル=1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル=セバカート混合物、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-第三オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル]-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,5,8,12-テトラキス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル]-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イルアミノ]ウンデカン、1,6,11-トリス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イルアミノ]ウンデカン、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオキシカルボニル)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{トリス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルオキシカルボニル)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、ビス(1-ウンデシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルヘキサデカノエート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオクタデカノエート等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、合成樹脂100質量部に対して0.001~30質量部であることが好ましく、0.05~10質量部であることがより好ましい。
また、合成樹脂、中でも特にポリオレフィン系樹脂を使用する場合には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてさらに、合成樹脂、中でも特にポリオレフィン系樹脂中の残渣触媒を中和するために、公知の中和剤を添加することが好ましい。中和剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸金属塩、または、エチレンビス(ステアロアミド)、エチレンビス(12-ヒドロキシステアロアミド)、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド化合物が挙げられ、これら中和剤は混合して用いてもよい。
本発明の帯電防止性樹脂組成物には、その他の添加剤として、必要に応じてさらに、本発明の効果を損なわない範囲で、芳香族カルボン酸金属塩、脂環式アルキルカルボン酸金属塩、p-第三ブチル安息香酸アルミニウム、芳香族リン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール類等の結晶核剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、無機リン系難燃剤、(ポリ)リン酸塩系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、シリコン系難燃剤、三酸化アンチモン等の酸化アンチモン、その他の無機系難燃助剤、その他の有機系難燃助剤、老化防止剤、充填剤、顔料、滑剤、加工助剤、可塑剤、強化材、発泡剤等を添加してもよい。
トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ピロリン酸メラミン、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3-ヘキシレンジメラミン等が挙げられる。
金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、キスマー5A(水酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)等が挙げられる。
リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリスイソプロピルフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t-ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス-(t-ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス-(イソプロピルフェニル)ホスフェート等が挙げられる。
縮合リン酸エステル系難燃剤の例としては、1,3-フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、1,3-フェニレンビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
(ポリ)リン酸塩系難燃剤の例としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ピペラジン等の(ポリ)リン酸のアンモニウム塩やアミン塩が挙げられる。
その他の無機系難燃助剤としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、タルク、モンモリロナイト等の無機化合物、およびその表面処理品が挙げられ、例えば、TIPAQUE R-680(酸化チタン:石原産業(株)製)、キョーワマグ150(酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)、DHT-4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(亜鉛変性ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)等の種々の市販品を用いることができる。また、その他の有機系難燃助剤としては、例えば、ペンタエリスリトールが挙げられる。
老化防止剤としては、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p-フェニルジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダートフェノール系、亜リン酸エステル系等が挙げられる。
結晶核剤としては、無機系結晶核剤および有機系結晶核剤が挙げられ、無機系結晶核剤の具体例としては、カオリナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウムおよびフェニルホスホネート等の金属塩を挙げることができる。これらの無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていてもよい。
有機系結晶核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ-ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレート等の有機カルボン酸金属塩、p-トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウム等の有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t-ブチルアミド)等のカルボン酸アミド、ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ナトリウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート等のリン化合物金属塩、および2,2-メチルビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ナトリウム等を挙げることができる。
滑剤としては、例えば、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、低分子量ポリエチレン、ポリエチレンワックス等の純炭化水素系滑剤;ハロゲン化炭化水素系滑剤;高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤;脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤;脂肪酸の低級アルコールエステル、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)等のエステル系滑剤;金属石鹸、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステル系の滑剤や、シリコーンオイル、鉱油等が挙げられる。
加工助剤としては、アクリル系加工助剤が挙げられ、アクリル系加工助剤は、(メタ)アクリル酸エステルの1種を重合または2種以上を共重合させたものが使用できる。重合または共重合する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルメタクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。また、上記以外にも、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシ基を含有した(メタ)アクリル酸エステルも挙げられる。
可塑剤としては、例えば、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤、エーテルエステル系可塑剤およびエポキシ系可塑剤等が挙げられる。
強化材としては、例えば、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維および硼素繊維等の無機繊維状強化材、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙およびウール等の有機繊維状強化材、ガラスフレーク、非膨潤性雲母、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイトおよび白土等の板状や粒状の強化材が挙げられる。これらの強化材は、エチレン/酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で被覆または集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシラン等のカップリング剤等で処理されていてもよい。
本発明の帯電防止性樹脂組成物には、さらにその他の添加剤として、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、通常合成樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性剤、離型剤等を、配合することができる。
本発明の帯電防止性樹脂組成物に配合される添加剤は、合成樹脂に直接添加してもよく、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)または帯電防止剤組成物に配合してから、合成樹脂に添加してもよい。
次に、本発明の成形品について説明する。
本発明の成形体は、本発明の帯電防止性樹脂組成物からなる。本発明の帯電防止性樹脂組成物を成形することにより、帯電防止性を有する樹脂成形体を得ることができる。成形方法としては、特に限定されるものではなく、押出加工、カレンダー加工、射出成形、ロール、圧縮成形、ブロー成形、回転成形等が挙げられ、樹脂板、シート、フィルム、ボトル、繊維、異形品等の種々の形状の成形品が製造できる。
本発明の帯電防止性樹脂組成物からなる成形体は、帯電防止性能とその持続性、および、透明性に優れるものである。透明ABS樹脂、特に、メチルメタクリレートアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(MABS樹脂)の成形体は、帯電防止性能とその持続性および透明性に、より優れる。
本発明の帯電防止性樹脂組成物およびその成形体は、電気・電子・通信、農林水産、鉱業、建設、食品、繊維、衣類、医療、石炭、石油、ゴム、皮革、自動車、精密機器、木材、建材、土木、家具、印刷、楽器等の幅広い産業分野に使用できる。
より具体的には、本発明の帯電防止性樹脂組成物およびその成形体は、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、複写機、ファクシミリ、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子手帳、カード、ホルダー、文具等の事務、OA機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、コタツ等の家電機器、TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレーヤー、スピーカー、液晶ディスプレー等のAV機器、コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、LED封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計等の電気・電子部品および通信機器、自動車用内外装材、製版用フィルム、粘着フィルム、ボトル、食品用容器、食品包装用フィルム、製薬・医薬用ラップフィルム、製品包装フィルム、農業用フィルム、農業用シート、温室用フィルム等の用途に用いられる。
本発明の帯電防止性樹脂組成物およびその成形体は、特に、透明性を必要とされる用途、例えば、掃除機ダストボックス、電子レンジ、ICトレー、キャリアテープ用シート、医療機器等に好適に用いられる。
さらに、本発明の帯電防止性樹脂組成物およびその成形体は、座席(詰物、表地等)、ベルト、天井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレイ、カーペット、マット、サンバイザー、ホイルカバー、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、吊り手、吊り手帯、電線被覆材、電気絶縁材、塗料、コーティング材、上張り材、床材、隅壁、カーペット、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、デッキ材、壁材、柱材、敷板、塀の材料、骨組および繰形、窓およびドア形材、こけら板、羽目、テラス、バルコニー、防音板、断熱板、窓材等の自動車、車両、船舶、航空機、建物、住宅および建築用材料や土木材料、衣料、カーテン、シーツ、不織布、合板、合繊板、絨毯、玄関マット、シート、バケツ、ホース、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、楽器等の生活用品、スポーツ用品等の各種用途に使用することができる。
以下、本発明を、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記の製造例に従い、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)を製造した。また、下記の製造例において、化合物(b)の数平均分子量は、下記<水酸基価からの数平均分子量の算出方法>で算出し、化合物(b)以外の数平均分子量は、下記<ポリスチレン換算による数平均分子量の測定方法>で算出した。
<水酸基価からの数平均分子量の算出方法>
下記水酸基価の測定方法により水酸基価を測定し、下記式に従い数平均分子量Mnを決定した。
数平均分子量=(56110×2)/水酸基価
下記水酸基価の測定方法により水酸基価を測定し、下記式に従い数平均分子量Mnを決定した。
数平均分子量=(56110×2)/水酸基価
<水酸基価の測定方法>
・試薬A(アセチル化剤)
(1)トリエチルホスフェート 1560mL
(2)無水酢酸 193mL
(3)過塩素酸(60%) 16g
上記試薬を(1)→(2)→(3)の順に混合する。
・試薬B
ピリジンと純水を体積比率で3:1に混合する。
・試薬C
500mLのイソプロピルアルコールにフェノールフタレイン液を2~3滴加え、1N-KOH水溶液で中性にする。
・試薬A(アセチル化剤)
(1)トリエチルホスフェート 1560mL
(2)無水酢酸 193mL
(3)過塩素酸(60%) 16g
上記試薬を(1)→(2)→(3)の順に混合する。
・試薬B
ピリジンと純水を体積比率で3:1に混合する。
・試薬C
500mLのイソプロピルアルコールにフェノールフタレイン液を2~3滴加え、1N-KOH水溶液で中性にする。
まず、200mL三角フラスコにサンプルを2g量りとり、トリエチルホスフェート10mLを加え、加熱溶解させる。試薬A15mLを加え、共栓をして激しく振盪する。試薬B20mLを加え、共栓をして激しく振盪する。試薬C50mLを加える。1N-KOH水溶液で滴定し、下式に従い計算する。
水酸基価[mgKOH/g]=56.11×f×(T-B)/S
f:1N-KOH水溶液のfactor
B:空試験滴定量[mL]
T:本試験滴定量[mL]
S:サンプル量[g]
水酸基価[mgKOH/g]=56.11×f×(T-B)/S
f:1N-KOH水溶液のfactor
B:空試験滴定量[mL]
T:本試験滴定量[mL]
S:サンプル量[g]
<ポリスチレン換算による数平均分子量の測定方法>
数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定した。Mnの測定条件は、以下の通りである。
装置 :日本分光(株)製GPC装置
溶媒 :クロロホルム
基準物質 :ポリスチレン
検出器 :UV検出器
カラム固定相 :昭和電工(株)製Shodex LF-804
カラム温度 :40℃
サンプル濃度 :1mg/1mL
流量 :0.5mL/min.
注入量 :30μL
数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定した。Mnの測定条件は、以下の通りである。
装置 :日本分光(株)製GPC装置
溶媒 :クロロホルム
基準物質 :ポリスチレン
検出器 :UV検出器
カラム固定相 :昭和電工(株)製Shodex LF-804
カラム温度 :40℃
サンプル濃度 :1mg/1mL
流量 :0.5mL/min.
注入量 :30μL
〔製造例1〕
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを51g(0.57モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを59g(0.57モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを181g(0.93モル)、酸化防止剤(テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、アデカスタブAO-60(株)ADEKA製)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-1を得た。得られたポリエステル(A’)-1の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを51g(0.57モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを59g(0.57モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを181g(0.93モル)、酸化防止剤(テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、アデカスタブAO-60(株)ADEKA製)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-1を得た。得られたポリエステル(A’)-1の数平均分子量は2200であった。
次に、得られたポリエステル(A’)-1を199g、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)-1としてグリセリンを1.8g(0.020モル)、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量3300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコール(b)-1を198g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.39g、テトライソプロピルチタネートを0.39g仕込み、220℃で17時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて220℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)-1のペレットを300g得た。
この製造例1において、(a1)-1の1,4-ブタンジオールおよび(a2)-1のネオペンチルグリコールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、それぞれ、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、(a1)-1の1,4-ブタンジオール4.6g(0.05モル)および(a2)-1のネオペンチルグリコール5.4g(0.05モル)が留出した。
得られた高分子化合物(C)-1における(a2)成分の割合は、(a1)成分と(a2)成分の合計モル数に対して50モル%であった。また、高分子化合物(C)-1における(a4)成分の割合は、(a1)成分、(a2)成分および(a4)成分の合計モル数に対して1.9モル%であった。さらに、高分子化合物(C)-1における、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)との質量比(A)/(B)は、1.0であった。
また、得られたペレットの融点を、下記<融点測定方法>に従い測定した。融点は103℃であった。
さらに、得られたペレットについて、下記<帯電防止剤の保存安定性試験方法>に従い、保存安定性を評価した。
<融点測定方法>
示差走査熱量測定器(Perkin社製、Diamond DSC)を用いて融点を測定した。すなわち、試料のペレットを細かく切断し、アルミニウムパンに 3±1mg秤取り、50℃から250℃まで10℃/分で昇温し、250℃から-20℃まで10℃/分で降温し、その後250℃まで10℃/分で昇温した際の第二昇温時の融解ピークのピークトップを融点とした。
示差走査熱量測定器(Perkin社製、Diamond DSC)を用いて融点を測定した。すなわち、試料のペレットを細かく切断し、アルミニウムパンに 3±1mg秤取り、50℃から250℃まで10℃/分で昇温し、250℃から-20℃まで10℃/分で降温し、その後250℃まで10℃/分で昇温した際の第二昇温時の融解ピークのピークトップを融点とした。
<帯電防止剤の保存安定性試験方法>
容量130mLのガラス製のサンプル瓶に、ペレットを5g入れ、70℃のオーブン内に2時間静置した。1時間後、サンプル瓶を取り出してから蓋をし、静かにサンプル瓶を逆さまにして、帯電防止剤ペレットの落下状況から、下記基準に従いブロッキング性を評価した。
〇:帯電防止剤ペレットが瓶の底に付着することなく、すべて落下した。保存安定性に優れると評価する。
△:帯電防止剤ペレットの一部が瓶の底に付着したままである。保存安定性が少し悪いと評価する。
×:帯電防止剤ペレットのすべてが瓶の底に付着して残ったままである。保存安定性が悪いと評価する。
容量130mLのガラス製のサンプル瓶に、ペレットを5g入れ、70℃のオーブン内に2時間静置した。1時間後、サンプル瓶を取り出してから蓋をし、静かにサンプル瓶を逆さまにして、帯電防止剤ペレットの落下状況から、下記基準に従いブロッキング性を評価した。
〇:帯電防止剤ペレットが瓶の底に付着することなく、すべて落下した。保存安定性に優れると評価する。
△:帯電防止剤ペレットの一部が瓶の底に付着したままである。保存安定性が少し悪いと評価する。
×:帯電防止剤ペレットのすべてが瓶の底に付着して残ったままである。保存安定性が悪いと評価する。
〔製造例2〕
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを46g(0.51モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを64g(0.62モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを179g(0.92モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で7時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-2を得た。得られたポリエステル(A’)-2の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを46g(0.51モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを64g(0.62モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを179g(0.92モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で7時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-2を得た。得られたポリエステル(A’)-2の数平均分子量は2200であった。
次に、得られたポリエステル(A’)-2を198g、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)-1としてグリセリンを1.8g(0.020モル)、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量3300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコール(b)-1を198g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.39g、テトライソプロピルチタネートを0.39g仕込み、220℃で18時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて220℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)-2のペレットを300g得た。
この製造例2において、(a1)-1の1,4-ブタンジオールおよび(a2)-1のネオペンチルグリコールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、それぞれ、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、(a1)-1の1,4-ブタンジオール4.2g(0.05モル)および(a2)-1のネオペンチルグリコール5.9g(0.06モル)が留出した。
得られた高分子化合物(C)-2における(a2)成分の割合は、(a1)成分と(a2)成分との合計モル数に対して55モル%であった。また、高分子化合物(C)-2における(a4)成分の割合は、(a1)成分、(a2)成分および(a4)成分の合計モル数に対して1.9モル%であった。さらに、高分子化合物(C)-2における、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)との質量比(A)/(B)は、1.0であった。
また、得られた高分子化合物(C)-2のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は90℃であった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔製造例3〕
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを72g(0.80モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを36g(0.34モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを182g(0.94モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で5時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-3を得た。得られたポリエステル(A’)-3の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを72g(0.80モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを36g(0.34モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを182g(0.94モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で5時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-3を得た。得られたポリエステル(A’)-3の数平均分子量は2200であった。
次に、得られたポリエステル(A’)-3を198g、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)-1としてグリセリンを1.8g(0.020モル)、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量3300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコール(b)-1を198g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.39g、テトライソプロピルチタネートを0.39g仕込み、220℃で15時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて230℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)-3のペレットを300g得た。
この製造例3において、(a1)-1の1,4-ブタンジオールおよび(a2)-1のネオペンチルグリコールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、それぞれ、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、(a1)-1の1,4-ブタンジオール6.6g(0.07モル)および(a2)-1のネオペンチルグリコール3.2g(0.03モル)が留出した。
得られた高分子化合物(C)-3における(a2)成分の割合は、(a1)成分と(a2)成分との合計モル数に対して30モル%であった。また、高分子化合物(C)-3における(a4)成分の割合は、(a1)成分、(a2)成分および(a4)成分の合計モル数に対して1.9モル%であった。さらに、高分子化合物(C)-3における、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)との質量比(A)/(B)は、1.0であった。
また、得られた高分子化合物(C)-3のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は150℃であった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔製造例4〕
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを53g(0.58モル)、(a2)-2として2-メチル-1,3-プロパンジオールを53g(0.58モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを186g(0.96モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で7時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-4を得た。得られたポリエステル(A’)-4の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを53g(0.58モル)、(a2)-2として2-メチル-1,3-プロパンジオールを53g(0.58モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを186g(0.96モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で7時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-4を得た。得られたポリエステル(A’)-4の数平均分子量は2200であった。
次に、得られたポリエステル(A’)-4を199g、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)-1としてグリセリンを1.8g(0.020モル)、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量3300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコール(b)-1を198g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.39g、テトライソプロピルチタネートを0.39g仕込み、220℃で16時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて220℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)-4のペレットを300g得た。
この製造例4において、(a1)-1の1,4-ブタンジオールおよび(a2)-2の2-メチル-1,3-プロパンジオールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、それぞれ、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、(a1)-1の1,4-ブタンジオール4.8g(0.05モル)および(a2)-2の2-メチル-1,3-プロパンジオール4.8g(0.05モル)が留出した。
得られた高分子化合物(C)-4における(a2)成分の割合は、(a1)成分と(a2)成分との合計モル数に対して50モル%であった。また、高分子化合物(C)-4における(a4)成分の割合は、(a1)成分、(a2)成分および(a4)成分の合計モル数に対して1.9モル%であった。さらに、高分子化合物(C)-4における、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)との質量比(A)/(B)は、1.0であった。
また、得られた高分子化合物(C)-4のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は92℃であった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔製造例5〕
セパラブルフラスコに、(a1)-2としてエチレングリコールを54g(0.88モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを39g(0.38モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを202g(1.04モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトラブチルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で8時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-5を得た。得られたポリエステル(A’)-5の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、(a1)-2としてエチレングリコールを54g(0.88モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを39g(0.38モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを202g(1.04モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトラブチルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で8時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-5を得た。得られたポリエステル(A’)-5の数平均分子量は2200であった。
次に、得られたポリエステル(A’)-5を199g、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)-1としてグリセリンを1.8g(0.020モル)、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量3300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコール(b)-1を198g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.39g、テトラブチルチタネートを0.39g仕込み、220℃で17時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて220℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)-5のペレットを300g得た。
この製造例5において、(a1)-2のエチレングリコールおよび(a2)-1のネオペンチルグリコールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、それぞれ、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、(a1)-2のエチレングリコール5.0g(0.08モル)および(a2)-1のネオペンチルグリコール3.6g(0.03モル)が留出した。
得られた高分子化合物(C)-5における(a2)成分の割合は、(a1)成分と(a2)成分との合計モル数に対して30モル%であった。また、高分子化合物(C)-5における(a4)成分の割合は、(a1)成分、(a2)成分および(a4)成分の合計モル数に対して1.7モル%であった。さらに、高分子化合物(C)-5における、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)との質量比(A)/(B)は、1.0であった。
また、得られた高分子化合物(C)-5のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は130℃であった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔製造例6〕
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを51g(0.57モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを59g(0.57モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを180g(0.93モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-6を得た。得られたポリエステル(A’)-6の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを51g(0.57モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを59g(0.57モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを180g(0.93モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-6を得た。得られたポリエステル(A’)-6の数平均分子量は2200であった。
次に、得られたポリエステル(A’)-6を199g、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)-2としてペンタエリスリトールを2.0g(0.015モル)、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量3300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコール(b)-1を198g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.39g、テトライソプロピルチタネートを0.39g仕込み、220℃で18時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて220℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)-6のペレットを300g得た。
この製造例6において、(a1)-1の1,4-ブタンジオールおよび(a2)-1のネオペンチルグリコールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、それぞれ、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、(a1)-1の1,4-ブタンジオール4.6g(0.05モル)および(a2)-1のネオペンチルグリコール5.4g(0.05モル)が留出した。
得られた高分子化合物(C)-6における(a2)成分の割合は、(a1)成分と(a2)成分との合計モル数に対して50モル%であった。また、高分子化合物(C)-6における(a4)成分の割合は、(a1)成分、(a2)成分および(a4)成分の合計モル数に対して1.4モル%であった。さらに、高分子化合物(C)-6における、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)との質量比(A)/(B)は、1.0であった。
また、得られた高分子化合物(C)-6のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は102℃であった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔製造例7〕
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを51g(0.57モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを59g(0.57モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを180g(0.93モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-7を得た。得られたポリエステル(A’)-7の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを51g(0.57モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを59g(0.57モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを180g(0.93モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-7を得た。得られたポリエステル(A’)-7の数平均分子量は2200であった。
次に、得られたポリエステル(A’)-7を199g、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)-3としてトリメチロールプロパンを2.7g(0.020モル)、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量3300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコール(b)-1を198g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.39g、テトライソプロピルチタネートを0.39g仕込み、220℃で17時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて220℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)-7のペレットを300g得た。
この製造例7において、(a1)-1の1,4-ブタンジオールおよび(a2)-1のネオペンチルグリコールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、それぞれ、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、(a1)-1の1,4-ブタンジオール4.6g(0.05モル)および(a2)-1のネオペンチルグリコール5.4g(0.05モル)が留出した。
得られた高分子化合物(C)-7における(a2)成分の割合は、(a1)成分と(a2)成分との合計モル数に対して50モル%であった。また、高分子化合物(C)-7における(a4)成分の割合は、(a1)成分、(a2)成分および(a4)成分の合計モル数に対して1.9モル%であった。さらに、高分子化合物(C)-7における、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)との質量比(A)/(B)は、1.0であった。
また、得られた高分子化合物(C)-7のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は103℃であった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔製造例8〕
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを51g(0.57モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを59g(0.57モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを181g(0.93モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-8を得た。得られたポリエステル(A’)-8の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを51g(0.57モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを59g(0.57モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを181g(0.93モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-8を得た。得られたポリエステル(A’)-8の数平均分子量は2200であった。
次に、得られたポリエステル(A’)-8を146g、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)-1としてグリセリンを1.4g(0.015モル)、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量6000、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=136のポリエチレングリコール(b)-2を264g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.41g、テトライソプロピルチタネートを0.41g仕込み、220℃で22時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて220℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)-8のペレットを300g得た。
この製造例8において、(a1)-1の1,4-ブタンジオールおよび(a2)-1のネオペンチルグリコールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、それぞれ、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、(a1)-1の1,4-ブタンジオール4.6g(0.05モル)および(a2)-1のネオペンチルグリコール5.4g(0.05モル)が留出した。
得られた高分子化合物(C)-8における(a2)成分の割合は、(a1)成分と(a2)成分との合計モル数に対して50モル%であった。また、高分子化合物(C)-8における(a4)成分の割合は、(a1)成分、(a2)成分および(a4)成分の合計モル数に対して1.4モル%であった。さらに、高分子化合物(C)-8における、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)との質量比(A)/(B)は、0.56であった。
また、得られた高分子化合物(C)-8のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は88℃であった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔製造例9〕
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを77g(0.85モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを89g(0.85モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを271g(1.40モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.33g、テトライソプロピルチタネートを0.33g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-9を得た。得られたポリエステル(A’)-9の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを77g(0.85モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを89g(0.85モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを271g(1.40モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.33g、テトライソプロピルチタネートを0.33g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-9を得た。得られたポリエステル(A’)-9の数平均分子量は2200であった。
次に、得られたポリエステル(A’)-9を279g、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)-1としてグリセリンを2.6g(0.028モル)、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量1000、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=22のポリエチレングリコール(b)-3を84g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.36g、テトライソプロピルチタネートを0.36g仕込み、220℃で14時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて220℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)-9のペレットを300g得た。
この製造例9において、(a1)-1の1,4-ブタンジオールおよび(a2)-1のネオペンチルグリコールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、それぞれ、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、(a1)-1の1,4-ブタンジオール7.0g(0.08モル)および(a2)-1のネオペンチルグリコール8.1g(0.08モル)が留出した。
得られた高分子化合物(C)-9における(a2)成分の割合は、(a1)成分と(a2)成分との合計モル数に対して50モル%であった。また、高分子化合物(C)-9における(a4)成分の割合は、(a1)成分、(a2)成分および(a4)成分の合計モル数に対して1.8モル%であった。さらに、高分子化合物(C)-9における、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)との質量比(A)/(B)は、3.3であった。
また、得られた高分子化合物(C)-9のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は111℃であった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔製造例10〕
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを61g(0.68モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを71g(0.68モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを217g(1.12モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.27g、テトライソプロピルチタネートを0.27g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-10を得た。得られたポリエステル(A’)-10の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを61g(0.68モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを71g(0.68モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを217g(1.12モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.27g、テトライソプロピルチタネートを0.27g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-10を得た。得られたポリエステル(A’)-10の数平均分子量は2200であった。
一方、ポリエチレングリコールの誘導体を製造するために、別のセパラブルフラスコに、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチルを24g(0.10モル)、数平均分子量1000、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=22のポリエチレングリコールを200g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で12時間重合して、芳香環導入ポリエチレングリコール誘導体(b)-4を得た。得られた芳香環導入ポリエチレングリコール誘導体(b)-4の数平均分子量は2200であった。
次に、得られたポリエステル(A’)-10を232g、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)-1としてグリセリンを2.2g(0.023モル)、得られた芳香環導入ポリエチレングリコール誘導体(b)-4を153g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.38g、テトライソプロピルチタネートを0.38g仕込み、220℃で16時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて220℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)-10のペレットを300g得た。
この製造例10において、(a1)-1の1,4-ブタンジオールおよび(a2)-1のネオペンチルグリコールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、それぞれ、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、(a1)-1の1,4-ブタンジオール5.6g(0.06モル)および(a2)-1のネオペンチルグリコール6.4g(0.06モル)が留出した。
得られた高分子化合物(C)-10における(a2)成分の割合は、(a1)成分と(a2)成分との合計モル数に対して50モル%であった。また、高分子化合物(C)-10における(a4)成分の割合は、(a1)成分、(a2)成分および(a4)成分の合計モル数に対して1.9モル%であった。さらに、高分子化合物(C)-10における、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)との質量比(A)/(B)は、1.5であった。
また、得られた高分子化合物(C)-10のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は104℃であった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔製造例11〕
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを47g(0.52モル)、(a2)-3として1,4-シクロヘキサンジメタノールを68g(0.47モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを163g(0.84モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-11を得た。得られたポリエステル(A’)-11の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを47g(0.52モル)、(a2)-3として1,4-シクロヘキサンジメタノールを68g(0.47モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを163g(0.84モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-11を得た。得られたポリエステル(A’)-11の数平均分子量は2200であった。
次に、得られたポリエステル(A’)-11を198g、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)-1としてグリセリンを1.8g(0.020モル)、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量3300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコール(b)-1を198g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.39g、テトライソプロピルチタネートを0.39g仕込み、220℃で10時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて220℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)-11のペレットを300g得た。
この製造例11において、(a1)-1の1,4-ブタンジオールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、(a1)-1の1,4-ブタンジオール4.2g(0.05モル)が留出した。
得られた高分子化合物(C)-11における(a2)成分の割合は、(a1)成分と(a2)成分との合計モル数に対して50モル%であった。また、高分子化合物(C)-11における(a4)成分の割合は、(a1)成分、(a2)成分および(a4)成分の合計モル数に対して2.1モル%であった。さらに、高分子化合物(C)-11における、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)との質量比(A)/(B)は、1.0であった。
また、得られた高分子化合物(C)-11のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は128℃であった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔製造例12〕
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを50g(0.55モル)、(a2)-4として1,6-ヘキサンジオールを59g(0.50モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを175g(0.90モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で5時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-12を得た。得られたポリエステル(A’)-12の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを50g(0.55モル)、(a2)-4として1,6-ヘキサンジオールを59g(0.50モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを175g(0.90モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で5時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-12を得た。得られたポリエステル(A’)-12の数平均分子量は2200であった。
次に、得られたポリエステル(A’)-12を199g、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)-1としてグリセリンを1.8g(0.020モル)、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量3300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコール(b)-1を198g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.39g、テトライソプロピルチタネートを0.39g仕込み、220℃で13時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて220℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)-12のペレットを300g得た。
この製造例12において、(a1)-1の1,4-ブタンジオールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、(a1)-1の1,4-ブタンジオール4.5g(0.05モル)が留出した。
得られた高分子化合物(C)-12における(a2)成分の割合は、(a1)成分と(a2)成分との合計モル数に対して50モル%であった。また、高分子化合物(C)-12における(a4)成分の割合は、(a1)成分、(a2)成分および(a4)成分の合計モル数に対して2.0モル%であった。さらに、高分子化合物(C)-12における、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)との質量比(A)/(B)は、1.0であった。
また、得られた高分子化合物(C)-12のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は115℃であった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔製造例13〕
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを51g(0.56モル)、(a2)-5としてジエチレングリコールを59g(0.56モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを179g(0.92モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-13を得た。得られたポリエステル(A’)-13の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを51g(0.56モル)、(a2)-5としてジエチレングリコールを59g(0.56モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを179g(0.92モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-13を得た。得られたポリエステル(A’)-13の数平均分子量は2200であった。
次に、得られたポリエステル(A’)-13を198g、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)-1としてグリセリンを1.8g(0.020モル)、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量3300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコール(b)-1を198g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.39g、テトライソプロピルチタネートを0.39g仕込み、220℃で14時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて220℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)-13のペレットを300g得た。
この製造例13において、(a1)-1の1,4-ブタンジオールおよび(a2)-5のジエチレングリコールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、それぞれ、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、(a1)-1の1,4-ブタンジオール4.6g(0.05モル)および(a2)-5のジエチレングリコール5.4g(0.05モル)が留出した。
得られた高分子化合物(C)-13における(a2)成分の割合は、(a1)成分と(a2)成分との合計モル数に対して50モル%であった。また、高分子化合物(C)-13における(a4)成分の割合は、(a1)成分、(a2)成分および(a4)成分の合計モル数に対して1.9モル%であった。さらに、高分子化合物(C)-13における、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)との質量比(A)/(B)は、1.0であった。
また、得られた高分子化合物(C)-13のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は123℃であった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔製造例14〕
製造例1で得られたポリエステル(A’)-1を199g、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量3300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコール(b)-1を198g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.39g、テトライソプロピルチタネートを0.39g仕込み、195℃で14時間、減圧下で重合し、ブロックポリマーを得た。
製造例1で得られたポリエステル(A’)-1を199g、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量3300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコール(b)-1を198g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.39g、テトライソプロピルチタネートを0.39g仕込み、195℃で14時間、減圧下で重合し、ブロックポリマーを得た。
次に、得られたブロックポリマーを356g、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)-1として、グリセリンを1.7g(0.018モル)、テトライソプロピルチタネートを1.78g仕込み、220℃で3時間、減圧下で重合した後、製造例1と同様にして、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)-14のペレットを280g得た。
製造例1と同様に、この製造例14においては、(a1)-1の1,4-ブタンジオールおよび(a2)-1のネオペンチルグリコールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、それぞれ、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、(a1)-1の1,4-ブタンジオール4.6g(0.05モル)および(a2)-1のネオペンチルグリコール5.4g(0.05モル)が留出した。
得られた高分子化合物(C)-14における(a2)成分の割合は、(a1)成分と(a2)成分との合計モル数に対して50モル%であった。また、高分子化合物(C)-14における(a4)成分の割合は、(a1)成分、(a2)成分および(a4)成分の合計モル数に対して1.7モル%であった。さらに、高分子化合物(C)-14における、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)との質量比(A)/(B)は、1.0であった。
また、得られた高分子化合物(C)-14のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は103℃であった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔製造例15〕
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを72g(0.80モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを36g(0.34モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを128g(0.66モル)、(a3)-2としてイソフタル酸ジメチルを55g(0.28モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で5時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-15を得た。得られたポリエステル(A’)-15の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、(a1)-1として1,4-ブタンジオールを72g(0.80モル)、(a2)-1としてネオペンチルグリコールを36g(0.34モル)、(a3)-1としてテレフタル酸ジメチルを128g(0.66モル)、(a3)-2としてイソフタル酸ジメチルを55g(0.28モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で5時間重合して、両末端が水酸基のポリエステル(A’)-15を得た。得られたポリエステル(A’)-15の数平均分子量は2200であった。
次に、得られたポリエステル(A’)-15を199g、水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(a4)-1としてグリセリンを1.8g(0.020モル)、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量3300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコール(b)-1を198g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.39g、テトライソプロピルチタネートを0.39g仕込み、220℃で16時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて220℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、本発明の帯電防止剤である高分子化合物(C)-15のペレットを300g得た。
この製造例15において、(a1)-1の1,4-ブタンジオールおよび(a2)-1のネオペンチルグリコールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、それぞれ、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、(a1)-1の1,4-ブタンジオール6.6g(0.07モル)および(a2)-1のネオペンチルグリコール3.2g(0.03モル)が留出した。
得られた高分子化合物(C)-15における(a2)成分の割合は、(a1)成分と(a2)成分の合計モル数に対して30モル%であった。また、高分子化合物(C)-15における(a4)成分の割合は、(a1)成分、(a2)成分および(a4)成分の合計モル数に対して1.9モル%であった。さらに、高分子化合物(C)-15における、ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)との質量比(A)/(B)は、1.0であった。
また、得られた高分子化合物(C)-15のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は観測されなかった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔比較製造例1〕
セパラブルフラスコに、エチレングリコール((a1)に該当)を83g(1.33モル)、テレフタル酸ジメチル((a3)に該当)を216g(1.11モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトラブチルチタネートを0.22g仕込み、25℃から230℃まで徐々に昇温しながら常圧で10時間重合して、両末端が水酸基の比較ポリエステル-1を得た。得られた比較ポリエステル-1の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、エチレングリコール((a1)に該当)を83g(1.33モル)、テレフタル酸ジメチル((a3)に該当)を216g(1.11モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトラブチルチタネートを0.22g仕込み、25℃から230℃まで徐々に昇温しながら常圧で10時間重合して、両末端が水酸基の比較ポリエステル-1を得た。得られた比較ポリエステル-1の数平均分子量は2200であった。
次に、得られた比較ポリエステル-1を198g、グリセリン((a4)に該当)を1.8g(0.020モル)、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量3300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコール((b)に該当)を198g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.39g、テトラブチルチタネートを0.39g仕込み、230℃で15時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて230℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、帯電防止剤である比較高分子化合物-1のペレットを300g得た。
この比較製造例1において、エチレングリコールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、エチレングリコール7.5g(0.12モル)が留出した。
また、得られた比較高分子化合物-1のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は218℃であった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔比較製造例2〕
セパラブルフラスコに、1,4-ブタンジオール((a1)に該当)を105g(1.17モル)、テレフタル酸ジメチル((a3)に該当)を186g(0.96モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から230℃まで徐々に昇温しながら常圧で7時間重合して、両末端が水酸基の比較ポリエステル-2を得た。得られた比較ポリエステル-2の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、1,4-ブタンジオール((a1)に該当)を105g(1.17モル)、テレフタル酸ジメチル((a3)に該当)を186g(0.96モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から230℃まで徐々に昇温しながら常圧で7時間重合して、両末端が水酸基の比較ポリエステル-2を得た。得られた比較ポリエステル-2の数平均分子量は2200であった。
次に、得られた比較ポリエステル-2を199g、グリセリン((a4)に該当)を1.8g(0.020モル)、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量3300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコール((b)に該当)を198g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.39g、テトライソプロピルチタネートを0.39g仕込み、230℃で14時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて230℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、帯電防止剤である比較高分子化合物-2のペレットを300g得た。
この比較製造例2において、1,4-ブタンジオールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、1,4-ブタンジオール9.6g(0.11モル)が留出した。
また、得られた比較高分子化合物-2のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は195℃であった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔比較製造例3〕
セパラブルフラスコに、ネオペンチルグリコール((a2)に該当)を115g(1.10モル)、テレフタル酸ジメチル((a3)に該当)を175g(0.90モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で8時間重合して、両末端が水酸基の比較ポリエステル-3を得た。得られた比較ポリエステル-3の数平均分子量は2200であった。
セパラブルフラスコに、ネオペンチルグリコール((a2)に該当)を115g(1.10モル)、テレフタル酸ジメチル((a3)に該当)を175g(0.90モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.22g、テトライソプロピルチタネートを0.22g仕込み、25℃から195℃まで徐々に昇温しながら常圧で8時間重合して、両末端が水酸基の比較ポリエステル-3を得た。得られた比較ポリエステル-3の数平均分子量は2200であった。
次に、得られた比較ポリエステル-3を199g、グリセリン((a4)に該当)を1.8g(0.020モル)、ポリエチレングリコールとして、数平均分子量3300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコール((b)に該当)を198g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.39g、テトライソプロピルチタネートを0.39g仕込み、220℃で19時間、減圧下で重合した後、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて220℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、帯電防止剤である比較高分子化合物-3のペレットを300g得た。
この比較製造例3において、ネオペンチルグリコールは、低沸点成分のため、反応中に系外に留出するので、理論量の1.1倍量をセパラブルフラスコに仕込んでいる。最終的に、反応系外には、ネオペンチルグリコール10g(0.10モル)が留出した。
また、得られた比較高分子化合物-3のペレットについて、製造例1と同様にして、融点を測定した。融点は40℃であった。
さらに、得られたペレットについて、製造例1と同様にして、保存安定性を評価した。
〔実施例1~20、比較例1~8〕
下記の表1~3に記載した配合量(質量部)に基づいてブレンドした各実施例の樹脂組成物を用いて、下記に示す試験片作製条件に従い、試験片を得た。得られた試験片を用いて、下記測定方法に従い、表面抵抗率(SR値)の測定を行い、帯電防止性とその持続性の評価を行った。結果を表1~3に示す。また、下記測定方法に従い、Haze値と全光線透過率の測定を行い、透明性の評価を行った。結果を表1~3に示す。同様にして、下記の表4に示す配合で、比較例の樹脂組成物を調製し、それぞれ評価を行った。結果を表4に示す。
下記の表1~3に記載した配合量(質量部)に基づいてブレンドした各実施例の樹脂組成物を用いて、下記に示す試験片作製条件に従い、試験片を得た。得られた試験片を用いて、下記測定方法に従い、表面抵抗率(SR値)の測定を行い、帯電防止性とその持続性の評価を行った。結果を表1~3に示す。また、下記測定方法に従い、Haze値と全光線透過率の測定を行い、透明性の評価を行った。結果を表1~3に示す。同様にして、下記の表4に示す配合で、比較例の樹脂組成物を調製し、それぞれ評価を行った。結果を表4に示す。
<メチルメタクリレートアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(MABS樹脂)試験片作製条件>
下記の表1~4中に示す配合量に基づいてブレンドしたメチルメタクリレートアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂組成物を、(株)池貝製2軸押出機(PCM30,60mesh入り)を用いて、230℃、6kg/時間の条件で造粒し、ペレットを得た。得られたペレットを、横型射出成形機(NEX80:日精樹脂工業(株)製)を用い、樹脂温度230℃、金型温度50℃の加工条件で成形し、試験片(100mm×100mm×3mm)を得た。
下記の表1~4中に示す配合量に基づいてブレンドしたメチルメタクリレートアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂組成物を、(株)池貝製2軸押出機(PCM30,60mesh入り)を用いて、230℃、6kg/時間の条件で造粒し、ペレットを得た。得られたペレットを、横型射出成形機(NEX80:日精樹脂工業(株)製)を用い、樹脂温度230℃、金型温度50℃の加工条件で成形し、試験片(100mm×100mm×3mm)を得た。
<表面抵抗率(SR値)測定方法>
得られた試験片を、成形加工後直ちに、温度25℃、湿度50%RHの条件下に保存し、成形加工から1日および30日保存後に、同雰囲気下で、アドバンテスト社製のR8340抵抗計を用いて、印加電圧500V、印加時間1分の条件で、表面抵抗率(Ω/□)を測定した。測定は5枚の試験片で1枚あたり5点について行い、その平均値を求めた。
得られた試験片を、成形加工後直ちに、温度25℃、湿度50%RHの条件下に保存し、成形加工から1日および30日保存後に、同雰囲気下で、アドバンテスト社製のR8340抵抗計を用いて、印加電圧500V、印加時間1分の条件で、表面抵抗率(Ω/□)を測定した。測定は5枚の試験片で1枚あたり5点について行い、その平均値を求めた。
<Haze値の測定方法>
ISO13468(D65)に準拠して測定した。
ISO13468(D65)に準拠して測定した。
<全光線透過率の測定>
ISO13468(D65)に準拠して測定した。
ISO13468(D65)に準拠して測定した。
*1:NaDBSはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを表す。
*2:C2mimDBSは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムドデシルベンゼンスルホナートを表す。
*3:MABSはメチルメタクリレートアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(メルトフローレート=26g/10min(ISO1133、220℃×10kg))を表す。
*2:C2mimDBSは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムドデシルベンゼンスルホナートを表す。
*3:MABSはメチルメタクリレートアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(メルトフローレート=26g/10min(ISO1133、220℃×10kg))を表す。
*1:NaDBSはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを表す。
*2:C2mimDBSは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムドデシルベンゼンスルホナートを表す。
*3:MABSはメチルメタクリレートアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(メルトフローレート=26g/10min(ISO1133、220℃×10kg))を表す。
*2:C2mimDBSは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムドデシルベンゼンスルホナートを表す。
*3:MABSはメチルメタクリレートアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(メルトフローレート=26g/10min(ISO1133、220℃×10kg))を表す。
*1:NaDBSはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを表す。
*2:C2mimDBSは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムドデシルベンゼンスルホナートを表す。
*3:MABSはメチルメタクリレートアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(メルトフローレート=26g/10min(ISO1133、220℃×10kg))を表す。
*2:C2mimDBSは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムドデシルベンゼンスルホナートを表す。
*3:MABSはメチルメタクリレートアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(メルトフローレート=26g/10min(ISO1133、220℃×10kg))を表す。
*1:NaDBSはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを表す。
*2:C2mimDBSは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムドデシルベンゼンスルホナートを表す。
*3:MABSはメチルメタクリレートアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(メルトフローレート=26g/10min(ISO1133、220℃×10kg))を表す。
*2:C2mimDBSは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムドデシルベンゼンスルホナートを表す。
*3:MABSはメチルメタクリレートアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(メルトフローレート=26g/10min(ISO1133、220℃×10kg))を表す。
上記表中に示すように、所定のポリエステルセグメント(A)と、所定のポリエーテルセグメント(B)とがエステル結合を介して結合した構造を有する高分子化合物(C)を含有する各実施例の帯電防止剤によれば、合成樹脂に対し優れた帯電防止性能を付与することができ、保存安定性および樹脂に配合した際の透明性にも優れる帯電防止剤が得られることが確かめられた。
Claims (11)
- ポリエステルセグメント(A)とポリエーテルセグメント(B)とを有し、
前記ポリエステルセグメント(A)が、
(a1)エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールのうちの少なくとも一方、
(a2)ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上、
(a3)テレフタル酸若しくはその誘導体、または、テレフタル酸若しくはその誘導体とイソフタル酸若しくはその誘導体との混合物、並びに、
(a4)水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物、
から得られるポリエステル由来のポリエステルセグメントであり、
前記ポリエーテルセグメント(B)が、(b)ポリエチレングリコールまたはその誘導体由来のポリエーテルセグメントであり、
前記ポリエステルセグメント(A)と前記ポリエーテルセグメント(B)とがエステル結合を介して結合した構造を有する高分子化合物(C)の1種以上を含有することを特徴とする帯電防止剤。 - 前記高分子化合物(C)における、前記(a2)ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上の割合が、前記(a1)エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールのうちの少なくとも一方と、前記(a2)ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上と、の合計モル数に対して、5モル%以上80モル%以下である請求項1記載の帯電防止剤。
- 前記高分子化合物(C)における、前記(a4)水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物の割合が、前記(a1)エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールのうちの少なくとも一方と、前記(a2)ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上と、前記(a4)水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物と、の合計モル数に対して、0.05~10モル%である請求項1または2記載の帯電防止剤。
- 前記高分子化合物(C)における、前記ポリエステルセグメント(A)と、前記ポリエーテルセグメント(B)と、の質量比(A)/(B)が、0.1~4.0である請求項1~3のうちいずれか一項記載の帯電防止剤。
- 前記高分子化合物(C)が、60℃以上200℃以下の範囲内の融点を有する請求項1~4のうちのいずれか一項記載の帯電防止剤。
- 請求項1~5のうちいずれか一項記載の帯電防止剤に対し、さらに、アルカリ金属の塩およびイオン性液体からなる群から選択される1種以上が配合されていることを特徴とする帯電防止剤組成物。
- 合成樹脂に対し、請求項1~5のうちいずれか一項記載の帯電防止剤が配合されていることを特徴とする帯電防止性樹脂組成物。
- 合成樹脂に対し、請求項6記載の帯電防止剤組成物が配合されていることを特徴とする帯電防止性樹脂組成物。
- 前記合成樹脂が、ポリスチレン系樹脂およびそれらの共重合体からなる群から選ばれる1種以上である請求項7または8記載の帯電防止性樹脂組成物。
- 前記合成樹脂が、透明アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂である請求項7または8記載の帯電防止性樹脂組成物。
- 請求項7~10のうちいずれか一項載の帯電防止性樹脂組成物からなることを特徴とする成形体。
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CN117467125A (zh) * | 2023-12-28 | 2024-01-30 | 河南源宏高分子新材料有限公司 | 一种用于耐老化薄膜的聚酯材料及其制备方法 |
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CN117467125A (zh) * | 2023-12-28 | 2024-01-30 | 河南源宏高分子新材料有限公司 | 一种用于耐老化薄膜的聚酯材料及其制备方法 |
CN117467125B (zh) * | 2023-12-28 | 2024-03-08 | 河南源宏高分子新材料有限公司 | 一种用于耐老化薄膜的聚酯材料及其制备方法 |
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