JP2012082392A - 全芳香族ポリアミドフィルム、その製造方法および積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高反射率で白色度が高く、さらには高耐熱、難燃性であり、高温での熱膨張係数が低い全芳香族ポリアミドを得ること。
【解決手段】波長425nmの光の反射率が70%以上である全芳香族ポリアミドフィルムとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、可視光の光、特に425nm付近の波長における光の反射率が高く、また白色度が高く、難燃化剤を含有せずともUL94規格の燃焼試験においてVTM−0を満足し、さらに、高耐熱な全芳香族ポリアミドフィルムおよびその製造方法に関する。また、本発明の全芳香族ポリアミドフィルムの用途はこれらに限定されるものではないが、発光ダイオード(以下、LEDと略)、特にLED素子の実装基板、白色LEDの反射材や、LEDを実装するための銅等の金属積層基材、またはフレキシブル基板さらには基板上に貼合される白色カバーレイフィルムとして好適に用いられる。
LEDは高寿命、低消費電力などのメリットを生かして家庭用一般照明や車載照明、ディスプレイや携帯電話のバックライトなど様々な用途に使用されている。また、近年では、これらの電子機器の薄膜軽量化が要求され、LED素子を電子基材の表面に実装するSMT(表面実装技術)が普及している。このようにLEDを直接、電子基板上に実装する場合は、LED素子からの光を前面に効率的に取り出すことが必要であり基材にはLED発光領域の波長の光で高い反射率が求められる。またそれだけでなく、封止樹脂の熱硬化工程や、実装する際のハンダリフロー工程などの高温プロセス経過後でも高反射率を維持していることや、基板に変形や膨れを生じさせない為に低熱膨張係数や高耐熱性が要求され、さらには難燃性も求められる。
従来、LED実装用として用いられていた基板フィルムとしては、例えば、特許文献1〜4が知られている。これら文献には、部分芳香族ポリアミドまたは半芳香族ポリアミドのように透明な樹脂に白色顔料を配合した樹脂組成物が開示されているが、部分芳香族や半芳香族ではポリマー構造に屈曲構造を有しているので熱膨張係数が大きく、耐熱性が低いので、LED実装時のハンダリフロー工程において、膨れや変形が生じたり反射率の低下が大きくなる問題があった。また、耐熱性を付与するには、一般的に全芳香族ポリアミドやポリイミドのように、芳香族基を多量に含むポリマー構造であれば高耐熱性であり、ハンダリフロー工程時に膨れや変形は見られないものが多いが、全芳香族ポリアミドやポリイミドは可視光の光を吸収してしまい黄色や茶褐色に着色しているので、白色顔料を配合しても白色度が低く、低反射率のものしか得られなかった。そこで、ポリイミドについては、炭化水素などの屈曲性の高い脂肪族基をポリマー構造中に導入し、無色化したポリイミドに白色顔料を配合した白色ポリイミドが開発されたが(特許文献5、6)、ポリマー構造中に屈曲構造が多量に含まれるため、高温での熱膨張係数が大きく実装プロセス中に基板が変形するだけでなく、耐熱性が低いことによる樹脂の着色により反射率が低下する問題があった。
一方、LED実装基板としては反射率や高耐熱性に加えて、難燃性も求められている。特許文献7には難燃性のポリアミドが記載されているが、これはポリアミド樹脂に難燃化剤としてハロゲン化ビスイミド化合物等を添加している。特にハロゲン系の難燃化剤を含有したポリアミド樹脂組成物は、耐光変色性が悪くなる場合があり、難燃化剤を添加せずとも難燃化することが求められていた。
特開2008−182172号公報 特開2002−294070号公報 特開2004−75994号公報 特開2010−100682号公報 特開2008−169237号公報 特開2006−110999号公報 特開2010−1365号公報
本発明は、上述した従来技術における課題を解決するため検討した結果達成されたものである。すなわち、本発明の目的は高反射率で白色度が高く、さらには高耐熱、難燃性であり、高温での熱膨張係数が低い全芳香族ポリアミドを得ることにある。
上記目的を達成するための本発明は、波長425nmの光の反射率が70%以上である全芳香族ポリアミドフィルムであることを特徴とするものである。
本発明によれば、高反射率であるだけでなく高耐熱性、難燃性であり、さらに低熱膨張係数のフィルムを得ることができるため、LED素子の実装基板として好適に用いることができるだけでなく、高耐熱性、難燃性、低熱膨張係数を有することから、LED実装時のハンダリフロー工程や封止樹脂の熱硬化工程等の200℃以上の高熱がかかるプロセスにおいても、反りや変形がないため生産性が高く、さらには高温プロセス後でも高反射率を保持できるため工業的に特に有用である。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは、波長425nmの光の反射率が70%以上である。より好ましくは波長425nmの光の反射率が75%以上である。さらに好ましくは波長425nmの光の反射率が80%以上である。さらに好ましくは波長425nmの光の反射率が85%以上である。最も好ましくは波長425nmの光の反射率が90%以上である。波長425nmの光の反射率が70%以上であれば、LED素子から発光される光を効率的に使用することができるので好ましいが、波長425nmの光の反射率が70%より低い場合は、LED素子から発光される光を効率的に使用できないことがある。反射率を向上させるためには、例えば化学式(I)および(II)で示される構造単位のモル分率をそれぞれl、mとしたとき、次式(1)〜(3)を満足する全芳香族ポリアミドフィルムにより達成可能である。
Figure 2012082392
:芳香環の水素の一部または全てが−CF、−F、−OH、−OCH、−CH、−NO、−CN、−Brのいずれかの置換基で置換されている、パラ配向芳香族基。
:任意のパラ配向芳香族基。
:Sを含む基、Pを含む基、Siを含む基、ハロゲン化炭化水素基、またはエーテル結合を含む基のいずれかの基を有するパラ配向芳香族基。ただし、分子内において、これらの基を有する構造単位が混在していてもよい。
:任意のパラ配向芳香族基。
0≦l≦100 ・・・・(1)
0≦m≦100 ・・・・(2)
97≦l+m≦100 ・・・・(3)
また、樹脂と粒子との屈折率差を大きくすることや、粒子の添加量を増やすこと、粒径を所定の範囲に収めること、樹脂と粒子との界面または樹脂そのものにボイド等の多孔形状をした間隙を作ることなどでも達成可能である。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは、100℃から200℃の平均熱膨張係数が−10ppm/℃以上20ppm/℃以下であることが好ましい。これにより、LED実装の高温プロセスにおいても変形を抑えることができるだけでなく、銅貼りポリイミドとの積層体とした場合でも反りやカールを抑えることができる。より好ましくは100℃から200℃の平均熱膨張係数が−5ppm/℃以上16ppm/℃以下である。さらに好ましくは100℃から200℃の平均熱膨張係数が0ppm/℃以上16ppm/℃以下である。さらに好ましくは100℃から200℃の平均熱膨張係数が−5ppm/℃以上13ppm/℃以下である。100℃から200℃の平均熱膨張係数が−10ppm/℃より小さい場合は、LED実装時の高温がかかるプロセスの中で基板が変形することがある。また100℃から200℃の平均熱膨張係数が20ppm/℃を超える場合もLED実装時の高温がかかるプロセスの中で基板が変形することがある。100℃から200℃の平均熱膨張係数を−10ppm/℃以上20ppm/℃以下とするには、ポリマー構造を全芳香族とし、さらに繰り返し単位の芳香族基がパラ位に結合していることが好ましい。ここでいう「全芳香族」とはポリマー構造中の繰り返し単位の全てが芳香族成分を含んでいることを意味する。ポリマーをジアミン成分と酸ジクロライド成分とを重合させて得る場合には、これら両成分ともに芳香族成分を含んでいることにより、全芳香族ポリアミドポリマーを得ることができる。ただし、単純に全ての繰り返し単位に芳香族基を導入するだけでは、ポリマーが着色してしまい高い反射率をもったフィルムは得られないので、芳香族環の水素の一部またはその全てを電子吸引基で置換することが好ましい。電子吸引基は、芳香族ポリアミドの分子内および分子間の電荷移動錯体の形成を阻害でき、芳香族ポリアミドの光線透過率を向上させ、YI値を低下させると考えられている。ここで、電子吸引基とはHamettの置換基常数において正の値を示す基であり、例えば、−CF、−F、−OH、−OCH、−CH、−NO、−CN、−Brなどが挙げられるが最も好ましくは−CFである。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは米国アンダーライターズラボラトリーズ(Underwriters Laboratories)社規格UL94に規定された燃焼テストの判定において最高ランクのVTM−0を満足するため好ましい。
VTM−0より難燃性の劣るVTM−1やVTM−2の難燃性を示す場合は、難燃化剤を含有させる必要性が高くなり、耐光変色性が低下する場合がある。また、UL94に規定されたVTM−0を満足するためには、ポリマーの繰り返し単位の全てが芳香族基とすることで達成可能である。また、それらの芳香族基が全てパラ位で結合している場合はさらに好ましい。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは、難燃化剤を含まない構成とすることにより、環境負荷が小さいLED実装基板を得られるため好ましい。本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは難燃化剤を含まずとも難燃性で最高ランクのVTM−0を満足するが、一般的にポリエチレンテレフタレートなどの難燃性の低いポリマーには、難燃化剤を添加し難燃性を付与することが知られている。しかし、難燃化剤にはハロゲン化合物などの物質が多いため環境負荷が大きくなる場合がある。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは、200℃の空気中で2時間加熱した後の波長425nmの光の反射率の低下が2.0%以下であることが好ましい。これにより、高温でのLED実装プロセスや封止樹脂の熱硬化工程後も高反射率を保持できるため、LED素子から発光される光を効率的に使用できるので好ましい。より好ましくは、200℃で2時間加熱した後の波長425nmの光の反射率の低下は1.5%以下である。さらに好ましくは200℃で2時間加熱した後の波長425nmの光の反射率の低下は1.0%以下である。200℃で2時間加熱した後の波長425nmの光の反射率の低下を2.0%以下とするには、ポリマー中に無機粒子を含有せしめるとともに、含有する無機粒子の表面に被覆膜を形成せしめることにより達成可能である。被覆膜としては例えばSiOまたはAlまたはZrOが挙げられる。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは、白色度が70以上であることが好ましい。これにより、LED素子から発光される光を効率的に使用できる。より好ましくは白色度が75以上である。さらに好ましくは白色度が80以上である。さらに好ましくは白色度が85以上である。白色度が70より低いとLED素子から発光される光を効率的に使用できない場合がある。白色度を70以上とするには、無機粒子を含有していない状態での全芳香族ポリアミドフィルムのYI値を−5以上5以下に抑えることで達成可能である。YI値を−5以上5以下に抑えるためには、芳香族環の水素の一部またはその全てを電子吸引基で置換することが好ましく、置換基としては例えば、−CF、−F、−OH、−OCH、−CH、−NO、−CN、−Brなどが挙げられるが最も好ましくは−CFである。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは、全光線透過率が50%以下であることが好ましい。これにより、LED素子から発光される光を効率的に使用できる。より好ましくは全光線透過率が40%以下である。さらに好ましくは全光線透過率が30%以下である。全光線透過率が50%より大きい場合は、発光された光が反射されずに透過してしまい効率的に光を使用できない場合がある。全光線透過率を50%以下とするには、例えば全芳香族ポリアミドポリマー量に対して30質量%以上の無機粒子を含有させることで達成可能である。また、全芳香族ポリアミドフィルム表面およびフィルム内部にボイドなどの空隙を形成せしめることでも達成可能である。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは、260℃ハンダリフロー工程を経ても変形や膨れがないことが好ましい。ここでいう「260℃ハンダリフロー工程」とは、本発明の全芳香族ポリアミドフィルムを23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置した後、または40℃、90%RHの雰囲気下で96時間放置した後、260℃の赤外線加熱炉に30秒間通す工程を3回繰り返すことをいう。さらに、本発明の全芳香族ポリアミドフィルム単独で上記の260℃ハンダリフロー工程を行い、260℃ハンダリフロー工程前と260℃ハンダリフロー工程後の波長425nmにおける光の反射率の低下が3.0%以下であることが好ましい。さらに好ましくは2.5%以下である。最も好ましくは2.0%以下である。本発明の全芳香族ポリアミドにおいて、260℃ハンダリフロー工程を経ても変形や膨れがなく、上記した波長425nmにおける光の反射率の低下を3.0%以下にするためには、ポリマー構造を全芳香族とし、さらに繰り返し単位の芳香族基がパラ位に結合していることが挙げられる。また、添加する無機粒子の表面に被覆膜を形成することによっても達成可能であり、被覆膜としては例えばSiOまたはAlまたはZrOが挙げられる。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは、200℃のオーブン中に無張力下でかつ空気中で30分間放置した時の熱収縮率が1.5%以下であることが好ましい。これにより、LED実装の高温プロセスにおいても変形を抑えることができるだけでなく、銅貼りポリイミドフィルムとの積層体とした場合でも反りやカールを抑えることができる。さらに好ましくは熱収縮率は1.0%以下である。より好ましくは0.8%以下である。本発明の全芳香族ポリアミドフィルムについて、200℃のオーブン中に無張力下でかつ空気中で30分間放置した時の熱収縮率を1.5%以下とするには、ポリマー構造を全芳香族とし、さらに繰り返し単位の芳香族基がパラ位に結合していることが挙げられる。また、フィルムを200℃以上500℃以下の高温で熱処理することでも上記熱収縮率を1.5%以下に抑えることが可能である。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは、厚みが1μm以上50μm以下であり波長425nmの光の反射率が70%以上であることが好ましい。軽量化や薄膜化の点からフィルム厚みは薄いほうが好ましい。より好ましくは、厚みが1μm以上40μm以下であり波長425nmの光の反射率が80%以上であることである。さらに好ましくは、厚みが5μm以上40μm以下であり波長425nmの光の反射率が85%以上であることである。さらにより好ましくは、厚みが5μm以上30μm以下であり波長425nmの光の反射率が90%以上であることである。さらにより好ましくは、厚みが5μm以上20μm以下であり波長425nmの光の反射率が90%以上であることである。最もより好ましくは、厚みが5μm以上15μm以下であり波長425nmの光の反射率が90%以上であることである。
含有する無機粒子については、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫化亜鉛、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウムおよびチタン酸ストロンチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である事が好ましい。
また、フィルム表面にボイドを形成させる方法としては、以下のi)からiii)の工程を有する製造方法で製造されることが好ましい。
i)有機溶媒溶液(う)を支持板上に展開する。
ii)支持板上の有機溶媒溶液(う)に水を10質量%以上含む液体(え)を2分以上接触せしめる。または、支持板上の有機溶媒溶液(う)を温度が5℃以上95℃以下かつ相対湿度が50%以上100%以下の調温調湿された環境下に1分以上導入した後に、水を10質量%以上含む液体(え)を2分以上接触せしめる。
iii)200℃以上500℃以下の温度で10秒以上10分以下加熱する。
なお、フィルム厚みが1μmを下回る場合は反射率や白色度が低下する場合がある。また、ハンドリング性が低下する場合がある。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは、化学式(I)および(II)で示される構造単位のモル分率をそれぞれl、mとしたとき、次式(1)〜(3)を満足する全芳香族ポリアミドフィルムと、無機粒子とを含むことが好ましい。
Figure 2012082392
:芳香環の水素の一部または全てが−CF、−F、−OH、−OCH、−CH、−NO、−CN、−Brのいずれかの置換基で置換されている、パラ配向芳香族基。
:任意のパラ配向芳香族基。
:Sを含む基、Pを含む基、Siを含む基、ハロゲン化炭化水素基、またはエーテル結合を含む基のいずれかの基を有するパラ配向芳香族基。ただし、分子内において、これらの基を有する構造単位が混在していてもよい。
:任意のパラ配向芳香族基。
0≦l≦100 ・・・・(1)
0≦m≦100 ・・・・(2)
97≦l+m≦100 ・・・・(3)
さらに、全芳香族ポリアミド(あ)と、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫化亜鉛、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウムおよびチタン酸ストロンチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機粒子(い)とを含み、全芳香族ポリアミド(あ)が、化学式(I)および(II)で示される構造単位を含み、かつ、構造単位の芳香族基が全てパラ位で結合されており、さらに、全芳香族ポリアミド(あ)における化学式(I)、および(II)で示される構造単位のモル分率をそれぞれl、mとしたとき、次式(4)〜(6)を満足することがより好ましい。
Figure 2012082392
:芳香環の水素の一部または全てが−CF、−F、−OH、−OCH、−CH、−NO、−CN、−Brのいずれかの置換基で置換されている、パラ配向芳香族基。
:任意のパラ配向芳香族基。
:Sを含む基、Pを含む基、Siを含む基、ハロゲン化炭化水素基、またはエーテル結合を含む基のいずれかの基を有するパラ配向芳香族基。ただし、分子内において、これらの基を有する構造単位が混在していてもよい。
:任意のパラ配向芳香族基。
60≦l<100 ・・・・(4)
0<m≦40 ・・・・(5)
97≦l+m≦100 ・・・・(6)
化学式(I)において、耐熱性の点からRはパラ配向の芳香族基であることが好ましい。Rがパラ配向の芳香族基でない場合は、熱膨張係数が大きくなり、耐熱性も低下することがある。また、Rは芳香環の水素の一部または全てが−CF、−F、−OH、−OCH、−CH、−NO、−CN、−Brのいずれかで置換されていることが好ましい。置換基が無い場合はポリマーが黄色く着色することがあり、無機粒子を添加しても反射率が低くなることがある。置換基はポリマーを透明にでき、さらにフィルム化した時のYI値を−5以上5以下に制御できるため、無機粒子を添加した際に高い反射率と白色度が得られる点から、特に電子吸引基であることが好ましく、−CF、−F、−OH、−OCH、−Cl、−CH、−NO、−CN、−Br基が例示でき、いずれかを好適に用いることができる。この中でも−CF基であることがさらに好ましい。
ここで、Rはより好ましくは、化学式(III)で示される構造の中から選ばれる構造であることがより好ましく、最も好ましくは化学式(IV)で示される構造であることが好ましい。
化学式(III):
Figure 2012082392
:−CF、−F、−OH、−OCH、−Cl、−CH、−NO、−CN、−Brの中から選ばれるいずれかの置換基。複数存在する場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
化学式(IV):
Figure 2012082392
また、化学式(I)においてRは特に制限はない。好ましくは高耐熱性および高剛性の点から任意のパラ配向芳香族基である。より好ましくは化学式(V)で示す構造である。最も好ましくは化学式(VI)で示される構造である。
化学式(V):
Figure 2012082392
化学式(VI):
Figure 2012082392
化学式(II)において、耐熱性の点からRはパラ配向の芳香族基であることが好ましい。Rがパラ配向の芳香族基でない場合は、熱膨張係数が大きくなり、耐熱性も低下することがある。また、Rは、ポリマーを透明にでき、さらにフィルム化した時のYI値を−5以上5以下に制御できるため、無機粒子を添加した際に高い反射率と白色度が得られる点から、分子内にSを含む基、Pを含む基、Siを含む基、ハロゲン化炭化水素基、またはエーテル結合を有する構造単位を含んでいることが好ましい。これらの各構造単位は混在していてもよい。さらにRは好ましくは下記化学式(VII)で示される構造のいずれかであることが好ましい。
化学式(VII):
Figure 2012082392
また、化学式(II)においてRは特に制限はない。好ましくは高耐熱性および高剛性の点から任意のパラ配向芳香族基である。より好ましくは化学式(V)で示す構造である。最も好ましくは化学式(VI)で示される構造である。
化学式(V):
Figure 2012082392
化学式(VI):
Figure 2012082392
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムに含有する無機粒子(い)(以下、単に無機粒子ということがある)としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫化亜鉛、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウムおよびチタン酸ストロンチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子であることが好ましい。中でも得られるフィルムの反射率を高くできることから酸化チタンを用いることが好ましい。酸化チタンには結晶構造が異なるアナターゼ型とルチル型がありどちらを用いてもよく、混合して用いてもよいが、屈折率が高く、光安定性の高いルチル型を用いることが好ましい。また、これらの無機粒子の表面に被覆膜を形成することにより、高温プロセス後も高反射率を保持できるため好ましい。
この被覆膜には色々な処理が行なわれるが、酸化チタンを用いる場合はSiOまたはAlまたはZrOで無機粒子表面に被複膜を形成することが特に好ましい。さらに、SiOまたはAlまたはZrOで被覆膜を形成した後に、ポリオール処理、シロキサン処理を実施することで樹脂との親和性が向上し分散性が向上するため好ましい。
また、用いる無機粒子の体積平均粒径は0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上1μm以下であり、さらに好ましくは0.1μm以上1μm以下である。無機粒子の体積平均粒径が0.01μm未満の場合、LED素子からの光が透過してしまい反射率が低くなるので光を効率的に使用できないことがある。また、無機粒子の体積平均粒径が5μmを超える場合は無機粒子が基点となってフィルムが破れ易くなる場合があるだけでなく、LED素子が発光する波長の光の反射率が低くなる場合がある。また、無機粒子の形状には球形や針状のものがあるが、反射率向上の点から球形のものの方が好ましい。
ここでいう体積平均粒径とは、無機粒子の外観を走査形電子顕微鏡(SEM)で観察して画像処理することで求められるものである。具体的には、SEM観察(倍率:5,000倍)により得られたSEM写真を画像解析装置(例えば株式会社ニレコ社製「ルーゼックスIIIU」)を用いて、無機粒子が球形の場合は、横軸に一次粒子の各粒径区間(0.1μmから0.45μmまで0.05μmずつ)をとり、縦軸に観察される粒子数の頻度(%)をとりプロットして分布曲線を求め、その累積分布曲線より、累積度が最も多い粒径を体積平均粒径として求める事ができる。また、無機粒子が針状などの繊維状の形状をしているものについては、SEM観察(倍率:5,000倍)により得られたSEM写真において、同様に画像解析を行ない、短軸長の各長さ区間(0.01μmから0.10μmまで0.01μmずつ)をとり、縦軸に観察される粒子数の頻度(%)をとりプロットして分布曲線を求め、さらに、長軸については、長軸長の各長さ区間(1μmから10μmまで1μmずつ)をとり、縦軸に観察される粒子数の頻度(%)をとりプロットして分布曲線を求め、それらの累積分布曲線より、累積度が最も多い短軸長、長軸長を体積平均粒径として求めることができる。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムを得るに際して無機粒子を用いる場合、無機粒子を添加するタイミングとして次の3つがある。
A.無機粒子を分散させた有機溶媒を用いて、全芳香族ポリアミドを重合する。
B.全芳香族ポリアミドの重合中に添加する。
C.全芳香族ポリアミドの重合が完了してから添加する。
これらの中でも特にAまたはCのタイミングで添加することが重合度の上昇や分散性の観点から好ましい。最も好ましくはCのタイミングで添加することが好ましい。
本発明の全芳香族ポリアミドは重合時に塩化水素が生成するので、それを中和する工程が必要であり、製造工程中でpHが何度も変化する。その為、pHの変化により添加している無機粒子が凝集したり、ポリマー溶液と分離して沈殿したりすることがある。したがって、AやBのタイミングで添加した場合は、分散性が悪くなる場合がある。また、どの添加タイミングにおいても、より分散性を向上させる目的で、有機溶媒へ無機粒子を20質量%以下の割合で分散させたスラリー状にしてから添加することが好ましい。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムに用いる無機粒子としては、上記した無機粒子の中から2種類以上の無機粒子を含有することも可能である。例えば、酸化チタンと酸化アルミニウムを併用することで反射率が高く、放熱性にも優れたフィルムを得ることができる。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは、全芳香族ポリアミド(あ)と無機粒子(い)とを含む有機溶媒溶液(う)について、有機溶媒溶液(う)全体を100質量%とし、全芳香族ポリアミド(あ)の含有量をa(質量%)、無機粒子(い)の含有量をb(質量%)とした時、次式(7)、(8)を満足し、かつ後述するi)からiii)の工程を経て製造されることが好ましい。
1≦a<20 ・・・・(7)
0.3≦b/a<2 ・・・・(8)
上記式(7)、(8)において、より好ましくは、それぞれ下記式(9)、(10)を満足することである。
3≦a<15 ・・・・(9)
0.5≦b/a<1.5 ・・・・(10)
さらに好ましくは下記式(11)、(12)を満足することである。
3≦a<10 ・・・・(11)
0.5≦b/a<1 ・・・・(12)
上記式(7)においてaが1より小さいとフィルム化した時に破れやすくなる場合がある。また、aが20以上の場合は、有機溶媒溶液(う)の溶液粘度が高くなりすぎて、溶液に流動性が無くなりフィルム化が困難になる場合がある。上記式(8)においてb/aの値が0.3未満の場合は、得られるフィルムの反射率が低くなることがある。また、b/aの値が2を超える場合は得られたフィルムが脆くて破れやすくなり、取り扱いが困難になることがある。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは一般的に融点が高く、溶融押出し法による製膜が困難であるため、溶液製膜法が用いられる。溶液製膜法には湿式製膜法、乾湿式製膜法、乾式製膜法、析出製膜法があり、その中でも湿式製膜法、乾湿式製膜法、析出製膜法が本発明には好適に用いることができるが、特に湿式製膜法、析出製膜法で製膜することで高反射率のフィルムを得られることから好ましい。湿式製膜法は、一般的に支持板に展開またはキャストしたポリマー溶液を支持板ごと直接湿式浴中に浸漬してポリマー溶液中の溶媒の脱溶媒を行うことが通例であるため、凝固速度が極めて速く、フィルム表面に無数のボイドが発生する。このため、本発明の全芳香族ポリアミドフィルムを湿式製膜法により製造することにより、表面のボイドだけではなく、ポリマーと無機粒子との界面にも無数のボイドを生成させることができるため高反射率のフィルムを得ることができる。これは、凝固速度が極端に早いので、無機粒子の表面をポリマーが完全に被覆する前に凝固が完了するためと推察する。析出製膜法は、一般的に支持板に展開またはキャストしたポリマー溶液を支持板ごと調温調湿された環境下に導入し、ポリマー溶液を吸湿させることでポリマーを析出させ、その後ポリマー溶液を支持板ごとまたは支持板から剥離した後に、湿式浴中に浸漬してポリマー溶液の脱溶媒を行うことでフィルム表面だけでなく、内部までボイドの形成が可能となる。このため、高反射率のフィルムを得ることができる。
また従来は、ポリマー中に無機粒子を添加して製膜するだけではボイドは発生せず、フィルムの延伸を行わなければボイドは発生しないことが多いが、湿式製膜法や析出製膜法を適用すれば、延伸工程を必要とせずともポリマーと無機粒子の界面にボイドを形成させて高反射率のフィルムを得ることができるので工業的に有用である。以上のことから、本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、以下のi)からiii)の工程を有する製造方法で製造されることが好ましい。
i)有機溶媒溶液(う)を支持板上に展開する。
ii)支持板上の有機溶媒溶液(う)に水を30質量%以上含む液体(え)を2分以上接触せしめる。または、支持板上の有機溶媒溶液(う)を温度が5℃以上95℃以下かつ相対湿度が50%以上100%以下の調温調湿された環境下に1分以上導入した後に、水を10質量%以上含む液体(え)を2分以上接触せしめる。
iii)200℃以上500℃以下の温度で10秒以上10分以下加熱する。
有機溶媒溶液(う)を展開する支持板は一般的にSUS板やガラス板、市販のポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルムなどの樹脂フィルムを好適に用いることができる。また、上記(ii)の工程は、有機溶媒溶液(う)を展開した支持板ごと液体(え)が入った槽(お)に2分以上浸漬する工程であることが好ましい。また、液体(え)は一般的に水系溶媒からなるものであり、水の他にアルコール、グリコール、ケトン、アミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶媒との混合溶媒であっても問題ない。水分量は好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは水分量が80質量%以上であり、最も好ましくは液体(え)が水(水分量100質量%)である。また、液体(え)が入った槽(お)の数は、1槽から10槽の間で適宜設けることができる。また、各槽の容量は、3L以上とすることが好ましい。さらに、各槽への液体(え)の供給速度(排出速度、入れ替え速度)は、0.05L/分以上100L/分以下であることが好ましい。さらに、1槽から10槽の間で液体(え)の水分量を適宜調整することも可能である。槽(お)に入っている液体(え)の量は、3L以上であれば特に上限はないが、液体(え)の量が3Lに満たない場合、支持板上に展開された有機溶媒溶液(う)中の有機溶媒がフィルム中に残存していまい、フィルムの見かけの耐熱温度が低下するので、その後の熱処理工程でフィルムが着色し反射率が低くなることがある。また、液体(え)の供給速度(排出速度、入れ替え速度)が0.05L/分より少ないと槽(お)内の液体(え)中の有機溶媒濃度が高くなり、効率的に有機溶媒溶液から有機溶媒を除去できないために有機溶媒がフィルム中に残存していまい、その後の熱処理工程でフィルムが着色し反射率が低くなることがある。また、液体(え)の供給速度が100L/分より多いと水流の流れや勢いが強くなりすぎ、シワや破れの原因になる場合がある。
上記(ii)の工程について、支持板上に展開された有機溶媒溶液(う)を液体(え)と接触させる前に、調温調湿された環境下に1分間以上導入することがボイドを形成する点から好ましい。ここで調温調湿された環境下とは、相対湿度が50%以上100%以下であり、かつ温度が5℃以上95℃以下の環境下のことを示す。
上記(iii)の工程について、200℃以上500℃以下の温度で10秒以上10分以下加熱することが好ましい。より好ましくは200℃以上400℃以下の温度で加熱することである。さらに好ましくは230℃以上350℃以下の温度で加熱することである。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは、ガスバリア膜などをスパッタや蒸着で形成する方法や、易接着層などをコーティングにより形成する方法や、銅箔、ガラス、シリコン、アルミ板、ステンレス箔、アルミ蒸着したフィルムなどに接着層を介して貼合する方法により積層体を得ることができる。さらに、上記以外にもPETフィルム、PENフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、PPSフィルム等の種々のフィルムと接着層を介して積層体とすることができる。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは、400nmから700nmの波長の光における光線透過率の平均値が70%以上である芳香族ポリアミドフィルムとの積層構造を有する積層体とすることができる。上記積層構造とするには、本発明の全芳香族ポリアミドフィルムに接着剤層を形成し、400nmから700nmの波長の光における光線透過率の平均値が70%以上である芳香族ポリアミドフィルムを貼合する方法や、共押出しのように口金から支持板にキャストする際にピノールやフィードブロックを用いて積層構造を形成する方法が挙げられる。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムは、接着剤を介して銅貼りポリイミドフィルムとの積層体とすることが可能である。上記積層体を得るには、接着シートや接着剤を全芳香族ポリアミドフィルム上に貼合またはコートした後に銅貼りポリイミドフィルムを貼り付ける方法が挙げられる。
以下に本発明において用いる全芳香族ポリアミド(以下、単に芳香族ポリアミドということもある)やその組成物の製造方法、フィルム化方法等を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
芳香族ポリアミドを得る方法は種々の方法が利用可能であり、例えば、低温溶液重合法、界面重合法、溶融重合法、固相重合法などを用いることができる。低温溶液重合法つまり酸ジクロライドとジアミンから得る場合には、非プロトン性有機極性溶媒中で合成される。ポリマー溶液は、単量体として酸ジクロライドとジアミンを使用すると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤が使用される。また、イソシアネートとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行なわれる。
2種類以上のジアミンを用いて重合を行う場合、ジアミンは1種類ずつ添加し、該ジアミンに対し10〜99モル%の酸ジクロライドを添加して反応させ、この後に他のジアミンを添加して、さらに酸ジクロライドを添加して反応させる段階的な反応方法、およびすべてのジアミンを混合して添加し、この後に酸ジクロライドを添加して反応させる方法などが利用可能である。また、2種類以上の酸ジクロライドを利用する場合も同様に段階的な方法、同時に添加する方法などが利用できる。いずれの場合においても全ジアミンと全酸ジクロライドのモル比は97〜100:100〜97が好ましく、この値を外れた場合、成形に適したポリマー溶液を得ることが困難となる。本発明の芳香族ポリアミドの製造において、使用する非プロトン性極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましい。更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の使用も可能である。
カルボン酸ジクロライドとしては、テレフタル酸ジクロライド、4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジクロライド、2フロロ−テレフタル酸ジクロライド、2クロロ−テレフタル酸ジクロライド、1,4−シクロへキサンカルボン酸ジクロライドなどが挙げられるが、最も好ましくはテレフタル酸ジクロライド、4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジクロライドが用いられる。
ジアミンとしては、例えば3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2−クロルパラフェニレンジアミン、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテルが挙げられるが、最も好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニルが用いられる。
芳香族ポリアミドには、表面形成、加工性改善などを目的として10質量%以下の無機質または有機質の添加物を含有させてもよい。表面形成を目的とした添加剤としては例えば、無機粒子ではSiO、TiO、Al、CaSO、BaSO、CaCO、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、ゼオライト、その他の金属微粉末等が挙げられる。また、好ましい有機粒子としては、例えば、架橋ポリビニルベンゼン、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、ポリアミド粒子、フッ素樹脂粒子等の有機高分子からなる粒子、あるいは、表面に上記有機高分子で被覆等の処理を施した無機粒子が挙げられる。
また、着色防止や非常に高い分子量の重合物の生成を抑制させる目的で種々の末端封止剤を用いることができる。例えば、塩化ベンゾイル、置換塩化ベンゾイルや無水酢酸が好ましく塩化ベンゾイルや置換塩化ベンゾイルがより好ましい。置換塩化ベンゾイルの置換基としてはフッ素、トリフルオロメチルなどのフッ素化合物や、t−ブチル、アダマンタンなどのバルキーな炭化水素基が好ましい。末端封止剤の添加量はジカルボン酸残基とジアミン残基の総モル分率を100mol%としたときに、1.0mol%以下であることが好ましい。1.0mol%を超えると固有粘度が十分に大きくならず、得られるフィルムが脆くなることがある。
次に製膜原液の調整法について説明する。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムを得る際に使用する製膜原液は、上記重合法によって得られた全芳香族ポリアミドポリマー溶液をそのまま使用することも可能であるが、無機粒子を用いる場合は、上記重合法によって得られた全芳香族ポリアミドポリマー溶液に無機粒子を添加し、そのポリマー溶液を混練することで得ることができる。無機粒子を添加するタイミングとしては次の3つがある。
A.無機粒子を分散させた有機溶媒を用いて、全芳香族ポリアミドを重合する。
B.全芳香族ポリアミドの重合中に添加する。
C.全芳香族ポリアミドの重合が完了してから添加する。
これらの中でも特にAまたはCのタイミングで添加することが分散性の観点から好ましい。最も好ましくはCのタイミングで添加することが好ましい。
本発明の全芳香族ポリアミドは重合時に塩化水素が生成するので、それを中和する工程が必要であり、製造工程中でpHが何度も変化する。その為、pHの変化により添加している無機粒子が凝集したり、ポリマー溶液と分離して沈殿したりすることがある。したがって、AやBのタイミングで添加した場合は、分散性が悪くなる場合がある。また、どの添加タイミングにおいても、より分散性を向上させる目的で、有機溶媒へ無機粒子を20質量%以下の割合で分散させたスラリー状にしてから添加することが好ましい。
また、無機粒子を添加した全芳香族ポリアミドポリマー溶液は多量の空気や窒素等のガスが含まれているため、製膜した際にそれらのガスが気泡となり欠点となる場合があるため、脱泡、加圧によりポリマー溶液中のガスを抜いてから使用することが好ましい。
次にフィルム化について説明する。
本発明で用いる芳香族ポリアミドは有機溶媒に可溶であるため、上記のように調製された製膜原液を、いわゆる溶液製膜法によりフィルム化を行うとよい。
溶液製膜法には乾湿式製膜法、乾式製膜法、湿式製膜法、析出製膜法などがありいずれの方法で製膜されても差し支えないが、本発明の全芳香族ポリアミドは高反射率や高白色度を得られる点から、製膜工程の制御が容易な湿式製膜法、乾湿式製膜法または析出製膜法での製膜が好ましい。ここでは湿式製膜法を例にとって説明する。
湿式製膜法で製膜する場合は該原液を口金から押出して、湿式浴に導入するが、その代表的なものとして、(1)口金から押出した製膜原液が空気層を通り、湿式浴に導入する方法、(2)口金から押出した製膜原液を支持板に流延し、支持板ごと湿式浴に導入する方法が挙げられる。製膜原液の種類や濃度、粘度などから適宜選択できるが、製膜原液を押出す際に発生する口金起因のスジを消すことや、厚みムラを小さくできる点から(2)の支持板に流延したのちに湿式浴に導入する方法を好ましく用いることができる。この支持板としてはドラム、エンドレスベルト、フィルム等が挙げられ、いずれかの支持板上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層を10秒から20分程度レベリングさせる。またこの乾燥工程で用いられるドラム、エンドレスベルト、フィルムの表面をなるべく平滑にすることで表面の平滑なフィルムが得られる。該工程を終えたフィルムは支持板ごと湿式浴中に導入され、脱塩、脱溶媒などが行なわれ、さらに延伸、乾燥、熱処理が行なわれてフィルムとなる。
延伸は延伸倍率として面倍率で0.8〜8(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルムの面積で除した値で定義する。1以下はリラックスを意味する。)の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは1.1〜8である。また、熱処理としては200℃以上500℃以下の温度で熱処理することが好ましい。より好ましくは200℃以上400℃以下、さらに好ましくは230℃以上350℃以下の温度で数秒から数分間の熱処理が好ましく実施される。さらに、延伸あるいは熱処理後のフィルムを徐冷することは有効であり、50℃/秒以下の速度で冷却することが有効である。
全芳香族ポリアミドの構造は、その原料であるジアミンとカルボン酸ジクロライドによって決定される。原料が不明である場合は芳香族ポリアミド組成物から構造分析を行うが、この手法としては、質量分析、核磁気共鳴法による分析、分光分析などを用いることができる。
本発明の芳香族ポリアミドから得られるフィルム(全芳香族ポリアミドフィルム)は単層フィルムでも、積層フィルムであってもよい。
本発明の全芳香族ポリアミドフィルムや積層体は、LED素子を実装するフレキシブルなプリンと回路基板、金属層を積層したリジットなLED素子実装用の回路基板、LED素子実装用の回路基板のカバーレイフィルム、フレキブルプリント基板、太陽電池用のバックシート、半導体実装用基板、音響振動板、多層積層回路基板等の種々の用途に好適に用いられる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発明における物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)反射率
下記装置を用いて測定し、425nmの波長の光に対応する反射率を求めた。
装置:UV測定器U−3410(日立計測社製)
波長範囲:300nm〜800nm(うち、425nmの値を利用)
(2)平均熱膨張係数
平均熱膨張係数はJIS K7197−1991に準拠して250℃まで昇温した後の降温過程に於いて測定した。25℃、65RH%における初期試料長をL0、温度T1の時の試料長をL1、温度T2の時の試料長をL2とするとT1からT2の平均熱膨張係数を以下の式で求めた。
なお、T2=100(℃)、T1=200(℃)、L0=15mmである。
平均熱膨張係数(ppm/℃)=(((L2−L1)/L0)/(T2−T1))×10
昇温、降温速度:5℃/min
試料幅:4mm
荷重:フィルム厚み10μmの時44.5mN
なお、フィルム厚みに比例して荷重は変更する。
荷重=44.5(mN)×d(μm)/10(μm)
d(μm):フィルム厚み
(3)難燃性
長さ200mmの試料片を円筒状に巻き、クランプに垂直に取り付ける。次いで、20mm炎による3秒間接炎を2回行う試験をn=5で実施し、その燃焼挙動により下記の判定基準から難燃性を判定した。UL94に規定された下記の判定基準を全て満足することでVTM−0を満足することとなる。
判定基準(VTM−0)
各試験片の燃焼時間 :10秒以下
5本の合計の燃焼時間:50秒以下
各試験片の燃焼+グローイング時間:30秒以下
クランプまでの燃焼:なし
滴下物による綿着火:なし
(4)加熱試験後の反射率
200℃のオーブンに実質的に無張力下で2時間放置して空気中で熱処理し、その後フィルムを室温に戻した状態での反射率を(1)反射率に記載の方法で測定した。
(5)ハンダリフロー後の反射率
フィルムを23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置した後、260℃の赤外線加熱炉に30秒間通す工程を3回繰り返す(260℃ハンダリフロー工程)。この工程を経過した後、フィルムを室温に戻した状態での反射率を(1)反射率に記載の方法で測定した。
(6)白色度
日本電色工業(株)製の分光色彩計(SE−2000)を用いて反射モードで測定したL値、a値、b値から白色度を求めた。
白色度=100−〔(100−L値〕+(a値)+(b値)1/2
(7)全光線透過率
ヘイズメーターNDH5000(日本電色工業(株)製)を用いて、JIS−K7136(2000)に準じて、23℃でのフィルムの全光線透過率(%)を3箇所測定し、その平均値を求めた。
(8)YI値
日本電色工業(株)製の分光色彩計(SE−2000)を用いて、無機粒子を添加していない全芳香族ポリアミドフィルムは透過モードで測定し、無機粒子を添加している全芳香族ポリアミドフィルムは反射モードで測定してYI値を求めた。
(9)熱収縮率
フィルムを幅10mm×長さ150mmの短冊状に切り出し、測定長が100mmとなるように、フィルムの両端部から25mmの位置にしるしを付け、その印間の寸法を株式会社ニコン社製の万能投影機(V−16A)で測定し、この時の寸法をLとした。また、該フィルムを200℃で30分間、無張力下、空気中で熱処理した後にも同様に寸法を株式会社ニコン社製の万能投影機(V−16A)で測定した。この時の寸法をLとし、熱収縮率を下記式より求めた。5本の熱収縮率の平均値を値として用いた。
熱収縮率(%)={(L−L)/L}×100
:熱処理前の製膜方向の寸法(mm)
:熱処理後の製膜方向の寸法(mm)
(10)フィルム厚み
ANRITSU社製のマイクロ厚み計(K−402B STAND)を用いて、フィルム面内の厚みを5点測定し、その平均値をフィルムの厚みとして用いた。
(11)260℃ハンダ耐熱性
フィルムを23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置した後、または40℃、90%RHの雰囲気下で96時間放置した後、260℃の赤外線加熱炉に30秒間通す工程を3回繰り返す(260℃ハンダリフロー工程)。この工程を経過した後、フィルムに変形や膨れが全くないものを「○」、変形や膨れはないが、目視で明らかにフィルムが黄色くなっているものを「△」、変形や膨れが見られるものを「×」と評価した。
(12)光線透過率
下記装置を用いて測定し、波長400nm〜700nmの光における光線透過率を求めた。
装置:UV測定器U−3410(日立計測社製)
波長範囲:300nm〜800nm(400nm〜700nmの値の平均値を利用)
なお、実施例、比較例でフィルムを得るために使用した、モノマー、溶媒、無機粒子は以下のとおりである。
モノマー
TFMB:2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(東レファインケミカル株式会社製)
4,4’−DDS:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化株式会社製)
3,3’−DDS:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(東京化成工業株式会社製)
CPA:2−クロルパラフェニレンジアミン(日本化薬株式会社製)
DPE:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(東京化成工業株式会社製)
TPC:テレフタル酸ジクロライド(Alfa Aesar社製)
4,4’−BPC:4,4’−ビフェニルジカルボニルクロライド(東レファインケミカル社製)
CTPC:2−クロルテレフタル酸ジクロライド(昭和工業薬株式会社製)
無機粒子
CR−90−2:酸化チタン(石原産業株式会社製)
PF690:酸化チタン(石原産業株式会社製)
FTL−110:酸化チタン(石原産業株式会社製)
(なお、FTL−110は針状の酸化チタンであるため、長軸長に基づく体積平均粒径(3μm)および短軸長に基づく体積平均粒径(0.07μm)を、表中では「3×0.07」と表記した。)
ハイミクロンHE5:硫酸バリウム(竹原化学工業株式会社製)
溶媒
NMP:N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学株式会社製)
合成例1:
撹拌機を備えた300ml3つ口フラスコ中に臭化リチウム2.85gを入れ、窒素気流下でマントルヒーターを用いて110℃まで加熱して乾燥した。30℃まで冷却後TFMBを9.08g、4,4’−DDSを0.78g、NMPを159ml入れて窒素雰囲気下、0℃に冷却、撹拌しながら30分かけてTPC5.05gと、4,4’−BPC1.74gの混合物を5回に分けて添加した。1時間撹拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和して全芳香族ポリアミドポリマー溶液を得た。
合成例2:
撹拌機を備えた300ml3つ口フラスコ中に塩化リチウム4.29gを入れ、窒素気流下でマントルヒーターを用いて110℃まで加熱して乾燥した。30℃まで冷却後TFMBを8.15g、4,4’−DDSを1.58g、NMPを156ml入れて窒素雰囲気下、0℃に冷却、撹拌しながら30分かけて4,4’−BPC1.75gを5回に分けて添加した。その後、30分攪拌した後に冷却、攪拌しながら30分かけてTPC5.12gを5回に分けて添加した。1時間撹拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和して全芳香族ポリアミドポリマー溶液を得た。
合成例3:
撹拌機を備えた300ml3つ口フラスコ中に臭化リチウム1.39gを入れ、窒素気流下でマントルヒーターを用いて110℃まで加熱して乾燥した。30℃まで冷却後TFMBを3.07g、4,4’−DDSを1.59g、NMPを93ml、を入れ、窒素雰囲気下、0℃に冷却、撹拌しながら30分かけてTPCを2.57gと、4,4’−BPC0.88gの混合物を5回に分けて添加した。1時間撹拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和して全芳香族ポリアミドポリマー溶液を得た。
合成例4:
撹拌機を備えた300ml3つ口フラスコ中に臭化リチウム1.39gを入れ、窒素気流下でマントルヒーターを用いて110℃まで加熱して乾燥した。30℃まで冷却後TFMBを3.07g、4,4’−DDSを1.59g、NMPを93ml、を入れさらに、80℃のオーブンで一晩乾燥させたCR−90−2を3.48g入れ窒素雰囲気下、0℃に冷却、撹拌しながら30分かけてTPCを2.57gと、4,4’−BPCを0.88gの混合物を5回に分けて添加した。1時間撹拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和して白色の全芳香族ポリアミドポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液を30日間保管した後に再度観察すると、添加した無機粒子がポリマー溶液の底部に沈殿しポリマー溶液と無機粒子が分離した。
合成例5:
撹拌機を備えた300ml3つ口フラスコ中に窒素気流下で、CPAを7.42g、DPEを2.60g、NMPを136ml入れ窒素雰囲気下、0℃に冷却、撹拌しながら30分かけてCTPC15.2gを滴下添加した。1時間撹拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和して全芳香族ポリアミドポリマー溶液を得た。
合成例6:
撹拌機を備えた300ml3つ口フラスコ中に窒素気流下で、4,4’−DDSを8.19g、3,3’−DDSを8.19g、NMPを141ml入れ窒素雰囲気下、0℃に冷却、撹拌しながら30分かけてTPC13.40gを添加した。1時間撹拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和して全芳香族ポリアミドポリマー溶液を得た。
参考例1:
合成例1で得られたポリマー溶液の一部をガラス板上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを120℃で7分間加熱し、自己保持性のフィルムを得た。得られたフィルムをガラス板から剥がして金枠に固定して、流水中10分間水洗し、さらに280℃で1分間の熱処理を行い厚み8μmの無色透明な全芳香族ポリアミドフィルムを得た(乾湿式製膜)。得られたフィルムにおける、波長400nm〜700nmの光における平均の光線透過率は85.5%であった。またフィルムのYI値を測定し、表4〜6に示した。
参考例2:
合成例2で得られたポリマー溶液の一部をガラス板上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを120℃で7分間加熱し、自己保持性のフィルムを得た。得られたフィルムをガラス板から剥がして金枠に固定して、流水中10分間水洗し、さらに280℃で1分間の熱処理を行い厚み10μmの無色透明な全芳香族ポリアミドフィルムを得た(乾湿式製膜)。得られたフィルムにおける、波長400nm〜700nmの光における平均の光線透過率は87.3%であった。またフィルムのYI値を測定し、表4〜6に示した。
参考例3:
合成例3で得られたポリマー溶液の一部をガラス板上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを120℃で7分間加熱し、自己保持性のフィルムを得た。得られたフィルムをガラス板から剥がして金枠に固定して、流水中10分間水洗し、さらに280℃で1分間の熱処理を行い厚み8μmの無色透明な全芳香族ポリアミドフィルムを得た(乾湿式製膜)。得られたフィルムにおける、波長400nm〜700nmの光における平均の光線透過率は86.1%であった。またフィルムのYI値を測定し、表5に示した。
参考例4:
合成例5で得られたポリマー溶液の一部をガラス板上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを120℃で7分間加熱し、自己保持性のフィルムを得た。得られたフィルムをガラス板から剥がして金枠に固定して、これを、0.5L/分で水を供給している容量5Lの水浴中(水分率100wt%)に10分間浸漬した。さらに280℃で1分間の熱処理を行い、厚み4.4μmの全芳香族ポリアミドフィルムを得た(乾湿式製膜)。得られたフィルムにおける、波長400nm〜700nmの光における平均の光線透過率は77.3%であった。得られたフィルムのYI値を測定し、表6に示した。
参考例5:
合成例6で得られたポリマー溶液の一部をガラス板上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを120℃で7分間加熱し、自己保持性のフィルムを得た。得られたフィルムをガラス板から剥がして金枠に固定して、流水中10分間水洗し、さらに280℃で1分間の熱処理を行い厚み10μmの無色透明な全芳香族ポリアミドフィルムを得た(乾湿式製膜)。得られたフィルムにおける、波長400nm〜700nmの光における平均の光線透過率は85.8%であった。またフィルムのYI値を測定し、表5に示した。
(実施例1)
攪拌機を備えた300ml3口フラスコ中に、無機粒子としてCR−90−2を3.5g量り取り、そこにNMPを27.3g加えて5分間攪拌しCR−90−2とNMPのスラリーを得た。そこに合成例1に記載の方法で得られた全芳香族ポリアミドポリマー溶液を100g加えて、さらに3時間攪拌して無機粒子を添加した白色の全芳香族ポリアミドポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部をPETフィルム(東レ株式会社製 T60 厚み100μm)上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これをPETフィルムごと、0.5L/分で水を供給している容量5Lの水浴中(水分率100wt%)に30分間浸漬し自己支持性のあるフィルムを得た。次いで、得られたフィルムをPETフィルムから剥がし、金枠に固定して280℃で1分間の熱処理を行い、白色の全芳香族ポリアミドフィルムを得た(湿式製膜)。得られたフィルムの物性を測定し、表4に示した。
なお、表1〜3に示したジアミン量(mol%)は、ポリマー中に含まれるジアミン成分全量を50mol%としたときの成分量で表示した。また、酸ジクロライド量(mol%)については、ジアミン全量を50mol%としたときの成分量で表示した。
(実施例2)
実施例1に記載の方法で得られる白色の全芳香族ポリアミドフィルムと参考例1に記載の方法で得られる全芳香族ポリアミドフィルムを粘着材(総研科学(株)製 SK−1478、厚み18μm)を介して貼合したサンプルを作成した。貼合後の貼り合わせフィルムの物性を測定し、表4に示した。また、反射率、白色度、YI値、全光線透過率は白色の全芳香族ポリアミドフィルム側から測定した結果を値として用いた。
(実施例3〜7)
実施例1の方法で得られる白色の全芳香族ポリアミドポリマー溶液について添加する無機粒子の添加量、無機粒子の種類、フィルム厚み等を表4記載のように変更して、全芳香族ポリアミドフィルムを作成し、得られたフィルムの物性を測定し、表4に示した。
(実施例8)
攪拌機を備えた300ml3口フラスコ中に、無機粒子としてPF690を3.5g量り取り、そこにNMPを27.3g加えて5分間攪拌しCR−90−2とNMPのスラリーを得た。そこに合成例2に記載の方法で得られた全芳香族ポリアミドポリマー溶液を100g加えて、さらに3時間攪拌して無機粒子を添加した白色の全芳香族ポリアミドポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部をPETフィルム(東レ株式会社製 T60 厚み100μm)上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これをPETフィルムごと、0.5L/分で水を供給している容量5Lの水浴中(水分率100wt%)に30分間浸漬し自己支持性のあるフィルムを得た。次いで、得られたフィルムをPETフィルムから剥がし、金枠に固定して280℃で1分間の熱処理を行い、白色の全芳香族ポリアミドフィルムを得た(湿式製膜)。得られたフィルムの物性を測定し、表4に示した。
(実施例9、10)
実施例1の方法で得られる白色の全芳香族ポリアミドポリマー溶液について、添加する無機粒子の種類、フィルム厚み等を表4および表5記載のように変更して、全芳香族ポリアミドフィルムを作成し、得られたフィルムの物性を測定し、表4および表5に示した。
(実施例11)
合成例4に記載の方法で得られたポリマー溶液の一部をPETフィルム(東レ株式会社製 T60 厚み100μm)上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これをPETフィルムごと、0.5L/分で水を供給している容量5Lの水浴中(水分率100wt%)に30分間浸漬し自己支持性のあるフィルムを得た。次いで、得られたフィルムをPETフィルムから剥がし、金枠に固定して280℃で1分間の熱処理を行い全芳香族ポリアミドフィルムを得た(湿式製膜)。得られたフィルムの物性を測定し、表5に示した。
(実施例12)
攪拌機を備えた300ml3口フラスコ中に、CR90−2を3.5g量り取り、そこにN−メチル−2−ピロリドンを27.3g加えて5分間攪拌し無機粒子とNMPのスラリーを得た。そこに合成例1に記載の方法で得られる全芳香族ポリアミドポリマー溶液を100g加えて、さらに3時間攪拌して、無機粒子を添加した白色の全芳香族ポリアミドポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部をガラス板上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを120℃で7分間加熱し、自己保持性のフィルムを得た。得られたフィルムをガラス板から剥がして金枠に固定して、これを、0.5L/分で水を供給している容量5Lの水浴中(水分率100wt%)に10分間浸漬した。さらに、280℃で1分間の熱処理を行い全芳香族ポリアミドフィルムを得た(乾湿式製膜)。得られたフィルムの物性を測定し、表5に示した。
(実施例13)
攪拌機を備えた300ml3口フラスコ中に、無機粒子としてCR−90−2を3.5g量り取り、そこにNMPを27.3g加えて2時間攪拌しCR−90−2とNMPのスラリーを得た。そこに合成例2に記載の方法で得られた全芳香族ポリアミドポリマー溶液を100g加えて、さらに3時間攪拌して無機粒子を添加した白色の全芳香族ポリアミドポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部をPETフィルム(東レ株式会社製 T60 厚み100μm)上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これをPETフィルムごと、5℃かつ80%に調温調湿された恒温恒湿槽に導入し15分間静置させた。その後、PETフィルムごと0.5L/分で水を供給している容量5Lの水浴中(水分率100wt%)に30分間浸漬し自己支持性のあるフィルムを得た。次いで、得られたフィルムをPETフィルムから剥がし、金枠に固定して280℃で1分間の熱処理を行い、白色の全芳香族ポリアミドフィルムを得た(析出製膜法)。得られたフィルムの物性を測定し、表5に示した。
(実施例14、15)
実施例13の方法で得られる白色の全芳香族ポリアミドポリマー溶液について、調温調湿条件を表5記載のように変更して、全芳香族ポリアミドフィルムを作成し、得られたフィルムの物性を測定し、表5に示した。
(実施例16)
攪拌機を備えた300ml3口フラスコ中に、ハイミクロンHE5を3.5g量り取り、そこにN−メチル−2−ピロリドンを27.3g加えて2時間攪拌し無機粒子とNMPのスラリーを得た。そこに合成例2に記載の方法で得られる全芳香族ポリアミドポリマー溶液を100g加えて、さらに3時間攪拌して、無機粒子を添加した白色の全芳香族ポリアミドポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部をPETフィルム(東レ株式会社製 T60 厚み100μm)上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これをPETフィルムごと、0.5L/分で水を供給している容量5Lの水浴中(水分率100wt%)に30分間浸漬し自己支持性のあるフィルムを得た。次いで、得られたフィルムをPETフィルムから剥がし、金枠に固定して280℃で1分間の熱処理を行い全芳香族ポリアミドフィルムを得た(湿式製膜)。得られたフィルムの物性を測定し、表5に示した。
(実施例17)
実施例16に記載の方法で得られたポリマー溶液の一部をPETフィルム(東レ株式会社製 T60 厚み100μm)上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これをPETフィルムごと、5℃かつ80%に調温調湿された恒温恒湿槽に導入し30分間静置させた。その後、PETフィルムごと0.5L/分で水を供給している容量5Lの水浴中(水分率100wt%)に30分間浸漬し自己支持性のあるフィルムを得た。次いで、得られたフィルムをPETフィルムから剥がし、金枠に固定して280℃で1分間の熱処理を行い、白色の全芳香族ポリアミドフィルムを得た(析出製膜法)。得られたフィルムの物性を測定し、表5に示した。
(実施例18)
攪拌機を備えた300ml3口フラスコ中に、無機粒子としてCR−90−2を3.5g量り取り、そこにNMPを27.3g加えて2時間攪拌しCR−90−2とNMPのスラリーを得た。そこに合成例6に記載の方法で得られた全芳香族ポリアミドポリマー溶液を100g加えて、さらに3時間攪拌して無機粒子を添加した白色の全芳香族ポリアミドポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部をPETフィルム(東レ株式会社製 T60 厚み100μm)上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これをPETフィルムごと、5℃かつ80%に調温調湿された恒温恒湿槽に導入し15分間静置させた。その後、PETフィルムごと0.5L/分で水を供給している容量5Lの水浴中(水分率100wt%)に30分間浸漬し自己支持性のあるフィルムを得た。次いで、得られたフィルムをPETフィルムから剥がし、金枠に固定して280℃で1分間の熱処理を行い、白色の全芳香族ポリアミドフィルムを得た(析出製膜法)。得られたフィルムの物性を測定し、表5に示した。
(比較例1)
攪拌機を備えた300ml3口フラスコ中に、FTL−110を3.5g量り取り、そこにN−メチル−2−ピロリドンを20g加えて5分間攪拌し酸化チタンとN−メチル−2−ピロリドンのスラリーを得た。そこに合成例5に記載の方法で得られた全芳香族ポリアミドポリマー溶液を100g加えて、さらに3時間攪拌して、無機粒子を添加した全芳香族ポリアミドポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部をガラス板上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを120℃で7分間加熱し、自己保持性のフィルムを得た。得られたフィルムをガラス板から剥がして金枠に固定して、これを、0.5L/分で水を供給している容量5Lの水浴中(水分率100wt%)に10分間浸漬した。さらに、280℃で1分間の熱処理を行い乳白色の全芳香族ポリアミドフィルムを得た(乾湿式製膜)。得られたフィルムの物性を測定し、表6に示した。
(比較例2)
攪拌機を備えた300ml3口フラスコ中に、FTL−110を1.4g量り取り、そこにNMPを27.3g加えて5分間攪拌しスラリーを得た。そこに合成例1に記載の方法で得られる全芳香族ポリアミドポリマー溶液を100g加えて、さらに3時間攪拌して、無機粒子を添加した全芳香族ポリアミドポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部をガラス板上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを120℃で7分間加熱し、自己保持性のフィルムを得た。得られたフィルムをガラス板から剥がして金枠に固定して、これを、0.5L/分で水を供給している容量5Lの水浴中(水分率100wt%)に10分間浸漬した。さらに、280℃で1分間の熱処理を行い白色の全芳香族ポリアミドフィルムを得た(乾湿式製膜)。得られたフィルムの物性を測定し、表6に示した。
(比較例3)
攪拌機を備えた300ml3口フラスコ中に、CR90−2を3.5g量り取り、そこにN−メチル−2−ピロリドンを27.3g加えて5分間攪拌しスラリーを得た。そこに合成例1に記載の方法で得られる全芳香族ポリアミドポリマー溶液を100g加えて、さらに3時間攪拌して、無機粒子を添加した白色の全芳香族ポリアミドポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部をPETフィルム(東レ株式会社製 T60 厚み100μm)上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを、水とNMPの混合溶媒で満たされた総量2Lの水浴中(水分率:20wt%)に1分間浸漬した。次いで、得られたフィルムをPETフィルムから剥がそうとしたところ、PET上の膜に自己支持性がなく、フィルムを得ることができなかった。
(比較例4)
合成例2に記載の方法で得られたポリマー溶液の一部をPETフィルム(東レ株式会社製 T60 厚み100μm)上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これをPETフィルムごと、5℃かつ80%に調温調湿された恒温恒湿槽に導入し15分間静置させた。その後、PETフィルムごと0.5L/分で水を供給している容量5Lの水浴中(水分率100wt%)に30分間浸漬し自己支持性のあるフィルムを得た。次いで、得られたフィルムをPETフィルムから剥がし、金枠に固定して280℃で1分間の熱処理を行い、白色の全芳香族ポリアミドフィルムを得た(析出製膜法)。得られたフィルムの物性を測定し、表6に示した。
Figure 2012082392
Figure 2012082392
Figure 2012082392
Figure 2012082392
Figure 2012082392
Figure 2012082392

Claims (14)

  1. 波長425nmの光の反射率が70%以上である全芳香族ポリアミドフィルム。
  2. 100℃から200℃の平均熱膨張係数が−10ppm/℃以上20ppm/℃以下である、請求項1に記載の全芳香族ポリアミドフィルム。
  3. UL94に規定されたVTM−0を満足する、請求項1または2に記載の全芳香族ポリアミドフィルム。
  4. 難燃化剤を含有しない、請求項1〜3のいずれかに記載の全芳香族ポリアミドフィルム。
  5. 200℃で2時間加熱した後の波長425nmの光の反射率の低下が2.0%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の全芳香族ポリアミドフィルム。
  6. 厚みが1〜50μmである、請求項1〜5のいずれかに記載の全芳香族ポリアミドフィルム。
  7. 化学式(I)および(II)で示される構造単位のモル分率をそれぞれl、mとしたとき、次式(1)〜(3)を満足する全芳香族ポリアミドと、無機粒子とを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の全芳香族ポリアミドフィルム。
    Figure 2012082392
    :芳香環の水素の一部または全てが−CF、−F、−OH、−OCH、−CH、−NO、−CN、−Brのいずれかの置換基で置換されている、パラ配向芳香族基。
    :任意のパラ配向芳香族基。
    :Sを含む基、Pを含む基、Siを含む基、ハロゲン化炭化水素基、またはエーテル結合を含む基のいずれかの基を有するパラ配向芳香族基。ただし、分子内において、これらの基を有する構造単位が混在していてもよい。
    :任意のパラ配向芳香族基。
    0≦l≦100 ・・・・(1)
    0≦m≦100 ・・・・(2)
    97≦l+m≦100 ・・・・(3)
  8. 全芳香族ポリアミド(あ)と、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫化亜鉛、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウムおよびチタン酸ストロンチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機粒子(い)とを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の全芳香族ポリアミドフィルムであって、全芳香族ポリアミド(あ)が、化学式(I)および(II)で示される構造単位を含み、かつ、構造単位の芳香族基が全てパラ位で結合されており、さらに、全芳香族ポリアミド(あ)における化学式(I)および(II)で示される構造単位のモル分率をそれぞれl、mとしたとき、次式(4)〜(6)を満足する全芳香族ポリアミドフィルム。
    Figure 2012082392
    :芳香環の水素の一部または全てが−CF、−F、−OH、−OCH、−CH、−NO、−CN、−Brのいずれかの置換基で置換されている、パラ配向芳香族基。
    :任意のパラ配向芳香族基。
    :Sを含む基、Pを含む基、Siを含む基、ハロゲン化炭化水素基、またはエーテル結合を含む基のいずれかの基を有するパラ配向芳香族基。ただし、分子内において、これらの基を有する構造単位が混在していてもよい。
    :任意のパラ配向芳香族基。
    60≦l<100 ・・・・(4)
    0<m≦40 ・・・・(5)
    97≦l+m≦100 ・・・・(6)
  9. 全芳香族ポリアミド(あ)と無機粒子(い)とを含む有機溶媒溶液(う)について、有機溶媒溶液(う)全体を100質量%とし、全芳香族ポリアミド(あ)の含有量をa(質量%)、無機粒子(い)の含有量をb(質量%)とした時、次式(7)、(8)を満足し、かつ以下のi)からiii)の工程を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の全芳香族ポリアミドフィルムの製造方法。
    1≦a<20 ・・・・(7)
    0.3<b/a≦2 ・・・・(8)
    i)有機溶媒溶液(う)を支持板上に展開する。
    ii)支持板上の有機溶媒溶液(う)に水を10質量%以上含む液体(え)を2分以上接触せしめる。
    iii)200℃以上500℃以下の温度で10秒以上10分以下加熱する。
  10. 全芳香族ポリアミド(あ)と無機粒子(い)とを含む有機溶媒溶液(う)について、有機溶媒溶液(う)全体を100質量%とし、全芳香族ポリアミド(あ)の含有量をa(質量%)、無機粒子(い)の含有量をb(質量%)とした時、次式(7)、(8)を満足し、かつ以下のi)からiii)の工程を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の全芳香族ポリアミドフィルムの製造方法。
    1≦a<20 ・・・・(7)
    0.3<b/a≦2 ・・・・(8)
    i)有機溶媒溶液(う)を支持板上に展開する。
    ii)支持板上の有機溶媒溶液(う)を、温度が5℃以上95℃以下かつ相対湿度が50%以上100%以下の調温調湿された環境下に1分以上導入した後に、水を10質量%以上含む液体(え)を2分以上接触せしめる。
    iii)200℃以上500℃以下の温度で10秒以上10分以下加熱する。
  11. 全芳香族ポリアミドが20質量%以下の割合で有機溶媒に溶解した有機溶媒溶液と、無機粒子を20質量%以下の割合で有機溶媒溶液に分散させたスラリー溶液とを混合した、全芳香族ポリアミドと無機粒子の有機溶媒溶液を用い、請求項9または10に記載の全芳香族ポリアミドフィルムの製造方法。
  12. 請求項1〜8のいずれかに記載の全芳香族ポリアミドフィルムを少なくとも1層有する積層体。
  13. 請求項1〜8のいずれかに記載の全芳香族ポリアミドフィルムと400nm〜700nmの波長の光における光線透過率が70%以上である芳香族ポリアミドフィルムとの積層構造を有する積層体。
  14. 請求項1〜8のいずれかに記載の全芳香族ポリアミドと銅貼ポリイミドフィルムとを接着剤を介して貼り合わせた積層体。
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