JP7459768B2 - ガラス積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス積層体に関するものであり、特にフレキシブルディスプレイ材料、フレキシブルセンサ基板、透明フレキシブルプリント回路基板などに好適に使用できる、ガラス積層体に関するものである。
近年、携帯性や意匠性の自由度などの点から、従来ガラス板が用いられてきた部材を樹脂フィルムに、さらには薄膜化して可撓性を持たせたガラスフィルムに置き換えることによる、フレキシブルなディスプレイ、センサ、回路基板の開発が検討されている。ガラスフィルムは樹脂フィルムと比較して、水蒸気バリア性、光学特性、表面平坦性、硬度などの点で優れる一方で、割れやすいため、デバイス製造時のハンドリング性や実使用時の耐傷つき性、耐屈曲性などの点で適用上の課題がある。
これらの問題を解決するために、樹脂及びガラスフィルムの積層体を用いることが検討されており、例えば特許文献1~3に、樹脂層として耐熱性などの観点からポリイミド、芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドイミドなどを検討したものが開示されている。
特開2008-260266号公報 特開2016-37048号公報 特開2016-60129号公報
しかしながら、これらの樹脂は無色透明化や加工性(溶媒への溶解性や製膜性)向上のために設計された分子構造ゆえに、ヤング率が低く、樹脂層側の硬度や剛性が十分でないことが課題である。この場合、デバイス製造時のハンドリング性や実使用時の耐傷つき性、耐屈曲性が十分に得られないことがある。また、樹脂層の熱寸法安定性が悪化することで、製造工程などにおいて積層体を高温熱処理した際にカールが発生することがある。
上記目的を達成するための本発明は、以下を特徴とする。
厚みが5~100μmであるガラスフィルムの少なくとも一方の面に、芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドイミドを含み、かつ厚みが2~50μmである樹脂層が積層されたガラス積層体であり、ヘイズ値が2%以下であり、樹脂層側から測定した鉛筆硬度が2H以上である、ガラス積層体。
本発明によれば、硬度や剛性に優れる芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドイミドを含む樹脂層とガラスフィルムとを含むガラス積層体が提供できる。そのため、本発明のガラス積層体は、特にフレキシブルディスプレイ材料、フレキシブルセンサ基板、透明フレキシブルプリント回路基板などに適用するにあたり、デバイス製造時のハンドリング性や実使用時の耐傷つき性、耐屈曲性などの点で好適に使用できる。
本発明のガラス積層体は、ガラスフィルムの少なくとも一方の面に芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドイミドを含む樹脂層が積層されている。
本発明のガラス積層体に用いられるガラスフィルム(以下、単にガラスフィルムと言うことがある)は、厚みが5~100μmである。ガラスフィルムの厚みは、好ましくは30~100μmであり、さらに好ましくは50~80μm、特に好ましくは50~65μmである。ガラスフィルムの厚みが上記範囲であることで、ガラス積層体のハンドリング性や耐屈曲性が得られる。ガラスフィルムの厚みが5μm未満であると、ガラスフィルムおよびガラス積層体のハンドリング性が低下し、取り扱いが困難になることがある。ガラスフィルムの厚みが100μmを超えると、ガラス積層体の耐屈曲性が低下し、フレキシブルデバイスへの適用が困難になることがある。
上記のガラスフィルムの材質や製造方法は特に限定されず、市販のものや公知のもの、あるいは新規に製造したもののいずれでも構わない。好ましくは表示材料用の高表面平滑なアルミノシリケートガラス、リチウムアルミノシリケートガラス、あるいは無アルカリガラスや石英ガラスである。また、ガラスフィルムの製造方法としては、例えば、ダウンドロー法、フュージョン法、オーバーフロー法などで直接所望厚みのガラスフィルムを製造する方法やフロート法とスリミングによる薄膜化を組み合わせる方法などが挙げられる。さらに、公知の方法で化学強化処理を施しても良い。
本発明のガラス積層体に用いられる樹脂層(以下、単に樹脂層と言うことがある)に含まれる芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドイミドとしては、下記化学式(I)~(IV)のいずれかで示される構造単位を有することが好ましい。
化学式(I):
Figure 0007459768000001
、Rは、H、炭素数1~5の脂肪族基、CF、CCl、OH、F、Cl、Br、OCH、シリル基、または芳香環を含む基である。
化学式(II):
Figure 0007459768000002
は、Siを含む基、Pを含む基、Sを含む基、ハロゲン化炭化水素基、芳香環を含む基、またはエーテル結合を含む基(ただし、分子内において、これらの基を有する構造単位が混在していてもよい)である。
化学式(III):
Figure 0007459768000003
は任意の基である。
化学式(IV):
Figure 0007459768000004
は任意の芳香族基、任意の脂環族基である。
また、上記のなかでも、下記化学式(V)で示される構造単位を有することが、高い剛性と硬度、優れた熱寸法安定性を実現する点で特に好ましい。
化学式(V):
Figure 0007459768000005
は任意の基である。Rとして特に好ましくは、H、炭素数1~5の脂肪族基、CF、CCl、OH、F、Cl、Brであり、最も好ましくはF、Cl、Brである。
上記化学式(V)で示される構造単位が、本発明の樹脂層を構成する芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドイミドの50~100モル%であることがさらに好ましく、最も好ましくは80~100モル%である。
上記の樹脂層には、上記以外にも膜の剛性、硬度、熱寸法安定性を高める目的で熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、加水分解・縮合樹脂、アルコキシシラン化合物などの有機無機ハイブリット系樹脂などを含有していてもよい。また、粒子が含まれていてもよい。ここで、粒子とは無機粒子、有機粒子のいずれでもよいが、硬度や熱寸法安定性向上の目的の場合、無機粒子を含有することが好ましい。無機粒子は特に限定されないが、金属や半金属の酸化物、珪素化物、窒化物、ホウ素化物、塩化物、炭酸塩などが挙げられ、具体的には、シリカ(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、酸化アンチモン(Sb)及びインジウムスズ酸化物(In)などが挙げられる。また、膜の着色を抑制する目的で、有機または無機系の顔料や染料、あるいはジブチルヒドロキシトルエン(BHT)などの酸化防止剤を含有していてもよい。
上記の樹脂層を構成する芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドイミドおよびその他含有物について化学構造および構成比の同定が必要な場合は、核磁気共鳴法(NMR)、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)および質量分析法(MS)などを組み合わせて解析を行うことができる。
上記の樹脂層の厚みは2~50μmであり、好ましくは5~30μm、より好ましくは8~30μmである。樹脂層の厚みが上記範囲であることで、ガラス積層体のハンドリング性や耐傷つき性、耐屈曲性が得られる。樹脂層の厚みが2μm未満であると、樹脂層を積層する効果が得にくくなる。樹脂層の厚みが50μmを超えると耐屈曲性が低下することがある。また、後述する方法でガラスフィルム上に樹脂層を形成する際に、溶媒の乾燥に長時間が必要になる。
上記の樹脂層は、少なくとも一方向のヤング率が7.0~20.0GPaであることが好ましい。より好ましくは8.0~20.0GPaである。ヤング率が7.0GPa未満の場合、樹脂層の剛性、すなわちコシが低く、ガラス積層体のハンドリング性や耐屈曲性が悪化することがある。また、樹脂層側の硬度が低く、耐傷つき性が低下することがある。ヤング率を上記範囲内とするには、前述の化学式(I)~(IV)のいずれかで示される構造単位を含有する芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドイミドを使用することが好ましい。特に、前述の化学式(V)で示される構造単位を有することが、分子鎖の剛直性が高く、高い剛性が得られることから、より好ましい。
上記の樹脂層は、100~250℃における熱膨張係数が-5.0~20.0ppm/℃であることが好ましい。100~250℃における熱膨張係数が20.0ppm/℃を超過する場合、製造工程などにおいてガラス積層体を高温熱処理した際にカールや割れが発生することがある。100~250℃における熱膨張係数のより好ましい範囲は、-5.0~10.0ppm/℃である。100~250℃における熱膨張係数を上記範囲内とするには、前述の化学式(I)~(IV)のいずれかで示される構造単位を含有する芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドイミドを使用することが好ましい。特に、前述の化学式(V)で示される構造単位を有することが、分子鎖の剛直性が高く、高い熱寸法安定性が得られることから、より好ましい。
本発明のガラス積層体は、上記樹脂層が上記ガラスフィルムの片面に積層されていてもよいし、両面に積層されていてもよい。
積層の形態としては、樹脂フィルムとガラスフィルムとが接着剤や粘着剤を介して積層されている形態、ガラスフィルム上に直接樹脂層が形成されている形態のいずれでもよいが、本発明の効果がより得やすいことから、ガラスフィルムと樹脂層界面に厚み1μm以上の層がなく、ガラスフィルム上に直接樹脂層が形成されている積層形態が好ましい。ここで、ガラスフィルム上に直接樹脂層が形成されている形態においても、ガラスフィルムと樹脂層界面に後述する厚み1μm未満の易接着層が形成されていてもよい。樹脂フィルムとガラスフィルムとが厚み1μm以上の接着剤や粘着剤を介して積層されている場合、本発明の樹脂層の持つ硬度や剛性による積層効果が十分に得られず、ハンドリング性や樹脂層側の耐傷つき性、耐屈曲性が低下することがある。
本発明のガラス積層体は、ヘイズ値が2.0%以下であることが好ましい。ヘイズ値はより好ましくは1.0%以下である。ヘイズ値が2.0%より大きい場合は、ガラス積層体の濁りが大きく、ディスプレイ材料や透明基板などに使用した際に視認性や明るさなどが低下することがある。ヘイズ値を2.0%以下とするには、低ヘイズなガラスフィルムを用いることはもちろん、樹脂層中の異物を低減することに加え、後述の方法でエポキシ基を有する化合物およびその中和生成物(クロロヒドリン)とを含む溶液を用いて樹脂層を積層することが有効である。
本発明のガラス積層体は、黄色度(YI)が0.1~5.0であることが好ましい。黄色度(YI)が5.0を超える場合、ガラス積層体の着色が大きく、ディスプレイ材料や透明基板などに使用した際に黄色味が強くなるなど、視認性が低下することがある。視認性がより向上することから、黄色度(YI)は0.1~4.0であることがより好ましく、0.1~3.0であることがさらに好ましい。黄色度(YI)を0.1~5.0にするには、後述の方法でエポキシ基を有する化合物およびその中和生成物(クロロヒドリン)とを含む溶液を用いて樹脂層を積層することが有効である。
本発明のガラス積層体は、樹脂層側から測定した鉛筆硬度が2H以上である。ここで鉛筆硬度が2H以上とは、後述の測定条件に従って試験を実施した際に、2H、3H、4H、5H、6H、7H、8H、9Hのいずれかの硬度を有することを言う。鉛筆硬度が2H未満(すなわち、10B、9B、8B、7B、6B、5B、4B、3B、2B、B、HB、F、Hのいずれか)であると、デバイス製造時や使用時に樹脂層表面に傷や凹みが生じやすくなる。さらに、傷が生じた場合、ガラス積層体を屈曲させた場合に傷を起点として積層体が割れやすくなる。鉛筆硬度は、より好ましくは3H以上、さらに好ましくは4H以上である。鉛筆硬度の上限は特に定めないが、通常は9Hである。鉛筆硬度を2H以上とするため、前述の化学式(I)~(IV)のいずれかで示される構造単位を含有する芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドイミドを使用することが好ましい。特に、前述の化学式(V)で示される構造単位を有することが、分子鎖の剛直性が高く、高い剛性が得られることから、より好ましい。さらに、後述の方法でエポキシ基を有する化合物およびその中和生成物(クロロヒドリン)を溶液に含有させることが、製膜乾燥時、分子鎖が延伸された状態でパッキングを進行させるため高い鉛筆硬度を得やすく、さらに好ましい。
本発明のガラス積層体は、内側の曲率半径10mmで前記樹脂層側を外側にして180°折り畳んだ際に割れが生じないことが好ましい。なお、本発明でいう内側の曲率半径10mmで前記樹脂層側を外側にして180°折り畳んだ際に割れが生じないとは、後述する耐屈曲性評価において、○以上の性能を有することを言う。割れが生じない曲率半径は好ましくは7mm、より好ましくは5mmである。曲率半径10mmで折り畳んだ際に割れが生じないことで、フレキシブルディスプレイ材料、フレキシブルセンサ基板、透明フレキシブルプリント回路基板などに好適に使用できる。曲率半径10mmで折り畳んだ際に割れを生じさせないため、本発明のガラス積層体に用いられるガラスフィルムおよび樹脂層の厚みを前記範囲内とすることが好ましい。また、前述の化学式(I)~(IV)のいずれかで示される構造単位を含有する芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドイミドを使用することが好ましい。特に、前述の化学式(V)で示される構造単位を有することが、分子鎖の剛直性が高く、高い剛性が得られることから、より好ましい。折り畳んだ際のガラスフィルムの割れは、折り畳んだ外側の表面に亀裂が生じることに起因するため、本発明の樹脂層をガラスフィルムに積層することにより、折り畳んだ際にガラスフィルム表面における亀裂の発生を抑制し、割れを防止することができる。また、表面に微小な亀裂が発生しても、本発明の高い剛性を有する樹脂層を積層することにより、その亀裂が成長して、ガラスフィルムが破断するのを効果的に抑制できる。
本発明のガラス積層体は、波長550nmの光に対する面内位相差が0~50nmであることが好ましい。面内位相差は、より好ましくは0~20nmである。面内位相差を上記範囲内とすることで、例えばフレキシブルディスプレイ材料として用いる際に、高い光学等方性により優れた色調再現性を発現できる。面内位相差が50nmより大きい場合、位相差による色調斑などが生じることがある。一般に剛性の高い分子鎖を有する芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドイミドは面内位相差が大きくなりやすいため、波長550nmの光に対する面内位相差を上記範囲内とするため、後述の方法で製造した溶液からガラスフィルム上に直接樹脂層が形成されている積層形態とすることが好ましい。
本発明のガラス積層体は、100mm角に切り出した積層体を250℃で30分保持した後の4隅の立ち上り高さの合計が20mm以下であることが好ましい。4隅の立ち上り高さの合計は、より好ましくは10mm以下である。4隅の立ち上り高さの合計が20mmを超えると、デバイス製造時のハンドリング性が低下したり、カールによりガラス積層体に割れが生じることがある。4隅の立ち上り高さの合計を20mm以下とするため、前述の化学式(I)~(IV)のいずれかで示される構造単位を含有する芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドイミドを使用することが好ましい。特に、前述の化学式(V)で示される構造単位を有することが、分子鎖の剛直性が高く、高い熱寸法安定性が得られることから、より好ましい。
以下、本発明のガラス積層体の製造方法について、樹脂層を芳香族ポリアミドとする場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
芳香族ポリアミド溶液を得る方法は公知の種々の方法が利用可能であるが、例えば、酸ジクロライドとジアミンを原料として、非プロトン性極性溶媒中で低温溶液重合により合成する方法が挙げられる。
ここで非プロトン性極性溶媒とはプロトン(水素イオン)供与性を持たない極性溶媒であり、例えばN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、γ-ブチロラクトン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
酸ジクロライドの失活を抑制するため、重合に使用する溶媒の水分率を500ppm以下(質量基準、以下同様)とすることが好ましく、200ppm以下とすることがより好ましい。ここで酸ジクロライドとジアミンとのモル比を等量とすると超高分子量のポリマーが生成する傾向にあるため、モル比を一方が他方の96.0~99.8%、より好ましくは96.0~99.0%になるように調整することが好ましい。また、芳香族ポリアミドの重合反応は発熱を伴うが、重合中の溶液の温度を40℃以下にすることが好ましい。40℃を超えると、副反応が起きて、重合度が十分に上がらなかったり、着色が起きたりすることがある。重合中の溶液の温度は30℃以下にすることがより好ましい。
ここで、酸ジクロライドとジアミンを原料とする重縮合の場合、反応の進行に伴って塩化水素が副生する。一般に、副生する塩化水素を中和あるいは取り除く方法として、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムなどの無機中和剤により中和する方法、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機中和剤により中和する方法、芳香族ポリアミドを貧溶媒浴に投入することで一旦単離して溶媒に再溶解する方法のいずれかが用いられる。
無機中和剤により中和する場合、溶液中には中和反応により生成した無機塩(例えば、中和に炭酸リチウムを使用した場合、無機塩として塩化リチウム)が含まれる。この無機塩は溶媒中でイオン化し芳香族ポリアミドのアミド基に配位することで溶媒への溶解助剤として働くため、溶液のポットライフ向上や製膜時の失透抑制には有効である。ただし、製膜工程中に無機塩を除去する洗浄(通常、水あるいは溶媒による洗浄)工程が必要となるため、本発明のガラス積層体を製造する場合、ガラスフィルム上に塗工した後、芳香族ポリアミド層の熱固定前にガラス積層体ごと洗浄工程を通過させる必要がある。この場合、ガラスフィルムからの芳香族ポリアミド層の剥離が起きたり、芳香族ポリアミド層の収縮によるガラス積層体のカールや破断が生じるなどの問題がある。
一方、一旦単離して再溶解する場合は上記の洗浄工程が不要となるため、屈曲鎖を有する一般的な芳香族ポリアミドを使用する場合においてはこの方法で製造することができる。しかしながら、本発明の剛性や熱寸法安定性などに優れる剛直構造を有する芳香族ポリアミドを用いる場合、前記無機塩なしでは溶媒へ溶解しないか、溶解しても溶媒乾燥に伴い急激に芳香族ポリアミドの凝集が起き、ヘイズ値が2.0%を超えることがある。
以上の理由から本発明では、後述するエポキシ基を有する化合物により塩化水素を中和することで上記課題を解決した溶液を用いることが好ましい。エポキシ基を有する化合物およびその中和生成物(クロロヒドリン)が芳香族ポリアミドの分子鎖間に配位することで、分子鎖の凝集による失透を効果的に抑制でき、かつ製膜乾燥時に分子鎖が延伸された状態でパッキングを進行させることから、剛性や熱寸法安定性などに優れる剛直構造を有する芳香族ポリアミドを用いた場合において、透明性、剛性、熱寸法安定性に優れる芳香族ポリアミド膜が得られやすい。さらに、エポキシ基を有する化合物が含まれることで、ガラス積層体においてガラスフィルムと樹脂層間の密着性が得られやすい。加えて、未反応のエポキシ基を有する化合物およびその中和生成物は熱処理工程にて揮発させることが可能であるため、洗浄工程を必要としない。
本発明で特に好ましく用いられるエポキシ基を有する化合物としては、脂肪族環あるいは芳香族環を化学構造中に持つエポキシ基を有する化合物である。このような化合物として、例えばシクロヘキサンオキサイド、フェニルプロピレンオキサイド、グリシジルフェニルエーテルなどが挙げられる。また、複数のエポキシ基を有する化合物を混合して用いても良い。上記化合物およびその中和生成物が芳香族ポリアミドの分子鎖間に配位することで、分子鎖の凝集による失透を効果的に抑制でき、かつ製膜乾燥時に分子鎖が延伸された状態でパッキングを進行させることから、透明性、剛性、熱寸法安定性に優れる樹脂層が得られやすい。一方で、エポキシ基を有する化合物として、例えば脂肪族環および芳香族環を化学構造中に持たないプロピレンオキサイドを使用した場合、溶媒乾燥に伴い芳香族ポリアミドの急激な凝集が起き、ヘイズ値が2.0%を超えることがある。
また、上記効果を得るために、エポキシ基を有する化合物の添加量は、芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドイミドのアミド基モル数に対して60~300モル%であることがより好ましい。
本発明の溶液は、上述の非プロトン性極性溶媒、芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドイミド樹脂、エポキシ基を有する化合物およびその中和生成物(クロロヒドリン)意外にも、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、加水分解・縮合樹脂、アルコキシシラン化合物などの有機無機ハイブリット系樹脂、無機または有機粒子、有機または無機顔料や染料、酸化防止剤などが含まれていてもよく、これらは重合前の溶媒に分散させても、重合後の溶液に分散させてもよい。また、非プロトン性極性溶媒以外にも溶解性や粘度、乾燥速度などを調整する目的で、任意の溶媒を添加しても良い。
上記のようにして得られた樹脂層形成に用いる溶液は、前述のガラスフィルムの片面あるいは両面に塗布、乾燥させることで製膜し積層される。ここで、ガラスフィルムには洗浄や易接着処理などを施してもよい。洗浄としては、超音波水などの機能水や有機溶媒、アルカリ、酸を用いたウェット洗浄、UVオゾンやプラズマ、加熱処理などのドライ洗浄が挙げられる。また、易接着処理としてはプラズマ処理、コロナ処理、エッチング処理、シランカップリング剤処理などが挙げられる。ただし、シランカップリング剤などを用いる場合、前述の理由から処理層の厚みは1μm未満にすることが好ましい。
ガラスフィルム上への塗布方法は特に限定されないが、ガラスフィルムをロールで供給する場合には口金からの押し出しや、バーコート、コンマコート、印刷などの方法が挙げられる。また、ガラスフィルムを枚葉で供給する場合にはスリットダイを用いた間欠コートや、スピンコートなどが挙げられる。
また、乾燥の方法としては、熱風、赤外線照射、マイクロ波照射などが挙げられ、特に限定されない。乾燥温度は50~300℃であることが好ましい。溶媒の急激な蒸発による面荒れやガラス積層体のカール、割れを防ぐ目的で、50~150℃にて予備乾燥後、150~300℃にて段階的に乾燥を施すことが、さらに好ましい。
また、本発明のガラス積層体の樹脂層の上に、さらに公知の方法でハードコーティング層などの機能層を積層してもよい。
本発明のガラス積層体は、ディスプレイ材料、センサ基板、回路基板、光導波路基板、半導体実装用基板、太陽電池、加飾材料など様々な用途に好適に使用できる。特にフレキシブルディスプレイ材料、フレキシブルセンサ基板、透明フレキシブルプリント回路基板などに好適に使用できる。中でもディスプレイを湾曲させたり、折り畳んだり、巻き取ったりすることができるフレキシブルディスプレイ材料として好適に使用できる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
本発明における物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)各層の厚み
下記条件でガラス積層体の断面を観察し、その観察画像のスケールから各層(樹脂層およびガラスフィルム)の厚みを算出した。
装置:電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)SU8020(日立ハイテクノロジーズ社製)
加速電圧:2.0kV
断面作製:アルゴンイオンビームエッチングおよび金属微粒子スパッタコート処理
(2)鉛筆硬度
JIS-K5600-5-4(1999)に準拠して、温度23℃、湿度65%RHにおいて、下記装置および条件にて、ガラス積層体の樹脂層側表面を測定した。
装置:表面測定機HEIDON-14DR(新東科学社製)
加重:750gf
角度:45°
移動速度:30mm/min
移動距離:10mm
試料基材:ガラス板(厚み3mm)
使用鉛筆:ハイユニ(三菱鉛筆社製)、柔らかい(硬度が低い)方から順に、10B、9B、8B、7B、6B、5B、4B、3B、2B、B、HB、F、H、2H、3H、4H、5H、6H、7H、8H、9H
硬度判定:試験を5回実施し、3~5回において傷および凹みが無い場合に、その硬度を有していると判定した。
(3)耐屈曲性
JIS-K5600-5-1(1999)に準拠したマンドレルを用いて、温度23℃、湿度65%RHにおいて、下記の条件で評価した。
試料寸法:短辺50mm×長辺150mm
裁断方法:COレーザーカット
円筒寸法:半径10mm
折り畳み方向:樹脂層側が外側となるよう、長辺を180°折り畳み
判定基準:試料を3枚準備し、各1回折り畳み後に観察し、下記基準で判定した。
○:少なくとも2枚に亀裂や破断の発生が確認されず、良好
△:少なくとも1枚に亀裂や破断の発生が確認されず、実用範囲内
×:3枚すべてに亀裂や破断が確認され、実用範囲外
(4)面内位相差
自動複屈折計KOBRA-21ADH(王子計測社製)を用い、波長550nm、入射角0度の入射光に対するガラス積層体の正面位相差を測定した。
(5)ヘイズ値
ガラス積層体について、下記装置および条件にて測定した。
装置:濁度計NDH5000(日本電色工業社製)
光源:白色LED5V3W(定格)
受光素子:V(λ)フィルタ付Siフォトダイオード
測定光束:φ14mm(入射開口φ25mm)
光学条件:JIS-K7136(2000)に準拠
(6)黄色度(YI)
ASTM D1925(1988)に準拠した分光色彩計(日本電色工業社製)を用いて、温度23℃、湿度65%RHにおいて測定した。試料寸法は40mm×50mmで、透過モードにより測定した。
(7)カール
下記条件にてガラス積層体を250℃で30分保持した後の4隅の立ち上り高さの合計を測定した。
試料寸法:100mm角
裁断方法:COレーザーカット
試料設置:ステンレス板(SUS304、厚み1mm)上に樹脂層側を上面にして無把持で静置
熱処理:セーフティオーブンSPH100(エスペック株式会社製)を用い、開閉ダンパー50%にて温度表示が250℃度に到達して1時間後に使用
高さ測定:ガラス積層体をオーブンから取り出し、温度23℃、湿度65%RHで30分静置した後に測定
ただし、4隅がステンレス板側にカールした場合は、ガラス積層体の上下を入れ替え、樹脂層側を下面にして4隅の立ち上り高さの合計を測定した。
(8)ヤング率
試料溶液から作製された樹脂層単膜について、幅10mm、長さ150mmに切断した試験片を、ロボットテンシロンAMF/RTA-100(オリエンテック社製)を用いてチャック間距離50mm、引張速度300mm/分、温度23℃、相対湿度65%の条件下で引張試験を行い、得られた荷重-伸び曲線から求めた。
試験は膜のキャスト方向(長手方向)と、それと直交する方向(幅方向)について実施し、両方向とも5回の平均値を求めた。
(9)熱膨張係数
試料溶液から作製された樹脂層単膜について、幅4mm、長さ15mmに切断した試験片をTMA/SS6100(日立ハイテクサイエンス社製)を用いて以下の条件で測定し、下式を用いて算出した。
荷重:1.1N/mm
温度条件:室温→250℃、5分保持、250℃→50℃ 昇温・降温速度:5℃/分
算出:降温時の変位量から下式にて算出
算出式:α=(L-L)/(L×ΔT) (1/℃)
ただし、Lは測定前の試長(15mm)、Lは100℃における試長(mm)、Lは200℃における試長(mm)、ΔTは温度差(100℃)である。
(実施例1)
脱水したN-メチル-2-ピロリドン(NMP、三菱化学社製)に、ジアミンとして2,2’-ジトリフルオロメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(TFMB、東レ・ファインケミカル社製)を窒素気流下で溶解させ、氷水浴で液温を5℃に冷却した。そこへ、系内を窒素気流下、氷水浴中に保った状態で、ジアミン全量に対して99モル%に相当する2-クロロテレフタロイルクロライド(CTPC、日本軽金属社製)を30分かけて添加し、全量添加後、氷水浴中で2時間の撹拌を行うことで、芳香族ポリアミド(ポリマーA)を重合した。
そこへ、上記反応で発生する塩化水素量(すなわち芳香族ポリアミドのアミド基量)に対して100モル%のシクロヘキセンオキサイド(東京化成工業社製)および150モル%のグリシジルフェニルエーテル(東京化成工業社製)を添加し、室温にて1時間の撹拌を行うことでポリマーAからなる溶液を得た。
得られた溶液を室温にてアプリケーターを用いて厚み50μmのガラスフィルム(ショット社製アルミノシリケートガラス)上に膜状にキャストして、120℃にて30分、280℃にて5分、熱風オーブンで乾燥を施すことで、厚み20μmのポリマーAからなる樹脂層を積層した。ここで、熱風オーブンは、セーフティオーブンSPH100(エスペック株式会社製)を用い、開閉ダンパー50%にて温度表示が設定温度に到達して1時間後に使用した。
得られたガラス積層体の物性を表1に示す。
また、上記と同様にして120℃にて30分乾燥後に、樹脂層をガラスフィルムから剥離し、金属枠に固定して280℃にて5分乾燥を施すことで、厚み20μmのポリマーAからなる樹脂層単膜を得た。この樹脂層単膜の物性を測定したところ、ヤング率は長手方向/幅方向で9.5GPa/9.4GPaであり、100~250℃における熱膨張係数は2.2ppm/℃であった。
(実施例2)
樹脂層の厚みを5μmとすること以外は実施例1と同様にして、ガラス積層体を得た。得られたガラス積層体の物性を表1に示す。
(実施例3)
原料モノマーのうち、ジアミンをTFMB:80モル%と4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(東京化成工業社製):20モル%とすること以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド(ポリマーB)からなる樹脂層を積層したガラス積層体を得た。得られたガラス積層体の物性を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、ポリマーBからなる樹脂層単膜を得た。この樹脂層単膜の物性を測定したところ、ヤング率は長手方向/幅方向で8.7GPa/8.5GPaであり、100~250℃における熱膨張係数は8.5ppm/℃であった。
(実施例4)
脱水したNMPに、ジアミンとしてTFMBを窒素気流下で溶解させ、氷水浴で液温を5℃に冷却した。そこへ、系内を窒素気流下、氷水浴中に保った状態で、ジアミン全量に対して20モル%に相当するイソフタロイルクロライド(東京化成工業社製)を5分かけて添加し、次いで60モル%に相当するテレフタロイルクロライド(TPC、東京化成工業社製)を15分かけて添加し、氷水浴中で30分の撹拌を行った。次に、氷水浴を外して室温にて、ジアミン全量に対して20モル%に相当する4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(東京化成工業社製)を15分かけて添加し、1時間の撹拌を行うことで、芳香族ポリアミドイミド(ポリマーC)を重合した。
そこへ、芳香族ポリアミドのアミド基量に対して100モル%のシクロヘキセンオキサイドおよび150モル%のグリシジルフェニルエーテルを添加し、室温にて1時間の撹拌を行うことでポリマーCからなる溶液を得た。
以降は実施例1と同様にしてガラスフィルム上にポリマーCからなる樹脂層を積層し、ガラス積層体を得た。得られたガラス積層体の物性を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、ポリマーCからなる樹脂層単膜を得た。この樹脂層単膜の物性を測定したところ、ヤング率は長手方向/幅方向で7.2GPa/7.2GPaであり、100~250℃における熱膨張係数は17.1ppm/℃であった。
(実施例5)
厚み30μmのガラスフィルム(ショット社製アルミノシリケートガラス)を用いること以外は実施例1と同様にして、ガラス積層体を得た。得られたガラス積層体の物性を表1に示す。
(実施例6)
厚み70μmのガラスフィルム(ショット社製アルミノシリケートガラス)を用いること以外は実施例1と同様にして、ガラス積層体を得た。得られたガラス積層体の物性を表1に示す。
(実施例7)
樹脂層の厚みを50μmとすること以外は実施例1と同様にして、ガラス積層体を得た。得られたガラス積層体の物性を表1に示す。
(実施例8)
実施例1と同様の厚み50μmのガラスフィルム上に、シランカップリング剤として3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)をバーコーターにて塗布し、150℃にて20分、熱風オーブンで乾燥を施すことで、厚み0.5μmの易接着層を形成した。以降は実施例1と同様にして芳香族ポリアミド(ポリマーA)からなる樹脂層を積層し、ガラス積層体を得た。得られたガラス積層体の物性を表1に示す。
(実施例9)
実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド(ポリマーA)を重合した。
そこへ、上記反応で発生する塩化水素量(すなわち芳香族ポリアミドのアミド基量)に対して150モル%のシクロヘキセンオキサイド(東京化成工業社製)を添加し、室温にて1時間の撹拌を行うことでポリマーAからなる溶液を得た。
以降は実施例1と同様にしてガラスフィルム上にポリマーAからなる樹脂層を積層し、ガラス積層体を得た。得られたガラス積層体の物性を表1に示す。
(比較例1)
脱水したNMPに、ジアミンとしてTFMBを窒素気流下で溶解させ、氷水浴で液温を5℃に冷却した。そこへ、系内を窒素気流下、氷水浴中に保った状態で、ジアミン全量に対して99モル%に相当するCTPCを30分かけて添加し、全量添加後、氷水浴中で2時間の撹拌を行うことで、ポリマーAを重合した。
そこへ、アミド基量に対して97モル%に相当する炭酸リチウム(本荘ケミカル社製)を添加し、60℃で2時間撹拌後、さらに6モル%に相当するジエタノールアミン(東京化成社製)を加えて30分撹拌した。
次に、得られた溶液を多量の水に添加、洗浄することで、ポリマーAを固化させた。固化して沈殿したポリマーAを取り出し、水切り後、80℃の熱風オーブンで1時間、120℃の真空オーブンで12時間乾燥させることでポリマーAを単離した。単離したポリマーAをNMPに溶解させることで、ポリマーAとNMPからなる溶液を得た。
以降は実施例1と同様にしてガラスフィルム上にポリマーAからなる樹脂層を積層し、ガラス積層体を得た。得られたガラス積層体の物性を表1に示す。
(比較例2)
脱水したNMPに、ジアミンとしてTFMBを窒素気流下で溶解させ、氷水浴で液温を5℃に冷却した。そこへ、系内を窒素気流下、氷水浴中に保った状態で、ジアミン全量に対して99モル%に相当するCTPCを30分かけて添加し、全量添加後、氷水浴中で2時間の撹拌を行うことで、ポリマーAを重合した。
そこへ、アミド基量に対して150モル%のプロピレンオキサイド(東京化成工業社製)を添加し、室温にて1時間の撹拌を行うことでポリマーAからなる溶液を得た。
以降は実施例1と同様にしてガラスフィルム上にポリマーAからなる樹脂層を積層し、ガラス積層体を得た。得られたガラス積層体の物性を表1に示す。
(比較例3)
原料モノマーとして、ジアミンを4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化社製)、酸クロライドをジアミン全量に対して99モル%に相当するTPCとすること以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド(ポリマーD)からなる樹脂層を積層したガラス積層体を得た。得られたガラス積層体の物性を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、ポリマーDからなる樹脂層単膜を得た。この樹脂層単膜の物性を測定したところ、ヤング率は長手方向/幅方向で3.9GPa/3.8GPaであり、100~250℃における熱膨張係数は46.3ppm/℃であった。
(比較例4)
脱水したNMPに、ジアミンとしてTFMBを窒素気流下で溶解させ、氷水浴で液温を5℃に冷却した。そこへ、系内を窒素気流下、氷水浴中に保った状態で、ジアミン全量に対して99モル%に相当するCTPCを30分かけて添加し、全量添加後、氷水浴中で2時間の撹拌を行うことで、ポリマーAを重合した。
そこへ、アミド基量に対して97モル%に相当する炭酸リチウムを添加し、60℃で2時間撹拌後、さらに6モル%に相当するジエタノールアミンを加えて30分撹拌した。
以上のようにして得られたポリマーAからなる溶液を、口金からステンレス製のエンドレスベルト上に膜状に流延した。次いで、流延した膜状物を熱風温度120℃のオーブン室に導入して、ポリマー濃度が50質量%となるまでNMPを蒸発させた。次に、膜状物をエンドレスベルトから剥離し、40℃の純水が流水する水槽に導入し、脱塩、脱添加剤、脱溶媒を行った。ここで、流延してから水槽を出るまでの工程で、長手方向に1.10倍の延伸を施した。最後に、水槽から出たフィルムを300℃のテンターに導入して熱処理を施すとともに、幅方向に1.30倍の延伸を施すことで、ポリマーAからなる厚み20μmのフィルムを得た。
次に、得られたポリマーAからなるフィルムの片面に、アプリケーターを用いて紫外線硬化型接着剤(アロニックスUCX-1000、東亞合成社製)を硬化後の厚みが5μmとなるように塗布し、厚み50μmのガラスフィルムを重ねてラミネーターで圧着した。圧着後、高圧水銀ランプを用いて積算光量1,000mJ/cmとなるように紫外線をガラスフィルム側から照射し、接着剤を硬化させて積層した。
得られたガラス積層体(50μmガラスフィルム/5μm接着剤層/20μm樹脂層)の物性を表1に示す。
(比較例5)
接着剤層の厚みを2μmとすること以外は比較例4と同様にしてガラスフィルム上にポリマーAからなる樹脂層を積層し、ガラス積層体を得た。得られたガラス積層体の物性を表1に示す。
Figure 0007459768000006

Claims (7)

  1. 厚みが5~100μmであるガラスフィルムの少なくとも一方の面に、芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドイミドを含み、かつ厚みが2~50μmである樹脂層が積層されたガラス積層体であり、ヘイズ値が2.0%以下であり、樹脂層側から測定した鉛筆硬度が2H以上である、ガラス積層体。
  2. 内側の曲率半径10mmで樹脂層側を外側にして180°折り畳んだ際に割れが生じない、請求項1に記載のガラス積層体。
  3. 波長550nmの光に対するガラス積層体の面内位相差が0~50nmである、請求項1または2に記載のガラス積層体。
  4. 100mm角に切り出したガラス積層体を250℃で30分保持した後の4隅の立ち上り高さの合計が20mm以下である、請求項1~3のいずれかに記載のガラス積層体。
  5. 樹脂層が、下記化学式(V)で示される構造単位を有する、請求項1~4のいずれかに記載のガラス積層体。
    化学式(V):
    Figure 0007459768000007
    は任意の基である。
  6. ガラスフィルム上に樹脂層が直接形成されている、請求項1~5のいずれかに記載のガラス積層体。
  7. フレキシブルディスプレイ材料として用いられる、請求項1~6のいずれかに記載のガラス積層体。
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