以下、適宜図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
<外観的構成>
[複合機1の概略]
図1は、本発明の実施形態である複合機1(本発明の画像記録装置に該当する)の外観斜視図である。なお、以下の説明においては、複合機1が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7を定義し、操作パネル部5が設けられている側を手前面(正面)として前後方向8を定義し、複合機1を手前側(正面)から見て左右方向9を定義する。
図1に示すように、複合機1は、主に、下部に設けられたインクジェット記録方式のプリンタ部2と、上部に設けられたスキャナ部54と、正面上部に設けられた操作パネル部5とを一体的に備えた多機能装置である。複合機1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、及び、ファクシミリ機能などの各種の機能を有している。プリンタ機能としては、用紙Sの表面及び裏面の両面に画像を記録する両面画像記録機能を有している。
プリンタ部2の下部には、被記録媒体としての用紙Sを給紙するための給紙部11が設けられている。この給紙部11には、用紙Sを積層した状態で収容する給紙トレイ4が、プリンタ部2の前側に形成された開口部3を介してプリンタ部2に対して着脱可能に設けられている。給紙トレイ4は、A4サイズ、レターサイズ、リーガルサイズ、はがきサイズ等の用紙Sをその短辺(幅)が搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に延びる向きで複数枚積載して収容可能に構成されている。
プリンタ部2の上部には、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読取のためのスキャナ部54が配置されている。スキャナ部54の上面を覆う原稿カバー体56の後端はスキャナ部54の後端に対して回動可能に装着されている。プリンタ部2の上側の前方には、図1に示すように、各種操作ボタン5aや液晶表示部5b等を備えた操作パネル部5が設けられている。
<内部構成>
[プリンタ部2]
次に、図2を参照して、プリンタ部2の構成について説明する。図2は、複合機1の前後方向8に沿った断面図であり、主にプリンタ部2の内部構造を示している。
図2に示すように、給紙トレイ4の後方には、用紙分離用の傾斜分離板6が配置されている。図示しないフレームには、給紙アーム10の基端部が上下方向に回動可能に装着され、この給紙アーム10の下端には図示しない給紙用モータ71(図3参照)により回転駆動される給紙ローラ25が設けられている。給紙ローラ25と、傾斜分離板6とにより、給紙トレイ4に積層された用紙Sを一枚ずつ分離し搬送する。
分離された用紙Sは、湾曲形成された第1上側ガイド部材13aと、第1下側ガイド部材13bとの間隙に形成された横向きU字状のパスを含む搬送経路14を介して、給紙トレイ4の上方に設けられた記録部24に搬送される。
[記録部24]
記録部24(本発明の記録部に該当する)は、記録ヘッド30を搭載して左右方向9(図2の紙面に垂直な方向)へ往復移動するキャリッジ31を備えている。記録ヘッド30は、キャリッジ31の下側に露出されており、インクタンク(不図示)からインクチューブ(不図示)を通じてシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(K)の各色インクが供給される。
図2において、記録ヘッド30の下面には、複数のノズル301が形成されている。各色インクに対応するノズル301は、前後方向8に沿って一列に整列されており、各色インクに対応するノズル301の各列が、キャリッジ31の往復動方向である左右方向9(図2の紙面に垂直な方向)に並べられている。
記録ヘッド30は、その下面に設けられたノズル301から、各インクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ31が左右方向9へ往復動することにより、記録ヘッド30が用紙Sに対して走査され、プラテン34上を搬送される用紙Sに画像が記録される。
図3に示されるように、プラテン34の上側には、一対の平板上のガイドレール35、36が配設されている。ガイドレール35、36は、用紙Sの前後方向8に隔てて左右方向9に延設されている。キャリッジ31は、ガイドレール35、36を跨ぐようにして、ガイドレール35、36上を摺動可能に設けられている。
ガイドレール36の後側には、ベルト駆動機構38が配設されている。ベルト駆動機構38は、キャリッジ31の主走査方向の範囲の両端付近にそれぞれ設けられた駆動プーリ39と従動プーリ40との間に、内側に歯が設けられた無端環状のタイミングベルト41が張架されてなるものである。駆動プーリ39の軸には、キャリッジモータ73(図5参照)が連結されており、該キャリッジモータ73から駆動力が入力される。駆動プーリ39の回転により、タイミングベルト41が周運動する。
タイミングベルト41は、キャリッジ31に固着されている。タイミングベルト41の周運動により、キャリッジ31はガイドレール35、36上を往復移動する。したがって、記録ヘッド30は、キャリッジ31とともに往復移動可能である。
ガイドレール36には、リニアエンコーダ99のエンコーダストリップ42が配設されている。リニアエンコーダ99は、フォトインタラプタ(不図示)によりエンコーダストリップ42を検出する。リニアエンコーダ99の検出信号に基づいて、キャリッジ31の主走査方向の往復動の位置が把握され、キャリッジ31の往復移動が制御される。
図3に示されるように、記録ヘッド30の下側には、プラテン34が配設されている。プラテン34は、キャリッジ31の往復移動範囲のうち、用紙Sが通過する中央部分に亘って配設されている。プラテン34の幅は、搬送可能な用紙Sの最大幅より十分大きいものであり、用紙Sの両端は常にプラテン34上を通過する。
なお、記録部24は、インクジェット方式に限られず、電子写真方式、或いは感熱記録方式など、種々の記録方式のものが適用され得る。
[搬送部52]
プラテン34の搬送方向(図2の1点鎖線で示される方向)上流側には、搬送ローラ60(本発明の第2駆動ローラに該当する)及び従動コロ61(本発明の第2従動ローラに該当する)が設けられている。これらは対をなしており、搬送ローラ対60A(本発明の第1搬送部に該当する)を構成している。従動コロ61は、搬送ローラ60の下方に配置されており、図示しないバネなどの弾性部材によって搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。また、本実施形態では、従動コロ61は、a〜hの8個が左右方向9に沿って、存在している(図6参照)。搬送ローラ60及び従動コロ61は、搬送経路14を経由して搬送されてきた用紙Sを挟持してプラテン34上へ搬送する。
また、プラテン34の搬送方向下流側には、排紙ローラ62(本発明の第1駆動ローラに該当する)及び拍車63(本発明の第1従動ローラに該当する)が設けられている。これらは対をなしており、排紙ローラ対62A(本発明の第2搬送部に該当する)を構成している。拍車63は、排紙ローラ62の上方に配置されており、自重若しくはバネなどの弾性部材によって排紙ローラ62のローラ面に圧接されている。また、本実施形態では、拍車63は、A〜Hの8個が左右方向9に沿って、存在している(図6参照)。排紙ローラ62及び拍車63は、記録済みの用紙Sを挟持して更に下流側(排紙部28側)へ搬送する。なお、搬送ローラ対60Aと、排紙ローラ対62Aとでは、搬送ローラ対60Aの方が挟持力が大きい。
搬送ローラ60及び排紙ローラ62は、搬送用モータ75(図3参照)から周知の駆動伝達機構を介して回転駆動力が伝達されて回転される。この駆動伝達機構は、遊星ギヤなどから構成されており、搬送用モータ75が正回転方向或いは逆回転方向のいずれかに回転されても、用紙Sを一方向(図2の右側)へ搬送させるべく、搬送ローラ60及び排紙ローラ62を一回転方向へ回転させる。なお、搬送ローラ60及び排紙ローラ62は、画像記録時に間欠駆動される。そのため、用紙Sは所定の改行幅Y(inch)で送られながら画像記録がなされる。
記録部24にて画像記録された用紙Sがその印刷面を上向きにして排出される排紙部28は、給紙部11の上方に配置され、排紙口27がプリンタ部2の前面の開口部3と共通にして(図1参照)開口されている。そして、排紙部28から排出された用紙Sは、開口部3の内部側に配置された排紙トレイ29上に積載収容される。
[経路切替機構70]
排紙ローラ対62Aと排紙部28との間には、経路切替機構70が設けられている。経路切替機構70は、図示しない搬送用モータ75(図3参照)により駆動される反転ローラ64と、反転ローラ64に付勢されて押し付けられる従動ローラ65とを備えている。排紙ローラ62と反転ローラ64との間から、給紙トレイ4上の用紙Sに向かう傾斜上側ガイド部材48と、第1傾斜下側ガイド部材46とが対向して設けられており、傾斜上側ガイド部材48と傾斜下側ガイド部材46との間に反転経路44が形成されている。
従動ローラ65は切換部材72に回転可能に支持されており、切換部材72は図示しないフレームに揺動可能に支持されている。切換部材72は拍車63側に延出されており、その先端側に補助ローラ66が回転可能に支持されている。
本実施形態では、搬送ローラ60、従動コロ61、排紙ローラ62、拍車63、搬送用モータ75(図3参照)、経路切換機構70等により搬送部52を構成している。搬送部52は、排紙ローラ62と拍車63とにより、排紙部28側に搬送される用紙Sを反転ローラ64の正回転と従動ローラ65と(本発明の反転搬送部に該当する)により挟持して排紙トレイ29上に用紙Sを排紙する。
その際、用紙Sの後端が補助ローラ66に接触している状態で、反転ローラ64の正回転を停止し、切換部材72を図2の点線で示すように揺動させる。これにより、用紙Sの後端が反転経路44側に押し下げられ、この状態で、反転ローラ64を逆回転させると、用紙Sは反転経路44を搬送されて、給紙トレイ4上の用紙S上に搬送される。更に、給紙ローラ25により搬送経路14に搬送されるように構成されている、これにより、用紙Sの両面に印刷することが出来る。
[レジストセンサ110]
搬送ローラ対60Aの上流側には、用紙Sの有無及び端を検知するためのレジストセンサ110が設けられている。レジストセンサ110は、例えば、第1検出子112A及び第2検出子112Bを有する回転体と、発光素子(例えば発光ダイオード)及び、この発光素子から発光された光を受光する受光素子(例えばフォトトランジスタ)を有するフォトインタラプタ等の光センサとにより構成されている。回転体は、支軸113を中心に回転可能に設けられている。第1検出子112Aは支軸113から下方へ突出している。第1検出子112Aに外力が加えられていない状態で、第2検出子112Bは光センサ111の発光素子から受光素子に至る光路に進入して、この光路を通る光を遮断している。
このように回転体は、下方に突出した第1検出子112Aを有するため、第1検出子112Aに用紙Sが当接するなどして外力が加えられると、回転体が用紙Sから押圧力を受けて支軸113を中心に、図2で反時計周りに回転する。また、第1検出子112Aの回転動作に伴って第2検出子112Bも回転する。これにより、第2検出子112Bは光センサ111の光路から退避するため、発光素子から発光された光は光路を通って受光素子で受光される。このとき、光センサ111の受光素子から出力される出力信号が変動する。具体的には、出力信号の信号レベルがLOWからHIGHに変わる。この変動に基づいて、制御部90(図5参照)は、用紙Sの有無及び端を検知する。
なお、以下では、光センサの出力信号の信号レベルがLOWからHIGHに変わった時がレジストセンサ110をONしたとし、光センサの出力信号の信号レベルがHIGHからLOWに変わった時がレジストセンサ110をOFFしたとする。
[ロータリーエンコーダ97]
ロータリーエンコーダ97は、図2に示されるように、エンコーダディスク97Aとフォトインタラプタ97Bによって構成されている。搬送ローラ60の図2の紙面垂直方向における一端に設けられるエンコーダディスク97Aは、放射線状に図示されていないスリットが複数設けられており、このスリットをフォトインタラプタ97Bで検出し、該フォトインタラプタ97Bの検出信号に基づいて、搬送ローラ60及び排紙ローラ62の駆動が制御される。よってロータリーエンコーダ97が有するフォトインタラプタ97Bの検出信号に基づいて、搬送される用紙Sの搬送方向における位置が算出される。
なお、用紙Sの搬送方向における先端の位置の算出は、給紙ローラ25によって給紙されてきた用紙Sの搬送方向下流側の先端によってレジストセンサ110をONさせることで開始される。その後、搬送ローラ60及び排紙ローラ62がどれだけ回転したかをロータリーエンコーダ97によって検出し、用紙Sの搬送方向における先端の位置を把握する。
また、用紙Sの搬送方向における後端の位置の算出は、搬送ローラ60及び排紙ローラ62によって搬送される用紙Sの後端がレジストセンサ110から抜けることで、つまり、レジストセンサ110をOFFさせることで開始される。その後、搬送ローラ60及び排紙ローラ62がどれだけ回転したかをロータリーエンコーダ97によって検出し、用紙Sの搬送方向における後端の位置を把握する。
[メディアセンサ51]
図2に示されるように、キャリッジ31の後方に配置されているメディアセンサ51(本発明の端検知部に該当する)は、発光ダイオードなどの発光素子とフォトトランジスタなどの受光素子によって構成されている。次に、図4を用いて、メディアセンサ51による用紙Sの側端位置の検知について、説明する。なお、図4では、説明を簡略化するためにプラテン34、搬送ローラ対60Aは省略した。
搬送ローラ対60Aによって搬送されてきた用紙Sの先端から後方にLだけ離れた位置(頭出し位置)を、キャリッジ31に配置されたメディアセンサ51の読取ラインの下方まで搬送する頭出し動作を実行し、搬送ローラ60を停止する。メディアセンサ51を有するキャリッジ31はプラテン34の上面及び用紙Sの上面からの反射光を受光素子によって受光する。
例えば、プラテン34の上面を黒色などの反射率の低い色にしておくことで、用紙Sの反射光による受光素子の検出値と、プラテン34からの反射光による受光素子の検出値と、が異なる値となる。メディアセンサ51が用紙Sの一側端T1を左から通過すると、メディアセンサ51の検出値が、プラテン34の示す値から、用紙Sの示す値へと変動する。また、メディアセンサ51の検出値が用紙Sの他側端T2を右へと通過すると、メディアセンサ51の検出値が、用紙Sの示す値から、プラテン34の示す値へと変動する。この検出値の変動によって用紙Sの両側端の位置の検知が行われる。
更に、キャリッジ31の位置は、リニアエンコーダ99が示すエンコーダ値によって把握される。したがって、メディアセンサ51の検出値が変動した点と、そのときのリニアエンコーダ99が示す値を対応付けることで、用紙Sの左右方向9における側端位置が算出される。算出された用紙Sの左右方向9における側端位置は用紙側端位置メモリ93Cに一時的に記憶される。
[電気的構成]
次に、図5を用いて複合機1の電気的構成について説明する。図5は、複合機1の制御部90による電気的構成を示すブロック図である、制御部90(本発明の画像位置特定部、設定部、制御部、ローラ特定部に該当する)は、複合機1の全体動作を制御するものであるが、スキャナ部54及び、記録部24の制御についての詳細な説明は省略する。
制御部90は、演算処理を行うCPU91、制御プログラム等が格納されたROM92、データの記憶領域又は作業領域として使用されるRAM93、設定情報などが記憶されるEEPROM94を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。各構成要素は、バス95を介してASIC98にデータを転送可能に接続されている。
CPU91は、ROM92やRAM93に記憶されている所定値やプログラムに従って、複合機1が有している各種機能の制御や、ASIC98と接続された各部を制御するものである。本実施形態では、CPU91は、記録部24によって用紙Sに画像がどの位置に記録されたかを特定し、そして特定された画像の位置に基づいて、搬送ローラ60又は排紙ローラ62の回転量を設定する。
ROM92は、複合機1の各種動作を制御するためのプログラムを格納している。例えば、図12乃至図16に表すようなフローチャートで示す処理を実行するプログラムを含む各種制御プログラムや、それらの制御プログラムをCPU91上で実行する上で必要なデータ等を格納している。また、ROM92には、回転量補正テーブル92Aの記憶領域が割り当てられている。
回転量補正テーブル92Aには、用紙Sに記録された画像によって、搬送ローラ60及び排紙ローラ62の回転量を補正するための各種補正テーブルが用意されている。表1の(1)に示す補正テーブルは、用紙Sを挟持しているローラが搬送ローラ対60Aのみか、搬送ローラ対60Aと排紙ローラ対62Aか、排紙ローラ対62Aのみかによって、搬送ローラ60及び排紙ローラ62の回転量が用意されている。これは、搬送ローラ対60Aと排紙ローラ対62Aとでは用紙Sが挟持される挟持力が異なるため、挟持するローラ対が1つの場合と2つの場合とでは、各ローラ対によって用紙Sが挟持される挟持力が異なるためである。この場合、用紙Sの搬送量に違いが生じるため、用紙Sが挟持される各ローラ対に応じて回転量を設定することで、適切な搬送量を得ることができる。
表1の(2)乃至(4)には、搬送ローラ対又は排紙ローラ対において、用紙Sの挟持に寄与する一つ一つの従動コロ61又は拍車63(以下、従動ローラと称する)によって、回転量を補正する第1補正パラメータA(N)、B1(n)、B2(N)が用意されている。Nは、一つ一つの拍車63のA〜Hに該当する。nは、一つ一つの従動コロ61のa〜hに該当する。これは、用紙Sを挟持する際に寄与する従動コロ61又は拍車63の数や種類が変化したり、用紙Sの位置が左右方向9にずれたりすると、各ローラ対によって用紙Sが挟持される挟持力が異なるためである。この場合、用紙Sの搬送量に違いが生じるため、挟持に寄与する従動コロ61又は拍車63に応じて、回転量を設定することで、適切な搬送量を得ることができる。なお、各第1補正パラメータの単位は、パーセントで表されており、各第1補正パラメータは、0%〜0.1%の範囲内で用意されている。
表1の(5)には、画像記録時に、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内で吐出されたインクの量に応じて、回転量を補正する第2補正パラメータPが用意されている。用紙Sに吐出されるインクの量が変化すると、用紙Sの性質が変化する。これは、インクが吐出された部分において、用紙Sが挟持されていると、用紙Sの性質が変化していることによって、吐出されたインク量に応じて挟持力に違いが生じる。この場合、用紙Sの搬送量に違いが生じるため、吐出されたインク量に応じて回転量を設定することで、適切な搬送量を得ることができる。
なお、各第2補正パラメータPは、P=0(cc)、0(cc)<P≦k1(cc)、k1(cc)<P≦k2(cc)、P>k2(cc)の範囲に応じて、用意されており、各第2補正パラメータPは、0%〜0.1%の範囲内で用意されている。また、以下の説明では、簡略化のために0(cc)<P≦k1(cc)の範囲で吐出されたインク量はK1(cc)、k1(cc)<P≦k2(cc)の範囲で吐出されたインク量はK2(cc)、P>k2(cc)の範囲で吐出されたインク量はK3(cc)とする。
RAM93は、CPU91が各種プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域として、また作業領域として用いられる。RAM93には、第1面画像位置メモリ93A、第2面画像位置メモリ93B、用紙側端位置メモリ93C、インク吐出量メモリ93D(本発明の記録剤量記憶部に該当する)、回転量メモリ93E、作業領域メモリ93Fの記憶領域が割り当てられる。
第1面画像位置メモリ93Aは、片面を記録する場合において記録される面、または両面記録時において最初に記録される面である第1面に記録される画像の位置を記憶する領域である。第2面画像位置メモリ93Bは、用紙Sの第1面とは反対の面である第2面において、画像が記録された位置を記憶する領域である。画像の位置は、キャリッジ31が往復移動しつつ記録ヘッド30によるインクの吐出を行ったタイミングを把握するリニアエンコーダ99の検出値と、用紙Sの位置を把握するロータリーエンコーダ97の検出値と、を関連させて記憶される。
用紙側端位置メモリ93Cは、記録部24に搬送された用紙Sが、メディアセンサ51によって検知される用紙Sの左右方向9における両側端位置を記憶する領域である。
インク吐出量メモリ93Dは、用紙Sに吐出されたインクの吐出量を記憶する領域である。回転量メモリ93Eは、図12乃至図16で後述する回転量設定処理で設定された回転量を記憶する領域である。当該回転量メモリ93Eに記憶される回転量を用いて、CPU91は搬送ローラ60及び排紙ローラ62の回転を実施する。作業領域メモリ93Fは、各メモリ93A乃至93E以外のデータを一時的に記憶する領域である。
EEPROM94は、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
ASIC98には、駆動回路96が接続されている。駆動回路96は、給紙ローラ25に接続された給紙用モータ71、キャリッジ31に接続されたキャリッジモータ73、搬送ローラ60及び排紙ローラ62及び反転ローラ64に接続された搬送用モータ75を駆動させるものである。
駆動回路96には、給紙用モータ71、及びキャリッジモータ73、及び搬送用モータ75を駆動させるための各ドライバが設けられており、給紙用モータ71、及びキャリッジモータ73、及び搬送用モータ75は上記各ドライバによって独立制御される。周知の伝達機構を介して、給紙用モータ71の回転力は給紙ローラ25に伝達され、キャリッジモータ73の回転力はキャリッジ31に伝達され、さらに、搬送用モータ75の回転力は搬送ローラ60及び排紙ローラ62及び反転ローラ64に伝達される。
本実施形態では、搬送用モータ75は、用紙Sをプラテン34へ向けて搬送したり、プラテン34上に位置する用紙Sや記録済みの用紙Sを排紙部28側へ搬送したりする搬送ローラ60及び排紙ローラ62の駆動源になっている。また、搬送用モータ75は、用紙S
Pを反転経路44に向けて搬送する反転ローラ64の駆動源にもなっている。
また、ASIC98には、メディアセンサ51、ロータリーエンコーダ97、リニアエンコーダ99、及びレジストセンサ110が接続されている。
[実施形態の動作]
次に本実施形態の複合機1の動作について、図6乃至図11のように用紙Sが搬送されるにつれて記録された画像がどの位置にあるかを示した図、図12乃至図16のフローチャート、表1の回転量補正テーブルを参照して説明する。
[メイン処理]
まず、図12のフローチャートを参照して複合機1のCPU91により実行されるメイン処理について説明する。このメイン処理は、使用者による操作パネル部5の操作を介して、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能等の各種機能を選択された場合に実行される処理である。特に、メイン処理では、用紙Sに記録された画像の位置に基づいて、画像が搬送ローラ対60Aの従動コロ61の直上に、又は画像が排紙ローラ対62Aの拍車63の直下に、存在している場合に、画像の直上に存在する従動コロ61の数又は画像の直下に存在する拍車63の数や種類、に応じて搬送ローラ60又は排紙ローラ62の回転量を補正するための補正パラメータを適宜決定する処理を含んでいる。さらに、当メイン処理では、決定された補正パラメータを用いて回転量を補正し、設定された回転量を用いて用紙Sを搬送するといった処理を含んでいる。
このメイン処理では、まず、使用者によって印刷の開始の指示がされた場合に、まず、給紙ローラ25が回転することによって、給紙トレイ4に載置された用紙Sの給紙を開始する(ステップ001。以下、ステップをSと称する)。その後、CPU91によってレジストセンサ110がONになったことを確認し(S002)、給紙完了とする(S003)。なお、給紙完了時における用紙Sの位置は、メディアセンサ51によって用紙Sの両側端が読取れる位置であって記録が開始される前の頭出しの位置である。給紙が完了すると、キャリッジ31に取り付けられたメディアセンサ51によって左右方向9における用紙Sの両側端位置の検知が行われ、検知結果を、用紙側端位置メモリ93Cに記憶する(S004)。
次に、用紙Sを搬送する上での、搬送ローラ60又は排紙ローラ62の回転量を設定するための回転量設定処理が行われる(S005)。なお、回転量設定処理に関する詳細は、後述する。その後、CPU91は回転量メモリ93Eに記憶された回転量を用いて、搬送ローラ60及び排紙ローラ62を回転させ、用紙Sの搬送量をY(inch)にするべく用紙Sを搬送する(S006)。搬送された用紙Sは、記録部24のキャリッジ31が左右方向9において左から右、もしくは右から左へと移動しながら記録ヘッド30からインクを選択的に吐出することで記録が実行される(S007)。
次に、CPU91は記録部24によって記録がされた画像の位置を第1面画像メモリ93Aに、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内で吐出されたインク量をインク吐出量メモリ93Dに記憶する。なお両面印刷時に、用紙Sの第1面とは反対の面である第2面に画像を記録する場合は、CPU91は画像の位置を第2面画像メモリ93Bに記憶する(S008)。
次に、記録されている面において、印刷指令に含まれる記録範囲の記録が完了したか否かの判断をする(S009)。ステップS009において、記録が完了したと判断された場合は、第2面の印刷があるか否かの判断に進む(S010)。ステップS009において、記録が完了していないと判断された場合は、再びステップS005に戻り、記録されている面において印刷指令に含まれる記録範囲の記録が完了する(S009においてYES)まで、上述した処理を繰り返す。なお、以下ではステップS006乃至ステップS009までの処理を、記録処理と称する。ステップS010において、第2面の印刷が無いと判断された場合は、記録が完了した用紙Sを排紙し(S011)し、当該メイン処理を終了する。ステップS010において、第2面の印刷があると判断された場合は、第1面の記録が完了した用紙Sを上述した反転動作(S012)を行い、再びステップS002に戻り第2面の記録が完了する(S009においてYES)まで、上述した処理が繰り返される。
[回転量設定処理]
以下に、図6乃至図11及び、図12乃至図16、及び表1を用いて、図12のステップS006で示される回転量設定処理について詳述する。
[第1面回転量設定処理]
図6と、図13のフローチャートを参照して図12のステップS006で示される第1面回転量設定処理について詳述する。なお、第1面回転量設定処理というのは、図13のステップS100においてYESと判断された場合の回転量設定処理を指す。
図6(a)は、排紙ローラ対に達していない用紙Sの位置を表した図であり、図6(b)は、図6(a)で示された用紙Sが搬送されて排紙ローラ対に達した用紙Sに記録された画像と、拍車63との位置関係を示した図であり、図6(c)は、図6(b)で示された用紙Sが前後方向8において改行幅Yだけ搬送された結果、搬送ローラ対の挟持から開放された後の用紙Sに記録された画像と、従動コロ61及び拍車63との位置関係を示した図である。
図13は、図12における回転量設定処理を詳述したフローチャートを示した図である。
なお、図6及び図7において、左上から右下へと向かう斜線の区間は、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内において画像が記録された部分であり、画像の直上に拍車63が存在する部分を示している(以下、斜線部400と称する)。また、それぞれの二点鎖線の間隔は、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)を示している。
この第1面回転量設定処理では、用紙Sが搬送ローラ対60Aのみに挟持されているか、用紙Sが搬送ローラ対60Aと排紙ローラ対62Aとに挟持されているか、及び用紙Sが排紙ローラ対62Aのみに挟持されているか、によって各ローラの回転量を選択する。さらに、用紙Sに記録された画像位置の直上に拍車63があるか、また、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内のインクの吐出量がどれだけであるか、に応じて、選択された回転量を補正する補正値を選択する。そして、この第1面回転量設定処理は、最終的に、選択された回転量と補正値とによって、適切な各ローラの回転量を設定する処理である。
なお、搬送ローラ対60Aの挟持力は、排紙ローラ対62Aの挟持力よりも大きいため、用紙Sが、搬送ローラ対60Aと、排紙ローラ対62Aとで、挟持されている時の回転量の設定対象としては、挟持力の大きな搬送ローラ対60Aの搬送ローラ60とする。また、用紙Sが搬送ローラ対60Aのみに挟持されている場合は、回転量の設定対象は搬送ローラ60とし、用紙Sが排紙ローラ対62Aのみに挟持されている場合は、回転量の設定対象は排紙ローラ62とする。
第1面回転量設定処理について説明する。なお、以下の処理においては、CPU91が実行されるものとする。図1におけるステップS005の回転量設定処理がなされると、まず、第1面の印刷であるか否かの判断をする(S100)。表面である第1面の印刷である場合は(S100においてYES)、ロータリーエンコーダ97の値を参照して、搬送される用紙Sが排紙ローラ対62Aに到達しているか否かの判断をする(S110)。搬送後の用紙Sの位置が、図6(a)に示されるような用紙Sの位置、つまり用紙Sが排紙ローラ対62Aに到達していない場合(S110においてNO)は、用紙Sは搬送ローラ対60Aのみによって挟持されている。よって、搬送ローラ対60Aのみによって挟持されている場合の回転量である、回転量F0を回転量補正テーブルの表1の(1)の中から選択し、回転量F0を回転量メモリ93Eに記憶させる。その後、回転量設定処理を終了する。
その後、回転量設定処理にて設定された回転量を用いて、記録処理が実行され、図12のステップS009においてNOとなると、再びステップS005の回転量設定処理に戻る。図6(b)に示されるような位置に用紙Sがあるとき、表面である第1面の印刷である場合であり(S100においてYES)、搬送された用紙Sが排紙ローラ対62Aに到達している場合なので(S110においてYES)、ロータリーエンコーダ97の値を参照して、用紙Sが搬送ローラ対60Aから開放されているか否かの判断をする(S120)。用紙Sが搬送ローラ対60Aから開放されていない場合(S120においてNO)、これはつまり、用紙Sは搬送ローラ対60Aと排紙ローラ対62Aとによって挟持されている。よって両ローラ対に挟持されている場合の回転量である、回転量F1を回転量補正テーブル92Aの表1の(1)の中から選択し、回転量F1を作業領域メモリ93Fに記憶させる(S121)。なお上述した通り、回転量F1は搬送ローラ60の回転量を示すものである。
次に、画像位置記憶メモリ93Aに記憶されている画像の位置を参照して、画像の直上(斜線部400に示す領域)に拍車63があるか否かを判断する(S122)。画像の直上に拍車63が無い場合(S122においてNO)は、選択された回転量F1のままで補正をすることなく回転量F1を回転量メモリ93Eに記憶させ(S129)、回転量設定処理を終了する。
画像の直上に拍車63がある場合(S122においてYES)は、画像の直上の拍車63を特定し、作業領域メモリ93Fに記憶する(S123)。図6(b)に示されるような位置に用紙Sがあるとき、斜線部400によれば画像の直上には、4つの拍車63のB、C、D、Eが存在していることになるので、これら拍車63を画像の直上の拍車63として特定する。画像の直上の拍車63が特定された後、インク吐出量メモリ93Dを参照して、斜線部400において、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内にどれだけのインクが吐出されたかを特定する(S124)。図6(b)の斜線部400によればインク吐出量はK2(cc)である。
この作業領域メモリ93Fに記憶されている画像の直上の拍車63の種類と、インク吐出量メモリ93Dに記憶されている一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内に吐出されたインク吐出量とを用いて、表1に示す回転量補正テーブルより、第1補正パラメータA(N)及び第2補正パラメータPxを選択する(S125)。4つの拍車63のB、C、D、Eが画像の直上に存在しているので、回転量補正テーブルの表1の(2)より、A(B)、A(C)、A(D)、A(E)が第1補正パラメータA(N)として選択される。インク吐出量は、K2(cc)であるので、回転量補正テーブルの表1の(5)よりP2が第2補正パラメータPxとして選択される。
次に、選択された各第1補正パラメータA(N)を用いて各第1補正パラメータA(N)の平均値である補正値Aを算出する(S126)。この場合、補正値Aは、A=(A(B)+A(C)+A(D)+A(E))/4で表される。なお、補正値Aと第2補正パラメータPxは、作業領域メモリ93Fに記憶される。
次に作業領域メモリ93Fに記憶される補正値Aと第2補正パラメータPxを基に、最終補正値Xを算出する(S127)。最終補正値Xは、補正値Aと第2補正パラメータP2との平均、つまりX=(A+P2)/2として算出される。最終補正値Xが算出されると、回転量F1に最終補正値Xを乗算、つまりF1×Xとして算出し、当該算出された回転量F1×Xを回転量メモリ93Eに記憶する(S128)。その後、回転量設定処理を終了する。
その後、回転量設定処理にて設定された回転量を用いて、記録処理が実行され、図12のステップS010においてNOとなると、再びステップS006の回転量設定処理に戻る。図6(c)に示されるような位置に用紙Sがあるとき、表面である第1面の印刷である場合であり(S100においてYES)、搬送された用紙Sが排紙ローラ対62Aに到達している場合なので(S110においてYES)、ロータリーエンコーダ97の値を参照して、用紙Sが搬送ローラ対60Aから開放されているか否かの判断をする(S120)。搬送された用紙Sが搬送ローラ対60Aから開放されている場合(S120においてYES)、これはつまり、排紙ローラ対62Aのみによって挟持されている。よって排紙ローラ対62Aのみに挟持されている場合の回転量である、回転量F2を回転量補正テーブル92Aの表1の(1)の中から選択し、回転量F2を作業領域メモリ93Fに記憶させる(S131)。
次に、画像位置記憶メモリ93Aに記憶されている画像の記録部分の位置を参照して、画像の直上(斜線部400に示す領域)に拍車63があるか否かを判断する(S132)。画像の直上に拍車63が無い場合(S132においてNO)は、選択された回転量F2のままで補正をすることなく回転量F2を回転量メモリ93Eに記憶させ(S139)、回転量設定処理を終了する。
画像の直上に拍車63がある場合(S132においてYES)は、画像の直上の拍車63を特定し、作業領域メモリ93Fに記憶する(S133)。図6(c)に示されるような位置に用紙Sがあるとき、斜線部400によれば画像の直上には、2つの拍車63のB、Cが存在していることになるので、これら拍車63を画像の直上の拍車63として特定する。画像の直上の拍車63が特定された後、インク吐出量メモリ93Dを参照して、斜線部400において、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内にどれだけのインクが吐出されたかを特定する(S134)。図6(c)の斜線部400によればインク吐出量はK1(cc)である。
この作業領域メモリ93Fに記憶されている画像の直上の拍車63の種類と、インク吐出量メモリ93Dに記憶されている、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内に吐出されたインク吐出量とを用いて、表1に示す回転量補正テーブルより、第1補正パラメータA(N)及び第2補正パラメータPxを選択する(S135)。2つの拍車63のB、Cが画像の直上に存在しているので、回転量補正テーブルの表1の(2)より、A(B)、A(C)が第1補正パラメータA(N)として選択される。インク吐出量は、K1(cc)であるので、回転量補正テーブルの表1の(5)よりP1が第2補正パラメータPxとして選択される。
次に、選択された各第1補正パラメータA(N)を用いて各第1補正パラメータA(N)の平均値である補正値Aを算出する(S126)。この場合、補正パラメータAは、A=(A(B)+A(C))/2で表される。なお、補正値Aと各第2補正パラメータPxは、作業領域メモリ93Fに記憶される。
次に作業領域メモリ93Fに記憶される補正値Aと第2補正パラメータPxを基に、最終補正値Xを算出する(S137)。最終補正値Xは、補正値Aと第2補正パラメータP1との平均、つまりX=(A+P1)/2として算出される。最終補正値Xが算出されると、回転量F2に最終補正値Xを乗算、つまりF2×Xとして算出し、当該算出された回転量F2×Xを回転量メモリ93Eに記憶する(S138)。その後、回転量設定処理を終了する。
このように、第1面回転量設定処理において、用紙Sがどのローラ対に挟持されているか、さらに、画像の直上の拍車63はどれであるか、及び一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内におけるインクの吐出量はどれだけであるか、を考慮して、ローラ対の回転量を設定することによって、用紙Sに対する挟持力の変化に対応することができ、精度の良い搬送を行うことができる。
画像の直上の拍車63はどれであるかを特定する際には、拍車63の数を考慮される。拍車63の数が異なれば、挟持される際の挟持力も異なるため、搬送量が異なる。しかし、拍車63の数に応じて、回転量を設定することができるので、用紙Sに対する挟持力の変化に対応することができ、精度の良い搬送を行うことができる。なお、画像の直上の拍車63の数が同数である場合については、後述する。
[第2面回転量設定処理]
次に、図7乃至図9、及び図14乃至図16のフローチャートを参照して、図12のフローチャートにおいて第2面の印刷が有ると判断された場合に実行される(S011においてYES)、図13のフローチャートで示される第2面回転量印刷処理(S101)について詳述する。
図7(a)及び図7(b)は、反転させられた用紙Sが搬送ローラ対60Aに達した場合の用紙Sの位置及び第1面の画像と、従動コロ61と位置関係を示した図であり、図7(b)は、図7(a)の位置に示された用紙Sが前後方向8において改行幅Yだけ搬送されたときを示した図である。
図8(a)乃至(c)は、図7で示されるような位置の用紙Sがその後、搬送ローラ対60Aと排紙ローラ対62Aに挟持される位置まで搬送された時の、当該用紙Sの位置及び第1面の画像及び第2面の画像と、従動コロ61及び拍車63との位置関係を示した図である。図8(b)は、図8(a)位置に示された用紙Sが前後方向8において改行幅Yだけ搬送されたときを示した図であり、図8(c)は、図8(b)の位置に示された用紙Sが前後方向8において改行幅Yだけ搬送されたときを示した図である。
図9(a)及び図9(b)は、図9で示されるような位置の用紙Sがその後、排紙ローラ対62Aにのみ挟持される位置まで搬送された時の、当該用紙Sの位置及び第1面の画像及び第2面の画像と、従動コロ61及び拍車63との位置関係を示した図である。図9(b)は、図9(a)の位置に示された用紙Sが前後方向8において改行幅Yだけ搬送されたときを示した図である。
図14は、図13の第2面回転量設定処理(S101)を示したフローチャートである。図15は、図14の補正値算出処理を示したフローチャートである。図16は、図14で示されるフローチャートの続きを表すフローチャートである。
なお、図7乃至図9において、左上から右下へと向かう斜線の区間は、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内において画像が記録された第2面の部分を示しており(以下、斜線部400と称する)、右上から左下へと向かう斜線の区間は、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内において画像が記録され、既に記録が完了した面である第1面の部分を示しており(以下、斜線部500と称する)、両斜線部では、画像の直下に従動コロ61又は、画像の直上に拍車63が存在する部分を示している。また、それぞれの二点鎖線の間隔は、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)を示している。
この第2面回転量設定処理では、用紙Sが搬送ローラ対60Aのみに挟持されているか、用紙Sが搬送ローラ対60Aと排紙ローラ対62Aに挟持されているか、及び用紙Sが排紙ローラ対62Aのみに挟持されているか、によって各ローラの回転量を選択する。さらに、用紙Sに記録された第1面の画像の直下に従動コロ61又は第1面の画像の直上に拍車63があるか、第2面の画像の直上に拍車63があるか、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内のインク吐出量はどれだけであるか、に応じて、選択された回転量を補正する補正値を選択する。そして、この第2面回転量設定処理は、最終的に、選択された回転量と、補正値とによって、各ローラの適切な回転量を設定する処理である。
なお、第1面回転量設定処理と同様に、用紙Sが搬送ローラ対60Aと、排紙ローラ対62Aとで、挟持されている時の回転量の設定対象としては、挟持力の大きな搬送ローラ対60Aの搬送ローラ60とする。また、用紙Sが搬送ローラ対60Aのみに挟持されている場合は、回転量の設定対象を搬送ローラ60とし、用紙Sが排紙ローラ対62Aのみに挟持されている場合は、回転量の設定対象を排紙ローラ62とする。
図12において、第2面の印刷が有り(S010においてNO)とされると、上述した動作が繰り返され、回転量設定処理まで進む(S006)。図13において、今回の印刷は、第2面の印刷であり、第1面印刷ではないので(S100においてYES)、第2面回転量設定処理に進む(S101)。
この第2面回転量設定処理では、まず、ロータリーエンコーダ97の値を参照して、用紙Sが排紙ローラ対62Aに到達しているか否かを判断する(S200)。図7(a)及び図7(b)に示されるような用紙Sの位置、つまり、用紙Sが排紙ローラ対62Aに到達していない場合(S200においてNO)は、用紙Sは搬送ローラ対60Aのみによって挟持されている。よって、搬送ローラ対60Aのみによって挟持されている場合の回転量である、回転量F0を回転量補正テーブルの表(1)の中から選択し、回転量F0を作業領域メモリ93Fに記憶する。
次に、第1面画像位置記憶メモリ93Aに記憶されている画像の位置を参照して、第1面の画像の直下(斜線部500に示す領域)に従動コロ61があるか否かを判断する(S202)。図7(a)に示すような位置に用紙Sがあるときは、第1面の画像の直下に従動コロ61が無い場合(S202においてNO)なので、選択された回転量F0のままで補正をすることなく回転量F0を回転量メモリ93Eに記憶し(S208)、第2面回転量設定処理を終了する。
また、図7(b)に示されるような位置に用紙Sがあるときは、第1面の画像の直下に従動コロ61がある場合(S202においてYES)なので、第1面の画像の直下の従動コロ61を特定し、作業領域メモリ93Fに記憶する(S203)。この場合、図7(b)の斜線部500によれば、第1面の画像の直下には、4つの従動コロ61のb、c、d、eが存在していることになるので、これら従動コロ61を第1面の画像の直下の従動コロ61として特定する。第1面の画像の直下の従動コロ61が特定された後、インク吐出量メモリ93Dを参照して、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内にどれだけのインクが吐出されたかを特定する(S204)。図7(b)の斜線部500によれば、インク吐出量はK3(cc)である。
この作業領域メモリ93Fに記憶されている第1面の画像の直下の従動コロ61の種類と、インク吐出量メモリ93Dに記憶された第1面における一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内に吐出されたインク吐出量とを用いて、表1に示す回転量補正テーブルのより、第1補正パラメータB1(n)及び第2補正パラメータPxを選択する(S205)。4つの従動コロ61のb、c、d、eが画像の直下に存在しているので、回転量補正テーブルの表1の(3)より、B1(b)、B1(c)、B1(d)、B1(e)が第1補正パラメータB1(n)として選択される。インク吐出量は、K3(cc)であるので、回転量補正テーブルの表1の(5)よりP3が第2補正パラメータPxとして選択される。
次に、選択された各第1補正パラメータB1(n)を用いて各第1補正パラメータB1(n)の平均値である補正値B1を算出する(S206)。この場合、補正パラメータB1は、B1=(B1(b)+B1(c)+B1(d)+B1(e))/4で表される。なお、補正値B1と、各補正パラメータは、作業領域メモリ93Fに記憶される。
次に作業領域メモリ93Fに記憶される補正値B1(n)と第2補正パラメータPxを基に、第1最終補正値X1を算出する(S207)。第1最終補正値Xは、補正値B1と第2補正パラメータP3との平均、つまりX=(B1+P3)/2として算出される。第1最終補正値X1が算出されると、回転量F0に第1最終補正値X1を乗算、つまりF0×X1として算出し、当該算出された回転量F1×Xを回転量メモリ93Eに記憶する(S207)。その後、第2面回転量設定処理を終了する。
以上説明したように、第1面の記録が完了して、第2面の記録を行う場合には、第1面において記録された画像の直下に従動コロ61が存在することになるが、画像の直下の従動コロ61と、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内において記録された画像のインクの吐出量と、を考慮して、搬送ローラ60の回転量を設定するので適切な搬送量で用紙Sを搬送することができる。
その後、回転量設定処理にて設定された回転量を用いて、記録処理が実行され、図12のステップS010においてNOとなると、再びステップS006の回転量設定処理に戻り、第1面印刷ではないので(S100においてNO)、第2面回転量設定処理に進む(S101)。この第2面回転量設定処理においてはまず、搬送された用紙Sが排紙ローラ対62Aに到達しているか否かを判断する(S200)。搬送された用紙Sが排紙ローラ対62Aに到達している場合は(S200においてYES)、ロータリーエンコーダ97の値を参照して、用紙Sが搬送ローラ対60Aから開放されているか否かの判断をする(S210)。図8(a)乃至図8(c)に示されるような用紙Sの位置、つまり、用紙Sが搬送ローラ対60Aから開放されていない場合(S210においてNO)、用紙Sは搬送ローラ対60Aと排紙ローラ対62Aとによって挟持されている。よって両ローラ対に挟持されている場合の回転量である、回転量F1を回転量補正テーブル92Aの表(1)の中から選択し、回転量F1を作業領域メモリ93Fに記憶させる(S211)。なお上述した通り、回転量F1は搬送ローラ60の回転量を示すものである。
次に、第1面画像位置記憶メモリ93Aに記憶されている画像の位置を参照して、第1面の画像の直下に(斜線部500に示す領域)従動コロ61又は直上に(斜線部500に示す領域)拍車63があるか否かを判断する(S212)。第1面の画像の直上に従動コロ61及び直下に拍車63が無い場合(S212においてNO)は、選択された回転量F1を作業領域メモリ93Fに記憶させる(S215)。
また、図8(a)乃至図8(c)に示されるような位置に用紙Sがあるときは、第1面の画像の直上に従動コロ61及び直下に拍車63が有る場合(S212においてYES)なので、補正値算出処理(S213)に進む。まず、補正値算出処理(S213)では、第1面の画像の直上及び直下には、従動コロのみが位置しているか否かの判断をする(S300)。以下に、補正値算出処理について詳述する。
図8(a)に示されるような位置に用紙Sがあるときは、第1面の画像の直上及び直下に従動コロ61のみがある場合(S300においてYES)なので、第1面の画像の直下の従動コロ61を特定し、作業領域メモリ93Fに記憶する(S301)。この場合、図8(a)の斜線部500によれば、第1面の画像の直下には、2つの従動コロ61のb、cが存在していることになるので、これら2つの従動コロ61を第1面の画像の直下の従動コロ61として特定する。第1面の画像の直下の従動コロ61が特定された後、インク吐出量メモリ93Dを参照して、斜線部500において、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内に第1面にどれだけのインクが吐出されたかを特定する(S302)。図8(a)の斜線部500によればインク吐出量はK1(cc)である。
この作業領域メモリ93Fに記憶されている第1面の画像の直下の従動コロ61の種類と、インク吐出量メモリ93Dに記憶されている第1面における一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内に吐出されたインク吐出量とを用いて、表1に示す回転量補正テーブルより、第1補正パラメータB1(n)及び第2補正パラメータPxを選択する(S303)。2つの従動コロ61のb、cが搬送後の画像の直下に存在しているので、回転量補正テーブルの表1の(3)より、B1(b)、B1(c)が第1補正パラメータB1(n)として選択される。また、インク吐出量は、K1(cc)であるので、回転量補正テーブルの表(5)よりP1が第2補正パラメータPxとして選択される。
次に、選択された各第1補正パラメータB1(n)を用いて各第1補正パラメータB1(n)の平均値である補正値B1を算出する(S304)。この場合、補正パラメータB1は、B1=(B1(b)+B1(c))/2で表される。なお、補正値B1と第2補正パラメータPxは、作業領域メモリ93Fに記憶される。
次に作業領域メモリ93Fに記憶される補正値B1と第2補正パラメータP2とを基に、第1最終補正値X1を算出する(S305)。第1最終補正値X1は、B1とP1との平均、つまりX1=(B1+P1)/2として算出される。第1最終補正値X1が算出されると、第1最終値X1を第2最終補正値X12というパラメータに表し、第2最終補正値X12を作業領域メモリ93Fに記憶する(S306)。その後、補正値算出処理を終了する。
図8(b)に示されるような位置に用紙Sがあるときは、第1面の画像の直上及び直下に従動コロ61のみでない場合(S300においてNO)であり、第1面の画像の直上及び直下に拍車63のみでない場合(S310においてNO)である。この場合、第1面の画像の直下の従動コロ61及び第1面の画像の直上の拍車63を特定し、作業領域メモリ93Fに記憶する(S317)。図8(b)の斜線部500によれば、第1面の画像の直下には、2つの従動コロ61のb、cが、第1面の画像の直上には、4つの拍車63のB、C、D、Eが存在していることになるので、これら従動コロ61及び拍車63を第1面の画像の直上の従動コロ61及び、第1面の画像の直上の拍車63として特定する。第1面の画像の直下の従動コロ61及び、第1面の画像の直上の拍車63が特定された後、インク吐出量メモリ93Dを参照して、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内に、従動コロ61の直上の第1面の画像及び拍車63の直下の第1面の画像にどれだけのインクが吐出されたかを特定する(S318)。図8(b)の斜線部500によればインク吐出量は、従動コロ61の直上の画像はK1(cc)であり、拍車63の直下の画像はK3(cc)である。
この作業領域メモリ93Fに記憶されている、第1面の画像の直下の従動コロ61及び、第1面の画像の直上の拍車63の種類と、インク吐出量メモリ93Dに記憶されている第1面における一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内に吐出された従動コロ61の直上の画像のインク吐出量、及び、拍車63の直下の画像のインク吐出量とを用いて、回転量補正テーブルの表1より、第1補正パラメータB1(n)、B2(N)及び第2補正パラメータPxを選択する(S319)。
従動コロ61に関しては2つの従動コロ61のb、cが画像の直上に存在しているので、回転量補正テーブルの表1の(3)より、B1(b)、B1(c)が第1補正パラメータB1(n)として選択される。インク吐出量はK1(cc)であるので、回転量補正テーブルの表1の(5)よりP1が第2補正パラメータPxとして選択される。
拍車63に関しては、4つの拍車63のB、C、D、Eが画像の直下に存在しているので、回転量補正テーブルの表1の(4)より、B2(B)、B2(C)、B2(D)、B2(E)が第1補正パラメータB2(N)として選択される。インク吐出量は、K3(cc)であるので、回転量補正テーブルの表1の(5)よりP3が第2補正パラメータPxとして選択される。
次に選択された各第1補正パラメータB1(n)、B2(N)を用いて各第1補正パラメータの平均値である補正値B1、B2を算出する(S320)。従動コロ61に関しては、補正値B1は、B1=(B1(b)+B1(c))/2で表される。拍車63に関しては、補正値B2は、B2=(B2(B)+B2(C)+B2(D)+B2(E))/4で表される。なお、補正値B1、B2及び第2補正パラメータPxは、作業領域メモリ93Fに記憶される。
次に作業領域メモリ93Fに記憶される各補正値B1(n)、B2(N)と第2補正パラメータPxとを基に、第1最終補正値X1、X2を算出する(S321)。画像の直下に従動コロ61がある場合の第1最終補正値X1は、補正値B1と第2補正パラメータP2との平均、つまりX1=(B1+P1)/2として算出される。画像の直上に拍車63がある場合の第1最終補正値X2は、補正値B2と第2補正パラメータP1との平均、つまりX2=(B2+P3)/2として算出される。
次に、各第1最終補正値X1、X2の平均である第2最終補正値X12を算出する(S322)。各第1最終補正値X1、X2の平均である第2最終補正値X12は、X12=(X1+X2)/2として算出し、当該最終補正値X12を作業領域メモリ93Fに記憶する。その後、補正値算出処理を終了する。
図8(c)に示されるような位置に用紙Sがあるときは、第1面の画像の直上及び直下に従動コロ61のみでない場合(S300においてNO)であり、第1面の画像の直上及び直下に拍車63のみである場合(S310においてYES)である。この場合、第1面の画像の直上の拍車63を特定し、作業領域メモリ93Fに記憶する(S311)。図8(c)の斜線部500によれば、第1面の画像の直上には、2つの拍車63のB、Cが存在していることになるので、これら拍車63を第1面の画像の直上の拍車63として特定する。第1面の画像の直上の拍車63が特定された後、インク吐出量メモリ93Dを参照して、斜線部500において、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内に第1面にどれだけのインクが吐出されたかを特定する(S312)。図8(c)の斜線部500によればインク吐出量はK1(cc)である。
この作業領域メモリ93Fに記憶されている第1面の画像の直上の拍車63の種類と、インク吐出量メモリ93Dに記憶されている第1面における一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内に吐出されたインク吐出量とを用いて、表1に示す回転量補正テーブルより、第1補正パラメータB2(N)及び第2補正パラメータPxを選択する(S313)。2つの拍車63のB、Cが画像の直下に存在しているので、回転量補正テーブルの表1の(4)より、B2(B)、B2(C)が補正パラメータとして選択される。インク吐出量は、K1(cc)であるので、回転量補正テーブルの表1の(5)よりP1が第2補正パラメータPxとして選択される。
次に、選択された各第1補正パラメータB2(N)を用いて各第1補正パラメータB2(N)の平均値である補正値B2を算出する(S314)。この場合、補正値B2は、B2=(B2(B)+B2(C))/2で表される。なお、補正値B2と第2補正パラメータPxは、作業領域メモリ93Fに記憶される。
次に作業領域メモリ93Fに記憶される補正値B2と第2補正パラメータPxとを基に、第1最終補正値X2を算出する(S315)。第1最終補正値X2は、B2とP1との平均、つまりX2=(B2+P1)/2として算出される。第1最終補正値X2が算出されると、第1最終補正値X2を第2最終補正値X12というパラメータに表し、第2最終補正値X12を作業領域メモリ93Fに記憶する(S316)。その後、補正値算出処理を終了する。
補正値算出処理が終了したら、回転量F1に補正値算出処理で算出された第2最終補正値X12を乗算、つまりF1×X12として算出し、当該算出された回転量F1×X12を作業領域メモリ93Fに記憶する(S214)。
その後、第2面画像位置メモリ93Bを参照して、第2面の画像の直上に拍車があるか否かを判断する(S230:図16を参照)。第2面の画像の直上に拍車が無い場合は(S230においてNO)、ステップS215で設定された回転量F1、もしくは、図8(a)で示されるような位置の用紙Sにおいて、ステップS214で算出された回転量F1×X12を回転量メモリ93Eに記憶し(S240)、第2面回転量設定処理を終了する。
図8(b)及び(c)に示されるような位置に用紙Sがあるときは、第2面の画像の直上に拍車がある場合(S230においてYES)である。この場合、第2面の画像の直上の拍車63を特定し、作業領域メモリ93Fに記憶する(S231)。図8(b)及び図8(c)によれば、第2面の画像の直上(斜線部400参照)には、4つの拍車63のD、E、F、Gが存在していることになるので、これら拍車63を第2面の画像の直上の拍車63として特定する。第2面の画像の直上の拍車63が特定された後、インク吐出量メモリ93Dを参照して、斜線部400において、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内にどれだけのインクが吐出されたかを特定する(S232)。また、斜線部400によれば、インク吐出量K3(cc)である。
この作業領域メモリ93Fに記憶されている、第2面の画像の直上の拍車63の種類と、インク吐出量メモリ93Dに記憶されている第2面における一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内に吐出されたインク吐出量とを用いて、回転量補正テーブルの表1より、第1補正パラメータA(N)及び第2補正パラメータPxを選択する(S233)。4つの拍車63のD、E、F、Gが画像の直上に存在しているので、回転量補正テーブルの表1の(2)より、A(D)、A(E)、A(F)、A(G)が第1補正パラメータA(N)として選択される。インク吐出量は、K3(cc)であるので、回転量補正テーブルの表1の(5)よりP3が第2補正パラメータPxとして選択される。
次に、選択された各第1補正パラメータA(N)を用いて各第1補正パラメータの平均値である補正値Aを算出する(S234)。この場合、補正値Aは、A=(A(D)+A(E)+A(F)+A(G))/4で表される。なお、補正値Aと第2補正パラメータPxは、作業領域メモリ93Fに記憶される。
次に作業領域メモリ93Fに記憶される補正値Aと第2補正パラメータPxを基に、第3最終補正値Yを算出する(S235)。第3最終補正値Yは、AとP3との平均、つまりY=(A+P3)/2として算出される。第3最終補正値Yが算出されると、回転量F2×Yを作業領域メモリ93Fに記憶する(S236)。
次に、第1面の画像がいずれかに当接しているか、つまり、第1面の画像の直上及び直下に従動コロ61又は拍車63が存在しているか否かを判断する(S237)。図8(b)及び図8(c)に示される位置に用紙Sがあるときは、第1面の画像の直上の従動コロ61及び直下に拍車63が存在しているので、(S237においてYES)、S214で算出された回転量F1×X12と、S235で算出されたF2×Yとの平均の回転量であるFAVを算出する。このFAVは、FAV=((F1×X12)+(F2×Y))/2で求められる(S238)。そして算出されたFAVを回転量メモリ93Eに記憶し(S239)、第2面回転量設定処理を終了する。なお、上述した通り、図8(b)及び図8(c)に示されるような位置に用紙Sがあるときの回転量FAVは、搬送ローラ60の回転量である。
このように、図8(b)及び(c)に示されるような位置に用紙Sと、画像とがある場合は、第1面の画像の部分において、搬送ローラ対60Aと、排紙ローラ対62Aとによって挟持されている。このような場合でも、両ローラ対に挟持されている場合の回転量を設定することによって、適切な回転量を設定でき、精度のよい搬送が実現できる。
また、このように、図8(b)に示されるような位置に用紙Sと、画像とがある場合は、第1面の画像の位置と、第2面の画像の位置とが重なっている。このような場合でも、搬送ローラ60の回転量を設定することによって、適切な回転量を設定でき、精度のよい搬送が実現できる。
その後、回転量設定処理にて設定された回転量を用いて、記録処理が実行され、図12のステップS010においてNOとなると、再びステップS006の回転量設定処理に戻り、第1面印刷ではないので(S100においてNO)、第2面回転量設定処理に進む(S101)。この第2面回転量設定処理においてはまず、搬送された用紙Sが排紙ローラ対62Aに到達しているか否かを判断する(S200)。搬送された用紙Sが排紙ローラ対62Aに到達している場合は(S200においてYES)、ロータリーエンコーダ97の値を参照して、用紙Sが搬送ローラ対60Aから開放されているか否かの判断をする(S210)。図9(a)及び図9(b)に示されるような位置に用紙Sがあるときは、用紙Sが搬送ローラ対60Aから開放されている場合である(S210においてYES)。これはつまり、用紙Sは排紙ローラ対62Aのみによって挟持されている。よって排紙ローラ対に挟持されている場合の回転量である、回転量F2を回転量補正テーブル92Aの表(1)の中から選択し、回転量F2を作業領域メモリ93Fに記憶させる(S220)。
次に、画像位置記憶メモリ93Aに記憶されている画像の位置を参照して、第1面の画像の直上に拍車63があるか否かを判断する(S221)。図9(a)に示された位置に用紙Sがあるときは、第1面の画像の直上に拍車63が無い場合(S221においてNO)なので、選択された回転量F2のままで補正をすることなく回転量F2を作業領域メモリ93Fに記憶する(S227)。
図9(b)に示された位置に用紙Sがあるときは、第1面の画像の直上に拍車63がある場合(S221においてYES)なので、第1面の画像の直上の拍車63を特定し、作業領域メモリ93Fに記憶する(S222)。この場合、図9(b)の斜線部500によれば、第1面の画像の直上には、2つの拍車63のB、Cが存在していることになるので、これら拍車63を第1面の画像の直上の拍車63として特定する。第1面の画像の直上の拍車63が特定された後、インク吐出量メモリ93Dを参照して、斜線部500において、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内にどれだけのインクが吐出されたかを特定する(S223)。図9(b)の斜線部500によれば、インク吐出量はK3(cc)である。
この作業領域メモリ93Fに記憶されている、第1面の画像の直上の拍車63の種類と、
インク吐出量メモリ93Dに記憶されている第1面における一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内に吐出されたインク吐出量とを用いて、表1に示す回転量補正テーブルより、第1補正パラメータB2(N)及び第2補正パラメータPxを選択する(S224)。2つの拍車63のB、Cが第1面の画像の直上に存在しているので、回転量補正テーブルの表1の(4)より、B2(B)、B2(C)が第1補正パラメータB2(N)として選択される。インク吐出量は、K1(cc)であるので、回転量補正テーブルの表1の(5)よりP1が第2補正パラメータPxとして選択される。
次に選択された各第1補正パラメータB2(N)を用いて各第1補正パラメータB2(N)の平均値である補正値B2を算出する(S225)。この場合、補正値B2は、B2=(B2(B)+B2(C))/2で表される。なお、補正値B2と第2補正パラメータPxは、作業領域メモリ93Fに記憶される。
次に作業領域メモリ93Fに記憶される補正値B2と第2補正パラメータPxを基に、第1最終補正値X2を算出する(S226)。第1最終補正値X2は、B2とP1との平均、つまりX=(B2+P1)/2として算出される。第1最終補正値X2が算出されると、回転量F2に、第1最終補正値X2を乗算したF2×Xを作業領域メモリ93Fに記憶する(S227)。
その後、図9(a)に示される位置に用紙Sがある場合に処理されるステップS228及び図9(b)に示される位置に用紙Sがある場合に処理されるステップS227で示される処理が終了すると、第2面の画像の直上に拍車があるか否かを判断する(S230:図16参照)。第2面の画像の直上に拍車が無い場合は(S230においてNO)、ステップS227で設定された回転量F2もしくは、S226で算出された回転量F2×Xを作業領域メモリ93Fに記憶し(S240)、第2面回転量設定処理を終了する。
図9(a)及び図9(b)に示される位置に用紙Sがあるときは、第2面の画像の直上に拍車がある場合(S230においてYES)なので、第2面の画像の直上の拍車63を特定し、作業領域メモリ93Fに記憶する(S231)。図9(a)及び図9(b)に示されるような位置に用紙Sがある場合は、斜線部400によれば、第2面の画像の直上には、4つの拍車63のD、E、F、Gが存在していることになるので、これら拍車63を第2面の画像の直上の拍車63として特定する。第2面の画像の直上の拍車63が特定された後、インク吐出量メモリ93Dを参照して、斜線部400において、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内にどれだけのインクが吐出されたかを特定する(S232)。図9(a)及び図9(b)の斜線部400によれば、インク吐出量はK3(cc)である。
この作業領域メモリ93Fに記憶されている第2面の画像の直上の拍車63の種類と、
インク吐出量メモリ93Dに記憶されている第2面における一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内に吐出されたインク吐出量とを用いて、回転量補正テーブルの表1より、第1補正パラメータA(N)及び第2補正パラメータPxを選択する(S233)。図9(a)及び図9(b)に示されるような位置に用紙Sがある場合は、4つの拍車63のD、E、F、Gが画像の直上に存在しているので、回転量補正テーブルの表1の(2)より、A(D)、A(E)、A(F)、A(G)が第1補正パラメータA(N)として選択される。インク吐出量は、K3(cc)であるので、回転量補正テーブルの表1の(5)よりP3が第2補正パラメータPxとして選択される。
次に、選択された各第1補正パラメータA(N)を用いて各第1補正パラメータA(N)の平均値である補正値Aを算出する(S234)。この場合、補正値Aは、A=(A(D)+A(E)+A(F)+A(G))/4で表される。なお、補正値Aと第2補正パラメータPxは、作業領域メモリ93Fに記憶される。
次に作業領域メモリ93Fに記憶される補正値Aと第2補正パラメータPxとを基に、第3最終補正値Yを算出する(S235)。第3最終補正値Yは、AとP3との平均、つまりY=(A+P3)/2として算出される。第3最終補正値Yが算出されると、回転量F2に、第3最終補正値Yを乗算したF2×Yを作業領域メモリ93Fに記憶する(S236)。
次に、第1面の画像の直上に拍車63が存在しているか否かを判断する(S237)。図9(a)に示されるような位置に用紙Sがあるときは、第1面の画像の直上に拍車63が存在していない場合なので(S237においてNO)、ステップS236で記憶された回転量F2×Yを、回転量メモリ93Eに記憶し、第2面回転量設定処理を終了する。
図9(b)に示されるような位置に用紙Sがあるときは、第1面の画像の直上及び直下に従動コロ61又は拍車63が存在している場合なので(S237においてYES)、ステップS226で算出された回転量F2×X2と、ステップS236で記憶されたF2×Yとの平均の回転量であるFAVを算出する。このFAVは、相加平均で求められ、FAV=((F2×X2)+(F2×Y))/2で求められる(S237)。そして算出されたFAVを回転量メモリ93Eに記憶し(S238)、第2面回転量設定処理を終了する。なお、上述した通り、図9(a)及び図9(b)に示されるような位置に用紙Sがあるときの回転量FAVは、排紙ローラ62の回転量である。
このように、第1面回転量設定処理のみならず、両面印刷の第1面の裏面である第2面を印刷する際に、用紙Sがどのローラ対に挟持されているか、さらに、画像の直下の従動コロ61がどれであるか、画像の直上の拍車63はどれであるか、及び第1面または第2面における一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内におけるインクの吐出量はどれだけであるか、を考慮して、ローラ対の回転量を設定することによって、用紙Sに対する挟持力の変化に対応することができ、精度の良い搬送を行うことができる。
なお、上述した実施形態は本発明の一例に過ぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更することが出来る。
例えば、本発明は、同一の大きさであり、同一のインクの吐出量の画像が、左右方向9の位置のみ異なる場合でも、適用できる。以下、図10を用いて説明する。図10の(a)と(b)は大きさとインク吐出量とが同一の画像が用紙Sの左右方向9において、異なる位置に記録された場合の画像の位置と、拍車63との位置関係を示した図である。図10の(a)と(b)とにおいて、用いられている用紙Sの中に示さされている実線、斜線部、図6と同様のものである。
図10の(a)では、斜線部400において、画像の直上には、3つの拍車63のB、C、Dが存在している。したがって、第1補正パラメータA(N)として、表1の(2)より、A(B)、A(C)、A(D)が選択される。したがって、補正値Aとしては、補正値A=(A(B)+A(C)+A(D))/3が算出される。
一方で、図10の(b)では、斜線部400において、画像の直上には、2つの拍車63のF、Gが存在している。したがって、第1補正パラメータA(N)として、表1の(2)より、A(F)、A(G)が選択される。したがって、補正値Aとしては、補正値A=(A(F)+A(G))/2が算出される。図10の(a)及び図10の(b)のような位置に用紙Sがある場合は、回転量は同一の回転量F2が選択される。インク吐出量が同一であるので、インク吐出量に基づく補正値も同一のものが算出される。
しかし、補正値Aが両者において、それぞれ異なっている。したがって、大きさと、インク吐出量が同一の画像が、左右方向9の位置のみで異なる場合においても、直上の拍車63を特定することで、適切な搬送量を設定することができる。また、両面搬送され、第1面の画像の直下に従動コロ61があって、第1面の画像がそれぞれ、大きさと、インク吐出量が同一であって、左右方向9の位置のみで異なる場合においても、適用されるのは言うまでもない。
例えば、本発明は、画像の直上の拍車63の数が同一、または、用紙Sに対して同一位置であり、同一の大きさであり、同一のインクの吐出量の画像が、用紙Sに記録され、用紙Sが左右方向9における位置のみ異なる場合でも、適用できる。以下、図11を用いて説明する。図11の(a)と(b)は位置と、大きさと、インク吐出量とが同一の画像が記録された用紙Sが、左右方向9において異なる場合の画像の位置と、拍車63との位置関係を示した図である。図11の(a)と(b)とにおいて、用いられている用紙Sの中に示さされている実線、斜線部、図6と同様のものである。
まず、メイン処理のステップS004において用紙の側端位置を検知し、記憶する。この処理によって、用紙Sに対して同一位置であり、同一の大きさであり、同一のインクの吐出量の画像が、用紙Sに記録されても、用紙の位置に基づいて、画像の位置を特定することができる。
図11の(a)では、斜線部400において、画像の直上には、3つの拍車63のB、C、Dが存在している。したがって、第1補正パラメータA(N)として、表1の(2)より、A(B)、A(C)、A(D)が選択される。したがって、補正値Aとしては、補正値A=(A(B)+A(C)+A(D))/3が算出される。
一方で、図11の(b)では、斜線部400において、画像の直上には、3つの拍車63のC、D、Eが存在している。したがって、第1補正パラメータA(N)として、表1の(2)より、A(C)、A(D)、A(E)が選択される。したがって、補正値Aとしては、補正値A=(A(C)+A(D)+A(E))/3が算出される。図11の(a)及び図11の(b)のような位置に用紙Sがある場合は、回転量は同一の回転量F2が選択される。インク吐出量が同一であるので、インク吐出量に基づく補正値も同一のものが算出される。
しかし、補正値Aが両者において、それぞれ異なっている。したがって、画像の直上の拍車63の数が同一である場合や、位置と、大きさと、インク吐出量とが同一の画像が記録された用紙Sが、左右方向9の位置のみで異なる場合においても、直上の拍車63を特定することで、適切な搬送量を設定することができる。また、両面搬送され、第1面の画像の直下に従動コロ61があって、第1面の画像がそれぞれ、位置と、大きさと、インク吐出量とが同一であって、用紙Sの位置が左右方向9の位置のみで異なる場合においても、適用されるのは言うまでもない。
例えば、本発明は、図6乃至図11に示されるように、用紙Sに記録された画像は、図形等の画像であるが、文字が画像として記録されていても適用することができる。この場合は、表1の(6)において、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内に吐出されるインク吐出量k1を微小な量に設定し、このときの第2補正パラメータを0に設定すればよい。1文字のサイズが比較的小さな文字で文章を記録する場合は、インクの吐出量が比較的微小な量であるので、用紙Sの性質が変化についても微小ある。したがって、用紙Sの性質の変化による搬送量の影響が微小であるので、比較的小さな文字を記録する場合は回転量の補正を行わないようにする。
一方、1文字のサイズが比較的大きな文字で文章を記録する場合は、表1の(6)において一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内にk1(cc)以上のインク量が吐出される場合も有る。しかし、表1の(6)のように、インク吐出量k1を微小な値に設定しておき、更に、k1以上の場合についても設定しておけば、k1以上のインクが、一の間欠駆動の際の改行幅Y(inch)内に吐出されたとしても、適切に第2補正パラメータPxを選択することができる。
よって、種々の文字のサイズでも、適切な補正パラメータが選択され、精度のよい搬送を実現することが出来る。
例えば、本発明では、図6乃至図11、及び表1に示されるように、拍車63がA乃至Hの8個、従動コロ61がa乃至hの8個で構成される場合に、補正パラメータもそれぞれ8個用意されているが、拍車63の数及び従動コロ61の数は、この限りでない。したがって、拍車63の数や、従動コロ61の数は、適宜決定すればよい。
例えば、本発明では、インク吐出量に基づく補正パラメータの数は、表1の(5)と表1の(6)で示された数の限りでない。
例えば、本発明では、記録剤としてインクが採用されているが、トナーを用いられているものでも良い。トナーが用紙Sの表面に付着されれば、用紙Sに付着されていない所と比べて表面の性質が変わるので、この場合、ローラ対による挟持力は変化する。したがって、トナーが付着した場合でも、当発明が適用されるのは、言うまでもない。