JP2007271854A - 印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録媒体のスタック性が損なわれることを抑制しつつ、確実に記録媒体を排紙することができる印刷装置を提供すること。
【解決手段】本発明の印刷装置によれば、厚さが0.21mm未満であり、且つA4サイズである薄くてサイズ大の記録用紙Pは、厚さが0.21mm以上である厚い記録用紙PまたはA4サイズより小さい記録用紙Pに比較して高速で排紙されるように排紙ローラ21aの回転が制御されるので、厚さが薄くてサイズが大きいために、静電気力や摩擦力の影響を大きく受ける記録用紙Pであっても、確実に排紙することができる。一方、厚さが厚い記録用紙Pやサイズが小さい記録用紙Pなど、静電気力や摩擦力の影響が比較的小さい記録用紙Pについては、低速で排紙されるので、排紙後のスタック性が損なわれることが抑制される。
【選択図】図4
【解決手段】本発明の印刷装置によれば、厚さが0.21mm未満であり、且つA4サイズである薄くてサイズ大の記録用紙Pは、厚さが0.21mm以上である厚い記録用紙PまたはA4サイズより小さい記録用紙Pに比較して高速で排紙されるように排紙ローラ21aの回転が制御されるので、厚さが薄くてサイズが大きいために、静電気力や摩擦力の影響を大きく受ける記録用紙Pであっても、確実に排紙することができる。一方、厚さが厚い記録用紙Pやサイズが小さい記録用紙Pなど、静電気力や摩擦力の影響が比較的小さい記録用紙Pについては、低速で排紙されるので、排紙後のスタック性が損なわれることが抑制される。
【選択図】図4
Description
本発明は印刷装置に関し、特に、記録媒体のスタック性が損なわれることを抑制しつつ、確実に記録媒体を排紙することができる印刷装置に関するものである。
記録用紙(記録媒体)に印刷を行う印刷装置が広く利用されている。このような印刷装置において、印刷済みの記録用紙は、排紙ローラにより、例えば排紙トレイ上に排紙され、積層される。ここで、排紙速度が大きくなると、記録用紙が勢いよく排紙トレイ上に飛び出すため、排紙トレイ上において記録用紙の揃えを良好に行うことができなくなってしまうおそれがある。そのため、排紙速度を遅くして、記録用紙の積載性(スタック性)を良好にすることが提案されている。
特開2000−198600号公報
しかしながら、単に排紙速度を低減する場合、記録用紙の厚さが薄い場合や、記録用紙のサイズ(大きさ)が大きいと、記録用紙の後端が排紙ローラから分離せず、記録用紙を排紙できない場合があるという問題点があった。
図8を参照して、上記問題点について詳細に説明する。図8は、従来の印刷装置における排紙機構の一例を模式的に示す図である。図8において、キャリッジ113に搭載された記録ヘッド112は、主走査方向(図8における紙面垂直方向)に往復移動しつつ、プラテン111上の記録用紙Pにインクを吐出し、印刷をする。なお、記録ヘッド112とプラテン111との間を、印刷位置114と称する。図8に示すように、搬送ローラ120aの回転により、搬送ローラ120aと対向する押圧ローラ120bとに挟持され印刷位置114に送り込まれた記録用紙Pは、排紙ローラ121aに到達し、排紙ローラ121aと対向する押圧ローラ121bとにより挟持され、排紙ローラ121aの回転により排紙トレイ122に排紙される。
ここで、記録用紙Pの厚さが薄く、こしがない場合、排紙ローラ121aを通過した記録用紙Pの先端は垂れ下がり、排紙トレイ122内に堆積された記録用紙と接触し、排紙トレイ122内の記録用紙と、新たに排紙された記録用紙Pとの間に摩擦が発生する。その摩擦力にうち勝って記録用紙Pを排紙する必要があるため、厚さが薄く、こしがない記録用紙Pは、こしが強くこのような摩擦の生じない記録用紙Pに比較して、排紙のためにより大きなエネルギーが必要となるのである。
また、記録用紙Pが給紙トレイ(図示せず)から搬送ローラ120aまで繰り出される際にも、繰り出される記録用紙Pと給紙トレイ内の記録用紙とが擦れ合い、記録用紙Pが静電気を帯びる。特に記録用紙Pのサイズが大きいほど、静電気が帯電しやすく、その静電気力にうち勝って記録用紙Pを排紙するために、より大きなエネルギーが必要となる。このような、摩擦力や静電気力のために、サイズが大きい記録用紙Pや、厚さの薄い記録用紙Pは排紙されにくい。記録用紙Pが排紙トレイまで確実に排紙されない場合、例えば、ユーザ自らが印刷装置のカバーを外し、印刷済みの記録用紙Pを手で引き出すなどしなければならず、面倒である。
上述した摩擦力や静電気力にうち勝って、記録用紙Pを確実に排紙するためには、排紙速度を大きくすればよいが、記録用紙の排紙速度を一律に大きくした場合には、排紙された記録用紙のスタック性が悪くなるという別の問題点があった。特に、記録用紙Pの厚さが厚い場合や、記録用紙Pのサイズが小さい場合には、上述した摩擦力や静電気力の影響が小さいことから、記録用紙Pは、勢い良く排紙トレイに排紙されるので、スタック性が悪い。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、記録媒体のスタック性が損なわれることを抑制しつつ、確実に記録媒体を排紙することができる印刷装置を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載の印刷装置は、記録媒体に対して印刷を行う印刷手段と、その印刷手段により印刷がされた記録媒体に接して回転することによりその記録媒体を排紙する排紙ローラと、その排紙ローラの回転を制御するローラ制御手段とを備えたものであって、前記ローラ制御手段は、厚さが所定の閾値未満である記録媒体は、厚さが所定の閾値以上である記録媒体に比較して高速で排紙されるように前記排紙ローラの回転を制御することを特徴とする。
請求項2記載の印刷装置は、請求項1記載の印刷装置において、堆積された記録媒体を裁置可能な給紙カセットと、その給紙カセットから記録媒体を給紙する給紙ローラと、その給紙ローラにより給紙された記録媒体に接して所定の方向に回転することによりその記録媒体を搬送方向に搬送し前記印刷手段による印刷位置に送り込む搬送ローラと、前記排紙ローラが記録媒体を排紙する方向に回転するとき前記搬送ローラが前記記録媒体を搬送する方向に回転するように、前記排紙ローラと前記搬送ローラとを同期させて回転させるモータとを備え、前記ローラ制御手段は、前記給紙ローラが記録媒体を給紙する方向に回転する間、前記搬送ローラが記録媒体を搬送する方向の逆方向に回転するように前記モータを制御するものである。
請求項3記載の印刷装置は、請求項2記載の印刷装置において、前記モータは、前記排紙ローラと前記搬送ローラと前記給紙ローラとを回転駆動するものである。
請求項4記載の印刷装置は、請求項1から3のいずれかに記載の印刷装置において、前記ローラ制御手段は、前記印刷手段による印刷が終了した記録媒体が、前記排紙ローラにより所定の第1速度で途中まで搬送され、その後、その記録媒体がその厚さに応じた排紙速度で排紙されるように前記排紙ローラの回転を制御するものであって、前記第1速度は、前記記録媒体の厚さに応じた排紙速度よりも速いものである。
請求項5記載の印刷装置は、請求項4記載の印刷装置において、前記排紙ローラに接触する記録媒体の厚さが前記閾値以上であるか否かを判断する厚さ判断手段と、前記排紙ローラに接触する記録媒体の大きさを、A4サイズまたはレターサイズのいずれか一方と比較するサイズ比較手段とを備え、前記ローラ制御手段は、前記排紙ローラに接触する記録媒体の厚さが前記閾値以上であり、且つ前記サイズ比較手段により大きさがA4サイズまたはレターサイズであると判断された場合、前記記録媒体が前記第1速度で途中まで搬送され、その後、その記録媒体が、12インチ/秒以上且つ14インチ/秒以下の排紙速度で排紙されるように前記排紙ローラの回転を制御することを特徴とする。
請求項6記載の印刷装置は、請求項5記載の印刷装置において、前記ローラ制御手段は、前記厚さ判断手段により前記記録媒体の厚さが前記閾値以上であると判断され、または前記サイズ比較手段により前記記録媒体の大きさがA4サイズまたはレターサイズより小さいと判断された場合、前記記録媒体が前記第1速度で途中まで排紙され、その後、その記録媒体が、4インチ/秒以上且つ6インチ/秒以下の排紙速度で排紙されるように前記排紙ローラの回転を制御することを特徴とする。
請求項1記載の印刷装置によれば、厚さが所定の閾値未満である記録媒体は、厚さが所定の閾値以上である記録媒体に比較して高速で排紙されるように排紙ローラの回転が制御されるので、厚さが薄い記録媒体であっても、確実に排紙されると共に、厚さが厚い記録用紙については、排紙後のスタック性が損なわれることが抑制されるという効果がある。
請求項2記載の印刷装置によれば、請求項1記載の印刷装置の奏する効果に加え、給紙ローラが記録媒体を給紙する方向に回転する間、搬送ローラを記録媒体を搬送する方向の逆方向に回転させるので、給紙されてくる記録媒体が斜行していたとしても、逆方向に回転する搬送ローラにより、その先端縁を一旦停止させて斜行を補正することができる。そして、搬送ローラを逆方向に回転させることに同期して、排紙ローラも記録媒体を排紙する方向の逆方向に回転するが、記録媒体が確実に排紙されているため、排紙ローラの逆回転による記録媒体の逆送りは抑制されるという効果がある。
請求項3記載の印刷装置によれば、請求項2記載の印刷装置の奏する効果に加え、前記排紙ローラと前記搬送ローラと前記給紙ローラとは、同一のモータにより回転駆動されるので、記録媒体の給紙および搬送のための機構を簡単な構成とすることができるという効果がある。
請求項4記載の印刷装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の印刷装置の奏する効果に加え、印刷手段による印刷が終了した記録媒体は、排紙ローラにより所定の第1速度で途中まで搬送され、その後、その記録媒体がその厚さに応じた排紙速度で排紙されるように前記排紙ローラの回転を制御するものであって、前記第1速度は、記録媒体の厚さに応じた排紙速度よりも速いので、記録媒体の排紙時間が長時間となることを抑制でき、全体の印刷速度の低減を抑制することができるという効果がある。
請求項5記載の印刷装置によれば、請求項4記載の印刷装置の奏する効果に加え、排紙ローラに接触する記録媒体の厚さが前記閾値以上であり、且つ大きさがA4サイズまたはレターサイズであると判断された場合、記録媒体が前記第1速度で途中まで搬送され、その後、その記録媒体が、12インチ/秒以上且つ14インチ/秒以下の排紙速度で排紙されるように排紙ローラの回転を制御するので、記録媒体のスタック性が損なわれることを抑制しつつ、確実に記録媒体を排紙することができるという効果がある。記録媒体の厚さが薄く、その大きさがA4サイズまたはレターサイズである場合、排紙速度を12インチ/秒以上とすることにより、確実に記録媒体を排紙することができ、排紙速度を14インチ/秒以下とすることにより、記録媒体のスタック性が損なわれるのを抑制することができるのである。なお、1インチは、2.54cmである。
請求項6記載の印刷装置によれば、請求項5記載の印刷装置の奏する効果に加え、厚さ判断手段により記録媒体の厚さが閾値以上であると判断され、または記録媒体の大きさがA4サイズまたはレターサイズより小さいと判断された場合、記録媒体が前記第1速度で途中まで排紙され、その後、その記録媒体が、4インチ/秒以上且つ6インチ/秒以下の排紙速度で排紙されるように排紙ローラの回転を制御するので、記録媒体のスタック性が損なわれることを抑制しつつ、確実に記録媒体を排紙することができるという効果がある。記録媒体の厚さが厚い場合または記録媒体のサイズがA4サイズまたはレターサイズよりも小さい場合、排紙速度を4インチ/秒以上とすることにより、確実に記録媒体を排紙することができ、排紙速度を6インチ/秒以下とすることにより、記録媒体のスタック性が損なわれるのを抑制することができるのである。
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明の印刷装置の一実施例である多機能型の画像記録装置1の全体斜視図である。図1に示す多機能型の画像記録装置1は、ファクシミリ機能、プリンタ機能、複写機能、スキャナ機能等を備えている。多機能装置(Multi Function Device)である画像記録装置1は、上面開放の略箱状の本体ケース2と、この本体ケース2の一側に対して、蝶番、ヒンジ部等の回動軸線部(図示せず)を介して上下回動可能に枢着された上部ケース3とを有する。なお、以下の説明において、図1の画像記録装置1の手前側を前側とし、左右方向(主走査方向、Y軸方向)や、前後方向(副走査方向、X軸方向)、上下方向に関しても図1の画像記録装置1の向きを基準に説明する。本体ケース2及び上部ケース3は合成樹脂製の射出成形品である。
上部ケース3の上面前部には操作パネル30が配置されている。操作パネル30には、数字ボタンやスタートボタン、機能操作ボタン等の各種のボタンが設けられており、これらのボタンを押下することにより、各種の操作が行われる。操作パネル30には液晶ディスプレイ(LCD)31が設けられ、画像記録装置1の設定状態や各種の操作メッセージ等が必要に応じて表示される。
上部ケース3には、操作パネル30の後部側にスキャナ装置33が配置されている。即ち、ファクシミリ機能時に相手ファクシミリ装置に送信すべきファクシミリ原稿や、複写機能時に複写すべき原稿の画像を読取るためのスキャナ装置33は、大判のガラス板上の原稿の画像を読取るフラットベッド読取部と、このフラットベッド読取部の上面を覆う回動可能なカバー体34とからなる。
図示しないが、フラットベッド読取部におけるガラス板の直下には、ガラス板に当接させた原稿の画像面を読取るための光電変換素子の一例としてのライン型の密着型イメージセンサが設けられている。なお、カバー体34は、画像記録装置1の背面側(図1の奥側)を中心にしてヒンジを介して開閉回動可能に構成されている。
また、図1に示すように、本体ケース2内の左右方向中央部には、その底部に複数枚の記録用紙P(記録媒体)をほぼ水平状にて堆積状態で載置可能な給紙カセット5が配置され、この給紙カセット5は本体ケース2の前面の開口部2aに対して引き出し動可能に構成されており、A4サイズ以下の、B5サイズ、はがきサイズなどの各種サイズの記録用紙が載置可能である。また、印刷された記録用紙Pがその記録面を上向きにして矢印B方向に排出される排紙トレイ10は、給紙カセット5の上側に形成されている。上記開口部2aは、排紙トレイ10にも連通している。
図2は、画像記録装置1の内部構造を概略的に示した側面図である。なお、矢印Bは、記録用紙Pの搬送(給紙)方向を図示している。図2に示すように画像記録装置1の本体ケース2内には、給紙カセット5より上部に給紙ローラ7を備えた給送ユニット6が設けられている。この給送ユニット6により給紙される記録用紙Pは、本体ケース2内の後端部で上向きU字状にターンする搬送路を介して前方(図2における左方)に給紙される。
給紙ユニット6により給紙される記録用紙Pの給紙方向(矢印B方向)下流側には、記録用紙Pを搬送するための搬送ローラ20aと、その搬送ローラ20aへ記録用紙を押圧するための押さえローラ20bとが配設されており、かかる両者が共働して記録用紙Pを押圧し挟持しつつ搬送している。なお、搬送ローラ20aと押さえローラ20bにより搬送される記録用紙Pを支持する平板状のプラテン11が、搬送ローラ20aおよび押さえローラ20bの下流側に設けられている。
プラテン11上を搬送される記録用紙Pの搬送方向(矢印B方向)下流側には、搬送ローラ20aにより搬送される記録用紙Pに接して回転することにより、その記録用紙Pを本体ケース2外へ排出するための排紙ローラ21aと、その排紙ローラ21aへ記録用紙Pを押圧するための押さえローラ21bとが配設されており、排紙ローラ21aおよび押さえローラ21bの下流側には、印刷済みの記録用紙Pを排出するための排紙トレイ10が設けられている。また、搬送ローラ20aおよび排紙ローラ21aの間に位置する記録用紙Pの上方には、記録ヘッド12が配設されている。
記録ヘッド12は、図2の紙面垂直方向に往復移動可能なキャリッジ13に装着されている。この記録ヘッド12の記録用紙P側には、搬送ローラ20a等に挟持された記録用紙Pへインクを吐出するためのノズル(図示せず)が形成されている。なお、記録ヘッド12のノズルに対向するプラテン11上の位置を印刷位置14と称する。
カラー記録用の記録ヘッド12にインクを供給するためのインクタンクは、本体ケース2内の収容部(図示せず)に対して上方から着脱可能に構成されている。本実施例ではブラック、シアン、マゼンタ、イエローの四色のインクタンクが収納されるものであるが、それ以上の色のインクを収納しても良い。各インクタンクから記録ヘッド12へは可撓性を有するインクチューブを接続してインク供給する。
本実施例では、DCモータであるLFモータ42からの回転力により搬送ローラ20aが回転される。そして、LFモータ42の回転力は、搬送ローラ20aと一体的に回転する駆動ギヤ101を介して、排紙ローラ21a及び給紙ローラ7に動力伝達される。なお、搬送ローラ20aから排紙ローラ21aへ動力を伝達する機構については、図示及び説明を省略するが、これらは同期して回転駆動される。
図2に示すように、搬送ローラ20aの回転力は、駆動ギヤ101を介して、複数の噛み合い歯車43a,43b,43c,43dから構成される歯車伝動機構43に伝達され、給紙ユニット6の駆動軸14に伝達される。そして、駆動軸14の回転力は、複数の噛み合い歯車からなる歯車伝動機構50を介して、給紙ローラ7に伝達される。
本実施例では、LFモータ42は正逆回転可能に構成され、搬送ローラ20aまたは排紙ローラ21aにより記録用紙Pを搬送方向Bへ搬送させる方向のLFモータ42の回転を正回転と称し、搬送ローラ20aまたは排紙ローラ21aにより記録用紙Pを搬送方向Bの逆方向(給紙カセット5側へ記録用紙Pを戻す方向)に搬送させる方向のLFモータ42の回転を逆回転と称する。図2において、LFモータ42を正回転させたときの、各ローラまたは歯車の回転方向を実線で示し、LFモータ42を逆回転させたときの、各ローラまたは歯車の回転方向を破線で示す。
LFモータ42を逆回転させると、搬送ローラ20aは、図2において反時計回り方向に回転する。従って、給紙ユニット6内の歯車伝動機構50を介して、給紙ローラ7は給紙方向(図2で反時計回り)に回転駆動される。これにより、給紙カセット5に堆積された記録用紙Pの最上層の1枚の給紙が開始される。この間、搬送ローラ20aは記録用紙Pを搬送方向Bに搬送する方向の逆方向に回転するため、給紙された記録用紙Pが斜行している場合であっても、その先端縁が搬送ローラ20aで一旦停止され、斜行が補正される。
そして、給紙カセット5から給紙された記録用紙Pが、搬送ローラ20aに到達した後、LFモータ42を所定量だけ正回転させる。これにより、給紙カセット5から給紙された記録用紙Pが、搬送ローラ20aと押さえローラ20bとにより挟持され、記録ヘッド12の下方に搬送される(頭出し動作)。頭出し動作とは、記録用紙Pの先端を、プラテン11上の所定位置まで前進させて、印刷開始可能位置にセットすることをいう。このとき、給紙ローラ7は給紙方向と反対方向に逆回転(図2で時計回り回転)するが、搬送ローラ20aと押さえローラ20bとのニップ力を、給紙カセット5の箇所での給紙ローラ7による搬送力よりも大きく設定することで、搬送ローラ20aと押さえローラ20bとにより、先端がニップされた記録用紙Pは給紙ローラ7の周面に対して滑り、給紙カセット5へは戻されない。
続いて、搬送ローラ20aにより記録用紙Pを間欠的に前進させながら、キャリッジ13を主走査方向に往復移動させつつ記録ヘッド12のノズルから記録用紙Pの片面(表面)にインクを吐出させて印刷を開始する。図2に示すように、記録用紙Pを間欠的に前進させるときは、搬送ローラ20a及び排紙ローラ21aは共に、記録用紙Pを搬送方向Bに搬送する方向に回転している。
1枚分の記録用紙Pに対する印刷が終了すると、その印刷済みの記録用紙Pの排紙を開始する。その場合、搬送ローラ20a及び排紙ローラ21aを、記録用紙Pを排紙する方向に連続的に回転させるべく、LFモータ42を正回転させた後、LFモータ42を停止する。
なお、搬送ローラ20aの一端には、ロータリエンコーダ44が設けられている。ロータリエンコーダ44は、円周に沿って所定間隔毎にスリットが形成(図示略)された回転スリット板44aと、光センサ44bとを備える。光センサ44bは、回転スリット板44aに形成されたスリットを通過した光を電気信号に変換し、出力する。よって、光センサ44bから出力される電気信号により、ロータリエンコーダ44のスリットを検出することができる。
回転スリット板44aは、搬送ローラ20aと同軸回転するものであって、搬送ローラ20aはLFモータ42により回転される。よって、検出されたロータリエンコーダ44のスリットの数をカウントすることにより、搬送ローラ20aの回転量はもちろん、LFモータ42の回転量を演算することができる。
また、搬送ローラ20aの配置位置よりも搬送方向Bにおける上流側には、記録用紙PがUターンして印刷位置14に近づくように給紙されたときに、その記録用紙Pの先端位置及び終端位置を検出するための用紙センサ117が設けられている。用紙センサ117により、給紙される記録用紙Pの位置を知ることができる。
図3は、上記のように構成された画像記録装置1の主な電気的構成を示したブロック線図である。図3に示すように、画像記録装置1は、CPU300、ROM301、RAM302、EEPROM303を備え、これらはバス305を介して、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )306に接続されている。さらに、画像記録装置1は、用紙センサ117、ロータリエンコーダ44、リニアエンコーダ37、記録ヘッド12、記録ヘッド12を駆動する駆動回路314、CRモータ24、CRモータ24を駆動する駆動回路312、LFモータ42、LFモータ42を駆動する駆動回路311、キーボード30a、LCD31、キーボード30aおよびLCD31が接続されるパネルI/F313、パラレルI/F315、USBI/F316、NCU317を備えている。
CPU300は、この画像記録装置1を総括的に制御する中央演算処理であり、図4のフローチャートで示す処理を実行するためのプログラムなどの各種プログラムを実行する。ROM301は、図4のフローチャートで示す処理を実行するためのプログラムを含む各種制御プログラムや、それらの制御プログラムをCPU300により実行する上で必要なデータなどを格納した書き換え不能なメモリである。
RAM302は、CPU300により実行される各種処理に必要なデータやプログラムを一時的に記憶するためのメモリである。このRAM302は、用紙サイズメモリ302aと、用紙厚さメモリ302bとを備えている。用紙サイズメモリ302aは、後述する印刷処理(図4参照)において、印刷がされる記録用紙Pの用紙サイズを格納するするためのメモリである。用紙厚さメモリ302bは、後述する印刷処理において、印刷がされる記録用紙Pの用紙厚さを格納するためのメモリである。
ASIC306にはNCU(Network control Unit)317が接続されており、公衆回線からNCU317を介して入力された通信信号はMODEM318によって復調されてからASIC306に入力される。また、ASIC306がファクシミリ送信等で画像データを外部へ送信する場合には、その画像データがMODEM318によって通信信号に変調され、その通信信号がNCU317を介して公衆回線に出力される。
また、ASIC306は、CPU300からの指令に従い、例えばLFモータ42に通電する相励磁信号等を生成して、これらの信号をLFモータ42の駆動回路311やCRモータ24の駆動回路312に与え、駆動回路311や駆動回路312等を介してLFモータ42やCRモータ24に駆動信号を通電し、LFモータ42やCRモータ24の正逆回転、停止等の制御を行っている。また、ASIC306には駆動回路314が接続されている。駆動回路314は、記録ヘッド12から所定のタイミングでインクを記録用紙Pに対して選択的に吐出させるためのものであり、CPU300から出力される駆動制御手順に基づきASIC306において生成され出力された信号を受けて、記録ヘッド12を駆動制御する。
更に、ASIC306には、送受信操作のための操作パネル30のキーボード30aや液晶ディスプレイ(LCD)31を備えたパネルインターフェース313、パソコンなどの外部機器とパラレルケーブルやUSBケーブルを介してデータの送受信を行うためのパラレルインターフェース315やUSBインターフェース316、などが接続されている。
更に、ASIC306には、記録用紙Pが印刷位置14(図2参照)に近づくように給紙されたときに、その記録用紙Pの先端位置及び終端位置を検出するために搬送ローラ20aの搬送上流側に位置する用紙センサ117、搬送ローラ20aおよび給紙ローラ7の回転量を検出するためのロータリエンコーダ44、キャリッジ13の主走査方向での移動量及び移動位置(現在位置)を検出するためのリニアエンコーダ37等が接続されている。
図4のフローチャートを参照して、本実施例の画像記録装置1において実行される処理について説明する。図4は、CPU300により実行される印刷処理を示すフローチャートである。印刷処理は、図示しない外部機器などから印刷データを受信したときに起動する処理である。
まず、ユーザが選択した用紙サイズを取得し、用紙サイズメモリ302aに格納する(S2)。次に、ユーザが選択した用紙厚さを取得し、用紙厚さメモリ302bに格納する(S4)。例えば、ユーザがパーソナルコンピュータから印刷指示をした場合には、そのパーソナルコンピュータにおける印刷設定画面においてユーザが選択した用紙サイズと用紙厚さとが印刷データに記述されているので、それぞれ用紙サイズメモリ302aと、用紙厚さメモリ302bとに格納する。
次に、LFモータ42を逆回転させ、給紙ローラ7により給紙カセット5に堆積された記録用紙Pのうち、最上層の記録用紙Pのみを分離し、その記録用紙Pの先端が搬送ローラ20aに到達するまで記録用紙Pを給紙する(S6)。
次に、LFモータ42を所定量だけ正回転させ、搬送ローラ20aを回転させ、従動ローラ20bと搬送ローラ20aとのニップ部で挟持された記録用紙Pを印刷位置に搬送する(S8)。
次に、CRモータ24および記録ヘッド12を駆動して、キャリッジ13を往復移動させつつ、記録用紙Pに1行分の印刷を行う(S10)。次に、LFモータ42を所定量だけ正回転させて、搬送ローラ20aを回転させ、記録用紙Pを搬送方向Bへ1行分だけ搬送し(S12)、1ページ分の印刷が終了したか否かを判断する(S14)。1ページ分の印刷が終了していない場合(S14:No)、再び記録ヘッド12およびキャリッジ13を駆動して、1行分の印刷と、1行分の搬送とを繰り返す(S10,S12)。
このようにして、1ページ分の印刷が終了すると(S14:Yes )、LFモータ42を所定量正回転させて、搬送ローラ20aおよび排紙ローラ21aを回転させ、その印刷済みの記録用紙Pの後端が排紙ローラ21aの手前15mmとなるまで、20インチ/秒の排紙速度で記録用紙Pを搬送方向Bへ搬送する(S16)。なお、この20インチ/秒が、第1速度に相当する。
次に、用紙厚さメモリ302bを参照し、現在排紙中の記録用紙Pの厚さが、所定の閾値、本実施例では、0.21mm以上であるか否かを判断する(S18)。記録用紙Pの厚さが0.21mm以上である場合(S18:Yes)、すなわち、記録用紙Pが厚紙である場合、LFモータ42を所定量正回転させ、排紙ローラ21aにより、記録用紙Pを排紙速度4インチ/秒で排紙トレイ10に排紙する(S22)。
一方、現在排紙中の記録用紙Pの厚さが0.21mm未満である場合(S18:No)、用紙サイズメモリ302aを参照し、現在排紙中の記録用紙Pのサイズを、A4サイズと比較する(S20)。すなわち、用紙サイズメモリ302aに格納された用紙サイズがA4サイズ未満であるか否かを判断する。現在排紙中の記録用紙PのサイズがA4サイズ未満である場合(S20:Yes)、記録用紙Pが排紙速度4インチ/秒で排紙トレイ10に排紙されるように、LFモータ42を正方向に回転させ、排紙ローラ21aの回転を制御する(S22)。
一方、現在排紙中の記録用紙Pの厚さが0.21mm未満であり(S18:No)、且つ、用紙サイズがA4である場合(S20:No)、記録用紙Pが排紙速度13インチ/秒で排紙トレイ10に排紙されるように、LFモータ42を正方向に回転させ、排紙ローラ21aの回転を制御する(S24)。厚さが薄く、サイズが大きい記録用紙Pは、摩擦力や静電気力の影響により、排紙ローラ21aから分離しにくいが、このように高速で記録用紙Pを排紙することにより、記録用紙Pを、排紙ローラ21aから分離して、確実に排紙することができる。
次いで、後続する記録用紙P(次ページ)に対するデータがあるか否かを判断し(S26)、データがありの場合(S26:Yes)、S6に戻り、次の記録用紙Pの給紙を開始する。この場合、LFモータ42が逆回転されるため、排紙ローラ21aも、記録用紙Pを排紙する方向の逆方向に回転するが、記録用紙Pは排紙ローラ21aから確実に分離して排紙されているので、排紙ローラ21aにひっかかったままの記録用紙Pが逆送することが確実に抑制されている。このようにして処理を繰り返すうちに、全てのデータを印刷し終わると(S26:No)、処理を終了する。
本実施例の印刷処理によれば、厚さが0.21mm未満であり、且つA4サイズである薄くてサイズ大の記録用紙Pは、厚さが0.21mm以上である厚い記録用紙PまたはA4サイズより小さい記録用紙Pに比較して高速で排紙されるように排紙ローラ21aの回転が制御されるので、厚さが薄くてサイズが大きいために、静電気力や摩擦力の影響を大きく受ける記録用紙Pであっても、確実に排紙することができる。一方、厚さが厚い記録用紙Pやサイズが小さい記録用紙Pなど、静電気力や摩擦力の影響が比較的小さい記録用紙Pについては、低速で排紙されるので、排紙後のスタック性が損なわれることが抑制される。
図5から図7を参照して、上記画像記録装置1で説明した搬送機構および排紙機構を用いて、排紙速度を変えて記録用紙Pを排紙する試験を行なった結果を説明する。図5は、排紙位置を測定するための試験方法を説明する図である。
図5に示すように、試験に際しては、排紙トレイ10にストッパ10aを設けると共に、排紙トレイ10には100枚の記録用紙Pを予め積載し、排紙された記録用紙Pがストッパ10により当たらないようにした。
まず、試験1として、A4サイズのゴールデンコピー紙(オプティマ社製、紙厚0.1mm)を用い、排紙する試験を行った。この試験1においては、記録用紙Pの後端縁が排紙ローラ21aの手前15mmとなるまで20インチ/秒で記録用紙Pを搬送し、記録用紙Pの後端縁が排紙ローラ21aの手前15mmを通過した後の排紙速度を変化させ、排紙位置の測定を行った。なお、排紙位置としては、ストッパ10aの位置Q1を基準位置0とし、搬送方向Bにおいて排紙ローラ21aから遠ざかる方向を+とし、搬送方向Bにおいて排紙ローラ21aに近づく方向を−として測定した。具体的には、排紙された記録用紙Pの左側先端縁と右側先端縁とを測定点とし、これらの測定点の基準位置0から距離を測定し、その平均をその記録用紙Pの排紙位置として決定した。
そして、排紙速度を変えて、各排紙速度について10回の試験を行い、その10回分の試験により得られた排紙位置の平均と、その標準偏差σを算出した。
図6(a)は、試験1の結果として算出された平均と標準偏差σとを示す表であり、(b)は(a)に示す標準偏差σを縦軸とし、排紙速度を横軸とした場合であって、グレーの線は、算出された標準偏差σの各点を通過するグラフであり、黒の線は、排紙速度と標準偏差σとの関係を多項式に近似して示すグラフである。(c)は(a)に示す平均を縦軸とし、排紙速度を横軸とした場合であって、グレーの線は、算出された平均の各点を通過するグラフであり、黒の線は、排紙速度と平均との関係を多項式に近似して示すグラフである。
標準偏差σは、排紙位置のばらつき、すなわち、記録用紙Pのスタック性(整列性)を示す値である。この値が大きいほど、排紙位置がばらつき、スタック性が悪いことが判断できる。図6(b)を参照すると、標準偏差σは、排紙速度が14インチ/秒を超えると急激に上昇していることが分かる。排紙速度が大きい場合、排紙される際における記録用紙Pの持つ運動エネルギーが大きいので、様々な要因(排紙される際の記録用紙の姿勢、静電気力、摩擦力など)の影響を受けやすく、ばらつきが出やすいためと考えられる。本試験1では、σが4.5mm未満である場合に、スタック性OKとし、σが4.5mm以上である場合、スタック性をNGと判定した。
一方、排紙位置の平均は、その排紙速度で排紙したときの記録用紙Pの先端位置の平均を示す値である。この値が大きい場合には、記録用紙Pは排紙ローラ21aから十分に離れた位置に排紙されるが、この値が小さい場合には、記録用紙Pは排紙ローラ21a近傍に排紙される。特に、試験1において用いられたA4サイズで厚さが薄い(0.1mm)ゴールデンコピー紙では、静電気力や摩擦力の影響を受けやすく記録用紙Pが排紙ローラ21aから離れ難いため、排紙速度が小さい場合には、記録用紙Pが排紙ローラ21aから分離されない場合が生じ得る。記録用紙Pが排紙ローラ21aから分離されないまま、次の記録用紙Pの給紙のためにLFモータ42が逆回転されると、排紙ローラ21aにかまれたままの記録用紙Pが逆送りされ、紙詰まりが生じることとなる。
ここで、試験1で用いたA4サイズの記録用紙Pの縦方向長さは、297mmであり、一方、排紙ローラ21aの位置Q2と、ストッパ10aの位置Q1との間の距離lを、このA4サイズの記録用紙Pの値に25mmを加算した322mmに設定したので、排紙された記録用紙Pの先端位置が−25mmよりも排紙ローラ21a側にある場合は、排紙ローラ21aにかまれたまであり、記録用紙Pの逆送りが発生する。さらに、上述したように各記録用紙Pが排紙される位置は平均値を中心としてばらつく。したがって、本試験1では、そのばらつき分として20mmを考慮し、本試験1により得られる記録用紙Pの排紙位置の平均が−5mm以上となる場合(すなわち、記録用紙Pの後端が平均して排紙ローラ21aから20mm以上離れる場合)を、逆送りの可能性無し(逆送りOK)と判断し、記録用紙Pの排紙位置の平均が、−5mm未満である場合を、逆送りの可能性有り(逆送りNG)として判断することとした。
このようにして、各排紙速度について、スタック性および逆送りについて判定した結果を図6(a)にまとめた。図6(a)に示すように、A4サイズのゴールデンコピー用紙については、12インチ/秒且つ14インチ/秒以下の排紙速度が最適であることが見出された。図6(a)に示すように、排紙速度を12インチ/秒以上とすると排紙位置の平均が−5mm以上となるので、静電気力や摩擦力に拘わらず、記録用紙Pを確実に排紙ローラ21aから分離して排紙することができる。また、排紙速度を14インチ/秒以下とすることにより、記録用紙Pのスタック性が損なわれるのを抑制することができるのである。
次に、試験2として、L版(89mm×127mm、紙厚0.21mm)を用い、排紙する試験を行った。この試験2においても、記録用紙Pの後端縁が排紙ローラ21aの手前15mmとなるまで20インチ/秒で記録用紙Pを搬送し、記録用紙Pの後端縁が排紙ローラ21aの手前15mmを通過した後の排紙速度を変化させ、排紙位置の測定を行った。なお、排紙位置としては、排紙ローラ21aの位置Q2(図5参照)を基準位置0とし、搬送方向Bにおいて排紙ローラ21aから遠ざかる方向を+とし、搬送方向Bにおいて排紙ローラ21aに近づく方向を−として測定した。具体的には、排紙された記録用紙Pの左側後端縁と、右側後端縁の上記基準位置0からの搬送方向Bにおける位置を測定し、その平均をその記録用紙Pの排紙位置として決定した。
そして、排紙速度を変えて、各排紙速度について10回の試験を行い、その10回分の試験により得られた排紙位置の平均と、その標準偏差σを算出した。
図7(a)は、試験2の結果として算出された平均と標準偏差σとを示す表であり、(b)は(a)に示す標準偏差σを縦軸とし、排紙速度を横軸とした場合であって、グレーの線は、算出された標準偏差σの各点を通過するグラフであり、黒の線は、排紙速度と標準偏差σとの関係を多項式に近似して示すグラフである。(c)は(a)に示す平均を縦軸とし、排紙速度を横軸とした場合であって、グレーの線は、算出された平均の各点を通過するグラフであり、黒の線は、排紙速度と平均との関係を多項式に近似して示すグラフである。
図7(b)を参照すると、標準偏差σは、排紙速度が6インチ/秒を超えると急激に上昇していることが分かる。本試験2では、σが4.5mm未満である場合に、スタック性OKとし、σが4.5mm以上である場合、スタック性をNGとした。
一方、排紙位置の平均は、その排紙速度で排紙したときの記録用紙Pの平均的な後端位置を示す値である。本試験2においても、上記試験1と同様に、そのばらつきも考慮し、記録用紙Pの後端縁が、平均して、排紙ローラ21aの位置Q2から20mm以上離れている場合を、逆送り無し(逆送りOK)と判断し、記録用紙Pの後端縁が、平均して、排紙ローラ21aの位置Q2から20mm未満である場合を、逆送りの可能性有り(逆送りNG)として判断することとした。
このようにして試験した結果、L版の記録用紙Pについては、4インチ/秒且つ7インチ/秒以下の排紙速度が最適であることが見出された。排紙速度を4インチ/秒以上とすることにより、印刷速度低下を抑制することができ、排紙速度を6インチ/秒以下とすることにより、スタック性を良くすることができる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、本実施例では、ユーザ設定に基づいてサイズ、厚さを取得したが、記録用紙Pのサイズ、厚さの取得の方法は、これに限るものではない。例えば、記録ヘッド12よりも搬送方向Bの上流側において、キャリッジ13にセンサを搭載し、記録ヘッド12による印刷に先立って、そのセンサにより、記録用紙Pの厚さとサイズとを検出し、その検出結果に基づいて、排紙速度を決定するように構成してもよい。
また、本実施例では、記録用紙Pの厚さとサイズとに基づいて排紙速度を決定していたが、単に厚さに基づいて排紙速度を決定するように構成してもよい。
また、本実施例では、0.21mmを厚さの閾値とし、厚さがその閾値以上であるか閾値未満であるかに基づいて2種類の排紙速度のうちいずれか一方に決定していたが、複数個の閾値を設定し、さらにきめ細やかに排紙速度を決定するように構成してもよい。
また、本実施例では、A4サイズを基準とし、A4サイズ未満のものについては、4インチ/秒以上且つ7インチ/秒以下の排紙速度で排紙することとしたが、例えば、レターサイズを基準として、排紙速度を変更してもよい。詳細な試験結果の記載は省略するが、レターサイズで且つ厚さが0.21mm未満の記録用紙Pについても、排紙速度を12インチ/秒以上且つ14インチ/秒以下とすることにより、上述したA4サイズ且つ厚さが0.21mm未満の記録用紙Pと同様の効果が得られた。
また、A4サイズよりもサイズの大きい記録用紙Pについては、A4サイズの場合よりもさらに早い排紙速度で、記録用紙Pが排紙されるように設定されるように構成してもよい。
1 画像記録装置(印刷装置)
5 給紙カセット
12 記録ヘッド(印刷手段)
14 印刷位置
42 LFモータ(モータ)
20a 搬送ローラ
21a 排紙ローラ
300 CPU(ローラ制御手段)
P 記録用紙(記録媒体)
S18 厚さ判断手段
S20 サイズ比較手段
5 給紙カセット
12 記録ヘッド(印刷手段)
14 印刷位置
42 LFモータ(モータ)
20a 搬送ローラ
21a 排紙ローラ
300 CPU(ローラ制御手段)
P 記録用紙(記録媒体)
S18 厚さ判断手段
S20 サイズ比較手段
Claims (6)
- 記録媒体に対して印刷を行う印刷手段と、その印刷手段により印刷がされた記録媒体に接して回転することによりその記録媒体を排紙する排紙ローラと、その排紙ローラの回転を制御するローラ制御手段とを備えた印刷装置において、
前記ローラ制御手段は、厚さが所定の閾値未満である記録媒体は、厚さが所定の閾値以上である記録媒体に比較して高速で排紙されるように前記排紙ローラの回転を制御することを特徴とする印刷装置。 - 堆積された記録媒体を裁置可能な給紙カセットと、
その給紙カセットから記録媒体を給紙する給紙ローラと、
その給紙ローラにより給紙された記録媒体に接して所定の方向に回転することによりその記録媒体を搬送方向に搬送し前記印刷手段による印刷位置に送り込む搬送ローラと、
前記排紙ローラが記録媒体を排紙する方向に回転するとき前記搬送ローラが前記記録媒体を搬送する方向に回転するように、前記排紙ローラと前記搬送ローラとを同期させて回転させるモータとを備え、
前記ローラ制御手段は、前記給紙ローラが記録媒体を給紙する方向に回転する間、前記搬送ローラが記録媒体を搬送する方向の逆方向に回転するように前記モータを制御するものであることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。 - 前記モータは、前記排紙ローラと前記搬送ローラと前記給紙ローラとを回転駆動するものであることを特徴とする請求項2記載の印刷装置。
- 前記ローラ制御手段は、前記印刷手段による印刷が終了した記録媒体が、前記排紙ローラにより所定の第1速度で途中まで搬送され、その後、その記録媒体がその厚さに応じた排紙速度で排紙されるように前記排紙ローラの回転を制御するものであって、前記第1速度は、前記記録媒体の厚さに応じた排紙速度よりも速いものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の印刷装置。
- 前記排紙ローラに接触する記録媒体の厚さが前記閾値以上であるか否かを判断する厚さ判断手段と、
前記排紙ローラに接触する記録媒体の大きさを、A4サイズまたはレターサイズのいずれか一方と比較するサイズ比較手段とを備え、
前記ローラ制御手段は、前記排紙ローラに接触する記録媒体の厚さが前記閾値以上であり、且つ前記サイズ比較手段により大きさがA4サイズまたはレターサイズであると判断された場合、前記記録媒体が前記第1速度で途中まで搬送され、その後、その記録媒体が、12インチ/秒以上且つ14インチ/秒以下の排紙速度で排紙されるように前記排紙ローラの回転を制御することを特徴とする請求項4記載の印刷装置。 - 前記ローラ制御手段は、前記厚さ判断手段により前記記録媒体の厚さが前記閾値以上であると判断され、または前記サイズ比較手段により前記記録媒体の大きさがA4サイズまたはレターサイズより小さいと判断された場合、前記記録媒体が前記第1速度で途中まで排紙され、その後、その記録媒体が、4インチ/秒以上且つ6インチ/秒以下の排紙速度で排紙されるように前記排紙ローラの回転を制御することを特徴とする請求項5記載の印刷装置。
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