次に、本発明を具体化した実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態である多機能型の画像記録装置1の全体斜視図、図2は上部ケースを除去した本体ケースの斜視図、図3は上部ケースを除去した本体ケースの平面図、図4は画像記録部と給紙カセットと給紙ユニット部分の要部側断面図、図5は記録部ユニットの要部側断面図、図6は給紙ユニットの側面図、図7は記録ユニットに給紙カセットを装着した状態の一部切欠き平面図、図8は下流側のガイドプレート及びプラテンを除いた状態の記録部ユニットの斜視図、図9は図7のIX−IX線矢視側面図、図10は動力伝達切換え手段の説明図、図11は各作業モード時の作用説明図、図12(a)〜(b)は精密(間欠給紙)記録モード時の作用説明図、図13(a)〜(c)及び〜図14(a)〜(b)は連続給紙記録モード時の作用説明図、図15は制御装置の機能ブロック図、図16及び図17は制御のフローチャートである。
図1に示す多機能型の画像記録装置1は、ファクシミリ機能、プリンタ機能、複写機能、スキャナ機能等を備えている。多機能装置(Multi Function Device )である画像記録装置1は、上面開放の略箱状の本体ケース2と、この本体ケース2の一側(図1の実施形態では左側)に対して、蝶番、ヒンジ部等の回動軸線部(図示せず)を介して上下回動可能に枢着された上部ケース3とを有する。なお、以下の説明において、図1の画像記録装置1の手前側を前側とし、左右方向(主走査方向、Y軸方向)や、前後方向(副走査方向、X軸方向)、上下方向に関しても図1の画像記録装置1の向きを基準に説明する。本体ケース2及び上部ケース3は合成樹脂製の射出成形品である。
上部ケース3の上面前部には操作パネル30が配置されている。操作パネル30には、数字ボタンやスタートボタン、機能操作ボタン等の各種のボタンが設けられており、これらのボタンを押下することにより、各種の操作が行われる。操作パネル30には液晶(LCD)等のディスプレイ部31が設けられ、画像記録装置1の設定状態や各種の操作メッセージ等が必要に応じて表示される。
上部ケース3には、操作パネル30の後部側にスキャナ装置(画像読取部)33が配置されている。即ち、ファクシミリ機能時に相手ファクシミリ装置に送信すべきファクシミリ原稿や、複写機能時に複写すべき原稿の画像を読取るためのスキャナ装置33は、大判のガラス板上の原稿の画像を読取るフラットベッド読取部と、このフラットベッド読取部の上面を覆う回動可能なカバー体34とからなる。
図示しないが、フラットベッド読取部におけるガラス板の直下には、ガラス板に当接させた原稿の画像面を読取るための光電変換素子の一例としてのライン型の密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)が、後述するキャリッジの移動方向(主走査方向、Y軸方向)と平行な方向に延びるガイド軸に沿って往復移動可能に設けられている。
なお、カバー体34は、画像記録装置1の背面側(図1の奥側)を中心にしてヒンジを介して開閉回動可能に構成されている。
本体ケース2に対して上部ケース3を、図1の左側端部を中心にして上向きに大きく開くことができ、且つその開いた姿勢を保持するための開き姿勢保持手段として、上部ケース3の下面側の一側(画像記録装置1の背面側に近い部分)には、前記イメージセンサの移動方向と平行であってその方向に延びるように案内溝孔を有するガイドレール(図示せず)を固定し、本体ケース2における回動軸線部から遠い側にて基端を回動可能に枢着させた支持棒(図示せず)の先端(上端)のガイドピンをガイドレールに移動可能に嵌挿する。そして、案内溝孔のうち回動軸線部から遠い側にて上向きに切欠き形成された係合部(図示せず)に前記ガイドピンが嵌まった状態で、上部ケース3を本体ケース2に対して所定の大きい開き角度で保持できるように構成するものである。
次に、プリンタ装置(記録部)の構成について説明する。図1に示すように、本体ケース2内の左右方向中央部には、その底部に複数枚の被記録媒体としての用紙Pをほぼ水平状にて堆積状態で載置する給紙カセット5が配置され、この給紙カセット5は本体ケース2の前面の開口部2aに対して引き出し動可能に構成されている。給紙カセット5の先端に設けられた分離傾斜面8には、摩擦係数の大きい分離部材(図示せず)が配置されている。
さらに、本体ケース2内には、給紙カセット5より上部に給紙ローラ7を備えた給送手段としての給送ユニット6と、本体ケース2内の後端部で上向きU字状のUターン搬送路9を介して前向きほぼ水平状に用紙Pを搬送する搬送経路と、この搬送経路中に配置された平板状の用紙支持部としてのプラテン11上の用紙Pの表面にインクを吐出して画像記録するインクジェット方式の記録ヘッド12を備えた記録部ユニット10とが配置されている(図2、図3及び図4参照)。
カラー記録用の記録ヘッド12にインクを供給するためのインクカートリッジ26は、本体ケース2内であって、前記回動軸線部を有する側面板と対峙して最も離間した位置の側面板の内面に接近した位置の収容部27(図3参照)に対して上方から着脱可能に構成されている。インクカートリッジ26は、複数色毎のインクが収納されており、実施形態ではブラック、シアン、マゼンタ、イエローの四色であるが、それ以上の色のインクを収納しても良い。各インクカートリッジ26から記録ヘッド12へは可撓性を有するインクチューブ28を接続してインク供給する。
図2〜図5に示すように、記録部ユニット10は記録ヘッド12を有するキャリッジ13、合成樹脂製の板状のプラテン11、キャリッジ13を往復移動させるためのCR(キャリッジ)モータ24及びこのCRモータ24に接続されたタイミングベルト25、並びにこれらを支持するための金属板製のエンジンフレーム39を主体として構成されている。エンジンフレーム39は本体ケース2の後部側であって給紙カセット5の上方に配されている。支持フレームとしてのエンジンフレーム39は金属製であって、図2〜図5に示すように箱型をなす本体部39aの上部側に本体ケース2の左右方向(主走査方向、Y軸方向)に伸びて、キャリッジ13を摺動可能に支持する一対のガイドプレート40、41を装着してなる。
用紙給送方向(図1及び図3の矢印A方向参照)の下流側に配置されたガイドプレート41の上面には、主走査方向(Y軸方向)に延びるように配置されたタイミングベルト25がプーリ25a,25bに巻回されている。このタイミングベルト25の一部に記録ヘッド12が搭載されたキャリッジ13を連結する。
ガイドプレート41のう上面には、その長手方向(主走査方向)に沿って延びるようにリニアエンコーダ(エンコーダストリップ)37が配置されて、キャリッジ13のY軸方向(主走査方向)の位置やその移動方向を検知する。この帯状のリニアエンコーダ(エンコーダストリップ)37は検査面(Y軸方向に一定間隔で配置されたスリットの形成面)が垂直方向に沿うように配置されている。
エンジンフレーム39の本体部39aには、駆動軸14及び給送ユニット6の給紙アーム6a(請求項でいうアーム体に相当する)が回動自在に軸止されるとともに記録ヘッド12の下面と対向して用紙Pを支持するための平板状のプラテン11が配置されている。ここで、記録ヘッド12の下面とプラテン11との間を本願の請求項にいう画像記録部とする。そして、付勢手段であるねじりバネ38(図6参照)により、給紙アーム6aが常時下向き回動方向に付勢されている。給送ユニット6の給紙アーム6aには、図4に示すように、駆動軸14から給紙ローラ7に回転力を伝達するための複数の噛み合い歯車からなる歯車伝動機構50が配置されている。
また、プラテン11を挟んで搬送方向上流側に配置されて用紙Pを記録ヘッド12の下面である画像記録部に送るためのレジストローラ(搬送ローラ)対20のうち、駆動ローラ20aの両端部と、プラテン11よりも搬送方向下流側にて配置され、記録済みの用紙Pを排紙部に向かって(図1及び図4の矢印B方向参照)搬送するための排紙ローラ対21のうち、駆動する排紙ローラ21aの両端部とが、エンジンフレーム39における一対の側板39b,39cに設けられた軸支部に回転可能に軸支されている。上記搬送される用紙Pは、その上面側に位置する駆動ローラ20aと、下面側に位置する従動ローラ20bと間にニップ(挟持)される。また、排紙ローラ対21における駆動する排紙ローラ21aは排出される用紙Pの下面に当接し、拍車21bは用紙Pの上面に当接するようにしてニップ(挟持)する。
搬送される用紙Pの幅(用紙Pの短辺)より外側には、その一端側(実施形態では、エンジンフレーム39の本体部39aで、用紙Pの給送方向から見て左側の側板39bに近い部位)にインク受け部35が、また、他端側(右側の側板39cに近い部位)にメンテナンスユニットからなるメンテナンス部36がそれぞれ配置されている。これにより、記録ヘッド12はインク受け部35に設けられたフラッシング位置にて記録動作中に定期的にノズルの目詰まり防止のためのインク吐出を行い、インク受け部35にてインクを受ける。
そして、上記駆動ローラ20a、排紙ローラ21a及びメンテナンス部36には、当該メンテナンス部36の配置側と反対側の側板39b近傍に配置された1つの共通駆動モータ(LFモータ)42からの動力を所定の歯車伝動機構43を介して伝達される(図7、図9及び図10参照)。図9及び図10に示すように、歯車伝動機構43は、正逆回転可能な(用紙搬送用)LFモータ42の駆動軸に取付けられたピニオン43aと、これに左右で噛合う伝動ギヤ43b及び中間ギヤ43cと、この中間ギヤ43cに噛合う伝動ギヤ43dとからなり、伝動ギヤ43bはレジストローラ対20における駆動ローラ20aの一側(左端部)に取り付けられている。他方の伝動ギヤ43dは排紙ローラ対21における排紙ローラ21aの一端(左端部)に取付けられている。レジストローラ対20の配置位置よりも搬送上流側には、用紙PがUターン搬送路9を介して画像記録部に近づくように給紙されたときに、その用紙Pの先端位置及び終端位置を検出するための用紙検出体116が設けられており(図5参照)、これに関連させて用紙センサとしてのレジセンサ117が設けられている。
また、実施形態では、DCモータであるLFモータ42からの回転力が、レジストローラ対20における駆動ローラ20aの他端部から、後述するメンテナンス部36上に配置された動力伝達切換え手段100を介して給送ユニット6の給紙ローラ7及びメンテナンス部36のメンテナンス機構(詳細は図示せず)に対して選択的に動力伝達される。
なお、上述したように、駆動ローラ20aと排紙ローラ21aとは、用紙搬送経路を挟んで上下に位置するので、LFモータ42の所定方向の回転駆動により、駆動ローラ20aと排紙ローラ21aとは、互いに逆向きに回転することになる。
また、歯車伝動機構43の一部には、搬送ローラ対20aによる用紙Pの搬送量を検知するためのロータリエンコーダ44が設けられている。CRモータ24及びLFモータ42は共に正逆回転可能に構成されている。
なお、記録ヘッド12のノズル面による画像記録領域より下流側であって、排紙ローラ対21との間の部位には、プラテン11の上面に近接させた部位に、拍車51を配置する(図5参照)。これにより、画像記録済の用紙Pが浮き上がってノズル面に摺接せず、インクの汚れで画像品質を悪化させないようにしている。
次に、図8、図10及び図11を参照しながら、給送ユニット6及びメンテナンス部36に対するそれぞれの駆動力の動力伝達部及び動力伝達切換え手段100の構成について説明する。動力伝達切換え手段100は、メンテナンス部36のみに動力伝達するメンテナンスモードと、給送ユニット6における給紙ローラ7の駆動態様を間欠給紙モードと連続給紙モードとに切り換えるものである。なお、本実施形態において「モード」とは、動力伝達切換え手段100によって切り換えられない限り、継続される動作状態のことをいうものとする。
上述したように、正逆回転可能なLFモータ42からの回転力は、減速ギヤ43bを介してレジストローラ対20における駆動ローラ20aに伝達される。駆動ローラ20aの右端部(メンテナンス部36)には、動力伝達切換え手段100における1つの長い駆動ギヤ101が一体的に回転するように設けられている。この駆動ギヤ101に常時噛み合う1つの切換えギヤ102は、駆動ローラ20aの軸線と並行状に配置された支軸103に対してスライド可能に構成されている。また、支軸103には、上向きに延びる当接片104aを備えた第1ブロック104が摺動且つ回動可能に被嵌されている。第1ブロック104に隣接する第2ブロック105は支軸103に対して摺動可能に被嵌されている。第1ブロック104は切換えギヤ102の片面に対して切り離し可能である。
支軸103に被嵌される等した第1付勢ばね106aは第2ブロック105を図10の矢印C方向に押圧し、第2付勢ばね106bは切換えギヤ102を図10の矢印E方向に押圧する。その場合、第1付勢ばね106aの付勢力が第2付勢ばね106b力より大きいように設定されている。そして、キャリッジ13における第1係合段部13aまたは第2係合段部13bで当接片104aを受けることができ、キャリッジ13の矢印C方向または矢印E方向への移動に応じて、これら切換えギヤ102、第1ブロック104、第2ブロック105を支軸103に沿って摺動させ、矢印C方向または矢印E方向へ移動させる構成である。第1ブロック104と第2ブロック105との対面箇所には、支軸103の軸線に対して傾斜する等した端面カム部(図示せず)が形成されており、第2ブロック105で第1ブロック104を矢印C方向に押すとき、図10において矢印D方向(図11においては紙面の手前側)に当接片104aが回動するように構成されている。
図11(a)に示すように、第1ブロック104より上方位置には、当接片104aの先端部が上下に貫通して摺動可能なガイド溝109を有するプレート状等のガイドブロック107が配置されている。このガイド溝109は、平面視である図11(b)に示すように、矢印C、E方向に長い直線溝部109aと、この直線溝部109aの左端部に連通する時計回りの環状溝部109bとを備える。実施形態では、ガイドブロック107の上方から下向きに延びる規制片110を環状溝部109bの中央部に臨ませてある。この規制片110は、直線溝部109aに沿っている。そして、環状溝部109bの一側には、階段状の第1セット部111と第2セット部112とが設けられている。
図11(b)に示すように、キャリッジ13がメンテナンス部36から矢印C方向に大きく移動して、用紙Pに対する記録領域にあるときには、第1付勢ばね106aで矢印C方向に押された第2ブロック105を介して第1ブロック104及び切換えギヤ102が支軸103に沿って移動する。そして、第1ブロック104における当接片104aは、第1セット部111に位置する。この位置をポジション1(Po1)という。このとき、切換えギヤ102は、間欠給紙伝動ギヤ113に噛合う。次いで、キャリッジ13がメンテナンス部36で矢印E方向に移動するとき、キャリッジ13における第1係合段部13aにて当接片104aが押される。この当接片104aが第2セット部112に位置するとき(ポジション2、Po2)、切換えギヤ102は、連続給紙伝動ギヤ114に噛合う。キャリッジ13がさらに矢印E方向に移動するとき、第1係合段部13aにて押された当接片104aが環状溝部109bにおける直線溝部109aへの連接傾斜面に沿って移動する。当接片104aが直線溝部109aに入った初期箇所(この位置をポジション3(Po3)という)では、当接片104aはキャリッジ13における第2係合段部13bに係合している。そしてこのとき、切換えギヤ102は、メンテナンス用伝動ギヤ115に噛み合っている。切換えギヤ102、間欠給紙伝動ギヤ113、連続給紙伝動ギヤ114及びメンテナンス用伝動ギヤ115はそれぞれ平歯車であるが、メンテナンス用伝動ギヤ115の側面には大径の傘歯車115aが一体的に回転するように設けられている。上記ポジション3(Po3)から、キャリッジ13が矢印E方向にさらに移動するとき、切換えギヤ102の側面が傘歯車115aに当接して矢印E方向への移動が阻止されて第1ブロック104から切り離され、切換えギヤ102はメンテナンス用伝動ギヤ115との噛み合いが保持される。当接片104aはキャリッジ13における第2係合段部13bに押され、直線溝部109aの終端部(図12(b)の右端部)に位置する。この位置をポジション4(Po4)といい、通常、ホームポジション(原点位置)となる。
前記と逆にポジション4(Po4)からキャリッジ13が矢印C方向に移動し、当接片104aが直線溝部109aから環状溝部109bに移行するとき、第1係合段部13aにて当接片104aが受け止められているので、上記連接傾斜面に当接片104aが入り込まず、当接片104aは規制片110に摺接しながら図11(b)で環状溝部109bの左傾斜面に沿って左端部に至り、第1セット部111に当接片104aが係合するというように循環的に移動できる構成である。
上記のポジション3(Po3)は、待機位置兼用のメンテナンス位置とする。待機位置兼用のメンテナンス位置では、メンテナンス部36におけるキャップ部36aが記録ヘッド12のノズル面を下方から覆っている。LFモータ42が駆動し、吸引ポンプ(図示せず)を作動させてノズルからインクを選択的に吸引したり、記録ヘッド12上の図示しないバッファタンク内の気泡を除去するための回復処理等を行う。なお、キャリッジ13がメンテナンス部36から画像記録領域(図7の左方向)に横方向に移動するとき、クリーナ(ワイパブレード)36bでノズル面を拭いてクリーニングを行うものである。なお、画像記録装置1に電源投入されていない状態では、キャリッジ13はメンテナンス部36の上面位置にて停止しており(ポジション3(Po3))、キャリッジ13における記録ヘッド12のノズル部はメンテナンス部36の上面のキャップ部36aにて密着されて覆われている(図7参照)。なお、ホームポジション(原点位置)でも、ノズル部はキャップ部36aに密着されて覆われている。
切換えギヤ102が間欠給紙伝動ギヤ113に噛合うポジション1(Po1)では、図12(a)及び図12(b)に示すように、2つの中間ギヤ119a、119bを介して給紙アーム6a基端における駆動軸14に動力伝達され、歯車伝動機構50を介して給紙ローラ7を回転させるように構成されている。
他方、切換えギヤ102が連続給紙伝動ギヤ114に噛合うポジション1(Po1)では、図13(a)〜図13(c)及び図14(a)に示すように、1つの中間歯車120を介して給紙アーム6a基端における駆動軸14に動力伝達され、歯車伝動機構50を介して給紙ローラ7を回転させるように構成されている。
次に図15を参照して、この画像記録装置1の制御部(制御手段)について説明する。この制御部は、画像記録装置1の全体的な動作を制御するものである。
この制御部は、CPU300、ROM301、RAM302、EEPROM303を中心とするマイクロコンピュータとして構成され、バス305を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit )306に接続されている。
ROM301には、インクジェットプリンタの各種動作を制御するプログラム等が格納されおり、RAM302は、CPUがこれらのプログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域として、また作業領域として用いられる。
ASIC306にはNCU(Network Control Unit)317が接続されており、公衆回線からNCU317を介して入力された通信信号はMODEM318によって復調されてからASIC306に入力される。また、ASIC306がファクシミリ送信等で画像データを外部へ送信する場合には、その画像データがMODEM318によって通信信号に変調され、その通信信号がNCU317を介して公衆回線に出力される。
また、ASIC306は、CPU300からの指令に従い、例えばLFモータ42に通電する相励磁信号等を生成して、これらの信号をLFモータ42の駆動回路311やCRモータ24の駆動回路312に与え、駆動回路311や駆動回路312等を介してLFモータ42やCRモータ24に駆動信号を通電し、LFモータ42やCRモータ24の正逆回転、停止等の制御を行っている。
更に、ASIC306には、原稿の画像や文字を読み取るための、スキャナ装置33(例えば、CISなど)、送受信操作のための操作パネル30のキーボード30aや液晶ディスプレイ(LCD)30bを備えたパネルインターフェース313、パソコンなどの外部機器とパラレルケーブルやUSBケーブルを介してデータの送受信を行うためのパラレルインターフェース315やUSBインターフェース316、などが接続されている。
更に、ASIC306には、メンテナンス部36のカム(図示せず)の回転位置を検出するためのリーフスイッチ118、用紙PがUターン搬送路9を介して画像記録部に近づくように給紙されたときに、その用紙Pの先端位置及び終端位置を検出するためにUターン搬送路9の搬送下流側に位置する用紙検出体116に関連させて設けられたレジセンサ117、駆動ローラ20aの回転量を検出するためのロータリエンコーダ44、キャリッジ13の主走査方向での移動量及び移動位置(現在位置)を検出するためのリニアエンコーダ37等が接続されている。
駆動回路314は、記録ヘッド12から所定のタイミングでインクを用紙Pに対して選択的に吐出させるためのものであり、CPU300から出力される駆動制御手順に基づきASIC306において生成され出力された信号を受けて、記録ヘッド12を駆動制御する。
次に、図16のフローチャートを参照しながら、上述の制御手段による用紙給紙及び画像記録の制御について説明する。より詳しくは、用紙(カットシート)の給紙態様を第1モードと第2モードとに切換える制御であり、第1モードでは、複数枚の用紙への画像記録に際して、給紙カセット5から用紙を間欠的に給紙するモードであり、画像記録の良好な精度を優先するモードでもある。他方、第2モードでは、複数枚の用紙への画像記録に際して、給紙カセット5から用紙を連続的に給紙するモードであって、複数枚の用紙を高速度で給紙するモードでもある。
画像記録装置1に電源投入され、制御がスタートする。次に、ユーザが操作パネル30でのモード設定ボタン(図示せず) を押すことにより、第1モードか第2モードの何れかを選択すると、制御部は設定モードを確認する(S1)。第1モードでは、カラー写真画像などのカラー記録(印刷)であって、多色のインクを微小ドットで用紙に記録させるとき、レジストローラ対20の箇所で、搬送される用紙Pの先端縁を一旦停止させて用紙Pの斜行を無くすると共に、用紙Pの搬送位置と記録ヘッドでの印刷位置と合わせすることで、色ずれ、色むら度が発生しないように写真用の用紙などに印刷するものである。
次いで、精度優先モード(間欠給紙モード)であるか否かを判別し(S2)、精度優先モードであるときには(S2:yes )、フラグを第1モードに切り換え、即ちRAM302内の所定領域に第1モードを示すフラグを記憶させ(S3)、動力伝達切換え手段100を第1モードに設定する(S4)。そのためには、上記の待機位置(ポジション3(Po3))に停止しているキャリッジ13を図11(b)に示すように矢印C方向であって画像記録領域側に大きく移動させる。これにより、付勢ばね106aで押されている第1ブロック104は、環状溝109bの規制片110に沿って矢印C方向に移動し、キャリッジ13が環状溝109bから外れると、第1セット部111に受け入れられて位置保持される(ポジション1(Po1))。この状態では、切換えギヤ102が給紙側ギヤ113に噛合い、図12(a)に示す中間歯車119a,119bを介して給送ユニット6の駆動軸14の歯車に動力伝達されるように連結している。この状態で、LFモータ42を逆回転させると、レジストローラ対20の駆動ローラ20a及び切換えギヤ102が逆回転(図12(a)で反時計回り回転)する。従って、給紙アーム6a内の歯車伝動機構50を介して給紙ローラ7は給送方向(図12(a)で反時計回り、正回転)に回転駆動する。それにより、給紙カセット5に堆積された複数枚の用紙Pを給紙カセット5の先端に設けられた分離傾斜面8における摩擦係数の大きい分離部材(図示せず)に突き当て、最上層の用紙Pのみ(1枚の用紙P)を分離してUターン搬送路9に給送する(S5)。このとき、レジストローラ対20の駆動ローラ20aが逆回転(図12(a)で反時計回り回転)しているので、従動ローラ20bと駆動ローラ20aとのニップ部に用紙Pの先端縁を突き当てて斜行を補正するというレジスト作用を受けさせることができる。
次いで、図12(b)に示すように、LFモータ42を適宜ステップ数だけ正回転させて、レジストローラ対の駆動ローラ20a及び切換えギヤ102を正回転(図12(a)で時計回り回転)させ、従動ローラ20bと駆動ローラ20aとのニップ部で挟持された用紙Pは給紙カセット2の下方に搬送される(頭出し動作)。頭出し動作とは、レジストローラ対20で挟持された用紙Pの先端が、用紙検出体116の箇所を通過してから、画像記録部の所定位置まで前進させて画像記録の開始可能位置にセットすることをいう。このとき、給紙ローラ7は給紙方向と反対方向に逆回転(図12(b)で反時計回り回転)するが、レジストローラ対20でのニップ力を給紙カセット5の箇所での給紙ローラ7による搬送力(付勢ねじりばね38による給紙ローラ7の用紙への押圧力等による給紙ローラ7の用紙への食いつき力)よりも大きく設定することで、レジストローラ対20でニップされた用紙Pは給紙ローラ7の周面に対して滑り、給紙アーム6aは駆動軸14を中心にして上向き揺動するというリリース作用が働くことになる。
続いて、図示しない外部コンピュータ等から画像記録指令があると、用紙Pを間欠的に前進させながら、キャリッジ13を主走査方向に往復移動させつつ記録ヘッド12のノズルから用紙Pの片面(表面)にインクを吐出させて画像記録を開始する(S6)。用紙Pを間欠的に前進させるときは、レジストローラ対20及び排紙ローラ対21は同方向に回転(正回転)している。また、頭出し動作時及び画像記録のときには、駆動軸14が逆回転することにより、給紙アーム6aが上向き回動すると共に給紙ローラ7は逆回転(図6において、反時計廻りに回転)している。
1枚分の記録が終了すると(S7:yes )、その画像記録済みの用紙Pの排紙を開始する(S8)。その場合、レジストローラ対20及び排紙ローラ対21を連続的に正回転させるべくLFモータ42を適宜ステップ数だけ正回転させた後(S9:yes )、LFモータ42を停止する(S10)。
次いで、後続する用紙(次頁)に対する画像記録データが有か否かを判別し(S11)、画像記録データが有りの場合(S11:yes )、ステップS5からS11までの処理を繰り返す。このようにして、1枚ずつ用紙Pを画像記録部に給紙して、カラー写真のような精密な画像記録処理が実行できるのである。
上述のように、ポジション1(Po1)では、第1付勢ばね106aにて矢印C方向に付勢されている当接片104aは第1セット部111に位置保持でき、同様に、ポジション2(Po2)では、第1セット部111より一段低い第2セット部112に当接片104aは位置保持できるので、このように、一旦、当接片104aが所定位置に保持された後は、キャリッジ13を画像記録領域に戻して画像記録動作に専念できる。従って、従来のように、レジスト作用時の毎に、キャリッジ13を画像記録領域から外れた動力伝達切換え手段100に移動させる必要がなく、精密記録(間欠給紙)モード時の画像記録動作が全体的に迅速できる。
次に、第2モードの場合について説明すると、ステップS2において、第1モードでないと判断されたとき(S11:no)、フラグを第2モードにセットし、即ちRAM302内の所定領域に第2モードを示すフラグを記憶させ(S12)、動力伝達切換え手段100を第2モードに設定する(S13)。第2モードは、画像記録動作において、画質を重視するのではなく、画像記録速度を優先するため、複数枚の用紙Pを給紙カセット5から連続的に給送するものである。そのために、従動ローラ20bと駆動ローラ20aとのニップ部でのニップ力が、給紙ローラ7で給紙カセット5上の用紙Pを搬送する搬送力より大きく、且つ駆動ローラ20aの周速度が給紙ローラ7の周速度より大きくなるように設定されている。例えば、連続給紙伝動ギヤ114と中間歯車10との減速比により設定する。
そして、上記のポジション1(Po1)に停止しているキャリッジ13を図11(b)に示すように矢印E方向に所定量だけ移動させる。これにより、キャリッジ13における第1係合段部13aにて当接片104aが押される。この当接片104aが第2セット部112(ポジション2、Po2)に位置するとき、切換えギヤ102と連続給紙伝動ギヤ114とが噛み合い、1つの中間ギヤ120を介して給紙アーム6aの基端の駆動軸14の歯車に動力伝達される。その後は、キャリッジ13を矢印C方向(画像記録領域)に移動させても、第1付勢バネ106aにて付勢されている当接片104aは低い段部である第2セット部112に位置した状態を保持することができるのである。
記録紙(用紙P)の給紙を開始すべく、LFモータ42を正回転させると、レジストローラ対の駆動ローラ20a及び切換えギヤ102を正回転(図13(a)に示すように時計回り回転)させ、且つ給紙ローラ7も給紙方向に正回転させる。従って、最上層の用紙Pのみ(1枚の用紙P)を分離してUターン搬送路9に給送する(S14)。次いで、その用紙Pの先端部が駆動ローラ20aと従動ローラ20bとのニップ部に到達すると、レジスト作用を受けることなく、直ちにこのニップ部で挟持されて給紙カセット2の上方に搬送され(図13(b)参照)、最初の用紙Pへの画像記録が開始される(S15)。なお、第2モードでは、レジセンサ17からの出力信号(ON・OFF信号)をASIC306が受け付けないようにすることが好ましい。
1枚の用紙Pが駆動ローラ20aと従動ローラ20bとのニップ部で挟持され、且つ給紙ローラ7の箇所でもニップされているとき(図13(b)に示すように、両方のニップ部に跨がって用紙Pが位置しているとき)であっても、上述のように、従動ローラ20bと駆動ローラ20aとのニップ部でのニップ力が、給紙ローラ7で給紙カセット5上の用紙Pを搬送する搬送力より大きく、且つ駆動ローラ20aの周速度が給紙ローラ7の周速度より大きく設定されているので、レジストローラ対20である駆動ローラ20aと従動ローラ20bとのニップ部で挟持された用紙Pは確実に画像記録部に搬送させることができるのである。
次いで、上記外部装置からの次頁(後続する用紙)有りのコマンドを受信し(S16:yes )、さらに、先行する用紙Pの画像記録が終了すると(S17:yes )、現在のフラグが第1モードか第2モードかを判別し(S18)、フラグが第2モードの場合(S18:第2)、LFモータ42を続いて連続的に正回転させて、駆動ローラ20a、排紙ローラ21a及び給紙ローラ7を正回転させる。これにより、先行する用紙P(前頁)を排紙すると共に、次の記録紙(後続する用紙)を記録開始位置に搬送し(S19)、次頁の記録紙(後続する用紙)に対する画像記録を開始するように、ステップS15に戻るのである(図13(c)参照)。このようにして、レジストローラ対20の箇所で用紙Pを一時停止させることなく、複数枚の用紙Pを連続的に給紙、搬送を実行するので、高速記録動作が可能となる。
連続給紙動作(第2モード)中において、次の記録紙(後続する用紙)に対する画像記録データが存在しない場合の次記録紙処理制御について説明する。この処理では、後続する用紙の先端部位置が用紙検出体116の先端部による判別位置を越えて搬送方向下流側に位置するとき、もしくは、後続する用紙Pの先端部が既にレジストローラ対20により挟持されているときは、排紙側に搬送し、逆に、後続する用紙Pの先端部がレジセンサ(用紙センサ)117で検出されない搬送方向上流側に位置するときには、その後続する用紙Pを給紙カセット5に戻す処理を行うものである(図14(a)、図14(b)、図16及び図17参照)。
後続する用紙Pに対する画像記録データが存在しない場合に、その後続する用紙Pが存在している搬送路9の途中で停止させたままにしておくと、特にUターン状の搬送路9ではその湾曲通路に沿った曲がり癖が用紙Pについてしまうので、次の記録の機会にそのまま搬送すると、記録ヘッド12とプレート11との間に入り込むときに紙ジャムが発生したり、記録ヘッド12のノズル面に対する用紙Pの表面とのギャップが小さ過ぎたり、接触するなどの不都合が発生する。そこで、このような不都合を回避するため、用紙Pの先端部位置が用紙検出体116の先端部による判別位置を越えて搬送方向下流側に位置するとき、もしくは、後続する用紙Pの先端部が既にレジストローラ対20により挟持されているときは、排紙部側に用紙Pを排出させる。このようにすれば、排出された用紙Pを再度給紙カセット5に堆積させて再使用するこことも可能となる。
他方、後続する用紙Pに対する画像記録データが存在しない場合であって、後続する用紙Pの先端部がレジセンサ117で検出されない搬送方向上流側に位置するときには、葉書などの寸法の短い用紙Pでない限り、その後続する用紙Pの後部は、未だ給紙ローラ7と給紙カセット5に堆積させている最上位置の用紙Pとで挟持されていることになるので、搬送路9に出ている用紙Pの寸法が短く、給紙カセット5に戻す処理を行ったほうが時間的に迅速に処理できるからである。
ステップS16において、次頁有りのコマンドを受信しなかった場合(S16:no)、即ち、後続する用紙Pに対する画像記録データが存在しない場合、画像記録部に位置する用紙P(記録紙)を印字行で3パス程度の所定量だけ、排紙方向に搬送する(S20)。この所定量搬送が済むと(S20:yes )、フラグを第1モードに切り換える(S21)。これにより、キャリッジ13に移動の指令が出されて、動力伝達切換え手段100を第1モード(ポジション1)に設定切換えを行う。この状態で、画像記録部に位置する用紙Pに対する画像記録を実行する(S17)。その画像記録動作が終了すると(S17:yes )、現在のフラグの状態を問う(S18)。
ステップS18においてフラグが第1であると判別されたとき(S18:第1)、次記録紙(後続記録紙)処理制御を実行する(S30)。その詳細な制御は、図17のフローチャートに示す。まず、連続給紙動作中において、先行する記録紙(用紙P)の1頁分の画像記録が終了した時点で、レジセンサ117がON(後続する用紙Pの先端部が用紙検出体116の箇所を越えたときに相当)であるか否かを判別する(S31)。レジセンサ117がOFFの場合(後続する用紙Pの先端部が用紙検出体116まで到達していない場合、図14(a)参照)(S31:no)には、その後続する用紙Pを給紙カセット5に戻すために、給紙ローラ7を逆回転させる(S32)。一方、先行する用紙Pは画像記録が終了しているので、排紙部側に排出するため、レジストローラ対20及び排紙ローラ対21は正回転するものである。
即ち、上記の場合には、キャリッジ13をメンテナンス部方向(図11(b)の矢印E方向)に移動させ、当接片114aをポジション1(Po1)に位置させている(S21,S22参照)。このポジションでは、上述の間欠給紙動作時と同じように、切換えギヤ102が間欠給紙伝動ギヤ113に噛み合い、間欠給紙伝動ギヤ113から中間歯車119a,119bを介して給紙アーム6aの給紙ローラ7に回転力が伝達される。そして、LFモータ42を正回転させると、レジストローラ対20の駆動ローラ20a及び排紙ローラ対21の駆動ローラ21aは正回転するので、先行する用紙Pは排紙部側に搬送される一方、給紙ローラ7は逆回転するので、給紙ローラ7を所定量回転させた(S33)後、停止させる(S34)と、後続する用紙P1は給紙カセット5の堆積位置に戻る(図14(a)参照)。
上記のように、後続する用紙Pの前半部(搬送下流側部位)がUターン搬送路9に位置し、且つその用紙Pの後半部(搬送上流側部位)が給紙カセット5側に位置している状態では、用紙Pを給紙カセット5に戻した方が処理時間が短くて済み、且つ記録されていない用紙Pが画像記録部を経て排紙部に排出されると、その用紙Pを再度給紙カセット5にセットする手間が掛かることを無くするためである。
レジセンサ117がON(後続する用紙Pの先端部が用紙検出体116の箇所を越えたときに相当)の場合(S31:yes )、LFモータ42を逆回転させ、給紙ローラ7を正回転(駆動ローラ20aは逆回転)させ(S35)、所定量だけ回転させて(S36)、上記後続する用紙P1の先端縁をレジストローラ対20に当ててレジスト作用を受けさせる。この状態で一旦LFモータ42を停止し、駆動ローラ20a及び給紙ローラ7の回転を止める(S37)(図14(b)参照)。続いて、LFモータ42を正回転させることで、駆動ローラ20a及び排紙ローラ21aを正回転させて用紙Pを排紙させる。この状態では、給紙ローラ7は逆回転しているので(図14(b)参照)、給紙ローラ7を所定量だけ正回転させると(S39)、上記の後続用紙P1のさらに後続する用紙P2を給紙カセット5方向に戻すことができるのである。
なお、図13(b)に示すように、給紙カセット5に堆積された用紙Pに対する給紙ローラ7の接触点(請求項にいう繰出し位置)からレジストローラ対20のニップ位置までの、Uターン搬送路9に沿った距離をL1とし、上記接触点(請求項でいう繰出し位置)から分離傾斜面8における分離部材までの距離をL2とする。連続的給紙動作の場合には、先行する用紙Pの終端縁が給紙ローラ7との接触点から外れた瞬間に、後続する用紙P1が給紙ローラ7の回転により給紙搬送されることになるから、上記の距離L2は先行する用紙Pと後続する用紙P1との搬送方向に沿ったラップ量(重なり量)となる。しかし、L2とL1との差を所定値よりも長く採るように設定し、且つ駆動ローラ20aの周速度V1と給紙ローラ7の周速度V2(V1>V2)との差(V1−V2)を所定値以上になるように設定すれば、先行する用紙Pの終端縁がレジストローラ対20のニップ位置から搬送方向下流側に抜けるとき、後続する用紙P1の先端縁が上記ニップ位置まで届かないように遅らせて、先行する用紙Pの終端縁と後続する用紙P1の先端縁との間に適宜の隙間(用紙間隔)を形成することができる。
従って、複数枚の用紙Pを連続的に給送・搬送しても、画像記録部では各用紙Pに対応する画像記録データの全てを漏れなく記録させることができる。つまり、画像記録部では、先行する用紙Pの終端縁と後続する用紙P1の先端縁とが重なった(ラップした)状態にならず、両用紙に跨がって、画像記録されることがない。上記の場合、レジストローラ対20によってのみ搬送されて先行する用紙Pの終端縁が給紙ローラ7による繰出し位置から外れたとき、給紙ローラ7による後続する用紙P1の繰出しが開始されるように制御すれば、より一層上記の用紙間隔を形成することが確実にできるという効果を奏する。
そして、本発明では、上述のように、給紙カセット5に堆積された用紙Pを給紙ローラ7により1枚ずつUターン搬送路9へ繰出し、この繰出された用紙Pをレジストローラ対20により画像記録部へ搬送するように構成する一方、用紙Pの搬送方向と交差する方向に往復移動するキャリッジ13に搭載された記録ヘッド12にて用紙Pに画像記録するように構成する一方、搬送路9には、繰出された用紙Pを一旦停止して整合制御するためのレジストローラ対20が配置されており、キャリッジ13の移動方向の一端部には、連続給紙モードと間欠給紙モードとに、レジストローラ対20における駆動ローラ20a及び給紙ローラ7の回転・停止の組み合わせを切り換える動力伝達切換え手段100が配置され、キャリッジ13の移動により動力伝達切換え手段100を作動させて、連続給紙モードと間欠給紙モードとに選択的に切換えするように制御する制御手段を備えたものであるから、高速画像記録を求めずに画像品質を重視する場合と、逆に画像記録の品質は重視せずに高速画像記録を求め場合のそれぞれの利用者(ユーザー)の要求に応じて、応じて、モード選択でき、そのモードに応じた給紙・搬送動作に簡単に切換えできるという効果を奏する。
そして、連続給紙モードは、レジストローラ対20における駆動ローラ20aと給紙ローラ7とを同方向に連続的に回転駆動させるモードであり、間欠給紙モードは、給紙ローラ7の給紙方向への正回転と、駆動ローラ20aの逆回転動作により用紙Pを一旦停止し、次いで駆動ローラ20aの正回転による用紙Pの搬送時に給紙ローラ7は逆回転駆動するモードである。これらのいずれのモードにおいても、動力伝達切換え手段100は、キャリッジ13が画像記録領域に戻り移動するとき、選択されたモードに保持する保持手段が備えられているので、キャリッジ13を動力伝達切換え手段100側に移動させて、一旦いずれか一方のモードを選択した後には、キャリッジ13を画像記録領域に戻り移動させても、モードが変更しないので、特に間欠給紙モードにおいて従来のように、レジスト操作(整合操作)毎にキャリッジ13を動力伝達切換え手段100側に移動させる動作が不要となり、効率的な画像記録を実行することができる。
さらに、キャリッジ13よりも用紙Pの搬送方向上流側には、レジストローラ対20が配置されており、それより上流側には給紙ローラ7が配置され、このレジストローラ対20の駆動ローラ20aと給紙ローラ7とは、1つの用紙搬送用駆動モータ(LFモータ)24により同方向に回転駆動する構成であるので、用紙の給送と搬送との構成が簡単になるという効果を奏する。
しかも、駆動ローラ20aの周速度が給紙ローラ7の周速度よりも大なるように設定され、給紙ローラ7は、堆積する用紙Pの表面に対して、上方から接離可能に揺動する給紙アーム6aに設けられ、この給紙アーム6aは堆積する用紙Pの表面に対して押圧するように付勢されているものであるから、後続する用紙Pがレジストローラ対20及び給紙ローラ7の両方に挟まれている状態では、その用紙Pを排紙側に排出するとき、駆動ローラ20aの周速度が給紙ローラ7の周速度よりも大きいように設定していると、給紙ローラ7で用紙Pに多少のバックテンションが作用しても、給紙アーム6aが搬送される用紙Pに引っ張られる結果、給紙アーム6a及び給紙ローラ7による用紙Pへの押圧力が減少して、排紙側への用紙Pの搬送に支障を来すことがない。
そして、レジストローラ対20によるニップ力が給紙ローラ7の箇所での搬送力より大なるように設定され、駆動ローラ20aの周速度が給紙ローラ7の周速度よりも大なるように設定され、後続する用紙P1に対する画像データが存在するときには、駆動ローラ20aと給紙ローラ7とを同方向に連続的に回転駆動させるように制御する制御手段を備えたものであるので、従来のような、給紙カセットから給紙ローラで1枚ずつ繰り出した用紙Pの先端をレジストローラ対20の箇所で一旦停止するような給紙動作に比べて、複数枚の用紙Pを連続的に画像記録部に搬送して、画像記録できるから、簡単な構成により、複数枚の用紙Pに対する連続的な画像記録の動作を高速にして画像記録を効率よく実行できるという効果を奏する。
そして、本発明では、給紙ローラ7は、給紙カセット5に堆積された用紙Pの表面に対して上方から接離可能に揺動する給紙アーム6aの先端部に設けられているので、連続的な給紙動作を簡単に実行でき、また、間欠的な給紙動作(精密な画像記録処理)と、連続的な給紙動作(高速記録処理)とに切換えることができる構成を同じ給紙ユニット6を使用して実現することができ、さらに、後続する用紙P1に対する画像データが存在しなくなった場合、その後続する用紙P1の移送方向を自動的に選択でき、当該用紙Pの後始末が簡単にできるという効果を奏する。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、給紙カセットを複数段に配置し、各段ごとの給紙に際して、上記の連続的な給紙動作を実行するように構成しても良い。