本発明は、熱交換器の曲げ加工方法、特に、伝熱フィンの一部が伝熱管の長手方向に直交する方向に突出した状態で配置された平板状の熱交換器を、曲げ型に巻き付けるように押し当てることによって、曲げ加工を行う熱交換器の曲げ加工方法に関する。
従来より、特許文献1(実願昭58−47318号公報)に示す熱交換器の曲げ加工方法がある。この熱交換器の曲げ加工方法は、フィン(伝熱フィン)とパイプ(伝熱管)からなる平板状の熱交換器を、成形ラム(曲げ型)の湾曲面に巻き付けるように押し当てることによって、曲げ加工を行うものである。このような曲げ加工を行うことによって、熱交換器を空気調和装置の室外ユニット等の機内にコンパクトに配置できるようにしている。
しかし、特許文献1の熱交換器の曲げ加工方法では、伝熱管の長手方向に直交する方向に突出する伝熱フィンの一部が折れ曲がるという問題がある。このため、曲げ加工された熱交換器を、伝熱管内を流れる冷媒と伝熱管を横切る空気流との熱交換を行う熱交換器として使用する場合には、空気流の通風抵抗を増加させてしまうおそれがある。
本発明の課題は、伝熱フィンの一部が伝熱管の長手方向に直交する方向に突出した状態で配置された平板状の熱交換器を、曲げ型に巻き付けるように押し当てることによって、曲げ加工を行う熱交換器の曲げ加工方法において、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることにある。
第1の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法は、伝熱フィンの一部が伝熱管の長手方向に直交する方向に突出した状態で配置された平板状の熱交換器を、曲げ型に巻き付けるように押し当てることによって、曲げ加工を行う熱交換器の曲げ加工方法である。この熱交換器の曲げ加工方法では、曲げ型として、熱交換器の曲げ加工の始点から終点に向かって曲げ半径が小さくなるように変化する湾曲面を有するものを採用している。湾曲面は、始点寄りに位置しかつ大きな曲げ半径を有する第1湾曲面と、終点寄りに位置しかつ第1湾曲面よりも小さな曲げ半径を有する主湾曲面とを有している。そして、この熱交換器の曲げ加工方法では、熱交換器の曲げ加工の開始時に、第1ステップを行い、第1ステップの後に、メインステップを行う。第1ステップは、伝熱フィンの突出部分を第1湾曲面に巻き付けるように押し当てて、熱交換器を曲げ加工するステップである。メインステップは、伝熱フィンの突出部分を主湾曲面に巻き付けるように押し当てて、熱交換器を曲げ加工するステップである。
熱交換器を曲げ型に巻き付けるように押し当てる曲げ加工方法では、曲げ型から伝熱フィンに荷重がかかる。このため、熱交換器を曲げ型に巻き付けるように押し当てる曲げ加工では、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がるという問題が生じる。特に、従来のように、曲げ型として単一の曲げ半径を有するものを採用すると、熱交換器の曲げ加工の開始時に、曲げ型から伝熱フィンにかかる荷重が非常に大きくなり、その結果、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がるという問題が生じやすい。
そこで、この曲げ加工方法では、上記のように、熱交換器の曲げ加工の開始時に大きくなる傾向があることに着目して、曲げ型として、熱交換器の曲げ加工の始点から終点に向かって曲げ半径が小さくなるように変化する湾曲面を有するものを採用している。そして、熱交換器の曲げ加工の開始時には、大きな曲げ半径を有する第1湾曲面によって曲げ加工を行い、その後、小さな曲げ半径を有する主湾曲面によって曲げ加工を行うようにしている。
このため、この曲げ加工方法では、熱交換器の曲げ加工の開始時に、曲げ型から伝熱フィンにかかる荷重を小さくすることができ、これにより、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
第2の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法は、第1の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法において、第1湾曲面が、始点から10度までの巻き付け角度の範囲内に形成されている。
この曲げ加工方法では、第1湾曲面の巻き付け角度の範囲を10度以下に設定することによって、熱交換器の曲げ加工が行われた部分のサイズが大きくなりすぎることを抑えることができる。
第3の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法は、第1又は第2の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法において、湾曲面が、第1湾曲面と主湾曲面との間に、第1湾曲面よりも小さくかつ主湾曲面よりも大きな曲げ半径を有する第2湾曲面をさらに有している。そして、この熱交換器の曲げ加工方法では、第1ステップとメインステップとの間に、伝熱フィンの突出部分を第2湾曲面に巻き付けるように押し当てて、熱交換器を曲げ加工する第2ステップを行う。
湾曲面を第1湾曲面及び主湾曲面のみによって構成して第1ステップの直後にメインステップを行うと、湾曲面の曲げ半径が小さくなることによって、曲げ型から伝熱フィンの突出部分にかかる荷重が急激に変化するおそれがある。
そこで、この曲げ加工方法では、第1湾曲面と主湾曲面との間に第1湾曲面よりも小さくかつ主湾曲面よりも大きな曲げ半径を有する第2湾曲面を設けて第1ステップとメインステップとの間に第2ステップを行うようにしている。
このため、この曲げ加工方法では、曲げ型から伝熱フィンの突出部分にかかる荷重が急激に変化しないようにすることができ、これにより、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを確実に抑えることができる。
第4の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法は、第3の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法において、第1湾曲面及び第2湾曲面が、始点から20度までの巻き付け角度の範囲内に形成されている。
この曲げ加工方法では、第1湾曲面及び第2湾曲面の巻き付け角度の範囲を20度以下に設定することによって、熱交換器の曲げ加工が行われた部分のサイズが大きくなりすぎることを抑えることができる。
第5の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法は、第1〜第4の観点のいずれかにかかる熱交換器の曲げ加工方法において、熱交換器が、伝熱管内を流れる冷媒と伝熱管を横切る空気流との熱交換を行うものである。伝熱フィンの突出部分は、熱交換器の空気流の下流側に位置している。
曲げ加工が行われた熱交換器を冷媒と空気流との熱交換を行う熱交換器として使用する場合には、熱交換器の曲げ加工が行われた部分における空気流の通風抵抗が、曲げ加工が行われていない部分に比べて大きくなる傾向がある。このため、熱交換器の曲げ加工が行われる部分については、伝熱フィンが折れ曲がることを抑えるために、伝熱フィンの突出部分を設けないようにすることが好ましい。しかし、冷媒と空気流との熱交換を行う熱交換器を曲げ加工する場合には、熱交換器の空気流の上流側の面が凸になるように曲げ加工される場合が多い。また、熱交換器に付着した水の排水を促進する等の理由によって、伝熱フィンの突出部分が熱交換器の空気流の下流側に設けられることが多い。
これに対して、この熱交換器の曲げ加工方法では、伝熱管内を流れる冷媒と伝熱管を横切る空気流との熱交換を行う熱交換器であっても、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
第6の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法は、第1〜第5の観点のいずれかにかかる熱交換器の曲げ加工方法において、伝熱管が、長手方向に直交する方向に幅広の扁平管である。
第7の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法は、第6の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法において、伝熱管が、幅方向に並ぶ複数の流路穴が形成された扁平多穴管である。
伝熱管として扁平管又は扁平多穴管を採用した熱交換器では、伝熱管として円管を採用した熱交換器に比べて、曲げ加工時に、曲げ型から伝熱フィンの突出部分にかかる荷重が大きくなる傾向にある。このため、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がるという問題が生じやすい。
これに対して、この熱交換器の曲げ加工方法では、伝熱管として扁平管又は扁平多穴管を採用した熱交換器であっても、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
第8の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法は、第1〜第7の観点のいずれかにかかる熱交換器の曲げ加工方法において、伝熱フィンが、伝熱管にロウ付けされている。
伝熱フィンが伝熱管にロウ付けされている熱交換器では、ロウ付け時の熱影響や、伝熱フィン表面のロウ材が別の場所に流れることに起因する減肉によって、伝熱フィンの強度が低下して、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がりやすい。
これに対して、この熱交換器の曲げ加工方法では、伝熱フィンが伝熱管にロウ付けされている熱交換器であっても、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
第9の観点にかかる熱交換器は、第1〜第8の観点のいずれかにかかる熱交換器の曲げ加工方法によって曲げ加工された熱交換器である。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法及び第9の観点にかかる熱交換器では、熱交換器の曲げ加工の開始時に、曲げ型から伝熱フィンにかかる荷重を小さくすることができ、これにより、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
第2及び第4の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法では、熱交換器の曲げ加工が行われた部分のサイズが大きくなりすぎることを抑えることができる。
第3の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法では、曲げ型から伝熱フィンの突出部分にかかる荷重が急激に変化しないようにすることができ、これにより、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを確実に抑えることができる。
第5の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法では、伝熱管内を流れる冷媒と伝熱管を横切る空気流との熱交換を行う熱交換器であっても、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
第6又は第7の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法では、伝熱管として扁平管又は扁平多穴管を採用した熱交換器であっても、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
第8の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法では、伝熱フィンが伝熱管にロウ付けされている熱交換器であっても、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
本発明の一実施形態にかかる熱交換器の曲げ加工方法及び熱交換器が採用された室外熱交換器を有する室外ユニットの概略の内部構造を示す斜視図である。
図1のD部の拡大斜視図である。
室外熱交換器の曲げ加工を示す図(準備状態)である。
曲げ型の断面図である。
室外熱交換器の曲げ加工を示す図(曲げ加工状態)である。
室外熱交換器の曲げ加工が行われた部分を示す図(曲げ型を2点鎖線で図示)である。
変形例1における曲げ型の断面図である。
変形例1における室外熱交換器の曲げ加工が行われた部分を示す図(曲げ型を2点鎖線で図示)である。
変形例2における曲げ型の断面図である。
変形例3における曲げ型の断面図である。
本発明にかかる熱交換器の曲げ加工方法及び熱交換器について、図面に基づいて説明する。
−室外ユニットの概略構成−
図1は、本発明の一実施形態にかかる熱交換器の曲げ加工方法及び熱交換器が採用された室外熱交換器7を有する室外ユニット1の概略の内部構造を示す斜視図である。室外ユニット1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって空気調和を行う空気調和装置を構成している。室外ユニット1は、冷媒連絡管2、3を介して室内ユニット(図示せず)に接続されている。尚、以下の説明では、図1の紙面手前側を「前面」とし、図1の紙面奥側を「背面」とし、図1の紙面左側を「左側面」とし、図1の紙面右側を「右側面」とし、図1の紙面上側を「天面」とし、図1の紙面下側を「底面」とする。
室内ユニット2は、主として、略直方体箱状のユニットケーシング4と、圧縮機6と、室外熱交換器7と、室外ファン8とを有している。尚、室内ユニット2には、これら以外にも、様々な機器や弁、冷媒管等が収容されているが、ここでは説明を省略する。
ユニットケーシング4は、主として、底板41と、天板42(2点鎖線で図示)と、前板43(2点鎖線で図示)と、側板44(2点鎖線で図示)と、仕切板45とを有している。
底板41は、ユニットケーシング4の底面部分を構成する横長の略長方形状の板状部材である。底板41の周縁部は、上向きに折り曲げられている。底板41の外面には、現地据付面に固定される2つの固定脚5が設けられている。固定脚5は、ユニットケーシング4の前側から後側に向かって延びている。
天板42は、ユニットケーシング4の天面部分を構成する横長の略長方形状の板状部材である。
前板43は、主として、ユニットケーシング4の前面部分及び右側面の前部を構成する板状部材である。前板43の下部は、ネジ等によって底板41に固定されている。前板43には、吹出口43aが形成されている。吹出口43aは、ユニットケーシング4の背面及び左側面に形成された吸入口(図示せず)を通じてユニットケーシング4内に取り込まれた室外空気を吹き出すための開口である(空気流を示す矢印A〜Cを参照)。
側板44は、主として、ユニットケーシング4の右側面の後部及び右背面部分を構成する板状部材である。側板44の下部は、ネジ等によって底板42に固定されている。
仕切板45は、底板41上に配置される板状部材である。仕切板45は、鉛直に延びている。仕切板45は、ユニットケーシング4の内部空間を左右2つの空間(すなわち、送風機室S1と機械室S2)に仕切るように配置されている。仕切板45の下部は、ネジ等によって底板41に固定されている。
このように、ユニットケーシング4の内部空間は、仕切板45によって送風機室S1と機械室S2とに分割されている。送風機室S1は、底板41と、天板42と、前板43と、仕切板45とによって囲まれた空間である。機械室S2は、底板41と、天板42と、前板43と、側板44と、仕切板45とによって囲まれた空間である。そして、送風機室S1には、主として、室外熱交換器7と室外ファン8とが配置されている。機械室S2には、主として、圧縮機6が配置されている。
圧縮機6は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧の冷媒になるまで圧縮するための圧縮機である。圧縮機6は、略縦型円筒形状の密閉型圧縮機である。圧縮機6は、機械室S2内の平面視略中央に配置されている。
室外熱交換器7は、冷房時には室外空気を熱源とする冷媒の放熱器として機能し、暖房時には室外空気を熱源とする冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器7は、複数の伝熱管11と複数の伝熱フィン12とによって構成されたフィンチューブ型熱交換器である。室外熱交換器7は、平面視略L字形状をなすように曲げ加工されている。室外熱交換器7は、ユニットケーシング4の左側面及び背面に沿うように、かつ、送風ファン8の左側面側及び背面側を囲むように、送風機室S2内に配置されている。尚、室外熱交換器7の詳細な構成及び製造方法については、後述する。
室外ファン8は、ユニットケーシング4の左側面及び背面に形成された吸入口(図示せず)を通じて送風機室S1内に空気を取り込み、室外熱交換器7を通過させた後に、ユニットケーシング4の前面に形成された吹出口43aから吹き出すように機能する送風ファンである。ここでは、室外ファン8は、プロペラファンであり、送風機室S1内の室外熱交換器7の下流側に配置されている。
−室外熱交換器の詳細な構成−
次に、室外熱交換器7の詳細な構成について、図1及び図2を用いて説明する。ここで、図2は、図1のD部の拡大斜視図である。
室外熱交換器7は、主として、伝熱管11と、伝熱フィン21とを有している。尚、室外熱交換器7には、これら以外に、ヘッダー管等も設けられているが、ここでは説明を省略する。
伝熱管11は、その長手方向に直交する方向に幅広の平面部12を有する扁平管からなる。伝熱管11は、平面部12が上下方向に向く状態で上下方向間に平面部12の幅方向(図1においては、矢印A、Bの方向、図2においては、矢印E方向)に向かって室外空気が流れる通風空間を空けて複数配置されている。
平面部12には、平面部12を長手方向に貫通するように幅方向に並ぶ複数の流路穴13が形成されている。そして、冷媒は、各流路穴13を流れるようになっている。尚、伝熱管11は、アルミニウム等の金属素材からなり、押し出し成形等により製造されている。このように、ここでは、伝熱管11として、複数の流路穴13が形成された扁平多穴管が採用されており、冷媒側の熱伝達率が向上している。
伝熱フィン21は、伝熱管11の平面部12の幅方向寸法よりも幅方向寸法の大きい板状素材が伝熱管11の長手方向に沿って波形に折り曲げられることによって構成された波形フィンである。ここで、平面部21の幅方向寸法をW1とし、伝熱フィン21の幅方向寸法をW2とすると、平面部12の幅方向寸法W1<伝熱フィン21の幅方向寸法W2の関係になっている。尚、伝熱フィン21は、アルミニウム等の金属素材からなる。そして、伝熱フィン21は、フィン本体部22と、フィン縁部23とを有している。
フィン本体部22は、平面部12の上下方向間の通風空間に配置される部分であり、板状素材を伝熱管11の長手方向に沿って波形に折り曲げることによって上端24及び下端25が形成されている。上端24は、平面部12の下面にロウ付けによって接合されている。下端25は、平面部12の上面にロウ付けによって接合されている。また、フィン本体部22には、熱交換効率を向上させるために、フィン本体部22の上下方向中央部分を切り起こすことによって複数の本体側切り起こし部26が形成されている。ここでは、本体側切り起こし部26は、ルーバー状に切り起こされている。そして、本体側切り起こし部26は、室外空気流の上流側の部分と下流側の部分との間で、室外空気流に対する傾斜方向が逆になるように形成されている。
フィン縁部23は、伝熱フィン21の一部が伝熱管11の長手方向に直交する方向に突出した部分である。より具体的には、フィン縁部23は、各通風空間から伝熱管11の幅方向外方(ここでは、幅方向両外方)に向かって突出する部分である。フィン縁部23には、上端27及び下端28が形成されている。上端27及び下端28は、上端24及び下端25を形成するための折り曲げ線の近傍に切り込みを設けておくことによって、板状素材を伝熱管11の長手方向に沿って波形に折り曲げて上端24及び下端25を形成する際に、上下方向に向かって切り起こされる部分である。ここでは、上端27及び下端28は、伝熱管11の幅方向両側に形成されたフィン縁部23のうち室外空気流の下流側(図1においては、室外ファン8側、図2においては、矢印E側)に位置するフィン縁部23だけに形成されている。このため、上下方向に隣り合うフィン縁部23は、上端27及び下端28を介して互いに接触又は近接している。尚、ここでは、上端27及び下端28は、切り込みを伝熱管11の幅方向に対して平行に設けていることから、略長方形状に切り起こされているが、切り込みを伝熱管11の幅方向に対して斜めに設けることによって、略三角形状や略台形状に切り起こすようにしてもよい。また、フィン縁部23には、熱交換効率を向上させるために、フィン縁部23の上下方向中央部分を切り起こすことによって複数の縁側切り起こし部29a、29bが形成されている。室外空気流の上流側に位置する縁部切り起こし部29aについては、本体側切り起こし部26と同じ上下方向幅を有するように形成されている。一方、室外空気流の下流側に位置する縁部切り起こし部29bについては、本体側切り起こし部26よりも上下方向幅が短くなるように形成されている。ここでは、縁部切り起こし部29a、29bは、ルーバー状に切り起こされている。そして、縁部切り起こし部29a、29bは、室外空気流の上流側の部分と下流側の部分との間で、室外空気流に対する傾斜方向が逆になるように形成されている。このように、ここでは、縁部切り起こし部29bの上下方向幅を本体側切り起こし部26よりも短くしているため、フィン縁部23の強度の低下が抑えられている。
そして、上記の構成を有する室外熱交換器7では、冷房時に冷媒の放熱器として機能させる際には、伝熱管11内を流れる冷媒と伝熱管11を横切るように通風空間を流れる冷却源としての室外空気とが伝熱フィン21及び伝熱管11を介して熱交換を行う。そして、冷媒の放熱が行われる。また、室外熱交換器7を冷媒の蒸発器として機能させる際には、伝熱管11内を流れる冷媒と伝熱管11を横切るように通風空間を流れる加熱源としての室外空気とが伝熱フィン21及び伝熱管11を介して熱交換を行う。そして、冷媒の蒸発が行われる。この際、伝熱フィン21の表面に結露水が発生するが、室外熱交換器7の室外空気流の下流側に突出するフィン縁部23が形成されているため、フィン縁部23を介して結露水を下方に流すことができる。特に、ここでは、上記のように、フィン縁部23が上端27及び下端28を有しており、上下方向に隣り合うフィン縁部23同士が接触又は近接しているため、水はけ性能がさらに向上している。
−室外熱交換器の製造方法−
次に、室外熱交換器7の製造方法について、図1〜図6を用いて説明する。ここで、図3は、室外熱交換器7の曲げ加工を示す図(準備状態)である。図4は、曲げ型の断面図である。図5は、室外熱交換器7の曲げ加工を示す図(曲げ加工状態)である。図6は、室外熱交換器7の曲げ加工が行われた部分を示す図(曲げ型55を2点鎖線で図示)である。
まず、曲げ加工が行われていない平板状の室外熱交換器7を準備する。ここで、平板状の室外熱交換器7は、上記のように、平面部12が互いに対向し、かつ、平面部12間に通風空間を空けた状態で直管状の伝熱管11を複数配置し、各通風空間に波形に折り曲げられた伝熱フィン21を配置して積層したものである。ここでは、伝熱フィン21は、平面部12の両面にロウ付けされている。より具体的には、平面部12の両面にロウ材を設け、このロウ材が設けられた複数の伝熱管11と伝熱フィン21とを積層した状態で、ロウ付け炉等で加熱することによって、伝熱管11と伝熱フィン21とのロウ付けを行っている。これにより、上記のように、平板部12の幅方向両外方にフィン縁部23が突出した平板状の室外熱交換器7が得られる。尚、この平板状の室外熱交換器7においては、図6に示すように、平面部12の幅方向一方(室外空気流の下流側に面する方向)については、フィン縁部23のうち上端27及び下端28が形成されたフィン縁部23が突出している。また、平面部12の幅方向他方(室外空気流の上流側に面する方向)については、上端27及び下端28が形成されていないフィン縁部23が室外空気流の上流側に突出している。
次に、曲げ加工装置51を用いて平板状の室外熱交換器7の曲げ加工を行う。曲げ加工装置51は、平板状の室外熱交換器7を曲げ型55に巻き付けるように押し当てることによって、曲げ加工を行う装置である。尚、以下に説明する曲げ加工装置1は、本発明にかかる曲げ加工方法を実施するための一例であり、本発明にかかる曲げ加工方法の特徴である曲げ型55を使用するものであれば、他の曲げ加工装置であってもよい。
曲げ加工装置51は、主として、ベースプレート52と、2つのクランプ53、54と、曲げ型55とを有している。ベースプレート52は、平板状の室外熱交換器7の長手方向の少なくとも一端がはみ出した状態で積置する部材である。第1クランプ53は、室外熱交換器7のベースプレート52からはみ出した長手方向一端を下方(図3の矢印F参照)から支持する部材である。第2クランプ54は、室外熱交換器7のうち曲げ型55を挟んで第1クランプ53とは反対側の部分を上方(図3の矢印G参照)からペースプレート52との間に挟み付けることによって支持する部材である。曲げ型55は、主として、ベンディング56と、マンドレル57とを有している。ベンディング56は、室外熱交換器7のベースプレート52からはみ出した長手方向一端を上方から第1クランプ53との間に挟み付けることによって支持する部材である。マンドレル57は、室外熱交換器7と接触する外表面に湾曲面58を有する部材である。マンドレル57は、図示しないモータによって矢印Hの方向に回転駆動されるようになっている。そして、ベンディング56は、マンドレル57に固定されている。このため、ベンディング56は、マンドレル57の回転に伴って移動し、室外熱交換器7を曲げ型55の湾曲面58に巻き付けるように押し当てる。これにより、室外熱交換器7のベースプレート52からはみ出した長手方向一端が曲げ加工される。ここでは、平板状の室外熱交換器7を略L字形状をなすように曲げ加工するために、マンドレル57は、室外熱交換器7の曲げ加工の始点(図4及び図6における点XS)から終点(図4及び図6における点XE)まで90度回転する。また、室外熱交換器7は、伝熱フィン21の一部(ここでは、伝熱フィン21のフィン縁部23)が伝熱管11の長手方向に直交する方向に突出しているため、マンドレル57の湾曲面58には、伝熱フィン21の突出部分であるフィン縁部23が接触することになる。
上記のような室外熱交換器7を曲げ型55に巻き付けるように押し当てる曲げ加工方法では、曲げ型55から伝熱フィン21に荷重がかかる。このため、室外熱交換器7を曲げ型55に巻き付けるように押し当てる曲げ加工では、伝熱フィン21の突出部分であるフィン縁部23が折れ曲がるという問題が生じる。特に、従来のように、曲げ型55として単一の曲げ半径を有するものを採用すると、室外熱交換器7の曲げ加工の開始時(図4及び図6における点XS付近)に、曲げ型55から伝熱フィン21にかかる荷重が非常に大きくなり、その結果、フィン縁部23が折れ曲がるという問題が生じやすい。
そこで、室外熱交換器7の曲げ加工の開始時に大きくなる傾向があることに着目して、曲げ型55の湾曲面58として、室外熱交換器7の曲げ加工の始点XSから終点XEに向かって曲げ半径が小さくなるように変化するものを採用している。具体的には、湾曲面58は、第1湾曲面61と、主湾曲面62とを有している。第1湾曲面61は、始点XS寄り(具体的には、始点XSから点X1に至るまでの巻き付け角度θ1の範囲)に位置し、かつ、大きな曲げ半径R1を有している。主湾曲面62は、終点XE寄り(具体的には、点X1から終点XEに至るまでの巻き付け角度θMの範囲)に位置し、かつ、第1湾曲面61よりも小さな曲げ半径RMを有している。このため、この室外熱交換器7の曲げ加工では、マンドレル57の回転によって、曲げ加工の開始時には、伝熱フィン21の突出部分であるフィン縁部23を第1湾曲面61に巻き付けるように押し当てて、室外熱交換器7を曲げ加工する第1ステップが行われる。そして、この第1ステップの後に、伝熱フィン21の突出部分であるフィン縁部23を主湾曲面62に巻き付けるように押し当てて、室外熱交換器7を曲げ加工するメインステップが行われる。このようにして、平板状の室外熱交換器7に曲げ型55の湾曲面58(具体的には、第1湾曲面61及び主湾曲面62)が転写される。
これにより、この曲げ加工方法では、室外熱交換器7の曲げ加工の開始時に、曲げ型55から伝熱フィン21にかかる荷重を小さくすることができ、伝熱フィン21の突出部分であるフィン縁部23が折れ曲がることを抑えることができる。
また、ここでは、第1湾曲面41の巻き付け角度θ1が10度以下に設定されているため、室外熱交換器7の曲げ加工が行われた部分のサイズが大きくなりすぎることを抑えることができる。
また、ここでは、上記のように、曲げ加工が行われた室外熱交換器7を冷媒と空気流との熱交換を行う熱交換器として使用している。このため、室外熱交換器7の曲げ加工が行われた部分における室外空気流の通風抵抗が、曲げ加工が行われていない部分に比べて大きくなる傾向がある。このため、室外熱交換器7の曲げ加工が行われる部分については、伝熱フィン21が折れ曲がることを抑えるために、伝熱フィン21の突出部分(ここでは、フィン縁部23)を設けないようにすることが好ましい。しかし、冷媒と室外空気流との熱交換を行う室外熱交換器7を曲げ加工する場合には、図1に示すように、室外熱交換器7の室外空気流の上流側の面が凸になるように曲げ加工される場合が多い。また、室外熱交換器7に付着した水の排水を促進する等の理由によって、伝熱フィン21の突出部分であるフィン縁部23が室外熱交換器23の室外空気流の下流側に設けられることが多い。しかも、ここでは、伝熱フィン21の表面に発生する結露水を下方に流すことを促進するために、室外熱交換器7の室外空気流の下流側に突出するフィン縁部23に、切り起こしによって形成された上端27及び下端28を設けるようにしている。このため、マンドレル57の湾曲面58には、フィン縁部23の上端27及び下端28が接触している。これらの上端27及び下端28は、切り起こしによって形成された部分であるため、強度が非常に弱くなっている。
これに対して、この曲げ加工方法では、上記のように、室外熱交換器7の曲げ加工の開始時に、曲げ型55から伝熱フィン21にかかる荷重を小さくすることができる。このため、伝熱管11内を流れる冷媒と伝熱管11を横切る室外空気流との熱交換を行う熱交換器であるにもかかわらず、伝熱フィン21の突出部分であるフィン縁部23が折れ曲がることを抑えることができる。
また、ここでは、上記のように、伝熱管11として、長手方向に直交する方向に幅広の扁平管を採用している。しかも、この伝熱管11に採用されている扁平管は、幅方向に並ぶ複数の流路穴13が形成された扁平多穴管である。このため、伝熱管として円管を採用する場合に比べて、曲げ加工時に、曲げ型から伝熱フィンの突出部分にかかる荷重が大きくなる傾向にある。このため、伝熱フィンの突出部分(ここでは、フィン縁部23)が折れ曲がるという問題が生じやすい。
これに対して、この曲げ加工方法では、上記のように、室外熱交換器7の曲げ加工の開始時に、曲げ型55から伝熱フィン21にかかる荷重を小さくすることができる。このため、伝熱管11として扁平管又は扁平多穴管を採用した熱交換器であるにもかかわらず、フィン縁部23が折れ曲がることを抑えることができる。
さらに、ここでは、上記のように、伝熱フィン21が伝熱管11にロウ付けされている。このため、ロウ付け時の熱影響や、伝熱フィン表面のロウ材が別の場所に流れることに起因する減肉によって、伝熱フィン21の強度が低下して、伝熱フィン21の突出部分(ここでは、フィン縁部23)が折れ曲がりやすい。
これに対して、この曲げ加工方法では、上記のように、室外熱交換器7の曲げ加工の開始時に、曲げ型55から伝熱フィン21にかかる荷重を小さくすることができる。このため、伝熱フィン21が伝熱管11にロウ付けされている熱交換器であるにもかかわらず、フィン縁部23が折れ曲がることを抑えることができる。
−室外熱交換器の製造方法の変形例1−
上記の室外熱交換器7の曲げ加工方法では、曲げ型55の湾曲面58として、第1湾曲面61及び主湾曲面62のみを有するものを採用し、第1ステップの直後にメインステップを行うようにしている。しかし、このような曲げ加工方法では、湾曲面58の曲げ半径が小さくなることによって、曲げ型55から伝熱フィン21の突出部分(ここでは、フィン縁部23)にかかる荷重が急激に変化するおそれがある。
そこで、本変形例の曲げ加工方法では、図7及び図8に示すように、曲げ型55の湾曲面58として、第1湾曲面61と主湾曲面62との間に第1湾曲面61よりも小さく、かつ、主湾曲面62よりも大きな曲げ半径R2を有する第2湾曲面63を設けている。具体的には、第1湾曲面61は、始点XS寄り(具体的には、始点XSから点X1に至るまでの巻き付け角度θ1の範囲)に位置し、かつ、大きな曲げ半径R1を有している。第2湾曲面63は、第1湾曲面61の終点である点X1から点X2に至るまでの巻き付け角度θ2の範囲に位置し、第1湾曲面61よりも小さく、かつ、主湾曲面62よりも大きな曲げ半径R2を有している。主湾曲面42は、終点XE寄り(具体的には、点X2から終点XEに至るまでの巻き付け角度θMの範囲)に位置し、かつ、第2湾曲面63よりも小さな曲げ半径RMを有している。そして、第1ステップとメインステップとの間に、伝熱フィン21の突出部分(ここでは、フィン縁部23)を第2湾曲面63に巻き付けるように押し当てて、室外熱交換器7を曲げ加工する第2ステップを行うようにしている。ここで、図7は、本変形例における曲げ型55の断面図である。図8は、本変形例における室外熱交換器7の曲げ加工が行われた部分を示す図(曲げ型55を2点鎖線で図示)である。
これにより、本変形例の曲げ加工方法では、曲げ型55から伝熱フィン21の突出部分(ここでは、フィン縁部23)にかかる荷重が急激に変化しないようにすることができ、フィン縁部23が折れ曲がることを確実に抑えることができる。
しかも、ここでは、第1湾曲面61及び第2湾曲面63の巻き付け角度(すなわち、θ1+θ2)が20度以下に設定されているため、室外熱交換器7の曲げ加工が行われた部分のサイズが大きくなりすぎることを抑えることができる。
−室外熱交換器の製造方法の変形例2−
上記の変形例1の室外熱交換器7の曲げ加工方法では、曲げ型55の湾曲面58として、第1湾曲面61、第2湾曲面63及び主湾曲面62を有するものを採用し、第1ステップ及び第2ステップの後にメインステップを行うようにしている。しかし、曲げ型55から伝熱フィン21の突出部分(ここでは、フィン縁部23)にかかる荷重の変化をさらに小さくするために、曲げ半径がさらに多段階に小さくなるように変化するものを採用してもよい。
この場合には、図9及び次の一般式を満たすように、曲げ型55の湾曲面58の曲げ半径を多段階に小さくすればよい。
すなわち、線分OnXn=曲げ半径Rnであり(ここで、Onは曲げ半径Rnの中心)、曲げ半径Rnの状態でマンドレル57がθn度回転して曲げ加工(ここでは、全体で90度回転するものとする)が進むものとすると、
Σθ = θ1+θ2+・・・+θn−1 = 90度
となる。
ここで、曲げ半径Rnは、線分On−1Xnの長さ以下であるため、
R1≧R2≧・・・≧Rn
となる。
尚、上記の第1湾曲面61及び主湾曲面62を有する湾曲面58、又は、変形例1の第1湾曲面61、第2湾曲面63及び主湾曲面62を有する湾曲面58も、添字「S」、「M」及び「E」を「1」、「n」及び「n」に置き換えて、n=2又はn=3とすれば、上記の一般式に当てはまることがわかる。また、nを無限に大きくすると、湾曲面58(すなわち、始点XSから終点XEを結ぶ線)は、概ねインボリュート曲線状の面をなしている。
これにより、本変形例の曲げ加工方法では、実質的には、第1湾曲面による曲げ加工を行う第1ステップと、主湾曲面による曲げ加工を行うメインステップとの間に、多段階に曲げ半径が小さくなる第2湾曲面による曲げ加工を行う第2ステップが行われることになる。そして、上記の変形例1の曲げ加工方法よりも、曲げ型55から伝熱フィン21の突出部分(ここでは、フィン縁部23)にかかる荷重の変化をさらに小さくすることができる。
−室外熱交換器の製造方法の変形例3−
上記の室外熱交換器7の曲げ加工方法では、曲げ型55として、湾曲面58が曲げ加工の始点から終点まで滑らかに繋がったものを採用している。例えば、変形例1における曲げ型55では、第1湾曲面61、第2湾曲面63及び主湾曲面62が滑らかに繋がったものを採用している。しかし、第1湾曲面61、第2湾曲面63及び主湾曲面62間が必ずしも滑らかに繋がっている必要はなく、第1湾曲面61、第2湾曲面63及び主湾曲面62間が多少の段差を介して繋がっていてもよい。
例えば、図10に示すように、変形例1の曲げ型55において、第2湾曲面63と主湾曲面62との間に段差64が存在していてもよい。ここでは、マンドレル57としては、主湾曲面62のみを有するものを採用し、ベンディング56として、その表面に第1湾曲面61及び第2湾曲面63が形成されたアタッチメント65が設けられたものを採用している。このため、アタッチメント65のマンドレル57側の端部の厚み分が段差64として現れている。すなわち、段差64は、第2湾曲面63の主湾曲面62側の端部が主湾曲面62の第2湾曲面63側の端部よりも外周側に突出するように形成されている。尚、段差64は、数mm程度の小さなものである。
このような本変形例においても、上記の室外熱交換器7の加工方法と同様の作用効果を得ることができる。
例えば、本変形例のような段差64を有する曲げ型55の構成において、第1湾曲面61、第2湾曲面63及び主湾曲面62の曲げ半径R1、RM及びR2をそれぞれ200mm、77mm及び70mmとする。また、第1湾曲面61の巻き付け角度θ1を5度とし、第2湾曲面63の巻き付け角度θ2を13度とし、主湾曲面62の巻き付け角度θMを72度とする。このような曲げ型55を用いて、室外熱交換器7の曲げ加工を行うと、室外熱交換器7の曲げ加工の開始時に、曲げ型55から伝熱フィン21にかかる荷重を小さくすることができ、これにより、伝熱フィン21の突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
−他の実施形態−
以上、本発明の実施形態及びその変形例について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(A)
上記の実施形態及びその変形例においては、伝熱管11として扁平多穴管を使用し、かつ、伝熱フィン21として波形フィンを使用した室外熱交換器7に対して本発明を適用しているが、これに限定されるものではない。
例えば、伝熱管として扁平管を使用した熱交換器に対して本発明を適用してもよい。また、伝熱管として円管を使用した熱交換器に対して本発明を適用してもよい。また、伝熱フィンとして、伝熱管の長手方向に所定の間隔を空けて設けられるプレートフィンを使用した熱交換器に対して本発明を適用してもよい。
但し、伝熱管として円管を使用し、かつ、伝熱フィンとしてプレートフィンを使用する熱交換器では、伝熱管を伝熱フィンに挿通させた後に拡管を行うことによって伝熱管と伝熱フィンとの固定を行っている。このため、伝熱管と伝熱フィンとの固定をロウ付けによって行う場合のような熱影響や減肉が生じないため、伝熱フィンの伝熱管の長手方向に直交する方向に突出した部分の強度の低下が抑えられている。また、伝熱管が円管であるため、扁平管を使用する場合に比べて、曲げ型から受ける荷重が小さくなっている。
このため、本発明の曲げ加工方法は、上記の実施形態及びその変形例のような、伝熱管として扁平管(扁平多穴管)を使用し、また、伝熱管と伝熱フィンとの固定にロウ付けを使用する熱交換器に対して、非常に有効である。
(B)
上記の実施形態及びその変形例においては、略L字形状をなすように室外熱交換器7を曲げ加工する際に、本発明を適用しているが、これに限定されるものではない。
例えば、略U字形状をなすように室外熱交換器7を曲げ加工する際に、本発明を適用してもよい。
(C)
上記の実施形態及びその変形例においては、室外ユニットを構成する室外熱交換器7に対して本発明を適用しているが、これに限定されるものではない。
例えば、室内ユニットを構成する室内熱交換器や他の型式の空気調和装置における熱交換器等に対して、本発明を適用してもよい。
本発明は、伝熱フィンの一部が伝熱管の長手方向に直交する方向に突出した状態で配置された平板状の熱交換器を、曲げ型に巻き付けるように押し当てることによって、曲げ加工を行う熱交換器の曲げ加工方法に、広く適用可能である。
7 室外熱交換器
11 伝熱管
21 伝熱フィン
55 曲げ型
58 湾曲面
61 第1湾曲面
62 主湾曲面
63 第2湾曲面
本発明は、熱交換器の曲げ加工方法、特に、伝熱フィンの一部が伝熱管の長手方向に直交する方向に突出した状態で配置された平板状の熱交換器を、曲げ型に巻き付けるように押し当てることによって、曲げ加工を行う熱交換器の曲げ加工方法に関する。
従来より、特許文献1(実願昭58−47318号公報)に示す熱交換器の曲げ加工方法がある。この熱交換器の曲げ加工方法は、フィン(伝熱フィン)とパイプ(伝熱管)からなる平板状の熱交換器を、成形ラム(曲げ型)の湾曲面に巻き付けるように押し当てることによって、曲げ加工を行うものである。このような曲げ加工を行うことによって、熱交換器を空気調和装置の室外ユニット等の機内にコンパクトに配置できるようにしている。
しかし、特許文献1の熱交換器の曲げ加工方法では、伝熱管の長手方向に直交する方向に突出する伝熱フィンの一部が折れ曲がるという問題がある。このため、曲げ加工された熱交換器を、伝熱管内を流れる冷媒と伝熱管を横切る空気流との熱交換を行う熱交換器として使用する場合には、空気流の通風抵抗を増加させてしまうおそれがある。
本発明の課題は、伝熱フィンの一部が伝熱管の長手方向に直交する方向に突出した状態で配置された平板状の熱交換器を、曲げ型に巻き付けるように押し当てることによって、曲げ加工を行う熱交換器の曲げ加工方法において、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることにある。
第1の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法は、伝熱フィンの一部が伝熱管の長手方向に直交する方向に突出した状態で配置された平板状の熱交換器を、曲げ型に巻き付けるように押し当てることによって、曲げ加工を行う熱交換器の曲げ加工方法である。この熱交換器の曲げ加工方法では、曲げ型として、熱交換器の曲げ加工の巻き付けの始点位置から終点位置に向かって曲げ半径が小さくなるように変化する湾曲面を有するものを採用している。湾曲面は、始点位置寄りに位置しかつ大きな曲げ半径を有する第1湾曲面と、終点位置寄りに位置しかつ第1湾曲面よりも小さな曲げ半径を有する主湾曲面とを有している。そして、この熱交換器の曲げ加工方法では、熱交換器の曲げ加工の開始時に、第1ステップを行い、第1ステップの後に、メインステップを行う。第1ステップは、伝熱フィンの突出部分のうち始点位置寄りの部分を第1湾曲面に巻き付けるように押し当てて、熱交換器を曲げ加工するステップである。メインステップは、伝熱フィンの突出部分のうち始点位置寄りの部分よりも終点位置寄りの部分を主湾曲面に巻き付けるように押し当てて、熱交換器を曲げ加工するステップである。
熱交換器を曲げ型に巻き付けるように押し当てる曲げ加工方法では、曲げ型から伝熱フィンに荷重がかかる。このため、熱交換器を曲げ型に巻き付けるように押し当てる曲げ加工では、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がるという問題が生じる。特に、従来のように、曲げ型として単一の曲げ半径を有するものを採用すると、熱交換器の曲げ加工の開始時に、曲げ型から伝熱フィンにかかる荷重が非常に大きくなり、その結果、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がるという問題が生じやすい。
そこで、この曲げ加工方法では、上記のように、熱交換器の曲げ加工の開始時に大きくなる傾向があることに着目して、曲げ型として、熱交換器の曲げ加工の巻き付けの始点位置から終点位置に向かって曲げ半径が小さくなるように変化する湾曲面を有するものを採用している。そして、熱交換器の曲げ加工の開始時には、大きな曲げ半径を有する第1湾曲面によって伝熱フィンの突出部分のうち始点位置寄りの部分の曲げ加工を行い、その後、小さな曲げ半径を有する主湾曲面によって伝熱フィンの突出部分のうち始点位置寄りの部分よりも終点位置寄りの部分の曲げ加工を行うようにしている。
このため、この曲げ加工方法では、熱交換器の曲げ加工の開始時に、曲げ型から伝熱フィンにかかる荷重を小さくすることができ、これにより、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
第2の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法は、第1の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法において、第1湾曲面が、始点位置から10度までの巻き付け角度の範囲内に形成されている。
この曲げ加工方法では、第1湾曲面の巻き付け角度の範囲を10度以下に設定することによって、熱交換器の曲げ加工が行われた部分のサイズが大きくなりすぎることを抑えることができる。
第3の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法は、第1又は第2の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法において、湾曲面が、第1湾曲面と主湾曲面との間に、第1湾曲面よりも小さくかつ主湾曲面よりも大きな曲げ半径を有する第2湾曲面をさらに有している。そして、この熱交換器の曲げ加工方法では、第1ステップとメインステップとの間に、伝熱フィンの突出部分のうち始点位置寄りの部分と終点位置寄りの部分との間の部分を第2湾曲面に巻き付けるように押し当てて、熱交換器を曲げ加工する第2ステップを行う。
湾曲面を第1湾曲面及び主湾曲面のみによって構成して第1ステップの直後にメインステップを行うと、湾曲面の曲げ半径が小さくなることによって、曲げ型から伝熱フィンの突出部分にかかる荷重が急激に変化するおそれがある。
そこで、この曲げ加工方法では、第1湾曲面と主湾曲面との間に第1湾曲面よりも小さくかつ主湾曲面よりも大きな曲げ半径を有する第2湾曲面を設けて第1ステップとメインステップとの間に第2ステップを行うようにしている。
このため、この曲げ加工方法では、曲げ型から伝熱フィンの突出部分にかかる荷重が急激に変化しないようにすることができ、これにより、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを確実に抑えることができる。
第4の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法は、第3の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法において、第1湾曲面及び第2湾曲面が、始点位置から20度までの巻き付け角度の範囲内に形成されている。
この曲げ加工方法では、第1湾曲面及び第2湾曲面の巻き付け角度の範囲を20度以下に設定することによって、熱交換器の曲げ加工が行われた部分のサイズが大きくなりすぎることを抑えることができる。
第5の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法は、第1〜第4の観点のいずれかにかかる熱交換器の曲げ加工方法において、熱交換器が、伝熱管内を流れる冷媒と伝熱管を横切る空気流との熱交換を行うものである。伝熱フィンの突出部分は、熱交換器の空気流の下流側に位置している。
曲げ加工が行われた熱交換器を冷媒と空気流との熱交換を行う熱交換器として使用する場合には、熱交換器の曲げ加工が行われた部分における空気流の通風抵抗が、曲げ加工が行われていない部分に比べて大きくなる傾向がある。このため、熱交換器の曲げ加工が行われる部分については、伝熱フィンが折れ曲がることを抑えるために、伝熱フィンの突出部分を設けないようにすることが好ましい。しかし、冷媒と空気流との熱交換を行う熱交換器を曲げ加工する場合には、熱交換器の空気流の上流側の面が凸になるように曲げ加工される場合が多い。また、熱交換器に付着した水の排水を促進する等の理由によって、伝熱フィンの突出部分が熱交換器の空気流の下流側に設けられることが多い。
これに対して、この熱交換器の曲げ加工方法では、伝熱管内を流れる冷媒と伝熱管を横切る空気流との熱交換を行う熱交換器であっても、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
第6の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法は、第1〜第5の観点のいずれかにかかる熱交換器の曲げ加工方法において、伝熱管が、長手方向に直交する方向に幅広の扁平管である。
第7の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法は、第6の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法において、伝熱管が、幅方向に並ぶ複数の流路穴が形成された扁平多穴管である。
伝熱管として扁平管又は扁平多穴管を採用した熱交換器では、伝熱管として円管を採用した熱交換器に比べて、曲げ加工時に、曲げ型から伝熱フィンの突出部分にかかる荷重が大きくなる傾向にある。このため、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がるという問題が生じやすい。
これに対して、この熱交換器の曲げ加工方法では、伝熱管として扁平管又は扁平多穴管を採用した熱交換器であっても、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
第8の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法は、第1〜第7の観点のいずれかにかかる熱交換器の曲げ加工方法において、伝熱フィンが、伝熱管にロウ付けされている。
伝熱フィンが伝熱管にロウ付けされている熱交換器では、ロウ付け時の熱影響や、伝熱フィン表面のロウ材が別の場所に流れることに起因する減肉によって、伝熱フィンの強度が低下して、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がりやすい。
これに対して、この熱交換器の曲げ加工方法では、伝熱フィンが伝熱管にロウ付けされている熱交換器であっても、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
第9の観点にかかる熱交換器は、第1〜第8の観点のいずれかにかかる熱交換器の曲げ加工方法によって曲げ加工された熱交換器である。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法及び第9の観点にかかる熱交換器では、熱交換器の曲げ加工の開始時に、曲げ型から伝熱フィンにかかる荷重を小さくすることができ、これにより、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
第2及び第4の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法では、熱交換器の曲げ加工が行われた部分のサイズが大きくなりすぎることを抑えることができる。
第3の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法では、曲げ型から伝熱フィンの突出部分にかかる荷重が急激に変化しないようにすることができ、これにより、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを確実に抑えることができる。
第5の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法では、伝熱管内を流れる冷媒と伝熱管を横切る空気流との熱交換を行う熱交換器であっても、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
第6又は第7の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法では、伝熱管として扁平管又は扁平多穴管を採用した熱交換器であっても、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
第8の観点にかかる熱交換器の曲げ加工方法では、伝熱フィンが伝熱管にロウ付けされている熱交換器であっても、伝熱フィンの突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
本発明の一実施形態にかかる熱交換器の曲げ加工方法及び熱交換器が採用された室外熱交換器を有する室外ユニットの概略の内部構造を示す斜視図である。
図1のD部の拡大斜視図である。
室外熱交換器の曲げ加工を示す図(準備状態)である。
曲げ型の断面図である。
室外熱交換器の曲げ加工を示す図(曲げ加工状態)である。
室外熱交換器の曲げ加工が行われた部分を示す図(曲げ型を2点鎖線で図示)である。
変形例1における曲げ型の断面図である。
変形例1における室外熱交換器の曲げ加工が行われた部分を示す図(曲げ型を2点鎖線で図示)である。
変形例2における曲げ型の断面図である。
変形例3における曲げ型の断面図である。
本発明にかかる熱交換器の曲げ加工方法及び熱交換器について、図面に基づいて説明する。
−室外ユニットの概略構成−
図1は、本発明の一実施形態にかかる熱交換器の曲げ加工方法及び熱交換器が採用された室外熱交換器7を有する室外ユニット1の概略の内部構造を示す斜視図である。室外ユニット1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって空気調和を行う空気調和装置を構成している。室外ユニット1は、冷媒連絡管2、3を介して室内ユニット(図示せず)に接続されている。尚、以下の説明では、図1の紙面手前側を「前面」とし、図1の紙面奥側を「背面」とし、図1の紙面左側を「左側面」とし、図1の紙面右側を「右側面」とし、図1の紙面上側を「天面」とし、図1の紙面下側を「底面」とする。
室内ユニット2は、主として、略直方体箱状のユニットケーシング4と、圧縮機6と、室外熱交換器7と、室外ファン8とを有している。尚、室内ユニット2には、これら以外にも、様々な機器や弁、冷媒管等が収容されているが、ここでは説明を省略する。
ユニットケーシング4は、主として、底板41と、天板42(2点鎖線で図示)と、前板43(2点鎖線で図示)と、側板44(2点鎖線で図示)と、仕切板45とを有している。
底板41は、ユニットケーシング4の底面部分を構成する横長の略長方形状の板状部材である。底板41の周縁部は、上向きに折り曲げられている。底板41の外面には、現地据付面に固定される2つの固定脚5が設けられている。固定脚5は、ユニットケーシング4の前側から後側に向かって延びている。
天板42は、ユニットケーシング4の天面部分を構成する横長の略長方形状の板状部材である。
前板43は、主として、ユニットケーシング4の前面部分及び右側面の前部を構成する板状部材である。前板43の下部は、ネジ等によって底板41に固定されている。前板43には、吹出口43aが形成されている。吹出口43aは、ユニットケーシング4の背面及び左側面に形成された吸入口(図示せず)を通じてユニットケーシング4内に取り込まれた室外空気を吹き出すための開口である(空気流を示す矢印A〜Cを参照)。
側板44は、主として、ユニットケーシング4の右側面の後部及び右背面部分を構成する板状部材である。側板44の下部は、ネジ等によって底板42に固定されている。
仕切板45は、底板41上に配置される板状部材である。仕切板45は、鉛直に延びている。仕切板45は、ユニットケーシング4の内部空間を左右2つの空間(すなわち、送風機室S1と機械室S2)に仕切るように配置されている。仕切板45の下部は、ネジ等によって底板41に固定されている。
このように、ユニットケーシング4の内部空間は、仕切板45によって送風機室S1と機械室S2とに分割されている。送風機室S1は、底板41と、天板42と、前板43と、仕切板45とによって囲まれた空間である。機械室S2は、底板41と、天板42と、前板43と、側板44と、仕切板45とによって囲まれた空間である。そして、送風機室S1には、主として、室外熱交換器7と室外ファン8とが配置されている。機械室S2には、主として、圧縮機6が配置されている。
圧縮機6は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧の冷媒になるまで圧縮するための圧縮機である。圧縮機6は、略縦型円筒形状の密閉型圧縮機である。圧縮機6は、機械室S2内の平面視略中央に配置されている。
室外熱交換器7は、冷房時には室外空気を熱源とする冷媒の放熱器として機能し、暖房時には室外空気を熱源とする冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器7は、複数の伝熱管11と複数の伝熱フィン12とによって構成されたフィンチューブ型熱交換器である。室外熱交換器7は、平面視略L字形状をなすように曲げ加工されている。室外熱交換器7は、ユニットケーシング4の左側面及び背面に沿うように、かつ、送風ファン8の左側面側及び背面側を囲むように、送風機室S2内に配置されている。尚、室外熱交換器7の詳細な構成及び製造方法については、後述する。
室外ファン8は、ユニットケーシング4の左側面及び背面に形成された吸入口(図示せず)を通じて送風機室S1内に空気を取り込み、室外熱交換器7を通過させた後に、ユニットケーシング4の前面に形成された吹出口43aから吹き出すように機能する送風ファンである。ここでは、室外ファン8は、プロペラファンであり、送風機室S1内の室外熱交換器7の下流側に配置されている。
−室外熱交換器の詳細な構成−
次に、室外熱交換器7の詳細な構成について、図1及び図2を用いて説明する。ここで、図2は、図1のD部の拡大斜視図である。
室外熱交換器7は、主として、伝熱管11と、伝熱フィン21とを有している。尚、室外熱交換器7には、これら以外に、ヘッダー管等も設けられているが、ここでは説明を省略する。
伝熱管11は、その長手方向に直交する方向に幅広の平面部12を有する扁平管からなる。伝熱管11は、平面部12が上下方向に向く状態で上下方向間に平面部12の幅方向(図1においては、矢印A、Bの方向、図2においては、矢印E方向)に向かって室外空気が流れる通風空間を空けて複数配置されている。
平面部12には、平面部12を長手方向に貫通するように幅方向に並ぶ複数の流路穴13が形成されている。そして、冷媒は、各流路穴13を流れるようになっている。尚、伝熱管11は、アルミニウム等の金属素材からなり、押し出し成形等により製造されている。このように、ここでは、伝熱管11として、複数の流路穴13が形成された扁平多穴管が採用されており、冷媒側の熱伝達率が向上している。
伝熱フィン21は、伝熱管11の平面部12の幅方向寸法よりも幅方向寸法の大きい板状素材が伝熱管11の長手方向に沿って波形に折り曲げられることによって構成された波形フィンである。ここで、平面部21の幅方向寸法をW1とし、伝熱フィン21の幅方向寸法をW2とすると、平面部12の幅方向寸法W1<伝熱フィン21の幅方向寸法W2の関係になっている。尚、伝熱フィン21は、アルミニウム等の金属素材からなる。そして、伝熱フィン21は、フィン本体部22と、フィン縁部23とを有している。
フィン本体部22は、平面部12の上下方向間の通風空間に配置される部分であり、板状素材を伝熱管11の長手方向に沿って波形に折り曲げることによって上端24及び下端25が形成されている。上端24は、平面部12の下面にロウ付けによって接合されている。下端25は、平面部12の上面にロウ付けによって接合されている。また、フィン本体部22には、熱交換効率を向上させるために、フィン本体部22の上下方向中央部分を切り起こすことによって複数の本体側切り起こし部26が形成されている。ここでは、本体側切り起こし部26は、ルーバー状に切り起こされている。そして、本体側切り起こし部26は、室外空気流の上流側の部分と下流側の部分との間で、室外空気流に対する傾斜方向が逆になるように形成されている。
フィン縁部23は、伝熱フィン21の一部が伝熱管11の長手方向に直交する方向に突出した部分である。より具体的には、フィン縁部23は、各通風空間から伝熱管11の幅方向外方(ここでは、幅方向両外方)に向かって突出する部分である。フィン縁部23には、上端27及び下端28が形成されている。上端27及び下端28は、上端24及び下端25を形成するための折り曲げ線の近傍に切り込みを設けておくことによって、板状素材を伝熱管11の長手方向に沿って波形に折り曲げて上端24及び下端25を形成する際に、上下方向に向かって切り起こされる部分である。ここでは、上端27及び下端28は、伝熱管11の幅方向両側に形成されたフィン縁部23のうち室外空気流の下流側(図1においては、室外ファン8側、図2においては、矢印E側)に位置するフィン縁部23だけに形成されている。このため、上下方向に隣り合うフィン縁部23は、上端27及び下端28を介して互いに接触又は近接している。尚、ここでは、上端27及び下端28は、切り込みを伝熱管11の幅方向に対して平行に設けていることから、略長方形状に切り起こされているが、切り込みを伝熱管11の幅方向に対して斜めに設けることによって、略三角形状や略台形状に切り起こすようにしてもよい。また、フィン縁部23には、熱交換効率を向上させるために、フィン縁部23の上下方向中央部分を切り起こすことによって複数の縁側切り起こし部29a、29bが形成されている。室外空気流の上流側に位置する縁部切り起こし部29aについては、本体側切り起こし部26と同じ上下方向幅を有するように形成されている。一方、室外空気流の下流側に位置する縁部切り起こし部29bについては、本体側切り起こし部26よりも上下方向幅が短くなるように形成されている。ここでは、縁部切り起こし部29a、29bは、ルーバー状に切り起こされている。そして、縁部切り起こし部29a、29bは、室外空気流の上流側の部分と下流側の部分との間で、室外空気流に対する傾斜方向が逆になるように形成されている。このように、ここでは、縁部切り起こし部29bの上下方向幅を本体側切り起こし部26よりも短くしているため、フィン縁部23の強度の低下が抑えられている。
そして、上記の構成を有する室外熱交換器7では、冷房時に冷媒の放熱器として機能させる際には、伝熱管11内を流れる冷媒と伝熱管11を横切るように通風空間を流れる冷却源としての室外空気とが伝熱フィン21及び伝熱管11を介して熱交換を行う。そして、冷媒の放熱が行われる。また、室外熱交換器7を冷媒の蒸発器として機能させる際には、伝熱管11内を流れる冷媒と伝熱管11を横切るように通風空間を流れる加熱源としての室外空気とが伝熱フィン21及び伝熱管11を介して熱交換を行う。そして、冷媒の蒸発が行われる。この際、伝熱フィン21の表面に結露水が発生するが、室外熱交換器7の室外空気流の下流側に突出するフィン縁部23が形成されているため、フィン縁部23を介して結露水を下方に流すことができる。特に、ここでは、上記のように、フィン縁部23が上端27及び下端28を有しており、上下方向に隣り合うフィン縁部23同士が接触又は近接しているため、水はけ性能がさらに向上している。
−室外熱交換器の製造方法−
次に、室外熱交換器7の製造方法について、図1〜図6を用いて説明する。ここで、図3は、室外熱交換器7の曲げ加工を示す図(準備状態)である。図4は、曲げ型の断面図である。図5は、室外熱交換器7の曲げ加工を示す図(曲げ加工状態)である。図6は、室外熱交換器7の曲げ加工が行われた部分を示す図(曲げ型55を2点鎖線で図示)である。
まず、曲げ加工が行われていない平板状の室外熱交換器7を準備する。ここで、平板状の室外熱交換器7は、上記のように、平面部12が互いに対向し、かつ、平面部12間に通風空間を空けた状態で直管状の伝熱管11を複数配置し、各通風空間に波形に折り曲げられた伝熱フィン21を配置して積層したものである。ここでは、伝熱フィン21は、平面部12の両面にロウ付けされている。より具体的には、平面部12の両面にロウ材を設け、このロウ材が設けられた複数の伝熱管11と伝熱フィン21とを積層した状態で、ロウ付け炉等で加熱することによって、伝熱管11と伝熱フィン21とのロウ付けを行っている。これにより、上記のように、平板部12の幅方向両外方にフィン縁部23が突出した平板状の室外熱交換器7が得られる。尚、この平板状の室外熱交換器7においては、図6に示すように、平面部12の幅方向一方(室外空気流の下流側に面する方向)については、フィン縁部23のうち上端27及び下端28が形成されたフィン縁部23が突出している。また、平面部12の幅方向他方(室外空気流の上流側に面する方向)については、上端27及び下端28が形成されていないフィン縁部23が室外空気流の上流側に突出している。
次に、曲げ加工装置51を用いて平板状の室外熱交換器7の曲げ加工を行う。曲げ加工装置51は、平板状の室外熱交換器7を曲げ型55に巻き付けるように押し当てることによって、曲げ加工を行う装置である。尚、以下に説明する曲げ加工装置1は、本発明にかかる曲げ加工方法を実施するための一例であり、本発明にかかる曲げ加工方法の特徴である曲げ型55を使用するものであれば、他の曲げ加工装置であってもよい。
曲げ加工装置51は、主として、ベースプレート52と、2つのクランプ53、54と、曲げ型55とを有している。ベースプレート52は、平板状の室外熱交換器7の長手方向の少なくとも一端がはみ出した状態で積置する部材である。第1クランプ53は、室外熱交換器7のベースプレート52からはみ出した長手方向一端を下方(図3の矢印F参照)から支持する部材である。第2クランプ54は、室外熱交換器7のうち曲げ型55を挟んで第1クランプ53とは反対側の部分を上方(図3の矢印G参照)からペースプレート52との間に挟み付けることによって支持する部材である。曲げ型55は、主として、ベンディング56と、マンドレル57とを有している。ベンディング56は、室外熱交換器7のベースプレート52からはみ出した長手方向一端を上方から第1クランプ53との間に挟み付けることによって支持する部材である。マンドレル57は、室外熱交換器7と接触する外表面に湾曲面58を有する部材である。マンドレル57は、図示しないモータによって矢印Hの方向に回転駆動されるようになっている。そして、ベンディング56は、マンドレル57に固定されている。このため、ベンディング56は、マンドレル57の回転に伴って移動し、室外熱交換器7を曲げ型55の湾曲面58に巻き付けるように押し当てる。これにより、室外熱交換器7のベースプレート52からはみ出した長手方向一端が曲げ加工される。ここでは、平板状の室外熱交換器7を略L字形状をなすように曲げ加工するために、マンドレル57は、室外熱交換器7の曲げ加工の始点(図4及び図6における点XS)から終点(図4及び図6における点XE)まで90度回転する。また、室外熱交換器7は、伝熱フィン21の一部(ここでは、伝熱フィン21のフィン縁部23)が伝熱管11の長手方向に直交する方向に突出しているため、マンドレル57の湾曲面58には、伝熱フィン21の突出部分であるフィン縁部23が接触することになる。
上記のような室外熱交換器7を曲げ型55に巻き付けるように押し当てる曲げ加工方法では、曲げ型55から伝熱フィン21に荷重がかかる。このため、室外熱交換器7を曲げ型55に巻き付けるように押し当てる曲げ加工では、伝熱フィン21の突出部分であるフィン縁部23が折れ曲がるという問題が生じる。特に、従来のように、曲げ型55として単一の曲げ半径を有するものを採用すると、室外熱交換器7の曲げ加工の開始時(図4及び図6における点XS付近)に、曲げ型55から伝熱フィン21にかかる荷重が非常に大きくなり、その結果、フィン縁部23が折れ曲がるという問題が生じやすい。
そこで、室外熱交換器7の曲げ加工の開始時に大きくなる傾向があることに着目して、曲げ型55の湾曲面58として、室外熱交換器7の曲げ加工の始点XSから終点XEに向かって曲げ半径が小さくなるように変化するものを採用している。具体的には、湾曲面58は、第1湾曲面61と、主湾曲面62とを有している。第1湾曲面61は、始点XS寄り(具体的には、始点XSから点X1に至るまでの巻き付け角度θ1の範囲)に位置し、かつ、大きな曲げ半径R1を有している。主湾曲面62は、終点XE寄り(具体的には、点X1から終点XEに至るまでの巻き付け角度θMの範囲)に位置し、かつ、第1湾曲面61よりも小さな曲げ半径RMを有している。このため、この室外熱交換器7の曲げ加工では、マンドレル57の回転によって、曲げ加工の開始時には、伝熱フィン21の突出部分であるフィン縁部23を第1湾曲面61に巻き付けるように押し当てて、室外熱交換器7を曲げ加工する第1ステップが行われる。そして、この第1ステップの後に、伝熱フィン21の突出部分であるフィン縁部23を主湾曲面62に巻き付けるように押し当てて、室外熱交換器7を曲げ加工するメインステップが行われる。このようにして、平板状の室外熱交換器7に曲げ型55の湾曲面58(具体的には、第1湾曲面61及び主湾曲面62)が転写される。
これにより、この曲げ加工方法では、室外熱交換器7の曲げ加工の開始時に、曲げ型55から伝熱フィン21にかかる荷重を小さくすることができ、伝熱フィン21の突出部分であるフィン縁部23が折れ曲がることを抑えることができる。
また、ここでは、第1湾曲面41の巻き付け角度θ1が10度以下に設定されているため、室外熱交換器7の曲げ加工が行われた部分のサイズが大きくなりすぎることを抑えることができる。
また、ここでは、上記のように、曲げ加工が行われた室外熱交換器7を冷媒と空気流との熱交換を行う熱交換器として使用している。このため、室外熱交換器7の曲げ加工が行われた部分における室外空気流の通風抵抗が、曲げ加工が行われていない部分に比べて大きくなる傾向がある。このため、室外熱交換器7の曲げ加工が行われる部分については、伝熱フィン21が折れ曲がることを抑えるために、伝熱フィン21の突出部分(ここでは、フィン縁部23)を設けないようにすることが好ましい。しかし、冷媒と室外空気流との熱交換を行う室外熱交換器7を曲げ加工する場合には、図1に示すように、室外熱交換器7の室外空気流の上流側の面が凸になるように曲げ加工される場合が多い。また、室外熱交換器7に付着した水の排水を促進する等の理由によって、伝熱フィン21の突出部分であるフィン縁部23が室外熱交換器23の室外空気流の下流側に設けられることが多い。しかも、ここでは、伝熱フィン21の表面に発生する結露水を下方に流すことを促進するために、室外熱交換器7の室外空気流の下流側に突出するフィン縁部23に、切り起こしによって形成された上端27及び下端28を設けるようにしている。このため、マンドレル57の湾曲面58には、フィン縁部23の上端27及び下端28が接触している。これらの上端27及び下端28は、切り起こしによって形成された部分であるため、強度が非常に弱くなっている。
これに対して、この曲げ加工方法では、上記のように、室外熱交換器7の曲げ加工の開始時に、曲げ型55から伝熱フィン21にかかる荷重を小さくすることができる。このため、伝熱管11内を流れる冷媒と伝熱管11を横切る室外空気流との熱交換を行う熱交換器であるにもかかわらず、伝熱フィン21の突出部分であるフィン縁部23が折れ曲がることを抑えることができる。
また、ここでは、上記のように、伝熱管11として、長手方向に直交する方向に幅広の扁平管を採用している。しかも、この伝熱管11に採用されている扁平管は、幅方向に並ぶ複数の流路穴13が形成された扁平多穴管である。このため、伝熱管として円管を採用する場合に比べて、曲げ加工時に、曲げ型から伝熱フィンの突出部分にかかる荷重が大きくなる傾向にある。このため、伝熱フィンの突出部分(ここでは、フィン縁部23)が折れ曲がるという問題が生じやすい。
これに対して、この曲げ加工方法では、上記のように、室外熱交換器7の曲げ加工の開始時に、曲げ型55から伝熱フィン21にかかる荷重を小さくすることができる。このため、伝熱管11として扁平管又は扁平多穴管を採用した熱交換器であるにもかかわらず、フィン縁部23が折れ曲がることを抑えることができる。
さらに、ここでは、上記のように、伝熱フィン21が伝熱管11にロウ付けされている。このため、ロウ付け時の熱影響や、伝熱フィン表面のロウ材が別の場所に流れることに起因する減肉によって、伝熱フィン21の強度が低下して、伝熱フィン21の突出部分(ここでは、フィン縁部23)が折れ曲がりやすい。
これに対して、この曲げ加工方法では、上記のように、室外熱交換器7の曲げ加工の開始時に、曲げ型55から伝熱フィン21にかかる荷重を小さくすることができる。このため、伝熱フィン21が伝熱管11にロウ付けされている熱交換器であるにもかかわらず、フィン縁部23が折れ曲がることを抑えることができる。
−室外熱交換器の製造方法の変形例1−
上記の室外熱交換器7の曲げ加工方法では、曲げ型55の湾曲面58として、第1湾曲面61及び主湾曲面62のみを有するものを採用し、第1ステップの直後にメインステップを行うようにしている。しかし、このような曲げ加工方法では、湾曲面58の曲げ半径が小さくなることによって、曲げ型55から伝熱フィン21の突出部分(ここでは、フィン縁部23)にかかる荷重が急激に変化するおそれがある。
そこで、本変形例の曲げ加工方法では、図7及び図8に示すように、曲げ型55の湾曲面58として、第1湾曲面61と主湾曲面62との間に第1湾曲面61よりも小さく、かつ、主湾曲面62よりも大きな曲げ半径R2を有する第2湾曲面63を設けている。具体的には、第1湾曲面61は、始点XS寄り(具体的には、始点XSから点X1に至るまでの巻き付け角度θ1の範囲)に位置し、かつ、大きな曲げ半径R1を有している。第2湾曲面63は、第1湾曲面61の終点である点X1から点X2に至るまでの巻き付け角度θ2の範囲に位置し、第1湾曲面61よりも小さく、かつ、主湾曲面62よりも大きな曲げ半径R2を有している。主湾曲面42は、終点XE寄り(具体的には、点X2から終点XEに至るまでの巻き付け角度θMの範囲)に位置し、かつ、第2湾曲面63よりも小さな曲げ半径RMを有している。そして、第1ステップとメインステップとの間に、伝熱フィン21の突出部分(ここでは、フィン縁部23)を第2湾曲面63に巻き付けるように押し当てて、室外熱交換器7を曲げ加工する第2ステップを行うようにしている。ここで、図7は、本変形例における曲げ型55の断面図である。図8は、本変形例における室外熱交換器7の曲げ加工が行われた部分を示す図(曲げ型55を2点鎖線で図示)である。
これにより、本変形例の曲げ加工方法では、曲げ型55から伝熱フィン21の突出部分(ここでは、フィン縁部23)にかかる荷重が急激に変化しないようにすることができ、フィン縁部23が折れ曲がることを確実に抑えることができる。
しかも、ここでは、第1湾曲面61及び第2湾曲面63の巻き付け角度(すなわち、θ1+θ2)が20度以下に設定されているため、室外熱交換器7の曲げ加工が行われた部分のサイズが大きくなりすぎることを抑えることができる。
−室外熱交換器の製造方法の変形例2−
上記の変形例1の室外熱交換器7の曲げ加工方法では、曲げ型55の湾曲面58として、第1湾曲面61、第2湾曲面63及び主湾曲面62を有するものを採用し、第1ステップ及び第2ステップの後にメインステップを行うようにしている。しかし、曲げ型55から伝熱フィン21の突出部分(ここでは、フィン縁部23)にかかる荷重の変化をさらに小さくするために、曲げ半径がさらに多段階に小さくなるように変化するものを採用してもよい。
この場合には、図9及び次の一般式を満たすように、曲げ型55の湾曲面58の曲げ半径を多段階に小さくすればよい。
すなわち、線分OnXn=曲げ半径Rnであり(ここで、Onは曲げ半径Rnの中心)、曲げ半径Rnの状態でマンドレル57がθn度回転して曲げ加工(ここでは、全体で90度回転するものとする)が進むものとすると、
Σθ = θ1+θ2+・・・+θn−1 = 90度
となる。
ここで、曲げ半径Rnは、線分On−1Xnの長さ以下であるため、
R1≧R2≧・・・≧Rn
となる。
尚、上記の第1湾曲面61及び主湾曲面62を有する湾曲面58、又は、変形例1の第1湾曲面61、第2湾曲面63及び主湾曲面62を有する湾曲面58も、添字「S」、「M」及び「E」を「1」、「n」及び「n」に置き換えて、n=2又はn=3とすれば、上記の一般式に当てはまることがわかる。また、nを無限に大きくすると、湾曲面58(すなわち、始点XSから終点XEを結ぶ線)は、概ねインボリュート曲線状の面をなしている。
これにより、本変形例の曲げ加工方法では、実質的には、第1湾曲面による曲げ加工を行う第1ステップと、主湾曲面による曲げ加工を行うメインステップとの間に、多段階に曲げ半径が小さくなる第2湾曲面による曲げ加工を行う第2ステップが行われることになる。そして、上記の変形例1の曲げ加工方法よりも、曲げ型55から伝熱フィン21の突出部分(ここでは、フィン縁部23)にかかる荷重の変化をさらに小さくすることができる。
−室外熱交換器の製造方法の変形例3−
上記の室外熱交換器7の曲げ加工方法では、曲げ型55として、湾曲面58が曲げ加工の始点から終点まで滑らかに繋がったものを採用している。例えば、変形例1における曲げ型55では、第1湾曲面61、第2湾曲面63及び主湾曲面62が滑らかに繋がったものを採用している。しかし、第1湾曲面61、第2湾曲面63及び主湾曲面62間が必ずしも滑らかに繋がっている必要はなく、第1湾曲面61、第2湾曲面63及び主湾曲面62間が多少の段差を介して繋がっていてもよい。
例えば、図10に示すように、変形例1の曲げ型55において、第2湾曲面63と主湾曲面62との間に段差64が存在していてもよい。ここでは、マンドレル57としては、主湾曲面62のみを有するものを採用し、ベンディング56として、その表面に第1湾曲面61及び第2湾曲面63が形成されたアタッチメント65が設けられたものを採用している。このため、アタッチメント65のマンドレル57側の端部の厚み分が段差64として現れている。すなわち、段差64は、第2湾曲面63の主湾曲面62側の端部が主湾曲面62の第2湾曲面63側の端部よりも外周側に突出するように形成されている。尚、段差64は、数mm程度の小さなものである。
このような本変形例においても、上記の室外熱交換器7の加工方法と同様の作用効果を得ることができる。
例えば、本変形例のような段差64を有する曲げ型55の構成において、第1湾曲面61、第2湾曲面63及び主湾曲面62の曲げ半径R1、RM及びR2をそれぞれ200mm、77mm及び70mmとする。また、第1湾曲面61の巻き付け角度θ1を5度とし、第2湾曲面63の巻き付け角度θ2を13度とし、主湾曲面62の巻き付け角度θMを72度とする。このような曲げ型55を用いて、室外熱交換器7の曲げ加工を行うと、室外熱交換器7の曲げ加工の開始時に、曲げ型55から伝熱フィン21にかかる荷重を小さくすることができ、これにより、伝熱フィン21の突出部分が折れ曲がることを抑えることができる。
−他の実施形態−
以上、本発明の実施形態及びその変形例について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(A)
上記の実施形態及びその変形例においては、伝熱管11として扁平多穴管を使用し、かつ、伝熱フィン21として波形フィンを使用した室外熱交換器7に対して本発明を適用しているが、これに限定されるものではない。
例えば、伝熱管として扁平管を使用した熱交換器に対して本発明を適用してもよい。また、伝熱管として円管を使用した熱交換器に対して本発明を適用してもよい。また、伝熱フィンとして、伝熱管の長手方向に所定の間隔を空けて設けられるプレートフィンを使用した熱交換器に対して本発明を適用してもよい。
但し、伝熱管として円管を使用し、かつ、伝熱フィンとしてプレートフィンを使用する熱交換器では、伝熱管を伝熱フィンに挿通させた後に拡管を行うことによって伝熱管と伝熱フィンとの固定を行っている。このため、伝熱管と伝熱フィンとの固定をロウ付けによって行う場合のような熱影響や減肉が生じないため、伝熱フィンの伝熱管の長手方向に直交する方向に突出した部分の強度の低下が抑えられている。また、伝熱管が円管であるため、扁平管を使用する場合に比べて、曲げ型から受ける荷重が小さくなっている。
このため、本発明の曲げ加工方法は、上記の実施形態及びその変形例のような、伝熱管として扁平管(扁平多穴管)を使用し、また、伝熱管と伝熱フィンとの固定にロウ付けを使用する熱交換器に対して、非常に有効である。
(B)
上記の実施形態及びその変形例においては、略L字形状をなすように室外熱交換器7を曲げ加工する際に、本発明を適用しているが、これに限定されるものではない。
例えば、略U字形状をなすように室外熱交換器7を曲げ加工する際に、本発明を適用してもよい。
(C)
上記の実施形態及びその変形例においては、室外ユニットを構成する室外熱交換器7に対して本発明を適用しているが、これに限定されるものではない。
例えば、室内ユニットを構成する室内熱交換器や他の型式の空気調和装置における熱交換器等に対して、本発明を適用してもよい。
本発明は、伝熱フィンの一部が伝熱管の長手方向に直交する方向に突出した状態で配置された平板状の熱交換器を、曲げ型に巻き付けるように押し当てることによって、曲げ加工を行う熱交換器の曲げ加工方法に、広く適用可能である。
7 室外熱交換器
11 伝熱管
21 伝熱フィン
55 曲げ型
58 湾曲面
61 第1湾曲面
62 主湾曲面
63 第2湾曲面