JP2012023249A - 半導体発光素子、半導体発光装置、半導体発光素子の製造方法、および半導体発光装置の製造方法 - Google Patents

半導体発光素子、半導体発光装置、半導体発光素子の製造方法、および半導体発光装置の製造方法 Download PDF

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秀善 堀江
Hidetaka Amanai
英隆 天内
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崇 深田
Hiroya Kodama
弘也 樹神
Kakunari Katsumoto
覚成 勝本
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Abstract

【課題】窒化物基板上に形成された、特定の平面形状を有する半導体発光素子において理想的な光取り出しを、簡便な作製プロセスで実現可能な半導体発光素子を提供する。
【解決手段】窒化物基板と、ピーク発光波長λの光を発する活性層構造を含み前記窒化物基板の主面上に形成された半導体層部とを有し、式を満たすことを特徴とする半導体発光素子。
式 Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
(但し、tは、前記窒化物基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記窒化物基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記窒化物基板の波長λにおける屈折率を表す。)
【選択図】図3A

Description

本発明は、半導体発光素子、半導体発光装置、半導体発光素子の製造方法、および半導体発光装置の製造方法に関する。詳しくは、窒化物基板上に形成された、絶対値として高出力特性を実現しうる発光素子の光取り出し効率を向上させ、高出力化、高効率化を簡便な方法で実現し、さらに配光特性の制御も可能とする半導体発光素子、半導体発光装置、半導体発光素子の製造方法、および半導体発光装置の製造方法に関する。
青色発光素子や紫外線発光素子は、適切な波長変換材料との組み合わせにより白色光源とすることができる。このような白色光源は、液晶ディスプレイなどのバックライト、発光ダイオードイルミネーション、自動車用照明、あるいは蛍光灯に替わる一般照明などとしての応用が盛んに研究されてきており、その一部は既に実用化されている。
現在では、このような発光素子は主として、半導体発光素子(LED)により実現されている。半導体発光素子(以下、単に「発光素子」と称することがある。)は、通常、サファイア基板上に形成されたGaN系材料によって実現されている。中でも、基板の主面方向から投影された平面形状が略正方形をしているものが主流である。また、サファイア基板上に形成されたAlGaInN系半導体層部を有する発光素子は、サファイア基板が非常に硬い材料であるために、そのへき開性から、発光素子に内在するサファイア基板の厚みは100μm前後のものが主流である。
一方、GaNやAlNなどの窒化物基板上にAlGaInN系半導体層部をエピタキシャル成長し、半導体層部内の低転位密度化をはかり、発光素子の高出力化、高効率化を目指す試みもなされている。また、発光素子構造を工夫することで光取り出し効率を向上させる試みもなされてきた。
主にGaN基板上に形成された半導体発光素子において、従来開示されている光取り出し効率の向上方法には、以下のようなものがある。
例えば、発光層から法線方向(垂直方向)への光を効率よく取り出すための発光素子構造の工夫は、特許文献1(特開2006−100787)に開示されている。ここでは、発光層から法線方向への光を効率よく取り出すために、LED素子の表面、すなわち、基板裏面あるいは基板を剥離して露出させた半導体層に、所定の光学形状を施して、屈折率が1.6以上の封止材料により封止し、前記所定の光学形状は、前記LED素子の発光層と略同等の屈折率を有する基板、または剥離して露出させた半導体層に形成されている発光装置が開示されている。また、ここでは、n1をLED素子の発光層の屈折率、n2を封止材料の屈折率、wを素子幅として、発光層の法線方向に光取り出しをすべく、前記基板を透光性材料層(厚みt)として、当該tが
w/(2tan(sin−1(n1/n2)))≦t
を満たす発光素子が開示されている。
一方、発光層からの光を発光素子側面から効率よく取り出そうとする試みには、特許文献2(特開2003−86843)、特許文献3(特表2005−503043)、特許文献4(特開2007−242645)がある。
特許文献2には、透光性基板上に、基板側をマウントする半導体発光素子であって、透光性基板裏面からp型半導体層表面までの厚さが60−460μmの範囲にある半導体発光素子が開示されている。
特許文献3には、基板と該基板上に相互に間隔を置いて配置された幅bおよび高さhの複数の放射出力素子と各放射出力素子上に配置されたコンタクト素子を有しており、放射出力素子は発光ゾーンを含む活性層スタックを有するエレクトロルミネッセンス体において、コンタクト素子は対応する放射出力素子の幅bよりも小さい幅b’を有しており、放射出力素子の幅bは高さhが定められているとき発光ゾーンから側方へ放出される光が、放射出力素子の側面でほとんど全反射せずここを通って直接に出力されるように選定されていることを特徴とするエレクトロルミネッセンス体が開示されている。さらに、α
活性層スタックから周辺媒質へ入射する光の全反射の臨界角とした際に、
0<(b+b’)/h<2cot(α)、
さらに好ましくは、
0<(b+b’)/h<cot(α)を満たすように、
b+b’を小さくことが開示されている。
特許文献4には、少なくともn型GaN系半導体層、活性層、p型GaN系半導体層を備えた窒化物発光素子において、p型GaN系半導体層の成長面側にZnOまたはZnO化合物からなるn型ZnO膜が形成され、該n型ZnO膜の成長面側には、ZnO基板が配置されていることを特徴とする窒化物発光素子が開示されている。
特開2006−100787号公報 特開2003−86843号公報 特表2005−503043号公報 特開2007−242645号公報
しかし、これら特許文献1〜4のいずれの手段においても、GaNやAlNなどの窒化物基板上にAlGaInN系半導体層部を有する発光素子の本質的な高出力化、高効率化は十分ではなかった。
たとえば、特許文献1における、屈折率が1.6以上の封止材料により封止し、活性層の垂直方向への光取り出し効率を向上させる試みにおいては、次の理由で本質的に十分ではない。即ち、後述するように、本発明者らは検討により、窒化物基板上にAlGaInN系半導体層部を有する発光素子においては、活性層構造の平行方向に近い方向に内部発光強度の強い方向があることを見出した。そして、活性層と基板の屈折率差が大きくない場合においては、活性層発光素子の側壁面からの光を取り出し効率を向上させる方法が、本質的に優れた方法であることを見出した。このため、活性層の垂直方向への光取り出し効率を向上させる特許文献1の試みは、活性層の平行方向に近い方向に出射される内部発光を効率的に取り出す方法に比較して本質的に十分ではなかった。
特許文献2においては、基板側をマウントする素子において、透光性基板の側面から光を取り出すために、p型半導体層までの厚みが60−460μmの素子が開示されている。しかし、ここで開示されている素子は、平面的な素子の大きさと基板の厚みの関係等にはまったく言及されていない。さらに、活性層がGaN系材料で構成されている場合に、基板がサファイアの場合もGaNの場合も同列に扱われており、基板を厚膜化する場合の本質的な技術思想が開示されていない。したがって、特許文献2の技術を用いても、本質的に十分な光取り出しを行うことができず、特に比較的平面的に大型の窒化物基板上に形成された発光素子においては、特許文献2に記載の技術思想の範囲では十分な光取り出し効果を期待することはできなかった。
さらに、特許文献3に開示されているエレクトロルミネッセンス体は、サファイアやSiC基板上に形成されたGaN系材料を有する場合において、いわゆるエピタキシャル成長部における発光ポイントを十分に小さくすることで、エピタキシャル成長層の側面からの光取り出しを高効率に実現するための構造が開示されているものであるが、この技術思想によれば、素子の高出力化に不可欠な発光ポイントの大型化には不向きである。
特許文献4においては、発光素子の側壁から光を取り出すために異種材料の張り合わせが必要であって素子作成プロセスが複雑となり好ましくない。さらに、活性層材料であるGaN系材料とZnO系材料の間の屈折率差から、内部反射が多くなるため、素子側面からの理想的な光取り出しは実現できない。
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであって、窒化物基板上に形成された発光素子の理想的な光取り出しを、簡便な作製プロセスで実現可能な半導体発光素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、窒化物基板上にAlGaInN系半導体層部を有する発光素子においては、活性層構造の平行方向に近い方向に内部発光強度密度の強い方向があることを見出した。そして、活性層と基板の屈折率差が大きくない場合においては、発光素子の側壁面からの光を取り出し効率を向上させる方法が、本質的に優れた方法であることを見出した。さらに壁面からの光取り出し効率向上のためには、当業者の技術常識を大幅に越える基板の物理厚みが必要であることを見出した。
本発明の要旨は以下に存する。
1.窒化物基板と、
ピーク発光波長λの光を発する活性層構造を含み前記窒化物基板の主面上に形成された半導体層部と、を有し、
下記式を満たすことを特徴とする半導体発光素子。
式 Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
(但し、tは、前記窒化物基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記窒化物基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記窒化物基板の波長λにおける屈折率を表す。)
2.上記1に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の主面と垂直な任意の平面内にあって、
光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxが少なくとも以下の式のいずれか一方を満たす配光特性となる平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
−90.0度 < φem max ≦−32.5度
32.5度 ≦ φem max <90.0度
3. 上記1または2に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の主面と垂直な任意の平面内にあって、
光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、その外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxから、スネルの法則を用いて求められる半導体発光素子内部における内部発光強度密度の最大値を示す方向θem maxが少なくとも以下の式のいずれか一方を満たす平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
−90.0度 < θem max ≦−67.5度
67.5度 ≦ θem max < 90.0度
4. 上記1〜3のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値が、0度における外部発光強度密度よりも20%以上大きくなる平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
5. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形である窒化物基板と、
ピーク発光波長λの光を発する活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
下記式を満たすことを特徴とする半導体発光素子。

sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
6. 上記5に記載の半導体発光素子であって、
前記基板主面が略三角形であり、最短辺の長さLsaおよび前記Lscが下記式を満たすことを特徴とする半導体発光素子。
250(μm)≦Lsa≦Lsc≦5000(μm)
7. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形である窒化物基板と、
ピーク発光波長λの光を発する活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、下記式1及び下記式2を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、下記式1のみを満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
式2
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
8. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略m角形(mは5以上の整数)又は少なくとも一部に曲線を含む形状である窒化物基板と、
ピーク発光波長λの光を発する活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、下記式3及び下記式4を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、下記式3のみを満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式3
sc×tan{sin−1(1/ns(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
式4
500(μm)≦Lsc
9. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形である窒化物基板と、
活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部とを有する半導体発光素子であって、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、下記式5及び下記式6を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、下記式5のみを満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式5
450(μm)≦t≦22(mm)
(tは前記基板の最大物理厚み)
式6
1700(μm)≦Lsa≦Lsb≦50(mm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
10. 上記1〜9のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記基板主面に垂直方向に投影した半導体発光素子形状が、正多角形形状でないことを特徴とする半導体発光素子。
11. 上記1〜10のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の主面が、(0001)面あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面であることを特徴とする半導体発光素子。
12. 上記1〜10のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の主面が、(1−10n)面、(11−2n)面(但しnは0、1、2、3)、あるいは、これらの面からのオフ角度が5度以内の面であることを特徴とする半導体発光素子。
13. 上記1〜12のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が第二導電型半導体層をも有し、かつ、前記活性層構造が量子井戸層と障壁層を含んでおり、
当該量子井戸層の数をNUMQW
当該量子井戸層を構成する層の平均物理厚みをTQW(nm)、
当該量子井戸層を構成する層の波長λにおける平均屈折率をnQW(λ)、
当該障壁層の数をNUMBR
当該障壁層を構成する層の平均物理厚みをTBR(nm)、
当該障壁層を構成する層の波長λにおける平均屈折率をnBR(λ)、
当該第二導電型半導体層の物理厚みをT(nm)、
当該第二導電型半導体層の屈折率をn(λ)とする際に、
以下の式を満たすことを特徴とする半導体発光素子。
Figure 2012023249
14. 上記1〜12のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が第二導電型半導体層をも有し、かつ、前記活性層構造が量子井戸層を含んでおり、
内部発光強度密度の最大値示す方向θ em max(度)に最近接し、内部発光強度密度に極小値を与える方向θem L-minimal(度)が、以下の式7を満たし、
かつ、
方向(90−sin−1(1/n(λ)))(度)における内部発光強度密度Jin(90−sin−1(1/n(λ)))と、θ em max(度)における内部発光強度密度の最大値Jin(θ em max度)との比が以下の式8を満たすような、当該第二導電型側半導体層厚み、当該量子井戸層数、および量子井戸層厚みを有することを特徴とする半導体発光素子。
式7:θ em L-minimal< 90−sin−1(1/n(λ))
式8:(Jin(90−sin−1(1/n(λ)))/Jin(θ em max))≦0.9
15. ピーク発光波長λの半導体発光素子の製造方法であって、
波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を準備する第一工程と、
前記窒化物基板の主面上に半導体層部を形成する第二工程と、
前記半導体層部を加工する第三工程と、
前記基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含み、
下記式を満たすように形状加工することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。

sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
16. 上記15に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
さらに、
基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、
基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、および、
少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、
の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
17. 上記15または16記載の半導体発光素子の製造方法であって、
前記窒化物基板をGaN基板とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
18. 上記15〜17のいずれか1項に記載の方法で準備された半導体発光素子を用いて、第四工程後に半導体発光装置を作製する際の方法であって、
半導体発光素子の半導体層部側をサブマウントに搭載する工程を有することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
19. 上記15〜18のいずれか1項に記載の方法で準備された半導体発光素子を用いて、第四工程後に半導体発光装置を作製する際の方法であって、
半導体発光素子を封止する工程を有することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
本発明によれば、窒化物基板上に形成しうる半導体発光素子の理想的な光取り出しを、簡便な作製プロセスで実現可能な半導体発光素子およびその製造方法を提供することができる。また、本発明の発光素子は、基板の側壁面からの光取り出しに好適であるという観点から、特に、いわゆるフリップチップ型構造や上下導通型構造を有する発光素子において特に有用である。
本発明の一形態の半導体発光素子の構造を模式的に示す断面図である。 量子井戸層および障壁層を示す図である。 内部発光プロファイルを求めるためのモデルである。 内部発光プロファイルを説明するための図である。 内部発光プロファイルを説明するための図である。 第一の実施形態に関する半導体発光素子の幾何形状を模式的に示す斜視図である。 図3Aの側面図である。 光の挙動を示す図である。 光の挙動を示す図である。 光の挙動を示す図である。 光取り出し効率の計算モデルに用いた三角形を示す図である。 光取り出し効率の計算モデルに用いた、図形の対称性を下げた三角形を示す図である。 外部発光プロファイル等を説明するための図である。 角度βで傾斜した最遠側壁部を説明するための図である。 側壁部、主面と対峙する面等の形態を種々変更した例を示す図である。 側壁部、主面と対峙する面等の形態を種々変更した例を示す図である。 側壁部、主面と対峙する面等の形態を種々変更した例を示す図である。 側壁部、主面と対峙する面等の形態を種々変更した例を示す図である。 側壁部等の形態を種々変更した例を示す図である。 側壁部等の形態を種々変更した例を示す図である。 側壁部等の形態を種々変更した例を示す図である。 集積型の構成について説明するための図である。 本発明の素子の他の構成例を示す斜視図である。 反りの測定方法について説明するための図である。 三角形の辺に凹凸形状が形成された略三角形形状例を示す図である。 フリップチップ構造を有する本発明の半導体発光素子を搭載した半導体発光装置の一例である。 本発明の第一の実施形態に関する実施例で得られた本発明の半導体発光素子の基板主面の投影形状を示した図である。 本発明の第一の実施形態に関する実施例1および第一の実施形態に関する比較例1、2で製造した半導体発光装置の全放射束の測定結果を示すグラフである。 本発明の第一の実施形態に関する実施例1で製造した半導体発光装置の、200mA電流注入時の配光特性を示す図である。 第2導電型半導体層の厚みを0〜150nmの範囲で変化させたときの内部発光プロファイルを示すシミュレーショングラフである。 第2導電型半導体層の厚みを150〜500nmの範囲で変化させたときの内部発光プロファイルを示すシミュレーショングラフである。 本発明の第一の実施形態に関する実施例2で製造した半導体発光装置の全放射束の測定結果を示す図である。 本発明の第一の実施形態に関する比較例1で製造した半導体発光装置の、200mA電流注入時の配光特性を示す図である。 本発明の第一の実施形態に関する比較例2で製造した半導体発光装置の、200mA電流注入時の配光特性を示す図である。 第二の実施形態に係る半導体発光素子の幾何形状を模式的に示す斜視図である。 図19Aの縦断面図である。 光取り出し効率の計算モデルに用いた正方形を示す図である。 光取り出し効率の計算モデルに用いた不等辺四角形を示す図である。 側壁部等の形態を種々変更した例を示す図である。 側壁部等の形態を種々変更した例を示す図である。 側壁部等の形態を種々変更した例を示す図である。 集積型の構成について説明するための図である。 本発明の素子の他の構成例を示す斜視図である。 四角形の辺に凹凸形状が形成された略四角形形状例を示す図である。 本発明の第二の実施形態に関する実施例1、2および第二の実施形態に関する比較例1、2で製造した半導体発光装置の全放射束の測定結果を示すグラフである。 本発明の第二の実施形態に関する実施例3で製造した半導体発光装置の全放射束の測定結果を示すグラフである。 本発明の第二の実施形態に関する実施例4で製造した半導体発光装置の全放射束の測定結果を示すグラフである。 本発明の第二の実施形態に関する実施例5で製造した半導体発光装置の全放射束の測定結果を示すグラフである。 本発明の第二の実施形態に関する実施例1で製造した半導体発光装置の、100mWの全放射束時の配光特性を示す図である。 本発明の第二の実施形態に関する実施例1で製造した半導体発光装置の、200mA電流注入時の配光特性を示す図である。 本発明の第二の実施形態に関する実施例2で製造した半導体発光装置の、100mWの全放射束時の配光特性を示す図である。 本発明の第二の実施形態に関する実施例2で製造した半導体発光装置の、200mA電流注入時の配光特性を示す図である。 本発明の第二の実施形態に関する比較例2で製造した半導体発光装置の、100mWの全放射束時の配光特性を示す図である。 本発明の第二の実施形態に関する比較例2で製造した半導体発光装置の、200mA電流注入時の配光特性を示す図である。 第三の実施形態に係る半導体発光素子の幾何形状を模式的に示す斜視図である。 図28Aの縦断面図である。 光取り出し効率の計算モデルに用いた正六角形を示す図である。 光取り出し効率の計算モデルに用いた、図形の対称性を下げた六角形を示す図である。 側壁部等の形態を種々変更した例を示す図である。 側壁部等の形態を種々変更した例を示す図である。 側壁部等の形態を種々変更した例を示す図である。 集積型の構成について説明するための図である。 本発明の素子の他の構成例を示す斜視図である。 多角形の辺に凹凸形状が形成された略多角形形状の例、および、少なくとも一部に曲線を含む形状の例を示す図である。 本発明の第三の実施形態に関する実施例1、2および第三の実施形態に関する比較例1、2で製造した半導体発光装置の全放射束の測定結果を示すグラフである。 本発明の第三の実施形態に関する実施例3で製造した半導体発光装置の全放射束の測定結果を示す図である。 本発明の第三の実施形態に関する実施例3で製造した半導体発光装置の、200mA電流注入時の配光特性を示す図である。 本発明の第三の実施形態に関する実施例4で製造した半導体発光装置の全放射束の測定結果を示す図である。 本発明の第三の実施形態に関する実施例4で製造した半導体発光装置の、200mA電流注入時の配光特性を示す図である。 本発明の第三の実施形態に関する実施例5で製造した半導体発光装置の全放射束の測定結果を示す図である。 本発明の第三の実施形態に関する実施例5で製造した半導体発光装置の、200mA電流注入時の配光特性を示す図である。 本発明の第四の実施形態に関する実施例2の半導体発光装置の配光特性測定結果を示すグラフである。 本発明に係る超ラージチップタイプの素子と一般的な素子との比較を説明するための模式的側面図である。 基板厚みを厚くすることによって光取出し効率がどのようになるかの比(光取り出し効率比)を示すグラフである。 GaN基板上の発光素子の場合であって、内部発光強度密度の放射方向依存性を、第二導電型半導体層厚みをパラメータとして示したグラフである。 GaN基板上の発光素子の場合であって、内部発光強度密度の放射方向依存性を、第二導電型半導体層厚みをパラメータとして示したグラフである。 GaN基板上の発光素子の場合であって、内部発光強度密度の放射方向依存性を、量子井戸層の数をパラメータとして示したグラフである。 GaN基板上の発光素子の場合であって、内部発光強度密度の放射方向依存性を、量子井戸層の数をパラメータとして示したグラフである。 GaN基板上の発光素子の場合であって、内部発光強度密度の放射方向依存性を、量子井戸層の厚みをパラメータとして示したグラフである。 本明細書の対称性について説明するための図である。 角度ωと光取り出し効率との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る半導体発光素子の幾つかの実施形態について順に説明する。具体的には、基板の平面形状が略三角形の素子、略四角形の素子、略m角形の素子について説明し、次いで、超ラージチップと呼ばれる範疇のチップ等について説明する。
〔A:第一の実施形態(略三角形)〕
以下、基板の平面形状が略三角形(詳細後述)の実施形態について説明する。
本実施形態に係る発明の要旨は以下に存する。
1. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形である窒化物基板と、
ピーク発光波長λの光を発する活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
式a1を満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式a1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
2. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形であるGaN基板と、
活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
式a3を満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式a3
sc×0.418≦t≦Lsc×2.395
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表す。)
3. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形である窒化物基板と、
ピーク発光波長λの光を発する活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
式a5を満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式a5
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
4. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形であるGaN基板と、
活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
式a7を満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式a7
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表す。)
5. 上記1〜4のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記基板主面が、略三角形であり、最短辺の長さLsaおよび前記Lscが下記式を満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
250(μm)≦Lsa≦Lsc≦5000(μm)
6. 上記1〜4のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記基板が、前記活性層構造が発するピーク発光波長λの光に対して略透明であること
を特徴とする半導体発光素子。
7. 上記1〜6のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
半導体発光素子のピーク波長λにおいて、前記基板の波長λにおける屈折率をn(λ)、
前記半導体層部を構成する層Xの波長λにおける屈折率をnLX(λ)とした際に、すべての層Xにおいて、
0.75≦(nLX(λ)/n(λ))≦1.25
を満たすことを特徴とする半導体発光素子。
8. 上記1〜7のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が窒化物のみから構成されることを特徴とする半導体発光素子。
9. 上記1〜8のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の主面が、(0001)面あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面であることを特徴とする半導体発光素子。
10. 上記1〜8のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の主面が、(1−10n)面、(11−2n)面(但しnは0、1、2、3)あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面であることを特徴とする半導体発光素子。
11. 上記1〜10のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面と略平行な面、および、前記主面に対して略垂直な面によって構成されていることを特徴とする半導体発光素子。
12. 上記1〜10のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面に対して略垂直な方向から傾斜している面を含むことを特徴とする半導体発光素子。
13. 上記12記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面と略平行な面をも含むことを特徴とする半導体発光素子。
14. 上記13記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面に対して略垂直な面をも含むことを特徴とする半導体発光素子。
15. 上記12記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面と略平行な面と主面に対して略垂直な面のいずれをも含むことを特徴とする半導体発光素子。
16. 上記12記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面に対して略垂直な方向から傾斜している面以外の面を含まないことを特徴とする半導体発光素子。
17. 上記12〜16のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記主面に対して略垂直な面から前記窒化物基板の露出面が傾斜している角度βが下記式のいずれかを満たすことを特徴とする半導体発光素子。
−22.5度 ≦ β < 0.0度
0.0度 < β ≦22.5度
18. 上記1〜17のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、凹凸加工されている部分を有することを特徴とする半導体発光素子。
19. 上記1〜18のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部の端部が、前記窒化物基板の主面に対して略垂直であることを特徴とする半導体発光素子。
20. 上記1〜18のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部の端部が、前記窒化物基板の主面に対して略垂直でないことを特徴とする半導体発光素子。
21. 上記1〜20のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記基板の投影形状である前記略三角形に対して、当該半導体層部の端部の平面形状が、一致しているかまたは略相似形となっていることを特徴とする半導体発光素子。
22. 上記1〜20のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記基板の投影形状である前記略三角形に対して、当該半導体層部の端部の平面形状が、略相似形となっていないことを特徴とする半導体発光素子。
23. 上記22記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部の端部の平面形状が、略三角形以外の形状であることを特徴とする半導体発光素子。
24. 上記1〜23のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部の平面形状が、端部に凹凸形状を有することを特徴とする半導体発光素子。
25. 上記1〜24のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が、第二導電型半導体層を有することを特徴とする半導体発光素子。
26. 上記25記載の半導体発光素子であって、
前記第二導電型半導体層の厚みが10nm以上180nm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
27. 上記1〜26のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が、第一導電型半導体層を有することを特徴とする半導体発光素子。
28. 上記1〜27のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が、第一導電型側電極とは接しておらず第二導電型側電極と接し、
前記第一導電型側電極は前記窒化物基板と接していることを特徴とする半導体発光素子。
29. 上記1〜27のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が、第一導電型側電極と第二導電型側電極とともに接していることを特徴とする半導体発光素子。
30. 上記1〜29のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記活性層構造が、量子井戸層と障壁層とを有することを特徴とする半導体発光素子。
31. 上記30記載の半導体発光素子であって、
前記量子井戸層数が、4層以上30層以下であることを特徴とする半導体発光素子。
32. 上記30または31に記載の半導体発光素子であって、
前記量子井戸層の厚みの最大値が40nm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
33. 上記30〜32のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記量子井戸層の数をNUMQW
前記量子井戸層を構成する層の平均物理厚みをTQW(nm)、
前記量子井戸層を構成する層の波長λにおける平均屈折率をnQW(λ)、
前記障壁層の数をNUMBR
前記障壁層を構成する層の平均物理厚みをTBR(nm)、
前記障壁層を構成する層の波長λにおける平均屈折率をnBR(λ)、
前記第二導電型半導体層の物理厚みをT(nm)、
前記第二導電型半導体層の屈折率をn(λ)とする際に、
以下の数2を満たすことを特徴とする半導体発光素子。
Figure 2012023249
34. 上記1〜33のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部のピーク発光波長λが370nm以上430nm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
35. 上記1〜34のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部に形成される発光ユニットが複数存在することを特徴とする半導体発光素子。
36. 上記1〜35のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板中の酸素濃度が5×1017(cm−3)未満であることを特徴とする半導体発光素子。
37. 上記1〜36のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の熱伝導率が200W/m・K以上であることを特徴とする半導体発光素子。
38. 上記1〜37のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の転位密度が9×1016(cm−2)以下であって、当該転位の分布が略一様であることを特徴とする半導体発光素子。
39. 上記1〜38のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板には分極反転領域を有さないことを特徴とする半導体発光素子。
40. 上記1、3及び6〜39のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板が、GaN基板であることを特徴とする半導体発光素子。
41. 上記1〜40のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
その外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxから、スネルの法則を用いて求められる半導体発光素子内部における内部発光強度密度の最大値を示す方向θem maxが少なくとも以下の式のいずれか一方を満たす平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
−90.0度 < θem max ≦−67.5度
67.5度 ≦ θem max < 90.0度
42. 上記1〜41のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxが、少なくとも以下の式のいずれか一方を満たす配光特性となる平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
−90.0度 < φem max ≦−32.5度
32.5度 ≦ φem max <90.0度
43. 上記1〜42のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値が、0度における外部発光強度密度よりも20%以上大きくなる平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
44. 上記1〜43のいずれか1項に記載の半導体発光素子を有する半導体発光装置であって、
前記半導体発光素子の半導体層部側が放熱板に近接していることを特徴とする半導体発光装置。
45. 上記1〜44のいずれか1項に記載の半導体発光素子を有する半導体発光装置であって、
当該半導体発光素子が、シリコーン系材料またはガラス材料で覆われていることを特徴とする半導体発光装置。
46. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形となる、ピーク発光波長λの半導体発光素子の製造方法であって、
波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を準備する第一工程と、
前記窒化物基板の主面上に半導体層部を形成する第二工程と、
前記半導体層部を加工する第三工程と、
前記基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含み、
式a1を満たす
ように形状加工することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
式a1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
47. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形となる、ピーク発光波長λの半導体発光素子の製造方法であって、
波長λにおける屈折率がn(λ)であるGaN基板を準備する第一工程と、
前記GaN基板の主面上に半導体層部を形成する第二工程と、
前記半導体層部を加工する第三工程と、
前記GaN基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含み、
式a3を満たす
ように形状加工することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
式a3
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表す。)
48. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形となる、ピーク発光波長λの半導体発光素子の製造方法であって、
波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を準備する第一工程と、
前記窒化物基板の主面上に最大物理厚みtの半導体層部を形成する第二工程と、
前記半導体層部を加工する第三工程と、
前記基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含み、
式a5のみを満たす
ように形状加工することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
式a5
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
49. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形となる、ピーク発光波長λの半導体発光素子の製造方法であって、
波長λにおける屈折率がn(λ)であるGaN基板を準備する第一工程と、
前記GaN基板の主面上に最大物理厚みtの半導体層部を形成する第二工程と、
前記半導体層部を加工する第三工程と、
前記GaN基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含み、
式a7のみを満たす
ように形状加工することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
式a7
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表す。)
50. 上記46〜49のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記基板主面が、略三角形であり、最短辺の長さLsaおよび前記Lscが下記式を満たす
ことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
250(μm)≦Lsa≦Lsc≦5000(μm)
51. 上記46〜50のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程から第四工程をこの順に実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
52. 上記46〜51のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程において準備する窒化物基板中の酸素濃度を5×1017(cm−3)以下とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
53. 上記46〜52のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程において準備する窒化物基板の熱伝導率を200W/m・K以上とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
54. 上記46〜53のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程において準備する窒化物基板の転位密度を9×1016(cm−2)以下とし、かつ、当該転位の分布を略一様とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
55. 上記46〜54のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程において準備する窒化物基板は分極反転領域を有さないように、選択成長用マスクを用いないで準備することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
56. 上記46〜55のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
当該窒化物基板をGaN基板とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
57. 上記46〜56のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
58. 上記46〜57のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一第二工程間工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
59. 上記46〜58のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二工程において形成する半導体層部をすべて窒化物とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
60. 上記46〜59のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二工程における窒化物基板主面上に形成される半導体層部をAlGaIn1−(x+y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
61. 上記46〜60のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二工程における半導体層部の形成を、MOCVD、MBE、PLD、PED、PSD、H−VPE、LPE法のいずれかの方法、もしくはその組み合わせによって行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
62. 上記55〜61のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二工程で形成される半導体層部の形成初期過程を、意図的なSi原料供給がされないエピタキシャル成長過程とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
63. 上記46〜62のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二工程における前記半導体層部内の量子井戸層形成時のIn濃度を、そのピーク発光波長λが370nm以上430nm以下となるように調整することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
64. 上記46〜63のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二第三工程間工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
65. 上記46〜64のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程において、半導体層部のエッチングを行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
66. 上記46〜65のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程において、半導体層部に電極形成を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
67. 上記66記載の半導体発光素子の製造方法であって、
基板に接して電極形成を行う工程をも含むことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
68. 上記46〜67のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程において、半導体層部端部形成工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
69. 上記68記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程における前記半導体層部端部の加工を、前記窒化物基板の主面に対して略垂直にすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
70. 上記68記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程における前記半導体層部端部の加工を、前記窒化物基板の主面に対して略垂直でないようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
71. 上記66〜70のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
前記半導体層部端部の加工を、前記半導体層部の途中まで、前記基板界面まで、または、前記基板の途中までのいずれかの深さで実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
72. 上記66〜71のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
半導体層部端部の加工を、ドライエッチング、ウエットエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
73. 上記66〜72のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
半導体層部端部に平面的な凹凸形状を付与することすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
74. 上記46〜73のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程において、予定された1つの発光素子内の前記半導体層部に複数の発光ユニットを形成することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
75. 上記74記載の半導体発光素子の製造方法であって、
複数の発光ユニットが発光ユニット間分離溝によって分離されるようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
76. 上記75記載の半導体発光素子の製造方法であって、
発光ユニット間分離溝を、ドライエッチング、ウエットエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで形成することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
77. 上記46〜76のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三第四工程間工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
78. 上記46〜77のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
79. 上記46〜78のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程において、半導体層部側に分離始点を有するようにして素子分離することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
80. 上記46〜78のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程において、窒素化物基板側に分離始点を有するようにして素子分離することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
81. 上記79または80に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
分離始点の形成を機械的スクライビング、光学的スクライビング、ダイシング、ドライエッチング、ウエットエッチングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
82. 上記46〜81のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程における各素子の分離時に、窒化物基板の分離面が、当該基板の主面と略垂直となる部分を含むようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
83. 上記46〜81のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程における各素子の分離時に、窒化物基板の分離面が、当該基板の主面と略垂直な方向から傾斜している部分を含むようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
84. 上記46〜83のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
分離面の形成を、ブレーキング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビング、ドライエッチング、ウエットエッチングのいずれかの方法、もしくはその組み合わせで行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
85. 上記46〜84のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程後工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
86. 上記57、58、64、77、78および85のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
基板厚み調整工程を、研磨、エッチングいずれかの方法もしくはその組み合わせで実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
87. 上記57、58、64、77、78および85のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
基板露出面形成工程を、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビング、ドライエッチング、ウエットエッチングのいずれかの方法もしくはこれらの組み合わせで実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
88.上記57、58、64、77、78および85のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
基板上凹凸形状形成工程をウエットエッチング、ドライエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法もしくはこれらの組み合わせで実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
89. 上記46〜88のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程後に前記半導体発光素子に内在する基板が、第一工程で準備された基板であるようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
90. 上記46〜88のいずれか1項に記載の方法で準備された半導体発光素子を用いて、
第四工程後に半導体発光装置を作製する際の方法であって、
半導体発光素子の半導体層部側をサブマウントに搭載する工程を有することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
91. 上記46〜88のいずれか1項に記載の方法で準備された半導体発光素子を用いて、
第四工程後に半導体発光装置を作製する際の方法であって、
半導体発光素子を封止する工程を有することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
[1]半導体発光素子
本実施形態の半導体発光素子は、基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形である窒化物基板の主面上に半導体層部を有する半導体発光素子であり、下記(1)〜(3)が特定の関係を有することを主要な要件とする。
(1)半導体発光素子のピーク発光波長λ
(2)基板の最大物理厚みt、または基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和t
(3)基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lsc
上記(1)〜(3)について特定の関係を満たす結果、Lscの長さに対する基板厚みとしては当業者の技術常識を大幅に越える物理厚みを有する基板を備えた形状となる。これにより、発光素子の側壁面からの光を取り出し効率を向上させ、絶対値として大きな全放射束を実現することができ、結果として高出力化、高効率化を達成することができる。
かかる本発明の半導体発光素子の主要な構成要件は、後述する通り、本発明者らが明らかにした自然法則を利用した技術思想が裏付けになるものである。
以下、本発明の半導体発光素子で利用する自然法則、およびそれを用いた技術思想(本願発明の構成要件)について詳述し、本発明の好ましい態様を例に挙げて詳述する。
[1−1]半導体発光素子の概要
図1Aに本発明の一形態の半導体発光素子を示す。本発明の半導体発光素子10は、図1Aに示すように、窒化物基板12と、その面上に形成された半導体層部15とを有している。窒化物基板12は、発光素子のピーク発光波長をλとした際に、波長λにおける屈折率がn(λ)で、その最大物理厚みがtである。
半導体層部15は、発光素子を構成しうる活性層構造16を有している。半導体層部15は、好ましくは、第一導電型半導体層17、および第二導電型半導体層18のいずれか一方、または両方を有する。第一導電型半導体層、および第二導電型半導体層のいずれか一方、または両方は、コンタクト層、キャリアオーバーフロー抑制層などの各種の機能を有する層を任意に内在することができる。半導体発光素子10は、また、第一導電型側電極27aおよび第二導電型側電極27bを有することが好ましい。
以下では、半導体層部を構成する任意の層Xの波長λにおける屈折率をnLX(λ)、半導体層部の最大物理厚みをtと記載する。また、半導体層部15が形成されている基板面を主面(符号21参照)と表現する。
この主面21に垂直な方向にZ軸をとり、この方向を、後述する内部発光および外部発光等の方向の0度とする。この主面21から活性層構造16の基板側界面までの最大の物理厚みをtとする。
半導体発光素子の「側壁部(側壁面)」とは、基板側壁部(側壁面)および半導体層側壁部(側壁面)のいずれを指す場合にも用いる。
「露出面」とは、主面、主面と対峙する面(12a)、壁面、例えば基板が加工されたりした際に露出する面、および、半導体層部15の加工された側壁面等も示し、半導体発光素子の周辺媒質との境界となる面をいう。通常、製造途中で複数の半導体発光素子10を1つの基板上に形成することが行われるが、この際に隣接した素子との分離によって形成される面を「分離面」ということもある。分離面はその結果、露出面となることもある。
「露出面形成」とは、任意の方法および任意の形態で露出面を形成することを示すが、特には、界面における臨界角内に入る光量を向上させ、光取出し効率を上げるためのニュアンスを有して使用することもある。
「凹凸加工」とは、任意の方法および任意の形態で凹凸を形成することを示すが、特には、光の散乱効果を上げるためのニュアンスを有して使用することもある。
図1Bに示すように、半導体発光素子10が任意に有することができる活性層構造16は、量子井戸層31および障壁層33を有する量子井戸活性層構造であることが好ましい。
[1−2]本発明の半導体発光素子において利用する自然法則、およびそれを用いた技術思想
〔半導体発光素子の内部発光プロファイルに関わる自然法則の導き方〕
図1Aに一般的な半導体発光素子の構造を示す。半導体発光素子10には、第一導電型側電極27aと第二導電型側電極27bとが設けられている。これらの電極27a、27bから注入された電子と正孔が活性層構造16内で、例えば量子井戸活性層構造であれば量子井戸層内で再結合し、半導体発光素子10の内部に光を放射する。
電極はある程度の反射を持っているので、半導体発光素子10内における発光強度密度の角度分布は光学干渉効果に強く依存する。この発光強度密度の角度分布を、本発明では内部発光プロファイルと呼び、以下のように求めた。
無限に広いXY平面と、これに垂直なZ軸を仮定する。XY面内方向に広がる、基板主面(21)と略平行な多重量子井戸層の中の各量子井戸層部分を、電気双極子の平面的な集合(双極子面)と仮定する。双極子面において、双極子の向きはあらゆる方向に均一である。双極子から放射される光は、半導体発光素子10の中で、半導体層部各層(多重量子井戸層部分、第二導電型側半導体層、および第二導電型側電極など)や電極部分において多重反射および多重干渉等を受ける。その結果、素子10の内部における発光強度密度Jinは、放射方向(Z軸方向を0度として放射方向がZ軸方向となす角度をθemと記載する)に対し依存性を示すようになる。
内部発光プロファイルとは、この半導体発光素子の内部における発光強度密度(Jin)の放射方向(θem)依存性のことをいう。
なお、内部発光方向を規定する角度としては、Z軸方向となす角度θemと別に、発光方向のXY面への射影がX軸方向となす角度(方位角)がある。しかし、双極子の方向は等方的であることから、発光強度密度Jinの方位角依存性はないと考えてよい。
ところで、従来、半導体発光素子の設計においてなされてきた検討では、半導体発光素子の活性層部分から出射される光が「等方的な内部発光プロファイル」、すなわち、あらゆるθemにおいてJinが一定と仮定した上で、半導体発光素子の形状や層構成等について発明等が行われてきた。
しかしながら、本発明者らの検討により、これらの発明等は誤った内部発光プロファイルを前提とするものであることを見出した。そして、従来の検討では、半導体発光素子の高出力化、高効率化において十分な効果を奏するものではないことを見出した。
すなわち、等方的であるべきは双極子の向きであって、この結果与えられる放射方向の内部発光プロファイルは等方的ではなく、非等方的となる。
平板電極と一つの均一な媒質からなる半空間において電極から距離dだけ離れた位置に存在する双極子面(双極子の配向は等方的)からの発光を考えると、内部発光プロファイルは次のように記述できる。
Figure 2012023249
ここで、
:双極子からの放射強度
:s偏光の電極表面反射における振幅反射係数
:p偏光の電極表面反射における振幅反射係数
δ :2πnd/λ
n:双極子面が存在する領域の波長λにおける屈折率
d:双極子面と電極との物理距離
λ:半導体発光素子のピーク波長
である。
さらに、多重量子井戸層における多重反射と多重干渉や、半導体層部15を構成する各種相間の多重反射と多重干渉などを考慮する場合には、特性マトリックス法を用いてJinを計算することが好ましい。
図2Aに、本発明の半導体発光素子の内部発光プロファイルを求めるために用いたモデルの一例を図示する。ここで、半導体発光素子10内の活性層構造が量子井戸活性層構造と仮定する。図に示すように、量子井戸層31、即ち双極子面が、障壁層33、第二導電型半導体層18を挟んで第二導電型側電極27bまでの距離dの位置に存在している。
ある双極子から出射された光は、自分自身との干渉効果により非等方的となるが、異なる複数の双極子から出射された光は、お互いには干渉せず、全体の内部発光強度密度は、非等方的なそれぞれの光の内部発光強度密度を足し合わせたものとなる。異なるdの位置に発光層が存在する場合には、それぞれの発光層における双極子からの内部発光強度が強めあう方向と弱めあう方向が打ち消しあうことがあるが、本発明の検討によると、例えば、後述する(式A)を満たすような量子井戸活性層構造を有することで、ある特定の方向、すなわち活性層構造と平行な方向に近い方向には、常に強めあう結果、全体として、この特定の方向に最大値をもつ内部発光強度密度分布が得られることがわかった。
〔量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層18の間に適度な屈折率差が存在し、かつ発光層が適度な厚みをもつ場合などを想定した場合の、等方的な向きを有する双極子放射による非等方的な内部発光プロファイル〕
量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層18の間に適度な屈折率差が存在し、例えば、後述する(式A)を満たすような量子井戸活性層構造を有することを仮定する。このような構造は実際に実現しうる構造である。等方的な向きを有する双極子放射からの内部発光プロファイルを計算すると、典型的には図2B(横軸が前記Z軸方向となす角度θem、縦軸が内部発光強度密度)のような特性、すなわち、非等方的な内部発光プロファイルとなる。図1Aに示すように、第二導電型半導体層18の厚みや第二導電型側電極27bの反射率などの条件により変動はあるものの、内部発光強度密度の最大値を示す方向は、活性層構造と平行な方向に近い方向(θemが90°寄りの方向)である。このような活性層構造と平行に近い方向に内部発光強度密度が強くなる傾向は、例えば、後述する(式A)を満たすような量子井戸活性層構造を有する発光素子で、より顕著となる。
図2Bは、等方的な向きを有する双極子放射からの内部発光プロファイルが、本質的に非等方的になることを示している。即ち、量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層18の間に適度な屈折率差が存在し、かつ発光層が適度な厚みをもつ場合などを想定した場合には、次の自然法則が得られる。
「量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層18の間に適度な屈折率差が存在し、例えば、後述する(式A)を満たすような量子井戸活性層構造を有する場合、等方的な向きを有する双極子放射により、非等方的な内部発光プロファイルとなり、活性層構造と平行に近い方向に内部発光強度密度が強くなる。」
〔量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層18の間に過度な屈折率差が存在するか、または発光層が過度な厚みをもつ場合などを想定した場合の、等方的な向きを有する双極子放射による等方的な内部発光プロファイル〕
上述のように、等方的な向きを有する双極子放射からの内部発光プロファイルは、本質的に非等方的になるが、量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層18の間の屈折率差が適度な範囲を超えて大きくなった場合、または発光層が適度な範囲を超えて厚い場合などには、図2Cに示すように、その程度が図2C中(a)、(b)、(c)の順に例示するように活性層構造と平行な方向に近い方向に内部的に出射された光の強度が弱まっていき、これらが過度になると最終的には図2C中の線(d)のようになる。
量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層18の間の屈折率差が大きくなると、活性層構造と平行に近い方向に出射された光ほど強く反射されるようになり、多重反射の結果、有限の反射率をもつ電極により吸収される。また、発光層の厚みが厚くなると、それぞれの双極子からの発光の足し合わせにおいて、活性層構造と平行に近い方向に出射された光も打ち消しあうようになる。その結果として、量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層18の間の屈折率差が適度な範囲を超えて大きくなった場合、または発光層が過度な厚みをもつ場合などを想定した場合は、次の自然法則が得られる。
量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層18の間の屈折率差が適度な範囲を超えて大きくなった場合や発光層が過度な厚みをもつ場合などを想定した場合は、等方的な向きを有する双極子放射により、等方的な内部発光プロファイルとなる。
[1−3]本発明の発光素子の好ましい態様
このように、本発明の半導体発光素子は、量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層18の間に適度な屈折率差が存在するか、または発光層が適度な厚みを持つ場合などが好ましい。活性層構造は量子井戸活性層構造を有することが好ましく、これにより内部発光プロファイルは、活性層構造に平行な方向に内部発光強度密度の最大値を有する非等方的なものが実現できる。
本発明者らの詳細な検討によれば、このような活性層構造は、例えば量子井戸層と障壁層の間の屈折率差を適切に選択することによって実現可能である。また、量子井戸層と障壁層の繰り返し数を適切に選択すること、または、量子井戸層と障壁層の厚みを適切に選択することなどによって実現が可能である。
これらの数値は相互に関連するものであるが、好ましい実現手段として、以下を挙げることができる。
第一に、量子井戸活性層構造および第二導電型半導体層の関係において、以下の数4を満たすことが好ましい。
Figure 2012023249
ここで、
NUMQWは活性層構造に含まれる量子井戸層の数を表し、
QW(nm)は量子井戸層を構成する層の平均物理厚みを表し、
NUMBRは活性層構造含まれる障壁層の数を表し、
BR(nm)は障壁層を構成する層の平均物理厚みを表し、
(nm)は第二導電型半導体層の物理厚みを表し、
QW(λ)は量子井戸層を構成する層の波長λにおける平均屈折率を表し、
BR(λ)は障壁層を構成する層の波長λにおける平均屈折率を表し、
(λ)は第二導電型半導体層の波長λにおける平均屈折率を表し、
(λ)は前述のとおり基板の波長λにおける屈折率を表す。
第二に、量子井戸層は4層以上30層以下であることが好ましい。
第三に、活性層構造に含まれる量子井戸層の厚みの最大値が40nm以下であることが好ましい。
これらは、種々の検討の結果により得られたもので、相対的に屈折率の大きな量子井戸層が、活性層構造と平行に近い方向に出射された光を強く反射し、電極による吸収をもたらすことにならない条件であると考えられ、これらを満たすことで、現実的に実現可能で量子井戸層内における電子―正孔対の閉じ込めも考慮したうえで、活性層構造に平行な方向に高密度な光の放射方向を有する活性層構造を実現することが可能である。
尚、上記記載から明らかなように、本出願は、非等方的な内部発光プロファイルを有する半導体発光素子であって、量子井戸活性層が、上記の式を満たす半導体発光素子も開示しており、本出願で開示される他の構成と組み合わせることなく、独立して発明を構成することができる。また、本出願で開示される他の構成と組み合わせることもできる。
〔量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層18の間に適度な屈折率差が存在し、かつ発光層が適度な厚みをもつ場合などを想定した場合の、等方的な向きを有する双極子放射による非等方的な内部発光プロファイルを有する場合の詳細〕
前述の通り、本発明の半導体発光素子は、例えば図2Bあるいは、図2Cのグラフ(a)〜(c)の様に、内部発光プロファイルの中で非等方的であって、かつその内部発光強度密度の最大値が活性層構造に平行な方向に近い特性を有する。すなわち、本発明の半導体発光素子の内部発光方向(θem)に対する発光強度密度分布は等方的ではないことが好ましい。ここで、半導体発光素子10の内部発光方向(θem)において、最大値を有する方向(θem max)は、活性層構造の平行方向に近い方向である。この内部発光の最大値を与える方向(θem max)は、半導体層部を構成する材料と各層の構造、電極材料とその構造によって変化する。
具体的には、内部発光の最大値を与える方向(θem max)は、半導体層部を構成する第一導電型半導体層、量子井戸活性層と障壁層を含む活性層構造、第二導電型半導体層、コンタクト層、任意に導入しうる各種構造、第一導電型側電極の構成材料、第二導電型側電極の構成材料、その構造等によって変化する。
さらには、最も強くθem maxを変化させうるのは、量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層18の間の屈折率差による反射効果と、ある厚みを有する発光層からの異なる双極子による発光の足しあわせの結果として非等方性を打ち消しあう効果である。
そこで、窒化物基板上12の半導体層において、これらの条件を検討した結果、次のことを見出した。すなわち、非等方的な内部発光プロファイルを有する場合においてθem maxは、
67.5度≦θem max<90度
範囲で変化させることができる。これは同時に
−90度<θem max≦−67.5度
である。
この結果、本発明者らは次のことを見出した。すなわち、図1Aの半導体層部15の活性層構造16から半導体発光素子内部に出射される光を効率よく取り出すためには、θem maxの方向の近傍に向かう高密度な光の取り出し効率を向上させることが本質的で有効である。このような手法は、従来の手法、即ちθem=0度方向へ内部的に出ている光の取り出し効率を向上させる手法よりも本質的であり、かつ効果的である。
さらに、本発明者らは次のことを見出した。すなわち、このような方向に出射される光は、半導体発光素子10の「上面(図1Aでは基板主面と対峙する面12a)」から取り出すよりも、側壁面から取り出すことが有効である。
さらに、種々の検討の結果、本発明者らは次のことを見出した。すなわち、半導体発光素子10の活性層構造16から半導体発光素子内部に出射される内部発光強度密度の最大値を示す角度(θem max)は、その絶対値の下限が67.5度以上であることが好ましく、70.0度以上であることがより好ましく、72.5度以上であることがより好ましく、75.0度以上であることがさらに好ましい。
さらに、θem maxの絶対値の上限は、90度より小さいことが好ましく、87.5度以下であることがより好ましく、85.0度以下であることがより好ましく、82.5度以下であることがさらに好ましい。
この理由は、半導体発光素子の側壁からの光取り出しに有利な内部発光方向であるからである。
すなわち、半導体発光素子10の光取り出し効率を向上させるためには、内部的に高密度に出射されている方向の光を主たる対象とし、これらを発光素子の側壁面から主として取り出すことが、光取り出し効率向上に本質的でかつ有効な方法である。これは、従来開示されている等方的な内部発光プロファイルからは到達し得ない結論である。
ここで、活性層構造が量子井戸構造を有し、量子井戸層と障壁層の屈折率差が適切な範囲で小さい場合、活性層構造16から内部的に出射された光は67.5度≦θem max<90度であるため、半導体発光素子10の側壁に到達しうる。また、活性層構造16と他の半導体層部を構成する半導体層界面における屈折率差が適切な範囲で小さい場合、さらには、半導体層部と窒化物基板の界面における屈折率差も適切な範囲で小さい場合も同様である。よって、活性層構造16から内部的に出射された光はここから取り出すことが最も効果的であることになる。
以上の記載から明らかなように、本出願は、非等方的な内部発光プロファイルを有する半導体発光素子であって、内部発光強度密度の最大値を示す角度θem maxの絶対値が、67.5度以上、90度未満を満たす半導体発光素子も開示しており、本出願で開示される他の構成と組み合わせることなく、独立して発明を構成することができる。また、本出願で開示される他の構成と組み合わせることもできる。
なお、この内部発光プロファイルと半導体発光素子の周辺媒質との界面における光の反射、透過、屈折等の総合的な結果として、スネルの法則に従って、外部発光プロファイルすなわち配光特性が決定される。
外部発光プロファイルとは、半導体発光素子外部における発光強度密度(Jout)の放射方向(φem)に関する分布である。つまり、θem maxは直接的には観測することができないが、半導体発光素子外部における発光強度密度(Jout)の放射方向の最大値を示す(φem max)方向を観測することにより、スネルの法則から逆算して求めることが可能である。
なお、このためには、半導体発光素子をその配光特性を精度良く測定するために、反射鏡となりうる部分を極力排除したステム等に発光素子を搭載して、空気中で配光特性を測定することが好ましい。
〔最遠側壁部における臨界角による必要基板厚みの導出〕
さらに、本発明者らは、前述の内部発光強度密度の最大値を有する方向を含んで、かつ、それ以外の方向に出射された内部発光も、可能な限り、半導体側壁部から外部に取り出すことが、半導体発光素子の光取り出し効率向上に効果的であることを見出した。すなわち本発明の半導体発光素子は、窒化物基板を、基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形であることを特徴の一つとしている。また、基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長と窒化物基板の最大物理厚みとの間で特定の関係を満たすことを特徴の一つとしている。
図3Aは半導体発光素子の幾何形状を模式的に示す斜視図である。図3Aに示すように、この半導体発光素子10は、窒化物基板12の主面上(図の下側)に、ピーク発光波長λの光を発する活性層構造16を含む半導体層部15を有している。図3Aの例では、窒化物基板12を、基板主面21に垂直方向に投影したとき、略三角形の形状となる。また、側壁面のすべてが基板主面21に対して垂直であるため、窒化物基板12の投影形状は、基板主面21の平面形状と一致し、主面も略三角形の形状となっている。この場合、基板主面に垂直方向に投影した形状は、一般に隣接する素子分離端の形状と一致する。また、後述するように、壁面等が加工された例の中で、主面が加工された場合には、基板主面21の平面形状が、基板を基板主面に垂直に投影した形状より小さくなる場合がある。この場合、基板主面形状は、略三角形であってもよく(但し、基板を基板主面に垂直方向に投影した形状より小さい。)、また略三角形以外の形状、例えば、n角形(nは、4以上、100以下の自然数)、円形、楕円形、その他曲線に囲まれる不定形状、直線と曲線により囲まれる不定形等の任意の形状であってもよい。
ここで、この基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長をLscとし、この基板の波長λにおける屈折率をn(λ)とする。本発明の半導体発光素子10は、該基板の最大物理厚みtが下記式a1を満たす。
式a1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
これらの式を満たす構成は、内部発光強度密度の最大値を示す方向が活性層構造に平行方向に近い半導体発光素子において、その側壁からの光の取り出し効率を効果的に向上させることができる。同時に、このような構造は簡便な作製方法によって実現することができる。さらに、このような構造は、配光特性を制御しうる構造である点でも有利である。
図3Aの例は、前述のとおり、側壁面のすべてが基板主面21に対して垂直であり、窒化物基板12の投影形状は、基板主面21の平面形状と一致し、この投影形状は素子分離端形状でもある。このように投影形状が略三角形の場合、五角形以上の多角形構造よりも形状として平面充填性に優れており、窒化物基板に多数の半導体発光素子を作り込む際に有利である。
また、四角形の平面形状は直行する2方向からのスクライブで形成できるが、三角形の平面構造を形成するには、さらに1方向からスクライブ形成を追加するだけでよく、簡便に多数の半導体発光素子を窒化物基板から取り出すことができる。
このように、窒化物基板から多数の半導体発光素子を取り出すことができるということは、当業者の技術常識を大幅に越える物理厚みを有する基板を備えた形状を有する本発明の半導体発光素子にとっては、窒化物基板の有効利用、コスト削減の観点からも極めて有効である。
また、3方向からのスクライブで形成できる三角形の平面構造において、少なくとも三辺のいずれかが他の辺と異なる長さの辺を持つように設計することができるので、この辺を利用して配光制御することを目的として三角形の形状をデザインすることができる。この様なデザインは、半導体発光素子内部に出射される光を側壁面から取り出すことに特徴を有する本発明に特に有効である。
さらに三角形の平面構造においては、他の図形に比較して、全頂点の中でその部分の角度が鋭角である頂点の割合を、容易に増加させることができる。例えば正三角形の場合には、すべての角が鋭角であるが、正方形、正五角形、正六角形においては鋭角は存在しない。三角形においては、少なくともその2つの角度が鋭角となるので鋭角の割合は2/3以上であるが、他の図形で平面的に凹部分を有さない場合には、これを上回る割合とはならない。鋭角部分は、鈍角部分に比較すると、当該鋭角部分近傍で発光した光の取り出しにおいて有利になる平面形状を形成するので、特に側壁面からの光取り出しを主とする本発明の半導体発光素子においては、その基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形であることは、特に好ましい。
さらに半導体発光素子の投影形状が三角形を選択した場合には、その中では、対称性が低い形状の方が光取り出しに有利であって好ましい。例えば正三角形よりも、二等辺三角形が、さらにはすべての辺の長さも角も異なる不等辺三角形が光取り出しに有利であって好ましい。これは、対称性の高い図形の場合には、その対称性に起因した平面的な滞在光が発生してしまうからである。一方、対称性の低い場合には、このような滞在光は発生しにくい。なお、この「対称性」ついては、本明細書の後半の「H:対称性について」のところで説明を補足する。
図3Fと図3Gは、それぞれ、基板部分が光学的に平坦な面で囲まれた半導体発光素子において、基板主面に垂直方向から投影した形状が正三角形の場合と、図形の対称性を下げた不等辺三角形の場合おいて、光取り出し効率を計算したモデルを示したものである。この結果、正三角形に対して、不等辺三角形の光取り出し効率は、1.4倍となることを確認している。
このように、投影形状が三角形の場合、その対称性が低い形状の方が光取り出しに有利であって好ましい。これは、本発明のように側面からの光の出射を主とする半導体発光素子においては格段の相乗効果があり、好ましい。換言すると、前述の基板の物理厚みを厚くすることとの組合せにより側壁面からの光取り出し効率が相乗的に向上し、当業者の予測できない顕著な効果を実現することができ、かかる観点からも基板の物理厚みと投影形状との組合せは技術的意義が極めて大きい。
上記の理由から、主面に垂直な方向から投影した基板の形状は略三角形であることが好ましい。なお、本発明において「略三角形」とは、正三角形、二等辺三角形、不等辺三角形のような3辺で囲まれる図形(三角形)の他、概ね三角形状を呈するが、3辺が厳密な直線でなく、いずれか1以上の辺の一部または全部に、細かな波形形状や凹凸の形状を、規則的にまたは不規則に有するものであってもよいとする趣旨である。
いずれか1以上の辺の一部または全部に、細かな波形形状や凹凸の形状を、規則的にまたは不規則に有する三角形としては、例えば図12に記載のものが挙げられる。
ここで、細かな凹凸の形状は、例えば、<基板面方位及び基板上凹凸形成工程>の項において後述するように、凹凸サイズ(ラインからの高低差)は、半導体発光素子のピーク波長をλとして、λ/50から50λ程度の寸法を有することができる。好ましくはλ/10から10λ程度の寸法を有し、より好ましくはλ/7から7λ程度の寸法を有し、より好ましくはλ/5から5λ程度の寸法を有することができる。凹部から隣接する凹部の距離(凸部から隣接する凸部の距離)は、半導体発光素子のピーク波長をλとして、λ/50から50λ程度の寸法を有することができる。好ましくはλ/10から10λ程度の寸法を有し、より好ましくはλ/7から7λ程度の寸法を有し、より好ましくはλ/5から5λ程度の寸法を有することができる。
図3Aの構成において(図3Bも参照のこと)、周辺媒質の波長λにおける屈折率をnout(λ)、
当該窒化物基板の波長λにおける屈折率をn(λ)、
基板の最も厚い部分の物理厚みをt
半導体層部を構成する層Xの波長λにおける屈折率をnLX(λ)(即ち、層Xは、半導体層部を構成する任意の層を表し、nLX(λ)はその層Xの波長λにおける屈折率を表す。)、
基板主面から活性層構造までの最大の物理厚みをt
半導体層部の最大の物理厚みをtとする。
また、当該基板主面(この図では略三角形)の上にある任意の2点の作る最も長い線分長(直線長)をLscとし、
この図では、主面の平面形状が略三角形であるので、当該基板主面の略三角形の最短辺の長さをLsaとする。
図3Aにおいて、点Aおよび点Bは、半導体層部15の端(図の下側)の点である。点Cおよび点Dは活性層構造16の端の点である。点Eおよび点Fは、基板主面21と半導体層部15の境界の端部の点である。
点Gおよび点Hは、製造上隣接していた他の発光素子10と素子分離を行った端部(この形状では他の点も素子分離を行った端部となっている)の点である。点Iおよび点Jは、基板主面21と反対側の面(図の上側)の基板端部の点である。
活性層構造16から出射される光の内部発光強度密度の最大値(内部プロファイルの最大値)は、相対的には、活性層構造の平行方向に近い方向にある。
よって、光取り出し効率を向上させるためには、図3Aの点Cから出射される光を想定し、この中には内部発光強度密度の最大値の方向を含みつつ、かつ、可能な限り点Cから他の方向に放射される内部発光も想定して、これらの光が、点Cからもっとも遠い発光素子の壁部分(最遠側壁部)から、効果的に光が取り出せるような半導体発光素子形状にすれば良い。
すなわち、図3Aの点Cから出射された光の、点B点D点F点H点Jを含む直線上における臨界角を考慮すれば、素子全体のいずれの発光部分を考えた際でも十分な、側壁からの光取り出し要件を与えるものとなる。
図3Bは、図3Aの素子の符号IABJで囲まれる面をその垂直方向から見た図である。
図3Bでは、点Aから点Iを含む直線と、点Bから点Jを含む直線(最遠側壁部)と、点A点B、点I点Jで囲まれた面が図示されている。
ここで点Aと点Bの距離は、当該基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lscであり、この場合は、最長辺(図3A参照)に相当する。
ここで、以下、見通しの良い近似を与える。
本発明においては、n(λ)とnLX(λ)は大きくは異ならないので、活性層構造から発生した光が窒化物基板側面に十分到達することになる。また、基板主面21から活性層構造までの最大の物理厚みtは、窒化物基板の厚みtに比較して十分に薄い。よって、点Cからの発光を点Eからの発光であると仮定して点B点D点F点H点Jを含む最遠側壁部における臨界角を考慮すればよい。
図3Cは、光の挙動を示す図である。
点Eから発光したと想定して、最遠側壁部(図の右側の壁)は、光の挙動に対応して以下の3つの領域131、132、133に分けられる。
第一は、最遠側壁部のうち最も下側の領域131である。この領域131は、最遠側壁部に入射する光の入射角度α(=90−θem)が、
臨界角α=sin−1(nout(λ)/n(λ))との関係において
α<α
となる領域(点Eに対する最遠側壁部第一領域)である。ここにおいて、nout(λ)とは、半導体発光素子の発光波長λにおける周辺媒質の屈折率である。
第二は、上記した領域131の上に存在する領域132である。この領域132は、最遠側壁部に入射する光の入射角度αが、臨界角α=sin−1(nout(λ)/n(λ))との関係において
α≦α≦90−α
となる領域(点Eに対する最遠側壁部第二領域、あるいは真性閉じ込め光生成領域)である。
第三は、上記した領域132のさらに上の領域133である。この領域133は、最遠側壁部に入射する光の入射角度αが、
臨界角α=sin−1(nout(λ)/n(λ))との関係において
90−α<α
となる領域(点Eに対する最遠側壁部第三領域)である。
第一領域131に入射する光は全反射を受けない。よって、最遠側壁部のこの領域131で効果的に光を取り出すことができる。一方、第二領域132に入射する光、および、第三領域133に入射する光は全反射を受ける。
ここで、第二領域132は、全反射を受けた光が反射をして他の発光素子側壁面に到達したとしても、その面でさらに全反射を受けてしまう領域であり、換言すれば、半導体発光素子内「真性閉じ込め光」を作り出す領域である。
第三領域133に入射する光は、最遠側壁部では全反射を受けるものの、他の部分(例えば基板面21a)において臨界角よりも小さな入射角をもつため、反射を繰り返せば外へ取り出しうる。
ここで、窒化物基板12の厚みt(図3B)が、最遠側壁部第一領域131内になるように薄い場合には、図3Dに示すように、本来十分な窒化物基板の厚みがあれば最遠側壁部から取り出し得る光(図の破線参照)が、主面と対峙する基板面12aで全反射を受け、その光が再度活性層構造に入射することで吸収され、または、第二導電型側電極、第一導電型側電極等によっても吸収されてしまう可能性があるため、好ましくない。
もし電極等の反射率が100%で、かつ、窒化物基板および半導体層部の損失が0の場合にはこれらの光も多重反射を繰り返すことで側壁からの出射を実現し得るが、このような環境は実現しない。すなわち、窒化物基板の厚みtが第一領域131内になるような場合は、光の効果的な取り出しという観点からは好ましくない。
一方、窒化物基板12の厚みtが第三領域133(図3C)内になるように厚い場合には、図3Eに示すように、本来窒化物基板12の厚みが厚くなければ主面と対峙する基板面12aから取り出しうる光が、第三領域133での反射を受け、方向を変えて該基板面12a取り出されることになる。この場合には発光素子側壁からの光取り出しが可能であって、好ましい。
ただしこの場合、光路長が長くなることから、窒化物基板12内における光学損失による発光効率の低下、また、過剰に厚い基板を用いた発光素子はコスト的に不利になるなどの懸念もある。しかし、原理的には発光素子側壁からの光取り出しが可能であって、好ましい場合である。
特に、半導体発光素子10の側壁からの光取り出しを強調する場合には、好ましく使用可能な形態であって、特に側壁に凹凸加工、さらなる露出面形成加工等を付与することで、このような機能が向上するため、その基本構成として好ましい。
一方、本発明で好ましい窒化物基板の厚みtは、以下のように与えられる。
活性層構造から内部的に出射された光の強度が、活性層構造16と平行方向に比較的近い方向にその極大値をもつことを考慮し、この内部発光強度密度の強い方向の光を半導体発光素子側壁から効果的に取り出しつつ、可能な限り他の方向に出射された光も同様に側壁から効果的に取り出し、さらにコスト的にも十分に配慮すると、窒化物基板12の厚みtは二領域132(真性閉じ込め光生成領域)内の厚みとすることとなる。
すなわち、本発明における窒化物基板厚みtは、真性閉じ込め光生成領域132の下限の厚み(図3Cのt)以上の厚みにすることが好ましい。厚みtの上限は、素子分離の観点から5500μm以下とすることが好ましい。
さらに好ましい窒化物基板の厚みtは、真性閉じ込め光生成領域132の下限(図中のt)の厚み以上の厚みにすることが好ましく、真性閉じ込め光生成領域の上限の厚み(図中のt)以下の厚みにすることがより好ましい。すなわち、窒化物基板厚みtは、真性閉じ込め光生成領域内の厚みに、すなわち、
≦t≦t
とすることがさらに好ましい。
この結果から、本発明の窒化物基板の厚みtを、当該基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長をLscとのアスペクト比(t/Lsc)で捕らえると、tanα=t/Lscであるから、
tan{sin−1(nout(λ)/n(λ))}≦t/Lsc
≦tan{90−sin−1(nout(λ)/n(λ))}
である。
よって、本発明の半導体発光素子10の窒化物基板12のさらに好ましい厚みtは、
sc×tan{sin−1(nout(λ)/n(λ))}≦t
≦Lsc×tan{90−sin−1(nout(λ)/n(λ))}・・・(式a1a)
となる。
厚みをこの範囲とすることで、効果的に半導体発光素子から内部発光を取り出すことができる。
〔基板厚みに関する具体例1〕
さらに、式1aは、nout(λ)が小さくn(λ)が大きい場合に、最も広い範囲の窒化物基板の厚みtを与える。
よって、nout(λ)は真空あるいは実効的には空気を想定し、これを1とすることができる。よって、本発明における半導体発光素子の好ましい基板厚みは、
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}・・・(式a1)
となる。
なお、本発明における窒化物基板の厚みtは、後述するとおり、主面から垂直に伸ばした長さが最も厚くなる最大厚みである。
基板厚みは、式a1を満たしつつ、その規定された厚みの中に、内部発光強度密度の最大値を与える方向に出射された光が直接最遠側壁部に入射するようにすることが好ましい。
また、製造コスト等の観点では、基板厚みは、これらを満たしつつ必要最低限度の厚みとすることが有利である。
よって、本発明の半導体発光素子の厚みtの好ましい下限となりうる指標は、
(a)Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}
(b)Lsc×tan{1×(90−θem max)}
(c)Lsc×tan{1.5×(90−θem max)}
(d)Lsc×tan{2.0×(90−θem max)}
である。
(a)は最遠側壁部における点Eから出射された光の臨界角によって規定される指標であって、本発明が満たすべき必要要件である。
(b)から(d)は、内部発光強度密度の最大値を示す方向が、略活性層構造に平行な方向に近接していることから、本発明において好ましい範囲は、67.5度 ≦ θem max < 90.0度であるが、ここでは45度<θem max<90度として考えれば、数学的な範囲として十分であって、(a)の要件を満たした上で、本発明の半導体発光素子がみたすべき厚みtの好ましい下限を与える場合がある。
なお、(a)と(b)〜(d)の要件は、その大小関係が各パラメータによって変わることから、(b)〜(d)の要件は、(a)の要件よりも大きい場合に、本発明の半導体発光素子が満たすべき厚みの、下限の好ましい値を与える場合がある。
特に、(c)と(d)を満たす場合、内部発光強度密度の最大値を示す方向に出射された光のみでなく、その近傍の強度の強い光をも側壁から取り出すことができるため、より好ましい。
一方、本発明の半導体発光素子の厚みtの好ましい上限となりうる指標は、
(e)Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(f)2.5×Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}
(g)2.0×Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}
(h)1.5×Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}
である。
(e)は最遠側壁部における点Eから出射された光の臨界角によって規定される指標であって、本発明が好ましく満たす要件である。
(f)から(h)は、基板厚みは必要最低限度の厚みとすべく設けることができるより好ましい基板厚みの指標である。(f)〜(h)の指標は、(e)の指標よりも小さい場合であって、(a)〜(d)の指標のいずれかひとつよりは大きい場合に、本発明の半導体発光素子が内在する基板がみたすべき厚みtの好ましい上限を与える場合がある。(f)はこのような場合に、基板の厚みは必要最低限の厚みの2.5倍以内、(g)は2倍以内、(h)は1.5倍以内が好ましいとの意味である。
〔基板厚みに関する具体例2〕
前述の式a1の具体例について説明する。n(λ)は後述するとおり、波長が短いほど大きくなるが、吸収の大きくない範囲において選択することが必要である。さらに、窒化物基板12の中では、例えば、AlN基板やBN基板等を想定しても、同じ波長における屈折率はGaN基板よりも小さいので、GaNの場合を想定すれば十分である。
そこで、n(λ)はGaN基板の370nmにおける実測値から2.596とした場合が最も広い範囲の窒化物基板の厚みtを与えることになる。
このようにして式a1を計算すると、
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395・・・式a3
となる。
よって、もし本発明の半導体発光素子を周辺媒質nout(λ)=1に設置し、θem max=75度とした場合には、より好ましいtの範囲の下限を与える可能性のある前記(a)から(d)の指標はそれぞれ
(a)Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}=Lsc×0.418
(b)Lsc×tan{1.0×(90−θem max)}=Lsc×0.268
(c)Lsc×tan{1.5×(90−θem max)}=Lsc×0.414
(d)Lsc×tan{2.0×(90−θem max)}=Lsc×0.577
である。
したがって、本発明の半導体発光素子の厚みの下限は
sc×0.418≦t
であって、より好ましくは、
sc×0.577≦t
である。
一方、その上限を与える可能性のある(e)〜(h)の指標は、
(e)Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}=Lsc×2.395
(f)2.5×Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}=Lsc×1.045
(q)2.0×Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}=Lsc×0.836
(h)1.5×Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}=Lsc×0.627
である。
本発明の半導体発光素子の厚みtの上限は
≦Lsc×2.395
であることが好ましく、
≦Lsc×1.045
であることがより好ましく、
≦Lsc×0.836
であることがより好ましく、
≦Lsc×0.627
であることが最も好ましい。
よって、まとめると、このような例の場合に好ましい指標を列記すると、
sc×0.418≦Lsc×0.577≦t≦Lsc×0.627
≦Lsc×0.836≦Lsc×1.045≦Lsc×2.395となる。
なお、GaN基板の460nmにおける実測値から2.4367を用いて計算すると式a3は、
sc×0.450≦t≦ Lsc×2.221
と、式a3よりも範囲が狭くなる。
なお、表1には主面が(0001)面であるGaN基板(表中の「C−GaN」)と、主面が(1−100)であるGaN基板(表中の「m−GaN」)の屈折率を実測した結果を示す。
Figure 2012023249
〔式a1aにおける付記事項 45度<sin−1(nout(λ)/n(λ))≦90度の場合(一般論)〕
なお、45度<sin−1(nout(λ)/n(λ))≦90度の場合においては、式a1aは、その上限と下限の大小関係が入れ替わる。すなわち、この場合には、遠側壁部における点Eから出射された光の臨界角が45度より大きくなっている状況である。
さらに換言するとこの場合には、窒化物基板厚みtを規定する点Eの最遠側壁部第二領域132(真性閉じ込め光生成領域)は存在しないことになる。
このような場合においても、本発明においては、内部発光プロファイルが非等方的であって、発光強度密度の最大値を与える方向であるθem maxが67.5度≦θem max<90度が好ましい範囲であるから、最遠側壁部からの光取り出しが容易に実現することが好ましい。
式a1aは、本発明の半導体発光素子の周辺媒質として、
out(λ)<<n(λ)
である材料が一般的であることを考えると、実際には、45度<sin−1(nout(λ)/n(λ))≦90度となる周辺媒質中に置かれた素子であっても、nout(λ)が小さくn(λ)が大きい場合を想定すると、最も広い範囲の好ましい窒化物基板の厚みtを得ることができる。これは、GaN基板の屈折率が、460nm程度における2.43程度の値だとしても、周辺媒質の屈折率は2.20以下程度が現実的な限界であるためである。
よって、このような場合であっても、nout(λ)は真空あるいは実効的には空気を想定し、これを1とすることで求められる窒化物基板の厚みtが最も広い範囲を与える。
よって、45度<sin−1(nout(λ)/n(λ))≦90度の場合においても、本発明の半導体発光素子は、式a1、あるいはGaN基板上の発光素子であれば式a3を満たせば、側壁からの十分な光取り出しが可能である。また、好ましい基板の厚みを与える指標は(a)〜(h)の通りである。
〔式a1aにおける付記事項 tおよびtについて〕
さて、今までの説明においてtは、図3Bにおける考察からt+tを近似したものであった。すなわち、活性層構造16の端を窒化物基板12の端と近似した結果であった。
ここで、一般に点Cと点Aの間の主な構成要素となりうる第二導電型側半導体層の厚みは、他の半導体層部を構成する層全体の厚みよりも十分に薄いために、t+tをt+tとして近似することも可能である。すなわち、活性層構造の端を半導体層部の端と近似することも可能である。
この場合、式a1と式a3はt=t+tとして、
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}・・・式a5
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395・・・式a7
である。
一方、これらのような近似をせずに、点Cを発光点として考察することも可能であるが、半導体層部の構造、特に量子井戸活性層構造を用いた場合の発光部の特定が必ずしも容易でないため、式a1、a3、a5、a7の近似式を満たすことが現実的な指針であって、好ましい。
〔本発明の素子のチップの平面サイズ〕
次に、本発明者らは、例えば図3Aの構造の半導体発光素子10を簡便に作製する方法に関し検討を行った。前述のとおり、基板の最大物理厚みtが式a1を満たすことが好ましいが、加えて式a2を満たしている場合に、基板主面が略三角形の半導体発光素子を容易に形成できることを見出した。
式a1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
式a2
250(μm)≦Lsa≦Lsc≦5000(μm)
ここで、Lsaは、基板主面の略三角形の最短辺の長さである。
これは以下の通りの検討から導かれる。
通常のGaN系半導体発光素子ではLsaやLscの長さは250μm程度であり、tは約100μmである。さらに、LsaやLscの長さが1mm程度を超えるラージチップであってもtは約100μm程度である。
これは主に使用されてきた基板がサファイア等の過剰に硬質な材質であって、その厚みは主に、素子分離やダイシングの素子分離工程の都合によって決定されるためである。
一方、サファイア等の異種基板上のGaN系半導体発光素子は、基板上に半導体層部を形成する際の熱歪みの問題等があり、100μm程度の厚みの基板では結晶成長が困難である。そのため、通常は400μmを超える基板厚みの状態で半導体層部15を形成し、その後、素子化プロセスの最終段で100μm厚程度に基板を研磨して、素子分離工程に備えるプロセスが必要であり、工程が煩雑であった。
一方、窒化物基板例えばGaN基板を用いた場合、その硬度はサファイア基板よりも低く、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の素子分離工程は、比較的厚い基板であっても、相対的には容易にできる。一方、その硬さは、GaAs、GaP、InP、ZnO等よりは硬く、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の素子分離工程において、これら材料ほどには容易ではない。すなわち、窒化物基板を使用する場合は、その硬さに起因した特殊事情を克服する必要がある。また、GaN基板上にGaN系半導体発光素子を形成する場合には、熱歪み等の問題も軽減されると期待される。
そこで、各種の検討を行った結果、プロセス上のハンドリングが容易で、かつ、高品質な半導体層部を形成しうる半導体発光素子のGaN基板の厚みtの好ましい下限は、250μm厚であった。
次に、250μm厚の基板を有する半導体発光素子をスクライブ、ブレーキング、ダイシング等の各種方法によって、容易に素子分離し、素子化できるLsaを実験的に求めた。この結果、Lsaが250μm以上では、素子分離が容易であった。さらに、400μm以上では、素子そのものの破損の発生、およびこれによる歩留まり低下が低減された。さらに、Lsaが550μm以上の場合には、特にブレーキング工程によるチッピング等の発生が低減された。本発明においては、半導体発光素子の側壁からの光取り出しを行うため、また、基板主面に対して垂直方向に投影した形状が略三角形であるため、以下に記載の通り、チップ外形におけるチッピングの発生を抑制することは技術的意義が大きい。
基板主面に対して垂直方向に投影した形状が略三角形である本半導体発光素子においては、少なくとも頂点の中で2つの頂点の角度が鋭角となるので鋭角の割合は2/3以上である。鋭角部分は、鈍角部分に比較すると、光取り出しにおいて有利になる平面形状を形成するので、特に側壁面からの光取り出しを主とする本発明の半導体発光素子においては、その基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形であることは、特に好ましい。しかし、鋭角部分はチッピングしやすいため、このチッピングを抑制することは技術的意義が大きい。
すなわち、tが比較的薄い場合のLsaの下限は250μm以上であることが好ましく、400μm以上であることがより好ましく、550μm以上であることがより好ましかった。
一方、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の簡便な方法で素子分離工程を実施できるGaN基板の厚みtの上限は5500μmであった。この場合にはダイシング等の素子分離方法が有効である。このように、tが厚い場合には、Lsaが大きいと良好な素子分離ができることがわかった。
しかし、Lscが過剰に大きい場合には、ダイシングシートからの剥離が困難になることが分かった。
特にtが5500μmと膜厚の厚いGaN基板をダイシングする際には、スピンドルに掛かる負荷に耐えるようにGaN基板を十分な粘着力のあるダイシングシートに固定する必要が発生するが、Lscが5000μm以下になるようにダイシングをすると、ダイシング後に素子をシートから剥離する際に、素子に過度な破損を誘発せず、歩留まり低下が低減された。
さらに、Lscが2500μm以下の場合、シート剥離時の素子の部分的な破損が低減され、素子分離後に良好な形状を維持することができた。
scが2000μm以下である場合には、素子の破損の程度はさらに軽減され良好な形状となる素子が多く、好ましかった。Lscが1550μm以下の場合には、格段に良好な素子分離が可能であった。
すなわち、tが比較的厚い場合のLscの上限は、通常5000μm以下であって、好ましくは2500μm以下であって、より好ましくは2000μm以下であって、より好ましくは1550μm以下であった。これらの事実は、GaAs、GaP、InP、ZnO等では見られない事実であった。
ここおいて、まず、550μm≦Lsa≦Lscを満たす平面形状を有する半導体発光素子10は、いわゆるラージチップと呼ばれる範疇の半導体発光素子となる。一般にラージチップはその発光効率が低いことが問題であったが、本発明の発光素子によれば、半導体発光素子の側壁から効率よく光を取り出すことが可能である。
例えば、Lsaが550μmの直角二等辺三角形のGaN基板上にGaN系半導体層部を有する半導体発光素子の場合、そのLscは778μm程度となり、式a3から要請される基板厚みはその下限でも約325μmとなる。
よって、このような平面的に比較的大型の素子を、従来のサファイア基板を内在する半導体発光素子のように100μm程度の厚みで作製すると、図3Dに示されるように、本来十分な窒化物基板の厚みがあれば最遠側壁部から取り出し得る光が、主面と対峙する基板面12aで全反射を受け、その光が再度活性層構造に入射することで吸収され、または、第二導電型側電極、第一導電型側電極等によっても吸収されてしまう可能性がある。
上記のように、本発明の半導体発光素子は、発光効率が低いことが問題であったラージチップにおいては非常に有効な方法である。特にその平面形状は三角形であるため、鋭角部分からの光取り出しが有利であるため、他の形状よりも優れた光取り出し効率が期待される。
この中でも、550μm≦Lsa≦Lsc≦5000μmを満たす場合はより好ましく、本発明の半導体発光素子を、準備した窒化物基板の上に高品質な半導体層部を形成した後に基板を研磨するなどのプロセスを実施しなくとも、簡便な方法で作製できる形状となっている。さらに配光特性の制御も可能であるため、良好な特性を有する大型の半導体発光素子を安価に作製することが可能である。
さらには、特に、550μm≦Lsa≦Lsc≦1550μmを満たす平面形状を有する窒化物基板上の半導体発光素子10はさらに好ましく、格段に、容易で良好な素子分離をすることが可能である。
また、特に、上式の下限は、650μm以上を満たす場合により好ましく、800μm以上を満たす場合により好ましく、850μm以上を満たす場合により好ましく、900μm以上満たす場合に最も好ましかった。
上式の上限は、1450μm以下を満たす場合がより好ましく、1300μm以下を満たす場合がより好ましく、1250μm以下を満たす場合にさらに好ましく、1200μm以下を満たす場合に最も好ましかった。
また、本発明はLsa≦Lsc<550μmを満たす平面形状を有する半導体発光素子、いわゆるスモールチップについても、1枚の窒化物基板から、ラージチップに比較して多数の素子を作成可能である。これら素子は側壁からの光取り出しを主とするため、高効率であって、配光特性の制御も可能である。よって、本発明はLsa≦Lsc<550μmにおいても非常に有効であって、このような平面的な大きさを有する場合も好ましい。
特に250μm≦Lsa≦Lsc<550μmにおいては、すなわちLsaが250μm以上では、前述のとおり素子分離が容易であって、より好ましい。
さらに、本発明は、一般に電極における反射率が高くない紫や近紫外、紫外領域の半導体発光素子に好適に利用できる技術である。
波長に注目した本発明の好ましい範囲は、ピーク発光波長λの下限は、370nm以上が好ましく、380nm以上がより好ましく、390nm以上がより好ましく、400nm以上がより好ましい。さらに、そのピーク発光波長λの上限は、430nm以下が好ましく、420nm以下がより好ましく、410nm以下がより好ましい。
さらに活性層構造16から内部に発する光を上記範囲に設定するための窒化物半導体としては、InGa1−xNからなる量子井戸層とAlGa1−yNからなる障壁層を含む量子井戸活性層構造を例示可能であるが、この中で、上記波長域を実現する場合には、量子井戸層と障壁層の屈折率差を小さくする構成を容易に実現可能であって、かつ、十分な電子―正孔対の閉じ込めも可能な構成が存在する。
このような波長を実現しうるInGa1−xN系量子井戸層は、例えばGaN基板を用いた場合には、In組成xを0.10以下程度にすることが可能であって、また障壁層をGaNで構成することが可能であって、屈折率差が適度に小さいために好ましい。
さらに、障壁層33(図1B参照)にSi等のドーピングを施すことで、さらに量子井戸層と障壁層の屈折率差を小さくすることも可能となるため、Si等のドーピングを施すことが特に好ましい。よって、本発明においては、上記範囲の波長を有する半導体発光素子に適応することが好適である。
さらに、1つの基板上の半導体層部15に比較的大型の単体の発光ユニットを構成したいわゆるラージチップの構成を有する場合、1つの基板上の半導体層部15に複数の発光ユニットを構成し、発光ユニット単体は比較的小型の平面形状を有するものの、発光素子全体としは大型の平面形状となる集積型の半導体発光素子、さらには、1つの基板上の半導体層部に比較的大型の複数の発光ユニットを有し大型の平面形状となる集積型の半導体発光素子など、平面的な大きさが大きい素子は、大電力投入が可能であるので、本発明はこのような素子の光取り出し効率を向上させられるので、高出力特性と高効率性を両立させた発光素子を実現できるので好ましい。
〔本発明の素子の配光特性〕
次に本発明における半導体発光素子の配光特性に関して詳しく記載する。
本発明の半導体発光素子は、先に記したように、例えば図2C(a)(b)(c)の様に、非等方的な内部発光プロファイルを有することが好ましい。
すなわち、本発明の半導体発光素子の内部発光方向(θem)に対する発光強度密度分布は等方的ではない。その活性層構造に内在する量子井戸層部分に配置される双極子の方向が等方的なのであって、この結果、内部発光方向は非等方的になる。
また、過度な多重干渉等の効果によって、この最大の内部発光強度密度を示す方向と近接する方向に出射される光が抑制されることもないので、非等方的となる。
内部発光の最大値を有する方向(θem max)は、図4Aに示すように、活性層構造の平行方向に近い方向である。この内部発光の最大値を与える方向(θem max)は、半導体層部を構成する材料と各層の構造、電極材料とその構造によって変化する。
具体的には、半導体層部を構成する第一導電型半導体層、量子井戸活性層と障壁層を内在する活性層構造、第二導電型半導体層、コンタクト層、任意に導入しうる各種構造、第一導電型側電極の構成材料、第二導電型側電極の構成材料、その構造等によって変化する。
さらに、最も強くθem maxを変化させうるのは、活性層構造が量子井戸活性層構造である場合、量子井戸層と障壁層の屈折率差、量子井戸数、量子井戸層の厚み等の活性層構造内における薄膜干渉効果を支配する要素と、第二導電型側電極によって反射される内部発光の光路長を規定しうる第二導電型半導体層の薄膜干渉効果とである。
そこで、窒化物基板上の半導体層において、これら条件を変数として検討したところ、本発明者らは、θem maxにおいて、67.5度≦θem max<90度範囲で変化させうることを見出した。これは同時に−90度<θem max≦−67.5度である。この範囲が本発明の好ましい範囲である。
この結果、実測しうる外部発光プロファイルに関して、以下のことが分かる。
本発明の半導体発光素子の周辺媒質を真空、あるいは空気としたとする。すなわちnout(λ)=1の周辺媒質内に本発明の半導体発光素子を設置したとする。この際には、実効的に外乱のない状態、即ち出射された光を反射する物体の存在等、正確な測定を阻害する要因は排除しておくことが好ましい。
図4Aに示すとおり、外部発光方向をφemとし、φemに関しても、内部発光方向と同様に、前記主面と垂直な方向であって光取り出し方向となる方向を0度とし、該主面と平行な一方向を90度、90度方向と対峙する方向を−90度とする。
図4Aに示すように、内部発光強度密度の最も強い方向に出射され半導体発光素子側壁部を透過した光が、スネルの法則に従って、外部発光強度密度の最も強い方向φem maxを規定することとなる。
なお、外部発光においては、双極子方位が等方的な内部発光と異なり、半導体発光素子形状の異方性が存在することから、主面上における基準方向と発光方向の射影がなす角度である方位角に対しても依存性が生じるが、φemに対する依存性ほど顕著ではない。しかし、本発明においては、半導体発光素子の形状の異方性は、例えば当該素子の投影形状が略三角形であるので、その任意のひとつの頂点を含み、基板主面に垂直な面内で外部発光強度密度を測定するか、あるいは、頂点を含まずに基板主面に垂直な面内で外部発光強度密度を測定するかなどによって、その値は異なってくる。本発明においては、半導体発光素子の形状の異方性を反映する方位角に関しては、以下に示す特性が、少なくとも1つの方位角において基板主面に垂直な面内で確認が可能である。また、場合によっては、複数の方位角において観測が可能であることが好ましい。さらには、すべての方位角で観測が可能であることが最も好ましい。
本発明においては、半導体発光素子の側壁部で、内部発光強度密度の最大値を有する方向に出射された光が透過する側壁部が、基板主面、あるいは、活性層方向と略垂直な場合(後述するβ≒0度)には、実測しうる誤差、側壁面の荒れ、チッピング等によるゆらぎ、発光方向の方位各による誤差等を含んでも、
32.5度 ≦ φem max < 90.0度
であることを見出した。これは同時に
−90.0度 < φem max ≦ −32.5度
である。
よって、本発明における半導体発光素子は、内部発光強度密度の高い方向に向かう光を半導体発光素子の側壁部から取り出し得るので、nout(λ)=1の媒質中に配置すると、上述のような範囲に外部発光強度密度の極大値を有する配光特性を呈するようになる。これは例えば、θem maxが80度の場合において、GaN基板の屈折率を表1から波長400nmの値を用いて、2.52とし、すると、スネルの法則から、φem maxが約64度となることに相当する。
よって、本発明においては、内部発光強度密度の最大値を示すθem maxを、67.5度≦θem max<90度の範囲で好ましく変化させうるので、本発明の好ましい外部発光強度密度の最大値の方向は、32.5度≦ φem max <90.0度である。また、これは同時に−90.0度<φem max≦−32.5度である。この範囲は本発明の好ましい範囲である。
換言すると、基板側壁面を十分に通過しない構造である場合には、このような外部発光プロファイルを有する配光特性とはなり得ず、φem=0度近傍に最大値を有する特性となる。
〔本発明の素子への傾斜露出面の導入と配光特性〕
本発明においては、内部発光プロファイルが非等方的であるから、この発光強度密度の最大値を有する方向に半導体発光素子側壁を垂直方向となるように傾斜させ、光取り出し効率を向上させたりすることが好ましい。
また、内部発光プロファイルの発光強度密度の最大値を有する方向と平行方向に傾斜させ、意図的に側壁面における反射を誘発し、外部発光プロファイル、すなわち、配光特性を所望の形態に制御することも好ましい。
さらに、本発明の半導体発光素子が有している基板は、厚膜基板となる傾向があるので、基板の厚みが薄い場合と異なり、半導体層部に対峙する窒化物基板の所望の場所に容易に傾斜面を形成しうる。したがって、薄膜基板を内在する他の発光素子と比べて、この傾斜面を利用して配光特性を所望の特性にすることが容易に実現可能となる。
すなわち、本発明においては、内部発光強度密度の高い方向に向かう光を含む内部発光を、可能な限り半導体発光素子の側壁部から取り出し得るようにするので、比較的厚膜の基板を内在することになり、この結果、半導体発光素子の光取り出しの向上のみならず、内部発光強度密度の高い方向に向かう光が透過する半導体発光素子側壁部分の形状や、他の方向に向かう内部発光も含めて、例えば窒化物基板に傾斜を与えるなどして、配光特性制御可能な半導体発光素子を実現できるため、好ましい。
図3A、図3B、図3C、図4Aにおいて、最遠側壁部が基板主面21に対して角度|β|度だけ傾斜しているとして、この状況を図4Bに示す。
第一に、内部発光強度密度の最大値を有する方向(θem max)が例えば78度の場合においては、最遠側壁部が図4Bのように側壁に露出した側壁露出面の傾斜角βが
|β|=90−|θem max
を満たすように傾斜していると、内部発光強度密度の最大値を有する方向の光が効果的に取り出せるため、好ましい。
本発明においては67.5度≦θem max<90度(−90度<θem max
−67.5度)であるので、
0度≦|β|≦22.5度
であることがより好ましく、θem=78度の場合には|β|=12度であることがより好ましい。
また、各種測定の誤差、さらにはこのような傾斜露出面に対する凹凸加工の容易さなどを考慮して、0度≦|β|≦40.0度程度であることも好ましい。
すなわち、|β|の範囲としては、その下限は0度以上が好ましく、5度以上が好ましく、10度以上が好ましい。またその上限は、40度以下が好ましく、30度以下が好ましく、22.5度以下がより好ましい。
第二には、半導体発光素子の側壁部で、内部発光強度密度の最大値を有する方向に出射された光が透過する側壁部が、基板主面、あるいは、活性層方向と|β|度傾斜している場合で、これが大きな傾斜で全反射する場合を除き、外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxは、
90−|θem max|<|β|
の場合において、
(sin(|β|−(90−|θem max|))/nout(λ))=
(sin(|φem max|−(90−|β|))/n(λ))
を満たす方向となる。
さらに、
|β|<90−|θem max
の場合においては、
(sin(|β|+(90−|θem max|))/nout(λ))=
(sin(−|φem max|+(90−|β|))/n(λ))
を満たす方向となり、
90−|θem max|=|β|
の場合は、
|φem max|=90−|β|
を満たす方向となる。
例えば、これはθem maxが82度でβが20度の場合において、波長400nmにおけるGaN基板の屈折率を、表1から波長400nmの値を用いて2.52とし、周辺媒質の屈折率nout(λ)=1とすると、φem maxが、約101.6度となることに相当する。
また、θem maxが82度でβが5度の場合において、波長400nmにおけるGaN基板の屈折率を表1から波長400nmの値を用いて、2.52とし、周辺媒質の屈折率nout(λ)=1とすると、φem maxが約77.4度となることに相当する。さらに、θem maxが82度でβが8度の場合においては、φem maxが82度となることに相当する。
なお、傾斜が大きい場合には、全反射をし、その結果他の面から出射するようにすることも好ましい。
〔本発明の素子のφem maxの好ましい範囲と外部発光強度密度比の好ましい範囲〕
本発明においては、内部発光強度密度の最大値を有する方向に出射された光が透過する側壁部が、基板主面、あるいは、活性層方向と傾斜していない場合であっても、|β|度傾斜している場合であっても、外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxは、半導体発光素子を空気中に設置し、かつ、意図しない反射等の外乱を排除した状態で計測すると、前記主面と垂直な任意の平面内にあって、32.5度 ≦ φem max <90.0度(もしくは−90.0度 < φem max ≦−32.5度)の少なくともいずれか一方を満たす平面が存在することが好ましく、より好ましくは、いずれも満たすことが好ましい。
さらに、φem maxの絶対値の下限は、32.5度以上であることが好ましく、40.0度以上であることがより好ましく、42.5度以上であることがより好ましく、45.0度以上であることがより好ましく、47.5度以上であることがより好ましく、50.0度以上であることがより好ましく、52.5度以上であることがさらに好ましい。
一方、φem maxの絶対値の上限は、90.0度より小さいことが好ましく、82.5度以下であることがより好ましく、80.0度以下であることがより好ましく、77.5度以下であることがより好ましく、75.0度以下であることがより好ましく、72.5度以下であることがより好ましく、70.0度以下であることがさらに好ましい。
傾斜露出面の角度にもよるが、これらの角度で出射される場合は、側壁面に内部発光強度密度の最大値を示す近傍の高密度の光が到達しうる場合に相当する。よって、光取り出し効率向上の観点で好ましい形状となっていることを示すものである。
本発明の半導体発光素子の配光特性を、空気中でかつ反射ミラー等からの外乱を極力排除した状況で測定すると、半導体発光素子の側壁面からの出射が主たる発光要素となっていることを観測可能である。
すなわち、基板主面と垂直な任意の平面内にあって、半導体発光素子外部における発光強度密度(Jout)の放射方向(φem)に関する分布である外部発光プロファイルのφem=0度に出射された光密度Jout(0)に比較して、発光強度密度(Jout)の放射方向の最大値を示す(φem max)方向に出射された光密度Jout(φem max)が、本発明においては20%以上大きくなる平面が存在することが好ましい。
さらには、25%以上大きいことがより好ましく、30%以上大きいことがより好ましく、35%以上大きいことがより好ましく、40%以上大きいことがさらに好ましい。これは、67.5度≦θem max<90度であるので、配光特性の0度方向に出射された半導体発光素子の基板と対峙する面から上方に取り出された光密度よりも、側壁から取り出される光が多いことを示しているため、本発明において好ましい。なお、光密度Jout(0)は、厳密にはφem=0度近傍における外部発光強度密度をいい、測定誤差を考慮すると|φem|≦2度程度であるといえる。
〔傾斜露出面を有する本発明の半導体発光素子の態様〕
なお、本発明においては、半導体発光素子の側壁部、主面と対峙する面など、任意の部分を傾斜させうる。すなわち、窒化物基板の任意の部分を除去し、あるいは、任意の部分に所望の形状を付加し、新たな露出面を形成することができる。
例えば、側壁部、主面と対峙する面などを傾斜させる様態は、図5A〜図5Dに例示するとおり、種々の形状を考えうる。
まず、図5Aは、主面と対峙する面から加工して傾斜面を形成した例であり、基板を基板主面に垂直方向に投影した形状と、基板主面の形状が実質的に一致している。図5Aの(a)の例では、当該窒化物基板12の最遠側壁部、主面と対峙する面12aがそのままの形態で露出面となっており、当該窒化物基板の露出面は、主面と略平行な面、主面に対して略垂直な面によって構成されている。
(b−1)では、窒化物基板の最遠側壁部の一部と、主面と対峙する面の一部が加工され、傾斜した露出面12bとなっている。窒化物基板の露出面が、主面と略平行な面、主面に対して略垂直な方向の面、および、これから傾斜している面とを含むことを特徴とする構成である。
(c−1)では、窒化物基板の最遠側壁部の全部が加工され傾斜した露出面となっており、主面と対峙する面は一部が加工され傾斜した露出面となっている。窒化物基板の露出面が、主面と略平行な面、主面に対して略垂直な方向から傾斜している面12cのみを含むことを特徴とする構成である。
(d−1)は、窒化物基板の最遠側壁部も、主面と対峙する面も、その全部が加工され傾斜した露出面となっている。窒化物基板の露出面が、主面に対して略垂直な方向から傾斜している面12dのみであることを特徴とする構成である。
図5Bは、半導体層部側から加工を実施した形態であり、基板主面の大きさは、基板を基板主面に垂直方向に投影した形状より小さい。(b−2)は、窒化物基板の最遠側壁部の一部と、主面の一部が加工され、傾斜した露出面となっている。露出面が、主面と略平行な面、主面に対して略垂直な方向の面、これから傾斜している面(113a)を含むことを特徴とする構成である。
図5Bの(c−2)および(d−2)も上記同様、半導体層部側から加工を実施した形態である。
(c−2)は、窒化物基板の最遠側壁部の全部が加工され傾斜した露出面となっており、主面は一部が加工され傾斜した露出面となっている。露出面が、主面と略平行な面、主面に対して略垂直な方向から傾斜している面113bのみを含むことを特徴とする特徴とする構成である。
(d−2)は、主面側が、半導体層を極一部残したのみでそのほとんどが加工され、窒化物基板の最遠側壁部も傾斜した露出面となっている。この形態は、露出面が、主面と略平行な面、主面に対して略垂直な方向から傾斜している面113cのみであることを特徴とする構成である。
図5Cには、傾斜面が複数種類存在する例を挙げた。(b−3)、(c−3)、(d−3)は、それぞれ上記した(b−1)、(c−1)、(d−1)における主面に対して略垂直な方向から傾斜している面の角度が複数種類存在する例である。同様に、上記した(b−2)、(c−2)、(d−2)において、傾斜している面の角度を複数種類存在させることもできる。
図5Dに、主面または主面と対峙する面の一部を、外形を変更せずに加工した例を示す。
これらの例では、主面の外形と、基板を主面に垂直方向に投影した形状の外形は一致するが、主面が加工された場合は、主面は略三角形ではない。図5Dの(e−1)は、主面と対峙する面の一部が加工され、傾斜した露出面112aとなっている。露出面が、主面と略平行な面、主面に対して略垂直な方向の面、これから傾斜している面112aを含むことを特徴とする構成である。
図5Dの(e−2)は、主面の一部が加工され、傾斜した露出面となっている。露出面が、主面と略平行な面、主面に対して略垂直な方向の面、これから傾斜している面とを含むことを特徴とする構成である。図5Dの(e−3)は、(e−1)において、主面に対して略垂直な方向から傾斜している面の角度が複数種類存在する例である。
なお、これらの構成における、基板の厚みとは、いずれの場合も主面から垂直に伸ばした長さが最も厚くなる最大厚みであって、また、図5A〜図5Dに示した断面形状において、図5Aの(a)を除く形態は、主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lsc上にあっても、その上にはなく別の部分の断面形態となっていても良い。
上記形態の中で、図5A(a)の形態は、本発明において簡便に作製可能であるので好ましい。それ以外の形態は、いずれの場合も傾斜角度βを、内部発光強度の極大値、最大値を示す方向に傾斜させるなどして、光取り出し効率を向上させることができるため、好ましい。また、単に光取り出し効率の向上のみではなく、半導体発光素子の外部発光強度密度、換言すると配光特性を制御することができるため、任意の傾斜角度βを選択することも好ましい。さらに、基板主面と対峙する面、基板主面と対峙する面に形成された加工露出面、基板主面と垂直な面など、半導体発光素子の外縁を構成するあらゆる面の光取り出しのための臨界角を総合的に考慮し、光取り出し効率の向上を目指すことも好ましい。
なお、本発明においては、主面に対して略垂直な方向から傾斜している面は、その効果を発現させるためには、基板の露出面全体の中で10%以上そのような傾斜面とすることが好ましく、20%以上そのような傾斜面とすることがより好ましく、40%以上そのような傾斜面とすることがさらに好ましく、60%以上そのような傾斜面とすることがさらに好ましい。
さらに本発明においては、半導体発光素子の側壁部を構成する部分は、対称性が低い形状となっていることが好ましい。例えば、上記のうち(b−3)、(c−3)、(d−3)、(e−3)などの断面形状は、(b−1)、(c−1)、(d−1)、(e−1)などの場合と異なり、その断面形状にたとえば線対称軸が存在しない。このため、図形としての対称性が低い。このような場合、例えば、半導体発光素子内部で真性閉じ込め光となってしまう全反射をある特定の面で受けた光でも、対称性の低さから、脱出することのできる確率が高くなるため、好ましい。
さらに、図5Bの(b−2)、(c−2)、(d−2)および(e−2)のように、半導体層部から加工を実施した形態、即ちβ<0となっている形態(基板の主面側が、主面に対峙する面側より狭い形態)では、光取り出し効率がよい。
なお、ここでは半導体層部は加工され傾斜した露出面となっていない例を多く例示したが、例えば図5Aの(c−1)、(d−1)や、図5Bの(c−2)、(d−2)や、図5Cの(c−3)、(d−3)のように窒化物基板の側壁部が加工され傾斜露出面となっている場合に、半導体層も同様の角度で傾斜した露出面をその端部に有することは、素子作製上簡便であって、好ましい。
〔傾斜露出面を有する本発明の素子の様態と内部発光プロファイルの制御〕
最も強くθem maxを変化させうるのは、前述の通り、活性層構造が量子井戸活性層構造である場合、量子井戸層と障壁層の屈折率差、量子井戸数、量子井戸層の厚み等の活性層構造内における薄膜干渉効果を支配する要素と、第二導電型側電極によって反射される内部発光の光路長を規定しうる第二導電型半導体層の薄膜干渉効果とである。
本発明者らは、半導体発光素子の側壁部からの光取り出し効率を上げるために、第二導電型半導体層の厚みは10nm以上180nm以下であることが好ましいことを見出した。
これは以下の理由による。
第二導電型半導体層が180nmを超える厚みを有する場合には、本発明の活性層構造が好ましく光を発する方向である67.5度≦θem max<90度の中に、過剰な長距離干渉の結果として、光密度の高い方向は厳然としてあるものの、光密度の低い方向も混在するようになる。また、300nmを超えると、光密度のピーク形状は双峰性となり、2つのピークとも67.5度≦θem max<90度の中に存在するものの、その間に極端な低密度な部分が発生してしまう。これは、側壁からの光取り出しには不都合であって好ましくない。よって、第二半導体層の厚みは180nm以下であることが好ましい。
また、第二導電型半導体層の厚みが10nmよりも薄い場合には、薄膜干渉効果が十分でなく、67.5度≦θem max<90度の出射方向に見られる光密度のピークが光取出しに好ましい単峰性であるもののその光密度がさほど高くならない。よって、第二導電型半導体層の厚みは10nm以上であることが好ましい。
一方、第二導電型半導体層の厚みが10nm以上180nm以下である場合、67.5度≦θem max<90度の出射方向に見られる光密度のピーク形状は、半導体発光素子の側壁部からの光取出しに好ましい単峰性であって、かつ、その高密度のピークは相対的に十分に高いものとなるため、好ましい。また、このような厚みの場合、第二導電型層がキャリア注入層としての機能も十分に果たすため、好ましい。
なお、このような第二導電型半導体層の厚みの好ましい範囲は、主に半導体層の直上(例えばフリップチップの場合は主として基板主面と対峙する面側)に光を取り出す構成の半導体発光素子においては、このような事情は発生しない。
さらに、本発明においては、内部発光プロファイルが非等方的である事実に立脚して、半導体発光素子全体の形状を適切に選択することが可能である。よって、内部発光プロファイルを主に規定する、第二導電型側電極、第二導電型半導体層、量子井戸層と障壁層を含む活性層構造部を、全体として適切な屈折率を有する材料で、適切な厚みとし、かつ、これに合わせて半導体発光素子の外形を決定することは、本発明においても格段の効果を奏すると考えられ、好ましい。
〔凹凸加工を基板露出面に有する本発明の素子の様態と基板面方位〕
さらに本発明においては、当該窒化物基板の露出面が、凹凸加工されている部分を有することが好ましい。これにより、さらに光取り出し効率を向上させることが可能である。
図5A〜D等に例示した本発明の各種形態の中でも、当該窒化物基板の露出面に凹凸加工を施すことが可能である。
例えば、窒化物基板の主面が、c+面、すなわち(0001)面あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面の極性面である場合には、例えば図5A〜Dの中の主面と対峙する面が平行な部分を有する形態は、主面と対峙する面が略c−面となるため好ましい。
これは、c−面への光取り出しのための凹凸加工は、KOHやHCl等の溶液の中でバンドギャップに相当するエネルギーよりも大きなエネルギーを有する光を照射しながらエッチングをする(光/電気)化学エッチングによって容易に実施可能であるからである。さらに、光照射を抑制しても、高温のエッチャントによってエッチングを実施することも可能である。このようにすると、半導体発光素子側壁部、側壁部を加工して形成された露出面からの光取出しだけでなく、主面と対峙する面からの光取出し効率も向上するため、本発明においては相乗効果が発現し、好ましい。
一方、窒化物基板の主面がc面以外の場合、例えば、(1−10n)面、(11−2n)面(但しnは0、1、2、3)あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の無極性、半極性面である場合、この中でも特に主面が(1−100面)すなわちm面、(11−20)面すなわちa面である場合、図6の中の例えば(a−1)の形態では、側壁面の一部にc−面を含む可能性がある。このような形態の素子に(光/電気)化学エッチングを施すと側壁面の一部に凹凸加工が集中しがちとなる。このため、このような形態は、所望の側壁面の中の一部の面からの光取り出し効率を、他の部分よりも向上させることが可能であって、配光特性制御の観点からは好ましい。
なお、このような窒化物基板の主面がc面以外の場合には、(光/電気)化学エッチングによっては、主面と対峙する面からの光取出し効率を向上させることは、容易でない形態でもある。
よって、光取り出し効率向上の観点では、窒化物基板の主面がc面以外の場合において、特に、窒化物基板の主面がm面、a面の場合においては、半導体発光素子の基板露出面に、主面と対峙する平行な面と主面に対して垂直な面以外に、主面に対して垂直な面から傾斜した面を有することが特に好ましい。
これは、このような面には、比較的均質に(光/電気)化学エッチングによる凹凸加工が容易に付与できるからである。この中でも、図5A〜D中の(b−1)、(c−1)、(d−1)、(e−1)、(b−3)、(c−3)、(d−3)、(e−3)の構成は好ましい。さらには、基板の露出面のほとんど、もしくはすべてが主面に対して垂直な面から傾斜した面のみによって構成されることが、より好ましい。
この場合には、素子のマウントのための平坦面をその一部に必要最低限だけ内在しても構わない。具体的には、このような半導体発光素子の中でも実質的にd−1に近いc−1の構成は好ましく、基板厚みの最大値を与える部分は一部平坦であってもよい。
本発明においては、半導体発光素子が、後述するとおり、複数の発光ユニットを備える集積型の半導体発光素子であることが好ましい。集積型素子の場合には、平面的に発光ユニットを複数作りこむため、Lscが長くなることが多い。このため、1つ1つの発光ユニットの発する光の取り出し効率を低下させないためには、傾斜した露出面を有することが好適である。本発明の半導体発光素子が集積型である場合は、基板の形状は、すでに示した傾斜した露出面を有する形態のいずれも好ましい。
この中でも、特に図5Bの(b−2)、(c−2)、(d−2)、および図5Dの(e−2)のような、半導体層部側から加工を付与した形態が特に好ましい。これは発光ユニットの分離等を容易に行うことが可能となるからである。
〔本発明の素子が有する半導体層部の態様〕
一方、本発明の半導体発光素子が内在する半導体層は、任意の構成をとることが可能である。ここで本発明の半導体発光素子は、基板側から第一導電型側半導体層、活性層構造、第二導電型半導体層を含むことが好ましい。即ち、第一導電型側半導体層は、活性層構造の基板側に存在し、第二導電型半導体層は活性層構造の基板と反対側に存在する。
さらに、本発明の半導体発光素子は、第一導電型半導体層と基板の間にバッファ層を有することが好ましく、バッファ層はアンドープ層であることが好ましい。第一導電型側半導体層は、単層構成であっても、多層構成であってもよく、多層構成の場合には、バンドギャップの大きな層と小さな層を組み合わせる形態、ドーピング濃度の異なる層を組み合わせる形態等が好ましい。
活性層構造は、バルク活性層でもよいし、単なるホモ接合であっても、シングルへテロ接合でもよいし、ダブルへテロ接合でもよいが、量子井戸層と障壁層を含む量子井戸活性層構造であることが好ましい。第二導電型半導体層は、単層構成であっても、多層構成であってもよく、多層構成の場合には、バンドギャップの大きな層と小さな層を組み合わせる形態、ドーピング濃度の異なる層を組み合わせる形態等が好ましい。さらに本発明は、半導体層部に接して電極を有することが好ましい。
本発明においては、窒化物基板が十分な導電性を有している場合には、半導体層部が、第一導電型側電極と接しておらず、第二導電型側電極と接し、第一導電型側電極は窒化物基板と接している形態を好ましく採用することができる。これはいわゆる上下導通型の半導体発光素子の形態をとりうるということである。このような構成では、素子のいわゆる上下面に電極が形成されるために、素子の側壁面から主に光を取り出しうる本発明の半導体発光素子を上下導通型の半導体発光素子とすることは格段の効果を奏するものである。
第一導電型側電極および第二導電型側電極は、それぞれ第一導電型キャリア、第二導電型キャリアを注入するための電極である。
この際に、半導体発光素子は基板側、半導体層部側のいずれも、放熱板側にすることが可能であるが、高出力動作を実現する上では、半導体層部側を放熱板に近接して配置し、半導体発光装置とすることが好ましい。
ここで、放熱板は、放熱性と同時に電流注入等の機能を有してもよく、サブマウントと記載する場合もある。
さらに本発明においては、窒化物基板が十分な導電性を有している、有してないにかかわらずに、半導体層部が、第一導電型側電極とも、第二導電型側電極とも、共に接していることを特徴とする半導体発光素子がより好ましい。これはいわゆるフリップチップ型の半導体発光素子の形態をとりうるということである。
この際に、半導体発光素子は半導体層部を放熱板側にすることが可能である。この場合には、高出力動作を実現する上では、半導体層部側が放熱板やサブマウントに近接して配置されるので好ましい。
本発明においては、半導体層部の周辺部分、すなわち「半導体層部端部」は、図6に例示されるような形態とすることが可能であって、いずれの場合も好ましい。図6は図3Aに例示された線分Lscを含む面の形態を例示したものである。
点A、点Bは半導体層部の上端部(図6ではフリップチップ型の半導体発光素子を想定し、下に位置しているが、半導体層部を形成する、例えばエピタキシャル成長直後は、「上」端部となる。)であって、点C、点Dは活性層構造の端である。点E、点Fは基板主面と半導体層部の境界である下端部(前述と同様、図6ではフリップチップ型の半導体発光素子を想定し、上に位置しているが、半導体層部を形成する際には、「下」端部となる。)であり、点G、点Hは製造上隣接していた他の発光素子との素子分離を行った端部であり、点I、点Jは基板主面と対峙する面の基板端部である。
ここで、基板の形態は、図5に例示したような形態のいずれとも組み合わせることは可能である。
図6(a−1)に例示の形態は、基板主面と垂直な方向から投影した際には、隣接する素子との素子分離端(G、H)と、基板主面と対峙する面の基板端部(I、J)と、基板主面の端(E、F)と、この上に形成された半導体層部の端(A、B)、活性層構造の端(C、D)とのすべてが一致する形態であって、本発明においては容易に形成できるため、好ましい形態である。
図6(b−1)、(b−2)、(b−3)の形態は、基板主面と垂直な方向から投影した際には、隣接する素子との素子分離端と基板主面の端とこの上に形成された半導体層部の端は一致するものの、活性層構造の端とは一致しない形態である。
この中で、半導体層部の側壁は、基板主面と垂直となっている(b−1)の形態は、その作製の簡便さから本発明の好ましい形態であって、また、(b−2)の形態と(b−3)の形態は、半導体層部の内部発光方向の一部を制御し、基板内部に出射される光の方向を変化させることで、側壁から出射される外部発光の方向、すなわち配光特性を制御できるため好ましい。
図7(c−1)、(c−2)、(c−3)の形態は、基板主面と垂直な方向から投影した際には、隣接する素子との素子分離端(G、H)と基板主面の端(E、F)は一致するものの、基板主面の端とこの上に形成された半導体層部の端(A、B)は一致せず、基板主面の端と活性層構造の端(C、D)とも一致しない形態である。
この中で、半導体層部の側壁は、基板主面と垂直となっている(c−1)の形態は、その作製の簡便さから本発明の好ましい形態であって、また、(c−2)の形態と(c−3)の形態は、半導体層部の内部発光方向の一部を制御し、基板内部に出射される光の方向を変化させることで、側壁から出射される外部発光の方向、すなわち配光特性を制御できるため好ましい。
図8(d−1)、(d−2)、(d−3)の形態は、基板主面部分もその一部が加工されているために、主面と垂直な方向から投影した際には、隣接する素子との素子分離端(G、H)と、基板主面の端(E、F)およびこの上に形成された半導体層部の端(A、B)が一致しない形態である。
この中で、半導体層部の側壁は、基板主面と垂直となっている(d−1)の形態は、その作製の簡便さから本発明の好ましい形態であって、また、(d−2)の形態と(d−3)の形態は、半導体層部の内部発光方向の一部を制御し、基板内部に出射される光の方向を変化させることで、側壁から出射される外部発光の方向、すなわち配光特性を制御できるため好ましい。
また、図8に示すように主面が加工されている場合において、主面(E、F)と素子分離端(G、H)との深さh{図8(d−1)〜(d−3)参照}が浅いときは、素子分離端を含む平面(一般に、基板を投影した略三角形と一致する場合が多い。)上において、任意の2点の作る最も長い線分長Lsc’が、式a1、式a3、式a5または式a7において、LscをLsc’で置き換えた式を満たすことが好ましい。
ここで、「深さhが浅い」とは、基板の最大物理厚みをtとした際に、hが好ましくはtの1/2以下、より好ましくはtの1/4以下、より好ましくはtの1/10以下、より好ましくはtの1/50以下である。またさらに、「深さhが浅い」とは、半導体層部の最大物理厚みをtとした際に、hが好ましくはt以下、より好ましくはtの1/2以下、より好ましくはtの1/4以下、より好ましくはtの1/10以下である。
また、これらの形状を本発明の集積型の構成を有する半導体発光素子において、図9に例示するように、発光ユニット間の分離部分に適用することも好ましい。
図6〜図8に例示された本発明の好ましい形態は、半導体層部を加工する際に、ドライエッチング、ウエットエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで実現することが可能である。
特にこの際に、図6〜図8の(a−1)を除く形態においては、基板主面側からみた半導体層部の形態と、図5に例示した基板部分の形態を独立に決定できるために特に好ましい。また、一方の形態を決定し、他方を非等方的な内部発光プロファイルを考慮して従属的に決定することも、より好ましい。
また、本発明においては、基板を基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形であり、この投影形状は、素子分離端形状と一致しない場合もあるが、一般には一致する場合が多い。また、半導体層部の形態は任意の形状をとることが可能であり、例えば、図10(a)(b)では、素子分離端の平面形状は、基板の主面に垂直方向に投影した形状と一致して略三角形であるものの、半導体層部の形態は略三角形以外の任意の形状が含まれるものである。
ここで、半導体層部、特に活性層構造の端が、基板主面と垂直方向から投影した際に素子分離端の平面形状と略相似形であることは、作成プロセス上から容易であって、より好ましい。また、半導体層部の端部の平面形状が、三角形以外の形状であってもよい。例えば、n角形(nは、4以上100以下の自然数)、円形、楕円形、その他曲線に囲まれる不定形状、直線と曲線により囲まれる不定形等の任意の形状が挙げられる。例えば、n角形や円形である場合は、半導体層部側壁からの光取り出しの観点でより好ましい。
また特に、基板の側壁部、露出部だけでなく、半導体層の側壁部にも凹凸加工を施されていてもよく、これにより光取り出し効率が向上する。図10(a)には、図5Aの(b−1)の構成を有する基板上に、図7(c−1)の構成を組み合わせ、基板主面と垂直な方向から投影した際の活性層構造端を円形に配置した例を示す。また、図10(a)の変形例としては、図7(c−2)の構成を組み合わせ、半導体層部側壁が傾斜しているものも好ましい。
また、図10(b)は、図5D(e−1)の構成を有する基板上に、基板主面と垂直な方向から投影した際の活性層構造端を三角形以上の各種n角形、円形、任意の形状の組み合わせとし、さらにその一部には凹凸加工(詳細な図示は省略するが、例えば側壁部に凹凸加工がされていてもよい)を施した部分を有する、集積型の半導体発光素子とした場合の一例である。
このような半導体層部端部あるいは活性層構造端部の主面側から投影した平面形状は、光取り出しの観点では、対称性の次元が低いほど好ましい。よって、例えば三角形であれば正三角形よりも二等辺三角形、二等辺三角形よりも不等辺三角形が好ましい。
また、周辺に平面的に付与する凹凸加工は、周期的な凹凸加工よりも、周期性のない凹凸加工が好ましい。このようにすると、半導体層部端部、あるいは活性層構造端部からの光取り出し効率が向上するために非常に好ましい。ここで、細かな凹凸の形状における凹凸サイズ(ラインからの高低差=出入差)は、半導体発光素子のピーク波長をλとして、λ/50から50λ程度の寸法を有することができる。好ましくはλ/10から10λ程度の寸法を有し、より好ましくはλ/7から7λ程度の寸法を有し、より好ましくはλ/5から5λ程度の寸法を有することができる。
本発明においては、例えば図10においては、基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lscは、実際の活性層構造の任意の2点の作る最も長い線分長よりも長くなるが、Lscによって規定される長さから決定される。
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
の関係によって与えられるtは、十分な厚みを与える。よって、本発明においては、図6〜図8に例示したような種々の形態はすべて好ましい。
尚、以上の記載から明らかなように、本出願は、基板主面に対して傾斜した(垂直または平行でない)基板露出面を有する半導体発光素子も開示しており、本出願で開示される他の構成と組み合わせることなく、独立して発明を構成することができる。また、本出願で開示される他の構成と組み合わせることもできる。ここで、半導体層部の側壁が傾斜していることがさらに好ましい。
さらに、本出願は、基板側壁部および半導体層部側壁の一方または両方に、凹凸加工が施された半導体発光素子も開示しており、本出願で開示される他の構成と組み合わせることなく、独立して発明を構成することができる。また、本出願で開示される他の構成と組み合わせることもできる。
〔本発明の素子が封止材によってモールドされる場合〕
本発明においては、その半導体発光素子の周辺をシリコーン系封止材(1.25≦nout(λ)≦1.53)、高屈折率シリコーン組成物封止材(1.45≦nout(λ)≦1.8)、やガラス封止材(1.55≦nout(λ)≦2.10)によって覆い、半導体発光装置を構成することは、光取り出し効率のさらなる向上のために好ましい。
また、封止材の中に蛍光体などの波長変換用粒子等をいれておき、半導体発光素子の発する光の波長の少なくとも一部を、他の波長に変換することも好ましい。このような場合であっても、本発明の発光素子は、式a1および式a3を満たすことが好ましい(式a1(a)においては、nout(λ)=1)。
かかる封止材のうち、好ましいシリコーン系封止材(1.25≦nout(λ)≦1.53)、高屈折率シリコーン組成物封止材(1.45≦nout(λ)≦1.80)、ガラス封止材(1.55≦nout(λ)≦2.10)について説明する。
シリコーン系封止材とは、シリコーン材料からなる封止材をいう。
前記シリコーン系材料とは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば、縮合型、付加型、改良ゾルゲル型、光硬化型、などのシリコーン系材料を用いることができる。
縮合型シリコーン系材料としては、例えばアルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合で得られるSi−O−Si結合を架橋点に有する化合物を挙げることができる。縮合型シリコーン系材料は半導体発光デバイスに用いられるパッケージや電極、発光素子などの部材との接着性に優れるため、密着向上成分の添加を最低限とすることが出来、架橋はシロキサン結合主体のため耐熱性・耐光性に優れる利点がある。縮合型シリコーン材料は、本質的に、後述する極性基を内在しているため、本発明のような基板の側面から光取り出し効果を期待する構造を有する半導体発光素子においては、厚膜基板の側面における密着性も良好であるため、総じて光取り出し効果に相乗的な効果を奏する点で好ましい。また、本発明が比較的サイズの大きい、ラージチップの場合においては、上記観点から殊更好ましい。
このような縮合型シリコーン材料としては、例えば特開2007−112973〜112975号公報、特開2007−19459号公報、特開2008−34833号公報等に記載の半導体発光デバイス用部材を用いることができる。
付加型シリコーン系材料とは、ポリオルガノシロキサン鎖が、有機付加結合により架橋されたものをいう。代表的なものとしては、例えばビニルシランとヒドロシランをPt触媒などの付加型触媒の存在下反応させて得られるSi−C−C−Si結合を架橋点に有する化合物等を挙げることができる。
付加型シリコーン材料は、硬化速度や硬化物の硬度などの選択の自由度が高い、硬化時に脱離する成分が無く硬化収縮しにくい、深部硬化性に優れるなどの利点がある。付加型シリコーン材料は、本質的には、後述する極性基を内在していないが、極性基を骨格内に導入したり、極性基を有する密着改善成分を添加したり、プライマーを介在させることにより、チップとの密着性を高めることができる。
かかる手法により、本発明のような基板の側面から光取り出し効果を期待する構造を有する半導体発光素子においては、厚膜基板の側面における密着性も良好であるため、総じて光取り出し効果に相乗的な効果を奏する点で好ましい。また、本発明が比較的サイズの大きい、ラージチップの場合においては、上記観点から殊更好ましい。
このような付加型シリコーン材料としては、例えば特開2004−186168号公報、特開2004−221308号公報、特開2005−327777号公報等に記載のポッティング用シリコーン材料、特開2003−183881号公報、特開2006−206919号等に記載のポッティング用有機変性シリコーン材料、特開2006−324596号公報に記載の射出成型用シリコーン材料、特開2007−231173に記載のトランスファー成型用シリコーン材料等を好適に用いることができる。
また、縮合型の一つである改良ゾルゲル型シリコーン系材料としては、例えば、特開2006−077234号公報、特開2006−291018号公報、特開2007−119569等に記載のシリコーン材料を好適に用いることができる。改良ゾルゲル型のシリコーン材料は高架橋度で耐熱性・耐光性高く耐久性に優れる。本発明が比較的サイズの大きい、ラージチップの場合においては、耐熱性・耐光性、耐久性の観点から好適である。
光硬化型シリコーン系材料としては、例えば特開2007−131812号公報、特開2007−214543等に記載のシリコーン材料を好適に用いることが出来る。紫外硬化型シリコーン材料は、短時間に硬化するため生産性に優れる、硬化に高い温度をかける必要が無く発光素子の劣化が起こりにくいなどの利点がある。本発明が比較的サイズの大きいラージチップの場合においては、上記の利点の他、硬化時に高い温度を要しないので硬化物に冷却による内部応力の残存が少なく長期使用や温度衝撃により剥離しにくい観点から好適である。
これらのシリコーン系材料は単独で使用しても良いし、混合することにより硬化阻害が起きなければ複数のシリコーン系材料を混合して用いても良い。
また、上記シリコーン系封止材は、高屈折率とするために、ジルコニア、チタニアなどのナノ粒子と混合して高屈折率シリコーン組成物封止材(1.45≦nout(λ)≦1.8)としてもよい。この場合、前記ナノ粒子とシリコーン系材料との密着性改善や分散性改善などを目的として、前記ナノ粒子をカルボキシル基などナノ粒子表面の金属と反応しやすい配位子を有する有機酸、シランカップリング剤やその加水分解物・部分加水分解物、加水分解性基やシラノール基を有するポリシロキサンのようなシリコーンオイル・シリコーン樹脂等で表面処理して用いることが好ましい。また、チタニアなど、ナノ粒子が光触媒作用を有する場合には、周辺有機物の劣化を防止するためにケイ素酸化物を含む被覆層をナノ粒子表面に設けても良い。
ここでこれらの被覆層による被覆とは、ナノ粒子表面を完全に覆った形態、あるいは隙間が空いた形態両方を意味する。
高屈折率のシリコーン組成物封止材としては、例えば特開2007−270099号公報に記載の半導体発光素子封止用組成物などを用いることができる。
上記シリコーン系封止材においては、本発明の半導体発光素子との密着性を良好なものとするために、以下の特性を有していることが好ましい。
1)他の層との界面に、極性基を含有すること、
2)硬度が、ショアAで5以上100以下、または、ショアDで0以上85以下であること
以下、これらの特性について説明する。
特性1):極性基
封止材は、光・熱・物理的作用などで、半導体発光素子の間で剥離を生ずると、半導体発光装置の光維持率が低下する。これは、本発明のような基板の側面から光取り出し効果を期待する構造を有する半導体発光素子においては極めて重要な要因である。従って、これらの間で強く密着していることが重要である。
そこで、本発明に用いる封止材は、隣接する層との界面に、極性基を含有することが好ましい。すなわち、封止材は、隣接する半導体発光素子との界面に極性基を有するよう、当該極性基を有する化合物を含有する。
このような極性基の種類に制限は無いが、例えば、シラノール基、アミノ基およびその誘導基、アルコキシシリル基などの加水分解性シリル基、カルボニル基、エポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基(−COH)、メタクリル基、シアノ基、スルホン基などが挙げられる。なお、封止材は、いずれか1種の極性基のみを含有していてもよく、2種以上の極性基を任意の組み合わせおよび比率で含有していても良い。
これらの極性基は、封止材の中にはじめから含まれていても良く、プライマーの塗布や表面処理などにより後から付加されたものでもよい。
特性2):硬度測定値
硬度測定値は、本発明で用いる封止材の硬度を評価する指標であり、以下の硬度測定方法により測定される。
本発明で用いる封止材は、比較的硬度の低い部材、好ましくはエラストマー状を呈する部材であることが好ましい。すなわち、本発明では、半導体発光素子と封止材という熱膨張係数の異なる複数種の部材が隣接することになるが、封止材が比較的低硬度であり、好ましくはエラストマー状を呈することにより、それぞれの部材の伸縮による応力を緩和することができる。したがって、使用中に剥離、クラック、断線などを起こしにくく、耐リフロー性および耐温度サイクル性に優れる半導体発光装置を得ることができる。
具体的には、透光性被覆層4は、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が、5以上、好ましくは7以上、より好ましくは10以上、また、通常100以下、好ましくは80以下、より好ましくは70以下である。または、デュロメータタイプDによる硬度測定値(ショアD)が、0以上、また、通常85以下、好ましくは80以下、より好ましくは75以下である。
ガラス封止材とは、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機系材料、およびホウケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、アルカリケイ酸塩等のガラス材料からなる封止材をいう。本発明におけるガラス材料を用いる場合、例えば粉砕ガラスを溶融、硬化することにより製造することができる。
ガラス材料としては、屈伏点が通常700℃以下、好ましくは600℃以下、更に好ましくは500℃以下、更に好ましくは400℃以下であり、通常200℃以上、好ましくは250℃以上である。屈伏点が大きすぎると焼結する際に高温になり過ぎ、半導体発光素子の劣化を招く恐れがある。また、蛍光体を混ぜて用いる場合に、蛍光体の劣化あるいは、蛍光体とガラス組成物との反応により蛍光体の発光特性の低下が起こる場合がある。屈伏点が小さすぎると被覆の安定性が低下し、製品の使用時に軟化するという不具合を生じる場合がある。
本発明に用いられるガラスの炭素成分は通常100ppm以下、好ましくは60ppm以下、更に好ましくは30ppm以下、特に好ましくは10ppm以下である。炭素成分が多すぎると無色透明性を十分担保できなくなるおそれがあるため、炭素成分は少ない程好ましい。炭素成分を減少させる方法としては、予め溶融、硬化、粉砕工程を経て得られたガラスを用いる方法が好ましい。
ガラス封止剤は、高屈折率化が容易でありチップからの光取り出し効率が高く、有機成分を含有しないため耐熱性および耐光性に優れ、構造が緻密でガス透過性が低いためチップや蛍光体を水蒸気や酸素による劣化から保護することが出来る等の利点がある。本発明が比較的サイズの大きい、ラージチップの場合においては、上記観点から殊更好ましい。
その他封止材に用いる材料としては、有機系材料を挙げることができる。
有機系材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリメタアクリル酸メチル等のメタアクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂等が挙げられる。
〔各部分の好ましい範囲〕
<基板>
本発明の半導体発光素子は、高出力特性と高効率性を両立することが好ましいが、用いる窒化物基板においては、前述の通り、従来とは異なる特定のサイズ・形状を有するため、その材料は、以下のような点を考慮して選択することが好ましい。
<転位密度、分極反転域>
また、窒化物基板は、その製法によっては、周期的に転位密度が密集している領域を有するものや、その極性がそろっていない部分を有する場合もある。このような基板は基板作成時の下地層に、選択的な成長を促すマスクを用いて基板部分の結晶成長を行った基板などがある。このような基板を本発明の半導体発光素子に用いることは好ましくない。
これは、本発明の素子が主面と平行な方向で見ても、また、主面と垂直な方向で見ても、基板の面積、体積が大きいために、その1つの素子の中に転位の密集領域や分極反転域を含むと、素子特性が格段に劣化するためである。小型の素子を作製する場合においては、このような領域を素子分離領域と一致させるなどのことをして、発光と直接関係がないようにすることが可能である。
そこで、本発明に用いる窒化物基板の転位密度は9×1016(cm−2)以下であって、当該転位の分布が略一様であることが好ましい。転位密度は、通常CL(カソードルミネッセンス)法によりダークスポットの密度を観察することにより測定することができる。
また、本発明に用いる窒化物基板は、分極反転域を有さないことが好ましい。
このような観点から、本発明の半導体発光素子用に準備する基板は、選択成長用マスクを用いない製法によって準備された基板を用いることが好適である。
<熱伝導率>
デバイスの安定な動作や長寿命化のためには出来る限り、温度上昇なく動作させる必要がある。
このためには、本発明の半導体発光素子においても、動作時の温度上昇を抑えるために効率よく熱放散させる必要がある。特に、比較的サイズの大きいラージチップなどのパワーデバイスでは、高出力下における光の損失等に伴う熱発生は大きいため、高効率な熱放散の必要性は高い。このような場合は熱伝導率が高い基板を用いることが好ましい。
また、従来、パワーデバイスでは動作領域を極力、ヒートシンク材料に近づける工夫がなされていた。これを利用して、上下導通型構造を有する半導体発光素子においては、動作領域をヒートシンク材料に近づけるために、デバイス動作領域が形成された半導体基板裏面を削ること、すなわち半導体基板の「薄片化」が必要とされていた。これは、本発明の基板の「厚膜化」とは全く逆の技術思想になるため、好ましくない。
本発明においては、特に熱伝導率が高い半導体材料を用いることにより薄片化は不要となり、本発明の特性を最大限に引き出すことができる。かかる観点からも、本発明にもちいる基板は、熱伝導率の高い材料であることが好ましい。
すなわち、本発明の自立基板は、室温(25℃)における熱伝導率が、通常250W/m・K以上、好ましくは300W/m・K以上、更に好ましくは345W/m・K以上のGaN系半導体であることが好ましい。
熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により評価することができる。一般に、熱伝導率を直接求めるためには大きな試料を準備して長時間をかけて計測を行う必要がある。これに対して、レーザーフラッシュ法では、小さな試料を用いて短時間に熱伝導率を測定することができる。
レーザーフラッシュ法は、直径10mm、厚さ1〜5mm程度の円板状試料Sの表面をパルス幅が数百μsのレーザー光により均一に加熱した後の試料Sの裏面温度変化から熱拡散率を算出する測定法である。断熱条件を仮定した理論解によれば、パルス加熱後の試料Sの裏面温度は上昇し、試料S内の温度分布が均一化されるのに伴って一定値に収束する。レーザーフラッシュ法は、小さい試料を短時間に測定することができ、解析法が簡明であり、室温から200℃以上の高温に至るまでの計測が可能であるため、熱拡散率の標準的かつ実用的計測法として広く用いられる。
ここで、(1)式の適用において、GaNの密度を6.15(g/cm)、比熱を40.8(J/mol・K)とする(Barin、 I.、 O. Knaeke、 and O. Kubasehewski、 Thermochemical Properties of Inorganic Substrates、 Springer−Verlag、 Berlin、 1977)。
熱拡散率の計測値は、標準試料を使って更正されうる。例えば、財団法人ファインセラミックセンターから入手可能な多結晶アルミナ(直径10mm、厚さ1mm)を標準試料として用いることができる。
試料Sの裏面温度の変化から熱拡散率αを算出するアルゴリズムとしては、t1/2法を使用した。t1/2法では、試料S裏面の過渡温度上昇の半分まで到達するのに要する時間から(2)式にしたがって熱拡散率αを算出する。ここで、dは試料Sの厚さである。
α=0.1388d/t1/2 ・・・(2)
上記の熱伝導率を有する基板としては、例えば後述の特開2007−277077号公報に記載のGaN系厚膜材料の製造方法によって製造することができる。
<不純物濃度>
また、本発明の半導体発光素子に用いる窒化物基板は、意図しない不純物濃度の低い単結晶基板であることが好ましい。特に、酸素不純物の存在は、透明性が損なわれる、または半導体発光素子からの発光を吸収する等の原因の一要因となりうるため、本発明のように基板の側面から光を取り出そうとする場合においては、できるだけ酸素不純物の濃度が低いことが好ましい。したがって本発明に用いる窒化物基板は、酸素濃度が、通常5×1017(cm−3)以下であり、好ましくは1×1017(cm−3)以下である。
また、基板相当部分に、基板相当部分の一部に内包して、あるいは基板相当部分と半導体層部との界面に内在するようにして、蛍光体成分などを意図的に含むことは好ましくない。
<単結晶基板>
本発明の窒化物基板は、非線形作用以外の波長変換機能を有さない単結晶基板であることが好ましい。単結晶構造は熱拡散の効率がよいからである。また、単結晶構造であれば、特定の結晶面を利用してへき開等によって加工することができるので、直方体あるいは立方体への加工が比較的容易に得ることができるという利点もある。
<透明性>
本発明の窒化物基板は、半導体層が発するピーク波長λの光に対して、透明であることが好ましく、具体的には、その透過率は50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが最も好ましい。
<反り、残留歪み>
半導体発光素子においては、製造工程のうち、素子を分離する工程(後述する第四工程)におけるへき開が容易である必要がある。反り、残留歪みなどが低減された基板は、へき開等によって比較的加工しやすいため、直方体あるいは立方体への加工が比較的容易に得ることができる。また、反り、残留歪みが少ないことは、基板の加工において、加工板との密着性がよく、真空チャック、位置ずれ防止などを期待することができるが、前述のように、本発明の半導体発光素子が、そのサイズが比較的大きい、いわゆるラージチップとよばれるものである場合は、その効果が特に大きい。
このような観点から、本発明に用いる基板としては、残留歪みができるだけ少ないことが好ましい。化合物半導体単結晶の残留歪の評価は、たとえば、Appl.Phys.Lett.47(1985)pp.365−367に記載される光弾性法に基づいて行なうことができる。また、本発明に用いる基板としては、反りが通常0.03mm以下であり、好ましくは0.01mm以下である。反りが大きすぎると、真空吸着等ができず、ハンドリングの問題が生じる場合がある。反りは、2インチ直径の基板ウエハーを平坦な台上において、中心の隆起Hを測定することにより測定することができる(図11参照)。
<その他特性>
窒化物基板の中では、GaN、AlN、BN、InN基板、あるいはこれらの原料からなる混晶基板が好ましいが、GaN、AlN、BN基板を用いることがより好ましく、GaN基板を用いることが最も好ましい。
また、その主たる面方位は(0001)面、(1−10n)面、(11−2n)面、(但しnは0、1、2、3)であることが好ましく、(0001)面、(1−100)面、(11−20)面であることがより好ましく、(1−100)面、(11−20)面であることがより好ましく、(1−100)面であることが最も好ましい。これは極性面であるよりも、半極性面である方が、さらには非極性面であるほうが、活性層構造内における空間的な電子―正孔対の分離等が起こりにくく、内部量子効率が向上し、半導体発光素子の高出力化、高効率化に好ましいからである。
さらにそれぞれの主たる面方位からのずれの幅、いわゆるオフ角度は、5度以内の面であることが好ましく、オフ角度が2度以内であることがより好ましく、オフ角度が1度以内であることがより好ましく、オフ角度が0.5度以内であることがより好ましく、オフ角度が0.2度以内であることがより好ましく、それぞれの主面ジャスト基板であることが最も好ましい。
これはオフ角度が小さいほど、それぞれの主面上での結晶成長が高品質になるからである。なお、本発明の半導体発光素子は、後述の本発明の半導体発光素子の製造方法における記載の方法によって作製することが好ましい。
<窒化物基板の製造例;気相成長法により得られる窒化物基板の好適な例>
上記の特性を有する窒化物基板としては、気相成長法により得られる窒化物基板を挙げることができるが、中でも特開2007−277077号公報に記載の、H−VPE(Hydride Vapor Phase Epitaxial Growth)法によって成長させる窒化ガリウム系材料を用いたものが好適である。
即ち、H−VPE法における成長工程において、Hガスを含むキャリアガスと、GaClガスと、NHガスとを反応室に供給し、成長温度を900℃以上1200℃以下とし、成長圧力を8.08×10Pa以上1.21×10Pa以下とし、GaClガスの分圧を1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下とし、NHガスの分圧を9.1×10Pa以上かつ2.0×10Pa以下とする制御を行うことで、本発明に用いる基板として良好なものを得ることができる。
前記反応室には、下地基板を支持する支持部が配置され、前記成長工程では、前記下地基板に窒化ガリウム系材料を成長させ、前記反応室に連通するように配置された導入室に前記キャリアガス、前記NHガスおよびHClガスが供給され、前記導入室内に配置された容器に収容されたGaと前記HClガスとの反応によって前記GaClガスが発生し、前記反応室には、前記導入室から前記キャリアガス、前記GaClガスおよび前記NHガスが導入され、前記導入室の平均断面積が前記反応室の平均断面積の2/3以下とするように制御する。
このようにすると窒化物基板は、酸素濃度が5×1017(atoms/cm)未満、好ましくは、1×1017(atoms/cm)未満とすることができ、結果として、その25(℃)における熱伝導率が2.0×10(W/m・K)以上、好ましくは2.8×10(W/m・K)以上、より好ましくは3.3×10(W/m・K)以上となる。
本発明の半導体発光素子が、上述のような基板を内在すると、放熱性が良好となるため、高出力動作時、高温動作時の素子特性が改善され、好ましい。なお、このような場合であっても、3.8×10(W/m・K)以下である。
<窒化物基板の製造例;液相成長法により得られる窒化物基板の好適な例>
また、前述の気相成長法の他に、液相成長法により得られる窒化物基板も、本発明の半導体発光素子に用いる基板は好適である。液相成長法により得られる基板は、自然核発生によって得られる結晶が材料的に得られるという特性から、反りや残留歪みなどが少なく、結晶格子の周期性が高いという特性を有するが、本発明においては、特に以下の観点から、反りや残留歪みが少ないという特性が有効である。
すなわち、半導体発光素子においては、製造工程のうち、素子を分離する工程(後述する第四工程)におけるへき開が容易である必要がある。液相成長法により得られる基板は、自然核発生によって得られる結晶であるため、気相成長法により得られる場合に存在する反りが、本質的に発生しにくいため、へき開等によって加工することができるので、直方体あるいは立方体への加工が比較的容易に得ることができる。
また、反りや残留歪みが少ないことは、基板の加工において、加工板との密着性がよく、真空チャック、位置ずれ防止などを期待することができるが、前述のように、本発明の半導体発光素子は、そのサイズが比較的大きい、いわゆるラージチップとよばれるものであるため、その効果が特に大きい。
液相成長法により得られる基板の材料としては、大きく以下の通り分類することができる。
(イ)III族元素を含む合金融液を窒素ガスで窒化して得られる材料
Ga、Al、InなどのIII族元素とIII族元素以外の金属元素(好ましくはNaなどのアルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素)の合金融液を窒素ガス加圧雰囲気下で加熱し、III族元素と窒素を反応させ結晶成長させると、窒化物単結晶を製造することができる。
この方法により得られる窒化物材料は、前述の液相成長法で得られる特徴に加え、原料となるIII族元素の利用効率が高く、安価に製造ができる点で、特に厚膜基板を必要とする本発明において好適である。
このような材料としては、特開2001−102316号公報等に記載される方法により得られる窒化物材料が挙げられる。
(ロ)複合窒化物溶液中における窒化物結晶成長により得られる材料
Ga、Al、InなどのIII族元素およびIII族元素以外の金属元素(好ましくはLiなどのアルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素)を含有する複合窒化物を、イオン性溶媒に溶解した溶液または融液とし、この溶液または融液中で結晶成長すると、III族金属窒化物材料を得ることができる。
この方法により得られる窒化物材料は、前述の液相成長法で得られる特徴に加え、透明性に優れるため、特に厚膜基板を必要とし、基板側面からの光取り出し効率が重要な本発明において好適である。
このような材料としては、特開2007−84422号公報、中国特許1288079号公報、米国特許公開2006−0048701号公報等に記載される方法に記載される方法により得られる窒化物材料が挙げられる。
(ハ)いわゆるアモノサーマル法により得られる材料
アンモニアなどの窒素含有溶媒を用いて、高温高圧の系に温度差を設け、温度差により溶媒への結晶溶解度の差を利用して窒化物の結晶成長を行う、いわゆるアモノサーマル法により得られる材料は、前述の液相成長法で得られる特徴に加え、大量にバルク製造ができる点で、特に厚膜基板を必要とする本発明において好適である。
このような材料としては、特開2007−39321号公報、特表2005−506271号公報、Jounal of Crystal Growth 281(2005)355、Jounal of Crystal Growth 310(2008)3907、Jounal of Crystal Growth 287(2006)376等に記載される方法により得られる窒化物材料が挙げられる。
また、これらの中でも、反応容器(チャンバー)において、GaNなどの窒化物結晶が成長する際に、第一、第二の温度分布生成段階を設け、(a)結晶成長に必要な温度勾配が、第一の温度分布生成段階よりも第二の温度分布生成段階で大きく、(b)結晶成長速度が、第一の温度分布生成段階よりも第二の温度分布生成段階で大きくなるように制御された方法が開示されている(特表2006−513122号公報等)。
この方法により得られる材料は、酸素不純物が少なく、吸光係数が低い(透明性に優れる)ため、特に厚膜基板を必要とし、基板側面からの光取り出し効率が重要な本発明において好適である。
(ニ)超高温超高圧条件による反応により得られる材料
超高温(2000K)のGa融液に超高圧(1〜2GPa)の窒素を溶解させGaと窒素を反応させて得られるGaN結晶は、格子不整合が少ない結晶性のよい材料という点で本発明の基板に好適に用いられる。
このような材料としては、Jounal of Crystal Growth 274(2005)55−64頁、Jounal of Crystal Growth 307(2007)259−267等に記載される方法に記載される方法により得られる窒化物材料が挙げられる。
<半導体層部>
本発明者らの検討によれば、窒化物基板、半導体層部を構成しうる第一導電型半導体層、平均としてみた活性層構造(例えば量子井戸活性層構造であれば量子井戸層と障壁層の屈折率と厚みから求めた平均値)、第二導電型半導体層などの各層において、発光素子のピーク波長におけるそれぞれの屈折率は、窒化物基板を基準として±25%以内であることが好ましく、±10%以内であることがより好ましく、±5%以内であることがさらに好ましく、±3%以内であることが最も好ましい。
すなわち、下限に関しては、
0.75≦(nLX(λ)/n(λ))であることが好ましく、
0.90≦(nLX(λ)/n(λ))であることがより好ましく、
0.95≦(nLX(λ)/n(λ))であることがさらに好ましく、
0.97≦(nLX(λ)/n(λ))であることが最も好ましい。
一方上限に関しては、
(nLX(λ)/n(λ))≦1.25であることが好ましく、
(nLX(λ)/n(λ))≦1.10であることがより好ましく、
(nLX(λ)/n(λ))≦1.05であることがさらに好ましく、
(nLX(λ)/n(λ))≦1.03であることが最も好ましい。
以上は、各層X(第一導電型半導体層、活性層構造、第二導電型半導体層などの各層)がそれぞれ、満たすことが好ましい。
このように設定することによって、活性層構造部より内部的に放射された光は、半導体層内部において過度な干渉等を受けることなく、側壁部に光が到達しうるようになるために好ましい。
本発明においては、基板も半導体層部も、窒化物のみから構成されることが好ましい。特に半導体層部はInN、GaN、AlN、BNのいずれかの材料か、これらの混晶によって構成されることが好ましく、さらに放熱性の観点から、混晶は三元系までの混晶で構成されることが好ましい。特にInGaN、GaN、AlGaNの材料によって半導体層部が構成されることが好ましい。また、基板がGaNである場合には、半導体層部との屈折率差が小さいほうが好ましく、この観点でInGa1−xNにおけるIn組成Xは0.01以上、0.15以下であることが好ましく、AlGa1−YNにおけるAl組成Yは0以上、0.2以下であることが好ましい。
<バッファ層>
本発明においては、基板主面に半導体層を形成する場合に、バッファ層を有することが好ましい。このバッファ層は薄膜のアンドープ層とすることが好ましい。これは特にMOCVD法によって半導体層部を形成する際に、高品質化が可能であって、好ましい。
本発明においては、窒化物基板が十分な導電性を有する場合には、基板を第一導電型半導体層として機能させることもできる。このような場合は、半導体層部形成が簡略化される点で好ましい。
<第一導電型半導体層>
また、窒化物基板の導電性の有無に関わらず、バッファ層の上に第一導電型半導体層を形成してもよい。このような場合には、高品質な層が形成できる点で好ましい。ここで、特に第一導電型半導体層はGaN、AlGaN、AlNのいずれかから構成されることが好ましい。
第一導電型半導体層の厚みは4μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、6μm以上であることが最も好ましい。また、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、10m以下であることが最も好ましい。このようにすると、特にフリップチップ型の半導体発光素子とする際に、駆動電圧を低減することができる点で好ましい。
第一導電型半導体層は、n型半導体層であることが好ましく、ドーパントはSiを含むことが好ましい。さらに、そのキャリア濃度は、
5×1017(cm−3)以上であることが好ましく、
1×1018(cm−3)以上であることがより好ましく、
3×1018(cm−3)以上であることがより好ましく、
5×1018(cm−3)以上であることがより好ましい。
また、5×1019(cm−3)以下であることが好ましく、
1×1019(cm−3)以下であることがより好ましい。
なお、第一導電型層半導体層が複数の層から構成される場合には、ドーピング濃度の異なる層を含むことも好ましい。
<活性層構造>
本発明においては、活性層構造は、同じ材料の接合からなる構成であってもよく、異なる材料の接合からなる構成であってもよいが、異種材料の接合を多重に有し、量子力学的なポテンシャル間の遷移によって電子―正孔対の再結合が発生する量子井戸活性層構造であることが好ましい。
特に、本発明においては、内部発光を半導体発光素子の側壁から効率的に取り出すことが可能であるので、内部発光強度密度の最大値を有する方向が、適切な範囲で、活性層と平行な方向により近接する構成が好ましい。
本発明における活性層構造は、量子井戸活性層構造を有することが好ましく、その結果実現する内部発光プロファイルは、活性層構造に平行な方向に内部発光強度密度の最大値を有する非等方的なものであることが好ましい。このような活性層構造は、本発明者らの詳細な検討によれば、たとえば、量子井戸層と障壁層の間の屈折率差を適切に選択すること、量子井戸層と障壁層の繰り返し数を適切に選択すること、量子井戸層と障壁層の厚みを適切に選択することなどによって実現が可能である。
これらの数値は相互に関連するものであるが、好ましい実現手段として、以下を挙げることができるのは、前述の通りである。
第一に、活性層構造に含まれる量子井戸層の数をNUMQW、量子井戸層を構成する層の平均物理厚みをTQW(nm)、量子井戸層を構成する層の波長λにおける平均屈折率をnQW(λ)、活性層構造に含まれる障壁層の数をNUMBR、障壁層を構成する層の波長λにおける平均屈折率をnBR(λ)、第二導電型半導体層の物理厚みをT(nm)、第二導電型導電体層の屈折率をnとする際に、量子井戸活性層が以下の数5を満たすことが好ましい。
Figure 2012023249
第二に、量子井戸層は4層以上30層以下であることが好ましい。
第三に、活性層構造に含まれる量子井戸層の厚みの最大値が40nm以下であることが好ましい。
これらは、種々の検討の結果得られたもので、相対的に屈折率の大きな量子井戸層が、過度な薄膜干渉の原因にならない条件であると考えられ、これらを満たすことで、現実的に実現可能で量子井戸層内における電子―正孔対の閉じ込めも考慮したうえで、活性層構造に平行な方向に高密度な光の放射方向を有する活性層構造を実現可能である。
さらに、量子井戸層の厚みは、基板主面の面方位も考慮すると以下の通りとなる。
(0001)面あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面のような極性面上に形成する場合においては、0.5nm以上が好ましく、1.0nm以上がより好ましく、1.5nm以上が最も好ましい。また5.0nm以下が好ましく、3.0nm以下がより好ましく、2.5nm以下がもっとも好ましい。
これは極性面上に形成された多重量子井戸活性層構造中において、注入/生成された電子―正孔対が空間的に分離されるために、その分離を抑制するためには、後述する半極性面、非極性面上の量子井戸層と比較すると薄めの厚みとならざるを得ないからである。
すなわち、極性面上における量子井戸層の厚みは、電子―正孔対の発光再結合確率を極端に低下させない範囲において厚く作製することが、θem maxの好ましい範囲を容易に実現できるようになるため、好ましい。
一方、当該窒化物基板の主面が、(1−10n)面、(11−2n)面(但しnは0、1、2、3)あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面である半極性面、非極性面である場合には、量子井戸層の厚みの下限は5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましい。
これは極性面上に形成される量子井戸層の好ましい範囲と比較して格段に厚い量子井戸層、多重量子井戸活性層構造を形成可能であるということである。このため、半導体発光素子の側壁面から光を取り出す本発明においては、量子井戸層を厚くすると内部発光強度密度の最大値を与える方向(θem max)が、容易に量子井戸層に平行な方向に向かうため、側壁からの光取り出し効率の観点から格段に好ましい。
また、半極性面、非極性面上に形成された量子井戸活性層の場合は、量子閉じ込めシュタルク効果による電子―正孔対の空間的分離が、極性面上に比較して抑制されるために、厚い量子井戸構造を有していても発光再結合が阻害されず、内部量子効率も向上する。
よって、本発明において、(1−10n)面、(11−2n)面(但しnは0、1、2、3)あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面である半極性面、非極性面上に、厚い量子井戸層を形成することは、内部量子効率も向上し、かつ、光取り出し効率も向上させうる構成であって、格段に好ましい。
なお、当該窒化物基板の主面が、(1−10n)面、(11−2n)面(但しnは0、1、2、3)あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面である半極性面、非極性面の上に形成された量子井戸層の厚みの上限は、40nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、25nm以下がさらに好ましく、20nm以下が最も好ましい。
これらの好ましい量子井戸層の厚みの上限も、極性面上に形成される量子井戸層に比較して格段に厚いものとなっている。これは、前述した理由による。よって、(1−10n)面、(11−2n)面(但しnは0、1、2、3)あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面である半極性面、非極性面上に、厚い量子井戸層を形成することは、内部量子効率も向上し、かつ、光取り出し効率も向上させうる構成であって、格段に好ましい。
量子井戸層の層数は、(0001)面あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面のような極性面上に形成する場合、4層以上が好ましく、5層以上がより好ましく、8層以上がより好ましく、10層以上が最も好ましい。
また、量子井戸層の層数は、30層以下であることが好ましく、25層以下であることがより好ましく、20層以下であることがより好ましい。
一方、当該窒化物基板の主面が、(1−10n)面、(11−2n)面(但しnは0、1、2、3)あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面である半極性面、非極性面である場合、量子井戸層の層数は、4層以上が好ましく、5層以上がより好ましく、8層以上が最も好ましい。また、量子井戸層の層数は、30層以下であることが好ましく、20層以下であることがより好ましく、15層以下であることがより好ましい。
半極性面、非極性面上に形成される量子井戸層の層数は、1量子井戸の厚みを比較的厚くすることが可能であるため、その層数を抑制したとしても、十分な内部量子効率が実現でき、かつ、量子井戸層全体の体積としては十分に確保できる。
このような場合においては、内部発光強度密度の最大値を与える方向(θem max)が、適切な範囲において量子井戸層に平行な方向に向かうため、本発明においては、側壁からの光取り出し効率も向上し、かつ内部量子効率も高いため、相乗効果を得ることができ、格段に好ましい。
本発明の活性層構造が量子井戸活性層構造である場合には、その障壁層と量子井戸層間の屈折率差は、適切な範囲内で小さいことが好ましい。
これは、そのような構成の場合に、内部発光強度密度の最大値を与える方向(θem max)が、適切な範囲で、量子井戸層に平行な方向に向かうため、本発明においては光取り出し効率の観点で好ましいからである。
ここで本発明者らの検討によれば、発光素子のピーク波長における量子井戸層と障壁層のそれぞれの屈折率差(屈折率比の差)は、一方を基準として、15%以下であることが好ましく、13%以下であることがより好ましく、10%以下であることがより好ましい。さらには、7.0%以下であることがさらに好ましく、5.0%以下であることがさらに好ましく、3.0%以下であることがさらに好ましく、1.5%以下の差を有することが最も好ましい。
但し、屈折率差を過剰に少なくすることは、量子井戸層と障壁層の間のバンドオフセットが過小となる場合があり、キャリア閉じ込めに支障をきたす場合があるので、屈折率差が小さいことと、オフセットをある範囲で保持するとの観点で、適宜選択することが好ましい。また、過剰な屈折率差を形成すると、θem maxの好ましい範囲である67.5度≦ θem max <90.0度に光密度の高い方向が消滅するために、好ましくない。
ここで、量子井戸層は発光素子の用途によって波長を決定する必要があるため、屈折率差は障壁層の材料を変更することで実現することが好ましい。例えば、発光波長が370nmから430nm程度の本発明において好ましく実現しうる波長域においては、InGa1−xNにおいて0<x≦0.1程度の組成でそのような波長を実現しうるが、この際に障壁層をInGa1−yNやGaN、AlGa1−ZNにすることは、本発明においては好ましい。
特に本発明においては、障壁層のIn組成yが0≦y≦x/3を満たすことは、量子井戸層との屈折率差を少なくするために好ましい。さらに、障壁層のAl組成zが0≦z≦xを満たすことは、量子井戸層との屈折率差を少なくするために好ましい。
本発明の量子井戸活性層層構造においては、障壁層にドーピングを施すことは好ましい。一般に、キャリア閉じ込めのために、量子井戸活性層に使用する材料のバンドギャップは、障壁層に使用するものよりも小さい。このため、屈折率は障壁層よりも大きくなるのが一般である。ここで、半導体発光素子の発光波長は、各種応用上の要請等によって決定されるため、発光波長を優先的に決定すると、量子井戸活性層の屈折率は決定されてしまう。
一方、障壁層は、特に窒化物半導体の場合には、量子井戸層にInGaN系材料を用いると、750℃程度の比較的低温で成長する必要があるため、その障壁層としてはGaNが使用しやすい。これは前述の通りInGaN、AlGaN、InAlGaN等を障壁層に使用することも可能であるものの、好ましい成長温度がAlGaNとGaNでは、GaNの方がInGaNに相対的には近いからである。
このような場合を想定すると、障壁層の材料を変えずに、障壁層のドーピングを施し、量子井戸層との屈折率差を適切な範囲で小さくすることは、非常に好ましい。
さらに、ドーピング濃度を変更し、内部発光プロファイル、すなわち最大の内部発光強度密度を有する光の出射方向を制御し、所望の側壁からの光取り出し状態を変化させることは、本発明において好ましい。
ドーピングは、障壁層の屈折率を適切に変化させうる範囲で、また、障壁層や量子井戸層の結晶性を極端に劣化させない範囲で、どのような元素を、どのような濃度で導入してもよいが、これによって、量子井戸層と障壁層の屈折率差を適切に制御し、側壁からの光取り出し効率を向上させうる範囲で任意に設定可能である。
具体的には、障壁層へのドーピング濃度は、
1×1017(cm−3)以上であることが好ましく、
2×1017(cm−3)以上であることがより好ましく、
3×1017(cm−3)以上であることがより好ましく、
4×1017(cm−3)以上であることがより好ましい。
また、1×1019(cm−3)以下であることが好ましく、
5×1018(cm−3)以下であることがより好ましく、
2×1018(cm−3)以下であることがより好ましく、
1×1018(cm−3)以下であることがより好ましく、
7×1017(cm−3)以下であることがより好ましい。
ドーパントはSiを含むことが好ましい。
活性層構造は、GaN、InGaN、AlGaN、InAlGaNなど所望の材料によって構成することが可能である。
<第二導電型半導体層>
本発明の半導体層部には、第二導電型半導体層を有することは好ましく、また、第二導電型半導体層に接して、第二導電型側電極を有することが好ましい。
本発明においては、第二導電型はp型であることが好ましい。これは、一般に窒化物半導体においては、p型はMgをドーパントとするなどして実現されるが、Mgをドーピングされた層の結晶性は必ずしも良好でなく、活性層構造を形成する下地はn型の層であるほうが良い。よって、逆に、活性層構造を形成した後に形成される、第二導電型はp型であることが好ましい。
本発明の半導体発光素子は、活性層構造から生成され、第二導電型半導体層側に出射された光は、第二導電型側電極でその一部が反射され、第二導電型半導体層の光学厚み分だけの光路差で多重干渉を引き起こすことで内部発光プロファイルが影響される特徴を有する。よって、第二導電型半導体層の厚みは、半導体発光素子側壁面からの光取り出しを効率的に行ううえで、適切に制御されることが好ましい。
本発明者らの検討によれば、第二導電型半導体層の厚みは10nm以上180nm以下である場合には、67.5度≦θem max<90度の出射方向に見られる光密度のピーク形状は、半導体発光素子の側壁部からの光取出しに好ましい単峰性であって、かつ、その高密度のピークは相対的に十分に高いものとなるため、好ましい。また、このような厚みの場合には、第二導電型層がキャリア注入層としての機能も十分に果たすために好ましい。
さらには、適切な範囲で、第二導電型半導体層の厚みを変化させて、最大の内部発光強度密度を有する光の出射方向を制御し、所望の側壁からの光取り出し効率を向上させることは本発明において好ましい。本発明者らのシミュレーションの結果を、図16A(第2導電型半導体層の厚みを0〜150nmの範囲で変化させた)および図16B(第2導電型半導体層の厚みを150〜500nmの範囲で変化させた)に示す。これらの検討によれば、第二導電型半導体層の厚みは、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましく、40nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることがより好ましい。
また、第二導電型側半導体層の厚みは、180nm以下であることが好ましく、170nm以下であることがより好ましく、160nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることがより好ましい。
本発明者らは、これらの範囲において内部発光強度密度の最大値を示す方向θem maxの近傍の内部発光強度密度Jinが比較的シャープなプロファイルを有し、放射方向が比較的そろっていて光取り出しに好都合であることを見出した。また、内部発光強度密度の極大値近傍に見られる放射強度密度の極小値は、過度な多重干渉が発生した場合には過度に小さくなるが、このようなことがないことを見出した。
すなわち、本発明において、上記の好ましい範囲にある第二導電型側半導体層の厚みを有する半導体発光素子は、側壁方向に出射される内部発光強度密度の最大値近傍に出射される光の方向が集中し、その最大値近傍に大きな極小値もないため、側壁からの光取り出しが比較的容易であり特に好ましい。
第二導電型半導体層は、単層で構成されていてもよく、また、複数の層から構成されていても良い。また、その材料は任意の材料を選択可能である。
しかし、基板が窒化物基板であるので、第二導電型半導体層はGaN、AlGaN、InAlGaNから選択されることが好ましい。特に、第二導電型半導体層は、複数のAl組成の異なるAlGa1−xN(0<x<1)から構成されることが好ましい。また、活性層近傍からAl組成を連続的に下げていくことも好ましい。
第二導電型半導体層は好ましくはp型の層であるが、ドーパントとして広く使用可能なMgは、結晶成長中、あるいは結晶成長後の種々の方法で活性化が可能である。ここで、第二導電型半導体層はAlが導入された層であるほうが、Alが導入されていない層よりも安定であって、劣化が少なく好ましい。
特に、この際に、複数のAl組成が異なる層から形成される場合であっても、その屈折率差は、窒化物基板を基準として±25%以内であることが好ましく、±10%以内であることがより好ましく、±5%以内であることがさらに好ましく、±3%以内であることが最も好ましい。このような場合、側壁方向に出射される内部発光強度密度の最大値近傍に出射される光の方向が集中し、その最大値近傍に大きな極小値もないため、側壁からの光取り出しが比較的容易であり特に好ましい。
また、活性層近傍から半導体層部の表面に向けて、Al組成を連続的に下げていくことも好ましい。
このようにすると屈折率差が見かけ上小さくなるため、側壁方向に出射される内部発光強度密度の最大値近傍に出射される光の方向が集中し、その最大値近傍に大きな極小値もないため、側壁からの光取り出しが比較的容易であり特に好ましい。
第二導電型半導体層にはMgをドーピングすることが好ましいが、Mg濃度は、
3×1018(cm−3)以上であることが好ましく、
5×1018(cm−3)以上であることがより好ましく、
7×1018(cm−3)以上であることがより好ましい。
また、1×1020(cm−3)以下であることが好ましく、
5×1019(cm−3)以下であることがより好ましく、
3×1019(cm−3)以下であることがより好ましく、
2×1019(cm−3)以下であることがより好ましい。
<第一導電型側電極と第二導電型側電極>
本発明の半導体発光素子においては、最も強くθem maxを変化させうるのは、前述の通り、活性層構造が量子井戸活性層構造である場合には、量子井戸層と障壁層の屈折率差、量子井戸数、量子井戸層の厚み等の活性層構造内における薄膜干渉効果を支配する要素と、第二導電型側電極によって反射される内部発光の光路長を規定しうる第二導電型半導体層の薄膜干渉効果とである。
よって、本発明において特に第二導型側電極は、半導体層に接して形成されることが好ましく、特に基板主面に対して略平行な表面を有する第二導電型半導体層に接して形成される部分を有することが好ましく、さらに、その全体が第二導電型半導体層に接していることが好ましい。
ここで、薄膜干渉効果を誘発するために、第二導電型側電極は比較的反射率の高い材料で構成されることが好ましく、特に第二導電型半導体層と接する側を構成する部分は、高反射金属を有することが好ましい。
一般に高反射金属であってもその反射率は100%ではないが、相対的に高い反射率を有する金属は好ましく利用可能である。第二導電型半導体層が、本発明においては好ましくはp型半導体層であるので、第二導電型側電極はp側電極となることが好ましい。ここで、特にPt、Ag、Al等は、本発明で好適に利用される370nmから430nmの範囲においても比較的反射率が高いため好ましい。
一方、第一導電型側電極は、デバイス構造の構成全体によって、その配置を適宜選択可能である。例えば、第一導電型側電極を第二導電型側電極と同じ側に配置し、フリップチップ型発光素子を構成してもよい。また、基板側に第一導電型側電極を配置し、第二導電型半導体層側に配置される第二導電型側電極との間で上下に電流を流す上下導通型の半導体発光素子とすることも可能である。
第一導電型半導体層が、本発明においては好ましくはn型半導体層であるので、第一導電型側電極はn側電極となることが好ましい。ここで、特にAl等は、本発明で好適に利用される370nmから430nmの範囲においても比較的反射率が高いため好ましい。
<放熱機構>
本発明の半導体発光素子は、高出力動作と高効率性を兼ね備えた素子となるので、サブマウント等の放熱機構の上に搭載されることが好ましい。特に放熱機構側には、基板側ではなく、最も発熱する半導体層部側が搭載されることが好ましい。また、半導体発光素子はサブマウント等の放熱機構には、半田によって接着される場合が好ましく、また、高密度に充填されたバンプ上に搭載される場合も好ましい。
[2]半導体発光装置
本発明の半導体発光装置は、前述の本発明の半導体発光素子を備えていることを特徴とする。以下に、本発明の半導体発光装置の一例を示すが、本発明の半導体発光装置は、以下の実施態様のみに限定されるものではなく、公知の半導体発光装置またはそれらの組み合わせである半導体発光装置の態様にも応用することができる。
図13は、フリップチップ構造を有する本発明の半導体発光素子を搭載した半導体発光装置の一例である。
本実施形態の発光装置の基本構成は、図13に示すように、本発明の半導体発光素子1
0がサブマウント101上にフリップチップ実装されている。すなわち、半導体発光素子10は、半導体層部15の第一導電型半導体層17及び第二導電型半導体層18のそれぞれに電気的に接続された第一導電型側電極27aおよび第二導電型側電極27bのそれぞれに導電性材料からなる半田またはバンプ102a、102bが設けられており、半導体発光素子10がフェースダウンで半田またはバンプ102a、102bを介してサブマウント101と電気的に接続されている。また、サブマウント101は、さらにプリント配線を有する絶縁基板103と接続されている。絶縁基板103は、半導体発光素子10を搭載するための凹部104が設けられており、凹部104の側壁105には、活性層構造18に平行な方向に内部発光強度密度の最大値を有する本発明の半導体発光素子10の内部発光プロファイルを効果的に利用できるように形状が設計され、さらに反射材料が用いられている。
前記凹部104には、封止材106が充填され、半導体発光素子10を覆っている。
サブマウント101は、放熱機構の役割を有し、高出力動作と高効率性を兼ね備えた本発明の半導体発光素子を搭載する上では好ましい。また、封止材は、本発明の半導体発光素子10の光取り出し効率向上の観点から設けられることが好ましく、その材料としては前述したシリコーン系封止材、高屈折率シリコーン組成物封止材、ガラス封止材のいずれか1以上を用いることが好ましい。封止材には、本発明の半導体発光素子の波長を変換する目的で、1種以上の蛍光体が含有されていても良い。
本発明の半導体発光装置は、本発明の半導体発光素子の内部プロファイルを効果的に利用しつつ、光取り出し効率を向上させるように設計されることが好ましい。
例えば、活性層構造18に平行に近い方向への光取り出しが有効となるように、凹部104の側壁105の傾斜角が、半導体発光素子の内部発光強度密度の高い方向の光を外に取り出せるように設計されていることが好ましい。
また、例えば半導体発光素子の発光による蛍光体の効果的な励起を目的として、半導体発光素子の内部発光強度密度の比較的高い方向に蛍光体が配置される様、設計されていることが好ましい。具体的には、蛍光体が前記凹部104の底に近い領域に分布するように、封止材を硬化させる工程において意図的に蛍光体を沈降させる工程を設けておくことなどが挙げられる。
図13では、フリップチップ型構造を有する本発明の半導体発光素子を搭載した半導体発光装置の一例を挙げたが、例えば上下導通型構造を有する本発明の半導体発光素子を搭載した場合も同様に設計することができる。すなわち、本発明の半導体発光素子の内部プロファイルを効果的に利用しつつ、光取り出し効率を向上させるように、封止材、反射材、蛍光体の配置などの設計がされていることが好ましい。
[3]半導体発光素子の製造方法
本発明の半導体発光素子の製造方法は、
波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を準備する基板準備工程である第一工程と、
第一工程で準備した基板の主面上に半導体層部を形成する半導体層部形成工程である第二工程と、
少なくとも半導体層部を加工する、半導体層部加工工程である第三工程と、
当該基板と加工された半導体層部を各素子に分離する、素子分離工程である第四工程を含む。
ここで、基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形となるようにし、かつ式a1を満たすように形状加工することが好ましい。
式a1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
ここで、tは、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。
本発明の製造方法では、適切な工程において、基板厚み、素子分離端形状、基板主面形状、半導体層部形状等が、上記の条件が満たすように、必要により加工される。
さらに、窒化物基板の最大物理厚みをts、窒化物基板の主面上に形成される半導体層部の最大物理厚みをtとし、これらの和をtとする際に、
式a5のみを満たす
ように形状加工することも好ましい。
式a5
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
ここで、tは、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。
さらに本実施形態の半導体発光素子には窒化物基板が用いられる。窒化物基板としては前述の同じく、GaN、AlN、BN、InN基板、あるいはこれらの原料からなる混晶基板が好ましいが、GaN、AlN、BN基板を用いることがより好ましく、GaN基板を用いることが最も好ましい。この場合には、前述したような基板の屈折率に関する考察から、式a1および式a5は、それぞれ式a3および式a7:
式a3
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
式a7
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
を満たすことが好ましい。
本発明においては、発光素子の製造方法は容易であることが好ましいので、第一工程から第四工程は、この順に実施することがより好ましい。
<第一工程>
第一工程は、半導体層部形成工程の前に窒化物基板を準備する工程である。この工程においては、各種基板を作成する製法での窒化物基板の結晶成長工程、基板の外形加工工程、主面仕上げ工程、基板厚み調整工程、裏面仕上げ工程等を含むことが好ましい。
第一に本実施形態の第一工程で準備する窒化物基板は、基板の説明において前述した気相成長法、液相成長法等によって形成された基板であることが好ましい。
本発明においては、基板はGaN基板が最も好ましい。
次に、本発明においては窒化物基板を用いるため、サファイア等の過剰に硬質な基板と異なるため、適切な平面形状の寸法を有する半導体発光素子の形成を予定して準備する窒化物基板であれば、半導体層の形成時の基板厚みと素子分離工程の際の基板の厚みが同一であっても、高品質な半導体発光素子を容易に形成可能である。従って、素子中に存在する基板の物理的厚みtは、第一工程においてtの厚みとなっても、その後にこの厚みにされてもよい。
サファイア等の過剰に硬質な基板上に形成される半導体発光素子においては、半導体層部形成時には、熱歪み抑制等の観点で、ある程度の基板厚みが必要であるが、その後は基板を薄膜化しないと、素子分離ができないとの不具合が発生する。
これに対して、本発明においては、適切な平面形状の寸法を有する半導体発光素子の形成を予定して準備する窒化物基板であれば、半導体層部形成後等に、基板全面の厚みを、研磨、エッチング等によって調整することが必須とならない。
すなわち、本発明においては、素子中において好ましい基板厚みに調整する工程、即ち「基板厚み調整工程」を、第一工程内、または第一工程及び第二工程の間(以下、「第一第二工程間」と称する。)において実施することは好ましい。さらに、光取り出しのために新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも露出面の一部への凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程なども、あらかじめ第一工程内あるいは第一第二工程間において実施しておくことが好ましい。
このようにすると、半導体層部が形成されておらず、電極等も形成されていないため、加工時にこれらの層を保護する必要等がなく、基板の必要部分に必要な加工を容易に施すことが可能であって、好ましい。
この中でも、本発明の半導体発光素子は、素子完成時の基板厚み調整工程を、特に第一工程内において実施することがより好ましい。
一方、図5〜図8に例示した基板側壁部、主面と対峙する面などを傾斜させる様態の基板露出面形成工程は、第一工程内、第一第二工程間の少なくとも一方で行ってもよい。
さらに、基板露出面に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程は、基板露出面に通常露出している面以外の面を意図的に付加し、新たな基板露出面を形成する場合には、その形成後に行うことが好ましい。また、基板露出面に通常露出している面以外の面を意図的に付加しない場合には、基板上凹凸形状形成工程は、第一工程内あるいは第一第二工程間で行うことがより好ましい。
なお、加工の程度、深さ等によっては、意図しない基板の割れ等を第二工程、第二工程及び第三工程の間(以下、「第二第三工程間」と称する。)、第三工程、第三工程及び第四工程の間(以下、「第三第四工程間」と称する。)、第四工程、第四工程後で誘発してしまうこともある。このような場合を回避する観点では、基板厚み調整工程、基板露出面形成工程、基板上凹凸形状形成工程は、後述する第二第三工程間、第三第四工程間、第四工程内、第四工程後に行うことも好ましい。また、第一工程や第一第二工程間で部分的に行い、第二第三工程間、第三第四工程間、第四工程内、第四工程後にさらに行うことも好ましい。
なお、本発明で最も好ましい発光素子の製造方法は、第一工程内で基板厚み調整工程を実施し、その後、任意の工程として、第一工程内あるいは第一第二工程間で基板上凹凸形状形成工程を実施する。その後、第二工程として半導体層部形成工程を行う。その後、第三工程として半導体層部加工工程を実施する。
その後、第三第四工程間あるいは第四工程内で基板露出面形成工程、さらに基板上凹凸形状形成工程を行い、半導体発光素子を完成させることである。また、第二工程実施後には、基板厚み調整工程を実施しないことが好ましい。なお、通常市販されている窒化物基板を購入する場合も、第一工程を実施していることと同等である。
このような製造工程にすると、半導体層部形成工程実施の際と、半導体層部加工工程の際に、基板露出面形成工程によって形成される比較的マクロな形状が基板裏面に付与されていないため、半導体層部形成時の温度ムラ等の懸念が低減し、また、半導体層部加工工程の際の各種プロセス実施時の基板真空チャック等おける不具合も発生しない。さらに、その後基板露出面形成工程を実施した際に、あらたな加工を施した部分は、凹凸加工を付与できることとなるため、最も好ましい。
<基板厚み調整工程>
基板厚み調整は、半導体基板をバルク結晶からきり出す際に、そのおおよその厚みを決め、その後、機械的ラッピング、機械化学的ポリッシング、化学的ポリッシング等、エッチング等の種々の方法によって確定させることが可能である。
<基板露出面形成工程>
基板は、図5Aの(a)の形とする場合には、意図的な基板露出面を新規に形成することなく、通常の常識的な基板を分割するだけで、露出面を形成することができる。一方、(a)以外の形に例示されるような、基板主面と平行な面以外の面や、垂直な面以外の面を、例えば基板厚みと同等程度のオーダーとして、後述する凹凸形成と比較して大きな寸法で付与すべく加工する場合には、本発明における半導体発光素子の製造方法においては、基板露出面形成工程を実施することが好ましい。
露出面形成工程で好ましく形成される面は、最終的に半導体発光素子が内在する基板の最大物理厚みをtとする際に、最終的に半導体発光素子に内在する加工部分を素子断面的に見ると、その加工され断面部分の大きさは、t/10から10t程度であることが好ましい。露出面形成工程で形成される面は、必ずしも光の散乱機能等を有する必要はないが、散乱機能を有するように追加加工することも可能である。
基板露出面形成工程は、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビング、ドライエッチング、ウエットエッチングのいずれかの方法もしくはこれらの組み合わせで実施することがこのましい。特に、ダイシングによって実施することが好ましい。これは他の方法と比較しても、内部発光プロファイルを考慮して所望の角度を有する基板露出面を、ダイシングブレードの形状等を適宜選択することで形成できるために、基板露出面の傾斜制御性に優れるためである。
さらにダイシング工程は、後述する第四工程における素子分離時にも、換言すると、意図的な基板露出面を新規に形成することなく、通常の常識的な基板を分割する場合にも、有効である。よってダイシングによる加工は、比較的厚い窒化物膜厚の基板露出面形成工程、素子分離工程等、多域に渡って利用でき、好ましい。
特に基板面露出工程においては、ダイシングブレードの断面形状を左右非対称とすることで、対称性の低い基板露出面を形成することも好ましい。このようにすると、半導体発光素子の側壁部を構成する部分は、対称性が低い形状となる。
例えば、図5の(b−3)、(c−3)、(d−3)、(e−3)などの断面形状は、(a)、(b−1)、(c−1)、(d−1)などの場合と異なり、その断面形状にたとえば線対称軸が存在しない。このために図形としての対称性が低い。このような場合には、例えば、半導体発光素子内部で真性閉じ込め光となってしまう全反射をある特定の面で受けた光すら、対称性が低いことから、脱出することのできる確率が高くなるため、光取り出し効率向上の観点から好ましい。
<基板面方位及び基板上凹凸形成工程>
本発明における凹凸加工とは、基板露出面形成と比較して相対的に微細な加工であって、光を散乱させる機能を有する加工である。よって、その凹凸サイズ(高低差)は、半導体発光素子のピーク波長をλとして、λ/50から50λ程度の寸法を有する加工である。好ましくはλ/10から10λ程度の寸法を有し、より好ましくはλ/7から7λ程度の寸法を有し、より好ましくはλ/5から5λ程度の寸法を有する。このような加工は光の散乱を誘発するために、加工の周期性や加工の大小が乱れていることが好ましく、ランダムであることがより好ましい。前記凹凸サイズは、例えば表面粗度Ra等により測定される。
本発明において第一工程で準備する基板の主面の面方位は(0001)面あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面であることが好ましい。
このような選択をすることによって、基板主面と対峙する面が窒素面となり、この面に微細な凹凸加工を容易に形成できるため、好ましい。具体的には、基板のバンドキャップに相当するエネルギーよりも大きなエネルギーを有する波長の光を照射しながらKOH、HCl等のアルカリ性溶液、酸性溶液に浸したり、高温環境下においてKOH、HCl等のアルカリ性溶液、酸性溶液に浸したりする(光/電気)化学エッチングをすることで、(000−1)面の加工が容易にできるため、好ましい。
本発明において第一工程で準備する基板の主面の面方位は(1−10n)面、(11−2n)面(但しnは0、1、2、3)あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面であることも好ましく、(1−100)面、(11−20)面であることがより好ましい。これらの面は半極性面、非極性面となるため、内部量子効率の向上が期待されるため好ましい。また、このような面を主面に有する場合であっても、基板の一部を加工して他の面を露出させる基板露出面形成工程を実施ことで(光/電気)化学エッチングによる基板上凹凸形成工程を施すことが可能となるため、好ましい。
本発明においては、基板主面を非極性面である(1−100)面(m面)とし、基板と対峙する面にダイシング装置等によって、第一工程で基板主面と平行でない面、基板主面に垂直でない面などを露出させ、ここに基板上凹凸形成工程として、(光/電気)化学エッチングによる凹凸加工を施すことは、より好ましい。
本発明においては、上記の(光/電気)化学エッチングによる凹凸加工を施すことは、第一工程において実施することが、非常に好ましい。このように第一工程において実施すると、半導体層部が形成されておらず、電極等も形成されていないため、加工時にこれらの層を保護する必要等がなく、基板の必要部分に必要な加工を容易に施すことが可能であって、好ましい。
また、上記の(光/電気)化学エッチングによる凹凸加工を施すことは、第一第二工程間、第二第三工程間、第三第四工程間、第四工程内、第四工程後いずれで実施することも好ましい。特にこのようにすると半導体層部形成時に都合のよい基板主面と対峙する面に求められる、例えば高温における均熱性に優れた面と、光取り出しに求められる凹凸の度合いを独立に制御できるため好ましい。
さらには、第三工程の後に実施すると半導体層部形成時における高温均熱性の観点だけではなく、半導体層部加工工程で、基板を真空吸着する際などに求められる裏面のある程度の平坦性と、光取り出しに求められる凹凸の度合いを独立に制御できるため好ましい。
また、第四工程内、第四工程後に行うことも、素子の露出面、分離面等すべてに凹凸加工を施す観点からは、好ましい。
<第一第二工程間工程>
第一工程は、半導体層部形成工程の前に窒化物基板を準備する工程であって、第二工程は後述するとおり、当該基板主面上に少なくとも半導体層部を形成する工程である。この間に第一第二工程間工程を有することは任意である。
たとえば、第一工程として窒化物基板を購入し、その後、半導体層形成工程前に、第一第二工程間工程として、基板厚み調整工程を実施したり、基板露出面形成工程を実施したり、基板上凹凸形状形成工程を実施することは、実効的に第一工程においてこれらの工程を実施することと等価であって、本発明の好ましい形態のひとつである。
<第二工程>
本発明における第二工程内においては、少なくとも半導体層部を基板主面上に形成する工程を有する。この際には、前述の通り、本発明の基板が窒化物であるので、基板と半導体層の屈折率差が小さいためにも、半導体層部は窒化物を含むようにすることが好ましく、特に活性層部分は窒化物で構成するようにすることが好ましく、半導体層部全体が窒化物からなるようにすることがより好ましい。
一方、窒化物基板との屈折率差が小さい場合等には、基板上に、炭化物、酸化物、フッ化物、燐化物、硫化物、塩化物、砒化物、セレン化物、臭化物、テルル化物、ヨウ素化物、あるいはこれらの混晶、さらには窒化物とこれらの混晶等を形成し、窒化物のみでは実現が難しい波長を発光しうる構成とすることも好ましい。
本発明のより好ましい形態において、第二工程における窒化物基板主面上に形成される窒化物半導体層部をAlGaIn1−(x+y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)とすることは、さらに好ましい。このような構成とすると、基板、バッファ層、第一導電型半導体層、活性層構造、第二導電型半導体層をはじめ、その他の任意で形成しうる層がすべて高品質の窒化物とすることが可能となるため、さらに好ましい。
本発明においては、特に、第二工程においては、MOCVD法、MBE法、PLD法、PED法、PSD法、H−VPE法、LPE法のいずれかの方法、もしくはその組み合わせによって半導体層部を形成することが好ましい。これらの方法はいずれも高品質の半導体層を形成することが可能であるからである。
特に、半導体層を形成する際には、窒化物基板上にホモエピタキシャル成長した半導体層を形成する観点からは、MOCVD法、MBE法、H−VPE法、LPE法等が好ましく、窒化物基板上にヘテロエピタキシャル成長した半導体層を形成する観点からは、MOCVD法、MBE法、PLD法、PED法、PSD法等が好ましく、半導体層の構造の中に、比較的薄いμm以下の厚みを有する層を精度良く作製する観点からは、MOCVD法、MBE法、PLD法、PED法、PSD法が好ましい。
特にこれらの方法の中でも、本発明でより好ましい形態である窒化物基板上にAlGaIn1−(x+y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)からなる半導体層部を形成する場合には、MOCVD法、MBE法を用いることがより好ましく、この中でもMOCVD法によって形成することが最も好ましい。
本発明者らの検討によれば、本発明でより好ましい形態である窒化物基板上にAlGaIn1−(x+y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)からなる半導体層部をMOCVD法によってエピタキシャル成長する場合には、第二工程における窒化物基板主面上に形成される半導体層部の形成初期過程を、意図的なSi原料供給がされないエピタキシャル成長過程とすることがより好ましい。
本発明者らは、このようにすると、半導体層部がモフォロジの平坦性に優れ、かつ内在する活性層構造の平坦性も優れ、かつこの結果として内部量子効率も高い活性層構造とすることが可能であることなどを見出している。さらに、本発明者らは、Nキャリアによって半導体層部の形成前の温度昇温を行うことが、MOCVD法による窒化物基板上へのAlGaIn1−(x+y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)からなる半導体層部形成に好適であることを見出している。このようにすると、通常のHキャリアによる半導体層部の形成前の温度昇温に比較して、半導体層部の表面モフォロジが良好となり、かつ平坦な量子井戸活性層構造を形成できるため好ましい。
また、本実施形態の第二工程においては、半導体層部内の量子井戸層形成時のIn濃度を、そのピーク発光波長λが370nm以上430nm以下となるように調整することが好ましい。本発明においては、半導体層内部で生成された光は、発光素子側壁から取り出すことが可能である。このために、本来内部発光強度密度の最大値を示す方向近傍に出射された光が、本来十分な窒化物基板の厚みがあれば、最遠側壁部から取り出し得るものの、図3Dに示されるように、もし基板が薄いと、光が主面と対峙する基板面で全反射を受け、その光が再度活性層構造に入射することで吸収され、または、第二導電型側電極、第一導電型側電極等によっても吸収されてしまう可能性がある。
よって、本発明は半導体発光素子の平面的な大きさが大きい素子において非常に有効な方法であって、さらに、一般に電極における反射率が高くない紫や近紫外、紫外領域の半導体発光素子に好適に利用できる技術である。よって、そのピーク発光波長λが370nm以上430nm以下となるように調整することが好ましい。
より好ましくは、ピーク発光波長λの下限は、380nm以上がより好ましく、390nm以上がより好ましく、400nm以上がより好ましい。さらに、そのピーク発光波長λの上限は、420nm以下がより好ましく、410nm以下がより好ましい。
<第二第三工程間工程>
本発明における第二工程は、少なくとも半導体層部を基板主面上に形成する工程を有し、本実施形態の第三工程は、少なくとも窒化物基板の主面上に形成された半導体層を加工する工程を有する。
よって、第二工程と第三工程の間に任意の工程を有することも可能である。ここで、第二第三工程間工程において基板厚み調整工程をおこなってもよく、基板露出面形成工程、基板上凹凸形状形成工程等を第二第三工程間に行うことは好ましい。
このような製造工程にすると、半導体層部形成工程実施の際に基板露出面形成工程によって形成される比較的マクロな形状や、基板上凹凸形状形成工程等によって形成される比較的ミクロな凹凸が基板裏面に付与されていないため、半導体層部形成時の温度ムラ等の懸念が低減する。
<第三工程>
本実施形態の第三工程においては、少なくとも窒化物基板の主面上に形成された半導体層を加工する工程を有する。具体的には、少なくとも第二導電型側電極の形成、半導体層のエッチング、第一導電型側電極の形成を含み、これらは任意の順番で実施することができる。また、絶縁層の形成を含んでいてもよい。さらに、半導体層部の加工と同時に、または半導体層部の加工とは別に、基板主面を加工してもよく、主面を略三角形に加工する場合には、基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長Lsc(即ち、最長辺の長さ)および最短辺の長さLsaが、本工程において決まる場合がある。
詳細な具体例として、以下の工程を任意の順序で行うことが挙げられる。
(1)第二導電型側(第一)電極の形成、(2)半導体層のエッチング、(3)絶縁層の形成、(4)第一導電型側(第一)電極の形成、(5)第一導電型側第一電極上への第一導電型側バリア層および第一導電型側第二電極の形成、(6)第二導電型側第一電極上への第二導電型側バリア層および第二導電型側第二電極の形成。
また、各種電極の形成は、いわゆるフリップチップ型の半導体発光素子とする場合には、各種電極が半導体層部側に接して形成される部分を有することが好ましく、また、基板を電流注入路とする上下導通型の半導体発光素子とする場合には、一方の導電型側電極が半導体層部側に形成されると、他方の導電型側電極は基板に接して形成される部分を有することが好ましい。
本発明の半導体発光素子の製造方法においては、半導体層部端部の意図的な加工を行わずに、図6(a−1)のような形態とする場合は、作成プロセスが最も単純となり、このような形態も本発明において好ましい。但し、このような場合には、例えば、窒化物基板主面、素子分離端、および半導体層部端部の形状が一致している。このため、これらの形状を独立に制御し、光取り出し効率のさらなる向上、光の配光特性制御の付加、凹凸加工がすでに施された基板側からの素子分離を避けて、半導体層部側から素子分離を容易に行うための素子分離溝の形成などはできないこととなる。
そこで、本発明の半導体発光素子の製造方法においては、図6に例示される半導体層部端部の形状を実現する半導体層部端部形成工程は、第三工程内で行うことも好ましい。この際には、半導体層部端部の平面形状は、任意の図形を取ることが可能であって、その側壁には、平面的な凹凸形状が形成されることが好ましい。
また、本発明の半導体発光素子の内部発光強度密度の最大値を与える方向は、活性層構造と平行な方向に近接しているため、半導体層部端部の断面形状加工は、光取り出し効率、光の配光特性制御の付加等に影響を与えるため、適切に実施することが好ましい。また、このように形成した溝部分は、半導体層部側から素子分離を行う場合に容易に素子分離を行うための素子分離溝ともなりうるため好ましい。
ここで、第三工程内において、半導体層部端部形成を当該窒化物基板の主面に対して略垂直に実施することは、エッチングプロセスが容易であって、かつ、エッチングした部分を後述する素子分離の分離始点とすることも可能であって好ましい。
一方、第三工程内における半導体層部端部形成を、当該窒化物基板の主面に対して略垂直でないようにすることは、基板内部に出射される光の方向を変化させることで、側壁から出射される外部発光の方向、すなわち配光特性を制御できるため好ましい。特に、図6〜図8の(b−2)、(c−2)、(d−2)の様に、「半導体層部の形成方向に対して順テーパー」とすることによって、内部発光を基板側に反射させることも可能であって、内部発光の方向を積極的に制御し、半導体発光素子側壁からの光取り出し効率を向上させ、さらに、配光特性を制御できるため好ましい。
一方、図6〜図8の(b−3)、(c−3)、(d−3)のように「半導体層の形成方向に対して逆テーパー」とする場合も、半導体層側壁からの光の出射を制御し、配光特性を制御できるため好ましい。
また、半導体層部端部の加工を、半導体層部の途中まで、基板界面まで、基板の途中までのいずれかの深さで実施することは好ましい。半導体層部端部の加工を半導体層部の途中まで実施する場合には、加工時間が短時間で済むために好ましい。
基板界面まで実施する場合には、特に窒化物基板上に異種材料を形成した際などに、エッチングを選択的に実施することも可能であってこのような場合に好ましい。
さらに、基板の途中まで実施する場合は、基板内部に出射される光の方向を、他のいずれの方法よりも大きく変化させることで、半導体発光素子側壁からの光取り出し効率を向上させ、さらに、配光特性を制御できるため好ましい。
これらの半導体層部端部の加工は、本発明においては、ドライエッチング、ウエットエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで行うことが好ましい。特に、ドライエッチング、ウエットエッチング、ダイシングは、各種プロセス条件を制御することで、テーパー形状、溝深さ等を自在に制御可能であるため、より好ましい。
特にドライエッチングとウエットエッチングは、フォトリソグラフィー技術を用いて任意の形状をフォトマスクから転写することができるため、半導体層部端部形成時に平面的な凹凸加工や各種任意の形状を形成できるため特に好ましい。このようにするとさらに光取り出し効率を向上できるため好ましい。
特に、前述のように、半導体層部端部あるいは活性層構造の端部を対称性の低い形状とすることは、光取り出しの観点で好ましい。このような場合には、例えば、半導体発光素子内部で真性閉じ込め光となってしまう全反射をある特定の面で受けた光すら、対称性が低いことから、脱出することのできる確率が高くなるため、光取り出し効率向上の観点から好ましい。
半導体層部端部の加工は、上記の通りドライエッチングかウエットエッチングで行うことが好ましいが、特に半導体層部は好ましくは窒化物であって、このために、ウエットエッチングよりもドライエッチングによって半導体層部端部の加工を行うことが好ましい。
ここで、高密度プラズマプロセスが実現可能なICP法によってプラズマを励起し、Clを含むガスによってドライエッチングを実施することが好ましい。また、エッチングマスクは、SiN、SiO、SrFを含むマスクを用いることが好ましく、特にSrFを含むマスクを用いることが好ましい。
さらに、SrFこのようにすると、半導体層部とマスク材料の選択比を大きくすることが可能であって、特に、半導体層部端部を深くエッチングして形成する場合に好適である。さらに、本発明者らの検討では、SrFにレジストを意図的に含有させる処理を行う、ポリマー処理を行う、酒石酸等による化学薬品処理を行う等のことで平面的な形状制御に優れたエッチングプロセスを構築できるため、好ましい。
また、順テーパーエッチング、垂直エッチング、逆テーパーエッチング等の形状制御は、ドライエッチング時のプラズマ密度、圧力、温度、使用するガス、エッチングバイアス等を適宜選択することで実現可能である。
本発明の半導体発光素子は、発光ユニット、すなわち単体の発光素子として機能しうる部分が、1つであってもよいが、発光ユニットが1つの発光素子内に複数存在する場合が好ましい。すなわち、いわゆる集積型の半導体発光素子であることが好ましい。このような場合においては、第三工程内において、予定された1つの発光素子内の半導体層部に複数の発光ユニットを形成することが好ましく、複数の発光ユニットは、発光ユニット間分離溝によって分離されるようにすることが好ましい。
この発光ユニット間分離溝においても、半導体層部端部の形成時と同様に、深さ制御、テーパー角制御等を行うことが好ましく、特に内部発光強度密度の最大値を示す方向に対して垂直壁となるような角度で発光ユニット間分離溝を形成することは好ましい。
このような発光ユニット間分離溝は、ドライエッチング、ウエットエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで形成することが好ましい。特に、半導体層部端部の加工と同様に、ドライエッチングによって実施することが好ましく、特に、半導体層部端部の加工と同時に実施することがより好ましい。
<第三第四工程間工程>
本発明における第三工程は、少なくとも窒化物基板の主面上に形成された半導体層を加工する工程であって、第四工程は、基板と加工された半導体層部を各素子に分離する際に、所望の形状となるように素子分離を行う工程である。ここで、第三第四工程間工程において、基板厚み調整工程を行ってもよく、また、基板露出面形成工程、基板上凹凸形状形成工程等を第三第四工程間に行うことはより好ましい。
このような製造工程にすると、半導体層部形成工程の際と、半導体層部加工工程の際に、基板露出面形成工程によって形成される比較的マクロな形状が基板裏面に付与されていないため、半導体層部形成時の温度ムラ等の懸念が低減し、また、半導体層部加工工程の際の各種プロセス実施時の基板真空チャック等おける不具合も発生しない。
<第四工程>
本実施形態の第四工程においては、少なくとも、基板と加工された半導体層部を各素子に分離する。主面が略三角形である場合は、基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長Lsc(即ち、最長辺の長さ)および最短辺の長さLsaは、本工程より前の工程で決まる場合もあるが、本工程において決まる場合が多い。
いずれにしても、最終的に式a1を満たすように形状加工される。
式a1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
ここで、tは、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。
あるいは、最終的に式a5のみを満たすように形状加工される。
式a5
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
ここで、tは、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。
本実施形態の第四工程においては、具体的には、第三工程を終了した製造途上の半導体発光素子を含むウエハーの粘着シートへの貼り込み、スクライビング、ブレーキング、ダイシング、粘着シート上での素子分離、粘着シートからの素子剥離等の任意の工程を任意の順番で行うことが可能である。また、第四工程において、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する露出面形成工程、少なくとも露出面の一部に凹凸加工を付与する凹凸形成工程を有することも好ましい。
第四工程においては、半導体発光素子を所望の大きさの素子に分割することが重要であって、この点に関する歩留まりを左右する要素は、素子形状そのものにもあることは、前述の通りである。すなわち、Lsaの下限は、通常250μm以上であって、好ましくは400μm以上であって、より好ましくは550μm以上である。また、Lscの上限は、通常5000μm以下であって、好ましくは2500μm以下であって、より好ましくは2000μm以下であって、より好ましくは1550μm以下である。
一方、素子分離工程のプロセスに関し、好ましい範囲は以下の通りである。
例えば、第三工程内において半導体層部端部の加工された部分は、素子分離溝としても利用可能であって、この部分にダイヤモンドスクライブやレーザスクライブによって、分離始点を形成し、その後各素子にブレーキングすることが可能である。ここで、ブレーキング後に露出面に凹凸加工を付与する凹凸形成工程を実施することは、半導体発光素子の側壁面がすべて露出するので、その全体に凹凸加工を付与することできるため好ましい。
また、ダイヤモンドスクライブやレーザスクライブを基板裏面側から実施することも好ましい。
たとえば、レーザスクライブで基板側に分離始点を有するようにして、基板裏面とその内部に意図的なダメージ披瀝部分を形成し、その後に素子に分割する前にダイシング装置で、レーザスクライブの基板表面痕の上を含んで、他の部分も同時にダイシングを行い、表面の変質層を除去し、その後に露出面に凹凸加工を付与した後にブレーキングするなどのことも好ましい。このようにするとレーザスクライブによる表面の変性層を容易に除去できるため、好ましい。
本発明においては、分離始点の形成は、ダイヤモンドスクライブや窒化物基板より硬質な材質を有するダイヤモンド以外の材料を先端に有するスクライビングツールを用いて「傷入れする」機械的スクライビングによって行うことは好ましい。また、集光された高エネルギー密度の光を照射することによって分離始点となる部分やその内部に意図的なダメージ披瀝部分を作る、レーザスクライブに代表される光学的スクライビングによって行うことも好ましい。
さらに分離始点はダイシングやドライエッチング、ウエットエッチングによっても形成可能であって、いずれの方法も好ましく利用可能である。
特に機械的スクライビングは方法が簡便であって好ましく利用可能である。特に窒化物基板はサファイア等の過度に硬質な基板と異なるため、高価なダイヤモンドを先端に有するダイヤモンドスクライブツールを使用することなく、例えばルビー、サファイア、TiN、炭化珪素等の比較的硬質であって、安価な材料によっても機械的なスクライブが可能であるため、窒化物基板より硬質な材質を有するダイヤモンド以外の安価な材料を先端に有するスクライビングツールを用いて「傷入れする」機械的スクライビングは、コストの観点からよりこの好ましい。
また機械的スクライビングとして高水圧の水で本発明の半導体発光素子にスクライビングを施すことは非常に好ましい。このようにすると、スクライビング時の基板への着色等を抑制できるため、好ましい。
さらに、集光された高エネルギー密度の光を照射することによって分離始点となる部分やその内部に意図的なダメージ披瀝部分を作る光学的スクライビングは、ダイヤモンドスクライブと比較して安定的なスクライブが実施可能であって、より好ましい。特に、窒化物に対して分離始点を形成する際には、そのバンドギャップよりも小さなエネルギーを有する波長の光でスクライブすることが好ましい。
このようにすると、スクライブ対象部において光の吸収(アブソープション)がなく、対象材料の昇華(アブレーション)がおきるために好ましい。さらに、本発明の半導体素子そのものはその厚みが比較的厚くなるため、スクライブ対象部分の内部にもダメージ披瀝部分を作製しておくことは、比較的厚い半導体発光素子のブレーキングに有利になる。このため、本発明の半導体素子に、スクライブ対象部において光の吸収がない波長で光学的なスクライブを行う際に、スクライブ対象の表面ではなく、その内部に光が集光するように調整し、内部のみに意図的なダメージ披瀝部分を形成する方法でスクライブすることは特に好ましい。
すなわち、窒化物基板上に形成された半導体発光素子の製造方法であって、半導体発光素子の主たる構成要素が有するバンドギャップに対して透明となる波長を有する光でスクライブする際に、その内部に集光ポイントを有するようにしてスクライブする方法は、比
較的厚膜の窒化物半導体発光素子を歩留まり良く素子分離できるため、非常に好ましい。
機械的スクライブ、光学的スクライブ、ダイシング、ドライエッチング、ウエットエッチング等によって形成する分離始点は、基板側にあることが好ましい。このようにすると、半導体層側から分離始点を形成する場合に比較して、比較的厚膜を有する本発明の半導体発光素子の基板に対して確実に分離始点を形成することが可能となるために好ましい。一方、分離始点は半導体層側にあることも好ましい。
基板裏面などに露出面形成や凹凸加工形成が完了している際に、第三工程において半導体層部に作製された1つ1つの素子パターンを基板裏面側からでは認識出来ずに、分離始点部分を容易に決定できない場合がある。このような場合でも、分離始点を半導体層側にすると、本発明の半導体発光素子に対して確実に分離始点を形成することが可能となるために好ましい。
本発明の半導体発光素子の基板厚みは、比較的厚いものとなりがちであるが、このような場合には、スクライブで形成される意図的なダメージ披瀝部分をきかっけとして、最終分割して素子を形成するブレーキングを行うことが好ましい。例えば図5の(a)(b−1)(b−2)(b−3)(e−1)(e−2)(e−3)のように、素子分離後の形状において素子分離端あるいは分離面となる部分が、素子作製途上において隣接する素子パターンと連続している部分が多い場合には、ブレーキングはより好ましく実施される。
一方、図5の(c−1)(c−2)(c−3)(d−1)(d−2)(d−3)のように、新たな露出面形成を素子分離端近傍で行った場合などに例示されるように、素子分離後の形状において素子分離端あるいは分離面となる部分が、素子作製途上において隣接する素子パターンと連続している部分が少ない場合には、スクライブが不要な場合もある。
なお、本発明においては、後者の場合は、素子作成プロセスが簡素化可能であって、作製プロセス上好ましい。
本発明においては、素子分離を実施した際に、素子を粘着シートから剥離する際の歩留まりにおいても、前述の通り、LsaおよびLscを最適値とすることにより、第四工程における素子分離の歩留まりを高くすることができる。
<第四工程後工程>
本発明の半導体発光素子は、粘着シート等からの剥離が完了した後に、放熱性や電流注入性を容易にするために、いわゆるサブマウント等の放熱板に搭載することが好ましい。また、必要に応じて、サブマウントへの接着は、バンプ、半田等の任意の方法を用いることが可能であるが、放熱性を考慮したマウントを行い、Agが成分として含まれないようにすることが好ましい。
本発明においては、半導体発光素子の好ましいピーク波長λの下限は、370nm以上が好ましく、380nm以上がより好ましく、390nm以上がより好ましく、400nm以上がより好ましい。さらに、そのピーク発光波長λの上限は、430nm以下が好ましく、420nm以下がより好ましく、410nm以下がより好ましい。ここで、このような波長の光をAgに当てると特に激しく変色してしまい、初期の高い反射率が保存されず、光吸収が大きくなってしまい、光源として好ましくなくなるからである。
本発明の半導体発光素子は、粘着シート等からの剥離が完了した後に、封止をし、半導体発光装置を構成することが好ましい。特に、本発明においては、その半導体発光素子の周辺をシリコーン系封止材(1.25≦nout(λ)≦1.45)やガラス封止材(1.55≦nout(λ)≦2.10)によって覆うことは、光取り出し効率のさらなる向上のために好ましい。また、封止材の中に蛍光体などの波長変換用粒子等をいれておき、半導体発光素子の発する光の波長の少なくとも一部を、他の波長に変換することも好ましい。このような場合であっても、本発明の発光素子は、式a1や式a3を満たすことが好ましい。
封止時の温度は、600℃以下で実施されることが好ましく、500℃以下で実施されることがより好ましく、400℃以下で実施されることがより好ましく、300℃以下で実施されることがより好ましく、200℃以下で実施されることがさらに好ましい。このように可能な範囲で低温プロセスとすることで半導体発光素子へのダメージを導入せずに光出力を向上させることが可能であって、好ましい。
本実施形態に対応する実施例については、他の形態に対応する実施例と併せて後述するものとする。
〔B:第二の実施形態(略四角形)〕
以下、基板の平面形状が略四角形(詳細後述)の実施形態について説明する。
本実施形態に対応する、発明の要旨は以下に存する。
1. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形である窒化物基板と、
ピーク発光波長λの光を発する活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式b1及び式b2を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式b1のみを満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式b1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
式b2
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
2. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形であるGaN基板と、
活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式b3及び式b4を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式3のみを満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式b3
sc×0.418≦t≦Lsc×2.395
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表す。)
式b4
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
3. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形である窒化物基板と、
ピーク発光波長λの光を発する活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式b5及び式b6を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式b5のみを満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式b5
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
式b6
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
4. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形であるGaN基板と、
活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式b7及び式b8を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式b7のみを満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式b7
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表す。)
式b8
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
5. 上記1〜4のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記基板が、前記活性層構造が発するピーク発光波長λの光に対して略透明であることを特徴とする半導体発光素子。
6. 上記1〜5のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
半導体発光素子のピーク波長λにおいて、前記基板の波長λにおける屈折率をn(λ)、
前記半導体層部を構成する層Xの波長λにおける屈折率をnLX(λ)とした際に、すべての層Xにおいて、
0.75≦(nLX(λ)/n(λ))≦1.25
を満たすことを特徴とする半導体発光素子。
7. 上記1〜6のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が窒化物のみから構成されることを特徴とする半導体発光素子。
8. 上記1〜7のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の主面が、(0001)面あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面であることを特徴とする半導体発光素子。
9. 上記1〜8のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の主面が、(1−10n)面、(11−2n)面(但しnは0、1、2、3)あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面であることを特徴とする半導体発光素子。
10. 上記1〜9のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面と略平行な面、および、前記主面に対して略垂直な面によって構成されていることを特徴とする半導体発光素子。
11. 上記1〜9のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面に対して略垂直な方向から傾斜している面を含むことを特徴とする半導体発光素子。
12. 上記11記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面と略平行な面をも含むことを特徴とする半導体発光素子。
13. 上記11記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面に対して略垂直な面をも含むことを特徴とする半導体発光素子。
14. 上記11記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面と略平行な面と主面に対して略垂直な面のいずれをも含むことを特徴とする半導体発光素子。
15. 上記11記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面に対して略垂直な方向から傾斜している面以外の面を含まないことを特徴とする半導体発光素子。
16. 上記11〜15のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記主面に対して略垂直な面から前記窒化物基板の露出面が傾斜している角度βが下記式のいずれかを満たすことを特徴とする半導体発光素子。
−22.5度 ≦ β < 0.0度
0.0度 < β ≦22.5度
17. 上記1〜16のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、凹凸加工されている部分を有することを特徴とする半導体発光素子。
18. 上記1〜17のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部の端部が、前記窒化物基板の主面に対して略垂直であることを特徴とする半導体発光素子。
19. 上記1〜17のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部の端部が、前記窒化物基板の主面に対して略垂直でないことを特徴とする半導体発光素子。
20. 上記1〜19のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記基板の投影形状である前記略四角形に対して、当該半導体層部の端部の平面形状が、略合同または略相似形となっていることを特徴とする半導体発光素子。
21. 上記1〜19のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記基板の投影形状である前記略四角形に対して、当該半導体層部の端部の平面形状が、略合同でも略相似形でもないことを特徴とする半導体発光素子。
22. 上記21記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部の端部の平面形状が、四角形以外の形状であることを特徴とする半導体発光素子。
23. 上記1〜22のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部の平面形状が、端部に凹凸形状を有することを特徴とする半導体発光素子。
24. 上記1〜23のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が、第二導電型半導体層を有することを特徴とする半導体発光素子。
25. 上記24記載の半導体発光素子であって、
前記第二導電型半導体層の厚みが10nm以上180nm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
26. 上記1〜25のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が、第一導電型半導体層を有することを特徴とする半導体発光素子。
27. 上記1〜26のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が、第一導電型側電極とは接しておらず第二導電型側電極と接し、
前記第一導電型側電極は前記窒化物基板と接していることを特徴とする半導体発光素子。
28. 上記1〜26のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が、第一導電型側電極と第二導電型側電極とともに接していることを特徴とする半導体発光素子。
29. 上記1〜28のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記活性層構造が、量子井戸層と障壁層とを有することを特徴とする半導体発光素子。
30. 上記29記載の半導体発光素子であって、
前記量子井戸層数が、4層以上30層以下であることを特徴とする半導体発光素子。
31. 上記29または30に記載の半導体発光素子であって、
前記量子井戸層の厚みの最大値が40nm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
32. 上記29〜31のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記量子井戸層の数をNUMQW
前記量子井戸層を構成する層の平均物理厚みをTQW(nm)、
前記量子井戸層を構成する層の波長λにおける平均屈折率をnQW(λ)、
前記障壁層の数をNUMBR
前記障壁層を構成する層の平均物理厚みをTBR(nm)、
前記障壁層を構成する層の波長λにおける平均屈折率をnBR(λ)、
前記第二導電型半導体層の物理厚みをT(nm)、
前記第二導電型半導体層の屈折率をn(λ)とする際に、
以下の数6を満たすことを特徴とする半導体発光素子。
Figure 2012023249
33. 上記1〜32のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部のピーク発光波長λが370nm以上430nm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
34. 上記1〜33のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部に形成される発光ユニットが複数存在することを特徴とする半導体発光素子。
35. 上記1〜34のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板中の酸素濃度が5×1017(cm−3)未満であることを特徴とする半導体発光素子。
36. 上記1〜35のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の熱伝導率が200W/m・K以上であることを特徴とする半導体発光素子。
37. 上記1〜36のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の転位密度が9×1016(cm−2)以下であって、当該転位の分布が略一様であることを特徴とする半導体発光素子。
38. 上記1〜37のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板には分極反転領域を有さないことを特徴とする半導体発光素子。
39. 上記1、3及び5〜38のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板が、GaN基板であることを特徴とする半導体発光素子。
40. 上記1〜39のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
その外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxから、スネルの法則を用いて求められる半導体発光素子内部における内部発光強度密度の最大値を示す方向θem maxが少なくとも以下の式のいずれか一方を満たす平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
−90.0度 < θem max ≦−67.5度
67.5度 ≦ θem max < 90.0度
41. 上記1〜40のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxが、少なくとも以下の式のいずれか一方を満たす配光特性となる平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
−90.0度 < φem max ≦−32.5度
32.5度 ≦ φem max <90.0度
42. 上記1〜41のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値が、0度における外部発光強度密度よりも20%以上大きくなる平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
43. 上記1〜42のいずれか1項に記載の半導体発光素子を有する半導体発光装置
であって、
前記半導体発光素子の半導体層部側が放熱板に近接していることを特徴とする半導体発光装置。
44. 上記1〜43のいずれか1項に記載の半導体発光素子を有する半導体発光装置であって、
当該半導体発光素子が、シリコーン系材料またはガラス材料で覆われていることを特徴とする半導体発光装置。
45. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形となる、ピーク発光波長λの半導体発光素子の製造方法であって、
波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を準備する第一工程と、
前記窒化物基板の主面上に半導体層部を形成する第二工程と、
前記半導体層部を加工する第三工程と、
前記基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含み、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式b1及び式b2を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式b1のみを満たすように形状加工することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
式b1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
式b2
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
46. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形となる、ピーク発光波長λの半導体発光素子の製造方法であって、
波長λにおける屈折率がn(λ)であるGaN基板を準備する第一工程と、
前記GaN基板の主面上に半導体層部を形成する第二工程と、
前記半導体層部を加工する第三工程と、
前記GaN基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含み、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式b3及び式b4を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式b3のみを満たすように形状加工することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
式b3
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表す。)
式b4
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
47. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形となる、ピーク発光波長λの半導体発光素子の製造方法であって、
波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を準備する第一工程と、
前記窒化物基板の主面上に最大物理厚みtの半導体層部を形成する第二工程と、
前記半導体層部を加工する第三工程と、
前記基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含み、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式b5及び式b6を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式b5のみを満たす
ように形状加工することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
式b5
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
式b6
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
48. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形となる、ピーク発光波長λの半導体発光素子の製造方法であって、
波長λにおける屈折率がn(λ)であるGaN基板を準備する第一工程と、
前記GaN基板の主面上に最大物理厚みtの半導体層部を形成する第二工程と、
前記半導体層部を加工する第三工程と、
前記GaN基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含み、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式b7及び式b8を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式b7のみを満たす
ように形状加工することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
式b7
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表す。)
式b8
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
49. 上記45〜48のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程から第四工程をこの順に実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
50. 上記45〜49のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程において準備する窒化物基板中の酸素濃度を5×1017(cm−3)以下とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
51. 上記45〜50のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程において準備する窒化物基板の熱伝導率を200W/m・K以上とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
52. 上記45〜51のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程において準備する窒化物基板の転位密度を9×1016(cm−2)以下とし、かつ、当該転位の分布を略一様とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
53. 上記45〜52のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程において準備する窒化物基板は分極反転領域を有さないように、選択成長用マスクを用いないで準備することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
54. 上記45〜53のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
当該窒化物基板をGaN基板とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
55. 上記45〜54のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
56. 上記45〜55のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一第二工程間工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
57. 上記45〜56のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二工程において形成する半導体層部をすべて窒化物とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
58. 上記45〜57のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二工程における窒化物基板主面上に形成される半導体層部をAlGaIn1−(x+y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
59. 上記45〜59のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二工程における半導体層部の形成を、MOCVD、MBE、PLD、PED、PSD、H−VPE、LPE法のいずれかの方法、もしくはその組み合わせによって行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
60. 上記54〜59のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二工程で形成される半導体層部の形成初期過程を、意図的なSi原料供給がされないエピタキシャル成長過程とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
61. 上記45〜60のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二工程における前記半導体層部内の量子井戸層形成時のIn濃度を、そのピーク発光波長λが370nm以上430nm以下となるように調整することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
62. 上記45〜61のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二第三工程間工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
63. 上記45〜62のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程において、半導体層部のエッチングを行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
64. 上記45〜63のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程において、半導体層部に電極形成を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
65. 上記64記載の半導体発光素子の製造方法であって、
基板に接して電極形成を行う工程をも含むことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
66. 上記45〜65のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程において、半導体層部端部形成工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
67. 上記66記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程における前記半導体層部端部の加工を、前記窒化物基板の主面に対して略垂直にすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
68. 上記66記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程における前記半導体層部端部の加工を、前記窒化物基板の主面に対して略垂直でないようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
69. 上記64〜68のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
前記半導体層部端部の加工を、前記半導体層部の途中まで、前記基板界面まで、または
、前記基板の途中までのいずれかの深さで実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
70. 上記64〜69のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
半導体層部端部の加工を、ドライエッチング、ウエットエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
71. 上記64〜70のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
半導体層部端部に平面的な凹凸形状を付与することすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
72. 上記45〜71のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程において、予定された1つの発光素子内の前記半導体層部に複数の発光ユニットを形成することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
73. 上記72記載の半導体発光素子の製造方法であって、
複数の発光ユニットが発光ユニット間分離溝によって分離されるようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
74. 上記73記載の半導体発光素子の製造方法であって、
発光ユニット間分離溝を、ドライエッチング、ウエットエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで形成することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
75. 上記45〜74のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三第四工程間工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
76. 上記45〜75のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
77. 上記45〜76のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程において、半導体層部側に分離始点を有するようにして素子分離することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
78. 上記45〜76のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程において、窒素化物基板側に分離始点を有するようにして素子分離することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
79. 上記77または78に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
分離始点の形成を機械的スクライビング、光学的スクライビング、ダイシング、ドライエッチング、ウエットエッチングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
80. 上記45〜79のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程における各素子の分離時に、窒化物基板の分離面が、当該基板の主面と略垂直となる部分を含むようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
81. 上記45〜79のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程における各素子の分離時に、窒化物基板の分離面が、当該基板の主面と略垂直な方向から傾斜している部分を含むようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
82. 上記45〜81のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
分離面の形成を、ブレーキング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビング、ドライエッチング、ウエットエッチングのいずれかの方法、もしくはその組み合わせで行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
83. 上記45〜82のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程後工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
84. 上記55、56、62、75、76および83のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
基板厚み調整工程を、研磨、エッチングいずれかの方法もしくはその組み合わせで実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
85. 上記55、56、62、75、76および83のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
基板露出面形成工程を、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビング、ドライエッチング、ウエットエッチングのいずれかの方法もしくはこれらの組み合わせで実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
86.上記55、56、62、75、76および83のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
基板上凹凸形状形成工程をウエットエッチング、ドライエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法もしくはこれらの組み合わせで実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
87.上記45〜86のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程後に前記半導体発光素子に内在する基板が、第一工程で準備された基板であるようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
88. 上記45〜86のいずれか1項に記載の方法で準備された半導体発光素子を用いて、第四工程後に半導体発光装置を作製する際の方法であって、
半導体発光素子の半導体層部側をサブマウントに搭載する工程を有することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
89. 上記45〜86のいずれか1項に記載の方法で準備された半導体発光素子を用いて、第四工程後に半導体発光装置を作製する際の方法であって、
半導体発光素子を封止する工程を有することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
以下、図面を参照しながら本実施形態について説明する。
[1]半導体発光素子
本実施形態の半導体発光素子は、基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形である窒化物基板の主面上に半導体層部を有する半導体発光素子であり、下記(1)〜(5)が特定の関係を有することを主要な要件とする。
(1)半導体発光素子のピーク発光波長λ
(2)基板の最大物理厚みt、または基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和t
(3)主面が略四角形である場合の当該略四角形の最短辺の長さLsa
(4)主面が略四角形である場合の当該略四角形の最長辺の長さLsb
(5)基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lsc
上記(1)〜(5)について特定の関係を満たす結果、比較的大型で高出力動作が可能な、いわゆるラージチップにおいて、当業者の技術常識を大幅に越える物理厚みを有する基板を備えた形状となる。これにより、発光素子の側壁面からの光を取り出し効率を向上させ、絶対値として大きな全放射束を実現することができ、結果として高出力化、高効率化を達成することができる。
本実施形態の半導体発光素子の主要な構成要件は、前記第一の実施形態(略三角形)と同様、本発明者らが明らかにした自然法則を利用した技術思想が裏付けになるものである。これらの技術思想については基本的に上述したものと同様であるので重複する説明は省略し、以下、上記実施形態と相違する部分を中心に説明するものとする。
また、半導体発光素子各部の材質等や、製造方法についても、上記実施形態と重複する記載は省略し、以下では相違する部分を主に説明するものとする。
〔最遠側壁部における臨界角による必要基板厚みの導出〕
本実施形態の半導体発光素子は、窒化物基板を、基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形であることを特徴の一つとしている。また、基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長と窒化物基板の最大物理厚みとの間で特定の関係を満たすことを特徴の一つとしている。
図19Aは、本実施形態の半導体発光素子の幾何形状を模式的に示す斜視図である。図19Aに示すように、この半導体発光素子10は、窒化物基板12の主面上(図の下側)に、ピーク発光波長λの光を発する活性層構造16を含む半導体層部15を有している。図19Aの例では、窒化物基板12を、基板主面21に垂直方向に投影したとき、略四角形の形状となる。また、側壁面のすべてが基板主面21に対して垂直であるため、窒化物基板12の投影形状は、基板主面21の平面形状と一致して製造誤差の範囲で合同(以下、「略合同」と表現することがある。)であって、主面も略四角形の形状となっている。この場合、基板主面に垂直方向に投影した形状は、一般に隣接する素子分離端の形状と一致する。また、後述するように、壁面等が加工された例の中で、主面が加工された場合には、基板主面21の平面形状が、基板を基板主面に垂直に投影した形状より小さくなる場合がある。この場合、基板主面形状は、略四角形であってもよく(但し、基板を基板主面に垂直方向に投影した形状より小さい。)、また略四角形以外の形状、例えば、n角形(nは、4を除く3以上100以下の自然数)、円形、楕円形、その他曲線に囲まれる不定形状、直線と曲線により囲まれる不定形等の任意の形状であってもよい。
ここで、この基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長をLscとし、この基板の波長λにおける屈折率をn(λ)とする。本発明の半導体発光素子10は、該基板の最大物理厚みtが下記式b1を満たす。
式b1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
さらに、主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、当該基板主面の略四角形の最短辺の長さLsaと当該基板主面の略四角形の最長辺の長さLsbが下記式b2を満たす。
式b2
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
これらの式b1、式b2を満たす構成は、内部発光強度密度の最大値を示す方向が活性層構造に平行方向に近い半導体発光素子において、その側壁からの光の取り出し効率を効果的に向上させることができる。同時に、このような構造は簡便な作製方法によって実現することができる。さらに、このような構造は、配光特性を制御しうる構造である点でも有利である。
図19Aの例は、前述のとおり、側壁面のすべてが基板主面21に対して垂直であり、窒化物基板12の投影形状は、基板主面21の平面形状と一致し、この投影形状は素子分離端形状でもある。このように投影形状が略四角形の場合、五角形以上の多角形構造よりも形状として平面充填性に優れており、窒化物基板に多数の半導体発光素子を作り込む際に有利である。
また、三角形の平面構造を有するものよりも、スクライブライン等を形成する回数を減らすことができる。例えば、正方形の平面形状は直行する2方向からのスクライブで形成できるか、三角形の平面構造を形成するには、少なくとも3方向からのスクライブが必要である。
上記の理由から、主面に垂直な方向から投影した基板の形状は略四角形であることが好ましい。なお、本発明において「略四角形」とは、正方形、長方形、台形、平行四辺形、不等辺四角形のような4辺で囲まれる図形(四角形)の他、概ね四角形状を呈するが、4辺が厳密な直線でなく、いずれか1以上の辺の一部または全部に、細かな波形形状や凹凸の形状を、規則的にまたは不規則に有するものであってもよいとする趣旨である。
さらに半導体発光素子の投影形状が四角形を選択した場合には、その中では、対称性が低い形状の方が光取り出しに有利であって好ましい。例えば正方形よりも長方形が好ましく、長方形よりも台形が好ましく、さらにはすべての辺の長さ、角が異なる四角形が光取り出しに有利であって好ましい。これは、対称性の高い図形の場合には、その対称性に起因した平面的な滞在光が発生してしまうからである。一方、対称性の低い場合には、このような滞在光は発生しにくい。
なお、この「対称性」ついては、本明細書の後半の「H:対称性について」のところで説明を補足する。
図19Fと図19Gは、それぞれ、基板部分が光学的に平坦な面で囲まれた半導体発光素子において、基板主面に垂直方向から投影した形状が正方形の場合と、図形の対称性を下げた不等辺四角形の場合おいて、光取り出し効率を計算したモデルを示したものである。この結果、前記正方形に対して、前記不等辺四角形の光取り出し効率は、1.9倍となることを確認している。
このように、投影形状が四角形の場合、その対称性が低い形状の方が光取り出しに有利であって好ましい。これは、本発明のように側面からの光の出射を主とする半導体発光素子においては格段の相乗効果を奏するという意味で好ましい。換言すると、前述の基板の物理厚みを厚くすることとの組合せにより側壁面からの光取り出し効率が相乗的に向上し、当業者の予測できない顕著な効果を実現することができ、かかる観点からも基板の物理厚みと投影形状との組合せは技術的意義が極めて大きい。
図19Aの構成において(図19Bも参照のこと)、周辺媒質の波長λにおける屈折率をnout(λ)、
当該窒化物基板の波長λにおける屈折率をn(λ)、
基板の最も厚い部分の物理厚みをt
半導体層部を構成する層Xの波長λにおける屈折率をnLX(λ)(即ち、層Xは、半導体層部を構成する任意の層を表し、nLX(λ)はその層Xの波長λにおける屈折率を表す。)、
基板主面から活性層構造までの最大の物理厚みをt
半導体層部の最大の物理厚みをtとする。
また、当該基板主面(この図では略四角形)の上にある任意の2点の作る最も長い線分長(直線長)をLscとし、
この図では、主面の平面形状が略四角形であるので、当該基板主面の略四角形の最短辺の長さをLsa
該基板主面の略四角形の最長辺の長さをLsbとする。
図19Aにおいて、点Aおよび点Bは、半導体層部15の端(図の下側)の点である。点Cおよび点Dは活性層構造16の端の点である。点Eおよび点Fは、基板主面21と半導体層部15の境界の端部の点である。
点Gおよび点Hは、製造上隣接していた他の発光素子10と素子分離を行った端部(この形状では他の点も素子分離を行った端部となっている)の点である。点Iおよび点Jは、基板主面21と反対側の面(図の上側)の基板端部の点である。
活性層構造16から出射される光の内部発光強度密度の最大値(内部プロファイルの最大値)は、相対的には、活性層構造の平行方向に近い方向にある。
よって、光取り出し効率を向上させるためには、図19Aの点Cから出射される光を想定し、この中には内部発光強度密度の最大値の方向を含みつつ、かつ、可能な限り点Cから他の方向に放射される内部発光も想定して、これらの光が、点Cからもっとも遠い発光素子の壁部分(最遠側壁部)から、効果的に光が取り出せるような半導体発光素子形状にすれば良い。
すなわち、図19Aの点Cから出射された光の、点B点D点F点H点Jを含む直線上における臨界角を考慮すれば、素子全体のいずれの発光部分を考えた際でも十分な、側壁からの光取り出し要件を与えるものとなる。
図19Bは、図19Aの構造を線Lscで縦方向に切断した断面図である。
図19Bでは、点Aから点Iを含む直線と、点Bから点Jを含む直線(最遠側壁部)と、点A点B、点I点Jで囲まれた面が図示されている。
ここで点Aと点Bの距離は、当該基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lscであり、この場合は、対角線(図19A参照)に相当する。
ここで、以下、見通しの良い近似を与える。
本発明においては、n(λ)とnLX(λ)は大きくは異ならないので、活性層構造から発生した光が窒化物基板側面に十分到達することになる。また、基板主面21から活性層構造までの最大の物理厚みtは、窒化物基板の厚みtに比較して十分に薄い。よって、点Cからの発光を点Eからの発光であると仮定して点B点D点F点H点Jを含む最遠側壁部における臨界角を考慮すればよい。
〔本発明の素子のチップの平面サイズ〕
次に、本発明者らは、例えば図19Aの構造の半導体発光素子10を簡便に作製する方法に関し検討を行った。前述のとおり、
i)主面が、基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式b1及び式b2を満たし、
ii)主面が、基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式b1のみを満たす場合に、基板主面が略四角形の半導体発光素子を容易に形成できることを見出した。
式b1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
式b2
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
ここで、Lsaは、基板主面の略四角形の最短辺の長さであり、Lsbは基板主面の略四角形の最長辺の長さである。
これは以下の通りの検討から導かれる。
通常のGaN系半導体発光素子ではLsaやLsbの長さは250μm程度であり、tは約100μmである。さらに、LsaやLsbの長さが1mm程度を超えるラージチップであってもtは約100μm程度である。
これは主に使用されてきた基板がサファイア等の過剰に硬質な材質であって、その厚みは主に、素子分離やダイシングの素子分離工程の都合によって決定されるためである。
一方、サファイア等の異種基板上のGaN系半導体発光素子は、基板上に半導体層部を形成する際の熱歪みの問題等があり、100μm程度の厚みの基板では結晶成長が困難である。そのため、通常は400μmを超える基板厚みの状態で半導体層部15を形成し、その後、素子化プロセスの最終段で100μm厚程度に基板を研磨して、素子分離工程に備えるプロセスが必要であり、工程が煩雑であった。
一方、窒化物基板例えばGaN基板を用いた場合、その硬度はサファイア基板よりも低く、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の素子分離工程は、比較的厚い基板であっても、相対的には容易にできる。一方、その硬さは、GaAs、GaP、InP、ZnO等よりは硬く、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の素子分離工程において、これら材料ほどには容易ではない。すなわち、窒化物基板を使用する場合は、その硬さに起因した特殊事情を克服する必要がある。また、GaN基板上にGaN系半導体発光素子を形成する場合には、熱歪み等の問題も軽減されると期待される。
そこで、各種の検討を行った結果、基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形の半導体発光素子を内在するウエハーの、プロセス上のハンドリングが容易で、かつ、高品質な半導体層部を形成しうる半導体発光素子のGaN基板の厚みtの下限は、250μm厚であった。
次に、250μm厚の基板を有する半導体発光素子をスクライブ、ブレーキング、ダイシング等の各種方法によって、容易に素子分離し、素子化できるLsaを実験的に求めた。この結果、Lsaが250μmよりも短い場合には素子分離が困難であった。Lsaが250μm以上400μmよりも短い場合には、素子分離は可能であるものの素子そのものの破損が発生する場合があり、これによる歩留まり低下があった。400μm以上550μmよりも短い場合には、特にブレーキング工程によってチッピング等が発生するなど不良が発生した。本発明においては、半導体発光素子の側壁からの光取り出しを行うため
、チップ外形に過度なチッピングが発生することなどは好ましくない。
これに対して、Lsaが550μm以上の場合には良好な素子分離ができることが分かった。すなわち、tが比較的薄い場合のLsaの下限は250μm以上であって、400μm以上であることが好ましく、550μm以上であることがより好ましかった。
一方、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の簡便な方法で素子分離工程を実施できるGaN基板の厚みtの上限は5500μmであった。この場合にはダイシング等の素子分離方法が有効である。このように、tが厚い場合にも、Lsaが550μm以上の場合には良好な素子分離ができることがわかった。
しかし、Lsbが過剰に大きい場合には、ダイシングシートからの剥離が困難になることが分かった。
特にtが5500μmと膜厚の厚いGaN基板をダイシングする際には、スピンドルに掛かる負荷に耐えるようにGaN基板を十分な粘着力のあるダイシングシートに固定する必要が発生する。Lscが7000μmを超えるようなサイズでダイシングをすると、ダイシング後に素子をシートから剥離する際に素子に過度な破損が生じうるが、Lscが7000μm以下になるようにダイシングをすると、ダイシング後に素子をシートから剥離する際に、素子に過度な破損を誘発せず、歩留まり低下が低減された。
2500μmより長く5000μm以下の場合、素子に部分的な破損が誘発されてしまい、シートから剥離は可能であったものの、素子分離後に良好な形状とならない可能性がある。
一方、Lsbが1550μmより長く2500μm以下である場合には、素子の破損の程度は軽減され良好な形状となる素子が多く、好ましかった。この程度は、1550μmより長く、2000μm以下になるとさらに良好となった。Lsbが1550μm以下の場合には、格段に良好な素子分離が可能であった。
すなわち、tが比較的厚い場合のLsbの上限は、2500μm以下であって、好ましくは2000μm以下であって、より好ましくは1550μm以下であった。これらの事実は、GaAs、GaP、InP、ZnO等では見られない事実であった。
一方、550μm≦Lsa≦Lsb≦1550μmを満たす平面形状を有する窒化物基板上の半導体発光素子10は、準備した窒化物基板の上に高品質な半導体層部を形成した後に基板を研磨するなどのプロセスを実施しなくとも、容易に良好な素子分離をすることが可能であった。
また、特に、上式の下限は、650μm以上を満たす場合により好ましく、800μm以上を満たす場合により好ましく、850μm以上を満たす場合により好ましく、900μm以上満たす場合に最も好ましかった。
上式の上限は、1450μm以下を満たす場合がより好ましく、1300μm以下を満たす場合がより好ましく、1250μm以下を満たす場合にさらに好ましく、1200μm以下を満たす場合に最も好ましかった。
このような要件を満たす半導体発光素子10は、その平面形状から言っていわゆるラージチップと呼ばれる範疇の半導体発光素子となる。一般にラージチップはその発光効率が低いことが問題であったが、本発明の発光素子によれば、半導体発光素子の側壁から効率よく光を取り出すことが可能である。しかも、簡便な方法で作製できる形状となっている。さらに配光特性の制御も可能であるため、良好な特性を有する大型の半導体発光素子を安価に作製することが可能である。
例えば、LsaとLsbがともに550μmのGaN基板上にGaN系半導体層部を有する半導体発光素子の場合、そのLscは778μm程度となり、式b3から要請される基板厚みはその下限でも約320μmとなる。
よって、このような平面的に比較的大型の素子を、従来のサファイア基板を内在する半導体発光素子のように100μm程度の厚みで作製すると、図3D(前記第一の実施形態と共通)に示されるように、本来十分な窒化物基板の厚みがあれば最遠側壁部から取り出し得る光が、主面と対峙する基板面12aで全反射を受け、その光が再度活性層構造に入射することで吸収され、または、第二導電型側電極、第一導電型側電極等によっても吸収されてしまう可能性がある。
上記のように、本発明は半導体発光素子の平面的な大きさが大きい素子において非常に有効な方法であって、さらに、一般に電極における反射率が高くない紫や近紫外、紫外領域の半導体発光素子に好適に利用できる技術である。
〔本実施形態の素子が有する半導体層部の態様〕
本実施形態においては、半導体層部の周辺部分、すなわち「半導体層部端部」は、図20に例示されるような形態とすることが可能であって、いずれの場合も好ましい。図20は図19Aに例示された線分Lscを含む面の形態を例示したものである。
点A、点Bは半導体層部の上端部(図20ではフリップチップ型の半導体発光素子を想定し、下に位置しているが、半導体層部を形成する、例えばエピタキシャル成長直後は、「上」端部となる。)であって、点C、点Dは活性層構造の端である。点E、点Fは基板主面と半導体層部の境界である下端部(前述と同様、図20ではフリップチップ型の半導体発光素子を想定し、上に位置しているが、半導体層部を形成する際には、「下」端部となる。)であり、点G、点Hは製造上隣接していた他の発光素子との素子分離を行った端部であり、点I、点Jは基板主面と対峙する面の基板端部である。
ここで、基板の形態は、前述の図5に例示したような形態のいずれとも組み合わせることは可能である。
なお、図5は第一の実施形態における説明で用いた図面であるが、本実施形態においても、側壁部や主面と対峙する面等の形態を種々変更した例を示す図として共通に用いるものとする。
図20(a−1)に例示の形態は、基板主面と垂直な方向から投影した際には、隣接する素子との素子分離端(G、H)と、基板主面と対峙する面の基板端部(I、J)と、基板主面の端(E、F)と、この上に形成された半導体層部の端(A、B)、活性層構造の端(C、D)とのすべてが一致する形態であって、本発明においては容易に形成できるため、好ましい形態である。
図20(b−1)、(b−2)、(b−3)の形態は、基板主面と垂直な方向から投影した際には、隣接する素子との素子分離端と基板主面の端とこの上に形成された半導体層部の端は一致するものの、活性層構造の端とは一致しない形態である。
この中で、半導体層部の側壁は、基板主面と垂直となっている(b−1)の形態は、その作製の簡便さから本発明の好ましい形態であって、また、(b−2)の形態と(b−3)の形態は、半導体層部の内部発光方向の一部を制御し、基板内部に出射される光の方向を変化させることで、側壁から出射される外部発光の方向、すなわち配光特性を制御できるため好ましい。
図21(c−1)、(c−2)、(c−3)の形態は、基板主面と垂直な方向から投影した際には、隣接する素子との素子分離端(G、H)と基板主面の端(E、F)は一致するものの、基板主面の端とこの上に形成された半導体層部の端(A、B)は一致せず、基板主面の端と活性層構造の端(C、D)とも一致しない形態である。
この中で、半導体層部の側壁は、基板主面と垂直となっている(c−1)の形態は、その作製の簡便さから本発明の好ましい形態であって、また、(c−2)の形態と(c−3)の形態は、半導体層部の内部発光方向の一部を制御し、基板内部に出射される光の方向を変化させることで、側壁から出射される外部発光の方向、すなわち配光特性を制御できるため好ましい。
図22(d−1)、(d−2)、(d−3)の形態は、基板主面部分もその一部が加工されているために、主面と垂直な方向から投影した際には、隣接する素子との素子分離端(G、H)と、基板主面の端(E、F)およびこの上に形成された半導体層部の端(A、B)が一致しない形態である。
この中で、半導体層部の側壁は、基板主面と垂直となっている(d−1)の形態は、その作製の簡便さから本発明の好ましい形態であって、また、(d−2)の形態と(d−3)の形態は、半導体層部の内部発光方向の一部を制御し、基板内部に出射される光の方向を変化させることで、側壁から出射される外部発光の方向、すなわち配光特性を制御できるため好ましい。
また、図22に示すように主面が加工されている場合において、主面(E、F)と素子分離端(G、H)との深さh{図22(d−1)〜(d−3)参照}が浅いときは、素子分離端を含む平面(一般に、基板を投影した略四角形と一致する場合が多い。)上において、任意の2点の作る最も長い線分長Lsc’が、式b1、式b3、式b5または式b7において、LscをLsc’で置き換えた式を満たすことが好ましい。
また、これらの形状を本発明の集積型の構成を有する半導体発光素子において、図23に例示するように、発光ユニット間の分離部分に適用することも好ましい。
図20〜図22に例示された本発明の好ましい形態は、半導体層部を加工する際に、ドライエッチング、ウエットエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで実現することが可能である。
特にこの際に、図20〜図22の(a−1)を除く形態においては、基板主面側からみた半導体層部の形態と、前述の図5に例示したような基板部分の形態を独立に決定できるために特に好ましい。また、一方の形態を決定し、他方を非等方的な内部発光プロファイルを考慮して従属的に決定することも、より好ましい。
本発明においては、基板を基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形であり、この投影形状は、素子分離端形状と一致しない場合もあるが、一般には一致する場合が多い。また、半導体層部の形態は任意の形状をとることが可能であり、例えば、図24(a)(b)では、素子分離端の平面形状は、基板の主面に垂直方向に投影した形状と略合同な略四角形であるものの、半導体層部の形態は前記略四角形以外の任意の形状が含まれるものである。
ここで、半導体層部、特に活性層構造の端が、基板主面と垂直方向から投影した際に素子分離端の平面形状と略相似形であることは、作成プロセス上から容易であって、より好ましい。また、半導体層部の端部の平面形状が、四角形以外の形状であってもよい。例えば、n角形(nは、4を除く3以上100以下の自然数)、円形、楕円形、その他曲線に囲まれる不定形状、直線と曲線により囲まれる不定形等の任意の形状が挙げられる。例えば、n角形や円形である場合は、半導体層部側壁からの光取り出しの観点でより好ましい。
また特に、基板の側壁部、露出部だけでなく、半導体層の側壁部にも凹凸加工を施されていてもよく、これにより光取り出し効率が向上する。図24(a)には、上記実施形態と同じように、図5Aの(b−1)のような構成(但し、本実施形態においては平面形状は略四角形)を有する基板上に、図21(c−1)の構成を組み合わせ、基板主面と垂直な方向から投影した際の活性層構造端を円形に配置した例を示す。また、図24(a)の変形例としては、図21(c−2)の構成を組み合わせ、半導体層部側壁が傾斜しているものも好ましい。
また、図24(b)は、図5D(e−1)のような構成を有する基板上に、基板主面と垂直な方向から投影した際の活性層構造端を、四角形を含む各種n角形、円形、任意の形状の組み合わせとし、さらにその一部には凹凸加工(詳細な図示は省略するが、例えば側壁部に凹凸加工がされていてもよい)を施した部分を有する、集積型の半導体発光素子とした場合の一例である。
なお、半導体層部端部あるいは活性層構造端部の主面側から投影した平面形状は、光取り出しの観点では、対称性の次元が低いほど好ましい。よって、例えば四角形であれば正方形よりも長方形が好ましく、長方形よりもひし形が好ましく、ひし形よりも台形が好ましく、台形よりも不等辺四角形が好ましい。
[3]半導体発光素子の製造方法
本実施形態の半導体発光素子の製造方法は、
波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を準備する基板準備工程である第一工程と、
第一工程で準備した基板の主面上に半導体層部を形成する半導体層部形成工程である第二工程と、
少なくとも半導体層部を加工する、半導体層部加工工程である第三工程と、
当該基板と加工された半導体層部を各素子に分離する、素子分離工程である第四工程を含む。
ここで、基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形となるように、そして
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式b1及び式b2を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式b1のみを満たすように形状加工することが好ましい。
式b1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
ここで、tは、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。
式b2
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
ここで、Lsaは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。
本発明の製造方法では、適切な工程において、基板厚み、素子分離端形状、基板主面形状、半導体層部形状等が、上記の条件が満たすように、必要により加工される。
さらに、窒化物基板の最大物理厚みをts、窒化物基板の主面上に形成される半導体層部の最大物理厚みをtとし、これらの和をtとする際に、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式b5及び式b6を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式b5のみを満たす
ように形状加工することも好ましい。
式b5
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
ここで、tは、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。
式b6
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
ここで、Lsaは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。
さらに本実施形態の半導体発光素子には窒化物基板が用いられる。窒化物基板としては前述の同じく、GaN、AlN、BN、InN基板、あるいはこれらの原料からなる混晶基板が好ましいが、GaN、AlN、BN基板を用いることがより好ましく、GaN基板を用いることが最も好ましい。この場合には、前述したような基板の屈折率に関する考察から、式b1および式b5は、それぞれ式b3および式b7:
式b3
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
式b7
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
を満たすことが好ましい。
本発明においては、発光素子の製造方法は容易であることが好ましいので、第一工程から第四工程は、この順に実施することがより好ましい。
なお、第一工程〜第四工程については、基本的に、上記実施形態と同様に行うことが可能であるため、重複する記載は省略し、本実施形態に特有の工程を中心に説明する。
<第四工程>
本実施形態の第四工程においては、少なくとも、基板と加工された半導体層部を各素子に分離する。基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長Lscは、本工程より前の工程で決まる場合もあるが、本工程において決まる場合が多い。その際、主面が略四角形である場合に、略四角形の主面の最短辺の長さLsaおよび略四角形の主面の最長辺の長さLsbも、本工程において決まる場合場合が多い。
いずれにしても、最終的に
i)主面が、基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式b1及び式b2を満たし、
ii)主面が、基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式b1のみを満たす
ように形状加工される。
式b1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
ここで、tは、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。
式b2
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
ここで、Lsaは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。
あるいは、最終的に
i)主面が、基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式b5及び式b6を満たし、
ii)主面が、基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式b5のみを満たす
ように形状加工される。
式b5
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
ここで、tは、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。
式b6
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
ここで、Lsaは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。
本実施形態の第四工程においては、具体的には、第三工程を終了した製造途上の半導体発光素子を含むウエハーの粘着シートへの貼り込み、スクライビング、ブレーキング、ダイシング、粘着シート上での素子分離、粘着シートからの素子剥離等の任意の工程を任意の順番で行うことが可能である。また、第四工程において、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する露出面形成工程、少なくとも露出面の一部に凹凸加工を付与する凹凸形成工程を有することも好ましい。
第四工程においては、半導体発光素子を所望の大きさの素子に分割することが重要であって、この点に関する歩留まりを左右する要素は、素子形状そのものにもあることは、前述の通りである。すなわち、550μm≦Lsa≦Lsb≦1550μmを満たす平面形状を有する窒化物基板上の半導体発光素子は、準備した窒化物基板の上に高品質な半導体層部を形成した後に、基板を研磨するなどのプロセスを実施しなくとも、容易に良好な素子分離をすることが可能であって好ましい。
本発明においては、素子分離を実施した際に、素子を粘着シートから剥離する際の歩留まりにおいても、前述の通り、550μm≦Lsa≦Lsb≦1550μmを満たす平面形状を有する半導体発光素子としているため、第四工程における素子分離の歩留まりは高い。
本実施形態に対応する実施例については、他の形態に対応する実施例と併せて後述するものとする。
〔C:第三の実施形態(略m角形)〕
以下、基板の平面形状が略m角形(詳細後述)の実施形態について説明する。
上述したように、本発明者らは鋭意検討の結果、窒化物基板上にAlGaInN系半導体層部を有する発光素子においては、活性層構造の平行方向に近い方向に内部発光強度密度の強い方向があることを見出した。そして、活性層と基板の屈折率差が大きくない場合においては、発光素子の側壁面からの光を取り出し効率を向上させる方法が、本質的に優れた方法であることを見出した。さらに壁面からの光取り出し効率向上のためには、当業者の技術常識を大幅に越える基板の物理厚みが必要であることを見出した。
また、基板の物理厚みを大きくすることに加えて基板主面に垂直方向に投影した形状を多角形状、または曲線形状を含む図形とすることは、側壁面からの光取り出し効率を相乗的に向上させ、当業者の予測できない顕著な効果を有することを見出した。
本実施形態に対応する、発明の要旨は以下に存する。
1. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略m角形(mは5以上の整数)又は少なくとも一部に曲線を含む形状である窒化物基板と、
ピーク発光波長λの光を発する活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式c1及び式c2を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式c1のみを満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式c1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
式c2
500(μm)≦Lsc
2. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略m角形(mは5以上の整数)又は少なくとも一部に曲線を含む形状であるGaN基板と、
活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式c3及び式c4を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式c3のみを満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式c3
sc×0.418≦t≦Lsc×2.395
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表す。)
式c4
500(μm)≦Lsc
3. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略m角形(mは5以上の整数)又は少なくとも一部に曲線を含む形状である窒化物基板と、
ピーク発光波長λの光を発する活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式c5及び式c6を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式c5のみを満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式c5
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
式c6
500(μm)≦Lsc
4. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略m角形(mは5以上の整数)又は少なくとも一部に曲線を含む形状であるGaN基板と、
活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式c7及び式c8を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式c7のみを満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式c7
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表す。)
式c8
500(μm)≦Lsc
5. 上記1〜4のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記基板主面が、略m角形(5≦m≦18)又は少なくとも一部に曲線を含む形状であり、
前記Lscが下記式を満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
500(μm)≦Lsc≦7000(μm)
6. 上記1〜5のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記基板が、前記活性層構造が発するピーク発光波長λの光に対して略透明であること
を特徴とする半導体発光素子。
7. 上記1〜6のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
半導体発光素子のピーク波長λにおいて、前記基板の波長λにおける屈折率をn(λ)、
前記半導体層部を構成する層Xの波長λにおける屈折率をnLX(λ)とした際に、すべての層Xにおいて、
0.75≦(nLX(λ)/n(λ))≦1.25
を満たすことを特徴とする半導体発光素子。
8. 上記1〜7のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が窒化物のみから構成されることを特徴とする半導体発光素子。
9. 上記1〜8のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の主面が、(0001)面あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面であることを特徴とする半導体発光素子。
10. 上記1〜8のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の主面が、(1−10n)面、(11−2n)面(但しnは0、1、2、3)あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面であることを特徴とする半導体発光素子。
11. 上記1〜10のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面と略平行な面、および、前記主面に対して略垂直な面によって構成されていることを特徴とする半導体発光素子。
12. 上記1〜10のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面に対して略垂直な方向から傾斜している面を含むことを特徴とする半導体発光素子。
13. 上記12記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面と略平行な面をも含むことを特徴とする半導体発光素子。
14. 上記12記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面に対して略垂直な面をも含むことを特徴とする半導体発光素子。
15. 上記12記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面と略平行な面と主面に対して略垂直な面のいずれをも含むことを特徴とする半導体発光素子。
16. 上記12記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、前記主面に対して略垂直な方向から傾斜している面以外の面を含まないことを特徴とする半導体発光素子。
17. 上記12〜16のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記主面に対して略垂直な面から前記窒化物基板の露出面が傾斜している角度βが下記式のいずれかを満たすことを特徴とする半導体発光素子。
−22.5度 ≦ β < 0.0度
0.0度 < β ≦22.5度
18. 上記1〜17のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の露出面が、凹凸加工されている部分を有することを特徴とする半導体発光素子。
19. 上記1〜18のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部の端部が、前記窒化物基板の主面に対して略垂直であることを特徴とする半導体発光素子。
20. 上記1〜18のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部の端部が、前記窒化物基板の主面に対して略垂直でないことを特徴とする半導体発光素子。
21. 上記1〜20のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記基板の投影形状である前記略m角形又は少なくとも一部に曲線を含む形状に対して、当該半導体層部の端部の平面形状が、略合同または略相似形であることを特徴とする半導体発光素子。
22. 上記1〜20のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記基板の投影形状である前記略m角形又は少なくとも一部に曲線を含む形状に対して、当該半導体層部の端部の平面形状が、略合同でも略相似形でもないことを特徴とする半導体発光素子。
23. 上記22記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部の端部の平面形状が、略m角形又は少なくとも一部に曲線を含む形状以外の形状であることを特徴とする半導体発光素子。
24. 上記1〜23のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部の平面形状が、端部に凹凸形状を有することを特徴とする半導体発光素子。
25. 上記1〜24のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が、第二導電型半導体層を有することを特徴とする半導体発光素子。
26. 上記25記載の半導体発光素子であって、
前記第二導電型半導体層の厚みが10nm以上180nm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
27. 上記1〜26のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が、第一導電型半導体層を有することを特徴とする半導体発光素子。
28. 上記1〜27のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が、第一導電型側電極とは接しておらず第二導電型側電極と接し、
前記第一導電型側電極は前記窒化物基板と接していることを特徴とする半導体発光素子。
29. 上記1〜27のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部が、第一導電型側電極と第二導電型側電極とともに接していることを特徴とする半導体発光素子。
30. 上記1〜29のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記活性層構造が、量子井戸層と障壁層とを有することを特徴とする半導体発光素子。
31. 上記30記載の半導体発光素子であって、
前記量子井戸層数が、4層以上30層以下であることを特徴とする半導体発光素子。
32. 上記30または31に記載の半導体発光素子であって、
前記量子井戸層の厚みの最大値が40nm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
33. 上記30〜32のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記量子井戸層の数をNUMQW
前記量子井戸層を構成する層の平均物理厚みをTQW(nm)、
前記量子井戸層を構成する層の波長λにおける平均屈折率をnQW(λ)、
前記障壁層の数をNUMBR
前記障壁層を構成する層の平均物理厚みをTBR(nm)、
前記障壁層を構成する層の波長λにおける平均屈折率をnBR(λ)、
前記第二導電型半導体層の物理厚みをT(nm)、
前記第二導電型半導体層の屈折率をn(λ)とする際に、
以下の数7を満たすことを特徴とする半導体発光素子。
Figure 2012023249
34. 上記1〜33のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部のピーク発光波長λが370nm以上430nm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
35. 上記1〜34のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記半導体層部に形成される発光ユニットが複数存在することを特徴とする半導体発光素子。
36. 上記1〜35のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板中の酸素濃度が5×1017(cm−3)未満であることを特徴とする半導体発光素子。
37. 上記1〜36のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の熱伝導率が200W/m・K以上であることを特徴とする半導体発光素子。
38. 上記1〜37のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の転位密度が9×1016(cm−2)以下であって、当該転位の分布が略一様であることを特徴とする半導体発光素子。
39. 上記1〜38のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板には分極反転領域を有さないことを特徴とする半導体発光素子。
40. 上記1、3及び5〜39のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板が、GaN基板であることを特徴とする半導体発光素子。
41. 上記1〜40のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
その外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxから、スネルの法則を用いて求められる半導体発光素子内部における内部発光強度密度の最大値を示す方向θem maxが少なくとも以下の式のいずれか一方を満たす平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
−90.0度 < θem max ≦−67.5度
67.5度 ≦ θem max < 90.0度
42. 上記1〜41のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxが、少なくとも以下の式のいずれか一方を満たす配光特性となる平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
−90.0度 < φem max ≦−32.5度
32.5度 ≦ φem max <90.0度
43. 上記1〜42のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値が、0度における外部発光強度密度よりも20%以上大きくなる平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
44. 上記1〜43のいずれか1項に記載の半導体発光素子を有する半導体発光装置であって、
前記半導体発光素子の半導体層部側が放熱板に近接していることを特徴とする半導体発光装置。
45. 上記1〜44のいずれか1項に記載の半導体発光素子を有する半導体発光装置であって、
当該半導体発光素子が、シリコーン系材料またはガラス材料で覆われていることを特徴とする半導体発光装置。
46. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略m角形(mは5以上の整数)又は少なくとも一部に曲線を含む形状となる、ピーク発光波長λの半導体発光素子の製造方法であって、
波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を準備する第一工程と、
前記窒化物基板の主面上に半導体層部を形成する第二工程と、
前記半導体層部を加工する第三工程と、
前記基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含み、
i)主面を、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同であるように形成する場合は、式c1及び式c2を満たし、
ii)主面を、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同とならないように形成する場合は、式c1のみを満たす
ように形状加工することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
式c1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
式c2
500(μm)≦Lsc
47. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略m角形(mは5以上の整数)又は少なくとも一部に曲線を含む形状となる、ピーク発光波長λの半導体発光素子の製造方法であって、
波長λにおける屈折率がn(λ)であるGaN基板を準備する第一工程と、
前記GaN基板の主面上に半導体層部を形成する第二工程と、
前記半導体層部を加工する第三工程と、
前記GaN基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含み、
i)主面を、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同であるように形成する場合は、式c3及び式c4を満たし、
ii)主面を、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同とならないように形成する場合は、式c3のみを満たす
ように形状加工することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
式c3
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表す。)
式c4
500(μm)≦Lsc
48. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略m角形(mは5以上の整数)又は少なくとも一部に曲線を含む形状となる、ピーク発光波長λの半導体発光素子の製造方法であって、
波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を準備する第一工程と、
前記窒化物基板の主面上に最大物理厚みtの半導体層部を形成する第二工程と、
前記半導体層部を加工する第三工程と、
前記基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含み、
i)主面を、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同であるように形成する場合は、式c5及び式c6を満たし、
ii)主面を、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同とならないように形成する場合は、式c5のみを満たす
ように形状加工することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
式c5
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
式c6
500(μm)≦Lsc
49. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略m角形(mは5以上の整数)又は少なくとも一部に曲線を含む形状となる、ピーク発光波長λの半導体発光素子の製造方法であって、
波長λにおける屈折率がn(λ)であるGaN基板を準備する第一工程と、
前記GaN基板の主面上に最大物理厚みtの半導体層部を形成する第二工程と、
前記半導体層部を加工する第三工程と、
前記GaN基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含み、
i)主面を、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同であるように形成する場合は、式c7及び式c8を満たし、
ii)主面を、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同とならないように形成する場合は、式c7のみを満たす
ように形状加工することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
式c7
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
(但し、
は、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表す。)
式c8
500(μm)≦Lsc
(但し、
saは、前記略m角形の主面の最短辺の長さを表す。)
50. 上記46〜49のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記基板主面を、略m角形(5≦m≦18)又は少なくとも一部に曲線を含む形状に形成し、
前記Lscが下記式を満たす
ことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
500(μm)≦Lsc≦7000(μm)
51. 上記46〜49のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程から第四工程をこの順に実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
52. 上記46〜50のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程において準備する窒化物基板中の酸素濃度を5×1017(cm−3)以下とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
53. 上記46〜52のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程において準備する窒化物基板の熱伝導率を200W/m・K以上とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
54. 上記46〜53のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程において準備する窒化物基板の転位密度を9×1016(cm−2)以下とし、かつ、当該転位の分布を略一様とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
55. 上記46〜54のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程において準備する窒化物基板は分極反転領域を有さないように、選択成長用マスクを用いないで準備することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
56. 上記46〜55のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
当該窒化物基板をGaN基板とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
57. 上記46〜56のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
58. 上記46〜57のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第一第二工程間工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
59. 上記46〜58のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二工程において形成する半導体層部をすべて窒化物とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
60. 上記46〜59のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二工程における窒化物基板主面上に形成される半導体層部をAlGaIn1−(x+y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
61. 上記46〜60のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二工程における半導体層部の形成を、MOCVD、MBE、PLD、PED、PSD、H−VPE、LPE法のいずれかの方法、もしくはその組み合わせによって行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
62. 上記46〜61のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二工程で形成される半導体層部の形成初期過程を、意図的なSi原料供給がされないエピタキシャル成長過程とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
63. 上記46〜62のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二工程における前記半導体層部内の量子井戸層形成時のIn濃度を、そのピーク発光波長λが370nm以上430nm以下となるように調整することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
64. 上記46〜63のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第二第三工程間工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
65. 上記46〜64のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程において、半導体層部のエッチングを行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
66. 上記46〜65のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程において、半導体層部に電極形成を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
67. 上記66記載の半導体発光素子の製造方法であって、
基板に接して電極形成を行う工程をも含むことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
68. 上記46〜67のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程において、半導体層部端部形成工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
69. 上記68記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程における前記半導体層部端部の加工を、前記窒化物基板の主面に対して略垂直にすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
70. 上記68記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程における前記半導体層部端部の加工を、前記窒化物基板の主面に対して略垂直でないようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
71. 上記66〜70のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
前記半導体層部端部の加工を、前記半導体層部の途中まで、前記基板界面まで、または、前記基板の途中までのいずれかの深さで実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
72. 上記66〜71のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
半導体層部端部の加工を、ドライエッチング、ウエットエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
73. 上記66〜72のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
半導体層部端部に平面的な凹凸形状を付与することすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
74. 上記46〜73のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三工程において、予定された1つの発光素子内の前記半導体層部に複数の発光ユニットを形成することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
75. 上記74記載の半導体発光素子の製造方法であって、
複数の発光ユニットが発光ユニット間分離溝によって分離されるようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
76. 上記75記載の半導体発光素子の製造方法であって、
発光ユニット間分離溝を、ドライエッチング、ウエットエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで形成することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
77. 上記46〜76のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第三第四工程間工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
78. 上記46〜77のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
79. 上記46〜78のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程において、半導体層部側に分離始点を有するようにして素子分離することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
80. 上記46〜78のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程において、窒素化物基板側に分離始点を有するようにして素子分離することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
81. 上記79または80に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
分離始点の形成を機械的スクライビング、光学的スクライビング、ダイシング、ドライエッチング、ウエットエッチングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
82. 上記46〜81のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程における各素子の分離時に、窒化物基板の分離面が、当該基板の主面と略垂直となる部分を含むようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
83. 上記46〜81のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程における各素子の分離時に、窒化物基板の分離面が、当該基板の主面と略垂直な方向から傾斜している部分を含むようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
84. 上記46〜83のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
分離面の形成を、ブレーキング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビング、ドライエッチング、ウエットエッチングのいずれかの方法、もしくはその組み合わせで行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
85. 上記45〜82のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程後工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
86. 上記57、58、64、77、78および85のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
基板厚み調整工程を、研磨、エッチングいずれかの方法もしくはその組み合わせで実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
87. 上記57、58、64、77、78および85のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
基板露出面形成工程を、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビング、ドライエッチング、ウエットエッチングのいずれかの方法もしくはこれらの組み合わせで実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
88. 上記57、58、64、77、78および85のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
基板上凹凸形状形成工程をウエットエッチング、ドライエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法もしくはこれらの組み合わせで実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
89. 上記46〜88のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
第四工程後に前記半導体発光素子に内在する基板が、第一工程で準備された基板であるようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
90. 上記46〜88のいずれか1項に記載の方法で準備された半導体発光素子を用いて、
第四工程後に半導体発光装置を作製する際の方法であって、
半導体発光素子の半導体層部側をサブマウントに搭載する工程を有することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
91.上記46〜88のいずれか1項に記載の方法で準備された半導体発光素子を用いて、
第四工程後に半導体発光装置を作製する際の方法であって、
半導体発光素子を封止する工程を有することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
以下、図面を参照しながら本実施形態について説明する。
[1]半導体発光素子
本実施形態の半導体発光素子は、基板主面に垂直方向に投影した形状が略m角形又は少なくとも一部に曲線を含む形状である窒化物基板の主面上に半導体層部を有する半導体発光素子であり、下記(1)〜(3)が特定の関係を有することを主要な要件とする。
(1)半導体発光素子のピーク発光波長λ
(2)基板の最大物理厚みt、または基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和t
(3)基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lsc
上記(1)〜(3)について特定の関係を満たす結果、当業者の技術常識を大幅に越える物理厚みを有する基板を備えた形状となる。これにより、発光素子の側壁面からの光を取り出し効率を向上させ、絶対値として大きな全放射束を実現することができ、結果として高出力化、高効率化を達成することができる。
本実施形態の半導体発光素子の主要な構成要件は、上記第一、第二の実施形態と同様、本発明者らが明らかにした自然法則を利用した技術思想が裏付けになるものである。以下、上記実施形態と相違する部分を中心に説明する。
〔最遠側壁部における臨界角による必要基板厚みの導出〕
本実施形態の半導体発光素子は、窒化物基板を、基板主面に垂直方向に投影した形状が略m角形又は少なくとも一部に曲線を含む形状であることを特徴の一つとしている。また、基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長と窒化物基板の最大物理厚みとの間で特定の関係を満たすことを特徴の一つとしている。
図28Aは半導体発光素子の幾何形状を模式的に示す斜視図である。図28Aに示すように、この半導体発光素子10は、窒化物基板12の主面上(図の下側)に、ピーク発光波長λの光を発する活性層構造16を含む半導体層部15を有している。図28Aの例では、窒化物基板12を、基板主面21に垂直方向に投影したとき、略六角形の形状となる。すなわちmが6であるm角形である。また、側壁面のすべてが基板主面21に対して垂直であるため、窒化物基板12の投影形状は、基板主面21の平面形状と一致して製造誤差の範囲で合同(以下、「略合同」と表現することがある。)であって、主面も略六角形の形状となっている。この場合、基板主面に垂直方向に投影した形状は、一般に隣接する素子分離端の形状と一致する。また、後述するように、壁面等が加工された例の中で、主面が加工された場合には、基板主面21の平面形状が、基板を基板主面に垂直に投影した形状より小さくなる場合がある。この場合、基板主面形状は、基板を基板主面に垂直に投影した形状と相似である略六角形であってもよく(但し、基板を基板主面に垂直方向に投影した形状より小さい。)、また略六角形以外の形状であってもよい。すなわち、基板を基板主面に垂直に投影した形状がm角形の場合、基板主面形状は略n角形(nは3以上の自然数)、円形、楕円形、その他曲線に囲まれる不定形状、直線と曲線により囲まれる不定形等の任意の形状であってもよい。
ここで、この基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長をLscとし、この基板の波長λにおける屈折率をn(λ)とする。本発明の半導体発光素子10は、該基板の最大物理厚みtが下記式c1を満たす。
式c1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
さらに、基板主面が、基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、前記Lscが下記式c2を満たす。
式c2
500(μm)≦Lsc
これらの式c1、式c2を満たす構成は、内部発光強度密度の最大値を示す方向が活性層構造に平行方向に近い半導体発光素子において、その側壁からの光の取り出し効率を効果的に向上させることができる。同時に、このような構造は簡便な作製方法によって実現することができる。さらに、このような構造は、配光特性を制御しうる構造である点でも有利である。
図28Aの例は、前述のとおり、側壁面のすべてが基板主面21に対して垂直であり、窒化物基板12の投影形状は、基板主面21の平面形状と一致し、この投影形状は素子分離端形状でもある。
投影形状が略m角形の場合、特にmが大きくなればなるほど、発光素子の平面形状内の中心近傍から発せられた光は、その側壁に到達する際に、垂直入射する割合が増える。例えば投影形状が略正六角形の場合と投影形状が略正十二角形の場合とを比較すると、発光素子の平面形状内の中心近傍から発せられた光が各側壁面に垂直入射する割合は、後者が前者の2倍である。側壁面においては臨界角によって光の脱出が可能かどうかが決まるが、垂直入射する割合が増えれば、光の内部からの脱出確率が上がる。このため、投影形状が略m角形の場合、mが大きくなればなるほど、高効率な発光素子を形成できるため、好ましい。この極限は円形である。
さらに半導体発光素子の投影形状は、任意のm角形を1つ選択した場合には、その中では、その対称性が低い形状の方が光取り出しに有利であって好ましい。例えば任意の図形として六角形を考えると、正六角形よりも、少なくとも1つの辺の長さが異なる六角形が、また、さらには、すべての辺の長さが異なる六角形が光取り出しに有利であって好ましい。なお、この「対称性」ついては、本明細書の後半の「H:対称性について」のところで説明を補足する。
図28Fと図28Gは、それぞれ、基板部分が光学的に平坦な面で囲まれた半導体発光素子において、基板主面に垂直方向から投影した形状が正六角形の場合と、当該正六角形を基本に、ひとつの頂角を図示されたように移動させ、図形の対称性を下げた場合おいて、光取り出し効率を計算したモデルを示したものである。この結果、正六角形の光取り出しに対して、ひとつの頂角を移動させ、図形の対称性を下げた六角形は、光取り出し効率が1.4倍となることを確認している。
このように、投影形状が略m角形の場合、特にmが大きくなればなるほど、また、任意のm角形を1つ選択した場合には、その中では、その対称性が低い形状の方が光取り出しに有利であって好ましい。これは、本発明のように側面からの光の出射を主とする半導体発光素子においては格段の相乗効果を奏するという意味で好ましい。換言すると、前述の基板の物理厚みを厚くすることとの組合せにより側壁面からの光取り出し効率が相乗的に向上し、当業者の予測できない顕著な効果を実現することができ、かかる観点からも基板の物理厚みと投影形状との組合せは技術的意義が極めて大きい。
上記の理由から、主面に垂直な方向から投影した基板の形状は略m角形又は少なくとも一部に曲線を含む形状であることが好ましい。
なお、本発明において「略m角形」とは、前述で定義したm角形の他、概ねm角形状を呈するが、各辺が厳密な直線でなく、いずれか1以上の辺の一部または全部に、細かな波形形状や凹凸の形状を、規則的にまたは不規則に有するものであってもよいとする趣旨である。いずれか1以上の辺の一部または全部に、細かな波形形状や凹凸の形状を、規則的にまたは不規則に有するm角形としては、例えば図34(a)、(b)に記載のものが挙げられる。
「少なくとも一部に曲線を含む形状」としては、例えば、円や楕円(図34(c)左図)のような曲線で囲まれる図形や、扇形、弓形などの直線と曲線で囲まれた図形が挙げられる。また、「少なくとも一部に曲線を含む形状」は、概ね上記の形状を呈するが、当該曲線や直線の一部または全部に、細かな波形形状や凹凸の形状を規則的にまたは不規則に有するものであってもよい。曲線や直線の一部または全部に、細かな波形形状や凹凸の形状を、規則的にまたは不規則に有する図形としては、例えば略円、略楕円(図34(c)右図)、略扇形(図34(d))などが挙げられる(なお、この例では、凹凸形状が規則的に設けられている形態が描かれているが、当然ながら、凹凸形状が不規則に設けられていてもよい)。
ここで、細かな凹凸の形状は、例えば、第一の実施形態記載の<基板面方位及び基板上凹凸形成工程>の項において前述したように、凹凸サイズ(ラインからの高低差)は、半導体発光素子のピーク波長をλとして、λ/50から50λ程度の寸法を有することができる。好ましくはλ/10から10λ程度の寸法を有し、より好ましくはλ/7から7λ程度の寸法を有し、より好ましくはλ/5から5λ程度の寸法を有することができる。凹部から隣接する凹部の距離(凸部から隣接する凸部の距離)は、半導体発光素子のピーク波長をλとして、λ/50から50λ程度の寸法を有することができる。好ましくはλ/10から10λ程度の寸法を有し、より好ましくはλ/7から7λ程度の寸法を有し、より好ましくはλ/5から5λ程度の寸法を有することができる。
前記曲線を含む形状における「曲線」および前記細かな波形形状や凹凸の形状との関係については、例えば以下のように考えることができる。即ち、前記形状における「曲線」とは、これを空間的な周波数成分として取り出したときに、主たる周波数成分において、細かな波形形状や凹凸形状よりも10分の1程度以下の周波数成分で構成されていることを意味する。
なお、本明細書中において基板の投影形状に関して、「略m角形」の場合のみを説明し「少なくとも一部に曲線を含む形状」についての詳細な説明を省略することがあるが、当然ながら当業者の技術常識において「少なくとも一部に曲線を含む形状」の概念を含んで解釈できるものとし、本発明を何ら限定するものではない。
図28Aの構成において(図28Bも参照のこと)、周辺媒質の波長λにおける屈折率をnout(λ)、
当該窒化物基板の波長λにおける屈折率をn(λ)、
基板の最も厚い部分の物理厚みをt
半導体層部を構成する層Xの波長λにおける屈折率をnLX(λ)(即ち、層Xは、半導体層部を構成する任意の層を表し、nLX(λ)はその層Xの波長λにおける屈折率を表す。)、
基板主面から活性層構造までの最大の物理厚みをt
半導体層部の最大の物理厚みをtとする。
また、当該基板主面(この図では略六角形)の上にある任意の2点の作る最も長い線分長(直線長)をLscとする。
この図では、主面の平面形状が略六角形であるので、当該基板主面の略六角形の最短辺の長さをLsaとする。
図28Aにおいて、点Aおよび点Bは、半導体層部15の端(図の下側)の点である。点Cおよび点Dは活性層構造16の端の点である。点Eおよび点Fは、基板主面21と半導体層部15の境界の端部の点である。
点Gおよび点Hは、製造上隣接していた他の発光素子10と素子分離を行った端部(この形状では他の点も素子分離を行った端部となっている)の点である。点Iおよび点Jは、基板主面21と反対側の面(図の上側)の基板端部の点である。
活性層構造16から出射される光の内部発光強度密度の最大値(内部プロファイルの最大値)は、相対的には、活性層構造の平行方向に近い方向にある。
よって、光取り出し効率を向上させるためには、図28Aの点Cから出射される光を想定し、この中には内部発光強度密度の最大値の方向を含みつつ、かつ、可能な限り点Cから他の方向に放射される内部発光も想定して、これらの光が、点Cからもっとも遠い発光素子の壁部分(最遠側壁部)から、効果的に光が取り出せるような半導体発光素子形状にすれば良い。
すなわち、図28Aの点Cから出射された光の、点B点D点F点H点Jを含む直線上における臨界角を考慮すれば、素子全体のいずれの発光部分を考えた際でも十分な、側壁からの光取り出し要件を与えるものとなる。
図28Bは、図28Aの構造を線Lscで縦方向に切断した断面図である。
図28Bでは、点Aから点Iを含む直線と、点Bから点Jを含む直線(最遠側壁部)と、点A点B、点I点Jで囲まれた面が図示されている。
ここで点Aと点Bの距離は、当該基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lscであり、この場合は、対角線(図28A参照)に相当する。
ここで、以下、見通しの良い近似を与える。
本発明においては、n(λ)とnLX(λ)は大きくは異ならないので、活性層構造から発生した光が窒化物基板側面に十分到達することになる。また、基板主面21から活性層構造までの最大の物理厚みtは、窒化物基板の厚みtに比較して十分に薄い。よって、点Cからの発光を点Eからの発光であると仮定して点B点D点F点H点Jを含む最遠側壁部における臨界角を考慮すればよい。
〔本発明の素子のチップの平面サイズ〕
次に、本発明者らは、例えば図28Aの構造の半導体発光素子10を簡便に作製する方法に関し検討を行った。前述のとおり、
i)主面が、基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式c1及び式c2を満たし、
ii)主面が、基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式c1のみを満たす場合に、基板主面が略m角形の半導体発光素子を容易に形成できることを見出した。
式c1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
式c2
500(μm)≦Lsc
これは以下の通りの検討から導かれる。
通常のGaN系半導体発光素子は、基板主面に垂直方向に投影した形状が略正方形が主流である。また、長方形、正六角形も存在する。これらGaN系半導体発光素子のLsaやLscの長さは250μm程度であり、tは約100μmである。さらに、LsaやLscの長さが1mm程度を超えるラージチップであってもtは約100μm程度である。
これは主に使用されてきた基板がサファイア等の過剰に硬質な材質であって、その厚みは主に、素子分離やダイシングの素子分離工程の都合によって決定されるためである。
一方、サファイア等の異種基板上のGaN系半導体発光素子は、基板上に半導体層部を形成する際の熱歪みの問題等があり、100μm程度の厚みの基板では結晶成長が困難である。そのため、通常は400μmを超える基板厚みの状態で半導体層部15を形成し、その後、素子化プロセスの最終段で100μm厚程度に基板を研磨して、素子分離工程に備えるプロセスが必要であり、工程が煩雑であった。
一方、窒化物基板例えばGaN基板を用いた場合、その硬度はサファイア基板よりも低く、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の素子分離工程は、比較的厚い基板であっても、相対的には容易にできる。一方、その硬さは、GaAs、GaP、InP、ZnO等よりは硬く、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の素子分離工程において、これら材料ほどには容易ではない。すなわち、窒化物基板を使用する場合は、その硬さに起因した特殊事情を克服する必要がある。また、GaN基板上にGaN系半導体発光素子を形成する場合には、熱歪み等の問題も軽減されると期待される。
そこで、各種の検討を行った結果、基板主面に垂直方向に投影した形状が略五角形から十八角形程度の多角形の半導体発光素子を内在するウエハーの、プロセス上のハンドリングが容易で、かつ、高品質な半導体層部を形成しうる半導体発光素子のGaN基板の厚みtの好ましい下限は、250μm厚であった。
次に、基板主面に垂直方向に投影した形状が略正五角形、略正六角形、略正八角形、略正十二角形の半導体発光素子を250μm厚の基板上に形成し、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の各種方法によって、容易に素子分離し、素子化できる素子寸法を実験的に求めた。ここにおいて、素子分離の容易さはLsaではなく、素子の概略の大きさを規定しうるLscにより依存していることを見出した。具体的には、上記正五角形、正六角形、正八角形、正十二角形の半導体発光素子のLscが500μm以上では、いずれの素子分離も容易であった。さらに、550μm以上では、素子そのものの破損の発生、およびこれによる歩留まり低下が低減された。さらに、Lscが600μm以上の場合には、特にブレーキング工程によるチッピング等の発生が低減された。本発明においては、半導体発光素子の側壁からの光取り出しを行うため、チップ外形におけるチッピングの発生を抑制することは技術的意義が大きい。
すなわち、tが比較的薄い場合のLscの下限は500μm以上であることが好ましく、550μm以上であることがより好ましく、600μm以上であることがより好ましかった。
一方、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の簡便な方法で素子分離工程を実施できるGaN基板の厚みtの上限は5500μmであった。この場合にはダイシング等の素子分離方法が有効である。このように、tが厚い場合にも、Lscが大きいと良好な素子分離ができることがわかった。
しかし、Lscが過剰に大きい場合には、ダイシングシートからの剥離が困難になることが分かった。
特にtが5500μmと膜厚の厚いGaN基板をダイシングする際には、スピンドルに掛かる負荷に耐えるようにGaN基板を十分な粘着力のあるダイシングシートに固定する必要が発生するが、Lscが7000μm以下になるようにダイシングをすると、ダイシング後に素子をシートから剥離する際に、素子に過度な破損を誘発せず、歩留まり低下が低減された。
さらに、Lscが3500μm以下の場合、シート剥離時の素子の部分的な破損が低減され、素子分離後に良好な形状を維持することができた。
scが2800μm以下である場合には、素子の破損の程度はさらに軽減され良好な形状となる素子が多く、好ましかった。Lscが2200μm以下の場合には、格段に良好な素子分離が可能であった。
すなわち、tが比較的厚い場合のLscの上限は、通常7000μm以下であって、好ましくは3500μm以下であって、より好ましくは2800μm以下であって、より好ましくは2200μm以下であった。これらの事実は、GaAs、GaP、InP、ZnO等では見られない事実であった。
特に、500μm≦Lsa≦Lsc≦2200μmを満たす平面形状を有する窒化物基板上の半導体発光素子10は、準備した窒化物基板の上に高品質な半導体層部を形成した後に基板を研磨するなどのプロセスを実施しなくとも、容易に良好な素子分離をすることが可能であった。
また、特に、上式の下限は、550μm以上を満たす場合により好ましく、600μm以上を満たす場合に最も好ましかった。
上式の上限は、2100μm以下を満たす場合がより好ましく、2000μm以下を満たす場合が最も好ましかった。
特に、Lscが800μm程度を超える半導体発光素子10は、いわゆるラージチップと呼ばれる範疇の半導体発光素子となる。一般にラージチップはその発光効率が低いことが問題であったが、本発明の発光素子によれば、半導体発光素子の側壁から効率よく光を取り出すことが可能である。しかも、簡便な方法で作製できる形状となっている。さらに配光特性の制御も可能であるため、良好な特性を有する大型の半導体発光素子を安価に作製することが可能である。
例えば、Lsaが550μmの正六角形のGaN基板上にGaN系半導体層部を有する半導体発光素子の場合、そのLscは1100μm程度となり、式c3から要請される基板厚みはその下限でも約460μmとなる。
よって、このような平面的に比較的大型の素子を、従来のサファイア基板を内在する半導体発光素子のように100μm程度の厚みで作製すると、図3D(上記実施形態Aと共通)に示されるように、本来十分な窒化物基板の厚みがあれば最遠側壁部から取り出し得る光が、主面と対峙する基板面12aで全反射を受け、その光が再度活性層構造に入射することで吸収され、または、第二導電型側電極、第一導電型側電極等によっても吸収されてしまう可能性がある。
本発明は半導体発光素子の平面的な大きさに制限はないが、発光効率が低いことが問題であったラージチップにおいては非常に有効な方法である。さらに、一般に電極における反射率が高くない紫や近紫外、紫外領域の半導体発光素子に好適に利用できる技術である。
〔本発明の素子が有する半導体層部の態様〕
本実施形態においては、半導体層部の周辺部分、すなわち「半導体層部端部」は、図29に例示されるような形態とすることが可能であって、いずれの場合も好ましい。図29は図28Aに例示された線分Lscを含む面の形態を例示したものである。
点A、点Bは半導体層部の上端部(図29ではフリップチップ型の半導体発光素子を想定し、下に位置しているが、半導体層部を形成する、例えばエピタキシャル成長直後は、「上」端部となる。)であって、点C、点Dは活性層構造の端である。点E、点Fは基板主面と半導体層部の境界である下端部(前述と同様、図29ではフリップチップ型の半導体発光素子を想定し、上に位置しているが、半導体層部を形成する際には、「下」端部となる。)であり、点G、点Hは製造上隣接していた他の発光素子との素子分離を行った端部であり、点I、点Jは基板主面と対峙する面の基板端部である。
ここで、基板の形態は、前述の図5に例示したような形態のいずれとも組み合わせることは可能である。
なお、第二の実施形態の中で留意事項として述べたように、本実施形態においても、図5を、側壁部や主面と対峙する面等の形態を種々変更した例を示す図として共通に用いるものとする。
図29(a−1)に例示の形態は、基板主面と垂直な方向から投影した際には、隣接する素子との素子分離端(G、H)と、基板主面と対峙する面の基板端部(I、J)と、基板主面の端(E、F)と、この上に形成された半導体層部の端(A、B)、活性層構造の端(C、D)とのすべてが一致する形態であって、本発明においては容易に形成できるため、好ましい形態である。
図29(b−1)、(b−2)、(b−3)の形態は、基板主面と垂直な方向から投影した際には、隣接する素子との素子分離端と基板主面の端とこの上に形成された半導体層部の端は一致するものの、活性層構造の端とは一致しない形態である。
この中で、半導体層部の側壁は、基板主面と垂直となっている(b−1)の形態は、その作製の簡便さから本発明の好ましい形態であって、また、(b−2)の形態と(b−3)の形態は、半導体層部の内部発光方向の一部を制御し、基板内部に出射される光の方向を変化させることで、側壁から出射される外部発光の方向、すなわち配光特性を制御できるため好ましい。
図30(c−1)、(c−2)、(c−3)の形態は、基板主面と垂直な方向から投影した際には、隣接する素子との素子分離端(G、H)と基板主面の端(E、F)は一致するものの、基板主面の端とこの上に形成された半導体層部の端(A、B)は一致せず、基板主面の端と活性層構造の端(C、D)とも一致しない形態である。
この中で、半導体層部の側壁は、基板主面と垂直となっている(c−1)の形態は、その作製の簡便さから本発明の好ましい形態であって、また、(c−2)の形態と(c−3)の形態は、半導体層部の内部発光方向の一部を制御し、基板内部に出射される光の方向を変化させることで、側壁から出射される外部発光の方向、すなわち配光特性を制御できるため好ましい。
図31(d−1)、(d−2)、(d−3)の形態は、基板主面部分もその一部が加工されているために、主面と垂直な方向から投影した際には、隣接する素子との素子分離端(G、H)と、基板主面の端(E、F)およびこの上に形成された半導体層部の端(A、B)が一致しない形態である。
この中で、半導体層部の側壁は、基板主面と垂直となっている(d−1)の形態は、その作製の簡便さから本発明の好ましい形態であって、また、(d−2)の形態と(d−3)の形態は、半導体層部の内部発光方向の一部を制御し、基板内部に出射される光の方向を変化させることで、側壁から出射される外部発光の方向、すなわち配光特性を制御できるため好ましい。
また、図31に示すように主面が加工されている場合において、主面(E、F)と素子分離端(G、H)との深さh{図31(d−1)〜(d−3)参照}が浅いときは、素子分離端を含む平面(一般に、基板を投影した略m角形と一致する場合が多い。)上において、任意の2点の作る最も長い線分長Lsc’が、式c1、式c3、式c5または式c7において、LscをLsc’で置き換えた式を満たすことが好ましい。
また、これらの形状を本発明の集積型の構成を有する半導体発光素子において、図32に例示するように、発光ユニット間の分離部分に適用することも好ましい。
図29〜図31に例示された本発明の好ましい形態は、半導体層部を加工する際に、ドライエッチング、ウエットエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで実現することが可能である。
特にこの際に、図29〜図31の(a−1)を除く形態においては、基板主面側からみた半導体層部の形態と、前述の図5に例示したような基板部分の形態を独立に決定できるために特に好ましい。また、一方の形態を決定し、他方を非等方的な内部発光プロファイルを考慮して従属的に決定することも、より好ましい。
また、本発明においては、基板を基板主面に垂直方向に投影した形状が略m角形であり、この投影形状は、素子分離端形状と一致しない場合もあるが、一般には一致する場合が多い。また、半導体層部の形態は任意の形状をとることが可能であり、例えば、図33(a)(b)では、素子分離端の平面形状は、基板の主面に垂直方向に投影した形状と略合同な略m角形であるものの、半導体層部の形態は前記略m角形以外の任意の形状が含まれるものである。
ここで、半導体層部、特に活性層構造の端が、基板主面と垂直方向から投影した際に素子分離端の平面形状と略相似形であることは、作成プロセス上から容易であって、より好ましい。また、半導体層部の端部の平面形状が、m角形以外の形状であってもよい。例えば、n角形(nは、3以上の自然数)、円形、楕円形、その他曲線に囲まれる不定形状、直線と曲線により囲まれる不定形等の任意の形状が挙げられる。例えば、nの数字が大きい場合や円形である場合は、半導体層部側壁からの光取り出しの観点でより好ましい。
また特に、基板の側壁部、露出部だけでなく、半導体層の側壁部にも凹凸加工を施されていてもよく、これにより光取り出し効率が向上する。図33(a)には、図5Aの(b−1)のような構成(但し、本実施形態においては平面形状は略m角形)を有する基板上に、図30(c−1)の構成を組み合わせ、基板主面と垂直な方向から投影した際の活性層構造端を円形に配置した例を示す。また、図33(a)の変形例としては、図30(c−2)の構成を組み合わせ、半導体層部側壁が傾斜しているものも好ましい。
また、図33(b)は、図5D(e−1)のような構成を有する基板上に、基板主面と垂直な方向から投影した際の活性層構造端を三角形以上の各種n角形、円形、任意の形状の組み合わせとし、さらにその一部には凹凸加工(詳細な図示は省略するが、例えば側壁部に凹凸加工がされていてもよい)を施した部分を有する、集積型の半導体発光素子とした場合の一例である。
このような半導体層部端部あるいは活性層構造端部の主面側から投影した平面形状は、光取り出しの観点では、対称性の次元が低いほど好ましい。よって、例えば六角形であれば正六角形よりも不等辺六角形が好ましく、m角形であれば正m角形よりも不等辺m角形が好ましい。
[3]半導体発光素子の製造方法
本発明の半導体発光素子の製造方法は、
波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を準備する基板準備工程である第一工程と、
第一工程で準備した基板の主面上に半導体層部を形成する半導体層部形成工程である第二工程と、
少なくとも半導体層部を加工する、半導体層部加工工程である第三工程と、
当該基板と加工された半導体層部を各素子に分離する、素子分離工程である第四工程を含む。
ここで、基板主面に垂直方向に投影した形状が略m角形となるように、そして
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式c1及び式c2を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式c1のみを満たすように形状加工することが好ましい。
式c1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
ここで、tは、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。
式c2
500(μm)≦Lsc
本発明の製造方法では、適切な工程において、基板厚み、素子分離端形状、基板主面形状、半導体層部形状等が、上記の条件が満たすように、必要により加工される。
さらに、窒化物基板の最大物理厚みをts、窒化物基板の主面上に形成される半導体層部の最大物理厚みをtとし、これらの和をtとする際に、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式c5及び式c6を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式c5のみを満たすように形状加工することも好ましい。
ように形状加工することも好ましい。
式c5
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
ここで、tは、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を
表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。
式c6
500(μm)≦Lsa
さらに本実施形態の半導体発光素子には窒化物基板が用いられる。窒化物基板としては前述の同じく、GaN、AlN、BN、InN基板、あるいはこれらの原料からなる混晶基板が好ましいが、GaN、AlN、BN基板を用いることがより好ましく、GaN基板を用いることが最も好ましい。この場合には、前述したような基板の屈折率に関する考察から、式c1および式c5は、それぞれ式c3および式c7:
式c3
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
式c7
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
を満たすことが好ましい。
本発明においては、発光素子の製造方法は容易であることが好ましいので、第一工程から第四工程は、この順に実施することがより好ましい。
なお、第一工程〜第四工程については、基本的には、上記実施形態A、Bと同様に行うことが可能であるため重複する記載は省略し、以下、本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
<第三工程>
本実施形態の第三工程においては、少なくとも窒化物基板の主面上に形成された半導体層を加工する工程を有する。具体的には、少なくとも第二導電型側電極の形成、半導体層のエッチング、第一導電型側電極の形成を含み、これらは任意の順番で実施することができる。また、絶縁層の形成を含んでいてもよい。さらに、半導体層部の加工と同時に、または半導体層部の加工とは別に、基板主面を加工してもよく、そのときに、基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長Lscが、本工程において決まる場合がある。その際、主面を略m角形に加工する場合には、略m角形の主面の最短辺の長さLsaも、本工程において決まる場合がある。
<第四工程>
本実施形態の第四工程においては、少なくとも、基板と加工された半導体層部を各素子に分離する。基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長Lscは、本工程より前の工程で決まる場合もあるが、本工程において決まる場合が多い。その際、主面が略m角形である場合に、略m角形の主面の最短辺の長さLsaも、本工程において決まる場合場合が多い。
いずれにしても、最終的に
i)主面が、基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式c1及び式c2を満たし、
ii)主面が、基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式c1のみを満たす
ように形状加工される。
式c1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
ここで、tは、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。
式c2
500(μm)≦Lsc
あるいは、最終的に
i)主面が、基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式c5及び式c6を満たし、
ii)主面が、基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式c5のみを満たす
ように形状加工される。
式c5
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
ここで、tは、前記基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和を表し、
scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。
式c6
500(μm)≦Lsa
第四工程においては、半導体発光素子を所望の大きさの素子に分割することが重要であって、この点に関する歩留まりを左右する要素は、素子形状そのものにもあることは、前述の通りである。すなわち、前記基板主面が、略m角形(5≦m≦18)である場合は、Lscの下限は、通常500μm以上であって、好ましくは550μm以上であって、より好ましくは600μm以上である。一方、Lscの上限は、通常7000μm以下であって、好ましくは3500μm以下であって、より好ましくは2800μm以下であって、より好ましくは2200μm以下である。
一方、素子分離工程のプロセスに関し、好ましい範囲は以下の通りである。
また機械的スクライビングとして高水圧の水で本発明の半導体発光素子にスクライビングを施すことは非常に好ましい。このようにすると、スクライビング時の基板への着色等を抑制できる他、基板主面に垂直方向に投影した形状が略m角形である窒化物基板の分離形成が比較的容易であるため、好ましい。
すなわち、窒化物基板上に形成された半導体発光素子の製造方法であって、半導体発光素子の主たる構成要素が有するバンドギャップに対して透明となる波長を有する光でスクライブする際に、その内部に集光ポイントを有するようにしてスクライブする方法は、比較的厚膜の窒化物半導体発光素子を歩留まり良く素子分離できる他、基板主面に垂直方向に投影した形状が略m角形である窒化物基板の分離形成が比較的容易であるため、非常に好ましい。
本発明においては、素子分離を実施した際に、素子を粘着シートから剥離する際の歩留まりにおいても、前述の通り、Lscを最適値とすることにより、第四工程における素子分離の歩留まりは高くすることができる。
本実施形態に対応する実施例については、他の形態に対応する実施例と併せて後述するものとする。
〔D:第四の実施形態(超ラージチップ)〕
以下、「超ラージチップ」と呼ばれる範疇の素子(詳細後述)について説明する。
この実施形態においては、窒化物基板上に形成され、比較的大型で高出力動作が可能なチップ(「超ラージチップ」と呼ぶべき範疇に入るチップ)の理想的な光取り出しを、簡便な作製プロセスで実現可能な半導体発光素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
なお、本実施形態の一例として以下に説明するチップの平面形状は第二の実施形態と同様の略四角形である。したがって、本実施形態の説明においては第二の実施形態で用いた図面を参照して説明を行うことがあるが、本実施形態と第二の実施形態とではチップのサイズが異なることに留意されたい。
本実施形態に対応する、発明の要旨は以下に存する。
1. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形である窒化物基板と、
活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部とを有する半導体発光素子であって、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式d1及び式d2を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式d1のみを満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式d1
450(μm)≦t≦22(mm)
(tは前記基板の最大物理厚み)
式d2
1700(μm)≦Lsa≦Lsb≦50(mm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
2. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形である窒化物基板と、
活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部とを有する半導体発光素子であって、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式d3及び式d4を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式d3のみを満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式d3
450(μm)≦t≦22(mm)
(tは、前期基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和)
式d4
1700(μm)≦Lsa≦Lsb≦50(mm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
3. 上記1または2記載の窒化物基板がGaN基板であることを特徴とする半導体発光素子。
4. 上記1〜3のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記基板が、前記活性層構造が発するピーク発光波長λの光に対して略透明であることを特徴とする半導体発光素子。
5. 上記1〜5のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
半導体発光素子のピーク波長λにおいて、
前記基板の波長λにおける屈折率をn(λ)、
前記半導体層部を構成する層Xの波長λにおける屈折率をnLX(λ)、
とした際に、すべての層Xにおいて、
0.75≦(nLX(λ)/n(λ))≦1.25
を満たすことを特徴とする半導体発光素子。
前記半導体層部が窒化物のみから構成されることを特徴とする半導体発光素子。
前記窒化物基板の主面が、(0001)面あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面であることを特徴とする半導体発光素子。
前記窒化物基板の主面が、(1−10n)面、(11−2n)面(但しnは0、1、2、3)あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面であることを特徴とする半導体発光素子。
前記窒化物基板の露出面が、前記主面と略平行な面、および、前記主面に対して略垂直な面によって構成されていることを特徴とする半導体発光素子。
前記窒化物基板の露出面が、前記主面に対して略垂直な方向から傾斜している面を含むことを特徴とする半導体発光素子。
前記窒化物基板の露出面が、前記主面と略平行な面をも含むことを特徴とする半導体発光素子。
前記窒化物基板の露出面が、前記主面に対して略垂直な面をも含むことを特徴とする半導体発光素子。
前記窒化物基板の露出面が、前記主面と略平行な面と主面に対して略垂直な面のいずれをも含むことを特徴とする半導体発光素子。
前記窒化物基板の露出面が、前記主面に対して略垂直な方向から傾斜している面以外の面を含まないことを特徴とする半導体発光素子。
前記主面に対して略垂直な面から前記窒化物基板の露出面が傾斜している角度βが下記式のいずれかを満たすことを特徴とする半導体発光素子
−22.5度 ≦ β < 0.0度
0.0度 < β ≦22.5度
前記窒化物基板の露出面が、凹凸加工されている部分を有することを特徴とする半導体発光素子。
前記半導体層部の端部が、前記窒化物基板の主面に対して略垂直であることを特徴とする半導体発光素子。
前記半導体層部の端部が、前記窒化物基板の主面に対して略垂直でないことを特徴とする半導体発光素子。
前記基板の投影形状である前記略四角形に対して、当該半導体層部の端部の平面形状が、略合同または略相似形となっていることを特徴とする半導体発光素子。
前記基板の投影形状である前記略四角形に対して、当該半導体層部の端部の平面形状が、略合同でも略相似形でもないことを特徴とする半導体発光素子。
前記半導体層部の端部の平面形状が、四角形以外の形状であることを特徴とする半導体発光素子。
前記半導体層部の平面形状が、端部に凹凸形状を有することを特徴とする半導体発光素子。
前記半導体層部が、第二導電型半導体層を有することを特徴とする半導体発光素子。
前記第二導電型半導体層の厚みが10nm以上180nm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
前記半導体層部が、第一導電型半導体層を有することを特徴とする半導体発光素子。
前記半導体層部が、第一導電型側電極とは接しておらず第二導電型側電極と接し、
前記第一導電型側電極は前記窒化物基板と接していることを特徴とする半導体発光素子。
前記半導体層部が、第一導電型側電極と第二導電型側電極とともに接していることを特徴とする半導体発光素子。
前記活性層構造が、量子井戸層と障壁層とを有することを特徴とする半導体発光素子。
前記量子井戸層数が、4層以上30層以下であることを特徴とする半導体発光素子。
前記量子井戸層の厚みの最大値が40nm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
前記量子井戸層の数をNUMQW
前記量子井戸層を構成する層の平均物理厚みをTQW(nm)、
前記量子井戸層を構成する層の波長λにおける平均屈折率をnQW(λ)、
前記障壁層の数をNUMBR
前記障壁層を構成する層の平均物理厚みをTBR(nm)、
前記障壁層を構成する層の波長λにおける平均屈折率をnBR(λ)、
前記第二導電型半導体層の物理厚みをT(nm)、
前記第二導電型半導体層の屈折率をn(λ)とする際に、
以下の数8を満たすことを特徴とする半導体発光素子。
Figure 2012023249
前記半導体層部のピーク発光波長λが370nm以上430nm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
前記半導体層部に形成される発光ユニットが複数存在することを特徴とする半導体発光素子。
前記窒化物基板中の酸素濃度が5×1017(cm−3)未満であることを特徴とする半導体発光素子。
前記窒化物基板の熱伝導率が200W/m・K以上であることを特徴とする半導体発光素子。
前記窒化物基板の転位密度が9×1016(cm−2)以下であって、当該転位の分布が略一様であることを特徴とする半導体発光素子。
前記窒化物基板には分極反転領域を有さないことを特徴とする半導体発光素子。
6. 上記1〜5のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
その外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxから、スネルの法則を用いて求められる半導体発光素子内部における内部発光強度密度の最大値を示す方向θem maxが少なくとも以下の式のいずれか一方を満たす平面が存在することを特徴とする半導体発光素子
−90.0度 < θem max ≦−67.5度
67.5度 ≦ θem max < 90.0度
7. 上記1〜6のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxが、少なくとも以下の式のいずれか一方を満たす配光特性となる平面が存在することを特徴とする半導体発光素子
−90.0度 < φem max ≦−32.5度
32.5度 ≦ φem max <90.0度
8. 上記1〜7のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
前記主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値が、0度における外部発光強度密度よりも20%以上大きくなる平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
上記半導体発光素子を有する半導体発光装置であって、
前記半導体発光素子の半導体層部側が放熱板に近接していることを特徴とする半導体発光装置。
上記半導体発光素子を有する半導体発光装置であって、
当該半導体発光素子が、シリコーン系材料またはガラス材料で覆われていることを特徴とする半導体発光装置。
9.基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形となる半導体発光素子の製造方法であって、
窒化物基板を準備する第一工程と、
前記窒化物基板の主面上に半導体層部を形成する第二工程と、
前記半導体層部を加工する第三工程と、
前記基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含み、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式d1及び式d2を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式d1のみを満たすように形状加工することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
式d1
450(μm)≦t≦22(mm)
(tは前記基板の最大物理厚み)
式d2
1700(μm)≦Lsa≦Lsb≦50(mm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
10. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形となる半導体発光素子の製造方法であって、
窒化物基板を準備する第一工程と、
前記窒化物基板の主面上に最大物理厚みtの半導体層部を形成する第二工程と、
前記半導体層部を加工する第三工程と、
前記基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含み、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式d3及び式d4を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式d3のみを満たすように形状加工することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
式d3
450(μm)≦t≦22(mm)
(tは、前期基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和)
式d4
1700(μm)≦Lsa≦Lsb≦50(mm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
11. 上記9または10記載の半導体発光素子の製造方法であって、
前記窒化物基板をGaN基板とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第一工程から第四工程をこの順に実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第一工程において準備する窒化物基板中の酸素濃度を5×1017(cm−3)以下とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第一工程において準備する窒化物基板の熱伝導率を200W/m・K以上とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第一工程において準備する窒化物基板の転位密度を9×1016(cm−2)以下とし、かつ、当該転位の分布を略一様とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第一工程において準備する窒化物基板は分極反転領域を有さないように、選択成長用マスクを用いないで準備することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
当該窒化物基板をGaN基板とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第一工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第一第二工程間工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第二工程において形成する半導体層部をすべて窒化物とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第二工程における窒化物基板主面上に形成される半導体層部をAlGaIn1−(x+y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第二工程における半導体層部の形成を、MOCVD、MBE、PLD、PED、PSD、H−VPE、LPE法のいずれかの方法、もしくはその組み合わせによって行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第二工程で形成される半導体層部の形成初期過程を、意図的なSi原料供給がされないエピタキシャル成長過程とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第二工程における前記半導体層部内の量子井戸層形成時のIn濃度を、そのピーク発光波長λが370nm以上430nm以下となるように調整することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第二第三工程間工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第三工程において、半導体層部のエッチングを行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第三工程において、半導体層部に電極形成を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
基板に接して電極形成を行う工程をも含むことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第三工程において、半導体層部端部形成工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第三工程における前記半導体層部端部の加工を、前記窒化物基板の主面に対して略垂直にすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第三工程における前記半導体層部端部の加工を、前記窒化物基板の主面に対して略垂直でないようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
前記半導体層部端部の加工を、前記半導体層部の途中まで、前記基板界面まで、または
、前記基板の途中までのいずれかの深さで実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
半導体層部端部の加工を、ドライエッチング、ウエットエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
半導体層部端部に平面的な凹凸形状を付与することすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第三工程において、予定された1つの発光素子内の前記半導体層部に複数の発光ユニットを形成することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
複数の発光ユニットが発光ユニット間分離溝によって分離されるようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
発光ユニット間分離溝を、ドライエッチング、ウエットエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで形成することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第三第四工程間工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第四工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第四工程において、半導体層部側に分離始点を有するようにして素子分離することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第四工程において、窒素化物基板側に分離始点を有するようにして素子分離することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
分離始点の形成を機械的スクライビング、光学的スクライビング、ダイシング、ドライエッチング、ウエットエッチングのいずれかの方法、もしくはこれらの組み合わせで行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第四工程における各素子の分離時に、窒化物基板の分離面が、当該基板の主面と略垂直となる部分を含むようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第四工程における各素子の分離時に、窒化物基板の分離面が、当該基板の主面と略垂直な方向から傾斜している部分を含むようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
分離面の形成を、ブレーキング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビング、ドライエッチング、ウエットエッチングのいずれかの方法、もしくはその組み合わせで行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第四工程後工程において、基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
基板厚み調整工程を、研磨、エッチングいずれかの方法もしくはその組み合わせで実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
基板露出面形成工程を、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビング、ドライエッチング、ウエットエッチングのいずれかの方法もしくはこれらの組み合わせで実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
基板上凹凸形状形成工程をウエットエッチング、ドライエッチング、ダイシング、機械的スクライビング、光学的スクライビングのいずれかの方法もしくはこれらの組み合わせで実施することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
第四工程後に前記半導体発光素子に内在する基板が、第一工程で準備された基板であるようにすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
12. 上記9〜11のいずれか1項に記載の方法で準備された半導体発光素子を用いて、第四工程後に半導体発光装置を作製する際の方法であって、
半導体発光素子の半導体層部側をサブマウントに搭載する工程を有することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
13. 上記9〜11のいずれか1項に記載の方法で準備された半導体発光素子を用いて、第四工程後に半導体発光装置を作製する際の方法であって、
半導体発光素子を封止する工程を有することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
以下、図面を参照しながら本実施形態について説明する。
[1]半導体発光素子
本発明の半導体発光素子は、基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形である窒化物基板の主面上に半導体層部を有する半導体発光素子であり、下記(1)〜(5)が特定の関係を有することを主要な要件とする。
(1)半導体発光素子のピーク発光波長λ
(2)基板の最大物理厚みt、または基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和t
(3)主面が略四角形である場合の当該略四角形の最短辺の長さLsa
(4)主面が略四角形である場合の当該略四角形の最長辺の長さLsb
(5)基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lsc
上記(1)〜(5)について特定の関係を満たす結果、比較的大型で高出力動作が可能な、超ラージチップとでも呼ぶべき範疇の半導体発光素子において、当業者の技術常識を大幅に越える物理厚みを有する基板を備えた形状となる。これにより、発光素子の側壁面からの光を取り出し効率を向上させ、絶対値として大きな全放射束を実現することができ、結果として高出力化、高効率化を達成することができる。
本実施形態の半導体発光素子の主要な構成要件は、上記第一、第二および第三の実施形態と同様、本発明者らが明らかにした自然法則を利用した技術思想が裏付けになるものである。これらの技術思想については、基本的に、上述したものと同様である。
以下の説明では、上記実施形態と相違する部分を中心に説明するものとする。
〔半導体発光素子の必要基板厚みの導出〕
これまで見てきたように、本発明の半導体発光素子の内部発光強度密度の最大値を示す角度θem maxの絶対値は、好ましくは67.5度以上であって90度未満を満たす。このために、内部発光強度密度の高い方向は、半導体発光素子の活性層構造と平行に近い方向である。さて、一般に半導体発光素子を構成する基板、第一導電型半導体層、活性層構造、第二導電型半導体層などに、極端な屈折率差が存在しなければ(例えばこれら材料の屈折率が25%の差以下であれば、また、好ましくは20%の差以下、より好ましくは10%の差以下、最も好ましくは5%の差以下であれば)、内部発光強度密度の高い方向に向かう光は、次のような挙動をしめす。
図43を用いて説明する。図43は、第二の実施形態のような平面形状が略四角形の半導体発光素子を側壁面側から観察した場合を模式的に示したものである。
ここにおいて、図面下側には半導体層部、電極等が存在し、かつ、図面上側が窒化物基板(例えば発光波長における屈折率は2.5)であるフリップチップの形態を例示し、記載しているものとする。また、実線は主たる光線の挙動を示しており、点線は強度が弱まった光線の挙動を示している。さらに、ここにおいては内部発光強度密度の最大値を示す角度θem maxを80度として図示した。
図43(a)は、通常の半導体発光素子の形状の場合を示している。基板の厚みは100μm程度であって、素子の一辺の長さは350μm程度である。また一般的な正方形の投影形状を有する素子を仮定するとその対角線の長さは495μm程度である。
この場合には、よく知られた半導体発光素子の厚みとしても、内部発光強度密度の最大値を示す角度に出射された光は側壁面に到達し、臨界角以下の角度であるので、素子外に取り出しうる光となる。すなわち、素子の形状としての光取り出し効率は高いと考えられる。
しかし、図43(b)に示されるように、素子の一辺の長さが長い場合には、同様の発光方向に向かう光(実線参照)は、図中の下面(主には電極面)に触れることで強度が低下する、あるいは完全に吸収されるために、取り出しうる光とはならない。すなわちこのような形状を有する素子の光取り出し効率は低いと考えられる。
しかし、図43(b)と同じ素子の一辺の長さを有する場合であっても、図43(d)のように、基板の絶対厚みが厚い場合には、同様の発光方向に向かう光は、図中の下面(主には電極面)に触れることなく、側壁に到達し(実線参照)、さらに、臨界角以下の角度であるので、素子外に取り出しうる光となる。このような素子の形状としての光取り出し効率は高いと考えられる。換言すると、このような一辺の長さが長い素子においては、基板を厚膜化することによる光取り出し効率の改善には顕著な効果があると考えられる。一方、図43(c)のような素子形状は、基板の厚み自体は十分なので、光取り出し効率は図43(a)と同等で基板厚みを厚くしても光取り出し効率の向上は期待できないと考えられる。
そこで、これらのことを定量的、かつ詳細に検討をするために、数学的なシミュレーションを行った。まず、シミュレーションの第一段階において内部発光強度密度の角度分布を計算した。内部発光強度密度の角度分布は、第一導電型半導体層の構成、活性層構造の構成、第二導電型半導体層の構成、及び第二導電型側電極の構成によって決定される。ここにおいて、活性層からの発光を、等方的な向きを有する双極子による非等方的な内部放射と仮定し、特性マトリクス法を使用することで、各層での多重反射や光の干渉を計算し、内部発光強度密度の角度分布を求めた。
次に、第二段階において、第一段階で計算した内部発光強度密度の角度分布に従って確率論的に発生させた光線を幾何光学的に追跡する光線追跡シミュレーションを行った。これにより、半導体発光素子からの光取り出し効率に対する素子形状の影響を計算した。
図44は、図43で定性的な考察を行った結果を踏まえて、基板主面に垂直方向に投影した形状を正方形と仮定し、当該正方形の1辺の長さ(L)をパラメータにして、基板厚みが100μmである場合の光取り出し効率を1とした際に、基板厚みを厚膜化することによって、光取り出し効率がどのようになるかの比(光取り出し効率比)を示したものである。ここで基板の光取り出し面は鏡面とし、側壁にも光学的な外乱はないものとして計算を行った。図3Aとの対応は、L=Lsa=Lsbであって、Lsc=√2×Lである。
図44から明らかなように、例えば正方形の1辺の長さが0.4mm(L=0.4)の場合は、基板厚みを厚くしても、ほとんど光取り出し効率比は改善しない。たかだかその改善度合いは2%程度である。しかし、例えば正方形の1辺の長さが2.0mm(L=2.0)の場合においては、基板厚みを厚くすることによる光取り出し効率比の改善度合いは大きい。例えば基板厚みを100μmから600μmにまで厚膜化すると、光取り出し効率が1.22程度となり、約22%改善することが分かる。
この図44から、基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形であって、その一辺の長さが1.7mm(L=1.7)以上ある素子においては、450μm以上の厚い基板を発光素子に内在させることで、1辺の長さが0.4mm(L=0.4)程度の通常の発光素子よりもその改善度合いを約10倍にすることが可能であることが分かる。すなわち、約20%の光取り出し効率比向上を、安定的に実現できることが分かる。図中には計算上の光取り出し効率比向上が19%から21%となる部分を帯状に強調してある。さらには、基板厚みは500μm以上が好ましく、550μm以上がより好ましく、600μm以上がより好ましく、650μm以上がより好ましく、700μm以上がより好ましく、750μm以上がより好ましく、800μm以上が最も好ましいことも分かる。
さらに、図44より、1辺の長さがさまざまな素子に関して計算を行ったところ、光取り出し効率比向上は、多くの好ましい1辺の長さを有する素子において、450μm以上において飽和傾向が見られることも分かる。
また、光取り出し効率の改善度合いは、基板厚みは過度に厚くしても、厚みに比例するようには改善しない。また、このような場合はコスト高になるので、その厚みの上限は22mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがより好ましく、2mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることがより好ましい。
素子の一辺の長さの上限は特に制約されないが、半導体層を形成しうる基板全体の外形によって制約を受けるのが普通であって、その素子の一辺の長さは50mm以下であることが好ましく、25mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
〔発光素子の投影形状〕
本発明者らは、前述の内部発光強度密度の最大値を有する方向を含んで、かつ、それ以外の方向に出射された内部発光も、可能な限り、半導体側壁部から外部に取り出すことが、半導体発光素子の光取り出し効率向上に効果的であることを見出した。すなわち本発明の半導体発光素子は、窒化物基板を、基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形であることを特徴の一つとしている。
図19A(第二の実施形態と共通)は半導体発光素子の幾何形状を模式的に示す斜視図である。図19Aに示すように、この半導体発光素子10は、窒化物基板12の主面上(図の下側)に、ピーク発光波長λの光を発する活性層構造16を含む半導体層部15を有している。図19Aの例では、窒化物基板12を、基板主面21に垂直方向に投影したとき、略四角形の形状となる。また、側壁面のすべてが基板主面21に対して垂直であるため、窒化物基板12の投影形状は、基板主面21の平面形状と一致して製造誤差の範囲で合同(以下、「略合同」と表現することがある。)であって、主面も略四角形の形状となっている。この場合、基板主面に垂直方向に投影した形状は、一般に隣接する素子分離端の形状と一致する。また、後述するように、壁面等が加工された例の中で、主面が加工された場合には、基板主面21の平面形状が、基板を基板主面に垂直に投影した形状より小さくなる場合がある。この場合、基板主面形状は、略四角形であってもよく(但し、基板を基板主面に垂直方向に投影した形状より小さい。)、また略四角形以外の形状、例えば、n角形(nは、4を除く3以上100以下の自然数)、円形、楕円形、その他曲線に囲まれる不定形状、直線と曲線により囲まれる不定形等の任意の形状であってもよい。
ここで、本実施形態の半導体発光素子は、基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形である窒化物基板と、
活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部とを有する半導体発光素子であって、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式d1及び式d2を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式d1のみを満たす
ことを特徴とする半導体発光素子。
式d1
450(μm)≦t≦22(mm)
(tは前記基板の最大物理厚み)
式d2
1700(μm)≦Lsa≦Lsb≦50(mm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
これらの式を満たす構成は、内部発光強度密度の最大値を示す方向が活性層構造に平行方向に近い半導体発光素子において、その側壁からの光の取り出し効率を効果的に向上させることができる。同時に、このような構造は簡便な作製方法によって実現することができる。さらに、このような構造は、配光特性を制御しうる構造である点でも有利である。
図19Aの例は、前述のとおり、側壁面のすべてが基板主面21に対して垂直であり、窒化物基板12の投影形状は、基板主面21の平面形状と一致し、この投影形状は素子分離端形状でもある。このように投影形状が略四角形の場合、五角形以上の多角形構造よりも形状として平面充填性に優れており、窒化物基板に多数の半導体発光素子を作り込む際に有利である。
また、三角形の平面構造を有するものよりも、スクライブライン等を形成する回数を減らすことができる。例えば、正方形の平面形状は直行する2方向からのスクライブで形成できるか、三角形の平面構造を形成するには、少なくとも3方向からのスクライブが必要である。
好ましい窒化物基板の厚みtは、図44で考察したとおり、以下のように与えられる。
図44から明らかなように、例えば正方形の1辺の長さが0.4mm(L=0.4)の場合は、基板厚みを厚くしても、ほとんど光取り出し効率比は改善しない。たかだかその改善度合いは2%程度であった。同時に、図44から、基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形であって、その一辺の長さが1.7mm(L=1.7)以上ある素子においては、450μm以上の厚い基板を発光素子に内在させることで、L=0.4である通常の発光素子よりもその改善度合いを約10倍にすることが可能であることが分かる。すなわち、約20%の光取り出し効率比向上を、安定的に実現できることが分かる。図中には計算上の光取り出し効率比向上が19%から21%となる部分を破線で囲んで示してある。
さらには、基板厚みは500μm以上が好ましく、550μm以上がより好ましく、600μm以上がより好ましく、650μm以上がより好ましく、700μm以上がより好ましく、750μm以上がより好ましく、800μm以上が最も好ましいことも分かる。
また、光取り出し効率の改善度合いは、基板厚みは過度に厚くしても、厚みに比例するようには改善しない。また、このような場合は、コスト高になるので、その厚みの上限は22mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがより好ましく、2mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることがより好ましい。
素子の一辺の長さの上限は特に制約されないが、半導体層を形成しうる基板全体の外形によって制約を受けるのが普通であって、その素子の一辺の長さは50mm以下であることが好ましく、25mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
〔本発明の素子のチップの平面サイズ〕
特に本発明のように至極厚いGaN基板上に形成された半導体発光素子を素子分離する要請がある場合においては、後述するように素子分離に関して通常のスクライブ、ブレーキング、ダイシング等よりもレーザ加工を基礎とした方法を採用することが好ましい。
本実施形態における、1700(μm)≦Lsa≦Lsbを満たすような、通常の大きさをはるかに平面サイズを有する「超ラージチップ」は、レーザ加工によって素子分離部を形成した場合が好ましいことが分かった。具体的には、450(μm)を超える厚みを有するGaN基板上に形成された半導体発光素子も、容易に素子分離できることが分かった。また、実験的には、22mmの厚さを有するGaN基板上の半導体発光素子を1700(μm)角に素子分離することも可能であった。よって、本発明における素子分離はレーザによる加工を基礎として実施することが好ましい。
本発明の要件を満たす半導体発光素子10は、その平面形状から言っていわゆるラージチップよりも大きく「超ラージチップ」と呼ぶべき範疇の半導体発光素子となる。一般には、ラージチップですらその発光効率が低いことが問題であったが、本発明の超ラージチップの範疇に入る発光素子は、その側壁から効率よく光を取り出すことが可能であって、レーザ加工等を基礎として比較的安定的に素子分離も可能である。さらに、配光特性の制御も可能である。よって、本発明によれば、良好な特性を有する超大型の半導体発光素子を安定的に作製することが可能である。
例えば、GaN基板上にGaN系半導体層部を有するLsaとLsbがともに2000μmの半導体発光素子の場合、平面的に比較的大型の素子を、従来のサファイア基板を内在する半導体発光素子のように100μm程度の厚みで作製すると、第一の実施形態の図3Dに示されるように(但し、ここでは平面形状は略四角形)、本来十分な窒化物基板の厚みがあれば側壁部から取り出し得る光が、主面と対峙する基板面12aで全反射を受け、その光が再度活性層構造に入射することで吸収され、または、第二導電型側電極、第一導電型側電極等によっても吸収されてしまう可能性がある。
上記のように、本発明は半導体発光素子の平面的な大きさが大きい素子において非常に有効な方法であって、さらに、一般に電極における反射率が高くない紫や近紫外、紫外領域の半導体発光素子に好適に利用できる技術である。
[3]半導体発光素子の製造方法
本発明の半導体発光素子の製造方法は、
窒化物基板を準備する第一工程と、
前記窒化物基板の主面上に半導体層部を形成する第二工程と、
前記半導体層部を加工する第三工程と、
前記基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含む。
ここで、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式d1及び式d2を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式d1のみを満たすように形状加工することが好ましい。
式d1
450(μm)≦t≦22(mm)
(tは前記基板の最大物理厚み)
式d2
1700(μm)≦Lsa≦Lsb≦50(mm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
本発明の製造方法では、適切な工程において、基板厚み、素子分離端形状、基板主面形状、半導体層部形状等が、上記の条件が満たすように、必要により加工される。
さらに、基板の最大物理厚みをt、半導体層部の最大物理厚みをtとし、これらの和をtとする際に、
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式d3及び式d4を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式d3のみを満たすように形状加工することをも好ましい。
式d3
450(μm)≦t≦22(mm)
(tは、前期基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和)
式d4
1700(μm)≦Lsa≦Lsb≦50(mm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
さらに本実施形態の半導体発光素子には窒化物基板が用いられる。窒化物基板としては前述の同じく、GaN、AlN、BN、InN基板、あるいはこれらの原料からなる混晶基板が好ましいが、GaN、AlN、BN基板を用いることがより好ましく、GaN基板を用いることが最も好ましい。
一般的には、第一の実施形態、第二の実施形態、第三の実施形態において前述したように、本実施形態においても、
基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長をLsc
当該基板の半導体発光素子のピーク波長λにおいて、前記基板の波長λにおける屈折率をn(λ)とする際に、基板厚みtは、
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
の関係を満たすことはより好ましい。
この場合には、第一の実施形態、第二の実施形態、第三の実施形態において前述したような、基板の屈折率に関する考察から、それぞれ式d3および式d7:
式d3
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
式d7
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395
を満たすことがより好ましい。
また、本実施形態においては、例えば図7のような形態においては、基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lscは、実際の活性層構造の任意の2点の作る最も長い線分長よりも長くなるが、Lscによって規定される長さから決定されることが好ましい。
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
の関係によって与えられるtは、十分な厚みを与える。よって、本発明においては、図20〜図22に例示したような種々の形態はすべて好ましい。
本発明においては、発光素子の製造方法は容易であることが好ましいので、第一工程から第四工程は、この順に実施することがより好ましい。
なお、第一工程〜第四工程については、基本的には、上記実施形態A〜Cと同様に行うことが可能であるため重複する記載は省略し、以下、本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
<基板厚み調整工程>
基板厚み調整に関し、本実施形態においては、特に超厚膜の窒化物基板が素子内に内在するようにすることが好ましいため、1つの基板に対して他の基板を厚み方向に対して貼り付けることも好ましい。この際には、前者と後者の屈折率差は25%以内であることが好ましく、10%以内であることがより好ましく、5%以内であることがより好ましく、3%以内であることがより好ましく、実効的に同じ屈折率を有することが最も好ましい。
一方、超厚膜の窒化物基板に露出面形成をする場合には、光学的なスクライビングを施すことも非常に好ましい。これは、光学的なスクライブにおいては、窒化物基板に対して入射する光の波長、光の強度密度、エネルギー密度、集光点の位置などを適宜選択することで、超厚膜の基板に対しての加工可能性をダイシングよりも高く保つことができるため、好ましい。
<第四工程>
本実施形態の第四工程においては、少なくとも、基板と加工された半導体層部を各素子に分離する。基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長Lscは、本工程より前の工程で決まる場合もあるが、本工程において決まる場合が多い。その際、主面が略四角形である場合に、略四角形の主面の最短辺の長さLsaおよび略四角形の主面の最長辺の長さLsbも、本工程において決まる場合場合が多い。
いずれにしても、最終的に
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式d1及び式d2を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式d1のみを満たすように形状加工される。
式d1
450(μm)≦t≦22(mm)
(tは前記基板の最大物理厚み)
式d2
1700(μm)≦Lsa≦Lsb≦50(mm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
あるいは、最終的に
i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、式d3及び式d4を満たし、
ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、式d3のみを満たすように形状加工される。
式d3
450(μm)≦t≦22(mm)
(tは、前期基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和)
式d4
1700(μm)≦Lsa≦Lsb≦50(mm)
(但し、
saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
本実施形態の第四工程においては、具体的には、第三工程を終了した製造途上の半導体発光素子を含むウエハーの粘着シートへの貼り込み、レーザ加工(レーザスクライビング)、ブレーキング、粘着シート上での素子分離、粘着シートからの素子剥離等の任意の工程を任意の順番で行うことが可能である。また、第四工程において、基板の一部を加工して新たな露出面を形成する露出面形成工程、少なくとも露出面の一部に凹凸加工を付与する凹凸形成工程を有することも好ましい。
本実施形態に対応する実施例については、他の形態に対応する実施例と併せて後述するものとする。
〔E:第二導電型半導体層について〕
以下、第二導電型半導体層の厚みについて説明する。
これまでの説明では、内部発光強度密度Jin(θ)が最大値となる際のθをθ em max(度)として、
67.5(度)≦ θ em max <90(度)
となることが好ましいことを説明した。また、この結果として、第二導電型半導体層の厚みは10nm以上180nm以下であることが好ましいことについて述べた。
これに関して、下記の方針1〜方針3のような技術思想をさらに追加可能である。
(1)すなわち、
方針1:
内部発光強度密度Jin(θ)の最大値を与える角度θem max(度)に最近接し、
in(θ)に極小値を与える角度θem
L-minimal(度)が以下を満たすことが望ましい。
θem L-minimal(度)<67.5(度)
より一般的には、
θem L-minimal(度)<(90−sin−1(1/n(λ)))(度)
であることが望ましい。
なお、半導体発光素子がモールドしてあり、
臨界角が(90−sin−1(nout(λ)/n(λ)))(度)となる場合も、
例えば、nout(λ)=1.4であればθem
L-minimal(度)<55.9(度)となるので、nout(λ)=1.0(空気や真空)としてθem L-minimal(度)<67.5(度)の場合を考えておけば十分な範囲を与えることとなる。
方針2:
θ=θ em max(度)における内部発光強度密度の最大値Jin(θem max)と、67.5度における内部発光強度密度Jin(67.5)の比(Jin(67.5)/Jin(θ em max))が以下を満たすことが好ましい。
in(67.5)/Jin(θem max)≦0.9
より一般的には、
in(90−sin−1(1/n(λ)))/Jin(θem max)≦0.9
であることが望ましい。
方針3:
θ=θ em max(度)における内部発光強度密度の最大値Jin(θem max)と、67.5度における内部発光強度密度Jin(67.5)の比(Jin(67.5)/Jin(θem max))が以下も満たすことがさらに好ましい。
in(67.5)/Jin(θ em max )≦0.8
より一般的には、
in(90−sin−1(1/n(λ)))/Jin(θ em max)≦0.8
であることがさらに望ましい。
(2−1)
方針1、2についての理由を、図45等を参照して説明する。
図45は、GaN基板上の発光素子の場合であって、内部発光強度密度の放射方向(θem)依存性を示したグラフであって、第二導電型半導体層厚みをパラメータとしている。ここで、量子井戸層数は8、量子井戸層の厚みは2nm、バリア層は13nmと仮定した結果である。さらに、図中の67.5(度)≦θ em≦90(度)の範囲の内部発光は、半導体発光素子側壁からの光取り出しが可能な光であって、図中にはこの臨界角である67.5度の部分が明示されている。
同図に示すように、グラフ中の150nmの線(やや太く描かれている線)を境にして、150nmを超える第二導電型半導体層の厚みがあると、すなわち、67.5(度)≦θ em L-minimal ≦90(度)であると、素子側壁から光取り出し可能な67.5度から90度までの方向に向かう内部発光光の総量が過度に減少し始めてしまう(方針1)。
一方、グラフ中の70nmの線(やや太く描かれている線)を境にして、(Jin(67.5)/Jin(θ em max))が0.9より大きい場合(計算例では60、50nmなど)は、光取り出しができない、67.5度より小さい部分にも過剰に内部発光が向かう傾向になってしまう(方針2)。
また、素子側壁から光取り出し可能な67.5度以上90度以下の方向に向かう内部発光光の総量が過度に減少し始めてしまう。
(2−2)
方針1、3についての理由を、図46を参照して説明する。図46は図45と同様の図であるが、グラフ中の太線で示した部分が異なっている。
最初に、図46の例を用いて、方針1についての理由を再度説明すると、次の通りである。すなわち、同図に示すように、グラフ中の150nmの線を境として、67.5(度)≦θ em L-minimal≦90(度)であると、素子側壁から光取り出し可能な67.5度から90度までの方向に向かう内部発光光の総量が過度に減少し始めてしまう(方針1)。
一方、図46のグラフ中の80nmの線(やや太く描かれている線)を境にして、(Jin(67.5)/Jin(θ em max ))が0.8より大きい場合(計算例では70、60、50nmなど)は、67.5度より小さいの光取り出しができない部分にも過剰に内部発光が向かってしまう傾向になってしまう(方針3)。
また、素子側壁から光取り出し可能な67.5度以上90度以下の方向に向かう内部発光光の総量が過度に減少し始めてしまう。
上記方針1〜3は、側壁からの光取り出しを考慮した場合に到達する技術思想であって、従来の半導体発光素子のような発光素子側壁からの光取り出しを主としない場合においては、考慮されてこなかった事項である。
よって、側壁からの光取り出しを主としうる半導体発光素子の構成において、第二導電型側半導体層の厚みを70nm以上150nm以下とすることは、格段の効果を生み出すこととなり、好ましい。また、第二導電型側半導体層18の厚みを80nm以上150nm以下とする事はより好ましい。
以上をまとめると、本実施形態に係る発明の要旨は以下の通りである。
1.
第二導電型半導体層、ピーク波長λの光を発する量子井戸層とバリア層を有する活性層構造、第一導電型側半導体層、波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を有し、側壁からの光取り出しを主とする半導体発光素子であって、
内部発光強度密度の最大値示す方向θ em max(度)に最近接し、
内部発光強度密度に極小値を与える方向θem L-minimal(度)が、以下の式e1を満たし、
かつ、
方向(90−sin−1(1/n(λ)))(度)における内部発光強度密度Jin(90−sin−1(1/n(λ)))と、θ em max(度)における内部発光強度密度の最大値Jin(θ em max)との比が、以下の式e2を満たすような、第二導電型側半導体層厚み、量子井戸層数、および量子井戸層厚みを有することを特徴とする半導体発光素子。
式e1:θ em L-minimal(度)<90−sin−1(1/n(λ))(度)
式e2:(Jin(90−sin−1(1/n(λ)))/Jin(θ em max))≦0.9
(A)
第二導電型半導体層、ピーク波長λの光を発する活性層構造、第一導電型側半導体層、波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を有し、側壁からの光取り出しを主とする半導体発光素子であって、
第二導電型側半導体層の厚みが70nm以上150nm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
(B)
第二導電型半導体層、ピーク波長λの光を発する活性層構造、第一導電型側半導体層、波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を有し、側壁からの光取り出しを主とする半導体発光素子であって、
内部発光強度密度の最大値を示す方向θ em max(度)に最近接し、内部発光強度密度に極小値を与える方向θem L-minimal(度)が、以下の式e1を満たし、
かつ、
方向(90−sin−1(1/n(λ)))(度)における内部発光強度密度Jin(90−sin−1(1/n(λ)))と、θ em max(度)における内部発光強度密度の最大値Jin(θ em max)との比が、以下の式e2を満たすような第二導電型側半導体層の厚みを有することを特徴とする半導体発光素子。
式e1:θ em L-minimal(度)<90−sin−1(1/n(λ))(度)
式e2:(Jin(90−sin−1(1/n(λ)))/Jin(θ em max))≦0.9
(C)
第二導電型半導体層、ピーク波長λの光を発する活性層構造、第一導電型側半導体層、GaN基板を有し、側壁からの光取り出しを主とする半導体発光素子であって、
内部発光強度密度の最大値示す方向θ em max(度)に最近接し、内部発光強度密度に極小値を与える方向θem L-minimal(度)が、以下の式e3を満たし、
かつ、
方向67.5度における内部発光強度密度Jin(67.5)と、θ em maxにおける内部発光強度密度の最大値Jin(θ em max )との比が、以下の式e4を満たすような第二導電型側半導体層の厚み有することを特徴とする半導体発光素子。
式e3:θ em L-minimal(度)<67.5(度)
式e4:(Jin(67.5)/Jin(θ em max))≦0.9
(D)
上記(A)〜(C)のいずれかに記載の半導体発光素子であって、前記窒化物基板の主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値が、0度における外部発光強度密度よりも20%以上大きくなる平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
〔F1:MQW構造中の量子井戸層の数について〕
以下、量子井戸層の数について説明を加える。
これまでの説明においては、
(i)極性面上の量子井戸層数に関して、その好ましい層数が、
4層以上、5層以上、8層以上、10層以上であって、
30層以下、25層以下、20層以下であること、
について述べた。
(ii)また、非極性面上の量子井戸層数に関して、その好ましい層数が、
4層以上、5層以上、8層以上であって、
20層以下、15層以下であること、
について述べた。
本実施形態では、上記と同様、下記の方針1〜方針3の技術思想をさらに追加可能である。
(1)すなわち、
方針1:
内部発光強度密度Jin(θ)の最大値を与える角度θ em max(度)に最近接し、Jin(θ)に極小値を与える角度θem L-minimal(度)が以下を満たすことが望ましい。
θ em L-minimal(度)<67.5(度)
より一般的には
θ em L-minimal(度)<(90−sin−1(1/n(λ)))(度)
を満たすことが好ましい。
方針2:
θ=θ em max(度)における内部発光強度密度の最大値Jin(θ em max)と、67.5度における内部発光強度密度Jin(67.5)の比(Jin(67.5)/Jin(θ em max))が以下を満たすことが好ましい。
in(67.5)/Jin(θ em max )≦0.9
より一般的には、
in(90−sin−1(1/n(λ)))/Jin(θ em max )≦0.9
であることが望ましい。
方針3:
θ=θ em max(度)における内部発光強度密度の最大値Jin(θ em max)と、67.5度における内部発光強度密度Jin(67.5)の比(Jin(67.5)/Jin(θ em max))が以下も満たすことがさらに好ましい。
in(67.5)/Jin(θ em max )≦0.8
より一般的には、
in(90−sin−1(1/n(λ)))/Jin(θ em max )≦0.8
であることがさらに望ましい。
(2−1)
上記の方針についての理由を、図47を参照して説明する。
図47は、GaN基板上の発光素子の場合であって、内部発光強度密度の放射方向(θem)依存性を示したグラフであって、量子井戸層の数をパラメータとしている。ここで、量子井戸層の厚みは2nm、第二導電型半導体層の厚みは90nm、バリア層は13nmである。さらに、図中の67.5(度)≦θ em≦90(度)の範囲の内部発光は、半導体発光素子側壁からの光取り出しが可能な光であって、図中にはこの臨界角である67.5度の部分が明示されている。
このグラフにおいて、67.5度以上に極小値が存在しない条件は、量子井戸層数≦11層である。また、Jin(67.5)/Jin(θ em max )が0.9以下となる条件は、量子井戸層数≧5層である。
グラフ中の11層の線(やや太く描かれている線)を境にして、11層を超える量子井戸層があると、すなわち、67.5(度)≦θ em L-minimal≦90(度)であると、素子側壁から光取り出し可能な67.5度から90度までの方向に向かう内部発光光の総量が過度に減少し始めてしまう(方針1)。
また、グラフ中の5層の線(やや太く描かれている線)を境にして、(Jin
67.5)/Jin(θ em max ))が0.9より大きい場合(計算例では1〜4層)は、67.5度より小さい、光取り出しができない部分にも過剰に内部発光が向かってしまう傾向になってしまう(方針2)。
(2−2)
方針1、3についての理由を、図48を参照して説明する。図48は図47と同様の図であるが、グラフ中の太線で示した部分が異なっている。まず方針1に関して再度説明すると、グラフ中の11層の線(やや太く描かれている線)を境にして、11層を超える量子井戸層があると、すなわち、67.5(度)≦θ em L-minimal≦90(度)であると、素子側壁から光取り出し可能な67.5度から90度までの方向に向かう内部発光光の総量が過度に減少し始めてしまう(方針1)。
一方、図48のグラフ中の7層の線(やや太く描かれている線)を境にして(Jin
67.5)/Jin(θ em max))が0.8より大きい場合(計算例では1〜6層)は、67.5度より小さい、光取り出しができない部分にも過剰に内部発光が向かってしまう傾向になってしまう(方針3)。
上記方針1〜3は、側壁からの光取り出しを考慮した場合に到達する技術思想であって、従来の半導体発光素子のような発光素子側壁からの光取り出しを主としない場合においては、考慮されてこなかった事項である。
よって、その側壁からの光取り出しを主としうる半導体発光素子の構成において、量子井戸層数を5層以上11層以下とすることは、格段の効果を生み出すこととなり、好ましい。また、量子井戸層数を7層以上11層以下とする事はより好ましい。
以上をまとめると、本実施形態に係る発明の要旨は以下の通りである。
1.
第二導電型半導体層、ピーク波長λの光を発する量子井戸層とバリア層を有する活性層構造、第一導電型側半導体層、波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を有し、側壁からの光取り出しを主とする半導体発光素子であって、
内部発光強度密度の最大値示す方向θ em max(度)に最近接し、内部発光強度密度に極小値を与える方向θem L-minimal(度)が、以下の式f1−1を満たし、
かつ、
方向(90−sin−1(1/n(λ)))(度)における内部発光強度密度Jin(90−sin−1(1/n(λ)))と、θ em max(度)における内部発光強度密度の最大値Jin(θ em max度)との比が、以下の式f1−2を満たすような、第二導電型側半導体層厚み、量子井戸層数、および量子井戸層厚みを有することを特徴とする半導体発光素子。
式f1−1:θ em L-minimal(度)<90−sin−1(1/n(λ))(度)
式f1−2:(Jin(90−sin−1(1/n(λ)))/Jin(θ em max))≦0.9
(A)
第二導電型半導体層、ピーク波長λの光を発する量子井戸層とバリア層を有する活性層構造、第一導電型側半導体層、波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を有し、側壁からの光取り出しを主とする半導体発光素子であって、
前記量子井戸層の層数が5層以上11層以下であることを特徴とする半導体発光素子。
(B)
第二導電型半導体層、ピーク波長λの光を発する量子井戸層とバリア層を有する活性層構造、第一導電型側半導体層、波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を有し、側壁からの光取り出しを主とする半導体発光素子であって、
内部発光強度密度の最大値を示す方向θ em max(度)に最近接し、内部発光強度密度に極小値を与える方向θem L-minimal(度)が、以下の式f1−1を満たし、
かつ、
方向(90−sin−1(1/n(λ)))(度)における内部発光強度密度Jin( 90−sin−1(1/n(λ)))と、θ em max(度)における内部発光強度密度の最大値Jin(θ em max)との比が、以下の式f1−2を満たすような量子井戸層数を有することを特徴とする半導体発光素子。
式f1−1:θ em L-minimal(度)<90−sin−1(1/n(λ))(度)
式f1−2:(Jin(90−sin−1(1/n(λ)))/Jin(θ em max))≦0.9
(C)
第二導電型半導体層、ピーク波長λの光を発する活性層構造、第一導電型側半導体層、GaN基板を有し、側壁からの光取り出しを主とする半導体発光素子であって、
内部発光強度密度の最大値を示す方向θ em max(度)に最近接し、内部発光強度密度に極小値を与える方向θem L-minimal(度)が、以下の式f1−3を満たし、
かつ、
方向67.5度における内部発光強度密度Jin(67.5)と、θ em maxにおける内部発光強度密度の最大値Jin(θ em max )との比が、以下の式f1−4を満たすような量子井戸層数を有することを特徴とする半導体発光素子。
式f1−3:θ em L-minimal(度)<67.5(度)
式f1−4:(Jin(67.5)/Jin(θ em max))≦0.9
(D)
上記(A)〜(C)のいずれか記載の半導体発光素子であって、前記窒化物基板の主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値が、0度における外部発光強度密度よりも20%以上大きくなる平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
〔F2:MQW構造中の量子井戸層の厚みについて〕
以下、量子井戸層の厚みについて説明を加える。
これまでの説明においては、
(i)極性面上の量子井戸層厚みに関して、その好ましい厚みが、
0.5nm以上、1.0nm以上、1.5nm以上であって、
5.0nm以下、または3.0nm以下であること、
について述べた。
(ii)また、非極性面上の量子井戸層厚みに関して、その好ましい厚みが、
5.0nm以上、10nm以上、15nm以上
40nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下であること、
について述べた。
本実施形態では、MQW構造に関して、さらに、下記の方針1〜方針2の技術思想を追加可能である。
(1)すなわち、
方針1:
内部発光強度密度Jin(θ)の最大値を与える角度θ em max(度)に最近接し、Jin(θ)に極小値与える角度θem L-minimal(度)が以下を満たすことが望ましい。
θ em L-minimal(度)<67.5(度)
より一般的には、
θ em L-minimal(度)<(90−sin−1(1/n(λ)))(度)
を満たすことが好ましい。
方針2:
高温動作時の電子−正孔対のオーバーフローを抑制するには、
各種検討を加えたところ、1.0nm以上の量子井戸層厚みが必要である。
(2)
上記の方針についての理由を、図49を参照して説明する。
図49は、GaN基板上の発光素子の場合であって、内部発光強度密度の放射方向(θem)依存性を示したグラフであって、量子井戸層の厚みをパラメータとしている。ここで量子井戸層の数は8、第二導電型半導体層の厚みは90nm、バリア層は13nmである。さらに、図中の67.5(度)≦θ em≦90(度)の範囲の内部発光は、半導体発光素子側壁からの光取り出しが可能な光であって、図中にはこの臨界である67.5度の部分が明示されている。
同図に示すように、グラフ中の7nmの線(やや太く描かれている線)を境にして、7nmを超える量子井戸層の厚みがあると、すなわち、67.5度≦θ em L-minimal≦90度であると、素子側壁から光取り出し可能な67.5度から90度までの方向に向かう内部発光光の総量が過度に減少し始めてしまう(方針1)。
旧来は、光取り出しのために内部発光強度密度Jin(θ)の最大値が側壁からの光取り出し可能な方向に向かうことを主眼においていた。
これに加えて、「内部発光強度密度Jin(θ)の最大値を与える角度θ em max(度)に最近接し、Jin(θ)に極小値与える角度θem L-minimal(度)が、
θ em L-minimal(度)<67.5(度)
を満たすことが、
また、より一般的には、
θ em L-minimal(度)<(90−sin−1(1/n(λ)))(度)
を満たすことが、より効率的な素子側壁からの光取り出しを可能とすることを見出している。
上記方針1は、θ em L-minimal(度)<90(度)となる際のθ(度)を考慮した場合に到達する技術思想であって、従来の半導体発光素子のような発光素子側壁からの光取り出しを主としない場合においては、考慮されてこなかった事項である。よって、側壁からの光取り出しを主としうる半導体発光素子の構成において、量子井戸層の厚みを7nm以下とする事は、格段の効果を生み出すこととなり、好ましい。
また、方針2から、量子井戸層の厚みを1nm以上とする事は好ましい
以上をまとめると、本実施形態に係る発明の要旨は以下の通りである。
1.
第二導電型半導体層、ピーク波長λの光を発する量子井戸層とバリア層を有する活性層構造、第一導電型側半導体層、波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を有し、側壁からの光取り出しを主とする半導体発光素子であって、
内部発光強度密度の最大値示す方向θ em max(度)に最近接し、内部発光強度密度に極小値を与える方向θem L-minimal(度)が、以下の式f2−1を満たし、
かつ、
方向(90−sin−1(1/n(λ)))(度)における内部発光強度密度Jin(90−sin−1(1/n(λ)))と、θ em max(度)における内部発光強度密度の最大値Jin(θ em max度)との比が、以下の式f2−2を満たすような、第二導電型側半導体層厚み、量子井戸層数、および量子井戸層厚みを有することを特徴とする半導体発光素子。
式f2−1:θ em L-minimal(度)<90−sin−1(1/n(λ))(度)
式f2−2:(Jin(90−sin−1(1/n(λ)))/Jin(θ em max))≦0.9
(A)
第二導電型半導体層、ピーク波長λの光を発する量子井戸層とバリア層を有する活性層構造、第一導電型側半導体層、波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を有し、側壁からの光取り出しを主とする半導体発光素子であって、
量子井戸層の厚みが1.0nm以上7.0nm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
(B)
第二導電型半導体層、ピーク波長λの光を発する厚みが1.0nm以上の量子井戸層とバリア層を有する活性層構造、第一導電型側半導体層、波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を有し、側壁からの光取り出しを主とする半導体発光素子であって、
内部発光強度密度の最大値を示す方向θ em max(度)に最近接し、内部発光強度密度に極小値を与える方向θem L-minimal(度)が、以下の式f2−1を満たすような量子井戸層の厚みを有することを特徴とする半導体発光素子。
式f2−1:θ em L-minimal(度)<90度−sin−1(1/n(λ))(度)
(C)
第二導電型半導体層、ピーク波長λの光を発する厚みが1.0nm以上の量子井戸層とバリア層を有する活性層構造、第一導電型側半導体層、GaN基板を有し、側壁からの光取り出しを主とする半導体発光素子であって、
内部発光強度密度の最大値を示す方向θ em max(度)に最近接し、内部発光強度密度に極小値を与える方向θem L-minimal(度)が、以下の式f2−3を満たすような量子井戸層の厚みを有することを特徴とする半導体発光素子。
式f2−3:θ em L-minimal(度)<67.5(度)
(D)
上記(A)〜(C)のいずれか記載の半導体発光素子であって、
前記窒化物基板の主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値が、0度における外部発光強度密度よりも20%以上大きくなる平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
なお、上述のE、F1、F2の実施形態においては、第二導電型半導体層の厚み、量子井戸層数、および量子井戸層厚みのそれぞれの好ましい範囲の一例を示したが、本発明においては、下記の式f2−4、f2−5を満たすことが本質的であって、これらの式を満たすような第二導電型半導体層の厚み、量子井戸層の数、および量子井戸層の厚みを適宜選択することが好ましい。これらの式を満たすものであるならば、第二導電型半導体層の厚み、量子井戸層の数、および量子井戸層の厚みは、必ずしも上述のE、F1、F2の実施形態に示した範囲に限定されるものではない。
式f2−4:θ em L-minimal(度)<90−sin−1(1/n(λ))(度)
式f2−5:(Jin(90−sin−1(1/n(λ)))/Jin(θ em max))≦0.9
〔G:基板の面方位について〕
以下、基板の面方位について説明を補足する。
これまでの説明では、主として窒化物基板の主たる面方位が(0001)面あるいはこれらの面からオフ角度が5度以内の面であることが好ましいことについて述べた。このように窒化物基板の主たる面方位が(0001)面あるいはこれらの面からオフ角度が5度以内の面の場合には、基板主面と対峙する面が窒素面となり、この面に微細な凹凸加工を容易に形成できるため、好ましい。具体的には、基板のバンドキャップに相当するエネルギーよりも大きなエネルギーを有する波長の光を照射しながらKOH、HCl等のアルカリ性溶液、酸性溶液に浸したり、高温環境下においてKOH、HCl等のアルカリ性溶液、酸性溶液に浸したりする(光/電気)化学エッチングをすることで、(000−1)面の加工が容易にできるため、好ましい。このような加工を行うと、光取り出し効率を向上させられるために、有利である。
また、これまでの説明では基板主面は、
(1−10n)面、(11−2n)面(但しnは0、1、2、3)が好ましく、
(1−100)面、(11−20)面であることがより好ましく、
(1−100)面であることが最も好ましい、ことについて述べた。
前述したように、基板主面は極性面であるよりも、半極性面である方が、さらには非極性面である方が、活性層構造内、とくに量子井戸層内における空間的な電子―正孔対の分離等が起こりにくく、内部量子効率が向上し、半導体発光素子の高出力化、高効率化に好ましい。
一方、主面がこのような半極性面、特には非極性面である場合、主面そのものに対しても、また、当該主面と対峙する面に対しても、主面が極性面の場合と比較して、主面また主面と対峙する面に対する微細な凹凸加工を行いにくい。そこで、主面がこのような半極性面、特には非極性面である場合にこそ、本発明に係る技術思想、すなわち、素子形状に着目して理想的な光取り出しを実現するという思想がより効果的となる。
さらに具体的に説明するために、m面GaN基板上に形成された半導体発光素子をフリップチップマウントした場合を想定する。ここにおいて、その1つの光取り出し方向となる当該基板主面と対峙する面もm面となるが、この部分には、前記の(光/電気)化学エッチング等による凹凸加工を施すことは出来ない。よって、旧来のような内部発光光を素子上面にとりだそうとする技術思想では、一般には光取り出し効率が低下してしまい、内部量子効率が高いことによる発光効率の向上を、素子特性としては生かしきらない事態となってしまう。一方、本発明のように非等方的な内部発光プロファイルを前提とし、とくに内部発光強度密度の高い素子側壁に向かう光を、十分な厚みの側壁から取り出そうとする場合には、基板主面と対峙する面に凹凸加工がなくとも、側壁から十分に光を取り出すことが可能となる。さらに、主面がこのような面の場合、素子側面に微細な凹凸加工を施すことのできるc−(マイナス)面(窒素面)を容易に存在させられる。
よって、本発明のように側面からの光の出射を主とする半導体発光素子においては(1−10n)面、(11−2n)面(但しnは0、1、2、3)、特には(1−100)面、(11−20)面、(1−100)面等の非極性面、半極性面を用いることで、格段の相乗効果があり、好ましい。
上記のように、基板主面が極性面、半極性面、または非極性面であってもよいことは、前述した(i)本発明の要旨、または(ii)これまで説明した全ての実施形態においても同様である。
特に、平面形状が略四角形のチップの場合、上記実施形態Bでは次の式b1と式b2を満たすことが好ましい旨、説明した。
式b1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
式b2
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
しかしながら、基板主面が上記のとおり、
(1−10n)面、(11−2n)面(但しnは0、1、2、3)、
好ましくは、(1−100)面、(11−20)面、
最も好ましくは、(1−100)面、の場合には、この式b2を必ずしも満たす必要はない。なお、上記面方位においては、(0001)面あるいはこれらの面からオフ角度が5度以内の面において発生する前述のような素子分離の問題との関連性が低い。よって、かかる点でも上記面方位の場合は、基板の平面サイズの限定には及ばない。
〔H:対称性について〕
以下、本明細で使用した用語について、説明を補足する。
本発明で記載する半導体発光素子の主面側からの投影形状(あるいは平面構造)に関する対称性とは、その図形の各辺の長さ、あるいは各頂点の角度が等しいかどうかによって定義されるものである。
本明細書においては、ある図形の各辺の長さが等しいほど「対称性が高い」と表現し、その逆を「対称性が低い」と表現する。
さらに、ある図形の各頂点の角度が等しいほど「対称性が高い」と表現し、その逆を「対称性が低い」と表現する。
具体的には、四角形の投影形状を有する半導体発光素子においては、投影形状が正方形の場合は各辺の長さが等しく、4つの頂点の角度も等しいので対称性が最も高い。一方、長方形は、2辺の長さのみが等しく、4つの頂点の角度が等しいので、正方形よりは対称性が低い。ある多角形の中で最も対称性が低いのは、不等辺多角形であって、かつ、各頂点の角度がすべて異なる場合である。
本発明者らは、ある1種類の多角形(例えば6角形)を想定した際に、大まかな傾向しては、このように定義した対称性が低い図形ほど、光取り出しに有利な傾向が見られることを見出している。この理由は、対称性の高い図形の場合には、その対称性に起因した平面的な滞在光が発光素子内部に容易に発生してしまうからである。一方、対称性の低い場合には、このような滞在光は発生しにくいためである。
なお、詳細には、内部発光プロファイルとそれぞれの図形の特性によって、必ずしも上記の大まかな傾向には合致しない例も見られるが、これらにおいても数学的に光取り出しの傾向を捉えることは可能である。なお、平行四辺形における例は後述するが、同じ図形であっても、その頂点の角度等によって、光取り出し効率は変化しうる。
さらに、半導体発光素子の投影形状に関しては、光取り出し効率の向上とともに、製造容易性をも考慮して、投影形状を決めることも好ましい。
この観点では、三角形であれば直角三角形は好ましい。直角三角形は、平面充填性とスクライブ容易性が両立しており、よって、各素子に分割するのも不等辺三角形に比較して容易である。その上で、図形の対称性を考えても正三角形よりは低いために、光取り出し効率の向上も計れるために好ましい。
さらに、同様の観点から四角形であれば、長方形や平行四辺形は好ましい。これらの図形は、平面充填性とスクライブ容易性が両立しており、よって、各素子に分割するのも不等辺四角形に比較して容易である。その上で、図形の対称性を考えても正方形よりは低いために、光取り出し効率の向上も計れるために好ましい。
特に平行四辺形の場合は、図50に示した角度ω(度)が、15−25度程度の場合と、40−60度程度の場合が好ましい。
なお、光取り出し効率は、同じ図形すなわち同じ対称性を有する図形であっても、その頂点の角度等によって、変化しうる。
以下に半導体発光素子に対して、平行四辺形(ω=0の場合のみは正方形)の投影形状を適応した際の例を示す。基板主面の投影形状として図50の平行四辺形を想定し、基板厚み800μmの場合の光取り出し効率を、同図中の角度ωの関数として求めた。
なお、平行四辺形は量産性も考慮しつつ、光取り出しを向上させるのに比較的適した形状であって、好ましい。
光取り出し効率は、図51に示すように角度ωによって変化しうる。ここでは大まかな傾向として角度ωを大きくすることで光取り出し効率が向上することが分かる。しかし、一方で、角度ω=30度の場合には、局所的に光取り出し効率が低下することも分かる。これは、角度ω=30度の場合には、当該図形の内角が60度と120度となり、一方の角度が他方の倍の関係となる。このために、他の角度よりも実効的に対称性が高くなることと同じで、その対称性に起因した平面的な滞在光が発光素子内部に発生しやすくなると考えられる。このため、同じ平行四辺形の中でもω=30度の場合は、光取り出し効率のω角度依存性に対して下がる傾向となると考えられる。
このように、光取り出し効率は、本発明で定義した対称性とさらにそれぞれの個別の形状における各頂点の角度等によっても変化しうる。
本実施形態の発明は、チップの平面形状が好ましくは二等辺三角形、より好ましくは不等辺三角形、さらに好ましくはすべての角が鋭角の不等辺三角形等であって、
好ましくは第一の実施形態に記載の事項を満たす、半導体発光素子およびその製造方法である。
本実施形態の他の発明は、チップの平面形状が好ましくは長方形、ひし形、平行四辺形、より好ましくは不等辺四角形等であって、
好ましくは第二の実施形態に記載の事項を満たす、半導体発光素子およびその製造方法である。
本実施形態のさらに他の発明は、チップの平面形状が好ましくは不等辺多角形等であって、好ましくは第三の実施形態に記載の事項を満たす、半導体発光素子およびその製造方法である。
次いで、以上説明した各実施形態に対応する実施例について説明する。
〔A:第一の実施形態に関する実施例(略三角形)〕
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[1]半導体発光素子の製造
(第一の実施形態に関する実施例1)
〔第一工程〕
窒化物基板として、(0001)面(c+面)配向したGaN自立基板を用いた。GaN自立基板は、H−VPE法により製造した。以下に製造した基板のGaN自立基板の性状を示す。
・電気特性:n型
・キャリア密度:5×1017cm−3
・X線回折による(10−12)反射におけるロッキングカーブの半値幅:60arcsec
・(1−100)方向へのオフ角度:0°
・(11−20)方向へのオフ角度:0°
・転位密度:5×10cm−2以下であった。
・酸素濃度:検出限界以下
・熱伝導率:250W/m・K以上
・反り:0.03mm以下
・膜厚:815μm
〔第二工程〕
前記第一工程で得られたc+面GaN基板上に、MOCVD法を用いて、第1のバッファ層として、成長温度1070℃で、厚み20nmのアンドープのGaN層を形成した。次に、第一導電型(n型)クラッド層として、成長温度1130℃で、厚み6.5μmのSiドープのGaN層を形成した。
次に活性層構造として、バリア層として成長温度800℃で13nmの厚さに成膜したSiドープGaN層(Si濃度:3×1017(cm−3))と、量子井戸層として成長温度740℃で2nmの厚さに成膜したアンドープIn0.08Ga0.92N層とを、量子井戸層が全部で8層となるように交互に成膜し、最上段のバリア層として成長温度800℃で19nmの厚さに成膜したアンドープGaN層を成膜した。さらに成長温度を1070℃にして、第二導電型(p型)第一クラッド層を形成すべく、MgドープAl0.09Ga0.91N層を0.13μmの厚さに成長した。最後に第二導電型(p型)コンタクト層を形成すべく、MgドープAl0.03Ga0.97N層を0.02μmの厚さに成長した。
この後にMOCVD成長炉の中で徐々に温度を下げて、ウエハーを取り出し、薄膜結晶成長を終了した。
〔第三工程〕
薄膜結晶成長が終了したウエハーに対してp側電極を形成するために、フォトリソグラフィー法を用いてp側電極をリフトオフ法でパターニングする準備をしてレジストパターンを形成した。ここでp側電極としてPt(350nm厚)を真空蒸着法によって形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。次いで、その後熱処理を実施してp側電極を完成させた。
次いで、エッチング工程を実施するために、エッチング用マスクを形成した。そして、MgドープAl0.03Ga0.97Nコンタクト層、MgドープAl0.09Ga0.91Nクラッド層、In0.08Ga0.92N量子井戸層とGaNバリア層からなる活性層構造、n−GaNクラッド層の途中まで、Clガスを用いたICPプラズマエッチングを実施し、n型キャリアの注入部分となるn型クラッド層を露出させた。その後、エッチングマスクを除去した。
次に、露出したn型コンタクト層の表面にn側電極を形成するために、フォトリソグラフィー法を用いてn側電極をリフトオフ法でパターニングする準備をしてレジストパターンを形成した。ここでn側電極としてAl(400nm厚)を真空蒸着法によって形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。次いで、その後熱処理を実施してn側電極を完成させた。
〔第四工程〕
次いで、ウエハー上に形成された1つ1つの発光素子を分割するために、ダイヤモンドスクライバーを用いて基板側からスクライブラインを形成した。さらにこのスクライブラインにそってGaN基板をブレーキングし、1つ1つの半導体発光素子を完成させた。
これにより得られた半導体発光素子は、図13Bに示すようにその基板主面の投影形状は正三角形であり、Lsa(三角形の短辺)もLsc(基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長)も1800μmであった。基板の物理厚みは、前述の通り815μmであった。後述の通り、本発光素子のピーク発光波長は410nmであったので、GaN基板の屈折率は、2.5064であって、式a1の下限は783μmであって、式a1の上限は4137μmであるが、基板の物理厚み815μmは、これを満たしている。また、式a3、式a5、式a7をも満たしている。
この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図14の通りであった。また、ピーク発光波長を測定したところ、410nmであった。また、半導体発光素子の配光特性を、(a)当該正三角形の重心を含み、正三角形の1辺に平行な方向とした場合、および(b)当該正三角形のひとつの頂点を含み、正三角形の1辺に垂直な方向とした場合について測定した。その結果、200mA電流注入時の配光特性は、図15の通りであった。ここにおいて、配光特性の形状に関わる各種結果は、それぞれ表2の通りであった。
Figure 2012023249
(第一の実施形態に関する実施例2)
第一工程において、基板の膜厚を813μmとし、第二工程において、バリア層をアンドープGaN層とた以外は、第一の実施形態に関する実施例1と同様にして半導体発光素子を作製した。後述の通り、本発光素子のピーク発光波長は400nmであったので、GaN基板の屈折率は、2.5252であって、式a1の下限は776μmであって、式a1の上限は4174μmであるが、基板の物理厚み813μmは、これを満たしている。また、式a3、式a5、式a7をも満たしている。
この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図16Cの通りであった。また、ピーク発光波長を測定したところ、400nmであった。また、第一の実施形態に関する実施例1と同様に、半導体発光素子の配光特性を、(a)当該正三角形の重心を含み、正三角形の1辺に平行な方向とした場合、および(b)当該正三角形のひとつの頂点を含み、正三角形の1辺に垂直な方向とした場合について測定した。その結果、配光特性は、独特の双峰的形状を示した。200mA電流注入時の配光特性の形状に関わる各種結果は、それぞれ表3の通りであった。
Figure 2012023249
(第一の実施形態に関する比較例1)
第一工程において、H−PVE法により製造するGaN自立基板の膜厚を407μmとした以外は、第一の実施形態に関する実施例1と同様にして半導体発光素子を作製した。この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図14の通りであった。また、ピーク発光波長を測定したところ、411nmであった。また、第一の実施形態に関する実施例1と同様に、半導体発光素子の配光特性を、(a)当該正三角形の重心を含み、正三角形の1辺に平行な方向とした場合、および(b)当該正三角形のひとつの頂点を含み、正三角形の1辺に垂直な方向とした場合について測定した。その結果、200mA電流注入時の配光特性は、図17の通りであった。ここにおいて、配光特性の形状に関わる各種結果は、それぞれ表4の通りであった。配光特性の40度から50度近傍のピークは、0度近傍の強度に比較して、第一の実施形態に関する実施例1、2でみられたような十分な強度比を有さなかった。
Figure 2012023249
(第一の実施形態に関する比較例2)
第一工程において、H−PVE法により製造するGaN自立基板の膜厚を407μmとし、第四工程のダイヤモンドスクライブを実施する前に基板厚みを210μmに調整した以外は、第一の実施形態に関する実施例1と同様にして半導体発光素子を作製した。この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図14の通りであった。また、発光ピーク波長を測定したところ、409nmであった。また、第一の実施形態に関する実施例1と同様に、半導体発光素子の配光特性を、(a)当該正三角形の重心を含み、正三角形の1辺に平行な方向とした場合、および(b)当該正三角形のひとつの頂点を含み、正三角形の1辺に垂直な方向とした場合について測定した。その結果、200mA電流注入時の配光特性は、図18の通りであった。ここにおいて、配光特性の形状に関わる各種結果は、それぞれ表5の通りであった。配光特性の40度から50度近傍のピークは、0度近傍の強度に比較して、第一の実施形態に関する実施例1、2でみられたような十分な強度比を有さなかった。
Figure 2012023249
[2]考察
図14より、第一の実施形態に関する実施例1の半導体発光装置は、それぞれ短辺Lsa、長辺Lscのサイズが同じで、かつ、半導体層の構造も同じで内部量子効率が同等と考えられる第一の実施形態に関する比較例1,2の半導体発光装置に比べ高い全放射束を示した。
また、第一の実施形態に関する実施例1、2の半導体発光装置の配光特性は、活性層構造に平行な方向に近接して外部発光強度密度分布の極大値が、0度近傍の外部発光強度密度分布に対して十分な強度比を有して確認されたのに対し、第一の実施形態に関する比較例1、2の配光特性は、活性層構造に平行な方向に近接した外部発光強度密度分布の極大値は、十分な強度比が0度近傍の外部発光強度密度分布に対して認められなかった。
これより、本発明の半導体発光素子の基板の形状が、内部発光強度密度の高い光(即ち、活性層構造の平行方向に近い方向の光)を効率的に取り出しているのに対し、従来の半導体発光素子の基板形状では、内部発光強度密度の高い光を効率的に取り出せていないことが分かる。
以上より、本発明の半導体発光素子は極めて高効率な光取り出しを、簡便な作製プロセスで実現できることが確認された。
〔B:第二の実施形態に関する実施例(略四角形)〕
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(第二の実施形態に関する実施例1)
[1]半導体発光素子の製造
〔第一工程〕
窒化物基板として、(0001)面(c+面)配向したGaN自立基板を用いた。GaN自立基板は、H−VPE法により製造した。以下に製造した基板のGaN自立基板の性状を示す。
・電気特性:n型
・キャリア密度:5×1017cm−3
・X線回折による(10−12)反射におけるロッキングカーブの半値幅:60arcsec
・(1−100)方向へのオフ角度:0°
・(11−20)方向へのオフ角度:0°
・転位密度:5×10cm−2以下であった。
・酸素濃度:検出限界以下
・熱伝導率:250W/m・K以上
・反り:0.03mm以下
・膜厚:794μm
〔第二工程〕
前記第一工程で得られたc+面GaN基板上に、MOCVD法を用いて、第1のバッファ層として、成長温度1070℃で、厚み20nmのアンドープのGaN層を形成した。
次に、第一導電型(n型)クラッド層として、成長温度1130℃で、厚み6.5μmのSiドープのGaN層を形成した。
次に活性層構造として、バリア層として成長温度800℃で13nmの厚さに成膜したアンドープGaN層と、量子井戸層として成長温度740℃で2nmの厚さに成膜したアンドープIn0.08Ga0.92N層とを、量子井戸層が全部で8層となるように交互に成膜し、最上段のバリア層として成長温度800℃で19nmの厚さに成膜したアンドープGaN層を成膜した。さらに成長温度を1070℃にして、第二導電型(p型)第一クラッド層を形成すべく、MgドープAl0.09Ga0.91N層を0.13μmの厚さに成長した。最後に第二導電型(p型)コンタクト層を形成すべく、MgドープAl0.03Ga0.97N層を0.02μmの厚さに成長した。
この後にMOCVD成長炉の中で徐々に温度を下げて、ウエハーを取り出し、薄膜結晶成長を終了した。
〔第三工程〕
薄膜結晶成長が終了したウエハーに対してp側電極を形成するために、フォトリソグラフィー法を用いてp側電極をリフトオフ法でパターニングする準備をしてレジストパターンを形成した。ここでp側電極としてNi(36nm厚)/Au(300nm厚)を真空蒸着法によって形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。次いで、その後熱処理を実施してp側電極を完成させた。
次いで、エッチング工程を実施するために、エッチング用マスクを形成した。そして、MgドープAl0.03Ga0.97Nコンタクト層、MgドープAl0.09Ga0.91Nクラッド層、In0.08Ga0.92N量子井戸層とGaNバリア層からなる活性層構造、n−GaNクラッド層の途中まで、Clガスを用いたICPプラズマエッチングを実施し、n型キャリアの注入部分となるn型クラッド層を露出させた。その後、エッチングマスクを除去した。
次に、露出したn型コンタクト層の表面にn側電極を形成するために、フォトリソグラフィー法を用いてn側電極をリフトオフ法でパターニングする準備をしてレジストパターンを形成した。ここでn側電極としてTi(20nm厚)/Al(350nm厚)を真空蒸着法によって形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。次いで、その後熱処理を実施してn側電極を完成させた。
〔第四工程〕
次いで、ウエハー上に形成された1つ1つの発光素子を分割するために、ダイヤモンドスクライバーを用いて基板側からスクライブラインを形成した。さらにこのスクライブラインにそってGaN基板をブレーキングし、1つ1つの半導体発光素子を完成させた。
これにより得られた半導体発光素子は、短辺Lsaが1100μm、長辺Lsbが1100μmの正方形であった(即ち、当該正方形上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lscは、当該正方形の対角線であり、1556μmであった。)。基板の物理厚みは、前述の通り794μmであった。後述の通り、本発光素子のピーク発光波長は410nmであったので、GaN基板の屈折率は、2.5064であって、式b1の下限は677μmであって、式b1の上限は3576μmであるが、基板の物理厚み794μmは、これを満たしている。また、式b2−式b8をも満たしている。
この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図26Aの通りであった。また、ピーク発光波長を測定したところ、410nmであった。また、半導体発光素子の配光特性を、(a)基板主面の形状である正方形のひとつの対角線方向とした場合、および(b)基板主面の形状である正方形のもうひとつの対角線方向とした場合について測定した。その結果、100mWの全放射束時の配光特性と200mA電流注入時の配光特性は、それぞれ図27A、図27Bの通り、独特な双峰性の形状を呈した。であった。ここにおいて、配光特性の形状に関わる各種結果は、それぞれ表6と表7の通りであった。
Figure 2012023249
Figure 2012023249
(第二の実施形態に関する実施例2)
第一工程において、基板の膜厚を430μmとし、第四工程において、得られた半導体発光素子の短辺Lsaを650μm、長辺Lsbが650μmの正方形とした(即ち、当該正方形上にある任意の2点の作る最も長い線分である対角線の長さLscは919.3μmであった)以外は、第二の実施形態に関する実施例1と同様にして半導体発光素子を作製した。後述の通り、本発光素子のピーク発光波長は410nmであったので、GaN基板の屈折率は、2.5064であって、式b1の下限は400μmであって、式b1の上限は2113μmであるが、基板の物理厚み430μmは、これを満たしている。また、式b2−式b8をも満たしている。
この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図26Aの通りであった。また、ピーク発光波長を測定したところ、410nmであった。また、第二の実施形態に関する実施例1と同様に、半導体発光素子の配光特性を、(a)基板主面の形状である正方形のひとつの対角線方向とした場合、および(b)基板主面の形状である正方形のもうひとつの対角線方向とした場合について測定した。その結果、100mWの全放射束時の配光特性と200mA電流注入時の配光特性は、それぞれ図27C、図27Dの通り、独特な双峰性の形状を呈した。であった。ここにおいて、配光特性の形状に関わる各種結果は、それぞれ表8と表9の通りであった。
Figure 2012023249
Figure 2012023249
(第二の実施形態に関する実施例3)
第一工程において、基板の膜厚を815μmとし、第二工程において、バリア層を3×1017(cm−3)のSiドープGaN層とた以外は、第二の実施形態に関する実施例1と同様にして半導体発光素子を作製した。後述の通り、本発光素子のピーク発光波長は400nmであったので、GaN基板の屈折率は、2.5252であって、式b1の下限は671μmであって、式b1の上限は3608μmであるが、基板の物理厚み815μmは、これを満たしている。また、式b2−式b8をも満たしている。
この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図26Bの通りであった。また、ピーク発光波長を測定したところ、400nmであった。また、第二の実施形態に関する実施例1と同様に、半導体発光素子の配光特性を、(a)基板主面の形状である正方形のひとつの対角線方向とした場合、および(b)基板主面の形状である正方形のもうひとつの対角線方向とした場合について測定した。その結果、200mA電流注入時の配光特性は独特な双峰性の形状を呈した。図の形状に関わる各種結果は、それぞれ表10の通りであった。
Figure 2012023249
(第二の実施形態に関する実施例4)
第一工程において、基板の膜厚を820μmとし、第二工程において、量子井戸層を全部で10層となるように交互に成膜し、また、バリア層として3×1017(cm−3)のSiドープGaN層とし、第三工程において、p側電極としてPt(350nm厚)を真空蒸着法によって形成し、n側電極としてAl(400nm厚)を真空蒸着法によって形成した以外は、第二の実施形態に関する実施例1と同様にして半導体発光素子を作製した。後述の通り、本発光素子のピーク発光波長は400nmであったので、GaN基板の屈折率は、2.5252であって、式b1の下限は671μmであって、式b1の上限は3608μmであるが、基板の物理厚み820μmは、これを満たしている。また、式b2−式b8をも満たしている。
この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図26Cの通りであった。また、ピーク発光波長を測定したところ、400nmであった。また、第二の実施形態に関する実施例1と同様に、半導体発光素子の配光特性を、(a)基板主面の形状である正方形のひとつの対角線方向とした場合、および(b)基板主面の形状である正方形のもうひとつの対角線方向とした場合について測定した。その結果、200mA電流注入時の配光特性は独特な双峰性の形状を呈した。図の形状に関わる各種結果は、それぞれ表11の通りであった。
Figure 2012023249
(第二の実施形態に関する実施例5)
第三工程において、p側電極としてAl(350nm厚)を真空蒸着法によって形成した以外は、第二の実施形態に関する実施例4と同様にして半導体発光素子を作製した。後述の通り、本発光素子のピーク発光波長は400nmであったので、GaN基板の屈折率は、2.5252であって、式b1の下限は671μmであって、式b1の上限は3608μmであるが、基板の物理厚み820μmは、これを満たしている。また、式b2−式b8をも満たしている。
この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図26Dの通りであった。また、ピーク発光波長を測定したところ、400nmであった。また、第二の実施形態に関する実施例1と同様に、半導体発光素子の配光特性を、(a)基板主面の形状である正方形のひとつの対角線方向とした場合、および(b)基板主面の形状である正方形のもうひとつの対角線方向とした場合について測定した。その結果、200mA電流注入時の配光特性は独特な双峰性の形状を呈した。図の形状に関わる各種結果は、それぞれ表12の通りであった。
Figure 2012023249
(第二の実施形態に関する比較例1)
第一工程において、H−PVE法により製造するGaN自立基板の膜厚を400μmとし、第四工程のダイヤモンドスクライブを実施する前に基板厚みを240μmに調整した以外は、第二の実施形態に関する実施例1と同様にして半導体発光素子を作製した。この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図26Aの通りであった。また、ピーク発光波長を測定したところ、411nmであった。
(第二の実施形態に関する比較例2)
第一工程において、H−PVE法により製造するGaN自立基板の膜厚を400μmとし、第四工程のダイヤモンドスクライブを実施する前に基板厚みを140μmに調整した以外は、第二の実施形態に関する実施例2と同様にして半導体発光素子を作製した。
この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図26Aの通りであった。また、発光ピーク波長を測定したところ、409nmであった。また、第二の実施形態に関する実施例1と同様に、半導体発光素子の配光特性を、(a)基板主面の形状である正方形のひとつの対角線方向とした場合、および(b)基板主面の形状である正方形のもうひとつの対角線方向とした場合について測定した。その結果、100mWの全放射束時の配光特性と200mA電流注入時の配光特性は、それぞれ図27E、図27Fの通りであった。第二の実施形態に関する実施例1と第二の実施形態に関する実施例2でみられら配光特性の60度近傍のピークは観測されず、0度近傍の部分にいずれの場合も最大値が確認された。
[2]考察
図26A〜図26Dより、第二の実施形態に関する実施例1から5の半導体発光装置は、それぞれ形状およびサイズが同じ第二の実施形態に関する比較例1,2の半導体発光装置に比べて極めて高い全放射束を示した。
また、図27A〜図27F、表6〜表12等に示されるように、第二の実施形態に関する実施例1から5の半導体発光装置の配光特性として、活性層構造に平行な方向に近接して外部発光強度密度分布の極大値が確認されたのに対し、第二の実施形態に関する比較例2の配光特性は、活性層構造に平行な方向に近接した外部発光強度密度分布の極大値は認められなかった。
これより、本発明の半導体発光素子の基板の形状が、内部発光強度密度の高い光(即ち、活性層構造の平行方向に近い方向の光)を効率的に取り出しているのに対し、従来の半導体発光素子の基板形状では、内部発光強度密度の高い光を効率的に取り出せていないことが分かる。
以上より、本発明の半導体発光素子は、比較的大型で高出力動作が可能ないわゆるラージチップにおいて、極めて高効率な光取り出しを、簡便な作製プロセスで実現できることが確認された。
〔C:第三の実施形態に関する実施例(略m角形)〕
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[1]半導体発光素子の製造
(第三の実施形態に関する実施例1)
〔第一工程〕
窒化物基板として、(0001)面(c+面)配向したGaN自立基板を用いた。GaN自立基板は、H−VPE法により製造した。以下に製造した基板のGaN自立基板の性状を示す。
・電気特性:n型
・キャリア密度:5×1017cm−3
・X線回折による(10−12)反射におけるロッキングカーブの半値幅:65arcsec
・(1−100)方向へのオフ角度:0°
・(11−20)方向へのオフ角度:0°
・転位密度:4×10cm−2以下であった。
・酸素濃度:検出限界以下
・熱伝導率:250W/m・K以上
・反り:0.03mm以下
・膜厚:816μm
〔第二工程〕
前記第一工程で得られたc+面GaN基板上に、MOCVD法を用いて、第1のバッファ層として、成長温度1070℃で、厚み20nmのアンドープのGaN層を形成した。次に、第一導電型(n型)クラッド層として、成長温度1130℃で、厚み6.5μmのSiドープのGaN層を形成した。
次に活性層構造として、バリア層として成長温度800℃で13nmの厚さに成膜したアンドープGaN層と、量子井戸層として成長温度740℃で2nmの厚さに成膜したアンドープIn0.08Ga0.92N層とを、量子井戸層が全部で8層となるように交互に成膜し、最上段のバリア層として成長温度800℃で19nmの厚さに成膜したアンドープGaN層を成膜した。さらに成長温度を1070℃にして、第二導電型(p型)第一クラッド層を形成すべく、MgドープAl0.09Ga0.91N層を0.13μmの厚さに成長した。最後に第二導電型(p型)コンタクト層を形成すべく、MgドープAl0.03Ga0.97N層を0.02μmの厚さに成長した。
この後にMOCVD成長炉の中で徐々に温度を下げて、ウエハーを取り出し、薄膜結晶成長を終了した。
〔第三工程〕
薄膜結晶成長が終了したウエハーに対してp側電極を形成するために、フォトリソグラフィー法を用いてp側電極をリフトオフ法でパターニングする準備をしてレジストパターンを形成した。ここでp側電極としてNi(40nm厚)/Au(350nm厚)を真空蒸着法によって形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。次いで、その後熱処理を実施してp側電極を完成させた。
次いで、エッチング工程を実施するために、エッチング用マスクを形成した。そして、MgドープAl0.03Ga0.97Nコンタクト層、MgドープAl0.09Ga0.91Nクラッド層、In0.08Ga0.92N量子井戸層とGaNバリア層からなる活性層構造、n−GaNクラッド層の途中まで、Clガスを用いたICPプラズマエッチングを実施し、n型キャリアの注入部分となるn型クラッド層を露出させた。その後、エッチングマスクを除去した。
次に、露出したn型コンタクト層の表面にn側電極を形成するために、フォトリソグラフィー法を用いてn側電極をリフトオフ法でパターニングする準備をしてレジストパターンを形成した。ここでn側電極としてTi(40nm厚)/Al(400nm厚)を真空蒸着法によって形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。次いで、その後熱処理を実施してn側電極を完成させた。
〔第四工程〕
次いで、ウエハー上に形成された1つ1つの発光素子を分割するために、ダイヤモンドスクライバーを用いて基板側からスクライブラインを形成した。さらにこのスクライブラインにそってGaN基板をブレーキングし、1つ1つの半導体発光素子を完成させた。
これにより得られた半導体発光素子は、一辺Lsaが900μmの正六角形であった(即ち、当該正六角形上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lscは、当該正六角形の対角線であり、1800μmであった。)。基板の物理厚みは、前述の通り816μmであった。後述の通り、本発光素子のピーク発光波長は410nmであったので、GaN基板の屈折率は、2.5064であって、式c1の下限は783μmであって、式c1の上限は4137μmであるが、基板の物理厚み816μmは、これを満たしている。また、式c2−式c8をも満たしている。
この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図35の通りであった。また、ピーク発光波長を測定したところ、410nmであった。また、半導体発光素子の配光特性を、(a)当該正六角形の対辺の断面方向とした場合、および(b)基板主面の形状である正六角形の対角線を断面方向とした場合について測定した。その結果、配光特性は独特な双峰性の形状を呈した。例えば200mA電流注入時の配光特性の形状に関わる各種結果は、それぞれ表13の通りであった。
Figure 2012023249
(第三の実施形態に関する実施例2)
第一工程において、基板の膜厚を450μmとし、第四工程において、得られた半導体発光素子の一辺Lsaが500μmの正六角形とした(即ち、当該正方形上にある任意の2点の作る最も長い線分である対角線の長さLscは1000μmであった)以外は、第三の実施形態に関する実施例1と同様にして半導体発光素子を作製した。後述の通り、本発光素子のピーク発光波長は410nmであったので、GaN基板の屈折率は、2.5064であって、式c1の下限は435μmであって、式c1の上限は2298μmであるが、基板の物理厚み450μmは、これを満たしている。また、式c2−式c8をも満たしている。
この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図35の通りであった。また、ピーク発光波長を測定したところ、410nmであった。また、第三の実施形態に関する実施例1と同様に、半導体発光素子の配光特性を、(a)当該正六角形の対辺の断面方向とした場合、および(b)基板主面の形状である正六角形の対角線を断面方向とした場合について測定した。その結果、配光特性は独特な双峰性の形状を呈した。例えば200mA電流注入時の配光特性の形状に関わる各種結果は、それぞれ表14の通りであった。
Figure 2012023249
(第三の実施形態に関する実施例3)
第一工程において、基板の膜厚を804μmとし、第二工程において、バリア層を3×1017(cm−3)のSiドープGaN層とた以外は、第三の実施形態に関する実施例1と同様にして半導体発光素子を作製した。後述の通り、本発光素子のピーク発光波長は400nmであったので、GaN基板の屈折率は、2.5252であって、式c1の下限は776μmであって、式c1の上限は4174μmであるが、基板の物理厚み804μmは、これを満たしている。また、式c2−式c8をも満たしている。
この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図36の通りであった。また、ピーク発光波長を測定したところ、400nmであった。また、第三の実施形態に関する実施例1と同様に、半導体発光素子の配光特性を、(a)当該正六角形の対辺の断面方向とした場合、および(b)基板主面の形状である正六角形の対角線を断面方向とした場合について測定した。その結果、配光特性は独特な双峰性の形状を呈した。例えば200mA電流注入時の配光特性は、図37の通りであって、また、図の形状に関わる各種結果は、それぞれ表15の通りであった。
Figure 2012023249
(第三の実施形態に関する実施例4)
第一工程において、基板の膜厚を820μmとし、第二工程において、量子井戸層を全部で10層となるように交互に成膜し、また、バリア層として3×1017(cm−3)のSiドープGaN層とし、第三工程において、p側電極としてPt(350nm厚)を真空蒸着法によって形成し、n側電極としてAl(400nm厚)を真空蒸着法によって形成した以外は、第三の実施形態に関する実施例1と同様にして半導体発光素子を作製した。後述の通り、本発光素子のピーク発光波長は400nmであったので、GaN基板の屈折率は、2.5252であって、式c1の下限は776μmであって、式c1の上限は4174μmであるが、基板の物理厚み820μmは、これを満たしている。また、式c2−式c8をも満たしている。
この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図38の通りであった。また、ピーク発光波長を測定したところ、400nmであった。また、第三の実施形態に関する実施例1と同様に、半導体発光素子の配光特性を、(a)当該正六角形の対辺の断面方向とした場合、および(b)基板主面の形状である正六角形の対角線を断面方向とした場合について測定した。その結果、配光特性は独特な双峰性の形状を呈した。例えば200mA電流注入時の配光特性は、図39の通りであって、また、図の形状に関わる各種結果は、それぞれ表16の通りであった。
Figure 2012023249
(第三の実施形態に関する実施例5)
第三工程において、p側電極としてAl(350nm厚)を真空蒸着法によって形成した以外は、第三の実施形態に関する実施例4と同様にして半導体発光素子を作製した。後述の通り、本発光素子のピーク発光波長は400nmであったので、GaN基板の屈折率は、2.5252であって、式c1の下限は776μmであって、式c1の上限は4174μmであるが、基板の物理厚み820μmは、これを満たしている。また、式c2−式c8をも満たしている。
この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図40の通りであった。また、ピーク発光波長を測定したところ、400nmであった。また、第三の実施形態に関する実施例1と同様に、半導体発光素子の配光特性を、(a)当該正六角形の対辺の断面方向とした場合、および(b)基板主面の形状である正六角形の対角線を断面方向とした場合について測定した。その結果、配光特性は独特な双峰性の形状を呈した。例えば200mA電流注入時の配光特性は、図41の通りであって、また、図の形状に関わる各種結果は、それぞれ表17の通りであった。
Figure 2012023249
(第三の実施形態に関する比較例1)
第一工程において、H−PVE法により製造するGaN自立基板の膜厚を400μmとし、第四工程のダイヤモンドスクライブを実施する前に基板厚みを240μmに調整した以外は、第三の実施形態に関する実施例1と同様にして半導体発光素子を作製した。この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図35の通りであった。また、ピーク発光波長を測定したところ、411nmであった。また、第三の実施形態に関する実施例1と同様に、半導体発光素子の配光特性を、(a)当該正六角形の対辺の断面方向とした場合、および(b)基板主面の形状である正六角形の対角線を断面方向とした場合について測定した。その結果、200mA電流注入時の配光特性は、第三の実施形態に関する実施例1から第三の実施形態に関する実施例5でみられた配光特性の60度近傍のピークは観測されず、0度近傍の部分にいずれの場合も最大値が確認された。
(第三の実施形態に関する比較例2)
第一工程において、H−PVE法により製造するGaN自立基板の膜厚を400μmとし、第四工程のダイヤモンドスクライブを実施する前に基板厚みを140μmに調整した以外は、第三の実施形態に関する実施例2と同様にして半導体発光素子を作製した。この半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。この半導体発光装置の全放射束を測定したところ、図35の通りであった。また、発光ピーク波長を測定したところ、409nmであった。また、第三の実施形態に関する実施例1と同様に、半導体発光素子の配光特性を、(a)当該正六角形の対辺の断面方向とした場合、および(b)基板主面の形状である正六角形の対角線を断面方向とした場合について測定した。その結果、200mA電流注入時の配光特性は、第三の実施形態に関する実施例1から第三の実施形態に関する実施例5でみられた配光特性の60度近傍のピークは観測されず、0度近傍の部分にいずれの場合も最大値が確認された。
[2]考察
図35、図36、図38、図40より、第三の実施形態に関する実施例1から5の半導体発光装置は、形状およびサイズが同じ第三の実施形態に関する比較例1,2の半導体発光装置に比べて極めて高い全放射束を示した。
また、図37、図39、図41や、表13から17より、第三の実施形態に関する実施例1から5の半導体発光装置の配光特性として、活性層構造に平行な方向に近接して外部発光強度密度分布の極大値が確認されたのに対し、第三の実施形態に関する比較例1と2の配光特性は、活性層構造に平行な方向に近接した外部発光強度密度分布の極大値は認められなかった。
これより、本発明の半導体発光素子の基板の形状が、内部発光強度密度の高い光(即ち、活性層構造の平行方向に近い方向の光)を効率的に取り出しているのに対し、従来の半導体発光素子の基板形状では、内部発光強度密度の高い光を効率的に取り出せていないことが分かる。
以上より、本発明の半導体発光素子は、極めて高効率な光取り出しを、簡便な作製プロセスで実現できることが確認された。
〔D:第四の実施形態に関する実施例(超ラージチップ)〕
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[1]半導体発光素子の製造
(第四の実施形態に関する実施例1)
〔第一工程〕
窒化物基板として、(0001)面(c+面)配向したGaN自立基板を用いた。GaN自立基板は、H−VPE法により製造した。以下に製造した基板のGaN自立基板の性状を示す。
・電気特性:n型
・キャリア密度:6×1017cm−3
・X線回折による(10−12)反射におけるロッキングカーブの半値幅:60arcsec
・(1−100)方向へのオフ角度:0°
・(11−20)方向へのオフ角度:0°
・転位密度:5×10cm−2以下であった。
・酸素濃度:検出限界以下
・熱伝導率:250W/m・K以上
・反り:0.03mm以下
・膜厚:1215μm
〔第二工程〕
前記第一工程で得られたc+面GaN基板上に、MOCVD法を用いて、第1のバッファ層として、成長温度1070℃で、厚み20nmのアンドープのGaN層を形成した。
次に、第一導電型(n型)クラッド層として、成長温度1130℃で、厚み6.5μmのSiドープのGaN層を形成した。
次に活性層構造として、バリア層として成長温度810℃で13nmの厚さに成膜したSiドープGaN層と、量子井戸層として成長温度760℃で2nmの厚さに成膜したアンドープIn0.08Ga0.92N層とを、量子井戸層が全部で8層となるように交互に成膜し、最上段のバリア層として成長温度800℃で19nmの厚さに成膜したアンドープGaN層を成膜した。さらに成長温度を1070℃にして、第二導電型(p型)第一クラッド層を形成すべく、MgドープAl0.09Ga0.91N層を0.11μmの厚さに成長した。最後に第二導電型(p型)コンタクト層を形成すべく、MgドープAl0.03Ga0.97N層を0.02μmの厚さに成長した。
この後にMOCVD成長炉の中で徐々に温度を下げて、ウエハーを取り出し、薄膜結晶成長を終了した。
〔第三工程〕
薄膜結晶成長が終了したウエハーに対してp側電極を形成するために、フォトリソグラフィー法を用いてp側電極をリフトオフ法でパターニングする準備をしてレジストパターンを形成した。ここでp側電極としてPt(350nm厚)を電子ビーム蒸着法によって形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。次いで、その後熱処理を実施してp側電極を完成させた。
次いで、エッチング工程を実施するために、エッチング用マスクを形成した。そして、MgドープAl0.03Ga0.97Nコンタクト層、MgドープAl0.09Ga0.91Nクラッド層、In0.08Ga0.92N量子井戸層とGaNバリア層からなる活性層構造、n−GaNクラッド層の途中まで、Clガスを用いたICPプラズマエッチングを実施し、n型キャリアの注入部分となるn型クラッド層を露出させた。その後、エッチングマスクを除去した。
次に、露出したn型コンタクト層の表面にn側電極を形成するために、フォトリソグラフィー法を用いてn側電極をリフトオフ法でパターニングする準備をしてレジストパターンを形成した。ここでn側電極としてAl(400nm厚)を真空蒸着法によって形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。次いで、その後熱処理を実施してn側電極を完成させた。
第三第四工程間工程ついで、5水準の厚みの半導体発光素子を作製するために、電極形成が完了しているエピタキシャルウエハーを、適宜、複数の素子が分割後の各ウエハー片にふくまれるように分割、研磨、ラッピング等を施し、各半導体発光素子の厚みが107μm、462μm、656μm、789μm、1108μmの5水準の半導体発光素子を作製できるように準備をした。
〔第四工程〕
次いで、各ウエハー片上に内在する1つ1つの発光素子を分割するために、レーザースクライバーを用いてエピタキシャル成長された側からスクライブラインを形成した。さらにこのスクライブラインにそってGaN基板をブレーキングし、1つ1つの半導体発光素子を完成させた。
これにより得られた半導体発光素子は、短辺Lsaが約1700μm、長辺Lsbが約1700μmの略正方形であった。即ち、当該正方形上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lscは、当該正方形の対角線であり、約2404μmであった。発光素子の物理厚みは、前述の通り約107μm、約462μm、約656μm、約789μm、約1108μmの5水準であった。後述の通り、本発光素子のピーク発光波長は410nmであった。
これらの厚みの異なる5種類の半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。これら半導体発光装置の500mA電流注入時の全放射束を測定し、107μm厚の半導体発光素子を基準として、462μm厚素子、656μm厚素子、789μm厚素子、1108μm厚素子それぞれの出力比をとった。この結果を表18に示す。
Figure 2012023249
このように1辺が約1700μmであった正方形の投影形状を有する半導体発光素子は、その基板厚みを厚くすることで、全放射束比が大幅に向上することが確認された。
(第四の実施形態に関する実施例2)
第四の実施形態に関する実施例1で試作した素子の中で、発光素子厚みが1108μmである素子の配光特性を測定した。測定は50mA電流注入時に、主面投影図形の対角線方向に行った。この結果を図42に示す。その結果、配光特性は独特な双峰性の形状を呈した。この際の配光特性形状に関わる各種結果は、それぞれ表19の通りであった。
Figure 2012023249

(第四の実施形態に関する実施例3)
第四の実施形態に関する実施例1から、以下の内容のみを変更した。すなわち、試作した半導体発光素子の電極パターン等を変更し、これにあわせて、試作した半導体発光素子の短辺Lsaを約2500μm、長辺Lsbを約2500μmの正方形とした。即ち、当該正方形上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lscは、当該正方形の対角線であり、約3536μmであった。また、発光素子の物理厚みは、約100μm、約463μm、約651μm、約795μm、約1104μmの5水準に変更した。また、本発光素子のピーク発光波長は418nmであった。上記以外は、第四の実施形態に関する実施例1と同様にして、5種類の異なる厚みを有する半導体発光素子を試作した。
これらの厚みの異なる5種類の半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。これら半導体発光装置の500mA電流注入時の全放射束を測定し、100μm厚の半導体発光素子を基準として、463μm厚素子、651μm厚素子、795μm厚素子、1104μm厚素子それぞれの出力比をとった。この結果を表20に示す。
Figure 2012023249
このように1辺が約2500μmの正方形の投影形状を有する素子は、その基板厚みを厚くすることで、全放射束比が大幅に向上することが確認された。
(第四の実施形態に関する比較例1)
第四の実施形態に関する実施例1から、以下の内容のみを変更した。すなわち、試作した半導体発光素子の電極パターン等を変更し、これにあわせて、試作した半導体発光素子の短辺Lsaを約350μm、長辺Lsbを約350μmの正方形とした。即ち、当該正方形上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lscは、当該正方形の対角線であり約495μmであった。発光素子の物理厚みは、約103μm、約464μm、約652μm、約801μmの4水準に変更した。また、本発光素子のピーク発光波長は416nmであった。上記以外は、第四の実施形態に関する実施例1と同様にして、4種類の異なる厚みを有する半導体発光素子を試作した。
これらの厚みの異なる4種類の半導体発光素子をAuバンプを用いてサブマウントと接合し、半導体発光装置を完成させた。これら半導体発光装置の500mA電流注入時の全放射束を測定し、103μm厚の半導体発光素子を基準として、464μm厚素子、652μm厚素子、801μm厚素子それぞれの出力の比をとった。この結果を表21に示す。
Figure 2012023249
このように1辺が350μmの正方形の投影形状を有する素子は、その基板厚みを厚くしても、全放射束比向上は数%とほとんど改善しなかった。
[2]まとめ
表18、表20、表21より以下が明らかである。350μmの正方形の投影形状を有する素子は、その基板厚みを厚くしても、103μm厚素子を基準とした全放射束比は1.03程度とほとんど改善しなかった。
一方、1辺が1700μmの正方形の投影形状を有する素子は、その発光素子厚みを約460μm以上(基板厚みは約450μm以上)に厚くすることで、107μm厚素子を基準とした全放射束比が大幅に向上することが確認された。その比は1.25から1.33であった。また、1辺が2500μmの正方形の投影形状を有する素子においても、その発光素子厚みを約460μm以上(基板厚みは約450μm以上)に厚くすることで、100μm厚素子を基準とした全放射束比が大幅に向上することが確認された。その比は1.28から1.36であった。
これらの結果は、主面の投影形状が四角形である素子において、基板厚みを厚くした際の光取り出し効率の向上比が、主面投影形状の1辺の長さによって異なり、平面的な大型素子こそ、側壁厚が厚い事による光取り出し効果向上が非常に大きくなることを反映していると考えられる。
さらに、第四の実施形態に関する実施例1で試作した素子の中で、発光素子厚みが1108μmである素子の配光特性測定を行ったところ、図42に示すような独特な双峰性の形状を呈した。また、表19には配光特性の結果をまとめた。これは半導体発光素子の側面からの光取り出しが効果的に行われている結果と考えられる。
本発明によれば、理想的な光取り出しを、簡便な作製プロセスで実現可能な半導体発光素子およびその製造方法を提供することができる。また、本発明の発光素子は発光効率が低いことが問題であったラージチップにおいても理想的な光取り出しを簡便な作製プロセスで実現可能とする。さらに、本発明の発光素子は基板の側壁面からの光取り出しに好適であるという観点から、特に、いわゆるフリップチップ型構造や上下導通型構造を有する発光素子において特に有用である。
10 半導体発光素子
12 窒化物基板
12a 基板面
15 半導体層部
16 活性層構造
17 第一導電型半導体層
18 第二導電型半導体層
21 窒化物基板主面
31 量子井戸層
33 障壁層
27a、27b 電極
131〜133 領域

Claims (19)

  1. 窒化物基板と、
    ピーク発光波長λの光を発する活性層構造を含み前記窒化物基板の主面上に形成された半導体層部と、を有し、
    下記式を満たすことを特徴とする半導体発光素子。
    式 Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
    (但し、tは、前記窒化物基板の最大物理厚みを表し、
    scは、前記窒化物基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
    (λ)は、前記窒化物基板の波長λにおける屈折率を表す。)
  2. 請求項1に記載の半導体発光素子であって、
    前記窒化物基板の主面と垂直な任意の平面内にあって、
    光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxが少なくとも以下の式のいずれか一方を満たす配光特性となる平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
    −90.0度 < φem max ≦−32.5度
    32.5度 ≦ φem max <90.0度
  3. 請求項1または2に記載の半導体発光素子であって、
    前記窒化物基板の主面と垂直な任意の平面内にあって、
    光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、その外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxから、スネルの法則を用いて求められる半導体発光素子内部における内部発光強度密度の最大値を示す方向θem maxが少なくとも以下の式のいずれか一方を満たす平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
    −90.0度 < θem max ≦−67.5度
    67.5度 ≦ θem max < 90.0度
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
    前記主面と垂直な任意の平面内にあって、光取り出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
    該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値が、0度における外部発光強度密度よりも20%以上大きくなる平面が存在することを特徴とする半導体発光素子。
  5. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形である窒化物基板と、
    ピーク発光波長λの光を発する活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
    下記式を満たすことを特徴とする半導体発光素子。
    式 Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
    ≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
    (但し、
    は、前記基板の最大物理厚みを表し、
    scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
    (λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
  6. 請求項5に記載の半導体発光素子であって、
    前記基板主面が略三角形であり、最短辺の長さLsaおよび前記Lscが下記式を満たすことを特徴とする半導体発光素子。
    250(μm)≦Lsa≦Lsc≦5000(μm)
  7. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形である窒化物基板と、
    ピーク発光波長λの光を発する活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
    i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、下記式1及び下記式2を満たし、
    ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、下記式1のみを満たす
    ことを特徴とする半導体発光素子。
    式1
    sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
    ≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
    (但し、
    は、前記基板の最大物理厚みを表し、
    scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
    (λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
    式2
    550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
    (但し、
    saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
    sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
  8. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略m角形(mは5以上の整数)又は少なくとも一部に曲線を含む形状である窒化物基板と、
    ピーク発光波長λの光を発する活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部と、を有する半導体発光素子であって、
    i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、下記式3及び下記式4を満たし、
    ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、下記式3のみを満たす
    ことを特徴とする半導体発光素子。
    式3
    sc×tan{sin−1(1/ns(λ))}≦t
    ≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
    (但し、
    は、前記基板の最大物理厚みを表し、
    scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
    (λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
    式4
    500(μm)≦Lsc
  9. 基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形である窒化物基板と、
    活性層構造を含み前記基板の主面上に形成された半導体層部とを有する半導体発光素子であって、
    i)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、下記式5及び下記式6を満たし、
    ii)主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同でない場合は、下記式5のみを満たす
    ことを特徴とする半導体発光素子。
    式5
    450(μm)≦t≦22(mm)
    (tは前記基板の最大物理厚み)
    式6
    1700(μm)≦Lsa≦Lsb≦50(mm)
    (但し、
    saは、前記略四角形の主面の最短辺の長さを表し、
    sbは、前記略四角形の主面の最長辺の長さを表す。)
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
    前記基板主面に垂直方向に投影した半導体発光素子形状が、正多角形形状でないことを特徴とする半導体発光素子。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
    前記窒化物基板の主面が、(0001)面あるいはこれらの面からのオフ角度が5度以内の面であることを特徴とする半導体発光素子。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
    前記窒化物基板の主面が、(1−10n)面、(11−2n)面(但しnは0、1、2、3)、あるいは、これらの面からのオフ角度が5度以内の面であることを特徴とする半導体発光素子。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
    前記半導体層部が第二導電型半導体層をも有し、かつ、前記活性層構造が量子井戸層と障壁層を含んでおり、
    当該量子井戸層の数をNUMQW
    当該量子井戸層を構成する層の平均物理厚みをTQW(nm)、
    当該量子井戸層を構成する層の波長λにおける平均屈折率をnQW(λ)、
    当該障壁層の数をNUMBR
    当該障壁層を構成する層の平均物理厚みをTBR(nm)、
    当該障壁層を構成する層の波長λにおける平均屈折率をnBR(λ)、
    当該第二導電型半導体層の物理厚みをT(nm)、
    当該第二導電型半導体層の屈折率をn(λ)とする際に、
    以下の式を満たすことを特徴とする半導体発光素子。
    Figure 2012023249
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
    前記半導体層部が第二導電型半導体層をも有し、かつ、前記活性層構造が量子井戸層を含んでおり、
    内部発光強度密度の最大値示す方向θ em max(度)に最近接し、内部発光強度密度に極小値を与える方向θem L-minimal(度)が、以下の式7を満たし、
    かつ、
    方向(90−sin−1(1/n(λ)))(度)における内部発光強度密度Jin(90−sin−1(1/n(λ)))と、θ em max(度)における内部発光強度密度の最大値Jin(θ em max度)との比が以下の式8を満たすような、当該第二導電型側半導体層厚み、当該量子井戸層数、および量子井戸層厚みを有することを特徴とする半導体発光素子。
    式7:θ em L-minimal< 90−sin−1(1/n(λ))
    式8:(Jin(90−sin−1(1/n(λ)))/Jin(θ em max))≦0.9
  15. ピーク発光波長λの半導体発光素子の製造方法であって、
    波長λにおける屈折率がn(λ)である窒化物基板を準備する第一工程と、
    前記窒化物基板の主面上に半導体層部を形成する第二工程と、
    前記半導体層部を加工する第三工程と、
    前記基板と加工された半導体層部を各素子に分離する第四工程を含み、
    下記式を満たすように形状加工することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。

    sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
    ≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
    (但し、
    は、前記基板の最大物理厚みを表し、
    scは、前記基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
    (λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
  16. 請求項15に記載の半導体発光素子の製造方法であって、
    さらに、
    基板全体の厚みを調整する基板厚み調整工程、
    基板の一部を加工して新たな露出面を形成する基板露出面形成工程、および、
    少なくとも基板露出面の一部に凹凸加工を付与する基板上凹凸形状形成工程、
    の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  17. 請求項15または16記載の半導体発光素子の製造方法であって、
    前記窒化物基板をGaN基板とすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  18. 請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法で準備された半導体発光素子を用いて、第四工程後に半導体発光装置を作製する際の方法であって、
    半導体発光素子の半導体層部側をサブマウントに搭載する工程を有することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
  19. 請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法で準備された半導体発光素子を用いて、第四工程後に半導体発光装置を作製する際の方法であって、
    半導体発光素子を封止する工程を有することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
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