JP2012012553A - カルボキシメチルセルロースの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースを製造する方法を提供する。
【解決手段】重合度が1000以上のセルロースとアルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩とを混合した後、40〜90℃に加熱して反応させるカルボキシメチルセルロースの製造方法であって、反応時の親水性有機溶媒量が、セルロース100重量部に対して200重量部以下である、カルボキシメチルセルロースの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】重合度が1000以上のセルロースとアルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩とを混合した後、40〜90℃に加熱して反応させるカルボキシメチルセルロースの製造方法であって、反応時の親水性有機溶媒量が、セルロース100重量部に対して200重量部以下である、カルボキシメチルセルロースの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、カルボキシメチルセルロースの製造方法に関する。
カルボキシメチルセルロース(以下、「CMC」ともいう)は、増粘剤、分散剤、乳化剤、保護コロイド剤、安定化剤等として広範に利用されている。このCMCは、工業的には、セルロースを大量のアルカリ水で処理してアルカリセルロースとして活性化(アルセル化)した後、含水有機溶媒中に分散させてモノハロ酢酸と反応させる溶媒法により製造されている。
例えば特許文献1には、カルボキシメチルセルロース又はその塩類の製造方法であって、セルロースとアルカリとを温度20〜50℃で反応させてアルカリセルロースを生成させる工程と、アルカリセルロースとモノクロロ酢酸との反応によりカルボキシメチルセルロースを生成させる工程とで構成されているカルボキシメチルセルロース又はその塩類の製造方法が開示されている。
特許文献2には、結晶化度が50%以下の低結晶性の粉末セルロースを、塩基の存在下、有機ハライド化合物と反応させる、セルロース誘導体の製造方法が開示されている。
例えば特許文献1には、カルボキシメチルセルロース又はその塩類の製造方法であって、セルロースとアルカリとを温度20〜50℃で反応させてアルカリセルロースを生成させる工程と、アルカリセルロースとモノクロロ酢酸との反応によりカルボキシメチルセルロースを生成させる工程とで構成されているカルボキシメチルセルロース又はその塩類の製造方法が開示されている。
特許文献2には、結晶化度が50%以下の低結晶性の粉末セルロースを、塩基の存在下、有機ハライド化合物と反応させる、セルロース誘導体の製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1及び2に開示された方法では、水溶液粘度の高い、増粘剤として有用なカルボキシメチルセルロースを簡便に製造することが難しい。
本発明は、水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースを効率よく製造する方法を提供することを課題とする。
本発明は、水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースを効率よく製造する方法を提供することを課題とする。
本発明は、重合度が1000以上のセルロースとアルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩とを混合した後、40〜90℃に加熱して反応させるカルボキシメチルセルロースの製造方法であって、反応時の親水性有機溶媒量が、セルロース100重量部に対して200重量部以下である、カルボキシメチルセルロースの製造方法を提供する。
本発明の方法によれば、水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースを効率的に製造することができる。
本発明は、水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースを効率よく製造する方法に関する。
本発明者は、反応原料として重合度が1000以上のセルロースを用い、該セルロースとアルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩とを混合した後に40〜90℃に加熱して反応させ、かつ、反応時の親水性有機溶媒量を、セルロース100重量部に対して200重量部以下にすることにより、水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースを効率よく、且つ簡便に製造することを見出した。
これは、重合度が1000以上という疎水性の高いセルロースを用い、反応時の親水性有機溶媒量を一定以下にすることで、該セルロースを凝集させることなく反応させることができ、水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースができると考えられる。更に、アルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩とを混合してから加熱して反応させているので、セルロースのアルカリ剤による加水分解を抑制し、水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースができると考えられる。
本発明者は、反応原料として重合度が1000以上のセルロースを用い、該セルロースとアルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩とを混合した後に40〜90℃に加熱して反応させ、かつ、反応時の親水性有機溶媒量を、セルロース100重量部に対して200重量部以下にすることにより、水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースを効率よく、且つ簡便に製造することを見出した。
これは、重合度が1000以上という疎水性の高いセルロースを用い、反応時の親水性有機溶媒量を一定以下にすることで、該セルロースを凝集させることなく反応させることができ、水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースができると考えられる。更に、アルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩とを混合してから加熱して反応させているので、セルロースのアルカリ剤による加水分解を抑制し、水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースができると考えられる。
[原料]
(セルロース)
本発明に用いられるセルロースの粒径は特に限定されないが、セルロースの反応性の観点から、500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましい。粒径は、前記粒径の篩を用いた篩下品で調整することができる。また、セルロースの重合度を維持する観点から、50μm以上の篩を用いた篩下品が好ましい。
セルロース中の含水率は、取扱い性の観点から、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下が更に好ましい。
(セルロース)
本発明に用いられるセルロースの粒径は特に限定されないが、セルロースの反応性の観点から、500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましい。粒径は、前記粒径の篩を用いた篩下品で調整することができる。また、セルロースの重合度を維持する観点から、50μm以上の篩を用いた篩下品が好ましい。
セルロース中の含水率は、取扱い性の観点から、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下が更に好ましい。
本発明に用いられるセルロースの重合度は、反応時の凝集性を低減し、水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースを得る観点から、1000以上であり、好ましくは1200以上、更に好ましくは1500以上である。上限は特にないが、5000以下が好ましい。
セルロースには幾つかの結晶構造が知られており、またアモルファス部と結晶部の全量に対する結晶部の割合から、一般に結晶化度が算出される。
本発明においては、「結晶化度」とは、天然セルロースの結晶構造に由来するI型の結晶化度を意味し、粉末X線結晶回折スペクトル法による回折強度値からSegal法により算出したもので、下記式(1)により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度を示し、及びI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
セルロースの結晶化度は、高い重合度を維持する理由から、好ましくは50%を超え95%以下、より好ましくは60〜95%、更に好ましくは70〜95%、より更に好ましくは75〜95%である。
本発明においては、「結晶化度」とは、天然セルロースの結晶構造に由来するI型の結晶化度を意味し、粉末X線結晶回折スペクトル法による回折強度値からSegal法により算出したもので、下記式(1)により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度を示し、及びI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
セルロースの結晶化度は、高い重合度を維持する理由から、好ましくは50%を超え95%以下、より好ましくは60〜95%、更に好ましくは70〜95%、より更に好ましくは75〜95%である。
(アルカリ剤)
本発明に用いられるアルカリ剤は、効率的にセルロース分子の水酸基をアルコラート化する理由から、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物が好ましい。アルカリ金属水酸化物の具体例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはアルカリ金属水酸化物、更に好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。
モノハロ酢酸塩を用いる場合、本発明において使用されるセルロースの無水グルコース単位とアルカリ剤とのモル当量比(アルカリ剤/無水グルコース単位)は、水溶性、増粘性を発現する理由から、好ましくは0.3〜3、より好ましくは0.5〜2、更に好ましくは0.5〜1.5である。無水グルコース単位のモル数は、セルロース重量を無水グルコース単位の分子量162で除した値として求めることができる。
また、モノハロ酢酸を用いる場合、アルカリ剤はモノハロ酢酸の中和に消費されるため、本発明において使用されるセルロースの無水グルコース単位とアルカリ剤とのモル当量比(アルカリ剤/無水グルコース単位)は、水溶性、増粘性を発現する理由から、好ましくは0.6〜6、より好ましくは1.0〜4、更に好ましくは1〜3である。
本発明に用いられるアルカリ剤は、効率的にセルロース分子の水酸基をアルコラート化する理由から、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物が好ましい。アルカリ金属水酸化物の具体例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはアルカリ金属水酸化物、更に好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。
モノハロ酢酸塩を用いる場合、本発明において使用されるセルロースの無水グルコース単位とアルカリ剤とのモル当量比(アルカリ剤/無水グルコース単位)は、水溶性、増粘性を発現する理由から、好ましくは0.3〜3、より好ましくは0.5〜2、更に好ましくは0.5〜1.5である。無水グルコース単位のモル数は、セルロース重量を無水グルコース単位の分子量162で除した値として求めることができる。
また、モノハロ酢酸を用いる場合、アルカリ剤はモノハロ酢酸の中和に消費されるため、本発明において使用されるセルロースの無水グルコース単位とアルカリ剤とのモル当量比(アルカリ剤/無水グルコース単位)は、水溶性、増粘性を発現する理由から、好ましくは0.6〜6、より好ましくは1.0〜4、更に好ましくは1〜3である。
(モノハロ酢酸又はその塩)
本発明に用いられるモノハロ酢酸におけるハロゲン原子としては、反応性や汎用性及び取り扱い易さの理由から、好ましくはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子、より好ましくは臭素原子又は塩素原子、更に好ましくは塩素原子である。
モノハロ酢酸との塩を形成しうる金属としては、得られるカルボキシメチルセルロースの水溶性、増粘性をより発現する理由から、好ましくはリチウム、カリウム又はナトリウム、より好ましくはカリウム又はナトリウム、更に好ましくはナトリウムである。
本発明に用いられるモノハロ酢酸又はその塩の具体例としては、モノクロロ酢酸、モノブロモ酢酸、モノクロロ酢酸ナトリウム、モノクロロ酢酸カリウム等が挙げられ、モノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムが好ましい。
モノハロ酢酸又はその塩は、固体(粉体)のまま使用してもよく、後述する親水性有機溶媒に溶解させて使用してもよい。
本発明において使用されるセルロースの無水グルコース単位とモノハロ酢酸又はその塩とのモル当量比(モノハロ酢酸又はその塩/無水グルコース単位)は、水溶性、増粘性を発現する理由から、好ましくは0.3〜3、より好ましくは0.5〜2.0、更に好ましくは0.5〜1.6である。
本発明に用いられるモノハロ酢酸におけるハロゲン原子としては、反応性や汎用性及び取り扱い易さの理由から、好ましくはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子、より好ましくは臭素原子又は塩素原子、更に好ましくは塩素原子である。
モノハロ酢酸との塩を形成しうる金属としては、得られるカルボキシメチルセルロースの水溶性、増粘性をより発現する理由から、好ましくはリチウム、カリウム又はナトリウム、より好ましくはカリウム又はナトリウム、更に好ましくはナトリウムである。
本発明に用いられるモノハロ酢酸又はその塩の具体例としては、モノクロロ酢酸、モノブロモ酢酸、モノクロロ酢酸ナトリウム、モノクロロ酢酸カリウム等が挙げられ、モノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムが好ましい。
モノハロ酢酸又はその塩は、固体(粉体)のまま使用してもよく、後述する親水性有機溶媒に溶解させて使用してもよい。
本発明において使用されるセルロースの無水グルコース単位とモノハロ酢酸又はその塩とのモル当量比(モノハロ酢酸又はその塩/無水グルコース単位)は、水溶性、増粘性を発現する理由から、好ましくは0.3〜3、より好ましくは0.5〜2.0、更に好ましくは0.5〜1.6である。
上記のモノハロ酢酸又はその塩とアルカリ剤とは、各々単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において使用されるモノハロ酢酸とアルカリ剤とのモル当量比(アルカリ剤/モノハロ酢酸)は、副反応を抑制しながら効率的に反応させる理由から、好ましくは2〜3、より好ましくは2〜2.5、更に好ましくは2〜2.2、より更に好ましくは2〜2.1である。
また、モノハロ酢酸の塩を用いる場合は、本発明において使用されるモノハロ酢酸塩とアルカリ剤とのモル当量比(アルカリ剤/モノハロ酢酸塩)は、副反応を抑制しながら効率的に反応させる理由から、好ましくは1〜2、より好ましくは1〜1.5、更により好ましくは1〜1.1、より更に好ましくは、1〜1.05である。
本発明において使用されるモノハロ酢酸とアルカリ剤とのモル当量比(アルカリ剤/モノハロ酢酸)は、副反応を抑制しながら効率的に反応させる理由から、好ましくは2〜3、より好ましくは2〜2.5、更に好ましくは2〜2.2、より更に好ましくは2〜2.1である。
また、モノハロ酢酸の塩を用いる場合は、本発明において使用されるモノハロ酢酸塩とアルカリ剤とのモル当量比(アルカリ剤/モノハロ酢酸塩)は、副反応を抑制しながら効率的に反応させる理由から、好ましくは1〜2、より好ましくは1〜1.5、更により好ましくは1〜1.1、より更に好ましくは、1〜1.05である。
[反応条件]
本発明の方法では、セルロースとアルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩とを混合した後、40〜90℃に加熱して反応させて、カルボキシメチルセルロースを得る。
セルロースとアルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩とを混合してから加熱して反応させることで、セルロースの重合度の低下を抑制し、水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースを効率よく、且つ簡便に製造することができる。これは、アルカリ剤によるセルロース鎖の加水分解が抑制されるためと考えられる。
本発明の方法では、セルロースとアルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩とを混合した後、40〜90℃に加熱して反応させて、カルボキシメチルセルロースを得る。
セルロースとアルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩とを混合してから加熱して反応させることで、セルロースの重合度の低下を抑制し、水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースを効率よく、且つ簡便に製造することができる。これは、アルカリ剤によるセルロース鎖の加水分解が抑制されるためと考えられる。
セルロースとアルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩との混合順序はいずれであってもよく、同時であってもよいが、セルロース分子の水酸基を効率よくアルコラート化し、反応性を高める観点から、セルロースとアルカリ剤とを混合した後、モノハロ酢酸又はその塩と混合する方法が好ましい。
セルロースとアルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩とを混合する際の温度は、好ましくは0〜35℃、更に好ましくは10〜35℃である。
セルロースとアルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩とを混合する際の温度は、好ましくは0〜35℃、更に好ましくは10〜35℃である。
反応温度は、副反応を抑制しつつ、反応を効率的に進行させる観点から、40〜90℃であり、好ましくは40〜80℃、より好ましくは50〜70℃である。
加熱反応時には、セルロースの分散性、並びにセルロースとアルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩との混合性を良好にする観点から、好ましくは1〜500rpm、より好ましくは2〜200rpm、更に好ましくは5〜100rpmで撹拌を行う。
反応時間は、反応スケールにもよるが、好ましくは1〜10時間、より好ましくは2〜8時間程度である。
反応の終点は、モノハロ酢酸又はその塩の添加量の95重量%以上が消費された時点を目安とすることができ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等で確認することができる。
反応終了後、得られた生成物をメタノール等の親水性溶媒の水溶液を用いて撹拌処理を行った後にろ過することでNaCl等の塩類を除去する。更にろ過ケーキ分をアセトン等で洗浄処理することで、効率よく脱水することができる。
加熱反応時には、セルロースの分散性、並びにセルロースとアルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩との混合性を良好にする観点から、好ましくは1〜500rpm、より好ましくは2〜200rpm、更に好ましくは5〜100rpmで撹拌を行う。
反応時間は、反応スケールにもよるが、好ましくは1〜10時間、より好ましくは2〜8時間程度である。
反応の終点は、モノハロ酢酸又はその塩の添加量の95重量%以上が消費された時点を目安とすることができ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等で確認することができる。
反応終了後、得られた生成物をメタノール等の親水性溶媒の水溶液を用いて撹拌処理を行った後にろ過することでNaCl等の塩類を除去する。更にろ過ケーキ分をアセトン等で洗浄処理することで、効率よく脱水することができる。
(不活性ガス)
本発明の方法における反応雰囲気は特に制限されないが、セルロースの分子量の低下を抑制し、高い水溶液粘度を発現する観点から、加熱反応時には、不活性ガス雰囲気下で反応を行うことが好ましい。不活性ガスとしては、好ましくは窒素、ヘリウム又はアルゴン、より好ましくは窒素又はアルゴン、更に好ましくは窒素である。
本発明の方法における反応雰囲気は特に制限されないが、セルロースの分子量の低下を抑制し、高い水溶液粘度を発現する観点から、加熱反応時には、不活性ガス雰囲気下で反応を行うことが好ましい。不活性ガスとしては、好ましくは窒素、ヘリウム又はアルゴン、より好ましくは窒素又はアルゴン、更に好ましくは窒素である。
(親水性有機溶媒)
本発明の方法では、セルロースとモノハロ酢酸又はその塩との混合性を良好にする観点から親水性有機溶媒を使用してもよいが、カルボキシメチルセルロースの水溶液粘度を高める観点から、反応時の親水性有機溶媒量は、セルロース100重量部に対して200重量部以下であり、好ましくは150重量部以下、更に好ましくは100重量部以下、より更に好ましくは50重量部以下、より更に好ましくは30重量部以下である。200重量部を超えると凝集によりセルロースの分散性が低下し、撹拌などの物理力によりセルロース鎖が切断されやすくなると考えられる。重合度が高いセルロースは、より疎水性であるため親水性有機溶媒量は少ない方が好ましい。
親水性有機溶媒量を上記の範囲にすることにより、凝集が抑えられ、良好な粉体状態を維持したまま、反応を進行させることができ、高い水溶液粘度のカルボキシメチルセルロースが得られる。
親水性有機溶媒としては、25℃で水100gに100g以上溶解するものがモノハロ酢酸又はその塩の反応性の観点から好ましい。本発明の方法に用いることができる親水性有機溶媒としては、好ましくはイソプロパノール、tert−ブタノールなどの2級又は3級の低級アルコール;1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のジグライム、トリグライム等のエーテル系溶剤;ジメチルスルホキシド等であり、より好ましくはイソプロパノール、tert−ブタノール等の2級又は3級の低級アルコール、更に好ましくはイソプロパノール、tert−ブタノールである。
上記の親水性有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の方法では、セルロースとモノハロ酢酸又はその塩との混合性を良好にする観点から親水性有機溶媒を使用してもよいが、カルボキシメチルセルロースの水溶液粘度を高める観点から、反応時の親水性有機溶媒量は、セルロース100重量部に対して200重量部以下であり、好ましくは150重量部以下、更に好ましくは100重量部以下、より更に好ましくは50重量部以下、より更に好ましくは30重量部以下である。200重量部を超えると凝集によりセルロースの分散性が低下し、撹拌などの物理力によりセルロース鎖が切断されやすくなると考えられる。重合度が高いセルロースは、より疎水性であるため親水性有機溶媒量は少ない方が好ましい。
親水性有機溶媒量を上記の範囲にすることにより、凝集が抑えられ、良好な粉体状態を維持したまま、反応を進行させることができ、高い水溶液粘度のカルボキシメチルセルロースが得られる。
親水性有機溶媒としては、25℃で水100gに100g以上溶解するものがモノハロ酢酸又はその塩の反応性の観点から好ましい。本発明の方法に用いることができる親水性有機溶媒としては、好ましくはイソプロパノール、tert−ブタノールなどの2級又は3級の低級アルコール;1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のジグライム、トリグライム等のエーテル系溶剤;ジメチルスルホキシド等であり、より好ましくはイソプロパノール、tert−ブタノール等の2級又は3級の低級アルコール、更に好ましくはイソプロパノール、tert−ブタノールである。
上記の親水性有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(水)
本発明の方法では、アルカリ剤により、効率的にセルロース分子の水酸基をアルコラート化する理由から、水を使用することが好ましく、例えば、アルカリ剤の水溶液として使用することができる。
本発明の方法における反応時の水分量は、セルロースの分散性及びセルロースの反応性を高める観点から、セルロース100重量部に対して100重量部以下が好ましく、80重量部以下がより好ましく、60重量部以下が更に好ましく、また、セルロースの反応性の観点から20重量部以上が好ましい。反応時の水分量を上記の範囲にすることにより、セルロースの凝集が抑えられ、良好な粉体状態を維持したまま効率よく反応を進行させることができ、生成物の取扱い性にも優れる。
本発明の方法では、アルカリ剤により、効率的にセルロース分子の水酸基をアルコラート化する理由から、水を使用することが好ましく、例えば、アルカリ剤の水溶液として使用することができる。
本発明の方法における反応時の水分量は、セルロースの分散性及びセルロースの反応性を高める観点から、セルロース100重量部に対して100重量部以下が好ましく、80重量部以下がより好ましく、60重量部以下が更に好ましく、また、セルロースの反応性の観点から20重量部以上が好ましい。反応時の水分量を上記の範囲にすることにより、セルロースの凝集が抑えられ、良好な粉体状態を維持したまま効率よく反応を進行させることができ、生成物の取扱い性にも優れる。
[カルボキシメチルセルロース]
本発明の方法により、水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースが得られる。得られるカルボキシメチルセルロースは塩であってもよく、塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩又はマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩が好ましい。
本発明の方法により得られるカルボキシメチルセルロースの1重量%水溶液粘度(ナトリウム塩で100モル%中和品)(25℃)は、増粘性を発現する理由から、好ましくは1200mPa・s以上、より好ましくは1700mPa・s以上、更に好ましくは2000mPa・s以上である。上限は特にないが、取り扱い性の観点から、10000mPa・s以下が好ましく、5000mPa・s以下がより好ましい。水溶液粘度の測定方法は、後述する実施例に記載の通りである。
本発明の方法により得られるカルボキシメチルセルロースは、化粧料等の増粘剤として有用である。
本発明の方法により、水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースが得られる。得られるカルボキシメチルセルロースは塩であってもよく、塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩又はマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩が好ましい。
本発明の方法により得られるカルボキシメチルセルロースの1重量%水溶液粘度(ナトリウム塩で100モル%中和品)(25℃)は、増粘性を発現する理由から、好ましくは1200mPa・s以上、より好ましくは1700mPa・s以上、更に好ましくは2000mPa・s以上である。上限は特にないが、取り扱い性の観点から、10000mPa・s以下が好ましく、5000mPa・s以下がより好ましい。水溶液粘度の測定方法は、後述する実施例に記載の通りである。
本発明の方法により得られるカルボキシメチルセルロースは、化粧料等の増粘剤として有用である。
製造例で得られた結晶性セルロースの結晶化度、重合度及び水分含量、並びに実施例で得られたカルボキシメチルセルロースの置換度及び水溶液粘度の測定は、下記の方法で行った。「%」は、「重量%」である。
(1)結晶化度の算出
セルロースI型結晶化度は、サンプルのX線回折強度を、株式会社リガク製の「Rigaku RINT 2500VC X-RAY diffractometer」(商品名)を用いて以下の条件で測定し、前記式(1)に基づいて算出した。
測定条件は、X線源:Cu/Kα−radiation、管電圧:40kV、管電流:120mA、測定範囲:回折角2θ=5〜45°で測定した。測定用サンプルは面積320mm2×厚さ1mmのペレットを圧縮し作製した。X線のスキャンスピードは10°/minで測定した。
セルロースI型結晶化度は、サンプルのX線回折強度を、株式会社リガク製の「Rigaku RINT 2500VC X-RAY diffractometer」(商品名)を用いて以下の条件で測定し、前記式(1)に基づいて算出した。
測定条件は、X線源:Cu/Kα−radiation、管電圧:40kV、管電流:120mA、測定範囲:回折角2θ=5〜45°で測定した。測定用サンプルは面積320mm2×厚さ1mmのペレットを圧縮し作製した。X線のスキャンスピードは10°/minで測定した。
(2)重合度の測定
セルロースの重合度はISO−4312法に記載の銅アンモニア法により測定した。
(3)水分含量の測定
水分含量は、ハロゲン水分計(メトラー・トレド株式会社製、商品名:「HG53」)を使用し、150℃にて測定を行った。
セルロースの重合度はISO−4312法に記載の銅アンモニア法により測定した。
(3)水分含量の測定
水分含量は、ハロゲン水分計(メトラー・トレド株式会社製、商品名:「HG53」)を使用し、150℃にて測定を行った。
(4)置換度の測定
カルボキシメチルセルロース試料を、マイクロウェーブ湿式灰化装置(PROLABO社製、商品名:「A−300」)を用いて硫酸−過酸化水素で湿式分解した後、原子吸光装置(株式会社日立製作所製、商品名:「Z−6100型」)を用いて原子吸光法によりNa含量(%)を測定し、下記式(2)により置換度を算出した。
置換度(DS)=(162×Na含量(%))/(2300−80×Na含量(%)) (2)
(5)水溶液粘度の測定
カルボキシメチルセルロースの1%水溶液(ナトリウム塩で100モル%中和)を調製し、B型粘度計(東機産業株式会社製、商品名:「TVB−10M」)を使用し、25℃、ローター:No.3(200〜4000mPa・sの測定用)、30rpm、3minの条件で測定を行った。なお、No.3で測定した際に、200mPa・s未満の粘度となる場合は、ローター:No.1を用い、4000mPa・sを超える場合は、ローター:No.4を用いる。
カルボキシメチルセルロース試料を、マイクロウェーブ湿式灰化装置(PROLABO社製、商品名:「A−300」)を用いて硫酸−過酸化水素で湿式分解した後、原子吸光装置(株式会社日立製作所製、商品名:「Z−6100型」)を用いて原子吸光法によりNa含量(%)を測定し、下記式(2)により置換度を算出した。
置換度(DS)=(162×Na含量(%))/(2300−80×Na含量(%)) (2)
(5)水溶液粘度の測定
カルボキシメチルセルロースの1%水溶液(ナトリウム塩で100モル%中和)を調製し、B型粘度計(東機産業株式会社製、商品名:「TVB−10M」)を使用し、25℃、ローター:No.3(200〜4000mPa・sの測定用)、30rpm、3minの条件で測定を行った。なお、No.3で測定した際に、200mPa・s未満の粘度となる場合は、ローター:No.1を用い、4000mPa・sを超える場合は、ローター:No.4を用いる。
製造例1
(結晶性セルロースの製造)
まず市販のコットンリンターパルプシート(山東高蜜化繊公司製、商品名:「PCS2400」、結晶化度94%、含水量7.5重量%)をシュレッダー(株式会社明光商会製、商品名:「MSX2000−IVP440F」)にかけて1cm角のチップ状にした。次に、振動ミル(中央化工機株式会社製、商品名:「MB−1」)を使用し、得られたチップ状パルプ200gと直径30mmの丸型ロッド13本とをミルポットに仕込み、振動数1200cpm、振幅8mm、粉砕時間30分間の条件で粉砕した。得られたセルロースを目開き250μmの篩にかけ、篩下品を80℃、窒素気流下、減圧条件(約70kPa)で一晩乾燥させ、結晶性セルロース(結晶化度84%、重合度1621、含水量1.0重量%)を得た。
(結晶性セルロースの製造)
まず市販のコットンリンターパルプシート(山東高蜜化繊公司製、商品名:「PCS2400」、結晶化度94%、含水量7.5重量%)をシュレッダー(株式会社明光商会製、商品名:「MSX2000−IVP440F」)にかけて1cm角のチップ状にした。次に、振動ミル(中央化工機株式会社製、商品名:「MB−1」)を使用し、得られたチップ状パルプ200gと直径30mmの丸型ロッド13本とをミルポットに仕込み、振動数1200cpm、振幅8mm、粉砕時間30分間の条件で粉砕した。得られたセルロースを目開き250μmの篩にかけ、篩下品を80℃、窒素気流下、減圧条件(約70kPa)で一晩乾燥させ、結晶性セルロース(結晶化度84%、重合度1621、含水量1.0重量%)を得た。
実施例1
1Lニーダー(株式会社入江商会製、商品名:「PNV−1型」)に、製造例1で得られた結晶性セルロースを乾燥重量として90.0g(0.556mol、無水グルコース単位換算)仕込み、ニーダー内を減圧(約50kPa)し、次いで窒素で常圧まで戻す操作を3回行って窒素置換した。ニーダーを撹拌し、そこへ49.3%水酸化ナトリウム水溶液69.5g(0.856mol)を1時間かけて滴下し、更に25℃で30分間撹拌した。次に、窒素雰囲気下で50%モノクロロ酢酸イソプロパノール溶液73.6g(0.389mol)を2時間かけて滴下した後、60℃に昇温し3時間撹拌した。
反応時の親水性有機溶媒量(イソプロパノール量)は、セルロース100重量部に対して41重量部であった。また、反応時のセルロース及びその他の原料由来の水分量の総和は、セルロース100重量部に対して40重量部であった。
反応終了後、室温まで冷却し、生成物をニーダーから取り出し、70%メタノール水溶液1000mlに分散した後、酢酸4.7gを加えて余剰の水酸化ナトリウムを中和した。次に、70%メタノール水溶液3000mlを添加し、撹拌することで、副生塩及び未反応物等を溶出させ、次いで得られたスラリーをろ過した。ろ過ケーキを、アセトン1000mlで洗浄し、乾燥して、カルボキシメチルセルロース112gを得た。得られたカルボキシメチルセルロースの無水グルコース単位当たりの置換度は0.57であり、1%水溶液粘度(25℃)は1838mPa・sであった。
1Lニーダー(株式会社入江商会製、商品名:「PNV−1型」)に、製造例1で得られた結晶性セルロースを乾燥重量として90.0g(0.556mol、無水グルコース単位換算)仕込み、ニーダー内を減圧(約50kPa)し、次いで窒素で常圧まで戻す操作を3回行って窒素置換した。ニーダーを撹拌し、そこへ49.3%水酸化ナトリウム水溶液69.5g(0.856mol)を1時間かけて滴下し、更に25℃で30分間撹拌した。次に、窒素雰囲気下で50%モノクロロ酢酸イソプロパノール溶液73.6g(0.389mol)を2時間かけて滴下した後、60℃に昇温し3時間撹拌した。
反応時の親水性有機溶媒量(イソプロパノール量)は、セルロース100重量部に対して41重量部であった。また、反応時のセルロース及びその他の原料由来の水分量の総和は、セルロース100重量部に対して40重量部であった。
反応終了後、室温まで冷却し、生成物をニーダーから取り出し、70%メタノール水溶液1000mlに分散した後、酢酸4.7gを加えて余剰の水酸化ナトリウムを中和した。次に、70%メタノール水溶液3000mlを添加し、撹拌することで、副生塩及び未反応物等を溶出させ、次いで得られたスラリーをろ過した。ろ過ケーキを、アセトン1000mlで洗浄し、乾燥して、カルボキシメチルセルロース112gを得た。得られたカルボキシメチルセルロースの無水グルコース単位当たりの置換度は0.57であり、1%水溶液粘度(25℃)は1838mPa・sであった。
実施例2
1Lニーダー(株式会社入江商会製、商品名:「PNV−1型」)に、製造例1で得られた結晶性セルロースを乾燥重量として90.0g(0.556mol、無水グルコース単位換算)仕込み、ニーダー内を減圧(約50kPa)し、次いで窒素で常圧まで戻す操作を3回行って窒素置換した。ニーダーを撹拌し、そこへ28.0%水酸化ナトリウム水溶液61.1g(0.428mol)を1時間かけて滴下し、更に25℃で30分間撹拌した。次に、窒素雰囲気下でモノクロロ酢酸ナトリウム粉末45.3g(0.389mol)を一括添加し、60℃に昇温し3時間撹拌した。
反応時の親水性有機溶媒量は、セルロース100重量部に対して0重量部であった。また、反応時のセルロース及びその他の原料由来の水分量の総和は、セルロース100重量部に対して50重量部であった。
反応終了後、室温まで冷却し、生成物をニーダーから取り出し、70%メタノール水溶液1000mlに分散した後、酢酸2.3gを加えて余剰の水酸化ナトリウムを中和した。次に、70%メタノール水溶液3000mlを添加し、撹拌することで、副生塩及び未反応物等を溶出させ、次いで得られたスラリーをろ過した。ろ過ケーキを、アセトン1000mlで洗浄して除去し、乾燥して、カルボキシメチルセルロースを得た。得られたカルボキシメチルセルロースの無水グルコース単位当たりの置換度は0.50であり、1%水溶液粘度(25℃)は2072mPa・sであった。
1Lニーダー(株式会社入江商会製、商品名:「PNV−1型」)に、製造例1で得られた結晶性セルロースを乾燥重量として90.0g(0.556mol、無水グルコース単位換算)仕込み、ニーダー内を減圧(約50kPa)し、次いで窒素で常圧まで戻す操作を3回行って窒素置換した。ニーダーを撹拌し、そこへ28.0%水酸化ナトリウム水溶液61.1g(0.428mol)を1時間かけて滴下し、更に25℃で30分間撹拌した。次に、窒素雰囲気下でモノクロロ酢酸ナトリウム粉末45.3g(0.389mol)を一括添加し、60℃に昇温し3時間撹拌した。
反応時の親水性有機溶媒量は、セルロース100重量部に対して0重量部であった。また、反応時のセルロース及びその他の原料由来の水分量の総和は、セルロース100重量部に対して50重量部であった。
反応終了後、室温まで冷却し、生成物をニーダーから取り出し、70%メタノール水溶液1000mlに分散した後、酢酸2.3gを加えて余剰の水酸化ナトリウムを中和した。次に、70%メタノール水溶液3000mlを添加し、撹拌することで、副生塩及び未反応物等を溶出させ、次いで得られたスラリーをろ過した。ろ過ケーキを、アセトン1000mlで洗浄して除去し、乾燥して、カルボキシメチルセルロースを得た。得られたカルボキシメチルセルロースの無水グルコース単位当たりの置換度は0.50であり、1%水溶液粘度(25℃)は2072mPa・sであった。
実施例3
窒素置換操作をしなかったこと以外は実施例1と同様にして反応を行ってカルボキシメチルセルロースを得た。得られたカルボキシメチルセルロースの無水グルコース単位当たりの置換度は0.55であり、1%水溶液粘度(25℃)は934mPa・sであった。
窒素置換操作をしなかったこと以外は実施例1と同様にして反応を行ってカルボキシメチルセルロースを得た。得られたカルボキシメチルセルロースの無水グルコース単位当たりの置換度は0.55であり、1%水溶液粘度(25℃)は934mPa・sであった。
比較例1
1Lニーダー(株式会社入江商会製、商品名:「PNV−1型」)に、製造例1で得られた結晶性セルロースを乾燥重量として90.0g(0.556mol、無水グルコース単位換算)仕込み、ニーダーを撹拌し、そこへ49.3%水酸化ナトリウム水溶液69.5g(0.856mol)を1時間かけて滴下し、更に25℃で30分間撹拌した。60℃に昇温した後、50%モノクロロ酢酸イソプロパノール溶液73.6g(0.389mol)を2時間かけて滴下し、60℃のまま3時間撹拌した。
反応時の親水性有機溶媒量(イソプロパノール量)は、セルロース100重量部に対して41重量部であった。また、反応時のセルロース及びその他の原料由来の水分量の総和は、セルロース100重量部に対して40重量部であった。
反応終了後、室温まで冷却し、生成物をニーダーから取り出し、70%メタノール水溶液1000mlに分散した後、酢酸4.7gを加えて余剰の水酸化ナトリウムを中和した。次に、70%メタノール水溶液3000mlを添加し、撹拌することで、副生塩及び未反応物等を溶出させ、次いで得られたスラリーをろ過した。ろ過ケーキを、アセトン1000mlで洗浄して除去し、乾燥して、カルボキシメチルセルロースを得た。得られたカルボキシメチルセルロースの無水グルコース単位当たりの置換度は0.51であり、1%水溶液粘度(25℃)は172mPa・sであった。
1Lニーダー(株式会社入江商会製、商品名:「PNV−1型」)に、製造例1で得られた結晶性セルロースを乾燥重量として90.0g(0.556mol、無水グルコース単位換算)仕込み、ニーダーを撹拌し、そこへ49.3%水酸化ナトリウム水溶液69.5g(0.856mol)を1時間かけて滴下し、更に25℃で30分間撹拌した。60℃に昇温した後、50%モノクロロ酢酸イソプロパノール溶液73.6g(0.389mol)を2時間かけて滴下し、60℃のまま3時間撹拌した。
反応時の親水性有機溶媒量(イソプロパノール量)は、セルロース100重量部に対して41重量部であった。また、反応時のセルロース及びその他の原料由来の水分量の総和は、セルロース100重量部に対して40重量部であった。
反応終了後、室温まで冷却し、生成物をニーダーから取り出し、70%メタノール水溶液1000mlに分散した後、酢酸4.7gを加えて余剰の水酸化ナトリウムを中和した。次に、70%メタノール水溶液3000mlを添加し、撹拌することで、副生塩及び未反応物等を溶出させ、次いで得られたスラリーをろ過した。ろ過ケーキを、アセトン1000mlで洗浄して除去し、乾燥して、カルボキシメチルセルロースを得た。得られたカルボキシメチルセルロースの無水グルコース単位当たりの置換度は0.51であり、1%水溶液粘度(25℃)は172mPa・sであった。
比較例1の方法で得られたカルボキシメチルセルロースは水溶液粘度が低かったのに対し、実施例1〜3の方法で得られたカルボキシメチルセルロースは水溶液粘度が高く、増粘剤として有用である。このことから、本発明の方法によれば、原料を混合してから加熱して反応させることで、セルロースの重合度の低下を抑制し、水溶液粘度の高いカルボキシメチルセルロースを効率よく、かつ簡便に製造できることがわかる。
なお、実施例1及び2の対比から、反応時の親水性有機溶媒量が少ないほど水溶液粘度がより高いカルボキシメチルセルロースを製造できることがわかる。また、実施例1及び3の対比から、窒素雰囲気下で反応を行うことで水溶液粘度がより高いカルボキシメチルセルロースを製造できることがわかる。
なお、実施例1及び2の対比から、反応時の親水性有機溶媒量が少ないほど水溶液粘度がより高いカルボキシメチルセルロースを製造できることがわかる。また、実施例1及び3の対比から、窒素雰囲気下で反応を行うことで水溶液粘度がより高いカルボキシメチルセルロースを製造できることがわかる。
本発明の方法により得られるカルボキシメチルセルロースは、化粧料等の増粘剤として有用である。
Claims (5)
- 重合度が1000以上のセルロースとアルカリ剤とモノハロ酢酸又はその塩とを混合した後、40〜90℃に加熱して反応させるカルボキシメチルセルロースの製造方法であって、反応時の親水性有機溶媒量が、セルロース100重量部に対して200重量部以下である、カルボキシメチルセルロースの製造方法。
- 得られたカルボキシメチルセルロースの1重量%水溶液の粘度(25℃)が、1200mPa・s以上である、請求項1に記載のカルボキシメチルセルロースの製造方法。
- 反応を不活性ガス雰囲気下で行う、請求項1又は2に記載のカルボキシメチルセルロースの製造方法。
- セルロースの結晶化度が50%を超え90%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のカルボキシメチルセルロースの製造方法。
- 反応時の水分量が、セルロース100重量部に対して100重量部以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のカルボキシメチルセルロースの製造方法。
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