JP7338014B2 - カルボキシメチル化セルロース粉末 - Google Patents
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(1)カルボキシメチル置換度が0.50以下であり、セルロースI型の結晶化度が50%以上であり、メディアン径が10μm~150μmである、カルボキシメチル化セルロース粉末。
(2)カルボキシメチル置換度が0.20以上である、(1)に記載のカルボキシメチル化セルロース粉末。
(3)安息角が40°~60°の範囲である、(1)または(2)に記載のカルボキシメチル化セルロース粉末。
(4)崩壊角が20°~40°の範囲である、(1)~(3)のいずれか1つに記載のカルボキシメチル化セルロース粉末。
(5)カルボキシメチル化セルロースが、水を主とする溶媒下でマーセル化反応を行い、次いで、水と有機溶媒との混合溶媒下でカルボキシメチル化反応を行うことにより製造されたものである、(1)~(4)のいずれか1つに記載のカルボキシメチル化セルロース粉末。
(6)前記水を主とする溶媒が、水を50質量%より多く含む溶媒である、(5)に記載
のカルボキシメチル化セルロース粉末。
(7)前記混合溶媒における有機溶媒の割合が、水と有機溶媒との総和に対して、50~99質量%である、(5)または(6)に記載のカルボキシメチル化セルロース粉末。
本発明のカルボキシメチル化セルロース粉末は、カルボキシメチル置換度が0.50以下であり、セルロースI型の結晶化度が50%以上であり、メディアン径が10μm~150μmである。カルボキシメチル化セルロースは、セルロースのグルコース残基中の水酸基の一部がカルボキシメチル基とエーテル結合した構造を有するものである。カルボキシメチル化セルロースは、塩の形態をとる場合もあり、本発明のカルボキシメチル化セルロースには、カルボキシメチル化セルロースの塩も含まれるものとする。カルボキシメチル化セルロースの塩としては、例えばナトリウム塩などの金属塩などが挙げられる。
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースは、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.50以下であり、好ましくは0.40以下である。当該置換度が0.50を超えると水への溶解が起こりやすくなり、水中で繊維形態を維持できなくなり、保形性付与等の効果が低減する可能性がある。保水性や保形性付与等の効果を得るためには、一定程度のカルボキシメチル置換度を有することは必要であり、例えば、カルボキシメチル置換度が0.02より小さいと、用途によっては、カルボキシメチル基を導入したことによる利点が得られない場合がある。したがって、カルボキシメチル置換度は、0.02以上であることが好ましく、0.05以上であることが更に好ましく、0.10以上であることが更に好ましく、0.15以上であることが更に好ましく、0.20以上であることがさらに好ましく、0.25以上であることがさらに好ましく、0.30以上であることがさらに好ましい。なお、特に、カルボキシメチル置換度が0.20以上0.50以下の範囲では、後述するセルロースI型の結晶化度が50%以上であるカルボキシメチル化セルロースを得ること自体が困難であったが、本発明者らは、例えば後述する製法により、カルボキシメチル置換度0.20以上0.50以下であり、かつ、セルロースI型の結晶化度が50%以上でありながら、均質なカルボキシメチル化セルロースを製造できることを見出した。カルボキシメチル置換度は、反応させるカルボキシメチル化剤の添加量、マーセル化剤の量、水と有機溶媒の組成比率をコントロールすること等によって調整することができる。
試料約2.0gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。硝酸メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振盪して、カルボキシメチル化セルロースの塩(CMC)をH-CMC(水素型カルボキシメチル化セルロース)に変換する。その絶乾H-CMCを1.5~2.0g精秤し、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。80%メタノール15mLでH-CMCを湿潤し、0.1N-NaOHを100mL加え、室温で3時間振盪する。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1N-H2SO4で過剰のNaOHを逆滴定し、次式によってカルボキシメチル置換度(DS値)を算出する。
A=[(100×F’-0.1N-H2SO4(mL)×F)×0.1]/(H-CMCの絶乾質量(g))
カルボキシメチル置換度=0.162×A/(1-0.058×A)
F’:0.1N-H2SO4のファクター
F:0.1N-NaOHのファクター。
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースにおけるセルロースの結晶化度は、結晶I型が50%以上であり、60%以上であることがより好ましい。結晶性を上記範囲に調整することにより、カルボキシメチル化セルロースによる保形性付与等の効果が高く得られるようになる。セルロースの結晶性は、マーセル化剤の濃度と処理時の温度、並びにカルボキシメチル化の度合によって制御できる。マーセル化及びカルボキシメチル化においては高濃度のアルカリが使用されるために、セルロースのI型結晶がII型に変換されやすいが、アルカリ(マーセル化剤)の使用量を調整するなどして変性の度合いを調整することによって、所望の結晶性を維持させることができる。セルロースI型の結晶化度の上限は特に限定されない。現実的には90%程度が上限となると考えられる。
試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD-6000、島津製作所製)を用いて測定する。結晶化度の算出はSegal等の手法を用いて行い、X線回折図の2θ=10°~30°の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6°の002面の回折強度と2θ=18.5°のアモルファス部分の回折強度から次式により算出する。
Xc=セルロースのI型の結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6°、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5°、アモルファス部分の回折強度。
本発明のカルボキシメチル化セルロース粉末は、10μm~150μmの範囲のメディアン径を有する。メディアン径の範囲は、好ましくは、20μm~120μmであり、さらに好ましくは、30μm~100μmである。メディアン径が10μmより小さいと、全体的に粉末が細かくなりすぎ、扱う際に舞い上がりやすいなど、作業性が悪くなる。一方、メディアン径が150μmより大きいと、水などの媒体に均一に溶解または分散させにくくなり、ダマ(塊)が残るなどの問題が生じやすくなる。本発明において、メディアン径は、メタノールを分散媒として分散させ、レーザー回折・散乱式粒度分布計で測定される体積累計50%の粒子径D50の値をいう。このようなメディアン径を有するカルボキシメチル化セルロース粉末は、例えば後述する方法でカルボキシメチル化セルロースを粉砕、分級することにより得ることができる。
本発明のカルボキシメチル化セルロース粉末の安息角は、好ましくは40°~60°であり、より好ましくは52°~58°であり、さらに好ましくは53°~57°である。安息角が60°を超えると、粉体流動性が悪くなるため作業性が悪化する。また安息角が40°未満であると、粉体の落下速度が速くなるが、粉舞いが発生するため、作業性が悪化する。
本発明のカルボキシメチル化セルロース粉末の崩壊角は、好ましくは20°~40°であり、より好ましくは25°~35°である。崩壊角が40°を超えると、粉体流動性が悪くなるため作業性が悪化する。また崩壊角が20°未満であると、粉体の落下速度が速くなるが、粉舞いが発生するため、作業性が悪化する。
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースは、水を分散媒として分散体としたときに(水分散体)、ダマ(塊)の形成が少ない(すなわち、濾過残渣を形成する割合が少ない)ものが好ましい。具体的には、水500gにカルボキシメチル化セルロースを投入し、400rpmで5秒間撹拌した後、20メッシュのフィルターを用いて自然濾過した際のフィルター上の濾過残渣の乾燥質量が、水に投入したカルボキシメチル化セルロースの乾燥質量に対して、0~30質量%であることが好ましい(本明細書において、上記の方法で算出される水に投入したカルボキシメチル化セルロースの乾燥質量に対する自然濾過後の濾過残渣の乾燥質量の割合を、「濾過残渣の割合」と呼ぶ。)。濾過残渣の割合の具体的な測定方法は、以下の通りである:
(1)濾過残渣の量の測定
1Lのビーカーに500gの水を採取する。カルボキシメチル化セルロース5gを分取し、質量を記録する(カルボキシメチル化セルロースの質量)。撹拌器(IKA(登録商標)EUROSTAR P CV S1(IKA社製))に撹拌羽をセットし、400rpmで水を撹拌しておく。質量を記録しておいたカルボキシメチル化セルロースを、撹拌している水中に一気に投入し、投入後5秒間撹拌する。撹拌終了後、撹拌器の電源を切る。撹拌終了後、迅速に、あらかじめ質量を測定しておいた20メッシュのフィルターを用いて自然濾過を行う。自然濾過後、フィルターとその上の残渣をともに、バット上で100℃で2時間乾燥させる。フィルターとその上の残渣の質量を測定し、フィルターの質量を差し引くことで残渣の絶乾質量(g)を計算する(絶乾残渣質量)。
(2)カルボキシメチル化セルロースの水分量の計算
秤量瓶を100℃で2時間加熱し、シリカゲルの入ったデシケーター内で冷却し、秤量瓶の絶乾質量を精秤する(絶乾秤量瓶質量)。カルボキシメチル化セルロースを秤量瓶中に約1.5g量り取り、精秤する(乾燥前CMC質量)。秤量瓶のふたを開け、105℃で2時間加熱乾燥する。秤量瓶のふたを閉め、シリカゲルの入ったデシケーター内で15分間冷却する。乾燥後の秤量瓶質量(乾燥後のカルボキシメチル化セルロースを含む)を精秤する(乾燥後CMC入り秤量瓶質量)。以下の式を用いて、カルボキシメチル化セルロースの水分量を計算する:
カルボキシメチル化セルロースの水分(%)=[{乾燥前CMC質量(g)-(乾燥後CMC入り秤量瓶質量(g)-絶乾秤量瓶質量(g))}/乾燥前CMC質量(g)]×100。
(3)濾過残渣の割合の計算
(1)で測定したカルボキシメチル化セルロースの質量(g)及び絶乾残渣質量(g)、ならびに(2)で計算したカルボキシメチル化セルロースの水分(%)を用いて、以下の式により、カルボキシメチル化セルロースの濾過残渣の割合を計算する:
カルボキシメチル化セルロースの濾過残渣の割合(%)=[絶乾残渣質量(g)/{カルボキシメチル化セルロースの質量(g)×(100-カルボキシメチル化セルロースの水分(%))/100}]×100。
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースは、ショッパー・リーグラろ水度が60.0°SR以上であることが好ましい。ショッパー・リーグラろ水度の測定方法は、JISP 82121-1:2012に準じ、具体的には、以下の通りである:
カルボキシメチル化セルロースを水に分散し、固形分10g/Lの水分散体を調製し、マグネチックスターラーを用い一昼夜1000rpmにて撹拌する。得られたスラリーを1g/Lに希釈する。ミューテック社製DFR-04に60メッシュスクリーン(ワイヤー太さ0.17mm)をセットし、1000mlの検液から、上記メッシュを通過する液量を60秒間計測し、JISP 8121-1:2012に準じた方法で、ショッパー・リーグラろ水度を算出する。
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースは、カナディアンスタンダードフリーネス(カナダ標準濾水度)が150ml以下であることが好ましく、120ml以下がより好ましく、110ml以下がさらに好ましい。このようなカナディアンスタンダードフリーネスを有するカルボキシメチル化セルロースは、例えば、後述する方法により製造することができる。カナディアンスタンダードフリーネスは、繊維の懸濁液の水切れの程度を測定するものであり、値が小さいほど水切れ(排水量)が少ないことを示し、すなわち、繊維の保水性が高いことを示す。カナディアンスタンダードフリーネスの測定方法は、以下の通りである:
前述したショッパー・リーグラ濾水度と同様の方法で試料を調製し、ミューテック社製DFR-04に60メッシュスクリーン(ワイヤー太さ0.17mm)をセットし、1000mlの検液から、上記メッシュを通過する液量を60秒間計測し、JISP 8121-2:2012に準じた方法で、カナディアンスタンダードフリーネスを算出する。
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースは、濾水量が400ml以下であることが好ましく、380ml以下がより好ましく、370ml以下がさらに好ましい。このような濾水量を有するカルボキシメチル化セルロースは、例えば、後述する方法により製造することができる。濾水量は、繊維の懸濁液の水切れの程度を測定するものであり、値が小さいほど水切れ(排水量)が少ないことを示し、すなわち、繊維の保水性が高いことを示す。濾水量の測定方法は、以下の通りである:
前述したショッパー・リーグラ濾水度と同様の方法で試料を調整し、ミューテック社製DFR-04に60メッシュスクリーン(ワイヤー太さ0.17mm)をセットし、1000mlの検液から、上記メッシュを通過する液量を60秒間計測し、濾水量を算出した。
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースは、水を分散媒として分散体としたときに(水分散体)、低い粘度を示すものが好ましい。本発明において、粘度の測定方法は、以下の通りである:
カルボキシメチル化セルロースを1000ml容ガラスビーカーに測りとり、蒸留水900mlに分散し、固形分1%(w/v)となるように水分散体を調製する。水分散体を25℃で撹拌機を用いて600rpmで3時間撹拌する。その後、JIS-Z-8803の方法に準じて、B型粘度計(東機産業社製)を用いて、No.1ローター/回転数30rpmで3分後の粘度を測定する。
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースは、アニオン化度(アニオン電荷密度ともいう。)が0.00meq/g以上1.00meq/g以下であることが好ましい。アニオン化度の測定方法は、以下の通りである:
カルボキシメチル化セルロースを水に分散し、固形分10g/Lの水分散体を調製し、マグネチックスターラーを用い一昼夜1000rpmにて撹拌する。得られたスラリーを0.1g/Lに希釈後、10ml採取し、流動電流検出器(Mutek Particle Charge Detector 03)用い、1/1000規定度のジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)で滴定して、流動電流がゼロになるまでのDADMACの添加量を用い、以下の式によりアニオン化度を算出する:
q=(V×c)/m
q:アニオン化度(meq/g)
V:流動電流がゼロになるまでのDADMACの添加量(L)
c:DADMACの濃度(meq/L)
m:測定試料中のカルボキシメチル化セルロースの質量(g)。
カルボキシメチル化セルロースは、一般に、セルロースをアルカリで処理(マーセル化)した後、得られたマーセル化セルロース(アルカリセルロースともいう。)を、カルボキシメチル化剤(エーテル化剤ともいう。)と反応させることにより製造することができる。
本発明においてセルロースとは、D-グルコピラノース(単に「グルコース残基」、「無水グルコース」ともいう。)がβ-1,4結合で連なった構造の多糖を意味する。セルロースは、一般に起源、製法等から、天然セルロース、再生セルロース、微細セルロース、非結晶領域を除いた微結晶セルロース等に分類される。本発明では、これらのセルロースのいずれも、マーセル化セルロースの原料として用いることができるが、カルボキシメチル化セルロースにおいて50%以上のセルロースI型の結晶化度を維持するためには、セルロースI型の結晶化度が高いセルロースを原料として用いることが好ましい。原料となるセルロースのセルロースI型の結晶化度は、好ましくは、70%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。セルロースI型の結晶化度の測定方法は、上述した通りである。
微細セルロースとしては、上記天然セルロースや再生セルロースをはじめとする、セルロース系素材を、解重合処理(例えば、酸加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル処理等)して得られるものや、前記セルロース系素材を、機械的に処理して得られるものが例示される。
原料として前述のセルロースを用い、マーセル化剤(アルカリ)を添加することによりマーセル化セルロースを得る。本明細書に記載の方法にしたがって、このマーセル化反応における溶媒に水を主として用い、次のカルボキシメチル化の際に有機溶媒と水との混合溶媒を使用することにより、上述の添加剤として好適なカルボキシメチル化セルロースを経済的に得ることができる。
マーセル化セルロースに対し、カルボキシメチル化剤(エーテル化剤ともいう。)を添加することにより、カルボキシメチル化セルロースを得る。本明細書に記載の方法にしたがって、マーセル化の際は水を主とする溶媒として用い、カルボキシメチル化の際には水と有機溶媒との混合溶媒を用いることにより、上述の添加剤として好適なカルボキシメチル化セルロースを経済的に得ることができる。
AM = (DS ×セルロースのモル数)/ カルボキシメチル化剤のモル数
DS: カルボキシメチル置換度(測定方法は後述する)
セルロースのモル数:パルプ質量(100℃で60分間乾燥した際の乾燥質量)/162
(162はセルロースのグルコース単位当たりの分子量)。
また、本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースを製造する際、必要に応じて、セルロース原料またはカルボキシメチル化後のセルロースに、塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸を用いて、酸加水分解処理を施してもよい。
上記で得られたカルボキシメチル化セルロースの分散体を、乾燥(分散媒の除去)、粉砕、分級してカルボキシメチル化セルロースの粉末とする。乾燥方法はこれらに限定されないが、例えば熱風受熱式乾燥法、伝導伝熱式乾燥法、遠赤外線乾燥法、マイクロ波乾燥法、加熱蒸気乾燥法などを用いることができる。乾燥後の粉末の残留水分量は、1~10%が好ましい。
上述の製法により得られるカルボキシメチル置換度が0.50以下であり、セルロースI型の結晶化度が50%以上であり、メディアン径が10~150μmであるカルボキシメチル化セルロース粉末は、均質で分散安定性に優れ、保水性と保形性付与に優れ、また、水中でダマ(塊)を形成しにくいことから、食品、医薬品、化粧品、飼料、製紙、塗料等の様々な分野において保水性付与剤、保形性付与剤、粘度調整剤、乳化安定剤、分散安定剤等の各種添加剤として好適に使用することができる。
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーに、水130部と、水酸化ナトリウム20部を水100部に溶解したものとを加え、広葉樹パルプ(日本製紙(株)製、LBKP)を100℃60分間乾燥した際の乾燥質量で100部仕込んだ。30℃で90分間撹拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に撹拌しつつイソプロパノール(IPA)100部と、モノクロロ酢酸ナトリウム60部を添加し、30分間撹拌した後、70℃に昇温して90分間カルボキシメチル化反応をさせた。カルボキシメチル化反応時の反応媒中のIPAの濃度は、30%である。反応終了後、酢酸でpH7程度になるよう中和し、脱液、乾燥、粉砕して、カルボキシメチル置換度0.24、セルロースI型の結晶化度73%のカルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩を得た。カルボキシメチル化剤の有効利用率は、29%であった。なお、カルボキシメチル置換度及びセルロースI型の結晶化度の測定方法、ならびにカルボキシメチル化剤の有効利用率の算出方法は、上述の通りである。
IPAの添加量を変えることによりカルボキシメチル化反応時の反応液中のIPAの濃度を50%とし、乾燥機を防爆乾燥機、粉砕をファインインパクトミル(ホソカワミクロン(株)製)で行った以外は製造例1と同様にして、カルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩の粉末を得た。カルボキシメチル置換度は0.31、セルロースI型の結晶化度は66%、カルボキシメチル化剤の有効利用率は37%、メディアン径は60.2μmであった。
IPAの添加量を変えることによりカルボキシメチル化反応時の反応液中のIPAの濃度を65%とした以外は製造例1と同様にして、カルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩を得た。カルボキシメチル置換度は0.20、セルロースI型の結晶化度は74%、カルボキシメチル化剤の有効利用率は25%、メディアン径は51.9μmであった。
Claims (9)
- カルボキシメチル置換度が0.50以下であり、セルロースI型の結晶化度が50%以上であり、体積累計10%の粒子径D10の値が10μm~20μmであり、体積累計90%の粒子径D 90 の値が120μm~250μmである、カルボキシメチル化セルロース粉末。
- メディアン径が30μm~100μmである、請求項1に記載のカルボキシメチル化セルロース粉末。
- カルボキシメチル置換度が0.20以上である、請求項1または2に記載のカルボキシメチル化セルロース粉末。
- 安息角が、40°~60°の範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載のカルボキシメチル化セルロース粉末。
- 崩壊角が、20°~40°の範囲である、請求項1~4のいずれか1項に記載のカルボキシメチル化セルロース粉末。
- カルボキシメチル化セルロースが、水を主とする溶媒下でマーセル化反応を行い、次いで、水と有機溶媒との混合溶媒下でカルボキシメチル化反応を行うことにより製造されたものであり、
有機溶媒は、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ベンゼン、またはジクロロメタンの1種以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載のカルボキシメチル化セルロース粉末。 - 前記水を主とする溶媒が、水を50質量%より多く含む溶媒である、請求項6に記載のカルボキシメチル化セルロース粉末。
- 前記混合溶媒における有機溶媒の割合が、水と有機溶媒との総和に対して、50~99質量%である、請求項6または7に記載のカルボキシメチル化セルロース粉末。
- 水を主とする溶媒下でマーセル化反応を行い、次いで、水と有機溶媒との混合溶媒下でカルボキシメチル化反応を行うことを含む方法により、カルボキシメチル置換度が0.50以下であり、セルロースI型の結晶化度が50%以上であるカルボキシメチル化セルロースの分散体を得ること、ここで有機溶媒はメタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ベンゼン、またはジクロロメタンの1種以上である、および
得られたカルボキシメチル化セルロースの分散体から分散媒を除去し、粉砕および分級して、体積累計10%の粒子径D10の値が10μm~20μmであるカルボキシメチル化セルロース粉末を得ることを含む、カルボキシメチル化セルロース粉末の製造方法。
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