JP2021010310A - セルロースナノファイバー含有粉体組成物及びその製造方法 - Google Patents

セルロースナノファイバー含有粉体組成物及びその製造方法 Download PDF

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裕亮 多田
伸治 佐藤
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伸季 薮野
Nobuki Yabuno
伸季 薮野
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Abstract

【課題】分散媒に懸濁した際にママコ(ダマ、塊)が生じにくく、また生じても解消しやすい、セルロースナノファイバーを含有する粉体(乾燥)組成物及びその製法の提供。【解決手段】セルロースナノファイバーの乾燥粉体に、粉末状の糖類を混合して粉体組成物とする。糖類は好ましくは砂糖またはデキストリンであり、セルロースナノファイバーは好ましくはアニオン変性セルロースナノファイバーである。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースナノファイバーを含有する粉体組成物とその製造方法に関する。より詳細には、分散媒に懸濁した際、ママコ(継粉、ダマ、塊)が残りにくい、セルロースナノファイバーの粉体と糖類の粉体とを含む粉体組成物及びその製造方法に関する。
セルロースナノファイバーは、セルロース繊維を数nm〜数百nm程度の繊維径にまで微細化した微細繊維である。セルロースナノファイバーは軽くて強度が高く、生分解性であり、水中で高い粘度を呈し、保水性が高いなどの様々な特徴を有しており、様々な分野への応用が検討されている。
セルロースナノファイバーは、通常、低濃度の水分散体(湿潤状態)として製造される。低濃度の水分散体のままでは、移送及び保管のコストが高く、また、雑菌に汚染されやすいなどのリスクもあるため、水分散体から分散媒(水)を除去して乾燥物として保管することは好ましい。しかしながら、セルロースナノファイバーを乾燥させて乾燥固形物としたものは、水等に再分散させようとした際に、良好に水となじまず、ママコとなりやすい。
セルロース由来の材料の粉末によるママコの問題に対処するために、例えば、特許文献1には、10〜50重量%の低級アルコールを添加して粉末状のカルボキシメチルセルロースナトリウムを湿潤させてから水を混合し、その後乾燥することによって、水易溶性のカルボキシメチルセルロースナトリウムを製造することが提案されている。また、特許文献2には、マグネシウムイオンの濃度が1〜30ppmである水にカルボキシメチルセルロース塩を溶解させると、ママコが小さくなり、カルボキシメチルセルロースを迅速に溶解させることができることが記載されている。
特開2001−261702号公報 特開2007−63427号公報
特許文献1、2の方法は、カルボキシメチルセルロース粉末によるママコに対処したものであるが、セルロースナノファイバーの粉末によるママコに対処したものではない。
本発明は、分散媒に投入した際にママコ(ダマ、塊)が生じにくい、または生じても解消させやすい、セルロースナノファイバーを含有する粉体(乾燥)組成物を製造することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、セルロースナノファイバー分散体を乾燥させて粉末状のセルロースナノファイバー(乾燥物)とした後に、粉末状の糖類を混合して分散媒に懸濁させると、粉末状のセルロースナノファイバーを単独で分散媒に懸濁させた場合に比べて、ママコ(ダマ、塊)が生じにくく、また生じたママコも解消しやすいことを見出した。本発明は、これらに限定されないが、以下を含む。
[1]セルロースナノファイバーの粉体及び糖類の粉体を含む粉体組成物。
[2]糖類が砂糖である[1]記載の粉体組成物。
[3]糖類がデキストリンである[1]記載の粉体組成物。
[4]セルロースナノファイバーがアニオン変性セルロースナノファイバーである[1]〜[3]のいずれか1項に記載の粉体組成物。
[5]アニオン変性セルロースナノファイバーがカルボキシル基を有するセルロースナノファイバーまたはカルボキシアルキル基を有するセルロースナノファイバーである[4]記載の粉体組成物。
[6]アニオン変性セルロースナノファイバーが、カルボキシメチル置換度が0.50以下であり、セルロースI型の結晶化度が50%以上であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーである[5]記載の粉体組成物。
[7]含水率が10質量%未満である[1]〜[6]のいずれか1項に記載の粉体組成物。
[8][1]〜[6]のいずれか1項に記載の粉体組成物を含む食品。
[9]セルロースナノファイバーの粉体と、糖類の粉体とを混合することを含む、[1]〜[6]に記載の粉体組成物の製造方法。
本発明により、粉末セルロースナノファイバーを分散媒に分散(または懸濁)させる際、ママコが生じにくく、また、ママコが生じてもサイズが小さかったり、また、通常の撹拌で短時間のうちにママコを解消させることができるという効果が得られる。本発明の粉体組成物は、様々な媒体に分散させて用いる際に扱いやすく便利である。
本発明は、分散媒に懸濁した際、ママコ(ダマ、塊)が生じにくく、また、ママコが解消しやすい、セルロースナノファイバーの粉体と糖類の粉体とを含む粉体組成物及びその製造方法に関する。以下、セルロースナノファイバーを「CNF」と記載することがある。
(CNF)
本明細書において、「CNF」(セルロースナノファイバー)とは、セルロース系原料であるパルプなどがナノメートルレベルの繊維幅まで微細化されたものであり、繊維幅が約3〜数百nm程度、例えば、3〜500nm程度であるセルロースの微細繊維をいう。CNFの平均繊維径は、好ましくは3〜500nm程度であり、より好ましくは3〜150nm程度であり、さらに好ましくは3〜20nm程度である。平均繊維長を平均繊維径で除すことによりアスペクト比を算出することができる。アスペクト比は好ましくは30以上、より好ましくは50以上、さらに好ましくは100以上である。アスペクト比の上限は限定されないが、500以下程度となる。
CNFの平均繊維径及び平均繊維長は、径が20nm未満の場合は原子間力顕微鏡(AFM)、20nm以上の場合は電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、ランダムに選んだ200本の繊維について解析し、平均を算出することにより、測定することができる。
CNFは、パルプなどのセルロース原料に機械的な力を加えて微細化することで得ることができ、あるいは、カルボキシル化したセルロース(酸化セルロースとも呼ぶ)、カルボキシメチル化したセルロース、リン酸エステル基を導入したセルロースなどのアニオン変性セルロースを解繊することによって得ることができる。
(セルロース原料)
CNFの原料となるセルロースの種類は、特に限定されない。セルロースは、一般に起源、製法等から、天然セルロース、再生セルロース、微細セルロース、非結晶領域を除いた微結晶セルロース等に分類される。本発明では、これらのセルロースのいずれも、CNFの原料として用いることができる。
天然セルロースとしては、晒パルプまたは未晒パルプ(晒木材パルプまたは未晒木材パルプ);リンター、精製リンター;酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等が例示される。晒パルプ又は未晒パルプの原料は特に限定されず、例えば、木材、木綿、わら、竹、麻、ジュート、ケナフ等が挙げられる。また、晒パルプ又は未晒パルプの製造方法も特に限定されず、機械的方法、化学的方法、あるいはその中間で二つを組み合せた方法でもよい。製造方法により分類される晒パルプ又は未晒パルプとしては例えば、メカニカルパルプ(サーモメカニカルパルプ(TMP)、砕木パルプ)、ケミカルパルプ(針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)等の亜硫酸パルプ、針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)等のクラフトパルプ)等が挙げられる。さらに、製紙用パルプの他に溶解パルプを用いてもよい。溶解パルプとは、化学的に精製されたパルプであり、主として薬品に溶解して使用され、人造繊維、セロハンなどの主原料となる。
再生セルロースとしては、セルロースを銅アンモニア溶液、セルロースザンテート溶液、モルフォリン誘導体など何らかの溶媒に溶解し、改めて紡糸されたものが例示される。
微細セルロースとしては、上記天然セルロースや再生セルロースをはじめとする、セルロース系素材を、解重合処理(例えば、酸加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル処理等)して得られるものや、前記セルロース系素材を、機械的に処理して得られるものが例示される。
(アニオン変性CNF)
上述のセルロース原料に機械的な力を加えて微細化することにより、CNFとすることができるが、微細化の前に上述のセルロース原料にアニオン性の基を導入してアニオン変性セルロースとすると、微細化に必要なエネルギーが少なくて済むため、好ましい。本明細書では、アニオン性の基を導入することを「アニオン変性」と呼び、上述のセルロース原料にアニオン性の基を導入したものを「アニオン変性セルロース」と呼び、アニオン変性セルロースを解繊することにより得たCNFを「アニオン変性CNF」と呼ぶ。
アニオン変性の具体例としては、酸化または置換反応によってセルロースのピラノース環にアニオン性の基を導入することが挙げられる。前記酸化反応は、ピラノース環の水酸基を直接カルボキシル基に酸化する反応をいう。得られたアニオン変性セルロースは、カルボキシル基を有するセルロースとなり、これを解繊して得たCNFは、カルボキシル基を有するCNFとなる。前記置換反応は、酸化以外の置換反応によってピラノース環にアニオン性の基を導入する反応をいい、例えばアニオン性の基として、カルボキシメチル基などのカルボキシアルキル基を導入することが含まれる。得られたアニオン変性セルロースは、カルボキシアルキル基を有するセルロースとなり、これを解繊して得たCNFは、カルボキシアルキル基を有するCNFとなる。その他、アニオン変性セルロース及びCNFの例として、リン酸エステル基を導入したセルロース及びCNFを挙げることができる。
アニオン変性CNFの原料となるアニオン変性セルロースとしては、水や水溶性有機溶媒に分散した際にも繊維状の形状の少なくとも一部が維持されるものを用いる。繊維状の形状が維持されないもの(すなわち、分散媒に溶解するもの)を用いると、ナノファイバーを得ることができない。分散した際に繊維状の形状の少なくとも一部が維持されるとは、アニオン変性セルロースの分散体を電子顕微鏡で観察すると、繊維状の物質を観察することができるものである。また、X線回折で測定した際にセルロースI型結晶のピークを観測することができるアニオン変性セルロースは好ましい。
アニオン変性セルロースにおけるセルロースの結晶化度は、結晶I型が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。結晶性を上記範囲に調整することにより、解繊により繊維を微細化した後も溶解することのない結晶性セルロース繊維を充分に得ることができる。アニオン変性CNFのセルロースI型の結晶化度は、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。セルロースの結晶性は、原料であるセルロースの結晶化度、及びアニオン変性の度合によって制御できる。アニオン変性セルロース及びアニオン変性CNFの結晶化度の測定方法は、以下の通りである:
試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD−6000、株式会社島津製作所製)を用いて測定する。結晶化度の算出はSegal等の手法を用いて行い、X線回折図の2θ=10゜〜30゜の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6゜の002面の回折強度と2θ=18.5゜のアモルファス部分の回折強度から次式により算出する。
Xc=(I002c−Ia)/I002c×100
Xc:セルロースのI型の結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6゜、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5゜、アモルファス部分の回折強度。
(カルボキシル基を有するCNF)
アニオン変性CNFの一例として、カルボキシル基を有するCNFを挙げることができる。本明細書においてカルボキシル基とは、−COOH(酸型)および−COOM(金属塩型)をいう(式中、Mは金属イオンである)。カルボキシル基を有するCNF(以下、カルボキシル化CNFとも呼ぶ)は、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシル化(酸化)することによりカルボキシル基を有するセルロース(以下、カルボキシル化セルロースとも呼ぶ)とし、これをナノスケールの繊維径となるまで解繊することにより、得ることができる。
カルボキシル化セルロース及びカルボキシル化CNFのカルボキシル基の量は、特に限定されないが、カルボキシル基を有するCNFの絶乾質量に対して、0.6mmol/g〜3.0mmol/gが好ましく、1.0mmol/g〜2.0mmol/gがさらに好ましい。カルボキシル化セルロースと、それを解繊して得たカルボキシル化CNFのカルボキシル基量は、通常、同じである。カルボキシル化セルロースのカルボキシル基量が上記の範囲内にあると、少ないエネルギー量でナノ解繊を行うことができるため、好ましい。
カルボキシル化セルロース及びカルボキシル化CNFのカルボキシル基量は、以下の方法で測定することができる:
カルボキシル化セルロース試料の0.5質量%スラリー(水分散液)60mlを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出する:
カルボキシル基量〔mmol/gカルボキシル化セルロース〕=a〔ml〕×0.05/カルボキシル化セルロース質量〔g〕。
カルボキシル化(酸化)方法の一例として、セルロース原料を、N−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物、およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて水中で酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート基(−COO)とを有するセルロース繊維を得ることができる。反応時の水中におけるセルロース原料の濃度は特に限定されないが、5質量%以下が好ましい。
N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物をいう。N−オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であればいずれの化合物も使用できる。例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシラジカル(TEMPO)およびその誘導体(例えば4−ヒドロキシTEMPO)が挙げられる。N−オキシル化合物の使用量は、セルロース原料を酸化できる触媒量であればよく、特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロース原料に対して、0.01mmol〜10mmolが好ましく、0.01mmol〜1mmolがより好ましく、0.05mmol〜0.5mmolがさらに好ましい。また、反応系に対し0.1mmol/L〜4mmol/L程度がよい。
臭化物とは臭素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属が含まれる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、その例には、ヨウ化アルカリ金属が含まれる。臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物およびヨウ化物の合計量は、例えば、絶乾1gのセルロース原料に対して、0.1mmol〜100mmolが好ましく、0.1mmol〜10mmolがより好ましく、0.5mmol〜5mmolがさらに好ましい。
酸化剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などを使用できる。中でも、次亜塩素酸ナトリウムは、安価であり、環境負荷も少ないため、好ましい。酸化剤の適切な使用量は、例えば、絶乾1gのセルロース原料に対して、0.5mmol〜500mmolが好ましく、0.5mmol〜50mmolがより好ましく、1mmol〜25mmolがさらに好ましく、3mmol〜10mmolが最も好ましい。また、例えば、N−オキシル化合物1molに対して1mol〜40molが好ましい。
セルロース原料の酸化工程は、比較的温和な条件であっても反応を効率よく進行させられる。よって、反応温度は4℃〜40℃が好ましく、また15℃〜30℃程度の室温であってもよい。反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHの低下が認められる。酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを8〜12、好ましくは10〜11程度に維持することが好ましい。反応媒体は、取扱い性の容易さや、副反応が生じにくいこと等から、水が好ましい。酸化反応における反応時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5時間〜6時間、例えば、0.5時間〜4時間程度である。
また、酸化反応は、2段階に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、再度、同一または異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よく酸化させることができる。
カルボキシル化(酸化)方法の別の例として、オゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることにより酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、ピラノース環の少なくとも2位および6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。オゾンを含む気体中のオゾン濃度は、50g/m〜250g/mであることが好ましく、50g/m〜220g/mであることがより好ましい。セルロース原料に対するオゾン添加量は、セルロース原料の固形分を100質量部とした際に、0.1質量部〜30質量部であることが好ましく、5質量部〜30質量部であることがより好ましい。オゾン処理温度は、0℃〜50℃であることが好ましく、20℃〜50℃であることがより好ましい。オゾン処理時間は、特に限定されないが、1分〜360分程度であり、30分〜360分程度が好ましい。オゾン処理の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度に酸化および分解されることを防ぐことができ、酸化セルロースの収率が良好となる。オゾン処理を施した後に、酸化剤を用いて、追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物や、酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。例えば、これらの酸化剤を水またはアルコール等の極性有機溶剤中に溶解して酸化剤溶液を作製し、溶液中にオゾン処理後のセルロース原料を浸漬させることにより追酸化処理を行うことができる。
カルボキシル化セルロースのカルボキシル基の量は、上記した酸化剤の添加量、反応時間等の反応条件をコントロールすることで調整することができる。
得られたカルボキシル化セルロースを解繊することにより、カルボキシル化CNFとすることができる。解繊に用いる装置は、特に限定されず、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などの装置を用いることができる。中でも、カルボキシル化セルロースの水分散体に強力な剪断力を印加できる湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーを用いることは好ましい。効率よく解繊するためには、高圧ホモジナイザーの圧力は、50MPa以上であることが好ましく、100MPa以上であることがさらに好ましく、140MPa以上であることがさらに好ましい。高圧ホモジナイザーでの解繊に先立って、必要に応じて、高速剪断ミキサーなどの公知の混合、撹拌、乳化、分散装置を用いて、カルボキシル化セルロースの水分散体に予備処理を施してもよい。
(カルボキシアルキル基を有するCNF)
アニオン変性CNFの一例として、カルボキシアルキル基を有するCNFを挙げることができる。本明細書においてカルボキシアルキル基とは、−RCOOH(酸型)および−RCOOM(金属塩型)をいう。ここでRはメチレン基、エチレン基等のアルキレン基であり、Mは金属イオンである。
カルボキシアルキル基を有するCNF(以下、カルボキシアルキル化CNFとも呼ぶ)の原料となるカルボキシアルキル基を有するセルロース(以下、カルボキシアルキル化セルロースとも呼ぶ)は公知の方法で得てもよく、また市販品であってもよい。カルボキシアルキル化セルロースをナノスケールの繊維径となるまで解繊することにより、カルボキシアルキル化CNFを得ることができる。
カルボキシアルキル化セルロース及びカルボキシアルキル化CNFの無水グルコース単位当たりのカルボキシアルキル置換度は0.50以下であることが好ましく、0.40以下であることがさらに好ましい。カルボキシアルキル置換度が0.50を超えると、水系の分散媒に溶解することがある。カルボキシアルキル置換度の下限値は0.01以上が好ましく、0.02以上がさらに好ましく、0.05以上がさらに好ましく、0.10以上がさらに好ましく、0.15以上がさらに好ましく、0.20以上がさらに好ましく、0.25以上がさらに好ましい。カルボキシアルキル化セルロースと、それを解繊して得たカルボキシアルキル化CNFのカルボキシアルキル置換度は、通常、同じである。カルボキシアルキル化セルロースのカルボキシアルキル置換度が上記の範囲内にあると、少ないエネルギー量でナノ解繊を行うことができるため、好ましい。なお、無水グルコース単位とは、セルロースを構成する個々の無水グルコース(グルコース残基)を意味し、カルボキシアルキル置換度とは、セルロースを構成するグルコース残基中の水酸基(−OH)のうちカルボキシアルキルエーテル基(−ORCOOHまたは−ORCOOM)で置換されているものの割合(1つのグルコース残基当たりのカルボキシアルキルエーテル基の数)を示す。
グルコース単位当たりのカルボキシアルキル置換度は、以下の方法で測定することができる:
カルボキシアルキル化セルロース試料(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。硝酸メタノール(メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液)100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシアルキル化セルロースの塩を水素型に変換する。水素型の試料(絶乾)を1.5g〜2.0g精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。80質量%メタノール15mLで水素型の試料を湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうする。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのHSOで過剰のNaOHを逆滴定する。カルボキシアルキル置換度(DS)を、次式によって算出する:
A=[(100×F’−(0.1NのHSO)(mL)×F)×0.1]/(水素型の試料の絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:水素型の試料の1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F:0.1NのHSOのファクター
F’:0.1NのNaOHのファクター。
カルボキシアルキル化セルロースを製造する方法の一例として、以下の工程を含む方法が挙げられる。
i)発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、マーセル化処理する工程、
ii)次いで、カルボキシアルキル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、エーテル化反応を行う工程。
発底原料としては前述のセルロース原料を使用できる。溶媒としては、3〜20質量倍の水または低級アルコール、具体的には水、メタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、または2種以上の混合媒体を使用できる。低級アルコールを混合する場合、その混合割合は60〜95質量%が好ましい。マーセル化剤としては、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用することが好ましい。カルボキシアルキル化剤としては、モノクロロ酢酸、モノクロロ酢酸ナトリウム、モノクロロ酢酸メチル、モノクロロ酢酸エチル、モノクロロ酢酸イソプロピルなどが挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさという点でモノクロロ酢酸、またはモノクロロ酢酸ナトリウムが好ましい。
得られたカルボキシアルキル化セルロースを解繊することにより、カルボキシアルキル化CNFとすることができる。解繊に用いる装置や方法は、カルボキシル基を有するCNFの欄に記載したものと同じである。
カルボキシアルキル化CNFの中でも、カルボキシメチル基を有するCNF(本明細書において、「カルボキシメチル化CNF」とも呼ぶ)が好ましい。特に、カルボキシメチル置換度が0.50以下であり、セルロースI型の結晶化度が40%以上であるカルボキシメチル化CNFは好ましい。
(CNFの粉体)
上記で得られたCNFまたはアニオン変性CNFの分散体から分散媒を除去(乾燥)することにより、CNFの粉体とすることができる。乾燥方法としては、公知のものを用いることができ、特に限定されない。例えば、スプレイドライ、圧搾、風乾、熱風乾燥、及び真空乾燥を挙げることができる。乾燥装置は、特に限定されないが、連続式のトンネル乾燥装置、バンド乾燥装置、縦型乾燥装置、垂直ターボ乾燥装置、多重段円板乾燥装置、通気乾燥装置、回転乾燥装置、気流乾燥装置、スプレードライヤ乾燥装置、噴霧乾燥装置、円筒乾燥装置、ドラム乾燥装置、ベルト乾燥装置、スクリューコンベア乾燥装置、加熱管付回転乾燥装置、振動輸送乾燥装置、回分式の箱型乾燥装置、通気乾燥装置、真空箱型乾燥装置、及び撹拌乾燥装置等を単独で又は2つ以上組み合わせて用いることができる。
乾燥後に必要に応じて、粉砕してもよい。粉砕に用いる装置としては、これらに限定されないが、カッティング式ミル、衝撃式ミル、気流式ミル、媒体ミルを例示することができる。これらを単独あるいは併用して、さらには同機種で数段処理することができる。これらの中で、気流式ミルは好ましい。カッティング式ミルとしては、メッシュミル((株)ホーライ製)、アトムズ((株)山本百馬製作所製)、ナイフミル(パルマン社製)、グラニュレータ(ヘルボルト製)、ロータリーカッターミル((株)奈良機械製作所製)、等が例示される。衝撃式ミルとしては、パルペライザ(ホソカワミクロン(株)製)、ファインイパクトミル(ホソカワミクロン(株)製)、スーパーミクロンミル(ホソカワミクロン(株)製)、サンプルミル((株)セイシン製)、バンタムミル((株)セイシン製)、アトマイザー((株)セイシン製)、トルネードミル(日機装(株))、ターボミル(ターボ工業(株))、ベベルインパクター(相川鉄工(株))等が例示される。気流式ミルとしては、CGS型ジェットミル(三井鉱山(株)製)、ジェットミル(三庄インダストリー(株)製)、エバラジェットマイクロナイザ((株)荏原製作所製)、セレンミラー(増幸産業(株)製)、超音速ジェットミル(日本ニューマチック工業(株)製)等が例示される。媒体ミルとしては、振動ボールミル等が例示される。
乾燥後、必要に応じて、所定の目開きを有するメッシュ(篩)を通過させるなどして、特定の粒度となるように調整してもよい。CNFの粉体のメディアン径は、これに限定されないが、1cm以下であることが好ましく、500μm以下であることがさらに好ましく、150μm以下であることがさらに好ましく、130μm以下であることがさらに好ましく、120μm以下であることがさらに好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。例えば、CNFの粉体のメディアン径は、10〜150μmであることが好ましく、30〜130μmであることがさらに好ましく、50〜120μmであることがさらに好ましい。
CNFの粉体を形成する際に、CNFの分散体に水溶性高分子を添加してから、CNFと水溶性高分子とを含む分散体から分散媒を除去して、CNFの粉体に水溶性高分子を含有させてもよい。CNFの粉体に水溶性高分子を含有させると、CNFの粉体を分散媒に再分散させた際に、CNF同士の凝集が起こりにくくなる。そのような水溶性高分子としては、例えば、水溶性のカルボキシメチルセルロースが挙げられる。水溶性のカルボキシメチルセルロースとしては、カルボキシメチル置換度が0.55〜1.60のものが好ましく、0.55〜1.10のものがさらに好ましく、0.65〜1.10のものがさらに好ましい。また、分子が長く、水に分散した際に高い粘度を示すものが好ましく、1質量%水溶液における25℃、60rpmでのB型粘度が、3〜14000mPa・sとなるものが好ましく、7〜14000mPa・sとなるものがさらに好ましく、1000〜8000mPa・sとなるものがさらに好ましい。CNF粉体中にカルボキシメチルセルロースを含有させる場合のカルボキシメチルセルロースの配合量は、特に限定されないが、CNF(絶乾固形分)に対して、5〜300質量%であることが好ましく、20〜300質量%がさらに好ましく、20〜100質量%がさらに好ましく、20〜50質量%がさらに好ましい。なお、ここでいうカルボキシメチルセルロースとは、カルボキシメチル置換度が高い水溶性の高分子であり、上述のカルボキシメチル化CNFとは異なるし、カルボキシメチル化CNFを製造するために作成される水中で繊維状の形状が維持されるカルボキシメチル化セルロースとも異なる。
(糖類の粉体)
本発明の粉体組成物は、上記で得られたCNFの粉体と、糖類の粉体とを含む。糖類の粉体としては、通常の、例えば市販の、粉末状の糖類を使用することができる。糖類の粉体のメディアン径等は特に限定されない。
本明細書において、「糖類」とは、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、及び多糖類を指す。単糖類としては、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトースなどを挙げることができ、二糖類としては、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロースなどを挙げることができる。本明細書において、オリゴ糖類は、3〜20個程度の単糖が結合したものをいい、多糖類は、数十〜数百個程度の単糖が結合したものをいう。多糖類としては、分子量が高すぎず、水に溶解するものを用いることができ、例えば、水溶性のデキストリンが挙げられる。
糖類の中では、主としてスクロースからなる砂糖か、あるいは水溶性の多糖類であるデキストリンは、ママコの抑制効果が高いため、好ましい。砂糖の種類は特に限定されず、サトウキビやテンサイなどから得られる一般的な食用甘味料である砂糖を用いることができる。砂糖の精製度や形状も特に限定されないが、粉末または顆粒状であることが好ましい。好ましくは、スクロースの純度が高い分蜜糖(精製糖)であり、好ましくはグラニュー糖である。デキストリンの種類や形状は、特に限定されないが、粉末または顆粒状であることが好ましい。
(粉体組成物)
上述のCNFの粉体と、糖類の粉体とを混合することにより、本発明の粉体組成物を得ることができる。混合に用いる手段は特に限定されず、粉体同士を混合できるものを用いればよい。例えば、容器回転式混合装置、パドルミキサー、気流式混合装置、振動式混合装置などが挙げられる。また、撹拌用の装置を特に使用しなくてもよい。CNFの粉体と糖類の粉体とは、必ずしも均一に混合されていなくてもよく、本発明の粉体組成物は、CNFの粉体と糖類の粉体とを有していればよい。
粉体組成物におけるCNFの粉体と糖類の粉体との配合割合は、特に限定されないが、例えば、CNFの粉体:糖類の粉体(質量比)で、1:99〜99:1であり、好ましくは10:90〜90:10であり、さらに好ましくは15:85〜60:40であり、さらに好ましくは20:80〜50:50であり、さらに好ましくは25:75〜45:55である。なお、CNFの粉体を形成する際にカルボキシメチルセルロースのような水溶性高分子を添加した場合は、ここでいうCNFの粉体の質量は、CNFの質量と水溶性高分子の質量の合計をいうものとする。CNF単独の質量と、糖類の質量との比は、これに限定されないが、CNF:糖類(質量比)で、1:99〜90:10が好ましく、5:95〜85:15がさらに好ましく、10:90〜55:45がさらに好ましく、15:85〜45:55がさらに好ましく、15:85〜35:65がさらに好ましい。
本明細書で、「粉体組成物」というときは、粉状または顆粒状の物質を混合して得た組成物をいう。粉状又は顆粒状の物質が周囲の水分などを吸着することにより一部凝集してやや大きめの塊を形成している状態のものも粉体組成物に含むこととする。
本発明の粉体組成物を形成するCNFの粉体と糖類の粉体は、いずれも吸湿性があり、粉体組成物は、少量の水分を含む場合がある。粉体組成物の水分(含水率)は少ない方が好ましい。粉体組成物の含水率は、10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがさらに好ましく、3質量%未満であることがさらに好ましく、2質量%未満であることがさらに好ましい。粉体組成物における含水率は、以下の手順により測定することができる:
粉体組成物を105℃のオーブンで12時間乾燥させ、乾燥前後の質量から粉体組成物の含水率を算出する。
粉体組成物の含水率(質量%)={1−(乾燥後の質量/乾燥前の質量)}×100。
本発明の粉体組成物は、分散媒に投入した際、ママコが生じにくく、また、生じたママコが解消しやすいという特徴を有する。ママコとは、粉体を分散媒(液体)中に投入した際に粉体が分散媒になじまずに(ほぐれずに)粉のまま固まっている様子をいう。ママコが生じにくいとは、ママコが発生しないか、発生してもサイズが小さいことを含む。ママコが解消しやすいとは、短時間の撹拌でママコがなくなる(視認できなくなる)ことを含む。分散媒の種類は、特に限定されないが、ママコの抑制効果が高い点から、水または水溶性有機溶媒が好ましい。水溶性有機溶媒は、水と任意に混合可能な有機溶媒であり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド等を挙げることができる。水と水溶性有機溶媒とは、複数の種類を混合したものを分散媒として用いてもよいし、単独の種類を用いてもよい。これら分散媒の中では、水が最も好ましい。
(粉体組成物の用途)
上述の粉体組成物は、一般的に添加剤が用いられる様々な分野、例えば、食品、飲料、化粧品、医薬、製紙、各種化学用品、塗料、インキ、スプレー、飼料、農薬、釉薬、土木、建築、電子材料、難燃剤、家庭雑貨、接着剤、洗浄剤、芳香剤、潤滑用組成物などで、増粘剤、ゲル化剤、糊剤、食品添加剤、賦形剤、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、製紙用添加剤、研磨剤、ゴム・プラスチック用配合材料、保水性付与剤、保形性付与剤、粘度調整剤、乳化安定剤、気泡安定剤、分散安定剤、泥水調整剤、ろ過助剤、溢泥防止剤などとして使用することができる。
本発明の粉体組成物は、特に糖類を含むため、飲食品に、甘味と、増粘性、保形性、分散安定性等を付与するのに最適である。本発明の粉体組成物は、これに限定されないが、例えば、食品用の添加剤として用いることができる。そのような添加剤としては、これに限定されないが、食品用の保水性付与剤、保形性付与剤、粘度調整剤、乳化安定剤、食感改良剤、気泡安定剤、分散安定剤が挙げられる。使用できる食品としては、これらに限定されないが、飲料(ココア、繊維・果肉入りジュース、しるこ、甘酒、乳酸菌飲料、フルーツ牛乳、清涼飲料、炭酸飲料、アルコール飲料など)、スープ類(コーンスープ、ラーメンスープ、味噌汁、コンソメなど)。たれ類、ドレッシング、ケチャップ、マヨネーズ、ジャム、ヨーグルト、ホイップクリーム、乾物類(乾燥加工食品、インスタントラーメン、パスタ麺など)、グルテンフリーパスタ、アイスクリーム、モナカ、シャーベット、ポリジュース、菓子類(グミ、ソフトキャンディ、ゼリー、クッキーなど)、嚥下食品(とろみ剤、服薬補助ゼリーなどのゲル状食品)、オブラート、寒天、ところてん、プルラン、水あめ、メレンゲ、パン(メロンパン、クリームパンなど)、グルテンフリーパン、フィリング、ホットケーキ、練り物、冷凍食品、肉加工食品、魚加工食品、米加工品(餅、煎餅、あられ)、可食性フィルムなどが挙げられる。
飲食品への粉体組成物の添加量は、所望の用途に応じて適宜調整することができ、特に限定されない。
(粉体組成物の製造方法)
本発明の粉体組成物は、CNFの粉体を用意し、また、糖類の粉体を用意し、これらを混合したものである。CNFの乾燥物の製法としては、CNFの水分散体に再分散を促進する剤を添加して、CNFと再分散促進剤とを含む水分散体から分散媒を除去することにより、CNFと再分散促進剤とを含む乾燥物を製造する方法が提案されているが、本発明の粉体組成物は、CNFと糖類とを、湿潤状態で混合するのではなく、それぞれ乾燥粉体の状態で混合することを要するものである。このようにして得た粉体組成物は、分散媒に懸濁した際に、分散媒とのなじみがよく、ママコが生じにくいまたは生じたママコが解消しやすいという利点を有する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<CNF粉体1の製造>
回転数を100rpmに調節した5L容の二軸ニーダーに、イソプロパノール(IPA)1089部と、水酸化ナトリウム31部を水121部に溶解したものとを加え、広葉樹パルプ(日本製紙(株)製、LBKP)を100℃60分間乾燥した際の乾燥質量で200部仕込んだ。30℃で60分間撹拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に撹拌しつつモノクロロ酢酸ナトリウム117部を添加し、30℃で30分間撹拌した後、30分かけて70℃に昇温し、70℃で60分間カルボキシメチル化反応をさせた。マーセル化反応時及びカルボキシメチル化反応時の反応媒中の水の割合は、10質量%である。反応終了後、中和し、65%含水メタノールで洗浄し、脱液、乾燥、粉砕して、カルボキシメチル置換度0.27、セルロースI型の結晶化度64%のカルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩を得た。なお、カルボキシメチル置換度及びセルロースI型の結晶化度の測定方法は、先述の通りである。
得られたカルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩を水に分散し、1%(w/v)水分散体とした。これを、150MPaの高圧ホモジナイザーで3回処理し、カルボキシメチル化セルロースのナノファイバーの分散体を得た。
得られたカルボキシメチル化セルロースナノファイバーを水で固形分0.7質量%の分散体とし、カルボキシメチルセルロース(商品名:F350HC−4、粘度(1質量%、25℃、60rpm)約3000mPa・s、カルボキシメチル置換度約0.90)を、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーに対して40質量%(すなわち、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの固形分を100質量部としたときにカルボキシメチルセルロースの固形分が40質量部となるように)添加し、TKホモミキサー(12,000rpm)で60分間攪拌した。この分散体のpHは7〜8程度であった。
この分散体に、水酸化ナトリウム水溶液0.5質量%を加え、pHを9に調整した後、ドラム乾燥機D0405(カツラギ工業社製)のドラム表面に塗布し、140℃で1分間乾燥した。得られた乾燥物を掻き取り、次いで、衝撃式ミルを用いて1時間あたり10kgの速さで乾燥物を粉砕し、水分量5質量%の乾燥粉砕物を得た。得られた粉砕物を、30メッシュを用いて分級し、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーを含む粉末(CNF粉体1)を得た。
<粉体組成物1の製造>
上記で得られたCNF粉体1の3gを、砂糖(日新製糖製 商品名グラニュ糖)7gと混合し、粉体組成物1を得た。
<粉体組成物2の製造>
上記で得られたCNF粉体1の3gを、デキストリン(松谷化学製 商品名TK−16、分子量約1020)7gと混合し、粉体組成物2を得た。
<実施例1>
600mLのポリエチレン製の容器に水300mLを入れ、ホモディスパーを用いて500rpmで撹拌しながら、粉体組成物1、粉体組成物2、及びCNF粉体1のそれぞれを、10秒間かけて徐々に投入した。投入直後と、投入直後から1分間撹拌した後の各サンプルのママコの状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
6点:ママコが無い。
5点:ママコのうち最大のものの大きさが1mm未満。
4点:ママコのうち最大のものの大きさが1mm以上2mm未満。
3点:ママコのうち最大のものの大きさが2mm以上5mm未満。
2点:ママコのうち最大のものの大きさが5mm以上10mm未満。
1点:10mm以上の大きさのママコが有る。
<実施例2>
各粉体を、60秒間かけて徐々に投入した以外は実施例1と同様にして、ママコの状態を評価した。
<実施例3>
ホモディスパーの撹拌速度を1000rpmに変更した以外は実施例2と同様にして、ママコの状態を評価した。
結果を表1に示す。表1の結果より、CNFと糖類とを混合した粉体組成物1及び2では、糖類を混合しないものに比べて、500〜1000rpmのような低い撹拌力であっても、ママコが生じにくく、また、生じたママコも短時間の撹拌で解消しやすいことがわかる。
Figure 2021010310

Claims (9)

  1. セルロースナノファイバーの粉体及び糖類の粉体を含む粉体組成物。
  2. 糖類が砂糖である請求項1記載の粉体組成物。
  3. 糖類がデキストリンである請求項1記載の粉体組成物。
  4. セルロースナノファイバーがアニオン変性セルロースナノファイバーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉体組成物。
  5. アニオン変性セルロースナノファイバーがカルボキシル基を有するセルロースナノファイバーまたはカルボキシアルキル基を有するセルロースナノファイバーである請求項4記載の粉体組成物。
  6. アニオン変性セルロースナノファイバーが、カルボキシメチル置換度が0.50以下であり、セルロースI型の結晶化度が50%以上であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーである請求項5記載の粉体組成物。
  7. 含水率が10質量%未満である請求項1〜6のいずれか1項に記載の粉体組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の粉体組成物を含む食品。
  9. セルロースナノファイバーの粉体と、糖類の粉体とを混合することを含む、請求項1〜6に記載の粉体組成物の製造方法。
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