JP5237609B2 - カチオン化セルロースの製造方法 - Google Patents
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また、これらアルセル化処理により得られるアルカリセルロースは、セルロース分子中の大部分の水酸基がアルコラートとなっていると考えられており、実際にセルロース分子中のグルコース単位当たり、通常3モル量程度、少なくとも1モル量以上のアルカリが含有されている。このアルセル化により活性化したセルロースへエーテル化剤を添加することでセルロースエーテルが得られるが、アルセル化の際に残存する同重量以上の水もまたエーテル化剤であるエチレンオキシドと反応(水和)するため、エチレングリコール等の副生物が大量に生じることになる。これらはカチオン化剤と反応して更なる副生物を生じることから、続くカチオン化の際にはこの副生物の除去が必要であり、またアルセル化に用いたアルカリに由来する大量の中和塩の除去も必要となる。
その一方、アルセル化により活性化したアルカリセルロースへ直接カチオン化剤を反応させる方法も考えられるが、通常は利用するカチオン化剤が水と極めて容易に混和するため、アルセル化により残存する同重量以上の水が優先的にカチオン化剤と反応してしまうことから、結果的にカチオン化剤が無駄に消費され、よってセルロースへの直接カチオン化は極めて難しいのが実情であった。
したがって、工業的にも簡便でかつ高選択的なセルロースへの直接カチオン化方法の開発は、極めて有用でかつ克服すべき課題であった。
すなわち、本発明は、低結晶性の粉末セルロースを、触媒の存在下、下記一般式(1)で表されるグリシジルトリアルキルアンモニウム塩と反応させる、下記一般式(2)で表されるカチオン化セルロースの製造方法である。
一般にセルロースは幾つかの結晶構造が知られており、また一部に存在するアモルファス部と結晶部との割合から結晶化度として定義されるが、本発明における「結晶化度」とは、天然セルロースの結晶構造に由来するI型の結晶化度を示し、粉末X線結晶回
折スペクトルから求められる下記計算式で表される結晶化度によって定義される。
結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 ・・・計算式(1)
〔I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、及びI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕
また、本発明における低結晶性の粉末セルロースの「低結晶性」とは、上記のセルロースの結晶構造においてアモルファス部の割合が多い状態を示し、好ましくは上記計算式(1)から得られる結晶化度が50%以下となることが望ましい。
一般的に知られている粉末セルロースにも極めて少量のアモルファス部が存在するため、それらの結晶化度は、本発明で用いる計算式(1)によれば、概ね60〜80%の範囲に含まれる、いわゆる結晶性のセルロースであり、セルロースエーテル合成における反応性は極めて低い。
この方法に用いられる押出機としては、単軸又は二軸の押出機を用いることができ、強い圧縮せん断力を加える観点から、スクリューのいずれかの部分に、いわゆるニーディングディスク部を備えるものであってもよい。押出機を用いる処理方法としては、特に制限はないが、チップ状パルプを押出機に投入し、連続的に処理する方法が好ましい。
また、ボールミルとしては、公知の振動ボールミル、媒体攪拌ミル、転動ボールミル、遊星ボールミル等を用いることができる。媒体として用いるボールの材質に特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア等が挙げられる。ボールの外径は、効率的にセルロースを非晶化させる観点から、好ましくは0.1〜100mmである。また媒体としては、ボール以外にもロッド状のものやチューブ状のものも用いることが可能である。
ボールミルの処理時間としては、結晶化度を低下させる観点から、好ましくは5分〜72時間である。またこの処理の際には、発生する熱による変性や劣化を最小限に抑えるためにも、250℃以下、好ましくは5〜200℃の範囲で処理を行うことが好ましく、さらには必要に応じて、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
前述のような方法を用いれば、分子量の制御も可能であり、一般には入手困難な、重合度が高く、かつ低結晶性の粉末セルロースを容易に調製することが可能であるが、好ましい重合度としては、100〜2000であり、より好ましくは100〜1000である。
この低結晶性の粉末セルロースの平均粒径は、粉体として流動性の良い状態が保てるならば特に限定されないが、300μm以下が好ましく、25〜150μmがより好ましく、20〜50μmが更に好ましい。
本発明において、低結晶性の粉末セルロースを、触媒存在下、下記一般式(1)で表されるグリシジルトリアルキルアンモニウム塩と反応させて、下記一般式(2)で表されるカチオン化セルロースを得ることができる。
低結晶性の粉末セルロースに導入される前記一般式(3)で示されるカチオン基における、セルロース分子中のグルコース単位当たりの置換度として、所望の置換度とすることが可能であるが、好ましくは0.01〜3であり、より好ましくは0.2〜2である。なお、前記の置換度は実施例に示す方法により測定される。
前記一般式(1)において、R1〜R3は同一又は異なった炭素数1〜4の炭化水素基を示し、具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられるが、これらの中では、メチル基が好ましい。また、Xは、ハロゲン原子を示し、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、塩素原子が好ましい。
前記一般式(1)で表されるグリシジルトリアルキルアンモニウム塩は、エピクロロヒドリンやエピブロモヒドリン等のエピハロヒドリンにトリメチルアミンやトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の3級アミンを反応させることで得られるが、最も一般的に用いられるのは、エピクロロヒドリンとトリメチルアミンの組み合わせであり、したがってR1〜R3とXとの組み合わせとしては、メチル基および塩素原子が好ましい。
また、カチオン化剤の使用量としては、セルロースに対するカチオン化剤の反応効率が極めて高いために、所望の置換度でセルロースにカチオン基を導入するのに必要となる化学量論量とほぼ同量を用いることが可能である。すなわち、カチオン化剤の使用量としては、好ましくはセルロース分子中のグルコース単位当たり0.01〜3モル倍であり、カチオン化セルロースとしての性能や反応後の脱水効率の観点から、0.2〜2モル倍となるのがより好ましい。
触媒の使用量としては、セルロースおよびカチオン化剤の双方に対して、触媒量で十分であり、具体的には、セルロース分子中のグルコース単位当たり0.1〜50モル%に相当する量が好ましく、更には1〜30モル%に相当する量がより好ましく、5〜25モル%に相当する量が最も好ましい。
なお、本発明に用いるカチオン化剤には、通常その工業的製法上、少量のハロヒドリン体が含まれており、例えばグリシジルトリメチルアンモニウムクロリドの場合、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドが1〜2%程度含まれていることがある。本発明で用いる低結晶性あるいは非晶性のセルロースは、アルカリによるこれらハロヒドリン体との反応を、完全な量論反応で進行させることが可能であるが、その量論反応によってアルカリは反応性の無い塩へと変わるため、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド等のカチオン化剤との反応を良好に進行させるためには、アルカリは少なくともこのハロヒドリン体で消費されるよりも多くの触媒量が必要となる。
非水溶媒としては、例えば、一般にアルセル化処理の際に用いられるようなイソプロパノールやtert-ブタノール等の2級または3級の低級アルコール;1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のジグライム、トリグライム等のエーテル系溶媒;ジメチルスルホキシド等の親水性溶媒等が挙げられる。この中では、ジメチルスルホキシドやイソプロパノールが好ましいが、溶媒自身が反応する可能性を避けるために、ジメチルスルホキシドが特に好ましい。
これらの非水溶媒の使用量としては、触媒が希釈されて反応性が低下するのを避ける等の観点から、セルロースに対して10重量倍以下とするのが好ましい。
いずれの方法においても、反応系内のセルロースに対する水分含有量が100重量%以下であることが好ましい。セルロースに対する水分含有量がこの範囲内であれば、セルロースが過度に凝集することなく、流動性のある粉末状態で反応させることができる。この観点から、80重量%以下がより好ましく、5〜50重量%が最も好ましい。
このため、方法(a)においては、カチオン化剤の滴下により反応を進行させながら同時に脱水を行い、反応系内の水分含有量を前述した範囲に調整することが可能である。また方法(b)においては、セルロースにカチオン化剤を一括で仕込み、減圧下脱水を行ってセルロースに対する水分含有量を前述した範囲に調整した後、触媒を加えて加温して反応させることが可能である。
したがって、本発明においては、所望の置換度でカチオン化を行うことが可能になるだけでなく、従来は極めて困難であった高置換度でのカチオン化、具体的には、セルロース分子中のグルコース単位当り1以上の置換度でのカチオン化も可能となる。
また、従来のカチオン化反応では、反応に用いたアルカリ等の塩基は反応終了後に中和塩として除去されるが、本発明は触媒反応であることから、その中和塩の量も低減させることが可能である。つまり、カチオン化剤や触媒に由来する副生成物や廃棄物が極めて少ないために、反応終了後の(洗浄等の)精製も容易となり、工業的な有用性も極めて高い。
また本発明で使用できる反応装置としては、低結晶性の粉末セルロース、触媒、及びカチオン化剤をできる限り均一に混合できるものが好ましく、前述したミキサー等の混合機の他、特開2002-114801号公報明細書段落〔0016〕で開示しているような、樹脂等の混錬に用いられる、いわゆるニーダー等の混合機が最も好ましい。
本発明における反応温度としては、0〜100℃の範囲が好ましいが、10〜90℃の範囲がより好ましく、20〜80℃の範囲が特に好ましい。
また、本発明は常圧下または減圧下で行われるが、減圧下で行う場合には1〜100kPaの範囲が好ましく、2〜20kPaの範囲がより好ましい。また、反応時の着色を避ける観点から、必要に応じて窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
反応終了後は、触媒を酸またはアルカリを用いて中和し、必要に応じて、含水イソプロパノール、含水アセトン溶媒等で洗浄等を行った後、乾燥することにより、前記一般式(2)で表されるカチオン化セルロースを得ることができる。
セルロースに対する水分含有量の測定は、赤外線水分計として、株式会社ケット科学研究所製「FD−610」を使用し、150℃にて行った。
本発明における最適なセルロースの水分含有量を確認するため、後述する製造例1で得られた非晶化セルロースに所定量の水を添加した後、激しく攪拌・振とうさせ、目視によりその凝集状態を繰り返し観察した。
その結果、セルロースを流動性のある粉末状態で反応させるためには、含水量として100重量%以下とするのが好適であると判断した。結果を表1に示す。
セルロースの結晶化度の算出は、株式会社リガク製「Rigaku RINT 2500VC X-RAY diffractometer」を用いて以下の条件で測定した回折スペクトルのピーク強度から前記計算式に従って行った。
X線源:Cu/Kα−radiation,管電圧:40kv,管電流:120mA,測定範囲:2θ=5〜45°,測定用サンプル:面積320mm2×厚さ1mmのペレットを圧縮し作製,X線のスキャンスピード:10°/min
(3)粉末セルロースの重合度の測定
粉末セルロースの重合度は、ISO−4312法に記載の銅アンモニア法により測定した。
(4)置換度の算出
置換度は、セルロース中のグルコース単位当たりのカチオン基の平均導入量を示し、コロイド滴定用ポリアニオン試薬を用いた常法(コロイド滴定法)により算出した。尚、測定には、京都電子株式会社製自動滴定装置AT−150を使用した。また、元素分析による塩素量及び窒素量の測定値からの確認も行った。
(5)粉末セルロースの平均粒径の測定
粉末セルロースの平均粒径は、株式会社堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」を用いて測定した。
木材パルプシート(ボレガード社製パルプシート、結晶化度74%)をシュレッダー(株式会社明光商会製、「MSX2000−IVP440F」)にかけてチップ状にした。
次に、得られたチップ状パルプを二軸押出機(株式会社スエヒロEPM製、「EA−20」)に2kg/hrで投入し、せん断速度660sec-1、スクリュー回転数300rpm、外部から冷却水を流しながら、1パス処理して粉末状にした。
次に、得られた粉末セルロースを、バッチ式媒体攪拌ミル(五十嵐機械社製「サンドグラインダー」:容器容積800mL、5mmφジルコニアビーズを720g充填、充填率25%、攪拌翼径70mm)に投入した。容器ジャケットに冷却水を通しながら、攪拌回転数2000rpm、温度30〜70℃の範囲で、2.5時間粉砕処理を行い、粉末セルロース(結晶化度0%、重合度600、平均粒径40μm)を得た。この粉末セルロースの反応には更に32μm目開きの篩をかけた篩下品(投入量の90%)を使用した。
なお、各結晶化度の異なる粉末セルロースは,ボールミル処理における処理時間を変えることで調製した。
1Lニーダー(株式会社入江商会製、PNV―1型)に、前記製造例1で得られた非晶化セルロース(結晶化度0%、重合度600)100gを仕込み、48%水酸化ナトリウム水溶液5gを加え、窒素雰囲気下3時間攪拌した。その後、ニーダーを温水により50℃に加温し、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(坂本薬品工業株式会社製、含水量20重量%、純度90%以上)95gを2時間で滴下した。その後、更に50℃で3時間攪拌したところ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によりカチオン化剤は全て消費されていた。その後、酢酸で中和し、生成物をニーダーから取り出し、含水イソプロパノール(含水量15%)及びアセトンで洗浄後、減圧下乾燥して、カチオン化セルロースを140gの白色固体として得た。元素分析およびコロイド滴定により、塩素元素含有量は9.4%、窒素元素含有量は3.7%、セルロース上のカチオン基としての置換度はグルコース単位当たり0.71となり、セルロースへの反応選択性は96%(カチオン化剤基準)であった。結果を表2に示す。
セルロースとして高結晶性の粉末セルロース(日本製紙ケミカル株式会社製セルロースパウダーKCフロック W-50(S)、結晶化度74%、重合度500)を用いる以外は、実施例1と同様にして反応を行った。その結果、HPLC分析により未反応グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドの残存は認められなかったが、セルロース上におけるカチオン基としての置換度はグルコース単位当たり0.097であり、セルロースへの反応選択性は13%であった。結果を表2に示す。
2Lフラスコ中に、比較例1で用いた高結晶性の粉末セルロース100gを入れ、窒素雰囲気下、20%水酸化ナトリウム水溶液1500mlを加えて1日間浸漬した。更に室温でスターラーにより5時間攪拌した後、余分な水酸化ナトリウム水溶液をろ過により除き、圧搾して約200gのアルカリセルロースを得た。
得られたアルカリセルロースを前記1Lニーダーに入れ、非水溶媒としてジメチルスルホキシド500mlを加えて分散させた。次いで、前記グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド95gを加え、50℃で5時間反応させたところ、原料グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドは全て消費されていた。酢酸で中和し、溶媒を留去後、含水イソプロパノール(含水量15%)およびアセトンで洗浄、減圧下乾燥して、カチオン化セルロースを105gの白色固体として得た。セルロース上のカチオン基としての置換度はグルコース単位当たり0.015であり、セルロースへの反応選択性はわずか2%であった。結果を表2に示す。
低結晶性の粉末セルロースとして、前記製造例1に準じて得られた粉末セルロース(結晶化度37%、重合度600)100gと、48%水酸化ナトリウム水溶液10gを用いる以外は、実施例1と同様に行った結果、原料グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドは全て消費されており、セルロース上のカチオン基としての置換度はグルコース単位当たり0.70、セルロースへの反応選択性は94%であった。結果を表2に示す。
前記1Lニーダー中に、前記製造例1に準じて得られた非晶化セルロース(結晶化度0%、重合度400)100g、及び前記グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド135gを一括で仕込み、室温で2時間攪拌した。その後50℃に加温し、2〜10kPaの減圧下で脱水を行ったところ、系内のセルロースに対する水分含有量は9.6重量%となった。
次に、48%水酸化ナトリウム水溶液5gを噴霧しながら加え、そのまま5時間攪拌したところ、HPLC分析により原料グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドは全て消費されていた。その後、1N塩酸で中和した後、生成物をニーダーから取り出し、含水イソプロパノール(15%含水)及びアセトンで洗浄し、減圧下乾燥して、カチオン化セルロースを188gの白色固体として得た。元素分析およびコロイド滴定により、塩素元素含量は11%、窒素元素含量は4.4%、セルロース上のカチオン基としての置換度はグルコース単位当たり1.00となり、セルロースへの反応選択性は95%であった。結果を表2に示す。
前記1Lニーダー中に、前記製造例1に準じて得られた非晶化セルロース(結晶化度0%、重合度400)100gを仕込み、48%水酸化ナトリウム水溶液5gを加え、窒素雰囲気下3時間攪拌した。その後ニーダーを温水により60℃に加温し、5〜10kPaの圧力範囲で脱水しながら、前記グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド230gを3時間かけて滴下した。その後更に3時間攪拌したところ、反応系から約15gの水が留出した。HPLC分析に原料グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドは92%が消費されていた。そのまま酢酸で中和し、生成物をニーダーから取り出した後、含水イソプロパノール(15%含水)およびアセトンで洗浄して中和塩、未反応物を除き、減圧下乾燥して、カチオン化セルロースを270gの淡茶白色固体として得た。元素分析およびコロイド滴定により、塩素元素含量は16%、窒素元素含量は6.4%、セルロース上のカチオン基としての置換度はグルコース単位当たり1.49となり、セルロースへの反応選択性は91%であった。
ジメチルスルホキシド500mlを溶媒として添加する以外は、実施例1と同様にして5時間反応を行ったところ、原料グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドの消費量は90%であったため、更に2時間反応を行った。その結果、原料は全て消費されており、セルロース上のカチオン基としての置換度はグルコース単位当たり0.69であり、セルロースへの反応選択性は94%であった。結果を表3に示す。
溶媒として含水イソプロパノール(15%含水)500mlを用いる以外は、実施例5と同様にして反応を行ったところ、原料グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドは全て消費され、セルロース上のカチオン基としての置換度はグルコース単位当たり0.35であり、セルロースへの反応選択性は50%であった。結果を表3に示す。
前記製造例1で得られた非晶化セルロース(結晶化度0%、重合度600)600g及び水酸化ナトリウム10.9gを撹拌型ボールミル(三井鉱山株式会社製アトライタ)に加え、窒素雰囲気下、鋼球(充填率30%)を用いて混合した。これを5Lニーダーに加え、70℃に加温し、10〜20kPaの減圧下脱水しながら、777.7gの含水グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(含水量20重量%、純度90%以上)を10時間かけて滴下し、更に2時間撹拌した。その結果、HPLC分析によりグリシジルトリメチルアンモニウムクロリドは全て消費されていた。その後酢酸で中和し、生成物をニーダーから取り出し、含水イソプロパノール(含水量15%)およびアセトンで洗浄後、減圧下乾燥して、カチオン化セルロースを1.14kgの淡茶白色固体として得た。コロイド滴定により、セルロース上のカチオン基としての置換度はグルコース単位当たり0.96となり、セルロースへの反応選択性は96%(カチオン化剤基準)であった。結果を表2に示す。
Claims (3)
- 結晶化度が50%以下である低結晶性の粉末セルロースを、セルロース分子中のグルコース単位当たり0.1〜25モル%に相当する量の触媒の存在下、下記一般式(1)で表されるグリシジルトリアルキルアンモニウム塩と反応させる、下記一般式(2)で表されるカチオン化セルロースの製造方法であって、低結晶性の粉末セルロースに対する水分含有量が5〜50重量%であり、低結晶性の粉末セルロースに対して0〜10重量倍の非水溶媒を用いて反応させる、セルロース誘導体の製造方法。
- 触媒としてアルカリ金属水酸化物を用いる、請求項1に記載のカチオン化セルロースの製造方法。
- 前記グリシジルトリアルキルアンモニウム塩の使用量がセルロース分子中のグルコース単位当たり0.01〜3モル倍の範囲である、請求項1又は2に記載のセルロース誘導体の製造方法。
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