JP2011517314A - Egfrに結合する操作されたタンパク質に基づく標的化された治療薬 - Google Patents

Egfrに結合する操作されたタンパク質に基づく標的化された治療薬 Download PDF

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Abstract

本発明は、上皮成長因子受容体(EGFR)に結合する単一ドメインタンパク質に関する。本発明はまた、診断、研究および治療用途に使用するための単一ドメインタンパク質に関する。本発明は、さらに、そのようなタンパク質、そのようなタンパク質をコードするポリヌクレオチドまたはそのフラグメントを含む細胞、および革新的タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターに関する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2008年2月14日に出願されたU.S. Provisional Application Serial No. 61/065,955の利益を主張する。上記で参照した出願のすべての教示は、本明細書において参照により援用される。
本発明は、上皮成長因子受容体(EGFR)に結合する単一ドメインタンパク質に関する。本発明はまた、診断、研究および治療用途に使用するための単一ドメインタンパク質に関する。本発明は、さらに、そのようなタンパク質、そのようなタンパク質をコードするポリヌクレオチドまたはそのフラグメントを含む細胞、および革新的タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターに関する。
序論
受容体チロシンキナーゼのHERファミリーは、細胞増殖、分化および生存の重要なメディエーターである。受容体ファミリーには、上皮成長因子受容体(EGFR、ErbB1、またはHER1)、HER2(ErbB2)、HER3(ErbB3)およびHER4(ErbB4またはtyro2)を含む4つの個別のメンバーが含まれる。
HERファミリーは、ヒト悪性疾患の原因として関連付けられている。Herファミリーの受容体の活性の異常は、乳癌に関与する。EGFR、Her−3、およびHer−4は、卵巣顆粒膜細胞腫において頻繁に発現される(非特許文献1)。特に、乳癌、膀胱癌、肺癌、頭部癌、頚部癌、および胃癌ならびに神経膠芽腫において、EGFRの発現の増加が観察されている。
EGFR受容体発現の増加は、自己分泌刺激経路によって受容体活性化を生じる同じ腫瘍細胞によるEGFRリガンド、トランスフォーミング増殖因子α(TGF−α)の産生の増加に関連し得る。非特許文献2。EGFRまたはそのリガンドに対するモノクローナル抗体は、そのような悪性疾患の処置における治療用薬剤として評価されている。例えば、非特許文献2;非特許文献3;および非特許文献4を参照のこと。
HER受容体は、一般的に、細胞において様々な組み合わせで存在する。それらのヘテロ二量体化は、多様なHERリガンドに対する様々な細胞応答を増加すると考えられる(非特許文献5)。EGFRは、少なくとも6つの異なるリガンド;上皮増殖因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子α(TGF−α)、アンフィレグリン、ヘパリン結合上皮増殖因子(HB−EGF)、βセルリンおよびエピレグリンと結合する(非特許文献6)。
EGFはEGFRに結合し、HER2とヘテロ二量体を形成して、EGFRを活性化し、そしてHERのトランスリン酸化を生じる。二量体化および/またはトランスリン酸化は、HER2チロシンキナーゼを活性化する。
治療薬の潜在的な副作用は、治療レジメンを考案する場合に考慮すべき重要な問題である。例えば、セツキシマブ(Erbitux(商標))、抗EGFR抗体は、潜在的に生命を脅かす注入反応に関連する(非特許文献7)。ゲフィチニブ(Iressa(商標))およびエルロチニブ(Tarceva(商標))は、両方とも、EGFR特異的小分子インヒビターであり、間質性肺疾患の危険性に関連する(非特許文献8)。個々の患者は、特定のタイプの合併症にかかり易い可能性があり、薬物治療の選択に影響を及ぼす。より幅の広い治療選択が提供されれば、医師は、個々の患者の最良の副作用プロファイルにより治療薬を選択することが可能である。本発明は、治療方法に有用な新規のポリペプチドおよびタンパク質治療薬を提供する。
癌および増殖性障害を含む障害において、EGFRシグナル伝達が果たす役割を考慮して、EGFRを選択的に調整、阻害または遮断するEGFR結合ポリペプチドのような治療薬を作製することが望ましい。
加えて、そのような治療薬は、費用効果的様式で発現され、所望の生物物理特性(例えば、Tm、実質的に単量体であるか、または良好にフォールディングされる)を所有し、組織を貫通するための小さなサイズを有し、そしてインビボで適切な半減期を有することが望ましい。
Leibl, S. et al., Gynecol Oncol 101:18-23 (2005) Baselga and Mendelsohn Pharmac. Ther. 64:127-154 (1994) Masui et al. Cancer Research 44:1002-1007 (1984) Wu et al. J. Clin. Invest. 95:1897-1905 (1995) Earp et al. Breast Cancer Research and Treatment 35: 115-132 (1995) Groenen et al. Growth Factors 11:235-257 (1994) Thomas, M., Clin J Oncol Nurs. 9(3):332-8 (2005) Sandler A,. Oncology 20(5 Suppl 2):35-40 (2006)
本出願の一態様は、フィブロネクチンIII型(Fn3)ドメインを含むポリペプチドを提供し、ここで、Fn3ドメインは、(i)ループ、AB;ループ、BC;ループ、CD;ループ、DE;ループEF;およびループFGを含み;(ii)ヒトFn3ドメインの対応するループの配列と比べて変更されたアミノ酸配列を伴うループBC、DE、およびFGから選択される少なくとも1つのループを有し、そして(iii)ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、10−4M未満、10−5M未満、10−6M未満、10−7M未満、10−8M未満、10−9M未満、もしくは10−9M未満のKでEGFRに結合する。いくつかの実施形態では、Fn3ドメインの少なくとも2つのループが変更される。いくつかの実施形態では、ループBCおよびループFGは、ヒトFn3ドメインの対応するループの配列と比べて変更されたアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Fn3ドメインの少なくとも3つのループが変更される。いくつかの実施形態では、Fn3ドメインの少なくとも2つのループがEGFRに結合する。いくつかの実施形態では、Fn3ドメインの少なくとも3つのループがEGFRに結合する。いくつかの実施形態では、ループBC、DE、およびFGから選択される少なくとも1つのループにおける少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個のアミノ酸が、野生型の配列とは異なるアミノ酸で置換される。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個のアミノ酸が、欠失されるか、またはループBC、DE、およびFGから選択される少なくとも1つのループに付加される。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、10−6Mを超える、10−5Mを超える、10−4Mを超える、10−3Mを超える、もしくは10−2Mを超えるKでHER2またはHER3のような関連受容体に結合する。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、1つ以上のEGFRリガンドに結合するEGFRを阻害する。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、EGFRシグナル伝達を阻害する。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、10番目のフィブロネクチンIII型ドメイン(10Fn3)である。いくつかの実施形態では、10Fn3は、配列番号207〜231のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、10Fn3は、配列番号215のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、10Fn3は、配列番号207〜231のいずれか1つに少なくとも75、80、85、90、95、もしくは98%同一なアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは:ポリオキシアルキレン部分、ヒト血清アルブミン結合タンパク質、シアル酸、ヒト血清アルブミン、トランスフェリン、IgG、IgG結合タンパク質、およびFcフラグメントから選択される1つ以上の薬物動態(PK)部分をさらに含む。いくつかの実施形態では、PK部分はポリオキシアルキレン部分であり、そして前記ポリオキシアルキレン部分はポリエチレングリコール(PEG)である。いくつかの実施形態では、PEG部分は、CysまたはLysアミノ酸を介してEGFR結合ポリペプチドに共有結合している。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドはFn3ドメインである。いくつかの実施形態では、PEGは、約0.5kDaと約100kDaとの間である。
いくつかの実施形態では、PK部分は、ポリペプチドの1つ以上の薬物動態特性、例えば、バイオアベイラビリティ、血清中半減期、インビボでの安定性、および薬物分布を改善する。いくつかの実施形態では、PK部分は、EGFR結合ポリペプチド単独と比べて、少なくとも20、30、40、50、70、90、100、120、150、200、400、600、800%か、それ以上、EGFR結合ポリペプチドの血清中半減期を増加させる。いくつかの実施形態では、PK部分をさらに含むEGFR結合ポリペプチドは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14日間の血清インビボ半減期を有する。
いくつかの実施形態では、PK部分およびFn3ドメインは、少なくとも1つのジスルフィド結合、ペプチド結合、ポリペプチド、ポリマー糖、またはポリエチレングリコール部分を介して作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、PK部分およびFn3ドメインは、配列番号232〜235のアミノ酸配列を含むポリペプチドを介して作動可能に連結される。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、2番目のドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、抗体部分をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、50KDa未満である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、40KDa未満である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、一本鎖Fvs(scFvs)、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Fv、二重特異性抗体(diabody)、または全抗体である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、単一ドメイン抗体である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ヒトタンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、IGF−IR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、c−Kit、ヒトp185受容体様チロシンキナーゼ、HER2、HER3、c−Met、葉酸受容体、PDGFR、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)A、VEGF C、VEGF D、ヒトCD20、ヒトCD18、ヒトCD11a、ヒトアポトーシス受容体−2(Apo−2)、ヒトα4β7インテグリン、ヒトGPIIb−IIIaインテグリン、幹細胞因子(SCF)、EGFR、またはヒトCD3に結合する。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、リポカリンの誘導体;テトラネクチンの誘導体;アビマー;またはアンキリンの誘導体をさらに含む。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、ヒトタンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、IGF−IR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、c−Kit、ヒトp185受容体様チロシンキナーゼ、HER2、HER3、c−Met、葉酸受容体、PDGFR、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)A、VEGF C、VEGF D、ヒトCD20、ヒトCD18、ヒトCD11a、ヒトアポトーシス受容体−2(Apo−2)、ヒトα4β7インテグリン、ヒトGPIIb−IIIaインテグリン、幹細胞因子(SCF)、EGFR、またはヒトCD3に結合する。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、Fn3ドメインであり、そして2番目のFn3ドメインをさらに含む。2番目のFn3ドメインは、(i)ループ、AB;ループ、BC;ループ、CD;ループ、DE;およびループFGを含み;(ii)ヒトFn3ドメインの対応するループの配列と比べて変更されたアミノ酸配列を伴うループBC、DE、およびFGから選択される少なくとも1つのループを有し、そして(iii)ヒトFn3ドメインには結合されないヒトタンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、2番目のFn3ドメインは、IGF−IR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、c−Kit、ヒトp185受容体様チロシンキナーゼ、HER2、HER3、c−Met、葉酸受容体、PDGFR、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)A、VEGF C、VEGF D、ヒトCD20、ヒトCD18、ヒトCD11a、ヒトアポトーシス受容体−2(Apo−2)、ヒトα4β7インテグリン、ヒトGPIIb−IIIaインテグリン、幹細胞因子(SCF)、EGFR、またはヒトCD3に結合する。いくつかの実施形態では、2番目のFn3ドメインは、10−4M未満、10−5M未満、10−6M未満、10−7M未満、10−8M未満、10−9M未満、もしくは10−9M未満のKでヒトタンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、2番目のFn3ドメインのループBC、DE、およびFGから選択される少なくとも1つのループにおける少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個のアミノ酸が、野生型の配列とは異なるアミノ酸で置換される。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個のアミノ酸が、欠失されるか、またはループBC、DE、およびFGから選択される少なくとも1つのループに付加される。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、2番目の10Fn3ドメインをさらに含むEGFRに結合する10Fn3ドメインである。いくつかの実施形態では、2番目の10Fn3ドメインは、IGF−IRに結合する。いくつかの実施形態では、2番目の10Fn3ドメインは、VEGFR2に結合する。いくつかの実施形態では、2番目の10Fn3ドメインは、EGFRに結合する。いくつかの実施形態では、2番目の10Fn3ドメインは、配列番号2〜125、184〜204、または236のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、2番目の10Fn3ドメインは、配列番号2〜125、184〜204、または236のいずれか1つに少なくとも75、80、85、90、55、もしくは98%同一なアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、2番目の10Fn3ドメインは、配列番号126〜183、205、または206のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、2番目の10Fn3ドメインは、配列番号126〜183、205、または206のいずれか1つに少なくとも75、80、85、90、55、もしくは98%同一なアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、2番目の10Fn3ドメインは、配列番号207〜231のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、2番目の10Fn3ドメインは、配列番号207〜231のいずれか1つに少なくとも75、80、85、90、55、もしくは98%同一なアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、少なくとも1つのジスルフィド結合、ペプチド結合、ポリペプチド、ポリマー糖、またはポリエチレングリコール部分(PEG)を介して作動可能に連結された2番目のドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、PEGは、約0.5kDaと約100kDaとの間である。いくつかの実施形態では、PEGは、CysまたはLys残基を介してポリペプチドおよび2番目のドメインにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、少なくともEGFR結合ポリペプチドまたは2番目のドメインは、単一のCysまたはLysのみを有する。いくつかの実施形態では、単一のCysまたはLysは、アミノ酸配列における非野生型の局在で局在する。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、配列番号235を含む。
一態様では、本出願は、トランスフォーミング増殖因子α(TGF−α)または上皮増殖因子(EGF)のEGFRへの結合を阻害し、そして細胞ベースアッセイのIC50より低い濃度においてヒトEGFRを活性化しないEGFR結合ポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、1つ以上のEGFRリガンドに結合するEGFRを阻害する。
一態様では、本出願は、EGFR結合ポリペプチドであって、EGFRへの結合について、抗EGFR抗体と競合するポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、抗EGFR抗体は、パニツムマブ、ニモツズマブ、ザルツムマブ、EMD72000、およびセツキシマブから選択される。
一態様では、本出願は、10−5未満、10−6未満、10−7未満、10−8未満、もしくは10−9M未満のIC50でEGFRのすべてのEGF刺激性ホスホチロシン活性化を阻害するEGFR結合ポリペプチドを提供する。
一態様では、本出願は、10−5未満、10−6未満、10−7未満、10−8未満、もしくは10−9M未満のIC50でERKリン酸化を阻害するEGFR結合ポリペプチドを提供する。
一態様では、本出願は、10−5未満、10−6未満、10−7未満、10−8未満、もしくは10−9M未満のIC50でAKTリン酸化を阻害するEGFR結合ポリペプチドを提供する。
一態様では、本出願は、EGFR活性化に依存的な細胞系統での細胞ベースアッセイにおいてアポトーシスを誘導するEGFR結合ポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、EGFRバインダーは、アポトーシス、リン酸化または二量体化の制御のようなEGFR活性を遮断する。
一態様では、本出願は、脱免疫化されて、1つ以上のT細胞エピトープが除去されているEGFR結合ポリペプチドを提供する。一態様では、本出願は、脱免疫化されて、1つ以上のB細胞エピトープが取り出されているEGFR結合ポリペプチドを提供する。
一態様では、本出願は、a)それぞれ、ヒトFn3ドメインコード配列とは異なる候補フィブロネクチンIII型(Fn3)ドメイン配列を含む候補核酸分子の集団を生成する工程であって、前記核酸分子は、それぞれ、翻訳開始配列、および前記候補Fn3ドメインコード配列に作動可能に連結された開始コドンを含み、そしてそれぞれ、3’末端において核酸−ピューロマイシンリンカーに作動可能に連結されている工程;b)前記候補Fn3ドメインコード配列をインビトロで翻訳して、候補核酸−Fn3融合物の集団を生成する工程;c)候補核酸−Fn3融合物の前記集団とEGFRとを接触させる工程;ならびにd)核酸−Fn3融合物、EGFRに対する前記ヒトFn3の結合親和性または特異性と比べて変更されたEGFRに対する結合親和性または特異性を有するそのタンパク質部分を選択する工程を含む方法によって選択されるEGFR結合Fn3ドメインを提供する。いくつかの実施形態では、選択された核酸−Fn3融合物は、1つ以上の核酸残基を変更し、そしてEGFRとの融合を再スクリーニングして、改善されたバインダーについて選択することによって、さらに最適化される。いくつかの実施形態では、候補核酸分子はRNAである。いくつかの実施形態では、候補核酸分子はDNAである。いくつかの実施形態では、核酸−ピューロマイシンは、DNA−ピューロマイシンである。いくつかの実施形態では、Fn3ドメインは10Fn3である。
一態様では、本出願は、EGFR結合ポリペプチドを含む薬学的に許容できる組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、本質的にエンドトキシンを含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、実質的に微生物の混入がないため、インビボでの投与に適切である。組成物は、例えば、IV、IPまたは皮下投与のために処方してもよい。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、1つ以上のEGFRリガンドに結合するEGFRを阻害する。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、EGFRシグナル伝達を阻害する。
本出願の一態様は、EGFR結合ポリペプチドを、単独でまたは他の細胞障害性薬剤または治療用薬剤との組み合わせで投与することによる癌を有する被験体の治療のための方法を提供する。癌は、例えば、乳癌、結腸癌、卵巣癌腫、骨肉腫、子宮頚癌、前立腺癌、肺癌、滑膜癌腫、神経膠芽腫、膵臓癌、またはEGFRlレベルが、上昇しているか、アップグレードしているか、変異しているか、または非癌細胞と比較して生理学的に変更されている未だ決定されていない他の癌のうちの1つ以上であり得る。
本出願の一態様は、EGFR結合ポリペプチドを、単独でまたは他の細胞障害性薬剤または治療用薬剤との組み合わせで投与することによる癌を有する被験体の治療のための方法を提供する。特に、好適な細胞障害性薬剤および治療用薬剤として、ドセタキセル、パクリタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、シクロホスファミド、トラスツズマブ、カペシタビン、タモキシフェン、トレミフェン、レトロゾール、アナストロゾール、フルベストラント、エキセメスタン、ゴセレリン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シスプラチン、デキサメタゾン、アンタイド、ベバシズマブ、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、レバミゾール、イリノテカン、エトポシド、トポテカン、ゲムシタビン、ビノレルビン、エストラムスチン、ミトキサントロン、アバレリクス、ゾレドロネート、ストレプトゾシン、リツキシマブ、イダルビシン、ブスルファン、クロラムブシル、フルダラビン、イマチニブ、シタラビン、イブリツモマブ、トシツモマブ、インターフェロンα−2b、メルファラン、ボルテゾミブ、アルトレタミン、アスパラギナーゼ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、抗EGF受容体抗体(例えば、セツキシマブもしくはパニツムマブ)、イクサベピロン、およびエポチロンまたはその誘導体が挙げられる。より好ましくは、治療用薬剤は、白金薬剤(例えば、カルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチン)、タキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル)、ゲムシタビン、またはカンプトテシンである。
本出願のもう1つの態様は、本明細書に記載のエレメントの1つ以上、およびそれらのエレメントの使用のための指示書を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、EGFR結合ポリペプチドを単独でまたは第2の治療剤と共に含む。EGFR結合ポリペプチドを単独でもしくは第2の治療剤と共に使用して、癌細胞の増殖を阻害するための指示書および/またはそれらを使用して、癌を有する患者を治療する方法のための指示書。
本出願のさらなる態様は、EGFR結合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む細胞を提供する。そのようなタンパク質に対するポリヌクレオチドを含有するベクターもまた含まれる。配列は、好ましくは、使用する細胞タイプにおける発現を最大限にするように最適化される。好ましくは、発現は、大腸菌(E.coli)においてである。EGFR結合ポリペプチドはまた、例えば、酵母(例えば、ピキア(Pichia)もしくはセレビシエ(cerevisiae))または藍藻を含む真核微生物において発現させることができる。酵母細胞は、所望されるグリコシル化を生じるように操作することができる。本発明の細胞は、哺乳動物細胞であり得る。一態様では、哺乳動物細胞を、グリコシル化を生じるように操作することができる。一態様では、細胞は、フィブロネクチンに基づく足場タンパク質を発現する。一態様では、フィブロネクチンに基づく足場タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、選択された細胞タイプにおける発現に最適化されたコドンである。
EGFR−結合クローンの単離のための選択プロファイル。各選択ラウンド後のEGFR−Fcに結合した実施例1由来のライブラリーの百分率を示す。各RNA−タンパク質融合ライブラリーは、5サイクルの選択後に標的に結合した。 細胞ベースの競合的リガンド結合アッセイ。PBS緩衝液またはTris緩衝液のいずれかに希釈されたLA−1(抗EGFRモノクローナル抗体)および679F09(EGFR結合クローン)中規模タンパク質調製物を、細胞ベースの競合的リガンド結合アッセイにおいて分析した(詳細については、材料および方法のセクションを参照のこと)。LA−1(丸)、679F09中規模PBS(四角)および679F09中規模Tris(三角)はすべて、A431細胞上のEGFRへの結合について、Eu−EGFと競合した。IC50は:LA−1(2.254nM)、679F09中規模PBS(13.018nM)および679F09中規模Tris(20.002nM)であった。 細胞ベースの競合的リガンド結合アッセイ。LA−1(抗EGFRモノクローナル抗体)、679F09(EGFR結合クローン、中規模調製物)および867A01(EGFR結合クローン、HTPP調製物)を、細胞ベースの競合的リガンド結合アッセイにおいて分析した。LA−1(丸)、679F09中規模PBS(四角)および867A01(三角)はすべて、A431細胞上のEGFRへの結合について、Eu−EGFと競合した。IC50は:LA−1(6.641nM)、679F09(14.726nM)および867A01(258.258nM)であった。 細胞ベースの競合的リガンド結合アッセイ。LA−1(抗EGFRモノクローナル抗体)および679F03(EGFR結合クローン、中規模調製物)を、細胞ベースの競合的リガンド結合アッセイにおいて分析した。LA−1(四角)、および679F03(三角)は、A431細胞上のEGFRへの結合について、Eu−EGFと競合した。IC50は:LA−1(6.944nM)および679F03(26.847nM)であった。 EGFR特異的クローンの最適化実施例4に記載のEGFR結合クローンのさらなる最適化のためのプロセスの概略図。 EGFR特異的クローンの最適化実施例4に記載のEGFR結合クローンのさらなる最適化のためのプロセスの概略図。 EGFR特異的クローンの最適化実施例4に記載のEGFR結合クローンのさらなる最適化のためのプロセスの概略図。 本出願を通して説明する配列を示す。 本出願を通して説明する配列を示す。 本出願を通して説明する配列を示す。 本出願を通して説明する配列を示す。 本出願を通して説明する配列を示す。 本出願を通して説明する配列を示す。 本出願を通して説明する配列を示す。 本出願を通して説明する配列を示す。
定義
「ポリペプチド」とは、長さ、翻訳後修飾、または機能にかかわらない2個以上のアミノ酸の任意の配列を意味する。「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、本明細書において同義である。ポリペプチドは、天然アミノ酸、およびU.S. Patent No. 6,559,126(本明細書において参照により援用される)に記載のような非天然アミノ酸を含むことができる。ポリペプチドはまた、多様な標準的な化学的方法のいずれかで修飾することができる(例えば、アミノ酸を保護基で修飾することができる;カルボキシ末端のアミノ酸を、末端アミド基にすることができる;アミノ末端残基を、例えば、親油性を増強するための基で修飾することができる;またはポリペプチドを、化学的にグリコシル化するか、もしくはそれでなければ修飾して、安定性もしくはインビボでの半減期を増加することができる)。ポリペプチド修飾は、環式化合物または他の分子のようなもう1つの構造のポリペプチドへの付着を含むことができ、そしてまた、変更された立体配置(即ち、RもしくはS;またはLもしくはD)の1個以上のアミノ酸を含有するポリペプチドを含むことができる。
用語「単一のドメインポリペプチド」は、主体ポリペプチドの標的結合活性(例えば、EGFR結合活性)が、例えば、抗体および一本鎖抗体と区別されるように、一本鎖構造のドメイン内に設置されること示すために使用され、ここで、抗原結合活性には、一般的に、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインの両方が寄与する。単一のドメインポリペプチドは、(例えば、融合タンパク質として)蛍光ポリペプチド、標的化ポリペプチドおよび個別の治療効果を有するポリペプチドのような他のポリペプチドのいずれかのメンバーに付着させてもよい。
用語「PK」は、「薬物動態」の頭字語であり、そして例えば、被験体による吸収、分布、代謝、および排泄を含む化合物の特性を包含する。「PKモジュレーションタンパク質」または「PK部分」は、生物学的に活性な分子に融合するか、もしくは共に投与する場合、生物学的に活性な分子の薬物動態特性に影響を及ぼす任意のタンパク質、ペプチド、または部分を指す。PKモジュレーションタンパク質またはPK部分の例として、PEG、ヒト血清アルブミン(HSA)バインダー(U.S. Publication Nos. 20050287153および20070003549に開示されている)、ヒト血清アルブミン、FcまたはFcフラグメント、および糖(例えば、シアル酸)が挙げられる。
「機能的Fc領域」は、天然配列Fc領域の少なくとも1つの「エフェクター機能」を所有する。例示的な「エフェクター機能」として、C1q結合;補体依存性細胞障害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞介在性細胞障害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)のダウンレギュレーションなどが挙げられる。そのようなエフェクター機能は、一般的に、結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わされるべきFc領域を必要とし、そしてそのような抗体エフェクター機能を評価するための当該分野において公知の様々なアッセイを使用して評価することができる。
「天然配列Fc領域」は、天然に見出されるFc領域のアミノ酸配列に同一なアミノ酸配列を含む。
「変異体Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸改変によって、天然配列Fc領域の配列とは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、変異体Fc領域は、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域における約1〜約10のアミノ酸置換、好ましくは、約1〜約5のアミノ酸置換を有する。本明細書における変異体Fc領域は、好ましくは、天然配列Fc領域および/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%配列同一性を所有し、そして最も好ましくは、それらと少なくとも約90%配列同一性、より好ましくは、それらと少なくとも約95%配列同一性を所有する。
「抗体依存性細胞介在性細胞障害」および「ADCC」は、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞障害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)は、標的細胞上の結合抗体を認識し、続いて、標的細胞の溶解を生じる細胞仲介反応を指す。ADCCを仲介する主な細胞、NK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、単球は、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。目的の分子のADCC活性を評価するために、U.S. Patent Nos. 5,500,362または5,821,337に記載のようなインビトロADCCアッセイを実施してもよい。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞として、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは、またはさらに、目的の分子のADCC活性を、例えば、Clynes et al. PNAS (USA) 95:652-656 (1998)において開示されているような動物モデルにおいて、インビボで評価してもよい。
本明細書における「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列を整列し、そして必要であれば、最大の配列同一性パーセントを達成するためにギャップを導入し、そしていずれの保存的置換も配列同一性の一部として考えなかった場合の選択された配列のアミノ酸残基に同一な候補配列におけるアミノ酸残基の百分率として同定される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGN、ALIGN−2またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当該技術分野の技術の範囲内にある様々な方法で達成することができる。当業者は、比較する配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含むアラインメントを測定するのに適切なパラメータを決定することができる。しかし、本明細書の目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を使用して、下記のように得られる。Genentech,Inc.によって作製されたALIGN−2配列比較コンピュータプログラムは、U.S.Copyright Office(Washington D.C.,20559)の利用者向けドキュメントのファイルとして保存されており、ここで、それは、U.S.Copyright Registration No.TXU510087で登録され、そしてGenentech,Inc.(South San Francisco,Calif)を介して公に利用可能である。ALIGN−2プログラムは、UNIXオペレーティングシステム、好ましくは、デジタルUNIX V4.0D上での使用のためにコンパイルすべきである。すべての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定され、そして変更は行わない。
本明細書に記載の目的のために、所与のアミノ酸配列Bへの、所与のアミノ酸配列Bとの、もしくは所与のアミノ酸配列Bに対する所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、所与のアミノ酸配列Bとの、もしくは所与のアミノ酸配列Bに対する所定のアミノ酸配列同一性%を有するまたは含む所与のアミノ酸配列Aとして表現することもできる)は、次のとおりに計算される:分数X/Yの100倍(ここで、Xは、配列アラインメントプログラムALIGN−2により、AおよびBのそのプログラムのアラインメントにおいて完全な一致として評価されるアミノ酸残基の数であり、そしてここで、Yは、Bにおけるアミノ酸残基の総数である)。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さに等しくない場合、AのBへのアミノ酸配列同一性%は、BのAへのアミノ酸配列同一性%に等しくないことが理解されよう。
「単離された」ポリペプチドは、同定されており、そしてその天然環境の成分から分離および/または回収されているポリペプチドである。その天然環境の混入成分は、ポリペプチドの診断または治療用途を妨害する材料であり、そして酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含み得る。好適な実施形態では、ポリペプチドは、(1)ローリー法によって決定される場合、ポリペプチドのうち95重量%を超えるまで、そして最も好ましくは、99重量%を超えるまでか、(2)スピニングカップシーケネーター(spinning cup sequenator)の使用によってN末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度までか、あるいは(3)クマシーブルー、または好ましくは、銀染色を使用する、還元条件下もしくは非還元条件下でのSDS−PAGEにより均質性が認められるまで、精製される。ポリペプチドの天然環境のうち少なくとも1つの成分が存在しないため、単離されたポリペプチドには、組み換え細胞内におけるインサイチュでのポリペプチドも含まれる。しかし通常は、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製工程によって調製される。
標的物はまた、前記標的物のフラグメントであってもよい。それ故、標的物はまた、免疫応答を誘発することが可能な前記標的物のフラグメントである。標的物はまた、全長標的物に対して惹起される単一ドメイン抗体に結合することが可能な前記標的物のフラグメントである。
本明細書において使用するフラグメントは、配列の100%未満(例えば、99%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%など)を指すが、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個以上のアミノ酸を含む。フラグメントは、目的の相互作用が1×10−6Mもしくはそれより良好な親和性で維持されるのに十分な長さである。
本明細書に記載のフラグメントはまた、標的物が、野生型標的物に対して惹起される単一ドメイン抗体に結合する能力を実質的に変更しない1個以上のアミノ酸の任意の挿入、欠失および置換を指す。アミノ酸の挿入、欠失または置換の数は、好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69もしくは70個までのアミノ酸である。
「細胞死を誘導する」本発明のタンパク質は、生細胞を非生細胞にするタンパク質である。細胞は、一般的に、タンパク質が結合する抗原を発現する細胞であって、特にここで、細胞は、抗原を過剰発現する。好ましくは、細胞は、癌細胞、例えば、乳房、卵巣、胃、子宮内膜、唾液腺、肺、腎臓、結腸、甲状腺、膵臓または膀胱の細胞である。インビトロでは、細胞は、例えば、SKBR3、BT474、Calu 3、MDA−MB453、MDA−MB−361またはSKOV3細胞であってもよい。インビトロでの細胞死は、抗体依存性細胞介在性細胞障害(ADCC)または補体依存性細胞障害(CDC)によって誘導される細胞死を識別するために、補体および免疫エフェクター細胞の非存在下で決定してもよい。それ故、細胞死のアッセイは、熱不活化血清(即ち、補体の非存在下)を使用し、そして免疫エフェクター細胞の非存在下で実施してもよい。本発明のタンパク質が、細胞死を誘導することが可能であるかどうかを決定するために、ヨウ化プロピジウム(PI)、トリパンブルー(Moore et al. Cytotechnology 17:1-11 (1995)を参照のこと)または7AADの取り込みによって評価される膜完全性の消失を、非処置細胞と比べて評価することができる。
「アポトーシスを誘導する」本発明のタンパク質は、アネキシンV、DNAの断片化、細胞萎縮、小胞体の拡張、細胞の断片化、および/または膜小胞の形成(アポトーシス小体と呼ばれる)のようなアポトーシス関連分子の結合または事象によって決定されるプログラム化された細胞死を誘導するタンパク質である。細胞は、タンパク質が結合する抗原を発現する細胞であり、そして抗原を過剰発現する細胞であってもよい。細胞は、腫瘍細胞、例えば、乳房、卵巣、胃、子宮内膜、唾液腺、肺、腎臓、結腸、甲状腺、膵臓または膀胱の細胞である。インビトロでは、細胞は、例えば、SKBR3、BT474、Calu 3細胞、MDA−MB453、MDA−MB−361またはSKOV3細胞であってもよい。アポトーシスに関連する細胞事象を評価するための様々な方法が、利用可能である。例えば、ホスファチジルセリン(PS)のトランスロケーションは、アネキシン結合によって測定することができる;DNA断片化は、本明細書に記載の実施例において開示するDNAラダーリングを介して評価することができる;そしてDNA断片化に伴う核/クロマチン凝縮は、低二倍体細胞における任意の増加によって評価することができる。好ましくは、アポトーシスを誘導するタンパク質は、本発明のタンパク質が結合する抗原を発現する細胞を使用するアネキシン結合アッセイにおいて、非処置細胞と比べて、アネキシン結合の約2〜50倍、好ましくは、約5〜50倍、最も好ましくは、約10〜50倍の誘導を生じるタンパク質である。
用語「治療有効量」は、哺乳動物において疾患または障害を治療するのに有効な薬物の量を指す。癌の場合、治療有効量の薬物は、癌細胞の数を減少する;腫瘍サイズを減少する;周辺器官の癌細胞浸潤を阻害する(即ち、ある程度遅延させる、好ましくは停止する);腫瘍転移を阻害する(即ち、ある程度遅延させる、好ましくは停止する);腫瘍増殖をある程度阻害する;および/または異常に関連する1つ以上の症状をある程度軽減することができる。薬物が増殖を防止し得るおよび/または存在する癌細胞を死滅させ得る程度にまで、薬物は、細胞増殖抑制性および/または細胞障害性であり得る。癌治療について、インビボでの効力は、例えば、無増悪期間(TTP)を評価するおよび/または奏功率(RR)決定することによって、測定することができる。
アミノ酸配列または化合物の半減期は、一般的に、例えば、天然の機構による配列もしくは化合物の分解および/または配列もしくは化合物のクリアランスもしくは隔離(sequestration)により、インビボでポリペプチドの血清濃度が50%減少するのに要する時間として定義することができる。半減期は、薬物動態解析によるように、それ自体で既知である任意の様式で決定することができる。適切な技術が当業者に明らかであり、そして例えば、一般的に、霊長類に、適切な用量の処置しようとするアミノ酸配列または化合物を適切に投与する工程;規則的な間隔で前記霊長類から血液サンプルまたは他のサンプルを回収する工程;前記血液サンプルにおける本発明のアミノ酸配列または化合物のレベルまたは濃度を決定する工程;およびそのようにして得られたデータ(のプロット)から、投与時の初期レベルと比較して、本発明のアミノ酸配列または化合物のレベルまたは濃度が50%まで減少するまでの時間を計算する工程を要し得る。例えば、Kenneth, A et al: Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook for PharmacistsおよびPeters et al, Pharmacokinete analysis: A Practical Approach (1996)のような標準的なハンドブックを参照のこと。"Pharmacokinetics", M Gibaldi & D Perron, published by Marcel Dekker, 2nd Rev. edition (1982)もまた参照のこと。
半減期は、t1/2−α、t1/2−βおよび曲線下面積(AUC)のようなパラメータを使用して表現することができる。本明細書では、「半減期の増加」は、これらのパラメータのうち任意の2つ、または本質的にこれらの3つのすべてのパラメータのようなこれらのパラメータのいずれか1つの増加を指す。特に、「半減期の増加」は、t1/2−αおよび/もしくはAUCまたは両方の増加を伴うあるいは伴わないいずれかのt1/2−βの増加を指す。
本明細書において使用する用語「EGFR」は、HER−1という用語と同等である。用語「EGFRリガンド」は、EGFRに結合する天然に存在するタンパク質のような1つ以上のEGFRリガンドを指す。
用語「HER」は、EGFR、Her−2、Her−3、およびHer−4を含むHerファミリーの受容体のメンバーを指すために本明細書において使用される。好ましくは、本発明において使用されるHerファミリーメンバーは、EGFRである。
EGFR結合ポリペプチド
一態様では、本出願は、EGFRに結合する単一ドメインポリペプチドを提供する。所定の態様では、単一ドメインポリペプチドは、免疫グロブリンおよび免疫グロブリン様ドメインによって例示されるように、少なくとも2つのβシートの間に分布する少なくとも5〜7つのβまたはβ様鎖を含み得る。β様鎖は、単一ドメインポリペプチドの安定化に関与するが、必ずしもβ鎖コンホメーションをとる必要がないアミノ酸のストリングである。単一ドメインポリペプチドは、少なくとも2つのβシートの間に分布する少なくとも7つのβ鎖またはβ様鎖、および2つのβ鎖またはβ様鎖を接続する少なくとも1つのループ部分(このループ部分はEGFRへの結合に関与する)を含む構造的構成を有する約80〜約150の間のアミノ酸を含み得る。言い換えれば、ループ部分は、2つのベータ鎖、2つのβ様鎖、または1つのβ鎖と1つのβ様鎖を連結することができる。典型的に、ループ部分のうち1つ以上がEGFR結合に関与するが、βまたはβ様鎖部分のうちの1つ以上もまた、EGFR結合に関与することが可能であり、特に、それらのβまたはβ様鎖部分は、ループ部分の最も付近に設置される。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、1つ以上のEGFRリガンドに結合するEGFRを阻害する。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、EGFRシグナル伝達を阻害する。
一態様では、単一ドメインポリペプチドは、免疫グロブリン(Ig)可変ドメインを含む。Ig可変ドメインは、例えば、ヒトVドメイン、ヒトVドメインおよびラクダVHHドメインからなる群から選択され得る。Ig可変ドメインの1つ、2つ、3つまたはそれ以上のループがEGFRへの結合に関与し得、典型的に、CDR1、CDR2またはCDR3として既知のループのいずれも、EGFR結合に関与する。
一態様では、単一ドメインポリペプチドは、フィブロネクチンに基づく足場タンパク質、即ち、フィブロネクチンIII型ドメイン(Fn3)に基づくポリペプチドである。フィブロネクチンに基づく足場タンパク質の例には、Adnectins(商標)(Adnexus,Bristol−Myers Squibb R&D Company)がある。フィブロネクチンは、細胞外マトリックスの形成および細胞−細胞相互作用に必須の役割を果たす大きなタンパク質である;それは、3つのタイプ(I、II、およびIII型)の小さなドメインの多数の反復からなる(Baron et al., 1991)。Fn3自体は、細胞接着分子、細胞表面ホルモンおよびサイトカイン受容体、シャペロニング、ならびに炭水化物−結合ドメインの部分を含む大きなサブファミリーのパラダイムである。レビューについては、Bork & Doolittle, Proc Natl Acad Sci U S A. 1992 Oct 1;89(19):8990-4;Bork et al., J Mol Biol. 1994 Sep 30;242(4):309-20;Campbell & Spitzfaden, Structure. 1994 May 15;2(5):333-7;Harpez & Chothia, J Mol Biol. 1994 May 13;238(4):528-39)を参照のこと。
いくつかの実施形態では、本出願は、EGFRに結合するフィブロネクチンIII型(Fn3)ドメインを提供する。そのようなドメインは、N末端からC末端の順に、βまたはβ様鎖、A;ループ、AB;βまたはβ様鎖、B;ループ、BC;βまたはβ様鎖C;ループCD;βまたはβ様鎖D;ループDE;βまたはβ様鎖、E;ループ、EF;βまたはβ様鎖F;ループFG;およびβまたはβ様鎖Gを含み得る。ループAB、BC、CD、DE、EFおよびFGのいずれかまたはすべてが、EGFR結合に関与し得る。いくつかの実施形態では、ループBCおよびFGがEGFR結合に関与する。いくつかの実施形態では、ループBC、DEおよびFGがEGFR結合に関与する。
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒトFn3ドメインの対応するループの配列と比べて、変更されたアミノ酸配列を伴うループBC、DE、およびFGから選択される少なくとも1つのループを有するFn3ドメインを提供する。「変更された」とは、テンプレート配列(ヒトフィブロネクチンドメインに対応する)と比べた1個以上のアミノ酸配列の変更を意味し、そしてアミノ酸付加、欠失、および置換を含む。アミノ酸配列の変更は、一般的に、核酸コード配列の意図的な、盲目的な(blind)、または自発的な配列変動を介して達成してもよく、そして任意の技術、例えば、PCR、エラープローンPCR、または化学的DNA合成によって行うことができる。いくつかの実施形態では、EGFR結合Fn3ドメインは、1つ以上のEGFRリガンドに結合するEGFRを阻害する。いくつかの実施形態では、EGFR結合Fn3は、EGFRシグナル伝達を阻害する。
いくつかの実施形態では、Fn3ドメインは、ヒトフィブロネクチンから誘導されるFn3ドメイン、特に、配列番号1に示すようなフィブロネクチンの10番目のFn3ドメイン(10Fn3)である。多様な変異10Fn3足場が報告されている。一態様では、Asp7、Glu9、およびAsp23のうちの1つ以上が、例えば、負に荷電していないアミノ酸残基(例えば、Asn、Lysなど)のようなもう1つのアミノ酸によって置き換えられる。これらの変異は、野生型形態と比較して、中性pHにおいて変異10Fn3のより大きな安定性を促進する効果を有することが報告されている(PCT Publication No. WO02/04523を参照のこと)。有益または中立的である10Fn3足場のさらなる多様な変更についても開示されている。例えば、Batori et al., Protein Eng. 2002 Dec;15(12):1015-20;Koide et al., Biochemistry 2001 Aug 28;40(34):10326-33を参照のこと。
変異体および野生型10Fn3タンパク質の両方とも、同じ構造、即ち、A〜Gで示された7つのβ鎖ドメイン配列ならびに7つのβ鎖ドメイン配列を接続する6つのループ領域(ABループ、BCループ、CDループ、DEループ、EFループ、およびFGループ)によって特徴付けられる。N末端およびC末端の最も近くに位置するベータ鎖は、溶液中においてβ様コンホメーションをとり得る。配列番号1では、ABループは残基15〜16に対応し、BCループは残基22〜30に対応し、CDループは残基39〜45に対応し、DEループは残基51〜55に対応し、EFループは残基60〜66に対応し、そしてFGループは残基76〜87に対応する。
いくつかの実施形態では、EGFR結合10Fn3ポリペプチドは、配列番号1に示すように、ヒト10Fn3ドメインに少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、または90%同一であり得る。多くの可変性が、一般的に、1つ以上のループにおいて生じる。10Fn3ポリペプチドのβまたはβ様鎖のそれぞれは、本質的に、配列番号1の対応するβまたはβ様鎖の配列に少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一であるアミノ酸配列からなるが、但し、そのような変動が、生理学的条件においてポリペプチドの安定性を破壊しないことが条件である。
いくつかの実施形態では、本開示は、10番目のフィブロネクチンIII型(10Fn3)ドメインを含むEGFR結合ポリペプチドを提供し、ここで、10Fn3ドメインは、ループ、AB;ループ、BC;ループ、CD;ループ、DE;ループEF;およびループFGを含み;そしてヒト10Fn3ドメインの対応するループの配列と比べて変更されたアミノ酸配列を伴うループBC、DE、およびFGから選択される少なくとも1つのループを有する。「変更された」とは、テンプレート配列(ヒトフィブロネクチンドメインに対応する)と比べた1つ以上のアミノ酸配列の変更を意味し、そしてアミノ酸付加、欠失、および置換を含む。アミノ酸配列の変更は、一般的に、核酸コード配列の意図的な、盲目的な、または自発的な配列変動を介して達成してもよく、そして任意の技術、例えば、PCR、エラープローンPCR、または化学的DNA合成によって行うことができる。
いくつかの実施形態では、BC、DE、およびFGから選択される1つ以上のループは、対応するヒトフィブロネクチンループと比べて長さを伸長または短縮することができる。いくつかの実施形態では、ループの長さを、2〜25個のアミノ酸だけ伸長することができる。いくつかの実施形態では、ループの長さを、1〜11個のアミノ酸だけ減少することができる。特に、10Fn3のFGループは12残基長であるが、抗体重鎖における対応するループは、4〜28残基の範囲である。従って、抗原結合を最適にするために、10Fn3のFGループの長さについて、抗原結合において最大の柔軟性および親和性を得るために4〜28残基のCDR3範囲を含むように、長さならびに配列を変更することができる。いくつかの実施形態では、インテグリン−結合モチーフ「アルギニン−グリシン−アスパラギン酸」(RGD)を、(N末端からC末端の方向で)極性アミノ酸−中性アミノ酸−酸性アミノ酸配列で置き換えてもよい。
いくつかの実施形態では、10Fn3ドメインを含むポリペプチドは、配列番号207〜231のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。さらなる配列を、N末端またはC末端に付加してもよい。例えば、さらなるMG配列を、N末端において置き換えてもよい。Mは、通常、切り離されて、N末端においてGVS...配列が残る。いくつかの実施形態では、リンカー配列を、10Fn3ドメインのC末端において置くことができる(例えば、配列番号233および235)。
特定の態様では、本開示は、EGFR結合を仲介する短いペプチド配列を提供する。そのような配列は、単離された形態で、または免疫グロブリンもしくは免疫グロブリン様ドメインのような特定のタンパク質構造に挿入される場合、EGFR結合を仲介することができる。そのような配列の例として、配列番号207〜231由来のBC、DE、およびFGループに対応するアミノ酸残基が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、10−6M未満、10−7M未満、10−8M未満、10−9M未満、10−9M未満もしくはそれ以下の低いKでEGFRに結合する。
EGFRに結合するポリペプチドは、平衡定数(例えば、解離、K)についておよび反応速度定数(例えば、on速度定数、konおよびoff速度定数、koff)について評価することができる。単一ドメインポリペプチドは、典型的に、10−6M未満、10−7M未満、10−8M未満、10−9M未満、10−9M未満もしくはそれ以下のKでEGFRに結合するように選択されるが、より高いK値が許容されてもよく、ここで、koffが十分に低いか、またはkonが十分に高い。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、10−6M以上、10−5M以上、10−4M以上、10−3M以上、10−2M以上のKでHER2またはHER3のような関連受容体に結合する。
一態様では、本出願は、薬物動態(PK)部分をさらに含むEGFR結合ポリペプチドを提供する。改善された薬物動態学は、考えられる治療用件に従って評価してもよい。おそらく、投薬後に、タンパク質が、血清中において利用可能であり続ける時間を増加させることによって、バイオアベイラビリティを増加する、および/または、投薬間の時間を増加することがしばしば所望される。場合によっては、経時的なタンパク質の血清濃度の継続性を改善する(例えば、投与直後および投与直前におけるタンパク質の血清濃度の差異を減少する)ことが所望される。EGFR結合ポリペプチドは、非修飾ポリペプチドと比べて哺乳動物(例えば、マウス、ラット、またはヒト)におけるポリペプチドのクリアランス率を1/3未満に減少させる部分に付着させてもよい。改善された薬物動態学の他の測定として、しばしば、α相およびβ相に分けられる血清中半減期が挙げられる。相のいずれか一方または両方が、適切な部分の付加によって、有意に改善され得る。
本明細書において、「PK部分」と称される、血液からのタンパク質のクリアランスを遅延する傾向がある部分として、ポリオキシアルキレン部分、例えば、ポリエチレングリコール、糖(例えば、シアル酸)、および忍容性が良好なタンパク質部分(例えば、Fc、Fcフラグメント、トランスフェリン、または血清アルブミン)が挙げられる。U.S. Publication No. 20070048282に記載のように、EGFR結合ポリペプチドを、アルブミンまたはアルブミンのフラグメント(部分)もしくは変異体に融合させてもよい。
いくつかの実施形態では、PK部分は、U.S. Publication Nos. 2007/0178082および2007/0269422に記載のような血清アルブミン結合タンパク質である。
いくつかの実施形態では、PK部分は、U.S. Publication No. 2007/0178082に記載のような血清免疫グロブリン結合タンパク質である。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。1つ以上のPEG分子を、タンパク質上の異なる位置に付着させてもよく、そしてそのような付着は、アミン、チオールまたは他の適切な反応基との反応によって達成させてもよい。アミン部分は、例えば、ポリペプチドのN末端に見出される第一級アミンであってもよく、またはリジンまたはアルギニンのようなアミノ酸に存在するアミン基であってもよい。いくつかの実施形態では、PEG部分は、次からなる群から選択されるポリペプチド上の位置において付着される:a)N末端;b)N末端と最もN末端側のβ鎖またはβ様鎖との間;c)EGFR−結合部位に対向するポリペプチドの面上に位置するループ;d)C末端と最もC末端側のβ鎖またはβ様鎖との間;およびe)C末端。
ペグ化は、部位特異的ペグ化によって達成してもよく、ここで、適切な反応基が、タンパク質に導入されて、ペグ化が優先的に生じる部位が作製される。いくつかの実施形態では、タンパク質を修飾して、所望の位置にシステイン残基を導入し、システイン上での部位特異的ペグ化を可能にする。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、配列番号235のようにリンカーを含有するCysを含み、これが部位特異的ペグ化を可能にする。PEGは、分子量のばらつきが大きくてもよく、そして分岐していてもまたは線状であってもよい。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、Fn3ドメインおよびPK部分を含む。いくつかの実施形態では、Fn3ドメインは10Fn3ドメインである。いくつかの実施形態では、PK部分は、Fn3ドメイン単独と比べて、5%超、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、100%超、120%超、150%超、200%超、400%超、600%超、800%超、1000%超もしくはそれ以上EGFR結合ポリペプチドの血清中半減期を増加させる。
いくつかの実施形態では、PK部分は、少なくとも1つのジスルフィド結合、ペプチド結合、ポリペプチド、ポリマー糖、またはポリエチレングリコール部分を介して、Fn3ドメインに作動可能に連結される。例示的なポリペプチドリンカーとして、PSTSTST(配列番号232)、EIDKPSQ(配列番号233)、およびGSGSGSGSGS(配列番号234)のようなGSリンカーならびにそれらの多量体が挙げられる。いくつかの実施形態では、PK部分はヒト血清アルブミンである。いくつかの実施形態では、PK部分はトランスフェリンである。
所定の態様では、本開示は、第1の哺乳動物由来のEGFRおよび第2の哺乳動物由来のその相同体に結合するEGFR結合ポリペプチドを提供する。そのようなポリペプチドは、第1の哺乳動物がヒトであり、そして第2の哺乳動物が、マウス、ラット、モルモット、イヌ、または非ヒト霊長類のような前臨床試験を行うのに望ましい哺乳動物である場合、特に有用である。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、10−6M未満、10−7M未満、10−8M未満、10−9M未満、10−9M未満もしくはそれ以下の低いKで、予め選択されたヒト標的タンパク質およびその相同体の両方に結合する。
EGFR結合ポリペプチドは、EGFRのいずれの部分に結合してもよい。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、EGFRの細胞外ドメインに結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、EGFRのリガンド結合ドメインに結合し、そしてEGFRと、TGF−αおよびEGFを含む1つ以上のリガンドとの相互作用を破壊する。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、EGFRへの結合について、抗EGFR抗体と競合する。抗EGFR抗体は、パニツムマブ(Amgen)、ニモツズマブ(YM Biosciences)、ザルツムマブ(Genmab)、EMD72000(Merck KGaA)、およびセツキシマブ(ImClone Systems)を含む任意の既知の抗EGFR抗体から選択してもよい。
いくつかの実施形態では、ポリペプチドはEGFRに結合し、そして受容体二量体化を破壊する。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、EGFRシグナル伝達を阻害する。
いくつかの実施形態では、EGFRに結合するポリペプチドは、細胞ベースアッセイのIC50より低い濃度において、EGFRを活性化しない。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、EGFRの下流のシグナル伝達を阻害する。EGFRリガンド結合は、EGFRまたはもう1つのHERファミリーメンバーとのホモもしくはヘテロ二量体受容体二量体化をもたらす。二量体化は、受容体自己リン酸化を促進し、次いで、いくらかのシグナル伝達経路の活性化をもたらす。活性化される1つの経路は、MEKのリン酸化を含むMAPK経路である。もう1つの活性化される経路は、AKTのリン酸化を含むホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)経路である。シグナル伝達は、核に伝達され、様々な転写因子の活性化を生じる。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、10−5M未満、10−6M未満、10−7M未満、10−8M未満、または10−9M未満のIC50で、EGFRリガンド仲介EGFRリン酸化、ERKリン酸化、AKTリン酸化、または他の任意のEGFRシグナル伝達経路のメンバーを阻害する。
マルチドメイン実施形態
本出願の一態様は、2番目のドメインをさらに含むEGFR結合ポリペプチドを提供する。2番目のドメインは、EGFRに結合してもよく、または異なるタンパク質、好ましくは、ヒトタンパク質に結合してもよい。いくつかの実施形態では、2番目のドメインは、FGFR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FGFR5、c−Kit、ヒトp185受容体様チロシンキナーゼ、EGFR、HER2、HER3、HER4、c−Met、葉酸受容体、PDGFR、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)−A、VEGF−C、VEGF−D、ヒトCD20、ヒトCD18、ヒトCD11a、ヒトアポトーシス受容体−2(Apo−2)、ヒトα4β7インテグリン、ヒトGPIIb−IIIaインテグリン、幹細胞因子(SCF)、ヒトCD3、IGF−IR、Ang1、Ang2、線維芽細胞増殖因子、上皮増殖因子、肝細胞増殖因子、またはTie2.3から選択される標的に結合する。いくつかの実施形態では、2番目のドメインは、10−6M未満、10−7M未満、10−8M未満、10−9M未満、もしくは10−9M未満のKでヒト標的タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、2番目のドメインは、10−6Mを超える、10−5Mを超える、10−4Mを超える、10−3Mを超える、10−2Mを超えるもしくはそれ以上のKで標的タンパク質に関連するタンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、2番目のドメインは、結合標的を阻害する。
本出願の一態様は、腫瘍関連標的または抗原に結合する2番目のドメインをさらに含むEGFR結合ポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、抗原標的化は、組織分布または組織もしくは所望される細胞タイプのいずれかにおける局所濃度の増加の影響に関してEGFR結合ポリペプチドを局在化するのに役立つ。あるいは、2番目のドメインは、EGFR結合ポリペプチドと共に癌と闘うためのさらなる作用機序を提供し得る。
いくつかの実施形態では、2番目のドメインは、例えば、カルボニックアンヒドラーゼIX、A3、A33抗体に特異的な抗原、BrE3−抗原、CD1、CD1a、CD3、CD5、CD15、CD16、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD45、CD74、CD79a、CD80、HLA−DR、NCA95、NCA90、HCGおよびそのサブユニット、CEA(CEACAM−5)、CEACAM−6、CSAp、EGFR、EGP−1、EGP−2、Ep−CAM、Ba733、HER2/neu、低酸素誘導因子(HIF)、KC4−抗原、KS−1−抗原、KS1−4、Le−Y、マクロファージ阻害因子(MIF)、MAGE、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、PAM−4−抗原、PSA、PSMA、RS5、S100、TAG−72、p53、テネイシン、IL−6、IL−8、インスリン増殖因子−I(IGF−I)、インスリン増殖因子−II(IGF−II)、Tn抗原、Thomson−Friedenreich抗原、腫瘍壊死抗原、胎盤増殖因子(P1GF)、17−1A−抗原、血管新生マーカー(例えば、ED−Bフィブロネクチン)、癌遺伝子マーカー、癌遺伝子産物、および他の腫瘍関連抗原のような腫瘍関連標的または抗原に結合する。腫瘍関連抗原に関する最近の報告として、Mizukami et al., (2005, Nature Med. 11:992-97);Hatfield et al., (2005, Curr. Cancer Drug Targets 5:229-48);Vallbohmer et al. (2005, J. Clin. Oncol. 23:3536-44);およびRen et al. (2005, Ann. Surg. 242:55-63)(それぞれ、本明細書において参照により援用される)が挙げられる。
治療薬の対応する生物学によって、いずれのタイプの腫瘍およびいずれのタイプの腫瘍抗原も、標的にすることができる。癌は、例えば、乳癌、結腸癌、卵巣癌腫、骨肉腫、子宮頚癌、前立腺癌、肺癌、滑膜癌腫、膵臓癌、黒色腫、多発性骨髄腫、神経芽腫、および横紋筋肉腫、またはEGFRlレベルが、上昇しているか、アップグレードしているか、変異しているか、または非癌細胞と比較して生理学的に変更されている未だ決定されていない他の癌のうちの1つ以上であり得る。
標的にすることができる他の例示的なタイプの腫瘍として、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、胆道癌、乳癌、子宮頚癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、大腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃癌、頭頚部癌、ホジキンリンパ腫、肺癌、髄様甲状腺癌、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、腎臓癌、卵巣癌、膵臓癌、神経膠腫、黒色腫、肝臓癌、前立腺癌、および膀胱癌が挙げられる。
いくつかの実施形態では、2番目のドメインは、抗体部分から選択される。
抗体部分は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、即ち、免疫特異的に抗原に結合する抗原結合部位を含有する分子を指す。従って、抗体部分という用語は、抗体分子全体だけではなく、抗体多量体および抗体フラグメントならびに抗体の変異体(誘導体を含む)、抗体多量体および抗体フラグメントもまた包含する。抗体部分の例として、単一鎖Fv(scFv)、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、およびFvが挙げられるが、これらに限定されない。抗体部分は、例えば、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、またはヒト化抗体であってもよい。
いくつかの実施形態では、抗体部分は、(i)VL、CL、VHおよびCH1ドメインを有するFabフラグメント;(ii)CH1ドメインのC末端において1つ以上のシステイン残基を有するFabフラグメントであるFab’フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインを有するFdフラグメント;(iv)CH1ドメインのC末端においてVHおよびCH1ドメインならびに1つ以上のシステイン残基を有するFd’フラグメント;(v)抗体の単腕のVLおよびVHドメインを有するFvフラグメント;(vi)VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al., Nature 341, 544-546 (1989));(vii)単離されたCDR領域;(viii)F(ab’)フラグメント、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFab’フラグメントを含む二価のフラグメント;(ix)一本鎖抗体分子(例えば、単一鎖Fv;scFv)(Bird et al., Science 242:423-426 (1988);およびHuston et al., PNAS (USA) 85:5879-5883 (1988));(x)同じポリペプチド鎖において軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む2つの抗原結合部位を伴う「二重特異性抗体」(例えば、EP Patent Publication No. 404,097;WO93/11161;およびHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)を参照のこと);ならびに(xi)相補的軽鎖ポリペプチドと共に抗原結合領域の対を形成するタンデムFdセグメント(VH−CH1−VH−CH1)の対を含む「線状抗体(linear antibody)」(Zapata et al. Protein Eng. 8(10):1057-1062 (1995);およびU.S. Patent No. 5,641,870)から選択される。
いくつかの実施形態では、抗体部分は、単一ドメイン抗体である。例として、重鎖抗体、天然では軽鎖を含まない抗体、従来の4−鎖抗体から誘導される単一ドメイン抗体、操作された抗体および抗体から誘導される足場以外の単一のドメイン足場が挙げられるが、これらに限定されない。単一ドメイン抗体は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤギ、ウサギ、ウシを含むがこれらに限定されない任意の種から誘導することができる。
いくつかの実施形態では、単一のドメイン抗体は、VHHドメインのような天然に存在する単一ドメイン抗体である。VHHは、WO94/04678に記載のように、ラクダ科(Camelidae)(ラクダ、ヒトコブラクダ、ラマ、ビクーニャ、アルパカおよびグアナコを含む)から誘導されるもののような天然では軽鎖を含まない免疫グロブリンから誘導される重鎖可変ドメインである。VHH分子は、IgG分子の約1/10の大きさである。VHHは、空洞または溝のような「異常な」エピトープに結合することが既知であるため、そのようなVHHの親和性は、治療的処置により適切であり得る(PCT Publication No. WO97/49805)。
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、U.S. Publication No. 20070178082に記載のように、血清タンパク質に結合するVHHである。血清タンパク質は、被験体の血清において見出される任意の適切なタンパク質、またはそのフラグメントであり得る。いくつかの実施形態では、血清タンパク質は、血清アルブミン、血清免疫グロブリン、サイロキシン結合タンパク質、トランスフェリン、またはフィブリノーゲンである。
本発明において使用される抗体フラグメントを作製するために使用することができる抗体フラグメントの産生のための様々な技術が開発されている。従来的に、これらのフラグメントは、無傷(intact)な抗体のタンパク質分解消化を介して誘導された(例えば、Morimoto et al. , Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117 (1992);およびBrennan et al., Science, 229:81 (1985)を参照のこと)。しかし、これらのフラグメントは、現在、組み換え宿主細胞によって直接産生させることができる。例えば、抗体フラグメントは、上記で考察した抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab’−SHフラグメントを大腸菌(E.coli)から直接回収し、そして化学的に結合させて、F(ab’)フラグメントを形成させることができる(Carter et al., Bio/Technology 10:163-167 (1992))。もう1つのアプローチに従って、F(ab’)フラグメントを、組み換え宿主細胞培養物から直接単離することもできる。抗体フラグメントの産生のための他の技術についても、当業者には明らかであろう。他の実施形態では、好適な抗体は単一鎖Fvフラグメント(scFv)である。WO 93/16185;U.S. Patent No. 5,571,894;およびU.S. Patent No. 5,587,458を参照のこと。例えば、U.S. Patent. No. 5,641,870に記載のように、例えば、抗体フラグメントはまた、「線状抗体」であってもよい。そのような線状抗体フラグメントは、単一特異性であってもまたは二重特異性であってもよい。
いくつかの実施形態では、2番目のドメインは、1つ以上のアビマー配列を含む。アビマーは、インビトロエキソンシャッフリングおよびファージディスプレイによって、ヒト細胞外受容体ドメインから開発された。(Silverman et al., 2005, Nat. Biotechnol. 23:1493-94;Silverman et al., 2006, Nat. Biotechnol. 24:220)。得られたマルチドメインタンパク質は、単一のエピトープ結合タンパク質と比較して、改善された親和性(ある場合は、ナノモル未満(sub−nanomolar))および特異性を示し得る複数の独立した結合ドメインを含み得る。アビマーの構築および使用方法に関するさらなる詳細については、例えば、U.S. Patent Publication Nos. 20040175756、20050048512、20050053973、20050089932および20050221384(それらの全体が、本明細書において参照により援用される)に開示されている。
いくつかの実施形態では、2番目のドメインは、1つ以上のリポカリン関連配列、例えば、アンチカリンまたはリポカリン誘導体を含む。アンチカリンまたはリポカリン誘導体は、本明細書に記載のものを含む様々な標的分子に対して親和性および特異性を有する結合タンパク質のタイプである。そのようなタンパク質については、US Patent Publication Nos. 20060058510、20060088908、20050106660、およびPCT Publication No. WO2006/056464に記載されている。
いくつかの実施形態では、2番目のドメインは、1つ以上のテトラネクチンのC型レクチン関連配列またはトリネクチン、例えば、テトラネクチンのC型レクチンまたはテトラネクチンのC型レクチン誘導体を含む。テトラネクチンのC型レクチンまたはテトラネクチンのC型レクチン誘導体は、本明細書に記載のものを含む様々な標的分子に対して親和性および特異性を有する結合タンパク質のタイプである。異なるテトラネクチンのC型レクチンおよび関連タンパク質については、PCT Publication Nos. WO2006/053568、WO2005/080418、WO2004/094478、WO2004/039841、WO2004/005335、WO2002/048189、WO98/056906、およびU.S. Patent Publication No. 20050202043に記載されている。
いくつかの実施形態では、2番目のドメインは、1つ以上の天然のアンキリンリピートタンパク質、例えば、DARPin(Molecular Partners)を含む。
いくつかの実施形態では、2番目のドメインは、1つ以上のAffibodies(商標)を含む。Affibodies(商標)は、ブドウ球菌(Staphylococcal)プロテインAのIgG結合ドメインから誘導される。新規の結合特性は、プロテインAドメインの結合表面の近くに局在する残基を変更することによって、達成することができる。
いくつかの実施形態では、2番目のドメインは、1つ以上のシステインノットに基づくタンパク質足場、即ち、ミクロボディー(Selecore/NascaCell)を含む。
いくつかの実施形態では、2番目のドメインは、1つ以上のTrans−bodies(商標)を含む。Trans−bodies(商標)は、トランスフェリン足場(BioResis/Pfizer)に基づく。
いくつかの実施形態では、2番目のドメインは、γ−クリスタリンまたはユビキチンに基づく結合タンパク質を含む。これらのいわゆるAffilin(商標)(Scil Proteins)分子は、タンパク質のβシート設計における結合領域のデノボ設計によって特徴付けられる。Affilin(商標)分子については、U.S Publication No. 20070248536に記載されている。
いくつかの実施形態では、2番目のドメインはFn3ドメインである。いくつかの実施形態では、Fn3ドメインは、ヒトフィブロネクチンから誘導されるFn3ドメイン、特に、フィブロネクチンの10番目のFn3ドメイン(10Fn3)である。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、Fn3ドメインである。
いくつかの実施形態では、BC、DE、およびFGから選択されるFn3ドメインの1つ以上のループは、対応するヒトフィブロネクチンループと比べて長さを伸長または短縮することができる。いくつかの実施形態では、ループの長さを、2〜25個のアミノ酸だけ伸長することができる。いくつかの実施形態では、インテグリン−結合モチーフ「アルギニン−グリシン−アスパラギン酸」(RGD)を、(N末端からC末端の方向で)極性アミノ酸−中性アミノ酸−酸性アミノ酸配列で置き換えてもよい。
いくつかの実施形態では、Fn3ドメインは、ヒトIGF−IR、EGFR、またはVEGFR2に結合する。いくつかの実施形態では、Fn3ドメインは、ヒトIGF−IRに結合し、配列番号2〜125、184〜204、236のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、そしてIGF−IRシグナル伝達を阻害する。いくつかの実施形態では、Fn3ドメインは、ヒトEGFRに結合し、配列番号207〜231のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、そしてEGFRシグナル伝達を阻害する。いくつかの実施形態では、Fn3ドメインは、ヒトVEGFR2に結合し、配列番号126〜183、205、206のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、そしてVEGFR2シグナル伝達を阻害する。いくつかの実施形態では、Fn3ドメインは、配列番号2〜231または236のいずれか1つのアミノ酸配列を含む10Fn3ドメインである。いくつかの実施形態では、10Fn3ドメインは、配列番号2〜231または236のいずれか1つに少なくとも75、80、85、90、95、もしくは98%同一なアミノ酸配列を含む。
コンジュゲーション
本出願の一態様は、少なくとも1つのジスルフィド結合、ペプチド結合、ポリペプチド、ポリマー糖、またはPEG部分を介して作動可能に連結されたEGFR結合ポリペプチドおよび2番目のドメインを含むポリペプチドを提供する。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドおよび2番目のドメインは、ポリペプチドを介して作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドリンカーは配列番号233または235である。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドおよび2番目のドメインは、血液または標的組織においてプロテアーゼによって切断可能であるプロテアーゼ部位を有するポリペプチドリンカーを介して、作動可能に連結される。そのような実施形態を使用して、そのようなタンパク質を個別に産生させることと比較して、より良好な送達もしくは治療特性、またはより効率的な産生のために、2つ以上の治療用タンパク質を放出させることができる。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドおよび2番目のドメインは、ポリマー糖のような生体適合可能なポリマーを介して作動可能に連結される。そのようなポリマー糖として、血液または標的組織中の酵素によって切断可能な酵素切断部位を挙げることができる。そのような実施形態を使用して、そのようなタンパク質を個別に産生させることと比較して、より良好な送達もしくは治療特性、またはより効率的な産生のために、2つ以上の治療用タンパク質を放出させることができる。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドおよび2番目のドメインは、ポリマーリンカーを介して作動可能に連結される。ポリマーリンカーを使用して、各タンパク質部分間の距離を最適に変動し、タンパク質を作製することができるが、これには、次の特徴の1つ以上を伴う:1)目的のタンパク質に結合させる場合、1つ以上のタンパク質ドメインの結合の立体障害の減少または増加、2)安定性または溶解度(例えば、少なくとも約20mg/ml、もしくは少なくとも約50mg/mlの溶解度)を増加させるためのさらなるアミノ酸置換を求めないタンパク質安定性または溶解度の増加、3)安定性(例えば、SECによって測定される)を減少させるためのさらなるアミノ酸置換を求めないタンパク質凝集の減少、および4)さらなる結合ドメインを付加することによるタンパク質の全体的なアビディティーまたは親和性の増加。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、配列番号235のリンカーを含む10Fn3ドメインである。PEGは、リンカー配列におけるシステイン部分にコンジュゲートされ、そしてEGFR結合ポリペプチドを2番目のドメインに作動可能に連結する。
PEG化実施形態
本出願の一態様は、EGFR結合ポリペプチドをを非タンパク質性ポリマーに連結させることを提供する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、U.S. Patent Nos. 4,640,835;4,496,689;4,301,144;4,670,417;4,791,192または4,179,337に記載のポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレンである。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、Fn3ドメインを含む。いくつかの実施態様では、ポリマーはPEG部分である。加えて、本出願は、抗体部分(例えば、ラクダ抗体およびそれらの誘導体、ならびに単一鎖およびドメイン抗体;特に微生物から発現されるもの)ならびに抗体様部分(例えば、リポカリン、アンキリン、複数のCys−Cysドメイン、およびテトラネクチンの誘導体;特に、微生物から発現されるもの)へのNまたはC末端PEGコンジュゲーションを提供する。
PEGは、市販されている周知の水溶性ポリマーであるか、または当該分野において周知の方法に従うエチレングリコールの開環重合によって、調製することができる(Sandler and Karo, Polymer Synthesis, Academic Press, New York, Vol. 3, pages 138-161)。用語「PEG」は、広範に使用されて、PEGのサイズまたは末端における修飾にかかわらず任意のポリエチレングリコール分子を包含し、そして以下の式によって表すことができる:
X−O(CHCHO)n−1CHCHOH(1)(式中、nは20〜2300であり、そしてXはHまたは末端修飾、例えば、C1−4アルキルである)。一実施形態では、本発明のPEGは、ヒドロキシまたはメトキシ(即ち、XがHもしくはCHである)を伴う1つの末端で終結する(「メトキシPEG」)。PEGは、結合反応に必要であるか;分子の化学合成から生じるか;または分子の部分の最適な距離のためのスペーサーであるさらなる化学基を含有する。加えて、そのようなPEGは、共に連結される1つ以上のPEG側鎖からなり得る。2つ以上のPEG鎖を伴うPEGは、多数の腕を有する(multiarmed)PEGまたは分岐PEGと呼ばれる。分岐PEGは、例えば、グリセロール、ペンタエリスリトール、およびソルビトールを含む様々なポリオールへのポリエチレンオキシドの付加によって、調製することができる。例えば、4つの腕を有する分岐PEGは、ペンタエリスリトールおよびエチレンオキシドから調製することができる。分岐PEGについては、例えば、European Published Application No. 473084AおよびU.S. Patent No. 5,932,462に記載されている。PEGの一形態として、リジンの第一級アミノ基を介して連結された2つのPEG側鎖(PEG2)が挙げられる(Monfardini, C., et al., Bioconjugate Chem. 6 (1995) 62-69)。
ペプチドまたはタンパク質へのPEGコンジュゲーションは、一般的に、PEGの活性化、および活性化されたPEG−中間体の標的タンパク質/ペプチドへの直接結合、または後に活性化され、そして標的タンパク質/ペプチドに結合されるリンカーへの結合を要する(Abuchowski, A. et al, J. Biol. Chem., 252, 3571 (1977)およびJ. Biol. Chem., 252, 3582 (1977), Zalipsky, et al.、およびHarris et. al., in: Poly(ethylene glycol) Chemistry: Biotechnical and Biomedical Applications; (J. M. Harris ed.) Plenum Press: New York, 1992; Chap.21 and 22を参照のこと)。PEG分子を含有する結合ポリペプチドはまた、コンジュゲート型タンパク質として公知であるが、PEG分子の付着を欠くタンパク質を、非コンジュゲート型と称することができることが留意される。
利用されるPEGのサイズは、EGFR結合ポリペプチドの目的の用途を含むいくらかの因子に依存する。より大きなPEGの方が、身体、血液、非血液性の細胞外液体または組織における半減期を増加するのに好適である。インビボでの細胞活性では、約10〜60kDaの範囲のPEGが好適であり、ならびに約100kDa未満、より好ましくは、約60kDa未満のPEGが好適であるが、約100kDaを超えるサイズもまた、使用することができる。インビボでの画像化用途では、より迅速な分布およびより短い半減期を可能にするように、より大きなPEGほど半減期を増加しない、一般的に約20kDa未満のより小さなPEGを使用することができる。本発明の結合ポリペプチドにコンジュゲートするための、例えば、約1,000ダルトン(Da)〜100,000Da(nは20〜2300)のPEGの多様な分子量形態を選択することができる。PEGにおける反復単位の数「n」は、ダルトンで表される分子量に対して、概算される。活性化されたリンカー上のPEGの組み合わされた分子量は、薬学的用途に適切であることが好ましい。それ故、一実施形態では、PEG分子の分子量は100,000Daを超えない。例えば、3つのPEG分子をリンカーに付着させる場合(ここで、各PEG分子は、12,000Daの同じ分子量を有する(各nは約270である))、リンカー上のPEGの全分子量は、約36,000Da(合計でnは約820である)である。リンカーに付着したPEGの分子量はまた、異なり得、例えば、リンカー上の3つの分子のうち、2つのPEG分子は、それぞれ5,000Daであり得(各nは約110である)、そして1つのPEG分子は12,000Daであり得る(nは約270である)。いくつかの実施形態では、1つのPEG部分が、EGFR結合ポリペプチドにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、PEG部分は、約30、40、50、60、70、80、または90KDaである。
いくつかの実施形態では、PEG化EGFR結合ポリペプチドは、1つもしくは2つ以上のPEG部分を含有する。一実施形態では、PEG部分は、標的リガンドに接触するタンパク質の表面上に存在する、および/または表面から離れているアミノ酸残基に結合される。一実施形態では、PEG−結合ポリペプチドにおけるPEGの組み合わせたまたは合計の分子量は、約3,000Da〜60,000Da、または約10,000Da〜36,000Daである。1つの実施形態では、ペグ化結合ポリペプチド中のPEGは、実質的に線状、直鎖のPEGである。
当業者は、例えば、ペグ化結合ポリペプチドが治療上どのように使用されるか、所望される用量、循環時間、タンパク質分解に対する耐性、免疫原性、および他の考慮に基づいて、PEGの適切な分子量を選択することができる。タンパク質の特性を増強するためのPEGおよびその使用の考察のためには、N. V. Katre, Advanced Drug Delivery Reviews 10: 91-114 (1993)を参照のこと。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、次の式の1つのポリ(エチレングリコール)基に共有結合される:−CO−(CH−(OCHCH−OR(式中、ポリ(エチレングリコール)基の−CO(即ち、カルボニル)は、結合ポリペプチドのアミノ基の1つとアミド結合を形成する;Rは、低級アルキルである;xは2または3である;mは約450〜約950である;そしてnおよびmは、コンジュゲートから結合ポリペプチドを差し引いたときの分子量が約10〜40kDaであるように選択される)。一実施形態では、結合ポリペプチドのリジンのε−アミノ基は、利用可能な(遊離の)アミノ基である。
1つの特定の実施形態では、PEGの炭酸エステルを使用して、PEG結合ポリペプチドコンジュゲートを形成させる。N,N’−ジスクシンイミジルカルボネート(DSC)を、PEGとの反応において使用して、活性な混合型PEG−スクシンイミジルカルボネートを形成させてもよく、続いて、リンカーの求核基または結合ポリペプチドのアミノ基と反応させてもよい(U.S. Patent No. 5,281,698およびU.S. Patent No. 5,932,462を参照のこと)。類似のタイプの反応では、1,1’−(ジベンゾトリアゾリル)カルボネートおよびジ−(2−ピリジル)カルボネートを、PEGと反応させて、それぞれ、PEG−ベンゾトリアゾリルおよびPEG−ピリジル混合型カルボネートを形成させてもよい(U.S. Patent No. 5,382,657)。
EGFR結合ポリペプチドのペグ化は、従来技術の方法によって、例えば、結合ポリペプチドと、救電子的に活性なPEG(供給元:Shearwater Corp.,USA,www.shearwatercorp.com)との反応によって、実施することができる。本発明の好適なPEG試薬は、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミジルプロピオネート(PEG−SPA)、ブタノエート(PEG−SBA)、PEG−スクシンイミジルプロピオネートまたはmPEG2−NHSのような分岐N−ヒドロキシスクシンイミドである(Monfardini, C., et al., Bioconjugate Chem. 6 (1995) 62-69)。そのような方法を使用して、結合ポリペプチドのリジンのε−アミノ基または結合ポリペプチドのN末端アミノ基でペグ化してもよい。
もう1つの実施形態では、PEG分子は、結合ポリペプチド上のスルフヒドリル基に結合させてもよい(Sartore, L., et al., Appl. Biochem. Biotechnol., 27, 45 (1991);Morpurgo et al., Biocon. Chem., 7, 363-368 (1996);Goodson et al., Bio/Technology (1990) 8, 343;U.S. Patent No. 5,766,897)。U.S. Patent Nos. 6,610,281および5,766,897は、スルフヒドリル基に結合することができる例示的な反応性PEG種について説明している。
いくつかの実施形態では、ペグ化されたEGFR結合ポリペプチドは、部位特異的ペグ化によって、特に、N末端またはC末端におけるシステイン部分へのPEGのコンジュゲーションによって、生成される。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、PEG部分に共有結合されたFn3ドメインであり、ここで、前記Fn3ドメインのループの少なくとも1つが、EGFR結合に関与する。PEG部分は、Cys残基への付着のような部位特異的ペグ化によって、Fn3ポリペプチドに付着させてもよく、ここで、Cys残基は、Fn3ポリペプチドのN末端、またはN末端と最もN末端側のβもしくはβ様鎖との間、またはFn3ポリペプチドのC末端、またはC末端と最もC末端側のβもしくはβ様鎖との間に位置することができる。Cys残基は、他の位置においても、特に、標的結合に関与しないループのいずれかに設置することもできる。PEG部分はまた、アミンへのコンジュゲーションを含む他の化学によって付着させてもよい。
PEG分子が結合ポリペプチド上のシステイン残基にコンジュゲートされるいくつかの実施形態では、システイン残基は、結合ポリペプチドに天然に認められるが、他の実施形態では、1つ以上のシステイン残基が、結合ポリペプチドに操作導入される。変異を結合ポリペプチドコード配列に導入して、システイン残基を作製してもよい。これは、例えば、1つ以上のアミノ酸残基を変異させてシステインにすることによって、達成され得る。システイン残基に変異させるのに好適なアミノ酸として、セリン、スレオニン、アラニンおよび他の親水性残基が挙げられる。好ましくは、システインに変異すべき残基は、表面に露出した残基である。1次配列またはタンパク質に基づいて残基の表面アクセス可能性を推定するためのアルゴリズムは、当該分野において周知である。あるいは、どの結合ポリペプチドを設計し、そして展開させるかに基づくフレームワークの結晶構造が解明されていれば、結合ポリペプチドのアミノ酸配列を比較することによって表面残基を推定することができ(Himanen et al., Nature. (2001) 20-27;414(6866):933-8を参照のこと)、それ故、表面に露出した残基が同定される。一実施形態では、システイン残基は、N末端および/またはC末端上もしくは付近、またはループ領域内の結合ポリペプチドに導入される。システイン残基のペグ化は、例えば、PEG−マレイミド、PEG−ビニルスルホン、PEG−ヨードアセトアミド、またはPEG−オルト−ピリジルジスルフィドを使用して、行ってもよい。
いくつかの実施形態では、ペグ化結合ポリペプチドは、N−末端アミノ酸のαアミノ基に共有結合したPEG分子を含む。部位特異的N末端還元的アミノ化については、Pepinsky et al., (2001) JPET, 297,1059、およびU.S. Patent No. 5,824,784に記載されている。他の利用可能な求核アミノ基を利用したタンパク質の還元的アミノ化のPEG−アルデヒドの使用については、U.S. Patent No. 4,002,531、Wieder et al., (1979) J. Biol. Chem. 254,12579、およびChamow et al., (1994) Bioconjugate Chem. 5, 133に記載されている。
もう1つの実施形態では、ペグ化結合ポリペプチドは、リンカーに共有結合した1つ以上のPEG分子を含み、次に、結合ポリペプチドのN末端におけるアミノ酸残基のαアミノ基に付着される。そのようなアプローチについては、U.S. Publication No. 2002/0044921およびPCT Publication No. WO94/01451に開示されている。
一実施形態では、結合ポリペプチドは、C末端においてペグ化される。特定の実施形態では、タンパク質は、C末端アジド−メチオニンの導入および以後のシュタウディンガー反応を介するメチル−PEG−トリアリールホスフィン化合物のコンジュゲーションによって、C末端においてペグ化される。このC末端コンジュゲーション方法については、Cazalis et al., C-Terminal Site-Specific PEGylation of a Truncated Thrombomodulin Mutant with Retention of Full Bioactivity, Bioconjug Chem. 2004;15(5):1005-1009に記載されている。
サイズ排除(例えば、ゲルろ過)およびイオン交換クロマトグラフィーのような当該技術分野において公知の従来の分離および精製技術を使用して、PEG化結合ポリペプチドを精製することができる。生成物はまた、SDS−PAGEを使用して分離してもよい。分離することができる生成物として、モノ−、ジ−、トリ−、ポリ−および非ペグ化結合ポリペプチド、ならびに遊離のPEGが挙げられる。モノ−PEGコンジュゲートの百分率は、溶出ピークの周囲のより広範な画分をプールして、組成物中のモノ−PEGの百分率を増加することによって、制御することができる。約90パーセントのモノ−PEGコンジュゲートは、収量および活性の良好なバランスを表す。例えば、コンジュゲートの少なくとも92パーセントまたは少なくとも96パーセントがモノ−PEG種である組成物が所望され得る。本発明の一実施形態では、モノ−PEGコンジュゲートの百分率は、90パーセント〜96パーセントである。
本発明の一実施形態では、ペグ化EGFR結合ポリペプチド中のPEGは、ヒドロキシルアミンアッセイ、例えば、8〜16時間、室温で450mMヒドロキシルアミン(pH6.5)を使用しても、ペグ化アミノ酸残基から加水分解されず、それ故、安定である。一実施形態では、組成物の80%超、より好ましくは、少なくとも90%、最も好ましくは、少なくとも95%超が、安定なモノ−PEG−結合ポリペプチドである。
もう1つの実施形態では、ペグ化EGFR結合ポリペプチドは、好ましくは、非修飾タンパク質に関連する生物活性を、少なくとも約25%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%もしくは100%保持する。一実施形態では、生物活性は、EGFRに結合するその能力を指し、K、konまたはkoffによって評価される。1つの特定の実施形態では、ペグ化結合ポリペプチドタンパク質は、非ペグ化結合ポリペプチドと比べて、EGFRへの結合が増加する。
PEG−修飾ポリペプチドの血清クリアランス率は、非修飾結合ポリペプチドのクリアランス率と比べて、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、またはなお90%減少し得る。PEG−修飾ポリペプチドは、非修飾タンパク質の半減期と比べて、増強した半減期(t1/2)を有し得る。PEG−結合ポリペプチドの半減期は、非修飾結合ポリペプチドの半減期と比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、400%もしくは500%、またはなお1000%増強され得る。いくつかの実施形態では、タンパク質の半減期は、インビトロで、例えば、緩衝化生理食塩水または血清中で決定される。他の実施形態では、タンパク質の半減期は、インビボでの半減期、例えば、動物の血清または他の体液中のタンパク質の半減期である。
EGFR結合ポリペプチドの脱免疫化
一態様では、本出願は、脱免疫化EGFR結合ポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドの配列は、1つ以上のBまたはT細胞エピトープを排除するように変更されている。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、10Fn3ドメインを含む。
EGFR結合ポリペプチドを脱免疫化して、それを、所与の種に対して非免疫原性、またはより低い免疫原性にしてもよい。脱免疫化は、ポリペプチドに対する構造的変更を介して、達成することができる。当業者に公知の任意の脱免疫化技術を用いることができる。例えば、タンパク質を脱免疫化するための1つの適切な技術が、WO 00/34317(その開示内容は、その全体が参照により本明細書に援用される)に記載されている。要約すると、その文献に記載の一般的方法内の典型的プロトコルは、以下の工程を含む。
1.ポリペプチドのアミノ酸配列を決定する工程;
2.ペプチドのMHC分子への結合の判定、ペプチド:HLA複合体の治療用タンパク質を受容する種由来のT細胞受容体への結合の判定、治療用タンパク質を受容する種のHLA分子を伴うトランスジェニック動物を使用するポリペプチドもしくはその一部の試験、または治療用タンパク質を受容する種由来の免疫系細胞で再構築されたそのようなトランスジェニック動物の試験を含む任意の方法によって、ポリペプチドのアミノ酸配列内の潜在的T細胞エピトープを同定する工程;
3.遺伝子操作または他の方法によって修飾されたポリペプチドを産生させ、ポリペプチドを変更して1つ以上の潜在的なT細胞エピトープを取り出し、そして試験のためにそのような変更されたポリペプチドを産生させる工程。
一実施形態では、ポリペプチドの配列を、MHCクラスII結合モチーフの存在について分析することができる。例えば、sitewehil.wehi.edu.auのワールドワイドウェブ上の、例えば、「モチーフ」データベースを検索することによるようなMHC−結合モチーフのデータベースによって、比較を行うことができる。あるいは、MHCクラスII結合ペプチドは、Altuvia et al. (J. Mol. Biol. 249 244-250 (1995))によって考案されたような計算スレッディング法(computational threading method)を使用して同定することができ、それによって、ポリペプチド由来の連続重複ペプチドは、MHCクラスIIタンパク質に対するそれらの結合エネルギーを試験している。計算結合推定アルゴリズムとして、iTope(商標)、Tepitope、SYFPEITHI、EpiMatrix(EpiVax)、およびMHCpredが挙げられる。MHCクラスII−結合ペプチドの同定を支援するために、両親媒性およびRothbardモチーフのような首尾よく提示されたペプチド、ならびにカテプシンBおよび他のプロセシング酵素の切断部位に関連する関連配列特徴を、検索することができる。
潜在的な(例えば、ヒト)T細胞エピトープが同定されると、その後、T細胞エピトープを排除することが必要であれば、これらのエピトープは、1つ以上のアミノ酸の変更によって排除される。通常、これは、T細胞エピトープ自体内の1個以上のアミノ酸の変更を要する。これは、タンパク質の1次構造においてエピトープに隣接するアミノ酸、または1次構造では隣接しないが、分子の2次構造では隣接するアミノ酸を変更することを要し得る。考慮される通常の変更は、アミノ酸置換であるが、所定の環境下では、アミノ酸の付加または欠失も適切であり得る。すべての変更は、最終的な分子が、例えば、良好に確立された方法によって、組み換え宿主からの発現により調製され得るように、組み換えDNA技術によって達成することができるが、タンパク質化学または分子変更の他の任意の手段の使用もまた、使用することができる。
一旦、同定されたT細胞エピトープが取り出されたら、脱免疫化された配列を再度分析して、あらたなT細胞エピトープが作製されていないこと、およびそれらが作成されていた場合、エピトープを欠失することができることを確実にする。
計算上同定されたすべてのT細胞エピトープを取り出す必要はない。当業者であれば、特定のエピトープの「強度」またはむしろ潜在的な免疫原性の重要性を理解するであろう。様々な計算方法により、潜在的なエピトープのスコアが作成される。当業者であれば、高スコアのエピトープのみを取り出す必要があり得ることを理解するであろう。当業者であれば、潜在的なエピトープを取り出す工程とポリペプチドの結合親和性を維持する工程の間にバランスが存在することもまた、認識するであろう。従って、1つのストラテジーは、置換をポリペプチドに連続的に導入し、次いで、抗原結合および免疫原性について試験することである。
一態様では、脱免疫化ポリペプチドは、ヒト被験体の本来のポリペプチドよりも免疫原性が低い(または、むしろ減少したHAMA応答を誘発する)。免疫原性を決定するためのアッセイは、当業者の知識の範囲内に良好に当てはまる。免疫応答を決定する当該分野において認識された方法を実施して、臨床治験中の特定の被験体においてHAMA応答をモニターすることができる。脱免疫化ポリペプチドを投与された被験体は、前記治療の投与開始時および投与を通して、免疫原性評価を行うことができる。HAMA応答は、例えば、表面プラズモン共鳴技術(BIACORE)および/または固相ELISA分析を含む当該分野において公知の方法を使用して、血清サンプル中の脱免疫化ポリペプチドに対する抗体を検出することによって、測定される。あるいは、T細胞活性化事象を測定するために設計されたインビトロでのアッセイもまた、免疫原性を示す。
さらなる修飾
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、グリコシル化される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドはFn3ドメインである。Fn3ドメインは、通常、グリコシル化部位を含有しないが、しかし、そのようなグリコシル化を操作してタンパク質に導入してもよい。
タンパク質のグリコシル化は、典型的に、N−結合型またはO−結合型のいずれかである。N−結合型は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付着を指す。トリペプチド配列アスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニン(ここで、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である)は、炭水化物部分のアスパラギン側鎖への酵素学的付着のための認識配列である。これらを操作して、本発明のタンパク質、特に、フィブロネクチンに基づく足場タンパク質およびそれらの対応するポリヌクレオチドに導入することができる。それ故、ポリペプチドにおいてこれらのトリペプチド配列のうちいずれかが存在すると、潜在的なグリコシル化部位が作製される。O−結合型グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的には、セリンまたはスレオニン(但し、また、5−ヒドロキシプロリンもしくは5−ヒドロキシリジンを使用してもよい)への糖N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つの付着を指す。
グリコシル化部位のタンパク質への付加は、アミノ酸配列が、上記の(N−結合型グリコシル化部位のための)トリペプチド配列の1つ以上を含有するようにアミノ酸配列を変更することによって、好都合に達成される。変更はまた、本来の抗体の(O−結合型グリコシル化部位のための)配列に1つ以上のセリンまたはスレオニン残基を付加または置換することによって、作製してもよい。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドを修飾して、抗体依存性細胞介在性細胞障害(ADCC)および/または補体依存性細胞障害(CDC)を増強させる。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、Fc領域をさらに含むFn3ドメインである。いくつかの実施形態では、Fc領域は、ADCCまたはCDCを増強する変異体である。Fc領域変異体は、1つ以上のアミノ酸位置においてアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のFc領域)を含み得る。
一実施形態では、変異体Fc領域は、ヒトエフェクター細胞の存在下で、より効果的に抗体依存性細胞介在性細胞障害(ADCC)を仲介するか、または天然配列のFc領域より良好な親和性でFcγ受容体(FcγR)に結合し得る。そのようなFc領域変異体は、Fc領域の256位、290位、298位、312位、326位、330位、333位、334位、360位、378位または430位のいずれか1つ以上においてアミノ酸修飾を含み得、ここで、Fc領域における残基の番号付けは、KabatにおけるようなEUインデックスの番号付けである。
核酸−タンパク質融合技術
一態様では、本出願は、例えば、EGFR、VEGFR2、IGF−IR、および他のタンパク質のようなヒト標的に結合するフィブロネクチンIII型ドメインを提供する。特異的結合特性を伴うFn3ドメインを迅速に作製および試験するための1つの方法は、Adnexus, a Bristol−Myers Squibb R&D Companyの核酸−タンパク質融合技術である。本開示は、EGFRおよび他のタンパク質への結合に重要な新規のポリペプチドおよびアミノ酸モチーフを同定するための核酸−タンパク質融合(RNA−およびDNA−タンパク質融合)を利用する、PROfusion(商標)と呼ばれるインビトロでのそのような発現、ならびにタグ付け技術の使用について説明している。核酸−タンパク質融合技術は、タンパク質を、それをコードする遺伝子情報に共有結合する技術である。RNA−タンパク質融合技術およびフィブロネクチンに基づく足場タンパク質ライブラリースクリーニング方法の詳細な説明については、Szostak et al., U.S. Patent Nos.: 6,258,558;6,261,804;6,214,553;6,281,344;6,207,446;6,518,018;PCT Publication Nos. WO00/34784;WO01/64942;WO02/032925;およびRoberts and Szostak, Proc Natl. Acad. Sci. 94:12297-12302, 1997(本明細書において参照により援用される)を参照のこと。核酸−タンパク質融合技術のさらなる考察は、本出願の実施例ならびに材料および方法のセクションにおいて見出すことができる。
ベクターおよびポリヌクレオチド実施形態
本明細書において開示する様々なタンパク質またはポリペプチドのいずれかをコードする核酸は、化学的に合成することができる。コドン使用は、細胞での発現が改善されるように選択することができる。そのようなコドン使用は、選択される細胞タイプに依存する。特化されたコドン使用パターンは、大腸菌(E.coli)および他の細菌、ならびに哺乳動物細胞、植物細胞、酵母細胞および昆虫細胞について開発されている。例えば:Mayfield et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2003 Jan 21;100(2):438-42;Sinclair et al. Protein Expr Purif. 2002 Oct;26(1):96-105;Connell ND. Curr Opin Biotechnol. 2001 Oct;12(5):446-9;Makrides et al. Microbiol Rev. 1996 Sep;60(3):512-38;およびSharp et al. Yeast. 1991 Oct;7(7):657-78を参照のこと。
核酸の操作のための一般的技術については、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2 ed., 1989、またはF. Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (Green Publishing and Wiley-Interscience: New York, 1987)および定期更新物(本明細書において参照により援用される)に記載されている。ポリペプチドをコードするDNAは、哺乳動物、ウイルス、または昆虫遺伝子から誘導される適切な転写または翻訳調節エレメントに作動可能に連結される。そのような調節エレメントとして、転写プロモーター、転写を制御するための任意のオペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、および転写および翻訳の終結を制御する配列が挙げられる。複製開始点によって通常付与される宿主において複製する能力、および形質転換体の認識を容易にするための選択遺伝子が、追加的に組み入れられる。
本明細書に記載のタンパク質は、組み換え的に、直接的のみならず異種ポリペプチド(好ましくは、シグナル配列、または成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端において特異的切断部位を有する他のポリペプチドである)との融合ポリペプチドとして産生させることができる。選択される異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞によって認識およびプロセスされる(即ち、シグナルペプチダーゼによって切断される)配列である。天然のシグナル配列を認識およびプロセスしない原核生物宿主細胞では、シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lpp、または耐熱性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列によって置換される。酵母の分泌では、天然のシグナル配列は、例えば、酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダー(サッカロマイセス(Saccharomyces)およびクリヴェロマイセス(Kluyveromyces)α−因子リーダーを含む)、または酸性ホスファターゼリーダー、C.アルビカンス(C.albicans)グルコアミラーゼリーダー、またはPCT Publication No. WO90/13646に記載のシグナルによって置換してもよい。哺乳動物細胞発現では、哺乳動物シグナル配列ならびにウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルが利用可能である。そのような前駆体領域のDNAは、タンパク質をコードするDNAのリーディングフレームにライゲートしてもよい。
発現ベクターおよびクローニングベクターの両方とも、ベクターが1つ以上の選択された宿主細胞において複製することを可能にする核酸配列を含有する。一般的に、クローニングベクターでは、この配列は、ベクターが宿主の染色体DNAとは独立して複製することを可能にする配列であり、かつ複製開始点または自己複製配列を含む。そのような配列は、多様な細菌、酵母、およびウイルスにおいて周知である。プラスミドpBR322由来の複製開始点は、ほとんどのグラム陰性菌に適切であり、2ミクロンプラスミドの起点が、酵母に適切であり、そして様々なウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)が、哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般的に、複製開始点の成分は、哺乳動物の発現ベクターには必要ではない(SV40起点は初期プロモーターを含有するという理由だけで、SV40起点が典型的に使用され得る)。
発現ベクターおよびクローニングベクターは、選択マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含有することができる。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、もしくはテトラサイクリンに対する耐性を付与するか、(b)栄養要求性の欠損を補うか、あるいは(c)複合培地から得ることができない極めて重要な栄養素を供給する(例えば、バチルス(Bacilli)のD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子)タンパク質をコードする。
酵母に使用するのに適切な選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である(Stinchcomb et al., Nature, 282:39 (1979))。trp1遺伝子は、トリプトファン中で増殖する能力を欠く酵母の変異株の選択マーカーを提供する(例えば、ATCC番号44076またはPEP4−1、Jones, Genetics, 85:12 (1977))。そこで、酵母宿主細胞ゲノムにtrp1損傷(lesion)が存在すると、トリプトファンの非存在下での増殖により形質転換を検出するための有効な環境が提供される。同様に、Leu2欠損酵母株(ATCC番号20,622または38,626)は、Leu2遺伝子を有する既知のプラスミドによって補われる。
発現ベクターおよびクローニングベクターは、通常、宿主生物体によって認識され、かつ本発明のタンパク質、例えば、フィブロネクチンに基づく足場タンパク質をコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターを含有する。原核生物宿主との使用に適したプロモーターとして、phoAプロモーター、β−ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、およびtacプロモーターのようなハイブリッドプロモーターが挙げられる。しかし、他の既知の細菌プロモーターも適切である。細菌系に使用するためのプロモーターはまた、本発明のタンパク質をコードするDNAに作動可能に連結されたShine−Dalgarno(S.D.)配列を含有する。
真核生物のためのプロモーター配列も公知である。実質的にすべての真核生物の遺伝子は、転写が開始される部位から約25〜30個の塩基上流に局在するATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写開始部位から70〜80個の塩基上流に見いだされるもう1つの配列は、CNCAAT領域であり、ここで、Nはいずれのヌクレオチドであってもよい。ほとんどの真核生物の遺伝子の3’末端において、コード配列の3’末端にポリAテイルを付加するためのシグナルであり得るAATAAA配列が存在する。すべての配列が、真核細胞発現ベクターに適切に挿入される。
酵母宿主との使用のための適切な促進配列(promoting sequence)の例として、3−ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖系酵素、例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼのプロモーターが挙げられる。
増殖条件によって制御される転写のさらなる利点を有する誘導性プロモーターである他の酵母プロモーターには、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ならびにマルトースおよびガラクトース資化を担う酵素のプロモーター領域がある。酵母発現に使用するのに適切なベクターおよびプロモーターについては、EP Patent Publication No. 73,657にさらに記載されている。酵母エンハンサーもまた、酵母プロモーターと共に有利に使用される。
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからの転写は、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、最も好ましくは、シミアンウイルス40(SV40)のようなウイルスのゲノムから得られるプロモーター、異種哺乳動物プロモーター、例えば、アクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモーターによって、そのようなプロモーターが宿主細胞系と適合することを条件として、制御することができる。
SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、SV40ウイルス複製開始点もまた含有するSV40制限フラグメントとして簡便に得られる。ヒトサイトメガロウイルスの前初期プロモーターは、HindIIIE制限フラグメントとして簡便に得られる。ウシパピローマウイルスをベクターとして使用して、哺乳動物宿主においてDNAを発現させるための系については、U.S. Patent No. 4,419,446に開示されている。この系の改変については、U.S. Patent No. 4,601,978に記載されている。また、単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼプロモーターの制御下でのマウス細胞におけるヒトβ−インターフェロンcDNAの発現に関しては、Reyes et al., Nature 297:598-601 (1982)を参照のこと。あるいは、ラウス肉腫ウイルス長末端反復を、プロモーターとして使用することができる。
高等な真核生物による本発明のタンパク質をコードするDNAの転写は、しばしば、エンハンサー配列をベクターに挿入することによって増加する。現在、哺乳動物遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン、およびインスリン)由来の多くのエンハンサー配列が公知である。しかし、典型的に、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが使用される。例として、複製起点の後半の部位(bp100〜270)におけるSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後半の部位におけるポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。また、真核生物のプロモーターの活性化のためのエレメントの増強に関しては、Yaniv, Nature 297:17-18 (1982)も参照のこと。エンハンサーは、多価抗体をコードするコード配列に対し5’または3’の位置でベクターにスプライシングしてもよいが、好ましくは、プロモーターの5’の部位に局在する。
真核宿主細胞(例えば、酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、または他の多細胞生物由来の有核細胞)で使用される発現ベクターはまた、転写の終結およびmRNAの安定化に必要な配列を含有する。そのような配列は、真核生物またはウイルスDNAもしくはcDNAの5’および場合により、3’非翻訳領域から一般的に入手可能である。これらの領域は、多価抗体をコードするmRNAの非翻訳部分におけるポリアデニル化フラグメントとして転写されるヌクレオチドセグメントを含有する。1つの有用な転写終結成分は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。WO94/11026およびこの文献において開示される発現ベクターを参照のこと。
組み換えDNAはまた、タンパク質を精製するのに有用であり得る任意のタイプのタンパク質タグ配列を含むことができる。タンパク質タグの例として、ヒスチジンタグ、FLAGタグ、mycタグ、HAタグ、またはGSTタグが挙げられるが、これらに限定されない。細菌、真菌、酵母、および哺乳動物細胞宿主との使用のための適切なクローニングベクターおよび発現ベクターは、Cloning Vectors: A Laboratory Manual, (Elsevier, New York, 1985)(その関連する開示内容は、本明細書において参照により援用される)において見出すことができる。
発現構築物は、当業者に理解されるような宿主細胞に適切な方法を使用して、宿主細胞に導入される。エレクトロポレーション;塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE−デキストラン、または他の物質を用いるトランスフェクション;マイクロプロジェクタイルボンバードメント;リポフェクション;および感染(ここで、ベクターは感染因子である)を含むが、これらに限定されない核酸を宿主細胞に導入するための多様な方法が、当該技術分野において公知である。
適切な宿主細胞として、原核細胞、酵母、哺乳動物細胞、または細菌細胞が挙げられる。適切な細菌として、グラム陰性菌またはグラム陽性菌、例えば、大腸菌(E.coli)またはバチルス(Bacillus spp.)が挙げられる。好ましくは、S.セレビシエ(S.cerevisiae)のようなサッカロマイセス(Saccharomyces)種由来の酵母もまた、ポリペプチドの産生に使用することができる。様々な哺乳動物または昆虫細胞培養系を用いて、組み換えタンパク質を発現させることができる。昆虫細胞における異種タンパク質の産生のためのバキュロウイルス系が、LuckowおよびSummers(Bio/Technology, 6:47, 1988)によってレビューされている。適切な哺乳動物宿主細胞系統の例として、内皮細胞、COS−7サル腎細胞、CV−1、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ヒト胎児腎細胞、HeLa、293、293T、およびBHK細胞系統が挙げられる。精製されたポリペプチドは、適切な宿主/ベクター系を培養して、組み換えタンパク質を発現させることによって、調製される。多くの用途について、本明細書において開示された小さなポリペプチドの多くが、発現のための好適な方法として、大腸菌(E.coli)において発現される。次いで、タンパク質は、培養培地または細胞抽出物から精製される。
本発明のグリコシル化タンパク質の発現に適切な宿主細胞は、多細胞生物体から誘導される。無脊椎動物細胞の例として、植物および昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株および改変体、ならびにヨウトガ(Spodoptera frugiperda)(幼虫)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)(蚊)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)(蚊)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)(ミバエ)、およびカイコ(Bombyx mori)のような宿主由来の対応する許容昆虫宿主細胞が同定されている。トランスフェクションのための多様なウイルス株、例えば、オートグラファ・カルフォルニカ(Autographa californica)NPVのL−1変異体およびカイコ(Bombyx mori)NPVのBm−5株が好適に利用可能であり、そして特に、ヨウトガ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションのために、そのようなウイルスを、本発明に従って、本明細書に記載のウイルスとして使用することができる。
場合によっては、例えば、グリコシル化のために、脊椎動物細胞においてタンパク質を産生させることが所望され、そして培養物(組織培養)における脊椎動物細胞の増殖は日常的な手順になっている。有用な哺乳動物宿主細胞系統の例には、SV40(COS−7、ATCC CRL1651)によって形質転換されるサル腎臓CVl系統;ヒト胎児腎系統(懸濁培養における増殖のためにサブクローニングされる293または293細胞、Graham et al., J. Gen Virol. 36:59. (1977));ベビーハムスター腎細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO、Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980));マウスセルトリ細胞(TM4、Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980));サル腎細胞(CVl ATCC CCL70);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587);ヒト子宮頚癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎細胞(MDCK、ATCC CCL34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL75);ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982));MRC 5細胞;FS4細胞;ヒト肝癌系統(Hep G2);ならびに骨髄腫またはリンパ腫細胞(例えば、Y0、J558L、P3およびNS0細胞)(U.S. Patent No. 5,807,715を参照のこと)がある。ワタ、トウモロコシ、ポテト、ダイズ、ペチュニア(Petunia)、トマト、およびタバコの植物細胞培養物もまた、宿主として利用することができる。
タンパク質産生
宿主細胞を、タンパク質産物のための本明細書に記載の発現またはクローニングベクターで形質転換し、そしてプロモーターを含むか、形質転換体を選択するか、または所望される配列をコードする遺伝子を増幅するのに適切であるように改変された従来の栄養培地において培養する。
本発明のタンパク質を産生させるために使用される宿主細胞は、多様な培地において培養することができる。Ham’s F10(Sigma)、Minimal Essential Medium((MEM)、(Sigma)、RPMI−1640(Sigma)、およびDulbecco’s Modified Eagle’s Medium((DMEM)、Sigma)のような市販の培地は、宿主細胞を培養するのに適切である。加えて、Ham et al., Meth. Enz. 58:44 (1979)、Barnes et al., Anal. Biochem.102:255 (1980)、U.S. Patent Nos. 4,767,704;4,657,866;4,927,762;4,560,655;もしくは5,122,469;WO90/03430;WO87/00195;またはU.S. Patent No. Re. 30,985に記載の培地のいずれも、宿主細胞のための培養培地として使用することができる。これらの培地のいずれも、必要であれば、ホルモンならびに/あるいは他の増殖因子(例えば、インスリン、トランスフェリン、もしくは上皮増殖因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩)、緩衝液(例えば、HEPES)、ヌクレオチド(例えば、アデノシンおよびチミジン)、抗生物質(例えば、GENTAMYCIN(商標)薬)、微量元素(通常、マイクロモル範囲の最終濃度で存在する無機化合物として定義される)、およびグルコースまたは同等のエネルギー源を補充することができる。他の任意の必要な補充物もまた、当業者に公知である適切な濃度で含まれ得る。温度、pH、などのような培養条件は、発現のために選択された宿主細胞に先に使用された条件であり、そして当業者には明らかであろう。
本明細書において開示するタンパク質はまた、細胞−翻訳系を使用して産生させることができる。そのような目的のためには、インビトロ転写を可能にしてmRNAを産生させ、そして特に、利用する無細胞系におけるmRNAの無細胞翻訳(哺乳動物もしくは酵母細胞のような真核細胞を含まない翻訳系または細菌細胞のような原核細胞を含まない翻訳系)を可能にするために、ポリペプチドをコードする核酸を修飾しなければならない。
本発明のタンパク質はまた、化学合成によって(例えば、Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd ed., 1984, The Pierce Chemical Co., Rockford, ILに記載の方法によって)産生させることができる。タンパク質に対する修飾もまた、化学合成によって行うことができる。
本発明のタンパク質は、タンパク質化学の分野において一般的に公知のタンパク質の単離/精製方法によって精製することができる。非制限的例として、抽出、再結晶、(例えば、硫酸アンモニウムもしくは硫酸ナトリウムによる)塩析、遠心分離、透析、限外ろ過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲルろ過、ゲル浸透クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動、向流分配またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。精製後、ろ過および透析を含むが、これらに限定されない当該分野において公知の多様な方法によって、ポリペプチドを、異なる緩衝液へ交換し得る、および/または濃縮し得る。
精製されたポリペプチドは、好ましくは、少なくとも85%純粋、より好ましくは、少なくとも95%純粋、最も好ましくは、少なくとも98%純粋である。純度の正確な数値にかかわらず、ポリペプチドは、医薬品としての用途に十分に純粋である。
画像化、診断および他の用途
一態様では、本出願は、検出可能な部分で標識されたEGFR結合ポリペプチドを提供する。ポリペプチドは、多様な診断アプリケーションに使用することができる。検出可能な部分は、直接または間接的いずれかの検出可能なシグナルを生じることが可能な任意の部分であり得る。例えば、検出可能な部分は、H3、C14もしくは13、P32、S35、またはI131のような放射性同位元素;イソチオシアン酸フルオレセイン、ローダミン、もしくはルシフェリンのような蛍光化合物または化学発光化合物;あるいはアルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼのような酵素であってもよい。
Hunter, et al., Nature 144:945 (1962);David, et al., Biochemistry 13:1014 (1974);Pain, et al., J. Immunol. Meth. 40:219 (1981);およびNygren, J. Histochem. and Cytochem. 30:407 (1982)により記載の方法を含むタンパク質を検出可能な部分にコンジュゲートするための当該分野に公知の任意の方法を用いることができる。インビトロ方法は、CysおよびLysのような特定のアミノ酸についての化学のようなタンパク質と適合可能な化学を含む当該分野において周知のコンジュゲーション化学を含む。(PEGのような)部分を本発明のタンパク質に連結させるために、連結基または反応基が使用される。適切な連結基は、当該技術分野において周知であり、そしてジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定基、感光基、ペプチダーゼ感受性基(labile group)およびエステラーゼ感受性基(labile group)を含む。好適な連結基は、用途に依存してジスルフィド基およびチオエーテル基である。Cysアミノ酸を伴わないポリペプチドでは、Cysは、タンパク質の活性を可能にする場所で操作して、コンジュゲーションのための場所を作製する間、存在させることができる。
検出可能な部分と連結されたEGFR結合ポリペプチドはまた、インビボでの画像化にも有用である。ポリペプチドを、放射線不透過(radio−opaque)剤または放射性同位元素に連結し、被験体、好ましくは、血流に投与してもよく、そして被験体中の標識タンパク質の存在および局在がアッセイされる。この画像化技術は、悪性腫瘍の病期分類および治療に有用である。タンパク質は、核磁気共鳴、放射線学、または当該分野において公知の他の検出手段のいずれであろうと、被験体において検出可能な任意の部分で標識することができる。
EGFR結合ポリペプチドはまた、アフィニティー精製因子として有用である。このプロセスでは、ポリペプチドは、当該分野において周知の方法を使用して、Sephadex樹脂またはろ紙のような適切な支持体上に固定化される。
EGFR結合ポリペプチドは、競合結合アッセイ、直接的および間接的サンドイッチアッセイ、および免疫沈降アッセイ(Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp. 147-158 (CRC Press, Inc., 1987))のような任意の既知のアッセイ方法に用いることができる。
所定の態様では、本開示は、サンプル中のEGFRを検出するための方法を提供する。方法は、サンプルと本明細書に記載のEGFR結合ポリペプチドとを接触させる工程(ここで、前記接触工程は、ポリペプチド−EGFR複合体形成を可能にする条件下で行われる);および前記複合体を検出し、それによって、前記サンプル中の前記EGFRを検出する工程を含み得る。検出は、例えば、ラジオグラフィー、免疫学的アッセイ、蛍光検出、質量分析、または表面プラズモン共鳴のような当該分野において公知の任意の技術を使用して、行うことができる。サンプルは、しばしば、生検、特に、腫瘍、疑わしい腫瘍の生検のような生物学的サンプルである。サンプルは、ヒト由来であってもまたは他の哺乳動物由来であってもよい。EGFR結合ポリペプチドは、放射性部分、蛍光部分、発色部分、化学発光部分、またはハプテン部分のような標識部分で標識してもよい。EGFR結合ポリペプチドは、固相支持体上に固定化することができる。
治療/インビボでの用途
一態様では、本出願は、EGFR関連障害の治療に有用なEGFR結合ポリペプチドを提供する。本出願はまた、EGFR結合ポリペプチドを被験体に投与するための方法を提供する。いくつかの実施態様では、被験体はヒトである。いくつかの実施形態では、被験体は、癌のようなEGFR関連障害を有する。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、EGFRシグナル伝達を阻害する。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、1つ以上のEGFRリガンドに結合するEGFRを阻害する。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドの動物への投与により、EGFRを発現する腫瘍におけるEGFRレベルが減少する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドにより、受容体レベルが、非処置動物と比較して、少なくとも20、30、40、50、60、70、もしくは80%以上減少する。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドを投与すると、インビボでの腫瘍細胞の増殖が阻害される。腫瘍細胞は、制限されないが、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、白血病、肉腫、多発性骨髄腫、または中胚葉細胞を含む任意の細胞タイプから誘導され得る。異種移植腫瘍研究に使用するための一般的腫瘍細胞系統の例として、A549(非小細胞肺癌)細胞、DU−145(前立腺)細胞、MCF−7(乳)細胞、Colo 205(結腸)細胞、3T3/]GF−IR(マウス線維芽細胞)細胞、NCI H441細胞、HEP G2(肝癌)細胞、MDA MB 231(乳)細胞、HT−29(結腸)細胞、MDA−MB−435s(乳)細胞、U266細胞、SH−SY5Y細胞、Sk−Mel−2細胞、NCI−H929、RPM18226、およびA431細胞が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、非処置動物における腫瘍の増殖と比べて、腫瘍細胞の増殖を阻害する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、非処置動物における腫瘍の増殖と比べて、腫瘍細胞の増殖を、50、60、70、もしくは80%以上阻害する。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞の増殖の阻害は、ポリペプチドによる動物の処置を開始して、少なくとも7日間後または少なくとも14日間後に測定した。いくつかの実施形態では、もう1つの抗腫瘍薬剤が、ポリペプチドと共に動物に投与される。
所定の態様では、本開示は、EGFRの阻害に応答する病態、即ち、「EGFR関連疾患」を有する被験体を治療するための方法を提供する。そのような方法は、本明細書に記載のEGFRを阻害するポリペプチドのいずれかの有効量を前記被験体に投与する工程を含み得る。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、EGFRシグナル伝達を阻害する。いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、1つ以上のEGFRリガンドに結合するEGFRを阻害する。
用語「EGFR関連疾患」は、EGFR活性に依存する病理学的状態を指す。EGFRは、増殖、接着および遊走、ならびに分化を含む様々な細胞の活動のシグナル伝達経路に直接または間接的のいずれかで関与する。EGFR活性に関与する疾患として、腫瘍細胞の増殖、固形腫瘍の増殖を促進する病的血管新生、眼の血管新生(糖尿病網膜症、加齢黄班変性など)および炎症(乾癬、関節リウマチなど)が挙げられる。
所定の態様では、本開示は、腫瘍および/または腫瘍転移の治療ならびに/あるいは予防のために、EGFR結合ポリペプチドを投与するための方法を提供し、ここで、腫瘍は、特に好ましくは、制限されないが、脳腫瘍、尿生殖路の腫瘍、リンパ系の腫瘍、胃腫瘍、咽頭腫瘍、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌腫、膵臓癌、神経膠芽腫および乳癌腫からなる群から選択される。
所定の態様では、本開示は、扁平上皮細胞癌、膀胱癌、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、大腸癌、乳癌、頭部癌、頚部癌、食道癌、婦人科癌、甲状腺癌、リンパ腫、慢性白血病および急性白血病からなる癌疾患の群から選択される疾患の治療のために、EGFR結合ポリペプチドを投与するための方法を提供する。
所定の態様では、本開示は、血管新生によって生じる、仲介されるおよび/または増殖する疾患の治療ならびに/あるいは予防のために、EGFR結合ポリペプチドtを投与するための方法を提供する。血管新生に関与するこのタイプの疾患は、網膜新血管形成、糖尿病網膜症、加齢黄班変性などのような眼疾患である。
所定の態様では、本開示は、網膜新血管形成、糖尿病網膜症、加齢黄班変性および/または炎症性疾患からなる群から選択される疾患の治療および/または予防のために、EGFR結合ポリペプチドを投与するための方法を提供する。
所定の態様では、本開示は、乾癬、関節リウマチ、接触皮膚炎、遅延型過敏反応、炎症、子宮内膜症、瘢痕化、前立腺肥大症、免疫疾患、自己免疫疾患および免疫不全症からなる群から選択される疾患の治療ならびに/あるいは予防のために、EGFR結合ポリペプチドを投与するための方法を提供する。
所定の態様では、本開示は、骨肉腫、骨関節炎およびくる病からなる群から選択される骨病理の治療ならびに/あるいは予防のために、EGFR結合ポリペプチドを投与するための方法を提供する。
本出願の一態様は、インビボでのEGFRチロシンリン酸化もしくは受容体レベルまたは両方を阻害するEGFR結合ポリペプチドを提供する。一実施形態では、EGFR結合バインダーの動物への投与により、EGFRを発現する腫瘍におけるEGFRホスホチロシンシグナルが減少する。いくつかの実施形態では、EGFRバインダーは、ホスホチロシンシグナルを少なくとも20%減少する。いくつかの実施形態では、EGFRバインダーは、ホスホチロシンシグナルを少なくとも50、60、70、80、もしくは90%以上減少する。
本発明の適切な実施形態と共に使用することができるさらなる薬剤
本発明の一態様は、細胞障害性薬剤に連結されたEGFR結合ポリペプチドを提供する。そのような実施形態は、適切であれば、インビトロまたはインビボ方法によって調製することができる。インビトロ方法は、CysおよびLysのような特定のアミノ酸についての化学のようなタンパク質と適合可能な化学を含む当該分野において周知のコンジュゲーション化学を含む。細胞障害性薬剤をポリペプチドに連結するために、連結基または反応基が使用される。適切な連結基は、当該技術分野において周知であり、そしてジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定基、感光基、ペプチダーゼ感受性基(labile group)およびエステラーゼ感受性基(labile group)を含む。好適な連結基は、ジスルフィド基およびチオエーテル基である。例えば、ジスルフィド交換反応を使用するか、または抗体と細胞障害性薬剤との間にチオエーテル結合を形成することによって、コンジュゲートを構築することができる。好適な細胞障害性薬剤は、マイタンシノイド系薬剤、タキサン系薬剤およびCC−1065の類似体である。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、細菌毒素、植物毒素、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ(RNase)、DNase I、プロテアーゼ、ブドウ球菌(Staphylococcal)エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス(Pseudomonas)エキソトキシン、シュードモナス(Pseudomonas)エンドトキシン、ランピルナーゼ(Ranpirnase)(Rap)、Rap(N69Q)、酵素、または蛍光タンパク質に連結される。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、マイタンシノイド系薬剤またはマイタンシノイド類似体に連結される。適切なマイタンシノイド系薬剤の例として、マイタンシノールおよびマイタンシノール類似体が挙げられる。適切なマイタンシノイド系薬剤については、U.S. Patent Nos. 4,424,219;4,256,746;4,294,757;4,307,016;4,313,946;4,315,929;4,331,598;4,361,650;4,362,663;4,364,866;4,450,254;4,322,348;4,371,533;6,333,410;5,475,092;5,585,499;および5,846,545に開示されている。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、タキサン系薬剤に連結される。本発明に使用するのに適切なタキサン系薬剤については、U.S. Patent Nos. 6,372,738および6,340,701に開示されている。
いくつかの実施形態では、EGFR結合ポリペプチドは、CC−1065またはその類似体に連結される。CC−1065およびその類似体については、U.S. Patent Nos. 6,372,738;6,340,701;5,846,545および5,585,499に開示されている
そのような細胞障害性コンジュゲートの調製のための魅力的な候補はCC−1065であり、これは、ストレプトマイセス・ゼレンシス(Streptomyces zelensis)の培養ブロスから単離される強力な抗腫瘍抗生物質である。CC−1065は、ドキソルビシン、メトトレキサートおよびビンクリスチンのような一般的に使用される抗癌薬より、インビトロで約1000倍を超えて強力である(B. K. Bhuyan et al., Cancer Res., 42, 3532-3537 (1982))。
メトトレキサート、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、およびカリチアマイシンのような細胞障害性薬もまた、本発明のコンジュゲートの調製に適切であり、そして薬物分子はまた、血清アルブミンのような中間のキャリア分子を介してEGFR結合ポリペプチドに連結させることができる。
他の治療的処置または組成物では、EGFR結合ポリペプチドは、1つ以上のさらなる治療用薬剤と共に同時投与、または順次的に投与される。適切な治療用薬剤として、標的化治療剤、他の標的化生物学的製剤、および細胞障害性薬剤または細胞増殖抑制性薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、液剤を保持する同じまたは個別の治療的に許容できるバイアル、シリンジまたは他の投与デバイスから薬剤を投与することが好ましい。
癌治療用薬剤は、患者に対しては影響が最小限である一方、癌細胞を死滅させるか、または癌細胞の増殖を制限しようとする薬剤である。それ故、そのような薬剤は、癌細胞特性(例えば、代謝、新血管形成または細胞表面抗原提示)における健康な宿主細胞との差異を利用することができる。腫瘍形態学における差異は、介入のための潜在的部位である:例えば、第2の治療剤は、固形腫瘍の内部の新血管形成を妨げ、それによってその増殖速度を遅延させるのに有用である抗VEGF抗体のような抗体であり得る。他の治療用薬剤として、グラニセトロンHClのような補助剤、酢酸ロイプロリドのようなアンドロゲンインヒビター、ドキソルビシンのような抗生物質、タモキシフェンのような抗エストロゲン、インターフェロンα−2aのような代謝拮抗剤、タキソールのような細胞障害性薬剤、rasファルネシル−トランスフェラーゼインヒビターのような酵素インヒビター、アルデスロイキンのような免疫調節薬、およびメルファランHClのようなナイトロジェンマスタード誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。
改善された抗癌効力のためにEGFR結合ポリペプチドと組み合わせることができる治療用薬剤として、ドセタキセル、パクリタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、シクロホスファミド、トラスツズマブ、カペシタビン、タモキシフェン、トレミフェン、レトロゾール、アナストロゾール、フルベストラント、エキセメスタン、ゴセレリン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シスプラチン、デキサメタゾン、アンタイド、ベバシズマブ、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、レバミゾール、イリノテカン、エトポシド、トポテカン、ゲムシタビン、ビノレルビン、エストラムスチン、ミトキサントロン、アバレリクス、ゾレドロネート、ストレプトゾシン、リツキシマブ、イダルビシン、ブスルファン、クロラムブシル、フルダラビン、イマチニブ、シタラビン、イブリツモマブ、トシツモマブ、インターフェロンα−2b、メルファラン、ボルテゾミブ、アルトレタミン、アスパラギナーゼ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、抗EGF受容体抗体(例えば、セツキシマブもしくはパニツムマブ)、イクサベピロン、エポチロンまたはその誘導体、および細胞障害性薬と細胞表面受容体に対する抗体とのコンジュゲートのような腫瘍学の実践において使用される種々の薬剤(文献: Cancer, Principles & Practice of Oncology, DeVita, V. T., Hellman, S., Rosenberg, S. A., 6th edition, Lippincott-Raven, Philadelphia, 2001)が挙げられる。好適な治療用薬剤は、白金薬剤(例えば、カルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチン)、タキサン系薬剤(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル)、ゲムシタビン、およびカンプトテシンである。
1つ以上のさらなる治療用薬剤を、EGFR結合ポリペプチドの前、同時、または後に投与することができる。当業者であれば、各治療用薬剤について、投与の特定の順序に利点があることを理解するであろう。同様に、当業者であれば、各治療用薬剤について、投与される薬剤と本発明の抗体、抗体フラグメントまたはコンジュゲートとの間の時間の長さは変動することを理解するであろう。
処方および投与
EGFR結合ポリペプチドを含む治療用処方物は、水溶液、凍結乾燥または他の乾燥した処方物の形態で、所望される程度の純度を有する所望のタンパク質と任意の生理学的に許容できるキャリア、賦形剤または安定剤とを混合することによって、貯蔵のために調製される(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))。許容可能なキャリア、賦形剤、または安定剤は、用いる用量および濃度においてレシピエントに非毒性であり、そしてリン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸のような緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルもしくはプロピルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン;グルコース、マンノース、もしくはデキストランを含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖類、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);ならびに/あるいは非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含む。
本明細書に記載の処方物はまた、治療する特定の適応症に必要な1を超える活性化合物、好ましくは、相互に悪影響を及ぼさない相補活性を伴うものを含有してもよい。活性化合物の組み合わせの例を、本明細書に示す。そのような分子は、意図される目的のために有効な量で組み合わされて適切に存在する。
有効成分はまた、例えば、コアセルベーション技術または界面重合によって調製されるマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセルにおいてか、コロイド薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)においてか、またはマクロエマルジョンにおいて、捕捉され得る。そのような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示されている。
インビボ投与に使用すべき処方物は、滅菌状態でなければならない。これは、滅菌ろ過膜を介するろ過によって容易に達成することができる。
持続放出製剤を調製することもできる。持続放出製剤の適切な例として、本発明のタンパク質を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは、造形された物品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリックスの例として、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(U.S. Patent No. 3,773,919)、L−グルタミン酸およびγエチル−L−グルタミン酸のコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えば、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドからなる注入可能な微小球)、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン−酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸のようなポリマーが、100日間を超える分子の放出を可能にする一方、所定のヒドロゲルは、より短期間の間、タンパク質を放出する。カプセル化された本発明のタンパク質が身体において長時間留まる場合、それらは、37℃における水分への暴露の結果として変性または凝集し得、生物活性の消失および免疫原性における可能な変化をもたらす。関与する機構に依存する安定化のための合理的なストラテジーを考案することができる。例えば、凝集のメカニズムが、チオ−ジスルフィド相互交換(thio−disulfide interchange)を介する分子間S−−S結合形成であることが発見される場合、スルフヒドリル残基を改変すること、酸性溶液から凍結乾燥すること、水分含有量を制御すること、適切な添加剤を使用すること、および特定のポリマーマトリックス組成物を開発することによって、安定化を達成してもよい。
当業者は、各治療用薬剤の用量が薬剤のアイデンティティに依存することを理解する一方、好適な用量は、約10mg/平方メートル〜約2000mg/平方メートル、より好ましくは、約50mg/平方メートル〜約1000mg/平方メートルの範囲であり得る。
治療用途では、EGFR結合ポリペプチドは、薬学的に許容できる剤形で被験体に投与される。それらは、静脈内に、ボーラスとして、またはある期間の間の連続輸注によって、筋肉内、皮下、関節内、滑膜内(intrasynovial)、髄腔内、経口、局所、もしくは吸入経路で投与することができる。タンパク質はまた、局所ならびに全身治療効果を及ぼすために、腫瘍内、腫瘍周囲、病巣内、または病変周囲経路によって、投与してもよい。適切な薬学的に許容できるキャリア、希釈剤、および賦形剤は、周知であり、そして臨床状況が保証する場合、当業者によって決定することができる。適切なキャリア、希釈剤および/または賦形剤の例として次のものが挙げられる:(1)約1mg/ml〜25mg/mlヒト血清アルブミンを含有するダルベッコのリン酸緩衝食塩水、pH約7.4、(2)0.9%生理食塩水(0.9%w/v NaCl)、および(3)5%(w/v)デキストロース。本発明の方法は、インビトロ、インビボ、またはエクスビボでも使用することができる。
EGFR結合ポリペプチド、および1つ以上のさらなる治療用薬剤の投与は、同時に投与するかまたは順次的に投与するかに依らず、治療用途について上記で説明したように行うことができる。同時投与のための適切な薬学的に許容できるキャリア、希釈剤、および賦形剤は、同時投与される特定の治療用薬剤のアイデンティティに依存することが当業者に理解されよう。
凍結乾燥ではなく、水性剤形中に存在する場合、タンパク質は、典型的に、約0.1mg/ml〜100mg/mlの濃度で処方されるが、このような広範な範囲の変動が許容される。疾患の治療のために、EGFR結合ポリペプチドの適切な用量は、上記で定義したように、治療しようとする疾患のタイプ、疾患の重症度および経過(抗体が予防目的かまたは治療目的で投与されるかに依らない)、これまでの治療の経過、患者の既往歴および抗体に対する応答、ならびに担当医の判断に依存する。タンパク質は、1回または一連の処置において患者に適切に投与される。
本発明はまた、本明細書に記載のエレメントの1つ以上、およびそれらのエレメントの使用のための指示書を含むキットを含む。好適な実施形態では、本発明のキットは、EGFR結合ポリペプチドおよび治療用薬剤を含む。この好適な実施形態の指示書は、EGFR結合ポリペプチドおよび治療用薬剤を使用して、癌細胞の増殖を阻害するための指示書、および/またはEGFR結合ポリペプチドおよび治療用薬剤を使用して、癌を有する患者を治療する方法のための指示書を含む。
好ましくは、キット中に使用される治療用薬剤は、ドセタキセル、パクリタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、シクロホスファミド、トラスツズマブ、カペシタビン、タモキシフェン、トレミフェン、レトロゾール、アナストロゾール、フルベストラント、エキセメスタン、ゴセレリン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シスプラチン、デキサメタゾン、アンタイド、ベバシズマブ、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、レバミゾール、イリノテカン、エトポシド、トポテカン、ゲムシタビン、ビノレルビン、エストラムスチン、ミトキサントロン、アバレリクス、ゾレドロネート、ストレプトゾシン、リツキシマブ、イダルビシン、ブスルファン、クロラムブシル、フルダラビン、イマチニブ、シタラビン、イブリツモマブ、トシツモマブ、インターフェロンα−2b、メルファラン、ボルテゾミブ、アルトレタミン、アスパラギナーゼ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、抗EGF受容体抗体(例えば、セツキシマブもしくはパニツムマブ)、イクサベピロン、およびエポチロンまたはその誘導体からなる群から選択される。より好ましくは、治療用薬剤は、白金薬剤(例えば、カルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチン)、タキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル)、ゲムシタビン、またはカンプトテシンである。
本発明のキットの要素は、溶液または凍結乾燥された粉末のようなキットのための適切な形態である。キットの要素の濃度または量は、キットの各要素のアイデンティティおよび目的の用途に依存して変動することが、当業者によって理解されよう。
キットの指示書において言及される癌およびその細胞として、乳癌、結腸癌、卵巣癌腫、骨肉腫、子宮頚癌、前立腺癌、肺癌、滑膜癌腫、膵臓癌、黒色腫、多発性骨髄腫、神経芽腫、および横紋筋肉腫が挙げられる。
本明細書に記載の方法で投与される細胞障害性薬剤または治療用薬剤の用量は、当業者によって容易に決定することができる。また、適切な用量を決定する場合、薬剤添付文書から調べてもよい。
さらなる特許参考文献
以下のさらなる特許出願および特許に記載の方法および組成物もまた、本開示内容に含まれる:
U.S. Publication Nos. 20050186203;20050084906;20050008642;20040202655;20040132028;20030211078;20060083683;20060099205;20060228355;20040081648;20040081647;20050074865;20040259155;20050038229;20050255548;20060246059;ならびにU.S. Patent Nos. 5,707,632;6,818,418;および7,115,396;ならびにPCT International Application Publication Nos. WO2005/085430;WO2004/019878;WO2004/029224;WO2005/056764;WO2001/064942;およびWO2002/032925。
参照による援用
本明細書に記載の特許文献およびウェブサイトを含むすべての書面および参考文献は、本書面にすべてまたは一部が記載されているが如く、それと同じ程度に、個々に本書面に参照により援用される。
これより、以下の実施例を参考にして本発明を説明するが、これらの実施例は単なる例示であって、本発明を限定することを意図するものではない。本発明について、詳細に、かつその特定の実施形態を参考にして説明してきたが、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、様々な変更および改変を行うことができることは、当業者に明らかであろう。
実施例1.EGFR結合分子の初期同定
約1013RNA−タンパク質融合変異体のライブラリーを、配列番号1(「NNS」ライブラリー)に従うアミノ酸番号付けで23〜29、52〜55および77〜86位における3つのランダム化領域を伴うヒトフィブロネクチンの10番目の3型ドメインの足場に基づいて構築した(Xu et al, Chemistry & Biology 9:933-942, 2002)。縮重コドンの代わりにホスホルアミダイト三量体の混合物を使用した同様のライブラリーを構築して、トリプトファン、フェニルアラニンおよびシステインを欠く(「−WFC]ライブラリー)か、またはトリプトファン、フェニルアラニン、システイン、ロイシン、イソロイシン、メチオニンおよびバリンを欠く(「NVH」ライブラリー)ランダム化領域を得た。mRNA/cDNAヘテロ二重鎖への変換後、1兆を超えるmRNA/cDNA−タンパク質融合物のライブラリーを、それぞれ、溶液中100nMのEGFR−Fcと共にインキュベートし、そして存在する複合体を、プロテインG−被覆磁気ビーズ上で捕捉した。cDNAを、高pHでの処置により溶出させ、PCRによって増幅し、そしてこれを使用して、EGFRのバインダーが富化されたmRNA/cDNA−タンパク質融合物の新たなさらなるフォーカストライブラリーを作製した。5回のサイクルの増幅および選択を、この様式で行い、そして標的結合を、定量的PCRによってモニターした。EGFR−Fcのs525変異体(Fcに融合されたEGFRのアミノ酸1〜525)を使用して、またはEGFの存在下でEGFR−Fcを使用して、類似の実験を行った。それぞれの場合において、RNA−タンパク質融合ライブラリーを、5サイクルの選択後に標的に結合した。
実施例2.EGFR結合クローンの同定
独立したクローンによってコードされたタンパク質を、単一点直接結合アッセイにおいて、EGFRの全長外部ドメインならびにEGFR外部ドメインの最初の525個のアミノ酸(EGFR525)を含有するトランケート型バージョンへの結合について分析した。抗His抗体を使用して、配向された方式でタンパク質クローンを捕捉し、続いて、全長EGFRまたはEGFR525Fc融合タンパク質と共にインキュベーションを行った。発色の読み取り(即ち、A450)により、抗ヒトFc HRPコンジュゲートを介して、結合型受容体−Fcを検出した。スクリーニングから得られた代表的な結果(一部)を、表1に示す(ここでは、全長およびトランケート型EGFRへの24個のクローンの相対的結合強度を示す)。コントロール(SGE)と比較して、すべてのクローンは、有意なEGFR結合を示す。SGEコントロールは、アミノ酸SGEで置換されたインテグリン結合ドメイン(RGD)を伴う配列番号1に示されるような10FN3ドメインである。
Figure 2011517314
実施例3.細胞ベースの競合的リガンド結合アッセイ
細胞ベースの競合的リガンド結合アッセイは、試験サンプルがヒトA431細胞の表面上のEGFRに結合し、そしてユウロピウムタグで標識された天然のEGFリガンド(Eu−EGF)の結合と競合する能力を測定する。細胞表面上のEGFRへの結合に対する試験サンプルとEu−EGFとの競合は、蛍光シグナルの減少によって測定される。抗EGFR抗体(LA−1)の競合結合を、図2〜4において、2つのEGFR結合クローンと比較する(679F03、679F09および867A01)。
実施例4.EGFR特異的クローンの初期の最適化
改善された親和性および特異性を伴うクローンを同定するために、さらなる変異誘発を実施して、EGFRへのループ結合を最適化するためのさらなるフォーカストライブラリーを作製した。
1回で1つのループをランダム配列で置き換えた3つのライブラリーを構築した。3つのループ中2つにおいてランダム配列を、最適化されるクローンに対応する固定配列で置き換えたことを除いて、材料および方法のセクションに記載のとおりに、DNAレベルでライブラリーを構築した。
増幅、mRNA−タンパク質融合物の合成、および親和性選択を、これらの3つのライブラリーによって行った。結合パーセントを、各ラウンドにおいてモニターし、そして各ライブラリーが1%を超える結合を示すまで、PROfusion(商標)を継続した。この時点で、ランダムループを各ライブラリーから増幅し、そして再アセンブルして、3つのすべてのループが最適化されたマスターライブラリーを作製した(図5)。
3つのすべての最適化されたループを含有するマスターライブラリーを、増幅、mRNA−タンパク質融合物の合成、および親和性選択のサイクルを介して、採取した。EGFR−Fcを、漸減濃度で使用して、最も高い親和性のバインダーを選択した。ラウンド1では、EGFR−Fcの濃度は100nMであった。ラウンド2では、EGFR−Fcの濃度は1nMであった。ラウンド3および4では、EGFR−Fcの濃度は0.1nMであった。
実施例5.最適化された誘導体クローンを評価するための細胞ベースの競合的リガンド結合アッセイ
選択された最適化されたクローンを、ヒトA431細胞の表面上のEGFに結合し、そしてユウロピウムタグで標識された天然のEGFリガンド(Eu−EGF)の結合と競合するそれらの能力について、予め最適化されたクローンと比較する。HTPPおよび定量後、多くのクローンが、低いnM範囲のIC50で、出発クローンより優れた阻害を示し得る。
実施例6.最適化されたEGFR競合的IC50クローンの熱安定性の試験
選択されたEGFR最適化クローンの1リットル大腸菌(E.coli)増殖物を調製し、そしてタンパク質を精製する。示差走査熱量測定(DSC)を実施して、個々のクローンのアンフォールディングのエネルギー性、すなわち融解温度(T)を特徴付けする。
実施例7.最適化されたEGFR競合的クローンの溶解特性の試験
選択された最適化クローンの1リットル大腸菌(E.coli)増殖物を調製し、そしてタンパク質を精製する。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して、単量体の挙動を決定する。Multi−Angle Laser Light Scattering(MALLS)と組み合わせたSECを使用して、単量体性(monomericity)を確認する。「古典的な」光散乱(「静的」もしくは「レイリー」散乱またはMALLSとしても公知である)は、分子量の直接測定を提供する。従って、それは、天然の状態のタンパク質が単量体であるか、またはより高度のオリゴマーであるかを決定し、そして凝集体または他の非天然の種の質量を測定するのに極めて有用である。
実施例8.最適化EGFR競合的クローンの結合親和性および動態の決定
選択された最適化クローンの1リットル大腸菌(E.coli)増殖物を調製し、そしてタンパク質を精製する。結合動態および結合親和性を決定するために、組み換え、固定化EGFRおよび液相クローンを使用して、表面プラズモン共鳴(BIAcore)分析を実施する。
実施例9.最適化EGFR競合的クローンの他のHERファミリーメンバーへの結合の決定
選択された最適化クローンの1リットル大腸菌(E.coli)増殖物を調製し、そしてタンパク質を精製する。EGFR競合的クローンが実際にEGFRに特異的であることを確実にするために、BIAcore方法論を使用して、他のHERファミリーメンバーまたはもう1つの非関連受容体に対して高濃度でそれらを評価する。非特異的結合のコントロールのためにHERファミリーメンバーまたはもう1つの非関連受容体を、関連性のないタンパク質であるBIAcoreチップ上に固定化する。非特異的結合または特異性を見出すために、クローンを、10μMでチップ上を通過させた。
実施例10.細胞ベースアッセイにおけるEGFRクローンの活性
活性を確認するために、精製されたEGFRクローンを、細胞ベースアッセイで評価する。本実施例では、クローン679F09(配列番号215)の結果について説明する。クローン679F09を、リガンド刺激EGFR活性化および下流のMAPキナーゼシグナル伝達を直接妨害する能力について、スクリーニングした。免疫細胞化学アッセイ(In Cell Westerns)を使用して、1)EGFRの全リン酸化、2)EGFRのチロシン1068(サイトゾルシグナル伝達タンパク質の結合を担う機能的に重要な残基)に対するリン酸化、および3)ERKリン酸化(EGFR活性化に応答して増殖を刺激するMAPキナーゼ経路の成分)を測定した。これらのアッセイを、A431類表皮癌腫細胞およびFaDu頭頚部癌腫細胞の両方において行った。
FaDu細胞では、クローン679F09は、1.32μMのIC50でチロシン1068上のEGF刺激EGFRリン酸化を阻止し、そして2.8μMのIC50でEGF刺激ERKリン酸化を阻止した。A431細胞では、クローン679F09は、2.4μMのIC50でEGF刺激全EGFRリン酸化を阻止し、2.88μMのIC50でチロシン1068上のEGF刺激EGFRリン酸化を阻止し、そして3.1μMのIC50でEGF刺激ERKリン酸化を阻止した。
AKTのリン酸化、全EGFRリン酸化、チロシン1068上のEGFRリン酸化、およびERKリン酸化を測定するためのELISAアッセイを使用して、DiFi結腸癌腫細胞において、これらの同じエンドポイントを評価したが、これは、この細胞系統がIn Cell Westernアッセイに適切ではなかったためである。DiFi細胞では、クローン679F09は、1.8μM〜5.3μMの間のIC50でEGF刺激AKTリン酸化を阻止し、5.3μMのIC50でEGF刺激全EGFRリン酸化を阻止し、1.49μMのIC50でチロシン1068上のEGF刺激EGFRリン酸化を阻止し、そして4.4μMを超えるIC50でEGF刺激ERKリン酸化を阻止した。
実施例11.エピトープマッピング
In Cell Western(ICW)アッセイを使用して、EGFRクローンが、EGFR細胞外ドメイン上の既知のエピトープへの他のEGFR抗体の結合を妨害するかどうかについて決定した。抗体のパネルを、定義された結合領域でアセンブルした(表2)。EGFRクローンを、A431細胞と共にインキュベートし、非結合型タンパク質を洗浄除去し、そして結合型タンパク質を、BS3で受容体に架橋させた。細胞を固定化し、そして結合部位が既知である抗体で探索した。EGFRクローンが抗体と共通のエピトープを共有する場合、クローンのEGFRへの結合は、抗体による結合を防止または減少する。
表2は、EGFR結合クローン679F09、ならびに抗EGFR抗体セツキシマブおよびパニツムマブによる競合結合研究の結果を示す。
Figure 2011517314
Abを1:100に希釈する、弱いバインダーは1:50に希釈することができる。aJBC264(1989)17469 Ala351-Asp364、bJ Immunological Methods 287(2004)147、cMol Biol Med1(1983)511、dマウスEGFRに対するペプチドに対して惹起させた、eInt J Oncol4(1994)277。C−セツキシマブ;P−パニツムマブ。
実施例12.クローンの再最適化
貯蔵中に一般的に認められるタンパク質の分解プロセスの1つは、メチオニン、またはトリプトファン、チロシン、もしくはヒスチジンのような他のアミノ酸残基の酸化である。出発クローンの生物活性の所望の特性および生物物理特性を保持するが、所望されないメチオニン残基がループに存在する場合、置換が行われるクローンを選択するために、最適化を実施することができる。ループ内の任意のトリプトファン、チロシン、ヒスチジン残基が、酸化損傷する傾向があると同定される場合、同じアプローチが使用される。
実施例13.再最適化された誘導体の直接結合アッセイ
直接結合アッセイを使用して、EGFRへの増強された結合について、再最適化された誘導体をスクリーニングする。単一点アッセイにおいて結合を示すクローンを、クローン濃度の勾配を使用して、さらに分析する。
実施例14.再最適化されたEGFR競合的クローンの溶解特性の試験
再最適化されたEGFR競合的クローンについてのHTPP材料のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、典型的に単量体の挙動を表し、これはより高いタンパク質濃度で、最適化されたクローンが凝集する傾向を有さないことを示す。
実施例15.再最適化EGFR競合的クローンの結合親和性および動態論の決定
選択されたFGループ最適化EGFR競合的クローンの1リットル大腸菌(E.coli)増殖物を調製し、そしてタンパク質を精製する。結合動態および結合親和性を決定するために、組み換え、固定化EGFRおよび液相クローンを使用して、BIAcore分析を実施する。典型的に、結合親和性は、クローンについて、2桁〜3桁のpMの範囲であり得る。
実施例16.再最適化EGFR競合的クローンの他のHERファミリーメンバーへの結合の決定
選択されたFGループ最適化EGFR競合的クローンの1リットル大腸菌(E.coli)増殖物を調製し、そしてタンパク質を精製する。EGFR競合的クローンが実際にEGFRに特異的であることを確実にするために、Biacore方法論を使用して、他のHER受容体またはもう1つの非関連受容体に対して高濃度でそれらを評価する。典型的に、クローンの大部分はこのような高い濃度で他のEGFRファミリーメンバーまたは他の非関連受容体への検出可能な結合を示さず、これらのクローンが実際にEGFRに特異的であることが例示される。
実施例17.EGFRに対する再最適化されたクローンの熱安定性の試験
選択された再最適化EGFR競合的クローンの1リットル大腸菌(E.coli)増殖物を調製し、そしてタンパク質を精製する。示差走査熱量測定(DSC)を実施して、個々のクローンのアンフォールディングのエネルギー性、すなわち融解温度(T)を特徴付けする。
実施例18.Fn3ドメインのPEG化
Fn3ドメインのPEG化を実施して、薬物動態特性を増強する。最適化クローンを、C末端システイン置換を伴って、大腸菌(E.coli)発現系において産生させる。
配列番号235は、システイン残基を欠くクローンのN末端に連結される。配列番号235由来のシステイン残基の単一のスルフヒドリルを使用し、標準的なマレイミド化学を使用してPEG変異体に結合させ、異なる2つのPEG化形態を得る。線状20kDa二官能性PEGおよび一官能性分岐40kDaのPEG(NOF Corporation)の両方を、クローンにコンジュゲートする。PEG化タンパク質形態を、イオン交換およびサイズ排除クロマトグラフィーによって、非反応タンパク質およびPEGから精製する。2つのPEG形態の共有結合を、SDS−PAGE、質量分析、および多角レーザー光散乱を備えた分析サイズ排除クロマトグラフィーによって確認する。
実施例19.PEG化Fn3ドメインクローン変異体の結合親和性および動態の決定
PEG化変異体の結合動態および結合親和性を決定するために、抗ヒト抗体表面上に捕捉された組み換えEGFR−Fcおよび液相分析物(PEG化クローン)を使用して、表面プラズモン共鳴(Biacore)分析を実施する。
実施例20.EGFR依存性細胞系統における抗増殖活性についてのEGFR結合クローンの評価
増殖のためにEGFRシグナル伝達に依存するDiFi結腸癌腫細胞系統における抗増殖活性について、クローンを評価した。10μMおよび1μMにおける2回測定で1次スクリーニングを行って、活性なクローンを同定した。活性なクローンは、いずれの濃度においても50%を超える阻害を実証し、そして好ましくは、用量応答を示した。3回測定で8段階の濃度の系列希釈を試験することによって、活性なクローンをさらにIC50決定した。主なアッセイ方法では、新たに合成したDNAへのH−チミジンの組み入れを測定したが、時折、水溶性テトラゾリウム塩の発色副産物への変換を測定する代謝検出アッセイも使用した。アッセイの性能および再現性を確認するために、標準的な化合物を各実験に含めた。
DiFi細胞におけるH−チミジン組み入れアッセイを使用したところ、クローン679F09は、1つの実験では増殖を軽度に阻害したが、個別の2回の実験では、増殖しなかった。
実施例21.EGFR/IGF−IR PEG化二重特異性分子の作製
EGFRおよびIGF−1Rの両方に対して指向された二重特異性分子を、二官能性PEG分子を使用して、各標的に対して特異的なフィブロネクチンに基づく足場ドメインクローンを共に連結することによって、作製する。二官能性PEGがマレイミド化学を介して2つのクローンを連結することができるように、システイン残基が、各クローンのC末端において置換される。
本実施例では、配列番号203において示されるIGF−IR結合クローンおよび配列番号231において示されるEGFR結合クローンを利用する。2つのアプローチのうちの1つを使用して、適切な二重特異性分子を作製する。EGFRクローン、IGF−IRクローン、およびマレイミド−PEG−X−kDa−マレイミドの等モル混合物を、適切な期間、混合し、そして生成物を、pIの差異に基づいて2つの単離されたクローンの分離に最適なpH条件下で、イオン交換クロマトグラフィーによって分離する。理論的生成物およびこの分離からのそれらの割合は、1部の同一特異性(homospecific)EGFR、1部の同一特異性IGF−IR、および2部の二重特異性EGFR/IGF−IRである。第2のアプローチは、種のPEG−リンカーへの逐次付加に根拠を置くものである。過剰のリンカー、例えば、10倍過剰を、種の1つに付加し、そして反応を、完了まで促進させる。PEG化モノ−種(mono−species)を、イオン交換クロマトグラフィーによって、PEG−連結ホモ二量体および非反応PEG−リンカーから回収する。次いで、単離されたPEG化モノ−種を、等モル量の他のクローン種と反応させて、二重特異性分子を作製する。
実施例22.EGFR/VEGFR2 PEG化二重特異性分子の作製
EGFRおよびVEGFR2の両方に対して指向された二重特異性分子を、二官能性PEG分子を使用して、各標的に対して特異的なフィブロネクチンに基づく足場ドメインクローンを共に連結することによって作製する。二官能性PEGがマレイミド化学を介して2つのクローンを連結することができるように、システイン残基が、各クローンのC末端において置換される。
本実施例では、配列番号128において示されるVEGFR2結合クローンおよび配列番号231において示されるEGFR結合クローンを利用する。2つのアプローチのうちの1つを使用して、適切な二重特異性分子を作製する。EGFRクローン、VEGFR2クローン、およびマレイミド−PEG−X−kDa−マレイミドの等モル混合物を、適切な期間、混合し、そして生成物を、pIの差異に基づいて2つの単離されたクローンの分離に最適なpH条件下で、イオン交換クロマトグラフィーによって分離する。理論的生成物およびこの分離からのそれらの割合は、1部の同一特異性EGFR、1部の同一特異性VEGFR2、および2部の二重特異性EGFR/VEGFR2である。第2のアプローチは、種のPEG−リンカーへの逐次付加に根拠を置くものである。過剰のリンカー、例えば、10倍過剰を、種の1つに付加し、そして反応を、完了まで促進させる。PEG化モノ−種(mono−species)を、イオン交換クロマトグラフィーによって、PEG−連結ホモ二量体および非反応PEG−リンカーから回収する。次いで、単離されたPEG化モノ−種を、等モル量の他のクローン種と反応させて、二重特異性分子を作製する。
実施例23.EGFR/EGFR PEG化二重特異性分子の作製
EGFRに対して指向された二ドメイン分子を、二官能性PEG分子を使用して、EGFRに対して特異的なフィブロネクチンに基づく足場ドメインクローンを共に連結することによって作製する。二官能性PEGがマレイミド化学を介して2つのクローンを連結することができるように、システイン残基が、各クローンのC末端において置換される。
本実施例では、配列番号231において示されるEGFR結合クローンを利用する。2:1比のEGFRクローンおよびマレイミド−PEG−X−kDa−マレイミドを、適切な期間混合し、そして生成物をイオン交換クロマトグラフィーによって分離する。理論的生成物およびこの分離からのそれらの割合は、2部の同一特異性EGFRおよび2部のEGFR/EGFRである。
実施例24.EGFR/IGF−IRポリペプチド−連結二重特異性分子の作製
EGFRおよびIGF−IRの両方に対して指向された二重特異性分子を、ポリペプチドリンカーを介して2つのクローンを接続することによって、作製する。N末端クローン対C末端クローンに関する2つのクローンの配向は任意であるが、本実施例では、EGFRクローンは、N末端の位置に存在する。本実施例では、配列番号215において示されるEGFR結合クローンおよび配列番号236において示されるIGF−IR結合クローンを利用する。
従って、本実施例におけるDNA構築物は、EGFR結合クローン−ポリペプチドリンカー−IGFR結合クローンである。これは、大腸菌(E.coli)において発現され、そして封入体または可溶性画分のいずれかから通常通りに精製される。
実施例25.EGFR/VEGFR2ポリペプチド−連結二重特異性分子の作製
EGFRおよびVEGFR2の両方に対して指向された二重特異性分子を、ポリペプチドリンカーを介して2つのクローンを接続することによって、作製する。N末端クローン対C末端クローンに関する2つのクローンの配向は任意であるが、本実施例では、EGFRクローンは、N末端の位置に存在する。本実施例では、配列番号215において示されるEGFR結合クローンおよび配列番号129において示されるVEGFR2結合クローンを利用する。
従って、本実施例におけるDNA構築物は、EGFR結合クローン−ポリペプチドリンカー−VEGFR結合クローンである。これは、大腸菌(E.coli)において発現され、そして封入体または可溶性画分のいずれかから通常通りに精製される。
実施例28.EGFR/EGFRポリペプチド−連結二重特異性分子の作製
EGFRに対して指向された二ドメイン分子を、ポリペプチドリンカーを介して2つのクローンを接続することによって、作製する。本実施例では、配列番号215に示すEGFR結合クローンを利用する。従って、本実施例におけるDNA構築物は、EGFR結合クローン−ポリペプチドリンカー−EGFR結合クローンである。これは、大腸菌(E.coli)において発現され、そして封入体または可溶性画分のいずれかから通常通りに精製される。
本明細書において使用する材料および方法
以下の材料および方法を、実施例に記載の実験に使用した。
組み換えタンパク質:
Fc融合物としてヒトEGFRの外部ドメインからなるEGFR−Fc(R&D Systems,Minneapolis,MN)を購入し、そしてBiacoreによって、EGF結合について機能的であることが示された。ヒトEGFR細胞外ドメインの最初の525個のアミノ酸を、ヒトIgG1のヒンジおよび定常領域を含有する哺乳動物発現ベクターにクローニングした。プラスミドの一過性トランスフェクションにより、融合タンパク質、EGFR525−Fcを産生させ、続いて、プロテインAクロマトグラフィーによって精製した。全長外部ドメイン融合物でも示されたように、このタンパク質は、同様のBiacoreアッセイを使用して、EGFに結合することが可能であることが示された。
プライマー:
選択されたクローンのライブラリー構築および変異誘発における究極的使用のために、以下のオリゴヌクレオチドを、化学合成によって調製した。
T7TMV:5’−TAA TAC GAC TCA CTA TAG GGA CAA TTA CTA TTT ACA ATT ACA ATG−3’ (配列番号237)

FnAB:5’−GGG ACA ATT ACT ATT TAC AAT TAC AAT GGT TTC TGA TGT GCC GCG CGA CCT GGA AGT GGT TGC TGC CAC CCC CAC CAG CCT GCT GAT CAG CTG G−3’ (配列番号238)

FnBC:5’−AGC CTG CTG ATC AGC TGG NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS CGA TAT TAC CGC ATC ACT−3’ (配列番号239)

FnBC8:5’−AGC CTG CTG ATC AGC TGG NVH NVHNVH NVH NVH NVH NVH NVH TAT TAC CGC ATC ACT−3’ (配列番号240)

FnBC (三量体):三量体ホスホルアミダイトを使用して、BCループを構築するための5’−AGC CTG CTG ATC AGC TGG X X X X X X X CGA TAT TAC CGC ATC ACT−3’ (配列番号241)

FnCD:5’−AGG CAC AGT GAA CTC CTG GAC AGG GCT ATT GCC TCC TGT TTC GCC GTA AGT GAT GCG GTA ATA TCG−3’ (配列番号242)

FnDE:5’−CAG GAG TTC ACT GTG CCT NNS NNS NNS NNS ACA GCT ACC ATC AGC GGC−3’ (配列番号243)

FnDE (三量体):三量体ホスホルアミダイトを使用して、DEループを構築するための5’−CAG GAG TTC ACT GTG CCT X X X X ACA GCT ACC ATC AGC GGC−3’ (配列番号244)

FnEF:5’−AGT GAC AGC ATA CAC AGT GAT GGT ATA ATC AAC GCC AGG TTT AAG GCC GCT GAT GGT AGC TGT−3’ (配列番号245)

FnFG6:6つのランダムアミノ酸を伴うFG ループを付与するための5’−ACT GTG TAT GCT GTC ACT NNS NNS NNS NNS NNS NNS CCA ATT TCC ATT AAT TAC−3’ (配列番号246)

FnFG6 (三量体):三量体ホスホルアミダイトを使用して、6つのランダムアミノ酸を伴うFGループを付与するための5’−ACT GTG TAT GCT GTC ACT X X X X X X CCA ATT TCC ATT AAT TAC−3’ (配列番号247)

FnFG8:8つのランダムアミノ酸を伴うFG ループを付与するための5’−ACT GTG TAT GCT GTC ACT NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS CCA ATT TCC ATT AAT TAC−3’ (配列番号248)

FnFG8 (三量体):三量体ホスホルアミダイトを使用して、8つのランダムアミノ酸を伴うFG ループを付与するための5’−ACT GTG TAT GCT GTC ACT X X X X X X X X CCA ATT TCC ATT AAT TAC−3’ (配列番号249)

FnFG10:10つのランダムアミノ酸を伴うFGループを付与するための5’−ACT GTG TAT GCT GTC ACT NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS CCA ATT TCC ATT AAT TAC−3’ (配列番号250)

FnFG10:三量体ホスホルアミダイトを使用して、10つのランダムアミノ酸を伴うFGループを付与するための5’−ACT GTG TAT GCT GTC ACT X X X X X X X X X X CCA ATT TCC ATT AAT TAC−3’ (配列番号251)

FnFG12:12つのランダムアミノ酸を伴うFG ループを付与するための5’−ACT GTG TAT GCT GTC ACT NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS CCA ATT TCC ATT AAT TAC−3’ (配列番号252)

FnFG14:14つのランダムアミノ酸を伴うFGループを付与するための5’−ACT GTG TAT GCT GTC ACT NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS NNSCCA ATT TCC ATT AAT TAC−3’ (配列番号253)

FnG:5’−TTA AAT AGC GGA TGC CTT GTC GTC GTC GTC CTT GTA GTC TGT GCG GTA ATT AAT GGA AAT TGG−3’ (配列番号254)

FLAG:5’− TTT TTT TTT TTT TTT TTT TTA AAT AGC GGA TGC CTT GTC GTC GTC GTC CTT GTA−3’ (配列番号255)

679F09BC:5’ −AGC CTG CTG ATC AGC TGG CAG GTT CCG CGT CCG ATG TAC CAA TAT TAC CGC ATC ACT TAC−3’ (配列番号256)

679F09DE:5’− CAG GAG TTC ACT GTG CCT GGT GGT GTT CGT ACA GCT ACC ATC AGC GGC −3’ (配列番号257)

679F09FG:5’− ACT GTG TAT GCT GTC ACT GAC TAC ATG CAT TCT GAA TAC CGT CAG TAC CCA ATT TCC ATT AAT TAC−3’ (配列番号258)

FnCD’:5’−AGG CAC AGT GAA CTC CTG GAC AGG GCT ATT GCC TCC TGT TTC GCC GTA AGT GAT GCG GTA ATA−3’ (配列番号259)

FnB:5’−AGC CTG CTG ATC AGC TGG −3’ (配列番号260)

FnD:5’−CAG GAG TTC ACT GTG CCT −3’ (配列番号261)

FnF:5’−ACT GTG TAT GCT GTC ACT −3’ (配列番号262)
1次ライブラリー構築:
KODポリメラーゼ(EMD Biosciences,San Diego,CA)を使用して、上に列挙した重複合成オリゴヌクレオチドの伸張によって、種々のライブラリーを構築した。これらのオリゴヌクレオチドの名称において、「N」は、A、C、GおよびTの混合物を示し;「V」は、A、CおよびGの混合物を示し、「H」は、A、CおよびTの混合物を示し、そして「S」は、CおよびGの混合物を示す。ループの定義は、先に記載の定義(Xu et al, 2002)と同一である。BCループを、1MのBetaineおよび3%DMSOを補充した100μlのKOD反応液中100pmolのFnCDによる50pmolのFnBCの伸張によって、構築した。94℃で30秒間、52℃で30秒間および68℃で1分間の10回の温度サイクルを介して、反応を行い、フラグメントの完全な伸張を確実にした。DEおよびFGループを、DEループでは、100pmolのFnEFを伴う200pmolのFnDE、およびFGループでは、200pmolのFnGを伴う100pmolのFnFG10を使用して、同様の様式で構築した。3つの個々のループの伸張後、DEおよびFGループを組み合わせ、そして94℃で30秒間、52℃で30秒間および68℃で1分間のさらなる10回の温度サイクルで共に伸張させた。BCループを、100pmolのFnABにより、同じ様式で伸張させた。DE/FG混合物およびBCループを、それぞれ、新鮮なKOD試薬で10倍に希釈し、そしてそれぞれ、FLAGおよびT7TMVにより、94℃で30秒間、52℃で30秒間および68℃で1分間の10回の温度サイクルで伸張させた。最後に、フラグメントを合わせて、そして94℃で30秒間、52℃で30秒間および68℃で1分間の10回の温度サイクルで共に伸張させた。これにより、BCループにおいて7つのランダムアミノ酸、DEループにおいて4つのランダムアミノ酸、およびFGループにおいて10のランダムアミノ酸を伴うライブラリーが生成された。オリゴヌクレオチドFnFG6、FnFG8、FnFG12またはFnFG14をFnFG10の代わりに使用することによって、異なるFGループ長で、さらなるライブラリーを構築した。6〜14個のアミノ酸の間のFGループを含有するライブラリーを組み合わせて、「NNS」ライブラリーを得た。
オリゴヌクレオチドFnBC、FnDEおよびFnFGを、それぞれ、FnBC(三量体)、FnDE(三量体)およびFnFG(三量体)で置き換えたことを除いて、同じ方法を使用して、「NVH」および「WFC」ライブラリーを作製した。これらのオリゴヌクレオチドでは、Xは、「NVH」ライブラリーでは13個のアミノ酸(Lys、Asn、Thr、Gln、His、Pro、Arg、Glu、Asp、Ala、Gly、Tyr、Ser)または「−WFC」ライブラリーでは17個のアミノ酸(Lys、Asn、Thr、Gln、His、Pro、Arg、Glu、Asp、Ala、Gly、Tyr、Ser、Leu、Ile、Met、Val)をコードする三量体ホスホルアミダイト(Glen Research,Sterling,VA)の混合物を示す。
RNA−タンパク質融合物産生:
本質的に(Xu et al, 2002、Kurz et al, Nuc. Acid Res. 28:83, 2000)に記載されているように、二本鎖DNAライブラリーを、RNA−タンパク質融合物(PROfusion(商標))に変換した。簡単に説明すると、インビトロ転写キット(MEGAscript(商標),Ambion,Austin,Tex)を使用して、DNAライブラリーを転写し、そして得られたRNAを、NAP−5カラム(GE Healthcare)上でのサイズ排除クロマトグラフィーによって脱塩した。2nmolのRNAを、314nMで、20分間、150mMのNaCl、10mMのTris−HCl(pH8)および1.5倍過剰のピューロマイシン含有リンカー(5’−Pso u agc gga ugc XXX XXX CC Pu−3’(Pu=ピューロマイシン、Pso=C6−ソラレン、u,a,g,c=2’−OMe−RNA、X=9原子PEGスペーサー))を含有する200μlの溶液において、照射により架橋した。
次いで、mRNA−ピューロマイシン分子を、3mlウサギ網状赤血球溶解物(Ambion,Austin,Tex)中で翻訳した。得られたmRNA−タンパク質融合物を、オリゴdTセルロース(GE Healthcare)を使用して精製し、そして製造者の指示に従って、2nmolのプライマーFLAGおよびsuperscript II逆転写酵素(Invitrogen)を使用して、逆転写させた。
cDNA/mRNA−タンパク質融合物を、M2 Flagアガロース(Sigma,St Louis,MO)によって精製し、そしてPCRによって量を測った。これにより、以後のPROfusion(商標)実験に使用するために、プライマーT7TMVおよびFLAGを使用するPCRによって、増幅された約1012の全長クローンの精製されたライブラリーが得られた。
EGFRへの結合のための親和性選択:
ヒトIgG(Sigma)を、プロテインG−被覆磁気ビーズ(Invitrogen)上に被覆して、ネガティブ選択マトリックスを生成した。RNA−タンパク質融合物ライブラリーを、ネガティブ選択マトリックスと混合して、プロテインGまたは目的のFc領域に結合するクローンを取り出した。ビーズを磁石上で分離し、そして非結合画分を回収し、そして0.05%Tween 20および1mg/mlのBSA(Ambion)を伴うPBS中の100nMのEGFR−Fcに添加した。30分間後、結合タンパク質を、プロテインG−被覆磁気ビーズ上で捕捉し、そしてKingfisher磁性粒子プロセッサ(Thermo Electron,Waltham,MA)を使用して、6回洗浄した。cDNAを100mMのKOH中に溶出させ、100mMのTris−HClで中和し、そしてPCRにより増幅して、EGFRに結合した分子が富化された第2世代のライブラリーを作製した。増幅、RNA−タンパク質融合物の合成、および親和性選択の連続プロセスを合計で5回行い、そして結合分子の量をPCRによって計った。ラウンド4および5後に得られた結合集団を、増幅し、そしてT7 RNAポリメラーゼのプロモーターおよびインフレームHisタグを含有する大腸菌(E.coli)発現ベクターに、組み換え(InFusion(商標),Clontech,Mountain View,CA)によってライゲートした。ライゲートされた混合物を、IPTGによる誘導時にT7 RNAポリメラーゼを発現する大腸菌(E.coli)株BL21(DE3)pLysS(Invitrogen)に形質転換し、それによって誘導性タンパク質発現を生じさせた。
クローン679F09由来の単一ループランダム化ライブラリーの構築
単一のループがランダム配列で置き換えられた3つのライブラリーを構築した。3つのループのうち2つにおけるランダム配列がクローン679F09に対応する固定配列で置き換えられたことを除いて、上記のように、KODポリメラーゼによる重複伸張によって、DNAレベルでライブラリーを構築した。固定配列を、オリゴヌクレオチド679F09BCによってBCループに、そしてオリゴヌクレオチド679F09DEによってDEループに、そしてオリゴヌクレオチド679F09FGによってFGループに提供した。ライブラリー構築中に、これらが、対応するランダムオリゴヌクレオチドFnBC、FnDE、またはFnFG10に取って代わった。位置XXのランダム化には、FnCDの代わりにFnCD’、そしてFnBCの代わりにFnBC8のプライマーの使用を必要とした。加えて、「NVH」コドンを使用することにより、ライブラリーから疎水性アミノ酸を取り出した。
クローン679F09由来のBCループがランダムアミノ酸によって置き換えられたライブラリーを、次のオリゴヌクレオチドをアセンブルすることによって作製した:上記のT7TMV+FnAB+FnBC8+FnCD’+679F09DE+FnEF+679F09FG+FnG+FLAG。クローン679F09由来のDEループがランダムアミノ酸によって置き換えられたライブラリーを、次のオリゴヌクレオチドをアセンブルすることによって作製した:T7TMV+FnAB+679F09BC+FnCD’+FnDE(三量体)+FnEF+679F09FG+FnG+FLAG。クローン679F09由来のFGループがランダムアミノ酸によって置き換えられたライブラリーを、次のオリゴヌクレオチドからアセンブルした:T7TMV+FnAB+669F09BC+FnCD’+679F09+FnEF+FnFG10(三量体)+FnG+FLAG。
クローン679F09由来の3−ループランダム化ライブラリーの構築
クローン679F09から誘導された3つの単一ループライブラリーを、上記のようにPROfusion(商標)選択に供した。各ライブラリーにおいてなお存在しているクローンは、親クローン由来の2つのループおよび各クローンの結合と適合するランダム配列由来の1つのループを含有した。3つのランダムループ(各ライブラリーから1つ)を、周囲の足場領域に結合するオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、増幅した。BCループを、オリゴヌクレオチドプライマーFnBおよびFnCD’を使用して、可変BCループを含有するライブラリーから増幅した。DEループを、オリゴヌクレオチドプライマーFnDおよびFnEFを使用して、可変DEループを含有するライブラリーから増幅した。FGループを、オリゴヌクレオチドプライマーFnFおよびFnGを使用して、可変FGループを含有するライブラリーから増幅した。3つの切り出されたループを、アガロースゲル電気泳動によって精製し、等しい割合で混合し、そしてプライマーFnABおよびFnG、続いて、T7TMVおよびFLAGでのKODポリメラーゼによって増幅した。
3つのランダムループを含有するクローンの最適化:
3−ループランダム化ライブラリーを、上記のように、増幅、RNA−タンパク質融合物の合成、および親和性選択のサイクルを介して、採取した。EGFR−Fcを、漸減濃度で使用して、最も高い親和性のバインダーを選択した。4ラウンド後、得られたタンパク質集団を、上記のような分析のために、大腸菌(E.coli)にクローニングした。
EGFRの直接結合ELISA
上記の選択から得られるタンパク質集団を、Hisタグ化タンパク質として大腸菌(E.coli)において発現させる。直接結合ELISAは、カゼインブロック緩衝液(Pierce,Rockford,IL)で1〜2時間、ブロッキングされた抗Hisモノクローナル抗体プレート(EMD Biosciences,San Diego,CA)上へのHisタグ化クローンの配向された補足に依存する。典型的に、1:50希釈のHTPP材料(0.2〜2μg)を1時間捕捉し、続いて、50nMのEGFR−Fc標的とのインキュベーションを行う。結合EGFR−Fcは、抗ヒトHRPとのインキュベーションによって検出される。結合HRPコンジュゲートは、製造者の指示に従い、発色基質TMB(BD Biosciences,San Jose,CA)を使用して、検出される。
細胞ベースの競合的リガンド結合アッセイ
上記の選択から得られるクローンを、細胞ベースの競合的リガンド結合アッセイにおいてアッセイして、クローンが、細胞の表面上に局在するEGFRへの結合について、EGF(天然のリガンド)と競合するかどうかについて決定する。細胞表面上で多数のEGFRを発現するヒト上皮癌腫細胞、クローンA431を、96ウェル組織培養プレートにプレート化し、そして48時間、接着させた。細胞を無血清培地で洗浄し、そして選択されたクローンの希釈物を、細胞と共に、15分間、37℃で、加湿インキュベーター中5%COにおいてインキュベートする。このインキュベーションは、細胞表面上のEGFRへのクローンの結合を可能にする。次いで、ユウロピウム標識EGF(Eu−EGF)を10nMの最終濃度で細胞に添加し、そしてさらに3時間、4℃でインキュベートする。インキュベーション後、細胞を、冷PBSで洗浄して、非結合クローンを取り出し、そしてEu−EGFおよび50μlのEnhancement Solution(Perkin Elmer)を細胞に添加し、そして45分間、37℃でインキュベートする。この工程により、ユウロピウム標識がEGFリガンドから解離し、時間分解蛍光によって測定される蛍光シグナルを生じる。シグナルの強度は、細胞の表面に結合したEu−EGFの量と相関する。用量応答によるシグナル強度の減少は、所与のクローンが、EGFRへの結合について、ユウロピウム標識された天然のEGFリガンドと競合することを示す。
ハイスループットタンパク質産生(HTPP):
pDEST−14ベクターにクローニングされ、そして大腸菌(E.coli)BL21(DE3)pLysS細胞に形質転換された選択されたバインダーを、24ウェル形式で50μg/mLのカルベニシリンおよび34μg/mLクロラムフェニコールを含有する5mlのLB培地に播種し、37℃で1晩、増殖させる。1晩培養物から200μlを吸引し、そして適切なウェルに分配することによって、誘導性発現用の新鮮な5mlのLB培地(50μg/mLカルベニシリンおよび34μg/mLクロラムフェニコール)培養物を調製する。培養物を、A600 0.6〜1.0まで、37℃で増殖させる。1mMイソプロピル−β−チオガラクトシド(IPTG)とのインキュベーション後、培養物をさらに4時間、30℃で増殖させ、そして遠心分離により30分間、3220g、4℃で回収した。細胞ペレットを−80℃で凍結する。
細胞ペレット(24ウェル形式中)を、450μlの溶解緩衝液(50mMのNaHPO、0.5MのNaCl、1×Complete(商標)Protease Inhibitor Cocktail−EDTA free(Roche)、1mMのPMSF、10mMのCHAPS、40mMイミダゾール、1mg/mlリゾチーム、30μg/mlのDNAse、2μg/mlのアプロチニン、pH8.0)中への再懸濁によって溶解し、そして室温で1時間、振盪する。溶解物を澄明にし、そして96ウェルの650μlキャッチプレートを具備する96ウェルWhatman GF/D Unifilterに移すことによって96ウェル形式に再度ラック掛け(re−racked)し、そして5分間、200gで遠心分離する。澄明にした溶解物を、平衡緩衝液(50mMのNaHPO、0.5MのNaCl、10mMのCHAPS、40mMイミダゾール、pH8.0)で平衡化した96ウェルNi−Chelating Plateに移し、そして5分間、インキュベートする。非結合材料を、減圧によって取り出す。樹脂を、2×0.3ml/ウェルでWash buffer #1(50mMのNaHPO、0.5MのNaCl、5mMのCHAPS、40mMイミダゾール、pH8.0)により洗浄し、各洗浄で、減圧により取り出す。次に、樹脂を、3×0.3ml/ウェルでPBSにより洗浄し、各洗浄工程で、減圧により取り出す。溶出前に、各ウェルを、50μl溶出緩衝液(PBS+20mMのEDTA)で洗浄し、5分間インキュベートし、そしてこの洗浄を、減圧により廃棄する。さらなる100μlのElution緩衝液を各ウェルに適用することによって、タンパク質を溶出させる。室温で30分間のインキュベーション後、プレートを、5分間、200gで遠心分離し、溶出したタンパク質を、Ni−プレートの底に固定された5μlの0.5MのMgClを含有する96ウェルキャッチプレートに回収する。溶出したタンパク質を、タンパク質標準としてリゾチームを伴うBCAアッセイを使用して、定量する。
可溶性フィブロネクチンに基づく足場タンパク質バインダーの中規模発現および精製:
発現では、選択されたクローン、続いて、Hisタグを、pET9d(EMD Biosciences,San Diego,CA)ベクターにクローニングし、そして大腸菌(E.coli)BL21(DE3)pLysS細胞において発現させる。20mlの播種培養物(単一のプレート化コロニーから生じたもの)を使用して、50μg/mLカルベニシリンおよび34μg/mLクロラムフェニコールを含有する1リットルのLB培地に播種する。培養物を、A600 0.6〜1.0まで、37℃で増殖させる。1mMイソプロピル−β−チオガラクトシド(IPTG)での誘導後、培養物をさらに4時間、30℃で増殖させ、そして遠心分離により30分間、≧10,000g、4℃で回収した。細胞ペレットを−80℃で凍結する。Ultra−turrax homgenizer(IKA works)を氷上で使用して、細胞ペレットを、25mLの溶解緩衝液(20mMのNaHPO、0.5MのNaCl、1×Complete(商標)Protease Inhibitor Cocktail−EDTA free(Roche)、1mMのPMSF、pH7.4)に再懸濁する。Model M−110S Microfluidizer(Microfluidics)を使用する高圧均質化(≧18,000psi)により、細胞溶解を達成する。可溶性画分を、遠心分離によって、30分間、23,300g、4℃で分離する。上清を、0.45μmフィルターを介して澄明にする。澄明にした溶解物を、20mMのNaHPO、0.5MのNaCl、pH7.4で予め平衡化したHisTrapカラム(GE)に充填する。次いで、カラムを、25カラム容積の20mMのNaHPO、0.5MのNaCl、pH7.4、続いて、20カラム容積の20mMのNaHPO、0.5MのNaCl、25mMイミダゾールpH7.4、次いで、35カラム容積の20mMのNaHPO、0.5MのNaCl、40mMイミダゾールpH7.4で洗浄する。タンパク質を、15カラム容積のカラム容積の20mMのNaHPO、0.5MのNaCl、500mMイミダゾールpH7.4で溶出させ、画分を、A280での吸収に基づいてプールし、そして1×PBS、50mMのTris、150mMのNaCl、pH8.5または50mMのNaOAc;150mMのNaCl;pH4.5に対して透析する。0.22μmでろ過することによって、あらゆる沈殿物を取り出す。
EGFR結合クローンのPEG化
マレイミド化学を介して、C−バージョンのクローンに対し、2倍過剰のPEG−40−kDa(NOF Corporation)を使用することによって、EGFR結合クローン−PEG40分子を調製する。反応物を、室温で2.5時間、促進させる。陽イオン交換クロマトグラフィー(SP−HiTrap;GE)によって、遊離のPEG−40をクローン−PEG−40から分離する。反応混合物を、20mMのNaHPO、pH6.7で1:10に希釈し、そしてEquilibration緩衝液(20mMのNaHPO、10mMのNaCl、pH6.7)で予め平衡化したSP−HiTrapカラムに適用し、Equilbration緩衝液で洗浄し、そして20mMのNaHPO、0.5MのNaCl、pH6.7を使用して溶出させる。溶出した画分を、SDS−PAGE分析に基づいてプールする。SP−プールした溶出物を、G25Chromatography(GE)を介してPBSに緩衝液交換する。
マレイミド化学を介して、PEG−20−kDa(NOF Corporation)に対し、2倍過剰の精製されたクローン−Cを使用することによって、PEG20−EGFR結合クローン−PEG20を調製する。反応を室温で1時間行う。20mMのNaHPO、10mMのNaCl、pH6.7緩衝液中SEC Chromatography(Superose6;GE)によって、非ペグ化タンパク質を、PEG20−クローン−PEG20から分離する。PEG20−クローン−PEG20を含有する画分をプールし、そしてさらに精製して、モノ−ペグ化クローンを取り出す。これは、陽イオン交換クロマトグラフィー(SP;GE)によって達成される。SP−HiTrapカラムを、Buffer A(20mMのNaHPO、10mMのNaCl、pH6.7)で予め平衡化し、SEC溶出物を適用し、次いで、カラムを緩衝液Aで洗浄し、次いで、0〜10%緩衝液B(20mMのNaHPO、1.0MのNaCl、pH6.7)の勾配を5カラム容積適用し、そしてさらなる5カラム容積を稼動させるため、保持する。50%BufferBで溶出させることによって、SP−カラムからPEG20−クローン−PEG20を溶出させる。画分を、A280によってプールし、そしてG25 Chromatography(GE)によって、PBSに緩衝液交換する。
可溶性フィブロネクチンに基づく足場タンパク質のBIAcore分析:
フィブロネクチンに基づく足場タンパク質結合タンパク質の標的に対する結合動態を、Biacore 3000またはT100バイオセンサ(GE Healthcare,Piscataway,NJ)を使用して測定する。製造者の指示に従って、抗ヒト抗体(GE Healthcare,Piscataway,NJ)を、Biasensor CM5チップのフローセル1および2(Fc1およびFc2)上に直接固定化する。動態解析は、EGFR−Fc(R&D Systems,Minneapolis,MN)またはFc2における抗ヒトIgGに対するインハウスで作製したトランケート型EGFR525−Fcの捕捉、続いて、Fc1およびFc2に対する溶液中クローンの注入を要する。抗ヒト抗体表面は、3MのMgClの2回連続注入によって再生される。センサグラムを、各濃度において入手し、そして製造者のプログラムBiaevaluationまたはBiacore T100ソフトウェアを使用して評価し、速度定数k(kon)およびk(koff)を決定する。解離定数、Kを、速度定数の比koff/konから計算する。典型的に、ランニング緩衝液HBS−EP(10mMのHepes、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%Surfactant P20)に希釈した精製されたクローンの濃度系列(0μM〜2μM)を、抗ヒトIgG捕捉ヒトEGFR−Fc融合タンパク質への結合について評価する。
HER2またはHER3のような他の関連ファミリーメンバーへの結合を決定する実験のために、上記の抗ヒトIgG抗体を使用して、組み換え外部ドメイン−Fc融合物を捕捉する。ヒトEGFR、またはHER2もしくはHER3のような他の関連ファミリーメンバーのいずれかへの特異的結合を、ブランク対照フローセル1に対して観察される結合を差し引くことによって、計算する。VEGFR2−Fc、非関連受容体は、さらなる非特異的結合対照としての役割を果たす。EGFR結合クローンを、HBS−EP(10mMのHepes、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%Surfactant P20)中10μMに希釈し、そして20μL/分で5分間、フローセルに25℃で注入し、そして解離を10分間、観察する。
示差走査熱量測定:
中規模クローンの示差走査熱量測定(DSC)分析を実施して、熱安定性を決定する。3atm圧下、1分間あたり1℃の速度で、温度を5℃〜95℃に上昇させることによって、N−DSC IIカロリーメーター(Calorimetry Sciences Corp)で適切なクローンの1mg/ml溶液をスキャンする。Orgin Software(OrginLab Corp)を使用する最良適合(best fit)を使用し、適切な緩衝液のコントロールランに対して、データを分析する。
サイズ排除クロマトグラフィー:
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を、A214nmおよびA280nmにおけるUV検出ならびに蛍光検出(励起=280nm、発光=350nm)でAgilent 1100 HPLCシステム上TSKgel Super SW2000カラム(TOSOH Biosciences,LLC)、4.6mm×30cmを使用して、実施する。100mM硫酸ナトリウム、100mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウムの緩衝液、pH6.8を、100μL/分の流速で用いる。サンプル(それぞれ、0.1〜1μg)を、約100μg/mLの濃度で個別に注入する。ゲルろ過標準(Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA)は、分子量キャリブレーションに有用である。
クローンのSEC MALLS分析:
0.6ml/分の流速で適応される100mM硫酸ナトリウム、100mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウムpH6.8の移動相を伴うSuperdex 200カラム(GE Healthcare)を使用して、Waters 2487 UV検出器を具備するWaters Breeze HPLCシステム上で、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を実施する。サンプルを、移動相で約1.0mg/mlに希釈し、そして50μlを注入する。Multi−Angle Laser Light Scattering(MALLS)分析を、UV検出器の後方に直列に設置されたminiDAWN光散乱検出器(Wyatt Technology Corporation)およびOptilab DSP Differential Refractometer(Wyatt Technology Corporation)を使用して、実施する。Astra Vバージョン5.1.9.1ソフトウェア(Wyatt Technologies Corporation)を使用して、光散乱データの分析を実施する。280nmでの吸収によるクローンの濃度を計算するために、アミノ酸配列に基づく理論モル吸光係数を使用する。屈折率による濃度決定のために、0.185mL/gの見積もられた比屈折率の増加(dn/dc)を使用する。
MALDI TOF質量分析:
Voyager DE PRO質量分析計を使用するMatrix Assisted Laser Desorption Ionization Time of Flight(MALDI−TOF)質量分析計(図14)(Applied Biosystems)によって、EGFR結合クローンを分析する。サンプルを、0.1%TFAで約1.0mg/mlに希釈する。約12μlのサンプルを、C4 ZipTip(Millipore Corporation)に充填し、そして0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)で洗浄して、塩および混入物を取り出す。2μlのシナピン酸マトリックス(70%アセトニトリル中10mg/ml、0.1%TFA)を使用して、サンプルを、ZipTipから直接標的プレート上に溶出させる。装置の標準化を、既知の質量の2つのタンパク質を使用して実施する:シナピン酸中5μMの最終濃度に調製され、プレート上に滴下されたシトクロムC(12361.96Da)およびアポミオグロビン(16952.27Da)。スペクトルは、次の装置設定で獲得される:加速電圧25000V、グリッド電圧91%、ガイドワイヤー0.1%、抽出遅延時間400nsec、レーザー強度3824。ベースライン補正および9のフィルター幅値を伴うGaussian Smoothアルゴリズムを適用することによって、Data Explorer v.4.5(Applied Biosystems)において生スペクトルを処理する。
H−チミジン細胞増殖アッセイ
96ウェルマイクロタイタープレートにおいて1ウェルあたり2,500個の細胞で、細胞をプレート化した。PBSにおいて可溶化された化合物を、24時間後に添加し、そして培養物をさらに72時間、インキュベートした。細胞に4μCi/mL[H]チミジン(Amersham Pharmacia Biotech,Buckinghamshire,United Kingdom)を3時間追加し、トリプシン処理し、そしてUniFilter−96,GF/Bプレート(Perkin−Elmer,Boston,MA)上に回収した。DNAへの組み入れを、TopCount NXT(Packard,Meriden,CT)上でシンチレーション測定を行うことによって、測定した。結果を、非処置コントロール細胞の増殖に対して50%だけ細胞増殖を阻害するのに必要な薬物濃度であるIC50として表す。データは、SEと共に示される3回のウェルの測定の平均である。
水溶性テトラゾリウム塩増殖アッセイ
細胞を、フェノールレッドを伴わない完全培地に播種し、そして上記のようにEGFR結合クローンで処置する。処置期間の終了時に、10μl/ウェルのWST−8試薬(Dojindo Molecular Technologies,Gaithersburg MD)を各ウェルに添加し、そしてプレートを3時間、37℃、5%COでインキュベートした。ホルマザン染料蓄積を、SpectraMAX Plus(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)上での450nmでの吸収を読み取ることによって、定量した。
In cell westernアッセイ
細胞を、ポリ−D−リジン被覆マイクロタイタープレート(Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)に、A431類表皮癌腫またはFaDu頭頚部癌腫細胞について24,000個の細胞/ウェルで播種し、そして1晩接着させた。細胞を洗浄し、次いで、24時間、無血清培地においてインキュベートした。次いで、系列希釈のクローンを細胞に適用し、そして100ng/mlのEGFで10分間、刺激する前に、4時間、インキュベートした。刺激後、細胞を、20分間、3.7%ホルムアルデヒドを含有するPBSにおいて固定化し、次いで、0.1%triton−X−100を含有するPBSにおいて、15分間、透過させた。細胞を、Odysseyブロッカーにおいて1時間、ブロッキングし、そして抗体と共にインキュベートして、チロシン1068(Cell Signaling,Beverly,MA)およびアクチン(Sigma,St.Louis,MO)上でリン酸化されたEGFR、またはチロシン202/スレオニン204上でリン酸化されたERK(MAPキナーゼのいずれか、および全ERK(Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz,CA)を検出した。0.1%tween−20を含有するPBSで3回洗浄した後、第二抗体(Invitrogen,Carlsbad,CAまたはRockland,Gilbertsville,PA)を添加した。 細胞を、0.1%tween−20を含有するPBSで3回洗浄し、そしてLi−Cor Odyssey Infrared Imaging System(Li−Cor Biosciences,Lincoln,Nebraska)上で画像化した。各クローンを3回測定でアッセイし、そしてIC50値を、最大シグナル−バックグランドの阻害パーセントの線形回帰分析から計算した。
EGFR抗体をブロッキングすることによるエピトープマッピング
A431細胞を、ポリ−D−リジン被覆マイクロタイタープレートに、24,000細胞/ウェルで播種し、そして1晩、接着させた。翌日、各ウェルを、冷PBSで1回洗浄し、そして細胞を、様々な濃度のクローンと共に、1時間、4℃でプレインキュベートした。非結合タンパク質を、冷PBSで洗浄除去し、そしてPBS、pH=8.0中1mMのBS3で、4℃で1時間処置することによって、結合タンパク質を、受容体に架橋した。プレートの中身を捨て、そして1ウェルあたり50μlの50mMのTris−HCl、pH=7.5を添加し、そして15分間、室温でインキュベートすることによって、架橋反応をクエンチした。プレートを、PBS+0.1%tween−20で1回洗浄し、そして20分間、PBS+3.7%ホルムアルデヒド中で固定化した。プレートを、Odysseyブロッカー中で1時間、室温でブロッキングした。ブロッキング溶液を取り出し、そしてOdysseyブロッカー中で1:100または1:50に希釈した様々な第一抗体をプレートに添加し、そして1時間、室温でインキュベートした。プレートを3回洗浄し、そしてTOPRO3対比染色1:3000と共にOdysseyブロッカー+0.2%Tween−20中で1:800に希釈した第二抗体をプレートに添加し、そして室温で1時間、インキュベートした。プレートを3回洗浄し、そしてLi−Cor Odyssey infrared imaging system上、160μMの解像度で画像化した。
DiFi細胞における全EGFRホスホチロシンレベルの決定のためのELISAアッセイ
マイクロタイタープレートの各ウェルにおいて1×10個のDiFi細胞をプレート化し、そして細胞を1晩接着させることによって、EGF刺激EGFRリン酸化の阻害を決定した。翌日、培地を無血清培地に置き換え、そして細胞を16時間、枯渇させた。EGFR結合クローンまたはコントロール抗体を、細胞と共に37℃で4時間、インキュベートした。次いで、細胞を、20ng/mlのEGFで10分間、刺激し、そして細胞溶解物を、HNTG[50mMのHepes、150mMのNaCl、0.5%triton−X−100、8%グリセロール、2mMのNaPO、1.5mMのMgCl、プロテアーゼ阻害剤AEBSF、アプロチニン、ロイペプチン、ベスタチン、ペプスタチン−AおよびE64を含有する1mMのEDTA]中で調製した。溶解物を、EGF受容体のヒト細胞外ドメインに特異的な第一抗体で被覆した捕捉プレートに移した(Cell Signaling,Beverly,MA)。検出抗体を、西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートされたマウスモノクローナル抗ホスホチロシン抗体(4G10,Upstate Biotechnology,Lake Placid,NY)で置き換えた。発色基質、テトラ−メチルベンジジンを使用して、分光光度計における450nmでの吸光度を測定した。サンプルを3回測定で試験し、そしてIC50値を、バックグランドを差し引き、そして各アッセイにおける全最大シグナルの阻害パーセントを計算することによって決定した。

Claims (23)

  1. フィブロネクチンIII型(Fn3)ドメインを含むポリペプチドであって、ここで、Fn3ドメインは、(i)ループ、AB;ループ、BC;ループ、CD;ループ、DE;ループEF;およびループFGを含み;(ii)ヒトFn3ドメインの対応するループの配列と比べて変更されたアミノ酸配列を伴うループBC、DE、およびFGから選択される少なくとも1つのループを有し、そして(iii)10−4M未満の解離定数でヒト上皮成長因子受容体(EGFR)に結合する、ポリペプチド。
  2. Fn3ドメインは、10−6M未満の解離定数でヒトEGFRに結合する、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. ループBCおよびループFGは、ヒトFn3ドメインの対応するループの配列と比べて変更されたアミノ酸配列を有する、請求項1または2に記載のポリペプチド。
  4. Fn3ドメインは、10番目のフィブロネクチンIII型ドメイン(10Fn3)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  5. 10Fn3ドメインは:
    (i)配列番号207〜231のいずれか1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド;および
    (ii)配列番号207〜231のいずれか1つに少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチド
    から選択されるポリペプチドを含む、請求項4に記載のポリペプチド。
  6. ポリオキシアルキレン部分、ヒト血清アルブミン結合タンパク質、シアル酸、ヒト血清アルブミン、IgG、IgG結合タンパク質、トランスフェリン、およびFcフラグメントから選択される1つ以上の薬物動態(PK)部分をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  7. PK部分はポリオキシアルキレン部分であり、そして前記ポリオキシアルキレン部分はポリエチレングリコールである、請求項6に記載のポリペプチド。
  8. PK部分およびFn3ドメインは、少なくとも1つのジスルフィド結合、ペプチド結合、ポリペプチド、ポリマー糖、またはポリエチレングリコール部分を介して作動可能に連結されている、請求項6に記載のポリペプチド。
  9. PK部分およびFn3ドメインは、配列番号232〜235のアミノ酸配列を含むポリペプチドを介して作動可能に連結されている、請求項8のポリペプチド。
  10. 抗体部分;リポカリンの誘導体;テトラネクチンの誘導体;アビマー;アンキリンの誘導体;および2番目のフィブロネクチンIII型(Fn3)ドメインから選択される第2のドメインをさらに含み、ここで、2番目のドメインは、ヒトタンパク質に結合し、ならびにここで、2番目のFn3ドメインは、(i)ループ、AB;ループ、BC;ループ、CD;ループ、DE;およびループFGを含み;(ii)ヒトFn3ドメインの対応するループの配列と比べてランダム化されたアミノ酸配列を伴うループBC、DE、およびFGから選択される少なくとも1つのループを有し、そして(iii)ヒトFn3ドメインとは結合しないヒトタンパク質に結合する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  11. 2番目のドメインは、2番目のFn3ドメインであり、そして2番目のFn3ドメインは、10−4M未満の解離定数でヒトタンパク質に結合する、請求項10に記載のポリペプチド。
  12. 2番目のドメインは、2番目のFn3ドメインであり、そして2番目のFn3ドメインは、10番目のフィブロネクチンIII型ドメイン(10Fn3)である、請求項10または11に記載のポリペプチド。
  13. 2番目のドメインと結合するヒトタンパク質は、IGF−IR、EGFR、またはVEGFR2から選択される、請求項10〜12のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  14. 2番目の10Fn3ドメインは:
    (i)配列番号2〜231および236のいずれか1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド;ならびに
    (ii)配列番号2〜231および236のいずれか1つに少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチド
    から選択されるポリペプチドを含む、請求項12に記載のポリペプチド。
  15. Fn3ドメインおよび2番目のドメインは、少なくとも1つのジスルフィド結合、ペプチド結合、ポリペプチド、ポリマー糖、またはポリエチレングリコール部分を介して作動可能に連結される、請求項10〜14のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  16. 前記ポリペプチドは、トランスフォーミング増殖因子α(TGF−α)または上皮増殖因子(EGF)のEGFRへの結合を阻害し、そして細胞ベースアッセイのサブIC50濃度においてヒトEGFRを活性化しない、請求項10〜15のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  17. 前記ポリペプチドは、EGFRへの結合について抗EGFR抗体と競合する、請求項10〜16のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  18. 前記ポリペプチドは、10μM未満のIC50でEGFRのすべてのEGF刺激性ホスホチロシン活性化を阻害する、請求項10〜17のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  19. 前記ポリペプチドは、10μM未満のIC50でERKリン酸化を阻害する、請求項10〜18のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  20. 前記ポリペプチドは、10μM未満のIC50でAKTリン酸化を阻害する、請求項10〜19のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  21. 前記ポリペプチドは、脱免疫化されて、1つ以上のT細胞エピトープが除去される、請求項10〜20のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  22. 前記Fn3ドメインは下記工程a)〜d)を含む方法によって選択される、請求項1〜21のいずれか一項に記載のポリペプチド:a)それぞれ、ヒトFn3ドメインコード配列とは異なる候補の10番目のフィブロネクチンIII型(Fn3)ドメイン配列を含む候補RNA分子の集団を生成する工程であって、前記RNA分子は、それぞれ、翻訳開始配列、および前記候補Fn3ドメインコード配列に作動可能に連結された開始コドンを含み、そしてそれぞれ、3’末端において核酸−ピューロマイシンリンカーに作動可能に連結されている工程;b)前記候補Fn3ドメインコード配列をインビトロで翻訳して、候補RNA−Fn3融合物の集団を生成する工程;c)候補RNA−Fn3融合物の前記集団とEGFRとを接触させる工程;ならびにd)RNA−Fn3融合物、EGFRに対する前記ヒトFn3の結合親和性または特異性と比べて変更されたEGFRに対する結合親和性または特異性を有するそのタンパク質部分を選択する工程。
  23. 本質的にエンドトキシンを含まない、請求項1〜22のいずれか一項に記載のポリペプチドを含む、薬学的に許容できる組成物。
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