JP4369662B2 - 単量体ドメインのコンビナトリアルライブラリー - Google Patents
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Description
【0001】
他の出願の相互参照
本願は、以下の特許出願を参照することによって優先権の恩恵を主張し、かつ以下の特許出願は明白に本願に組み入れられる:2002年4月18日に出願された米国仮特許出願第60/374,107号(代理人整理番号18097A-034410US)、2001年4月26日に出願された米国仮特許出願第60/286,823号、2001年11月19日に出願された米国仮特許出願第60/337,209号、および2001年11月26日に出願された米国仮特許出願第60/333,359号。
【0002】
著作権についての通知
米国特許法施行規則第1.7条(e)に従って、本特許書類の一部は、著作権保護の対象となる要素を含む。著作権者は、特許商標庁の特許ファイルまたは記録に見られるような特許書類または特許の開示の、何人によるファクシミリ複製にも反対するものではいが、他の点ではすべての著作権は絶対に保持される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
タンパク質配列および三次元構造の解析は、多くのタンパク質が多数の個別の単量体ドメインから構成されることを示してきた。個別の単量体ドメインの大部分は細胞外タンパク質であるか、または膜結合タンパク質の細胞外部分を構成する。
【0004】
個別の単量体ドメインの重要な特性は、独立して、またはいくぶん限定された補助を伴って折り畳まれるその能力である。限定された補助には、シャペロニン(例えば、受容体結合タンパク質(RAP))の補助が含まれ得る。金属イオンの存在もまた、限定された補助を提供する。独立して折り畳まれる能力は、新規なタンパク質環境に挿入された場合に、そのドメインの誤った折り畳みを妨害する。この特性は、個別の単量体ドメインが進化的に移動性であることを可能にしてきた。結果として、個別のドメインは進化の過程で伝播し、かつ現在は関連性のない別のタンパク質に存在している。III型フィブロネクチンドメインおよび免疫グロブリン様ドメインを含むいくつかのドメインは、多数のタンパク質中に存在するが、他のドメインは限られた数のタンパク質においてのみ見い出される。
【0005】
これらのドメインを含むタンパク質は、種々のプロセス(例えば、発生および神経伝達に関与する、細胞輸送体、コレステロールの輸送、シグナル伝達、およびシグナル伝達機能)に関与している。Herz、Lipoprotein receptors: beacon to neurons?、(2001) Trends in Neurosciences 24 (4): 193-195;GoldsteinおよびBrown、The Cholesterol Quartet、(2001) Science 292: 1310-1312を参照されたい。個別の単量体ドメインの機能はしばしば特異的であるが、それはまた、タンパク質またはポリペプチドの全体の活性に寄与する。例えば、LDL受容体クラスAドメイン(クラスAモジュール、相補型反復、またはAドメインとも呼ばれる)は、ビタミンK依存性血液凝固タンパク質中に見い出されるγ-カルボキシグルマチン酸(Gla)ドメインがリン脂質膜への高親和性結合に関与する一方、リガンド結合に関与する。他の個別の単量体ドメインには、例えば、肝細胞への結合を媒介し、それによって循環からのこのフィブリン溶解性酵素の除去を調節する組織型プラスミノーゲン活性化因子中の上皮成長因子(EGF)様ドメイン、および受容体媒介エンドサイトーシスに関与するLDL受容体の細胞質側テールが挙げられる。
【0006】
個々のタンパク質は1つまたはそれ以上の個別の単量体ドメインを有し得る。これらのタンパク質は、しばしばモザイクタンパク質と呼ばれる。例えば、LDL受容体ファミリーのメンバーは、4つの主要な構造的ドメインを含む:システインリッチAドメイン反復、上皮成長因子前駆体様反復、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメイン。LDL受容体ファミリーは、1)細胞表面受容体であるメンバー;2)細胞外リガンドを認識するメンバー;および3)リソソームによる分解のためにそれらを内在化するメンバーを含む。Hussainら、The Mammalian Low-Density Lipoprotein Receptor Family、(1999) Annu. Rev. Nutr. 19:141-72を参照されたい。例えば、いくつかのメンバーには、超低密度リポタンパク質受容体(VLDL-R)、アポリポタンパク質E受容体2、LDLR関連タンパク質(LRP)、およびメガリンが含まれる。ファミリーのメンバーは以下の特徴を有する:1)細胞表面での発現;2)Aドメイン反復からなる細胞外リガンド結合;3)リガンド結合に対するカルシウムの要求性;4)受容体結合タンパク質およびアポリポタンパク質(apo)Eの認識;5)YWTD(配列番号:215)反復を含む上皮成長因子(EGF)前駆体相同性ドメイン;6)単一の膜貫通領域;ならびに7)種々のリガンドの受容体媒介エンドサイトーシス。Hussain、前記を参照されたい。さらに、これらのメンバーは、構造的に異なるいくつかのリガンドを結合する。
【0007】
これらの個別の単量体ドメインの所望の特性を生成および最適化するための方法を開発することは利点がある。しかし、個別の単量体ドメインは、しばしば、構造的に保存されているが、特定のアミノ酸(例えば、Aドメインのシステイン残基)を除いては、ヌクレオチドまたはアミノ酸レベルで保存されていない。従って、存在するヌクレオチド組換え方法は、これらの個別の単量体ドメインの所望の特性を生成および最適化することを満たしていない。
【0008】
本発明は、これらおよび他の問題に取り組むものである。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、標的分子に結合する多量体を同定するための方法を提供する。いくつかの態様において、本発明の方法は、単量体ドメインのライブラリーを提供する工程;標的分子への親和性について単量体ドメインのライブラリーをスクリーニングする工程;少なくとも1つの標的分子に結合する少なくとも1つの単量体ドメインを同定する工程;同定された単量体ドメインを連結して、多量体のライブラリーを形成する工程、標的分子に結合する能力について多量体のライブラリーをスクリーニングする工程;および標的分子に結合する多量体を同定する工程を包含する。
【0010】
適切な単量体ドメインには、25〜500アミノ酸、100〜150アミノ酸、または25〜50アミノ酸の長さである単量体ドメインが含まれる。
【0011】
いくつかの態様において、選択された多量体の各単量体ドメインは、同じ標的分子に結合する。いくつかの態様において、選択された多量体は少なくとも3つの単量体ドメインを含む。いくつかの態様において、選択された多量体は3〜10の単量体ドメインを含む。いくつかの態様において、少なくとも3つの単量体ドメインは、同じ標的分子に結合する。
【0012】
いくつかの態様において、本発明の方法は、単量体ドメイン単独の結合活性と比較して、同じ標的分子について、標的に対する結合活性の改善を有する多量体を同定する工程を包含する。いくつかの態様において、多量体の結合活性は、単量体ドメイン単独の結合活性の少なくとも2倍である。
【0013】
いくつかの態様において、単量体ドメインのライブラリーのスクリーニングおよび単量体ドメインの同定は同時に行われる。いくつかの態様において、多量体のライブラリーのスクリーニングおよび多量体の同定は同時に行われる。
【0014】
いくつかの態様において、ポリペプチドドメインは、EGF様ドメイン、クリングル(Kringle)ドメイン、I型フィブロネクチンドメイン、II型フィブロネクチンドメイン、III型フィブロネクチンドメイン、PANドメイン、Glaドメイン、SRCRドメイン、クニッツ(Kunitz)/ウシ膵臓トリプシンインヒビタードメイン、カザル(Kazal)型セリンプロテアーゼインヒビタードメイン、トレフォイル(Trefoil)(P型)ドメイン、C型フォンウィルブランド(von Willebrand)因子ドメイン、アナフィラトキシン様ドメイン、CUBドメイン、I型サイログロブリン反復、LDL受容体クラスAドメイン、スシ(Sushi)ドメイン、リンク(Link)ドメイン、I型トロンボスポンジンドメイン、免疫グロブリン様ドメイン、C型レクチンドメイン、MAMドメイン、A型フォンウィルブランド因子ドメイン、ソマトメジンBドメイン、WAP型4ジスルフィドコアドメイン、C型F5/8ドメイン、ヘモペキシンドメイン、SH2ドメイン、SH3ドメイン、ラミニン型EGF様ドメイン、およびC2ドメインからなる群より選択される。
【0015】
いくつかの態様において、本発明の方法は、少なくとも1つの単量体ドメインを変異させ、それによって変異した単量体ドメインを含有するライブラリーを提供する工程をさらに包含する。いくつかの態様において、この変異工程は、単量体ドメインをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの、複数のポリヌクレオチド断片を組換える工程を包含する。いくつかの態様において、この変異工程は方向付けられた進化を含む。いくつかの態様において、この変異工程は部位特異的変異誘発を含む。
【0016】
いくつかの態様において、本発明の方法は、第2の標的分子に対する親和性について単量体ドメインのライブラリーをスクリーニングする工程;第2の標的分子に結合する、単量体ドメインを同定する工程;第1の標的分子についての親和性を有する少なくとも1つの単量体ドメインを、第2の標的分子についての親和性を有する少なくとも1つの単量体ドメインと連結して、それによって多量体のライブラリーを形成する工程;第1の標的分子および第2の標的分子に結合する能力について多量体のライブラリーをスクリーニングする工程;ならびに、第1の標的分子および第2の標的分子に結合する多量体を同定し、それによって第1の標的分子および第2の標的分子を特異的に結合する多量体を同定する工程、をさらに包含する。
【0017】
本発明の特定の方法は、単量体ドメインの第2のライブラリーを提供する工程;少なくとも第2の標的分子に対する親和性について単量体ドメインの第2のライブラリーをスクリーニングする工程;第2の標的分子に結合する第2の単量体ドメインを同定する工程;第1の標的分子または第2の標的分子に結合する同定された単量体ドメインを連結し、それによって多量体のライブラリーを形成する工程;第1の標的分子および第2の標的分子に結合する能力について、多量体のライブラリーをスクリーニングする工程;ならびに、第1の標的分子および第2の標的分子に結合する多量体を同定する工程、
をさらに包含する。
【0018】
いくつかの態様において、標的分子は、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、酵素、細胞表面タンパク質、酵素阻害剤、レポーター分子、および受容体からなる群より選択される。いくつかの態様において、ウイルス抗原は、ウイルス複製に必要とされるポリペプチドである。いくつかの態様において、第1の標的分子および少なくとも第2の標的分子は、同じウイルス複製系の異なる成分である。いくつかの態様において、選択された多量体は同じウイルスの少なくとも2つの血清型に結合する。
【0019】
いくつかの態様において、多量体のライブラリーは、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、または細胞表面ディスプレイとして発現される。いくつかの態様において、多量体のライブラリーは、マイクロアレイ上に提示される。
【0020】
いくつかの態様において、単量体ドメインはポリペプチドリンカーによって連結される。いくつかの態様において、ポリペプチドリンカーは単量体ドメインと天然に結合しているリンカーである。いくつかの態様において、ポリペプチドリンカーは、単量体ドメインと天然に結合しているリンカーの改変体である。いくつかの態様において、連結工程は、単量体ドメインを異なる長さおよび組成の種々のリンカーと連結させることを含む
【0021】
いくつかの態様において、これらのドメインはジスルフィド結合の形成により二次構造を形成する。いくつかの態様において、多量体は、ポリペプチドリンカーによって単量体ドメインに連結されているAドメインを含む。いくつかの態様において、リンカーは1〜20アミノ酸である。いくつかの態様において、リンカーは5〜7アミノ酸で作製される。いくつかの態様において、リンカーは6アミノ酸の長さである。いくつかの態様において、リンカーは、以下の配列A1A2A3A4A5A6を含み、ここで、A1はアミノ酸A、P、T、Q、E、およびKから選択され;A2およびA3はC、F、Y、W、またはM以外の任意のアミノ酸であり;A4はアミノ酸S、G、およびRから選択され;A5はアミノ酸H、P、およびRから選択され;A5はアミノ酸Tである。いくつかの態様において、リンカーは、第1のAドメインのC末端システインと第2のAドメインのN末端システインとの間の天然に存在する配列を含む。
【0022】
いくつかの態様において、多量体は、ポリペプチドリンカーによって単量体ドメインに連結されたC2ドメインを含む。いくつかの態様において、各C2単量体ドメインは、少なくとも1つのアミノ酸残基の、ループ領域を構成する部分が、別のアミノ酸残基で置き換わっているという点;少なくとも1つのアミノ酸残基の、ループ領域を構成する部分が欠失しているという点、および/または少なくとも1つのアミノ酸残基が、少なくとも1つのループ領域に挿入されているという点で、対応する野生型C2単量体ドメインと異なる。いくつかの態様において、C2ドメインは、ループ領域1、ループ領域2、およびループ領域3を含み、ループ領域1、ループ領域2、およびループ領域3の外側のアミノ酸配列は、ポリペプチド多量体に存在するすべてのC2単量体ドメインについて同一である。これらのいくつかの態様において、リンカーは1〜20アミノ酸である。いくつかの態様において、リンカーは10〜12アミノ酸である。いくつかの態様において、リンカーは11アミノ酸である。
【0023】
本発明はまた、上記のように選択された多量体を含むポリペプチドを提供する。
【0024】
本発明はまた、上記のように選択された多量体をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0025】
本発明はまた、上記のように形成された多量体のライブラリーを提供する。
【0026】
本発明はまた、少なくとも1つの標的分子に結合する多量体を同定するための方法を提供し、この方法は、多量体のライブラリーを提供する工程、ここで各多量体は少なくとも2つの単量体ドメインを含み、各単量体ドメインは標的分子についての結合特異性を示す;および、標的分子結合多量体についての多量体のライブラリーをスクリーニングする工程を包含する。いくつかの態様において、この方法は、標的分子についての単一の単量体ドメインの結合活性よりも大きい、標的分子についての結合活性を有する標的分子結合多量体を同定する工程をさらに包含する。いくつかの態様において、1つまたはそれ以上の多量体は、第2の標的分子に特異的に結合する単量体ドメインを含む。
【0027】
本発明はまた、多量体のライブラリーを提供する。いくつかの態様において、各多量体は、リンカーによって連結された少なくとも2つの単量体ドメインを含み;各単量体ドメインは、標的分子についての結合特異性を示し;かつ、各単量体ドメインは天然には存在しない単量体ドメインである。
【0028】
いくつかの態様において、リンカーは少なくとも3アミノ酸残基を含む。いくつかの態様において、リンカーは少なくとも6アミノ酸残基を含む。いくつかの態様において、リンカーは少なくとも10アミノ酸残基を含む。
【0029】
本発明はまた、異種リンカー配列によって分離された少なくとも2つの単量体ドメインを含むポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、各単量体ドメインは標的分子に特異的に結合し;かつ、各単量体ドメインは、天然には存在しないタンパク質の単量体ドメインである。
【0030】
いくつかの態様において、ポリペプチドは、第1の標的分子を結合する第1の単量体ドメインおよび第2の標的分子を結合する第2の単量体ドメインを含む。いくつかの態様において、このポリペプチドは2つの単量体分子を含み、各単量体ドメインは同じ標的分子上の異なる部位について特異的な結合特異性を有する。いくつかの態様において、このポリペプチドは、第2の標的分子についての結合特異性を有する単量体ドメインをさらに含む。
【0031】
いくつかの態様において、ライブラリー、多量体、またはポリペプチドの単量体ドメインは少なくとも70%同一である。
【0032】
本発明はまた、上記に記載されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0033】
本発明はまた、標的分子についての結合特異性を有する免疫ドメインの多量体、ならびに、所望の標的分子に結合するためのこのような多量体のライブラリーを生成およびスクリーニングする方法を提供する。より詳細には、本発明は、標的分子に結合する多量体を同定するための方法を提供し、この方法は、免疫ドメインのライブラリーを提供する工程;第1の標的分子に対する親和性について免疫ドメインのライブラリーをスクリーニングする工程;少なくとも1つの標的分子に結合する1つまたはそれ以上(例えば、2つまたはそれ以上)の免疫ドメインを同定する工程;同定した単量体ドメインを連結して多量体のライブラリーを形成する工程、ここで各多量体は、少なくとも3つの免疫ドメイン(例えば、4つまたはそれ以上、5つまたはそれ以上、6つまたはそれ以上など)を含む;第1の標的分子に結合する能力について多量体のライブラリーをスクリーニングする工程;および第1の標的分子に結合する多量体を同定する工程、を包含する。ミニボディー、単ドメイン抗体、Fab、またはこれらの組み合わせである、少なくとも2つの免疫ドメインの多量体のライブラリーはまた、本発明の実施において使用される。このようなライブラリーは、本明細書中に記載された本発明の方法と共に、所望の標的分子に結合する多量体について容易にスクリーニングされ得る。
【0034】
本発明はさらに、標的分子に結合するヘテロ免疫多量体を同定するための方法を提供する。いくつかの態様において、この方法は、免疫ドメインのライブラリーを提供する工程;第1の標的分子に対する親和性について免疫ドメインのライブラリーをスクリーニングする工程;単量体ドメインのライブラリーを提供する工程;第1の標的分子に対する親和性について単量体ドメインのライブラリーをスクリーニングする工程;少なくとも1つの標的分子に結合する少なくとも1つの免疫ドメインを同定する工程;少なくとも1つの標的分子に結合する少なくとも1つの単量体ドメインを同定する工程;同定した免疫ドメインと同定した単量体ドメインを連結して多量体のライブラリーを形成する工程、ここで各多量体は、少なくとも2つのドメインを含む;第1の標的分子に結合する能力について多量体のライブラリーをスクリーニングする工程;および、第1の標的分子に結合する多量体を同定する工程、を包含する。
【0035】
定義
他に明示しない限りは、以下の定義が当技術分野におけるそれに代わって用いられる。
【0036】
「単量体ドメイン」または「単量体」という用語は、本明細書中で交換可能に用いられ、タンパク質またはポリペプチド中に見い出される個別の領域をいう。単量体ドメインは、隣接するネイティブなアミノ酸配列の非存在下で、溶液中でネイティブな三次元構造を形成する。本発明の単量体ドメインは、標的分子に特異的に結合する。例えば、標的分子に結合する三次元構造を形成するポリペプチドは単量体ドメインである。本明細書中で使用される場合、「単量体ドメイン」という用語は、抗体の相補性決定部位(CDR)を含まない。
【0037】
「単量体ドメイン改変体」という用語とは、単量体ドメイン配列の人為的操作から得られたドメインをいう。人為的操作した変化の例には、例えば、ランダム突然変異、部位特異的変異誘発、シャッフリング、方向付けられた進化などが挙げられる。「単量体ドメイン改変体」という用語は、突然変異した抗体の相補性決定部位(CDR)を含まない。
【0038】
本明細書中で使用される場合、「多量体」という用語とは、少なくとも2つの単量体ドメインおよび/または免疫ドメイン(例えば、少なくとも2つの単量体ドメイン、少なくとも2つの免疫ドメイン、または少なくとも1つの単量体ドメインおよび少なくとも1つの免疫ドメイン)を含むポリペプチドを表す。多量体中の分離した単量体ドメインおよび/または免疫ドメインはリンカーによって一緒に結合され得る。多量体は、コンビナトリアルモザイクタンパク質またはリコンビナントモザイクタンパク質としても知られている。
【0039】
「リガンド」という用語は、本明細書中では「標的分子」ともいい、単純な分子から複雑な標的までの範囲にわたる広範な種々の物質および分子を含む。標的分子は、タンパク質、核酸、脂質、炭水化物、またはポリペプチドドメインによる認識が可能な任意の他の分子であり得る。例えば、標的分子は、化学的化合物(すなわち、非生物学的化合物(例えば、有機分子、無機分子、または、ポリヌクレオチドおよびタンパク質を除く、有機原子と無機原子の両方を有する分子))、化学的化合物の混合物、空間的に局在化した化合物のアレイ、生物学的高分子、バクテリオファージペプチドディスプレイライブラリー、ポリソームペプチドディスプレイライブラリー、生物学的材料(例えば、細菌、植物、真菌、または動物(例えば、哺乳動物)の細胞または組織)から作製された抽出物、タンパク質、毒素、ペプチドホルモン、細胞、ウイルスなどを含み得る。他の標的分子には、例えば、細胞全体、組織全体、関連したタンパク質または関連していないタンパク質の混合物、ウイルス株または細菌株の混合物などが含まれる。標的分子はまた、本明細書中に記載されるアレイのスクリーニングにおいて含まれること、または特定のタンパク質相互作用を増強または阻害すること(すなわち、2つのあらかじめ定められたポリペプチド間の結合相互作用を選択的に阻害する因子)によって定義され得る。
【0040】
本明細書中で使用される場合、「免疫ドメイン」という用語とは、少なくとも1つの、抗体の相補性決定部位(CDR)を含むタンパク質結合ドメインをいう。免疫ドメインは、天然に存在する(すなわち、自然状態から単離された)免疫学的ドメインであり得るか、または人為的な操作(例えば、ランダム突然変異、部位特異的変異誘発などのような変異誘発方法を介して、ならびに方向付けられた進化の方法(例えば、再帰的なエラーの生じやすいPCR、再帰的な組換えなど)によって変更された、天然には存在しない免疫学的ドメインであり得る。本発明の実施における使用のために適切な異なる型の免疫ドメインには、ミニボディー、単一ドメイン抗体、単鎖可変断片(ScFv)、およびFab断片が含まれる。
【0041】
本明細書中で、「ミニボディー」という用語とは、天然に存在するかまたは天然には存在しない(例えば、変異誘発を受けた)、重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメイン、またはそれらの組み合わせの、2つのみの相補性決定部位(CDR)をコードするポリペプチドをいう。ミニボディーの例は、Pessiら、A designed metal-binding protein with a novel fold、(1993) Nature 362: 367-369に記載されている。ミニボディーの多量体は、図11Aに図示されている。円はミニボディーを示し、実線は免疫ドメインを互いに連結させるリンカー部分を示す。
【0042】
本明細書中で使用される場合、「単ドメイン抗体」という用語とは、抗体の重鎖可変ドメイン(「VH」)、すなわち、軽鎖可変ドメインを有しない重鎖可変ドメインをいう。本発明の実施において使用される例示的な単ドメイン抗体には、例えば、Hamers-Casterman, Cら、Naturally occurring antibodies devoid of light chains (1993) Nature 363: 446-448、および、Dumoulinら、Single-domain antibody fragments with high conformational stability (2002) Protein Science 11: 500-515に記載されているような、カメリド(camelid)重鎖可変ドメイン(約118〜136アミノ酸残基)が挙げられる。単ドメイン抗体の多量体は、図11Bに示されている。楕円は単ドメイン抗体を示し、実線は単ドメイン抗体を互いに連結させるリンカー部分を示す。
【0043】
「単鎖可変断片」または「ScFv」という用語は本明細書中で交換可能に使用され、少なくとも12アミノ酸残基を有するペプチドリンカーによって連結された抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメインをいう。本発明の実施における使用のために意図される単鎖可変断片には、Birdら、Single-chain antigen-binding proteins (1988) Science 242 (4877): 423-426およびHustonら、Protein engineering of antibody binding site: recovery of specific activity in an anti-digoxin single-chain Fv analogue produced in Escherichia coli (1988) Proc Natl Acad Sci USA 85 (16): 5879-83において記載されるものが含まれる。単鎖可変断片の多量体は、図11Cに図示されている。点線は、重鎖および軽鎖の可変ドメインを互いに連結しているペプチドリンカーを表す。実線は重鎖可変ドメインを互いに連結しているリンカー部分を示す。
【0044】
本明細書中で使用される場合、「Fab断片」という用語とは、2つのタンパク質鎖を有する免疫ドメインをいい、ここでその1つは、2つの軽鎖ドメイン(VL可変ドメインおよびCL定常ドメイン)からなる軽鎖であり、2つの重鎖ドメイン(すなわち、VH可変ドメインおよびCH定常ドメイン)からなる重鎖である。本発明の実施において使用されるFab断片には、各重鎖および軽鎖成分のC末端に鎖間のジスルフィド結合を有するもの、ならびにそのようなC末端ジスルフィド結合を有しないものが含まれる。各断片は約47kDである。Fab断片は、PluckthunおよびSkerra、Expression of functional antibody Fv and Fab fragments in Escherichia col (1989) Methods Enzymol 178: 497-515によって記載されている。Fab断片の多量体は、図11Dに示されている。白い楕円はFab断片の重鎖成分を表し、塗りつぶした楕円はFabの軽鎖成分を表す。
【0045】
「リンカー」という用語は、本明細書中で使用され、2つまたはそれ以上の個別の分離した単量体ドメインを連結または接続する部分または部分の群を示す。リンカーは、多量体に一緒に連結された場合に、個別の分離した単量体ドメインが分離したままになることを可能にする。リンカー部分は、典型的には、実質的に線状部分である。適切なリンカーには、ポリペプチド、ポリ核酸、ペプチド核酸などが含まれる。適切なリンカーはまた、炭素骨格中に組み込まれた1つまたはそれ以上の酸素原子を有する、選択的に置換されたアルキレン部分を含む。代表的には、リンカーの分子量は、約2000ダルトン未満である。より代表的には、リンカーの分子量は約1500ダルトン未満であり、通常約1000ダルトン未満である。リンカーは、個別の分離した単量体ドメインを協働させること(例えば、多量体中の個別の分離した単量体ドメインの各々が分離した結合部位を介して同じ標的分子に結合する場合)を可能にするに十分に小さくあり得る。例示的なリンカーには、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはアミノ酸のポリペプチド、または他の天然には存在しない部分が含まれる。リンカーは、ネイティブな配列、その改変体、または合成配列の一部であり得る。リンカーは、例えば、天然に存在するアミノ酸、天然には存在しないアミノ酸、または両方の組み合わせを含み得る。
【0046】
「分離した」という用語は、本明細書中で使用され、他の部分(例えば、他の単量体ドメインを含む)と複合体化した場合でさえ、独立しかつ独立した状態で残っている部分の特性をいう。単量体ドメインは、タンパク質中で分離したドメインである。なぜなら、単量体ドメインは、認識され得、かつタンパク質から分離され得る独立した特性を有するからである。例えば、LDLR中のAドメインのリガンド結合能力は、独立した特性である。他の分離の例には、リンカーによって多量体中に複合体化または一緒に結合された場合でさえ、分離した独立したドメインを残している、多量体中の分離した単量体ドメインが含まれる。分離した特性の別の例は、多量体中のリガンドに対する分離した結合部位である。
【0047】
本明細書中で使用される場合、「方向付けられた進化」とは、ポリヌクレオチド改変体が、それによって、再帰性のプロセス中で活性(例えば、結合活性を有するポリペプチド)について生成、発現、およびスクリーニングされる、プロセスをいう。スクリーニング中での1つまたはそれ以上の候補が選択され、次いで、選択された候補をコードするポリヌクレオチドを使用してこのプロセスが反復されて、新規な改変体が生成する。方向付けられた進化は、変種生成の少なくとも2ラウンドを含み、3、4、5、10、20、またはそれ以上の変種生成および選択のラウンドを含み得る。変種は、当業者に公知の任意の方法によって生成され得、これには例えば、エラーの生じやすいPCR、遺伝子シャッフリング、化学的変位誘発などが含まれる。
【0048】
「シャッフリング」という用語は、本明細書中で使用され、同一でない配列間の組換えを示す。いくつかの態様において、シャッフリングは、相同組換えを介するかまたは非相同組換えを介する(例えば、cre/lox系および/またはflp/frt系を介する)組換えを含み得る。シャッフリングは、種々の異なった形式(例えば、インビトロおよびインビボシャッフリング形式、インシリコシャッフリング形式、二本鎖または一本鎖鋳型のいずれかを使用するシャッフリング形式、プライマーに基づくシャッフリング形式、核酸断片化に基づくシャッフリング形式、ならびにオリゴヌクレオチド媒介シャッフリング形式(これらのすべては同一でない配列間の組換え現象に基づき、かつ本明細書中以下でより詳細に記載されるかまたは引用される)、ならびに他の同様な組換えに基づく形式)を使用することによって実行され得る。
【0049】
本明細書中で使用される場合、「ランダム」という用語とは、2つまたはそれ以上のアミノ酸から構成され、かつ確率的なまたはランダムなプロセスによって構築されたポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列をいう。ランダムなポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列には、インバリアント鎖を含み得る、枠組みまたは骨格モチーフが含まれ得る。
【0050】
本明細書中で使用される場合、「擬似ランダム」という用語とは、限られた可変性を有し、その結果、任意の位置における残基の可変性の程度が限定されているが、任意の擬似ランダム部位は少なくともある程度の残基の可変性を許容している、一組の配列、ポリヌクレオチド、またはポリペプチドをいう。
【0051】
「ポリペプチド」「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、2つまたはそれ以上のアミノ酸のアミノ酸配列をいうために交換可能に本明細書中で使用される。
【0052】
「保存性アミノ酸置換」とは、類似の側鎖を有する残基の交換可能性をいう。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンであり;脂肪族水酸基側鎖を有するアミノ酸の群は、セリンおよびスレオニンであり;アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギンおよびグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンであり;塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リジン、アルギニン、およびヒスチジンであり;かつ硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システインおよびメチオニンである。好ましい保存性アミノ酸置換群は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、およびアスパラギン-グルタミンである。
【0053】
「核酸配列」という句は、5'末端から3'末端に読まれる、一本鎖または二本鎖の、デオキシリボヌクレオチド塩基またはリボヌクレオチド塩基のポリマーをいう。これは、一次的な構造的役割を果たす、染色体DNA、自己複製プラスミド、およびDNAまたはRNAを含む。
【0054】
「コードする」という用語とは、1つまたはそれ以上のアミノ酸をコードするポリヌクレオチド配列をいう。この用語は開始コドンまたは終止コドンを必要としない。アミノ酸配列は、ポリヌクレオチド配列によって提供される6つの異なる読み枠のいずれか1つでコードされ得る。
【0055】
「プロモーター」という用語とは、RNAポリメラーゼおよび転写を開始する他のタンパク質の認識および結合に関与する、転写の開始から上流および/または下流に位置する領域または配列をいう。
【0056】
「ベクター」とは、宿主の染色体とは独立している場合に、宿主生物中で複製が可能なポリヌクレオチドをいう。ベクターの例には、プラスミドが含まれる。ベクターは、代表的には、複製起点を有する。ベクターは、例えば、転写および翻訳のターミネーター、転写および翻訳の開始配列、および特定の核酸の発現の調節に有用なプロモーターを含み得る。
【0057】
「組換え」という用語は、例えば、細胞、または核酸、タンパク質、またはベクターに関連して使用される場合には、細胞、核酸、タンパク質、またはベクターが、異種核酸もしくはタンパク質の導入、またはネイティブな核酸もしくはタンパク質の改変によって修飾されたことを示すか、または細胞がそのように修飾された細胞に由来することを示す。従って、例えば、組換え細胞は、ネイティブな(組換えでない)細胞の形態において見い出されない遺伝子を発現するか、またはさもなければ異常に発現したか、発現が減少している、または全く発現していない、ネイティブな遺伝子を発現する。
【0058】
ポリペプチドに「特異的に(または選択的に)結合する」という句は、単量体または多量体に対していう場合、不均一なタンパク質および他の生物製剤の集合中に、ポリペプチドが存在することの決定要因であり得る、結合反応をいう。従って、抗体結合アッセイ法において使用される標準条件およびアッセイ法の下で、特定の単量体または多量体は、バックグラウンドよりも多くの(例えば、バックグラウンドよりも2倍、5倍、10倍またはそれ以上)の特定の標的因子に結合し、かつ試料中に存在する他の分子に、有意な量では結合しない。
【0059】
2つまたはその以上の核酸またはポリペプチドの配列という文脈において、「同一な」または「同一性」パーセントという用語は、同一である2つまたはそれ以上の配列またはサブ配列をいう。「実質的に同一」とは、比較ウィンドウに対して、または、以下の配列比較アルゴニズムの1つを使用して、もしくは手作業でのアライメントおよび目視の検査によって測定されるような指定された領域比較されかつ最大の一致のために整列された場合に、同一であるアミノ酸残基またはポリヌクレオチドの特定のパーセント(すなわち、特定の領域にわたって、または特定されていない場合には、全体の配列にわたって、60%同一、選択的に、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一)を有する同一である2つまたはそれ以上の核酸またはポリペプチドをいう。選択的に、同一性または実質的な同一性は、少なくとも50ヌクレオチド長である領域にわたって、またはより好ましくは、100〜500個、または1000個またはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸の長さである領域にわたって存在する。
【0060】
多量体に関連して使用される場合、「異種リンカー」という用語とは、自然状態では互いに同じ関連性が見いだされないリンカーおよび単量体を含む多量体を示す(例えば、それらは融合タンパク質を形成する)。
【0061】
発明の詳細な説明
本発明は、個別の単量体ドメインおよび/または免疫ドメインの特性を選択および最適化して多量体を作製するための強化したアプローチを提供する。特に、本開示は、所望のリガンドまたはリガンドの混合物に結合する個別の単量体ドメインおよび/または免疫ドメインを同定する、およびリンカーを介して連結する、2つまたはそれ以上の単量体ドメインおよび/または免疫ドメインを含む多量体(コンビナトリアルモザイクタンパク質またはリコンビナントモザイクタンパク質としても知られる)を作製するための、方法、組成物、およびキットを記載する。多量体は、個別の単量体ドメインと比較して、リガンドまたはリガンドの混合物について、改善された結合活性もしくは親和性または変化した特異性のような、改善された表現型を有する多量体を同定するためにスクリーニングされ得る。
【0062】
1.個別の単量体ドメイン
単量体ドメインは、任意のサイズのポリペプチド鎖であり得る。いくつかの態様において、単量体ドメインは、約25〜約500、約39〜約200、約30〜約100、約90〜約200、約30〜約250、約30〜約60、約90〜約150、約100〜約150、約25〜約50、または約30〜約150のアミノ酸を有する。同様に、本発明の単量体ドメインは、例えば、約30〜約200アミノ酸;約25〜約180アミノ酸;約40〜約150アミノ酸;約50〜約130アミノ酸;または約75〜約125アミノ酸を含み得る。単量体ドメインおよび免疫ドメインは、代表的には、溶液中で安定な高次構造を維持し得る。時折、単量体ドメインおよび免疫ドメインは、独立して安定な高次構造に折り畳まれ得る。1つの態様において、安定な高次構造は、金属イオンによって安定化される。安定な高次構造は、選択的にジスルフィド結合(例えば、少なくとも1個、2個、または3個またはそれ以上のジスルフィド結合)を含み得る。ジスルフィド結合は、選択的に、2つのシステイン残基間で形成され得る。いくつかの態様において、単量体ドメインまたは単量体ドメインの改変体は、例示された配列(例えば、A、C2)または本明細書中に引用された配列と実質的に同一である。
【0063】
単量体ドメインおよびモザイクタンパク質を記載する刊行物ならびにその中に引用される参照文献には、以下のものが含まれる:Hegri,HおよびBork,P、On the classification and evolution of protein modules、(1997) J. Protein Chem.、16(5):545-551; Baronら、Protein modules (1991) Trends Biochem. Sci.、16(1):13-7; Pontingら、Evolution of domain families、(2000)、Adv. Protein Chem.、54:185-244; Doolittle、The multiplicity of domains in proteins、(1995) Annu. Rev. Biochem 64:287-314; DoolittleおよびBork、Evolutionarity mobile modules in proteins (1993) Scientific American、269 (4):50-6; およびBork、Shuffled domains in extracellular proteins (1991)、FEBS letters 286(1-2);47-54。本発明の単量体ドメインはまた、PfamデータベースおよびSMARTデータベースにおいて見い出されるドメインを含む。Shultzら、SMART:a web-based tool for the study of genetically mobile domains、(2000) Nucleic Acid Res. 28(1):231-34を参照されたい。
【0064】
本発明の実施における使用に特に適切な単量体ドメインは、(1)βサンドイッチドメイン;(2)βバレルドメイン;または(3)ジスルフィド結合を含むシステインリッチドメインである。本発明の実施において使用されるシステインリッチドメインは、代表的には、αヘリックス、βシート、またはβバレル構造を形成しない。代表的には、ジスルフィド結合は、ドメインが三次元構造に折り畳まれることを促進する。通常、システインリッチドメインは、少なくとも2つのジスルフィド結合、より代表的には、少なくとも3つのジスルフィド結合を有する。
【0065】
ドメインは、多くの特徴を有し得る。例えば、いくつかの態様において、ドメインは、動物(例えば、ヒト)において、低い免疫原性を有するか、または免疫原性を有しない。ドメインは小さなサイズを有し得る。いくつかの態様において、ドメインは、皮膚または他の組織に浸透するのに十分に小さい。ドメインは、一定の範囲のインビボでの半減期または安定性を有し得る。
【0066】
本発明の実施における使用のために適切な例示的な単量体ドメインには、例えば、EGF様ドメイン、クリングルドメイン、I型フィブロネクチンドメイン、II型フィブロネクチンドメイン、III型フィブロネクチンドメイン、PANドメイン、Glaドメイン、SRCRドメイン、クニッツ/ウシ膵臓トリプシンインヒビタードメイン、カザル型セリンプロテアーゼインヒビタードメイン、トレフォイル(P型)ドメイン、C型フォンウィルブランド因子ドメイン、アナフィラトキシン様ドメイン、CUBドメイン、I型サイログロブリン反復、LDL受容体クラスAドメイン、スシドメイン、リンクドメイン、I型トロンボスポンジンドメイン、免疫グロブリン様ドメイン、C型レクチンドメイン、MAMドメイン、A型フォンウィルブランド因子ドメイン、ソマトメジンBドメイン、WAP型4ジスルフィドコアドメイン、C型F5/8ドメイン、ヘモペキシンドメイン、SH2ドメイン、SH3ドメイン、ラミニン型EGF様ドメイン、C2ドメイン、および当業者に公知の他のこのようなドメイン、ならびにこれらの誘導体および/または改変体が挙げられる。例えば、図1は、LDL受容体ファミリー中の分子において見い出される様々な種類の単量体ドメインを概略的に図示する。
【0067】
いくつかの態様において、適切な単量体ドメイン(例えば、独立してまたはある程度の限られた補助で折り畳まれる能力を有するドメイン)が、Simple Modular Architecture Research Tool (SMART)(Shultzら、SMART: a web-based tool for the study of genetically mobile domains、(2000) Nucleic Acid Res. 28(1):231-234を参照されたい)またはCATH(Pearlら、Assigning genomic sequences to CATH、(2000) Nucleic Acids Research 28(1):277-282を参照されたい)のようなコンピュータ配列解析ツールによって規定されるようなβサンドイッチまたはβバレル三次元構造を含むタンパク質ドメインのファミリーから選択され得る。
【0068】
別の態様において、本発明の単量体ドメインは、III型フィブロネクチンドメイン、アンチカリンドメイン、およびCTLA-4由来のIg様ドメイン以外のドメインを含む。これらのドメインのいくつかの局面は、2001年9月7日に刊行された、Lipovsekらによる「Protein scaffolds for antibody mimics and other binding proteins」という標題の国際公開公報第01/64942号、1999年4月8日に刊行された、Besteらによる「Anticlins」という標題の国際公開公報第99/16873号および2000年10月12日に公開された、Desmetらによる「A polypeptide structure for use as a scaffold」という標題の国際公開公報第00/60070号に記載されている。
【0069】
上記に記載のように、単量体ドメインは選択的にシステインリッチである。適切なシステインリッチ単量体ドメインは、例えば、LDL受容体クラスAドメイン(Aドメイン)またはEGF様ドメインを含む。単量体ドメインはまた、負に荷電した残基のクラスターを有し得る。選択的に、単量体ドメインは、反復配列(例えば、βプロペラドメインにおいて見い出されるようなYWTD(配列番号:215))を含む。
【0070】
単量体ドメインの他の特徴には、リガンドを結合する能力(例えば、LDL受容体クラスAドメイン、またはCUBドメイン(補体C1r/C1s、Uegf、および骨形成タンパク質-1ドメイン)における場合)、エンドサイトーシスまたは内部移行に関与する能力(例えば、LDL受容体の細胞質側テールまたはMegalinの細胞質側テールにおける場合)、イオンを結合する能力(例えば、LDL受容体AドメインによるCa2 +結合)、および/または細胞接着に関与する能力(例えば、EGF様ドメインにおける場合)が含まれる。
【0071】
単量体ドメインの特徴には、独立して折り畳まれる能力および安定な構造を形成する能力が含まれる。従って、単量体ドメインの構造は、しばしば保存されているが、単量体をコードするポリヌクレオチド配列は保存される必要はない。例えば、Aドメイン構造は、Aドメインファミリーのメンバー間で保存されているが、Aドメインの核酸配列は保存されていない。従って、例えば、単量体ドメインは、そのシステイン残基およびそのカルシウムに対する親和性によってAドメインとして分類されるが、その核酸配列によっては必ずしも分類されない。図2を参照されたい。
【0072】
詳細には、Aドメイン(時折、「相補型反復」と呼ばれる)は、約30〜50アミノ酸を含む。いくつかの態様において、このドメインは約35〜45アミノ酸を含み、いくつかの場合には約40アミノ酸を含む。30〜50アミノ酸中には、約6つのシステイン残基が存在する。これら6つのシステインでは、ジスルフィド結合は、代表的には、以下のシステイン間で見い出される:C1およびC3、C2およびC5、ならびに、C4およびC6。Aドメインは、リガンド結合部分を構成する。このドメインのシステイン残基は、ジスルフィド結合によって連結され、コンパクトで、安定な、機能的に独立した部分を形成する。図3を参照されたい。これらの反復のクラスターは、リガンド結合ドメインを形成し、差次的なクラスター形成は、リガンド形成に関連する特異性に影響を与え得る。
【0073】
例示的なAドメイン配列および共通配列は、図2、3、および8に示される。図9は、引き続くシステイン間の間隔を有するAドメインにおける残基の位置および存在を示す。さらに、図10は、多数のAドメインを示し、保存性アミノ酸のリストを提供する。Aドメインを同定するために有用な1つの代表的な共通配列は以下である:
ここで角括弧[]内の残基は、1つの位置で可能な残基を示す。「X(#)」は残基の数を示す。これらの残基は、任意のアミノ酸残基であり得る。2つの数字を含む丸括弧()は、その位置を占め得るアミノ酸の範囲をいう(例えば、「[DE]-X( 1 , 5 )―C」は、アミノ酸DEの後に1個、2個、3個、4個、または5個の残基が続き、その後にCが続くことを意味する)。この共通配列は、第3のシステインで開始するAドメインの部分のみを表す。第2の一致は以下である:
第2の一致は、6つすべてのシステイン残基にわたるアミノ酸残基を示す。いくつかの態様において、Aドメイン改変体は、上記の配列のいずれかと実質的に同一な配列を含む。
【0074】
今日まで、少なくとも190個のヒトAドメインが、cDNA配列に基づいて同定されている。例えば、図10を参照されたい。Aドメインを含む例示的なタンパク質には、例えば、補体成分(例えば、C6、C7、C8、C9、およびI因子)、セリンプロテアーゼ(例えば、エンテロペプチダーゼ、マトリプターゼ、およびコリン)、膜貫通タンパク質(例えば、ST7、LRP3、LRP5、およびLRP6)、およびエンドサイトーシス受容体(例えば、サルチリン(Sortilin)関連受容体、LDL受容体、VLDLR、LRP1、LRP2、およびApoER2)が含まれる。AドメインおよびAドメイン改変体は、単量体ドメインおよびその改変体として、本発明の実施において容易に使用され得る。Aドメインのさらなる記載は、以下の刊行物およびそこで引用される参照文献において見出され得る:HowellおよびHertz、The LDL receptor gene family: signaling functions during development、(2001) Current Opinion in Neurobiology 11: 74-81; Hertz (2001)、前記;Krieger、The "best" of cholesterols、the "worst" of cholesterols: A tale of two receptors、(1998) PNAS 95: 4077-4080;GoldsteinおよびBrown、The Cholesterol Quartet、(2001) Science、292: 1310-1312;ならびに、MoestrupおよびVerroust、Megalin-and Cubiin-Mediated Endocytosis of Protein-Bound Vitamins, Lipids, and Hormones in Polarized Epithelia、(2001) Ann. Rev. Nutr. 21: 407-28。
【0075】
本発明の実施における使用のために適切な別の例示的な単量体ドメインはC2ドメインである。C2単量体ドメインは、2つ、4つの鎖のβシートからなるコンパクトなβサンドイッチを含むポリペプチドである。ここで、このドメインの「トップ」のループおよびこのドメインの「ボトム」のループは、8つのβ鎖を連結している。C2単量体ドメインは2つのサブクラス、すなわち、トポロジーI(シナプトタグミン様トポロジー)、およびトポロジーII(サイトゾルホスホリパーゼA2様トポロジー)を、それぞれ有するC2単量体ドメインに分けられ得る。トポロジーIを有するC2単量体ドメインは、分子の「トップ」に3つのループ(それらのすべてがCa2 +結合ループである)を含むが、トポロジーIIを有するC2単量体ドメインは、分子の「トップ」に4つのループ(それらの内で3つのみがCa2 +結合ループである)を含む。C2単量体ドメインの構造は、RizoおよびSudhof、J.Biol.Chem.273; 15879-15882 (1998)ならびにCho、J.Biol.Chem.276; 32407-32410 (2001)によって概説されている。「ループ領域1」、「ループ領域2」、および「ループ領域3」という用語とは、分子の「トップ」に位置するCa2 +結合ループ領域をいう。この命名法(これは、分子の「トップ」に位置する3つのCa2 +結合ループをCa2 +結合ループでないループ(主として分子の「ボトム」に位置する)と区別するために使用される)は、広範に使用され、文献中で認知されている。RizoおよびSudhof、J.Biol.Chem. 273; 15879-15882 (1998) を参照されたい。ループ領域1、2、および3は標的結合領域を示し、従って、結合特異性および親和性を調節するために変化させ得る。C2ドメインの残りの部分は、所望の場合、変更することなしに維持され得る。いくつかの例示的なC2ドメインは以下の配列(配列番号:218)と実質的に同一である:
残基1〜16、29〜48、54〜77、および86〜123はループ領域1、2、および3の外側に局在する位置を、残基17〜28、49〜53、および78〜85はループ領域1、2、および3を、それぞれ構成する。
【0076】
単量体ドメインの他の例は、EGF型反復およびCUBドメインを含むタンパク質キャビリン(Cubilin)において見出され得る。CUBドメインはリガンド結合に関与する(例えば、いくつかのリガンドには、内因子(IF)-ビタミンB12、受容体結合タンパク質(RAP)、Apo A-I、トランスフェリン、アルブミン、Ig軽鎖、およびカルシウムが含まれる)。MoestrupおよびVerroust、前記を参照されたい。
【0077】
メガリンもまた、複数の単量体ドメインを含む。詳細には、メガリンは、LDL受容体型Aドメイン、EGF型反復、膜貫通セグメント、および細胞質テールを有する。メガリンは、多様なリガンドのセット(例えば、ApoB、ApoE、ApoJ、クラスタリン、ApopH/β2-グリコプロテインI、PTH、トランスサイレチン、サイログロブリン、インスリン、アミノグリコシド、ポリミキシンB、アプロチニン、トリコサンチン、PAI-1、PAI-1-ウロキナーゼ、PAI-1-tPA、プロ-ウロキナーゼ、リポタンパク質リパーゼ、α-アミラーゼ、アルブミン、RAP、Ig軽鎖、カルシウム、C1q、ラクトフェリン、β2-ミクログロブリン、EGF、プロラクチン、リゾチーム、シトクロムc、PAP-1、臭気物質結合タンパク質、精嚢分泌タンパク質II)を結合する。MoestrupおよびVerroust、前記を参照されたい。
【0078】
いくつかの例示的な単量体ドメインの記載は以下の刊行物およびそこに引用される参照文献中に見出され得る:
【0079】
VLDLRタンパク質、ApoER2タンパク質、およびLRP1タンパク質ならびにそれらの単量体ドメインを記載する他の刊行物には、以下の刊行物およびそこに引用される参照文献中が含まれる:
【0080】
単量体ドメインに関連する他の参照文献には、以下の刊行物およびそこに引用される参照文献も含まれる:
【0081】
単量体ドメインをコードするポリヌクレオチド(核酸ともいう)は、代表的には、発現を通して単量体ドメインを作製するために使用される。単量体ドメインをコードする核酸は、種々の異なる供給源に由来し得る。単量体ドメインのライブラリーは、天然に存在する単量体ドメイン、変化させた単量体ドメイン(すなわち、単量体ドメイン改変体)、またはそれらの組み合わせをコードする複数の異なる核酸を発現することによって調製され得る。
【0082】
本発明は、選択されたリガンドもしくは所望のリガンド、またはリガンドの混合物に結合する単量体ドメインを同定するための方法を提供する。いくつかの態様において、単量体ドメインおよび/または免疫ドメインは、所望の特性(例えば、結合親和性)について同定または選択され、次いで、単量体ドメインおよび/または免疫ドメインは、多量体を形成する。例えば、図5を参照されたい。これらの態様のために、所望の特性(例えば、特定の結合特性)を有するドメインの選択を生じる任意の方法が使用され得る。例えば、本発明の方法は、異なる複数の核酸を提供する工程(ここで各核酸は、単量体ドメインをコードする);この異なる複数の核酸を翻訳し、それによって異なる複数の単量体ドメインを提供する工程;所望のリガンドまたはリガンドの混合物の結合について、異なる複数の単量体ドメインをスクリーニングする工程;および、所望のリガンドまたはリガンドの混合物を結合する異なる複数の単量体ドメインのメンバーを同定する工程、を包含し得る。
【0083】
上記に述べたように、単量体ドメインは、天然に存在するものであるか、または変化させたもの(非天然の改変体)であり得る。「天然に存在する」という用語は、対象のものが天然に見出され得ることを示すために本明細書中で使用される。例えば、天然の単量体ドメインは、ヒト単量体ドメイン、または選択的に、異なる種または供給源(例えば、哺乳類、霊長類、齧歯類、魚類、鳥類、爬虫類、植物など)由来のドメインを含み得る。天然に存在する単量体ドメインは、多くの方法(例えば、ゲノムDNAまたはcDNAのPCR増幅による方法)によって入手し得る。
【0084】
本発明の単量体ドメインは、天然に存在するドメインまたは天然には存在しない改変体であり得る。本発明の実施において使用される単量体ドメインのライブラリーは、天然に存在する単量体ドメイン、天然には存在しない単量体ドメイン改変体、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0085】
単量体ドメイン改変体は、先祖ドメイン、キメラドメイン、ランダムドメイン、変異ドメインなどを含み得る。例えば、先祖ドメインは、系統発生的解析に基づき得る。キメラドメインは、1つまたはそれ以上の領域が、同じファミリーの他のドメイン由来の対応する領域によって置き換えられる。ランダムドメインは、1つまたはそれ以上の領域がランダム化されているドメインである。ランダム化は、全体的なランダム化に基づき得るか、または選択的に、自然分布に基づく部分的なランダム化に基づき得る。
【0086】
天然には存在しない単量体ドメインまたは変化させた単量体ドメインは、多くの方法によって作製され得る。変異誘発の任意の方法(例えば、部位特異的変異誘発およびランダム変異誘発(例えば、化学的変異誘発))が、改変体を作製するために使用され得る。いくつかの態様において、エラーの生じやすいPCRが、改変体を作製するために使用され得る。さらなる方法には、天然に存在する複数の単量体ドメイン中の保存性アミノ酸を整列させることによって天然に存在する複数の単量体ドメインを整列させる工程;ならびに、保存性アミノ酸を維持すること、および保存性アミノ酸周辺にアミノ酸を挿入、欠失、または変更させることによって、天然には存在しない単量体ドメインを設計して、天然には存在しない単量体ドメインを生成する工程が含まれる。1つの態様において、保存性アミノ酸残基にはシステインが含まれる。別の態様において、挿入工程はランダムアミノ酸を使用するか、または選択的に、挿入工程は、天然に存在する単量体ドメインの部分を使用する。アミノ酸は、合成的に挿入され得るか、または核酸によってコードされ得る。
【0087】
天然に存在する単量体ドメインおよび/または免疫ドメインの断片をコードする核酸はまた、混合および/または組み換えされ得(例えば、化学的または酵素的に産生された断片を使用することによって)、全長の、修飾単量体ドメインおよび/または免疫ドメインを生成する。この断片および単量体ドメインはまた、そのドメインまたは断片をコードする核酸を操作することによって組み換えられ得る。例えば、単量体ドメインの断片をコードする核酸構築物を連結する工程は、変化させた単量体ドメインを生成するために使用され得る。
【0088】
変化させた単量体ドメインはまた、ペプチド配列の、保存性配列、ランダム配列、擬似ランダム配列、または定義された配列をコードする合成オリゴヌクレオチドのコレクション(例えば、重複するオリゴヌクレオチド)を提供することによって生成され得る。これらの配列は、次いで、単量体ドメインをコードするポリヌクレオチド中の所定の位置への連結によって挿入される。同様に、1つまたはそれ以上の単量体ドメインの配列の多様性は、部位特異的変位誘発、ランダム変異、擬似ランダム変異、定められたカーネル(kernal)変異、コドンに基づく変異などで単量体ドメインを変異させることによって拡張され得る。得られる核酸分子は、クローニングおよび増幅のために、宿主中で増殖され得る。いくつかの態様において、核酸はシャッフリングされる。
【0089】
本発明はまた、単量体ドメインをコードする複数の核酸を組み換える、および所望のリガンドまたはリガンドの混合物などを結合する単量体ドメインについて得られたライブラリーをスクリーニングするための方法を提供する。選択された単量体ドメイン核酸はまた、ニュートラルな配列(すなわち、結合に対して実質的な機能的効果を有しない配列)をコードするポリヌクレオチド配列とシャッフリングすることによって戻し交配され(例えば、選択された配列と実質的に同一の野生型または天然に存在する配列と戻し交配することによって)、ネイティブ様の機能的単量体ドメインを作製することができる。一般的に、戻し交配の間に、引き続く選択が、特性(例えば、リガンドに対する結合)を保持するために適用される。
【0090】
いくつかの態様において、単量体ライブラリーは、シャッフリングによって調製される。このような場合、単量体ドメインは、単離およびシャッフリングされて、単量体ドメインをコードする核酸配列をコンビナトリアル的に組み換える(組換えは、単量体ドメイン間もしくは単量体ドメイン内、またはその両方で起こり得る)。第1の工程は、所望の特性(例えば、特定のリガンドについての親和性)を有する単量体ドメインを同定することを含む。組換えの間に保存性アミノ酸を維持する一方、単量体ドメインをコードする核酸配列は、組み換えられ得るか、または組み換えられかつ多量体に連結され得る。
【0091】
ドメインのライブラリーからの単量体ドメインおよび/または免疫ドメインの選択は、種々の手順によって達成され得る。例えば、所望の特性を有する単量体ドメインおよび/または免疫ドメインを同定するための1つの方法は、複数の核酸を翻訳する工程(ここでは、各核酸は単量体ドメインおよび/または免疫ドメインをコードする)、複数の核酸によってコードされるポリペプチドをスクリーニングする工程、ならびに、例えば、所望のリガンドまたはリガンドの混合物に結合する、これらの単量体ドメインおよび/または免疫ドメインを同定し、それによって選択された単量体ドメインおよび/または免疫ドメインを作製する工程を包含する。各々の核酸によって発現される単量体ドメインおよび/または免疫ドメインは、当技術分野において公知の方法(すなわち、パニング、アフィニティークロマトグラフィー、FACS解析)によって、リガンドに結合するそれらの能力について試験され得る。
【0092】
上記に述べたように、単量体ドメインおよび/または免疫ドメインの選択は、標的タンパク質または他の標的分子(例えば、脂質、糖質、核酸など)のようなリガンドへの結合に基づき得る。他の分子は、選択的に、標的と共に方法中に含まれ得る(例えば、Ca2 +のようなイオン)。リガンドは、公知のリガンド(例えば、複数の単量体ドメインの1つに結合することが知られているリガンド)であり得るか、または例えば、所望のリガンドは、未知の単量体ドメインリガンドであり得る。例えば、Aドメインに結合するいくつかのリガンドを例証している図4を参照されたい。単量体ドメインおよび/または免疫ドメインの他の選択は、例えば、標的タンパク質の特定の機能または活性の阻害または増強に基づき得る。標的タンパク質の活性には、例えば、エンドサイトーシスもしくは内部移行、第2メッセンジャー系の誘導、遺伝子の上方制御もしくは下方制御、細胞外マトリックスへの結合、分子の放出、または高次構造の変化が含まれ得る。この場合、リガンドは公知である必要はない。選択はまた、高処理能力アッセイ法を使用することを含み得る。
【0093】
単量体ドメインおよび/または免疫ドメインがリガンドに結合するその能力に基づいて選択される場合、その選択の根拠には、通常、高い親和性が予測される、遅い解離速度に基づく選択が含まれ得る。リガンドの結合価はまた、選択された単量体ドメインおよび/または免疫ドメインの平均結合親和性を制御するために変動され得る。リガンドは、例えば、競合物質化合物を含めることによって、希釈によって、または当業者に公知の他の方法によって、変動させた濃度で表面または基質に結合され得る。高濃度(結合価)の所定のリガンドは、比較的低い親和性を有する単量体ドメインを富化するために使用され得、一方低濃度(結合価)は、より高い親和性の単量体ドメインを優先的に富化し得る。
【0094】
種々のレポーティングディスプレイのベクターまたは系は、本発明の単量体ドメイン、免疫ドメイン、および/または多量体をコードする核酸を発現するため、および所望の活性について試験するために使用され得る。例えば、ファージディスプレイ系は、単量体ドメインがファージ表面に融合タンパク質として発現される系である(Pharmacia、Milwaukee Wis.)。ファージディスプレイは、単量体ドメインおよび/または免疫ドメインをコードするポリペプチド配列の、繊維状バクテリオファージの表面上での提示を(代表的には、バクテリオファージの外殻タンパク質との融合物として)含み得る。
【0095】
一般的に、これらの方法において、各々のファージ粒子または細胞は、天然のファージまたは細胞のタンパク質配列に加えて、ディスプレイされたポリペプチドの単一の種をディスプレイする個々のライブラリーメンバーとして機能する。複数の核酸が、融合タンパク質の転写を生じる部位でファージDNAにクローニングされ、融合タンパク質の一部が複数の核酸によってコードされる。核酸分子を含むファージは、細胞中で複製および転写を受ける。融合タンパク質のリーダー配列は、ファージ粒子の先端への融合タンパク質の輸送を方向付ける。従って、この核酸によって部分的にコードされる融合タンパク質は、上記または下記に記載した方法による検出および選択のために、ファージ粒子上でディスプレイされる。例えば、ファージライブラリーは、所定の(所望の)リガンドとインキュベートされ得、その結果、リガンドに結合する融合タンパク質配列を提供するファージ粒子は、所定のリガンドに結合するポリペプチド配列を提供しないファージ粒子から、差次的に分配される。例えば、この分離は、所定のリガンドを固定化することによって提供され得る。次いで、固定化されたリガンドに結合するファージ粒子(すなわち、ライブラリーメンバー)は回収され、親和性富化およびファージ複製の引き続くラウンドのために、選択されたファージの亜集団を増幅するために複製される。親和性富化およびファージ複製の数回のラウンドの後で、このように選択されたファージライブラリーメンバーは単離され、ディスプレイされたポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列が決定され、それによって、所定のリガンドに結合するポリペプチドの配列を同定する。このような方法は、PCT特許公報第91/17271号、第91/18980号、第91/19818号、および第93/08278号にさらに記載されている。
【0096】
他のディスプレイ系の例には、リボソームディスプレイ、ヌクレオチド結合ディスプレイ(例えば、米国特許第6,281,344号;同第6,194,550号;同第6,207,446号;同第6,214,553号;および同第6,258,558号を参照されたい)、細胞表面ディスプレイなどが挙げられる。細胞表面ディスプレイには、種々の細胞(例えば、大腸菌細胞、酵母細胞、および/または哺乳動物細胞)が挙げられる。細胞がディスプレイとして使用された場合、核酸(例えば、PCR増幅、続いて消化によって得られたもの)は、細胞に導入され翻訳される。選択的に、本発明の単量体ドメインまたは多量体をコードするポリペプチドが導入され得る(例えば、細胞への注入によって)。
【0097】
本発明はまた、本発明の方法によって産生される組成物を含む。例えば、本発明は、本発明の方法によって作製された単量体ドメインを含む(1つおよび/または複数の)ライブラリーから選択または同定された単量体ドメインを含む。
【0098】
本発明はまた、単量体ドメイン、免疫ドメインのライブラリーならびに単量体ドメインおよび/または免疫ドメインをコードする核酸のライブラリーを提供する。このライブラリーには、単量体ドメインおよび/または免疫ドメインをコードする、例えば、約100、250、500またはそれ以上の核酸が含まれ得るか、またはこのライブラリーには、単量体ドメインおよび/または免疫ドメインをコードする、例えば、約100、250、500またはそれ以上のポリペプチドが含まれ得る。ライブラリーには、同じシステインフレーム(例えば、AドメインまたはEGF様ドメイン)を含む単量体ドメインが含まれ得る。
【0099】
いくつかの態様において、改変体は、単量体ドメインおよび/または免疫ドメイン(例えば、LDL受容体クラスAドメイン)の同じファミリー由来の2つまたはそれ以上の異なる配列を組換えることによって生成される。または、異なるファミリー由来の2つまたはそれ以上の異なる単量体ドメインおよび/または免疫ドメインが組み合わされて多量体を形成し得る。いくつかの態様において、多量体は、以下のファミリークラスの少なくとも1つの単量体または単量体改変体から形成される:EGF様ドメイン、クリングルドメイン、I型フィブロネクチンドメイン、II型フィブロネクチンドメイン、III型フィブロネクチンドメイン、PANドメイン、Glaドメイン、SRCRドメイン、クニッツ/ウシ膵臓トリプシンインヒビタードメイン、カザル型セリンプロテアーゼインヒビタードメイン、トレフォイル(P型)ドメイン、C型フォンウィルブランド因子ドメイン、アナフィラトキシン様ドメイン、CUBドメイン、I型サイログロブリン反復、LDL受容体クラスAドメイン、スシドメイン、リンクドメイン、I型トロンボスポンジンドメイン、免疫グロブリン様ドメイン、C型レクチンドメイン、MAMドメイン、A型フォンウィルブランド因子ドメイン、ソマトメジンBドメイン、WAP型4ジスルフィドコアドメイン、C型F5/8ドメイン、ヘモペキシンドメイン、SH2ドメイン、SH3ドメイン、ラミニン型EGF様ドメイン、C2ドメイン、およびこれらの誘導体。別の態様において、単量体ドメインおよび異なる単量体ドメインには、Pfamデータベースおよび/またはSMARTデータベースにおいて見い出される1つまたはそれ以上のドメインが含まれ得る。上記の方法によって作製されるライブラリー、そのライブラリーの1つまたはそれ以上のメンバーを含む1つまたはそれ以上の細胞、およびそのライブラリーの1つまたはそれ以上のメンバーを含む1つまたはそれ以上のディスプレイもまた、本発明に含まれる。
【0100】
選択的に、単量体ドメインをコードする核酸文字列のデータセットは、例えば、単量体ドメインをコードする第1の文字列を、異なる単量体ドメインをコードする1つまたはそれ以上の文字列と混合し、それによって単量体ドメイン(本明細書中に記載されているドメインを含む)をコードする核酸文字列のデータセットを作製することによって生成され得る。別の態様において、単量体ドメインおよび異なる単量体ドメインには、Pfamデータベースおよび/またはSMARTデータベースにおいて見い出される1つまたはそれ以上のドメインが含まれ得る。本方法は、単量体ドメインをコードする第1の文字列および異なる単量体ドメインコードする1つまたはそれ以上の第2の文字列をコンピュータに挿入する工程、ならびに、多量体文字列またはそのライブラリーを、コンピュータで生成する工程をさらに包含し得る。
【0101】
ライブラリーは、所望の特性(例えば、所望のリガンドもしくはリガンドの混合物の結合)についてスクリーニングされ得る。例えば、単量体ドメインのライブラリーのメンバーは、公知であるかまたは知られていない、リガンドまたはリガンドの混合物への結合についてディスプレイされかつあらかじめスクリーニングされ得る。次いで、単量体ドメイン配列は、変異誘発され得るか(例えば、組み換えられ、化学的に変化されるなど)、さもなくば変化され、新規な単量体ドメインが、改善された親和性を有するリガンドまたはリガンドの混合物への結合について再度スクリーニングされ得る。選択された単量体ドメインは、合わされるかまたは連結されて多量体を形成し得、次いで、この多量体は、リガンドまたはリガンドの混合物に対する改善された親和性もしくは結合活性、または変化された特異性についてスクリーニングされ得る。変化された特異性は、特異性が広げられること(例えば、複数の関連するウイルスの結合)を意味し得るか、または選択的に、変化した特異性は、特異性が狭められること(例えば、リガンドの特定の領域内での結合)を意味し得る。当業者は、結合活性を計算するために利用可能である、多くの方法が存在することを認識している。例えば、Mammenら、Angew Chem Int. Ed. 37:2754-2794 (1998);Mullerら、Anal. Biochem. 261: 149-158 (1998)を参照されたい。
【0102】
当業者は、結果を最適化するために、変種を生成する工程、および所望の特性についてスクリーニングする工程が反復され得る(すなわち、再帰的に実行される)ことを認識する。例えば、ファージディスプレイライブラリーまたは他の同様の形式において、ライブラリーの第1のスクリーニングは、比較的低いストリンジェンシーで実行され得、それによって標的分子と結合する可能な限り多くの粒子が選択される。次いで、選択された粒子は単離され得、単量体または多量体をコードするポリヌクレオチドが粒子から単離され得る。次いで、さらなる変種がこれらの配列から生成され得、引き続いてより高い親和性でスクリーニングされ得る。図7は、選択の一般的サイクルおよび変種の生成を例証する。
【0103】
核酸およびポリペプチドの組成物は本発明に含まれる。例えば、本発明は、複数の異なる核酸を提供し、ここで各々の核酸は少なくとも1つの単量体ドメインまたは免疫ドメインをコードする。いくつかの態様において、少なくとも1つの単量体ドメインは、以下からなる群より選択される:EGF様ドメイン、クリングルドメイン、I型フィブロネクチンドメイン、II型フィブロネクチンドメイン、III型フィブロネクチンドメイン、PANドメイン、Glaドメイン、SRCRドメイン、クニッツ/ウシ膵臓トリプシンインヒビタードメイン、カザル型セリンプロテアーゼインヒビタードメイン、トレフォイル(P型)ドメイン、C型フォンウィルブランド因子ドメイン、アナフィラトキシン様ドメイン、CUBドメイン、I型サイログロブリン反復、LDL受容体クラスAドメイン、スシドメイン、リンクドメイン、I型トロンボスポンジンドメイン、免疫グロブリン様ドメイン、C型レクチンドメイン、MAMドメイン、A型フォンウィルブランド因子ドメイン、ソマトメジンBドメイン、WAP型4ジスルフィドコアドメイン、C型F5/8ドメイン、ヘモペキシンドメイン、SH2ドメイン、SH3ドメイン、ラミニン型EGF様ドメイン、C2ドメイン、およびこれらの1つまたはそれ以上の改変体。適切な単量体ドメインにはまた、Pfamデータベースおよび/またはSMARTデータベースにおいて列挙されるものが含まれる。
【0104】
本発明はまた、複数の単量体ドメインおよび/または免疫ドメインを含む1つまたはそれ以上のポリペプチドをコードする組換え核酸を提供する。この単量体ドメインは、天然に存在するポリペプチドと比較して、順番または配列が変化している。例えば、天然に存在するポリペプチドは、以下からなる群より選択され得る:EGF様ドメイン、クリングルドメイン、I型フィブロネクチンドメイン、II型フィブロネクチンドメイン、III型フィブロネクチンドメイン、PANドメイン、Glaドメイン、SRCRドメイン、クニッツ/ウシ膵臓トリプシンインヒビタードメイン、カザル型セリンプロテアーゼインヒビタードメイン、トレフォイル(P型)ドメイン、C型フォンウィルブランド因子ドメイン、アナフィラトキシン様ドメイン、CUBドメイン、I型サイログロブリン反復、LDL受容体クラスAドメイン、スシドメイン、リンクドメイン、I型トロンボスポンジンドメイン、免疫グロブリン様ドメイン、C型レクチンドメイン、MAMドメイン、A型フォンウィルブランド因子ドメイン、ソマトメジンBドメイン、WAP型4ジスルフィドコアドメイン、C型F5/8ドメイン、ヘモペキシンドメイン、SH2ドメイン、SH3ドメイン、ラミニン型EGF様ドメイン、C2ドメイン、およびこれらの1つまたはそれ以上の改変体。別の態様において、天然に存在するポリペプチドは、Pfamデータベースおよび/またはSMARTデータベースにおいて見い出される単量体ドメインをコードする。
【0105】
本発明の方法によって作製された組成物(例えば、単量体ドメインおよび/または免疫ドメイン、ならびに多量体およびそのライブラリー)を含む本発明のすべての組成物は、アフィニティー材料のマトリックスに選択的に結合させ得る。アフィニティー材料の例には、ビーズ、カラム、固体支持体、マイクロアレイ、試薬支持体の他のプールなどが含まれる。
【0106】
2.多量体(組換えモザイクタンパク質またはコンビナトリアルモザイクタンパク質とも呼ばれる)
多量体を生成するための方法は、本発明の特徴である。多量体は、少なくとも2つの単量体ドメインおよび/または免疫ドメインを含む。例えば、本発明の多量体は、2〜約10個の単量体ドメインおよび/または免疫ドメイン、2〜約8個の単量体ドメインおよび/または免疫ドメイン、約3〜約10個の単量体ドメインおよび/または免疫ドメイン、約7個の単量体ドメインおよび/または免疫ドメイン、約6個の単量体ドメインおよび/または免疫ドメイン、約5個の単量体ドメインおよび/または免疫ドメイン、または約4個の単量体ドメインおよび/または免疫ドメインを含み得る。いくつかの態様において、多量体は、少なくとも3つの単量体ドメインおよび/または免疫ドメインを含む。代表的には、単量体ドメインは、関心対象の標的分子への結合についてあらかじめ選択される。
【0107】
いくつかの態様において、各単量体ドメインは、1つの標的分子に特異的に結合する。これらの態様のいくつかにおいて、各単量体は、標的分子上の異なる位置(エピトープに類似)に結合する。同じ標的分子に結合する複数の単量体ドメインおよび/または免疫ドメインは、各々の個々の単量体と比較して、標的分子に対する、多量体の改善された結合活性を生じる結合活性効果を生じる。いくつかの態様において、多量体は、単量体ドメイン単独の結合活性の少なくとも約1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍の結合活性を有する。
【0108】
別の態様において、多量体は、異なる標的分子に対する特異性を有する単量体ドメインを含む。例えば、このような多様な単量体ドメインの多量体は、ウイルス複製系の異なる成分またはウイルスの異なる血清型に特異的に結合し得る。いくつかの態様において、少なくとも1つの単量体ドメインは、毒素に結合し、少なくとも1つの単量体ドメインは細胞表面分子に結合し、それによって、毒素を標的化する機構として作用する。いくつかの態様において、多量体の少なくとも2つの単量体ドメインおよび/または免疫ドメインは、標的の細胞または組織中の異なる標的分子に結合する。同様に、治療用の分子は、治療剤を、細胞または組織結合の特異性を有する他の単量体ドメインおよび/または免疫ドメインもまた含む、多量体の単量体に結合させることによって、細胞または組織に標的化され得る。
【0109】
多量体は、種々の単量体ドメインの組み合わせを含み得る。例えば、単一の多量体において、選択された単量体ドメインは、同じかまたは同一であり得、選択的に、異なるかまたは非同一であり得る。さらに、選択された単量体ドメインは、同じ単量体ドメインファミリー由来の種々の異なる単量体ドメイン、または異なるドメインファミリー由来の種々の単量体ドメイン、または、選択的に、両方の組み合わせを含み得る。
【0110】
本発明の実施において生成される多量体は、以下のいずれかであり得る:
(1)ホモ多量体(同じドメインの多量体、すなわち、A1-A1-A1-A1);
(2)同じドメインクラスの異なるドメインのヘテロ多量体、例えば、A1-A2-A3-A4。例えば、ヘテロ多量体には、A1、A2、A3、およびA4が異なる、特にLDL受容体クラスAドメインの天然には存在しない改変体である多量体、または、A1、A2、A3、およびA4のいくつかが、LDL受容体クラスAドメインの天然に存在する改変体である多量体が含まれる(例えば、図10を参照されたい)。
(3)異なる単量体ドメインクラス(例えば、A1-B2-A2-B1)由来のドメインのヘテロ多量体。例えば、A1およびA2は、LDL受容体クラスA由来の2つの異なる単量体ドメイン(天然に存在するかまたは天然には存在しないかのいずれか)であり、B1およびB2は、EGF様ドメインクラス由来の2つの異なる単量体ドメイン(天然に存在するかまたは天然には存在しないかのいずれか)である場合。
【0111】
本発明の実施において使用される多量体ライブラリーには、ホモ多量体、同じ単量体クラスの異なる単量体ドメイン(天然または非天然)のヘテロ多量体、または異なる単量体クラス由来の単量体ドメイン(天然または非天然)のヘテロ多量体、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。免疫ドメインをふくむ例示的なヘテロ多量体には、例えば、ミニボディー、単一ドメイン抗体およびFabの二量体(ここでその二量体は共有結合的リンカーによって連結されている)が含まれる。他の例示的な多量体には、ミニボディー、単一ドメイン抗体およびFabの、例えば、三量体およびより高次の多量体(例えば、四量体)が含まれる。なおより例示的な多量体には、例えば、単鎖抗体断片の二量体、三量体、およびより高レベルの多量体(ここで、単鎖抗体は共有結合で連結されてはいない)が含まれる。
【0112】
本発明は、図13ならびに図14BおよびCに示されているように、Fvsの多量体を形成するために結合したVHおよびVLドメインの多量体を提供する。本明細書中で使用される場合、「Fv」という用語とは、非共有結合的に結合したVHVL二量体をいう。このような二量体は、例えば、図13Aに示されており、ここで重なり合った影付きおよび白色の楕円の各々の対は、単一のFvを表す。本発明のFv多量体は、同じFv由来の重鎖可変ドメインに直接的に共有結合した軽鎖可変ドメインを含まない。しかし、本発明のFv多量体は、少なくとも1つまたはそれ以上のドメインによって分離されている、同じFvの軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインの共有結合を含み得る。例えば、多量体の例示的な高次構造は、VH1-VH2-VL1-VL2、またはVH1-VL2-VL1-VH2(ここで、VL #およびVH #は、それぞれ、重鎖および軽鎖の可変ドメインを表す)である。
【0113】
これらまたは他の態様において、重鎖または軽鎖可変ドメインは、対応する重鎖または軽鎖の可変ドメインが結合して対応するFv(すなわち、Fv1=VH1VL1、Fv2=VH2VL2など)を形成するように整列される。図14BおよびCは、このようなFv多量体を図示する。当業者は、このようなFv多量体が、例えば、6、8、またはそれ以上の免疫ドメインの比較的大きな多量体を形成するためにFvのさらなる重鎖または軽鎖可変ドメインを含み得ることを容易に理解する。例えば、図13を参照されたい。本発明のFv多量体中のFvはscFvではない(すなわち、VL1はVH1に共有結合的に結合しているのではない)。
【0114】
本明細書中に記載しているような単量体ドメインはまた、免疫ドメイン含有ヘテロ多量体(すなわち、少なくとも1つの免疫ドメイン改変体および1つの単量体ドメイン改変体を有する多量体)中で容易に使用される。従って、本発明の多量体は、少なくとも1つの免疫ドメイン(例えば、ミニボディー、単一ドメイン抗体、単鎖可変断片(ScFv)、またはFab断片);および少なくとも1つの単量体ドメイン(例えば、EGF様ドメイン、クリングルドメイン、I型フィブロネクチンドメイン、II型フィブロネクチンドメイン、III型フィブロネクチンドメイン、PANドメイン、Glaドメイン、SRCRドメイン、クニッツ/ウシ膵臓トリプシンインヒビタードメイン、カザル型セリンプロテアーゼインヒビタードメイン、トレフォイル(P型)ドメイン、C型フォンウィルブランド因子ドメイン、アナフィラトキシン様ドメイン、CUBドメイン、I型サイログロブリン反復、LDL受容体クラスAドメイン、スシドメイン、リンクドメイン、I型トロンボスポンジンドメイン、免疫グロブリン様ドメイン、C型レクチンドメイン、MAMドメイン、A型フォンウィルブランド因子ドメイン、ソマトメジンBドメイン、WAP型4ジスルフィドコアドメイン、C型F5/8ドメイン、ヘモペキシンドメイン、SH2ドメイン、SH3ドメイン、ラミニン型EGF様ドメイン、C2ドメイン、またはこれらのの改変体)を有し得る。
【0115】
ドメインが連結され多量体を形成する前にドメインが選択される必要はない。一方、多量体に連結される前に、ドメインは、標的分子に結合する能力について選択され得る。従って、例えば、多量体は、1つの標的分子に結合する2つのドメインおよび第2の標的分子に結合する第3のドメインを含み得る。
【0116】
選択された単量体ドメインはリンカーによって連結されて多量体を形成する。例えば、リンカーは、多量体中の各々の分離した個別の単量体ドメインの間に位置する。代表的には、免疫ドメインもまた、リンカー部分を介して互いに、または単量体ドメインに連結される。免疫ドメイン改変体を一緒に連結するために容易に使用され得るリンカー部分は、単量体ドメイン改変体の多量体について記載されたものと同じである。免疫ドメイン改変体を他のドメインに連結して多量体にするために適切な例示的なリンカー部分は本明細書中に記載されている。
【0117】
選択された単量体ドメインをリンカーを介して連結することは、当技術分野において公知の種々の技術を使用して達成され得る。例えば、選択された単量体ドメインをコードするポリヌクレオチドのコンビナトリアルアセンブリーは、DNAライゲーション、または選択的に、PCRに基づく、自己プライミング重複反応によって達成され得る。リンカーは、単量体が標的の多量体に結合するその能力について同定される前に、または単量体が標的の多量体に結合する能力について選択された後で、単量体に結合され得る。
【0118】
リンカーは、天然に存在するものであるか、合成であるか、または両方の組み合わせであり得る。例えば、合成リンカーは、ランダムリンカー(例えば、配列およびサイズの両方において)であり得る。1つの局面において、ランダムリンカーは、十分にランダム化された配列を含み得るか、または選択的に、ランダムリンカーは、天然のリンカー配列に基づき得る。リンカーは、例えば、ポリペプチドでない部分、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどを含み得る。
【0119】
リンカーは、強固であるか、または代替的には、柔軟性があるか、またはその両方の組み合わせであり得る。リンカーの柔軟性は、リンカーと、リンカーが相互作用する単量体の両方の組成物の関数であり得る。リンカーは、2つの選択した単量体ドメインを連結し、単量体ドメインを分離した個別の単量体ドメインとして維持する。リンカーは、分離した個別の単量体ドメインが協同し、なお分離した特性(例えば、同じリガンドについての多量体中の複数の結合部位、または、例えば、異なるリガンドについての多量体中の複数の分離した結合部位)を維持することを可能にし得る。
【0120】
2つまたはそれ以上の単量体ドメイン(すなわち、ポリペプチド鎖)が連結される、特定の場合についての適切なリンカーを選択することは、種々のパラメーター(例えば、単量体ドメインの性質、ポリペプチド多量体が結合すべき標的の構造および性質ならびに/またはタンパク質分解および酸化に対するペプチドリンカーの安定性を含む)に依存し得る。
【0121】
本発明は、一旦所望の単量体ドメイン/改変体が同定されると、リンカーの選択を最適化するための方法を提供する。一般的に、単量体ドメイン組成に関して固定されているが、リンカーの組成および長さが変動し得る組成を有する多量体のライブラリーは、上記のように、容易に調製およびスクリーニングされ得る。
【0122】
代表的には、リンカーポリペプチドは、Gly、Ser、Ala、およびThrからなる群より選択されるアミノ酸残基を優勢的に含み得る。例えば、ペプチドリンカーは、少なくとも75%(ペプチドリンカー中に存在する残基の総数に基づいて計算される)、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、または少なくとも90%の、Gly、Ser、Ala、およびThrからなる群より選択されたアミノ酸残基を含み得る。ペプチドリンカーはまた、Gly、Ser、Ala、およびThr残基のみからなり得る。リンカーポリペプチドは、2つの単量体ドメインが、互いに関して正確な高次構造を呈し、その結果それらが所望の活性(例えば、所定の受容体の拮抗物質として)を保持するような様式で、2つの単量体ドメインを連結するに十分な長さを有するべきである。
【0123】
この目的のための適切な長さは、少なくとも1アミノ酸残基、および代表的には約50アミノ酸残基よりも少ない長さ(例えば、2〜25アミノ酸残基、5〜20アミノ酸残基、5〜15アミノ酸残基、8〜12アミノ酸残基、または11アミノ酸残基)の長さである。同様に、リンカーをコードするポリペプチドは、サイズにおいて、例えば、約2〜約15アミノ酸、約3〜15アミノ酸、約4〜12アミノ酸、約10アミノ酸、約8アミノ酸、または約6アミノ酸の範囲であり得る。核酸(例えば、DNA、RNA、または両方の組み合わせ)を含有する方法および組成物において、リンカー配列を含むポリヌクレオチドは、例えば、約6ヌクレオチド〜約45ヌクレオチドの間、約9ヌクレオチド〜約45ヌクレオチドの間、約12ヌクレオチド〜約36ヌクレオチドの間、約30ヌクレオチド、約24ヌクレオチド、または約18ヌクレオチドであり得る。同様に、リンカーポリペプチドに含めるために選択されたアミノ酸残基は、ポリペプチド多量体の活性または機能を有意に妨害しない特性を示すべきである。従って、ペプチドリンカーは、全体では、ポリペプチド多量体の活性または機能と矛盾するか、または内在性の折り畳みを妨害するか、または、問題の標的に対するポリペプチド多量体の結合を深刻に妨害する、1つもしくはそれ以上の単量体ドメイン中のアミノ酸残基と結合または他の相互作用を形成する、電荷を示さないのが当然である。
【0124】
本発明の別の態様において、ペプチドリンカーはライブラリーから選択され、ここでは、ペプチドリンカー中のアミノ酸残基は、特定のポリペプチド多量体中の単量体ドメインの特定のセットのためにランダム化される。柔軟性のあるリンカーは、単量体ドメインの適切な組み合わせを見い出すために使用され得、次いで、この組み合わせは、最適な長さおよび形状を有するリンカーを得るために可変性のリンカーのこのランダムライブラリーを使用して最適化される。最適なリンカーは、標的への結合に関与し、かつ、標的に結合しない場合のポリペプチド多量体中での互いに対する単量体ドメインの動きを制限する、最小の数の正しい型のアミノ酸残基を含み得る。
【0125】
天然に存在するペプチドリンカーならびに人工のペプチドリンカーをポリペプチドに連結して新規な連結した融合ポリペプチドにするための使用は文献中で周知である(Hallewellら (1989)、J.Biol.Chem、264、5260-5268;Alfthanら (1995) Protein Eng. 8、725-731;RobinsonおよびSauer (1996)、Biochemistry 35、109-116;Khandekarら (1997)、J.Biol.Chem、272、32190-32197;Faresら (1998)、Endocrinology 139、2459-2464;Smallshawら (1999)、Protein Eng. 12、623-630;米国特許第5,856,456号)。
【0126】
ペプチドリンカーの使用が広範囲に及んでいる1つの例は、単鎖抗体(軽鎖(VL)および重鎖(VH)の可変領域が人工のリンカーを介して連結されている)の産生についてであり、この特定の分野において膨大な刊行物が存在する。広範に使用されるペプチドリンカーは、Gly-Gly-Gly-Gly-Ser(配列番号:219)アミノ酸配列の3反復((Gly4Ser)3)(配列番号:220)からなる15merである。他のリンカーは使用されてきており、ファージディスプレイ技術ならびに選択的感染性ファージ技術が適切なリンカー配列を多様化および選択するために使用されてきた(Tangら、(1996) J.Biol.Chem、271、15682-15686;Henneckeら、(1998)、Protein Eng. 11、405-410)。ペプチドリンカーは、ヘテロ二量体タンパク質およびホモ二量体タンパク質(例えば、T細胞受容体、λCroリプレッサー、P22ファージArcリプレッサー、IL-12、TSH、FSH、IL-5、およびインターフェロン-γ)中の個々の鎖を接続するために使用されてきた。ペプチドリンカーはまた、融合ポリペプチドを作製するために使用されてきた。種々のリンカーが使用されてきており、Arcリプレッサーファージディスプレイの場合には、単鎖タンパク質の安定性の増加のために、ファージディスプレイがリンカーの長さおよび組成を最適化するために使用されてきた(RobinsonおよびSauer (1998)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95、5929-5934)。
【0127】
別のタイプのリンカーはインテイン(すなわち、単鎖ポリペプチドとともに発現されるが、タンパク質スプライシングによって翻訳後に除去されるペプチドストレッチ)である。インテインの使用は、F.S.Gimble、Chemistry and Biology、1998、第5巻、第10号、251〜256頁によって概説されている。
【0128】
適切なリンカーを得るためのさらに別の方法は、単純なリンカー(例えば、(Gly4Ser)n)(配列番号:221)を、ランダム変異誘発を通して最適化することによる。
【0129】
上記に言及したように、ペプチドリンカーは、少なくともある程度の柔軟性を有することが一般的に好ましい。従って、いくつかの態様において、ペプチドリンカーは、1〜25のグリシン残基(配列番号:222)、5〜20のグリシン残基(配列番号:223)、5〜15のグリシン残基(配列番号:224)、または8〜12のグリシン残基(配列番号:225)を含む。ペプチドリンカーは、代表的には、少なくとも50%のグリシン残基(例えば、少なくとも75%のグリシン残基)を含む。本発明のいくつかの態様において、ペプチドリンカーは、グリシン残基のみを含む。
【0130】
ペプチドリンカーは、グリシン残基に加えて、他の残基、特に、Ser、Ala、およびThrからなる群より選択される残基、特にSerを含む。従って、特定のペプチドリンカーの1つの例には、アミノ酸配列Glyx-Xaa-Glyy-Xaa-Glyzを有するペプチドリンカーが含まれ、ここで各Xaaは、独立して、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Gln、Lys、Arg、His、Asp、およびGluからなる群より選択され、かつx、y、zは、各々、1〜5の範囲の整数である(配列番号:226)。いくつかの態様において、各Xaaは、独立して、Ser、Ala、およびThrからなる群(配列番号:227)、特にSer(配列番号:228)より選択される。より詳細には、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列Gly-Gly-Gly-Xaa-Gly-Gly-Gly-Xaa-Gly-Gly-Glyを有し、ここでXaaは、独立して、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Gln、Lys、Arg、His、Asp、およびGluからなる群より選択される(配列番号:229)。いくつかの態様において、各Xaaは、独立して、Ser、Ala、およびThrからなる群(配列番号:230)、特にSer(配列番号:231)より選択される。
【0131】
いくつかの場合、ペプチドリンカーにある程度の強固さを提供することが望ましいかまたは必要であり得る。このことは、ペプチドリンカーのアミノ酸配列にプロリン残基を含ませることによって達成され得る。従って、本発明の別の態様において、ペプチドリンカーは、ペプチドリンカーのアミノ酸配列中に少なくとも1つのプロリン残基を含む。例えば、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列の少なくとも25%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも75%がプロリン残基である、アミノ酸配列を有する。本発明の1つの特定の態様において、ペプチドリンカーは、プロリン残基のみを含む。
【0132】
本発明のいくつかの態様において、ペプチドリンカーは、非ポリペプチド部分のための結合基を含むアミノ酸残基が導入されるような様式で修飾される。このようなアミノ酸残基の例は、システイン残基(次いで、非ポリペプチド部分が引き続いて結合する)であり得るか、またはアミノ酸配列は、インビボでのN-グリコシル化部位(それによって糖部分を(インビボで)ペプチドリンカーに結合する)を含み得る。
【0133】
本発明のいくつかの態様において、ペプチドリンカーは、少なくとも1つのシステイン残基(例えば、1つのシステイン残基)を含む。従って、本発明のいくつかの態様において、ペプチドリンカーは、Gly、Ser、Ala、Thr、およびCysからなる群より選択されるアミノ酸残基を含む。いくつかの態様において、このようなペプチドリンカーは、1つのシステイン残基のみを含む。
【0134】
さらなる態様において、ペプチドリンカーは、グリシン残基およびシステイン残基(例えば、グリシン残基およびシステイン残基のみ)を含む。代表的には、ペプチドリンカーあたり1つのみのシステイン残基が含まれる。従って、システイン残基を含む特定のペプチドリンカーの1つの例には、アミノ酸配列Glyn-Cys-Glymを有するペプチドリンカーが含まれ、ここでnおよびmは、それぞれ、1〜12の整数(例えば、3〜9、4〜8、または4〜7の整数)である(配列番号:232)。より詳細には、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGG-C-GGGGG(配列番号:233)を有し得る。
【0135】
このアプローチ(すなわち、非ペプチド部分のための結合基を含むアミノ酸残基の導入)はまた、より強固なプロリン含有リンカーのために使用され得る。従って、ペプチドリンカーは、プロリンおよびシステイン残基(例えば、プロリン残基およびシステイン残基のみ)を含み得る。システイン残基を含む特定のプロリン含有ペプチドリンカーの1つの例には、アミノ酸配列Pron-Cys-Promを有するペプチドリンカーが含まれ、ここでnおよびmは、それぞれ、1〜12の整数、好ましくは、3〜9(例えば、4〜8、または4〜7)の整数である(配列番号:234)。より詳細には、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列PPPPP-C-PPPPP(配列番号:235)を有し得る。
【0136】
いくつかの態様において、非ポリペプチド部分のための結合基を含むアミノ酸残基(例えば、システイン残基)の導入の目的は、その残基に、引き続いて非ポリペプチド部分を結合させることである。例えば、非ポリペプチド部分は、ポリペプチド多量体の血清中半減期を改善し得る。従って、システイン残基は、非ポリペプチド部分に共有結合的に結合され得る。非ポリペプチド部分の好ましい例には、ポリマー分子(例えば、PEGまたはmPEG、特にmPEG)、ならびに非ポリペプチド治療剤が含まれる。
【0137】
当業者は、システイン以外のアミノ酸残基が、非ポリペプチド部分をペプチドリンカーに結合させるために使用され得ることを認識する。このような他の残基の1つの特定の例には、非ポリペプチド部分をリジン残基に結合させることが含まれる。
【0138】
ペプチドリンカー中の非ペプチド部分に部位特異的結合基を導入することの別の可能性は、ペプチドリンカー中に、インビボのN-グリコシル化部位(例えば、1つのインビボのN-グリコシル化部位)を導入することである。例えば、1つのインビボのN-グリコシル化部位は、Gly、Ser、Ala、およびThrからなる群より選択されるアミノ酸残基を含むペプチドリンカーに導入され得る。糖部分が実際にそのインビボのN-グリコシル化部位に結合させることを保証するために、ポリペプチド多量体をコードするヌクレオチド配列が、グリコシル化を行う、真核生物発現宿主に挿入されなければならないことが理解される。
【0139】
インビボのN-グリコシル化部位を含むペプチドリンカーの特定の例は、アミノ酸配列Glyn-Asn-Xaa-Ser/Thr-Glym、好ましくはGlyn-Asn-Xaa-Thr-Glym (配列番号:236)を有するペプチドリンカーであり、ここでXaaはプロリン以外の任意のアミノ酸残基であり、かつnおよびmは、それぞれ、1〜8の範囲、好ましくは2〜5の範囲の整数である。
【0140】
しばしば、ポリペプチド多量体中に存在するすべてのペプチドリンカーのアミノ酸配列は同一である。それにもかかわらず、特定の態様においては、ポリペプチド多量体中に存在するすべてのペプチドリンカーのアミノ酸配列は異なり得る。後者は、ポリペプチド多量体がポリペプチドの三量体また四量体である場合、特に、非ペプチド部分のための結合基を含むアミノ酸残基がペプチドリンカーに含まれる場合に、特に関連性があると考えられている。
【0141】
かなり頻繁に、所望の効果(例えば、血清中半減期の延長)を達成するために、ポリペプチド多量体に、ほんのわずかの、代表的には1つのみの、非ペプチド部分(例えば、mPEG、糖部分、または非ポリペプチド治療剤)を結合させることが所望されるかまたは必要である。明白なことに、2つのポリペプチドリンカーを含むポリペプチド三量体の場合には、1つのみのペプチドリンカーが、代表的には、例えば、システイン残基の導入によって修飾される必要があるが、一方、他のペプチドリンカーの修飾は、代表的には必要でない。この場合、ポリペプチド多量体(三量体)のすべての(両方の)ペプチドリンカーは異なる。
【0142】
従って、本発明のさらなる態様において、ポリペプチド多量体中に存在するすべてのペプチドリンカーのアミノ酸配列は、1つ、2つ、または3つのペプチドリンカーを除いて(例えば、1つまたは2つのペプチドリンカーを除いて、特に1つのペプチドリンカーを除いて)同一である。このペプチドリンカーは、非ペプチド部分のための結合基を含むアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を有する。このようなアミノ酸残基の好ましい例には、インビボのN-グリコシル化部位のシステイン残基が含まれる。
【0143】
リンカーはネイティブまたは合成のリンカー配列であり得る。例示的なネイティブなリンカーには、例えば、第1のLDL受容体Aドメインの最後のシステインと第2のLDL受容体Aドメインの最初のシステインとの間の配列が含まれ、この配列はリンカー配列として使用され得る。種々のAドメイン連結の解析は、ネイティブなリンカーが、少なくとも3アミノ酸〜20アミノ酸より少ない範囲(例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18アミノ酸長)にわたることを示す。しかし、当業者は、より長いかまたはより短いリンカー配列が使用され得ることを認識する。例示的なAドメインリンカー配列は図8に示される。いくつかの実施形態において、リンカーは、以下の配列A1A2A3A4A5A6の6merであり、ここで、A1はアミノ酸A、P、T、Q、E、およびKから選択され;A2およびA3は、C、F、Y、W、またはM以外の任意のアミノ酸であり;A4はアミノ酸S、G、およびRから選択され;A5はアミノ酸H、P、およびRから選択され;かつA5はアミノ酸Tである。
【0144】
単量体ドメインおよび/または免疫ドメインから多量体を生成するための方法は、選択されたドメインを少なくとも1つのリンカーと連結して、少なくとも1つの多量体を生成する工程を包含し得る。例えば、多量体は少なくとも2つの単量体ドメインおよび/または免疫ドメインならびにリンカーを含み得る。次いで、多量体は、選択された単量体ドメインと比較して、所望のリガンドまたはリガンドの混合物に対する、改善された結合活性もしくは親和性または変化した特異性についてスクリーニングされる。この方法によって作製された多量体の組成は、本発明に含まれ得る。
【0145】
他の方法において、選択された多量体ドメインは、少なくとも1つのリンカーと連結され、少なくとも2つの多量体を生成する。ここで、2つの多量体は、2つまたはそれ以上の選択された単量体ドメインおよびリンカーを含む。2つまたはそれ以上の多量体は、選択された単量体ドメインと比較して、所望のリガンドまたはリガンドの混合物に対する、改善された結合活性もしくは親和性または変化した特異性についてスクリーニングされる。上記の方法によって作製された2つまたはそれ以上の多量体の組成もまた、本発明の特徴である。
【0146】
代表的には、本発明の多量体は、単一の個別のポリペプチドである。部分的リンカードメイン-部分的リンカー部分の多量体は、複数のポリペプチドの結合物であり、各々が部分的リンカードメイン-部分的リンカー部分に対応する。
【0147】
いくつかの態様において、選択された多量体は、2つより多いドメインを含む。このような多量体は、段階的な様式で生成され得る。例えば、ここでは、各々の新規なドメインの付加が個々に試験され、ドメインの効果は連続的な様式で試験される。例えば、図6を参照されたい。代替的な態様において、ドメインは、2つより多いドメインを含む多量体を形成するために連結され、どの程度小さい多量体が結合するか、または代替的には、どのように各々のドメインが結合するかについての事前の知見なしに、結合について選択される。
【0148】
本発明の方法はまた、多量体を進化させる方法を包含する。この方法は、例えば、以下の工程のいずれかまたはすべてを含み得る:複数の異なる核酸を提供する工程、ここで各核酸は単量体ドメインをコードしている;複数の異なる核酸を翻訳する工程、これは複数の異なる単量体ドメインを提供する;複数の異なる単量体ドメインを、所望のリガンドまたはリガンドの混合物の結合についてスクリーニングする工程;所望のリガンドまたはリガンドの混合物を結合する複数の異なる単量体ドメインのメンバーを同定する工程、これは、選択された単量体ドメインを提供する;選択された単量体ドメインを少なくとも1つのリンカーと連結し、少なくとも1つの多量体を生成する工程、ここで少なくとも1つの多量体は、少なくとも2つの選択された単量体ドメインおよび少なくとも1つのリンカーを含む;ならびに、選択された単量体ドメインと比較して、所望のリガンドまたはリガンドの混合物に対する、改善された結合活性もしくは親和性または変化した特異性について少なくとも1つの多量体をスクリーニングする工程。
【0149】
さらなる変種は、ドメイン間に異なる長さおよび組成のリンカーを挿入することによって導入され得る。このことは、ドメイン間の、最適なリンカーの選択を可能にする。いくつかの態様において、リンカーの最適な長さおよび組成は、最適なドメインの結合を可能にする。いくつかの態様において、特定の結合親和性を有するドメインは、異なるリンカーを介して連結され、最適なリンカーが結合アッセイ法において選択される。例えば、ドメインは、所望の結合特性について選択され、それらは、種々のリンカーを含むライブラリーに形成される。次いで、このライブラリーは、最適なリンカーを同定するためにスクリーニングされ得る。または、多量体ライブラリーは、ドメインまたはリンカーの、標的分子結合に対する効果が未知の場合に形成され得る。
【0150】
本発明の方法はまた、複数の単量体ドメインを提供することによって、1つまたはそれ以上の選択された多量体を生成する工程を包含する。複数の単量体ドメインおよび/または免疫ドメインは、所望のリガンドまたはリガンドの混合物の結合についてスクリーニングされる。所望のリガンドまたはリガンドの混合物を結合する複数のドメインのメンバーが同定され、それによって、所望の親和性を有するドメインを提供する。同定されたドメインは、多量体を生成するために少なくとも1つのリンカーと連結され(ここで、各多量体は、少なくとも2つの選択されたドメインおよび少なくとも1つのリンカーを含む);かつ、その多量体は、選択されたドメインと比較して、所望のリガンドまたはリガンドの混合物に対する、改善された親和性もしくは結合活性または変化した特異性についてスクリーニングされ、それによって1つまたはそれ以上の選択された多量体を同定する。
【0151】
多量体の選択は、単量体ドメインを同定するための上記に述べた方法を含む種々の技術を使用して達成され得る。他の選択方法には、例えば、選択された単量体ドメインと比較した、リガンドに対する改善された親和性もしくは結合活性または変化した特異性に基づく選択が挙げられる。例えば、選択は、特定の細胞型、または関連する細胞またはタンパク質の型のセット(例えば、異なるウイルス血清型)への選択的結合に基づき得る。本発明において言及されるように、例えば、リガンドの結合活性について選択された特性の最適化は、次いで、ドメインを組み換えること、ならびに、個々の単量体ドメインもしくはリンカードメインのアミノ酸配列、またはそのようなドメインをコードするヌクレオチド配列を操作することによって達成され得る。
【0152】
多量体を同定するための1つの方法は、多量体をディスプレイすることによって達成され得る。単量体ドメインについてと同様に、多量体は、選択的に、上記のような種々のディスプレイ系(例えば、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、ヌクレオチド結合ディスプレイ(例えば、米国特許第6,281,344号;同第6,194,550号;同第6,207,446号;同第6,214,553号;および同第6,258,558号を参照されたい)および/または細胞表面ディスプレイ)上で発現またはディスプレイされる。細胞表面ディスプレイは、大腸菌細胞、酵母細胞、または哺乳動物細胞を含み得るがこれらに限定されない。さらに、複数の結合部位を有する多量体のディスプレイライブラリーは、リガンドまたは複数のリガンドについての結合活性または親和性または変化した特異性についてパン(pan)され得る。
【0153】
他の変種には、複数の結合化合物の使用が含まれ、その結果、単量体ドメイン、多量体、またはこれらの分子のライブラリーが、異なる結合特異性を有する多様なリガンドまたは化合物について同時にスクリーニングされ得る。複数のあらかじめ予定されたリガンドまたは化合物は、単一のライブラリー中で同時にスクリーニングされ得るか、または多数の単量体ドメインまたは多量体に対して連続的にスクリーニングされ得る。1つの変種において、各々が分離したビーズ(またはビーズのサブセット)上にコードされている複数のリガンドまたは化合物は、適切な結合条件下で、単量体ドメイン、多量体、またはこれらの分子のライブラリーを混合およびインキュベートされ得る。次いで、複数のリガンドまたは化合物を含むビーズのコレクションは、アフィニティー選択によって、選択された単量体ドメイン、選択された多量体またはライブラリーメンバーを単離するために使用され得る。一般的に、引き続くアフィニティースクリーニングのラウンドは、ビーズ、そのサブセット、または1つもしくは2つのみの個々のリガンドもしくは化合物を含むビーズの同じ混合物を含み得る。このアプローチは効率的なスクリーニングを提供し、かつ実験室レベルの自動化、バッチプロセス、および高スループットスクリーニング方法に適合可能である。
【0154】
別の態様において、多量体は、複数のリガンドを結合する能力について同時にスクリーニングされ得る。ここで、各々のリガンドは、異なる標識を含む。例えば、各々のリガンドは、異なる蛍光標識で標識され得、多量体または多量体のライブラリーと同時に接触され得る。次いで、所望の親和性を有する多量体が、所望の標識に連結された標識の存在に基づいて同定される(例えば、FACSソーティングによって)。
【0155】
上記の方法の選択された多量体は、例えば、選択された多量体を組換えまたはシャッフリングすること(組換えは、多量体間または多量体内またはその両方で起こり得る)、選択された多量体を変異させること、などによって、さらに操作され得る。これは、変化した多量体を生じ、次いで、その多量体は、選択された多量体と比較して増強された特性を有するメンバーについてスクリーニングおよび選択され得、それによって選択された、変化した多量体を作製する。
【0156】
上記および下記に示した方法によって作製したリンカー、多量体、または選択された多量体は、本発明の特徴である。多量体を含有するライブラリー(例えば、本発明の方法によって作製されたか、または本発明の方法によって選択された約100、250、500、またはそれ以上のメンバーを含むライブラリー)が提供される。いくつかの態様において、ライブラリーのメンバーを含む1つまたはそれ以上の細胞もまた、含まれる。組換えポリペプチドのライブラリー(例えば、約100、250、500、またはそれ以上の異なる組換えポリペプチドを含むライブラリー)もまた、本発明の特徴である。
【0157】
本発明の組成物は、アフィニティー材料(例えば、組換えポリペプチド)のマトリックスに結合し得る。アフィニティー材料の例には、例えば、ビーズ、カラム、固体支持体などが含まれる。
【0158】
本発明の実施において使用される適切なリンカーには、部分的リンカー部分の絶対(obligate)ヘテロ二量体を含む。「絶対ヘテロ二量体」という用語とは、本明細書中では、組成において互いに異なり、かつ非共有結合的な、特異的な様式で互いに結合し、2つのドメインを一緒に連結する2つの部分的リンカー部分の二量体をいう。特異的結合とは、他の部分的リンカーとの結合と比較して、2つの部分的リンカーが実質的に互いに結合するようなものである。従って、単一ポリペプチドとして発現される本発明の多量体とは対照的に、ヘテロ二量体を介して一緒に連結されるドメインの多量体は、個別の、部分的リンカー-単量体-部分的リンカー単位から構築される。ヘテロ二量体のアセンブリーは、例えば、混合によって達成され得る。従って、部分的リンカーがポリペプチドセグメントである場合、各部分的リンカー-単量体-部分的リンカー単位は、多量体アセンブリーの前に個別のペプチドとして発現され得る。ジスルフィド結合は、正確な非共有結合的な対形成の後にペプチドを一緒に共有結合的にロックするために加えられ得る。このような絶対ヘテロ二量体を含む多量体は、図12に示される。絶対ヘテロ二量体を形成するために適切な部分的リンカー部分には、例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどが含まれる。例えば、部分的リンカーがポリペプチドである場合、結合ドメインは、独立して、それらの独特な連結ペプチド(すなわち、部分的リンカー)と共に作製され、後に合わさって多量体を形成する。従って、多量体中の結合ドメインの空間的順序は、各部分的リンカーのヘテロ二量体性の結合特異性に委ねられている。部分的リンカーは、所定の異種アミノ酸配列に特異的に結合する末端のアミノ酸配列を含み得る。このようなアミノ酸配列の例は、Bodenmullerら、The neuropeptide head activator loses its biological activity by dimerization、(1986) EMBO J 5(8): 1825-1829に記載されているような、Hydraニューロペプチドヘッドアクチベーターである。例えば、米国特許第5,491,074号および国際公開公報第94/28173号を参照されたい。これらの部分的リンカーは、多量体が最初に単量体-部分的リンカー単位または部分的リンカー-単量体-部分的リンカー単位として作製されることを可能にする。次いで、これらは、一緒に混合され、各部分的リンカーの結合特異性に基づいて理想的な順番に構築することを可能にされる。
【0159】
部分的リンカーがDNA結合モチーフを含む場合、各単量体ドメインは、独占的な独特なDNA結合特異性を有するDNA結合タンパク質を含む、上流および下流の部分的リンカーを有する(すなわち、Lp-ドメイン-Lp、ここで「Lp」は部分的リンカーの表示である)。これらのドメインは、個々に作製され得、次いで、所望の順番でドメインを連結するために、これらのドメインを、適切なヌクレオチド配列(すなわち、2つの所望のドメインの部分的リンカーのDNA結合タンパク質についての特異的認識部位)を含むDNA断片と混合することによって特定の多量体に構築され得る。さらに、同じドメインは、DNA結合タンパク質認識部位の種々の組み合わせを含むDNA配列を加えることによって多くの異なる多量体に構築され得る。DNA断片におけるDNA結合タンパク質認識部位の組み合わせのさらなるランダム化は、多量体のライブラリーのアセンブリーを可能にし得る。このDNAは、インビボでの分解を妨害するために基本骨格のアナログとともに合成され得る。
【0160】
本発明の顕著な利点は、公知のリガンドまたは未知のリガンドが単量体ドメインおよび/または多量体を選択するために使用され得ることである。リガンドの構造に関する事前の情報は、関心対象の単量体ドメインまたは関心対象の多量体を単離するために必要とされない。同定された単量体ドメイン、免疫ドメイン、および/または多量体は生物学的活性を有し得、これは、選択されたリガンドまたは所望のリガンドについての少なくとも特異的な結合親和性を含むことを意味し、かついくつかの例において、他の化合物の結合をブロックする能力、代謝経路を刺激または阻害する能力、シグナルまたはメッセンジャーとして機能する能力、細胞活性を刺激または阻害する能力などをさらに含むことを意味する。
【0161】
単一のリガンドが使用され得、または選択的に、種々のリガンドが単量体ドメイン、免疫ドメイン、および/または多量体を選択するために使用され得る。本発明の単量体ドメインおよび/または免疫ドメインは、単一のリガンドまたは種々のリガンドを結合し得る。本発明の多量体は、単一のリガンドについての複数の個別の結合部位を有し得るか、または選択的に、種々のリガンドについての複数の結合部位を有し得る。
【0162】
本発明の多量体の潜在的な適用は多岐にわたる。例えば、本発明は、拮抗物質を作製するための適用において使用され得る。ここでは、選択された単量体ドメインまたは多量体は、2つのタンパク質間の相互作用をブロックする。選択的に、本発明は作用物質を生成し得る。例えば、2つの異なるタンパク質(例えば、酵素および基質)を結合する多量体は、例えば、酵素活性および/または基質の転換を含む、タンパク質の機能を増強し得る。
【0163】
他の適用には細胞ターゲッティングが含まれる。例えば、特定の細胞表面タンパク質を認識する単量体ドメインおよび/または免疫ドメインからなる多量体は、特定の細胞型に選択的に結合し得る。抗ウイルス剤として単量体ドメインおよび/または免疫ドメインを含む適用もまた、含まれる。例えば、ウイルス粒子上の異なるエピトープに結合する多量体は、多価ゆえに抗ウイルス剤として有用であり得る。他の適用には、タンパク質精製、タンパク質検出、バイオセンサー、リガンド-アフィニティー捕捉実験などが含まれ得るがこれらに限定されない。さらに、ドメインまたは多量体は、任意の適切な使用(例えば、治療剤または診断剤としての使用)のために慣用的な手段によってバルクで合成され得る。
【0164】
いくつかの態様において、多量体は、異なるタンパク質についての特異性を有する単量体ドメインおよび/または免疫ドメインを含む。異なるタンパク質は、関連性があるかまたは関連性がないものであり得る。関連性があるタンパク質の例には、タンパク質ファミリーまたはウイルスの異なる血清型のメンバーが含まれる。または、多量体の単量体ドメインおよび/または免疫ドメインは、生理学的経路中の異なる分子(例えば、異なる血液凝固タンパク質)を標的化し得る。なお他の態様において、単量体ドメインおよび/または免疫ドメインは、関連性のない経路のタンパク質に結合する(例えば、2つのドメインが血液因子に結合し、2つの他のドメインおよび/または免疫ドメインが炎症関連のタンパク質に結合し、第5のドメインが血清アルブミンに結合する)。
【0165】
免疫ドメインを含む多量体の最終的な高次構造は、増強した安定性および他の所望の特徴を提供する環構造であり得る。これらの環状多量体は、単一のポリペプチド鎖として発現され得るか、または複数の個別のポリペプチド鎖から構築され得る。個別のポリペプチド鎖から構築された環状多量体は、代表的には、2つのポリペプチド鎖のアセンブリーである。図13Bは、2つのポリペプチド鎖の環状多量体を示す。環状多量体構造の形成は、空間的な配置(すなわち、距離および順序)ならびに個々のドメインの二量体化の特異性によって非常に影響され得る。例えば、リンカーの長さ、リンカーの組成、および免疫ドメインの順序といったパラメーターは、多様な構造を有する環状多量体のライブラリーを生成するために変化され得る。環状多量体のライブラリーは、所望の標的分子に結合する環状多量体を同定するために、本明細書中に記載の本発明の方法に従って容易にスクリーニングされ得る。多量体が生成された後、選択的に、環状化工程が、所望の結合活性についてさらにスクリーニングされ得る環状化された多量体のライブラリーを生成するために実行され得る。
【0166】
これらの環状環構造は、例えば、ScFv免疫ドメインの多量体から構成され得る。ここで、免疫ドメインは分割されて、その結果、ポリペプチド多量体鎖のコイル形成が、免疫ドメインにとって、それらの適切な二量体構造、例えば、
または
などを形成するために必要である。このような環状構造の例は、図13Aに示されている。この環はまた、2つのポリペプチド鎖の混合によって形成され得る。ここで、各鎖は免疫ドメインの半分を含む。例えば、1つの鎖がVLドメインを含み、かつ他方の鎖がVHドメインを含み、その結果、VL/VHドメインの正確な対は、2つの鎖が結合する際に一緒に伴われる。鎖の環状化は、図13Bに示されるように、ドメインのフレームの順番を変化させることに委ねられ得る(すなわち、ポリペプチド1:
およびポリペプチド2
)。
【0167】
四量体環構造を形成する単一のポリペプチド鎖は、非常に安定であり得、かつ強い結合特性を有する。このような環の例は図13Cに示される。
【0168】
環状多量体はまた、多量体タンパク質のN末端のまたはN末端近傍の少なくとも1つの二量体化ドメインを、コードするか、または結合するか、または連結すること、および、多量体タンパク質のC末端のまたはC末端近傍の少なくとも1つの第2の二量体化ドメインを、コードするか、または結合するか、または連結すること、によって形成され得る。ここで、第1および第2の二量体化ドメインは、互いに強力な親和性を有する。本明細書中で使用される場合、「二量体化ドメイン」という用語とは、卓越した強さおよび特異性で別のタンパク質結合ドメインに結合し、例えば、二量体を形成するする能力を有する(免疫学的起源かまたは免疫学的起源でないかのいずれかの)タンパク質結合ドメインをいう。多量体の環状化は、第1の二量体化ドメインおよび第2の二量体化ドメインの互いに対する結合の際に起こる。詳細には、2つのドメイン間の二量体化は、多量体に環状構造を採用させる。二量体化ドメインは、ドメインがそれ自体と同一であるタンパク質に結合するという点でホモ二量体を形成し得る。二量体化ドメインは、ドメインがそれ自体と異なるタンパク質結合ドメインに結合するという点でヘテロ二量体を形成し得る。このような二量体化ドメインについてのいくつかの使用は、例えば、米国特許第5,491,074号および国際公開公報第94/28173号に記載されている。
【0169】
いくつかの態様において、本発明の多量体は、同じかまたは他の多量体に結合して、凝集体を形成する。凝集は、例えば、2つの単量体ドメインおよび/または免疫ドメイン上の疎水性ドメインの存在によって媒介され得、2つの単量体ドメインおよび/または免疫ドメイン間の非共有結合的相互作用の形成を生じる。または、凝集は、別の多量体中の単量体ドメインについての結合特異性を有する多量体中の1つまたはそれ以上の単量体ドメインによって促進され得る。凝集体は、単一の多量体よりもより標的結合ドメインを含み得る。
【0170】
3.治療的および予防的な処置の方法
本発明はまた、1つまたはそれ以上の、上記の本発明の核酸またはポリペプチド(または、薬学的に許容される賦形剤および1つまたはそれ以上のこのような核酸またはポリペプチドを含む組成物)をインビボまたはエキソビボで、被験体(例えば、哺乳動物(ヒト、霊長類、マウス、ブタ、ウシ、ヤギ、ウサギ、ラット、モルモット、ハムスター、ウマ、ヒツジを含む)または哺乳動物でない脊椎動物(例えば、鳥類(例えば、ニワトリまたはアヒル)、魚類、または無脊椎動物を含む)に投与することによって、疾患または障害を治療的または予防的に処置する方法を含む。
【0171】
本発明の第1の局面において、エキソビボの方法において、1つまたはそれ以上の細胞または被験体の関心対象の細胞の集団(例えば、腫瘍細胞、腫瘍組織試料、器官細胞、血液細胞、皮膚細胞、肺、心臓、筋肉、脳、粘膜、肝臓、腸、脾臓、胃、リンパ系、頚部、膣、前立腺、口、舌など)が被験体から入手されるか取り出され、疾患、障害、または他の状態を予防的または治療的に処置するのに有効な、本発明の選択された単量体ドメインおよび/または多量体の一定の量と接触される。次いで、接触された細胞は、処置される被験体中の関心対象の、それが得られた部位または別の部位(例えば、上記に規定したものを含む)で被験体に戻されるかまたは送達される。所望の場合、接触された細胞は、標準的移植技術および周知の移植技術を使用して、被験体中の関心対象の組織、器官、または系の部位(上記のすべてのものを含む)に移植され得るか、または、例えば、標準的な送達技術または輸血技術を使用して、血液またはリンパ系に送達され得る。
【0172】
本発明はまた、1つまたはそれ以上の細胞または被験体の関心対象の細胞の集団が、疾患、障害、または他の状態を予防的または治療的に処置するのに有効な、本発明の選択された単量体ドメインおよび/または多量体の一定の量と、直接的または間接的に接触される、インビボの方法を提供する。直接的な接触/投与様式においては、選択された単量体ドメインおよび/または多量体は、代表的には、処置される細胞または関心対象の組織の部位(例えば、腫瘍細胞、腫瘍組織試料、器官細胞、血液細胞、皮膚細胞、肺、心臓、筋肉、脳、粘膜、肝臓、腸、脾臓、胃、リンパ系、頚部、膣、前立腺、口、舌など)に、種々の様式(局所的投与、注射(例えば、針またはシリンジを使用することによって)、またはワクチン送達、または遺伝子銃送達(組織、器官または皮膚の部位に押しつける))のいずれかによって、直接的に投与または輸送される。選択された単量体ドメインおよび/または多量体は、例えば、筋肉内、皮内、真皮下(subdermally)、皮下(subcutaneously)、経口、腹腔内、鞘内、静脈内、に送達され得るか、または身体の腔内に配置されるか(例えば、外科手術の間を含む)、または吸入または膣投与もしくは直腸投与により送達され得る。
【0173】
インビボでの間接的な接触/投与様式において、選択された単量体ドメインおよび/または多量体は、本発明のポリペプチドを、そこから処置が容易にされ得る1つまたはそれ以上の細胞または細胞の集団に直接的に接触または投与することによって、代表的には、上記のもの(例えば、皮膚細胞、器官系、リンパ系、または血液細胞系など)を含む、処置される細胞または関心対象の組織の部位に間接的に投与または輸送される。例えば、被験体の身体中の腫瘍細胞は、血液もしくはリンパ系の細胞、皮膚、または器官を、十分な量の選択された単量体ドメインおよび/または多量体と接触されることによって処置され得、その結果、関心対象の部位(例えば、身体中の、関心対象の組織、器官、もしくは細胞、または血液もしくはリンパ系)への選択された単量体ドメインおよび/または多量体の送達が起こり、効果的な予防的または治療的な処置が生じる。このような接触、投与、または輸送は、代表的には、1つまたはそれ以上の、上記に記載した投与の経路または様式を用いて行われる。
【0174】
別の局面において、本発明はエキソビボの方法を提供し、ここでは、1つまたはそれ以上の関心対象の細胞または被験体の関心対象の細胞の集団(例えば、腫瘍細胞、腫瘍組織試料、器官細胞、血液細胞、皮膚細胞、肺、心臓、筋肉、脳、粘膜、肝臓、腸、脾臓、胃、リンパ系、頚部、膣、前立腺、口、舌など)が被験体から入手されるか取り出され、この1つまたはそれ以上の細胞または細胞の集団を、疾患、障害、または他の状態を予防的または治療的に処置するのに有効な、関心対象の生物学的に活性なポリペプチド(例えば、選択された単量体ドメインおよび/または多量体)をコードする本発明の核酸配列を含むポリヌクレオチド構築物と接触させることによって形質転換する。この1つまたはそれ以上の細胞または細胞の集団は、十分な量のポリヌクレオチド構築物およびこの核酸配列の発現を制御するプロモーターと接触され、その結果、ポリヌクレオチド構築物(およびプロモーター)の細胞への取り込みが起こり、本発明の標的の核酸配列の十分な発現を生じて、疾患、障害、または状態を予防的または治療的に処置するのに有効な、選択された単量体ドメインおよび/または多量体をコードする、生物学的に活性な一定量のポリペプチドを産生する。このポリヌクレオチド構築物は、本発明の核酸配列の発現を制御するプロモーター配列(例えば、CMVプロモーター配列)および/または、所望される場合、少なくとも1つまたはそれ以上の、本発明の別のポリペプチド、サイトカイン、アジュバント、または同時刺激性分子、または関心対象の他のポリペプチドをコードする、1つまたはそれ以上のさらなるヌクレオチド配列を含み得る。
【0175】
形質移入の後、形質転換された細胞は、被験体の、それらがそこから得られた組織の部位もしくは系または被験体において処置される別の部位で(例えば、腫瘍細胞、腫瘍組織試料、器官細胞、血液細胞、皮膚細胞、肺、心臓、筋肉、脳、粘膜、肝臓、腸、脾臓、胃、リンパ系、頚部、膣、前立腺、口、舌など)、被験体に、戻されるか、送達されるか、または輸送される。所望される場合、この細胞は、標準的かつ周知の移植技術を用いて被験体中の関心対象の組織、皮膚、器官、または身体系に移植され得るか、または標準的な送達または輸血技術を用いて血液またはリンパ系に送達され得る。形質転換された細胞の、このような送達、投与、または輸送は、代表的には、1つまたはそれ以上の、上記の投与の経路または様式を用いて行われる。標的の核酸の発現は、天然に存在するかまたは誘導され得(以下により詳細に記載される)、コードされたポリペプチドの一定の量が、その部位または組織系での疾患または状態を処置するに十分かつ効率的に発現される。
【0176】
別の局面において、本発明は、1つもしくはそれ以上の関心対象の細胞または被験体の細胞の集団(例えば、上記の細胞および細胞系ならびに被験体を含む)は、細胞または細胞の集団を、疾患、障害、または他の状態を予防的または治療的に処置するのに有効な、生物学的に活性な関心対象のポリペプチド(例えば、選択された単量体ドメインおよび/または多量体)をコードする本発明の核酸配列を含むポリヌクレオチド構築物を接触させることによって(または、上記の1つまたはそれ以上の投与の経路または様式を用いて、細胞または細胞の集団に投与または輸送することによって)、被験体の身体中で形質転換される。
【0177】
ポリヌクレオチド構築物は、疾患または障害に苦しむ細胞に、直接的に投与または輸送され得る(例えば、1つまたはそれ以上の上記の投与の経路または様式を用いる直接的な接触によって)。または、ポリヌクレオチド構築物は、疾患または障害に苦しむ細胞に間接的に投与または輸送され得る。これは、疾患を有しない細胞または他の疾患を有する細胞を、1つまたはそれ以上の上記の投与の経路または様式を用いて、生物学的に活性なポリペプチドをコードする核酸配列およびその核酸配列の発現を制御するプロモーターを含む、十分な量のポリヌクレオチド構築物と最初に直接的に接触させることによって行われる。その結果、細胞へのポリヌクレオチド構築物(およびプロモーター)の取り込みが起こり、本発明の核酸配列の十分な発現が生じて疾患または障害を予防的または治療的に処置するのに有効な量の生物学的に活性なポリペプチドを産生し、それによってポリヌクレオチド構築物または得られた発現されたポリペプチドは天然にまたは自動的に、被験体の身体の、最初の送達部位、系、組織、または器官から、被験体の身体の、疾患の部位、組織、器官、または系に輸送される(例えば、血液またはリンパ系を介して)。標的核酸の発現は天然に生じるか、または誘導され得(以下により詳細に記載されるように)、その結果、一定量の発現されたポリペプチドは、その部位または組織系での疾患または状態を処置するに十分かつ効果的である。このポリヌクレオチド構築物は、本発明の核酸配列の発現を制御するプロモーター配列(例えば、CMVプロモーター配列)および/または、所望される場合、少なくとも1つまたはそれ以上の、本発明の別のポリペプチド、サイトカイン、アジュバント、または同時刺激性分子、または関心対象の他のポリペプチドをコードする、1つまたはそれ以上のさらなるヌクレオチド配列を含み得る。
【0178】
上記のようなインビボまたはエキソビボの処理方法の各々において、賦形剤および本発明のポリペプチドまたは核酸を含む組成物が投与または送達され得る。1つの局面において、薬学的に許容される賦形剤および本発明のポリペプチドまたは核酸を含む組成物は、疾患または障害を処置するに有効な量で、上記のように被験体に投与または送達される。
【0179】
別の局面において、上記のようなインビボおよびエキソビボの処理方法の各々において、細胞または被験体に投与されるポリヌクレオチドの量は、1つまたはそれ以上の被験体の細胞へのそのポリヌクレオチドへの取り込みが起こり、その核酸配列の十分な発現が生じて被験体中で免疫応答(免疫原(例えば、抗原)によって誘導される免疫応答を含む)を増強するのに有効な量の生物学的に活性なポリペプチドを産生するような量であり得る。別の局面において、このような方法の各々において、細胞または被験体に投与されるポリペプチドの量は、被験体中で免疫応答(免疫原(例えば、抗原)によって誘導されるものを含む)を増強するのに十分な量であり得る。
【0180】
なお別の局面において、ポリヌクレオチド構築物(またはポリヌクレオチド構築物を含む組成物)が生理学的に活性なポリペプチドを被験体に送達するために使用される、インビボまたはインビボの処理方法において、ポリヌクレオチド構築物の発現は、誘導性のオンおよびオフ遺伝子発現系を用いて誘導され得る。このようなオンおよびオフ遺伝子発現系の例には、Tet-オン(Tet-On)(商標) 遺伝子発現システム(Gene Expression System)およびTet-オフ(Tet-Off)(商標) 遺伝子発現システムがそれぞれ挙げられる(例えば、このような系の各々の詳細な記載については、Clontechカタログ2000、110-111頁を参照されたい)。他の制御可能なまたは誘導性のオンおよびオフ遺伝子発現系は、当業者に公知である。このような系を用いると、ポリヌクレオチド構築物の標的の核酸の発現が、正確、可逆的、かつ定量的な様式で調節され得る。標的核酸の遺伝子発現は、例えば、標的核酸を含むポリヌクレオチド構築物を含む安定な形質移入した細胞が、関心対象の組織部位、器官、または系に送達または輸送されるか、または関心対象の組織部位、器官、または系に接触されるように作製された後で、誘導され得る。このような系は、標的核酸の発現を遅らせるか、または正確に制御することが有利であるような処置の方法および様式において特に利点がある。(例えば、手術の完了のための時間および/または手術後の治癒を可能にするため;標的核酸を含むポリヌクレオチド構築物が、処置される部位、細胞、系、または組織に到達するための時間を可能にするため;構築物で形質転換された細胞を含む移植物が、その移植物が接合または接着などされた組織または器官の上または中に取り込まれるための時間を可能にするため)。
【0181】
4.単量体ドメインおよび/または多量体の核酸およびポリペプチドのさらなる操作
上記に述べたように、本発明のポリペプチドは改変され得る。これらのポリペプチドをコードする修飾または改変された核酸配列を生成するための種々の多様な生成手段の記載は、上記ならびに以下の刊行物およびそこに引用される参照文献中に記載される:
【0182】
多様性を生成するための突然変異の方法には、例えば、以下が挙げられる:部位特異的変異誘発
;ウラシル含有鋳型を用いる変異誘発
【0183】
さらなる適切な方法には以下が含まれる:点ミスマッチ修復(Kramerら、Point Mismatch Repair, (1984) Cell 38: 879-887)、修復欠損宿主株を用いる変異誘発(Carterら、Improved oligonucleotide site-directed mutagenesis using M13 vectors, (1985) Nucl. Acids Res. 13: 4431-4443;およびCarterら、Improved oligonucleotide-directed mutagenesis using M13 vectors, (1987) Methods in Enzymol. 154, 382-403)、欠失変異誘発
上記の方法の多くに関するさらなる詳細は、Methods in Enzymology 第154巻に見い出され得、これはまた、種々の変異誘発方法に伴う問題解決のための有用な標準をまた記載する。
【0184】
種々の多様性を生成する方法に関するさらなる詳細は、以下の米国特許、PCT公開公報および出願、ならびに欧州公開公報において見出され得る:Stemmerに与えられた(1997年2月25日)米国特許第5,605,793号「Methods for in Vitro Reconbination」;Stemmerらに与えられた(1998年9月22日)米国特許第5,811,238号「Methods for Generating Polynucleotides having Desired Characteristics by Iterative Selection and Recombination」;Stemmerらに与えられた(1998年11月3日)米国特許第5,830,721号「DNA Mutagenesis by Random Fragmentation and Reassembly」;Stemmerらに与えられた(1998年11月10日)米国特許第5,834,252号「End-Complementary Polymerase Reaction」;Minshullらに与えられた(1998年11月17日)米国特許第5,837,458号「Methods and Compositions for Cellular and Metabolic Engeneering」;StemmerおよびCrameriによる国際公開公報第95/22625号「Mutagenesis by Random Fragmentation and Reassembly」;StemmerおよびLipschulzによる国際公開公報第96/33207号「End Complementary Polymerase Chain Reaction」;StemmerおよびCrameriによる国際公開公報第97/20078号「Methods for Generating Polynucleotides having Desired Characteristics by Iterative Selection and Recombination」;MinshullおよびStemmerによる国際公開公報第97/35966号「Methods and Compositions for Cellular and Metabolic Engineering」;Punnonenらによる国際公開公報第99/41402号「Targeting of Genetic Vaccine Vectors」;Punnonenらによる国際公開公報第99/41383号「Antigen Library Immunization」;Punnonenらによる国際公開公報第99/41369号「Genetic Vaccine Vector Engineering」;Punnonenらによる国際公開公報第99/41368号「Optimization of Immunomodulatory Properties of Genetic Vaccines」;StemmerおよびCrameriによる欧州特許第752008号「DNA Mutagenesis by Random Fragmentation and Reassembly」;Stemmerによる欧州特許第0932670号「Evolving Cellular DNA Uptake by Recursive Sequence Recombination」;Stemmerらによる国際公開公報第99/23107号「Modification of Virus Tropism and Host Range by Viral Genome Shuffling」;Aptらによる国際公開公報第99/21979号「Human Papillomavirus Vectors」;del Cardayreらによる国際公開公報第98/31837号「Evolution of Whole Cells and Organisms by Recursive Sequence Recombination」;PattenおよびStemmerらによる国際公開公報第98/27230号「Methods and Composition for Polypeptide Engineering」;Stemmerらによる国際公開公報第98/27230号「Methods for Optimization of Gene Therapy by Recursive Sequence Shuffling and Selection」、国際公開公報第00/00632号「Methods for Generating Highly Diverse Libraries」、国際公開公報第00/09679号「Methods for Obtaining in Vitro Recombinied Polynucleotide Sequence Banks and Resulting Sequences」、Arnoldらによる国際公開公報第98/42832号「Recombination of Polunucleotide Sequences Using Random or Defined Primers」、Arnoldらによる国際公開公報第99/29902号「Methods for Creating Polynucleotide and Polypeptide Sequences」、Vindによる国際公開公報第98/41653号「An in Vitro Method for Construction of a DNA Library」、Borchertらによる国際公開公報第98/41622号「Method for Constructing a Library Using DNA Shuffling」、ならびに、PatiおよびZarlingらによる国際公開公報第98/42727号「Sequence Alterations using Homologous Recombination」、Pattemらによる国際公開公報第00/18906号「Shuffling of Codon-Altered Genes」;del Cardayreらによる国際公開公報第00/04190号「Evolution of Whole Cells and Organisms by Recursive Recombination」; Crameriらによる国際公開公報第00/042561号「Oligonucleotide Mediated Nucleic Acid Recombination」;SelifonovおよびStemmerによる国際公開公報第00/42559号「Methods of Populating Data Structures for Use in Evolutionary Simulations」;Selifonovらによる国際公開公報第00/42560号「Methods for Making Character Strings, Polynucleotides & Polypeptides Having Desired Characteristics」;Welchらによる国際公開公報第01/23401号「Use of Codon-Varied Oligonucleotide Synthesis for Synthetic Shuffling」;ならびに、Affholterによる国際特許出願番号PCT/US01/06775号「Single-Stranded Nucleic Acid Template-Mediated Recombination and Nucleic Acid Fragment Isolation」。
【0185】
本発明の別の局面は、核酸をコードする、単量体ドメイン、選択された単量体ドメイン、多量体、および/または選択された多量体のクローニングおよび発現を含む。従って、多量体ドメインは、当技術分野で周知の発現系を用いて単一のタンパク質として合成され得る。上記に示した数多くのテキストに加えて、例えば、単量体ドメイン、選択された単量体ドメイン、多量体、および/または選択された多量体のような核酸を発現するのに関連性のある、ベクター、プロモーター、および多くの他のトピックスの使用を含む、本明細書中で有用な分子生物学の技術を記載する一般的なテキストには、以下が含まれる:BergerおよびKimmel、Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology 第152巻、Academic Press, Inc.、San Diego、CA (Berger);Sambrookら、Molecular Cloning-A Laboratory Mannual(第2版)第1-3巻、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New York、1989 (「Sambrook」)およびCurrent Protocols in Molecular Biology、F.M. Ausubelら編、Current Protocols(Greene Publishing Associates, Inc.とJohn Wiley & Sons, Inc.の合弁事業)(1999年から補遺)(「Ausubel」)。核酸をコードする単量体ドメインおよび多量体を同定、単離、およびクローニングする際に有用なインビトロ増幅方法(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、Q∃-レプリカーゼ増幅、および他のRNAポリメラーゼ媒介技術(例えば、NASBA)を含む)によって当業者に指示するに十分な技術の例は、以下において見出され得る:Berger、SambrookおよびAusubel、ならびにMullisら、(1987) 米国特許第4,683,202号;PCR Protpcols A Guide to Methods and Applications (Innisら編) Academic Press Inc. San Diego, CA (1990) (Innis);ArnheimおよびLevinson(1990年10月1日)C&EN 36-47;The Journal Of NIH Research (1991) 3, 81-94;Kwohら、(1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86, 1173;Guatelliら、(1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 1874;Lomellら (1989) J.Clin. Chem 35, 1826;Landegrenら、(1988)Science 241, 1077-1080;Van Brunt (1990) Biotechnology 8, 291-294;WuおよびWallace、(1989) Gene 4, 560;Barringerら(1990)Gene 89, 117;ならびに、SooknenenおよびMalek(1995)Biotechnology 13: 563-564。インビトロ増幅核酸をクローニングする改善方法は、Wallaceら、米国特許第5,426,039号に記載されている。PCRによって大きな核酸を増幅する改善方法は、Chengら(1994)Nature 369: 684-685およびそこに引用されている参照文献に要約されている(そこでは40kbまでのPCRアンプリコンが生成されている)。当業者は、本質的に、いかなるRNAも、逆転写酵素およびポリメラーゼを使用する、制限消化、PCR伸長、および配列決定に適切な二本鎖DNAに転換し得ることを理解する。Ausubel、Sambrook、およびBerger(すべて前記)を参照されたい。
【0186】
本発明はまた、組換え技術による、宿主細胞への本発明のベクターの導入、ならびに本発明の単量体ドメイン、選択された単量体ドメイン、免疫ドメイン、多量体、および/または選択された多量体の産生に関する。宿主細胞は、本発明のベクターで遺伝的に操作される(すなわち、遺伝子導入、形質転換、または形質移入)。このベクターは、例えば、クローニングベクターまたは発現ベクターであり得る。このベクターは、例えば、プラスミド、ウイルス粒子、ファージなどの形態であり得る。遺伝子操作された宿主細胞は、プロモーターを活性化するか、形質転換体を選択するか、または関心対象の単量体ドメイン、選択された単量体ドメイン、多量体、および/または選択された多量体の遺伝子を増幅するために適切であるように改変された通常の栄養培地中で培養され得る。温度、pHなどのような培養条件は、発現のために選択された宿主細胞とともに以前に使用されたものであり、当業者には、当技術分野および本明細書中に引用される参照文献中で明白である(例えば、Freshney(1994)Culture of Animal Cells, a Manual of Basic Technique、第3版、Wiley-Liss、New Yorkおよびそこに引用される参照文献を含む)。
【0187】
上記に言及したように、本発明のポリペプチドはまた、動物でない細胞(例えば、植物、酵母、真菌、細菌など)中で産生され得る。確かに、全体にわたって述べたように、ファージディスプレイはこのようなポリペプチドを産生するために特に関連する技術である。Sambrook、Berger、およびAusubelに加えて、細胞培養に関する詳細は、以下において見い出され得る:Payneら(1992)Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems、John Wiley & Sons, Inc. New York、NY;GamborgおよびPhillips(編)(1995)Plant Cell、Tissue and Organ Culture; Fundamental Methods Springer Lab Manual、Springer-Verlag (Berlin Heidelberg New York) ならびにAtlasおよびParks(編)The Handbook of Microbiological Media (1993) CRC Press、Boca Raton、FL。
【0188】
本発明はまた、薬学的な特性を改善するため、免疫原性を減少するため、または多量体および/または単量体ドメインの細胞または組織への輸送(例えば、血液脳関門を通して、または皮膚を通して)を容易にするための、単量体ドメイン、免疫ドメイン、および/または多量体の改変を含む。これらの型の改変には、種々の修飾(例えば、糖基の付加またはグリコシル化)、PEGの付加、特定のタンパク質(例えば、HASまたは他の血清タンパク質)を結合するタンパク質ドメインの付加、細胞へ、細胞の外に、または細胞を通してシグナルを移動または輸送するタンパク質の断片または配列の付加が含まれる。さらなる成分もまた、多量体および/または単量体ドメインに付加されて、多量体および/または単量体ドメインの特性を操作し得る。種々の成分がまた付加され得、これらには、例えば、公知の受容体を結合するドメイン(例えば、Fc受容体を結合するFc-領域タンパク質ドメイン)、毒素または毒素の一部、多量体または単量体ドメインを活性化するために選択的に切断され得るプロドメイン、レポーター分子(例えば、緑色蛍光タンパク質)、レポーター分子を結合する成分(例えば、放射線治療のための放射性核種、ビオチン、またはアビジン)、または修飾の組み合わせが含まれる。
【0189】
5.キット
本発明の方法において必要とされる成分(代表的には、混合していない形態で)およびキットの成分(パッケージング材料、成分および/または方法を使用するための指示書、成分を保持するための1つまたはそれ以上の容器(反応チューブ、カラムなど))を含むキットは、本発明の特徴である。本発明のキットは、多量体ライブラリー、または単一の型のライブラリーを含み得る。キットはまた、標的分子の結合を促進するために適切な試薬(例えば、検出可能に標識した分子を含む、検出を容易にする緩衝剤または試薬)を含み得る。単量体ドメインなどへのリガンドの結合を較正するための標準もまた、本発明のキットに含まれ得る。
【0190】
本発明はまた、市販される結合アッセイ法およびアッセイ法を実施するためのキットを提供する。本発明のアッセイ法のいくつかにおいて、1つまたはそれ以上のリガンドが、単量体ドメイン、免疫ドメイン、および/または多量体の結合を検出するために使用される。このようなアッセイ法は、単量体ドメインおよび/または多量体へのリガンドの結合を検出するための当技術分野で公知の任意の方法(例えば、フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡法、プラズモン共鳴など)に基づく。
【0191】
アッセイ法に基づくキットもまた提供される。このキットは、代表的には、容器および1つまたはそれ以上のリガンドを含む。このキットは、選択的に、アッセイ法を実行するための指示書、さらなる検出試薬、緩衝剤、またはこれらの成分のいずれかの使用のための指示書などを含む。または、キットは、本発明の単量体ドメインおよび/または多量体の発現のための、細胞、ベクター(例えば、本発明のポリペプチドを含む、発現ベクター、分泌ベクター)を含み得る。
【0192】
さらなる局面において、本発明は、本明細書中のいかなる組成物、単量体ドメイン、免疫ドメイン、多量体、細胞、細胞培養物、装置、装置の成分、またはキットの使用、本明細書中のいかなる方法またはアッセイ法の実施、および/または、治療用製剤としての本明細書中の細胞、細胞培養物、組成物、または他の特徴の使用を提供する。本明細書中で記載されている処置のための治療用製剤としての本明細書中のすべての成分の製造もまた、提供される。
【0193】
6.集積システム
本発明は、単量体ドメイン、選択された単量体ドメイン、多量体、および/または選択された多量体、ならびにこのようなポリペプチドをコードする核酸に対応する文字列を含む、コンピュータ、コンピュータ読み取り可能な媒体、および集積システムを提供する。これらの配列は、インシリコシャッフリング方法によって、または標準的な配列のアライメントもしくはワードプロセッシングソフトウェアによって操作され得る。
【0194】
例えば、異なる型の類似性および種々のストリンジェンシーの考慮および文字列長は、本明細書中の集積システムにおいて検出および認識され得る。例えば、多くも相同性決定方法が、生体高分子の配列の比較解析のために、ワードプロセッシングのためのスペルチェックのために、および種々のデータベースからのデータ検索のために設計されてきた。天然のポリヌクレオチド中の4つの基本的な核酸塩基の間の二重らせんの対の相補性相互作用の理解に際しては、相補的な相同性のポリヌクレオチド文字列のアニーリングを促すモデルもまた、本明細書中の配列に対応する文字列上で代表的には実行される配列アライメントまたは他の操作の根拠として使用され得る(例えば、ワードプロセッシング操作、配列またはサブ配列の文字列を含む図の構成、アウトプットの表など)。配列類似性を計算するためのGOを伴うソフトウェアパッケージの例はBLASTであり、これは、本明細書中の配列に対応する文字列を入力することによって本発明に適応され得る。
【0195】
BLASTはAltschulら (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-410に記載されている。BLAST解析を実行するソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(World Wide Webのncbi.nlm.nih.govで利用可能)を通して公的に利用可能である。このアルゴニズムは、照会配列中の長さWの短いワードを同定することによって高スコア配列対を最初に同定することを包含する。これは、データベース配列中の同じ長さのワードと整列された場合に、一致するか、またはいくつかの正の値の閾値スコアTを満足するかのいずれかである。Tは、隣接ワードスコア閾値といわれる(Altshulら、前記)。これらの最初の隣接ワードのヒットは、それらを含むより長いHSPを見つけるための探索を開始するための種として機能する。次いで、このワードヒットは、累積のアライメントスコアが増加され得る限り、各々の配列に沿って両方の方向で伸長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列の場合は、パラメーターM(一致する残基の対についての報酬(reward)スコア;常に>0)およびパラメーターN(ミスマッチした残基についてのペナルティースコア;常に<0)を用いて計算される。アミノ酸配列の場合には、スコア付けマトリックスが使用されて累積スコアを計算する。各方向でのワードヒットの伸長は以下の場合に停止される:累積アライメントスコアがそれが達した最大値から数量X落ちた場合;1つまたはそれ以上の負にスコア付けされる残基のアライメントの蓄積によって累積スコアが0またはそれ以下になった場合;または、配列のいずれかの末端に達した場合。BLASTアルゴリズムのパラメーターW、T、およびXは、アライメントの感度と速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列のための)は、デフォルトとして、ワード長(W)=11、予測性(E)=10、カットオフ=100、M=5、N=4、および両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワード長(W)=3、予測性(E)=10、およびBLOSUM62スコアリングマトリックス(HenikoffおよびHenikoff (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915を参照されたい)を使用する。
【0196】
有用な配列アライメントアルゴリズムのさらなる例は、PILEUPである。PILEUPは、漸進的な、ペア形成のアルゴリズムを用いて、関連する配列の群より複数の配列アライメントを作製する。これはまた、アライメントを作製するために、使用したクラスター形成の関連性を示す樹形図をプロットし得る。PILEUPは、FengおよびDoolittle、(1987) J. Mol. Evol. 35: 351-360の漸進的なアライメント方法を単純化したものを使用する。使用される方法は、HigginsおよびSharp、(1989) CABIOS 5: 151-153によって記載される方法と同様である。このプログラムは、例えば、最大長5000文字の300配列までを整列させ得る。この複数のアライメント手順は、2つの最も類似している配列のペア形成アライメントで開始し、2つの整列された配列のクラスターを生成する。次いで、このクラスターは、次に最も関連する配列または整列された配列のクラスターに整列され得る。2つの配列のクラスターは、2つの個々の配列のペア形成アライメントの単純な伸長によって整列され得る。最終的なアライメントは、一連の漸進的な、ペア形成アライメントによって達成される。このプログラムはまた、クラスター形成の関連性の系統樹または樹形図の表示をプロットするために使用され得る。このプログラムは、配列比較の領域についての特定の配列およびアミノ酸またはヌクレオチドの座標を指定することによって実行される。例えば、単量体ドメインファミリー中の保存性アミノ酸を決定するために、または、ファミリー中の単量体ドメインの配列を比較するために、本発明の配列またはコードする核酸が整列されて、構造-機能情報を提供する。
【0197】
1つの局面において、コンピュータシステムは、「インシリコ」の配列組換えまたは単量体ドメインに対応する文字列のシャッフリングを実行するために使用される。種々のこのような方法が、1999年2月5日に出願された(米国特許出願第60/118854号)、SelifonovおよびStemmerの「Methods For Making Character Strings、Polynucleotides & Polypeptides Having Desired Characteristics」ならびに、1999年10月12日に出願された(米国特許出願第09/416,375号)、SelifonovおよびStemmerの「Methods For Making Character Strings, Polynucleotides & Polypeptides Having Desired Characteristics」に示されている。手短に言えば、遺伝子オペレーターが、遺伝的アルゴリズムにおいて、所定の配列を変化させるために使用される(例えば、変異、組換え、死などのような遺伝的現象を模倣することによって)。配列を最適化するための多次元解析はまた、例えば、'375出願において記載されるように、コンピュータシステムにおいて実行され得る。
【0198】
デジタルシステムはまた、オリゴヌクレオチド合成機に指示して、オリゴヌクレオチドを合成し得るか(例えば、遺伝子再構築または組換えのために使用される)、または、市販されている供給源からのオリゴヌクレオチドを注文し得る(例えば、適切な注文フォームを印刷することによって、またはインターネット上で注文フォームにリンクすることによって)。
【0199】
このデジタルシステムはまた、核酸合成を制御するためのアウトプット要素を含み得る(例えば、配列または組換えのアライメント(例えば、本明細書中に記載されるような、シャッフルされた単量体ドメイン)に基づいて)。すなわち、本発明の集積システムは、選択的に、オリゴヌクレオチド合成機またはオリゴヌクレオチド合成制御装置を含む。このシステムは、アライメントの下流で発生する他の操作または本明細書中の配列に対応する文字列を使用して実行される他の操作(例えば、アッセイ法に関して上記に示したような操作)を含み得る。
【0200】
実施例
以下の実施例は例示のために提供され、特許請求の範囲を制限するためではない。
【0201】
実施例1
本実施例は、単量体ドメインの選択および多量体の作製を記載する。
【0202】
単量体ドメインを同定するためおよび選択された単量体ドメインから多量体を作製するための出発物質、ならびに手順は、種々のヒト配列および/または非ヒト配列のいずれかから導き出され得る。例えば、所望のリガンドまたはリガンドの混合物についての特異的な結合を有する選択された単量体ドメインを産生するために、1つまたはそれ以上の単量体ドメイン遺伝子が、特定のリガンドに結合する単量体ドメインのファミリーから選択される。1つまたはそれ以上の単量体ドメイン遺伝子をコードする核酸配列は、ゲノムDNAまたはcDNAのPCR増幅によって得られ得るか、または選択的に、重複するオリゴヌクレオチドを使用して合成的に産生され得る。
【0203】
最も一般的には、次いで、これらの配列は、発現およびスクリーニングのために、細胞表面ディスプレイの様式(すなわち、細菌、酵母、または哺乳動物(COS)の細胞表面ディスプレイ;ファージディスプレイ)にクローニングされる。組換え配列は、適切な宿主細胞(ここで組換え配列が発現および細胞表面にディスプレイされる)にトランスフェクト(形質導入または形質転換)される。例えば、細胞は、標識された(例えば、蛍光標識された)所望のリガンドで染色され得る。染色された細胞はフローサイトメトリーによって分別され、遺伝子をコードする選択された単量体ドメインが、陽性細胞から回収される(例えば、プラスミド単離、PCR、または伸長およびクローニングによって)。染色および分別のプロセスは、反復する複数の回数であり得る(例えば、所望のレベルの富化が得られるまで、所望のリガンドの漸進的な減少濃度を使用する)。または、所望のリガンドまたはリガンドの混合物を結合する細胞を同定するために使用され得る、当技術分野で公知のスクリーニングまたは検出の任意の方法が使用され得る。
【0204】
細胞を結合する所望のリガンドまたはリガンドの混合物から回収された遺伝子をコードする選択された単量体ドメインは、本明細書または引用された参照文献中に記載される方法のいずれかに従って選択的に組み換えられ得る。次いで、多様化のこのラウンドにおいて産生された組換え配列は、所望のまたは標的のリガンドについて改善された親和性を有する組換え遺伝子を同定するために、同じ方法または異なる方法によってスクリーニングされる。多様化および選択のプロセスは、所望の親和性が得られるまで、選択的に反復される。
【0205】
本方法によって選択された、選択された単量体ドメイン核酸は、リンカー配列を介して一緒に連結され得、多量体を作製する(例えば、DNAライゲーションによる、選択された単量体ドメインをコードする核酸配列のコンビナトリアルアセンブリーによって、または、選択的に、PCRに基づく、自己プライミング重複反応によって)。次いで、多量体をコードする核酸配列は、発現およびスクリーニングのために、細胞表面ディスプレイ様式(すなわち、細菌、酵母、または哺乳動物(COS)の細胞表面ディスプレイ;ファージディスプレイ)にクローニングされる。組換え配列は、適切な宿主細胞(ここで組換え配列が発現および細胞表面にディスプレイされる)にトランスフェクト(形質導入または形質転換)される。例えば、細胞は、標識された(例えば、蛍光標識された)所望のリガンドまたはリガンドの混合物で染色され得る。染色された細胞はフローサイトメトリーによって分別され、遺伝子をコードする選択された多量体が、陽性細胞から回収される(例えば、PCR、または伸長およびクローニングによって)。陽性細胞は、選択された単量体ドメインと比較して、所望のリガンドまたはリガンドの混合物に対する、改善された結合活性もしくは親和性、または変化した特異性を有する多量体を含む。染色および分別のプロセスは、反復する複数の回数であり得る(例えば、所望のレベルの富化が得られるまで、所望のリガンドまたはリガンドの混合物の漸進的な減少濃度を使用する)。または、所望のリガンドまたはリガンドの混合物を結合する細胞を同定するために使用され得る、当技術分野で公知のスクリーニングまたは検出の任意の方法が使用され得る。
【0206】
細胞を結合する所望のリガンドまたはリガンドの混合物から回収された遺伝子をコードする選択された多量体は、本明細書または引用された参照文献中に記載される方法のいずれかに従って選択的に組み換えられ得る。次いで、多様化のこのラウンドにおいて産生された組換え配列は、所望のまたは標的のリガンドについて改善された結合活性もしくは親和性、または変化した特異性を有する組換え遺伝子を同定するために、同じ方法または異なる方法によってスクリーニングされる。多様化および選択のプロセスは、所望の結合活性もしくは親和性、または変化した特異性が得られるまで、選択的に反復される。
【0207】
実施例2
本実施例は、C2ドメインからなる多量体のライブラリーの開発を記載する。
【0208】
単量体性C2ドメインをコードするDNA配列のライブラリーは、Stemmerら、Gene 164、49-53 (1995)に記載されるように、アセンブリーPCRによって作製される。このPCR反応において使用するオリゴヌクレオチドは:
(配列番号:237〜249)である。
【0209】
PCR断片をBamHIおよびXhoIで消化する。消化産物を、1.5%アガロースゲルで分離し、C2ドメイン断片をゲルから精製する。このDNA断片を、酵母表面ディスプレイベクターpYD1 (Invitrogen) の対応する制限部位にライゲーションする。
【0210】
ライゲーション混合物を、酵母株EBV100の形質転換のために使用する。形質転換体は、グルコース含有選択培地(-Trp)中で、30℃で細胞を増殖することによって選択する。
【0211】
C2ドメインライブラリーの表面ディスプレイは、ガラクトース含有選択培地中で、20℃で細胞を増殖することによって誘導される。細胞をPBSですすぎ、次いで、蛍光標識した標的タンパク質とともにインキュベートし、再度PBS中ですすぐ。
【0212】
次いで、細胞を、FACSによって分別し、陽性細胞をグルコース含有選択培地中で再度増殖される。この細胞培養物を、分別の2回めのラウンドのために使用し得るか、またはプラスミドDNAの単離のために使用され得る。精製したプラスミドDNAを、DNA配列をコードするC2ドメインをPCR増幅するための鋳型として使用する。
【0213】
このPCR反応において使用するオリゴヌクレオチドは、
(配列番号:250および251)である。
【0214】
次いで、PCR断片を、AlwNIで消化し、消化産物を、1.5%アガロースゲルで分離し、C2ドメイン断片をゲルから精製する。続いて、PCR断片を、ストップ断片の存在下でDNAライゲーションによって多量体化する。ストップ断片を以下に列挙する(配列番号:252および253):
ストップ1:
ストップ2:
【0215】
次いで、このライゲーション混合物を、EcoRIおよびHindIIIで消化する。
【0216】
多量体を、1%アガロースゲル上で分離し、ストップ1-C2-C2-ストップ2に対応するDNA断片をゲルから精製する。ストップ1-C2-C2-ストップ2断片は、プライマー5'aattcaacgctactaccat3'(配列番号:254)および5'agcttcattacccaaatcaac3'(配列番号:255)を使用してPCR増幅し、引き続いてBamHIとXhoIで消化する。選択的に、多量体をコードするポリヌクレオチドは、アフィニティースクリーニングのさらなるラウンドを行い得る(例えば、上記のFACS解析)。
【0217】
続いて、高親和性結合体を単離および配列決定する。高結合体をコードするDNAを、発現ベクター中にクローニングし、適切な宿主中で複製する。発現したタンパク質を精製および特徴付けする。
【0218】
実施例3
本実施例は、LDL受容体Aドメインからなる三量体のライブラリーの開発を記載する。
【0219】
単量体性AドメインをコードするDNA配列のライブラリーは、Stemmerら、Gene 164、49-53 (1995)に記載されるように、アセンブリーPCRによって作製される。このPCR反応において使用するオリゴヌクレオチドは:
(配列番号:256〜263)である。
ここで、R=A/G、Y=C/T、M=A/C、K=G/T、S=C/G、W=A/T、B=C/G/T、D=A/G/T、H=A/C/T、V=A/C/G、およびN=A/C/G/Tである。
【0220】
PCR断片をXmaIおよびSfiIで消化する。消化産物を、3%アガロースゲル上で分離し、Aドメイン断片をゲルから精製する。次いで、このDNA断片を、ファージディスプレイベクターフューズ(fuse)5-HA(フューズ5の誘導体)の対応する制限部位にライゲーションする。ライゲーション混合物を、エレクトロポレーション受容性の大腸菌細胞(F-株、例えば、Top10またはMC1061)にエレクトロポレーションする。形質転換した大腸菌細胞を、20μg/mlのテトラサイクリンを含む2×YT培地中で一晩増殖させる。
【0221】
ビリオンをPEG沈殿によってこの培養物から精製する。標的タンパク質は、0.1M NaHCO3中でインキュベートすることによって直接的に、またはビオチン-ストレプトアビジン結合を介して間接的に、固体表面(例えは、ペトリ皿またはマイクロタイタープレート)上に固定化される。精製したビリオンを、典型的な数として約1〜3×1011TUで添加する。ペトリ皿またはマイクロタイタープレートを、4℃でインキュベートし、洗浄緩衝液(TBS/Tween)で数回洗浄し、結合したファージをグリシンHCl緩衝液を添加することによって溶出する。この溶出液を、1M Tris-HCl(pH 9.1)を添加することによって中和する。
【0222】
このファージを増幅し、引き続いてアフィニティー選択の2回目のラウンドへのインプットとして使用する。ssDNAを、QIAprep M13キットを用いて最終的な溶出液から抽出する。ssDNAを、DNA配列をコードするAドメインをPCR増幅するための鋳型として使用する。
【0223】
このPCR反応において使用するオリゴヌクレオチドは:
(配列番号:264および265)である。
【0224】
PCR断片を、AlwNIおよびBglIで消化する。消化産物を3%アガロースゲル上で分離し、Aドメイン断片をゲルから精製する。PCR断片を、以下のストップ断片(配列番号:266および267)の存在下でDNAライゲーションによって多量体化する。
ストップ1:
ストップ2:
【0225】
このライゲーション混合物を、EcoRIおよびHindIIIで消化する
【0226】
多量体を、1%アガロースゲル上で分離し、ストップ1-A-A-A-ストップ2に対応するDNA断片をゲルから精製する。ストップ1-A-A-A-ストップ2断片は、引き続いて、プライマー5'agcttcattacccaaatcaac3'(配列番号:268)および5'aattcaacgctactaccat3'(配列番号:269)を使用してPCR増幅し、引き続いて、XmalおよびSfiIで消化する。次いで、選択したポリヌクレオチドをファージ発現系にクローニングし、標的タンパク質についての親和性について試験する。
【0227】
続いて、高親和性結合体を単離および配列決定する。高結合体をコードするDNAを、発現ベクター中にクローニングし、引き続いて適切な宿主中で発現させる。次いで、発現したタンパク質を精製および性格付けする。
【0228】
前述の発明は、いくぶん詳細に明確化および理解の目的のために記載してきたが、この開示を読むことにより、形態および詳細の種々の変更が本発明の真の範囲から逸脱することなくなされ得ることが当業者には明確である。例えば、上記に記載したすべての技術、方法、組成物、装置、および系は種々の組み合わせで使用され得る。本願において引用されるすべての刊行物、特許、特許出願、または他の文書は、あたかも各々の個々の刊行物、特許、特許出願、または他の文書が、すべての目的のために参照として組み入れられることが個々に示されることと同程度に、その全体がすべての目的のために参照として組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0229】
【図1】LDL受容体ファミリーのメンバーにおいて見い出される単量体ドメインの型、数、および順番を図示する。これらの単量体ドメインには、βプロペラドメイン、EGF様ドメイン、およびLDL受容体クラスAドメインが含まれる。示されたメンバーは、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)、ApoE受容体2(ApoER2)、極低密度リポタンパク質受容体(VLDLR)、LDLR関連タンパク質2(LRP2)、およびLDLR関連タンパク質1(LRP1)が含まれる。
【図2】種々のLDL受容体クラスAドメイン(配列番号:1〜13)からの部分アミノ酸配列のアライメントを、保存性システインを例証するために図示する。コンセンサス=配列番号:14。
【図3】図3パネルAは、Aドメインの例を図解的に示す。パネルAは、約40アミノ酸長のAドメイン(配列番号:15)中の保存性アミノ酸を図示する。保存性システイン残基をCによって示し、負に荷電したアミノ酸を、マイナス(「-」)と記した円の記号で示す。「H」と記した円は、疎水性残基を示す。パネルBは、リンカーを介して連結した2つの折り畳まれたAドメインを図示する。パネルBはまた、2つのカルシウム結合部位(Ca2 +と記した黒い円)および、全部で6つのジスルフィド結合について、各々折り畳まれたAドメイン中の3つのジスルフィド結合を示す。
【図4】LDL受容体ファミリーによって認識されたリガンドのいくつか(阻害剤、プロテアーゼ、プロテアーゼ複合体、ビタミン担体複合体、リポタンパク質代謝に関与するタンパク質、非ヒトリガンド、抗生物質、ウイルス、およびその他)を示す。
【図5】リガンドに結合する単量体ドメインを同定すること、選択された単量体ドメインを単離すること、種々の組み合わせの選択された単量体ドメインを連結することによって選択された単量体ドメインの多量体を作製すること、およびその多量体をスクリーニングして、リガンドに結合する1つより多い単量体含む多量体を同定することについての一般的なスキームを図解的に示す。
【図6】別の選択ストラテジーの図解的な表示である(導かれた選択)。適切な結合特性を有する単量体ドメインは、単量体ドメインのライブラリーから同定される。次いで、同定された単量体ドメインは、単量体ドメインの別のライブリー由来の単量体ドメインに連結され、多量体のライブラリーを形成する。多量体ライブラリーは、標的に同時に結合する一対の単量体ドメインを同定するためにスクリーニングされる。次いで、このプロセスは、最適な結合プロセスが多量体中で得られるまで反復され得る。
【図7】単量体ドメインの多量体化プロセスを示す。標的-結合単量体のヒットは、ベクターから増幅される。次いで、標的-結合単量体ドメインおよび/または免疫ドメインのこの混合物は、切断され、リンカーの最適な組み合わせおよびストッパーオリゴヌクレオチドと混合される。次いで、生成した多量体は、標的-結合多量体の同定のための第2の選択工程のための適切なベクターにクローニングされる。
【図8】Aドメイン(配列番号:16)の各部位における共通のアミノ酸を示す。アミノ酸の位置の上のパーセンテージは、示されたシステイン間の間隔を有する天然に存在するAドメインのパーセンテージをいう。各アミノ酸の位置の下に太字で示した潜在的なアミノ酸残基は、その位置における共通の残基を示す。明るい色の円で示した、最終的な6つのアミノ酸は、リンカー配列を表す。リンカーの2位および3位のイタリックで示したアミノ酸残基の2つのカラムは、その位置には存在しないアミノ酸残基を表す。他の任意のアミノ酸(例えば、A、D、E、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、およびV)はこれらの位置に含まれ得る。
【図9】以下のシステイン間の間隔:CX6CX4CX6CX5CX8C(配列番号:17)を有するAドメインについて、天然に存在するAドメインにおけるアミノ酸残基の出現の頻度を示す。
【図10】Aドメイン(配列番号:18〜214)のアライメントを示す。図の一番上および一番下で、小文字(a-q)は保存性残基を示す。これらの位置における優勢なアミノ酸およびネイティブなAドメイン中に観察された回数のパーセントは、図の一番下に示される。
【図11】免疫ドメインからなる可能な多量体の高次構造を示す。図11Aは、ミニボディーの多量体を図示する。図11Bは、単鎖ドメイン抗体の多量体を図示する。図11Cは、scfvの免疫ドメイン多量体を図示する。図11Dは、Fab断片の多量体を図示する。
【図12】部分的リンカーを介したドメインの連結を示す。
【図13】例示的な多量体環形成を図示する。
【図14】Fvsの重鎖および軽鎖の種々の多量体の高次構造を図示する。
Claims (5)
- 標的分子に結合する多量体を同定するための方法であって、
(a)ポリペプチドのライブラリーを提供する工程、ここでポリペプチドは異なる単量体ドメインを含み、各単量体ドメインは30〜100アミノ酸を有し、少なくとも2つのジスルフィド結合を含み、かつLDL受容体クラスAドメインである;
(b)標的分子への親和性についてポリペプチドのライブラリーをスクリーニングする工程;
(c)標的分子に特異的に結合する第1の単量体ドメインを含む少なくとも1つの第1のポリペプチドを同定する工程;
(d)第1の単量体ドメインを複数の異なる単量体ドメインに連結して、異なる多量体のライブラリーを形成する工程、ここで多量体は第1の単量体ドメインと複数の異なる単量体ドメインのうちの1つとを含む;
(e)標的分子に結合する能力について多量体のライブラリーをスクリーニングする工程;ならびに
(f)標的分子に特異的に結合する多量体を同定する工程、ここで多量体は第1の単量体ドメインと第2の単量体ドメインとを含む、
を包含する、方法。 - 選択された多量体が少なくとも3つの単量体ドメインを含有する、請求項1に記載の方法。
- 多量体のライブラリーがファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、または細胞表面ディスプレイとして発現される、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
- 単量体ドメインが異種ポリペプチドリンカーにより連結されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも1つの標的分子に結合する多量体を同定するための方法であって、
(a)多量体のライブラリーを提供する工程であって、各多量体が少なくとも2つの単量体ドメインを含み、各単量体ドメインが30〜100アミノ酸を有し、少なくとも2つのジスルフィド結合を含み、異種リンカーによって分離されており、単量体ドメインが、LDL受容体クラスAドメインである、工程;および
(b)標的分子結合多量体について多量体のライブラリーをスクリーニングする工程、
を包含し、
標的分子についての単一の単量体ドメインの結合活性よりも大きい、標的分子についての結合活性を有する標的分子結合多量体を同定する工程をさらに包含する、方法。
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