JP2009501517A - Il−6結合タンパク質 - Google Patents

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Abstract

本発明は、IL−6に結合する単量体ドメインまたはそれらの一部を含むポリペプチドを提供する。本発明の一部の実施形態において、このポリペプチドは、IL−6に結合する単量体ドメインを含み、この場合の単量体ドメインは、配列番号1および2(これらの配列式中のXは、任意のアミノ酸であり、角型カッコ内アミノ酸は、指定位置での代替アミノ酸を示す)のいずれかを含む、LDL受容体クラスA単量体ドメインである。一部の実施形態において、本ポリペプチドは、IL−6に結合する少なくとも2つの単量体ドメインを含む。

Description

関連出願への相互参照
本願は、2005年7月13日に出願された米国仮特許出願第60/699,137号に対する優先権の利益を主張する。米国仮特許出願第60/699,137号は、全ての目的について、本明細書中に参考として援用される。
発明の背景
インターロイキン−6(IL−6)は、免疫応答および炎症の調節において中心的な役割を有する。IL−6は、一定範囲の生物活性を有し、多様な数のターゲット細胞に対して内分泌、自己分泌およびパラクリン式にで作用する。主なIL−6源は単球である。T細胞およびB細胞と共に線維芽細胞および内皮細胞、ケラチン細胞、メサンギウム細胞ならびに幾つかの腫瘍細胞が、IL−6を生産する。その合成は、IL−1、IL−2、TNF−βおよびインターフェロンによって誘導される。IL−6は、IL−4、IL−10およびIL−13によって阻害される。従って、IL−6は、免疫調節および炎症ならびに自己免疫疾患において重要な役割を果たす。
IL−6は、Bリンパ球成熟の最終段階を刺激する能力を有し、それによってBリンパ球は、成熟形質細胞に分化し、免疫グロブリン(Ig)を分泌する。加えて、IL−6は、IL−2受容体発現およびIL−2生産の増加を通じてT細胞増殖および細胞傷害性T細胞分化を誘導する。IL−6は、他のサイトカインと相乗作用して骨髄幹細胞成熟を支援し、好中球活性化因子であり、ならびに巨核球からの血小板の生産を刺激する。最終マクロファージおよび破骨細胞分化の強力な誘導因子でもある。IL−6は、発熱の誘導ならびに急性期タンパク質、例えば血清アミロイドA、CRP、アルファ1アンチトリプシン、フィブリノゲンおよびハプトグロブリン、の生産を含む、幾つかの活性をIL−1およびTNFと共有もしている。
IL−6は、幾つかのユニークな抗炎症作用を媒介する。IL−1とTNF−αの両方が、IL−6ばかりでなく互いの合成を誘導する場合、IL−6は、この上方調節性炎症カスケードを停止させ、IL−1およびTNF−α合成を阻害する。IL−6は、表皮ケラチン細胞およびメサンギウム細胞の増殖を誘導することができる細胞増殖因子としても重要であり、メサンギウム増殖性糸球体腎炎において能動的役割を有する。
IL−6の受容体(IL−6R)は、I型サイトカイン受容体スーパーファミリーに属し、2本の鎖、IL−6R(80kDa糖タンパク)およびgp130、から成る。IL−6Rは、リガンド特異的結合成分である一方で、gp130は、IL−6関連サイトカイン、例えば白血病抑制因子(LIF)、毛様体神経向性因子、オンコスタチンM、およびIL−11、の細胞内シグナルの伝達に責任を負う共有受容体成分である。
受容体へのIL−6の結合は、gp130の二量体化を招き、その結果、gp130関連キナーゼJAK1の活性化が生じ、その後、gp130のチロシンリン酸化が生じる。gp130が、いたるところで発現されるのに対し、IL−6Rは、より限定的である。IL−6Rとgp130の両方が、可溶性の形態を有する。IL−6と可溶性IL−6Rの複合体は、gp130のみを発現する細胞に対して作用することができる。これは、可溶性受容体の重要な前炎症メカニズムである可能性を秘めている。
発明の簡単な概要
本発明は、IL−6に結合する(例えば、選択的に結合する)単量体ドメインを含むポリペプチドを提供する。一部の実施形態において、本ポリペプチドは、IL−6に結合する単量体ドメインを含み、この場合の単量体ドメインは、以下の配列:
Figure 2009501517
(これらの配列式中のXは、任意のアミノ酸であり、角型カッコ内アミノ酸は、指定位置での代替アミノ酸を示す)
のいずれかを含む、LDL受容体クラスA単量体ドメインである。
一部の実施形態において、本ポリペプチドは、
Figure 2009501517
を含む。
一部の実施形態において、本ポリペプチドは、
Figure 2009501517
を含む。
一部の実施形態において、本ポリペプチドは、IL−6に結合する少なくとも1つ、且つ、6つ以下の単量体ドメインを含む。
一部の実施形態において、本ポリペプチドは、IL−6に結合する少なくとも2つの単量体ドメインを含む。一部の実施形態において、本ポリペプチドは、IL−6に対する結合特異性を有する第一単量体ドメインと、IL−6に対する結合特異性を有する第二単量体ドメインを含み、この場合、前記第一単量体ドメインは、
Figure 2009501517
を含み、前記第二単量体ドメインは、
Figure 2009501517
を含む。
一部の実施形態において、本ポリペプチドは、
Figure 2009501517
(この配列式中のnは、0と100の間である)
を含む。一部の実施形態において、nは、3〜15、1〜20、0〜30または0〜50である。
一部の実施形態において、本ポリペプチドは、以下の配列(配列番号5〜13)のいずれかを含む:
Figure 2009501517
Figure 2009501517
一部の実施形態において、本ポリペプチドは、以下の配列(配列番号14〜22)のいずれかを含む:
Figure 2009501517
一部の実施形態において、本ポリペプチドは、本明細書の中で表示するIL−6結合単量体、二量体または三量体配列のうちの1つを含む。
一部の実施形態において、本ポリペプチドは、IL−6に結合する3つの単量体ドメインを含む。
一部の実施形態において、本ポリペプチドは、血液因子に対する結合特異性を有する単量体ドメインをさらに含み、それにより、そのポリペプチドが動物に注射されたとき、そのポリペプチドの血清半減期は、血液因子結合単量体ドメインを欠くポリペプチドの血清半減期と比較して増加される。一部の実施形態において、前記血液因子は、血清アルブミン、免疫グロブリンまたは赤血球である。
一部の実施形態において、血液因子に対する結合特異性を有する前記単量体ドメインは、免疫グロブリン(IgG)に結合し、ならびに血液因子に対する結合特異性を有するその単量体ドメインは、以下:
Figure 2009501517
(これらの配列中のXは、任意のアミノ酸である)
から選択される配列を含むLDL受容体クラスA単量体ドメインである。
一部の実施形態において、血液因子に対して結合特異性を有する前記単量体ドメインは、免疫グロブリン(IgG)に結合し、ならびに血液因子に対して結合特異性を有するその単量体ドメインは、次の配列:
Figure 2009501517
(この配列中のXは、任意のアミノ酸であり、角型カッコ内のアミノ酸は、単一位置における代替アミノ酸である)
を含むLDL受容体クラスA単量体ドメインである。
一部の実施形態において、血液因子に対して結合特異性を有する前記単量体ドメインは、
Figure 2009501517
を含む。
一部の実施形態において、前記単量体ドメインは、35と45の間のアミノ酸である。一部の実施形態において、前記単量体は、その配列中のアミノ酸の少なくとも10%がシステインである、および/またはアミノ酸の少なくとも25パーセントが非天然アミノ酸である、アミノ酸配列を含む。
本発明は、IL−6に結合する(例えば、選択的に結合する)ポリペプチドの特定方法も提供する。一部の実施形態において、本方法は、
ポリペプチドのライブラリーをIL−6への親和性についてスクリーニングすること;および
IL−6に結合する少なくとも1つの単量体ドメインを含むポリペプチドを選択することを含み、この場合の単量体ドメインは、
非天然単量体ドメインであり;
少なくとも1つのジスルフィド結合を含み;および
イオンに結合する。
一部の実施形態において、選択されたポリペプチドは、
Figure 2009501517
Figure 2009501517
のうちの少なくとも1つを含むLDL受容体Aドメイン単量体ドメインを含む。
一部の実施形態において、前記単量体ドメインは、その配列のアミノ酸の少なくとも10%がシステインである、および/またはアミノ酸の少なくとも少なくとも25%が非天然アミノ酸である、アミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、本方法は、
その選択されたポリペプチド内の単量体ドメインを第二の単量体ドメインに連結させて、多量体のライブラリー(各多量体は、少なくとも2つの単量体ドメインを含む)を形成すること;
その多量体のライブラリーをIL−6に結合する能力についてスクリーニングすること;および
IL−6に結合する多量体を選択すること
をさらに含む。
一部の実施形態において、本方法は、
その選択されたポリペプチド内の単量体ドメインを第二の単量体ドメインに連結させて、多量体のライブラリー(各多量体は、少なくとも2つの単量体ドメインを含む)を形成すること;
その多量体のライブラリーを、IL−6以外のターゲット分子に結合する能力についてスクリーニングすること;および
そのターゲット分子に結合する多量体を選択すること
をさらに含む。
一部の実施形態において、本方法は、少なくとも1つの単量体ドメインを突然変異させ、それによって突然変異単量体ドメインを含むライブラリーを生じさせる段階をさらに含む。
一部の実施形態において、前記単量体ドメインのライブラリーを、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、または細胞表面ディスプレイとして表示される。
一部の実施形態において、本ポリペプチドは、少なくとも2つの単量体ドメインを含み、それらの単量体ドメインは、リンカーによって連結されている。一部の実施形態において、そのリンカーは、ペプチドリンカーである。一部の実施形態において、そのリンカーは、4から12の間のアミノ酸長である。
一部の実施形態において、前記単量体ドメインは、その配列中のアミノ酸の少なくとも10%がシステインである、および/またはアミノ酸の少なくとも25%が非天然アミノ酸である、アミノ酸配列を含む。
本発明は、IL−6に結合する(例えば、選択的に結合する)単量体ドメインを含むポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドも提供し、この場合の単量体ドメインは、
30から50のアミノ酸から成る非天然単量体ドメインであり;
少なくとも1つのジスルフィド結合を含む。
一部の実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、以下の配列:
Figure 2009501517
のうちの1つを含むポリペプチドをコードしている。
一部の実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、以下の配列(配列番号5〜13):
Figure 2009501517
Figure 2009501517
のうちの1つを含むポリペプチドをコードしている。
一部の実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、以下の配列(配列番号14〜22):
Figure 2009501517
Figure 2009501517
のうちの1つを含むポリペプチドをコードしている。
一部の実施形態において、IL−6に対する結合特異性を有する単量体ドメインをコードしているポリヌクレオチドは、細胞(例えば、細菌、植物または哺乳動物細胞)のコドン利用について最適化される。例えば、
Figure 2009501517
は、IL−6結合三量体
Figure 2009501517
をコードしている。しかし、
Figure 2009501517
Figure 2009501517
は、
Figure 2009501517
もコードしているポリヌクレオチドであるが、細菌の発現について最適化されたコドンを有した。
定義
別の指示がない限り、以下の定義が、当該技術分野における定義に取って代わる。
本明細書で用いる場合、配列モチーフ内のカッコの使用は、それらのカッコ内の位置が、存在することもあり、または不在であることもあることを示す(例えば、「([ekq])」は、その位置が不在であること、またはE、KもしくはQのいずれかが、その位置にある場合があることを示す)。1つより多くの「x」がカッコ内で用いられているとき(例えば、「(xx)」)、各xは、可能な位置を表す。従って「(xx)」は、その位置(単数または複数)に0、1または2個のアミノ酸がある場合があることを示し、この場合、各アミノ酸は、任意のアミノ酸から独立して選択される。
用語「単量体ドメイン」または「単量体」は、同義で用いられ、本明細書ではタンパク質またはポリペプチドにおいて見出される個別の領域を指す。単量体ドメインは、隣接する天然アミノ酸配列の不在下、溶解状態で天然三次元構造を形成する。本発明の単量体ドメインは、多くの場合、ターゲット分子に結合するであろう。例えば、ターゲット分子に結合する三次元構造を形成するポリペプチドが、単量体ドメインである。本明細書で用いる用語「単量体ドメイン」は、抗体の相補性決定領域(CDR)を包含しない。
用語「ループ」は、一般に、その単量体ドメインタンパク質の足場構造の組立てによって環境に暴露される単量体ドメインの部分であって、ターゲット結合に関与する部分を指す。本発明は、一定の特徴、例えば、ジスルフィド結合の可能性、二次タンパク質構造間の架橋、および分子動力学(すなわち、柔軟性)によって特定される3つのタイプのループを提供する。前記3つのタイプのループ配列は、システイン規定ループ配列、構造規定ループ配列およびB因子規定ループ配列である。
本明細書で用いる用語「システイン規定ループ配列」は、同じファミリーの少なくとも1つの他の天然単量体ドメインに関して保存されている、システイン残基により各末端で結合されている天然単量体ドメインコーディング配列のサブ配列を指す。システイン規定ループ配列は、天然単量体ドメインの多数の配列アラインメント、その後の保存システイン残基を特定するための配列分析によって特定される。連続する保存システイン残基ペア各々の間の配列が、システイン規定ループ配列である。システイン規定ループ配列は、各末端に隣接するシステイン残基を含まない。システイン規定ループ配列を有する単量体ドメインとしては、LDL受容体A−ドメイン、EGF様ドメイン、スシドメイン、フィブロネクチン1型ドメインなどが挙げられる。従って、例えば、LDL受容体A−ドメインの場合、コンセンサス配列、CXCXCXCXCXC(配列番号37)によって表され、この場合のX、X、XおよびXは、各々、指定数のアミノ酸を含むシステイン規定ループ配列を表す。
用語「B因子規定ループ配列」は、B因子規定ループ内のアルファ炭素のB因子が、その全単量体ドメイン内の25%最高アルファ炭素B因子の中にある、単量体ドメインコーディング配列の少なくとも3つのアミノ酸残基から成るサブ配列を指す。一般に、このサブ配列についての平均アルファ炭素B因子は、少なくとも約65である。本明細書で用いる用語「B因子」(または「温度因子」もしくは「デバイ−ウォーラー因子」)は、X線散乱データから導出する。B因子は、電子密度を分散させる程度を説明する、各原子にまたは原子群についてのX線散乱用語にあてはめることができる因子であり、本発明の実施の際に利用されるB因子は、等方性である場合もあり、異方性である場合もある。用語「平均アルファ炭素B因子」は、
Figure 2009501517
を指し、この式中のnは、そのループ内の残基の数に対応し、少なくとも3であり、ならびにB因子Cαiは、そのループのアミノ酸残基iのアルファ炭素についてのB因子である。
用語「多量体」は、少なくとも2つの単量体ドメインを含むポリペプチドを示すために本明細書では用いている。多量体内の別個の単量体ドメインをリンカーによって互いに接続することができる。多量体は、コンビナトリアルモザイクタンパク質または組み換えモザイクタンパク質としても知られている。
用語「ファミリー」および「ファミリークラス」は、同義で、それらのアミノ酸配列に関する類似性に基づいて共にグループ化されるタンパク質を示すために用いている。これらの類似した配列は、タンパク質の機能および/またはタンパク質の三次元構造の維持に重要であるため、一般に、保存される。こうしたファミリーの例としては、LDL受容体A−ドメインファミリー、EGF様ファミリーなどが挙げられる。加えて、同じターゲット分子に結合する関連配列を、共通の配列モチーフに基づいてファミリーに分けることもできる。
用語「リガンド」は、本明細書では「ターゲット分子」とも呼ばれ、単純な分子から複雑なターゲットにわたる多種多様な物質および分子を包含する。ターゲット分子は、タンパク質、核酸、脂質、炭水化物、またはポリペプチドドメインによる認識が可能な任意の他の分子であり得る。例えば、ターゲット分子としては、化学的化合物(すなわち、非生物学的化合物、例えば、有機分子、無機分子、または有機原子と無機原子の両方を有する分子など、しかし、ポリヌクレオチドおよびタンパク質は含まれない)、化学的化合物の混合物、空間的に局在する化合物のアレイ、生体高分子、バクテリオファージペプチドディスプレイライブラリー、ポリソームペプチドディスプレイライブラリー、生体材料(例えば、細菌、植物、真菌または動物(例えば哺乳動物)細胞または組織)から作られたエキス、タンパク質、毒素、ペプチドホルモン、細胞、ウイルスなどを挙げることができる。他のターゲット分子としては、例えば、全細胞、全組織、類縁または非類縁タンパク質の混合物、ウイルスまたは細菌株の混合物などが挙げられる。ターゲット分子は、本明細書の中で説明するスクリーニングアッセイに含めることによって定義することもでき、または特定のタンパク質相互作用の強化もしくは阻害によって定義することもできる(すなわち、2つの所定のポリペプチド間の結合性相互作用を選択的に阻害する薬剤)。
用語「リンカー」は、2つ以上の個別、別個の単量体ドメインを接続するまたはつなぐ部分または部分群を示すために本明細書では用いている。リンカーにより、個別、別個の単量体ドメインは、多量体内で互いに接続していても、別個のままでいることができる。リンカー部分は、一般的には、実質的に直線の部分である。適するリンカーとしては、ポリペプチド、ポリ核酸、ペプチド核酸などが挙げられる。適するリンカーとしては、炭素骨格内に組み込まれた1つ以上の酸素原子を有する、場合によっては置換されているアルキレン部分も挙げられる。一般に、リンカーの分子量は、約2000ダルトン未満である。さらに一般的には、リンカーの分子量は、約1500ダルトン未満であり、通常は約1000ダルトン未満である。リンカーは、例えば、多量体内の個別、別個の単量体ドメイン各々が、別個の結合部位によって同じターゲット分子に結合する場合、それらの個別、別個の単量体ドメインが協働できるほど小さいこともある。例示的リンカーとしては、ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド、またはアミノ酸もしくは他の非天然部分のポリペプチドが挙げられる。リンカーは、天然配列の一部分、その変異体、または合成配列であり得る。リンカーは、例えば、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、または両方の組み合わせを含むことができる。
用語「別個の」は、例えば他の単量体ドメインをはじめとする他の部分と複合したときでさえ、独立している、独立したままである部分の特性を示すために、本明細書では用いている。単量体ドメインは、認識することができ、タンパク質と区別することができる独立した特性を有するので、タンパク質内の別個のドメインである。例えば、LDLRにおけるAドメインのリガンド結合能力は、独立した特性である。別個の他の例としては、多量体内でリンカーにより互いに複合または接続しているときでさえ、独立したドメインが別個のままである、多量体内の別個の単量体ドメインが挙げられる。別個の特性のもう1つの例は、リガンドに対する多量体内の別個の結合部位である。
本明細書で用いる「定方向進化」は、ポリヌクレオチド変異体が再帰的プロセスで産生され、発現され、活性(例えば、結合活性を有するポリペプチド)についてスクリーニングされるプロセスを指す。このスクリーニングにおいて1つ以上の候補が選択され、その後、選択された候補をコードするポリヌクレオチドを使用してそのプロセスが繰り返されて、新たな変異体が産生される。定方向進化は、少なくとも2ラウンドの変異発生を伴い、3、4、5、10、20またはそれ以上のラウンドの変異発生および選択を含む場合もある。変異は、例えば、誤りがちのPCR、遺伝子組み換え法、化学的突然変異誘発などをはじめとする当業者には公知である任意の方法によって、発生させることができる。
用語「シャッフリング」は、非同一配列間の組み換えを示すために、本明細書では用いている。一部の実施形態において、シャッフリングとしては、相同組み換えよるまたは非相同組み換えによる、例えば、cre/loxおよび/またはflp/frtシステムによる、クロスオーバーを挙げることができる。シャッフリングは、例えば、インビトロおよびインビボシャッフリング形式、インシリコシャッフリング形式、2本鎖テンプレートまたは1本鎖テンプレートのいずれかを利用するシャッフリング形式、プライマーに基づくシャッフリング形式、核酸フラグメンテーションに基づくシャッフリング形式、およびオリゴヌクレオチド媒介シャッフリング形式(これらのすべてが、非同一配列間の組み換え事象に基づくものであり、本明細書において下で詳細に説明または言及する)ならびに他の類似の組み換えに基づく形式を含む、様々な異なる形式を利用することにより行うことができる。本明細書で用いる用語「ランダム」は、2つ以上のアミノ酸から成り、確率またはランダムプロセスによって構築された、ポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を指す。ランダムポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は、フレームワークまたは足場モチーフを含むことがあり、これらは不変配列を含むことがある。
本明細書で用いる用語「擬似ランダム」は、制限された変異性を有し、そのため幾つかの位置における残基の変異度は制限されるが、いずれの擬似ランダム位置も少なくともある程度の残基変異が可能である、1セットの配列、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、本明細書では、同義で、アミノ酸数2以上のアミノ酸配列を指すために、用いている。
用語「アミノ酸」は、天然および合成アミノ酸、ならびに天然アミノ酸に類似した様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指す。天然アミノ酸は、遺伝子コードによりコーディングされたもの、ならびに後々修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、およびO−ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然アミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち水素、カルボキシル基、アミノ基およびR基に結合しているα炭素、を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。こうした類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然アミノ酸と同じ基本化学構造を保持している。「アミノ酸模倣体」は、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、天然アミノ酸に類似の様式で機能する化学的化合物を指す。
「保存的アミノ酸置換」は、類似した側鎖を有する残基の互換性を指す。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸のグループは、グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンであり;脂肪族−ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸のグループは、セリンおよびトレオニンであり;アミド含有側鎖を有するアミノ酸のグループは、アスパラギンおよびグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸のグループは、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンであり;塩基性側鎖を有するアミノ酸のグループは、リシン、アルギニンおよびヒスチジンであり;ならびに硫黄含有側鎖を有するアミノ酸のグループは、システインおよびメチオニンである。保存的アミノ酸置換グループとしては、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リシン−アルギニン、アラニン−バリン、およびアスパラギン−グルタミンが挙げられる。
「核酸配列」というフレーズは、5’から3’末端を読み取ったデオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド塩基の1本鎖もしくは2本鎖ポリマーまたはその類似体を指す。
用語「コードしている」は、1つ以上のアミノ酸をコードしているポリヌクレオチド配列を指す。この用語は、開始または停止コドンを必要としない。アミノ酸は、ポリヌクレオチド配列によって提供される6つの異なるリーディングフレームのうちのいずれか1つにコードされ得る。
用語「プロモーター」は、RNAポリメラーゼおよび他のタンパク質の認識および結合に関与して転写を開始させる、転写の開始点から上流および/または下流に位置する領域または配列を指す。
「ベクター」は、宿主染色体に依存せずに宿主生物において複製が可能であるポリヌクレオチドを指す。ベクターの例としては、プラスミドが挙げられる。ベクターは、一般に、複製起点を有する。ベクターは、例えば、転写および翻訳ターミネーター、転写および翻訳開始配列、ならびに特定の核酸の発現の調節に有用なプロモーターを含むことができる。
用語「組み換え体」は、例えば、細胞、核酸、タンパク質またはベクターに関して用いるとき、その細胞、核酸、タンパク質またはベクターが、異種核酸もしくはタンパク質の導入または天然核酸もしくはタンパク質の改変によって修飾されていること、あるいはその細胞が、そのように修飾された細胞に由来することを示す。従って、例えば、組み換え細胞は、天然(非組み換え体)形の細胞の中では見出せない遺伝子を発現し、または別様に異常に発現される、過小発現される、もしくはまったく発現されない天然遺伝子を発現する。
単量体または多量体に言及するときのポリペプチドに「特異的に(または選択的に)結合する」というフレーズは、タンパク質の不均一集団(例えば、細胞または組織分解産物)および他の生体物質におけるポリペプチドの存在の決定要因であり得る結合反応を指す。従って、抗体結合アッセイにおいて用いられる標準的な条件またはアッセイのもとで、指定単量体または多量体は、特定のターゲット分子にバックグラウンドより多く(例えば、バックグラウンドの2倍、5倍、10倍またはそれ以上多く)結合し、そのサンプル中に存在する他の分子には有意な量で結合しない。
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列に関連して、用語「同一の」または「同一性」パーセントは、同じである2つ以上の配列またはサブ配列を指す。「実質的に同一の」は、比較領域、または下記の配列比較アルゴリズムの1つを用いてもしくは手作業でのアラインメントおよび目視検査によって測定される指定領域、全体にわたって比較し、最大対応に対してアラインしたとき、同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドの指定の百分率(すなわち、指定領域全体にわたって、または指定されていないときには、全配列全体にわたって、60%同一性、場合によっては、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%同一性)を有する2つ以上の核酸またはポリペプチド配列を指す。場合によっては、同一性または実質的同一性は、少なくとも約50のヌクレオチドの長さである領域全体にわたって、または100から500もしくは1000もしくはそれ以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の長さである領域全体にわたって、または指定されていない場合には配列長全体にわたって存在する。本発明は、IL−6結合配列を含むポリペプチドを提供し、この場合のIL−6結合配列は、配列番号27〜33のいずれかを含む(しかし、これらに限定されない)、本明細書において提供する少なくとも1つのIL−6結合配列と実質的に同一(例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%同一)である。
ポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、2つの配列が、天然配列において見出されるのと同じ様式で連結されていない場合、第二の配列「とは異型」である。例えば、異型コード配列に動作可能に連結されたプロモーターは、いずれの天然対立遺伝子変異体との異なるコーディング配列とみなされる。多量体に関連して用いるときの用語「異種リンカー」は、その多量体が、自然界では互いに同じ関係で見出されることがないリンカーと単量体(例えば、それらは、非天然融合タンパク質を形成する)を含むことを示す。
タンパク質配列内の「非天然アミノ酸」は、比較領域が、クエリーされた(queried)単量体ドメインの長さである場合の、および本明細書において説明するようにBLAST 2.0を使用してGenBankの非重複(「nr」)データベース内の天然配列と比較したときの、最低最少合計確率を有する天然ポリペプチドとのアラインメントにおいて、対応する位置で発生するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を指す。
「配列同一性率」は、比較領域全体にわたって2つの最適にアラインされた配列を比較することにより決定され、この場合、比較領域内のポリヌクレオチド配列の一部が、2つの配列の最適なアラインメントのための基準配列(付加および欠失を含まないもの)と比較して付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含むこともある。この百分率は、両方の配列における同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が発生する位置の数を判定してマッチした位置の数を得、そのマッチした位置の数を、比較領域内の位置の総数で割り、その結果に100を掛けて配列同一率を得ることによって計算される。
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列に関連して、用語「同一の」または「同一性」パーセントは、比較領域、または下記の配列比較アルゴリズムの1つを用いてもしくは手作業でのアラインメントおよび目視検査によって測定される指定領域、全体にわたって比較し、最大応答に対してアラインしたとき、同じである、または同じであるアミノ酸残基もしくはヌクレオチドの指定百分率を有する、2つ以上の配列またはサブ配列を指す。そこで、こうした配列は、「実質的に同一」であると言われる。本発明は、IL−6に結合し、且つ、本明細書に記載する完全長配列のいずれかと実質的に同一の配列を含む、ポリペプチドを提供する。この定義は、試験配列の補体にも適用される。場合によっては、同一性は、少なくとも約50のアミノ酸もしくはヌクレオチドの長さである領域全体にわたって、またはさらに好ましくは、75〜100のアミノ酸もしくはヌクレオチドの長さである領域全体にわたって存在する。
配列比較のために、一般に、1つの配列は、試験配列と比較する基準配列としての役割を果たす。配列比較アルゴリズムを用いるときには、試験配列および基準配列をコンピュータに入力し、必要な場合にはサブ配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。デフォルトプログラムパラメータを使用することができ、または代替パラメータを指定することができる。その後、その配列比較アルゴリズムが、プログラムパラメータに基づき、基準配列に対する試験配列の配列同一性パーセントを計算する。
本明細書で用いる「比較領域」は、ある配列を同じ連続位置数の基準配列と、それら2つの配列を最適にアラインした後に比較することができる、20から600、通常は約50から約200、さらに通常は約100から約150から成る群より選択される連続位置数のうちのいずれか1つのセグメントへの参照を包含する。比較のための配列のアラインメント方法は、当該技術分野において周知である。比較のための最適な配列アラインメントは、例えば、SmithおよびWaterman(1970)Adv.Appl.Math.2:482cの局所的相同性アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性アラインメントアルゴリズムによって、PearsonおよびLipman(1988)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索法によって、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package内のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA(ウィスコンシン州、マディソン、575 Science Dr.のGenetics Computer Group))のコンピュータでの実施によって、または手作業でのアラインメントもしくは目視検査(例えば、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology(1995 supplement)参照)によって、行うことができる。
有用なアルゴリズムの一例は、BLAST 2.0アルゴリズムであり、これは、Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に個々に記載されている。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通して公的に入手できる。このアルゴリズムは、第一に、データベース内列内の同じ長さのワードとアラインしたときに何らかの正の値の閾値スコアTとマッチするかそれらを満たす照会配列中の長さWの短いワードを特定することにより高スコア配列ペア(HSP)を特定することを必要とする。Tは、近傍ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschulら、上記)。これらの初期近傍ワードヒットは、それらを含む、より長いHSPを見つけるための検索を開始するためのシードとしての役割を果たす。ワードヒットを、累積アラインメントスコアを増やすことができるところまで各配列に沿って両方向に拡大させる。累積スコアは、ヌクレオチド配列についてはパラメータM(マッチする残基のペアについてのリワードスコア;常に>0)およびN(ミスマッチする残基についてのペナルティースコア;常に<0)を用いて計算する。アミノ酸配列については、スコアリングマトリックスを用いて、累積スコアを計算する。各方向のワードヒットの拡大は、累積アラインメントスコアが、その最大獲得値から量Xだけ低下したとき;累積データが、1つ以上の負のスコアの残基のアラインメントの累積に起因して0以下になったとき;またはいずれかの配列の端に達したとき、停止させる。BLASTアルゴリズムパラメータ、W、TおよびZが、そのアラインメントの感度および速度を決める。BLASTINプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとして11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=−4および両方の鎖の比較を用いる。アミノ酸配列用のBLASTPプログラムは、デフォルトとして3のワード長、および10の期待値(E)、ならびにBLOSUM62スコアリングマトリックス(HenikoffおよびHenikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915参照)50のアラインメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=−4および両方の鎖の比較を用いる。
BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計学的解析も行う(例えば、KarlinおよびAltschul(1993)Proc.Natl.Acad.ScL USA 90:5873−5787参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの測度は、最小合計確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間のマッチが偶然によって発生する確率の指標となる。例えば、核酸は、その試験核酸を基準核酸と比較してその最小合計確率が約0.2未満、さらに好ましくは約0.01未満、および最も好ましくは約0.001未満である場合、基準配列に類似していると見なされる。
発明の詳細な説明
I.序論
本発明は、IL−6に結合する非天然タンパク質に備えるものである。一般に、本発明のタンパク質は、IL−6に結合するドメインを含む。様々なポリペプチド足場を用いてこれらのドメインを特定して、多数のポリペプチド変異体を作製し、その後、IL−6に結合する変異体を選択することが容易にできる。従って、本発明は、IL−6に結合するタンパク質の選択に備えるものでもある。IL−6に結合するタンパク質は、例えば、自己免疫疾患および炎症性疾患、癌、代謝性/内分泌性疾患、心血管疾患ならびに神経疾患の治療に有用である。本発明のポリペプチドは、IL−6の検出および定量にも有用である。IL−6のアミノ酸配列は公知であり、配列番号1で表示される。
IL−6は、IL−6受容体(IL−6R)に結合することによって機能する。従って、一部の実施形態において、本発明のポリペプチドは、IL−6のその受容体への結合を阻害する、すなわち、拮抗薬として作用してIL−6がIL−6R結合する、および/またはIL−6Rを活性化させることを防止する、少なくとも1つの単量体ドメインを含む。
本発明は、単一ドメインを含むポリペプチドに備えるものであるが、それらのドメインの多量体を合成し、使用することもできる。一部の実施形態では、多量体のすべてのドメインがIL−6に結合する。これらの実施形態の一部では、各々のドメインが同一であり、IL−6の同じ部分(すなわち、「エピトープ」)に結合する。他の実施形態において、多量体内の少なくとも一部のドメインは、IL−6の異なる部分に結合する。さらに他の実施形態において、ポリペプチドの少なくとも一部のドメインは、IL−6以外の分子(単数または複数)(例えば、血清アルブミン、免疫グロブリンまたは赤血球などの血液因子)に結合する。
II.単量体
単量体ドメインは、任意のサイズのポリペプチドであり得る。一部の実施形態において、単量体ドメインは、約25から約500、約30から約200、約30から約100、約35から約50、約35から約100、約90から約200、約30から約250、約30から約60、約9から約150、約100から約150、約25から約50、または約30から約150のアミノ酸を有する。同様に、本発明の単量体ドメインは、例えば、約30から約200のアミノ酸、約25から約180のアミノ酸、約40から約150のアミノ酸、約50から約130のアミノ酸、または約75から約125のアミノ酸を含むことがある。単量体ドメインは、一般に、溶融状態で安定な配座を維持することができ、多くの場合、熱安定性であり、例えば、95℃で少なくとも10分間、結合親和性を失わずに安定している。時として、単量体ドメインは、独立してフォールディングして安定な配座になることがある。1つの実施形態において、この安定な配座は、イオン(例えば、金属またはカルシウムイオンなど)によって安定化される。この安定な配座は、場合によってはジスルフィド結合(例えば、少なくとも1つ、2つもしくは3つまたはそれ以上のスルフィド結合)を含有することがある。これらのジスルフィド結合は、場合によっては、2個のシステイン残基間で形成され得る。一部の実施形態において、単量体ドメインまたは単量体ドメイン変異体は、例示する配列と実質的に同一である。
A.IL−6結合
一部の態様において、本発明は、IL−6ポリペプチドまたはその一部分に結合する(例えば、選択的に結合する)単量体ドメインを提供する。ポリペプチドの一部分とは、例えば、そのポリペプチドの少なくとも5、10、15、20、30、50、100、またはそれ以上の連続するアミノ酸であり得る。一部の実施形態において、本発明の単量体は、10−3Mより強い(例えば、10−4Mなど)親和性でIL−6に結合するであろう。一部の実施形態において、この親和性は、10−4M、10−5M、10−6M、10−7Mまたは10−8Mより強い。
Aドメイン足場を有する多数のIL−6結合配列を作製した。実施例で詳細に説明するように、IL−6に結合する単量体ドメインの7つのファミリー(すなわち、ファミリー1〜7、または「Fam 1〜7」)を特定した。これらのファミリーに基づく、作製したコンセンサスモチーフは、IL−6結合因子間に共通のアミノ酸残基を示す。コンセンサスがない位置(「X」という印を付ける)がいずれのアミノ酸であってもよいことは、当業者には理解されるであろう。一部の実施形態において、「X」位置のアミノ酸は、同じファミリーまたは異なるファミリーからの例示するIL−6結合因子のうちの1つの類似位置にあるアミノ酸から選択されるであろう。
ファミリー1は、次のコンセンサスモチーフ(配列番号27)を有する:
Figure 2009501517
IL−6ファミリー1モチーフを含む例示的配列は、実施例において表示する。IL−6結合単量体または多量体への言及は、実施例において例示する各ファミリー1配列を包含する。
ファミリー2は、次のコンセンサスモチーフ(配列番号28)を有する:
Figure 2009501517
IL−6ファミリー2モチーフを含む例示的配列は、実施例において表示する。IL−6結合単量体または多量体への言及は、実施例において例示する各ファミリー2配列を包含する。
ファミリー3は、次のコンセンサスモチーフ(配列番号29)を有する:
Figure 2009501517
IL−6ファミリー3モチーフを含む例示的配列は、実施例において表示する。IL−6結合単量体または多量体への言及は、実施例において例示する各ファミリー3配列を包含する。
ファミリー4は、次のコンセンサスモチーフ(配列番号30)を有する:
Figure 2009501517
IL−6ファミリー4モチーフを含む例示的配列は、実施例において表示する。IL−6結合単量体または多量体への言及は、実施例において例示する各ファミリー4配列を包含する。
ファミリー5は、次のコンセンサスモチーフ(配列番号31)を有する:
Figure 2009501517
IL−6ファミリー5モチーフを含む例示的配列は、実施例において表示する。IL−6結合単量体または多量体への言及は、実施例において例示する各ファミリー5配列を包含する。
ファミリー6は、次のコンセンサスモチーフ(配列番号32)を有する:
Figure 2009501517
IL−6ファミリー6モチーフを含む例示的配列は、実施例において表示する。IL−6結合単量体または多量体への言及は、実施例において例示する各ファミリー6配列を包含する。
ファミリー7は、次のコンセンサスモチーフ(配列番号33)を有する:
Figure 2009501517
IL−6ファミリー7モチーフを含む例示的配列は、実施例において表示する。IL−6結合単量体または多量体への言及は、実施例において例示する各ファミリー7配列を包含する。
本明細書で説明するように、単量体ドメインを連結させて、同じターゲットに結合する多量体を形成することができる。本発明は、ホモ多量体(すなわち、少なくとも2つの同一のモノマー)とヘテロ多量体(すなわち、同じターゲットに結合する異なるモノマー)の両方を含むポリペプチドを提供する。例示的二量体および三量体は、実施例において表示する。
幾つかのIL−6三量体ファミリーモチーフを、配列間の類似性に基づき特定した。実施例7参照。これらのファミリーに基づく、作製したコンセンサスモチーフは、IL−6三量体間に共通のアミノ酸残基を示す。コンセンサスがない位置(「X」という印を付ける)がいずれのアミノ酸であってもよいことは、当業者には理解されるであろう。一部の実施形態において、「X」位置のアミノ酸は、同じファミリーまたは異なるファミリーからの例示するIL−6結合因子のうちの1つの類似位置にあるアミノ酸から選択されるであろう。
例示的IL−6結合三量体としは、次のもの(配列番号270〜278)が挙げられる:
Figure 2009501517
B.IgG結合因子および血清半減期延長
本発明は、血液因子(例えば、血清アルブミン、免疫グロブリンまたは赤血球)に結合する(例えば、選択的に結合する)単量体ドメインをさらに提供する。一部の実施形態において、本発明の単量体は、10−3M未満の親和性で結合するであろう(例えば、10−3Mの親和性より強い結合)。一部の実施形態において、この親和性は、10−4M、10−5M、10−6M、10−7Mまたは10−8M未満である。
一部の実施形態において、本単量体ドメインは、免疫グロブリンポリペプチドまたはその一部分に結合する。
免疫グロブリンに結合する単量体ドメインの2つのファミリー(すなわち、AドメインIgGファミリー2および3)を特定した。
IgGファミリー2は、次のコンセンサスモチーフ(配列番号279)を有する:
Figure 2009501517
IgGファミリー2モチーフを含む例示的配列は、実施例において表示する。IgG結合単量体または多量体への言及は、実施例において例示する各ファミリー2配列を包含する。
IgGファミリー3は、次の2つのコンセンサスモチーフ(配列番号280および281)を有する:
Figure 2009501517
IgGファミリー3モチーフを含む例示的配列は、実施例において表示する。IgG結合単量体または多量体への言及は、実施例において例示する各ファミリー3配列を包含する。
赤色血液細胞(RBC)または血清アルブミン(CSA)に結合する単量体ドメインは、米国特許公開第2005/0048512号に記載されており、例えば、米国特許第282〜285:
Figure 2009501517
を含む。
本発明は、例えば本発明の多量体または動物における関心のあるタンパク質を含む、タンパク質の血清半減期を延長するための方法を提供する。前記関心のあるタンパク質は、治療的、予防的または別様に望ましい機能性を有するいずれのタンパク質であってもよい。本方法は、半減期延長因子、例えば、血液担持分子または細胞、例えば血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、IgG、赤血球など、に特異的に結合する結合性タンパク質として特定された単量体ドメインを先ず生じさせることを含む。その後、その半減期延長因子結合性単量体を、関心のあるタンパク質(例えば、IL−6または異なるターゲット)に対する結合親和性を有する別の単量体ドメインに共有結合させる。この複合体形成は、多量体および/またはタンパク質(単数もしくは複数)のタンパク質加水分解性分解および/または他の除去からその(それらの)多量体および/または結合タンパク質を保護し、それによってそのタンパク質および/または多量体の半減期を延長することで、半減期の延長をもたらす。本発明のこの用途の1つの変形としては、関心のあるタンパク質に共有結合させた半減期延長因子結合性単量体が挙げられる。関心のあるタンパク質としては、単量体ドメイン、単量体ドメインの多量体、または合成薬物が挙げられる。あるいは、上の方法を用いて免疫グロブリンまたは赤血球のいずれかに結合する単量体を作製し、半減期延長に使用してもよい。
半減期延長因子結合性多量体は、一般に、少なくとも2つのドメイン、キメラドメイン、または突然変異誘発ドメイン(すなわち、IL−6に結合するものと血液担持分子または細胞に結合するもの)の多量体である。適するドメインとしては、本明細書に記載するものすべてが挙げられ、それらを、半減期延長因子への結合についてさらにスクリーニングし、選択する。半減期延長因子結合性多量体は、例えば、半減期延長因子結合活性について事前にスクリーニングした単量体ドメインを使用して、本明細書に記載する多量体の製造方法に従って作製される。分子の血清半減期は、少なくとも1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、400、500またはそれ以上の時間になるように延長することができる。
半減期延長性単量体ドメインは、ターゲット分子(例えば、IL−6結合性)結合性単量体ドメインのN末端、C末端または両方に連結させることができる。IL−6およびIgGに結合するポリペプチドの例示的配列としては、以下のもの(配列番号286〜339)が挙げられる:
Figure 2009501517
Figure 2009501517
Figure 2009501517
Figure 2009501517
Figure 2009501517
Figure 2009501517
C.単量体ドメインの考察
本発明の実施の際の使用に特に適する単量体ドメインは、ジスルフィド結合を含むシステインリッチなドメインである。本発明の実施の際に利用されるシステインリッチなドメインは、一般に、αらせん、βシートおよびβバレル構造を形成しない。一般に、ジスルフィド結合は、三次元構造へのそのドメインのフォールディングを促進する。通常、システインリッチなドメインは、少なくとも2つのジスルフィド結合、さらに一般的には少なくとも3つのジスルフィド結合を有する。一部の実施形態において、単量体ドメイン内のアミノ酸の少なくとも5、10、15または20%がシステインである。
ドメインは、任意の数の特徴を有することができる。例えば、一部の実施形態において、前記ドメインは、動物(例えば、ヒト)において低い免疫原性を有することがあり、または免疫原性を有さないことがある。ドメインは小さいサイズでありうる。一部の実施形態において、前記ドメインは、皮膚または他の組織に浸透するほど小さい。ドメインは、一定範囲のインビボ半減期または安定性を有することができる。
本発明の実施の際の使用に適する実例となる単量体ドメインとしては、例えば、EGF様ドメイン、クリングルドメイン、フィブロネクチンI型ドメイン、フィブロネクチンII型ドメイン、フィブロネクチンIII型ドメイン、PANドメイン、Glaドメイン、SRCRドメイン、クニツ/ウシ膵臓トリプシンインヒビタードメイン、カザール型セリンプロテアーゼインヒビタードメイン、トレフォイル(P型)ドメイン、フォン−ウィルブランド因子C型ドメイン、アナフィラトキシン様ドメイン、CUBドメイン、サイログロブリンI型リピート、LDL−受容体クラスAドメイン、スシドメイン、リンクドメイン、トロンボスポンジンI型ドメイン、免疫グロブリン様ドメイン、C型レクチンドメイン、MAMドメイン、フォン−ウィルブランド因子A型ドメイン、ソマトメジンBドメイン、WAP型4ジスルフィドコアドメイン、F5/8 C型ドメイン、ヘモペキシンドメイン、SH2ドメイン、SH3ドメイン、ラミニン型EGFドメイン、C2ドメイン、および通常の当業者には公知の他のこうしたドメイン、ならびにそれらの誘導体および/または変異体が挙げられる。
一部の実施形態において、適する単量体ドメイン(例えば、独自にフォールディングする能力を有するか、何らかの限られた補助を有するドメイン)は、Simple Modular Architecture Research Tool(SMART)(Shultzら、SMART:a web−based tool for the study of genetically mobile domains,(2000)Nucleic Acids Research 28(1):231−234参照)またはCATH(Pearlら、Assigning genomic sequences to CATH,(2000)Nucleic Acids Research 28(l):277−282参照)などのコンピュータ配列分析ツールによって定義されるβサンドイッチまたはβバレル三次元構造を有するタンパク質ドメインのファミリーから選択することができる。
もう1つの実施形態において、本発明の単量体ドメインは、CTLA−4からのフィブロネクチンIII型ドメイン、アンチカリンドメインおよびIg様ドメイン以外のドメインを含む。これらのドメインの幾つかの態様は、2001年9月7日発行のLipovsekらによる「Protein scaffolds for antibody mimics and other binding proteins」と題するWO01/64942、1999年4月8日発行のBesteらによる「Anticalins」と題するWO99/16873、および2000年10月12日発行のDesmetらによる「A polypeptide structure for use as a scaffold」と題するWO00/60070に記載されている。
上で説明したように、単量体ドメインは、場合によってはシステインリッチである。適するシステインリッチ単量体ドメインとしては、例えば、LDL受容体クラスAドメイン(「A−ドメイン」)またはEGFドメインが挙げられる。前記単量体ドメインは、負電荷残基のクラスターを有することもある。
単量体ドメインの他の特徴としては、リガンドに結合する能力またはイオンに結合する能力(例えば、LDL受容体A−ドメインによるCa2+結合)を挙げることができる。イオンに結合してそれらの二次構造を維持する単量体ドメインとしては、例えば、Aドメイン、EGFドメイン、EF Hand(例えば、現在、カルモジュリンおよびトロポニンCの中にみられるものなど)、カドヘリンドメイン、C型レクチン、C2ドメイン、アネキシン、Gla−ドメイン、トロンボスポンジン3型ドメイン[これらのすべてがカルシウムに結合する]、およびジンクフィンガー(例えば、C2H2型C3H4型(RINGフィンガー)、インテグラーゼ亜鉛結合性ドメイン、PHDフィンガー、GATAジンクフィンガー、FYVEジンクフィンガー、B−ボックスジンクフィンガー)[これらは亜鉛に結合する]が挙げられる。本発明を限定するつもりはないが、イオン結合は、二次構造の安定をもたらす一方で、一次配列に依存する非常に多数の結合配座に備える十分な柔軟性をもたらすと考えられる。
本明細書において説明するように、単量体ドメインは、相同天然ドメインが結合できるターゲット以外のターゲットに結合する能力について選択することができる。従って、一部の実施形態において、本発明は、実質的に同一の天然ドメインが結合できるターゲットまたはクラスもしくはファミリーのターゲットタンパク質に結合しない単量体ドメイン(およびそうした単量体を含む多量体)を提供する。
単量体ドメインの特徴としては、独自にフォールディングすることができることおよび安定な構造を形成することができることを挙げることができる。従って、本単量体ドメインの構造は、多くの場合、保存されるが、その単量体をコードしているポリヌクレオチド配列が保存される必要はない。例えば、A−ドメイン構造は、A−ドメインファミリーのメンバーの間で保存されるが、A−ドメイン核酸配列はされない。従って、例えば、単量体ドメインは、そのシステイン残基およびカルシウムに対するその親和性によって、必須ではないがその核酸配列によって、A−ドメインと分類される。図1および2参照。
具体的に言うと、A−ドメイン(時として「相補型リピート」または「LDL受容体型もしくはクラスAドメイン」と呼ばれる)は、約30〜50または30〜65のアミノ酸を含有する。一部の実施形態では、これらのドメインは、約35〜45のアミノ酸を含み、一部の事例では約35〜40のアミノ酸を含有する。30〜50のアミノ酸の中に、約6のシステイン残基が存在する。これらの6のシステインのうち、ジスルフィド結合は、一般に、次のシステインの間で見出される:C1とC3、C2とC5、C4とC6。このドメインのシステイン残基は、ジスルフィド結合して、小型の安定した機能的に独立した部分を形成する。図3参照。これらのリピートのクラスターは、リガンド結合性ドメインを構成し、ならびに特異的なクラスター形成は、リガンド結合に関する特異性をもたらすことができる。
例示的Aドメイン配列およびコンセンサス配列を図1および2に示す。Aドメインの特定に有用な1つの代表的コンセンサス配列は、次のもの:
Figure 2009501517
であり、この構造式中の角型カッコ内の残基は、1つの位置において可能な残基を示す。「X(#)」は、残基の数を示す。これらの残基は、いずれのアミノ酸残基であってもよい。2つの数を含んでいるカッコは、その位置を占めることができるアミノ酸の範囲を指す(例えば、「[D,E]−X(1,5)−C」は、アミノ酸DEの後に1、2、3、4または5個の残基があり、その後、Cがあることを意味する)。このコンセンサス配列は、第三のシステインで始まるAドメインの部分を単に表している。第二のコンセンサスは、次の通りである:
Figure 2009501517
。この第二コンセンサスは、6個すべてのシステイン残基にわたるアミノ酸残基を予測する。一部の実施形態において、Aドメイン変異体は、上に記載した配列のうちのいずれかと実質的に同一である配列を含む。本発明のために、「LDL受容体クラスA」への言及は、そのドメインの起源および結合特性を示すためのものではないことに留意しなければならない。
追加の例示的Aドメインとしては、次の配列が挙げられる:
Figure 2009501517
(この配列式中、Cは、システインであり、Xn−mは、nとmの間の数の、独立して選択されるアミノ酸を表し、および(D,N)は、その位置がDまたはNのいずれであってもよいことを示し、ならびにC−C、C−CおよびC−Cは、ジスルフィド結合を形成する)。
今日までに、少なくとも190の天然ヒトA−ドメインが、cDNA配列に基づいて特定されている。例えば、図6参照。天然A−ドメインを含有する例示的タンパク質としては、例えば、相補成分(例えば、C6、C7、C8、C9およびI因子)、セリンプロテアーゼ(例えば、エンテロペプチダーゼ、マトリプターゼおよびコリン)、膜貫通型タンパク質(例えば、ST7、LRP3、LRP5およびLRP6)および細胞内受容体(例えば、ソルチリン関連受容体、LDL−受容体、VLDLR、LRP1、LRP2およびApoER2)が挙げられる。AドメインおよびAドメイン変異体は、本発明を実施する際に単量体ドメインおよびそれらの変異体として容易に利用することができる。Aドメインのさらなる説明は、以下の出版物およびそれらに引用されている参照文献において見出すことができる:HowellおよびHertz,The LDL receptor gene family:signaling functions during development,(2001)Current Opinion in Neurobiology 11:74−81;Herz(2001),上記;Krieger,The “best” of cholesterols,the “worst” of cholesterols:A tale of two receptors,(1998)PNAS 95:4077−4080;GoldsteinおよびBrown,The Cholesterol Quartet,(2001)Science.292:1310−1312;およびMoestrupおよびVerroust,Megalin−and Cubilin−Mediated Endocytosis of Protein−Bound Vitamins,Lipids,and Hormones in Polarized Epithelia,(2001)Ann.Rev.Nutr.21:407−28。
多数の他のドメインのタイプも、IL−6結合単量体ドメインの作製に使用することができる。
例示的EGF単量体ドメインとしては、配列:
Figure 2009501517
(この配列式中、
Cは、システインであり、Xn−mは、nとmの間の数の、独立して選択されるアミノ酸を表し、および
−C、C−CおよびC−Cは、ジスルフィド結合を形成する)
を含む。
下で説明する各ドメインは、例示的モチーフ(すなわち、足場)を用いる。一定の位置にxという印を付けてあるが、これは、その位置をいずれのアミノ酸が占めてもよいことを示す。これらの位置は、多数の異なるアミノ酸の可能性を示し、それによって配列の多様性に対処し、従って、異なるターゲット分子に対する親和性に対処することができる。モチーフ内での角型カッコの使用は、1つの位置の中での交代可能なアミノ酸を示す(例えば、「[ekq]」は、E、KまたはQのいずれかが、その位置に存在し得ることを示す)。本明細書で用いる場合、配列モチーフ内のカッコの使用は、カッコ内のそれらの位置が、存在する場合もあり、または不在である場合もあることを示す(例えば、「[ekq]」は、その位置が不在であること、またはE、KもしくはQが、その位置に存在し得ることを示す)。1より多くの「x」がカッコ内で使用されているとき(例えば、「(xx)」)、各xは、可能な位置を表す。従って、「(xx)」は、0、1または2個のアミノ酸がその(それらの)位置に存在し得ることを示し、この場合、各アミノ酸は、独立して、任意のアミノ酸から選択される。αは、例えばW、Y、FまたはLなどの、芳香族/疎水性アミノ酸を現し;βは、例えばV、I、L、A、MまたはFなどの、疎水性アミノ酸を表し;χは、例えばG、A、SまたはTなどの、より小さな極性アミノ酸を表し;δは、例えばK、R、E、QまたはDなどの、荷電アミノ酸を表し;εは、例えばV、A、SまたはTなどの、小さなアミノ酸を表し;ならびにφは、例えばD、EまたはNなどの、負の電荷のアミノ酸を表す。
適するドメインとしては、例えば、トロンボスポンジン1型ドメイン、トレフォイルドメインおよびサイログロブリンドメインが挙げられる。
トロンボスポンジン1型(「TSP1」)ドメインは、約30〜50または30〜65のアミノ酸を含有する。一部の実施形態において、これらのドメインは、約35〜55のアミノ酸を含み、一部の事例では約50のアミノ酸を含む。それらの35〜55のアミノ酸の中に、一般に、約4から約6のシステイン残基が存在する。これらの6のシステインのうち、ジスルフィド結合は、一般に、次のシステインの間で見出される:C1とC5、C2とC6、C3とC4。このドメインのシステイン残基は、ジスルフィド結合して、ねじれたベータ鎖を含む小型の安定した機能的に独立した部分を形成する。これらのリピートのクラスターは、リガンド結合ドメインを構成し、ならびに特異的なクラスター形成は、リガンド結合に関する特異性をもたらすことができる。
例示的TSP1ドメイン配列およびコンセンサス配列は、次の通り(配列番号344〜349)である:
Figure 2009501517
一部の実施形態において、トロンボスポンジン1型ドメイン変異体は、上に記載した配列のうちのいずれかと実質的に同一の配列を含む。
今日までに、少なくとも1677の天然トロンボスポンジンドメインが、cDNA配列に基づいて特定されている。天然トロンボスポンジンドメインを含有する例示的タンパク質としては、例えば、相補経路におけるタンパク質(例えば、プロパージン、C6、C7、C8A、C8BおよびC9)、細胞外基質タンパク質(例えば、ミンジン、F−スポンジン、SCO−スポンジン)、スポロゾイト周囲表面タンパク質、およびマラリア病原中のTRAPタンパク質が挙げられる。トロンボスポンジン1型ドメインは、例えば、Roszmuszら、BBRC 296:156(2002);Higginsら、J Immunol.155:5777−85(1995);Schultz−Cherryら、J.Biol.Chem.270:7304−7310(1995);Schultz−Cherryら、J.Biol.Chem.269:26783−8(1994);Bork,FEBS Lett 327:125−30(1993);およびLeung−Hagesteijnら、Cell 71:289−99(1992)にさらに記載されている。
本発明の実施の際の使用に適するもう1つの例示的単量体ドメインは、トレフォイルドメインである。トレフォイル単量体ドメインは、一般に、約30〜50または30〜65のアミノ酸である。一部の実施形態において、これらのドメインは、約35〜55のアミノ酸を含み、一部の事例では約45のアミノ酸を含む。それらの35〜55のアミノ酸の中に、一般に、約6のシステイン残基が存在する。これらの6のシステインのうち、ジスルフィド結合は、一般に、次のシステインの間で見出される:C1とC5、C2とC4、C3とC6。
今日までに、少なくとも149の天然トレフォイルドメインが、cDNA配列に基づいて特定されている。天然トレフォイルドメインを含有する例示的タンパク質としては、例えば、プロテインpS2(TFF1)、鎮痙ペプチドSP(TFF2)、腸トレフォイル因子(TFF3)、腸スクラーゼ−イソマルターゼ、および上皮の保護による微生物感染に対する防御に関与し得るタンパク質(例えば、アフリカツメガエルxP1、xP4、外皮ムチンA.1およびC.1)が挙げられる。トレフォイルドメインは、例えば、SandsおよびPodolsky、Annu.Rev.Physiol.58:253−273(1996);Carrら、PNAS USA 91:2206−2210(1994);DeAら、PNAS USA 91:1084−1088(1994);Hoffmanら、Trends Biochem Sci 18:239−243(1993)にさらに記載されている。
例示的トレフォイルドメイン配列およびコンセンサス配列は、次の通り(配列番号350〜355)である:
Figure 2009501517
本発明での使用に適するもう1つの例示的単量体ドメインは、サイログロブリンドメインである。サイログロブリン単量体ドメインは、一般に、約30〜85または30〜80のアミノ酸である。一部の実施形態において、これらのドメインは、約35〜75のアミノ酸を含み、一部の事例では約65のアミノ酸を含む。それらの35〜75のアミノ酸の中に、一般に、約6のシステイン残基が存在する。これらの6のシステインのうち、ジスルフィド結合は、一般に、次のシステインの間で見出される:C1とC2、C3とC4、C5とC6。
今日までに、少なくとも251の天然サイログロブリンドメインが、cDNA配列に基づいて特定されている。TgのN末端セクションは、Tg 1型リピート PUBMED:3595599、PUBMED:8797845として知られている、アミノ酸数約65のドメインの10のリピートを含有する。天然サイログロブリンドメインを含有する例示的タンパク質としては、例えば、HLAクラスII関連インバリアント鎖、ヒト膵臓癌マーカータンパク質、ニドジェン(エンタクチン)、インスリン様成長因子結合タンパク質(IGFBP)、サキシフィリン、サケ(chum salmon)卵システインプロテイナーゼ阻害剤、およびイクイスタチンが挙げられる。Thyr−1および関連ドメインは、MEROPSプロテイナーゼ阻害剤ファミリーI31、クランIXに属する。サイログロブリンドメインは、例えば、Molinaら、Eur.J.Biochem.240:125−133(1996);Guncarら、EMBO J 18:793−803(1999);ChongおよびSpeicher,DW276:5804−5813(2001)にさらに記載されている。
例示的サイログロブリンドメイン配列およびコンセンサス配列は、次の通り(配列番号356〜360)である:
Figure 2009501517
本発明において使用することができるもう1つの例示的単量体ドメインは、ラミニン−EGFドメインである。ラミニン−EGFドメインは、一般に、約30〜85または30〜80のアミノ酸である。一部の実施形態において、これらのドメインは、約45〜65のアミノ酸を含み、一部の事例では約50のアミノ酸を含む。それらの45〜65のアミノ酸の中に、一般に、約8のシステイン残基が存在し、これらが相互作用して4つのジスルフィド結合を形成する。ラミニンは、細胞接着、増殖、移動および分化を媒介する基底膜の主要非膠原成分である。これらは、別個であるが、関連したアルファ、ベータおよびガンマ鎖から成る。これらの3本の鎖は、1つの長い腕と3つの短い球形の腕から成る十字形分子を形成する。この長い腕は、3本すべての鎖による寄与を受け、且つ、鎖間ジスルフィド結合によって架橋された、多重らせん構造から成る。
例示的ラミニンEGFドメイン配列およびコンセンサス配列は、次の通り(配列番号361〜363)である:
Figure 2009501517
一部の実施形態において、本単量体ドメインは、Notch/LNR単量体ドメイン、DSL単量体ドメイン、Anato単量体ドメイン、インテグリンベータ単量体ドメイン、およびCa−EGF単量体ドメインである。
一部の実施形態において、Ca−EGF単量体ドメインは、次の配列(配列番号364)を含む:
Figure 2009501517
一部の実施形態において、Notch/LNR単量体ドメインは、次の配列(配列番号365)を含む:
Figure 2009501517
一部の実施形態において、DSL単量体ドメインは、次の配列:
Figure 2009501517
(配列番号366)を含む。
Anato単量体ドメインは、次の配列(配列番号366):
Figure 2009501517
(配列番号367)を含む。
一部の実施形態において、インテグリンベータ単量体ドメインは、次の配列(配列番号368):
Figure 2009501517
(「x」は任意のアミノ酸である)を含む。
一部の実施形態において、Notch/LNR単量体ドメインのC−C、C−CおよびC−Cは、ジスルフィド結合を形成し、ならびにDSL単量体ドメインのC−C、C−CおよびC−Cは、ジスルフィド結合を形成する。
一部の実施形態において、Ca−EGF単量体ドメインは、次の配列:
Figure 2009501517
(配列番号369)を含む。
一部の実施形態において、Notch/LNR単量体ドメインは、次の配列:
Figure 2009501517
(配列番号370)を含む。
一部の実施形態において、DSL単量体ドメインは、次の配列:
Figure 2009501517
(配列番号371)を含む。
一部の実施形態において、Anato単量体ドメインは、次の配列:
Figure 2009501517
(配列番号372)を含む。
一部の実施形態において、インテグリンベータ単量体ドメインは、次の配列:
Figure 2009501517
(配列番号373)を含み;αは、w、y、fおよびlから選択され;βは、v、i、l、a、mおよびfから選択され;χは、g、a、sおよびtから選択され;δは、k、r、e、qおよびdから選択され;εは、v、a、sおよびtから選択され;ならびにφは、d、eおよびnから選択される。
一部の実施形態において、Ca−EGF単量体ドメインは、次の配列:
Figure 2009501517
(配列番号374)を含む。
一部の実施形態において、Notch/LNR単量体ドメインは、次の配列:
Figure 2009501517
(配列番号375)を含む。
一部の実施形態において、DSL単量体ドメインは、次の配列:
Figure 2009501517
(配列番号376)を含む。
一部の実施形態において、Anato単量体ドメインは、次の配列:
Figure 2009501517
(配列番号377)を含む。
一部の実施形態において、インテグリンベータ単量体ドメインは、次の配列:
Figure 2009501517
(配列番号378)を含む。
一般に、これらの単量体ドメインをコードしているポリヌクレオチドを利用して、発現により単量体ドメインを作製する。単量体ドメインをコードしている核酸は、様々な異なる源に由来し得る。単量体ドメインのライブラリーは、天然単量体ドメイン、改変単量体ドメイン(すなわち、単量体ドメイン変異体)、またはこれらの組み合わせをコードしている多数の異なる核酸を発現させることによって作製することができる。例えば、アミノ酸の足場は定常的なままである(例えば、LDL A受容体ドメイン、EGFドメイン)が、その足場内の介在アミノ酸は、ランダムに作製されたアミノ酸を含むライブラリーを、設計することができる。
本発明は、選択されたもしくは所望のリガンドまたはリガンドの混合物に結合する単量体ドメインを特定する方法を提供する。一部の実施形態では、単量体ドメインを特定し、所望の特性(例えば、結合親和性)について選択し、その後、単量体ドメインを多量体にする。例えば、図4参照。これらの実施形態には、所望の特性(例えば、特異的結合特性)を有するドメインの選択を結果としてもたらす任意の方法を用いることができる。例えば、これらの方法は、各核酸が単量体ドメインをコードしている多数の異なる核酸を生じさせること;それらの多数の異なる核酸を翻訳し、それによって多数の異なる単量体ドメインを生じさせること;それらの多数の異なる単量体ドメインを所望のリガンドまたはリガンドの混合物の結合についてスクリーニングすること;ならびに所望のリガンドまたはリガンドの混合物に結合する多数の異なる単量体ドメインのメンバーを特定することを含むことがある。
単量体ドメインは、天然である場合もあり、または改変されている(非天然変異体である)場合もある。用語「天然」は、対象を自然界で見出すことができることを示すために、本明細書では用いる。例えば、天然単量体ドメインは、ヒト単量体ドメイン、または場合によっては、異なる種もしくは源、例えば哺乳動物、霊長類、齧歯動物、魚類、鳥類、爬虫類、植物など、に由来するドメインを包含し得る。天然単量体ドメインは、多数の方法によって、例えば、DNAまたはcDNAのPCR増幅によって、得ることができる。
本発明の単量体ドメインは、天然ドメインである場合もあり、または非天然変異体である場合もある。本発明の実施の際に利用される単量体ドメインのライブラリーは、天然単量体ドメイン、非天然単量体ドメイン変異体、またはこれらの組み合わせを含有し得る。
単量体ドメイン変異体としては、祖先ドメイン、キメラドメイン、ランダム化ドメイン、突然変異ドメインなどを挙げることができる。例えば、先祖ドメインは、系統発生的分析に基づくものであり得る。キメラドメインは、1つ以上の領域が、同じファミリーの他のドメインからの対応する領域によって置換されているドメインである。例えば、キメラドメインは、同じファミリーの多数の関連ドメインからのループ配列を組み合わせて、潜在的に低減された免疫原性を有する新たなドメインを形成することによって、構築することができる。当業者は、ランダムなアミノ酸配列を作るのではなく、同じファミリーの様々な関連ドメインからのループ領域を組み合わせることによってドメインへの結合が修飾された単量体を構築することの免疫学的利点がわかるであろう。例えば、ヒトLDL受容体クラスA−ドメインにおいて自然に発生するループ配列またはさらに多数のループ配列を組み合わせることにより変異体ドメインを構築することによって得られるドメインは、新たな結合特性を含むことはあるが、暴露されるすべてのループはヒト起源のものであるため、免疫原性タンパク質配列を含むことは一切ない。内因性の状況でのループアミノ酸配列のこの組み合わせは、本発明のすべての単量体構築に適用するするこができる。従って、本発明は、ヒトタンパク質に由来するキメラ単量体ドメインのライブラリーの作製方法を提供し、この方法は、ヒトタンパク質の少なくとも2つの異なる天然変異体の各々からの少なくとも1つのループに対応するループ配列を生じさせること(この場合のループ配列は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列である);およびループ配列を共有結合させて、少なくとも2つの異なるキメラ配列のライブラリーを作製すること(この場合、各キメラ配列は、少なくとも2つのループを有するキメラ単量体ドメインをコードしている)を含む。一般に、前記キメラドメインは、少なくとも4つのループ、通常は少なくとも6つのループを有する。上で説明したように、本発明は、一定の特徴、例えば、ジスルフィド結合、二次タンパク質構造間の架橋、および分子動力学(すなわち、柔軟性)についての可能性によって特定される3つのタイプのループを提供する。前記3つのタイプのループ配列は、システイン規定ループ配列、構造規定ループ配列およびB因子規定ループ配列である。
ランダム化ドメインは、1つ以上の領域がランダム化されているドメインである。ランダム化は、配列多様性の天然分布に基づく完全ランダム化または場合によっては部分的ランダム化に基づくものであり得る。
本発明は、IL−6に結合する1つまたは複数の単量体ドメインを含む1つ以上のポリペプチドをコードしている組み換え核酸も提供する。例えば、このポリペプチドは、EGF様ドメイン、クリングルドメイン、フィブロネクチンI型ドメイン、フィブロネクチンII型ドメイン、フィブロネクチンIII型ドメイン、PANドメイン、Glaドメイン、SRCRドメイン、クニツ/ウシ膵臓トリプシンインヒビタードメイン、カザール型セリンプロテアーゼインヒビタードメイン、トレフォイル(P型)ドメイン、フォン−ウィルブランド因子C型ドメイン、アナフィラトキシン様ドメイン、CUBドメイン、サイログロブリンI型リピート、LDL−受容体クラスAドメイン、スシドメイン、リンクドメイン、トロンボスポンジンI型ドメイン、免疫グロブリン様ドメイン、C型レクチンドメイン、MAMドメイン、フォン−ウィルブランド因子A型ドメイン、ソマトメジンBドメイン、WAP型4ジスルフィドコアドメイン、F5/8 C型ドメイン、ヘモペキシンドメイン、SH2ドメイン、SH3ドメイン、ラミニン型EGF様ドメイン、C2ドメイン、およびこれらのうちの1つ以上の変異体から成る群より選択される非天然ドメインを含むように選択することができる。もう1つの実施形態において、天然ポリペプチドは、Pfamデータベースおよび/またはSMARTデータベースにおいて見出される単量体ドメインをコードしている。
本発明の方法によって生産される組成物をはじめとする本発明のすべての組成物、例えば単量体ドメインおよび/または免疫ドメイン、ならびにそれらの多量体およびライブラリーは、場合によっては親和性材料のマトリックスに結合させることができる。親和性材料の例としては、ビーズ、カラム、固体支持体、マイクロアレイ、試薬−支持体の他のプールなどが挙げられる。
III.多量体
多量体を作製するための方法は、本発明の1つの特徴である。多量体は、少なくとも2つの単量体ドメインを含む。例えば、本発明の多量体は、2から約10の単量体ドメイン、2から約8の単量体ドメイン、約3から約10の単量体ドメイン、約7の単量体ドメイン、約6の単量体ドメイン、約5の単量体ドメインまたは約4の単量体ドメインを含むことがある。一部の実施形態において、本多量体は、3または少なくとも3の単量体ドメインを含む。一部の実施形態において、本多量体は、2、3、4、5、6、7または8以下の単量体ドメインを有する。単量体ドメインサイズの可能な範囲を考慮すると、本発明の多量体は、例えば、100kD未満、90kD未満、80kD未満、70kD未満、60kD未満、50kD未満、40kD未満、30kD未満、25kD未満、20kD未満、15kD未満、10kD未満であり得、またはより小さいもしくはより大きい場合もある。一部の事例において、単量体ドメインは、関心のあるターゲット分子(例えば、IL−6)への結合について事前に選択されている。一部の実施形態において、本発明の多量体は、IL−6(または、例えば、HSAもしくはIgGなどの血液因子)に10−3M未満の親和性で結合するであろう(すなわち、10−3Mの親和性より強く結合する)。一部の実施形態において、この親和性は、10−4M、10−5M、10−6M、10−7M、10−8M、10−9Mまたは10−10M未満である。一部の実施形態において、多量体の親和性は、その多量体内のそれぞれの単量体ドメインの親和性の合計より強い(または小さい)であろう。
一部の実施形態において、各単量体ドメインは、1つのターゲット分子(例えば、IL−6)に特異的に結合する。これらの実施形態のうちの一部において、各単量体は、ターゲット分子上の(エピトープに類似している)異なる位置に結合する。同じターゲット分子に結合する多数の単量体ドメインは、各々の個々の単量体の親和性と比較して多量体のターゲット分子に対する改善された親和性を生じさせる結合活性効果をもたらす。一部の実施形態において、多量体は、単量体ドメイン単独の結合活性の少なくとも約1.5、2、3、4、5、10、20、50、100、200、500または1000倍の結合活性を有する。一部の実施形態において、多量体の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上(例えば、すべて)の単量体が、イオン、例えばカルシウムまたは別のイオン、に結合する。多量体は、単量体ドメインの様々な組み合わせを含むことがある。例えば、単一の多量体において、選択単量体ドメインは、同じである場合もあり、または異なる場合もある。加えて、選択単量体ドメインが、同じ単量体ドメインファミリーからの様々な異なる単量体ドメインを含む場合もあり、または異なるドメインファミリーからの様々な単量体ドメインを含む場合もあり、または場合によっては両方の組み合わせを含む場合もある。例えば、単量体ドメインは、IL−6結合性単量体ドメインのファミリー1〜7から選択することができる。一部の実施形態において、単量体ドメインの少なくとも1つが、IL−6結合性単量体ドメインのファミリー3および/または5から選択される。例示的IL−6結合性二量体および三量体(それぞれ、2つまたは3つのIL−6結合性単量体から成る)は、実施例において列挙する。
本発明の実施で作製される多量体は、次のもののいずれかであり得る:
(1)ホモ多量体(同じドメインの多量体、すなわち、A1−A1−A1−A1);
(2)同じドメインクラスの異なるドメインのヘテロ多量体、例えば、A1−A2−A3−A4。例えば、ヘテロ多量体としては、A1、A2、A3およびA4が特定のLDL−受容体クラスAドメインの異なる非天然変異体である多量体、またはA1、A2、A3およびA4のうちの幾つかが、LDL−受容体クラスAドメインの天然変異体である多量体が挙げられる。
(3)異なる単量体ドメインクラスからのドメインのヘテロ多量体、例えば、A1−B2−A2−B1。例えば、この場合、A1およびA2は、LDL−受容体クラスAからの異なる単量体ドメイン(天然または非天然のいずれか)であり、ならびにB1およびB2は、クラスEGF様ドメインからの2つの異なる単量体ドメイン(天然または非天然のいずれか)である。
もう1つの態様において、本多量体は、異なるターゲット分子(例えば、血清アルブミン、免疫グロブリンまたは赤血球などの血液因子)に対する特異性を有する単量体ドメインを含む。例えば、一部の実施形態において、本発明の多量体は、IL−6に結合する1、2、3またはそれ以上の単量体ドメインと、第二のターゲット分子に結合する少なくとも1つの単量体ドメインとを含む。例示的ターゲット分子としては、例えば、多量体の血清半減期を延長する血清分子(例えば、免疫グロブリンまたは血清アルブミン)が挙げられる。多量体の血清半減期を延長する例示的分子としては、例えば、赤色血液細胞(すなわち、赤血球)、IgG、および血清アルブミン、例えばHSAが挙げられる。例示的多量体としては、例えば、IL−6結合性単量体ドメイン(および場合によっては2、3、4またはそれ以上のIL−6結合性ドメイン)のファミリー3および/またはファミリー5からの単量体ドメイン、ならびに免疫グロブリン結合性単量体ドメインのファミリー2または3からの単量体ドメインが挙げられるだろう。
本発明の実施の際に利用される多量体ライブラリーは、ホモ多量体、同じ単量体クラスからの異なる単量体ドメイン(天然もしくは非天然)のへテロ多量体、または異なる単量体クラスからの単量体ドメイン(天然もしくは非天然)のへテロ多量体、またはこれらの組み合わせを含有し得る。
本明細書に記載するような単量体ドメインは、免疫ドメイン含有へテロ多量体(すなわち、少なくとも1つの免疫ドメイン変異体と1つの単量体ドメイン変異体とを有する多量体)にも容易に利用される。従って、本発明の多量体は、少なくとも1つの免疫ドメイン、例えば、ミニボディー、単一ドメイン抗体、1本鎖可変領域フラグメント(ScFv)、またはFabフラグメント;ならびに少なくとも単量体ドメイン、例えば、EGF様ドメイン、クリングルドメイン、フィブロネクチンI型ドメイン、フィブロネクチンII型ドメイン、フィブロネクチンIII型ドメイン、PANドメイン、Glaドメイン、SRCRドメイン、クニツ/ウシ膵臓トリプシンインヒビタードメイン、カザール型セリンプロテアーゼインヒビタードメイン、トレフォイル(P型)ドメイン、フォン−ウィルブランド因子C型ドメイン、アナフィラトキシン様ドメイン、CUBドメイン、サイログロブリンI型リピート、LDL−受容体クラスAドメイン、スシドメイン、リンクドメイン、トロンボスポンジンI型ドメイン、免疫グロブリン様ドメイン、C型レクチンドメイン、MAMドメイン、フォン−ウィルブランド因子A型ドメイン、ソマトメジンBドメイン、WAP型4ジスルフィドコアドメイン、F5/8 C型ドメイン、ヘモペキシンドメイン、SH2ドメイン、SH3ドメイン、ラミニン型EGF様ドメイン、C2ドメイン、またはこれらの変異体を有することがある。
ドメインを連結させて多量体を形成する前にドメインを選択する必要はない。一方、多量体に連結させる前に、ターゲット分子に結合する能力についてドメインを選択することができる。従って、例えば、多量体は、1つのターゲット分子に結合する2つのドメインと第二のターゲット分子に結合する第三のドメインを含む場合がある。
本発明の多量体は、次の特質を有することができる:多価、多重特異性、1本鎖、熱安定性、延長された血清および/または貯蔵量半減期。さらに、単量体ドメインの少なくとも1つ、1つより多くもしくはすべてが、イオン(例えば、金属イオンもしくはカルシウムイオン)に結合する場合もあり、少なくとも1つ、1つより多くもしくはすべての単量体ドメインが、LDL受容体Aドメインおよび/もしくはEGF様ドメインに由来する場合もあり、単量体ドメインの少なくとも1つ、1つより多くもしくはすべてが、非天然である場合もあり、ならびに/または単量体ドメインの少なくとも1つ、1つより多く、もしくはすべてが、単量体ドメイン当たり1、2、3もしくは4つのジスルフィド結合を含む場合もある。一部の実施形態において、本多量体は、少なくとも2つ(または少なくとも3つ)の単量体ドメインを含み、この場合、少なくとも1つの単量体ドメインは、非天然単量体ドメインであり、それらの単量体ドメインは、カルシウムに結合する。一部の実施形態において、本多量体は、少なくとも4つの単量体ドメインを含み、この場合、少なくとも1つの単量体ドメインは、非天然であり、ならびに
a.各単量体ドメインは、30〜100の間のアミノ酸であり、単量体ドメインの各々が、少なくとも1つのジスルフィド結合を含む;または
b.各単量体ドメインは、30〜100の間のアミノ酸であり、細胞外タンパク質に由来する;または
c.各単量体ドメインは、30〜100の間のアミノ酸であり、タンパク質ターゲットに結合する。
一部の実施形態において、本多量体は、少なくとも4つの単量体ドメインを含み、この場合、少なくとも1つの単量体ドメインは、非天然であり、ならびに
a.各単量体ドメインは、35〜100の間のアミノ酸である;または
b.各ドメインは、少なくとも1つのジスルフィド結合を含み、ヒトタンパク質および/もしくは細胞外タンパク質に由来する。
一部の実施形態において、本多量体は、少なくとも2つの単量体ドメインを含み、この場合、少なくとも1つの単量体ドメインは、非天然であり、ならびに各ドメインは、
a.25〜50のアミノ酸長であり、少なくとも1つのジスルフィド結合を含む;または
b.25〜50のアミノ酸長であり、細胞外タンパク質に由来する;または
c.25〜50のアミノ酸長であり、タンパク質ターゲットに結合する;または
d.35〜50のアミノ酸長である。
一部の実施形態において、本多量体は、少なくとも2つの単量体ドメインを含み、この場合、少なくとも1つの単量体ドメインは、非天然であり、ならびに
a.各単量体ドメインは、少なくとも1つのジスルフィド結合を含む;または
b.少なくとも1つの単量体ドメインは、細胞外タンパク質に由来する;または
c.少なくとも1つの単量体ドメインは、ターゲットタンパク質に結合する。
特定される単量体ドメインおよび/または多量体は、生物活性を有することがあり、これは、選択されたまたは所望のリガンドに対する特異的結合親和性を少なくとも含むことを意味し、一部の事例では、他の化合物の結合を遮断する能力、代謝経路を刺激または阻害する能力、シグナルまたはメッセンジャーとして作用する能力、細胞活性を刺激または阻害する能力などをさらに含むであろうことを意味する。一部の実施形態において、本発明の単量体ドメインは、IL−6R、IL−6受容体に結合する。一部の実施形態において、これらの単量体ドメインは、IL−6RへのIL−6の結合を遮断する、またはIL−6受容体を活性化させる。
単一のリガンドを使用することもあり、または場合によっては、様々なリガンドを使用して、単量体ドメインおよび/もしくは多量体を選択することもある。本発明の単量体ドメインは、単一のリガンドに結合することもあり、または様々なリガンドに結合することもある。本発明の多量体は、単一のリガンドのための多数の個別の結合部位を有することがあり、または場合によっては、様々なリガンドのための多数の結合部位を有することがある。
一部の実施形態において、本発明の多量体は、同じまたは異なる多量体に結合して、凝集体を形成する。凝集は、例えば、2つの単量体ドメイン上の疎水性ドメインの存在によって媒介されることがあり、その結果、2つの単量体ドメイン間に非共有結合性相互作用が形成される。あるいは、凝集は、別の多量体内の単量体ドメインに対する結合特異性を有する多量体内の1つ以上の単量体ドメインによって助長されることがある。凝集体は、単量体ドメインまたは多量体上の親和性ペプチドの存在に起因して形成することもある。凝集体は、単一の多量体より多くのターゲット分子性結合ドメインを含有することがある。
細胞表面ターゲットと第二のターゲット(例えば、IL−6)の両方に対する親和性を有する多量体は、結合活性効力増大に対処することができる。一部の事例では、相互作用の間隔および結合価を(自己組立てにより)最適化する際、膜の流動性のほうがタンパク質リンカーより融通が利く場合もある。一部の事例では、多量体は、2つの異なるターゲット、異なる細胞上の各々、または細胞上の1つと多数の結合部位を有する分子上のもう1つ、に結合するであろう。
一部の実施形態では、本発明の単量体または多量体を別のポリペプチドと連結させて、融合タンパク質を形成する。当該技術分野における任意のポリペプチドを融合パートナーとして使用することができるが、それは、その融合パートナーが多量体を形成する場合に有用でなければならない。例えば、本発明の単量体または多量体は、例えば、抗体の以下の位置または位置の組み合わせに融合することができる:
1.場合によってはリーダーペプチドの直ぐ後でドメイン開始の前の、VH1および/もしくはVL1ドメインのN末端位置(フレームワーク領域1);
2.VH1もしくはVL1ドメインに代わる、CH1もしくはCL1ドメインのN末端位置;
3.場合によってはCH1ドメインの後でヒンジ内のシステイン残基の前の、H鎖のN末端位置(Fc−融合);
4.CH3ドメインのN末端位置;
5.短いリンカーにより最後のアミノ酸残基に場合によっては付いている、CH3ドメインのC末端位置;
6.CH3ドメインに代わる、CH2ドメインのC末端位置;
7.鎖間ジスルフィドを形成するシステインの場合によっては後の、CL1もしくはCH1ドメインのC末端位置;または
8.VH1もしくはVL1ドメインのC末端位置。図7参照。
一部の実施形態では、本発明の1つ以上の単量体または多量体ドメインを、薬剤として有用な分子(例えば、タンパク質、核酸、有機小分子など)に連結させる。例示的薬学的タンパク質としては、例えば、サイトカイン、抗体、ケモカイン、増殖因子、インターロイキン(例えば、IL−6)、細胞表面タンパク質、細胞外ドメイン、細胞表面受容体、細胞毒などが挙げられる。例示的小分子薬剤としては、毒素または薬学的物質が挙げられる。一部の実施形態において、金属を本発明のポリペプチドに結合させることができる。これは、例えば、造影剤、例えばMRI用の造影剤として、有用であり得る。
一部の実施形態では、本単量体または多量体を選択して、組織特異的または疾病特異的ターゲットタンパク質に結合させる。組織特異的タンパク質は、動物の1つまたは幾つかの特定の組織において、他の組織と比較して排他的にまたは有意に高いレベルで発現されるタンパク質である。
一部の実施形態では、ターゲットタンパク質に結合する単量体または多量体を薬学的タンパク質または小分子に連結させるので、結果として生じる複合体または融合体は、そのターゲットタンパク質(例えば、IL−6)を発現する特定の組織または疾病関係細胞(単数または複数)をターゲットにする。こうした複合体または融合体において使用するための単量体または多量体は、最初に、ターゲットタンパク質への結合について選択することができ、そしてその後、他の非ターゲット細胞または組織における結合を低減または排除することが望まれる場合には、(骨髄への、または薬物毒性の下限を設定する他の組織へのターゲッティングを避けるために)他の細胞または組織に対する負の選択により、選択することができる。その薬剤を感受性組織から離しておくことにより、治療領域を増大させて、より高い用量を安全に投与することができる。もう1つの代案では、単量体または多量体のライブラリーを動物に注射し、その後、関心のある特定の組織または細胞に結合する単量体または多量体を単離することによって、インビボパニングを行うことができる。
上で説明した融合タンパク質は、薬学的タンパク質と本単量体または多量体の間のリンカーペプチドも包含し得る。ペプチドリンカー配列を利用して、例えば、それらのポリペプチド成分を、各ポリペプチドがフォールディングして確実にその二次および三次構造になれる十分な距離だけ離すことができる。融合タンパク質は、一般に、化学的コンジュゲーションをはじめとする標準的な技法を用いて作製することができる。融合タンパク質は、標準的な技法により発現システムにおいて組み換えタンパク質として発現させることもできる。
本発明の多量体または単量体ドメインは、当該技術分野において公知の任意の方法にしたがって生産することができる。一部の実施形態において、誘導性プロモーターの転写制御下の、ポリペプチドをコードしているプラスミドを含む大腸菌を使用して、タンパク質を発現させる。それらの細菌を回収した後、超音波処理または均質化によってそれらを溶解し、遠心分離によって不純物を除去することができる。ポリペプチドは、Ni−NTAアガロース溶離(6xHis(配列番号379)標識されている場合)またはDEAEセファロース溶離(標識されていない場合)を用いて精製し、透析によってリフォールディングすることができる。ミスフォールディングしたタンパク質は、ヨード酢酸で遊離スルフヒドリルをキャッピングすることにより、中和することができる。Qセファロース溶離、ブチルセファロースフロースルー、SPセファロース溶離、DEAEセファロース溶離、および/またはCMセファロース溶離を用いて、ポリペプチドを精製することができる。等価のアニオンおよび/またはカチオン交換精製段階を利用することもできる。
一部の実施形態では、熱溶解を用い、一般にはその後、大部分のタンパク質が復元しないように急速に冷却することによって、単量体または多量体を精製する。本発明のタンパク質の熱安定性のため、所望のタンパク質が、熱によって変性することはないであろうし、従って、精製段階によって高い純度を得ることができるであろう。一部の実施形態では、細菌細胞から本単量体または多量体を精製するために連続フロー式加熱プロセスを用いる。例えば、細菌の溶解を生じさせる温度(例えば、約65〜100摂氏度)に設定した水浴に沈めたステンレス鋼コイルに細胞懸濁液を通してもよい。溶解した溶出液は、冷却浴に進めて急速な冷却を達成し、変性した大腸菌タンパク質の復元を防止する。大腸菌タンパク質は、変性し、復元を防止されるが、単量体または多量体は、それらの足場の類希なる安定性のため、これらの条件下で変性しない。加熱時間は、流量およびコイル長を調整することによって制御する。このアプローチは、活性タンパク質を、代替アプローチと比較して高い収率および類希なる高い純度(例えば、>80%)で生じさせ、ならびに臨床材料の大規模生産に適応させることができる。
一部の実施形態では、本発明の単量体または多量体の製造後、ヨード酢酸を含む溶液中でそれらのポリペプチドを保管して、ジスルフィド結合連鎖のスクランブリングを防止する。一部の実施形態では、0.1〜100mM(例えば、1〜10mM)のヨード酢酸を保管用の溶液に含める。所望される場合には、個体に投与する前にそのヨード酢酸を除去することができる。
一部の実施形態では、本発明の単量体または多量体を含むポリペプチドを、例えば、タンパク質の安定性のために、それ自体に(C末端をN末端に)連結させる。
IV.リンカー
単量体ドメインをリンカーによって接続して、多量体を形成することができる。例えば、リンカーは、多量体内の別個、個別の単量体ドメイン各々の間に配置することができる。
選択された単量体ドメインのリンカーによる接続は、当該技術分野において公知の様々な技法を用いて遂行することができる。例えば、選択された単量体ドメインをコードしているポリヌクレオチドのコンビナトリアルアセンブリを、制限消化および再ライゲーションによって、PCRに基づく自己プライミング型オーバーラップ反応によって、または他の組み換え法によって達成することができる。リンカーは、単量体に、その単量体が、ターゲット多量体に結合するその能力について特定される前に取り付けてもよいし、またはその単量体が、ターゲット多量体に結合するその能力について選択された後に取り付けてもよい。
リンカーは、天然である場合もあり、合成である場合もあり、または両方の組み合わせである場合もある。例えば、合成リンカーは、例えば配列とサイズの両方の点で、ランダム化されたリンカーであり得る。1つの態様において、前記ランダム化リンカーは、完全ランダム化された配列を含むこともあり、または場合によっては、前記ランダム化リンカーは、天然リンカー配列に基づくこともある。前記リンカーは、例えば、非ポリペプチド部分、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどを含むことがある。
リンカーは、堅い場合もあり、または柔軟である場合もあり、または両方の組み合わせである場合もある。リンカーの柔軟性は、リンカーとリンカーが相互作用する単量体ドメイン、両方の組成の関数であり得る。リンカーは、2つの選択単量体ドメインを接続し、それらの単量体ドメインを別個、個別の単量体ドメインとして維持する。リンカーは、それらの別個、個別の単量体ドメインを協働させることができ、さらに、別個の特性、例えば、多量体内の同じリガンドのための多数の別個の結合部位、または例えば多量体内の異なるリガンドのための多数の別個の結合部位、を維持することができる。
2つ以上の単量体ドメイン(すなわち、ポリペプチド鎖)をつなぐこととなる特定の事例のための適するリンカーの選択は、例えば、それらの単量体ドメインの性質、ポリペプチド多量体が結合すべきターゲットの構造および性質、ならびに/またはタンパク質分解および酸化に対するそのペプチドリンカーの安定性などを含む様々な要因に依存し得る。
本発明は、所望の単量体ドメイン/変異体が特定されてしまってからのリンカーの選択を最適化する方法を提供する。一般に、単量体ドメインの組成に関しては固定されているが、リンカーの組成および長さの点では可変的である組成を有する多量体のライブラリーは、上で説明したように、容易に作製およびスクリーニングすることができる。
リンカーについてのより詳細な考察は、例えば、米国特許公開第2005/0048512号において見出すことができる。
V.ターゲット分子に対する親和性を有する単量体または多量体の特定
当業者は、所望の特性(例えば、結合親和性)を有する単量体ドメインを容易に特定することができる。これらの実施形態には、所望の特性(例えば、特異的結合特性)を有するドメインの選択をもたらす任意の方法を用いることができる。例えば、それらの方法は、各核酸が単量体ドメインをコードしている多数の異なる核酸を生じさせること;それらの多数の異なる核酸を翻訳し、それによって多数の異なる単量体ドメインを生じさせること;それらの多数の異なる単量体ドメインを所望のリガンドまたはリガンドの混合物の結合についてスクリーニングすること;ならびにその所望のリガンドまたはリガンド混合物に結合する多数の異なる単量体ドメインのメンバーを特定することを含む。
加えて、任意の突然変異誘発法、例えば、部位特異的突然変異誘発およびランダム突然変異誘発(例えば、化学的突然変異誘発)を用いて、例えば単量体ドメインライブラリーのための、単量体ドメインを生産することができる。一部の実施形態では、誤りがちのPCRを利用して、変異体を作製する。追加の方法としては、多数の天然単量体ドメインにおける保存アミノ酸をアラインすることによる、多数の天然単量体ドメインのアラインメント;および保存アミノ酸を維持し、それらの保存アミノ酸の周囲にアミノ酸を挿入して、周囲からアミノ酸を欠失させて、または周囲のアミノ酸を改変して、非天然単量体ドメインを作製することによる、非天然単量体ドメインの設計が挙げられる。一部の実施形態において、前記保存アミノ酸は、システインを含む。もう1つの実施形態において、前記挿入段階は、ランダムアミノ酸を利用し、または場合によっては、前記挿入段階は、天然単量体ドメインの部分を利用する。理想的には、前記部分は、同じファミリーからのドメインからのループをコードしいているものであり得る。アミノ酸は、合成オリゴヌクレオチドを用いて、またはシャッフリングによって、または制限酵素に基づく組み換え法によって、挿入または交換する。本発明のヒトキメラドメインは、最小限免疫原性が望まれる治療用途に有用である。本発明は、ヒトキメラドメインのライブラリーの作製方法を提供する。ヒトキメラ単量体ドメインライブラリーは、上で説明したように、ヒト単量体ドメインの異なる変異体からのループ配列を組み合わせることによって構築することができる。組み合わせるループ配列は、配列規定ループ、構造規定ループ、B因子規定ループ、またはこれらのうちのいずれか2つ以上の組み合わせであり得る。
あるいは、ヒトキメラドメインライブラリーは、ループレベルと比較して、アミノ酸レベルで天然ヒト単量体ドメインを修飾することによって作製することができる。一部の実施形態では、免疫原性の可能性を最小限にするために、同じファミリーのヒト単量体ドメインからのタンパク質配列において自然に発生する残基のみを利用して、キメラ配列を作る。これは、単量体ドメインの同じファミリーからの少なくとも2つのヒト単量体ドメインの配列アラインメントを生じさせること、ヒト単量体ドメイン間で異なる、ヒト単量体ドメイン配列内の対応する位置にあるアミノ酸残基を特定すること、2つ以上のヒトキメラ単量体ドメインを作製すること(この場合、各ヒトキメラ単量体ドメイン配列は、単量体ドメインの同じファミリーからの2つ以上のヒト単量体ドメインからの残基にタイプおよび位置の点で対応するアミノ酸残基から成る)によって達成することができる。ヒトキメラ単量体ドメインのライブラリーをターゲット分子への結合についてスクリーニングすること、およびそのターゲット分子に結合するヒトキメラ単量体ドメインを特定することにより、ヒトキメラ単量体ドメインのライブラリーを利用して、関心のあるターゲットに結合するヒトキメラ単量体ドメインを特定することができる。初期配列アラインメント段階において利用される適切な天然ヒト単量体ドメイン配列としては、本明細書において説明する天然単量体ドメインのうちのいずれかに対応するものが挙げられる。
本発明のヒト単量体変異体ライブラリーのドメインは(ループを変えることによって作製されるものであっても、単一アミノ酸残基を変えることによって作製されるものであっても)、通常の当業者には公知の方法によって作成することができる。これらのライブラリーの作製に特に適する方法は、WO01/23041に記載されているような、スプリット−プール形式およびトリヌクレオチド合成形式である。
一部の実施形態において、本発明の単量体ドメインは、
候補タンパク質配列を提供すること:
その候補タンパク質配列をヒトタンパク質配列のデータベースと比較すること;
そのデータベースからのヒトタンパク質配列の部分に対応するその候補タンパク質配列の部分を特定すること;および
その候補タンパク質配列とそのデータベースからのヒトタンパク質配列との対応度を判定すること
によって潜在的免疫原性についてスクリーニングされる。
一般に、前記データベースからのいずれのヒトタンパク質配列とも殆ど対応しない候補タンパク質と比較して、前記タンパク質候補配列と前記データベースからの1つ以上のヒトタンパク質配列との対応度が大きいほど、予測される免疫原性の可能性は低い。候補タンパク質をスクリーニングするための本発明の方法の実施の際の使用に適するヒトタンパク質配列のデータベースは、the World Wide Webのncbi.nlm.nih.gov/blast/Blast.cgiで見つけることができる(加えて、以下のウェブサイトを用いて、短い、ほぼ正確なマッチを検索することができる:cbi.nhn.nih.gov/blast/Blast.cgi?CMD=Web&LAYOUT=TwoWindows(登録商標)&AUTO_FORMAT=Semiauto&ALIGNMENTS=50&ALI GNMENT_VIEW=Pairwise&CLIENT=web&DATABASE=nr&DESCRIPTIONS=100&EN TREZ_QUERY=(none)&EXPECT=1000&FORMAT_OBJECT=Alignment&FORMAT_TY PE=HTML&NCBI_GI=on&PAGE=Nucleotides&PROGRAM=blastn&SERVICE=plain&S ET_DEFAULTS.x=29&SET_DEFAULTS.y=6&SHOW_OVERVIEW=on&WORD_SIZE=7&END_OF_HTTPGET=Yes&SHOW_LINKOUT=yes at the World Wide Web)。この方法は、例えばキメラ単量体ドメインなどキメラタンパク質におけるクロスオーバー配列が、免疫原性事象を生じさせる可能性が高いかどうかを判定する際に特に有用である。クロスオーバー配列が、そのヒトタンパク質配列データベース内で見つけられる配列の一部分に対応する場合、そのクロスオーバー配列は、免疫原性事象を生じさせる可能性が低いと考えられる。
そのデータベースからのヒトタンパク質配列の部分(複数)に関係する情報を用いて、ヒト様キメラタンパク質のタンパク質ライブラリーを設計することができる。こうしたライブラリーは、天然ヒトタンパク質内に存在する「クロスオーバー配列」に関係する情報を用いることによって作製することができる。用語「クロスオーバー配列」は、少なくとも1つの天然ヒトタンパク質においてそれをそっくりそのまま見つけられる配列であって、その配列の部分を2つ以上の天然タンパク質において見つけられる配列を、本明細書では指す。従って、後述の2つ以上の天然タンパク質の組み換えは、キメラタンパク質を生じさせることとなり、その配列のキメラ部分は、別の天然タンパク質において見つけられる配列に実際に対応する。クロスオーバー配列は、2つの連続するアミノ酸残基位置のキメラ接合部を含有し、その第一アミノ酸位置は、第一および第二天然ヒトタンパク質配列において見つけられるが、第三天然ヒトタンパク質配列では見つけられない、タイプおよび位置の点で同一のアミノ酸残基によって占められている。その第二アミノ酸位置は、第二および第三天然ヒトタンパク質配列において見つけられるが、第一天然ヒトタンパク質配列では見つけられない、タイプおよび位置の点で同一のアミノ酸残基によって占められている。言い換えれば、この「第二」天然ヒトタンパク質配列は、上で説明したように、クロスオーバー配列がそっくりそのまま出現する天然ヒトタンパク質に対応する。
一部の実施形態において、ヒト様キメラタンパク質のライブラリーは、タンパク質の同じファミリーからのタンパク質に対応する、データベースからのヒトタンパク質配列を特定すること;タンパク質の同じファミリーからのヒトタンパク質配列を、基準タンパク質配列に対してアラインすること;同じファミリーの異なるヒトタンパク質配列に由来するサブ配列のセットを特定すること(この場合、各サブ配列は、異なる天然ヒトタンパク質配列に由来する少なくとも1つの他のサブ配列と一定範囲の同一性を共有する);第一、第二および第三サブ配列からキメラ接合部を特定すること(この場合、各サブ配列は、異なる天然ヒトタンパク質配列に由来し、ならびにキメラ接合部は、2つの連続するアミノ酸残基位置を含み、その第一アミノ酸位置は、第一および第二天然ヒトタンパク質配列に共通の、しかし第三天然ヒトタンパク質配列とは共通でない、アミノ酸残基が占められており、その第二アミノ酸位置は、第二および第三天然ヒトタンパク質配列に共通のアミノ酸残基によって占められている);および各々が、前記サブ配列セットからの2つ以上のサブ配列に配列の点で対応し、各々が、それらの特定されたキメラ接合部の1つ以上を含む、ヒト様キメラタンパク質分子を作製することによって作製される。
従って、例えば、前記第一天然ヒトタンパク質配列が、A−B−Cであり、前記第二が、B−C−D−Eであり、および前記第三が、D−E−Fである場合には、キメラ接合部は、C−Dである。あるいは、前記第一天然ヒトタンパク質配列が、D−E−F−Gであり、前記第二が、B−C−D−E−Fであり、および前記第三が、A−B−C−Dである場合には、キメラ接合部は、D−Eである。ヒト様キメラタンパク質分子は、様々な方法で作製することができる。例えば、キメラ接合部をコードしている配列を含むオリゴヌクレオチドを、上記のサブ配列セットからの2つ以上のサブ配列に配列の点で対応するオリゴヌクレオチドと組み換えて、ヒト様キメラタンパク質およびそのライブラリーを作製することができる。天然ヒトタンパク質をアラインするために使用される基準配列は、天然ヒトタンパク質の同じファミリーからの配列であるか、そのファミリー内のキメラまたは他の変異体である。
天然単量体ドメインのフラグメントをコードしている核酸を、(例えば、キメラ的にまたは酵素的に生産されたフラグメントを使用することにより)混合および/または組み換えて、完全長の、修飾された単量体ドメインを作製することもできる。前記フラグメントおよび単量体ドメインを、ドメインをコードしている核酸またはそれらのフラグメントを操作することによって、組み換えることもできる。例えば、単量体ドメインのフラグメントをコードしている核酸構築物のライゲーションを用いて、改変された単量体ドメインを作製することができる。
改変された単量体ドメインは、単量体ドメインをコードしているポリヌクレオチドの所定の部位へのライゲーションによって、その時、挿入されるポリペプチド配列の保存、ランダム、擬似ランダム、または被定義配列をコードしている合成オリゴヌクレオチド(例えば、オーバーラッピングオリゴヌクレオチド)のコレクションを生じさせることによって、作製することもできる。同様に、1つ以上の単量体ドメインの配列多様性は、部位特異的突然変異誘発、ランダム突然変異、擬似ランダム突然変異、規定カーネル突然変異、コドンに基づく突然変異などで単量体ドメイン(単数または複数)を突然変異させることによって拡大することができる。結果として生じた核酸分子を、クローニングおよび増幅用の宿主において増殖させることができる。一部の実施形態において、それらの核酸は、シャッフリングされる。
本発明は、単量体ドメインをコードしている多数の核酸を組み換え、結果として生じたライブラリーを、所望のリガンドまたはリガンドの混合物に結合する単量体ドメインなどについてスクリーニングする方法も提供する。選択された単量体ドメイン核酸は、例えば、選択された配列と実質的に同一の野生型または天然配列と戻し交配させることによるなど、天然配列をコードしている(すなわち、結合に対する実質的な機能的効果を有さない)ポリヌクレオチド配列とのシャッフリングにより、戻し交配させて、天然のような機能の単量体ドメインを生じさせることもできる。一般には、戻し交配中に二次選択を適用して、特性、例えばリガンドへの結合、を確保する。
一部の実施形態において、単量体ライブラリーは、シャッフリングによって作成される。こうした事例では、単量体ドメインを単離し、シャッフリングして、単量体ドメインをコードしている核酸配列のコンビナトリアル組み換えを行う(組み換えは、単量体ドメイン間もしくは内、または両方で行うことができる)。その第一段階は、所望の特性、例えば一定のリガンドに対する親和性、を有する単量体ドメインの特定を含む。組み換え中に保存アミノ酸を維持しながら、単量体ドメインをコードしている核酸配列を組み換えることができ、または組み換え、多量体に接続することができる。
本発明の有意な利点は、既知のリガンドまたは未知のリガンドを使用して、単量体ドメインおよび/または多量体を選択できることである。関心のある単量体ドメインまたは関心のある多量体を単離するために、リガンド構造に関する事前情報を必要としない。特定された単量体ドメインおよび/または多量体は、生物活性を有することあり、これは、選択されたまたは所望のリガンドに対する特異的結合親和性を少なくとも含むことを意味し、一部の事例では、他の化合物の結合を遮断する能力、代謝経路を刺激または阻害する能力、シグナルまたはメッセンジャーとして作用する能力、細胞活性を刺激または阻害する能力などをさらに含むであろう。単量体ドメインは、その受容体に対する天然リガンドがまだ特定されていない受容体(オーファン受容体)に対するリガンドとして機能するように作製することができる。これらのオーファンリガンドは、それらが結合する受容体を遮断するように、または活性化するように作ることができる。
単量体ドメインおよび/もしくは多量体を選択するために、単一のリガンドが使用されることもあり、または場合によっては、様々なリガンドが使用されることもある。本発明の単量体ドメインは、単一のリガンドに結合することもあり、または様々なリガンドに結合することもある。本発明の多量体は、単一のリガンドのための多数の個別の結合部位を有することがあり、または場合によっては、様々なリガンドのための多数の結合部位を有することもある。
一部の実施形態において、本多量体または単量体は、多数の(2、3、またはそれ以上の)異なる種からのタンパク質に結合する能力についてスクリーニングされる。例えば、ヒトおよび霊長類オルソログタンパク質をスクリーニングし、それによって、ヒトと霊長類の両方からのタンパク質(例えば、IL−6、IgGまたは他の血清半減期延長因子もしくは他のタンパク質)に結合するポリペプチドを作製し、それによって、ヒトにおいて使用するための霊長類での毒物学分析を容易にすることができる。
本発明は、本発明の方法によって生産される組成物も包含する。例えば、本発明は、本発明の方法によって生産される単量体ドメインを含むライブラリー(単数および/または複数)から選択または特定された単量体ドメインを包含する。
本発明は、単量体ドメインのライブラリー、および単量体ドメインをコードしている核酸のライブラリーも提供する。前記ライブラリーは、例えば、単量体ドメインをコードしている約100、250、500、もしくはそれ以上の核酸を含むことがあり、または前記ライブラリーは、例えば、単量体ドメインをコードしている約100、250、500、もしくはそれ以上のポリペプチドを含むことがある。ライブラリーは、同じシステインフレームを含有する単量体ドメイン、例えば、A−ドメインまたはEGF様ドメインを含むこともある。
一部の実施形態において、変異体は、単量体ドメイン(例えば、LDL受容体クラスAドメイン)の同じファミリーからの2つ以上の異なる配列を組み換えることによって作製される。あるいは、異なるファミリーからの2つ以上の異なる単量体ドメインを組み合わせて、多量体を形成することができる。一部の実施形態において、前記多量体は、以下のファミリークラスのうちの少なくとも1つの単量体または単量体変異体から形成される:EGF様ドメイン、クリングルドメイン、フィブロネクチンI型ドメイン、フィブロネクチンII型ドメイン、フィブロネクチンIII型ドメイン、PANドメイン、Glaドメイン、SRCRドメイン、クニツ/ウシ膵臓トリプシンインヒビタードメイン、カザール型セリンプロテアーゼインヒビタードメイン、トレフォイル(P型)ドメイン、フォン−ウィルブランド因子C型ドメイン、アナフィラトキシン様ドメイン、CUBドメイン、サイログロブリンI型リピート、LDL−受容体クラスAドメイン、スシドメイン、リンクドメイン、トロンボスポンジンI型ドメイン、免疫グロブリン様ドメイン、C型レクチンドメイン、MAMドメイン、フォン−ウィルブランド因子A型ドメイン、ソマトメジンBドメイン、WAP型4ジスルフィドコアドメイン、F5/8 C型ドメイン、ヘモペキシンドメイン、SH2ドメイン、SH3ドメイン、ラミニン型EGF様ドメイン、C2ドメイン、およびこれらの誘導体。もう1つの実施形態において、前記単量体ドメインおよび異なる単量体ドメインは、Pfamデータベースおよび/またはSMARTデータベースにおいて見つけられる1つ以上のドメインを含むことがある。上の方法によって生産されるライブラリー、そのライブラリーの1つ以上のメンバーを含む1つ以上の細胞、およびそのライブラリーの1つ以上のメンバーを含む1つ以上のディスプレイも本発明に包含される。
場合によっては、単量体ドメインをコードしている核酸文字列のデータセットを、例えば、単量体ドメインをコードしている第一文字列と異なる単量体ドメインをコードしている1つ以上の文字列とを混合し、それによって、本明細書に記載するものを含む単量体ドメインをコードしている核酸文字列のデータセットを生じさせることによって、作製することができる。もう1つの実施形態において、前記単量体ドメインおよび異なる単量体ドメインは、Pfamデータベースおよび/またはSMARTデータベースにおいて見つけられる1つ以上のドメインを含むことがある。これらの方法は、単量体ドメインをコードしている第一文字列および異なる単量体ドメインをコードしている1つ以上の第二文字列をコンピュータに挿入すること、ならびにそのコンピュータにおいてそれらの多量体文字列(単数もしくは複数)またはライブラリーを作製することをさらに含むことがある。
前記ライブラリーは、所望の特性、例えば、所望のリガンドまたはリガンドの混合物の結合について、スクリーニングすることができる。例えば、単量体ドメインのライブラリーのメンバーを、既知もしくは未知のリガンドまたはリガンドの混合物への結合について表示させ、事前にスクリーニングすることができる。その後、それらの単量体ドメイン配列を突然変異させる(例えば、組み換える、化学的に改変する、など)または別様に改変することができ、そしてそれらの新たな単量体ドメインを、改善された親和性でのそのリガンドまたはリガンド混合物への結合について再びスクリーニングすることができる。それらの選択された単量体ドメインを組み合わせてまたは接続して多量体を形成し、その後、それらを、そのリガンドまたはリガンドの混合物に対する改善された親和性もしくは結合活性または改変された特異性についてスクリーニングすることもできる。改変された特異性は、その特異性、例えば多数の関連ウイルスの結合、を広げることを意味することもあり、または場合によっては、改変された特性は、特異性、例えばリガンドの特定領域内での結合、を狭めることを意味することもある。結合活性を計算するために利用できる多数の方法があることは、当業者にはわかるであろう。例えば、Mammenら、Angew Chem Int.Ed.37:2754−2794(1998);Mullerら、Anal.Biochem.261:149−158(1998)参照。
VI.IL−6に結合する単量体ドメインの選択
IL−6に結合することができる薬剤についてのスクリーニングにより、予備スクリーニングを行うことができる。そう特定された薬剤の少なくとも一部は、IL−6修飾因子(例えば、拮抗薬または作動薬)である可能性が高いからである。前記結合アッセイは、IL−6タンパク質(またはそのフラグメント)と1つ以上の試験薬剤(すなわち、本発明の単量体または多量体)を接触させること、ならびにそのタンパク質および試験薬剤が結合複合体を形成するために十分な時間放置することを、通常、含む。多数の確率されている分析技術のうちのいずれを用いて、いずれの形成された結合複合体を検出してもよい。タンパク質結合アッセイとしては、免疫組織化学的結合アッセイ、フローサイトメトリーまたは他のアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。こうしたアッセイに利用されるIL−6タンパク質は、自然に発現されることがあり、クローニングすることができ、または合成することができる。類似の方法を用いて、IgGに結合する単量体ドメインまたは多量体を特定することができる。
本発明のスクリーニング法は、インビトロまたは細胞ベースのアッセイとして行うことができる。細胞ベースのアッセイは、IL−6を発現する任意の細胞において行うことができる。細胞ベースのアッセイは、薬剤の結合またはその薬剤によるIL−6の活性の修飾についてスクリーニングするために、IL−6受容体を含有する全細胞または細胞画分を必要とし得る。本発明の方法に従って使用することができる例示的細胞タイプとしては、例えば、任意の哺乳動物細胞、ならびに真菌細胞(酵母を含む)および細菌細胞が挙げられる。細胞は、初代細胞であってもよいし、または腫瘍細胞であってもよいし、または他のタイプの不朽細胞であってもよい。勿論、IL−6は、IL−6を内因的に含有しない細胞において発現させることができる。さらに、IL−6の膜結合変種を細胞の表面で外因的に発現させ、それによって、フローサイトメトリーまたは他の結合、スクリーニングもしくは選択方法に備えることができる。
IL−6活性アッセイを用いて、IL−6の修飾因子(拮抗薬または作動薬)を特定することもできる。これらの実施形態では、1つ以上の試験薬剤を、IL−6を発現する細胞または外因性IL−6を加えた細胞と接触させ、その後、IL−6の活性について試験する。例示的IL−6活性としては、細胞増殖、炎症応答または分化が挙げられる。例えば、Naka,T.ら、Arthritis Res.4:S233−S242(2002)参照。他の実施形態では、下流分子事象をモニターして、シグナリング活性を判定することもできる。例えば、IL−6シグナル伝達は、主として次の2つの経路によって媒介される:JAK−STAT(ヤーヌスファミリーチロシンキナーゼ−シグナル伝達因子および転写活性化因子)経路およびRasマイトジェン活性化プロテインキナーゼ経路(この活性化は、市販のキットおよび当業者には公知の方法を用いて容易にモニターすることができる)。例えば、Naka,T.ら、Arthritis Res.4:S233−S242(2002)参照。
一部の実施形態において、活性アッセイは、特定された拮抗薬単量体または多量体(すなわち、IL−6のIL−6Rへの結合を防止するもの)に作動薬活性がないこと(すなわち、それらが、IL−6または別の作動薬の不在下ではIL−6Rを活性化しないこと)を確認するためにも用いられる。
上述のスクリーニング法のいずれかによって最初に特定される薬剤をさらに試験して、見掛けの活性を確認することができる。こうした研究は、適する動物モデルを用いて行うことができる。こうした方法の基本形式は、最初のスクリーニング中で特定されたリード化合物を、ヒトのためのモデルとしての役割を果たす動物に投与すること、およびその後、IL−6が実際に修飾されるかどうか、および/または疾病もしくは状態が改善されるかどうかを判定することを含む。確認研究に利用される動物モデルは、一般に、任意の種類の哺乳動物である。適する動物の具体例としては、霊長類、マウスおよびラットが挙げられるが、これらに限定されない。
IL−6に結合する単量体ドメインについてのドメインライブラリーからの選択は、様々な手順によって遂行することができる。例えば、所望の特性を有する(例えば、IL−6またはIgGに結合する)単量体ドメインを特定する1つの方法は、各核酸が単量体ドメインをコードしている多数の核酸の翻訳、それら多数の核酸によってコードされているポリペプチドのスクリーニング、および例えば所望のリガンドまたはリガンドの混合物に結合する、単量体ドメインの特定、その結果、選択単量体ドメインの生産を含む。各々の核酸によって発現された単量体ドメインを、当該技術分野において公知の方法(すなわち、パンニング、親和性クロマトグラフィー、FACS分析)によって、リガンドに結合するそれらの能力について試験することができる。
上で述べたように、単量体ドメインの選択は、IL−6もしくはそのフラグメントなどのリガンドまたは他のターゲット分子(例えば、脂質、炭水化物、核酸など)への結合に基づくものであり得る。場合によっては、他の分子がターゲット、例えばCa+2などのイオン、と共にこれらの方法に含まれることもある。
本発明の単量体ドメインを、リガンドに結合するその能力に基づき選択する場合、その選択基準としては、遅い解離速度(これは、通常、高い親和性を予測させる)に基づく選択が挙げられる。リガンドの結合価は、選択された単量体ドメインの平均結合親和性を制御することによって変えることもできる。リガンドは、例えば、競合化合物を含めることにより、希釈により、または当業者には公知の他の方法により、様々な密度で表面または基質に結合させることができる。所定のリガンドの高い密度(結合価)を利用して、比較的親和性の低い単量体ドメインを富化することができ、これに対して低い密度(結合価)は、より高い親和性の単量体ドメインを優先的に富化させることができる。
様々なレポーティングディスプレイベクターまたはシステムを用いて、本発明の単量体ドメインおよび/または多量体をコードしている核酸を発現させること、ならびに所望の活性について試験することができる。例えば、ファージディスプレイシステムは、単量体ドメインをファージ表面で融合タンパク質として発現させるシステムである(ウィスコンシン州、ミルウォーキーのPharmacia)。ファージディスプレイは、糸状バクテリオファージの表面での単量体ドメインをコードしているポリペプチド配列の、一般にはバクテリオファージコートタンパク質との融合体としての、提示を含む。
一般に、これらの方法において、各ファージ粒子または細胞は、天然ファージまたは細胞タンパク質配列に加えて単一の種の被表示ポリペプチドを表示する個々のライブラリーメンバーとしての役割を果たす。ファージDNAに、融合タンパク質(その一部分が多数の核酸によってコードされている)の転写が生じる部位で、核酸をクローニングする。核酸分子を含有するファージをその細胞内での複製および転写に付す。融合タンパク質のリーダー配列が、そのファージ粒子のチップへのその融合タンパク質の輸送を指図する。このようにして、その核酸によって部分的にコードされている融合タンパク質は、上で説明したまたは下で説明する方法によって検出および選択を行うためのファージ粒子上に表示される。例えば、ファージライブラリーをIL−6またはそのフラグメントなどの所定のリガンドと共にインキュベートして、リガンドに結合する融合タンパク質配列を提示するファージ粒子を、その所定のリガンドに結合するポリペプチド配列を提示しないものと差別的に分割することができる。例えば、この分離は、その所定のリガンドを固定化することによって生じさせることができる。その後、その固定されたリガンドに結合しているファージ粒子(すなわち、ライブラリーメンバー)を回収し、その選択されたファージ副次集団を後続の親和性富化およびファージ複製ラウンドのために複製して増幅させる。数ラウンドの親和性富化およびファージ複製の後、こうして選択されたファージライブラリーメンバーを単離し、表示されたポリペプチド配列をコードしているヌクレオチド配列を決定し、それによって、所定のリガンドに結合するポリペプチドの配列(単数または複数)を特定する。こうした方法は、PCT特許公報第91/17271号、同第91/18980号、同第91/19818号および同第93/08278号にさらに記載されている。
他のディスプレイシステムの例としては、リボソームディスプレイ、ヌクレオチド連結ディスプレイ(例えば、米国特許第6,281,344号、同第6,194,550号、同第6,207,446号、同第6,214,553号、および同第6,258,558号参照)、ポリソームディスプレイ、細胞表面ディスプレイなどが挙げられる。細胞表面ディスプレイとしては、様々な細胞、例えば、大腸菌、酵母および/または哺乳動物細胞が挙げられる。細胞をディスプレイとして使用するとき、核酸、例えば、PCR増幅、その後の消化によって得られた核酸を細胞に導入し、翻訳する。場合によっては、本発明の単量体ドメインまたは多量体をコードしているポリペプチドを、例えば注入によって、その細胞に導入することができる。
本発明の単量体および多量体ライブラリーは、所望のリガンド(例えば、IL−6)またはリガンドの混合物の結合などの所望の特性についてスクリーニングすることができる。例えば、単量体ドメインのライブラリーのメンバーを表示させ、既知または未知のリガンドまたはリガンドの混合物への結合について事前にスクリーニングすることができる。その後、それらの単量体ドメイン配列を突然変異誘発する(例えば、組み換える、化学的に改変るなど)または別様に改変することができ、そしてそれらの新たな単量体ドメインを、改善された親和性でのそのリガンドまたはリガンドの混合物への結合について、再びスクリーニングすることができる。それらの選択された単量体ドメインを組み合わせてまたは接続して多量体を形成し、その後、それらを、そのリガンドまたはリガンドの混合物に対する改善された親和性もしくは結合活性または改変された特異性についてスクリーニングすることもできる。改変された特異性は、その特異性、例えば多数の関連リガンドの結合、を広げることを意味することもあり、または場合によっては、改変された特性は、特異性、例えばリガンドの特定領域内での結合、を狭めることを意味することもある。結合活性を計算するために利用できる多数の方法があることは、当業者にはわかるであろう。例えば、Mammenら、Angew Chem Int.Ed.37:2754−2794(1998);Mullerら、Anal.Biochem.261:149−158(1998)参照。
変異を生じさせる段階および所望の特性についてスクリーニングする段階を繰り返して(すなわち、再帰的に行って)、結果を最適化できることは、当業者にはわかるであろう。例えば、ファージディスプレイライブラリーまたは他の同様の形式でのライブラリーの初期スクリーニングを比較的低いストリンジェンシーで行い、それによって、ターゲット分子と会合している粒子を可能な限り多く選択することができる。その後、それらの選択された粒子を単離し、単量体または多量体をコードしているポリヌクレオチドをそれらの粒子から単離することができる。その後、これらの配列から追加の変異を生じさせ、その後、より高い親和性でスクリーニングすることができる。
本発明のすべての組成物、例えば、単量体ドメインならびにそれらの多量体およびライブラリーは、場合により、親和性材料のマトリックスに結合させることがある。親和性材料の例としては、ビーズ、カラム、固体支持体、マイクロアレイ、他の試薬−支持体プールなどが挙げられる。
比較的大きなターゲットに結合することができる多量体が望まれる場合、それらは、「ウォーキング」選択法によって作製することができる。この方法は、単量体ドメインのライブラリーを生じさせること、およびその単量体ドメインのライブラリーを第一のターゲット分子への親和性についてスクリーニングすることによって行われる。そのターゲットに結合する少なくとも1つの単量体が特定されたら、その単量体を新たなライブラリーに、または元の単量体ドメインライブラリーの残りのメンバー各々に共有結合させる。その後、多量体(二量体)のこの新たなライブラリーを、増加した親和性でターゲットに結合している多量体についてスクリーニングし、増加した親和性でターゲットに結合している多量体を特定することができる。「ウォーキング」単量体選択法は、相加的に作用することができる、またはリンカー長の制約からすると互いに相乗的に作用することさえできる単量体から成る多量体を組み立てる方法をもたらす。このウォーキング技術は、高い親和性で大きなターゲットタンパク質に結合することができる多量体を選択または組み立てる際に非常に有用である。このウォーキング法を繰り返して、より多くの単量体を付加させ、それによって、互いに連結した2、3、4、5、6、7、8またはそれ以上の単量体を含む多量体を生じさせることができる。
一部の実施形態において、選択される多量体は、2つより多くのドメインを含む。こうした多量体は、例えば、各々の新たなドメインの付加を個々に試験し、それらのドメインの効果を逐次的な様式で試験する、段階的様式で、作製することができる。例えば、図5参照。代替実施形態では、ドメインを連結させて、2つより多くのドメインを含む多量体を形成し、より小さな多量体がどのように結合するか、または代替的に、各ドメインがどのように結合するかを事前に知らずに、結合について選択する。
本発明の方法は、単量体または多量体を発生させる方法も含む。全単量体にわたって、または異なる単量体の部分(複数)を利用して、ドメイン内組み換えを単量体に導入して、新たな組み換え単位を形成することができる。ドメイン内組み換え(例えば、異なる単量体の多量体へのもしくは多量体間での組み換え)またはモジュール(例えば、多量体内の多数の単量体)の組み換えを達成することができる。ライブラリー内組み換えも考えられる。
単量体または多量体を発生させるための方法は、例えば、次の段階のうちのいずれかまたはすべてを含むことがある:各核酸が単量体ドメインをコードしている多数の異なる核酸を生じさせること;それらの多数の異なる核酸を翻訳し、多数の異なる単量体ドメインを生じさせること;それらの多数の異なる単量体ドメインを所望のリガンド(例えば、IL−6)またはリガンドの混合物の結合についてスクリーニングすること;所望のリガンドまたはリガンドの混合物に結合する多数の異なる単量体ドメインのメンバーを特定し、選択された単量体ドメインを得ること;それらの選択された単量体ドメインを少なくとも1つのリンカーと接続して、少なくとも1つの多量体を形成させること(この場合、前記少なくとも1つの多量体は、前記の選択単量体ドメインのうちの少なくとも2つと前記少なくとも1つのリンカーとを含む);および所望のリガンドまたはリガンドの混合物に対する、前記選択単量体ドメインと比較して、改善された親和性もしくは結合活性または改変された特異性について、前記少なくとも1つの多量体をスクリーニングすること。
単量体または多量体のいずれかに変異を導入することもできる。単量体を改善する例としては、結果として生じる増幅産物に(例えば、シャッフリングまたは他の組み換え法によって)変異を導入する条件下で単量体の2つ以上(例えば、3つ、4つ、5つまたはそれ以上)の部分を、別々に増幅し、それによって、その単量体の異なる部分についての変異体のライブラリーを合成する、ドメイン内組み換えが挙げられる。両方のPCRフラグメントを共同で有する「中間」または「オーバーラップ」配列内に中間プライマーの5’末端を配置することにより、結果として生じる「左」側および「右」側ライブラリーをオーバーラップPCRによって組み合わせて、元の単量体プールの新規変異体を作製することができる。その後、これらの新たな変異体を所望の特性についてスクリーニングする、例えば、ターゲットに対してパンニングするまたは機能効果についてスクリーニングする、ことができる。「中間」プライマー(単数または複数)は、その単量体の任意のセグメントに対応するように選択することができ、ならびに一般に、その単量体内の足場または1つ以上のコンセンサスアミノ酸(例えば、Aドメインにおいて見出されるものなどのシステイン)に基づくであろう。
同様に、単量体レベルでの変異の導入およびその後の単量体変異体ライブラリーの組み換えによって、多量体を作ることができる。より大規模に、所望の特性を有する多量体(単体またはプール)を組み換えて、より長い多量体を形成することができる。一部の事例では、単量体にまたはリンカーに変異を(一般には合成的に)導入して、ライブラリーを形成する。これは、例えば、2つの異なるターゲットに結合する2つの異なる多量体を用いて達成することができ、それによって、最終的には、1つのターゲットに結合する部分と第二のターゲットに結合する部分を有する多量体を選択する。
ドメイン間の長さおよび組成が異なるリンカーを挿入することにより、追加の変異を導入することができる。これにより、ドメイン間の最適なリンカーを選択することができる。一部の実施形態では、リンカーの最適な長さおよび組成が、ドメインの最適な結合を可能にするであろう。一部の実施形態では、特定の結合親和性(単数または複数)を有するドメインを異なるリンカーによって連結し、結合アッセイで最適なリンカーを選択する。例えば、ドメインを所望の結合特性について選択し、その後、様々なリンカーを含むライブラリーにする。その後、そのライブラリーをスクリーニングして最適なリンカーを特定することができる。あるいは、ターゲット分子結合に対するドメインまたはリンカーの効果がわからない多量体ライブラリーを形成することができる。
本発明の方法は、多数の単量体ドメインを供給することによる1つ以上の選択された多量体の作製も含む。多数の単量体ドメインを所望のリガンドまたはリガンドの混合物の結合についてスクリーニングする。その所望のリガンドまたはリガンドの混合物に結合する前記多数のドメインのメンバーを特定し、それによって、所望の親和性を有するドメインを得る。特定されたドメインを少なくとも1つのリンカーと接続して多量体(この場合、各多量体は、前記選択ドメインのうちの少なくとも2つと、前記少なくとも1つのリンカーとを含む)を作製し、それらの多量体を、前記所望のリガンドまたはリガンド混合物に対する、前記選択ドメインと比較して改善された親和性もしくは結合活性または改変された特異性についてスクリーニングし、それによって、1つ以上の選択された多量体を特定する。
多量体ライブラリーは、一部の実施形態では、リコンビナーゼに基づくアプローチで2つ以上のライブラリーまたは単量体または多量体を組み合わせることによって、作製することができ、この場合、各ライブラリーメンバーは、組み換え部位(例えば、lox部位)を含む。分子的に多岐にわたるライブラリーメンバーの、より大きなプールは、原則として、所望の特性、例えば、より高いターゲット結合親和性および機能的活性を有する、より多くの変異体を有する。大腸菌に形質転換することができるファージベクターにおいてライブラリーを構築するとき、ライブラリーのサイズ(10〜1010)は、大腸菌の形質転換効率によって制限される。リコンビナーゼ/組み換え部位システム(例えば、Cre−loxPシステム)およびインビボ組み換えを活用して、大腸菌の形質転換効率によるサイズの制限を受けないライブラリーを作製することができる。
例えば、Cre−loxPシステムを使用して、1010、1011、1012、1013、またはそれより大きい多様性を有する二量体ライブラリーを作製することができる。一部の実施形態では、1つのナイーブ単量体ライブラリーのための宿主としての大腸菌と、第二のナイーブ単量体ライブラリーを有する糸状ファージとを使用する。この場合のライブラリーサイズは、感染性ファージ(あるライブラリーを有するもの)の数および感染可能な大腸菌細胞(別のライブラリーを有するもの)の数によってのみ制限される。例えば、1012より多くのファージでの1012の大腸菌細胞(OD600=1で1L)の感染は、1012ほどもの二量体の組み合わせを生じさせ得る。
多量体の選択は、単量体ドメインの特定について上で述べたものを含む様々な技法を用いて遂行することができる。他の選択法としては、例えば、リガンドに対する選択された単量体ドメインと比較して改善された親和性もしくは結合活性または改変された特異性に基づく選択が挙げられる。例えば、選択は、特定の細胞タイプへの、または関連した細胞または細胞タイプ(例えば、異なるウイルスセロタイプ)のセットへの選択的結合に基づく場合がある。その後、例えばリガンドの結合活性について、選択された特性の最適化を、本発明において述べるような、ドメインの組み換え、ならびに個々の単量体ドメインもしくはリンカードメインのアミノ酸配列またはそうしたドメインをコードするヌクレオチド配列の操作によって、達成することができる。
多量体を特定するための1つの方法は、多量体の表示によって遂行することができる。単量体ドメインと同じように、多量体は、上で説明したような様々なディスプレイシステム、例えば、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、ポリソームディスプレイ、ヌクレオチド連結ディスプレイ(例えば、米国特許第6,281,344号、同第6,194,550号、同第6,207,446号、同第6,214,553号、および同第6,258,558号参照)、および/または細胞表面ディスプレイを用いて、場合によっては発現または表示させることができる。細胞表面ディスプレイとしては、大腸菌、酵母または哺乳動物細胞を挙げることができるが、これらに限定されない。加えて、多数の結合部位を有する多量体のディスプレイライブラリーを、1つのリガンドに対するまたは多数のリガンドに対する結合活性もしくは親和性または改変された特異性ついてパンニングすることができる。
ツーハイブリッドスクリーニングアッセイを用いて、酵母細胞におけるターゲット結合活性について単量体または多量体をスクリーニングすることもできる。このタイプのスクリーニングでは、スクリーニングされる単量体または多量体ライブラリーを、そのライブラリーの各単量体または多量体と酵母転写活性化因子フラグメント(すなわち、Gal4)との融合タンパク質の形成を指図するベクターにクローニングする(DNA結合ドメイン)。「ターゲット」タンパク質をコードしている配列を、そのターゲットと前記Gal4タンパク質の残部との融合タンパク質を生産することとなるベクターにクローニングする。第三のプラスミドは、Gal4の結合部位のDNA配列の下流にレポーター遺伝子を含有する。ターゲットタンパク質に結合することができる単量体は、それでGal4活性化ドメインを招来し、そうして機能的Gal4タンパク質を再構成する。レポーター遺伝子の上流の結合部位に結合したこの機能的Gal4タンパク質により、レポーター遺伝子が発現されることとなり、単量体または多量体がターゲット結合タンパク質として選択されることとなる。(Chienら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)88:9578;Fields S.およびSong O.(1989)Nature 340:245)。ライブラリースクリーニングのためのツーハイブリッドシステムの使用は、米国特許第5,811,238号にさらに記載されている(Silver S.C.およびHunt S.W.(1993)MoL Biol.Rep.17:155;Durfeeら(1993)Genes Devel.7:555;Yangら(1992)Science 257:680;Lubanら(1993)Cell 73:1067;Hardyら(1992)Genes Devel.6:801;Bartelら(1993)Biotechniques 14:920;およびVojtekら(1993)Cell 74:205も参照)。本発明を実施するためのもう1つの有用なスクリーニングシステムは、大腸菌/BCCP相互作用式スクリーニングシステム(Germinoら(1993)Proc.Nat.Acad.Sci.(U.S.A.)90:993;Guarente L.(1993)Proc.Nat.Acad.Sci.(U.S.A.)90:1639)である。
他の変型としては、これらの分子の単量体ドメイン、多量体またはライブラリーを、異なる結合特異性を有するリガンドまたは化合物の多彩性について同時にスクリーニングすることができるような、多数の結合性化合物の使用が挙げられる。多数の予め決められたリガンドまたは化合物を、単一のライブラリーで付随的にスクリーニングすることができ、または多数の単量体ドメインもしくは多量体に対して逐次的にスクリーニングすることができる。1つの変型では、各々が別のビーズ(またはビーズの部分集合)上にコードされている多数のリガンドまたは化合物を、適する結合条件下でこれらの分子の単量体ドメイン、多量体またはライブラリーと混合し、インキュベートすることができる。その後、多数のリガンドまたは化合物を含むビーズのコレクションを用いて、親和性選択により、選択単量体ドメイン、選択多量体またはライブラリーメンバーを単離することができる。一般に、その後の親和性スクリーニングラウンドは、同じビーズ混合物を含む場合もあり、その部分集合を含む場合もあり、または個々のリガンドもしくは化合物を1つもしくは2つしか含有しないビーズを含む場合もある。このアプローチは、効率的なスクリーニングをもたらし、ラボラトリーオートメーション法、バッチ処理法およびハイスループットスクリーニング法と両立できる。
もう1つの実施形態において、多量体は、各リガンドが異なる標識を含む多数のリガンドを結合する能力について、同時にスクリーニングすることができる。例えば、各リガンドを異なる蛍光標識で標識し、多量体または多量体ライブラリーと同時に接触させることができる。その後、所望の親和性を有する多量体を、所望の標識に連結した標識の存在に基づき(例えば、FACSソーティングにより)特定する。
単量体ドメインまたは多量体のいずれか(便宜上、以下の論考では「親和性作用因子」と呼ぶ)のライブラリーは、多数の異なる形式で多数のリガンドに対して同時にスクリーニング(すなわち、パンニング)することができる。例えば、多数のリガンドを、単純混合物において、アレイにおいてスクリーニングすること、細胞もしくは組織上に表示させること(例えば、細胞もしくは組織は、本発明の単量体ドメインもしくは多量体が結合できる多数の分子を提示する)、および/または免疫することができる。場合によっては、酵母またはファージディスプレイシステム上で親和性作用因子のライブラリーを表示させることができる。同様に、所望される場合には、酵母またはファージディスプレイシステム内でリガンド(例えば、cDNAライブラリー内にコードされているもの)を表示させることができる。
最初に、その親和性作用因子を多数のリガンドに対してパンニングする。場合により、結果として生じた「ヒット」をリガンドに対して1回以上パンニングして、結果として生じる親和性作用因子集団を富化させる。
所望される場合には、個々の親和性作用因子および/またはリガンドの素性を決定することができる。一部の実施形態において、親和性作用因子をファージで表示させる。初期スクリーニングにおいて結合していると特定された親和性作用因子を第一の部分と第二の部分に分ける。その第一の部分を細菌に感染させ、使用するファージのタイプに依存してプラークまたは細菌コロニーを生じさせる。発現されたプラークを固定し、その後、下で説明するように選択されたファージに表示されたリガンドでプローブする。
第二の部分は、ビーズにカップリングさせるか、別様に固定し、その固定された第二の部分に、元の混合物中のリガンドの少なくとも一部を含有するファージディスプレイライブラリーを接触させる。その後、その第二の部分に結合しているファージを溶離し、上の段落で説明した固定されたファージに接触させる。ファージ−ファージ相互作用を(例えば、リガンド発現ファージに対して特異的なモノクローナル抗体を使用して)検出し、得られたファージポリヌクレオチドを単離することができる。
一部の実施形態では、親和性作用因子−リガンドペアの素性を決定する。例えば、親和性作用因子とリガンドの両方をファージまたは酵母上に表示させ、そのペアからのDNAを単離し、塩基配列を決定することができる。一部の実施形態では、リガンドおよび親和性作用因子に対して特異的なポリヌクレオチドを増幅する。各反応のための増幅プライマーは、相補的である5’配列を含むことができるので、結果として生じる増幅産物が融合され、それによって、親和性作用因子の少なくとも一部分とリガンドの少なくとも一部分とをコードしているポリヌクレオチドを含むハイブリッドポリヌクレオチドが形成される。結果として生じるハイブリッドは、親和性作用因子またはリガンド(例えば、cDNAにコードされた)ポリヌクレオチドライブラリーをプローブして、親和性作用因子とリガンドの両方を特定するために用いることができる。
上で説明した方法を「ウォーキング」と併用して、リガンド混合物中のリガンドに各々が結合している多数の多量体を同時に作製および特定することは容易にできる。これらの実施形態では、親和性作用因子(単量体ドメインまたは多量体)の第一のライブラリーを多数のリガンドに対してパンニングし、溶離された親和性作用因子を親和性作用因子の第一または第二のライブラリーに連結させて、多量体親和性作用因子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上の単量体を含むもの)のライブラリーを形成し、その後、それを多数のリガンドに対してパンニングする。この方法を反復して、より大きな多量体親和性作用因子を作製し続けることができる。単量体ドメインの数の増加は、特定のターゲットに対する増大した親和性および結合活性増大を生じさせることができる。例えば、本発明者らは、CD28に結合する単量体ドメインの三量体が、二量体より高い親和性を有し、そしてまた二量体が、単一CD28結合単量体ドメインのみより高い親和性を有することを発見した。勿論、各段階で、場合によってはパンニングを繰り返して、有意な結合因子を富化させる。一部の事例では、単量体の末端への組み換え部位(例えば、lox部位)の挿入、およびリコンビナーゼ媒介事象による単量体ライブラリーの組み換えによって、ウォーキングを助長することとなる。
上の方法の選択多量体は、例えば、それらの選択多量体の組み換えまたはシャッフリング(多量体間もしくは内または両方で組み換えを行うことができる)およびそれらの選択多量体の突然変異などによって、さらに操作することができる。これは、改変された多量体を生じさせ、その後、前記の選択多量体と比較して強化された特性を有するメンバーをスクリーニングおよび選択し、それによって、選択された改変多量体を生産することができる。
本明細書での説明に鑑みて、次のプロセスをたどることは明らかである。天然または非天然単量体ドメインを組み換えることができ、または変異体を形成することができる。場合により、最初にまたは後で、それらのドメインを、それらが予定されている宿主において免疫原性である可能性が低い配列について選択する。場合によっては、組み換えドメインを含むファージライブラリーを所望の親和性についてパンニングする。ファージによって発現された単量体ドメインまたは多量体を、ターゲットに対するIC50についてスクリーニングすることもできる。ヘテロメリック多量体を選択することもでき、またはホモメリック多量体を選択することもできる。選択されたポリペプチドを、例えばヘテロまたはホモ多量体ターゲットを含む任意のターゲットへのそれらの親和性について選択することもできる。
上に示したまたは下で示す方法によって生産されるリンカー、多量体または選択多量体は、本発明の特徴である。多量体を含むライブラリー、例えば、本発明の方法によって生産されたまたは本発明の方法によって選択された約100、250、500またはそれ以上のメンバーを含むライブラリー、を提供する。一部の実施形態には、前記ライブラリーのメンバーを含む1つ以上の細胞も含まれる。組み換えポリペプチドのライブラリー、例えば、約100、250、500またはそれ以上の異なる組み換えポリペプチドを含むライブラリー、も本発明の特徴である。
本発明の組成物を親和性材料、例えば組み換えポリペプチド、のマトリックスに結合させることができる。親和性材料の例としては、例えば、ビーズ、カラム、固体支持体および/またはこれらに類するものが挙げられる。
VII.治療的および予防的処置方法
本発明は、上で説明した1つ以上の核酸またはポリペプチド(または薬学的に許容される賦形剤と1つ以上のそうした核酸もしくはポリペプチドとを含む組成物)を、例えば、ヒト、霊長類、マウス、ブタ、ウシ、ヤギ、ウサギ、ラット、モルモット、ハムスター、ウマ、ヒツジを含む哺乳動物、または非哺乳類脊椎動物、例えば鳥類(例えば、ニワトリもしくはカモ類)、魚類、または非脊椎動物をはじめとする被験者に、インビボまたはエクスビボで投与することによって、疾病または疾患を治療的にまたは予防的に処置する方法も含む。
本発明のIL−6結合性単量体ドメインまたは多量体を含むポリペプチドをはじめとする、IL−6拮抗薬は、多数の人間の疾病の治療に有用である。例示的IL−6結合性ドメインとしては、次のものを含む(しかし、これらに限定されない)、本明細書において開示する特定の配列が挙げられる:
Figure 2009501517
Figure 2009501517
IL−6の拮抗薬が改善に役立つ例示的な人間の疾病としては、例えば、
自己免疫および炎症性疾患(例えば、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、スティル病、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エステマトーデス、ループス腎炎、多発性硬化症、変形性関節炎、カルトルマン病、敗血症およびギラン・バレー症候群)、
癌(例えば、多発性骨髄腫、腎細胞癌、乳癌、他の充実性腫瘍(結腸、膵臓、胃などのもの)リンパ腫、白血病)、
代謝性/内分泌性疾患(例えば、II型糖尿病(インスリン抵抗性);骨粗しょう症;脂質代謝異常(アテローム硬化症、冠状動脈疾患などの予防および/または治療の一部として、高密度リポタンパク、HDLを増加させる)、老化防止、肝疾患(例えば、肝線維症));
心血管疾患(例えば、冠動脈疾患);
肺疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺線維症、喘息));および
神経疾患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、卒中)
が挙げられる。
一部の態様において、本発明の単量体または多量体は、上に挙げた病気のうちの1つの治療に用いられる少なくとも1つの他の分子と共に、個体に投与される。前記他の分子は、本単量体もしくは多量体と共に1つの調合物に調合することができ、または本単量体もしくは多量体の投与と同時に、もしくは前にもしくは後に投与することができる。
一部の実施形態では、IL−6に結合する本発明の単量体または多量体を含むポリペプチドを使用して、個体における高密度脂質(HDL)を増加させる。前記個体は、心疾患の家族歴を有する、またはそうでなければ高コレステロール、高LDLレベルもしくは低HDLレベルの不健康効果によるリスクがある個体であり得る。IL−6は、脂質代謝の重要な媒介因子である。これは、コレステロールレベルがIL−6ノックアウトマウスでは上昇するが、IL−6トランスジェニックマウスではコレステロールレベルが低下することによって証明される。ヒト抗IL−6抗体は、総コレステロールレベル、LDLレベルおよびトリグリセリドレベルを有意に上昇させる(p=<0.001)。HDLも有意に上昇する(P=<.001)。LDLは、ヒト化抗IL−6R抗体(MRA)で用量依存的に12〜23%上昇する。HDLは、同じ抗IL−6R抗体で用量依存的に〜26%上昇する。例えば、Nishimotoら、Journal of Rheumatology(2003);Nishimotoら、Arthritis & Rheumatism(2004)参照。
一部の実施形態では、IL−6に結合する本発明の単量体または多量体を含むポリペプチドを、LDLレベルを低下させる薬物と併用で投与する。スタチン、樹脂(コレスチラミン、コレスチポール、コレスバラム)およびニコチン酸が、LDLレベルを低下させる薬物の例である。例示的スタチンとしては、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチンが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の1つの態様において、エクスビボ法では、被験者についての関心のある1つ以上の細胞または細胞集団(例えば、腫瘍細胞、腫瘍組織サンプル、臓器細胞、血液細胞、皮膚、肺、心臓、筋肉、脳、粘膜、肝臓、腸、脾臓、胃、リンパ系、頚部、膣、前立腺、口、舌などの細胞)をその被験者から得るか、除去し、疾病、疾患または他の状態の予防的または治療的処置に有効である量の本発明の選択単量体ドメインおよび/または多量体と接触させる。その後、それらの接触させた細胞を、被験者に、それらを得た部位に、または治療する被験者における関心のある別の部位(例えば、上で定義したものを含む)に戻すか送達する。所望される場合には、それらの接触させた細胞を、標準的な周知のグラフト化技術を用いてその被験者の関心のある組織、器官もしくは系の部位(上で説明したすべてのものを含む)にグラフトさせることができ、または例えば、標準的な送達もしくは輸注技術を用いて血液もしくはリンパ系に送達することができる。
本発明は、被験者についての関心のある1つ以上の細胞または細胞の集団を、疾病、疾患または他の状態の予防的または治療的処置に有効な量の本発明の選択単量体ドメインおよび/または多量体と直接または間接的に接触させるインビボ法も提供する。直接接触/投与形式の場合、一般に、本選択単量体ドメインおよび/または多量体は、局所投与、注入(例えば、針もしくは注射器の使用による)またはワクチンもしくは遺伝子ガン送達(組織、器官または皮膚の部位に押し込む)をはじめとする、様々な形式のうちのいずれかによって、治療すべき細胞または関心のある組織部位(例えば、腫瘍細胞、腫瘍組織サンプル、臓器細胞、血液細胞、皮膚、肺、心臓、筋肉、脳、粘膜、肝臓、腸、脾臓、胃、リンパ系、頚部、膣、前立腺、口、舌などの細胞)に、直接投与または形質転換される。本選択単量体ドメインおよび/または多量体は、例えば、筋肉内的に、真皮内的に、皮下的に、経口的に、腹腔内的に、鞘内的に、静脈内的に送達することができ、または体腔内に配置することができ(例えば、外科手術中のことを含む)、あるいは吸入または経膣もしくは直腸内投与によって送達することができる。例示的送達としては、例えば、経口送達(口腔内もしくは腸内摂取/送達)、在宅注射(例えば、約1.4mL容量もしくはそれ以下で調合されるもの)、経皮摂取/送達、皮下移植可能なポンプ、肺摂取/送達(全身性もしくは非全身性)、血液脳関門摂取/送達、および/または経鼻摂取/送達が挙げられる。
経口送達用の設計アプローチとしては、例えば、本単量体または多量体に粘膜ペプチドトランスポーター、例えばPepT1、PepT2、HPT1、ABC−ファミリー、に対する結合親和性を含めること;本単量体もしくは多量体への転座ドメイン(緑膿菌外毒素AからのPE38もしくはPE40)の追加;またはトランスフェリン受容体などの血液脳関門トランスポーターに対する結合親和性を含めることが挙げられる。
経上皮送達の4つの主要メカニズムは、
− 経細胞的:拡散により細胞を通して:主として、小分子によって用いられる
− 傍細胞的:デスモソーム/閉鎖帯を通して細胞周囲に:主として、親水性ペプチドによって用いられる
− トランスサイトーシス:飲細胞運動により小胞内部の細胞を通して
− 担体またはトランスポーター媒介型、そのトランスポーター/担体に結合する分子用
である。
もう1つのアプローチでは、本単量体または多量体は、細胞表面上の受容体または細胞を横断して血清に能動的に輸送される小胞(薬物のみを担持するもの)内の受容体に結合するように設計される。こうした受容体は、トランスポーターと呼ばれる。1つのこうした受容体は、血清への肺および腸管送達に利用され得る新生児免疫グロブリンFc受容体(FcRn)である。もう1つの受容体は、トランスフェリン受容体であり、これは、血液脳関門を横断して脳脊髄液に輸送することができる。あるいは、本単量体または多量体は、肺および腸管輸送のために新生児Fc受容体に結合するように設計される。この方法は、最終薬物製品をpH応答型放出用に設計作製することを含む。
上記に鑑みて、幾つかの戦略が可能である。公知トランスポーター(例えば、PepT1、HPT−1、PepT2、ABCファミリー、TAP1、TAP2、MDR)に結合する単量体または多量体を特定することができる。他の有用な結合因子は、(例えば、Caco2細胞による14C−セファレキシン取り込みを利用する取り込み遮断アッセイを用いて)Caco2細胞に結合する単量体または多量体を特定することにより、特定することができる。例えば、Blanchette,J.ら,Biomedicine and Pharmacotherapy 58:142−151(2004);Low,S.C.ら,Human Reproduction−advance access April 7 2005;Lee,V.J.Natl Cancer Institute,Monographs 29(2001);Rubas,W.ら,J.Pharm.Sd.85:165−169(1996);Yang,C.Y.ら,Pharmaceutical Research 16:1331−1343(1999);Dietrich,C.G.ら,Gut 52:1788−1799(2003);Cleland,J.L.ら,Current Opinion in Biotechnology 12:212−219(2001);Nielsen,CU.およびBrodin,B.Current Drug Targets 4:373−388(2004);Kunta,J.R.ら,Current Drug Metabolism 5:109−124(2004)参照。
もう1つのアプローチでは、多量体のファージライブラリーを、哺乳動物の口腔に適用することができ、その哺乳動物の血清中のファージまたはそのファージからのDNAを回収して、良好な送達因子である配列について富化させることができる。経口輸送されることがわかっている天然ドメインまたはペプチドを本発明の単量体または多量体と融合させることもできる。さらにもう1つの代案では、ファージディスプレイされたドメインを、適切な体液(鼻のもの、腸管のものなど)または精製プロテアーゼに対する耐性について選択する。
インビボ間接的接触/投与形式では、一般に、本選択単量体ドメインおよび/または多量体を、治療を助長することができる1つ以上の細胞または細胞の集団に本発明のポリペプチドを直接接触または投与することにより、治療すべき細胞または関心のある組織部位(例えば、皮膚細胞、臓器系、リンパ系、または血液細胞系など)に間接的に投与または移入する。例えば、関心のある部位(例えば、体内の組織、臓器、関心のある細胞または血液もしくはリンパ系)へのその選択単量体ドメインおよび/または多量体の送達が行われ、有効な予防的または治療的処置が生じるために十分な量の本選択単量体ドメインおよび/または多量体と血液もしくはリンパ系、皮膚または臓器の細胞を接触させることによって、被験者の体内の腫瘍細胞を治療することができる。こうした接触、投与または移入は、上で説明した投与経路または方式のうちの1つ以上を用いることによって、一般に、行われる。
もう1つの態様において、本発明は、被験者についての関心のある1つ以上の細胞または関心のある細胞の集団(例えば、腫瘍細胞、腫瘍組織サンプル、臓器細胞、血液細胞、皮膚、肺、心臓、筋肉、脳、粘膜、肝臓、腸、脾臓、胃、リンパ系、頚部、膣、前立腺、口、舌などの細胞)をその被験者から得または除去し、前記1つ以上の細胞または細胞の集団と、疾病、疾患または他の状態の予防的または治療的処置に有効である関心のある生物活性ポリペプチド(例えば、選択単量体ドメインおよび/または多量体)をコードしている本発明の核酸配列を含むポリヌクレオチド構築体とを接触させることによって形質転換させる、エクスビボ法を提供する。前記1つ以上の細胞または細胞の集団は、十分な量の前記ポリヌクレオチド構築物および前記核酸配列の発現を制御するプロモーターと接触させるので、前記ポリヌクレオチド構築物(およびプロモーター)の前記細胞(単数または複数)への取込みが発生し、ならびに選択単量体ドメインおよび/または多量体をコードしている、疾病、疾患または状態の予防的または治療的処置に有効な量の生物活性ペプチドを生産するために十分な、本発明のターゲット核酸配列の発現が生じる。前記ポリヌクレオチド構築物は、本発明の核酸配列の発現を制御するプロモーター配列(例えば、CMVプロモーター配列)、および/あるいは、所望される場合には、本発明の別のポリペプチド、サイトカイン、アジュバントもしくは共刺激分子または関心のある他のポリペプチドのうちの少なくとも1つ以上をコードしている1つ以上の追加のヌクレオチド配列を含むことがある。
トランスフェクション後、それらの形質転換細胞を、被験者に、それらを得た組織部位もしくは系に、またはその被験者の治療すべき別の部位(例えば、腫瘍細胞、腫瘍組織サンプル、臓器細胞、血液細胞、皮膚、肺、心臓、筋肉、脳、粘膜、肝臓、腸、脾臓、胃、リンパ系、頚部、膣、前立腺、口、舌などの細胞)に戻す、送達するまたは移入する。所望される場合には、それらの細胞を、標準的な周知のグラフト化技術を用いてその被験者における関心のある組織、皮膚、臓器もしくは身体器官にグラフトさせることができ、または標準的な送達もしくは輸注技術を用いて血液もしくはリンパ系に送達することができる。形質転換細胞のこうした送達、投与、移入は、上で説明した投与経路または方式のうちの1つ以上を用いることによって一般に行われる。ターゲット核酸の発現は、自然に発生し、または(より詳細に下で説明するように)誘導することができ、その部位または組織系における疾病または状態の治療に十分、且つ、有効な量のコードされたポリペプチドが発現される。
もう1つの態様において、本発明は、被験者についての関心のある1つ以上の細胞または細胞の集団(例えば、上で説明した細胞および細胞系および被験者を含む)を、被験者の体内で、前記細胞(単数または複数)または細胞の集団と、疾病、疾患または他の状態の予防的または治療的処置に有効である関心のある生物活性ポリペプチド(例えば、選択単量体ドメインおよび/または多量体)をコードしている本発明の核酸配列を含むポリヌクレオチド構築体とを接触させること(または上で説明した投与経路または方式のうちの1つ以上を用いて前記細胞(単数または複数)または細胞の集団に投与もしくは移入すること)によって形質転換させる、インビボ法を提供する。
前記ポリヌクレオチド構築物は、(例えば、上で説明した投与経路または方式のうちの1つ以上を用いる直接接触により)疾病または疾患に罹患している細胞(単数または複数)に直接投与または移入することができる。あるいは、前記ポリヌクレオチド構築物を疾病または疾患に罹患している細胞(単数または複数)に間接的に投与または移入することができ、これは、前記ポリヌクレオチド構築物(およびプロモータ)の前記細胞(単数または複数)への取り込みが発生し、疾病、疾患または状態の予防的または治療的処置に有効な量の生物活性ペプチドを生産するために十分な本発明のターゲット核酸配列発現が生じるような、生物活性ポリペプチドをコードしている核酸配列およびその核酸配列の発現を制御するプロモーターを含むポリヌクレオチド構築物の十分な量と、罹病していない細胞(単数または複数)または他の罹病細胞とを、上記投与経路または方式のうちの1つ以上を用いて先ず直接接触させること、およびそれによって、ポリヌクレオチド構築物または得られた発現ポリペプチドが、その被験者の体の最初の送達部位、系、組織または臓器から(例えば、血液またはリンパ系により)その被験者の罹病部位、組織、臓器または系に自然にまたは自動的に移入することによる。ターゲット核酸の発現は、自然に発生し、または発現されるポリペプチドの量が、その部位または組織系における疾病または状態を治療するために十分、且つ、有効であるように、(より詳細に下で説明するように)誘導することができる。前記ポリヌクレオチド構築物は、核酸配列の発現を制御するプロモーター配列(例えば、CMVプロモーター配列)、および/または、所望される場合には、本発明の別のポリペプチド、サイトカイン、アジュバントもしくは共刺激分子または関心のある他のポリペプチドのうちの少なくとも1つ以上をコードしている1つ以上の追加のヌクレオチド配列を含むことがある。
上で説明したインビボおよびエクスビボ治療方法の各々において、賦形剤と本発明のポリペプチドまたは核酸とを含む組成物を投与または送達することができる。1つの態様では、薬学的に許容される賦形剤と本発明のポリペプチドまたは核酸とを含む組成物を、疾病または疾患の治療に有効な量で、上で説明したような被験者に投与または送達する。
もう1つの態様では、上で説明したインビボおよびエクスビボ治療方法各々において、細胞(単数もしくは複数)または被験者に投与されるポリヌクレオチドの量は、被験者の1つ以上の細胞への前記ポリヌクレオチドの取り込みが発生し、免疫原(例えば、抗原)によって誘導される免疫応答をはじめとする被験者における免疫応答を強化するために有効な量の生物活性ポリペプチドを生産するために十分な、前記核酸配列の発現が生じるような量である。もう1つの態様では、そうした方法各々について、細胞(単数もしくは複数)または被験者に投与されるポリペプチドの量は、免疫原(例えば、抗原)によって誘導されるものをはじめとする被験者における免疫応答を強化するために十分な量であり得る。
さらにもう1つの態様において、ポリヌクレオチド構築物(またはポリヌクレオチド構築物を含む組成物)を使用して、被験者に生理活性ポリペプチドを送達するインビボまたはインビボ治療法における、そのポリヌクレオチド構築物の発現は、誘導可能オンおよびオフ遺伝子発現システムを使用することによって誘導することができる。こうしたオンおよびオフ遺伝子発現システムの例としては、それぞれ、Tet−On(商標)Gene Expression SystemおよびTet−Off(商標)Gene Expression System(こうしたシステム各々の詳細な説明については、例えば、Clontech Catalog 2000,pg.110−111参照)が挙げられる。他の制御可能または誘導可能オンおよびオフ遺伝子発現システムは、当業者には公知である。こうしたシステムを用いて、ポリヌクレオチド構築物のターゲット核酸の発現を、正確、可逆的、且つ、定量的な様式で調節することができる。ターゲット核酸の遺伝子発現は、例えば、ターゲット核酸を含むポリヌクレオチド構築物を含有する安定な被トランスフェクト細胞を関心のある組織部位、臓器または系に送達もしくは移入または接触させた後に、誘導することができる。こうした系は、ターゲット核酸の発現を遅らせること、または正確に制御すること(例えば、手術の完了および/または手術後の治癒のための時間を与えること;ターゲット核酸を含むポリヌクレオチド構築物が治療すべき部位、細胞、系または組織に到達するための時間を与えること;その構築物で形質転換されたグラフト含有細胞が、それがスプライシングされていたまたは付いていた組織または臓器に組み込まれる時間を与えることなど)が有利である治療方法および形式において、特に有益である。
VIII.追加の多量体用途
本発明の多量体の可能な用途は多岐にわたっており、親和性作用因子が望まれるあらゆる用途を含む。
一部の事例では、単量体または多量体のペアが、同じターゲットに結合させるために(すなわち、サンドイッチ系アッセイでの使用のために)選択される。マッチした単量体または多量体ペアを選択するために、一般に、2つの異なる単量体または多量体が、ターゲットタンパク質に同時に結合できる。こうしたペアを特定するための1つのアプローチは、以下を含む:
(1)ターゲットタンパク質に結合させるために予め選択されたファージまたはタンパク質混合物を固定すること;
(2)固定されたファージまたはタンパク質にターゲットタンパク質を接触させ、洗浄すること;
(3)結合したターゲットにファージまたはタンパク質混合物を接触させ、洗浄すること;および
(4)固定されたファージまたはタンパク質を溶離せずに、結合したファージまたはタンパク質を溶離すること。
本発明の多量体または単量体ドメインの1つの用途は、検出または他の親和性に基づくアッセイにおいて抗体または他の親和性作用因子に代わることである。従って、一部の実施形態において、単量体ドメインまたは多量体は、混合物中のターゲット以外の成分に結合する能力を基準にして選択される。この一般的なアプローチとしては、そのアッセイ中のサンプルの組成の模倣を含む、そのアッセイの条件に酷似した条件下での親和性選択の実施を挙げることができる。従って、選択の1つの段階は、ターゲットリガンドを含まない混合物に単量体ドメインまたは多量体を接触させること、およびその混合物に結合する任意の単量体ドメインまたは単量体を基準にして選択することを含む。従って、あるアッセイにおけるサンプル(血清、血液、組織、細胞、尿、精液など)を意味するこれらの混合物(抗体、単量体ドメインまたは多量体を用いて枯渇させることができる、ターゲットリガンド不在のもの)は、遮断薬として使用することができる。こうしたサブトラクションは、例えば、それらのターゲットに結合するが、他の血清タンパク質および非ターゲット組織にはしない、薬学的タンパク質を作るために、有用である。
例えば、本発明は、選択単量体ドメインまたは多量体が2つのタンパク質、例えばIL−6およびIL−6R、の間の相互作用を遮断する、拮抗薬を作るための用途において、用いることができる。一部の実施形態では、IL−6またはIL−6Rに結合することによりこの相互作用を防止する単量体を特定することができる。例えば、図9参照。場合によっては、本発明は、作動薬を作製することができる。例えば、2つの異なるタンパク質、例えば酵素および基質、に結合する多量体は、例えば酵素的活性および/または基質変換をはじめとするタンパク質機能を強化することができる。
一部の実施形態において、単量体ドメインは、リガンド阻害、リガンドクリアランスまたはリガンド刺激のために使用される。これらの方法における可能なリガンドとしては、例えば、IL−6が挙げられる。
受容体へのリガンド結合の阻害が望まれる場合、リガンド(例えば、IL−6)に、そのリガンドがそのリンガンドの受容体と接触する部分で結合し、またはその受容体に、その受容体がそのリガンドに結合、接触する部分で結合し、それによって、リガンド−受容体相互作用を防止する単量体ドメインが選択される。この単量体ドメインは、場合により、所望される場合には、半減期延長因子に連結させることができる。
リガンドクリアランスは、体液中での可溶性リガンドの半減期の修飾を指す。サイトカインに対する抗体は、その抗体の血清半減期がサイトカインの血清半減期よりはるかに長い(2〜3週間対数時間)ため、サイトカインのクリアランスを一般には防止する。これは、血清中のサイトカインの濃度の大きな上昇を生じさせる。IL−6の場合、これは、700倍であると報告されている(van Zaanenら,J.Clin.Invest.98,1441−1448(1996))。IL−6の大部分は、抗体に結合され、従って、不活性である。しかし、増加したIL−6レベルは、一部の環境では安全性の問題を生じることがある。一部の環境下(例えば、低pHまたは高pHを有する区画では)および一定の組織(例えば、Abの侵入を防止するが、IL−6の侵入を防止しないフィルター)では、L−6は抗体から離れることができ、その高レベルの活性IL−6が深刻な安全性の問題になるからである。
1つの代替アプローチは、総IL−6濃度の増加があまり顕著にならないように、抗体より短い血清半減期を有する阻害剤を使用することであろう。本発明の単量体および多量体は、多くの抗体の2〜3週間の半減期よりはるかに短い、60〜180時間のヒト血清半減期を有する(サルのデータからの異種間物差し法(allometric scaling)によって判定)。
従って、一部の実施形態において、IL−6は、そのIL−6阻害剤複合体が腎臓によって浄化されるほど小さいような方法で阻害される。腎臓は、約45〜50kDのカットオフを有し、それより小さい分子のみを通過させる、分子サイズのフィルターである。サイトカイン−阻害剤複合体のサイズを35〜40kDより下に保つことができるならば、有効な腎臓クリアランスが期待される。大部分のサイトカインは、約18〜20kDのサイズであるので、阻害剤は、15〜20kD未満でなければならない。本発明の18kDのIL−6三量体多量体は、この要件を満たすが、3倍大きいIgドメインに基づく足場タンパク質は、一般に、この要件を満たさない。
もう1つの代案では、そのターゲット分子(例えば、IL−6)に結合していないときには、腎臓によって浄化されないであろう球状タンパク質の流動力学的ストークス半径を有する(例えば、45kD、50kD、55kDより大きい)が、そのターゲット分子(例えば、IL−6)に結合すると、腎臓によって浄化されるであろう球状タンパク質の流動力学的ストークス半径を有する(例えば、55kD、50kD、45kDまたは40kD未満)、本発明の多量体を設計することができる。こうした多量体は、一般に、少なくとも3、4、5、6、7、8またはそれ以上の単量体ドメインを含むので、これらの多量体は、そのターゲット分子に結合していないとき、そのターゲット分子に結合したときより有意に大きいストークス半径を形成する。こうした多量体は、例えば、1)大きすぎて腎臓を通過できない球状タンパク質と2)腎臓を通過できるほどの小ささの球状タンパク質の沈降係数を決定し、その後、ターゲット分子不在下で1)に類似した沈降係数を有するが、ターゲット分子存在下では2)に類似した沈降係数を有する多量体を選択することにより、容易に選択することができる。
あるいは、本明細書の他の箇所で論じているように、半減期延長因子に結合する第一の単量体ドメインと、リガンドのそのリガンドの受容体に結合していない部分に結合している第二の単量体ドメインとを含む多量体を使用して、そのリガンドの半減期を増加させることができる。
もう1つの実施形態において、リガンドに結合する第一の単量体ドメインとその受容体に結合する第二の単量体ドメインとを含む多量体を使用して、その受容体に対するそのリガンドの有効な親和性を増加させることができる。
もう1つの実施形態において、受容体に結合する少なくとも2つの単量体を含む多量体を使用して、それら2つの受容体をその多量体への両方の結合により近接させ、それによってそれらの受容体を活性化する。
本発明の可能性のある用途のさらなる例としては、薬物結合(例えば、ターゲティングのための放射性ヌクレオチドへの結合、薬物の半減期延長のための薬学的結合、過量摂取による症状の治療および嗜癖セラピーのための制御された物質結合)、免疫機能の修飾(例えば、CTLA−4のような受容体に結合することによる免疫原性遮断、CD80のような受容体に結合することによる免疫原性強化、またはFc型の結合による補体活性化)および特殊送達(例えば、リンカー切断による遅速放出、電子輸送ドメイン、二量体化ドメイン;または細胞侵入ドメイン、FcRなどのクリアランス受容体、粘膜貫通輸送用のplgRなどの経口送達受容体、およびトランスフェリンRなどの血液脳輸送受容体への特異的結合)が可能である、単量体ドメインおよびそれらの多量体が挙げられる。
さらなる実施形態では、単量体または多量体を検出可能な標識(例えば、Cy3、Cy5など)に連結させることができ、またはレポーター遺伝子産物(例えば、CAT、ルシフェラーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、GFPなど)に連結させることができる。
IX.単量体ドメインおよび/または多量体核酸およびポリペプチドのさらなる操作
上で述べたように、本発明のポリペプチドは、改変することができる。これらのポリペプチドをコードしている修飾または改変された核酸配列を作製するための手順を生じさせる様々な多様性の説明は、本明細書に、および本明細書に引用されている参照文献に、記載されている。
本発明のもう1つの態様は、核酸をコードしている単量体ドメイン、選択単量体ドメイン、多量体および/または選択多量体のクローニングおよび発現を含む。従って、当該技術分野では周知の発現システムを用いて、多量体ドメインを単一タンパク質として合成するとができる。単量体ドメイン、選択単量体ドメイン、多量体および/または選択多量体などの核酸の発現に関連したベクター、プロモーターおよび多数の他の一般的な原理の使用を含む、ここで有用な分子生物学的技術を記載している一般的なテキストとしては、BergerおよびKimmel,Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology volume 152 Academic Press,Inc.,San Diego,CA(Berger);Sambrookら,Molecular Cloning−A Laboratory Manual(2nd Ed.),Vol.1−3,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York,1989(「Sambrook」)およびCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubelら,eds.,Current Protocols,a joint venture between Greene Publishing Associates,Inc.and John Wiley & Sons,Inc.,(1999年まで増補)(「Ausubel」))が挙げられる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、Q−レプリカーゼ増幅および他のRNAポリメラーゼ媒介技術(例えば、NASBA)を含む、核酸をコードしている単量体ドメインおよび多量体の特定、単離およびクローニングに有用な、インビトロ増幅法による当業者向けの十分な技術の例は、Berger,Sambrook,およびAusubel、ならびにMullisら(1987)米国特許第4,683,202号;PCR Protocols A Guide to Methods and Applications(編集、Innisら)Academic Press Inc. San Diego,CA(1990)(Innis);Arnheim & Levinson(1990年10月1日)C&EN 36−47;The Journal Of NIH Research(1991)3,81−94;(Kwohら(1989)Proc.Natl.Acad.Sd.USA 86,1173;Guatelliら(1990)Proc.Natl.Acad.Sd.USA 87,1874;Lomellら(1989)J.Clin.Chem 35,1826;Landegrenら(1988)Science 241,1077−1080;Van Brunt(1990)Biotechnology 8,291−294;WuおよびWallace,(1989)Gene 4,560;Barringerら(1990)Gene 89,117,およびSooknananおよびMalek(1995)Biotechnology 13:563−564において見つけられる。増幅された核酸の、改善されたインビトロクローニング法は、Wallaceら、米国特許第5,426,039号に記載されている。40kb以下のPCRアプリコンが作製される、PCRによる大きな核酸の改善された増幅法は、Chengら(1994)Nature 369:684−685およびその中の参照文献にまとめられている。本質的にはいずれのRNAも、逆転写酵素およびポリメラーゼを使用する制限消化、PCR発現および塩基配列決定に適する2本鎖DNAに変換できることは、当業者には理解されるであろう。Ausubel,SambrookおよびBerger,すべて上記、参照。
本発明は、宿主細胞への本発明のベクターの導入、ならびに組み換え法による本発明の単量体ドメイン、選択単量体ドメイン、多量体および/または選択多量体の生産にも関する。例えばクローニングベクターまたは発現ベクターであり得る本発明のベクターを用いて、宿主細胞を遺伝子操作する(すなわち、形質導入、形質転換またはトランスフェクトする)。前記ベクターは、例えば、プラスミド、ウイルス粒子、ファージなどの形態であり得る。その遺伝子操作された宿主細胞は、プロモーターを活性化するため、形質転換体を選択するため、または関心のある単量体ドメイン、選択単量体ドメイン、多量体および/もしくは選択多量体遺伝子(単数または複数)を増幅させるために、適宜修飾された従来の栄養培地で培養することができる。温度、pHなどのような培養条件は、発現のために選択された宿主細胞で以前に用いられたものであり、当業者には明らかであろうし、また、例えば、Freshney(1994)Culture of Animal Cells,a Manual of Basic Technique,third edition,Wiley−Liss,New Yorkおよびこの中で引用されている参照文献をはじめとする本明細書で引用する参照文献で明らかとなろう。
上で述べたように、本発明のポリペプチドは、非動物細胞、例えば、植物、酵母、真菌、細菌などにおいて生産することもできる。実際、全体をとおして注記しているように、ファージディスプレイは、こうしたポリペプチドを生産するための特に適切な技法である。Samblook、BergerおよびAusubelに加えて、細胞培養に関する詳細は、Payneら(1992)Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems John Wiley & Sons,Inc.New York,NY;GamborgおよびPhillips(eds)(1995)Plant Cell,Tissue and Organ Culture;Fundamental Methods Springer Lab Manual,Springer−Verlag(Berlin Heidelberg New York)およびAtlasおよびParks(eds)The Handbook of Microbiological Media(1993)CRC Press,Boca Raton,FLにおいて見つけることができる。
本発明は、薬理特性を改善するため、免疫原性を低下させるため、または細胞もしくは組織への多量体および/もしくは単量体ドメインの(例えば、血液脳関門を通した、もしくは皮膚を通した)輸送を助長するための、単量体ドメイン、免疫ドメインおよび/または多量体の改変も含む。これらのタイプの改変は、様々な修飾(例えば、糖基の付加またはグリコシル化)、PEGの付加、一定のタンパク質(例えば、HSAまたは他の血清タンパク質)に結合するタンパク質ドメインの付加、細胞への、細胞からのおよび細胞を通した移動または輸送をシグナリングするタンパク質フラグメントまたは配列の付加を含む。さらなる成分を多量体および/または単量体ドメインに付加させて、その多量体および/または単量体ドメインの特性を操作することもできる。例えば、公知受容体に結合するドメイン(例えば、Fc受容体に結合するFc領域タンパク質ドメイン)、毒素(単数もしくは複数)または毒素の一部、多量体または単量体ドメインを活性化するために、場合によっては切り離すことができるプロドメイン、レポーター分子(例えば、緑色蛍光タンパク質)、レポーター分子に結合する成分(例えば、放射線量法用の放射性核種、ビオチンもしくはアビジン)または修飾の組み合わせを含めて、様々な成分を付加させることもできる。
X.動物モデル
本発明のもう1つの態様は、単量体または多量体ドメインの免疫原性を試験するための具体的な非ヒト動物モデルの開発である。こうした非ヒト動物モデルを産生する方法は、レシピエント非ヒト動物の少なくとも一部の細胞に、タンパク質の同じファミリーからの多数のヒトタンパク質をコードしている遺伝子を含むベクターを導入することを含み、この場合、前記遺伝子は、ベクターを導入する少なくとも一部の細胞において機能しうるプロモーターに各々動作可能に連結されるので、前記タンパク質の同じファミリーからの多数のヒトタンパク質を発現することができる遺伝子修飾された非ヒト動物が得られる。
本発明の実施の際に利用される適切な非ヒト動物としては、ヒト以外のすべての脊椎動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジなど)が挙げられる。一般に、タンパク質の1つのファミリーの多数のメンバーは、そのファミリーの少なくとも2つのメンバー、通常は少なくとも10のファミリーメンバーを含む。一部の実施形態において、前記多数は、タンパク質のそのファミリーのすべての既知メンバーを含む。使用することができる例示的遺伝子としては、例えば、LDL受容体クラスA−ドメインファミリー、EGF様ドメインファミリーならびに本明細書に記載する他のドメインファミリーのメンバーなどの、単量体ドメインをコードしているものが挙げられる。
本発明の非ヒト動物モデルは、その非ヒト動物モデルによって発現されるタンパク質の同じファミリーに由来する単量体または多量体ドメインの免疫原性についてスクリーニングするために使用することができる。本発明は、上で説明した方法に従って作られる非ヒト動物モデル、ならびにその体細胞および生殖細胞が、タンパク質の同じファミリーからの多数のヒトタンパク質(例えば、本明細書において説明する単量体ドメイン)をコードしているDNA分子を含有および発現する、トランスジェニック非ヒト動物(この場合、前記DNA分子は、前記トランスジェニック非ヒト動物に胚性段階で導入されたものであり、ならびに前記DNA分子は、そのDNA分子が導入された細胞の少なくとも一部ではプロモーターに動作可能に各々連結されている)を包含する。
LDL受容体クラスA−ドメイン由来の結合性タンパク質のスクリーニングに有用なマウスモデルの一例を下で説明する。野生型ヒトLDL受容体クラスA−ドメイン単量体をコードしている遺伝子クラスターを、PCRを用いてヒト細胞から増幅させる。200の異なるA−ドメインのほぼすべてを、各々約7kbのたった3つの独立したPCR増幅反応で増幅させることができる。その後、これらのフラグメントを使用して、上で説明した方法に従ってトランスジェニックマウスを産生させる。このトランスジェニックマウスは、ヒトA−ドメインを「自己」として認識し、従って、A−ドメインに関してヒトの「個性」を模倣するである。個々のA−ドメイン由来単量体または多量体を、これらのマウスにおいて、それらのマウスにA−ドメイン由来単量体または多量体を注入し、その後、生じた免疫応答(または応答の欠如)を分析することによって、試験した。マウスを試験して、それらがマウス抗ヒト応答(MAHR)を発現したかどうかを判定する。MAHRの発生をもたらさない単量体および多量体は、ヒトに投与されたとき、免疫原性でない可能性が高い。
歴史的に、トランスジェニックマウスにおけるMAHR試験は、そのただ1つのタンパク質がトランスジェニックであるマウスにおいて個々のタンパク質を試験するために用いられている。対照的に、上で説明した方法は、ヒトタンパク質の全ファミリーを「自己」と認識するモデルであって、多種多様な結合活性および使用が、各々、可能な非常に多数の変異タンパク質を評価するために使用することができる、非ヒト動物モデルを提供する。
XI.キット
本方法に必要な成分(一般には、非混合形態)およびキット成分(パッケージング材料、それらの成分および/または方法を用いるための説示、それらの成分を保持するための1つ以上の容器(反応管、カラムなど))を含むキットは、本発明の1つの特徴である。本発明のキットは、多量体ライブラリー、または単一のタイプの単量体もしくは多量体、例えば、本明細書において説明するIL−6および/もしくはIgG結合ドメイン、を含むポリペプチドを含有し得る。キットは、ターゲット分子の結合の促進に適する試薬、例えば、検出できるように標識された分子をはじめとする、検出を助長する緩衝剤または試薬、も含むことがある。単量体ドメインなどのリガンド結合を較正するための標準物質も本発明のキットに含めることができる。
本発明は、商業的に価値がある結合アッセイおよびそれらのアッセイを実施するためのキットも提供する。本発明のアッセイの一部は、1つ以上のリガンドを利用して、単量体ドメイン、免疫ドメインおよび/または多量体の結合を検出する。単量体ドメインおよび/または多量体へのリガンド(単数または複数)の結合を検出するためのこうしたアッセイは、当該技術分野における任意の公知の方法、例えば、フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡法、プラズモン共鳴などに基づく。
前記アッセイに基づくキットも提供する。本キットは、一般に、容器および1つ以上のリガンドを含む。本キットは、アッセイを行うための説明書、追加の検出試薬、緩衝剤、またはこれらの成分のいずれかの使用のための説示などを場合によっては含む。あるいは、キットは、本発明の単量体ドメインおよび/または多量体の発現のための、細胞、ベクター(例えば、発現ベクター、本発明のポリペプチドを含む分泌ベクター)を含むことがある。
さらなる態様において、本発明は、本明細書中の任意の方法もしくはアッセイを実施するための、本明細書中の任意の組成物、単量体ドメイン、免疫ドメイン、多量体、細胞、細胞培養物、器具、器具要素またはキットの使用を提供するものであり、および/または本明細書中の任意のアッセイもしくは方法を実施するための任意の器具もしくはキットの使用を提供するものであり、および/または本明細書中の細胞、細胞培養物、組成物もしくは他の特徴の治療用調合物としての使用を提供するものである。本明細書において説明する治療のための治療用調合物としての本明細書中のすべての成分の製造も提供する。
XII.総合システム
本発明は、単量体ドメイン、選択単量体ドメイン、多量体および/または選択多量体ならびにそうしたポリペプチドをコードしている核酸に対応する文字列を含む、コンピュータ、コンピュータ読取可能媒体および総合システムを提供する。こうした配列は、シリコ・リコンビネーション法によってまたは標準的な配列アラインメントもしくはワード処理ソフトウェアによって操作することができる。
例えば、本明細書における総合システムでは、様々なストリンジェンシーおよび文字列長の種々のタイプの類似性および検討事項を検出し、認識することができる。例えば、生体高分子の配列の比較分析用、ワード処理の際のスペルチェック用、および様々なデータベースからのデータ検索用の多数の相同性決定法を設計した。天然ポリヌクレオチドにおける4つの主要核酸塩基の間の二重らせん対状補体相互作用を理解した上で、相補的相同ポリヌクレオチド列のアニーリングを刺激するモデルは、本明細書中の配列に対応する文字列に対して一般に行われる配列アラインメントまたは他のオペレーション(例えば、ワード処理操作、配列またはサブ配列文字列を含む図の構成、アウトプットテーブルなど)の基礎として使用することもできる。配列類似性を計算するためのGOを有するソフトウェアパッケージの一例は、BLASTであり、これは、本明細書中の配列に対応する文字列をインプットすることによって本発明に適応させることができる。
BLASTは、Altschulら,(1990)M.Mol.Biol.215:403−410に記載されている。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、the National Center for Biotechnology Information(World Wide Web上のncbi.nlm.nih.govで利用可能)を通して公的に入手できる。このアルゴリズムは、第一に、データベース配列内の同じ長さのワードとアラインしたときに何らかの正の値の閾値スコアTとマッチするまたはそれらを満たす、照会配列中の長さWの短いワードを特定することにより、高スコア配列ペア(HSP)を特定することを必要とする。Tは、近傍ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschulら、上記)。これらの初期近傍ワードヒットは、それらを含む、より長いHSPを見つけるための検索を開始するためのシードとしての役割を果たす。その後、ワードヒットを、累積アラインメントスコアを増やすことができるところまで各配列に沿って両方向に拡大させる。累積スコアは、ヌクレオチド配列についてはパラメータM(マッチする残基のペアについてのリワードスコア;常に>0)およびN(ミスマッチする残基についてのペナルティースコア;常に<0)を用いて計算する。アミノ酸配列については、スコアリングマトリックスを用いて、累積スコアを計算する。各方向のワードヒットの拡大は、累積アラインメントスコアが、その最大獲得値から量Xだけ低下したとき;累積データが、1つ以上の負のスコアの残基のアラインメントの累積に起因して0以下になったとき;またはいずれかの配列の端に達したとき、停止させる。BLASTアルゴリズムパラメータ、W、TおよびZが、そのアラインメントの感度および速度を決める。BLASTINプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとして11のワード長(W)、10の期待値(E)、100のカットオフ、M=5、N=−4および両方の鎖の比較を用いる。アミノ酸配列用のBLASTPプログラムは、デフォルトとして3のワード長(W)、10の期待値(E)、およびBLOSUM62スコアリングマトリックスを用いる(HenikoffおよびHenikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915参照)。
有用な配列アラインメントアルゴリズムの追加の例は、PILEUPである。PILEUPは、漸進的ペアワイズ・アラインメントを用いて関連配列群から多数の配列アラインメントを作成する。アラインメントを作成するために使用されるクラスタリング関係を示す樹形曲線をプロットすることもできる。PILEUPは、FengおよびDoolittle,(1987)J.Mol.Evol.35:351−360の漸進的アラインメント法の単純化を用いる。用いられる方法は、HigginsおよびSharp(1989)CABIOS 5:151−153によって記載された方法に類似している。このプログラムは、例えば、5,000文字の最大長の配列を300以下アラインすることができる。多重アラインメント手順が2つの最大類似配列のペアワイズ・アラインメントで始まって、2つのアラインされた配列のクラスターを生成する。その後、このクラスターを、次の最大関連配列またはアラインされた配列のクラスターに、アラインすることができる。配列の2つのクラスターを、2つの個々の配列のペアワイズ・アラインメントの単純な延長によって、アラインすることができる。一連の漸進的ペアワイズ・アラインメントによって、最終アラインメントが達成される。このプログラムを用いて、クラスタリング関係のデンドログラムまたは分木表現をプロットすることもできる。配列比較領域についての特定の配列およびそれらのアミノ酸またはヌクレオチド座標を指定することにより、このプログラムを実行する。例えば、単量体ドメインファミリー内の保存アミノ酸を決定するために、またはあるファミリー内の単量体ドメインの配列を比較するために、本発明の配列またはコーディング核酸をアラインして、構造−機能情報を生じさせる。
1つの態様では、コンピュータシステムを用いて、本単量体ドメインに対応する文字列の「イン・シリコ」配列組み換えまたはシャッフリングを行う。様々なこうした方法が、1999年2月5日出願のSelifonovおよびStemmerによる「Methods For Making Character Strings,Polynucleotides & Polypeptides Having Desired Characteristics」(米国特許出願番号60/118854)ならびに1999年10月12日出願のSelifonovおよびStemmerによる「Methods For Making Character Strings,Polynucleotides & Polypeptides Having Desired Characteristics」(米国特許出願番号09/416,375)に記載されている。簡単に言うと、遺伝子オペレーターを遺伝子アルゴリズムにおいて使用して、例えば、突然変異、組み換え、死などのような遺伝的事象を模倣することにより、所与の配列を変化させる。例えば、前記‘375出願に記載されているように、配列を最適化するための多次元分析をコンピュータシステムで行うこともできる。
デジタルシステムは、オリゴヌクレオチド合成装置に、例えば遺伝子再構成もしくは組み換えに用いられる、オリゴヌクレオチドを合成するように、または(例えば、適切な注文用紙を印刷することにより、もしくはインターネット上のオーダーフォームにリンクすることにより)市場の供給業者にオリゴヌクレオチドを注文するように、命令することもできる。
このデジタルシステムは、(例えば、組み換え体、例えば本明細書にあるような組み換え単量体ドメイン、の配列またはアラインメントに基づく)核酸合成を制御するための出力要素を含むこともあり、すなわち、本発明の総合システムは、オリゴヌクレオチド合成装置またはオリゴヌクレオチド合成制御装置を場合によっては含む。このシステムは、あるアラインメントの下流で発生する他のオペレーション、または例えばアッセイに関して上で特に言及したような、本明細書中の配列に対応する文字列を用いて行われる他のオペレーションを含むことができる。
以下の実施例は、例証のために提供するものであり、特許請求の範囲に記載する本発明を限定するために提供するものではない。
実施例1
本実施例は、単量体ドメインの選択および多量体の作成を説明するものである。
単量体ドメインの特定するためならびにそれらの選択された単量体ドメインおよび手順から多量体の作成するための出発原料は、様々なヒトおよび/または非ヒト配列のいずれに由来するものであってもよい。例えば、所望のリガンドまたはリガンドの混合物に対して特異的に結合している選択単量体ドメインを生産するために、一定のリガンドに結合する単量体ドメインのファミリーから1つ以上の単量体ドメイン遺伝子を選択する。それらの1つ以上の単量体ドメイン遺伝子をコードしている核酸配列を、ゲノムDNAもしくはcDNAのPCR増幅によって得ることができ、または場合によっては、オーバーラッピングオリゴヌクレオチドを使用して合成生産することができる。
最も一般的には、その後、これらの配列を、発現およびスクリーニングのために細胞表面ディスプレイフォーマット(すなわち、細菌、酵母または哺乳動物(COS)細胞表面ディスプレイ;ファージディスプレイ)にクローニングする。組み換え配列を、それらを発現し、その細胞表面上に表示する適切な宿主細胞に、トランスフェクト(形質導入または形質転換)する。例えば、それらの細胞は、標識した(例えば、蛍光標識した)所望のリガンドで染色することができる。染色された細胞をフローサイトメトリーによってソートし、選択単量体ドメインをコードしている遺伝子を(例えば、プラスミド単離、PCRまたは増幅およびクローニングによって)陽性細胞から回収する。この染色およびソーティングのプロセスは、(例えば、所望の富化レベルが達成されるまで、所望のリガンドの濃度を徐々に減少させながら)何回も繰り返すことができる。あるいは、所望のリガンドまたはリガンドの混合物に結合する細胞を特定するために用いることができる当該技術分野では公知の任意のスクリーニングまたは検出法を利用することができる。
細胞に結合する所望のリガンドまたはリガンドの混合物から回収された、選択単量体ドメインをコードしている遺伝子は、本明細書にまたは引用参照文献に記載されている任意の方法に従って、場合によっては組み換えることができる。この多様化ラウンドにおいて生産された組み換え配列を、その後、同じまたは別の方法によってスクリーニングして、所望のリガンドまたはターゲットリガンドに対する改善された親和性を有する組み換え遺伝子を特定する。場合によっては、所望の親和性が達成されるまでこの多様化および選択プロセスを繰り返す。
例えば、DNAライゲーションまたは場合によってはPCRに基づく自己プライミング型オーバーラップ反応による、選択単量体ドメインをコードしている核酸配列のコンビナトリアル組立てによって、本方法により選択された選択単量体ドメイン核酸をリンカー配列により互いに接続して多量体を作製することができる。その後、それらの多量体をコードしている核酸配列を、発現およびスクリーニングのために細胞表面ディスプレイフォーマット(すなわち、細菌、酵母または哺乳動物(COS)細胞表面ディスプレイ;ファージディスプレイ)にクローニングする。組み換え配列を、それらを発現し、その細胞表面上に表示する適切な宿主細胞に、トランスフェクト(形質導入または形質転換)する。例えば、それらの細胞を、標識した(例えば、蛍光標識した)所望のリガンドまたはリガンドの混合物で染色することもできる。染色された細胞をフローサイトメトリーによってソートし、選択された多量体をコードしている遺伝子を(例えば、PCRまたは増幅およびクローニングによって)陽性細胞から回収する。陽性細胞は、所望のリガンドまたはリガンドの混合物に対する、選択単量体ドメイン(単数または複数)と比較して、改善された結合活性もしくは親和性または改変された特異性を有する多量体を含む。この染色およびソーティングのプロセスは、(例えば、所望の富化レベルが達成されるまで、所望のリガンドの濃度を徐々に減少させながら)何回も繰り返すことができる。あるいは、所望のリガンドまたはリガンドの混合物に結合する細胞を特定するために用いることができる当該技術分野では公知の任意のスクリーニングまたは検出法を利用することができる。
細胞に結合する所望のリガンドまたはリガンドの混合物から回収された、選択多量体をコードしている遺伝子は、本明細書にまたは引用参照文献に記載されている任意の方法に従って、場合によっては組み換えることができる。この多様化ラウンドにおいて生産された組み換え配列を、その後、同じまたは別の方法によってスクリーニングして、所望のリガンドまたはターゲットリガンドに対する改善された結合活性もしくは親和性または改変された特異性を有する組み換え遺伝子を特定する。場合によっては、所望の結合活性もしくは親和性または改変された特異性が達成されるまでこの多様化および選択プロセスを繰り返す。
実施例2
この実施例は、より大きな多様性のライブラリーを生じさせるためのインビボタンパク質内組み換えを説明するものである。
オーソログ遺伝子loxP部位に隣接した、単量体をコードしているプラスミドベクター(pCK由来のベクター;下記参照)を、ファージベクターを用いて、その適合性loxP部位を介して、Cre依存的様式で組み換えた。それらの組み換えファージベクターを、その組み換え構築物に特異的なプライマーを使用してPCRによって検出した。DNA塩基配列決定は、正しい組み換え産物が作製されたことを示した。
試薬および実験手順
pCK−cre−lox−単量体−loxP。このベクターは、2つの特に適切な特徴を有する。第一に、これは、Placの制御下の、部位特異的DNAリコンビナーゼCreをコードしている、cre遺伝子を有する。Creは、そのPCR産物の末端にXbaI(5’)およびSfiI(3’)を組み込むcre特異的プライマーで(GeneBridgesからの)p705−creからPCR増幅させた。この産物をXbaIおよびSfiIで消化し、pCKの同一部位、bla、pCK110919−HC−BlaのCm誘導体(pACYC ori)、にクローニングして、pCK−creを生じさせた。
第二の特徴は、Creによって触媒される部位特異的DNA組み換えに必要な2つのオーソログloxP部位、loxP(野生型)およびloxP(FAS)、に隣接したナイーブAドメインライブラリーである。例えば、Siegel,R.W.ら、FEBS Letters 505:467−473(2001)参照。これらの部位が互いに組み換わることは滅多にない。loxP部位を逐次的にpCK−creに組み込んだ。loxP(WT)と消化EcoRIおよびHinDIII消化pCKへのライゲーションを可能にするEcoRIおよびHinDIII−適合性オーバーハングとを有する、5’−リン酸化オリゴヌクレオチドloxP(K)およびloxP(K_rc)を互いにハイブリダイズし、標準的なライゲーション反応(T4リガーゼ;16Cで一晩)でpCK−creにライゲートした。
得られたプラスミドをEcoRIおよびSphIで消化し、loxP(FAS)ならびにEcoRIおよびSphI−適合性オーバーハングを有する、ハイブリダイズされた5’−リン酸化オリゴloxP(L)およびloxP(L_rc)にライゲートした。ライブラリー構築物を作成するために、pCK−cre−lox−P(wt)−loxP(FAS)の大規模精製(Qiagen MAXI prep)をQiagenのプロトコルに従って行った。そのQiagen精製プラスミドを、さらなる精製のためにCsCl勾配遠心に付した。その後、この構築物をSphIおよびBglIIで消化し、消化されたナイーブAドメインライブラリーインサート(これは、既存のAドメインライブラリープールのPCR増幅によって得た)にライゲートした。設計により、loxP部位および単量体は、イン・フレームになり、それによって、loxPをコードしているリンカーを有する単量体が生じる。このライブラリーは、下で詳述するインビボ組み換え手順で用いることができる。
fUSE5HA−単量体−lox−loxベクター。このベクターは、George Sithの研究室(University of Missouri)からのfUSE5の誘導体である。その後、免疫検出アッセイのためにHAタグを有するようにそれを修飾した。loxP部位を逐次的にfUSE5HAに組み込んだ。loxP(WT)、一連の停止コドンならびにXmaIおよびSfiI−適合性オーバーハングを有する、5’−リン酸化オリゴヌクレオチドloxP(I)およびloxP(I)_rcを互いにハイブリダイズし、XmaIおよびSfiIで消化されたfUSE5HAに、標準的なライゲーション反応(New England Biolabs T4リガーゼ;16Cで一晩)でライゲートした。
次に、その得られたファージベクターをXmaIおよびSphIで消化し、ハイブリダイズされたオリゴloxP(J)およびloxP(J)_rc(これらは、loxP(FAS)、ならびにXmaIおよびSphIと適合性のオーバーハングを有する)にライゲートした。この構築物をXmaI/SfiIで消化し、その後、事前に切断された(Xmal/SfiI)ナイーブAドメインライブラリーインサート(PCR産物)にライゲートした。停止コドンは、loxP部位の間に位置し、それによって、gIIIの発現が防止され、その結果として感染性ファージの生産が防止される。
その後、そのライゲートされたベクター/ライブラリーを、下で詳述するようなfUSE5HA−単量体−lox−loxファージのレスキューを可能にするgIII発現プラスミドを有する大腸菌宿主に形質転換する。
pCK−gIII。このプラスミドは、そのネイティブのプロモーターの制御下のgIIIを有する。これは、プライマーgIIIPromoter_EcoRIおよびgIIIPromoter_HinDIIIでのVCSM13ヘルパーファージ(Stratagene)からのgIIIおよびそのプロモーターのPCR増幅によって構築した。この産物をEcoRIおよびHinDIIIで消化し、pCK110919−HC−Blaの同じ部位にクローニングした。gIIIはその固有のプロモーターの制御下にあるので、gIII発現は、おそらく構成的である。pCK−gIIIを大腸菌EC100(Epicentre)に形質転換した。
インビボ組み換え手順。要約すると、この手順は、次の基本段階を含む:a)プラスミドからの大腸菌宿主発現gIIIでのfUSE5HA−単量体−lox−loxライブラリーの感染的生産(すなわち、レスキュー);b)第二ライブラリー(pCK)のクローニングおよびFTG1大腸菌への形質転換;c)レスキューされたfUSE5HA−単量体−lox−loxファージライブラリーでの、第二ライブラリーを有する培養物の感染。
a.ファージベクターのレスキュー。pCK−gIIIを有するエレクトロコンピテント細胞を標準的なプロトコルによって作製した。これらの細胞は、4x10/μg DNAの形質転換頻度を有し、ならびにfUSE5HA−lox−loxベクターとナイーブAドメインライブラリーインサートの大規模ライゲーション(〜5μg ベクターDNA)でそれらの細胞をエレクトロポレートした。〜70μL細胞/キュベットでの個々のエレクトロポレーション(100ng DNA/エレクトロポレーション)の後、930μLの温かいSOC培地を添加し、それらの細胞を、37Cで1時間、振盪しながら回復させた。次に、テトラサイクリンを0.2μg/mLの最終濃度まで添加し、それらの細胞を〜45分間、37Cで振盪した。この培養物のアリコートを取り出し、10倍系列希釈し、プレーティングして、得られたライブラリーサイズ(1.8x10)を判定した。残りの培養物を2x500mLの2xYT(pCK−gIIIおよびfUSE5HA系ベクターについて選択するためにそれぞれ20μg/mLのクロラムフェニコールおよび20μg/mLのテトラサイクリンを含有)で希釈し、30Cで一晩、増殖させた。
レスキューされたファージを、標準的なPEG/NaCl沈降プロトコルを用いて回収した。力価は、約1x1012形質導入単位/mLであった。
b.第二ライブラリーのクローニングおよび大腸菌宿主への形質転換。ライゲートされたpCK/ナイーブAドメインライブラリーを、約10の予想ライブラリーサイズを有する細菌F宿主にエレクトロポレートした。振盪を伴う37Cでの1時間の長い回復期間の後、エレクトロポレートされた細胞を2xYT(加えて、20μg/mLのクロラムフェニコール)で、OD600 〜0.05に希釈し、37Cで対数増殖期中期まで増殖させ、その後、fUSEHA−単量体−lox−loxによって感染させた。
c.レスキューされたfUSE5HA−単量体−lox−loxファージライブラリーでの第二ライブラリーを有する培養物の感染。組み換え体の作製を最大にするためには、培養物中の大腸菌の高い感染率(>50%)が望ましい。大腸菌の感染力は、F線毛の発現および増殖条件を含む多数の要因に依存する。大腸菌バックグラウンドTG1(F’を保有)およびK91(Hfr株)は、組み換え系のための宿主である。
Figure 2009501517
実施例3
この実施例は、EGF系単量体ライブラリーの構築を説明するものである。
CaEGFドメインライブラリー、E3、は、次のパターン:
Figure 2009501517
を有するアミノ酸数36〜43のタンパク質ドメインをコードしている。
下の表(配列番号391〜420)は、ヒトカルシウム結合性EGFドメインの天然の多様性に基づくライブラリーにおけるアミノ酸がコードされている各々の位置について説明するものである:
Figure 2009501517
単量体カルシウム結合性EGFドメインをコードしているDNA配列のライブラリー、E3、は、Stemmerら、Gene 164:49−53(1995)に記載されているようなアセンブリPCRによって作製した。このPCR反応において使用したオリゴヌクレオチドは、2つのグループ、1および2の中のものである。それらは:
Figure 2009501517
グループ1および2のオリゴヌクレオチドの独立したPCRの後、グループ1のPCRフラグメントをBpmIで消化し、グループ2のPCRフラグメントをBsrDIで消化した。消化産物を、Qiagen Qiaquickカラムを使用して精製し、その後、互いにライゲートした。その後、そのライゲートされたDNAを、2つのプライマーを使用してPCRで増幅した。これらは:
Figure 2009501517
であった。
それらのPCR産物をQiagen Qiaquickカラムで精製し、SfiIで消化した。その消化産物をQiagen Qiaquickカラムで精製した。それらのDNAフラグメントを、ファージディスプレイベクターfuse5−HA(G4S)4[イン・フレームHA−エピトープおよび柔軟なグリシン、セリンリンカーを有するfuse5の誘導体]のSfiI制限部位にライゲートした。そのライゲーション混合物を、TransforMax(商標)EC100(商標)エレクトロコンピテント大腸菌細胞にエレクトロポレートした。形質転換された大腸菌細胞を、20μg/mLのテトラサイクリンを含有する2xYT培地中、37℃で一晩増殖させた。得られたライブラリーは、2X10の独立したクローンを含有した。PEG沈降法により、培養基からファージ粒子を精製した。そのファージの力価は、1.3X1012/mLであった。24の個々のクローンの配列を決定し、これらは、ライブラリー設計と一致した。
実施例4
この実施例は、EGF系単量体ライブラリーの構築を説明するものである。
ドメイン内最適化のために組み換えを用いることができる。例えば、互いに関連している単一ドメインの2つ以上のセグメントを組み換えるPCRオーバーラップ反応を用いることができる。説明したのと同じ方法で2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上のフラグメントオーバーラップ反応を用いることができる。この組み換えプロセスには多くの応用がある。1つの応用は、事前に選択された数百のクローンの大きなプールの、配列情報なしでの組み換えである。各々のオーバーラップが作用するために必要なのは、各々のクローン内の同じ位置に存在する(比較的)定常な配列の1つの既知領域だけである(固定部位アプローチ)。Aドメインについては、一般に、これらのクローンは、5つすべてのシステイン間セグメントにわたって分布している20〜25個のアミノ酸がランダム化されたライブラリーから誘導されたものであろう。ドメイン内組み換え法は、ランダムフラグメンテーションに基づく標準的なDNA組み換え(例えば、Stemmer,Nature 370:389−391(1994))、および組み換えるべきすべてのクローン内に固定オーバーラップ部位を必要としないDNA配列相同性に基づく組立てにより、配列に関連がある単量体ドメインのプールに対して行うこともできる。
このプロセスのもう1つの応用は、多数の独立したナイーブ(パンニングされていないことを意味する)ライブラリーを作成し、これらの各々におけるシステイン間ループのうちの1つだけをランダム化して、各ライブラリーにおける異なるループをランダム化することである。ターゲットに対して個別にこれらのライブラリーをパンニングした後、選択されたクローンを組み換える。パンニングされた各ライブラリーから、ランダム化されたセグメントのみをPCRによって増幅し、その後、多数のランダム化セグメントを組み合わせて1つのドメインの形にし、シャッフリングされたライブラリーを作り、それを増大した効力についてパンニングおよび/またはスクリーニングする。このプロセスは、配列が判っている少数のクローンをシャッフリングするために用いることもできる。
いずれの共通配列をクロスオーバー点として用いてもよい。Aドメインまたは他のシステイン含有単量体については、システイン残基がクロスオーバーのための理論位置である。しかし、コンピューターモデリングなど、最適なクロスオーバー部位を決定するため方法は他にもある。あるいは、最高エントロピーを有する残基、または最小数の分子内接触も、クロスオーバーに良好な部位であり得る。
ランダム化されたシステイン間ループを有するタンパク質から成るライブラリーを作成する例示的方法を下に提供する。この例では、上で説明した別個のループ、別個のライブラリーアプローチとは対照的に、多数のシステイン間ループを同じライブラリー内で同時にランダム化する。
次のパターンを有するアミノ酸数39〜45のタンパク質ドメインをコードしているAドメインNNKライブラリーを構築した:
Figure 2009501517
この場合、
〜C:システイン;
(n):各位置に任意の残基を有するn個のアミノ酸の配列;
〜E:グルタミン;
F:フェニルアラニン;
〜R:アルギニン;
A:アラニン;
〜G:グリシン;
I:イソロイシン;
P:プロリン;
〜S:セリン;
W:トリプトファン;
V:バリン;
〜D:アスパラギン酸;および
−C、C−CおよびC−Cは、ジスルフィドを形成する。
このライブラリーは、Stemmerら、Gene 164:49−53(1995)に記載されているようなアセンブリPCRにより、チロシンコドン(TAT)または可変非保存コドン(NNK)を含有するDNA配列のライブラリーを作製することによって構築した。ネイティブAドメイン足場、およびライブラリーA1を構築するために用いた設計(前に記載したもの)と比較して、このアプローチは、1)これらの潜在的に重要な残基をランダム化するのではなく、より多くの既存残基を適所に保持し、ならびに2)システイン間残基の平均数を天然AドメインまたはA1ライブラリーのものを超えて延長するように、全20のアミノ酸の可変長のアミノ酸の列(NNKコドン)を挿入する。おそらく、チロシンが成すことができる非常に多数の異なる接触のため、チロシンは、抗体結合部位で過剰に提示されることが判明したので、オリゴヌクレオチドにチロシンコドンを含めることによりチロシン残基の比率を増加させた。このPCR反応に用いられるオリゴヌクレオチドは、(配列番号460〜486):
Figure 2009501517
このライブラリーは、各プールが400pmolのDNAを含有するオリゴヌクレオチドの4つのプールの混合物を使用する、10サイクルのPCR増幅の初期ラウンドによって構築した。プール1は、オリゴヌクレオチド1〜9を含有し、プール2は、10〜17を含有し、プール3は、18のみを含有し、およびプール4は、19〜27を含有した。プール1および4を使用する追加の8サイクルのPCRによって、完全に組み立てられたライブラリーを得た。ライブラリーフラグメントをXmaIおよびSfiIで消化した。DNAフラグメントを、ファージディスプレイベクターfuse5−HA(イン・フレームHA−エピトープを有するfuse5の誘導体)の対応する制限部位にライゲートした。そのライゲーション混合物を、TransforMax(商標)EC100(商標)エレクトロコンピテント大腸菌細胞にエレクトロポレートして、2X10の個々のクローンのライブラリーを生じさせた。形質転換された大腸菌細胞を、20μg/mLのテトラサイクリンを含有する2xYT培地中、37℃で一晩、増殖させた。PEG沈降によってその培養基からファージ粒子を精製し、1.1X1013/mLの力価を決定した。24のクローンの配列を判定し、それらはこのライブバリー設計の期待値と一致した。
実施例5
この実施例は、単量体および/またはターゲットへの結合のためのリンカーを最適化することによる多量体の最適化を説明するものである。
ターゲットへの多量体の結合を最適化する1つのアプローチは、単量体、多量体およびリンカーの最適化を含む。先ず、単量体のライブラリーを、ターゲット(例えば、IL−6)への結合についてパンニングする。しかし、一部の単量体は、互いにはるかに離れているターゲット上の位置で結合することができるので、これらの部位に結合するドメインをリンカーペプチドによって接続する必要はない。従って、単量体の最適化前に、これらの単量体からのホモまたはヘテロ三量体の大きなライブラリーを作り、スクリーニングすることは、有用である。これらの三量体ライブラリーは例えばファージを用いて、スクリーニングすることができ、(一般には、単量体の大きなプールから作られたヘテロ三量体の場合)、または別々に作製しアッセイすることができる(例えば、ホモ三量体の場合)。この方法によって、最良の三量体が特定される。これらのアッセイは、ターゲットへの結合アッセイ、または機能的タンパク質もしくは細胞ベースのアッセイでの多量体の作動薬もしくは拮抗薬効力判定を含むことがある。
その後、第二段階として、単一の最良三量体の単量体ドメインを最適化する。ヘテロ多量体も合成できるが、ホモ多量体は、1つのドメイン配列しか存在しないので、最適化が最も容易である。ホモ多量体については、単量体と比較した多量体による結合の増加が、結合活性効果である。
ドメイン配列それ自体の最適化(例えば、組み換えまたはNNKランダム化による)およびファージパンニングの後、それらの改善された単量体を使用して、二量体とリンカーライブラリーを構築する。リンカーライブラリーは、例えば、NNK組成および/または可変配列長を有するリンカーから、形成することができる。
このリンカーライブラリーのパンニング後、最良のクローン(例えば、阻害に関する効力または他の機能的アッセイによって判定される)を、多数(例えば、2、3、4、5、6、7、8など)の配列が最適化されたドメインと長さおよび配列が最適化されたリンカーとから成る多量体に転化させる。
実施例6
この実施例は、Aドメインの構造分析を説明するものである。
事実上すべてのタンパク質と同じように、A−ドメインの全表面のうちの小部分だけが、単一ターゲットへの結合に関与する。このドメインの溶解構造に基づき、所与のターゲットへの結合に協力できる可能性が高い隣接残基位置を特定することができる。この場合、隣接残基のこうしたグループを構造的カテゴリーと呼ぶ。一例として、4つのこうしたカテゴリーを、A−ドメイン構造の試験を通して特定した(Top、Bottom、Loop 1およびLoop 2と呼ぶ)。所与のカテゴリー内の多様性のみを許すライブラリーを設計することにより、ライブラリーによって許される理論配列空間を有意に低減することができ、これにより、物理的ライブラリーによる理論空間の、より良好な有効範囲が得られる。さらに、TopおよびBottomカテゴリーなどの非オーバーラップカテゴリーの場合、異なるターゲットに対して選択された半ドメイン配列を組み合わせて、それらの選択ターゲットに同時にまたは代替的に結合することができる単一の配列の形にすることができる。いずれの場合も、ドメインの半分のみを占める結合部位を作ることにより、大きさとしては半分であり、且つ、半分の数の免疫原性エピトープを有する分子を造ることができ、免疫原性のリスクを低減することができる。
A−ドメイン位置の構造的分類
Xとして示す高多様性位置を有するカノニカルA−ドメイン配列(配列番号487)を下に示す。Top、Bottom、Loop 1またはLoop 2カテゴリーに属する位置は、星で示す。
Figure 2009501517
実施例7
この実施例は、ヒトIL−6に結合する単量体または多量体についてのスクリーニングを説明するものである。
固体支持体(例えば、Nunc Maxisorpプレート)上または溶液(例えば、Dynalストレプトアビジン)中で数ラウンド、ファージライブラリーをパンニングした。(a)IL−6に結合する個々のファージクローンの最高頻度と(b)結合陽性ファージクローン間の高い配列多様性とを有するアウトプットファージプールを、タンパク質スクリーニングのために選択した。
I.ラウンド1(MaxisorpプレートまたはCynalビーズ)
1.ターゲットのコーティング
A.プレートのコーティング:TBS[pH7.5]/2mM CaClで希釈した100mL/ウエルの5μg/mL ヒトIL−6(R & D Systems;担体なし)を使用して、6つのウエル/ライブラリーをIL−6で直接被覆した。ビオチン化形のヒトIL−6を使用するときには、プレートを、振盪しながら1時間、室温で、ストレプトアビジンでプレコーティングした。加えて、1つの陰性対照ウエル/ライブラリーをTBS[pH7.5]/2mM CaClのみでコーティングした。プレコーティングが完了した後、IL−6(+ビオチン)を添加し、それらのプレートを1.5時間、室温で振盪しながらインキュベートした。
B.ビーズのコーティング:20μLのDynalストレプトアビジン(M−280;Dynal ASA)を、500μLのTBS[pH7.5]/2mM CaCl中で、5μgのビオチン化IL−6と共にインキュベートし、エッペンドルフ管の中で室温で1時間、回転させた。陰性対照として、ターゲットを伴わない20μLのDynalストレプトアビジンを500μLのTBS[pH7.5]/2mM CaCl中インキュベートし、室温で1時間、回転させた。ターゲットを添加する前にDynalビーズをTBS[pH7.5]/2mM CaClで少なくとも2回洗浄し、ビーズをばらでコーティングしたことに留意すること。
2.ブロッキング
A.プレートのブロッキング:コーティング溶液を除去し、ウエルを200μL/ウエルのTBS[pH7.5]/2mM CaClで1回洗浄した。TBS[pH7.5]/2mM CaCl中の250μL/ウエルの1% BSA(プロテアーゼなし)を添加し、1時間、室温で振盪しながらインキュベートした。代替試薬(例えば、カゼインまたはミルク)をブロッキングに使用することもできる。
B.ビーズのブロッキング:コーティング溶液を除去し、ビーズをTBS[pH7.5]/2mM CaClで2回洗浄した。500μLの1% BSA(プロテアーゼなし)をTBS[pH7.5]/2mM CaClに添加し、1時間、室温で回転させた。上で述べたように、代替ブロッキング試薬を使用することもできる。
3.洗浄
A.プレートの洗浄:200μL/ウエルのTBS[pH7.5]/2mM CaClでウエルを3回洗浄して、過剰なターゲットを除去した。
B.ビーズの洗浄:1000μLのTBS[pH7.5]/2mM CaClでビーズを3回洗浄して、過剰なターゲットを除去した。各洗浄後、数分間、ビーズを磁石で集めるようにして、ビーズの損失を回避した。
4.ファージ付加
A.プレートへのファージ付加:約1000のライブラリー等価物(A1ドメインナイーブファージライブラリー)を、ファージ付加用バッファー(TBS[pH7.5]/2mM CaCl中、1%脱脂粉乳/0.2% BSA(プロテアーゼなし)または他の適するブロッキング剤)に添加し、室温で2時間、振盪しながらインキュベートした。2〜3ランドで、合計100μLの回収したファージを、ファージ付加用バッファーで希釈した7つのウエル(6つのターゲット+1つの陰性対照)に付加させた。
B.ビーズへのファージ付加:約1000のライブラリー等価物(A1ドメインナイーブファージライブラリー)を、TBS[pH7.5]/2mM CaCl中、500μLの1%脱脂分有+100μLの1% BSA(プロテアーゼなし)に添加し、室温で2時間、回転させながらインキュベートした。2〜3ラウンドで、合計100μLの回収したファージをビーズに付加させた。
5.洗浄
A.プレートの洗浄:プレートは、10分間にわたって200μL/ウエルのTBS[pH7.5]/2mM CaCl/0.1% Tween−20で8から12回、洗浄した。
B.ビーズの洗浄:ビーズは、30〜45分間にわたって、800μLのTBS[pH7.5]/2mM CaCl/0.1% Tween−20で8〜12回、洗浄した。回収したビーズ上に洗浄用バッファーを直接施与することにより、または(攪拌混合によらず)ピペットで吸い上げ、出すことによってビーズの再懸濁を助長した。あるいは、KingFisher装置(Thermo LabSystems)または等価物を、ビーズ洗浄に使用することもできる。
ストリンジェント洗浄(任意)の条件
a.37℃で、800μLのTBS[pH7.5]/2mM CaCl/0.1% Tween−20;
b.室温で、800μLのTBS[450mM NaCl、pH7.5]/2mM CaCl/0.1% Tween−20;
c.ビーズを通常は6〜8回洗浄し、その後、1μgの非標識IL−6を1時間、室温または37℃で付加させた。この洗浄後に結合したままであったファージを溶離/感染用に確保した;
d.1%ミルク/0.2% BSA/1mM 尿素を伴うまたは伴わない/37℃(高ストリンジェンシー)。
6.競合(任意):
A.プレートに関する競合:ファージを、室温で1時間、TBS[pH7.5]/2mM CaCl中、100μL/ウエルの20μg/mL(2μg/ウエル)のsIL−6R+7.5ug gp130と共に、振盪しながらインキュベートした。sIL−6R/gp130溶離物を、BlueKan K91大腸菌の感染用に確保した。
B.ビーズに関する競合:ファージを、室温で1時間、500μLのTBS[pH7.5]/2mM CaCl中、20μgのsIL−6Rおよび75ugのgp130と共に、振盪しながらインキュベートした。sIL−6R/gp130溶離物をBlueKan K91大腸菌の感染用に確保した。
7.ファージの溶離
A.プレートからの溶離:TBS[pH7.5]/2mM CaCl中の10mg/mLトリプシン(100μL/ウエル)を添加し、それらのプレートを37℃で30分間、振盪しながらインキュベートした。
B.ビーズからの溶離:100μLの10mg/mL トリプシン TBS[pH7.5]/2mM CaClをビーズに添加し、その後、それらを37℃(エッペンドルフラック内)で30分間、振盪しながらインキュベートした。
C.代替溶離/感染:OD600 〜0.5で200μLの対数増殖期BlueKan K91大腸菌細胞を、(プレートについては)各ウエルに、または吸引したビーズに、添加した。振盪することなく、30分間、37℃で、感染を進行させた。次に、その200μL容量をプールし、〜3mLの2xYT/0.2μg/mL テトラサイクリンに添加し、15分間、37℃で振盪した。
8.感染:(プレートおよびビーズについて同じプロトコル)
適切な容積の対数増殖期BlueKan K91大腸菌(2xYT/40μg/mL カナマイシン中)をOD600 〜0.5から0.6に増殖させた。その培養物がOD600に達したら、使用前にそれを氷上に配置したが、一般に、この氷上での時間は、最小限にした。
A.50mLの滅菌コニカル管内で、溶離ファージを5mLの対数増殖期BlueKan K91大腸菌培養物と混合し、振盪せずに37℃で25分間、インキュベートした。それらの滅菌コニカル管は、通気を助長するためにAirPoreテープ(Qiagen)でカバーした。
B.テトラサイクリンを0.2μg/mLの最終濃度まで添加し、15分間、37℃で振盪した。
C.10μLアリコートを力価決定用にサンプリングし、2xYTで10倍(10−1から10−6)系列希釈し、2xYT/20μg/mL テトラサイクリンプレート上に8μL/希釈スポットでプレーティングし、30℃または37℃で一晩、インキュベートした。10−2〜10−4希釈の残量をプレーティングして、後のファージELISAのための個々のコロニーを得た。
D.感染した5mL培養物を50mLの2xYT/20μg/mL テトラサイクリンで、〜10倍希釈し、30℃で一晩、飽和するまで、振盪しながらインキュベートした。
9.インプットファージの力価決定を、現行のパンニングラウンドで用いた(プレートおよびビーズについて同じプロトコル)
A.回収したファージの100倍系列希釈液(10−2〜10−10)を2xYTで作った。
B.OD600 0.5〜0.6で100μL/ウエルの対数増殖期BlueKan K91大腸菌培養物を96ウエル・ポリプロピレンプレートの6つのウエルに添加した。
C.100μLのBlueKan K91大腸菌が入っているウエルに10μLの希釈ファージを添加した。
D.ファージ/細胞混合物を37℃で25分間、振盪せずにインキュベートし、それらのプレートは、通気を可能にするためにAirPore(Qiagen)でカバーした。
E.テトラサイクリンを0.2μg/mLの最終濃度まで添加し、それらのプレートを15分間、37℃で振盪した。
F.8μLの各希釈液(10−2〜10−10)を、乾燥2xYT寒天/20μg/mL テトラサイクリンプレート上にプレーティングした。
G.プレートを30℃または37℃で一晩、インキュベートした。
10.ファージの回収(プレートおよびビーズについて同じプロトコル)
A.一晩培養したものを、使い捨て50mL管で、25分間、7000rpmで遠心分離して、細胞をペレット化した。
B.1/5容量の20% PEG/15% NaClストックを培養上清に添加することにより、標準的なPEG/NaClファージ沈降手順を行った。それを、繰り返し転倒させ、45分から1時間、氷上でインキュベートすることによって、十分に混合した。
C.その培養物を7000rpmで40分間、遠心分離して、ファージをペレット化し、上清を廃棄した。
D.そのファージペレットを1mLのTBS[pH7.5]/2mM CaClに再び懸濁させ、エッペンドルフ管に移し、13K rpmで少なくとも2分間、遠心分離して、不溶物質をペレット化した。
E.上清を新たな管に移し、1/5容量のPEG/NaClを添加し、混合し、氷上で〜5分間、インキュベートした。
F.その後、その混合物を13000rpmで少なくとも2分間、遠心分離し、上清を廃棄した。ペレット化され、精製されたファージを1mL以下のTBS[pH7.5]/2mM CaClに再び懸濁させ、4℃で保管した。
II.ラウンド2およびラウンド3パンニング
第二および第三ラウンドパンニング条件は、上で説明したラウンド1と、一般に、同じであったが、コーティングされたターゲット(すなわち、IL−6)の量を後続のラウンド各々について2から4倍減少させ、後続の各パンニングラウンドではプレート(またはビーズ)を2〜4回追加で洗浄した。
III.任意のドメイン内組み換え
ファージディスプレイで選択されたファージのプール内の単量体配列を次の手順で組み換えた。このプロセスは、所与のプール(単数または複数)内の出発単量体コレクションの半々の混合物に由来するハイブリッド単量体を生じさせる。A1−ドメインに基づくファージライブラリーについては、プライマーペアSHF1(ATTATGCCCCGGGTCTGGAGGCGTC;配列番号488)/SHBオーバーラップ(CGCCGTCGCAA;配列番号489)およびSHFオーバーラップ(TTGCGACGGCG;配列番号490)/B3(TCGGCCCCAGAGGCCTGCAATG;配列番号491)を使用して、前記の単量体の半分2つをPCR増幅した。前記2つの半分をLA Taqポリメラーゼ(Takara)で互いに融合させた。次に、融合されたハイブリッドのコーディング配列を、プライマーSHF2(CCGGATTATGCCCCGGGTCTGGA;配列番号492)およびSHB4(AACAGTTTCGGCCCCAGAGGCCTGC;配列番号493)によって増幅した。精製されたPCR産物をSfiI(NEB)によって消化し、SfiI消化fUSE5HAファージベクターとライゲートして、組み換えられた単量体ライブラリーを作製した。組み換えられたライブラリーをIL−6に対して少なくともさらに2ラウンド、パンニングし、下で説明するようにスクリーニングした。組み換えられた単量体の特性付けからのデータは、表1および2にある。
IV.パンニングアウトプットの分析(プレートおよびビーズについて同じプロトコル)
ファージELISA:分析すべき各アウトプット「ファージプール」について(適用可能な場合、一般にはラウンド2、3および4)、独立したクローンを、Costar 96ウエル・ポリプロピレン製ディープウエル型プレート内で増殖させた1mL(2xYT/20μg/mL テトラサイクリン)培養物に接種した。接種用チップを中に入れたままにして、プレートを一晩、37℃で振盪した。3600rpmで15分間の遠心分離によって細胞をペレット化した。培養上清を確保し、下で説明するとおりELISAを行った。
非ビオチン化IL−6(0.1μg/ウエル)をNunc Maxisorpプレートに直接コーティングした。しかし、ビオチン化IL−6、96ウエルNunc Maxisorpプレートは、TBS[pH7.5]/2mM CaClで希釈した、50μL/ウエルの50μg/mL(2.5μg/ウエル)ストレプトアビジンで、先ず、コーティングした。それらのプレートを37℃で1時間、振盪しながらインキュベートした。プレートを200μL/ウエルのTBS[pH7.5]/2mM CaClで3回洗浄した。ウエルを200μL/ウエルの1% BSA(フラクションV)でブロックし、カバーをしたプレートを室温で1時間、振盪しながらインキュベートした。そのプレートをTBS[pH7.5]/2mM CaClで3回洗浄した。次に、96ウエルMaxisorpプレートを、TBS[pH7.5]/2mM CaClで希釈した100μL/ウエルの1μg/mL(0.1μg/ウエル)ビオチン化IL−6または100μL/ウエルのバッファーのみ(陰性対照)でコーティングした。プレートを室温で1時間、振盪しながらインキュベートした。プレートをTBS[pH7.5]/2mM CaClで3回洗浄した。次に、30μLの各ファージ上清を、70μLの1%ミルク/0.2% BSA/TBS[pH7.5]/2mM CaCl/0.02% Tween−20の存在下で、ウエルに添加する。カバーをしたプレートを、室温で1.5時間、振盪しながらインキュベートした。
プレートをTBS[pH7.5]/2mM CaCl/0.02% Tween−20で4回洗浄した。次に、TBS[pH7.5]/2mM CaCl+0.02% Tween−20で1:5000希釈した100μL/ウエルのα−M13−HRPモノクローナル抗体(Amersham Pharmacia)を添加した。プレートを4℃で1時間、振盪しながらインキュベートした。プレートを冷TBS[pH7.5]/2mM CaCl/0.02% Tween−20で3回洗浄した。1:1希釈した100μL/ウエルのTMB/H混合物(Pierce)をELISA発色のために添加した。
最強OD650シグナルが〜1.0に達するまで反応物が青色になるようにした。100μL/ウエルの2N HSOで反応を停止させ、陽性ウエルは、青色から黄色に色が変化した。反応を停止させたら、SoftMaxProソフトウェアを使用してELISAプレートリーダーでそれをOD450で読み取った。
ファージELISA陽性のファージプールは、それらが(a)hIL−6に結合する個々のファージクローンの高い頻度および(b)結合陽性ファージクローン間の高い配列多様性を有した場合、発現ベクターへのサブクローニング用に選択した。これらの基準を満たすプールを、下で略述するプロセスでのタンパク質スクリーニング用に選択した。所与のファージプールからの単量体または多量体配列を発現ベクター、pEve、にサブクローニングするために、約10〜1010のファージを、次のような25サイクルのPCRによって増幅した:
PCRレシピ
0.5〜1μL 精製ファージ
5μL 10X バッファー
8μL 2.5mM dNTP
5μL 10uM VS−Forプライマー(5’−ATCATCTGGCCGGTCCGGCCTACCCGTATGATGTTCCGGA−3’;配列番号494)
5μL 10uM EveNutプライマー(5’−AAAAGGCCCCAGAGGCCTTCTGCAATGAC−3’;配列番号495)
26μL H
0.5μL LA Taqポリメラーゼ(1単位)(Takara)
サイクル:25X[94℃/10秒、−45℃/30秒、−72℃/30秒]
PCR産物を分析のために3%アガロースゲル上で泳動させた。単量体または多量体産物(約200bp)をQIAquickスピンカラム(Qiagen)で精製し、Sfi I(NEB)で消化し、QIAquickカラムで再び精製し、その後、T4 DNAリガーゼ(NEB)を使用してSfi I消化ベクター、pEve、にライゲートした。そのライゲート産物をエレクトロコンピテントBL21(DE3)大腸菌に形質転換し、40μg/mLのカナマイシンが入っている2xYTプレートにプレーティングした。一晩、増殖させた後、約6000の個々のクローンを2xYT/カナマイシンに接種し、一晩、増殖させた。陽性および陰性対照もそれらのプレートに含めた。
V.1mL細胞溶解産物中の何千もの単量体タンパク質のスクリーニング
1mL加熱溶解物のタンパク質生産(第1日):個々のクローンを、500μL/ウエルの2xYT/40μg/mL カナマイシンが入っている96ウエルCostarディープウエル型プレートのウエルに接種した。培養物を、37℃で、300rpmで振盪しながら、(ウエルの中に接種用チップを入れたままで)一晩、増殖させた。このプロセスにより、細胞溶解産物レベルで何千もの個々の軽度精製単量体をスクリーニングできた。
(第2日)100μLの一晩、培養したものを、1mL/ウエルの2xYT/40μg/mL カナマイシン+1mM CaClが入っている新たな96ウエルCostarディープウエル型プレートに接種した。(その一晩、培養したものの残りは、25%最終グリセロール濃度の添加によりアーカイブし、その後、後々の使用のために、−80℃で保管した。)プレートをAirPore Tape(Qiagen)でカバーし、培養物を、〜0.8から1.0のOD600が達成されるまで、37℃、375rpmで振盪しながら増殖させた。所望のOD600が達成されたら、37℃、375rpmで振盪しながら、培養物を1mMのIPTGで3時間、誘発した。その後、それらの誘発された培養物が入っているプレートを、15分間、3600rpmで、4℃で遠心分離して、細胞をペレット化した。上清を除去し、廃棄し、残存細胞ペレットを、100μLのTBS[pH7.5]/1mM CaClに再び懸濁させた。再び懸濁させた細胞を96ウエル・ディープウエル型プレートから95ウエル・ポリプロピレンPCRプレートに移し、PCR機において5分間、65℃で加熱した。その後、それらの加熱された/溶解された細胞を、15分間、3600rpmで、4℃で遠心分離した。遠心分離後、タンパク質生産は完了し、タンパク質溶解物は、結合ELISAおよび/または競合AlphaScreenアッセイによる一次スクリーニングでの特性付けの準備が整った。
IL−6タンパク質ELISA:96ウエルMaxisorpプレートを、TBS[pH7.5]/1mM CaClで希釈した100μL/ウエルの1μg/mL(0.1μg/ウエル)IL−6(R & D systems)でコーティングし、それらのプレートを4℃で一晩、または室温(RT)で1.5時間、振盪しながらインキュベートした。ウエルをからにし、その後、200μL/ウエルの1% BSA(フラクションV)/TBS[pH7.5]/1mM CaClでブロックした。カバーをしたプレートを室温で1時間、振盪しながらインキュベートした。そのプレートをTBS[pH7.5]/1mM CaClで3回、洗浄した。1mLの溶解産物調製試料からのタンパク質を、それらのウエルに、TBS[pH7.5]/1mM CaCl/0.1% BSA/0.02% Tween−20で1:10希釈した単点濃度として、ウエル当たり100μLの最終量まで添加した。カバーをしたプレートを室温で1.5時間、振盪しながらインキュベートした。そのプレートをTBS[pH7.5]/1mM CaCl/0.02% Tween−20で3回、洗浄した。TBS[pH7.5]/1mM CaCl/0.1% BSA/0.02% Tween−20で1:2000希釈した100μL/ウエルの抗HA−HRP検出抗体(Roche)を添加した。カバーをしたプレートを室温で1時間、振盪しながらインキュベートした。そのプレートを、TBS[pH7.5]/1mM CaCl/0.02% Tween−20で3回、洗浄した。1:1希釈した100μL/ウエルのTMB/HSO混合物を添加した。最強シグナルのOD650が〜1.0に達するまで、色が青色になるようにした。100μL/ウエルの2N HSOでその反応を停止させた。停止させたら、ELISAプレートリーダーを用いてプレートをOD450で読み取った。
AlphaScreen IL−6/Fcビオチン化(bn)IL−6均質競合アッセイ:すべてのアッセイ成分をAlphaScreen Buffer:NaOHを伴う40mM HEPES[pH7.4]、1mM CaCl、0.1% BSA(w/v)、0.05% Tween−20、100mM NaCl、で希釈した。白色、384ウエル、換算容量、Greinerマイクロタイターアッセイプレートへの3回の添加を行ったが、添加と添加の間にインキュベーション時間はなかった。第一に、単量体または非標識組み換えヒトIL−6(rhIL−6、R&D Systems)(陽性対照として)をそのプレートに4μL/ウエルで添加した。1mLの加熱溶解調製試料からの単量体をそれらのウエルに単一濃度(未希釈[すなわち、1:4の最終アッセイ希釈]または1:100以下の希釈[1:400の最終アッセイ希釈]のいずれか)で添加した。陽性対照として、単量体タンパク質の代わりに、4μL/ウエルの非標識rhIL−6を、12点濃度曲線が400nMで始まり(すなわち、100nMの最終アッセイ濃度)、そしてその後1:4系列希釈、その後、バッファーのみの場合の最終点を有するように、そのプレートに添加した。第二に、2uL/ウエルのbn−rhIL−6を1nM(すなわち、0.25nMの最終アッセイ濃度)をそのプレートに添加した。このアッセイの残りの部分は、AlphaScreenビーズが感光性であるので、やわらかな光または緑色を除いた光の中で行ったことに留意すること。第三に、28nM(7nMの最終濃度)のIL−6Rと、1.6nM(0.4nMの最終濃度)のgp130Fcと、AlphaScreenストレプトアビジン「ドナービーズ」およびプロテインA「アクセプタービーズ」(PerkinElmer)(両方とも、40μg/mLに希釈したもの(すなわち、10μg/mLの最終濃度))との、2μL/ウエルの混合物を、そのプレートに添加した。その後、そのアッセイプレートをトップシールでカバーし、〜30秒間、800rpmでスピンダウンした。その後、そのプレートを暗所、室温で、一晩、インキュベートし、翌日、Fusion Plateリーダー(PerkinElmer)で読み取った。
VI.ファージディスプレイで選択された単量体の多量体化および組み換え
pEveにサブクローニングした単量体(pEve/単量体)を次の様式で多量体化した。pEve/単量体プラスミド(個々にまたはプールで)をBsrDIまたはBpmI(NEB)のいずれかで消化した。〜1.1kb BsrDIおよび〜2.9 BpmIフラグメントを1%アガロースゲルから単離し、Qiagen QIAquickスピンカラムで精製した。2つのフラグメントの各々のプールを、T4 DNAリガーゼ(NEB)を使用してライゲートし、その後、そのライゲート産物をQuiagen QIAquickスピンカラムで精製した。上のファージサブクローニングのセクションで説明したプライマーVS−ForおよびEveNutを使用して、多量体コーディング配列をそのライゲート産物からPCR増幅した。それらのPCR産物を精製し、SfiI(NEB)で消化し、その後、pEveとライゲートし、BL21(DE3)大腸菌に形質転換した。この方法は、出発単量体の種々の組み合わせから成る二量体を作り出した。この方法を用いて、三量体などの他の多量体を作製することもできる。三量体を作製する場合、pEve/二量体(例えば、上の実施例におけるもの)およびpEve/単量体(出発コレクション)のプールが、出発材料である。それらを上のように処理した。「ウォーキングライブラリー」の作製のための下で説明するものに類似した分子生物学的手順を用いて、多量体を作製することもできる。すべての場合、上のように、タンパク質を発現させ、精製し、スクリーニングした。
ナイーブモノマーライブラリーの完全提示でのファージディスプレイ選択単量体(すなわち、選択単量体)のライゲーションにより、「ウォーキングライブラリー」と呼ばれるさらなるライブラリーを作製した。これらのライブラリーは、次の様式で構築した。PCRを用いて、2つの別の反応で増幅させた:a)選択単量体のコーディング配列とpETF(ACCCGTATGATGTTCCGGATTA;配列番号496)/pETB2r(GATGTATTCGGCCCCAGAGGCCTGCAATGAC;配列番号497);およびb)単量体ライブラリー内のナイーブ単量体のコーディング配列と21new1(GAAATTCACCTCGAAAGCAA;配列番号498)/23(ATGGGTTCCTATTGGGCT;配列番号499)。〜200bpの産物を3%アガロースゲルから単離し、Qqiagen QIAquickスピンカラムで精製した。上の(a)および(b)からの各産物を別の反応においてBsrDIまたはBpmI(NEB)のいずれかで消化した。BpmI消化単量体は、BsrDI消化単量体にライゲートすることができるオーバーハングを有する。精製された消化産物を、T4 DNAリガーゼ(NEB)を使用して、互いにライゲートした。BsrDI切断ナイーブ単量体とBpmI切断選択単量体のライゲーションは、C末端選択単量体に融合したN末端ナイーブ単量体から成るウォーキング二量体ライブラリーを生じさせる。BpmI切断ナイーブ単量体とBsrCI切断選択単量体のライゲーションは、N末端選択単量体に融合したC末端ナイーブ単量体から成るウォーキング二量体ライブラリーを生じさせる。プライマーpETF/pETB2rを使用して、このライゲーションからのライゲートされた二量体のコーディング配列をPCR増幅し、それらの精製された産物をSfiIで消化し、その後、XmaIで消化した。それらの消化産物は、10〜10の固有メンバーを一般に有するファージディスプレイ二量体「ウォーキングライブラリー」の作製のために、ファージベクターfUSE5HAにライゲートした。三量体(またはより大きな多量体)「ウォーキングライブラリー」は、同様の仕方で作製することができるが、出発材料は、二量体(またはそれより大きいもの)とナイーブモノマーである。ウォーキングライブラリーを、上で説明したように、IL−6に対してパンニングし、スクリーニングした。
VII.結合および競合アッセイにおける精製単量体の特性付け
タンパク質を加熱タンパク質溶解物レベルで特性付けしたら、さらなる特性付けに最良のモノマーを選択した。個々のクローンのより大きな規模の培養物を作製し、6xHis(配列番号379)タグを有する単量体を、Ni−NTA樹脂によって精製した。これらのニッケル精製単量体を結合ELISAおよびAlphaScreen競合アッセイでアッセイした。精製単量体の特性付けからのタンパク質配列データおよび生化学的データは、表1および2にある。
タンパク質精製 NiNTAに対して500mL培養物:(第1日)3mLの2xYT +40μg/mLのカナマイシンが入っている15mL培養管に、適切な「一次ヒットウエル」にアーカイブされたグリセロールストックを接種した。培養物を一晩、300rpmで、37℃で振盪した。
(第2日)2mLの一晩、培養したものを、500mLの2xYT+40μg/mLのカナマイシンが入っている1Lエルレンマイヤー振盪フラスコに接種した。培養物を、約0.8〜1.0のOD600に達するまで、375rpm、37℃で振盪しながら増殖させた。所望のOD600に達したら、375rpmで振盪しながら培養物を1mMの最終濃度のIPTGで3時間、誘発した。3時間の誘発後、500mLの培養物を清浄な/オートクレーブ処理したSorvall管に移し、8分間、8000rpmで、4℃で遠心分離して、細胞をペレット化した。
細胞をペレット化したら、上清を除去し、廃棄し、20mLの超音波処理用バッファー(10%スクロース/20mM Tris[pH7.5]/150mM NaCl/0.2mM CaCl)を各管に添加した。そのペレットを、目に見えるクランプがなくなるまで、10mL血清ピペットで超音波処理用バッファーに再懸濁させ、その後、その再懸濁細胞(〜30mL)を35mL Oakridge Tubeに移し、8分間、〜16電力出力で超音波処理した。超音波処理後、超音波処理された細胞が入っているそれらの温かいOakridge Tubeを氷/水浴内に、〜10分間配置して、冷却した。冷却したら、その管を30分間、18,000rpmで、4℃で遠心分離して、溶解した細胞をペレット化した。
溶解した細胞が入っている管を遠心分離している間、NiNTA樹脂(Qiagen)をMilli−Q水で洗浄して、エタノールを除去した。3mLの1:1希釈NiNTA樹脂/タンパク質を使用した(すなわち、実際には、1.5mLの樹脂/タンパク質を使用した)。3mLの樹脂/水混合物各々を、適切なラベル(タンパク質IDを伴う)を付けた透明な50mLスクリューキャップ付きの管に添加した。超音波処理細胞をペレット化した後、タンパク質上清を除去し、1.5mLの洗浄したNiNTA樹脂が入っている50mL管に添加した。室温で0.5時間、穏やかに揺動させることによって、タンパク質をNiNTA樹脂に結合させた。NiNTA樹脂とのインキュベーション後、タンパク質に結合したNiNTAを伴う50mL管を10分間、〜1500rpmで遠心分離した。上清を穏やかに流し出して廃棄した。
1mLのNiNTA Wash Buffer(20mM Tris[pH7.5]、200mM NaCl、0.1mM CaCl、20mMイミダゾール)を、樹脂が入っている50mL管に添加し、渦攪拌して再び懸濁させ、その後、その混合物を、真空マニホールドに取り付けられたカラムにピペットで移すことによって、NiNTA樹脂+結合タンパク質を、適切なラベルを貼った15mL Clontechカラムに移した。NiNTA樹脂+結合タンパク質を少なくとも10カラム容量(15mL)のNiNTA洗浄用バッファーで洗浄した。NiNTA樹脂+結合し洗浄されたタンパク質が入っている15mLカラムを、透明な15mLのスクリューキャップ付き捕集管に移し、4mLのNi溶離用バッファー(20mM Tris[pH7.5]、200mM NaCl、0.1mM CaCl、200mMイミダゾール)を各カラムに添加して、その15mL捕集管にタンパク質を溶出させた。その後、重力によってそれを溶離した。
溶離したタンパク質は、カセットに負荷するために18.5ゲージ針および5mL注射器を使用して、スライド−A−ライザーカセット(適切なMWカットオフ−単量体については、3.5kDaカットオフを用い、二量体および三量体ついては10kDaカットオフを用いた)に移した。溶離タンパク質が入っているスライド−A−ライザーを、レドックス試薬(20mM Tris[pH7.5]、100mM NaCl、1mM CaCl、1mM 2−メルカプトエタノール、0.25mM 2−ヒドロキシエチルジスルフィド)が入っている透析用バッファー中に一晩、入れておいた。
(第3日)一晩、透析したタンパク質が入っているスライド−A−ライザーカセットを、レドックスを有さない透析用バッファー(20mM Tris[pH7.5]、100mM NaCl、1mM CaCl)に移した。3時間の透析後、さらに3時間にわたって、スライド−A−ライザーカセットを、レドックスを有さない新たなTBS/CaClに移した。第二の透析変更後、18.5ゲージ針および5mL注射器を使用して、タンパク質をスライド−A−カセットから取り出し、タンパク質を、適切なラベルを貼った15mLポリプロピレン管に、0.2マイクロメートルのシリンジフィルターを使用するフィルタリングにより、移した。
Alpha Screen競合アッセイにおいて「最良阻害剤」または結合ELISAにおいて「最良結合因子」として選択された、抗IL−6 NiNTA精製タンパク質を、Q−Sepharoseアニオン交換によってさらに精製して、不純物を除去した。Q−Sepharose精製:1mLのQ−Sepharose Fast−Flow Resin(Amersham Biosciences)を15mL Clontechカラムに添加した。15カラム容量(または15mL)の20mM Tris[pH7.5]、50mM NaCl、1mM CaClで樹脂を平衡させた。2mL(〜5mg)の濾過されたNiNTA精製タンパク質を樹脂に添加し、重力によってタンパク質を樹脂に結合させた。96ウエルプレートの第一カラムへのフロースルーを回収した。タンパク質を負荷したカラムを15mL捕集管に移し、樹脂/結合タンパク質を10カラム容量(または10mL)の20mM Tris[pH7.5]、50mM NaCl、1mM CaClで洗浄した。洗浄したら、タンパク質のNaCl勾配溶出を開始した。NaCl濃度は、次のような勾配で変化させた:20mM Tris[pH7.5]、1mM CaClのベースに対して、100mM、150mM、200mM、250mM、300mM、350mM、400mM、500mM、および最終的に1MのNaCl。画分を1mL刻みで96ウエルのディープウエル型ポリプロピレンプレートに回収した−2mL/画分。タンパク質を含有する画分をBradfordによって検査し、SDS PAGEによって分析した。次の変更を伴う、上で説明した結合ELISAおよび競合アッセイで、画分を検査した。500mL NiNTA精製調製試料またはNiNTA+Q−セファロース精製調製試料からのタンパク質を、12点濃度曲線が1:5から1:100の最初の希釈で始まり、そしてその後1:4系列希釈、その後、バッファーのみの場合の最終点を有するように、そのプレートに添加した。
IL−6結合性タンパク質&二量体
以下は、配列相同性によって特定し、グループ分けしたIL−6結合性単量体の概要を提供するものである。7つのファミリーがあり、同じファミリーのメンバーは、関連した配列を有する。
この情報は、以下のように要約することができる。角型カッコ(「[]」)内の配列は、単位位置での代替アミノ酸を示す。下のコンセンサス配列は、疑問符(「?」)を含む。これらは、存在する場合もあり、または不在である場合もある位置を示す。
Figure 2009501517
各IL−6結合性ファミリーの詳細が次に続く。配列(またはダッシュ(「−」))は、単にアラインメントのためのものである。各行は、1つの連続単量体ドメインを表す。
Figure 2009501517
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IL−6結合性二量体は、次のもの(配列番号627〜781)を含むものだった。二量体は、ファミリーにより系統立てられない。
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以下は、関連した配列のファミリーによってリストされたIL−6結合性三量体のリストである。単量体のファミリーメンバーが、三量体のファミリーメンバーとは関係がないことに留意すること。
Figure 2009501517
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以下(配列番号286〜339)は、IgG結合性単量体ドメインに連結したIL−6に結合する三量体(三量体中の各単量体がIL−6に結合する)を含む配列を表す。2つのリンカーのうちの1つによって隔てられた、2つの抗IgGドメインのうちの1つをN末端に有する9個の三量体(9x2x2=36の四量体)を含む。C末端に2つの抗IgGドメインのうちの1つを有する9個の三量体もリストするが、これらの構築物(9x2=18個の四量体)についてはリンカー多様性を調査しなかった。
Figure 2009501517
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Figure 2009501517
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実施例8
この実施例は、IL−6結合性三量体によるIL−6誘発細胞増殖の阻害を実証する実験を説明するものである。
TF−1、GM−CSF依存性ヒト赤白血病細胞系統、は、ATCC(CRL−2003)から購入した。IL−6は、TF−1細胞増殖の強力な刺激因子である。IL−6、IL−6Rおよび/またはgp130阻害剤の効能を判定するためのTF−1細胞の使用は、当該技術分野では十分に確率されている。
TF−1細胞は、増殖培地(50uM 2−ME、抗生物質−抗真菌剤を補足したRPMI 1640)、10% FBSおよび5ng/mL hGM−CSF(Leukine)中で保存した。アッセイ前、TF−1細胞を洗浄し、一晩、増殖培地+1%FBSおよびLeukine中で培養した。その後、アッセイ前に、TF−1細胞を、Leukineを伴わない増殖培地+1%FBSで、3回洗浄した。
抗IL−6モノクローナル抗体(Clone 6708−111、R&D Ststens、およびClone MQ2−13A5、eBioscience)またはN末端にIgG結合ドメインをさらに含む抗IL−6三量体(これは、他の実験では、IL−6結合への影響を示さなかった)の系列希釈物を、増殖培地+1% FBSで作製し、5% COを含む37℃の加湿インキュベータにおいて、45分間、固定濃度のrhIL−6(R&D Systemsからの0.2ng/mL)と共にインキュベートした。
37℃、5% COの加湿インキュベータにおいて、40時間、96ウエル平底プレート(Becton Dickinson)で、200uL/ウエルの最終容量で、抗IL−6阻害剤−hIL−6混合物の存在下または不在下、TF−1細胞(1x10/ウエル)を培養した。細胞を、16時間の最終培養中に、1uCi/ウエルの[H]−チミジン(Amersham Biosciences)でパルス標識した。半自動セルハーベスター(Tomtec,Inc.)でプレートを回収し、Microbeta−counter(Wallac−Perkin Elmer)を使用して[H]−チミジン組み込みを測定した。結果は、三重反復試験ウエルからの平均cpmとして表示する。
対照実験により、TF−1細胞増殖の刺激についてのrhIL−6のEC50として0.2ng/mLを決定した。
抗IL−6三量体阻害TF−1細胞増殖は、0.2ng/mL IL−6により、0.8ピコモルの濃度で最大の50%に誘導された。
このアッセイは、ヒト細胞を使用するインビトロバイオアッセイにおいて、単量体または多量体を抗IL−6活性についてスクリーニングする手段を提供する。被験多量体または単量体のIC50値を決定することにより、最適な分子を特定し、それらの生物活性に基づき格付けすることができる。
実施例9
この実施例は、IL−6発現性ヒト細胞系統への単量体結合を実証する実験を説明するものである。
単量体は、インフルエンザ赤血球凝集素(HA)エピトープタグを含むように構築した。これにより、その単量体を一次サイトメトリー検出剤として使用することができ、二次検出剤としては蛍光標識抗HA二次抗体を使用した。
293FTヒト胚性腎細胞(Invitrogen)をpDisplayベクター(Invitrogen)におけるCD23−IL−6融合で一時的にトランスフェクトし、その結果、IL−6の細胞表面発現が生じた。
9個の三量体を、293FT/CD23−IL−6細胞に結合する能力について試験した。トランスフェクトされていない293FT細胞、ならびにJurkat、HuT78、ArentAR、U266−BL、Raji、RPMI8226およびDaudi細胞系統を、陰性対照として使用した。
単量体結合を判定するために、2.5X10個の細胞を、30分間、氷上で、100uL FACS染色用バッファー(PBS pH7.4、5%ウシ胎仔血清、0.01%アジ化ナトリウム)中の10uM IL−6三量体で染色した。4mLの氷冷FACS染色用バッファーで細胞を1回、洗浄し、その後、100uLのFACS染色用バッファー+0.2ugのFITCコンジュゲート抗HAモノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology)に再び懸濁させ、氷上で30分間、インキュベートした。細胞を4mLの氷冷FACS染色用バッファーで1回洗浄し、その後、200uLのFACS染色用バッファーに再び懸濁させ、FACSCalibur Flow Cytometer(BD Biosciences)を使用して分析した。データを収集し、CellQuest Pro(BD Biosciences)を使用して分析した。各細胞+IL−6三量体についての幾何平均蛍光を決定し、その細胞系統+FITCコンジュゲート抗HAモノクローナル抗体のみについての幾何平均蛍光に対して正規化した。
抗IL−6三量体は、293FT/CD23−IL−6細胞に対してのみ有意な結合を示し、試験した他のいずれの細胞系統に対する結合も検出されなかった。
このアッセイは、IL−6結合特異性について単量体または多量体をスクリーニングする手段を提供する。他の細胞表面タンパク質に勝るIL−6に対する特異性は、治療薬の開発における重要な要因であり得、ならびに最適な分子をスクリーニングおよび選択するために使用することができる。
実施例10
この実施例は、抗IL−6単量体のインビトロ結合親和性を測定するために設計された実験を説明するものである。
実験は、Biocore 1000 SPR機で行った。すべての実験のためのランニングバッファは、1mMのCaClを追加したHBS−P(Biacore)であった。
ヒトIL−6の〜200RUをCM5チップのフローセルに、その製造業社のプロトコルに従って、NHS/EDCカップリングおよびエタノールアミンブロッキングを用いて、コンジュゲートさせた。
実施例9において使用したIL−6結合三量体の系列希釈物を前記ランニングバッファで調製し、IL−6コンジュゲートフローセルに注入した。模擬的カップリング済フローセルでのフローイングから生じるシグナルをそのデータから減算して、バルクシフト効果を最小にした。1:1ラングミュア結合モデルを用い、BiaEvaluationソフトウェア(Biacore)を用いて、データを分析した。
1:1結合モデルへのデータの独立したヒットにより、kon=1.95x10−1、koff=4.93x10−4−1−1、K=2.53x10−10Mの値を得た。
このアッセイは、IL−6結合親和性について単量体または多量体をスクリーニングする手段を提供する。IL−6への親和性は、潜在的生物活性の指標として用いることができ、最適な分子をスクリーニングおよび選択するために用いることができる。
実施例11
この実施例は、マウスにおける抗IL−6三量体のインビボ活性を証明するために設計した実験を説明するものである。
週齢8週の雌CD−1マウスをすべての実験に用いた。
最適なIL−6用量(100uLのPBS、1%マウス血清中、600ng/マウス、腹腔内注射)およびIL−6注射後、犠牲にするまでの時間(6時間)を、用量滴定、および心内穿刺により犠牲にしたマウスから回収した血清中の血清アミロイドA(SAA)の測定によってあらかじめ決定した。
SAAは、ELISAにより、その製造業社(Biosource)の説示に従って測定した。すべての実験は、治療群当たり3匹のマウスを含み、各マウスについて二重反復SAA測定を行った。
三量体用量は、20mM Tris、pH7.6、260mM NaCl、1mM CaCl中で調製し、各用量は、マウス1匹当たり200uLの容量を有した。すべての単量体調製物が、LAL終点法(Associates of Cape Code)によって測定して4EU/mg未満のエンドトキシンを含有した。
三量体用量、対照モノクローナル抗体(抗IL−6もしくはマウスIgG1、200uL中、マウス1匹当たり500ug)またはビヒクルのみを、尾静脈経由で注入した。1時間後、600ngのIL−6、200ngのIL−1、またはビヒクルのみ(PBS、1%マウス血清)を腹腔内注射した。この第二の注入の6時間後、マウスを犠牲にし、血清を回収した。血清は、出荷用に冷凍し、分析するまで保管した。
抗IL−6三量体は、ヒトIL−6による急性期タンパク質誘導を完全に排除した。対照的に、抗IL−6三量体は、ヒトIL−1による急性期タンパク質誘導に対する影響を示さなかった。これは、その阻害効果が特異的であることを示している。抗IL−6三量体の阻害効果が用量依存的であることも判明した。これらの結果は、抗IL−6三量体が、インビボ設定でIL−6の生物学的機能を特異的に阻害できることを示している。
実施例12
この実施例は、Aドメイン足場に基づく追加のIL−6結合配列の作製を説明するものである。
IL−6へのELISA結合により、およびまたTF1細胞アッセイにおいて生物活性により測定して、以下の配列(配列番号855〜928)を結合IL−6として特定した:
Figure 2009501517
Figure 2009501517
Figure 2009501517
Figure 2009501517
明瞭さおよび理解を目的としてかなり詳細に上記発明を説明してきたが、本開示を読むことにより、本発明の真の範囲から逸脱することなく形態および細部に様々な変更を施すことができることは、当業者には明らかであろう。例えば、上で説明したすべての技術、方法、組成物、装置およびシステムは、様々な組み合わせで用いることができる。本出願に引用されているすべての出版物、特許、特許出願または他の文献は、個々の出版物、特許、特許出願または他の文献各々が、あらゆる目的で参照により取り入れられていると、個々に示されているのと同程度に、あらゆる目的でそれら全体が参照により取り入れられている。PCT出願PCT/US02/13257およびPCT/US03/35664および米国特許公開第2005/0089932号は、それら全体が参照により本明細書に取り入れられている。
配列番号1−IL−6処理アミノ酸配列
Figure 2009501517
図1は、保存システインを明示するための様々なLDL−受容体クラスAドメインからの部分アミノ酸配列(配列番号38〜50)のアラインメントを略図で図解する。フォールディングしたドメインの3つのジスルフィド結合におけるシステインの連結性を、コンセンサス配列(配列番号51)を用いて略図で図解する。このコンセンサス配列内の、側鎖がカルシウム結合に寄与する残基を、アスタリスクで指摘する。 図2は、パネルAは、Aドメインの一例を略図で図解するものである。パネルAは、約40アミノ酸長のAドメイン(配列番号52)における保存アミノ酸を略図で図解するものである。保存システイン残基をCによって示し、保存負電荷アミノ酸を、マイナス(「−」)記号を伴う円によって示す。「H」を伴う円は、保存疎水性残基を示す。パネルBは、リンカーによってつながれた2つのフォールディングしたAドメインを略図で図解するものである。パネルBは、2つのカルシウム結合部位、Ca+2を伴う黒い円、およびフォールディングした各Aドメイン内の3つのジスルフィド結合、合計6つのスルフィド結合も示している。 図3は、阻害剤、プロテアーゼ、プロテアーゼ複合体、ビタミン−担体複合体、リポタンパク代謝に関与するタンパク質、非ヒトリガンド、抗生物質、ウイルスおよびその他を含む、LDL−受容体ファミリーの天然メンバーによって認識される幾つかのリガンドを示す。 図4は、リガンドに結合する単量体ドメインを特定し、選択された単量体ドメインを単離し、それらの選択単量体ドメインを様々な組み合わせで接続することによってそれらの選択単量体ドメインの多量体を作り、それらの多量体をスクリーニングして、リガンドに結合する1つより多くの単量体を含む多量体を特定するための一般図式を略図で図解する。 図5は、もう1つの選択戦略(ガイド付き選択)の略図である。適切な結合特性を有する単量体ドメインを、単量体ドメインのライブラリーから特定する。その後、その特定された単量体ドメインを、単量体ドメインの別のライブラリーからの単量体ドメインに連結させて、多量体のライブラリーを形成する。その多量体ライブラリーをスクリーニングして、ターゲットに同時に結合する単量体ドメインのペアを特定する。その後、多量体において最適な結合特性が得られるまで、このプロセスを繰り返すことができる。 図6は、Aドメインのアラインメントを図示する(配列番号53〜269)。図の一番上の小文字(a〜q)は、保存残基を示す。 図7は、様々な可能な抗体−単量体または多量体の配座を図解する。一部の実施形態において、単量体または多量体は、抗体のFabフラグメントを置換する。 図8は、半減期延長分子に結合する少なくとも1つの単量体ドメインと1つまたは場合によっては2つ以上のターゲット分子に結合する他の単量体ドメインとを含む本発明の多量体の可能な配座を図示する。この図では、2つの単量体ドメインが2つの第一ターゲット分子に結合する。場合によっては、この2つの単量体ドメインは、1つの第一ターゲット分子上の異なる部位に結合することがある(図示なし)。 図9は、IL−6/IL−6R相互作用を防止する本発明のポリペプチドの可能な設計を示す。 図10は、IgGに結合する単量体のサルにおける血清半減期を図解する。

Claims (18)

  1. IL−6に選択的に結合する単量体ドメインを含み、該単量体ドメインが、以下の配列(配列番号1および2):
    Figure 2009501517
    (Xは、任意のアミノ酸であり、角型カッコ内のアミノ酸は、指定位置での代替アミノ酸を示す)
    のいずれかを含むLDL受容体クラスA単量体ドメインである、ポリペプチド。
  2. Figure 2009501517
    を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. Figure 2009501517
    を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  4. IL−6に選択的に結合する少なくとも1つ、且つ、6つ以下の単量体ドメインを含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  5. IL−6に選択的に結合する少なくとも2つの単量体ドメインを含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  6. IL−6に対する選択的結合特異性を有する第一単量体ドメインと、IL−6に対する選択的特異性を有する第二単量体ドメインとを含み、該第一単量体ドメインが、
    Figure 2009501517
    を含み、該第二単量体ドメインが、
    Figure 2009501517
    を含む、請求項5に記載のポリペプチド。
  7. Figure 2009501517
    (nは、0と100の間である)
    (配列番号3)
    を含む、請求項6に記載のポリペプチド。
  8. 以下の配列(配列番号5〜13):
    Figure 2009501517
    のうちのいずれかを含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  9. 以下の配列(配列番号14〜22):
    Figure 2009501517
    のうちのいずれかを含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  10. IL−6に選択的に結合する3つの単量体ドメインを含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  11. 請求項1に記載のポリペプチドであって、該ポリペプチドは、血液因子に対する選択的結合特異性を有する単量体ドメインをさらに含み、それにより、該ポリペプチドを動物に注射したとき、該ポリペプチドの血清半減期が、該血液因子結合単量体ドメインを欠くポリペプチドの血清半減期と比較して増加する、ポリペプチド。
  12. 前記血液因子が、血清アルブミン、免疫グロブリンまたは赤血球である、請求項11に記載のポリペプチド。
  13. 血液因子に対する選択的結合特異性を有する前記単量体ドメインが、免疫グロブリン(IgG)に結合し、且つ血液因子に対する結合特異性を有する該単量体ドメインが、以下(配列番号23および24)
    Figure 2009501517
    (Xは、任意のアミノ酸である)
    から選択される配列を含むLDL受容体クラスA単量体ドメインである、請求項11に記載のポリペプチド。
  14. 血液因子に対する選択的結合特異性を有する前記単量体ドメインが、免疫グロブリン(IgG)に結合し、且つ血液因子に対する結合特異性を有する該単量体ドメインが、以下の配列(配列番号25)
    Figure 2009501517
    (Xは、任意のアミノ酸であり、角型カッコ内のアミノ酸は、単一位置での代替アミノ酸である)
    から選択される配列を含むLDL受容体クラスA単量体ドメインである、請求項11に記載のポリペプチド。
  15. 血液因子に対する選択的結合特異性を有する前記単量体ドメインが、
    Figure 2009501517
    を含む、請求項11に記載のポリペプチド。
  16. 前記単量体ドメインが、35と45の間のアミノ酸である、請求項1に記載のポリペプチド。
  17. 前記単量体が、
    配列中のアミノ酸の少なくとも10%が、システインである;かつ/または
    アミノ酸の少なくとも25%が、非天然アミノ酸である、
    アミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  18. 請求項1に記載のポリペプチドをコードしている、ポリヌクレオチド。
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