JP7051826B2 - 凝固因子結合タンパク質及びその使用 - Google Patents

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Description

関連出願データ
本願は、2016年9月23日付で出願された「凝固因子結合タンパク質及びその使用(Coagulation factor binding proteins and uses thereof)」と題するオーストラリア特許出願第2016903858号及び2017年6月20日付で出願された「凝固因子結合タンパク質及びその使用(Coagulation factor binding proteins and uses thereof)」と題するオーストラリア特許出願第2017902352号の優先権を主張し、これらの内容全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
配列表
本願は電子形式の配列表と共に出願される。配列表の内容全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
本開示は、凝固因子結合タンパク質及びその使用に関する。
正常な血液凝固は、最終的にフィブリン形成及び血小板凝集につながる凝固因子(又は凝血因子(clotting factor))カスケードの活性化を含む複雑な生理的及び生化学的過程を伴う、哺乳動物の生物学において高度に保存された過程である。血液凝固カスケードは、凝固開始の主な手段である「外因性」経路と、フィブリン塊の安定化に寄与する「内因性」経路とから構成される。
凝固カスケードに関与する凝固因子の殆どがチモーゲンとして知られるタンパク質分解酵素の前駆体である。これらの酵素は非活性型で血中を循環し、活性化された(例えば、タンパク質分解的切断による)場合にのみ凝固カスケードに関与する。
血液凝固は先天性凝固障害、後天性凝固障害、又は外傷によって生じる出血症状に起因し得る出血性障害において不十分である。先天性凝固障害には、凝固第VIII因子(血友病A)又は第IX因子(血友病B)の欠乏を伴う劣性X連鎖障害である血友病、及びフォンヴィレブランド因子の重度の欠乏を伴う出血性障害であるフォンヴィレブランド病が含まれる。
後天性凝固障害は、疾患過程の結果として出血の既往なしに個体に起こる場合がある。例えば、後天性凝固障害は第VIII因子、フォンヴィレブランド因子、第IX因子、第V因子、第XI因子、第XII因子及び第XIII因子等の血液凝固因子に対するインヒビター若しくは自己免疫、又は例えば凝固因子の合成低下と関連し得る肝疾患に起因する止血障害に起因する可能性がある。
出血性障害及び凝固因子欠乏症は通例、因子補充によって治療されるが、これは高額であり、必ずしも効果的であるとは限らない。例えば、長期因子補充療法を受けている患者は、補充因子に対して中和抗体(すなわち、インヒビター)を生じ、療法が無効になる可能性がある。別の不利点は、複数回及び頻繁な注入の必要性を生じる、注入された凝固因子の短い半減期である。アルブミン融合、Fc融合、PEG化及びシアル化(sialyation)による修飾を含む、凝固因子の半減期を延長し、免疫原性を低減するための様々な技術が開発されている。組み換え凝固因子又はその修飾形態の使用の代替アプローチは、凝固カスケード中の1つ以上の凝固因子に対する抗体に基づく療法、例えば抗第IX因子抗体又は抗第IX/X因子抗体の創出であった。止血効果を増大する別のアプローチは、組織因子経路阻害剤(TFPI)等の凝固抑制因子を標的化することであった。これらの労力にも関わらず、凝固因子の半減期の延長は短いままであり、疾患を予防するために継続的な反復治療が必要とされる。
このため、当該技術分野では出血性障害の治療を改善する必要がある。
本開示は、凝固因子結合タンパク質を細胞膜に標的化することにより、その活性が改善するという本発明者らの特定に基づく。少なくとも1つの血液凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質は、凝固促進活性の可能性がある。
本発明者らによる知見は、少なくとも1つの血液凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質の基礎をもたらす。本発明者らによる知見は、被験体における出血性障害を治療する方法の基礎ももたらす。
本発明の凝固促進膜標的化結合タンパク質、例えば膜標的化抗FIX抗体は、被験体における損傷部位(例えば、血友病患者における出血部位)に特異的に標的化されるため、抗FIX/FX二重特異性抗体等の非膜標的化凝固促進タンパク質と比較して、損傷部位から外れた又は遠く離れた部位に望ましくない凝固又は血栓症を生じる可能性が低い。
したがって、本発明の凝固促進膜標的化結合タンパク質は患者、例えば凝固促進活性を有するタンパク質及び付加的な出血コントロール(例えば、活性化トロンビン複合体)を投与されている、FVIIIインヒビターを有する血友病患者にとって非膜標的化凝固促進タンパク質よりも安全な治療選択肢となる可能性がある。凝固促進タンパク質を損傷部位に標的化することで、より低い投与量が可能となる可能性もあり、これは非膜標的化凝固促進タンパク質と比較してより良好な安全性プロファイルにも寄与する。
例えば、本開示は、少なくとも1つの血液凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質であって、凝固を調節する、結合タンパク質を提供する。
例えば、本開示は、少なくとも1つの血液凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質であって、凝固促進活性を有する、結合タンパク質を提供する。
一例では、本開示は、少なくとも1つの血液凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質であって、抗凝固活性を有する、結合タンパク質を提供する。
一例では、本開示は、少なくとも1つの凝固因子に結合する又は特異的に結合する膜標的化結合タンパク質(例えば、抗体又はその抗原結合フラグメント)を提供する。
一例では、本開示は、少なくとも1つの血液凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質であって、少なくとも1つの血液凝固因子に特異的に結合する結合領域を含む、タンパク質を提供する。一例では、結合領域は、1つの血液凝固因子及び/又はその活性型に特異的に結合する。
一例では、本開示は、少なくとも1つの血液凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質であって、哺乳動物細胞の原形質膜の構成要素に特異的に結合する結合領域を含む、タンパク質を提供する。一例では、細胞は、例えばその天然状態で、血漿が到達可能である、すなわち血漿と接触する。一例では、細胞は血管内にある。一例では、細胞は血液中にある、例えば血液細胞である。
一例では、本開示は、少なくとも1つの血液凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質であって、少なくとも1つの血液凝固因子に特異的に結合する第1の結合領域と、哺乳動物細胞の原形質膜の構成要素に特異的に結合する第2の結合領域とを含む、タンパク質を提供する。一例では、少なくとも1つの血液凝固因子に特異的に結合する第1の結合領域は、凝固促進活性を有する。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、少なくとも1つの血液凝固因子に特異的に結合する。このことは、本開示の膜標的化結合タンパク質が他のタンパク質に結合しないことを意味するわけではなく、膜標的化結合タンパク質(又はその一部)が血液凝固因子に特異的であり、タンパク質全般に結合しないことを意味するにすぎない。この用語はまた、例えば1つ(又はそれ以上)の結合領域で第1の血液凝固因子に特異的に結合することができ、別の結合領域で別の凝固因子又はタンパク質に特異的に結合することができる、二重特異性抗体又はその結合領域を含むタンパク質を除外するものではない。
本開示によって企図される結合領域は、天然タンパク質又は生体タンパク質を含む様々な形態のいずれかをとることができる。例示的な結合領域としては、核酸(例えば、アプタマー)、ポリペプチド、ペプチド、小分子、抗体、又は抗体の抗原結合フラグメントが挙げられる。
一例では、第1及び/又は第2の結合領域はタンパク質ベースであり、例えばペプチド、ポリペプチド又はタンパク質である。一例では、第1の結合領域は凝固因子ではない。
一例では、第1及び/又は第2の結合領域は抗体模倣物である。例えば、第1及び/又は第2の結合領域は、免疫グロブリンの抗原結合ドメインを含むタンパク質、例えばIgNAR、ラクダ科動物抗体又はT細胞受容体である。
一例では、第1及び/又は第2の結合領域は、ドメイン抗体(例えば、重鎖可変領域のみ又は軽鎖可変領域のみを含む)、又は重鎖のみの抗体(heavy chain only antibody)(例えば、ラクダ科動物抗体又はIgNAR)、若しくはその可変領域である。
一例では、第1及び/又は第2の結合領域は、可変領域フラグメント(Fv)を含むタンパク質である。例えば、第1及び/又は第2の結合領域が、
(i)一本鎖Fvフラグメント(scFv)、
(ii)二量体scFv(di-scFv)、又は、
(iii)ダイアボディ(diabody)、
(iv)トリアボディ(triabody)、
(v)テトラボディ(tetrabody)、
(vi)Fab、
(vii)F(ab’)2、
(viii)Fv、又は、
(ix)抗体の定常領域、Fc若しくは重鎖定常ドメイン(C)2及び/又はC3に連結した(i)~(viii)の1つからなる群から選択される(任意に、かかるタンパク質は、Fvと定常領域、Fc又は重鎖定常ドメインとの間にリンカー、例えば可動性リンカー等の本明細書に記載のリンカーを含む)。
別の例では、第1及び/又は第2の結合領域は抗体である。例示的な抗体は、完全長及び/又は裸の(naked)(例えば、非コンジュゲート)抗体である。一例では、本開示の抗体は完全長抗体である。
一例では、抗体はIgG抗体、又はIgE抗体、又はIgM抗体、又はIgD抗体、又はIgA抗体、又はIgY抗体である。例えば、抗体はIgG抗体である。
一例では、IgG抗体は、IgG又はIgG又はIgG又はIgGである。例えば、抗体はIgG抗体である。別の例では、抗体はIgG抗体である。一例では、抗体は安定化IgG抗体である。
一例では、第1及び/又は第2の結合領域は組み換え、キメラ、CDRグラフト化、ヒト化、合成ヒト化(synhumanized)、霊長類化(primatized)、脱免疫化(deimmunized)又はヒトであるタンパク質である。
一例では、第1の結合領域は単一特異性、二重特異性又は多重特異性である。例えば、第1の結合領域は単一特異性である。一例では、第1の結合領域は多重特異性であり、例えば第1の結合領域は二重特異性である。
一例では、第1の結合領域は単一特異性である。
一例では、第1の結合領域は二重特異性ではない。
一例では、本開示の血液凝固因子が第I因子、第II因子、第III因子、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子、第XIII因子及び上記のいずれかの活性型からなる群から選択される。
一例では、第1の結合領域は、第IX因子及び/又は第IXa因子に特異的に結合する。別の例では、第1の結合領域は、第X因子及び/又は第Xa因子に特異的に結合する。更なる例では、第1の結合領域は、第IX/IXa因子及び第X/Xa因子に特異的に結合する。
一例では、本開示は、血液凝固因子に特異的に結合する第1の結合領域を含む膜標的化結合タンパク質を提供する。一例では、第1の結合領域は、抗第IX因子抗体又はその抗原結合フラグメントである。一例では、抗第IX因子抗体又はその抗原結合フラグメントは、非活性化第IX因子及び/又は活性化第IXa因子に結合する。一例では、抗第IX因子抗体又はその抗原結合フラグメントは、第IX因子及び/又は第IXa因子に結合し、第IX因子及び/又は第IXa因子の活性を増強する。例えば、抗第IX因子抗体又はその抗原結合フラグメントは、第IXa因子に結合し、第IXa因子の活性を増強する。別の例では、抗第IX因子抗体は第IX因子に結合し、第IX因子活性化を増強する。第IX因子及び/又は第IXa因子の活性を決定する方法は、当該技術分野で既知であり、及び/又は本明細書に記載される。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、バイパス活性を有する第1の結合領域を含む。例えば、該結合領域は凝固カスケード、例えば外因性凝固カスケード中の内生凝固因子の代わりとなる。このため、このタンパク質は、それがバイパスする(bypasses)凝固因子の非存在下及び/又はそれがバイパスする凝固因子のインヒビターの存在下で凝固を誘導することができる。一例では、膜標的化結合タンパク質は、第IX因子に結合し、凝固を誘導する活性に活性化第VIIIa因子を必要としない第1の結合領域を含む(すなわち、タンパク質が第VIII/VIIIa因子をバイパスする)。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、非膜標的化形態の結合タンパク質と比較して増大した第VIII因子バイパス活性を有する。例えば、本開示の膜標的化結合タンパク質の第VIII因子バイパス活性は、非膜標的化形態の結合タンパク質と比較して少なくとも2倍、例えば約2.5倍、又は約3倍、又は約3.5倍、又は約4倍、又は約5倍、又は約6倍、又は約8倍、又は約10倍増大する。
一例では、第1の結合領域は、活性化凝固因子(例えば、活性化FIX)に結合し、因子を活性立体配座で安定化する。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、非膜標的化形態の結合タンパク質よりも低い活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)アッセイにおける最大有効濃度(EC50)を有する。例えば、aPTTアッセイにおける本開示の膜標的化結合タンパク質のEC50は5nM未満、例えば約4.5nM、又は約4nM、又は約3.5nM、又は約3nMである。例えば、PTTアッセイにおける膜標的化結合タンパク質のEC50は約2.5nM、又は約2nM、又は約1.5nM、又は約1nM、又は約0.5nM、又は約0.1nM、又は約0.05nM、又は約0.01nMである。
一例では、本開示の抗原結合フラグメントは、半抗体である。例えば、抗第IX因子抗体は、単一の重鎖と単一の軽鎖とを含む半抗体である。
一例では、本開示の抗原結合フラグメントは、IgG定常領域又は安定化IgG定常領域を含む。
一例では、抗第IX因子抗体又はその抗原結合フラグメントは、IgG定常領域又は安定化IgG定常領域を含む。例えば、安定化IgG定常領域は、Kabatのシステム(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest Washington DC United States Department of Health and Human Services, 1987 and/or 1991)に従うヒンジ領域の241位にプロリン、又はEUナンバリングシステム(Edelman, G.M. et al., Proc. Natl. Acad. USA, 63, 78-85 (1969))に従うヒンジ領域の228位にプロリンを含む。
一例では、IgG Fcは、配列番号15~19のいずれかに規定される配列を含む。
例示的なIgG Fcアミノ酸置換としては、EUナンバリングシステムに従うS228P、又はS228P及びT366W、又はS228P、T366S、L368A及びY407V、又はT350V、T366L、K392L及びT394W、又はT350V、L351Y、F405A及びY407Vが挙げられる。
一例では、IgG Fcは、配列番号15に規定される配列を含む。例えば、ヒトIgG Fcは、S228P突然変異を含む。
一例では、IgG Fcは、配列番号16に規定される配列を含む。例えば、ヒトIgG Fcは、S228P及びT366W突然変異を含む。
一例では、IgG Fcは、配列番号17に規定される配列を含む。例えば、ヒトIgG Fcは、S228P、T366S、L368A及びY407V突然変異を含む。
一例では、IgG Fcは、配列番号18に規定される配列を含む。例えば、ヒトIgG Fcは、T350V、T366L、K392L及びT394W突然変異を含む。
一例では、IgG Fcは、配列番号19に規定される配列を含む。例えば、ヒトIgG Fcは、T350V、L351Y、F405A及びY407V突然変異を含む。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、配列番号13に規定される配列を含むVと、配列番号11に規定される配列を含むVとを含む。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、配列番号13に規定される配列を含むVと、配列番号11に規定される配列を含むVとを含む抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、配列番号13に規定される配列を含むVと、配列番号11に規定される配列を含むVとを含む半抗体である。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、配列番号35に規定される配列を含むVと、配列番号11に規定される配列を含むVとを含む。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、配列番号38に規定される配列を含むVと、配列番号11に規定される配列を含むVとを含む。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、配列番号41に規定される配列を含むVと、配列番号11に規定される配列を含むVとを含む。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、配列番号50に規定される配列を含むVと、配列番号11に規定される配列を含むVとを含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にチロシン(T)、イソロイシン(I)若しくはリシン(K)若しくはグルタミン酸(E)、及び/又は104位にリシン(K)若しくはチロシン(Y)、及び/又は105位にプロリン(P)、トレオニン(T)若しくはグリシン(G)、及び/又は106位にトリプトファン(W)若しくはグリシン(G)、及び/又は107位にグリシン(G)若しくはヒスチジン(H)、及び/又は108位にチロシン(Y)若しくはフェニルアラニン(F)若しくはトリプトファン(W)を含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にグルタミン酸(E)、104位にチロシン(Y)、105位にグリシン(G)、106位にグリシン(G)、107位にグリシン(G)、及び108位にトリプトファン(W)を含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にチロシン(T)、104位にリシン(K)、105位にプロリン(P)、106位にトリプトファン(W)、107位にグリシン(G)、及び108位にチロシン(Y)を含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にイソロイシン(I)、104位にリシン(K)、105位にトレオニン(T)、106位にトリプトファン(W)、107位にグリシン(G)、及び108位にチロシン(Y)を含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にリシン(K)、104位にリシン(K)、105位にグリシン(G)、106位にトリプトファン(W)、107位にヒスチジン(H)、及び108位にフェニルアラニン(F)を含む。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、配列番号35に規定される配列を含むVと、配列番号11に規定される配列を含むVとを含む抗体である。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、配列番号38に規定される配列を含むVと、配列番号11に規定される配列を含むVとを含む抗体である。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、配列番号41に規定される配列を含むVと、配列番号11に規定される配列を含むVとを含む抗体である。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、配列番号50に規定される配列を含むVと、配列番号11に規定される配列を含むVとを含む抗体である。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にチロシン(T)、イソロイシン(I)若しくはリシン(K)若しくはグルタミン酸(E)、及び/又は104位にリシン(K)若しくはチロシン(Y)、及び/又は105位にプロリン(P)、トレオニン(T)若しくはグリシン(G)、及び/又は106位にトリプトファン(W)若しくはグリシン(G)、及び/又は107位にグリシン(G)若しくはヒスチジン(H)、及び/又は108位にチロシン(Y)若しくはフェニルアラニン(F)若しくはトリプトファン(W)を含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にグルタミン酸(E)、104位にチロシン(Y)、105位にグリシン(G)、106位にグリシン(G)、107位にグリシン(G)、及び108位にトリプトファン(W)を含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にチロシン(T)、104位にリシン(K)、105位にプロリン(P)、106位にトリプトファン(W)、107位にグリシン(G)、及び108位にチロシン(Y)を含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にイソロイシン(I)、104位にリシン(K)、105位にトレオニン(T)、106位にトリプトファン(W)、107位にグリシン(G)、及び108位にチロシン(Y)を含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にリシン(K)、104位にリシン(K)、105位にグリシン(G)、106位にトリプトファン(W)、107位にヒスチジン(H)、及び108位にフェニルアラニン(F)を含む。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、配列番号35に規定される配列を含むVと、配列番号11に規定される配列を含むVとを含む半抗体である。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、配列番号38に規定される配列を含むVと、配列番号11に規定される配列を含むVとを含む半抗体である。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、配列番号41に規定される配列を含むVと、配列番号11に規定される配列を含むVとを含む半抗体である。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、配列番号50に規定される配列を含むVと、配列番号11に規定される配列を含むVとを含む半抗体である。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にチロシン(T)、イソロイシン(I)若しくはリシン(K)若しくはグルタミン酸(E)、及び/又は104位にリシン(K)若しくはチロシン(Y)、及び/又は105位にプロリン(P)、トレオニン(T)若しくはグリシン(G)、及び/又は106位にトリプトファン(W)若しくはグリシン(G)、及び/又は107位にグリシン(G)若しくはヒスチジン(H)、及び/又は108位にチロシン(Y)若しくはフェニルアラニン(F)若しくはトリプトファン(W)を含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にグルタミン酸(E)、104位にチロシン(Y)、105位にグリシン(G)、106位にグリシン(G)、107位にグリシン(G)、及び108位にトリプトファン(W)を含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にチロシン(T)、104位にリシン(K)、105位にプロリン(P)、106位にトリプトファン(W)、107位にグリシン(G)、及び108位にチロシン(Y)を含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にイソロイシン(I)、104位にリシン(K)、105位にトレオニン(T)、106位にトリプトファン(W)、107位にグリシン(G)、及び108位にチロシン(Y)を含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にリシン(K)、104位にリシン(K)、105位にグリシン(G)、106位にトリプトファン(W)、107位にヒスチジン(H)、及び108位にフェニルアラニン(F)を含む。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、上述のタンパク質又は抗体のいずれかをコードする核酸によってコードされる任意の形態のタンパク質又は抗体である。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、配列番号2~7、34、37又は40のいずれかに規定される配列を含むVと、配列番号1に規定される配列を含むVとを含む。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質は、
(i)配列番号1に規定されるV配列、配列番号2に規定されるV配列及び配列番号3に規定されるV配列、又は、
(ii)配列番号1に規定されるV配列及び配列番号4に規定されるV配列、又は、
(iii)配列番号1に規定されるV配列及び配列番号5に規定されるV配列、又は、
(iv)配列番号1に規定されるV配列及び配列番号6に規定されるV配列、又は、
(v)配列番号1に規定されるV配列及び配列番号7に規定されるV配列、又は、
(vi)配列番号1に規定されるV配列及び配列番号8に規定されるV配列、又は、
(vii)配列番号1に規定されるV配列及び配列番号9に規定されるV配列、又は、
(viii)配列番号1に規定されるV配列及び配列番号10に規定されるV配列、又は、
(ix)配列番号1に規定されるV配列、配列番号32に規定されるV配列、又は、
(x)配列番号1に規定されるV配列、配列番号33に規定されるV配列、又は、
(xi)配列番号1に規定されるV配列、配列番号9に規定されるV配列及び配列番号10に規定されるV配列、又は、
(xii)配列番号1に規定されるV配列、配列番号6に規定されるV配列及び配列番号10に規定されるV配列、又は、
(xiii)配列番号1に規定されるV配列、配列番号9に規定されるV配列及び配列番号7に規定されるV配列、
を含む。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質は、
(i)配列番号1に規定されるV配列、配列番号2に規定されるV配列及び配列番号3に規定されるV配列、又は、
(ii)配列番号1に規定されるV配列及び配列番号4に規定されるV配列、又は、
(iii)配列番号1に規定されるV配列及び配列番号5に規定されるV配列、又は、
(iv)配列番号1に規定されるV配列及び配列番号6に規定されるV配列、又は、
(v)配列番号1に規定されるV配列及び配列番号7に規定されるV配列、又は、
(vi)配列番号1に規定されるV配列及び配列番号8に規定されるV配列、又は、
(vii)配列番号1に規定されるV配列及び配列番号9に規定されるV配列、又は、
(viii)配列番号1に規定されるV配列及び配列番号10に規定されるV配列、又は、
(ix)配列番号1に規定されるV配列、配列番号31に規定されるV配列、又は、
(x)配列番号1に規定されるV配列、配列番号32に規定されるV配列、又は、
(xi)配列番号1に規定されるV配列、配列番号33に規定されるV配列、
(xii)配列番号1に規定されるV配列、配列番号34に規定されるV配列、又は、
(xiii)配列番号1に規定されるV配列、配列番号36に規定されるV配列、又は、
(xiv)配列番号1に規定されるV配列、配列番号37に規定されるV配列、又は、
(xv)配列番号1に規定されるV配列、配列番号39に規定されるV配列、又は、
(xvi)配列番号1に規定されるV配列、配列番号40に規定されるV配列、又は、
(xvii)配列番号1に規定されるV配列、配列番号42に規定されるV配列、又は、
(xviii)配列番号1に規定されるV配列、配列番号9に規定されるV配列及び配列番号10に規定されるV配列、又は、
(xix)配列番号1に規定されるV配列、配列番号6に規定されるV配列及び配列番号10に規定されるV配列、又は、
(xx)配列番号1に規定されるV配列、配列番号9に規定されるV配列及び配列番号7に規定されるV配列、又は、
(xxi)配列番号1に規定されるV配列、配列番号54に規定されるV配列、又は、
(xxii)配列番号1に規定されるV配列、配列番号55に規定されるV配列、
を含む。
一例では、V CDR1は配列番号13のアミノ酸31~35を含み、V CDR2は配列番号13のアミノ酸50~59を含み、V CDR3は配列番号13のアミノ酸99~106を含む。
一例では、V CDR1は配列番号11のアミノ酸24~34を含み、V CDR2は配列番号11のアミノ酸50~56を含み、V CDR3は配列番号11のアミノ酸89~97を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号13のアミノ酸31~35に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号13のアミノ酸50~66に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号13のアミノ酸99~112に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号11のアミノ酸24~34に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号11のアミノ酸50~56に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号11のアミノ酸89~97に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号13のアミノ酸31~35に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号13のアミノ酸50~66に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号13のアミノ酸99~112に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号11のアミノ酸24~34に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号11のアミノ酸50~56に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号11のアミノ酸89~97に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号13のアミノ酸31~35に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号13のアミノ酸50~66に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号13のアミノ酸99~112に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号11のアミノ酸24~34に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号11のアミノ酸50~56に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号11のアミノ酸89~97に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む半抗体である。
一例では、V CDR1は配列番号43に示されるアミノ酸配列を含み、V CDR2は配列番号44に示されるアミノ酸配列を含み、V CDR3は配列番号45に示されるアミノ酸配列を含む。
一例では、V CDR1は配列番号47に示されるアミノ酸配列を含み、V CDR2は配列番号48に示されるアミノ酸配列を含み、V CDR3は配列番号49に示されるアミノ酸配列を含む。一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号43に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号44に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号45に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号47に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号48に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号49に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号43に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号44に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号45に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号47に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号48に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号49に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号43に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号44に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号45に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号47に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号48に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号49に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む半抗体である。
一例では、V CDR1は配列番号13、35、38又は41のいずれか1つのアミノ酸31~35を含み、V CDR2は配列番号13、35、38又は41のいずれか1つのアミノ酸50~59を含み、V CDR3は配列番号35、38、41又は50のいずれか1つのアミノ酸99~106を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号35のアミノ酸31~35に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号35のアミノ酸50~66に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号35のアミノ酸99~112に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号11のアミノ酸24~34に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号11のアミノ酸50~56に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号11のアミノ酸89~97に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号35のアミノ酸31~35に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号35のアミノ酸50~66に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号35のアミノ酸99~112に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号11のアミノ酸24~34に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号11のアミノ酸50~56に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号11のアミノ酸89~97に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号35のアミノ酸31~35に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号35のアミノ酸50~66に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号35のアミノ酸99~112に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号11のアミノ酸24~34に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号11のアミノ酸50~56に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号11のアミノ酸89~97に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む半抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号38のアミノ酸31~35に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号38のアミノ酸50~66に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号38のアミノ酸99~112に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号11のアミノ酸24~34に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号11のアミノ酸50~56に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号11のアミノ酸89~97に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号38のアミノ酸31~35に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号38のアミノ酸50~66に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号38のアミノ酸99~112に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号11のアミノ酸24~34に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号11のアミノ酸50~56に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号11のアミノ酸89~97に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号38のアミノ酸31~35に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号38のアミノ酸50~66に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号38のアミノ酸99~112に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号11のアミノ酸24~34に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号11のアミノ酸50~56に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号11のアミノ酸89~97に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む半抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号41のアミノ酸31~35に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号41のアミノ酸50~66に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号41のアミノ酸99~112に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号11のアミノ酸24~34に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号11のアミノ酸50~56に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号11のアミノ酸89~97に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号41のアミノ酸31~35に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号41のアミノ酸50~66に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号41のアミノ酸99~112に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号11のアミノ酸24~34に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号11のアミノ酸50~56に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号11のアミノ酸89~97に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号41のアミノ酸31~35に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号41のアミノ酸50~66に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号41のアミノ酸99~112に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号11のアミノ酸24~34に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号11のアミノ酸50~56に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号11のアミノ酸89~97に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む半抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号13、35、38又は41のいずれか1つのアミノ酸31~35に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号13、35、38又は41のいずれか1つのアミノ酸50~66に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号50のアミノ酸99~112に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号11のアミノ酸24~34に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号11のアミノ酸50~56に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号11のアミノ酸89~97に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号13、35、38又は41のいずれか1つのアミノ酸31~35に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号13、35、38又は41のいずれか1つのアミノ酸50~66に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号50のアミノ酸99~112に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号11のアミノ酸24~34に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号11のアミノ酸50~56に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号11のアミノ酸89~97に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号13、35、38又は41のいずれか1つのアミノ酸31~35に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号13、35、38又は41のいずれか1つのアミノ酸50~66に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号50のアミノ酸99~112に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号11のアミノ酸24~34に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号11のアミノ酸50~56に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号11のアミノ酸89~97に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む半抗体である。
一例では、V CDR1は配列番号43に示されるアミノ酸配列を含み、V CDR2は配列番号44に示されるアミノ酸配列を含み、V CDR3は配列番号46又は51~53のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号43に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号44に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号46に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号47に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号48に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号49に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号43に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号44に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号46に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号47に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号48に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号49に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号43に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号44に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号46に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号47に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号48に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号49に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む半抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号43に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号44に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号51に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号47に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号48に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号49に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号43に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号44に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号51に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号47に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号48に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号49に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号43に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号44に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号51に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号47に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号48に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号49に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む半抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号43に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号44に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号52に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号47に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号48に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号49に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号43に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号44に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号52に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号47に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号48に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号49に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号43に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号44に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号52に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号47に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号48に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号49に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む半抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号43に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号44に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号53に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号47に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号48に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号49に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号43に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号44に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号53に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号47に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号48に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号49に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む抗体である。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、
(i)
(a)配列番号43に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号44に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号53に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
(ii)
(a)配列番号47に規定される配列を含むCDR1、
(b)配列番号48に規定される配列を含むCDR2、及び、
(c)配列番号49に規定される配列を含むCDR3、
を含むVと、
を含む半抗体である。
一例では、Vは配列番号43に示されるアミノ酸配列を含み、V CDR2は配列番号44に示されるアミノ酸配列を含み、V CDR2は配列番号46に示されるアミノ酸配列を含む。
一例では、V CDR3のアミノ酸配列は、5位にチロシン(T)、イソロイシン(I)若しくはリシン(K)若しくはグルタミン酸(E)、及び/又は6位にリシン(K)若しくはチロシン(Y)、及び/又は7位にプロリン(P)、トレオニン(T)若しくはグリシン(G)、及び/又は8位にトリプトファン(W)若しくはグリシン(G)、及び/又は9位にグリシン(G)若しくはヒスチジン(H)、及び/又は10位にチロシン(Y)若しくはフェニルアラニン(F)若しくはトリプトファン(W)を含む。
一例では、V CDR3のアミノ酸配列は、5位にグルタミン酸(E)、6位にチロシン(Y)、7位にグリシン(G)、8位にグリシン(G)、9位にグリシン(G)、及び10位にトリプトファン(W)を含む。
一例では、V CDR3のアミノ酸配列は、5位にチロシン(T)、6位にリシン(K)、7位にプロリン(P)、8位にトリプトファン(W)、9位にグリシン(G)、及び10位にチロシン(Y)を含む。
一例では、V CDR3のアミノ酸配列は、5位にイソロイシン(I)、6位にリシン(K)、7位にトレオニン(T)、8位にトリプトファン(W)、9位にグリシン(G)、及び10位にチロシン(Y)を含む。
一例では、V CDR3のアミノ酸配列は、5位にリシン(K)、6位にリシン(K)、7位にグリシン(G)、8位にトリプトファン(W)、9位にヒスチジン(H)、及び10位にフェニルアラニン(F)を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列、配列番号2に規定される重鎖配列及び配列番号3に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号4に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号5に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号6に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号7に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号8に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号9に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号10に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号31に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号32に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号33に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号34に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号36に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号37に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号39に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号40に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号42に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号54に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列及び配列番号55に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列、配列番号9に規定される重鎖配列及び配列番号10に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列、配列番号6に規定される重鎖配列及び配列番号10に規定される重鎖配列を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質は、配列番号1に規定される軽鎖配列、配列番号9に規定される重鎖配列及び配列番号7に規定される重鎖配列を含む。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質は、哺乳動物細胞の原形質膜の構成要素に特異的に結合する第2の結合領域を含む。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第2の結合領域は、抗体又はその抗原結合フラグメント、アネキシン又はその変異体、γ-カルボキシグルタミン酸(GLA)ドメイン又はその変異体、ラクトアドヘリンドメイン又はそのフラグメント/変異体、プロテインキナーゼC(PKC)ドメイン、PKC保存(conserved)1(C1)ドメイン、PKC保存2(C2)ドメイン、プレクストリン相同ドメイン、及びPSP1ペプチド(配列番号28に規定される配列を含む)又はその変異体からなる群から選択される。例えば、ラクトアドヘリンフラグメントは、例えば配列番号27に規定されるようなC1C2フラグメントである。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第2の結合領域は、例えばアネキシン又はその変異体、γ-カルボキシグルタミン酸(GLA)ドメイン又はその変異体、ラクトアドヘリンドメイン又はそのフラグメント/変異体、プロテインキナーゼC(PKC)ドメイン、PKC保存1(C1)ドメイン、PKC保存2(C2)ドメイン、プレクストリン相同ドメイン、及びPSP1ペプチド(配列番号28に規定される配列を含む)又はその変異体からなる群から選択される、抗体をベースとしないタンパク質である。例えば、ラクトアドヘリンフラグメントは、例えば配列番号27に規定されるようなC1C2フラグメントである。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第2の結合領域は、凝固促進活性に関与しない又は凝固促進活性を有しない。
一例では、膜標的化結合タンパク質の第2の結合領域は、アネキシン若しくはその変異体、又はアネキシン若しくはその変異体のホスファチジルセリン結合フラグメントである。例示的なアネキシンの変異体は当該技術分野で既知であり、及び/又は当該技術分野において記載されている。一例では、第2の結合領域はアネキシンである。例えば、アネキシンはアネキシンA5である。一例では、膜標的化結合タンパク質の第2の結合領域は、配列番号14に規定される配列を含むアネキシンA5である。一例では、膜標的化結合タンパク質の第2の結合領域は、配列番号26に規定される配列を含むアネキシンA5のE5突然変異体(Bouter et al, Nature Communications 2:270 (2011)に開示されるアネキシンA5五重(quintuple)突然変異体に相当する、すなわちアネキシンA5中にR16E、R23E、K27E、K56E及びK191E突然変異を含む)である。別の例では、膜標的化結合タンパク質の第2の結合領域は、アネキシンA1である。例えば、膜標的化結合タンパク質の第2の結合領域は、配列番号29に規定される配列を含むアネキシンA1である。別の例では、膜標的化結合タンパク質の第2の結合領域は、配列番号30に規定される配列を含む切断型アネキシンA1(自己切断部位を含む41個のN末端アミノ酸が野生型アネキシンA1から欠失している)である。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質は、抗体の各重鎖が、哺乳動物細胞の原形質膜の構成要素に結合するアネキシンに連結した抗体を含む。例えば、抗体の各重鎖は、アネキシンA5又はアネキシンA1等のアネキシンに連結する。別の例では、抗体の重鎖の片方のみがアネキシンに連結する。
一例では、第2の結合領域はアミノリン脂質、膜会合ポリペプチド及びそれらの混合物からなる群から選択される原形質膜の構成要素に結合する。
一例では、原形質膜の構成要素はアミノリン脂質である。例えば、原形質膜の構成要素はホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン及びそれらの混合物からなる群から選択されるアミノリン脂質である。
一例では、原形質膜の構成要素は膜会合ポリペプチドである。一例では、膜会合ポリペプチドはGPIIb/IIIa、β2GP1、TLT-1、凝固因子、セレクチン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
一例では、哺乳動物細胞は血小板、内皮細胞及び赤血球からなる群から選択される。例えば、哺乳動物細胞は血小板である。
一例では、少なくとも1つの血液凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質は、
(i)抗第IX因子抗体又はその抗原結合フラグメントを含む第1の結合領域と、
(ii)
(a)配列番号14に規定される配列を含むアネキシンA5、又は、
(b)配列番号30に規定される配列を含む切断型アネキシンA1、
(c)アネキシンA5のホスファチジルセリン結合フラグメント若しくは変異体、又は、
(d)アネキシンA1のホスファチジルセリン結合フラグメント若しくは変異体、
を含む第2の結合領域と、
を含む。
一例では、本開示は、凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質であって、
(i)配列番号13に規定される配列を含むV及び配列番号11に規定される配列を含むVを含む抗第IX因子半抗体である第1の結合領域と、
(ii)
(a)配列番号14に規定される配列を含むアネキシンA5、
(b)配列番号30に規定される配列を含む切断型アネキシンA1、
(c)アネキシンA5のホスファチジルセリン結合フラグメント若しくは変異体、又は、
(d)アネキシンA1のホスファチジルセリン結合フラグメント若しくは変異体、
を含む第2の結合領域と、
を含む、タンパク質を提供する。
一例では、本開示は、凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質であって、
(i)配列番号13に規定される配列を含むV及び配列番号11に規定される配列を含むVを含む抗第IX因子半抗体である第1の結合領域と、
(ii)配列番号14に規定される配列を含むアネキシンA5を含む第2の結合領域と、
を含む、タンパク質を提供する。
一例では、本開示は、凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質であって、
(i)配列番号13に規定される配列を含むV及び配列番号11に規定される配列を含むVを含む抗第IX因子半抗体である第1の結合領域と、
(ii)配列番号30に規定される配列を含む切断型アネキシンA1を含む第2の結合領域と、
を含む、タンパク質を提供する。
一例では、本開示は、凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質であって、
(i)配列番号13に規定される配列を含むV及び配列番号11に規定される配列を含むVを含む抗第IX因子半抗体である第1の結合領域と、
(ii)アネキシンA5のホスファチジルセリン結合フラグメント又は変異体を含む第2の結合領域と、
を含む、タンパク質を提供する。
一例では、本開示は、凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質であって、
(i)配列番号13に規定される配列を含むV及び配列番号11に規定される配列を含むVを含む抗第IX因子半抗体である第1の結合領域と、
(ii)アネキシンA1のホスファチジルセリン結合フラグメント又は変異体を含む第2の結合領域と、
を含む、タンパク質を提供する。
一例では、本開示は、凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質であって、
(i)配列番号35に規定される配列を含むV及び配列番号11に規定される配列を含むVを含む抗第IX因子半抗体である第1の結合領域と、
(ii)配列番号14に規定される配列を含むアネキシンA5を含む第2の結合領域と、
を含む、タンパク質を提供する。
一例では、本開示は、凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質であって、
(i)配列番号38に規定される配列を含むV及び配列番号11に規定される配列を含むVを含む抗第IX因子半抗体である第1の結合領域と、
(ii)配列番号14に規定される配列を含むアネキシンA5を含む第2の結合領域と、
を含む、タンパク質を提供する。
一例では、本開示は、凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質であって、
(i)配列番号41に規定される配列を含むV及び配列番号11に規定される配列を含むVを含む抗第IX因子半抗体である第1の結合領域と、
(ii)配列番号14に規定される配列を含むアネキシンA5を含む第2の結合領域と、
を含む、タンパク質を提供する。
一例では、本開示は、凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質であって、
(i)配列番号50に規定される配列を含むV及び配列番号11に規定される配列を含むVを含む抗第IX因子半抗体である第1の結合領域と、
(ii)配列番号14に規定される配列を含むアネキシンA5を含む第2の結合領域と、
を含む、タンパク質を提供する。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にチロシン(T)、イソロイシン(I)若しくはリシン(K)若しくはグルタミン酸(E)、及び/又は104位にリシン(K)若しくはチロシン(Y)、及び/又は105位にプロリン(P)、トレオニン(T)若しくはグリシン(G)、及び/又は106位にトリプトファン(W)若しくはグリシン(G)、及び/又は107位にグリシン(G)若しくはヒスチジン(H)、及び/又は108位にチロシン(Y)若しくはフェニルアラニン(F)若しくはトリプトファン(W)を含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にグルタミン酸(E)、104位にチロシン(Y)、105位にグリシン(G)、106位にグリシン(G)、107位にグリシン(G)、及び108位にトリプトファン(W)を含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にチロシン(T)、104位にリシン(K)、105位にプロリン(P)、106位にトリプトファン(W)、107位にグリシン(G)、及び108位にチロシン(Y)を含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にイソロイシン(I)、104位にリシン(K)、105位にトレオニン(T)、106位にトリプトファン(W)、107位にグリシン(G)、及び108位にチロシン(Y)を含む。
一例では、Vのアミノ酸配列は、103位にリシン(K)、104位にリシン(K)、105位にグリシン(G)、106位にトリプトファン(W)、107位にヒスチジン(H)、及び108位にフェニルアラニン(F)を含む。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、第2の結合領域に直接(すなわち、連結領域なしに)連結する。別の例では、第1の結合領域は、第2の結合領域にリンカーを介して連結する。
一例では、第1の結合領域及び第2の結合領域(及び存在する場合にリンカー)は、融合タンパク質である。このため、第1の結合領域及び第2の結合領域は、アミド結合によって共有結合的に連結する。本開示は、他の形態の共有結合性及び非共有結合性連結を包含する。例えば、領域は化学的リンカーによって連結することができる。
一例では、リンカーは可動性リンカー、例えば可動性ペプチドリンカーである。例えば、第1の結合領域は、第2の結合領域に可動性リンカーを介して連結する。
一例では、リンカーはペプチドリンカーである。例えば、第1の結合領域は、第2の結合領域にリンカーを介して連結し、リンカーは2~31アミノ酸長のペプチドリンカーである。例えば、リンカー配列は約16アミノ酸長である。一例では、リンカーは、配列(GlySer)若しくはSGGGGSGGGGSGGGGS(GS16)、又は配列番号20に規定される配列を含む。別の例では、リンカーは、配列SG(GS2)若しくはSGGGGS(GS6)、又は配列番号24に規定される配列を含む。更なる例では、リンカーは、配列SGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(GS31)又は配列番号25に規定される配列を含む。
一例では、リンカーは剛性リンカーである。例えば、剛性リンカーは配列(EAAAK)を含み、ここでnは1~3である。一例では、剛性リンカーは(EAAAK)を含み、ここでnは1~10又は約1~100である。例えば、nは少なくとも1、又は少なくとも2、又は少なくとも3、又は少なくとも4、又は少なくとも5、又は少なくとも6、又は少なくとも7、又は少なくとも8、又は少なくとも9、又は少なくとも10である。一例では、nは100未満である。例えば、nは90未満、又は約80未満、又は約60未満、又は約50未満、又は約40未満、又は約30未満、又は約20未満、又は約10未満である。
一例では、リンカーは切断可能リンカーである。例えば、リンカーは、プロテアーゼ又はペプチダーゼによって切断することができる。
一例では、リンカーが第2の結合領域のN末端と、抗体(例えば、抗第IX因子抗体又はその抗原結合フラグメント)である第1の結合領域の重鎖若しくはそのドメイン(例えば、V)又は軽鎖若しくはそのドメイン(例えばV、CH1)のN末端又はC末端とを接合する。例えば、リンカーは、第2の結合領域のN末端と、第1の結合領域(例えば、抗第IX因子抗体又はその抗原結合フラグメント)の重鎖又はそのドメインのC末端との間を伸びる。
一例では、可動性リンカーが第2の結合領域のN末端と、抗体(例えば、抗第IX因子抗体又はその抗原結合フラグメント)である第1の結合領域の重鎖若しくはそのドメイン(例えば、V)又は軽鎖若しくはそのドメイン(例えば、V)のC末端とを接合する。一例では、可動性リンカーは、第2の結合領域のC末端と、抗体(例えば、抗第IX因子抗体又はその抗原結合フラグメント)である第1の結合領域の重鎖若しくはそのドメイン(例えば、V)又は軽鎖若しくはそのドメイン(例えば、V)のN末端とを接合する。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質は、膜標的化結合タンパク質に直接又は間接的に結合した化合物にコンジュゲートする。
一例では、化合物は、治療剤又は検出可能な作用物質である。好適な治療剤又は検出可能な作用物質は当該技術分野で既知であり、細胞毒素、放射性同位体、免疫調節剤、及び血管新生阻害剤(anti-angiogenic agent)、抗血管新生剤(anti-neovascularisation agent)、毒素、抗増殖剤、アポトーシス促進剤(pro-apoptotic agent)、化学療法剤、治療用核酸(therapeutic nucleic acid)、及び蛍光標識からなる群を含むが、これらに限定されない。
本開示は、本開示の膜標的化結合タンパク質と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物も提供する。一例では、結合タンパク質は凝固促進活性を有する。一例では、結合タンパク質は抗凝固活性を有する。
本開示は、被験体における疾患又は病態を治療又は予防する方法であって、本開示の膜標的化結合タンパク質又は本開示の膜標的化結合タンパク質を含む組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、方法も提供する。
一例では、本開示は、被験体における疾患又は病態の治療又は予防のための薬剤の製造における本開示の膜標的化結合タンパク質の使用を提供する。
一例では、疾患又は病態は出血性障害である。
一例では、被験体は出血性障害を患う。一例では、被験体は、出血性障害を患うと診断されている。一例では、被験体は、出血性障害の治療を受けている。
一例では、被験体は出血性障害を患い、出血性障害の治療に対してインヒビターを生じている(例えば凝固因子、又はその組み換え形態若しくは修飾形態に対して抑制自己抗体を生じている)。
本明細書に記載の任意の方法の一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質を出血性障害の発症の前又は後に投与する。本明細書に記載の任意の方法の一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質を出血性障害の発症の前に投与する。本明細書に記載の任意の方法の一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質を出血性障害の発症の後に投与する。
本明細書に記載の任意の方法の一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質を出血イベントの発現の前又は後に投与する。一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質を出血イベントの発現の前に投与する。別の例では、本開示の膜標的化結合タンパク質を出血イベントの発現の後に投与する。
出血イベントは当業者に明らかであり、例えば小出血イベント及び/又は大出血イベントを含む。一例では、出血イベントは大出血イベントである。例えば、大出血イベントは、5g/dL以上の還元ヘモグロビン又は15%以上のヘマトクリット値の絶対的減少を引き起こす出血の任意のエピソードである。一例では、出血イベントは小出血イベントである。例えば、小出血イベントは、4g/dL以下の還元ヘモグロビン又は10%以上のヘマトクリット値の絶対的減少を引き起こす出血の任意のエピソードである。
本明細書に記載の任意の方法の一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質を出血性障害に対する治療のインヒビターの発生の後に投与する。
一例では、被験体は、出血性障害を発症するリスクがある。例えば、出血性障害を発症するリスクがある被験体は血液凝固因子、例えば第VIII因子の突然変異、欠失若しくは再構成を有する被験体、又は血小板障害を有する被験体を含むが、これらに限定されない。一例では、被験体は、出血性障害を発症した近親者を有する。例えば、出血性障害は遺伝性である。一例では、出血性障害は後天性である。一例では、出血性障害を発症するリスクがある被験体は、凝固因子のインヒビターを生じている。
一例では、膜標的化結合タンパク質を出血性障害の症状の発現の前又は後に投与する。一例では、膜標的化結合タンパク質を出血性障害の症状の発現の前に投与する。一例では、膜標的化結合タンパク質を出血性障害の症状の発現の後に投与する。一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質を、出血性障害の症状の1つ以上を緩和又は軽減する用量で投与する。
出血性障害の症状は当業者に明らかであり、例えば、
あざができやすいこと、
歯肉の出血、
小さな切り傷又は歯科治療痕からの多量の出血、
原因不明の鼻血、
多量の月経出血、
関節内出血、及び/又は、
手術後の過度の出血を含む。
一例では、出血性障害は血液凝固障害に起因する。例えば、血液凝固障害は血友病、フォンヴィレブランド病、第I因子欠乏症、第II因子欠乏症、第V因子欠乏症、複合型第V因子/第VIII因子欠乏症、第VII因子欠乏症、第X因子欠乏症、第XI因子欠乏症又は第XIII因子欠乏症である。一例では、血友病は血友病A又は血友病Bである。一例では、被験体は予防的治療を要する病態を有する。
一例では、被験体は、第VIII因子のインヒビター(例えば、抑制抗体)を生じている。
一例では、被験体は血友病Aを患う。一例では、被験体は血友病Aを患い、第VIII因子に対するインヒビター(例えば、抑制抗体)を生じている。例えば、本開示のタンパク質は、第VIII因子バイパス活性を有する。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質は、被験体における出血の重症度を軽減する量で被験体に投与される。例えば、凝固因子の活性は増大するか、又はバイパスされる。例えば、被験体における凝固のレベルは、本開示のタンパク質による治療前と比べて増大する。
本明細書に記載の任意の方法の一例では、被験体は哺乳動物、例えばヒト等の霊長類である。
本明細書に記載の治療方法は、出血性障害の影響を軽減、治療又は予防するために更なる化合物を投与することを付加的に含み得る。
本開示は、出血性障害の治療又は予防に使用される、血液凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質を含む組成物も提供する。
本開示は、出血性障害を治療又は予防する薬剤の製造における血液凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質を含む組成物の使用も提供する。
本開示は、被験体における出血性障害の治療又は予防への使用のための説明書と共にパッケージ化された、血液凝固因子に結合する少なくとも1つの膜標的化結合タンパク質を含むキットも提供する。任意に、キットは治療効果のある化合物又は薬物を付加的に含む。
本開示は、出血性障害を患う又は患うリスクがある被験体に膜標的化結合タンパク質を投与するための説明書と共にパッケージ化された、血液凝固因子に結合する少なくとも1つの膜標的化結合タンパク質を、任意に治療効果のある化合物又は薬物と組み合わせて含むキットも提供する。
血液凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質の例示的な効果は、本明細書に記載され、先の5段落に提示される本開示の例に変更すべき点を変更して適用されるとみなすべきである。
本開示は、凝固を阻害する方法であって、凝固因子を阻害する第1の結合領域を含む本開示のタンパク質を、それを必要とする被験体に投与することを含む、方法も提供する。
リン脂質ベシクルに対する(A)2つのアネキシンA5分子を含む膜標的化抗第IX因子単一特異性抗体、及び(B)1つのアネキシンA5分子を含む膜標的化抗第IX/X因子二重特異性抗体の結合親和性を示すグラフ表示である。 (A)膜標的化及び非膜標的化抗第IX因子単一特異性抗体、並びに(B)膜標的化及び非膜標的化抗第IX因子半抗体の第VIII因子バイパス活性を示すグラフ表示である。 膜標的化及び非膜標的化抗第IX/X因子二重特異性抗体の第VIII因子バイパス活性を示すグラフ表示である。 アネキシンA5膜標的化抗第IX因子抗体、E5突然変異体アネキシンA5膜標的化抗第IX因子抗体及び切断型アネキシンA1膜標的化抗第IX因子抗体の第VIII因子バイパス活性を示すグラフ表示である。 (A)aPTTアッセイ及び(B)一段階凝血アッセイ(one-stage clotting assay)においてex vivoで測定した、ヒトFIXを添加した(spiked)FVIII欠乏マウス血漿中の膜標的化抗ヒト第IX因子抗体の第VIII因子バイパス活性を示すグラフ表示である。 リン脂質の非存在下での発色アッセイを用いたアネキシンA5膜標的化抗第IX因子抗体、非膜標的化抗第IX因子抗体及び非膜標的化抗第IX/X因子二重特異性抗体の第VIII因子バイパス活性を示すグラフ表示である。 ヒトFVIII除去血漿中での内因性凝固アッセイにおける膜標的化抗第IX因子抗体、非膜標的化抗第IX/X因子二重特異性抗体及び対照の(A)3回の独立実験を代表する1回の実験で測定されたトロンビン生成、(B)トロンビンピーク高さ(平均±SD、n=3)及び(C)ラグタイム(平均±SD、n=3)を示すグラフ表示である。
配列表のキー
配列番号1 抗第X因子/第IX因子抗体軽鎖のアミノ酸配列
配列番号2 抗第X因子抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号3 抗第IX因子抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号4 抗第X因子抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号5 抗第IX因子抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号6 抗第IX因子抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号7 抗第X因子抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号8 アネキシンA5に融合した抗第IX因子抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号9 アネキシンA5に融合した抗第IX因子抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号10 アネキシンA5に融合した抗第X因子抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号11 抗第X因子/第IX因子抗体軽鎖の軽鎖Vアミノ酸配列
配列番号12 抗第X因子抗体の重鎖Vアミノ酸配列
配列番号13 抗第IX因子抗体の重鎖Vアミノ酸配列
配列番号14 野生型アネキシンA5のアミノ酸配列
配列番号15 S228P突然変異を有するヒトIgG4重鎖定常領域のアミノ酸配列
配列番号16 S228P、T366W突然変異を有するヒトIgG4重鎖定常領域のアミノ酸配列
配列番号17 S228P、T366S、L368A、Y407V突然変異を有するヒトIgG4重鎖定常領域のアミノ酸配列
配列番号18 T350V、T366L、K392L、T394W突然変異を有するヒトIgG4重鎖定常領域のアミノ酸配列
配列番号19 T350V、L351Y、F405A、Y407V突然変異を有するヒトIgG4重鎖定常領域のアミノ酸配列
配列番号20 リンカーGS16のアミノ酸配列
配列番号21 ヒト凝固第VIII因子のアミノ酸配列
配列番号22 ヒト凝固第IX因子のアミノ酸配列
配列番号23 ヒト凝固第X因子のアミノ酸配列
配列番号24 リンカーGS6のアミノ酸配列
配列番号25 リンカーGS31のアミノ酸配列
配列番号26 アネキシンA5のE5突然変異体のアミノ酸配列
配列番号27 ヒトラクトアドヘリンC1C2配列(MFG-E8としても知られる)のアミノ酸配列
配列番号28 PSP1のアミノ酸配列
配列番号29 野生型アネキシンA1のアミノ酸配列
配列番号30 切断型アネキシンA1のアミノ酸配列
配列番号31 アネキシンA5のE5突然変異体に融合した抗第IX因子抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号32 切断型アネキシンA1に融合した抗第IX因子抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号33 切断型アネキシンA1に融合した抗第IX因子抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号34 抗第IX因子抗体重鎖A10のアミノ酸配列
配列番号35 抗第IX因子抗体A10の重鎖Vアミノ酸配列
配列番号36 アネキシンA5に融合した抗第IX因子抗体重鎖A10のアミノ酸配列
配列番号37 抗第IX因子抗体重鎖B2のアミノ酸配列
配列番号38 抗第IX因子抗体B2の重鎖Vアミノ酸配列
配列番号39 アネキシンA5に融合した抗第IX因子抗体重鎖B2のアミノ酸配列
配列番号40 抗第IX因子抗体重鎖C12のアミノ酸配列
配列番号41 抗第IX因子抗体C12の重鎖Vアミノ酸配列
配列番号42 アネキシンA5に融合した抗第IX因子抗体重鎖C12のアミノ酸配列
配列番号43 抗第IX因子抗体の重鎖V CDR1アミノ酸配列
配列番号44 抗第IX因子抗体の重鎖V CDR2アミノ酸配列
配列番号45 抗第IX因子抗体の重鎖V CDR3アミノ酸配列
配列番号46 抗第IX因子抗体の重鎖V CDR3アミノ酸コンセンサス配列
配列番号47 抗第IX因子抗体の軽鎖V CDR1アミノ酸配列
配列番号48 抗第IX因子抗体の軽鎖V CDR2アミノ酸配列
配列番号49 抗第IX因子抗体の軽鎖V CDR3アミノ酸配列
配列番号50 抗第IX因子抗体の重鎖Vアミノ酸コンセンサス配列
配列番号51 抗第IX因子抗体A10の重鎖V CDR3アミノ酸配列
配列番号52 抗第IX因子抗体B2の重鎖V CDR3アミノ酸配列
配列番号53 抗第IX因子抗体のC12重鎖V CDR3アミノ酸配列
配列番号54 抗第IX因子抗体重鎖ATG16028のアミノ酸配列
配列番号55 アネキシンA5に融合した抗第IX因子抗体重鎖ATG16028のアミノ酸配列
概要
本明細書全体を通して、他に特に明記のない限り又は文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単一の工程、物質の組成物(composition of matter)、工程の群又は物質の組成物の群への言及は、これらの工程、物質の組成物、工程の群又は物質の組成物の群の1つ及び複数(すなわち、1つ以上)を包含するとみなされるものとする。
本開示に具体的に記載されるもの以外の変更及び修正の余地があることが当業者には認識される。本開示が全てのかかる変更及び修正を含むことを理解すべきである。本開示は、本明細書で個別に又はまとめて言及又は指示される工程、特徴、組成物及び化合物の全て、並びに、上記工程又は特徴のいずれか2つ以上のあらゆる組合せも含む。
本開示の範囲は、例示のみを目的とすることが意図された本明細書に記載の具体例によって限定されない。機能的に同等の生成物、組成物及び方法が明らかに本開示の範囲に含まれる。
本明細書中の本開示の任意の例は、他に特に指定のない限り、本開示の任意の他の例に変更すべき点を変更して適用されるとみなされるものとする。言い方を変えると、本開示の任意の具体例を本開示の任意の他の具体例と組み合わせることができる(相互排他的である場合を除く)。
特定の特徴又は特徴の群又は方法又は方法工程を開示する本開示の任意の例は、特定の特徴又は特徴の群又は方法又は方法工程を放棄する(disclaiming)明示的な支持を与えるとみなされる。
他に特に規定のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者(例えば細胞培養、分子遺伝学、免疫学、免疫組織化学、タンパク質化学及び生化学の当業者)により一般に理解されるものと同じ意味を有するとみなされるものとする。
他に指定のない限り、本開示において利用される組み換えタンパク質法、細胞培養法及び免疫学的技法は、当業者に既知の標準的な手順である。かかる技法は、J. Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning, John Wiley and Sons (1984)、J. Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory Press (1989)、T.A. Brown (editor), Essential Molecular Biology: A Practical Approach, Volumes 1 and 2, IRL Press (1991)、D.M. Glover and B.D. Hames (editors), DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes 1-4, IRL Press (1995 and 1996)、及びF.M. Ausubel et al. (editors), Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience (1988)(現在までの全ての改訂版を含む)、Ed Harlow and David Lane (editors) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory, (1988), and J.E. Coligan et al. (editors) Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons(現在までの全ての改訂版を含む)等の情報源の文献全体を通して記載及び説明されている。
本明細書の可変領域及びその一部、抗体及びそのフラグメントの説明及び定義は、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest, National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1987 and 1991における論考によって更に明確化され得る。
「KabatのEUナンバリングシステム」という用語は、抗体重鎖のナンバリングがKabat et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed., United States Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesdaにおいて教示されるEU指針に従うことを意味すると理解される。EU指針は、ヒトIgG1 EU抗体の残基ナンバリングに基づく。
「及び/又は」、例えば「X及び/又はY」という用語は、「X及びY」又は「X又はY」のいずれかを意味すると理解されるものとし、両方の意味又はいずれかの意味の明示的な支持を与えるとみなされるものとする。
本明細書全体を通して、「含む(comprise)」という単語(the word "comprise", or variations such as "comprises" or "comprising")は、明記した要素、整数若しくは工程、又は要素、整数若しくは工程の群を含むが、任意の他の要素、整数若しくは工程、又は要素、整数若しくは工程の群を除外しないことを示唆すると理解される。
本明細書で使用される場合、「から導かれる」という用語は、指定の整数を特定のソースから、必ずしもそのソースから直接とは限らずに得ることができることを示すとみなされるものとする。
本明細書における、範囲、例えば残基の範囲への言及は、包括的であると理解される。例えば、「配列番号1のアミノ酸56~65を含む領域」への言及は、領域が配列番号1中の56、57、58、59、60、61、62、63、64及び65とナンバリングされたアミノ酸の配列を含むことを意味すると理解される。
選択される定義
本明細書で使用される場合、「膜標的化」という用語は、哺乳動物細胞の原形質膜の構成要素に結合するタンパク質を指す。例えば、哺乳動物細胞は、タンパク質と会合する原形質膜上の構造的に明確なドメインを含む。
本明細書で使用される場合、「凝固因子」は血餅の形成、すなわち血液凝固と関連する因子を指す。一例では、凝固因子は凝固促進活性を有する。凝固因子は当該技術分野で既知であり、第I因子、第II因子、第III因子、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子及び第XIII因子、又は上記のいずれかの活性型を含むが、これらに限定されない。この用語は、例えば当該技術分野で既知のように及び/又は本明細書に記載のように、凝固因子の組み換え形態及び/又はその修飾形態も含む。
「異なる(distinct)」という用語は、凝固因子との関連で、区別可能な又は互いに異なる2つ以上の凝固因子を指す。例えば、この2つ以上の凝固因子は互いに同一ではなく、例えば第IX因子及び第X因子である。
「凝固促進活性」は、血液の凝固を増強又は促進する効果を指す。幾つかの例では、膜標的化結合タンパク質と凝固因子との結合は、凝固を直接引き起こすことができないが、凝固反応を助長/増強することによって凝固カスケードにおいて役割を果たすことができる。例えば、反応のレベル(凝固因子の活性化又は凝固のレベルであり得る)は、膜標的化結合タンパク質の非存在下と比較して膜標的化結合タンパク質の存在下で増強される。このため、幾つかの例では、膜標的化結合タンパク質自体はいかなる凝固活性も有さず、例えば膜標的化結合タンパク質は、凝固カスケードにおける反応を助長するか又は凝固を助長する。幾つかの例では、膜標的化結合タンパク質と活性化凝固因子(例えば、活性化FIX)との結合は、この因子を活性立体配座で安定化することができる。理論又は作用様式に束縛されるものではないが、第IX因子の場合、かかる安定化は、凝固経路の内因性活性化に対するその触媒補助因子活性を増強することができる。「凝固促進活性」は、「バイパス活性」であり得る。
「抗凝固活性」は、血液の凝固を遅らせる又は阻害する効果を指す。膜標的化結合タンパク質と凝固因子との結合は、凝固を直接阻害することができないが、凝固カスケードを遅くする又は阻害する上で重要な役割を果たすことができる。
本明細書で使用される場合、「バイパス活性」という用語は、凝固カスケード中の内生凝固因子をバイパスする又はその代わりとなる膜標的化結合タンパク質の能力を指す。例えば、膜標的化結合タンパク質の結合領域は凝固カスケード、例えば内因性凝固カスケード中の内生凝固因子の代わりとなる。例えば、膜標的化結合タンパク質は、例えば上流の凝固因子の凝固促進活性を増大することによって、又は欠損、非機能的若しくは遮断内生凝固因子が効果的なトロンビン生成若しくは凝固活性にもはや必要とされないように、欠損若しくは非機能的凝固因子を置き換えることによって、欠損(例えば、発現されない)、非機能的(例えば、突然変異体)又は遮断(例えば、インヒビターによる)凝固因子の凝固増強特性を模倣する又はその代わりとなる能力を有する。
「結合領域」という用語は、膜標的化結合タンパク質若しくはその一部、又は抗原(例えば、タンパク質、例えば凝固因子等の細胞構成要素又は分子)と相互作用するか、若しくはそれに特異的に結合することが可能な膜標的化結合タンパク質の他の領域を指すと理解されるものとする。例えば、結合領域は、抗体又は半抗体又は抗体の抗原結合フラグメント(例えば、Fv又はscFv又はダイアボディ等)である。
本明細書で使用される場合、膜標的化結合タンパク質の結合領域と構成要素(すなわち血液凝固因子、又は原形質膜の構成要素)との相互作用に関する「結合する」という用語は、相互作用が構成要素上の特定の構造(例えば、エピトープ)の存在に依存することを意味する。例えば、抗体はタンパク質全般ではなく、特定のタンパク質構造を認識し、それに結合する。抗体がエピトープ「A」に結合する場合、標識された「A」及びタンパク質を含有する反応物におけるエピトープ「A」を含有する分子(又は遊離の標識されていない「A」)の存在は、抗体に結合した、標識された「A」の量を減少させる。
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」という用語は、膜標的化結合タンパク質上の結合領域と構成要素(すなわち血液凝固因子、又は原形質膜の構成要素)との間の結合相互作用が、抗原決定基又はエピトープの存在に依存することを意味するとみなされるものとする。結合領域は、他の分子の混合物又は生物中であっても、特定の抗原決定基又はエピトープに優先的に(preferentially)結合するか又はそれを認識する。一例では、結合領域は、特定の構成要素又はそれを発現する細胞と、代替抗原又は細胞よりも高頻度に、急速に、長時間にわたって及び/又は高い親和性で反応又は会合する。本定義を読むことで、例えば、特定の構成要素に特異的に結合する結合領域が第2の抗原に特異的に結合しても又は結合しなくてもよいことも理解される。このように、「特異的結合」は、必ずしも排他的な結合又は別の抗原の結合が検出不能であることを必要とするわけではない。「特異的に結合する」という用語は、本明細書で「選択的に結合する」と区別なく使用することができる。概して、本明細書における結合への言及は特異的結合を意味し、各用語が他の用語の明示的な支持を与えると理解されるものとする。特異的結合を決定する方法は、当業者に明らかである。例えば、本開示の結合領域を含む結合タンパク質を、構成要素又はそれを発現する細胞又はその突然変異体形態又は代替抗原と接触させる。次いで、構成要素又は突然変異体形態又は代替抗原への結合を決定し、上記のように結合する結合領域を構成要素に特異的に結合するとみなす。一例では、構成要素又はそれを発現する細胞への「特異的結合」は、結合領域が1μM以下、例えば100nM以下、例えば50nM以下、例えば20nM以下、例えば1nM以下、例えば0.8nM以下、1×10-8M以下、例えば5×10-9M以下、例えば3×10-9M以下、例えば2.5×10-9M以下の平衡定数(K)で結合することを意味する。
「優先的に結合する」という用語は、膜標的化結合タンパク質上の結合領域が、別の構成要素よりも或る構成要素(すなわち血液凝固因子、又は原形質膜の構成要素)に優先して又は選択して結合することを意味するとみなされるものとする。このように、「優先的結合」は、必ずしも排他的な結合又は別の抗原の結合が検出不能であることを必要とするわけではない。例えば、本開示の膜標的化結合タンパク質は、非活性化第FIX因子と比較して活性化第IXa因子に優先的に結合する。
「原形質膜の構成要素」という用語は、膜標的化結合タンパク質の結合領域が結合することができる、哺乳動物細胞の表面上に存在する任意の構成要素を意味すると理解されるものとする。一例では、構成要素は、細胞の原形質膜の細胞外表面に露出する。一例では、構成要素は、哺乳動物細胞の表面上に豊富に存在し、結合タンパク質の特異的かつ効率的な標的化を可能とすることができる。例えば、構成要素は、in vivo結合に十分な量で存在し、結合領域の結合後の効果を発揮し始めることができる。哺乳動物細胞の表面上に存在する構成要素の例は、当該技術分野で既知であり、アミノリン脂質(例えば、ホスファチジルセリン又はホスファチジルエタノールアミン)、膜会合ポリペプチド(例えば、糖タンパク質GPIIb/IIIa、β2GP1、TLT-1、凝固因子及びセレクチン)、及び2つ以上の異なる凝固因子を含む膜会合複合体が含まれるが、これらに限定されない。
「組み換え」という用語は、人工遺伝的組換えの産物を意味すると理解されるものとする。したがって、抗体又はその抗原結合フラグメントとの関連で、この用語は、B細胞成熟中に起こる天然組換えの産物である被験体の身体内で自然発生する抗体を包含するものではない。しかしながら、かかる抗体を単離する場合、この抗体は抗体可変領域を含む単離タンパク質とみなすべきである。同様に、タンパク質をコードする核酸を単離し、組み換え手段を用いて発現させる場合、得られるタンパク質は組み換えタンパク質である。組み換えタンパク質は、細胞、組織又は被験体内、例えばそれが発現された細胞、組織又は被験体内に存在する場合、人工組み換え手段によって発現されたタンパク質も包含する。
「タンパク質」という用語は単一ポリペプチド鎖、すなわちペプチド結合によって連結した一連の連続アミノ酸、又は互いに共有結合的若しくは非共有結合的に連結した一連のポリペプチド鎖(すなわち、ポリペプチド複合体)を含むとみなされるものとする。例えば、一連のポリペプチド鎖は、好適な化学結合又はジスルフィド結合を用いて共有結合的に連結することができる。非共有結合の例としては、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力及び疎水性相互作用が挙げられる。
「ポリペプチド」又は「ポリペプチド鎖」という用語は、ペプチド結合によって連結した一連の連続アミノ酸を意味することが前段落から理解される。
当業者は、「抗体」が概して、複数のポリペプチド鎖、例えば軽鎖可変領域(V)を含むポリペプチド及び重鎖可変領域(V)を含むポリペプチドで構成される可変領域を含むタンパク質であるとみなされることを認識している。抗体は概して、定常ドメインも含み、その幾つかは、重鎖の場合に定常フラグメント又は結晶化可能フラグメント(fragment crystallizable;Fc)を含む定常領域内に配置され得る。V及びVは相互作用して、1つ又は幾つかの密接に関連した抗原に特異的に結合することが可能な抗原結合領域を含むFvを形成する。概して、哺乳動物に由来する軽鎖はκ軽鎖又はλ軽鎖のいずれかであり、哺乳動物に由来する重鎖はα、δ、ε、γ、又はμである。抗体は、任意のタイプ(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えばIgG、IgG、IgG、IgG、IgA及びIgA)又はサブクラスであり得る。「抗体」という用語はヒト化抗体、霊長類化抗体、ヒト抗体、合成ヒト化抗体及びキメラ抗体も包含する。「抗体」という用語は、コード化C末端リシン残基を失っている変異体、脱アミド化変異体及び/又はグリコシル化変異体、及び/又は例えばタンパク質(例えば、抗体)のN末端にピログルタミン酸を含む変異体、及び/又はN末端残基、例えば抗体若しくはV領域中のN末端グルタミンを欠いた変異体、及び/又は分泌シグナルの全て若しくは一部を含む変異体も含む。コード化アスパラギン残基の脱アミド化変異体は、イソアスパラギン酸及びアスパラギン酸アイソフォーム、又は更には隣接アミノ酸残基を伴うスクシンアミドを生成する可能性がある。コード化グルタミン残基の脱アミド化変異体は、グルタミン酸を生じる可能性がある。特定のアミノ酸配列に言及される場合に、かかる配列及び変異体の不均一混合物を含む組成物が含まれることが意図される。
本開示において、「半抗体」という用語は、単一の抗体重鎖と単一の抗体軽鎖とを含むタンパク質を指す。「半抗体」という用語は、抗体軽鎖と抗体重鎖とを含み、抗体重鎖が別の抗体重鎖との会合を妨げるように突然変異したタンパク質も包含する。
「完全長抗体」、「無傷抗体」又は「完全抗体」という用語は、抗体の抗原結合フラグメントとは対照的に、実質的に無傷の形態の抗体を指すために区別なく使用される。具体的には、完全抗体は、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有するものを含む。定常ドメインは、野生型配列定常ドメイン(例えば、ヒト野生型配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異体であり得る。
本明細書で使用される場合、「可変領域」は、抗原に特異的に結合し、例えばCDR、すなわちCDR1、CDR2及びCDR3、並びにフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を含む、本明細書で規定される抗体の軽鎖及び/又は重鎖の部分を指す。例えば、可変領域は、3つのCDRと共に3つ又は4つのFR(例えばFR1、FR2、FR3及び任意にFR4)を含む。Vは、重鎖の可変領域を指す。Vは、軽鎖の可変領域を指す。
本明細書で使用される場合、「相補性決定領域」という用語(同義語:CDR、すなわちCDR1、CDR2及びCDR3)は、その存在が特異的抗原結合に大きく寄与する抗体可変領域のアミノ酸残基を指す。各々の可変領域は通例、CDR1、CDR2及びCDR3として特定される3つのCDR領域を有する。一例では、CDR及びFRに割り当てられるアミノ酸位置は、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest, National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1987 and 1991(本明細書で「Kabatナンバリングシステム」とも称される)に従って規定される。Kabatのナンバリングシステムに従うと、VのFR及びCDRは以下のように位置付けられる:残基1~30(FR1)、31~35(CDR1)、36~49(FR2)、50~65(CDR2)、66~94(FR3)、95~102(CDR3)及び103~113(FR4)。Kabatのナンバリングシステムに従うと、VのFR及びCDRは以下のように位置付けられる:残基1~23(FR1)、24~34(CDR1)、35~49(FR2)、50~56(CDR2)、57~88(FR3)、89~97(CDR3)及び98~107(FR4)。
「フレームワーク領域」(以下、FR)は、CDR残基以外の可変ドメイン残基である。
本明細書で使用される場合、「Fv」という用語は、複数のポリペプチドから構成されるか又は単一のポリペプチドから構成されるかを問わず、V及びVが会合し、抗原結合部位を有する、すなわち抗原に特異的に結合することが可能な複合体を形成する任意のタンパク質を意味するとみなされるものとする。抗原結合部位を形成するV及びVは、単一のポリペプチド鎖中にあっても又は異なるポリペプチド鎖中にあってもよい。さらに、本開示のFv(及び本開示の任意のタンパク質)は、同じ抗原に結合しても又は結合しなくてもよい複数の抗原結合部位を有し得る。この用語は、抗体に直接由来するフラグメント及び組み換え手段を用いて作製される、かかるフラグメントに対応するタンパク質を包含すると理解されるものとする。幾つかの例では、Vは重鎖定常ドメイン(C)1に連結せず、及び/又はVは軽鎖定常ドメイン(C)に連結しない。例示的なFv含有ポリペプチド又はタンパク質としては、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメント、scFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ若しくはより高次の複合体、又は定常領域若しくはそのドメイン、例えばC2若しくはC3ドメインに連結した上述のいずれか、例えばミニボディ(minibody)が挙げられる。「Fabフラグメント」は、抗体の一価抗原結合フラグメントからなり、無傷軽鎖と重鎖の一部分とからなるフラグメントを生じる、酵素パパインによる完全抗体の消化によって作製するか、又は組み換え手段を用いて作製することができる。抗体の「Fab’フラグメント」は、無傷軽鎖とV及び単一定常ドメインを含む重鎖の一部分とからなる分子が生じるように、完全抗体をペプシンで処理し、続いて還元することによって得ることができる。このように処理された抗体1つ当たり2つのFab’フラグメントが得られる。Fab’フラグメントは、組み換え手段によっても作製することができる。抗体の「F(ab’)2フラグメント」は、2つのジスルフィド結合によって結び付いた2つのFab’フラグメントの二量体からなり、完全抗体分子を酵素ペプシンで処理し、続いて還元せずに得られる。「Fab」フラグメントは、例えばロイシンジッパー又はC3ドメインを用いて連結された2つのFabフラグメントを含む組み換えフラグメントである。「一本鎖Fv」又は「scFv」は、軽鎖の可変領域及び重鎖の可変領域が好適な可動性ポリペプチドリンカーによって共有結合的に連結した、抗体の可変領域フラグメント(Fv)を含有する組み換え分子である。
本明細書で使用される「定常領域」という用語は、可変領域以外の抗体の重鎖又は軽鎖の一部分を指す。重鎖では、定常領域は概して、複数の定常ドメイン及びヒンジ領域を含み、例えばIgG定常領域は、以下の連結した構成要素を含む:定常重鎖(C)1、リンカー、C2及びC3。重鎖では、定常領域はFcを含む。軽鎖では、定常領域は概して、1つの定常ドメイン(C1)を含む。
「結晶化可能フラグメント」又は「Fc」又は「Fc領域」又は「Fc部分」という用語(本明細書で区別なく使用することができる)は、少なくとも1つの定常ドメインを含み、概して(必ずというわけではない)グリコシル化され、1つ以上のFc受容体及び/又は補体カスケードの構成要素に結合することが可能な抗体の領域を指す。重鎖定常領域は、5つのアイソタイプ:α、δ、ε、γ又はμのいずれかから選択することができる。さらに、様々なサブクラスの重鎖(重鎖のIgGサブクラス等)が異なるエフェクター機能に関与するため、所望の重鎖定常領域を選ぶことにより、所望のエフェクター機能を有するタンパク質を作製することができる。例示的な重鎖定常領域はγ1(IgG)、γ2(IgG)及びγ3(IgG)、又はそのハイブリッドである。
抗体の「抗原結合フラグメント」は、無傷抗体の1つ以上の可変領域を含む。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)及びFvフラグメント;ダイアボディ;線状抗体(linear antibodies);一本鎖抗体分子、半抗体及び抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられる。
「安定化IgG定常領域」という用語は、Fabアーム交換若しくはFabアーム交換を受ける傾向、又は半抗体の形成若しくは半抗体を形成する傾向が低減するように修飾されたIgG定常領域を意味すると理解される。「Fabアーム交換」は、IgG重鎖及び付着した軽鎖(半分子)が別のIgG分子からの重鎖-軽鎖対と交換される、ヒトIgGに対するタンパク質修飾のタイプを指す。これにより、IgG分子は、2つの異なる抗原を認識する2つの異なるFabアームを獲得し得る(二重特異性分子を生じる)。Fabアーム交換はin vivoで自然発生し、精製血液細胞又は還元型グルタチオン等の還元剤によってin vitroで誘導することができる。
本明細書で使用される場合、「単一特異性」という用語は、各々が同じエピトープ特異性を有する1つ以上の抗原結合部位を含む結合領域を指す。このため、単一特異性結合領域は、単一の抗原結合部位を含んでいてもよく(例えばFv、scFv、Fab等)、又は同じエピトープを認識する(例えば、互いに同一である)幾つかの抗原結合部位を含んでいてもよい(例えば、ダイアボディ又は抗体)。結合領域が「単一特異性」であることの要件は、複数の抗原が、単一の抗原結合部位が結合することができる共通した又は極めて同様のエピトープを有し得ることから、結合領域が1つの抗原のみに結合することを意味するものではない。1つの抗原のみに結合する単一特異性結合領域は、その抗原に「排他的に結合する」といわれる。
「多重特異性」という用語は、各々が異なるエピトープに結合する、例えば各々が異なる抗原に結合する2つ以上の抗原結合部位を含む結合領域を指す。例えば、多重特異性結合領域は、同じタンパク質(例えば、凝固因子)の2つ以上の異なるエピトープを認識するか、又は異なるタンパク質(すなわち、異なる凝固因子)の2つ以上の異なるエピトープを認識することができる抗原結合部位を含み得る。一例では、結合領域は「二重特異性」であってもよい、すなわち2つの異なるエピトープに特異的に結合する2つの抗原結合部位を含む。例えば、二重特異性結合領域は、同じタンパク質上の2つの異なるエピトープに特異的に結合するか又はそれに特異性を有する。別の例では、二重特異性結合領域は、2つの異なるタンパク質(例えば、第IX因子及び第X因子)上の2つの異なるエピトープに特異的に結合する。
本明細書で使用される場合、「疾患」、「障害」又は「病態」という用語は、正常機能の破壊又は干渉を指し、任意の特定の病態に限定されず、複数の疾患又は複数の障害を含む。
本明細書で使用される場合、「出血性病態」又は「出血性障害」という用語は、異常な血液凝固、例えば低下した若しくは不十分な血液凝固能、及び/又は異常出血(内部及び/又は外部)、例えば過度の出血が見られる病態を指す。
本明細書で使用される場合、疾患若しくは病態の発症、又はその再発(relapse thereof or relapsing)の「リスクがある」被験体は、本開示による治療の前に検出可能な疾患又は疾患の症状を有していても又は有していなくてもよく、検出可能な疾患又は疾患の症状を示していても又は示していなくてもよい。「リスクがある」とは、被験体が当該技術分野で既知の及び/又は本明細書に記載の疾患又は病態の発症と相関する測定可能なパラメーターである1つ以上のリスク因子を有することを表す。
本明細書で使用される場合、「治療する("treating", "treat")」又は「治療」という用語は、本明細書に記載のタンパク質を投与し、それにより指定の疾患若しくは病態の少なくとも1つの症状を軽減若しくは解消するか、又は疾患若しくは病態の進行を遅くすることを含む。
本明細書で使用される場合、「予防する("preventing", "prevent")」又は「予防」という用語は、個体における出血性疾患又は出血性疾患の症状の発生又は再発に対する予防法を与えることを含む。個体は、疾患の発症又は疾患の再発の素因を有するか又はそのリスクがある可能性があるが、未だ疾患又は再発とは診断されていない。
「有効量」は、少なくとも必要な投与量及び期間で所望の結果を達成するのに効果的な量を指す。例えば、所望の結果は治療的結果又は予防的結果であり得る。有効量は、1回以上の投与で与えることができる。本開示の幾つかの例では、「有効量」という用語は、上に記載される疾患又は病態の治療を達成するのに必要な量を意味する。本開示の幾つかの例では、「有効量」という用語は、上に記載される疾患又は病態と関連する因子の変化を達成するのに必要な量を意味する。例えば、有効量は、凝固レベルの変化を達成するのに十分であり得る。有効量は、治療すべき疾患若しくは病態、又は変化させるべき因子に応じて、更には体重、年齢、人種的背景、性別、健康及び/又は身体状態、並びに治療される哺乳動物に関連する他の因子に応じて変化し得る。通例、有効量は、医師による日常的な試験及び実験によって決定することができる比較的広い範囲(例えば、「投与量」範囲)に含まれる。したがって、この用語は、結合タンパク質の特定の量、例えば重量又は数に本開示を限定すると解釈すべきではない。有効量は、単回投与又は治療期間にわたる1回若しくは数回の反復投与で投与することができる。
「治療有効量」は、少なくとも特定の疾患又は病態の測定可能な改善を達成するのに必要とされる最低濃度である。本明細書の治療有効量は患者の病状、年齢、性別及び体重、並びに個体において所望の応答を引き起こす抗体又はその抗原結合フラグメントの能力等の因子に応じて変化し得る。治療有効量は、抗体又はその抗原結合フラグメントの任意の毒性作用又は有害作用を治療上有益な効果が上回る量でもある。一例では、治療有効量は、出血性障害又はその合併症の1つ以上の症状を軽減又は抑制するのに十分な膜標的化結合タンパク質の量を意味するとみなされるものとする。
本明細書で使用される場合、「予防有効量」という用語は、出血性障害又はその合併症の1つ以上の検出可能な症状の発現を予防する又は阻害する又は遅らせるのに十分な膜標的化結合タンパク質の量を意味するとみなされるものとする。
本明細書で使用される場合、「被験体」という用語はヒト、例えば哺乳動物を含む任意の動物を意味するとみなされるものとする。例示的な被験体としては、ヒト及び非ヒト霊長類が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、被験体はヒトである。
凝固因子
本開示は、少なくとも1つの凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質を提供する。
血液凝固は、幾つかの凝固因子の放出を伴う一連の段階を経て起こり、最終的に不溶性フィブリンを含有する血餅の形成が生じる。例示的な凝固因子としては、第I因子(フィブリノゲン)、第II因子(プロトロンビン/トロンビン)、第III因子(組織因子)、第V因子(不安定因子)、第VII因子(プロコンバーチン)、第VIII因子(抗血友病因子)、第IX因子(クリスマス因子)、第X因子(スチュアート-プロワー因子)、第XI因子(血漿トロンボプラスチン前駆物質)、第XII因子(ハーゲマン(接触)因子)及び第XIII因子(フィブリン安定化因子/プレカリクレイン(フレッチャー)因子/HMWK(フィッツジェラルド)因子)が挙げられるが、これらに限定されない。
一例では、本開示は、凝固因子に特異的に結合する第1の結合領域を含む膜標的化結合タンパク質を提供する。
一例では、凝固因子は第VIII因子である。限定ではなく、命名のみを目的として、ヒト第VIII因子の例示的な配列は、NCBI Ref Seq ID NP_000123、タンパク質アクセッション番号NM_000132.3及び配列番号21に提示される。
一例では、凝固因子は第IX因子である。限定ではなく、命名のみを目的として、ヒト第IX因子の例示的な配列は、GenBank ID AAA98726.1及び配列番号22に提示される。
一例では、凝固因子は第X因子である。限定ではなく、命名のみを目的として、ヒト第X因子の例示的な配列は、Gene ID:2159及び配列番号23に提示される。
限定ではなく、命名のみを目的として、ヒト第I因子の例示的な配列は、NCBI Ref Seq ID NM_000508(α鎖)及びNM_005141(β鎖)に提示され、ヒト第II因子の例示的な配列は、Ref Seq ID NM_000506に提示され、ヒト第III因子の例示的な配列は、Ref Seq ID NM_001993に提示され、ヒト第V因子の例示的な配列は、Ref Seq ID NM_000130に提示され、ヒト第VII因子の例示的な配列は、Ref Seq ID NM_00131に提示され、ヒト第XI因子の例示的な配列は、Ref Seq ID NM_000128に提示され、ヒト第XII因子の例示的な配列は、Ref Seq ID NM_000505に提示され、ヒト第XIII因子の例示的な配列は、Ref Seq ID NM_000129(A鎖)及びNM_001994(B鎖)に提示される。
凝固因子の付加的な配列は、本明細書で及び/又は一般に公開されているデータベースに提示される配列を用いて決定することができ、及び/又は標準的な技法(例えば、Ausubel et al., (editors), Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience (1988)(現在までの全ての改訂版を含む)又はSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)に記載される)を用いて決定することができる。
本開示の膜標的化結合タンパク質は、凝固因子の組み換え形態にも結合することができる。
本開示の膜標的化結合タンパク質は、凝固因子の修飾形態にも結合することができる。凝固因子の修飾形態は当該技術分野で既知であり、例えばMorfini and Zanon Expert Opinion on Emerging Drugs, 21: 301-313, 2016又はPeyvandi et al., Journal of Thrombosis and Haemostasis, 11: 84-98, 2013に記載されている。凝固因子の例示的な修飾形態としては、切断型タンパク質、PEG化タンパク質、糖PEG化(glycopegylated)タンパク質、Fc融合タンパク質、アルブミン融合タンパク質、アルブミン抱合体、一本鎖タンパク質及びかかる修飾物の混合物が挙げられる。第VIII因子の修飾形態としては、Bドメイン欠失形態、PEG化形態、Fc融合形態、一本鎖形態、及びそれらの混合物、例えばツロクトコグアルファ、ツロクトコグアルファペゴル、シモクトコグ(Simoctocog)アルファ、ダモクトコグアルファペゴル、オクトコグアルファペゴル、イオノクトコグ(Ionoctocog)アルファ又はエフラロクトコグアルファが挙げられる。第IX因子の修飾形態としては、PEG化形態、Fc融合形態及びアルブミン融合、例えばアルブトレペノナコグアルファ、エフトレノナコグアルファ又はノナコグベータペゴルが挙げられる。
凝固因子の修飾形態に結合する本開示の膜標的化結合タンパク質は、凝固因子の内生形態及び/又は凝固因子の非修飾組み換え形態にも結合することができる。
結合タンパク質
本明細書で論考されるように、本開示の結合タンパク質は様々な形態をとることができ、1つ以上の結合領域を含む。本開示の例示的な結合タンパク質は、血液凝固因子に特異的に結合する第1の結合領域と、哺乳動物細胞の原形質膜の構成要素に特異的に結合する第2の結合領域とを含む。通例、本開示の第1の結合領域は、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。例示的な結合タンパク質及び結合領域は、本明細書で論考されている。
抗体
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質は、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
免疫化に基づく方法
抗体を生成する方法は当該技術分野で既知であり、及び/又はHarlow and Lane (editors) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, (1988)に記載されている。概して、かかる方法では、タンパク質、又はその免疫原性フラグメント若しくはエピトープ、又はそれを発現及び提示する細胞(すなわち、免疫原)を、任意の好適な又は所望の担体、アジュバント又は薬学的に許容可能な賦形剤と任意に配合し、非ヒト動物、例えばマウス、ニワトリ、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ウマ、ウシ、ヤギ又はブタに投与する。免疫原は鼻腔内に、筋肉内に、皮下に、静脈内に、皮内に、腹腔内に、又は他の既知の経路によって投与することができる。
ポリクローナル抗体の産生は、免疫化後の様々な時点で免疫化動物の血液をサンプリングすることによってモニタリングすることができる。所望の抗体力価を達成するのに必要な場合に、1回以上の更なる免疫化を行ってもよい。追加免疫(boosting)及び力価測定(titering)のプロセスを好適な力価が達成されるまで繰り返す。所望のレベルの免疫原性が得られた時点で、免疫化動物の採血を行い(bled)、血清を単離及び保管し、及び/又は動物をモノクローナル抗体(Mab)の生成に用いる。
モノクローナル抗体は、本開示により企図される抗体の例示的な一形態である。「モノクローナル抗体」又は「mAb」という用語は、同じ抗原(複数の場合もある)、例えば抗原内の同じエピトープに結合することが可能である均一な抗体集団を指す。この用語は、抗体の供給源又は抗体を作製する方法に関して限定されることを意図したものではない。
mAbの作製については、例えば米国特許第4196265号又はHarlow and Lane (1988)(上掲)において例示される手順のような多数の既知の技法のいずれか1つを用いることができる。
例えば、好適な動物を、抗体産生細胞を刺激するのに十分な条件下において免疫原で免疫化する。ウサギ、マウス及びラット等の齧歯動物が例示的な動物である。ヒト免疫グロブリンタンパク質を発現し、例えばネズミ科免疫グロブリンタンパク質を発現しないように遺伝子操作されたマウスを、本開示の抗体の生成に用いることもできる(例えば、国際公開第2002066630号に記載される)。
免疫化に続いて、抗体を産生する可能性がある体細胞、例えばBリンパ球(B細胞)を、MAb生成プロトコルに使用するために選択する。これらの細胞は脾臓、扁桃腺若しくはリンパ節の生検試料、又は末梢血サンプルから得ることができる。次いで、免疫化動物に由来するB細胞を、概して免疫原で免疫化した動物と同じ種に由来する不死化骨髄腫細胞の細胞と融合させる。
ハイブリッドを、組織培養培地中でのヌクレオチドのデノボ合成を阻止する作用物質を含む選択培地中での培養によって増幅する。例示的な作用物質はアミノプテリン、メトトレキサート及びアザセリンである。
増幅したハイブリドーマを、例えばフローサイトメトリー及び/又は免疫組織化学検査及び/又は免疫測定(例えば放射免疫測定、酵素免疫測定、細胞毒性アッセイ、プラークアッセイ、ドット免疫測定(dot immunoassay)等)による抗体特異性及び/又は力価についての機能的選択に供する。
代替的には、ABL-MYC技術(NeoClone,Madison WI 53713,USA)を用いて、MAbを分泌する細胞株を作製する(例えば、Largaespada et al, J. Immunol. Methods. 197: 85-95, 1996に記載される)。
ライブラリーに基づく方法
本開示は、抗体又はその抗原結合フラグメント(例えば、その可変領域を含む)のライブラリーのスクリーニングも包含する。
本開示によって企図されるライブラリーの例としては、ナイーブライブラリー(チャレンジしていない(unchallenged)被験体に由来する)、免疫化ライブラリー(抗原で免疫化した被験体に由来する)又は合成ライブラリーが挙げられる。抗体又はその領域(例えば、可変領域)をコードする核酸を、従来の技法(例えば、Sambrook and Russell, eds, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Ed, vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001に開示される)によってクローニングし、当該技術分野で既知の方法を用いてタンパク質をコード及び提示させる。タンパク質のライブラリーを作製する他の技法は、例えば米国特許第6300064号(例えば、Morphosys AGのHuCALライブラリー)、米国特許第5885793号、米国特許第6204023号、米国特許第6291158号又は米国特許第6248516号に記載されている。
本開示による抗原結合フラグメントは、可溶性分泌タンパク質であってもよく、又は細胞若しくは粒子(例えば、ファージ若しくは他のウイルス、リボソーム又は胞子)の表面上に融合タンパク質として提示されてもよい。様々なディスプレイライブラリーフォーマットが当該技術分野で既知である。例えば、ライブラリーは、in vitroディスプレイライブラリー(例えば、リボソームディスプレイライブラリー、共有結合ディスプレイライブラリー又はmRNAディスプレイライブラリー、例えば米国特許第7270969号に記載される)である。また別の例では、ディスプレイライブラリーは、例えば米国特許第6300064号、米国特許第5885793号、米国特許第6204023号、米国特許第6291158号又は米国特許第6248516号に記載されるような抗体の抗原結合フラグメントを含むタンパク質がファージ上に発現されるファージディスプレイライブラリーである。他のファージディスプレイ方法が当該技術分野で既知であり、本開示によって企図される。同様に、細胞ディスプレイの方法、例えば細菌ディスプレイライブラリー(例えば、米国特許第5516637号に記載される)、酵母ディスプレイライブラリー(例えば、米国特許第6423538号に記載される)、又は哺乳動物ディスプレイライブラリーが本開示によって企図される。
ディスプレイライブラリーをスクリーニングする方法は、当該技術分野で既知である。一例では、本開示のディスプレイライブラリーは、例えばScopes (In: Protein purification: principles and practice, Third Edition, Springer Verlag, 1994)に記載されるようなアフィニティー精製を用いてスクリーニングされる。アフィニティー精製の方法は通例、ライブラリーによって提示される抗原結合フラグメントを含むタンパク質を標的抗原(例えば、IL-3Rα)と接触させ、続いて洗浄し、抗原に結合したままであるドメインを溶出させることを含む。
スクリーニングによって特定された任意の可変領域又はscFvは、必要に応じて容易に完全抗体へと修飾する。可変領域又はscFvを完全抗体へと修飾又は再フォーマットする例示的な方法は、例えばJones et al., J Immunol Methods. 354:85-90, 2010、又はJostock et al., J Immunol Methods, 289: 65-80, 2004、又は国際公開第2012040793号に記載されている。代替的又は付加的には、例えばAusubel et al (In: Current Protocols in Molecular Biology. Wiley Interscience, ISBN 047 150338, 1987)、及び/又はSambrook et al (In: Molecular Cloning: Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories, New York, Third Edition 2001)に記載されるような標準的なクローニング方法が用いられる。
脱免疫化、キメラ、ヒト化、合成ヒト化、霊長類化及びヒト抗体又は抗原結合フラグメント
本開示の抗体又は抗原結合フラグメントは、ヒト化であってもよい。
「ヒト化抗体」という用語は、ヒト抗体のFRにグラフト化又は挿入された、非ヒト種(例えば、マウス又はラット又は非ヒト霊長類)に由来する抗体のCDRを含むヒト様可変領域を含むタンパク質を指すと理解されるものとする(このタイプの抗体は、「CDRグラフト化抗体」とも称される)。ヒト化抗体には、ヒトタンパク質の1つ以上の残基が1つ以上のアミノ酸置換によって修飾され、及び/又はヒト抗体の1つ以上のFR残基が対応する非ヒト残基に置き換えられた抗体も含まれる。ヒト化抗体は、ヒト抗体中にも又は非ヒト抗体中にも見られない残基を含んでいてもよい。抗体の任意の付加的な領域(例えば、Fc領域)は概して、ヒトである。ヒト化は、当該技術分野で既知の方法を用いて行うことができる(例えば米国特許第5225539号、米国特許第6054297号、米国特許第7566771号又は米国特許第5585089号)。「ヒト化抗体」という用語は、例えば米国特許第7732578号に記載されるようなスーパーヒト化抗体も包含する。同様の意味が「ヒト化抗原結合フラグメント」という用語に適用されるとみなされる。
本開示の抗体又はその抗原結合フラグメントは、ヒト抗体又はその抗原結合フラグメントであってもよい。本明細書で使用される「ヒト抗体」という用語はヒト、例えばヒト生殖系列細胞若しくは体細胞中に見られる可変抗体領域及び任意に定常抗体領域を有するか、又はかかる領域を用いて作製されたライブラリーからの抗体を指す。「ヒト」抗体は、ヒト配列によってコードされないアミノ酸残基、例えばin vitroでランダム突然変異又は部位特異的突然変異によって導入された突然変異(特に、保存的置換を伴う突然変異、又はタンパク質の少数の残基、例えばタンパク質の1つ、2つ、3つ、4つ若しくは5つの残基中の突然変異)を含んでいてもよい。これらの「ヒト抗体」は、必ずしもヒトの免疫応答の結果として生成される必要はなく、むしろ組み換え手段(例えば、ファージディスプレイライブラリーのスクリーニング)を用いて、及び/又はヒト抗体定常領域及び/又は可変領域をコードする核酸を含むトランスジェニック動物(例えば、マウス)によって、及び/又はガイド選択(guided selection)(例えば、米国特許第5565332号に記載される)を用いて生成することができる。この用語は、かかる抗体の親和性成熟形態も包含する。本開示の目的上、ヒト抗体は、例えば米国特許第6300064号及び/又は米国特許第6248516号に記載されるように、ヒト抗体のFR又はヒトFRのコンセンサス配列の配列を含むFRを含み、CDRの1つ以上がランダム又はセミランダムであるタンパク質を含むとも考えられる。同様の意味が「ヒト抗原結合フラグメント」という用語に適用されるとみなされる。
本開示の抗体又はその抗原結合フラグメントは、合成ヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントであってもよい。「合成ヒト化抗体」という用語は、国際公開第2007019620号に記載される方法によって調製された抗体を指す。合成ヒト化抗体は抗体の可変領域を含み、該可変領域は新世界霊長類抗体可変領域のFRと、非新世界霊長類抗体可変領域のCDRとを含む。
本開示の抗体又はその抗原結合フラグメントは、霊長類化していてもよい。「霊長類化抗体」は、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル(cynomolgus macaque))の免疫化により生成された抗体の可変領域(複数の場合もある)を含む。任意に、非ヒト霊長類抗体の可変領域をヒト定常領域に連結して、霊長類化抗体を作製する。霊長類化抗体を作製する例示的な方法は、米国特許第6113898号に記載されている。
一例では、本開示の抗体又はその抗原結合フラグメントは、キメラ抗体又はフラグメントである。「キメラ抗体」又は「キメラ抗原結合フラグメント」という用語は、可変ドメインの1つ以上が特定の種(例えば、マウス又はラット等のネズミ科)に由来するか、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属し、抗体又はフラグメントの残りが別の種(例えば、ヒト又は非ヒト霊長類等)に由来するか、又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体又はフラグメントを指す。一例では、キメラ抗体は非ヒト抗体(例えば、ネズミ科抗体)のV及び/又はVを含み、抗体の残りの領域がヒト抗体に由来する。かかるキメラ抗体及びその抗原結合フラグメントの作製は当該技術分野で既知であり、標準的な手段(例えば米国特許第6331415号、米国特許第5807715号、米国特許第4816567号及び米国特許第4816397号に記載される)によって達成することができる。
本開示は、国際公開第2000034317号及び国際公開第2004108158号に記載される脱免疫化抗体又はその抗原結合フラグメントも企図する。脱免疫化抗体及びフラグメントでは、1つ以上のエピトープ、例えばB細胞エピトープ又はT細胞エピトープを除去し(すなわち、突然変異させ)、それにより被験体が抗体又はタンパク質に対する免疫応答を生じる可能性を低減する。例えば、本開示の抗体を分析して、1つ以上のB細胞エピトープ又はT細胞エピトープを特定し、エピトープ内の1つ以上のアミノ酸残基を突然変異させることにより、抗体の免疫原性を低減する。
二重特異性抗体
本開示の抗体又は抗原結合フラグメントは、二重特異性抗体又はそのフラグメントであってもよい。例えば、抗体又はフラグメントは、2つ以上の血液凝固因子に結合することができる。別の例では、二重特異性抗体又はフラグメントは血液凝固因子と、哺乳動物細胞の原形質膜の構成要素とに結合することができる。二重特異性抗体は、異なる抗原又はエピトープに対する特異性を有する2つのタイプの抗体又は抗体フラグメント(例えば、2つの半抗体)を含む分子である。例示的な二重特異性抗体は、同じタンパク質の2つの異なるエピトープに結合する。代替的には、二重特異性抗体は、2つの異なるタンパク質上の2つの異なるエピトープに結合する。
例示的な「キー及びホール」又は「ノブ及びホール」二重特異性タンパク質は、米国特許第5731168号に記載されている。一例では、定常領域(例えば、IgG定常領域)はT366W突然変異(すなわち、ノブ)を含み、定常領域(例えば、IgG定常領域)はT366S、L368A及びY407V突然変異(すなわち、ホール)を含む。別の例では、第1の定常領域はT350V、T366L、K392L及びT394W突然変異(ノブ)を含み、第2の定常領域はT350V、L351Y、F405A及びY407V突然変異(ホール)を含む。
二重特異性抗体を生成する方法は当該技術分野で既知であり、例示的な方法が本明細書に記載される。
一例では、IgG型二重特異性抗体は、IgG抗体を産生する2つのタイプのハイブリドーマを融合することによって形成されたハイブリッドハイブリドーマ(クアドローマ)によって分泌される(Milstein C et al., Nature 1983, 305: 537-540)。別の例では、抗体は、対象の2つのIgGを構成するL鎖及びH鎖の遺伝子を細胞に導入し、同時発現させることによって分泌させることができる(Ridgway, JB et al. Protein Engineering 1996, 9: 617-621、Merchant, AM et al. Nature Biotechnology 1998, 16: 677-681)。
一例では、二重特異性抗体フラグメントは、異なる抗体に由来するFabを化学的に架橋することによって作製される(Keler T et al. Cancer Research 1997, 57: 4008-4014)。
一例では、Fos及びJun等に由来するロイシンジッパーを用いて二重特異性抗体フラグメントを形成する(Kostelny SA et al. J. of Immunology, 1992, 148: 1547-53)。
一例では、二重特異性抗体フラグメントは、2つの交差(crossover)scFvフラグメントを含むダイアボディの形態で作製される(Holliger P et al. Proc. of the National Academy of Sciences of the USA 1993, 90: 6444-6448)。
2つ以上の血液凝固因子と哺乳動物細胞の原形質膜の構成要素とに結合する多重特異性タンパク質、例えば三重特異性分子を作製することもできる。
抗体フラグメント
単一ドメイン抗体
幾つかの例では、本開示の抗体の抗原結合フラグメントは、単一ドメイン抗体(「ドメイン抗体」又は「dAb」という用語と区別なく使用される)であるか又はそれを含む。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全て又は一部分を含む単一のポリペプチド鎖である。
ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ
幾つかの例では、本開示の抗原結合フラグメントは、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、又は国際公開第98/044001号及び/又は国際公開第94/007921号に記載されるようなより高次のタンパク質複合体であるか又はそれらを含む。
例えば、ダイアボディは、2つの会合したポリペプチド鎖を含み、各ポリペプチド鎖が構造V-X-V又はV-X-V(ここで、Xは、単一のポリペプチド鎖中のV及びVが会合する(又はFvを形成する)のを可能にするには不十分な残基を含むリンカーであるか、又は存在しない)を含み、一方のポリペプチド鎖のVが他方のポリペプチド鎖のVに結合して抗原結合部位を形成する、すなわち1つ以上の抗原に特異的に結合することが可能なFv分子を形成するタンパク質である。V及びVは各ポリペプチド鎖中で同じであっても、又はV及びVは、二重特異性ダイアボディ(すなわち、異なる特異性を有する2つのFvを含む)を形成するように、各ポリペプチド鎖中で異なっていてもよい。
一本鎖Fv(scFv)フラグメント
当業者は、scFvが単一のポリペプチド鎖中のV及びV領域と、scFvが抗原結合について所望される構造を形成する(すなわち、単一のポリペプチド鎖のV及びVが互いに会合してFvを形成する)のを可能にするVとVとの間のポリペプチドリンカーとを含むことを認識している。例えば、リンカーは、12個を超えるアミノ酸残基を含み、(GlySer)がscFvについてより好まれるリンカーの1つである。
一例では、リンカーは配列SGGGGSGGGGSGGGGSを含む。
本開示は、単一のシステイン残基がVのFR及びVのFRに導入され、システイン残基がジスルフィド結合によって連結して、安定したFvが得られるジスルフィド安定化Fv(すなわちdiFv又はdsFv)も企図する。
代替的又は付加的には、本開示は二量体scFv、すなわち非共有結合性又は共有結合性連結によって、例えばロイシンジッパードメイン(例えば、Fos又はJunに由来する)によって連結した2つのscFv分子を含むタンパク質を包含する。代替的には、例えば米国特許出願公開第20060263367号に記載されるように、2つのscFvは、両方のscFvが形成され、抗原に結合するのに十分な長さのペプチドリンカーによって連結する。
半抗体
幾つかの例では、本開示の抗原結合フラグメントは半抗体又は半分子である。当業者は、半抗体が単一の重鎖と単一の軽鎖とを含むタンパク質を指すことを認識している。「半抗体」という用語は、抗体軽鎖及び抗体重鎖を含み、抗体重鎖が別の抗体重鎖との会合を妨げるように突然変異したタンパク質も包含する。一例では、抗体が解離して、各々が単一の重鎖及び単一の軽鎖を含有する2つの分子を形成する場合に半抗体が形成される。
半抗体を生成する方法は当該技術分野で既知であり、例示的な方法が本明細書に記載される。
一例では、半抗体は、対象のIgGを構成する単一の重鎖及び単一の軽鎖の遺伝子を細胞に導入し、発現させることによって分泌させることができる。一例では、定常領域(例えば、IgG定常領域)は、ヘテロ二量体形成を妨げるために「キー又はホール」(又は「ノブ又はホール」)突然変異を含む。一例では、定常領域(例えば、IgG定常領域)はT366W突然変異(すなわち、ノブ)を含む。別の例では、定常領域(例えば、IgG定常領域)はT366S、L368A及びY407V突然変異(すなわち、ホール)を含む。別の例では、定常領域はT350V、T366L、K392L及びT394W突然変異(ノブ)を含む。別の例では、定常領域はT350V、L351Y、F405A及びY407V突然変異(ホール)を含む。例示的な定常領域アミノ酸置換は、EUナンバリングシステムに従ってナンバリングされる。
他の抗体及び抗体フラグメント
本開示は、
(i)例えば米国特許第5837821号に記載されるミニボディ、
(ii)例えば米国特許第4676980号に記載されるヘテロ共役タンパク質、
(iii)例えば米国特許第4676980号に記載される化学架橋剤を用いて作製されるヘテロ共役タンパク質、及び、
(iv)Fab(例えば、欧州特許第19930302894号に記載される)等の他の抗体及び抗体フラグメントも企図する。
安定化タンパク質
本開示の結合タンパク質は、IgG4定常領域又は安定化IgG4定常領域を含んでいてもよい。「安定化IgG4定常領域」という用語は、Fabアーム交換若しくはFabアーム交換を受ける傾向、又は半抗体の形成若しくは半抗体を形成する傾向が低減するように修飾されたIgG4定常領域を意味すると理解される。「Fabアーム交換」は、IgG4重鎖及び付着した軽鎖(半分子)が別のIgG4分子からの重鎖-軽鎖対と交換される、ヒトIgG4に対するタンパク質修飾のタイプを指す。これにより、IgG4分子は、2つの異なる抗原を認識する2つの異なるFabアームを獲得し得る(二重特異性分子を生じる)。Fabアーム交換はin vivoで自然発生し、精製血液細胞又は還元型グルタチオン等の還元剤によってin vitroで誘導することができる。
一例では、安定化IgG4定常領域は、Kabatのシステム(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest Washington DC United States Department of Health and Human Services, 1987 and/or 1991)に従うヒンジ領域の241位にプロリンを含む。この位置は、EUナンバリングシステム(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest Washington DC United States Department of Health and Human Services, 2001及びEdelman et al., Proc. Natl. Acad. USA, 63, 78-85, 1969)に従うヒンジ領域の228位に相当する。ヒトIgG4では、この残基は概して、セリンである。セリンによるプロリンの置換後に、IgG4ヒンジ領域は配列CPPCを有する。この点で、当業者は、「ヒンジ領域」が抗体の2つのFabアームに可動性を与える、Fc領域とFab領域とを連結する抗体重鎖定常領域のプロリンリッチ部分であることを認識している。ヒンジ領域は、重鎖間ジスルフィド結合に関与するシステイン残基を含む。ヒンジ領域は概して、Kabatのナンバリングシステムに従うと、ヒトIgG1のGlu226からPro243までのストレッチ(stretching)と規定される。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、重鎖間ジスルフィド(S-S)結合を形成する最初及び最後のシステイン残基を同じ位置に配置することによってIgG1配列とアラインメントすることができる(例えば国際公開第2010080538号を参照されたい)。
免疫グロブリン及び免疫グロブリンフラグメント
本開示の結合タンパク質の一例は、T細胞受容体又は重鎖免疫グロブリン(例えばIgNAR、ラクダ科動物抗体)等の免疫グロブリンの可変領域を含むタンパク質である。
重鎖免疫グロブリン
重鎖免疫グロブリンは、重鎖を含み、軽鎖を含まないという点で多くの他の形態の免疫グロブリン(例えば、抗体)とは構造的に異なる。したがって、これらの免疫グロブリンは「重鎖のみの抗体」とも称される。重鎖免疫グロブリンは、例えばラクダ科動物及び軟骨魚類(IgNARとも呼ばれる)に見られる。
自然発生重鎖免疫グロブリン中に存在する可変領域は概して、従来の4鎖抗体中に存在する重鎖可変領域(「Vドメイン」とも称される)及び従来の4鎖抗体中に存在する軽鎖可変領域(「Vドメイン」とも称される)との区別のために、ラクダ科動物Igでは「VHHドメイン」、IgNARではV-NARと称される。
重鎖免疫グロブリンは、関連抗原と高い親和性及び高い特異性で結合するために軽鎖の存在を必要としない。このことは、単一ドメイン結合フラグメントが、発現が容易であり、概して安定し、可溶性である重鎖免疫グロブリンに由来し得ることを意味する。
ラクダ科動物に由来する重鎖免疫グロブリン及びその可変領域、並びにその作製及び/又は単離及び/又は使用方法の概要は、特に以下の参照文献:国際公開第94/04678号、国際公開第97/49805号及び国際公開第97/49805号に見られる。
軟骨魚類に由来する重鎖免疫グロブリン及びその可変領域、並びにその作製及び/又は単離及び/又は使用方法の概要は、特に国際公開第2005118629号に見られる。
V様タンパク質
一例では、本開示の結合タンパク質はT細胞受容体を含む。T細胞受容体は、抗体のFvモジュールと同様の構造へと組み合わされる2つのVドメインを有する。Novotny et al., Proc Natl Acad Sci USA 88: 8646-8650, 1991には、T細胞受容体の2つのVドメイン(α及びβと称される)を一本鎖ポリペプチドとして融合させ、発現させることができる方法、及び更には、まさに抗体scFvのように表面残基を変化させ、疎水性を低下させる方法が記載されている。一本鎖T細胞受容体、又は2つのV-αドメイン及びV-βドメインを含む多量体T細胞受容体の作製を記載している他の文献としては、国際公開第1999045110号又は国際公開第2011107595号が挙げられる。
抗原結合ドメインを含む他の非抗体タンパク質には、概して単量体であるV様ドメインを有するタンパク質が含まれる。かかるV様ドメインを含むタンパク質の例としては、CTLA-4、CD28及びICOSが挙げられる。かかるV様ドメインを含むタンパク質の更なる開示は、国際公開第1999045110号に含まれる。
アドネクチン(Adnectin)
一例では、本開示の結合タンパク質はアドネクチンを含む。アドネクチンは、抗原結合をもたらすようにループ領域を変化させたヒトフィブロネクチンの10番目のフィブロネクチンIII型(10Fn3)ドメインをベースとする。例えば、10Fn3ドメインのβサンドイッチの一方の端の3つのループを、アドネクチンが抗原を特異的に認識するように改変することができる。更なる詳細については、米国特許出願公開第20080139791号又は国際公開第2005056764号を参照されたい。
アンチカリン(Anticalin)
更なる例では、本開示の結合タンパク質はアンチカリンを含む。アンチカリンはステロイド、ビリン、レチノイド及び脂質等の小さな疎水性分子を輸送する細胞外タンパク質のファミリーであるリポカリンに由来する。リポカリンは、抗原に結合するように改変することができる円錐構造の開口端に複数のループを有する剛性βシート二次構造を有する。かかる改変リポカリンは、アンチカリンとして知られる。アンチカリンの更なる説明については、米国特許第7250297号又は米国特許出願公開第20070224633号を参照されたい。
アフィボディ(Affibodies)
更なる例では、本開示の結合タンパク質はアフィボディを含む。アフィボディは、抗原に結合するように改変することができる黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のプロテインAのZドメイン(抗原結合ドメイン)に由来するスキャフォールドである。Zドメインは、およそ58アミノ酸の三重ヘリックス束(three-helical bundle)からなる。ライブラリーは、表面残基のランダム化によって生成された。更なる詳細については、欧州特許第1641818号を参照されたい。
アビマー
更なる例では、本開示の結合タンパク質はアビマーを含む。アビマーは、Aドメインスキャフォールドファミリーに由来するマルチドメインタンパク質である。およそ35アミノ酸の未変性ドメインが規定のジスルフィド結合構造を取る。Aドメインのファミリーが示す自然変異のシャッフリングによって多様性が生じる。更なる詳細については、国際公開第2002088171号を参照されたい。
DARPin
更なる例では、本開示の結合タンパク質は、設計アンキリンリピートタンパク質(Designed Ankyrin Repeat Protein;DARPin)を含む。DARPinは、細胞骨格への内在性膜タンパク質の付着を媒介するタンパク質のファミリーであるアンキリンに由来する。単一のアンキリンリピートは、2つのαヘリックス及びβターンからなる33残基モチーフである。DARPinは、各リピートの最初のαヘリックス及びβターンの残基をランダム化することによって異なる標的抗原に結合するように改変することができる。それらの結合界面は、モジュールの数を増加することによって増大することができる(親和性成熟の方法)。更なる詳細については、米国特許出願公開第20040132028号を参照されたい。
アネキシン
一例では、本開示の結合タンパク質はアネキシンを含む。
リポコルチンとしても知られるアネキシンは、負に帯電したリン脂質、特にホスファチジルセリン(PS)を露出する膜にCa2+依存的に結合する可溶性タンパク質のファミリーを形成する。アネキシンは、高度に保存された70アミノ酸ドメインの4回(例外的には8回)のリピートと、それらの機能的特異性に関与すると推定される可変アミノ(N)末端ドメインとから形成される。アネキシンは、細胞の形状の変化に関連する膜スキャフォールドの提供等の様々な細胞過程及び生理的過程に重要である。アネキシンは、ベシクルの輸送及び組織化、エキソサイトーシス、エンドサイトーシス、並びに更にはカルシウムイオンチャネル形成に関与することも示されている。
アネキシン種II、V及びXIは、細胞膜内に位置することが知られている。アネキシンA5は、最も豊富な膜結合アネキシンスキャフォールドである。アネキシンA5は、膜のホスファチジルセリン単位に結合することで2次元ネットワークを形成することができる。アネキシンA5は、エンドサイトーシス及びエキソサイトーシス、並びに他の細胞膜プロセス中に細胞形状の変化を安定化させるのに効果的である。
アネキシン種I(又はアネキシンA1)は、原形質膜の細胞質側表面上に優先的に位置し、膜のホスファチジルセリン単位に結合する。アネキシンA1は、活性化膜上に2次元ネットワークを形成しない。
一例では、アネキシン種は、アネキシン誘導体又はその変異体である。アネキシン誘導体又はその変異体は当該技術分野で既知であり、例示的な誘導体又は変異体が本明細書に開示される。例としては、アネキシン変異体/誘導体は国際公開第199219279号、国際公開第2002067857号、国際公開第2007069895号、国際公開第2010140886号、国際公開第2012126157号、Schutters et al., Cell Death and Differentiation 20: 49-56, 2013、又はUngethuem et al., J Biol Chem., 286(3):1903-10, 2011に開示されている。
例えば、アネキシン誘導体は切断型であり、例えば1つ以上のドメイン若しくは未変性タンパク質よりも少ないアミノ酸残基を含んでいてもよく、又は置換アミノ酸を含有していてもよい。一例では、アネキシン誘導体は切断型アネキシン1である。例えば、切断型アネキシン1は、N末端自己切断部位を含まない(例えば、41個のN末端アミノ酸が欠失している)。一例では、修飾アネキシンは、X-Gly-X(ここで、X及びXはGly及びCysから選択される)等のアミノ酸伸長を含むN末端キレート化部位を有し得る。一例では、アネキシン誘導体又は修飾アネキシンは、ホスファチジルセリンに結合する。一例では、アネキシン誘導体又は修飾アネキシンは、野生型アネキシンと同様のレベルでホスファチジルセリンに結合する。例えば、アネキシン誘導体又は修飾アネキシンは、野生型アネキシンと同じレベルでホスファチジルセリンに結合する。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質は、アネキシンA5である第2の結合領域を含む。別の例では、本開示の膜標的化結合タンパク質は、アネキシンA1である第2の結合領域を含む。一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質は、各重鎖が原形質膜上の構成要素に結合するアネキシンに連結した抗体又はその一部を含む。例えば、膜標的化結合タンパク質は、各々がアネキシンA5又はアネキシンA1等のアネキシンに連結した2つの重鎖を含む完全長抗体を含む。別の例では、本開示の膜標的化結合タンパク質は、アネキシンA5又はアネキシンA1等のアネキシンを含む結合領域に連結した単一の重鎖を含む半抗体である。限定ではなく、命名のみを目的として、アネキシンA5のアミノ酸配列は遺伝子アクセッション番号308、NCBI参照配列NP_001145及び/又は配列番号14に教示される。一例では、アネキシンは、アネキシンA5配列と少なくとも約90%又は95%同一の配列を有する。一例では、アネキシンは、配列番号26に規定される配列を含むアネキシン変異体である。限定ではなく、命名のみを目的として、アネキシンA1のアミノ酸配列は、NCBI参照配列NP_000691.1及び/又は配列番号29に教示される。一例では、アネキシンは、アネキシンA1配列と少なくとも約90%又は95%同一の配列を有する。一例では、アネキシンは、配列番号30に規定される配列を含む切断型アネキシンA1配列である。
γ-カルボキシグルタミン酸リッチ(GLA)ドメイン
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質は、γ-カルボキシグルタミン酸リッチ(GLA)ドメイン又はその変異体を含む。
GLAドメインは、γ-カルボキシグルタミン酸(Gla)を形成するようにビタミンK依存性カルボキシル化によって翻訳後修飾されたグルタミン酸残基を含有する。
GLAドメインを含むことが知られるタンパク質は当該技術分野で既知であり、ビタミンK依存性プロテインS及びZ、プロトロンビン、トランスチレチン、オステオカルシン、マトリックスGLAタンパク質、インターαトリプシンインヒビター重鎖H2及び成長停止特異的タンパク質(growth arrest-specific protein)6を含むが、これらに限定されない。
ラクトアドヘリンドメイン
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質は、ラクトアドヘリンドメインを含む。
ラクトアドヘリンは、様々な細胞型によって分泌される糖タンパク質であり、2つのEGFドメインと、血液凝固第V因子及び第VIII因子のC1及びC2ドメインと配列相同性を有する2つのCドメイン(C1C2及びC2)とを含有する。これらの凝固因子と同様に、ラクトアドヘリンは、ホスファチジルセリン(PS)含有膜に高い親和性で結合する。
一例では、ラクトアドヘリンドメインは、C1C2ドメイン(例えば、配列番号27に規定される)である。別の例では、ラクトアドヘリンドメインはC2ドメインである。
プロテインキナーゼドメイン
一例では、本開示は、プロテインキナーゼCドメインを含む膜標的化結合タンパク質を提供する。
プロテインキナーゼC(PKC)は、他のタンパク質の機能を、これらのタンパク質上のセリン及びトレオニンアミノ酸残基のヒドロキシル基のリン酸化により制御することに関与するプロテインキナーゼ酵素のファミリー、又はこのファミリーの成員である。
PKCの構造は当該技術分野で既知であり、ヒンジ領域によって繋がれた調節ドメイン及び触媒ドメインからなる。調節ドメインは、DAG及びCa2+にそれぞれ結合し、PKCを原形質膜に動員するC1ドメイン及びC2ドメインを含む。
一例では、プロテインキナーゼCドメインはC1ドメインである。別の例では、プロテインキナーゼCドメインはC2ドメインである。
プレクストリン相同ドメイン
一例では、本開示は、プレクストリン相同(PH)ドメインを含む膜標的化結合タンパク質を提供する。
PHドメインは当該技術分野で既知であり、細胞内シグナル伝達に関与する広範なタンパク質中に又は細胞骨格の構成成分として生じる小モジュールドメインである。PHドメインは、およそ120個のアミノ酸を含む。このドメインは、生体膜内のホスファチジルイノシトール及びヘテロ三量体Gタンパク質のβ/γサブユニット等のタンパク質に結合することができる。これらの相互作用により、PHドメインは、タンパク質を異なる膜へと動員することにより、これらを適切な細胞内コンパートメントに標的化するか、又はこれらがシグナル伝達経路の他の構成要素と相互作用することを可能にする上で役割を果たす。
ホスファチジルセリン相互作用ペプチド
一例では、本開示は、膜構成要素を標的化するためにホスファチジルセリン相互作用ペプチドを含む膜標的化結合タンパク質を提供する。好適なペプチドは当該技術分野で既知であり、例えばThapa et al., J. Cell. Mol. Med. 12. 1649-1660, 2008及びKim et al., PLOS One, 10(3): e0121171に記載されるようなPSP1を含む。PSP1は、配列CLSYYPSYC(配列番号28)を含む。本開示は、ホスファチジルセリンに結合する能力を保持するPSP1の変異体も企図する。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質は、各重鎖(又は軽鎖)が原形質膜上の構成要素に結合するPSP1又はその変異体に連結した抗体又はその一部を含む。例えば、膜標的化結合タンパク質は、各々がPSP1に連結した2つの重鎖(又は2つの軽鎖)を含む完全長抗体を含む。別の例では、本開示の膜標的化結合タンパク質は、PSP1を含む結合領域に連結した単一の重鎖(又は軽鎖)を含む半抗体である。
リンカー
一例では、膜標的化結合タンパク質の第1の結合領域は、リンカーを介して第2の結合領域に連結する。例えば、リンカーはリンカーペプチドである。
一例では、介在ペプチド性リンカーを第1の結合領域と第2の結合領域との間に導入することができる。
一例では、リンカーは可動性リンカーである。例えば、リンカーは、第2の結合領域のN末端と、抗第IX因子抗体又はその抗原結合フラグメントの重鎖若しくはそのドメイン又は軽鎖若しくはそのドメインのN末端又はC末端とを接合する。
「可動性」リンカーは、溶液中で一定の構造(二次又は三次構造)を有しないアミノ酸配列である。したがって、かかる可動性リンカーは、様々な立体配座を自由に取ることができる。本開示への使用に好適な可動性リンカーは、当該技術分野で既知である。本発明に使用される可動性リンカーの例は、リンカー配列SGGGGS/GGGGS/GGGGS又は(GlySer)である。可動性リンカーは、国際公開第1999045132号にも開示されている。
リンカーは、結合領域とその標的との相互作用を実質的に妨げない任意のアミノ酸配列を含んでいてもよい。可動性リンカー配列に好ましいアミノ酸残基としては、グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、プロリン、リシン、アルギニン、グルタミン及びグルタミン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
結合領域間のリンカー配列は、5個以上のアミノ酸残基を含むのが好ましい。本開示による可動性リンカー配列は5個以上の残基、好ましくは5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個若しくは20個、又はそれ以上の残基からなる。本発明の極めて好ましい実施の形態では、可動性リンカー配列は5個、7個、10個又は16個の残基からなる。
一例では、可動性リンカーは配列番号20によるアミノ酸配列、すなわちSGGGGSGGGGSGGGGS(GS16)を有する。
別の例では、リンカーはアミノ酸配列SG(GS2)を有する。
別の例では、リンカーは配列番号24によるアミノ酸配列、すなわちSGGGGS(GS6)を有する。
更なる例では、リンカーは配列番号25によるアミノ酸配列、すなわちSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(GS31)を有する。
一例では、リンカーは剛性リンカーである。「剛性リンカー」(「半剛性リンカー」を含む)は、限られた可動性を有するリンカーを指す。例えば、比較的剛性のリンカーは、配列(EAAAK)(ここで、nは1~3である)を含む。nの値は、1~約10又は約1~100であり得る。例えば、nは少なくとも1、又は少なくとも2、又は少なくとも3、又は少なくとも4、又は少なくとも5、又は少なくとも6、又は少なくとも7、又は少なくとも8、又は少なくとも9、又は少なくとも10である。一例では、nは100未満である。例えば、nは90未満、又は約80未満、又は約60未満、又は約50未満、又は約40未満、又は約30未満、又は約20未満、又は約10未満である。剛性リンカーは、完全に可動性を欠いている必要はない。
一例では、リンカーは切断可能リンカーである。例えば、リンカーはペプチダーゼの切断部位を含む。例えば、リンカーはウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、プラスミン、プラスミノーゲン、TGFβ、スタフィロキナーゼ、トロンビン、凝固因子(例えば第IXa因子、第Xa因子)、又は間質コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ若しくはストロメライシン等のメタロプロテイナーゼの切断部位を含む。例示的な切断可能リンカーは米国特許第6,004,555号、米国特許第5,877,289号、米国特許第6,093,399号及び米国特許第5,877,289号に記載されている。
原形質膜標的
本開示は、哺乳動物細胞の原形質膜の構成要素に特異的に結合する膜標的化結合タンパク質を提供する。例えば、膜標的化結合タンパク質は、結合領域を介して構成要素に結合する。結合タンパク質と哺乳動物細胞の原形質膜の構成要素との結合は、結合タンパク質の活性を増強する。
原形質膜標的は当該技術分野で既知である。例示的な原形質膜標的としては、アミノリン脂質及び膜会合ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
一例では、膜会合ポリペプチドは凝固因子ではない。一例では、膜会合ポリペプチドは第X/Xa因子ではない。一例では、第1の結合領域が第IX/IXa因子に結合する場合に、膜会合ポリペプチドは第X/Xa因子ではない。
アミノリン脂質
一例では、本開示は、哺乳動物細胞の原形質膜上のアミノリン脂質に特異的に結合する膜標的化結合タンパク質を提供する。
「アミノリン脂質」という用語は、1つ以上のアミノ基を含有する任意のリン脂質を包含する。アミノリン脂質は、健常哺乳動物細胞の原形質膜の内表面上に位置する。しかしながら、細胞の老化、アポトーシス及び免疫細胞活性化の際に、アミノリン脂質は原形質膜の外表面へと移行する。原形質膜の外表面へのアミノリン脂質の移行は、凝固因子の結合を助長する。
例示的なアミノリン脂質は、当該技術分野で既知である。例えば、アミノリン脂質は、ホスファチジルセリン又はホスファチジルエタノールアミンである。
アミノリン脂質に結合する化合物は当該技術分野で既知であり、例示的な化合物が本明細書に記載される。例えば、アミノリン脂質に結合する化合物としては、上記で論考されるアネキシンA5等のアネキシンが挙げられる。
膜会合ポリペプチド
一例では、本開示は、哺乳動物細胞の原形質膜上の膜会合ポリペプチドに特異的に結合する膜標的化結合タンパク質を提供する。
例示的な膜会合ポリペプチドは当該技術分野で既知であり、例えば糖タンパク質IIb/IIIa(GPIIb/IIIa)、β-2糖タンパク質1(β2GP1)、転写産物-1(transcript-1)(TLT-1)、凝固因子及びセレクチンを含む。
糖タンパク質IIb/IIIa(GPIIb/IIIa)
糖タンパク質IIb/IIIaは、血小板上に見られるインテグリン複合体である。通例、これはフィブリノゲン及びフォンヴィレブランド因子の受容体であり、血小板の活性化を助ける。複合体は、正常な血小板凝集及び内皮接着において必須の段階であるgpIIb及びgpIIIaのカルシウム依存性会合によって形成される。
一例では、本開示は、哺乳動物細胞の原形質膜上のGPIIb/IIIaに特異的に結合する膜標的化結合タンパク質を提供する。
糖タンパク質IIb/IIIaに結合する化合物は当該技術分野で既知であり、例示的な化合物が本明細書に記載される。例えば、糖タンパク質IIb/IIIaアンタゴニストは市販されており、アブシキシマブ(RePro(商標))、エプチフィバチド(Integrilin(商標))及びチロフィバン(Aggrastat(商標))が挙げられる。
β-2糖タンパク質1(β2GP1)
β-2糖タンパク質1(アポリポタンパク質H又はApo-Hとしても知られる)は、ヒトにおいてはAPOH遺伝子によってコードされる38kDaの多機能アポリポタンパク質である。β2GP1は、血小板によるセロトニン放出を阻害することで、血小板の凝集(agglutination)に関与する。Apo-Hは肝細胞、内皮細胞及び栄養膜細胞によって合成される。
一例では、本開示は、哺乳動物細胞の原形質膜上のβ2GP1に特異的に結合する膜標的化結合タンパク質を提供する。
TREM様転写産物-1(TLT-1)
TLT-1は、タンパク質のTREMファミリーに属する膜結合タンパク質受容体である。TLT-1は、血小板及び巨核球のα顆粒中に見られる。血小板の活性化の際には、TLT-1は、急速に血小板の表面に運ばれる。
一例では、本開示は、哺乳動物細胞の原形質膜上のTLT-1に特異的に結合する膜標的化結合タンパク質を提供する。
TREM様転写産物-1に結合する化合物は当該技術分野で既知であり、例えば米国特許第7553936号に記載されている。
セレクチン
セレクチン(分化抗原群(cluster of differentiation)62又はCD62)は、細胞接着分子(すなわちCAM)のファミリーである。全てのセレクチンが、関連アミノ末端及びカルシウム依存性結合のためにC型レクチンと同様の特性を有する一本鎖膜貫通糖タンパク質である。セレクチンは糖部分に結合するため、糖ポリマーに結合する細胞接着タンパク質であるレクチンの一種であると考えられる。
セレクチンファミリーの3つ全ての既知の成員(L-セレクチン、E-セレクチン及びP-セレクチン)は、同様のカセット構造:N末端、カルシウム依存性レクチンドメイン、上皮成長因子(EGF)様ドメイン、様々な数のコンセンサスリピート単位(L-セレクチン、E-セレクチン及びP-セレクチンのそれぞれについて2個、6個及び9個)、膜貫通ドメイン(TM)及び細胞内細胞質尾部(cyto)を有する。
L-セレクチンは、血管セレクチンの中でも最小であり、全ての顆粒球及び単球、並びに殆どのリンパ球上で発現され、殆どの白血球中に見ることができる。最大のセレクチンであるP-セレクチンは、血小板のα顆粒中及び内皮細胞のバイベル-パラーデ小体に貯蔵され、活性化内皮細胞及び血小板の細胞表面に移行する。E-セレクチンは、皮膚微小血管を除いてベースライン状態では発現されないが、炎症性サイトカインによって急速に誘導される。
セレクチンに結合する化合物は当該技術分野で既知であり、例えば米国特許第5800815号(P-セレクチン)、米国特許第5632991号(E-セレクチン)及び米国特許第5756095号(E-セレクチン及びL-セレクチン)に記載されている。
一例では、本開示は、哺乳動物細胞の原形質膜上のセレクチンに特異的に結合する膜標的化結合タンパク質を提供する。例えば、セレクチンはP-セレクチンである。
スクリーニングアッセイ
少なくとも1つの血液凝固因子に特異的に結合する膜標的化結合タンパク質の選択に好適な方法が当業者に利用可能である。例えば、スクリーニングを行い、凝固因子に結合することが可能な結合タンパク質を特定することができる。
同様に、本明細書に記載の方法への使用に好適な膜標的化結合タンパク質の投与の量及びタイミングは、例えば下記のような当該技術分野で既知の技法を用いて決定又は推定することができる。
血液凝固アッセイ
本開示は、凝固因子に結合する結合領域を含む膜標的化結合タンパク質を提供する。膜標的化結合タンパク質の凝固活性を決定するために、in vitroアッセイを用いることができる。
一例では、凝固活性は、膜標的化結合タンパク質のバイパス活性を示す。
一例では、膜標的化結合タンパク質の凝固活性は、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)に基づいて測定することができる。例えば、因子欠乏血漿をリン脂質、接触活性化剤(contact activator)、様々な濃度の膜標的化凝固因子結合タンパク質、続いてカルシウムと共にインキュベートする。カルシウムの添加により凝固が開始し、時間を計り始める。aPTTは、フィブリン塊の形成にかかる時間である。
aPTTは、当該技術分野で既知の標準的な方法論又はアッセイ、例えばThrombolyzer Compact Xシステム(Behnk Elektronik)を用いて決定することができる。
凝固活性を効果的に増強する(すなわち、フィブリン塊を誘導する)ことが見出される膜標的化結合タンパク質が、本開示の膜標的化結合タンパク質として特定される。
発色FVIIIアッセイ
第IX因子に結合する結合領域を含む膜標的化結合タンパク質については、発色第VIII因子アッセイを用いて第VIII因子バイパス活性を測定することができる。
一例では、アッセイバッファーを第IXa因子、第X因子及びリン脂質と予め混合する。本開示の膜標的化結合タンパク質、続いてカルシウム及び発色基質を添加する。発色反応の停止後に、結合タンパク質の第VIII因子バイパス活性を評価する。
第VIII因子活性及び/又はFVIIIバイパス活性を測定する発色アッセイは、当該技術分野で既知であり、例えばCOATEST SP4 FVIII(Chromogeneix)を含む。
FVIIIバイパス活性を示すことが見出される膜標的化結合タンパク質が、本開示の結合タンパク質として特定される。
親和性の決定
任意に、凝固因子に対する結合領域の解離定数(Kd)又は会合定数(Ka)又は平衡定数(K)を決定する。結合領域(例えば、抗体又は抗原結合フラグメント)に対するこれらの定数は、一例では、固定化ホスファチジルセリン含有ベシクルによる表面プラズモン共鳴アッセイを用いるバイオセンサー分析によって測定される。例示的なSPR方法は米国特許第7229619号に記載されている。
親和性測定値は、抗体反応のための標準的な方法論、例えば免疫測定、表面プラズモン共鳴(SPR)(Rich and Myszka Curr. Opin. Biotechnol 11: 54, 2000、Englebienne Analyst. 123: 1599, 1998)、等温滴定熱量測定(ITC)、又は当該技術分野で既知の他の動力学的相互作用アッセイによって決定することができる。
in vitro細胞アッセイ
一例では、膜標的化結合タンパク質の取込み及びリサイクル(recycling)をin vitro細胞アッセイにおいて試験する。
細胞取込み及びリサイクルを評価する方法は当該技術分野で既知であり、及び/又は本明細書で例示される。例えば、蛍光標識膜標的化結合タンパク質を、ヒトFcRn受容体を細胞表面上に発現する細胞と共にインキュベートする。標識膜標的化結合タンパク質の添加後に、共焦点蛍光顕微鏡検査によって結合タンパク質リサイクルの経過を追跡し、非標的化結合タンパク質と比較することができる。特定の膜標的化結合タンパク質についての正常リサイクル経路の変化を特定し、特性化することができる。
効果的にリサイクルされることが見出される膜標的化結合タンパク質が、本開示の結合タンパク質として特定される。
トロンビン生成アッセイ
一例では、内因性及び/又は外因性凝固経路の活性化をトロンビン生成アッセイにおいて評価する。
内因性及び/又は外因性凝固経路の活性化を評価する方法は当該技術分野で既知であり(例えば、Thrombinoscope)、及び/又は本明細書で例示される。例えば、膜標的化結合タンパク質を内因性又は外因性経路の活性化剤、組織因子及びリン脂質と混合する。Fluo-substrateの添加後に、トロンビン生成をモニタリングし、算出する。
内因性及び/又は外因性凝固経路を効果的に増強することが見出される膜標的化結合タンパク質が、本開示の膜標的化結合タンパク質として特定される。
薬物動態分析
一例では、膜標的化結合タンパク質の薬物動態(PK)特性を評価する。
PK特性を評価する方法は当該技術分野で既知であり、及び/又は本明細書で例示される。例えば、膜標的化結合タンパク質を、ヒトFcRn受容体を発現するトランスジェニックマウスに注射する。膜標的化結合タンパク質の血漿レベルを、市販の抗体を用いるELISAを用いて評価する。
in vivo動物モデル
一例では、膜標的化結合タンパク質により出血性障害を治療する方法を、出血性障害の動物モデルにおいて試験する。
出血性障害の動物モデルは、当該技術分野で既知である。膜標的化結合タンパク質を、かかる動物モデルに投与することができる。
一例では、動物モデルは血友病、例えば血友病Aのモデルである。例えば、マウスモデルは、Bi L. et al., 1995 Targeted disruption of the mouse factor VIII gene produces a model of haemophilia A. Nature Genetics 10(1):119-21に記載されるようなFVIIIノックアウトマウスモデルである。かかるマウスにおける凝固に対する膜標的化結合タンパク質の影響を、例えばテールクリップ(tail clip)アッセイにおいて決定する。
一例では、ヒト第IX因子及び/又はヒト第X因子をFVIII欠損マウスに投与する。このように処理したFVIII欠損マウスにおける凝固に対する膜標的化結合タンパク質の影響を、例えばテールクリップアッセイにおいて決定する。
ベセスダ(Bethesda)アッセイ
一例では、膜標的化結合タンパク質に対するインヒビターの発生は、例えばベセスダアッセイ(Affinity Biologicals)及び/又はFVIIIインヒビター試薬キット(Technoclone)等の市販のキットを用いたin vitro凝固アッセイを用いて決定することができる。
医薬組成物
適切には、本開示の膜標的化結合タンパク質を被験体に投与するための組成物又は方法では、膜標的化結合タンパク質を、当該技術分野で理解されるように薬学的に許容可能な担体と組み合わせる。したがって、本開示の一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質を薬学的に許容可能な担体と組み合わせて含む組成物(例えば、医薬組成物)が提供される。
概して、「担体」とは、任意の被験体、例えばヒトに安全に投与することができる固体又は液体の充填剤、結合剤、希釈剤、封入物質、乳化剤、湿潤剤、溶媒、懸濁化剤、コーティング剤又は潤滑剤を意味する。特定の投与経路に応じて、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co. N.J. USA, 1991)に記載されるように、当該技術分野で既知の様々な許容可能な担体を使用することができる。
少なくとも1つの血液凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質は、予防的又は治療的処置のための非経口投与、局所(topical)投与、経口投与、又は局部(local)投与、エアロゾル投与、又は経皮投与に有用である。一例では、膜標的化結合タンパク質は非経口的に、例えば皮下に又は静脈内に投与される。例えば、膜標的化結合タンパク質は静脈内に投与される。
投与される膜標的化結合タンパク質の配合物は、選択される投与経路及び配合(例えば溶液、エマルション、カプセル)に応じて異なる。投与される膜標的化結合タンパク質を含む適切な医薬組成物は、生理学的に許容可能な担体中で調製することができる。溶液又はエマルションについては、好適な担体として、例えば生理食塩水及び緩衝媒体を含む、水性又はアルコール/水性の溶液、エマルション又は懸濁液が挙げられる。非経口ビヒクルは塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース(Ringer's dextrose)、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液(lactated Ringer's)又は不揮発性油を含み得る。様々な適切な水性担体は当業者に既知であり、水、緩衝用水、緩衝生理食塩水、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、デキストロース溶液及びグリシンが含まれる。静脈内ビヒクルは様々な添加剤、保存料、又は体液、栄養若しくは電解質の補液を含み得る(概して、Remington's Pharmaceutical Science, 16th Edition, Mack, Ed. 1980を参照されたい)。組成物は、生理的条件に近づけるために必要に応じて、pH調整剤及び緩衝剤及び毒性調整剤、例えば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及び乳酸ナトリウム等の薬学的に許容可能な補助物質を任意に含有していてもよい。膜標的化結合タンパク質は、液体状態で保管してもよく、又は当該技術分野で既知の凍結乾燥及び再構成の技法に従って保管のために凍結乾燥し、使用前に好適な担体中で再構成してもよい。
出血性障害を治療又は予防する方法
本明細書で論考されるように、本開示は、被験体における疾患又は病態を治療又は予防する方法であって、本開示の膜標的化結合タンパク質又は本開示の組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、方法を提供する。一例では、本開示は、治療を必要とする被験体において疾患又は病態を治療する方法を提供する。
本開示は、被験体において疾患又は病態を治療又は予防するための本開示の膜標的化結合タンパク質の使用であって、本開示の膜標的化結合タンパク質又は本開示の組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、使用も提供する。一例では、本開示は、治療を必要とする被験体において疾患又は病態を治療するための本開示の膜標的化結合タンパク質の使用を提供する。
一例では、疾患又は病態は出血性障害である。
一例では、被験体が出血性障害を患う。出血性障害は遺伝性であっても又は後天性であってもよい。例えば、出血性障害を患う被験体は、
あざができやすいこと、
歯肉の出血、
小さな切り傷又は歯科治療痕からの多量の出血、
原因不明の鼻血、
多量の月経出血、
関節内出血、及び/又は、
手術後の過度の出血等の出血性障害の症状を患っている。
一例では、被験体は出血性障害を発症するリスクがある。対照集団よりも出血性障害を発症するリスクが高い場合に、被験体はリスクがある。対照集団は狭心症、脳卒中及び/又は心臓発作を患っていない、又は狭心症、脳卒中及び/又は心臓発作の家族歴を有する一般集団(例えば年齢、性別、人種及び/又は民族性によってマッチングした)からランダムに選択される1人以上の被験体を含み得る。被験体は、出血性障害と関連する「リスク因子」がその被験体と関連することが見出される場合に、出血性障害のリスクがあると考えることができる。リスク因子は、例えば被験体の集団に対する統計学的又は疫学的研究による所与の障害と関連する任意の活性、形質、イベント又は特性を含み得る。このため、潜在的リスク因子を特定する研究が被験体を明確に含まなかった場合であっても、被験体を出血性障害のリスクがあると分類することができる。例えば、過度の出血を有する被験体の集団において、出血性障害の頻度が過度の出血を有しない被験体の集団と比較して増加することから、過度の出血を有する被験体は、出血性障害を発症するリスクがある。
一例では、被験体は出血性障害を発症するリスクがあり、膜標的化結合タンパク質を出血性障害の症状の発現の前又は後に投与する。一例では、膜標的化結合タンパク質を出血性障害の症状の発現の前に投与する。一例では、膜標的化結合タンパク質を出血性障害の症状の発現の後に投与する。一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質を、リスクがある被験体における出血性障害の症状の1つ以上を緩和又は軽減する用量で投与する。
本開示の方法は、被験体における任意の形態の出血性障害に容易に適用することができる。
本開示の方法は、出血性障害の予防又は治療のための別の治療効果のある作用物質の投与と併せた本開示による少なくとも1つの膜標的化結合タンパク質の同時投与も含み得る。
一例では、本開示の膜標的化結合タンパク質を、出血性障害の予防又は治療のための現在使用されているか又は開発中である少なくとも1つの付加的な既知の化合物又は治療用タンパク質と組み合わせて使用する。出血性障害の治療に現在使用されている化合物は、当該技術分野で既知である。例示的な治療用タンパク質は、ドナーに由来する血漿又は組み換えタンパク質であり得る。例えば、治療用タンパク質は、血漿由来の又は組み換え凝固因子タンパク質である。例えば、治療用タンパク質は第I因子、第II因子((プロトロンビン)/トロンビン)、第III因子、第V因子、第VII因子、第VIIa因子(例えば、NovoSeven(商標))、第VIII因子(例えばZollner et al., Thromb Res. 132:280-287, 2013に記載されるような一本鎖組み換え第VIII因子;又はFEIBA(商標)、Monoclate-P(商標)若しくはBiostate(商標)等の血漿由来第VIII因子製品;又はAdvate(商標)、Eloctate(商標)、Recombinate(商標)、Kogenate Fs(商標)、Helixate(商標) Fs、Helixate(商標)、Xyntha(商標)/Refacto Ab(商標)、Hemofil-M(商標)、Monarc-M(商標)、Alphanate(商標)、Koate-Dvi(商標)、Nuwiq(商標)若しくはHyate:C(商標)等の組み換え第VIII因子製品等)、第IX因子(例えばBerinin(商標) P、MonoFIX(商標)若しくはMononine(商標)等の血漿由来第IX因子製品;又はAlphanine SD(商標)、Alprolix(商標)、Bebulin(商標)、Bebulin VH(商標)、Benefix(商標)、Ixinity(商標)、Profilnine SD(商標)、Proplex T(商標)若しくはRixubis(商標)等の組み換え第IX因子製品)、第X因子、第XI因子、第XII因子及び第XIII因子(例えばFibrogammin(商標) P、Corifact(商標)、Cluvot(商標)又はCluviat(商標))からなる群から選択される。一例では、治療用タンパク質は、フォンヴィレブランド因子/FVIII複合体(例えばHumate-P(商標)、Haemate(商標)-P、Biostate(商標)又はVoncento(商標))である。代替的な例では、治療用タンパク質は、プロトロンビン複合体(例えば、Beriplex(商標) P/N、Confidex(商標)又はKcentra(商標))である。別の例では、治療用タンパク質は、フィブリノゲン(例えばRiaSTAP(商標)、Haemocomplettan(商標) P)である。一例では、治療用タンパク質は、凝固因子の修飾形態、例えば本明細書に記載される凝固因子の修飾形態である。
上記の内容から明らかなように、本開示は、被験体の併用治療的処置(concomitant therapeutic treatment)の方法であって、有効量の第1の作用物質及び第2の作用物質を、それを必要とする被験体に投与することを含み、第1の作用物質が本開示の膜標的化結合タンパク質であり、第2の作用物質も出血性障害の予防又は治療のためのものである、方法を提供する。
本明細書で使用される場合、「併用治療的処置」という句に見られるような「併用」という用語は、第1の作用物質を第2の作用物質の存在下で投与することを含む。併用治療的処置の方法には、第1、第2、第3の又は付加的な作用物質を同時投与する方法が含まれる。併用治療的処置の方法には、第1の又は付加的な作用物質を第2の又は付加的な作用物質の存在下で投与する、例えば第2の又は付加的な作用物質を予め投与している方法も含まれる。併用治療的処置の方法は、異なる行為者(actors)により段階的に実行されてもよい。例えば、或る行為者が被験体に第1の作用物質を投与することができ、第2の行為者が被験体に第2の作用物質を投与することができ、第1の作用物質(及び/又は付加的な作用物質)が投与後に第2の作用物質(及び/又は付加的な作用物質)の存在下にある限りにおいて、投与工程は同時に、又はほぼ同時に、又は異なる時点で(at distant times)実行することができる。行為者及び被験体は、同じ実体(例えばヒト)であってもよい。
選ばれた媒体中の活性成分(複数の場合もある)の最適濃度は、当業者に既知の手順に従って実験的に決定することができ、所望の最終医薬配合物によって決まる。
本開示の結合タンパク質の投与のための投与量範囲は、所望の効果をもたらすのに十分に大きい。例えば、組成物は、有効量の膜標的化結合タンパク質を含む。一例では、組成物は、治療有効量の膜標的化結合タンパク質を含む。別の例では、組成物は、予防有効量の膜標的化結合タンパク質を含む。
投与量は、奇異出血(paradoxical bleedings)及びインヒビターの発生等の有害な副作用を引き起こすほど大きくないものとする。概して、投与量は患者の年齢、状態、性別及び疾患の程度によって変化し、当業者が決定することができる。任意の合併症の場合には個々の医師が投与量を調整することができる。
投与量は、1日又は数日間にわたって毎日1回以上の投与で約0.1mg/kg~約300mg/kg、例えば約0.2mg/kg~約200mg/kg、例えば約0.5mg/kg~約20mg/kgと様々であり得る。
幾つかの例では、膜標的化結合タンパク質を、後続の(維持用量)よりも高い初回(又は負荷)用量で投与する。例えば、膜標的化結合タンパク質を約10mg/kg~約30mg/kgの初回用量で投与する。次いで、結合タンパク質を約0.0001mg/kg~約10mg/kgの維持用量で投与する。維持用量は7日~35日に1回、例えば7日又は14日又は28日に1回投与することができる。
幾つかの例では、膜標的化結合タンパク質を初めに後続の投与に用いられるよりも低い用量で投与する用量漸増計画が用いられる。この投与計画は、被験体が初めに有害事象を受ける場合に有用である。
治療に対して適切に応答しない被験体の場合には、1週間に複数回の投与を行うことができる。代替的又は付加的には、漸増用量を投与することができる。
被験体は、2回以上の曝露又は投与、例えば少なくとも約2回の結合タンパク質の曝露、例えば約2回~60回の曝露、より具体的には約2回~40回の曝露、最も具体的には約2回~20回の曝露を行うことによって膜標的化結合タンパク質で再治療することができる。
一例では、疾患の兆候又は症状、例えば出血エピソードが再発した場合に任意の再治療を行うことができる。
別の例では、任意の再治療を規定の間隔で行うことができる。例えば、後続の曝露を、例えば約24週間~28週間若しくは48週間~56週間、又はそれ以上の様々な間隔で行うことができる。例えば、かかる曝露は約24週間~26週間、又は約38週間~42週間、又は約50週間~54週間の各々の間隔で行われる。
治療に対して適切に応答しない被験体の場合には、1週間に複数回の投与を行うことができる。代替的又は付加的には、漸増用量を投与することができる。
別の例では、有害反応を生じている被験体については、初回(又は負荷)用量を、1週間のうち数日にわたって又は連続数日間にわたって分割することができる。
本開示の方法による膜標的化結合タンパク質の投与は、例えば受容者の生理的状態、投与の目的が治療的であるか又は予防的であるか及び当業者に既知の他の因子に応じて、連続的であっても又は断続的であってもよい。作用物質の投与は、事前に選択された期間にわたって本質的に連続していても、又は例えば病態の発症時若しくは発症後のいずれかの一連の間隔を空けた投与であってもよい。
キット及び他の物質の組成物
本開示の別の例では、上記のような出血性障害の治療又は予防に有用な本開示の膜標的化結合タンパク質を含むキットが提供される。
一例では、キットは、(a)任意に薬学的に許容可能な担体又は希釈剤中の膜標的化結合タンパク質の入った容器と、(b)被験体における出血性障害の治療又は予防のための説明書を含む添付文書とを含む。
一例では、キットは、(a)血液凝固因子に結合する少なくとも1つの膜標的化結合タンパク質と、(b)被験体における出血性障害の治療又は予防にキットを使用するための説明書と、(c)任意に、少なくとも1つの更なる治療効果のある化合物又は薬物とを含む。
本開示の本例によると、添付文書は容器に付けられているか、又は容器に付属する。好適な容器としては、例えばボトル、バイアル、シリンジ等が挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成することができる。容器は、アテローム性動脈硬化症の治療に効果的な組成物を収容又は含有し、減菌アクセスポート(sterile access port)を有していてもよい(例えば、容器は皮下注射針が貫通可能なストッパーを有する静注液バッグ(intravenous solution bag)又はバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1つの活性剤が膜標的化結合タンパク質である。ラベル又は添付文書には、組成物が治療の対象となる被験体、例えば出血性障害を有する又は出血性障害を発症する素因を有する被験体の治療に使用され、結合タンパク質及び任意の他の薬剤の投与量及び投与間隔についての特定の指針が与えられることが示される。キットは、無菌注射用水(bacteriostatic water for injection;BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及び/又はデキストロース溶液等の薬学的に許容可能な希釈バッファーを含む付加的な容器を更に含んでいてもよい。キットは、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針及びシリンジを含む商業的観点及び利用者の観点から望ましい他の物質を更に含んでいてもよい。
キットは任意に、第2の薬剤の入った容器を更に含み、膜標的化結合タンパク質が第1の薬剤であり、この物品は、被験体を有効量の第2の薬剤で治療するための説明書を添付文書に更に含む。第2の薬剤は、上記の治療用タンパク質であり得る。
本開示は、以下の非限定的な実施例を含む。
実施例1:組み換え抗体の生成及び精製
発現構築物を、標準的な分子生物学の方法を用いて生成した。抗体、アネキシンA5(NP_001145;配列番号14)及びGSリンカー(配列番号20)をコードするヌクレオチド配列を、Geneart(Thermo Fisher Scientific,NY,USA)によって合成した。配列をPCRによって増幅し、制限消化し、T4 DNAリガーゼによって発現ベクターにクローニングした。
下記表1に従って抗体を生成した。
Figure 0007051826000001
組み換えプラスミドDNAを、QIAprep Spin Miniprepキット(QIAGEN,Hilden,Germany)を用いて精製し、Nanodrop UV分光光度計によって定量化した。配列をトランスフェクションの前に確認した。
全てのトランスフェクションを、Expi293F(商標) Expression Systemを用い、製造業者の説明書に従って一過性トランスフェクションによって行った。
タンパク質を遠心分離及び濾過によって清澄化した、得られた条件培地から採取した後、精製した。小規模(mg)ロボット抗体精製を、以前に記載されているように行った(Schmidt et al. Journal of Chromatography, 1455 (2016) 9-19)。
実施例2:アネキシンA5連結抗体を膜標的化する
アネキシンA5連結抗体が細胞膜に標的化されているかを評価するために、アネキシンA5連結抗体のバイオセンサー分析を行った。簡潔に述べると、ホスファチジルセリン(PS)/ホスファチジルコリン(PC)/ホスホリルエタノールアミン(PE)(PS/PC/PE-ビオチニル 70:25:5)リン脂質混合物を、TRIS(20mM) pH8.0、NaCl(150mM)、NOG(2mM)に可溶化し、超音波処理を用いてベシクルを得た。ホスファチジルセリン(PC/PE-ビオチニル 95:5)を含まないリン脂質を同様に調製し、バイオセンサー研究における参照表面とした。
ホスファチジルセリン含有ベシクルを、SAセンサーチップと合体させたBiacore(商標) T-200バイオセンサーのアクティブフローセル(active flow cell)上に低レベルで固定化した。PSを含まないベシクルを上流の参照セルに固定化した。PS/PC/PEへの結合を、3.3nM、1.1nM、0.37nM、0.12nM及び0.04nMのaFIX-アネキシンA5(CSL4060)を注入することによって37℃で5分間評価した。結合段階の終了時の応答を用いて、データを1:1定常状態結合モデルに当てはめ、相互作用の親和性(KD)を決定した。全体を通して使用したランニングバッファーは、0.1%BSAを含むHEPES(10mM) pH7.3、NaCl(150mM)、CaCl(2mM)であった。
図1Aに、2つのアネキシンA5分子を含む単一特異性抗第IX因子-アネキシンA5連結抗体(CSL4060)が、ホスファチジルセリン含有ベシクルに0.1351±0.003nMの親和性及び41.67±0.19nMのRmaxで結合したことを示す。さらに、図1Bに、1つのアネキシンA5分子を含む二重特異性抗第IX/X因子-アネキシンA5連結抗体(CSL4062/3572)が、ホスファチジルセリン含有ベシクルに0.1349±0.013nMの親和性及び46.17±1.0nMのRmaxで結合したことを示す。各実験を2回繰り返した。
実施例3:膜標的化抗第IX因子単一特異性完全及び半抗体は、非標的化抗体と比較して増大した第VIII因子バイパス活性を有する
生成した抗体の潜在的第VIII因子バイパス活性及び凝固活性を調査するために、Thrombolyzer Compact Xシステム(Behnk Elektronik,Germany)を、Siemens Healthcare(Siemens,Germany)を標準的なアッセイ試薬と共に用い、製造業者の説明書に従って活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を測定した。抗体をFVIII欠乏血漿(Siemens Healthcare)に希釈し、図に示されるように1000nM~1pMの最終濃度を達成した。簡潔に述べると、50μlの各希釈物を、50μlのaPTT試薬(Pathromtin SL)とThrombolyzerキュベットの片側で混合した。50μlのCaCl(25mM)をThrombolyzerキュベットの反対側に添加し、温度を37℃に平衡化した。CaCl溶液と抗体/aPTT試薬ミックスとを混合することによって凝固反応を開始し、凝固を405nM及び620nmの波長で連続的にモニタリングした。血塊形成までの時間を抗体濃度に対してグラフ化した。値を曲線に当てはめ、EC50値の算出を可能にするために、アネキシンA5標的化aFIX抗体の最高濃度を除外し、曲線の下端を24秒(非膜標的化抗第IX/X因子二重特異性抗体CSL3415/3416を用いて1000nMで観察される凝固時間と同様)に設定した。
図2に示されるように、膜標的化完全及び半抗第IX因子単一特異性抗体は、非標的化抗体と比較して増大した第VIII因子バイパス活性を有する。図2Aに、膜標的化完全抗第IX因子抗体(CSL4060)が、非膜標的化完全抗第IX因子抗体CSL3492(EC50 621nM)と比較して増大したバイパス活性(EC50 1.64nM)を有することを示す、3回又は4回の独立実験の結果を示す。さらに、図2Bに、膜標的化半抗第IX因子抗体(CSL4062)が、非膜標的化半抗第IX因子抗体CSL3535(EC50 142nM)と比較して増大したバイパス活性(EC50 0.89nM)を有することを示す、3回の独立実験の結果を示す。
実施例4:膜標的化抗第IX/X因子二重特異性抗体は、非標的化抗体と比較して増大した第VIII因子バイパス活性を有する
第VIII因子バイパス活性を、上記のようにaPTTアッセイを用いて測定した。
図3に、2つのアネキシンA5分子を含む膜標的化抗第IX/X因子二重特異性抗体(CSL4062/4063)が、非膜標的化抗第IX/X因子二重特異性抗体CSL3415/3416(EC50 0.505nM)と比較して増大したバイパス活性(EC50 0.016nM)を有することを示す、5回又は6回の独立実験の結果を示す。
さらに、1つのアネキシンA5分子のみを含む膜標的化抗第IX/X因子二重特異性抗体は、非標的化抗FIX/FX二重特異性抗体CSL3415/3416(0.505nMのEC50)と比較して増大したFVIIIバイパス活性を有する。例えば、抗FIX重鎖に連結したアネキシンA5分子を有するCSL4062/3572は、0.015nMのEC50を有していた。抗第X因子重鎖に連結したアネキシンA5分子を有するCSL3535/4063は、0.015nMのEC50を有していた。4回~6回の独立実験を行った。
実施例5:膜標的化抗第IX因子抗体は、増大した第VIII因子バイパス活性及び低下した抗凝固効果を有する
発現構築物を、標準的な分子生物学の方法を用いて生成した。抗体、アネキシンA5(NP_001145;配列番号14)、アネキシンA5のE5突然変異体(配列番号26)、切断型アネキシンA1(配列番号30)及びGSリンカー(配列番号20)をコードするヌクレオチド配列を、Geneart(Thermo Fisher Scientific,NY,USA)によって合成した。配列をPCRによって増幅し、制限消化し、T4 DNAリガーゼによって発現ベクターにクローニングした。
下記表2に従い、実施例1に記載の方法を用いて抗体を生成した。
Figure 0007051826000002
第VIII因子バイパス活性を、上記のaPTTアッセイを用いて測定した。値を曲線に当てはめ、EC50値の算出を可能にするために、抗体の最高濃度を除外した。
図4に示されるように、切断型アネキシンA1膜標的化完全抗第IX因子単一特異性抗体は、アネキシンA5 E5突然変異体膜標的化完全抗第IX因子抗体(EC50 1.39nM)及びアネキシンA5膜標的化完全抗第IX因子単一特異性抗体(CSL4060;EC50 1.76nM)と比較して増大したバイパス活性(EC50 0.96nM)を有する。最高濃度では、切断型アネキシンA1抗FIX抗体、アネキシンA5 E5突然変異体抗FIX抗体及びアネキシンA5抗FIX抗体の凝固時間は、それぞれ35.5秒(SD 0.3秒)、52.3秒(SD 3.4秒)及び81.0秒(3.0秒)であった。
実施例6:膜標的化抗第IX因子抗体は、血漿の存在下でFVIIIバイパス活性を有する
雄性FVIIIノックアウトマウス(n=3/群)を、a)80IU/kg組み換え第IX因子(BeneFIX(商標))単独、b)80IU/kg組み換え第IX因子(BeneFIX(商標))及び800μg/kgのCSL4060、又はc)80IU/kg組み換え第IX因子(BeneFIX(商標))及び800μg/kg BM4-アネキシンA5で静脈内処置した。投与のおよそ15分後に、クエン酸ナトリウムを抗凝固剤として用いたマウスの終末採血を行った(terminally bled)(1部のクエン酸ナトリウム+9部の全血)。
第VIII因子バイパス活性を、各サンプル中で上記のaPTTアッセイを用い、またヒトFVIII除去血漿(Siemens Healthcare)及び活性化試薬としてPathromtin SLを用いた一段階凝血アッセイにおいてBCS XP(Siemens Healthcare)により測定した。
下記図5及び表3に、アネキシンA5膜標的化抗ヒト第IX因子抗体(CSL4060)及びヒトFIXで処置したマウスに由来するサンプルが、aPTTアッセイ(A)及び一段階凝血アッセイ(B)において、組み換え第IX因子単独で処置したマウスに由来するサンプル(aPTTアッセイにおけるp=0.0418)、並びにアネキシンA5コンジュゲートBM4抗体及びヒトFIXで処置したマウスに由来するサンプル(aPTTアッセイにおけるp=0.0443)と比較して有意に増大したFVIIIバイパス活性を有することが示される。
Figure 0007051826000003
実施例7:膜標的化抗第IX因子抗体のin vitro FVIIIバイパス活性
アネキシンA5膜標的化完全抗第IX因子単一特異性抗体(CSL4060)の第VIII因子バイパス活性を、発色アッセイにおいてリン脂質の非存在下で測定した。
アネキシンA5膜標的化完全抗第IX因子単一特異性抗体(CSL4060)、単一特異性抗FIX抗体(CSL3492)、抗第IX/X因子二重特異性抗体(CSL3415/3416)又はBM4抗体対照を、ヒトFIXa及びヒトFXとアッセイバッファー中、リン脂質の非存在下で予め混合した。カルシウム及び発色基質を各溶液に添加し、発色反応の停止後に、結合タンパク質の第VIII因子バイパス活性を評価した。
図6及び下記表4に示されるように、第VIII因子バイパス活性は、アネキシンA5膜標的化完全抗第IX因子単一特異性抗体(CSL4060)、単一特異性抗FIX抗体(CSL3492)又はBM4対照では検出されなかった。対照的に、抗第IX/X因子二重特異性抗体(CSL3415/3416)は、第VIII因子バイパス活性を膜の非存在下、8.6nMのEC50で示した。
Figure 0007051826000004
実施例8:トロンビン生成アッセイにおけるアネキシンA5コンジュゲート抗第IX因子抗体及び切断型アネキシンA1コンジュゲート抗第IX因子抗体の相対活性
アネキシンA5コンジュゲート抗第IX因子抗体及び切断型アネキシンA1コンジュゲート抗第IX因子抗体の相対活性を、内因性凝固経路によって生成したトロンビンを測定するように設計されたアッセイにおいて測定した。
トロンビン生成パラメーターを、ヒトFVIII除去血漿中で較正自動化トロンボグラム(calibrated automated thrombogram;CAT)を用いて決定した。切断型アネキシンA1膜標的化完全抗第IX因子単一特異性抗体(ATG17090)、アネキシンA5膜標的化半抗第IX因子単一特異性抗体(ATG16028)、抗第IX/X因子二重特異性抗体(CSL3415/3416)、アネキシンA5コンジュゲートBM4又はBM4抗体単独を、10μg/mLの濃度で残留FVIIIが0.01U/mL未満のFVIII除去血漿に添加した。標準ヒト血漿(Siemens Healthcare)を対照とした。5μLのRD試薬を添加することによって内因性凝固を誘発した。
簡潔に述べると、5μLのRD試薬又はトロンビン較正物質及び80μLのスパイク血漿(spiked plasma)を96ウェルマイクロプレートのウェルにピペットで加えた。プレートを蛍光光度計(Fluoroskan Ascent、Thermo Fisher Scientific,Germany)上、37℃でおよそ10分間インキュベートした。20μLの蛍光性基質をマイクロタイタープレートの各サンプル及びトロンビン較正物質ウェルに添加することによってアッセイを開始し、続いて2秒間振盪した。アッセイ中に生成したトロンビンにより蛍光性基質が変換され、蛍光の変化を1時間の総アッセイ時間にわたって5秒間隔で記録した。トロンビン生成のモル濃度を、各サンプルのそれぞれのトロンビン較正物質に基づいて算出した。
図7に示されるように、トロンビンは、FVIII除去血漿において10μg/mLの抗第IX/X因子二重特異性抗体及びアネキシンA1膜標的化完全抗第IX因子単一特異性抗体の存在下で、アネキシンA5膜標的化抗第IX因子半抗体と比較してより急速に、より長時間にわたって生成した。
実施例9:付加的な膜標的化抗第IX因子抗体のFVIIIバイパス活性の増大
抗第IX因子単一特異性抗体A10、B2及びC12、並びにそのアネキシンA5コンジュゲートバージョンを生成し(表5)、それらの相対第VIII因子バイパス活性を、上述の発色FVIIIバイパスアッセイを用いて測定した。
Figure 0007051826000005
下記表6に示されるように、3つのアネキシンA5膜標的化親和性成熟抗第IX因子単一特異性抗体(A10、B2及びC12)が、少なくとも3回の独立実験において、それらの非コンジュゲート対応物と比較して10nM濃度で改善されたFVIIIバイパス活性を有していた。
Figure 0007051826000006

Claims (19)

  1. 結合タンパク質であって、少なくとも一種の血液凝固因子に特異的に結合する第1の結合領域と、哺乳動物細胞の原形質膜の構成要素に特異的に結合する第2の結合領域とを含み、前記第1の結合領域が、抗第IX因子抗体又はその第IX因子結合フラグメントであり、前記抗第IX因子抗体又はその第IX因子結合フラグメントが非活性化第IX因子(FIX)及び/又は活性化第IX因子(FIXa)に結合し、前記抗第IX因子抗体又はその第IX因子結合フラグメントが凝固促進活性を有し、前記原形質膜の前記構成要素が、アミノリン脂質、膜会合ポリペプチド及びそれらの混合物からなる群より選択され
    前記第2の結合領域が、
    (a)配列番号14に規定される配列を含むアネキシンA5、
    (b)配列番号30に規定される配列を含む切断型アネキシンA1、
    (c)配列番号14に規定される配列と少なくとも90%同一の配列を有するホスファチジルセリン結合フラグメント若しくは変異体、又は
    (d)配列番号29に規定される配列と少なくとも90%同一の配列を有するホスファチジルセリン結合フラグメント若しくは変異体
    を含む、結合タンパク質。
  2. 前記第1及び/又は第2の結合領域が、
    (i)一本鎖Fvフラグメント(scFv)、
    (ii)二量体scFv(di-scFv)、
    (iii)ダイアボディ、
    (iv)トリアボディ、
    (v)テトラボディ、
    (vi)Fab、
    (vii)F(ab’)2、
    (viii)Fv、又は、
    (ix)抗体の定常領域、Fc若しくは重鎖定常ドメイン(CH)2及び/又はCH3に連結した(i)~(viii)の1つ、
    からなる群から選択される、請求項1に記載のタンパク質。
  3. 前記第1及び/又は第2の結合領域が抗体若しくはその抗原結合フラグメント、抗体模倣物、ドメイン抗体、キメラ抗体又は融合タンパク質である、請求項1又は2に記載のタンパク質。
  4. 前記第1の結合領域が単一特異性、二重特異性又は多重特異性である、請求項1~3のいずれか一項に記載のタンパク質。
  5. 前記第1の結合領域が二重特異性又は多重特異性であり、かつ第IX/IXa因子及び第X/Xa因子に特異的に結合する、請求項1~4のいずれか一項に記載のタンパク質。
  6. 前記第1の結合領域が単一特異性である、請求項1~4のいずれか一項に記載のタンパク質。
  7. 前記第1の結合領域が単一特異性であり、かつ半抗体である、請求項1~4及び6のいずれか一項に記載のタンパク質。
  8. 前記第1の結合領域抗原がIgG定常領域又は安定化IgG4定常領域を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のタンパク質。
  9. IgG Fcが配列番号15~配列番号19のいずれか1つに規定される配列を含む、請求項8に記載のタンパク質。
  10. 前記第1の結合領域が:
    (a)配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号34、配列番号37又は配列番号40のいずれか1つに規定される配列を含むV及び配列番号1に規定される配列を含むVを含む;及び/又は
    (b)前記タンパク質が:
    (i)配列番号1に規定されるV配列及び配列番号8に規定されるV配列、又は、 (ii)配列番号1に規定されるV配列及び配列番号9に規定されるV配列、又は、
    (iii)配列番号1に規定されるV配列、及び配列番号31に規定されるV配列、又は、
    (iv)配列番号1に規定されるV配列、及び配列番号32に規定されるV配列、又は、
    (v)配列番号1に規定されるV配列、及び配列番号33に規定されるV配列、 (vi)配列番号1に規定されるV配列、及び配列番号36に規定されるV配列、又は、
    (vii)配列番号1に規定されるV配列、及び配列番号39に規定されるV配列、又は、
    (viii)配列番号1に規定されるV配列、及び配列番号42に規定されるV配列、又は、
    (ix)配列番号1に規定されるV配列、配列番号9に規定されるV配列及び配列番号10に規定されるV配列、又は、
    (x)配列番号1に規定されるV配列、配列番号6に規定されるV配列及び配列番号10に規定されるV配列、又は、
    (xi)配列番号1に規定されるV配列、配列番号9に規定されるV配列及び配列番号7に規定されるV配列、又は、
    (xii)配列番号1に規定されるV配列、配列番号55に規定されるV配列を含み、;及び/又は
    (c) 前記第1の結合領域が、
    (i)
    (a)配列番号13のアミノ酸31~35に規定される配列を含むCDR1、
    (b)配列番号13のアミノ酸50~66に規定される配列を含むCDR2、及び、
    (c)配列番号13のアミノ酸99~112に規定される配列を含むCDR3、
    を含むVと、
    (ii)
    (a)配列番号11のアミノ酸24~34に規定される配列を含むCDR1、
    (b)配列番号11のアミノ酸50~56に規定される配列を含むCDR2、及び、
    (c)配列番号11のアミノ酸89~97に規定される配列を含むCDR3、
    を含むVと、
    を含む半抗体である、請求項1~9のいずれか一項に記載のタンパク質。
  11. (a) 前記アミノリン脂質がホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン及びそれらの混合物からなる群から選択される、及び/又は
    (b) 前記膜会合ポリペプチドがGPIIb/IIIa、β2GP1、TLT-1、凝固因子、セレクチン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載のタンパク質。
  12. 前記第2の結合領域が抗体又はその抗原結合フラグメント、アネキシン又は変異体、γ-カルボキシグルタミン酸リッチ(GLA)ドメイン又は変異体、ラクトアドヘリンドメイン、PSP1ペプチド又は変異体、プロテインキナーゼC(PKC)ドメイン及びプレクストリン相同ドメインからなる群から選択され、
    前記アネキシンが配列番号14に規定される配列を含むアネキシンA5、配列番号30に規定される配列を含む切断型アネキシンA1、配列番号14に規定される配列と少なくとも90%同一の配列を有するホスファチジルセリン結合フラグメント若しくは変異体、又は配列番号29に規定される配列と少なくとも90%同一の配列を有するホスファチジルセリン結合フラグメント若しくは変異体である、請求項1~11のいずれか一項に記載のタンパク質。
  13. 前記哺乳動物細胞が血小板、内皮細胞及び赤血球からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載のタンパク質。
  14. 前記第1の結合領域がリンカーを介して前記第2の結合領域に連結し、
    前記リンカーが2~31アミノ酸長のペプチドリンカーである、請求項1~13のいずれか一項に記載のタンパク質。
  15. ンカーが前記第2の結合領域のN末端と、前記抗第IX因子抗体又はその抗原結合フラグメントの重鎖若しくはそのドメイン又は軽鎖若しくはそのドメインのC末端とを接合する、請求項1~14のいずれか一項に記載のタンパク質。
  16. 凝固因子に結合する膜標的化結合タンパク質であって、
    (i)配列番号13に規定される配列を含むV及び配列番号11に規定される配列を含むVを含む抗第IX/IXa因子半抗体である第1の結合領域と、
    (ii)配列番号14に規定される配列を含むアネキシンA5を含む第2の結合領域と、
    を含む、タンパク質。
  17. 請求項1~16のいずれか一項に記載の膜標的化結合タンパク質と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物。
  18. 疾患又は病態を治療又は予防するために用いられる、請求項17に記載の組成物であって、前記疾患及び前記病態が、血友病A、血友病B、フォンヴィレブランド病、複合型第V因子/第VIII因子欠乏症、及び第XI因子欠乏症からなる群より選択される血液凝固障害である、組成物。
  19. (a) 前記被験体に出血性障害又はその症状を発症するリスクがある、及び/又は(b) 記被験体が血友病Aを患い、第VIII因子のインヒビターを生じている、請求項17又は18に記載の組成物。
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