JP2011516716A - 天然ゴムラテックスからのゴムの回収方法 - Google Patents

天然ゴムラテックスからのゴムの回収方法 Download PDF

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Abstract

抽出物及び一種又は複数種の添加剤を含み,実質的にリグノセルロース系植物材料を含まない水性天然ゴムラテックスからの天然ゴムの回収方法を記載した。ラテックス中の天然ゴムを水から分離する。好適には,天然ゴム中の非ゴム抽出物の量を,乾燥天然ゴムをもたらす一又は複数の抽出工程によって低減する、

Description

(優先権)
本出願は,2008年4月14日出願の米国特許仮出願第61/044649号の優先権を主張する。
本出願は,天然ゴムラテックスからの,特には,水,抽出物及び一種又は複数種の添加剤を含み,実質的にリグノセルロース系植物材料を含まない天然ゴムラテックスからの天然ゴムの回収方法に関する。
天然ゴムは,特にヘベア属の木(パラゴムノキ,Hevea brasiliensis)及びグアユールの灌木(グアユールゴムノキ,Parthenium argentatum)を含む多種の植物から得ることができる。これらの資源からの天然ゴムの回収又は採取方法は当業界において既知である。例えば,通常,ヘベア属の木の幹を切りつけて,ヘベア属の樹液(天然ゴム含有)を採取し,有機酸と接触させて天然ゴムを凝固し,その後,蒸発乾燥又は遠心分離によって濃縮する。代替的には,グアユールの灌木を通常は粉砕し又は他には素練りし,灌木の細胞壁及びパルプから樹液(天然ゴム含有)を溶出させ,その後,天然ゴムを凝固させるため溶剤又は水性酸と接触させ,その後,濃縮する。天然資源からの天然ゴムを回収又は採取する他の方法は既知である。
本明細書には,天然ゴム,水,抽出物及び一種又は複数種の添加剤を含み,実質的にリグノセルロース系植物材料を含まない水性天然ゴムラテックスからのゴムの回収方法を開示する。一実施態様において,上記製法は,ラテックスを少なくとも一種類の炭化水素溶剤及び少なくとも一種類の有機極性溶剤を含み,天然ゴムの少なくとも75%を水から分離する分離溶剤組成物と接触させ,天然ゴム及び低減した量の抽出物を含有する粘性ゴム相を有する溶液を形成する工程と,粘性ゴム相を単離する工程と,粘性ゴム相を乾燥し,抽出物の量が5重量%以下である得られた天然ゴムをつくる工程を備える。
もう一つの実施態様は,水性天然ゴムラテックスを,天然ゴムの少なくとも75%が凝固する第一処理溶液と接触させ,凝固した天然ゴム,水及び抽出物を含む混合物を形成する工程と,凝固した天然ゴムを収集する工程と,凝固した天然ゴムを,抽出物を選択的に溶媒和するため,少なくとも一種類の有機極性溶剤を含む第二処理溶液と接触させる工程と,凝固した天然ゴムを乾燥して,抽出物の量が5重量%以下の得られた天然ゴムをつくる工程とを備える製法を含む。
さらにもう一つの実施態様は,水性天然ゴムラテックスを,天然ゴムの少なくとも75%が凝固するように凍結し,凝固した天然ゴム,水及び抽出物を含む混合物を形成する工程と,混合物を解凍する工程と,凝固した天然ゴムを収集する工程と,凝固した天然ゴムを,抽出物を選択的に溶媒和するため,少なくとも一種類の有機極性溶剤を含む処理溶液と接触させる工程と,凝固した天然ゴムを乾燥して,抽出物の量が5重量%以下の得られた天然ゴムをつくる工程とを備える製法を含む。
本明細書中に,天然ゴム,水,抽出物及び一種又は複数種の添加剤を含み,実質的にリグノセルロース系植物材料を含まない水性天然ゴムラテックスからのゴムの回収方法を開示した。
一実施態様において,上記製法は下記工程,ラテックスを,少なくとも一種類の炭化水素溶剤及び少なくとも一種類の有機極性溶剤を含み,天然ゴムの少なくとも75%を水から分離する分離溶剤組成物と接触させ,天然ゴムを含有する粘性ゴム相及び低減した量の抽出物を有する溶液を形成する工程と,粘性ゴム相を単離する工程と,粘性ゴム相を乾燥して,抽出物の量が5重量%以下の得られた天然ゴムをつくる工程を備える。天然ゴムを水性天然ゴムラテックスの水から分離する場合,天然ゴムが凝固して粘性ゴム相を形成すると考えられる。本明細書中での粘性ゴム相という用語の用法は,膨潤ゲル及びゴムを含む粘性液体を含有する意味である。
一般に,天然ゴムラテックス中の天然ゴムを選択的に溶媒和するならば,あらゆる炭化水素溶剤を分離溶剤組成物中で使用できる。例えば,使用に適する炭化水素溶剤としては,限定されないが,下記のヘプタン,ノナン,ペンタン及び好適にはヘキサンなどの4〜9個の炭素原子を有するアルカン,シクロヘキサン,シクロペンタンなどの5〜10個の炭素原子を有するシクロアルカン,ベンゼン,キシレン,トルエンなどの6〜12個の炭素原子を有する芳香族化合物又はアルキル置換芳香族化合物が挙げられる。二種類以上の炭化水素の混合物も使用できる。更には,天然ゴムラテックス中の非ゴム抽出物の一部を選択的に溶媒和し,天然ゴムを凝固するように作用するならば,あらゆる有機極性溶剤を分離溶剤組成物中で使用できる。概して言えば,抽出物はゴム中に存在する天然由来の非ゴム化学物質であり,限定されないが,樹脂(テルペンなど),脂肪酸,タンパク質及び無機材料が挙げられる。例えば,使用に適する有機極性溶剤としては,限定されないが,下記のエタノール,イソプロパノール,メタノールなどの1〜8個の炭素原子を有するアルコール,アセトン,メチルエチルケトンなどの3〜8個の炭素原子を有するケトンが挙げられる。二種類以上の有機極性溶剤の混合物も使用できる。
通常は,有機極性溶剤はラテックス中の天然ゴムを凝固するよう作用し,一方,炭化水素は天然ゴムを溶媒和するように作用する。このようにして,分離溶剤組成物中の有機極性溶剤と炭化水素溶剤との比率が,ラテックスが分離溶剤組成物と接触した後の天然ゴムの状態又は相に影響する。一般に,有機極性溶剤と炭化水素溶剤との相対比率が増加するにつれ,天然ゴムはますます凝固し半固体又は固体の塊を形成する。対照的に,炭化水素溶剤の比率が増加するにつれ,天然ゴムが炭化水素によって溶媒和するにつれ,天然ゴムはますます膨潤ゲル又は粘性液体を形成する。分離溶剤組成物との接触後,ラテックス中に天然ゴムの膨潤ゲル又は粘性液体相をつくるように上記比率を調整することが一般に好ましい。分離溶剤組成物の総量に対して,少なくとも一種類の炭化水素溶剤が5重量%〜60重量%の量で存在し,少なくとも一種類の有機極性溶剤が95重量%〜40重量%の量で存在することが好ましい。任意に,分離溶剤組成物の総量に対して,少なくとも一種類の炭化水素溶剤が5重量%〜25重量%の濃度で存在し,少なくとも一種類の有機極性溶剤が75重量%〜95重量%の量で存在する。
水性天然ゴムラテックスと接触するために使用する分離溶剤組成物の量を変えることができ,一般に,天然ゴムの少なくとも75%を水から分離し,好適には,水性天然ゴムラテックスから回収する天然ゴムの抽出物含有量を低減するのに十分な量である。例えば,一実施態様において,分離溶剤組成物とラテックスとの重量比は,おのおの100対1である。もう一つの実施態様において,上記比率は20対1である。さらにもう一つの実施態様において,上記比率は10対1である。さらに,特定の実施態様において,水性天然ゴムラテックスから回収する天然ゴムの抽出物含有量を更に低減するため,水性天然ゴムラテックスを分離溶剤組成物と多段工程で接触させることができる。
一般に,当業者に既知の水性天然ゴムラテックスと分離溶剤組成物とのあらゆる接触方法を使用でき,限定されないが,あらゆる連続向流式液液接触システム(ミキサーセトラー及びカラム配置など)及びあらゆるバッチ式システムが挙げられる。
水性天然ゴムラテックスを分離溶剤溶液と接触させ,天然ゴムを含有する粘性ゴム相及び低減した量の抽出物を有する溶液を形成した後,限定されないが,粘性ゴム相から一つ又は複数の他の相をデカンタするなどの当業者に既知のあらゆる好適な方法を用いて形成できる一つ又は複数の他の相から,粘性ゴム相を単離する。一旦単離すれば,乾燥して,5重量%以下の抽出物量を含む得られた天然ゴムをつくる。特定の実施態様において,得られた乾燥天然ゴム中の抽出物の量は1重量%以下である。一般に,当業者に既知のあらゆる粘性ゴム相の乾燥方法を使用でき,限定されないが,加熱及び真空の適用が挙げられる。一般に,溶剤の含有量が1重量%未満になるまで,得られた天然ゴムを乾燥する。特定の実施態様において,得られた乾燥天然ゴム中のいずれの溶剤量も0.1重量%未満である。
固体であり,加硫などの更なる加工への準備が整った得られた天然ゴムは,上記粘性相を乾燥することで得られる。
任意に,粘性ゴム相を,乾燥前に,少なくとも一種類の有機極性溶剤を含む少なくとも一種類の抽出溶剤組成物と接触させる。一般に,天然ゴム中の非ゴム抽出物を選択的に溶媒和するならば,あらゆる有機極性溶剤を使用できる。上述のように,抽出物はゴム中に存在する天然由来の非ゴム化学物質であり,限定されないが,樹脂(テルペンなど),脂肪酸,タンパク質及び無機材料が挙げられる。使用に適する有機極性溶剤としては,限定されないが,以下のエタノール,イソプロパノール,メタノールなどの1〜8個の炭素原子を有するアルコール及びアセトン,メチルエチルケトンなどの3〜8個の炭素原子を有するケトンが挙げられる。二種類以上の有機極性溶剤の混合物も使用できる。特定の実施態様において,抽出溶剤組成物はアセトンを含む。
有機極性溶剤は,天然ゴム中に存在する非ゴム抽出物を選択的に溶媒和する傾向があるため,天然ゴムと接触する抽出溶剤組成物は,非ゴム抽出物の一部を溶媒和又は抽出する。粘性ゴム相を抽出溶剤組成物と接触させる多数の方法があり,当業者に既知であって,本明細書ではそのいずれをも使用でき,限定されないが,あらゆる連続向流式抽出システム(ミキサーセトラー及びカラム配置など)及びあらゆるバッチ式システムが挙げられる。
天然ゴム(「ゴム」)はcis−ポリイソプレンを含み,本明細書中で使用においては,trans−ポリイソプレンも並びに上記二種類の混合物も包含する。多数の多種の植物が,水性懸濁液中に天然ゴムを含む樹液の形態で天然ゴムを産生する。パラゴムノキHevea brasiliensis(ヘベア属の木),インドゴムノキFicus elastica (インドゴムノキ)及びクリプトステギア属グランディフロラCryptostegia grandiflora(マダガスカルゴムカズラ)などの特定の植物において,ゴム含有樹液はふんだんに流れ,単に植物の幹を切りつけることによって回収する。他の植物(「非ヘベア属植物」)においては,樹液根又は茎内に含まれる個々の細胞内に蓄えられ,細胞を物理的に又は他の手段によって破壊しなければならないため,ゴム含有樹液を容易に利用できない。かかる植物としては,限定されないが,グアユールゴムノキParthenium argentatum(グアユールの灌木),ゴムタンポポTaraxacum Kok-Saghyz(ロシアタンポポ),ユーフォルビア属ラチリスEuphorbia lathyris(ホルトソウ),パルテニウム属インカヌムParthenium incanum(マリオーラ),クリソタムヌス属ナウセオスムChrysothamnus nauseosus(ラビットブラッシュ),ペディランサス属マクロカルプスPedilanthus macrocarpus(キャンデリラ),アスクレピアス属シリアカAsclepias syriaca,スペシオーサspeciosa,スプラタsubulata,など(トウワタ),ソリダゴ属アルティシマSolidago altissima,グラミニフォリア属リギダgraminifolia rigidaなど(アキノキリンソウ),カカリア属アトリプシリフォリアCacalia atripilicifolia(ペールインディアンプランタン),ピクナンテムム属インカヌムPycnanthemum incanum(マウンテンミント),テウクリウム属カナデンセTeucreum canadense(アメリカニガクサ)及びカンパニュラ属アメリカーナCampanula Americana(トール・ベルフラワー)が挙げられる。特にはキク科,トウダイグサ科,キキョウ科,シソ科及びクワ科中の,ゴム及びゴム状炭化水素を産生する他の多くの植物が既知である。混合物を使用できる。
特定の実施態様において,本明細書中に開示する水性天然ゴムラテックスからのゴムの回収方法を,非ヘベア属植物から採取又は回収されたゴム含有樹液を用いて行う。換言すれば,これらの実施態様において,ゴム含有樹液はヘベア属の木,インドゴムノキ又はマダガスカルゴムカズラから採取又は回収されない。好適には,ゴム含有樹液はグアユールの灌木から採取又は回収される。
本明細書中で開示する方法で使用する水性天然ゴムラテックスは,ゴム含有樹液を多種の溶剤及び他の添加剤と接触させて及び/又は他には天然資源から採取又は回収されたゴム含有樹液を加工することで得ることができる。普通に使用される添加剤としては,限定されないが,さまざまな溶剤,界面活性剤及び表面活性剤が挙げられる。ゴム含有樹液は,典型的には資源に応じて種類や量が変わる非ゴム抽出物を含む。また,リグノセルロース系植物材料(木本植物の構造細胞を含む材料)を典型的にはろ過などの物理的方法によって除去し,本明細書中で開示する方法で使用する水性天然ゴムラテックスが実質的にリグノセルロース系植物材料を含まないようにする。リグノセルロース系植物材料を実質的に含まないとは,かかる材料の大部分を除去し,好適にはかかる材料の少なくとも95%を除去し,さらにより好適にはかかる材料の少なくとも99%を除去することを意味する。
有用な製品を作るために,典型的にはゴムを架橋又は加硫する。理論的に結合しえないため,抽出物は加硫工程及び/又は加硫製品の物理的特性に不利な影響を与えると考えられる。本明細書中に記載する製法において,天然ゴム(凝固又は粘性相のいずれでも)を,上記ゴム中に含まれる抽出物の量を低減するため,抽出溶剤組成物を用いて何回でも接触でき,その後,乾燥して,低減した量の抽出物を有する得られた天然ゴムをつくる。一実施態様において,得られた天然ゴムの抽出物含有量を5重量%以下(得られた天然ゴムに対して)の量に低減する。さらにもう一つの実施態様において,得られた天然ゴムの抽出物含有量は2重量%以下である。さらにもう一つの実施態様において,得られた天然ゴムの抽出物含有量は1重量%以下である。
天然ゴム,水,抽出物及び一種又は複数種の添加剤を含み,実質的にリグノセルロース系植物材料を含まない水性天然ゴムラテックスからゴムを回収する方法のもう一つの実施態様は以下の工程,ラテックスを,天然ゴムの少なくとも75%が凝固する第一処理溶液と接触させ,凝固した天然ゴム,水及び抽出物を含む混合物を形成する工程と,凝固した天然ゴムを収集する工程と,凝固した天然ゴムを,抽出物を選択的に溶媒和するため,少なくとも一種類の有機極性溶剤を含む第二処理溶液と接触する工程と,凝固した天然ゴムを乾燥して,抽出物の量が5重量%以下である得られた天然ゴムをつくる工程を備える。
さまざまに組み合わせた多種の溶剤及び化学薬品を第一処理溶液に使用できる。より具体的には,第一処理溶液は,水性天然ゴムラテックス中の天然ゴムの少なくとも75%を凝固可能なあらゆる溶液を含むことができる。一実施態様において,第一処理溶液は,有機酸,鉱酸,いずれかの塩もしくはそれらの組み合わせを含む。有機酸は一般に炭素原子骨格を有するすべての酸であり,限定されないが,あらゆるカルボン酸を含むカルボキシル基を普通含有する。鉱酸は一般に炭素原子を含まない一種又は複数種の無機化合物から誘導した酸であり,限定されないが,硫酸,塩酸及び硝酸が挙げられる。好適には,第一処理溶液は,酢酸,ギ酸,硫酸,水性硫酸アルミニウム,水性塩化カルシウムもしくはそれらの混合物を含む。一実施態様において,第一処理溶液は有機酸,鉱酸,いずれかの塩,もしくはそれらの組み合わせを含み,得られた天然ゴム中の抽出物量は,5重量%以下,好適には2重量%以下,さらにより好適には1重量%以下である。
もう一つの実施態様において,第一処理溶液は少なくとも一種類の有機極性溶剤を含む。使用に適する有機極性溶剤としては,限定されないが,以下のエタノール,イソプロパノール,メタノールなどの1〜8個の炭素原子を有するアルコール及びアセトン,メチルエチルケトンなどの3〜8個の炭素原子を有するケトンが挙げられる。二種類以上の有機極性溶剤の混合物も使用できる。一実施態様において,第一処理溶液は少なくとも一種類の有機極性溶剤を含み,得られた天然ゴム中の抽出物量は,5重量%以下,好適には2重量%以下,さらにより好適には1重量%以下である。
一般に,水性天然ゴムラテックスを第一処理溶液と接触させる当業者に既知のあらゆる方法を使用でき,限定されないが,あらゆる連続向流式液液接触システム(ミキサーセトラー及びカラム配置など)及びあらゆるバッチ式システムが挙げられる。
水性天然ゴムラテックスを第一処理溶液と接触させ,凝固した天然ゴムと水及び抽出物を含む混合物が形成した後,凝固した天然ゴムを収集する。限定されないが,遠心分離,ろ過及び相分離を含むあらゆる適切な方法によって,凝固した天然ゴムを収集する。例えば,特定の実施態様において,天然ゴムを含む粘性型相が一種又は複数種の液相と共に得られうる。限定されないが,単一の液相又は複数の液相を粘性ゴム相からのデカンタを含む当業者の知る範囲内のいろいろな方法で粘性ゴム相を分離できる。任意に,収集した凝固した天然ゴムを一部又は複数部の水ですすぐことができる。
凝固した天然ゴムを収集後,少なくとも一種類の有機極性溶剤を含む第二処理溶液と接触させる。第二処理溶液は,天然ゴム中の非ゴム抽出物を選択的に溶媒和するならば,あらゆる有機極性溶剤を一般に含有できる。使用に適する有機極性溶剤としては,限定されないが,以下のエタノール,イソプロパノール,メタノールなどの1〜8個の炭素原子を有するアルコール及びアセトン,メチルエチルケトンなどの3〜8個の炭素原子を有するケトンが挙げられる。二種類以上の有機極性溶剤の混合物も使用できる。第二処理溶液は第一処理溶液と同一でも異なってもよい。また,第二処理溶液は少なくとも一種類の有機極性溶剤に加えて,少なくとも一種類の炭化水素溶剤を含むことができる。
凝固した天然ゴムを第二処理溶液と接触させる前に,いくつかの実施態様において,例えばゴムを断片に細断又は引裂くことによって凝固したゴムの寸法を低減することが有利でありうる。一般に,当業者に既知の凝固した天然ゴムと第二処理溶液とのあらゆる接触方法を使用でき,限定されないが,あらゆる連続向流式液液接触システム(ミキサーセトラー及びカラム配置など)及びあらゆるバッチ式システムが挙げられる。加えて,特定の実施態様において,凝固した天然ゴムを収集する前に凝固した天然ゴムを第二処理溶液と接触させうると明示的に企画する。
凝固した天然ゴムを第二処理溶液と接触させた後,乾燥させ,抽出物の量(得られた乾燥天然ゴムの重量に対する)が5重量%以下の得られた天然ゴムをつくる。一般に,当業者に既知のあらゆる凝固した天然ゴムの乾燥方法を使用でき,限定されないが,加熱及び真空の適用が挙げられる。一般に,溶剤の含有量が1重量%未満になるまで,得られた天然ゴムを乾燥する。特定の実施態様において,得られた乾燥天然ゴム中のいずれの溶剤量も0.1重量%未満である。
凝固した天然ゴムを乾燥するときに得られた天然ゴムは,乾燥天然ゴムの重量に対して5重量%以下の抽出物の量を含む。特定の実施態様において,得られた乾燥天然ゴム中の抽出物の量は2重量%以下又は1重量%以下である。
任意に,凝固した天然ゴムを乾燥する前に,特定の実施態様において,凝固した天然ラテックスを第二処理溶液と接触させて得られた混合物を単一又は複数の他の相から分離できる。例えば,特定の実施態様において,天然ゴムを含む粘性型相を単一又は複数の液相と共に得ることができる。限定されないが,粘性ゴム相から単一又は複数の液相をデカンタすることを含む当業者の知る範囲内のいろいろな方法で粘性ゴム相を分離できる。
凝固した天然ゴム中のカーボンブラックの量の存在が,有機極性溶剤などの抽出溶剤(例えば,分離溶剤組成物,第一処理溶液又は第二処理溶液)によって天然ゴムから溶媒和又は抽出された抽出物の量を増大できる。特定の理論に拘束されたくないが,カーボンブラックの存在が凝固した天然ゴムの空隙を増加させ,それにより抽出溶剤が凝固した天然ゴムに侵入でき,ゴムの比較的大きな表面積と接触できると考えられている。
本明細書中に記載した製法の一実施態様において,ラテックスを第一処理溶液と接触する前に,任意にカーボンブラックを水性天然ゴムラテックスに添加する。得られた乾燥天然ゴムの重量に対して0.5〜6重量%の量のカーボンブラックを添加する。一般に,限定されないが,カーボンブラックの水性懸濁液又はスラリーをつくり,続いて上記水性懸濁液又はスラリーと水性天然ゴムラテックスを合わせることを含む当業者に既知のあらゆる方法によって,カーボンブラックを水性天然ゴムラテックスに添加できる。
もう一つの実施態様において,凝固した天然ゴムを第二処理溶液と接触する前に,任意にカーボンブラックを凝固した天然ゴムに添加する。得られた乾燥天然ゴムの重量に対し0.5〜6重量%の量のカーボンブラックを添加する。一般に,限定されないが,カーボンブラックの水性懸濁液又はスラリーをつくり,続いて上記水性懸濁液又はスラリーを凝固した天然ゴム中に押し込める混練,混合又は他の物理的作用を伴った,上記水性懸濁液又はスラリーと凝固した天然ゴムを合わせることを含む当業者に既知のあらゆる方法によって,カーボンブラックを水性天然ゴムラテックスに添加できる。
特定の実施態様において,カーボンブラックを水性天然ゴムラテックス又は凝固した天然ゴムのいずれか(又は両者)に添加し,第一及び第二処理溶液は主としてアセトンからなる。
天然ゴム,水,抽出物及び一種又は複数種の添加剤を含み,実質的にリグノセルロース系植物材料を含まない水性天然ゴムラテックスからゴムを回収する方法のさらにもう一つの実施態様は,上記ラテックスを,上記天然ゴムの少なくとも75%が凝固するように凍結し,凝固した天然ゴム,水及び抽出物を含む混合物を形成する工程と,上記混合物を解凍する工程と,上記凝固した天然ゴムを収集する工程と,上記凝固した天然ゴムを,上記抽出物を選択的に溶媒和するために,少なくとも一種類の有機極性溶剤を含む処理溶液と接触させる工程と,上記凝固した天然ゴムを乾燥して,上記抽出物の量が5重量%以下の得られた天然ゴムをつくる工程とを備える。
第一工程において,水性天然ゴムラテックスを凍結して,天然ゴム,水及び抽出物を含む混合物を形成する。一般に,水性天然ゴムラテックスを凍結すると懸濁した天然ゴムが凝固し,水溶液を凍結するあらゆる方法が典型的には本明細書に記載した工程に適する。かかる凍結方法としては,限定されないが,半凍結雰囲気をラテックスに与える工程及び/又は冷却要素(フィン,プレート,スクラップの管壁又はロールなど)をラテックスに提供する工程が挙げられる。完全に凍結するまで又は天然ゴムの少なくとも75%が凝固するまで水性天然ゴムを凍結し,その時点で凝固した天然ゴム,水(全部又は一部が凍結した)及び抽出物を含む混合物が得られる。上記工程のこの時点において,抽出物は凝固した天然ゴム及び水の両者の中に存在できることに注目する。
水性天然ゴムラテックスを完全に又は部分的に凍結後,凍結混合物を解凍する。一般に,解凍は当業者に既知のあらゆる適切な方法で実行でき,限定されないが,凍結混合物を環境雰囲気に曝露する,凍結混合物を単数又は複数の加熱要素と接触させる及び凍結混合物をオーブン(真空であるか否かによらず)中に置くことが挙げられる。
凍結混合物を解凍後,凝固した天然ゴムを収集する。一般に,当業者に既知の水性媒体中の凝固した天然ゴム収集に適するあらゆる方法を使用することができ,限定されないが,遠心分離,浮選及びろ過が挙げられる。
凝固した天然ゴムの収集後,収集物を少なくとも一種類の有機極性溶剤を含む抽出溶液と接触させる。抽出溶液は,一般に天然ゴム中の非ゴム抽出物を選択的に溶媒和するならばいかなる有機極性溶剤も含有できる。使用に適する有機極性溶剤としては,限定されないが,下記のエタノール,イソプロパノール,メタノールなどの1〜8個の炭素原子を有するアルコール,アセトン,メチルエチルケトンなどの3〜8個の炭素原子を有するケトンが挙げられる。二種類以上の有機極性溶剤の混合物も使用できる。また,抽出溶液は,少なくとも一種類の有機極性溶剤に加えて,少なくとも一種類の炭化水素溶剤も含有できる。
凝固した天然ゴムを抽出溶液と接触させる前に,いくつかの実施態様において,例えばゴムを断片に細断又は引裂くことによって凝固したゴムの寸法を低減することが有利でありうる。一般に,当業者に既知の凝固した天然ゴムと抽出溶液とのあらゆる接触方法を使用でき,限定されないが,あらゆる連続向流式液液接触システム(ミキサーセトラー及びカラム配置など)及びあらゆるバッチ式システムが挙げられる。加えて,特定の実施態様において,凝固した天然ゴムを収集する前に凝固した天然ゴムを抽出溶液と接触させうると明示的に企画する。
凝固した天然ゴムを抽出溶液と接触させた後,乾燥して,5重量%以下(得られた乾燥天然ゴムの重量に対して)の抽出物量の天然ゴムをつくる。一般に,当業者に既知のあらゆる凝固した天然ゴムの乾燥方法を使用でき,限定されないが,加熱及び真空の適用が挙げられる。一般に,溶剤含有量が1重量%未満になるまで,得られた天然ゴムを乾燥する。特定の実施態様において,得られた乾燥天然ゴム中のあらゆる溶剤量が0.1重量%未満である。
凝固した天然ゴムを乾燥したときにつくった得られた天然ゴムは,乾燥天然ゴムに対して5重量%以下の抽出物量を含む。特定の実施態様において,得られた乾燥天然ゴム中の抽出物の量は2重量%以下又は1重量%以下である。
任意に,凝固した天然ゴムを乾燥する前に,特定の実施態様において,凝固した天然ラテックスを抽出溶液と接触して得られた混合物を一つ又は複数の他の相から分離できる。例えば,特定の実施態様において,天然ゴムを含む粘性型相が単一又は複数の液相と共に得られる。粘性ゴム相を当業者の知る範囲内のいろいろな方法で分離でき,限定されないが,粘性ゴム相から単一又は複数の液相をデカントすることが挙げられる。
凝固した天然ゴム中にカーボンブラックの量が存在することで,有機極性溶剤などの抽出溶剤によって天然ゴムから溶媒和又は抽出された抽出物の量を増大できる。本明細書中に記載した製法の一実施態様において,ラテックスを凍結する前に,任意にカーボンブラックを水性天然ゴムラテックスへ添加する。得られた乾燥天然ゴムの重量に対して0.5〜6重量%の量のカーボンブラックを添加する。一般に,限定されないが,カーボンブラックの水性懸濁液又はスラリーをつくり,続いて上記水性懸濁液又はスラリーと水性天然ゴムラテックスを合わせることを含む当業者に既知のあらゆる方法によって,カーボンブラックを水性天然ゴムラテックスに添加できる。
もう一つの実施態様において,凝固した天然ゴムを抽出溶液と接触させる前に,任意にカーボンブラックを凝固した天然ゴムに添加する。カーボンブラックは,得られた乾燥天然ゴムに対して0.5〜6重量%の量で添加する。一般に,限定されないが,カーボンブラックの水性懸濁液又はスラリーをつくり,続いて上記水性懸濁液又はスラリーを凝固した天然ゴム中に押し込める混練,混合又は他の物理的作用を伴った,上記水性懸濁液又はスラリーと凝固した天然ゴムを合わせることを含む当業者に既知のあらゆる方法によって,カーボンブラックを水性天然ゴムラテックスに添加できる。特定の実施態様において,カーボンブラックを水性天然ゴムラテックス又は凝固した天然ゴムのいずれか(又は両者に)に添加し,抽出溶液は主としてアセトンからなる。
本発明は以下の実施例を参照することでより容易に理解できよう。もちろん,当業者に明白な多数の他の実施態様又は説明があり,したがって,これらの実施例が説明の目的のためだけに提供され,本発明の範囲をいかなる意味でも限定するように解釈してはならないことが理解される。
下記試験手順を用いて数例の実施例を下記に示すように行った。
(a)抽出物の量の測定−ASTM D297,第18章,アセトンでの標準ソックスレー抽出法装置の使用を可能にする変更を施した。
(b)マイクロダンベル試験−ASTM D412。
(c)標準天然ゴム試験配合−表1参照。
Figure 2011516716
上記表に示した成分を,ブラベンダーミキサーを用いて混合し,天然ゴム(NR)処方を調製し,その後,約2mm厚のシートにモールド成型し,続いて145℃で30分間,加圧硬化する。
例1
グアユールの灌木(約40.7%精製ゴム)由来の総固形分約48.9%であるユーレックス社から購入した水性天然ゴムラテックス試料149.03グラムを3リットルのアセトンと混合ヘキサン異性体を50/50(体積)含む組成物とさらに30分間混合した。これによって単一の粘性ゴム相及び二つの液相が形成する結果であった。
液相をデカントした。固相を圧搾し湿潤ゴム中の捕捉されたポケット状の液相を除去した。圧搾ゴムを小片に切断し,更に3リットルのアセトンと混合ヘキサン異性体を50/50(体積)含むできたての組成物とさらに30分間混合した。得られた液体をデカントし,得られた固体ゴムを圧搾した。圧搾固体ゴムを真空乾燥し,存在する全ての溶剤を除去した。乾燥ゴム重量は60.06グラムであった。計算によって,50/50(体積)アセトン/ヘキサン組成物でのゴムラテックスの凝固により,60.06グラムのゴムを得て,12.82グラムの抽出物を除去したことを示すと算出した。計算は下記に示す:
0.489×149.03=72.88グラムのラテックス試料中の固体,
72.88グラムの固体−60.06グラムのゴム=12.82グラムの除去した抽出物となる。
乾燥ゴム中に残留する抽出物の量を決定するため,乾燥ゴムの少量試料をアセトンでのソックスレー抽出法にかけた。結果として,乾燥ゴムに対してさらに0.90重量%の抽出物が得られ,乾燥ゴムが抽出物0.90重量%含むことを示す。
乾燥ゴムをヘキサン中に溶解し,均一な溶液を形成した。ゴム100部(重量で)当たり1部のフレックシス・ラバー・ケミカル社,オハイオ州製造販売のSanto flex 134老化防止剤を添加し,ゴム溶液中に混練した。その後,溶剤を真空乾燥によって除去した。
試料1と名付けた得られた乾燥安定化ゴムを,その後,貯蔵安定性を評価するため60℃の強制空気オーブン中に置いた。下記表2Aに示したムーニー粘度を上記オーブンでのエージング処理前後に測定した。
Figure 2011516716
乾燥ゴム生成物を本明細書中に記載した標準全天然ゴム試験配合でのコンパウンドにすることで,得られた乾燥安定化ゴム生成物を更に評価した。試料1Aと名付けた例1のコンパウンドにした乾燥ゴム生成物の試験データを,ヘベア#1と名付けた市販入手可能なヘベア天然ゴムのデータと共に,対比のため下記表2Bに示す。
Figure 2011516716
また,試料1を比較のためゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)にかけ,以下の結果Mn=464,141,Mw=1,288,439,Mw/Mn=2.78を得た。
表2Bのデータから,試料1で得られたゴム生成物が特性面で市販入手可能なヘベア天然ゴム(ヘベア#1)と比べて非常に好ましいことが分かる。
例2
例2は,天然ゴムラテックスの凝固に,例1のような炭化水素溶剤及び/又は有機極性溶剤の組成物ではなく,ギ酸を用いた。
総固形分約50%(約41%精製ゴム)であるユーレックス社から購入した水性天然ゴムラテックス試料200グラムに蒸留水90グラムを添加して希釈し,pH8.0の混合物を得た。上記天然ゴムラテックスにギ酸5%水溶液25グラムを添加し,得られた混合物を約1時間撹拌してゴムの凝固を完了した。この時点で,pHは5〜6であった。その後,ゴム試料を真空乾燥し,残留水を除去した。
乾燥ゴム中に残留する抽出物の量を決定するため,本例で調製した乾燥ゴムの少量試料を,その後アセトンでのソックスレー抽出法にかけた。ソックスレー抽出法により,乾燥ゴムが11%のアセトン抽出物を含み,乾燥重合体が抽出物11重量%含むことが判明した。このことから,乾燥ゴム製品からのアセトン抽出可能な不純物の除去において,例2の製法は例1の製法ほど効率的でないことを示す。
上記標準ゴム試験配合で評価する場合,上記天然ゴムラテックスから得られた乾燥ゴム製品からアセトン抽出物を除去する度合いが,ヘベア天然ゴムと比較しうる特性を有する生成物を作る重要な因子であることが明らかになった。下記表3では,試料2の乾燥ゴム製品を試料2Aと名付け,ヘベア天然ゴムをヘベア#1と名付けた。
Figure 2011516716
また,試料2Aを比較のため,標準試験配合でコンパウンドにする前に,GPCにかけ,次の結果を得た:Mn=372,718,Mw=876,516,Mw/Mn=2.35
上記データから,本例の天然ゴム生成物について得られた値が,一般に,ヘベア天然ゴムについて得られた値よりも低く,試料2とヘベア#1の二つの試料が同等であると結論付けることは明らかに困難である。
例3
グアユールの灌木由来の総固形分約48.9%であるユーレックス社から購入した水性天然ゴムラテックス試料67.6グラムに蒸留水を総量338グラム添加して,総重量に対し総固形分含有量が約10%になるように希釈した。
強力に撹拌しながら,希釈ラテックスにヘキサン203.2グラム及びアセトン812.8グラムの混合物をゆっくり添加した。撹拌を停止したとき,混合物は10分間以内に分離し,三相の異なる相を形成した。非常に流動的な上液相と下液相をデカント後,中間相(粘性相)を回収した。
その後,粘性相を強力に撹拌しながら,ヘキサン457グラム及びアセトン457グラムと混合した。撹拌後,混合物は急速に二相に分離した。非常に流動的な上相をデカンタし,下部粘性相を恒量まで真空乾燥した。
試料3と名付けた乾燥生成物の最終重量は23.66グラムであった。上記製法中に多種の試料の重量を除去した後,もとのラテックス中のゴム総重量は28.80グラムであり,もとの非希釈ラテックス中の精製ゴム含有量が42.6%となることが分かった。
最終乾燥性生物中の抽出物の量を決定するため,最終ゴム試料をアセトンでのソックスレー抽出法にかけ,2.31重量%のアセトン抽出物を含み,最終ゴムが抽出物2.31重量%を含むことが判明した。
最終ゴムの第二少量試料をゴム100部当たり約1部のSanto flex 134で安定化し,GPCで分析し,以下のパラメーターを有することを見出した。:Mn=482,888,Mw=1,211,165,Mw/Mn=2.51
例1で調製したゴムとGPCの結果及びアセトン抽出物百分率を比較して,コンパウンド品が対照ヘベア#1に匹敵し好ましい引張り強度の結果を予測することは妥当である。
例4
例3で用いたのと同一の水性天然ゴムラテックス試料12.5グラムを蒸留水で希釈し,総重量625グラム,総固形分含有率約1%とした。
強力に撹拌しながら,希釈ラテックスにヘキサン165.25グラム及びアセトン1652.65グラムの混合物をゆっくり添加した。撹拌を停止したとき,混合物は10分間以内に分離し,三相の異なる相を形成した。非常に流動的な上液相と下液相をデカント後,中間相(粘性相)を回収した。
その後,粘性相を強力に撹拌しながらヘキサン90.63グラム及びアセトン90.63グラムと混合した。撹拌後,混合物は急速に二相に分離した。非常に流動的な上相をデカンタし,下部粘性相を恒量まで真空乾燥した。
乾燥生成物の最終重量は4.93グラムであり,もとの非希釈ラテックス中の精製ゴム含有量が39.4%となることが分かった。
最終乾燥性生物中の抽出物の量を決定するため,最終ゴム試料をアセトンでのソックスレー抽出法にかけ,1.52重量%のアセトン抽出物を含み,最終ゴムが抽出物1.52重量%を含むことが判明した。
最終ゴムの第二少量試料をゴム100部当たり約1部のSanto flex 134で安定化し,GPCで分析し,以下のパラメーター:Mn=445,776,Mw=1,258,677,Mw/Mn=2.82を有することを見出した。
例1で調製したゴムとGPCの結果及びアセトン抽出物百分率を比較して,コンパウンド品が対照ヘベア#1に匹敵し好ましい引張り強度の結果を予測することは妥当である。
例5
コロンビアン・ケミカルズ・オブ・プロクター社,ウエストバージニア州から購入したN339Pカーボンブラック10.5グラムとおよそ等体積の蒸留水,40%オレイン酸カリウムペースト数グラム及びpHを約8に上げるため5%KOH水溶液数ccと混合することでカーボンブラック懸濁液を形成した。混合物を,塊のない濃厚懸濁液を形成するまで撹拌した。
濃厚懸濁液をグアユールの灌木(約40.7%精製ゴム)由来の総固形分約48.9%であるユーレックス社から購入した水性天然ゴムラテックス166.67グラムに添加し,撹拌してブレンドした。カーボンブラックの沈降及びゴムの凝固は観察されなかった。
次に,40wt%老化防止剤エマルジョン3.9mLを添加した。Santo flex 134及びTNPP(トリスノニルフェニルホスファイト)をそれぞれ50グラム,水150グラム,水中の40%オレイン酸カリウムペースト10グラムと混合し,NaOH水溶液を添加してpH=10とし,続いて安定なエマルジョンを形成するようワーリングブレンダー中で混合してエマルジョンを調整した。この処方を用いて,ゴム一グラム当たり0.052グラムのエマルジョンを添加してゴム100部当たり各安定剤一部を提供する。
次に,Al2(SO43(「凝固性溶液」)5%水溶液2500mLを1ガロンワーリングブレンダー内に入れた。
混合物[水性天然ゴムラテックス+カーボンブラック+老化防止剤エマルジョン]を上記凝固性溶液中にゆっくりと注ぎ,「低速」に設定したブレンダーで10秒間ブレンドした。その後,覆いをブレンダー上に置き,さらに15秒間速度を「中速」に上げた。
得られた凝固混合物を第70番米国標準ふるいトレー上に注ぎ,水道水ですすいだ。いくらかの取り込まれないカーボンブラックがすすぎ中にあった。
凝固したゴムを1ガロンガラス広口瓶内に置き,水道水約3クォートと混合し,続いて水をデカントし,2回繰り返した。最後のすすぎでは遊離カーボンブラックはほとんど又はまったく見られなかった。最大空隙率を維持するため凝固性ゴムを圧搾しなかった。
次に,湿潤凝固したゴムを約1インチの小片に引き裂き,ワットマン紙90×200mmのセルロース抽出ろ紙,冷却管及び3000mLフラスコを備えたソックスレー抽出装置にかけた。その後,アセトン1000mLをフラスコに添加し電気加熱マントルを介して加熱し還流した。抽出を21時間継続した。重合体はきわめて多孔質のままであり,簡単に別々の破片に粉砕した。
次に,Santo flex 134及びTNPP(凝固したゴムを湿潤するのに十分な)100部当たり1部を各々含むアセトン溶液を添加し,混練して凝固したゴムの空隙内へ溶液を押し込んだ。
その後,残留アセトンを除去するため凝固したゴムを真空オーブン中50℃で4.25時間置いた。その後,アセトンを含まない凝固したゴムを強制空気オーブン中に83℃で終夜置いた。上記試料を試料5と名付ける。得られた乾燥ゴム及びカーボンブラックの総重量は69.28グラムであった。
熱重量分析は,カーボンブラック及びアセトン抽出物をゴム100部に対し11.03部含むことを示し,アセトン抽出物が3.5重量%(全生成物[ゴム+カーボンブラック+抽出物]の重量に対し)があることを表わす。添加老化防止剤を修正して,上記混合物はアセトン抽出物1.54wt%(3.5−1.96wt%)を含んだ。
次に,試料5のカーボンブラック含有量を補償するためカーボンブラックを添加して修正した以外は上記ゴムを上記で参照した標準試験配合を用いてコンパウンドにした。下記表4において,コンパウンドにしたゴムを試料5Aと名付け,ヘベア天然ゴムをヘベア#1と名付けた。
Figure 2011516716
表4のデータから,例5で得られたゴム製生物は性能面で市販入手可能なヘベア天然ゴム(ヘベア#1)に匹敵し好ましいことが分かった。
例6
本例はアセトン自体が水性天然ゴムラテックスを凝固させることを示す。
総固形分約50%であるユーレックス社から購入した水性天然ゴムラテックス試料77.6グラムを,よく混合しながらアセトン250グラムにゆっくりと添加した。ラテックス中の天然ゴムは凝固し固体の塊を形成した。
抽出物含有量を十分なレベルに低下するために,ゴム塊の抽出,続いて抽出溶剤をゴムから除去する乾燥工程が必要であると想定される。抽出効率がカーボンブラックの添加によって改善できると期待される。
例7
固形分55%であるユーレックス社から購入した水性天然ゴムラテックス試料88.4グラムを,アルミニウム製容器内に高さ1cmで置き,冷凍機中−30℃で30分間冷凍し凍結ラテックスをつくった。凍結ラテックスを冷凍機から取り出し,その後,容器から取り出した。
凍結ラテックスを室温で融解後,凝固した塊をろ過によって水から分離した。凝固した材料に40トンの圧力を数秒間かけて余剰水を除去した。得られたゴムは57.6グラムの塊であった。さらに9.4グラムの水を凝固したゴムから蒸気式ドラムドライヤーによって除去し,水を含まない凝固したゴム48.2グラムを生成した。
水を含まない凝固したゴム試料31.2グラムをアセトンでのソックスレー法で6時間抽出し,アセトン抽出物12.7%を含むことがわかった。
得られた乾燥ゴムの最終重量は27.17グラムであった。乾燥ゴム試料27.17グラム中に残留する抽出物の量自体は測定しなかったが,試料中に残った抽出物の量は2%未満であると考えられた。本試料では,ソックスレー法で使用したアセトンは抽出溶液として働いた。
得られた乾燥ゴム(すなわち,27.17グラム)をヘキサン中に溶解し,均一な溶液を形成した。ゴム100部(重量)当たり一部のSanto flex 134老化防止剤を添加し溶液内に混練した。その後ヘキサンを真空乾燥によって除去した。
得られた乾燥安定化ゴムを,貯蔵安定性を評価するため,その後,60℃の強制空気オーブン中に置いた。下記表5に示したムーニー粘度をオーブンでのエージング処理の前後で測定した。
Figure 2011516716
表5のデータから,例7で得られたゴム製生物は本明細書中に開示した他の製法によって得られたゴム生成物に特性面で匹敵し好ましいことが分かる。
例8
コロンビアン・ケミカルズ・オブ・プロクター社から購入したN339Pカーボンブラック試料2.2グラムを,グアユールの灌木由来の総固形分約51.1%であるユーレックス社から購入した水性天然ゴムラテックス100.73グラムに添加した。混合物をローラー状に4時間置いて均一な混合を得た。その後,混合物を高さ0.5cmのアルミニウム製容器内に静置し,冷凍機中−30℃で30分間冷凍し,凍結混合物をつくった。凍結混合物を冷凍機から出し,その後容器に取り出した。
室温で解凍後,凝固した塊をろ過によって水から分離した。凝固した材料に40トンの圧力を数秒間かけ,続いて真空乾燥して余剰水を除去した。
乾燥凝固材料を小片に切断して抽出し,アセトン1.5リットル中に浸漬し,2時間強力に撹拌した。アセトンのデカント後,得られたゴムを真空乾燥した。本明細書中試料8で示す得られた乾燥ゴム(カーボンブラックを含む)の最終重量は53.66グラムであった。
得られた乾燥ゴム試料1.32グラムを,アセトンを用いたソックスレー法によって抽出し,1.52%アセトン抽出物を含むことを見出した。
得られた乾燥ゴムの一部50グラムをヘキサン中に溶解し,均一な溶液を形成した。ゴム百(重量)部あたり一部のSanto flex 134老化防止剤を添加し溶液内に混練した。溶剤を真空乾燥によって除去した。
得られた乾燥し安定化したゴムを,以前添加したカーボンブラック2部に対しゴム100部当たりN339カーボンブラック48部を添加する点のみが相違する上記標準天然ゴム配合に基づいてコンパウンドして更に評価した。乾燥ゴム製品を下記表6中,試料8Aと命名し,ヘベア#1と命名した市販入手可能なヘベアゴムと比較した。
Figure 2011516716
表6のデータから,市販入手可能なヘベア天然ゴムと比較して,例8で得られたゴム製品は性能が非常に好ましいことがわかる。
本明細書又は請求項中で「含有する」又は「含有している」という用語を使用する範囲内で,「含んでいる」という用語が請求項中の移行語句として使用される場合に解釈されるのと同様に包括的であるという意図である。更に,「又は」という用語を使用する(例えば,A又はB)範囲内で,「A又はBもしくは両方」を意味する意図である。本願出願人が「A又はBのみで,両方ではない」ことを示す意図である場合には,「A又はBのみで,両方ではない」という用語を使用する。従って,本明細書中の「又は」という用語の使用は包括的であり,排他的な使用ではない。Bryan A. Garner著「最新法律用例624辞典」(第二版 1995)参照。また,明細書又は請求項中で「〜中」又は「〜中に」という用語を使用する範囲内で,「〜上」又は[〜上に」も付加的に意味する意図である。
更に,明細書又は請求項中で「接続する」という用語を使用する範囲内で,「直接結合する」だけでなく,単一又は複数の要素を介して結合するような「間接的に結合する」ことも意味する意図である。
本出願をそれらの実施態様の記載によって説明し,かなり詳細に実施態様を記載したが,本出願人はかかる詳細に添付した請求項の範囲を制限する又はどんな場合でも限定する意図ではない。付加的な利点及び変形は当業者には容易に理解されよう。それゆえ,本出願は,より広範な態様において,示した及び記載した特定の詳細,代表的装置及び説明した例に限定されない。したがって,本出願人の一般的発明概念の趣旨及び範囲から外れることなく,かかる詳細から発展できる。

Claims (20)

  1. 天然ゴム,水,抽出物及び一種又は複数種の添加剤を含み,実質的にリグノセルロース系植物材料を含まない水性天然ゴムラテックスからゴムを回収する方法であって,
    前記ラテックスを,少なくとも一種類の炭化水素溶剤及び少なくとも一種類の有機極性溶剤を含み、前記天然ゴムの少なくとも75%を前記水から分離する分離溶剤組成物と接触させ,天然ゴム及び低減した量の抽出物を含有する粘性ゴム相を有する溶剤を形成する工程と,
    前記粘性ゴム相を単離する工程と,
    前記粘性ゴム相を乾燥して,前記抽出物の量が5重量%以下の得られた天然ゴムをつくる工程とを備える方法。
  2. 前記粘性ゴム相を乾燥する前に,前記粘性ゴム相を,少なくとも一種類の有機極性溶剤を含む少なくとも一種類の抽出溶剤組成物と接触させる工程を更に備える請求項1に記載の方法。
  3. 前記分離溶剤組成物の総量に対して,前記少なくとも一種類の炭化水素溶剤が5重量%〜60重量%の量で存在し,前記少なくとも一種類の有機極性溶剤が95重量%〜40重量%の量で存在する請求項1に記載の方法。
  4. 前記得られた天然ゴム中の前記抽出物量が1重量%以下である請求項2に記載の方法。
  5. 前記少なくとも一種類の抽出溶剤組成物がアセトンを含む請求項4に記載の方法。
  6. 前記分離溶剤組成物において,前記少なくとも一種類の炭化水素溶剤が5重量%〜25重量%の量で存在し,前記少なくとも一種類の有機極性溶剤75重量%〜95重量%の量で存在し,前記少なくとも一種類の抽出溶剤組成物がアセトンを含み,前記得られた天然ゴム中の前記抽出物の量が1重量%以下である請求項2に記載の方法。
  7. 天然ゴム,水,抽出物及び一種又は複数種の添加剤を含み,実質的にリグノセルロース系植物材料を含まない水性天然ゴムラテックスからゴムを回収する方法であって,
    前記ラテックスを,前記天然ゴムの少なくとも75%が凝固する第一処理溶液と接触させ,凝固した天然ゴム,水及び抽出物を含む混合物を形成する工程と,
    前記凝固した天然ゴムを収集する工程と,
    前記凝固した天然ゴムを,前記抽出物を選択的に溶媒和するために,少なくとも一種類の有機極性溶剤を含む第二処理溶液と接触させる工程と,
    前記凝固した天然ゴムを乾燥して,前記抽出物の量が5重量%以下の得られた天然ゴムをつくる工程とを備える方法。
  8. 前記第一処理溶液が,有機酸,鉱酸もしくはそれらの塩を含む請求項7に記載の方法。
  9. 前記第一処理溶液が,少なくとも一種類の有機極性溶剤を含み、前記第一及び第二処理溶液が同一又は異なる請求項7に記載の方法。
  10. 前記第一処理溶液が,酢酸,ギ酸,硫酸,水性硫酸アルミニウム,水性塩化カルシウムもしくはそれらの混合物からなる群から選択する酸を含む請求項8に記載の方法。
  11. 前記第一処理溶液中の前記少なくとも一種類の有機極性溶剤は、1〜8個の炭素原子を有するアルコール及び3〜8個の炭素原子を有するケトンからなる群から選択され,前記第二処理溶液中の前記少なくとも一種類の有機極性溶剤は、1〜8個の炭素原子を有するアルコール及び3〜8個の炭素原子を有するケトンからなる群から選択される請求項9に記載の方法。
  12. 前記ラテックスを第一処理溶液と接触する前に,前記ラテックスに前記得られた乾燥天然ゴムの0.5〜6重量%の量のカーボンブラックを添加する工程を更に含む請求項7に記載の方法。
  13. 前記凝固した天然ゴムを前記第二処理溶液と接触させる前に,前記凝固した天然ゴムに前記得られた乾燥天然ゴムの0.5〜6重量%の量で前記カーボンブラックを添加する工程を更に備える請求項7に記載の方法。
  14. 前記第一及び第二処理溶液が主としてアセトンからなる請求項12に記載の方法。
  15. 前記第一及び第二処理溶液が主としてアセトンからなる請求項13に記載の方法。
  16. 前記得られた天然ゴム中の前記抽出物の量が2重量%以下である請求項8に記載の方法。
  17. 前記得られた天然ゴム中の前記抽出物の量が2重量%以下である請求項9に記載の方法。
  18. 天然ゴム,水,抽出物及び一種又は複数種の添加剤を含み,実質的にリグノセルロース系植物材料を含まない水性天然ゴムラテックスからゴムを回収する方法であって,
    前記ラテックスを,前記天然ゴムの少なくとも75%が凝固するように凍結し,凝固した天然ゴム,水及び抽出物を含む混合物を形成する工程と,
    前記混合物を解凍する工程と,
    前記凝固した天然ゴムを収集する工程と,
    前記凝固した天然ゴムを,前記抽出物を選択的に溶媒和するために,少なくとも一種類の有機極性溶剤を含む処理溶液と接触させる工程と,
    前記凝固した天然ゴムを乾燥して,前記抽出物の量が5重量%以下の得られた天然ゴムをつくる工程とを備える方法。
  19. 前記ラテックスを凍結する前に,前記ラテックスに前記乾燥天然ゴムの0.5〜6重量%の量で前記カーボンブラックを添加する工程を更に備える請求項18に記載の方法。
  20. 前記凝固した天然ゴムを前記抽出溶液と接触させる前に,前記凝固した天然ゴムに前記得られた乾燥天然ゴムの0.5〜6重量%の量で前記カーボンブラックを添加する工程を更に備える請求項18に記載の方法。
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