JP2011515549A - ポリアミド組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ノボラック樹脂とナノメートル寸法のフレーク構造を有するフィラーとを含み、良好な寸法安定性を有するポリアミド組成物に関する。本発明はまた、該組成物の製造方法、及び様々な用途のための様々な物品を特に射出成形によって製造するための該組成物の使用にも関する。
Description
本発明は、ノボラック樹脂とナノ規模のシート(フレーク)構造を有するフィラーとを含み、良好な寸法安定性を有するポリアミド組成物に関する。本発明はまた、該組成物の製造方法、及び様々な用途のための様々な物品を特に射出成形によって製造するための該組成物の使用にも関する。
本出願人は、全く驚いたことに、ノボラック樹脂とナノ規模のシート構造を有するフィラーとを組合せて使用することによって、湿気のある環境中で且つ高温において高められた寸法安定性を有し、且つ良好な機械的特性、特に良好な衝撃強さを有するポリアミド組成物を得ることができることを見出した。
本発明の主な主題は、少なくとも1種のノボラック樹脂とナノ規模のシート構造を有するフィラーとを含むポリアミド組成物にある。
この組成物は、組成物の総重量に対して1〜25重量%、特に2〜10重量%、さらにより特定的には3〜7重量%のノボラック樹脂を含むことができる。
この組成物は、組成物の総重量に対して0.1〜15重量%、特に1〜10重量%、より一層好ましくは1〜5重量%のナノ規模のシート構造を有するフィラーを含むことができる。
本発明に従って用いることができるポリアミドとしては、半結晶質又は非晶質のポリアミド及びコポリアミド、例えば脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、並びにより一般的に飽和脂肪族若しくは芳香族二酸と芳香族若しくは脂肪族飽和ジ第1アミンとの重縮合によって得られる線状ポリアミド、ラクタム若しくはアミノ酸の縮合によって得られるポリアミド、又はこれらの各種モノマーの混合物の縮合によって得られる線状ポリアミド等を挙げることができる。より特定的には、これらのコポリアミドは、例えばポリヘキサメチレンアジパミド、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸から得られるポリフタルアミド、並びにアジピン酸、ヘキサメチレンジアミン及びカプロラクタムから得られるコポリアミドであることができる。
本発明の1つの好ましい実施態様に従えば、本組成物は、ポリアミドPA−6、ポリアミドPA−6,6、ポリアミドPA−6,10、ポリアミドPA−11、ポリアミドPA−12、ポリアミドPA−6,12、ポリ(m−キシレンジアミン)(MXD6)、ポリアミドPA−6,6/6T、ポリアミドPA−6,6/6I、並びにそれらのブレンド及びコポリアミド、例えばコポリアミドPA−6/6,6等、より成る群から選択される少なくとも1種のポリアミドを含む。
本発明の組成物はまた、特に上記のポリアミドから誘導されるコポリアミド、又はこれらのポリアミド若しくはコポリアミドのブレンドを含むこともできる。
好ましいポリアミドは、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロラクタム、又はポリヘキサメチレンアジパミド及びポリカプロラクタムのコポリマー及びブレンドである。
ポリアミドマトリックス(マトリックスとなるポリアミド)は、特に、星形又はH形マクロ分子鎖及び適宜に線状マクロ分子鎖を含むポリマーであることができる。斯かる星形又はH形マクロ分子鎖を含むポリマーは、例えば仏国特許第2743077号、仏国特許第2779730号、米国特許第5959069号明細書、欧州特許公開第0632703号公報、欧州特許公開第0682057号公報及び欧州特許公開第0832149号公報に記載されている。
本発明の別の特定的な態様に従えば、本発明のポリアミドマトリックスは、ランダムツリータイプのポリマー、好ましくはランダムツリー構造を有するコポリアミドであることができる。これらのランダムツリー構造を有するコポリアミド及びそれらを得るための方法は、特に国際公開WO99/03909号に記載されている。本発明のマトリックスはまた、前記の線状熱可塑性ポリマーと、前記の星形、H形及び/又はツリータイプの熱可塑性ポリマーとを含む組成物であることもできる。本発明のマトリックスはまた、国際公開WO00/68298号に記載された多分岐コポリアミドであることもできる。本発明の組成物はまた、前記の線状、星形、H形又はツリータイプの多分岐コポリアミド熱可塑性ポリマーの任意の組合せを含むこともできる。
本発明に従う組成物は、組成物の総重量に対して40〜95重量%、特に40〜80重量%のポリアミドを含有するのが好ましい。このポリアミド組成物はまた、1種以上の他のポリマー、好ましくはポリアミド、ポリオレフィン、ABS又はポリエステル等の熱可塑性ポリマーをも含むことができる。
ノボラック樹脂は、一般的にポリヒドロキシフェノールタイプの化合物、例えばフェノール系化合物とアルデヒドとの縮合生成物である。これらの縮合反応は、一般的に酸で触媒される。
フェノール系化合物は、フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、アルキルフェノール、例えばブチルフェノール、t−ブチルフェノール若しくはイソオクチルフェノール;又は他の任意の置換フェノールから選択することができる(単独で又は混合物として)。最もよく用いられるアルデヒドは、ホルムアルデヒドである。しかしながら、他のアルデヒド、例えばアセトアルデヒドやパラホルムアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキサール等を用いることもできる。
本発明の1つの特定的な実施態様に従えば、前記樹脂は、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合生成物である。
フェノール−ホルムアルデヒド樹脂の包括的な分子構造は、特に次の通りである。
{ここで、
Rは水素原子又は炭化水素ベース基(特に1〜10個の炭素原子を有するもの)であることができ;
nは1〜3の範囲であり;そして
mは2〜15の範囲、好ましくは2〜10の範囲である。}
Rは水素原子又は炭化水素ベース基(特に1〜10個の炭素原子を有するもの)であることができ;
nは1〜3の範囲であり;そして
mは2〜15の範囲、好ましくは2〜10の範囲である。}
500〜3000g/モルの範囲、好ましくは800〜2000g/モルの範囲の高分子量を有するノボラック樹脂を用いるのが有利である。
商品として入手できるノボラック樹脂の例としては、特に工業製品のDurez(登録商標)、Vulkadur(登録商標)及びRhenosin(登録商標)を挙げることができる。
ノボラック樹脂は、そのままで直接溶融ポリアミドに加えることもでき、また、マスターバッチ(特にポリマー組成物、好ましくはポリアミド組成物中のもの)経由で溶融ポリアミドに加えることもできる。
本発明に従う組成物はまた、ナノ規模のシート構造を有するフィラーをも含み、このフィラーは様々な形にあることができる。
用語「ナノ規模のシート構造を有するフィラー」とは、ナノ規模シート(ナノシートとも言う)、即ちナノメートルの桁の最小寸法、特に0.1〜5nmの範囲の厚さを有するシートを含むフィラー又は斯かるシートから成るフィラーを意味するものとする。
これらのナノシートは通常、100〜500nmの範囲の長さ及び0.1〜5nmの範囲の厚さを有する。
これらのフィラーは一般的に、50を超えるアスペクト比、好ましくは100を超えるアスペクト比を有する。用語「アスペクト比」とは、フィラーの形状の最大寸法特徴とフィラーの形状の最小寸法特徴との間の比を意味するものとする。
これらのフィラーは、ポリアミドマトリックス中で様々な形にあることができる。これらは例えば、個別のナノ規模シートの形にあることもでき、個別のナノ規模シートの不規則凝集物であることもできる。これらのフィラーはまた、それらの元々の形に近い形、即ちナノ規模シートのスタック(積層物)の形にあることもできる。これらのスタックは、上記の有機又は無機化合物を間に挟むと言うことができる。また、本発明に従うフィラーは、ポリアミドマトリックス中において、ナノ規模シートのスタックの凝集物の形にあることも可能である。
本発明に従う組成物において、前記フィラーは、採用した組み込み方法に応じて、様々な形にあることができる。
これらのフィラーは、本発明のポリアミド組成物中に分散される。分散は、多かれ少なかれ良品質であることができる。
前記ナノ規模シートは通常、シートから成る構造を持つ化合物から得られる。特に、組成物又はポリマーを調製する際に、シートが互いから分離してナノ規模シートを形成することができる。
フィラーの幾何学的特徴、即ちそれらの形状及び寸法は、組成物を顕微鏡で調べることによって観察することができ、また、それらが得られた化合物のシートのものになぞらえることもできる。上記のように、シート間の分離(シート同士の分離)は完全でなくてもよく、つまり組成物中に凝集物が存在していてもよい。
シート間の分離はしばしば剥離、分離及び/又は層間剥離と称される。この分離の際に伴われるプロセスは、用いる化合物及び/又は採用する方法に応じて異なるものであり得る。それらは一般的に、ナノ規模のシート構造を有し且つ比較的高いアスペクト比を有するフィラーが得られるものである。
ナノ規模のシート構造を有するフィラーは、いくつかの群から選択することができる。特に、フルオロマイカ、リン酸ジルコニウム、ケイ酸塩、より特定的にはフィロケイ酸塩(層状ケイ酸塩とも称される)及びハイドロタルサイトを挙げることができる。
ケイ酸塩タイプのフィラーであって本発明の実施のために好適なものとしては、モンモリロナイト、スメクタイト、イライト、セピオライト(海泡石)、パリゴルスカイト(アタパルジャイト)、ムスコバイト(白雲母)、アレバルダイト(allervardite)、アメサイト、ヘクトライト、タルク、フルオロヘクトライト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、スティーブンサイト、ベントナイト、マイカ、フルオロマイカ、バーミキュライト、フルオロバーミキュライト、ハロイサイトを挙げることができる。これらの化合物は、天然のもの、合成によるもの又は天然のものを変性したものであることができる。
モンモリロナイト、特に厚さが0.5〜5nmの範囲のものであって直径が50〜600nmの範囲のものが、特に好ましい。斯かるモンモリロナイトは、100を超えるアスペクト比を有することができる。
シート間の分離は、有機又は無機化合物を用いた前処理によって例えばシート間の距離を増大させることによって、促進することができる。処理の種類は、シート構造を有する化合物の性状に依存し得る。例として、モンモリロナイトの処理については、オニウムによる処理、即ち置換ホスホニウム又はアンモニウムによる処理を挙げることができる。すでに処理されたモンモリロナイトが商品として入手できる。シート構造を有する化合物を熱可塑性樹脂中、例えばポリアミド中に組み込むための処理及び/又はプロセスは、すでに多数報告されている。
モンモリロナイト等のシート構造を有する化合物の処理については、化合物中に最初に含有されているカチオンの交換による処理を特に挙げることができる。これらは例えばオニウムタイプの有機カチオンである。この有機カチオンは、ホスホニウム及びアンモニウム、例えば第1〜第4級アンモニウムから選択することができる。例として、プロトン化されたアミノ酸、例えばアンモニウムでプロトン化された12−アミノドデカン酸、プロトン化された第1〜第3アミン及び第4級アンモニウムを挙げることができる。オニウムの窒素又はリン原子に結合する鎖は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族、芳香族、アリール脂肪族であることができ、酸素含有単位、例えばヒドロキシ又はエトキシ単位を有していてもよい。有機アンモニウム処理の例としては、ドデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)オクタデシルメチルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、オクタデシルベンジルジメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムを挙げることができる。有機ホスホニウム処理の例としては、アルキルホスホニウム類、例えばテトラブチルホスホニウム、トリオクチルオクタデシルホスホニウム、オクタデシルトリフェニルホスホニウムを挙げることができる。これらのリストは限定を意図するものではない。
シート構造を有する化合物はまた、飽和若しくは不飽和脂肪酸又はそれらの誘導体若しくはそれらの塩によって、或はシリコーン又はシロキサン誘導体によって、処理することもできる。特に米国特許出願公開第2007/0072980号明細書を挙げることができる。
本発明の1つの好ましい実施態様に従えば、前記組成物は、ポリアミド樹脂と、該樹脂中に分散された、フィロケイ酸塩{例えば前もって処理(特にイオン交換による膨潤(膨張))に付されたモンモリロナイト}のインターカレーション又は剥離によって得られた、剥離した又は一部剥離したナノ規模シート構造を有するフィラーとから成る。採用できる膨潤技術の例は、例えば欧州特許公開第0398551号公報に記載されたものである。ポリマーマトリックス中のフィロケイ酸塩の剥離を促進することが知られているすべての処理を用いることができる。例えば、Laporte社から商品名Cloisite(登録商標)の下で販売されている有機化合物で処理されたクレーを用いることができる。また、Nanocor社からNanomer(登録商標)シリーズとして販売されているモンモリロナイトをベースとするクレーを用いることも可能である。また、Sud Chemie社からNanofil(登録商標)シリーズとして販売されている被処理モンモリロナイトを用いることも可能である。
剥離したナノ規模シート構造のフィラーのポリマー中の分散体を得ることを可能にする任意の方法を、本発明を実施するために用いることができる。一般的には、現場重合法又はポリアミドと溶融ブレンドする方法が用いられる。
第1の方法は、分散させるべきシート構造を有する化合物(随意に例えば膨潤剤で処理されたもの)を重合媒体中でポリアミドのモノマーと混合し、次いで重合させることから成る。この場合、ポリマーはポリアミドであるのが好ましい。従って、ナノ規模のシート構造を有するフィラー(随意に処理されたもの)をポリアミドモノマーを含む媒体中に導入し、次いでこの混合物を重合させて、剥離したナノ複合フィラーを含むポリアミドを得る。
別の方法は、ポリアミドを、分散させるべきシート構造を有する化合物(随意に例えば膨潤剤で処理されたもの)と又はすでに剥離させたナノ規模のシート構造を有するフィラー(随意に処理されたもの)と混合し、随意にこの混合物に、例えば二軸スクリュー押出装置中で、高剪断を加えて良好な分散を達成することから成る。対象とするポリマーは、個別の化合物の1つ、好ましくはポリアミド、又は組成物中の各種化合物の混合物のいずれかであるものとする。特に、シート構造を有する化合物は、本発明に従うポリアミド組成物を形成させるためにポリアミドとブレンドされることが予定されるマスターバッチ(例えばポリマー組成物中、特にポリアミド組成物中のもの)の形で、加えることができる。
別の方法は、ポリマーと剥離させたナノ規模のシート構造を有するフィラーとの濃厚混合物(例えば上記の方法の1つに従って調製されたもの)を溶融ポリマーとブレンドすることから成る。
本発明に従うポリアミド組成物の機械的特性を改善するために、少なくとも1種の補強用及び/又は増量用フィラー(好ましくはガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維等の繊維質フィラー、並びにクレー、カオリン、マイカ、ウォラストナイト及びシリカ等の非繊維質無機フィラーより成る群から選択されるもの)を有利に加えることができる。補強用及び/又は増量用フィラーの添加割合は、複合材料の分野における標準に従う。例えば、1%〜80%、好ましくは10%〜70%、特に20%〜50%の範囲のフィラー量にすることができる。
本発明に従う組成物にはまた、成形されることが予定されるポリアミド組成物の製造のために通常用いられる添加剤をも含ませることができる。例えば、潤滑剤、難燃剤、可塑剤、成核剤、触媒、レジリエンス改良剤(les agents d'amelioration de la resilience)、例えば随意にグラフトされたエラストマー、光及び/又は熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、染料、顔料、つや消し剤(les matifiants)、成形剤又は他の慣用の添加剤を挙げることができる。
特に、
・ノボラック樹脂;
・ナノ規模のシート構造を有するフィラー;
・補強用又は増量用フィラー;並びに
・潤滑剤、可塑剤、成核剤、触媒、レジリエンス改良剤、光及び/又は熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、染料、顔料、つや消し剤並びに成形剤より成る群から選択される添加剤:
から成るポリアミド組成物が好ましい。
・ノボラック樹脂;
・ナノ規模のシート構造を有するフィラー;
・補強用又は増量用フィラー;並びに
・潤滑剤、可塑剤、成核剤、触媒、レジリエンス改良剤、光及び/又は熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、染料、顔料、つや消し剤並びに成形剤より成る群から選択される添加剤:
から成るポリアミド組成物が好ましい。
前記組成物にはまた、導電性又は帯電防止フィラー(好ましくは導電性カーボンブラック、金属、帯電防止剤、グラファイト、金属層で被覆されたガラス及び/若しくは無機フィラー、並びに/又はそれらの混合物より成る群から選択されるもの)をも含ませることができ、導電性カーボンブラックが好ましい。導電性カーボンブラックは、特に"Carbon Black", Second Edition, Revised and Expanded, Science and Technology, JB. Donnet, RC Bansal and MJ Wang編集, Marcel Dekker Inc.社, 271-275頁に記載されている。
ポリアミド組成物の調製のためには、これらのフィラー及び添加剤を各フィラーや添加剤に適した慣用の手段によって、例えば重合の際に又は溶融ブレンディングによって、ポリアミドに加えることができる。ノボラック樹脂は、溶融物として、特にポリアミドの押出工程の際に、又は固体として機械式ミキサー中で、ポリアミドに加えるのが好ましい。固体状混合物は次いで、例えば押出プロセスによって溶融させることができる。
本発明に従うポリアミド組成物は、特にマトリックスとして、特に物品を得るためマトリックス、特に成形物品を得るためのマトリックスとして、用いられる。これらの組成物は、成形粉であるのが好ましい。
本発明に従う組成物は、エンジニアリングプラスチックの分野における原料として、例えば射出成形、射出吹込成形、押出成形又は押出吹込成形によって得られる物品の製造用に、用いることができる。通常の実施態様に従えば、変性されたポリアミドを例えば二軸スクリュー押出装置において棒状体の形で押出し、次いでこれを細断して粒状体を得る。次いで、上で製造された粒状体を溶融させ、溶融組成物を射出成形装置中に供給することによって、成形部品が調製される。
本発明はまた、特に静電塗装法によって塗装されることが予定される物品の製造における上記の組成物の使用にも関する。これらの物品は、特に型成形、射出成形、押出成形又は押出吹込成形によって製造することができる。これらの物品は、自動車産業において用いられる「インライン」及び「オンライン」静電塗装法に特に好適である。
塗料は、例えば吹付又は浸漬によって、物品に適用することができる。一般的に、静電塗布による物品への塗料の適用方法は、少なくとも次の工程を含む:特に150〜220℃の範囲の温度における物品の電気泳動処理、随意としての静電吹付によるプライマーの適用、及び最後の静電吹付による塗料の適用。それぞれの吹付工程に続いて、100〜200℃の範囲の温度における加熱工程、及び冷却工程を行うことができる。
本発明はまた、静電塗布による塗料適用方法によって塗装された物品にも関する。
本発明に従うこれらの物品は、例えば自動車部品、特に車体部品、流体若しくは気体輸送管、タンク、フィルター、コーティング、フィルム及び/又はタンクのプラスチックカバーであることができる。
本明細書中では本発明の原理の理解を容易にするために特定の言語を用いているが、この特定の言語を用いることによって本発明の範囲が何ら制限されるものではないことを理解されたい。この技術分野の当業者であれば、その一般的な知識に基づいて本発明の範囲内で変更、改良及び改善を検討することができるだろう。
用語「及び/又は」等には、「及び」等の意味、「又は」等の意味及びこの用語に関連した要素のすべての他の可能な組合せの意味が包含される。
本発明のその他の詳細及び利点は、以下の純粋に指標的目的で与えられた実施例を見ればより一層明らかになるだろう。
実験の部
次の化合物を用いた:
・PA:ISO規格307に従って135〜145ml/gのVIを有する、Rhodia社から入手できるSB 27 AD1タイプのPA−6,6;
・ノボラック:Rhein Chemie社から供給されるフェノール−ホルムアルデヒド樹脂のRhenosin PR95;
・フィラー:Sud Chemie社より供給されるNanofil SE3010;
・添加剤:潤滑剤のステアリン酸カルシウム及び熱安定剤のIrganox B1171。
・PA:ISO規格307に従って135〜145ml/gのVIを有する、Rhodia社から入手できるSB 27 AD1タイプのPA−6,6;
・ノボラック:Rhein Chemie社から供給されるフェノール−ホルムアルデヒド樹脂のRhenosin PR95;
・フィラー:Sud Chemie社より供給されるNanofil SE3010;
・添加剤:潤滑剤のステアリン酸カルシウム及び熱安定剤のIrganox B1171。
組成物の総重量に対して可変量のフィラーを加えてZSK40二軸スクリュー押出機を用いて押出することによって、PA−6,6をベースとする組成物を得る。
プロセス操作の特徴は次の通りだった:
二軸スクリュー押出機:W&P社、ZSK40
・温度分布(℃)ゾーン1(最初)ゾーン8(ヘッド):260、260、260、260、265、270、270、280
・スクリュー速度(rpm):260
・モータートルク(N/m):組成物において28から35まで
・真空:−0.9バール
二軸スクリュー押出機:W&P社、ZSK40
・温度分布(℃)ゾーン1(最初)ゾーン8(ヘッド):260、260、260、260、265、270、270、280
・スクリュー速度(rpm):260
・モータートルク(N/m):組成物において28から35まで
・真空:−0.9バール
射出成形によって、次の幾何学的特徴を有する試験片を調製する:ISO527多目的試験片及び60mm×60mm×2mmシート、50トンDEMAGプレス。
プロセス操作条件は次の通りだった:
50トンDEMAGプレス、35mmスクリュー
バレル温度T(℃):250〜270
モールド温度T(℃):80
射出速度(cc/s):40
射出圧力(バール):150
保持圧力(バール):40
背圧(バール):15
スクリュー速度(rpm):160
50トンDEMAGプレス、35mmスクリュー
バレル温度T(℃):250〜270
モールド温度T(℃):80
射出速度(cc/s):40
射出圧力(バール):150
保持圧力(バール):40
背圧(バール):15
スクリュー速度(rpm):160
測定した各種特性を表1に示す。
ノッチなしシャルピー衝撃強さは、ISO規格179/1eUに従って測定される。
CLTE(線熱膨張係数)の測定:これらの試験は、Zwick Z020引張試験機を用いて、次の条件下で実施した:
・温度勾配:0.5℃/分。試験片の長手方向。
・試験前にオーブン中で160℃に1時間30分間加熱した試験片。
・温度勾配:0.5℃/分。試験片の長手方向。
・試験前にオーブン中で160℃に1時間30分間加熱した試験片。
長手方向における試験片の伸びを監視し、温度の関数としての伸び曲線の誘導による任意の地点においてCLTEが得られる。
60mm×60mm×2mmシートを真空下で95℃において12時間乾燥させる。これらを計量し、100℃に予備加熱した水中に浸漬する。定期的な間隔でそれらを拭いて計量する。重量が一定になるまで繰り返す。時間の関数として重量を記録する。ノギスを用いて、射出方向に対して平行の方向及び直角の平行において、寸法の変化を測定する。
かくして、本発明に従う組成物は、湿気のある環境中で且つ高温において非常に良好な寸法安定性(低減されたCLTE)を有し、且つ良好な衝撃強さ機械特性を有することが観察された。
Claims (18)
- 少なくとも1種のノボラック樹脂とナノ規模のシート構造を有するフィラーとを含むポリアミド組成物。
- ノボラック樹脂を組成物の総重量に対して1〜25重量%含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
- ノボラック樹脂を組成物の総重量に対して2〜10重量%含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
- ノボラック樹脂を組成物の総重量に対して3〜7重量%含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- ナノ規模のシート構造を有するフィラーを組成物の総重量に対して0.1〜15重量%含む、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- ナノ規模のシート構造を有するフィラーを組成物の総重量に対して1〜10重量%含む、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
- ナノ規模のシート構造を有するフィラーを組成物の総重量に対して1〜5重量%含む、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
- ポリアミドPA−6、ポリアミドPA−6,6、ポリアミドPA−6,10、ポリアミドPA−11、ポリアミドPA−12、ポリアミドPA−6,12、ポリ(m−キシレンジアミン)(MXD6)、ポリアミドPA−6,6/6T、ポリアミドPA−6,6/6I、並びにそれらのブレンド及びコポリアミドより成る群から選択される少なくとも1種のポリアミドを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
- ナノ規模のシート構造を有するフィラーが100〜500nmの範囲の長さ及び〜0.1〜5nmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
- ナノ規模のシート構造を有するフィラーがフルオロマイカ、リン酸ジルコニウム、ケイ酸塩、より特定的にはフィロケイ酸塩及びハイドロタルサイトより成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
- ナノ規模のシート構造を有するフィラーがモンモリロナイトであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
- ナノ規模のシート構造を有するフィラーが、オニウム、飽和若しくは不飽和脂肪酸又はそれらの誘導体若しくはそれらの塩に基づく処理、並びに/或はシリコーン又はシロキサン誘導体による処理をされたものであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
- 補強用又は増量用フィラーを含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
- 以下のもの:
・ノボラック樹脂;
・ナノ規模のシート構造を有するフィラー;
・補強用又は増量用フィラー;並びに
・潤滑剤、可塑剤、成核剤、触媒、レジリエンス改良剤、光及び/又は熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、染料、顔料、つや消し剤並びに成形剤より成る群から選択される添加剤:
を含む、ポリアミド組成物。 - ノボラック樹脂とナノ規模のシート構造を有するフィラーとを含むポリアミド組成物の製造方法であって、
分散させるべきシート構造を有する化合物(随意に処理されたもの)を重合媒体中でポリアミドのモノマーに添加し、次いでポリアミドを重合させることによる、前記方法。 - ノボラック樹脂とナノ規模のシート構造を有するフィラーとを含むポリアミド組成物の製造方法であって、
分散させるべきシート構造を有する化合物(随意に例えば膨潤剤で処理されたもの)又は剥離させたナノ規模のシート構造を有するフィラー(随意に処理されたもの)とポリアミドとを混合することによる、前記方法。 - 請求項1〜14のいずれかに記載の組成物を射出成形、射出吹込成形、押出成形又は押出吹込成形によって成形することによって得られる物品。
- 静電塗装法によって塗装されることが予定される、請求項1〜14のいずれかに記載の組成物を成形することによって得られる物品。
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