JP2009298861A - ポリアミド樹脂及び層状珪酸塩を用いて作製された中空成形部品 - Google Patents

ポリアミド樹脂及び層状珪酸塩を用いて作製された中空成形部品 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のナイロン6を用いた中空成形部品と比較して、同等の中空成形性を有し、低吸水性、耐薬品性及び耐加水分解性等に優れ、そしてジアミン成分として1,9−ノナンジアミン単体を用いた中空成形部品よりも成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、さらに高分子量で強靭な中空成形部品を提供すること。
【解決手段】ポリアミド樹脂(A)及び層状珪酸塩(B)を用いて作製された中空成形部品であって、ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸成分が蓚酸から成り、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンから成り、そして
1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であり、層状珪酸塩(B)が、ポリアミド樹脂(A)内に分散している、中空成形部品。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂及び層状珪酸塩を用いて作製された中空成形部品に関する。詳しくは、従来のナイロン6を用いた中空成形部品と比較して、同等の中空成形性を有し、低吸水性、耐薬品性及び耐加水分解性等に優れ、そしてジアミン成分として1,9−ノナンジアミン単体を用いた中空成形部品よりも成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、さらに高分子量で強靭な中空成形部品に関する。
ナイロン6、ナイロン66などに代表される結晶性ポリアミドは、その優れた特性と溶融成形の容易さから、衣料用、産業資材用繊維、あるいは汎用のエンジニアリングプラスチックとして、特に、中空成形部品、例えば、瓶、タンク、エアーダクト、中空パイプ等の材料として広く用いられている(例えば、特許文献1)が、一方では吸水による物性変化、酸、高温のアルコール、熱水中での劣化などの問題点も指摘されており、より寸法安定性、耐薬品性に優れたポリアミドへの要求が高まっている。
ジカルボン酸成分として蓚酸を用いるポリアミド樹脂はポリオキサミド樹脂と呼ばれ、同じアミノ基濃度の他のポリアミド樹脂と比較して融点が高いこと、吸水率が低いことが知られ(特許文献2)、吸水による物性変化が問題となっていた従来のポリアミドが使用困難な分野での活用が期待される。
これまでに、ジアミン成分として種々の脂肪族直鎖ジアミンを用いたポリオキサミド樹脂が提案されている。しかしながら、例えば、ジアミン成分として1,6−ヘキサンジアミンを用いたポリオキサミド樹脂は融点(約320℃)が熱分解温度(窒素中の1%重量減少温度;約310℃)より高いため(非特許文献1)、溶融重合、溶融成形が困難であり実用に耐えうるものではなかった。
ジアミン成分が1,9−ノナンジアミンであるポリオキサミド樹脂(以後、PA92と略称する)については、L. Francoらが蓚酸源として蓚酸ジエチルを用いた場合の製造法とその結晶構造を開示している(非特許文献2)。ここで得られるPA92は固有粘度が0.97dL/g、融点が246℃のポリマーであるが、強靭な成形体が成形出来ない程度の低分子量体しか得られていない。また、特表平5−506466号公報には、ジカルボン酸エステルとして蓚酸ジブチルを用いた場合について、固有粘度が0.99dL/g、融点が248℃のPA92を製造したことが示されている(特許文献3)。この場合も強靭な成形体が成形出来ない程度の低分子量体しか得られていないという問題点がある。
先行文献においてはジアミン成分として1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンの2種のジアミンを特定の比率で用いたポリオキサミド樹脂の具体的な開示はなかった。
特開平3−24155 特開2006−57033 特表平5−506466
S. W. Shalaby., J. Polym. Sci., 11, 1(1973) L. Franco et al., Macromolecules., 31, 3912(1988)
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、本発明は、従来のナイロン6を用いた中空成形部品と比較して、同等の中空成形性を有し、低吸水性、耐薬品性及び耐加水分解性等に優れ、そしてジアミン成分として1,9−ノナンジアミン単体を用いた中空成形部品よりも成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、さらに高分子量で強靭な中空成形部品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、蓚酸源としての蓚酸ジエステルと、ジアミン成分としての1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンから成るポリアミド樹脂を、上記中空成形部品に用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は以下の態様に関する。
[態様1]
ポリアミド樹脂(A)及び層状珪酸塩(B)を用いて作製された中空成形部品であって、
ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸成分が蓚酸から成り、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンから成り、そして
1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であり、
層状珪酸塩(B)が、ポリアミド樹脂(A)内に分散している、
中空成形部品。
[態様2]
ポリアミド樹脂(A)の、96%硫酸を溶媒とし、濃度が1.0g/dlのポリアミド樹脂溶液を用いて25℃で測定した相対粘度(ηr)が、3.0〜6.0である、態様1に記載の中空成形部品。
[態様3]
ポリアミド樹脂(A)の、窒素雰囲気下において10℃/分の昇温速度で測定した熱重量分析における1%重量減少温度と、窒素雰囲気下において10℃/分の昇温速度で測定した示差走査熱量法により測定した融点との温度差が、50℃以上である、態様1又は2に記載の中空成形部品。
[態様4]
1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が5:95〜95:5である、態様1〜3のいずれか一つに記載の中空成形部品。
[態様5]
層状珪酸塩(B)の含有量が、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して0.05〜10質量部である、態様1〜4のいずれか一つに記載の中空成形部品。
[態様6]
層状珪酸塩(B)の50質量%以上が、ポリアミド樹脂(A)中で単層に分散している、態様1〜5のいずれか一つに記載の中空成形部品。
本発明の中空成形部品は、従来のナイロン6を用いた中空成形部品と比較して、同等の中空成形性を有し、低吸水性、耐薬品性及び耐加水分解性等に優れ、そしてジアミン成分として1,9−ノナンジアミン単体を用いた中空成形部品よりも成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、さらに高分子量で強靭な中空成形部品である。
以下、本発明に関して、詳細に説明する。
[ポリアミド樹脂(A)]
ポリアミド樹脂(A)は、ジカルボン酸成分が蓚酸から成り、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンから成り、そして1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1である。
ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸源としての蓚酸源としては、蓚酸ジエステルが用いられ、これらはアミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、蓚酸ジメチル、蓚酸ジエチル、蓚酸ジn−(又はi−)プロピル、蓚酸ジn−(又はi−、又はt−)ブチル等の脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステル、蓚酸ジシクロヘキシル等の脂環式アルコールの蓚酸ジエステル、蓚酸ジフェニル等の芳香族アルコールの蓚酸ジエステル等が挙げられる。
上記の蓚酸ジエステルの中でも炭素原子数が3を超える脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステル、脂環式アルコールの蓚酸ジエステル、芳香族アルコールの蓚酸ジエステルが好ましく、その中でも蓚酸ジブチル及び蓚酸ジフェニルが特に好ましい。
ポリアミド樹脂(A)には、ジカルボン酸源として蓚酸を用いるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他のジカルボン酸成分を配合することができる。蓚酸以外の他のジカルボン酸成分としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸、また、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、さらにテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等を単独で、あるいはこれらの任意の混合物を重縮合反応時に添加することもできる。さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を溶融成形が可能な範囲内で用いることもできる。
上記他のジカルボン酸の配合量としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、一般的には、ジカルボン酸の総量に対して、5モル%以下であることが好ましい。
ジアミン成分としては1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンが用いられる。1,9−ノナンジアミン成分と2−メチル−1,8−オクタンジアミン成分とのモル比は、1:99〜99:1であり、好ましくは5:95〜95:5である。1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンを特定量共重合することにより、従来のポリアミドと比較して、分子量が高く、溶融粘度が高いポリアミドが得られる。
さらに、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比は、例えば、5:95〜40:60又は60:40〜95:5であることが好ましく、そして5:95〜30:70又は70:30〜90:10であることが特に好ましい。
当該モル比が5:95〜40:60、特に5:95〜30:70である場合、結晶性に優れるため、低吸水性及び力学的特性が得に優れるとともに、液体及び/又は蒸気(例えば、アルコール)の透過性も低いという利点があり、さらに1,9−ノナンジアミンのモル含有率が2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル含有率よりも高い場合と比べて、より吸水性が低いという利点がある。一方、モル比が60:40〜95:5、特に70:30〜90:10である場合には、低吸水性及び力学特性がより優れるとともに、優れた透明性が付与されるという利点がある。
また、ポリアミド樹脂(A)には、ジアミン成分として1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンを用いるが、本発明の効果を損なわない範囲で、他のジアミン成分を配合することができる。1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン以外の他のジアミン成分としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン、さらにシクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン、さらにp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミン等を単独で、あるいはこれらの任意の混合物を重縮合反応時に添加することもできる。
上記他のジアミン成分の配合量としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、ジアミン成分の総量に対して、5モル%以下であることが好ましい。
[ポリアミド樹脂(A)の製造方法]
ポリアミド樹脂(A)は、ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法により製造することができる。本発明者らの研究によれば、ジアミン及び蓚酸ジエステルをバッチ式又は連続式で重縮合反応させることにより、ポリアミド樹脂(A)を重合することが好ましい。具体的には、以下の操作で示されるような、(i)前重縮合工程、(ii)後重縮合工程の順で行うのが好ましい。
(i)前重縮合工程:まず反応器内を窒素置換した後、ジアミン(ジアミン成分)及び蓚酸ジエステル(蓚酸源)を混合する。混合する場合にジアミン及び蓚酸ジエステルが共に可溶な溶媒を用いても良い。ジアミン成分及び蓚酸源が共に可溶な溶媒としては、特に制限されないが、トルエン、キシレン、トリクロロベンゼン、フェノール、トリフルオロエタノール等を用いることができ、特にトルエンを好ましく用いることができる。例えば、ジアミンを溶解したトルエン溶液を50℃に加熱した後、これに対して蓚酸ジエステルを加える。このとき、蓚酸ジエステルと上記ジアミンの仕込み比は、蓚酸ジエステル/上記ジアミンで、0.8〜1.5(モル比)、好ましくは0.91〜1.1(モル比)、更に好ましくは0.99〜1.01(モル比)である。
上述の原料を仕込んだ反応器内を攪拌及び/又は窒素バブリングしながら、常圧下で昇温する。反応温度は、最終到達温度が80〜150℃、好ましくは100〜140℃の範囲になるように制御するのが好ましい。最終到達温度での反応時間は3時間〜6時間である。
(ii)後重縮合工程:更に高分子量化を図るために、前重縮合工程で生成した重合物を常圧下において反応器内で徐々に昇温する。昇温過程において前重縮合工程の最終到達温度、すなわち80〜150℃から、最終的に220℃以上300℃以下、好ましくは230℃以上280℃以下、更に好ましくは240℃以上270℃以下の温度範囲にまで到達させる。昇温時間を含めて1〜8時間、好ましくは2〜6時間保持して反応を行うことが好ましい。さらに後重合工程において、必要に応じて減圧下での重合を行うこともできる。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は0.1MPa未満〜13.3Paである。
次に、ポリアミド樹脂(A)の製造方法の具体例について説明する。まず原料の蓚酸ジエステルを容器内に仕込む。容器は、後に行う重縮合反応の温度および圧力に耐え得るものであれば、特に制限されない。その後、容器を原料のジアミンと混合する温度まで昇温させ、次いでジアミンを注入し重縮合反応を開始させる。原料を混合する温度は、原料の蓚酸ジエステルおよびジアミンの融点以上、沸点未満の温度であり、かつシュウ酸ジエステルとジアミンの重縮合反応によって生じるポリオキサミドが熱分解しない温度であれば特に制限されない。例えば、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物からなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が1:99〜99:1であるジアミンとシュウ酸ジブチルを原料とするポリオキサミド樹脂の場合、上記混合温度は15℃から240℃が好ましい。また、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比は、5:95〜90:10の場合、常温で液状か又は40℃程度に加温するだけで液化するので取り扱いやすいためより好ましい。混合温度が縮合反応によって生成するアルコールの沸点以上の場合、アルコールを留去、凝縮する装置を備えた容器を用いるのが望ましい。また、縮合反応によって生成するアルコール存在下で加圧重合する場合には、耐圧容器を用いる。シュウ酸ジエステルとジアミンの仕込み比は、シュウ酸ジエステル/上記ジアミンで、0.8〜1.2(モル比)、好ましくは0.91〜1.09(モル比)、更に好ましくは0.98〜1.02(モル比)である。
続いて、容器内をポリオキサミド樹脂の融点以上かつ熱分解しない温度以下に昇温する。例えば、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が85:15であるジアミンとシュウ酸ジブチルを原料とするポリオキサミド樹脂の場合、融点は235℃であることから240℃から280℃に昇温するのが好ましい(圧力は、2MPa〜4MPa)。生成したアルコールを留去しながら、必要に応じて常圧窒素気流下もしくは減圧下において継続して重縮合反応を行う。耐圧容器内で原料を混合し、縮合反応によって生成するアルコール存在下で加圧重合する場合は、まず生成したアルコールを留去しながら放圧する。その後、必要に応じて常圧窒素気流下もしくは減圧下において継続して重縮合反応を行う。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は760〜0.1Torrである。温度は、240〜280℃が好ましい。また、アルコールは水冷コンデンサで冷却して液化し、回収する。
[ポリアミド樹脂(A)の特性]
ポリアミド樹脂(A)の分子量は、1.0g/dlの96%濃硫酸溶液を用い、25℃で測定した相対粘度ηrが3.0〜6.0、より好ましくは3.0〜5.5、特に好ましくは3.0〜5.0の範囲にあるような分子量を有する。分子量が低くなると溶融粘度が下がり中空成形加工に適さなくなる傾向がある。一方、分子量が高くなると溶融粘度が高くなり、溶融成形性が悪くなる傾向がある。
ポリアミド樹脂(A)は、カルボン酸成分として蓚酸を用い、ジアミン成分として1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンを共重合することで、蓚酸と1,9−ノナンジアミンからなるポリアミドと比べて、上記相対粘度を増加させること、すなわち分子量を増加させることが可能である。また、実質的な熱分解の指標である1%重量減少温度(以下、Tdと略す)と融点(以下、Tmと略す)の差(Td−Tm)で表される成形可能温度範囲が、蓚酸と1,9−ノナンジアミンとからなるポリアミドと比べて拡大し、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上であることができ、さらには90℃以上も可能である。ポリアミド樹脂(A)は、Tdが好ましくは280℃以上、より好ましくは300℃以上、さらに好ましくは320℃以上であり、高い耐熱性を有することを特徴とする。
[層状珪酸塩(B)]
層状珪酸塩(B)は、本発明の中空成形部品を製造する際に、粘性を付与する成分である。
層状珪酸塩(B)は、一辺の長さが0.002〜1μmで、厚さが6〜20Åである平板状のものであることが好ましい。また、層状珪酸塩(B)は、ポリアミド樹脂(A)中で、各層が約20Å以上の層間距離を保ち、均一に分散されるものであることが好ましい。
ここで、「層間距離」とは、平板状をなす層状珪酸塩(B)の各重心の間の距離をいい、「均一に分散する」とは、各層が主にランダムな状態で存在し、層状珪酸塩(B)の50質量%以上、好ましくは70質量%以上が、複層物を形成することなく単層に分散していることをいう。
層状珪酸塩(B)の原料としては、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの層から構成される層状フィロ珪酸鉱物、すなわち、珪酸アルミニウム質フィロ珪酸塩又は珪酸マグネシウム質フィロ珪酸塩を例示することができる。具体的には、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、スティブンサイト等のスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライト、ハロイサイト等を例示することができ、これらは天然のものであっても、合成されたものであってもよい。
また、層状珪酸塩(B)をポリアミド樹脂(A)に分散させるために、通常、膨潤化剤が用いられる。当該膨潤化剤は、粘土鉱物の層間を拡げる役割と、粘土鉱物に層間ポリマーを取り込む力を与える役割とを有するものである。上記膨潤化剤としては、本発明の場合には、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンを用いることが好ましい。
なお、層状珪酸塩(B)は、ミキサー、ボールミル、振動ミル、ピンミル、ジェットミル、叩解機等を用いて粉砕し、予め所望の形状及びサイズのものとしておくことが好ましい。
[中空成形部品]
本発明の中空成形部品は、ポリアミド樹脂(A)及び層状珪酸塩(B)を用いて作製される。
本明細書において、用語「中空成形部品」の用語は、中空成形により製造された部品を意味する。中空成形には、回転成形、スラッシュ成形、シートブロー成形、インジェクションブロー成形等が含まれる。
層状珪酸塩(B)の量は、当該層状珪酸塩(B)の効果が発揮される量であれば、特に制限されるものではないが、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.05〜8質量部、特に好ましくは0.05〜5質量部である。層状珪酸塩(B)の割合が低くなると、層状珪酸塩(B)の効果が発揮されず、上記割合が高くなると、溶融粘度が極端に高くなり、成形加工性が悪化したり、耐衝撃性が低下する傾向がある。
層状珪酸塩(B)を添加する方法は、層状珪酸塩(B)がポリアミド樹脂(A)に均一に分散し得る方法である限り、特に制限はない。例えば、層状珪酸塩(B)の原料が多層状粘土鉱物である場合には、特開昭62−74957号に開示されるように、層状珪酸塩(B)を塩酸等によりイオン化し、ここに膨潤化剤、例えば、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンを添加して、あらかじめ層状珪酸塩(B)の各層の間隔を広げる。次いで、当該層の間にポリアミド原料を導入し、さらに当該層の間で上記原料を重合させることができる。
また、膨潤化剤として有機化合物を用いて層間を約100Å以上に予め広げ、これをポリアミド樹脂(A)と溶融混合して、各層をポリアミド樹脂(A)に分散させてもよい。
本発明の中空成形部品は、任意成分として、さらに以下の成分を含むことができる。
(1)他のポリマー
本発明に用いられるジカルボン酸成分が蓚酸から成り、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンから成り、そして1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド樹脂(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、その一部を他のポリマー成分で置換されうる。他のポリマー成分としては、例えば、他のポリアミド類、例えば、ポリオキサミド、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミド等、並びにポリアミド以外のポリマー、例えば、熱可塑性ポリマー、エラストマーが挙げられる。
上記他のポリマーによる置換割合としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、好ましくは50質量%未満であり、より好ましくは30質量%以下である。
なお、以下単に、「ポリアミド」、又は「ポリアミド樹脂」と称する場合には、ジカルボン酸成分が蓚酸から成り、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンから成り、そして1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド樹脂(A)のことを指すものとする。
(2)添加剤
また、本発明の中空成形部品は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の添加剤を含むことができる。他の添加剤として、例えば、顔料、染料、着色剤、耐熱剤、酸化防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、結晶核剤、結晶化促進剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、銅化合物等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、ガラス繊維、潤滑剤、フィラー、補強繊維、補強粒子、発泡剤等を挙げることができる。
上記他のポリマー及び添加剤の添加方法は、それぞれをポリアミド樹脂(A)に分散させることができる方法であれば、特に制限されるものではなく、その効果を損なわない任意の時点において、ポリアミド樹脂(A)に添加することができる。例えば、上記他のポリマー及び添加剤を、ポリアミド樹脂(A)の後重縮合工程の直後に添加することができる。
本発明の中空成形部品は、中空成形によって成形される部品又は製品、例えば、燃料タンク、例えば、ガソリンタンク、オイルタンク、その他のタンク、農薬ボトル、飲料水用ボトル等の各種ボトル、エアーダクト、インテークマニホールド等各種機械及び自動車の吸気、排気系部品、エアスポイラー、フェンダー、バンパー等の自動車外板・外装構造部材等の用途に使用することができる。また、中空成形部品としては、フューエルデリバリーパイプ、スロットルボディ、レゾネーター、エアクリーナボックス、サスペンションブーツ、エアインテークマニホールド、エアクリーナー、レゾネーター、フューエルレール、ホースジョイントを挙げることができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[物性測定、成形、評価方法]
特性値を、以下の方法により測定した。
(1)相対粘度(ηr)
ηrは、ポリアミドの96%硫酸溶液(濃度:1.0g/dl)を用いて、オストワルド型粘度計により25℃で測定した。
(2)融点(Tm)及び結晶化温度(Tc)
Tm及びTcは、PerkinELmer社製PYRIS Diamond DSC用いて窒素雰囲気下で測定した。30℃から270℃まで10℃/分の速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、270℃で3分保持したのち、−100℃まで10℃/分の速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ)、次に270℃まで10℃/分の速度で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ)。得られたDSCチャートから降温ファーストランの発熱ピーク温度をTc、昇温セカンドランの吸熱ピーク温度をTmとした。
(3)1%重量減少温度(Td)
Tdは島津製作所社製THERMOGRAVIMETRIC ANALYZER TGA−50を用い、熱重量分析(TGA)により測定した。20ml/分の窒素気流下室温から500℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、Tdを測定した。
(4)溶融粘度
溶融粘度はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製溶融粘弾性測定装置ARESに25mmのコーン・プレートを装着して、窒素中、250℃、せん断速度0.1s-1の条件で測定した。
(5)フィルム成形
東邦マシナリー社製真空プレス機TMB−10を用いて、ペレットからフィルムを成形した。500〜700Paの減圧雰囲気下において260℃(PA66では樹脂温度290℃)で5分間加熱溶融させた後、5MPaで1分間プレスを行いフィルム成形した。次に減圧雰囲気を常圧まで戻したのち室温5MPaで1分間冷却結晶化させてフィルムを得た。
(6)飽和吸水率
上記(5)の条件で成形したフィルム(寸法:20mm×10mm、厚さ0.25mm;質量約0.05g)を23℃のイオン交換水に浸漬し、所定時間ごとにフィルムを取り出し、フィルムの質量を測定した。フィルム質量の増加率が0.2%の範囲内で3回続いた場合にポリアミド樹脂フィルムへの水分の吸収が飽和に達したと判断して、水に浸漬する前のフィルムの質量(Xg)と飽和に達した時のフィルムの質量(Yg)から次の式(1)により飽和吸水率(%)を算出した。
飽和吸水率(%)=100×(Y−X)/X (1)
(7)耐薬品性
本発明によって得られるポリアミドの熱プレスフィルムを以下に列挙する薬品中に7日間、23℃で浸漬した後に、フィルムの質量残存率(%)及び外観の変化を観測した。濃塩酸、64%硫酸、氷酢酸について試験を行った。
(8)耐加水分解性
本発明の中空成形部品の材料で熱プレスフィルムを作成し、当該熱プレスフィルムを、オートクレーブに入れ、水(pH=7)、0.5mol/l硫酸(pH=1)又は1mol/l水酸化ナトリウム水溶液(pH=14)内で、121℃、60分間処理した後の重量残存率(%)及び外観変化を調べた。
(9)機械的物性
以下に示す〔1〕〜〔4〕の測定は、下記の試験片を樹脂温度260℃(PA66では樹脂温度290℃)、金型温度80℃の射出成形により成形し、これを用いて行った。成形後に未調湿、23℃で測定したデータをdry、成形後に湿度65%RHで調湿し、23℃で測定したデータをwetとして表中に記載した。
〔1〕引張降伏点強度又は引張強度:ASTM D638に記載のTypeIの試験片を用いてASTM D638に準拠して測定した。
〔2〕曲げ弾性率:試験片寸法3.2mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D790に準拠し測定した。
〔3〕アイゾット衝撃強度:試験片寸法3.2mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D256に準拠し、23℃で測定した。
〔4〕荷重たわみ温度(熱変形温度):試験片寸法3.2mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D648に準拠し、荷重1.82MPaで測定した。
(10)吸水率
23℃及び湿度65%RHの条件下に置いた以外は、(6)飽和吸水率の測定方法に従って、吸水率(%)を算出した。
(11)表面平滑性
下記の条件にて試料から、220mm×120mm×50mm、肉厚1.5mmの中空ボックスを作成し、その内面の平滑性を測定した。
[中空成形条件]
・中空成形機:押出機 宇部興産(株)製、径50mm
・パリソンコントローラー 日本ムーグ製
・樹脂温度:260℃
・金型温度:80℃
・ブロー圧力:6kg/cm2
・ダイ径:90mm
[平滑性測定法]
・表面荒さ計を用い下記の方法にて、平滑性を測定した。
・装置:小坂研究所(株)製万能表面形状測定器SE−3C
・方法:上記装置にて、粗さ曲線を測定し、曲線の波の幅により、表面平滑性(粗さ)を求めた。
(12)中空成形特性
下記の中空成形機および、成形条件にて、中空成形を行い、押出時間10秒、20秒、30秒後のそれぞれのパリソン長さを測定し、中空成形特性(ドローダウン性)を評価した。
この試験は、パリソンのドローダウン性を評価したもので、時間に対しパリソン長さが直線的に変化するものが、好ましい。
[製造例1:PA92−1の製造]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、ダイアフラムポンプを直結した原料投入口、窒素ガス導入口、放圧口、圧力調節装置及びポリマー抜出し口を備えた内容積が150リットルの圧力容器にシュウ酸ジブチル28.40kg(140.4モル)を仕込み、圧力容器の内部を純度が99.9999%の窒素ガスで0.5MPaに加圧した後、次に常圧まで窒素ガスを放出する操作を5回繰り返し、窒素置換を行った後、封圧下、攪拌しながら系内を昇温した。約30分間かけてシュウ酸ジブチルの温度を100℃にした後、1,9−ノナンジアミン18.89kg(119.3モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン3.34kg(21.1モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が85:15)をダイアフラムフポンプにより流速1.49リットル/分で約17分間かけて反応容器内に供給すると同時に昇温した。供給直後の圧力容器内の内圧は、重縮合反応により生成したブタノールによって0.35MPaまで上昇し、重縮合物の温度は約170℃まで上昇した。その後、1時間かけて温度を235℃まで昇温した。その間、生成したブタノールを放圧口より抜き出しながら、内圧を0.5MPaに調節した。重縮合物の温度が235℃に達した直後から放圧口よりブタノールを約20分間かけて抜き出し、内圧を常圧にした。常圧にしたところから、1.5リットル/分で窒素ガスを流しながら昇温を開始し、約1時間かけて重縮合物の温度を260℃にし、260℃において4.5時間反応させた。その後、攪拌を止めて系内を窒素で1MPaに加圧して約10分間静置した後、内圧0.5MPaまで放圧し、重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重合物は直ちに水冷し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化した。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.20であった。
[製造例2:PA92−2の製造]
1,9−ノナンジアミン17.62kg(111.3モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン4.45kg(28.1モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が80:20)を仕込んだほかは、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.10であった。
[製造例3:PA92−3の製造]
1,9−ノナンジアミン11.11kg(70.2モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン11.11kg(70.2モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が50:50)を仕込んだ以外は、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られた重合物は白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.35であった。
[製造例4:PA92−4の製造]
1,9−ノナンジアミン6.67kg(42.1モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン15.56kg(98.3モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が30:70)を仕込んだ以外は製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.55であった。
[製造例5:PA92−5の製造]
1,9−ノナンジアミン1.33kg(8.4モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン20.88kg(131.9モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が6:94)を仕込んだほかは、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られた重合物は白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.53であった。
[製造例6:PA92−6の製造]
1,9−ノナンジアミン1.33kg(8.4モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン20.88kg(131.9モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が6:94)を仕込み、ブタノールの抜出による内圧を0.25MPaに保持した以外は、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られた重合物は白色の強靭なポリマーであり、ηr=4.00であった。
[製造例7:PA−92−0の製造]
ジアミン原料として1,9−ノナンジアミン22.25kg(140.4モル)だけを用いて、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られた重合物は黄白色のポリマーであり、ηr=2.78であった。
製造例1〜7で調製したポリアミド、並びに市販品のPA6(宇部興産製、UBEナイロン1015B)及びPA66(宇部興産製、UBEナイロン2020B)の特性データを表1に示す。
Figure 2009298861
表1から、本発明に用いられるポリアミド樹脂は、ナイロン6及びナイロン66と比較して低吸水であり、耐薬品性、耐加水分解性に優れ、wet条件下での機械的物性に優れ、そしてジアミン成分として1,9−ノナンジアミン単体を用いたポリアミド樹脂(PA92−0)よりも成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、さらに高分子量化が可能で強靭な成形体を製造することができることが分かる。
なお、本発明の中空成形部品には、ポリアミド樹脂内に分散している層状珪酸塩が含まれるが、当該中空成形部品は、基本的に、上述のポリアミド樹脂の特性を保持している。
[実施例1]
製造例1で製造したPA92−1を100質量部に対し、有機化モンモリロナイト(Nanocor社製、ナノマー30TC)を1.5質量部添加し、260℃で二軸混練機を用いて溶融混練し、モンモリロナイトがPA92−1に分散したペレットを得て、各種試験に供した。結果を表2に示す。
[実施例2〜7]
表2の配合に従った以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種試験に供した。結果を表2に示す。
[比較例1及び2]
ポリアミド樹脂としてPA6(宇部興産製、UBEナイロン1030B)を用い、表2の配合に従って、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種試験に供した。結果を表2に示す。
Figure 2009298861
[実施例8]
実施例1〜7のペレット、並びに比較例1及び2のPA6及びPA66を用いて、中空成形により、インテークマニホールド及びエアスポイラーを製造した。実施例1〜7のペレットは、PA6及びPA66と同等の中空成形性を有していた。
本発明の中空成形部品は、従来のナイロン6を用いた中空成形部品と比較して、同等の中空成形性を有し、低吸水性、耐薬品性及び耐加水分解性等に優れ、そしてジアミン成分として1,9−ノナンジアミン単体を用いた中空成形部品よりも成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、さらに高分子量で強靭な中空成形部品であり、瓶、タンク、エアーダクト、中空パイプ等の中空成形部品として広範に使用することができるので、産業上有用である。

Claims (6)

  1. ポリアミド樹脂(A)及び層状珪酸塩(B)を用いて作製された中空成形部品であって、
    ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸成分が蓚酸から成り、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンから成り、そして
    1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であり、
    層状珪酸塩(B)が、ポリアミド樹脂(A)内に分散している、
    中空成形部品。
  2. ポリアミド樹脂(A)の、96%硫酸を溶媒とし、濃度が1.0g/dlのポリアミド樹脂溶液を用いて25℃で測定した相対粘度(ηr)が、3.0〜6.0である、請求項1に記載の中空成形部品。
  3. ポリアミド樹脂(A)の、窒素雰囲気下において10℃/分の昇温速度で測定した熱重量分析における1%重量減少温度と、窒素雰囲気下において10℃/分の昇温速度で測定した示差走査熱量法により測定した融点との温度差が、50℃以上である、請求項1又は2に記載の中空成形部品。
  4. 1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が5:95〜95:5である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の中空成形部品。
  5. 層状珪酸塩(B)の含有量が、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して0.05〜10質量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の中空成形部品。
  6. 層状珪酸塩(B)の50質量%以上が、ポリアミド樹脂(A)中で単層に分散している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の中空成形部品。
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