JP2009298867A - ポリアミドフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】液体、蒸気及び/又は気体に対するバリア性に優れ、かつ低吸水性でありながら、溶融重合による高分子量化が可能で、成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、耐薬品性及び耐加水分解性に優れるポリアミドフィルムを提供すること。
【解決手段】ジカルボン酸成分が蓚酸からなり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド樹脂を含むポリアミドフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なポリアミド樹脂を含むポリアミドフィルムに関する。詳しくは、ジカルボン酸成分が蓚酸であるポリアミド樹脂を含み、液体、蒸気及び/又は気体に対するバリア性に優れ、かつ低吸水性で、溶融重合による高分子量化が可能であり、成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、耐薬品性、耐加水分解性に優れるポリアミドフィルムに関するものである。
ポリアミド樹脂は、溶融成形が容易で透明性、耐ピンホール性、ガスバリア性、耐熱性、耐油性などにも優れるため、産業資材、工業用、家庭用品の用途、特に食品包装などに使用されている。特に液体バリア性、蒸気バリア性及び/又は気体バリア性のバリアフィルムの用途では、該バリアフィルムが接触する液体、蒸気及び/又は気体に対する優れたバリア性が求められている。また、ポリアミド樹脂においては吸水による物性変化、酸、高温のアルコール、熱水中での劣化などの問題点も指摘されており、成形容易性が損なわれることなく、より寸法安定性、耐薬品性に優れたポリアミドへの要求が高まっている。
液体、蒸気又は気体へのバリア性を向上させる技術としては、例えば特許文献1に、特定のポリアミド樹脂と層状珪酸塩とからなる液体又は気体バリア性成形品用材料が、また特許文献2には、ポリアミド及びそれに均一に分散されている層状珪酸塩を含有する混合物の成形体であるポリアミドフィルムが、それぞれ提案されている。しかしこれらの技術でも、低吸水性、高分子量化、耐薬品性、耐加水分解性及び成形加工性と、液体、蒸気及び/又は気体へのバリア性とを両立させることは困難であるという問題がある。
ジカルボン酸成分として蓚酸を用いるポリアミド樹脂はポリオキサミド樹脂と呼ばれ、同じアミノ基濃度の他のポリアミド樹脂と比較して融点が高いこと、吸水率が低いことが知られ(特許文献3)、吸水による物性変化が問題となっていた従来のポリアミドが使用困難な分野での活用が期待される。
これまでに、ジアミン成分として種々の脂肪族直鎖ジアミンを用いたポリオキサミド樹脂が提案されている。しかしながら、例えば、ジアミン成分として1,6−ヘキサンジアミンを用いたポリオキサミド樹脂は融点(約320℃)が熱分解温度(窒素中の1%重量減少温度;約310℃)より高いため(非特許文献1)、溶融重合、溶融成形が困難であり実用に耐えうるものではなかった。
ジアミン成分が1,9−ノナンジアミンであるポリオキサミド樹脂(以後、PA92と略称する)については、L. Francoらが蓚酸源として蓚酸ジエチルを用いた場合の製造法とその結晶構造を開示している(非特許文献2)。ここで得られるPA92は固有粘度が0.97dL/g、融点が246℃のポリマーであるが、強靭な成形体が成形できない程度の低分子量体しか得られていない。また、特許文献4には、ジカルボン酸エステルとして蓚酸ジブチルを用いた場合について、固有粘度が0.99dL/g、融点が248℃のPA92を製造したことが示されている。この場合も強靭な成形体が成形できない程度の低分子量体しか得られていないという問題点がある。
S. W. Shalaby., J. Polym. Sci., 11, 1(1973) L. Franco et al., Macromolecules., 31, 3912(1988) 特開平2−69562号公報 特開平2−105856号公報 特開2006−57033号公報 特表平5−506466号公報
本発明が解決しようとする課題は、液体、蒸気及び/又は気体に対するバリア性に優れ、かつ低吸水性でありながら、溶融重合による高分子量化が可能で、融点と熱分解温度の差から見積もられる成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、耐薬品性及び耐加水分解性に優れるポリアミドフィルムを提供することにある。
本発明者らは、ジカルボン酸成分が蓚酸からなり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなるポリアミド樹脂が、低吸水性でありながら、溶融重合による高分子量化が可能で、融点と熱分解温度の差から見積もられる成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、更に、耐薬品性、耐加水分解性にも優れることを既に見出した。そして上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ジカルボン酸成分が蓚酸からなり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド樹脂を用いることにより、液体、蒸気及び/又は気体に対するバリア性に優れ、特に高湿度下での気体バリア性に優れ、かつ低吸水性でありながら、溶融重合による高分子量化が可能で、融点と熱分解温度の差から見積もられる成形可能温度幅が例えば50℃以上と広く溶融成形性に優れ、耐薬品性及び耐加水分解性に優れるポリアミドフィルムが得られることを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は以下の通りである。
[1] ジカルボン酸成分が蓚酸からなり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド樹脂を含むポリアミドフィルム。
[2] 前記ポリアミド樹脂の、96%硫酸を溶媒とし、濃度1.0g/dlのポリアミド樹脂溶液を用いて25℃で測定した場合の相対粘度(ηr)が1.8〜6.0である、上記[1]に記載のポリアミドフィルム。
[3] 前記ポリアミド樹脂の、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した熱重量分析における1%重量減少温度と窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した示差走査熱量法により測定した融点との温度差が50℃以上である、上記[1]又は[2]に記載のポリアミドフィルム。
[4] 前記ジアミン成分の、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が5:95〜95:5である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリアミドフィルム。
本発明のポリアミドフィルムは、液体、蒸気及び/又は気体に対するバリア性に優れ、かつ低吸水性でありながら、溶融重合による高分子量化が可能で、融点と熱分解温度の差から見積もられる成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、耐薬品性及び耐加水分解性に優れるため、産業資材、工業材料、家庭用品などの用途、例えば食品包装用などの用途で用いるバリアフィルムとして広範に使用することができる。
(I)ポリアミド樹脂
(1)ポリアミド樹脂の構成成分
本発明において用いるポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分が蓚酸からなり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド樹脂である。
上記ポリアミド樹脂の製造に用いられる蓚酸源としては、蓚酸ジエステルを採用でき、これらはアミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、蓚酸ジメチル、蓚酸ジエチル、蓚酸ジn−(又はi−)プロピル、蓚酸ジn−(又はi−、又はt−)ブチル等の脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステル、蓚酸ジシクロヘキシル等の脂環式アルコールの蓚酸ジエステル、蓚酸ジフェニル等の芳香族アルコールの蓚酸ジエステル等が挙げられる。
上記の蓚酸ジエステルの中でも炭素原子数が3を超える脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステル、脂環式アルコールの蓚酸ジエステル、芳香族アルコールの蓚酸ジエステルが好ましく、その中でも蓚酸ジブチル及び蓚酸ジフェニルが特に好ましい。
ジアミン成分としては1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物を用いる。更に、1,9−ノナンジアミン成分と2−メチル−1,8−オクタンジアミン成分のモル比は、1:99〜99:1であり、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは5:95〜40:60又は60:40〜95:5、特に好ましくは5:95〜30:70又は70:30〜90:10である。1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンを上記の特定量共重合することにより、低吸水性でありながら、溶融重合による高分子量化が可能で、成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、かつ耐薬品性、耐加水分解性に優れたポリアミドが得られる。
特に、該モル比が5:95〜40:60、更に5:95〜30:70である場合、結晶性に優れるため、低吸水性及び力学特性に特に優れるとともに、液体、蒸気及び/又は気体(例えばアルコールなど)の透過性も低いという利点が得られる他、例えば1,9−ノナンジアミンの含有量が2−メチル−1,8−オクタンジアミンの含有量よりも多い場合と比べて吸水性がより低いという利点も有する。一方該モル比が60:40〜95:5、更に70:30〜95:5、更に70:30〜90:10である場合には、低吸水性及び力学特性が特に優れるとともに、良好な透明性が付与されるという利点が得られる。
(2)ポリアミド樹脂の製造において配合できる成分
本発明において用いるポリアミド樹脂を製造する際には、本発明の効果を損なわない範囲で他のジカルボン酸成分を混合する事ができる。蓚酸以外の他のジカルボン酸成分としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸、また、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、更にテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸などを単独で、あるいはこれらの任意の混合物を重縮合反応時に添加することもできる。更に、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸を溶融成形が可能な範囲内で用いることもできる。他のジカルボン酸成分の使用量は、ジカルボン酸成分全体の5モル%以下であることが好ましい。
また、本発明において用いるポリアミド樹脂を製造する際には、本発明の効果を損なわない範囲で、他のジアミン成分を混合する事ができる。1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン以外の他のジアミン成分としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミンなどの脂肪族ジアミン、更にシクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン、更にp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどの芳香族ジアミンなどを単独で、あるいはこれらの任意の混合物を重縮合反応時に添加することもできる。他のジアミン成分の使用量は、ジアミン成分全体の5モル%以下であることが好ましい。
本発明で用いるポリアミド樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、一部が他のポリマー成分で置き換えられたものであってもよい。他のポリマー成分としては、ジカルボン酸成分が蓚酸からなり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド以外のポリアミドとしての、ポリオキサミド、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミドなどのポリアミド類や、ポリアミド以外の熱可塑性ポリマーなどが挙げられる。本発明において用いるポリアミド樹脂中の、ジカルボン酸成分が蓚酸からなり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であるポリアミドの割合は、50質量%超、更に70質量%以上が好ましい。
(3)ポリアミド樹脂の性状及び物性
本発明において用いるポリアミド樹脂の分子量に特別の制限はないが、ポリアミド樹脂濃度が1.0g/dlの96%濃硫酸溶液を用い、25℃で測定した相対粘度ηrが1.8〜6.0の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2.0〜5.5であり、2.5〜4.5が特に好ましい。ηrが1.8より低いと成形物が脆くなり物性が低下する傾向がある。一方、ηrが6.0より高いと溶融粘度が高くなり、成形加工性が悪くなる傾向がある。
本発明において用いるポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分として蓚酸を用い、ジアミン成分として1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンを共重合することで、蓚酸と1,9−ノナンジアミンからなるポリアミドと比べて、上記相対粘度を増加させること、すなわち分子量を増加させることが可能である。また、実質的な熱分解の指標である1%重量減少温度(以下、Tdと略す)と融点(以下、Tmと略す)の差(Td−Tm)で表される成形可能温度範囲が、蓚酸と1,9−ノナンジアミンからなるポリアミドと比べて拡大し、成形可能温度範囲が好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上であることができ、更には90℃以上も可能である。本発明において用いるポリアミド樹脂は、Tdが好ましくは280℃以上、より好ましくは300℃以上、更に好ましくは320℃以上であり、高い耐熱性を有することを特徴とする。
(4)ポリアミド樹脂の製造
本発明において用いるポリアミド樹脂は、ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。本発明者らの研究によれば、ジアミン及び蓚酸ジエステルをバッチ式又は連続式で重縮合反応させることによりポリアミド樹脂を得ることができる。具体的には、以下の操作で示されるような、(i)前重縮合工程、(ii)後重縮合工程の順で行うのが好ましい。
(i)前重縮合工程:まず反応器内を窒素置換した後、ジアミン(ジアミン成分)及び蓚酸ジエステル(蓚酸源)を混合する。混合する場合にジアミン及び蓚酸ジエステルが共に可溶な溶媒を用いても良い。ジアミン成分及び蓚酸源が共に可溶な溶媒としては、特に制限されないが、トルエン、キシレン、トリクロロベンゼン、フェノール、トリフルオロエタノールなどを用いることができ、特にトルエンを好ましく用いることができる。例えば、ジアミンを溶解したトルエン溶液を50℃に加熱した後、これに対して蓚酸ジエステルを加える。このとき、蓚酸ジエステルと上記ジアミンの仕込み比は、蓚酸ジエステル/上記ジアミンで、0.8〜1.5(モル比)、好ましくは0.91〜1.1(モル比)、更に好ましくは0.99〜1.01(モル比)であることができる。
このように仕込んだ反応器内を攪拌及び/又は窒素バブリングしながら、常圧下で昇温する。反応温度は、最終到達温度が80〜150℃、好ましくは100〜140℃の範囲になるように制御するのが好ましい。最終到達温度での反応時間は例えば3時間〜6時間である。
(ii)後重縮合工程:更に高分子量化を図るために、前重縮合工程で生成した重合物を常圧下において反応器内で徐々に昇温する。昇温過程において前重縮合工程の最終到達温度、すなわち80〜150℃から、最終的に220℃以上300℃以下、好ましくは230℃以上280℃以下、更に好ましくは240℃以上270℃以下の温度範囲にまで到達させる。昇温時間を含めて1〜8時間、好ましくは2〜6時間保持して反応を行うことが好ましい。更に後重合工程において、必要に応じて減圧下での重合を行うこともできる。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は0.1MPa未満〜13.3Paである。
本発明に用いるポリアミド樹脂の製造方法のより具体的な例を以下に説明する。まず原料の蓚酸ジエステルを容器内に仕込む。容器は、後に行う重縮合反応の温度及び圧力に耐え得るものであれば、特に制限されない。その後、容器を原料のジアミンと混合する温度まで昇温させ、次いでジアミンを注入し重縮合反応を開始させる。原料を混合する温度は、原料の蓚酸エステル及びジアミンの融点以上、沸点未満の温度であり、かつ蓚酸ジエステルとジアミンとの重縮合反応によって生じるポリオキサミドが熱分解しない温度であれば特に制限されない。例えば、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとの混合物からなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であるジアミンと蓚酸ジメチルとを原料とするポリオキサミド樹脂の場合、上記混合温度は15℃から240℃が好ましい。また、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が5:95〜90:10の場合、常温で液体か又は40℃程度に加温するだけで液化するので取り扱いやすいためより好ましい。混合温度が縮合反応によって生成するアルコールの沸点以上の場合、アルコールを留去、凝縮する装置を備えた容器を用いるのが望ましい。また、縮合反応によって生成するアルコール存在下で加圧重合する場合には、耐圧容器を用いる。蓚酸ジエステルとジアミンとの仕込み比は、蓚酸ジエステル/上記ジアミンで、0.8〜1.2(モル比)が好ましく、より好ましくは0.91〜1.09(モル比)、更に好ましくは0.98〜1.02(モル比)である。
次に、容器内をポリオキサミド樹脂の融点以上かつ熱分解しない温度以下に昇温する。例えば、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が85:15であるジアミンと、蓚酸ジブチルとを原料とするポリオキサミド樹脂の場合、融点は235℃であることから240℃から280℃に昇温するのが好ましい(圧力は、2MPa〜4MPa)。生成したアルコールを留去しながら、必要に応じて、常圧窒素気流下もしくは減圧下において継続して重縮合反応を行う。耐圧容器内で原料を混合し、縮合反応によって生成するアルコール存在下で加圧重合する場合は、まず生成したアルコールを留去しながら放圧する。その後、必要に応じて常圧窒素気流下もしくは減圧下において継続して重縮合反応を行う。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は760〜0.1Torrである。温度は、240〜280℃が好ましい。また、アルコールは水冷コンデンサで冷却して液化し、回収する。
(II)その他の含有成分
本発明においては、上述のポリアミド樹脂に加えて、必要に応じて各種添加剤を組合せることができ、これらはポリアミド重縮合反応時、又はその後に組合せることができる。
各種添加剤としては、バリア性改良成分、補強剤、フィラー、補強繊維、銅化合物などの安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、ガラス繊維、可塑剤、潤滑剤、耐熱剤などが挙げられる。
上記のバリア性改良成分としては、例えば層状珪酸塩が挙げられる。層状珪酸塩は、本発明のポリアミドフィルムの機械的強度、耐熱性、液体(特にアルコール、水など)及び気体(特に酸素やガソリンなど)に対するバリア性を向上させることができる。
層状珪酸塩は、一辺の長さが0.002〜1μmで、厚さが6〜20Åである平板状のものを用いることが好ましい。また、上記層状珪酸塩は、ポリアミド樹脂中に分散した際に、各層が約18Å以上の層間距離を保ち、均一に分散されるものであることが好ましい。
ここで、「層間距離」とは、平板状をなす層状珪酸塩の各重心の間の距離をいい、「均一に分散する」とは、各層が主にランダムな状態で存在し、層状珪酸塩の50質量%以上、好ましくは70質量%以上が、複層物を形成することなく単層に分散していることをいうものとする。
上記層状珪酸塩の原料としては、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの層から構成される層状フィロ珪酸鉱物、すなわち、珪酸アルミニウム質フィロ珪酸塩又は珪酸マグネシウム質フィロ珪酸塩を例示することができる。具体的には、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、スティブンサイト等のスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライト、ハロイサイト等を例示することができ、これらは天然のものであっても、合成されたものであってもよい。
また、上記層状珪酸塩をポリアミド樹脂に分散させるために、通常、膨潤化剤が用いられる。当該膨潤化剤は、粘土鉱物の層間を拡げる役割と、粘土鉱物に層間ポリマーを取り込む力を与える役割とを有するものである。上記膨潤化剤としては、本発明の場合には、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンを用いることが好ましい。
なお、上記層状珪酸塩は、ミキサー、ボールミル、振動ミル、ピンミル、ジェットミル、叩解機等を用いて粉砕し、予め所望の形状及びサイズのものとしておくことが好ましい。
上記層状珪酸塩の量は、機械的強度、耐熱性及びバリア性の向上効果が得られる量であれば特に制限されるものではないが、本発明で用いるポリアミド樹脂100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.05〜8質量部、特に好ましくは0.05〜5質量部である。層状珪酸塩の割合が低くなると、上記向上効果が小さくなる傾向があり、上記割合が高くなると、樹脂組成物の流動性や得られる成形物の物性、特に衝撃強度が低くなる傾向がある。
層状珪酸塩をポリアミド樹脂中に均一に分散させる方法としては例えば以下の方法を例示できる。層状珪酸塩の原料が多層状粘土鉱物である場合、層状珪酸塩を塩酸等によりイオン化し、ここに膨潤化剤、例えば、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンを添加して、予め層状珪酸塩の各層の間隔を広げる。次いで、当該層の間にポリアミド原料を導入し、さらに当該層の間で上記原料を重合させることができる。
また、膨潤化剤として高分子化合物を用いて層間を約100Å以上に予め広げ、これをポリアミド樹脂と溶融混合して、各層をポリアミド樹脂に分散させてもよい。
(III)ポリアミドフィルムの成形加工
本発明のポリアミドフィルムは延伸フィルムでも未延伸フィルムでもよく、ポリアミドフィルムの分野で公知の任意の成形加工法を用いて成形できる。
より具体的には、例えば、ポリアミド樹脂、及び必要に応じて用いる各種の他の成分の所定量を押出機で溶融混練し、混練物をTダイからフィルム状に押出し、キャスティングロール面上にキャスティングしたフィルムを冷却するTダイ法や、該混練物をリング状ダイから筒状に押出した後に空冷又は水冷するチューブラー法などを適用して未延伸フィルムを成形できる。また、該未延伸フィルムを一軸延伸又は二軸延伸し、未延伸フィルムを構成するポリマーの融点以下で必要に応じて熱固定する方法などにより、延伸フィルムを成形できる。
本発明のポリアミドフィルムは多層の積層フィルムのうちの1層以上を構成するものとして用いてもよい。この場合、本発明のポリアミドフィルム以外の層としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどからなるポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体などからなる共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルムなどを目的に応じて採用できる。
積層フィルムは、接着法、共押出法などの公知の方法を用いて成形できる。接着法においては、本発明のポリアミドフィルムと1層以上の他のフィルムとを接着剤で接着すればよい。また共押出法においては、本発明のポリアミドフィルム及び1層以上の他のフィルムのそれぞれの原料ポリマー溶融物を、必要に応じて接着性樹脂を介して多層口金から溶融共押出しすればよい。
(IV)ポリアミドフィルムの用途
本発明のポリアミドフィルムは、産業資材、工業材料、家庭用品などの用途、より具体的には、食品包装、特にレトルト用など内容物が液体の用途に対して好適に使用でき、金属被覆に用いて防錆効果などを付与することもできる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[物性測定、成形、評価方法]
特性値を、以下の方法により測定した。
(1)相対粘度(ηr)
ηrは、ポリアミドの96%硫酸溶液(濃度:1.0g/dl)を用いて、オストワルド型粘度計により25℃で測定した。
(2)融点(Tm)及び結晶化温度(Tc)
Tm及びTcは、PerkinELmer社製PYRIS Diamond DSC用いて窒素雰囲気下で測定した。30℃から270℃まで10℃/分の速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、270℃で3分保持したのち、−100℃まで10℃/分の速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ)、次に270℃まで10℃/分の速度で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ)。得られたDSCチャートから降温ファーストランの発熱ピーク温度をTc、昇温セカンドランの吸熱ピーク温度をTmとした。
(3)1%重量減少温度(Td)
Tdは島津製作所社製THERMOGRAVIMETRIC ANALYZER TGA−50を用い、熱重量分析(TGA)により測定した。20ml/分の窒素気流下室温から500℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、Tdを測定した。
(4)溶融粘度
溶融粘度はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製溶融粘弾性測定装置ARESに25mmのコーン・プレートを装着して、窒素中、250℃、せん断速度0.1s-1の条件で測定した。
(5)フィルム成形
東邦マシナリー社製真空プレス機TMB−10を用いて、ペレットからフィルムを成形した。500〜700Paの減圧雰囲気下において260℃(PA66を用いた場合は290℃、PA12を用いた場合は230℃)で5分間加熱溶融させた後、5MPaで1分間プレスを行いフィルム成形した。次に減圧雰囲気を常圧まで戻したのち室温5MPaで1分間冷却結晶化させてフィルムを得た。
(6)飽和吸水率
上記(5)の条件で成形したフィルム(寸法:20mm×10mm、厚さ0.25mm;質量約0.05g)を23℃のイオン交換水に浸漬し、所定時間ごとにフィルムを取り出し、フィルムの質量を測定した。フィルム質量の増加率が0.2%の範囲内で3回続いた場合にポリアミド樹脂フィルムへの水分の吸収が飽和に達したと判断して、水に浸漬する前のフィルムの質量(Xg)と飽和に達した時のフィルムの質量(Yg)から次の式(1)により飽和吸水率(%)を算出した。
飽和吸水率(%)=(Y−X)/X×100 (1)
(7)耐薬品性
本発明によって得られるポリアミドの熱プレスフィルムを以下の薬品中に7日間浸漬した後に、フィルムの質量残存率(%)及び外観の変化を観測した。濃塩酸、64%硫酸、氷酢酸のそれぞれの溶液において23℃下で浸漬した試料について試験を行った。
(8)耐加水分解性
上記(5)の条件で成形したフィルムをオートクレーブに入れ、水、0.5mol/l硫酸、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液中(すなわち、順に、pH=7、pH=1、pH=14)でそれぞれ121℃、60分間処理した後の質量残存率(%)を調べた。
(9)機械的物性
以下に示す測定は、下記の試験片を樹脂温度260℃(PA66を用いた場合は290℃、PA12を用いた場合は230℃)、金型温度80℃の射出成形により成形し、これを用いて行った。
〔1〕引張降伏点強度:ASTM D638に記載のTypeIの試験片を用いてASTM D638に準拠して測定した。
〔2〕曲げ弾性率:試験片寸法3.2mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D790に準拠し、23℃で測定した。成形後に調湿せずに評価したものをdry、成形後に23℃湿度65%で調湿した後に評価したものをwetとして表中に記載した。
〔3〕アイゾット衝撃強度:試験片寸法3.2mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D256に準拠し、23℃で測定した。
〔4〕荷重たわみ温度(熱変形温度):試験片寸法3.2mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D648に準拠し、荷重1.82MPaで測定した。
(10)吸水率
上記(5)の条件で成形したフィルム(寸法:20mm×10mm、厚さ0.25mm;質量約0.05g)を23℃65%RH条件下におき、所定時間ごとにフィルムを取り出し、フィルムの質量を測定した。フィルム質量の増加率が0.2%の範囲内で3回続いた場合にポリアミド樹脂フィルムへの水分の吸収が飽和に達したと判断して、上記23℃65%RH条件下におく前のフィルムの質量(Xg)と飽和に達した時のフィルムの質量(Yg)から次の式(2)により吸水率(%)を算出した。
吸水率(%)=(Y−X)/X×100 (2)
(11)エタノール透過係数
ステンレス製の容器にエタノールを50ml入れ、上記(5)の条件で成形したフィルムを用いて、PTFE製のガスケットをかませた容器に蓋をし、ねじ圧力にて締め付けた。カップを60℃恒温槽に入れ、槽内は窒素を50ml/minで流した。重量の経時変化を測定し、時間当たりの重量変化率が安定した時点で、燃料透過係数を次式から計算した。試料の透過面積は78.5cm2である。
エタノール透過係数(g・mm/m2・day・atom)=[透過重量(g)×フィルム厚さ(mm)]/[透過面積(mm2)×日数(day)×圧力(atom)]
(12)透湿度
(株)日本製鋼所製のスクリュー径30mmの押出機(シリンダー温度230〜260℃)を用いて、外径1/2インチ、厚み1mmのチューブを調製した。このチューブを300mmの長さに切断し、その中に水分吸収剤である塩化カルシウムを充満するまで充填し、密封した。次に、このチューブを40℃で相対湿度90%の雰囲気中に10日以上放置し、1日の平均的な単位面積当たりの透湿度を測定した。
(13)酸素透過係数
上記(5)の条件で成形したフィルム(厚さ30μm)から切り出した試験片について、MOCON製試験機OX−TRAN2/20−MHを使用し、温度23℃、湿度97%RHの条件で、「ASTM D3985」に基づいて測定した。
[製造例1:PA92−1の製造]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、ダイアフラムポンプを直結した原料投入口、窒素ガス導入口、放圧口、圧力調節装置及びポリマー抜出し口を備えた内容積が150リットルの圧力容器にシュウ酸ジブチル28.40kg(140.4モル)を仕込み、圧力容器の内部を純度が99.9999%の窒素ガスで0.5MPaに加圧した後、次に常圧まで窒素ガスを放出する操作を5回繰り返し、窒素置換を行った後、封圧下、攪拌しながら系内を昇温した。約30分間かけてシュウ酸ジブチルの温度を100℃にした後、1,9−ノナンジアミン18.89kg(119.3モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン3.34kg(21.1モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が85:15)をダイアフラムフポンプにより流速1.49リットル/分で約17分間かけて反応容器内に供給すると同時に昇温した。供給直後の圧力容器内の内圧は、重縮合反応により生成したブタノールによって0.35MPaまで上昇し、重縮合物の温度は約170℃まで上昇した。その後、1時間かけて温度を235℃まで昇温した。その間、生成したブタノールを放圧口より抜き出しながら、内圧を0.5MPaに調節した。重縮合物の温度が235℃に達した直後から放圧口よりブタノールを約20分間かけて抜き出し、内圧を常圧にした。常圧にしたところから、1.5リットル/分で窒素ガスを流しながら昇温を開始し、約1時間かけて重縮合物の温度を260℃にし、260℃において4.5時間反応させた。その後、攪拌を止めて系内を窒素で1MPaに加圧して約10分間静置した後、内圧0.5MPaまで放圧し、重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重合物は直ちに水冷し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化した。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.20であった。
[製造例2:PA92−2の製造]
1,9−ノナンジアミン17.62kg(111.3モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン4.45kg(28.1モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が80:20)を仕込んだほかは、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.10であった。
[製造例3:PA92−3の製造]
1,9−ノナンジアミン11.11kg(70.2モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン11.11kg(70.2モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が50:50)を仕込んだ以外は、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られた重合物は白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.35であった。
[製造例4:PA92−4の製造]
1,9−ノナンジアミン6.67kg(42.1モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン15.56kg(98.3モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が30:70)を仕込んだ以外は製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.55であった。
[製造例5:PA92−5の製造]
1,9−ノナンジアミン1.33kg(8.4モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン20.88kg(131.9モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が6:94)を仕込んだほかは、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られた重合物は白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.53であった。
[製造例6:PA92−6の製造]
1,9−ノナンジアミン1.33kg(8.4モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン20.88kg(131.9モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が6:94)を仕込み、ブタノールの抜出による内圧を0.25MPaに保持した以外は、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られた重合物は白色の強靭なポリマーであり、ηr=4.00であった。
[製造例7:PA−1の製造]
ジアミン原料として1,9−ノナンジアミン22.25kg(140.4モル)だけを用いて、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られた重合物は黄白色のポリマーであり、ηr=2.78であった。
製造例1〜7で調製したポリアミド、並びに市販品のPA6(宇部興産製、UBEナイロン1015B)、PA66(UBEナイロン2020B)及びPA12(宇部興産製、UBESTA3020U)の特性データを表1に示す。
Figure 2009298867
[実施例1〜6、比較例1]
上記のポリアミドを用いて、前述した方法でフィルムを作製し、表2中に示す各種評価を行った。
Figure 2009298867
本発明のポリアミドフィルムは、液体、蒸気及び/又は気体に対するバリア性に優れ、かつ低吸水性でありながら、溶融重合による高分子量化が可能で、成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、耐薬品性及び耐加水分解性に優れるため、産業資材、工業材料、家庭用品などの用途、より具体的には例えば食品包装用などの用途のバリアフィルムとして好適に使用できる。

Claims (4)

  1. ジカルボン酸成分が蓚酸からなり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド樹脂を含む、ポリアミドフィルム。
  2. 前記ポリアミド樹脂の、96%硫酸を溶媒とし、濃度1.0g/dlのポリアミド樹脂溶液を用いて25℃で測定した場合の相対粘度(ηr)が1.8〜6.0である、請求項1に記載のポリアミドフィルム。
  3. 前記ポリアミド樹脂の、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した熱重量分析における1%重量減少温度と窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した示差走査熱量法により測定した融点との温度差が50℃以上である、請求項1又は2に記載のポリアミドフィルム。
  4. 前記ジアミン成分の、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が5:95〜95:5である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミドフィルム。
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