JP5577577B2 - 新規なポリアミド樹脂を用いて作製された車両用部品、車両内装部品、車両外装部品、及び車両エンジンルーム内部品 - Google Patents
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Description
しかしながら、このポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分として蓚酸を用い、ジアミン成分として1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン及び1,6−ヘキサンジアミンの3種のジアミンを特定の比率で用いたポリオキサミド樹脂ではない。
[態様1]
ジカルボン酸成分が蓚酸から成り、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物(以下において「C9ジアミン混合物」ともいう。)及び1,6−ヘキサンジアミン(以下において「C6ジアミン」ともいう。)からなり、かつC9ジアミン混合物とC6ジアミンのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド樹脂を用いて作製された車両用部品。
上記ポリアミド樹脂の、96%硫酸を溶媒とし、濃度が1.0g/dlのポリアミド樹脂溶液を用いて25℃で測定した相対粘度(ηr)が、1.8〜6.0である、態様1に記載の車両用部品。
[態様3]
上記ポリアミド樹脂の、窒素雰囲気下において10℃/分の昇温速度で測定した熱重量分析における1%重量減少温度と、窒素雰囲気下において10℃/分の昇温速度で測定した示差走査熱量法により測定した融点との温度差が、50℃以上である、態様1又は2に記載の車両用部品。
1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が5:95〜95:5である、態様1〜3のいずれか一つに記載の車両用部品。
態様1〜4のいずれかに記載の車両用部品から作製した車両内装部品。
[態様6]
態様1〜4のいずれかに記載の車両用部品から作製した車両外装部品。
[態様7]
態様1〜4のいずれかに記載の車両用部品から作製した車両エンジンルーム内部品。
[ポリアミド樹脂]
本発明に用いられるポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分が蓚酸から成り、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物(以下において「C9ジアミン混合物」ともいう。)及び1,6−ヘキサンジアミン(以下において「C6ジアミン」ともいう。)からなり、かつC9ジアミン混合物とC6ジアミンのモル比が1:99〜99:1である。
本発明に用いられるポリアミド樹脂は、ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法により製造することができる。本発明者らの研究によれば、ジアミン及び蓚酸ジエステルをバッチ式又は連続式で重縮合反応させることにより、上記ポリアミド樹脂を重合することが好ましい。具体的には、以下の操作で示されるような、(i)前重縮合工程、(ii)後重縮合工程の順で行うのが好ましい。
まず原料の蓚酸ジエステルを容器内に仕込む。容器は、後に行う重縮合反応の温度および圧力に耐え得るものであれば、特に制限されない。その後、容器を原料のジアミンと混合する温度まで昇温させ、次いでジアミンを注入し重縮合反応を開始させる。原料を混合する温度は、原料の蓚酸ジエステルおよびジアミンの融点以上、沸点未満の温度であり、かつ蓚酸ジエステルとジアミンの重縮合反応によって生じるポリオキサミドが熱分解しない温度であれば特に制限されない。例えば、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミンの混合物からなり、かつC9ジアミン(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物)と1,6−ヘキサンジアミンのモル比が1:99〜99:1であるジアミンと蓚酸ジブチルを原料とするポリオキサミド樹脂の場合、上記混合温度は15℃から300℃が好ましい。また、C9ジアミン(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物)と1,6−ヘキサンジアミンのモル比は、5:95〜90:10の場合、常温で液状か又は50℃程度に加温するだけで液化するので取り扱いやすいためより好ましい。混合温度が縮合反応によって生成するアルコールの沸点以上の場合、アルコールを留去、凝縮する装置を備えた容器を用いるのが望ましい。また、縮合反応によって生成するアルコール存在下で加圧重合する場合には、耐圧容器を用いる。蓚酸ジエステルとジアミンの仕込み比は、蓚酸ジエステル/上記ジアミンで、0.8〜1.2(モル比)、好ましくは0.91〜1.09(モル比)、更に好ましくは0.98〜1.02(モル比)である。
本発明に用いられるポリアミド樹脂の分子量は、1.0g/dlの96%濃硫酸溶液を用い、25℃で測定した相対粘度ηrが1.8〜6.0、より好ましくは2.0〜5.5、特に好ましくは2.5〜4.5の範囲にあるような分子量を有する。分子量が低くなると溶融粘度が低くなって、そして分子量が高くなると溶融粘度が高くなって成形性が悪くなる傾向がある。
本明細書において、用語「車両内装部品」の用語は、車両の内装に用いられる部品を意味する。車両には、自動車、例えば、乗用車、バス、トラック、特殊自動車、例えば、トラクター、ロードローラー、雪上車、フォークリフト、ホイールクレーン、特殊用途自動車、例えば、救急車、消防車、テレビジョン中継車、冷凍車が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本発明の車両内装部品は、上述のポリアミド樹脂を含むが、当該車両内装部品は、上記ポリアミド樹脂以外に、任意成分として、さらに以下の成分を含むことができる。
本明細書において、用語「車両外装部品」の用語は、車両の外装に用いられる部品を意
味する。当該車両には、自動車、例えば、乗用車、バス、トラック、自動二輪車、特殊自
動車、例えば、トラクター、ロードローラー、雪上車、フォークリフト、ホイールクレー
ン、特殊用途自動車、例えば、救急車、消防車、テレビジョン中継車、冷凍車、原動機付
自転車が含まれるが、これらに限定されるものではない。
、マッドガード、サイドバンパー、バンパー、フェンダーが挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
本発明の車両外装部品には、上述のポリアミド樹脂が含まれるが、当該車両外装部品は
、任意成分として、さらに以下の成分を含むことができる。
本発明の自動車エンジンルーム内部品としては、インテークマニホールド、エアクリーナー、レゾネーター、フューエルレール、スロットルボディおよびバルブ、エアフローメーター、EGR部品、ハーネスコネクター、エンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、タイミングベルト(チェーンカバー)、タイミングチェーン(ベルト)テンショナーおよびガイド、アルタネーターカバー、ディストリビューターカバー、ブレーキマスターシリンダー、オイルポンプ、オイルフィルター、エンジンマウント、ペーパーキャニスター、パワーステアリングオイルリザーバー、フューエルストレーナー、ラジエタータンク、スイッチブーツ,ランプ防水カバー,コネクタカバー,ラバーフック,サスペンションブーツ,サスペンションアッパーマウント,サスペンションブッシュ,スタビライザーブッシュ,ステアリングラックブーツ,ステアリングラックブッシュ,リザーバータンクキャップ,プラグコードキャップ,成形パッキン,バッテリー端子カバーなどがある。
本発明に用いられるジカルボン酸成分が蓚酸から成り、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンと1,6−ヘキサンジアミンから成り、そしてC9ジアミン(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物)と1,6−ヘキサンジアミンのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、その一部を他のポリマー成分で置換されうる。他のポリマー成分としては、例えば、他のポリアミド類、例えば、ポリオキサミド、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミド等、並びにポリアミド以外のポリマー、例えば、熱可塑性ポリマー、エラストマーが挙げられる。
なお、以下単に、「ポリアミド」、又は「ポリアミド樹脂」と称する場合には、ジカルボン酸成分が蓚酸から成り、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンと1,6−ヘキサンジアミンから成り、そしてC9ジアミン混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物)と1,6−ヘキサンジアミンのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド樹脂のことを指すものとする。
また、本発明の車両内装部品は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の添加剤を含むことができる。他の添加剤として、例えば、顔料、染料、着色剤、耐熱剤、酸化防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、結晶核剤、結晶化促進剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、銅化合物等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、ガラス繊維、潤滑剤、フィラー、補強繊維、補強粒子、発泡剤等を挙げることができる。
上記紫外線吸収剤は、樹脂100質量部に対し、0.01〜5質量部の割合で用いられるのが通常である。
上記光安定化剤は、樹脂100質量部に対し、0.01〜5質量部の割合で用いられるのが通常である。
本発明の車両内装部品は、上述のポリアミド樹脂のみで低吸水性であり寸法安定性に優れるが、より低吸水性及び寸法安定性が求められる用途においては、層状珪酸塩を上記ポリアミド樹脂に添加することができる。
また、層状珪酸塩を添加することにより、本発明の車両内装部品の剛性、耐候性及び/又は耐熱性、並びに液体又は蒸気に対するバリア性を向上させることができる。
上記層状珪酸塩は、一辺の長さが0.002〜1μmで、厚さが6〜20Åである平板状のものであることが好ましい。また、上記層状珪酸塩は、上記ポリアミド樹脂中で、各層が約20Å以上の層間距離を保ち、均一に分散されるものであることが好ましい。
特性値を、以下の方法により測定した。
(1)相対粘度(ηr)
ηrは、ポリアミドの96%硫酸溶液(濃度:1.0g/dl)を用いて、オストワルド型粘度計により25℃で測定した。
Tm及びTcは、PerkinELmer社製PYRIS Diamond DSC用いて窒素雰囲気下で測定した。30℃から300℃まで10℃/分の速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、300℃で3分保持したのち、−100℃まで10℃/分の速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ)、次に300℃まで10℃/分の速度で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ)。得られたDSCチャートから降温ファーストランの発熱ピーク温度をTc、昇温セカンドランの吸熱ピーク温度をTmとした。
Tdは島津製作所社製THERMOGRAVIMETRIC ANALYZER TGA−50を用い、熱重量分析(TGA)により測定した。20ml/分の窒素気流下室温から500℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、Tdを測定した。
(4)溶融粘度
溶融粘度はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製溶融粘弾性測定装置ARESに25mmのコーン・プレートを装着して、窒素中、290℃、せん断速度0.1s-1の条件で測定した。
東邦マシナリー社製真空プレス機TMB−10を用いて、ペレットからフィルムを成形した。500〜700Paの減圧雰囲気下において290℃(PA6では樹脂温度260℃、PA66では樹脂温度290℃、PA12では樹脂温度230℃)で5分間加熱溶融させた後、5MPaで1分間プレスを行いフィルム成形した。次に減圧雰囲気を常圧まで戻したのち室温5MPaで1分間冷却結晶化させてフィルムを得た。
上記(5)の条件で成形したフィルム(寸法:20mm×10mm、厚さ0.25mm;質量約0.05g)を23℃のイオン交換水に浸漬し、所定時間ごとにフィルムを取り出し、フィルムの質量を測定した。フィルム質量の増加率が0.2%の範囲内で3回続いた場合にポリアミド樹脂フィルムへの水分の吸収が飽和に達したと判断して、水に浸漬する前のフィルムの質量(Xg)と飽和に達した時のフィルムの質量(Yg)から次の式(1)により飽和吸水率(%)を算出した。
飽和吸水率(%)=100×(Y−X)/X (1)
本発明によって得られるポリアミドの熱プレスフィルムを以下に列挙する薬品中に7日間、23℃で浸漬した後に、フィルムの質量残存率(%)及び外観の変化を観測した。濃塩酸、64%硫酸、氷酢酸について試験を行った。
本発明の車両内装部品の材料で熱プレスフィルムを作成し、当該熱プレスフィルムを、オートクレーブに入れ、水(pH=7)、0.5mol/l硫酸(pH=1)又は1mol/l水酸化ナトリウム水溶液(pH=14)内で、121℃、60分間処理した後の重量残存率(%)及び外観変化を調べた。
以下に示す〔1〕〜〔4〕の測定は、下記の試験片を樹脂温度290℃(PA6では樹脂温度260℃、PA66では樹脂温度290℃、PA12では樹脂温度230℃)、金型温度80℃の射出成形により成形し、これを用いて行った。成形後に未調湿、23℃で測定したデータをdry、成形後に湿度65%RHで調湿し、23℃で測定したデータをwetとして表中に記載した。
〔1〕引張降伏点強度又は引張強度:ASTM D638に記載のTypeIの試験片を用いてASTM D638に準拠して測定した。
〔2〕曲げ弾性率:試験片寸法3.2mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D790に準拠し測定した。 〔3〕アイゾット衝撃強度:試験片寸法3.2mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D256に準拠し、23℃で測定した。
〔4〕荷重たわみ温度(熱変形温度):試験片寸法3.2mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D648に準拠し、荷重1.82MPaで測定した。
23℃及び湿度65%RHの条件下に置いた以外は、(6)飽和吸水率の測定方法に従って、吸水率(%)を算出した。
JIS−A−1415に従い、ブラックパネル、温度83℃、雨なしの条件で評価した。目視評価を、○(クラックなし)、△(若干クラックあり)、×(クラックあり)の基準に従って、50時間及び100時間の試験後に行った。
また、50時間の耐候性試験後、試料の引張強度保持率(%)を評価した。当該引張強度保持率(%)は、50時間の耐候性試験後の引張強度を、耐候性試験前の引張強度で割り、100をかけて算出したものである。
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、ダイアフラムポンプを直結した原料投入口、窒素ガス導入口、放圧口、圧力調節装置及びポリマー抜出し口を備えた内容積が約150リットルの圧力容器に蓚酸ジブチル28.230kg(139.56モル)を仕込み、圧力容器の内部を純度が99.9999%の窒素ガスで0.5MPaに加圧した後、次に常圧まで窒素ガスを放出する操作を5回繰り返し、窒素置換を行った後、封圧下、攪拌しながら系内を昇温した。約30分間かけて蓚酸ジブチルの温度を100℃にした後、1,9−ノナンジアミン1.241kg(7.84モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン19.639kg(124.04モル)と1,6−ヘキサンジアミン0.893kg(7.68モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンと1,6−ヘキサンジアミンのモル比が5.62:88.88:5.50)をダイアフラムフポンプにより流速1.49リットル/分で約17分間かけて反応容器内に供給すると同時に昇温した。供給直後の圧力容器内の内圧は、重縮合反応により生成したブタノールによって0.35MPaまで上昇し、重縮合物の温度は約170℃まで上昇した。その後、1時間かけて温度を235℃まで昇温した。その間、生成したブタノールを放圧口より抜き出しながら、内圧を0.75MPaに調節した。重縮合物の温度が235℃に達した直後から放圧口よりブタノールを約20分間かけて抜き出し、内圧を常圧にした。常圧にしたところから、1.5リットル/分で窒素ガスを流しながら昇温を開始し、約1時間かけて重縮合物の温度を260℃にし、260℃において4.5時間反応させた。その後、攪拌を止めて系内を窒素で1MPaに加圧して約10分間静置した後、内圧0.5MPaまで放圧し、重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重合物は直ちに水冷し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化した。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.13であった。
蓚酸ジブチル28.462kg(140.71モル)を仕込み、1,9−ノナンジアミン16.448kg(103.88モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン2.903kg(18.34モル)と1,6−ヘキサンジアミン2.150kg(18.50モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンと1,6−ヘキサンジアミンのモル比が73.83:13.03:13.14)を仕込んだほかは、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーで、ηr=2.97であった。
蓚酸ジブチル30.238kg(149.49モル)を仕込み、1,9−ノナンジアミン4.486kg(28.33モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン4.486kg(28.33モル)と1,6−ヘキサンジアミン10.79kg(92.85モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンと1,6−ヘキサンジアミンのモル比が18.95:18.95:62.10)をダイアフラムフポンプにより流速1.49リットル/分で約17分間かけて反応容器内に供給すると同時に昇温した。供給直後の圧力容器内の内圧は、重縮合反応により生成したブタノールによって0.35MPaまで上昇し、重縮合物の温度は約170℃まで上昇した。その後、1.5時間かけて温度を270℃まで昇温した。その間、生成したブタノールを放圧口より抜き出しながら、内圧を1.00MPaに調節した。重縮合物の温度が270℃に達した直後から放圧口よりブタノールを約20分間かけて抜き出し、内圧を常圧にした。常圧にしたところから、1.5リットル/分で窒素ガスを流しながら昇温を開始し、約1時間かけて重縮合物の温度を285℃にし、285℃において1.5時間反応させた。その後、攪拌を止めて系内を窒素で1MPaに加圧して約10分間静置した後、内圧0.5MPaまで放圧し、重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重合物は直ちに水冷し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化した。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=2.88であった。
蓚酸ジブチル29.864kg(147.64モル)を仕込み、1,9−ノナンジアミン5.598kg(35.36モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン5.598kg(35.36モル)と1,6−ヘキサンジアミン8.941kg(76.92モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンと1,6−ヘキサンジアミンのモル比が23.95:23.95:52.10)をダイアフラムフポンプにより流速1.49リットル/分で約17分間かけて反応容器内に供給すると同時に昇温した。供給直後の圧力容器内の内圧は、重縮合反応により生成したブタノールによって0.35MPaまで上昇し、重縮合物の温度は約170℃まで上昇した。その後、1時間かけて温度を250℃まで昇温した。その間、生成したブタノールを放圧口より抜き出しながら、内圧を1.00MPaに調節した。重縮合物の温度が250℃に達した直後から放圧口よりブタノールを約20分間かけて抜き出し、内圧を常圧にした。常圧にしたところから、1.5リットル/分で窒素ガスを流しながら昇温を開始し、約1時間かけて重縮合物の温度を270℃にし、270℃において2時間反応させた。その後、攪拌を止めて系内を窒素で1MPaに加圧して約10分間静置した後、内圧0.5MPaまで放圧し、重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重合物は直ちに水冷し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化した。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=2.83であった。
蓚酸ジブチル29.107kg(143.89モル)を仕込み、1,9−ノナンジアミン5.641kg(35.63モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン10.028kg(63.34モル)と1,6−ヘキサンジアミン5.223kg(44.93モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンと1,6−ヘキサンジアミンのモル比が24.76:44.02:31.22)をダイアフラムフポンプにより流速1.49リットル/分で約17分間かけて反応容器内に供給すると同時に昇温した。供給直後の圧力容器内の内圧は、重縮合反応により生成したブタノールによって0.35MPaまで上昇し、重縮合物の温度は約170℃まで上昇した。その後、1時間かけて温度を250℃まで昇温した。その間、生成したブタノールを放圧口より抜き出しながら、内圧を0.75MPaに調節した。重縮合物の温度が240℃に達した直後から放圧口よりブタノールを約20分間かけて抜き出し、内圧を常圧にした。常圧にしたところから、1.5リットル/分で窒素ガスを流しながら昇温を開始し、約1時間かけて重縮合物の温度を265℃にし、265℃において3時間反応させた。その後、攪拌を止めて系内を窒素で1MPaに加圧して約10分間静置した後、内圧0.5MPaまで放圧し、重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重合物は直ちに水冷し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化した。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.11であった。
蓚酸ジブチル28.40kg(140.4モル)を仕込み、1,9−ノナンジアミン11.11kg(70.2モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン11.11kg(70.2モル)の混合物をダイアフラムフポンプにより流速1.49リットル/分で約17分間かけて反応容器内に供給すると同時に昇温した。供給直後の圧力容器内の内圧は、重縮合反応により生成したブタノールによって0.35MPaまで上昇し、重縮合物の温度は約170℃まで上昇した。その後、1時間かけて温度を235℃まで昇温した。その間、生成したブタノールを放圧口より抜き出しながら、内圧を0.5MPaに調節した。重縮合物の温度が235℃に達した直後から放圧口よりブタノールを約20分間かけて抜き出し、内圧を常圧にした。常圧にしたところから、1.5リットル/分で窒素ガスを流しながら昇温を開始し、約1時間かけて重縮合物の温度を260℃にし、260℃において4.5時間反応させた。その後、攪拌を止めて系内を窒素で1MPaに加圧して約10分間静置した後、内圧0.5MPaまで放圧し、重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重合物は直ちに水冷し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化した。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.35であった。
ジアミン原料として1,9−ノナンジアミン22.25kg(140.4モル)だけを用いて、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られた重合物は黄白色のポリマーであり、ηr=2.78であった。
製造例1〜5において製造されたPA92/62T−1〜PA92/62T−5のペレットに、紫外線吸収剤としてのTinuvin327と、光安定剤のTinuvin123とを、ポリアミド樹脂100質量部に対して、それぞれ、0.25質量部及び0.25質量部加え、二軸混練機を用いて290℃で混練してペレットを製造した後、耐候性試験用の試料を作成して試験に供した。結果を、表2に示す。
樹脂として上述のPA6又はPA66を用いた以外は、実施例1と同様にして、耐候性試験用の試料を作成して試験に供した。結果を、表2に示す。
製造例1〜5で調製したPA92/62T−1〜PA92/62T−5の試料、実施例1〜5で製造した紫外線吸収剤及び光安定化剤を含む試料、並びに比較例1及び2のPA6試料及びPA66試料を用いて、射出成形によりサンバイザーブラケット及びインストルメンタルパネルを製造した。製造例1〜5で調製したPA92/62T−1〜PA92/62T−5の試料、並びに実施例1〜5で製造した紫外線吸収剤及び光安定化剤を含む試料は、PA6試料及びPA66試料と同等以上の成形性を有していた。
製造例1〜5で調製したPA92/62T−1〜PA92/62T−5、ナイロン6(宇部興産製、UBEナイロン1015B:PA6)及びナイロン66(宇部興産製、UBEナイロン2020B:PA66)を用いて、射出成形によりフロントグリル及びマッドガードを製造した。PA92/62T−1〜PA92/62T−5は、PA6及びPA66と同等以上の成形性を有していた。
さらに、実施例8〜12のポリアミド、及びナイロン6(宇部興産製UBEナイロン1015B;PA6)について、反り、熱変形温度、耐塩化カルシウム性を測定した。その結果を表3に示す。
実施例13及び実施例14のポリアミド樹脂及び市販のナイロン6(宇部興産製UBEナイロン1015B)のそれぞれを、バレル温度290℃に設定した44mmφベント付きニ軸押出機で混練した。このポリアミド樹脂に混練する際、ポリアミド樹脂100質量部に対し、ガラス繊維(平均径11μm、平均繊維長さ3mm)を43質量部となるように押出機の途中から供給し、目的とするポリアミド樹脂組成物のペレットを作成した(実施例13〜14及び比較例4)。
その結果を表3に示す。なお、表3には、表1に示した曲げ弾性率(ドライ及びウェット)、熱変形温度、平衡吸水率も比較のために示した。
Claims (6)
- ジカルボン酸成分が蓚酸から成り、
ジアミン成分が1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物(以下において「C9ジアミン混合物」ともいう。)及び1,6−ヘキサンジアミン(以下において「C6ジアミン」ともいう。)からなり、
C9ジアミン混合物とC6ジアミンのモル比が1:99〜99:1であり、
前記1,9−ノナンジアミンと前記2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が5:95〜95:5であるポリアミド樹脂を用いて作製された車両用部品。 - 前記ポリアミド樹脂の、96%硫酸を溶媒とし、濃度が1.0g/dlのポリアミド樹脂溶液を用いて25℃で測定した相対粘度(ηr)が、1.8〜6.0である、請求項1に記載の車両用部品。
- 前記ポリアミド樹脂の、窒素雰囲気下において10℃/分の昇温速度で測定した熱重量分析における1%重量減少温度と、窒素雰囲気下において10℃/分の昇温速度で測定した示差走査熱量法により測定した融点との温度差が、50℃以上である、請求項1又は2に記載の車両用部品。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用部品から作製した車両内装部品。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用部品から作製した車両外装部品。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用部品から作製した車両エンジンルーム内部
品。
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