JP2020172636A - 樹脂組成物、成形品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】剛性および靱性のバランスに優れた成形品を得ることのできる樹脂組成物を提供すること。【解決手段】少なくともポリアミド(A)、変性シクロデキストリン(B)、繊維状充填材(C)からなる樹脂組成物であって、前記変性シクロデキストリン(B)の熱重量分析で測定した5%重量減少温度が300℃以上であることを特徴とする樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリアミド、変性シクロデキストリンおよび繊維状充填材を配合してなる樹脂組成物、成形品、ならびにその製造方法に関するものである。
ポリアミドは、剛性、靭性などの機械的性質や熱的性質に優れるなど、エンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有していることから、射出成形用を中心として、各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品などの用途に広く使用されている。
ポリアミドの剛性向上を目的として、繊維状充填材の添加による複合材料化の提案が数多くなされている(例えば特許文献1)。また、複合材料において高い剛性と靭性を両立する方法として、反応性官能基を末端に有するポリ(ε−カプロラクトン)からなるグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサンを添加した繊維強化ポリアミド(特許文献2)が提案されている。
しかしながら、前記特許文献2に開示された従来のポリロタキサンは熱安定性が乏しく、複合材料の製造および成形加工に好適な温度範囲がポリロタキサンの分解温度以下に制限されるため、高耐熱ポリアミドへの適用が困難であった。本発明は、上記に鑑み、熱安定性に優れた変性シクロデキストリンを用いて、剛性および靱性のバランスに優れた成形品を得ることのできる樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
少なくともポリアミド(A)、変性シクロデキストリン(B)、および繊維状充填材(C)からなる複合材料であって、前記変性シクロデキストリンの熱重量分析で測定した5%重量減少温度が300℃以上であることを特徴とする樹脂組成物。
本発明の樹脂組成物は、剛性および靱性のバランスに優れた成形品を提供する。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド(A)、変性シクロデキストリン(B)、および繊維状充填材(C)を配合してなる。ポリアミド(A)を配合することにより、剛性や耐熱性を向上させることができる。また、変性シクロデキストリン(B)を配合することにより、靱性を向上させることができる。さらに、繊維状充填材(C)を配合することにより、剛性と寸法安定性を大きく向上させることができる。なお、本発明の樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分および(C)成分以外にも、(A)成分と(B)成分とが反応した生成物をも含むが、当該反応物の構造を特定することは実際的でない。そのため、本発明は配合する各成分により発明を特定するものである。
本発明の樹脂組成物におけるポリアミド(A)は、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸の残基を主たる構成成分とする。その原料の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂環族ジアミン、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーまたはコポリマーを2種以上配合してもよい。
ポリアミド(A)の具体的な例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリテトラメチレンセバカミド(ナイロン410)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)、ポリペンタメチレンセバカミド(ナイロン510)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン106)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ナイロン1012)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリキシリレンセバカミド(ナイロンXD10)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/5T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリペンタメチレンテレフタルアミド/ポリデカメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン5T/10T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン10T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン12T)およびこれらの共重合体などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。ここで、「/」は共重合体を示し、以下同じである。
本発明の樹脂組成物において、ポリアミド(A)の融点は150℃以上300℃未満が好ましい。融点が150℃以上であれば、耐熱性を向上させることができる。一方、融点が300℃未満であれば、変性シクロデキストリン(B)の熱分解を抑制することができる。
ここで、本発明におけるポリアミドの融点は、示差走査熱量計を用いて、不活性ガス雰囲気下、ポリアミドを、溶融状態から20℃/分の降温速度で30℃まで降温した後、20℃/分の昇温速度で融点+40℃まで昇温した場合に現れる吸熱ピークの温度と定義する。ただし、吸熱ピークが2つ以上検出される場合には、ピーク強度の最も大きい吸熱ピークの温度を融点とする。
150℃以上300℃未満に融点を有するポリアミドの具体的な例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)およびこれらの共重合体などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。特に、本発明においては、後述する変性シクロデキストリン(B)を用いることで、250℃〜300℃の高融点を有するポリアミド樹脂においても、剛性および靱性のバランスに優れた成形品を得ることができる。250℃〜300℃に融点を有するポリアミドとしては、たとえばポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)が挙げられる。
ポリアミド(A)の重合度には特に制限がないが、樹脂濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が1.5〜5.0の範囲であることが好ましい。相対粘度が1.5以上であれば、得られる成形品の靱性、剛性、耐摩耗性、耐疲労特性、耐クリープ性をより向上させることができる。2.0以上がより好ましい。一方、相対粘度が5.0以下であれば、流動性に優れることから成形加工性に優れる。
本発明の樹脂組成物において、ポリアミド(A)は非生分解性が好ましい。ポリアミド(A)が非生分解性であることで、耐久性を向上することができる。
本発明の樹脂組成物におけるポリアミド(A)の配合量は、ポリアミド(A)および変性シクロデキストリン(B)の合計100重量部に対して、80重量部以上99.9重量部以下である。ポリアミド(A)の配合量が80重量部未満であると、得られる成形品の剛性、耐熱性が低下する。ポリアミド(A)の配合量は90重量部以上が好ましく、93重量部以上がより好ましい。一方、ポリアミド(A)の配合量が99.9重量部を超えると、変性シクロデキストリン(B)の配合量が相対的に少なくなるため、成形品の靱性が低下する。ポリアミド(A)の配合量は99.5重量部以下が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、変性シクロデキストリン(B)を配合してなる。
変性シクロデキストリンとは、下記一般式(a)に示す化合物であり、シクロデキストリンを構成するグルコースに官能基Rを修飾した化合物である。
(nは6〜8の整数、Rは水酸基、少なくとも1つ以上のヒドロキシプロポキシ基、メトキシ基、炭素数2以上のアルコキシ基、ポリアルキレングリコキシ基、脂肪族ポリエステル、ヒドロキシプロポキシ基を介したポリアルキレングリコール、ヒドロキシプロポキシ基を介した脂肪族ポリエステルから選ばれる官能基である。Rは同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。但し、全てのRが水酸基の場合を除く。)。
変性シクロデキストリン(B)は、シクロデキストリンを構成する基本骨格であるグルコースの水酸基を化学修飾・変換することで得られる。シクロデキストリンの例としては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンが挙げられる。中でも、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンがより好ましく用いられる。これら好ましいシクロデキストリンを使用することで、得られる成形品の靱性が良好となる。
シクロデキストリンの水酸基を化学修飾・変換する修飾基の具体例としては、シクロデキストリンの水酸基をメトキシ基やエトキシ基、プロポキシ基など炭素数2以上のアルコキシ基、ヒドロキシプロポキシ基で変性した変性シクロデキストリン、シクロデキストリンとポリアルキレングリコールまたは脂肪族ポリエステルとが結合基を介さずに結合した変性シクロデキストリン、シクロデキストリンとポリアルキレングリコールまたは脂肪族ポリエステルとが結合基を介して結合した変性シクロデキストリンなどが挙げられる。脂肪族ポリエステルの例としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ3−ヒドロキシブチレート、ポリ4−ヒドロキシブチレート、ポリ(3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(ε−カプロラクトン)などが挙げられる。これらを2種以上組み合わせてもよい。これらの中でも、得られる成形品の靱性発現の観点から、ヒドロキシプロポキシ基、メトキシ基、またはヒドロキシプロポキシ基とポリ(ε−カプロラクトン)とを両方修飾したものが好ましく、さらに、ヒドロキシプロピル基とポリ(ε−カプロラクトン)を両方修飾したシクロデキストリンが特に好ましく用いられる。
本発明の樹脂組成物における変性シクロデキストリン(B)の熱分解温度は、300℃以上である。変性シクロデキストリン(B)は、熱重量分析で測定した5%重量減少温度が300℃以上であることで、樹脂組成物の製造および成形加工時の熱分解が抑制され、応力緩和効果を奏すことができる。ここで、本発明における「熱重量分析で測定した5%重量減少温度」は、熱重量計を用いて、変性シクロデキストリン(B)を不活性ガス雰囲気下40℃から10℃/分の速度で350℃まで昇温した際に、変性シクロデキストリン(B)の重量が、加熱前の重量に対して5%減少した温度を5%重量減少温度と定義する。変性シクロデキストリン(B)の熱重量分析で測定した5%重量減少温度を前記範囲に制御する方法としては、酸添加が挙げられる。酸添加により変性シクロデキストリンを調製する際に用いている重合触媒を不活性化させることができる。酸としては、有機酸と無機酸のどちらでもよいが、好ましくは塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、より好ましくはリン酸が用いられる。これら好ましい酸を用いることで、重合触媒が不活性化し、重合触媒によるエステル交換反応が抑制されるため、変性シクロデキストリン(B)の熱安定性が向上する。酸添加の方法としては、例えば、変性シクロデキストリン(B)に直接添加・混合する方法、変性シクロデキストリン(B)を溶解させた溶液に添加・混合する方法、変性シクロデキストリン(B)を酸性液体中に含浸する方法、などが挙げられるが、プロセス性の観点から合成後の変性シクロデキストリンに直接添加し撹拌することが特に好ましい。これらの酸はそのまま使用してもよく、溶媒に希釈した溶液として使用してもよい。
本発明の樹脂組成物における変性シクロデキストリン(B)の配合量は、ポリアミド(A)および変性シクロデキストリン(B)の合計100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下である。変性シクロデキストリン(B)の配合量が0.1重量部未満であると、変性シクロデキストリン(B)の応力緩和効果が十分に奏されず、成形品の靱性が低下する。変性シクロデキストリン(B)の配合量は0.5重量部以上が好ましい。一方、変性シクロデキストリン(B)の配合量が20重量部を超えると、相対的にポリアミド(A)の配合量が少なくなるため、得られる成形品の剛性、耐熱性が低下する。10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましい。変性シクロデキストリンの配合量が、これら好ましい範囲にあることにより、剛性と靱性のバランスに優れた樹脂組成物および成形品を得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、繊維状充填材(C)を含有する。繊維状充填材(C)を含有することにより、強度、剛性などの機械物性に加え、寸法安定性に優れた成形品を得ることができる。
繊維状充填材(C)としては、繊維状の形状を有するいずれの充填材も使用することができる。具体的には、ガラス繊維;ポリアクリロニトリル(PAN)系やピッチ系の炭素繊維;ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維;ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維;石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、ワラステナイト、アルミナシリケートなどの繊維状またはウィスカー状充填材;ニッケル、銅、コバルト、銀、アルミニウム、鉄およびこれらの合金からなる群より選ばれる1種以上の金属で被覆されたガラス繊維などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
繊維状充填材(C)の表面に、カップリング剤や集束剤を付着させたものを用いてもよい。カップリング剤や集束剤を付着させることにより、ポリアミド(A)の濡れ性や繊維状充填材(C)の取り扱い性を向上させることができる。カップリング剤としては、例えば、アミノ系、エポキシ系、クロル系、メルカプト系、およびカチオン系のシランカップリング剤などが挙げられる。アミノ系シランカップリング剤が特に好適に使用可能である。集束剤としては、例えば、カルボン酸系化合物、無水マレイン酸系化合物、ウレタン系化合物、アクリル系化合物、エポキシ系化合物、フェノール系化合物およびこれらの誘導体から選ばれる化合物を含有する集束剤が挙げられる。
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに非繊維状充填材、ポリアミド(A)以外の熱可塑性樹脂、各種添加剤などを配合することができる。
非繊維状充填材としては、例えば、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケート、珪酸カルシウムなどの非膨潤性珪酸塩;Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母の膨潤性雲母などの膨潤性層状珪酸塩;酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカ、珪藻土、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化アンチモンなどの金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドロマイト、ハイドロタルサイトなどの金属炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの金属水酸化物;モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライト;ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウムなどの各種粘土鉱物;ガラスビーズ、ガラスフレーク、セラミックビーズ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化珪素、リン酸カルシウム、カーボンブラック、黒鉛などが挙げられる。上記の膨潤性層状珪酸塩は、層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換されていてもよい。有機オニウムイオンとしては、例えば、アンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。
ポリアミド(A)以外の熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
各種添加剤の具体例としては、銅化合物以外の熱安定剤、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン系化合物などの可塑剤、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物、シリコーン系化合物などの離型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤などを挙げることができる。これら添加剤を配合する場合、その配合量は、ポリアミドの特徴を十分に活かすため、ポリアミド(A)100重量部に対して10重量部以下が好ましく、1重量部以下がより好ましい。
熱安定剤としては、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのフェノール系化合物、リン系化合物、メルカプトベンゾイミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、有機チオ酸系化合物などの硫黄系化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどのアミン系化合物などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド(A)、変性シクロデキストリン(B)および繊維状充填材(C)を溶融混練することにより製造する。溶融混練装置としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、四軸押出機などの多軸押出機、二軸単軸複合押出機などの押出機や、ニーダーなどが挙げられる。生産性の点から、連続的に製造可能な押出機が好ましく、混練性、生産性の向上の点から、二軸押出機がより好ましい。
以下、二軸押出機を用いて本発明の樹脂組成物を製造する場合を例に説明する。変性シクロデキストリン(B)の熱劣化を抑制し、靱性をより向上させる観点から、最高樹脂温度は、300℃以下が好ましい。一方、最高樹脂温度は、ポリアミド(A)の融点以上が好ましい。ここで、最高樹脂温度とは、押出機の複数ヶ所に均等に設置された樹脂温度計により測定した中で最も高い温度を指す。
このようにして得られた樹脂組成物は、公知の方法で成形することができ、シート、フィルムなどの各種成形品を得ることができる。成形方法としては、例えば、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、プレス成形などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物およびその成形品は、その優れた特性を活かし、自動車部品、電気・電子部品、建築部材、各種容器、日用品、生活雑貨および衛生用品など各種用途に利用することができる。とりわけ、靱性および剛性が要求される自動車外装部品や、自動車電装部品、自動車アンダーフード部品、自動車ギア部品、筐体やコネクタ、リフレクタなどの電気、電子部品用途に特に好ましく用いられる。具体的には、エンジンカバー、エアインテークパイプ、タイミングベルトカバー、インテークマニホールド、フィラーキャップ、スロットルボディ、クーリングファンなどの自動車エンジン周辺部品、クーリングファン、ラジエータータンクのトップおよびベース、シリンダーヘッドカバー、オイルパン、ブレーキ配管、燃料配管用チューブ、廃ガス系統部品などの自動車アンダーフード部品、ギア、アクチュエーター、ベアリングリテーナー、ベアリングケージ、チェーンガイド、チェーンテンショナなどの自動車ギア部品、シフトレバーブラケット、ステアリングロックブラケット、キーシリンダー、ドアインナーハンドル、ドアハンドルカウル、室内ミラーブラケット、エアコンスイッチ、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、グローブボックス、ステアリングホイール、トリムなどの自動車内装部品、フロントフェンダー、リアフェンダー、フューエルリッド、ドアパネル、シリンダーヘッドカバー、ドアミラーステイ、テールゲートパネル、ライセンスガーニッシュ、ルーフレール、エンジンマウントブラケット、リアガーニッシュ、リアスポイラー、トランクリッド、ロッカーモール、モール、ランプハウジング、フロントグリル、マッドガード、サイドバンパー、クラッシュボックスなどの自動車外装部品、エアインテークマニホールド、インタークーラーインレット、エキゾーストパイプカバー、インナーブッシュ、ベアリングリテーナー、エンジンマウント、エンジンヘッドカバー、リゾネーター、及びスロットルボディなどの吸排気系部品、チェーンカバー、サーモスタットハウジング、アウトレットパイプ、ラジエータータンク、オイルネーター、及びデリバリーパイプなどのエンジン冷却水系部品、コネクタやワイヤーハーネスコネクタ、モーター部品、ランプソケット、センサー車載スイッチ、コンビネーションスイッチなどの自動車電装部品、SMT対応のコネクタ、ソケット、カードコネクタ、ジャック、電源部品、スイッチ、センサー、コンデンサー座板、リレー、抵抗器、ヒューズホルダー、コイルボビン、ICやLED対応ハウジング、リフレクタなどの電気、電子部品を好適に挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。各実施例および比較例の樹脂組成物を得るため下記原料を用いた。
<ポリアミド>
(A−1):ナイロン66樹脂(東レ(株)製“アミラン”(登録商標))、ηr=2.78、融点260℃。
(A−1):ナイロン66樹脂(東レ(株)製“アミラン”(登録商標))、ηr=2.78、融点260℃。
<変性シクロデキストリン>
(B−1):ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン(Sigma−Aldrich社製)に、参考例1の方法でポリカプロラクトンを修飾・回収することで作製した。5%重量減少温度は314.6℃であった。
(B−2):ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン(Sigma−Aldrich社製)に、参考例2の方法でポリカプロラクトンを修飾・回収することで作製した。5%重量減少温度は336.2℃であった。
(B−3):ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン(Sigma−Aldrich社製)に、参考例3の方法でポリカプロラクトンを修飾・回収することで作製した。5%重量減少温度は339.5℃であった。
(B−1):ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン(Sigma−Aldrich社製)に、参考例1の方法でポリカプロラクトンを修飾・回収することで作製した。5%重量減少温度は314.6℃であった。
(B−2):ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン(Sigma−Aldrich社製)に、参考例2の方法でポリカプロラクトンを修飾・回収することで作製した。5%重量減少温度は336.2℃であった。
(B−3):ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン(Sigma−Aldrich社製)に、参考例3の方法でポリカプロラクトンを修飾・回収することで作製した。5%重量減少温度は339.5℃であった。
<繊維状充填材>
(C−1):ガラス繊維(日本電気硝子製 T−253)を用いた。
(C−2):ガラス繊維(日本電気硝子製 T−249)を用いた。
(C−3):ガラス繊維(日本電気硝子製 T−251H)を用いた。
(C−1):ガラス繊維(日本電気硝子製 T−253)を用いた。
(C−2):ガラス繊維(日本電気硝子製 T−249)を用いた。
(C−3):ガラス繊維(日本電気硝子製 T−251H)を用いた。
<その他成分>
(B’−1):ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン(Sigma−Aldrich社製)に、参考例4に記載の方法でポリカプロラクトンを修飾して作製した。5%重量減少温度は264.6℃であった。
(B’−2):ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン(Sigma−Aldrich社製)に、参考例4に記載の方法でポリカプロラクトンを修飾し、参考例5に記載の方法で回収することで作製した。5%重量減少温度は264.8℃であった。
(B’−3):ポリロタキサン(アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製“セルム”(登録商標)スーパーポリマーSH2400P)に、参考例6に記載の方法で酸添加・回収して用いた。5%重量減少温度は288.9℃であった。
(B’−1):ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン(Sigma−Aldrich社製)に、参考例4に記載の方法でポリカプロラクトンを修飾して作製した。5%重量減少温度は264.6℃であった。
(B’−2):ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン(Sigma−Aldrich社製)に、参考例4に記載の方法でポリカプロラクトンを修飾し、参考例5に記載の方法で回収することで作製した。5%重量減少温度は264.8℃であった。
(B’−3):ポリロタキサン(アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製“セルム”(登録商標)スーパーポリマーSH2400P)に、参考例6に記載の方法で酸添加・回収して用いた。5%重量減少温度は288.9℃であった。
(参考例1)
ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン9.0gをε−カプロラクトン81.6gに窒素フロー下、油浴中で110℃から130℃を経て150℃まで段階的に昇温しながら各温度で30分ずつ撹拌することで溶解させた。油浴を130℃まで冷却した後、この混合溶液に、オクチル酸スズ(II)0.5gをトルエン1.6gで希釈した触媒溶液を滴下し、130℃で4時間撹拌した。得られた反応物を、リン酸10重量%テトラヒドロフラン溶液1.5gを添加して130℃で20分間撹拌した後、精製することなくそのまま回収し、80℃で12時間真空乾燥した。
ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン9.0gをε−カプロラクトン81.6gに窒素フロー下、油浴中で110℃から130℃を経て150℃まで段階的に昇温しながら各温度で30分ずつ撹拌することで溶解させた。油浴を130℃まで冷却した後、この混合溶液に、オクチル酸スズ(II)0.5gをトルエン1.6gで希釈した触媒溶液を滴下し、130℃で4時間撹拌した。得られた反応物を、リン酸10重量%テトラヒドロフラン溶液1.5gを添加して130℃で20分間撹拌した後、精製することなくそのまま回収し、80℃で12時間真空乾燥した。
(参考例2)
ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン3.0gをε−カプロラクトン82.6gに窒素フロー下、油浴中で110℃から130℃を経て150℃まで段階的に昇温しながら各温度で30分ずつ撹拌することで溶解させた。油浴を130℃まで冷却した後、この混合溶液に、オクチル酸スズ(II)0.5gをトルエン1.6gで希釈した触媒溶液を滴下し、130℃で4時間撹拌した。得られた反応物を、リン酸10重量%テトラヒドロフラン溶液1.5gを添加して130℃で20分間撹拌した後、精製することなくそのまま回収し、80℃で12時間真空乾燥した。
ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン3.0gをε−カプロラクトン82.6gに窒素フロー下、油浴中で110℃から130℃を経て150℃まで段階的に昇温しながら各温度で30分ずつ撹拌することで溶解させた。油浴を130℃まで冷却した後、この混合溶液に、オクチル酸スズ(II)0.5gをトルエン1.6gで希釈した触媒溶液を滴下し、130℃で4時間撹拌した。得られた反応物を、リン酸10重量%テトラヒドロフラン溶液1.5gを添加して130℃で20分間撹拌した後、精製することなくそのまま回収し、80℃で12時間真空乾燥した。
(参考例3)
ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン2.0gをε−カプロラクトン91.2gに窒素フロー下、油浴中で110℃から130℃を経て150℃まで段階的に昇温しながら各温度で30分ずつ撹拌することで溶解させた。油浴を130℃まで冷却した後、この混合溶液に、オクチル酸スズ(II)0.5gをトルエン1.6gで希釈した触媒溶液を滴下し、130℃で4時間撹拌した。得られた反応物を、リン酸10重量%テトラヒドロフラン溶液1.5gを添加して130℃で20分間撹拌した後、精製することなくそのまま回収し、80℃で12時間真空乾燥した。
ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン2.0gをε−カプロラクトン91.2gに窒素フロー下、油浴中で110℃から130℃を経て150℃まで段階的に昇温しながら各温度で30分ずつ撹拌することで溶解させた。油浴を130℃まで冷却した後、この混合溶液に、オクチル酸スズ(II)0.5gをトルエン1.6gで希釈した触媒溶液を滴下し、130℃で4時間撹拌した。得られた反応物を、リン酸10重量%テトラヒドロフラン溶液1.5gを添加して130℃で20分間撹拌した後、精製することなくそのまま回収し、80℃で12時間真空乾燥した。
(参考例4)
ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン27.0gをε−カプロラクトン247.8gに窒素フロー下、油浴中で110℃から130℃を経て150℃まで段階的に昇温しながら各温度で30分ずつ撹拌することで溶解させた。油浴を130℃まで冷却した後、この混合溶液に、オクチル酸スズ(II)1.6gをトルエン4.8gで希釈した触媒溶液を滴下し、130℃で4時間撹拌した。得られた反応物は精製することなくそのまま回収し、80℃で12時間真空乾燥した。
ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン27.0gをε−カプロラクトン247.8gに窒素フロー下、油浴中で110℃から130℃を経て150℃まで段階的に昇温しながら各温度で30分ずつ撹拌することで溶解させた。油浴を130℃まで冷却した後、この混合溶液に、オクチル酸スズ(II)1.6gをトルエン4.8gで希釈した触媒溶液を滴下し、130℃で4時間撹拌した。得られた反応物は精製することなくそのまま回収し、80℃で12時間真空乾燥した。
(参考例5)
反応物をヘキサン中に滴下することで回収した以外は参考例4と同様の操作を行った。
反応物をヘキサン中に滴下することで回収した以外は参考例4と同様の操作を行った。
(参考例6)
ポリロタキサン10gをリン酸1重量%テトラヒドロフラン20gに溶解させ、室温で20分撹拌した。ポリロタキサンはこの混合溶液をメタノール200mLに滴下することで回収し、80℃で12時間真空乾燥した。
ポリロタキサン10gをリン酸1重量%テトラヒドロフラン20gに溶解させ、室温で20分撹拌した。ポリロタキサンはこの混合溶液をメタノール200mLに滴下することで回収し、80℃で12時間真空乾燥した。
<評価方法>
各実施例および比較例における評価方法を説明する。
各実施例および比較例における評価方法を説明する。
(1)熱分解温度(5%重量減少温度)
各参考例により得られた変性シクロデキストリンおよびポリロタキサンを熱重量計(日立ハイテクサイエンス製TG/DTA7200)を用いて、窒素フロー下、40℃から昇温速度10℃/分で重量変化を測定することで5%重量減少温度を求めた。
各参考例により得られた変性シクロデキストリンおよびポリロタキサンを熱重量計(日立ハイテクサイエンス製TG/DTA7200)を用いて、窒素フロー下、40℃から昇温速度10℃/分で重量変化を測定することで5%重量減少温度を求めた。
(2)剛性、靱性(引張弾性率、引張破断伸度)
各成分を配合してプリブレンドし、シリンダー温度:290℃、スクリュー回転数:50rpmに設定した小型混練機(HAAKE製MiniLab)へ供給し溶融混練した。押出されたガットをペレタイズしてペレットを得、得られたペレットを80℃で12時間真空乾燥した後、シリンダー温度:290℃、金型温度:80℃に設定した射出成形機(HAAKE製Minijet)で射出成形することにより、ISO527−2−5Aに準拠したダンベル型試験片を作製した。この試験片について、ISO527(2012)に従い、引張試験機オートグラフAG−20kNX(島津製作所製)を用いて引張速度5mm/分で引張試験を行い、引張弾性率および引張破断伸度を求めた。
各成分を配合してプリブレンドし、シリンダー温度:290℃、スクリュー回転数:50rpmに設定した小型混練機(HAAKE製MiniLab)へ供給し溶融混練した。押出されたガットをペレタイズしてペレットを得、得られたペレットを80℃で12時間真空乾燥した後、シリンダー温度:290℃、金型温度:80℃に設定した射出成形機(HAAKE製Minijet)で射出成形することにより、ISO527−2−5Aに準拠したダンベル型試験片を作製した。この試験片について、ISO527(2012)に従い、引張試験機オートグラフAG−20kNX(島津製作所製)を用いて引張速度5mm/分で引張試験を行い、引張弾性率および引張破断伸度を求めた。
(実施例1〜6、比較例1〜7)
表1に記載の原料を用いて前記方法により評価した結果を表1に示す。
表1に記載の原料を用いて前記方法により評価した結果を表1に示す。
変性シクロデキストリン(B−1)とその他物質(B’−1)(B’−2)(B’―3)の比較より、リン酸添加による触媒の不活性化処理を施した変性シクロデキストリンの熱分解温度は、従来の変性シクロデキストリンおよび触媒の不活性化処理を施したポリロタキサンとは異なり、300℃を上回ることがわかった。
さらに、実施例1〜6と比較例1、4、6より、ポリアミド樹脂と変性シクロデキストリン、繊維状充填材を配合した樹脂組成物は、ポリアミド樹脂と繊維状充填材からなる樹脂組成物と比較して剛性および靱性が優れることがわかった。一方、比較例1、4、6と比較例2、3、5、7より、ポリアミド樹脂とポリロタキサン、繊維状充填剤を配合した樹脂組成物は、5%重量減少温度が成形温度未満(288.9℃)であるポリロタキサンを配合することで、剛性および靭性がポリアミド樹脂と繊維状充填剤からなる樹脂組成物と比較して低下した。したがって、熱安定性に優れた変性シクロデキストリンを用いることで、変性シクロデキストリンの応力緩和効果が十分に奏され、剛性と靭性のバランスに優れた成形品を得られることがわかる。
Claims (5)
- 少なくともポリアミド(A)、変性シクロデキストリン(B)、および繊維状充填材(C)を配合してなる樹脂組成物であって、前記変性シクロデキストリン(B)の熱重量分析で測定した5%重量減少温度が300℃以上であることを特徴とする樹脂組成物。
- 前記ポリアミド(A)、および前記変性シクロデキストリン(B)の合計100重量部に対して、前記ポリアミド(A)を80重量部以上99.9重量部以下、前記変性シクロデキストリン(B)を0.1重量部以上20重量部以下配合してなる請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記変性シクロデキストリン(B)が、脂肪族ポリエステルで修飾されていることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形品。
- 前記ポリアミド(A)、前記変性シクロデキストリン(B)、および前記繊維状充填材(C)を溶融混練する請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019073252 | 2019-04-08 | ||
JP2019073252 | 2019-04-08 |
Publications (1)
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JP2020065605A Pending JP2020172636A (ja) | 2019-04-08 | 2020-04-01 | 樹脂組成物、成形品およびその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022138769A1 (ja) * | 2020-12-23 | 2022-06-30 | 株式会社トクヤマ | 活性水素基含有側鎖を有する環状分子、および該環状分子を含む硬化性組成物 |
-
2020
- 2020-04-01 JP JP2020065605A patent/JP2020172636A/ja active Pending
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WO2022138769A1 (ja) * | 2020-12-23 | 2022-06-30 | 株式会社トクヤマ | 活性水素基含有側鎖を有する環状分子、および該環状分子を含む硬化性組成物 |
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