JP6809286B2 - 樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアミド、環状分子が修飾されたポリロタキサンおよびエラストマーを配合してなる、剛性、靱性、耐疲労性のバランスに優れた成形品を得ることのできるポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品に関するものである。
ポリアミドは、剛性、靭性などの機械的性質や熱的性質に優れるなど、エンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有していることから、射出成形用を中心として、各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品などの用途に広く使用されている。ポリアミド樹脂の靱性をさらに改良する方法として、柔軟なエラストマーを配合することが知られている。エラストマーを配合する技術としては、例えば、ポリアミド樹脂からなる連続相と、該連続相に分散された、α,β−不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィンからなる粒子状の分散相とからなるポリアミド系樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)が提案されている。特許文献1に開示された樹脂組成物は、オレフィン系エラストマーを配合することにより、耐衝撃性、靱性や耐疲労性は向上するものの、剛性が低下する課題があった。
一方、衝撃強度や靭性を改良する方法として、例えば、不飽和カルボン酸無水物により変性されたポリオレフィンと、官能基を有するポリロタキサンとを反応して得られる樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)、ポリ乳酸からなるグラフト鎖を有する環状分子の開口部が直鎖状分子によって包接されたポリロタキサンと、ポリ乳酸樹脂とを含むポリ乳酸系樹脂組成物(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
特開平9−31325号公報 特開2013−209460号公報 特開2014−84414号公報
しかし、特許文献2に記載の樹脂組成物は、剛性が不十分である課題があった。また、特許文献3に記載の樹脂組成物は、ポリ乳酸の靱性が向上するものの、靱性や耐疲労性がなお不十分であった。樹脂組成物を各種用途、特に自動車構造材料に適用する場合には、剛性、靱性および耐疲労性の両立が必要となる。特許文献2および3に開示されるように、ポリロタキサンを用いることにより、ポリオレフィンやポリ乳酸の衝撃強度と靭性が向上することは知られていたが、各種用途、特に自動車構造材料に適用するには、剛性、靱性または耐疲労性が不十分であった。
本発明は、上記背景技術の課題に鑑み、剛性、靱性および耐疲労性のバランスに優れた成形品を得ることのできる樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
(1)ポリアミド(A)、反応性官能基を末端に有するグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサン(B)、前記ポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)と反応する官能基により変性されたエラストマー(C)を配合してなる樹脂組成物であって、ポリロタキサン(B)のグラフト鎖の末端に有する反応性官能基が水酸基であり、前記ポリアミド(A)、前記ポリロタキサン(B)、前記エラストマー(C)の合計100重量部に対して、前記ポリアミド(A)を60重量部以上99.8重量部以下、前記ポリロタキサン(B)を0.1重量部以上20重量部以下、前記エラストマー(C)を0.1重量部以上20重量部以下配合してなる樹脂組成物。
(2)前記エラストマー(C)中の、前記ポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)と反応する官能基の濃度が2×10−5mol/g以上2×10−3mol/g以下である(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記ポリロタキサン(B)の有する反応性官能基が水酸基であり、前記エラストマー(C)中の、前記ポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)と反応する官能基が酸無水物基、グリシジル基、イソシアネート基から選択される1種以上である、(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4)前記エラストマー(C)が、熱可塑性エラストマーである(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形品。
(6)ポリアミド(A)と反応性官能基を末端に有するグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサン(B)を混練し、次いでポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)と反応する官能基により変性されたエラストマー(C)をさらに混練することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
本発明の樹脂組成物により、剛性および靱性のバランスに優れた成形品を得ることができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド(A)、反応性官能基を末端に有するグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサン(B)、ポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)と反応する官能基により変性されたエラストマー(C)を配合してなる。ポリアミド(A)を配合することにより、剛性や耐熱性を向上させることができる。また、ポリロタキサン(B)を配合することにより、靱性を向上させることができる。さらに、反応性官能基を末端に有するグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサンを配合することにより、ポリアミド(A)とポリロタキサン(B)がエラストマー(C)を介して連結されるため、剛性を維持したまま靱性を向上させることができる。このようにポリアミド(A)の末端基およびポリロタキサン(B)が有する前記グラフト鎖末端の官能基とエラストマー(C)の官能基とが反応した反応物は、高分子同士の複雑な反応により生成されたものであることから、その構造を特定することが実際的でない事情が存在するため、本発明は配合する成分の量で発明を特定するものである。
本発明の樹脂組成物におけるポリアミド(A)は、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸の残基を主たる構成成分とする。その原料の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂環族ジアミン、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーまたはコポリマーを2種以上配合してもよい。
ポリアミド(A)の具体的な例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリテトラメチレンセバカミド(ナイロン410)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)、ポリペンタメチレンセバカミド(ナイロン510)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン106)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ナイロン1012)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリキシリレンセバカミド(ナイロンXD10)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/5T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリペンタメチレンテレフタルアミド/ポリデカメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン5T/10T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン10T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン12T)およびこれらの共重合体などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。ここで、「/」は共重合体を示し、以下同じである。
本発明の樹脂組成物において、ポリアミド(A)の融点は150℃以上300℃未満が好ましい。融点が150℃以上であれば、耐熱性を向上させることができる。一方、融点が300℃未満であれば、樹脂組成物製造時の加工温度を適度に抑え、ポリロタキサン(B)の熱分解を抑制することができる。
ここで、本発明におけるポリアミドの融点は、示差走査熱量計を用いて、不活性ガス雰囲気下、ポリアミドを、溶融状態から20℃/分の降温速度で30℃まで降温した後、20℃/分の昇温速度で融点+40℃まで昇温した場合に現れる吸熱ピークの温度と定義する。ただし、吸熱ピークが2つ以上検出される場合には、ピーク強度の最も大きい吸熱ピークの温度を融点とする。
150℃以上300℃未満に融点を有するポリアミドの具体的な例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)およびこれらの共重合体などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド(A)と、反応性官能基を末端に有するグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサン(B)、前記ポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)と反応する官能基により変性されたエラストマー(C)とを配合してなり、ポリアミド(A)のアミン末端および/またはカルボキシル末端と、ポリロタキサン(B)のグラフト鎖末端の官能基を、エラストマー(C)との反応を介して連結させることにより、本来相溶性が低いポリアミド(A)とポリロタキサン(B)の相溶性を向上させることができ、ポリロタキサンの有する応力分散効果およびエラストマーの有する靱性向上効果を樹脂組成物全体に波及させることができる。
ポリアミド(A)のアミド基濃度は8.10mmol/g以上が、エラストマー(C)の官能基との反応性がより向上し、靱性をより向上させることができるため好ましい。また、アミド基濃度は14.0mmol/g以下が好ましい。ここで、アミド基濃度は、下式(1)により表される。
アミド基濃度(mol/g)=(構造単位のアミド基数/構造単位の分子量) (1)
上式(1)において、構造単位の分子量とは、ポリアミドを構成する繰り返し構造単位に相当する分子量を指し、アミノ酸を構成成分とするポリアミドの場合は、アミノ酸の分子量から水分子1つ分の分子量を差し引いた値に等しい。ラクタムを構成成分とするポリアミドの場合は、ラクタムの分子量に等しい。ジアミンとジカルボン酸の残基を構成成分とするポリアミドの場合は、ジカルボン酸の分子量とジアミンの分子量の和から水分子2つ分の分子量を差し引いた値に等しい。
ここで、ポリアミド(A)のアミド基濃度は、構成成分であるアミノ酸やラクタム、ジアミン、ジカルボン酸の残基の構造式を、通常の分析方法により特定し、その分子量を算出し、上式(1)から求めることができる。
アミド基濃度を上記範囲にするための手段としては、ポリアミドの原料として先に例示したものの中から所望の炭素数のものを選択する方法などが挙げられる。
ポリアミド(A)の重合度には特に制限がないが、樹脂濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が1.5〜5.0の範囲であることが好ましい。相対粘度が1.5以上であれば、得られる成形品の靱性、剛性、耐摩耗性、耐疲労特性、耐クリープ性をより向上させることができる。2.0以上がより好ましい。一方、相対粘度が5.0以下であれば、流動性に優れることから成形加工性に優れる。
本発明の樹脂組成物におけるポリアミド(A)の配合量は、ポリアミド(A)、ポリロタキサン(B)およびエラストマー(C)の合計100重量部に対して、60重量部以上99.8重量部以下である。ポリアミド(A)の配合量が60重量部未満であると、得られる成形品の剛性、耐熱性が低下する。ポリアミド(A)の配合量は80重量部以上が好ましく、90重量部以上がより好ましい。一方、ポリアミド(A)の配合量が99.8重量部を超えると、ポリロタキサン(B)およびエラストマー(C)の配合量が相対的に少なくなるため、成形品の靱性が低下する。ポリアミド(A)の配合量は99.5重量部以下が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、反応性官能基を末端に有するグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサン(B)を配合してなる。ロタキサンとは、例えばHarada, A., Li, J. & Kamachi, M., Nature 356, 325-327に記載の通り、一般的に、ダンベル型の軸分子(両末端に嵩高いブロック基を有する直鎖分子。以下、「直鎖分子」と記載する)に環状の分子が貫通された形状の分子のことを言い、複数の環状分子が一つの直鎖分子に貫通されたものをポリロタキサンと呼ぶ。
ポリロタキサンは、直鎖分子および複数の環状分子からなり、複数の環状分子の開口部に直鎖分子が貫通した構造を有し、かつ、直鎖分子の両末端には、環状分子が直鎖分子から脱離しないように嵩高いブロック基を有する。ポリロタキサンにおいて、環状分子は直鎖分子上を自由に移動することが可能であるが、ブロック基により直鎖分子から抜け出せない構造を有する。すなわち、直鎖分子および環状分子は、化学的な結合でなく、機械的な結合により形態を維持する構造を有する。このようなポリロタキサンは、環状分子の運動性が高いために、外部からの応力や内部に残留した応力を緩和する効果がある。さらに、反応性官能基を末端に有するグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサンをポリアミドに配合し、エラストマーを介して連結させることにより、本来相溶性が低いポリアミド(A)とポリロタキサン(B)の相溶性を向上させることができ、ポリロタキサンの有する応力分散効果およびエラストマーの有する靱性向上効果を樹脂組成物全体に波及させることができる。
前記直鎖分子は、環状分子の開口部に貫通し、前記ブロック基と反応し得る官能基を有する分子であれば、特に限定されない。好ましく用いられる直鎖分子としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール類;ポリブタジエンジオール、ポリイソプレンジオール、ポリイソブチレンジオール、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)ジオール、水素化ポリブタジエンジオール、ポリエチレンジオール、ポリプロピレンジオールなどの末端水酸基ポリオレフィン類;ポリカプロラクトンジオール、ポリ乳酸、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル類;末端シラノール型ポリジメチルシロキサンなどの末端官能性ポリシロキサン類;末端アミノ基ポリエチレングリコール、末端アミノ基ポリプロピレングリコール、末端アミノ基ポリブタジエンなどの末端アミノ基鎖状ポリマー類;上記官能基を一分子中に3つ以上有する3官能性以上の多官能性鎖状ポリマー類などが挙げられる。中でも、ポリロタキサンの合成が容易である点から、ポリエチレングリコールおよび/または末端アミノ基ポリエチレングリコールが好ましく用いられる。
直鎖分子の数平均分子量は、2,000以上が好ましく、剛性をより向上させることができる。10,000以上がより好ましい。一方、100,000以下が好ましく、ポリアミド(A)との相溶性を向上させることができ、相分離構造を微細化することができるため、靱性をより向上させることができる。50,000以下がより好ましい。ここで、直鎖分子の数平均分子量は、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒とし、Shodex HFIP−806M(2本)+HFIP−LGをカラムとして用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される、ポリメチルメタクリレート換算の値を指す。
前記ブロック基は、直鎖分子の末端官能基と結合し得るものであり、環状分子が直鎖分子から脱離しないために十分に嵩高い基であれば、特に限定されない。好ましく用いられるブロック基としては、ジニトロフェニル基、シクロデキストリン基、アダマンチル基、トリチル基、フルオレセイニル基、ピレニル基、アントラセニル基、数平均分子量1,000〜1,000,000の高分子の主鎖または側鎖等が挙げられる。これらを2種以上有してもよい。
前記環状分子は、開口部に直鎖分子が貫通し得るものであれば、特に限定されない。好ましく用いられる環状分子としては、シクロデキストリン類、クラウンエーテル類、クリプタンド類、大環状アミン類、カリックスアレーン類、シクロファン類などが挙げられる。シクロデキストリン類は、複数のグルコースがα−1,4−結合で環状に連なった化合物である。α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンがより好ましく用いられる。
本発明におけるポリロタキサン(B)は、前記環状分子が、反応性官能基を末端に有するグラフト鎖により修飾されていることを特徴とする。グラフト鎖は、ポリエステルにより構成されることが好ましい。ポリアミド(A)との相溶性および有機溶剤への溶解性の点から、脂肪族ポリエステルがより好ましい。脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ3−ヒドロキシブチレート、ポリ4−ヒドロキシブチレート、ポリ(3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(ε−カプロラクトン)などが挙げられる。中でも、ポリアミド(A)との相溶性の観点から、ポリ(ε−カプロラクトン)がより好ましい。またグラフト鎖は、用いるモノマーなどに依存して、反応性官能基を有することができる。反応性官能基は特に制限されないが、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、グリシジル基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、メルカプト基、オキサゾリン基、スルホン酸基等から選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。この中でも官能基導入の簡便性の観点から水酸基が好ましく用いられる。
ポリロタキサン(B)のグラフト鎖末端の官能基濃度は、2×10−5mol/g以上が好ましい。官能基濃度を2×10−5mol/g以上とすることにより、エラストマーの反応性官能基との反応性を向上させることができる。その結果、ポリアミド(A)の剛性を維持したまま靱性をより向上させることができ、剛性と靱性をよりバランスよく向上させることができる。3×10−5mol/g以上がより好ましい。また、官能基濃度は3×10−3mol/g以下が好ましい。
ここで、ポリロタキサン(B)のグラフト鎖末端の官能基濃度は、滴定により求めることができる。例えば、水酸基濃度は、JIS K0070に準拠し、以下の方法で求めることができる。ポリロタキサン(B)を80℃真空乾燥機を用いて10時間以上乾燥させ、絶乾試料を作製する。絶乾試料2gを5mlの250g/Lの無水酢酸のピリジン溶液に溶解させる。さらに水1mLを加えて無水酢酸を分解させた後、濃度0.5mol/Lの水酸化カリウムのエタノール溶液を用いて滴定することにより、水酸基価を算出することができる。その他官能基についても、既知の方法により官能基濃度を算出することが可能である。
本発明の樹脂組成物におけるポリロタキサン(B)の重量平均分子量は、10万以上が好ましく、剛性および靱性をより向上させることができる。一方、100万以下が好ましく、ポリアミド(A)との相溶性が向上し、靱性をより向上させることができる。ここで、直鎖分子の重量平均分子量は、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒とし、Shodex HFIP−806M(2本)+HFIP−LGをカラムとして用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される、ポリメチルメタクリレート換算の値を指す。
本発明の樹脂組成物におけるポリロタキサン(B)の配合量は、ポリアミド(A)、ポリロタキサン(B)、およびエラストマー(C)の合計100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下である。ポリロタキサン(B)の配合量が0.1重量部未満であると、ポリロタキサン(B)の応力緩和効果が十分に発揮されず、成形品の靱性が低下する。ポリロタキサン(B)の配合量は0.5重量部以上が好ましい。一方、ポリロタキサン(B)の配合量が20重量部を超えると、相対的にポリアミド(A)配合量が少なくなるため、得られる成形品の剛性、耐熱性が低下する。10重量部以下が好ましく、7重量部以下がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)と反応する官能基により変性されたエラストマー(C)を配合することを特徴とする。エラストマー(C)としては、例えば、天然ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の架橋ゴム、熱可塑性エラストマー、コアシェルゴム、アイオノマー等が挙げられる。この中でも、ポリアミド樹脂との相溶性の観点から、熱可塑性エラストマー、コアシェルゴムが好ましく、熱可塑性エラストマーがさらに好ましく用いられる。
熱可塑性エラストマーとは、一般的にガラス転移温度が室温より低い重合体を含有し、分子間の一部がイオン結合・ファンデルワールス力・絡み合い等により、互いに拘束されている重合体のことを指す。例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、該重合体の水素添加物、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、該重合体の水素添加物、スチレン−イソプレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、該重合体の水素添加物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体などのジエン系ゴム、エチレン−プロピレンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン−ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−アクリル酸エステル、エチレン−メタクリル酸エステルなどのエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、例えばブチルアクリレート−ブタジエン共重合体などのアクリル系弾性重合体、エチレン−酢酸ビニルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体などのエチレン−プロピレン非共役ジエン3元共重合体、ブチレン−イソプレン共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマーなどが挙げられる。
コアシェルゴムとは、ゴムからなる少なくとも1つの層と、それとは異種の重合体から構成された1つ以上の層からなる多層構造体のことを指す。多層構造体を構成する層の数は、2層以上であればよく、3層以上または4層以上であってもよいが、内部に1層以上のゴム弾性を有するコア層を有することが好ましい。多層構造体のコア層を構成するゴムの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル成分、シリコーン成分、スチレン成分、ニトリル成分、共役ジエン成分、ウレタン成分、エチレン成分、プロピレン成分、イソブテン成分などを重合し得られたゴムが挙げられる。多層構造体のゴム層以外の層を構成する異種の重合体の種類は、熱可塑性を有する重合体であれば特に限定されるものではないが、ゴム層よりもガラス転移温度が高い重合体が好ましい。熱可塑性を有する重合体としては、例えば、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、不飽和カルボン酸単位、不飽和グリシジル基含有単位、不飽和酸無水物単位、脂肪族ビニル単位、芳香族ビニル単位、シアン化ビニル単位、マレイミド単位、不飽和ジカルボン酸単位および/またはその他のビニル単位などを含有する重合体が挙げられる。
エラストマー(C)は、ポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)と反応する官能基により変性されていることを特徴とする。反応性官能基はポリアミド(A)のアミン末端および/またはカルボキシル末端と、ポリロタキサン(B)のグラフト鎖末端の官能基と互いに反応する物であれば特に制限されないが、例えば、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、酸無水物基、グリシジル基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、メルカプト基、オキサゾリン基、スルホン酸基等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。この中でも官能基導入の簡便性、反応性の観点からアミノ基、カルボキシル基、グリシジル基、酸無水物基、イソシアネート基が好ましく用いられ、グリシジル基、酸無水物基、イソシアネート基がさらに好ましく用いられる。官能基をエラストマーに導入する場合、その方法としては、通常公知の技術で行うことができる。特に制限はないが、例えば、酸無水物基を熱可塑性エラストマーに導入する場合、酸無水物基を有する単量体と熱可塑性エラストマーの原料である単量体とを共重合する方法、酸無水物を熱可塑性エラストマーにグラフトさせる方法などを用いることができる。
エラストマー(C)の官能基濃度は、2×10−5mol/g以上2×10−3mol/g以下が好ましい。官能基濃度を2×10−5mol/g以上とすることにより、ポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)の末端との反応性を向上させることができる。その結果、ポリアミド(A)の剛性を維持したまま靱性をより向上させることができ、剛性と靱性をよりバランスよく向上させることができる。1×10−4mol/g以上がより好ましい。一方、官能基濃度を2×10−3mol/g以下とすることにより、ポリアミド(A)あるいはポリロタキサン(B)との過剰な化学架橋を抑制することができ、凝集物やゲルの発生を抑制して靱性をより向上させることができる。5×10−4mol/g以下がより好ましい。エラストマー(C)の官能基濃度は通常公知の技術で算出することができるが、例えば、反応性官能基として酸無水物基を有する場合、エラストマー(C)をキシレンにより130℃で溶解あるいは分散した溶液から、滴定液として水酸化カリウムの0.02mol/Lエタノール溶液(アルドリッチ製)を用い、指示薬としてフェノールフタレインの1%エタノール溶液を用いて、測定することができる。また、反応性官能基としてグリシジル基を有する場合、エラストマー(C)を0.2moL/L塩酸−ジオキサン溶液に溶解あるいは分散させてエチレングリコールモノメチルエーテルを添加した溶液に、滴定液として0.1M水酸化カリウム−エタノール溶液を用い、指示薬として0.1%クレゾールレッド−エタノール溶液を用いて測定することができる。
エラストマー(C)の重合度には特に制限がないが、230℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレートが0.05〜500g/10分の範囲であることが好ましい。メルトフローレートが0.05g/10分以上であれば、得られる成形品の靱性、剛性、耐摩耗性、耐疲労特性、耐クリープ性をより向上させることができる。2.0g/10分以上がより好ましい。一方、メルトフローレートが500g/10分以下であれば、流動性に優れることから成形加工性に優れる。
本発明の樹脂組成物におけるエラストマー(C)の配合量は、ポリアミド(A)、ポリロタキサン(B)、およびエラストマー(C)の合計100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下である。エラストマー(C)の配合量が0.1重量部未満であると、ポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)の末端とエラストマー(C)の官能基との反応が十分に進行しないため、応力緩和効果、靱性向上効果が十分に発揮されず、成形品の靱性が低下する。ポリロタキサン(B)の配合量は0.5重量部以上が好ましい。一方、ポリロタキサン(B)の配合量が20重量部を超えると、得られる成形品の剛性、耐熱性が低下する。10重量部以下が好ましく、7重量部以下がより好ましい。
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに充填材、ポリアミド以外の熱可塑性樹脂、各種添加剤などを配合することができる。
充填材を配合することにより、得られる成形品の強度、剛性をより向上させることができる。充填材としては、有機充填材、無機充填材のいずれでもよいし、繊維状充填材、非繊維状充填材のいずれでもよい。これらを2種以上配合してもよい。
繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。これらは、エチレン/酢酸ビニルなどの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂により、被覆または集束されていてもよい。繊維状充填材の断面形状としては、円形、扁平状、まゆ形、長円形、楕円形、矩形などが挙げられる。
非繊維状充填材としては、例えば、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケート、珪酸カルシウムなどの非膨潤性珪酸塩、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母の膨潤性雲母などの膨潤性層状珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカ、珪藻土、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化アンチモンなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドロマイト、ハイドロタルサイトなどの金属炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの金属水酸化物、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、セラミックビーズ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化珪素、燐酸カルシウム、カーボンブラック、黒鉛などが挙げられる。上記の膨潤性層状珪酸塩は、層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換されていてもよい。有機オニウムイオンとしては、例えば、アンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。
ポリアミド以外の樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
各種添加剤の具体例としては、銅化合物以外の熱安定剤、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤、ポリアルキレンオキサイドオリゴマー系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン系化合物などの可塑剤、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物、シリコーン系化合物などの離型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤などを挙げることができる。これら添加剤を配合する場合、その配合量は、ポリアミドの特徴を十分に活かすため、ポリアミド(A)100重量部に対して10重量部以下が好ましく、1重量部以下がより好ましい。
銅化合物以外の熱安定剤としては、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのフェノール系化合物、リン系化合物、メルカプトベンゾイミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、有機チオ酸系化合物などの硫黄系化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどのアミン系化合物などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、溶融状態で混練する方法や、溶液状態で混合する方法等が挙げられる。反応性向上の点から、溶融状態で混練する方法が好ましい。溶融状態で混練する溶融混練装置としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、四軸押出機などの多軸押出機、二軸単軸複合押出機などの押出機や、ニーダーなどが挙げられる。生産性の点から、連続的に製造可能な押出機が好ましく、混練性、反応性、生産性の向上の点から、二軸押出機がより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド(A)と反応性官能基を末端に有するグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサン(B)を混練する第一の工程の後、前記ポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)と反応する官能基により変性されたエラストマー(C)をさらに混練する第二の工程を経ることで得ることもできる。エラストマー(C)を混練する前に、第一の工程を経ることで、本来相溶性が低いポリアミド(A)とポリロタキサン(B)の反応が促進され、ポリロタキサンの有する応力分散効果を樹脂全体に波及させ、靭性を向上することができる。本工程においては、ポリアミド(A)とポリロタキサン(B)の接触確率を増加させるために、ポリロタキサン(B)の濃度が高い状態でポリアミド(A)と混練することが好ましい。例えば、樹脂組成物中に配合するポリアミド(A)の一部とポリロタキサン(B)とを混練し、次いでエラストマー(C)を混練する際に、エラストマー(C)とともに残りのポリアミド(A)を加えることができる。第一の工程において、配合するポリアミド(A)の量は、最終的に得られる樹脂組成物が、ポリアミド(A)、ポリロタキサン(B)、エラストマー(C)の合計100重量部に対して、前記ポリアミド(A)を60重量部以上99.8重量部以下、前記ポリロタキサン(B)を0.1重量部以上20重量部以下、前記エラストマー(C)を0.1重量部以上20重量部以下配合してなる樹脂組成物であれば、特に制限は無い。第一の工程におけるポリロタキサン(B)の配合量は、樹脂の取扱い性の点から、第一の工程で配合するポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)の合計を100重量部としたときに30重量部以下が好ましく、15重量部以下がさらに好ましい。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物は第一の工程後に、樹脂組成物をペレット化することでマスターバッチを作製し、そのマスターバッチをさらに第二の工程に供すことでも得ることができる。
以下、二軸押出機を用いて本発明の樹脂組成物を製造する場合を例に説明する。ポリロタキサン(B)の熱劣化を抑制し、靱性をより向上させる観点から、最高樹脂温度は、300℃以下が好ましく、260℃以下がさらに好ましい。一方、最高樹脂温度は、ポリアミド(A)の融点以上が好ましい。ここで、最高樹脂温度とは、押出機の複数ヶ所に均等に設置された樹脂温度計により測定した中で最も高い温度を指す。
また、樹脂組成物の押出量は、ポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)の熱劣化をより抑制する観点から、スクリュー回転1rpm当たり0.01kg/h以上が好ましく、0.05kg/h以上がより好ましい。一方、ポリアミド(A)、ポリロタキサン(B)およびエラストマー(C)樹脂の反応をより促進する観点から、スクリュー回転1rpm当たり1kg/h以下が好ましい。ここで、押出量とは、押出機から1時間あたりに吐出される樹脂組成物の重量(kg)を指す。
このようにして樹脂組成物は、通常公知の方法で成形することができ、シート、フィルムなどの各種成形品を得ることができる。成形方法としては、例えば、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、プレス成形などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物およびその成形品は、その優れた特性を活かし、自動車部品、電気・電子部品、建築部材、各種容器、日用品、生活雑貨および衛生用品など各種用途に利用することができる。とりわけ、靱性および剛性が要求される自動車外装部品や、自動車電装部品、自動車アンダーフード部品、自動車ギア部品、筐体やコネクタ、リフレクタなどの電気、電子部品用途に特に好ましく用いられる。具体的には、エンジンカバー、エアインテークパイプ、タイミングベルトカバー、インテークマニホールド、フィラーキャップ、スロットルボディ、クーリングファンなどの自動車エンジン周辺部品、クーリングファン、ラジエータータンクのトップおよびベース、シリンダーヘッドカバー、オイルパン、ブレーキ配管、燃料配管用チューブ、廃ガス系統部品などの自動車アンダーフード部品、ギア、アクチュエーター、ベアリングリテーナー、ベアリングケージ、チェーンガイド、チェーンテンショナなどの自動車ギア部品、シフトレバーブラケット、ステアリングロックブラケット、キーシリンダー、ドアインナーハンドル、ドアハンドルカウル、室内ミラーブラケット、エアコンスイッチ、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、グローブボックス、ステアリングホイール、トリムなどの自動車内装部品、フロントフェンダー、リアフェンダー、フューエルリッド、ドアパネル、シリンダーヘッドカバー、ドアミラーステイ、テールゲートパネル、ライセンスガーニッシュ、ルーフレール、エンジンマウントブラケット、リアガーニッシュ、リアスポイラー、トランクリッド、ロッカーモール、モール、ランプハウジング、フロントグリル、マッドガード、サイドバンパーなどの自動車外装部品、エアインテークマニホールド、インタークーラーインレット、エキゾーストパイプカバー、インナーブッシュ、ベアリングリテーナー、エンジンマウント、エンジンヘッドカバー、リゾネーター、及びスロットルボディなどの吸排気系部品、チェーンカバー、サーモスタットハウジング、アウトレットパイプ、ラジエータータンク、オイルネーター、及びデリバリーパイプなどのエンジン冷却水系部品、コネクタやワイヤーハーネスコネクタ、モーター部品、ランプソケット、センサー車載スイッチ、コンビネーションスイッチなどの自動車電装部品、SMT対応のコネクタ、ソケット、カードコネクタ、ジャック、電源部品、スイッチ、センサー、コンデンサー座板、リレー、抵抗器、ヒューズホルダー、コイルボビン、ICやLED対応ハウジング、リフレクタなどの電気、電子部品を好適に挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。各実施例の樹脂組成物を得るため下記原料を用いた。
<ポリアミド>
(A−1):ナイロン6樹脂(東レ(株)製“アミラン”(登録商標)CM1010)、η=2.70、融点225℃、アミド基濃度10.5mmol/g。
ここで、上記相対粘度ηは、98%濃硫酸の0.01g/ml溶液、25℃において測定した。また、融点は、示差走査熱量計を用いて、不活性ガス雰囲気下、ポリアミドを融状態から20℃/分の降温速度で30℃まで降温した後、20℃/分の昇温速度で融点+40℃まで昇温した場合に現れる吸熱ピークの温度とした。ただし、吸熱ピークが2つ以上検出される場合には、ピーク強度の最も大きい吸熱ピークの温度を融点とした。また、アミド基濃度は、構造単位の構造式から次式(1)により算出した。
アミド基濃度(mol/g)=(構造単位のアミド基数/構造単位の分子量) (1)。
<ポリロタキサン>
(B−1):ポリロタキサン(アドバンスト・ソフトマテリアル(株)製“セルム”(登録商標)スーパーポリマーSH1310P)を用いた。このポリロタキサンの環状分子を修飾するグラフト鎖の末端基は水酸基であり、JIS K0070に準ずる水酸基価は1.51×10−3mol/g、直鎖分子であるポリエチレングリコールの数平均分子量は1.1万、全体の重量平均分子量は18万である。
(B−2):ポリロタキサン(アドバンスト・ソフトマテリアル(株)製“セルム”(登録商標)スーパーポリマーSH2400P)を用いた。このポリロタキサンの環状分子を修飾するグラフト鎖の末端基は水酸基であり、JIS K0070に準ずる水酸基価は1.35×10−3mol/g、直鎖分子であるポリエチレングリコールの数平均分子量は2万、全体の重量平均分子量は40万である。
(B−3):ポリロタキサン(アドバンスト・ソフトマテリアル(株)製“セルム”(登録商標)スーパーポリマーSH3400P)を用いた。このポリロタキサンの環状分子を修飾するグラフト鎖の末端基は水酸基であり、JIS K0070に準ずる水酸基価は1.28×10−3mol/g、直鎖分子であるポリエチレングリコールの数平均分子量は3.5万、全体の重量平均分子量は70万である。
ここで、ポリロタキサンの重量平均分子量は、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒とし、Shodex HFIP−806M(2本)+HFIP−LGをカラムとして用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した、ポリメチルメタクリレート換算の値である。
<エラストマー>
(C−1):無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体(三井化学(株)製“タフマー”(登録商標)MH5010)を用いた。官能基濃度は0.8×10−4mol/gである。
(C−2):無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体(三井化学(株)製“タフマー”(登録商標)MH5020)を用いた。官能基濃度は1.6×10−4mol/gである。
(C−3):無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体(三井化学(株)製“タフマー”(登録商標)MH5040)を用いた。官能基濃度は3.2×10−4mol/gである。
(C’−4):エチレン−ブテン共重合体(三井化学(株)製“タフマー”(登録商標)DF605)を用いた。
(C−5):グリシジルメタクリレート変性ポリエチレン共重合体(EGMA)(住友化学(株)製“ボンドファースト”(登録商標)BF−7L)を用いた。官能基濃度は2.1×10−4mol/gである。
(C−6)無水マレイン酸変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(クレイトンポリマージャパン(株)製“クレイトン”(登録商標)FG1924)を用いた。官能基濃度は1.0×10−4mol/gである。
(C’−7)スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(クレイトンポリマージャパン(株)製“クレイトン”(登録商標)G1657)を用いた。
<その他成分>
(D−1):ポリエチレングリコール(PEG)(和光純薬(株)製ポリエチレングリコール20,000)。
(D−2):ポリ乳酸(PLA)(重量平均分子量24万、分散度1.8)。
(参考例1)
α−シクロデキストリン1.0gおよび数平均分子量20,000の末端アミノ基ポリエチレングリコール4.0gを、80℃の蒸留水に溶解および撹拌し、水溶液を得た。得られた水溶液を冷蔵庫内で一晩静置した後、凍結乾燥により、得られた白濁溶液から水分を除去し、白色固体を得た。前記白色固体に、ジイソプロピルエチルアミン0.7ml、アダマンタン酢酸0.85g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール0.6g、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート1.8gおよびジメチルホルムアミド30mlを加え、窒素封入下5℃で24時間反応させた。溶液にメタノール20mlを加え、遠心分離を行った。さらにメタノール:ジメチルホルムアミド=20ml:20mlの混合溶媒で2回、メタノール60mlで2回の洗浄および遠心分離操作を行った後、真空乾燥した。得られた固体をジメチルスルホキシド20mlに溶解し、水200mlに滴下して沈殿を生じせしめ、遠心分離を行い、上澄みを除去した。さらに、水100ml、メタノール100mlでそれぞれ洗浄および遠心分離後、真空乾燥し、両末端をアダマンタン基で封鎖したポリロタキサン(B’−4)を得た。このポリロタキサンは環状分子であるシクロデキストリンがグラフト鎖により修飾されていない。
(参考例2)
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.002g、硫酸鉄(I)・7水和塩0.001g、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.04g、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDS)5gを脱イオン水180gに溶解させ、50℃に昇温した。n−ブチルアクリレート(nBA)78g、メタクリル酸アリル(AMA)2g、およびクメンヒドロペルオキシド(CHP)0.02gの混合溶液、および5重量%のSDS水溶液2gを5時間、連続的に添加した。さらに1時間加熱して重合を完結させた。得られた懸濁液に、nBA13g、メタクリル酸グリシジル(GMA)7g、CHP0.01gの混合溶液を90分間かけて連続的に添加した。添加終了後、CHP0.01質量部を添加し、さらに1時間加熱し、重合を完結させた。得られた懸濁液を精製し、乾燥することでグリシジルメタクリレート変性コアシェルゴム(C−8)を得た。官能基濃度は5.0×10−4mol/gである。
(参考例3)
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.002g、硫酸鉄(I)・7水和塩0.001g、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.04g、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDS)5gを脱イオン水180gに溶解させ、50℃に昇温した。n−ブチルアクリレート(nBA)78g、メタクリル酸アリル(AMA)2g、およびクメンヒドロペルオキシド(CHP)0.02gの混合溶液、および5重量%のSDS水溶液2gを5時間、連続的に添加した。さらに1時間加熱して重合を完結させた。得られた懸濁液に、nBA20g、CHP0.01gの混合溶液を90分間かけて連続的に添加した。添加終了後、CHP0.01質量部を添加し、さらに1時間加熱し、重合を完結させた。得られた懸濁液を精製し、乾燥することでコアシェルゴム(C’−9)を得た。このコアシェルゴムは、成分(A)および成分(B)と反応する官能基により変性されていない。
(参考例4)
エチレン−ブテン共重合体(三井化学(株)製“タフマー”(登録商標)DF605)1000g、無水マレイン酸0.1gおよびジ−tert−ブチルペルオキシド0.5gをプリブレンドし、シリンダー温度:240℃、スクリュー回転数:100rpmに設定した二軸押出機(池貝鉄鋼製PCM−30型)へ供給し溶融混練した。押出されたガットをペレタイズした。得られたペレットから未反応の無水マレイン酸をアセトンで抽出し、無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体(C−10)を得た。官能基濃度は8.5×10−6であった。
<評価方法>
各実施例および比較例における評価方法を説明する。評価n数は、特に断らない限り、n=5とし平均値を求めた。
(1)靱性(引張破断伸度)
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機社製SG75H−MIV)を用いて、シリンダー温度:240℃、金型温度:80℃の条件で射出成形することにより、ASTMD638法に準じて得られるASTM4号ダンベル成形片(厚さ1mm)を作製した。この多目的試験片から得られた引張試験片について、ASTMD638法に準拠して引張試験機テンシロンUTA2.5T(オリエンテック社製)により、クロスヘッド速度100mm/minおよび1000mm/minで引張試験を行い、引張破断伸度を測定した。
(2)剛性(曲げ弾性率)
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機社製SG75H−MIV)を用いて、シリンダー温度:240℃(比較例9は180℃、比較例10は190℃)、金型温度:80℃の条件で射出成形することにより、ISO3167に基づいて得られる多目的試験片A型を作製した。この多目的試験片から得られた曲げ試験片について、ISO178(2001)に従い、曲げ試験機テンシロンRTA−1T(オリエンテック社製)を用い、クロスヘッド速度2mm/minで曲げ試験を行い、曲げ弾性率を求めた。
(3)耐疲労性(屈曲疲労)
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機社製SG75H−MIV)を用いて、シリンダー温度:240℃、金型温度:80℃の条件で射出成形することにより、幅10mm×高さ80mm×厚さ1mmの短冊型成形片を作製した。デマッチャー試験機を用いて、チャック間距離30mm、ストローク15mmで屈曲疲労試験を行い、破断するまでの屈曲回数を求めた。
(実施例1〜20、比較例1〜7)
ポリアミド樹脂、ポリロタキサン、エラストマー、またはポリエチレングリコールを、表1〜3に示す組成となるように配合して、プリブレンドし、シリンダー温度:240℃、スクリュー回転数:200rpmに設定した二軸押出機(池貝鉄鋼製PCM−30型)へ供給し溶融混練した。押出されたガットをペレタイズした。得られたペレットを用いて前記方法により評価した結果を表1〜3に示す。
(比較例8)
グリシジルメタクリレート変性ポリエチレン共重合体とポリロタキサンを、表3に示す組成となるように配合して、プリブレンドし、シリンダー温度:180℃、スクリュー回転数:200rpmに設定した二軸押出機(池貝鉄鋼製PCM−30型)へ供給し溶融混練した。押出されたガットをペレタイズした。得られたペレットを用いて前記方法により評価した結果を表3に示す。
(比較例9)
ポリ乳酸とポリロタキサンを、表3に示す組成となるように配合して、プリブレンドし、シリンダー温度:190℃、スクリュー回転数:200rpmに設定した二軸押出機(池貝鉄鋼製PCM−30型)へ供給し溶融混練した。押出されたガットをペレタイズした。得られたペレットを用いて前記方法により評価した結果を表3に示す。
(参考例A〜C)
ポリアミドとポリロタキサンを表4の参考例A〜Cに示す組成となるように配合し、プリブレンドし、シリンダー温度:240℃、スクリュー回転数:200rpmに設定した二軸押出機(池貝鉄鋼製PCM−30型)へ供給し溶融混練した。押出されたガットをペレタイズした。
(実施例21〜23)
参考例A〜Cで得られたペレットを用い、さらに表4に示す組成となるように配合して、プリブレンドし、シリンダー温度:240℃、スクリュー回転数:200rpmに設定した二軸押出機(池貝鉄鋼製PCM−30型)へ供給し溶融混練し、押出されたガットをペレタイズした。得られたペレットを用いて前記方法により評価した結果を表4に示す。
Figure 0006809286
Figure 0006809286
Figure 0006809286
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実施例1〜12と比較例1〜4、8および9の比較から、ポリアミドに、グラフト鎖末端に反応性官能基を有するポリロタキサン及びエラストマーを特定量配合することにより、修飾されていないポリロタキサンを配合した場合と比較して靱性および剛性とも優れていることがわかる。一方、環状分子がグラフト鎖で修飾されていないポリロタキサン、PEGを配合した場合には靱性が低下し、EGMAのみを配合した場合には靱性は改善するものの剛性は低下することがわかる。また、ポリアミドにかえてポリ乳酸を配合した場合には、靱性が低下することが分かる。
さらに実施例7、17、および18から、ポリロタキサンの直鎖分子量および全体分子量によらず、同様の効果が得られることが分かる。
また、実施例7、13〜15、19、20と比較例5〜7から、反応性官能基の濃度が2×10−5mol/g以上2×10−3mol/g以下であるエラストマーを配合することにより、剛性と靱性のバランスがより向上することがわかる。
実施例21〜23と実施例7の比較から、ポリアミド(A)とポリロタキサン(B)を混練し、次いで前記ポリアミド(A)およびエラストマー(C)をさらに混練することで、最終的にポリアミド(A)が90重量部、ポリロタキサン(B)が5重量部、エラストマー(C)が5重量部配合して得られた樹脂組成物と組成が同様でもさらに特性が向上することがわかる。

Claims (6)

  1. ポリアミド(A)、反応性官能基を末端に有するグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサン(B)、前記ポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)と反応する官能基により変性されたエラストマー(C)を配合してなる樹脂組成物であって、ポリロタキサン(B)のグラフト鎖の末端に有する反応性官能基が水酸基であり、前記ポリアミド(A)、前記ポリロタキサン(B)、前記エラストマー(C)の合計100重量部に対して、前記ポリアミド(A)を60重量部以上99.8重量部以下、前記ポリロタキサン(B)を0.1重量部以上20重量部以下、前記エラストマー(C)を0.1重量部以上20重量部以下配合してなる樹脂組成物。
  2. 前記エラストマー(C)中の、前記ポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)と反応する官能基の濃度が2×10−5mol/g以上2×10−3mol/g以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリロタキサン(B)の有する反応性官能基が水酸基であり、前記エラストマー(C)中の、前記ポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)と反応する官能基が酸無水物基、グリシジル基、イソシアネート基から選択される1種以上である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記エラストマー(C)が、熱可塑性エラストマーである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形品。
  6. ポリアミド(A)と反応性官能基を末端に有するグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサン(B)を混練し、次いで、前記ポリアミド(A)およびポリロタキサン(B)と反応する官能基により変性されたエラストマー(C)をさらに混練することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
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