JP2008111062A - 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐衝撃性とクリープ特性が改良された樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(a)、(b)、(c)および(d)の合計量を100重量%として、(a)融点が270℃以上の熱可塑性樹脂が40〜96重量%、(b)動的架橋エラストマー系樹脂が3〜40重量%、(c)エポキシ基含有αーオレフィン系共重合体1〜30重量%および(d)繊維状および/または非繊維状充填材0〜54重量%を配合してなる熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

ポリアミドやポリエステル、PPS等の結晶性エンジニアリング樹脂は、優れた機械特性、耐熱性、耐薬品性を有しており日用雑貨、玩具、機械部品、電気・電子部品および自動車部品などに幅広く用いられている。中でもガラス繊維などの強化材で強化した成形材料は、自動車部品やエレクトロニクス関連部品等の分野に於いて金属代替用に使用され、近年需要を大きく伸ばしている。
しかし、ガラス繊維等の強化材で強化された強化系の樹脂では、耐衝撃性や疲労特性が劣る欠点を有している。またガラス繊維等の強化材を充填していない材料においてはある程度の靭性は有するものの高度な靭性を有する用途では使用が制限されていた。これらの欠点を改良する方法として熱可塑性エラストマーや合成ゴムとのブレンドによる改質が行われているが、熱可塑性エラストマーや合成ゴムをブレンドする方法は靭性が改良される反面、クリープ特性や耐磨耗性に劣る欠点がある。
靭性を改良した熱可塑性樹脂のクリープ特性を改良する方法として特許文献1熱可塑性樹脂にゴム成分を動的架橋した樹脂組成物が記載されているが、比較的加工温度の低い熱可塑性樹脂では動的架橋が容易であるが、加工温度の高いスーパーエンプラでは架橋反応を制御することが困難であり、、得られた製品の強度にバラツキが生じやすい欠点を有していた。
特開平07−097507号公報
本発明は、耐衝撃性が良好で且つクリープ特性、耐磨耗性、表面外観の良好な樹脂組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
そこで本発明者らは前記の目的を達成すべく検討した結果、ベースとなる熱可塑性樹脂に動的に架橋した熱可塑性エラストマー(以下、架橋TPEと称す)樹脂と特定の相溶化材からなる樹脂組成物が課題を克服することを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、以下の構成からなる。
(1) (a)、(b)、(c)および(d)の合計量を100重量%として、(a)融点が270℃以上の熱可塑性樹脂が40〜96重量%、(b)動的架橋エラストマー系樹脂が3〜40重量%、(c)エポキシ基含有αーオレフィン系共重合体1〜30重量%および(d)繊維状および/または非繊維状充填材0〜54重量%を配合してなる熱可塑性樹脂組成物、
(2) (b)動的架橋エラストマー系樹脂の分散粒子径が5μm以下であることを特徴とする(1)記載の熱可塑性樹脂組成物、
(3) (b)動的架橋エラストマー系樹脂が、(b−1)架橋しない熱可塑性樹脂10〜90重量%と、(b−2)スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンブテンゴム、エチレンオクテンゴム、ブチルゴムおよびアクリルゴムから選ばれる少なくとも1種の合成ゴム90〜10重量%を動的加硫して得られたものである(1)または(2)記載の熱可塑性樹脂組成物、
(4) (a)融点が270℃以上の熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンスルフィド樹脂であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物、
(5) (c)エポキシ基含有αーオレフィン系共重合体が、α−オレフィン50〜99.5重量%と、α、β−不飽和酸グリシジルエステル0.5〜50重量%を共重合して得られたものであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物、
(6) (d)繊維状および/または非繊維状充填材がガラス繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維および炭素繊維などの繊維状充填材、ワラステナイト、ゼオライト、セリサナイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフェライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジリコニウム、酸化チタンなどの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラス.ビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカから選ばれる少なくとも1種である(1)〜(5)のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物、
(7) (a)融点が270℃以上の熱可塑性樹脂、(b)動的架橋エラストマー系樹脂、(c)エポキシ基含有αーオレフィン系共重合体、ならびに(d)繊維状および/または非繊維状充填材を、押出機で溶融混練することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
(8) (a)融点が270℃以上の熱可塑性樹脂、(e)架橋していないエラストマー系樹脂、(c)エポキシ基含有αーオレフィン系共重合体、ならびに(d)繊維状および/または非繊維状充填材を押出機により溶融混練後、電子線架橋することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法、および
(9) (a)融点が270℃以上の熱可塑性樹脂、(e)架橋していないエラストマー系樹脂、(c)エポキシ基含有αーオレフィン系共重合体、ならびに(d)繊維状および/または非繊維状充填材を溶融混練し、押出成形または射出成形後、電子線架橋することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の製造方法、である。
本発明は、高い加工温度を持つ結晶性のエンジニアリング樹脂の耐衝撃性とクリープ特性が大幅に改良され、各種構造部材や容器類、コネクター、パイプ等長期にわたり歪みが負荷される用途に好適に使用可能な熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法、成形品を提供できるものである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
本発明における(a)融点が270℃以上の熱可塑性樹脂としてはポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPS樹脂)、芳香族ポリアミドおよびこれらの混合物が使用できる。
これらの中で特にポリフェニレンスルフィド樹脂が耐熱性、成形性、経済性の面で好ましい。
本発明で用いられるPPS樹脂は、下記構造式で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
Figure 2008111062
耐熱性の観点からは前記構造式で示される繰り返し単位を含む重合体を70モル%以上、更には90モル%以上含む重合体が好ましい。またPPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満が、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
Figure 2008111062
本発明で用いられるPPS樹脂の粘度はASTM−D1238に従って測定したメルトフローレート(315.5℃、5000g荷重)が50〜2500g/10分であることが好ましく、更に好ましくは100〜2000g/10分のPPS樹脂である。メルトフローレートが3000g/10分以上のPPSではエラストマーアロイしても耐衝撃性の改良効果が少なく、50g/10分未満では射出成形することが困難となることがある為好ましくない。
かかるPPS樹脂は通常公知の方法、即ち特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造できる。本発明において前記の様に得られたPPS樹脂を空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化など種々の処理を施した上で使用することももちろん可能である。
PPS樹脂を加熱により架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法が例示できる。加熱処理温度は通常、170〜280℃が選択され、好ましくは200〜270℃である。また、加熱処理時間は通常0.5〜100時間が選択され、好ましくは2〜50時間であるが、この両者をコントロールすることにより目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理するためには回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
PPS樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間加熱処理する方法が例示できる。加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理するためには回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
本発明に用いるPPS樹脂は脱イオン処理を施されたPPS樹脂であることが好ましい。かかる脱イオン処理の具体的方法としては酸水溶液洗浄処理、熱水洗浄処理および有機溶媒洗浄処理などが例示でき、これらの処理は2種以上の方法を組み合わせて用いても良い。
PPS樹脂を有機溶媒で洗浄する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、洗浄に用いる有機溶媒としては、PPS樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はないが、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド、スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール、フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などがあげられる。これらの有機溶媒のなかでN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミド、クロロホルムなどの使用が好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上を混合して使用される。有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。また有機溶媒洗浄を施されたPPS樹脂は残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
PPS樹脂を熱水で洗浄処理する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち熱水洗浄によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。PPS樹脂と水との割合は、水の多いほうが好ましいが、通常、水1リットルに対し、PPS樹脂200g以下の浴比が選択される。
PPS樹脂を酸処理する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、酸または酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸はPPS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などがあげられる。中でも酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施されたPPS樹脂は残留している酸または塩などを除去するために、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また洗浄に用いる水は、酸処理によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
本発明において、有用な融点270℃以上のポリアミド樹脂の具体的な例としてはポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)およびこれらの混合物などが挙げられる。
とりわけ好ましいポリアミド樹脂としては、ナイロン6T/66コポリマー、ナイロン6T/6Iコポリマー、ナイロン6T/12、およびナイロン6T/6コポリマーなどのヘキサメチレテレフタルアミド単位を有する共重合体を挙げることができ、更にこれらのポリアミド樹脂を耐衝撃性、成形加工性などの必要特性に応じて混合物として用いることも実用上好適である。
これらポリアミド樹脂の重合度には特に制限がないが、サンプル濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度として、1.5〜7.0の範囲のものが好ましく、特に2.0〜6.0の範囲のポリアミド樹脂が好ましい。
また、本発明のポリアミド樹脂には、長期耐熱性を向上させるために銅化合物が好ましく用いられる。銅化合物の具体的な例としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、サリチル酸第二銅、ステアリン酸第二銅、安息香酸第二銅および前記無機ハロゲン化銅とキシリレンジアミン、2ーメルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールなどの錯化合物などが挙げられる。なかでも1価の銅化合物とりわけ1価のハロゲン化銅化合物が好ましく、酢酸第1銅、ヨウ化第1銅などを特に好適な銅化合物として例示できる。銅化合物の添加量は、通常ポリアミド樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部であることが好ましく、さらに0.015〜1重量部の範囲であることが好ましい。添加量が多すぎると溶融成形時に金属銅の遊離が起こり、着色により製品の価値を減ずることになる。本発明では銅化合物と併用する形でハロゲン化アルカリを添加することも可能である。このハロゲン化アルカリ化合物の例としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムを挙げることができ、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムが特に好ましい。
本発明に用いられる(a)融点が270℃以上の熱可塑性樹脂は(a)、(b)(c)および(d)の合計量を100重量%として、40〜96重量%の範囲である。(d)繊維状および/または非繊維状充填材を配合しない場合は、50〜90重量%が好ましく、更に好ましくは、60〜85重量%である。また、(d)繊維状および/または非繊維状充填材を配合する場合は、45〜80重量%が好ましく、更に好ましくは50〜60重量%である。融点が270℃以上の熱可塑性樹脂は40重量%以下では熱可塑性樹脂の機械特性が発現せず、96%以上では靭性の改良効果が発現しないため好ましくない。
本発明に用いられる(b)動的架橋エラストマー系樹脂は(b−1)架橋しない熱可塑性樹脂10〜40重量%と(b−2)架橋ゴム60〜90重量%からなり、(b−1)の架橋しない熱可塑性樹脂がマトリックス、(b−2)架橋ゴムがドメイン構造となる海島構造である。更に好ましくは(b−1)架橋しない熱可塑性樹脂15〜30重量%と(b−2)架橋ゴム70〜85重量%である。(b−2)架橋ゴムの架橋度は動的架橋エラストマー系樹脂を冷凍粉砕し、80℃トルエンで8hr抽出後の未溶融残渣量から下記式で算出された量が50%以上であり、好ましくは70%以上である。
架橋度=(抽出残渣量−架橋しない熱可塑性樹脂量)/動的架橋エラストマー系樹脂量×100
(b−1)架橋しない熱可塑性樹脂は例えばポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、PPS等が挙げられ、特にポリプロピレンが加工性、ゴムとの相溶性点で好ましい。
(b−2)架橋ゴムのゴム成分は化学的に合成された合成ゴムで且つ架橋可能であれば何れでも使用可能であるが、例えばスチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンブテンゴム、エチレンオクテンゴム、ブチルゴム、アクリルゴムが挙げられ、これら単独でも用いても、2種以上のブレンドで用いても良い。
これらの合成ゴムを架橋する方法は、2軸押出機で架橋しない熱可塑性樹脂と合成ゴムを加硫剤と開始剤とともに押出機ホパーに投入し、押出機内で動的に加硫せしめる方法や、架橋しない熱可塑性樹脂と合成ゴムを押出機で溶融混練しペレット化した後、電子線照射して架橋せしめても良い。特に工業的に有利な動的に架橋せしめる方法が好ましい。
(b)架橋エラストマー中の(b−1)架橋しない熱可塑性樹脂と(b−2)架橋ゴムの比率は、重量比で1:9〜9:1の間で任意に設定可能であるが、(a)熱可塑性樹脂の衝撃改質剤として少量で効果を発現させる為、4:6〜1:9が特に好ましい。
本発明に用いる(c)エポキシ基含有αーオレフィン系共重合体は、α−オレフィン50〜99.5重量%と、α、β−不飽和酸グリシジルエステルが0.5〜50重量%の割合で共重合したものであり、本発明の熱可塑性樹脂組成物中の1〜30重量%である必要がある。好ましくは、5〜20重量%であり、更に好ましくは、5〜7重量%である。
(c)エポキシ基含有αーオレフィン系共重合体が1重量%以下では(b)架橋エラストマー系樹脂の平均分散径を5μ以下とすることが出来ず、良好な靭性が発現しない。一方30重量%を超えると樹脂の流動性が著しく低下し好ましくない。
(c)更に好ましいエポキシ基含有αーオレフィン系共重合体量は5〜20重量%であり、この範囲とすることにより(b)架橋エラストマー系樹脂の平均分散径が3μ以下となり、特異的な高い衝撃強度が得られ且つ良好な流動性を持つ樹脂組成物が得られる。
ここで、(b)架橋エラストマーの平均分散径は、(b)架橋エラストマーを含む樹脂組成物を射出成形によりASTM1号ダンベルを成形し、この平行部の中心部から、ミクロトームの凍結カット法で厚さ0.1μにカットしたサンプルの電子顕微境写真(8000倍)を画像処理してドメイン100個の面積から球体としての直径をドメインの平均粒径とした。
本発明に用いる(d)繊維状および/または非繊維状充填材としてはガラス繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維および炭素繊維などの繊維状充填材、ワラステナイト、ゼオライト、セリサナイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフェライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジリコニウム、酸化チタンなどの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラス.ビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカなどの非繊維状充填材などが挙げられ、これらは中空であってもよい。これらの充填材は2種以上を併用することも可能であり、必要によりシラン系およびチタン系などのカップリング剤で予備処理して使用することができる。
繊維状および/または非繊維状充填材の配合量としては0〜60重量%であり、充填剤の配合量が60重量%を越えると架橋TPEによる靭性改質効果が小さいため好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤、離型剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤および難燃剤などの通常の添加剤および少量の他種ポリマを添加することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において(a)熱可塑性樹脂中に(b)架橋エラストマー系樹脂を分散させる一つの方法として、公知の2軸押出機を用い、予め動的架橋した架橋エラストマーを混練分散する方法があげられる。その構造は(a)熱可塑性樹脂中がマトリックスで(b)架橋エラストマー系樹脂が島成分となる海島構造が好ましい。
島成分の(b)架橋エラストマー系樹脂の平均分散径は5μ以下が好ましく、分散径が5μ以上では好適な靭性改良効果が得られない。特に平均分散径が3μ以下では高い靭性改良効果とクリープ特性の改良が認められ好ましい。
(a)熱可塑性樹脂中に(b)架橋エラストマー系樹脂を分散させる他の方法として、(a)熱可塑性樹脂と架橋可能なオレフィン系エラストマーおよび相溶化材として(c)エポキシ基含有αーオレフィン系共重合体を溶融混練し、オレフィン系エラストマーを微分散せしめた後、電子線で架橋する方法が挙げられる。当然ながらペレットの状態で架橋せしめても良いし、押出成形や射出成形した後電子線で架橋せしめても良い。このように、ペレットの状態、成形したあとに架橋する場合も、エラストマーの状態で架橋する場合と同様に行うことができる。
本発明の熱可塑性樹脂の用途としては通常の押出成形や射出成形可能な用途であれば使用可能であるが特に、電機・電子部品のメカシャーシ、フレーム、ハウジング類一般機器のタンク類やハウジング、ホース、コネクター、クリップ類、自動車用途の各種センサーハウジング、エンジンカバー、エンジンカバーカバー、ラジエター、インマニ、吸気ダクト、LLCパイプ、ORVRバルブ、カットオフバルブ、フュエルフィラー、キャニスター、燃料ホース、フーエルインレット、燃料タンク等に使用可能である。
上記製造方法により得られた本発明の補強された熱可塑性樹脂および成形体は極めて優れた靭性とクリープ特性を有するため、電気・電子機器、一般機器、自動車用途に広く実用的に用いることができる。
参考例1(PPSの重合)
オートクレーブに硫化ナトリウム3.20kg(25モル、結晶水40%を含む)、水酸化ナトリウム4g、酢酸ナトリウム三水和物1.36kg(約10モル)およびNーメチルー2ーピロリドン(以下NMPと略称する)7.9kgを仕込み、撹拌しながら徐々に205℃まで昇温し、水1.36kgを含む留出水約1.5リットルを除去した。
残留混合物に1、4ージクロルベンゼン3.75kg(25.5モル)およびNMP2kgを加え、窒素ガス等の不活性ガス下に密閉し、265℃で3時間加熱した。反応生成物を70℃の温水で5回洗浄し、80℃で24時間減圧乾燥して、融点280℃、灰分量0.02重量%、クロロホルム抽出量が0.5%、MFR=300g/10分(315.5℃、5kg荷重)の粉末状PPS樹脂約2kgを得た。得られたPPS樹脂粉末約2kgを、100℃に加熱したNMP20リットル中に投入し、約30分間撹拌した後ろ過し、続いて約90℃のイオン交換水で洗浄した。このものを120℃で24時間減圧乾燥してPPS樹脂(a−1)を得た。同様な操作を繰り返し、以下に記載の実施例に供した。
参考例2(ペレットの電子線架橋)
NHVコーポレーション社製800kV電子線照射装置を用い、20cm×30cm×5cmのトレイに熱可塑性樹脂組成物のペレットを重ねないように敷き詰め、60kGyの照射をエアー中で2回行い、架橋ペレットを得た。
参考例3(エラストマーの電子線架橋)
NHVコーポレーション社製800kV電子線照射装置を用い、20cm×30cm×5cmのトレイにエラストマーペレットを重ねないように敷き詰め、60kGyの照射をエアー中で2回行い、架橋ペレットを得た。
参考例4(テストピースの電子線架橋)
NHVコーポレーション社製800kV電子線照射装置を用い、ASTM1号ダンベルおよびアイゾット試験片の片面を酸素雰囲気中で60kGy照射後、試験片を裏返し更に酸素雰囲気中で60kGy照射して架橋したテストピースを得た。
実施例での樹脂組成物の評価は以下の方法で行った。
(1)引張強さ
ASTM−D638に従い測定し、降伏を示すサンプルは引張降伏強さ、降伏を示さないサンプルについては引張破断強さとした。
(2)引張破断伸び
ASTM−D638に従い測定し、クロスヘッドの移動距離を試験片の標点間距離で割った割合を引張破断伸びとした。
降伏を示すサンプルは引張降伏強さ、降伏を示さないサンプルについては引張破断強さを示す。
(3)アイゾット衝撃強度
射出成形により長さ60mm、巾12.7mm、厚み3.2mmの試験片を成形しノッチカッターでノッチを付け、23℃、50%RHで1夜温調した後ASTM−256に従って測定した値を23℃アイゾット衝撃値とした。
(4)引張クリープ
ASTM1号ダンベルに40MPaの応力を付加し、80℃雰囲気中で1000hr後の伸び率をクリープ量とした。
(5)ドメインの平均粒子径
射出成形によりえられたASTM1号ダンベルの平行部の中心部から、ミクロトームの凍結カット法で厚さ0.1μにカットしたサンプルの電子顕微境写真を画像処理してドメイン100個の面積から球体としての直径をドメインの平均粒径とした。
本実施例および比較例に用いた(a)熱可塑性樹脂、(b)架橋エラストマー系樹脂、(c)エポキシ基含有αーオレフィン系共重合体(d)繊維状および/または非繊維状充填材は以下の通りである。
(a)熱可塑性樹脂
(a―1):融点280℃、灰分量0.02重量%、クロロホルム抽出量が0.5%、MFR=300g/10分(315.5℃、5kg荷重)のPPS樹脂(東レ製M2588)
(a−2):融点320℃、ナイロン6T樹脂(三井化学社製“アーレン”AE4200)。
(b)架橋エラストマー系樹脂
(b−1):住友化学社製 “住友TPE”3682(低架橋:架橋度70%)
(b−2):住友化学社製 “住友TPE”4652(高架橋:架橋度90%)
(架橋エラストマー):三井化学社製“タフマー”TX610に空気雰囲気中で電子線120kGy照射した。70℃トルエン抽出残差(ゲル含率)は約80%であった。
(c)エポキシ基含有αーオレフィン系共重合体
(c−1)エチレン/グリシジルメタクリレート系共重合体(住友化学製“Bondfast”E)
(c−2):エチレン/α−オレフィン共重合体(三井化学社製“タフマー”TX610)。
(無機充填剤):日電硝社製 ガラス繊維T717 13μ
酸化防止剤:以下の2種類の化合物を用いた。
フェノール系:3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン。
リン系:ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリト−ル−ジ−ホスファイト。
実施例1
(a−1)融点280℃、ASTM−D1238に従って測定したメルトフローレート(315.5℃、5000g荷重)が300g/10分のPPSと(b−1)住友化学社製“住友TPE”3682、(c−1)住友化学社製(住友化学製“Bondfast”Eおよびフェノール系、リン系熱安定剤を表1に示す配合でドライブレンドしたのち、日本製鋼所社製2軸押出機TEX−30でシリンダー温度300℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/hrで溶融混練し、ダイから吐出されるガットは即座に水浴にて冷却し、ストランドカッターによりペレット化した。
得られたペレットを130℃で3hr熱風乾燥した後、射出成形機にてシリンダー温度300℃、金型温度130℃でASTM1号ダンベルおよびアイゾット衝撃試験片を得た。特性を表1に示す。
本実施例は比較例2に比べ引張クリープ特性に優れるものであった。
実施例2
表1に示すPPSと架橋エラストマー樹脂の配合比を変えた以外は実施例1と同様にした。その結果を表1に示す。
実施例3
表1に示す通り架橋TPEを高架橋タイプとした以外は実施例1と同様とした。
実施例1と比較し架橋TPEの架橋度がアップした分クリープ特性が改善されている。
実施例4
(a−2)三井化学社製“アーレン” AE4200とし、(b−1)住友化学社製“住友TPE”3682、(c−1)住友化学社製(住友化学製“Bondfast”Eおよびフェノール系、リン系熱安定剤を表1に示す配合でドライブレンドしたのち、日本製鋼所社製2軸押出機TEX−30でシリンダー温度340℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/hrで溶融混練し、ダイから吐出されるガットは即座に水浴にて冷却し、ストランドカッターによりペレット化した。
得られたペレットを130℃で1夜真空乾燥した後、射出成形機にてシリンダー温度330℃、金型温度130℃でASTM1号ダンベルおよびアイゾット衝撃試験片を得た。特性を表1に示す。
得られたペレットは良好な靭性と耐クリープを示した。
実施例5
(a−1)融点280℃、ASTM−D1238に従って測定したメルトフローレート(315.5℃、5000g荷重)が300g/10分のPPSと(c−1)住友化学社製 “Bondfast”E、三井化学社製“タフマー”TX610、およびフェノール系、リン系熱安定剤を表1に示す配合でドライブレンドしたのち、日本製鋼所社製2軸押出機TEX−30でシリンダー温度300℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/hrで溶融混練し、ダイから吐出されるガットは即座に水浴にて冷却し、ストランドカッターによりペレット化した。
得られたペレットを130℃で3hr熱風乾燥した後、射出成形機にてシリンダー温度300℃、金型温度130℃でASTM1号ダンベルおよびアイゾット衝撃試験片を得た。得られた試験片を参考例4に示す条件で電子線架橋し、架橋したASTM1号ダンベルおよびアイゾット衝撃試験片を得た。
特性を表1に示す。本実施例は実施例1に比べ架橋エラストマーの分散が良好な為、靭性に優れ、且つ比較例2に比べ引張クリープ特性に優れるものであった。
実施例6
(a−1)融点280℃、ASTM−D1238に従って測定したメルトフローレート(315.5℃、5000g荷重)が300g/10分のPPSと(c−1)住友化学社製 “Bondfast”E、三井化学社製“タフマー”TX610、およびフェノール系、リン系熱安定剤を表1に示す配合でドライブレンドしたのち、日本製鋼所社製2軸押出機TEX−30でシリンダー温度300℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/hrで溶融混練し、ダイから吐出されるガットは即座に水浴にて冷却し、ストランドカッターによりペレット化した。
得られたペレットを130℃で3hr熱風乾燥した後、参考例2に示す条件で電子線照射した後、射出成形機にてシリンダー温度300℃、金型温度130℃でASTM1号ダンベルおよびアイゾット衝撃試験片を得た。
特性を表1に示す。本実施例は実施例5同様の効果が見られ、靭性とクリープ特性に優れるものであった。
比較例1
(a−1)融点280℃、ASTM−D1238に従って測定したメルトフローレート(315.5℃、5000g荷重)が300g/10分のPPSの特性は表1に示す通り、クリープ特性には優れるものの靭性の低いものでああった。
比較例2
(a−1)融点280℃、ASTM−D1238に従って測定したメルトフローレート(315.5℃、5000g荷重)が300g/10分のPPS、三井化学社製エチレン・ブテン共重合体“タフマー”TX610、(c−1)住友化学社製(住友化学製“Bondfast”E、ステアリン酸,MDA(メチレンジアニリン)、日本サン石油社製パラフィン系オイル“サンバー2280”、フェノール系、リン系熱安定剤を表1に示す処方でドライブレンドした後は実施例1同様とし動的架橋ペレットを得た。
得たれたペレットの特性は表1に示す通りであり、引張伸び、アイゾット衝撃強さに劣るものであった。
比較例3
動的架橋TPEを未架橋エラストマーとした以外は実施例1と同様とした。得られたペレットは高い靭性を示したが、クリープ特性が低いものであった。
比較例4
未架橋エラストマー(三井化学社製“タフマー”TX610)ペレットを参考例3に示す条件で電子線を照射し架橋ゴムを得た。
得られた架橋ゴムを架橋エラストマーの代わりに用いた以外は実施例1と同様とした。架橋ゴムが溶融混練出来ずペレットが得られなかった。
比較例5
架橋エラストマーの変わりに未架橋エラストマーを用いた以外は実施例4と同様とした。得られたペレットは良好な靭性を示したが、耐クリープ性に劣るものであった。
実施例7
(a−1)融点280℃、ASTM−D1238に従って測定したメルトフローレート(315.5℃、5000g荷重)が300g/10分のPPSと(b−1)住友化学社製“住友TPE”3682、(c−1)住友化学社製(住友化学製“Bondfast”E、日電硝社製T717およびフェノール系、リン系熱安定剤を表2に示す配合でドライブレンドしたのち、日本製鋼所社製2軸押出機TEX−30でシリンダー温度300℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/hrで溶融混練し、ダイから吐出されるガットは即座に水浴にて冷却し、ストランドカッターによりペレット化した。
得られたペレットを130℃で3hr熱風乾燥した後、射出成形機にてシリンダー温度300℃、金型温度130℃でASTM1号ダンベルおよびアイゾット衝撃試験片を得た。特性を表2に示す。
比較例4
(a−1)融点280℃、ASTM−D1238に従って測定したメルトフローレート(315.5℃、5000g荷重)が300g/10分のPPSと日電硝社製T717およびフェノール系、リン系熱安定剤を表2に示す配合でドライブレンドしたのち、日本製鋼所社製2軸押出機TEX−30でシリンダー温度300℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/hrで溶融混練し、ダイから吐出されるガットは即座に水浴にて冷却し、ストランドカッターによりペレット化した。
得られたペレットを130℃で3hr熱風乾燥した後、射出成形機にてシリンダー温度300℃、金型温度130℃でASTM1号ダンベルおよびアイゾット衝撃試験片を得た。特性を表2に示す。エラストマーを配合しない本比較例は引張クリープ特性については優れるものの、靭性に劣るものであった。
実施例8
(a−1)融点280℃、ASTM−D1238に従って測定したメルトフローレート(315.5℃、5000g荷重)が300g/10分のPPSと(b−1)住友化学社製“住友TPE”3682、(c−1)住友化学社製(住友化学製“Bondfast”Eの配合量を表2とした以外は実施例6と同様とした。
本実施例は比較例5に比べ引張クリープ特性に優れるものであった。
Figure 2008111062
Figure 2008111062

Claims (9)

  1. (a)、(b)、(c)および(d)の合計量を100重量%として、(a)融点が270℃以上の熱可塑性樹脂が40〜96重量%、(b)動的架橋エラストマー系樹脂が3〜40重量%、(c)エポキシ基含有αーオレフィン系共重合体1〜30重量%および(d)繊維状および/または非繊維状充填材0〜54重量%を配合してなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. (b)動的架橋エラストマー系樹脂の分散粒子径が5μm以下であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. (b)動的架橋エラストマー系樹脂が、(b−1)架橋しない熱可塑性樹脂10〜90重量%と、(b−2)スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンブテンゴム、エチレンオクテンゴム、ブチルゴムおよびアクリルゴムから選ばれる少なくとも1種の合成ゴム90〜10重量%を動的加硫して得られたものである請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. (a)融点が270℃以上の熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. (c)エポキシ基含有αーオレフィン系共重合体が、α−オレフィン50〜99.5重量%と、α、β−不飽和酸グリシジルエステル0.5〜50重量%を共重合して得られたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. (d)繊維状および/または非繊維状充填材がガラス繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維および炭素繊維などの繊維状充填材、ワラステナイト、ゼオライト、セリサナイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフェライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジリコニウム、酸化チタンなどの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラス.ビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. (a)融点が270℃以上の熱可塑性樹脂、(b)動的架橋エラストマー系樹脂、(c)エポキシ基含有αーオレフィン系共重合体、ならびに(d)繊維状および/または非繊維状充填材を、押出機で溶融混練することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  8. (a)融点が270℃以上の熱可塑性樹脂、(e)架橋していないエラストマー系樹脂、(c)エポキシ基含有αーオレフィン系共重合体、ならびに(d)繊維状および/または非繊維状充填材を押出機により溶融混練後、電子線架橋することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  9. (a)融点が270℃以上の熱可塑性樹脂、(e)架橋していないエラストマー系樹脂、(c)エポキシ基含有αーオレフィン系共重合体、ならびに(d)繊維状および/または非繊維状充填材を溶融混練し、押出成形または射出成形後、電子線架橋することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の製造方法。
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