JP2011168637A - 溶着部を有する低膨潤樹脂成形体 - Google Patents

溶着部を有する低膨潤樹脂成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】靭性、特に低温での引張伸びに優れると共に、膨潤性の抑制された溶着部を有する樹脂成形体を提供する。
【解決手段】ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる溶着部を有した低膨潤樹脂成形体であって、ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)を88〜78重量%と、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)を12〜22重量%とからなる樹脂成分100重量部に対して、官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)を0.1〜10重量部配合したポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形片のモルフォロジーが、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)が数平均分散粒子径500nm以下であり、この成形片を粉砕し、再び射出成形を行った成形片のモルフォロジーが、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)が数平均分散粒子径500nm以下で分散することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は靭性、特に低温での引張伸びに優れると共に、膨潤性の抑制された溶着部を有する樹脂成形体に関するものである。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、「PPS樹脂」と略すことがある。)は、優れた耐熱性、バリア性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性などエンジニアリングプラスチックとしては好適な性質を有しており、射出成形、押出成形用を中心として各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品などに使用されている。
しかし、PPS樹脂は、ナイロンやPBTなどの他のエンジニアリングプラスチックに比べ靭性が低く、適用が限定されているのが現状であり、その改良が強く望まれている。
これまで、PPS樹脂の靱性を改良する目的で、PPS樹脂とオレフィン系樹脂からなる樹脂組成物については、いくつか検討されている。しかし、従来のPPS樹脂組成物は、分散相となるオレフィン系樹脂の数平均分散粒子径が大きいため靭性を十分に高くすることができなかったり、相構造が不安定であるため樹脂成形体を溶着すると、溶着部の低温での引張破断伸びなどが不足し、溶着部界面を起点とした破壊が起こり易くなったりするという問題があった。
例えば、特許文献1には、ポリアリーレンスルフィド樹脂、官能基を有する熱可塑性エラストマー、3個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物からなる樹脂組成物が開示されている。しかし、樹脂組成物の製造方法については、一般的な手法が記載されているのみであり、この場合、ポリアリーレンスルフィド樹脂と3個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物との反応が十分に進行せず、相構造が安定化しないため、熱可塑性エラストマーを数平均分散粒子径500nm以下に微分散化することは困難であった。また、相構造が不安定であるが故に、この樹脂組成物からなる成形品を溶着する際、溶着部分における熱可塑性エラストマーの分散粒子径はさらに扁平・粗大化してしまい、引張応力がかかると、溶着部界面を起点として破断が起こり易くなる欠点があった。この様な溶着界面での破断を防ぐためには、比較的大量の熱可塑性エラストマーを添加して、材料の柔軟性を更に向上させることが考えられるが、この場合には、燃料を初めとする各種溶剤に対する膨潤性が犠牲になるという課題があった。
特許文献2には、ポリアリーレンサルファイド樹脂、エチレン、α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステルおよび無水マレイン酸からなるエチレン系共重合体、シラン化合物を含んでなる樹脂組成物が開示されている。しかし、樹脂組成物の製造方法については、一般的な手法が記載されているのみであり、この場合、ポリアリーレンサルファイド樹脂とシラン化合物との反応が不十分となり、相構造が安定化しないため、エチレン系共重合体を数平均分散粒子径500nm以下に微分散化することは困難であった。また、相構造が不安定であるが故に、この樹脂組成物からなる成形品を溶着する際、溶着部分におけるエチレン系共重合体の分散粒子径はさらに扁平・粗大化してしまい、引張応力がかかると、溶着部界面を起点とした破断が起こり易くなる欠点があった。この様な溶着界面での破断を防ぐためには、比較的大量のエチレン系共重合体を添加して、材料の柔軟性を更に向上させる必要が生じることから、燃料を初めとする各種溶剤に対する膨潤性が犠牲になる課題があった。
特許文献3には、ポリアリーレンスルフィド樹脂、熱可塑性エラストマー、シランカップリング剤からなり、ポリアリーレンスルフィド樹脂相に熱可塑性エラストマーが0.5μm以下の重量平均粒子径で分散した樹脂組成物が開示されている。しかし、樹脂組成物の製造方法については、一般的な手法が記載されているのみであり、この場合、ポリアリーレンスルフィド樹脂とシラン化合物との反応が十分に進行せず、相構造が安定化しない。従って、仮に熱可塑性エラストマーが500nm以下に微分散化することが有ったとしても、溶融滞留時間が長くなった場合、あるいは溶融成形加工を繰り返した場合には、熱可塑性エラストマーの分散粒径が500nmを越える大きさに凝集・粗大化してしまう。同様に、この樹脂組成物からなる成形品を溶着する際、溶着部分における熱可塑性エラストマーの分散粒子径は、500nmを越える大きさに扁平・粗大化してしまい、引張応力がかかると、溶着部界面を起点とした破断が起こり易くなる欠点があった。この様な溶着界面での破断を防ぐためには、比較的大量の熱可塑性エラストマーを添加して、材料の柔軟性を更に向上させる必要が生じることから、燃料を初めとする各種溶剤に対する膨潤性が犠牲になる課題があった。
特許文献4には、ポリフェニレンスルフィド、多官能性ブロック型イソシアネート、無水マレイン酸含有エチレン系共重合体からなる樹脂組成物が開示されている。しかし、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するアルコキシシラン化合物については、何ら記載されていないし、樹脂組成物の製造方法については、一般的な手法が記載されているのみであった。従って、エチレン系共重合体を分散粒径500nm以下に微分散化することは困難であった。また、多官能性ブロック型イソシアネートは、官能基を有するアルコキシシラン化合物に比べ、ポリフェニレンスルフィドとの反応が十分に進行せず、相構造が安定化しない。このため、この樹脂組成物からなる成形品を溶着する際、溶着部分においてエチレン系共重合体の分散粒子径はさらに扁平・粗大化してしまい、引張応力がかかると、溶着部界面を起点とした破断が起こり易くなる欠点があった。この様な溶着界面での破断を防ぐためには、比較的大量の熱可塑性エラストマーを添加して、材料の柔軟性を更に向上させる必要が生じることから、燃料を初めとする各種溶剤に対する膨潤性が犠牲になる課題があった。
また、特許文献5には、ポリフェニレンスルフィド樹脂及びオレフィン系樹脂からなり、23℃、引張速度5mm/minにおける引張破断伸度が20%以上である溶着部を有する樹脂成形体が開示されている。しかし、樹脂組成物の製造方法については、一般的な混練手法が記載されているのみであった。また、実質的にα−オレフィンとα、β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルとの共重合体と、官能基を有しないオレフィン系重合体とを併用している。この内、α−オレフィンとα、β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルとの共重合体は柔軟性に乏しく、また、官能基を有しないオレフィン系重合体を併用しているため、PPS樹脂との反応が十分に進行しない。このため、この樹脂組成物からなる溶着部を有する樹脂成形体に特に低温で引張応力がかかると、溶着部界面を起点とした破断が起こり易くなる欠点があった。この様な欠点を改善するためには、比較的大量の熱可塑性エラストマーを添加して、材料の柔軟性を更に向上させる必要が生じることから、燃料を初めとする各種溶剤に対する膨潤性が犠牲になる課題があった。
この様に、何れの特許文献においても、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物中の分散相が、数平均分散粒子径500nm以下に微分散化するとともに、その相構造を安定化するようにした樹脂成形体については何ら記載されていない。また、このようなポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形体を部分的な溶融の伴う溶着に供した溶着成形片では、溶着界面を起点とした破断が起こりにくく低温での高速引張伸びに優れると共に、各種溶剤に対する低膨潤性を維持するようにした溶着部を有する低膨潤樹脂成形体は未だ確立されていなかった。
特開2004−300272号公報(特許請求の範囲) 特開平5−202245号公報(特許請求の範囲) 特開2004―143372号公報(特許請求の範囲) 特許第3968840号公報(特許請求の範囲) 特開2002−226604(特許請求の範囲)
本発明はポリフェニレンスルフィド樹脂が本来有する耐薬品性や耐熱性、機械的強度を大きく損なうことなく、靭性、特に低温での引張伸びに極めて優れると共に、膨潤性の抑制された溶着部を有するポリフェニレンスルフィド樹脂成形体を得ることを課題とする。
上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明の溶着部を有する低膨潤樹脂成形体は、以下の構成からなるものである。
1.ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる溶着部を有した低膨潤樹脂成形体であって、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、(a)と(b)の合計を100重量%として、ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)を88〜78重量%と、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)を12〜22重量%とからなる樹脂成分100重量部に対して、官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)を0.1〜10重量部配合してなり、前記官能基を有するオレフィン系樹脂(b)がカルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、メルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有し、前記官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)がアミノ基、エポキシ基、イソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有してなり、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を射出成形した成形片のモルフォロジー(相構造)が、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)が連続相(海相)を形成し、前記官能基を有するオレフィン系樹脂(b)が数平均分散粒子径500nm以下で分散した分散相(島相)を形成した海−島構造であり、かつ射出成形した後に前記成形片を粉砕し、再び射出成形を行った成形片においても、前記官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の分散相が数平均分散粒子径500nm以下で分散することを特徴とする、溶着部を有した低膨潤樹脂成形体、
2.前記溶着部を有する樹脂成形体の−40℃下、引張速度1m/secにおける引張破断伸度(ASTM D638に準じて測定)が10%以上であることを特徴とする1に記載の溶着部を有した低膨潤樹脂成形体、
3.前記官能基を有するオレフィン系樹脂(b)が、カルボキシル基および/または酸無水物基を有するエチレン・ブテン共重合体であることを特徴とする1または2に記載の溶着部を有した低膨潤樹脂成形体、
4.前記官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)がエポキシシクロヘキシル基またはイソシアネート基を有することを特徴とする1〜3のいずれかに記載の溶着部を有した低膨潤樹脂成形体、
5.前記ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)が、酸処理を施したポリフェニレンスルフィド樹脂であることを特徴とする1〜4のいずれかに記載の溶着部を有した低膨潤樹脂成形体、
6.前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを予め溶融混練した後、さらに官能基を有するオレフィン系樹脂(b)と溶融混練することにより得られることを特徴とする1〜5のいずれかに記載の溶着部を有した低膨潤樹脂成形体、
である。
7.また、上述した1〜5のいずれかに記載の溶着部を有した低膨潤樹脂成形体の製造方法は、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)と前記官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを予め溶融混練した後、さらに官能基を有するオレフィン系樹脂(b)と溶融混練することにより、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を製造し、これを溶融成形した少なくとも2つの成形品を溶着成形することを特徴とする。
本発明の溶着部を有した低膨潤樹脂成形体は、ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)を88〜78重量%と、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)を12〜22重量%とからなる樹脂成分100重量部に対して、官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)を0.1〜10重量部配合し、かつオレフィン系樹脂(b)の分散粒径が500nm以下に微分散化するとともに、射出成形の前後を問わず、オレフィン系樹脂(b)が安定して数平均分散粒子径500nm以下に微分散化するようにしたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を使用して溶融成形したので、靭性、特に低温での引張伸びが極めて優れると共に、膨潤性の抑制された溶着部を有するポリフェニレンスルフィド樹脂成形体が得られる。この成形体は、この様な優れた特徴を生かして、溶着部を有する部品、例えば電気・電子、一般機器、自動車用の燃料タンク、パイプ、ケース等の構造体、金属インサート成形物品などに適している。
図1は、溶着部を有する樹脂成形体の一例を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)
本発明で用いられるPPS樹脂(a)は、下記構造式(I)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
Figure 2011168637
PPS樹脂(a)としては、耐熱性の観点からは上記構造式で示される繰り返し単位を含む重合体を70モル%以上、更には90モル%以上含むことが好ましい。またPPS樹脂(a)はその繰り返し単位の30モル%未満程度が、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
Figure 2011168637
かかる構造を一部有するPPS共重合体は、融点が低くなるため、このPPS共重合体を含むPPS樹脂組成物は成形性の点で有利となる。
本発明で用いられるPPS樹脂(a)の溶融粘度に特に制限はないが、より優れた靭性を得る意味からその溶融粘度は高い方が好ましい。例えば80Pa・s(310℃、剪断速度1000/s)を越える範囲が好ましく、100Pa・s以上がより好ましく、150Pa・s以上がさらに好ましい。上限については溶融流動性保持の点から600Pa・s以下であることが好ましい。
なお、本明細書における溶融粘度は、310℃、剪断速度1000/sの条件下、東洋精機社製キャピログラフを用いて測定した値である。
以下に、本発明に用いるPPS樹脂(a)の製造方法について説明するが、上記構造のPPS樹脂(a)が得られれば下記方法に限定されるものではない。
まず、製造方法において使用するポリハロゲン芳香族化合物、スルフィド化剤、重合溶媒、分子量調節剤、重合助剤および重合安定剤の内容について説明する。
[ポリハロゲン化芳香族化合物]
ポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくはp−ジクロロベンゼンが用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
ポリハロゲン化芳香族化合物の使用量は、加工に適した粘度のPPS樹脂(a)を得る点から、スルフィド化剤1モル当たり0.9から2.0モル、好ましくは0.95から1.5モル、更に好ましくは1.005から1.2モルの範囲が例示できる。
[スルフィド化剤]
スルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物からアルカリ金属硫化物を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
あるいは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素からアルカリ金属硫化物を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
仕込みスルフィド化剤の量は、脱水操作などにより重合反応開始前にスルフィド化剤の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.95から1.20モル、好ましくは1.00から1.15モル、更に好ましくは1.005から1.100モルの範囲が例示できる。
[重合溶媒]
重合溶媒としては有機極性溶媒を用いるのが好ましい。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。
有機極性溶媒の使用量は、スルフィド化剤1モル当たり2.0モルから10モル、好ましくは2.25から6.0モル、より好ましくは2.5から5.5モルの範囲が選ばれる。
[分子量調節剤]
生成するPPS樹脂(a)の末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、モノハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を、上記ポリハロゲン化芳香族化合物と併用することができる。
[重合助剤]
比較的高重合度のPPS樹脂(a)をより短時間で得るために重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。ここで重合助剤とは得られるPPS樹脂(a)の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、有機カルボン酸塩、水、およびアルカリ金属塩化物が好ましく、さらに有機カルボン酸塩としてはアルカリ金属カルボン酸塩が、アルカリ金属塩化物としては塩化リチウムが好ましい。
上記アルカリ金属カルボン酸塩とは、一般式R(COOM)n(式中、Rは、炭素数1〜20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選ばれるアルカリ金属である。nは1〜3の整数である。)で表される化合物である。アルカリ金属カルボン酸塩は、水和物、無水物または水溶液としても用いることができる。アルカリ金属カルボン酸塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウム、およびそれらの混合物などを挙げることができる。
アルカリ金属カルボン酸塩は、有機酸と、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属塩および重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。上記アルカリ金属カルボン酸塩の中で、リチウム塩は反応系への溶解性が高く助剤効果が大きいが高価であり、カリウム、ルビジウムおよびセシウム塩は反応系への溶解性が不十分であると思われるため、安価で、重合系への適度な溶解性を有する酢酸ナトリウムが最も好ましく用いられる。
これらアルカリ金属カルボン酸塩を重合助剤として用いる場合の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.01モル〜2モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.1〜0.6モルの範囲が好ましく、0.2〜0.5モルの範囲がより好ましい。
また水を重合助剤として用いる場合の添加量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.3モル〜15モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.6〜10モルの範囲が好ましく、1〜5モルの範囲がより好ましい。
これら重合助剤は2種以上を併用することももちろん可能であり、例えばアルカリ金属カルボン酸塩と水を併用すると、それぞれより少量で高分子量化が可能となる。
これら重合助剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、重合助剤としてアルカリ金属カルボン酸塩を用いる場合は前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが、添加が容易である点からより好ましい。また水を重合助剤として用いる場合は、ポリハロゲン化芳香族化合物を仕込んだ後、重合反応途中で添加することが効果的である。
[重合安定剤]
重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述のアルカリ金属カルボン酸塩も重合安定剤として作用するので、重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
これら重合安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合安定剤は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対して、通常0.02〜0.2モル、好ましくは0.03〜0.1モル、より好ましくは0.04〜0.09モルの割合で使用することが好ましい。この割合が少ないと安定化効果が不十分であり、逆に多すぎても経済的に不利益であったり、ポリマー収率が低下したりする傾向となる。
重合安定剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが容易である点からより好ましい。
次に、本発明に用いるPPS樹脂(a)の好ましい製造方法について、前工程、重合反応工程、回収工程、および後処理工程と、順を追って具体的に説明するが、勿論この方法に限定されるものではない。
[前工程]
PPS樹脂(a)の製造方法において、スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。
また、上述したように、スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで、あるいは重合槽とは別の槽で調製されるスルフィド化剤も用いることができる。この方法には特に制限はないが、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜150℃、好ましくは常温から100℃の温度範囲で、有機極性溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧または減圧下、少なくとも150℃以上、好ましくは180〜260℃まで昇温し、水分を留去させる方法が挙げられる。この段階で重合助剤を加えてもよい。また、水分の留去を促進するために、トルエンなどを加えて反応を行ってもよい。
重合反応における、重合系内の水分量は、仕込みスルフィド化剤1モル当たり0.3〜10.0モルであることが好ましい。ここで重合系内の水分量とは重合系に仕込まれた水分量から重合系外に除去された水分量を差し引いた量である。また、仕込まれる水は、水、水溶液、結晶水などのいずれの形態であってもよい。
[重合反応工程]
有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させることによりPPS樹脂(a)を製造する。
重合反応工程を開始するに際しては、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜240℃、好ましくは100〜230℃の温度範囲で、有機極性溶媒とスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物を混合する。この段階で重合助剤を加えてもよい。これらの原料の仕込み順序は、順不同であってもよく、同時であってもさしつかえない。
かかる混合物を通常200℃〜290℃の範囲に昇温する。昇温速度に特に制限はないが、通常0.01〜5℃/分の速度が選択され、0.1〜3℃/分の範囲がより好ましい。
一般に、最終的には250〜290℃の温度まで昇温し、その温度で通常0.25〜50時間、好ましくは0.5〜20時間反応させる。
最終温度に到達させる前の段階で、例えば200℃〜260℃で一定時間反応させた後、270〜290℃に昇温する方法は、より高い重合度を得る上で有効である。この際、200℃〜260℃での反応時間としては、通常0.25時間から20時間の範囲が選択され、好ましくは0.25〜10時間の範囲が選ばれる。
なお、より高重合度のポリマーを得るためには、複数段階で重合を行うことが有効である場合がある。複数段階で重合を行う際は、245℃における系内のポリハロゲン化芳香族化合物の転化率が、40モル%以上、好ましくは60モル%に達した時点であることが有効である。
なお、ポリハロゲン化芳香族化合物(ここでは「PHA」と略記する。)の転化率は、以下の式で算出した値である。PHA残存量は、通常、ガスクロマトグラフ法によって求めることができる。
(A)ポリハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属硫化物に対しモル比で過剰に添加した場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)−PHA過剰量(モル)〕
(B)上記(A)以外の場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)〕
[回収工程]
PPS樹脂(a)の製造方法においては、重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。回収方法については、公知の如何なる方法を採用しても良い。
例えば、重合反応終了後、徐冷して粒子状のポリマーを回収する方法を用いても良い。この際の徐冷速度には特に制限は無いが、通常0.1℃/分〜3℃/分程度である。徐冷工程の全行程において同一速度で徐冷する必要はなく、ポリマー粒子が結晶化析出するまでは0.1〜1℃/分、その後1℃/分以上の速度で徐冷する方法などを採用しても良い。
また上記の回収を急冷条件下に行うことも好ましい方法の一つであり、この回収方法の好ましい一つの方法としてはフラッシュ法が挙げられる。フラッシュ法とは、重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、8kg/cm2以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉末状にして回収する方法であり、ここでいうフラッシュとは、重合反応物をノズルから噴出させることを意味する。フラッシュさせる雰囲気は、具体的には例えば常圧中の窒素または水蒸気が挙げられ、その温度は通常150℃〜250℃の範囲が選ばれる。
[後処理工程]
PPS樹脂(a)は、上記重合、回収工程を経て生成した後、酸処理、熱水処理または有機溶媒による洗浄を施されたものであってもよい。
酸処理を行う場合は次のとおりである。PPS樹脂(a)の酸処理に用いる酸は、PPS樹脂(a)を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸およびプロピル酸などが挙げられ、なかでも酢酸および塩酸がより好ましく用いられるが、硝酸のようなPPS樹脂(a)を分解、劣化させるものは好ましくない。
酸処理の方法は、酸または酸の水溶液にPPS樹脂(a)を浸漬せしめるなどの方法があり必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。例えば、酢酸を用いる場合、pH4の水溶液を80〜200℃に加熱した中にPPS樹脂粉末を浸漬し、30分間撹拌することにより十分な効果が得られる。処理後のpHは4以上例えばpH4〜8程度となっても良い。酸処理を施されたPPS樹脂(a)は残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。洗浄に用いる水は、酸処理によるPPS樹脂(a)の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水、脱イオン水であることが好ましい。
熱水処理を行う場合は次のとおりである。PPS樹脂(a)を熱水処理するにあたり、熱水の温度を100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは170℃以上とするとよい。100℃未満ではPPS樹脂(a)の好ましい化学的変性の効果が小さいため好ましくない。
熱水洗浄によるPPS樹脂(a)の好ましい化学的変性の効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作に特に制限は無く、所定量の水に所定量のPPS樹脂(a)を投入し、圧力容器内で加熱、撹拌する方法、連続的に熱水処理を施す方法などにより行われる。PPS樹脂(a)と水との割合は、水の多い方が好ましいが、通常、水1リットルに対し、PPS樹脂(a)200g以下の浴比が選ばれる。
また、処理の雰囲気は、末端基の分解が好ましくないので、これを回避するため不活性雰囲気下とすることが望ましい。さらに、この熱水処理操作を終えたPPS樹脂(a)は、残留している成分を除去するため温水で数回洗浄するのが好ましい。
有機溶媒で洗浄する場合は次のとおりである。PPS樹脂(a)の洗浄に用いる有機溶媒は、PPS樹脂(a)を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピペラジノン類などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パークロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パークロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のうちでも、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどの使用が特に好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPS樹脂(a)を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPS樹脂(a)を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなる程洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。圧力容器中で、有機溶媒の沸点以上の温度で加圧下に洗浄することも可能である。また、洗浄時間についても特に制限はない。洗浄条件にもよるが、バッチ式洗浄の場合、通常5分間以上洗浄することにより十分な効果が得られる。また連続式で洗浄することも可能である。
本発明においては、PPS樹脂中にアルカリ金属やCaなどのアリカリ土類金属を導入したPPS樹脂を用いても良い。かかるアルカリ金属、アルカリ土類金属を導入する方法としては、上記前工程の前、前工程中、前工程後にアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を添加する方法、重合行程前、重合行程中、重合行程後に重合釜内にアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を添加する方法、あるいは上記洗浄工程の最初、中間、最後の段階でアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を添加する方法などが挙げられる。中でももっとも容易な方法としては、有機溶剤洗浄や、温水または熱水洗浄で残留オリゴマーや残留塩を除いた後にアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を添加する方法が挙げられる。アルカリ金属、アルカリ土類金属は、酢酸塩、水酸化物、炭酸塩などのアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの形でPPS樹脂中に導入するのが好ましい。また過剰のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩は温水洗浄などにより取り除く方が好ましい。上記アルカリ金属、アルカリ土類金属導入の際のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン濃度としてはPPS樹脂1gに対して0.001mmol以上が好ましく、0.01mmol以上がより好ましい。温度としては、50℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましく、90℃以上が特に好ましい。上限温度は特にないが、操作性の観点から通常280℃以下が好ましい。浴比(乾燥PPS樹脂重量に対する洗浄液重量)としては0.5以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましい。
本発明においては、靱性に極めて優れたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得る観点から、有機溶媒洗浄と80℃程度の温水または前記した熱水洗浄を数回繰り返すことにより残留オリゴマーや残留塩を除いた後、酸処理もしくはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩で処理する方法が好ましく、さらに酸処理する方法が特に好ましい。
PPS樹脂(a)は、重合終了後に酸素雰囲気下においての加熱および過酸化物などの架橋剤を添加しての加熱による熱酸化架橋処理により高分子量化して用いることも可能である。
熱酸化架橋による高分子量化を目的として乾式熱処理する場合には、その温度は160〜260℃が好ましく、170〜250℃の範囲がより好ましい。また、酸素濃度は5体積%以上、更には8体積%以上とすることが望ましい。酸素濃度の上限には特に制限はないが、50体積%程度が限界である。処理時間は、0.5〜100時間が好ましく、1〜50時間がより好ましく、2〜25時間がさらに好ましい。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機、また回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よく、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
また、熱酸化架橋を抑制し、揮発分除去を目的として乾式熱処理を行うことが可能である。その温度は130〜250℃が好ましく、160〜250℃の範囲がより好ましい。また、この場合の酸素濃度は5体積%未満、更には2体積%未満とすることが望ましい。処理時間は、0.5〜50時間が好ましく、1〜20時間がより好ましく、1〜10時間がさらに好ましい。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よく、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
但し、PPS樹脂(a)は、靭性の目標を達成するために熱酸化架橋処理による高分子量化を行わない実質的に直鎖状のPPS樹脂であることが好ましい。また本発明で用いる好ましいPPS樹脂(a)としては、東レ(株)製M2100、M2900などが挙げられ、これらを単独、もしくは溶融粘度の異なる複数を混合して使用しても良い。
本発明で用いられる官能基を有するオレフィン系樹脂(b)とは、オレフィンを重合もしくは共重合したオレフィン重合体に、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、メルカプト基からなる群より選ばれる官能基を有する単量体成分を導入して得られるオレフィン系樹脂が挙げられる。
オレフィン重合体もしくは共重合体の例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4ジメチル−1−ヘキセン、4,4ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどのα−オレフィン単独または2種以上を重合して得られる重合体、α−オレフィンとアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのα、β−不飽和カルボン酸およびそのアルキルエステルとの共重合体などが挙げられる。オレフィン重合体もしくは共重合体の好適な具体例としては、炭素数6〜12のα−オレフィンを用いたエチレン・α−オレフィン共重合体が挙げられる。中でもエチレン・1−ブテン共重合体がより好ましい。
本発明で好適に用いられる前記エチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が0.880g/cm3以下であることが好ましく、0.830〜0.880g/cm3の範囲がより好ましく、特に0.850〜0.875g/cm3の範囲がさらに好ましい。また、ガラス転移温度(JIS K7121に準じて測定)は−40℃以下であることが好ましい。
官能基を有するオレフィン系樹脂(b)が含有する官能基としては、PPS樹脂(a)との親和性が高いという観点から、カルボキシル基、酸無水物基が好ましく、前記オレフィン重合体もしくは共重合体に、カルボキシル基およびその塩、酸無水物基などの官能基を有する単量体成分を導入するための官能基含有成分の例としては、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物などの酸無水物基を含有する単量体などが挙げられる。これら官能基含有成分を導入する方法は特に制限は無く、共重合させたり、オレフィン重合体もしくは共重合体にラジカル開始剤を用いてグラフト導入するなどの方法を用いることができる。官能基を含有する単量体成分の導入量は、オレフィン重合体もしくは共重合体に対して0.001〜40モル%、好ましくは0.01〜35モル%の範囲内であるのが適当である。
本発明におけるPPS樹脂(a)と官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の配合割合は、(a)と(b)の合計を100重量%として、(a)/(b)=88〜78重量%/12〜22重量%の範囲であり、(a)/(b)=85〜80重量%/15〜20重量%の範囲が好ましく、(a)/(b)=85〜82重量%/15〜18重量%の範囲がさらに好ましい。なお、PPS樹脂(a)が88重量%を越える範囲では低温靱性向上効果に乏しく、PPS樹脂(a)が78重量%未満では剛性、耐熱性、膨潤性、耐薬品性、押出性、溶融流動性が著しく阻害されてしまうため好ましくない。特にPPS樹脂組成物の各種溶剤に対する低膨潤性が悪化する。
本発明において、PPS樹脂組成物に官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)を配合することにより、低温靱性を安定的に高くすることができる。
本発明で用いられるアミノ基、エポキシ基、イソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)の内、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物としては、一分子中にアミノ基を1個以上有し、アルコキシ基を2個あるいは3個有するシラン化合物で有ればいずれのものでも有効である。例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物としては、一分子中にエポキシ基を1個以上有し、アルコキシ基を2個あるいは3個有するシラン化合物で有ればいずれのものでも有効である。例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。イソシアネート基を有するアルコキシシラン化合物としては、一分子中にイソシアネート基を1個以上有し、アルコキシ基を2個あるいは3個有するシラン化合物で有ればいずれのものでも有効である。例えば、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリクロロシランなどが挙げられる。中でも安定した高い靱性向上効果を得る上で、エポキシシクロヘキシル基またはイソシアネート基を有するアルコキシシラン化合物であることが好ましく、さらにイソシアネート基を含有するアルコキシシラン化合物であることがより好ましい。
本発明において、官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)の配合量は、ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)と官能基を有するオレフィン系樹脂(b)からなる樹脂成分の合計100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲であり、0.2〜5重量部の範囲が好ましく、0.3〜3重量部の範囲がより好ましい。官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)の配合量が0.1重量部を下回る場合、安定した高い低温靱性を得ることが難しく、PPS樹脂組成物からなる成形体のモルフォロジーを十分に安定化することができない。また、官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)の配合量が10重量部を越える範囲では、溶融流動性が阻害されてしまうため好ましくない。
本発明の溶着部を有する低膨潤樹脂成形体は、靭性、特に低温での引張伸びに優れると共に、膨潤性の抑制された溶着部を有するポリフェニレンスルフィド樹脂成形体である。かかる特性を発現させるためには、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形体のモルフォロジーにおいて、PPS樹脂(a)が海相(連続相あるいはマトリックス)を形成し、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)が島相(分散相)を形成することが必要である。さらに、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の数平均分散粒子径が500nm以下であることが必須であり、好ましくは400nm以下、更に好ましくは300nm以下にするとよい。下限としては生産性の点から1nm以上であることが好ましい。官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の数平均分散粒子径が500nmを越えると、靱性向上効果および膨潤性が著しく損なわれる。
また、本発明の溶着部を有する低膨潤樹脂成形体は、溶融滞留の回数や時間が増加した際、溶融成形加工を繰り返した際、あるいは溶着工程を経た際においても、安定して優れた靱性を発現するものである。かかる特性を発現させるためには、一度射出成形した後にその成形片を粉砕し、再び射出成形を行った成形片においても、PPS樹脂(a)が海相(連続相あるいはマトリックス)を形成し、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)が島相(分散相)を形成することが必要である。さらに、再び射出成形を行った成形片のモルフォロジーが、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の数平均分散粒子径が500nm以下であることが必須であり、好ましくは400nm以下、更には300nm以下であることが特に好ましい。下限としては生産性の点から1nm以上であることが好ましい。再び射出成形を行った成形片での官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の数平均分散粒子径が500nmを越えると、靱性向上効果および膨潤性が著しく損なわれる。
なおここでいう数平均分散粒子径は、PPS樹脂(a)の融解ピーク温度+20℃の成形温度でASTM1号ダンベル試験片を成形し、その中心部から−20℃にて0.1μm以下の薄片をダンベル片の断面方向に切削し、日立製作所製H−7100型透過型電子顕微鏡(分解能(粒子像)0.38nm、倍率50〜60万倍)にて、1万倍に拡大して観察した際の任意の100個の、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の分散部分について、まずそれぞれの分散粒子について最大径と最小径を測定して平均値をその分散粒子の分散粒子径とし、その後それらの平均値を求めた数平均分散粒子径である。
ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法
本発明において、PPS樹脂組成物の製造方法としては、単軸、二軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、及びミキシングロールなど通常の溶融混練機に原料を供給して、PPS樹脂(a)の融解ピーク温度+5〜100℃の加工温度で溶融混練する方法などを代表例として挙げることができる。この際、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の分散をより細かくするには、二軸の押出機を使用し、せん断力を比較的強くすることが好ましい。具体的には、L/D(L:スクリュー長さ、D:スクリュー直径)が20以上であり、ニーディング部を2箇所以上有する二軸押出機を使用し、スクリュー回転数を200〜500回転/分として、混合時の樹脂温度がPPS樹脂(a)の融解ピーク温度+10〜70℃となるように混練する方法などを好ましく用いることができる。
射出成形した後にこれを粉砕し、再び射出成形を行った成形片においても、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の数平均分散粒子径が500nm以下であるPPS樹脂組成物を得るためには、溶融混練時における原料の配合順序が特に重要である。即ち、PPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを配合して予め溶融混練した後、さらに官能基を有するオレフィン系樹脂(b)を配合して溶融混練することが必要である。これにより、PPS樹脂(a)、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)、官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)を一括して溶融混練した場合に比較して、PPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)の反応が促進される結果、相構造が安定化し、溶融成形加工を繰り返した後にも官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の数平均分散粒子径が500nm以下に保持される。
なお、この際、PPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを配合し予め溶融混練してペレット化した後、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)と配合してさらに溶融混練することも可能であるし、PPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを配合して溶融混練中に、サイドフィーダーを用いて官能基を有するオレフィン系樹脂(b)を押出機の途中から供給して溶融混練することも可能である。
PPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを配合し予め溶融混練してペレット化した後、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)と配合してさらに溶融混練する前者の場合、PPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを配合し予め溶融混練する際に、せん断力を比較的強くすることが好ましい。具体的には、L/D(L:スクリュー長さ、D:スクリュー直径)が20以上、好ましくは30以上であり、ニーディング部を2箇所以上、好ましくは3箇所以上有する二軸押出機を使用し、スクリュー回転数を200〜500回転/分、好ましくは300〜500回転/分として混練する方法などを好ましく用いることができる。
PPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを配合して溶融混練中に、サイドフィーダーを用いて官能基を有するオレフィン系樹脂(b)を押出機の途中から供給して溶融混練する後者の場合、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)を、サイドフィーダーにより供給する以前に、PPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを、比較的強いせん断力により溶融混練することが好ましい。具体的に、サイドフィーダーより上流側のPPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを溶融混練する押出機部分のL/D(L:スクリュー長さ、D:スクリュー直径)が20以上、好ましくは30以上であり、ニーディング部を2箇所以上、好ましくは3箇所以上配した二軸押出機を用い、スクリュー回転数を200〜500回転/分、好ましくは300〜500回転/分として混練する方法などを好ましく用いることができる。
また、一部のPPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを配合し予め溶融混練してから、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)と、残りのPPS樹脂(a)とを配合して、さらに溶融混練することも可能である。
なお、PPS樹脂(a)については、溶融粘度や後処理行程の異なるPPS樹脂を適宜併用することが可能である。即ち、PPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを配合して予め溶融混練する際に、溶融粘度や後処理行程の異なるPPS樹脂を併用することが可能であるし、一部のPPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを配合して予め溶融混練した後、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)と、溶融粘度や後処理行程の異なる残りのPPS樹脂とをさらに溶融混練することも勿論可能である。
さらに、PPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを配合して予め溶融混練した後、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)と溶融混練したPPS樹脂組成物を中間樹脂組成物(A′)として調製し、この中間樹脂組成物(A′)に、追加のPPS樹脂(a′)を混合、希釈してPPS樹脂組成物とすることは、系の溶融粘度を低下させ、成形サイクル短縮による生産性向上や成形温度低下によるエネルギーコスト節約を図る観点から、好ましい方法として例示できる。
追加のPPS樹脂(a′)を混合する方法としては、中間樹脂組成物(A′)と追加のPPS樹脂(a′)とを溶融混練する方法、中間樹脂組成物(A′)に追加のPPS樹脂(a′)をドライブレンドして溶融成形加工に供する方法などを挙げることができる。好ましくは、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の熱履歴、熱劣化を最小限に留める観点から、中間樹脂組成物(A′)と追加のPPS樹脂(a′)とをドライブレンドして溶融成形加工に供する後者の方法がよい。
追加のPPS樹脂(a′)の混合量については、最終的に得られるPPS樹脂組成物が、PPS樹脂(a)と追加のPPS樹脂(a′)と官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の合計を100重量%として、PPS樹脂(a)と追加のPPS樹脂(a′)の合計が88〜78重量%、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)が12〜22重量%であるとよい。また、官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)の割合は、PPS樹脂(a)と追加のPPS樹脂(a′)と官能基を有するオレフィン系樹脂(b)からなる樹脂成分100重量部に対して、0.1〜10重量部となる量であれば特に制限はないが、好ましくは、中間樹脂組成物(A′)100重量部に対し、0〜300重量部、より好ましくは5〜200重量部、さらに好ましくは10〜100重量部にするとよい。
追加のPPS樹脂(a′)を配合する以前の中間樹脂組成物(A′)について、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の割合は、PPS樹脂(a)と官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の合計100重量%に対し、1〜40重量%が好ましい範囲として例示できるが、追加のPPS樹脂(a′)を混合して希釈することを考慮して、PPS樹脂組成物において最終的に所望する官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の割合よりも多く設計しておくことが望ましい。好ましくはPPS樹脂(a)と官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の合計100重量%に対し、3〜40重量%であり、さらには6〜30重量%がより好ましい範囲として挙げられる。
追加のPPS樹脂(a′)を配合する以前の中間樹脂組成物(A′)について、官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)の割合は、PPS樹脂(a)と官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の合計100重量部に対し、0.1〜10重量部であれば特に制限はないが、追加のPPS樹脂(a′)を混合して希釈することを考慮して、PPS樹脂組成物において最終的に所望する官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)の割合よりも多く設計しておくことが望ましい。好ましくはPPS樹脂(a)と官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の合計100重量部に対し、0.5〜10重量部であり、さらには1〜5重量部がより好ましい範囲として挙げられる。
追加で混合するPPS樹脂(a′)は、PPS樹脂(a)と同一であっても良いし、溶融粘度や後処理行程の異なるPPS樹脂であっても良い。例えば、追加のPPS樹脂(a′)の溶融粘度を意図的に変えることにより、最終的なPPS樹脂組成物の溶融粘度を自由にコントロールすることが可能である。また、PPS樹脂を重合、回収した後の後処理行程において、アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、とりわけカルシウム塩を導入したPPS樹脂(a′)を用いることにより、最終的なPPS樹脂組成物の溶融粘度は、溶融滞留時間を延長しても変化が起こりにくくなり、滞留安定性が向上することから、特に好ましい手法として例示できる。アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩を導入したPPS樹脂(a′)としては、アルカリ金属とアルカリ土類金属を合計して150ppm以上含むことが好ましく、さらには250ppm以上含むことがより好ましい。アルカリ金属とアルカリ土類金属の合計含有量が150ppmを下回る量である場合、溶融粘度の変化を抑制する効果が不十分となり好ましくない。アルカリ金属とアルカリ土類金属の合計含有量の上限に制限はないが、耐湿熱性や電気絶縁性を損なわない観点から、1000ppm以下が好ましい。なお、ここで言うアルカリ金属とアルカリ土類金属の合計含有量は、PPS樹脂を灰化した灰分の水溶液を試料とし、原子吸光法により測定した値である。
本発明において、PPS樹脂組成物には、任意成分として、本発明の効果を損なわない範囲で無機フィラーを配合して使用することも可能である。かかる無機フィラーの具体例としてはガラス繊維、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填材、あるいはフラーレン、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、シリカ、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛などの非繊維状充填材が用いられ、なかでもガラス繊維、シリカ、炭酸カルシウムが好ましく、さらに炭酸カルシウムやシリカが、防食材、滑材の効果の点から特に好ましい。またこれらの無機フィラーは中空であってもよく、さらに2種類以上併用することも可能である。また、これらの無機フィラーをイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用してもよい。中でも炭酸カルシウムやシリカ、カーボンブラックが、防食材、滑材、導電性付与の効果の点から好ましい。
かかる無機フィラーの配合量は、ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)と官能基を有するオレフィン系樹脂(b)からなる樹脂成分の合計100重量部に対し、30重量部以下の範囲が選択され、10重量部未満の範囲が好ましく、1重量部未満の範囲がより好ましく、0.8重量部以下の範囲が更に好ましい。下限は特に無いが0.0001重量部以上が好ましい。無機フィラーの配合は材料の弾性率向上に有効である反面、30重量部を越えるような多量の配合は靱性の大きな低下をもたらすため、好ましくない。無機フィラーの含有量は、靱性と剛性のバランスから用途により適宜変えることが可能である。
さらに、本発明では、PPS樹脂組成物は本発明の効果を損なわない範囲において、PPS樹脂(a)及び官能基を有するオレフィン系樹脂(b)以外の樹脂を添加配合しても良い。その具体例としては、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリルサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、エチレン・1−ブテン共重合体などのエポキシ基を含有しないオレフィン系重合体、共重合体などが挙げられる。
また、改質を目的として、以下のような化合物の添加が可能である。ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン系化合物などの可塑剤、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物、シリコーン系化合物などの離型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、(3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)などの様なフェノール系酸化防止剤、(ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト)などのようなリン系酸化防止剤、その他、水、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、発泡剤などの通常の添加剤を配合することができる。上記化合物は何れも組成物全体の20重量%を越えるとPPS樹脂(a)本来の特性が損なわれるため好ましくなく、10重量%以下、更に好ましくは1重量%以下の添加がよい。
本発明の溶着部を有する低膨潤樹脂成形体は、好ましくはポリフェニレンスルフィド樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを予め溶融混練した後、さらに官能基を有するオレフィン系樹脂(b)と溶融混練することにより、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を製造し、これを溶融成形した少なくとも2つの成形品(成形片)を溶着成形することにより製造することができる。成形片の形状および溶着部分(接合面)の形状は、特に制限されるものではなく、用途に合わせて任意に設計することができる。成形片の溶着方法としては、例えば、熱板溶着法、レーザー溶着法、振動溶着法、射出溶着法、熱線溶着法などが例示でき、成形片の接合面どうしを溶着する工程は、例えば、次のようにして行うことができる。
熱板溶着法の場合、各成形片の接合面を熱板により溶融させ、素早く成形片の接合面どうしを圧接させて溶着させる。この際の熱板条件としては、通常の条件をとればよく、例えば接触法の場合、例えば熱板温度290〜350℃、溶融時間10〜120秒、押し込み代0.1〜2mmを採用することができる。
レーザー溶着法の場合、レーザー光に対して非吸収性の成形片とレーザー光に対して吸収性の成形片を接合面で重ね合わせた状態で、非吸収性の部分成形体側からレーザー光を照射して溶着させる。また、レーザー光吸収性とするためには、カーボンブラックを添加する手法を例示することができる。カーボンブラックを添加することで照射されるレーザー光の透過率を5%以下とすることができ、レーザー光のエネルギーを効率的に熱に変換することが可能となる。この際のレーザー溶着条件としては通常の条件をとればよく、例えば、レーザー光として、YAGレーザー、レーザー光波長800〜1060nm、レーザー光出力5〜30Wを採用することができる。
振動溶着法の場合、各成形片の接合面どうしを上下に圧接させた状態とし、この状態で横方向に振動を与えて発生する摩擦熱によって溶着させる。この際の振動条件としては通常の条件をとればよく、例えば、振動数100〜300Hz、振幅0.5〜2.0mmを採用することができる。
射出溶着法の場合、各成形片を型内にインサートし、又は型内で位置変更した後に、接合面を合わせた状態で保持し、その接合部の周縁に新たに溶融樹脂を射出して各成形片を互いに溶着させて溶着部を有する樹脂成形体を成形する。この際の射出溶着条件としては通常の条件をとればよく、例えば、樹脂温度300〜320℃、射出圧力10〜150MPa、型締め力60〜4000トン、型温度30〜80℃を採用することができる(尚、前記記載の型内で位置変更して行なう方法は、ダイスライド成形や、ダイ回転成形などともいわれている)。
熱線溶着法の場合、例えば鉄−クロム製の線材を成形片の接合部に埋め込んだ状態で接合面どうしを圧接し、線材に電流をかけジュール熱を発生させその発熱によって接合面を溶着させる。
これら溶着方法のなかでも、熱板溶着が溶着部の強度や成形加工性から特に好ましい。
本発明の溶着部を有する低膨潤樹脂成形体は、膨潤性が抑制されていると共に、靭性、特に低温での引張伸びに優れる。具体的に、本発明の溶着部を有する低膨潤樹脂成形体は、−40℃下、引張速度1m/secにおける引張破断伸度(ASTM D638に準じて測定)が、10%以上であることが好ましく、12%以上であることがより好ましく、15%以上であることが更に好ましい。−40℃での引張破断伸度が10%を下回る場合、樹脂成形体に引張応力がかかった際、溶着部界面における破断が起こり易くなり好ましくない。
本発明の低膨潤樹脂成形体は、靭性、特に低温での引張伸びに優れると共に、膨潤性が低く抑制される。具体的に、上記樹脂組成物を成形して得られた溶着部を有しないASTM1号ダンベル片を、試験燃料Fuel D(トルエン/イソオクタン=60vol%/40vol%)中、60℃にて1000h浸漬後、初期重量に対する重量変化率が、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましい。重量変化率が15%を上回る場合、長期で燃料に接触する環境で使用された際、剛性・強度の低下や、寸法の変化により製品設計上十分な性能を発現できず好ましくない。
本発明の溶着部を有する低膨潤樹脂成形体は、靭性、特に低温での引張伸びに優れると共に、膨潤性が抑制されていることから、溶着部を有する部品、例えば電気・電子、一般機器、パイプ、ケース等の構造体、金属インサート成形物品、自動車用の高圧タンク、ガソリンタンクなどに適している。特に燃料タンクとしては、二輪自動車、三輪自動車、四輪自動車、六輪以上の車輪を持つ自動車などの燃料タンクとして利用することが出来る。さらに、自動車(オートバイを含む)以外にも、船舶、航空機、スノーモービル、水上バイク等のレジャー用機器、建設重機(ブルドーザーなど)や発電機などの工業用機器、草刈り機やトラクター等の農業用機器などの燃料タンクとしても有用である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
以下の実施例において、材料特性については下記の方法により評価した。
[射出成形(1回目)]
ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のペレットを原料として、住友−ネスタール射出成形機SG75を用い、樹脂温度310℃、金型温度130℃にて、ASTM1号ダンベル試験片を成形した。
[射出成形(2回目)]
一度射出成形したASTM1号ダンベル試験片を、粉砕器を用いて約1〜5mm四方の大きさに粉砕した。これを原料として、住友−ネスタール射出成形機SG75を用い、樹脂温度310℃、金型温度130℃にて、ASTM1号ダンベル試験片を成形した。
[分散粒径]
上記により射出成形したASTM1号ダンベル試験片の中央部を樹脂の流れ方向に対して直角方向に切断し、その断面の中心部から、−20℃で0.1μm以下の薄片を切削し、日立製作所製H−7100型透過型電子顕微鏡(分解能(粒子像)0.38nm、倍率50〜60万倍)にて、1万倍に拡大して観察した際の任意の100個の、オレフィン系樹脂(b)の分散部分について、まずそれぞれの分散粒子について最大径と最小径を測定して平均値をその分散粒子径とし、その後それらの平均値である数平均分散粒子径を求めた。なお、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)を含有しないPPS樹脂組成物については、オレフィン系樹脂(b)の代わりに配合したオレフィン系樹脂成分の分散粒子径及び数平均分散粒子径を測定した。
[溶着部を有しない樹脂成形体の引張伸度]
前記、射出成形(1回目)で得られたASTM1号ダンベル試験片について、温度雰囲気を−40℃とした以外は、ASTM D638に従って、引張速度1m/secの条件で引張破断伸びを測定した。
[溶着部を有する樹脂成形体の引張伸度]
住友−ネスタール射出成形機SG75を用い、樹脂温度310℃、金型温度130℃にて、図1(a)に示すごとく、ASTM1号ダンベルの1/2の長さの成形片(2)を2つ成形した。図1(b)に示すごとく、この2つの成形片(2)を、室温(23℃)雰囲気下で熱板溶着(熱板温度290〜320℃、溶融時間30〜90秒)により溶着して、溶着部(3)を有する樹脂成形体(1)を作製した。次いで、樹脂成形体(1)について、温度雰囲気を−40℃とした以外は、ASTM D638に従って、引張速度1m/secの条件で引張破断伸びを測定した。
[燃料膨潤量]
前記、射出成形(1回目)で得られたASTM1号ダンベル試験片を、試験燃料Fuel D(トルエン/イソオクタン=60vol%/40vol%)中、60℃にて1000h浸漬後、初期重量に対する重量変化率を測定した。
以下の実施例及び比較例について、以下の原材料を使用した。
[参考例1]PPS樹脂(a)の重合(PPS−1)
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2957.21g(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム2583.00g(31.50モル)、及びイオン交換水10500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
次にp−ジクロロベンゼン10235.46g(69.63モル)、NMP9009.00g(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1260g(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷した。
内容物を取り出し、26300gのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を31900gのNMPで洗浄、濾別した。これを、56000gのイオン交換水で数回洗浄、濾別した後、0.05重量%酢酸水溶液70000gで洗浄、濾別した。70000gのイオン交換水で洗浄、濾別した後、得られた含水PPS粒子を80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。得られたPPS−1は、溶融粘度が200Pa・s(310℃、剪断速度1000/s)、アルカリ金属とアルカリ土類金属の合計含有量が85ppmであった。
[参考例2]PPS樹脂(a)の重合(PPS−2)
PPS樹脂洗浄時における0.05重量%酢酸水溶液をイオン交換水とした以外は、参考例1と同様にして脱水、重合、洗浄、乾燥を行った。得られたPPS−2は、溶融粘度が250Pa・s(310℃、剪断速度1000/s)、アルカリ金属とアルカリ土類金属の合計含有量が710ppmであった。
[参考例3]PPS樹脂(a′)の重合(PPS−3)
PPS樹脂重合時に加えるp−ジクロロベンゼンを10486.98g(71.34モル)とし、PPS樹脂洗浄時における0.05重量%酢酸水溶液を0.05重量%酢酸カルシウム一水和物水溶液とした以外は、参考例1と同様にして脱水、重合、洗浄、乾燥を行った。得られたPPS−3は、溶融粘度が160Pa・s(310℃、剪断速度1000/s)、アルカリ金属とアルカリ土類金属の合計含有量が703ppmであった。
官能基を有するオレフィン系樹脂(b)
b−1:無水マレイン酸で変性されたエチレン・1−ブテン共重合体(三井化学(株)製“タフマー”MH5020)
b−2:無水マレイン酸で変性されたエチレン・プロピレン共重合体(三井化学(株)製“タフマー”MP0610)
b−3:エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学(株)製“ボンドファースト”BF−E)
官能基を有さないオレフィン系樹脂
b′−1:変性されていないエチレン・1−ブテン共重合体(三井化学(株)製“タフマー”TX610)
官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)
c−1:2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製KBM−303)
c−2:3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製KBE−9007)
多官能イソシアネート化合物
c′−1:ジフェニルメタンジイソシアネート系の多官能イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製“ミリオネート”MR−400)
エポキシ樹脂化合物
c′−2:エポキシクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC(株)製“EPICLON”N−695)
c′−3:特殊多官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製“エピコート”1031S)
[実施例1〜4]
表1に示すPPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)を、表1に示す割合でドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所社製TEX30α型二軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部5箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が330℃以下となるようにシリンダー温度を設定して溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットを130℃で1晩乾燥し、表1に示すオレフィン系樹脂(b)と、表1に示す割合になる様にドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所社製TEX30α型二軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部5箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が330℃以下となるようにシリンダー温度を設定して溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化して、PPS樹脂組成物を得た。
130℃で一晩乾燥したペレットを射出成形に供し、オレフィン系樹脂(b)の数平均分散粒径、溶着部を有しない樹脂成形体の引張破断伸び、溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸び、燃料膨潤量を測定した。結果は表1に示すとおりであった。
[実施例5]
表1に示すPPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)を、表1に示す割合でドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所社製TEX30α型二軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部5箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が330℃以下となるようにシリンダー温度を設定して溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットを130℃で1晩乾燥し、表1に示すオレフィン系樹脂(b)と、表1に示す割合になる様にドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所社製TEX30α型二軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部5箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が330℃以下となるようにシリンダー温度を設定して溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化して、中間樹脂組成物を得た。
130℃で一晩乾燥した中間樹脂組成物のペレットと、表1に示すPPS樹脂(a′)とを、表1に示す割合になるようにドライブレンドして均一に混合してから射出成形に供し、オレフィン系樹脂(b)の数平均分散粒径、溶着部を有しない樹脂成形体の引張破断伸び、溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸び、燃料膨潤量を測定した。結果は表1に示すとおりであった。
Figure 2011168637
[比較例1〜2]
表2に示すPPS樹脂(a)、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)、官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)を、表2に示す割合でドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所社製TEX30α型二軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部5箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が330℃以下となるようにシリンダー温度を設定して溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。
130℃で一晩乾燥したペレットを射出成形に供し、オレフィン系樹脂(b)の数平均分散粒径、溶着部を有しない樹脂成形体の引張破断伸び、溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸び、燃料膨潤量を測定した。結果は表2に示すとおりであった。
[比較例3]
表2に示すPPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)を、表2に示す割合でドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所社製TEX30α型二軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部5箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が330℃以下となるようにシリンダー温度を設定して溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットを130℃で1晩乾燥し、表2に示す官能基を有するオレフィン系樹脂(b)を、表2に示す割合になる様にドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所社製TEX30α型二軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部5箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が330℃以下となるようにシリンダー温度を設定して溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。
130℃で一晩乾燥したペレットを射出成形に供し、オレフィン系樹脂(b)の数平均分散粒径、溶着部を有しない樹脂成形体の引張破断伸び、溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸び、燃料膨潤量を測定した。結果は表2に示すとおりであった。
[比較例4]
官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)を、ジフェニルメタンジイソシアネート系の多官能イソシアネート化合物c′−1とした以外は、実施例1と同様に溶融混練、射出成形、評価を行った。結果は表2に示すとおりであった。
[比較例5]
PPS樹脂(a)をPPS−2とし、また、官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)をエポキシクレゾールノボラック型のエポキシ樹脂c′−2とし、その添加量を1部とした以外は比較例2と同様に溶融混練、射出成形、評価を行った。結果は表2に示すとおりであった。
[比較例6]
官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)を、エポキシクレゾールノボラック型のエポキシ樹脂c′−2とした以外は、実施例4と同様に溶融混練、射出成形、評価を行った。結果は表3に示すとおりであった。
[比較例7]
官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)を、特殊多官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂c′−3とし、その添加量を1.9部とした以外は実施例4と同様に溶融混練、射出成形、評価を行った。結果は表3に示すとおりであった。
[比較例8〜9]
表3に示すPPS樹脂(a)と官能基を有するオレフィン系樹脂(b)および官能基を有さないオレフィン系樹脂(b′)を、表3に示す割合でドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所社製TEX30α型二軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部5箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が330℃以下となるようにシリンダー温度を設定して溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。
130℃で一晩乾燥したペレットを射出成形に供し、数平均分散粒径、溶着部を有しない樹脂成形体の引張破断伸び、溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸び、燃料膨潤量を測定した。結果は表3に示すとおりであった。
[比較例10]
官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)としてc−1を2.5部添加し、PPS樹脂(a)と官能基を有するオレフィン系樹脂(b)および官能基を有さないオレフィン系樹脂(b′)と一括して混練した以外は、比較例8と同様に溶融混練、射出成形、評価を行った。結果は表3に示すとおりであった。
Figure 2011168637
Figure 2011168637
上記実施例1〜5と比較例1〜10の結果を比較して説明する。実施例1〜5はいずれも、PPS樹脂(a)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)を予め溶融混練した後、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)と更に溶融混練することにより、1回目の射出成形で得られるASTM1号ダンベル試験片について、オレフィン系樹脂(b)の分散粒径は、500nm以下に微分散化していると共に、2回目の射出成形で得られるASTM1号ダンベル試験片についても、オレフィン系樹脂(b)が500nm以下に微分散化していた。また、溶着部を有する樹脂成形体の−40℃下、引張速度1m/secにおける引張破断伸度は、10%以上の高い値を示した。
一方、比較例1〜2の様に、PPS樹脂(a)と官能基を有するオレフィン系樹脂(b)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)を一括して混練した場合には、1回目の射出成形で得られるASTM1号ダンベル試験片について、オレフィン系樹脂(b)の分散粒径は、対応する実施例に比較して粗大化した。さらに、2回目の射出成形で得られるASTM1号ダンベル試験片について、オレフィン系樹脂(b)の分散粒径は、1回目の射出成形で得られるASTM1号ダンベル試験片に比較してさらに粗大化し、いずれも500nmを上回った。また、低温での引張伸びは著しく低下した。
実施例1とは異なり、オレフィン系樹脂(b)を30%に増量した比較例3では、1回目および2回目の射出成形で得られるASTM1号ダンベル試験片について、オレフィン系樹脂(b)の分散粒径は、500nmを上回った。また、溶着部を有する樹脂成形体の−40℃下、引張速度1m/secにおける引張破断伸度は、10%を越えるものの、オレフィン系樹脂(b)量が多いために燃料膨潤量は著しく増加した。また実施例1と異なり、アルコキシシラン化合物(c)を多官能イソシアネート化合物とした比較例4では、1回目の射出成形で得られるASTM1号ダンベル試験片について、オレフィン系樹脂(b)の分散粒径は、500nmを越える大きさに粗大化した。さらに、2回目の射出成形で得られるASTM1号ダンベル試験片について、オレフィン系樹脂(b)の分散粒径は、1回目の射出成形で得られるASTM1号ダンベル試験片に比較してさらに粗大化した。
実施例4とは異なり、PPS樹脂(a)をPPS−2とし、アルコキシシラン化合物(c)をエポキシクレゾールノボラック型エポキシ樹脂とし、全てを一括して混練した比較例5では、1回目の射出成形で得られるASTM1号ダンベル試験片について、オレフィン系樹脂(b)の分散粒径は500nm以下となったものの、2回目の射出成形で得られるASTM1号ダンベル試験片について、オレフィン系樹脂(b)の分散粒径は500nmを越える大きさに粗大化した。この様に相構造が不安定であるが故に、溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸びは著しく低下した。
実施例4とは異なり、アルコキシシラン化合物(c)をエポキシクレゾールノボラック型エポキシ樹脂とした比較例6では、2回目の射出成形で得られるASTM1号ダンベル試験片について、オレフィン系樹脂(b)の分散粒径が500nm以下の大きさで分散しているものの、溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸びは低いものであった。また実施例4とは異なり、アルコキシシラン化合物(c)を特殊多官能型ビスフェノールA型エポキシ樹脂とし、その添加量を1.9部とした比較例7では、2回目の射出成形で得られるASTM1号ダンベル試験片について、オレフィン系樹脂(b)の分散粒径が500nm以下の大きさで分散しているものの、溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸びは低いものであった。比較例6、7では、それぞれエポキシクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、特殊多官能型ビスフェノールA型エポキシ樹脂に由来する分解ガスが多く発生するため、溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸びは低下してしまう結果であった。
実施例とは異なり、オレフィン系樹脂(b)の代わりに、エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体と官能基を有さないオレフィン系樹脂(b′)として、無変性エチレン・1−ブテン共重合体を併用し、アルコキシシラン化合物(c)を無添加として一括混練した比較例8、9では、2回目の射出成形で得られるASTM1号ダンベル試験片について、オレフィン系樹脂成分の分散粒径が500nm以下の大きさで分散しているものの、溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸びは低いものであった。柔軟性に乏しいエチレン・グリシジルメタクリレート共重合体を使用し、また、PPS樹脂と反応できない未変性のエチレン・ブテン共重合体を併用しているため、溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸びは低下してしまう結果であった。
実施例とは異なり、オレフィン系樹脂(b)の代わりに、エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体と官能基を有さないオレフィン系樹脂(b′)として、無変性エチレン・1−ブテン共重合体を併用し、アルコキシシラン化合物(c)を添加して一括混練した比較例10では、2回目の射出成形で得られるASTM1号ダンベル試験片について、オレフィン系樹脂成分の分散粒径が500nm以下の大きさで分散しているものの、溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸びは低いものであった。比較例8、9同様、柔軟性に乏しいエチレン・グリシジルメタクリレート共重合体を使用し、また、PPS樹脂と反応できない未変性のエチレン・ブテン共重合体を併用しているため、溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸びは低下してしまう結果であった。
1 樹脂成形体
2 成形片
3 溶着部

Claims (7)

  1. ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる溶着部を有した低膨潤樹脂成形体であって、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、(a)と(b)の合計を100重量%として、ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)を88〜78重量%と、官能基を有するオレフィン系樹脂(b)を12〜22重量%とからなる樹脂成分100重量部に対して、官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)を0.1〜10重量部配合してなり、前記官能基を有するオレフィン系樹脂(b)がカルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、メルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有し、前記官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)がアミノ基、エポキシ基、イソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有してなり、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を射出成形した成形片のモルフォロジー(相構造)が、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)が連続相(海相)を形成し、前記官能基を有するオレフィン系樹脂(b)が数平均分散粒子径500nm以下で分散した分散相(島相)を形成した海−島構造であり、かつ射出成形した後に前記成形片を粉砕し、再び射出成形を行った成形片においても、前記官能基を有するオレフィン系樹脂(b)の分散相が数平均分散粒子径500nm以下で分散することを特徴とする、溶着部を有した低膨潤樹脂成形体。
  2. 前記溶着部を有する樹脂成形体の−40℃下、引張速度1m/secにおける引張破断伸度(ASTM D638に準じて測定)が10%以上であることを特徴とする請求項1に記載の溶着部を有した低膨潤樹脂成形体。
  3. 前記官能基を有するオレフィン系樹脂(b)が、カルボキシル基および/または酸無水物基を有するエチレン・ブテン共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の溶着部を有した低膨潤樹脂成形体。
  4. 前記官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)が、エポキシシクロヘキシル基またはイソシアネート基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶着部を有した低膨潤樹脂成形体。
  5. 前記ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)が、酸処理を施したポリフェニレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶着部を有した低膨潤樹脂成形体。
  6. 前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)と前記官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを予め溶融混練した後、さらに官能基を有するオレフィン系樹脂(b)と溶融混練することにより得られることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の溶着部を有した低膨潤樹脂成形体。
  7. 前記ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)と前記官能基を有するアルコキシシラン化合物(c)とを予め溶融混練した後、さらに官能基を有するオレフィン系樹脂(b)と溶融混練することにより、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を製造し、これを溶融成形した少なくとも2つの成形品を溶着成形することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の溶着部を有した低膨潤樹脂成形体の製造方法。
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