JP2590250B2 - プラスチック管状体 - Google Patents

プラスチック管状体

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JP2590250B2
JP2590250B2 JP1021868A JP2186889A JP2590250B2 JP 2590250 B2 JP2590250 B2 JP 2590250B2 JP 1021868 A JP1021868 A JP 1021868A JP 2186889 A JP2186889 A JP 2186889A JP 2590250 B2 JP2590250 B2 JP 2590250B2
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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、耐熱性、耐薬品性およびガスバリヤ性が高
くしかも柔軟性および耐衝撃性に優れたポリフェニレン
スルフィド樹脂系プラスチック管状体に関するものであ
る。
<従来の技術> 油圧ホースや水圧ホースなどの各種圧力ホース、バキ
ュームホース、クーラー配管ホースおよび自動車工業な
どに用いられる燃料配管チューブ、ブレーキチューブ、
エアコン用配管ホース、コントロールケーブル用ライナ
ーなどには多くの樹脂材料が用いられている。特に自動
車工業分野で用いられる各種チューブ、ホースなどは、
高温下での高い強度や長期にわたる耐熱性、耐薬品性お
よびガスバリヤ性、さらに柔軟性などに極めて高い性能
が要求されるため、合成ゴムをベースとして補強材や充
填材を添加したり、多層構造にしたり、また、特殊なエ
ンジニアリングプラスチックを使用するなど種々の方策
が取られている。
これらの管状体用途におけるエンジニアリングプラス
チックの使用例としては、ナイロン11、12などの高級ポ
リアミドを用いるもの、特殊なポリエステルアミドを用
いるもの(たとえば特開昭58−125745号公報)および変
性ポリエチレンテレフタレートを用いるもの(たとえば
特開昭62−288651号公報)などが挙げられるが、ナイロ
ン11、12やポリエステルアミドの場合には耐熱性および
ガスバリヤ性が不十分であり、また、変性ポリエチレン
テレフタレートの場合は耐加水分解性が不足する点が問
題となっていた。
このように、主として自動車工業分野におけるチュー
ブ、ホースに対する諸要求性能、すなわち耐熱性、耐薬
品性、ガスバリヤ性、柔軟性、耐衝撃性および耐加水分
解性のすべてを満足できるチューブ、ホース用プラスチ
ック材料はまだ得られていないのが現状である。
<発明が解決しようとする課題> そこで本発明者らは上記の諸要求性能すべてを満たす
高性能樹脂材料とその成形品を得るべく鋭意検討した結
果、ポリアリーレンスルフィド樹脂およびエポキシ基含
有オレフィン系共重合体を特定の割合で組合わせて得ら
れる樹脂組成物を溶融押出成形することにより、上記目
的を一挙に達成したプラスチック管状体が得られること
を見出し、本発明に到達した。
<課題を解決するための手段> すなわち本発明はポリアリーレンスルフィド樹脂40〜
95重量%およびエポキシ基含有オレフィン系共重合体5
〜60重量%からなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成
物を、280〜350℃の温度で、押出機の先端から吐出され
る溶融ポリマの剪断速度が0.1〜100sec-1となる押出条
件下で成形してなることを特徴とするプラスチック管状
体に関するものである。
なお、本発明で用いるポリアリーレンスルフィド樹脂
は脱イオン処理を施されたものである場合に一層好適な
効果を発揮する。
本発明で使用するポリフェニレンスルフィド樹脂(以
下、PPSと略称する)とは、構造式 で示される繰返し単位を70モル%以上、より好ましくは
90モル%以上含む重合体であり、上記繰返し単位が70モ
ル%未満では耐熱性が損われるため好ましくない。
PPSは一般に、特公昭45−3368号公報で代表される製
造法により得られる比較的分子量の小さい重合体と、特
公昭52−12240号公報で代表される製造法により得られ
る本質的に線状で比較的高分子量の重合体などがあり、
前記特公昭45−3368号公報記載の方法で得られた重合体
においては、重合後酸素雰囲気下において加熱すること
により、あるいは過酸化物などの架橋剤を添加して加熱
することにより高重合度化して用いることも可能であ
る。
本発明においてはいかなる方法により得られたPPSを
用いることも可能であるが、本質的に線状で比較的高分
子量の重合体がより好ましく使用される。
また、PPSはその繰返し単位の30モル%未満を下記の
構造式を有する繰返し単位などで構成することが可能で
ある。
本発明で用いるPPSは上記重合工程を経て生成したの
ち酸処理、熱水処理または有機溶媒による洗浄などの脱
イオン処理を施されたものであることが望ましい。
酸処理を行う場合は次のとおりである。本発明でPPS
の酸処理に用いる酸は、PPSを分解する作用を有しない
ものであれば特に制限はなく、酢酸、塩酸、硫酸、リン
酸、珪酸、炭酸およびプロピル酸などが挙げられ、中で
も酢酸および塩酸がより好ましく用いられ得るが、硝酸
のようなPPSを分解、劣化させるものは好ましくない。
酸処理の方法は、酸または酸の水溶液にPPSを浸漬せ
しめるなどの方法があり、必要により適宜攪拌または加
熱することも可能である。たとえば、酢酸を用いる場
合、pH4の水溶液を80〜90℃に加熱した中にPPS粉末を浸
漬し、30分間攪拌することにより十分な効果が得られ
る。酸処理を施されたPPSは残留している酸または塩な
どを物理的に除去するため、水または温水で数回洗浄す
ることが必要である。
洗浄に用いる水は、酸処理によるPPSの好ましい化学
的変性の効果を損わない意味で、蒸留水、脱イオン水で
あることが好ましい。
熱水処理を行う場合は次のとおりである。
本発明において使用するPPSを熱水処理するにあた
り、熱水の温度を100℃以上、より好ましくは120℃以
上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは170℃
以上とすることが重要であり、100℃未満ではPPSの好ま
しい化学的変性の効果が小さいため好ましくない。
本発明の熱水洗浄によるPPSの好ましい化学的変性の
効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イ
オン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通
常、所定量の水に所定量のPPSを投入し、圧力容器内で
加熱、攪拌することにより行われる。PPSと水との割合
は、水の多い方が好ましいが、通常、水1に対し、PP
S200g以下の浴比が選択される。
また、熱水処理の雰囲気は、末端基の分解は好ましく
ないので、これを回避するため不活性雰囲気下とするこ
とが好ましい。さらに、この熱水処理操作を終えたPPS
を、残留している成分を物理的に除去するために温水で
数回洗浄するのが好ましい。
有機溶媒で洗浄する場合は次のとおりである。
本発明でPPSの洗浄に用いる有機溶媒は、PPSを分解す
る作用などを有しないものであれば特に制限はなく、た
とえばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノ
ン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピペラジノン類な
どの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチル
スルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系
溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケト
ン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエー
テル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロ
フランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチ
レン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パークロ
ルエチレン、モノクロルエタノン、ジクロルエタン、テ
トラクロルエタン、パークロルエタン、クロルベンゼン
などのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ルなどのアルコール・フェノール系溶媒およびベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒な
どが挙げられる。これらの有機溶媒のうちでも、N−メ
チルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよ
びクロロホルムなどの使用が特に好ましい。また、これ
らの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合系で使
用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPP
Sを浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜攪
拌または加熱することも可能である。
有機溶媒でPPSを洗浄する際の洗浄温度については特
に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択で
きる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向
があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が
得られる。
圧力容器中で、有機溶媒の沸点以上の温度で加圧下に
洗浄することも可能である。また、洗浄時間についても
特に制限はなく、たとえば洗浄条件にもよるが、バッチ
式洗浄の場合、通常5分間以上洗浄することにより、十
分な効果が得られる。また連続式で洗浄することも可能
である。
重合により生成したPPSは、有機溶媒で洗浄するのみ
で十分であるが、本発明の効果をさらに発揮させるため
には、水洗浄または温水洗浄と組合わせるのが好まし
い。また、N−メチルピロリドンなどの高沸点水溶性有
機溶媒を用いた場合は、有機溶媒洗浄後、水または温水
で洗浄することにより、残存有機溶媒の除去が容易に行
えるため好ましい。これらの洗浄に用いる水は蒸留水、
脱イオン水でることが好ましい。
本発明で用いられるPPSの溶融粘度は特に制限なく、
ポリオレフィン類との混練が可能であればいかなる溶融
粘度のものでも用いることができるが、通常は320℃、
剪断速度10sec-1における溶融粘度が100〜10,000ポイズ
のものが用いられる。
本発明で用いるエポキシ基含有オレフィン系重合体と
は、側鎖または主鎖にエポキシ基を有するオレフィン系
重合体であり、通常のエポキシ樹脂は含まれない。
エポキシ基含有オレフィン系重合体としては、側鎖に
グリシジルエステル、グリシジルエーテル、グリシジル
アミンなどのグリシジル基を有するオレフィン系重合体
などが挙げられる。
本発明ではこれらエポキシ基含有オレフィン系重合体
のうち、α−オレフィンとα、β−不飽和酸のグリシジ
ルエステルからなる共重合体が好ましく用いられる。こ
こでいうα−オレフィンとしてはエチレン、プロピレ
ン、ブテン−1などが挙げられる。また、α、β−不飽
和酸のグリシジルエステルとは一般式 (Rは水素原子または低級アルキル基を示す) で示される化合物であり、具体的にはアクリル酸グリシ
ジル、メタクリル酸グリシジルおよびエタクリル酸グリ
シジルなどが挙げられる。
エポキシ基含有オレフィン系重合体におけるエポキシ
基の含有量は0.1〜30重量%、特に0.2〜20重量%が好ま
しく、0.1重量%未満では目的とする効果が得られる、3
0重量%を越えるとPPSとの溶融混練時にゲル化を生じ、
押出安定性、成形性および機械特性が低下するため好ま
しくない。
エポキシ基含有オレフィン系重合体には、本発明の効
果を損わない範囲で、他のオレフィン系モノマ、たとえ
ばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリロニ
トリル、スチレン、酢酸ビニルおよびビニルエーテルな
どを共重合せしめてもよい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、上
記PPSとエポキシ基含有オレフィン系共重合体以外に、
必要に応じてさらに30重量%以下の割合で、上記エポキ
シ基含有オレフィン系共重合体を除くエラストマーを第
3成分として含有することができる。本発明で第3成分
として用いられるエラストマの例としては、たとえばポ
リオレフィン系エラストマ、ジエン系エラストマ、アク
リル系エラストマ、ポリアミドエラストマ、ポリエステ
ルエラストマ、シリコーンエラストマ、フッ素エラスト
マおよび多硫化物エラストマなどが挙げられる。
ポリオレフィン系エラストマの具体例としては、エチ
レン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合
体、ポリブテン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合
体およびエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられ
る。
ジエン系エラストマとしてはスチレン−ブタジエン共
重合体、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリ
ル共重合体、ポリイソプレン、ブテン−イソプレイ共重
合体およびスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン
共重合体のようなこれらの水添物などが挙げられる。
アクリル系エラストマの具体例としては、エチレン−
(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メ
タ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)ア
クリル酸プロピル共重合体、エチレン−(メタ)アクリ
ル酸ブチル共重合体などのオレフィン−アクリル酸エス
テル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−アクリロニ
トリル共重合体、(メタ)アクリル酸プロピル−アクリ
ロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸ブチル−アク
リロニトリル共重合体などの(メタ)アクリル酸エステ
ル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−(メタ)ア
クリル酸共重合体およびそれのNa、Zn、K、Ca、Mgなど
の金属塩および上述のブタジエン−アクリロニトリル共
重合体などが挙げられる。
ポリアミド系エラストマとは、ポリアミド成分のハー
ドセグメントとポリエーテル成分および/またはポリエ
ステル成分のソフトセグメントを有するブロック共重合
体のエラストマである。ここでいうポリアミド成分の例
としてはNH−RI−COnまたはNH−RII−NHCO−R
III−COn(ここでRI、RIIおよびRIIIは炭素数2〜15
のアルキレン基またはその置換体を示す)が挙げられ
る。ポリエーテル成分の例としてはORn(Rは炭素
数2〜15のアルキレン基またはその置換体を示す)が挙
げられ、ポリエステル成分の例としてはORI−COn
またはO−RII−OCO−RIII−COn(ここでRI、RII
およびRIIIは炭素数2〜15のアルキレン基またはその置
換体を示す)が挙げられる。
またポリアミド系エラストマとしてはナイロン6、ナ
イロン66、ナイロン610、ナイロン11およびナイロン12
のランダム共重合体も含まれる。
シリコーンエラストマとは で表わされるポリシロキサンであり、Rとしてはメチル
基の他、エチル基、プロピル基、フェニル基、ビニル
基、フッ化アルキル基および(CH2)mCN基などが挙げら
れる。
フッ素系エラストマとしてはたとえば、フッ化ビニリ
デン−パーフルオロプロパン共重合体、フッ化ビニリデ
ン−三フッ化塩化エチレン共重合体、四フッ化エチレン
−プロピレン共重合体および四フッ化エチレン−C2F3OC
F3共重合体などの他、ジヒドロパーフルオロブチルアク
リレート重合体やトリフルオロメトキシジヒドロパーフ
ルオロアクリレート共重合体などの含フッ素アクリレー
ト重合体、 などのフルオロシリコーン系エラストマおよび などのフォスファゼン系エラストマなどが挙げられる。
多硫化物エラストマとは、式R−Smnで表わされ
るポリマであり、Rの例としては −CH2−、−C2H4−、−C3H6−、−C4H8−、−C6H12−、
−C10H20−、−C2H4 −C2H4OCH2OC2H4−、 −C2H4OC2H4OC2H4−、 (R′は炭素数1〜4のアルキル基)および などが挙げられ、mは1〜である。これらのエラストマ
は1種または2種以上の混合物で使用される。
本発明の樹脂組成物におけるPPSの配合割合は40〜95
重量%、好ましくは50〜90重量%の範囲内である。配合
割合が40重量%に満たないと成形した管状体の耐熱性、
耐薬品性が不足するため好ましくなく、一方配合量が95
重量%を越えると管状体の柔軟性、耐衝撃性が不足する
ため好ましくない。
第2成分のエポキシ基含有オレフィン系共重合体の配
合割合は5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲
内である。
また第3成分のエラストマの配合割合は30重量%以
下、好ましくは5〜30重量%である。エラストマの添加
は特に柔軟性付与に有効であるが、配合量が30重量%を
越えると管状体の耐薬品性が損われるので好ましくな
い。
本発明の樹脂組成物の調製方法は特に制限なくPPS樹
脂、エポキシ基含有オレフィン系共重合体およびエラス
トマの粉末、ペレット、細片をリボンブレンダー、ヘン
シェルミキサー、Vブレンダーなどを用いてドライブレ
ンドしたのち、バンバリーミキサー、ミキシングロー
ル、単軸または2軸の押出機、ニーダーなどを用いて溶
融混練する方法などが挙げられる。中でも十分な混練力
を有する単軸または2軸の押出機を用いて溶融混練する
方法が代表的である。
本発明の管状体は上記樹脂組成物を押出機のホッパー
に供給し、シリンダー温度280〜350℃で押出機先端部の
ダイスから吐出される溶融ポリマの剪断速度が0.1〜100
sec-1となるような条件で円筒状に成形し、引続きホー
ミング装置で所定の寸法に成形冷却し、これを引取機を
とおして所定の長さに切断することにより得られる。
成形温度は280〜350℃の範囲から選択され、280℃未
満の温度では樹脂の溶融状態が不安定で連続成形が困難
となり、一方、350℃を越えると樹脂の分解、ゲル化な
どの好ましくない副反応が生起するため不適当である。
また、ポリマがダイスをとおる際の剪断速度は0.1〜1
00sec-1、好ましくは0.5〜70sec-1の範囲から選択さ
れ、この範囲を外れると管状体表面外観の悪化、肉厚ム
ラなどがおこりやすくなるため好ましくない。
また、管状体成形時に円形および寸法保持のためホー
ミング部に内圧法やバキュームホーミング法などを適用
することができ、さらに冷却ゾーンの長さ、冷却温度お
よび摺動面の平滑化などの配慮をすることにより目的の
管状体を得ることができる。
また本発明で用いるPPS樹脂組成物には、本発明の効
果を損わない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、結
晶核剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤などの通常の添
加剤および少量の他種ポリマを添加することができ、さ
らに、PPSの架橋度を制御する目的で通常の過酸化剤お
よび特開昭59−131650号公報に記載されているチオホス
フィン酸金属塩などの架橋促進剤または特開昭58−2040
45号公報、特開昭58−204046号公報などに記載されてい
るジアルキル錫ジカルボキシレート、アミノトリアゾー
ルなどの架橋防止剤を配合することも可能である。
本発明において、繊維状および/または粒状の強化剤
は必須成分ではないが、必要に応じてPPS樹脂組成物の
合計100重量部に対して400重量部を越えない範囲で配合
することが可能であり、通常10〜300重量部の範囲で配
合することにより強度、剛性、耐熱性および寸法安定性
などの向上を図ることが可能である。
かかる繊維状強化剤としては、ガラス繊維、シラスガ
ラス繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊
維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの無機
繊維および炭素繊維などが挙げられる。
また粒状の強化剤としては、ワラステナイト、セリサ
イト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アス
ベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、ア
ルミナ、塩化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウ
ム、酸化チタンなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、ドロマイドなどの炭酸塩、硫酸カルシ
ウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラス・ビーズ、窒
化ホウ素、炭化珪素、サロヤンおよびシリカなどが挙げ
られ、これらは中空であってもよい。これら強化剤は2
種以上を併用することが可能であり、必要によりシラン
系およびチタン系などのカップリング剤で予備処理して
使用することができる。
<実施例> 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明す
る。なお、実施例および比較例に記した樹脂および管状
体の物性は次のようにして測定した。
(1)耐熱性:射出成形試験片を用いASTMD648の方法に
従って熱変形温度を測定した。
(2)柔軟性:射出成形試験片を用いASTMD790の方法に
従って曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。
(3)衝撃強度:管状体上に5.53kgに重錘を1mの高さか
ら落下させ、n=20で試験した際の破壊率を測定した。
(4)耐薬品性:40×40×0.2mmのプレスシートを成形
し、これを膨潤油3号に浸漬し、100℃で70時間処理し
た際の重量増分を測定し、耐油性の目安とした。
参考例1(PPSの場合) オートクレーブに硫化ナトリウム3.26kg(25モル、結
晶水40%を含む)、水酸化ナトリウム4g、酢酸ナトリウ
ム三水和物1.36kg(約10モル)およびN−メチル−2−
ピロリドン(以下、NMPと略称する)7.9kgを仕込み、攪
拌しながら徐々に205℃まで昇温し、水1.36kgを含む留
出水約1.5を除去した。残留混合物に1,4−ジクロルベ
ンゼン3.75kg(25.5モル)およびNMP2kgを加え、265℃
で4時間加熱した。反応生成物を70℃の温水で5回洗浄
し、80℃で24時間減圧乾燥して、溶融粘度約2,500ボア
ズ(320℃、剪断速度10sec-1)の粉末状PPS(P−1)
約2kgを得た。
同様の操作を繰返し、以下に記載の実施例に供した。
参考例2(PPSの酸処理) 参考例1で得られたPPS粉末約2kgを、90℃に加熱され
たpH4の酢酸水溶液20中に投入し、約30分間攪拌し続
けたのち過し、液のpHが7になるまで約90℃の脱イ
オン水で洗浄し、120℃で24時間減圧乾燥して粉末状と
し、酸処理PPS(P−2)を得た。
参考例3(PPSの熱水処理) 参考例1で得られたPPS粉末約2kgと脱イオン水10と
をオートクレーブに仕込み、常圧で密封したのち、175
℃まで昇温し、攪拌しながら約30分間保温したのち冷却
した。内容物を取出して過し、さらに70℃の脱イオン
水約10の中にPPSを浸漬、攪拌し、過する操作を5
回繰返した。その後120℃で24時間減圧乾燥して熱水洗
浄PPS(P−3)を得た。
参考例4(PPSの溶媒洗浄) 参考例1で得られた粉末約2kgを100℃に加熱したN−
メチルピロリドン(NMP)20中に投入し、約30分間攪
拌したのち、過し、続いて約90℃のイオン交換水で洗
浄した。このものを120℃で24時間減圧乾燥してNMP洗浄
PPS(P−4)を得た。
実施例1 参考例2で得られた酸洗浄PPS(P−2)80重量%お
よびエチレンとグリシジルメタクリレート共重合体(共
重合比88/12重量%)20重量%をドライブレンドしたの
ち、30mmφ2軸押出機に供給し、320℃の温度で溶融混
練しペレタイザーによりペレット化した。ここで得られ
たペレットを80℃で3時間熱風乾燥したのち、295℃に
加熱された口径45mmφ、L/D=23に押出機に供給し、内
圧法チューブ成形用ダイスを経て剪断速度8sec-1で円筒
状に押出し、サイジングプレートをとおして10℃の水中
で冷却することにより、外径8.0mm、内径6.0mmの外観良
好なチューブを成形した。また乾燥ペレットの一部をイ
ンラインスクリュー式射出成形機を用いて、シリンダー
温度310℃、金型温度130℃の条件で成形を行い試験片を
作製した。
ここで得られたチューブおよび試験片の特性は第1表
に示すとおりであり、耐熱性、柔軟性、耐衝撃性および
耐薬品性が良好な極めて実用性の高いチューブであるこ
とが判明した。
比較例1 実施例1で用いたエチレン−グリシジルメタクリレー
ト共重合体の配合量を3重量%とした以外は実施例1と
全く同様に溶融混練、成形を行い得られたチューブ、試
験片の特性を調べたところ、このものは曲げ弾性率32,0
00kg/cm2、チューブ破壊率100%であり、柔軟性および
耐衝撃性が不足であった。
比較例2 実施例1で用いたエチレン−グリシジルメタクリレー
ト共重合体の配合量を60重量%とした以外は実施例14と
全く同様に溶融混練、成形を行い、得られたチューブ試
験片の特性を測定したところ耐薬品性が処理後重量増22
0%と著しく劣っており、実用に耐えないものであっ
た。
実施例2〜10 脱イオン処理方法の異なるPPS、エチレン−グリシジ
ルメタクリレート共重合体およびいくるかのエラストマ
を第1表のように組合わせて種々配合比を変えた混合物
を、実施例1と同様の方法で溶融混練、成形を実施し得
られたチューブおよび試験片の特性をまとめて第1表に
示した。ここで得られた成形品はいずれも外観良好かつ
優れた耐熱性、柔軟性、耐衝撃性および耐薬品性を兼ね
備えた極めて実用価値の高いものであった。
比較例3 チューブ成形の際の剪断速度を0.05sec-1に設定した
以外は、実施例1と全く同様の操作でPPS組成物の調製
およびチューブ成形を試みた。
しかし、この場合には、ダイス先端部分で溶融ポリマ
のゲル化に起因する異物のチューブ壁内への混入が顕在
化してブツの多い成形品となり、良好なチューブ成形品
を得ることができなかった。
比較例4 チューブ成形の際の剪断速度を300sec-1に設定した以
外は、実施例1と全く同様の操作でPPS組成物の調製お
よびチューブ成形を試みた。
この場合には、ペレットの溶融/可塑化が不十分なた
め、ダイスからのポリマ吐出が不安定な脈流となり、均
一なチューブ成形品を得ることができなかった。
<発明の効果> 本発明のPPSおよびエポキシ基含有オレフィン系共重
合体、またはPPS樹脂、エポキシ基含有オレフィン共重
合体およびエラストマからなる樹脂組成物を押出成形し
て得られるプラスチック管状態体は、優れた耐熱性、耐
薬品性、柔軟性および耐衝撃性を具備しており、各種圧
力ホースやバキュームホース、クーラー配管ホース、自
動車用各種チューブおよびコントロールケーブル用ライ
ナーなどに有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−154757(JP,A) 特開 昭57−193319(JP,A) 特公 昭41−19829(JP,B1)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアリーレンスルフィド樹脂40〜95重量
    %およびエポキシ基含有オレフィン系共重合体5〜60重
    量%からなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を、
    280〜350℃の温度で、押出機の先端から吐出される溶融
    ポリマの剪断速度が0.1〜100sec-1となる押出条件下で
    成形してなることを特徴とするプラスチック管状体。
  2. 【請求項2】ポリアリーレンスルフィド樹脂が脱イオン
    処理を施されたものであることを特徴とする請求項
    (1)に記載のプラスチック管状体。
  3. 【請求項3】ポリアリーレンスルフィド樹脂が、酸処
    理、120℃以上の温度での熱水処理および有機溶媒によ
    る処理から選ばれた少なくとも一つの方法で脱イオン処
    理を施されたものであることを特徴とする請求項(1)
    または(2)に記載のプラスチック管状体。
  4. 【請求項4】ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が、
    第3成分としてエポキシ基含有オレフィン系共重合体以
    外のエラストマー5〜30重量%をさらに含むことを特徴
    とする請求項(1)〜(3)のいずれか1項に記載のプ
    ラスチック管状体。
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