JP3855837B2 - 電槽 - Google Patents

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JP3855837B2
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  • Sealing Battery Cases Or Jackets (AREA)

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,バリヤー性に優れた電槽に関する。
【0002】
【従来技術】
例えば自動車等に搭載される電池のケースである電槽は,金属製のものに限らず,樹脂製のものも多く生産されている。
樹脂製の電槽の中でも,軽量で耐薬品性,耐熱性に優れる,ポリプロピレン(以下,「PP」と記載する。)/ポリフェニレンエーテル(以下,「PPE」と記載する。)複合材が量産されている。
【0003】
【解決しようとする課題】
ところで,樹脂製の電槽に求められる特性としては,上記の耐薬品性等に加えて,水分などの透過を抑えるバリヤー性に優れることが求められる。
しかしながら,上記のPP/PPE複合材については,バリヤー性が十分とはいえず,それが原因で電池寿命を短くしてしまうおそれがある。例えば,水分や水素が透過した場合には,電解液の濃度が変化し,それが原因で電池寿命が短くなってしまう。
【0004】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,従来よりもバリヤー性に優れ,電池寿命の延長を図ることができる電槽を提供しようとするものである。
【0005】
【課題の解決手段】
第1の発明は,(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂及び(b)オレフィン系樹脂が組成物全体の80重量%以上を占め,(b)の含有量が,(a)100重量部に対し,10〜100重量部である樹脂組成物からなり,
(b)成分は,α−オレフィン60〜99重量%及びα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステル1〜40重量%を必須共重合成分とするオレフィン系共重合体(b1)と,エポキシ基,酸無水物基,カルボン酸金属錯体のいずれの官能基も有しないオレフィン系(共)重合体(b2)の併用であり,
該樹脂組成物は,厚み2mmの試験片によりJIS K−7129B法に従って温度40℃において測定した水分透過量が0.6g/m2・24H以下であり,かつ,厚み2mmの試験片によりJIS K−7126A法に従って温度40℃において測定した水素透過係数が4.0×10-15mol・m/m2・s・Pa以下であることを特徴とする電槽にある(請求項1)。
【0006】
本発明の電槽は,上記ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下,PPS樹脂という)とオレフィン系樹脂を上記特定の割合で有する樹脂組成物からなる。なお,オレフィン系樹脂は,上記含有量に示すごとく,任意の成分樹脂である。
本発明の電槽を構成する上記樹脂組成物は,上記水分透過量と水素透過係数の両方を上記のごとく抑制する特性を引き出すことができ,バリヤー性を従来よりも向上させることができる。そのため,この樹脂組成物よりなる電槽を用いれば,電解液の濃度変化等を抑制することができ,電池寿命を延長させることができる。
【0007】
また,上記樹脂組成物がオレフィン系樹脂を含有している場合には,優れた柔軟性,耐衝撃性,耐熱性,熱安定性,耐薬品性及び耐油性を発揮することもできる。
また,上記樹脂組成物がオレフィン系樹脂を含有している上記樹脂組成物は,溶着特性にも優れる。そのため,上記樹脂組成物よりなる複数の部材を溶着して上記電槽を構成することも可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の電槽を構成する上記樹脂組成物は,上記のごとく,PPS樹脂とオレフィン系樹脂が組成物全体の80重量%以上を占める。両者の合計の含有量が80%未満の場合には,高い耐熱性,熱安定性,耐薬品性を損なうおそれがある。そのため,より好ましくは,両者の合計の含有量が90重量%以上であることがより好ましい。
【0009】
さらに,上記樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲において,オレフィン系共重合体以外の樹脂を添加することが可能である。例えば,柔軟性の高い熱可塑性樹脂を少量添加することにより柔軟性及び耐衝撃性を更に改良することが可能である。但し,この量が樹脂組成物全体の20重量%以上になるとPPS樹脂本来の高い耐熱性,熱安定性,耐薬品性が損なわれるため好ましくなく,特に10重量%以下の添加が好ましい。
【0010】
また,上記PPS樹脂とオレフィン系樹脂の含有割合は,PPS樹脂100重量部に対し,オレフィン系樹脂が0〜100重量部である。これにより,バリヤー性に優れた樹脂組成物を得ることができる。また,オレフィン系樹脂を含有させることによって,溶着特性,柔軟性及び耐衝撃性に優れた電槽を得ることもできる。一方,100重量部を超える場合には,PPS樹脂本来の耐熱性,熱安定性,耐薬品性,耐油性が損なわれるばかりでなく,溶融混練時の増粘が大きくなり,射出成形性が損なわれる傾向が生じるため,好ましくない。
【0011】
また,上記樹脂組成物における上記(b)オレフィン系樹脂の含有量は,(a)100重量部に対し,10〜100重量部であるオレフィン系樹脂を10重量部以上含有させることによって,溶着特性,柔軟性及び耐衝撃性の改良効果をさらに高めることができる。
更に好ましくは,オレフィン系樹脂の配合割合は,PPS樹脂100重量部に対して,15〜70重量部である。これにより,PPS樹脂本来の特性を維持しつつ,柔軟性及び溶着特性を更に向上させることができる。
【0012】
また,上記樹脂組成物は,上記のごとく,厚み2mmの試験片によりJIS K−7129B法に従って測定した水分透過量が0.6g/m2・24H以下であり,かつ,厚み2mmの試験片によりJIS K−7126A法に従って測定した水素透過係数が4.0×10-15mol・m/m2・s・Pa以下である。これら2つの特性を具備することによって,電槽に求められるバリヤー性を大きく向上させることができる。そしてこれらの特性を満足する樹脂組成物を用いて構成した電槽は,鉛電池,ニッケル水素電池,ニッケルカドミウム電池,リチウム電池など,様々な電池における電池寿命の延長を図ることができる。
【0013】
一方,上記水分透過量が0.6g/m2・24Hを超える場合,あるいは上記水素透過係数が4.0×10-15mol・m/m2・s・Paを超える場合には,水分や水素などの透過によって電解液の濃度等に変化が生じ,電池寿命の延長があまり望めないという問題がある。なお,この水分透過量は0g/m2・24Hに近づくほど好ましく,水素透過係数も0mol・m/m2・s・Paに近づくほど好ましい。
【0014】
ここで,上記電槽に用いる上記樹脂組成物樹脂につき,以下にさらに詳説する。
(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)
上記樹脂組成物に含有されるPPS樹脂は,下記の構造式で示される繰り返し単位を含む重合体である。
【0015】
【化1】
Figure 0003855837
【0016】
PPS樹脂は、耐熱性の点から、上記繰返し単位を70モル%以上、特に90モル%以上を含む重合体であることが好ましい。
PPS樹脂はその繰返し単位の30モル%未満を下記の構造式を有する繰返し単位などで構成することが可能である。
【0017】
【化2】
Figure 0003855837
【0018】
【化3】
Figure 0003855837
【0019】
【化4】
Figure 0003855837
【0020】
【化5】
Figure 0003855837
【0021】
【化6】
Figure 0003855837
【0022】
【化7】
Figure 0003855837
【0023】
【化8】
Figure 0003855837
【0024】
また,上記PPS樹脂としては,特公昭45−3368号公報に開示されている方法により得られる比較的分子量の小さい重合体,あるいは,特公昭52−12240号公報で開示される方法により得られる実質的に直鎖状で比較的高分子量の重合体等がある。
【0025】
上記特公昭45−3368号公報記載の方法で得られた重合体は,重合後酸素雰囲気下において加熱することにより,あるいは過酸化物などの架橋剤を添加して加熱することにより,高重合度化して用いることも可能である。
本発明においてはいかなる方法により得られたPPS樹脂を用いることも可能であるが,本発明の効果が顕著であること及びPPS樹脂自体の靭性,柔軟性及び耐衝撃性が優れるという理由で上記特公昭52−12240号公報で代表される製造法により実質的に直鎖状で比較的高分子量の重合体が好ましく用いられる。
【0026】
本発明で用いられるPPS樹脂は,上記重合工程を経て生成した後,i)酸処理,ii)熱水処理又はiii)有機溶媒による洗浄を施されたものであることが好ましい。
【0027】
i)酸処理
酸処理に用いる酸は,PPS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく,酢酸,塩酸,硫酸,リン酸,珪酸,炭酸及びプロピル酸などが挙げられ,なかでも酢酸及び塩酸がより好ましく用いられるが,硝酸のようなPPS樹脂を分解,劣化させるものは好ましくない。
酸処理の方法は,酸又は酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり,必要により適宜撹拌又は加熱することも可能である。例えば,酢酸を用いる場合,pH4の水溶液を80〜90℃に加熱した中にPPS樹脂粉末を浸漬し,30分間撹拌することにより十分な効果が得られる。酸処理を施されたPPS樹脂は残留している酸又は塩などを物理的に除去するため,水又は温水で数回洗浄することが必要である。
洗浄に用いる水は,酸処理によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で,蒸留水,脱イオン水であることが好ましい。
【0028】
ii)熱水処理
PPS樹脂を熱水処理するにあたり,熱水の温度を100℃以上,より好ましくは120℃以上,さらに好ましくは150℃以上,特に好ましくは170℃以上とすることが重要である。熱水の温度が100℃未満では,PPS樹脂の好ましい化学的変性の効果が小さいため好ましくない。
上記熱水処理によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するため,使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は,通常,所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し,圧力容器内で加熱,撹拌することにより行われる。PPS樹脂と水との割合は,水の多い方が好ましいが,通常,水1リットルに対し,PPS樹脂200g以下の比が選択される。
熱水処理の雰囲気は,不活性雰囲気下とすることが望ましい。末端基の分解は好ましくないので,これを回避するためである。この熱水処理操作を終えたPPS樹脂は,残留している成分を除去するため温水で数回洗浄するのが好ましい。
【0029】
iii)有機溶媒による洗浄
PPS樹脂の洗浄に用いる有機溶媒は,PPS樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく,例えばN−メチルピロリドン,ジメチルホルムアミド,ジメチルアセトアミド,1,3−ジメチルイミダゾリジノン,ヘキサメチルホスホラスアミド,ピペラジノン類などの含窒素極性溶媒,ジメチルスルホキシド,ジメチルスルホン,スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒,アセトン,メチルエチルケトン,ジエチルケトン,アセトフェノンなどのケトン系溶媒,ジメチルエーテル,ジプロピルエーテル,ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒,クロロホルム,塩化メチレン,トリクロロエチレン,2塩化エチレン,パークロルエチレン,モノクロルエタン,ジクロルエタン,テトラクロルエタン,パークロルエタン,クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒,メタノール,エタノール,プロパノール,ブタノール,ペンタノール,エチレングリコール,プロピレングリコール,フェノール,クレゾール,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒及びベンゼン,トルエン,キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のうちでも,N−メチルピロリドン,アセトン,ジメチルホルムアミド及びクロロホルムなどの使用が特に好ましい。また,これらの有機溶媒は,1種類又は2種類以上の混合で使用される。
【0030】
有機溶媒による洗浄の方法としては,有機溶媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり,必要により適宜撹拌又は加熱することも可能である。
有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく,常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなる程洗浄効率が高くなる傾向があるが,通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。
圧力容器中で,有機溶媒の沸点以上の温度で加圧下に洗浄することも可能である。また,洗浄時間についても特に制限はない。洗浄条件にもよるが,バッチ式洗浄の場合,通常5分間以上洗浄することにより十分な効果が得られる。また連続式で洗浄することも可能である。
【0031】
重合により生成したPPS樹脂は,有機溶媒で洗浄するのみで十分であるが,本発明の効果をさらに発揮させるために,水洗浄又は温水洗浄と組み合わせるのが好ましい。また,N−メチルピロリドンなどの高沸点水溶性有機溶媒を用いた場合は,有機溶媒洗浄後,水又は温水で洗浄することにより,残存有機溶媒の除去が容易に行えて好ましい。これらの洗浄に用いる水は蒸留水,脱イオン水であることが好ましい。
【0032】
本発明において用いるPPS樹脂の溶融粘度は,得られる組成物の柔軟性及び耐衝撃性を高度にバランスさせるためには,ASTM−D1238に従って測定したメルトフローレート(温度315.5℃,荷重0.49MPa)が250g/10min以下であることが好ましく,特に150g/10min以下であるものがより好ましい。
【0033】
(b)オレフィン系樹脂
本発明で用いるオレフィン系樹脂は,オレフィンを(共)重合した重合体であり,具体的には,オレフィン系(共)重合体,及びそれらにエポキシ基,酸無水物基,カルボン酸金属錯体などの官能基を有する単量体成分(以下,官能基含有成分と略す。)を導入して得られるオレフィン系(共)重合体(変性オレフィン系(共)重合体)などが挙げられる。
本発明においてオレフィン系樹脂は1種又は2種以上で使用することも可能である。
【0034】
オレフィン系(共)重合体としては,エチレン,プロピレン,ブテン−1,ペンテン−1,4−メチルペンテン−1,イソブチレンなどのα−オレフィン単独又は2種以上を重合して得られる(共)重合体,α−オレフィンとアクリル酸,アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,メタクリル酸,メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸ブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸及びそのアルキルエステルとの共重合体などが挙げられる。オレフィン系(共)重合体の好適な具体例としては,ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン/プロピレン共重合体,エチレン/ブテン−1共重合体,エチレン/アクリル酸メチル共重合体,エチレン/アクリル酸エチル共重合体,エチレン/アクリル酸ブチル共重合体,エチレン/メタクリル酸メチル共重合体,エチレン/メタクリル酸エチル共重合体,エチレン/メタクリル酸ブチル共重合体などが挙げられる。
【0035】
また,オレフィン系共重合体には40重量%以下で,かつ本発明の目的を損なわない範囲で,さらに共重合可能な他の不飽和モノマ,例えば,ビニルエーテル,酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,アクリロニトリル,スチレンなどを共重合させてもよい。
【0036】
上記オレフィン系(共)重合体にエポキシ基,酸無水物基,カルボン酸金属錯体などの官能基を有する単量体成分を導入するための官能基含有成分の例としては,無水マレイン酸,無水イタコン酸,無水シトラコン酸,エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物などの酸無水物基を含有する単量体,アクリル酸グリシジル,メタクリル酸グリシジル,エタクリル酸グリシジル,イタコン酸グリシジル,シトラコン酸グリシジルなどのエポキシ基を含有する単量体,カルボン酸金属錯体などを含有する単量体が挙げられる。
【0037】
これら官能基含有成分を導入する方法は特に制限なく,共重合させたり,オレフィン重合体にラジカル開始剤を用いてグラフト導入させるなどの方法を用いることができる。
官能基を含有する単量体成分の導入量はオレフィン(共)重合体全体に対して0.001〜40モル%,好ましくは0.01〜35モル%の範囲内であるのが適当である。
【0038】
本発明で特に有用なオレフィン(共)重合体にエポキシ基,酸無水物基,カルボン酸金属錯体などの官能基を有する単量体成分を導入して得られるオレフィン(共)重合体としては,α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを必須共重合成分とするオレフィン系(共)重合体,α−オレフィンと酸無水物基を含有する単量体を必須共重合成分とするオレフィン系(共)重合体及びα−オレフィンとカルボン酸金属錯体を必須共重合成分とするオレフィン系共重合体が好ましく挙げられる。また,これら共重合体にはさらに,アクリル酸,アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,メタクリル酸,メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸ブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸及びそのアルキルエステル等を共重合することも可能である。
【0039】
本発明においては特にα−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを必須成分とするオレフィン系共重合体の使用が好ましく,中でも,(b)α−オレフィン60〜99重量%とα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステル1〜40重量%を必須共重合成分とするオレフィン系共重合体が好ましい。
上記α,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルとしては,下記の一般式により示される化合物を用いることができる。式中,Rは水素原子又は低級アルキル基を示す。
【0040】
【化9】
Figure 0003855837
【0041】
上記α,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルは,具体的にはアクリル酸グリシジル,メタクリル酸グリシジル,エタクリル酸グリシジルなどが挙げられるが,なかでもメタクリル酸グリシジルが好ましく使用される。
α−オレフィン及びα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを必須共重合成分とするオレフィン系共重合体の具体例としては,エチレン/プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体("g"はグラフトを表す,以下同じ),エチレン/ブテン−1−g−メタクリル酸グリシジル共重合体,エチレン/アクリル酸グリシジル共重合体,エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体,エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体,エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体が挙げられる。中でも,エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体,エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体,エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体が好ましく用いられる。
【0042】
本発明の電槽に用いる樹脂組成物としては,上記のごとく,PPS樹脂本来の高い耐熱性,熱安定性,耐薬品性を損なわないためには,(a)PPS樹脂及び(b)オレフィン系樹脂の合計量が組成物全体の80重量%以上であることが必要であり,90重量%以上であることがより好ましい。
【0043】
さらに,上記樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲において,(a)PPS樹脂及び(b)オレフィン系樹脂に加えて,オレフィン系共重合体以外の樹脂を添加することが可能である。例えば,柔軟性の高い熱可塑性樹脂を少量添加することにより柔軟性及び耐衝撃性を更に改良することが可能である。
【0044】
上記熱可塑性樹脂の具体例としては,ポリアミド樹脂,ポリブチレンテレフタレート樹脂,変性ポリフェニレンエーテル樹脂,ポリサルフォン樹脂,ポリアリルサルフォン樹脂,ポリケトン樹脂,ポリエーテルイミド樹脂,ポリアリレート樹脂,液晶ポリマー,ポリエーテルサルフォン樹脂,ポリエーテルケトン樹脂,ポリチオエーテルケトン樹脂,ポリエーテルエーテルケトン樹脂,ポリイミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,四フッ化ポリエチレン樹脂などが挙げられる。また,改質を目的として,以下のような化合物の添加が可能である。イソシアネート系化合物,有機シラン系化合物,有機チタネート系化合物,有機ボラン系化合物,エポキシ化合物などのカップリング剤,ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物,チオエーテル系化合物,エステル系化合物,有機リン系化合物などの可塑剤,タルク,カオリン,有機リン化合物,ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤,ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン,モンタン酸ワックス類,ステアリン酸リチウム,ステアリン酸アルミ等の金属石鹸,エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重宿合物,シリコーン系化合物などの離型剤,次亜リン酸塩などの着色防止剤,その他,滑剤,紫外線防止剤,着色剤,難燃剤,発泡剤などの通常の添加剤を配合することができる。上記化合物は何れも樹脂組成物全体の20重量%を越えるとPPS樹脂本来の特性が損なわれるため好ましくなく,10重量%以下,更に好ましくは1重量%以下の添加が良い。
【0045】
上記樹脂組成物は,混練機等により混練する。混練機は,単軸,2軸の押出機,バンバリーミキサー,ニーダー及びミキシングロールなど通常公知の溶融混練機に供給して280〜380℃の温度で混練する方法などを代表例として挙げることができるが,オレフィン系共重合体の分散形態を上述の如くコントロールするためには,せん断力を比較的強くした方が好ましい。
【0046】
具体的には,2軸押出機を使用して,混合時の樹脂温度が320〜380℃となるように混練する方法などを好ましく用いることができる。この際,原料の混合順序には特に制限はなく,全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法,一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法,あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など,いずれの方法を用いてもよい。また,少量添加剤成分については,他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後,成形前に添加して成形に供することも可能である。
本発明の電槽に用いる樹脂組成物は,上記物性値を持つように,上記(a)PPS樹脂及び(b)オレフィン系樹脂の種類及び量とコンパウンド条件を調整した樹脂組成物からなる。
【0047】
また,上記電槽としては,射出成形により一体成形することもできるが,複数の成形片を溶着して作製することもできる。溶着により電槽を作製する場合には,その溶着方法として,たとえば,熱板溶着法,レーザ溶着法,振動溶着法などを採用することができる。
【0048】
次に,上記樹脂組成物は,温度23℃,相対湿度50%の条件下で,ASTM−D638に従って測定した引張破断伸度が35%以上であることが好ましい(請求項)。上記樹脂組成物の引張破断伸度を35%以上とすることによって,電槽の耐圧強度を十分に高めることができる。また,35%未満の場合には,溶着を行った場合の溶着特性が低下するおそれがある。
【0049】
また,上記電槽は上記樹脂組成物よりなる複数の部材を溶着して構成されており,溶着部を含む上記樹脂組成物の引張破断伸度は,温度23℃,相対湿度50%の条件下で,ASTM−D638に従って測定した値が20%以上であることが好ましい(請求項)。
なお,ここでいう「引張破断伸度」とは,溶着部がある場合にはこの溶着部を含む樹脂全体の引張破断伸度を意味する。また,溶着部がある場合には,その引張試験において,降伏を示してから,溶着界面での凝集破壊,もしくは溶着部以外で破断する(延性破断)。一方,上記引張破断伸度が20%未満の場合には,溶着部で界面破壊が生じる場合が多く,延性破断するとは言い難い。
【0050】
また,上記樹脂組成物は,ASTM−D256に従って測定したアイゾット衝撃強度が500J/m以上であることが好ましい(請求項)。これにより,本発明の効果が発揮できる上に,耐衝撃強度が更に向上する。一方,上記アイゾット衝撃強度が500J/m未満の場合には,耐衝撃強度が低下するおそれがある。ここで,上記アイドット衝撃強度とは,ノッチ付きアイゾット衝撃強度をいう。
【0051】
上記樹脂組成物は,上記引張破断伸度が35%以上であり,かつ上記アイゾット衝撃強度が500J/m以上であることが更に好ましい。かかる樹脂組成物により形成された電槽は,延性と強度を併有するため,溶着部を有する場合にその強度を一般部の強度と同程度に維持しつつ,溶着部での破断を抑制することができる。
【0052】
また,上記(b)オレフィン系樹脂は,α−オレフィン60〜99重量%とα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステル1〜40重量%とを必須成分として共重合してなるオレフィン系共重合体を含んでいる。これにより,本発明の効果を得ることができる上に,オレフィン系樹脂の分散性が向上し充分な柔軟性付与効果が得られる。一方,α−オレフィンが60重量%未満の場合,又はα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルが40重量%を超える場合には,PPS樹脂と溶融混練する際にゲル化するおそれがある。α−オレフィンが99重量%を超える場合,又はα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルが1重量%未満の場合には,PPS樹脂と反応する官能基が少なすぎ,分散性が悪く,充分な柔軟性付与効果が得られないおそれがある。
【0053】
特に,α−オレフィンが97〜70重量%であり,α,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステル3〜30重量%であることが好ましい。具体例としては,エチレン/メタクリル酸グリシジルを70〜97重量%/3〜30重量%の割合で含有する共重合体が好ましく用いられる。
【0054】
また,α−オレフィンと酸無水物基を含有する単量体を必須共重合成分とするオレフィン系(共)重合体の具体例としては,エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体,エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体,エチレン/アクリル酸メチル−g−無水マレイン酸共重合体,エチレン/アクリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合体,エチレン/メタクリル酸メチル−g−無水マレイン酸共重合体,エチレン/メタクリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合体が挙げられ,α−オレフィンとカルボン酸金属錯体を必須共重合成分とするオレフィン系共重合体の具体例としては,エチレン/メタクリル酸共重合体の亜鉛錯体,エチレン/メタクリル酸共重合体のマグネシウム錯体,エチレン/メタクリル酸共重合体のナトリウム錯体などを挙げることができる。
【0055】
本発明においては,上記の如く,(b)成分として,α−オレフィン60〜99重量%及びα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステル1〜40重量%を必須共重合成分とするオレフィン系共重合体の使用が好ましいが,なかでも,かかる共重合体と,エポキシ基,酸無水物基,カルボン酸金属錯体のいずれの官能基も有しないオレフィン系(共)重合体を併用することが好ましい。例えば,エチレン/ブテン−1共重合体,エチレン/プロピレン共重合体などが好ましく用いられる。かかる官能基を有しないオレフィン系(共)重合体としては,高い柔軟性を有することから,メルトフローレート(MFR)が比較的低いものが好ましく,特に3g/10min(ASTM−D1238,190℃,荷重0.21MPa)以下のものが好ましい。
【0056】
また,かかる(b)成分として,官能基を有するオレフィン系(共)重合体と官能基を有しないオレフィン系(共)重合体とを併用する場合の併用割合は,両者の合計に対し,官能基を有するオレフィン系(共)重合体が10〜40重量%,官能基を有しないオレフィン系(共)重合体が90〜60重量%であることが好ましい。
【0057】
また,上記(b)オレフィン系樹脂が,上記樹脂組成物中に平均粒子径0.5μm以下の粒子状で分散していることが好ましい(請求項)。これにより,引張破断伸度及びアイゾット衝撃強度が向上し,電槽の引張破断伸度が高くなる。
更には,これらの物性を更に向上させるため,(b)オレフィン系樹脂は平均粒子径0.3μm以下の粒子状で樹脂組成物中に分散していることが好ましい。
【0058】
また,上記樹脂組成物は,上記(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し,更に(c)フェノール系,チオエーテル系及びリン系の中から選ばれた1種以上の酸化防止剤を0.01〜5重量部含有することが好ましい(請求項)。これにより,電槽の成形時の熱安定性に加え,溶着時の熱安定性も向上するため,溶着特性が向上する。
かかる酸化防止剤の配合量は,耐熱改良効果の点からは0.01重量部以上であることが好ましく,成型時に発生するガス成分の観点からは,5重量部以下が好ましい。また,フェノール系及びリン系酸化防止剤を併用して使用することは,特に耐熱性及び熱安定性保持効果が大きく好ましい。
【0059】
フェノール系酸化防止剤としては,ヒンダードフェノール系化合物が好ましく用いられ,具体例としては,トリエチレングリコール−ビス[3−t−ブチル−(5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート],N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド),テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン,ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート],1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン,1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン,4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール),n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート,3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン,1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0060】
これらの中でも,エステル型高分子ヒンダードフェノールタイプが好ましく,具体的には,テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン,ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート],3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが好ましく用いられる。
【0061】
次にチオエーテル系酸化防止剤としては,テトラキス[メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート]メタン,ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート,ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネートなどが挙げられる。
【0062】
次にリン系酸化防止剤としては,ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト,ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト,ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト,トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト,テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビスフェニレンホスファイト,ジ−ステアリルペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト,トリフェニルホスファイト,3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスフォネートジエチルエステルなどが挙げられる。
【0063】
これらの中でも,酸化防止剤の揮発や分解を少なくするために,酸化防止剤の融点が高いものが好ましく,具体的にはビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト,ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト,ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトなどが好ましく用いられる。
【0064】
【実施例】
以下に実施例を示し,本発明を更に具体的に説明するが,本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
本例では,電槽に用いる樹脂組成物として,13種類の実施例を準備すると共に,比較のための2種類の比較例を準備して,その特性を測定し,評価した。
以下の実施例において,材料特性の測定を下記の方法により行った。
バリヤー性の指標として水分透過量と水素透過係数を,以下の方法で測定した。また,熱安定性の指標としてMFR保持率,耐熱性の指標として80℃曲げ弾性率,耐薬品性の指標として耐油性(重量増加率)を以下の方法で測定した。これら材料特性測定に用いる各試験片は,射出成形(シリンダー温度320℃,金型温度130℃)で作製した。
【0065】
[水分透過量]射出成形により作成した厚み2mmの角板よりなる試験片を用い,JIS K−7129B法に従って,湿度90%RH(相対湿度),温度40℃において測定した。
[水素透過係数]射出成形により作成した厚み2mmの角板よりなる試験片を用い,JIS K−7126A法に従って,湿度90%RH(相対湿度),温度40℃において測定した。
【0066】
[オレフィン系樹脂平均粒子径]試験片としてのASTM1号ダンベル片を上記の方法にて成形し,その中心部から−20℃にて0.1μm以下の薄片を切削し,透過型電子顕微鏡で観察した際の任意の100ヶのエラストマー分散部分について,まずそれぞれの最大径と最小径を測定して平均値を求め,その後それらの数の平均値を求めた。
[引張破断伸度]ASTM−D638に従って引張破断伸度を測定した。
[アイゾット衝撃強度]射出成形により試験片を作成し,ノッチを付け,ノッチ付き試験片を作成した。この試験片について,ASTM−D256に従ってノッチ付アイゾット衝撃強度を測定した。
【0067】
[80℃曲げ弾性率]ASTM−D790に従い,80℃にて測定した。
[MFR保持率,MF60/MF5]測定温度315.5℃,荷重0.49MPa(5000g)とし,ASTM−D1238−86に準ずる方法で,滞留時間5分のMFR(MF5)及び滞留時間60分のMFR(MF60)をそれぞれ測定し,両者の比(MF60/MF5)を%により表示した。滞留により粘度が増加した場合は,MFR保持率は低い値を示し,粘度が低下した場合は,MFR保持率は高い値となる。
[耐油性]試験片としてASTM1号ダンベル片を射出成形し,冷凍機油(JIS2種,ISO56 日本サン石油製 スニソSG)中,100℃にて70時間浸漬後,重量変化を測定し,重量増加率を%で表示した。
【0068】
[溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸度]
図1(a)に示すごとく,ASTM1号ダンベルの1/2の長さの成形片2を2つ成形した。図1(b)に示すごとく,この2つの成形片2を,室温(23℃)雰囲気下で熱板溶着機(熱板温度290〜320℃,溶融時間30〜90秒)により溶着して,溶着部3を有する樹脂成形体100を作製した。その後,樹脂成形体100についてASTM−D638に準じて引張り試験を実施した。樹脂成形体100を引張る際の引張り速度は,5mm/minとした。
【0069】
以下の方法により2種類のPPS樹脂を調製した。
(1)PPS−1の調製
攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩6.005kg(25モル),酢酸ナトリウム0.656kg(8モル)及びN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す)5kgを仕込み,窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し,水3.6リットルを留出した。次に反応容器を180℃に冷却後,1,4−ジクロロベンゼン3.727kg(25.35モル)ならびにNMP3.7kgを加えて,窒素下に密閉し,225℃まで昇温して5時間反応後,270℃まで昇温し3時間反応した。冷却後,反応生成物を温水で5回洗浄した。次に100℃に加熱されたNMP10kg中に投入して,約1時間攪拌し続けたのち,濾過し,さらに熱湯で数回洗浄した。これを90℃に加熱されたpH4の酢酸水溶液25リットル中に投入し,約1時間攪拌し続けたのち,濾過し,濾過のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後,80℃で24時間減圧乾燥して,MFR100(g/10min)のPPS−1を得た。
【0070】
(2)PPS−2の調製
攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩6.005kg(25モル),酢酸ナトリウム0.656kg(8モル)及びN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す)5kgを仕込み,窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し,水3.6リットルを留出した。次に反応容器を180℃に冷却後,1,4−ジクロロベンゼン3.756kg(25.55モル)ならびにNMP3.7kgを加えて,窒素下に密閉し,270℃まで昇温後,270℃で2.5時間反応した。冷却後,反応生成物を温水で5回洗浄した。次に100℃に加熱されたNMP10kg中に投入して,約1時間攪拌し続けたのち,濾過し,さらに熱湯で数回洗浄した。これを90℃に加熱されたpH4の酢酸水溶液25リットル中に投入し,約1時間攪拌し続けたのち,濾過し,濾過のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後,80℃で24時間減圧乾燥して,MFR300(g/10min)のPPS−2を得た。
なお,PPS−1,2のMFRは,測定温度315.5℃,荷重0.49MPa(5000g)とし,ASTM−D1238−86に準ずる方法で測定した。
【0071】
以下の5種類のオレフィン系樹脂を準備した。
(1)オレフィン−1:エチレン/グリシジルメタクリレート=8/12重量%共重合体
(2)オレフィン−2:エチレン/1−ブテン共重合体 密度864Kg/m3MFR=3.5g/10min(荷重0.21MPa(2160g),190℃,ASTM−D1238に従う方法)
(3)オレフィン−3:エチレン/1−ブテン共重合体 密度861kg/m3MFR=0.5g/10min(荷重0.21MPa(2160g),190℃,ASTM−D1238に従う方法)
(4)オレフィン−4:エチレン/プロピレン=85/15モル%共重合体
(5)オレフィン−5:ポリエチレン 密度955Kg/m3 MFR=0.03〜0.07g/10min(荷重0.21MPa(2160g),190℃,ASTM−D1238に従う方法)
【0072】
以下の酸化防止剤を準備した。
(1)フェノール系−1:3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン
(2)フェノール系−2:ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
(3)リン系−1:ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリト−ル−ジ−ホスファイト
【0073】
以下のように結晶核剤を準備した。
(1)結晶核剤:PEEK(ポリエーテルエーテルケトン) 溶融粘度,0.38〜0.50KN・s/m2 (AMG/VX/12)
【0074】
【表1】
Figure 0003855837
【0075】
【表2】
Figure 0003855837
【0076】
実施例1〜9
上記各成分を表1に示す割合でドライブレンドした。オレフィン系樹脂は,PPS樹脂100重量部に対して10〜100重量部の範囲で添加した。
ドライブレンド後,シリンダー温度290〜320℃に設定した2軸押出機で溶融混練し,ストランドカッターによりペレット化した。
溶融混練時の樹脂温度は,実施例1〜3及び5〜9については345〜355℃であり,実施例4については320〜323℃とした。
2軸押出機のスクリュー回転速度は,実施例1〜3及び5〜9については200〜250rpmとし,実施例4では100rpmとした。
各ペレットを120℃で1晩乾燥した後,試験片を射出成形した。各試験片について,上記の方法にて,オレフィン系樹脂の平均粒子径,引張破断伸度,アイゾット衝撃強度,80℃曲げ弾性率,MFR保持率及び耐油性を測定した。また,各ペレットから,上記試験片と同様の方法にて2つの成形片を成形し溶着して溶着部を有する樹脂成形体を作成し,この樹脂成形体の引張破断伸度の評価を行った。
さらに,各試験片について,水蒸気透過度(40℃)と水素ガス透過係数(40℃)を測定した。
結果を表1に示す。
【0077】
表1より明らかなように,PPS樹脂100重量部に対してオレフィン系樹脂を10〜100重量部添加した場合(実施例1〜9)には,高い引張破断伸度及びアイゾット衝撃強度を有し,溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸度も高かった。
実施例2,5は,特に耐熱性,熱安定性及び耐油性も均衡して優れており,極めて実用性が高く,構造体等の用途にも適した材料であることが判明した。
オレフィン系樹脂の平均粒子径が0.5μm以下の場合(実施例1〜3及び5〜9)には,平均粒子径が0.6μm(実施例4)の場合に比べて,引張破断伸度及び溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸度が更に優れることがわかる。その他の物性であるアイゾット衝撃強度,曲げ弾性率,MFR保持率及び耐油性については,実施例4は他の実施例と同様に良好であった。
さらに,水蒸気透過度はすべての実施例につき0.6g/m2・24H以下の範囲にあり,また,水素ガス透過係数はすべての実施例につき4×10-15mol・m/m2・s・Pa以下にあった。この結果から実施例1〜9は,いずれも非常に優れたバリヤー性を発揮しうることがわかる。
【0078】
参照例10〜11
表2に示すごとく,PPS−1のみ,又はPPS−1に10重量部未満のオレフィン系樹脂及び酸化防止剤を添加したものについて,実施例1と同様にペレタイズ,評価を行い,結果を表2に示した。バリヤー性については,水蒸気透過度および水素ガス透過係数が小さく良好であった。一方,溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸度,引張破断伸度,アイゾット衝撃強度は,何れも実施例1〜9よりも低かった。
【0079】
実施例12〜13
MFR3.5g/10minの官能基を有しないオレフィン系樹脂を使用し,酸化防止剤を使用しないで,実施例1と同様にペレタイズ,評価を行い,結果を表2に示した。バリヤー性については,水蒸気透過度及び水素透過係数が小さく良好であった。一方,溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸度は20%未満と低く,また引張破断伸度,アイゾット衝撃強度及びMFR保持率も実施例1〜9よりも低かった。
【0080】
比較例1
PPS樹脂100重量部に対して100重量部を越えるオレフィン系樹脂を用い,実施例1と同様なペレタイズ,評価を行い,結果を表2に示した。
その結果,引張破断伸度及びアイゾット衝撃強度は大きくかった。しかし,バリヤー性については,水素ガス透過係数はあまり問題はなかったが,水蒸気透過度が大きすぎ,十分なバリヤー性を確保できない結果となった。また,溶着部を有する樹脂成形体の引張破断伸度が15%と低く,PPS樹脂本来の耐熱性及び耐油性も低下した。MFR保持率も小さかった。
【0081】
比較例2
比較例2として,従来より樹脂製電槽に多用されているPP/PPE複合材として市販材(三菱エンジニアリングプラスチックス製,レマロイPX039)を準備して上記と同様に評価した。この市販材は,PP/PPE/SEPS=80/15/5の材料である。
この材料は,引張破断伸度,アイゾット衝撃強度,80℃曲げ弾性率については優れた結果を示したが,水蒸気透過度及び水素ガス透過係数が高く,バリヤー性に劣る結果となった。
【0082】
次に,上述した各実施例の樹脂組成物を用いて作製した電槽の一例を図2〜図4用いて簡単に説明する。
図2に示すごとく,本例の電槽1は,上述した実施例1〜9からなる樹脂組成物を射出成形法により成形し,さらに蓋17を溶着したものである。
【0083】
電槽1は,図2〜図4に示すごとく,隔壁11によって複数の槽10に分かれている。各槽10の中は電極群109が装着され電解液で満たされる。そして電槽1には蓋17が溶着により接合される。また図4に示すごとく,電槽1を射出成形するためのゲート160が底壁15の複数箇所に位置している。
成形時には,側壁15(図2),隔壁11(図3),底壁16(図4)の各部において,材料の融合部にウェルドライン12が形成されることがある。
【0084】
このような電槽1においては,その本体部及び蓋17を上述した実施例1〜9に示す樹脂組成物により構成することによって,その溶着部も含めて優れたバリヤー性,その他の上述した優れた特性を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶着部引張伸度の測定に供される試験片の説明図。
【図2】実施例における,側壁側からみた蓋付きの密閉型電池ケースの斜視展開図。
【図3】実施例における,密閉型電池ケースの一部切欠き斜視図。
【図4】実施例における,底影側からみた密閉型電池ケースの斜視図。
【符号の説明】
1...電槽,
2...成形片,
10...槽,
11...隔壁,
12...ウェルドライン,
13...蓋,
15...側壁,
16...底壁,
19...破断線,
71...試験片,
72...ノッチ,
73...支持台,
81...板状治具,

Claims (6)

  1. (a)ポリフェニレンスルフィド樹脂及び(b)オレフィン系樹脂が組成物全体の80重量%以上を占め,(b)の含有量が,(a)100重量部に対し,10〜100重量部である樹脂組成物からなり,
    (b)成分は,α−オレフィン60〜99重量%及びα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステル1〜40重量%を必須共重合成分とするオレフィン系共重合体(b1)と,エポキシ基,酸無水物基,カルボン酸金属錯体のいずれの官能基も有しないオレフィン系(共)重合体(b2)の併用であり,
    該樹脂組成物は,厚み2mmの試験片によりJIS K−7129B法に従って温度40℃において測定した水分透過量が0.6g/m2・24H以下であり,かつ,厚み2mmの試験片によりJIS K−7126A法に従って温度40℃において測定した水素透過係数が4.0×10-15mol・m/m2・s・Pa以下であることを特徴とする電槽。
  2. 請求項1において,上記樹脂組成物は,温度23℃,相対湿度50%の条件下で,ASTM−D638に従って測定した引張破断伸度が35%以上であることを特徴とする電槽。
  3. 請求項1又は2において,上記電槽は上記樹脂組成物よりなる複数の部材を溶着して構成されており,溶着部を含む上記樹脂組成物の引張破断伸度は,温度23℃,相対湿度50%の条件下で,ASTM−D638に従って測定した値が20%以上であることを特徴とする電槽。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において,上記樹脂組成物は,ASTM−D256に従って測定したアイゾット衝撃強度が500J/m以上であることを特徴とする電槽。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において,上記(b)オレフィン系樹脂が,上記樹脂組成物中に平均粒子径0.5μm以下の粒子状で分散していることを特徴とする電槽。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において,上記樹脂組成物は,上記(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し,更に(c)フェノール系,チオエーテル系及びリン系の中から選ばれた1種以上の酸化防止剤を0.01〜5重量部含有することを特徴とする電槽。
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