JP2011514446A - 鉄に富む金属塩化物の廃棄物から金属鉄及び塩素の価値を回収するための電気化学的処理方法 - Google Patents

鉄に富む金属塩化物の廃棄物から金属鉄及び塩素の価値を回収するための電気化学的処理方法 Download PDF

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Abstract

鉄に富む金属塩化物溶液から鉄金属と塩素ガスとの同時回収のための電気化学的処理であって、その処理は、鉄の水素過電圧よりも高い水素過電圧を有するカソードを備えて約2以下のpHであるカソーライトを含有するカソード室と、アノードを備えてアノーライトを含有するアノード室と、アニオン通過を可能にさせるセパレーターとを含む電解槽で鉄に富む金属塩化物溶液を電解することを含み、その電解工程は電解槽の非アノード室で鉄に富む金属塩化物溶液を循環させることを含み、それによって、鉄をカソードに電着させ、一方では、塩素ガスをアノードで発生させ、鉄が除去された溶液となり、その溶液の少なくとも一部分は鉄に富む金属塩化物溶液中で再循環される。鉄に富む金属塩化物溶液は炭素塩素化廃棄物、廃酸溶脱液、又はピクリング液に由来する。

Description

本発明は、鉄に富む金属塩化物の廃棄物から金属鉄及び塩素の価値を回収するための電気化学的処理方法に関する。特には、本発明は、例えば、炭素塩素化廃棄物、液を溶脱する廃酸、ピクリング液又は任意の他の鉄に富む金属塩化物の液若しくは溶液のような鉄に富む金属塩化物の廃棄物から金属鉄及び塩素の価値を回収するための電気化学的処理方法に関する。
化学工業において、塩素ガス(Cl2)は最も広く利用されている無機化学物質の一つである。例えば、ポリウレタン、ハロゲン化炭化水素及びホワイト二酸化チタン顔料は、通常塩素ガスを使用した方法で生産される。
後者の場合であるホワイト二酸化チタン顔料の生産において、原料は塩素ガスで塩素化される。塩素化されたものは還元されて、例えば塩化水素(HClgas)、塩酸(HClaq)又は無機金属塩化物(例えば、FeCl3、FeCl2、MgCl2)のような副生成物は廃棄される。
特に、四塩化チタン(TiCl4)がチタン鉱石原料(例えば、風化チタン鉄鉱、チタンスラグ又は合成のルチル)の炭素塩素化によって生産される場合に、鉄及び金属の塩化物種の有意な量が副生成物として生み出される。これらの副生成物は、第一鉄の塩化物、第二鉄の塩化物又はそれらの組み合わせを含む可能性があり、塩素注入機の反応条件次第である。実際の副生成物は塩素化廃棄物から構成されて、その塩素化廃棄物は、未反応であるチタン原料、石油コークス、シリカ、ケイ酸塩及び他の金属塩化物で汚染された粒子状の塩化鉄のブレンド物から成るものなので、その副生成物は実はより複雑である。チタンスラグのみを用いて運転した塩素注入機の低圧部から収集した金属塩化物のおおよその化学的組成は下記の表1に提示する。
Figure 2011514446
塩素注入機のこれらの廃棄物は廃棄のために処理されなければならないので、これらの廃棄物の形成は、全体の処理方法において経済的及び環境的な観点からきびしい意味合いを有する。通常、副生成物の塩化鉄は、大規模な深い井戸若しくは海の埋め立て地に投げ捨てられるか、又はただ単に廃水流に放出される。そのように廃棄することは、環境的な問題と塩素種の経済的な価値の完全なる損失をもたらす。環境的に健全でないにもかかわらず、これらの実務は、未だ世界中の様々な工場所在地で広範囲にわたって利用されている。
これらの金属塩化物による生産物を廃水処理の凝集剤として商品化するか、又はピクリング浴のエッチング剤として商品化するかについて試行されたが、これらの試行は、これらの副生成物の低い市場価値によって阻まれている。さらに、副生成物が通常水溶液の形態であるので、輸送費が高額である。
これらの理由のために塩素のリサイクル(再利用)について広範囲な研究がなされ、塩化鉄から塩素の価値を回収するために、二酸化チタン顔料の工業において過去40年にわたって様々な試みがなされている。
さらに、高圧塩酸の溶脱によって改良されたチタンスラグが1998年に導入されたので、廃酸から塩素化金属の価値を回収することの関心が徐々に高まっていた。現在のところ、廃酸は、熱加水分解されて、採掘の残留物として埋め立てられた不活性な金属酸化物を残存させる塩酸共沸性溶液を再生することとなる。廃酸の平均組成範囲は下記の表2に提示する。
Figure 2011514446
今日まで、塩化鉄から塩素の元素を回収するための満足できる工業処理方法はない。廃塩化物からの塩素を回収するための従来の主な技術ルートは過剰な酸素下での塩化鉄の熱化学的な酸化である。
このように、幾つかの試みが次の化学的な反応が関与する塩化鉄の酸化を軸として展開している。
Figure 2011514446
ところが、今日まで、前述の化学式で実証される反応を導入した工業上の処理方法を満足させるように開発することは非常に困難であることがわかってきた。例えば、Harrisら1(HARRIS, et al. -Process for chlorination of titanium bearing materials and for dechlorination of iron chloride. - in WEISS, A. (ed)(1976) - World Mining and Metals Technology. - The Society of Mining Engineers, New York, Chap. 44, pages 693-712.)によって指示されいる、ガス相で反応を実行することによって結果として伴う困難に打ち克つように様々な努力がなされている。Harrisは、塩化第二鉄は蒸気相中の流動層リアクターで酸素を用いて処理され得ることを提案した。その方法は塩素ガスを作り出し、その塩素ガスはチタン鉄鉱又はルチルの塩素化処理方法に再利用され得る。
GB特許1,407,034号2(Gray, D. A. and Robinson, M. -Process for the Recovery of Chlorine. - G. B. Pat.1 ,407,034; Sept. 24, 1975.)は、塩化第一鉄の濃縮を回避するためには充分に高い温度下で過剰ぼ酸素を用いてガス状の塩化第一鉄を酸化することを開示する。
RZM Ltdの米国特許3,865,920号3(DUNN, W. E. (Rutile & Zircon Mines Ltd.) - Process for Beneficiating and Titanoferrous Ore and Production of Chlorine and Iron Oxide. - U.S. Pat. 3,865,920; Feb. 11 , 1975)は、9800C〜111O0Cで塩化第一鉄をプレヒートし、その後、高純な酸素を通過させて塩化第一鉄を酸化させて、塩化鉄、酸化鉄、酸素及び塩素の混合物を形成し、さらにその混合物が、その後冷却されて残存の塩化鉄が酸化鉄と塩素との変換される方法を開示する。
FeCl2若しくはFeCl3の酸化鉄及び塩素に変化する充分な酸化に関する主な問題は、熱力学的には、低温、すなわち4000C未満が要求されて、塩化第二鉄の酸化を支持して平衡をずらすこととなる。ところが、熱力学的には課せられる低温においては、動力学的には反応はあまりにも遅くて反応の完了には程遠いが、一方では、より高い温度では、反応は実用的速度で進行することが考えられる。
例えば酸化鉄のような触媒を利用することは低温での反応を加速させることは本質的に確認された。このように、酸化鉄の流動層リアクターの利用によって更に低温での反応を提案することが可能である。実際には、Columbia Southern Chemical Corp.の米国特許2,954,274号4(WALSH, R.H. (Columbia Southern Chemical Corp.) - Metal Chloride Manufacture. - U.S.Pat. 2,954,274; Sept. 27, 1960.)は、塩化鉄の流動層、適宜酸化鉄の流動層で、4000C〜10000Cの温度で空気又は酸素を用いて塩化第一鉄を酸化させることを提案している。その後、E.I DuPont de Nemoursの米国特許3,793,444号5(REEVES, J.W. et al. (E.I. DU Pont de Nemours) - Multistage iron chloride oxidation process.- U.S. Pat. 3,793,444; Feb. 19, 1974.)には、ガス状の塩化鉄の酸化が、塩化鉄及び酸素の混合物を通過して、さらに壁によって細分化された幾つかの重畳されたゾーンの中を通って、リサイクルされた不活性な固体粒子(例えば、ケイ砂)の存在下で実行されることが述べられている。この処理方法中において塩化第一鉄(FeCl2)は連続的に酸化して、1つの段階で、まず、塩化第二鉄(FeCl3)になり、その後酸化第二鉄(Fe2O3)となる。その後、E.I DuPont de Nemours, Reeves and Hackの米国特許4,144,316号6(HAACK, D.J. ; and REEVES, J.W. (E.I. Du Pont de Nemours Company) - Production of chlorine and iron oxide from ferric chloride. - US Patent 4,144,316; March 13, 1979.)には、米国特許4,282,185号7(REEVES, J.W; SYLVESTER, R.W; and WELLS, D. F. (E.I. Du Pont de Nemours Company) -Chlorine and iron oxide from ferric chloride - apparatus. - US Patent 4,282,185; August 04, 1981.)に提案されいるタイプの例示に対して再循環性の流動層リアクターで脱塩素化反応を実行することによって処理方法が改良されることが述べられている。
ところが、追加的な問題が熱酸化中に起こる。すなわち、固体状であって、濃厚であって、かつ、硬い酸化鉄のスケイル(薄膜)(Fe2O3)が発生する。このスケイル(薄膜)は、リアクター壁及び関連装置に蓄積して強く接着するという難儀な傾向を有し、効率的な運転及びリアクターのメンテナンスにおいて問題を引き起こす。実際のところ、出口が完全に短時間で塞がれて運転が度々スケイル(薄膜)を取り除くために停止して高いコストである運転の停止を引き起こすほどに、酸化物のスケイル(薄膜)が床一面に発生することは明らかである。その上、この反応に対して工業規模(スケール)に向けて流動層リアクターの大きさを増大させる際に重大な問題として直面した。
別の提案は、塩錯体又は鉄との共晶混合(NaCl-FeCl3)化合物を形成するためにNaClの溶融塩浴を用いて低温で酸化処理作業を運転させるか、又は塩化第二鉄の液化をもたらすためには充分な圧力で酸化を実行することにあった。ところが、これらの方法は、一般的には複雑な装置の使用を必要とし、そして運転条件を制御するうえで非常に注意深い実行を必要とする。さらに、困難なこととは、リアクターから副生成物の酸化鉄を除去することと、粒子状の層上の床材料が固着することである。
一般的には、熱酸化処理方法の別の欠点は、生産されるガス状の塩素の品質が低いこととであり、すなわち約75vol%Cl2である。このことは、ガス状の塩素が塩化第二鉄及び他の揮発性不純物でひどく汚染されていることが理由であり、また、未反応酸素(11vol.%O2)及び二酸化炭素(7.5vol.%CO2)で非常に薄く希釈されていることが理由である。したがって、それは比較的乏しい商品的価値を示す。さらに、希釈塩素を濃縮する労力は勿論のこと塩素注入機での迅速な再利用は更なる大きな費用をもたらす。
その上、熱酸化による効率的な塩素回収は、原料として純粋な塩化第一鉄を実質的に必要とする。ところが、塩素注入機のダスト中の主な汚染物質(すなわち、コークス)から粒子状の塩化第一鉄を機械的に分離することは困難な仕事である。実際のことろ、不純物がある塩化第一鉄の熱酸化が800℃を超えた温度で実行されるなら、ダスト中に存在するコークスは燃え上がり、それによってリアクター内に熱スポットを作り出し、そのことが壁の酸化物の集積を伴った酸化鉄の焼結へと導き、次々に短時間で目詰りしていく。
E.I. Du Pont de Nemoursによる、不成功に終わった試験及び商業前の試行が熱酸化に対してなされた後、例えば、SCM Chemicals Ltd.8(Hsu, CK (SCM Chemicals) - Oxidation of ferrous chloride directly to chlorine in a fluid bed reactor. - US Patent 4,994,255; February 19,1991.)、Kronos Titan GmbH9(HARTMANN; A.; KULLING; A.; and THUMM; H. (Kronos Titan GmbH)- Treatment of iron(ii)chloride. - US Patent 4,060,584; November 29, 1977.)及び近年のTioxide10(HOOPER, B. N.; HIRSCH, M.; ORTH, A.; BENNETT, B.; DAVIDSON, J. F.; CONDUIT, M.; FALLON, N.; and DAVIDSON, P.J. (Tioxide Group Ltd.) - Treatment of iron chloride from chlorination dust. - US Patent 6,511 ,646; January 01 , 2003.)のような二酸化チタン顔料の他の生産者はこの技術を研究した。
別の路線、すなわち電気分解の路線が塩素及び鉄の価値の両方の回収のために検討された。
18世紀の後半以来、鉄含有溶液からの鉄金属の電着についての研究がなされていることは先行技術から確認することができる。実際のところ、鉄金属を電解採取するか、電気めっきするか、又は電気精錬するための様々な処理方法が知られている。通常、これらの処理方法の目的は、電気分解による高純度の鉄と少量レベルであるが純粋な鉄粉末とを生産することである。通常、最も一般的な電解液は少量レベルであるが塩化鉄を有する硫酸鉄に基づいた。
公知の電気化学的処理方法の多くは、カソードに鉄を電着させるために設計され、一方ではアノード反応は、通常、不純物のある鉄から作製された可溶性のアノードのアノード溶解であった。そのような方法において、消耗タイプのアノードの使用は、一般的には、腐食性の発生酸素又は有害な塩素ガスの好ましくない発生を回避させるようである。
アノード側において、塩水又は副生成物の塩酸からの電気分解による塩素回収は定評のある技術であり、世界中で多くのプラントが稼動して別個独立の様々な電気分解処理方法がある。ところが、廃棄された鉄含有塩化物から直接的に鉄と塩素との両方を回収する2つの原理を組み合わせる工業規模(スケール)の電気化学的処理方法は存在しないようである。
定評のある第一の試みは、確認すると、LEVY11(LEVY, I.S. - Electrolysis of ferrous chloride. - US Patent 1 ,752,348; April 1 , 1930.)であって1928年に遡る。その発明者は、純粋な塩化第一鉄の溶液から発生期の塩素と電気分解による純鉄との両方を回収するための単純な電気化学的処理方法を開示する。その電解槽は、生成物の混合を防ぐために多孔性の素焼きの粘土から作製された隔膜をセパレーターとして用いて分割した。電気分解は、平均セル電圧が2.3-3.0Vであって、110-270A.m-2の電流密度下で90-100℃の温度で実行された。ファラデー電流効率は90-100%であった。アノーライトは濃縮塩化物溶液(例えば、CaCl2、NaCl)であり、一方では、カソーライトは20質量%FeCl2含有の水溶液であった。アノードは炭素を基本とし、一方では、カソードは、薄いプレート、マンドレル又は他の適切な物であった。
より近年である1990年においては、Osaka Titanium Co. Ltd(現在はToho)12(OGASAWARA, T.; FUJITA, K.; and NATSUME, Y. (Osaka Titanium) - Production of iron and chlorine from aqueous solution containing iron chloride. - Japanese Patent 02-015187; January 18, 1990.)のOGASAWARAらは、特許出願において、3つに区分された電解槽を用いて、接近した状態でアニオン及びカチオン交換膜を使用することによって、塩化鉄含有水溶液(スチールのピクリング又は四塩化チタン若しくは非鉄チタン鉱石を生産する方法から生じる廃液)の電気分解を通して、鉄と塩素とを生産する電気分解処理方法を開示した。Ogasawaraで実証されたこの方法では、高純度の塩化第一鉄から作製されて、アンモニアでpH3〜5に調節されたカソーライトと、塩化ナトリウムから作製されたアノーライトとが各々の区画室の中をループ状態で再循環し、一方で、電解されるべき鉄に富む塩化物含有溶液が中央区画室、すなわち、2つのイオン交換膜の間に存在するギャップを通って循環する。用いられるカソードは、好ましくは鉄であるが、ステンレススチール、チタン又はチタン合金でもよく、用いられるアノードは不溶性グラファイトから作製される。本発明者等によると、この3つに区分した処理方法は、2つに区分した電気分解処理方法と比較して、結果物の電析した鉄を、例えば、酸化鉄のような組み込まれた不純物によって汚染することを回避させるようである。さらに、カソーライトのpHを3〜5に維持することは、カソードからの水素の発生を回避させる。
ところが、そのような方法において、(i)イオン交換膜の付加的な抵抗及び(ii)関連した2つのセパレーター間に存在するギャップのために大きな抵抗降下が現われる。さらに、塩化ナトリウムの塩水のアノーライトと結び付いたグラファイトアノードの利用は塩素発生の反応のために過電圧を引き起こすようである。大きな抵抗降下とアノードの過電圧はセル電位に寄与する。それゆえ、このことは、塩素及び鉄の両方の回収に対して特有の高エネルギー消費へと導くこととなり、そのことは実行可能な商業的な処理方法に適合しない。
それゆえに、依然として、鉄に富む金属塩化物の廃棄物から、鉄金属と塩素ガスとの両方を回収するための効率的であって、かつ、経済的な方法に対するニーズが存在する。
本明細書は多くの文献を参照し、それらの内容は、組み込まれた主題が本明細書で明確に述べられた開示内容と矛盾しない程度で、完全に引用によって本明細書に組み込まれる。
本発明は、一般的に言って鉄に富む金属塩化物の廃棄物から、金属鉄及び塩素ガスの回収のための電気化学的処理方法に関する。
更に特には、本発明の態様は、鉄に富む金属塩化物溶液から、金属鉄と塩素ガスとの回収のための電気化学的処理方法に関し、次の工程である、
a)鉄に富む金属塩化物溶液を供給する工程、
b)鉄の水素過電圧よりも高い水素過電圧を有するカソードを備えて約2以下のpHを有するカソーライトを含有するカソード室、アノードを備えてアノーライトを含有するアノード室、及びアニオン通過を可能とするセパレーターを含む電解槽で鉄に富む金属塩化物溶液を電解する工程であって、電解する工程が鉄に富む金属塩化物溶液を非アノード室で循環させて、それによって鉄をカソードに電着させて塩素ガスをアノードから発生させて、そして鉄が除去された溶液となる、工程、
c)電着した鉄と塩素ガスとを別個独立に回収する工程、並びに、
d)a)鉄に富む金属塩化物溶液を供給して、鉄に富む金属塩化物溶液中で鉄が除去された溶液の少なくとも一部分を再循環する工程、
を含む。
上記で規定した処理方法の具体的な実施形態として、カソーライトが、非鉄金属塩化物として主にAlCl3を含有する場合に、カソーライトのpHは、定期的に、約-1〜約2の範囲に及ぶ所定のpHに調節され、好ましくは約-1〜約-0.1の範囲に及ぶ所定のpHに調節され、より好ましくは約-0.6〜約-0.3の範囲に及ぶ所定のpHに調節される。
上記で規定した処理方法の別の具体的な実施形態として、カソーライトが、非鉄金属塩化物として主にMgCl2を含有する場合に、カソーライトのpHは、定期的に、約0.3〜約1.8の範囲に及ぶ所定のpHに調節され、好ましくは約0.6〜約1.5の範囲に及ぶ所定のpHに調節され、より好ましくは約0.6〜約1.1の範囲に及ぶ所定のpHに調節され、最も好ましくは約0.9〜約1.1の範囲に及ぶ所定のpHに調節される。
上記で規定した処理方法の更なる別の具体的な実施形態として、再循環する工程d)が約60%超の再循環速度で実行され、好ましくは約80%超の再循環速度で実行され、より好ましくは約95%超の再循環速度で実行される。
更なる別の具体的な実施形態として、鉄に富む金属塩化物溶液を供給する工程a)が
a1)固体状の炭素塩素化廃棄物を熱水溶液で溶脱して、それによって、水性スラリーを形成する工程、及び
a2)水性スラリーについて固体を分離させて、それによって、不溶性固形物を形成して、そして鉄に富む金属塩化物溶液を分離する工程、
を含む。
別の具体的な実施形態として、カソードは、200A.m2で、250Cの0.5mol.dm-3HCLで、約425mV超の過電圧を有する。
別の具体的な実施形態として、カソードは、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、亜鉛、亜鉛合金、カドミウム、カドミウム合金、スズ、スズ合金、銅、銅合金、鉛、鉛合金、ニオブ、ニオブ合金、金、金合金、水銀若しくは水銀を有する金属アマルガムの一つである材料から構成されるか、又はコーティングされる。
本発明の別の態様は、鉄に富む金属塩化物溶液から金属鉄と塩素ガスとの回収のための電気化学的処理方法に関し、次の工程である、
a)鉄に富む金属塩化物溶液を供給する工程、
b)鉄の水素過電圧よりも高い水素過電圧を有するカソードを備えたカソード室、及びアノードを備えてアノーライトを含有するアノード室を含む2つに区分された電解槽で該鉄に富む金属塩化物溶液を電解する工程であって、該電解する工程が鉄に富む金属塩化物溶液を、カソーライトを約2以下のpHに調節させて、該電解槽の該カソード室で循環させて、それによって鉄を該カソードに電着させて塩素ガスを該アノードから発生させて、そして鉄が除去された溶液となることを含む、工程、
c)該電着した鉄と該塩素ガスとを別個独立に回収する工程、並びに、
d)a)該鉄に富む金属塩化物溶液を供給して、該鉄に富む金属塩化物溶液中で該鉄が除去された溶液の少なくとも一部分を再循環する工程、
を含む。
本発明の他の目的、有利な点及び特徴は、次の非限定的である具体的な実施態様の記述を読むことにより更に明白に示され、さらに添付の図面を参照するだけで実施例を手段としても示される。
添付された図面は以下である。
図1は、本発明の第1の実施形態にしたがった電気化学的処理全体の様々な工程を説明するフローシート図であり、2つに区分された電解槽に基づいていて、pH調節された鉄に富む金属塩化物溶液を用いて電気分解を実行する。
図2は、本発明の第2の実施形態にしたがった電気化学的処理全体の様々な工程を説明するフローシート図であり、2つに区分された電解槽に基づいていて、カソード室に添加する前にバナジウムが沈殿によって取り除かれたpH調節の鉄に富む金属塩化物溶液を用いて電気分解を実行する。
図3は、本発明の第3の実施形態にしたがった電気化学的処理全体の様々な工程を説明するフローシート図であり、3つに区分された電解槽を用いて、未調節の鉄に富む金属塩化物溶液を用いて電気分解を実行する。
図4は、本発明の第4の実施形態にしたがった電気化学的処理全体の様々な工程を説明するフローシート図であり、2つに区分された電解槽を用いて、鉄が除去された溶液の少なくとも1部分について再循環をする。
図5は、本発明のいくつかの実施形態で用いられる2つに区分された電解槽であって、電気化学の主反応が各々の電極で起こっている電解槽を示す略図である。
図6は、本発明のいくつかの実施形態で用いられる3つに区分された電解槽であって、電気化学の主反応が各々の電極で起こっている電解槽を示す略図である。
図7は走査型電子顕微鏡(SEM)によって得られた写真であり、実施例2aで得られた鉄とバナジウムとの共沈着の概観を示す。
図8は走査型電子顕微鏡(SEM)によって得られた写真であり、実施例2aで得られた鉄と五酸化バナジウムとの共沈着の詳細図を示す。
図9は実施例2bで得られた少量のバナジウムを用いた平滑な鉄の電着を示す図である。
図10は実施例5で得られた電着した鉄金属の薄板を示す写真である。
図11は実施例6で得られた鉄金属の沈着板を示す写真である。
図12は実施例7で得られた塩化第一鉄濃度の関数としての電流効率を示すグラフ図である。
図13は実施例8で得られた分極曲線(カソード材料の選定)を示すグラフ図である。
図14は実施例9で得られた分極曲線(アニオン交換膜の選定)を示すグラフ図である。
図15は実施例10で得られた分極曲線(アノーライトの選定)を示すグラフ図である。
様々な原料が本発明にしたがった処理方法で用いられてよく、特に限定されることはないが、例えばチタン鉱石の炭素塩素化による炭素塩素化廃棄物、廃酸溶脱液、ピクリング液又は任意の他の鉄に富む金属塩化物の液若しくは溶液(塩化第二鉄及び/又は塩化第一鉄を含有する。)が挙げられる。このように、原料は固体でもよいし、無水物でもよいし、スラリー形態でもよいし、又は溶液形態でもよい。
本明細書で用いられる、用語「電解槽」は、一般的には、2つに区分されたか、又は3つに区分された電解槽を示す。本発明の処理で用いられる全ての電解槽は少なくともアノード室とカソード室とを含み、そのアノード室とカソード室とは少なくとも1つのイオン交換膜によって別個独立に分離される。
電解槽に言及する場合において、本明細書で用いられる用語「非アノード室」は2つに区分された電解槽のカソード室及び/又は3つに区分された電解槽の中心区画室を示す。確かなことは、それは、3つに区分された電解槽のカソード室を示さない。
本明細書で用いられる用語「過電圧(overpotential)」(過電圧(overvoltage)としても知られている)は、一般的には、同一の実験条件において、電流通過時の電極電位と、電気分解がない状態の熱力学的な電極電位の値との差を示す。
カソードに言及する場合において、本明細書で用いられる用語「水素過電圧」は、カソードでの水素ガスの放出に関する過電圧を示す。高水素過電圧を有するカソードは、電気分解を行っている間に水素発生を最小化して鉄の電着を促進する。高水素過電圧を有する材料の例示は、公知であって特に限定されることはないが、例えば、Cardarelli13(CARDARELLI, F. Materials Handbook: a Concise Desktop Reference. Springer-Verlag London Limited [Ed.]. 2000. p. 323.)と、Exxon Research and Engineering and Co.の米国特許5,911,869号14(GREANEY, M. A. - Method for Demetallating Petroleum Streams (LAW 639) - U.S. Patent5,911 ,869; June 15, 1999.)とに示される。有利なこととしては、カソード材料はまた、鉄金属の沈着を剥離させることができる。特に限定されることはないが、カソード材料は、(工業用若しくは高純度の)チタン、チタン合金(例えば、チタン パラジウムのASTMグレード7)、(工業用若しくは高純度の)ジルコニウム、ジルコニウム合金、(工業用若しくは高純度の)亜鉛、亜鉛合金、(工業用若しくは高純度の)カドミウム、カドミウム合金、(工業用若しくは高純度の)スズ、スズ合金、(工業用若しくは高純度の)銅、銅合金、(工業用若しくは高純度の)鉛、鉛合金、(工業用若しくは高純度の)ニオブ、ニオブ合金、(工業用若しくは高純度の)金、金合金、水銀、又は水銀を有する金属アマルガムを含む。
高水素過電圧を有するカソードは高水素過電圧を有する材料のバルクから構成されてもよいし、又はそのような材料でただ単にコーティングされてもよいことを理解されたい。
カソードに限った場合であるが、本明細書で用いられる、「鉄の水素過電圧よりも高い水素過電圧を有する」という表現は、25℃の0.5mol.dm-3HCL中で、絶対値として、カソードが200A.m-2で約425mVより大きい過電圧を有する。
本発明による処理の中で幾つかの選択的な工程を実行することの妥当性は、回収すべき所定の元素の原料の存在次第である。例えば、本発明にしたがった処理でおそらく有用である原料全てを示すわけではないがバナジウムが含まれる。勿論、バナジウムが原料中に存在する場合にバナジウム-分離工程が関係してくるだけである。
本明細書で用いられる「バナジウム分離工程」という表現は、バナジウムが鉄から分離される工程を本質的に示す。このように対応させるが、必ずしも、バナジウムが実質的に純粋なバナジウム化合物として回収される工程ではない。
原料が固体及び/又は無水の形態である実施態様において、一般的には、処理はまず、チタンに富んだ原料(例えば、風化チタン鉄鉱、チタンスラグ、天然及び合成のルチル)を炭素塩素化している間に生産される無水の塩素注入機のダストのような原料を、熱酸性処理水、熱希塩酸、チタンスラグを溶脱する高圧酸からの由来又は鋼鉄を酸洗いしている間に生産される廃液からの由来の熱廃酸のいずれかで溶脱することから構成される。全ての金属塩化物を完全に溶解した後、結果物のスラリーはろ過されて、未反応のチタニアスラグ、シリカ、並びに鉄に富んだ金属塩化物液又は溶液の形態の可溶性の金属塩化物から、ケイ酸塩、二酸化チタン微粒子及びコークス留分を含む残留の不溶性固体を分離する。得られたフィルター固形物は注意深く、最小限の酸性水で洗浄され、脱水され、乾燥され、そして、結局は(チタン及びコークスの量、並びにシリカの含有量次第であるが)炭素塩素化プラントに戻されるか、又は埋め立てられて廃棄され、一方では洗浄水は第1のろ過工程で再利用されてよい。
原料がスラリーの形態である別の実施形態において、溶脱することは、例えばろ過によって固体-液体を分離する前に可溶性固体を溶解するのを促進する。
汚れのない水性液体の形態、すなわち、鉄に富む金属塩化物溶液の形態である更に別の実施形態においては、溶脱工程は特には必要がない。
そして、主要な4つの処理方法の改良型は鉄に富む金属塩化物溶液から塩素と金属とのとの両方の価値を回収するために用いられてよく、それらの改良型は電気分解によって鉄に富む金属塩化物溶液から金属鉄及び塩素の価値を同時回収することについての一般的な同一原理に基づき、約2以下のpHに調節されたカソーライトと、鉄の水素過電圧よりも高い水素過電圧を有するカソードとを用いる。
本発明による処理方法の特定の実施形態において、図1に示されるように、アルカリ性試薬、例えば、特に限定されることはないが、マグネシア(酸価マグネシウム)、水酸化アンモニウム又はそれらの混合物で、鉄に富む金属塩化物溶液のpHは、まず約0.6〜約1.8に調節され、そうすると、その溶液は電気分解をするための準備が整う。
さらに、図1を参照すると、その電気分解段階は、電解槽のカソード室内でpH調節された鉄に富む金属塩化物溶液を循環する段階である。鉄に富む金属塩化物溶液は、このようにカソーライトとして挙動する。(図5に示されように)電解槽は、アニオン交換膜によって分離された2つの区画室から成る。カソード室は、チタン又はチタン合金(通常ASTM グレード7)から作製されたカソードを含み、一方で、アノード室は、塩素発生のための寸法的に安定であるアノード(DSATM-CL2)を有する。アノード室内をループ状態で循環するアノーライトは、腐食防止剤として第二鉄(Fe3+)を約10,000ppmで有する、約20質量%の塩酸と約17質量%の塩化マグネシウムとの混合物から作製される。
電気分解中、上述されたpHの範囲である約0.6〜約1.8において、鉄金属は、五酸化バナジウムの結晶が沈殿するのに伴ってカソードに沈着する。五酸化バナジウムの沈殿は、カソードでの水素カチオンの消費から生じ、そして、五酸化バナジウム水和物の沈殿ポイントより高いところでのpHの局所的な増加から生じる。一方では、塩化物アニオンは、アノード室に向かって浸透性のアニオン交換膜を通過して移動し、次の電気化学的な反応にしたがって、アノード表面から塩素ガスとして放出する。
Figure 2011514446
それゆえに、前反応は以下である。
Figure 2011514446
副反応もまた起こり、例えば、アノードでの酸素の発生は以下である。
Figure 2011514446
カソードでの水素の発生は以下である。
Figure 2011514446
また、以下の微量の第二鉄のカチオンの還元が伴う。
Figure 2011514446
カソード側において、これらの不必要な副反応は、約2以下のpHでカソーライトのpHを維持し、水素の発生を防ぐために水素の放出に対して高い過電圧を有するカソード材料を用いることによって最小化される。特には、本発明にしたがった処理方法で用いられるカソード材料は、所定の電気分解条件において、(絶対値で)鉄の水素過電圧よりも高い水素過電圧を有する。カソーライトのpHが約 0.6〜約1.8であることが好ましく、約0.6〜約1.5であることがより好ましく、約0.6〜約1.1であることが更に好ましく、約0.9〜1.1であることが最も好ましい。さらに、カソード室上を不活性な窒素気体を用いることによって第一鉄のカチオンの酸化を防ぐことを促進することができる。
アノード側において、塩素発生のための寸法的に安定であるアノードの利用は酸素ガスの発生を妨げることができ、それによって高純度の塩素ガスの生産を保証する。
電気分解は、通常、定電流制御の下、約40℃〜約110℃で実行される。全電流密度は、セル毎に約1.2〜約3.5Vの範囲に及ぶセル電圧を有して約200〜約2000A/m2の範囲から成る。この特定の実施形態において、通常、ファラデー効率は約90%超であり、特定の平均エネルギー消費は鉄1kgあたり約2.1〜約6.2kWhであり、塩素ガスのキログラムあたり約1.1〜約3.5kWhである。
放出されたウェットな塩素ガスは従来の方法によって回収される。例えば、図1に示されるように、塩素ガスは、吸引によって回収されて、グラファイト熱交換器の中を通過することによって冷却されて、ミスト分離器(エリミネータ)及び幾つかの濃硫酸スプレータワー(スクラビング(洗浄))の中を通過することによって乾燥される。最後に、乾燥されて冷却された塩素ガスは圧縮されて液化されてよく、このようにして、将来の使用に備えて、現場内に運搬されるか、又は貯蔵される準備がされる。
電着した鉄金属の厚手のプレートはチタンカソードから機械的に剥ぎ取られる。その後、プレートは濃縮した水酸化ナトリウム(50質量%のNaOH)の熱苛性アルカリ溶液中に含浸されて、選択的に酸化バナジウムを溶解し、特に限定されることはないが、例えば、塩素酸カリウムのような微量の酸化剤が添加されて全てのバナジウムを5価のバナジウムに変換して、純鉄金属が別個独立に回収される。その後、メタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)として全てのバナジウムを沈殿させるために塩化アンモニウム(NH4CL)及び/又は水酸化アンモニウムによるアンモニアが残りの液に添加される。このようにして、そのような特定の実施形態において、バナジウム分離工程が電気分解工程後に存在する。
硫酸は鉄がない廃電解液又は鉄が除去された溶液に添加されて、不溶性の硫酸カルシウム2水和物(CaSO4.2H2O)としてカルシウムを除去して、ほぼ硫酸ラジウムである任意の微量の放射線を取り込むために電解槽から排出される。
その後、マグネシウム及びアルミニウムに富んだ廃塩水は熱加水分解されて耐火性のスピネルのビーズ、ペレット又は顆粒を生成して、耐火物又はプロパントの生産で用いるのに寄与し、一方では共沸性の塩酸を回収する。
図1の処理方法においてカソーライトのpHを、例えば、0.3〜0.5の変化を起こすことはは、鉄が共沈着しながらバナジウムを沈殿させないで鉄に富んだものの状態を維持させるので、鉄が除去された溶液となるように、電気分解の間にバナジウム分離工程を実行することを理解されたい。ところが、これは、得られた鉄が、わずかではあるが五酸化バナジウムによって汚染されてファラデー効率が落ちるので、2つに区分された電解槽を用いた処理方法においては好ましい実施形態ではない。
本発明による処理方法の別の特定の実施形態において、一般的には図2に示されるように、鉄に富む金属塩化物溶液の正確なバナジウム含有量は従来の方法によって決定され、そして、塩素酸カリウム(KCLO3)の化学量論量が導入されて全てのバナジウムをバナジウム(V)に酸化させる(図示されてはいない)。その後、塩化鉄(III)の相当量が添加されて、溶液のpHが、例えば、マグネシア(酸価マグネシウム)、アンモニウム酸化物、水酸化アンモニウム又はそれらの混合物のようなアルカリ性試薬で約0.5〜約3に調節される。これはバナジウム(V)及びクロム(Vl)とともに沈殿して、水酸化第二鉄(Fe(OH)3)と共沈殿をすることによって取り込まれる。その後、ゼラチン状のバナジウムに富んだ沈殿物は、デカンテーション、遠心分離又はろ過のいずれかの公知の技術によってスラリーから取り除かれる。その後、そのように得られたバナジウムに富んだ沈殿物は、例えば、フィルター固形物の形態であるが、最小限の濃縮水酸化ナトリウム溶液量で溶解されて微量の酸化剤で酸化される。残りの水酸化第二鉄及び水酸化クロムは廃棄されて、バナジウムは選択的に、水酸化アンモニウム(NH4OH)及び/又は塩化アンモニウム(NH4CL)を添加することによってメタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)として沈殿されて回収される。
バナジウム分離工程からのきれいなろ液又は上澄み液は、pH2以下、好ましくは約0.6〜約1.8にpH調節される。このようにして、バナジウムが除去されて、かつ、pH調節されて鉄に富んだ金属塩化物溶液の形態(図示はされていない)で電気分解の準備が整う。
図2を更に参照すると、電気分解は、電解槽のカソード室の中でバナジウムが除去されて、かつ、pH調節されて鉄に富んだ金属塩化物溶液を循環することにある。このように、鉄に富む金属塩化物溶液はカソーライトとして作用する。図1も同様に、(図5に図示されるように)電解槽はアニオン交換膜によって分けられたセルから成る。カソード室は、チタン金属又はチタン合金(通常、ASTMグレード7)から作製されたカソードを有する。アノード室は塩素の発生に対して寸法的に安定であるアノード(DSATM-Cl2)を有する。ループ状態で循環するアノーライトは、腐食防止剤として約10,000ppmの第二鉄(Fe3+)を有する約20質量%の塩酸及び約17質量%の塩化マグネシウムの混合物から作製される。電気分解の間、純鉄金属がカソードに沈着されて、塩化物アニオンは浸透性のアニオン交換膜を通ってアノード室に移動し、次の電気化学的な反応にしたがってアノード表面から塩素ガスとして放出する。
Figure 2011514446
全反応は以下である。
Figure 2011514446
再び、副反応もまた起こり、例えば、アノードでの酸素の発生は以下である。
Figure 2011514446
カソードでの水素の発生は以下である。
Figure 2011514446
また、以下の微量の第二鉄のカチオンの還元が伴う。
Figure 2011514446
また、カソード側において、これらの不必要な副反応は、カソーライトのpHを2以下で維持し、高い水素過電圧を有するカソード材料を用いることによって最小化される。特には、本発明にしたがった処理方法で用いるのに適したカソード材料は、所定の電気分解条件において、(絶対値で)鉄の水素過電圧よりも高い水素過電圧を有する。カソーライトのpHは、約0.6〜約1.8であることが好ましく、約0.6〜約1.5であることがより好ましく、約0.6〜約1.1であることが更に好ましく、約0.9〜1.1であることが最も好ましい。さらに、カソード室上を不活性な窒素気体を用いることによって第一鉄のカチオンの酸化を防ぐことを促進することができる。
アノード側において、塩素発生のための寸法的に安定であるアノードの利用は酸素ガスの発生を妨げることができ、それによって高純度の塩素ガスの生産を保証する。
図2の実施形態において、電気分解は、通常、定電流制御の下、約40℃〜約110℃で実行される。全電流密度は、セル毎に約1.9〜約3.5Vの範囲に及ぶセル電圧を有して約200〜約2000A/m2の範囲から成る。この特定の実施形態において、通常、ファラデー効率は約90%超であり、具体的なエネルギー消費は鉄1kgあたり約2〜約3.7kWhであり、塩素ガスのキログラムあたり約1.6〜約3kWhである。
特定のこの実施形態において、放出されたウェットな塩素ガスは吸引によって回収されて、グラファイト熱交換器の中を通過することによって冷却されて、ミスト分離器(エリミネータ)及び幾つかの濃硫酸スプレータワー(スクラビング(洗浄))の中を通過することによって乾燥される。最後に、乾燥されて冷却された塩素ガスは圧縮されて液化されてよく、このようにして、将来の再利用に備えて、現場内に運搬されるか、又は貯蔵される準備がされる。
電着した純鉄金属の厚手のプレートはチタンカソードから機械的に剥ぎ取られる。
濃縮した水酸化ナトリウムが、鉄がない廃電解液か、又は鉄が除去された溶液に添加されて、不溶性の硫酸カルシウム2水和物(CaSO4.2H2O)としてカルシウムを除去して、ほぼ硫酸ラジウムである任意の微量の放射線を取り込むために電解槽から排出される。
その後、マグネシウム及びアルミニウムに富んだ残りの廃塩水は熱加水分解されて耐火性のスピネルのビーズ、ペレット又は顆粒を生成して、耐火物又はプロパントの生産で用いるのに寄与し、一方では共沸性の塩酸を回収する。
図3に図示されているように、本発明にしたがった処理方法の別の特定の実施形態において、鉄に富む金属塩化物溶液は、任意の前処理(例えば、pH調節)をすることない状態で電気化学プラントに送られる。この方法で用いられる電解槽の構造(図6で図示されているように)は3つの区画室を有する。すなわち、その3つの区画室は、(i)チタンプレートカソードを有するカソード室、(ii)塩素の発生のために寸法的に安定であるアノードを含むアノード室、及び(iii)カチオン交換膜によってカソード室から分離され、かつ、アニオン交換膜によってアノード室から分離された中央区画室である。カソード室の中を循環するカソーライトは、塩化マグネシウム(約220g/L MgCL2)を有する塩化第一鉄(約350g/L FeCL2)の飽和溶液であり、一方で、アノーライトは、腐食防止剤として約10,000ppmの第二鉄(Fe3+)を有する約20質量%の塩酸及び約17質量%の塩化マグネシウムから作製される。カソーライトのpHは、pH2以下で調節されるが、約0.6〜約1.8で調節されることが好ましく、約0.6〜約1.5で調節されることがより好ましく、約0.6〜約1.1で調節されることが更に好ましく、約0.9〜約1.1で調節されることが最も好ましい。鉄に富む金属塩化物溶液は、中央区画室を連続的に通過する。
電気分解の間(図6)、鉄に富む金属塩化物溶液の第一鉄カチオンがカチオン交換膜を通って移動し、チタンカソード上で純鉄金属に還元される。一方では塩化物アニオンが、酸化されるべく、寸法的に安定であるアノードに向けてアニオン交換膜を通って移動する。化物アニオンは浸透性のアニオン交換膜を通ってアノード室に移動して、それによって発生する塩素ガスを作り出す。反応が起こる電気化学的な反応は以下である。
Figure 2011514446
全反応は以下である。
Figure 2011514446
電気分解は、通常、定電流制御の下、約40℃〜約110℃で実行され、全電流密度は、セル毎に約1.9〜約3.5Vの範囲に及ぶセル電圧を有して約200〜約2000A/m2の範囲から成る。この実施形態において、通常、ファラデー効率は約90%超である。
この実施形態において、放出されたウェットな純塩素ガスは吸引によって回収されて、グラファイト熱交換器の中を通過することによって冷却されて、ミスト分離器(エリミネータ)及び幾つかの濃硫酸スプレータワー(スクラビング(洗浄))の中を通過することによって乾燥される。最後に、乾燥されて冷却された塩素ガスは圧縮されてその後液化されてよく、このようにして、将来の利用に備えて、現場内に運搬されるか、又は貯蔵される準備がされる。
電着した純鉄金属の厚手のプレートはチタンカソードから機械的に剥ぎ取られる。
過酸化水素(H2O2)が、中央区画室から排出する鉄が除去された溶液に添加されて、微量の全てのバナジウム(IV及びV)をバナジウム(V)に酸化する。その後、酸化マグネシウム(MgO)を添加して約1.8-2.2までpHを調節し、そのことが水和物された五酸化バナジウム(V2O5.250H2O)の定量的な沈殿へと導く。その後、沈殿物は、デカンテーション、ろ過又は遠心分離によって取り除かれて、乾燥されて、そして、か焼されて、フレーク状の五酸化バナジウム(V2O5)を生成する(図示はされていない)。
その後、不溶性の硫酸カルシウム2水和物(CaSO42H2O)としてカルシウムを除去して、ほぼ硫酸ラジウムである任意の微量の放射線を取り込むために、硫酸が結果物である鉄とバナジウム除去の塩水とに添加される。その後、マグネシウム及びアルミニウムが豊富である廃塩水が熱加水分解されて、耐火性のスピネルのビーズ、ペレット又は顆粒を生成して、耐火物又はプロパントの生産で用いるのに寄与し、一方では共沸性の塩酸を回収する。
3つに区分された電解槽を用いる場合に、電気分解前に鉄に富む金属塩化物溶液のpHは調節されてもよいし、又は調節されなくてもよいことに留意していただきたい。そのような調節は、上述のとおり、ここにおいては好ましい実施形態ではないが、例えば、鉄の沈着とともにバナジウム沈殿の効果をもたらすことには役に立つ。
本発明による処理方法の特定の他の実施形態において、図4において示されているように、鉄が除去された溶液として、2つに区分された電解槽から排出するカソーライトは、例えば、塩素発生の塵埃(又は他の原料)が溶解しているタンク中で再循環される。説明の明瞭化のために、塩素発生の塵埃はバナジウムがないと仮定するが、必要であるならば、前述したように、バナジウム分離システムを含ませることは可能である。
鉄が除去された溶液の再循環は、(1)電気分解セル中への幾つかの通過において全体の鉄沈着/回収の増加を引き起こし、そして(2)電解されるべき鉄に富む金属塩化物溶液において、非電解塩化物、特には非鉄金属塩化物の不純物の集積を引き起こすので、鉄沈着のファラデー電流効率を改良することを促進することが確認された。
この実施形態において、有利なこととして、再循環速度は、鉄沈着の電流効率を最大限にするために充分に高く、結晶化開始を回避するためには充分に低い。言い換えると、特定の実施形態における最適な再循環速度は、カソーライトにおける望ましくない新しい固体相(特に限定されることはないが、例えばAlCl3又はFeCl2)の沈殿又は結晶化を発現させない最も大きな再循環速度として定義されてよい。沈殿が起こる臨界塩化物濃度はカソーライトの金属塩化物の含有量に依存する(すなわち、金属の性質及び塩化物の濃度に依存する)ので、最適な再循環速度の値は、幾つかの成分のなかでとりわけ原材料の組成物に依存する。また、最適な再循環速度の値は、電解槽に進入する所定のFeCl2濃度に対する、好ましいシングルパスの塩化鉄の全変換に依存する。いずれにしても、所定の原材料組成物に対する最適な再循環速度は、ルーチン的なマスバランスの計算を用いて決定されてもよいし、実験的に実証されてもよい。
再循環速度は幾つかの異なる方法で表現されてもよい。ただ単に明瞭化の目的のためと限定されない方法という観点では、本明細書では、再循環速度は、再循環の流量、すなわち、鉄が除去された溶液が上流の貯留層中で再循環される流量と、(1)再循環の流量及び(2)ブリードの流量の合計との質量比として表現される。ブリードは、処理方法における、引き抜かれるか又は循環されていない一部分の溶液に対応する。再循環速度は、ゼロ(再循環されていない)から100%、すなわち、完全な再循環(ブリードがない)まで変化してよい。完全な再循環が用いられてよく、例えば、原料の不純物の濃度が非常に低い場合に用いられてよい。
一般的には、再循環速度は、約60%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%又は約95%以上で設定されれよい。特に限定されることはないが、例えば、表1の組成に合致した塩素発生の塵埃原料を検討すると、好ましいシングルパス換算の約30%と、全換算の約90%と、電解槽に入る約20%のFeCl2濃度に対しては、再循環速度は約95〜約98%の範囲に及んでよく、例えば、約96〜97%の範囲に及んでよい。
この特定の実施形態において、鉄に富む金属塩化物溶液のpHは、(例えば、MgO若しくはCaOのような塩基、又はHCLのような酸を用いて)周期的に、不必要な金属水酸化物の形成を回避するためには好都合的に充分な低値まで調節されてもよいし、カソード側で水素発生を最小限にするためには好都合的に充分な高値まで調節されてもよい。所定の工業的な処理方法において、最適なpHは、例えば、塩素発生の塵埃又は廃酸の組成物次第であり、また、現在の鉄回収及び塩素回収の処理方法について利用される処理方法の上流側によって変化し、さらに、選択された再循環速度によって変化する。ルーチン的には、そのような最適なpHは本発明による処理方法を実行する前に所定の原料に対して実験的に評価されてもよい。
特に限定されることはないが、例として、鉄に富む金属塩化物溶液が、主要な非鉄金属塩化物としてAlCl3を含有する場合に、カソーライトのpHは、定期的に、約-1〜約2の範囲に及ぶ所定のpHに調節されてよいし、好ましくは約-1〜約-0.1に調節され、より好ましくは約-0.6〜約-0.3に調節される。
特に限定されることはないが、別の例としては、鉄に富む金属塩化物溶液が、主要な非鉄金属塩化物としてMgCl2を含有する場合に、カソーライトのpHは、定期的に、約0.3〜約1.8の範囲に及ぶ所定のpHに調節されてよいし、好ましくは約0.6〜約1.5に調節され、より好ましくは約0.6〜約1.1に調節され、最も好ましくは約0.9〜約1.1に調節さる。
さらに、図4を参照すると、電気分解段階は、(図5に示されているように)2つに区分された電解槽のカソード室の中でpH調節された鉄に富む金属塩化物溶液を循環することから構成される。このように、鉄に富む金属塩化物溶液はカソーライトとして作用する。以前に示したように、電解槽のカソード室は、チタン又はチタン合金(通常ASTM グレード7)から作製されたカソードを含み、一方で、アノード室は、塩素の発生のための寸法的に安定であるアノード(DSATM-Cl2)を有する。アノード室内をループ状態で循環するアノーライトは、腐食防止剤として第二鉄(Fe3+)を約10,000ppmで有する、約20質量%の塩酸と約17質量%の塩化マグネシウムとの混合物から作製される。
電気分解中、鉄金属がカソードに沈着する。一方では、塩化物アニオンは、アノード室に向かって浸透性のアニオン交換膜の中を通って移動し、前述の実施形態で述べられたのと同様な電気化学的な反応にしたがってアノード表面から塩素ガスとして放出する。
カソード側において、水素の発生は、約2以下のpHでカソーライトのpHを維持して水素の発生を防ぐために水素の放出に対して高い過電圧を有するカソード材料を用いることによって最小化される。更に特には、本発明にしたがった処理方法で用いられるカソード材料は、所定の電気分解条件において、(絶対値で)鉄の水素過電圧よりも高い水素過電圧を有する。さらに、カソード室上を不活性な窒素気体を用いることによって、第一鉄のカチオンの酸化を防ぐことを促進することができる。
アノード側において、塩素発生のための寸法的に安定であるアノードの利用は酸素ガスの発生を妨げることができ、それによって高純度の塩素ガスの生産を保証する。
電気分解は、通常、定電流制御の下、約40℃〜約110℃で実行される。全電流密度は、セル毎に約1.2〜約4Vの範囲に及ぶセル電圧を有して約200〜約2000A/m2の範囲から成る。この特定の実施形態において、通常、(鉄沈着に対する)ファラデー効率は約90%超であり、特定の平均エネルギー消費は鉄1kgあたり約2.1〜約6.2kWhであり、塩素ガスのキログラムあたり約1.1〜約3.5kWhである。
放出されたウェットな塩素ガスは従来の方法によって回収される。電着した純鉄金属の厚手のプレートはチタンカソードから機械的に剥ぎ取られる。
ブリード溶液は、更なる鉄及び塩素を回収する目的でシングルパスの電解槽で電解されてよい。ブリードが生成して、鉄が除去された溶液は、前述の実施形態で示したように、任意の鉄が除去された溶液として処理されてもよいし、又は単純に生石灰で中和されてもよい(図4を参照)。
本発明による処理方法の様々なパラメーターは、下記に説明するように変化させてもよい。
本発明の処理方法で用いるのに適したカソード材料(バルク材料又はコーティング材料)は、水素発生に関する高い過電圧を有する材料であり、特には、所定の電気分解条件で鉄の水素過電圧よりも高い水素過電圧を有する材料である。また、カソード材料が鉄金属の沈着を剥ぎ取ることを可能にさせるが好ましい。適切なカソード材料の例は、特に限定されることはないが、チタン(工業用品若しくは高純度品)、チタン合金(例えば、チタンパラジウム ASTM グレード7)、ジルコニウム(工業用品若しくは高純度品)、ジルコニウム合金、亜鉛(工業用品若しくは高純度品)、亜鉛合金、カドミウム(工業用品若しくは高純度品)、カドミウム合金、スズ(工業用品若しくは高純度品)、スズ合金、銅(工業用品若しくは高純度品)、銅合金、鉛(工業用品若しくは高純度品)、鉛合金、ニオブ(工業用品若しくは高純度品)、ニオブ合金、金(工業用品若しくは高純度品)、金合金、水銀又は水銀を有する金属アマルガムが挙げられる。
本発明の処理方法で用いるのに適したアノード材料(バルク材料又はコーティング材料)は、(1)電解触媒としての混合金属酸化物(MMO)でコーティングされた金属基板又はベースメタル(卑金属)Mから作製されたタイプ[M/MxOy-AzOt]の塩素発生のための寸法的に安定であるアノード(DSATM-Cl2)であり、Mは、例えば、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、ハフニウム、ハフニウム合金、バナジウム、バナジウム合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、タンタル合金のような弁作用特性を有する耐熱性の金属か又は合金であり、MxOyは、例えば、TiO2、ZrO2、HfO2、NbO2、Nb2O5、TaO2及びTa2O5のような、ベースメタル(卑金属)を保護する薄手で、かつ、不浸透性の層を形成するバルブメタルの金属酸化物である。AzOtは、貴金属の電解触媒の金属酸化物であるか、又は多くの場合、例えばRuO2、IrO2、PtOxのような白金族金属(PGMs)の酸化物であり、時には、例えば、SnO2、Sb2O5、Bi2O3のような金属酸化物であり、(2)例えば準化学量論的な酸化チタンのようなバルクの電子導電性のセラミックであり、例えば、一般式TinO2n-1(nは整数であり、>=3である。)、スピネル構造を有する導電性酸化物(AB2O4であって、式中、A=Fe(II)、Mn(II)若しくはNi(II)であり、B=Al、Fe(III)、Cr(III)若しくはCo(III)である。)、ペロブスカイト構造を有する導電性酸化物(ABO3であって、式中、A=Fe(II)、Mn(II)、Co(II)若しくはNi(II)であり、B=Ti(IV)である。)、又はパイロクロア構造AB2O7を有する導電性酸化物を備えるMagneli-Anderson相であり、或いは(3)カーボンを基本とした材料、例えば、グラファイト、不浸透性グラファイト又はガラス質のカーボンである。
本発明の処理方法で用いられるアノーライト組成物は、塩酸、MgCl2、NaCl、KCl、LiCl、CaCl2のような塩、又はそれらの混合物、及び腐食防止剤としてのFe(III)を含むことが有利なことである。例えば、適切なアノーライト組成物は以下の範囲で変化してよく、すなわち、約10〜約37質量%の塩酸(好ましくは約20%)、約1〜約20質量%のMgCl2、NaCl、KCl、LiCl、CaCl2又はそれらの混合物(好ましくは約16%)、そして、腐食防止剤として約10〜約12,000ppm質量)(好ましくは、8,000〜10,000ppm質量)のFe(III)を有しいぇ変化してよい。
3つに区分された電解槽についての本発明の実施形態において、カソーライト組成物は以下の範囲で変化してよく、すなわち、塩化鉄(II)について約1〜約450g/L(好ましくは約335g/L)、MgCL2について約1〜約350g/L(好ましくは約250g/L)、CaCL2について約1〜約350g/L(好ましくは約250g/L)、又はMgCL2とCaCL2との混合物について約350g/L(好ましくは約250 g/L)の範囲で変化してよい。また、それは、0〜約10g/LのフリーなHCL、及び/又は約1〜約350g/L(好ましくは約250g/L)のAlCl3を更に含んでよい。非鉄金属の塩化物の中でMgCL2が主要である実施形態においては、カソーライトのpHは、一般的には約0.6〜約1.5の範囲に及び、好ましくは約0.6〜約1.1の範囲に及び、より好ましくは約0.9〜約1.1の範囲に及ぶ。非鉄金属の塩化物の中で、AlCl3が主要である実施形態においては、カソーライトのpHは、一般的には約-1〜2の範囲に及び、好ましくは約-1〜約0.1の範囲に及び、より好ましくは約-0.6〜約-0.3の範囲に及ぶ。
反応温度は約40〜約11O0Cの範囲に及んでよく、好ましくは約80〜約950Cの範囲に及ぶ。最も好ましいのは、運転温度が約85℃である。
アノーライトとカソーライトとの両方の体積流量は約0.1〜約100L/minの範囲に及ぶことが有利なことであり、約0.1〜約30L/minの範囲に及ぶことが好ましい。所定の電気分解セルにおいて、体積流量が約2L/minであることが最も好ましい。
樹枝状結晶ではない滑らかな鉄の沈着を作り出すために、電気分解中のカソード電流密度は約50〜約1000A/m2の範囲に及ぶことが有利なことである。そのような場合に、カソード電流密度は約500A/m2であることが好ましい。
鉄粉末を作り出すために、電気分解中のカソード電流密度は約3000〜約5000A/m2の範囲に及ぶことが有利なことである。そのような場合に、カソード電流密度は約4000A/m2であることが好ましい。
本発明の処理方法で用いられるセパレーターは、従来の隔膜セパレーターのような不活性なものでよく、イオン交換膜のような活性なものでもよい。用いられるセパレーターがイオン交換膜であることが好ましい。本発明の処理方法で用いられるアニオン交換膜及びカチオン交換膜は従来の膜である。適切なアニオン交換膜の例は、特に限定されることはないが、下記の実施例において提示される(図14)。
また、電極間ギャップは変化してよく、よく知られているように、抵抗降下に対して影響する。それが約6mmであることが有利なことである。
鉄が除去された溶液(の一部分)が再循環される実施形態において、再循環は塩素発生の塵埃又は他の原料が希釈されるタンク中で実行されてもよいし、又はpH調節されるタンク中で直接的に実行されてもよい。
ブリード溶液は任意の段階でそのシステムから回収されてよい。例えば、その溶液は鉄が除去された溶液の一部分を構成してもよい。
また、鉄が除去された溶液の再循環は、3つに区分された電解槽を用いた実施形態において実行されてもよい。前述したように、鉄に富む金属塩化物溶液は、その後、中央区画室の中を通って通過してもよい。
また、金属塩化物、金属の一部が鉄ほど容易には電着しないもの(例えばAl又はMg)の再循環が実質的に純粋な鉄を得ることを可能にさせることは理解されるべきである。鉄を含む合金が望ましい場合において、鉄と、例えば、特に限定されることはないが、Zn及び/又はNiのような他の金属との共沈着は可能性がある。
本発明は、特に限定されることはないが以下の実施例に基づいて更に詳細に下記に示される。
実施例1
鉄に富む金属塩化物溶液が調製されて、未反応の固体が分離された。10キログラムの無水の塩素発生の塵埃のバッチ、アップグレードされたチタニアに富むスラグ(UGS)の炭素塩素化の副生成物が、二酸化チタン顔料の生産者によって提供された。全ての可溶性金属塩化物材料を濾し出すために、まず、10g/Lのフリーな塩酸(HCL)を最初に含んだ8O0Cの酸性の熱水とその材料を混合した。可溶性塩を完全に溶解した後、結果物の温かく、かつ、濃厚なスラリーを、4.5リットルの容量を有する、240mmの大きさの内径のBuchner funnels (CoorsTek)を用いて真空下でろ過をした。真空ポンプに連結された10リットルのErlenmeyerの真空フラスコ(Kimax)の上部にBuchnersを据え付けた。用いられたフィルター媒体は、円盤状の無灰のフィルターペーパーNo.42(Whatman)であった。処理能力を増加させるために、これらの4つのBuchner-Erlenmeyerアセンブリーを同時に並行に運転した。
このように、得られたフィルター固形物を、最小限量の脱イオン化した酸性の熱水で注意深く洗浄し、アセトンで脱水し、ステンレスのスチールパンに置き、その後、11O0Cで一晩オーブン乾燥をした。顕微鏡試験と化学分析とから、残存の不溶性固体は、主に未反応のチタンスラグ、シリカ及びケイ酸塩を含み、さらに、沈殿した二酸化チタンの微粒子、並びにコークス留分を含んだ。乾燥後に得られたこれらの固体の化学的な組成の例は、下記の表3に示される。
Figure 2011514446
表3-酸性の熱水による溶脱と乾燥後の不溶性固体の組成
(質量%)
ろ過と洗浄とが終了した後、洗浄水とトータルで18Lの4つのろ液を5US-ガロンの大きさの円筒形のポリプロピレン製タンクに集積した。溶脱後のこの最初の溶液中の金属塩化物の濃度は表4に提示される。滑らかな沈着を得るために対して充分なカソードの電流密度で電気分解を実行するためには、塩化鉄(II)のろ液中の濃度(すなわち83.7g/L)は非常に低かったので、ホットプレート(Corning)で加熱した大きなErlenmeyerフラスコ中で、溶液を蒸発によって更に濃縮した。溶液の体積を4(4.5L)まで減らしたときに蒸発を停止した。その段階で、金属塩化物の濃度は非常に増大し、8O0Cでサンプリングされた場合に塩化鉄(II)が335g/Lに達した(濃縮された溶液について表4を参照)。したがって、室温で冷却したときに、塩化第一鉄の結晶化を防止するために、溶液を、熱浴(Lauda GmbH)によって供給された熱水を循環することによって加熱された10Lの被覆ガラスリアクター(Kimble-Contes)に素早く移した。全時間にわたって溶液の温度を8O0Cに維持した。また、遊離酸の濃度を約10g/Lに維持するために、微量の濃塩酸を添加することによって溶液を酸性にした。実際的には、0.5以下のpHにおいて、第一鉄(Fe2+)を第二鉄(Fe3+)に空気酸化することを遅らせる。その上、同一目的である酸化を防止することのために、溶液の上部を一面の窒素ガスにしてそれを維持し、そして、溶液に浮かせるcmサイズの小さなポリプロピレンボールは、重要である蒸発による水のロスを防止するのに役立った。その後、調製されて保存された溶液は次の工程に向けての準備が整った。
Figure 2011514446
表4 鉄に富む溶液中での金属塩化物の濃度(g/L)
実施例2
実施例2a(pH1.1における初期状態の濃縮した鉄に富む金属塩化物溶液の電気分解)
実施例1から得られた、先の鉄に富む金属塩化物の濃縮溶液を、微量のマグネシア(酸価マグネシウム)を添加することによってpH1.1に簡単に調節し、その後電解槽のカソード室の中で循環させた。電解槽は、ExcellionTMI-200(SnowPure LLC)から作製されたアニオン交換膜によって分離された2つの区画室を有するElectrocell AB (Sweden)製のフィルタープレス設計モデルのMPセルから構成された。形状的な電極と膜表面との面積は100cm2であり、そして、各々の電極とセパレーターとの間隔は6mmであった。
カソード室は、Titanium Industriesによって提供されるチタンパラジウム合金(ASTMグレード7;Ti-0.15Pd)から作製されるカソードプレートを含んだ。電気分解前に、カソードを、フルオロ-硝酸混合物(70vol%濃度HNO3、20vol%濃度HF及び10vol%H2O)に含浸することによって化学的にエッチング処理を施し、そしてその後、微量の酸がなくなるまで、脱イオン化水で完全にリンスをした。
アノード室に、MagnetoBV(Netherlands)によって提供される寸法的に安定であるアノード(DSATM-Cl2)を備え付けた。そのアノード(DSATM-Cl2)は、塩素の発生を促進するための電解触媒として作用する二酸化ルテニウム(RuO2)の高充填物でコーティングされたチタン-パラジウム合金基板プレート(Ti-0.15Pd/RuO2)から作製された。ループ状態で再循環したアノーライトは、17質量%の塩化マグネシウムと腐食防止剤としての10,000ppmの第二鉄(Fe3+)とを有する20質量%の塩酸の水溶液から構成され、脱イオン化水で調整された。500A/m2の全電流密度の定電流で電気分解を実行した。運転温度は800Cであり、カソーライトとアノーライトの両方の体積流量は1L/minであった。その電流密度において、測定された全セル電圧は2.528Vであった。電気分解中、純鉄金属はカソードに沈着した。一方で、塩化物アニオンは浸透性のアニオン交換膜の中を通ってアノード室に向けて移動し、次の電気化学的な反応にしたがってアノードの表面から塩素ガスとして放出した。
Figure 2011514446
全電気化学的な反応は以下である。
Figure 2011514446
2時間の連続的な電気分解の後、運転を停止して電解槽を開放した。機械的な手段によって、電着して厚みが薄く、粗い黒色プレートを容易にチタンカソードから剥ぎ取った。その測定された厚みは約0.126mmであり、その質量はたった8.30gであった。走査型電子顕微鏡(SEM)で精密な試験をした結果、それは、実際的に、組み込まれた小さな粒子である純五酸化バナジウム結晶を有する鉄金属の電着物であった(図7及び8を参照)。バルクサンプルの元素化学分析をした結果、それは68質量%の鉄と32質量%との五酸化バナジウム(V2O5)とから構成された。五酸化バナジウムの共沈着はおそらく以下の現象による。すなわち、カソード表面において、ヒドロニウムカチオン(H+)を発生水素に変え、そのH+除去により、局在的にpHの増加をもたらし、そのことが五酸化バナジウム粒子の沈殿をもたらして、鉄の電着物に組み込むという現象により共沈着が起こる。これらの実験結果から、見積もられたファラデー電流効率は80%であり、500A/m2における具体的なエネルギー消費は、沈着(鉄+五酸化バナジウム)のkgあたり3.033kWhか、純鉄1kgあたり4.460kWhであった。
放出されたウェットな塩素ガスを、Vitonチューブを有する蠕動ポンプ(Masterflex L/S Digital Pump)を下流方向で用いて吸引によって回収した。まず、塩素ガスを氷浴中に浸した空の洗浄ホウケイ酸ガラスボトルの中を通過させることによって冷却した。その後、含有されているミスト及び水分を濃硫酸(98質量%H2SO4)で満たした幾つかのフラスコ中にそのガスを通すことによって取り除き、最後に、次の反応にしたがってヨウ素を遊離するヨウ化カリウム飽和溶液中に乾燥させて冷却させた塩素ガスは吸収された。
Figure 2011514446
電気分解の終了後、遊離したヨウ素を、次の反応にしたがって、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)の標準液によって滴定した。
Figure 2011514446
滴定に基づいて、塩素のアノードファラデー効率は78%であると実証された。2つの電流効率性(アノード及びカソード)の違いは、カソードにおける水素発生とアノードにおける酸素発生とによるところが大きい。500A/m2におけるアノードの特定エネルギー消費は、純粋な塩素ガスのキログラム当たり2.45kWh(すなわち、立方メートル(m3)当たり、7.652kWh(NTP:00C、101.325kPa))であった。
実施例2b(pH0.30における初期状態の濃縮した鉄に富む金属塩化物溶液の電気分解)
実施例2aの代替として、実施例1から得られた、鉄に富む金属塩化物の濃縮溶液を、やや低めのpH0.30に調節し、カソード表面における五酸化バナジウムの沈殿pHより大きいpHに増大することを防ぐことになったが、あまり低くなく調節されると、一方では、水素の発生を促進しないこととなった。このことは電解槽のカソード室に塩酸を加えて循環させることによって成された。電解槽は、実施例2aで述べられた電解槽と同一であったが、この場合、電気分解を1000A/m2の電流密度の定電流で実行した。その電流密度と低pHで、測定されたセル電圧は2.865Vであった。1時間後、鮮やかであって滑らかな電着をチタンカソードから容易に剥ぎ取った(図9参照)。それはたった6.24gの質量であった。それは99.88質量%の鉄と、たった0.12質量%の五酸化バナジウム(V2O5)とから構成された。これらの実験結果から、見積もられたファラデー電流効率は60%であり、1000A/m2における具体的なエネルギー消費は、鉄1kgあたり4.584kWhであった。
放出されたウェットな塩素ガスは、実施例2aで述べられた方法と同様な方法によって回収された。
実施例3
実施例2aの鉄-バナジウム沈着から鉄とバナジウムとの回収
金属沈着をプルヴアリセッテ(pulverisette)ミル(Fritsch)中で粉砕し、そして、結果として得られた粉末を、125mLのPTFEを裏打ちした分解容器(Parr Company)中で、2時間100℃で水酸化ナトリウム(NaOH50質量%)苛性アルカリ溶液を用いて加圧下で処理をした。冷却して、溶液をろ過して不溶性鉄金属微粒子を回収した。その後、過剰量の塩化アンモニウム(NH4Cl)を、純メタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)を沈殿させるためにバナジウムに富んだ液に添加した。その後、純メタバナジン酸アンモニウムを、ボックス加熱炉(Fisher Isotemp)中で、400℃の乾燥空気で磁器の舟形皿の中でか焼して、アンモニア(NH3)及び水蒸気(H2O)を放出させて、それによって五酸化バナジウムの赤橙色の粉末を得た。その後、その粉末をインコネル(lnconel)のるつぼに移して、700℃の空気中で溶融した。その溶融物を冷却したスチールプレートに流し込んだ。結果として得られた固化した亜金属光沢を有する黒色の塊物を、その後、粉砕助剤及び冷却剤としてのアセトンを用いてハードメタル(hardmetal)の裏地を有する2つのディスクのバイブレーターカップミル(Fritsch GmbH)中で粉砕した。このようにして得られた生成物は工業グレードの五酸化バナジウム粉末であった。
実施例4
電気分解前の実施例1から得られた鉄に富む金属塩化物溶液からのバナジウムの除去
塩素酸ナトリウム(NaClO3)の化学量論量を実施例1で調製された初期状態の溶液に添加して、次の反応にしたがって酸化させて、全てのバナジウムカチオン(V4+、V5+)を5価のバナジウム(V5+)にした。
Figure 2011514446
塩素酸ナトリウムの添加は溶液の濃縮後にもまた実行されるべきであることに注意すべきである。
その後、等量の塩化第二鉄(FeCl3)をその溶液に投入して、五酸化バナジウムと水酸化鉄との共沈殿を促進した。そのような共沈殿は完全なるバナジウムの沈殿を促進するために用いられた。実に、バナジウムが沈殿するための唯一のものであるならば、溶液中において、約0.02mol/L未満のバナジウム濃度で沈殿は停止する。
赤茶色の水和した五酸化バナジウム(V)は約pH1.8で沈殿を開始するが、一方では、茶色の水酸化鉄(III)は約pH2.0で沈殿を開始する。このように、それらの両種が存在する場合、それらはpH1.8-2.0で共沈殿する。その場合に、溶液のpHは、マグネシア(酸価マグネシウム)(Mg(OH)2)の軟らかいスラリーを注意深く添加することによって、pHが2.0に到達するまで上昇させたが、黒色の水酸化フェロソと水酸化第二鉄との混合物の沈殿を回避するためにpH2より大きいpHにすることはない。そのpHにおいて、五酸化バナジウム水和物(V2O5-250H2O)と水酸化鉄(III)との完全なる共沈殿が、ゼラチン状の赤茶色の沈殿物の形態で発生した。その共沈殿物を、実施例1で述べたと同様なセットアップ品を利用してろ過によって分離した。
結果として得られたろ液を、その後、0.5に近いpHに調節するために再び酸性にして、次の電気分解工程まで被覆リアクターに貯蔵した。
赤茶色のゼラチン状のフィルター固形物をフィルターペーパーから取り除き、水酸化ナトリウム(NaOH、50質量%)の温かい苛性アルカリ溶液中で分解した。冷却して、溶液とスラッジ(泥)との両方を、250mlの遠心分離ポリプロピレンボトルに注いで毎分10,000回転の頑丈な卓上遠心分離機(Thermo Electron製のCL4)を用いて遠心分離をした。主に水酸化鉄(Fe(OH)3)から構成された、不溶性で、かつ、濃厚なゼラチン状の残渣を底部において分離して、アルカリ性の熱水(pH10)で注意深く洗浄して、再び遠心分離をしてその後廃棄した。その後、過剰量の塩化アンモニウム(NH4Cl)を、純メタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)を沈殿させるためにバナジウムに富んだ上澄み液に添加した。その後、純メタバナジン酸アンモニウムを、ボックス加熱炉(Fisher Isotemp)中で、400℃の乾燥空気で磁器の舟形皿の中でか焼して、アンモニア(NH3)及び水蒸気(H2O)を放出させて、それによって五酸化バナジウムの赤橙色の粉末を得た。その後、その粉末をインコネル(lnconel)のるつぼに移して、700℃の空気中で溶融した。その溶融物を冷却したスチールプレートに流し込んだ。固化した亜金属光沢を有する黒色の塊物を、その後、粉砕助剤及び冷却剤としてのアセトンを用いてハードメタル(hardmetal)の裏地を有する2つのディスクのバイブレーターカップミル(Fritsch GmbH)中で粉砕した。このようにして得られた生成物は、主な不純物として、多少のクロム、鉄及びマンガンを含有する工業グレードの五酸化バナジウム粉末であった。
実施例5
実施例4から得られたバナジウムがない鉄に富む溶液の電気分解
実施例4でバナジウムが取り除かれた鉄に富む金属塩化物溶液を、微量のマグネシア(酸価マグネシウム)を添加することによってpH0.9に調節して電解槽のカソード室の中で循環させた。電気分解前のその組成は表4の最後の列に示される。電解槽は、実施例2a及び2bで述べられた電解槽と同一であった。また、電気分解を200A/m2の電流密度の定電流で実行した。運転温度は85℃であり、カソーライト及びアノーライトの両方の体積流量は1L/minであった。その電流密度で、測定されたセル電圧は1.85Vであった。5時間の連続的な電気分解の後、運転を停止して電解槽を開放した。機械的な手段によって、電着して厚みが薄い鉄金属のプレートを素早くチタンカソードから剥ぎ取った。厚みは0.126mmであり、その質量は10.20gであった(図10を参照)。それは、おそらく水素の泡のために窪みがある滑らかで、かつ、軟らかい材料であった。これらの実験結果から、見積もられたファラデー電流効率は97.9%であり、200A/m2における具体的なエネルギー消費は、鉄1kgあたりたった1.87kWhであった。鉄の純度は、他の微量の金属元素を有さない99.99質量%のFeであった。
実施例6
3つに区分された電解槽についての鉄に富む金属塩化物溶液の電気分解
実施例1から得られた、鉄に富む金属塩化物の濃縮溶液を、微量のマグネシア(酸価マグネシウム)を添加することによってpH1.1に簡単に調節し、その後電解槽の中央区画室の中で循環させた。電解槽は、Snowpure LLCに製作されたアニオン交換膜(ExcellionTMI-200)及びカチオン交換膜(ExcellionTMI-100)によって分離された3つの区画室を有するElectrocell AB (Sweden)製のフィルタープレス設計モデルのMPセルから構成された。形状的な電極と膜表面との面積は100cm2であり、そして、各々の電極とセパレーターとの間隔は6mmであり、また、両膜間の間隔も6mmであった。
カソード室は、Titanium Industriesによって提供されるチタンパラジウム合金(ASTMグレード7;Ti-0.15Pd)から作製されるカソードプレートを含んだ。電気分解前に、カソードを、フルオロ-硝酸混合物(70vol%濃度HNO3、20vol%濃度HF及び10vol%H2O)に含浸することによって化学的にエッチング処理を施し、そしてその後、微量の酸がなくなるまで、脱イオン化水で完全にリンスをした。
アノード室に、MagnetoBV(Netherlands)によって提供される寸法的に安定であるアノード(DSATM-Cl2)を備え付け、そのアノードは、塩素の発生を促進するための電解触媒として作用する二酸化ルテニウム(RuO2)の高充填物でコーティングされたチタン-パラジウム合金基板プレート(Ti-0.15Pd/RuO2)から作製された。
カソード室内をループ状態で循環したカソーライトは、pH1.1に調節された350g/Lの塩化鉄(II)と300g/Lの塩化マグネシウム(II)との水溶液であり、一方では、アノード室内をループ状態で循環したアノーライトは、17質量%の塩化マグネシウム(MgCl2)と腐食防止剤としての10,000ppmの第二鉄(Fe3+)とを有する20質量%の塩酸の水溶液から構成され、脱イオン化水で調整された。
500A/m2の全電流密度の定電流で電気分解を実行した。運転温度は800Cであり、カソーライトとアノーライトと初期状態の溶液の体積流量は1L/minであった。その電流密度において、測定された全セル電圧は3.502Vであった。電気分解中、鉄に富む金属塩化物溶液からの第一鉄カチオンは、ExcellionTM I-100カチオン交換膜を通過した。そして、純鉄金属はカソードに沈着した。一方で、塩化物アニオンは浸透性のアニオン交換膜の中を通ってアノード室に向けて移動し、アノードの表面から塩素ガスとして放出した。
2時間の連続的な電気分解の後、運転を停止して電解槽を開放した。機械的な手段によって、鮮やかな鉄金属の沈着物のプレートを容易にチタンカソードから剥ぎ取った。その測定された厚みは約0.126mmであり、その質量は10.04gであった(図11を参照)。これらの実験結果から、見積もられたファラデー電流効率は96.4%であり、500A/m2における具体的なエネルギー消費は鉄1kgあたり3.485kWhであった。塩素ガスを、実施例2aでもうすでに述べた手段によって回収した。
次のように、中央区画室に在る鉄を除去した溶液から、標準的な方法によってバナジウムも回収した。塩素酸ナトリウム(NaClO3)の化学量論量の鉄を除去した溶液に添加して、次の反応にしたがって酸化させて、全てのバナジウムカチオン(V4+、V5+)を5価のバナジウム(V5+)にした。
Figure 2011514446
その後、溶液のpHは、マグネシア(酸価マグネシウム)(Mg(OH)2)の軟らかいスラリーを注意深く添加することによって、pHが2.0に到達するまで上昇させたが、黒色の水酸化フェロソと水酸化第二鉄との混合物の沈殿を回避するためにpH2より大きいpHにすることはなかった。そのpHにおいて、五酸化バナジウム水和物(V2O5-250H2O)の完全なる沈殿が、ゼラチン状の赤茶色の沈殿物の形態で発生した。この場合にバナジウムが沈殿する唯一の種なので、沈殿は溶液中において約0.02mol/L未満のバナジウム濃度で停止した。溶液の再濃縮によって更なるバナジウムを回収させることは可能である。
赤茶色の沈殿物を、実施例4で述べたと同様なセットアップ品を用いてろ過によって分離した。赤茶色のゼラチン状のフィルター固形物をフィルターペーパーから取り除き、オーブンで乾燥して、その後、ボックス加熱炉(Fisher Isotemp)中で、400℃の乾燥空気で磁器の舟形皿の中でか焼して、水蒸気(H2O)を放出させて、それによって五酸化バナジウムの赤橙色の粉末を得た。その後、その粉末をインコネル(lnconel)のるつぼに移して、700℃の空気中で溶融して、冷却したスチールプレートに流し込んだ。固化した亜金属光沢を有する黒色の塊物を、その後、粉砕助剤及び冷却剤としてのアセトンを用いてハードメタル(hardmetal)の裏地を有する2つのディスクのバイブレーターカップミル(Fritsch GmbH)中で粉砕した。このようにして得られた生成物は、主な不純物として、多少のクロム、鉄及びマンガンを含有する工業グレードの五酸化バナジウム粉末であった。
実施例2a、2b、5及び6おいて実施された電気分解実験の結果及び特徴の幾つかは下記の表5に纏めた。
Figure 2011514446
実施例7
再循環によって濃縮される鉄に富む金属塩化物溶液の電気分解
この実施例において、再循環の状況下で、2つに区分された電解槽中を通過する鉄に富む金属塩化物溶液の理論上の組成は、表1の範囲に合致する組成を有する原料に基づいたマスバランスの計算によって決定された。特に、この実施例で用いられた塩素発生の塵埃は、92.0質量%のFeCl2、4.8質量%のAlCl3、2.0質量%のMgCl2及び1.2質量%のMnCl2を含む。この原料について、目標のシングルパスの約30%変換、目標の全ての鉄の約90%変換及び、図4に表されているような方法における約20%の電解槽に投入するFeCl2濃度に対するマスバランスの計算は96.7%の再循環速度を示した(再循環の流量、すなわち、鉄が除去された溶液が上流の貯留層中で再循環される流量と、(1)再循環の流量及び(2)ブリードの流量の合計との質量比として表現される。)。鉄に富む金属塩化物溶液に対する組成は以下のとおりである。
Figure 2011514446
10、15及び20質量%のFeCl2を各々含み、他の塩化物に対しては上記の組成範囲内である3つの合成溶液を、脱塩水に金属塩化物を溶解することによって作製した。各々の場合において、最初は、脱塩水のpHは4.7であり、金属塩化物が溶解した後は、約-0.6〜-0.3の範囲に及ぶ値に下がった。
上記に規定した組成物の各々を500及び1500A/m2の定電流で電気分解をした。用いられた電解槽は実施例2aで述べられた電解槽と同一であった。運転温度は800Cであり、カソーライト(鉄に富む金属塩化物溶液)とアノーライトとの両方の体積流量は1.5L/minであった。500及び1500A/m2の各々において、測定された全セル電圧は2.6及び3.9Vであった。500A/m2に対しては2時間の連続的な電気分解の後運転を停止し、1500A/m2に対しては1時間の連続的な電気分解の後運転を停止し、各々溶液に対して試験をした。その後、電解槽を開放し、質量の測定をする前に、電着した鉄をカソードから剥ぎ取った。第一鉄濃度を関数とする、結果として得られたファラデー電流効率を図2に示す。500A/m2及び1500A/m2における具体的なエネルギー消費は、各々、鉄1kgあたり2.83kWhと、鉄1kgあたり4.13kWh−4.29kWhとであった。
この実施例で得られた鉄のファラデー電流効率は、表4で示された組成毎の鉄に富む金属塩化物溶液を用いた前述の実施例で得られたファラデー電流効率と比較する。
この実施例では、試験したどの溶液の調製においても塩化物の結果化がなかったことについて注目した。そのことは、マスバランスの計算で得られた再循環速度が寧ろ大きい場合であっても、試験した原料は工業的には受入らることを示唆する。
さらに、用いた両方の電流密度におけるファラデー電流効率について良好な結果は、この実施例で試験した溶液のpHもまた、試験した原料に対する工業的な処理方法に有効的に適用されることを示唆する。
実施例8
鉄が除去された電解液からのカルシウムの除去
実施例2a、2b、5及び6が終了した後、沈殿した不溶性の硫酸カルシウム2水和物(CaSO4 2H2O)としてカルシウムを除去するために、電解槽から排出する鉄と、おそらくバナジウムが除去された溶液に濃硫酸を添加した。沈殿物をろ過によって取り除いた。塩化マグネシウム及び/又は塩化アルミニウムのみを含有した澄んだ溶液は熱加水分解のために用意された。
実施例9
実施例2a、2b、5、6及び7で電気分解を実行するためのカソード材料の選択
カソード材料の選択は、実施例2aで利用されたものと同一である電解槽とセットアップ品を用いたが、ループ状態で循環する合成カソーライトについては、pH1.1に調節された350g/Lの塩化鉄(II)と300g/Lの塩化マグネシウム(II)との水溶液から作製されたものを用い、一方では、ループ状態で循環するアノーライトについては、17質量%の塩化マグネシウム(MgCl2)と腐食防止剤としての10,000ppmの第二鉄(Fe3+)とを有する20質量%の塩酸の水溶液から構成され、脱イオン化水で調整されたものを用いて実行した。分極曲線、すなわち、セル電圧vs.電流密度の曲線データを各々のカソード材料に対して記録した。試験した材料は、Titanium Industries製のチタンパラジウム合金、ASTMグレード7(Ti-0.15Pd)、Wah Chang製のZircadyneTM 702、オーステナイト系のステンレススチールAISIグレード316L、アルミニウムグレード6061 T6及び純銅であった。予期されるように、チタン及びジルコニウムのみが、鉄沈着物を容易に剥ぎ取ることを可能にさせた。分極曲線を図13に示す。
実施例10
実施例2a、2b、5、6及び7で電気分解を実行するためのアニオン交換膜の選択
アニオン交換膜の選択は、実施例2aで利用されたものと同一である電解槽とセットアップ品を用いて実行した。カソード室で、ループ状態で循環する合成カソーライトは、pH1.1に調節された350g/Lの塩化鉄(II)と300g/Lの塩化マグネシウム(II)との水溶液から作製され、一方では、アノード室で、ループ状態で循環するアノーライトは、17質量%の塩化マグネシウム(MgCl2)と腐食防止剤としての10,000ppmの第二鉄(Fe3+)とを有する20質量%の塩酸の水溶液から構成され、脱イオン化水で調整された。電気分解は2時間80℃の定電流で実行した。分極曲線、すなわち、セル電圧vs.電流密度の曲線データを各々のアニオン交換膜に対して記録した。試験した膜は、ExcellionTMI-100 (SnowPure LLC)、NeoseptaTMAMH、ACM、AHA(Tokuyama Co. Ltd.-Eurodia)、Selemion (Asahi Glass)、及びUltrexTMAMI-7001(Membrane International)であった。分極曲線を図14に示す。
実施例11
実施例2a、2b、5、6及び7で電気分解を実行するためのアノーライト組成物の選択
アノーライトの選択は、実施例10で利用されたものと同一である電解槽とセットアップ品を用いたが、カソード室で、ループ状態で循環する合成カソーライトについては、pH1.1に調節された350g/Lの塩化鉄(II)と300g/Lの塩化マグネシウム(II)との水溶液から作製されたものを用い、アノード室で、ループ状態で循環するアノーライトについては、以下のように変化する組成、すなわち、(i)20質量%MgCl2+2質量%HCLであるか、(ii)20質量%MgCl2+5質量%HCLであるか、(iii)17質量%MgCl2+20質量%HClであるか、(iv)20質量%HClであるかの組成であって、腐食防止剤としての10,000ppmの第二鉄(Fe3+)とを有するものを用いて実行した。電気分解は2時間80℃の定電流で実行した。分極曲線、すなわち、セル電圧vs.電流密度の曲線データを各々のアノーライト組成物に対して記録した。分極曲線を図15に示す。
本発明は特定の実施形態によって上記のように述べられたが、添付の特許請求の範囲に規定するように、本発明の主題の精神及び本質から逸脱しない範囲内で本発明を改良することは可能である。

Claims (38)

  1. 鉄に富む金属塩化物溶液から金属鉄と塩素ガスとの回収のための電気化学的処理方法であって、
    a)鉄に富む金属塩化物溶液を供給する工程、
    b)鉄の水素過電圧よりも高い水素過電圧を有するカソードを備えて約2以下のpHを有するカソーライトを含有するカソード室、アノードを備えてアノーライトを含有するアノード室、及びアニオン通過を可能とするセパレーターを含む電解槽で該鉄に富む金属塩化物溶液を電解する工程であって、該電解工程が鉄に富む金属塩化物溶液を非アノード室で循環させて、それによって鉄を該カソードに電着させて塩素ガスを該アノードから発生させて、そして鉄が除去された溶液となることを含む、工程、
    c)該電着した鉄と該塩素ガスとを別個独立に回収する工程、並びに、
    d)a)該鉄に富む金属塩化物溶液を供給して、該鉄に富む金属塩化物溶液中で該鉄が除去された溶液の少なくとも一部分を再循環する工程、
    を含む、電気化学的処理方法。
  2. 前記カソーライトが非鉄金属塩化物として主にAlCl3を含有する場合に、前記カソーライトの前記pHが、定期的に、約-1〜約2の範囲に及ぶ所定のpHに調節され、好ましくは約-1〜約-0.1の範囲に及ぶ所定のpHに調節され、より好ましくは約-0.6〜約-0.3の範囲に及ぶ所定のpHに調節される、請求項1に記載の電気化学的処理方法。
  3. 前記カソーライトが、非鉄金属塩化物として主にMgCl2を含有する場合に、前記カソーライトの前記pHが、定期的に、約0.3〜約1.8の範囲に及ぶ所定のpHに調節され、好ましくは約0.6〜約1.5の範囲に及ぶ所定のpHに調節され、より好ましくは約0.6〜約1.1の範囲に及ぶ所定のpHに調節され、最も好ましくは約0.9〜約1.1の範囲に及ぶ所定のpHに調節される、請求項1に記載の電気化学的処理方法。
  4. 前記カソーライトの前記pHが前記電解工程b)の上流側で調節される、請求項2又は3に記載の電気化学的処理方法。
  5. 前記再循環工程d)が約60%超の再循環速度で実行され、好ましくは約80%超の再循環速度で実行され、より好ましくは約95%超の再循環速度で実行される、請求項1から4のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  6. 前記カソードが、200A.m2で、かつ、250Cの0.5mol.dm-3HClで、約425mV超の過電圧を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  7. 前記カソードが、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、亜鉛、亜鉛合金、カドミウム、カドミウム合金、スズ、スズ合金、銅、銅合金、鉛、鉛合金、ニオブ、ニオブ合金、金、金合金、水銀若しくは水銀を有する金属アマルガムの一つである材料から構成されるか、又はコーティングされる、請求項6に記載の電気化学的処理方法。
  8. 前記材料が、チタン又はチタン合金から成り、好ましくはチタンパラジウムASTMグレード7から成る、請求項7に記載の電気化学的処理方法。
  9. 前記カソードが前記電解工程前にプレ処理され、好ましくは、フルオロ-硝酸混合物に含浸することによって化学的にエッチング処理を施され、そして、微量の酸を取り除くために脱イオン化水で徹底的にリンスされ、該フルオロ-硝酸混合物が、好ましくは、約70vol%濃度HNO3、約20vol%濃度HF及び約10vol%H2Oである組成を有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  10. 前記アノーライトが前記電解槽の前記アノード室内をループ状態で循環する、請求項1から9のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  11. 前記アノーライトが、HClを含み、好ましくは約10から37質量%の塩酸を含み、より好ましくは約20質量%の塩酸を含み、MgCl2、NaCl、LiCl、KCl又はCaCl2の少なくとも1つの塩を含み、好ましくは1から約20質量%の該塩を含み、より好ましくは約16質量%の該塩を含み、そして、腐食防止剤としてFe(III)を含み、好ましくは10から約12000質量ppmの該Fe(III)を含み、より好ましくは約8000から約10000質量ppmの該Fe(III)を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  12. 前記アノードがタイプ[M/MxOy-AzOt]の寸法的に安定であるアノードであって、Mは、弁作用特性を有する耐熱性の金属又は合金であり、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、ハフニウム、ハフニウム合金、バナジウム、バナジウム合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、又はタンタル合金を含み、MxOyは、ベースメタル(卑金属)を保護する薄手で、かつ、不浸透性の層を形成するバルブメタルの金属酸化物であり、TiO2、ZrO2、HfO2、NbO2、Nb2O5、TaO2又はTa2O5を含み、そして、AzOtは、貴金属の電解触媒の金属酸化物、RuO2、IrO2、若しくはPtOxを含む白金族金属(PGMs)の酸化物、又はSnO2、Sb2O5、若しくはBi2O3を含む金属酸化物である、請求項1から11のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  13. 前記アノードがバルクの電子導電性のセラミックから構成され、該セラミックが、一般式TinO2n-1(nは整数であり、3以上である。)として有する準化学量論的な酸化チタンであるか、スピネル構造AB2O4を有して、AはFe(II)、Mn(II)若しくはNi(II)であり、BはAl、Fe(III)、Cr(III)若しくはCo(III)である、導電性酸化物であるか、ペロブスカイト構造ABO3を有して、AはFe(II)、Mn(II)、Co(II)若しくはNi(II)であり、BはTi(IV)である導電性酸化物であるか、又はパイロクロア構造AB2O7を有する導電性酸化物を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  14. 前記アノードが、カーボンを基本とした材料、例えば、グラファイト、不浸透性グラファイト又はガラス質のカーボンから構成される、請求項1から11のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  15. 前記電解工程が2つに区分された電解槽で実行され、該電解槽の前記セパレーターがイオン交換膜であり、好ましくはアニオン交換膜であり、前記鉄に富む金属塩化物溶液が該電解槽の前記カソード室内をループ状態で循環し、カソーライトとして作用する、請求項1から14のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  16. 前記電解工程が3つに区分された電解槽で実行され、該電解槽の前記アノード室及び前記カソード室が、アニオン交換膜とカチオン交換膜との各々によって中央区画室から分離され、前記鉄に富む金属塩化物溶液が該電解槽の該中央区画室内をループ状態で循環する、請求項1から14のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  17. 前記カソーライトが前記カソード室内をループ状態で循環する、請求項16に記載の電気化学的処理方法。
  18. 前記カソーライトが、約1〜約450g/L、好ましくは約335g/Lの塩化鉄(II)含むか、又は約1〜約350g/L、好ましくは約250g/LのMgCl2、CaCl2若しくはそれらの混合物、好ましくはをMgCl2を含むか、選択的に、約1〜約350g/L、好ましくは約250g/LのAlCl3、及び0〜約10g/Lのフリー(遊離)HClを含む、請求項16又は17に記載の電気化学的処理方法。
  19. 前記電解工程が約50から約5000A/m2の範囲に及ぶ電流密度の一定電流で実行される、請求項1から18のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  20. 前記電解工程が約50から約1000A/m2の範囲に及ぶ電流密度、好ましくは約500A/m2の電流密度の一定電流で実行され、それによって本質的に樹枝状ではない滑らかな鉄の沈着物を得る、請求項19に記載の電気化学的処理方法。
  21. 前記電解工程が約3000から約5000A/m2の範囲に及ぶ電流密度、好ましくは約4000A/m2の電流密度の一定電流で実行され、それによって本質的に粉末状の鉄を得る、請求項19に記載の電気化学的処理方法。
  22. 前記電解工程が約40〜約11O℃の範囲に及ぶ運転温度で実行され、好ましくは約80℃〜9℃の範囲に及ぶ運転温度で実行され、より好ましくは約85℃と等しい温度で実行される、請求項1から21のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  23. 前記鉄に富む金属塩化物溶液が、炭素塩素化廃棄物、廃酸溶脱液又はピクリング液に由来する、請求項1に記載の電気化学的処理方法。
  24. 前記鉄に富む金属塩化物溶液を供給する工程a)が、
    a1)固体状の炭素塩素化廃棄物を熱水溶液で溶脱して、それによって、水性スラリーを形成する工程、及び
    a2)水性スラリーについて固体を分離させて、それによって、不溶性固形物を形成して、そして鉄に富む金属塩化物溶液を分離する工程、
    を含む、請求項23に記載の電気化学的処理方法。
  25. 前記熱水溶液が、熱処理水、熱希塩酸、熱廃溶脱酸又は廃ピクリング液である、請求項24に記載の電気化学的処理方法。
  26. 前記固体を分離する工程が物理的な分離方法によって実行され、好ましくはデカンテーション、ろ過又は遠心分離によって実行される、請求項24又は25に記載の電気化学的処理方法。
  27. 前記鉄に富む金属塩化物溶液がバナジウムを含み、前記処理方法が、前記電解工程b)の上流、中流又は下流にバナジウム分離工程を更に含む、請求項1から26のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  28. 前記バナジウム分離工程が前記電解工程b)の上流に存在する、請求項27に記載の電気化学的処理方法。
  29. 前記バナジウム分離工程が約0.5から約3.0の範囲に及ぶpHで共沈殿によってクロムと同時に前記鉄に富む金属塩化物溶液からバナジウムを取り除くことから成る、請求項28に記載の電気化学的処理方法。
  30. 前記カソーライトの前記pHが約0.3から約0.5の範囲に及び、鉄が電着するとともにバナジウムを前記カソードで沈殿させて、前記バナジウム分離工程が前記電解工程b)の下流に存在する、請求項27に記載の電気化学的処理方法。
  31. 前記カソーライトの前記pHが約0.6から約1.8の範囲に及び、循環する前記鉄に富む金属塩化物溶液鉄内にバナジウムを実質的に残存させ、一方では鉄が前記カソードに電着して、その後、前記電解槽から排出した前記鉄が除去された溶液からバナジウムが回収され、それにしたがって、前記バナジウム分離工程が前記電解工程b)の間に存在する、請求項27に記載の電気化学的処理方法。
  32. 前記c)工程における鉄の前記回収が前記カソードに電着した該鉄を物理的に剥ぎ取ることによって実行され、塩素の前記回収が前記アノード室上の塩素ガスを吸引することによって実行される、請求項1から31のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  33. 前記アノードから回収された前記塩素ガスが更に乾燥されて液化される、請求項1から32のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  34. 前記電解槽から排出した前記鉄が除去された溶液が回収されて、硫酸を添加することによってカルシウムと放射線とを取り除くために更に処理され、それによって、マグネシウム及びアルミニウムに富む塩水を生産する、請求項1から33のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  35. 前記マグネシウム及びアルミニウムに富む塩水を流動層熱加水分解装置で熱加水分解をする工程を更に含み、それによって共沸性塩酸とスピネルビーズとを生産する、請求項34に記載の処理方法。
  36. 前記共沸性塩酸を輸出のために回収することを更に含む、請求項35に記載の処理方法。
  37. 前記処理方法中に形成されたブリード溶液がシングルパスの電解槽で電解されて、それによって、更なる鉄及び塩素の価値を回収する、請求項1から36のいずれか1項に記載の電気化学的処理方法。
  38. 鉄に富む金属塩化物溶液から金属鉄と塩素ガスとの回収のための電気化学的処理方法であって、
    a)鉄に富む金属塩化物溶液を供給する工程、
    b)鉄の水素過電圧よりも高い水素過電圧を有するカソードを備えたカソード室、及びアノードを備えてアノーライトを含有するアノード室を含む2つに区分された電解槽で該鉄に富む金属塩化物溶液を電解する工程であって、該電解工程が鉄に富む金属塩化物溶液を、カソーライトを約2以下のpHに調節させて、該電解槽の該カソード室で循環させて、それによって鉄を該カソードに電着させて塩素ガスを該アノードから発生させて、そして鉄が除去された溶液となることを含む、工程、
    c)該電着した鉄と該塩素ガスとを別個独立に回収する工程、並びに、
    d)a)該鉄に富む金属塩化物溶液を供給して、該鉄に富む金属塩化物溶液中で該鉄が除去された溶液の少なくとも一部分を再循環する工程、
    を含む、電気化学的処理方法。
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