発明の詳細な説明
定義
本明細書において用いられる専門用語は特定の態様の説明のみを目的とし、限定を目的としないことも理解されるはずである。特に定めのない限り、本明細書中で使用する技術用語および科学用語は全て、本発明が属する当業者により一般に理解されているものと同義である。
「核酸」および「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖または二本鎖の形をした、核酸残基(例えば、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド)からなるポリマーを指すために同義に用いられる。具体的な制約がない限り、この用語は、参照核酸と類似する結合特性を有し、天然ヌクレオチドと同じように代謝される公知の天然ヌクレオチド類似体を含有する核酸を含む。特に定めのない限り、特定の核酸配列は、その保存的に改変された変種(例えば、縮重コドン置換)および相補ヌクレオチド配列ならびに明示的に示される配列も暗黙的に含む。具体的には、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(または全ての)コドンの3番目の位置を混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換した配列を作製することによって達成することができる(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991); Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605 2608 (1985);およびCassol et al. (1992); Rossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91 98(1994))。核酸またはポリヌクレオチドという用語は、遺伝子によってコードされるcDNAまたはmRNAと同義に用いられる。
「遺伝子」という用語は大まかに、生物学的機能に関連する任意の核酸セグメント(例えば、DNA)を指す。遺伝子は、コード配列および/またはその発現に必要な調節配列を含んでもよい。遺伝子はまた、発現しないDNA核酸セグメント、例えば、他のタンパク質の認識配列を形成するDNA核酸セグメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、または他の調節領域)を含んでもよい。遺伝子は、関心対象の供給源からのクローニングまたは公知の配列情報もしくは推定配列情報からの合成を含めて様々な供給源から得ることができ、望ましいパラメータを有するように設計された1つまたは複数の配列を含んでもよい。
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基からなるポリマーを指すために同義に用いられる。この用語は、1つまたは複数のアミノ酸残基が、対応する天然アミノ酸の人工化学模倣物であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然アミノ酸ポリマーおよび非天然アミノ酸ポリマーに適用される。本明細書で使用する用語は、アミノ酸残基がペプチド共有結合により連結された、完全長タンパク質(すなわち、抗原)を含む任意の長さのアミノ酸鎖を含む。
所定のアミノ酸ポリマーまたは核酸ポリマーの番号付けは、任意の所定のポリマー成分(例えば、アミノ酸、ヌクレオチド、総称して「残基」とも呼ばれる)の位置が、所定のポリマーにおけるその成分の実際の数字位置ではなく、選択されたアミノ酸ポリマーまたは核酸ポリマーの中の同じ位置または等価な位置を参照して指定された場合、選択されたアミノ酸ポリマーまたは核酸ポリマーの番号付けに「対応する」または「比較される」。従って、例えば、所定のポリペプチド配列における所定のアミノ酸位置の番号付けは、参照配列として用いられる選択されたポリペプチド配列における同じアミノ酸位置または等価なアミノ酸位置に対応する。
「等価な位置」(例えば、「等価なアミノ酸位置」または「等価な核酸位置」または「等価な残基位置」)は、本明細書に記載のアラインメントアルゴリズムを用いてアラインメントされた(好ましくは、最適にアラインメントされた)場合に、参照ポリペプチド(または参照ポリヌクレオチド)配列の対応する位置とアラインメントする、試験ポリペプチド(または試験ポリヌクレオチド)配列の位置(例えば、アミノ酸位置または核酸位置または残基位置)と本明細書において定義される。試験ポリペプチド配列の等価なアミノ酸位置は、試験ポリペプチドの対応する位置と同じ数字位置番号を有する必要はない。同様に、試験ポリヌクレオチドの等価な核酸位置は、試験ポリヌクレオチドの対応する位置と同じ数字位置番号を有する必要はない。
「変異体」ポリペプチドは、1つまたは複数のアミノ酸残基において、親ポリペプチドまたは参照ポリペプチドのポリペプチド配列とは異なるポリペプチド配列(例えば、野生型(WT)ポリペプチド配列)を含む。1つの局面において、変異体ポリペプチドは、親ポリペプチド配列または参照ポリペプチド配列の総残基数の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上において、親ポリペプチドまたは参照ポリペプチドのポリペプチド配列とは異なるポリペプチド配列を含む。別の局面において、変異体ポリペプチドは、親ポリペプチドまたは参照ポリペプチドのポリペプチド配列と少なくとも約50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。別の局面において、変異体ポリペプチドは、1〜100またはそれ以上のアミノ酸残基(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のアミノ酸残基)において、親ポリペプチドまたは参照ポリペプチドのポリペプチド配列とは異なるポリペプチド配列を含む。変異体ポリペプチドは、例えば、親ポリペプチドまたは参照ポリペプチドの1つまたは複数のアミノ酸残基(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のアミノ酸残基)の欠失、付加、または置換によって、あるいはこのような欠失、付加、および/または置換の任意の組み合わせによって、親ポリペプチドまたは参照ポリペプチドのポリペプチド配列と異なるポリペプチド配列を含んでもよい。参照ポリペプチドまたは親ポリペプチドそれ自体が変異体ポリペプチドでもよい。
「変異体」核酸は、1つまたは複数の核酸残基において、親核酸または参照核酸(例えば、WT核酸)のヌクレオチド配列とは異なるヌクレオチド配列を含む。1つの局面において、変異体核酸は、親ヌクレオチド配列または参照ヌクレオチド配列の総残基数の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上において、親核酸または参照核酸のヌクレオチド配列と異なるヌクレオチド配列を含む。別の局面において、変異体核酸は、親核酸または参照核酸のヌクレオチド配列と少なくとも約50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。別の局面において、変異体核酸は、1〜100またはそれ以上のヌクレオチド残基(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のヌクレオチド残基)において、親核酸または参照核酸のヌクレオチド配列と異なるヌクレオチド配列を含む。変異体核酸は、例えば、親核酸または参照核酸の1つまたは複数のヌクレオチド残基(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のヌクレオチド残基)の欠失、付加、または置換によって、あるいはこのような欠失、付加、および/または置換の任意の組み合わせによって、親核酸または参照核酸のヌクレオチド配列と異なるヌクレオチド配列を含んでもよい。核酸が変異すると、選択的スプライシング、またはヌクレオチドの切り詰め、またはプロセシングの誤り、またはヌクレオチドの切断が起こることがある。参照核酸または親核酸それ自体が変異体核酸でもよい。
物体に適用される「天然の」とは、物体が、人によって人工的に作製されるのとは異なって天然に見出されることを意味する。物体に適用される場合、「非天然」は、物体が天然にないことを意味する(すなわち、物体が天然では見出されない意味する)。例えば、非天然ポリペプチドは、人によって調製されたポリペプチド、例えば、インビトロで合成されたポリペプチドまたは人工的に調製されたポリペプチドを指す。
関心対象の配列の「部分配列」または「断片」は、関心対象の配列全体までの、しかし配列全体は含まない、配列全体のうちの任意の部分である。
核酸、タンパク質、または他の成分は、通常会合している成分(他のタンパク質、核酸、細胞、合成試薬など)から部分的または完全に分離されている場合、「単離」されている。モル濃度ベースで、単離された種は、組成物中で他の種より豊富にある。例えば、単離された種は、存在する全ての高分子種の少なくとも約50%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%(モル濃度ベース)を含んでもよい。好ましくは、関心対象の種は、必須の均一性まで精製される(すなわち、汚染物質種は、従来の検出方法によって組成物中に検出することができない)。純度および均一性は、当技術分野において周知の多数の技法、例えば、タンパク質試料または核酸試料のアガロースゲル電気泳動またはポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いた後に、染色によって視覚化することによって求めることができる。所望であれば、高分解能法、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または類似手段を、材料の精製に利用することができる。
核酸またはポリペプチドに適用される「精製された」という用語は、概して、当技術分野において周知の分析法によって確かめられた時に、他の成分を本質的に含まない核酸またはポリペプチドを指す(例えば、精製されたポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、電気泳動ゲル、クロマトグラフィー溶出液、および/または密度勾配遠心分離法に供された培地において別個のバンドを形成する)。例えば、電気泳動ゲルにおいて本質的に1つのバンドを生じる核酸またはポリペプチドは「精製されている」。精製された核酸またはポリペプチドは、少なくとも約50%の純度であり、通常、少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、またはそれ以上の純度である(例えば、モルベースの重量%)。
関連する意味では、本発明は、本発明の1つまたは複数の分子、例えば、本発明の1つまたは複数のポリペプチドまたはポリヌクレオチドについて、組成物を濃縮する方法を提供する。精製法または濃縮法が適用された後、分子の濃度が実質的に上昇している時に、組成物は分子について濃縮されている。実質的に純粋なポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、典型的には、特定の組成物中に、全ての高分子種のうち(モルベースで)少なくとも約55重量%、60重量%、70重量%、80重量%、85重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98、99重量%、99.5重量%、またはそれ以上を含む。
核酸またはポリペプチドは、人工のものであるか、もしくは操作されている時に、または人工のもしくは操作されたタンパク質もしくは核酸に由来する時に「組換え」である。
「組換え」という用語は、細胞に関して用いられる場合、典型的には、この細胞が異種核酸を複製するか、または異種核酸によってコードされるポリペプチドを発現することを示す。組換え細胞は、ネイティブ(非組換え)型の細胞の中に見出されない遺伝子を含んでもよい。組換え細胞はまた、ネイティブ型の細胞に中に見出されるが、人為手段によって改変され、細胞に再導入された遺伝子を含む細胞を含む。この用語はまた、この細胞由来の核酸を除去することなく、改変された細胞に対して内因性の核酸を含む細胞を包含する。このような改変には、遺伝子置換、部位特異的変異、および当業者に公知の関連技法によって得られる改変が含まれる。組換えDNA技術には、インビトロで組換えDNAを作製する技法、および組換えDNAが発現または増殖され得る細胞に組換えDNAを導入して、組換えポリペプチドを産生する方法が含まれる。
「組換え発現カセット」または単に「発現カセット」は、構造遺伝子を、このような配列と適合する宿主において発現させることができる核酸エレメントを含む、組換えまたは合成により作製された核酸構築物である。発現カセットは、少なくともプロモーター、任意で、転写終結シグナルを含む。典型的には、組換え発現カセットは、転写しようとする核酸(例えば、望ましいポリペプチドをコードする核酸)、およびプロモーターを含む。発現の際に必要である、または役に立つ、さらなる因子もまた、本明細書に記載のように使用することができる。例えば、発現カセットはまた、宿主細胞から発現タンパク質の分泌を誘導するシグナル配列をコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。転写終結シグナル、エンハンサー、および遺伝子発現に影響を及ぼす他の核酸配列もまた、発現カセットに含まれてもよい。
本明細書で使用する「外因性核酸」、「外因性DNAセグメント」、「異種配列」、または「異種核酸」は、特定の宿主細胞にとって外来の供給源に由来するもの、または同じ供給源に由来するのであれば、元の形から改変されたものである。従って、宿主細胞内の異種遺伝子には、特定の宿主細胞にとって内因性であるが、改変されている遺伝子が含まれる。本明細書に記載の用途における異種配列の改変は、典型的には、定方向分子進化法を用いて行われる。従って、この用語は、細胞にとって外来もしくは異種のDNAセグメント、または細胞にとって相同であるが、エレメントが通常見出されない宿主細胞核酸内の位置にあるDNAセグメントを指す。外因性核酸または外因性DNAは、外因性ポリペプチドを生じるように発現される。
「ベクター」は、宿主細胞内で核酸を送達または維持することができる任意の因子でよく、例えば、プラスミド(例えば、DNAプラスミド)、裸の核酸、ウイルスベクター、ウイルス、1つまたは複数のポリペプチドまたは他の分子と複合体化した核酸、ならびに固相粒子に固定化された核酸を含むが、これに限定されない。ベクターを下記で詳述する。ベクターは、宿主細胞内の外因性遺伝子および/または外因性タンパク質を送達または維持するための因子として有用であり得る。ベクターは、細胞を形質導入、トランスフェクト、または形質転換することができてもよく、それによって、細胞は、細胞に天然にある核酸および/もしくはタンパク質以外の核酸および/もしくはタンパク質、または細胞に天然にない核酸および/もしくはタンパク質を複製または発現するようになる。ベクターは、細胞への核酸の侵入を助ける材料、例えば、ウイルス粒子、リポソーム、タンパク質コーティングなどを含んでもよい。核酸を細胞に導入する任意の方法を使用することができる。特に定めのない限り、ベクターという用語は、核酸を細胞に送達する特定の方法を意味せず、特定の細胞タイプが形質導入の対象であることを意味しない。本発明は、例えば、CD80および/もしくはCD86またはその断片(例えば、CD80 ECDもしくはCD86 ECD)に結合する、本発明の変異体CTLA-4ポリペプチドまたはその断片(例えば、変異体CTLA-4 ECD)をコードする核酸を含む、本発明の任意の核酸を送達または維持するための特定のベクターに限定されない。
「発現ベクター」という用語は、典型的には、宿主細胞内の特定の核酸の転写を可能にする一連の特定の核酸エレメントを含む、組換えまたは合成により作製された核酸構築物または核酸配列を指す。発現ベクターは、典型的には、プロモーターに機能的に連結された、転写しようとする核酸を含む。「発現」という用語は、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、および/または分泌を含むが、これに限定されない、ポリペプチドの産生に関与する任意の段階を含む。
「シグナルペプチド」は、典型的には、関心対象のポリペプチドの前にあり、ポリペプチドと共に翻訳され、ポリペプチドを分泌系に誘導する、または促進する、ペプチド(またはアミノ酸)配列である。シグナルペプチドは、典型的には、関心対象のポリペプチドのアミノ末端に共有結合により取り付けられるか、または融合され、宿主細胞からの関心対象のポリペプチドの分泌を促進する。シグナルペプチドは、典型的には、翻訳後に関心対象のポリペプチドから切断される。
「コードする」という用語は、ヌクレオチド配列が1つまたは複数のアミノ酸をコードする能力を指す。この用語は、開始コドンまたは停止コドンを必要としない。アミノ酸配列は、ポリヌクレオチド配列およびその相補鎖によって提供される6種類の読み枠のいずれか1つにコードすることができる。
「制御配列」という用語は、本発明のポリペプチドの発現に必要または有利な全ての成分を含むと本明細書において定義される。それぞれの制御配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列にとって天然のものでもよく、外来のものでもよい。このような制御配列には、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列、および転写ターミネーターが含まれるが、これに限定されない。最小限、制御配列には、プロモーター、ならびに転写停止シグナおよび翻訳停止シグナルが含まれる。制御配列と、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなるコード領域との連結を容易にする特異的な制限部位を導入する目的で、制御配列にリンカーが設けられてもよい。
「コード配列」という用語は、タンパク質産物のアミノ酸配列を直接指定するヌクレオチド配列を指す。コード配列の境界は、一般的に、オープンリーディングフレーム(ORF)によって決められ、オープンリーディングフレーム(ORF)はATG開始コドンから始まってもよい。
核酸は、別の核酸配列と機能的に関係して配置されている時に、別の核酸配列と「機能的に連結」されている。例えば、プロモーターまたはエンハンサーはコード配列の転写を誘導すれば、コード配列に機能的に連結されている。機能的に連結されているとは、連結されているDNA配列が典型的には連続しており、2つのタンパク質コード領域を接続する必要がある場合には、連続し、かつインフレームであることを意味する。しかしながら、エンハンサーは一般的にプロモーターから数キロベース離れている時に機能し、イントロン配列の長さは一定でない場合があるので、ポリヌクレオチドエレメントの一部は機能的に連結されているが連続していない場合がある。
「宿主細胞」は、核酸による形質転換を受けやすい任意の細胞である。
「実質的にポリヌクレオチド配列の全長」または「実質的にポリペプチド配列の全長」は、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列それぞれの長さの少なくとも約50%、60%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上を指す。
「抗原」は、特定の免疫原によって刺激された免疫応答の産物と反応する物質を指す。例えば、 Julius Cruse et al., Atlas of Immunology 60 (1999); Richard Coico et al., Immunology: A Short Course 27-30 (5th ed. 2003)を参照されたい。免疫応答は、体液性応答および/または細胞性免疫応答(例えば、細胞傷害性Tリンパ球(CTL))を含んでもよい。免疫応答の産物は抗体および/またはCTLを含んでもよい。抗原は、典型的には、宿主にとって外来の高分子(例えば、ポリペプチド、核酸、複合糖質、リン脂質、多糖)である。抗原決定基として知られる抗原部分は、免疫応答の産物、例えば、抗体またはTリンパ球上の特定のT細胞受容体と反応する(例えば、結合する)。抗原は免疫応答を誘導し、免疫応答の産物と反応してもよいが、必ずしもそうであるとは限らない。「抗原性」とは、抗原性のある状態または特性、すなわち、抗原の特性を有するという状態または特性を指す。抗原の特異性は、抗原とその抗体との関係によって示されてもよく、逆もまた同じである。抗原は、典型的には、高度に特異的に、その対応する抗体と反応し、同程度に特異的に、免疫原により惹起された他の抗体と反応しない。「抗原量」とは、特定の免疫原によって刺激された免疫応答の産物と検出可能に反応する抗原の量である。
「免疫原」は、免疫寛容ではなく免疫応答を誘導することができる物質である。例えば、Julius Cruse et al., 前記, 60-61; Richard Coico, 前記, 27-30を参照されたい。免疫原はまた、免疫原に対して特異的に誘導された、誘導された免疫応答の産物と反応する(例えば、結合する)。従って、免疫原は全て抗原である。「免疫原性」とは、免疫原性のある状態または特性、すなわち、免疫原の特性を有する状態または特性を指す。「免疫原量」とは、検出可能な免疫応答を誘導するのに有効な、免疫原の量である。免疫原は、対象において強い免疫応答、例えば、少なくとも1種類の病原体に対する少なくとも部分的または完全な防御免疫を誘発してもよい。
「免疫調節剤」または「免疫調節性」分子、例えば、免疫調節性ポリペプチドまたは免疫調節性核酸は、免疫応答を調節する。免疫応答の「調節」または免疫応答を「調節する」は、免疫応答が変えられることが意図される。例えば、対象における免疫応答の「調節」または対象において免疫応答を「調節する」とは、一般的に、対象において免疫応答が刺激される、誘導される、阻害される、減少する、抑制される、増大する、増強する、または他の方法で変えられることを意味する。このような免疫応答の調節は、下記の手段を含む当業者に公知の手段によって評価することができる。「免疫抑制薬」または「免疫抑制剤」は、免疫応答を抑制する分子、例えば、ポリペプチドまたは核酸である。
本明細書で使用する「抗体」(「Ab」と略す)は、天然の、または全てもしくは部分的に合成により作製された、免疫グロブリンタンパク質(「Igと略す」)を指す。この用語は、抗原に対する特異的結合能を維持している、その全ての誘導体を含む。この用語はまた、免疫グロブリン結合ドメインに相同またはほぼ相同の結合ドメインを有する任意のタンパク質を含む。このようなタンパク質は天然供給源に由来してもよく、部分的にまたは全て合成により作製されてもよい。抗体はモノクローナルでもよく、ポリクローナルでもよい。抗体は、5種類のヒトクラスのいずれかを含む任意の免疫グロブリンクラス:IgA(サブクラスIgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、IgG(サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む)、ならびにIgMのメンバーでよい。抗体は、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの対を含み、このような鎖はそれぞれ個々の免疫グロブリンドメインからなる。各鎖は、定常(C)領域および可変(V)領域を含む。代表的な抗体構造単位は四量体からなる。各四量体は、2つの同一のポリペプチド鎖対からなり、それぞれの対は、1本の「軽」鎖(約25kDa)および1本の「重」鎖(約50〜70kDa)を有する。重鎖は、抗体クラスに応じて5つの主要なタイプ(γ、μ、δ、α、およびε)に存在し、約450〜600アミノ酸残基を含有する。軽鎖は2つの主要なタイプ(λおよびκ)からなり、約230アミノ酸残基を含有する。一例として、IgG抗体は、2本の重鎖および2本の軽鎖を含む四量体タンパク質である。それぞれのIgG重鎖は、N末端からC末端にかけて以下の順序:VH-CH1-CH2-CH3(時として、VH-CH1-CH2-CH3とも略す)で連結された、4つの免疫グロブリンドメインを含有する。これらの略語は、それぞれ、重鎖可変ドメイン、重鎖定常ドメイン1、重鎖定常ドメイン2、および重鎖定常ドメイン3)を指す。重鎖は、抗体クラスによって、例えば、IgG抗体のガンマ(γ)重鎖の第1の定常ドメインを示すCγ1と呼ばれることもある。それぞれのIgG軽鎖は、N末端からC末端にかけて以下の順序:VH-CLで連結された、2つの免疫グロブリンドメインを含む。VHおよびCLは、それぞれ、軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを指す。
抗体可変領域は、典型的には、それぞれのポリペプチド鎖のN末端にある約100〜110またはそれ以上のアミノ酸からなり、抗原結合決定基を含み、従って、主に抗原認識および特異性を担っている。抗体間の最大のアミノ酸配列可変性が可変領域において見出される。ほとんどの配列可変性は、可変領域に位置する相補性決定領域(CDR)において生じる。合計6つのCDRがあり、各重鎖にCDRが3つ、各軽鎖にCDRが3つあり、一緒になって抗原結合部位を形成する。重鎖CDRは、VHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3と名付けられているのに対して、軽鎖CDRは、VLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3と名付けられている。CDR外に位置する領域はフレームワーク(FR)領域と呼ばれる。異なる抗体のフレームワーク領域はアミノ酸残基が異なる場合があるが、アミノ酸可変性の程度は、異なる抗体の可変領域間に存在するものほど大きくない。多くの場合、フレームワーク領域は、CDRによって示されるアミノ酸の多様性に、安定した、または不変の骨格をもたらす。
「抗体フラグメント」という用語は、完全長より短い任意の抗体誘導体を指す。抗体フラグメントの例には、例えば、VH-CH1およびVH-CLを含有する抗原結合断片(Fab)、VHおよびVLを含有する可変フラグメント(Fv)、VHおよびVLが連結されて一本の鎖になっている単鎖可変フラグメント(scFv)、ならびに他のV領域フラグメント、例えば、Fab'、F(ab)2、F(ab')2、dsFvダイアボディ、Fc、およびFdポリペプチドフラグメントが含まれるが、これに限定されない。Scott, T.A. and Mercer, E.I., CONCISE ENCYCLOPEDIA: BIOCHEMISTRY AND MOLECULAR BIOLOGY (de Gruyter, 3d ed. 1997)、およびWatson, J.D. et al., Recombinant DNA (2d ed. 1992)(以下「Watson」)を参照されたい。
抗体フラグメントは、当技術分野において公知の任意の手段によって作製することができる。例えば、抗体フラグメントは、インタクトな抗体の断片化によって酵素的または化学的に作製されてもよく、抗体の部分配列をコードする遺伝子から組換えにより作製されてもよい。例えば、抗体フラグメントは、ペプチダーゼ消化によって作製することができる。例えば、ペプシンは、ヒンジ領域にあるジスルフィド結合より下で抗体を消化して、ジスルフィド結合によって軽鎖がVH-CH1に接続したFabフラグメントの二量体であるF(ab')2を生じる。F(ab')2を、ヒンジ領域にあるジスルフィド結合を破壊するように穏やかな条件下で還元して、(Fab')2二量体をFab'単量体に変換することができる。Fab' 単量体は本質的にはFab フラグメントであり、ヒンジ領域の一部を有する。抗体 および 抗体フラグメントの詳細な説明については、FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY, W.E. Paul, ed., Raven Press, N.Y.(1993)を参照されたい。インタクトな抗体の消化の点で、様々な抗体フラグメントが定義されているが、当業者であれば、このようなFab'フラグメントは、化学的に、または組換えDNA法を用いることによって新規合成できると理解するだろう。従って、この用語はまた、抗体全体を改変することによって作製された、または組換えDNA法を用いて新規合成された抗体フラグメントを含む。
または、抗体フラグメントは、全てもしくは部分的に合成により作製されてもよい。抗体フラグメントは、任意で、単鎖抗体フラグメントでよい。または、フラグメントは、例えば、ジスルフィド結合によって連結された複数の鎖を含んでもよい。フラグメントはまた、任意で、多分子複合体でもよい。機能的な抗体フラグメントは、典型的には、少なくとも約50アミノ酸を含み、より典型的には、少なくとも約200アミノ酸を含む。
免疫グロブリンまたは抗体分子のFc領域またはFcドメイン(Ig FcポリペプチドまたはFcポリペプチドとも呼ばれる)は、主として、免疫グロブリン重鎖の定常領域に対応し、抗体のエフェクター機能を含む様々な機能を担っている。例えば、IgG分子のIg Fc領域は、免疫グロブリンドメインCH2およびCH3ならびにCH2に通じるN末端ヒンジ領域を含む。ヒンジ領域は、Fcと、重鎖内ジスルフィドを含有するCH1との間の重鎖部分であり、抗体分子に可撓性を与える。Fc領域の定常ドメインは、免疫系の細胞と相互作用する。Fc受容体は、抗体のFc領域に結合するタンパク質である。IgG抗体クラスに対する重要なFc受容体ファミリーの1つに、Fcγ受容体(FcγR)が含まれる。抗体と細胞上のFc受容体の結合は多数の抗体機能を媒介する。異なるIgGサブクラスがFcγ受容体に対して異なる親和性を示す。一般的に、IgG1およびIgG3は、IgG2およびIgG4より大きな親和性で受容体に結合する。Fc受容体は、例えば、B細胞、単球、樹状細胞、好中球、およびある特定のリンパ球を含む様々な細胞上に発現する。Ig Fcとその受容体が結合すると、これらのエフェクター細胞は、結合した抗原の部位に移動し、最終的には、B細胞活性化、炎症応答、細胞傷害応答、および食作用応答を含むシグナル伝達および免疫応答が起こる。
Ig Fc融合は、免疫グロブリンまたは抗体のFc領域に機能的に連結された1つもしくは複数のポリペプチド(または1つもしくは複数の低分子)を含む分子である。例えば、Chamow et al., 1996, Trends Biotechnol. 14:52-60を参照されたい。従って、Ig Fc融合タンパク質は、Ig Fc領域に機能的に連結された1つまたは複数のポリペプチドを含む分子である。Ig Fc融合タンパク質は、例えば、抗体のFc領域(エフェクター機能および薬物動態を容易にする)と、受容体タンパク質もしくはリガンドタンパク質もしくは他のタンパク質またはその断片の結合領域または結合ドメインを含んでもよい。結合領域または結合ドメインは、標的受容体またはリガンドの認識を媒介する(抗原に対する抗体の抗体可変領域の結合領域または結合ドメインに相当する)。Ig Fc領域は、1つまたは複数のポリペプチドまたは低分子(融合パートナー)に間接的にまたは直接連結されてもよい。当技術分野において公知のおよび下記でさらに詳述される様々なリンカーを用いて、Ig Fcと融合パートナーを連結して、Ig Fc融合を作製することができる。Ig Fc融合タンパク質は、典型的には、Ig Fc領域が、少なくとも1つのポリペプチドに直接または間接的に共有結合により連結されており、このポリペプチドは、典型的には、標的リガンドまたは受容体に結合する。
モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体は、当技術分野において公知の任意の技法によって調製することができる(例えば、Kohler & Milstein, Nature 256:495 497 (1975); Kozbor et al., Immunology Today 4: 72 (1983); Cole et al., pp. 77 96 in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy (1985)を参照されたい)。単鎖抗体(米国特許第4,946,778号)を作製する技法は、本発明のポリペプチドに対する抗体の作製に適合することができる。さらに、ヒト化抗体を発現させるために、トランスジェニックマウスまたは哺乳動物を含む他の生物が用いられてもよい。選択された抗原に特異的に結合する抗体およびヘテロマーFabフラグメントを同定するために、ファージディスプレイ技術を使用することができる(例えば、McCafferty et al., Nature 348:552 554 (1990); Marks et al., Biotechnology 10:779 783 (1992)を参照されたい)。
「エピトープ」という用語は、抗体の一部に特異的に結合することができる決定基を指す。エピトープは、通常、アミノ酸もしくは糖側鎖などの分子の化学的に活性のある表面上の集まりからなり、通常、特定の3次元構造特徴、ならびに特定の電荷特徴を有する。高次構造エピトープおよび非高次構造エピトープは、変性溶媒の存在下では、前者との結合が失われるが、後者との結合は失われない点で区別される。
2つの分子間の、例えば、リガンドと受容体との「特異的結合親和性」は、ある分子ともう1つの分子が優先的に結合することを意味する。分子の結合は、典型的には、平衡結合会合定数(例えば、KA)が、約104〜1013M-1、約106〜1012M-1、約108M-1〜1011M-1、または約108〜1010M-1を含めて、約1x102M-1〜約1x1013M-1またはそれ以上であれば、特異的とみなされる。抗原と抗体との結合相互作用についてのKA値は、典型的には、約105M-1〜約1012M-1、通常、約107M-1〜約1011M-1、多くの場合、約108M-1〜約1010M-1である。KA (M-1)は、ka/kdを計算することによって求められ、式中、kaは会合速度定数であり、kdは解離速度定数である。kaおよびkdの単位は、それぞれ、M-1s-1およびs-1である。平衡解離定数KDは、KAの逆数である。KD=kd/ka。反応A+B<=>AB(単一のリガンドと関心対象の単一のタンパク質(例えば、受容体)との結合に相当する)の場合、KDは、([A]・[B])/[AB]である。分子の結合親和性および/またはアビディティを測定する周知の技法の非限定的な例には、例えば、本明細書の他の場所で議論される、Biacore(商標)技術(GE Healthcare)、等温滴定マイクロカロリメトリー(isothermal titration microcalorimetry)(MicroCal LLC, Northampton, MA USA)、ELISA、および蛍光活性化細胞選別(FACS)法が含まれる。例えば、会合結合ペアメンバー(例えば、受容体、例えば、可溶性受容体)に特異的に結合する分子(例えば、細胞表面ディスプレイされたリガンド)の集団を選択するために、FACSまたは他の選別法が用いられてもよい。リガンド-受容体複合体は、例えば、蛍光によって(例えば、複合体と、複合体を認識する蛍光抗体を反応させることによって)検出および選別されてもよい。会合結合ペアメンバー(例えば、受容体)に結合する関心対象の分子はプールされ、さらに低い濃度の受容体の存在下で再選別される。漸減濃度の受容体の存在下で複数回の選別を行うことによって(例示的な濃度は、リガンド-受容体相互作用の種類に応じて、おおよそ10-13M〜10-6M、すなわち、1ナノモル(nM)〜1マイクロモル(μM)、またはそれ未満(例えば、10-11Mもしくは10-12M)である)、受容体に対して特異的結合親和性を示す関心対象の分子の集団を単離することができる。
抗体に「特異的に(もしくは選択的に)結合する」または「と特異的に(もしくは選択的に)免疫反応性の」という句は、タンパク質について言及している場合には、そのタンパク質が、タンパク質および他の生物製剤からなる不均一な集団に存在することを決定する結合反応を指す。従って、指定されたイムノアッセイ条件下では、特定の抗体が、特定のタンパク質にバックグラウンドの少なくとも2倍結合し、試料に存在する他のタンパク質に有意な量で実質的に結合しない。このような条件下での抗体との特異的結合は、特定のタンパク質に対する特異性について選択された抗体を必要とする場合がある。特定のタンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択するために、様々なイムノアッセイ形式を使用することができる。例えば、タンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択するために、固相ELISAイムノアッセイが日常的に用いられる(特異的な免疫反応を確かめるために使用することができるイムノアッセイ形式および条件の説明については例えば、Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual (1988)を参照されたい)。通常、特異的または選択的な反応は、バックグラウンドシグナルまたはノイズの少なくとも2倍であり、より典型的には、バックグラウンドの10倍〜100倍超である。
「サイトカイン」という用語は、例えば、インターロイキン、インターフェロン(IFN)、ケモカイン、造血成長因子、腫瘍壊死因子(TNF)、およびトランスフォーミング成長因子を含むが、これに限定されない。一般的に、これらは、免疫系細胞の成熟、活性化、増殖および分化を調整する、低分子量タンパク質である。
「スクリーニング」という用語は、一般的に、例えば、本発明のポリペプチド、およびそれを含む関連する融合タンパク質、ならびにこのような全ての分子をコードする核酸を含む、本発明の最適な分子を同定するプロセスについて述べる。選択およびスクリーニングにおいて、それぞれの分子のいくつかの特性、例えば、それぞれの分子が、試験系、またはインビトロ、エクスビボ、もしくはインビボでの用途において望ましい免疫応答を誘導する能力または変える能力を使用することができる。「選択」とは、選択マーカーの発現によって同定および物理的分離が同時に達成されスクリーニング形式であり、選択マーカーがあると、ある遺伝的環境では、そのマーカーを発現する細胞が生存するが、他の細胞は死ぬ(またはその逆)。スクリーニングマーカーには、例えば、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼおよび緑色蛍光タンパク質、反応基質などが含まれる。選択マーカーには、薬物耐性遺伝子および毒素耐性遺伝子などが含まれる。別の選択様式は、検出可能な事象、例えば、受容体へのリガンドの結合、基質と酵素との反応、あるいは検出可能なシグナルを直接(例えば、発色基質もしくは発色リガンドを使用することにより)または間接的(たとえば、発色二次抗体との反応により)に生成することができる他の任意の物理プロセスに基づく物理的選別を伴う。物理的選別による選択は、例えば、全細胞形式または微小滴形式でのFACSを含むが、これに限定されない様々な方法によって達成することができる。
インビトロでの一次免疫応答の研究には限界があるので、インビボ研究は、特に有用なスクリーニング方法である。このような研究の一部において、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、最初に、試験対象(例えば、哺乳動物、例えば、動物)に導入され、その後に、免疫された動物における免疫応答のタイプ(例えば、免疫された動物の血清中の抗体産生、T細胞の増殖)を分析するか、または免疫された動物における誘導された免疫応答の質または強度(例えば、誘導された抗体価レベル)を研究することによって、誘導された免疫応答が研究される。
本明細書で使用する「対象」という用語には、哺乳動物および非哺乳動物を含む生物または動物が含まれるが、これに限定されない。哺乳動物には、例えば、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、ヒヒ、オランウータン、サル、ゴリラ)、マウス、イヌ、ブタ、ウシ、ヤギ、ネコ、ウサギ、ラット、モルモット、ハムスター、ウマ、ヒツジ、または他の非ヒト哺乳動物が含まれるが、これに限定されない。非哺乳動物には、例えば、非哺乳動物無脊椎動物および非哺乳動物脊椎動物、例えば、鳥類(例えば、ニワトリもしくはアヒル)または魚類が含まれるが、これに限定されない。
「薬学的組成物」という用語は、動物またはヒトを含む対象における薬学的使用に適した組成物を指す。薬学的組成物は、典型的には、有効量の活性薬剤と、担体、賦形剤、または希釈剤を含む。担体、賦形剤、または希釈剤は、典型的には、それぞれ、薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤である。
「有効量」という用語は、望ましい結果を生じるのに十分な物質の投与量(もしくは用量)または量を指す。望ましい結果は、レシピエントにおける投与量または量の客観的もしくは主観的な改善を含んでもよい。例えば、望ましい結果は、その投与量または量の特定の抗原もしくは免疫原(またはその組成物)が投与された対象における、免疫応答の測定可能な、検出可能な、または試験可能な、誘導、促進、増強、または調節を含んでもよい。このような結果を生じるのに十分な免疫原の投与量(もしくは用量)または量は、「免疫原」投与量(もしくは用量)または量と述べられることがある。
「予防的処置」とは、疾患、病理、もしくは障害が発症するリスクを阻止または減少する目的で投与されるような、疾患、病理、もしくは障害の徴候も症状も示さない対象、または疾患、病理、もしくは障害の初期徴候もしくは初期症状のみを示す対象に投与される処置である。予防的処置は、疾患、病理、もしくは障害に対する防止的処置として、または疾患、病理、もしくは障害のさらなる発症もしくは増強を阻害もしくは低減する処置として機能する。「予防的活性」とは、病理、疾患、もしくは障害の徴候も症状も示さない対象、または病理、疾患、もしくは障害の初期徴候もしくは初期症状のみを示す対象に投与された場合に、病理、疾患、もしくは障害を発症するその対象のリスクを阻止または減少する、薬剤の活性である。「予防的に有用な」薬剤(例えば、核酸もしくはポリペプチド)は、疾患、病理、もしくは障害の発症の阻止において有用な、または疾患、病理、もしくは障害のさらなる発症もしくは増強の阻害もしくは低減において有用な、薬剤を指す。
「治療的処置」とは、病理、疾患、もしくは障害の症状もしくは徴候を示す対象に投与される処置であって、処置は、徴候もしくは症状を減弱するまたは無くすために対象に行われる。「治療活性」とは、病理、疾患、もしくは障害の徴候もしくは症状を、このような徴候または症状に罹患している対象に投与された場合に、無くすまたは減弱する薬剤の活性である。「治療的に有用な」薬剤とは、その薬剤が、疾患、病理、もしくは障害の徴候または症状を減少する、処置する、または無くす際に有用なことを意味する。
一般的には、本明細書において用いられる命名法、ならびに下記の細胞培養、分子遺伝学、分子生物学、核酸化学、およびタンパク質化学における実験手順の多くは周知であり、当業者によって一般に使用される。組換え核酸法、核酸合成、細胞培養法、およびトランスジーン組み込み、例えば、エレクトロポレーション、注入、遺伝子銃、皮膚への押し付け、およびリポフェクションのために、標準的な技術、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning - A Laboratory Manual (2nd Ed.), Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989 (以下「Sambrook」) およびCURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, F. M. Ausubel et al., eds., Current Protocols, Greene Publishing Associates, Inc.とJohn Wiley & Sons, Inc.の合弁事業 (1994, 1999まで補遺)(以下「Ausubel」)に記載の技術が用いられる。一般的に、オリゴヌクレオチド合成工程および精製工程が仕様に従って実施される。前記の技法および手順は、一般的には、当技術分野における従来方法、およびこの文書全体を通して提供される様々な一般的な参考文献に従って実施される。その中の手順は当業者に周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。
様々なさらなる用語が本明細書において定義されるか、他の方法で特徴付けられる。
本発明の分子および方法
本発明は、例えば、免疫系(例えば、T細胞依存性免疫応答)の調節が望ましい疾患、障害、および状態を含む、免疫系の疾患、障害、および状態を処置するための分子および方法を提供する。本発明の分子(例えば、本発明のポリペプチド、本発明のコンジュゲート、本発明の可溶性融合タンパク質、このようなポリペプチドまたは融合タンパク質をコードする核酸)は、免疫抑制が望ましい免疫系の疾患、障害、および状態の処置に有用である。処置には、例えば、自己免疫疾患、自己免疫障害、および自己免疫状態、免疫増殖性疾患、移植片に関連した障害の処置、ならびにドナーの組織、細胞、臓器、または移植片に対するレシピエントの免疫応答の抑制が望ましい、ドナーからレシピエントへの組織移植、細胞移植、臓器移植、または移植片移植に関与する処置方法を含むが、これに限定されない。
1つの局面において、本発明は、CTLA-4分子、例えば、CD80および/またはCD86に結合する、野生型ヒトCTLA-4ポリペプチド(「hCTLA-4」)またはその断片、例えば、ヒトCTLA-4の細胞外ドメイン(「hCTLA-4 ECD」)と比較して特性が改善した新規の変異体CTLA-4分子を提供する。以下でさらに詳細に議論するように、CD80および/またはCD86に結合する新規の変異体CTLA-4分子を作る、および同定するために、様々な変異誘発およびスクリーニング戦略を使用した。特に、このような戦略は、ヒトCTLA-4(「hCTLA-4」)と比較して、CD80(B7-1)および/もしくはCD86(B7-2)に対する結合アビディティが改善した、ならびに/またはhCTLA-4 ECDと比較して、CD80および/もしくはCD86に対する結合親和性が改善した、CTLA-4変異体分子を作る、および同定するために使用した。抗原提示細胞上に発現している内因性CD80および/またはCD86リガンドに結合する本発明の変異体CTLA-4分子は、これらのリガンドと、T細胞の表面上に発現している内因性CD28受容体との相互作用を効果的に阻害またはブロックする。結果として、T細胞表面受容体CD28とB7分子(すなわち、CD80およびCD86)の相互作用によって生じるT細胞活性化に重要な補助刺激シグナルが阻害またはブロックされる。このようなT細胞は最適に活性化されず、増殖能が低い。
CD80またはCD86リガンドとCD28受容体とのシグナル伝達がブロックされた場合、T細胞は、活性化するように最適に刺激されず、従って、増殖するように最適に誘導されない。同様に、CD80またはCD86リガンドとCD28受容体とのシグナル伝達が阻害された場合、T細胞の活性化および増殖は阻害される。1つの局面において、本発明は、CTLA-4シグナル伝達のアンタゴニストとして機能する変異体CTLA-4分子を提供する。別の局面において、本発明は、CD28シグナル伝達のアンタゴニストとして機能して、T細胞依存性免疫応答を抑制またはブロックする変異体CTLA-4分子を提供する。このような分子は免疫抑制剤として機能する。さらに別の局面において、本発明は、CD80およびCD86に結合するが、CD80よりCD86に対する結合アビディティの方が高く、従って、従って、CD80依存性補助刺激より大きくCD86依存性補助刺激を阻害する変異体CTLA-4分子を提供する。このような本発明の変異体CTLA-4分子は全て、免疫抑制が望ましい、または利益になる、疾患、障害、または状態の処置に有用であるとと予想される。
ヒトCTLA-4-Ig融合タンパク質および特定の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質は両方ともBristol-Myers Squibb Co.(Princeton, NJ)によって開発されており、ある特定の免疫関連疾患または免疫関連状態の処置において有効であることが分かっている。Orencia(登録商標)融合タンパク質(Abatacept(「ABA」)とも知られる)(Bristol-Myers Squibb Co. (Princeton, NJ))は、2つの同一の単量体免疫グロブリン(Ig)融合タンパク質が、それぞれの単量体融合タンパク質に存在するシステイン残基間で形成したジスルフィド結合による共有結合により連結されている、可溶性組換え二量体融合タンパク質である。ORENCIAは、Bristol-Myers Squibb Companyの登録商標である。Orencia(登録商標)二量体のそれぞれの単量体Ig融合タンパク質は、ヒトCTLA-4の細胞外ドメイン(SEQ ID NO:159)のC末端と、特定の変異体IgG1 Fcポリペプチド(SEQ ID NO:186)のN末端が融合したものからなる。このような単量体融合タンパク質それぞれの完全ポリペプチド配列を、SEQ ID NO:164に示した。Orencia(登録商標)二量体は哺乳動物発現系において産生され、92kDaの見かけの分子量を有する。Orencia(登録商標)二量体の2つの単量体Ig融合タンパク質は、それぞれのhCTLA-4-変異体IgG1単量体の位置120にあるシステイン残基間で形成した単一のジスルフィド結合による共有結合により連結され、2つの変異体IgG1 Fcポリペプチド間ではジスルフィド結合は形成しないと考えられる。
Orencia(登録商標)二量体は、CD80およびCD86に結合し、従って、CD28との相互作用をブロックすることによって、T細胞活性化を阻害する選択的補助刺激モジュレーターである。Orencia(登録商標)二量体は、現在、中程度〜重度の慢性関節リウマチ(RA)に罹患しているヒト成人の処置について認可されている。Orencia(登録商標)二量体ならびにその臨床適応症および有効性についてのさらなる情報は、ワールドワイドウェブ上でorencia.comおよびbms.comに提供されている。
前記のように、Orencia(登録商標)二量体のそれぞれの融合タンパク質単量体は、ヒトCTLA-4の細胞外ドメインを含有する。ヒトCTLA-4は、T細胞上に一過的に発現する膜タンパク質である。WT完全長hCTLA-4の完全長タンパク質配列をSEQ ID NO:160に示し、WT完全長hCTLA-4をコードする核酸配列をSEQ ID NO:194に示した。ヒトCTLA-4は、シグナルペプチド(SP)、細胞外ドメイン(ECD)、膜貫通ドメイン(TD)、および細胞質ドメイン(CD)を含み、これらは、この順序で共有結合により連結されている(例えば、SPのC末端は、ECDのN末端に共有結合により連結され、ECDのC末端は、TDのN末端に共有結合により連結され、TDのC末端は、CDのN末端に共有結合により連結されている)。WT hCTLA-4 ECDポリペプチドは、典型的には、完全長hCTLA-4タンパク質配列(SEQ ID NO:160)の残基38-161を含み、典型的には、124アミノ酸残基長である。このhCTLA-4 ECDポリペプチド配列をSEQ ID NO:159に示した。完全長hCTLA-4タンパク質のシグナルペプチド(SP)は、典型的には、SEQ ID NO:160のアミノ酸残基1-35または1-37を含み、プロセシング中に切断される。例えば、Harper et al., J. Immunol. 147(3):1037-1044(1991)を参照されたい。hCTLA-4タンパク質のアミノ酸残基1-35または1-37を含むヒトCTLA-4シグナルペプチド配列を、それぞれ、SEQ ID NO:182またはSEQ ID NO:216に示した。シグナルペプチド配列が、SEQ ID NO:182またはSEQ ID NO:216に示したものである場合、シグナルペプチドが切断されると、成熟hCTLA-4タンパク質は、典型的には、SEQ ID NO:160に示した完全長hCTLA-4タンパク質配列のアミノ酸位置38にあるメチオニン残基から始まる。従って、hCTLA-4シグナルペプチド配列が、hCTLA-4タンパク質のアミノ酸残基1-35を含むSEQ ID NO:182の配列でも、結果として生じる成熟分泌型hCTLA-4タンパク質は、完全長hCTLA-4タンパク質の位置38にあるメチオニンから始まる。完全長hCTLA-4タンパク質の位置36にあるリジン(K)残基および位置37にあるアラニン(A)残基は、成熟hCTLA-4タンパク質に存在せず、プロセシング中に成熟hCTLA-4タンパク質から切断されると考えられる。従って、成熟hCTLA-4タンパク質配列のアミノ酸残基の番号は、典型的には、1番目のアミノ酸(すなわち、位置1を占めるアミノ酸)として、完全長hCTLA-4タンパク質の位置38に存在するメチオニン残基から付けられる。従って、ヒスチジン残基は、成熟hCTLA-4タンパク質などにおいてアミノ酸位置2を占める。Orencia(登録商標)二量体のそれぞれの単量体は、SEQ ID NO:159に示したhCTLA-4 ECDポリペプチド配列を含む。完全長WT hCTLA-4タンパク質において、シグナルペプチドはSEQ ID NO:160のアミノ酸残基1-37を含み、細胞外ドメイン(ECD)はアミノ酸残基38-161を含み、膜貫通ドメイン(TD)はアミノ酸残基162-182を含み、細胞質ドメイン(CD)はアミノ酸残基183-223を含む。hCTLA-4タンパク質の成熟ドメイン(MD)は、典型的には、SEQ ID NO:160のアミノ酸残基36-223、場合によっては、アミノ酸残基37-223または38-223を含む。
SEQ ID NO:194の核酸は、シグナルペプチド配列をコードする核酸配列(ヌクレオチド残基1-111)、hCTLA-4 ECDをコードする核酸配列(ヌクレオチド残基112-483)、hCTLA-4膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインをコードする核酸配列(ヌクレオチド残基484-669)を含む。最後の3つのC末端ヌクレオチドは、TGA停止コドンである。
Belatacept(「LEA29Y-Ig」、「LEA-Ig」、または「A29YL104E-Ig」とも知られる)(Bristol-Myers Squibb Co.(Princeton, NJ))は、2つの同一のIg融合タンパク質が、それぞれの単量体融合タンパク質中のシステイン残基間で形成したジスルフィド結合による共有結合により連結されている、可溶性組換え二量体タンパク質である。それぞれの単量体融合タンパク質は、変異体CTLA-4の細胞外ドメインポリペプチドのC末端が特定の変異体IgG1ポリペプチドのN末端と融合したものからなる。変異体CTLA-4 ECDのポリペプチド配列は、WTヒトCTLA-4 ECDのポリペプチド配列と、2個の変異、具体的には、位置29のアラニンからチロシンへの置換(置換A29Yと略す)および位置104のロイシンからグルタミンへの置換(置換L104Eと略す)だけ異なる。ここで、ヒトCTLA-4 ECDのアミノ酸残基の番号は、位置1のアミノ酸に相当するN末端メチオニンから付けられている。Belataceptのそれぞれの単量体は、SEQ ID NO:186に示した変異体IgG1 Fcポリペプチド配列を含む。この変異体IgG1 Fcポリペプチドは、Orencia(登録商標)融合タンパク質に含まれる変異体IgG1 Fcポリペプチドと同一である。従って、Belatacept単量体融合タンパク質は、それぞれのOrencia(登録商標)単量体融合タンパク質と2アミノ酸だけ異なる。Belataceptにある、このような単量体融合タンパク質それぞれのポリペプチド配列を、SEQ ID NO:166に示した。従って、「LEA29Y-Ig」という名前は、Belatacept二量体のそれぞれの単量体融合タンパク質が、ヒトCTLA-4 ECDポリペプチド配列と2個の変異L104EおよびA29Yだけ異なる変異体CTLA-4 ECDからなることを反映している。Belataceptは、Orencia(登録商標)二量体より約4倍強くCD86に結合し、約2倍強くCD80に結合することが示されている(Larson et al., Amer. J. Transplant. 5:443-453, 444(2005)。Belataceptは、インビトロではT細胞活性化の阻害において、Orencia(登録商標)二量体より約10倍まで強力であることが示されており、T細胞依存性抗体応答の阻害能が高く、非ヒト霊長類が関与する臨床試験において腎臓同種異系移植片の生存が改善して延長することが示されたように、Orencia(登録商標)タンパク質と比較して改善したインビボ免疫抑制能を有することが示されている。同上。Belataceptならびにその臨床適応症および有効性についてのさらなる情報は、ワールドワイドウェブ上でbms.comに提供されている。
1つの局面において、本発明は、本明細書に記載の新規の可溶性組換え変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含み、CD86に対する結合アビディティが、CD86に対するOrencia(登録商標)二量体(二量体hCTLA-4-Ig)の結合アビディティより大きい、変異体CTLA-4分子を提供する。本発明はまた、新規の可溶性組換え二量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含み、CD80に対する結合アビディティがCD80に対するOrencia(登録商標)二量体の結合アビディティにほぼ等しいか、またはこれより大きい、変異体CTLA-4分子を提供する。さらに別の局面において、本発明は、新規の可溶性組換え変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含み、1つまたは複数の免疫応答(例えば、T細胞依存性免疫応答)を抑制する能力がOrencia(登録商標)(Abatacept)より大きな、変異体CTLA-4分子を提供する。Orencia(登録商標)二量体と比較して1つまたは複数の改善した特性を有する本発明の変異体CTLA-4分子は、Orencia(登録商標)二量体が認可されている、および/または臨床上の利益をもたらすことが示されている疾患、障害、または状態を含む、免疫抑制が望ましい疾患、障害、または状態、例えば、慢性関節リウマチおよび乾癬を含む自己免疫疾患の処置において、Orencia(登録商標)二量体より強力であり、従って、有効であり、有用であり、かつ有利であると予想される。
別の局面において、本発明は、本明細書に記載の新規の可溶性組換え変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含み、CD86に対する結合アビディティが、CD86に対するBelatacept(LEA29Y-Ig)の結合アビディティより大きい、変異体CTLA-4分子を提供する。本発明はまた、本明細書に記載の新規の可溶性組換え変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含み、CD86に対する結合アビディティが、CD86に対するBelataceptの結合アビディティより大きい、変異体CTLA-4分子を提供する。別の局面において、本発明は、本明細書に記載の新規の可溶性組換え変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含み、1つまたは複数の免疫応答(例えば、T細胞依存性免疫応答)を抑制する能力がBelataceptより大きい、変異体CTLA-4分子を提供する。Belataceptと比較して、1つまたは複数の改善した特性を有する本発明の変異体CTLA-4分子は、Belatacept融合タンパク質が臨床上の利益をもたらすことが示されている疾患、障害、または状態を含む、免疫抑制が望ましい疾患、障害、または状態、例えば、非ヒト霊長類における腎臓同種異系移植片の生存において、Belataceptより強力であり、従って、Belataceptより有効であり、有用であり、かつ有利であると予想される。
特定の用量の本発明の分子が特定のやり方(例えば、非経口投与、静脈内投与、または皮下投与)で投与された、免疫疾患または免疫障害(例えば、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬など)を有する対象における、本発明の分子、例えば、本発明の変異体CTLA-4分子(例えば、下記で詳述されている変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは可溶性変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)の安全性、忍容性、薬物動態、免疫原性、および臨床的有効性は、類似の対象が関与するOrencia(登録商標)の臨床試験に用いられた方法論に匹敵する方法論を用いて確かめることができる。例えば、ワールドワイウェブサイトアドレスbms.comおよびorencia.comを参照されたい。例えば、本発明の変異体CTLA-4分子(例えば、可溶性変異体CTLA-4-Ig)が、慢性関節リウマチ(RA)を有する対象における関節損傷の進行の遅延、疼痛の減少を含むRAの徴候および症状の緩和において有効な程度は、RA患者が関与するOrencia(登録商標)の臨床試験に用いられた方法論と類似の方法論を用いて評価することができる。
免疫抑制が望ましく、かつ特定の用量の本発明の分子が特定のやり方(例えば、非経口投与、静脈内投与、または皮下投与)で投与された対象(例えば、ドナーからの組織移植、細胞移植、臓器移植、または移植片移植を受けている対象)における、本発明の分子(例えば、下記で詳述されている、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは可溶性変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質の安全性、忍容性、薬物動態、免疫原性、および臨床的有効性は、類似の対象が関与するBelataceptの臨床試験に用いられた方法論に匹敵する方法論を用いて確かめることができる。例えば、ワールドワイウェブサイトアドレスbms.comを参照されたい。例えば、腎臓移植または腎移植を受けたレシピエント患者における腎臓移植片または腎移植片の拒絶反応の軽減に、本発明の変異体CTLA-4分子(例えば、可溶性変異体CTLA-4-Ig)が有効な程度は、腎臓移植または腎移植を受けた患者が関与するBelataceptの臨床試験に用いられた方法論に類似する方法論を用いて評価することができる。
本発明の分子および方法ならびに本発明の他の局面は、下記でさらに詳細に議論される。
本発明のポリペプチド
本発明は、総称して「本発明のポリペプチド」と呼ばれる、新規のポリペプチドを提供する。「本発明のポリペプチド」という用語は、本明細書において開示されたポリペプチド配列の変種および/または誘導体を含むことが意図される。本発明のポリペプチドには、CD80および/もしくはCD86に結合し、かつ/または免疫応答を阻害もしくは抑制する、組換え非天然または変異体CTLA-4ポリペプチドが含まれる。本発明のポリペプチドには、本発明の変異体CTLA-4ポリペプチドを含む組換え融合タンパク質、ならびにこのような融合タンパク質の単量体型および二量体型が含まれる。本発明のポリペプチドには、本発明の1つまたは複数の変異体CTLA-4ポリペプチドを含む多量体が含まれる。本発明はまた、本発明の1つまたは複数の変異体CTLA-4ポリペプチドを含むコンジュゲートも含む。本発明のポリペプチドの一部は可溶性ポリペプチドである。例えば、以下で詳述するように、本発明は、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドが、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドの溶解度を上げる異なるポリペプチド(例えば、免疫グロブリンポリペプチド、例えば、Ig Fcポリペプチド)に連結している可溶性融合タンパク質を含む。
以下でさらに詳細に議論するように、本発明の1つの局面では、CD80および/またはCD86に結合する新規のポリペプチドを作る、および同定するために、様々な変異誘発およびスクリーニング戦略を使用した。特に、このような戦略は、CD80および/またはCD86に対する結合親和性またはアビディティが改善した新規の変異体CTLA-4ポリペプチドを含む、CD80および/またはCD86に結合する能力が改善した新規のポリペプチドを作る、および同定するために使用した。抗原提示細胞上に発現しているCD80および/またはCD86リガンドに結合する本発明のポリペプチドは、これらのリガンドと、T細胞上に発現しているCD28受容体との相互作用を妨害またはブロックする。結果として、T細胞表面受容体CD28とB7分子(すなわち、CD80およびCD86)との相互作用によって生じるT細胞補助刺激シグナルが妨害またはブロックされる。このようなポリペプチドは、免疫系(例えば、T細胞応答)の調節が利益となる、疾患、障害、および状態の予防的処置および治療的処置において有用であると考えられる。
変異体CTLA-4ポリペプチド
1つの局面において、本発明は、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列(例えば、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63、SEQ ID NO:64、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:69、SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:72、および SEQ ID NO:73)と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86またはCD80および/もしくはCD86のポリペプチド断片(あるいはそのいずれかもしくは両方のECD)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を調節または調整する、単離されたまたは組換え型のポリペプチドを提供する。このようなポリペプチドの一部、例えば、SEQ ID NO:1-73に示された各ポリペプチドは、分泌または成熟変異体CTLA-4 ECDポリペプチドとして説明される。SEQ ID NO:1-73のそれぞれに示された変異体CTLA-4 ECDポリペプチドはシグナルペプチドを含まない。シグナルペプチドは、プロセシング中に切断されており、それによって、成熟型または分泌型ポリペプチドが生成される。CD80のポリペプチド断片は、例えば、CD80ポリペプチドの細胞外ドメインポリペプチド、例えば、ヒトCD80 ECDポリペプチド(「hCD80 ECD」)を含んでもよい。CD86のポリペプチド断片は、例えば、CD86ポリペプチドの細胞外ドメインポリペプチド、例えば、ヒトCD86 ECDポリペプチド(「hCD86 ECD」)を含んでもよい。このようなポリペプチドの一部は、哺乳動物CD80および/もしくはCD86、またはそのポリペプチド断片、例えば、哺乳動物CD80もしくはCD86 ECDに結合する。このようなポリペプチドの一部は、WTヒトCD80(「hCD80」)および/もしくはWTヒトCD86(「hCD86」)またはそのポリペプチド断片、例えば、hCD80 ECDもしくはhCD86 ECDに結合する。このような方法の一部では、少なくとも1つの免疫応答が抑制または阻害される。
このようなポリペプチドの一部の、hCD80またはその断片(例えば、hCD80 ECD)に対する結合親和性またはアビディティは、hCD80またはその断片に対するhCTLA-4 ECDポリペプチドの結合親和性またはアビディティそれぞれに少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きい。シグナルペプチド、ECD、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインがこの順序で共有結合により連結されている、推定完全長hCD80ポリペプチド配列を、SEQ ID NO:195に示した。シグナルペプチドはSEQ ID NO:195のアミノ酸残基1-34を含み、ECDはアミノ酸残基35-242を含み、膜貫通ドメインはアミノ酸残基243-263を含み、細胞質ドメインはアミノ酸残基264-288を含む。hCD80 ECDのポリペプチド配列を、SEQ ID NO:174に示した。SEQ ID NO:173に示した核酸配列は、WTヒトCD80シグナルペプチド(N末端)およびヒトCD80 ECDをコードする。
このようなポリペプチドの一部の、hCD86またはその断片(例えば、hCD86 ECD)に対する結合親和性またはアビディティは、hCD86またはその断片(例えば、ECD)に対するhCTLA-4 ECDポリペプチドの結合親和性またはアビディティそれぞれに少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きい。シグナルペプチド、ECD、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインがこの順序で共有結合により連結されている、推定完全長hCD86ポリペプチド配列を、SEQ ID NO:175に示した。推定完全長hCD86ポリペプチド配列をコードする例示的な核酸を、SEQ ID NO:176に示した。hCD86 ECDのポリペプチド配列を、SEQ ID NO:180に示した。このようなポリペプチドの一部の、hCD86に対する結合親和性またはアビディティは、SEQ ID NO:168に示した配列を有するLEA29Y ECDポリペプチドの、hCD86に対する結合親和性またはアビディティに少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きい。例示的な本発明のポリペプチドの、hCD86またはhCD86 ECDに対する結合親和性または結合アビディティは、hCTLA-4 ECDおよびLEA29Y ECD(「A29YL104E」または「L104EA29Y」ECDとも呼ばれる)の、hCD86またはhCD86 ECDに対する結合親和性または結合アビディティそれぞれに少なくとも等しいか、またはこれより大きい。例示的な本発明のポリペプチドは、例えば、SEQ ID NO:4、10-12、15、17、24、26、28、35、および61のいずれかの配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むものを含むが、これに限定されない。例えば、実施例4の表5を参照されたい。表5に示したデータは、代表的なCTLA-4-Igと単量体CD86 ECDとの単量体相互作用を反映している。LEA29Y(またはA29YL104EもしくはL104EA29Y)という用語は、特に定めのない限り、LEA29Y ECD(またはA29YL104EもしくはL104EA29Y ECD)を指す。
このようなポリペプチドの一部は、ヒトCTLA-4の細胞外ドメインのアミノ酸長にほぼ等しいアミノ酸長を有するポリペプチド配列を含む。このようなポリペプチドは、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドと述べられることがある。このような変異体CTLA-4 ECDポリペプチドの一部は、約110アミノ酸〜約138アミノ酸残基、約112〜約136アミノ酸残基、約114〜約134アミノ酸残基、約116〜約132アミノ酸残基、約118〜約130アミノ酸残基、約119〜約129アミノ酸残基、約120〜約128アミノ酸残基、約121〜約127アミノ酸残基、約122〜約126アミノ酸残基、約123〜約125アミノ酸残基長のポリペプチド配列を含む。このような変異体CTLA-4 ECDポリペプチドの一部は、124アミノ酸残基長の配列を含む。例示的なポリペプチドには、例えば、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86(またはそのいずれかもしくは両方のECD)に結合するポリペプチドが含まれるが、これに限定されない。
前記のこのようなポリペプチドの一部は、例えば、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86ならびに/またはそのECDに結合する、免疫応答を調節または調整する能力を有する、単離されたまたは組換え型のポリペプチドを含む。このような本発明のポリペプチドによって、様々な免疫応答の1つまたは複数が調節または調整されてもよく、免疫応答には、例えば、T細胞活性化もしくは増殖、サイトカインの合成もしくは産生(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-2などの産生)、様々な活性化マーカー(例えば、CD25、IL-2受容体など)の誘導、炎症性分子の合成もしくは産生、炎症、関節腫脹、関節圧痛、関節痛、関節硬直、C反応性タンパク質の血清中濃度、抗コラーゲン抗体産生、および/またはT細胞依存性抗体応答)が含まれるが、これに限定されない。場合によっては、このようなポリペプチドの、少なくとも1つのこのような免疫応答を抑制または阻害する能力は、hCTLA-4またはhCTLA-4 ECDより大きい。
例えば、このようなポリペプチドの一部は、インビトロアッセイにおいてT細胞活性化またはT細胞増殖を阻害することができる。例えば、以下に示した実施例4〜9は、代表的な変異体CTLA-4 ECDポリペプチド配列、例えば、本明細書に記載の変異体CTLA-4 ECDポリペプチド配列を含む、本発明の代表的な融合タンパク質が、インビトロでT細胞増殖を阻害する能力を有することを証明している。このようなポリペプチドの一部は、例えば、治療的または予防的に有効な量の少なくとも1つのこのようなポリペプチドを、免疫抑制療法を必要とする対象に投与することによって、インビボで対象における免疫応答を阻害または抑制することができる。このようなポリペプチドの一部は、様々な用途において有用だと予想される。用途には、例えば、下記でさらに詳細に議論されるように、免疫調節が望ましい免疫系の疾患、障害、および状態を処置する予防方法および/または治療方法を含むが、これに限定されない。このようなポリペプチドは、対象における免疫応答を阻害または抑制するための予防方法および/または治療方法(例えば、免疫阻害または免疫抑制が望ましい、哺乳動物、例えば、ヒトの免疫系の疾患または障害のインビボ処置)、レシピエント(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)によるドナーからの組織移植または臓器移植の拒絶反応を阻害する方法、ならびに本明細書の他の場所に記載の他の方法において有用だと予想される。
さらに、もしくはその代わりとして、このようなポリペプチドの一部が免疫応答を抑制または阻害する能力は、hCTLA-4またはhCTLA-4 ECDが1つまたは複数のタイプの免疫応答を抑制または阻害する能力に少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きい。例えば、前記のおよび以下で詳述するような、このようなポリペプチドの一部の、インビトロおよび/またはインビボのアッセイおよび/または用途においてT細胞活性化またはT細胞増殖を阻害する能力は、このような用途において、hCTLA-4またはhCTLA-4 ECDがT細胞活性化またはT細胞増殖を阻害する能力に少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きい。さらに、このようなポリペプチドの一部の、免疫応答(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカイン産生、T細胞依存性抗体応答)を阻害または抑制する能力は、LEA29Yポリペプチド-SEQ ID NO:168に示したポリペプチド配列を含む特定の変異体CTLA-4 ECD-が免疫応答を阻害または抑制する能力より大きい。例えば、以下に示した実施例4〜9は、本発明の変異体CTLA-4 ECDポリペプチド配列を含む本発明の代表的な融合タンパク質が、インビトロでT細胞増殖を阻害する能力と、hCTLA-4 ECDまたはLEA29Yポリペプチドを含む融合タンパク質がインビトロでT細胞増殖を阻害する能力を比較している。このような分子は、自己免疫の疾患および障害の処置を含む様々な治療用途、ならびに臓器移植、細胞移植、または組織移植片移植の拒絶反応を阻害する予防方法および治療方法において有益に用いられると予想される。
このようなポリペプチドの一部は、例えば、アミノ酸欠失、付加、および/または置換によって互いに異なってもよい。アミノ酸置換は保存的置換でもよく、非保存的置換でもよい。例えば、「配列バリエーション」という表題のセクションを参照されたい。
別の局面において、本発明はまた、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、単量体hCD80もしくは単量体hCD86またはそのいずれかもしくは両方のECDに結合する、単離されたまたは組換え型のポリペプチドを提供する。このようなポリペプチドの一部の、(1)単量体hCD86に対する結合親和性は、単量体hCD86またはそのECDに対する単量体hCTLA-4またはLEA29Yポリペプチドの結合親和性にほぼ等しいか、またはこれより大きく、(2)単量体hCD80に対する結合親和性は、単量体hCD80に対する単量体hCTLA-4の結合親和性にほぼ等しいか、またはこれより大きい。LEA29Yポリペプチドは、SEQ ID NO:168のポリペプチド配列を含む。さらに、このようなポリペプチドの一部の、本明細書に記載の1つまたは複数の免疫応答(例えば、T細胞活性化/T細胞増殖、サイトカイン合成/産生、活性化マーカーの誘導、炎症性分子の産生、炎症、抗コラーゲンAbの産生、T細胞依存性Ab応答)は、単量体hCTLA-4、単量体hCTLA-4 ECD、またはLEA29Yポリペプチドより大きい。
本発明はまた、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、hCD86 ECDまたはhCD80 ECDに対する結合親和性が、hCD86 ECDまたはhCD80 ECDに対するhCTLA-4 ECDの結合親和性それぞれにほぼ等しいか、またはこれより大きい、単離されたまたは組換え型のポリペプチドを提供する。このようなポリペプチドの一部の、hCD86 ECDに対する結合親和性は、hCD86 ECDに対するhCTLA-4 ECD(SEQ ID NO:159)またはLEA29Yポリペプチド(SEQ ID NO:168)の結合親和性より大きい。このようなポリペプチドの一部の、hCD80 ECDに対する結合親和性は、hCD80 ECDに対するhCTLA-4 ECDの結合親和性より大きい。このようなポリペプチドの一部は免疫応答を抑制する能力を有し、場合によっては、hCTLA-4 ECDまたはLEA29Yポリペプチドより大きな、前記のおよび全体を通して記載される免疫応答を含む1つまたは複数の免疫応答を抑制する能力を有する。
別の局面において、本発明は、(a)15個以下のアミノ酸残基、14個以下のアミノ酸残基、13個以下のアミノ酸残基、12個以下のアミノ酸残基、11個以下のアミノ酸残基、10個以下アミノ酸残基、9個以下のアミノ酸残基、8個以下のアミノ酸残基、7個以下のアミノ酸残基、6個以下のアミノ酸残基、5個以下のアミノ酸残基(例えば、1個以下、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、6個以下、7個以下、8個以下、9個以下、10個以下、11個以下、12個以下、13個以下、または14個以下のアミノ酸残基)において、SEQ ID NO:159に示したヒトCTLA-4 ECDポリペプチド配列とは異なるポリペプチド配列を含む、単離されたまたは組換え型のCTLA-4ポリペプチド変種を提供し、(b)hCTLA-4 ECDポリペプチド配列(SEQ ID NO:159)の位置24、30、32、39、41、50、54、55、56、64、65、70、85、104または106にあるアミノ酸残基は、CTLA-4ポリペプチド変種配列では異なるアミノ酸残基で置換されており、CTLA-4ポリペプチド変種のアミノ酸残基位置の番号は、SEQ ID NO:159に従って付けられている、CTLA-4ポリペプチド変種は、CD80もしくはCD86またはいずれかの細胞外ドメインもしくは断片に結合する能力を有し、および/あるいは免疫応答を抑制または阻害する能力を有する。このような変異体の一部は、A24E、A24S、S25A、G27H、K28N、T30N、T30D、T30A、V32I、Q39K、Q39E、D41G、D41N、D41S、A50M、A50G、M54K、M54E、M54V、G55E、G55K、N56D、D63K、S64P、I65S、I65F、I65T、S70F、M85A、M85V、M85A、L104E、L104D、ならびにI106M、I106F、およびI106Lからなる群より選択される、1つまたは複数の(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、または15個の)アミノ酸置換を含む。
別の局面において、本発明は、(a)12個以下のアミノ酸残基(例えば、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、6個以下、7個以下、8個以下、9個以下、10個以下、11個以下、または12個以下のアミノ酸残基)において、SEQ ID NO:159に示したヒトCTLA-4の細胞外ドメインのポリペプチド配列とは異なり、(b)SEQ ID NO:159のアミノ酸位置24、30、32、50、54、55、56、64、65、70、および104に対応するアミノ酸位置からなる群より選択される2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、または12個のアミノ酸置換を含むポリペプチド配列を含み、CD80もしくはCD86またはいずれかの細胞外ドメインもしくは断片に結合する能力を有する、および/あるいは免疫応答を抑制または阻害する能力を有する、単離されたまたは組換え型の変異体CTLA-4ポリペプチドを提供する。ここで、変異体CTLA-4ポリペプチドのアミノ酸位置の番号はSEQ ID NO:159に従って付けられている。これらの位置にある例示的なアミノ酸置換には、WT hCTLA-4 ECDに存在するアミノ酸残基の保存的アミノ酸置換、および/またはA24S/E(すなわち、A24SもしくはA24E)、T30N/D/A(すなわち、T30NもしくはT30DもしくはT30A)、V32I/L/M/V、A50M/G、M54E/V/K、G55E/K/R、N56D/A、S64P/M/C、I65S/T/F/V、S70F/Y/W、L104E/M、あるいはその置換の任意の組み合わせが含まれるが、これに限定されない。
別の局面において、本発明は、(a)14個以下、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、または1個以下のアミノ酸残基において、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択されるポリペプチド配列とは異なるポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86ならびに/またはそのいずれかもしくは両方の細胞外ドメインに結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する、単離されたまたは組換え型のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド)を提供し、(b)アミノ酸残基位置41、50、54、55、56、64、65、70、または85にある、ポリペプチド配列中のアミノ酸残基は、前記の選択されたポリペプチド配列(例えば、SEQ ID NO:1-73より選択されるポリペプチド)の対応する位置にあるアミノ酸残基と同一である。場合によっては、ポリペプチドは、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、または6個以下のアミノ酸残基(例えば、1個以下、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、6個以下、7個以下、8個以下、9個以下、または10個以下のアミノ酸残基)において、選択されたポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:1-73より選択される)と異なるが、アミノ酸残基位置41、50、54、55、56、64、65、70、および85の1つまたは複数を占めるアミノ酸は、選択されたポリペプチド配列(例えば、SEQ NOS:1-73より選択されるポリペプチド配列)の前記の位置に含まれるアミノ酸残基と同一であり、別のアミノ酸で欠失も置換もされない。このようなポリペプチドの一部は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下のアミノ酸残基(例えば、1個以下、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、6個以下、7個以下、8個以下、9個以下、10個以下のアミノ酸残基)において、選択されたポリペプチド配列と異なり、選択されたポリペプチド配列の対応する位置にあるアミノ酸残基と同一のアミノ酸残基位置24、30、32、41、50、54、55、56、64、65、70、85、104および106の1つまたは複数にあるアミノ酸残基を含む、ポリペプチド配列を含む。このようなポリペプチドは、選択された配列のアミノ酸と同一のアミノ酸を有すると特定されなかった位置におけるアミノ酸欠失、付加、および/またはアミノ酸置換によって、選択されたポリペプチド配列と異なってもよい。hCD86またはその断片(例えば、hCD86 ECD)に対する結合親和性またはアビディティが、hCD86またはその断片(例えば、ECD)に対するhCTLA-4 ECDまたはLEA29Yポリペプチドの結合親和性またはアビディティそれぞれに少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きい、このようなポリペプチドが含まれる。このようなポリペプチドの一部の、hCD80またはその断片(例えば、hCD80 ECD)に対する結合親和性またはアビディティは、hCD80またはその断片に対するhCTLA-4 ECDポリペプチドの結合親和性またはアビディティそれぞれに少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きい。このようなポリペプチドの一部は、hCTLA-4 ECDのアミノ酸長、例えば、118-130、119-129、120-128、121-127、122-126、123-125、または124アミノ酸残基長にほぼ等しい長さを有するポリペプチド配列を含む。
このようなポリペプチドの一部は、例えば、T細胞活性化、T細胞増殖、サイトカインの合成もしくは産生(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-2の産生)、活性化マーカー(例えば、CD25、IL-2受容体)の誘導、炎症、炎症性分子の産生、抗コラーゲンAbの産生、および/またはT細胞依存性Ab応答を含む、様々な免疫応答の1つまたは複数を抑制することができる。このようなポリペプチドの一部が1つまたは複数のこのような免疫応答を阻害する能力は、hCTLA-4、hCTLA-4 ECDポリペプチド、またはLEA29Yポリペプチドより大きい。例えば、このようなポリペプチドの一部は、インビトロアッセイにおいて、T細胞活性化またはT細胞増殖を阻害することができる。例えば、実施例4〜9は、本発明の変異体 CTLA-4 ECDポリペプチド配列を含む本発明の代表的な融合タンパク質がインビトロでT細胞増殖を阻害する能力と、hCTLA-4 ECDまたはLEA29Yポリペプチドを含む融合タンパク質がインビトロでT細胞増殖を阻害する能力を比較する。このようなポリペプチドの一部は、例えば、治療的または予防的に有効な量の少なくとも1つのこのようなポリペプチドを、免疫抑制療法を必要とする対象に投与することによって、インビボで対象における免疫応答を阻害または抑制することができる。このようなポリペプチドは、様々な用途において有用と予想される。例えば、用途には、例えば、自己免疫の疾患および障害を処置する予防方法および/または治療方法を含む、免疫応答の抑制が望ましい免疫系の疾患、障害、および状態を処置する予防方法および/または治療方法、レシピエント(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)によるドナーからの組織移植または臓器移植の拒絶反応を阻害する方法、ならびに本明細書の他の場所に記載の他の方法が含まれるが、これに限定されない。
別の局面において、本発明は、 (a)10個以下のアミノ酸残基、9個以下のアミノ酸残基、8個以下のアミノ酸残基、7個以下のアミノ酸残基、6個以下のアミノ酸残基、5個以下のアミノ酸残基、4個以下のアミノ酸残基、3個以下のアミノ酸残基、2個以下のアミノ酸残基、1個以下のアミノ酸残基(例えば、1個以下、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、6個以下、7個以下、8個以下、9個以下、または10個以下のアミノ酸残基)において、SEQ ID NO:159に示したヒトCTLA-4の細胞外ドメインのポリペプチド配列とは異なり、(b)SEQ ID NO:159のポリペプチド配列を基準として、位置50、54、55、56、64、65、70、または85に対応するアミノ酸残基位置において少なくとも1個のアミノ酸置換を含み、ならびに/あるいは、例えば、下記でさらに詳細に議論されるように、インビトロおよび/またはインビボの方法および/またはアッセイにおいて、hCD80および/もしくはhCD86ならびに/またはそのいずれかもしくは両方のECDに結合し、かつ/あるいは免疫応答(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカインの合成または産生(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-2の産生)、活性化マーカー(例えば、CD25、IL-2受容体)の誘導、炎症、炎症性分子の産生、抗コラーゲンAbの産生、および/またはT細胞依存性Ab応答)を阻害する、単離されたまたは組換え型のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド)を提供する。このようなポリペプチドの一部は、124アミノ酸残基長であるポリペプチド配列を含む。このようなポリペプチドの一部は、アミノ酸残基位置50、54、55、56、64、65、70、および85からなる群より選択される、SEQ ID NO:159に示したポリペプチド配列を基準とした位置において、2個、3個、4個、5個、または6個のアミノ酸置換を含む。このようなポリペプチドの一部は、SEQ ID NO:159を基準として、位置 104および/または30に対応するアミノ酸残基位置においてアミノ酸置換をさらに含む。このようなポリペプチドの一部は、SEQ ID NO:159を基準として、位置70(任意で、S70F)、位置64(任意で、S64P)、位置50(任意で、A50M/G、例えば、A50M、A50G)、位置54(任意で、M54K/V、例えば、M54K)、位置65(任意で、I65S)、位置56(任意で、N56D)、位置55(任意で、G55E/K、例えば、G55E、G55K)、位置85(任意で、M85A)、および/または位置24(任意で、A24E/S、例えば、A24E)において、少なくとも1個のアミノ酸置換を含む。このようなポリペプチドはいずれも、SEQ ID NO:159を基準として、位置104(任意で、L104E/D、例えば、L104E)、位置30(任意で、T30N/D/A、例えば、T30N、T30D、もしくはT30A)、および/または位置32(任意で、V32I)において、アミノ酸置換をさらに含んでもよい。場合によっては、ポリペプチドは、SEQ ID NO:159を基準として、A50M、M54K、G55E、N56D、S64P、I65S、およびS70Fからなる群より選択されるアミノ酸位置において、1個または複数の置換を含む。このようなポリペプチドの一部は、CD86またはCD86 ECDに対する単量体hCTLA-4 ECDの結合親和性それぞれにほぼ等しいか、またはこれより大きい、CD86(例えば、hCD86)またはCD86 ECD(例えば、hCD86 ECD)に対する結合親和性を示す。このようなポリペプチドの一部は、CD80またはCD80 ECDに対する単量体hCTLA-4 ECDの結合親和性それぞれより大きい、CD80(例えば、hCD80)またはCD80 ECD(例えば、hCD80 ECD)に対する結合親和性を示す。
このようなポリペプチドの一部は、例えば、インビトロおよび/またはインビボで1つまたは複数の免疫応答(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカイン産生など)を抑制または阻害する能力を有する。このようなポリペプチドの一部は、hCTLA-4、hCTLA-4 ECD、またはLEA29Yポリペプチドより大きな程度で、1つまたは複数のこのような免疫応答を示す。このようなポリペプチドは、様々な治療用途において有益に用いられると予想される。用途には、自己免疫の疾患および障害を処置する予防方法および/または治療方法、あるいは臓器移植、細胞移植、または組織移植片移植の拒絶反応を阻害するための予防方法および/または治療方法が含まれる。
別の局面において、本発明は、(a)6個以下のアミノ酸残基(例えば、1個以下、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、または6個以下のアミノ酸残基)において、SEQ ID NO:159に示したヒトCTLA-4の細胞外ドメインのポリペプチド配列とは異なり、(b)SEQ ID NO:159を基準として、A50M、M54K、G55E、N56D、S64P、I65S、およびS70Fからなる群より選択されるアミノ酸位置において、1個または複数の置換を含むポリペプチド配列を含み、hCD80および/もしくはhCD86またはそのいずれかもしくは両方の細胞外ドメインに結合し、かつ/あるいはインビトロアッセイおよび/またはインビボ方法において、免疫応答(例えば、T細胞活性化もしくは増殖、サイトカインの合成もしくは産生、活性化マーカーの誘導、炎症性分子の産生、炎症、関節腫脹もしくは関節圧痛、関節痛、関節硬直、C反応性タンパク質の血清中濃度、抗コラーゲンAbの産生、および/またはT細胞依存性Ab応答など)を阻害する、単離されたまたは組換え型のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド)を提供する。このようなポリペプチドは、免疫抑制療法が利益になる疾患、障害、または状態に罹患している対象の処置において有用と予想される。処置には、例えば、自己免疫の疾患および障害を処置する治療方法および予防方法、ならびに臓器移植、細胞移植、または組織移植片移植を阻害するための予防方法および治療方法が含まれる。
本発明はまた、(i)SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される任意のポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性、および(ii)SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される前記ポリペプチド配列の位置70に対応するアミノ酸位置にあるフェニルアラニン残基を含むポリペプチド配列を含み、hCD80および/もしくはhCD86またはその細胞外ドメインに結合し、かつ/あるいはインビトロアッセイおよび/またはインビボ方法において、免疫応答(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカインの合成または産生、活性化マーカーの誘導、炎症性分子の産生、炎症、関節もしくは関節圧痛、関節痛、関節硬直、C反応性タンパク質の血清中濃度、抗コラーゲンAbの産生、および/またはT細胞依存性Ab応答など)を阻害する、単離されたまたは組換え型のポリペプチドを含む。このようなポリペプチドの一部は、選択された配列を基準として、以下:位置24に対応するアミノ酸位置にあるグルタミン酸残基;位置30に対応するアミノ酸位置にあるアスパラギン残基;位置32に対応するアミノ酸位置にあるイソロイシン残基;位置50に対応するアミノ酸位置にあるメチオニン残基;位置54に対応するアミノ酸位置にあるリジン残基;位置55に対応するアミノ酸位置にあるグルタミン酸残基;位置56に対応するアミノ酸位置にあるアスパラギン酸残基;位置64に対応するアミノ酸位置にあるプロリン残基;位置65に対応するアミノ酸位置にあるセリン残基;および位置104に対応するアミノ酸位置にあるグルタミン酸残基の1つまたは複数を含む。このようなポリペプチドは、様々な用途において有益に用いられると予想される。用途には、自己免疫の疾患および障害を処置する方法、ならびに臓器移植、細胞移植、または組織移植片移植を阻害する方法を含むが、これに限定されない。
例えば、1つの非限定的な局面において、本発明は、(i)SEQ ID NO:24のポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性、および(ii)SEQ ID NO:24のポリペプチド配列の位置70に対応するアミノ酸位置にあるフェニルアラニン残基を含むポリペプチド配列を含み、hCD80および/もしくはhCD86ならびに/またはそのいずれかもしくは両方のECDに結合し、かつ/あるいはインビトロおよび/またはインビボで免疫応答を阻害する、単離されたまたは組換え型のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECD)を含む。ポリペプチドは、SEQ ID NO:24を基準として、以下:位置24のグルタミン酸残基;位置30のアスパラギン残基;位置32のイソロイシン残基;位置50のメチオニン残基;位置54のリジン残基;位置55のグルタミン酸残基;位置56のアスパラギン酸残基;位置64のプロリン残基;位置65のセリン残基;および位置104のグルタミン酸残基の少なくとも1つを含んでもよい。
本発明はまた、hCD80および/もしくはhCD86(ならびに/またはそのいずれかもしくは両方のECD)に結合し、ならびに/あるいは(前記のように)免疫応答を阻害し、例えば、インビトロおよび/またはインビボで免疫応答を阻害し、(a)6個以下のアミノ酸残基において、SEQ ID NO:159に示したヒトCTLA-4 ECDポリペプチドのポリペプチド配列と異なり、(b)S70Fを含む、少なくとも1個のアミノ酸置換を含むポリペプチド配列を含む、単離されたまたは組換え型のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド)を含む。ここで、アミノ酸残基位置の番号はSEQ ID NO:159に従って付けられている。ポリペプチドは、A24E、T30N、V32I、D41G、A50M、M54K、G55E、N56D、S64P、I65S、M85A、L104E、およびI106Fからなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換をさらに含んでもよい。このようなポリペプチドは、自己免疫の疾患および障害を処置する方法、ならびに臓器移植、細胞移植、組織移植、または移植片移植を阻害する方法を含む、様々な用途において有用と考えられる。
本発明はまた、(a)6個以下のアミノ酸残基において、SEQ ID NO:31に示したポリペプチド配列とは異なり、(b)以下:SEQ ID NO:31の位置50に対応する位置にあるメチオニン残基、SEQ ID NO:31の位置54に対応する位置にあるリジン残基、SEQ ID NO:31の位置55に対応する位置にあるグルタミン酸残基、SEQ ID NO:31の位置64に対応する位置にあるプロリン残基、SEQ ID NO:31の位置65に対応する位置にあるセリン残基、SEQ ID NO:31の位置70に対応する位置にあるフェニルアラニン残基の少なくとも1つを含むポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86ならびに/またはそのいずれかもしくは両方のECDに結合し、かつ/あるいはインビトロおよび/またはインビボで前記のように免疫応答を阻害する、単離されたまたは組換え型のポリペプチドを含む。ここで、アミノ酸残基位置の番号はSEQ ID NO:31に従って付けられている。ポリペプチドは、SEQ ID NO:31の位置104に対応する位置にあるグルタミン酸残基、位置30に対応する位置にあるアスパラギン酸残基、および/または位置32に対応する位置にあるイソロイシン残基を含んでもよい。このようなポリペプチドは様々な用途において有用と考えられる。用途には、リウマチ性疾患および障害を処置する方法ならびに臓器移植、細胞移植、または組織移植片移植を阻害する方法が含まれる。
別の局面において、本発明は、(i)SEQ ID NO:36-46および55からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性、ならびに(ii)選択された前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置55にあるグルタミン酸残基を含むポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86またはそのいずれかもしくは両方の細胞外ドメインに結合し、かつ/あるいは免疫応答を抑制する、単離されたまたは組換え型のポリペプチドを提供する。抑制することができる免疫応答には、例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカインの合成もしくは産生(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-2の産生)、活性化マーカー(例えば、CD25、IL-2受容体)の誘導、炎症、炎症性分子の産生、抗コラーゲンAbの産生、および/またはT細胞依存性Ab応答)が含まれる。このようなポリペプチド配列は、アミノ酸位置70のフェニルアラニン残基をさらに含んでもよい。このようなポリペプチド配列は、位置64のプロリン残基および/または位置30のアスパラギン残基をさらに含んでもよい。このようなポリペプチド配列は、位置50のメチオニン残基および/または位置54のリジン残基をさらに含んでもよい。
別の局面において、本発明は、(i)SEQ ID NO:28、30、36-46、55-57、および65-73からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性、ならびに(ii)選択された前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置55にあるグルタミン酸残基を含むポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86またはそのいずれかもしくは両方の細胞外ドメインに結合し、かつ/あるいは免疫応答、例えば、T細胞活性化もしくは増殖、サイトカインの合成もしくは産生(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-2の産生)、活性化マーカー(例えば、CD25、IL-2受容体)の誘導、炎症、炎症性分子の産生、抗コラーゲンAbの産生、および/またはT細胞依存性Ab応答を抑制する、単離されたまたは組換え型のポリペプチドを提供する。このようなポリペプチド配列は、アミノ酸位置70のフェニルアラニン残基をさらに含んでもよい。このようなポリペプチド配列は、位置64のプロリン残基および/または位置30のアスパラギン残基をさらに含んでもよい。このようなポリペプチド配列は、位置50のメチオニン残基および/または位置54のリジン残基をさらに含んでもよい。
前記の本発明のポリペプチドはいずれも、本発明のポリペプチドの分泌を促進するペプチドをさらに含んでもよい。従って、1つの局面において、本発明は、(a)前記の任意のポリペプチド(例えば、前記の変異体CTLA-4 ECD)、および(b)宿主細胞からの発現ポリペプチドの分泌を促進するペプチドを含む、単離されたまたは組換え型のポリペプチドを提供する。ペプチドは任意でシグナルペプチドである。シグナルペプチドのC末端は、典型的には、ポリペプチドのN末端に共有結合により連結されている。シグナルペプチドは、SEQ ID NO:182またはSEQ ID NO:216のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。シグナルペプチドは、SEQ ID NO:160のアミノ酸残基1-35、1-36、または1-37を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。
前記の本発明のポリペプチドはいずれも、膜貫通ドメインおよび/または細胞質ドメインをさらに含んでもよい。従って、1つの局面において、本発明は、(a)前記の任意の本発明のポリペプチド(例えば、前記の変異体CTLA-4 ECD)、および(b)膜貫通ドメインを含む、単離されたまたは組換え型のポリペプチドを提供する。このようなタンパク質は、任意で、前記のシグナルペプチドをさらに含む。ここで、シグナルペプチドのC末端は、本発明のポリペプチドのN末端に共有結合により連結されている。シグナルペプチドのC末端は、典型的には、膜貫通ドメインのN末端に共有結合により連結されている。膜貫通ドメインのC末端は、典型的には、細胞質ドメインのN末端に共有結合により連結されている。場合によっては、膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:160のアミノ酸残基162-182を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。場合によっては、細胞質ドメインは、SEQ ID NO:160のアミノ酸残基183-223を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。前記のポリペプチドはいずれも、グリコシル化されたまたはペグ化されたアミノ酸残基の1つまたは複数を含んでもよい。
本発明はまた、2つまたはそれ以上のポリペプチドを含む、単離されたまたは組換え型のポリペプチド多量体を含む。ここで、多量体のポリペプチドの少なくとも1つは、本明細書に記載の本発明の変異体CTLA-4ポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECDまたは変異体CTLA-4-Ig)である。このような多量体は、本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含み、本発明のポリペプチドである必要はない、少なくとも1種類のさらなるポリペプチドをさらに含んでもよい。例えば、多量体は、本発明の少なくとも1つのポリペプチド、ならびに、例えば、野生型ポリペプチド(例えば、hCTLA-4 ECDもしくはhCTLA-4-Ig)でもよい、少なくとも1つの他のポリペプチド、および/または少なくとも他の変異体ポリペプチド(例えば、本発明のポリペプチドでない変異体ポリペプチド)を含んでもよい。多量体(または多量体ポリペプチド)の中のポリペプチドの一部または全ては互いに同一でもよく、場合によっては、多量体の中のポリペプチドは全て互いに異なってもよい。場合によっては、ポリペプチド多量体は、2つの本発明のポリペプチドを含む二量体であり、2つの本発明のポリペプチドは、任意で、同一のポリペプチド(すなわち、ホモ二量体)でもよく、異なるポリペプチド(すなわち、ヘテロ二量体)でもよい。場合によっては、ポリペプチド多量体は、本発明の4つのポリペプチドを含む四量体である。四量体は、4つの同一のポリペプチドを含んでもよく(すなわち、ホモ四量体)、少なくとも1つのポリペプチドが他の3つのポリペプチドと同一にならないように、本発明の4つのポリペプチドの任意の組み合わせを含んでもよい(すなわち、ヘテロ四量体)。本発明はまた、4つの同一のWT CTLA-4 ECDポリペプチド(例えば、hCTLA-4 ECD)または4つの同一のWT CTLA-4-Ig(例えば、hCTLA-4-Ig)を含む四量体を含む。場合によっては、多量体は、CD80および/もしくはCD86(またはそのいずれかもしくは両方のECD)に結合することができ、ならびに/あるいはインビトロおよび/またはインビボ方法において、免疫応答(例えば、T細胞増殖またはT細胞活性化、サイトカイン産生など)を抑制または阻害することができる。このような多量体の一部の、インビトロおよび/またはインビボで免疫応答を抑制または阻害する能力は、hCTLA-4またはhCTLA-4-Ig(例えば、hCTLA-4-IgG2またはOrencia(登録商標)タンパク質)より大きい。多量体のポリペプチドは、例えば、共有結合、例えば、1つまたは複数のポリペプチドの1つまたは複数のシステイン残基間のジスルフィド結合を介した共有結合によって連結されてもよい。
本発明のこのような四量体の一部は、抗体の構造と概略的に類似しているが、抗体の可変ドメインがそれぞれ本明細書に記載の本発明の任意の変異体CTLA-4 ECDポリペプチドで置換されている、構造を含む。抗体の重鎖は、重鎖可変ドメイン(VH)が免疫グロブリン(Ig) CH1ドメイン(例えば、IgG2 CH1)と融合し、免疫グロブリン(Ig) CH1ドメインはヒンジと融合している。ヒンジはIg CH2ドメイン(例えば、IgG2 CH2)と融合し、Ig CH2ドメインはIg CH3ドメイン(例えば、IgG2 CH3)と融合している。抗体の軽鎖は、軽鎖可変ドメイン(VL)がIg Cカッパ(Cκ)またはCラムダ(Cλ)ドメインと融合している。2本の重鎖および2本の軽鎖が、重鎖および軽鎖にあるシステイン残基を介して形成した1つまたは複数のジスルフィド結合による共有結合により連結されている。本発明は、重鎖および軽鎖の可変ドメインがそれぞれ、本発明の変異体CTLA-4 ECDポリペプチドで置換されている変異体CTLA-4四量体を含む。従って、このような四量体は、2本の軽鎖および2本の重鎖を含む。それぞれの軽鎖は、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドがIg CκまたはCλドメインと融合している。それぞれの重鎖は、変異体CTLA-4 ECDがIg CH1ドメイン(例えば、IgG2 CH1)と融合し、Ig CH1ドメインはヒンジと融合している。ヒンジはIg CH2ドメイン(例えば、IgG2 CH2)と融合し、Ig CH2ドメインはIg CH3ドメイン(例えば、IgG2 CH3)と融合している。2本の重鎖および2本の軽鎖が、重鎖および軽鎖にあるシステイン残基を介して形成した1つまたは複数のジスルフィド結合による共有結合により連結されている。このような四量体はCTLA-4-Ig四量体と述べられることもある。このようなCTLA-4-Ig四量体を構築する方法は公知であり、当業者に理解されるだろう。四量体CD4-Ig構築物は、CD4ポリペプチドを含み、主要なHIV 1型分離株を中和し、Allaway, G.P. et al., AIDS Res. Hum. Retroviruses 11(5):533-9 (1995)に記載されている。四量体は、4つの同一の4つの変異体CTLA-4 ECDポリペプチドを含んでもよく、少なくとも1つの変異体CTLA-4 ECDが他の3つの変異体CTLA-4 ECDポリペプチドと同一にならないように、本発明の4つの変異体CTLA-4 ECDポリペプチドの任意の組み合わせを含んでもよい。このような四量体の一部は、hCTLA-4(またはhCTLA-4-Ig)より高い結合アビディティで、CD80および/CD86に結合することができる。このような四量体の一部は免疫応答を抑制または阻害することができる。場合によっては、このような四量体の、インビトロアッセイまたはインビボ用途において免疫応答(例えば、T細胞増殖またはT細胞活性化、サイトカイン産生など)を抑制または阻害する能力は、hCTLA-4またはhCTLA-4-Ig(例えば、hCTLA-4-IgG2またはOrencia(登録商標))より大きい。本発明の多量体は、様々な用途において有益に用いられると予想される。用途には、自己免疫の疾患および障害を処置する方法、ならびに臓器移植、細胞移植、または組織移植片移植を阻害する方法が含まれる。
本発明はまた、2つまたはそれ以上のコンジュゲートを含む、単離されたまたは組換え型のコンジュゲート多量体を含む。ここで、コンジュゲートの少なくとも1つは、本発明の変異体CTLA-4ポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECDまたは変異体CTLA-4-Ig)を含む、本発明のコンジュゲートである。多量体の中のコンジュゲートの一部または全てが互いに同一でもよく、多量体の中のコンジュゲートは全て互いに異なってもよい。場合によっては、コンジュゲート多量体は、2つのコンジュゲートを含む二量体または本発明の4つのコンジュゲートを含む四量体である。このようなコンジュゲート多量体の一部は、CD80および/CD86(またはそのいずれかもしくは両方のECD)に結合することができる、ならびに/あるいはインビトロおよび/またはインビボで免疫応答を抑制または阻害することができる。多量体の中のコンジュゲート分子は、例えば、共有結合によって、例えば、1つまたは複数のコンジュゲートの中の1つまたは複数のシステイン残基間のジスルフィド結合を介して連結されてもよい。
本発明は、前記の任意の2つの本発明のポリペプチド(例えば、前記の変異体CTLA-4 ECD)を含み、ヒトCD86またはその細胞外ドメインに対する結合アビディティが、ヒトCD86またはその細胞外ドメインに対する2つのヒトCTLA-4の細胞外ドメインを含む二量体の結合アビディティそれぞれにほぼ等しいか、またはこれより大きい、単離されたまたは組換え型のポリペプチド二量体を含む。
本発明は、2つの前記の本発明のポリペプチド(例えば、前記の変異体CTLA-4 ECD)を含み、hCD80またはそのECDに対する結合アビディティが、hCD80またはそのECDに対する2つのhCTLA-4 ECDポリペプチド(SEQ ID NO:159)を含む二量体の結合アビディティそれぞれにほぼ等しいか、またはこれより大きい、単離されたまたは組換え型のポリペプチド二量体を含む。例えば、非限定的な局面において、二量体は2つのポリペプチドを含んでもよく、それぞれのポリペプチドは、SEQ ID NO:1-73より選択される配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含み、hCD80および/またはhCD86に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する。別の非限定的な局面において、二量体は2つのポリペプチドを含んでもよく、それぞれのポリペプチドは、6個以下のアミノ酸残基において、hCTLA-4 ECDのポリペプチド配列(SEQ ID NO:159)と異なり、SEQ ID NO:159を基準として、A50M、M54K、G55E、N56D、S64P、I65S、およびS70Fからなる群より選択されるアミノ酸位置において少なくとも1個の置換を含み、任意で、置換L104Eをさらに含み、hCD80および/またはhCD86に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する。
場合によっては、hCD80またはそのECDに対する二量体の結合アビディティは、hCD80またはそのECDに対する、2つのhCTLA-4 ECDポリペプチドを含む二量体の結合アビディティそれぞれにほぼ等しいか、またはこれより大きい。場合によっては、hCD86またはそのECDに対する二量体の結合アビディティは、hCD86またはそのECDに対する、2つのLEA29Yポリペプチドを含む二量体の結合アビディティそれぞれより大きく、それぞれのLEA29Yポリペプチドは、SEQ ID NO:168に示したポリペプチド配列を含む。場合によっては、二量体が、結合しているhCD86またはそのECDから解離する速度は、2つのhCTLA-4 ECDポリペプチドを含む二量体が、結合しているhCD86またはそのECDから解離する速度それぞれより遅い。場合によっては、二量体が、結合しているhCD86またはそのECDから解離する速度は、2つのLEA29Yポリペプチドを含む二量体が、結合しているhCD86またはそのECDから解離する速度それぞれより遅く、それぞれのLEA29Yポリペプチドは、SEQ ID NO:168に示したポリペプチド配列を含む。
場合によっては、二量体が、hCD86またはそのECDと会合する速度は、2つのhCTLA-4 ECDポリペプチドを含む二量体が、hCD86またはそのECDと会合する速度それぞれより速い。場合によっては、二量体が、hCD86またはそのECDと会合する速度は、2つのLEA29Yポリペプチドを含む二量体が、hCD86またはそのECDと会合する速度それぞれより速く、それぞれのLEA29Yポリペプチドは、SEQ ID NO:168に示したポリペプチド配列を含む。
場合によっては、変異体CTLA-4 ECDを含む、このような二量体が免疫応答を抑制する能力(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカイン産生など)は、2つのヒトCTLA-4の細胞外ドメインまたは2つのLEA29Yポリペプチドを含む二量体より大きい。
このような二量体の一部のCD86平衡解離定数(KD)は、2つのhCTLA-4 ECDポリペプチドまたは2つのLEA29Yポリペプチドを含む二量体のCD86平衡解離定数(KD)より小さい。このような二量体の一部のCD86平衡解離定数(KD)は、2つのLEA29Yポリペプチドを含む二量体のCD86平衡解離定数(KD)より小さく、それぞれのLEA29Yポリペプチドは、SEQ ID NO:168に示したポリペプチド配列を含む。
少なくとも2つの本発明のポリペプチドを含む、このような多量体の一部(例えば、2つの本発明の変異体CTLA-4 ECDポリペプチドを含む二量体)が免疫応答を抑制する能力は、同じ価の完全長hCTLA-4の多量体(すなわち、同数の完全長CTLA-4ポリペプチドを含む多量体)と比較して大きい。少なくとも2つの本発明のポリペプチドを含む、このような多量体の一部が免疫応答を抑制する能力は、同じ価のhCTLA-4 ECCDの多量体(すなわち、同数のhCTLA-4 ECDポリペプチドを含む多量体)と比較して大きい。
前記の本発明のポリペプチドはいずれも、溶解度を高めるさらなるポリペプチド配列、例えば、免疫グロブリン(Ig)ポリペプチド配列をさらに含み、それによって、下記でさらに詳細に議論されるように、例えば、可溶性融合タンパク質を形成してもよい。ポリペプチド多量体のそれぞれのポリペプチドは、溶解度を高めるさらなるポリペプチド配列、例えば、Igポリペプチド配列をさらに含み、それによって、例えば、可溶性融合タンパク質を形成してもよい。従って、前記の、本発明の2つまたはそれ以上のポリペプチドを含む二量体のそれぞれのポリペプチドは、溶解度を高めるさらなるポリペプチド配列、例えば、Igポリペプチド配列をさらに含み、それによって、例えば、可溶性融合タンパク質を形成してもよい。
本発明のこのようなポリペプチドおよび二量体は、様々な用途において有益に用いられると予想される。用途には、自己免疫の疾患および障害を処置する方法、ならびに臓器移植、細胞移植、または組織移植片移植を阻害する方法が含まれる。
前記で議論したように、成熟hCTLA-4タンパク質配列は、典型的には、SEQ ID NO:160に示した完全長hCTLA-4タンパク質配列のアミノ酸位置38のメチオニン残基から始まり、成熟hCTLA-4タンパク質配列のアミノ酸残基の番号は、典型的には、1番目のアミノ酸(すなわち、位置1を占めるアミノ酸)として、このメチオニン残基から付けられる。
本発明の変異体CTLA-4ポリペプチド(単量体および二量体融合タンパク質ならびに多量体ポリペプチドを含む)の一部は、例えば、アミノ酸位置24、41、54、55、56、64、65、70、および85のいずれかを含むが、これに限定されない、古典的なhCTLA-4/hB7-2結合界面の外側にある成熟hCTLA-4タンパク質配列のアミノ酸位置に対応するアミノ酸位置に、少なくとも1個のアミノ酸置換を含む(例えば、Schwartz et al., Nature 410:604-608 (2001)を参照されたい)。一般的に、当業者でも、前述の位置(24、41、54、55、56、64、65、70、および/もしくは85)のいずれかでのアミノ酸置換、または位置24、41、54、55、56、64、65、70、および85の群より選択される1個または複数の置換の任意の組み合わせに、hB7-2に対するhCTLA-4の結合親和性またはアビディティを高める能力があり、CD28陽性細胞とB7-2陽性細胞との相互作用を阻害する大きな能力があり、あるいは、例えば、hCTLA-4 ECDまたはhCTLA-4-Igより大きな、免疫応答(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカインの合成または産生、活性化マーカーの誘導、炎症性分子の合成または産生、抗コラーゲン抗体産生、T細胞依存性抗体応答など)を抑制または阻害する能力があることを予測しなかっただろう。さらに、当業者でも、前述の位置(24、41、54、55、56、64、65、70、および/もしくは85)のいずれかにおける本明細書に記載の特定のアミノ酸置換もしくは特定のアミノ酸置換の組み合わせ、またはこのような位置の任意の組み合わせに、hB7-2に対するhCTLA-4の結合親和性またはアビディティを高める能力があり、CD28陽性細胞とB7-2陽性細胞との相互作用を阻害する大きな能力があり、あるいは、例えば、hCTLA-4 ECDまたはhCTLA-4-Igより大きな、免疫応答を抑制または阻害する能力があることを予測しなかっただろう。
変異体CTLA-4融合タンパク質
本発明はまた、前記のおよび全体を通して記載される本発明のポリペプチドの少なくとも1つである第1のポリペプチド(例えば、本発明の変異体CTLA-4ポリペプチド、例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド)が第2のポリペプチドと連結または融合して、融合タンパク質が形成した、新規の単離されたおよび組換え融合タンパク質を提供する。第2のポリペプチドは、典型的には、第1のポリペプチドの分泌または発現を促進する。例示的な変異体CTLA-4 ECDポリペプチドには、SEQ ID NO:1-73として特定される配列を含むものが含まれる。本発明は、免疫グロブリン(Ig)ドメイン、例えば、Ig Fcドメインが本発明の生物学的に活性な部分、例えば、本発明の変異体CTLA-4ポリペプチドに融合した、または取り付けられた、融合タンパク質を含む。本発明の融合タンパク質は、本明細書の他の場所でさらに詳細に議論されるように、免疫調節および/または免疫抑制が利益となる様々な免疫系の疾患および障害および状態の予防的処置および/または治療的処置のための予防剤および/または治療剤として、診断アッセイにおいて、ならびに免疫調節および/または免疫抑制の活性または特性を有する医薬または薬剤の調製に有用だと考えられる。
変異体CTLA-4ポリペプチドおよびIgポリペプチド(例えば、Ig Fc)を含む本発明の融合タンパク質は、典型的には、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質と呼ばれる。下記および実施例にさらに詳述される、本発明の単量体および二量体融合タンパク質を含む本発明の融合タンパク質はいずれも、Igポリペプチドとして、例えば、本明細書ならびに前記および下記の他の場所に記載のように、Ig Fcポリペプチドを含んでもよい。第2のポリペプチドは第1のポリペプチドに直接連結されてもよい。例えば、第2のポリペプチド(例えば、Igポリペプチド、例えば、Ig Fcポリペプチド)のN末端は、本発明の第1のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド)のC末端に直接、共有結合により融合されてもよい。または、第2のポリペプチドは第1のポリペプチドに間接的に連結されてもよく、例えば、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドの間に、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、もしくは10個、またはそれ以上のアミノ酸残基を含むリンカーアミノ酸配列が含まれる。リンカーが含まれる場合、アミノ酸リンカー配列のN末端は、典型的には、第1のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECD)のC末端に共有結合により融合され、第2のポリペプチド(例えば、Igポリペプチド、例えば、Ig Fc)のN末端は、典型的には、アミノ酸リンカー配列のC末端に共有結合により融合される。
場合によっては、第2のポリペプチドは、Igポリペプチドの少なくとも一部、例えば、Ig重鎖定常領域の1つまたは複数のドメインを含む。第2のポリペプチドは、Igポリペプチドのヒンジ領域、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含んでもよい。場合によっては、第2のポリペプチドは、WT IgポリペプチドのFcドメイン(すなわち、WT Ig Fcポリペプチド)、例えば、WTヒトIgポリペプチドのFcドメイン(すなわち、WTヒトIg Fcポリペプチド)を含む。他の場所で議論されるように、Igポリペプチドは、例えば、哺乳動物、例えば、ヒト、マウス、非ヒト霊長類(例えば、サル、ゴリラ)、ネコ、イヌ、ウマなどを含む様々な種に由来してもよく、様々なクラス(例えば、IgG、IgM、IgEなど)およびサブクラス(例えば、IgGにはIgG1、IgG2、IgG4などが含まれる)に由来してもよく、任意のこのようなIgポリペプチドのFcドメインまたは部分を含んでもよい。このような様々な種のIgポリペプチドのアミノ酸配列および核酸配列は当技術分野において公知である。
1つの局面において、本発明は、前記の本発明の単離されたまたは組換え型の変異体CTLA-4ポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECD)のC末端が、Ig Fcポリペプチド、すなわち、IgポリペプチドのFcドメインのN末端に直接または間接的に(アミノ酸リンカー配列を介して)共有結合により連結または融合された、新規の単離されたまたは組換え型の融合タンパク質を提供する。下記および実施例においてさらに詳述される、本発明の単量体および二量体の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含む、本発明の融合タンパク質はいずれも、本明細書ならびに前記および下記の他の場所に記載のようにIg Fcポリペプチドを含んでもよい。Ig Fcポリペプチドは、典型的には、Igポリペプチドのヒンジ領域、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含む。Ig Fcポリペプチドは、例えば、ヒト、マウス、霊長類などを含む様々な種に由来してもよく、野生型Ig Fcポリペプチド(例えば、WT IgG1、IgG2、またはIgG4)を含んでもよい。例示的なヒトIgG Fcポリペプチドには、例えば、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG4などが含まれるが、これに限定されない。例示的なヒトIgG1 Fcのポリペプチド配列を、SEQ ID NO:185に示した。例示的なヒトIgG2 Fcポリペプチドのポリペプチド配列を、それぞれ、SEQ ID NO:184および218に示した。または、Ig Fcポリペプチドは、変異体Igポリペプチドを含んでもよい。例えば、1つまたは複数のシステイン残基が別のアミノ酸(例えば、セリン残基)で置換され、それによって、2つのIg鎖間で形成する1つまたは複数のジスルフィド結合が無い変異体IgG1 Fc、またはエフェクター機能(Fc受容体結合)を弱めるために、1つもしくは複数のプロリン残基が別のアミノ酸(例えば、プロリン)で置換されている変異体IgG1 Fcを、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質に含めてもよい。例示的な変異体IgG1 Fcポリペプチドのポリペプチド配列を、SEQ ID NO:186に示した。本発明は、単離されたまたは組換え型の融合タンパク質、例えば、前記の少なくとも1つの組換え変異体CTLA-4ポリペプチドのC末端が、SEQ ID NO:184(ヒトIgG2 Fcポリペプチド)、185(ヒトIgG1 Fcポリペプチド)、186(変異体IgG1 Fcポリペプチド)、および218(C末端リジン(K)残基の無いヒトIgG2 Fcポリペプチド)からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む組換えIg FcポリペプチドのN末端に連結しているものを含む、変異体CTLA-4-Ig二量体または変異体CTLA-4-Ig単量体を含む。
1つの局面において、本発明の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質の推定ポリペプチド配列は、以下のセグメント:融合タンパク質の分泌を促進するシグナルペプチド配列(例えば、hCTLA-4シグナルペプチド(SEQ ID NO:182またはSEQ ID NO:216));変異体CTLA-4 ECDポリペプチド;およびIg Fcポリペプチドを含み、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドは、典型的には、約118〜130アミノ酸残基、通常、約124アミノ酸残基長を含むが、必ずしもそうであるとは限らない。例示的な変異体CTLA-4 ECDポリペプチドには、前記および下記のものが含まれる。場合によっては、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのC末端と、ヒトIg FcポリペプチドのN末端の間には、アミノ酸リンカー配列は含まれない。すなわち、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質において、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのC末端は、Ig FcポリペプチドのN末端に直接、共有結合により融合される。しかしながら、所望であれば、変異体CTLA-4-Igは、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのC末端と、ヒトIg FcポリペプチドのN末端との間に、リンカー(例えば、1つまたは複数のアミノ酸残基)を含んでもよい。本発明の推定単量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質のシグナルペプチドは、典型的には、プロセシング中に、変異体CTLA-4 Ig融合タンパク質のN末端から切断される。従って、本発明の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質の成熟型または分泌型は、通常、シグナルペプチド配列を含まない。2つのこのような単量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含む融合タンパク質二量体は、典型的には、(1)一方のこのような単量体融合タンパク質の変異体CTLA-4 ECDおよびIgG2 Fcにあるシステイン残基と、(2)他方の(典型的には、同一であるが、必ずしもそうであるとは限らない)単量体融合タンパク質の変異体CTLA-4 ECDおよびIgG2 Fcにあるシステイン残基との間にジスルフィド共有結合が生じることによって細胞プロセシング中に形成される。
本発明は、2つの本発明の単量体融合タンパク質を含む、二量体融合タンパク質(融合タンパク質二量体とも呼ばれる)を含む。二量体は、2つの同一のまたは異なる単量体融合タンパク質を含んでもよい。二量体融合タンパク質は、2つの単量体融合タンパク質間の連結によって形成される。2つのこのような単量体融合タンパク質を含む二量体融合タンパク質は、典型的には、一方の単量体融合タンパク質にあるシステイン残基と、他方の単量体融合タンパク質にあるシステイン残基との間にジスルフィド共有結合が生じることによって細胞プロセシング中に形成される。従って、場合によっては、本発明の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質は、本発明の2つの単量体融合タンパク質を含む二量体として発現される。
1つの局面において、本発明は、2つの単量体融合タンパク質を含む、単離されたまたは組換え型の二量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を提供する。ここで、それぞれの単量体融合タンパク質は、前記で詳述した、および下記でさらに説明する、本発明の変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのC末端がIg Fcポリペプチドと融合しているものを含む。二量体は、一方の単量体融合タンパク質の変異体CTLA-4 ECDおよびIg Fcにあるシステイン残基と、他方の単量体融合タンパク質の変異体CTLA-4 ECDおよびIg Fcにあるシステイン残基との間にジスルフィド共有結合が生じることによって細胞プロセシング中に形成される。2つの単量体融合タンパク質は、典型的には、同一の配列を含むが、必ずしもそうであるとは限らない。シグナルペプチドは、典型的には、プロセシング中にタンパク質のN末端から切断されるので、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質の分泌型または成熟型はシグナルペプチドを含まない。推定変異体CTLA-4-Ig融合はシグナルペプチドを含み、シグナルペプチドのC末端は、典型的には、変異体CTLA-4-Igタンパク質のN末端に共有結合により連結されている。成熟変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質のそれぞれの単量体のN末端は、典型的には、メチオニン(M)を含む。
非限定的な例として、本発明は、2つの単量体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含む、二量体融合タンパク質を提供する。ここで、それぞれの単量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質は、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのC末端がIg FcポリペプチドのN末端と連結しているものを含み、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドは、SEQ ID NO:1-73のいずれかより選択されるポリペプチド配列を含む。このような二量体融合タンパク質の一部において、2つの単量体融合タンパク質は、それぞれのCTLA-4変異体ECDポリペプチド配列にある位置120のシステイン残基間の、細胞プロセシング中に形成したジスルフィド共有結合によって共有結合により連結される。その代わりとして、またはさらに、2つの単量体融合タンパク質は、第1の単量体融合タンパク質のIg Fcポリペプチドにある1つまたは複数のシステイン残基と、第2の単量体融合タンパクのIg Fcポリペプチドにある1つまたは複数のシステイン残基との間で形成したジスルフィド共有結合によって共有結合により連結される。単量体融合タンパク質は、それぞれのIg Fcポリペプチドに存在するシステイン残基間で、細胞プロセシング中に形成した複数のジスルフィド結合(例えば、1個、2個、3個、4個、またはそれ以上のジスルフィド結合)によって連結されてもよい。場合によっては、それぞれの単量体融合タンパク質は、同じIg Fcポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:184または218に示した、ヒトIgG2 Fc)からなってもよく、ジスルフィド共有結合は、それぞれのIg Fcポリペプチドの等価な位置にあるシステイン残基間で、細胞プロセシング中に生じてもよい。
例示的な変異体CTLA-4 ECDポリペプチドは、SEQ ID NO:11のポリペプチド配列を含むD3-12変異体CTLA-4 ECDポリペプチドである。例示的な本発明の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質は、D3-12変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのC末端が、SEQ ID NO:218に示したヒトIgG2 FcポリペプチドのN末端に直接(リンカーなし)、共有結合により連結もしくは融合されて形成した、SEQ ID NO:205に示したD3-12-IgG2融合タンパク質、またはD3-12変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのC末端が、SEQ ID NO:184に示したヒトIgG2 FcポリペプチドのN末端に直接(リンカーなし)、共有結合により連結もしくは融合して形成した、SEQ ID NO:74に示したD3-12-IgG2融合タンパク質である。SEQ ID NO:74の配列は、SEQ ID NO:205の配列と1残基だけ異なる。すなわち、SEQ ID NO:74のC末端には、さらなるリジン残基が存在する。本発明者らは、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)分析などによって、SEQ ID NO:184に示したhIgG2 Fc配列に基づいて予想されるように、変異体CTLA-4 ECD、例えば、SEQ ID NO:11に示したD3-12 ECDポリペプチド配列、およびSEQ ID NO:184に示したhIgG2 Fcポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターをトランスフェクトすることによってCHO細胞内で作られた成熟CTLA-4-Ig融合タンパク質が、典型的には、推定C末端リジン(K)残基を含まないことを実験により発見した。
例えば、SEQ ID NO:153のヌクレオチド配列は、hCTLA-4シグナルペプチドおよびD3-12-IgG2融合タンパク質をコードし、そのC末端に停止コドンTAAを含む。コドンAAAはリジン残基をコードし、SEQ ID NO:153の配列において停止コドンTAAの直前にある。SEQ ID NO:153のヌクレオチド配列を含む発現ベクターをCHO細胞にトランスフェクトすることによって産生された成熟D3-12-IgG2融合タンパク質の推定ポリペプチド配列を、SEQ ID NO:74に示した。シグナルペプチドは、成熟融合タンパク質を形成するためにプロセシング中に切断されているので、D3-12-IgG2融合タンパク質の成熟型には存在しない。しかしながら、本発明者らは、LCMS分析に基づいて、このような場合、成熟D3-12-IgG2は、典型的には、SEQ ID NO:153のヌクレオチド配列に基づいて予想されるように、推定C末端リジン残基を含まないことを発見した。もっと正確に言えば、このような方法によって産生された、結果として生じる成熟D3-12-IgG2ポリペプチド配列は、SEQ ID NO:205に示した配列である。IgG2 FcポリペプチドのC末端リジンは、プロセシング中に、または分泌前に切断されたと考えられる。
別の哺乳動物細胞株を用いて、SEQ ID NO:153のヌクレオチド配列を含むこのようなベクターを、このような哺乳動物細胞(例えば、COS細胞など)にトランスフェクトすることによって、D3-12-IgG2タンパク質を産生しても、類似のプロセシング機構または分泌機構によって、推定C末端リジン残基の無い同様のD3-12-IgG2融合タンパク質が産生されると考えられる。
二量体D3-12-IgG2融合タンパク質は、2つのこのようなD3-12-IgG2単量体が、システイン残基間のジスルフィド共有結合により、細胞プロセシング中に形成した1つまたは複数のジスルフィド結合によって連結されたものを含む。D3-12-IgG2および他の本発明の融合タンパク質は、例えば、実施例3に示した方法を用いて作ることができる。例えば、D3-12ポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:90)をコードする核酸配列を、IgG2 Fc融合ベクターにクローニングすることができ、哺乳動物細胞を、ベクターでトランスフェクトすることができ、結果として得られた融合タンパク質を、実施例3に記載のように、(典型的には、二量体の形で)発現させ、精製し、および評価することができる。
別の例示的な変異体CTLA-4 ECDポリペプチドは、SEQ ID NO:36のポリペプチド配列を含むD3-54変異体CTLA-4 ECDポリペプチドであり、例示的な変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質は、D3-54変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのC末端が、SEQ ID NO:218に示したhIgG2 Fcポリペプチド(C末端リジンなし)のN末端に直接(リンカーなし)共有結合により連結もしくは融合して形成した、SEQ ID NO:211に示したD3-54-IgG2融合タンパク質、またはD3-54変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのC末端が、SEQ ID NO:184に示したhIgG2 Fcポリペプチド(C末端リジンあり)のN末端に直接(リンカーなし)共有結合により連結もしくは融合して形成した、SEQ ID NO:197に示したD3-54-IgG2融合タンパク質である。前記で議論したように、実験分析から、CHO細胞内で作られた成熟D3-54-IgG2融合タンパク質は、典型的には、推定C末端リジン残基を含まないことが分かっている。hIgG2 FcのC末端リジンは、プロセシング中に、または分泌前に切断されて、SEQ ID NO:211に示したD3-54-IgG2融合タンパク質配列が生じると考えられる。さらに、前記のように、D3-29-IgG2は、実施例3の方法を用いて作ることができる。二量体D3-54-IgG2融合タンパク質は、2つのD3-54-IgG2単量体が、システイン残基間のジスルフィド共有結合により、細胞プロセシング中に形成した1つまたは複数のジスルフィド結合によって連結している。SEQ ID NO:201に示した核酸配列は、SEQ ID NO:197および211に示した融合タンパク質をコードする。
本発明の他の融合タンパク質も同様に、hIgG2(SEQ ID NO:218または184)に連結または融合した変異体CTLA-4 ECDポリペプチドを含んでもよい。例示的な本発明の成熟変異体CTLA-4-IgG2融合タンパク質には、例えば、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222のポリペプチド配列が含まれる。SEQ ID NO:74-79、197-200、220、および222のポリペプチド配列はそれぞれ、C末端リジン残基を含む。このC末端リジン残基は、典型的には、プロセシング中に、または分泌前に切断されて、それぞれ、SEQ ID NO:205-210、211-214、219、および221に示した、C末端リジンの無いポリペプチド配列が生じる。
図10は、例示的な本発明の変異体CTLA-4-IgG2融合タンパク質の例示的な配置または構造を示す模式図である。2つの同一の単量体変異体CTLA-4-IgG2融合タンパク質を模式的に示し、それぞれ、成熟変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのC末端が、ヒトIgG2 FcポリペプチドのN末端に共有結合により連結している。それぞれのヒトIgG2ポリペプチドには、ヒトIgG2ヒンジ、CH2ドメイン、およびCH3ドメインが含まれる。ECDとIg Fcポリペプチドとの接合部に存在する例示的なアミノ酸残基も示した。これらの成分間の接合部にあるアミノ酸残基は、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド配列および/またはIgポリペプチド配列に応じて異なってもよい。この二量体変異体CTLA-4-IgG2融合タンパク質は、2つの変異体CTLA-4-IgG2融合タンパク質単量体中の類似する位置にあるシステイン残基間で、少なくとも1つのジスルフィド結合が形成することによって生じる。2つの単量体間のジスルフィド結合の形成に潜在的に関与するシステイン(C)残基には、星印が付いている。それぞれの単量体融合タンパク質のシグナルペプチドは、典型的には、プロセシング中に切断され、従って、分泌型(成熟)融合タンパク質は、典型的には、シグナルペプチド配列を含まない。ヒトIgG2のヒンジ、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含む、ヒトIgG2ポリペプチドのポリペプチド配列を、SEQ ID NO:184に示した。別の局面において、ヒトIgG2のヒンジ、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含む、ヒトIgG2ポリペプチドのポリペプチド配列を、SEQ ID NO:218に示した。この場合、IgG2ポリペプチドは、SEQ ID NO:184の配列と比較して、C末端リジン(K)残基を含まない。
他の場所に詳述されている本発明の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質の特性は、1つまたは複数の参照Ig融合タンパク質、例えば、hCTLA-4-IgG1、hCTLA-4-IgG2、Orencia(登録商標)融合タンパク質、およびLEA29Y-Igの特性と比較することができる。比較することができる特性には、例えば、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合する能力、ならびに/あるいは免疫応答(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカイン産生など)を阻害または抑制する能力が含まれる。成熟hCTLA-4-IgG1融合タンパク質は、典型的には、2つの同一の単量体hCTLA-4-IgG1タンパク質を含むhCTLA-4-IgG1融合タンパク質二量体として溶解状態で存在し、それぞれの単量体hCTLA-4-IgG1融合タンパク質は、hCTLA-4 ECDポリペプチド(SEQ ID NO:159)がIgG1 Fcポリペプチドと連結している。成熟hCTLA-4-IgG2融合タンパク質は、典型的には、2つの同一の単量体hCTLA-4-IgG2タンパク質を含むhCTLA-4-IgG2融合タンパク質二量体として溶解状態で存在し、それぞれの単量体hCTLA-4-IgG2融合タンパク質(SEQ ID NO:162)は、hCTLA-4 ECDポリペプチド(SEQ ID NO:159)がIgG2 Fcポリペプチドと連結している。成熟Orencia(登録商標)融合タンパク質は、2つの同一の単量体Orencia(登録商標)融合タンパク質を含む融合タンパク質二量体であり、それぞれの単量体融合タンパク質(SEQ ID NO:164)は、hCTLA-4 ECDポリペプチド(SEQ ID NO:159)が特定の変異体IgG1ポリペプチド(SEQ ID NO:186)と連結している。成熟LEA29Y-Ig融合タンパク質は、典型的には、2つの同一の単量体LEA29Y-Ig融合タンパク質を含むLEA29Y-Ig融合タンパク質二量体として溶解状態で存在し、それぞれの単量体LEA29Y-Ig融合タンパク質(SEQ ID NO:166)は、特定の変異体CTLA-4 ECDポリペプチド(SEQ ID NO:168)が特定の変異体IgG1ポリペプチド(SEQ ID NO:186)と連結している。Orencia(登録商標)二量体の2つの融合タンパク質単量体は、それぞれのhCTLA-4-変異体IgG1単量体の位置120にあるシステイン残基間で形成した単一のジスルフィド結合による共有結合により連結され、2つの変異体IgG1 Fcポリペプチド間ではジスルフィド結合は形成しないと考えられる。
変異体CTLA-4融合タンパク質の一部は、CD80(例えば、hCD80)および/またはCD86(例えば、hCD86)に結合する。このような変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質の一部は、CD80-Ig融合タンパク質および/またはCD86-Ig融合タンパク質に結合する。例示的なCD80-Ig融合タンパク質には、ヒトCD80 ECDとマウスIg Fcポリペプチドが連結している、hCD80-mIg融合タンパク質(SEQ ID NO:225);およびhCD80 ECDの配列とヒトIgG1 Fcポリペプチドが連結している、hCD80-hIgG1融合タンパク質(SEQ ID NO:171)が含まれる。例示的なCD86-Ig融合タンパク質には、hCD86 ECD(SEQ ID NO:180)がマウスIg Fcポリペプチドに連結している、hCD86-mIg融合タンパク質(SEQ ID NO:226);およびhCD86 ECD(SEQ ID NO:180)の配列がヒトIgG1 Fcポリペプチド(SEQ ID NO:185)に連結している、成熟hCD86-hIgG1融合タンパク質(SEQ ID NO:178)が含まれる。hCD86-mIgおよびhCD80-mIg融合タンパク質をコードする例示的な核酸配列を、それぞれ、SEQ ID NO:227および228に示した。
1つの局面において、本発明は、(a)SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むポリペプチド、および(b)Ig Fcポリペプチド(例えば、hIgG2 Fc)を含み、CD80および/もしくはCD86ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig融合タンパク質に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害または抑制する能力を示す、単離されたまたは組換え型の融合タンパク質を提供する。Ig Fcポリペプチドは、SEQ ID NO:184、185、186、および218の群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含んでもよい。場合によっては、(a)のポリペプチドのC末端は、(b)のIg FcポリペプチドのN末端に共有結合により連結されている。このような変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質の一部は、哺乳動物CD80および/もしくはCD86(例えば、hCD80および/もしくはhCD86)、ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig融合タンパク質に結合する。CD80-Igは、例えば、ヒトCD80 ECDがIg Fcに連結したもの(例えば、hCD80-Ig)を含んでもよい。1つの態様において、hCD80-Igは、ヒトCD80 ECDがヒトIg Fcに連結したもの(hCD80-hIg)である。別の態様において、hCD80-Igは、ヒトCD80 ECDがマウスIg Fcに連結したもの(hCD80-mIg)である。1つの態様において、hCD86-Igは、ヒトCD86 ECDがヒトIg Fcに連結したもの(hCD86-hIg)である。別の態様において、hCD86-Igは、ヒトCD86 ECDがマウスIg Fcに連結したもの(hCD86-mIg)である。このような融合タンパク質の一部は、インビトロおよび/またはインビボのアッセイおよび/または方法において、様々な免疫応答、例えば、T細胞活性化、T細胞増殖、サイトカインの合成もしくは産生(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-2の産生)、活性化マーカー(例えば、CD25、IL-2受容体)もしくは炎症性分子の誘導、炎症、抗コラーゲンAbの産生、および/またはT細胞依存性Ab応答の1つまたは複数を阻害または抑制する能力を有する。このような融合タンパク質は、様々な用途において有益に用いられると予想される。用途には、下記で議論するように、免疫系の疾患および障害(例えば、自己免疫疾患)を処置する方法、ならびに臓器移植、細胞移植、または組織移植片移植を阻害する方法が含まれる。
別の局面において、本発明は、2つの単量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質が、それぞれの単量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質に存在する2つのシステイン残基間で形成した少なくとも1つのジスルフィド結合を介して連結した、単離されたまたは組換え型の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体を提供する。それぞれの変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質単量体は、(a)SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む変異体CTLA-4 ECDポリペプチド、および(b)Ig Fcポリペプチド(例えば、hIgG2 Fc)を含み、融合タンパク質二量体は、CD80および/もしくはCD86ならびに/またはCD80-Igおよび/またはCD86-Igに結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害または抑制する能力を示す。場合によっては、(a)のポリペプチドのC末端は、(b)のIg FcポリペプチドのN末端と共有結合により連結または融合される。Ig Fcポリペプチドは、SEQ ID NO:184-186および218からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含んでもよい。場合によっては、融合タンパク質二量体は、SEQ ID NO:159に示したhCTLA-4 ECDポリペプチド配列を基準として、それぞれの変異体CTLA-4 ECDポリペプチド配列のアミノ酸位置120、またはそれぞれの変異体CTLA-4 ECDポリペプチド配列の位置120に対応するアミノ酸位置にあるシステイン残基間のジスルフィド共有結合によって形成される。このような融合タンパク質二量体の一部は、インビトロおよび/またはインビボのアッセイおよび/または方法において、様々な免疫応答、例えば、T細胞活性化、T細胞増殖、サイトカインの合成または産生(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-2の産生)、活性化マーカー(例えば、CD25、IL-2受容体)もしくは炎症性分子の誘導、炎症、抗コラーゲンAbの産生、および/またはT細胞依存性Ab応答の1つまたは複数を阻害または抑制する能力を有する。このような融合タンパク質二量体は、様々な用途において有益に用いられると予想される。用途には、下記で議論するように、免疫系の疾患および障害(例えば、自己免疫疾患)を処置する方法、ならびに臓器移植、細胞移植、または組織移植片移植を阻害する方法が含まれる。
このような変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質単量体の一部の、hCD86またはhCD86 ECDに対する結合親和性は、hCD86またはhCD86 ECDに対するhCTLA-4 ECDおよびLEA29の結合親和性それぞれに少なくとも等しいか、またはこれより大きい。例えば、実施例4の表5を参照されたい。このような二量体および単量体融合タンパク質の一部に存在する変異体CTLA-4 ECDポリペプチドは、hCTLA-4 ECDのアミノ酸長にほぼ等しいアミノ酸長を有するポリペプチド配列を含む。例えば、このような変異体CTLA-4 ECDポリペプチドの一部は、約110〜138、112〜136、114〜134、116〜132、118〜130、119〜129、120〜128、121〜127、122〜126、または123〜125アミノ酸残基長のポリペプチド配列を含む。このような変異体CTLA-4 ECDポリペプチドの一部は、124アミノ酸残基の配列を含む。例示的な変異体CTLA-4 ECDポリペプチドには、例えば、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86(またはそのいずれかもしくは両方のECD)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する能力を有する変異体CTLA-4 ECDポリペプチドが含まれるが、これに限定されない。
このような変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体の一部の、hCD86および/またはhCD86-Igに対する結合アビディティは、hCD86および/またはhCD86-Igに対する、hCTLA-4-Ig融合タンパク質二量体(例えば、hCTLA-4-IgG2もしくはhCTLA-4-IgG1二量体)、Orencia(登録商標)二量体、および/またはLEA29Y-Ig二量体の結合アビディティそれぞれに少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きい。このような融合タンパク質二量体の一部の、hCD86および/またはhCD86-mIgに対する結合アビディティは、hCD86および/またはhCD86-mIgに対するOrencia(登録商標)二量体の結合アビディティの2〜10倍(2x〜10x)、5〜10倍(5x〜10x)、10〜20倍(10x〜20x)、20〜40倍(20x〜40x)、または40倍超(>40x)である。例えば、以下の表3の例示的な本発明の二量体融合タンパク質を参照されたい。その代わりとして、またはさらに、このような融合タンパク質二量体の一部の、hCD80および/またはhCD80-Igに対する結合アビディティは、hCD80および/またはhCD80-Igに対する、hCTLA-4-Ig二量体(例えば、hCTLA-4-IgG2もしくはhCTLA-4-IgG1二量体)、Orencia(登録商標)二量体、および/またはLEA29Y-Ig二量体の結合アビディティそれぞれに少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きい。このような融合タンパク質二量体の一部の、hCD80および/またはhCD80-mIgに対する結合アビディティは、hCD86および/またはhCD86-mIgに対するOrencia(登録商標)二量体の結合アビディティの0.5〜2倍(0.5x〜2x)、2〜4倍(2x〜4x)、または2倍超(>2x)である。例えば、以下の表4の例示的な本発明の二量体融合タンパク質を参照されたい。
このような変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体の一部が、結合しているhCD86および/またはhCD86-Igから解離する速度は、hCTLA-4-Ig二量体(例えば、hCTLA-4-IgG2もしくはhCTLA-4-IgG1二量体)、Orencia(登録商標)二量体、および/またはLEA29Y-Ig二量体が、結合しているhCD86および/またはhCD86-Igから解離する速度それぞれより遅い。このような融合タンパク質の一部が、hCD86および/もしくはhCD86-Igと会合する速度、またはhCD86および/もしくはhCD86-Igに結合する速度は、hCTLA-4-Ig二量体(例えば、hCTLA-4-IgG2もしくはhCTLA-4-IgG1二量体)、Orencia(登録商標)二量体、および/またはLEA29Y-Ig二量体が、hCD86および/またはhCD86-Igと会合する速度それぞれに少なくとも等しいか、またはこれより速い。このような融合タンパク質二量体の一部について、CD86(またはCD86-Ig)と本発明の融合タンパク質二量体との結合反応の平衡解離定数(KD)は、CD86(またはCD86-Ig)と、hCTLA-4-Ig二量体(例えば、hCTLA-4-IgG2もしくはhCTLA-4-IgG1二量体)、Orencia(登録商標)二量体、および/またはLEA29Y-Ig二量体との結合反応の平衡解離定数(KD)より小さい。例えば、表3の例示的な本発明の融合タンパク質二量体を参照されたい。このような融合タンパク質二量体の一部について、CD80(またはCD80-Ig)と本発明の融合タンパク質二量体との結合反応の平衡解離定数(KD)は、CD80(またはCD80-Ig)と、hCTLA-4-Ig二量体(例えば、hCTLA-4-IgG2もしくはhCTLA-4-IgG1二量体)、Orencia(登録商標)二量体、またはLEA29Y-Ig二量体との結合反応の平衡解離定数(KD)にほぼ等しいか、またはこれより小さい。例えば、表4の例示的な本発明の融合タンパク質二量体を参照されたい。
このような変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体の一部が免疫応答を阻害または抑制する能力(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖を阻害する能力、サイトカイン産生を阻害する能力など)は、hCTLA-4-Ig二量体(例えば、hCTLA-4-IgG2もしくはhCTLA-4-IgG1二量体)、Orencia(登録商標)二量体、および/またはLEA29Y-Ig二量体が免疫応答を阻害または抑制する能力それぞれに少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きい。例えば、このような融合タンパク質二量体の一部は、インビトロアッセイにおいて、T細胞活性化またはT細胞増殖を阻害することができる。例えば、以下に示した実施例4〜9は、代表的な変異体CTLA-4 ECDポリペプチド配列を含む、本発明の代表的な融合タンパク質二量体が、インビトロでT細胞増殖を阻害できることを証明している。このような二量体の一部は、例えば、治療的または予防的に有効な量の少なくとも1つのこのような二量体を、免疫抑制療法を必要とする対象に投与することによって、インビボで対象における免疫応答を阻害または抑制することができる。このような融合タンパク質二量体の一部は、様々な用途において有用と予想される。用途には、例えば、免疫抑制が望ましい免疫系の疾患または障害(例えば、自己免疫疾患)に罹患している対象において免疫応答を阻害または抑制する予防方法および/または治療方法、ならびにレシピエントによるドナーからの組織移植、細胞移植、または臓器移植の拒絶反応を阻害する方法が含まれるが、これに限定されない。
このような二量体の一部は、CD80およびCD86に対する競合結合アビディティが異なるので、CD28を介したシグナル伝達を調節または抑制する能力が変化している。このような二量体は、T細胞応答の特異な操作が望ましい用途において有用である。用途には、免疫系の疾患および障害、例えば、免疫不全の疾患および障害(例えば、RA、MS、乾癬など)を処置する治療方法および予防方法が含まれる。前記の特異なCD80/CD86結合アビディティおよび免疫阻害特性の一部を有する本発明のポリペプチドを含む例示的な二量体融合タンパク質を、実施例4に示した。
このような変異体CTLA-4-Ig二量体の一部が免疫応答を抑制もしくは阻害する能力は、hCTLA-4タンパク質またはhCTLA-4-Ig二量体が1つまたは複数のタイプの免疫応答を抑制または阻害する能力に少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きい。例えば、このような二量体の一部が、インビトロおよび/またはインビボのアッセイおよび/または用途、例えば、前記および下記のアッセイおよび/または用途において、T細胞活性化またはT細胞増殖を阻害する能力は、hCTLA-4タンパク質またはhCTLA-4-Ig二量体(例えば、Orencia(登録商標)、hCTLA-4-IgG2二量体、またはhCTLA-4-IgG1二量体)が、このような用途においてT細胞活性化またはT細胞増殖を阻害する能力に少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きい。さらに、このような二量体の一部が免疫応答(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカイン産生、T細胞依存性抗体応答)を阻害または抑制する能力は、LEA29Y-Ig二量体が免疫応答を阻害または抑制する能力より大きい。例えば、実施例4〜9は、本発明の変異体CTLA-4 ECDポリペプチド配列を含む本発明の代表的な二量体融合タンパク質がインビトロでT細胞増殖を阻害する能力と、二量体hCTLA-4-IgG2、Orencia(登録商標)、およびLEAY29-IgがインビトロでT細胞増殖を阻害する能力を比較している。例えば、以下の表6〜9を参照されたい。このような二量体の一部は、hCD80および/もしくはhCD86(またはhCD80-Igおよび/もしくはhCD86-Ig)に結合する能力、ならびにインビトロおよび/またはインビボのアッセイおよび/または用途において、例えば、前記のおよび下記でさらに詳述されるアッセイおよび/または用途(例えば、治療的または予防的に有効な量の少なくとも1つのこのような二量体が投与されるインビボ方法)において、免疫応答を阻害または抑制する能力を両方とも有する。このような二量体の一部の、hCD80および/もしくはhCD86(またはhCD80-Igおよび/もしくはhCD86-Ig)に対する結合アビディティは、hCD80および/もしくはhCD86(またはhCD80-Igおよび/もしくはhCD86-Ig)に対するhCTLA-4タンパク質、二量体hCTLA-4-Ig(例えば、hCTLA-4-IgG2、Orencia(登録商標))または二量体LEA29Y-Igの結合アビディティそれぞれに少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きく、このような二量体の一部の免疫応答を阻害する能力は、hCTLA-4タンパク質、二量体hCTLA-4-Ig(例えば、hCTLA-4-IgG2、Orencia(登録商標))または二量体LEA29Y-Igが免疫応答を阻害する能力に少なくとも等しいか、またはこれより大きい。このような変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体は、様々な用途において有用と予想される。用途には、例えば、下記でさらに詳細に議論されるように、免疫系の疾患、障害、および状態を処置する予防方法および/または治療方法が含まれる。
別の局面において、本発明は、2つの同一の単量体融合タンパク質(例えば、2つの単量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)を含む、単離されたまたは組換え型の融合タンパク質二量体(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体)を提供する。ここで、このような単量体融合タンパク質はそれぞれ、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%、または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含み、二量体は、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig、例えば、それぞれ、hCD80-mIgおよび/もしくはhCD86-mIg)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する能力を有する。免疫応答には、前記のおよび下記でさらに記載される免疫応答が含まれる。SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222に示したポリペプチド配列はそれぞれ、成熟変異体CTLA-4 ECDのC末端とIgG2 FcポリペプチドのN末端が融合したものであり、このような配列はそれぞれ、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質と呼ばれることがある。SEQ ID NO:74-79、197-200、220、および222それぞれのポリペプチド配列は、SEQ ID NO:74-79、197-200、220、および222がそれぞれC末端にリジンを含む以外は、SEQ ID NO:205-214、219、および221と同一である。
別の局面において、本発明は、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222のいずれかのアミノ酸残基1-351を含むポリペプチド配列と少なくとも90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%、または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86に結合する(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig、例えば、それぞれ、hCD80-mIgおよび/もしくはhCD86-mIg)に結合し、かつ/あるいは、前記のおよびさらに下記に記載される免疫応答を含む、免疫応答を阻害する能力を有する、単離されたまたは組換え型の融合タンパク質単量体を提供する。
別の局面において、本発明は、2つの同一の単量体融合タンパク質を含む、単離されたまたは組換え型の融合タンパク質二量体を提供する。ここで、このような単量体融合タンパク質はそれぞれ、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222のいずれかのアミノ酸残基1-351を含むポリペプチド配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含み、前記の融合タンパク質二量体タンパク質は、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig、例えば、それぞれ、hCD80-mIgおよび/もしくはhCD86-mIg)に結合し、かつ/あるいは、前記のおよびさらに下記に記載される免疫応答を含む、免疫応答を阻害する能力を有する。
SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig、例えば、それぞれ、hCD80-mIgおよび/もしくはhCD86-mIg)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する能力を有する、変異体単量体CTLA-4-Ig融合タンパク質も提供される。このような融合タンパク質単量体および二量体の一部は、インビトロおよび/またはインビボのアッセイおよび/または方法において(例えば、インビボで、免疫抑制療法が利益になる疾患、障害、または状態に罹患している対象、および治療的有効量のこのような二量体融合タンパク質が、下記でさらに詳細に議論するように投与された対象において)、例えば、T細胞活性化もしくは増殖、サイトカインの合成もしくは産生(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-2の産生)、活性化マーカー(例えば、CD25、IL-2受容体)の誘導、炎症、抗コラーゲンAbの産生、および/またはT細胞依存性Ab応答)を含む、1つまたは複数の免疫応答を阻害または抑制する能力を有する。このような融合タンパク質単量体および二量体は、様々な用途において有用と予想される。用途には、下記で議論されるものを含む、免疫系疾患を処置する治療方法および/または予防方法が含まれる。
別の局面において、本発明は、2つの単量体融合タンパク質(例えば、単量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)を含む、単離されたまたは組換え型の融合タンパク質二量体(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体)を提供する。ここで、このような単量体融合タンパク質はそれぞれ、(1)6個以下のアミノ酸残基(例えば、1個以下、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、または6個以下のアミノ酸残基)において、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択されるポリペプチド配列とは異なるポリペプチド配列を含むポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4の細胞外ドメインポリペプチド)であって、位置41、50、54、55、56、64、65、70、または85にあるポリペプチド配列中のアミノ酸残基が、選択された前記ポリペプチド配列(例えば、SEQ ID NO:1-73より選択されるポリペプチド)の対応する位置にあるアミノ酸残基と同一である、ポリペプチド、ならびに(2)Ig Fcポリペプチド(例えば、IgG2 Fc)を含み、融合タンパク質二量体は、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは下記で詳細に議論されるように、インビトロおよび/またはインビボのアッセイおよび/または方法において、免疫応答(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカイン産生、活性化マーカーもしくは炎症性分子の誘導、抗コラーゲンAbの産生、T細胞依存性Ab応答など)を阻害する。本発明はまた、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいはインビトロまたはインビボで免疫応答を誘導する、前記の単離されたまたは組換え型の単量体融合タンパク質を含む。融合タンパク質二量体において、2つの単量体融合タンパク質(例えば、変異体CTLA-4-Ig単量体)は、任意で、それぞれの単量体にあるシステイン残基を介した1つまたは複数のジスルフィド結合によって共有結合により連結され、2つの単量体は典型的には互いに同一である。場合によっては、このような融合タンパク質二量体または単量体における変異体CTLA-4 ECDポリペプチドは、6個以下のアミノ酸残基において、選択されたポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:1-73より選択される)と異なるが、位置41、50、54、55、56、64、65、70、または85を占めるアミノ酸は、選択されたポリペプチド配列中の前記位置に含まれるアミノ酸残基と同一である。すなわち、このような位置にあるアミノ酸残基は欠失も置換もできない。このような融合タンパク質における、このような変異体CTLA-4 ECDポリペプチドの一部は、選択されたポリペプチド配列と6個以下のアミノ酸残基だけ異なり、選択されたポリペプチド配列中の対応する位置にあるアミノ酸残基と同一の、位置24、30、32、41、50、54、55、56、64、65、70、85、104および106のアミノ酸残基を含む、ポリペプチド配列を含む。このような変異体CTLA-4 ECDポリペプチドは、アミノ酸欠失、付加、および/またはアミノ酸置換によって、選択されたポリペプチド配列と異なってもよい。アミノ酸置換は保存的置換でもよく、非保存的置換でもよい。例えば、「配列バリエーション」のセクションを参照されたい。このような二量体融合タンパク質の一部の、hCD86またはhCD86-Igに対する結合アビディティは、hCD86またはhCD86-Igに対する、hCTLA-4、二量体hCTLA-4-Ig、二量体LEA29Y-Ig、またはOrencia(登録商標)タンパク質の結合アビディティそれぞれに少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きいこのような単量体融合タンパク質の一部の、hCD86、hCD86-Ig、またはhCD86 ECDに対する結合親和性またはアビディティは、hCD86、hCD86-Ig、またはhCD86 ECDに対する、単量体hCTLA-4、単量体hCTLA-4-Ig、または単量体LEA29Y-Igの結合親和性またはアビディティそれぞれに少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きい。その代わりとして、またはさらに、このような二量体融合タンパク質の一部の、hCD80またはhCD80-Igに対する結合アビディティは、hCD80に対するhCTLA-4またはhCTLA-4-Igのアビディティそれぞれに少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きい。その代わりとして、またはさらに、このような単量体融合タンパク質の一部の、hCD80、hCD80-Ig、またはhCD80 ECDに対する結合親和性またはアビディティは、hCD80、hCD80-Ig、またはhCD80 ECDに対する、単量体hCTLA-4または単量体hCTLA-4-Igの結合親和性またはアビディティそれぞれに少なくともほぼ等しいか、またはこれより大きい。場合によっては、このような融合タンパク質二量体または単量体における変異体CTLA-4 ECDポリペプチドは、hCTLA-4 ECDのアミノ酸長、例えば、約118〜130、119〜129、120〜128、121〜127、122〜126、123〜125、または124アミノ酸残基長にほぼ等しい長さを有するポリペプチド配列を含む。Ig Fcポリペプチド(例えば、IgG2 Fc、IgG1 Fc、IgG4 Fc、またはエフェクター機能もしくはFc受容体結合を弱める変異体IgG Fc)のN末端は、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのC末端に、直接または間接的に(例えば、1〜10アミノ酸残基を含むリンカーを介して)共有結合により連結または融合されてもよい。Ig Fcポリペプチドは、SEQ ID NO:184-186および218からなる群より選択されるポリペプチド配列、例えば、SEQ ID NO:184、185、186、および218のいずれかと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含んでもよい。
このような変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体および単量体の一部は、例えば、T細胞活性化、T細胞増殖、サイトカインの合成もしくは産生(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-2の産生)、活性化マーカー(例えば、CD25、IL-2受容体)もしくは炎症性分子の誘導、炎症、抗コラーゲンAbの産生、および/またはT細胞依存性Ab応答を含む、様々な免疫応答の1つまたは複数を抑制することができる。このような変異体CTLA-4-Ig二量体の一部が1つまたは複数のこのような免疫応答を阻害する能力は、hCTLA-4、二量体hCTLA-4-Ig、または二量体LEA29Y-Igより大きい。例えば、実施例4〜9は、本発明の変異体CTLA-4 ECDポリペプチドを含む本発明の代表的な二量体融合タンパク質がインビトロでT細胞増殖を阻害する能力と、二量体hCTLA-4-Igまたは二量体LEA29Y-IgがインビトロでT細胞増殖を阻害する能力を比較したデータを提供する。このような変異体CTLA-4-Ig単量体の一部が1つまたは複数のこのような免疫応答を阻害する能力は、単量体hCTLA-4、単量体hCTLA-4-Ig、または単量体LEA29Y-Igより大きい。このような単量体および二量体は、例えば、治療的または予防的に有効な量の少なくとも1つのこのようなポリペプチドを、免疫抑制療法を必要とする対象に投与することによって、インビボで対象における免疫応答を阻害または抑制することができる。このような融合タンパク質は、様々な用途において有益に用いられると予想される。用途には、免疫抑制療法が利益になる疾患、障害、または状態を処置する方法、例えば、自己免疫の疾患および障害を処置する予防方法および/または治療方法、ならびに臓器移植、細胞移植、または組織移植片移植を阻害する方法が含まれる。
別の局面において、本発明は、2つの単量体融合タンパク質(例えば、2つの単量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)を含む、単離されたまたは組換え型のタンパク質二量体(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体)を提供する。ここで、このような単量体融合タンパク質はそれぞれ、(1)(a)6個以下のアミノ酸残基(例えば、1個以下、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、または6個以下のアミノ酸残基)において、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択されるポリペプチド配列と異なり、(b)SEQ ID NO:159のポリペプチド配列を基準として、位置50、54、55、56、64、65、70、または85に対応するアミノ酸位置に少なくとも1個のアミノ酸置換を含むポリペプチド配列を含む変異体CTLA-4の細胞外ドメイン(ECD)ポリペプチド;ならびに(2)Ig Fcポリペプチドを含み、融合タンパク質二量体は、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは下記でさらに詳述されるように、インビトロおよび/またはインビボのアッセイおよび/または方法において、免疫応答(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカイン産生、活性化マーカーの誘導、炎症、抗コラーゲン抗体産生、T細胞依存性抗体応答など)を阻害する。本発明はまた、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいはインビトロまたはインビボで免疫応答を誘導する、前記の単離されたまたは組換え型の単量体融合タンパク質を含む。場合によっては、CD80はhCD80であり、CD86はhCD86である。融合タンパク質二量体において、2つの単量体融合タンパク質(例えば、変異体CTLA-4-Ig単量体)は、任意で、それぞれの単量体にあるシステイン残基を介した1つまたは複数のジスルフィド結合によって共有結合により連結されている。2つの単量体は典型的には互いに同一である。Ig Fcポリペプチド(例えば、IgG2 Fc、IgG1 Fc、IgG4 Fc、またはエフェクター機能もしくはFc受容体結合を弱める変異体IgG Fc)のN末端は、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのC末端に、直接または間接的に(例えば、1〜10アミノ酸残基を含むリンカーを介して)共有結合により連結または融合されてもよい。Ig Fcポリペプチドは、SEQ ID NO:184-186および218からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含んでもよい。
このような融合タンパク質二量体または単量体の一部は、hCTLA-4 ECDのアミノ酸長、例えば、118〜130、119〜129、120〜128、121〜127、122〜126、または123〜125アミノ酸残基長にほぼ等しい長さを有するポリペプチド配列を含む変異体CTLA-4 ECDポリペプチドを含む。このような融合タンパク質二量体または単量体における、このような変異体CTLA-4 ECDポリペプチドの一部は、124アミノ酸残基長であるポリペプチド配列を含む。このような変異体CTLA-4-ECDポリペプチドの一部は、SEQ ID NO:159に示した配列を基準として、位置50、54、55、56、64、65、70、および85からなる群より選択される位置に、2個、3個、4個、5個、または6個のアミノ酸置換を含む。このような変異体CTLA-4 ECDポリペプチドの一部は、SEQ ID NO:159を基準として、位置104および/または30に対応する位置においてアミノ酸置換をさらに含む。このような変異体CTLA-4 ECDポリペプチドの一部は、SEQ ID NO:159を基準として、位置70(任意で、S70F)、位置64(任意で、S64P)、位置50(任意で、A50M)、位置54(任意で、M54K/V、例えば、M54K)、位置65(任意で、I65S)、位置56(任意で、N56D)、位置55(任意で、G55E)、位置85(任意で、M85A)、および/または位置24(任意で、A24E/S、例えば、A24E)に、少なくとも1個のアミノ酸置換を含む。このような変異体CTLA-4 ECDポリペプチドはいずれも、SEQ ID NO:159を基準として、位置104(任意で、L104E/D、例えば、L104E)、位置30(任意で、T30N/D/A、例えば、T30N、T30D、もしくはT30A)、および/または位置32(任意で、V32I)にアミノ酸置換をさらに含んでもよい。このような変異体CTLA-4 ECDポリペプチドの一部は、SEQ ID NO:159を基準として、A50M、M54K、G55E、N56D、S64P、I65S、およびS70Fからなる群より選択されるアミノ酸位置に、少なくとも1個の置換を含む。このような変異体CTLA-4 ECDポリペプチドの一部は、SEQ ID NO:159を基準として、A50M、M54K、G55E、N56D、S64P、I65S、およびS70Fからなる群より選択される、2個、3個、4個、5個、または6個のアミノ酸置換を含む。
このような変異体CTLA-4-Ig二量体の一部の、CD86(例えば、hCD86)または二量体CD86-Ig(例えば、hCD86-Ig)に対する結合アビディティは、CD86または二量体CD86-Igに対する、hCTLA-4タンパク質、二量体hCTLA-4-Ig(例えば、CTLA-4-IgG1もしくはCTLA-4-IgG2)、Orencia(登録商標)タンパク質、または二量体LEA29Y-Igの結合アビディティそれぞれにほぼ等しいか、またはこれより大きい。このような二量体の一部の、CD80(例えば、hCD80)または二量体CD80-Ig(例えば、hCD80-Ig)に対する結合アビディティは、CD80または二量体CD80-Igに対する、hCTLA-4、二量体hCTLA-4-Ig、Orencia(登録商標)タンパク質、および/または二量体LEAY29-Igの結合アビディティそれぞれより大きい。
このような変異体CTLA-4-Ig単量体の一部の、CD86(例えば、hCD86)またはCD86-Ig(例えば、hCD86-Ig)に対する結合親和性またはアビディティは、CD86またはCD86-Igに対する単量体hCTLA-4、単量体hCTLA-4-Ig、または単量体LEA29Y-Igの結合親和性またはアビディティそれぞれにほぼ等しいか、またはこれより大きい。このような単量体の一部の、CD80(例えば、hCD80)またはCD80-Ig(例えば、hCD80-Ig)に対する結合親和性またはアビディティは、CD80または二量体CD80-Igに対する単量体hCTLA-4または単量体hCTLA-4-Ig(例えば、単量体CTLA-4-IgG1またはCTLA-4-IgG2)の結合親和性またはアビディティそれぞれより大きい。
このような変異体CTLA-4-Ig二量体および単量体の一部は、インビトロおよび/またはインビボのアッセイおよび/または方法において(例えば、インビボで、免疫抑制療法が利益となる疾患、障害、または状態に罹患しており、治療的有効量の少なくとも1つのこのような変異体CTLA-4-Ig二量体が投与された対象において)、前記のおよび全体を通して記載される免疫応答(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカイン産生、活性化マーカーの誘導、炎症、抗コラーゲン抗体産生、T細胞依存性抗体応答)を含む、1つまたは複数の免疫応答を抑制または阻害する能力を有する。このような変異体CTLA-4-Ig二量体の一部は、hCTLA-4、二量体hCTLA-4-Ig(例えば、二量体CTLA-4-IgG1もしくはCTLA-4-IgG2)、Orencia(登録商標)タンパク質、および/または二量体LEAY29-Igより大きな程度で、1つまたは複数のこのような免疫応答を阻害する。このような変異体CTLA-4-Ig単量体の一部は、単量体hCTLA-4、単量体hCTLA-4-Ig、および/または単量体LEAY29-Igより大きな程度で、1つまたは複数のこのような免疫応答を阻害する。このような変異体CTLA-4-Ig二量体および単量体は、様々な用途において有益に用いられると予想される。用途には、自己免疫の疾患および障害を処置する方法、ならびに臓器移植、細胞移植、または組織移植片移植を阻害する方法が含まれる。
別の局面において、本発明は、2つの単量体融合タンパク質(例えば、単量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)を含む、単離されたまたは組換え型の融合タンパク質二量体(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体)を提供する。ここで、このような単量体融合タンパク質はそれぞれ、(1)(i)SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される任意のポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有し、(ii)SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される前記ポリペプチド配列の位置70に対応するアミノ酸位置にあるフェニルアラニン残基を含むポリペプチド配列を含むポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4の細胞外ドメイン);ならびに(2)Ig Fcポリペプチド(例えば、IgG2 Fc、IgG1 Fc、IgG4 Fc、またはエフェクター機能もしくはFc受容体結合を弱める変異体IgG Fc)を含み、融合タンパク質二量体は、CD80(例えば、hCD80)および/もしくはCD86(例えば、hCD86)(ならびに/またはCD80-Ig、例えば、hDC80-Ig、および/もしくはCD86-Ig、例えば、hCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいはインビトロまたはインビボで免疫応答を阻害する能力を有する。本発明はまた、CD80(例えば、hCD80)および/もしくはCD86(例えば、hCD86)(ならびに/またはCD80-Ig、例えば、hDC80-Ig、および/もしくはCD86-Ig、例えば、hCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいはインビトロまたはインビボで免疫応答を誘導する、前記の単離されたまたは組換え型の単量体融合タンパク質を含む。場合によっては、Ig Fcポリペプチドは、SEQ ID NO:184-186および218からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。Ig FcポリペプチドのN末端は、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのC末端に、直接または間接的に(例えば、1〜10アミノ酸を含むリンカーを介して)共有結合により連結または融合されてもよい。
このような変異体CTL-4-Ig二量体または単量体の一部において、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドは、選択された前記ポリペプチド配列を基準として、以下:位置24に対応するアミノ酸位置にあるグルタミン酸残基;位置30に対応するアミノ酸位置にあるアスパラギン残基;位置32に対応するアミノ酸位置にあるイソロイシン残基;位置50に対応するアミノ酸位置にあるメチオニン残基;位置54に対応するアミノ酸位置にあるリジン残基;位置55に対応するアミノ酸位置にあるグルタミン酸残基;位置56に対応するアミノ酸位置にあるアスパラギン酸残基;位置64に対応するアミノ酸位置にあるプロリン残基;位置65に対応するアミノ酸位置にあるセリン残基;および位置104に対応するアミノ酸位置にあるグルタミン酸残基の1つまたは複数を含む。例えば、このような変異体CTLA-4-Ig二量体または単量体における、このような変異体CTLA-4 ECDポリペプチドの一部は、(i)SEQ ID NO:24のポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性、および(ii)SEQ ID NO:24のポリペプチド配列の位置70に対応するアミノ酸位置にあるフェニルアラニン残基を含むポリペプチド配列を含み、融合タンパク質二量体は、hCD80および/もしくはhCD86(ならびに/またはhCD80-Igおよび/もしくはhCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいはインビトロおよび/またはインビボのアッセイおよび/または方法において、免疫応答を阻害する。このような変異体CTLA-4-Ig二量体または単量体における、このような変異体CTLA-4 ECDポリペプチドの一部は、SEQ ID NO:24を基準として、以下:位置24のグルタミン酸残基;位置30のアスパラギン残基;位置32のイソロイシン残基;位置50のメチオニン残基;位置54のリジン残基;位置55のグルタミン酸残基;位置56のアスパラギン酸残基;位置64のプロリン残基;位置65のセリン残基;および位置104のグルタミン酸残基の1つまたは複数を含む。
このような変異体CTLA-4-Ig二量体の一部の、CD86(例えば、hCD86)または二量体CD86-Ig(例えば、hCD86-Ig)に対する結合アビディティは、CD86または二量体CD86-Igに対する、hCTLA-4、二量体hCTLA-4-Ig、Orencia(登録商標)タンパク質、または二量体LEA29Y-Igの結合アビディティそれぞれにほぼ等しいか、またはこれより大きい。このような二量体の一部の、CD80(例えば、hCD80)または二量体CD80-Ig(例えば、hCD80-Ig)に対する結合アビディティは、CD80または二量体CD80-Igに対する、hCTLA-4、二量体hCTLA-4-Ig、またはOrencia(登録商標)タンパク質の結合アビディティそれぞれより大きい。
このような変異体CTLA-4-Ig単量体の一部の、CD86(例えば、hCD86)またはCD86-Ig(例えば、hCD86-Ig)に対する結合親和性またはアビディティは、CD86またはCD86-Igに対する、単量体hCTLA-4、単量体hCTLA-4-Ig、および/または単量体LEA29Y-Igの結合親和性またはアビディティそれぞれにほぼ等しいか、またはこれより大きい。このような単量体の一部の、CD80(例えば、hCD80)またはCD80-Ig(例えば、hCD80-Ig)に対する結合親和性またはアビディティは、CD80または二量体CD80-Igに対する単量体hCTLA-4または単量体hCTLA-4-Igの結合親和性またはアビディティそれぞれより大きい。
このような変異体CTLA-4-Ig二量体および単量体の一部は、インビトロおよび/またはインビボのアッセイおよび/または方法において(例えば、インビボで、免疫抑制療法が利益となる免疫系の疾患、障害、または状態に罹患しており、治療的有効量の少なくとも1つのこのような変異体CTLA-4-Ig二量体が投与された対象において)、1つまたは複数の免疫応答(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカイン産生、活性化マーカーの誘導、炎症、抗コラーゲンAbの産生、T細胞依存性Ab応答)を抑制または阻害する能力を有する。このような変異体CTLA-4-Ig二量体の一部は、hCTLA-4、二量体hCTLA-4-Ig(例えば、二量体CTLA-4-IgG1もしくはCTLA-4-IgG2)、Orencia(登録商標)タンパク質、および/または二量体LEAY29-Igより大きな程度で、1つまたは複数のこのような免疫応答を抑制または阻害する能力を有する。このような変異体CTLA-4-Ig単量体の一部は、単量体hCTLA-4、単量体hCTLA-4-Ig、および/または単量体LEAY29-Igより大きな程度で、1つまたは複数のこのような免疫応答を抑制または阻害する能力を有する。このような変異体CTLA-4-Ig二量体および単量体は、免疫抑制処置が利益となる疾患または障害を処置するための様々な治療方法および/または予防方法において有益に用いられると予想される。治療方法および/または予防方法には、例えば、自己免疫疾患を処置する方法、ならびに臓器移植、細胞移植、または組織移植片移植の拒絶反応を阻害する方法が含まれる。
さらに別の局面において、本発明は、2つの単量体融合タンパク質(例えば、単量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)を含む、単離されたまたは組換え型の融合タンパク質二量体(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体)を提供する。ここで、このような単量体融合タンパク質はそれぞれ、(1)(a)6個以下のアミノ酸残基において、SEQ ID NO:159に示したヒトCTLA-4の細胞外ドメインポリペプチドのポリペプチド配列と異なり、(b)S70Fを含む、少なくとも1個のアミノ酸置換を含むポリペプチド配列を含むポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4の細胞外ドメイン);および(2)IgG Fcポリペプチド(例えば、IgG2 Fc、IgG1 Fc、IgG4 Fc、またはエフェクター機能もしくはFc受容体結合を弱める変異体IgG Fc)を含み、アミノ酸残基位置の番号はSEQ ID NO:159に従って付けられ、前記二量体は、hCD80および/もしくはhCD86(ならびに/またはhCD86-Igおよび/もしくはhCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは下記で詳細に議論されるように、インビトロおよび/またはインビボのアッセイおよび/または方法において、免疫応答(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカイン産生、活性化マーカーの誘導、炎症、抗コラーゲン抗体産生、T細胞依存性抗体応答など)を阻害する。本発明はまた、CD80(例えば、hCD80)および/もしくはCD86(例えば、hCD86)(ならびに/またはCD80-Ig、例えば、hDC80-Ig、および/もしくはCD86-Ig、例えば、hCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいはインビトロまたはインビボで免疫応答を誘導する、前記の単離されたまたは組換え型の単量体融合タンパク質を含む。Ig Fcポリペプチドは、SEQ ID NO:184-186および218からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する配列を含んでもよい。Ig FcポリペプチドのN末端は、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのC末端に、直接または間接的に(例えば、1〜10アミノ酸を含むリンカーを介して)共有結合により連結または融合されてもよい。このような変異体CTLA-4-Ig二量体または単量体の一部において、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドは、A24E、T30N、V32I、D41G、A50M、M54K、G55E、N56D、S64P、I65S、M85A、L104E、およびI106Fからなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換をさらに含む。このような変異体CTLA-4-Ig二量体または単量体の一部において、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドは、置換L104E、ならびに/または置換:T30N、V32I、A50M、M54K、G55E、N56D、S64P、およびI65Sの群より選択される2個、3個、もしくは4個のさらなる置換をさらに含む。
このような二量体の一部の、CD86(例えば、hCD86)または二量体CD86-Ig(例えば、hCD86-Ig)に対する結合アビディティは、CD86または二量体CD86-Igに対する、hCTLA-4、二量体hCTLA-4-Ig、および/またはOrencia(登録商標)タンパク質の結合アビディティそれぞれにほぼ等しいか、またはこれより大きい。このような二量体の一部の、CD80(例えば、hCD80)または二量体CD80-Ig(例えば、hCD80-Ig)に対する結合アビディティは、CD80または二量体CD80-Igに対する、hCTLA-4、二量体hCTLA-4-Ig、および/またはOrencia(登録商標)の結合アビディティそれぞれより大きい。このような単量体の一部の、CD86(例えば、hCD86)またはCD86-Ig(例えば、hCD86-Ig)に対する結合親和性またはアビディティは、CD86またはCD86-Igに対する、単量体hCTLA-4、単量体hCTLA-4-Ig、または単量体LEA29Y-Igの結合親和性またはアビディティそれぞれにほぼ等しいか、またはこれより大きい。このような単量体の一部の、CD80(例えば、hCD80)またはCD80-Ig(例えば、hCD80-Ig)に対する結合親和性またはアビディティは、CD80または二量体CD80-Igに対する、単量体hCTLA-4または単量体hCTLA-4-Igの結合親和性またはアビディティそれぞれより大きい。
このような変異体CTLA-4-Ig二量体および単量体の一部は、インビトロおよび/またはインビボのアッセイおよび/または方法において(例えば、インビボで、免疫抑制の療法が利益となる疾患、障害、または状態に罹患を罹患し、かつ治療的有効量の少なくとも1つのこのような変異体CTLA-4-Ig二量体が投与された対象において)、1つまたは複数の免疫応答(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカイン産生、活性化マーカーの誘導、炎症、抗コラーゲン抗体産生、T細胞依存性抗体応答)を抑制または阻害する能力を有する。このような二量体の一部は、hCTLA-4、二量体hCTLA-4-Ig(例えば、二量体CTLA-4-IgG1もしくはCTLA-4-IgG2)、Orencia(登録商標)タンパク質、および/または二量体LEAY29-Igより大きな程度で、1つまたは複数のこのような免疫応答を抑制または阻害する能力を有する。このような単量体の一部は、単量体hCTLA-4、単量体hCTLA-4-Ig、および/または単量体LEAY29-Igより大きな程度で、1つまたは複数のこのような免疫応答を抑制または阻害する能力を有する。このような変異体CTLA-4-Ig二量体および単量体は、免疫抑制処置が利益となる疾患または障害を処置するための様々な治療方法および/または予防方法において有益に用いられると予想される。用途には、例えば、自己免疫の疾患および障害を処置する方法ならびに臓器移植または組織移植片移植を阻害する方法が含まれる。
別の局面において、本発明は、2つの単量体融合タンパク質(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)を含む、単離されたまたは組換え型の融合タンパク質二量体(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体)を提供する。ここで、このような単量体融合タンパク質はそれぞれ、(1)(a)6個以下のアミノ酸残基において、SEQ ID NO:31のポリペプチド配列と異なり、(b)以下:SEQ ID NO:31の位置50に対応する位置にあるメチオニン残基、SEQ ID NO:31の位置54に対応する位置にあるリジン残基、SEQ ID NO:31の位置55に対応する位置にあるグルタミン酸残基、SEQ ID NO:31の位置64に対応する位置にあるプロリン残基、SEQ ID NO:31の位置65に対応する位置にあるセリン残基、SEQ ID NO:31の位置70に対応する位置にあるフェニルアラニン残基の少なくとも1つを含む、ポリペプチド配列を含むポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4の細胞外ドメイン);ならびに(2)Ig Fcポリペプチドを含み、アミノ酸残基位置の番号は、SEQ ID NO:31に従って付けられ、前記二量体は、hCD80および/もしくはhCD86(ならびに/またはhCD86-Igならびに/あるいはhCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する。本発明はまた、CD80(例えば、hCD80)および/もしくはCD86(例えば、hCD86)(ならびに/またはCD80-Ig、例えば、hDC80-Ig、ならびに/またはCD86-Ig、例えば、hCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいはインビトロまたはインビボで免疫応答を誘導する、前記の単離されたまたは組換え型の単量体融合タンパク質も含む。Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fc、IgG1 Fc、IgG4 Fc、またはエフェクター機能もしくはFc受容体結合を弱める変異体IgG Fcを含んでもよい。Ig Fcポリペプチドは、SEQ ID NO:184-186および218からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する配列を含んでもよい。Ig FcポリペプチドのN末端は、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのC末端に、直接または間接的に(例えば、1〜10アミノ酸を含むリンカーを介して)共有結合により連結または融合されてもよい。このような二量体または単量体の一部において、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドは、SEQ ID NO:31の位置104に対応する位置にあるグルタミン酸残基、位置30に対応する位置にあるアスパラギン酸残基、および/または位置32に対応する位置にあるイソロイシン残基を含む。
このような二量体の一部の、CD86(例えば、hCD86)または二量体CD86-Ig(例えば、hCD86-Ig)に対する結合アビディティは、CD86または二量体CD86-Igに対する、hCTLA-4タンパク質、二量体hCTLA-4-Ig、Orencia(登録商標)タンパク質、および/または二量体LEAY29-Igの結合アビディティそれぞれにほぼ等しいか、またはこれより大きい。このような二量体の一部の、CD80(例えば、hCD80)または二量体CD80-Ig(例えば、hCD80-Ig)に対する結合アビディティは、CD80または二量体CD80-Igに対するhCTLA-4、二量体hCTLA-4-Ig、および/またはOrencia(登録商標)タンパク質の結合アビディティそれぞれより大きい。このような単量体の一部の、CD86(例えば、hCD86)またはCD86-Ig(例えば、hCD86-Ig)に対する結合親和性またはアビディティは、CD86またはCD86-Igに対する単量体hCTLA-4、単量体hCTLA-4-Ig、または単量体LEA29Y-Igの結合親和性またはアビディティそれぞれにほぼ等しいか、またはこれより大きい。このような単量体の一部の、CD80(例えば、hCD80)またはCD80-Ig(例えば、hCD80-Ig)に対する結合親和性またはアビディティは、CD80または二量体CD80-Igに対する単量体hCTLA-4または単量体hCTLA-4-Igの結合親和性またはアビディティそれぞれより大きい。
このような変異体CTLA-4-Ig二量体および単量体の一部は、下記で詳細に議論されるように、インビトロおよび/またはインビボで1つまたは複数の免疫応答(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカイン産生、活性化マーカーの誘導、炎症、抗コラーゲン抗体産生、T細胞依存性抗体応答)を抑制または阻害する能力を有する。このような二量体の一部は、hCTLA-4、二量体hCTLA-4-Ig、Orencia(登録商標)タンパク質、および/または二量体LEAY29-Igより大きな程度で、1つまたは複数のこのような免疫応答を抑制する能力を有する。このような単量体の一部は、単量体hCTLA-4または単量体hCTLA-4-Igより大きな程度で、1つまたは複数のこのような免疫応答を抑制または阻害する能力を有する。このような変異体CTLA-4-Ig二量体および単量体は、免疫抑制処置が利益となる免疫系の疾患または障害(例えば、自己免疫の疾患および障害)を処置するための様々な治療方法および/または予防方法、ならびに臓器移植または組織移植片移植を阻害する方法において有益に用いられると予想される。
前記のこのような二量体もしくは単量体の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体または単量体はいずれも、宿主細胞からの融合タンパク質の分泌を促進するペプチドをさらに含んでもよい。ペプチドは任意でシグナルペプチドである。シグナルペプチドのC末端は、典型的には、融合タンパク質のN末端に共有結合により連結されている。シグナルペプチドは、SEQ ID NO:182またはSEQ ID NO:216のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。シグナルペプチドは、SEQ ID NO:160のアミノ酸残基1-35、1-36、または1-37を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。さらに、下記で議論するように、前記のこのような単量体または二量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質はいずれも、グリコシル化またはペグ化されたアミノ酸残基の1つまたは複数を含んでもよい。
本発明はまた、124アミノ酸残基を含む変異体CTLA-4 ECDポリペプチドおよび228アミノ酸残基を含むヒトIgG2 Fcポリペプチドからなる、352アミノ酸長の成熟/分泌型変異体CTLA-4-IgG2融合タンパク質を提供する。例示的な変異体CTLA-4 ECDポリペプチドには、SEQ ID NO:1-73のいずれかによって特定される配列を含むポリペプチドが含まれる。例示的な変異体CTLA-4-IgG2融合タンパク質には、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222のいずれかによって特定されるポリペプチド配列を含む融合タンパク質が含まれる。所望であれば、成熟変異体CTLA-4-IgG2融合タンパク質のアミノ酸の番号は、変異体CTLA-4-IgG2の1番目のアミノ酸残基(すなわち、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドの1番目の残基)から付けることができる。ある局面では、変異体CTLA-4-IgG2融合タンパク質(または変異体CTLA-4 ECD)の1番目の残基はメチオニンであり、従って、変異体CTLA-4-IgG2融合タンパク質(または変異体CTLA-4 ECD)のアミノ酸の番号は、(アミノ酸残基1と指定された)メチオニンから始まる。
本発明はまた、前記の2つまたはそれ以上の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含む、単離されたまたは組換え型の多量体融合タンパク質を含む。場合によっては、多量体は、2つの変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含む融合タンパク質二量体であり、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質は、同一の融合タンパク質(すなわち、ホモ二量体)でもよく、異なる融合タンパク質(すなわち、ヘテロ二量体)でもよい。場合によっては、多量体は、本発明の4つの変異体CTLA-4-ECDポリペプチドを含む四量体融合タンパク質である。四量体は、4つの同一の変異体CTLA-4 ECDポリペプチドを含んでもよく(すなわち、ホモ四量体)、4つ全ての変異体CTLA-4 ECDポリペプチドが同一にならないように、本発明の4つの変異体CTLA-4 ECDポリペプチドの任意の組み合わせを含んでもよい(すなわち、ヘテロ四量体)。このような多量体の一部は、CD80および/CD86(ならびに/またはhCD80-Igおよび/もしくはhCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を抑制または阻害する。
本発明は、前記の任意のポリペプチド、融合タンパク質、および多量体の可溶型を含む。下記の本発明のコンジュゲートの可溶型も含まれる。本発明の可溶性分子、例えば、本発明の可溶性のポリペプチド、二量体融合タンパク質、単量体融合タンパク質、多量体、およびコンジュゲートは、細胞に連結も接合も結合もされない。このような可溶性分子の一部は溶解状態でもよく、例えば、体液中に(例えば、対象の体内で)循環することができる。シグナルペプチドは、典型的には、このような分子の分泌を促進するのに用いられることがあるが、宿主細胞からの分子の分泌中に切断される。従って、多くの場合、可溶性分子、例えば、可溶性のポリペプチド、二量体融合タンパク質、単量体融合タンパク質、または多量体は、シグナルペプチドを含まない。前記で議論したように、本発明の変異体CTLA-4の細胞外ドメインポリペプチドはIg分子に連結されてもよく、Ig分子は、例えば、Igポリペプチドの一部、例えば、可溶性融合タンパク質をもたらすIg Fcポリペプチドを含む。従って、1つの局面において、本発明は、本明細書に記載の本発明の任意の変異体CTLA-4 ECDポリペプチドが、Igポリペプチドの少なくとも一部、例えば、野生型Ig Fc(例えば、ヒトIgG2 Fc)または変異体Ig Fcポリペプチドに融合または連結している、可溶性変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含む。このような可溶性変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質は単量体または二量体融合タンパク質でもよく、前記および以下の実施例を含む他の場所で詳述された変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質単量体および二量体を含む。前記および本明細書の他の場所で詳述されるように、このような可溶性単量体および二量体融合タンパク質の一部は、CD80および/もしくはCD86に結合する能力、ならびに/またはインビトロおよび/もしくはインビボ用途において免疫応答(例えば、T細胞活性化もしくは増殖)を抑制もしくは阻害する能力を有してもよい。
このような本発明の可溶性分子は、様々な用途において得に有益であると予想される。用途には、例えば、免疫系の疾患および障害(例えば、自己免疫疾患)を処置する治療方法および予防方法、ならびに細胞移植、臓器移植、または組織移植片移植を阻害する予防方法および治療方法が含まれる。本発明の可溶性分子、例えば、本発明の可溶性組換え変異体CTLA-4 ECDポリペプチド、単量体および二量体の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質、変異体CTLA-4 ECDコンジュゲート、変異体CTLA-4-Igコンジュゲート、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは変異体CTLA-4-Igを含む多量体、変異体CTLA-4コンジュゲートまたは変異体CTLA-4-Igコンジュゲートを含む多量体は、治療または予防に有効な量で対象に投与されると、CD80および/またはCD86に結合し、内因性CD80および/またはCD86と内因性CD28との相互作用を阻害し、それによって、対象において、対象の健康な体組織、臓器、および/または細胞に対する免疫系応答または免疫系攻撃が抑制される。対象が、ドナーからの健康な体組織、臓器、および/または細胞のレシピエントである場合(例えば、対象レシピエントに、ドナーの組織移植片または細胞または臓器が移植されている場合)、このような可溶性分子は、内因性CD80および/またはCD86と内因性CD28との相互作用を阻害し、ドナーから対象に提供された健康な体組織、臓器、または細胞への、対象の免疫系による有害な応答または攻撃が阻害される。健康な体組織への免疫系の応答または攻撃を抑制することによって、対象における健康な組織、臓器、または細胞への、このような免疫系の応答または攻撃に関連する副作用(例えば、疼痛、関節炎症など)を減らすことができ、このような応答または攻撃に起因する損傷を遅らせる、または阻止することができる。
例えば、本発明の変異体CTLA-4 ECDポリペプチド、二量体および単量体の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質、ならびに多量体を含む、前記の本発明のポリペプチドの結合親和性およびアビディティを測定する方法は当業者に公知であり、例えば、Biacore(商標)技術(GE Healthcare)、等温滴定マイクロカロリメトリー (MicroCal LLC, Northampton, MA)、ELISA、結合親和性ファージディスプレイ法、およびFACS法を含むが、これに限定されない。Biacore法は、以下の実施例4に詳述されている。FACSまたは他の選別法は、前記および本明細書の他の場所にさらに詳述されている。ファージELISAによって、hCD80および/またはhCD86に対する本発明のポリペプチドの結合アビディティを測定する方法は、以下の実施例2に記載されている。
本発明の分子(例えば、本発明の変異体CTLA-4 ECDポリペプチド、二量体および単量体の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質、ならびに多量体を含む)によって誘導されるT細胞応答を検出および測定する方法は、当業者に周知である。T細胞活性化は、一般的に、例えば、T細胞関連サイトカイン合成(例えば、IFN-γの産生)および活性化マーカー(例えば、CD25、IL-2受容体)の誘導を含む生理学的事象によって特徴付けられる。CD4+T細胞は、免疫原性ペプチドをMHCクラスII分子の状況において認識するが、CD8+T細胞は、免疫原性ペプチドをMHCクラスI分子の状況において認識する。前記の本発明の分子がT細胞活性化および/もしくはT細胞増殖を阻害もしくは抑制する、またはCD86および/またはCD80を介したシグナル伝達をブロックする能力を評価および測定する例示的な方法は、実施例5〜8および本明細書の他の場所に記載されている。
前記で議論されたものを含む、本発明のポリペプチド、単量体および二量体の融合タンパク質、ならびに多量体は、任意で、さらなるアミノ酸、例えば、N末端に付加されるメチオニンおよび/または精製用もしくは同定用のペプチドタグをさらに含む。前記で議論されたものを含む、本発明のポリペプチドは、任意で、ポリペプチド精製用部分配列をさらに含む。例えば、部分配列は、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジン配列、およびGST融合より選択される。
さらに、以下でさらに詳細に議論するように、本発明は、前記のおよび下記でさらに詳述される本発明の全てのポリペプチド、融合タンパク質、および多量体をコードする単離された、組換えの、または合成の核酸を含む。
配列同一性
前記で議論したように、1つの局面において、本発明は、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、CD80もしくはCD86またはいずれかの細胞外ドメインに結合する、および/あるいは免疫応答を抑制または阻害する能力を有する、単離されたまたは組換え型のポリペプチドを含む。別の局面において、以下で詳述するように、本発明は、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86ならびに/またはそのECDに結合する能力を有し、かつ/あるいは免疫応答を抑制する能力を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。
配列(ポリペプチドまたは核酸)が別の配列と類似する程度は、その2つの配列の構造特性および機能特性が類似することを示す。従って、本発明の状況において、任意の所定の例となる配列に対して類似する配列を有する配列は、本発明の特徴である。特に、以下に定義するようなパーセント配列同一性を有する配列は、本発明の特徴である。手作業によるアラインメントならびにコンピュータ支援の配列アラインメントおよび分析を含めて、配列関係を決定する様々な方法を使用することができる。配列アラインメントを実施するための様々なコンピュータプログラムが利用可能であり、または当業者が作成することができる。
前記のように、本発明で使用する核酸およびポリペプチドの配列は同一である必要はないが、本発明の核酸または本発明のポリペプチドの対応する配列それぞれに対して実質的に同一であってもよい。例えば、本発明のポリペプチドは、様々な変化、例えば、1つまたは複数のアミノ酸挿入、欠失、および/または保存的置換もしくは非保存的置換いずれかの置換を受けてもよく、例えば、このような変化が、これらの使用、例えば、治療的使用もしくは予防的使用において、または投与もしくは診断用途において特定の利点をもたらす可能性がある場合を含む。本発明の核酸はまた、様々な変化、例えば、特定のコドンが同じまたは異なるアミノ酸をコードすることにより、サイレントなバリエーション(例えば、コードされるアミノ酸が核酸変異によって変わらない時には、ヌクレオチド配列が変異してもアミノ酸配列はサイレントに変異する)またはサイレントでないバリエーションを生じるような、1つまたは複数のコドンにおける1つまたは複数の核酸の1個または複数の置換、配列中の1つまたは複数の核酸(またはコドン)の1つまたは複数の欠失、配列中の1つまたは複数の核酸(またはコドン)の1つまたは複数の付加または挿入、配列中の1つまたは複数の核酸(またはコドン)の切断または1つもしくは複数の切り詰めを受けてもよい。核酸はまた、発現系(例えば、細菌または哺乳動物)において最適な発現をもたらす1つまたは複数のコドンを含むように改変することができ、一方で、所望であれば、この1つまたは複数のコドンは依然として同じアミノ酸をコードする。このような核酸変化は、治療的使用もしくは予防的使用において、または投与もしくは診断用途において特定の利点をもたらす可能性がある。核酸およびポリペプチドは、本発明のそれぞれの核酸またはポリペプチドの配列と(下記で定義するように)実質的に同一の配列を含む限り、多くのやり方で改変することができる。
2つまたはそれ以上の核酸配列またはポリペプチド配列の状況において、「同一の」または「同一性」という用語は、下記の配列比較アルゴリズムを使用して、または目視検査によって決定される、最大に類似するように比較およびアラインメントを行った場合に、同一の2つもしくはそれ以上の配列、または特定のパーセントの同じアミノ酸残基もしくはヌクレオチドを有する2つまたはそれ以上の配列を指す。参照(すなわち、クエリー)配列に対する対象配列の「パーセント配列同一性」(「%同一性」)とは、その対象配列が、比較長にわたってクエリー配列と特定のパーセントだけ(ポリペプチド配列の場合はアミノ酸ごとに、またはポリヌクレオチド配列の場合はヌクレオチドごとに)同一であることを意味する。
クエリー配列に対する対象配列のパーセント配列同一性(「%配列同一性」または「%同一性」)は、以下のように計算することができる。まず、2つの配列の最適アラインメントを、配列比較アルゴリズムと特定のアラインメントパラメータを使用して決定する。この最適アラインメントの決定は、下記のように、コンピュータを使用して行ってもよく、手作業で計算してもよい。次いで、2つの最適にアラインメントされた配列を比較長にわたって比較し、同一の残基が両方の配列に存在する最適アラインメントにおける位置の数を求め、マッチした位置の数を得る。次いで、マッチした位置の数を、比較長(特に定めのない限り、クエリー配列の長さである)の位置の数の総数で割り、次いで、その結果に100を掛けることにより、クエリー配列に対する対象配列のパーセント配列同一性を得る。
ポリペプチド配列に関して、典型的には、1つの配列が、「クエリー配列」(例えば、本発明のポリペプチド配列)と見なされ、これに対して1つまたは複数の他の配列、すなわち、「対象配列」(例えば、配列データベースに存在する配列)が比較される。配列比較アルゴリズムは、指定のアラインメントパラメータを使用して、クエリー配列と対象配列との間の最適アラインメントを決定する。配列データベース、例えば、GENBANK(登録商標)データベース(Genetic Sequence Data Bank; U.S. Department of Health and Human Services)またはGENESEQ(登録商標)データベース(Thomson Derwent;STNにおけるDGENE(登録商標)データベースとしても利用可能)に対してクエリー配列を比較する場合、通常、クエリー配列およびアラインメントパラメータのみをコンピュータに入力する。特定の数までの対象配列について、クエリー配列とそれぞれの対象配列との最適アラインメントが返される。
1.最適アラインメントの決定
2つのポリペプチド配列は、規定されたパラメータ、すなわち、規定されたアミノ酸置換行列、ギャップ存在ペナルティ(ギャップオープンペナルティとも呼ばれる)、およびギャップ延長ペナルティを用いて、その配列対について可能性のある最も高い類似性スコアとなるようにアラインメントされた時に、「最適にアラインメントされる」。BLOSUM62行列(Henikoff and Henikoff (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89(22):10915-10919)は、多くの場合、ポリペプチド配列アラインメントアルゴリズム(例えば、下記のBLASTP)においてデフォルトスコアリング置換行列として用いられる。アラインメントされた配列の1つに1個のアミノ酸ギャップが導入された場合、ギャップ存在ペナルティが課せられ、ギャップにあるそれぞれの残基位置についてギャップ延長ペナルティが課せられる。特に定めのない限り、本明細書において用いられるアラインメントパラメータは、BLOSUM62スコアリング行列、ギャップ存在ペナルティ=11、およびギャップ延長ペナルティ=1である。アラインメントスコアは、アラインメントが開始および終了する各配列のアミノ酸位置(例えば、アラインメントウインドウ)によって、任意で、可能性のある最も高い類似性スコアになるように、一方または両方の配列に1個のギャップまたは複数のギャップを挿入することによって規定される。
2つまたはそれ以上の配列間の最適アラインメントは、(下記のように)手作業で決定することができるが、このプロセスは、Altschul et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載され、様々な情報源、例えば、National Center for Biotechnology Information (NCBI)ウェブサイトを通じて公的に利用可能となっている、コンピュータにより実行されるアラインメントアルゴリズム、例えば、BLAST(登録商標)(National Library of Medicine)、例えば、ポリペプチド配列についてはBLASTP、および核酸配列についてはBLASTNを用いて容易になる。コンピュータ化したBLASTインタフェースを用いる場合、「低複雑性フィルター」の使用が選択可能である場合には、オフ(すなわち、フィルターなし)に選択すべきである。
2つの配列間の最適アラインメントはまた、前記で特定した同一のアラインメントパラメータ(行列=BLOSUM62、ギャップオープンペナルティ=11、およびギャップ延長ペナルティ=1)を用いて、BLASTPアルゴリズムを手作業で(すなわち、コンピュータを用いずに)計算することによって決定することもできる。まず、2つの配列を目視検査によってアラインメントする。次いで、初期アラインメントスコアを以下の通り計算する。アラインメントの各位置(すなわち、アラインメントした各残基対)について、BLOSUM62行列(図13)に従って数値を割り当てる。アラインメントにおける残基の各対に割り当てられた値の合計が、アラインメントスコアである。アラインメントされた2つの配列が非常に類似している場合、多くの場合、この初期アラインメントにより、可能性のある最高のアラインメントスコアが得られる。可能性のある最高のアラインメントスコアを有するアラインメントは、使用されたアラインメントパラメータに基づく最適アラインメントである。
2つの配列の手作業によるアラインメントスコア計算の例を図14A〜14Dに示した。図14Aは、本明細書においてヒトCTLA-4 ECD配列(SEQ ID NO:159)の残基39-53と同定された「クエリー」配列と、本明細書においてD3(SEQ ID NO:61)の残基40-54と同定された「対象」配列との恣意的なアラインメント(アラインメント14A)のアラインメントスコアの計算である。アラインメントされた各アミノ酸対のBLOSUM62行列によって割り当てられた数値を、アラインメントの各位置の下に示した。
図14Bは、同じ2つの配列の最適アラインメントのアラインメントスコアを示す。視覚化を助けるために、アラインメントにおける同一のアミノ酸対をそれぞれ太字で示した。以下の図14Bのアラインメント(アラインメント14B)から、これらの2つの配列の可能性のある最高のアラインメントスコアが得られる(アラインメントされた各位置の下に値の合計を示した)。ギャップのあるまたはギャップの無い、これらの2つの配列の他のアラインメントからは、これより低いアラインメントスコアが得られるだろう。
場合によっては、アラインメントに1つまたは複数のギャップを導入することにより、さらに高いアラインメントスコアが得られることがある。ギャップがアラインメントに導入する時は常に、ギャップオープンペナルティが割り当てられ、そのギャップ内の各残基の位置についてギャップ延長ペナルティがさらに割り当てられる。従って、前記のアラインメントパラメータ(ギャップオープンペナルティ=11およびギャップ延長ペナルティ=1を含む)を用いて、アラインメント中の1残基のギャップは、ギャップに割り当てられた-(11+(1x1))=-12の値に相当し、2残基のギャップはギャップに割り当てられた-(11+(2x1))=-13の値に相当し、以下同様である。この計算は、アラインメントに導入された新たな各ギャップについて繰り返される。
以下は、ギャップペナルティにもかかわらず、アラインメントにギャップを導入することによって、どのように、さらに高いアラインメントスコアを得ることができるかを証明する例である。図14Cは、本明細書においてヒトCTLA-4 ECD配列(SEQ ID NO:159)の残基39-53と同定された「クエリー」配列と、本明細書においてD3(SEQ ID NO:61)の残基41-55と同定された「対象」配列とのアラインメント(アラインメント14C)を示すが、この場合、アミノ酸49-50は欠失している。アラインメント14Cは、ギャップが全く導入されていない可能性のある最良のアラインメントであり、34のアラインメントスコアが得られる。
図14Dのアラインメント(アラインメント14D)は、下の配列への2残基ギャップの導入がアラインメントスコアに影響を及ぼしたことを示している。全ギャップペナルティ13(ギャップオープンペナルティ11、および2回のギャップ延長ペナルティ1)にもかかわらず、2つの配列の全アラインメントスコアは43まで増える。以下のアラインメントDは、可能性のある最高のアラインメントスコアをもたらし、従って、これらの2つの配列の最適アラインメントである。(ギャップのあるまたはギャップの無い)これらの2つの配列の他のアラインメントからは、これより低いアラインメントスコアが得られるだろう。
比較的短い配列を用いた前記の配列アラインメント計算の例は、例示ためだけに提供されることが理解されるはずである。実際には、使用されるアラインメントパラメータ(BLOSUM62行列、ギャップオープンペナルティ=11、およびギャップ延長ペナルティ=1)は、一般的に、85アミノ酸長またはそれ以上のポリペプチド配列を対象としている。NCBIウェブサイトは、前記の同じ手順を用いたコンピュータ支援によるアラインメント計算ならびに手作業のアラインメント計算に適した他の長さの配列について、以下のアラインメントパラメータを提供している。50〜85アミノ酸長の配列の場合、最適パラメータは、BLOSUM80行列(Henikoff and Henikoff,前記)、ギャップオープンペナルティ=10、およびギャップ延長ペナルティ=1である。35〜50アミノ酸長の配列の場合、最適パラメータは、PAM70行列(Dayhoff, M.O., Schwartz, R.M. & Orcutt, B.C. (1978) 「A model of evolutionary change in proteins」 in Atlas of Protein Sequence and Structure, vol. 5, suppl. 3, M.O. Dayhoff (ed.), pp. 345-352, Natl. Biomed. Res. Found., Washington,DC.)、ギャップオープンペナルティ=10、およびギャップ延長ペナルティ=1である。35アミノ酸長未満の配列の場合、最適パラメータは、PAM30行列(Dayhoff, M.O.,前記)、ギャップオープンペナルティ=9、およびギャップ延長ペナルティ=1である。
2.パーセント同一性の計算
配列が最適にアラインメントされたら、同一の残基対を含む最適アラインメント内の位置の数を数え、その数を比較長(比較ウィンドウとも呼ばれる)内の残基数で割り、結果として生じた数に100を掛けることによって、クエリー配列を基準として対象配列のパーセント同一性を計算する。特に定めのない限り、比較長内の残基数はクエリー配列中の残基数である。前記のアラインメントに戻って、各例において、クエリー(上)配列と指定された配列は、15アミノ酸長である。アラインメントBでは、アラインメントされた12のアミノ酸残基対(太字で示した)が、クエリー配列(上)と対象配列(下)との最適アラインメントにおいて同一である。従って、この特定の対象配列と、15残基クエリー配列の全長との同一性は、(12/15)x100=80%である。言い換えると、アラインメントBの対象配列とクエリー配列とのアミノ酸配列同一性は、少なくとも80%である。アラインメントDにおいて、最適アラインメントにおいて11のアミノ酸残基対(太字で示した)が同一である。従って、この特定の対象配列と、15残基クエリー配列の全長との同一性は、(11/15)x100=73.3%である。言い換えると、アラインメントDにおいて、対象配列とクエリー配列とのアミノ酸配列同一性は少なくとも73%である。
ポリペプチドに適用される場合、「実質的同一性」(または「実質的に同一である」)という用語は、典型的には、2つのアミノ酸配列(すなわち、クエリー配列および対象配列)が、前記の適切なパラメータを用いるBLASTPアルゴリズムを用いて(手作業またはコンピュータを介して)最適にアラインメントされた場合、対象配列が、クエリー配列に対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または100%のアミノ酸配列同一性を有することを意味する。場合によっては、実質的同一性は、少なくとも100アミノ酸残基、例えば、少なくとも110、115、118、119、120、121、122、123、124、125、130、135、140、145、150、200、250、300、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、375、400、450、または500アミノ酸残基の比較長にわたって存在する。
同様に、2つの核酸配列の状況において適用される場合、実質的同一性(または実質的に同一である)という用語は、2つの核酸配列(すなわち、クエリー配列および対象配列)が、下記の適切なパラメータを用いるBLASTNアルゴリズムを用いて(手作業またはコンピュータを介して)最適にアラインメントされた場合、対象配列が、クエリー配列に対して、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または100%の核酸配列同一性を有することを意味する。核酸配列アラインメントに使用したパラメータは以下の通りである。マッチリワード1、ミスマッチペナルティ-3、ギャップ存在ペナルティ5、ギャップ延長ペナルティ2(置換行列はBLASTNアルゴリズムでは使用しない)。場合によっては、実質的同一性は、少なくとも300ヌクレオチド残基、例えば、少なくとも330、345、354、357、360、363、366、369、362、365、375、390、405、420、435、450、600、750、900、1035、1038、1041、1044、1047、1050、1053、1056、1059、1062、1065、1068、1071、1074、1077、1080、1200、1350、または1500ヌクレオチド残基の比較長にわたって存在する。
当技術分野において公知の他の配列アラインメントプログラムを使用することができる。ALIGNプログラムは、Myers and Miller CABIOS 4:11-17(1988)に記載のダイナミックプログラミングアルゴリズムの改良版を用いて、2つの選択されたタンパク質配列または核酸配列の最適大域(全体)アラインメントを作成する。ALIGNプログラムは、必須というわけではないが、典型的には、ウェイティッドエンドギャップ(weighted end-gap)と共に用いられる。ギャップオープニングおよびギャップ延長ペナルティが利用可能であれば、これらは、多くの場合、アミノ酸配列アラインメントについては、それぞれ、約-5〜-15および0〜-3、より好ましくは、それぞれ、約-12および-0.5〜-2に、核酸配列アラインメントについては、それぞれ、-10〜-20および-3〜-5、より一般的には、それぞれ、約-16および-4に設定される。ALIGNプログラムは、Pearson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-48(1988)、および Pearson et al., Meth. Enzymol. 18:63-98(1990)にさらに記載されている。
または、特に、多重配列分析(すなわち、3つを超える配列の比較)の場合、CLUSTALWプログラム(例えば、Thompson et al., Nucl. Acids Res. 22:4673-4680(1994)に記載)を使用することができる。CLUSTALWプログラムは、DNA配列およびアミノ酸配列の多重アラインメントに適したアルゴリズムである(Thompson et al., Nucl. Acids Res. 22:4673-4680(1994))。CLUSTALWは、配列グループ間で多重ペアワイズ比較を実行し、これらを相同性に基づいて多重アラインメントに組み立てる。1つの局面において、ギャップオープンおよびギャップ延長ペナルティは、それぞれ、10および0.05に設定される。その代わりとして、またはさらに、CLUSTALWプログラムは、「ダイナミック(dynamic)」(対「ファスト(fast)」)設定を用いて実行される。典型的には、CLUSTALWによるヌクレオチド配列分析はBESTFIT行列を用いて実行されるのに対して、アミノ酸配列は、(例えば、San Diego Supercomputer Center(SDSC)を通じて入手可能なCLUSTALWバージョン1.6プログラムまたはEuropean Bioinformatics Institute, Cambridge, UKから入手可能なバージョンW1.8によって用いられるように)配列間の同一性レベルに応じて、BLOSUM行列の可変セットを用いて評価される。好ましくは、CLUSTALW設定は、(例えば、アミノ酸配列分析における特殊親水性ギャップペナルティに関して)SDSC CLUSTALWデフォルト設定に設定される。CLUSTALWプログラムは、例えば、Higgins et al., CABIOS 8(2):189-91(1992)、Thompson et al., Nucleic Acids Res. 22:4673-80(1994)、およびJeanmougin et al., Trends Biochem. Sci. 2:403-07(1998)にさらに記載されている。
別の形式において、特定のアラインメントされたアミノ酸配列対間の同一性またはパーセント同一性は、CLUSTALW分析(例えば、バージョンW1.8)によって得られたパーセントアミノ酸配列同一性を指す。CLUSTALW分析は、アラインメント内の同一マッチ数を数え、このような同一マッチ数を、(i)アラインメントされた配列の長さの大きい方、および(ii)96で割り、スロー/アキュレート(slow/accurate)ペアワイズアラインメントを実現するために、以下のデフォルトClustalWパラメータ-ギャップオープンペナルティ:10;ギャップ延長ペナルティ:0.10;タンパク質重量行列:Gonnetシリーズ;DNA重量行列:IUB;Toggle Slow/Fastペアワイズアラインメント=スロー(SLOW)またはフル(FULL)アラインメントを用いる。
パーセント同一性またはパーセント類似性を求める別の有用なアルゴリズムは、Pearson et al., Proc Natl. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)およびPearson, Methods Enzymol. 266:227-258(1996)に記載されている、FASTAアルゴリズムである。パーセント同一性を計算するために、DNA配列のFASTAアラインメントにおいて用いられる典型的なパラメータが最適化される。BL50行列15:-5、k-tuple=2;結合ペナルティ(joining penalty)=40、最適化=28;ギャップペナルティ=-12、ギャップ長ペナルティ=-2;および幅=16。
他の適切なアルゴリズムには、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムが含まれる。これらは、選択された配列とデータベース(例えば、GenSeq)内の複数の配列をアラインメントすることによって、または、BL2SEQなどのさらなるアルゴリズムによって改良された時には、2つの選択された配列間でアラインメントすることによって、少なくとも2つのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列の分析を容易にする。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(NCBI)(ワールドワイウェブサイトアドレスncbi.nlm.nih.gov)から公的に利用可能である。BLASTアルゴリズムは、最初に、データベース配列中の長さWのワードとアラインメントした時に正の値の閾値スコアTにマッチまたは適合する、クエリー配列中の長さWの短いワードを特定することによって、高スコア配列対(high scoring sequence pair)(HSP)を特定することを伴う。Tは、隣接ワードスコア閾値(neighborhood word score threshold)(Altschul et.al.,前出)と呼ばれる。これらの最初の隣接ワードヒットは、これらを含むさらに長いHSPを発見する検索を開始するための種配列(seed)として働く。このワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加する限り、それぞれの配列に沿って両方向に延長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列の場合、パラメータM(一対のマッチ残基のリワードスコア(reward score);常に、>0)およびN(ミスマッチ残基のペナルティスコア(penalty score);常に、<0)を用いて計算される。アミノ酸配列の場合、累積スコアを計算するためにスコアリング行列が用いられる。累積アラインメントスコアが、その達成される最大値から量Xだけ減少した時に;1つもしくは複数の負のスコアの残基アラインメントの蓄積のために累積スコアが0もしくはそれ以下になった時に;またはいずれかの配列の末端に到達した時に、各方向でのワードヒットの延長は止まる。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列の場合)は、11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=-4、および両鎖の比較と共に使用することができる。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラム(例えば、BLASTP 2.0.14; Jun-29-2000)は、3のワード長および10の期待値(E)と共に使用することができる。BLOSUM62スコアリング行列(Henikoff & Henikoff, (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915を参照されたい)は、50のアラインメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=-4、および両鎖の比較を使用する。これもまた、他の適切なアルゴリズムと同様に、プログラムが、本明細書の配列表にある配列(例えば、SEQ ID NO:1-79、197-200、205-214、および219-222より選択されるポリペプチド配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、49%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するポリペプチド配列を含むポリペプチド;あるいはSEQ ID NO:80-158、201-204、223、および224のいずれかより選択されるヌクレオチド配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、49%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸、またはその相補ヌクレオチド配列)と密接に関連する配列しか特定しなくなるまで、比較の厳密さを高めることができる。
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性または同一性の統計解析も行う(例えば、Karlin & Altschul、(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5787を参照されたい)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性または同一性の尺度の1つは、最小合計確率(smallest sum probability)(P(N))であり、2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列間の一致が偶然に起こる確率を示している。例えば、核酸は、試験核酸と参照配列と比較して最小合計確率が約0.2未満、例えば、約0.01未満または約0.001未満であれば、参照配列と類似するとみなされる。
また、もしくはその代わりに、BLASTプログラム分析は、低複雑性フィルタリング(low complexity filtering)プログラム、例えば、DUSTまたはSEGプログラムによって改良することができ、これらは、好ましくは、BLASTプログラム操作に組み込まれる(例えば、Wootton et al., Comput. Chem. 17:149-63 (1993)、Altschul et al., Nat. Genet. 6:119-29 (1991)、Hancock et al., Comput. Appl. Biosci. 10:67-70 (1991)、およびWootton et al., Meth. Enzymol. 266:554-71(1996)を参照されたい)。このような局面において、λ比(lambda ratio)が用いられる場合、この比に有用な設定は、0.8〜0.9を含む、0.75〜0.95である。このような局面において、ギャップ存在コスト(またはギャップスコア)が用いられる場合、ギャップ存在コストは、典型的には、約-5〜-15、より典型的には、約-10に設定され、パーレジデューギャップコスト(per residue gap cost)は、典型的には、約0〜-5、例えば、0〜-3(例えば、-0.5)である。適宜、類似のギャップパラメータを他のプログラムと共に使用することができる。BLASTプログラムおよびこれらの基礎となる原理は、例えば、Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-10(1990)、Karlin and Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68(199) (Karlin and Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77(1993)により修正)、およびAltschul et al., Nucl. Acids Res. 25:3389-3402(1997)にさらに記載されている。
有用なアルゴリズムの別の例は、PILEUPソフトウェアに組み込まれている。PILEUPプログラムは、関係性およびパーセント配列同一性またはパーセント配列類似性を示すために、プログレッシブペアワイズアラインメントを用いて、関連配列のグループから多重配列アラインメントを作り出す。PILEUPは、Higgins & Sharp (1989) CABIOS 5:151-153に記載の方法に似た、Feng & Doolittle(1987) J. Mol. Evol. 35:351-360のプログレッシブアラインメント法の簡易版を使用する。このプログラムは、それぞれ最大長が5,000ヌクレオチドまたはアミノ酸である300個までの配列をアラインメントすることができる。この多重アラインメント手順は、最も類似する2つの配列のペアワイズアラインメントから開始して、2つのアラインメントされた配列のクラスターを作成する。次いで、このクラスターは、次に最も関連する配列またはアラインメント配列のクラスターとアラインメントされる。2つの配列クラスターは、2つの個々の配列のペアワイズアラインメントを単純に延長することによってアラインメントされる。最終アラインメントは、一連のプログレッシブペアワイズアラインメントによって達成される。このプログラムは、特定の配列および配列比較領域のこれらのアミノ酸またはヌクレオチドの座標を指定し、プログラムパラメータを指定することによって実行される。PILEUPを使用すると、特定のパラメータを用いてパーセント配列同一性(またはパーセント配列類似性)関係性を決定するために、参照配列と他の試験配列が比較される。PILEUPプログラムの例示的なパラメータは、デフォルトギャップウェイト(3.00)、デフォルトギャップ長ウェイト(0.10)、およびウェイティッドエンドギャップである。PILEUPは、GCG配列分析ソフトウェアパッケージ、例えば、バージョン7.0(Devereaux et al.(1984) Nucl. Acids Res. 12:387-395)のコンポーネントである。
同一性分析を行うための他の有用なアルゴリズムには、Smith and Waterman (1981) Adv. Appl. Math. 2:482の局所相同性アルゴリズム、Needleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:443の相同性アラインメントアルゴリズム、およびPearson and Lipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444の類似性方法の検索が含まれる。これらのアルゴリズム(例えば、ギャップ、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)のコンピュータによる実行は、Wisconsin Genetics Software Package Release7.0, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIにおいて提供されている。
配列バリエーション
前記で議論したように、1つの局面において、本発明は、(a)6個以下のアミノ酸残基(例えば、1個以下、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、または6個以下のアミノ酸残基)において、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択されるポリペプチド配列とは異なるポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86ならびに/またはそのいずれかもしくは両方の細胞外ドメインに結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する、単離されたまたは組換え型の変異体CTLA-4の細胞外ドメインポリペプチドを提供する。このようなアミノ酸置換には保存的アミノ酸置換が含まれる。
非限定的な例として、本発明のポリペプチドは、合計6個までのアミノ酸においてSEQ ID NO:1と異なる(前記を含む、アミノ酸置換、欠失、および/または挿入の組み合わせでよい)、ポリペプチド配列を有してもよい。場合によっては、置換はいずれも、下記で定義される置換グループによる置換でなく、置換の一部は、下記で定義される置換グループによる置換であり、または置換は全て、下記で定義される置換グループによる置換である。
本発明によるアミノ酸置換には、1つまたは複数の保存的アミノ酸置換が含まれ得るが、これに限定されない。保存的なアミノ酸残基置換は、典型的には、アミノ酸残基の1つの機能クラス内にあるメンバーを、同じ機能クラスに属する残基に交換することを伴う(同一のアミノ酸残基は、パーセント機能相同性の計算において機能的に相同であるか、保存されているとみなされる)。機能的に類似のアミノ酸を生じる保存的置換の表は、当技術分野において周知である。一例を表1に示した。表1は、互いに「保存的置換」とみなされ得るアミノ酸を含む6種類の例示的なグループを示している。
他のアミノ酸置換グループが考えられる。例えば、アミノ酸は、類似の機能または化学構造もしくは化学組成(例えば、酸性、塩基性、脂肪族、芳香族、含硫黄)によってグループ分けすることができる。例えば、脂肪族のグループは、グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)を含んでもよい。互いに保存的置換とみなされるアミノ酸を含む他のグループには、芳香族:フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);含硫黄:メチオニン(M)、システイン(C);塩基性:アルギニン(R)、リジン(K)、ヒスチジン(H);酸性:アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);非極性無電荷残基、システイン(C)、メチオニン(M)、およびプロリン(P);親水性無電荷残基:セリン(S)、スレオニン(T)、アスパラギン(N)、およびグルタミン(Q)が含まれる。さらなるアミノ酸グループについては、Creighton (1984) Proteins, W.H. Freeman and Companyも参照されたい。本明細書のポリペプチド配列の表と上記の置換グループから、全ての保存的置換ポリペプチド配列の急ぎの表(express listing)が得られる。
さらに保存的な置換が前記のアミノ酸残基クラス内に存在し、これもまた、もしくは代わりとして適切であり得る。さらに保存的な置換のための保存グループには、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、およびアスパラギン-グルタミンが含まれる。従って、例えば、特定の1つの局面において、本発明は、SEQ ID NO:1(またはSEQ ID NO:1-79、197-200、205-214、および219-222のいずれか)と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、このようなさらに保存的なアミノ酸置換によって、全てではないが大部分(例えば、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、90%)がSEQ ID NO:1の配列と異なるポリペプチド配列を含む、単離されたまたは組換え型のポリペプチドを提供する。
適切であり得る、さらなるアミノ酸置換グループは、例えば、Creighton (1984) PROTEINS: STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES (2d Ed. 1993), W.H. Freeman and Companyに記載の原理を用いて決定することができる。ある局面では、アミノ酸配列変種における置換の少なくとも33%、50%、60%、70%、またはそれ以上(例えば、少なくとも75%、80%、90%、95%、96%、97%、もしくはそれ以上)は、本発明のポリペプチド配列中の1つまたは複数のアミノ酸残基と、置換されるポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同じ機能相同性クラス(任意の適切な分類体系、例えば、前記の分類体系によって決定される)にある残基との置換を含む。
本発明のポリペプチド配列の保存的置換バリエーションには、ポリペプチド配列のわずかな割合、典型的には、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、もしくは6%未満のアミノ酸、より典型的には、ポリペプチド配列の5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、もしくは1%未満のアミノ酸と、同じ保存的置換グループの保存的に選択されたアミノ酸との置換が含まれる。
本発明は、本明細書に記載の本発明のポリペプチド配列のアミノ酸バリエーションを含むポリペプチドを含む。前記で議論したように、1つの局面において、本発明は、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の配列同一性を有するそれぞれのポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86、あるいはCD80および/もしくはCD86のポリペプチド断片(またはそのいずれかもしくは両方のECD)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を抑制する、単離されたまたは組換え型のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4ポリペプチド、例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド)を提供する。このようなポリペプチドは、1つまたは複数の保存的置換または非保存的置換を含む、1つまたは複数のアミノ酸欠失、付加、または置換によって異なってもよい。しかしながら、記載の機能特性を有することが条件である。特定の局面において、本発明は、本明細書に記載の任意のこのようなポリペプチドの保存的に改変されたバリエーションを含む、例えば、SEQ ID NO:1-73の群より選択されるポリペプチド配列を含むものを含む、ポリペプチド変種を提供する。
前記で議論したように、別の局面において、本発明は、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を抑制する、単離されたまたは組換え型の融合タンパク質(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)を提供する。このような融合タンパク質は、1つまたは複数の保存的置換または非保存的置換を含む、1つまたは複数のアミノ酸欠失、付加、または置換によって異なってもよい。しかしながら、記載の機能特性を有することが条件である。特定の局面において、本発明は、本明細書に記載の任意のこのような融合タンパク質の保存的に改変されたバリエーションを含む、例えば、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222の群より選択されるポリペプチド配列を含むものを含む、ポリペプチド変種を提供する。
前記のまたは本明細書の他の場所に記載の、本発明の任意の単離されたまたは組換え型のポリペプチドのポリペプチド変種も提供される。ここで、ポリペプチド変種のアミノ酸配列は、1つまたは複数の保存的アミノ酸残基置換によって参照ポリペプチドのそれぞれのポリペプチド配列と異なるが、非保存的置換が許容可能な時もあり、さらには好ましい時もある(このような非保存的置換の例は本明細書においてさらに議論される)。例えば、ポリペプチド変種の配列は、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド配列中のアミノ酸残基と、類似の重量を有する1つまたは複数のアミノ酸残基(すなわち、置換される、それぞれのポリペプチド配列中の残基と重量相同性を有する残基)との1個または複数の置換によって、変異体CTLA-4ポリペプチド配列と異なってもよい。ポリペプチドのアミノ酸残基の重量(それに応じて、サイズ)は、ポリペプチドの構造に重大な影響を及ぼすことがある。重量ベースの保存または相同性は、同一でない対応するアミノ酸が、本明細書に記載の重量ベースの行列(例えば、BLOSUM50行列;PAM250行列)の1つにおいて、プラスのスコアに関連するかどうかに基づいている。
前記の機能的アミノ酸クラスと同様に、天然アミノ酸残基は、重量ベースの保存グループに分けることができる(「強い」保存グループと「弱い」保存グループに分けられる)。一般的に用いられる重量ベースの8つの強い保存グループは、Ser Thr Ala、Asn Glu Gln Lys、Asn His Gln Lys、Asn Asp Glu Gln、Gln His Arg Lys、Met Ile Leu Val、Met Ile Leu Phe、His Tyr、および Phe Tyr Trpである。重量ベースの弱い保存グループには、Cys Ser Ala、Ala Thr Val、Ser Ala Gly、Ser Thr Asn Lys、Ser Thr Pro Ala、Ser Gly Asn Asp、Ser Asn Asp Glu Gln Lys、Asn Asp Glu Gln His Lys、Asn Glu Gln His Arg Lys、Phe Val Leu Ile Met、およびHis Phe Tyrが含まれる。CLUSTAL W配列分析プログラムのいくつかのバージョンは、アラインメントの出力において重量ベースの強い保存グループおよび弱い保存グループを分析し、それによって、重量ベースの保存を求める便利な技法を提供する(例えば、SDSCによって提供されるCLUSTAL Wは、典型的には、SDSCデフォルト設定と共に用いられる)。ある局面では、このようなポリペプチド変種における置換の少なくとも33%、50%、60%、70%、80%、または90%は、重量ベースの保存内にある残基が、同じ重量ベースの保存グループ内にあるポリペプチド配列中のアミノ酸残基に取って代わった置換を含む。言い換えると、このようなパーセントの置換は、アミノ酸残基重量の特徴の点で保存されている。
ポリペプチド変種の配列は、変異体CTLA-4ポリペプチドの置換される(元の)残基と類似のハイドロパシープロファイルを有する(すなわち、類似の親水性を示す)1つまたは複数のアミノ酸残基との1つまたは複数のアミノ酸置換によって、本発明の変異体CTLA-4ポリペプチドと異なってもよい。ハイドロパシープロファイルは、Kyte & Doolittle指数を用いて求めることができる。この指数における、それぞれの天然アミノ酸のスコアは以下の通りである:I(+4.5)、V(+4.2)、L(+3.8)、F(+2.8)、C(+2.5)、M(+1.9);A(+1.8)、G(-0.4)、T(-0.7)、S(-0.8)、W(-0.9)、Y(-1.3)、P(-1.6)、H(-3.2);E(-3.5)、Q(-3.5)、D(-3.5)、N(-3.5)、K(-3.9)、およびR(-4.5)(さらなる議論については、例えば、米国特許第4,554,101号およびKyte & Doolittle、J. Molec. Biol. 157:105-32 (1982)を参照されたい)。本明細書において開示された、同一のまたは機能的に相同の変異体CTLA-4ポリペプチド配列(「最も関連するホモログ」)中の対応する残基と同一でない、変種ポリペプチド配列中のアミノ酸残基の少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%は、最も関連するホモログの対応する位置にある同一でないアミノ酸残基と比べて、+/-1未満の親水性変化および+/-0.5未満の親水性変化を含む、+/-2未満の親水性変化を示す。前記のホモログは、SEQ ID NO:1-73のいずれかより選択されてもよい。変種ポリペプチドは、SEQ ID NO:1-73の群より選択される、その最も関連するホモログと比べて、約150未満、約100未満、および/または約50未満(例えば、約30未満、20未満、もしくは10未満)の全親水性変化を示してもよい。
類似または同一の親水性を保持する典型的なアミノ酸置換の例には、アルギニン-リジン置換、グルタミン酸-アスパラギン酸置換、セリン-スレオニン置換、グルタミン-アスパラギン置換、およびバリン-ロイシン-イソロイシン置換が含まれる。アルゴリズムおよびソフトウェア、例えば、SDSCから入手可能なGREASEプログラムは、アミノ酸配列のハイドロパシープロファイルを素早く評価するための便利な手法を提供する。ポリペプチド変種の配列中のアミノ酸置換の大半(少なくとも50%)またはほぼ全て(例えば、約65%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%)ではないが、かなりの割合(例えば、少なくとも約33%)が、多くの場合、(参照)ポリペプチド配列中で置換されるアミノ酸残基と類似のハイドロパシースコアを有するので、ポリペプチド変種の配列は、ポリペプチド配列と類似のGREASEプログラム出力を示すと予想される。例えば、特定の局面において、SEQ ID NO:61のポリペプチド変種は、WT CTLA-4ポリペプチド(例えば、hCTLA-4)を用いて得られるGREASE出力より、SEQ ID NO:61のポリペプチド配列を入力することによって得られるGREASE出力に似たGREASEプログラム(または類似のプログラム)出力を有すると予想され得る。これは、試験変種配列およびSEQ ID NO:1をプログラムに供することによって得られた、図による出力(例えば、グラフィカルオーバーレイ/アラインメント)および/または数字による出力の目視検査またはコンピュータ支援比較によって求めることができる。
機能相同性、重量相同性、およびハイドロパシー特徴の点でのアミノ酸残基の保存は、本発明によって提供される他のポリペプチド配列変種にも適用される。本発明によって提供される他のポリペプチド配列変種には、例えば、SEQ ID NO:1-79197-200、205-214、および219-222からなる群より選択されるポリペプチド配列のポリペプチド配列変異体が含まれるが、これに限定されない。
特定の局面において、本発明は、SEQ ID NO:1-79、197-200、205-214、および219-222の群より選択される組換えポリペプチド配列と異なるアミノ酸配列を含む、少なくとも1つのこのようなポリペプチド変種を含み、ここで、変種のアミノ酸配列は、前記の重量ベースの保存もしくは相同性または類似のハイドロパシープロファイルに従って選択された、少なくとも1つのこのようなアミノ酸残基置換を有する。前記のこのようなポリペプチド変種は、典型的には、CD80および/もしくはCD86に結合する能力、ならびに/または前記の、および下記の実施例においてさらに詳述される、少なくとも1つのタイプの免疫応答を抑制する能力を有する。
シグナルペプチド配列
本発明のポリペプチドはまた、任意の適切な数およびタイプのさらなるアミノ酸配列、例えば、1つまたは複数のペプチド断片をさらに含んでもよい。1つの態様において、このような本発明のポリペプチドは、シグナルペプチドをさらに含む。一般的に、シグナルペプチドは、組換えポリペプチドが動物細胞において発現された時に組換えポリペプチドを小胞体に向ける。細胞内で発現された時にポリペプチドの少なくとも一部を細胞小器官に輸送および/または分泌するシグナル配列も含まれ得る。このような配列は、典型的には、未熟な(すなわち、完全にプロセシングされていない)形のポリペプチドに存在し、その後に、細胞プロテアーゼによって除去/分解されて成熟型タンパク質になる。例えば、本発明の変異体CTLA-4ポリペプチドまたは融合タンパク質は、任意の適切なシグナル配列、あるいはポリペプチドを細胞内区画に向けるシグナル配列、例えば、輸送(例えば、転位置)しようとするポリペプチドを、(例えば、タンパク質がプロセシングおよび放出されるように)小胞体または分泌経路(例えば、ER、ゴルジ、ならびに/または分泌に関連する細胞小器官および細胞区画)に向ける配列、核に向ける配列、ならびに/あるいはタンパク質が分泌型の場合、ポリペプチドを細胞から分泌させる配列、細胞膜に転位置させる配列、または細胞から離れた第2の細胞に標的化する配列の組み合わせを含んでもよい。これに関して、ポリペプチドは、ポリペプチドを、エンドソーム区画および/もしくはリソソーム区画、またはCD4+T細胞提示および/もしくはCD8+T細胞提示および応答を促進するようなMHCIIに富む他の区画に向ける細胞内標的化配列(または「局在化シグナル」)、例えば、リソソーム関連膜タンパク質1(例えば、LAMP-1。例えば、Wu et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:1161-75 (1995) および Ravipraskash et al., Virology 290:74-82 (2001)を参照されたい)に由来するリソソーム/エンドソーム標的化局在化シグナル、その一部またはホモログ(例えば、米国特許第5,633,234号を参照されたい)、あるいは他の適切なリソソーム標的化配列、エンドソーム標的化配列、および/またはER標的化配列(例えば、米国特許第6,248,565号を参照されたい)を含んでもよい。ある局面では、細胞内標的化配列を、当技術分野において公知の技法によって同定することができる、ポリペプチド内の証明/同定されたエピトープ配列の近くにまたは隣接して配置し、それによって、このようなエピトープを含むポリペプチド断片のT細胞提示の可能性を高めることが望ましい場合がある。このようなポリペプチドは、例えば、本明細書においてさらに記載される遺伝子導入ベクターの1つまたは複数を含む、ヌクレオチド導入ベクターの1つまたは複数によって宿主細胞に送達された、単離された、組換えの、または合成のDNAまたはRNAから発現されてもよい。
ポリペプチドは、ポリペプチドが哺乳動物細胞において発現された時に、ポリペプチドを小胞体(ER)へと導く(例えば、ポリペプチドのERへの移行を促進する)シグナル配列を含んでもよい。ポリペプチドは、任意の適切なER標的化配列を含んでもよい。多くのER標的化配列が当技術分野において公知である。このようなシグナル配列の例は、米国特許第5,846,540号に記載されている。一般的に用いられるER/分泌シグナル配列には、酵母α因子シグナル配列、および哺乳動物ウイルスシグナル配列、例えば、ヘルペスウイルスgDシグナル配列が含まれる。大腸菌(E.coli)産生のための例示的なシグナルペプチドには、大腸菌のSTIIまたはIppシグナル配列が含まれる。シグナル配列のさらなる例は、例えば、米国特許第4,690,898号、同第5,284,768号、同第5,580,758号、同第5,652,139号、および同第5,932,445に記載されている。当技術分野において公知の技術を用いて、適切なシグナル配列を同定することができる。例えば、Center for Biological Sequence Analysisのcbs.dtu.dk/services/SignalPと指定されたワールドワイウェブサイトアドレスから公的に利用可能な、SignalPプログラム(例えば、Nielsen et al. (1997) Protein Engineering 10:1-6に記載)、またはシグナル配列様ドメインを同定可能な類似の配列分析ソフトウェアを使用することができる。適切なシグナルペプチドを同定するための関連する技法は、Nielsen et al., Protein Eng. 10(1):1-6 (1997)において提供される。配列は、例えば、欧州特許出願第 0 621 337号、Zheng and Nicchitta (1999) J. Biol. Chem. 274(51): 36623-30、およびNg et al. (1996) J. Cell Biol. 134(2):269-78に記載のように、シグナル配列に通常関連する特徴について手作業で分析することができる。
さらなる局面
本発明のポリペプチド(本発明の任意の融合タンパク質を含む)はいずれも、さらに長いポリペプチド配列の一部として存在してもよく、さらに長いポリペプチド配列は、例えば、ポリペプチドの安定化または検出または精製のための1つまたは複数のドメインまたは部分配列を付加することによって生じる。このようなドメインまたは部分配列は、当業者が容易に理解し、構築できるように、本発明のポリペプチドに共有結合により融合されてもよい。ポリペプチド精製用部分配列は、例えば、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジン配列、GST融合、または当技術分野において公知の他の任意の検出/精製用部分配列もしくは「タグ」を含んでもよい。これらのさらなるドメインまたは部分配列は、本発明のポリペプチドの活性にほとんど影響がないか、もしくは全く影響がないか、または合成後プロセシング工程によって、例えば、プロテアーゼ処理、インテイン含有などによって除去することができる。
(本発明の任意の融合タンパク質を含む)本発明のポリペプチドはいずれも、1つまたは複数の修飾アミノ酸を含んでもよい。修飾アミノ酸は、例えば、グリコシル化アミノ酸、ペグ化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分とコンジュゲート化したアミノ酸、および/または有機誘導体化剤とコンジュゲート化したアミノ酸でもよい。修飾アミノ酸の存在は、例えば、(a)ポリペプチドの血清中での半減期および/もしくはインビボにおける機能的半減期を延長する、(b)ポリペプチド抗原性もしくは免疫原性を下げる、(c)ポリペプチド保存安定性を高める、(d)バイオアベイラビリティを高める、(e)エフェクター機能を弱める、ならびに/または(f)2つもしくはそれ以上の本発明の分子間の(例えば、2つもしくはそれ以上の本発明の融合タンパク質二量体)間の望ましくない自己会合(例えば、凝集物形成)を下げるまたは阻害する際に有利であり得る。アミノ酸は、例えば、組換え産生の間に、翻訳と同時にもしくは翻訳後に修飾されるか(例えば、哺乳動物細胞における発現の間のN-X-S/TモチーフにおけるN結合型グリコシル化)、または合成手段によって修飾される。
本明細書に記載の本発明のポリペプチド(本発明の融合タンパク質を含む)は、様々なやり方で、例えば、翻訳後修飾および/または合成後の修飾または変化によってさらに改変することができる。例えば、本発明のポリペプチドまたは融合タンパク質は、典型的には、哺乳動物細胞内での発現によって、適切にグリコシル化することができる。例えば、1つの局面において、本発明は、CD86および/もしくはCD80に結合することができる、ならびに/または本明細書の他の場所に記載のように免疫応答(例えば、T細胞増殖もしくはT細胞活性化)を抑制する能力を有し、SEQ ID NO:1-79、197-200、205-214、および219-222からなる群より選択される配列と少なくとも92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含むグリコシル化ポリペプチドを提供する。
本発明のポリペプチドは、任意の数のさらなる形態の適切な翻訳後および/または合成後の改変または変化を受けることができる。例えば、本発明は、本発明のポリペプチドのタンパク質模倣物を提供する。ペプチド模倣物は、例えば、米国特許第5,668,110号およびその中で引用された参考文献に記載されている。
別の局面において、本発明のポリペプチドまたは融合タンパク質は、ポリペプチドまたは融合タンパク質の1つまたは複数のアミノ酸の側鎖に保護基を付加することによって改変することができる。このような保護基は、所望であれば膜を通過する、またはある特定の組織を通るポリペプチドまたは融合タンパク質の輸送を、例えば、ポリペプチドまたは融合タンパク質の親水性を下げることによって、および親油性を上げることによって促進することができる。適切な保護基の例には、当技術分野において公知の、エステル保護基、アミン保護基、アシル保護基、およびカルボン酸保護基が含まれる(例えば、米国特許第6,121,236号を参照されたい)。本発明の合成融合タンパク質は任意の適切な形をとることができる。例えば、環式ペプチドまたは構造を改変した他のペプチドを形成するように、融合タンパク質の構造を天然立体配置から改変することができる。
本発明のポリペプチドはまた、当技術分野において周知の技法、例えば、米国特許第4,179,337号、同第4,301,144号、同第4,496,689号、同第4,640,835号、同第4,670,417号、および同第4,791,192号に記載の技法を用いて、1つもしくは複数の非タンパク質ポリマー、典型的には、親水性合成ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコールもしくはポリオキシアルキレン、または類似のポリマー、例えば、ポリビニルアルコールもしくはポリビニルピロリドン(PVP)に連結されてもよい。
本発明は、本発明の少なくとも1つのポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド、二量体もしくは単量体の変異体CTLA-4-Ig、多量体変異体CTLA-4 ECDポリペプチド、多量体変異体CTLA-4-Ig)、および非ポリペプチド部分を含む、コンジュゲートを含む。「コンジュゲート」(または同義で「コンジュゲート化ポリペプチド」)という用語は、1つまたは複数のポリペプチドが1つまたは複数の非ポリペプチド部分に共有結合により付着することによって形成した、(複合物またはキメラという意味で)不均一な分子を示すことが意図される。「共有結合による付着」という用語は、ポリペプチドおよび非ポリペプチド部分が、互いに直接、共有結合しているか、または介在部分、例えば、架橋、スペーサーを介して、またはポリペプチドに存在する付着基を用いた連結部分を介して互いに間接的に共有結合していることを意味する。好ましくは、コンジュゲートは、関連する濃度および条件で可溶性である、すなわち、生理的液体、例えば、血液に溶ける。本発明のコンジュゲート化ポリペプチドの例には、グリコシル化ポリペプチドおよび/またはペグ化ポリペプチドが含まれる。「非コンジュゲート化ポリペプチド」という用語は、コンジュゲートのポリペプチド部分について用いられることがある。このようなコンジュゲートは、典型的には、CD80(例えば、hCD80)および/もしくはCD86(例えば、hCD86)ならびに/またはそのいずれかもしくは両方の細胞外ドメイン(hCD80-Igおよび/もしくはhCD86-Igを含む)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する能力を有する。このような免疫応答は、例えば、T細胞活性化もしくはT細胞増殖、サイトカイン合成/産生、活性化マーカーの誘導、炎症性分子の産生、炎症、抗コラーゲンAbの産生、および/またはT細胞依存性Ab応答を含んでもよいが、これに限定されない。例示的なポリペプチドには、SEQ ID NO:1-79、197-200、205-214、および219-222の群より選択される配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するポリペプチドが含まれる。
「非ポリペプチド部分」という用語は、本発明のポリペプチドの付着基にコンジュゲート化可能な分子を示すことが意図される。このような分子の好ましい例には、ポリマー分子、糖部分、親油性化合物、または有機誘導体化剤が含まれる。本明細書に記載のコンジュゲートの状況において用いられる場合、非ポリペプチド部分は、ポリペプチドの付着基を介してコンジュゲートのポリペプチド部分に連結されることが理解されるだろう。
「ポリマー分子」という用語は、2つまたはそれ以上の単量体の共有結合によって形成した分子であって、ポリマーがヒトアルブミンまたは別の豊富な血漿タンパク質である場合以外は、単量体はいずれもアミノ酸残基ではない、分子として定義される。「ポリマー」という用語は、「ポリマー分子」という用語と同義に用いられることがある。
N-グリコシル化部位は、配列N-X-S/T/Cを有し、式中、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸残基であり、Nは、アスパラギンであり、S/T/Cは、セリン、スレオニン、またはシステインのいずれかであり、好ましくは、セリンまたはスレオニンであり、最も好ましくは、スレオニンである。
「O-グリコシル化部位」は、セリン残基またはスレオニン残基のOH基を含む。
「付着基」という用語は、関連する非ポリペプチド部分、例えば、ポリマー分子または糖部分にカップリング可能な、ポリペプチドのアミノ酸残基の基を示すことが意図される。有用な付着基およびいくつかの対応する非ポリペプチド部分の非限定的な例を、下記の表2に示す。
(表2)有用な付着基および対応する非ポリペプチド部分の例
インビボN-グリコシル化について、「付着基」という用語は、N-グリコシル化部位(配列N-X-S/T/Cを有し、式中、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸残基であり、Nは、アスパラギンであり、S/T/Cは、セリン、スレオニン、またはシステインのいずれかであり、好ましくは、セリンまたはスレオニンであり、最も好ましくは、スレオニンである)を構成するアミノ酸残基を示すために、従来と異なるやり方で使用される。N-グリコシル化部位のアスパラギン残基は、グリコシル化の間に糖部分が付着するアスパラギン残基であるが、このような付着は、N-グリコシル化部位の他のアミノ酸残基が存在しなければ達成できない。従って、非ポリペプチド部分が糖部分であり、N-グリコシル化によってコンジュゲート化を達成しようとする場合、「非ポリペプチド部分の付着基を含むアミノ酸残基」という用語は、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列の変化に関連して使用される場合には、機能的なN-グリコシル化部位がアミノ酸配列中に導入されるか、その配列から除去されるように、または機能的なN-グリコシル化部位がアミノ酸配列中に保持されるように(例えば、N-グリコシル化部位の一部を既に構成しているセリン残基をスレオニン残基で置換することによる、および逆もまた同じである)、N-グリコシル化部位を構成するアミノ酸残基のうちの1つ、2つ、または全てが変えられると理解されるはずである。
「導入する」(すなわち、「導入された」アミノ酸残基、アミノ酸残基の「導入」)という用語は、主に、既存のアミノ酸残基を別のアミノ酸残基で置換することを意味することが意図されるが、さらなるアミノ酸残基の挿入を意味する場合もある。
「除去する」(すなわち、「除去された」アミノ酸残基、アミノ酸残基の「除去」)という用語は、主に、除去しようとするアミノ酸残基を別のアミノ酸残基で置換することを意味することが意図されるが、除去しようとするアミノ酸残基を(置換しないで)欠失させることを意味する場合もある。
「非ポリペプチド部分の付着基を含むアミノ酸残基」という用語は、アミノ酸残基が、(導入されたアミノ酸残基の場合)非ポリペプチド部分が結合しているアミノ酸残基、または(除去されたアミノ酸残基の場合)非ポリペプチド部分が結合していたアミノ酸残基を示すことが意図される。
非ポリペプチド部分の付着基を含むアミノ酸残基を除去および/または導入することによって、本発明の分子を、えり抜きの非ポリペプチド部分にコンジュゲート化しやすくなるように、コンジュゲート化パターンを最適化するように(例えば、ポリペプチド表面上での非ポリペプチド部分の最適分布を確実にし、それによって、例えば、ポリペプチドのエピトープおよび他の表面部分を、ポリペプチドの機能を大きく損なうことなく効果的に遮蔽するように)本発明のポリペプチドを特異的に合わせることができる。例えば、付着基を導入することによって、ポリペプチドは、関連する非ポリペプチド部分が結合する特定のアミノ酸残基の含有量が変えられ、それによって、より効率的な、特異的な、および/または広範囲のコンジュゲート化が達成される。1つまたは複数の付着基を除去することによって、このようなコンジュゲート化が不都合なポリペプチド部にある非ポリペプチド部分へのコンジュゲート化、例えば、ポリペプチドの機能部位に位置する、または機能部位の近くにあるアミノ酸残基へのコンジュゲート化を避けることができる(このような部位でのコンジュゲート化は、結果として生じたコンジュゲートの不活性化、またはCD80結合もしくはCD86結合の低下、または免疫抑制活性の低下をもたらし得るからである)。さらに、別の付着基の近くに位置する付着基を除去することが有利な場合がある。
非ポリペプチド部分の付着基を含むアミノ酸残基は、既にある残基でも除去された残基でも導入された残基でも、非ポリペプチド部分の内容に基づいて選択され、場合によっては、使用しようとするコンジュゲート化法に基づいて選択される。例えば、非ポリペプチド部分が、ポリマー分子、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリアルキレンオキシド(POA)に由来する分子である場合、付着基として機能可能なアミノ酸残基は、システイン、リジン(および/またはポリペプチドのN末端アミノ基)、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、ならびにアルギニンからなる群より選択されてもよい。非ポリペプチド部分が糖部分である場合、付着基は、インビボまたはインビトロで、N-グリコシル化部位またはO-グリコシル化部位、好ましくは、N-グリコシル化部位である。
場合によっては、本発明のコンジュゲートの変異体CTLA-4ポリペプチド部分において、受容体結合部位に位置する、または受容体結合部位の近くにある付着基は、例えば、このような基を含むアミノ酸残基を置換することによって除去される。場合によっては、非ポリペプチド部分の付着基を含むアミノ酸残基、例えば、システインまたはリジンは、多くの場合、変異体CTLA-4ポリペプチドの受容体結合部位に、または受容体結合部位の近くに導入されない。
本発明の変異体CTLA-4ポリペプチドは、非ポリペプチド部分とコンジュゲート化することによって、変異体CTLA-4ポリペプチドに存在するエピトープを遮蔽し、それによって改変もしくは破壊するか、または他の方法で不活性化するように改変することができる。変異体CTLA-4ポリペプチドのエピトープは、エピトープマッピングとも知られる当技術分野において公知の方法を用いて同定することができる。例えば、Romagnoli et al., J. Biol. Chem. 380(5):553-9 (1999), DeLisser HM, Methods Mol Biol, 1999, 96:11-20, Van de Water et al., Clin. Immunol. Immunopathol. 85(3):229-35 (1997), Saint-Remy JM, Toxicology 119(1):77-81(1997)を参照されたい。
コンジュゲート化に利用可能であり、かつ変異体CTLA-4ポリペプチドに存在する付着基の正確な数は、コンジュゲート化によって達成されることが望ましい効果に左右される。得ようとする効果は、例えば、コンジュゲート化の内容および程度(例えば、非ポリペプチド部分の正体(identity)、ポリペプチドとコンジュゲート化するのが望ましいまたは可能な非ポリペプチド部分の数、非ポリペプチド部分をコンジュゲート化しなければならない場合またはコンジュゲート化を避けなければならない場合など)に左右される。例えば、免疫原性の低下が望ましい場合、付着基の数(および位置)は、大部分のまたは全てのエピトープを遮蔽するのに十分でなければならない。これは、通常、多くの割合の変異体CTLA-4ポリペプチドが遮蔽される時に得られる。効果的なエピトープ遮蔽は、通常、コンジュゲート化に利用可能な付着基の総数が、1〜6個の付着基、例えば、1〜5個、例えば、1〜3個、例えば、1個、2個、または3個の付着基である場合に達成される。
機能的インビボ半減期はコンジュゲートの分子量に依存することがあり、従って、半減期の延長に必要な付着基の数は、問題となっている非ポリペプチド部分の分子量に依存する。このようなコンジュゲートの一部は、1〜6個、例えば、1〜5個、例えば、1〜3個、例えば、1個、2個、または3個の非ポリペプチド部分を含み、非ポリペプチド部分はそれぞれ、約100〜2000ダルトン(Da)、例えば、約200Da、約300Da、約400Da、約600Da、約900Da、約1000Da、または約2〜40kDa、例えば、約2kDa、約5kDa、約12kDa、約15kDa、約20kDa、約30kDa、約40kDa、または約60kDaの分子量を有する。
本発明のコンジュゲートにおいて、いくつかの、大部分の、または実質的に全てのコンジュゲート化可能な付着基は、関連する非ポリペプチド部分によって占有される。
本発明のコンジュゲートは、以下の改善した特性:(a)血清半減期および/もしくは機能的インビボ半減期の延長、(b)抗原性もしくは免疫原性の低減、(c)保存安定性の増大、(d)バイオアベイラビリティの増大、(e)エフェクター機能の低減、または(f)2つもしくはそれ以上の本発明の分子間の自己会合の低下もしくは阻害(例えば、凝集物形成の低下)の1つまたは複数を示してもよい。例えば、コンジュゲートは、hCTLA-4と比較して、または対応する非コンジュゲート化ポリペプチドと比較して、免疫原性の低下、例えば、非コンジュゲート化ポリペプチドと比較して、またはhCTLA-4と比較して、少なくとも10%の低下、例えば、少なくとも25%の低下、例えば、少なくとも50%の低下、例えば、少なくとも75%の低下を示してもよい。コンジュゲートは、参照分子、例えば、hCTLA-4と比較して、または対応する非コンジュゲート化ポリペプチドと比較して、機能的インビボ半減期の延長および/または血清半減期の延長を示してもよい。特定の好ましいコンジュゲートは、前記コンジュゲートの機能的インビボ半減期(または血清半減期)と前記参照分子の機能的インビボ半減期(または血清半減期)との比が、少なくとも1.25、例えば、少なくとも1.50、例えば、少なくとも1.75、例えば、少なくとも2、例えば、少なくとも3、例えば、少なくとも4、例えば、少なくとも5、例えば、少なくとも6、例えば、少なくとも7、例えば、少なくとも8である、このようなコンジュゲートである。半減期は、都合よく、実験動物、例えば、ラットまたはサルにおいて求められ、静脈内投与または皮下投与に基づくものでもよい。さらなる局面において、コンジュゲートは、参照分子、例えば、hCTLA-4または対応する非コンジュゲート化ポリペプチドと比較して、バイオアベイラビリティの増大を示してもよい。
ポリペプチドにカップリングされるポリマー分子は、任意の適切なポリマー分子、例えば、天然または合成のホモポリマーまたはヘテロポリマーでもよく、典型的には、約300〜100,000Da、例えば、300〜20,000Da、より好ましくは、500〜10,000Da、さらにより好ましくは500〜5000Daの分子量を有する。
ホモポリマーの例には、ポリオール(すなわち、ポリ-OH)、ポリアミン(すなわち、ポリ-NH2)およびポリカルボン酸(すなわち、ポリ-COOH)が含まれる。ヘテロポリマーは、1種類または複数の異なるカップリング基、例えば、ヒドロキシル基およびアミン基を含むポリマーである。適切なポリマー分子の例には、ポリアルキレングリコール(PAG)、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)を含む、ポリアルキレンオキシド(PAO)、分枝PEG、ポリ-ビニルアルコール(PVA)、ポリカルボキシレート、ポリ-(ビニルピロリドン)、ポリエチレン-co-マレイン酸無水物、ポリスチレン-co-リンゴ酸無水物、カルボキシメチル-デキストランを含むデキストラン、あるいは免疫原性の低減ならびに/または機能的インビボ半減期および/もしくは血清半減期の延長に適した他の任意の生体高分子からなる群より選択されるポリマー分子が含まれる。ポリマー分子の別の例は、ヒトアルブミンまたは別の豊富な血漿タンパク質である。一般的に、ポリアルキレングリコールに由来するポリマーは、生体適合性、無毒性、非抗原性、非免疫原性であり、種々の水溶特性を有し、生物から容易に排泄される。
PEGは、例えば、多糖、例えば、デキストランなどと比較して、架橋可能な反応基をわずかしか有さないので、使用するのに好ましいポリマー分子である。特に、単官能のPEG、例えば、モノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)は、そのカップリング化学が比較的単純であるので(ポリペプチド上の付着基とのコンジュゲート化に利用可能な反応基が1つしかないので)関心対象となっている。結果として、架橋結合のリスクが無くなり、結果として生じるポリペプチドコンジュゲートはより均一になり、ポリマー分子とポリペプチドとの反応は制御しやすくなる。分子がペグ化された場合、通常、1個、2個、3個、4個、または5個のポリエチレングリコール(PEG)分子を含む。それぞれのPEG分子の分子量は、例えば、約10kDa、約12kDa、約20kDa、約40kDaを含む、約5kDa(キロダルトン)〜100kDaでもよい。適切なPEG分子はShearwater Polymers, Inc.およびEnzon, Inc.から入手可能であり、SS-PEG、NPC-PEG、アルデヒド-PEG、mPEG-SPA、mPEG-SCM、mPEG-BTC、SC-PEG、トレシル化mPEG(US5,880,255)、またはオキシカルボニル-オキシ-N-ジカルボキシイミド-PEG(US5,122,614)より選択されてもよい。
1つの局面において、本発明は、(a)本発明のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド、二量体もしくは単量体の変異体CTLA-4-Ig、多量体変異体CTLA-4 ECDポリペプチド、多量体変異体CTLA-4-Ig);および(b)このポリペプチドに取り付けられた少なくとも1つの非ポリペプチド部分、例えば、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1個、2個、または3個の非ポリペプチド部分を含み、CD80(例えば、hCD80)および/もしくはCD86(例えば、hCD86)ならびに/またはそのいずれかもしくは両方の細胞外ドメイン(hCD80-Igおよび/もしくはhCD86-Igを含む)に結合し、かつ/あるいは免疫応答(例えば、T細胞依存性免疫応答)を誘導する能力を有する、単離されたまたは合成のコンジュゲートを提供する。例示的なポリペプチドには、SEQ ID NO: 1-79、197-200、205-214、および219-222の群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するものが含まれる。場合によっては、コンジュゲートは、1個の非ポリペプチド部分を含む。場合によっては、コンジュゲートは、2個、3個、4個、またはそれ以上の非ポリペプチド部分を含む。場合によっては、コンジュゲートのポリペプチドのアミノ酸配列は、(例えば、ポリペプチド配列のアミノ酸残基を、非ポリペプチド部分用の付着基を含む異なる残基で置換することによって、または非ポリペプチド部分の付着基を含むさらなるアミノ酸残基のポリペプチド配列を挿入することによって)非ポリペプチド部分の付着基を導入する1個または複数の置換をさらに含む。
コンジュゲートは、2つまたはそれ以上の本発明のポリペプチドを含んでもよい。場合によっては、非ポリペプチド部分は、このようなポリペプチドのいずれかまたは両方に共有結合により取り付けられている。コンジュゲートが2つまたはそれ以上の同一の本発明のポリペプチドを含む場合、典型的には、同じタイプまたは同じ数の非ポリペプチド部分が、このようなポリペプチドそれぞれに、通常、各ポリペプチド上にある対応する付着基に同じように取り付けられる。前記のように、非ポリペプチド部分は、例えば、糖分子またはポリマー、例えば、ポリエチレングリコール部分を含んでもよく、糖分子は、任意で、N-グリコシル化部位に取り付けられてもよい。ポリエチレングリコール部分は、本発明のポリペプチドのシステイン残基またはリジン残基に共有結合により取り付けられてもよい。場合によっては、ポリエチレングリコール部分は、ポリペプチドのN末端アミノ基に共有結合により取り付けられている。本発明の変異体CTLA-4-Igを含むコンジュゲートは、本発明の変異体CTLA-4-Igコンジュゲートと述べられることもある。コンジュゲートの多量体も含まれる。多量体コンジュゲートは2つまたはそれ以上のコンジュゲートを含み、少なくとも1つのコンジュゲートは、本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含む本発明のコンジュゲートである。多量体コンジュゲートの中にあるコンジュゲートは互いに同一であってもよいが、同一である必要はない。
前記で議論したように、本発明の融合タンパク質を含む本発明のポリペプチドは、一般的に、グリコシル化を受けることがある。さらに、本発明のポリペプチドおよび融合タンパク質は、例えば、ヒドロキシル化、脂質または脂質誘導体の付着、メチル化、ミリスチル化、ペグ化、リン酸化、および硫酸化を含む他の形態の翻訳後修飾を受けることがある(または他の形態の翻訳後修飾に供されるように改変されることがある)。本発明のポリペプチドまたは融合タンパク質が対象となり得る他の翻訳後修飾には、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合による付着、ヘム部分の共有結合による付着、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合による付着、ホスホチジルイノシトール(phosphotidylinositol)の共有結合による付着、架橋結合、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル、ホルミル化、GPIアンカー形成、ヨウ素化、酸化、タンパク質分解プロセシング、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、アルギニル化(arginylation)、およびユビキチン結合が含まれる。他の一般的なタンパク質改変は、例えば、Creighton, 前記、Seifter et al., Meth. Enzymol. 18:626-646 (1990)、およびRattan et al., Ann. NY Acad. Sci. 663:48-62 (1992)に記載されている。宿主細胞内で核酸から発現されるポリペプチドまたは融合タンパク質の翻訳後修飾は、ペプチドが発現される宿主または宿主細胞タイプの種類に応じて変化する。例えば、グリコシル化は、細菌宿主、例えば、大腸菌では起こらないことが多く、哺乳動物細胞系と比較してバキュロウイルス系ではかなり異なる。従って、(通常、本発明のほとんどのポリペプチドに当てはまる)グリコシル化が望ましい場合、ポリペプチドまたは融合タンパク質は、グリコシル化を行う宿主、一般的に、真核細胞(例えば、哺乳動物細胞または昆虫細胞)において発現(産生)すべきである。翻訳後修飾の点での、ポリペプチドまたは融合タンパク質への改変は、例えば、X線回折、NMR画像法、質量分析、および/またはクロマトグラフィー(例えば、逆相クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、もしくはGLC)を含む任意の適切な技法によって確認することができる。
ポリペプチドまたは融合タンパク質はまた、もしくは代わりとして、任意の適切な数の非天然アミノ酸(例えば、βアミノ酸)および/または代替アミノ酸(例えば、セレノシステイン)、もしくはアミノ酸類似体、例えば、米国特許審査便覧2422項(第7版-2000)に列挙されているものを含んでもよく、これらは、(例えば、Merrifield, Adv. Enzymol. 32:221-296 (1969)および本明細書において引用された他の参考文献に記載のように)タンパク質合成、例えば、固相タンパク質合成によって組み込むことができる。本発明のポリペプチドまたは融合タンパク質は、少なくとも1つの修飾アミノ酸を含めることによってさらに改変することができる。1つまたは複数の修飾アミノ酸の含有は、例えば、(a)ポリペプチドもしくは融合タンパク質の血清半減期を延長する、(b)ポリペプチドもしくは融合タンパク質の抗原性を下げる、または(c)ポリペプチドもしくは融合タンパク質の保存安定性を高める際に有利であり得る。アミノ酸は、例えば、組換え産生の間、翻訳と同時にもしくは翻訳後に修飾されるか(例えば、哺乳動物細胞における発現の間のN-X-S/TモチーフにおけるN結合型グリコシル化)、または合成手段によって修飾される。修飾アミノ酸の非限定的な例には、グリコシル化アミノ酸、硫酸化アミノ酸、プレニル化(例えば、ファルネシル化、ゲラニルゲラニル化)アミノ酸、アセチル化アミノ酸、アシル化アミノ酸、ペグ化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、カルボキシル化アミノ酸、リン酸化アミノ酸などが含まれる。アミノ酸の修飾において当業者に指導するのに適した参考文献は、文献全体を通じて豊富にある。例となるプロトコールは、Walker (1998) Protein Protocols on CD-ROM Humana Press, Towata, NJにおいて見られる。修飾アミノ酸は、グリコシル化アミノ酸、ペグ化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分とコンジュゲート化したアミノ酸、および有機誘導体化剤とコンジュゲート化したアミノ酸より選択されてもよい。
本発明は、ポリペプチド(または融合タンパク質)の生物学的機能(例えば、免疫原性、標的化、および/または半減期)に影響を及ぼすさらなるアミノ酸配列をさらに含む、前記の特徴を有するポリペプチド(融合タンパク質を含む)をさらに提供する。
本発明のポリペプチドまたは融合タンパク質は、シグナル配列以外に、またはシグナル配列に加えて標的化配列をさらに含んでもよい。例えば、ポリペプチドまたは融合タンパク質は、特定の細胞タイプ(例えば、単球、樹状細胞、または関連細胞)上の受容体を標的化して、ポリペプチドをこのような細胞および/または関連組織に標的化送達する配列を含んでもよい。シグナル配列は前記にあり、膜局在化/アンカー配列(例えば、膜透過停止配列、GPIアンカー配列)などを含む。
本発明のポリペプチド(本発明の融合タンパク質を含む)の特に有用な融合パートナーは、ポリペプチドの精製を容易にするペプチド配列、例えば、ポリペプチド精製用部分配列である。本発明のポリヌクレオチドは、マーカーアミノ酸配列、例えば、コードされるポリペプチドの精製を容易にするマーカーアミノ酸配列とインフレームで融合したコード配列を含んでもよい。このような精製を容易にするペプチドドメインまたはポリペプチド精製用部分配列には、金属キレートペプチド、例えば、固定化金属上での精製を可能にするヒスチジン-トリプトファンモジュール、例えば、ヘキサヒスチジンペプチドまたは他のポリヒスチジン配列、QIAGEN, Inc.(Chatsworth, California)から入手可能なpQEベクターに組み込まれている、このようなタグをコードする配列は、グルタチオン結合配列(例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST))、血球凝集素(HA)タグ(インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する; Wilson et al., Cell 37:767 (1984))、マルトース結合タンパク質配列、FLAGS伸長/アフィニティ精製系(Immunex Corp, Seattle, WA)において用いられるFLAGエピトープ(市販のFLAGエピトープもKodak(New Haven, Connecticut)を通じて入手可能である)、E-エピトープタグ(E-タグ)、チオレドキシン(TRX)、アビジンなどが含まれるが、これに限定されない。精製を容易にするエピトープタグは当技術分野において説明されている(例えば、Whitehorn et al., Biotechnology 13:1215-19(1995)を参照されたい)。ポリペプチドはe-hisタグを含んでもよく、e-hisタグは、ポリヒスチジン配列および抗e-エピトープ配列を含んでもよい(Pharmacia Biotech Catalog)。e-hisタグは、標準的な技法によって作ることができる。精製を容易にするために、精製用ドメインとポリペプチドとの間に、プロテアーゼにより切断可能なポリペプチドリンカー配列を含めることは有用である。ヒスチジン残基は、Porath et al. Protein Expression and Purification 3:263-281(1992))に記載のように、IMIAC(固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィー(IMAC)による精製を容易にするのに対して、エンテロキナーゼ切断部位は、融合タンパク質からポリペプチドを分離する方法を提供する。外来ポリペプチドを、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を有する融合タンパク質として発現させるために、pGEXベクター(Promega; Madison, WI)も使用することができる。一般的に、このような融合タンパク質は可溶性であり、リガンド-アガロースビーズ(例えば、GST融合の場合、グルタチオン-アガロース)に吸着させ、その後に、遊離リガンドの存在下で溶出させることによって、溶解細胞から容易に精製することができる。ポリペプチド精製を容易にする部分配列およびタンパク質精製のためのその使用のさらなる例は、例えば、国際公開公報番号WO 00/15823号に記載されている。関心対象のポリペプチドを発現させ、このような融合パートナーによって、または前記のように他の方法で、これを単離した後に、所望であれば、成熟ポリペプチドの立体配置を完成する際に、タンパク質リフォールディング工程を使用することができる。
本発明の融合タンパク質はまた、融合タンパク質の検出を促進する、1つまたは複数のさらなるペプチド断片またはペプチド部分を含んでもよい。例えば、レポーターペプチド断片または部分(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、β-ガラクトシダーゼ、その検出可能なドメイン)を融合タンパク質に組み込んでもよい。本発明のポリペプチドにコンジュゲート化することができるさらなるマーカー分子には、放射性核種、酵素、発蛍光団、低分子リガンドなどが含まれる。このような検出を促進する融合パートナーは、本明細書の他の場所で議論される診断法において用いられる融合タンパク質において特に有用である。
別の局面において、本発明のポリペプチドは、ポリペプチドの安定性、(シグナル標的化による分泌以外の)ポリペプチドの分泌、またはその両方を促進する、融合パートナーを含んでもよい。例えば、ポリペプチドは、ポリペプチドの安定性および/または分泌を促進する、免疫グロブリン(Ig)ドメイン、例えば、Fcヒンジ領域、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含むIgGポリペプチドを含んでもよい。
融合タンパク質ペプチド断片またはペプチド部分は、任意の適切なやり方で会合することができる。融合タンパク質の様々なポリペプチド断片または部分は、共有結合により(例えば、ペプチド結合またはジスルフィド結合によって)会合されてもよい。ポリペプチド断片または部分は直接融合されてもよい(例えば、本発明の抗原性配列または免疫原性配列のC末端が、精製用配列または異種免疫原性配列のN末端に融合されてもよい)。融合タンパク質は、ペプチド部分内またはペプチド部分間に、任意の適切な数の改変された結合、例えば、同配体を含んでもよい。その代わりとして、またはさらに、1つまたは複数のアミノ酸配列を含む1つまたは複数のポリペプチド断片または部分の間に、融合タンパク質は、生物学的に活性なペプチド部分の一部を形成しないペプチドリンカーを含んでもよい。任意の適切なペプチドリンカーを使用することができる。このようなリンカーは任意の適切なサイズでよい。典型的には、リンカーは、約30アミノ酸残基未満、約20アミノ酸残基未満、および/または10アミノ酸残基未満である。リンカーは、主に、中性アミノ酸残基を含んでもよく、または中性アミノ酸残基からなってもよい。適切なリンカーは、例えば、米国特許第5,990,275号、同第6,010,883号、同第6,197,946号、および欧州特許出願第0035384号に概説されている。ペプチド断片またはペプチド部分の分離が望ましければ、分離を容易にするリンカーを使用することができる。このようなリンカーの一例は米国特許第4,719,326号に記載されている。典型的には、グリシンおよび/またはセリン残基の組み合わせからなる「可撓性」リンカーが有利な場合がある。このようなリンカーの例は、例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-554 (1990)、Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883 (1988)、Glockshuber et al., Biochemistry 29:1362-1367 (1990)、およびCheadle et al., Molecular Immunol. 29:21-30 (1992)、Bird et al., Science 242:423-26(1988)、ならびに米国特許第5,672,683号、同第6,165,476号、および同第6,132,992号に記載されている。
リンカーを使用すると、2つのペプチド断片またはペプチド部分が融合することによって作り出され、融合タンパク質に存在する、意図されないMHCIおよび/またはMHCIIエピトープとなり得る、融合タンパク質に対する望ましくない免疫応答を弱めることもできる。同定されたエピトープを曝露から遮断するために、リンカーを使用することに加えて、同定された望ましくないエピトープ配列または隣接配列を、(例えば、PEG付着を促進するリジン残基を挿入することによって)ペグ化することができる。または、本発明の融合タンパク質の免疫原性を下げる技法は、融合タンパク質の投与と共に使用することができ、これには、米国特許第6,093,699号において提供される技法が含まれる。
ポリペプチドの作製
本発明のポリペプチド(本発明の融合タンパク質を含む)を産生および単離するための組換え法を下記に記載した。組換え産生に加えて、ポリペプチドは、固相技法を用いた直接ペプチド合成によって作製されてもよい(例えば、Stewart et al. (1969) Solid-Phase Peptide Synthesis, W.H. Freeman Co, San Francisco; Merrifield (1963) J. Am. Chem. Soc 85:2149-2154を参照されたい)。ペプチド合成は、手作業による技法を用いて、または自動化によって行われてもよい。自動化合成は、例えば、Applied Biosystems 431A Peptide Synthesizer (Perkin Elmer, Foster City, Calif.)を用いて、製造業者により提供された説明書に従って達成することができる。例えば、変異体CTLA-4ポリペプチドまたはその機能断片を得るために、部分配列を別々に化学合成し、化学的方法を用いて組み合わせてもよい。または、このような配列は、ポリペプチドの作製を専門とする多数の会社に注文することができる。最も一般的には、本発明のポリペプチドは、例えば、下記のように、コード核酸を発現させ、ポリペプチドを回収することによって作製される。
本発明は、本発明のポリペプチド(融合タンパク質を含む)を産生する方法を提供する。このような方法の1つは、本明細書に記載の任意の核酸を細胞集団に導入する工程であって、核酸は、コードされるポリペプチドを産生するのに有効な調節配列に機能的に連結されている、工程、培地中で細胞を培養して、ポリペプチドを産生する工程、および細胞または培地からポリペプチドを単離する工程を含む。細胞による取り込み(トランスフェクション)および/またはポリペプチド発現を促進するのに十分な量の核酸が用いられる。培地は、本明細書および実施例に記載の任意のものでよい。さらなる培地は当業者に公知である。核酸は、例えば、注射、無針注射装置、遺伝子銃、エレクトロポレーション(例えば、DNAエレクトロポレーション装置、Inovio Biomedical Corp. (San Diego))、経皮送達、受動取り込みなどを含む、本明細書に記載の任意の送達方法によって、このような細胞に導入される。本発明の核酸は、DNAプラスミドベクター、ウイルスベクター、または本明細書に記載の任意のベクターを含む、ベクター、例えば、組換え発現ベクターの一部でもよい。本発明の核酸または本発明の核酸を含むベクターは、本明細書の前記および下記の実施例に記載のように調製および処方することができる。このような核酸または発現ベクターは、インビボで哺乳動物の細胞集団に導入されてもよく、哺乳動物の選択された細胞(例えば、腫瘍細胞)が哺乳動物から取り出され、コードされるポリペプチドが取り込まれるおよび発現されるのに十分な量で、核酸発現ベクターがこのような細胞の集団にエクスビボで導入されてもよい。または、本発明の核酸または本発明の核酸を含むベクターは、培養細胞を用いてインビトロで作製される。1つの局面において、本発明のポリペプチドを産生する方法は、ベクターが取り込まれ、ポリペプチドが発現するような量および配合で、本明細書に記載の任意の核酸を含む組換え発現ベクターを細胞集団に導入する工程;本明細書に記載の任意の導入/送達形式で哺乳動物に発現ベクターを投与する工程;ならびに哺乳動物または哺乳動物の副産物からポリペプチドを単離する工程を含む。本発明のポリペプチドをコードする核酸配列を含む発現ベクターで宿主細胞をトランスフェクトするのに適した宿主細胞、発現ベクター、方法、細胞培養物、およびこのようなポリペプチドを細胞培養物から産生および回収するための手順は、下記の「本発明の核酸」という表題のセクションで詳述されている。さらなる産生方法は、下記の実施例において議論される。
前記のように、本発明のポリペプチド(本発明の融合タンパク質を含む)は、様々な変化、例えば、1つまたは複数のアミノ酸または核酸の挿入、欠失、および保存的置換または非保存的置換を受けてもよい。例えば、このような変化が、本発明のポリペプチドを使用する際に、例えば、本発明のポリペプチドの治療的使用もしくは予防的使用において、または投与もしくは診断用途において、特定の利益をもたらし得る場合を含む。アミノ酸置換、欠失、挿入、および付加を用いて、ポリペプチドの変種を作る手順は、当技術分野において日常的である。CD80および/もしくはCD86、またはその断片(例えば、ECD)に結合する望ましい能力、あるいは本明細書の他の場所に詳述されているようにインビトロまたはインビボで免疫応答を抑制する能力を有する、ポリペプチドおよびその変種は、当業者に公知のアッセイによって、および本明細書に記載のアッセイによって容易に同定される。例えば、以下の実施例において示されるアッセイを参照されたい。
下記でさらに詳細に議論される、本発明の核酸はまた、様々な変化、例えば、特定のコドンが同じまたは異なるアミノ酸をコードすることにより保存的置換もしくは非保存的置換をもたらすように、1つまたは複数のコドンにおける1つまたは複数の核酸の1個または複数の置換、あるいは配列内の1つまたは複数の核酸の1つまたは複数の欠失を受けてもよい。核酸はまた、発現系(例えば、哺乳動物細胞または哺乳動物発現系)において最適発現をもたらす1つまたは複数のコドンを含むと同時に、所望であれば、この1つまたは複数のコドンが同じアミノ酸をなおコードするように改変することができる。核酸の置換、欠失、挿入、および付加、ならびに縮重コドンを用いて、核酸の変種を作る手順は、当技術分野において日常的である。本明細書に記載の望ましい特性(例えば、CD80および/もしくはCD86に結合する能力、ならびに/またはインビトロもしくはインビボで免疫応答を抑制する能力)を有するポリペプチドをコードする核酸変種は、本明細書に記載のアッセイを用いて容易に同定される。このような核酸変化は、治療的使用もしくは予防的使用において、または投与もしくは診断用途において特定の利点をもたらす可能性がある。1つの局面において、核酸およびポリペプチドは、本発明のそれぞれの変異体CTLA-4ポリペプチドをコードする核酸の核酸配列と実質的に同一の核酸配列、または本発明の変異体CTLA-4ポリペプチドと実質的に同一のポリペプチド配列を含む限り、多くのやり方で改変することができる。
本発明の核酸
本発明は、本発明のポリペプチドをコードする単離されたまたは組換え型の核酸(本明細書ではポリヌクレオチドとも呼ばれる)を提供し、これは、総称して「本発明の核酸」(または「本発明のポリヌクレオチド」)と呼ばれる。本発明の核酸は下記の全てを含めて、本発明のポリペプチドの組換え産生(例えば、発現)において、典型的には、ポリペプチドまたはその断片をコードする配列を含むプラスミド発現ベクターを発現させることによる組換え産生において;治療剤として;予防剤として;診断ツールとして;相補的な核酸または部分的に相補的な核酸の存在についての診断プローブ(野生型CTLA-4核酸の検出用を含む)として有用である。例えば、下記の全てを含む本発明の核酸は、インビトロおよび/またはインビボ用途において、免疫応答(例えば、T細胞活性化、T細胞増殖、サイトカインの合成もしくは産生(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-2の産生)、活性化マーカー(例えば、CD25、IL-2受容体)の誘導、炎症、抗コラーゲン抗体産生、および/またはT細胞依存性抗体応答)の抑制または阻害において有用なポリペプチドをコードするので有用である。用途には、例えば、免疫応答の抑制が望まし免疫系の疾患、障害、および状態を処置する予防方法および/または治療方法(例えば、自己免疫の疾患および障害を処置する方法、ならびにレシピエントによるドナーからの組織移植、細胞移植、または臓器移植の拒絶反応を阻害する方法)が含まれる。本発明の核酸はまた、遺伝子療法、DNAワクチン接種、および免疫抑制療法に有用な発現ベクターに組み込むこともできる。核酸およびこのような核酸を含む本発明のベクターのさらなる使用は、本明細書の他の場所に記載されている。
1つの局面において、本発明は、「本発明のポリペプチド」という表題のセクションにおいて前述された、および本明細書の他の場所に記載の本発明の任意のポリペプチド(任意の融合タンパク質などを含む)をコードするヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。本発明はまた、前記のおよび本明細書の他の場所に記載の本発明の任意のポリペプチド(任意の融合タンパク質を含む)の2つまたはそれ以上の組み合わせをコードするヌクレオチド配列を含む単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。哺乳動物宿主、例えば、ヒトにおける発現に実質的に最適化されたコドンの配列を含む、任意の本発明のポリペプチド、例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質をコードする核酸も含まれる。
例えば、1つの局面において、本発明は、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86またはCD80および/もしくはCD86のポリペプチド断片(例えば、CD80および/もしくはCD86の細胞外ドメイン)に結合し、かつ/あるいはインビトロおよび/またはインビボで免疫応答を抑制するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。このようなポリペプチドの機能的な特性および特徴に関するさらなる詳細は、「本発明のポリペプチド」において前記で議論されている。このような核酸の一部は、hCTLA-4 ECDのアミノ酸長にほぼ等しいアミノ酸長;例えば、110〜138、112〜132、118〜130、119〜129、120〜128、121〜127、122〜126、123〜125、または124アミノ酸残基を有するポリペプチド配列を含むポリペプチドをコードする。SEQ ID NO:1-73に示した配列を含む変異体CTLA-4 ECDポリペプチドをコードする例示的な核酸は、それぞれ、例えば、SEQ ID NO:80-152に示したヌクレオチド配列を有する核酸を含むが、これに限定されない。例えば、SEQ ID NO:1に示したポリペプチド(クローンD3-1)をコードする例示的な核酸は、SEQ ID:80に示した核酸である。CD80および/もしくはCD86ならびに/またはそのいずれかもしくは両方のECDに結合し、かつ/あるいは免疫応答を抑制する能力を有するポリペプチドをコードする、任意のこのような核酸の断片も含まれる。
別の局面において、本発明は、(a)6個以下のアミノ酸残基(例えば、1個以下、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、または6個以下のアミノ酸残基)において、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択されるポリペプチド配列とは異なるポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86ならびに/またはそのいずれかもしくは両方の細胞外ドメインに結合し、かつ/あるいはインビトロおよび/またはインビボで、免疫応答を阻害するポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド)をコードするポリヌクレオチド配列、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸であって、(b)位置41、50、54、55、56、64、65、70、または85にあるポリペプチド配列中のアミノ酸残基が、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択されるポリペプチド配列の対応する位置にあるアミノ酸残基と同一であるポリペプチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。すなわち、このような選択されたポリペプチド配列中の、このような位置41、50、54、55、56、64、65、70、または85にあるアミノ酸残基は欠失も置換もされない。このような核酸の一部は、選択されたポリペプチド配列と、6個以下のアミノ酸残基だけ異なり、選択されたポリペプチド配列中の対応する位置にあるアミノ酸残基と同一のアミノ酸位置24、30、32、41、50、54、55、56、64、65、70、85、104および106より選択される2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、および/または14個の位置のアミノ酸残基を含む配列を含むポリペプチドをコードする。このようなポリペプチドは、選択されたポリペプチド配列と、アミノ酸欠失、付加、および/またはアミノ酸置換によって異なってもよい。アミノ酸置換は保存的置換でもよく、非保存的置換でもよい。例示的な保存的置換は、「配列バリエーション」という表題のセクションにおいて議論される。このようなポリペプチドの一部は、約118〜130、119〜129、120〜128、121〜127、122〜126、123〜125、または124アミノ酸残基の長さを有する配列を含む。このようなポリペプチドの機能的な特性および特徴のさらなる詳細は、前記で議論されている。例示的な核酸には、例えば、SEQ ID NO:80-152に示したヌクレオチド配列を含むものが含まれるが、これに限定されない。
別の局面において、本発明は、(a)6個以下のアミノ酸残基において、SEQ ID NO:159に示したヒトCTLA-4の細胞外ドメインのポリペプチド配列とは異なり、(b)SEQ ID NO:159のポリペプチド配列を基準として、位置50、54、55、56、64、65、70、または85に対応するアミノ酸位置にある少なくとも1個のアミノ酸置換を含むポリペプチド配列を含み、hCD80および/もしくはhCD86ならびに/またはそのいずれかもしくは両方のECDに結合し、かつ/あるいはインビトロおよび/またはインビボで免疫応答を阻害する、ポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECD)をコードするポリヌクレオチド配列、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。このような核酸の一部は、SEQ ID NO:159に示した配列を基準として、位置50、54、55、56、64、65、70、および85からなる群より選択される位置に、2個、3個、4個、5個、または6個のアミノ酸置換を含む、ポリペプチドをコードする。このようなポリペプチドをコードする核酸の一部は、SEQ ID NO:159を基準として、位置104および/または30に対応する位置にあるアミノ酸置換をさらに含む。このような核酸の一部は、SEQ ID NO:159を基準として、位置70(例えば、S70F)、位置64(例えば、S64P)、位置50(例えば、A50M)、位置54(例えば、M54K/V)、位置65(例えば、I65S)、位置56(例えば、N56D)、位置55(例えば、G55E)、位置85(例えば、M85A)、および/または位置24(例えば、A24E)において少なくとも1個のアミノ酸置換を含むポリペプチドをコードする。このようなポリペプチドはいずれも、SEQ ID NO:159を基準として、位置104(任意で、L104E/D、例えば、L104E)、位置30(例えば、T30N/D/A)、および/または位置32(例えば、V32I)においてアミノ酸置換をさらに含んでもよい。このような核酸の一部は、SEQ ID NO:159を基準として、A50M、M54K、G55E、N56D、S64P、I65S、およびS70Fからなる群より選択されるアミノ酸位置に1個または複数の置換を含むポリペプチドをコードする。このようなコードされるポリペプチドの一部は、約118-130、119-129、120-128、121-127、122-126、123-125、または124アミノ酸残基のアミノ酸長を有する配列を含む。このようなポリペプチドの機能的な特性および特徴のさらなる詳細は、前記で議論されている。
本発明はまた、(i) SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される任意のポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性、および(ii)SEQ ID NO:1-73からなる群より選択されるポリペプチド配列の位置70に対応するアミノ酸位置にあるフェニルアラニン残基を含むポリペプチド配列を含み、hCD80および/もしくはhCD86またはそのECDに結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害するポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECD)をコードするポリヌクレオチド配列、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。このような核酸の一部は、選択された配列を基準として、以下:位置24に対応するアミノ酸位置にあるグルタミン酸残基;位置30に対応するアミノ酸位置にあるアスパラギン残基;位置32に対応するアミノ酸位置にあるイソロイシン残基;位置50に対応するアミノ酸位置にあるメチオニン残基;位置54に対応するアミノ酸位置にあるリジン残基;位置55に対応するアミノ酸位置にあるグルタミン酸残基;位置56に対応するアミノ酸位置にあるアスパラギン酸残基;位置64に対応するアミノ酸位置にあるプロリン残基;位置65に対応するアミノ酸位置にあるセリン残基;および位置104に対応するアミノ酸位置にあるグルタミン酸残基の1つまたは複数を含むポリペプチドをコードする。このような核酸の一部は、約118〜130、119〜129、120〜128、121〜127、122〜126、123〜125、または124アミノ酸残基の長さを有するポリペプチド配列を含むポリペプチドをコードする。このようなポリペプチドの機能的な特性および特徴のさらなる詳細は、前記で議論されている。
別の局面において、本発明は、(a)6個以下のアミノ酸残基において、SEQ ID NO:159に示したヒトCTLA-4 ECDポリペプチドのポリペプチド配列と異なり、(b)S70Fである、少なくとも1個のアミノ酸置換を含むポリペプチド配列を含み、hCD80および/もしくはhCD86(ならびに/またはそのいずれかもしくは両方のECD)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害するポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECD)をコードするポリヌクレオチド配列、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。ここで、アミノ酸残基位置の番号はSEQ ID NO:159に従って付けられている。このような核酸の一部は、A24E、T30N、V32I、D41G、A50M、M54K、G55E、N56D、S64P、I65S、M85A、L104E、およびI106Fからなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換をさらに含むポリペプチドをコードする。このような核酸の一部は、約118〜130、119〜129、120〜128、121〜127、122〜126、123〜125、または124アミノ酸残基の長さを有するポリペプチド配列を含むポリペプチドをコードする。このようなポリペプチドの機能的な特性および特徴のさらなる詳細は、前記で議論されている。
別の局面において、本発明は、(a)6個以下のアミノ酸残基において、SEQ ID NO:31に示したポリペプチド配列とは異なり、(b)以下: SEQ ID NO:31の位置50に対応する位置にあるメチオニン残基、SEQ ID NO:31の位置54に対応する位置にあるリジン残基、SEQ ID NO:31の位置55に対応する位置にあるグルタミン酸残基、SEQ ID NO:31の位置64に対応する位置にあるプロリン残基、SEQ ID NO:31の位置65に対応する位置にあるセリン残基、SEQ ID NO:31の位置70に対応する位置にあるフェニルアラニン残基の少なくとも1つを含むポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86ならびに/またはそのいずれかもしくは両方のECDに結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害するポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECD)をコードするポリヌクレオチド配列、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。ここで、アミノ酸残基位置の番号はSEQ ID NO:31に従って付けられている。このようなコードされるポリペプチドの一部は、SEQ ID NO:31の位置104に対応する位置にあるグルタミン酸残基、位置30に対応する位置にあるアスパラギン酸残基、および/または位置32に対応する位置にあるイソロイシン残基を含む。このような核酸の一部は、約118〜130、119〜129、120〜128、121〜127、122〜126、123〜125、または124アミノ酸残基の長さを有するポリペプチド配列を含むポリペプチドをコードする。このようなポリペプチドの機能的な特性および特徴のさらなる詳細は、前記で議論されている。
別の局面において、本発明は、SEQ ID NO:80-158、201-204、223、および224からなる群より選択される少なくとも1つのポリヌクレオチド配列と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を含み、hCD80および/もしくはhCD86ならびに/またはそのいずれかもしくは両方のECDに結合し、かつ/あるいは免疫応答を抑制するポリペプチドをコードする、単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。SEQ ID NO:80-158によって特定されるポリヌクレオチド配列を含む例示的な核酸は、それぞれ、SEQ ID NO:1-79によって特定されるポリペプチド配列を含む例示的なポリペプチドをコードする。SEQ ID NO:201-204によって特定されるポリヌクレオチド配列を含む例示的な核酸は、それぞれ、SEQ ID NO:197-200によって特定されるポリペプチド配列を含む例示的なポリペプチドをコードする。
別の局面において、本発明は、(a)DNA配列中のチミンヌクレオチド残基が全てウラシルヌクレオチド残基で置換されている、SEQ ID NO:80-158、201-204、223、および224からなる群より選択されるDNA配列を含むRNAポリヌクレオチド配列と、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチド配列;(b)(a)の相補ポリヌクレオチド配列;または(c)(a)もしくは(b)の任意のポリヌクレオチド配列の断片、あるいはそのポリヌクレオチド配列を含み、(i)CD80および/もしくはCD86ならびに/またはそのいずれかもしくは両方のECDに結合し、かつ/あるいは(ii)インビトロまたはインビボで免疫応答(例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカインの合成もしくは産生(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-2の産生)、活性化マーカー(例えば、CD25、IL-2受容体)の誘導、炎症、抗コラーゲン抗体産生、および/またはT細胞依存性抗体応答)を抑制する能力を有するポリペプチドをコードする、単離されたまたは組換え型の核酸を含む。
本発明は、前記の任意の本発明のポリペプチドの任意の多量体(例えば、二量体、四量体など)をコードする単離されたまたは組換え型の核酸を含む。本明細書の他の場所で詳述されているように、2つの本発明のポリペプチド(2つの融合タンパク質を含む)を含む二量体は、典型的には、細胞プロセシング中に、一方のポリペプチドのシステイン残基と他方のポリペプチドのシステイン残基と間に1つまたは複数のジスルフィド共有結合が生じることによって融合する。他の多量体も同様に形成することができる。例えば、非限定的な局面において、本発明は、2つのポリペプチドを含む組換えポリペプチド二量体をコードするポリヌクレオチド配列またはその相補ポリヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸であって、このようなポリペプチドはそれぞれ、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含み、二量体は、hCD80および/もしくはhCD86に結合し、かつ/または免疫応答を阻害する、単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。2つのポリペプチドを含むポリペプチド二量体をコードするポリヌクレオチド配列、またはその相補ポリヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸であって、このようなポリペプチドはそれぞれ、6個以下のアミノ酸残基においてhCTLA-4 ECD(SEQ ID NO:159)のポリペプチド配列と異なり、SEQ ID NO:159を基準として、A50M、M54K、G55E、N56D、S64P、I65S、およびS70Fからなる群より選択されるアミノ酸位置において少なくとも1つの置換を含み、任意で、置換L104Eをさらに含み、二量体は、hCD80および/もしくはhCD86に結合し、かつ/または免疫応答を阻害する、単離されたまたは組換え型の核酸も含まれる。このような二量体の機能特性のさらなる詳細は、前記で議論されている。
本発明はまた、本発明の任意の多量体融合タンパク質(例えば、二量体、四量体など)を含む、本発明の任意の融合タンパク質をコードする単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。1つの局面において、本発明は、(a)SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含むポリペプチド、および(b)Igポリペプチドを含み、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を抑制する能力を有する融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。Igポリペプチドは、Ig Fcポリペプチドを含んでもよく、Ig Fcポリペプチドには、例えば、SEQ ID NO:184-186および218からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含むIg Fcポリペプチドが含まれる。このような2つの単量体融合タンパク質を含む二量体融合タンパク質は、典型的には、細胞プロセシング中に、一方の単量体融合タンパク質のシステイン残基と他方の単量体融合タンパク質のシステイン残基と間にジスルフィド共有結合が生じることによって形成される。他の多量体も同様に形成することができる。このような融合タンパク質の機能的な特性および特徴のさらなる詳細は、前記で議論されている。
別の局面において、本発明は、2つの単量体融合タンパク質(例えば、単量体変異体CTLA-4-Ig)を含むタンパク質二量体(例えば、変異体CTLA-4-Ig二量体)をコードするポリヌクレオチド配列、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。ここで、それぞれの単量体融合タンパク質は、(a)SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含むポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECD)、および(b)Igポリペプチドを含み、融合タンパク質二量体は、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害または抑制する能力を有する。2つの単量体融合タンパク質は発現すると、それぞれの単量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質に存在する2つのシステイン残基間で形成した少なくとも1つのジスルフィド結合を介して連結される。Igポリペプチドは、Ig Fcポリペプチドを含んでもよく、Ig Fcポリペプチドには、例えば、SEQ ID NO:184-186および218からなる群より選択される配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する配列を含むIg Fcポリペプチドが含まれる。場合によっては、(a)のポリペプチドのC末端は、(b)のIg FcポリペプチドのN末端に共有結合により連結または融合される。このような二量体の機能的な特性および特徴のさらなる詳細は、前記で議論されている。
停止コドン(例えば、tga)は、典型的には、関心対象のタンパク質の発現のために核酸配列が発現ベクターに含まれる場合には、それぞれの核酸配列のC末端に含まれる。例えば、変異体CTLA-4ポリペプチドまたは変異体CTLA-4融合タンパク質をコードする本発明のヌクレオチド配列はそれぞれ、任意で、C末端に停止コドン、例えば、TAAをさらに含んでもよい。TAAの変わりに、異なる停止コドン、例えば、TGA停止コドンが用いられてもよい。野生型融合タンパク質(例えば、hCTLA-4-Ig、hCD86-Igなど)をコードする核酸配列もまた、そのC末端に停止コドンを含んでもよい。ヌクレオチド配列はそれぞれ、任意で、N末端に、変異体CTLA-4ポリペプチドまたは融合タンパク質の分泌を促進するシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含んでもよい。
例示的な変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体には、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222に示したポリペプチド配列を含むものが含まれる。SEQ ID NO:74-79、197-200、220および222の変異体CTLA-4 Ig融合タンパク質をコードする例示的な核酸を、それぞれ、SEQ ID NO:153-158、201-204、および223-224に示した。SEQ ID NO:205-210、211-214、219、および221の融合タンパク質配列は、それぞれ、SEQ ID NO:205-210のタンパク質配列がC末端リジン(K)残基を含まない以外は、SEQ ID NO:74-79、197-200、220、および222のタンパク質配列と同一である。前記で説明したように、推定C末端リジン残基は、このような各ポリヌクレオチド配列のTAA停止コドンの直前にあるAAAコドンによってコードされ、プロセシング中または分泌中に、結果として生じる融合タンパク質から切断されると考えられる。SEQ ID NO:153-158、201-204、および223-224の核酸配列は、それぞれ、SEQ ID NO:74-79、197-200、220、および222の融合タンパク質配列をコードする。これらの融合タンパク質配列はそれぞれ、C末端K残基が切断された/消失した後に、SEQ ID NO:205-210、211-214、219、および221それぞれに示した融合タンパク質配列を生じる。
ポリヌクレオチド配列SEQ ID NO:153-158、201-204、および223-224もまたそれぞれ、N末端に、SEQ ID NO:181または215に示したシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。このシグナルペプチドは最終的には切断されて、成熟融合タンパク質を形成する。SEQ ID NO:153-158、201-204、および223-224の各ポリヌクレオチド配列のN末端から数えた時に、このような各ポリヌクレオチド配列のヌクレオチド残基1-111(ヌクレオチド残基1-111をSEQ ID NO:215に示した)は、SEQ ID NO:216に示した37アミノ酸残基WT hCTLA-4シグナルペプチドをコードする。このシグナルペプチドは、最終的には、成熟変異体CTLA-4融合タンパク質単量体または二量体が発現すると切断される。従って、SEQ ID NO:153-158、201-204、および223-224の核酸配列それぞれについて、成熟IgG2融合タンパク質の1番目のアミノ酸残基(メチオニン)をコードする1番目のコドンは、前記ヌクレオチド配列のヌクレオチド残基112-114からなる。前記のように、場合によっては、シグナルペプチド配列は、SEQ ID NO:182に示したアミノ酸残基1-35のみを含んでもよく、この35アミノ酸残基シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を、SEQ ID NO:181に示した。それにもかかわらず、コードされている位置36のリジン(K)残基および位置37のアラニン(A)残基(2つのコドンAAA-GCCによってコードされている)は、結果として生じた成熟変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質に存在せず、プロセシング中に成熟変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質から切断されたと考えられる。成熟変異体CTLA-4タンパク質配列は、典型的には、コードされている変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質のアミノ酸残基位置38に存在するメチオニン残基から始まる。
別の局面において、本発明は、2つの同一の単量体融合タンパク質(例えば、単量体変異体CTLA-4-Ig)を含む融合タンパク質二量体(例えば、変異体CTLA-4-Ig二量体)をコードするポリヌクレオチド配列、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。ここで、このような単量体融合タンパク質はそれぞれ、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含み、融合タンパク質二量体は、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する能力を有する。CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する能力を有する、このような単量体融合タンパク質をコードする単離されたまたは組換え型の核酸も提供される。例示的な変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体には、SEQ ID NO:74-79、197-200、220、および222に示したポリペプチド配列を含むものが含まれる。変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体として発現される、このような変異体CTLA-4 Ig融合タンパク質をコードする例示的な核酸には、それぞれ、SEQ ID NO:153-158、201-204、および223-224に示したポリヌクレオチド配列を含むものが含まれる。さらなる例示的な変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体は、融合タンパク質二量体として発現される、SEQ ID NO:205-210、211-214、219、および222のポリペプチド配列を含む。これらの融合タンパク質は、C末端リジン残基を欠いている。なぜなら、C末端リジン残基は、典型的には、プロセシング中に、または分泌前に切断されるからである。C末端リジンを有する(リジンは後で切断される)、これらの融合タンパク質配列をコードする例示的な核酸には、それぞれ、SEQ ID NO:153-158、201-204、および223-224のポリヌクレオチド配列が含まれる。
別の局面において、本発明は、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する能力を有する融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。
別の局面において、本発明は、SEQ ID NO:153-158、201-204、および223-224からなる群より選択されるポリヌクレオチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する能力を有する変異体CTLA-4-Igタンパク質二量体をコードする、単離されたまたは組換え型の核酸を含む。
別の局面において、本発明は、2つの単量体融合タンパク質(例えば、単量体変異体CTLA-4-Ig)を含む融合タンパク質二量体(例えば、変異体CTLA-4-Ig二量体)をコードするポリヌクレオチド配列、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。ここで、このような単量体融合タンパク質はそれぞれ、(1)6個以下のアミノ酸残基において、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択されるポリペプチド配列とは異なるポリペプチド配列を含むポリペプチドであって、位置41、50、54、55、56、64、65、70、または85にあるポリペプチド配列中のアミノ酸残基は、選択された前記ポリペプチド配列(例えば、SEQ ID NO:1-73より選択されるポリペプチド)の対応する位置にあるアミノ酸残基と同一である、ポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECD)、ならびに(2)Ig Fcポリペプチドを含み、二量体は、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する。このような二量体の機能的な特性および特徴のさらなる詳細は、前記で議論されている。CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する能力を有する、このような単量体融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、組換えまたは単離された核酸も提供される。
別の局面において、本発明は、2つの単量体融合タンパク質(例えば、2つの単量体変異体CTLA-4-Ig)を含む融合タンパク質二量体(例えば、変異体CTLA-4-Ig二量体)をコードするポリヌクレオチド配列またはその相補ポリヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。ここで、このような単量体融合タンパク質はそれぞれ、(1)(a)6個以下のアミノ酸残基において、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択されるポリペプチド配列と異なり、(b)SEQ ID NO:159のポリペプチド配列を基準として、位置50、54、55、56、64、65、70、または85に対応するアミノ酸位置にある少なくとも1個のアミノ酸置換を含むポリペプチド配列を含む変異体CTLA-4の細胞外ドメインポリペプチド;ならびに(2)Igポリペプチドを含み、融合タンパク質二量体は、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する。このような二量体の機能的な特性および特徴のさらなる詳細は、前記で議論されている。Igポリペプチドは、Ig Fcポリペプチドを含んでもよい。Ig Fcポリペプチドには、例えば、SEQ ID NO:184-186および218からなる群より選択される配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する配列を含むIg Fcポリペプチドが含まれる。(a)のこのようなポリペプチドの一部は、SEQ ID NO:159を基準として、A50M、M54K、G55E、N56D、S64P、I65S、およびS70Fからなる群より選択されるアミノ酸位置において少なくとも1つの置換を含む。(a)のこのようなポリペプチドの一部は、SEQ ID NO:159を基準として、位置104(例えば、L104E/D)、位置30(例えば、T30N/D/A)、および/または位置32(例えば、V32I)においてアミノ酸置換をさらに含む。CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する能力を有する、このような単量体融合タンパク質をコードする組換えまたは単離された核酸も提供される。
別の局面において、本発明は、2つの単量体融合タンパク質(例えば、単量体変異体CTLA-4-Ig)を含む融合タンパク質二量体(例えば、変異体CTLA-4-Ig二量体)をコードする単離されたまたは組換え型の核酸、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を含む。ここで、このような単量体融合タンパク質はそれぞれ、(1)(i)SEQ ID NO:1-73からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有し、(ii)SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される前記ポリペプチド配列の位置70に対応するアミノ酸位置にあるフェニルアラニン残基を含むポリペプチド配列を含むポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECD);および(2)Igポリペプチドを含み、融合タンパク質二量体は、CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する能力を有する。コードされるIgポリペプチドは、SEQ ID NO:184-186および218からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含むIg Fcポリペプチドを含んでもよい。このようなコードされる二量体の一部は、(1)(i)の選択された前記ポリペプチド配列を基準として、以下:位置24に対応する位置にあるGlu残基;位置30に対応する位置にあるAsn;位置32に対応する位置にあるIle残基;位置50に対応する位置にあるMet残基;位置54に対応する位置にあるLys残基;位置55に対応する位置にあるGlu残基;位置56に対応する位置にあるAsp残基;位置64に対応する位置にあるPro残基;位置65に対応するアミノ酸位置にあるSer残基;および位置104に対応する位置にあるGlu残基の1つまたは複数を含む。このような二量体の機能的な特性および特徴のさらなる詳細は、前記で議論されている。CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する能力を有する、このような単量体融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、組換えまたは単離された核酸も提供される。
別の局面において、本発明は、2つの単量体融合タンパク質(例えば、単量体変異体CTLA-4-Ig)を含む融合タンパク質二量体(例えば、変異体CTLA-4-Ig二量体)をコードする単離されたまたは組換え型の核酸、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を含む。ここで、このような単量体融合タンパク質はそれぞれ、(1)(a)6個以下のアミノ酸残基において、SEQ ID NO:159に示したヒトCTLA-4 ECDポリペプチドのポリペプチド配列と異なり、(b)S70Fを含む、少なくとも1個のアミノ酸置換を含むポリペプチド配列を含むポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECD);および(2)IgG Fcポリペプチドを含み、二量体は、hCD80および/もしくはhCD86(ならびに/またはhCD86-Igおよび/もしくはhCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する。ここで、アミノ酸残基位置の番号はSEQ ID NO:159に従って付けられている。Ig Fcポリペプチドは、SEQ ID NO:184-186および218からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する配列を含んでもよい。(1)のコードされるポリペプチドは、A24E、T30N、V32I、D41G、A50M、M54K、G55E、N56D、S64P、I65S、M85A、L104E、およびI106Fからなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換をさらに含んでもよい。このような二量体の機能的な特性および特徴のさらなる詳細は、前記で議論されている。CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する能力を有する、このような単量体融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、組換えまたは単離された核酸も提供される。
別の局面において、本発明は、2つの単量体融合タンパク質(例えば、単量体変異体CTLA-4-Ig)を含む融合タンパク質二量体(例えば、変異体CTLA-4-Ig二量体)をコードする、単離されたまたは組換え型の核酸、あるいはその相補ポリヌクレオチド配列を提供する。ここで、このような単量体融合タンパク質はそれぞれ、(1)(a)6個以下のアミノ酸残基において、SEQ ID NO:31のポリペプチド配列と異なり、(b)以下:SEQ ID NO:31の位置50に対応する位置にあるメチオニン残基、SEQ ID NO:31の位置54に対応する位置にあるリジン残基、SEQ ID NO:31の位置55に対応する位置にあるグルタミン酸残基、SEQ ID NO:31の位置64に対応する位置にあるプロリン残基、SEQ ID NO:31の位置65に対応する位置にあるセリン残基、SEQ ID NO:31の位置70に対応する位置にあるフェニルアラニン残基の少なくとも1つを含むポリペプチド配列を含むポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECD);および(2)Igポリペプチドを含み、二量体は、hCD80および/もしくはhCD86(ならびに/またはhCD86-Igおよび/もしくはhCD86-Ig)に結合し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する。ここで、アミノ酸残基位置の番号はSEQ ID NO:31に従って付けられている。Igポリペプチドは、Ig Fcポリペプチドを含んでもよく、Ig Fcポリペプチドには、例えば、SEQ ID NO:184-186および218からなる群より選択される配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する配列を含むIg Fcポリペプチドが含まれる。このような二量体または単量体の一部において、(1)のポリペプチドは、SEQ ID NO:31の位置104に対応する位置にあるグルタミン酸残基、位置30に対応する位置にあるアスパラギン酸残基、および/または位置32に対応する位置にあるイソロイシン残基を含む。このような二量体の機能的な特性および特徴のさらなる詳細は、前記で議論されている。CD80および/もしくはCD86(ならびに/またはCD80-Igおよび/もしくはCD86-Ig)に結合するならびに/あるいは免疫応答を阻害する能力を有する、このような単量体融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、組換えまたは単離された核酸も提供される。
hCD80および/もしくはhCD86ならびに/またはそのいずれかもしくは両方のECDに結合し、かつ/あるいは免疫応答を抑制または阻害する能力を有するポリペプチドをコードする、前記の任意のこのような本発明の核酸の断片も本発明に含まれる。これらの核酸の多くの断片は、hCD80および/hCD86またはそのECDに結合する、あるいは免疫応答を抑制するポリペプチドを発現し、この特性は、適当な実験によって容易に特定することができる。ヌクレオチド断片は、典型的には、少なくとも250、300、400、500、600、700、800、900、950、1000、またはそれ以上のヌクレオチド塩基を含む。
本発明は、CD80および/もしくはCD86に結合し、かつ/または本明細書の他の場所で詳述されているように、インビトロまたはインビボのアッセイおよび/または方法において、免疫応答を抑制する、シグナルペプチドおよび本発明のポリペプチドを含むタンパク質(本発明の二量体もしくは単量体の融合タンパク質を含む)、例えば、本発明の変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質をコードする、単離されたまたは組換え型の核酸を含む。原核細胞膜または真核細胞膜を通して成熟ポリペプチドを分泌させる、コードされるシグナルペプチド配列は、典型的には、前記ポリペプチドのアミノ末端に共有結合により連結される。例えば、SEQ ID NO:181に示したヌクレオチド配列によってコードされる、例えば、SEQ ID NO:182に示したシグナルペプチド配列、または、例えば、SEQ ID NO:215に示したヌクレオチド配列によってコードされる、SEQ ID NO:216に示したシグナルペプチド配列を含む、様々なシグナルペプチドを使用することができる。本発明はまた、前記で詳細に議論されたように、シグナルペプチド、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド、膜貫通ドメイン、および/または細胞質ドメインを含むタンパク質コードする、単離されたまたは組換え型の核酸も含む。
完全長ヒトCTLA-4タンパク質のシグナルペプチド配列は、本発明の組換え変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を発現または分泌するために使用することができる。1つの局面において、hCTLA-4タンパク質のシグナルペプチド(SP)は、hCTLA-4タンパク質のアミノ酸残基1-37を含む。このシグナルペプチド配列を、SEQ ID NO:216に示した。この場合、成熟hCTLA-4タンパク質は、典型的には、位置38のメチオニン残基から始まり、従って、成熟hCTLA-4タンパク質のアミノ酸残基の番号は、1番目のアミノ酸(すなわち、位置1を占めるアミノ酸)と指定された、このメチオニン残基から付けられる。従って、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質それぞれの発現または分泌を促進するように、SEQ ID NO:216に示したペプチド配列を含むシグナルペプチドを、本発明の変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質のアミノ(N)末端に、例えば、共有結合によって、融合または連結することができる。SEQ ID NO:216のhCTLA-4シグナルペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含む例示的な核酸を、SEQ ID NO:215に示した。
SEQ ID NO:216のシグナルペプチド配列が変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質のN末端に融合または連結されている場合、前記ポリペプチドまたは融合タンパク質が発現または分泌されると、シグナルペプチドは切断される。結果として生じた成熟変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは成熟変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質は、典型的には、位置38のメチオニン残基から始まり、従って、成熟変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは成熟変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質のアミノ酸残基の番号は、1番目のアミノ酸(すなわち、位置1を占めるアミノ酸)と指定された、このメチオニン残基から始まる。
本発明は、シグナルペプチド(例えば、SEQ ID NO:216)および変異体CTLA-4 ECDポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:1-73の群より選択される配列)を含む、単離されたまたは組換え型のポリペプチドを含む。ここで、シグナルペプチドは、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのN末端に共有結合により連結されている。シグナルペプチド(例えば、SEQ ID NO:216)および変異体CTLA-4-Ig(例えば、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222の群より選択される配列)を含む、単離されたまたは組換え型のポリペプチドも含まれる。シグナルペプチドは、変異体CTLA-4-IgのN末端に共有結合により連結されている。シグナルペプチド(例えば、SEQ NO:216)をコードするヌクレオチド配列(例えば、SEQ ID NO:215)、ならびに変異体CTLA-4 ECDポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:1-73の群より選択される配列)をコードするヌクレオチド配列または変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質(例えば、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222の群より選択される配列)をコードするヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸も提供される。
別の局面において、完全長hCTLA-4タンパク質のシグナルペプチドは、完全長hCTLA-4タンパク質の残基1-35を含む。このシグナルペプチドは、SEQ ID NO:182に示したペプチド配列を含む。それにもかかわらず、この場合、hCTLA-4タンパク質の位置36および位置37の2つのアミノ酸残基リジン(K)およびアラニン(A)は、典型的には、タンパク質配列決定によって決定された成熟分泌型hCTLA-4タンパク質には無い。従って、結果として生じた成熟hCTLA-4タンパク質も同様に位置38のメチオニン残基から始まり、従って、成熟hCTLA-4タンパク質のアミノ酸残基の番号は、成熟hCTLA-4タンパク質の1番目のアミノ酸と指定された、hCTLA-4タンパク質の位置38にある、このメチオニン残基から付けられる。完全長hCTLA-4タンパク質の位置36および位置37のアミノ酸残基リジン(K)およびアラニン(A)は、結果として生じた成熟hCTLA-4タンパク質には存在しないので、プロセシング中に成熟hCTLA-4タンパク質から切断されたと考えられる。hCTLA-4シグナルペプチド配列(SEQ ID NO:182)をコードするヌクレオチド配列を含む例示的な核酸を、SEQ ID NO:181に示した。
変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質それぞれの発現または分泌を促進するように、SEQ ID NO:182に示したペプチド配列を含むシグナルペプチドを、本発明の変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質のN末端に、例えば、共有結合によって融合または連結することができる。SEQ ID NO:182のシグナルペプチド配列が、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質のN末端に融合または連結され、そのポリペプチドまたは融合タンパク質が発現または分泌されると、シグナルペプチドは切断される。それにもかかわらず、結果として生じた成熟変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは成熟変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質は、位置38のメチオニン残基から始まり、従って、成熟変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは成熟変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質のアミノ酸残基の番号は、1番目のアミノ酸(すなわち、位置1を占めるアミノ酸)と指定された、このメチオニン残基から付けられる。完全長hCTLA-4タンパク質の位置36および位置37のアミノ酸残基リジン(K)およびアラニン(A)は、結果として生じた成熟変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは成熟変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質に存在しないので、プロセシング中に変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質から切断されたと考えられる。
本発明は、シグナルペプチド(例えば、SEQ ID NO:182)および変異体CTLA-4 ECDポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:1-73の群より選択される配列)を含む、単離されたまたは組換え型のポリペプチドを含む。ここで、シグナルペプチドは、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのN末端に共有結合により連結されている。シグナルペプチド(例えば、SEQ ID NO:182)ならびに変異体CTLA-4-Ig(例えば、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222の群より選択される配列)を含む、単離されたまたは組換え型のポリペプチドも含まれる。ここで、シグナルペプチドは、変異体CTLA-4-IgのN末端に共有結合により連結されている。シグナルペプチド(例えば、SEQ NO:182)をコードするヌクレオチド配列(例えば、SEQ ID NO:181)、および変異体CTLA-4 ECDポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:1-73の群より選択される配列)をコードするヌクレオチド配列または変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質(例えば、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222の群より選択される配列)をコードするヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸も提供される。
本発明の核酸は、1つまたは複数の適切なさらなるヌクレオチド配列をさらに含んでもよい。例えば、本発明のポリペプチド(本発明の融合タンパク質を含む)が、1つまたは複数のさらなるポリペプチド配列、例えば、ポリペプチド精製用部分配列(例えば、部分配列は、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジン配列、およびGST融合より選択される)、シグナルペプチド配列などを含んでもよければ、本発明は、このようなさらなる配列を含むこのようなポリペプチドの全てをコードする核酸を含む。例示的なシグナルペプチドは発現時には、典型的には、本発明のポリペプチドのN末端に共有結合により連結されており、前記で議論されている。例えば、SEQ ID NO:1-79、197-200、205-214、および219-222のいずれかのポリペプチド配列をコードする核酸は、シグナルペプチド、例えば、SEQ ID NO:182のシグナルペプチド配列をコードする核酸、例えば、SEQ ID NO:181に示したヌクレオチド配列、または、例えば、SEQ ID NO:215に示したヌクレオチド配列によってコードされる、SEQ ID NO:216に示したシグナルペプチド配列をコードする核酸をさらに含んでもよい。このようなヌクレオチド配列は、結果として生じる核酸が、本発明のシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列および本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むように、適切な読み枠で直接融合してもよい。
本発明の核酸は、任意の適切な技法によって単離することができる。これらの技法のうち、いくつかは当技術分野において公知である。単離された本発明の核酸(例えば、宿主細胞内で調製され、その後に任意の適切な核酸精製法によって実質的に精製された核酸)は宿主細胞に再導入されてもよく、細胞環境または他の生物学的環境もしくは生物学的組成物に再導入されてもよく、ここでは、本発明の核酸はもはや優勢な核酸種でなく、もはや他の核酸から分離されていない。
標準的な技法を使用して、ほぼ全ての本発明の単離されたまたは組換え型の核酸を、さらに大きな適切な核酸分子(例えば、染色体、プラスミド、発現ベクターもしくはカセット、ウイルスゲノム、遺伝子配列、線状発現エレメント、細菌ゲノム、植物ゲノム、または人工染色体、例えば、哺乳動物人工染色体(MAC)、あるいはその酵母対応物および細菌対応物(すなわち、YACまたはBAC)を含むが、これに限定されない)に挿入または融合して、組換え核酸を形成することができる。別の例として、単離された本発明の核酸を、さらに小さなヌクレオチド配列、例えば、プロモーター配列、免疫賦活性配列、ならびに/または他のアミノ酸、例えば、他の抗原エピトープおよび/もしくはリンカー配列をコードする配列に融合して、組換え核酸を形成することができる。
場合によっては、組換え核酸または合成核酸は、宿主細胞の状況を離れて適用される化学合成法によって作製されてもよい(例えば、核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または化学合成法によって作製される。この例は本明細書においてさらに説明される)。
本発明のポリペプチド(融合タンパク質を含む)をコードする核酸は、本発明のポリペプチドの発現または他の望ましい生物学的活性(例えば、他の核酸とのハイブリダイゼーション)を可能にする任意の適切な化学的組成を有してよい。本発明のポリヌクレオチドはRNAの形でもよく、DNAの形でもよく、mRNA、cRNA、組換えまたは合成のRNAおよびDNA、ならびにcDNAを含む。本発明の核酸は、典型的には、DNA分子、通常、二本鎖DNA分子である。しかしながら、本発明の任意のヌクレオチド配列を含む、一本鎖DNA、一本鎖RNA、二本鎖RNA、およびハイブリッドDNA/RNA核酸またはその組み合わせも提供される。本発明の核酸は、任意の適切なヌクレオチド塩基、塩基類似体、および/またはバックボーン(例えば、ホスホジエステル結合ではなくホスホチオエートによって形成される、またはホスホチオエートを含むバックボーン。例えば、ホスホチオエートバックボーンまたはホスホロチオエートバックボーンを含むDNA)を含んでもよい。本発明の核酸が一本鎖であれば、コード鎖でもよく、非コード(すなわち、アンチセンスまたは相補)鎖でもよい。本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは変異体CTLA-4-Igのコード配列を含むヌクレオチド配列)に加えて、本発明のポリヌクレオチドは、例えば、融合タンパク質、標的化配列(シグナル配列以外)などをコードするように、1つまたは複数のさらなるコードヌクレオチド配列を含んでもよく(このさらに具体的な例は本明細書においてさらに開示される)、および/または非コードヌクレオチド配列、例えば、イントロン、ターミネーター配列、または5'非翻訳領域および/もしくは3'非翻訳領域、この領域は適切な宿主におけるコード配列の発現に有効である場合がある、ならびに/あるいは制御エレメント、例えば、プロモーター(例えば、天然プロモーターまたは組換えプロモーターまたはシャッフルされたプロモーター)を含んでもよい。
核酸に対する改変は、このようなポリペプチドをコードするmRNAコドン配列の3番目の位置において特に許容される。特定の局面において、核酸の少なくとも一部はホスホロチオエートバックボーンを含み、これにより、核酸配列内の天然ヌクレオチドの代わりに、または天然ヌクレオチドに加えて、少なくとも1つの合成ヌクレオチド類似体が組み込まれる。また、もしくはその代わりに、核酸は、グアニン、アデニン、ウラシル、チミン、およびシトシン以外の塩基の付加を含んでもよい。このような改変は長い半減期と関連する場合があり、従って、本発明の核酸ベクターにおいて望ましい場合がある。従って、1つの局面において、本発明は、上述の改変の少なくとも1つ、またはその任意の適切な組み合わせを含む、組換え核酸および核酸ベクター(下記でさらに議論される)を提供する。ここで、核酸は、このような改変を含まない実質的に同一の核酸より長く哺乳動物宿主内に残る。本発明のヌクレオチド配列に組み込むことができる、改変されたヌクレオチドおよび/または非シトシン、非アデニン、非グアニン、非チミンヌクレオチドの例は、例えば、米国特許審査便覧2422項(第7版-2000)において示される。
前記および本明細書の他の場所に記載のものを含む、本発明のポリペプチド(本発明の融合タンパク質を含む)の少なくとも1つをコードする核酸は、本発明のポリペプチドの発現または産生を直接コードする配列に限定されないことが理解されるはずである。例えば、核酸は、(例えば、Colson and Davis (1994) Mol. Microbiol. 12(3):959-63、Duan et al. (1997) Cell 89(4):555-64、Perler (1998) Cell 92(1):1-4、Evans et al.(1999) Biopolymers 51(5):333-42、およびde Grey, Trends Biotechnol. 18(9):394-99(2000)に記載のように)インテイン様発現を介して本発明のポリペプチドとなるヌクレオチド配列、または組換えポリペプチドをコードする中間配列(例えば、米国特許第6,010,884号に記載)を形成する、自己スプライシングイントロン(もしくは他の自己スプライシングRNA転写物)を含むヌクレオチド配列を含んでもよい。また、もしくはその代わりとして、核酸は、RNAレベルでは、ポリペプチドをコードするmRNA転写物を生じるように、および/またはDNAレベルでは、転写前にトランススプライシング機構によって、他のスプライス改変をもたらす配列を含んでもよい(このような機構に関する原理は、例えば、Chabot, Trends Genet. (1996) 12(11):472-78、Cooper (1997) Am. J. Hum. Genet. 61(2):259-66、およびHertel et al. (1997) Curr. Opin. Cell. Biol. 9(3):350-57に記載されている)。固有の遺伝暗号縮重のために、いくつかの核酸は、本発明のいずれの特定のポリペプチドもコードし得る。従って、例えば、1つまたは複数のコドンを、遺伝暗号縮重に基づいて(コドンに求められるアミノ酸に関して)等価なコドンで置換することによって、本明細書に記載の任意の特定の核酸を改変することができる。または、本発明のポリペプチド配列と同じ、または機能的に等価な配列を有するポリペプチドをコードする他のヌクレオチド配列もまた、このようなポリペプチドを合成、クローニング、および発現するのに使用することができる。
一般的に、本発明のポリペプチドをコードする前記の核酸(例えば、変異体CTLA-4 ECDまたは変異体CTLA-4-Igをコードする核酸)に関して本明細書において例示される技法を用いて、特定の宿主において発現を増大させるように、本発明の任意の核酸を改変することができる。本明細書に記載の本発明のいずれの核酸も、特定の哺乳動物(通常、ヒト)における発現のためにコドン最適化することができる。様々なコドン最適化法が当技術分野において公知である。特定の宿主において最も多く用いられるコドンは最適コドンと呼ばれ、あまり用いられないコドンは、稀なコドンまたは低使用頻度コドンと分類される(例えば、Zhang, S. P. et al.(1991) Gene 105:61-72を参照されたい)。コドンは、宿主の好ましいコドン使用頻度を反映するように置換することができ、このプロセスは、「コドン最適化」または「種コドンの偏りを制御する」と呼ばれる。特定の原核生物宿主または真核生物宿主に好ましいコドンを含む最適化コード配列を用いて、翻訳速度を上げることができる、または望ましい特性、例えば、非最適化配列から作製された転写物と比較して長い半減期を有する組換えRNA転写物を作製することができる。コドン最適化配列を作製する技法は公知である(例えば、E. et al. (1989) Nuc. Acids Res. 17:477-508を参照されたい)。翻訳停止コドンもまた、宿主の好みを反映するように改変することができる。例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(S. cerevisiae)および哺乳動物に好ましい停止コドンは、それぞれ、UAAおよびUGAである。単子葉植物に好ましい停止コドンはUGAであるのに対して、昆虫および大腸菌は、停止コドンとしてUAAを使用することを好む(例えば、Dalphin, M.E. et al.(1996) Nuc. Acids Res. 24:216-218を参照されたい)。他のコドンに関するコドンの配置もまた核酸配列の生物学的特性に影響を及ぼすことがある。特定の宿主によく見られるコドンコンテキスト配置をもたらすように核酸を改変することも本発明者らによって意図される。従って、本発明の核酸配列は、特定の種に対する、コドン最適化ヌクレオチド配列、すなわち、コドン頻度最適化および/またはコドンペア(すなわち、コドンコンテキスト)最適化を含んでもよい(例えば、Buckingham et al.(1994) Biochimie 76(5):351-54および米国特許第5,082,767号、同第5,786,464号、および同第6,114,148号に記載の技法などの技法を用いて、コドン頻度またはコドンコンテキストに基づいて「稀な」ヒトコドンを置換することによって、ヒトでの発現に最適化したポリヌクレオチド配列からポリペプチドを発現させることができる)。
本発明の核酸は、配列のC末端部分の1つまたは複数の残基を切り詰めることによって改変されてもよい。以下でさらに議論されるように、ヌクレオチド配列の終わりに、さらなる様々な停止コドンまたは終結コドンを含めてもよい。
本発明の1つまたは複数の核酸は、本発明のコードヌクレオチド配列が異種遺伝子である、ベクター、細胞、または宿主の環境に含まれてもよい。
本発明のポリヌクレオチドは、CD80および/もしくはCD86に結合し、かつ/または免疫応答を抑制する本発明の任意のポリペプチド(またはそのポリペプチド断片)をコードするポリヌクレオチド配列、本明細書に記載の1つまたは複数のこのようなポリヌクレオチド配列と少なくともストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、任意のこのようなポリヌクレオチド配列に相補的なポリヌクレオチド配列、ならびに前記の全ての変種、類似体、およびホモログ誘導体を含む。コード配列は、特定のポリペプチドまたはドメイン、前記ポリペプチドの部分配列、領域、または断片をコードする、ヌクレオチド配列を指す。コード配列は、機能特性、例えば、CD80および/もしくはCD86に結合する能力ならびに/または免疫応答を阻害もしくは抑制する能力を有する、変異体CTLA-4ポリペプチドまたはその断片をコードしてもよい。本発明の核酸は、本発明の変異体CTLA-4ポリペプチドのそれぞれのコード配列、ならびにその変種、類似体、およびホモログ誘導体を含んでもよい。
本発明の核酸はまた、当業者に公知の担体、緩衝液、アジュバント、賦形剤、希釈剤などの存在下を含めて、核酸の典型的な組成物製剤と組み合わせて見出すこともできる。
特に定めのない限り、本明細書に記載の特定の核酸配列は、その保存的に改変された変種(例えば、縮重コドン置換)および相補配列ならびに明示的に示される配列も暗黙的に含む。具体的には、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(または全ての)コドンの3番目の位置を混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換した配列を作製することによって達成することができる(Batzer et al. (1991) Nucl. Acid Res. 19:5081; Ohtsuka et al. (1985) J. Biol. Chem. 260:2605-2608; Cassol et al. (1992); Rossolini et al. (1994) Mol. Cell. Probes 8:91-98)。
核酸ハイブリダイゼーション
前記のように、本発明は、本発明の標的核酸、例えば、SEQ ID NO:80-158、201-204、223、および224からなる群より選択されるポリヌクレオチド、またはその相補ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズする核酸を含む。ここで、ハイブリダイゼーションは、標的核酸の実質的に全長にわたる。ハイブリダイズする核酸は、少なくともストリンジェントな条件下または少なくとも高ストリンジェンシー条件下で、本発明のヌクレオチド配列、例えば、SEQ ID NO:80のヌクレオチド配列にハイブリダイズしてもよい。核酸ハイブリダイゼーション実験のための中程度にストリンジェントな、ストリンジェントな、および高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は公知である。このようなストリンジェンシーレベルを実現するのに組み合わせることができる要因の例は、本明細書において手短に議論されている。
核酸は、典型的には溶解状態で会合している時に「ハイブリダイズ」している。核酸は、水素結合、溶媒排除、塩基スタッキングなどの様々な十分に特徴付けられた物理化学的な力によってハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに対する広範囲のガイドは、P. Tijssen (1993) LABORATORY TECHNIQUES IN BIOCHEMISTRY AND MOLECULAR BIOLOGY--HYBRIDIZATION WITH NUCLEIC ACID PROBES, vol. 24, part I, chapter 2, 「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays」 (Elsevier, NY) (以下、「Tijssen」)、ならびにAusubel, 前記、Hames and Higgins (1995) GENE PROBES 1, IRL Press at Oxford University Press, Oxford, England (Hames and Higgins 1)に見られ、Hames and Higgins (1995) GENE PROBES 2, IRL Press at Oxford University Press, Oxford, England (Hames and Higgins 2)は、オリゴヌクレオチドを含むDNAおよびRNAの合成、標識、検出、および定量についての詳細を提供する。
2つの分子が少なくともストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズするということは、2つの核酸配列が実質的に同一であることを示している。「に特異的にハイブリダイズする」という句は、特定のヌクレオチド配列が複雑な混合(例えば、総細胞)DNAまたはRNA中に存在する場合に、ある分子が、ストリンジェントな条件下で特定のヌクレオチド配列のみに結合する、二本鎖形成する、またはハイブリダイズすることを指す。「実質的に結合する」とは、プローブ核酸と標的核酸との間の相補的なハイブリダイゼーションを指し、標的ポリヌクレオチド配列の望ましい検出を達成するためにハイブリダイゼーション培地のストリンジェンシーを下げることによって順応し得る少数のミスマッチを含む。
核酸ハイブリダイゼーション実験、例えば、サザンハイブリダイゼーションおよびノザンハイブリダイゼーションの文脈における「ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件」および「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、配列依存性であり、異なる環境パラメータの下で異なる。核酸のハイブリダイゼーションに対する広範囲のガイドは、Tijssen (1993), 前出、ならびにHames and Higgins 1およびHames and Higgins 2,前出に見られる。
一般的に、高ストリンジェンシー条件は、ハイブリダイゼーションが、規定されたイオン強度およびpHで、特定の配列の熱融点(Tm)より約5℃またはそれ以下で起こるように選択される。Tmは、試験配列の50%が完全にマッチするプローブとハイブリダイズする、(規定されたイオン強度およびpHでの)温度である。言い換えると、Tmは、核酸二重鎖の50%が所定の条件下で変性している温度を示し、核酸ハイブリッドの安定性の直接の尺度である。従って、Tmは、ヘリックスからランダムコイルに移行する中間点に相当する温度に相当する。これは、長さ、ヌクレオチド組成、およびヌクレオチドの長い領域に対するイオン強度に左右される。典型的には、「ストリンジェントな条件」下では、プローブは、その標的部分配列にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない。「非常にストリンジェントな条件」は、特定のプローブのTmと等しくなるように選択される。
DNA-DNA二重鎖のTmは、式(1):Tm (℃)=81.5℃+16.6(log10M)+0.41(%G+C)-0.72(%f)-500/nを用いて概算することができる。式中、Mは、一価カチオン(通常、Na+)のモル濃度であり、(%G+C)は、グアノシン(G)およびシトシン(C)ヌクレオチドのパーセントであり、(%f)は、ホルマリゼ(formalize)のパーセントであり、nは、ハイブリッドのヌクレオチド塩基の数(すなわち、長さ)である。Rapley, R. and Walker, J.M. eds., MOLECULAR BIOMETHODS HANDBOOK (1998), Humana Press, Inc.(以下、Rapley and Walker), Tijssen(1993),前記を参照されたい。RNA-DNA二重鎖のTmは、式(2):Tm (℃)=79.8℃+18.5(log10M)+0.58(%G+C)-11.8(%G+C) 2-0.56(%f)-820/nを用いて概算することができる。式中、Mは、一価カチオン(通常、Na+)のモル濃度であり、(%G+C)は、グアノシン(G)およびシトシン(C)ヌクレオチドのパーセントであり、(%f)は、ホルムアミドのパーセントであり、nは、ハイブリッドのヌクレオチド塩基の数(すなわち、長さ)である。同上。前記の式1および式2は、典型的には、約100〜200ヌクレオチド超のハイブリッド二重鎖の場合にのみ正確である。同上。50ヌクレオチドより短い核酸配列のTmは、以下:Tm(℃)=4(G+C)+2(A+T)の通りに計算することができる。式中、A(アデニン)、C、T(チミン)、およびGは、対応するヌクレオチドの数である。
一般的に、ハイブリダイズしなかった核酸材料は一連の洗浄によって除去され、洗浄のストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション分析を実施する際に、望ましい結果に応じて調節することができる。低いストリンジェンシー洗浄条件(例えば、高濃度の塩および低い温度を使用する)は、感度を高めるが、非特異的なハイブリダイゼーションシグナルおよび高バックグラウンドシグナルを生じることがある。高いストリンジェンシー条件(例えば、低濃度の塩およびハイブリダイゼーション温度に近い高い温度を使用する)はバックグラウンドシグナルを弱め、典型的には、特異的シグナルのみが残る。このようなハイブリダイゼーション法に関する、さらなる有用なガイダンスは、例えば、Rapley and Walker, 前記(特に、このようなハイブリダイゼーション実験に関しては、第I部、第2章、「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays」), Elsevier, New York、ならびにAusubel、前記、Sambrook、前記、Watson、前記、Hames and Higgins (1995) GENE PROBES 1, IRL Press at Oxford Univ. Press, Oxford, EnglandおよびHames and Higgins (1995) GENE PROBES 2, IRL Press, Oxford Univ. Press, Oxford, Englandに示される。
少なくとも100ヌクレオチドを含む少なくとも2つの核酸を分析するための例示的なストリンジェントな(または通常のストリンジェンシー)条件は、サザンブロットまたはノザンブロットでは、50%ホルマリン(またはホルムアミド)と1ミリグラム(mg)のヘパリンを含む溶液中またはフィルター上での42℃でのインキュベーションを含む。このハイブリダイゼーションは一晩行われる。通常のストリンジェンシー洗浄は、例えば、0.2xSSC洗浄を含む溶液を用いて、約65℃で約15分間、行われてもよい(SSC緩衝液の説明については、Sambrook,前記を参照されたい)。多くの場合、通常のストリンジェンシー洗浄の前には、バックグラウンドプローブシグナルを除去するために低ストリンジェンシー洗浄が行われる。低ストリンジェンシー洗浄は、例えば、2xSSCを含む溶液中で、約40℃で約15分間行われてもよい。高度にストリンジェントな洗浄は、0.15M NaClを含む溶液を用いて、約72℃で約15分間行われてもよい。二重鎖、例えば、100個超のヌクレオチドからなる二重鎖の場合、前記の通常のストリンジェンシー洗浄よりストリンジェントでない中程度の(通常の)ストリンジェンシー洗浄の一例は、1xSSCを含む溶液中で、45℃で15分間行われてもよい。二重鎖、例えば、100個超のヌクレオチドからなる二重鎖の場合、低ストリンジェンシー洗浄の一例は、4〜6xSSCの溶液中で、40℃で15分間行われる。短いプローブ(例えば、約10〜50ヌクレオチド)の場合、ストリンジェントな条件は、典型的には、pH7.0〜8.3で、約1.0M未満のNa+イオン、典型的には、約0.01〜1.0MのNa+イオン濃度(または他の塩)の塩濃度を含み、温度は、典型的には、少なくとも約30℃である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤を添加することによって達成することができる。
例示的な中ストリンジェンシー条件には、20%ホルマリン(またはホルムアミド)、0.5xSSC、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハルト液、10%デキストラン硫酸、および20mg/ml変性破砕サケ精子DNAを含む溶液中での37℃で一晩のインキュベーションを行い、その後に、1xSSC、約37〜50℃、または実質的に類似する条件、例えば、Sambrook, 前記、および/またはAusubel, 前記に記載の、中程度にストリンジェントな条件でフィルターを洗浄することが含まれる。
高ストリンジェンシー条件は、例えば、(1)洗浄に、低イオン強度および高温、例えば、0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、50℃を使用する、(2)ハイブリダイゼーション中に、変性剤、例えば、ホルムアミド、例えば、50%(v/v)ホルムアミドと、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)/0.1%Ficoll/0.1%ポリビニルピロリドン(PVP)/50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.5と、750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム、42℃を使用する、あるいは(3)50%ホルムアミド、5xSSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5xデンハルト液、超音波処理されたサケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、および10%デキストラン硫酸、42℃と、(i)42℃、0.2xSSC、(ii)55℃、50%ホルムアミド、および(iii)55℃、0.1xSSC(好ましくは、EDTAと併用)での洗浄を用いる条件である。
一般的に、特定のハイブリダイゼーションアッセイにおいて無関係のプローブについて観察されたシグナル対ノイズ比の2xまたは2.5x〜5x(またはこれ以上)のシグナル対ノイズ比が、特異的なハイブリダイゼーションの検出を示す。本発明の状況において、2つの配列間の少なくともストリンジェントなハイブリダイゼーションの検出は、例えば、本発明の核酸に対する比較的強い構造類似性または相同性を示す。
上記のように、「高度にストリンジェント」な条件は、規定されたイオン強度およびpHにおける特定の配列の熱融点(Tm)よりも約5℃またはそれ以下になるように選択される。高ストリンジェンシーな条件下では、関心対象のヌクレオチド配列(例えば、「プローブ」)に密接に関連する、または同一の標的配列を同定することができる。より低いストリンジェンシー条件は、あまり相補的でない配列に適している。例えば、Rapley and Walker; Sambrook, 全て前記を参照のこと。
比較ハイブリダイゼーションを用いて、本発明の核酸を同定することができる。この比較ハイブリダイゼーション法は、本発明の核酸を区別する好ましい方法である。本発明の状況において2つのヌクレオチド配列間の高度にストリンジェントなハイブリダイゼーションの検出は、例えば、本明細書中の配列表に提供される核酸に対する、比較的強い構造類似性/相同性を示す。2つのヌクレオチド配列間の高度にストリンジェントなハイブリダイゼーションは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件により検出されるものよりも高い、構造、ヌクレオチド塩基組成、配列または順序の類似性もしくは相同性の程度を証明する。特に、本発明の状況において高度にストリンジェントなハイブリダイゼーションの検出は、例えば、本明細書中の配列表に提供される核酸に対して、強い構造類似性または構造相同性(例えば、ヌクレオチド構造、塩基組成、配列または順序)を示す。例えば、ストリンジェントな条件下で、本明細書中の例示的な核酸にハイブリダイズする試験核酸を同定することが望ましい。
従って、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの1つの尺度は、本発明の核酸(例えば、SEQ ID NO:80-158、201-204、223、および224からなる群より選択されるポリヌクレオチド配列またはその相補ポリヌクレオチド配列を含む核酸)に、高度にストリンジェントな条件下で(または非常にストリンジェントな条件下、または超高度なストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で、または超超高度なストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で)、ハイブリダイズする能力である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(例えば、高度にストリンジェントな、超高度なストリンジェンシー、または超超高度なストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を含む)および洗浄条件は、任意の試験核酸について実験により容易に決定することができる。
例えば、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件および洗浄条件を決定する際には、選択された一組の判定基準が満たされるまで、ハイブリダイゼーション条件および洗浄条件を、(例えば、ハイブリダイゼーションまたは洗浄中の温度を上げる、塩濃度を下げる、界面活性剤の濃度を上げる、および/または有機溶媒、例えば、ホルマリンの濃度を上げることによって)段階的に上げる。例えば、SEQ ID NO:80-158、201-204、223、および224からなる群より選択される1つまたは複数の核酸配列ならびにその相補ポリヌクレオチド配列を含むプローブが、プローブと非マッチ標的とのハイブリダイゼーションについて観察されたシグナル対ノイズ比の少なくとも2.5x、任意で、5xまたはそれ以上のシグナル対ノイズ比で、完全にマッチする相補標的(再度、SEQ ID NO:80-158、201-204、223、および224からなる群より選択される少なくとも1つの核酸配列またはその相補ポリヌクレオチド配列を含む核酸)に結合するまで、ハイブリダイゼーション条件および洗浄条件を段階的に上げる。非マッチ標的は、例えば、CTLA-4ポリペプチドをコードする核酸配列に対応する核酸をを含んでもよい。
通常、ハイブリダイゼーション分析は、開示された参照(または公知の)ヌクレオチド配列(例えば、SEQ ID NO:80)に完全に相補的な配列を含む核酸が、完全相補核酸と、参照核酸と少なくとも約80%または90%同一のヌクレオチド配列を含む核酸とのハイブリダイゼーションにおいて観察されるものより少なくとも約5、7、または10倍のシグナル対ノイズ比で、組換え抗原コード配列(例えば、SEQ ID NO:80の核酸配列のヌクレオチド配列変種)とハイブリダイズするように選択されたハイブリダイゼーション条件下で行われる。このような条件は、特異的ハイブリダイゼーションを示すとみなされ得る。
ハイブリダイズする核酸配列を選択する際には、望ましいストリンジェンシーレベルに達するように、前記のハイブリダイゼーション条件を調節してもよく、別のハイブリダイゼーション条件を選択してもよい。例えば、前記の高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件および洗浄条件は、選択された一組の判定基準が満たされるまで、(例えば、ハイブリダイゼーションまたは洗浄において、温度を上げることによって、塩濃度を下げることによって、界面活性剤濃度を上げることによって、および/または有機溶媒、例えば、ホルマリンの濃度を上げることによって)段階的に上げてもよい。例えば、望ましいプローブが、プローブと、本発明ではない核酸、例えば、WT CTLA-4 ECDポリペプチドをコードする核酸とのハイブリダイゼーションから観察されるシグナル対ノイズ比の少なくとも約2.5x、任意で、少なくとも約5x(例えば、約10x、約20x、約50x、約100x、さらには約500x)のシグナル対ノイズ比で、マッチする相補標的に結合するまで、ハイブリダイゼーション条件および洗浄条件を段階的に上げてもよい。
核酸の作製および改変
本発明の核酸は、任意の適切な合成法、操作法、および/または単離法、またはその組み合わせを適用することによって入手および/または作製することができる。例示的な手順は下記に記載されている。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、典型的には、当技術分野において公知の標準的な核酸合成法、例えば、固相合成法によって作製される。このような技法において、通常、約100塩基までの断片が個々に合成され、次いで、本質的に全ての望ましい連続した核酸配列を形成するように、(例えば、酵素的もしくは化学的な連結方法、またはポリメラーゼを介した組換え法によって)接合される。本発明の核酸の合成はまた、化学合成、例えば、Beaucage et al. (1981) Tetrahedron Letters 22:1859-69に記載の古典的なホスホルアミダイト法、または、例えば、典型的には、自動化合成法において実施されるような、Matthes et al. (1984) EMBO J. 3:801-05に記載の方法を用いた化学合成によって容易にすることができる(または達成することができる)。本発明の核酸はまた自動DNA合成機を用いて作製することもできる。核酸を合成する他の技法および関連する原理は、例えば、Itakura et al., Annu. Rev. Biochem. 53:323 (1984)、Itakura et al., Science 198:1056 (1984)、および Ike et al., Nucl. Acid Res. 11:477(1983)に記載されている。
都合よく、オーダーメイド核酸を様々な商業的供給業者、例えば、Midland Certified Reagent Company(mcrc@oligos.com)、Great American Gene Company(ワールドワイウェブサイトアドレスgenco.com)、ExpressGen Inc.(ワールドワイウェブサイトアドレスexpressgen.com)、Operon Technologies Inc.(Alameda, CA)に注文することができる。同様に、注文製作のペプチドおよび抗体を、様々な供給者、例えば、PeptidoGenic(pkim@ccnet.com)、HTI Bio-products, Inc.(ワールドワイウェブサイトアドレスhtibio.com)、およびBMA Biomedicals Ltd. (U.K.), Bio.Synthesis, Incのいずれにも特注することができる。
本発明のある特定のヌクレオチドはまた、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズことができる、または本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをPCR増幅することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いてcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって得ることもできる。cDNAクローンをスクリーニングおよび単離するための手順ならびにPCR増幅手順は当業者に周知である。例示的な手順は下記に記載されている(例えば、以下の実施例に記載の手順を参照されたい)。このような技法は、例えば、Berger and Kimmel, 「Guide to Molecular Cloning Techniques」, in Methods in Enzymol. Vol. 152, Acad. Press, Inc., San Diego, CA (「Berger」);Sambrook, 前記;およびAusubel, 前記に記載されている。本発明の核酸の一部は、例えば、変異誘発、インビトロ組換え(例えば、シャッフリング)、またはオリゴヌクレオチド組換えによって、天然バックボーンを変えることによって得ることができる。他の場合、このようなポリヌクレオチドは、本明細書に引用された参考文献に記載のように、インシリコで、またはオリゴヌクレオチド組換え法によって作ることができる。
核酸の改変において有用な組換えDNA法は当技術分野において周知である(例えば、制限エンドヌクレアーゼ消化、連結、逆転写およびcDNA作製、ならびにPCR)。有用な組換えDNA技術技法およびそれに関連する原理が、Mulligan(1993) Science 260:926-932, Friedman (1991) THERAPY FOR GENETIC DISEASES, Oxford University Press、Ibanez et al. (1991) EMBO J. 10:2105-10、Ibanez et al. (1992) Cell 69:329-41 (1992)、ならびに米国特許第4,440,859号、同第4,530,901号、同第4,582,800号、同第4,677,063号、同第4,678,751号、同第4,704,362号、同第4,710,463号、同第4,757,006号、同第4,766,075号、および同第4,810,648号に示され、Sambrook et al. (1989) MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Press、およびその第三版(2001)、Ausubel et al. (1994-1999), Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience Publishers (と、一部の版については、Greene Publishing Associates)、 Berger, 前記、ならびにWatson, 前記にさらに具体的に記載されている。
改変されたコード配列
適宜、本発明の核酸は、核酸の発現が望ましい特定の宿主があれば、コドン使用頻度および/またはコドンコンテキストに関して配列を改変することによって、特定の宿主において発現を増大または増強するように改変することができる。特定の宿主において最も多く用いられるコドンは最適コドンと呼ばれ、あまり用いられないコドンは、稀なコドンまたは低使用頻度コドンと分類される(例えば、Zhang, S. P. et al.(1991) Gene 105:61-72を参照されたい)。コドンは、宿主の好ましいコドン使用頻度を反映するように置換することができ、このプロセスは、「コドン最適化」または「種コドンの偏りを制御する」と呼ばれる。
特定の原核生物宿主または真核生物宿主に好ましいコドンを含む最適化コード配列を用いて翻訳速度を上げるために、または望ましい特性、例えば、非最適化配列から作製された転写物と比較して長い半減期を有する組換えRNA転写物を作製することができる。コドン最適化配列を作製する技法は公知である(例えば、Murray, E. et al.(1989) Nucl. Acids Res. 17:477-508を参照されたい)。翻訳停止コドンもまた、宿主の好みを反映するように改変することができる。例えば、S.セレビシエおよび哺乳動物に好ましい停止コドンは、それぞれ、UAAおよびUGAである。単子葉植物に好ましい停止コドンはUGAであるのに対して、昆虫および大腸菌は、停止コドンとしてUAAを使用することを好む(例えば、議論については、Dalphin, M.E. et al.(1996) Nucl. Acids Res. 24:216-218を参照されたい)。他のコドンに関するコドンの配置もまた、核酸配列の生物学的特性に影響を及ぼすことがある。特定の宿主によく見られるコドンコンテキスト配置をもたらすように核酸を改変することも本発明者らによって意図される。従って、本発明の核酸配列は、特定の種に対する、コドン最適化ヌクレオチド配列、すなわち、コドン頻度最適化および/またはコドンペア(すなわち、コドンコンテキスト)最適化を含んでもよい(例えば、Buckingham et al.(1994) Biochimie 76(5):351-54および米国特許第5,082,767号、同第5,786,464号、および同第6,114,148号に記載の技法などの技法を用いて、コドン頻度またはコドンコンテキストに基づいて「稀な」ヒトコドンを置換することによって、ヒトでの発現に最適化したポリヌクレオチド配列からポリペプチドを発現させることができる。例えば、本発明は、特定の宿主にとって「稀な」コドンを、宿主において通常発現し、SEQ ID NO:80の置換される「稀な」コドンと同じアミノ酸残基をコードするコドンで置換することによって、SEQ ID NO:80のヌクレオチド配列と異なる、SEQ ID NO:80のヌクレオチド配列変種を含む核酸を提供する。
ベクター、ベクター成分、および発現系
本発明はまた、前記で広範に説明したように、本発明の核酸の1つまたは複数を含む組換え構築物を含む。このような構築物は、ベクター、例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス、ウイルス粒子、ウイルス様粒子、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)など、または非複製ベクター、例えば、リポソーム、裸のDNAまたはコンジュゲート化DNA、DNA微小粒子を含んでもよく、これらには、本発明の少なくとも1つの核酸配列が順方向または逆方向に挿入されている。この態様の特定の局面において、構築物は、本発明の核酸配列(例えば、単離されたもしくは組換え変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは二量体もしくは単量体の変異体CTLA-4-Igをコードする、核酸)に機能的に連結された、例えば、プロモーターを含む、1つまたは複数の調節配列をさらに含む。多数の適切なベクターおよびプロモーターが当業者に公知であり、市販されている。同様にもしくはその代わりに、場合によっては、ベクター、例えば、ウイルスまたはウイルス様粒子は、本発明の1つまたは複数のポリペプチド、例えば、ウイルスまたはウイルス様粒子のコートに組み込まれた本発明の1つまたは複数のポリペプチドを含んでもよい。ベクターは、外因性遺伝子または外因性タンパク質を対象に送達または投与するための送達薬剤として有用であり得る。本明細書に記載のベクターを含む、本発明のベクターは、本発明の核酸および/またはポリペプチドを送達または投与するための送達剤として有用である。
ベクター、プロモーターの使用、および他の任意の関連する話題を含む、本明細書において有用な分子生物学的技法について述べる一般的な教科書には、Berger, 前記、Sambrook(1989), 前記、およびAusubel, 前記が含まれる。当業者を、例えば、本発明の相同核酸の作製のために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、Q∃-レプリカーゼ増幅および他のRNAポリメラーゼを介した技法(例えば、NASBA)を含むインビトロ増幅法に向けるのに十分な技法の例は、Berger、Sambrook、およびAusubel, 全て前記、ならびにMullis et al.(1987)米国特許第4,683,202号; PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications (Innis et al., eds.) Academic Press Inc. San Diego, CA (1990) (「Innis」); Arnheim & Levinson (October 1, 1990) C&EN 36-47; The Journal Of NIH Research (1991) 3:81-94; (Kwoh et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177; Guatelli et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878; Lomeli et al. (1989) J. Clin. Chem. 35:1826-1831; Landegren et al. (1988) Science 241:1077-1080; Van Brunt (1990) Biotechnology 8:291-294; Wu and Wallace (1989) Gene 4:560-569; Barringer et al. (1990) Gene 89:117-122、およびSooknanan and Malek (1995) Biotechnology 13:563-564において見出される。
PCRは、一般的に、核酸(例えば、RNAまたはDNA)の微量の特定の断片が当技術分野において周知の方法によって増幅される手順を指す(例えば、米国特許第4,683,195号および前記で引用された他の参考文献を参照されたい)。一般的に、オリゴヌクレオチドプライマーの設計には、関心対象の領域の末端からの配列情報またはそれを超えた配列情報が用いられる。このようなプライマーは、増幅しようとするテンプレートの反対鎖と配列が同一であるか、または類似している。反対鎖の5'末端ヌクレオチドは、増幅される材料の末端と一致してもよい。PCRを用いて、特定のRNAまたは特定のDNA配列、組換えDNA配列またはRNA配列、総ゲノムDNAに由来するDNA配列およびRNA配列、ならびに総細胞RNAから転写されたcDNA、バクテリオファージ配列またはプラスミド配列などを増幅することができる。PCRは、プライマーとして別の(例えば、公知の)核酸を使用することを含む、核酸試験試料を増幅するための核酸ポリメラーゼ反応法の一例であるが、唯一の例ではない。インビトロで増幅された核酸をクローニングする改善された方法は、Wallace et al., 米国特許第5,426,039号に記載されている。PCRによって大きな核酸を増幅する改善された方法は、Cheng et al. (1994) Nature 369:684 685およびその中で引用された参考文献においてまとめられており、この方法では、40キロベース(kb)までのPCRアンプリコンが作製される。当業者であれば、本質的に任意のRNAを、制限消化、PCR伸長、ならびに逆転写酵素およびポリメラーゼによる配列決定に適した二本鎖DNAに変換できることを理解するだろう。Ausubel、Sambrook、およびBerger, 全て前記を参照されたい。
本発明の核酸は、例えば、本発明のポリペプチドを含む、ポリペプチドを発現するための様々なベクターのいずれか1つ、例えば、発現ベクターに組み込むことができる。原核宿主細胞と適合する発現ベクターが用いられてもよい。このような原核生物発現ベクターは当技術分野において公知であり、市販されている。このようなベクターには、例えば、BLUESCRIPTベクター(Stratagene)、T7発現ベクター(Invitrogen)、pETベクター(Novagen)、および類似の原核生物ベクターが含まれるが、これに限定されない。
または、真核宿主細胞と適合する発現ベクターが用いられてもよい。このような真核生物発現ベクターは当技術分野において公知であり、市販されている。このようなベクターには、例えば、pCMVベクター(例えば、Invitrogen)、pIRESベクター(Clontech)、pSG5ベクター(Stratagene)、pCDNA3.1(Invitrogen Life Technologies)、pCDNA3 (Invitrogen Life Technologies)、遍在性クロマチンオープニングエレメント(Ubiquitous Chromatin Opening Element)(UCOE(商標))発現ベクター(Millipore)、および類似の真核生物発現ベクターが含まれるが、これに限定されない。UCOE(商標)ベクターは、典型的には、哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞)におけるタンパク質産生に用いられる。Milliporeによれば、UCOE(商標)発現技術はトランスジーンサイレンシングを妨害し、染色体組み込み部位に関係なく安定した高レベル遺伝子発現をもたらす。ワールドワイドウェブアドレスmillipore.comにあるMilliporeウェブサイトを参照されたい。例えば、本発明の核酸を組み込むことができる例示的なUCOE発現ベクターは、Milliporeからライセンス供与可能な、CET1019AS-puro-SceIと名付けられたUCOE発現ベクターである。UCOE発現ベクターCET1019AS-puro-SceIについての情報は、例えば、John Wynne,「UCOE(商標) Technology Maximizes Protein Expression」, BioProcess International 4(7):104-105(July/August 2006)(RP1725EN00)(ワールドワイドウェブアドレスmillipore.com/bibliography/tech1/rp1725en00で入手可能)において見られる。このベクターおよびMilliporeからのこのベクターのライセンス供与についてのさらなる情報は、例えば、ワールドワイドウェブアドレスmillipore.com/company/cp3/ucoe_licensingおよびmillipore.com/techpublications/tech1/ps1013en00を含む、Milliporeウェブサイトにおいて見られる。従って、例えば、変異体CTLA-4 ECD(例えば、SEQ ID NO:36またはSEQ ID NO:50)をコードするDNA配列と、IgG2 Fcポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:184)をコードするDNA配列が融合している、SEQ ID NO:201のDNA配列を、UCOE CET1019ASベクター(Millipore)に挿入し、結果として生じたDNAプラスミドを宿主細胞のトランスフェクションに使用することができる。
発現ベクターには、染色体DNA配列、非染色体DNA配列、および合成DNA配列、例えば、SV40誘導体、細菌ベクター(例えば、ネズミチフス菌(S. typhimurium)、チフス菌(S. typhi)、シゲラ・フレックスネリ(S. flexneri)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、炭疽菌(B. anthracis));プラスミド;細菌プラスミド;ファージDNA;バキュロウイルス;酵母プラスミド;プラスミドおよびファージDNAの組み合わせに由来するベクター;例えば、ワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、セムリキ森林ウイルス(例えば、Notka et al., Biol. Chem. 380:341-52 (1999)、ポックスウイルス(例えば、MVA)、アルファウイルス(例えば、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)、西部ウマ脳炎ウイルス(WEE)、東部ウマ脳炎ウイルス(EEE))、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病、単純ヘルペスウイルス、レトロウイルス、および他の多くのウイルスを含む、ウイルスDNAベクターまたはRNAベクターが含まれる。遺伝物質を細胞に伝達する、複製が望ましければ、関連する宿主内で複製可能かつ生存可能である任意のベクターを使用することができる。送達ビヒクルとして役立つウイルスベクターおよび細菌ベクターは弱毒化することができる。弱毒化は、望ましくない疾患症状の誘導を無くすとまではいかなくとも、少なくするのに十分なものでなければならない。図1は、本発明の変異体CTLA-4-Igをコードする例示的なプラスミド発現ベクターpCDNA変異体CTLA-4-Igの模式図である。適切な発現ベクターに関するさらなる詳細は、実施例を含めて以下に提供される。
本明細書に記載の本発明の核酸配列ならびに適切なプロモーターまたは制御配列を含む本発明のベクターを用いて、適切な宿主がタンパク質を発現するように宿主を形質転換することができる。適切な発現宿主の例には、細菌細胞、例えば、大腸菌、ストレプトマイセス属、およびネズミチフス菌;真菌細胞、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、およびアカパンカビ(Neurospora crassa);昆虫細胞、例えば、ショウジョウバエ(Drosophila)およびヨトウガ(Spodoptera frugiperda);哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)(例えば、CHO-K1)、COS(例えば、COS-1、COS-7)、ベビーハムスター腎臓(BHK)、およびヒト胚腎臓(HEK)(例えば、HEK293)、Bowes黒色腫細胞、ならびに植物細胞が含まれる。全ての細胞または細胞株が、本発明の完全に機能するポリペプチドまたはその断片を産生できる必要はないと理解される。本発明は、使用される宿主細胞によって限定されない。適切な宿主細胞に関するさらなる詳細は、以下に提供される。
細菌系では、望ましいポリペプチドまたはその断片を対象とする用途に応じて、多数の発現ベクターを選択することができる。例えば、抗体を誘導するために大量の特定のポリペプチドまたはその断片が必要な場合、容易に精製される融合タンパク質を高レベルに発現させるベクターが望ましいことがある。このようなベクターには、多機能性の大腸菌クローニングベクターおよび発現ベクター、例えば、ハイブリッドタンパク質が産生されるように、関心対象のヌクレオチドコード配列(例えば、組換え変異体CTLA-4-Igをコードするヌクレオチド配列)がアミノ末端Metおよびその後のβ-ガラクトシダーゼの7残基の配列とインフレームでベクターに連結される、BLUESCRIPT(Stratagene);pINベクター(Van Heeke & Schuster (1989) J. Biol. Chem. 264:5503-5509);pETベクター(Novagen, Madison WI)などが含まれるが、これに限定されない。
同様に、酵母サッカロマイセス・セレビシエでは、本発明のポリペプチドを産生するために、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター、例えば、α因子、アルコールオキシダーゼおよびPGHを含む、多数のベクターを使用することができる。総説については、Ausubel,前記、Berger,前記、およびGrant et al. (1987) Meth. Enzymol. 153:516-544を参照されたい。
哺乳動物宿主細胞では、多数の発現系、例えば、ウイルスをベースとする系を利用することができる。アデノウイルス発現がベクターとして用いられる場合、コード配列は、任意で、後期プロモーターおよびトリパータイト(tripartite)リーダー配列からなるアデノウイルス転写/翻訳複合体に連結される。ウイルスゲノムの非必須のE1またはE3領域に挿入すると、感染宿主細胞において、関心対象のポリペプチドを発現することができる生存可能なウイルスが生じる(Logan and Shenk (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3655-3659)。さらに、哺乳動物宿主細胞において発現を増大させるために、転写エンハンサー、例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーが用いられる。
本発明のベクター、例えば、発現ベクター、またはポリヌクレオチドは、1つまたは複数の発現制御配列を含んでもよい。発現制御配列は、典型的には、本発明の核酸配列、例えば、組換え変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは組換え変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質をコードする核酸と会合されるか、および/または機能的に連結される。発現制御配列は、典型的には、別のヌクレオチド配列の発現(典型的には、転写)を促進、増強、または制御するヌクレオチド配列である。使用することができる適切な発現制御配列には、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、および/または抑制性プロモーターを含むプロモーター、発現を増幅するためのエンハンサー、開始配列、終結翻訳配列、スプライシング制御配列などが含まれる。
本発明の核酸がベクターに含まれる場合、典型的には、mRNA合成を誘導する適切な転写制御配列(プロモーター)に機能的に連結される。プロモーターは、組換えポリペプチド発現レベルに特に重要な影響を及ぼす。任意の適切なプロモーターを利用することができる。適切なプロモーターの例には、第1のイントロン(イントロンA)のある、または第1のイントロン(イントロンA)の無いサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、HIV長末端反復配列プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、例えば、RSV長末端反復配列(LTR)プロモーター、SV40プロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HSVプロモーター、例えば、Lap2プロモーターまたはヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(例えば、Wagner et al. (1981) Proc. Natl. Acad. Sci. 78:144-145に記載)、SV40またはエプスタイン-バーウイルスに由来するプロモーター、アデノ随伴ウイルス(AAV)プロモーター、例えば、p5プロモーター、メタロチオネインプロモーター(例えば、ヒツジメタロチオネインプロモーターまたはマウスメタロチオネインプロモーター(例えば、Palmiter et al.(1983)Science 222:809-814)を参照されたい)、ヒトユビキチンCプロモーター、大腸菌プロモーター、例えば、lacおよびtrpプロモーター、ファージλPLプロモーター、ならびに原核細胞または真核細胞において遺伝子の発現を制御することが知られている他のプロモーター(細胞内で、または細胞に感染するウイルス内で直接制御する)が含まれる。哺乳動物、特にヒトにおいて強力な構成的ベースライン発現を示すプロモーター、例えば、CMVプロモーター、例えば、CMV最初期プロモーター(例えば、米国特許第5,168,062号、同第5,385,839号、同第5,688,688号、および同第5,658,759号に記載)、ならびにこのようなCMVプロモーターとかなりの配列同一性を有するプロモーターを使用することができる。特性が改善された組換えプロモーター、例えば、国際公開公報番号WO 02/00897号も使用することができる。
核酸の発現のために本発明の核酸に機能的に連結されるプロモーターは、任意の適切な作用機序を有することができる。従って、プロモーターは、例えば、「誘導性」プロモーター、(例えば、成長ホルモンプロモーター、メタロチオネインプロモーター、熱ショックタンパク質プロモーター、E1Bプロモーター、低酸素誘導性プロモーター、放射線誘導性プロモーター、もしくはアデノウイルスMLPプロモーターおよびトリパータイトリーダー)、誘導性-抑制性プロモーター、発生段階関連プロモーター(例えば、グロビン遺伝子プロモーター)、または組織特異的プロモーター(例えば、平滑筋細胞α-アクチンプロモーター、ミオシン軽鎖1Aプロモーター、もしくは血管内皮カドヘリンプロモーター)でもよい。適切な誘導性プロモーターには、エクジソン誘導性プロモーターおよびエクジソン類似体誘導性プロモーターが含まれる。エクジソン類似体誘導性プロモーターは、例えば、Stratagene (La Jolla, CA)から市販されている。所望であれば、本発明の核酸は、誘導性のon遺伝子発現系およびoff遺伝子発現系を用いて誘導することができる。このようなon遺伝子発現系およびoff遺伝子発現系の例には、それぞれ、Tet-On(商標)遺伝子発現系およびTet-Off(商標)遺伝子発現系が含まれる(Clontech, Palo Alto、CA;このような各系の詳細な説明については、例えば、Clontech Catalog 2000、pg. 110-111を参照されたい)。誘導性プロモーターは、適切なシグナルに応答してアップレギュレートおよび/またはダウンレギュレートされる任意のプロモーターでよい。さらなる誘導性プロモーターには、アラビノース誘導性プロモーター、ステロイド誘導性プロモーター(例えば、グルココルチコイド誘導性プロモーター)、ならびにpH、ストレス、および熱誘導性プロモーターが含まれる。
プロモーターは、宿主に天然にあるプロモーターまたは特定の宿主に感染するウイルスに由来するプロモーター(例えば、関心対象の核酸に機能的に連結される、ヒトβアクチンプロモーター、ヒトEF1αプロモーター、またはヒトAAVに由来するプロモーター)でもよく、多くの場合、特に、宿主に通常存在しない配列に対する宿主免疫反応による遺伝子発現サイレンシングの厳密な回避が懸念される場合には、前記のプロモーターである。関心対象の複数のヌクレオチド配列に連結された双方向性プロモーター系(例えば、U.S.5,017,478に記載)も利用することができる。
他の適切なプロモーター、ならびに適切なプロモーターの選択、使用、および構築に関連する原理は、Werner (1999) Mamm Genome 10(2):168-75, Walther et al. (1996) J. Mol. Med. 74(7):379-92、Novina (1996) Trends Genet. 12(9):351-55、Hart (1996) Semin. Oncol. 23(1):154-58、Gralla (1996) Curr. Opin. Genet. Dev. 6(5):526-30、Fassler et al. (1996) Methods Enzymol 273:3-29、Ayoubi et al. (1996), 10(4) FASEB J 10(4):453-60、Goldsteine et al. (1995) Biotechnol. Annu. Rev. 1:105-28、Azizkhan et al. (1993) Crit. Rev. Eukaryot. Gene Expr. 3(4):229-54、Dynan (1989) Cell 58(1):1-4、Levine (1989) Cell 59(3):405-8、およびBerk et al. (1986) Annu. Rev. Genet. 20:45-79、ならびに米国特許第6,194,191号において示される。他の適切なプロモーターは、真核生物プロモーターデータベース(リリース68)(ワールドワイウェブサイトアドレスepd.isb-sib.ch/で入手可能)、ならびに他の類似のデータベース、例えば、転写調節領域データベース(TRRD)(バージョン4.1)(ワールドワイウェブサイトアドレスbionet.nsc.ru/trrd/で入手可能)および転写因子データベース(TRANSFAC)(ワールドワイウェブサイトアドレスtransfac.gbf.de/TRANSFAC/index.htmlで入手可能)を用いて同定することができる。
プロモーターの代替として、特に、RNAベクターおよび構築物のプロモーターの代替として、本発明のベクターまたは核酸は、1つまたは複数の配列内リボソーム進入部位(IRESs)、IRESをコードする配列、またはRNA配列エンハンサー(Kozakコンセンサス配列類似体)、例えば、タバコモザイクウイルスオメガプライム(omega prime)配列を含んでもよい。
本発明のベクターまたはポリヌクレオチドは、上流アクチベーター配列(UAS)、例えば、Gal4アクチベーター配列(例えば、米国特許第6,133,028号を参照されたい)または他の適切な上流調節配列(例えば、米国特許第6,204,060号を参照されたい)を含んでもよい。
本発明のベクターまたはポリヌクレオチドは、哺乳動物細胞において機能するKozakコンセンサス配列を含んでもよい。Kozak配列は、天然配列または改変配列、例えば、米国特許第6,107,477号に記載の改変Kozakコンセンサス配列でもよい。
特異的な開始シグナルが、本発明のコード配列、例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の効率的な翻訳の助けとなる場合がある。このようなシグナルを本発明のベクターに含めることができる。これらのシグナルは、例えば、ATG開始コドンおよび隣接配列を含んでもよい。適切な発現ベクターに、コード配列、その開始コドン、および上流配列が挿入された場合、さらなる翻訳制御シグナルが必要とされない場合がある。しかしながら、コード配列(例えば、成熟タンパク質コード配列)またはその一部のみが挿入された場合、ATG開始コドンを含む外因性核酸転写制御シグナルを設けなければならない。さらに、インサート全体の転写を確実にするために、開始コドンは正しい読み枠になければならない。外因性転写エレメントおよび開始コドンは、天然および合成の様々な由来のものでよい。発現効率は、使用されている細胞系に適したエンハンサーを含めることによって増強することができる(例えば、Scharf et al., Results Probl. Cell. Differ. 20:125-62 (1994);およびBittner et al., Meth. Enzymol. 153:516-544 (1987)を参照されたい)。適切なエンハンサーには、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーおよび米国特許第6,225,082号に記載のRTEエンハンサーが含まれる。
当業者であれば、開始コドン(ATG)を関心対象の特定のヌクレオチド配列の5'末端に導入すると、この配列が哺乳動物細胞において発現された時には、通常、N末端メチオニンがコードされるアミノ酸配列に付加されると認識するだろう(他の改変が細菌細胞および/または他の真核細胞において生じてもよく、例えば、開始コドンにホルミル-メチオニン残基が導入されてもよい)。真核細胞において本発明の核酸を発現させるために、開始コドンおよびシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列が、典型的には、本発明の核酸配列(例えば、SEQ ID NO:80)の5'末端に含まれ、終結コドンが、典型的には、核酸(例えば、SEQ ID NO:80)のC末端に含まれる。例示的なシグナルペプチド配列は、hCTLA-4シグナルペプチド配列(SEQ ID NO:182)である。組織プラスミノゲンアクチベーターシグナルペプチドをコードする核酸配列を、SEQ ID NO:181に示した。別の例示的なシグナルペプチド配列は、hCTLA-4シグナルペプチド配列(SEQ ID NO:216)であり、これは、SEQ ID NO:215に示した核酸配列によってコードされる。
終結配列は下記で詳細に議論する。
このようなエレメントは、えり抜きのベクター構築物に含めることができる。発現時には、核酸(例えば、SEQ ID NO:80)によってコードされるポリペプチド変種は、最初、N末端メチオニン残基およびシグナルペプチド配列を含む。しかしながら、N末端メチオニンおよびシグナルペプチド配列は分泌されると切断され、それによって、コードされるポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:1)が生成される。
本発明の核酸(または対応する本発明のポリペプチド)の発現レベルは、任意の適切な技法によって評価することができる。例には、ノザンブロット分析(例えば、McMaster et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74(11):4835-38 (1977)および Sambrook, 下記)、逆転写酵素-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)(例えば、米国特許第5,601,820号およびZaheer et al., Neurochem. Res. 20:1457-63 (1995)に記載)、ならびにインサイチューハイブリダイゼーション法(例えば、米国特許第5,750,340号および同第5,506,098号に記載)が含まれる。タンパク質の定量はまた、ローリーアッセイおよび他のタンパク質定量アッセイによって達成することができる(例えば、Bradford, Anal. Biochem. 72:248-254 (1976); Lowry et al., J. Biol. Chem. 193:265 (1951)を参照されたい)。このような組換えポリペプチドをコードするポリヌクレオチドでトランスフェクトされた細胞の溶解産物から得られた本発明の組換えポリペプチドのウェスタンブロット分析は、組換えポリペプチド発現レベルを評価するための別の適切な技法である。
本発明のベクター、例えば、発現ベクター、またはポリヌクレオチドは、翻訳開始のためのリボソーム結合部位および転写終結領域を含んでもよい。適切な転写終結領域は、例えば、DNA配列から生成されたRNA転写物の切断およびポリアデニル化を促進するポリアデニル化配列である。合成最適化配列、ならびにBGH(ウシ成長ホルモン)、ヒト成長ホルモン遺伝子、ポリオーマウイルス、TK(チミジンキナーゼ)、EBV(エプスタイン-バーウイルス)、ウサギβグロビン、ならびにヒトパピローマウイルスおよびBPV(ウシパピローマウイルス)を含むパピローマウイルスのポリアデニル化配列を含む、任意の適切なポリアデニル化配列を使用することができる。適切なポリアデニル化(ポリA)配列には、SV40(ヒト肉腫ウイルス-40)ポリアデニル化配列およびBGHポリA配列も含まれる。このようなポリA配列は、例えば、Goodwin et al. (1998) Nucleic Acids Res. 26(12):2891-8、Schek et al. (1992) Mol. Cell. Biol. 12(12):5386-93、およびvan den Hoff et al. (1993) Nucleic Acids Res. 21(21):4987-8に記載されている。適切なポリアデニル化配列の選択に関連するさらなる原理は、例えば、Levitt et al. (1989) Genes Dev. 1989 3(7):1019-1025、Jacob et al. (1990) Crit. Rev. Eukaryot. Gene Expr. 1(1):49-59、Chen et al. (1995) Nucleic Acids Res. 23(14):2614-2620、Moreira et al. (1995) EMBO J. 14(15):3809-3819、Carswell et al. (1989) Mol. Cell. Biol. 9(10):4248-4258に記載されている。
本発明のベクターまたはポリヌクレオチドは、例えば、米国特許第4,959,317号、同第5,801,030号、および同第6,063,627号、欧州特許出願第0987326号、ならびに国際公開公報番号WO 97/09439号に記載のように、関心対象のヌクレオチド配列の転写を調節するのに使用することができる部位特異的組換え部位をさらに含んでもよい。
本発明のベクターまたはポリヌクレオチドはまた、ポリペプチド発現を望ましい細胞の区画、膜、もしくは細胞小器官に標的化するために、またはポリペプチド分泌を細胞周辺腔もしくは細胞培地に誘導するために、分泌/局在化配列をコードする核酸も含んでよい。このような配列は当技術分野において公知であり、分泌リーダーペプチドまたはシグナルペプチド、細胞小器官標的化配列(例えば、核局在化配列、ER残留シグナル、ミトコンドリア移行配列、葉緑体移行配列)、膜局在化/アンカー配列(例えば、膜透過停止配列、GPIアンカー配列)などを含む。本発明のポリヌクレオチドは、例えば、分泌配列および/または局在化配列をコードするこのような核酸とインフレームで融合されてもよい。このような本発明のポリヌクレオチドによって発現されるポリペプチドは、分泌配列および/または局在化配列に対応するアミノ酸配列を含んでもよい。
さらに、本発明のベクターまたはポリヌクレオチドは、形質転換宿主細胞を選択するための表現型形質、例えば、真核細胞培養物については、ジヒドロ葉酸レダクターゼ耐性、ネオマイシン耐性、G418耐性、ピューロマイシン耐性、および/もしくはブラストサイジン耐性、または、大腸菌では、例えば、テトラサイクリン耐性もしくはアンピシリン耐性をもたらす1つまたは複数の選択マーカーヌクレオチド配列または遺伝子を含んでもよい。
本発明のベクターまたはポリヌクレオチドはまた、微生物内での増殖に有用な複製起点を含んでもよい。利用される細菌複製起点(Ori)は、好ましくは、哺乳動物細胞における遺伝子発現に悪影響を及ぼさないものである。有用な複製起点配列の例には、f1ファージ ori、RK2 oriV、pUC ori、およびpSC101 oriが含まれる。複製起点配列には、ColEI oriおよびp15(プラスミドpACYC177、New England Biolab, Inc.から入手可能)が含まれ、または状況によっては、別の低コピーori配列(p15と類似する)が望ましい場合がある。これに関して、核酸は、望ましくは、真核生物宿主および原核生物宿主の両方において複製および/または発現することができるシャトルベクター(例えば、真核生物および原核生物の両方において認識される複製起点配列を含むベクター)として働く。
本発明は、本発明の核酸を含む、裸のDNAまたはRNAベクターを含み、例えば、直鎖発現エレメント(例えば、Sykes and Johnston (1997) Nat Biotech 17:355-59に記載)、コンパクト核酸ベクター(例えば、米国特許第6,077,835号および/もしくは国際公開公報番号WO 00/70087号に記載)、プラスミドベクター、例えば、pCDNA3.1、pBR322、pUC19/18、もしくはpUC118/119、「midge」最小サイズ核酸ベクター(例えば、Schakowski et al. (2001) Mol. Ther. 3:793-800に記載)、または沈殿核酸ベクター構築物、例えば、CaPO4沈殿構築物(例えば、国際公開公報番号WO 00/46147号、Benvenisty and Reshef (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:9551-55、Wigler et al. (1978), Cell 14:725、ならびに Coraro and Pearson (1981) Somatic Cell Genetics 7:603)を含む。例えば、本発明は、CMVプロモーターまたはCMVプロモーター変種および適切なポリアデニル化配列に機能的に連結されたSEQ ID NO:80を含む、裸のDNAプラスミドを提供する。裸のヌクレオチドベクターおよびその使用は当技術分野において公知である(例えば、米国特許第5,589,466号および同第5,973,972号を参照されたい)。
本発明のベクターは、典型的には、(クローニングベクターと呼ばれることがある、発現することなく核酸配列を複製するように設計されたベクターとは対照的に)細菌系、真核生物系、哺乳動物系、または他の系における発現に適した発現ベクターである。例えば、1つの局面において、本発明は、本発明の核酸配列(例えば、組換え変異体CTLA-4-Igをコードする核酸配列)を含む細菌発現ベクターを提供する。適切なベクターには、例えば、容易に精製される融合タンパク質の高レベル発現を誘導するベクター(例えば、多機能性の大腸菌クローニング・発現ベクター、例えば、BLUESCRIPT(Stratagene)、pINベクター(Van Heeke & Schuster, J. Biol. Chem. 264:5503-5509 (1989);pETベクター(Novagen, Madison WI)など)が含まれる。このような細菌発現ベクターは、本発明の特定のポリペプチドの発現において有用な場合があるが、本発明の糖タンパク質は、好ましくは、真核細胞において発現され、従って、本発明はまた、真核生物発現ベクターを提供する。
発現ベクターは、酵母細胞内での本発明の核酸の発現に適したベクターでもよい。酵母系に適した任意のベクターを使用することができる。例えば、サッカロマイセス・セレビシエにおける使用に適したベクターには、例えば、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター、例えば、α因子、アルコールオキシダーゼ、およびPGHを含むベクターが含まれる(Ausubel, 前記、Berger, 前記、およびGrant et al., Meth. Enzymol. 153:516-544(1987)において概説されている)。通常、発現ベクターは、動物細胞、例えば、昆虫細胞(例えば、SF-9細胞)または哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞、293細胞、HeLa細胞、ヒト線維芽細胞細胞、もしくは類似の特徴がはっきりした細胞)における、本発明の核酸の発現に適したベクターである。適切な哺乳動物発現ベクターが当技術分野において公知である(例えば、Kaufman, Mol. Biotechnol. 16(2):151-160 (2000)、Van Craenenbroeck, Eur. J. Biochem. 267(18):5665-5678 (2000)、Makrides, Protein Expr. Purif. 17(2):183-202 (1999)、およびYarranton, Curr. Opin. Biotechnol. 3(5):506-511 (1992)を参照されたい)。適切な昆虫細胞プラスミド発現ベクターも公知である (Braun, Biotechniques 26(6):1038-1040:1042(1999))。
発現ベクターは、典型的には、宿主細胞内で増やすことができる。宿主細胞は、真核細胞(例えば、哺乳動物細胞、酵母細胞、または植物細胞)でもよく、または原核細胞、例えば、細菌細胞でもよい。核酸ベクターまたは発現ベクターの宿主細胞への導入(例えば、トランスフェクション)は、リン酸カルシウムトランスフェクション(例えば、Graham et al., Virology 52:456-457(1973)のリン酸カルシウム共沈法を参照されたい)、DEAE-デキストランを介したトランスフェクション、エレクトロポレーション、遺伝子銃またはワクチン銃、注射、リポフェクションおよびバイオリスティック、または他の一般的な技法によって行うことができる(例えば、Kriegler, GENE TRANSFER AND EXPRESSION: A LABORATORY MANUAL, Stockton Press (1990)を参照されたい;インビボ、エクスビボ、およびインビトロ方法の説明については、Davis, L., Dibner, M., and Battey, I., BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY (1986)を参照されたい)。これらのおよび他の本発明のベクターを含む細胞は、本発明の重要な部分をなす。
1つの局面において、本発明は、(i) SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、ヒトCD86および/もしくはヒトCD80に結合し、かつ/またはそのいずれかもしくは両方の細胞外ドメイン、ならびに/あるいは免疫応答を抑制する第1のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド配列、ならびに(ii)免疫グロブリン(Ig)ポリペプチドのヒンジ領域、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含む第2のポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む、発現ベクターを提供する。Igポリペプチドは、任意でヒトIg Fcポリペプチド(例えば、IgG1、IgG2、IgG4など)または変異体Ig Fcポリペプチド(例えば、1つもしくは複数のシステイン残基が別のアミノ酸(例えば、セリン残基)で置換されて、2つのIg鎖間で形成する1つもしくは複数のジスルフィド結合が無くなっている、Ig Fcポリペプチド、または1つもしくは複数のプロリン残基が別のアミノ酸(例えば、プロリン)で置換されて、エフェクター機能が低下している(Fc受容体結合が低下している)、Ig Fcポリペプチド)である。別の局面において、本発明は、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを提供する。
本発明によって提供されるさらなる核酸には、コスミドが含まれる。本発明の核酸配列を複製、導入、および発現させるために、任意の適切なコスミドベクターを使用することができる。典型的には、コスミドは、細菌oriV、抗生物質選択マーカー、クローニングサイト、およびバクテリオファージλに由来する1つまたは2つのcos部位を含む。コスミドは、SV40 oriV、望ましくは、適切な哺乳動物選択マーカーを含む、シャトルコスミドまたは哺乳動物コスミドでもよい。コスミドベクターは、例えば、Hohn et al. (1988) Biotechnology 10:113-27にさらに記載されている。
本発明の核酸は、適切な送達ビヒクル(すなわち、ベクター)の形で宿主または宿主細胞に含め、および/または投与することができる。ベクターは、染色体ベクター、非染色体ベクター、および合成核酸ベクター、または前記の他のベクターを含む任意の適切なベクターでよく、前記の発現エレメントならびに/または他のトランスフェクション促進配列エレメントおよび/もしくは発現促進配列エレメントの任意の組み合わせを含んでもよい。このようなベクターの例には、ウイルス、細菌プラスミド、ファージ、コスミド、ファージミド、SV40誘導体、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミドおよびファージDNAの組み合わせに由来するベクター、ならびにウイルス核酸(RNAまたはDNA)ベクター、ポリリジン、ならびに細菌細胞が含まれる。
本発明の組換えDNA配列の送達は、本明細書においてさらに議論されるように、裸のDNAプラスミドまたは1つもしくは複数のトランスフェクション増強剤と会合したプラスミドを用いて達成することができる。プラスミドDNAベクターは、特徴の任意の適切な組み合わせを有することができる。プラスミドDNAベクターは、強力なプロモーター/エンハンサー領域(例えば、ヒトCMV、RSV、SV40、SL3-3、MMTV、またはHIV LTRプロモーター)、有効なポリ(A)終結配列、大腸菌内でのプラスミド産生用の複製起点、選択マーカーとしての抗生物質耐性遺伝子、および便利なクローニングサイト(例えば、ポリリンカー)を含んでもよい。これに関して、本発明の核酸を送達するための特定のプラスミドベクターを図1に示した。このベクターの構築および特徴を以下の実施例に記載する。
別の局面において、本発明は、本発明の少なくとも1つの核酸またはポリペプチドを含む非核酸ベクターを提供する。このような非核酸ベクターには、例えば、組換えウイルス、ウイルス核酸-タンパク質コンジュゲート(組換えウイルス粒子を用いた場合、ウイルスベクターと呼ばれることがある)、または細胞、例えば、組換え(および通常、弱毒化)サルモネラ属(Salmonella)、赤痢菌属(Shigella)、リステリア属(Listeria)、およびカルメット・ゲラン桿菌(Bacillus Calmette-Guerin)(BCG)細菌細胞含まれるが、これに限定されない。従って、例えば、本発明は、本発明の配列の核酸を含む、ウイルスベクター、昆虫ベクター、細菌ベクター、または植物ベクターを提供する。これに関して、任意の適切なウイルスベクター、昆虫ベクター、植物ベクター、または細菌ベクターを使用することができ、多くが当技術分野において公知である。ウイルスベクターは、任意の数のウイルスポリヌクレオチドを、単独で(ウイルス核酸ベクター)含んでもよく、またはより一般的には、望ましい宿主細胞における本発明の核酸の送達、複製、および/または発現を促進する1つまたは複数の(典型的には、2種類、3種類、またはそれ以上の)ウイルスタンパク質と組み合わせて含んでもよい。
1つの局面において、本発明の核酸を送達するために、細胞内細菌(例えば、リステリア菌)を使用することができる。本発明の1つまたは複数の核酸のプラスミドDNA送達用の例示的な細菌ベクターは、リステリア菌である(Lieberman et al., Vaccine 20:2007-2010 (2002))。
本発明は、本発明の1つまたは複数の核酸またはポリペプチドを含むように改変された組換えまたは単離されたウイルスベクターを含む。ウイルスベクターは、ウイルスゲノムの全てもしくは一部を含むポリヌクレオチド、ウイルスタンパク質/核酸複合体、ウイルス様粒子(VLP)、米国特許第5,849,586号および国際公開公報番号WO 97/04748号に記載のものと類似のベクター、または1つもしくは複数のウイルス核酸を含むインタクトなウイルス粒子を含んでもよい。ウイルスベクターは、典型的には、本発明の少なくとも1つの核酸および/またはポリペプチドを含むように操作されている。ウイルスベクター(すなわち、組換えウイルス)は、野生型ウイルス粒子または改変ウイルス粒子を含んでもよく、これらの具体例は下記で議論される。非常に多くのウイルスが、典型的には、本発明の少なくとも1つの核酸、例えば、本明細書に記載の変異体CTLA-4 ECDまたは変異体CTLA-4-Igをコードする核酸を含む、外因性核酸を送達するためのベクターとして用いられる。このようなベクターには、組換えにより改変された、エンベロープのある、またはエンベロープの無いDNAウイルスおよびRNAウイルスが含まれ、典型的には、バキュロウイルス科(baculoviridiae)、パルボウイルス科(parvoviridiae)、ピコモウイルス科(picomoviridiae)、ヘルペスウイルス科(herpesveridiae)、ポックスウイルス科、アデノウイルス科(adenoviridiae)、またはピコルナウイルス科(picornnaviridiae)より選択される。ウイルスベクターは野生型でもよく、組換え核酸法によって複製欠損になるように、複製能があるように、条件付で複製するように改変されてもよい。
ウイルスベクターは、複製および/または発現のために別のベクターまたは野生型ウイルスの存在を必要とするベクター(すなわち、ヘルパー依存性ウイルス)、例えば、アデノウイルスベクターアンプリコンでもよい。典型的には、このようなウイルスベクターは、野生型ウイルス粒子、あるいはトランスジーン能力を高めるように、または核酸のトランスフェクションおよび/もしくは発現を助けるように、タンパク質および/もしくは核酸の内容が改変されたウイルス粒子を含む(このようなベクターの例にはヘルペスウイルス/AAVアンプリコンが含まれる)。ウイルスゲノムは、ある特定の条件下でしか複製または発現を実現しない誘導性プロモーターを含むように改変されてもよい。
ウイルスベクターは、動物、好ましくは脊椎動物、例えば、ヒトを含む哺乳動物に通常感染するウイルスに由来してもよく、これを含んでもよい。これに関して、適切なウイルスベクター粒子には、例えば、アデノウイルスベクター粒子(アデノウイルス科の任意のウイルスもしくはアデノウイルス科のウイルスに由来するウイルスを含む)、アデノ随伴ウイルスベクター粒子(AAVベクター粒子)、または他のパルボウイルスおよびパルボウイルスベクター粒子、パピローマウイルスベクター粒子、セムリキ森林ウイルスベクター、フラビウイルスベクター、ピコルナウイルスベクター、アルファウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、レンチウイルスベクターを含むレトロウイルスベクターが含まれる。このようなウイルスおよびウイルスベクターの例は、例えば、Fields Virology, 前記、Fields et al., eds., Virology, Raven Press, Ltd., New York (3rd ed., 1996 and 4th ed., 2001)、ENCYCLOPEDIA OF VIROLOGY, R.G. Webster et al., eds., Academic Press (2nd ed., 1999)、FUNDAMENTAL VIROLOGY, Fields et al., eds., Lippincott-Raven (3rd ed., 1995)、Levine, 「Viruses」, Scientific American Library No. 37 (1992)、MEDICAL VIROLOGY, D.O. White et al., eds., Academic Press (2nd ed. 1994)、およびINTRODUCTION TO MODERN VIROLOGY, Dimock, N.J. et al., eds., Blackwell Scientific Publications, Ltd. (1994)に示されている。
本発明の核酸および本明細書に記載の方法と共に使用することができるウイルスベクターには、例えば、Carter(1992) Curr. Opinion Biotech. 3:533-539 (1992)およびMuzcyzka (1992) Curr. Top. Microbiol. Immunol. 158:97-129 (1992)に概説されているアデノ随伴ウイルスベクターが含まれる。AAVベクターのさらなるタイプおよび局面は、例えば、Buschacher et al., Blood 5(8):2499-504、Carter, Contrib. Microbiol. 4:85-86 (2000)、Smith-Arica, Curr. Cardiol. Rep. 3(1):41-49 (2001)、Taj, J. Biomed. Sci. 7(4):279-91 (2000)、Vigna et al., J. Gene Med. 2(5):308-16 (2000)、Klimatcheva et al., Front. Biosci. 4:D481-96 (1999)、Lever et al., Biochem. Soc. Trans. 27(6):841-47 (1999)、Snyder, J. Gene Med. 1(3):166-75 (1999)、Gerich et al., Knee Surg. Sports Traumatol. Arthrosc. 5(2):118-23 (1998)、およびDuring, Adv. Drug Deliv. Review 27(1):83-94 (1997)、ならびに米国特許第4,797,368号、同第5,139,941号、同第5,173,414号、同第5,614,404号、同第5,658,785号、同第5,858,775号、および同第5,994,136号、ならびに本明細書の他の場所で議論される他の参考文献に記載されている。アデノ随伴ウイルスベクターは、例えば、米国特許第4,797,368号およびLaughlin et al., Gene 23:65-73 (1983)に示した方法を用いて構築および/または精製することができる。
他の状況では、アルファウイルスベクターが遺伝子送達ベクターになり得る。アルファウイルスベクターは当技術分野において公知であり、例えば、Carter (1992) Curr Opinion Biotech 3:533-539, Schlesinger Expert Opin. Biol. Ther. (2001) 1(2):177-91、Polo et al., Dev. Biol. (Basel). 2000;104:181-5, Wahlfors et al., Gene Ther. (2000) 7(6):472-80、国際公開公報番号WO 01/81609号、WO 00/39318号、WO 01/81553号、WO 95/07994号、WO 92/10578号に記載されている。
別の有利なウイルスベクターグループは、ヘルペスウイルスベクターである。例は、例えば、Lachmann et al., Curr. Opin. Mol. Ther. (1999) 1(5):622-32、Fraefel et al., Adv. Virus Res. (2000) 55:425-51、Huard et al., Neuromuscul. Disord. (1997) 7(5):299-313、Frenkel et al., Gene Ther. (1994) Suppl 1:S40-6、米国特許第6,261,552号および同第5,599,691号に記載されている。
レンチウイルスベクターを含むレトロウイルスベクターもまた、特定の状況では有利な遺伝子送達ビヒクルであり得る。当技術分野において公知の非常に多くのレトロウイルスベクターがある。レトロウイルスベクターの例は、例えば、Miller, Curr Top Microbiol. Immunol. (1992) 158:1-24、Weber et al., Curr. Opin. Mol. Ther. (2001) 3(5):439-53、Hu et al., Pharmacol. Rev. (2000) 52(4):493-511、Kim et al., Adv. Virus Res. (2000) 55:545-63、Palu et al., Rev. Med. Virol. (2000) 10(3):185-202、Takeuchi et al., Adv. Exp. Med. Biol. (2000) 465:23-35、米国特許第6,326,195号、同第5,888,502号、同第5,580,766号、および同第5,672,510号に記載されている。
バキュロウイルスベクターは、特に本発明のポリペプチドの産生のための、別の有利なウイルスベクターグループである。バキュロウイルスベクターの作製および使用は公知である(例えば、Kost, Curr. Opin. Biotechnol. 10(5):428-433 (1999); Jones, Curr. Opin. Biotechnol. 7(5):512-516 (1996)を参照されたい)。ベクターが治療用途に用いられる場合、望ましい治療効果が望ましい標的細胞に十分に感染できるように(または核酸ベクターの場合、標的細胞をトランスフェクトもしくは形質転換できるように)選択される。
アデノウイルスベクターもまた遺伝子導入に適したウイルスベクターであり得る。アデノウイルスベクターは当技術分野において周知であり、例えば、Graham et al. (1995) Mol. Biotechnol. 33(3):207-220、Stephenson (1998) Clin. Diagn. Virol. 10(2-3):187-94、Jacobs (1993) Clin Sci (Lond). 85(2):117-22、米国特許第5,922,576号、同第5,965,358号、および同第6,168,941、ならびに国際公開公報番号WO 98/22588号、WO 98/56937号、WO 99/15686号、WO 99/54441号、およびWO 00/32754号に記載されている。本発明の実施に有用であり、生命体への本発明の核酸のインビボ形質導入および発現に適した、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、およびシンドビスウイルスベクターは、例えば、Jolly (1994) Cancer Gene Therapy 1:51-64、Latchman (1994) Molec. Biotechnol. 2:179-195、および Johanning et al. (1995) Nucl. Acids Res. 23:1495-1501に概説されている。
ウイルスベクターは宿主細胞において複製欠損でもよい。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが含まれ、これは、相補アデノウイルスまたは少なくともアデノウイルス遺伝子産物(例えば、ヘルパーウイルス、プラスミド、もしくは相補細胞によって提供される)の非存在下では天然で複製欠損である。「複製欠損」とは、ウイルスベクターが複製に必須の少なくとも1つの遺伝子機能を欠くゲノムを含むことを意味する。本明細書において用いられる、遺伝子、遺伝子機能、または遺伝子領域もしくはゲノム領域の欠損は、核酸配列が全てまたは部分的に欠失された遺伝子の機能を損なう、または消すのに十分な、ウイルスゲノム遺伝物質の欠失として定義される。複製に必須の遺伝子機能は、複製欠損ウイルスベクターの複製(すなわち、増殖)に必要な遺伝子機能である。ウイルスベクター粒子の必須の遺伝子機能は、問題になっているウイルスベクター粒子のタイプによって異なる。複製欠損ウイルスベクター粒子の例は、例えば、Marconi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93(21):11319-20 (1996)、Johnson and Friedmann, Methods Cell Biol. 43 (pt. A):211-30 (1994)、Timiryasova et al., J. Gene Med. 3(5):468-77 (2001)、Burton et al., Stem Cells 19(5):358-77 (2001)、Kim et al., Virology 282(1):154-67 (2001)、Jones et al., Virology 278(1):137-50 (2000)、Gill et al., J. Med. Virol. 62(2):127-39 (2000)に記載されている。他の複製欠損ベクターは、単純なMLVベクター(Miller et al. (1990) Mol. Cell Biol. 10:4239; Kolberg (1992) J. NIH Res. 4:43、およびCornetta et al. (1991) Hum. Gene. Ther. 2:215)をベースとしている。ヒト細胞への感染にはカナリアポックスベクターが有利であるが、天然では(すなわち、遺伝子組換えしなければ)ヒト細胞において複製することができない。
組換えウイルスベクターの基本構築は当技術分野においてよく理解されており、標準的な分子生物学法、例えば、Sambrook et al., MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL (Cold Spring Harbor Press 1989) およびその第三版 (2001)、Ausubel et al., CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY (Wiley Interscience Publishers 1995)、ならびにWatson,前記、ならびにこれらの中で言及された他の参考文献のいくつかに記載のものを使用することを伴う。例えば、アデノウイルスベクターは、例えば、Graham et al., Mol. Biotechnol. 33(3):207-220(1995)、米国特許第5,965,358号、Donthine et al., Gene Ther. 7(20):1707-14(2000)、および本明細書に記載の他の参考文献に示された方法を用いて、構築および/または精製することができる。アデノ随伴ウイルスベクターは、例えば、米国特許第4,797,368号および Laughlin et al., Gene 23:65-73 (1983)に示された方法を用いて構築および/または精製することができる。他のウイルスベクターに関して、特に、ヘルペスウイルスベクター(例えば、Lachman et al., Curr. Opin. Mol. Ther. 1(5):622-32(1999)を参照されたい)、レンチウイルスベクター、および他のレトロウイルスベクターに関して、類似の技法が当技術分野において公知である。一般的に、ウイルスベクターは、核酸の挿入を含み(例えば、野生型アデノウイルスベクターは、欠失無く、3KBまでの挿入を含むことができる)、より典型的には、核酸の挿入を収容するためのウイルスゲノムの1つまたは複数の欠失、所望であれば、宿主細胞において複製を阻止するためのさらなる核酸を含む。
非ウイルスベクター、例えば、DNAプラスミド、裸の核酸、および送達ビヒクル、例えば、リポソームと複合体化した核酸もまた、ベクターを、宿主(例えば、特定の臓器、組織、および/または細胞タイプ)の特定の領域に標的化する分子と会合することができる。例えば、ヌクレオチドは、(例えば、Wu et al., J. Biol. Chem. 263(29):14621-24(1988)の技法の改良によって)標的化タンパク質、例えば、受容体に結合するウイルスタンパク質または特定の標的の受容体に結合するタンパク質とコンジュゲート化することができる。標的化されたカチオン性脂質組成物は公知である(例えば、U.S.6,120,799を参照されたい)。遺伝子構築物を標的化する他の技法は、国際公開公報番号WO 99/41402号に提供されている。
発現宿主
本発明はまた、本発明のベクター(例えば、クローニングベクターもしくは発現ベクター)または本発明の核酸によって形質導入、トランスフェクト、または形質転換された、操作された宿主細胞も提供する。操作された宿主細胞は、プロモーターの活性化、形質転換体の選択、または関心対象の遺伝子の増幅のために適宜改変される従来の栄養培地中で培養することができる。培養条件、例えば、温度、pHなどは、発現のために選択された宿主細胞と共に以前に用いられたものであり、当業者に、ならびに、例えば、Freshney (1994) Culture of Animal Cells, a Manual of Basic Technique, 3rd ed., Wiley - Liss, New Yorkおよびその中で引用された参考文献を含む、本明細書において引用された参考文献において明らかであろう。このような本発明のベクターまたは核酸によってコードされる本発明のポリペプチドは、このような宿主細胞内で発現され、標準的な技法によって単離することができる。例えば、細胞培養物に放出されたポリペプチドは、超遠心または類似の技法によって培養物から単離することができる。
本発明のポリペプチドは、動物細胞、例えば、ヒト細胞および非ヒト霊長類細胞を含む哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞)、ならびに非動物細胞、例えば、植物、酵母、菌類、細菌などを含むが、これに限定されない、様々な発現宿主において産生することができる。適切な発現宿主の例には、細菌細胞、例えば、大腸菌、ストレプトマイセス属、およびネズミチフス菌;真菌細胞、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ、ピキア・パストリス、およびアカパンカビ;昆虫細胞、例えば、ショウジョウバエおよびヨトウガ;哺乳動物細胞、例えば、CHO(例えば、CHO-K1)、COS(例えば、COS-1、COS-7)、BHK、およびHEK(例えば、HEK293)細胞、Bowes黒色腫細胞、ならびに植物細胞が含まれる。前記のように、本発明は、使用される宿主細胞によって限定されない。Sambrook、Berger、およびAusubel,全て前記に加えて、細胞培養に関する詳細は、例えばPayne et al. (1992) Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems John Wiley & Sons, Inc. New York, NY; Gamborg and Phillips (eds.) (1995) Plant Cell, Tissue and Organ Culture; Fundamental Methods Springer Lab Manual, Springer-Verlag (Berlin Heidelberg NY); Atlas & Parks (eds.) The Handbook of Microbiological Media (1993) CRC Press, Boca Raton, FLに見出される。このような宿主細胞は、当技術分野において公知の手順を用いて、無血清無タンパク質培地、動物成分を含まない培地、例えば、化学的に規定された(CD)培地(例えば、CD OptiCHO(商標)(Invitrogen, #12681)において増殖するように合わせることができる。
本発明は、本明細書に記載の本発明の核酸、ベクター、または他の構築物(例えば、変異体CTLA-4 ECDもしくは変異体CTLA-4-Igを発現する構築物)のいずれか1つまたは複数、あるいはその組み合わせを含む細胞を提供する。本明細書に記載の本発明のポリペプチド、抗体、もしくは融合タンパク質、または他の構築物のいずれか1つまたは複数、あるいはこれらの1つまたは複数の任意の組み合わせを含む細胞も含まれる。本発明の細胞、典型的には、単離されたまたは組換え型の細胞であり、宿主細胞を含んでもよい。このような細胞、例えば、組換え細胞は、本発明の少なくとも1つの核酸、ベクター、または他の構築物による形質転換、トランスフェクション、および/または感染によって改変されてもよい。このような細胞は真核細胞(例えば、哺乳動物、酵母、または植物細胞)でもよく、原核細胞(例えば、細菌細胞)でもよく、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション(例えば、リン酸カルシウム共沈法を参照されたい)、DEAE-デキストランを介したトランスフェクション、エレクトロポレーション(Irving et al., Cell 64:891-901(1991))、遺伝子銃もしくはワクチン銃、注射、リポフェクションおよびバイオリスティック、または前記の他の一般的な技法を含む様々な公知の方法を用いて、本発明の任意のこのような構築物で形質転換することができる。ワールドワイウェブサイトアドレスinovio.comにある、Inovio Biomedical Corp.のエレクトロポレーション法および技術も参照されたい。
宿主細胞株は、任意で、挿入された配列の発現を調節する能力、または発現されたタンパク質を望ましい様式でプロセシングする能力について選択される。このようなタンパク質修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化が含まれるが、これに限定されない。様々な宿主細胞、例えば、大腸菌、バチルス属の種(Bacillus sp.)、酵母、または哺乳動物細胞、例えば、CHO、HeLa、BHK、MDCK、HEK293、WI38などは、このような翻訳後活性のための特定の細胞機構および特徴的な機構を有し、導入された外来タンパク質の正しい修飾およびプロセシングを確実にするために選択されてもよい。
宿主が関心対象のタンパク質(例えば、変異体CTLA-4 ECDまたは変異体CTLA-4-Ig)を発現できるようにするために、本発明の核酸を(培養状態のまたは宿主生物内の)適切な宿主細胞に挿入することができる。任意の適切な宿主細胞を、本発明の核酸によって形質転換/形質導入することができる。適切な発現宿主の例には、細菌細胞、例えば、大腸菌、ストレプトマイセス属、バチルス属の種、およびネズミチフス菌;真菌細胞、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ、ピキア・パストリス、およびアカパンカビ;昆虫細胞、例えば、ショウジョウバエおよびヨトウガ;哺乳動物細胞、例えば、Vero細胞、HeLa細胞、CHO細胞(例えば、CHO-K1)、COS細胞、WI38細胞、NIH-3T3細胞(および他の線維芽細胞細胞、例えば、MRC-5細胞)、MDCK細胞、KB細胞、SW-13細胞、MCF7細胞、BHK細胞、HEK-293細胞、Bowes黒色腫細胞、ならびに植物細胞などが含まれる。
本発明はまた、本発明の少なくとも1つの核酸またはベクターで形質導入、形質転換、またはトランスフェクトされた宿主細胞も提供する。前記で議論したように、本発明のベクターは、典型的には、本発明の核酸を含む。宿主細胞は、本発明のベクターを用いて遺伝子操作(例えば、形質導入、形質転換、感染、またはトランスフェクト)され、本発明のベクターは、例えば、クローニングベクターまたは発現ベクターでもよい。ベクターは、プラスミド、ウイルス粒子、ファージ、弱毒化細菌、または他の任意の適切なタイプのベクターの形でよい。本発明の組換えポリペプチドの産生および/または本発明のウイルスベクターの複製のための、本発明のウイルスベクターによる形質導入および/または感染に適した宿主細胞には、前記の細胞が含まれる。ウイルスベクター粒子のパッケージングに適していると証明されている細胞の例は、例えば、Polo et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 96(8):4598-603 (1999)、Farson et al., J. Gene Med. 1(3):195-209 (1999)、Sheridan et al., Mol. Ther. 2(3):262-75 (2000)、Chen et al., Gene Ther. 8(9):697-703 (2001)、およびPizzaro et al., Gene Ther. 8(10):737-745 (2001)に記載されている。複製欠損ウイルスベクター、例えば、AAVベクターの場合、ウイルスベクターの複製には、相補細胞株、ヘルパーウイルスで形質転換された細胞株、または必須の遺伝子をコードするプラスミドで形質転換された細胞株が必要とされる。
操作された宿主細胞は、プロモーターの活性化、形質転換体の選択、または関心対象の遺伝子の増幅のために適宜改変される従来の栄養培地中で培養することができる。宿主細胞は血清含有培地または無血清培地中で培養することができる。宿主細胞は、例えば、化学的に規定された培地(例えば、CD OptiCHO(商標)(Invitrogen,#12681))を含む、無血清、無タンパク質、動物成分を含まない培地中で培養することができる。所望であれば、細胞培地には、当業者に公知の補助剤、例えば、L-グルタミン(例えば、2%v/v 200mM L-グルタミン(Invitrogen,#25031))などの1種類または複数の種類のアミノ酸を添加することができる。培養条件、例えば、温度、pHなどは、発現のために選択された宿主細胞と共に以前に用いられたものであり、当業者に、ならびに、例えば、ANIMAL CELL TECHNOLOGY, Rhiel et al., eds., (Kluwer Academic Publishers 1999)、Chaubard et al., Genetic Eng. News 20(18) (2000)、Hu et al., ASM News 59:65-68 (1993)、 Hu et al., Biotechnol. Prog. 1:209-215 (1985)、Martin et al., Biotechnol. (1987)、Freshney, CULTURE OF ANIMAL CELLS: A MANUAL OF BASIC TECHNIQUE, 4th ed., (Wiley, 2000)、Mather, INTRODUCTION TO CELL AND TISSUE CULTURE: THEORY AND TECHNIQUE, (Plenum Press, 1998)、Freshney, CULTURE OF IMMORTALIZED CELLS, 3rd ed., (John Wiley & Sons, 1996), CELL CULTURE: ESSENTIAL TECHNIQUES, Doyle et al., eds. (John Wiley & Sons 1998)、およびGENERAL TECHNIQUES OF CELL CULTURE, Harrison et al., eds., (Cambridge Univ. Press 1997)を含む、本明細書において引用された参考文献において明らかであろう。
核酸はまた、植物細胞において含有、複製、および/または発現することができる。植物細胞の培養に関連する技法は、例えば、Payne et al. (1992) PLANT CELL AND TISSUE CULTURE IN LIQUID SYSTEMS John Wiley & Sons, Inc. New York, NY; Gamborg and Phillips (eds.) (1995) PLANT CELL, TISSUE AND ORGAN CULTURE: FUNDAMENTAL METHODS SPRINGER LAB MANUAL, Springer-Verlag (Berlin Heidelberg New York)、およびPlant Molecular Biology (1993) R.R.D. Croy (ed.) Bios Scientific Publishers, Oxford, U.K. ISBN 0 12 198370 6に記載されている。細胞培地は、Atlas and Parks (eds.) THE HANDBOOK OF MICROBIOLOGICAL MEDIA (1993) CRC Press, Boca Raton, FLにおいて概説されている。
組換えタンパク質を長期間、高収率で産生するために、安定した発現系を使用することができる。例えば、本発明のポリペプチドを安定に発現する細胞株を、ウイルス複製起点および/または内因性発現エレメントならびに選択マーカー遺伝子を含む発現ベクターによって形質導入することができる。ベクターが導入された後に、細胞株内の細胞を強化倍地中で1〜2日間増殖させてもよく、その後に、強化倍地を選択培地に変える。選択マーカーの目的は、選択に対する耐性を付与することであり、選択マーカーが存在すると、導入された配列を首尾よく発現している細胞の増殖および回収が可能になる。例えば、安定に形質転換された細胞の耐性凝集塊を、細胞タイプに適した組織培養法を用いて増殖させることができる。無血清培地が容易に入手可能である(例えば、JRH Biosciences, SAFC Biosciences, Sigma-Aldrich Corporation,ワールドワイドウェブsigmaaldrich.com)。場合によっては、タンパク質の産生または細胞バンクには、無血清培地または条件培地(例えば、トランスフェクトされていない細胞培養物またはナイーブ細胞培養物から以前に採取された増殖培地)が好ましい場合がある。
本発明は、本発明の1つまたは複数のポリペプチド(例えば、二量体または単量体融合タンパク質および多量体ポリペプチドを含む)、コンジュゲート、核酸、またはベクターを含む不死化細胞または細胞株を含む。
発現ベクターおよび/またはポリヌクレオチドで形質転換された宿主細胞は、任意で、細胞培養物からのコードされるタンパク質の発現および回収に適した条件下で培養される。このような組換え細胞によって産生されたポリペプチドまたはその断片は、使用される配列および/またはベクターに応じて、分泌されてもよく、膜に結合してもよく、細胞内に含まれてもよい。本発明の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、原核細胞膜または真核細胞膜を通って成熟ポリペプチドを分泌させるシグナル配列と共に設計することができる。このようなシグナル配列は、典型的には、本発明のポリペプチドのN末端で発現するようにベクターに含まれる。このようなシグナル配列に関連する原理は、本明細書の他の場所で議論される。
ポリペプチドの産生および回収
適切な宿主株に形質導入し、宿主株を適切な細胞密度まで増殖させた後に、選択されたプロモーターを適切な手段(例えば、温度変化または化学的誘導)によって誘導し、細胞をさらなる期間培養する。細胞は、典型的には、遠心分離によって採取され、物理的手段または化学的手段によって破壊され、結果として生じた粗抽出物が、さらなる精製のために保持される。タンパク質発現において用いられた微生物細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊、もしくは細胞溶解剤の使用、または当業者に周知の他の方法を含む任意の便利な方法によって破壊することができる。
記載のように、細菌、植物、動物(特に、哺乳動物)、および古細菌由来の細胞を含む多くの細胞の培養および作製のために、多くの参考文献が利用可能である。例えば、Sambrook、Ausubel、およびBerger(全て前記)、ならびにFreshney(1994) Culture of Animal Cells, a Manual of Basic Technique, Third edition, Wiley-Liss, New York、およびその中で引用された参考文献; Doyle and Griffiths (1997) Mammalian Cell Culture: Essential Techniques, John Wiley and Sons, NY; Humason (1979) Animal Tissue Techniques, fourth edition W.H. Freeman and Company;ならびにRicciardelli, et al., (1989) In vitro Cell Dev. Biol. 25:1016 1024. For plant cell culture and regeneration, Payne et al. (1992) Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems, John Wiley & Sons, Inc. New York, N.Y.; Gamborg and Phillips (eds.) (1995) Plant Cell, Tissue and Organ Culture; Fundamental Methods Springer Lab Manual, Springer-Verlag (Berlin Heidelberg New York)、ならびにPlant Molecular Biology (1993) R. R. D. Croy, Ed. Bios Scientific Publishers, Oxford, U.K. ISBN 0 12 198370 6を参照されたい。細胞培地は、Atlas and Parks (eds.) The Handbook of Microbiological Media (1993) CRC Press, Boca Raton, Flaに概説されている。細胞培養のさらなる情報は、入手可能な市販の文献、例えば、Sigma-Aldrich, Inc. (St. Louis, Mo.)のLife Science Research Cell Culture Catalogue (1998)(「Sigma-LSRCCC」)、例えば、これもSigma-Aldrich, Inc. (St. Louis, Mo.)のthe Plant Culture Catalogue and supplement (1997)(「Sigma-PCCS」)において見出される。
本発明のポリペプチドは、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー(例えば、本明細書に記載の任意の標的化系を用いる)、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーを含む、当技術分野において周知の多数の方法によって、組換え細胞培養物から回収および精製することができる。所望であれば、成熟タンパク質の配置を完了する際に、タンパク質リフォールディング工程を使用することができる。最後に、最終精製工程において高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用することができる。前記の参考文献に加えて、Sandana (1997) Bioseparation of Proteins, Academic Press, Inc.;およびBollag et al. (1996) Protein Methods, 2.sup.nd Edition Wiley-Liss, NY; Walker (1996) The Protein Protocols Handbook Humana Press, NJ, Harris and Angal (1990) Protein Purification Applications: A Practical Approach IRL Press at Oxford, Oxford, England; Harris and Angal Protein Purification Methods: A Practical Approach IRL Press at Oxford, Oxford, England; Scopes (1993) Protein Purification: Principles and Practice 3.sup.rd Edition Springer Verlag, NY; Janson and Ryden (1998) Protein Purification: Principles, High Resolution Methods and Applications, Second Edition Wiley-VCH, NY;ならびにWalker (1998) Protein Protocols on CD-ROM Humana Press, NJを含む、様々な精製方法が当技術分野において周知である。
当業者であれば、例えば、LEA29Y-Igを作る実施例1に示した方法を含む本明細書に記載の様々な方法によって、本発明の融合タンパク質(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)を作ることができると理解するだろう。例えば、LEA29Yをコードする核酸の代わりに、本発明の変異体CTLA-4 ECDポリペプチド(例えば、D3-54ポリペプチド)をコードする核酸配列を、IgG2 Fc融合ベクターにクローニングして、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質(例えば、D3-54-IgG2)をコードするベクターを作製することができる。このような変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を発現する安定したCHO-K1細胞は、このような細胞を変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質をコードするベクターでトランスフェクトすることによって作ることができる。結果として得られた変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質(例えば、D3-54-IgG2)は(典型的には、二量体の形で)発現し、実施例1に記載のように精製することができる。
インビトロ発現系
本発明のDNAおよび/もしくはRNAまたはその断片を用いて、本発明の組換えポリペプチドまたはその断片を産生するために、無細胞転写/翻訳系も使用することができる。いくつかのこのような系は市販されている。インビトロでの転写および翻訳のプロトコールに対する一般的なガイドは、Tymms(1995) IN VITRO TRANSCRIPTION AND TRANSLATION PROTOCOLS: METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY, Volume 37, Garland Publishing, NewYorkにおいて見出される。
本発明の方法
本発明のポリペプチド(例えば、二量体および単量体融合タンパク質ならびに多量体ポリペプチドを含む)、コンジュゲート、組成物、核酸、ベクター、ならびに細胞は、様々な特性および特徴を示し、例えば、免疫系および免疫系応答の調節または調整が利益となり得る様々な免疫系疾患、障害、および状態を処置する予防方法または治療方法を含むが、これに限定されない様々な用途において有用であると考えられる。例えば、CD80および/もしくはCD86またはそのいずれかもしくは両方のECDに結合する能力を有し、かつ/あるいは免疫応答を阻害する能力を有する、本発明のポリペプチド、コンジュゲート、組成物、核酸、ベクター、および細胞は、対象における免疫応答を阻害または抑制するための予防方法および/または治療方法、レシピエントによるドナーからの組織移植、細胞移植、または臓器移植の拒絶反応を阻害する方法、ならびに本明細書の他の場所に記載の他の方法において有用であると考えられる。このような本発明のポリペプチド、コンジュゲート、組成物、核酸、ベクター、および細胞の一部は、CD28および/またはCTLA-4を発現するT細胞とB7陽性細胞との相互作用を調節または阻害する方法において有用であると予想される。
1つの局面において、本発明の治療方法または予防方法は、免疫応答を抑制または阻害するために、有効量の少なくとも1つのこのようなポリペプチド(例えば、融合タンパク質、多量体などを含む)、コンジュゲート、組成物、核酸、ベクター、および/または細胞を対象に投与することを伴う。治療の状況において、対象は、典型的には、免疫系の疾患、障害、または状態に罹患している対象である。投与は、疾患、障害、または状態のさらなる進行を阻止するために行われる。例えば、本発明の分子を、免疫系疾患(例えば、自己免疫疾患)に罹患している対象に投与すると、このような免疫系の攻撃またはこれに関連する生物学的応答を抑制または阻害することができる。健康な体組織に対するこの免疫系の攻撃を抑制することによって、健康な組織に対するこのような攻撃に起因する、または健康な組織に対するこのような攻撃に関連する、結果として生じた身体症状(例えば、疼痛、関節炎症、関節腫脹、または関節圧痛)を減少または緩和することができ、免疫系の攻撃に起因する、または免疫系の攻撃に関連する生物学的損傷および物理的損傷を減少、遅延、または停止することができる。
予防の状況において、対象は、免疫系の疾患、障害、または状態に罹患している対象でもよく、免疫系の疾患、障害、または状態にかかりやすい対象でもよく、免疫系の疾患、障害、または状態を示すと考えられている対象でもよい。投与は、典型的には、疾患、障害、もしくは状態の進行を阻止するために、これらに関連する症状、徴候、もしくは生物学的応答を阻害もしくは緩和するために、これらに起因する可能性のある身体損傷を阻止するために、および/または対象の身体機能を維持もしくは改善するために行われる。
1つの局面において、本発明は、CD28および/またはCTLA-4を発現するT細胞とB7陽性細胞との相互作用を調節する方法を提供する。前記方法は、B7陽性細胞と、B7陽性細胞とCD28陽性T細胞および/またはCTLA-4陽性T細胞との相互作用を調節するのに有効な量の、以下:(1)本発明のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4-ECDポリペプチドまたは二量体もしくは単量体の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質);(2)1つもしくはそれ以上の本発明のポリペプチドを含む多量体(例えば、任意の2つのこのようなポリペプチドを含む二量体、もしくは任意の4つのこのようなポリペプチドを含む四量体);(3)本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含むコンジュゲート;(4)本発明の核酸(例えば、本発明のポリペプチドをコードする核酸);(5)本発明の核酸を含む、もしくは本発明のポリペプチドをコードする、ベクター;(6)本発明のポリペプチド、核酸、コンジュゲート、および/もしくはベクターを含む、細胞もしくは細胞集団;および/あるいは(7)本発明の組成物の少なくとも1つを接触させる工程であって、B7陽性細胞とCD28陽性T細胞および/またはCTLA-4陽性T細胞との相互作用が調節される、工程を含む。典型的には、調節作用は、B7陽性細胞とCD28陽性T細胞および/またはCTLA-4陽性T細胞との相互作用が阻害される阻害作用である。場合によっては、B7陽性細胞は抗原提示細胞(APC)である。このような方法の一部では、B7-2陽性細胞(例えば、B7-2(CD86)を発現するAPC)とCD28陽性T細胞との相互作用が阻害される。このような方法の一部では、B7-1陽性細胞(例えば、B7-1(CD80)を発現するAPC)とCD28陽性T細胞との相互作用が阻害される。
別の局面において、本発明は、CD28陽性T細胞および/またはCTLA-4陽性T細胞とB7陽性細胞との相互作用を阻害する方法を提供する。前記方法は、B7陽性細胞(例えば、B7-1陽性細胞および/またはB7-2陽性細胞)と、CD28陽性T細胞および/またはCTLA-4陽性T細胞とB7陽性細胞との相互作用を阻害するのに有効な量の、以下の本発明の分子または成分:(1)本発明のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4-ECDポリペプチドまたは二量体もしくは単量体の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質);(2)1つまたはそれ以上の本発明のポリペプチドを含む多量体(例えば、任意の2つのこのようなポリペプチドを含む二量体、または任意の4つのこのようなポリペプチドを含む四量体);(3)本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含む、コンジュゲート;(4)本発明の核酸(例えば、本発明のポリペプチドをコードする核酸);(5)本発明の核酸を含む、または本発明のポリペプチドをコードする、ベクター;(6)本発明のポリペプチド、核酸、コンジュゲート、および/またはベクターを含む、細胞または細胞集団;および/あるいは(7)本発明の組成物の少なくとも1つを接触させる工程であって、CD28陽性T細胞および/またはCTLA-4陽性T細胞とB7陽性細胞との相互作用が阻害される、工程を含む。場合によっては、B7陽性細胞はAPCである。場合によっては、CD28陽性T細胞とhB7-1陽性細胞および/またはhB7-2陽性細胞との相互作用が阻害される。このような方法の一部では、CD28陽性T細胞とhB7-1陽性細胞および/またはhB7-2陽性細胞結果との相互作用の阻害は、以下:T細胞活性化もしくはT細胞増殖、サイトカインの合成もしくは産生(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-2の産生)、様々な活性化マーカー(例えば、CD25、IL-2受容体)の誘導、炎症、関節腫脹もしくは関節圧痛、C反応性タンパク質の血清中濃度、抗コラーゲン抗体産生、および/またはT細胞依存性抗体応答の1つまたは複数の抑制または阻害をもたらす。
このような方法の一部では、少なくとも1つの本発明のこのような分子または成分は、対象において内因性CD28陽性T細胞と内因性B7-1陽性細胞および/またはB7-2陽性細胞との相互作用を阻害するのに有効な量で、対象に投与される。このような方法の一部では、内因性CD28陽性T細胞と、B7-2(CD86)またはB7-1(CD80)を発現する内因性B7陽性細胞との相互作用が阻害される。場合によっては、B7陽性細胞は、B7-2またはB7-1を発現するAPCであり、B7-2またはB7-1とCD28陽性T細胞との相互作用が阻害される。場合によっては、APC上に発現しているB7-2およびB7-1と、CD28陽性T細胞との相互作用が阻害される。
別の局面において、本発明は、インビトロまたはインビボで免疫応答を抑制する方法を提供する。前記方法は、B7陽性細胞と、以下の本発明の分子または成分:(1)本発明のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4-ECDポリペプチドまたは二量体もしくは単量体の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質);(2)1つまたはそれ以上の本発明のポリペプチドを含む多量体(例えば、任意の2つのこのようなポリペプチドを含む二量体、または任意の4つのこのようなポリペプチドを含む四量体);(3)本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含む、コンジュゲート;(4)本発明の核酸(例えば、本発明のポリペプチドをコードする核酸);(5)本発明の核酸を含む、または本発明のポリペプチドをコードする、ベクター;(6)本発明のポリペプチド、核酸、コンジュゲート、および/またはベクターを含む、細胞または細胞集団;ならびに/あるいは(7)本発明の組成物の少なくとも1つを、免疫応答を抑制するのに有効な量で接触させ、それによって、免疫応答が抑制される工程を含む。1つまたは複数の免疫応答が抑制されてもよく、免疫応答には、例えば、T細胞応答、T細胞増殖もしくは活性化、サイトカインの合成または産生、炎症、関節腫脹もしくは関節圧痛、C反応性タンパク質の血清中濃度、抗コラーゲン抗体産生、および/またはT細胞依存性抗体応答が含まれる。B7陽性細胞と本発明のポリペプチドを接触させる、このような方法において、ポリペプチドは、B7陽性細胞上に発現しているB7-1(例えば、ヒトB7-1)に結合する、および/またはB7陽性細胞上に発現しているB7-2(例えば、ヒトB7-2)に結合する。場合によっては、B7陽性細胞はAPCである。場合によっては、免疫応答は、インビトロで、例えば、インビトロアッセイにおいて抑制される。インビトロアッセイには、本明細書の他の場所で詳細に議論されるものが含まれる(例えば、以下の実施例を参照されたい)。場合によっては、免疫応答は、例えば、本明細書の他の場所で詳細に議論される治療的処置方法または予防的処置方法(例えば、リウマチ性疾患、例えば、慢性関節リウマチ、または他の自己免疫疾患を処置する方法)において、インビボで、免疫応答を抑制するのに有効な量が投与された対象内で抑制される。
別の局面において、本発明は、対象(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)における免疫応答を抑制する方法を提供する。前記方法は、免疫応答の抑制を必要とする対象に、以下の本発明の分子または成分:(1)本発明のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4-ECDポリペプチドまたは二量体もしくは単量体の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質);(2)1つまたはそれ以上の本発明のポリペプチドを含む多量体(例えば、任意の2つのこのようなポリペプチドを含む二量体、または任意の4つのこのようなポリペプチドを含む四量体);(3)本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含む、コンジュゲート;(4)本発明の核酸(例えば、本発明のポリペプチドをコードする核酸);(5)本発明の核酸を含む、または本発明のポリペプチドをコードする、ベクター;(6)本発明のポリペプチド、核酸、コンジュゲート、および/またはベクターを含む、細胞または細胞集団;ならびに/あるいは(7)本発明の組成物の少なくとも1つを、対象において免疫応答を抑制する治療的または予防的に有効な量(例えば、治療的または予防的に有効な用量)で投与し、それによって、免疫応答が対象において抑制される工程を含む。
別の局面において、本発明は、内因性T細胞と、CD80を発現する内因性細胞および/またはCD86を発現する内因性細胞との相互作用によって調節される免疫系の疾患または障害を有する対象を処置する方法を提供する。前記方法は、このような治療を必要とする対象に、治療的有効量の、(1)本発明のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4-ECDポリペプチドまたは二量体もしくは単量体の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質);(2)1つまたはそれ以上の本発明のポリペプチドを含む多量体(例えば、任意の2つのこのようなポリペプチドを含む二量体、または任意の4つのこのようなポリペプチドを含む四量体);(3)本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含む、コンジュゲート;(4)本発明の核酸(例えば、本発明のポリペプチドをコードする核酸);(5)本発明の核酸を含む、または本発明のポリペプチドをコードする、ベクター;(6)本発明のポリペプチド、核酸、コンジュゲート、および/またはベクターを含む、細胞または細胞集団;および/あるいは(7)本発明の組成物を投与し、それによって、対象において免疫系の疾患または障害を処置する工程を含む。対象がヒトであれば、CD80がヒトCD80であり、CD86がヒトCD86であり、CD28がヒトCD28である。このような方法の一部では、CD28を発現する内因性T細胞と、CD86を発現する内因性細胞および/またはCD80を発現する内因性細胞との相互作用が阻害される。
リウマチ性または自己免疫系の疾患または障害を含む様々な免疫系の疾患または障害は、本明細書において開示された本発明の分子、例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:1-73のいずれか、例えば、D3-54(SEQ ID NO:36)、D3-69(SEQ ID NO:50)、もしくはD3-27(SEQ ID NO:24)変異体CTLA-4 ECD)、またはその融合タンパク質(例えば、D3-54-IgG2(SEQ ID NO:197もしくは211)、D3-69-IgG2(SEQ ID NO:199もしくは213)、D3-29-IgG2(SEQ ID NO:79もしくは210))の1つまたは複数を用いて効果的に処置できると考えられる。免疫系の疾患または障害は、例えば、アジソン病、アレルギー、円形脱毛症、アルツハイマー、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連脈管炎、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群(ヒューズ症候群)、関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化巣、自己免疫疾患(例えば、狼瘡、RA、MS、グレーブス病など)、自己免疫溶血性貧血、自己免疫肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ球増殖症候群、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、無精子症、ベーチェット病、ベルジェ病、水疱性類天疱瘡、心筋症、心血管疾患、セリアックスプルー/セリアック病、慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)、慢性特発性多発神経炎、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIPD)、慢性再発性多発ニューロパシー(ギラン・バレー症候群)、チャーグ・ストラウス症候群(CSS)、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素症(CAD)、COPD、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、円盤状狼瘡、湿疹、後天性表皮水疱症、本態性混合型クリオグロブリン血症、エヴァンス症候群、眼球突出、線維筋痛症、グッドパスチャー症候群、移植片に関連した疾患または障害、グレーブス病、GVHD、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、免疫増殖性疾患または障害(例えば、乾癬)、炎症性腸疾患(IBD)、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、間質性肺疾患、若年性糖尿病、若年性関節炎、若年性特発性関節炎(JIA)、川崎病、ランバート・イートン筋無力症症候群、扁平苔癬、狼瘡、ループス腎炎、リンパ球性下垂体炎(Lymphoscytic Lypophisitis)、メニエール病、ミラー・フィッシャー症候群/急性散在性脳脊髄神経根障害(acute disseminated encephalomyeloradiculopathy)、混合結合組織病、多発性硬化症(MS)、筋肉リウマチ、筋痛性脳脊髄炎(ME)、重症筋無力症、眼の炎症、落葉状天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群(ホイッタカー症候群(Whitaker's syndrome))、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変/自己免疫胆管症、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群/反応性関節炎、再狭窄、リウマチ熱、リウマチ性疾患、慢性関節リウマチ、類肉腫症、シュミット症候群、硬皮症、シェーグレン症候群、実質臓器移植(腎臓、心臓、肝臓、肺など)の拒絶反応、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身硬皮症、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、甲状腺炎、1型糖尿病、2型糖尿病、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、脈管炎、白斑、ウェゲナー肉芽腫症、およびレシピエント対象によるドナー組織移植、細胞移植、移植片移植、あるいは臓器移植の拒絶反応に関連した免疫応答の阻止もしくは抑制でもよく、これらを伴ってもよいが、これらに限定されない。移植片に関連した疾患または障害には、移植片対宿主病(GVDH)、例えば、骨髄移植に関連する移植片対宿主病(GVDH)、および、例えば、皮膚、筋肉、ニューロン、島、臓器、肝臓の実質細胞などの移植片を含む、臓器、組織、または細胞移植片の移植(例えば、組織または細胞の同種異系移植片または異種移植片)の拒絶反応に起因する免疫障害またはこれに関連する免疫障害が含まれる。レシピエント対象におけるドナー組織、細胞、移植片、または実質臓器の移植に関して、本明細書において開示された本発明のこのような分子(例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)は、レシピエントにおけるこのような移植の急性拒絶反応の阻止において、および/またはレシピエントにおけるこのような移植の拒絶反応の阻止(例えば、糖尿病に罹患している対象レシピエントにおけるドナー由来インスリン産生島細胞の移植の拒絶反応の阻害)のための長期維持療法に有効であり得ると考えられる。
本発明は、前記の免疫系の疾患または障害の少なくとも1つと関連する免疫応答の抑制において使用するための、本発明の任意のこのような変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含む。前記の免疫系の疾患または障害の少なくとも1つと関連する免疫応答を抑制するための医薬の製造における、本発明の任意のこのような変異体CTLA-4 ECDポリペプチドまたは変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質の使用も提供される。
本明細書に記載の方法における、対象における免疫応答を抑制するための、または対象における内因性T細胞とCD80を発現する内因性細胞および/もしくはCD86を発現する内因性細胞との相互作用によって調節される免疫系の疾患もしくは障害を治療するための、本発明の分子、例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド(例えば、D3-54、D3-69、D3-29、D3-56、D3-75)、または本発明の変異体CTLA-4 ECDポリペプチドを含むIg融合タンパク質(例えば、それぞれ、D3-54-IgG2、D3-69-IgG2、D3-29-IgG2、D3-56-IgG2、D3-75-IgG2)の有効量は、約0.0001ミリグラム/キログラム対象体重(mg/kg)〜約200ミリグラム/キログラム対象体重(mg/kg)、例えば、約0.001ミリグラム/キログラム対象体重(mg/kg)〜約100ミリグラム/キログラム対象体重(mg/kg)、または、例えば、約0.001mg/kg対象体重〜少なくとも約0.005、0.01、0.025、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、25、50、もしくは75mg/kg対象体重を含んでもよい。例えば、T細胞応答、T細胞活性化もしくは増殖、サイトカインの合成または産生(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-2などの産生)、様々な活性化マーカー(例えば、CD25、IL-2受容体など)の誘導、炎症性分子の合成もしくは産生、炎症、関節腫脹、関節圧痛、関節痛、関節硬直、C反応性タンパク質の血清中濃度、抗コラーゲン抗体産生、および/またはT細胞依存性抗体応答)を含む、1つまたは複数の免疫応答を、対象において抑制することができる。免疫応答を抑制するための本発明の分子または成分の有効量は、検出可能なまたは測定可能な量によって、免疫応答またはその症状もしくは徴候を抑制する量でもよい。免疫応答は部分的または完全に抑制されてもよい。免疫系の疾患または障害を処置するための有効量は、疾患または障害に関連する少なくとも1つの症状もしくは生物学的応答もしくは影響を軽減する、和らげる、または緩和する量でもよく、疾患または障害の進行を阻止する量でもよく、対象の身体機能を改善する量でもよい。
CD28および/またはCTLA-4を発現するT細胞とB7陽性細胞との相互作用を調節または阻害するための本発明の分子または成分の有効量は、B7陽性細胞とCD28陽性T細胞および/またはCTLA-4陽性T細胞との結合をそれぞれ調節または阻害する量でもよい。このような結合相互作用は部分的または完全に調節または阻害されてもよい。
このような方法の一部では、本発明の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体は、免疫応答の抑制、T細胞とB7発現細胞との相互作用によって調節される免疫系の疾患もしくは障害の処置、CD28を発現するT細胞および/もしくはCTLA-4を発現するT細胞とB7陽性細胞との相互作用の調節もしくは阻害に十分な、治療的または予防的に有効な量(または用量)で対象に投与される。投与される融合タンパク質二量体は、典型的には、可溶性Ig融合タンパク質二量体である。このような方法の一部では、本発明の融合タンパク質二量体の有効な量または用量は、約0.001ミリグラム/キログラム対象体重(mg/kg)〜約200ミリグラム/キログラム対象(例えば、ヒト)体重(mg/kg)または約0.001〜約300mg/kg対象体重を含む。例えば、融合タンパク質二量体の有効な量または用量は、約0.001mg/kg対象体重〜少なくとも約0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、10、25、30、40、50、60、75、80、90、100、125、150、175、200、225、250、または300mg/kg対象(例えば、成人ヒトを含むヒト)体重を含んでもよい。場合によっては、有効な量または用量は、約0.001ミリグラム(mg)〜約50ミリグラム/キログラム(kg)対象体重であり、例えば、約0.01〜約100mg/kg対象(例えば、ヒト)体重、約0.01〜約50mg/kg対象体重、または約0.01〜約25mg/kg対象体重を含むが、これに限定されない。例えば、約0.05、0.075、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、5、約10、20、25、50、75、または100mg/kg対象(例えば、成人ヒト患者)体重が対象に投与される。場合によっては、融合タンパク質二量体の有効な量または用量は、約2〜10、約3〜10、約3〜5、約5〜10、0.1〜5、約0.05〜1.0、約0.05〜3、約0.05〜2.0、約0.05〜1.0、約0.1〜2.0、約0.1〜3.0、約0.1〜0.5、約0.1〜0.8、約0.1〜0.6、約0.01〜約0.05、約0.01〜約0.1、約0.01〜約0.05、約0.01〜約1、約0.01〜約5、約0.01〜約3、約0.05〜約2.5、約0.1〜約1、約0.1〜約5、約0.2〜1、約0.2〜0.6、約0.2〜0.5、約0.3〜1、約0.3〜0.6、約0.3〜0.5mg/kg対象体重である。場合によっては、有効な量または用量は、体重が60kg未満の対象については、約500mg未満(例えば、約100mg未満、75mg未満、50mg未満、25mg未満、12.5mg未満、もしくは10mg未満)、体重が60〜100kgの対象については、約750mg未満(例えば、約150mg未満、100mg未満、75mg未満、37.5mg未満、もしくは20mg未満)、または体重が100kg超の対象については、約1000mg未満(例えば、約500mg未満、100mg未満、50mg未満、25mg未満、もしくは10mg未満)である。
別の局面において、本発明のこのような方法の一部では、本発明の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質は、治療的または予防的に有効な量または用量で、例えば、免疫応答の抑制、T細胞とB7発現細胞との相互作用によって調節される免疫系の疾患もしくは障害の処置、CD28および/またはCTLA-4を発現するT細胞とB7陽性細胞との相互作用の調節もしくは阻害に十分な量または用量で対象に投与される。通常、可溶性融合タンパク質である融合タンパク質の有効な量または用量は、約0.001〜約300、約0.001〜約200、または約0.001〜約300mg/kg対象(例えば、ヒト)体重を含んでもよい。1つの局面において、融合タンパク質の有効な量または用量は、約0.001〜少なくとも約0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、10、25、30、40、50、60、75、80、90、100、125、150、175、200、225、250、または300mg/kg対象体重を含む。別の局面において、有効な量または用量は、約0.01〜約100、約0.01〜約50、または約0.01〜約25mg/kg対象体重である。例示的な用量または量には、約0.05、0.075、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、5、約10、20、25、50、75、および100mg/kg対象(例えば、成人ヒト)体重が含まれる。別の局面において、融合タンパク質の有効な量または用量は、約2〜10、約3〜10、約3〜5、約5〜10、0.1〜5、約0.05〜1.0、約0.05〜3、約0.05〜2.0、約0.05〜1.0、約0.1〜2.0、約0.1〜3.0、約0.1〜0.5、約0.1〜0.8、約0.1〜0.6、約0.01〜約0.05、約0.01〜約0.1、約0.01〜約0.05、約0.01〜約1、約0.01〜約5、約0.01〜約3、約0.05〜約2.5、約0.1〜約1、約0.1〜約5、約0.2〜1、約0.2〜0.6、約0.2〜0.5、約0.3〜1、約0.3〜0.6、約0.3〜0.5mg/kg対象体重である。ある局面では、有効な量または用量は、体重が60kg未満の対象については、約500mg未満(例えば、約100mg未満、75mg未満、50mg未満、25mg未満、12.5mg未満、もしくは10mg未満)、体重が60〜100kgの対象については、約750mg未満(例えば、約150mg未満、100mg未満、75mg未満、37.5mg未満、もしくは20mg未満)、または体重が100kg超の対象については、約1000mg未満(例えば、約500mg未満、100mg未満、50mg未満、25mg未満、もしくは10mg未満)である。
免疫応答の抑制もしくは調節、T細胞とB7発現細胞との相互作用によって調節される免疫系の疾患もしくは障害の処置、CD28を発現するT細胞および/もしくはCTLA-4を発現するT細胞とB7陽性細胞との相互作用の調節もしくは阻害を同じように行うのに十分な、本発明の核酸、ベクター、組成物、および/または細胞の有効な量または用量を求めることができる。例えば、本発明のこのような融合タンパク質二量体をコードするベクターを対象に投与しようとする場合、当業者であれば、望ましい治療的または予防的に有効な量の融合タンパク質二量体が対象において生成される可能性が高くなるように、投与しようとするベクターの量を容易に求めることができる。
本発明の例示的な融合タンパク質二量体は、前記で詳述した、および本明細書に記載の任意の融合タンパク質二量体を含み、例えば、2つの同一の融合タンパク質単量体を含む融合タンパク質二量体を含む。ここで、それぞれの融合タンパク質単量体は、本発明の変異体CTLA-4 ECDポリペプチドのC末端が、Ig Fcポリペプチド(例えば、IgG2 Fc、IgG1、IgG4、またはエフェクター機能を弱める変異体Ig Fcポリペプチド)のN末端に融合している。例示的な変異体CTLA-4 ECDポリペプチドは、SEQ ID NO:1-73からなる群より選択されるポリペプチド配列を含むものである。例示的な融合タンパク質二量体は、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222からなる群より選択されるポリペプチド配列を含む、2つの融合タンパク質単量体を含むものである。典型的には、二量体融合タンパク質における2つの単量体融合タンパク質は、各単量体に存在するシステイン残基間で形成した少なくとも1つのジスルフィド結合を介して共有結合により連結されている。
前記のいずれの方法でも、本発明の分子または成分(例えば、本発明のポリペプチド(例えば、二量体もしくは単量体の融合タンパク質またはポリペプチド多量体を含む)、コンジュゲート、核酸、ベクター、組成物、および/あるいは細胞)を、組成物として対象に投与することができる。組成物は、典型的には、少なくとも1つのこのような分子または成分、および賦形剤、担体、または希釈剤を含む。組成物は、少なくとも1つのこのような分子または成分、および薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤(例えば、PBS)を含む薬学的組成物を含んでもよい。本発明の組成物のpHは、典型的には、約pH6.0〜約pH9.0であり、例えば、約pH6.5〜約pH8.5、通常、約pH7.0〜約pH8.0を含む。1つの局面において、本発明の組成物のpHは、典型的には、約pH3〜約pH10、約pH4〜約pH10、約pH5〜約pH9、約pH6〜約pH9、約pH5.5〜約pH8.5、約pH6.0〜約pH6.7、約pH6.0〜約pH6.5、約pH6.2〜約pH8.7、約pH6.5〜約pH7.5、約pH6.2〜約pH7.0、約pH6.3〜約pH6.8、約pH6.4〜約pH6.8、および約pH7.0〜約pH7.4である。1つの局面において、本発明の少なくとも1つのこのような分子または成分、例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含む組成物のpHは、pH5.5、pH6.0、pH6.1、pH6.2、pH6.3、pH6.4、pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、pH7.5、pH7.6、pH7.7、pH7.8、pH7.9、pH8.0、pH8.1、pH8.2、pH8.3、pH8.4、pH8.5、pH8.6、pH8.7、pH8.8、pH8.9、pH9.0、pH9.1、pH9.2、pH9.3、pH9.4、pH9.5、pH9.6、pH9.7、pH9.8、pH、9.9、またはpH10.0である。本発明の組成物の一部は、1種類または複数の種類の塩(例えば、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化カルシウムなど)、1種類または複数の種類の緩衝液(例えば、HEPES、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム(例えば、Na2HPO4/Na3PO4)、コハク酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、酢酸塩、tris(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)など)、1種類、2種類、3種類、4種類、5種類、もしくはそれ以上の糖類または糖(例えば、スクロース、マンノース、マルトース、トレハロース、デキストロースなど)、および/または1種類、2種類、3種類、4種類、もしくはそれ以上の多価アルコールもしくは糖アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール、グリコール、グリセロール、アラビトール、エリスリトール、キシリトール、リビトール、ラクチトールなど)を含む。1種類、2種類、3種類、4種類、5種類、またはそれ以上の単糖、二糖および/または多糖を組成物に含めてもよい。本発明の組成物は、対象に投与された時に免疫応答を抑制するのに有効な、任意の濃度のこのような分子または成分を含んでもよい。例えば、このような方法の一部(例えば、免疫抑制が望ましい方法、例えば、慢性関節リウマチもしくは類似の免疫障害を治療する方法、またはレシピエント対象によるドナーからの組織移植、細胞移植、移植片移植、もしくは臓器移植の拒絶反応を阻害する方法を含むが、これに限定されない)では、薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤、および本発明の融合タンパク質二量体を含む薬学的組成物が、対象に投与(例えば、非経口投与、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与など)される。ここで、薬学的組成物は、約0.001mg/ml〜約200mg/ml、約0.001mg/ml〜約300mg/ml、約0.01mg/ml〜約200mg/ml、約0.01mg/ml〜約250mg/ml、約0.1mg/ml〜約200mg/ml、約0.001mg/ml〜約100mg/ml、約0.001mg/ml〜約90mg/ml、約0.01mg/ml〜約90mg/ml、約0.01mg/ml〜約75mg/ml、約0.1〜約80mg/ml、約0.1〜約75mg/ml、約0.1〜約60mg/ml、約0.1〜約50mg/ml、約0.1〜約40mg/ml、約0.1〜約30mg/ml、約1〜約90mg/ml、約1〜約80mg/ml、約1〜約75mg/ml、約1〜約60mg/ml、約1〜約50mg/ml、約1〜約40mg/ml、約1〜約30mg/ml、約1〜約20mg/ml、約1〜約10mg/ml、約1〜約5mg/ml、約5〜約90mg/ml、約5〜約80mg/ml、約5〜約75mg/ml、約5〜約60mg/ml、約5〜約50mg/ml、約5〜約40mg/ml、約5〜約30mg/ml、約5〜約20mg/ml、約5〜約10mg/ml、約1〜約5mg/ml、約10〜約75mg/ml、約25mg/ml〜約75mg/ml、約30mg/ml〜約60mg/ml、約25〜約50mg/ml、約50mg/ml〜約100mg/mlの濃度の本発明の融合タンパク質二量体を含み、濃度には、例えば、約1mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、約15mg/ml、約25mg/ml、約30mg/ml、約40mg/ml、約50mg/ml、約60mg/ml、約70mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、または100mg/mlが含まれる。他の濃度が意図される。一部の治療方法または予防方法を含む、本明細書に記載の本発明の方法の一部では、0.01ml、0.025ml、0.05ml、0.1ml、0.2ml、0.3ml、0.4ml、0.5ml、0.75ml、1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、10ml、20ml、25ml、50ml、75ml、100ml、200ml、250ml、300ml、500ml、1000mlなどの範囲の体積を含む、約0.01ミリリットル(ml)〜約10ml、約0.01ml〜約5ml、約0.1ml〜約5ml、約0.5ml〜約2ml、約1ml〜約2mlの体積の、本発明の融合タンパク質を含むこのような任意の組成物(例えば、薬学的組成物)が、1回のi.v.、s.c.、i.m.、またはi.p.注射によって対象に投与される。例示的な本発明の組成物のさらなる詳細は、本明細書の他の場所で議論される。
特定の対象に投与される本発明の分子の有効な量または用量は、例えば、治療されている疾患、障害、または状態、投与しようとする本発明の特定の変異体CTLA-4分子(例えば、本発明の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体)の効能(すなわち、その効力)、分子の投与方法、および特定の量の特定の分子に対象が耐える個々の能力に応じて変化してもよい。例えば、慢性関節リウマチ(RA)を有する対象において免疫応答を抑制する方法、またはRAを処置する方法において、対象に投与しようとする本発明の変異体CTLA-4-Ig二量体(例えば、D3-29-IGg2、D3-54-IgG2、D3-56-IgG2、D3-69-IgG2、D3-75-IgG2など)の有効な量または用量は、変異体CTLA-4-Ig二量体の効能、二量体の投与方法、および/または慢性関節リウマチの対象の症状もしくは徴候の重篤度を含む様々な要因に基づいて決定することができる。1つの局面において、本発明の特定の変異体CTLA-4-Ig二量体の有効な量または用量は、このような変異体CTLA-4-Ig二量体の効能と、Orencia(登録商標)二量体の効能を比較することによって決定することができる。慢性関節リウマチおよび関連障害を処置するのに有効なOrencia(登録商標)二量体の用量は、当技術分野において公知である。例えば、Orencia(登録商標)二量体は、典型的には、約10mgのOrencia(登録商標)/キログラム(kg)ヒト体重の用量で、慢性関節リウマチに罹患しているヒトに静脈内投与される。Orencia(登録商標)より約「X」倍強力な本発明の変異体CTLA-4-Ig二量体は、Orencia(登録商標)二量体の治療効果にほぼ等しい治療効果(例えば、免疫応答の抑制)を達成するために、Orencia(登録商標)二量体用量の約「X」分の1の用量で、慢性関節リウマチに罹患しているヒトに(例えば、静脈内に、皮下に、または本明細書に記載の別のやり方で)投与することができる。より大きな治療効果が望ましい場合は、比例して増やした量または用量の変異体CTLA-4-Ig二量体を容易に決定し、ヒトに投与することができる。
本明細書に記載のいずれの方法でも、本発明の分子または成分(例えば、本発明のポリペプチド(例えば、二量体もしくは単量体の融合タンパク質またはポリペプチド多量体を含む)、コンジュゲート、核酸、ベクター、組成物、および/あるいは細胞)は、非経口で、皮下に、もしくは静脈内に、または本明細書の他の場所に記載のように投与することができる。本発明の分子または成分は、治療的有効量で、1ヶ月に1回、2回、3回、または4回、1週間、隔週(2週間ごとに)、または隔月(2ヶ月ごとに)に2回、投与されてもよい。投与は、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、もしくは12ヶ月、またはそれ以上(例えば、対象の寿命を含めて、1年、2年、3年、4年、またはそれ以上)続いてもよい。
本明細書に記載のいずれの方法も、有効量の、少なくとも1種類のさらなる治療剤または免疫抑制剤もしくは免疫抑制化合物を対象に投与する工程をさらに含んでもよい。従って、例えば、本発明は、免疫応答の抑制を必要とする対象に、(1)本発明のポリペプチド、核酸、ベクター、組成物、および/または細胞である、有効量の少なくとも1種類の第1の免疫抑制剤、ならびに(2)有効量の少なくとも1種類の第2の免疫抑制剤を投与し、対象における免疫応答が抑制される工程を含む、免疫応答を抑制する方法を提供する。
本発明の分子(例えば、本発明のポリペプチド、核酸、ベクター、組成物、および/または細胞)と共に、(本発明の分子でない)様々なさらなる治療剤または免疫抑制剤を使用または投与することができる。このような薬剤には、例えば、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)(例えば、メトトレキセート(MTX)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、IL-2またはIL-6アンタゴニスト)、ステロイド化合物(例えば、コルチコステロイド、グルココステロイド(glucocosteroid)、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾン)、非ステロイド化合物、サリチル酸ナトリウムまたはサリチル酸マグネシウム、イブプロフェン、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、抗体、抗炎症性サイトカインの合成および産生をブロックする生物学的薬剤、Raptiva(登録商標)エファリズマブ、抗炎症剤または抗炎症化合物、および非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が含まれる。このようなさらなる治療剤または免疫抑制剤は、さらなる薬剤および薬学的に許容される賦形剤または担体を含む薬学的組成物にして対象に投与することができる。投与しようとする薬剤の有効な量または用量は、特定の薬剤に左右される。このような薬剤の一部は、免疫抑制療法において現在用いられており、適切な投与量は、処置されている疾患、障害、または状態、および対象が特定の量または用量に対して忍容性を示す能力、ならびに薬剤の免疫抑制効果に基づいて決定することができる。本発明の分子でない前記の免疫抑制剤の例示的な用量は公知である。本発明の分子でないさらなる免疫抑制剤は、本発明の分子(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)の投与と同時に、または投与前に、または投与後に投与することができる。
例えば、用量、投与計画、投与方法(例えば、静脈内注射、皮下注射など)、および本発明の少なくとも1つのこのような分子または成分を含む薬学的組成物を含む、処置法は、処置しようとする疾患、障害、または状態に応じて異なってもよい。本発明の1つまたは複数のこのような分子または成分が対象に投与されてもよい。このような分子または成分はそれぞれ、同じ薬学的製剤にして、同じ投与方法によって、同量で、または同じ投薬頻度計画によって投与する必要はない。
このような方法の一部では、例えば、薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤、および約50mg/mlの濃度の本発明の融合タンパク質二量体を含む、約1mlの薬学的組成物が、免疫抑制を必要とする対象(例えば、成人ヒト)(例えば、慢性関節リウマチに罹患している対象)に皮下投与される。このような初回投与は、50mgの融合タンパク質二量体である。体重が100kgの対象の場合、この初回投与は、0.5mg融合タンパク質二量体/kg対象体重に相当する。1回目の投与の1週間後または2週間後に、2回目の同量が皮下投与される。さらなる用量が、毎週、隔週、もしくは1ヶ月に1回、または必要に応じてそれより多いもしくは少ない頻度で皮下投与される。このような組成物および投与形式は、例えば、慢性関節リウマチもしくは免疫抑制が望ましい別の免疫障害に罹患しているヒトの処置に、またはヒトレシピエントによるヒトドナーからの組織移植、細胞移植、移植片移植、もしくは臓器移植の拒絶反応の阻害に有用であると考えられる。
慢性関節リウマチを処置する方法
慢性関節リウマチは、最もよく見られる全身炎症性自己免疫疾患の1つであり、成人集団の1〜2%が罹患していると見積もられている。例えば、Dipiro, J.T., Rheumatoid arthritis, in PHARMACOTHERAPY: A PATHOPHYSIOLOGIC APPROACH, 1671-1682(Talbert, R.T. et al. eds., McGraw-Hill, New York, 6th ed. 2005)を参照されたい。この疾患は、滑膜過形成および活性化T細胞を含む炎症細胞の浸潤を特徴とする。活性化T細胞は、炎症誘発性サイトカイン、例えば、IL-1、IL-6、およびTNF-α、自己抗体、およびマトリックスメタロプロテイナーゼを産生するように様々な細胞タイプを刺激するよって、慢性関節リウマチの進行において中心的な役割を果たしている(Hoffman, R.W., Front. Biosci. 6:1369-1378(2001); Choy, E.K. et al., N. Engl. J. Med 344:907-916(2001))。T細胞が慢性関節リウマチの進行に強く寄与しているので、T細胞活性化は、治療介入の合理的な標的となっている。このような炎症性分子は、慢性関節リウマチに関連する炎症応答、組織損傷(例えば、関節損傷)、および疼痛の原因であると考えられる。
CD28受容体とCD80および/またはCD86リガンドとの相互作用によって媒介されるT細胞補助刺激は、ほとんどのT細胞の活性化に必須である(Riley, J.L. et al., Blood 105:13-21(2005))。CD80/CD86-CD28補助刺激経路に拮抗する治療剤または予防剤、例えば、Orencia(登録商標)(Abatacept)融合タンパク質は、可溶性二量体hCTLA-4-Ig融合タンパク質であり、慢性関節リウマチの処置において臨床的に有効であることが示されている(Kremer, J.M. et al., Ann. Intern. Med. 144:865-876(2006); Genovese, M.C. et al., N. Engl. J. Med. 353:1114-1123(2005))。Abataceptは、治療的または予防的に有効な量で対象(例えば、成人ヒト)にインビボで投与された時に、抗原提示細胞上のCD80および/またはCD86リガンドに結合し、これらのリガンドのいずれかまたは両方とT細胞上のCD28受容体との相互作用を阻止することによって、免疫抑制機能を発揮すると考えられる。
Abataceptは、現在、1種類または複数のDMARD、例えば、メトトレキセートまたはTNFアンタゴニストに対して不適切に応答してしまった、中程度〜重度の活動性RAを有する成人ヒト患者の治療に認可されている。Abataceptは、10mg/kg対象体重の用量で、成人RA患者に静脈内注入によって投与される。1回目の投与の後、1回目の投与の2週間後および4週間後に、それぞれ、2回目および3回目の10mg/kgの融合タンパク質が対象に投与される。その後に、4週間ごとに(すなわち、1ヶ月に1回)投与が行われる。Abataceptの静脈内注入は、慢性関節リウマチ療法において望ましい効力を得るのに必要な高用量レベルを送達するのに必要であると考えられる。
他の現行の慢性関節リウマチ療法には、非特異的免疫抑制剤、例えば、メトトレキセート、ならびにステロイド性抗炎症薬および非ステロイド性抗炎症薬の投与が含まれる。さらに、特定の炎症誘発性サイトカイン、例えば、TNF-αを標的とする生物学的薬剤(例えば、Remicade(登録商標)インフリキシマブ、Enbrel(登録商標)エンタエルセプト(entaercept)、Humira(登録商標)アダリムマブ)およびIL-1(例えば、Kineret(登録商標)アナキンラ(anakinra))が認可されている。しかしながら、これらの療法の多くには大きな副作用があり、療法の一部は、特に長期間にわたって投与された時に毒性がある。
様々な療法が利用できるのにもかかわらず、RAの処置には、未だ対処されていない大きな必要性が存在する。例えば、以前のDMARD処置に失敗したヒトRA患者の60%、および以前の抗TNF療法に失敗したヒトRA患者の80%は、6ヶ月のOrencia処置後にACR50スコアに達しなかった(Kremer J.M. et al., Ann. Intern. Med. 144:865-876 (2006); Genovese, M.C. et al., N. Engl. J. Med. 353:1114-11(2005))。成人のRA処置における、AbataceptおよびBelatacept(LEA29Y-Ig)融合タンパク質を用いた用量反応研究から、効力は用量依存性であり、試験された最高用量レベルにおいて飽和しないことが分かった(Kremer, J.M. et al., N. Engl. J. Med. 349:1907-1915(2003); Moreland, L.W. et al., Arthrit. Rheum. 46:1470-1479 (2002))。
hCD80および/またはhCD86に対する結合アビディティがAbataceptより高い本発明の可溶性二量体変異体CTLA-4-Igは、RA対象に投与された時に、Abataceptより強力な免疫抑制効果を発揮できると予想される。このような変異体CTLA-4-Igは、Abataceptより低い濃度で、類似する数のCD80および/またはCD86リガンドに結合する。
CD80またはCD86に対する結合アビディティが高く、CD80またはCD86からの解離速度が遅い変異体CTLA-4-Igは、このようなリガンド上での滞留時間が長い。この長い滞留時間は、インビボでの高い効力と関連すると予想される。このような変異体CTLA-4-Igは、Abataceptより低い濃度でのRA対象の治療的処置または予防的処置において有効であり得ると考えられる。すなわち、このような変異体CTLA-4-Igは、10mg/kg対象体重のAbatacept用量より少ない用量でRA対象に投与された時に、Abataceptの効力と同等の効力の程度に達し得ると考えられる。本発明は、hCD80および/またはhCD86に対する結合アビディティが変化した、可溶性二量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を提供する。hCD86に対する結合アビディティがAbataceptより実質的に高い可溶性二量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質は、Abataceptの用量より実質的に少ない用量でRA対象に投与された時に、Abataceptの効力と同等の効力の程度に達し得る。低用量のこのような変異体CTLA-4-Igを投与することによって、Abataceptの投与に現在用いられている投与方法(静脈内注射)より、さらに便利な投与方法(例えば、皮下注射)が使用できるかもしれない。
RA患者の治療において、AbataceptまたはBelatacept融合タンパク質より高い免疫抑制能を有する本発明の可溶性変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を用いると、よい高いレベルの効力を得ることができるとも考えられる。免疫抑制性がより高い変異体CTLA-4-Igは、RAに関連する症状を緩和し、Abataceptより効果的にRAの有害な身体影響の進行を阻害できると予想される。このような変異体CTLA-4-Igは、0.1〜200mg/mlの濃度で、薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、または担体(例えば、PBS)中で処方することができる。RA対象の処置は、適切に決定された投薬頻度(例えば、初回投与に続いて、1ヶ月に2〜4回の投与、1ヶ月に1回の投与、または2ヶ月に1回の投与)で、皮下注射または静脈内注入によって、治療的または予防的に有効な量(用量)の変異体CTLA-4-Igを対象に投与することによって達成することができる。用量は、対象の疾患または症状の重篤度に左右される。例えば、約10mg/kg対象体重以下(例えば、約1mg/kg、0.5mg/kg、0.25mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、または9mg/kgを含む)の量または用量の変異体CTLA-4-Igが投与されてもよい。免疫抑制性がより高い変異体CTLA-4-Igを用いれば、典型的には、Abataceptと用いられる投薬計画より頻度の低い投薬計画(例えば、2ヶ月に1回)が可能になるかもしれない。または、約10mg/kg対象体重を超える(例えば、約10mg/kg〜約100mg/kg、約10mg/kg〜約25mg/kg、約10mg/kg〜約50mg/kg、約10mg/kg〜約75mg/kgなど。例えば、約15mg/kg、20mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、50mg/kg、60g/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、90mg/kg、100mg/kgを含む)量または用量の変異体CTLA-4-Igが、対象の疾患の状態および/または症状がこのような量または用量を保証するのであれば、RA対象に投与されてもよい。
RAに罹患しているヒトにおいてRAを処置するための本発明の変異体CTLA-4-Ig二量体の有効な量または用量は、変異体CTLA-4-Ig二量体の効能、二量体の投与方法、および/または対象の慢性関節リウマチの症状もしくは徴候の重篤度などの様々な要因に基づいて決定することができる。例えば、本発明の変異体CTLA-4-Ig二量体の有効な量または用量は、このような二量体の効能とOrencia(登録商標)二量体の効能を比較し、典型的には、RAの類似の症状または徴候を示すヒト対象に投与されるOrencia(登録商標)の量または用量に基づいて、Orencia(登録商標)と比較して望ましい免疫抑制作用(例えば、改善した作用またはほぼ等しい作用)を生じる変異体CTLA-4-Ig二量体の量または用量を決定することによって突き止めることができる。
1つの態様において、例えば、本発明は、慢性関節リウマチの処置を必要とする対象において慢性関節リウマチを処置する方法を提供する。前記方法は、例えば、静脈内注射または皮下注射によって、有効量の本発明の可溶性二量体変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を対象に投与する工程を含む。有効な量または用量は、約0.001ミリグラム(mg)〜約10ミリグラム/キログラム(kg)対象体重を含んでもよく、例えば、約0.01〜約10mg/kg対象体重、約0.05、0.1、0.2、0.25、0.3、0.5、1、2、5、6、7、8、9、または10mg/kg成人ヒト患者体重が対象に投与される。場合によっては、有効な量または用量は、約2〜10、約3〜10、約3〜5、約5〜10、0.1〜5、約0.05〜1.0、約0.05〜3、約0.05〜2.0、約0.05〜1.0、約0.05〜2.0、約0.1〜2.0、約0.1〜3.0、約0.1〜0.5、約0.1〜0.8、約0.1〜0.6、約0.2〜1、約0.2〜0.6、約0.2〜0.5、約0.3〜1、約0.3〜0.6、約0.3〜0.5mg/kg対象体重である。場合によっては、有効な量または用量は、体重が60kg未満の対象については、約500mg未満(例えば、約100mg未満、75mg未満、50mg未満、25mg未満、もしくは12.5mg未満)、体重が60〜100kgの対象については、約750mg未満(例えば、約150mg未満、100mg未満、75mg未満、37.5mg未満、もしくは20mg未満)、または体重が100kg超の対象については、約1000mg未満(例えば、約500mg未満、100mg未満、50mg未満、25mg未満、もしくは10mg未満)である。1回目の投与の後、これに続く同量が1週間、2週間、4週間、8週間、10週間、12週間、14週間、または16週間の間隔で投与される。必要に応じて、これに続く投薬頻度を決定することができる。
対象(例えば、ヒトを含む哺乳動物)への投与に適した薬学的組成物を作製するために、このような変異体CTLA-4-Ig融合は、薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤を用いて処方されてもよい。組成物中の融合タンパク質の濃度は、約0.01mg/ml〜約300mg/mlまたは約0.01mg/ml〜約200mg/mlの範囲でよく、例えば、約0.1mg/ml〜約300mg/ml、約0.1mg/ml〜約200mg/ml、約0.1mg/ml〜約100mg/ml、約0.5mg/ml〜約100mg/ml、約0.5mg/ml〜約50mg/ml、約1〜約100mg/ml、約1〜約75mg/ml、約5〜約75mg/ml、約10〜約75mg/ml、約10〜約60mg/ml、約25〜約60mg/ml、約30〜約60mg/ml、約25〜約50mg/ml、約40〜約50mg/ml、約25mg/ml、または約50mg/mlを含むが、これに限定されない。前記および下記で議論したものを含む他の組成物も意図される。
このような処置は、対象において、慢性関節リウマチに関連する1つまたは複数の徴候および/または症状、例えば、炎症、関節圧痛、関節腫脹、関節痛、および関節硬直を低減すると予想される。このような処置は、患者における疾患のさらなる進行を遅らせてもよい。例えば、このような処置は、患者における構造的損傷の進行を遅らせてもよい。このような処置は、対象の身体機能を改善してもよい。
組織移植、細胞移植、移植片移植、または臓器移植の拒絶反応を阻害する方法
別の局面において、本発明は、レシピエント対象によるドナーからの組織移植、細胞移植、皮膚移植片移植、もしくは臓器移植の拒絶反応を阻害する方法、またはレシピエント対象によるドナーからの組織移植、細胞移植、皮膚移植片移植、もしくは臓器移植に関連する免疫応答を抑制する方法を提供する。前記方法は、レシピエント対象に、治療的有効量の、以下:(1)本発明のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4-ECDポリペプチドまたは二量体もしくは単量体の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質);(2)本発明の1つもしくはそれ以上のポリペプチドを含む多量体(例えば、任意の2つのこのようなポリペプチドを含む二量体、もしくは任意の4つのこのようなポリペプチドを含む四量体);(3)本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含む、コンジュゲート;(4)本発明の核酸(例えば、本発明のポリペプチドをコードする核酸);(5)本発明の核酸を含む、もしくは本発明のポリペプチドをコードする、ベクター;(6)本発明のポリペプチド、核酸、コンジュゲート、および/もしくはベクターを含む、細胞もしくは細胞集団;および/または(7)本発明の組成物の1つまたは複数を投与し、それによって、レシピエント対象による組織移植、細胞移植、皮膚移植片移植、または臓器移植の拒絶反応を阻害する工程を含む。ドナーおよびレシピエントは同じ種でもよく、異なる種でもよい。ドナーまたはレシピエントは、哺乳動物、例えば、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、サル、ゴリラ)、ヒツジ、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ウマなどでよい。このような方法の一部では、本発明のポリペプチド、コンジュゲート、ベクター、および/または細胞は、組織移植、細胞移植、皮膚移植片、もしくは臓器移植の前に、組織移植、細胞移植、皮膚移植片、もしくは臓器移植と同時に、または組織移植、細胞移植、皮膚移植片、もしくは臓器移植の後に、レシピエント対象に投与される。有効量は、典型的には、約0.001mg/kg対象体重〜約200mg/kg対象体重を含む。このような方法の一部では、例えば、有効量は、約0.001ミリグラム/キログラム対象体重(mg/kg)〜少なくとも約0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、10、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、または300ミリグラム/キログラム対象体重(mg/kg)を含む。このような方法の一部では、有効量は、約0.001ミリグラム/キログラム対象体重(mg/kg)〜少なくとも約0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、25、50、または75ミリグラム/キログラム対象体重(mg/kg)を含む。本発明のポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、および/または細胞は、移植中、移植前、または移植の直後にレシピエント対象に投与されてもよい。その代わりとして、またはさらに、本発明のこのような分子は、必要に応じて、移植の1時間後もしくは数時間後に、移植の翌日に、および/もしくは移植後毎日、または移植後、1週間に少なくとも1回、2週間に少なくとも1回、もしくは1ヶ月に少なくとも1回、必要に応じて、12ヶ月まで、24ヶ月まで、もしくは36ヶ月まで、またはそれ以上投与されてもよい。臓器移植は、任意の臓器、例えば、腎臓、肝臓、心臓、または肺が関与してよい。
移植片拒絶を阻害するために(またはこのような移植に関係する免疫応答を抑制するために)、臓器移植、組織移植、または細胞移植レシピエント対象に投与される本発明の変異体CTLA-4分子(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体)の有効な量または用量は、典型的には、このような分子の効能、投与方法、移植のタイプ(例えば、細胞、組織、臓器)、対象の病歴、および/または移植片拒絶を示唆する免疫応答の移植レシピエント対象の症状もしくは徴候の重篤度に基づいて決定される。例えば、本発明の変異体CTLA-4-Ig二量体(例えば、D3-29-IGg2、D3-54-IgG2、D3-56-IgG2、D3-69-IgG2、D3-75-IgG2二量体など)の有効な量または用量は、このような二量体の効能とBelatacept二量体の効能を比較することによって決定することができる。腎臓移植/腎移植に関係する免疫応答の阻止または抑制に有用なBelataceptの有効な用量は公知である。例えば、Belataceptは、腎臓ドナーからヒトに腎臓移植された後に、約5mg〜10mg/キログラムヒト体重/月の量または用量をヒトに静脈内注入することによって投与される。Belataceptより約「X」倍強力な本発明の変異体CTLA-4-Ig二量体は、Belataceptの治療効果にほぼ等しい治療効果(例えば、免疫応答の抑制)を達成するために、Belatacept用量の約「X」分の1の量または用量で、腎臓移植を受けたヒトに(例えば、静脈内に、皮下に、または本明細書に記載の別のやり方で)投与することができる。より大きな治療効果が望ましい場合は、比例して増やした量または用量の本発明のCTLA-4-Ig融合タンパク質二量体を決定し、投与することができる。
別の局面において、本発明は、組織移植、細胞移植、または臓器移植の拒絶反応(例えば、実質臓器(例えば、腎臓、肝臓、肺、心臓など)移植の拒絶反応)を、ドナーからこのような組織、細胞、または臓器を受けた対象において処置する方法を提供する。前記方法は、治療的有効量の本発明の少なくとも1つのポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、および/または細胞を、レシピエントに投与し、それによって、レシピエント対象によるドナーからの組織移植、細胞移植、または臓器移植の拒絶反応を阻害する工程を含む。本発明のポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、および/または細胞は、細胞移植、組織移植、もしくは臓器移植の前に、細胞移植、組織移植、もしくは臓器移植と同時に、または細胞移植、組織移植、もしくは臓器移植の後に対象に投与することができる。
1つの局面において、本発明は、島細胞移植を必要とするレシピエント対象においてドナーからの島細胞移植の拒絶反応を阻害する方法を提供する。前記方法は、有効な量または用量の本発明の変異体CTLA-4分子(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)を、ドナー膵臓から対象への島細胞移植の前に、島細胞移植と同時に、または島細胞移植の後に対象に投与する工程を含む。対象(例えば、ヒト)は、典型的には、糖尿病(例えば、IDDM)に罹患しており、このような方法は、糖尿病に罹患していると診断された対象の処置において有用である。島移植手順は当技術分野において公知である。典型的には、島は、死亡した臓器ドナーの膵臓から取り出され、精製および処理され、糖尿病に罹患しているレシピエント対象に移植される。移植の後、島の中にあるβ細胞はインスリンを作り、放出し始め、それによって、レシピエント対象はインスリンの必要性が小さくなる。
移植片拒絶を阻害するこのような方法では、本発明の変異体CTLA-4分子(例えば、変異体CTLA-4-Ig)を、薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤と共に処方して、対象(例えば、ヒトを含む哺乳動物)への投与に適した薬学的組成物を作製することができる。このような方法の中には、薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤、および約0.01mg/ml〜約300mg/mlまたは約0.01mg/ml〜約200mg/mlの濃度を有する本発明の変異体CTLA-4-Ig二量体を含む薬学的組成物の投与を含むものもあり、前記濃度は、例えば、約0.1mg/ml〜約300mg/ml、約0.1mg/ml〜約200mg/ml、約0.1mg/ml〜約100mg/ml、約0.5mg/ml〜約100mg/ml、約0.5mg/ml〜約50mg/ml、約1〜約100mg/ml、約1〜約75mg/ml、約5〜約75mg/ml、約10〜約75mg/ml、約10〜約60mg/ml、約25〜約60mg/ml、約30〜約60mg/ml、約25〜約50mg/ml、約40〜約50mg/ml、約25mg/ml、または約50mg/mlを含むが、これに限定されない。前記または下記で議論するものを含む他の組成物も意図される。
免疫応答を阻害する方法
別の局面において、本発明は、哺乳動物(例えば、ヒトまたは非ヒト霊長類)における免疫応答を阻害または抑制するための医薬を製造するための、本発明のポリペプチド(例えば、二量体もしくは単量体の融合タンパク質もしくは多量体ポリペプチドを含む)、コンジュゲート、核酸、ベクター、または細胞の使用を含む。抑制することができる免疫応答には、例えば、T細胞活性化またはT細胞増殖、サイトカインの合成または産生、活性化マーカーの誘導、炎症性分子の合成または産生、炎症、抗コラーゲンAbの産生、T細胞依存性Ab応答が含まれる。
本発明はまた、免疫系の疾患または障害を処置するための医薬を製造するための、本発明のポリペプチド(例えば、二量体もしくは単量体の融合タンパク質もしくは多量体ポリペプチドを含む)、コンジュゲート、核酸、ベクター、または細胞の使用を含む。免疫系の疾患または障害は、哺乳動物においてT細胞とCD80陽性細胞および/またはCD86陽性細胞が相互作用することによって媒介されるものでもよい。免疫系の疾患または障害は、免疫系の疾患または疾患、例えば、リウマチ性疾患もしくは障害または自己免疫疾患もしくは自己免疫障害でもよい。このような免疫系の疾患または障害は、例えば、アジソン病、アレルギー、円形脱毛症、アルツハイマー、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連脈管炎、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群(ヒューズ症候群)、関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化巣、自己免疫疾患(例えば、狼瘡、RA、MS、グレーブス病など)、自己免疫溶血性貧血、自己免疫肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ球増殖症候群、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、無精子症、ベーチェット病、ベーチェット症候群、ベルジェ病、水疱性類天疱瘡、心筋症、心血管疾患、セリアックスプルー/セリアック病、慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)、慢性特発性多発神経炎、慢性炎症性脱髄性、多発神経炎(CIPD)、慢性再発性多発ニューロパシー(ギラン・バレー症候群)、チャーグ・ストラウス症候群(CSS)、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素症(CAD)、COPD、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、円盤状狼瘡、湿疹、後天性表皮水疱症、本態性混合型クリオグロブリン血症、エヴァンス症候群、眼球突出、線維筋痛症、グッドパスチャー症候群、移植片に関連した疾患または障害、グレーブス病、GVHD、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、免疫増殖性疾患または障害(例えば、乾癬)、炎症性腸疾患(IBD)、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、間質性肺疾患、若年性糖尿病、若年性関節炎、若年性特発性関節炎(JIA)、川崎病、ランバート・イートン筋無力症症候群、扁平苔癬、狼瘡、ループス腎炎、リンパ球性下垂体炎、メニエール病、ミラー・フィッシャー症候群/急性散在性脳脊髄神経根障害、混合結合組織病、多発性硬化症(MS)、筋肉リウマチ、筋痛性脳脊髄炎(ME)、重症筋無力症、眼の炎症、落葉状天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群(ホイッタカー症候群)、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変/自己免疫胆管症、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群/反応性関節炎、再狭窄、リウマチ熱、リウマチ性疾患、慢性関節リウマチ、類肉腫症、シュミット症候群、硬皮症、シェーグレン症候群、実質臓器(腎臓、心臓、肝臓、肺など)移植の拒絶反応、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身硬皮症、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、甲状腺炎、1型糖尿病、2型糖尿病、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、脈管炎、白斑、ウェゲナー肉芽腫症、およびレシピエント対象によるドナー組織移植、細胞移植、移植片移植、または臓器移植の拒絶反応に関連した免疫応答の阻止または抑制でもよく、これらを伴ってもよいが、これらに限定されない。
本発明はまた、CD80陽性細胞および/またはCD86陽性細胞とCD28陽性T細胞および/またはCTLA-4陽性T細胞との相互作用を阻害するための医薬を製造するための、本発明のポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、または細胞の使用を提供する。別の局面において、本発明は、哺乳動物における、組織移植または臓器移植の拒絶反応(例えば、固体臓器(例えば、腎臓、肺、肝臓、心臓など)移植の拒絶反応)を処置するための医薬を製造するための、本発明のポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、または細胞の使用を提供する。
免疫応答の評価
本発明のポリペプチド、核酸、ベクター、ウイルス、シュードウイルス(pseudovirus)、VLP、または組成物によって抑制される免疫応答は、任意の適切な技法によって測定することができる。体液性免疫応答の評価における有用な技法の例には、フローサイトメトリー、イムノブロッティングアッセイ、免疫組織化学アッセイ、免疫沈降アッセイ、ラジオイムノアッセイ(RIA)、および酵素イムノアッセイが含まれる。酵素イムノアッセイには、酵素結合イムノフローアッセイ(ELIFA)、ならびにサンドイッチELISAおよび競合的ELISAアッセイを含む酵素結合免疫測定法(ELISA)が含まれる。抗体および標的物質の複合体を検出するために、HPLCおよびキャピラリー電気泳動(CE)もまたイムノアッセイにおいて利用することができる。このような技法および関連する原理を実施するための大まかなガイダンスは、例えば、Harlow and Lane (1988) ANTIBODIES, A LABORATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Publications, New York、Hampton R et al. (1990) SEROLOGICAL METHODS A LABORATORY MANUAL, APS Press, St. Paul Minn.、Stevens (1995) CLINICAL IMMUNOLOGY AND SEROLOGY: A LABORATORY PERSPECTIVE, CRC press、Bjerrum (1988) HANDBOOK OF IMMUNOBLOTTING OF PROTEINS, Vol. 2、Zoa (1995) DIAGNOSTIC IMMUNOPATHOLOGY: LABORATORY Practice AND CLINICAL APPLICATION, Cambridge University Press、Folds (1998) CLINICAL DIAGNOSTIC IMMUNOLOGY: PROTOCOLS IN QUALITY ASSURANCE AND STANDARDIZATION、Blackwell Science Inc., Bryant (1992) LABORATORY IMMUNOLOGY & SEROLOGY 3rd edition, W B Saunders Co.、およびMaddox D E et al. (1983) J. Exp. Med. 158:1211に記載されている。ELISA法および関連する原理に関するガイダンスは、例えば、Reen (1994) Methods Mol. Biol. 32:461-6、Goldberg et al. (1993) Curr. Opin. Immunol. 5(2):278-81、Voller et al. (1982) Lab. Res. Methods Biol. Med. 5:59-81、Yolken et al. (1983) Ann. NY Acad. Sci. 420:381-90、Vaughn et al. (1999) Am. J. Trop. Med. Hyg. 60(4):693-8、およびKuno et al. (1991) J. Virol. Methods 33(1-2):101-13に記載されている。フローサイトメトリー法に関するガイダンスは、例えば、Diamond (2000) IN LIVING COLOR : PROTOCOLS IN FLOW CYTOMETRY AND CELL SORTING, Springer Verlag, Jaroszeki (1998) FLOW CYTOMETRY PROTOCOLS, 1st Ed., Shapiro (1995) PRACTICAL FLOW CYTOMETRY, 3rd edition、Rieseberg et al. (2001) Appl. Microbiol. Biotechnol. 56(3-4):350-60、Scheffold and Kern (2000) J. Clin. Immunol. 20(6):400-7、およびMcSharry (1994) Clin. Microbiol. Rev. (4):576-604に示めされている。
細胞傷害性T細胞および他のT細胞の免疫応答もまた、任意の適切な技法によって測定することができる。このような技法の例には、ELISpotアッセイ(特に、IFN-γ ELISpot)、細胞内サイトカイン染色(ICC)(特に、FACS分析と併用する)、CD8+T細胞四量体染色/FACS、標準的なおよび改良したT細胞増殖アッセイ、クロム放出CTLアッセイ、限界希釈分析(LDA)、ならびにCTL殺傷アッセイが含まれる。T細胞増殖アッセイに関するガイダンスおよび原理は、例えば、Plebanski and Burtles (1994) J. Immunol. Meth. 170:15、Sprent et al. (2000) Philos. Trans. R. Soc. Lond. B Biol. Sci. 355(1395):317-22、およびMessele et al. (2000) Clin. Diagn. Lab. Immunol. 7(4):687-92に記載されている。LDAは、例えば、Sharrock et al. (1990) Immunol. Today 11:281-286に記載されている。ELISpotアッセイおよび関連する原理は、例えば、Czerinsky et al. (1988) J. Immunol. Meth. 110:29-36、Olsson et al. (1990) J. Clin. Invest. 86:981-985、Schmittel et al. (2001) J. Immunol. Meth. 247(1-2):17-24、Ogg and McMichael (1999) Immunol. Lett. 66(1-3):77-80、Schmittel et al. (2001) J. Immunol. Meth. 247(1-2):17-24、Kurane et al. (1989) J. Exp. Med. 170(3):763-75、Chain et al. (1987) J. Immunol. Meth. 99(2):221-8、Czerkinsky et al. (1988) J. Immunol. Meth. 110:29-36、ならびに米国特許第5,750,356号および同第6,218,132号に記載されている。四量体アッセイは、例えば、Skinner et al. (2000) J. Immunol. 165(2):613-7に記載されている。他のT細胞分析法は、Hartel et al. (1999) Scand. J. Immunol. 49(6):649-54、およびParish et al. (1983) J. Immunol. Meth. 58(1-2):225-37に記載されている。
T細胞活性化はまた、CTL活性、または活性化抗原、例えば、IL-2受容体、CD69、もしくはHLA-DR分子の発現を測定することによって分析することができる。精製されたT細胞の増殖は、混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいて測定することができる。このようなアッセイは当技術分野において周知である。
ELISpotアッセイは、T細胞エフェクターのマーカーとして役立つ特定のサイトカイン、例えば、IFN-γまたはTNF-αを分泌するT細胞の数を測定する。サイトカイン特異的ELISAキットは市販されている(例えば、R&D Systems, Minneapolis, MNにより、IFN-γ特異的ELISPotが入手可能である)。
本発明の分子(例えば、本発明の可溶性変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含む、本発明のポリペプチド)がT細胞活性化および/またはT細胞増殖を抑制または阻害する能力を評価および測定するさらなる方法は、下記の実施例のセクションの実施例5〜8に記載されている。
投与方法
本明細書に記載のいずれの方法でも、適切な薬学的に許容される賦形剤または担体(例えば、PBS)および有効量の本発明の分子、例えば、本発明のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4 ECD、または単量体、二量体、もしくは多量体変異体CTLA-4-Ig)あるいはコンジュゲートを含む注射用薬学的組成物を、宿主に、非経口投与、筋肉内投与、腹腔内投与、静脈内投与、真皮下投与、経皮投与、または皮下投与することができる。または、バイオリスティックタンパク質送達法(ワクチン銃送達)を使用することができる(この例は本明細書の他の場所で議論される)。他の任意の適切な技法も使用することができる。ポリペプチド投与はリポソームを介して容易にすることができる。任意のこのような送達技法を用いて、本発明のポリペプチドまたはコンジュゲートを、本明細書に記載の任意の治療方法または予防方法と組み合わせて送達することができる。
以下の議論は主に核酸に関するものであるが、本発明の核酸ベクターにも等しく当てはまることが理解されるだろう。本発明の核酸またはその組成物は、任意の適切な投与経路によって宿主に投与することができる。本発明のある局面では、核酸の投与は、非経口(例えば、皮下(s.c.)、筋肉内(i.m.)、もしくは皮内(i.d.))、局所、または経皮である。核酸は、針または類似の装置を用いた注射によって、組織、例えば、筋肉に直接導入することができる。例えば、Nabel et al. (1990), 前記; Wolff et al. (1990) Science 247:1465-1468)、Robbins (1996) Gene Therapy Protocols, Humana Press, NJ、およびJoyner (1993) Gene Targeting: A Practical Approach, IRL Press, Oxford, England、ならびに米国特許第5,580,859号および同第5,589,466号を参照されたい。例えば、「バイオリスティック」または粒子を介した形質転換(例えば、米国特許第4,945,050号および同第5,036,006号、Sanford et al., J. Particulate Sci. Tech. 5:27-37 (1987)、Yang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:9568-72 (1990)、ならびにWilliams et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:2726-30(1991)を参照されたい)などの他の方法。これらの方法は、対象、例えば、哺乳動物へのDNAのインビボ導入だけでなく、(本明細書の他の場所で議論される)哺乳動物への再導入のための細胞のエクスビボ改変にも有用である。
標準的な遺伝子銃投与の場合、関心対象のベクターまたは核酸を、微小な金属ビーズの表面上に沈殿させる。マイクロプロジェクタイルを、衝撃波または膨張しているヘリウムガスによって加速させ、数細胞層の深さまで組織に貫通させる。例えば、Agacetus, Inc. Middleton WI製のAccel(商標)遺伝子送達装置は、この態様における使用に適している。核酸またはベクターは、このような技法によって、例えば、筋肉内に、皮内に、真皮下に、皮下に、および/または腹腔内に投与することができる。バイオリスティック送達に関するさらなる装置および技法は、国際公開公報番号WO 99/2796号、WO 99/08689号、WO 99/04009号、およびWO 98/10750号、ならびに米国特許第5,525,510号、同第5,630,796号、同第5,865,796号、および同第6,010,478号に記載されている。
核酸は、トランスフェクション増強剤と共に投与することができる。トランスフェクション増強剤の例は前記で議論した。核酸は、局所に、および/または(固体粒子バイオリスティック送達とは対照的に)液体粒子送達によって投与することができる。本発明の核酸の送達ビヒクルとして適し得る、このような核酸送達技法、組成物、およびさらなる構築物の例は、例えば、米国特許第5,591,601号、同第5,593,972号、同第5,679,647号、同第5,697,901号、同第5,698,436号、同第5,739,118号、同第5,770,580号、同第5,792,751号、同第5,804,566号、同第5,811,406号、同第5,817,637号、同第5,830,876号、同第5,830,877号、同第5,846,949号、同第5,849,719号、同第5,880,103号、同第5,922,687号、同第5,981,505号、同第6,087,341号、同第6,107,095号、同第6,110,898、ならびに国際公開公報番号WO 98/06863号、WO 98/55495号、およびWO 99/57275号に提供されている。
または、核酸は、リポソームをベースとする遺伝子送達によって宿主に投与することができる。リポソームをベースとする遺伝子送達に関する例示的な技法および原理は、例えば、Debs and Zhu (1993) WO 93/24640; Mannino and Gould-Fogerite (1988) BioTechniques 6(7):682-691; Rose米国特許第5,279,833号; Brigham (1991) WO 91/06309; Brigham et al. (1989) Am. J. Med. Sci. 298:278-281; Nabel et al. (1990) Science 249:1285-1288; Hazinski et al. (1991) Am. J. Resp. Cell Molec. Biol. 4:206-209; および Wang and Huang (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7851-7855)、ならびにFelgner et al. (1987) Proc. Natl Acad. Sci. USA 84:7413-7414)に示されている。核酸を送達するのに使用することができる適切な薬学的に許容されるリポソーム組成物は、本明細書の他の場所にさらに記載されている。
任意の量の本発明の核酸を本発明の方法において使用することができる。例えば、コードされているポリペプチドまたはコンジュゲートが、例えば、対象において免疫応答を抑制するのに、対象において内因性B7陽性細胞とCD28陽性細胞との相互作用を阻害するのに、または組織移植、細胞移植、臓器移植、もしくは移植片移植の拒絶反応を阻害するのに有効であると考えられている量で対象において産生されるような十分な核酸が、薬学的に許容される賦形剤または担体中で処方し、対象に投与することができる。核酸が注射によって投与される1つの形式では、約50マイクログラム(μg)〜100mgの核酸が投与される。免疫応答を抑制する1つの例示的な用途では、PBSおよび有効量の変異体CTLA-4ポリペプチドをコードするある量のDNAベクターを含む薬学的組成物が、注射もしくはエレクトロポレーションまたは他の適切な送達方法(例えば、押し付けて皮膚を通過させる遺伝子銃、およびリポフェクション)によって、処置を必要とする対象(例えば、免疫抑制処置が望ましい免疫系の疾患または障害に罹患している対象)に投与される。例示的なベクターを図1に示した。
投与が遺伝子銃を介する本発明の方法において使用するためのDNAプラスミドの量は、例えば、多くの場合、直接注射(例えば、標準的な針注射を介した注射)に用いられる量の約1/1000〜約1/100である。このような感度にもかかわらず、このようなバイオリスティック送達法では、少なくとも約1μgの核酸を使用することができる。
本発明のポリペプチドをコードする核酸を送達するために、RNAウイルスベクター系またはDNAウイルスベクター系が有用な場合がある。ウイルスベクターは、インビボで対象に直接投与されてもよく、インビトロで細胞を処理するのに用いられてもよく、改変された細胞が、エクスビボ形式で対象に投与される。有用なウイルスベクターには、前記のウイルスベクター、例えば、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、および単純ヘルペスウイルスのベクターが含まれる。このようなウイルスベクターを用いると、本発明の核酸を、対象の標的細胞および標的組織に容易に導入することができる。さらに、レトロウイルス、レンチウイルス、およびアデノ随伴ウイルス遺伝子導入法を用いると、本発明の核酸が宿主ゲノムに組み込まれ、それによって、挿入された核酸が連続して発現できるようになる。
本発明の少なくとも1つの核酸を含む本発明のウイルスベクターの対象への送達は、ベクターが投与された対象において免疫応答を抑制できると考えられる。任意で、本発明の予防方法および/または治療方法の一部は、検出可能な免疫応答を阻害するのに十分な投与量の適切なウイルスベクターを用いて実施される。任意の適切な濃度の、本発明の核酸を含む任意の適切なウイルスベクターを用いて、免疫応答を抑制することができる。例えば、対象宿主に、レトロウイルスベクター(この例は、例えば、Buchscher et al. (1992) J. Virol. 66(5) 2731-2739、Johann et al. (1992) J. Virol. 66 (5):1635-1640 (1992)、Sommerfelt et al., (1990) Virol. 176:58-59、Wilson et al. (1989) J. Virol. 63:2374-2378、Miller et al., J. Virol. 65:2220-2224 (1991), Wong-Staal et al., PCT/US94/05700、Rosenburg and Fauci (1993) in FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY, Third Edition Paul (ed.) Raven Press, Ltd., New York、およびこれらの中の参考文献に記載されている)、AAVベクター(例えば、West et al. (1987) Virology 160:38-47、Kotin (1994) Human Gene Therapy 5:793-801、Muzyczka (1994) J. Clin. Invest. 94:1351、Tratschin et al. (1985) Mol. Cell. Biol. 5(11):3251-3260、米国特許第4,797,368号および同第5,173,414号、ならびに国際公開公報第93/24641号に記載されている)、またはアデノウイルスベクター(例えば、Berns et al. (1995) Ann. NY Acad. Sci. 772:95-104; Ali et al. (1994) Gene Ther. 1:367-384;およびHaddada et al. (1995) Curr. Top. Microbiol. Immunol. 199 (Pt 3):297-306に記載されている)の集団を投与し、それによって、ベクターに含まれる核酸の免疫抑制レベルの発現が望ましい免疫抑制応答をもたらすことができる。(適切なレトロウイルス、AAV、およびアデノウイルスのベクターの代替例を含む)他の適切なタイプのウイルスベクターが、本明細書の他の場所に記載されている。
これらのおよび他のタイプのウイルスベクター粒子に適した感染状態は、例えば、Bachrach et al., J. Virol., 74(18), 8480-6 (2000)、Mackay et al., J. Virol., 19(2), 620-36 (1976)、およびFIELDS VIROLOGY, 前記に記載されている。ウイルスベクターの作製および適用において有用なさらなる 技法は、例えば、「Practical Molecular Virology: Viral Vectors for Gene Expression」 in METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY, vol. 8, Collins, M. Ed., (Humana Press 1991)、VIRAL VECTORS: BASIC SCIENCE AND GENE THERAPY, 1st Ed. (Cid-Arregui et al., Eds.) (Eaton Publishing 2000)、「Viral Expression Vectors」, in CURRENT TOPICS IN MICROBIOLOGY AND IMMUNOLOGY, Oldstone et al., Eds. (Springer-Verlag, NY, 1992)、および「Viral Vectors」 in CURRENT COMMUNICATIONS IN BIOTECHNOLOGY, Gluzman and Hughes, eds. (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988)に提供されている。
本発明の1つまたは複数の分子を含むベクターまたはウイルスの毒性および治療効力は、標準的な薬学的手順を用いて、細胞培養または実験動物において決定される。本明細書において示された手順および当技術分野において公知の他の場所の手順を用いて、MLD50(集団の50%を死に至らしめる最小用量)および/またはED50(集団の50%において治療が有効な用量)を決定することができる。公知のウイルスワクチンの示唆された用量については、S. Plotkin and W. Orenstein, Vaccines (W. B. Saunders Co. 1999 3d ed.)も参照されたい。本発明の核酸、ポリペプチド、タンパク質、融合タンパク質、形質導入細胞、および他の製剤は、例えば、患者の大きさおよび全体の健康状態に適用されるような、製剤のMLD50および様々な濃度でのその副作用によって決定された用量で投与することができる。従って、例えば、本発明は、本発明のポリペプチドまたは核酸を含むウイルス様粒子またはウイルス(例えば、弱毒化ウイルスもしくは複製欠損ウイルス)の集団を含む薬学的に許容される組成物のED50に等しい、またはそれより大きな用量を投与することによって、免疫応答を誘導する方法を提供する。投与は、単一用量または分割量(同時投与、連続投与、もしくは組み合わせによる)によって達成することができる。投与技法およびプロトコールは、例えば、Plotkin(VACCINES)前記および本明細書において引用された他の参考文献に記載されている。関連する意味では、免疫を誘導するのに有効な、核酸、ポリペプチド、ベクター、および細胞組成物の投与量を評価する技法は、例えば、欧州特許出願第1156333号およびその中で引用された参考文献に記載されている。
ウイルスベクターは、対象、例えば、哺乳動物の特定の組織、細胞、および/または臓器に標的化することができる。このようなベクターの例は前記に記載されている。例えば、ウイルスベクターまたは核酸ベクターを用いて、本発明の核酸配列を、単球、樹状細胞、樹状細胞に関連する細胞(例えば、ランゲルハンス細胞に関連するケラチノサイト)、T細胞、および/またはB細胞に選択的に送達することができる。ウイルスベクターは複製欠損ウイルスベクターでもよい。ウイルスベクター粒子はまた、ウイルスベクターに対する宿主免疫応答を低減し、それによって、持続的な遺伝子発現を達成するように改変することができる。このような「ステルス(stealth)」ベクターは、例えば、Martin, Exp. Mol. Pathol. 66(1):3-7 (1999)、Croyle et al., J. Virol. 75(10):4792-801 (2001)、Rollins et al., Hum. Gene Ther. 7(5):619-26 (1996)、Ikeda et al., J. Virol. 74(10):4765-75 (2000)、Halbert et al., J. Virol. 74(3):1524-32 (2000)、および国際公開公報第98/40509号に記載されている。その代わりとして、またはさらに、ウイルスベクター粒子は、ベクター粒子に対する宿主免疫応答を低減するように選択された戦略によって投与することができる。宿主に投与することによって、ウイルスベクター粒子に対する免疫応答を低減する戦略は、例えば、Maione et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98(11):5986-91 (2001)、Morral et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96(22):2816-21 (1999)、Pastore et al., Hum. Gene Ther. 10(11):1773-81 (1999)、Morsy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95(14):7866-71 (1998)、Joos et al., Hum. Gene Ther. 7(13):1555-66 (1996)、Kass-Eisler et al., Gene Ther. 3(2):154-62(1996)、米国特許第6,093,699号、同第6,211,160号、同第6,225,113号、米国特許出願第2001-0066947A1号において示されている。
皮膚および筋肉は、一般的に、任意の適切な技法による本発明のポリペプチド、コンジュゲート、核酸、およびベクターの投与に好ましい標的である。対象(例えば、哺乳動物)の皮膚内への、または皮膚を通した本発明のポリペプチド、コンジュゲート、核酸、またはベクターの送達は、本発明の特徴である。本発明のこのような分子は、薬学的に許容される注射液に溶解して、皮膚内に、または皮膚を通して、例えば、筋肉内または腹腔内に投与することができる。投与はまた、経皮装置によって、あるいはより典型的には、対象の皮膚への、皮膚内への、もしくは皮膚を通した、または対象の曝露した筋肉への、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、および/またはベクターのバイオリスティック送達によって達成することができる。本明細書の他の場所に記載の本発明によって提供される経皮装置は、例えば、対象にポリヌクレオチドおよび/またはベクターが十分に導入され、それによって、対象における免疫応答が抑制される、または移植片移植、細胞移植、もしくは組織移植の拒絶反応が阻害されるように適切な期間、宿主の皮膚に適用することができる。筋肉投与は、より典型的には、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、またはベクターを含む液体溶液を注射することによって容易になる。標的化することができる特定の細胞には、樹状細胞、他のAPC、B細胞、単球、T細胞(Tヘルパー細胞を含む)、およびこのような免疫系細胞に関連した細胞(例えば、ランゲルハンス細胞に関連したケラチノサイトまたは他の皮膚細胞)が含まれる。本発明のベクターおよび核酸の標的化は、本明細書の他の場所に記載されている。このような標的投与は、核酸、または細胞特異的プロモーターおよび/もしくは組織特異的プロモーターに機能的に連結された核酸を含むベクターを用いて実施することができる。細胞特異的プロモーターおよび/もしくは組織特異的プロモーターの例は当技術分野において公知である。
本発明のポリヌクレオチドは、組換えポリペプチドの発現が宿主において起こり、免疫応答が抑制される、B7陽性細胞とCD28陽性との相互作用が阻害される、または組織移植、細胞移植、臓器移植、もしくは移植片移植の拒絶反応が阻害されるように、任意の適切な送達系によって投与することができる。例えば、本発明の核酸を含む有効量の細菌細胞集団を対象に投与して、本発明の組換え変異体CTLA-4ポリペプチドを発現させ、対象における免疫応答を抑制することができる。哺乳動物遺伝子送達用に開発された細菌細胞が当技術分野において公知である。
核酸および/またはベクターが細胞に取り込まれ、細胞内で発現して、本発明の組換えポリペプチドが細胞内で産生され、その後に、対象において免疫応答が抑制されるように、エレクトロポレーションを有効な数の細胞または有効な組織標的に適用することによって、対象への本発明のポリヌクレオチドまたはベクターの投与は容易になる。
作製方法および精製方法
本発明は、本発明のポリペプチド、核酸、ベクター、および細胞を作る、および精製する方法をさらに提供する。1つの局面において、本発明は、本発明の核酸を培地中の細胞集団に導入し、(遺伝子発現の望ましいレベルに適した時間、および条件下で)培地中の細胞を培養してポリペプチドを産生し、細胞、培地、またはその両方からポリペプチドを単離することによって、本発明の組換えポリペプチドを作る方法を提供する。核酸は、典型的には、核酸によってコードされるポリペプチドを発現するのに有効な調節配列に機能的に連結される。
ポリペプチドは、例えば、細胞溶解産物および/または細胞上清の様々なクロマトグラフィーを含む、当技術分野において公知の様々な適切な技法を用いて、細胞溶解産物、細胞上清、および/または細胞培地から単離することができる。例えば、ポリペプチドは、最初に、遠心フィルター(Amicon)を用いて培地を濃縮することによって、またはポリペプチドを硫酸アンモニウムもしくはポリエチレングリコールを用いて沈殿させ、次いで、ポリペプチドをPBSまたは他の適切な緩衝液に再懸濁することによって、細胞溶解産物および/または細胞培地から単離することができる。次いで、ポリペプチドは、例えば、Hjorth, R. and J. Moreno-Lopez, J. Virol. Methods 5:151-158 (1982)に記載のように、Sephacryl S-400カラム (Amersham Biosciences)によるサイズ排除クロマトグラフィーを用いて、もしくは別のアフィニティクロマトグラフィーによって、または、例えば、Konish et al., Virology 188:714-720 (1992)に記載のように、20〜60%スクロース勾配による遠心分離によって精製することができる。望ましいポリペプチドを含有する画分は、ELISAまたはSDS-PAGEの後に、タンパク質銀染色およびイムノブロッティングを行うことによって同定することができる。望ましい画分はプールされ、さらに濃縮される。勾配遠心分離法画分中のスクロースは、PD-10カラム(Amersham Biosciences)ゲル濾過を用いて除去することができる。さらなる精製技法には、以下の実施例に記載の技法および疎水性相互作用クロマトグラフィー(Diogo, M. M, et al., J. Gene Med. 3:577-584(2001))、ならびに当技術分野において公知の他の任意の適切な技法が含まれる。
当技術分野において公知の任意の適切な精製技法も使用することができる。当技術分野において公知のポリペプチド精製方法には、例えば、Sandana (1997) BIOSEPARATION OF PROTEINS, Academic Press, Inc., Bollag et al. (1996) PROTEIN METHODS, 2nd Edition Wiley-Liss, NY, Walker (1996) THE PROTEIN PROTOCOLS HANDBOOK Humana Press, NJ, Harris and Angal (1990) PROTEIN PURIFICATION APPLICATIONS: A PRACTICAL APPROACH IRL Press at Oxford, Oxford, England, Scopes (1993) PROTEIN PURIFICATION: PRINCIPLES AND PRACTICE 3rd Edition Springer Verlag, NY, Janson and Ryden (1998) PROTEIN PURIFICATION: PRINCIPLES, HIGH RESOLUTION METHODS AND APPLICATIONS, Second Edition Wiley-VCH, NY;およびWalker (1998) PROTEIN PROTOCOLS ON CD-ROM Humana Press, NJにおいて示された方法が含まれる。ポリペプチドの産生に適した細胞は当技術分野において公知であり、本明細書の他の場所で議論される(例えば、Vero細胞、293細胞、BHK、CHO(例えば、CHO-K1)、およびCOS細胞が適切であり得る)。細胞は、例えば、超音波処理、顕微溶液化、物理的剪断、フレンチプレス溶解、または界面活性剤に基づく溶解を含む、任意の適切な技法によって溶解することができる。
1つの局面において、本発明は、本発明のポリペプチドを精製する方法を提供する。前記方法は、適切な宿主細胞を、宿主細胞(例えば、CHO細胞または293細胞)内の本発明の核酸(例えば、SEQ ID NO:1のポリペプチド配列を含む組換えポリペプチドをコードする組換え核酸)で形質転換する工程、適切な溶解技法(例えば、超音波処理、界面活性剤溶解、または他の適切な技法)によって細胞を溶解する工程、および溶解産物が、望ましいポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:1のポリペプチド配列を含むポリペプチド)について濃縮されるように、溶解産物を、少なくとも1つの新規の本発明の抗体(通常、本発明のモノクローナル抗体)またはその抗原結合フラグメントを含む樹脂を含むクロマトグラフィーカラムを用いたアフィニティ精製に供する工程を含む。
別の局面において、本発明は、このような標的ポリペプチドを精製する方法を提供する。前記方法は、核酸が、本発明のポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:1)および適切なタグ(例えば、e-エピトープ/hisタグ)を含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、イムノアフィニティ、レンチル-レクチンアフィニティカラムクロマトグラフィー、固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)、または金属キレートアフィニティクロマトグラフィー(MCAC)濃縮法によってポリペプチドを精製する点で、前記の方法と異なる。さらなる精製方法は本明細書の他の場所に開示されている。
別の局面において、本発明は、本発明のポリペプチドを産生する方法を提供する。前記方法は、本発明の核酸を含む組換え発現ベクターを細胞集団に導入する工程、ベクターからの核酸の発現および核酸によってコードされるポリペプチドの産生に適切に十分な条件下で、培地中で細胞を培養する工程、ならびに細胞、培地、またはブロスからポリペプチドを単離する工程を含む。選択された細胞は、ポリペプチドの望ましいプロセシングに基づいており、かつ適切なベクターに基づいている(例えば、細菌プラスミドには大腸菌細胞が好ましいが、哺乳動物シャトルプラスミドおよび/またはアデノウイルス、特にE1欠損アデノウイルスには、293細胞が好ましい)。
さらに別の局面において、本発明は、ポリペプチドを産生する方法を含む。前記方法は、(a)本発明のポリペプチドをコードする本発明の少なくとも1つの核酸を含む組換え発現ベクターを細胞集団に導入する工程;(b)発現ベクターを哺乳動物に投与する工程;および(c)ポリペプチドを哺乳動物または哺乳動物の副産物から単離する工程を含む。
本発明のポリペプチドはまた、ポリペプチドの発現に十分な条件下で、本発明の細胞または細胞集団(例えば、このようなポリペプチドをコードする本発明の核酸で形質転換された細胞または細胞集団)を培養し、当技術分野において公知の標準的な技法を用いて、細胞内でまたは細胞によって発現されたポリペプチドを回収することによって産生することもできる。
別の局面において、本発明は、本発明のポリペプチドを産生する方法を提供する。前記方法は、(a)本発明の核酸によってコードされるポリペプチドを産生するのに有効な調節配列に機能的に連結された本発明の核酸を細胞集団に導入する工程;(b)培地中で細胞を培養して、ポリペプチドを産生する工程;および(c)細胞または培地からポリペプチドを単離する工程を含む。本発明のベクター(例えば、本発明の発現ベクター)が導入された培養細胞も含まれる。
前記ポリペプチドをコードする核酸を培地中の細胞集団に導入する工程であって、細胞は核酸の発現を許容する、工程、核酸が発現される条件下で細胞を維持する工程、およびその後に、ポリペプチドを培地から単離する工程を含む、本発明のポリペプチドを産生する方法も含まれる。
別の局面において、本発明は、融合タンパク質を作る方法を提供する。前記方法は、(1)核酸で形質転換された宿主細胞を培地において培養し、それによって、核酸が発現され、融合タンパク質が産生される工程であって、核酸は、(i)SEQ ID NO:1-73からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも95%の同一性を有し、CD86および/もしくはCD80ならびに/またはCD86もしくはCD80の細胞外ドメインに結合するポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列、ならびに(ii)ヒンジ領域、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含むIg Fcポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列を含む、工程;ならびに(2)融合タンパク質を回収する工程を含む。例えば、IgG1 Fc、IgG2 Fc、IgG4 Fc、または変異体 Ig Fcポリペプチドを含む、任意のIg Fcポリペプチドを使用することができる。このような方法の一部では、核酸は、融合タンパク質に機能的に連結された分泌ペプチドまたはシグナルペプチドをコードする第3のヌクレオチド配列をさらに含み、融合タンパク質は、同一の第1融合タンパク質および第2の融合タンパク質を含むジスルフィド結合した融合タンパク質二量体として宿主細胞から分泌され、ジスルフィド結合した融合タンパク質二量体は培地から回収される。このような方法の一部では、ジスルフィド結合した融合タンパク質二量体は、第1の融合タンパク質のシステイン残基と第2の融合タンパク質のシステイン残基とのジスルフィド共有結合を介して形成する。このような方法の一部では、融合タンパク質は、培地、宿主細胞、または宿主細胞ペリプラズムから回収される。
別の局面において、本発明は、(i)SEQ ID NO:1-73からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86ならびに/またはそのいずれかもしくは両方の細胞外ドメインに結合する第1のポリペプチド、ならびに(ii)IgGポリペプチドのヒンジ領域、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含む第2のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離されたまたは組換え型の核酸分子を提供する。第2のポリペプチドは、本明細書の他の場所で議論される任意の適切なIgポリペプチドを含んでもよく、例えば、SEQ ID NO:184またはSEQ ID NO:218に記載のポリペプチド配列を含むものを含む。
別の局面において、本発明は、可溶性融合タンパク質二量体を作る方法を提供する。前記方法は、本発明の可溶性融合タンパク質二量体をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養する工程を含む。例示的な融合タンパク質には、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222のいずれかのポリペプチド配列を含む融合タンパク質が含まれる。ベクターは、融合タンパク質の発現を促進するヌクレオチド配列(例えば、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列)を含む。融合タンパク質は、2つの同一の融合タンパク質を含む、ジスルフィド結合した融合タンパク質二量体として宿主細胞から分泌され、ジスルフィド結合した融合タンパク質二量体は培地から回収される。このような方法の一部では、ジスルフィド結合した融合タンパク質二量体は、それぞれの融合タンパク質上にあるシステイン残基間のジスルフィド共有結合を介して形成する。融合タンパク質二量体は、典型的には、培地、宿主細胞、または宿主細胞ペリプラズムから回収される。実施例12は、本発明の変異体CTLA4-Ig融合タンパク質を発現する、安定にトランスフェクトされた細胞株を作り出して、変異体CTLA4-Ig融合タンパク質を産生し、培養物から変異体融合タンパク質を精製するための例示的な手順を示す。
組換え産生に加えて、本発明のポリペプチドは、固相技法を用いた直接的なペプチド合成によって作製されてもよい(例えば、Stewart et al. (1969) SOLID-PHASE PEPTIDE SYNTHESIS, W.H. Freeman Co, San Francisco、およびMerrifield J (1963) J. Am. Chem. Soc 85:2149-2154を参照されたい)。ペプチド合成は、手作業による技法を用いて、または自動化によって行うことができる。自動化合成は、例えば、Applied Biosystems 431A Peptide Synthesizer (Perkin Elmer, Foster City, Calif.)を用いて、製造業者によって提供された説明書に従って達成されてもよい。例えば、部分配列を別々に化学合成し、本発明のポリペプチドまたはその断片を作製するために化学的方法を用いて組み合わせてもよい。または、ポリペプチドの作製を専門とする多数の会社に合成ポリペプチドを注文してもよい。最も一般的には、例えば、前記のように、コード核酸を発現させ、ポリペプチドを回収することによって本発明のポリペプチドが作製される。
本発明は、本発明のポリペプチドが、動物、例えば、哺乳動物(例えば、ラット、非ヒト霊長類、コウモリ、マーモセット、ブタ、またはニワトリを含む)において発現され、動物または動物の副産物から単離されるように、本発明の核酸、本発明のベクター、またはその組み合わせを動物に導入する工程を含む、本発明のポリペプチドを産生する方法を含む。動物または動物副産物からのポリペプチドの単離は、動物および望ましい回収戦略に応じて任意の適切な技法でよい。例えば、ポリペプチドは、本発明のポリペプチドを発現するマウス、サル、またはブタの血清から回収することができる。本発明によって、本発明の少なくとも1つの核酸を含むトランスジェニック動物(上述の哺乳動物を含む)が提供される。トランスジェニック動物は、(例えば、AAVベクター、レンチウイルスベクター、組み込み促進配列を用いて行われるバイオリスティック技法などによって)核酸が宿主ゲノムに組み込まれていてもよく、(例えば、非組み込みプラスミドベクターに入れて、または非組み込みウイルスベクターに挿入することによって)核酸が染色体外に維持されてもよい。染色体外ベクターは、組み込みベクターより一過的に遺伝子発現するように操作することができる。RNAをベースとするベクターは、これに関して特に有利である。
組成物
本発明は、本発明の少なくとも1つの成分、例えば、本発明の少なくとも1つのポリペプチド(例えば、融合タンパク質および多量体ポリペプチドを含む)、コンジュゲート、核酸、ベクター、ウイルス、ウイルス様粒子(VLP)、ならびに/または細胞あるいはその任意の組み合わせ、ならびに担体、賦形剤、または希釈剤を含む、新規のかつ有用な組成物をさらに提供する。担体、賦形剤、または希釈剤は、薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤でもよい。このような組成物は、任意の適切な量の任意の適切な数の本発明のポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、ウイルス、VLPs、および/または細胞を含んでもよい。少なくとも1つのポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、ウイルス、VLP、および/もしくは細胞、またはその任意の組み合わせ、ならびに薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を含む、薬学的組成物も提供される。このような組成物は、例えば、免疫応答を抑制する方法を含む、本明細書に記載の本発明の方法において有用である。
例えば、非限定的な1つの態様において、本発明は、賦形剤、希釈剤、または担体、および少なくとも1つの本発明のこのようなポリペプチド(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれ以上のポリペプチド)、例えば、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:1-73のいずれか)または変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質(例えば、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222のいずれか)を含む組成物を提供する。ここで、少なくとも1つのポリペプチドは、例えば、移植片拒絶反応および/または自己免疫に関与する免疫応答を含む免疫応答を抑制するのに有効な量で、提供された組織移植、細胞移植、もしくは臓器移植の拒絶反応を阻害するのに有効な量で、または組成物が投与された対象における内因性B7陽性細胞とCD28陽性T細胞との相互作用を阻害するのに有効な量で、組成物に存在する。
薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体、および有効量の本発明の1つまたは複数のこのような成分を含む、薬学的組成物も含まれる。有効量は、本明細書の他の場所に記載の治療方法または予防方法、例えば、自己免疫疾患を処置する方法、またはレシピエント対象によるドナーからの組織移植、細胞移植、移植片移植、もしくは臓器移植の拒絶反応を阻害する方法において使用するための、治療的または予防的に有効な量または用量でよい。
組成物(または薬学的組成物)は、組成物に含まれる本発明のポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、ウイルス、VLP、または細胞の免疫抑制性を妨害しない、任意の無毒の組成物でもよい。組成物は、1つまたは複数の賦形剤、希釈剤、または担体を含んでもよく、薬学的組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体を含む。多種多様な許容可能な担体、希釈剤、および賦形剤が当技術分野において公知であり、本発明の組成物および薬学的組成物に含めることができる。例えば、様々な水性担体、例えば、蒸留水または純水、滅菌食塩水、緩衝食塩水、例えば、リン酸緩衝食塩水(PBS)などを使用することができ、これらは、本発明のポリペプチド、融合タンパク質、コンジュゲート、核酸、ベクター、ウイルス、VLP、および/または細胞の注射用製剤において便利である。治療用タンパク質の投与のための非常に多くの適切な賦形剤、担体、および希釈剤が当技術分野において公知である。このような溶液は、好ましくは滅菌されており、一般的に、望ましくない物を含まない。組成物は従来の周知の滅菌法によって滅菌することができる。本発明の組成物は、生理学的条件に近づけるために、必要に応じて、薬学的に許容される補助物質を含んでもよい。このような物質には、例えば、pH調節剤、緩衝剤、および張性調節剤が含まれ、例えば、酢酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどが含まれる。薬学的組成物を含む本発明の組成物はまた、1つまたは複数の成分、例えば、希釈剤、増量剤、塩、緩衝液、洗剤、乳化剤、界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤もしくは乳化剤、例えば、Tween(登録商標)-20、Tween(登録商標)-40、Tween(登録商標)-60、Tween(登録商標)-80、pluronic F-68など)、安定剤(例えば、糖もしくはタンパク質を含まないアミノ酸)、防腐剤(preservant)、組織固定剤、可溶化剤、および/または薬学的組成物に含めるのに適した他の材料を含んでもよい。
薬学的組成物において使用することができる適切な成分の例は、例えば、Berge et al., J. Pharm. Sci. 66(1):1-19 (1977)、Wang and Hanson, J. Parenteral. Sci. Tech. 42:S4-S6(1988)、米国特許第6,165,779号および同第6,225,289号、ならびに本明細書の他の場所に記載されている。薬学的組成物はまた、当業者に公知の防腐剤(例えば、ベンジルアルコール、アジ化ナトリウム、m-クレゾールなど)、抗酸化物質、金属キレート剤(例えば、メチオニン、EDTAなど)、および/または他の添加物を含んでもよい。薬学的組成物において使用するための適切な薬学的に許容される担体の例は、例えば、Urquhart et al., Lancet 16:367 (1980)、Lieberman et al., PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS - DISPERSE SYSTEMS (2nd ed., Vol. 3, 1998)、Ansel et al., PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS & DRUG DELIVERY SYSTEMS (7th ed. 2000)、Martindale、THE EXTRA PHARMACOPEIA (31st edition)、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES (16th-20th editions)、THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS, Goodman and Gilman, Eds. (9th ed. - 1996)、Wilson and Gisvolds TEXTBOOK OF ORGANIC MEDICINAL AND PHARMACEUTICAL CHEMISTRY, Delgado and Remers, Eds. (10th ed.-1998)、ならびに米国特許第5,708,025号および同第5,994,106号に記載されている。薬学的に許容される組成物を処方する原理は、例えば、Platt, Clin. Lab Med. 7:289-99 (1987)、Aulton, PHARMACEUTICS: THE SCIENCE OF DOSAGE FORM DESIGN, Churchill Livingstone (New York) (1988), EXTEMPORANEOUS ORAL LIQUID DOSAGE PREPARATIONS, CSHP (1998)、および「Drug Dosage」 J. Kans. Med. Soc. 70(1):30-32 (1969)に記載されている。ベクター投与に特に適した薬学的に許容されるさらなる担体は、例えば、国際公開公報第98/32859号に記載されている。
薬学的組成物を含む本発明の組成物は、1つもしくは複数の水性担体または賦形剤(例えば、薬学的に許容される担体または賦形剤を含む)ならびに1つもしくは複数の成分、例えば、1つもしくは複数の緩衝液、1つもしくは複数の塩、1つもしくは複数の界面活性剤もしくは乳化剤、および/または1つもしくは複数の糖を含んでもよい。緩衝系は、典型的には、組成物に存在する本発明の分子(例えば、変異体CTLA-4-Ig)の安定性の助けとなる範囲内で組成物のpHを維持するのに適したものである。組成物において使用するための例示的な緩衝液には、例えば、N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-アミノエタンスルホン酸(HEPES)緩衝液、クエン酸緩衝液(例えば、クエン酸二ナトリウム-クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸ナトリウム-クエン酸混合物、クエン酸-クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸一ナトリウム-クエン酸二ナトリウム混合物、クエン酸-クエン酸一ナトリウム混合物)、リン酸ナトリウム緩衝液(例えば、リン酸水素二ナトリウム-リン酸三ナトリウム混合物(Na2HPO4/Na3PO4)、リン酸水素二ナトリウム(sodium dibasic phosphate)-リン酸二水素ナトリウム(sodium monobasic phosphate)混合物)、酢酸緩衝液(例えば、酢酸-酢酸ナトリウム混合物、酢酸-水酸化ナトリウム混合物)、ヒスチジン緩衝液、Tris緩衝液、Tris-マレイン酸緩衝液、コハク酸緩衝液(例えば、コハク酸-水酸化ナトリウム混合物、コハク酸-コハク酸一ナトリウム混合物、コハク酸-コハク酸二ナトリウム混合物、コハク酸一ナトリウム-コハク酸二ナトリウム混合物)、マレイン酸緩衝液、イミダゾール緩衝液、酒石酸緩衝液、フマル酸緩衝液、グルコン酸緩衝液、シュウ酸緩衝液、乳酸緩衝液、酢酸緩衝液など、またはその任意の組み合わせ(例えば、クエン酸緩衝液および酢酸緩衝液のカクテルなど)が含まれるが、これに限定されない。組成物中の緩衝液の濃度は、組成物溶液に含まれる本発明の分子(例えば、変異体CTLA-4-Ig)に適した任意の濃度でよく、例えば、約1mM〜約100mM、約1mM〜約50mM、約5mM〜約50mM、または約5mM〜約25mMの範囲であるが、これに限定されず、例えば、1mM、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、40mM、50mM(例えば、20mM HEPES緩衝液、20mMクエン酸二ナトリウム-クエン三ナトリウム緩衝液、20mMコハク酸緩衝液など)を含む。
組成物において使用するための例示的な塩には、例えば、有機塩または無機塩(例えば、水溶性無機塩)を含む水溶性塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、重炭酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および塩化アンモニウムなど、または任意の薬学的に許容される塩もしくは生理学的に適合性の塩が含まれるが、これに限定されない。組成物溶液中の例示的な塩濃度には、例えば、約1mM〜約150mM、約10mM〜約125mM、または約75mM〜約125mMの範囲の濃度が含まれるが、これに限定されず、例えば、10mM、50mM、75mM、100mM、125mM、150mM(例えば、100mM NaCl)が含まれる。
組成物において使用するための例示的な糖または炭水化物には、例えば、組成物に基づいて、例えば、約0.1%〜約10重量%の糖、約1%〜約5重量%の糖、または約1%〜約3重量%の糖を含むが、これに限定されない範囲濃度の、スクロース、マルトース、トレハロース、デキストロース、マンノース、ラフィノース、ラクトース、マルトデキストリン、デキストラン、サッカロースなどが含まれるが、これに限定されず、濃度には、例えば、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10重量%糖(例えば、2重量%スクロース、2重量%トレハロース、または2重量%マンノース)が含まれる。組成物において使用するための例示的な糖アルコールには、例えば、組成物に基づいて、約0.1%〜約10重量%糖アルコール、約1〜5%、約1〜3%を含むが、これに限定されない濃度範囲の、マンニトール、ソルビトール、グリコール、グリセロール、アラビトール、エリスリトール、キシリトール、リビトール、ラクチトールなどが含まれるが、これに限定されず、濃度には、例えば、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10重量%糖アルコールが含まれる。
薬学的組成物を含む本発明の組成物のオスモル濃度は、典型的には、血液の血清オスモル濃度と類似しており、約250〜約350ミリオスモル/キログラム水(mOSm/kg)である。組成物中の塩濃度は、典型的には、125mM未満である。組成物のオスモル濃度が約250〜350 mOSm/kg水となるように、塩濃度および糖濃度を調整または変更することができる。
組成物において使用するための例示的な界面活性剤または乳化剤には、例えば、組成物に基づいて、約0.001%〜約0.2重量%の界面活性剤または乳化剤を含むが、これに限定されない範囲の、ポリソルベート、例えば、Tween(登録商標)-20、Tween(登録商標)-40、Tween(登録商標)-60、Tween(登録商標)-80、またはpluronic F-68が含まれるが、これに限定されず、例えば、組成物に基づいて、0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.075%、および0.1重量%の界面活性剤または乳化剤(例えば、Tween(登録商標)-20、Tween(登録商標)-40、Tween(登録商標)-60、Tween(登録商標)-80、またはpluronic F-68)が含まれる。
薬学的組成物を含む本発明の組成物は、2つまたはそれ以上の本発明の分子、例えば、2つまたはそれ以上の本発明の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体の間の望ましくない会合を低減または阻害するのに十分な濃度のポリマー、例えば、PEG分子を含んでもよい。組成物は、2種類またはそれ以上のポリマー(例えば、PEGs)を含んでもよい。ポリマー(例えば、PEG分子)の分子量は、典型的には、約200Da〜約8000Da(例えば、Dow Chemicalから入手可能な、約200、300、400、600、900、1000、1450、3350、4500、または8000Da)である。ポリマー(例えば、PEG分子)を組成物に添加すると、望ましくない凝集物、特に、2つまたはそれ以上の本発明の融合タンパク質二量体の望ましくない凝集物の形成が低減すると考えられる。
薬学的組成物を含む本発明の組成物は、環式オリゴ糖、例えば、シクロデキストリン(例えば、Captisol(登録商標)(Cydex))を含んでもよい。1つの局面において、組成物は、2種類またはそれ以上の環式オリゴ糖を含む。環式オリゴ糖を組成物に添加すると、活性薬学的成分(例えば、変異体CTLA-4分子)の溶解度、安定性、バイオアベイラビリティ、および/または投薬が改善する。
薬学的組成物を含む本発明の組成物のpHは、約pH3〜約pH10、約pH4〜約pH10、約pH5〜約pH9、約pH6〜約pH9、約pH5.5〜約pH8.5、約pH6.0〜約pH6.7、約pH6.0〜約pH6.5、約pH6.2〜約pH8.7、約pH6.5〜約pH8.5、約pH6.5〜約pH7.5、約pH6.2〜約pH7.0、約pH6.3〜約pH6.8、約pH6.4〜約pH6.8、約pH7.0〜約pH8.0、および約pH7.0〜約pH7.4の範囲でもよい。1つの局面において、本発明の分子、例えば、変異体CTLA-4-IgG2を含む組成物のpHは、pH5.0、pH5.1、pH5.2、pH5.3、pH5.4、5.5、pH5.6、pH5.7、pH5.8、pH5.9、pH6.0、pH6.1、pH6.2、pH6.3、pH6.4、pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、pH7.5、pH7.6、pH7.7、pH7.8、pH7.9、pH8.0、pH8.1、pH8.2、pH8.3、pH8.4、pH8.5、pH8.6、pH8.7、pH8.8、pH8.9、pH9.0、pH9.1、pH9.2、pH9.3、pH9.4、pH9.5、pH9.6、pH9.7、pH9.8、pH9.9、またはpH10.0である。
1つの局面において、本発明は、賦形剤または担体、ならびに本明細書全体を通して、および本明細書に記載の、有効量の任意の本発明のCTLA-4ポリペプチド、多量体、二量体、コンジュゲート、融合タンパク質、または融合タンパク質二量体を含み、組成物のpHを約pH3〜約pH10の範囲内に維持することができる緩衝液、水、任意で非イオン界面活性剤、任意で塩、および任意で糖アルコール、単糖、二糖、または多糖をさらに含む、本発明の組成物(例えば、薬学的に許容される賦形剤または担体を含む薬学的組成物を含む)を提供する。このような組成物の一部は生理学的pHである。このような組成物の一部のpHは、例えば、約pH6.5、約pH7.4、またはpH7.5を含む、約4〜約7.5、約5.0〜約7.5、または約6.4〜約6.6である。このような組成物の一部は、例えば、約20mM、25mM、または30mMを含む、約1mM〜約100mM、約1mM〜約50mM、約5mM〜約35mM、約10mM〜約25mMの濃度の緩衝液を含む。このような組成物の一部は、HEPES緩衝液、クエン酸緩衝液、コハク酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、マレイン酸緩衝液、リン酸緩衝液、およびTris緩衝液からなる群より選択される緩衝液を含む。このような組成物の一部は、HEPES緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液、およびコハク酸ナトリウム緩衝液からなる群より選択される緩衝液を含む。このような組成物の一部について、pHは約6.0〜約6.7であり、緩衝液はコハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムである。このような組成物の一部について、pHは約7.0〜約7.7であり、緩衝液はHEPESである。このような組成物の一部は、糖アルコールまたは糖類をさらに含み、ここで、糖類は、単糖、二糖(例えば、スクロースもしくはトレハロース)、または多糖である。このような組成物の一部は、例えば、約20mM、25mM、または30mMを含む、約1mM〜約50mMの濃度範囲で存在する塩を含む。このような組成物の一部は、非イオン界面活性剤、例えば、Tween(登録商標)-80、Tween(登録商標)-60、Tween(登録商標)-40、Tween(登録商標)-20、またはpluronic F-68からなる群より選択される非イオン界面活性剤を含む。
前段に記載のこのような組成物(薬学的組成物を含む)の一部では、ポリペプチド、多量体、二量体、コンジュゲート、融合タンパク質、または融合タンパク質二量体は、約1mg/ml(重量/体積またはw/v)〜約200mg/ml(w/v)、約25mg/ml(w/v)〜約100mg/ml(w/v)、約50mg/ml〜約300mg/ml、任意で、おおよそ約50mg/ml(w/v)〜約100mg/ml(w/v)の範囲の濃度で存在する。このような組成物の一部は、約0.1mg/kg〜約15mg/kgの有効量のポリペプチド、多量体、二量体、コンジュゲート、融合タンパク質、または融合タンパク質二量体を含み、組成物は哺乳動物(例えば、ヒト)に投与される。このような組成物の一部は、約0.5mg/kg〜約10mg/kgの有効量のポリペプチド、多量体、二量体、コンジュゲート、融合タンパク質、または融合タンパク質二量体を含み、組成物は非経口投与される。このような組成物の一部は、約0.1mg/kg〜約5mg/kg、任意で約0.5mg/kgの有効量のポリペプチド、多量体、二量体、コンジュゲート、融合タンパク質、または融合タンパク質二量体を含み、組成物は皮下投与される。このような組成物の一部は、約5mg/kg〜約15mg/kg(任意で約10mg/kg)の有効量のポリペプチド、多量体、二量体、コンジュゲート、融合タンパク質、または融合タンパク質二量体を含み、組成物は静脈内投与される。このような組成物の一部について、ポリペプチド、多量体、二量体、コンジュゲート、融合タンパク質、または融合タンパク質二量体は、SEQ ID NO:36のアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。このような組成物の一部について、ポリペプチド、多量体、二量体、コンジュゲート、融合タンパク質、または融合タンパク質二量体は、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。このような組成物の一部は滅菌されている、および/または血液と等張である。このような組成物の一部は液体組成物である。このような組成物の一部は液体の形または乾燥した形態をしており、乾燥した形態は、凍結乾燥、風乾、および噴霧乾燥された形態からなる群より選択される。
例示的な局面において、本発明は、(i)約1mg/ml〜約300mg/ml(例えば、約1mg/ml〜約100mg/ml、約50mg/ml、または約100mg/mlなど)の濃度を有する本発明のCTLA-4-Ig融合タンパク質(任意で、二量体融合タンパク質);(ii)約5mM〜約50mMの濃度の、約pH5.0〜約pH9.0の緩衝能を有する緩衝液;(iii)組成物を指定の容量にするための、薬学的に許容される希釈剤;(iv)組成物に基づいて、約0.5重量%〜約10重量%糖の濃度の糖;(v)約1mM〜約200mMの濃度の塩;(vi)任意で、約0.01mg/ml〜約0.5mg/ml、例えば、約0.01mg/ml〜約0.1mg/mlの濃度の非イオン界面活性剤(例えば、Tween(登録商標)-20、Tween(登録商標)-40、Tween(登録商標)-60、Tween(登録商標)-80、またはpluronic F-68);および(vii)任意で、環式オリゴ糖(例えば、シクロデキストリン(Captisol(登録商標))を含む、薬学的組成物を提供する。ここで、組成物のpHは、約pH5.0〜約pH8.0の範囲である。例示的な本発明のCTLA-4-Ig融合タンパク質には、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222からなる群より選択される(任意で、例えば、SEQ ID NO:197、199、211、および213からなる群より選択される)少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86ならびに/またはその細胞外ドメインに結合し、かつ/あるいは免疫応答を抑制するものが含まれる。このような融合タンパク質は、単量体または二量体の形をしてもよい。
別の局面において、本発明は、(i)本発明のCTLA-4-Ig融合タンパク質(任意で、二量体融合タンパク質)、および融合タンパク質に共有結合により取り付けられている非ポリペプチド部分を含み、約1mg/ml〜約300mg/ml(例えば、約1mg/ml〜約100mg/ml、約50mg/ml、または約100mg/mlなど)の濃度を有するコンジュゲート;(ii)約5mM〜約50mMの濃度の、約pH5.0〜約pH8.0の緩衝能を有する緩衝液;(iii)組成物を指定の容量にするための、薬学的に許容される希釈;(iv)組成物に基づいて、約0.5重量%〜約10重量%糖の濃度の糖;(v)約1mM〜約200mMの濃度の塩;ならびに(vi)任意で、約0.01mg/ml〜約0.5mg/ml、例えば、約0.01mg/ml〜約0.1mg/mlの濃度の非イオン界面活性剤(例えば、Tween(登録商標)-20、Tween(登録商標)-40、Tween(登録商標)-60、Tween(登録商標)-80、またはpluronic F-68)を含む、薬学的組成物を提供する。ここで、組成物のpHは、約pH5.0〜約pH8.0の範囲である。コンジュゲートは、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の非ポリペプチド部分を含んでもよい。それぞれの非ポリペプチド部分は、ポリマー(例えば、PEGもしくはPAO)または糖部分を含んでもよい。場合によっては、非ポリペプチド部分は、ポリマー分子、例えば、PEG分子である。ポリマー分子は、望ましい機能効果(例えば、半減期の延長、融合タンパク質分子間の会合の低下など)に応じて、任意の望ましい分子量を有することができる。場合によっては、例えば、ポリマーは、分子量が約1kDa〜約100kDa Da(例えば、1、2、2.5、3、5、8、10、12、20、25、30、40、60kDaなど)のPEGである。非ポリペプチド部分(例えば、糖部分またはポリマー分子)は、前記の標準的な手順を用いて、融合タンパク質のアミノ酸残基の付着基に共有結合により取り付けられる。例示的なCTLA-4-Ig融合タンパク質には、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および219-222からなる群より選択される(任意で、例えば、SEQ ID NO:197、199、211、および213からなる群より選択される)少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86ならびに/またはその細胞外ドメインに結合し、かつ/あるいは免疫応答を抑制するものが含まれる。このような融合タンパク質は、単量体または二量体の形をしてもよい。
別の局面において、本発明は、(a)SEQ ID NO:1-73、例えば、SEQ ID NO:36および50からなる群より選択されるポリペプチド配列と少なくとも約94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含み、約1〜約200mg/ml(w/v)の濃度範囲で存在するポリペプチド;(b)約5mM〜約50mMの濃度範囲の、約pH5.0〜約pH8.0の緩衝能を有する緩衝液;(c)組成物を指定の容量にするための、薬学的に許容される希釈剤;(d)0.5%〜10重量%の濃度の糖;(e)約1mM〜約200mMの濃度の塩;(f)任意で、界面活性剤を含む、薬学的組成物を提供する。ここで、組成物のpHは、約pH5.0〜約pH8.0の範囲である。このような薬学的組成物の一部において、(a)ポリペプチドは、約50mg/ml〜約100mg/mlの濃度範囲で存在するSEQ ID NO:36のポリペプチド配列を含む。(b)緩衝液は、約20mMの濃度で存在するHEPES緩衝液である。(c)薬学的に許容される希釈剤は水である。(d)糖は、2重量%の濃度のスクロースまたはトレハロースである。(e)塩は、約100mMの濃度の塩化ナトリウムである。(f)任意で、界面活性剤は、約0.1mg/ml未満またはこれに等しい濃度の、Tween(登録商標)-80、Tween(登録商標)-60、Tween(登録商標)-40、Tween(登録商標)-20、またはpluronic F-68からなる群より選択される。ここで、組成物のpHは約pH7.4である。別のこのような組成物において、(a)ポリペプチドは、約50mg/ml〜約100mg/mlの濃度範囲で存在するSEQ ID NO:50のポリペプチド配列を含む。(b)緩衝液は、約20mMの濃度で存在するクエン酸ナトリウム緩衝液である。(c)薬学的に許容される希釈剤は、水である。(d)糖は、2重量%の濃度のスクロースまたはトレハロースである。(e)塩は、約100mMの濃度の塩化ナトリウムである。(f)任意で、界面活性剤は、約0.1mg/ml未満またはこれに等しい濃度の、Tween(登録商標)-80、Tween(登録商標)-60、Tween(登録商標)-40、Tween(登録商標)-20、またはpluronic F-68からなる群より選択される。ここで、組成物のpHは約pH6.5である。
別の局面において、本発明は、(a)SEQ ID NO:36のアミノ酸配列と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;および(b)HEPESまたはクエン酸ナトリウム緩衝液(例えば、クエン酸二ナトリウム-クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸ナトリウム-クエン酸混合物、クエン酸-クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸一ナトリウム-クエン酸二ナトリウム混合物、もしくはクエン酸-クエン酸一ナトリウム混合物)を含む、薬学的組成物を提供する。
(a)SEQ ID NO:36のアミノ酸配列と少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;および(b)薬学的に許容される賦形剤または薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物も提供される。ここで、組成物のpHは約7〜約8である。このような薬学的組成物の一部のpHは約7.4または7.5である。このような薬学的組成物の一部は、HEPES緩衝液またはクエン酸ナトリウム緩衝液を含む。
(a)SEQ ID NO:50のアミノ酸配列と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;および(b)クエン酸ナトリウム緩衝液(例えば、クエン酸二ナトリウム-クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸ナトリウム-クエン酸混合物、クエン酸-クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸一ナトリウム-クエン酸二ナトリウム混合物、もしくはクエン酸-クエン酸一ナトリウム混合物)を含む、薬学的組成物も提供される。
(a)SEQ ID NO:50のアミノ酸配列と少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;および(b)薬学的に許容される賦形剤または薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物も提供される。ここで、組成物のpHは約6〜約7である。このような薬学的組成物の一部のpHは約6.5である。このような薬学的組成物の一部は、クエン酸ナトリウム緩衝液を含む。
例示的な一局面において、本発明は、水に溶解した20mM HEPES緩衝液、100mM NaCl、組成物に基づいて2重量%スクロース、pH7.4に溶解した、約1mg/ml〜約300mg/ml(例えば、約1mg/ml〜約100mg/ml、例えば、約50mg/mlまたは約100mg/ml)の、典型的には二量体融合タンパク質として発現される、本発明のCTLA-4-Ig融合タンパク質(例えば、D3-54-IgG2)を含み、任意で、約0.01mg/ml〜約0.5mg/ml、例えば、約0.01mg/ml〜約0.1mg/mlの濃度の非イオン界面活性剤(例えば、Tween(登録商標)-20、Tween(登録商標)-40、Tween(登録商標)-60、Tween(登録商標)-80、またはpluronic F-68)を含み、任意で、ポリエチレングリコール(PEG)、例えば、分子量が約200ダルトン(Da)〜約8000DaのPEG分子(例えば、Dow Chemicalから入手可能な、約200、300、400、600、900、1000、1450、3350、4500、または8000Da)を含む、薬学的組成物を提供する。別の例示的な局面において、本発明は、20mMクエン酸ナトリウム緩衝液、100mM NaCl、組成物に基づいて2重量%スクロース、pH6.5に溶解した、約1mg/ml〜約300mg/mlの、典型的には二量体融合タンパク質として発現される、本発明のCTLA-4-Ig融合タンパク質(例えば、D3-69-IgG2)を含み、任意で、約0.01mg/ml〜約0.5mg/ml、例えば、約0.01mg/ml〜約0.1mg/mlの濃度の非イオン界面活性剤(例えば、Tween(登録商標)-20、Tween(登録商標)-40、Tween(登録商標)-60、Tween(登録商標)-80、またはpluronic F-68)、任意で、PEG分子、例えば、分子量が約200Da〜約8000Da(例えば、Dow Chemicalから入手可能な、約200、300、400、600、900、1000、1450、3350、4500、または8000Da)のPEG分子を含む、薬学的組成物を提供する。
本発明は、本発明の分子(例えば、変異体CTLA-4分子、例えば、変異体CTLA-4-Ig)、および賦形剤、希釈剤、または担体を含む本発明の組成物を収容するための入れ物を含む。組成物は、本発明の分子、および薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体を含む薬学的組成物でもよい。入れ物には、例えば、バイアル(例えば、ガラスバイアル、例えば、I型ガラスバイアル)、自動注入装置、ペン型注入器(一定用量または不定用量)、およびプレフィルドシリンジ、または他の適切な容器が含まれるが、これに限定されない。所望であれば、入れ物は、本明細書の他の場所に記載のように免疫応答を抑制するのに有効な、または免疫系の疾患もしくは障害を処置するのに有効な、1つまたは複数の所定の用量の本発明の分子を収容してもよい。このような入れ物の一部は、入れ物に収容されている組成物を、免疫疾患または免疫障害に罹患している対象に投与するのに有用である(例えば、自動注入装置、ペン型注入器、プレフィルドシリンジなど)。このような入れ物の一部は、対象による組成物の自己投与を可能にする(例えば、ペン型注入器、自動注入装置、プレフィルドシリンジなど)。
本発明の分子と薬学的に許容される担体からなる薬学的に許容される組成物を含む、本発明の分子(例えば、変異体CTLA-4 ECDまたは変異体CTLA-4-Ig)の安定した組成物または製剤も提供される。別の局面において、本発明は、フリーズドライまたは凍結乾燥した組成物または製剤を含む。「フリーズドライ」または「凍結乾燥」という用語は、概して、少なくとも50%の水分が除去された、フリーズドライまたは凍結乾燥などの乾燥手順に供されている物質の状態を指す。前凍結乾燥および凍結乾燥の手順は当技術分野において周知であり(例えば、Lyophilization of Biopharmaceuticals, Vol. 2 of Biotechnology: Pharmaceutical Aspects (Henry R. Costantino et al. eds., 2004)、U.S.6,436,897、WO06/104852を参照されたい)、容易に当業者に理解されるだろう。本発明の凍結乾燥組成物の調製において、適宜、当業者によって任意の適切な凍結乾燥手順を使用し、改良することができる。フリーズドライ、風乾、噴霧乾燥、または凍結乾燥した組成物は、通常、液体、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョンなどから調製される。フリーズドライ、風乾、噴霧乾燥、または凍結乾燥しようとする液体には、典型的には、再構成された最終液体組成物中にある、(液体、例えば、水を除く)全ての成分が含まれる。このようにして、フリーズドライ、風乾、噴霧乾燥、または凍結乾燥した組成物は、再構成された時に、望ましい液体組成物(例えば、薬学的組成物)を有する。本願全体を通して述べられている、本発明の分子(例えば、本発明の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質、例えば、SEQ ID NO:197、199、211、または213)を含む薬学的組成物を含む、例示的な本発明の組成物は、安定したフリーズドライ、風乾、噴霧乾燥、または凍結乾燥した組成物を作製するために、それぞれ、当技術分野において公知の手順を用いて、フリーズドライ、風乾、噴霧乾燥、または凍結乾燥することができる。例えば、LYOPHILIZATION OF BIOPHARMACEUTICALS, 前記に記載の例示的な手順を参照されたい。
例えば、凍結乾燥しようとする本発明の分子(例えば、変異体CTLA-4-Ig、本発明の融合タンパク質、例えば、SEQ ID NO:197、199、211、または213)を含む液体組成物を収容する容器(例えば、バイアル、例えば、ガラスバイアル)は、当業者に公知の標準的な手順を用いて凍結乾燥することができる。例えば、LYOPHILIZATION OF BIOPHARMACEUTICALS, 前記に記載の例示的な手順を参照されたい。その後に、再構成された液体組成物を作製するために、凍結乾燥した本発明の分子(例えば、本発明の変異体CTLA-4-Ig)を液体で再構成することができる。凍結乾燥した製剤は、典型的には、凍結乾燥した製剤を溶解するために水溶液を添加することによって再構成される。任意の適切な水性液体または溶液を用いて、凍結乾燥した製剤を再構成することができる。凍結乾燥した製剤は、多くの場合、滅菌水または蒸留水用いて再構成されるが、担体、賦形剤、希釈緩衝液、および/または本願全体を通して述べられている成分を含む他の成分を含む溶液を、再構成に使用することができる。
1つの局面において、本発明は、凍結乾燥の形をした薬学的組成物を提供する。ここで、組成物は、望ましいpH(例えば、約pH6.0〜約pH7.5)を維持するための濃度の適切な、水に溶解した緩衝液(例えば、HEPES、クエン酸二ナトリウム-クエン酸三ナトリウムなど)、塩(例えば、50mM NaCl)、糖(例えば、組成物に基づいて4〜6重量%スクロース)に溶解した、約1mg/ml〜約300mg/mlの、典型的には二量体融合タンパク質として発現される、本発明のCTLA-4-Ig融合タンパク質を含み、任意で、約0.01mg/ml〜約0.5mg/ml、例えば、約0.01mg/ml〜約0.1mg/mlの濃度の非イオン界面活性剤(Tween(登録商標)-20、Tween(登録商標)-40、Tween(登録商標)-60、Tween(登録商標)-80、またはpluronic F-68)(例えば、Tween(登録商標)-20、Tween(登録商標)-60、Tween(登録商標)-80、またはpluronic F-68)を含む。凍結乾燥の形をした薬学的組成物は、典型的には、凍結乾燥されていない液体組成物と比較して低濃度の塩および高濃度の糖を含む。
特定の1つの局面において、本発明は、滅菌水で再構成して治療投与するための、治療的有効量の本発明の分子、任意で、以下の薬学的に許容される成分:(a)約1重量%〜約10重量%の量の糖または糖類、例えば、スクロース、マンノース、デキストロース、またはトレハロース;(b)界面活性剤または乳化剤、例えば、Tween(登録商標)-20、Tween(登録商標)-40、Tween(登録商標)-60、Tween(登録商標)-80、またはpluronic F-68;(c)0mM〜約50mMの濃度(例えば、前記の濃度を含む)の等張剤または塩、例えば、無機塩(例えば、塩化ナトリウム);(d)組成物のpHを、分子の安定性に寄与する範囲内に維持するための適切な緩衝液;(e)分散剤(例えば、本発明の分子の長期分散に十分な量、例えば、0.001w/v%〜約1.0w/v%)(例えば、ポリソルベート、例えば、Tween(登録商標)-20、Tween(登録商標)-40、Tween(登録商標)-60、またはTween(登録商標)-80、またはpluronic F-68);および(f)安定剤(例えば、糖類、デキストラン、低分子量(MW)PEG基、例えば、MWが約200Da〜約8000Da(例えば、200、300、400、600、900、1000、1450、3350、4500、もしくは8000DaのPEG)または防腐剤の1つまたは複数を含む、安定した凍結乾燥組成物を提供する。このような安定した凍結乾燥組成物の一部では、本発明の分子は、組換えまたは単離された本発明の融合タンパク質、例えば、SEQ ID NO:74-79、197-200、205-214、および 219-222からなる群より選択される(任意で、例えば、SEQ ID NO:197、199、211、および213からなる群より選択される)少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、CD80および/もしくはCD86ならびに/またはその細胞外ドメインに結合し、かつ/あるいは免疫応答を抑制する融合タンパク質である。このような融合タンパク質は、単量体または二量体の形をしてもよい。
凍結乾燥組成物中のこのような各成分の例示的な量には、前記および本明細書に記載の量が含まれる。1つの局面において、組成物のpHを約pH3〜約pH8、約pH4〜約pH7.5の範囲内に維持するように、緩衝液が選択される。本発明の組換え変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含む本発明の凍結乾燥組成物は、典型的には、-80℃〜+40℃で安定しており、および/あるいは常温(例えば、約22℃〜約30℃)で保管された場合、少なくとも1週間、1ヶ月もしくは数ヶ月(例えば、6ヶ月)、1年、2年、3年、4年、またはそれより長く、その生物学的活性を実質的に維持する。液体(例えば、滅菌注射用水(WFI))で再構成されると、凍結乾燥組成物は、対象(例えば、ヒト)への投与(例えば、i.v.、s.c.、非経口、i.m.、i.d.、i.p.など)に適している。
本発明はまた、第1の容器(例えば、バイアル、例えば、ガラスバイアル)の中に入っている本発明の凍結乾燥またはフリーズドライした分子(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質、例えば、SEQ ID NO:197、199、211、または213)を含む凍結乾燥またはフリーズドライした組成物、および液体(例えば、滅菌水、WFI、または緩衝液)を用いてフリーズドライまたは凍結乾燥した組成物を再構成するための説明書を備えるキットを提供する。任意で、キットは、凍結乾燥またはフリーズドライの組成物を液体組成物に再構成するのに十分な量の(例えば、滅菌水、WFI、または緩衝液)を含有する第2の容器(例えば、バイアル、例えば、ガラスバイアル)をさらに含む。この場合、再構成は、注射器を用いて第2の容器から望ましい体積の水を取り出し、水を第1の容器に導入することによって達成される。次いで、本発明の分子(例えば、融合タンパク質)を溶液にするために、第1の容器を穏やかに揺り動かす。キットは、凍結乾燥もしくはフリーズドライした組成物を再構成するための装置、および/または再構成された液体組成物を投与するための装置を備えてもよい。例示的な装置には、例えば、二成分混合注射器、デュアルチャンバー注射器、およびデュアルチャンバー自動注入装置が含まれるが、これに限定されない。一方の成分またはチャンバーは凍結乾燥組成物を備え、他方の成分またはチャンバーは再構成用液体を備える。このような装置を用いた場合、再構成は典型的には投与の直前に行われ、再構成された組成物は、通常、非経口投与(例えば、s.c.注射、i.v.注射、i.m.注射、i.d.注射)される。
本発明の組成物または薬学的組成物はリポソームを含んでもよく、リポソームの形でもよい。リポソーム製剤に適した脂質には、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸などが含まれるが、それに限定されるわけではない。このようなリポソーム製剤の調製は、例えば、米国特許第4,837,028号および同第4,737,323号に記載されている。
組成物または薬学的組成物の形は、少なくとも部分的には、関心対象のポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、ウイルス、VLP、または細胞の投与経路によって決まる。非常に多くの投与経路が可能であるので、薬学的組成物およびその成分の形は変化してもよい。例えば、経粘膜投与または経皮投与において、透過しようとする障壁に適した浸透剤を組成物に含めることができる。このような浸透剤は、当技術分野において一般に公知であり、例えば、経粘膜投与の場合は、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体を含む。対照的に、経粘膜投与では、点鼻薬または坐剤を用いて容易にすることができる。
薬学的組成物を含む本発明の組成物の一般的な投与形態は、注射によるものである。薬学的に許容される注射用組成物は、典型的には、1つまたは複数の適切な液体担体、例えば、水、石油、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF, Parsippany, NJ)、PBS、または油を含む。液体の薬学的組成物は、生理食塩水溶液、デキストロース(もしくは他の糖類溶液)、アルコール(例えば、エタノール)、ポリオール(多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトールなど)、またはグリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、PEG分子、適切な流動性を促進するコーティング剤、例えば、レシチン、等張剤、例えば、マンニトールもしくはソルビトール、有機エステル、例えば、エチヨリエート(ethyoleate)、および吸収遅延剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンをさらに含んでもよい。注射用組成物は、発熱物質を含まない、安定した水溶液の形でもよい。注射用水溶液は、等張性ビヒクル、例えば、塩化ナトリウム、リンゲル注射溶液、デキストロース、乳酸加リンゲル注射溶液、または同等の送達ビヒクル(例えば、塩化ナトリウム/デキストロース注射溶液)を含んでもよい。関節内経路、静脈内経路、筋肉内経路、皮内経路、真皮下経路、腹腔内経路、および皮下経路による注射に適した製剤には、溶媒、共溶媒、抗酸化物質、還元剤、キレート剤、緩衝液、静菌剤、抗菌性防腐剤、および製剤を、意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質を含んでもよい、水性または非水性の等張性滅菌注射溶液(例えば、PBSおよび/または食塩水、例えば、0.1M NaCl)、ならびに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、乳化剤、安定剤、および防腐剤を含んでもよい、水性および非水性の滅菌懸濁液が含まれる。
本発明のポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、ウイルス、シュードウイルス、VLP、もしくは細胞(または任意のこのような成分を含む組成物)の投与は、任意の適切な材料から形成された送達装置によって容易にすることができる。非生分解性投与装置の作製に適切なマトリックス材料の例には、ヒドロキサパタイト(hydroxapatite)、バイオガラス、アルミン酸塩、または他のセラミックが含まれる。用途によっては、局所送達装置に特定の成分を結合させるために、金属イオン遮閉剤(sequestering agent)、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を使用することができる。
本発明の核酸またはベクターは、核酸またはベクターを対象の細胞集団または組織または皮膚に送達するために、1つまたは複数のポロキサマー、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロック共重合体、または他の洗剤もしくはセッケンに似た親油性物質を用いて処方されてもよい。例えば、米国特許第6,149,922号、同第6,086,899号、および同第5,990,241号を参照されたい。
本発明の核酸およびベクターは、1つまたは複数のトランスフェクション増強剤と会合してもよい。ある態様において、本発明の核酸および/または核酸ベクターは、典型的には、1つまたは複数の安定性を促進する塩、担体(例えば、PEG)、および/あるいはトランスフェクションを助ける製剤(例えば、リン酸ナトリウム塩、デキストラン担体、酸化鉄担体、またはバイオリスティック送達(「遺伝子銃」)担体、例えば、金ビーズもしくは粉末担体)と会合される。例えば、米国特許第4,945,050号を参照されたい。さらなるトランスフェクション増強剤には、核酸または核酸ベクターをコンジュゲート化することができるウイルス粒子、リン酸カルシウム沈殿剤、プロテアーゼ、リパーゼ、ビプビカイン(bipuvicaine)溶液、サポニン、脂質(例えば、荷電脂質)、リポソーム(例えば、カチオン性リポソーム)、トランスフェクションを促進するペプチドもしくはタンパク質複合体(例えば、ポリ(エチレンイミン)、ポリリジン、もしくはウイルスタンパク質-核酸複合体)、ビロソーム、または改変された細胞もしくは細胞様構造(例えば、融合細胞)が含まれる。
本発明の核酸およびベクターはまた、例えば、米国特許第6,110,161号および同第6,261,281号ならびにWidera et al., J. of Immunol. 164:4635-4640 (2000)に記載の方法を含む、インビボまたはエクスビボでのエレクトロポレーション法によっても送達することができる。
本発明の成分(例えば、本発明のポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、ウイルス、VLP、および/または細胞)の経皮投与は、任意の適切な形をした任意の適切な組成物にこのような成分を含む経皮パッチによって容易にすることができる。本発明によって、このような経皮パッチ装置が提供される。例えば、このような成分は、薬物リザーバーパッチ装置の液体リザーバーの中に含まれてもよく、単純な一体構造の経皮パッチ装置に組み込むのに適した材料全体に分散されてもよい。典型的には、パッチは、免疫抑制量の、例えば、パッチと接触した対象において免疫応答を抑制するのに有効な量の少なくとも1つのこのような成分を含む。このようなパッチ装置の例は当技術分野において公知である。パッチ装置は受動装置でもよく、少なくとも1つのこのような成分を対象の皮膚または組織にイオン導入により送達することができる装置でもよい。
組成物、特に、薬学的組成物は、投与後に対象において望ましい免疫抑制応答を実現するのに十分な任意の適切な用量の、本発明の少なくとも1つのこのような成分(例えば、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、ウイルス、VLP、および/または細胞)を含んでもよい。適切な投与量は、任意の適切な技法によって決定することができ、適切な投与量を決定するための考慮すべき事項は当技術分野において公知である。簡単な投与量試験法では、低用量の組成物が試験対象または系(例えば、動物モデル、無細胞系、もしくは全細胞アッセイ系)に投与される。投与量は、通常、投与しようとする特定の成分の効力、対象の状態、対象の体重、および/または処置しようとする対象の標的領域によって決定される。用量のサイズもまた、特定の対象における任意のこのような特定の成分の投与に伴う、任意の有害な副作用の存在、種類、および程度によって決定される。治療剤および予防剤の投与量に関連する原理は、例えば、Platt, Clin. Lab Med. 7:289-99 (1987), 「Drug Dosage」, J. Kans. Med. Soc. 70(1):30-32 (1969)、および本明細書に記載の他の参考文献(例えば、Remington's, 前記)に示されている。
例として、自己免疫疾患を処置するための初回投与のための本発明のポリペプチドの治療的有効量は、約0.001mg/kg対象体重〜約100mg/kg対象体重、例えば、約0.001ミリグラム/キログラム対象体重(mg/kg)〜約100ミリグラム/キログラム対象体重(mg/kg)、または、例えば、約0.001mg/kg対象体重〜少なくとも約0.005、0.01、0.025、0.05、0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、25、30、40、50、60、70、75、80、90、または100mg/kg対象体重を含んでもよい。このような投与量は、任意の適切なプロトコールによるものでよく、例えば、毎日、毎週、もしくは隔週、またはその任意の組み合わせで(例えば、約0日、1日、2日、4日、5日、6日、および7日で、その後、毎週、または約0週間、1週間、2週間、4週間、および6週間で)、続いて1ヶ月間隔、2ヶ月間隔、3ヶ月間隔で、任意の適切な送達方法、例えば、エレクトロポレーション、あるいは皮下(s.c.)、筋肉内(i.m.)、静脈内(i.v.)、もしくは腹腔内(i.p.)、真皮下、経皮、非経口、または皮内(i.d.)の注射により投与されてもよい。場合によっては、本発明のポリペプチドは、典型的には、可溶性ポリペプチド、例えば、本発明の変異体CTLA-4 ECDポリペプチドがIg Fcポリペプチドに共有結合により連結されている融合タンパク質として投与される。例えば、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤の中に、本発明の変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質を含む薬学的組成物は、自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチ)または処置しようとする状態に応じた有効量で(例えば、レシピエント対象によるドナーからの組織移植、細胞移植、移植片移植、または実質臓器移植の拒絶反応を阻害するのに有効な量で)、任意の適切な経路(例えば、皮内、静脈内、または皮下)によって投与することができる。
例示的な一局面において、本発明は、免疫応答の抑制を必要とする対象において免疫応答を抑制する方法を提供する。前記方法は、水に溶解した20mM HEPES緩衝液、100mM NaCl、2重量%スクロース、pH7.4に溶解した、例えば、約25mg/ml〜約150mg/ml(例えば、50 mg/mlまたは100mg/ml)を含む、約1mg/ml〜約300mg/mlのD3-54-IgG2融合タンパク質を含む薬学的組成物を対象に投与する工程を含み、対象は自己免疫障害(例えば、慢性関節リウマチ)に罹患している。別の例示的な局面において、本発明は、レシピエント対象におけるドナーからの組織移植、細胞移植、移植片移植、または実質臓器移植の拒絶反応を阻害する方法を提供する。前記方法は、水に溶解した20mMクエン酸ナトリウム緩衝液、100mM NaCl、2重量%スクロース、pH6.5の中に、約25mg/ml〜約100mg/ml(例えば、50 mg/mlまたは100mg/ml)のD3-69-IgG2融合タンパク質を含む薬学的組成物をレシピエント対象に投与する工程を含む。
担体または賦形剤および本発明のウイルスベクターを含むウイルスベクター組成物も提供される。薬学的に許容される担体または賦形剤およびウイルスベクターを含む薬学的組成物も提供される。ウイルスベクター粒子またはウイルスベクター粒子をコードする核酸の量または投与量は、(1)ベクターの由来に関するウイルスベクター粒子のタイプ、例えば、ベクターが、アルファウイルスベクター、セムリキ森林ウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴(AAV)ウイルスベクター、フラビウイルスベクター、パピローマウイルスベクター、および/または単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターかどうかを含むが、これに限定されない、(2)ベクターが、トランスジーンを発現する、または組換えペプチドを示すベクターかどうか、(3)宿主、ならびに(4)前記の他の考慮すべき事項に左右される。一般的に、遺伝子導入ベクターに関して、薬学的に許容される組成物は、約1mlの体積に少なくとも約1x102ウイルスベクター粒子(例えば、約1mlの中に少なくとも約1x102〜1x108粒子)を含む。これより多い投与量(例えば、少なくとも約1x106、約1x108、約1x109、約1x1010粒子/ml)も適切な場合がある。
本発明はまた、2種類またはそれ以上の本発明のポリペプチドまたはコンジュゲートからなる凝集物を含む組成物(薬学的組成物を含む)を提供する。さらに、本発明は、本発明の1つまたは複数の多量体ポリペプチドまたは多量体コンジュゲートの集団を含む組成物(薬学的組成物を含む)を提供する。前記のように、薬学的組成物は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体を含む。
キット
本発明はまた、本発明のポリペプチド(例えば、二量体融合タンパク質を含む、変異体CTLA-4 ECDポリペプチド、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)、コンジュゲート、核酸、ベクター、細胞、および/または組成物のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれ以上を含むキットも提供する。本発明のキットは、任意で、(1)本発明の少なくとも1つのポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)、コンジュゲート、核酸、ベクター、VLP、細胞、および/もしくは組成物;(2)任意で、少なくとも1つの第2の免疫抑制剤(例えば、非ステロイド性抗炎症剤、メトトレキセート、ステロイド、TNFαアンタゴニストなど);(3)治療方法もしくは予防方法を含む、本明細書に記載の任意の方法を実施するための説明書、および(1)もしくは(2)において特定された任意の成分を使用するための説明書;(4)(1)もしくは(2)において特定された少なくとも1つのこのような成分を保持するための容器;ならびに/または(5)包装材料を備える。本発明のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)、コンジュゲート、核酸、ベクター、VLPs、細胞、および/または組成物の1つまたは複数と、任意で、1つまたは複数の第2の免疫抑制剤は、対象、例えば、ヒトを含む哺乳動物に投与するためにパック、ディスペンサー装置、およびキットに入れることができる。指示された治療方法または予防方法について、本発明のこのような各ポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)、コンジュゲート、核酸、ベクター、VLP、細胞、および/もしくは組成物、または任意の第2の免疫抑制剤の有効量(例えば、用量)が示され、1つまたは複数のこのような用量が提供される。1つまたは複数のポリペプチド(例えば、変異体CTLA-4-Ig融合タンパク質)、コンジュゲート、核酸、ベクター、および/または細胞組成物、所望であれば、任意の第2の免疫抑制剤は、粉末(例えば、凍結乾燥粉末)または液体の形で提供されてもよく、賦形剤または担体(例えば、薬学的に許容される賦形剤または担体を含む)を用いて処方されて、組成物(例えば、薬学的組成物を含む)を形成してもよい。1つまたは複数の単位剤形を含むパックまたはディスペンサー装置が提供される。典型的には、指示された状態の処置に化合物が適しているとラベルに適切に示されると同時に、このような成分を投与するための説明書が包装と共に提供される。
以下の実施例は本発明をさらに例示するが、その範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
実施例1
本実施例は、Biacore(商標)結合アッセイ法および細胞ベースの活性アッセイ法において対照として比較目的のために使用したLEA29Y-Ig融合タンパク質を作製するための方法の説明を提供する。
LEA29Y-Ig融合タンパク質をコードするDNAプラスミドベクターの作製
本実施例では、LEA29Y-Ig融合タンパク質をコードするDNAプラスミドベクターの作製について説明する。LEA29Y-Igは、特定のヒト変異IgG1 FcポリペプチドのN末端にそのC末端が共有結合されている、「LEA29Y」(または「LEA」もしくは「L104EA29Y」もしくは「A29YL104E」)と名付けられた特定の公知の変異CTLA-4 ECDポリペプチドを含む。LEA29Yポリペプチドは、2つの変異、すなわちA29Y置換およびL104E置換(29位および104位は、ヒトCTLA-4 ECDポリペプチドのポリペプチド配列を参照し、ヒトCTLA-4の最初のアミノ酸残基をアミノ酸残基1位と指定して付けた番号である)により、ヒトCTLA-4の細胞外ドメインのポリペプチド配列とは異なるポリペプチド配列を含む変異CTLA-4 ECDポリペプチドである。U.S.7,094,874を参照されたい。LEA29Y-Igをコードするヌクレオチド配列を含むプラスミドベクターpCDNA3.1-LEAを作製して、この融合タンパク質を作製した。
LEA29Y-IgをコードするDNAを、SEQ ID NO: 167に示すLEA29Y-Igをコードするヌクレオチド配列に対する配列相同性に基づいて設計された重複するオリゴヌクレオチドを用いたPCRアセンブリによって作製する。これらのオリゴヌクレオチドは、当業者に周知の標準手順を用いて設計し、作製し、組み立て、これらは必要に応じて停止コドンおよび開始コドンならびに制限部位を含んでよい。使用されるPCR増幅手順もまた、当技術分野において周知である。例えば、いずれも前記のBerger、Ausubel、およびSambrookの文献を参照されたい。
これらのオリゴヌクレオチドは、1μMオリゴヌクレオチド、1×Taq緩衝液(Qiagen; 201225番)、および200μM dNTPを用いた増幅サイクル(94℃で30秒;60℃で30秒;72℃で60秒)30回の100μl PCR反応によって組み立てる。増幅したDNAをQiaQuick PCR Spin Column(Qiagen、カタログ番号28104)によって精製し、制限酵素NheIおよびSacIIで消化する。これらの断片をアガロースゲル電気泳動によって分離し、製造業者の推奨に従ってQiaquick Gel Extraction Kit(Qiagen、28704番)を用いて精製し、同様に消化したプラスミドpCDNA 3.1(+)(Invitrogen、カタログ番号V790-20)に連結した。製造業者の推奨に従って、連結物(ligation)をTOP10大腸菌(E. coli)細胞(Qiagen、カタログ番号C4040-10)中にトランスフォームする。結果として生じる細胞を、50μg/mlカルベニシリン含有LB培地中で、250rpmで振盪しながら37℃で一晩インキュベートし、次いで、プラスミドDNA(以下、プラスミドベクターpCDNA3.1-LEAと呼ぶ)のmaxiprep(Qiagen;12362番)用ストック溶液を作製するために使用する。
プラスミドベクターpCDNA3.1-LEAは、変異CTLA-4-IgG2ポリペプチドをコードする核酸配列が、LEA29Y-Ig融合タンパク質をコードする核酸配列で置き換えられていることを除いては、図1に示すプラスミドベクターpCDNA変異CTLA-4-IgG2ベクターと同一である。ヒトCTLA-4シグナルペプチドをコードする核酸は、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列として含めた。
予測されるLEA29Y-Ig融合タンパク質をコードする核酸配列をSEQ ID NO: 167に示す。SEQ ID NO: 167は、シグナルペプチド(例えば、SEQ ID NO: 165のアミノ酸残基1〜37)をコードするヌクレオチド配列を含む。予測されるLEA29Y-Ig融合タンパク質および成熟LEA29Y-Ig融合タンパク質(シグナルペプチドを含まない)のポリペプチド配列をそれぞれSEQ ID NO: 165およびSEQ ID NO: 166に示す。図2Cに示すように、LEA29Y-Igの予測されるアミノ酸配列は、次のセグメントを含む:予測されるシグナルペプチド(アミノ酸残基1〜37)、LEA29Y ECDポリペプチド(アミノ酸残基38〜161)、リンカー(アミノ酸残基162)、およびヒトIgG1ポリペプチドの変異(改変)Fcドメイン(アミノ酸残基163〜394)。これらの様々なセグメント間の連結部のアミノ酸残基も図2Cに示す。具体的には、シグナルペプチドの最後の4つのアミノ酸残基、LEA29Y ECDの最初の5つおよび最後の5つのアミノ酸残基、1つのリンカーアミノ酸残基(Q)、ならびに変異IgG1 Fcポリペプチドの最初の5つおよび最後の5つのアミノ酸残基を示す。
シグナルペプチドは典型的にはプロセシングの間に切断され、したがって、分泌されたLEA29Y-Ig融合タンパク質(すなわち、成熟融合タンパク質)は通常、シグナルペプチド配列を含まない。成熟/分泌型のLEA29Y-Igは、合計357個のアミノ酸を有し、SEQ ID NO: 165に示す予測される配列のアミノ酸残基38〜394(シグナルペプチドを含まない完全長配列)を含み、アミノ酸配列:メチオニン-ヒスチジン-バリン-アラニンで始まる。SEQ ID NO: 165は、N末端にシグナルペプチド(例えば、残基1〜37)を含み、典型的にはシグナルペプチドが切断されて、SEQ ID NO: 166に示す成熟タンパク質を形成する。所望の場合は、成熟型のアミノ酸は、SEQ ID NO: 166に示す配列を有する成熟LEA29Y-Ig融合タンパク質の場合のように、Met-His-Val-Ala配列のMetから始め、Metを最初の残基と指定して番号を付けることができる(例えば、ECDは1〜124の番号を付けられたアミノ酸残基を含む)。1つの局面において、SEQ ID NO: 165またはSEQ ID NO: 166の配列は、C末端リジン残基を含まない;この残基は、プロセシングの進行中または分泌前に切断され得る。
LEA29Y-Ig融合タンパク質のタンパク質配列はU.S.7,094,874に記載されている。具体的には、U.S.7,094,874のSEQ ID NO: 4は、単量体LEA29Y-Igの非成熟型をコードするタンパク質配列を示す。U.S.7,094,874において、LEA29Y-Ig融合タンパク質は「L104EA29YIg」と呼ばれる。U.S.7,094,874のSEQ ID NO: 4はシグナルペプチド(すなわち、SEQ ID NO: 4の残基1〜26)を含むため、本明細書において説明するSEQ ID NO: 166に示す配列を含む成熟LEA29Y-Ig融合タンパク質は、U.S.7,094,874においてSEQ ID NO: 4に示される融合タンパク質配列とは異なる。このシグナルペプチドは典型的にはプロセシングの間に切断され、したがって、成熟(分泌された)型のLEA29Y-Ig融合タンパク質は通常、シグナルペプチド配列を含まない。U.S.7,094,874のSEQ ID NO: 3は、L104EA29YIg融合タンパク質(すなわち、LEA29Y-Ig)をコードする核酸配列を示す。
典型的には、LEA29Y-Igは、2つの同一な単量体融合タンパク質を含む二量体融合タンパク質として溶液中で存在する。この場合、各単量体成熟LEA29Y-Ig融合タンパク質は、変異IgG1 Fc(SEQ ID NO: 186)のN末端にそのC末端が融合されているLEA29Y ECD(SEQ ID NO: 168)ポリペプチドを含む。2つのLEA29Y-Ig単量体が、各単量体中のシステイン残基間で形成されるジスルフィド結合によって一つに共有結合され、それによって、LEA29Y-Ig融合タンパク質二量体を形成する。LEA29Y-Ig二量体は、明瞭な別段の記載が無い限り、本明細書の実施例で説明するアッセイ法で使用する融合タンパク質分子の形態である。
LEA29Y-Ig融合タンパク質を発現する安定なCHO-K1細胞株の作製
数ミリグラム(multi-milligram)量の上記のLEA29Y-Ig融合タンパク質を生成するために安定な細胞株を作製した。
CHO-K1細胞のトランスフェクション
10%ウシ胎児血清(FBS)(Hyclone、SV30014.03番)および1×PS(Penicillin+Streptomycin)(Invitrogen、15140-122番)を添加した増殖培地(DMEM/F12培地(Invitrogen、10565-018番))40mlを含むT-175フラスコ(BD Falcon、353112番)に密度1×106個でCHO-K1細胞を播種した。細胞を37℃で24時間(hrs)インキュベートし、次いで、製造業者が推奨する条件に従って、Fugene 6(Roche、11814443001番)60μlと混合したMaxiprepプラスミドDNA(例えば、前述のLEA29Y-Igをコードするプラスミドベクター)10μgをトランスフェクトした。37℃で2日(d)間、増殖培地中で、次いで、選択培地(300μg/ml Geneticin(Invitrogen、10131-027番)を含む増殖培地)中で、2日毎に培地を変更して10日間、細胞をインキュベートした。培地を除去し、0.05%トリプシン(Invitrogen、カタログ番号25300-054)3mlを添加し37℃で3分間インキュベーションすることにより、細胞を分散させた。分散させた細胞を増殖培地10ml中に希釈し、GH-3.8ローター(Beckman Coulter、360581番)を用いて室温(RT)、1000rpmで5分間遠心分離することにより回収した。上清を廃棄した後、細胞を増殖培地1ml中に懸濁し、40μmのメンブレン(BD Falcon、352340番)に通して濾過し、密度1×106細胞/mlに調整した。
独特なクローンの分離
細胞選別機(Dako、MoFlo)を用いて、25%順化培地(トランスフェクトされていない(または未処理の)細胞培養物から前もって回収した増殖培地)を含む増殖培地を200μl/ウェルで含む96ウェル培養プレート(Sigma-Aldrich、CLS-3596番)中に個々に生細胞を分散させた。37℃で10〜14日間インキュベーションした後、トリプシン加水分解によって細胞を分散させ、200μl/ウェルの増殖培地を含む新しい培養プレートに移した。細胞密度が70%コンフルエントな状態に到達するまで(7日毎に培地を交換して約14日)、増殖培地中、37℃で細胞を培養した。
所望のクローンの同定
ドットブロットおよびウェスタン解析によって、高レベルの組換えLEA29Y-Ig融合タンパク質を発現するクローンを同定した。ドットブロット解析のために、製造業者の推奨に従って、96ウェル培養プレートの各ウェルから培地100μlを回収し、ニトロセルロース膜(Whatman、10439388番)に移した。室温(RT)で10分間、PBST(PBSTは、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)+0.05% Tween(登録商標)-20である)200mlで膜を2回洗浄し、次いで、RTで1時間(hr)、5%脱脂粉乳(EMD、1.15363.0500番)を含むPBSTと共にインキュベートした。前述したように膜を洗浄し、1:4000に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗ヒトIg抗体(Vector Labs、BA-3000番)を含むPBST 20ml中でRTにて1時間、インキュベートした。前述したように膜を洗浄し、1:2000希釈したストレプトアビジン-HRP試薬(BD Biosciences、554066番)を含むPBSTと共にRTで1時間、インキュベートした。前述したように膜を洗浄し、製造業者の推奨条件に従ってECL Western Blot Detection Reagent(Amersham、カタログ番号RPN2132)を用いてシグナルを検出した。高いシグナル強度に基づいて同定された(すなわち、高レベルの融合タンパク質を発現している)陽性クローンをトリプシン加水分解によって分散させて、2ml/ウェルの増殖培地を含む6ウェル培養プレート(BD Falcon、カタログ番号353046)に移した。37℃で3〜4日間インキュベーションした後、トリプシン加水分解によって細胞を分散させ、増殖培地20mlを含むT-75フラスコ(BD Falcon、カタログ番号353136)に移した。37℃で2日間インキュベーションした後、培地100μlを回収し、タンパク質発現レベルをウェスタン解析によって解析した。ウェスタン解析のために、各細胞培養物に由来する等量(15μl)の培地を、製造業者の推奨条件に従って、MES(MESは、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸である、pH7.3)泳動用緩衝液(Invitrogen、NP0002番)を用いて4〜12%Bis-Tris NuPAGEゲル(Invitrogen、NP0322BOX番)を泳動させた。製造業者の推奨条件に従って、エレクトロトランスファーにより、タンパク質をゲルからニトロセルロース膜(Invitrogen、カタログ番号LC2001)に移した。ドットブロッティングに関して前述したようにして膜を処理し、シグナル強度および見かけの分子量に基づいて、(関心対象の融合タンパク質を発現する)陽性クローンを同定した。前述したようにトリプシン加水分解によって陽性クローンを分散させ、増殖培地40mlを含むT-175フラスコ中で増殖させた。
LEA29Y-Ig融合タンパク質の産生および精製
ローラーボトル培養物の増殖
関心対象の融合タンパク質をコードする核酸で前述のようにしてトランスフェクトした安定なCHO-K1細胞株を、10%FBS(Hyclone SV30014.03番)および1×PS(Invitrogen、15140-122番)を添加した増殖培地(DMEM/F-12培地(Invitrogen、10565-018番)40mlを含むT-175フラスコにおいてコンフルエントな状態になるまで増殖させた。0.05%トリプシン3ml(Invitrogen、カタログ番号25300-054)中で、37℃にて3分間インキュベーションすることによって細胞を回収し、増殖培地12ml中に希釈し、次いで、増殖培地250mlを含むローラーボトル(Corning、カタログ番号431191)に移した。加湿した回転インキュベーター中、37℃で2日間ローラーボトル培養物をインキュベーションした後、培地を除去し、新鮮な増殖培地250mlに交換した。培養物を37℃で2日間インキュベートし、培地をUltraCHO培地(1/1000 EX-CYTE (Serologicals Proteins、カタログ番号81129N)および1×PSを添加したUltraCHO培地(BioWhittaker、カタログ番号12-724))250mlに交換した。37℃で2日間インキュベーションした後、培地を新鮮なUltraCHO培地250mlに交換した。培養物を37℃で2日間インキュベートし、培地を産生用培地(1/100×ITSA(Life Technologies 51300-044番)、1/1000×EX-CYTE、および1×PSを添加したDMEM/F-12倍地)250mlに交換した。産生の間、培地を回収し、1日おきに新鮮な産生培地に交換した。
タンパク質精製
ローラーボトル培養物から得た産生用培地を、2500×g、RTで30分間遠心分離し、続いて0.2μMのメンブレン(VWR、カタログ番号73520-986)に通して濾過することによって清澄にした。10kDa MWCOのメンブレン(Millipore、カタログ番号P3C010C00)を用いた接線流濾過によって培地を10倍に濃縮し、次いで、BioCad vision HPLCシステムを用いたプロテインAアフィニティクロマトグラフィーのために使用した。Ig融合タンパク質をPBS緩衝液中のPoros 20プロテインA樹脂(Applied Biosystems、カタログ番号1-5029-01)に結合させ、同じ緩衝液で洗浄し、160mM塩化ナトリウムを含む80mMクエン酸緩衝液(pH 4.0)で溶出させ、次いで、2M Tris塩基を添加して中和した。最後に、10kDa MWCOメンブレン(Pierce、カタログ番号PI66810)を用いて、このタンパク質溶液を6リットル(l)のPBSに対して透析した。
実施例2
本実施例は、ファージディスプレイによって、CTLA-4変異体のライブラリーを作製し、改変ヒトCD80結合アビディティおよび/または改変ヒトCD86結合アビディティを求めてスクリーニングするために使用される例示的な方法を説明する。
ヒトCD80-Ig融合タンパク質
ヒトCD80-Ig(「hCD80-Ig」)融合タンパク質およびヒトCD86-Ig(「hCD86-Ig」)融合タンパク質をファージパニング法およびファージELISA実験においてリガンドとして使用して、ヒトCD80(「hCD80」)および/もしくはヒトCD86(「hCD86」)ならびに/またはいずれか一方もしくは両方の細胞外ドメインに結合する変異CTLA-4分子を同定した。ヒトCD80-Ig(「hB7.1-Ig」または「hB7-1-Ig」とも呼ばれる)融合タンパク質およびヒトCD86-Ig融合タンパク質(「hB2.1-Ig」または「hB2-1-Ig」とも呼ばれる)は、R&D Systems(Minneapolis, MN)から入手可能である。
ヒトCD80シグナルペプチド、ヒトCD80 ECD、およびヒトIgG1 Fcを含む予測されるWTヒトCD80-IgG1融合タンパク質をコードする代表的な核酸配列をSEQ ID NO: 172に示す。hCD80-IgG1融合タンパク質の予測されるポリペプチド配列および成熟ポリペプチド配列をそれぞれSEQ ID NO: 170およびSEQ ID NO: 171に示す。SEQ ID NO: 170に示す予測される融合タンパク質は、ヒトIgG1 FcポリペプチドのN末端にそのC末端が共有結合的に融合されているWTヒトCD80 ECDを含み、N末端にシグナルペプチドを含む。典型的には、シグナルペプチドが切断されて、SEQ ID NO: 171に示す成熟したCD80-Ig融合タンパク質を形成する。
ヒトCD80-IgG1は典型的には本明細書においてhCD80-Igと略す。図2Aに示すように、hCD80-Ig融合タンパク質(「CD80-IgG1」とも呼ばれる)の予測されるアミノ酸配列は、次のセグメントを含む:予測されるシグナルペプチド(アミノ酸残基1〜34)、ヒトCD80 ECD(アミノ酸残基35〜242)、リンカー(アミノ酸残基243〜245)、およびヒトIgG1 Fcポリペプチド(アミノ酸残基246〜476)。これらの様々なセグメント間の連結部のアミノ酸残基を図2Aに示す。具体的には、シグナルペプチドの最後の4つのアミノ酸残基、ヒトCD80 ECDの最初の5つおよび最後の5つのアミノ酸残基、リンカーのアミノ酸残基(GVT)、ならびにヒトIgG1 Fcポリペプチドの最初の5つおよび最後の5つのアミノ酸残基を示す。CD80-Ig融合タンパク質において、3つの残基GVTは、CD80 ECDのC末端(アミノ酸残基FPDNで終わる)とIgG1 FcポリペプチドのN末端(アミノ酸残基PKSCで始まる)の間のクローニングアーチファクト(またはリンカー)として存在する。このGVTクローニングアーチファクトまたはリンカーを、それぞれSEQ ID NO: 170およびSEQ ID NO: 171に示す予測されるCD80-Igのポリペプチド配列および成熟CD80-Igのポリペプチド配列において示す。
シグナルペプチドは典型的にはプロセシングの間に切断され、したがって、分泌されたhCD80-Ig融合タンパク質(すなわち、成熟融合タンパク質)は通常、シグナルペプチドを含まない。成熟/分泌型のhCD80-Igは、合計442個のアミノ酸を有し、SEQ ID NO: 170のアミノ酸残基35〜476(シグナルペプチドを含まない完全長配列)を含み、アミノ酸残基配列:バリン-イソロイシン-ヒスチジン-バリンで始まる。所望の場合は、成熟型のアミノ酸は、SEQ ID NO: 171に示すポリペプチド配列を含む成熟型hCD80-Igの場合のように、Val-Ile-His-Val配列のバリン(Val)から始め、Valを最初の残基と指定して番号を付けることができる(例えば、ECDは1〜208の番号を付けられたアミノ酸残基を含む)。
典型的には、hCD80-Ig融合タンパク質は、2つの同一な単量体成熟hCD80-Ig融合タンパク質を含む二量体融合タンパク質として溶液中で存在する。この場合、各単量体成熟hCD80-Ig融合タンパク質(SEQ ID NO: 171)は、ヒトIgG1 Fc(SEQ ID NO: 185)のN末端にそのC末端が融合されているヒトCD80 ECD(SEQ ID NO: 174)を含む。2つのhCD80-Ig単量体が、各単量体中のシステイン残基間で形成されるジスルフィド結合によって一つに共有結合され、それによって、hCD80-Ig融合タンパク質二量体を形成する。hCD80-Ig融合タンパク質二量体は、明瞭な別段の記載が無い限り、本明細書の実施例で説明するアッセイ法で使用する融合タンパク質分子の形態である。
予測される完全長ヒトCD80ポリペプチドをコードする代表的な核酸をSEQ ID NO: 196に示す。SEQ ID NO: 196に示す核酸配列は、ヒトCD80シグナルペプチド、ECD、膜貫通ドメイン、および細胞質内ドメインをコードし、かつ、C末端にTAA停止コドンを含む。
ヒトCD86-Ig融合タンパク質
ヒトCD86-ヒトIgG1(典型的には本明細書において「hCD86-Ig」と略される)融合タンパク質の予測されるアミノ酸配列をコードする代表的な核酸配列を、SEQ ID NO: 179に示す。この核酸配列は、シグナルペプチド成熟ヒトCD86-ヒトIgG1融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。hCD86-Ig融合タンパク質の予測されるアミノ酸配列をSEQ ID NO: 177に示し、予測されるhCD86-Ig融合タンパク質をコードする例示的な核酸をSEQ ID NO: 179に示す。
図2Bに示すように、hCD86-Ig融合タンパク質の予測されるアミノ酸配列は、次のセグメントを含む:予測されるシグナルペプチド(アミノ酸残基1〜23)、ヒトCD86の細胞外ドメイン(アミノ酸残基24〜243)、リンカー配列(アミノ酸残基244〜246)、およびヒトIgG1 Fcポリペプチド(アミノ酸残基247〜477)。これらの様々なセグメント間の連結部のアミノ酸残基も図2Bに示す。具体的には、シグナルペプチドの最後の4つのアミノ酸残基、ヒトCD86 ECDの最初の5つおよび最後の7つのアミノ酸残基、リンカーのアミノ酸残基(GVT)、ならびにヒトIgG1 Fcポリペプチドの最初の5つおよび最後の5つのアミノ酸残基を示す。
CD86シグナルペプチドは典型的にはプロセシングの間に予測されるhCD86-Igポリペプチドから切断され、したがって、分泌されたヒトCD86-Ig融合タンパク質(すなわち、成熟融合タンパク質)は通常、シグナルペプチドを含まない。成熟/分泌型のhCD86-Igは、合計454個のアミノ酸を有し、SEQ ID NO: 177のアミノ酸残基24〜477(シグナルペプチドを含まない完全長配列)を含み、次のアミノ酸残基配列:アラニン-プロリン-ロイシンで始まる。所望の場合は、成熟融合タンパク質のアミノ酸は、SEQ ID NO: 178に示すポリペプチド配列を含む成熟型hCD86-Igの場合のように、Ala-Pro-Leu配列のアラニン残基(Ala)から始め、Alaを最初の残基と指定して番号を付けることができる(例えば、ECDは1〜218の番号を付けられたアミノ酸残基を含む)。成熟融合タンパク質(SEQ ID NO: 178)は、hIgG1 FcポリペプチドのN末端にそのC末端が共有結合的に融合されているWT hCD86 ECDタンパク質を含む。
典型的には、hCD86-Ig融合タンパク質は、2つの同一な単量体成熟hCD86-Ig融合タンパク質を含む二量体融合タンパク質として溶液中で存在する。この場合、各単量体成熟CD86-Ig融合タンパク質(SEQ ID NO: 178)は、ヒトIgG1 Fc(SEQ ID NO: 185)のN末端にそのC末端が融合されているヒトCD86 ECD(SEQ ID NO: 180)を含む。2つのhCD86-Ig単量体が、各単量体中のシステイン残基間で形成されるジスルフィド結合によって一つに共有結合され、それによって、hCD86-Ig融合タンパク質二量体を形成する。hCD86-Ig融合タンパク質二量体は、明瞭な別段の記載が無い限り、本明細書の実施例で説明するアッセイ法で使用する融合タンパク質分子の形態である。
CD86-Ig融合タンパク質(例えば、予測される形態および成熟型)において、3つの残基GVTは、CD86 ECDのC末端とIgG1 FcポリペプチドのN末端の間のクローニングアーチファクト(またはリンカー)として存在する。別の局面において、WTヒトCD86 ECDタンパク質は、SEQ ID NO: 180のアミノ酸残基1〜218を含むポリペプチド配列(すなわち、(PP)の位置の最後2つのC末端アミノ酸残基を除く)を含む。
Orencia(登録商標)融合タンパク質
追加の対照として、かつ比較目的のために、Orencia(登録商標)融合タンパク質(Bristol-Myers Squibb Co., Princeton, NJ)として公知の市販されている融合タンパク質を購入した。Orencia(登録商標)融合タンパク質は、特定の変異IgG1 FcポリペプチドのN末端にそのC末端が共有結合的に融合されているWTヒトCTLA-4の細胞外ドメインから構成される。Orencia(登録商標)タンパク質は、各単量体融合タンパク質中に存在するシステイン残基間で形成されるジスルフィド結合によって一つに共有結合された2つの同一な単量体融合タンパク質を含む二量体融合タンパク質である。各成熟Orencia(登録商標)融合タンパク質単量体のポリペプチド配列はSEQ ID NO: 164に示され、次のセグメントから構成される:WTヒトCTLA-4の細胞外ドメイン(アミノ酸残基1〜124)、リンカー配列(アミノ酸残基125)、および変異IgG1 Fcポリペプチド(アミノ酸残基126〜357)。各Orencia(登録商標)融合タンパク質単量体は、LEA29Y ECDがWTヒトCTLA-4 ECDで置き換えられていることを除いては、図2Cに模式図的に示すLEA29Y-Ig融合タンパク質単量体の構造と類似した構造を有し、各単量体は分泌された融合タンパク質または成熟融合タンパク質であるため、いずれのOrencia(登録商標)融合タンパク質単量体にもシグナルペプチドは存在しない。非成熟型(シグナルペプチドを含む)のOrencia(登録商標)単量体のポリペプチド配列および非成熟型のOrencia(登録商標)融合タンパク質単量体をコードする核酸配列は、それぞれU.S.7,094,874のSEQ ID NO: 8およびSEQ ID NO: 7に示されている。Orencia(登録商標)融合タンパク質を作製および使用する方法もまた、U.S.7,094,874において開示されている。
変異CTLA-4ポリペプチドをコードするDNA配列の作製
定向進化法を用いて、組換え変異CTLA-4の細胞外ドメインポリペプチドをコードする組換え非天然ポリヌクレオチドのライブラリーを作製した。いくつかの天然の哺乳動物CTLA-4ホモログのタンパク質配列およびヌクレオチド配列が公知である。例えば、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)を参照されたい。様々な天然の哺乳動物CTLA-4の細胞外ドメインホモログにおいて確認された配列多様性を定向進化法において用いて、変異CTLA-4 ECDドメインポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドのライブラリーを作製した。定向進化法の手順には、例えば、インビトロでの組換え手順および変異誘発手順が含まれ、これらはStemmer, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:10747-10751 (1994); Chang et al., Nature Biotech 17:793-797 (1999);国際特許出願公開WO 98/27230; ならびに米国特許第6,117,679 号および同第6,537,776号において実質的に説明されている。
変異CTLA-4ポリペプチドをコードするDNA配列のライブラリーの作製
組換え変異CTLA-4 ECDポリペプチドをコードする変異DNA配列を、配列相同性に基づいて設計したフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いたPCRによるアセンブリ反応によって増幅した。これらのプライマーは、当業者には周知の標準手順を用いて設計し、作製し、組み立て、これらは必要に応じて停止コドンおよび開始コドンならびに制限部位を含んだ。使用したPCR増幅手順もまた、当技術分野において周知である。例えば、いずれも前記のBerger、Ausubel、およびSambrookの文献を参照されたい。例示的なフォワードプライマーおよびリバースプライマーには、非限定的に、次のものが含まれる:フォワードプライマー
およびリバースプライマー
。
アセンブリ反応産物5μlを、1μMのフォワードプライマーおよびリバースプライマー、Taq緩衝液(Qiagen;201225番)、ならびに200μM dNTPを用いた増幅サイクル(94℃で30秒;50℃で30秒;72℃で40秒)15回の100μl PCR反応において鋳型として使用した。変異CTLA-4 ECDポリペプチドをコードする増幅されたDNAを制限酵素(SfiIおよびNotI)で消化し、これらの断片をアガロースゲル電気泳動によって分離し、製造業者の推奨に従ってQiaquick Gel Extraction Kit(Qiagen、28704番)を用いて精製し、同様に消化したファージディスプレイベクターpSB0124に連結した(Chang et al., Nature Biotech 17:793-797 (1999)で説明されているものに類似した手順)。結果として生じるライブラリー連結物を、製造業者の推奨条件に従ってエレクトロポレーションによってTOP10大腸菌細胞(Invitrogen, Inc; C4040-50番)中にトランスフォームした。50μg/mlカルベニシリンを含むLB(Luria broth media)中で250rpm、37℃で一晩、形質転換細胞をインキュベートし、次いで、製造業者の推奨条件に従ってライブラリーDNAのmaxiprep(Qiagen;12362番)用ストック溶液を作製するために使用した。
ヒトCD80結合アビディティおよび/またはヒトCD86結合アビディティが改善した変異CTLA-4ポリペプチドを提示するファージライブラリーのスクリーニング
変異CTLA-4ポリペプチドのファージディスプレイライブラリーの作製
ライブラリーDNA(例えば、CTLA-4 ECD変異体をコードするDNA配列のライブラリー)を、製造業者の推奨条件に従って、エレクトロポレーションによってTG-1大腸菌細胞(Stratagene;200123番)中にトランスフォームした。培養物をファージミド選択条件(50μg/mlのカルベニシリンを含むLB培地)下で1〜2世代増殖させ、ヘルパーファージM13KO7に感染させ(感染多重度レベル5〜10)、ファージミド(50μg/mlのカルベニシリン)およびヘルパーファージ(70μg/mlのカナマイシン)に関する二重選択下で、250rpmで振盪しながら37℃で一晩インキュベートした。遠心分離(Sorvall 600TCローターにおいて6000rpm、15分、4℃)によって培養物を清澄にし、PEG/NaCl溶液(20%PEG-8000;2.5M NaCl)8mlと共に培養物上清32mlを氷上で30分間インキュベートすることによってファージ粒子を沈殿させ、続いて、遠心分離(Sorvall 600TCローターにおいて9500rpm、40分、4℃)を行った。1%BSA(bovine serum albumin、Sigma;A7906番)含有PBS 1ml中にファージ沈殿物を懸濁し、マイクロチューブに移し、遠心分離(Eppendorf卓上遠心分離機において最大速度、5分、RT)によって清澄にした。
CTLA-4変異ファージライブラリーのパンニング
標準的条件を用いて、hCD80-Ig融合タンパク質またはhCD86-Ig融合タンパク質に対して最高5回、ファージライブラリーをパンニングした。例えば、Lowman, et al., Biochemistry 12;30(45):10832-10838 (1991); Smith, G.P. et al., Chem. Rev. 97:391-410(1997)を参照されたい。パンニングの各回は以下を含んだ:(a)変異CTLA-4 ECDポリペプチドを提示するファージをhCD80-IgリガンドまたはhCD86-Igリガンドに結合させること;(b)未結合のファージの除去;(c)結合されたファージの溶離;および(d)溶離されたファージを次回のパンニングのために増幅すること。各回からの一定量のファージを大腸菌細胞中に形質導入して、個々の形質導入体コロニーを得た。
ファージELISAによる、ヒトCD80および/またはヒトCD86への結合アビディティが改善したCTLA-4変異体の同定
各回のパンニングから得られた個々のコロニーを、50μg/mlカルベニシリンを含む2×YT(yeast-tryptone)培地150μl/ウェルを含む96ウェル培養プレート(NUNC;243656番)中に播種し、250rpm、37℃で一晩インキュベートした。一晩培養物は、600μl/ウェルの同じ培地を含むディープウェルブロック(Scienceware;378600001番)に播種するのに用いた。250rpm、37℃で2時間、培養物をインキュベートし、M13K07ヘルパーファージに感染させ(感染多重度(moi)5〜10)、次いで、ファージミドマーカーおよびヘルパーファージマーカーに関する二重選択(それぞれ50μg/mlのカルベニシリンおよび70μg/mlのカナマイシン)下で、250rpm、37℃で一晩インキュベートした。Beckman GH 3.8ローターにおいて4000 rpm、4℃で20分間遠心分離することにより、培養物を清澄にした。10μg/mlのhCD80-IgまたはhCD86-Igを含む50μl/ウェルのPBSを追加してELISAプレート(NUNC;449824番)をコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。200μl/ウェルのPBSTでプレートを3回洗浄し、200μl/ウェルの3%脱脂粉乳含有PBSを添加しRTで1時間(hr)インキュベーションすることによりブロッキングした。ディープウェルブロックから得た25μl/ウェルのファージ上清を、25μl/ウェルの6%脱脂粉乳を含むELISAプレートに移し、プレートを室温(RT)で1時間インキュベートした。200μl/ウェルのPBSTでプレートを3回洗浄し、3%脱脂粉乳含有PBST中で1:5000希釈した50μl/ウェルのHRP結合抗M13モノクローナル抗体(GE Healthcare、27-9421-01番)と共にRTで1時間インキュベートした。200μl/ウェルのPBSTでプレートを3回洗浄し、製造業者の推奨条件に従ってTMB基質キット(Pierce; 34021番)を用いてシグナルを検出した。ヒトCD80および/またはヒトCD86へのヒトCTLA-4の結合アビディティと比べて(hCD80-Igおよび/またはhCD86-IgへのヒトCTLA-4 ECDの結合アビディティに基づいて測定される)、ヒトCD80および/またはヒトCD86への結合アビディティが増大している変異CTLA-4 ECDポリペプチド(hCD80-Igおよび/またはhCD86-Igへのアビディティの増大に基づいて測定される)を、さらに解析するために選択した。
実施例3
IgG2 Fc融合タンパク質ベクターの作製
本発明の変異CTLA-4 ECDポリペプチドおよびヒトIgG2 Fcポリペプチドを含む融合タンパク質を産生させるために、IgG2-Fc融合タンパク質発現プラスミドベクターを作製した。フォワードプライマー
およびリバースプライマー
を用いてヒト白血球cDNA(BD Biosciences、カタログ番号HL4050AH)をPCR増幅することによって、ヒトIgG2 FcポリペプチドをコードするDNAを作製した。これらのプライマーは、当業者には周知の標準技術を用いて設計し、作製し、組み立て、これらは必要に応じて停止コドンおよび開始コドンならびに制限部位を含んだ。使用したPCR増幅手順もまた、当技術分野において周知である。例えば、いずれも前記のBerger、Ausubel、およびSambrookの文献を参照されたい。cDNA 50〜100ngを、1μMのフォワードプライマーおよびリバースプライマー、Taq緩衝液(Stratagene;200435番)、ならびに200μM dNTPを用いた増幅サイクル(94℃で30秒;50℃で30秒;72℃で60秒)25回の100μl PCR反応において鋳型として使用した。製造業者の推奨条件に従ってQiaQuick PCR Spin Column(Qiagen 28106番)によってPCR産物を精製し、制限酵素AgeIおよびEcoRIで消化した。PCR消化断片をアガロースゲル電気泳動によって分離し、製造業者の推奨条件に従ってQiaquick Gel Extraction Kit(Qiagen、28704番)を用いて精製した。(サイレント変異として導入されて)CTLA-4シグナル配列中にAgeI制限酵素部位を含む、pCDNA3.1-LEAベクター(前述)の改変型をAgeIおよびEcoRIで消化し、前述の断片に連結することができる。製造業者の推奨条件に従って、連結物をワンショットTOP10大腸菌細胞(Invitrogen、カタログ番号C4040-03)中にトランスフォームする。50μg/mlカルベニシリンを含むLB(Luria broth media)中で250rpm、37℃で一晩、形質転換細胞をインキュベートし、次いで、製造業者の推奨条件に従ってプラスミドDNAのmaxiprep(Qiagen;12362番)用ストック溶液を作製するために使用する。
結果として生じるプラスミド発現ベクターをpCDNA IgG2 Fc融合タンパク質発現ベクターと名付ける。このベクターは、変異CTLA-4 ECDポリペプチドをコードする核酸配列が除去されていることを除いては、図1に示すpCDNA変異CTLA-4-IgG2プラスミドベクターと同一である。pCDNA IgG2 Fc融合ベクター中のシグナルペプチドをコードする核酸配列(図1において、シグナルペプチドをコードする任意の適切なヌクレオチド配列でよい)は、ヒトCTLA-4シグナルペプチドをコードする核酸である(SEQ ID NO: 181またはSEQ ID NO: 215)。このIgG2 Fc融合ベクターは、本発明の変異CTLA-4 ECDポリペプチドまたは他の任意のCTLA-4 ECDポリペプチドをコードするいかなる核酸も含まない。
変異CTLA-4ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のIgG2 Fc融合ベクター中へのクローニング
変異CTLA-4ポリペプチドを可溶性Fc融合タンパク質として産生させるために、ファージライブラリースクリーニングにより、(ヒトCD80および/またはヒトCD86へのヒトCTLA-4-ECDの結合アビディティと比べて)ヒトCD80および/またはヒトCD86への結合アビディティが改善していると確認された変異CTLA-4 ECDポリペプチドをコードするDNA配列を、例えば以下の手順を用いて、前述のIgG2 Fc融合タンパク質ベクター中にそれぞれクローニングした。
変異CTLA-4 ECDポリペプチドのN末端およびC末端におけるいくつかのヌクレオチド残基(例えば、30〜60個のヌクレオチド)に対する配列相同性に基づいて設計したフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いるPCR増幅ならびに当技術分野において公知の標準手順によって、hCD80-Igおよび/またはhCD86-Igに対して高い結合アビディティを示す変異CTLA-4 ECDポリペプチドをコードするDNA配列をファージディスプレイベクターから最初に回収した。例えば、いずれも前記のBerger、Ausubel、およびSambrookの文献で説明されている手順を参照されたい。例えば、1つの例示的な局面において、フォワードプライマー
およびリバースプライマー
を用いるPCR増幅によって、変異CTLA-4 ECDポリペプチドをコードするDNA配列をファージディスプレイベクターから回収した。プラスミドDNA(変異CTLA-4 ECDをコードするヌクレオチド配列を含むファージディスプレイベクター)10ナノグラム(ng)を、1μMの前述のフォワードプライマーおよびリバースプライマー、Taq緩衝液(Stratagene;200435番)、ならびに200μM dNTPを用いた増幅サイクル(94℃で30秒;55℃で30秒;72℃で60秒)25回の100μl PCR反応において鋳型として使用した。製造業者の推奨条件に従ってQiaQuick PCR Spin Column(Qiagen 28106番)によってPCR産物を精製し、制限酵素AgeIおよびClaIで消化した。断片をアガロースゲル電気泳動によって分離し、製造業者の推奨条件に従ってQiaquick Gel Extraction Kit(Qiagen、28704番)を用いて精製し、同様に消化したプラスミドIgG2 Fc融合ベクターに連結した。製造業者の推奨条件に従って、連結物をワンショットTOP10大腸菌細胞(Invitrogen、カタログ番号C4040-03)中にトランスフォームした。50μg/mlカルベニシリンを含むLB(Luria broth media)中で250rpm、37℃で一晩、形質転換細胞をインキュベートし、次いで、製造業者の推奨条件に従ってプラスミドDNAのmaxiprep(Qiagen;12362番)用ストック溶液を作製するために使用した。
結果として生じるプラスミド発現ベクターは、本発明の変異CTLA-4-IgG2融合タンパク質をコードする核酸を含み、pCDNA変異CTLA-4 ECD IgG2 Fcプラスミド発現ベクターと名付けられる。このベクターの概略図を図1に示す。このベクターは、Blaプロモーター;アンピシリン耐性遺伝子;pUC複製起点;SV40ポリアデニル化(ポリA)シグナル配列;f1起点;SV40プロモーター;ネオマイシン耐性遺伝子;本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質(例えば、ヒトCTLA-4シグナルペプチド、変異CTLA-4 ECDポリペプチド、およびヒトIgG2 Fcポリペプチドを含む)の発現を促進するためのCMVプロモーター;ヒトCTLA-4シグナルペプチドをコードする核酸配列(SEQ ID NO: 181またはSEQ ID NO: 215);本発明の変異CTLA-4 ECDポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、SEQ ID NO: 80〜152のいずれか一つをコードするヌクレオチド配列を含むがそれに限定されるわけではない);SEQ ID NO: 183またはSEQ ID NO: 217に示す、ヒトIgG2 Fcポリペプチドをコードする例示的な核酸配列;およびウシ成長ホルモン(bGH)ポリA終結シグナル配列。SEQ ID NO: 183の核酸配列は、C末端リジン(K)残基を有するhIgG2 Fcポリペプチド(SEQ ID NO: 184)をコードし;SEQ ID NO: 217の核酸配列は、C末端リジン残基を有さないhIgG2 Fcポリペプチド(SEQ ID NO: 218)をコードする。
プラスミドIgG2 Fc融合タンパク質ベクターはまた、ヒトCTLA-4-IgG2(「hCTLA-4-Ig」)融合タンパク質を産生させるのにも使用することができる。この場合、前述したものと同様の標準的なクローニング手順を用いて、変異CTLA-4 ECDをコードするヌクレオチド配列の代わりにヒトCTLA-4 ECDをコードする核酸配列(例えば、SEQ ID NO: 193)をプラスミドIgG2 Fc融合タンパク質ベクター中にクローニングする。典型的には、hCTLA-4-Ig融合タンパク質は、2つの同一な単量体成熟hCTLA-4-Ig融合タンパク質を含む二量体融合タンパク質として溶液中で存在する。この場合、各単量体成熟hCTLA-4-Ig融合タンパク質は、ヒトIgG2 Fc(SEQ ID NO: 218またはSEQ ID NO: 184)のN末端にそのC末端が融合されているヒトCTLA-4 ECD (SEQ ID NO: 159)を含む。2つのhCTLA-4-Ig単量体が、各単量体中のシステイン残基間で形成されるジスルフィド結合によって一つに共有結合され、それによって、hCTLA-4-Ig融合タンパク質二量体を形成する。成熟hCTLA-4-Ig融合タンパク質二量体は、明瞭な別段の記載が無い限り、本明細書の実施例で説明するアッセイ法で使用する融合タンパク質の形態である。
本発明者らは、hCTLA-4-Ig融合タンパク質または変異CTLA-4-Ig融合タンパク質およびSEQ ID NO: 184に示すhIgG2 Fcポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターをトランスフェクトすることによってCHO細胞中で作製したヒトCTLA-4-Ig融合タンパク質または変異CTLA-4-Ig融合タンパク質が典型的には、LCMS解析によって測定した場合、予測されるC末端リジン(K)残基を含まず;したがって、hCTLA-4-IgG2または変異CTLA-4-IgG2のhIgG2 Fcポリペプチド配列が、SEQ ID NO: 218(典型的にはhIgG2 Fcポリペプチド配列が、SEQ ID NO: 184に示すポリペプチド配列とは異なりC末端リジン残基を含まない)に示されるものであることを実験によって発見した。
COS細胞の一過性トランスフェクション
10%FBS(Hycloneカタログ番号SV30014.03)および1×PSG(penicillin, streptomycin and glutamine)(Invitrogen、カタログ番号10378-016)を添加した増殖培地(DMEM/F-12培地(Invitrogen、カタログ番号10565-018)40mlを含むT-175フラスコにおいて80〜90%コンフルエントな状態になるまでCOS-7細胞を増殖させた。細胞をプラスミド発現ベクターでトランスフェクションする直前に、培地を除去し、発現培地(Expression Medium)(1×PSGを含むOptiMem培地(Gibco 51985番))35mlに交換した。プラスミドDNA(10μg)(例えば、本発明の変異CTLA-4-IgG2融合タンパク質をコードするpCDNA変異CTLA-4 ECD IgG2 Fc発現ベクター)を1:3の体積比でFuGENE6トランスフェクション試薬(Roche 11 815 075 001番)と混合し、増殖培地1mlに加えた。次いで、この混合物をT-175フラスコにゆっくりと加え、穏やかに回転させて混合した。37℃で3日間インキュベーションした後、培地を回収し、新鮮な発現培地を加え、さらに3日間、培養物をインキュベートした。
同様の手順を用いて、ヒトCTLA-4-IgG2をコードする同様のプラスミドベクターまたはLEA29Y-IgをコードするpCDNA3.1-LEAプラスミドベクターをトランスフェクトしたCOS-7細胞を作製することができる。
タンパク質の精製
1000×g、RTで10分間遠心分離し、0.2μmメンブレン(Nalgene, VWR 73520-982番)を通して濾過することにより、トランスフェクション培養物の上清(例えば、変異CTLA-4-Ig融合タンパク質をコードするpCDNA変異CTLA-4 ECD IgG2 Fcベクターをトランスフェクトした細胞を含む)を清澄にした。AKTA Explorer HPLCシステム(GE Healthcare)を用いたプロテインAアフィニティクロマトグラフィーによってタンパク質を精製した。変異CTLA-4-Ig融合タンパク質をPBS緩衝液中でHitrap Protein A FFカラム(GE Healthcare、17-5079-01番)に結合させ、同じ緩衝液で洗浄し、100mMクエン酸緩衝液(pH4.0)を用いて溶出させ、次いで、1/10体積の2M Tris塩基を添加して中和した。10kDa MWCOメンブレン(Pierce, カタログ番号PI66810)を用いた透析によって、タンパク質溶液中の緩衝液を最終的にPBSに交換した。
同様の手順を用いて、ヒトCTLA-4-IgG2融合タンパク質またはLEA29Y-Ig融合タンパク質を精製することができる。
タンパク質品質の評価
SDS/PAGE解析
精製した本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の見かけの分子量(MW)を、非還元条件下でSDS/PAGE解析によって測定した。非還元条件下で、本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質は典型的に、2つの単量体変異CTLA-4-Ig融合タンパク質を含む二量体融合タンパク質として存在する。1つの局面において、二量体は、2つの同一な変異CTLA-4-Ig融合タンパク質単量体を含むホモ二量体である。1つの局面において、各CTLA-4-Ig融合タンパク質単量体は、ヒトIgG2 FcポリペプチドのN末端にそのC末端が融合されている成熟した/分泌された変異CTLA-4 ECDを含む。2つの変異CTLA-4-Ig単量体は、各単量体中のシステイン残基間で形成されるジスルフィド結合によって一つに共有結合されている。ホモ二量体は、明瞭な別段の記載が無い限り、本明細書の実施例で典型的に説明する本発明の変異融合タンパク質分子の形態である。本明細書の実施例で示すデータは、明瞭な別段の記載が無い限り、変異CTLA-4-Ig融合タンパク質ホモ二量体に関する。
以下のようにしてSDS/PAGE解析を実施した。精製したタンパク質2μgをLDS試料用緩衝液(Invitrogen NP0007番)20μlに添加し、製造業者の推奨条件に従って、1×MESドデシル硫酸ナトリウム(SDS)/PAGE泳動用緩衝液(Invitrogen NP0002番)を用いてNuPAGE 4〜12%ビス-Trisゲル(Invitrogen NP0321BOX番)を泳動させた。RTで穏やかに攪拌しながらSimplyBlue SafeStain(Invitrogen LC6060番)50ml中で1時間インキュベーションすることによってゲルを染色した。RTで穏やかに攪拌しながら水200mlと共に1時間のインキュベーションを2回することによってゲルを脱染し、製造業者の推奨条件に従って乾燥緩衝液(Bio RAD 161-0752)中で処理した。
本発明の2種の例示的な変異CTLA-4-Ig融合タンパク質ホモ二量体(クローンD3およびD4と名付ける)ならびに比較用の対照として働くOrencia(登録商標)融合タンパク質の代表的なSDS/PAGEゲルを図3に示す。D3-Ig融合タンパク質二量体は、各D3-Ig単量体中のシステイン残基間で形成されるジスルフィド結合によって共有結合されている2つの同一なD3-Ig融合タンパク質単量体を含む。各D3-Ig単量体は、SEQ ID NO: 218に示すhIgG2 FcポリペプチドのN末端にそのC末端が直接(すなわち、「リンカー」アミノ酸残基無しで)融合されている、SEQ ID NO: 61に示すポリペプチド配列を含む変異CTLA-4 ECDポリペプチド(「D3」と名付ける)を含む。D4-Ig融合タンパク質二量体も同様に、各D3-Ig単量体中のシステイン残基間で形成されるジスルフィド結合によって共有結合されている2つの同一なD4-Ig単量体を含む。各単量体D4-IgG2融合タンパク質は、SEQ ID NO: 218に示すhIgG2 Fcポリペプチド配列のN末端にそのC末端が直接(すなわち、「リンカー」アミノ酸残基無しで)融合されている、SEQ ID NO: 62に示すポリペプチド配列を含む変異CTLA-4 ECDポリペプチド(「D4」と名付ける)を含む。
上記に説明したように、本発明者らは、SEQ ID NO: 184に示す予測されるhIgG2 Fcポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクターを用いてCHO細胞中で作製した変異CTLA-4-Ig融合タンパク質が、LCMS解析によって測定したところ、予測されるC末端リジン(K)残基を典型的には含まないことを実験によって発見した;したがって、本明細書において説明する変異CTLA-4-IgG2のhIgG2 Fcポリペプチド配列はSEQ ID NO: 218に示すものであり、このhIgG2 Fcポリペプチド配列は、SEQ ID NO: 184に示すポリペプチド配列と比較すると、C末端リジン残基を典型的には含まない。
すべてのタンパク質調製物に対してSDS/PAGE解析を実施して、見かけの分子量、タンパク質濃度、および純度の観点からタンパク質の品質を検証した。SDS/PAGE解析の結果は、すべてのタンパク質調製物で同様であった。図3に示す例示的なゲルの結果より、精製したD3-IgG2融合タンパク質二量体およびD4-IgG2融合タンパク質二量体は約80kDaの見かけの分子量(MW)を有し、これは図10に示す例示的なホモ二量体変異CTLA-4-IgG2融合タンパク質構造体の予測される分子量(予測される分子量=78〜79kDa)と一致している。(精製された変異CTLA-4-IgG2タンパク質単量体は典型的には39〜40kDaの見かけの分子量を有する)。図3に示すゲル中のタンパク質バンドは、同等の強度で染色された;このことから、異なる試料のタンパク質濃度を測定する際の精度が確認される。タンパク質純度に関しては、図3において見かけの分子量約44kDaの位置で低分子量のバンドを観察することができ、これは、単量体IgG2融合タンパク質の予測される分子量と一致している。この低分子量バンドの相対強度は一貫して低く、全タンパク質の5%未満であると推定される。
類似のSDS/PAGE解析を用いて、前述の方法と同様の方法を用いて産生させたヒトCTLA-4-IgG2融合タンパク質またはLEA29Y-Ig融合タンパク質の純度を評価することができる。
エンドトキシン解析
製造業者の推奨条件に従ってQCL-1000リムルスアメーバ様細胞分解産物アッセイキット(Cambrex 50-648U番)を用いて、変異CTLA-4融合タンパク質のエンドトキシンレベルを測定した。細胞ベースのアッセイ法で使用されるタンパク質の最大エンドトキシンレベルを10エンドトキシン単位(EU)/mgタンパク質に設定した。
類似した解析を用いて、ヒトCTLA-4-IgG2タンパク質調製物またはLEA29Y-Igタンパク質調製物のエンドトキシンレベルを測定することができる。
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)解析
Dionex BioLCシステム(Dionex)を用いたサイズ排除クロマトグラフィーによって、タンパク質凝集レベル(変異CTLA-4ポリペプチドおよび対照ポリペプチドの凝集レベルを含む)を測定した。20分間の無勾配運転によって、PBS泳動用緩衝液を用いてTosoh G3000Wx1カラム(Tosoh Bioscience)にタンパク質(5μg)を通過させ、214ナノメートル(nm)における吸光度(A)に基づいて検出した。さらなるアッセイ法で使用するタンパク質の最大凝集レベルを10%に設定した。
すべてのタンパク質調製物に対してSEC解析を実施して、タンパク質凝集レベルの観点からタンパク質の品質を確認した。これらの結果はすべてのタンパク質調製物において類似していた。変異CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体(D3-Ig)のSEC解析による代表的な溶出プロファイルを図4に示す。y軸は、ミリ吸光度単位(mAU)を示し、x軸は溶出時間(単位:分)を示す。D3-Ig二量体の構造は、上記の「SDS/PAGE解析」のセクションで説明する。この精製した変異CTLA-4-Ig二量体のサイズはほとんど均一であり、凝集した種を高レベルで含まない。本発明の他の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質を同様に解析したところ、同様の結果を示した(データ不掲載)。精製した本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質は、サイズが均一であることが判明し、凝集したタンパク質を高レベル(>10%)で含まなかった。高度に凝集した変異CTLA-4-Ig融合タンパク質は、ヒトCD80分子および/またはヒトCD86分子に高いアビディティで結合することができ、したがって高い生物活性を示し得るため、精製した本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の凝集状態を確認することは重要である。
実施例4
表面プラズモン共鳴(SPR)(Biacore(商標)解析)を用いた、ヒトCD80-マウスIg(hCD80-mIg)およびヒトCD86-マウスIg(hCD86-mIg)融合タンパク質への変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の結合アビディティの測定
本実施例では、Biacore相互作用解析を用いて、hCD80-mIgリガンドおよび/またはhCD86-mIgリガンドに対する結合アビディティの改善に基づいて変異CTLA-4-Ig融合タンパク質をスクリーニングするための手順を説明する。このタイプの解析を説明するのに使用される学術用語では、固定された結合相手が「リガンド」と呼ばれ、移動相中の結合相手が「分析物」と呼ばれる。Igドメインを含む融合タンパク質は典型的には、2つのIgドメイン間の強い会合によって、溶液中で二量体構造体を形成する。別段の定めが無い限り、このような二量体立体構造は、本明細書の実施例で説明する融合タンパク質(すなわち、変異CTLA-4-Ig、Orencia(登録商標)融合タンパク質、LEA29Y-Ig、hCD80-mIg、およびhCD86-mIg)において存在すると予想される。「アビディティ」という用語は典型的には、二量体分析物(例えば変異CTLA-4-Ig融合タンパク質)と二量体リガンド(例えば、hCD80-mIg融合タンパク質またはhCD86-mIg融合タンパク質)との結合強度に関する。変異CTLA-4-Ig融合タンパク質に関して説明する結合アビディティの増大は、各CTLA-4 ECDドメインと対応するそのリガンドとの結合親和性の増大に起因する。結合アビディティの強度は典型的には、利用可能なリガンドの50%が平衡状態で結合される分析物のモル濃度である平衡解離定数(KD)によって説明される。
このスクリーニング方法では、BiacoreセンサーチップにhCD80-mIgリガンドまたはhCD86-mIgリガンドを結合し(derivatized)、緩衝液に溶かした変異CTLA-4-Ig融合タンパク質に、リガンドでコーティングしたセンサーチップの上を流れさせた。変異CTLA-4-Ig融合タンパク質分子が特異的な結合相手(すなわち、hCD80-mIgまたはhCD86-mIg)に結合する能力を評価した。また、対照の融合タンパク質(すなわち、ヒトCTLA-4-IgG2融合タンパク質、Orencia(登録商標)融合タンパク質、および変異LEA29Y-Ig融合タンパク質)にも、リガンドでコーティングしたセンサーチップの上を流れさせ、これらの分子がhCD80-mIgまたはhCD86-mIgに結合する能力を比較のために同様に評価した。Biacoreシステムを用いて、hCD80-mIgリガンドまたはhCD86-mIgリガンドに結合する関心対象のタンパク質の結合速度定数(kon)および解離速度定数(koff)を評価し、平衡解離定数KDを算出するために使用することができる。ヒトIgG2ポリペプチドに融合されたWTヒトCTLA-4 ECDポリペプチドを含むヒトCTLA-4-IgG2融合タンパク質は、「対照」野生型ヒトCTLA-4-Igとしての機能を果たすことができる。さらにまたはその代わりに、Orencia(登録商標)融合タンパク質は、改変IgG1 Fcポリペプチドに融合されたWTヒトCTLA-4 ECDポリペプチドから構成されているため、比較用の対照野生型ヒトCTLA-4-Igとしての機能も効果的に果たす。ヒトCTLA-4-IgG2、Orencia(登録商標)融合タンパク質、および/またはLEA29Y-Igと比べてhCD80-mIgおよび/または hCD86-mIgに対する結合アビディティが高い変異CTLA-4-Ig融合タンパク質を特定した。以下でより詳細に考察するように、hCD80-mIgおよび/またはhCD86-mIgに対するOrencia(登録商標)融合タンパク質(すなわちhCTLA-4-IgG1)および/またはLEA29Y-Igの結合アビディティと比べて、hCD80-mIgおよび/またはhCD86-mIgに対する本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の結合アビディティが高い原因は、変異CTLA-4-Ig分子中に存在するIgG2とOrencia(登録商標)分子またはLEA29Y-Ig分子中に存在する変異IgG1との差ではなかった。
Biacore(商標)解析はすべてBiacore(商標)2000システム(GE Healthcare)によって室温(RT、25°C)で実施した。HBS-EP緩衝液(10mM HEPES(pH7.4)、150mM NaCl、3mM EDTA、0.005%界面活性剤P20)をすべての実験用のフローバッファーとして使用した。
標準的な動力学的アッセイ法
標準的な動力学的アッセイ法では、センサーチップに塗られた二量体リガンド(例えば、hCD80-mIg融合タンパク質またはhCD86-mIg融合タンパク質)および二量体分析物(例えば、本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質)の移動相における結合動態を測定する。製造業者のプロトコールに従って、ウサギ抗マウスIgG抗体(GE Healthcare、BR-1005-14番)をCM5センサーチップ(GE Healthcare、BR-1000-14番)上に固定した。固定化緩衝液(10mM酢酸ナトリウム、pH 5.0(BR-1003-51))中に抗体を30μg/mlになるまで希釈した。5μl/分の流速で、1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)とN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の混合物(等体積の11.5mg/ml EDCおよび75mg/ml NHSを混合することによって作製)(GE Healthcare、BR-1000-50番)35μlを注入し、続いて未希釈の抗体35μlを注入して、センサーチップCM5を活性化した。1Mエタノールアミン-HCL、pH8.5(GE Healthcare、BR-1000-50番)35μlによって未反応部位の反応を停止した。この手順により、典型的には15,000応答単位(RU)の結合抗体が得られた。CTLA-4リガンドであるヒトCD80-マウスIg(hCD80-mIg)(Ancell、510-820番)またはヒトCD86-マウスIg(hCD86-mIg)(Ancell、509-820番)のリガンド溶液(HBS-EP緩衝液[10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、3mM EDTA、0.005%(v/v)界面活性剤P-20、GE Healthcare, BR-1001-88番]に溶かした2μg/mlのタンパク質)を流速10μl/分でそれぞれ10μlまたは16μl注入することによって、抗体でコーティングしたセンサーチップに結合させた。リガンド捕捉レベルは典型的には135〜170RUであった。変異CTLA-4-Igタンパク質をHBS-EP緩衝液中で希釈し、リガンドでコーティングしたセンサーチップの上に30μl/分で2分間流し、続いて、タンパク質を含まないHBS-EP緩衝液と共に同じ流速で5分間インキュベーションした。hCD86-mIgからの解離速度が非常に遅い変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の場合、より長い解離時間(例えば20分)も用いて動力学的アッセイ法を行った。変異CTLA-4-Igタンパク質のRmaxシグナルレベルは、約70〜100RUの範囲であった。50μl/分で10mMグリシン緩衝液(pH1.7)と共に3分間インキュベーションすることによって、サイクル間の再生を実施した。実際の実験での使用に先立って、新しいチップを4〜5サイクルの捕捉/結合/再生に供した。ウサギ抗マウスIgG捕捉抗体のみを含む参照セルからのデータを、捕捉されたhCD80-mIgまたはhCD86-mIgを含むフローセルから得られたデータから差し引いた。典型的には、変異CTLA-4-Igタンパク質の500nM〜0.2nMの範囲の希釈物8種をブランク参照(HBS-EP緩衝液のみ)に対して解析した。
典型的なBiacore解析のセンサーグラムトレースを図5に示す。この図は、hCD86-mIg融合タンパク質に対する次の3種の融合タンパク質の結合によって生じた応答(RU)の経時変化(単位:秒(s))を示す:(1) Orencia(登録商標)融合タンパク質(対照としての機能を果たす。比較用)(Bristol-Myers Squibb Co.;例えば、Larson C.P. et al., Am. J. Trans. 5:443-453 (2005)を参照されたい);(2)LEA29Y-Ig融合タンパク質(比較用);および(3)「クローンD3」と呼ぶ(D3-IgG2とも名付けた)例示的な本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質。D3-IgG2融合タンパク質は、各単量体中のシステイン残基間で形成される1つまたは複数のジスルフィド結合によって一つに共有結合されている2つの同一な単量体融合タンパク質を含む。上記の「SDS/PAGE解析」セクションの考察を参照されたい。各単量体融合タンパク質は、SEQ ID NO: 184またはSEQ ID NO: 218に示すヒトIgG2ポリペプチドのN末端にそのC末端が共有結合的に融合されている、SEQ ID NO: 159に示す成熟変異CTLA-4 ECDポリペプチドを含む。本発明の他の二量体融合タンパク質は、各単量体融合タンパク質のD3変異CTLA-4 ECDポリペプチドが別の変異CTLA-4 ECDポリペプチドと置き換えられていることを除いては、二量体D3-IgG2融合タンパク質の構造に似た構造を含み得る。
結合相は、関心対象の分析物と関心対象のリガンドとの結合を反映する。図5において、各分析物の結合相は、矢印を付けた時点より前の時点の曲線によって表され、hCD86-mIgリガンドへの分析物(D3-IgG2、Orencia(登録商標)融合タンパク質、またはLEA29Y-Ig)の結合を特徴とする。分析物がhCD86-mIgリガンドと結合する速度は、曲線に反映されている。例えば、約510秒の時点で始まる応答単位の急速な増加を参照されたい。
解析の解離相は、図5で矢印を付けた時点に始まる。解離相の間、分析物およびリガンドは、それらが結合した立体構造から解離する。図5において、分析物がhCD86-mIgリガンドから解離する速度は、応答単位の減少によって表される(経時的な応答単位の減少速度)。これらのデータに基づいて、相対的な解離速度定数(「オフ」レート、koff、またはkd)および結合速度定数(「オン」レート、kon、またはka)を決定することができる。相互作用のアビディティ総量は、KD、すなわち(koff)/(kon)によって説明することができる。結合アビディティの増大は、解離速度が遅くなることによってしばしば顕在化する。この遅くなった解離速度が、等しいか、より速いか、またはわずかに遅い結合速度を伴い、その結果、計算される平衡解離定数KDが小さくなる場合には、アビディティが大きくなると考えられる。この場合、hCD86-mIgリガンドに対する結合アビディティが、同じリガンドに対するOrencia(登録商標)融合タンパク質の結合アビディティよりも大きな変異CTLA-4-Ig融合タンパク質はまた、Orencia(登録商標)タンパク質よりもリガンドからの解離速度が遅いと考えられる。hCD86-mIgリガンドに対する結合アビディティが、同じリガンドに対するLEA29Y-Igの結合アビディティよりも大きな変異CTLA-4-Ig融合タンパク質はまた、LEA29Y-Igよりもリガンドからの解離速度が遅いと考えられる。
図5は、hCD86-mIgリガンドからのLEA29Y-Igの解離速度が、同じリガンドからのOrencia(登録商標)タンパク質の解離速度より有意に遅いことを示す。また、LEA29Y-Igは、Orencia(登録商標)融合タンパク質において観察されるものに似た、hCD86-mIgに結合するための結合速度を有する。したがって、LEA29Y-Igの方が、Orencia(登録商標)タンパク質よりもhCD86-mIgに対する結合アビディティが高い。この知見は、LEA29Y-Igの方がOrencia(登録商標)融合タンパク質よりもhCD86-mIgリガンドに対して高い結合アビディティを有すると説明する以前の研究と一致している(Larson C.P. et al., Am. J. Trans. 5:443-453 (2005))。図5はまた、本発明の変異D3-IgG2融合タンパク質の方が、Orencia(登録商標)融合タンパク質またはLEA29Y-Ig融合タンパク質のいずれかよりもhCD86-mIgリガンドからの解離速度が遅いことを示す。また、D3-IgG2融合タンパク質は、hCD86-mIgリガンドに対するOrencia(登録商標)融合タンパク質またはLEA29Y-Ig融合タンパク質のいずれかの結合速度と比べて、hCD86-mIgリガンドへの結合のための結合速度が同様(ただし、いくらか速い)である。したがって、D3-IgG2融合タンパク質の方が、Orencia(登録商標)融合タンパク質またはLEA29Y-Ig融合タンパク質のいずれかよりも高い結合アビディティをhCD86-mIgリガンドに対して示す。したがって、D3-IgG2融合タンパク質は、例えば、ヒトなどの哺乳動物のAPCにおいてインビボで発現されるCD86を含む天然CD86に、より高い結合アビディティで結合すると予想される。この考えは、下記の実施例で考察する機能的な細胞ベースアッセイ法によってさらに裏付けられる。
本発明の他の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質を用いて、Biacore解析を実施した。さらに、hCD80-mIgでコーティングしたセンサーチップおよび本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質を用いて、Biacore解析を実施した。これらの変異分子の解離速度および結合アビディティを測定し、Orencia(登録商標)融合タンパク質およびLEA29Y-Ig融合タンパク質の解離速度および結合アビディティと比較した。代表的な結果を表3および表4に示し、下記により詳細に考察する。
標準的なBiacoreデータ解析
センサーグラムの再生部分および捕捉部分を削除した後、試料注入の約10秒前のすべての曲線の5秒間の平均に曲線の0の位置を合わせた。各試験曲線からブランク曲線を差し引いた。「Fit kinetics, Simultaneous ka/kd(フィットカイネティクス、同時ka/kd)」機能を用いて、BIAevaluationソフトウェア(v4.1、GE Healthcareから入手可能)によってデータを解析した。注入開始時期は、すべての曲線が0に近づく、結合相の前の時点と定義した。結合相に関するデータ選択は、注入開始時点から約10秒後に開始し、注入停止時点より約10秒前に終了した。注入停止時点は、解離相に関連する任意のシグナルスパイクが出現する前の時点と定義した。解離相は、注入停止時点から10秒後に開始するように選択し、5分の解離相の内の280〜295秒を含んだ。1:1ラングミュア(Langmuir)モデルは、反応A+B<=>ABを説明する。このモデルは、関心対象の単一のタンパク質(例えば受容体)に対する単一のリガンド結合を表す。BIAevaluationソフトウェアの1:1ラングミュアモデルを用いて、結合速度定数(ka)および解離速度定数(kd)を決定し、平衡解離定数KDを算出した。KD=kd/ka。KD=([A][B])/[AB]。平衡解離定数KDは、平衡結合定数KAの逆数に等しい。KD=1/KA。反応の速度式(分析物AにリガンドBを加えると複合体ABを生じる)は、次のとおりである:d[B]/dt=-(ka[A][B]-kd[AB])およびd[AB]/dt=ka[A][B]-kd[AB](A=注入される分析物、B=遊離リガンド、およびt=時間)。[AB]を所与の時点のBiacore応答単位R(RU)で、[B]をRmax-Rで、および[A]をC(分析物濃度)で置き換えることにより、Biacore単位の正味の速度式は、dR/dt=kaC(Rmax-R)-kdR(t0でのR=0、B[0]=Rmax、およびAB[0]=0RU)となり、総応答=[AB]+RIである。バルクシフト(RI)を0に設定し、全曲線に対してRmax、ka、およびkdを全体的にフィットさせた。
前述の標準的な動力学的アッセイ法およびデータ解析を、本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質ならびにLEA29Y-Ig融合タンパク質およびOrencia(登録商標)融合タンパク質のタンパク質調製物に対して実施した。表3および表4は、本発明の代表的な変異CTLA-4-Ig融合タンパク質に関する結合データを要約する。
表3は、前述の標準的なBiacoreアッセイ法によって測定した、hCD86-mIgに対する代表的な変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の結合アビディティを示す。具体的には、表3は、各変異CTLA-4Ig融合タンパク質の名称;単量体変異CTLA-4 ECD融合タンパク質のポリペプチド配列に対応する配列識別番号(SEQ ID NO);hCD86-mIgに対する変異タンパク質の結合アビディティに基づいて決定された平衡解離定数(KD(モル濃度(M));およびhCD86-mIgに対するOrencia(登録商標)融合タンパク質の結合アビディティと比べた、hCD86-mIgに対する各変異CTLA-4-Igの結合アビディティを示す。(一番右の列に示す)この相対的な結合アビディティは、hCD86-mIgに対するOrencia(登録商標)融合タンパク質の結合アビディティと比べた、hCD86-mIgに対する変異融合タンパク質の結合アビディティの改善倍率として示す。表3の本発明の各変異CTLA-4-Ig融合タンパク質は典型的には、2つの同一な単量体融合タンパク質を含む二量体融合タンパク質として溶液中で存在し、その際、各単量体タンパク質は、SEQ ID NO: 184またはSEQ ID NO: 218の配列を含むIgG2 FcポリペプチドのN末端にそのC末端が直接融合されている変異CTLA-4 ECDポリペプチド(例えば、D1、D1T、D2、D3、D4などと名付けられる)を含む。このような各二量体変異CTLA-4-Igは、当技術分野において公知の標準技術を用いることによって作製することができる。あるいは、このような各二量体変異CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体は、前述の実施例3で説明した方法を用いることによって作製することもできる。手短に言えば、実施例3で説明したようにして、表3において確認する特定の変異CTLA-4 ECDをコードする核酸配列(例えば、表3において確認する変異CTLA-4 ECDポリペプチド配列をコードする核酸配列)をIgG2 Fc融合ベクター中にクローニングすることができ、哺乳動物細胞をそのベクターでトランスフェクトすることができ、結果として得られる融合タンパク質を発現させ、精製し、評価することができる。各変異CTLA-4 ECDの例示的な核酸配列を、本明細書と共に含まれる配列リストに提示する。Orencia(登録商標)融合タンパク質は、2つの単量体融合タンパク質を含み、改変IgG1 Fcに融合された野生型ヒトCTLA-4 ECDを含む各単量体融合タンパク質は基準となり、すなわち、hCD86-mIgに対する結合アビディティを1に設定する。LEA29Y-Ig融合タンパク質およびヒトCTLA-4-Ig融合タンパク質のKD値も示す。さらに、Orencia(登録商標)タンパク質のhCD86-mIg結合アビディティと比べたLEA29Y-IgのhCD86-mIg結合アビディティの改善倍率も示す。hCD86-mIgに対するCTLA-4-IgG2融合タンパク質およびOrencia(登録商標)融合タンパク質の結合アビディティはほぼ等しいことから、ヒトCTLA-4-IgG2中に存在するヒトIgG2ポリペプチドとOrencia(登録商標)タンパク質中に存在する改変IgG1との差は、仮にあったとしても、これらの分子の各自のhCD86-mIg結合親和性にほとんど寄与しないことが確認される。下記の実施例5により詳細に考察するように、本発明者らは、本発明の変異CTLA-4-IgポリペプチドとOrencia(登録商標)タンパク質(またはLEA29Y-Ig)との免疫抑制機能活性の差を、異なるIgGアイソタイプを含むそれぞれのIg Fc領域に帰することができないことを確認した。
表3に示したように、本発明の代表的な変異CTLA-4-Ig融合タンパク質は、(1)ヒトCTLA-4-IgG2(「hCTLA-4-IgG2」)(2つの共有結合された単量体融合タンパク質を含み、このような各単量体タンパク質は、IgG2 Fcポリペプチドに融合されたヒトCTLA-4 ECDポリペプチドを含む)の結合アビディティに少なくともほぼ等しいか、もしくはそれより大きい;(2)hCD86-mIgリガンドに対するOrencia(登録商標)タンパク質の結合アビディティに少なくともほぼ等しいか、もしくはそれより大きい;かつ/または(3)hCD86-mIgリガンドに対するLEA29Y-Igの結合アビディティに少なくともほぼ等しいか、もしくはそれより大きい、hCD86-mIg結合アビディティを有する。hCD86-mIgに対するOrencia(登録商標)タンパク質の結合アビディティと比べた、hCD86-mIgリガンドに対する結合アビディティの改善倍率を各CTLA-4-Ig変異体について示す(表3の4番目の列)。
変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の大多数の、hCD86-mIg融合タンパク質からの解離速度は、hCD86-mIgからのOrencia(登録商標)融合タンパク質の解離速度よりも遅いことが判明した(データ不掲載)。いくつかの変異CTLA-4-Ig融合タンパク質のhCD86-mIgへの結合速度は、同じリガンドへのOrencia(登録商標)融合タンパク質の結合速度よりも速いことが判明した(データ不掲載)。
表3に示す変異CTLA-4-Ig融合タンパク質はすべて、ヒトCTLA-4-IgG2融合タンパク質またはOrencia(登録商標)融合タンパク質のhCD86-mIg平衡解離定数より小さなhCD86-mIg平衡解離定数(KD)を有した。さらに、表3に示す変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の大多数が、LEA29Y-IgのhCD86-mIg平衡定数より低いhCD86-mIg平衡解離定数を有した。
表3に示す変異CTLA-4-Ig融合タンパク質はすべて、hCD86-mIgに対するヒトCTLA-4-IgG2融合タンパク質またはOrencia(登録商標)融合タンパク質の結合アビディティよりも大きな結合アビディティをhCD86-mIgに対して有した(Orencia(登録商標)融合タンパク質と比べて算出したhCD86-mIg結合アビディティの改善倍率を表3の4番目の列に示す)。さらに、表3に示す変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の多くが、hCD86-mIgに対するLEA29Y-Igの結合アビディティより大きな結合アビディティをhCD86-mIgに対して有した(表3の4番目の列)。
Orencia(登録商標)融合タンパク質またはLEA29Y-Ig融合タンパク質よりもhCD86-mIgリガンドへの結合アビディティが高い本発明の変異CTLA-4-Igは、例えば、対象において免疫応答を抑制するための治療的方法および/または予防的方法(例えば、免疫阻害または免疫抑制が望ましい、例えばヒトのような哺乳動物の免疫系の疾患または障害のインビボ治療)、レシピエントによる(例えば、哺乳動物、例えばヒトによる)、ドナーからの組織移植または臓器移植の拒絶を阻害するための方法、ならびに本明細書において別の場所で説明する他の方法などにおいて、それぞれ、hCTLA-4-IgG2融合タンパク質、Orencia(登録商標)融合タンパク質、またはLEA29Y-Ig融合タンパク質と比べてインビボにおける免疫抑制能力が高くなっている可能性が高い。
*注意:表3に示すヒトCTLA-4-IgG2融合タンパク質、Orencia(登録商標)融合タンパク質、およびLEA29Y-Ig融合タンパク質の配列識別番号(SEQ ID NO)は、それぞれこれらのIg融合タンパク質のポリペプチド配列のものである。表3に示す各変異CTLA-4-Ig融合タンパク質のSEQ ID NOは、同定された変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の変異CTLA-4 ECDのポリペプチド配列を特定する。このデータは、SEQ ID NO: 184またはSEQ ID NO: 218に示すIgG2 FcポリペプチドのC末端にそのN末端が融合された変異CTLA-4 ECD (例えば、SEQ ID NO: 1〜48およびSEQ ID NO: 58〜73のいずれか)を含む変異CTLA-4-Igに関連する。このような融合タンパク質を作製するための方法は当技術分野において公知であり、かつ本明細書において説明される。しかしながら、上記に説明したように、本発明者らは、SEQ ID NO: 184に示す予測されるhIgG2 Fcポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクターを用いてCHO細胞中で作製した変異CTLA-4-Igが、予測されるC末端リジン(K)残基を典型的には含まないことを実験によって発見した;したがって、変異CTLA-4-IgG2のhgG2 Fcポリペプチド配列はSEQ ID NO: 218に示すものであり、このhIgG2 Fcポリペプチド配列は、SEQ ID NO: 184に示す配列と比較すると、C末端リジン残基を含まない。C末端リジン残基を含まない例示的な融合タンパク質配列をSEQ ID NO: 205〜214、SEQ ID NO: 219、およびSEQ ID NO: 221に示す。
表4は、標準的なBiacoreアッセイ法によって測定した、hCD80-mIgに対する変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の結合アビディティを示す。具体的には、表4は、変異CTLA-4-Ig融合タンパク質のクローン名;単量体変異CTLA-4 ECD融合タンパク質のポリペプチド配列に対応する配列識別番号(SEQ ID NO);hCD80-mIgリガンド結合アビディティアッセイ法における平衡解離定数(KD(モル濃度(M));および同じリガンドに対するOrencia(登録商標)融合タンパク質の結合アビディティと比べた、hCD80-mIgリガンドに対する変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の結合アビディティを示す。各融合タンパク質について、hCD80-mIgリガンドに対するOrencia(登録商標)融合タンパク質の結合アビディティと比べた、hCD80-mIgリガンドに対する結合アビディティの改善倍率を示す(表4の4番目の列)。Orencia(登録商標)融合タンパク質は基準となり、すなわち、hCD80-mIgへの結合アビディティを1に設定する。変異CTLA-4-Ig融合タンパク質は典型的には、溶液中で二量体融合タンパク質として存在する。表4に示したように、本発明の二量体変異CTLA-4-Ig融合タンパク質は、(1)ヒトCTLA-4-IgG2の結合アビディティに少なくともほぼ等しいか、もしくはそれより大きい;(2)hCD80-mIgリガンドに対するOrencia(登録商標)融合タンパク質の結合アビディティに少なくともほぼ等しいか、もしくはそれより大きい;かつ/または(3)hCD80-mIgリガンドに対するLEA29Y-Igの結合アビディティに少なくともほぼ等しいか、もしくはそれより大きい、hCD80-mIgリガンドへの結合アビディティを有する。上述したように、各二量体変異CTLA-4-Ig二量体は、前述の実施例3で説明した方法を用いることによって作製することができる。
いくつかの変異CTLA-4-Ig融合タンパク質が、同じリガンドからのOrencia(登録商標)融合タンパク質の解離速度とほぼ等しいか、またはそれより速い、hCD80-mIg融合タンパク質からの解離速度を有することが判明した(データ不掲載)。いくつかの変異CTLA-4-Ig融合タンパク質は、同じリガンドへのOrencia(登録商標)融合タンパク質の結合速度とほぼ等しいか、またはそれより速い、hCD80-mIgへの結合速度を有することが判明した(データ不掲載)。
表4に示す多くの変異CTLA-4-Ig融合タンパク質は、ヒトCTLA-4-IgG2融合タンパク質またはOrencia(登録商標)融合タンパク質のhCD80-mIg平衡解離定数より低いhCD80-mIg平衡解離定数(KD)を有した。さらに、表4に示すいくつかの変異CTLA-4-Ig融合タンパク質が、LEA29Y-IgのhCD80-mIg平衡定数に少なくともほぼ等しいhCD80-mIg平衡解離定数を有した。
表4に示す多くの変異CTLA-4-Ig融合タンパク質は、同じリガンドに対するヒトCTLA-4-IgG2融合タンパク質またはOrencia(登録商標)融合タンパク質の結合アビディティよりも大きな結合アビディティをhCD80-mIgに対して有した(Orencia(登録商標)融合タンパク質と比べたhCD80-mIg結合アビディティの改善倍率を4番目の列に示す)。さらに、表4に示すいくつかの変異CTLA-4-Ig融合タンパク質は、同じリガンドに対するLEA29Y-Igの結合アビディティと少なくともほぼ等しい結合アビディティをhCD80-mIgに対して有した。
hCTLA-4-IgG1融合タンパク質、Orencia(登録商標)融合タンパク質、またはLEA29Y-Ig融合タンパク質よりもhCD80-mIgへの結合アビディティが高い本発明の変異CTLA-4-Igは、例えば、対象において免疫応答を抑制するための治療的方法および/または予防的方法(例えば、免疫阻害または免疫抑制が望ましい、例えばヒトのような哺乳動物の免疫系の疾患または障害のインビボ治療)、レシピエントによる(例えば、哺乳動物、例えばヒトによる)、ドナーからの組織移植または臓器移植の拒絶を阻害するための方法、ならびに本明細書において別の場所で説明する他の方法などにおいて、それぞれ、hCTLA-4-IgG2融合タンパク質、Orencia(登録商標)融合タンパク質、またはLEA29Y-Ig融合タンパク質と比べてインビボにおける免疫抑制能力が高くなっている可能性が高い。
*注意:表4に示すヒトCTLA-4-IgG2融合タンパク質、Orencia(登録商標)融合タンパク質、およびLEA29Y-Ig融合タンパク質のSEQ ID NOは、それぞれこれらの融合タンパク質のポリペプチド配列のものである。表4に示す各変異CTLA-4-Ig融合タンパク質のSEQ ID NOは、同定された変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の変異CTLA-4 ECDのポリペプチド配列を特定する。このデータは、SEQ ID NO: 184またはSEQ ID NO: 218に示すIgG2 FcポリペプチドのC末端にそのN末端が融合された変異CTLA-4 ECD (例えば、SEQ ID NO: 1〜48およびSEQ ID NO: 58〜73のいずれか)を含む変異CTLA-4-Igに関連する。しかしながら、本発明者らは、SEQ ID NO: 184に示す予測されるhIgG2 Fcポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクターを用いてCHO細胞中で作製した変異CTLA-4-Igが、予測されるC末端リジン(K)残基を典型的には含まないことをLCMS解析により実験によって発見した;したがって、変異CTLA-4-IgG2のhIgG2 Fcポリペプチド配列はSEQ ID NO: 218に示すものであり、このhIgG2 Fcポリペプチド配列は典型的には、SEQ ID NO: 184に示す配列と比較すると、C末端リジン残基を含まない。C末端リジン残基を含まない例示的な融合タンパク質配列をSEQ ID NO: 205〜214、SEQ ID NO: 219、およびSEQ ID NO: 221に示す。
単量体の動力学的アッセイ法
変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の結合特性を、一価の動力学的結合アッセイ法によってさらに確認した。これらのアッセイ法では、移動相において、センサーチップに塗られた二価の試験タンパク質(例えば、二量体変異CTLA-4-Ig融合タンパク質)および一価のリガンド(パパインで消化したhCD86-mIg)の結合動態を測定する。ヤギ抗ヒトIgG抗体(Jackson ImmunoResearch、109-005-098番)を製造業者のプロトコールに従ってCM5センサーチップに結合させて、典型的には15,000応答単位(RU)を得た。流速10μl/分で、HBS-EP緩衝液に溶かした2μl/ml二量体変異CTLA-4-Ig融合タンパク質溶液10μlと共に、抗体でコーティングしたセンサーチップをインキュベーションすることによってリガンドを捕捉した。リガンド捕捉レベルは典型的には25〜80RUであった。単量体のhCD86-mIgリガンド(Hermanson, G.T. BIOCONJUGATE TECHNIQUES, Academic Press, 1996において説明されているように、hCD86-mIgのパパイン消化およびプロテインAセファロース吸着によって作製した)をHBS-EP緩衝液中に希釈し、試験タンパク質でコーティングしたセンサーチップに30μl/分で2分間流し、続いて、同じ流速で、タンパク質を含まないHBS-EP緩衝液と共に2分間インキュベーションした。30μl/分で10mMグリシン緩衝液(pH1.7)と共に3分間インキュベーションすることによって、サイクル間の再生を実施した。典型的には、単量体分析物タンパク質の3000nM〜0.2nMの範囲の希釈物8種をブランク参照(HBS-EP緩衝液のみ)に対して2つ1組で解析した。変異CTLA-4-Igタンパク質に対する結合のRmaxシグナルレベルは、10〜60RUの範囲であった。
結合データの選択を注入開始時点から5秒後に開始し停止時点の5秒前に終了したこと、および解離データ選択を注入停止後5秒目に開始し、典型的には解離期間の1〜60秒を含めたことを除いては前述のようにして、動力学的解析のために単量体結合アッセイ法によるデータを選択した。このようなデータもまた、BIAevaluationソフトウェアを用いて、定常状態の平衡親和性に関して解析した。各濃度に対する定常状態結合レベル(Responseeq(「Req」)値)は、BIAevaluationの「General fit: average(全般的フィット:平均)」機能を用いて、試料注入の終了に近い5〜20秒の範囲の値を平均した。定常状態親和性は、式Req=KA×C×Rmax/(KA×C×n+1)(Cは分析物濃度であり、n(立体干渉係数)は1であり、KD=1/KAである)に従ってBIAevaluationソフトウェアを用いて、Req対濃度のプロットから決定した。いくつかの場合において、解離後に残る平らなR値の痕跡によって示される実質的な非特異的結合が観察された。このようなデータは、Req値から残りのR値を差し引くことによって補正した。次いで、「1部位特異的結合」モデルを用いて、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software, Inc.)でKDを算出した。
代表的な変異CTLA-4-Igタンパク質のサブセットに対してこの単量体結合アッセイ法を実施した。この結果を表5に要約する。全体的に見て、単量体結合アッセイ法で観察された、変異CTLA-4-Ig融合タンパク質へのhCD86 ECD結合のLEA29Y-Igと比べた改善の程度は、標準的な動力学的アッセイ法において変異CTLA-4-Ig融合タンパク質へのhCD86-mIg結合に関してLEA29Y-Igと比べて観察されたものと類似していた。このような結果から、変異タンパク質において観察される結合動態の改善が、(例えば、Orencia(登録商標)融合タンパク質および/またはLEA29Y-Ig融合タンパク質と比べた)変異タンパク質の結合親和性の実際の改善に起因し、凝集したタンパク質調製物の高い結合価によって引き起こされる潜在的なアーチファクトに起因しないという結論が裏付けられる。
*注意:表5に示すLEA29Y-Igに関するSEQ ID NOは、LEA29Y-Ig融合タンパク質のポリペプチド配列のものである。表5に示す各変異CTLA-4-Ig融合タンパク質のSEQ ID NOは、同定された変異CTLA-4-Ig融合タンパク質中に存在する変異CTLA-4 ECDのポリペプチド配列を特定する。このデータは、SEQ ID NO: 184またはSEQ ID NO: 218に示すIgG2 FcポリペプチドのC末端にそのN末端が融合された変異CTLA-4 ECD(例えば、SEQ ID NO: 4、10〜12、15、17、24、26、28、35、および61のいずれか)を含む変異CTLA-4-Igに関連する。しかしながら、本発明者らは、SEQ ID NO: 184に示す予測されるhIgG2 Fcポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクターを用いてCHO細胞中で作製した変異CTLA-4-Igが、予測されるC末端リジン(K)残基を典型的には含まないことをLCMS解析により実験によって発見した;したがって、変異CTLA-4-IgG2のhIgG2 Fcポリペプチド配列はSEQ ID NO: 208に示すものであり、このhIgG2 Fcポリペプチド配列は典型的には、SEQ ID NO: 184に示す配列と比較すると、C末端リジン残基を含まない。C末端リジン残基を含まない例示的な融合タンパク質配列をSEQ ID NO: 205〜214、SEQ ID NO: 219、およびSEQ ID NO: 221に示す。C末端リジン残基を含む例示的な融合タンパク質配列をSEQ ID NO: 74〜79、SEQ ID NO: 197〜200、SEQ ID NO: 220、およびSEQ ID NO: 222に示す。
実施例5
ヒトPBMC増殖アッセイ法(抗CD3抗体刺激)を用いた、CTLA-4変異体の生物活性の測定
CTLA-4-Igおよびその特定の変種は、インビトロにおいてT細胞増殖の強力な阻害物質であることが示されている(例えば、Larson et al., Am. J. Transplant. 5, 443を参照されたい)。このようなアッセイ法において変異CTLA-4-Igタンパク質の改善した活性を測定するために、末梢血単核細胞(PBMC)増殖アッセイ法を開発した。
ヒト血液(ドナープログラムから新しく採取)を等体積のPBSで希釈し、製造業者の推奨条件に従ってHistopaque(Sigma, 10771番)Ficoll勾配を用いて分画してPBMCを単離した。10%FBS(Hyclone SV30014.03番)および1×PSG(Invitrogen、10378-016番)を添加した増殖培地(DMEM/F12培地(Invitrogen, 10565-018番)中でPBMCを希釈し、1×105細胞/ウェルの濃度で96ウェル培養プレート(BD Biosciences, 353077番)に添加した。試験化合物を増殖培地で段階希釈し、3つ1組でウェルに添加した。マウス抗ヒトCD3抗体(BD Pharmingen: 555329)を最終濃度が5μg/mlになるまで添加することにより、細胞増殖を開始した。37℃で2日間(d)インキュベーションした後、3Hチミジン(GE Healthcare, TRK758-5MCI番)を1μCi/ウェルで添加し、37℃でさらに16時間、プレートをインキュベートした。製造業者の推奨条件で細胞回収装置(FilterMate Omnifilter-96 Harvester)を用いて細胞を回収し、3Hチミジン取り込みをシンチレーションカウンター(Wallac Trilux、1450-421番)によって測定した。3Hチミジン取り込み(3Hチミジンアップテイク)の程度は、T細胞増殖の程度を示す。3Hチミジン組み込みは、標準技術によって測定する。T細胞の増殖は、3つ組のウェルの平均カウント毎分(cpm)として表す。
細胞増殖データを、GraphPad Prism 5ソフトウェアにより、非線形回帰曲線フィットモデル(S字形用量応答、可変勾配)および最小二乗フィット法を用いて解析した。これらの結果から得られたIC50(IC50とも示す)パラメータおよびそれらに伴う95%信頼区間を報告する(表6)。図6は、本発明の例示的な変異CTLA-4-Ig融合タンパク質のセット、すなわち、D3-04-IgG2融合タンパク質、D3-11-IgG2融合タンパク質、D3-12-IgG2融合タンパク質、およびD3-14-IgG2融合タンパク質を用いた、代表的なPBMC増殖アッセイ法(抗CD3抗体刺激を使用)から得られた細胞増殖曲線を示す。このグラフは、タンパク質濃度(ナノモル濃度(nM))に対する3Hチミジン取り込み(カウント毎分(cpm))のプロットである。3Hチミジン取り込み(3Hチミジンアップテイク)は、細胞増殖の程度を示し、標準技術によって測定される。
比較用の対照としてOrencia(登録商標)融合タンパク質およびLEA29Y-Ig融合タンパク質を含めた。これらの結果から、本発明の変異CTLA-4-Ig Ig融合タンパク質が、インビトロでポリクローナルT細胞活性化またはT細胞増殖を阻害または抑制するにあたってOrencia(登録商標)融合タンパク質および/またはLEA29Y-Ig融合タンパク質よりも有意に高い効力または大きな能力を有することが実証される。
本発明の他の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質を用いて、PBMC増殖アッセイ法を実施した。表6は、本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の代表的なセットに関するデータの要約を提供する。表6は、PBMC増殖アッセイ法(抗CD3抗体刺激を使用)において、例示的な変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の平均IC50値(ナノモル濃度(nM))を対照(Orencia(登録商標)融合タンパク質、hCTLA-4-IgG2融合タンパク質、およびLEA29Y-Ig融合タンパク質)に対して比較した結果を提示する。IC50値は、インビトロでT細胞増殖を50%阻害するのに必要とされる化合物(例えば、変異CTLA-4-Ig融合タンパク質、hCTLA-4-IgG2融合タンパク質、Orencia(登録商標)融合タンパク質、またはLEA29Y-Ig融合タンパク質)の濃度を表す。個々の実験から得たIC50値を平均して平均IC50値を求め、これを統計学的解析に使用した。事後のダネット検定またはボンフェローニ検定を伴う一元配置分散分析(ANOVA)を用いて、変異CLTA-4-Ig融合タンパク質およびhCTLA-4-IgG2をそれぞれOrencia(登録商標)融合タンパク質またはLEA29Y-Ig融合タンパク質と比較した (C.W. Dunnett, New Tables for Multiple Comparisons with a Control, Biometrics 20(3):482-491 (Sept. 1964); Abdi, Herve, 「The Bonferroni and Sidak corrections for multiple comparisons」、ENCYCLOPEDIA OF MEASUREMENT AND STATISTICS中(N.J. Salkind編、Thousand Oaks, CA 2007);また、ワールドワイドウェブ上でウェブアドレスutdallas.edu/~herve/Abdi-Bonferroni2007-pretty.pdf.からも入手可能)。次の変異CTLA-4 ECDポリペプチド―クローンD24、D3-07、D3-15、およびD3-16―の内の1つから構成されるIg融合タンパク質の統計学的解析は、n=1であるため実施しなかった。「SD(logIC50平均値)」という用語は、logIC50平均値の標準偏差を表す。
(表6)抗CD3抗体刺激を用いた例示的なPBMC増殖アッセイ法のデータの要約
表6に示す上付き文字は次のとおりである:1事後のダネット検定を伴う一元配置ANOVAによって測定した場合、Orenciaと統計学的に異なる(p<0.05)。2事後のボンフェローニ検定を伴う一元配置ANOVAによって測定した場合、LEAと統計学的に異なる(p<0.05)。D3-7変異CTLA-4 ECD、D3-15変異CTLA-4 ECD、D3-71変異CTLA-4 ECD、およびD24変異CTLA-4 ECDを含む融合タンパク質は一度だけ試し、したがって、統計学的比較は実施できなかった。注意:表6中の用語「NA」は、「入手不可」を意味する。
統計学的解析により、少なくとも2種の別々のアッセイ法で試験し、上付き文字(1)を付けて示す(表6を参照されたい)変異CTLA-4-Ig融合タンパク質はすべて、Orencia(登録商標)融合タンパク質およびhCTLA-4-IgG2融合タンパク質よりも効力が統計学的に優れている(p<0.05)(すなわち、インビトロPBMCアッセイ法においてT細胞増殖を抑制または阻害する能力が、Orencia(登録商標)融合タンパク質およびhCTLA-4-IgG2融合タンパク質よりも大きい)ことが明らかになった。上付き文字(2)を付けて示したもの(表6を参照されたい)もまた、上記に考察した事後のダネット検定およびボンフェローニ検定を伴う一元配置ANOVAによって測定した場合、LEA29Y-Ig融合タンパク質よりも効力が統計学的に優れていた(p<0.05)(すなわち、インビトロPBMCアッセイ法においてT細胞増殖を抑制または阻害する能力が、LEA29Y-Ig融合タンパク質よりも大きい)。(Orencia(登録商標)中のような)改変IgG1 Fcまたは(hCTLA4-IgG2中のような)野生型IgG2 Fcのいずれかを含むヒトCTLA-4融合タンパク質間で統計学的な差はなかった。この知見から、表6に示す、本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質(それぞれヒトIgG2 Fcを含む)とOrencia(登録商標)またはhCTLA4-IgG2のいずれかとの機能活性の差は、CTLA-4 ECD領域中で起こしたアミノ酸変化(すなわちアミノ酸置換)の直接的結果であったことが暗示される。本発明のこれらの変異CTLA-4-Ig融合タンパク質と例えばOrencia(登録商標)(改変IgG1 Fcを含む)との機能活性の差は、各自のIg Fcポリペプチド配列の差が原因ではなかった。
本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質がインビトロアッセイ法においてT細胞増殖を抑制または阻害する能力が、Orencia(登録商標)融合タンパク質、LEA29Y-Ig融合タンパク質、および/またはhCTLA-4-IgG2融合タンパク質と比べて増大していることを考慮すれば、このような変異タンパク質はまた、インビボにおける治療的方法および予防的方法において、Orencia(登録商標)融合タンパク質、LEA29Y-Ig融合タンパク質、および/またはhCTLA-4-IgG2融合タンパク質と比べて高い免疫抑制効力を提示するはずであると考えられている。本発明のこのような各変異CTLA-4-Ig融合タンパク質は、例えば、対象において免疫応答を抑制または阻害するための治療的方法および/もしくは予防的方法(例えば、例えばヒトのような哺乳動物の免疫系の疾患もしくは障害のインビボ治療)、レシピエントによる(例えば、哺乳動物、例えばヒトによる)、ドナーからの組織移植もしくは臓器移植の拒絶を抑制もしくは阻害するための方法、ならびに/または本明細書において別の場所で説明する他の治療方法もしくは診断的方法などにおいて、Orencia(登録商標)融合タンパク質、LEA29Y-Ig融合タンパク質、および/またはhCTLA-4-IgG2融合タンパク質と比べて、インビボの方法または用途においてT細胞増殖を抑制または阻害する能力が大きいと考えられている。
同じ統計学的解析を応用したが、本発明者らは、Orencia(登録商標)融合タンパク質(ヒトCTLA-4 ECD-変異IgG1を含む)とヒトCTLA-4-IgG2の間に統計学的差を見出さなかった。したがって、これらの分子のIgドメイン(すなわち、Orencia(登録商標)融合タンパク質の変異IgG1およびhCTLA-4-IgG2のヒトIgG2)の差は、これらの分子の機能性に影響を及ぼさなかったと考えられている。図11を参照されたい。Orencia(登録商標)融合タンパク質の用量増加に伴って観察される増殖阻害は、CTLA-4-IgG2の場合に観察されるものと有意に異ならなかったことから、それぞれの免疫抑制活性は、異なるIgGアイソタイプによってバイアスがかけられるのではなく、正しくはhCTLA-4 ECDポリペプチドに起因することが示唆された。したがって、本発明の変異CTLA-4-IgポリペプチドとOrencia(登録商標)融合タンパク質(またはLEA29Y-Ig(Orencia(登録商標)タンパク質と同じIgを含むため))の免疫抑制活性が異なる原因を、異なるIgGアイソタイプを含むそれぞれのFc領域に帰することはできない。
本発明は、T細胞の活性化または増殖を抑制または阻害する能力、場合によっては、単量体ヒトCTLA-4タンパク質またはその細胞外ドメインよりも大きな能力を有する単量体変異CTLA-4 ECDタンパク質を含む。また、T細胞の活性化または増殖を抑制または阻害する能力、場合によっては、単量体hCTLA-4 Ig融合タンパク質またはその細胞外ドメインよりも大きな能力を有する単量体変異CTLA-4 ECD融合タンパク質も提供される。また、T細胞の活性化または増殖を抑制または阻害する能力、場合によっては、2つのヒトCTLA-4の細胞外ドメインを含む二量体よりも大きな能力を有する変異CTLA-4 ECDタンパク質二量体も含まれる。本発明のいくつかの変異CTLA-4 ECD融合タンパク質二量体(例えば、変異CTLA-4-ECD-Ig融合タンパク質二量体)は、T細胞の活性化または増殖を抑制または阻害する能力、場合によっては、hCTLA-4-IgG2融合タンパク質二量体、Orencia(登録商標)融合タンパク質二量体、および/またはLEA29YIg融合タンパク質二量体よりも大きな能力を有する。
実施例6
ヒトCD4+T細胞増殖アッセイ法による、変異CTLA-4-Ig分子の生物活性の測定
ヒトCTLA-4-Igおよびその特定の変種は、CD28を介したCD80およびCD86のシグナル伝達を遮断することによってT細胞増殖を阻害することが示されている(Linsley P.S., Immunity 1:793-801 (1994); Larson C. P. et al., Am. J. Transplant. 5:443-453 (2005))。本発明の変異CTLA-4-Igタンパク質は、CD86-Igリガンドに対する結合アビディティが改善しているため、CD86を介したシグナル伝達を遮断する際の変異CTLA-4-Igタンパク質の活性を測定するために、CD4+T細胞増殖アッセイ法を開発した。
完全長ヒトCD86タンパク質をコードするDNA配列の作製
トランスフェクトされた細胞の表面で発現させるために、完全長ヒトCD86タンパク質をコードするプラスミドpCDNA3.1 hB7.2 FLを作製した。SEQ ID NO: 176に示すCD86をコードするヌクレオチド配列に対する配列相同性に基づいて設計したフォワードオリゴヌクレオチドプライマーおよびリバースオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、ヒト白血球(BD Biosciences、カタログ番号HL4050AH)に由来するcDNAをPCR増幅することによって、ヒトCD86をコードするDNAを作製した。これらのプライマーは、当業者には周知の標準技術を用いて設計し、作製し、組み立て、これらは必要に応じて停止コドンおよび開始コドンならびに制限部位を含んだ。使用したPCR増幅手順もまた、当技術分野において周知である。このような技術は、例えば、いずれも前記のBerger、Ausubel、およびSambrookの文献において説明されている。cDNA 50ナノグラム(ng)を、1μMのフォワードプライマーおよびリバースプライマー、Herculaseポリメラーゼ緩衝液(Stratagene;600260番)、ならびに200μM dNTPを用いた増幅サイクル(94℃で30秒;50℃で30秒;72℃で60秒)30回の100μl PCR反応において鋳型として使用した。QiaQuick PCR Spin Columns(Qiagen 28106番)によってPCR産物を精製し、制限酵素KpnIおよびNotIで消化した。断片をアガロースゲル電気泳動によって分離し、製造業者の推奨に従ってQiaquick Gel Extraction Kit(Qiagen、28704番)を用いて精製し、同様に消化したプラスミドpCDNA 3.1(+)(Invitrogen、カタログ番号V790-20)に連結した。製造業者の推奨に従って、連結物をTOP10大腸菌細胞(Qiagen、カタログ番号C4040-10)中にトランスフォームした。50μg/mlカルベニシリンを含むLB(Luria broth media)中で250rpm、37℃で一晩、形質転換細胞をインキュベートし、次いで、製造業者の推奨条件に従ってプラスミドDNAのmaxiprep(Qiagen;12362番)用ストック溶液を作製するために使用した。
完全長ヒトCD86タンパク質の予測されるアミノ酸配列をSEQ ID NO: 175に示す。この配列において、アミノ酸残基1〜23は予測されるシグナル配列を含み、アミノ酸残基24〜241はヒトCD86の細胞外ドメインを含み、アミノ酸残基242〜270は膜貫通ドメインを含み、アミノ酸残基271〜329は細胞質内ドメインを含む。
細胞表面でヒトCD86を発現する安定な細胞株の作製
10% FBS(Hycloneカタログ番号SV30014.03)および1×PSG(Invitrogen、カタログ番号10378-016)を添加した増殖培地(DMEM/F12培地(Invitrogen、カタログ番号10565-018)20mlを含むT-75フラスコにおいて80〜90%コンフルエントな状態になるまでHEK293細胞を増殖させた。製造業者の推奨条件に従って、Fugene 6(ROCHE、11814443001番)60μlと混合したプラスミドDNA(pCDNA3.1 hB7.2 FL)10μgを細胞にトランスフェクトした。細胞を37℃で2日(d)間、増殖培地中でインキュベートし、さらに、選択培地(300μg/ml Geneticin(Invitrogen、10131-027番)を含む増殖培地)中で、2日毎に培地を変更して37℃で10日間、インキュベートした。FACS選別を可能にするために、製造業者の推奨条件に従って、トランスフェクトされた細胞をFITC標識抗CD86抗体(BD Biosciences、555番)で染色した。FITCシグナルに対してゲートをかけた細胞選別機(Dako、MoFlo)を用いて、25%順化培地(トランスフェクトされていない(または未処理の)細胞培養物から前もって回収した増殖培地)を含む200μl/ウェルの増殖培地を含む96ウェル培養プレート(Sigma-Aldrich、CLS-3596番)中に個々にCD86陽性細胞を選別した。37℃で13〜19日間インキュベーションした後、トリプシン加水分解によって細胞を分散させ、0.5ml/ウェルの増殖培地を含む24ウェル培養プレートに移した。37℃で7日間インキュベーションした後、トリプシン加水分解によって細胞を分散させ、増殖培地20mlを含むT-75フラスコに移した。製造業者の推奨条件に従ってFACS Caliber (BD Biosciences)を用いて、FITC標識抗CD86抗体で染色された細胞をFACS解析することにより測定した際に細胞表面CD86発現が高レベルであることを基準として、最終の細胞株を選択した。
CD4+T細胞増殖アッセイ法
製造業者の推奨に従って、磁性細胞選別装置(RoboSep、StemCell Technologies、20000番)と共にEasySep Human CD4 Positive Selection Kit (StemCell Technologies、18052R番)を用いて、ヒトバフィコート調製物(Stanford University Blood Center, Stanford, CA)からCD4+T細胞を96%超まで濃縮した。濃縮したCD4+T細胞を、10%FBS(Hyclone SV30014.03)を添加したイセル(Yssel)培地(Gemini Bio-Products、400-102番)中で密度1×106細胞/mlに調整し、96ウェル組織培養プレートに50μl/ウェルで添加した。膜結合型ヒトCD86を発現するHEK293細胞を6000ラドで放射線照射し(Stanford Research Institute, Menlo Park, CA)、同じ培地中で1×106細胞/mlに調整し、培養プレートに50μl/ウェルで添加した。試験化合物を同じ培地で段階希釈し、3つ1組でウェルに添加した。マウス抗ヒトCD3抗体(BD Pharmingen: 555329)を最終濃度が5μg/mlになるまで添加することにより、細胞増殖を開始させた。37℃で3日間インキュベーションした後、3Hチミジン(GE Healthcare, TRK758-5MCI番)を1μCi/ウェルで添加し、37℃でさらに18時間、プレートをインキュベートした。製造業者の推奨条件に従って細胞回収装置(Perkin Elmer Filter Harvester D961962)を用いて細胞を回収し、3Hチミジンを液体シンチレーションカウンター(Wallac Trilux 1450)によって測定した。GraphPad Prism 5ソフトウェアにより、可変勾配式(Y=最小値+(最大値-最小値)/(1+10(LogIC50-X)(Hill勾配)))を用いて細胞増殖データを解析して、各試験化合物のIC50を得た。「(LogIC50-X)(Hill勾配)」という用語は、この式において指数である。
図7は、本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の例示的なセット、すなわち、D3-04-IgG2、D3-11-IgG2、D3-12-IgG2、およびD3-14-IgG2を用いた、代表的なCD4+T細胞増殖アッセイ法から得られた細胞増殖曲線を示す。比較用の対照としてOrencia(登録商標)融合タンパク質およびLEA29Y-Ig融合タンパク質を含めた。このグラフは、タンパク質濃度(nM)に対する3Hチミジン取り込み(cpm)のプロットである。3Hチミジン取り込みは、細胞増殖の程度を示し、標準技術によって測定される。これらの結果から、本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質が、インビトロでCD86同時刺激を阻害または抑制するにあたってOrencia(登録商標)融合タンパク質および/またはLEA29Y-Ig融合タンパク質よりも有意に高い効力または大きな能力を有することが実証される。
本発明の他のいくつかの変異CTLA-4-Ig融合タンパク質に対して、このCD4+T細胞増殖アッセイ法を実施した。表7は、本発明の例示的な変異CTLA-4-Ig融合タンパク質のセットに関するデータの要約を提供する。表7は、CD4+T細胞増殖アッセイ法を用いて、例示的な変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の平均IC50値(ナノモル濃度(nM))を参照対照(Orencia(登録商標)融合タンパク質、LEA29Y-Ig融合タンパク質、およびヒトCTLA-4-IgG2融合タンパク質)に対して比較した結果を提示する。個々の実験から得たIC50を平均して平均IC50値を求め、これを統計学的解析に使用した。「SD(logIC50平均値)」という用語は、logIC50平均値の標準偏差を表す。
(表7)例示的なCD4
+T細胞増殖アッセイ法から得られたデータの要約
表7に示す上付き文字は次のとおりである:1事後のダネット検定を伴う一元配置ANOVAによって測定した際、Orenciaと統計学的に異なる(p<0.05)。2事後のボンフェローニ検定を伴う一元配置ANOVAによって測定した場合、LEAと統計学的に異なる(p<0.05)。D3-02変異CTLA-4ECDを含む融合タンパク質は一度だけ試験し、したがって、統計学的比較は実施できなかった。
統計学的解析により、少なくとも2種の別々のアッセイ法で試験し、上付き文字(1)を付けて示す(表7を参照されたい)変異CTLA-4-Ig融合タンパク質はすべて、Orencia(登録商標)融合タンパク質およびhCTLA-4-IgG2融合タンパク質よりも効力が統計学的に優れている(p<0.05)(すなわち、インビトロCD4+T細胞アッセイ法においてT細胞増殖を抑制または阻害する能力が、Orencia(登録商標)融合タンパク質およびhCTLA-4-IgG2融合タンパク質よりも大きい)ことが明らかになった。上付き文字(2)を付けて示したもの(表7を参照されたい)もまた、上記に考察した事後のダネット検定およびボンフェローニ検定を伴う一元配置ANOVAによって測定した場合、LEA29Y-Ig融合タンパク質よりも効力が統計学的に優れていた(p<0.05)(すなわち、インビトロCD4+T細胞アッセイ法においてT細胞増殖を抑制または阻害する能力が、LEA29Y-Ig融合タンパク質よりも大きい)。(Orencia(登録商標)中のような)改変IgG1 Fcまたは(hCTLA4-IgG2中のような)野生型IgG2 Fcのいずれかを含むヒトCTLA-4融合タンパク質間で統計学的な差はなかった。この知見から、表7に示す、本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質(それぞれヒトIgG2 Fcを含む)とOrencia(登録商標)またはhCTLA4-IgG2のいずれかとの機能活性の差は、CTLA-4 ECD領域中で起こしたアミノ酸変化(すなわちアミノ酸置換)の直接的結果であったことが暗示される。本発明のこれらの変異CTLA-4-Ig融合タンパク質と例えばOrencia(登録商標)(改変IgG1 Fcを含む)との機能活性の差は、各自のIg Fcポリペプチド配列の差が原因ではなかった。
本発明の変異CTLA-4-Igタンパク質がインビトロアッセイ法においてT細胞(例えばヒトT細胞)のCD86を介した同時刺激を抑制または阻害する能力が、Orencia(登録商標)融合タンパク質、LEA29Y-Ig融合タンパク質、および/またはhCTLA-4-IgG2融合タンパク質と比べて増大していることを考慮すれば、このような変異タンパク質はまた、インビボにおける治療的および/または予防的な方法または用途において、それぞれOrencia(登録商標)融合タンパク質、LEA29Y-Ig融合タンパク質、および/またはヒトCTLA-4-Ig融合タンパク質(例えば、ヒトCTLA-4-IgG2(「hCTLA-4-IgG2」))と比べて高い免疫抑制効力を提示するはずであると考えられている。1つの局面において、本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質は、例えば、対象において免疫応答を抑制もしくは阻害するための治療的方法および/もしくは予防的方法(例えば、例として哺乳動物、例えばヒトの免疫系の疾患もしくは障害のインビボ治療)、レシピエントによる(例えば、哺乳動物、例えばヒトによる)、ドナーからの組織移植もしくは臓器移植の拒絶を抑制もしくは阻害するための方法、ならびに/または本明細書において別の場所で説明する他の治療方法もしくは診断的方法などにおいて、それぞれ、Orencia(登録商標)融合タンパク質、LEA29Y-Ig融合タンパク質、および/またはヒトCTLA-4-Ig(例えばhCTLA-4-IgG2)融合タンパク質と比べて、インビボの方法または用途においてT細胞(例えばヒトT細胞)のCD86を介した同時刺激を抑制または阻害する能力が大きいと考えられている。
実施例7
ヒトPBMC増殖アッセイ法(リコール抗原刺激)による、変異CTLA-4-Ig分子の生物活性の測定
記憶T細胞の活性化は、自己免疫の重要な局面である(Rogers N.J., et al. Eur. J. Immunol 35:2909-2919 (2005))。この点に関して変異CTLA-4-Igタンパク質の免疫抑制活性を測定するために、PPD抗原刺激を用いた末梢血単核細胞(PBMC)増殖アッセイ法を開発した。
ヒト血液(ドナープログラムから新しく採取)を等体積のPBSで希釈し、製造業者の推奨条件に従ってHistopaque(Sigma、10771番)Ficoll勾配を用いて分画してPBMCを単離した。10%FBS(Hyclone SV30014.03番)および1×PSG(penicillin, streptomycin and glutamine)(Invitrogen、10378-016番)を添加したRPMI培地(Sigma、R8758番)中でPBMCを希釈し、1×105細胞/ウェルの濃度で96ウェル培養プレート(BD Biosciences、353077番)に添加した。試験化合物を同じ培地で段階希釈し、4つ1組でウェルに添加した。PPD抗原(結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に由来する精製したタンパク質、Mycos、P-1000-001番)を最終濃度が5μg/mlになるまで添加することにより、細胞増殖を開始させた。37℃で5日間インキュベーションした後、3Hチミジン(GE Healthcare, TRK758-5MCI番)を1μCi/ウェルで添加し、37℃でさらに18時間、プレートをインキュベートした。製造業者の推奨条件で細胞回収装置(FilterMate Omnifilter-96 Harvester, Perkin Elmer)を用いて細胞を回収し、3Hチミジン取り込みをシンチレーションカウンター(Wallac Trilux、1450-421番)によって測定した。細胞増殖データを、GraphPad Prism 5ソフトウェアにより、非線形回帰曲線フィットモデル(S字形用量応答、可変勾配)および最小二乗フィット法を用いて解析した。IC50(または「IC50」)パラメータおよびそれらに伴う95% 信頼区間を報告する。
図8は、本発明の例示的な変異CTLA-4-Ig融合タンパク質のセット、すなわち、D3-IgG2融合タンパク質、D3-12-IgG2融合タンパク質、D3-17-IgG2融合タンパク質、およびD3-29-IgG2融合タンパク質を用いた、代表的なPBMC増殖アッセイ法から得られた細胞増殖曲線を示す。比較用の対照としてOrencia(登録商標)融合タンパク質およびLEA29Y-Ig融合タンパク質を含めた。このグラフは、タンパク質濃度(nM)に対する3Hチミジン取り込み(cpm)のプロットである。3Hチミジン取り込みは、細胞増殖の程度を示し、標準技術によって測定される。これらの結果から、1つの局面において、本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質が、インビトロで記憶T細胞増殖を阻害または抑制するにあたってOrencia(登録商標)タンパク質および/またはLEA29Y-Igタンパク質よりも有意に高い効力を有することが実証される(例えば、変異CTLA-4-Igタンパク質の方が、ヒトPBMC増殖アッセイ法(リコール抗原刺激)においてインビトロで記憶T細胞増殖を阻害または抑制するにあたってOrencia(登録商標)タンパク質および/またはLEA29Y-Igタンパク質よりも大きな能力を有する)。
本発明の他のいくつかの変異CTLA-4-Ig融合タンパク質に対して、PPD抗原刺激を用いたこのPBMC増殖アッセイ法を実施した。表8は、本発明の例示的な変異CTLA-4-Ig融合タンパク質のセットに関するデータの要約を提供する。表8は、リコール抗原刺激を用いたPBMC増殖アッセイ法を用いて、例示的な変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の平均IC50値(ナノモル濃度(nM))を参照対照(Orencia(登録商標)融合タンパク質およびLEA29Y-Ig融合タンパク質)に対して比較した結果を提示する。個々の実験から得たIC50値を平均して平均IC50値を求め、これを統計学的解析に使用した。「SD(logIC50平均値)」という用語は、logIC50平均値の標準偏差を表す。
(表8)PPD抗原刺激を用いた例示的なPBMC増殖アッセイ法のデータの要約
注意:表8中の用語「NA」は、「入手不可」を意味する。
統計学的解析により、前記に考察したそれぞれ事後のダネット検定およびボンフェローニ検定を伴う一元配置ANOVAによって測定した場合、試験した変異CTLA-4-Ig融合タンパク質はすべて、Orencia(登録商標)融合タンパク質およびLEA29Y-Ig融合タンパク質の両方よりも効力が統計学的に優れている(p<0.05)(例えば、変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の方が、ヒトPBMC増殖アッセイ法(リコール抗原刺激)においてインビトロで記憶T細胞増殖を阻害または抑制するにあたってOrencia(登録商標)融合タンパク質および/またはLEA29Y-Ig融合タンパク質よりも大きな能力を有する)ことが明らかになった。
本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質がインビトロアッセイ法において記憶T細胞(例えばヒト記憶T細胞)の増殖を抑制または阻害する能力が、Orencia(登録商標)融合タンパク質および/またはLEA29Y-Ig融合タンパク質と比べて増大していることを考慮すれば、このような変異タンパク質はまた、インビボにおける治療的および/または予防的な方法または用途において、Orencia(登録商標)融合タンパク質、LEA29Y-Ig融合タンパク質、および/またはヒトCTLA-4-Ig(例えば、ヒトCTLA-4-IgG2)融合タンパク質と比べて高い免疫抑制効力を提示するはずであると考えられている。1つの局面において、本発明の変異CTLA-4-Igタンパク質は、例えば、対象において免疫応答を抑制または阻害するための治療的方法および/もしくは予防的方法(例えば、例えば哺乳動物、例えばヒトの免疫系の疾患もしくは障害のインビボ治療)、レシピエントによる(例えば、哺乳動物、例えばヒトによる)、ドナーからの組織移植もしくは臓器移植の拒絶を抑制もしくは阻害するための方法、ならびに/または本明細書において別の場所で説明する他の治療方法もしくは診断的方法などにおいて、Orencia(登録商標)融合タンパク質、LEA29Y-Ig融合タンパク質、および/またはヒトCTLA-4-Ig(例えばヒトCTLA-4-IgG2)融合タンパク質と比べて、インビボの方法または用途において記憶T細胞(例えばヒト記憶T細胞)の増殖を抑制または阻害する能力が大きいと考えられている。
実施例8
ヒトMLR(混合リンパ球反応(Mixed Lymphocyte Reaction))アッセイ法を用いた、変異CTLA-4-Ig分子の生物活性の測定
CTLA-4-Igおよびその変種は、インビトロにおいて一次アロ応答(alloresponse)の強力な阻害物質である(Vaughan, A. N. et al., J. Immunol. 165:3175-3181 (2000); Wallace P. M., et al., Transplantation 58:602-610 (1994))。このようなアッセイ法において変異CTLA-4-Igタンパク質の改善した活性を測定するために、ヒト混合リンパ球反応(MLR)細胞増殖アッセイ法を開発した。
ヒト血液(ヒトドナープログラムから新しく採取)を等体積のPBSで希釈し、製造業者の推奨条件に従ってHistopaque(Sigma、10771番)Ficoll勾配を用いて分画してPBMCを単離した。10%FBS(Hyclone SV30014.03番)および1×PSG(Invitrogen、10378-016番)を添加したRPMI培地(Sigma、R8758番)中で、1名のドナーに由来するPBMCを希釈し、1×105細胞/ウェルの濃度で96ウェル培養プレート(BD Biosciences、353077番)に添加した。別のドナーに由来するPBMCを2500ラドで放射線照射し、同じ培地中で希釈し、同じプレートに1×105細胞/mlの密度で添加した。試験化合物を同じ培地で段階希釈し、4つ1組でウェルに添加した。37℃で5日間インキュベーションした後、3Hチミジン(GE Healthcare、TRK758-5MCI番)を1μCi/ウェルで添加し、37℃でさらに18時間、プレートをインキュベートした。製造業者の推奨条件で細胞回収装置(FilterMate Omnifilter-96 Harvester, Perkin Elmer)を用いて細胞を回収し、3Hチミジン取り込みをシンチレーションカウンター(Wallac Trilux、1450-421番)によって測定した。細胞増殖データを、GraphPad Prism 5ソフトウェアにより、非線形回帰曲線フィットモデル(S字形用量応答、可変勾配)および最小二乗フィット法を用いて解析した。IC50パラメータおよびそれらに伴う95%信頼区間を報告する。
図9は、本発明の例示的な変異CTLA-4-Ig融合タンパク質D3-IgG2を用いた代表的なMLR増殖アッセイ法から得られた細胞増殖曲線を示す。比較用の対照としてOrencia(登録商標)融合タンパク質およびLEA29Y-Ig融合タンパク質を含めた。このグラフは、タンパク質濃度(nM)に対する3Hチミジン取り込み(cpm)のプロットである。3Hチミジン取り込みは、細胞増殖の程度を示し、標準技術によって測定される。これらの結果から、D3-IgG2が、インビトロでT細胞の一次アロ刺激を阻害または抑制するにあたってOrencia(登録商標)融合タンパク質および/またはLEA29Y-Ig融合タンパク質よりも有意に高い効力を有することが実証される(例えば、D3-IgG2の方が、インビトロMLRアッセイ法においてT細胞増殖の一次アロ刺激を抑制または阻害するにあたってOrencia(登録商標)融合タンパク質またはLEA29Y-Ig融合タンパク質よりも大きな能力を有する)。
本発明の他のいくつかの変異CTLA-4-Ig融合タンパク質に対して、このMLRアッセイ法を実施した。表9は、本発明の例示的な変異CTLA-4-Ig融合タンパク質のセットに関するデータの要約を提供する。表9は、MLRアッセイ法において、例示的な変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の平均IC50値(ナノモル濃度(nM))を参照対照(Orencia(登録商標)融合タンパク質およびLEA29Y-Ig融合タンパク質)に対して比較した結果を提示する。2回の別々の実験から得たIC50値を平均して平均IC50値を求めた。「SD(logIC50平均値)」という用語は、logIC50平均値の標準偏差を表す。表9に示す変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の平均IC50値は、Orencia(登録商標)融合タンパク質およびLEA29Y-Ig融合タンパク質のそれぞれの平均IC50値より低かった。
1つの局面において、本発明は、Orencia(登録商標)融合タンパク質および/またはLEA29Y-Ig融合タンパク質よりも効力が優れていると考えられている変異CTLA-4-Ig融合タンパク質を提供する(例えば、変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の方が、インビトロMLRアッセイ法においてT細胞増殖の一次アロ刺激を抑制または阻害する能力がOrencia(登録商標)融合タンパク質および/またはLEA29Y-Ig融合タンパク質よりも大きいと考えられている)。
本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質がインビトロアッセイ法においてT細胞(例えばヒトT細胞)の一次アロ刺激を抑制または阻害する能力が、Orencia(登録商標)融合タンパク質および/またはLEA29Y-Ig融合タンパク質と比べて増強されていると予想されることに基づき、このような変異タンパク質はまた、インビボにおける治療的および予防的な方法または用途において、Orencia(登録商標)融合タンパク質および/またはLEA29Y-Ig融合タンパク質と比べて高い免疫抑制効力を提示するはずであると考えられている。
1つの局面において、本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質は、インビトロでT細胞の一次アロ刺激を阻害または抑制するにあたってOrencia(登録商標)融合タンパク質、LEA29Y-Ig融合タンパク質、および/またはヒトCTLA-4-Ig(例えば、ヒトCTLA-4-IgG2)融合タンパク質よりも有意に高い効力を有する(例えば、変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の方が、インビトロMLRアッセイ法においてT細胞増殖の一次アロ刺激を抑制または阻害する能力が、Orencia(登録商標)融合タンパク質、LEA29Y-Ig融合タンパク質、および/またはヒトCTLA-4-Ig融合タンパク質よりも大きい)。1つの局面において、本発明の変異CTLA-4-Igは、例えば、対象において免疫応答を抑制もしくは阻害する治療的方法および/もしくは予防的方法(例えば、例えばヒトのような哺乳動物の免疫系の疾患もしくは障害のインビボ治療)、レシピエントによる(例えば、哺乳動物、例えばヒトによる)、ドナーからの組織移植もしくは臓器移植の拒絶を抑制もしくは阻害する方法、ならびに/または本明細書において別の場所で説明する他の治療方法もしくは診断的方法などにおいて、Orencia(登録商標)融合タンパク質、LEA29Y-Ig融合タンパク質、および/またはヒトCTLA-4-Ig融合タンパク質と比べて、インビボの方法または用途においてT細胞(例えばヒトT細胞)の一次アロ刺激を抑制または阻害する能力が大きいと考えられている。
(表9)例示的なMLRアッセイ法から得られたデータの要約
注意:表9中の用語「NA」は、「入手不可」を意味する。
実施例9
関節リウマチに罹患しているヒト成人患者は、以下のようにして可溶性変異CTLA-4-Ig融合タンパク質で治療することができる。本発明の可溶性変異CTLA-4-Ig融合タンパク質および薬学的に許容される賦形剤または担体(例えばPBS)を含む薬学的組成物を調製する。例示的な可溶性変異CTLA-4-Ig融合タンパク質は、1つまたは複数のジスルフィド結合によって一つに結合されている2つの同一な単量体変異CTLA-4-Ig融合タンパク質を含み、このような各単量体融合タンパク質は、ヒトIgG2 FcポリペプチドのN末端にそのC末端が融合されている、SEQ ID NO: 1〜73のいずれかより選択されるポリペプチド配列を含む本発明の変異CTLA-4 ECDポリペプチドを含む。例示的な融合タンパク質には、SEQ ID NO: 74〜79、197〜200、205〜214、および219〜222のいずれかに示すポリペプチド配列を含むものが含まれる。このような融合タンパク質は、典型的には二量体型で発現される。薬学的組成物中の融合タンパク質の濃度は、約0.05mg/ml〜約200mg/ml、約1mg/ml〜約150mg/ml、約25mg/ml〜約120mg/ml、約1mg/ml〜約100mg/ml、約25mg/ml〜約100mg/ml、約50mg/ml〜約100mg/ml、約50mg/ml〜約75mg/ml、および約100mg/ml〜約150mg/mlなどの範囲でよい。例えば、薬学的組成物中の融合タンパク質濃度は、約1mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、25mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、50mg/ml、60mg/ml、70mg/ml、80mg/ml、90mg/ml、100mg/ml、150mg/ml、または200mg/mlでよい。このような薬学的組成物のpHは、約pH4〜約pH10であり、約pH5〜約pH9、約pH6.5〜約pH8.5、好ましくは約pH6.0〜pH8.0、約6.5〜pH7.5、または約pH7.0〜約pH8.0を含む。
患者の関節リウマチの治療は、治療的有効量(例えば有効用量)の変異CTLA-4-Igを静脈注射または皮下注射によって患者に投与することによって実施する。注射部位は、例えば、患者の腕、胴、または脚でよい。投与する変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の有効用量は典型的には、限定されるわけではないが、例えば、約0.01mg/kg体重〜約100mg/kg体重(ヒト成人患者)であり、例えば、約0.01〜5.0mg/kg体重、約0.01〜3.0mg/kg体重、約0.05〜2.5mg/kg体重、約0.1〜2.0mg/kg体重、約0.1〜1.0mg/kg体重、約0.01〜0.05mg/kg体重、約0.5〜1.5mg/kg体重、約1.0〜4.0mg/kg体重、約1.0〜3.0mg/kg体重、約1.0〜2.0mg/kg体重(限定されるわけではないが、約0.01mg/kg体重、0.05mg/kg体重、0.075mg/kg体重、0.1mg/kg体重、0.15mg/kg体重、0.2mg/kg体重、0.25mg/kg体重、0.3mg/kg体重、0.5mg/kg体重、0.75mg/kg体重、1mg/kg体重、1.25mg/ml体重、1.5mg/kg体重、2mg/kg体重、2.5mg/kg体重、3mg/kg体重、4mg/kg体重、5mg/kg体重、10mg/kg体重、20mg/kg体重、25mg/kg体重、50mg/kg体重、75mg/kg体重、または100mg/kg体重(患者)を含む)が患者に投与される。あるいは、上記の「本発明の方法」のセクションで説明した有効量または用量もしくは用量範囲を使用してもよい。投与する融合タンパク質の用量は、融合タンパク質の効力および/または関節リウマチの患者の症状もしくは徴候の重症度に基づいて決定する。患者に投与する変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の総量は、例えば、約0.01mg〜約100mg、典型的には約1mg〜100mg、約10mg〜100mg、約10mg〜約75mg、または約10〜約50mgでよい。患者に投与する薬学的組成物の体積は、組成物中の融合タンパク質の濃度および投与する融合タンパク質の用量に基づいて決定する。皮下注射の場合、典型的には、融合タンパク質を含む薬学的組成物1〜2ミリリットルを1回の注射毎に投与する。静脈注射の場合、融合タンパク質を含む薬学的組成物を適切な体積だけ投与してよい。
初回量を注射した後、例えば初回投与後1週、2週、3週、または4週目に、患者の皮下(例えば皮下注射)または静脈(例えば静脈注射)に2回目の同一量の融合タンパク質を投与してよい。投薬スケジュールは、例えば、患者の状態に応じて、2週間毎に1回投与、1回投与/月、2ヶ月毎に1回投与などでよい。その後の用量は、必要に応じて4週間毎またはそれより多い頻度もしくは少ない頻度で投与してよい。投薬頻度は、患者の状態に応じて変わってよく、関節リウマチの患者の症状または徴候の重症度に依存し得る。
例示的な局面において、約0.5mg/kg体重の用量の融合タンパク質二量体を提供するのに十分な量の、本発明の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質二量体(例えば、D3-29-IgG2、D3-54-IgG2、D3-56-IgG2、D3-69-IgG2など)および薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物は、患者の状態および薬物応答に応じて、必要に応じて週に1回または月に1回、関節リウマチに罹患しているヒトに皮下注射によって投与する。
別の例示的な局面において、約10mg/kgの用量の融合タンパク質二量体を提供するのに十分な量の、本発明のCTLA-4-Ig融合タンパク質二量体(例えば、D3-29-IgG2、D3-54-IgG2、D3-56-IgG2、D3-69-IgG2など)および薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物は、患者の状態および薬物応答に応じて、必要に応じて週に1回または月に1回、関節リウマチに罹患しているヒトに静脈内投与する。このような投与には標準的な静注手順を使用することができる。例えば、薬学的組成物は、標準的な静脈アクセス装置による標準的持続的静脈内点滴を用いて、滅菌済み生理食塩水、デキストロース溶液、または他の等張性溶液など別の液体と共にヒトに注入することができる。
皮下注射または静脈注射による前述の各治療方法は、関節リウマチに付随する1種または複数種の徴候、症状、または生物学的応答、例えば、患者における炎症、関節圧痛、関節腫脹、疼痛、組織萎縮、およびこわばりを軽減または緩和すると予想される。このような治療は、患者、特に結合組織、筋肉組織、および骨格組織において疾患がそれ以上進行するのを抑えることができる。例えば、このような治療は、患者の結合組織、萎縮筋肉組織、骨、関節、軟骨、および/または脊柱などへの損傷またはそれらの変質が進行するのを抑えることができる。また、皮膚、中枢神経系、または器官に引き起こされる損傷を含む、疾患のその他の臨床症状も、減少させるかまたは緩和することができる。このような治療はまた、患者の身体機能も改善させ得る。
実施例10
臓器移植拒絶を予防するための維持療法を受けているヒト成人患者を以下のように可溶性変異CTLA-4-Ig融合タンパク質で治療することができる。本発明の可溶性変異CTLA-4-Ig融合タンパク質および薬学的に許容される賦形剤または担体(例えばPBSなど)を含む薬学的組成物を調製する。例示的な可溶性変異CTLA-4-Ig融合タンパク質は、1つまたは複数のジスルフィド結合によって一つに結合されている2つの同一な単量体変異CTLA-4-Ig融合タンパク質を含み、このような各単量体融合タンパク質は、ヒトIgG2 FcポリペプチドのN末端にそのC末端が融合されている、SEQ ID NO: 1〜73のいずれかより選択されるポリペプチド配列を含む本発明の変異CTLA-4 ECDポリペプチドを含む。例示的な融合タンパク質には、SEQ ID NO: 74〜79、197〜200、205〜214、および219〜222のいずれかに示すポリペプチド配列を含むものが含まれる。薬学的組成物中の融合タンパク質の濃度は、約0.05mg/ml〜約200mg/ml、約1mg/ml〜約150mg/ml、約25mg/ml〜約120mg/ml、約1mg/ml〜約100mg/ml、約25mg/ml〜約100mg/ml、約50mg/ml〜約100mg/ml、約50mg/ml〜約75mg/ml、および約100mg/ml〜約150mg/mlなどの範囲でよい。例えば、薬学的組成物中の融合タンパク質濃度は、約1mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、25mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、50mg/ml、60mg/ml、70mg/ml、80mg/ml、90mg/ml、100mg/ml、150mg/ml、または200mg/mlでよい。このような薬学的組成物のpHは、約pH4〜約pH10であり、約pH5〜約pH9、約pH6.5〜約pH8.5、約pH6.0〜pH8.0、約6.5〜pH7.5、または約pH7.0〜約pH8.0を含む。
臓器移植拒絶を予防または抑制するための維持療法は、臓器移植(例えば腎臓移植)を受けた患者に治療的有効量(例えば有効用量)の変異CTLA-4-Igを静脈注射または皮下注射によって投与することによって実施する。注射部位は、例えば、患者の腕、胴、または脚でよい。投与する変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の有効用量は典型的には、限定されるわけではないが、例えば、約0.01mg/kg体重〜約100mg/kg体重(ヒト成人患者)であり、例えば、約0.01〜5.0mg/kg体重、約0.01〜3.0mg/kg体重、約0.05〜2.5mg/kg体重、約0.1〜2.0mg/kg体重、約0.1〜1.0mg/kg体重、約0.01〜0.05mg/kg体重、約0.5〜1.5mg/kg体重、約1.0〜4.0mg/kg体重、約1.0〜3.0mg/kg体重、約1.0〜2.0mg/kg体重(限定されるわけではないが、約0.01mg/kg体重、0.05mg/kg体重、0.075mg/kg体重、0.1mg/kg体重、0.15mg/kg体重、0.2mg/kg体重、0.25mg/kg体重、0.3mg/kg体重、0.5mg/kg体重、0.75mg/kg体重、1mg/kg体重、1.25mg/ml体重、1.5mg/kg体重、2mg/kg体重、2.5mg/kg体重、3mg/kg体重、4mg/kg体重、5mg/kg体重、10mg/kg体重、20mg/kg体重、25mg/kg体重、50mg/kg体重、75mg/kg体重、または100mg/kg体重(患者)を含む)が患者に投与される。あるいは、上記の「本発明の方法」のセクションで説明した有効量または用量もしくは用量範囲を使用してもよい。投与する融合タンパク質の用量は、融合タンパク質の効力および/または患者の臓器移植拒絶の症状もしくは徴候の重症度に基づいて決定する。患者に投与する変異CTLA-4-Ig融合タンパク質の総量は、例えば、約0.01mg〜約100mg、典型的には約1mg〜100mg、約10mg〜100mg、約10mg〜約75mg、または約10〜約50mgでよい。患者に投与する薬学的組成物の体積は、組成物中の融合タンパク質の濃度および投与する融合タンパク質の用量に基づいて決定する。融合タンパク質は、移植後の任意の日、例えば、移植後1日目、4日目、7日目、14日目、28日目、56日目、84日目などに投与することができる。皮下注射の場合、典型的には、薬学的組成物1〜2ミリリットルを投与する。静脈注射の場合、融合タンパク質を含む薬学的組成物を適切な体積だけ投与してよい。
初回量を注射した後、初回投与後1週、2週、3週、または4週目に、患者の皮下または静脈内に2回目の同一量の融合タンパク質を投与してよい。投薬スケジュールは、例えば、患者の状態に応じて、2週間毎に1回投与、1回投与/月、2ヶ月毎に1回投与などでよい。その後の用量は、必要に応じて4週間毎またはそれより多い頻度もしくは少ない頻度で投与してよく、所望の場合は、月単位で継続してよい。投薬頻度は、患者の状態に応じて変わってよく、患者の臓器移植拒絶の症状または徴候の重症度に依存し得る。
このような治療は、臓器移植拒絶に付随する1種または複数種の徴候、症状、または生物学的応答、例えば、移植臓器の急性拒絶、移植臓器の慢性拒絶、移植臓器の機能の低下、患者の血清クレアチニンレベルの上昇、および/または移植臓器中へのT細胞の浸潤の増加を軽減または緩和すると予想される。このような治療は、患者の免疫系が移植臓器を拒絶する可能性を減少させ得る。
実施例11
ラットにおける変異CTLA-4-IgG2融合タンパク質の薬物動態学的評価
生物に外用投与した後の治療物質の血清濃度は、治療的有効性に大きく影響し、薬物動態学的(PK)評価によって測定される。下記の手順において、変異CTLA-4-IgG2試験物質D3-29-IgG2、D3-54-IgG2、D3-56-IgG2、D3-69-IgG2、およびD3-75-IgG2のPKプロファイルを、hCTLA-4-IgG2融合タンパク質試験物質およびOrencia(登録商標)融合タンパク質試験物質の両方と比較してラットにおいて評価した。試験デザインならびにデータ作成および解釈は、直ちに説明する。
インライフ(in life)試験デザイン
体重をマッチさせた雄のハンスウィスター(Hans Wistar)ラットを、少なくとも5日間の順化期間の後に使用した。ラットすべてが1mg/kgの試験物質を与えられるように、個々の動物に対して体重に基づいて試験物質投薬量を計算した。したがって、試験物質はすべて1mg/mlのPBS溶液として調製したため、典型的な150グラム(g)のラットには、150μlの投薬量が与えられた。前述の変異CTLA-4-IgG2試験物質、hCTLA-4IgG2融合タンパク質、またはOrencia(登録商標)融合タンパク質の単回投与を、静脈内(i.v.もしくはIV)ボーラスとして、または皮下(「s.c.」または「SC」と略する)経路によって行った。試験規模は、任意の所与のラットから取り出される血液体積を全血液体積の10%以下に制限しつつ、一時点当たり300μlの血液試料採取を4回行う最少量には充分であった。血液試料採取の時間経過は、投与前、投与後5分(min)、30分、2時間(h)、4h、8h、1日(d)、2d、3d、4d、6d、8d、10d、12d、および14d、または静脈投与および皮下投与それぞれに関して投与後5分、30分、2h、4h、8h、1d、2d、3d、4d、6d、8d、10d、11d、12d、13d、14d、および15dであった。個々の血液試料から血清を調製し、ELISAによって試験して、投与された試験物質の存在を定量した。
PK ELISA法
血清試料中に存在する変異CTLA-4-IgG2融合タンパク質、hCTLA-4IgG2融合タンパク質、またはOrencia(登録商標)融合タンパク質を、マイクロタイタープレート上に予めコーティングしたヒトCD80-マウスIgG(前述)に結合させた。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を結合したヤギ抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch 109-035-098番)を添加することによって、検出を実行した。発色性HRP基質、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)、および過酸化水素(Kem-En-Tec 4390A番)を用いて定量を行った。その際、0.2N硫酸(H2SO4)を添加して反応を停止し、分光光度計によって450nmでの光学的吸光度を測定した。ELISAプレートに添加する前に血清試料を1/20に前もって希釈し、マトリックスを5%ラット血清に標準化し(matrix was normalized)、5%ラット血清中でさらに希釈して、合計8個の希釈物を作製した。希釈した各血清試料の濃度を、5%ラット血清に添加した同じ試験物質の滴定を用いて準備した検量線によって定量した。検量線は、10〜0.078ng/mlの範囲であり、精度範囲は、バックグラウンドの2倍から5%ラット血清中5ng/mlであると決定された。検量線の品質は、検量線精度範囲の高濃度、中程度の濃度、および低濃度における、5%ラット血清中で調製した同じ試験物質の品質管理(QC)によって評価した。QC受入れ基準は、観察されたQC濃度が、予想されるQC濃度から20%以内であるというものであった。検量線の精度範囲内の光学濃度(OD)を有する希釈物に割り当てられた濃度を平均することによって、個々の未知の血清試料の濃度を求めた。少なくとも4個の個別の血清試料を用いて、予定の各時点における平均血清濃度を計算した。
PKパラメータ
図15Aおよび15Bは、1回の(A)静脈内(IV)ボーラスまたは(B)皮下(SC)注射として1mg/kgでラットに投与したOrencia(登録商標)融合タンパク質、hCTLA-4-IgG2融合タンパク質、および変異CTLA-4-IgG2融合タンパク質のPKプロファイルを示す。誤差棒は、平均値の標準偏差(SD)を表す。点線は、ELISAの定量の下限値を示す(試験物質の場合、100%血清中約3ng/ml)。図15において、時点0hの試験物質投与後の予定の各時点における平均血清濃度は、片対数濃度-時間プロファイルのデータポイントを含む。
これらの平均血清濃度を用い、i.v.(IV)投薬経路またはs.c.(SC)投薬経路に対してそれぞれWinNonLinモデル201(静脈ボーラス投入)またはモデル200(血管外投入)を使用して、PKパラメータを求めた。表10は、s.c.投与経路およびi.v.投与経路の重要なPKパラメータをそれぞれ要約する。
(表10)1回のI.V.ボーラスまたはS.C.ボーラスとしてラットに1mg/kgで投与した、Orencia(登録商標)融合タンパク質、hCTLA-4-IgG2融合タンパク質、および変異CTLA-4-IgG2融合タンパク質のPKパラメータの要約
Cmaxとは、試験物質の最大血清濃度を意味する。終末半減期値(T1/2)は、濃度-時間プロファイルの終末相の間に血清中の試験物質の濃度が半分に低下するのにかかる時間(単位:時間)である。時間0から無限大までの血清濃度-時間曲線下面積(AUC)は、台形公式を用いて定量する。式(用量/AUC)を用いてクリアランス(Cl)を計算し、式(Cl/k)を用いて終末相の分布容積(Vz)を計算した。
各化合物の生物学的利用能因子(F)を表11に示す。この値は、皮下経路によるAUC/静脈内経路によるAUCを計算することによって決定した。
(表11)Orencia(登録商標)融合タンパク質、hCTLA-4-Ig2融合タンパク質、D3-29-IgG2融合タンパク質、D3-54-IgG2融合タンパク質、D3-56-IgG2融合タンパク質、D3-69-IgG2融合タンパク質、およびD3-75-IgG2融合タンパク質の生物学的利用能の比較
ヒトCTLA-4IgG2融合タンパク質およびOrencia(登録商標)融合タンパク質は、IgGフレームワークが異なるにも関わらず、同様のPKプロファイルを示したことから、これらの各試験物質のヒトIgG2 Fc部分および変異ヒトIgG1 Fc部分は、機能ドメインが不変である場合、同等のPK活性を有することが暗示される。したがって、推測により、Orencia(登録商標)融合タンパク質と比べて認められる変異CTLA-4-IgG2融合タンパク質のPKプロファイルの任意の変化は、機能ドメインの差に帰すことができ、Fc部分には帰すことができないはずである。
長い半減期値および広い曲線下面積によって示唆されたとおり、各変異CTLA-4-IgG2融合タンパク質の消失は遅かった。半減期は、SC投薬の場合は11.2〜56.4hrの範囲、IV投薬の場合15.3〜83.0時間(h)の範囲であり、比較したOrencia(登録商標)融合タンパク質の半減期はSC経路またはIV経路によって投与した場合、それぞれ70.0時間または42.3時間であった。変異CTLA-4-IgG2融合タンパク質のAUC値は概してOrencia(登録商標)融合タンパク質より優れていた。SC投薬後の平均値は、SC投薬したOrencia(登録商標)融合タンパク質の391h*kg*ng/L/mgに対して879.5+/-281.6h*kg*ng/L/mgであり、一方、IV投与による平均AUCは、IV投与したOrencia(登録商標)融合タンパク質の728h*kg*ng/L/mgに対して1645.5+/-641.1h*kg*ng/L/mgであった。
平均値44.8ml/kgは、参照血漿量30ml/kgを上回り、かつ、標準的ラットの参照細胞外液限度300ml/kgの範囲内であることから示唆されるように、変異CTLA-4-IgG2融合タンパク質は、血清の外側であるが、血管外液の内側に分布されているという点で、両方の投与経路による分布体積は同様であった(Davies, B. et al., Pharm. Res. 10(7):1093-95 (1993))。
生物学的利用能もまた、大多数の変異CTLA-4-IgG2融合タンパク質において類似し、平均は0.6+/-0.1であり、Orencia(登録商標)融合タンパク質の生物学的利用能0.53と比べて有利であった。
最後に、Cmaxは、Orencia(登録商標)融合タンパク質と比べて、変異CTLA-4-IgG2融合タンパク質の方が一般に高かった。Cmax値は、SC投薬の場合は4.5〜9.3ug/Lの範囲、IV投薬の場合20.6〜81.9ug/Lの範囲であり、比較したOrencia(登録商標)融合タンパク質のCmaxはSC経路またはIV経路によって投与した場合、それぞれ3.3ug/Lまたは22.3ug/Lであった。
総合すると、PKデータから、評価したすべての変異CTLA-4-IgG2融合タンパク質が、SC経路またはIV経路によって1mg/kgでラットに投与された場合にOrencia(登録商標)融合タンパク質に劣らないPKプロファイルを典型的には有し、機能ドメインが不変である場合、IgG1 Fc部分またはIgG2 Fc部分が同等であることが示された。
実施例12
本実施例では、本発明の変異CTLA4-Ig融合タンパク質を発現させるために安定にトランスフェクトされた細胞株を作製し、変異CTLA4-Ig融合タンパク質の日常的な実験室規模の作製のためにその細胞株を使用し、細胞発現培地から変異CTLA4-Ig融合タンパク質を精製するための方法を説明する。本実施例では、D3-54-IgG2融合タンパク質を発現させるために安定にトランスフェクトされたCHO-K1細胞株を作製し、実験室規模の作製のためにそのような細胞を使用し、培地からこのタンパク質を精製するための方法を具体的に説明するが、本明細書において説明する方法は、上記に開示した本発明の任意の変異CTLA-4-Ig融合タンパク質および/または任意の適切な細胞株と共に使用することができる。
安定にトランスフェクトされた細胞株の作製
材料
CHO-K1未処理(トランスフェクトされていない)細胞:合成培地中での無血清浮遊増殖に順応させたCHO-K1細胞(細胞ID: M4-PeM-0436-112-01)を、液体窒素気相中で保管した(Dewar MVE1536P)。1個のバイアルのM4-PeM-0436-112-01を解凍し、振盪フラスコ中でCD OptiCHO(商標)培地(Invitrogen、12681番)と共に培養した。培養物から、トランスフェクション用の細胞ならびに増殖およびクローン化用の順化培地が得られた。すべての培養物は37℃、5%CO2で増殖させた。
プラスミド:ヒトIgG2a Fc領域に融合されたD3-54変異CTLA-4 ECDをコードするDNAをCET1019AS UCOEベクター(Millipore)中に挿入し、結果として生じるプラスミドCET1019AS-D3-54-IgG2をすべてのトランスフェクションのために使用した。
細胞培養培地:2%v/v 200mM L-グルタミン(Invitrogen 25031番)を添加した、動物性成分を含まないCD Opti-CHO(Invitrogen 12681番)合成培地をすべての培養物に対して使用した。
順化培地:順化培地は、CD Opti-CHO培地中で親CHO-K1細胞株を培養することによって得た。細胞数が5×105細胞/ml以上になった時点で、細胞培養物を遠心分離し、順化培地上清を滅菌濾過した。順化培地は、使用するために毎日新たに作製するか、または2〜8℃で最長7日間保存した。
50%順化培地:等体積の新鮮な細胞培養培地と混合した順化培地(上記);使用する日毎に新しく作製する。
解析方法
Cedex細胞計数器またはCedex HiRes細胞計数器(Innovatis)を用いて細胞計数および生存率決定を実施した。
作製するための変異CTLA-4-Ig融合タンパク質(D3-54-IgG2)を発現するクローンの初期スクリーニングはELISAによって実施した。ELISAプレートをhCD80-マウスIg融合タンパク質で一晩コーティングした。翌日、解析する試料を50倍および200倍に希釈し、2つ1組でELISAプレートに移した。2時間インキュベーションした後、抗ヒトIgG-HRP抗体を添加し、30分間インキュベートした。これらのプレートをTMBで発色させ、450nmで読取った。未処理の光学濃度(OD)を報告した。
D3-54-IgG2融合タンパク質濃度の定量的測定を、Poros A/20カラム(ABI 1-5024-12番)を用いたプロテインA HPLC法によって実施した。次の2種の緩衝液を使用した:緩衝液A:50mMリン酸、150mM塩化カリウム、pH7.6±0.1および緩衝液B:50mMリン酸、150mM塩化カリウム、pH2.5±0.1。両方の緩衝液に、5%イソプロパノールをさらに添加した。試料注入後の平衡化および洗浄は、42%緩衝液Aおよび58%緩衝液B(pH6.5)を用いて行った。溶離は、1分間に渡る12%緩衝液Aおよび88%緩衝液Bに対する直線勾配であった。
手順
D3-54-IgG2融合タンパク質のGMP作製において使用される安定な細胞株の作製のために使用される未処理の付着性CHO-K1細胞を、CD OptiCHO(商標)合成培地中での浮遊増殖に順応させた。これらの未処理のCHO-KI細胞を含む1つのバイアルを解凍し、CD OptiCHO(商標)培地を含む125ml振盪フラスコ中で密度5×105生細胞/mlまで増殖させた。生細胞2×106個を50%順化培地400μl中に再懸濁し、キュベット中でプラスミドDNA(CET1019AS UCEOベクター中のD3-54-IgG2)20μgと混合した。方形波パルス長15ミリ秒(ms)、320ボルト(V)でGene Xcell Pulser (BioRad)を用いてエレクトロポレーションを実施した。2つ1組でトランスフェクションを実施し、次いで細胞を集めた。集めた細胞を、50%順化培地5mlを含むT-25フラスコに移し、2日間インキュベートした。
トランスフェクトされた細胞をクローニング用の96ウェルプレート中に直接分注するか、または安定なプールが得られるまで抗生物質選択と共に培養し、次いで96ウェルプレート中に分注した。エレクトロポレーション後2日目に、選択圧用に8μg/mlピューロマイシンを含む順化培地中で1250細胞/mlになるまで培養物を希釈した。これらの細胞をウェル当たり200μl(250細胞/ウェル)の量で96ウェルプレート中に分注した。プレートを約10日間インキュベートして、トランスフェクトされていない細胞および一過性にトランスフェクトされた細胞を死滅させた。10〜12日後、全プレートの全ウェルを視覚的に検査して、単一コロニーを含むウェルを特定した。これらのウェルを後で再検査して、24ウェルプレート中で増殖させるのに適した健常な単一コロニーを含むか確認した。
エレクトロポレーション後2日目に、培養物を遠心分離し、選択圧用に7μg/mlピューロマイシンを含む50%順化培地中に再懸濁した。また、対照フラスコには、同じ培地を入れトランスフェクトされていない細胞を播種した。継続的な最適化研究に基づいて、3日後にピューロマイシン濃度を8μg/mlまで上昇させた。選択後10〜12日目に安定なプールが生じ、この時、対照フラスコ中の細胞はすべて死滅していた。安定なプールにおける産生物発現をプロテインA HPLCによって確認し、培養物生存率が95%を超えていることを確認した。これらの細胞を、ピューロマイシンを含まない順化培地中で最終濃度が3.8細胞/mlになるまで段階的に希釈した。これらの細胞をウェル当たり200μl(75細胞/プレートまたは0.8細胞/ウェル)で96ウェルプレートに播種した。
1日後、全プレートの全ウェルを視覚的に検査して、単一細胞または単一コロニーを含むウェルを特定した。翌日、細胞2〜4個からなる単一コロニーを有するウェルを選択した。2つより多いコロニーを含む任意のウェルを排除した。第2の作業者が選択を確認した。これらのウェルを後で再検査して、24ウェルプレート中で増殖させるのに適した健常な単一コロニーを含むか確認した。
96ウェルプレートから得たクローンを、8μg/mlのピューロマイシンを含む順化培地をウェル当たり1ml含む24ウェルプレート中に移して増殖させた。96ウェルプレートから選択された、単一コロニーを含むウェルの内容物全体を、24ウェルプレートの個々のウェルに移した。24ウェルプレートの新しい各ウェルから200μlを採取して、96ウェルプレートの対応するウェルを洗浄し、元に戻した。バックアップのために、8μg/mlのピューロマイシンを含む順化培地200μlを96ウェルプレートの各ウェルに加え戻した。
1〜3日後、24ウェルプレートの各ウェルから試料採取し、ELISAによってD3-54-IgG2発現を試験した。未処理のELISA OD値ならびに適切な増殖の証拠に基づいて、さらに増殖させるためのクローンを選択した。
ELISAおよび観察可能な増殖結果に基づいて上位35〜40番のクローンを、8μg/mlのピューロマイシンを含む順化培地5mlを含むT-25フラスコ中に入れて増殖させた。24ウェルプレートから選択した各ウェルの内容物全体を個々のT-25フラスコに移した。ウェル中に残る細胞を同じ培地で洗浄し、対応するT-25フラスコに添加した。バックアップのために、8μg/mlのピューロマイシンを含む順化培地1mlを24ウェルプレートの各ウェルに加え戻した。
生産力が最も高いクローンを選択することによって、クローンの数をさらに減らした。新鮮な培地中に1〜2×105生細胞/mlの濃度で細胞を再懸濁し、T25フラスコ(5ml培養物)または125ml振盪フラスコ(12ml培養物)中に播種した。これらの培養物を22〜24時間インキュベートし、次いで、最終の細胞濃度および生存率を決定し、プロテインA HPLCによって産生物濃度を決定するために試料を採取した。生産力は、産生されたタンパク質の総量をフラスコ中の生細胞の総数で割り、かつ培養期間で割ることによって算出した。単位を細胞当たり1日当たりピコグラムまたは「pcd」に変換した。pcd値によってクローンを順位付けしたが、有意な増殖を示さなかったクローンは除外した。凍結保存し、増殖および生産力をさらに評価するために、最高位のクローンを125ml振盪フラスコに移して増殖させた。
さらに評価するクローンを、250ml振盪フラスコ中に入れた新鮮な培地50ml中に1×105生細胞/mlの濃度で播種した。細胞密度が1×106生細胞/mlに達したら、やはり新鮮な培地50ml中に1×105生細胞/mlの濃度で、新しい振盪フラスコに培養物を継代培養した。継代培養をもう一度繰り返した。この3回目の継代の間に、プロテインA HPLCによって細胞計数値、生存率、および産生物濃度を決定するために、培養物から毎日試料を採取した。
増殖速度および比産生速度に基づき、D3-54-IgG2融合タンパク質を発現する上位のクローンをサブクローニングのために選択した。ピューロマイシンをどのときも使用しなかったことを除いては、安定なプールに関して上記のセクションで説明したような限界希釈によってサブクローニングを実施した。サブクローンの増殖、スクリーニング、および評価もまた、前述のようにして実施した。
選択したサブクローンを約90日間、振盪フラスコ中で繰り返し継代培養して、産生の安定性を評価した。各継代時に、125ml振盪フラスコ中に入れた新鮮な培地25ml中に1×105生細胞/mlの濃度で細胞を播種した。3〜4日毎に培養物を継代培養した。各継代の前に、細胞濃度および生存率を測定し、プロテインA HPLCによって産生物濃度を決定するために試料を採取した。
pcd値に基づいた順位付けの時点から、安定性評価の様々な時点まで、選択したクローンおよびサブクローンを凍結保存した。90%増殖培地および10%DMSO(Sigma)を用いて冷凍培地を新しく作製した。振盪フラスコ培養物から得た細胞を遠心分離し、2〜10×106細胞/mlの範囲の濃度で凍結培地中に再懸濁した。低温貯蔵用バイアル中に1mlずつ細胞懸濁液を分注した。低温貯蔵用バイアルをイソプロパノール凍結容器に入れ、-80℃で一晩保存した。翌日、凍結したバイアルを液体窒素気相貯蔵に移した。
変異CTLA4-IgG2融合タンパク質の作製
D3-54-IgG2融合タンパク質を発現するCHO-K1細胞1ml体積量を含む凍結保存用バイアル(cryovial)を解凍し、37℃および5%CO2、CD OptiCHO(商標)培地を含む125ml振盪フラスコ中で5×105生細胞/mlの密度になるまで増殖させた。いくつかのフラスコを合一して、4mMグルタミンを含むCDOptiCHO(商標)培地5L体積量または10L体積量を入れたウェーブバッグに1〜2×105細胞/mlで播種した。ウェーブバッグ培養物を、Sartorius Stedim Biotechから購入した機器を18〜22 rpmの振動プラットフォーム設定および8度の角度で用い、5%CO2を補充した37℃インキュベーター中で維持した。プロテインA HPLCアッセイ法によって細胞計数値、生存率、栄養素レベル、代謝産物プロファイル、および変異CTLA-4-IgG2(すなわちD3-54-IgG2)の発現レベルを求めるために、培養物から毎日試料を採取する。典型的には播種後9〜11日目に生存率が約50%に減少した際に、培養物を回収する。深層濾過および滅菌濾過の組み合わせを用いた濾過によって細胞培養物質を清澄化し、さらに処理するために直ちに使用するか、または2〜8℃で保存する。
変異CTLA-4-IgG2融合タンパク質の精製
AKTA Explorer HPLCシステム(GE Healthcare)を用いたプロテインAアフィニティクロマトグラフィーによって変異CTLA4-IgG2融合タンパク質(D3-54-IgG2)を精製した。変異CTLA-4-Ig融合タンパク質(D3-54-IgG2)をPBS緩衝液(Invitrogen)中でMabSelect Protein A FFカラム(GE Healthcare、17-5079-01番)に結合させ、約10mg/mlでクロマトグラフィー媒体をロードし、同じ緩衝液で洗浄し、100mMクエン酸緩衝液(pH4.0)を用いて溶出させ、次いで、1/10体積の2M Tris塩基を添加して中和した。20mM Tris-Cl、pH7.5への緩衝液交換を伴う接線流濾過(TFF)システムを用いたダイアフィルトレーションによって、プロテインAで精製した試料をさらに処理する。
緩衝液を交換したタンパク質試料を、約10mg/mlのローディング濃度でロードされたQ-Sepharoseカラムを用いた陰イオン交換クロマトグラフィーによってさらに精製する。20mM Tris-Cl、pH 7.5中0〜500mM NaClのNaCl直線勾配で20カラム体積(CV)を用いて、結合されたタンパク質を溶出させる。主要ピークの画分を集め、280nmでの吸光度を測定して濃度を決定する。
SDS-PAGE解析によってタンパク質純度を確認し、サイズ排除HPLC法を用いて単量体含有量を決定する。試料を一定量ずつ、2〜8℃で保存するか、または使用前の長期間に渡って-20℃で保存する。
前述の本発明は、明確性および理解のためにいくらか詳しく説明してきたが、本発明の真の範囲から逸脱することなく形態および細部を様々に変更できることは、本開示を読むことによって当業者には明らかになると考えられる。本明細書において説明した材料、実施例、および態様は、例示するためのものにすぎず、限定することを意図しないこと、ならびにそれらを考慮した様々な修正または変更が当業者に示唆され、かつそれらが本出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解される。本明細書において言及するすべての刊行物、特許出願、特許、または他の文献は、あたかもそのような個々の各刊行物、特許、特許出願、または他の文献の全体が、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み入れられることが個別に具体的に示され、本明細書において全体が説明されたかのように、同程度にあらゆる目的のためにその全体が参照により組み入れられる。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先される。