JP2011256146A - 高純度アミノメチレンホスホン酸の製造方法 - Google Patents

高純度アミノメチレンホスホン酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アミノメチレンホスホン酸中の未反応のホルムアルデヒドを収率良く、簡便な設備、簡単な操作で危険物の発生なく除去するための高純度アミノメチレンホスホン酸の製造方法を提供する。
【解決手段】高純度アミノメチレンホスホン酸の製造方法において、回分式蒸留装置を用いて水分濃度が35〜60重量%の粗アミノメチレンホスホン酸水溶液を蒸留するに際し、蒸留中に蒸留釜に水を添加する工程を有し、且つ添加する水の総量を粗アミノメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量に対して少なくとも0.5倍量とすることを特徴とする高純度アミノメチレンホスホン酸の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、高純度アミノメチレンホスホン酸の製造方法に関するものであり、アミノメチレンホスホン酸類は、多くの金属に配位するキレート剤として周知であり、過酸化物の分解防止安定剤等多種多様な用途に用いられている。
近年、半導体産業では工程の微細化が進んでおり、シリコンウエハ清浄度の向上、工程簡略化を目的とするシリコンウエハの洗浄液として用いられている過酸化水素水、アンモニア水等にアミノメチレンホスホン酸を添加し、キレート能を付加してウエハ上の金属を除去する手法が用いられている。
アミノメチレンホスホン酸の製造法としては、塩酸酸性下、アンモニア、アンモニウム化合物又はアミン及びアルデヒド又はケトンおよびホスホン酸と反応させてアミノアルキレンホスホン酸を得る方法などが知られている。(特許文献1、非特許文献1参照)
半導体産業向けのシリコンウエハ洗浄液はその性格上高純度のものが必要であり、アミノメチレンホスホン酸の未反応の原材料、副生物等の有機不純分、装置材質例えばステンレスからの溶出、環境、原材料からの持ち込み等による金属不純物を極力減らす必要がある。このうち、金属不純物に関しては装置材質、高純度の原材料の選定等で低レベルにすることが可能であるが、有機不純分に関しては、特に、反応収率を上げるために原材料の一部を過剰に仕込むことが多く、反応後の未反応および過剰分の除去が重要となる。
アミノメチレンホスホン酸の残存原料の内、特にアルデヒド類は還元力が高く、過酸化水素等の酸化剤への添加を目的とする場合には極力除去する必要がある。その残存量は、アミノメチレンホスホン酸の使用形態、添加量により異なるが、一般的には、溶媒に溶解した溶液状で使用する場合、0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下が望まれる。単離した固体状等で使用する場合には1重量%以下、好ましくは0.8重量%以下が望まれる。
ホルムアルデヒドを除去するためのアミノメチレンホスホン酸の精製方法としては、再結晶で精製する手法、貧溶媒へ投入して固形化、精製する手法、イオン交換樹脂を用いて精製する手法、ホルムアルデヒドを反応蒸留によりアセタールに変化させ留出させる方法が挙げられる。
再結晶で精製する手法はアミノメチレンホスホン酸に結晶性が良好なことが必要であり、また、収率が低下する欠点がある。貧溶媒へ投入して固形化する手法は固形化後の固体性状が粘張とならない様な貧溶媒の選定が難しく、また、収率および精製効率が低いことが欠点である。加えて、融点またはガラス転移温度が比較的低いものが多く、結晶もしくは固形化固体濾過後に貧溶媒を除去する作業で、乾燥温度によっては溶融して飴状になってしまい、それ以後のプロセスでのハンドリングが非常に悪くなるという問題も存在する。
蒸留で精製する場合、ホルムアルデヒドは水に対する親和性が大きく、常圧、減圧での実施では水の蒸気圧がホルムアルデヒドより大きく、系中に水を添加して多量の水と同時に留去する必要があり蒸留効率が悪い。また、加圧条件ではホルムアルデヒドの蒸気圧は水より大きくなるものの、安全性が低いため加圧に対応した高額な設備投資が必要となる。
特許文献2のメタノールを用いたアミノメチレンホスホン酸中のホルムアルデヒドを低減する方法は、再結晶の方法よりも歩留まり、釜効率、ハンドリング等は向上するが、危険物第4類第一石油類のメチラールが生成するため、大量のアミノメチレンホスホン酸のホルムアルデヒドを低減するには危険物設備が必要となる問題がある。
米国特許3,288,846号公報 特開2007−77040号公報
Journal of Organic Chemistry 第31巻1603頁
本発明の目的は、背景技術における上記したような課題を解決し、半導体工業用途のシリコンウエハ洗浄液の成分として使用するアミノメチレンホスホン酸中の未反応のホルムアルデヒドを収率良く、簡便な設備、簡単な操作で危険物の発生なく除去することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、高純度アミノメチレンホスホン酸の製造方法において、ホルムアルデヒドを含有する粗アミノメチレンホスホン酸水溶液を蒸留する際に、蒸留中の粗アミノメチレンホスホン酸水溶液に水を添加する工程を設けることで、アミノメチレンホスホン酸をロスすることなく、かつ、高い釜効率で容易にホルムアルデヒドを除去できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、高純度アミノメチレンホスホン酸の製造方法において、回分式蒸留装置を用いて水分濃度が35〜60重量%の粗アミノメチレンホスホン酸水溶液を蒸留するに際し、蒸留中に蒸留釜に水を添加する工程を有し、且つ蒸留釜に添加する水の総量を粗アミノメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量に対して少なくとも0.5倍量とすることを特徴とする高純度アミノメチレンホスホン酸の製造方法に関するものである。
本発明により、アミノメチレンホスホン酸をロスすることなく容易に高い釜効率で未反応アルデヒドを安全に除去し、高純度アミノメチレンホスホン酸を得ることが可能となり、微細化が進む半導体のシリコンウエハ洗浄液の成分として、過酸化水素水、及びアンモニア水とともに添加しその機能を向上する目的などに使用可能となった。
言うまでもなく、本発明の手法で精製されたアミノメチレンホスホン酸は半導体関連用途以外にも、その必要とされるスペックを満たせば使用可能である。
本発明は、塩酸酸性下、アンモニアまたはアミンをホルムアルデヒド、ホスホン酸と反応し、得られたアミノメチレンホスホン酸に適用することができる。アミノメチレンホスホン酸には、アミノトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、1,2−プロピレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)およびこれらの塩、並びに酸化体が挙げられる。
まず、一般的なアミノメチレンホスホン酸の製造法を述べる。アミノメチレンホスホン酸を半導体産業用途に用いる場合、ステンレスなどは、金属成分の溶出のある設備は好ましくなく、接液部がグラスライニング(以下GL)など金属成分の溶出がない攪拌機付き反応釜を使用することが好ましい。GL釜を、事前にFeなど金属成分の溶出がない清浄化状態にして使用する。清浄化の方法としては、希塩酸、脱イオン水による洗浄がある。
製造手順の一例を挙げるならば、GL釜にまず塩酸を仕込み、次に亜燐酸を仕込む。亜燐酸を仕込むことにより塩酸との反応により吸熱となるため、加熱を行い、温度を5〜15℃に保つ。次に、アミンを、反応温度を15〜20℃に保ちながら、一定速度で添加する。本反応は発熱となるため、除熱が必要である。アミン添加終了後、反応液を85〜95℃まで加熱する。次に35〜50重量%ホルマリンを一定速度で供給し反応を行う。反応自体は発熱反応であり、反応液の温度は90〜100℃となるように管理する。反応完結後、室温まで冷却し反応終了とする。発生する塩酸蒸気は、還流によるコンタミネーション防止の観点からエジェクター等を通じて系外へ排出し、還流を出来るだけ避け、排気ガス処理設備で処理する。これら、一連の操作において、コンタミネーションを起こさないように注意を払うことが重要である。製造設備のある環境を清浄に保つことも肝要である。
アンモニアおよびアミンの内、アミンはエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン等が挙げられる。亜燐酸はアミンが1級アミンの場合N原子に対して2〜4倍モル、2級アミンの場合N原子に対して1〜2倍モルを使用する。アミンが1分子中に1級および2級のアミン部位を有する場合は先の1級、2級アミンそれぞれに対する使用量の合計で使用する。
ホルムアルデヒドはアンモニアに対してはN原子に対して3〜9倍モル、アミンに対しては1級アミンの場合N原子に対して2〜6倍モル、2級アミンの場合N原子に対して1〜3倍モルを使用する。アミンが1分子中に1級および2級のアミン部位を有する場合は先の1級、2級アミンそれぞれに対する使用量の合計で使用する。酸には硫酸、塩酸、燐酸、硝酸等が挙げられる。
ホルムアルデヒドを含有する粗アミノメチレンホスホン酸水溶液は、残存するホルムアルデヒドを除去するために回分式蒸留装置により蒸留する。本発明の粗アミノメチレンホスホン酸の蒸留に際しては、水分濃度が35〜60重量%の粗アミノメチレンホスホン酸水溶液を使用する。前記水分濃度が下限を下回る場合には、蒸留時に塩酸の揮発により粗アミノメチレンホスホン酸水溶液の塩酸濃度が低下し、アミノメチレンホスホン酸が析出してしまうために好ましくない。前記水分濃度が前記範囲を上回る場合には、釜効率を大きく損なうため好ましくない。
本発明に用いられるホルムアルデヒドを含有する粗アミノメチレンホスホン酸水溶液中のホルムアルデヒド濃度は、粗アミノメチレンホスホン酸の合成条件によって増減するものであり、本発明では特に限定されないが、好ましくは1〜12重量%、より好ましくは1〜9重量%である。
本発明に用いられるホルムアルデヒドを含有する粗アミノメチレンホスホン酸水溶液中のアミノメチレンホスホン酸濃度は、特に限定されないが、好ましくは10〜50重量%である。
本発明で用いられる回分式蒸留装置について説明する。本発明の回分式蒸留装置の一例としては、蒸留釜と凝縮器を具備した蒸留装置が挙げられる。これらの蒸留装置の材質は ガラス製である。蒸留温度は好ましくは90〜120℃、より好ましくは100〜110℃である。本発明では蒸留中の粗アミノメチレンホスホン酸水溶液に水を添加することで、ホルムアルデヒドを常圧下において効率よく留去することができることから、圧力調整のための設備改造費等を必要とせず、安全面でも有利であり工業的に非常に有益である。
本発明では蒸留中に蒸留釜に水を添加する工程を有することが重要である。本発明においては、蒸留釜にホルムアルデヒドを含有する粗アミノメチレンホスホン酸水溶液を仕込み、蒸留釜を加熱して揮発成分を蒸留塔から留出させて、それらをコンデンサーで凝縮させて超音波流量計や渦流量計等のカウンターにより留出量を測定し、該留出量と同量となるように調製した水を蒸留釜に添加する操作を蒸留中に繰り返すことが望ましい形態である。該留出量と同量となるように調製した水を蒸留釜に添加する際には、蒸留釜内の粗アミノメチレンホスホン酸水溶液の温度が過度に低下しないように注意しつつ速やかに添加することが好ましい。また、前記留出量の測定は蒸留装置のサイズやコンデンサーの能力によって変わってくるが、概ね30〜60分程度の間隔で行うことが好ましい。蒸留釜に添加する水は金属汚染を防ぐためにイオン交換水が望ましいが、金属の品質が安定であれば蒸留水でもよい。本発明の効果を損なわない範囲であれば、該留出量の0.5〜1.5倍の水を添加してもよい。
本発明において、蒸留中に蒸留釜に添加する水の総量は、粗アミノメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量に対して少なくとも0.5倍量である。本発明では水の総量を少なくとも0.5倍量とすることで高純度のアミノメチレンホスホン酸を得ることができる。本発明では蒸留中の留出液量に相当する水を蒸留釜に随時添加し蒸留を行うため、粗アミノメチレンホスホン酸水溶液の仕込み時に大量の水を添加する必要がなく工業的に非常に有利である。また、蒸留中に蒸留釜に添加する水の総量の上限は特に限定されるものではないが、好ましくは粗アミノメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量に対して多くとも1倍量である。水の総量を多くとも1倍量とすることで、蒸留装置の有効容積まで粗アミノメチレンホスホン酸水溶液を仕込むことができるため工業的に非常に有利である。さらに、粗アミノメチレンホスホン酸水溶液の仕込み時に大量の水を添加して蒸留した場合よりも、添加する水の総量が少なくても効率よくホルムアルデヒドを留去することができる。
蒸留精製したアミノメチレンホスホン酸は、塩酸を除去した溶液の状態のまま使用できる。塩酸の除去に関しては、例えば電気透析等の手法が取り得る。さらなる高純度化を望むのであれば、再結晶、貧溶媒による固形化、イオン交換法による精製等を追加実施しても構わない。
以下に本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は実施例によって制限されるものではない。なお、実施例、比較例中のアミノメチレンホスホン酸含有液中のホルムアルデヒド濃度分析はアセチルアセトンの吸光光度分析により、また、留出液中のホルムアルデヒド濃度は、チオ硫酸ナトリウム水溶液による滴定により、また、塩化物濃度は硝酸銀水溶液による滴定により、また、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸は塩化亜鉛滴定により、実施した。
実施例1
ロータリーエバポレーターを用い、1Lフラスコに粗ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液500g(ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸濃度26.3重量%、ホルムアルデヒド濃度8.3重量%、水分濃度42.8重量%)を仕込み、120℃の油浴にフラスコを浸漬し大気圧下で蒸留を行った。トラップに留去した留出液重量が100g貯まる毎に留出液重量と同重量のイオン交換水をフラスコに添加し蒸留を継続した。フラスコに添加するイオン交換水の総添加量が300gになった時点でイオン交換水の添加を停止し、トラップに留出液が留出しなくなるまで蒸留を継続した。このとき、蒸留中に添加したイオン交換水の総量は、粗ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量(500g)の0.6倍量であった。
蒸留後のジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液中のホルムアルデヒド濃度は0.225重量%(ホルムアルデヒド低減率97.3%)であった。
実施例2
蒸留中に添加したイオン交換水の総量を500g(粗ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量の1倍量)とした他は、実施例1と同様にして蒸留をおこなった。蒸留後のジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液中のホルムアルデヒド濃度は0.020重量%(ホルムアルデヒド低減率99.8%)であった。
比較例1
ロータリーエバポレーターを用い、1Lフラスコに粗ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液500g(ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸濃度26.3重量%、ホルムアルデヒド濃度8.3重量%、水分濃度42.8重量%)、イオン交換水500g(粗ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量の1倍量)を仕込み、120℃の油浴にフラスコを浸漬し大気圧下で蒸留を行った。蒸留中にはイオン交換水は添加せずに、留出液が500gになるまで蒸留を継続した。
蒸留後のジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液中のホルムアルデヒド濃度は1.23重量%(ホルムアルデヒド低減率85.2%)であった。
比較例2
ロータリーエバポレーターを用い、1Lフラスコに粗ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液150g(ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸濃度26.3重量%、ホルムアルデヒド濃度6.9重量%、水分濃度43.7重量%)、イオン交換水50g(粗ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量の0.33倍量)を仕込み、120℃の油浴にフラスコを浸漬し大気圧下で蒸留を行った。蒸留中にはイオン交換水は添加せずに、トラップに留出液が留出しなくなるまで蒸留を継続した。
蒸留後のジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液中のホルムアルデヒド濃度は2.60重量%(ホルムアルデヒド低減率62.3%)であった。
比較例3
イオン交換水の仕込み量を100g(粗ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量の0.67倍量)とした他は、比較例2と同様にして蒸留を行った。
蒸留後のジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液中のホルムアルデヒド濃度は1.70重量%(ホルムアルデヒド低減率75.4%)であった。
比較例4
イオン交換水の仕込み量を200g(粗ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量の1.33倍量)とした他は、比較例2と同様にして蒸留を行った。
蒸留後のジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液中のホルムアルデヒド濃度は0.50重量%(ホルムアルデヒド低減率92.8%)であった。
比較例5
イオン交換水の仕込み量を400g(粗ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量の2.67倍量)とした他は、比較例2と同様にして蒸留を行った。
蒸留後のジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液中のホルムアルデヒド濃度は0.40重量%(ホルムアルデヒド低減率94.2%)であった。
参考例1
凝縮器、攪拌機、ジャケット付き1mGL釜に36重量%塩酸260kgを仕込んだ。次に、亜燐酸175kgを約30分かけて投入した。投入中の吸熱のためジャケットにスチームを入れ、釜温度を5〜10℃に保った。次いで、ジャケットに冷却水を入れ、反応温度を15〜20℃に調節しながら、ジエチレントリアミン(DETA)30kgを定量ポンプにより1時間投入した後、さらに15〜20℃にて1時間反応を行った。その後、スチームにより90℃まで加温した後、35重量%ホルマリン250kgを、2時間かけて反応させた。この間、反応温度は90〜95℃に維持した。ホルマリン投入終了後、90〜95℃で1時間保った。
実施例3
参考例1で製造したジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸を用い、蒸留釜に粗ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液787kg(ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸濃度21.1重量%、ホルムアルデヒド濃度4.3重量%、水分濃度54.3重量%)を仕込み、蒸留釜のジャケットにゲージ圧0.2〜0.3MPaの蒸気を供給し大気圧下で蒸留を行った。蒸留塔から揮発成分を留出させてコンデンサーで冷却し、その留出液量をカウンター(渦流量計)で自動計量した。その計量値を入力としてカウンターを通過する留出液量の0.95〜1.05倍のイオン交換水を蒸留釜にカウンター(渦流量計)を用いて自動添加した。蒸留中に添加したイオン交換水の総量が、粗ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液の仕込量(787kg)の0.59倍である462kgになった時点でイオン交換水の添加と蒸気の供給を停止し、留出液が留出しなくなるまで蒸留を継続した。
蒸留後のジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液中のホルムアルデヒド濃度は0.13重量%(ホルムアルデヒド低減率97.0%)であった。
実施例4
蒸留中に添加したイオン交換水の総量を748kg(粗ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量の0.95倍量)とした他は、実施例3と同様にして蒸留をおこなった。
蒸留後のジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液中のホルムアルデヒド濃度は0.008重量%(ホルムアルデヒド低減率99.8%)であった。
比較例6
蒸留中に添加したイオン交換水の総量を174kg(粗ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量の0.22倍量)とした他は、実施例3と同様にして蒸留をおこなった。
蒸留後のジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液中のホルムアルデヒド濃度は1.10重量%(ホルムアルデヒド低減率74.4%)であった。
参考例2
攪拌機、ジャケット付き1mGL釜に35重量%塩酸240Lを仕込んだ。次に、亜燐酸250kgを約30分かけて投入した。投入中の吸熱のためジャケットにスチームを入れ、釜温度を5〜10℃に保った。次いで、ジャケットに冷却水を入れ、反応温度を15〜20℃に調節しながら、1,2−プロピレンジアミン46kgを定量ポンプにより1時間投入した後、さらに15〜20℃にて1時間反応を行った。その後、スチームにより90℃まで加温した後、37重量%ホルマリン280Lを、2時間かけて反応させた。この間、反応温度は90〜95℃に維持した。ホルマリン投入終了後、90〜95℃で1時間保った。
実施例5
参考例2で製造したプロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸を用い、蒸留釜に粗プロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸水溶液976kg(プロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸濃度28.8重量%、ホルムアルデヒド濃度4.0重量%、水分濃度52.4重量%)を仕込み、蒸留釜のジャケットにゲージ圧0.2〜0.3MPaの蒸気を供給し大気圧下で蒸留を行った。蒸留塔から揮発成分を留出させてコンデンサーで冷却し、その流出液量をカウンター(渦流量計)で自動計量した。その計量値を入力値としてカウンターを通過する留出液量の0.95〜1.05倍のイオン交換水をカウンター(渦流量計)を用いて蒸留釜に自動添加した。蒸留中に添加したイオン交換水の総量が、粗プロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸水溶液の仕込量(976kg)の0.61倍である595kgになった時点でイオン交換水の添加と蒸気の供給を停止し、留出液が留出しなくなるまで蒸留を継続した。
蒸留後のプロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸水溶液中のホルムアルデヒド濃度は0.055重量%(ホルムアルデヒド低減率98.6%)であった。
実施例6
蒸留中に添加したイオン交換水の総量を910kg(粗プロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量の0.93倍量)とした他は、実施例5と同様にして蒸留をおこなった。
蒸留後のプロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸水溶液中のホルムアルデヒド濃度は0.006重量%(ホルムアルデヒド低減率99.9%)であった。
比較例7
蒸留中に添加したイオン交換水の総量を310kg(粗プロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量の0.32倍量)とした他は、実施例5と同様にして蒸留をおこなった。
蒸留後のプロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸水溶液中のホルムアルデヒド濃度は0.43重量%(ホルムアルデヒド低減率89.3%)であった。

Claims (5)

  1. 高純度アミノメチレンホスホン酸の製造方法において、回分式蒸留装置を用いて水分濃度が35〜60重量%の粗アミノメチレンホスホン酸水溶液を蒸留するに際し、蒸留中に蒸留釜に水を添加する工程を有し、且つ蒸留釜に添加する水の総量を粗アミノメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量に対して少なくとも0.5倍量とすることを特徴とする高純度アミノメチレンホスホン酸の製造方法。
  2. さらに、蒸留釜に添加する水の総量を粗アミノメチレンホスホン酸水溶液の仕込み重量に対して多くとも1倍量とすることを特徴とする請求項1に記載の高純度アミノメチレンホスホン酸の製造方法。
  3. 蒸留中に蒸留釜に水を添加する工程において、蒸留塔からの留出分と同量となるように調製した水を蒸留釜に添加することを特徴とする請求項1または2に記載の高純度アミノメチレンホスホン酸の製造方法。
  4. 蒸留前の粗アミノメチレンホスホン酸水溶液中のホルムアルデヒド濃度が1〜12重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の高純度アミノメチレンホスホン酸の製造方法。
  5. アミノメチレンホスホン酸がジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸またはプロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高純度アミノメチレンホスホン酸の製造方法。
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