JP2011246327A - 被覆マグネタイト粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】疎水性が高く、有機溶媒中への分散性に優れ、かつ有機溶媒中での分散処理後も高い疎水性を維持し得る被覆マグネタイト粒子を提供すること。
【解決手段】被覆マグネタイト粒子は、マグネタイトのコア粒子と、その表面を被覆するシリカ層と、該シリカ層の表面を被覆するシラン化合物層とを有し、シリカ層におけるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の合計の含有量が、被覆マグネタイト粒子の重量に対して50ppm以下である。被覆マグネタイト粒子は、マグネタイトのコア粒子とケイ酸のアルカリ金属塩とを混合し、表面にシリカ層が形成されたコア粒子を得;シリカ層が形成されたコア粒子をカチオン交換樹脂と接触させて、シリカ層中に含まれるアルカリ金属イオンを低減させ;シリカ層が形成されたコア粒子の表面をアルコキシシラン化合物で被覆し、引き続き熱処理を行ってシラン化合物層を形成すること;で好適に得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、シラン化合物の被覆層を有する被覆マグネタイト粒子に関する。本発明の被覆マグネタイト粒子は、例えばプリンターや電子複写機のトナー用材料として特に好適に用いられる。
従来、静電複写磁性トナーの製造においては、トナーの原料となる磁性粉やバインダ等を混合して溶融混練した後に、粉砕・分級する、いわゆる粉砕法(乾式法)が主流であった。しかしながら、粒子径の微小化、更なる低温定着性などの機能付与において粉砕法で得られたトナーでは限界に近づいている。特にフルカラーなどの高画質化に向けて、粉砕分級工程が不要であるか、あるいは粉砕分級工程を大幅に軽減できる重合法(湿式法)が脚光を浴びてきた。
重合法で直接トナーを製造する方法としては、懸濁重合法が知られている。懸濁重合法によってトナーを製造する場合、表面が親水性である磁性粉を用いると、トナーの帯電特性及び画像特性が低下する傾向にある。この理由は、磁性粉の表面が親水性であることに起因して、磁性粉が非水系溶媒中で十分に分散できず、その結果、トナー中での磁性粉の分散性が低下して、トナー中において磁性粉が偏在する等の不都合が生じるからである。
そこで、重合法トナーの原料となる磁性粉の表面を疎水化することで、非水系溶媒中での磁性粉の分散性や流動性を高める試みが提案されている。例えば、磁性粉の表面を疎水性にするためにシラン化合物を用いる技術(特許文献1参照)や、磁性粉の表面をSi及びTiを含む化合物で被覆し、更にその上をシラン化合物で処理する技術(特許文献2参照)などが知られている。
このほか、特許文献3には、マグネタイト粒子の表面を、アルミナの水和物等で被覆し、その表面をシリカ粒子で被覆し、更にその上をシランカップリング剤で被覆した表面改質マグネタイト粒子が記載されている。このマグネタイト粒子は流動性が良好で、かつ水分吸着量が少なくものであると、同文献には記載されている。
特許文献4には、Pを含むマグネタイト粒子の表面をシラン化合物で被覆した疎水性マグネタイト粒子が記載されている。このマグネタイト粒子は、シラン化合物の有機溶剤への溶出量が少なく、かつ分散性に優れたものであると、同文献には記載されている。
特開平7−72654号公報 特開平6−230603号公報 特開平11−314919号公報 特開2005−263619号公報
しかし、上述の各特許文献に記載の技術を始めとする従来行われてきた処理では、シラン化合物はマグネタイト粒子の表面に主として物理吸着していたので、懸濁工程で生じる剪断力や重合工程で加わる熱によって、シラン化合物がマグネタイト粒子の表面から脱離しやすい傾向があった。また、シラン化合物がマグネタイト粒子の表面に化学結合している場合であっても、その結合力が弱い場合には、加熱等の外因によってシラン化合物の脱離が起こりやすいこともある。
また、特許文献1に記載の技術では、マグネタイト粒子の表面積が過度に大きくなり、吸湿性が高くなってしまい、分散性も悪化してしまう。しかも、分散処理後の水蒸気吸着量も高くなってしまう。特許文献2及び3に記載の技術でも、特許文献1と同様に、マグネタイト粒子の表面積が過度に大きくなってしまう。また、特許文献2及び3に記載の技術でも、分散処理後の水蒸気吸着量が高くなってしまう。分散処理後の水蒸気吸着量が高くなることは、特許文献4に記載の技術でも生じる課題である。
したがって本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る被覆マグネタイト粒子を提供することにある。
本発明は、マグネタイトのコア粒子と、その表面を被覆するシリカ層と、該シリカ層の表面を被覆するシラン化合物層とを有し、該シリカ層におけるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量の合計が、被覆マグネタイト粒子の重量に対して50ppm以下であることを特徴とする被覆マグネタイト粒子を提供するものである。
本発明によれば、疎水性が高く、有機溶媒中への分散性に優れ、かつ有機溶媒中での分散処理後も高い疎水性を維持し得る被覆マグネタイト粒子が提供される。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の被覆マグネタイト粒子は、マグネタイトのコア粒子の表面が複数の層によって被覆されていることを特徴の一つとしている。コア粒子の表面を被覆する複数の層は、(イ)コア粒子の表面を直接被覆するシリカ層と、(ロ)該シリカ層の表面を直接被覆するシラン化合物層である。
前記の(ロ)の被覆層であるシラン化合物層は、主として、被覆マグネタイト粒子の疎水性及び有機溶媒中への分散性の向上に寄与する。一方、(イ)の被覆層であるシリカ層は、マグネタイトのコア粒子とシラン化合物層との間に介在し、両者間の結合を向上させることに寄与する。その結果、被覆マグネタイト粒子を有機溶媒とともに分散処理した場合に生じる剪断力が該被覆マグネタイト粒子に加わっても、シラン化合物層が剥離して被覆マグネタイト粒子の疎水性が低下してしまうという不都合が生じにくくなる。
前記の(イ)及び(ロ)の層によって被覆されるマグネタイトのコア粒子としては、XRD測定したときに主ピークがマグネタイトのピークと一致するものが用いられる。この場合、マグネタイトのピークのみが観察されてもよく、あるいはマグネタイトの主ピークの他に、マグヘマイト等のピークが観察されてもよい。
コア粒子は、被覆マグネタイト粒子の具体的な用途に応じ、例えばSi、Ti、Al、Zr、Mn、Zn、Mg等の1種又は2種以上の元素を、例えばその酸化物やFeとの複合酸化物等の状態で、粒子内に含んでいてもよい。これらの元素は、コア粒子の半径方向にわたって連続的に分布していてもよく、あるいは中心部又は表面及びその近傍に偏在していてもよい。これらの元素がコア粒子の半径方向にわたって連続的に分布している場合、その分布は均一でもよく、あるいは中心に向けて又は表面に向けて連続的又は段階的に増減していてもよい。
上述の元素のうち、コア粒子がSiを含んでいる場合、その量は被覆マグネタイト粒子の重量に対して0.05〜0.8重量%、特に0.1〜0.7重量%であることが、平滑な表面のマグネタイトコア粒子が得られる点から好ましい。コア粒子に含まれるSiの量は、被覆マグネタイト粒子のシラン化合物層及びシリカ層を除去した後に、ICPにて測定することができる。具体的には、被覆マグネタイト粒子10gを、界面活性剤Triton−X100を1重量%含む50g/LのNaOH水溶液100cc中に入れ、マグネチックスターラーにて60℃で4時間撹拌する。冷却後、磁気沈降で洗浄を繰り返し、十分に洗浄した後にろ過、乾燥し、シラン化合物層及びシリカ層を除去した被覆マグネタイト粒子、つまりコア粒子中のSiの量をICPにて測定する。
別法として、シラン化合物層に含まれるSiの量を、被覆マグネタイト粒子に含まれるSiの量から差し引くことで、コア粒子に含まれるSiの量を求めることもできる。シラン化合物層に含まれるSiの量は、シラン化合物層に含まれるカーボンの量を求め、その量から算出する。被覆マグネタイト粒子に含まれるSiの量は、界面活性剤を添加した酸の溶液に被覆マグネタイト粒子を全溶解させ、その溶液に含まれるSiを定量することによって求める。
コア粒子はその形状が球状、多面体状(例えば六面体状、八面体状)等であり得る。コア粒子の形状について本発明者らが検討したところ、コア粒子が球状であると、上述のシリカ層及びシラン化合物層による被覆が極めて良好に行えることが判明した。したがってコア粒子として、多面体状のものよりも、球状のものを用いることが好ましい。
コア粒子はその平均粒径が0.1〜0.3μm、特に0.15〜0.25μmであることが、被覆マグネタイト粒子を、プリンターや電子複写機のトナー用材料として用いる場合に好ましい。コア粒子の平均粒径がこの範囲内であれば、トナー中での着色力や色味が良好となるからである。コア粒子の平均粒径は、次の方法で測定される。
〔コア粒子の平均粒径の測定方法〕
コア粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して撮影された像から測定する。具体的には、SEM写真(倍率40,000倍)を用い、写真上の粒径を同軸方向に200個以上計測し、その個数平均から求める。
コア粒子の表面を被覆するシリカ層は、主としてSiO2の三次元網目構造から構成されている。シリカ層は、上述のとおり、コア粒子とシラン化合物層との結合を高めることに寄与する。この観点から、シリカ層におけるケイ素の含有量は、被覆マグネタイト粒子の重量に対して0.02〜0.5重量%、特に0.05〜0.4重量%の範囲であることが好ましい。
シリカ層におけるケイ素の含有量は、下記の方法で測定される。シラン化合物層で被覆される前の、シリカ層を含むマグネタイト粒子を0.9g秤量し、1.0NのNaOH水溶液25mlと共に、TPX製の100mlビーカーに入れ、70℃で4時間攪拌する。次いでビーカー内の液を、200mlメスシリンダーへ移して、125mlにメスアップする。その液を攪拌した後に、5分間マグネタイト粒子を沈降させ、上澄みをNo.6の定量ろ紙にてろ過を行う。ろ液中のSiをICPにて定量し、シリカ層におけるケイ素含有量を算出する。シリカ層で被覆されたコア粒子におけるケイ素含有量は、該粒子を酸の水溶液に全溶解させ、その溶液に含まれるSi量を定量することで求められる。
特にシリカ層は、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属(以下、これらの元素を総称して「アルカリ金属等」ともいう。)を極力含んでいないことが好ましいことが、本発明者らの検討の結果判明した。この理由は、シリカ層にアルカリ金属等が過度に含まれていると、該シリカ層とシラン化合物層との結合を強固にすることができないからである。その結果、被覆マグネタイト粒子を有機溶剤に分散させるときに該被覆マグネタイト粒子に剪断力が加わると、シラン化合物層の剥離が起こりやすくなる。この観点から、シリカ層におけるアルカリ金属及びアルカリ土類金属(以下、両者を総称して「アルカリ金属等」ともいう。)の合計の含有量は、被覆マグネタイト粒子の重量に対して50ppm以下とすることが必要であり、好ましくは40ppm以下、更に好ましくは30ppm以下とする。アルカリ金属等は、シリカ層の原料であるケイ酸塩から混入することが一般的である。
シリカ層に含まれるアルカリ金属等の量は、次のようにして測定される。シラン化合物層を被覆する前の状態で測定を行う場合には、シリカ層が形成されたコア粒子25gを正確に秤量し、純水250ml中に分散させた後、5分間沸騰させ、常温(25℃)まで冷却する。蒸発によって減じた液量を、純水を加えて再び250mlとする。次いで、JIS P3801に準ずる5種Cの濾紙にて濾過を行う。濾過を開始して最初の50mlを捨て、残りの濾液を採取する。採取した濾液について、ICPを用い、濾液中のアルカリ金属イオン等の濃度を測定する。測定されたアルカリ金属イオン等の濃度から、被覆マグネタイト粒子中でのアルカリ金属等の割合に換算する。一方、被覆マグネタイト粒子を測定対象とする場合には、該被覆マグネタイト粒子25gを正確に秤量し、大気中500℃で3時間加熱して、該粒子の表面を親水化する。次いで、粒子を純水250ml中に分散させた後、上述と同様の操作を行い、被覆マグネタイト粒子中でのアルカリ金属等の量を測定する。
なお、上述の測定方法で得られるアルカリ金属等の量は、シリカ層に含まれるアルカリ金属等の量と、シラン化合物層に含まれるアルカリ金属等の量との合計値である。シラン化合物層には実質的にアルカリ金属等が含まれていないので(シラン化合物層の原料がアルカリ金属等を含んでいないので)、上述の測定方法で得られるアルカリ金属等の量を、シリカ層に含まれるアルカリ金属等の量とみなしても差し支えない。なお、コア粒子にはアルカリ金属等が含まれていることがあるが、上述の測定方法を用いる限り、コア粒子からのアルカリ金属等の溶出は認められないことを、本発明者らは確認している。
シリカ層の表面状態は、被覆マグネタイト粒子の特性に影響を及ぼす。詳細には、シリカ層はその表面が平滑であることが、該シリカ層の上に形成されるシラン化合物層の剥離の防止の観点から望ましい。詳細には、表面平滑性の高いシリカ層を用いることによって、シラン化合物層による被覆を首尾良く行うことができる。その結果、被覆マグネタイト粒子を有機溶剤に分散させるときに該被覆マグネタイト粒子に剪断力が加わっても、シラン化合物層の剥離が起こりづらくなる。シリカ層の平滑性は、例えば以下の式(1)から得られる値を尺度に評価できる。
シリカ層で被覆されたコア粒子の平滑性(%)=(シリカ層で被覆されたコア粒子の比表面積÷粒径に基づき真球換算した、シリカ層で被覆されたコア粒子の比表面積)×100・・・(1)
式(1)から算出される平滑性の値が、好ましくは110〜150%、更に好ましくは110〜140%であると、シラン化合物層による被覆を一層首尾良く行うことができる。この平滑性の値を算出するときに必要である比表面積の値は、例えば島津−マイクロメリティックス製2200型BET計を用いて測定することができる(以下、比表面積というときは、この測定方法に準じて測定された値をいう。)。また、粒径に基づき真球換算した、シリカ層で被覆されたコア粒子の比表面積は、粒径及び真比重から算出される。粒径は、100個以上の粒子を対象として走査型電子顕微鏡観察によって測定される。真比重はJIS R9301−2−1に従い測定される。
シリカ層の表面の表面平滑性に加え、シリカ層の表面分布も被覆マグネタイト粒子の特性に影響を及ぼす。詳細には、シリカ層の表面分布は、以下の式(2)で表される値が10〜40%、特に15〜35%の範囲であることが好ましい。この範囲であることによって、シリカ層の上にシラン化合物層を均一に形成することができ、その結果、被覆マグネタイト粒子は優れた疎水性を発揮し、かつその疎水性が強固に維持されるという有利な効果が奏される。式(2)で表される値が前記の範囲内となるようにするためには、例えば後述する被覆マグネタイト粒子の製造方法において、シリカ層の形成条件を適切に調整すればよい。また、コア粒子にSiが含まれている場合には、コア粒子の製造条件を適切に調整することで、Siをコア粒子の表面に適量偏析させればよい。Siの偏析の条件としては、例えばSiの添加量、反応中のpH、酸化速度等が挙げられる。
シリカ層の表面分布(%)=(シリカ層のケイ素含有量÷シリカ層で被覆されたコア粒子のケイ素含有量)×100・・・(2)
前記の表面分布の値を算出するときに必要であるシリカ層のケイ素含有量の値及びシリカ層で被覆されたコア粒子のケイ素含有量は、上述の方法で測定される。
シリカ層の上に形成された被覆層であるシラン化合物層は、疎水基を有するアルコシキシシランを用いて生成した層である。このアルコキシシランは、被覆マグネタイト粒子の表面に疎水性を付与するために用いられる。このアルコキシシランを原料としてシラン化合物(有機シラン化合物)が生成する。このアルコキシシランは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このアルコキシシランは一般式R1 xSi(OR24-xで表される。式中、R1は疎水基を表し、R2はアルコキシ基を表す。xは1〜3の整数を表す。xが2又は3である場合、複数のR1は同一でもよく、あるいは異なっていてもよい。同様に、xが1又は2である場合、複数のR2は同一でもよく、あるいは異なっていてもよい。
1で表される疎水基の例としては、アルキル基、フルオロアルキル基、アルケニル基、フルオロアルケニル基などが挙げられる。アルキル基における炭素数は、1〜18、特に3〜10であることが好ましく、アルケニル基における炭素数は、2〜18、特に3〜10であることが、被覆マグネタイト粒子に十分な疎水性を付与する観点から好ましい。アルキル基及びアルケニル基は直鎖のものでもよく、あるいは分岐鎖のものでもよい。一般には、直鎖よりも分岐鎖タイプのものの方が、疎水基による疎水性結合が起こりにくく、シラン化合物の活性基の部分であるアルコキシ基が外側に向きにくくなるので、疎水性の向上の観点から好ましい。R1がアルケニル基である場合、アルケニル鎖中のC=C結合の位置に特に制限はないが、疎水性を高める観点から、末端側よりも、むしろSi原子寄りの位置にC=C結合が存在していることが好ましい。R1がフルオロアルキル基又はフルオロアルケニル基である場合、アルキル基又はアルケニル基におけるフッ素の結合数に特に制限はなく、1個以上のフッ素が結合していればよい。一般にフッ素の結合数が増えるほど疎水性が高まる。また、アルキル基又はアルケニル基におけるフッ素の結合位置に特に制限はなく、疎水性が一層高くなる位置にフッ素が結合していればよい。
OR2で表されるアルコキシ基におけるアルキル基は、例えば炭素数が1〜6、特に1〜3であることが好ましい。このアルキル基は直鎖でもよく、あるいは分岐鎖でもよい。また、R2におけるアルキル基は、R1として用いられるアルキル基又はアルケニル基の炭素数よりも少ない炭素数のものであることが好ましい。
アルコキシシランの具体例としては、R1がアルキル基である場合、すなわちアルキルアルコキシシランである場合、n−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、iso−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、iso−オクチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、iso−デシルトリメトキシシラン、tert−デシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、iso−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、iso−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、iso−デシルトリエトキシシラン等が挙げられる。R1がアルコキシ基である場合には、上述したアルキルアルコキシシランにおけるアルキル基をアルケニル基で置換した化合物が挙げられる。R1がフルオロアルキル基及びフルオロアルケニル基である場合には、上述したアルキルアルコキシシラン及びアルケニルアルコキシシランにおけるアルキル基及びアルコキシ基中の水素が1又は2以上のフッ素で置換された化合物が挙げられる。
被覆マグネタイト粒子においては、前記のアルコキシシランを原料としてシラン化合物層を形成する。このシラン化合物層の構造は、該アルコキシシランどうしが反応して生成した三次元ネットワーク構造から構成されていると考えられる。そのような三次元ネットワーク構造には、前記のアルコキシシランの加水分解生成物や脱水縮合生成物等が包含されると、本発明者らは考えている。
被覆マグネタイト粒子のシラン化合物層中に含まれるシラン化合物の量は、Si換算で、被覆マグネタイト粒子の重量に対して0.08〜0.7重量%、特に0.15〜0.5重量%であることが好ましい。シラン化合物の量がこの範囲内であることによって、被覆マグネタイト粒子において、シラン化合物層からのシラン化合物の有機溶媒への溶出量を抑制しつつ、表面の疎水性が高い被覆マグネタイト粒子となすことができる。シラン化合物層中に含まれるシラン化合物の量(重量%)測定は、例えばシラン化合物層中に含まれるカーボンの量を測定し、その量に基づきSiの量を算出することで求められる。
シラン化合物層中に含まれるカーボンの量は以下の方法で測定することができる。シラン化合物層に含まれるシラン化合物は、該シラン化合物1分子に対して1個のアルキル基を有している。したがって、このアルキル基のカーボン数を測定することで、シラン化合物の量を求めることができる。アルキル基のカーボン数の特定には、以下の装置及び方法を用いた。
<シランカップリング剤アルキル基特定方法>
装置名:HEWLETT PACKARD社製 6890GC/5973MSD
アジレント社製 7694ヘッドスペースサンプラー
測定方法:
20mL HS用バイヤル中試料50mgをヘッドスペースサンプラーにて加熱(140℃×30min)し、発生ガスのGC−MS分析を行った。
測定条件:
〔ヘッドスペースサンプラー条件〕
オーブン(試料加熱) 140℃×30min
ループ 150℃
トランスファーライン 160℃
〔GC−MS条件〕
(1)C6、C8検出
スキャンモード
カラム:DB−5(HP社製)
温度条件:
注入口 250℃
オーブン 初期温度40℃ 10min、10℃/min 40〜200℃、200℃ 5min
スプリット比: 50:1
(2)iso−C4検出
スキャンモード
カラム:Pola Plot Q(VARIAN社製)
温度条件:
注入口 250℃
オーブン 初期温度100℃、20℃/min 100〜250℃
スプリット比:20:1
解析方法:
アルキル基を含むシラン化合物は、これを100℃程度以上に加熱することでアルキル基が分解し、対応するアルケン及びアルキルアルデヒドを生成する。例えばアルキル基がC8の場合は1−オクテン及びオクタナールが生成し、C6の場合は1−ヘキセン及びヘキサナールが生成する。iso−C4の場合はイソブテン及び1−メチルプロピナールが生成する。そこで、測定によって得られたマススペクトルのピークの中からアルケン及びアルデヒドのピークを確認することで、シラン化合物中のアルキル基のカーボン数を特定できる。例えば、条件(1)では、C8に由来する1−オクテンは4.2分(m/z=112、83、70、55、43)付近にピークが観察され、C6に由来する1−ヘキセンは1.5分(m/z=84、56、41)付近にピークが観察される。条件(2)では、iso−C4に由来するイソブテンは、4.7分(m/z=56、41、28)付近にピークが観察される。
被覆マグネタイト粒子においては、上述のシリカ層及びシラン化合物層は、コア粒子の表面を薄く被覆している。したがって、被覆マグネタイト粒子の形状はコア粒子の形状を引き継いだものとなる。上述したとおり、コア粒子は球状であることが好ましいので、被覆マグネタイト粒子も球状であることが好ましい。また、上述のシリカ層及びシラン化合物による被覆が薄いことに起因して、被覆マグネタイト粒子の平均粒径は、コア粒子の平均粒径と実質的に大差はない。したがって、被覆マグネタイト粒子の平均粒径については、コア粒子の平均粒径に関して詳述した説明が適宜適用される。被覆マグネタイト粒子の平均粒径の測定方法についても同様である。
上述のシリカ層及びシラン化合物層で被覆されている被覆マグネタイト粒子は、両層の作用によって、有機溶媒中におけるシラン化合物層からのシラン化合物の溶出が抑制されている。具体的には、以下の方法で測定されるシラン化合物の溶出率が、粒子全体の重量に対して好ましくは15%以下、更に好ましくは12%以下となっている。
〔シラン化合物の溶出率の測定方法〕
被覆マグタイト粒子3gを30mLのガラス容器に取り、ここにテトラヒドロフラン(THF)を20mL投入する。超音波ホモジナイザ(BRANSON社製SONIFIER450)を用いて30秒間超音波を照射して洗浄を行う。次いで、磁石でマグネタイト粒子を沈降させ、上澄み液を除去する。その後50℃で3時間乾燥してから、被覆マグネタイト粒子中に含まれるカーボンの量を、炭素分析装置(堀場製作所製、EMIA−110)を用いて測定する。シラン化合物の溶出率は、次式から求める。
溶出率(%)=((A−B)/A)×100
式中、AはTHF洗浄前の被覆マグネタイト粒子に含まれるカーボンの量であり、BはTHF洗浄後の被覆マグネタイト粒子に含まれるカーボンの量である。
粒子の最表面にシラン化合物層の被覆を有する本発明の被覆マグネタイトにおいては、該シラン化合物層の作用によって表面が疎水化されている。それによって、被覆マグネタイト粒子は、その表面における水分の吸着量が低減したものとなっている。具体的には、以下の方法で測定される水蒸気吸着量が、0.8mg/g以下、特に0.05〜0.8mg/gであることが好ましい。
〔水蒸気吸着量の測定方法〕
水蒸気吸着量測定装置BELSORP18(日本ベル株式会社製)を用いて、25℃、相対圧0.9における被覆マグネタイト粒子1g当たりの水蒸気吸着量を測定する。
水蒸気吸着量が低いことに加えて、本発明の被覆マグネタイト粒子においては、該粒子に剪断力を加えた後であっても、シラン化合物層が強固に密着しているので、水蒸気吸着量の増加が起こりにくい。詳細には、被覆マグネタイト粒子は、これを有機溶媒中で超音波分散処理し、再乾燥、解砕後の水蒸気吸着量が好ましくは0.9mg/g以下、更に好ましくは0.8mg/g以下であり、かつ以下の(3)式で表される水蒸気吸着量の増加率が好ましくは20%以下、更に好ましくは10%以下である
水蒸気吸着量の増加率(%)=〔(分散処理後の水蒸気吸着量−分散処理前の水蒸気吸着量)÷分散処理前の水蒸気吸着量〕×100 ・・・(3)
前記の有機溶媒としては、テトラヒドロフランが用いられる。超音波分散処理の条件は、被覆マグネタイト粒子2gに対して有機溶媒10mLを加え、超音波ホモジナイザ(BRANSON社製SONIFIER450、超音波出力90W)を用い、超音波照射時間1分とする。再乾燥は、磁気によって被覆マグネタイト粒子を分離した後、50℃・120分の条件で行われる。解砕は、サンプルミルで30秒行った。
また、本発明の被覆マグネタイト粒子は、凝集が抑制されて、有機溶媒中での分散性が高いものでもある。具体的には、以下の方法で測定されるスチレン中での沈降速度が0.1mm/min以下であることが好ましい。スチレン中での沈降速度は、被覆マグネタイト粒子の凝集状態を反映しており、沈降速度が遅いほど疎水性が高く良く分散されていることを意味する。
〔スチレン中での被覆マグネタイト粒子の沈降速度〕
被覆マグネタイト粒子0.2gとスチレン(関東化学社製)10mLを試験管に入れ、超音波ホモジナイザ(BRANSON社製SONIFIER450)を用いて60秒間超音波を照射する。次いで溶液安定性評価装置(フォーマルアクション社製タービスキャンMA2000)を用いて沈降速度を測定する。
次に、本発明の被覆マグネタイト粒子の好適な製造方法について説明する。本製造方法は、(1)マグネタイトのコア粒子の製造工程、(2)シリカ層によるコア粒子の表面の被覆工程及び(3)シラン化合物層によるシリカ層表面の被覆工程の3つに大別される。以下、それぞれの工程について説明する。
まず(1)の工程について説明する。マグネタイトのコア粒子は、当該技術分野で公知の方法に従い製造することができる。例えば、第一鉄塩の中和反応によって生じた水酸化第一鉄コロイド溶液に酸化性ガスを吹き込む湿式酸化法によってマグネタイトのコア粒子を製造できる。この場合、必要に応じ、Si、Ti、Al、Zr、Mn、Zn、Mg等の元素の1種又は2種以上を含む水溶性化合物を、反応用溶液に投入してもよく(反応前、反応開始時、又は反応途中のいずれでも可)、あるいはコア粒子の生成完了後に投入してもよい。これらの元素の水溶性化合物の添加量を調整することで、コア粒子中に含有されるこれらの元素の量をコントロールできる。また、本工程でケイ素の含有分布(粒子の半径方向の分布)を調整することによって、以下に述べる(2)の工程を経ることなく、シリカ層を形成することも可能である。
(1)の工程においては、湿式酸化法を行うときの液のpHを適切に調節することで、コア粒子の形状をコントロールできる。具体的には液のpHを7以下、好ましくは5.5〜7.0、更に好ましくは5.5〜6.0に保ちつつ、該液に空気等の酸化性ガスを吹き込み、湿式酸化を行う。このpHの調節によって、得られるコア粒子を球状のものとすることができる。液のpHがアルカリ側、例えばpHを9以上にして湿式酸化を行うと、球状ではなく、多面体状のコア粒子が生成する。
なお、湿式酸化における空気等の酸化性ガスの吹き込み条件は、本製造方法において特に臨界的でなく、公知の条件を適宜採用することができる。
このようにして得られたコア粒子は、次いで(2)の工程において、その表面にシリカ層が形成される。この形成のために、本工程においては、水溶性ケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウム等のケイ酸のアルカリ金属塩や、ケイ酸のアルカリ土類金属塩を用いる。詳細には、(1)の工程において得られたコア粒子を、水洗した後に水を添加してスラリー化する。このスラリーにケイ酸塩を添加して攪拌する。攪拌を所定時間行うことによって、コア粒子の表面にシリカ層を形成する。ケイ酸塩の添加量は、マグネタイトのコア粒子の重量に対して、Si換算で0.05〜0.5重量%、特に0.10〜0.4重量%とすることが、平滑な粒子表面を得る点及びシリカ層の上にシラン化合物を均一に被覆する点から好ましい。
このようにして形成されたシリカ層中には、原料であるケイ酸塩に由来するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属が含まれている。シリカ層中におけるアルカリ金属等の存在は、該シリカ層の表面にシラン化合物層を強固に結合させることの妨げとなるので、アルカリ金属等を極力除去することが望ましい。この観点から、カチオン交換樹脂を用いたイオン交換を行い、シリカ層に含まれるアルカリ金属等を低減させることが好ましい。カチオン交換樹脂としては、従来公知のものを特に制限なく用いることができる。また、イオン交換の条件にも特に制限はなく、シリカ層が形成された後のコア粒子をカチオン交換樹脂と水相中で攪拌したり、カチオン交換樹脂が充填されたカラム中に、シリカ層が形成された後のコア粒子のスラリーを通過させたりすればよい。イオン交換は、スラリーのpHが4〜6程度になるまで行えばよい。
イオン交換以外の手段を用いてシリカ層中に含まれるアルカリ金属の量を低減させてもよい。そのような手段としては、例えば、大量のイオン交換水で洗い流す方法や湿式分散機でスラリーを分散処理させた後に洗浄する方法などがある。
先に述べたとおり、シリカ層の表面は平滑であることが望ましいところ、シリカ層表面の平滑性を、上述した好ましい範囲内とするためのシリカ層の製造条件の例としては、ケイ酸ソーダ(JIS3号)を水で好ましくは3〜10重量%に希釈した後、このケイ酸ソーダ水溶液2000〜5000mlを、30分程度かけて5〜12kgのコア粒子に添加し、その後室温で30分以上エージングした後に、30分以上かけてpH6〜7に中和する方法を採用すればよい。中和には硫酸、塩酸、硝酸、酢酸等を用いることができる。また、コア粒子を生成させるときに、該コア粒子中におけるケイ素の含有分布を調整し、コア粒子の表面にケイ素を偏在させてシリカ層を形成する場合においては、コア粒子の生成反応後半の酸化速度を抑えること、すなわち、酸化性気体の吹き込み量を緩やかにすることで、シリカ層の表面平滑性を高めることができる。
このようにして表面にシリカ層が形成されたコア粒子は、次いで(3)の工程において、その表面にシラン化合物層が形成される。この形成のために、本工程においては、上述したアルコキシシランを用い、該アルコキシシランからシラン化合物層を生成させる。
具体的には、上述したアルコキシシランを、シリカ層の表面で加水分解させて、その加水分解物や脱水縮合物等からなる種々の有機シラン化合物を生成させ、これによってシリカ層の表面を被覆する。あるいはアルコキシシランを予め加水分解させ、生成した有機シラン化合物をシリカ層の表面に被覆してもよい。アルコキシシランをシリカ層の表面に被覆する方法には、湿式法と乾式法がある。湿式法では、水を媒体とし、表面にシリカ層が形成されたコア粒子を含み、pHが所定の範囲に設定されたスラリーにアルコキシシランを添加してコア粒子の表面を被覆する。乾式法では、表面にシリカ層が形成されたコア粒子とアルコキシシランとを、液媒体の実質的な非存在下に混合して該シリカ層の表面を被覆する。これら2つの方法のうち、乾式法を用いることが、シラン化合物層によるシリカ層子の表面の被覆を首尾良く行い得る点から好ましい。
表面にシリカ層が形成されたコア粒子とアルコキシシランとの混合には、公知の混合攪拌装置を用いることができる。例えば、ヘンシェルミキサ、ハイスピードミキサ、エッジランナー、リボンブレンダー等を用いることができる。これらの装置の運転条件としては、混合攪拌時の温度を10〜50℃、特に10〜40℃に設定することが好ましい。これによって、混合が十分に行われる前に、アルコキシシランが意図せず縮合反応してしまうことや、揮発してしまうことを効果的に防止できる。表面にシリカ層が形成されたコア粒子とアルコキシシランとの配合の割合は、コア粒子100重量部に対して、アルコキシシランを0.5〜10重量部、特に0.8〜5重量部とすることが、得られる被覆マグネタイト粒子に含まれるシラン化合物の量が適切になり、被覆マグネタイト粒子の疎水性が十分に高くなる点から好ましい。
乾式混合が完了したら、アルコキシシランの脱水縮合が生じる温度にまで混合物を加熱してアルコキシシランの脱水縮合を生じさせる。アルコキシシランの種類にもよるが、加熱温度は100〜250℃、特に105〜240℃とすることが好ましい。加熱をこの温度範囲で行うことで、コア粒子の過度の凝集を防止しつつ、アルコキシシランの脱水縮合を行うことができる。加熱時の雰囲気に特に制限はない。一般的には大気下で加熱を行えばよい。
このようにして、目的とする被覆マグネタイト粒子が得られる。この粒子においては、その最表面が上述のシラン化合物層で被覆されているので、疎水性が高く、また有機溶媒中へのアルコキシシランの溶出が防止されたものになっている。しかも、シラン化合物層が、シリカ層を介してマグネタイトのコア粒子に強固に結合しているので、被覆マグネタイト粒子に剪断力を加えてもシラン化合物層の剥離が起こりづらくなっている。得られた被覆マグネタイト粒子は、重合法トナーの原料として特に有用である。例えば懸濁重合法を行う場合、本発明の被覆マグネタイト粒子を、バインダのモノマー成分や電荷制御剤、ワックス等とともに混合し、次いでこれを、懸濁安定化剤を含む水と混合して懸濁させ、得られた懸濁液を加熱してモノマーを重合させることでトナーが得られる。この方法によれば粒径のそろったトナーを一段階で得ることができる。また、本発明の被覆マグネタイト粒子を、粉砕法トナーの原料として用いても何ら差し支えない。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「重量%」を意味する。
〔実施例1〜8並びに比較例1及び2〕
(1)マグネタイトのコア粒子A及びBの製造
Fe2+を2.0mol/L含有する硫酸第一鉄水溶液50リットルと、ケイ酸ナトリウムをSi換算で0.0157mol/L含む、4.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液55リットルとを混合撹拌し、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液を得た。この液の温度を85℃に保ちながら20L/minで空気を通気し、水酸化第一鉄の湿式酸化を行った。これによってマグネタイトのコア粒子Aを生成させた。得られたコア粒子Aを通常の洗浄、濾過、乾燥、粉砕工程により処理した。このコア粒子Aは球状であった。このコア粒子Aの詳細を以下の表1に示す。これとは別に、ケイ酸ナトリウムをSi換算で0.0314mol/L含む、4.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いる以外は、前記と同様にして、マグネタイトのコア粒子Bを生成させた。得られたコア粒子Bを通常の洗浄、濾過、乾燥、粉砕工程により処理した。このコア粒子Bは球状であった。このコア粒子Bの詳細を以下の表1に示す。コア粒子Bは、その製造時に多量のケイ酸ナトリウムを用いたので、粒子の表面にシリカが偏析してシリカ層が形成されていた。
Figure 2011246327
(2)シリカ層が形成されたコア粒子の製造
〔製造例I〕
前記の(1)で得られたコア粒子Bのスラリーをフィルタープレスで濾過、洗浄した後に、再度水でリスラリーを行った。このスラリー100L(固形分50g/L)に、500g(コア粒子Bに対して10重量%)のイオン交換樹脂SK110(三菱化学製)を投入した。そして、スラリーを2時間攪拌してイオン交換を行った。その後、イオン交換樹脂をメッシュで濾過して除去し、通常の濾過、洗浄を行い、乾燥、解砕をしてシリカ層が形成されたコア粒子Iを得た。なお、上述したとおり、シリカ層が形成されたコア粒子Iの原料として用いたコア粒子Bは、既にその表面に、シリカの偏析によってシリカ層が形成されているものである。コア粒子Iの詳細を以下の表2に示す。
〔製造例II〕
コア粒子Bを用い、かつ通常の濾過、洗浄を行い、乾燥、解砕をして、シリカ層が形成されたコア粒子IIを得た。コア粒子IIの詳細を以下の表2に示す。
〔製造例III〕
前記の(1)で得られたコア粒子Aのスラリーに、珪酸ソーダ3号をコア粒子Aに対してSi換算で0.10%添加して30分撹拌した。次いで、希硫酸をスラリーに加え、pHを6.0に調整した。このスラリーをフィルタープレスで濾過、洗浄した後に、再度水でリスラリーを行った。このスラリー100L(固形分50g/L)に、500g(コア粒子Aに対して10重量%)のイオン交換樹脂SK110(三菱化学製)を投入した。そして、スラリーを2時間攪拌してイオン交換を行った。その後、イオン交換樹脂をメッシュで濾過して除去し、通常の濾過、洗浄を行い、乾燥、解砕をしてシリカ層が形成されたコア粒子IIIを得た。コア粒子IIIの詳細を以下の表2に示す。
〔製造例IV及びV〕
珪酸ソーダ3号の添加量を、コア粒子Aに対してSi換算で0.15%及び0.20%にする以外は製造例IIIと同様にして、シリカ層が形成されたコア粒子IV及びVを得た。これらのコア粒子の詳細を以下の表2に示す。
〔製造例VI〕
前記の(1)で得られたコア粒子Aのスラリーに、珪酸ソーダ3号をコア粒子Aに対してSi換算で0.10%添加して30分撹拌した。次いで、希硫酸をスラリーに加え、pHを6.0に調整した。このスラリーをフィルタープレスで濾過、洗浄した。その後、乾燥、解砕をして、シリカ層が形成されたコア粒子VIを得た。コア粒子VIの詳細を以下の表2に示す。
〔製造例VII〕
製造例IIIにおいて、イオン交換樹脂SK110(三菱化学製)の使用量を300g(コア粒子Aに対して6重量%)に減量した。また、イオン交換の時間を1時間に短縮した。これら以外は製造例IIIと同様にして、シリカ層が形成されたコア粒子VIIを得た。コア粒子VIIの詳細を以下の表2に示す。
〔製造例VIII〕
製造例VIにおいて、フィルタープレスで濾過、洗浄を行った後に水でリスラリーを行った。このスラリーを再度フィルタープレスで濾過、洗浄した。その後に、再度水でリスラリーを行った。これ以外は製造例VIと同様の操作を行い、シリカ層が形成されたコア粒子VIIIを得た。コア粒子VIIIの詳細を以下の表2に示す。
Figure 2011246327
(3)被覆マグネタイト粒子の製造
シリカ層が形成されたコア粒子IV(1kg)をハイスピードミキサ(深江パウテック社製LFS−2型)に投入し、回転数2000rpmで乾式撹拌しながら、n−ヘキシルトリメトキシシラン22.7g(0.11mol)を2分間にわたって滴下し、その後3分間撹拌した。次いで120℃で1時間大気下にて熱処理を行い、実施例1の被覆マグネタイト粒子を得た。また、シリカ層が形成されたコア粒子の種類及びアルコキシシランの種類を以下の表3に示すものとする以外は、前記と同様にして実施例2〜8並びに比較例1及び2の被覆マグネタイト粒子を得た。使用したアルコキシシランのモル数は、実施例1と同様とした。
得られた被覆マグネタイト粒子について、水蒸気吸着量、有機溶媒に分散後の水蒸気吸着量及び水蒸気吸着量の増加率を、上述の方法で測定した。それらの結果を以下の表3に示す。
Figure 2011246327
表3に示す結果から明らかなように、各実施例で得られた被覆マグネタイト粒子(本発明品)は、比較例の被覆マグネタイト粒子に比べて水蒸気吸着量が少なく、表面の疎水性が高いものであることが判る。また、分散処理後も水蒸気吸着量が少なく、最表面のシラン化合物層が強固に結合していることが判る。

Claims (7)

  1. マグネタイトのコア粒子と、その表面を被覆するシリカ層と、該シリカ層の表面を被覆するシラン化合物層とを有し、該シリカ層におけるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量の合計が、被覆マグネタイト粒子の重量に対して50ppm以下であることを特徴とする被覆マグネタイト粒子。
  2. 以下の(1)式で表される、シリカ層で被覆されたコア粒子の平滑性が110〜150%の範囲である請求項1記載の被覆マグネタイト粒子。
    シリカ層で被覆されたコア粒子の平滑性(%)=(シリカ層で被覆されたコア粒子の比表面積÷粒径に基づき真球換算した、シリカ層で被覆されたコア粒子の比表面積)×100・・・(1)
  3. シリカ層におけるケイ素の含有量が、被覆マグネタイト粒子の重量に対して0.02〜0.5重量%の範囲である請求項1又は2記載の被覆マグネタイト粒子。
  4. コア粒子中にケイ素が含まれており、その含有量が、被覆マグネタイト粒子の重量に対して0.05〜0.8重量%の範囲である請求項1ないし3のいずれかに記載の被覆マグネタイト粒子。
  5. 以下の(2)式で表されるシリカ層の表面分布が10〜40%の範囲である請求項1ないし4のいずれかに記載の被覆マグネタイト粒子。
    シリカ層の表面分布(%)=(シリカ層のケイ素含有量÷シリカ層で被覆されたコア粒子のケイ素含有量)×100・・・(2)
  6. 水蒸気吸着量が、0.8mg/g以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の被覆マグネタイト粒子。
  7. 有機溶媒中で超音波分散処理し、再乾燥、解砕後の水蒸気吸着量が0.9mg/g以下であって、
    以下の(3)式で表される水蒸気吸着量の増加率が20%以下である請求項1ないし6のいずれかに記載の被覆マグネタイト粒子。
    水蒸気吸着量の増加率(%)=〔(分散処理後の水蒸気吸着量−分散処理前の水蒸気吸着量)÷分散処理前の水蒸気吸着量〕×100 ・・・(3)
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