JP2009286644A - 複合被覆マグネタイト粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】一次粒子どうしの合一に起因する二次凝集体の生成が抑制された複合被覆マグネタイト粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】マグネタイト粒子の表面が無機化合物で被覆されてなるコア粒子の表面が、シラン化合物で処理されてなる複合被覆マグネタイト粒子の製造方法である。本製造方法は、水を媒体とし、前記コア粒子を含み、かつpHが2以上6以下に設定されたスラリーにシラン化合物を添加し、該コア粒子の表面に該シラン化合物を結合させることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、複合被覆マグネタイト粒子の製造方法に関する。本製造方法によって得られた複合被覆マグネタイト粒子は、例えばプリンターや電子複写機のトナー用材料として好適に用いられる。
従来、静電複写磁性トナーの製造においては、トナーの原料となる磁性粉やバインダ等を混合して溶融混練した後に、粉砕・分級する、いわゆる粉砕法(乾式法)が主流であった。しかしながら、粒子径の微小化、更なる低温定着性などの機能付与において粉砕法で得られたトナーでは限界に近づいている。特にフルカラーなどの高画質化に向けて、粉砕分級工程が不要であるか、あるいは粉砕分級工程を大幅に軽減できる重合法(湿式法)が脚光を浴びてきた。
重合で直接トナーを製造する方法としては、懸濁重合法が知られている。懸濁重合法によってトナーを製造する場合、表面が親水性である磁性粉を用いると、トナーの帯電特性及び画像特性が低下する傾向にある。この理由は、磁性粉の表面が親水性であることに起因して、磁性粉が非水系溶媒中で十分に分散できず、その結果、トナー中での磁性粉の分散性が低下して、トナー中に磁性粉が十分に含有されないことによるものである。
そこで、重合法トナーの原料となる磁性粉の表面を疎水化することで、非水系溶媒中での磁性粉の分散性を高める試みが提案されている。例えば特許文献1においては、磁性酸化鉄を基体粒子とし、その表面にシラン化合物を被覆した疎水性磁性酸化鉄粒子が提案されている。同文献には、疎水性磁性酸化鉄粒子におけるシラン化合物のトルエン中への溶出率を30%以下とすることによって、磁性酸化鉄の疎水性が十分となり、磁性酸化鉄粒子同士の合一が少なくなって粒度分布が狭くなると記載されている。同文献によれば、シラン化合物は、pHが4〜6に設定された磁性酸化鉄粒子のスラリー中に添加され、該シラン化合物の被覆が進行するにつれてpHを高くすることが好ましいとされている。
しかし本発明者らが検討したところ、特許文献1に記載の疎水性磁性酸化鉄粒子における疎水性の程度は十分とは言えず、磁性酸化鉄粒子の表面が不均一に疎水化されており、それに起因して磁性酸化鉄粒子同士の合一が生じていることが判明した。
特開2005−263619号公報
したがって本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得るマグネタイト粒子の製造方法を提供することにある。
本発明は、マグネタイト粒子の表面が無機化合物で被覆されてなるコア粒子の表面が、シラン化合物で処理されてなる複合被覆マグネタイト粒子の製造方法であって、
水を媒体とし、前記コア粒子を含み、かつpHが2以上6以下に設定されたスラリーにシラン化合物を添加し、該コア粒子の表面に該シラン化合物を結合させることを特徴とする複合被覆マグネタイト粒子の製造方法を提供するものである。
また本発明は、前記の方法によって製造される複合被覆マグネタイト粒子であって、
スチレン・n−ブチルアクリレート中での最大粒径Dmaxが2μm以下であることを特徴とする複合被覆マグネタイト粒子を提供するものである。
本発明にしたがい製造された複合被覆マグネタイト粒子によれば、該マグネタイト粒子の一次粒子どうしが合一して二次凝集体が生成することが抑制されるので、該マグネタイト粒子を用いてトナーを製造すると、トナー内で該マグネタイト粒子が偏在することやトナーの表面に該マグネタイト粒子が露出することが防止され、トナーの帯電量が向上する。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の方法は、マグネタイト粒子の表面が無機化合物で被覆されてなるコア粒子の表面が、シラン化合物で処理されてなる複合被覆マグネタイト粒子の製造方法である。
先ず、本製造方法の原料であるコア粒子及びシラン化合物の詳細について説明する。コア粒子としては、上述のとおり、マグネタイト粒子の表面が無機化合物で被覆されてなるものが用いられる。マグネタイト粒子は、当該技術分野において公知のものを特に制限なく用いることができ、XRD測定したときに主ピークがマグネタイトのピークと一致するものが用いられる。この場合、マグネタイトのピークのみが観察されてもよく、あるいはマグネタイトの主ピークの他に、マグヘマイト等のピークが観察されてもよい。マグネタイト粒子は、例えばSi、Ti、Al、Zr、Mn、Zn、Mg等の1種又は2種以上を含む無機化合物によって被覆され、コア粒子となる。この無機化合物の形態は、例えば酸化物や水酸化物であればよい。この無機化合物は、マグネタイト粒子の溶解を防止するに足る程度の厚みで以てマグネタイト粒子を被覆している。特に、無機化合物としてSiを含むものを用いると、コア粒子とシラン化合物との親和性が良好になるので好ましい。
コア粒子は、第一鉄塩の中和反応によって生じた水酸化第一鉄コロイド溶液に、空気等の酸化性ガスを吹き込む湿式酸化法によってマグネタイト粒子を生成させる一般的な製造方法において、Si、Ti、Al、Zr、Mn、Zn、Mg等の1種又は2種以上を含む水溶性化合物を、反応用溶液に投入するか(反応前、反応開始時、又は反応途中のいずれでも可)、又はマグネタイト粒子の生成完了後に投入するかし、かつ投入の際にpHを適宜調整することによって製造される。そして、使用する前記水溶性化合物の種類や、該水溶性化合物の添加の時期を適切に選択することで、これらの元素を含む無機化合物で表面が被覆されたコア粒子を得ることができる。例えば、表面がSiを含む無機化合物で被覆されたコア粒子を得る場合には、第一鉄塩の中和反応によって水酸化第一鉄コロイド溶液を生成させる反応において、第一鉄塩とともに水溶性のSi化合物を反応系に存在させておけばよい。これによって、コア粒子の生成過程においてSi成分が粒子の表面に局在化し、表面がSiを含む無機化合物で被覆されたコア粒子が得られる。なお、前記水溶性化合物の添加量は、複合被覆マグネタイト粒子の重量に対し、該水溶性化合物に含まれるSi、Ti、Al、Zr、Mn、Zn、Mg等の元素に換算して、これらの元素の総量が0.02〜1.00重量%、特に0.05〜0.70重量%となるような量であることが好ましい。水酸化第一鉄コロイド溶液を生成させる中和反応のpHは4〜9、特に5〜8であることが好ましい。
コア粒子としては、一次粒子平均粒径が0.1〜1.5μm、特に0.2〜1.0μmのものを用いることが、トナーの原料として適切な粒径を有する複合被覆マグネタイト粒子を得ることができる点から好ましい。この一次粒子平均粒径は、コア粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して撮影された像から測定する。具体的には、SEM写真(倍率40,000倍)により、写真上の粒径を同軸方向に200ヶ以上計測し、その個数平均から求めることができる。
コア粒子は、その形状に特に制限はなく、例えば球状、針状、鱗片状、八面体や六面体等の多面体状のものを用いることができる。コア粒子の形状は、コア粒子の製造過程におけるpHの値や、各種元素の添加の有無で任意にコントロールできる。なお、シラン化合物による表面処理の前後における粒子の形状に実質的な変化はなく、コア粒子の形状が、本製造方法によって得られる複合被覆マグネタイト粒子の形状に引き継がれる。
コア粒子は、その磁気特性に関し、79.6kA/mにおける飽和磁化σsの値が50〜100Am2/kg、特に60〜90Am2/kgであることが好ましく、同磁場における残留磁化σrの値が1〜15Am2/kg、特に2〜12Am2/kgであることが好ましい。更に、同磁場における保磁力Hの値が1.0〜10.0kA/m、特に2.0〜8.0kA/mであることが好ましい。なお、シラン化合物による表面処理の前後における磁気特性に実質的な変化はなく、前記の磁気特性の値は、本製造方法によって得られる複合被覆マグネタイト粒子にも適用される。
コア粒子は、その黒色度に関し、色差計によって測定されたL値(JIS K5101−1991に準拠した粉体の黒色度測定)が30以下、特に25以下であることが、トナー用材料として好ましい。なお、シラン化合物による表面処理の前後における黒色度に実質的な変化はなく、前記の黒色度の値は、本製造方法によって得られる複合被覆マグネタイト粒子にも適用される。
次に、本製造方法において、コア粒子を含むスラリーの調製について説明する。このスラリーは水を媒体とするものである。スラリー中におけるコア粒子の濃度は、マグネタイト換算で10〜300g/L、特に50〜200g/Lとすることが、シラン化合物によるコア粒子の表面処理を均一に行い得る点から好ましい。
このスラリーには、コア粒子及び水に加え、必要に応じて種々の成分を配合することもできる。例えばメチルアルコール等の一価の低級アルコールを配合することができる。
本発明の製造方法においては、(イ)マグネタイト粒子が無機化合物で被覆されてなるコア粒子を用いること、及び(ロ)コア粒子の表面をシラン化合物で被覆するときのスラリーのpHを、特定のpH領域に設定することが重要である。これらの条件を採用することで、コア粒子の表面にシラン化合物を、均一にかつ強固に結合させることが可能となる。詳細には次のとおりである。シラン化合物の加水分解を適切な反応速度で、かつ十分に進行させて結合を強めるためには、加水分解のpHを中性域に近い酸性域に設定することが有利である。しかし、このpH領域ではマグネタイトの溶解が起こりやすいという不都合がある。そこで本発明においては、マグネタイト粒子を無機化合物の被覆層で被覆することによって該粒子を保護し、シラン化合物の加水分解が起こりやすいpH領域であっても、マグネタイトの溶解が起こりにくくなるようにしている。この観点から、本発明においてはスラリーのpHを2以上6以下に設定している。かかるpH領域に設定されたスラリーを用いることで、マグネタイトの溶解を極力防止しつつコア粒子の表面にシラン化合物を、均一にかつ強固に結合させることが可能となる。スラリーのpHが6超では、シラン化合物の加水分解の反応速度を十分に高くすることができず、それに起因してシラン化合物がコア粒子の表面に強固に結合しなくなる。その結果、トナーの製造過程等において行われる熱処理によってシラン化合物がコア粒子の表面から剥がれてしまい、2以上の粒子における剥がれた部分どうしが非水系溶媒中で合一して粗粒が生成してしまう。一方、スラリーのpHが2未満の場合には、マグネタイトの溶解は起こらないものの、シラン化合物の加水分解反応が早くなりすぎて自己縮合が促進されてしまい、それによって生成した縮合体が複数のコア粒子を巻き込んで、やはり粗粒が発生してしまう。マグネタイトの溶解を一層防止しつつ、シラン化合物をコア粒子の表面に一層均一に結合させる観点から、pHは2以上4未満、特に2.5〜3.5とすることが好ましい。本明細書に言うpHとは、シラン化合物によってコア粒子を処理するときのスラリーのpHのことである。
スラリーのpHを前記の範囲に設定するためには、コア粒子及び水を含むスラリーに適量の酸を添加すればよい。酸としては、無機酸及び有機酸のどちらを使用してもよい。有機酸はスラリー中に残存しやすい傾向にあることから、シラン化合物処理後の洗浄性が良好である無機酸を用いることが好ましく、とりわけ硫酸、塩酸又は硝酸を用いることが好ましい。
pHが調整されたスラリーに、シラン化合物を添加する。シラン化合物としては、加水分解が可能な基を有する化合物が用いられる。そのような化合物としては、例えばアルコキシシランや、シランカップリング剤として知られる化合物が挙げられる。例えばR1 xSi(OR24-xで表されるものを用いることができる。式中R1は末端が官能基で置換されていてもよい長鎖アルキル基又は置換されていてもよいアリール基を表し、R2は短鎖アルキル基を表す。またxは1〜3の整数を表す。R1の長鎖アルキル基としては、例えば炭素数4〜18のアルキル基が挙げられる。短鎖アルキル基としては、例えば炭素数1又は2のアルキル基が挙げられる。R1において置換される官能基としては、例えばメタクリロキシ基、アミノ基、グリシジル基、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ基などが挙げられる。
シラン化合物の具体例としては、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
pHが調整されたスラリーに、シラン化合物を添加するときのスラリーの温度は室温でもよい。あるいはスラリーを所定の温度に加熱しておいてもよい。スラリーを加熱した状態でシラン化合物を添加する場合、スラリーの温度は30〜90℃、特に40〜60℃であることが、シラン化合物の反応速度を制御し易い点から好ましい。
スラリーに添加するシラン化合物の量は、スラリー中に存在するコア粒子の重量に対して0.036〜0.145mol/kg、特に0.054〜0.108mol/kgとなるような量であることが、コア粒子の表面に必要かつ十分な量のシラン化合物を結合させ得る点から好ましい。また、スラリーに添加するシラン化合物の量は、得られた複合被覆マグネタイト粒子の表面に存在するシラン化合物の量が、該複合被覆マグネタイト粒子の重量に基づき、Si換算で0.05〜1重量、特に0.1〜0.5重量%となるような量であることが好ましい。シラン化合物の添加は、一括添加でもよく、あるいは所定の時間にわたって徐々にシラン化合物を添加してもよい。
スラリーの温度を上述の範囲に保ち、シラン化合物を反応させて、コア粒子の表面に結合させる。これによって、コア粒子の表面が疎水化される。反応時間は、シラン化合物の種類やスラリーの温度に応じて異なるが、一般に1〜10時間程度反応を行えば、コア粒子の表面にシラン化合物が均一に結合する。この間、スラリーのpH及び温度は、上述した範囲内が維持されるようにする。得られた複合被覆マグネタイト粒子の一次粒子平均粒径は、コア粒子の一次粒子平均粒径と大きな違いはなく、コア粒子の一次粒子平均粒径が複合被覆マグネタイト粒子の一次粒子平均粒径に引き継がれる。
このようにして得られた複合被覆マグネタイト粒子はその表面がシラン化合物によって均一に疎水化されたものとなる。したがって、この複合被覆マグネタイト粒子を非水系溶媒中に分散させると均一に分散し、粒子どうしの凝集が起こりにくい。換言すれば、本製造方法にしたがい製造された複合被覆マグネタイト粒子は、非水系溶媒中に分散させた状態において、粗粒のものを含んでいないことによって特徴付けられる。粗粒が存在しないことを、複合被覆マグネタイト粒子の最大粒径Dmaxで表すと、該複合被覆マグネタイト粒子のDmaxは2μm以下、特に1.5μm以下となる。Dmaxの下限値に特に制限はなく、その値が小さければ小さいほど好ましいが、トナーの原料として適切な粒径を有する複合被覆マグネタイト粒子を得るという観点からは、Dmaxの下限値は0.5μm程度に小さければ十分である。Dmaxは次の方法で測定される。
スチレン(関東化学社製)7.5gとn−ブチルアクリレート(関東化学社製)2.5gとを20ccの試験管に量り取り、これに0.5gの試料を投入し、超音波ホモジナイザー(BRANSON社製SONIFIER450)にて30秒間超音波を照射する。このようにして調製された測定試料を用い、レーザ回折散乱法粒度分布測定装置(日機装社製、マイクロトラックMT3300)によってDmaxを測定する。
本製造方法に従い得られた複合被覆マグネタイト粒子は、重合法トナーの原料として特に有用である。例えば懸濁重合法を行う場合、本製造方法に従い得られた複合被覆マグネタイト粒子を、バインダのモノマー成分や電荷制御剤とともに混合し、次いで水を添加し、更に懸濁安定化剤を加えて懸濁させ、懸濁液をモノマーの重合工程に付して重合することでトナーが得られる。この方法によれば粒径のそろったトナーを一段階で得ることができる。この場合、トナーの製造過程において複合被覆マグネタイト粒子からシラン化合物が剥がれることが防止されるので、2以上の複合被覆マグネタイト粒子における剥がれた部分どうしが懸濁液中で合一して粗粒が生成することが防止される。このように、本製造方法に従い得られた複合被覆マグネタイト粒子は、重合法トナーの原料として特に有用であるが、該複合被覆マグネタイト粒子を粉砕法トナーの原料として用いることは何ら妨げられない。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」及び「部」はそれぞれ「重量%」及び「重量部」を意味する。
〔実施例1〕
(1)コア粒子の製造
Si換算で珪酸ナトリウムを0.02mol/L含有し、かつFe2+を2.0mol/L含有する硫酸第一鉄水溶液50リットルと、4.0mol/Lの水酸化ナトリウム溶液55リットルとを混合撹拌し、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液を得た。この液の温度を90℃に保ちながら、20L/minで空気を通気し、水酸化第一鉄の湿式酸化を行い、マグネタイト粒子を得た。これに、Si換算で珪酸ナトリウムを0.1mol/L含む水溶液5リットルを、希硫酸によって反応系のpHを7に調整しながら30分かけて添加した。これによって、マグネタイト粒子の表面が珪素化合物の被覆層で被覆されてなるコア粒子を生成させた。得られたコア粒子を、通常の濾過、洗浄、乾燥、粉砕工程により処理した。このコア粒子は球状であり、SEM観察による一次粒子平均粒径は0.25μmであり、マグネタイト中のSi濃度は0.52%であった。
(2)複合被覆マグネタイト粒子の製造
前項(1)で得られたコア粒子を、マグネタイト換算で100g/Lとなるように水に分散させてスラリーとなした。このスラリーに硫酸水溶液を添加してpHを調整した。スラリーを攪拌させながら40℃に加熱し、この温度を維持させた。スラリーに、シラン化合物としてのn−オクチルトリエトキシシランを添加した。添加量は、添加後のスラリーの体積に対して0.011mol/Lとなるような量とした。このときのスラリーのpHは2.2であった。スラリーの温度及びpHを維持しつつ6時間反応を行い、コア粒子の表面にシラン化合物を結合させた。このようにして目的とする複合被覆マグネタイト粒子を得た。得られた複合被覆マグネタイト粒子を濾過、洗浄し、洗浄ケーキを90℃で乾燥後、130℃で1時間にわたって熱処理した後に、解砕処理した。この複合被覆マグネタイト粒子は球状であった。上述した方法で測定した最大粒径Dmaxは1.90μmで、D50は0.51μmであった。また、複合被覆マグネタイト粒子における被覆Si量及び被覆C量を以下の方法で測定した。これらの結果を以下の表1に示す。
〔被覆Si量〕
得られた複合被覆マグネタイト粒子中には、粒子由来のSiと、シラン化合物由来のSiとが存在する。したがって被覆Si量は、複合被覆マグネタイト粒子に含まれるSi量から、コア粒子に含まれるSi量を差し引くことで求めることができる。複合被覆マグネタイト粒子に含まれるSi量及びコア粒子に含まれるSi量は、リガク社製の蛍光X線装置ZSX PrimusIIを用いて測定した。
〔被覆C量〕
炭素分析装置(堀場製作所製、EMIA−110)を用いて測定した。
〔実施例2〕
シラン化合物としてn−ヘキシルトリメトシキシランを用いた。また、シラン化合物による処理のpHを3.8とした。これら以外は実施例1と同様にして、目的とする複合被覆マグネタイト粒子を得た。得られた複合被覆マグネタイト粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
〔比較例1〕
シラン化合物による処理のpHを1.5とした。これ以外は実施例1と同様にして、有機処理マグネタイト粒子を得た。得られた有機処理マグネタイト粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
〔比較例2〕
シラン化合物による処理のpHを1.5とした。これ以外は実施例2と同様にして、有機処理マグネタイト粒子を得た。得られた有機処理マグネタイト粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2009286644
表1に示す結果から明らかなように、実施例で得られた複合被覆マグネタイト粒子は、比較例で得られた有機処理マグネタイト粒子に比べて、Dmaxの値が小さいことが判る。このことは、実施例で得られた複合被覆マグネタイト粒子は、比較例で得られた有機処理マグネタイト粒子に比べてシラン化合物がコア粒子の表面に均一にかつ強固に結合していることを意味している。

Claims (3)

  1. マグネタイト粒子の表面が無機化合物で被覆されてなるコア粒子の表面が、シラン化合物で処理されてなる複合被覆マグネタイト粒子の製造方法であって、
    水を媒体とし、前記コア粒子を含み、かつpHが2以上6以下に設定されたスラリーにシラン化合物を添加し、該コア粒子の表面に該シラン化合物を結合させることを特徴とする複合被覆マグネタイト粒子の製造方法。
  2. 前記コア粒子の表面に結合した前記シラン化合物の量が、Si換算で0.1〜1重量%となるように処理を行う請求項1記載の複合被覆マグネタイト粒子の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法によって製造された複合被覆マグネタイト粒子であって、
    スチレン・n−ブチルアクリレート中での最大粒径Dmaxが2μm以下であることを特徴とする複合被覆マグネタイト粒子。
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