JP2004217479A - マグネタイト粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粒子表面のアルカリ金属残留量が、粒子全体に対し、10〜50ppmであるマグネタイト粒子。
水酸化アルカリによる中和水酸化第一鉄の湿式酸化法により得られ、かつケイ素、アルミニウムから選ばれる1種又は複合の酸化物、水酸化物、含水酸化物、又はこれらの混合物のいずれかを含む被覆処理を行ったマグネタイト粒子を含むスラリーを固液分離、洗浄する際に、乳化分散機処理を行うことを特徴とするマグネタイト粒子の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マグネタイト粒子及びその製造方法に関し、詳しくは粒子表面のアルカリ金属残留量が抑制され、耐環境性、特に高温高湿下における電気抵抗等の安定性に優れており、高電気抵抗で、分散性や流動性も良好な、特に静電複写磁性トナー用材料粉の用途に主に用いられるマグネタイト粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
水溶液反応等により得られる粒状マグネタイト粒子は、各種分野、特に乾式電子複写機、プリンター等用に広く利用されている。この磁性トナー用途においては、各種の一般的現像特性が要求され、近年、電子写真技術の発達により、特にデジタル技術を用いた複写機、プリンターが急速に発達し、要求特性がより高度なものになってきた。
【0003】
すなわち、従来の文字以外にもグラフィックや写真等の出力も要求されており、複写機、プリンターの中には1インチ当たり1200ドット以上の能力のものも現れ、感光体上の潜像はより緻密になってきている。そのため、現像での細線再現性に優れ、かつ安定した画像が得られること、各環境下でも問題なく使用できること等が強く要求されている。
【0004】
上記課題のうち、現像での細線再現性に優れ、かつ安定した画像を得るためには、磁性トナー用材料粉であるマグネタイト粒子において、電気抵抗が高いものが好適であるとされている(特許文献1)。このマグネタイト粒子の高電気抵抗化の手段としては、ケイ素やアルミニウム成分の添加や、各種化合物の被覆等を施した磁性体に関する開示があり(特許文献2及び3)、このような磁性体であれば、添加成分による得られた磁性体の分散性や流動性を向上させる効果も期待できる。
【0005】
しかし、上記の如き、マグネタイト以外の成分を用いた場合、ケイ素成分は吸湿性が高く、耐環境性を悪化させ、アルミニウム成分を用いる等の他の方法を採用した場合でも、耐環境性の面では、未だ満足のゆくものが得られていない。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−1160号公報
【特許文献2】
特開平5−213620号公報
【特許文献3】
特開2000−239021号公報
【0007】
従って、本発明の目的は、電気抵抗が十分高く、分散性や流動性に優れ、かつ耐環境性に優れ、特に電気抵抗等の安定性に優れたマグネタイト粒子及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、湿式反応、特に第一鉄塩水溶液を出発原料として、水酸化アルカリによる中和にて得られた水酸化第一鉄塩を含むスラリーを、空気等の酸素含有ガスにて酸化し製造されたマグネタイト粒子に残存するアルカリ金属塩に着目し、上記目的が達成し得ることを知見した。
【0009】
本発明のマグネタイト粒子は、上記知見に基づきなされたもので、粒子表面にケイ素、アルミニウムから選ばれる1種又は複合の酸化物、水酸化物、含水酸化物、又はこれらの混合物のいずれかを含む被覆を有するマグネタイト粒子であって、マグネタイト粒子全体に対する該被覆中のケイ素及びアルミニウムの含有量が0.05〜1質量%であり、かつ粒子表面のアルカリ金属残留量が、粒子全体に対し、10〜50ppmであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のマグネタイト粒子の製造方法は、水酸化アルカリによる中和水酸化第一鉄の湿式酸化法により得られ、かつケイ素、アルミニウムから選ばれる1種又は複合の酸化物、水酸化物、含水酸化物、又はこれらの混合物のいずれかを含む被覆処理を行ったマグネタイト粒子を含むスラリーを固液分離、洗浄する際に、乳化分散機処理を行うことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
水溶液反応にて得られるマグネタイト粒子、特に第一鉄塩水溶液を出発原料として、水酸化アルカリによる中和にて得られた水酸化第一鉄塩を含むスラリーを、空気等の酸素含有ガスにて酸化し製造されたマグネタイト粒子は、磁性トナー用材料粉として好適であり、汎用されていることは前述しているが、このようなマグネタイト粒子においては、粒子表面に水酸化アルカリ由来のアルカリ金属成分が残存している。
【0012】
上記残存のアルカリ金属成分は、ただ単に粒子表面に介在するものは、通常の洗浄にてある程度除去されるものの、磁性体であるマグネタイト粒子においては、磁気凝集をはじめとする凝集体を構成しやすく、その凝集界面にアルカリ金属成分を抱えたままで洗浄されることになる。かかるマグネタイト凝集体においては、通常の洗浄にてその凝集界面に存在するアルカリ金属成分を除去するのは困難である。
【0013】
特に、高電気抵抗化や、分散性や流動性の向上等の目的でケイ素化合物やアルミニウム化合物を粒子表面に被覆させたり、露出させたマグネタイト粒子においては、上記アルカリ金属成分の粒子表面での残留が著しい。
マグネタイト粒子は本来磁性を有することに起因して、磁気凝集を起こしやすい性質を持ち、反応スラリー中でも粒子同士が磁気凝集する。これに加え、ケイ素化合物やアルミニウム化合物を粒子表面に被覆させたり、露出させた場合、これら成分が反応時にネットワークを形成しやすい性質を有するため、より強固な凝集体を形成することが考えられる。
【0014】
そして、洗浄後、乾燥され、次の工程である機械的な乾式粉砕によって、凝集体を解砕する際に、アルカリ金属成分が粒子界面に露出することとなる。このアルカリ金属成分は、使用する水酸化アルカリ由来のナトリウム成分やカリウム成分であることが多いが、電解質として作用し、電気伝導性を示すので、特に高湿下においてマグネタイト粒子の電気抵抗値が下がるものと推測される。
【0015】
本発明のマグネタイト粒子は、粒子表面にケイ素、アルミニウムから選ばれる1種又は複合の酸化物、水酸化物、含水酸化物、又はこれらの混合物のいずれかを含む被覆を有するマグネタイト粒子であって、マグネタイト粒子全体に対する該被覆中のケイ素及びアルミニウムの含有量が0.05〜1質量%であり、かつ粒子表面のアルカリ金属残留量が、粒子全体に対し、10〜50ppmであることを特徴とする。
【0016】
上記ケイ素及びアルミニウムの含有量が0.05質量%未満の場合、マグネタイト粒子の高電気抵抗化の効果が低く、1質量%を超える場合、電気抵抗は十分高いものの、耐環境性が不良となる。
また、上記アルカリ金属残留量が50ppmを超える場合、耐環境性の安定性に欠けるものとなる。また、10ppm未満とすることは、物理的に困難であるばかりか、コスト的にも不経済である。
【0017】
また、本発明のマグネタイト粒子は、上記アルカリ金属が、製造上の中和剤として汎用される水酸化ナトリウムや水酸化カリウムに由来することが多いので、ナトリウム及び/又はカリウム量が10〜50ppmであると好ましい。
【0018】
静電複写磁性トナー用材料粉として好ましいマグネタイト粒子は、粒度分布がシャープであり、かつ好適なレベルの粒子平均粒径(SEM観察によるフェレ径で0.1〜0.3μm程度)を有しており、このようなマグネタイト粒子を用いて得られた磁性トナーであれば、トナー粒子中にマグネタイト粒子が均一に分散されることになり、磁性トナーの諸特性も安定したものとなる。
【0019】
マグネタイト粒子の製造方法としては、FeOOHの乾式還元法や、イオン電解分離法等も挙げることができ、これらの方法でアルカリ金属の夾雑を軽減することが可能である。
しかし、乾式法では還元時の焼結・凝集が著しく、粒度分布がブロードになり易く、電解法等では粒径が大きくならず、求める平均粒径のマグネタイト粒子が得られないばかりか、コスト的にも不経済で、工業的でない。
従って、本発明のマグネタイト粒子は、水酸化アルカリによる中和水酸化第一鉄の湿式酸化法により得られたものを用いる場合が、より好ましいとしている。
【0020】
また、本発明のマグネタイト粒子の体積電気抵抗は、温度23℃、湿度55%RHにおいて1×104Ω・cm以上であると、現像での細線再現性に優れ、かつ安定した画像を得ることを目的とする高抵抗磁性トナー用材料粉として好適である。
【0021】
また、本発明のマグネタイト粒子においては、体積電気抵抗が高く、かつ耐環境性に優れていることが好ましいのは言うまでもない。具体的には、温度23℃、湿度55%RHにおける体積電気抵抗RNNが1×104Ω・cm以上、かつ温度10℃、湿度20%RHと温度35℃、湿度85%RHの各環境下で24時間曝露された後の体積電気抵抗の測定値(Ω・cm)をそれぞれRLL、RHHとしたときに、1≦RLL/RHH≦6を満足するのが好ましい。
【0022】
電気抵抗における耐環境性については、低温低湿下での体積電気抵抗RLL(温度10℃、湿度20%RH下)と高温高湿下での体積電気抵抗RHH(温度35℃、湿度85%RH下)との較差が小さい方が良好である。ここで、RLLはマグネタイト粒子が水分の影響をほとんど受けない状態での体積電気抵抗であり、RHHはマグネタイト粒子表面に水分の付着による影響が大きい状態での体積電気抵抗であるから、その比であるRLL/RHHは小さい方が好ましいのである。
【0023】
公知の、マグネタイト粒子表面にケイ素化合物やアルミニウム化合物を被覆させたり、露出させただけのマグネタイト粒子においては、RLLやRNNが1×104〜1×108Ω・cm程度であるが、RLL/RHHは7を超えてしまい、耐環境性は不良である。
このようなことから、本発明のマグネタイト粒子は、粒子表面のアルカリ金属残留量が低く、RLL/RHHが1〜6であると好ましい。
【0024】
また、実際に使用される環境下である常温常湿下での体積電気抵抗RNNと高温高湿下での体積電気抵抗RHHの比であるRNN/RHHが1〜5程度であれば、常用時での安定度合いが高く、好ましい。
【0025】
ここで注意すべきは、マグネタイト粒子表面のアルカリ金属残留量が少なければ、ケイ素化合物やアルミニウム化合物を被覆させたり、露出させていなくても、RLL/RHHが1〜6を示す場合もあり得るということである。しかしながら、その場合、粒子表面にケイ素化合物やアルミニウム化合物が存在しないことにより、低電気抵抗で、かつ磁性体の分散性や流動性に劣るものとなる。
【0026】
また、本発明のマグネタイト粒子は、必要に応じ、Mn、Ti、Mg、Co、Ni、Cr、Cu、Zn、Zr、Sn、P等の元素成分を含有させ、要求に応じた諸特性を改善することも可能である。
【0027】
また、酸化時の条件を変えることで粒子の形状を八面体、六面体、球形と変えられることも知られているが、本発明のマグネタイト粒子は、いずれの形状のものにも適用可能である。
【0028】
また、本発明のマグネタイト粒子は、平均粒径が汎用的な0.1〜0.3μm程度(SEM観察によるフェレ径)の範囲、比表面積は、必ずしも平均粒径と相対的な関係にはないが、5〜15m2/g程度であると、静電複写磁性トナー用材料粉として好ましい。
【0029】
次に、本発明のマグネタイト粒子の好ましい製造方法について述べる。
本発明のマグネタイト粒子の製造方法は、水酸化アルカリによる中和水酸化第一鉄の湿式酸化法により得られ、かつケイ素、アルミニウムから選ばれる1種又は複合の酸化物、水酸化物、含水酸化物、又はこれらの混合物のいずれかを含む被覆処理を行ったマグネタイト粒子を含むスラリーを固液分離、洗浄する際に、乳化分散機処理を行うことを特徴とする。
【0030】
ここで重要なのは、酸化反応終了後のマグネタイト粒子を含むスラリーを固液分離、洗浄する際に、必ず乳化分散機で処理を行う点にある。
上記の乳化分散機は、本来乳液や乳剤の製造用として汎用されているが、本発明においては、スラリーの状態で、スラリー中に含まれる凝集体を解粒するのみにとどめ、粒子をこわしたり、変形させないように、凝集粒子界面中に存在するアルカリ金属成分をスラリー液中に露出させる作用を実現するものである。
【0031】
具体的には、洗浄前の酸化反応終了後のマグネタイト粒子を含むスラリーを乳化分散機処理し、しかる後固液分離、洗浄するか、酸化反応終了後のマグネタイト粒子を含むスラリーを少なくとも1度以上洗浄後、水で再スラリー化したものを乳化分散機処理すれば良い(この乳化分散機処理は洗浄を兼ねているが、さらに洗浄を行えばより好ましい)。なお、洗浄は濾過洗浄機等を用い、常法にて行えば良く、何ら条件も制限されないが、洗浄後廃出水の伝導度が200μS/cm以下となるまで洗浄を行うのが好ましい。
【0032】
いずれにしろ、最終の洗浄工程を行う前に、乳化分散機処理により、マグネタイト粒子の凝集体を解粒し、その界面に閉じこめられていたアルカリ金属成分を十分に洗浄すれば良い。
【0033】
乳化分散機の具体的な名称を挙げると、ホモミキサー(日本精機製等)、ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製、国産精工製等)、クレアミックス(エムテクニック製)等であり、かかる装置は主に本体(ステーター)に設けられた小孔を貫通する回転ローターにより生じる遠心力により、小孔内のギャップ部で解粒が行われる構造を有していれば、いずれも使用可能である(但し、粉砕用媒体は使用しない)。
上記乳化分散機以外の湿式分散機や粉砕機等、例えば、媒体ミル(ビーズミルやボールミル)等では、粒子にかかる機械的負荷が大きすぎて、粒子がこわれてしまうので、不味である。
【0034】
なお、乳化分散機を使用する際の好ましい運転条件は、ホモミキサーをバッチ式で用いる場合、回転数5000〜10000rpmで1〜10分程度の処理時間が好ましいが、連続式で使用することもできる。ホモジナイザーを用いる場合、回転数を3000〜10000rpm、ギャップ部の隙間幅を0.08〜1mmで処理すると良い。給液量は装置の大きさにもよるが、国産精工社製ハレルホモジナイザー3型の場合は5〜50リットル/分が好ましい。また、クレアミックスを用いる場合、ローターの回転数を10000〜21000rpm、スクリーンの回転数を3000〜5700rpmとすると良い。
【0035】
上述した乳化分散機処理を併用した固液分離、洗浄工程を採用すれば、ケイ素化合物やアルミニウム化合物をマグネタイト粒子表面に被覆させたり、露出させたりしても、これら被覆部や露出部からアルカリ金属成分を大幅に取り除くことが可能となり、高電気抵抗で分散性や流動性を損なうことなく、耐環境性に優れたマグネタイト粒子を製造することができる。
【0036】
即ち、本発明のマグネタイト粒子の製造方法においては、上記乳化分散機処理する対象として、水酸化アルカリによる中和水酸化第一鉄の湿式酸化法により得られ、かつケイ素、アルミニウムから選ばれる1種又は複合の酸化物、水酸化物、含水酸化物、又はこれらの混合物のいずれかを含む被覆を有するマグネタイト粒子であって、マグネタイト粒子全体に対する該被覆中のケイ素及びアルミニウムの含有量が0.05〜1質量%のマグネタイト粒子を含むスラリーを用いるものである。
【0037】
上記被覆処理を行ったマグネタイト粒子を含むスラリーについては、第一鉄塩水溶液、酸化反応中の反応スラリー、あるいは酸化反応終了後のマグネタイト粒子を含むスラリー等に、水溶性のケイ酸塩及びアルミニウム塩を添加し、スラリーのpHを添加元素が酸化物、水酸化物、含水酸化物等として沈殿する公知のpH領域に調整する等の製造方法で得られる。
【0038】
この際、添加する水可溶性ケイ酸塩としてはケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等を用いることができる。また、水可溶性アルミニウム塩としては硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、硝酸アルミニウム等を用いることができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
【0040】
(実施例1)
Fe2+1.8モル/リットルの硫酸鉄水溶液70リットルと、Si品位13.4%の珪酸ソーダ546g、Al品位4.2%の硫酸アルミニウム589g、水酸化ナトリウム10.6kgを混合し全量を140リットルとし、温度を90℃に維持しながら20リットル/分の空気を吹き込み当初の水酸化第一鉄に対して20%消費された時点で種晶生成を確認した。次いで、上記種晶粒子を含む水酸化鉄スラリーに反応当初に用いたものと同濃度の硫酸第一鉄水溶液10リットルを加え、全量を150リットルとし、十分均一に混合されたことを確認してからpH6〜9、温度90℃にて20リットル/分の空気を吹き込み酸化反応を終了させた。
【0041】
このマグネタイト粒子を含むスラリーを、国産精工社製ハレルホモジナイザー3型を用い、回転数5000rpm、給液量20リットル/分、ギャップ幅0.22mmの条件にてスラリーを通過させた。この際、マグネタイトスラリーの温度は70℃、スラリー濃度はマグネタイト70g/l、スラリー粘度は50cP、pH6.0であった。
この乳化分散機処理済みのスラリーについて、常法の固液分離、洗浄、乾燥を行い、マグネタイト粒子を得た。
得られたマグネタイト粒子について、下記に示す方法にて、性状や諸特性を評価した。結果を表1に示す。
【0042】
(評価方法)
▲1▼平均粒径
走査電子顕微鏡で粒子形状を観察し、3万倍の写真を撮影、200個の粒子のフェレ径を測定して平均粒径を算出した。
▲2▼比表面積
島津−マイクロメリティックス製2200型BET計にて測定した。
▲3▼粒子表面のナトリウム量分析
試料25gを正確に秤量し、純水250ml中に分散させた後、5分間沸騰させ、常温まで冷却後、蒸発によって減じた液量を純水を加えて再び250mlとし、JIS P3801に準ずる5種Cの濾紙にて濾過し、濾過開始して最初の50mlを捨て、残りのろ液を採取した。採取したろ液はICPによりろ液中のナトリウムイオン濃度を測定した。測定されたナトリウムイオン濃度より、マグネタイト中でのナトリウム割合に換算した。
▲4▼ケイ素、アルミニウム含有量分析
サンプルを溶解し、ICPにて測定した。
▲5▼粒子全体に対する粒子表面被覆中のケイ素、アルミニウム含有量分析
試料0.9gを秤量し、1NのNaOH溶液25ミリリットルを加える。液を撹拌しながら45℃に加温し、粒子表面のケイ素(アルミニウム)を溶解する。未溶解物を濾過した後、溶出液を純水で125ミリリットルに定量し、溶出液に含まれるケイ素(アルミニウム)をプラズマ発光分析(ICP)で定量する。
粒子表面のケイ素(アルミニウム)含有量(重量%)={[溶出液に含まれる量(g/l)×125÷1000]/0.9(g)}×100
▲6▼各種環境の体積電気抵抗
温度23℃及び湿度55%RH(常温常湿、又はNNと呼ぶ)、10℃、20%RH(低温低湿、又はLLと呼ぶ)と35℃、85%RH(高温高湿、又はHHと呼ぶ)に調整した環境内に、それぞれ試料を24時間曝露し、曝露後の各試料10gをホルダーに入れ600kg/cm2 の圧力を加えて25mmφの錠剤型に成形後、電極を取り付け150kg/cm2 の加圧状態で測定する。測定に使用した試料の厚さ、及び断面積と抵抗値から算出して、マグネタイト粒子の電気抵抗値を求めた。常温常湿環境下での電気抵抗値をRNN、低温低湿下での電気抵抗値をRLL、高温高湿下での電気抵抗値をRHHとした。
▲7▼体積電気抵抗の環境依存性
体積電気抵抗の環境依存性については、RLL/RHH、RNN/RHHを求めた。この数値は、小なる方が耐環境性に優れている。
▲8▼着色力
マグネタイト粒子0.5gと酸化チタン(石原産業社製R800)1.5gにヒマシ油1.3ccを加え、フーバー式マーラーで練り込む、この練り込んだサンプル2.0gにラッカー4.5gを加え、さらに練り込んだ後、これをミラーコート紙上に4milのアプリケータを用いて塗布し、乾燥後、色差計(東京電色社製カラーアナライザーTC−1800型)にて測定した。
【0043】
(実施例2)
実施例1と同様の反応を行い、マグネタイト粒子を含むスラリーを得た。
このマグネタイトを含むスラリーを通常の方法で洗浄し、20wt%の水分を含んだマグネタイトケーキを得た。
更にこのケーキ12000gに水140リットルを加え、このマグネタイト粒子を含むスラリーを、国産精工社製ハレルホモジナイザー3型を用い、回転数5000rpm、給液量20リットル/分、ギャップ幅0.22mmの条件にてスラリーを通過させた。この際、マグネタイトスラリーの温度は70℃、スラリー濃度はマグネタイト70g/l、スラリー粘度は50cP、pH7.0であった。
この乳化分散機処理済みのスラリーについて、常法の固液分離、洗浄、乾燥を行い、マグネタイト粒子を得た。
得られたマグネタイト粒子について、下記に示す方法にて、性状や諸特性を評価した。結果を表1に示す。
【0044】
(比較例1)
乳化分散機による処理を行わない以外は、実施例と同様にマグネタイト粒子を製造した。
得られたマグネタイト粒子について、実施例1と同様に、性状や諸特性を評価した。結果を表1に示す。
【0045】
(比較例2)
珪酸ソーダと硫酸アルミニウムの添加を行わない以外は、実施例と同様にマグネタイト粒子を製造した。
得られたマグネタイト粒子について、実施例1と同様に、性状や諸特性を評価した。結果を表1に示す。
【0046】
(比較例3)
珪酸ソーダの添加量を28g、硫酸アルミニウムの添加量を80gとした以外は、実施例と同様にマグネタイト粒子を製造した。
得られたマグネタイト粒子について、実施例1と同様に、性状や諸特性を評価した。結果を表1に示す。
【0047】
(比較例4)
珪酸ソーダの添加量を1300g、硫酸アルミニウムの添加量を1767gとした以外は、実施例と同様にマグネタイト粒子を製造した。
得られたマグネタイト粒子について、実施例1と同様に、性状や諸特性を評価した。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1から明らかなとおり、実施例1及び2のマグネタイト粒子は、高電気抵抗で(高RNN)、分散性に優れ(低L)、かつ電気抵抗における耐環境性にも優れている(低RLL/RHH)ことがわかる。
【0050】
これに対し、比較例1のマグネタイト粒子は、粒子中のナトリウム成分残存が多く、電気抵抗における耐環境性が劣るものだった。
また、比較例2及び比較例3のマグネタイト粒子は、ケイ素化合物やアルミニウム化合物の被覆がなされていない、あるいはケイ素化合物やアルミニウム化合物の含有量が少ないので、電気抵抗が低く、分散性にも劣るものだった。
また、比較例4のマグネタイト粒子は、ケイ素化合物やアルミニウム化合物の含有量が多いので、電気抵抗における耐環境性が著しく劣るものだった。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のマグネタイト粒子は、粒子表面のアルカリ金属残留量が抑制され、耐環境性、特に高温高湿下における電気抵抗等の安定性に優れており、高電気抵抗で、分散性や流動性も良好なので、静電複写磁性トナー用材料粉の用途に好適である。また、本発明のマグネタイト粒子の製造方法によれば、上記マグネタイト粒子を効率的に製造することができる。
Claims (7)
- 粒子表面にケイ素、アルミニウムから選ばれる1種又は複合の酸化物、水酸化物、含水酸化物、又はこれらの混合物のいずれかを含む被覆を有するマグネタイト粒子であって、マグネタイト粒子全体に対する該被覆中のケイ素及びアルミニウムの含有量が0.05〜1質量%であり、かつ粒子表面のアルカリ金属残留量が、粒子全体に対し、10〜50ppmであるマグネタイト粒子。
- 前記アルカリ金属が、ナトリウム及び/又はカリウムである請求項1記載のマグネタイト粒子。
- 水酸化アルカリによる中和水酸化第一鉄の湿式酸化法により得られたものを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のマグネタイト粒子。
- 温度23℃、湿度55%RHにおける体積電気抵抗RNNが1×104Ω・cm以上、かつ温度10℃、湿度20%RHと温度35℃、湿度85%RHの各環境下で24時間曝露された後の体積電気抵抗の測定値(Ω・cm)をそれぞれRLL、RHHとしたときに、1≦RLL/RHH≦6を満足する請求項1〜4いずれかに記載のマグネタイト粒子。
- 水酸化アルカリによる中和水酸化第一鉄の湿式酸化法により得られ、かつケイ素、アルミニウムから選ばれる1種又は複合の酸化物、水酸化物、含水酸化物、又はこれらの混合物のいずれかを含む被覆処理を行ったマグネタイト粒子を含むスラリーを固液分離、洗浄する際に、乳化分散機処理を行うことを特徴とするマグネタイト粒子の製造方法。
- 酸化反応終了後のマグネタイト粒子を含むスラリーを、乳化分散機で処理し、しかる後固液分離、洗浄することを特徴とする請求項5に記載のマグネタイト粒子の製造方法。
- 酸化反応終了後のマグネタイト粒子を含むスラリーを、少なくとも1度以上洗浄後、水で再スラリー化したものを乳化分散機で処理することを特徴とする請求項5に記載のマグネタイト粒子の製造方法。
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