JP5297068B2 - 導電性粉末の製造方法及び導電性粉末 - Google Patents

導電性粉末の製造方法及び導電性粉末 Download PDF

Info

Publication number
JP5297068B2
JP5297068B2 JP2008091588A JP2008091588A JP5297068B2 JP 5297068 B2 JP5297068 B2 JP 5297068B2 JP 2008091588 A JP2008091588 A JP 2008091588A JP 2008091588 A JP2008091588 A JP 2008091588A JP 5297068 B2 JP5297068 B2 JP 5297068B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
conductive powder
tin oxide
particles
inorganic compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008091588A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009245778A (ja
Inventor
彰記 熊谷
貴彦 坂上
浩一 瓦谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Mining and Smelting Co Ltd filed Critical Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Priority to JP2008091588A priority Critical patent/JP5297068B2/ja
Publication of JP2009245778A publication Critical patent/JP2009245778A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5297068B2 publication Critical patent/JP5297068B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、粒度分布がシャープで、導電性能に優れた導電性粉末の製造方法とその製造方法により得られた導電性粉末に関する。
無機化合物粒子表面に錫を存在させた導電性粉末は、導電性の付与、荷電調整、電極改質等を行う添加材料として利用されている。例えば、特許文献1には、導電性粉末として硫酸バリウムの微粒子芯材の表面を二酸化錫で被覆した粉体と、二酸化チタンの微粒子芯材の表面を二酸化錫で被覆した粉体との粉体混合物からなる導電性粉末が開示されている。そして、導電性粉末は、電子写真装置等に用いられる例がある。例えば、特許文献2には、電子写真装置における電子写真用帯電ローラに関し、酸化チタン系微粉体を分散させた表面層塗料でローラ表面層を形成した帯電ローラが開示されている。
また、特許文献3には、磁性トナーの外添剤として3種類の成分((A)成分〜(C)成分)を組み合わせ使用することにより、磁性トナーの耐久性、耐湿性、耐刷性能を向上させ、帯電特性の調整を図る技術が開示されている。この外添剤((B)成分)である低抵抗導電性研磨粒子として、酸化スズからなる導電層を表面に形成した酸化チタン粒子を用いる例が開示されている。
特開平8−329735号公報 特開2006−293004号公報 特開2006−91935号公報
特許文献1に開示の技術は、それぞれに二酸化錫を被覆した硫酸バリウムならびに酸化チタンの微粒子粉末の混合物であり、導電性に優れ、安価に製造できるが、より微細均一な導電性粉末が求められている。更に、特許文献2に開示の技術では、帯電ローラの電気的特性の均一化のために、少なくとも帯電ローラの表面層において導電剤が可能な限り均一に分散されていなければならない。特許文献3で使用する外添剤は、他成分からなる外添剤成分((A),(C))との混合条件として、体積抵抗や、他の外添剤成分との平均粒径等を規定しているので、所望の混合条件で調整するためには、低抵抗導電性研磨粒子の粒径が所望の範囲となるものが必要となる。すなわち、トナーの外添剤用途としての導電性粉末は、その混合条件によって性能が変動するので、導電性と、粒子分散性の精度に優れた粉体が望まれていた。
本発明の目的は、凝集粒子が少なく、樹脂等のバインダーに混合する際のバインダーへの分散性に優れ、且つ、高い導電性能を備える導電性粉末を提供することにある。
本発明者等は、鋭意研究を行った結果、以下の導電性粉末の製造方法と、この製造方法で得られた導電性粉末を採用することで上記課題を達成するに到った。
導電性粉末の製造方法:本発明に係る導電性粉末の製造方法は、無機化合物粒子表面に錫酸化物を被覆した粉末を、前記粉末の粒子表面にシリコーンオイル、カップリング剤、撥水性樹脂のいずれか1種又は2種以上を用いた撥水性表面処理剤をコートした後に、前記錫酸化物が不溶である非水溶媒を用いて湿式解砕処理し、その後乾燥させることにより導電性粉末を得ることを特徴とする。
本発明に係る導電性粉末の製造方法は、より好ましくは、無機化合物粒子を分散させた分散スラリーに、pH10〜12となるように水溶性錫塩化合物を含むアルカリ性溶液を添加して混合液を調製し、前記混合液のpHが2〜4となるまで酸溶液を添加して反応させ、反応により得られた沈殿物を固液分離し、乾燥し、粉砕後に焼成処理を行うことにより、無機化合物粒子表面に錫酸化物を被覆した粉末とし、該粉末を、前記錫酸化物が不溶である非水溶媒を用いて湿式解砕処理し、その後乾燥させることで導電性粉末を得る。
本発明に係る導電性粉末の製造方法は、前記湿式解砕処理は、非水溶媒に、前記無機化合物粒子表面に錫酸化物を被覆した粉末と、比重2g/ml〜7g/ml且つ粒径0.05mm〜1.5mmのメディアとを加えて解砕を行うことがより好ましい。
本発明に係る導電性粉末の製造方法は、100℃以下で気散する非水溶媒を用いて行うことがより好ましい。
本発明に係る導電性粉末の製造方法は、前記非水溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、アセトン、メチルエチルケトンのうちのいずれか1種を用いることがより好ましい。
本発明に係る導電性粉末の製造方法は、前記焼成処理は、不活性雰囲気下又は還元性雰囲気下において、250℃〜1000℃で行うことがより好ましい。
導電性粉末:本発明に係る導電性粉末は、上記導電性粉末の製造方法により得られる導電性粉末であって、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径D50と、走査型電子顕微鏡像(SEM)の画像解析により得られる一次粒子の平均粒径DSEMとの関係がD50/DSEM=2.5〜25であることを特徴とする。
本発明に係る導電性粉末は、より好ましくは、前記無機化合物粒子は、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウムのうちいずれか1種である。
本発明に係る導電性粉末の製造方法は、無機化合物粒子表面に錫酸化物を被覆させた粒子からなる粉末を非水溶媒を用いて湿式解砕処理し、その後乾燥させることにより導電性粉末を得るので、乾燥処理時の凝集を抑制して、粒子分散性に優れた導電性粉末を製造可能とする。また、本発明に係る導電性粉末は、錫酸化物の被覆状態が良好である上に、凝集が少なく、微粒且つ粒度分布が非常にシャープであるので、フィラーとして用いると、樹脂等、粘度の高いバインダーにおいても均一な分散を図ることができる。このため、樹脂等のバインダーへ導電性粉末を均一に分散させ、導電性等の設計値に精度良く対応可能である。
以下、本発明に係る導電性粉末の製造方法及びこの製造方法で得られた導電性粉末の最良の実施の形態に関して説明する。
導電性粉末の製造方法:本発明に係る導電性粉末の製造方法は、無機化合物粒子表面に錫酸化物を被覆した粉末を、前記粉末の粒子表面にシリコーンオイル、カップリング剤、撥水性樹脂のいずれか1種又は2種以上を用いた撥水性表面処理剤をコートした後に、前記錫酸化物が不溶である非水溶媒を用いて湿式解砕処理し、その後乾燥させることにより導電性粉末を得る。
非水溶媒とは、水以外を主成分とする溶媒を指し、その純度が80%以上のものを用いる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、アセトン、メチルエチルケトン等の有機溶剤が考えられる。
無機化合物粒子は、例えば、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウムのうちいずれか1種からなる粒子を用途に応じて用いることが好ましい。中でも、硫酸バリウム微粒子、二酸化チタン微粒子、アルミナ、シリカは、樹脂等のバインダーへの分散性と導電性に特に優れた導電性粉末が得られる。また、これらの無機化合物粒子は、比表面積が25m/g〜30m/gのものを用いると好ましい。
湿式解砕処理は、無機化合物粒子表面に錫酸化物を被覆した粉末(以下、「錫酸化物被覆粉末」と記す。)に対して撥水性表面処理を行った後に行うと、耐湿性が向上するので、トナーの外添剤等、環境変化への耐性が望まれる分野の材料として好ましく、また、抵抗率を非常に低く抑えた導電性粉末が得られる。
撥水性表面処理は、一度焼成して得られた錫酸化物被覆粉末を湿式解砕処理する前に、その表面に撥水性表面処理剤をコートして粒子表面を疎水化処理する。撥水性表面処理剤としては、シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤、テフロン(登録商標)等の撥水性樹脂の中から1種又は2種以上を用いることが好ましい。この撥水性表面処理により、粒子表面の平滑化を図ることができ、流動性が向上する。また、撥水性表面処理により粒子の耐湿性を向上させられるので、抵抗率の低い導電性粉末を得ることができる。
上述したように、本発明に係る導電性粉末の製造方法で用いる錫酸化物被覆粉末は、湿式法で得られる。まず、錫酸化物被覆粉末の好ましい製造方法を説明する。
まず、上述の無機化合物粒子を分散させた分散スラリーに、水溶性錫塩化合物を含むアルカリ性溶液を液のpHが10〜12となるまで徐々に添加し、混合液を調製する。分散スラリーのpHを上記範囲に調整することにより、次の工程において、酸溶液の添加に伴う反応の前に、混合液のpHを調整でき、酸溶液の添加後の反応により得られる粒子の均質化を図ることができる。なお、混合液のpHが10〜12の範囲から外れると、次の工程における酸溶液添加前後における液のpHの変動量の関係で、得られる粒子にバラツキが生じやすくなる。
アルカリ性溶液に含まれる水溶性錫塩化合物としては、例えば、錫酸ナトリウム、錫酸アンモニウム、錫酸カリウム、四塩化錫等が挙げられる。
前記混合液のpHが2〜4となるまで酸溶液を添加して反応させる。この反応により、表面に水溶性錫塩化合物由来の錫成分からなる層が形成された粒子が形成される。添加する酸溶液は硫酸、硝酸、塩酸が好ましい。なお、酸溶液を添加して得られる液のpHが2〜4の範囲を外れると、得られる粒子のバラツキが大きくなるので適さない。
次に、反応後の液を静置して粒子を沈殿させる。得られた沈殿物を公知の方法にて固液分離し、乾燥し、粉砕後に焼成処理を行うことにより酸化錫を被覆させる。例えば、リパルプ洗浄し、その後ろ過してケーキを得る方法が挙げられる。なお、リパルプ洗浄を行う場合に、反応後に得られた粒子を含むスラリーの導電率が400μS/cm〜650μS/cmとなるまでリパルプ洗浄を行うと、低抵抗な粒子が得られやすいので好ましい。
固液分離により得られた固体を乾燥し、粉砕させた後、焼成処理を行う。焼成処理は、不活性雰囲気下又は還元性雰囲気下において400℃〜1000℃で行うと、凝集を抑制できるので好ましい。以上の方法で、粉末に錫酸化物を被覆させると、粒子のバラツキが少ない錫酸化物被覆粉末が得られるので、特に好ましい。
そして、この錫酸化物被覆粉末を、前記錫酸化物が不溶の非水溶媒を用いて湿式解砕処理し、その後乾燥することで導電性粉末を得る。
すなわち、焼成処理後の粉末を、水溶性錫塩化合物が不溶の非水溶媒に入れ、湿式解砕処理を行う。湿式解砕処理は、ビーズミル、ペイントシェーカー、ボールミル、ジェットミル等、公知の方法が適用可能である。特に、非水溶媒中に、前記錫酸化物被覆粉末の他に、比重2g/ml〜7g/ml、粒径0.05mm〜1.5mmのメディアを加えて解砕を行うと、錫層を破壊させず、且つ、凝集を抑制した微粒な粒子が得られる点で好適である。メディアは、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ等が考えられ、解砕処理する粉体の条件に応じて、メディアの比重と粒径を適宜選定する。
湿式解砕処理時に、水、もしくは水分濃度の高い水系溶媒を用いると、各粒子間に介在する水分量が多くなるので、その後の乾燥時に凝集が生じやすくなる。これに対し、上述の非水溶媒を用いると、粒子表面に残留している水分が非水溶媒によって置換され、粒子表面から水分を除去することができる。湿式解砕後の乾燥処理は、粉体に含まれる水分を気散させるために行うが、粒子間に水分が介在すると凝集が生じやすいので、溶媒は水分を含まないものが好ましい。そこで、本発明は、凝集粒子の発生を防ぎ、且つ粒子表面に被覆する錫酸化物層を破壊するのを防ぐべく、非水溶媒を用いた湿式解砕処理を採用したのである。
また、乾燥処理を高温で行うと乾燥凝集が起こりやすいので、好ましくは、100℃以下で気散する非水溶媒を使用する。このような条件の非水溶媒を使うことにより、従来より低温となる100℃前後での乾燥処理が可能となり、その結果、乾燥処理時の凝集を防ぎ、微粒均一な粒子を得やすくなる。
従来、二次凝集粒子を含む粉体をバインダーへ混練する場合、二次凝集粒子の解粒を行おうとして、大きな剪断力をかけて混練していた。この場合、解粒可能な程度の大きな剪断力が、粒子表面の錫酸化物層を破壊しやすく、しかも、錫酸化物による導電性効果が十分に得られなくなる。これに対し、本発明に係る導電性粉末の製造方法では、非水溶媒を用いて湿式解砕処理を行うことにより水分の介在量を減らしたので、二次凝集粒子の発生を抑制し、低凝集の導電性粉を製造できる。そのため、バインダーへの混練段階において、大きな剪断力を要せず、無機化合物粒子表面に錫酸化物がコートされた状態を保ちながら、導電性粉末を分散させることができる。この結果、バインダーへの分散性に優れ、且つ、混練後も良好な導電性を保つことができる導電性粉末となる。
導電性粉末:本発明に係る導電性粉末は、上記製造方法により得られ、無機化合物粒子は、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウムのうちいずれか1種からなる無機化合物粒子の表面を二酸化錫でコートしたものであり、以下の粉体特性を備える。
本発明に係る導電性粉末は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径D50と、走査型電子顕微鏡像(SEM)の画像解析により得られる一次粒子の平均粒径DSEMとの関係がD50/DSEM=2.5〜25である。
平均粒径D50は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法を用いて得られる体積累積50%における粒径のことであり、この平均粒径D50の値は、真に粉粒の一つ一つの径を直接観察したものではなく、凝集した粉粒を一個の粒子(凝集粒子)として捉えて、平均粒径を算出していると言える。これは、殆どの粉粒は個々の粒子が完全に分離した、いわゆる単分散粉ではなく、複数個の粉粒が凝集した状態になっているのが通常と考えられるからである。しかしながら、粉粒の凝集状態が少なく単分散に近い程、平均粒径D50の値は小さなものとなるのが通常である。一方、DSEMは、SEM(走査型電子顕微鏡)により撮像し、その像から粒子の直径を測り、撮像倍率から換算して、直接的に粒子の粒径を複数個(例えば20個〜100個)測定し、その平均値DSEMにより求められる粒径であり、一次粒子が確実に捉えられることになるが、粒子の凝集状態の存在を全く反映させていないことになる。
したがって、D50/DSEMにより得られる値を凝集度として捉えることとした。すなわち、同一製造条件の導電性粉末において、D50とDSEMとの値が同一精度で測定できるものと仮定して、上述した理論で考えると、凝集塊があることを測定値に反映させるD50の値はDSEMの値よりも大きな値になると考えられる。このとき、D50の値は、金属粉の粒子の凝集状態がなくなると、限りなくDSEMの値に近づき、凝集度であるD50/DSEMの値が1に近づく。凝集度が1となった段階で、粒子の凝集状態が全くなくなった単分散粉と言える。D50/DSEMが2.5〜25の範囲を外れると、凝集が多く、バインダーへの粒子分散性を高めるという本発明の目的を達成できない。なお、より好ましいD50/DSEMの範囲は15〜25である。
また、本発明に係る導電性粉末は、平均粒径D50=0.05μm〜0.6μmと、微粒な範囲であり、バインダー中に分散しやすい。導電性粉末の平均粒径D50が上記範囲を外れると、バインダーへの良好な分散性が得られず、トナーの外添剤として適さない。
また、本発明に係る導電性粉末は、比表面積は9.0m/g〜25.0m/gの範囲であると、バインダーへの分散性に優れるので、好ましい。導電性粉末の粒径との関係で、比表面積が9.0m/g未満であると、フィラーとして用いた場合に、良好な分散性が得難くなる。一方、導電性粉末の粒径が上記範囲であることを考慮すると、比表面積が25.0m/gより大きくなると流動性が低下するのでバインダーへの分散性の点で適さない。
また、本発明に係る導電性粉末は、粒子の表面が撥水性処理された状態で、比表面積が9.0m/g〜25.0m/gであり、体積抵抗率が10Ω・cm以下という特性を備える。本発明に係る導電性粉末は、比表面積が小さいので、粒子表面に撥水性処理を施すことにより表面を平滑にすることができる。この結果、耐湿性に優れるとともに酸化しにくくなり、体積抵抗値の経時変化を抑えた導電性粉末となる。なお、撥水性表面処理された導電性粉末は比表面積が小さくなる傾向があるので、それをふまえると、より好ましい比表面積の範囲は9.0m/g〜12.0m/gである。
本発明に係る導電性粉末をトナーの外添剤として用いると、トナーの表面への分散性に優れ、トナー同士の凝集を防ぐことによりトナーの流動性を改善することができる上に、研磨性にも優れた導電性粉末となる。
以下、実施例および比較例を示して本件発明を具体的に説明する。なお、本件発明は以下の実施例に制限されるものではない。
工程1:酸化チタン900gを水中に分散させたスラリー中に、錫酸ナトリウム930gを投入し、40℃で1時間撹拌する。
工程2:このスラリーを液温70℃に昇温させた後、酸溶液として20%硫酸水溶液2Lを180分かけて徐々に添加した後、エージングを1時間行った。
工程3:得られたスラリーのリパルプ洗浄を行った。その後、ヌッチェを用いてろ過し、ケーキを得た。リパルプ洗浄は、スラリーの導電率が450μS/cmとなるまで行った。スラリーの導電率が450μS/cmとなるまで洗浄することにより、導電性粉末の体積抵抗率を低くすることができる。こうして得られたケーキを、大気雰囲気150℃で10時間乾燥後、粉砕し、砕粉を得た。この砕粉を1%H/N雰囲気下、450℃で45分間焼成した。
工程4:焼成後の粉末50gをイソプロピルアルコール250g中に分散させ、ガラスビーズ500gを投入後、ペイントシェーカーにて1時間粉砕する。粉砕後、このスラリーを150℃で4時間乾燥させ、ガラスビーズを除去して、導電性粉末を得た。
Figure 0005297068
実施例1で得られた導電性粉末の粉体特性として、D50、D90、比表面積、体積抵抗率を測定した。この測定結果から、DSEM、D50/DSEMを算出した。結果は表2にまとめて示す。なお、以下に測定条件を示す。
体積抵抗率:試料粉体を粉体抵抗測定システムMCP−PD41(三菱化学株式会社製)を用いて500kgf/cmに加圧した状態で、ロレスタAP(三菱化学株式会社製)を用いた測定値を体積抵抗率として求めた。
比表面積:モノソーブ(ユアサイオニクス株式会社製)を用いて測定したBET比表面積を用いた。
実施例2は、実施例1の工程1〜工程3と同じ条件で作製した導電性粉末に対し、前記工程4の前に撥水性表面処理を行った例を示す。したがって、工程1〜工程3は説明を割愛し、撥水性表面処理工程を工程3−2として説明する。
工程3−2:表面処理剤として、シリコーンオイル(信越シリコーン社製 KF−99)を含むイソプロピルアルコール溶液を導電性粉末に対して5wt%となるように添加、混合し、100℃で1時間乾燥させて、撥水性表面処理を行った。
工程4:撥水性表面処理後の粉末50gをイソプロピルアルコール250g中に分散させ、ガラスビーズ500gを投入後、ペイントシェーカーにて1時間粉砕する。このスラリーを150℃で4時間乾燥させることにより導電性粉末を得た。
実施例2で得られた導電性粉末の粉体特性を実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
比較例
比較例は、ペイントシェーカーによる湿式解砕処理を行わない点が実施例と異なり、この点以外は実施例1と同様にして導電性粉末を得た。したがって、実施例1の工程1〜工程3により得られた導電性粉末の例であるので、製造条件は表1に示す。比較例で得られた導電性粉末の粉体特性を表2に示す。
Figure 0005297068
以上より、実施例と比較例とを対比する。D50、D90の値から、実施例1及び実施例2は、いずれも比較例に比べて、粒度分布がシャープであり、凝集度も低いことがわかる。また、実施例1と比較例を対比すると、D50の大きさを考慮すると、実施例1の比表面積の方が優れていると言え、更に、体積抵抗値も優れている。一方、実施例2は比表面積が小さいことから、表面の粗れが少ないと言える。
本発明に係る導電性粉末は、低抵抗であり、且つ凝集粒子を抑制し粒度分布が極めてシャープであるので、バインダーへの分散性に優れる。そのため、帯電防止用の樹脂や、樹脂中に混練するトナー等への利用に有効である。トナーの外添剤に用いた場合、トナーの凝集を抑え、過帯電を防止し、帯電性の長期的な安定化が得られるので好適である。

Claims (8)

  1. 無機化合物粒子表面に錫酸化物を被覆した粉末を、前記粉末の粒子表面にシリコーンオイル、カップリング剤、撥水性樹脂のいずれか1種又は2種以上を用いた撥水性表面処理剤をコートした後に、前記錫酸化物が不溶である非水溶媒を用いて湿式解砕処理し、その後乾燥させることにより導電性粉末を得ることを特徴とする導電性粉末の製造方法。
  2. 無機化合物粒子を分散させた分散スラリーに、pH10〜12となるように水溶性錫塩化合物を含むアルカリ性溶液を添加して混合液を調製し、
    前記混合液のpHが2〜4となるまで酸溶液を添加して反応させ、
    反応により得られた沈殿物を固液分離し、乾燥し、粉砕後に焼成処理を行うことにより、無機化合物粒子表面に錫酸化物を被覆した粉末とし、該粉末を、前記錫酸化物が不溶である非水溶媒を用いて湿式解砕処理し、その後乾燥させることで導電性粉末を得る請求項1に記載の導電性粉末の製造方法。
  3. 前記湿式解砕処理は、非水溶媒に、前記無機化合物粒子表面に錫酸化物を被覆した粉末と、比重2g/ml〜7g/ml且つ粒径0.05mm〜1.5mmのメディアとを加えて解砕を行う請求項1又は請求項2に記載の導電性粉末の製造方法。
  4. 前記湿式解砕処理は、100℃以下で気散する非水溶媒を用いて行う請求項1〜請求項3のいずれかに記載の導電性粉末の製造方法。
  5. 前記非水溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、アセトン、メチルエチルケトンのうちのいずれか1種を用いる請求項1〜請求項4のいずれかに記載の導電性粉末の製造方法。
  6. 前記焼成処理は、不活性雰囲気下又は還元性雰囲気下において、250℃〜1000℃で行う請求項2〜請求項5のいずれかに記載の導電性粉末の製造方法。
  7. 請求項1〜請求項のいずれかに記載の導電性粉末の製造方法により得られる導電性粉末であって、
    レーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径D50と、走査型電子顕微鏡像(SEM)の画像解析により得られる一次粒子の平均粒径DSEMとの関係がD50/DSEM=2.5〜25であることを特徴とする導電性粉末。
  8. 前記無機化合物粒子は、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウムのうちいずれか1種である請求項に記載の導電性粉末。
JP2008091588A 2008-03-31 2008-03-31 導電性粉末の製造方法及び導電性粉末 Expired - Fee Related JP5297068B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008091588A JP5297068B2 (ja) 2008-03-31 2008-03-31 導電性粉末の製造方法及び導電性粉末

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008091588A JP5297068B2 (ja) 2008-03-31 2008-03-31 導電性粉末の製造方法及び導電性粉末

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009245778A JP2009245778A (ja) 2009-10-22
JP5297068B2 true JP5297068B2 (ja) 2013-09-25

Family

ID=41307437

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008091588A Expired - Fee Related JP5297068B2 (ja) 2008-03-31 2008-03-31 導電性粉末の製造方法及び導電性粉末

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5297068B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6249723B2 (ja) * 2013-11-07 2017-12-20 三井金属鉱業株式会社 導電性粒子及びその製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08277112A (ja) * 1995-04-06 1996-10-22 Central Glass Co Ltd 透明導電性酸化物材料
JP3431726B2 (ja) * 1995-06-05 2003-07-28 三井金属鉱業株式会社 導電性粉末及びその製造方法、導電性塗膜
JP4253907B2 (ja) * 1999-03-31 2009-04-15 住友化学株式会社 酸化インジウム−酸化錫粉末の製造方法
JP4712288B2 (ja) * 2003-05-23 2011-06-29 チタン工業株式会社 白色導電性粉末及びその応用
JP4553345B2 (ja) * 2003-09-30 2010-09-29 三井金属鉱業株式会社 導電性粉末

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009245778A (ja) 2009-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5847516B2 (ja) フレーク状銀粉及び導電性ペースト
JP2009013449A (ja) 扁平銀粉、扁平銀粉の製造方法、及び導電性ペースト
JPS62278131A (ja) ケイ素元素を有する磁性酸化鉄
KR101110273B1 (ko) 티타니아 나노입자의 제조방법
JP2009242914A (ja) フレーク銀粉及びその製造方法
JP2010236039A (ja) フレーク状銀粉及びその製造方法、並びに導電性ペースト
JP2011052300A (ja) フレーク状銀粉及びその製造方法、並びに導電性ペースト
JP5297068B2 (ja) 導電性粉末の製造方法及び導電性粉末
JP2004217952A (ja) 表面処理銅粉並びにその表面処理銅粉の製造方法及びその表面処理銅粉を用いた導電性ペースト
US20220160634A1 (en) Nanoparticle composition with reduced contaminant and production method thereof
JP4859362B2 (ja) フレークニッケル粉及びその製造方法並びに導電性ペースト
JP4976052B2 (ja) コバルト含有黒色顔料
JP5040024B2 (ja) 電子写真現像剤用キャリア粉の製造方法
JP4351740B2 (ja) マグネタイト粒子及びその製造方法
JP2005330163A (ja) 導電性酸化錫粉末、その製造方法、導電性ペースト及び導電性塗料
JP5499372B2 (ja) 電子写真現像剤用キャリア粉および当該キャリア粉を含む電子写真現像剤
JP4641445B2 (ja) マグネタイト粒子粉末
JP2002237214A (ja) 導電性塗料組成物
JP5192643B2 (ja) 導電性酸化亜鉛コート粉及びその製造方法
JP6557556B2 (ja) 導電性粒子及びそれを含む導電性組成物
JP6100563B2 (ja) ニッケルナノ粒子の製造方法
WO2023027191A1 (ja) 導電材複合粒子の提供方法
JP6577327B2 (ja) 導電性粒子及びそれを含む導電性組成物
JP4525899B2 (ja) 帯電制御材及び該帯電制御材を用いた帯電制御用塗料
JP6200814B2 (ja) リンを含む酸化スズ粒子及びリンを含む酸化スズゾルの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130308

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130426

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130527

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130614

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees