JP5192643B2 - 導電性酸化亜鉛コート粉及びその製造方法 - Google Patents

導電性酸化亜鉛コート粉及びその製造方法 Download PDF

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Description

本件発明は、導電性酸化亜鉛コート粉及びその製造方法に関し、詳しくは、例えば、静電記録紙等の製造に用いられるコーティング剤、塗料、ゴム、樹脂等に混入し、これらに導電性を付与する導電性酸化亜鉛コート粉及びその製造方法に関するものである。
近年、静電記録紙等の製造に用いられるコーティング剤や塗料には、その製造のため、また、ゴム、樹脂等には帯電防止等の観点から導電性が求められており、これらに導電性を付与する方法として導電性粉末が用いられており、該導電性粉末としては、導電性酸化亜鉛粉末が知られている。
このような導電性酸化亜鉛粉末に関しては、例えば、特許文献1(特許第2707325号公報)に、焼成後の組成が酸化亜鉛100重量部に対して酸化錫、酸化ガリウム、酸化インジウム及び酸化アルミニウムによって構成される群から選ばれる少なくとも1種を0.005〜5.0重量部となるように、水溶性亜鉛化合物並びに錫、ガリウム、インジウム及びアルミニウムによって構成される群から選ばれる少なくとも1種の金属の水溶性金属化合物を含有する溶液とアルカリ性水溶液との反応を、反応系のpHが6〜12.5の範囲の所定のpH値にあるように両溶液を並行添加することによって行ない、生成する共沈物を還元性雰囲気中で焼成する白色導電性酸化亜鉛の製造方法が開示されている。該方法はいわゆる湿式製造法による酸化亜鉛の製造方法であり、上記方法により得られる白色導電性酸化亜鉛は、十分な導電性を発揮するものとなる。
特許第2707325号公報(第1頁)
しかしながら、特許文献1に記載の方法により得られる導電性酸化亜鉛粉末は、酸化錫等を僅かに含有した酸化亜鉛粉末である。この酸化亜鉛粉末は、コア材を用いずに製造されたものであり、粒子全体が酸化亜鉛で、その製造の際に酸化亜鉛粉末の1次粒子同士の凝集が起こりやすく、粒度分布がブロードになるという問題があった。このため、該酸化亜鉛粉末を用いて静電記録紙の製造用のコーティング剤や塗料等を作製すると、該コーティング剤等は流動性の変動が大きく増粘しやすいという問題があった。また、凝集した酸化亜鉛粒子を含む該コーティング剤等を塗布して得られる静電記録紙は、紙表面の平滑性が悪くなったり、印字した文字、線画等が不鮮明になるという問題があった。
また、特許文献1に記載の方法と異なり、コア材粒子に導電性酸化亜鉛を被覆して導電性酸化亜鉛コート粉を作製する方法も考えられる。しかしながら、該コア材粒子の表面に導電性酸化亜鉛を被覆しようとしても、導電性酸化亜鉛層が均一な厚さに被覆され難いという問題があった。このため、得られる導電性酸化亜鉛コート粉は、粒子径のバラツキが大きく粒度分布がブロードになり、不均一な厚さの酸化亜鉛層が形成されるため粒子表面の滑らかさが失われ、粒子同士が凝集し易くなることにより、作製したコーティング剤等の増粘を引き起こし、流動性が悪くなるという問題があった。
従って、本件発明は、上記問題を解決するため、導電性が高く、導電性酸化亜鉛層が均一な厚さで被覆され、1次粒子が凝集し難いため粒度分布がシャープであり、これを原料として作製されるコーティング剤や塗料の流動性が高い導電性酸化亜鉛コート粉を提供することにある。
そこで、上述の問題を解決するため、本件発明者等は鋭意検討を行った結果、以下に述べる導電性酸化亜鉛コート粉及びその製造方法を採用することで、上記目的を達成し得ることを見出し、本件発明を完成するに至った。
本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉: 本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、コア材の粒子表面がバインダー層で被覆され、該バインダー層表面が導電性付与元素を含む導電性酸化亜鉛層で被覆されて、静電記録紙製造用のコーティング剤や塗料の形成材料に用いられる導電性酸化亜鉛コート粉であって、前記バインダー層は、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル及びカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の下地処理成分を含むバインダー層形成剤を用いて形成したものであることを特徴とするものである。
そして、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉の前記バインダー層は、前記コア材100重量部に対して0.1重量部〜10重量部の下地処理成分を含むバインダー層形成剤で形成したものであることが好ましい。
また、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉に用いる前記コア材は、硫酸バリウム、二酸化チタン、ホウ酸アルミニウム、シリカ又はアルミナのいずれかを用いることが好ましい。
そして、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉の粒子表面に設ける前記導電性酸化亜鉛層は、錫、ガリウム、インジウム及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を0.001重量%〜0.5重量%の量で含む酸化亜鉛で形成されていることが好ましい。
また、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉の粒子表面の前記導電性酸化亜鉛層は、その構成成分としての含有量が前記導電性酸化亜鉛コート粉の10重量%〜80重量%であることが好ましい。
更に、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、その構成粒子の前記導電性酸化亜鉛層の表面に有機処理層を備える事も好ましい。そして、その前記有機処理層は、脂肪酸、脂肪酸化合物、油脂、ゼラチン、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤及びジルコニウム系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機表面処理成分を含む表面処理剤を用いて形成されたものであることが好ましい。
本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉の製造方法: 上述の本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉の製造方法は、以下に示す工程Iと工程IIとを含むことを特徴とする導電性酸化亜鉛コート粉の製造方法を採用する事が好ましい。
工程I: コア材を溶媒に分散させたスラリーと、少なくともシリコーンオイル、変性シリコーンオイル及びカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の下地処理成分を含むバインダー層形成剤とを混合した後、乾燥させて、前記コア材の粒子表面に前記下地処理成分からなるバインダー層を形成し、バインダー層形成コア材を得る下地処理工程。
工程II: 該バインダー層形成コア材を水に分散させたスラリーに、水溶性亜鉛化合物を含む亜鉛含有水溶液と、中和剤とを添加して中和した後、乾燥させ、焼成して、前記バインダー層形成コア材の粒子表面に導電性酸化亜鉛層を形成し導電性酸化亜鉛コート粉とする酸化亜鉛被覆工程。
また、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉であって、その構成粒子の前記導電性酸化亜鉛層の表面に有機処理層を設ける場合には、以下に示す工程I〜工程IIIとを含むことを特徴とする導電性酸化亜鉛コート粉の製造方法を採用する事が好ましい。
工程I: コア材を溶媒に分散させたスラリーと、少なくともシリコーンオイル、変性シリコーンオイル及びカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の下地処理成分を含むバインダー層形成剤とを混合した後、乾燥させて、前記コア材の粒子表面に前記下地処理成分からなるバインダー層を形成し、バインダー層形成コア材を得る下地処理工程。
工程II: 該バインダー層形成コア材を水に分散させたスラリーに、水溶性亜鉛化合物を含む亜鉛含有水溶液と、中和剤とを添加して中和した後、乾燥させ、焼成して、前記バインダー層形成コア材の粒子表面に導電性酸化亜鉛層を形成し導電性酸化亜鉛コート粉とする酸化亜鉛被覆工程。
工程III: 前記工程IIで得られた導電性酸化亜鉛コート粉の酸化亜鉛層表面に、少なくとも脂肪酸、脂肪酸化合物、油脂、ゼラチン、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤及びジルコニウム系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機表面処理成分を含む表面処理剤を用い、前記導電性酸化亜鉛層の表面に有機処理層を形成する有機表面処理工程。
本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、導電性が良好で、導電性酸化亜鉛層が略均一な厚さに被覆され、1次粒子が凝集し難い。その結果、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉の粒度分布は、非常にシャープであり、該粉末を用いて作製されるコーティング剤や塗料の粘度調整が容易で、流動性の制御が容易となる。また、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉の製造方法は、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉を効率よく良好な歩留まりで製造することができ、製造におけるロット間バラツキも少ないものとなる。
[本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉]
本件発明で用いられるコア材は、微視的形状が実質的に略球状を呈する粒子からなるものである。該コア材の材質としては、例えば、硫酸バリウム、二酸化チタン、ホウ酸アルミニウム、シリカ、アルミナ等が挙げられる。
本件発明で用いられるコア材は、平均粒径D50が通常0.1μm〜3.0μm、好ましくは0.3μm〜2.0μmである。コア材の平均粒径D50が該範囲内にあると、導電性酸化亜鉛層を形成して得られる導電性酸化亜鉛コート粉の粒度が静電記録紙製造用のコーティング剤や塗料等中への分散に適しているため好ましい。本明細書において平均粒径D50とは、レーザー回折散乱法で求められる体積平均粒径を意味する。
一方、コア材の平均粒径D50が0.1μm未満であると、コア材の粒子表面への導電性酸化亜鉛層の形成が困難であるためあまり好ましくなく、また、3.0μmを超えると、コア材が大きすぎて、コーティング剤や塗料を作製したときに、これらの流動性が悪くなったり、静電記録紙表面の平滑性が劣化し、印刷像が不鮮明になるため好ましくない。
本件発明で用いられるコア材は、比表面積が通常0.5m/g〜50m/g、好ましくは1m/g〜30m/gである。コア材の比表面積が該範囲内にあると、導電性酸化亜鉛層を形成して得られる導電性酸化亜鉛コート粉の粒度が、静電記録紙製造用のコーティング剤や塗料等中への分散に適しているため好ましい。一方、該比表面積が0.5m/g未満であると、導電性粉末の粒子が大きい傾向にあり、塗料化したときに均一な塗膜を得にくくなり好ましくない。また、該比表面積が50m/gを超える場合、得られる導電性酸化亜鉛コート粉の粒子が微粒化し凝集状態を形成しやすく、作製するコーティング剤や塗料の増粘を招きやすくなるため好ましくない。
本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、上記コア材の粒子表面がバインダー層で被覆されている。該バインダー層は、下地処理成分を含むバインダー層形成剤をコア材に塗布した後、例えば、乾燥させることにより形成されるものであり、本件発明で用いられる下地処理成分としては、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル及びカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
上記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシロキサン等が挙げられ、上記変性シリコーンオイルとしては、例えば、上記シリコーンオイルの直鎖の途中にアミノ基、アルコキシ基、カルボキシル基等を導入して変性したものが挙げられる。
そして、ここで言うカップリング剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤及びジルコニウム系カップリング剤等が挙げられる。上記下地処理成分のうち、カップリング剤はコア材の粒子表面に対するバインダー層としての密着性が良好で好ましい。
上記シラン系カップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、テトラメトキシシランカップリング剤、メチルトリメトキシシランカップリング剤、ジフェニルジメトキシシランカップリング剤等が挙げられる。
上記チタネート系カップリング剤としては、例えば、テトラノルマルチチルチタネート、チタンアセチルアセトナート、チタンエチルアセトアセテート、チタントリエタノールアミネート等が挙げられる。
上記アルミネート系カップリング剤としては、例えば、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等が挙げられる。また、上記ジルコニウム系カップリング剤としては、例えば、テトラノルマルブトキシジルコニウム、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、酢酸ジルコニウム等が挙げられる。
上記バインダー層は、上記下地処理成分を含むバインダー層形成剤から形成されるものである。本件発明で用いられるバインダー層形成剤は、下地処理成分を含む液状のものであり、下地処理成分だけからなるものであっても、下地処理成分以外に水や有機溶媒を含むものであってもよい。また、バインダー層形成剤は、常温において固体である場合、加熱して融解又は軟化させることにより液状としたものであってもよい。バインダー層は、実質的に下地処理成分がそのまま固化したもの又は下地処理成分同士、あるいはコア材成分や酸化亜鉛と重合して固化したものである。
本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉のバインダー層は、コア材100重量部に対して、通常0.1重量部〜10重量部、好ましくは0.5重量部〜5重量部の下地処理成分を含むバインダー層形成剤を用いて形成したものであることが好ましい。バインダー層を形成するバインダー層形成剤が下地処理成分を該範囲内の比率で含むと、後にバインダー層の表面に設ける導電性酸化亜鉛層が均一な厚さになり易く好ましい。一方、バインダー層を形成するバインダー層形成剤が下地処理成分を0.1重量部未満の比率で含むものであると、上記導電性酸化亜鉛層を均一な厚さとして形成する事が出来なくなってくる。また、10重量部を超える比率で含むものとすると、得られる導電性酸化亜鉛コート粉の粒子同士が凝集し易くなり好ましくない。
そして、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、その粒子表面にある上記バインダー層表面に導電性酸化亜鉛層を設けて被覆する。この導電性酸化亜鉛層は、導電性酸化亜鉛を主成分として構成した層であり、実質的に上記コア材の粒子表面の全面を被覆する層である。
この導電性酸化亜鉛層を構成する酸化亜鉛(ZnO)は、その内部の格子欠損、導電性を付与する異種成分をドープする等により導電性が付与されたものである。この酸化亜鉛に導電性を付与する元素をドープする場合には、例えば、錫、ガリウム、インジウム及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素(以下、「導電性付与元素」ともいう。)を用いることが好ましい。
そして、酸化亜鉛に導電性付与元素をドープする場合、導電性酸化亜鉛層中の導電性付与元素のドープ量は、導電性酸化亜鉛層を構成する酸化亜鉛中で0.001重量%〜0.5重量%、好ましくは0.01重量%〜0.5重量%であることが望ましい。当該ドープ量が上記範囲にあると、導電性酸化亜鉛コート粉が静電記録紙製造用のコーティング剤や塗料等の形成材料として好適な導電性を発揮する。なお、ここで言うドープ量とは、導電性酸化亜鉛層中に複数の導電性付与元素をドープした場合には、そこに含まれるすべての導電性付与元素の合計量を意味する。そして、このドープ量の測定は、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉の一定量を、酸溶液に全溶解させ、その溶液をイオンプラズマ発光分光分析装置等の定量分析可能な装置を用いて分析し、換算して算出する事が可能である。これは、導電性酸化亜鉛コート粉のコア材と導電性酸化亜鉛層との成分が全く異なるからである。
本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、その導電性酸化亜鉛層の厚さが一定の範囲にあることが好ましい。しかし、導電性酸化亜鉛粒子の表面にある導電性酸化亜鉛層の厚さを直接測定する事は困難である。そこで、本件発明では、一定量の導電性酸化亜鉛コート粉の重量を100重量%としたときの、導電性酸化亜鉛層を構成する成分の占める割合(含有量の意)で、導電性酸化亜鉛層の厚さの代替え指標として用いた。この結果、導電性酸化亜鉛層を構成する成分が、10重量%〜80重量%、好ましくは20重量%〜70重量%である事が好ましい。導電性酸化亜鉛層の含有量が該範囲内にあると、導電性酸化亜鉛コート粉の導電性が静電記録紙製造用のコーティング剤や塗料等の形成材料として十分になり好ましいためである。
本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、平均粒径D50が通常0.1μm〜3.0μm、好ましくは0.3μm〜2.0μmである。導電性酸化亜鉛コート粉の平均粒径D50が該範囲内にあることで、静電記録紙製造用のコーティング剤や塗料等中に分散し易く、文字や線図の印刷解像度が良好なものとなる。また、導電性酸化亜鉛コート粉の平均粒径D50が0.1μm未満にしようとすると、導電性酸化亜鉛コート粉の構成粒子が凝集する傾向が高くなり、前記コーティング剤や塗料等の中での分散性が損なわれ、増粘する傾向が顕著になり好ましくない。一方、当該平均粒径が3.0μmを超えると、導電性酸化亜鉛コート粉からコーティング剤や塗料を作製したときに、これらの流動性が悪くなったり、静電記録紙表面の平滑性が劣化したり、印刷解像度が悪くなり好ましくない。
本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、その比表面積が0.5m/g〜50m/g、好ましくは1m/g〜30m/gであることが好ましい。当該比表面積が、該範囲内にあると、静電記録紙製造用のコーティング剤や塗料等の中へ分散させることが容易で、当該コーティング剤や塗料等の増粘を引き起こさないため好ましい。一方、該比表面積が0.5m/g未満であると、一般的に導電性酸化亜鉛コート粉の粒子が大きいことを意味しており、塗料化して均一な塗膜を形成することが困難となる傾向があり好ましくない。また、該比表面積が50m/gを超えると、一般的に微粒化した粒子であり、当該導電性酸化亜鉛コート粉が凝集し易くなるため、静電記録紙製造用のコーティング剤として用いた場合、静電記録紙に印刷解像度に優れた文字、線図を描くことが困難となる。
以上に述べてきた本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、コア材の表面にバインダー層を設け、そのバインダー層を介して導電性酸化亜鉛層で被覆した粒子からなる導電性粉末である。そのため、従来の導電性酸化亜鉛及び導電性酸化亜鉛コート粉と比べて、良好な品質を示す。即ち、実質的に粒子全体が導電性酸化亜鉛のみからなる従来の湿式法で得られた導電性酸化亜鉛粉末と比べると、1次粒子の凝集が少なく粒子分散性に優れ、且つ、粒度分布がシャープになり粒径が揃ってくる。また、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、導電性酸化亜鉛層をバインダー層なしにコア材の表面に直接に形成する場合に比べて、導電性酸化亜鉛層の厚さが粒子の表面全体にわたり略均一になり、且つ、導電性酸化亜鉛コート粉の凝集性が非常に小さく粒子分散性に優れたものになる。
そして、更に本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉の特徴を言えば、導電性が高く、その導電性の経時的変化が小さい。従って、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、長期品質安定性に優れ、長期間保存したものを静電記録紙製造用のコーティング剤や塗料等に使用することも可能となる。ここで言う導電性は、粉末押し固めてペレット状にして、体積抵抗率等を測定する等して評価することができる。さらに、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、粒度分布がシャープで導電性が高いため、該導電性酸化亜鉛コート粉を用いてコーティング剤や塗料を作製した場合に、これらコーティング剤や塗料の流動性を高くし、これらを用いて形成した被膜の導電性を高くする事が出来るのである。
次に、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、その構成粒子の表面にある酸化亜鉛層の上に、有機処理層を設けることで、有機処理層で被覆しない場合に比べて、撥水性、流動性及び樹脂や有機溶剤との濡れ性を高くすることが可能となる。また、導電性ペーストや導電性塗料に用いた際、導電性ペーストや導電性塗料としての品質劣化が起こりにくく、導電性ペーストや導電性塗料として長時間経過しても形成した被膜の抵抗値の上昇を引き起こすことが無く好ましい。
当該有機処理層は、有機表面処理成分を含む表面処理剤と導電性酸化亜鉛コート粉とを接触させ、粒子表面を有機表面処理成分で被覆し乾燥させて形成されるものである。この有機表面処理成分としては、脂肪酸、該脂肪酸の塩、エステル等の脂肪酸化合物、油脂、ゼラチン、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤及びジルコニウム系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。なお、本件発明において、ゼラチンとはニカワを含む意味で用いる。
また、上記脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、上記脂肪酸化合物としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等が挙げられる。また、上記油脂としては、例えば、オリーブオイル、アマニ油、菜種油、鉱物油等が挙げられる。
また、上記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシロキサン等が挙げられ、上記変性シリコーンオイルとしては、例えば、上記シリコーンオイルの直鎖の途中にアミノ基、アルコキシ基、カルボキシル基等を導入して変性したものが挙げられる。
また、上記シラン系カップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、テトラメトキシシランカップリング剤、メチルトリメトキシシランカップリング剤、ジフェニルジメトキシシランカップリング剤等が挙げられる。
ここで言うチタネート系カップリング剤とは、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、チタンオクタンジオレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートのいずれか一種又は2種以上を用いることが好ましい。
ここで言うアルミネート系カップリング剤とは、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、アルミニウムエチレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、環状アルミニウムオキサイドオクチレート、環状アルミニウムオキサイドステアレートのいずれか一種又は2種以上を用いることが好ましい。
上記有機処理層の形成に用いる表面処理剤は、有機表面処理成分を含む液状のものであり、有機表面処理成分だけからなるものであってもよいし有機表面処理成分以外に水や有機溶媒を含むものであってもよい。また、表面処理剤は、常温で固体である場合、加熱して融解又は軟化させることにより液状としたものであってもよい。例えば、有機表面処理成分がステアリン酸である場合、常温ではステアリン酸が固体であるため表面処理剤にならないが、これを融点以上の例えば75℃まで加熱することにより溶融した液状のステアリン酸からなる表面処理剤を作製することができる。有機処理層は、実質的に有機表面処理成分がそのまま固化したもの又は有機表面処理成分同士、あるいはコア材成分や酸化亜鉛とが重合して固化したものである。
本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、有機処理層が、コア材100重量部に対して、通常0.005重量部〜10重量部、好ましくは0.01重量部〜5重量部の有機表面処理剤で処理形成されていると良い。該範囲内の比率で有機表面処理剤を用いて有機処理層が形成されると、得られる導電性酸化亜鉛コート粉の導電性を維持しながらも、経時変化による抵抗値の上昇が起こり難いため好ましい。一方、有機表面処理剤量が0.005重量部未満であると、得られる導電性酸化亜鉛コート粉の経時変化による抵抗値の上昇が起こる可能性があり、有機処理層を形成する効果が十分に発現し難いためあまり好ましくない。また、10重量部を超えると、得られる導電性酸化亜鉛コート粉の導電性が低下する可能性があり、有機処理層を形成する効果が十分に発現し難いためあまり好ましくない。
有機処理層を形成した導電性酸化亜鉛コート粉は、有機処理層を形成していない導電性酸化亜鉛コート粉の大きさに対してその表面に形成される有機処理層の厚みが非常に小さいため、有機処理層を形成した導電性酸化亜鉛コート粉のD50及び比表面積は、上記有機処理層を形成していない導電性酸化亜鉛コート粉と同様の範囲内にある。
本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、例えば、下記の製造方法により製造することができる。
[本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉の製造方法]
本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉の製造方法は、少なくとも、下地処理工程、及び、酸化亜鉛被覆工程を有するものである。以下、工程毎に説明する。
工程I: この工程は、下地処理工程である。まず、コア材を溶媒に分散させてスラリーを調製する(以下、該スラリーを「第1スラリー」ともいう。)。ここで、溶媒とは、水、アルコール等の有機溶媒、水と当該有機溶媒との混合溶媒等であり、適宜選択して使用することが可能である。コア材及びバインダー層形成剤として、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉に関する説明で述べた材料を用いることができる。第1スラリーは、コア材を50g/l〜500g/lの範囲で含ませることで、バインダー層がコア材の表面全体に均一な厚さで形成され易いため好ましい。コア材量が少なすぎればバインダー層が不必要に厚く不均一になり、コア材量が多すぎればバインダー層の厚さが薄くなり均一なバインダー層厚が得られない。
次に、上記第1スラリーとバインダー層形成剤とを混合する。第1スラリーとバインダー層形成剤との配合比率は、第1スラリー中のコア材100重量部に対して、下地処理成分が通常0.1重量部〜10重量部、好ましくは0.5重量部〜5重量部である。配合比率が該範囲内にあると、乾燥してコア材の粒子表面に形成するバインダー層が良好なものとなり、バインダー層の表面に形成される導電性酸化亜鉛層の厚さが略均一になり導電性酸化亜鉛層の表面が平滑化し易いため好ましい。
この工程では、第1スラリーとバインダー層形成剤との混合終了後に、適宜濾過し、ケーキの状態で採取し、このケーキを乾燥させてコア材の粒子表面にバインダー層を形成する。バインダー層を形成する際のバインダー層形成剤量は、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉で説明した量とすればよい。バインダー層の形成に於いて、例えば、第1スラリーとバインダー層形成剤との配合比率の変更や、第1スラリーとバインダー層形成剤との混合時間の長さの変更を適宜行うことで、任意のバインダー層の品質調整が可能である。この工程により、粒子表面にバインダー層が形成されたバインダー層形成コア材が得られる。該バインダー層形成コア材は、酸化亜鉛被覆工程に供される。
工程II: この工程は、酸化亜鉛被覆工程である。この工程では、酸化亜鉛被覆工程で得られたバインダー層形成コア材を、溶媒に分散させてスラリーを調製する(以下、該スラリーを「第2スラリー」ともいう。)。第2スラリーは、バインダー層形成コア材を10g/l〜500g/l含むと、バインダー層がコア材の表面全体にむらなく且つほぼ均一な厚さで形成され易いため好ましい。
この工程で用いられる亜鉛含有水溶液は、水溶性亜鉛化合物を含む水溶液である。本件発明で用いられる水溶性亜鉛化合物としては、例えば、塩化亜鉛(ZnCl)、硫酸亜鉛(ZnSO)、硝酸亜鉛(Zn(NO)等が挙げられる。
また、亜鉛含有水溶液は、必要により、導電性付与元素の水溶性塩を含んでいてもよい。該水溶性塩としては、例えば、塩化錫(SnCl)、塩化ガリウム(GaCl)、塩化インジウム、塩化アルミニウム等が用いられる。これらのうち、塩化錫、塩化ガリウム等の塩化物は、得られる導電性酸化亜鉛コート粉の導電性が安定したものになり易いため好ましい。
この工程で用いられる中和剤は、亜鉛含有水溶液を中和するためのものである。例えば、亜鉛含有水溶液の液性がアルカリ性であれば、中和剤として酸性のものが用いられ、亜鉛含有水溶液の液性が酸性であれば、中和剤としてアルカリ性のものを用いる。酸性の中和剤としては、例えば、希硫酸、希塩酸等が用いられ、アルカリ性の中和剤としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等を用いる。なお、本件発明において中和によって得られるpHは、亜鉛含有水溶液中の亜鉛イオンより水酸化亜鉛を形成させることができるpHを意味し、特定のpH値の範囲を示すものではない。例えば、亜鉛含有水溶液の液性がアルカリ性であれば、中和のpHは通常pH7〜pH11である。
第2スラリーに亜鉛含有水溶液と中和剤とを添加して亜鉛イオンを中和すると、スラリー内で、コア材表面にあるバインダー層の表面に導電性酸化亜鉛層の前駆体が付着形成した粉末が生成する。スラリーに濾過等の固液分離を行って該粉末を分離し、乾燥し、適宜塊砕等した後、焼成する。
上記粉末の焼成は、焼成雰囲気について特に限定されず、焼成して得られる酸化亜鉛の抵抗の所望値に応じて適宜選択すればよい。該雰囲気としては、例えば、大気雰囲気、還元雰囲気とする。ここで、還元雰囲気としては、例えば、水素を1容量%〜5容量%含有した窒素ガスが用いられる。上記焼成の焼成温度は、通常400℃〜800℃、好ましくは400℃〜600℃である。焼成温度が該範囲内にあると、得られる導電性酸化亜鉛コート粉が凝集し難く且つ低抵抗になり易いため好ましい。上記焼成の焼成時間は、通常0.3時間〜3時間、好ましくは0.5時間〜2時間である。焼成時間が該範囲内にあると、得られる導電性酸化亜鉛コート粉が凝集し難いため好ましい。
上記下地処理工程及び酸化亜鉛被覆工程を行うと、粉末内部の中心から表面にかけてコア材/バインダー層/導電性酸化亜鉛層の順に層が形成された3層構造の導電性酸化亜鉛コート粉が得られる。
そして、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉の製造方法として、上記3層構造の導電性酸化亜鉛コート粉の表面に、さらに有機処理層を形成する場合には、上述した工程I及び工程IIの後に、工程IIIを付加する。従って、ここでは工程I及び工程IIに関する説明は省略し、工程IIIに関してのみ説明する。
工程III: この工程は、有機表面処理工程である。ここでは、前記工程IIで得られた導電性酸化亜鉛コート粉の酸化亜鉛層表面に、少なくとも脂肪酸、脂肪酸化合物、油脂、ゼラチン、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤及びジルコニウム系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機表面処理成分を含む表面処理剤を用い、前記導電性酸化亜鉛層の表面に有機処理層を形成することになる。
この有機処理層の形成には、湿式法と乾式法とのいずれをも採用することが出来る。そして、湿式法を採用する場合は、導電性酸化亜鉛層を形成した後の導電性酸化亜鉛コート粉を特定の表面処理剤に浸漬した後、乾燥させて、前記導電性酸化亜鉛層の表面に有機処理層を形成する工程である。これに対し、乾式法を採用する場合には、導電性酸化亜鉛層を形成した後の導電性酸化亜鉛コート粉の構成粒子表面に、特定の表面処理剤を塗布した後、乾燥させて、前記導電性酸化亜鉛層の表面に有機処理層を形成する工程となる。以下、湿式法及び乾式法に分けて説明する。
湿式法で用いられる表面処理剤は、有機表面処理成分を含む液状のものであり、有機表面処理成分としては、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉に関する説明で既に説明したものを用いることができる。該表面処理剤は、液状であって乾燥により有機処理層を形成することができるものであり、有機表面処理成分のみからなるものであっても、また有機表面処理成分以外に水や有機溶媒等の溶媒を含むものであってもよい。
ここで、必要により用いられる有機溶媒は、有機表面処理成分との相溶性を示すものであればよく特に限定されない。例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン等を用いることができる。また、当該表面処理剤が、常温で固体である場合、加熱して融解又は軟化させることにより液状として用いることも可能である。
本件発明に係る製造方法で用いられる表面処理剤は、溶媒を用いる場合、溶媒を含めた表面処理剤中の有機表面処理成分の含有量が、通常0.05重量%〜50重量%、好ましくは0.05重量%〜20重量%であると、浸漬により導電性酸化亜鉛層の表面に塗布される有機表面処理成分の量が適切なものとなり、経時的な品質変化を効率よく抑制することが可能で、有機溶媒や樹脂成分との濡れ性に優れた良好な有機処理層を形成する事が出来る。
そして、上記導電性酸化亜鉛コート粉を上記表面処理剤に浸漬して有機処理層を形成する場合もある。このときの浸漬時間としては、例えば、通常30秒〜60分を採用する。この30秒未満の浸漬時間では、導電性酸化亜鉛層の表面に対する表面処理剤の定着が十分に行えず、緻密な有機処理層が形成されない。また、60分を超えて浸漬しても、導電性酸化亜鉛層の表面に対する表面処理剤の定着量が増加することもなく、より緻密な有機処理層が形成されるものでもなく、生産性を損なうだけとなる。
上記のように浸漬し、濾過等により導電性酸化亜鉛コート粉と表面処理剤とを分離した後、乾燥させて、導電性酸化亜鉛層の表面に有機処理層を形成する。該有機処理層は、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉について説明したように、実質的に有機表面処理成分がそのまま固化したもの又は有機表面処理成分同士が、あるいはコア材成分や酸化亜鉛と重合して固化したものである。
湿式法において行われる乾燥は、表面処理剤に含まれる有機表面処理成分を固化等して有機処理層を形成することができるレベルのものであればよく、乾燥方法としては特に限定されない。例えば、乾燥方法としては、表面処理剤が溶媒を含むものである場合は、表面処理剤との分離後の導電性酸化亜鉛コート粉を、通常50℃〜300℃で、好ましくは100℃〜200℃にして乾燥させる方法が挙げられる。乾燥温度が該範囲内にあると有機処理層が好適に形成され易いため好ましい。一方、乾燥温度が300℃を超えると、有機処理層が形成されなかったり一旦形成された有機処理層が劣化したりし易いためあまり好ましくない。
また、表面処理剤が溶媒を含まず有機表面処理成分の加熱融解により液状としたものである場合は、例えば、表面処理剤との分離後の導電性酸化亜鉛コート粉を、常温中に放置して冷却する方法を採用すればよい。上記のようにして表面処理剤を乾燥させ、導電性酸化亜鉛層の表面に有機処理層を形成すると、粉末内部の中心から表面にかけてコア材/バインダー層/導電性酸化亜鉛層/有機処理層の順に層が形成された4層構造の導電性酸化亜鉛コート粉が得られる。
次に、乾式法に関して説明する。乾式法と湿式法との相違点は、湿式法において導電性酸化亜鉛コート粉を表面処理剤に浸漬等するのに替えて、乾式法では導電性酸化亜鉛コート粉に表面処理剤を塗布する点にあり、他の点については一致するため、相違点についてのみ以下に説明する。
乾式法で用いられる表面処理剤は、構成成分に有機表面処理成分や溶媒を用いるが、これらに関しては湿式法と同様である。ただし、この乾式法で用いられる表面処理剤は、溶媒を含めた表面処理剤中の有機表面処理成分の含有量が、通常0.1重量%〜100重量%、好ましくは1重量%〜50重量%である。この範囲の含有量とすることで、導電性酸化亜鉛層の表面に塗布される有機表面処理成分の量が、上述のように高品質の有機処理層として形成するのに好ましいものとなる。
本件発明に係る製造方法では、上記導電性酸化亜鉛層の表面に上記表面処理剤を塗布する。塗布方法としては、例えば、以下の(i)〜(iv)の方法等を挙げることが出来る。
(i)導電性酸化亜鉛コート粉のみをミキサー中で高速攪拌した状態にしておき、ここに表面処理剤を添加して導電性酸化亜鉛コート粉の粒子表面に表面処理剤を均一に塗布する方法。
(ii)導電性酸化亜鉛コート粉のみをミキサー中で高速攪拌した状態にしておき、これに実質的に有機表面処理成分のみからなる表面処理剤を添加して導電性酸化亜鉛コート粉の粒子表面に有機表面処理成分を付着させ、付着した有機表面処理成分を加熱する等により融解させて導電性酸化亜鉛コート粉の粒子表面に有機表面処理成分を塗布する方法(該方法を、特に「加熱乾式法」ともいう。)。
(iii)導電性酸化亜鉛コート粉に表面処理剤をスプレーで噴霧して導電性酸化亜鉛コート粉の粒子表面に表面処理剤を均一に塗布する方法。
(iv)導電性酸化亜鉛コート粉と表面処理剤とを混練装置中で混合して導電性酸化亜鉛コート粉の粒子表面に表面処理剤を均一に塗布する方法等が挙げられる。
そして、上記表面処理剤の塗布時間(処理時間)としては、通常30秒〜60分の時間を採用する。この範囲で、導電性酸化亜鉛層の表面に表面処理剤が十分に定着し、緻密な有機処理層が形成される。そして、60分を超える塗布時間を採用しても、それ以上に表面処理剤が定着し、良好な有機処理層が得られるようには成らない。
本件発明に係る製造方法では、上記のように表面処理剤を塗布した後、乾燥させて、導電性酸化亜鉛層の表面に有機処理層を形成する。本件発明に係る製造方法における乾燥方法も、湿式法と同様に特に限定されないが、乾燥方法としては、表面処理剤が溶媒を含むものである場合は、例えば、表面処理剤の塗布後の導電性酸化亜鉛コート粉を、通常50℃〜300℃で、好ましくは100℃〜200℃にして乾燥させる方法が挙げられる。乾燥温度が該範囲内にあると、溶媒の気散が容易で、有機処理層が好適に形成され易いためである。一方、乾燥温度が300℃を超えると、過剰の加熱となり、有機処理層の消失、一旦形成された有機処理層の劣化を引き起こす場合、また導電性酸化亜鉛コート粉中の酸素欠陥が失われ易くなるため好ましくない。
また、表面処理剤が、溶媒を含まず有機表面処理成分の加熱融解により液状となる場合は、例えば、表面処理剤の塗布後の導電性酸化亜鉛コート粉を、常温中に放置して冷却する方法が挙げられる。このようにして粒子表面の表面処理剤を乾燥させ、導電性酸化亜鉛層の表面に有機処理層を形成すると、粉末内部の中心から表面にかけてコア材/バインダー層/導電性酸化亜鉛層/有機処理層の順に層が形成された4層構造の導電性酸化亜鉛コート粉が得られる。
上記本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、例えば、静電記録紙等の製造に用いられるコーティング剤、塗料、ゴム、樹脂等に混入してこれらに導電性を付与する導電性フィラーの用途に使用することができる。
以下に実施例を示すが、本件発明はこれらに限定されて解釈されるものではない。なお、実施例を示すにあたり、説明の都合上、比較例から説明し、実施例を述べることとする。
比較例
[比較例1]
スラリーの調製: 水2Lに、コア材として用いる硫酸バリウム(D500.66μm、比表面積4.8m/g)を500gを投入し、ホモジナイザーを用いて硫酸バリウムの粗粒がなくなるまで分散させてスラリー(スラリーA)を生成した。
塩化亜鉛溶液の調製: 水15Lに、ZnCl845g、25重量%GaCl水溶液2.0g及び60重量%のSnCl3.7gを添加、混合し、溶解させて、塩化亜鉛溶液(塩化亜鉛溶液A)を調製した。
酸化亜鉛被覆粉末の作製: スラリーAに、塩化亜鉛溶液Aと25重量%水酸化ナトリウム水溶液とを、スラリーのpHを10に保ちながら90分間かけて同時に添加した。この際、スラリーの温度は、50℃に保った。
添加終了後のスラリーを50℃の純水を用いて洗浄した。洗浄終了後は、脱水濾過を行い、濾滓(ケーキ)を回収した。
次に、得られた濾滓を110℃の空気中に12時間放置して乾燥させた。得られた乾燥ケーキをアトマイザー(IKAジャパン株式会社T50ベーシックウルトラタラックス)を用いて解砕し、該解砕物について水素を3容量%含有した窒素ガスを流通させながら、550℃で1時間焼成を行って、酸化亜鉛被覆粉末(粉末A)を得た。
表面処理剤の調製: γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン(信越化学株式会社製シランカップリング剤KBM903)1gとエタノールとを混合して、10mlの表面処理剤(表面処理剤A)を調製した。
有機処理層で被覆された酸化亜鉛被覆粉末の作製: 粉末A100gをミキサー(大阪ケミカル株式会社製小型強力粉砕機、フォースミル)で高速攪拌し、該粉末に表面処理剤Aを散布し、よく混合した後、大気中において105℃で5時間放置して乾燥させ、表面が有機処理層で被覆された酸化亜鉛被覆粉末(表面被覆粉末A)を得た。
表面被覆粉末Aについて、酸化亜鉛層中のドーパント(Ga及びSn)の含有量、比表面積、D50及び体積抵抗率を測定した。測定方法を以下に示す。測定結果を表1〜表4に示す。この表面被覆粉末Aは、酸化亜鉛含有量が50重量%であり、導電性酸化亜鉛層中のGaの含有量が、導電性酸化亜鉛層に対し0.03重量%であり、導電性酸化亜鉛層中のSnの含有量が導電性酸化亜鉛層に対し0.15重量%であった。
ドーパントの含有量の測定方法: 試料粉末を硫酸で溶解し、溶液中のドーパント濃度をICP発光分析により測定した。
50の測定方法: 200ccのサンプル容器に試料約0.1gを採り、0.2g/lのヘキサメタリン酸ソーダを10ml添加混合後、純水90mlを添加し、超音波分散機日本精機株式会社製US−300Tにより10分間分散しサンプル液を調製した。該サンプル液につき、日機装株式会社製マイクロトラックHRAを用いてレーザー回折散乱法で求められる累積体積が50容量%の時点における粒径(μm)をD50とした。
比表面積の測定方法: ユアサアイオニクス株式会社製モノソーブを用いて測定した。
体積抵抗率の測定方法: 試料粉末を三菱化学株式会社製ロレスタPD−41を用いて100kgf/cmに加圧した状態で、三菱化学株式会社製ロレスタAPを用いた測定値を体積抵抗率として求めた。
[比較例2]
酸化亜鉛被覆粉末の作製: 比較例1と同様にして粉末Aを作製した。
表面処理剤の調製: γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン(信越化学株式会社製シランカップリング剤KBM903)2gとエタノールとを混合して、10mlの表面処理剤(表面処理剤B)を調製した。
有機処理層で被覆された酸化亜鉛被覆粉末の作製: 粉末A100gをミキサー(大阪ケミカル株式会社製小型強力粉砕機、フォースミル)で高速攪拌し、該粉末に表面処理剤Bを散布し、よく混合した後、大気中において105℃で5時間放置して乾燥させ、表面を有機処理層で被覆した酸化亜鉛被覆粉末(表面被覆粉末B)を得た。
表面被覆粉末Bについて、比較例1と同様にして諸特性を測定した。測定結果を表1〜表4に示す。なお、この表面被覆粉末Bは、酸化亜鉛含有量が51重量%であり、導電性酸化亜鉛層中のGaの含有量が、導電性酸化亜鉛層に対し0.02重量%であり、導電性酸化亜鉛層中のSnの含有量が導電性酸化亜鉛層に対し0.15重量%であり、比較例1(表面被覆粉末A)との大きな差異はなかった。
[比較例3]
酸化亜鉛被覆粉末の作製: 比較例1と同様にして粉末Aを作製した。粉末Aについて、比較例1と同様にして諸特性を測定した。測定結果を表1〜表4に示す。
なお、この粉末Aは、酸化亜鉛含有量が50重量%であり、導電性酸化亜鉛層中のGaの含有量が導電性酸化亜鉛層に対し0.03重量%であり、導電性酸化亜鉛層中のSnの含有量が導電性酸化亜鉛層に対し0.16重量%であり、比較例1(表面被覆粉末A)との大きな差異はなかった。
スラリーの調製: 比較例1と同様にしてスラリーAを調製した。
バインダー層形成剤の調製: γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン(信越化学株式会社製シランカップリング剤KBM903)13.56gをメタノール2Lに添加し混合して、バインダー層形成剤(バインダー層形成剤A)を調製した。
バインダー層で被覆されたコア材の作製: バインダー層形成剤AにスラリーAを投入し、1時間攪拌した。攪拌終了後、スラリーをヌッチェで濾過した後、濾滓を110℃で10時間かけて乾燥させ、表面にバインダー層を形成したコア材(下地処理コア材A)を得た。
塩化亜鉛溶液の調製: 比較例1と同様にして塩化亜鉛溶液Aを調製した。
酸化亜鉛被覆粉末の作製: 水2Lに下地処理コア材A500gを投入し、ホモジナイザーを用いて下地処理コア材Aの粗粒がなくなるまで分散させてスラリー(スラリーB)を生成した。
そして、スラリーBに塩化亜鉛溶液Aと25重量%水酸化ナトリウム水溶液とを、スラリーのpHを10に保ちながら90分間かけて同時に添加した。この際、スラリーの温度は、50℃に保った。
そして、添加終了後の上記スラリーを50℃の純水を用いて洗浄した。洗浄終了後は、脱水濾過を行い、濾滓(ケーキ)を回収した。
次に、得られた濾滓を110℃の空気中に12時間放置して乾燥させた。得られた乾燥ケーキをアトマイザー(IKAジャパン株式会社T50ベーシックウルトラタラックス)を用いて解砕し、該解砕物について水素を3容量%含有した窒素ガスを流通させながら、550℃で1時間焼成を行って、酸化亜鉛被覆粉末(粉末B)を得た。
表面処理剤の調製: γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン(信越化学株式会社製シランカップリング剤KBM903)0.5gとエタノールとを混合して、10mlの表面処理剤(表面処理剤C)を調製した。
有機処理層で被覆された酸化亜鉛被覆粉末の作製: 粉末B100gをミキサー(大阪ケミカル株式会社製小型強力粉砕機、フォースミル)で高速攪拌し、該粉末に表面処理剤Cを散布し、よく混合した後、大気中において105℃で5時間放置して乾燥させ、表面を有機処理層で被覆した酸化亜鉛被覆粉末(表面被覆粉末C)を得た。
なお、この表面被覆粉末Cは、酸化亜鉛含有量が51重量%であり、導電性酸化亜鉛層中のGaの含有量が導電性酸化亜鉛層に対し0.02重量%であり、導電性酸化亜鉛層中のSnの含有量が導電性酸化亜鉛層に対し0.15重量%であり、比較例1(表面被覆粉末A)との大きな差異はなかった。
酸化亜鉛被覆粉末の作製: 実施例1と同様にして粉末Bを作製した。
表面処理剤の調製: 比較例1と同様にして表面処理剤Aを作製した。
有機処理層で被覆された酸化亜鉛被覆粉末の作製: 粉末B100gをミキサー(大阪ケミカル株式会社製小型強力粉砕機、フォースミル)のチャンバー内で高速攪拌し、該粉末に表面処理剤Aを散布し、よく混合した後、大気中において105℃で5時間放置して乾燥させ、表面を有機処理層で被覆した酸化亜鉛被覆粉末(表面被覆粉末D)を得た。
そして、表面被覆粉末Dについて、比較例1と同様にして諸特性を測定した。測定結果を表1〜表4に示す。
なお、この表面被覆粉末Dは、酸化亜鉛含有量が50重量%であり、導電性酸化亜鉛層中のGaの含有量が導電性酸化亜鉛層に対し0.03重量%であり、導電性酸化亜鉛層中のSnの含有量が導電性酸化亜鉛層に対し0.16重量%であり、比較例1(表面被覆粉末A)との大きな差異はなかった。
酸化亜鉛被覆粉末の作製: 実施例1と同様にして粉末Bを作製した。
表面処理剤の調製: 比較例2と同様にして表面処理剤Bを作製した。
有機処理層で被覆された酸化亜鉛被覆粉末の作製: 粉末B100gをミキサー(大阪ケミカル株式会社製小型強力粉砕機、フォースミル)のチャンバー内で高速攪拌し、該粉末に表面処理剤Bを散布し、よく混合した後、大気中において105℃で5時間放置して乾燥させ、表面を有機処理層で被覆した酸化亜鉛被覆粉末(表面被覆粉末E)を得た。
表面被覆粉末Eについて、比較例1と同様にして諸特性を測定した。測定結果を表1〜表4に示す。
なお、この表面被覆粉末Eは、酸化亜鉛含有量が50重量%であり、導電性酸化亜鉛層中のGaの含有量が導電性酸化亜鉛層に対し0.03重量%であり、導電性酸化亜鉛層中のSnの含有量が導電性酸化亜鉛層に対し0.15重量%であり、比較例1(表面被覆粉末A)との大きな差異はなかった。
酸化亜鉛被覆粉末の作製: 実施例1と同様にして粉末Bを作製した。粉末Bについて、比較例1と同様にして諸特性を測定した。測定結果を表1〜表4に示す。
なお、この粉末Bは、酸化亜鉛含有量が51重量%であり、導電性酸化亜鉛層中のGaの含有量が、導電性酸化亜鉛層に対し0.03重量%であり、導電性酸化亜鉛層中のSnの含有量が導電性酸化亜鉛層に対し0.15重量%であった。
Figure 0005192643
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Figure 0005192643
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表1〜表4より、バインダー層を形成した導電性酸化亜鉛コート粉(実施例1〜実施例4)は、バインダー層を形成していないもの(比較例1〜比較例3)に比較して、比表面積が大きく、D50が小さく、体積抵抗率が小さく且つ経時変化による体積抵抗率の上昇が起こり難いことが判る。
本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉は、導電性が高く、導電性酸化亜鉛層が略均一な厚さに被覆され、1次粒子が凝集し難いため粒度分布がシャープであり、且つ良好な導電性を示す。従って、これを原料として作製されるコーティング剤や塗料の流動性に優れ、静電記録紙等の製造に用いられるコーティング剤、塗料、ゴム、樹脂等に混入してこれらに導電性を付与する導電性フィラーの用途での使用に好適なものである。また、本件発明に係る導電性酸化亜鉛コート粉の製造方法は、特段の新たな設備投資を必要とするものではなく、製造コストの大幅な上昇を引き起こすことなく、高品質の導電性酸化亜鉛コート粉を得ることが出来る。

Claims (8)

  1. コア材の粒子表面がバインダー層で被覆され、該バインダー層表面が導電性付与元素を含む導電性酸化亜鉛層で被覆されて、静電記録紙製造用のコーティング剤や塗料の形成材料に用いられる導電性酸化亜鉛コート粉であって、
    前記バインダー層は、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル及びカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の下地処理成分を含むバインダー層形成剤を用いて形成したものであることを特徴とする導電性酸化亜鉛コート粉。
  2. 前記バインダー層は、前記コア材100重量部に対して0.1重量部〜10重量部の下地処理成分を含むバインダー層形成剤で処理して形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の導電性酸化亜鉛コート粉。
  3. 前記コア材は、硫酸バリウム、二酸化チタン、ホウ酸アルミニウム、シリカ又はアルミナのいずれかを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電性酸化亜鉛コート粉。
  4. 前記導電性酸化亜鉛層は、錫、ガリウム、インジウム及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を0.001重量%〜0.5重量%の量で含む酸化亜鉛で形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の導電性酸化亜鉛コート粉。
  5. 前記導電性酸化亜鉛層は、その構成成分としての含有量が前記導電性酸化亜鉛コート粉の10重量%〜80重量%である請求項1〜請求項4のいずれかに記載の導電性酸化亜鉛コート粉。
  6. 前記導電性酸化亜鉛層の表面に有機処理層を備える導電性酸化亜鉛コート粉であって、
    前記有機処理層が、脂肪酸、脂肪酸化合物、油脂、ゼラチン、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤及びジルコニウム系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機表面処理成分を含む表面処理剤を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の導電性酸化亜鉛コート粉。
  7. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の導電性酸化亜鉛コート粉の製造方法であって、以下に示す工程Iと工程IIとを含むことを特徴とする導電性酸化亜鉛コート粉の製造方法。
    工程I: コア材を溶媒に分散させたスラリーと、少なくともシリコーンオイル、変性シリコーンオイル及びカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の下地処理成分を含むバインダー層形成剤とを混合した後、乾燥させて、前記コア材の粒子表面に前記下地処理成分からなるバインダー層を形成し、バインダー層形成コア材を得る下地処理工程。
    工程II: 該バインダー層形成コア材を水に分散させたスラリーに、水溶性亜鉛化合物を含む亜鉛含有水溶液と、中和剤とを添加して中和した後、乾燥させ、焼成して、前記バインダー層形成コア材の粒子表面に導電性酸化亜鉛層を形成し導電性酸化亜鉛コート粉とする酸化亜鉛被覆工程。
  8. 請求項6に記載の導電性酸化亜鉛コート粉の製造方法であって、以下に示す工程I〜工程IIIとを含むことを特徴とする導電性酸化亜鉛コート粉の製造方法。
    工程I: コア材を溶媒に分散させたスラリーと、少なくともシリコーンオイル、変性シリコーンオイル及びカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の下地処理成分を含むバインダー層形成剤とを混合した後、乾燥させて、前記コア材の粒子表面に前記下地処理成分からなるバインダー層を形成し、バインダー層形成コア材を得る下地処理工程。
    工程II: 該バインダー層形成コア材を水に分散させたスラリーに、水溶性亜鉛化合物を含む亜鉛含有水溶液と、中和剤とを添加して中和した後、乾燥させ、焼成して、前記バインダー層形成コア材の粒子表面に導電性酸化亜鉛層を形成し導電性酸化亜鉛コート粉とする酸化亜鉛被覆工程。
    工程III: 前記工程IIで得られた導電性酸化亜鉛コート粉の酸化亜鉛層表面に、少なくとも脂肪酸、脂肪酸化合物、油脂、ゼラチン、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤及びジルコニウム系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機表面処理成分を含む表面処理剤を用い、前記導電性酸化亜鉛層の表面に有機処理層を形成する有機表面処理工程。
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