JPH0769631A - 薄片状導電性酸化亜鉛及びその製造方法 - Google Patents

薄片状導電性酸化亜鉛及びその製造方法

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JPH0769631A
JPH0769631A JP27822493A JP27822493A JPH0769631A JP H0769631 A JPH0769631 A JP H0769631A JP 27822493 A JP27822493 A JP 27822493A JP 27822493 A JP27822493 A JP 27822493A JP H0769631 A JPH0769631 A JP H0769631A
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JP
Japan
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flaky
zinc oxide
zinc
mol
flakes
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JP27822493A
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English (en)
Inventor
Hideyo Fujii
秀世 藤井
Masakazu Yokoyama
正和 横山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アルミニウムを亜鉛原子1モル当たり0.0
001〜0.3モル含有してなる平均厚みが0.1〜2
μm、平均粒径が1〜100μmで、アスペクト比が3
〜100の薄片状酸化亜鉛表面にアンチモン、インジウ
ム、セリウム、ガリウム、錫、ジルコニウム及びチタン
から選ばれた金属酸化物の少なくとも1種を、亜鉛原子
1モル当たり0.00005〜0.05モル被着してな
る薄片状導電性酸化亜鉛。 【効果】 薄片の比抵抗が2.0×102 Ω・cm未満
の高導電性で白色系の薄片状導電性酸化亜鉛を提供可能
とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄片状の導電性酸化亜鉛
に関する。詳しくは、導電性に優れる白色系の薄片状酸
化亜鉛及びその製造方法に関する。より詳しくは、絶縁
性の各種樹脂や塗料に対し添加することにより導電性を
付与して、例えば帯電防止に優れるICトレー、包材、
塗料等の用途、さらにはプラスチック、紙及び布等の導
電性付与剤として利用できる薄片状導電性酸化亜鉛及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、各種樹脂や塗料などに導電性を
付与する目的より導電性粉末が充填材として使用されて
いる。また該導電性粉末も基体に任意に着色しうる点よ
り白色の導電性粉末が要望されており、さらに最近では
低添加量で有効な導電性を付与しうる目的より針状や強
度の高い板状の導電性粉末が要望されている。かかる要
望に応えるものとして特開平3−28125号公報には
「亜鉛酸アルカリ化合物並びに錫、ガリウム、インジウ
ム及びアルミニウムで構成される群の少なくとも1種の
金属の水溶性金属化合物を含有する溶液において、アル
カリ/亜鉛のモル比が5〜30となるように苛性ソーダ
又は苛性カリを添加することにより針状の酸化亜鉛を得
る方法」が記載されている。また特開平3−60429
号には「3価及び/又は4価の金属原子をZn原子1モ
ル当り0.0001〜0.1モル含有し、粉体の体積固
有抵抗値が105 Ωcm以下であり、かつ粉体の形状が
アスペクト比3〜400の針状または板の長径/厚さの
比が10〜1000の板状である酸化亜鉛系導電性粉
末」が記載されている。更に特開平4−26514号に
は「Znイオンを0.5〜2.0モル含有し、かつ3価
及び/又は4価の金属原子をZn原子1モル当り0.0
001〜0.1モル含有するpHが0.5〜2.0の水
溶液を調製した後、この水溶液に亜鉛原子1モル当り
0.1〜4.0モルの塩基を加え、かつ該水溶液のpH
を4.0〜6.5に調整し、次いで80〜100℃に加
熱して沈澱物を形成させた後、該沈澱物を還元性雰囲気
下600〜1000℃で焼成する板状導電性酸化亜鉛の
製造方法」が記載されている。これらは何れも酸化亜鉛
にAl、Ga、Sn等のドーピング剤を添加し酸化亜鉛
の体積固有抵抗を下げるものであり、それぞれの方法に
於いてかなりの効果を得ているが、より体積固有抵抗値
が低く強度の高い薄片状酸化亜鉛の出現が望まれてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる事情下に鑑み、
本発明者等は白色、薄片状の特性は保持しつつ、より優
れた導電性を有する薄片状酸化亜鉛を得るべく鋭意検討
した結果、酸化亜鉛に対するAl、Sn等の金属を特定
方法により添加、存在せしめる場合には従来法に比較
し、優れた導電性を有する白色系の薄片状導電性酸化亜
鉛が得られること、さらにこのものを特定の方法で焼成
する場合には導電性の改良はもとより優れた強度を有す
る白色系の薄片状導電性酸化亜鉛が得られることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、アルミ
ニウムを亜鉛原子1モル当り0.0001〜0.3モル
含有してなる平均厚みが0.1〜2μm、平均粒径が1
〜100μmで、アスペクト比が3〜100の薄片状酸
化亜鉛表面に、アンチモン、インジウム、セリウム、ガ
リウム、錫、ジルコニウム及びチタンから選ばれた金属
或いは金属化合物の少なくとも1種を、亜鉛原子1モル
当り0.00005〜0.05モル被着してなる薄片状
導電性酸化亜鉛を提供するにある。
【0005】また本発明は、亜鉛原子1モル当り0.0
001〜0.3モルのアルミニウムとなる亜鉛塩とアル
ミニウム塩の共存溶液と、ヘキサメチレンテトラミン溶
液及び/又は尿素溶液を熱水中に等比量で添加し、加水
分解を終始、PH5.5〜7.5に維持して薄片状塩基
性亜鉛系共沈物を生成した後、該薄片にアンチモン、イ
ンジウム、セリウム、錫、ジルコニウム及びチタンから
選ばれた金属の水溶性化合物の少なくとも1種を、亜鉛
原子1モル当り0.00005〜0.05モルの割合で
添加することにより薄片状塩基性亜鉛系共沈物の表層に
被着せしめ、その後還元性雰囲気下で焼成することを特
徴とする薄片状導電性酸化亜鉛の製造方法を提供するも
のである。
【0006】さらに本発明は、亜鉛原子1モル当り0.
0001〜0.3モルのアルミニウムとなる亜鉛塩とア
ルミニウム塩の共存溶液と、ヘキサメチレンテトラミン
溶液及び/又は尿素溶液を熱水中に等比量で添加し、加
水分解を終始、PH5.5〜7.5に維持して薄片状塩
基性亜鉛系共沈物を生成した後、固液分離し、次いで該
薄片を焼成し薄片状酸化亜鉛とした後、該薄片にアンチ
モン、インジウム、セリウム、錫、ジルコニウム及びチ
タンから選ばれた金属の水溶性化合物の少なくとも1種
を、亜鉛原子1モル当り0.00005〜0.05モル
の割合で添加することにより薄片状酸化亜鉛の表層に被
着せしめ、その後還元性雰囲気下で焼成することを特徴
とする薄片状導電性酸化亜鉛の製造方法を提供するもの
である。
【0007】また、本発明は、上記の金属原子を表層に
被着後の薄片状塩基性亜鉛系共沈物の焼成を、酸化雰囲
気下に昇温速度1℃/分〜10℃/分、800℃〜10
00℃の温度で10分〜10時間仮焼した後、更に還元
性雰囲気下700℃〜850℃で10分〜3時間焼成す
ることを特徴とする薄片状導電性酸化亜鉛の製造方法を
提供するものである。
【0008】また、本発明は、薄片状塩基性亜鉛系共沈
物の焼成後、これに上記金属の水溶性化合物を被着し、
還元性雰囲気下で焼成する方法に於いて、薄片状塩基性
亜鉛系共沈物の焼成が、酸化雰囲気下に昇温速度1℃/
分〜10℃/分、800℃〜1000℃の温度で10分
〜10時間焼成し、還元性雰囲気での焼成が、温度70
0℃〜850℃で10分〜3時間焼成することを特徴と
する薄片状導電性酸化亜鉛の製造方法を提供するもので
ある。
【0009】以下本発明を詳しく説明する。本発明に於
いて薄片状導電性酸化亜鉛は、アルミニウムを亜鉛原子
1モル当り0.0001〜0.3モル含有してなる平均
厚みが0.1〜2μm、平均粒径が1〜100μmで、
アスペクト比が3〜100の薄片状酸化亜鉛表面に、ア
ンチモン、インジウム、セリウム、ガリウム、錫、ジル
コニウム及びチタンから選ばれた金属或いは金属化合物
の少なくとも1種を、亜鉛原子1モル当り0.0000
5〜0.05モル被着してなる。
【0010】薄片状導電性酸化亜鉛は通常、亜鉛塩溶液
に沈殿剤を加え薄片状の塩基性亜鉛塩を薄片状酸化亜鉛
の前駆体として生成し、次いで該前駆体を還元焼成する
ことにより製造される。その際、導電性を向上する目的
より原子価数の異なる異種金属を酸化亜鉛に固溶して原
子価制御をするが、一般的に該金属としてアルミニウム
を使用する事は良く知られている。 本発明の酸化亜鉛
中に存在するアルミニウム量は亜鉛原子1モル当り0.
0001〜0.3モルの範囲であり、好ましくは0.0
01〜0.1、より好ましくは0.005〜0.05の
範囲である。亜鉛イオンに対するアルミニウム原子が上
記範囲外の場合には導電性が低下する。加えて本発明は
該アルミニウムが薄片状酸化亜鉛中に実質的に均一に分
散存在するものである。
【0011】また本発明の薄片状導電性酸化亜鉛は薄片
厚みが約0.1μm〜約2μm、好ましくは約0.2μ
m〜約1.5μm、平均の大きさが約1〜約100μ
m、好ましくは約5〜約80μmである。薄片の厚みが
これより薄いと使用時に崩壊し所望とする形状維持が困
難で、他方これより厚いと単位重量当たりの薄片数が減
少して、導電性付与、或いは帯電防止効果が低下する。
薄片の大きさがこれより大きいと使用時に崩壊し易く、
これより小さいと薄片状導電性酸化亜鉛としての導電性
付与、或いは帯電防止の効果は低減する。
【0012】本発明はアルミニウムを含有する薄片状酸
化亜鉛の表面にアンチモン、インジウム、セリウム、ガ
リウム、錫、ジルコニウム及びチタンから選ばれた金属
酸化物の少なくとも1種を、金属原子として亜鉛原子1
モル当り約0.00005モル〜約0.05モル、好ま
しくは約0.0001モル〜約0.03モルが被着して
なることを必須とする。理由は詳らかではないが、該金
属をアルミニウムと共に酸化亜鉛中に酸化物として均一
分散させても、導電性の改良効果は得られない。亜鉛原
子に対する金属原子の被着量が0.00005モル未満
の場合には導電性は向上せず、他方0.05モルを越え
て被着させても増量に見合う導電性の改良効果はなく、
金属種によっては着色を生じる場合がある。また、アン
チモン、インジウム、セリウム、ガリウム、錫、ジルコ
ニウム及びチタンは何れも導電性を向上するが、就中、
錫−アンチモン系が導電性改良効果に於いてより優れて
いる。
【0013】このような本発明の薄片状酸化亜鉛の製造
方法としては、亜鉛塩及びアルミニウム塩の共存溶液
と、ヘキサメチレンテトラミン溶液及び/又は尿素溶液
を熱水中に等比量で添加し、加水分解を終始、PH5.
5〜7.5に維持して薄片状塩基性亜鉛系共沈物を生成
した後、該薄片にアンチモン、インジウム、セリウム、
錫、ジルコニウム及びチタンから選ばれた金属の水溶性
化合物の少なくとも1種を、金属原子として亜鉛原子1
モル当り0.00005〜0.05モルの割合で加え、
加水分解により薄片状塩基性亜鉛系共沈物の表層に被着
せしめ、その後還元性雰囲気下で焼成する方法が挙げら
れる。更には薄片状塩基性亜鉛系共沈物を焼成した薄片
状酸化亜鉛にアンチモン、インジウム、セリウム、錫、
ジルコニウム及びチタンから選ばれた金属の水溶性化合
物の少なくとも1種を、金属原子として亜鉛原子1モル
当り0.00005〜0.05モルの割合で加え、加水
分解により薄片状酸化亜鉛の表層に被着せしめ、その後
還元性雰囲気下で焼成する方法が挙げられる。
【0014】本発明で用いられる亜鉛塩としては特に限
定されないが、水溶性の亜鉛塩、例えば塩化亜鉛、硫酸
亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛等が使用される。またアルミ
ニウム塩としても水溶性のアルミニウム塩、例えば塩化
アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、
酢酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、アンモニウム
明礬等が使用される。本発明の実施に於いて亜鉛塩とア
ルミニウム塩は亜鉛原子1モル当たり約0.0001〜
約0.3モルの範囲になるよう混合し、共存溶液とな
す。
【0015】次いで亜鉛塩とアルミニウム塩の共存溶液
はヘキサメチレンテトラミン溶液及び/又は尿素溶液と
を攪拌下の約100℃の熱水中に一定量比で同時に添加
し反応pHが約5.5〜約7.5の範囲に維持しつつ加
水分解と中和析出反応をさせることにより、析出する薄
片状塩基性亜鉛塩中にアルミニウムが均一に分散する薄
片を得る。亜鉛塩とアルミニウム塩の共存溶液とヘキサ
メチレンテトラミン溶液及び/又は尿素溶液を予め混合
し、pHを約5.5〜約7.5の範囲に調整した後、こ
れを熱水中に投入し加水分解せしめ薄片状の塩基性亜鉛
塩を得る場合には、アルミニウムが反応析出した薄片中
に均一に分散していない為か導電性の付与効果は上記亜
鉛塩とアルミニウム塩の共存溶液とヘキサメチレンテト
ラミン溶液等の沈殿剤を熱水中に一定量比で同時に添加
し反応させる方法に比較し劣る。この沈澱剤としてのヘ
キサメチレンテトラミンや尿素は亜鉛塩とアルミニウム
塩の共存溶液を中和させるに必要な化学量論量〜約5倍
量の範囲で使用される。
【0016】約100℃の熱水への亜鉛塩とヘキサメチ
レンテトラミン溶液等の添加時間は1時間以上、通常2
〜3時間で供し、更に該温度下にスラリーを1時間以
上、通常2〜3時間保持、熟成した後、室温以下に冷却
する。熟成は攪拌継続下に更に長時間、例えば、約24
時間〜約48時間行っても良く、かかる処理は凝集粒を
低減し、薄片を平滑にして薄片の大きさを揃える効果が
あり、収率向上に寄与する。また、製品の収率向上を目
的に両溶液を添加終了後、アンモニア等を添加し該反応
溶液のpHを約7.5〜約8.1の範囲に調整し熟成処
理することも可能である。
【0017】熟成処理後の溶液は、次いで固液分離、水
洗、乾燥等の常法操作により、薄片状塩基性硫酸亜鉛の
前駆体を得るが、固液分離した反応溶液に水溶性有機溶
剤、例えば、低級アルコール類、多価アルコール類、低
級エステル類、テトラヒドロフラン及び低級ケトン類等
を添加し、希釈晶析する場合には更に収率の向上が図
れ、且つ、排水中への金属イオンの低減も図れる。この
水溶性有機溶剤は固液分離前に加えることもでき、アン
モニア添加と同様に収率向上に寄与する。
【0018】本発明に於いて、上記方法の熟成処理によ
り得られた薄片状塩基性硫酸亜鉛の前駆体は常法により
乾燥する。一般的には、固液分離後の湿潤ケークを有機
溶剤及び/又は水に界面活性剤と共に分散し、スプレー
ドライヤーやドラムドライヤー等で乾燥される。次いで
乾燥後の前駆体は、そのまま、或いは必要に応じ非還元
性雰囲気で仮焼した後、還元性雰囲気下に焼成して薄片
状導電性酸化亜鉛を製造する。仮焼温度並びに時間は前
駆体中の水酸基や酸根等を熱分解し得る条件であれば良
く、通常約800℃〜約1000℃、約10分〜約10
時間、実施される。使用炉は通常、管状炉、箱型炉、キ
ルン炉及びガス炉が使用できる。
【0019】還元性雰囲気下の焼成に於いて、その雰囲
気として、例えば、水素、一酸化炭素及びアンモニア等
のガスが挙げられる。また焼成によりこれらのガスを生
成する副原料の尿素や炭素と共存させて処理することも
できる。炭素としてはカーボンブラック、コークス、石
炭及び木炭等が使用される。粉体の焼成温度は約700
℃〜約850℃、時間は約10分〜約3時間、好ましく
は約10分〜約1時間の範囲で実施される。処理温度が
約700℃下では充分な導電性が得られず、約850℃
を越えて処理すると、金属亜鉛の析出が増して収率を減
じ、強度も低下する。焼成後、還元性雰囲気及び/又は
非酸化性雰囲気を維持する為に、窒素やアルゴン等の不
活性ガスを系内に導入しつつ室温に冷却する。このよう
にしてアルミニムを均一に薄片中に分散した薄片状酸化
亜鉛を得ることができる。
【0020】本発明の前駆体(薄片状塩基性亜鉛系共沈
物)の仮焼に際し、仮焼条件として、先ず酸化雰囲気下
に昇温速度約1℃/分〜約10℃/分、好ましくは約1
℃/分〜約3℃/分、約800℃〜約1000℃の温度
で約10分〜約10時間仮焼した後、還元性雰囲気下約
700℃〜約850℃で焼成することが導電性はもとよ
り、強度に優れる薄片状導電性酸化亜鉛が得られること
より特に推奨される。還元性雰囲気下の焼成の前に、上
記条件で酸化雰囲気での仮焼を実施することによりなに
故、焼成後の薄片強度が改良し得るのか詳らかではない
が、前駆体からの水酸基や酸根等の分解がゆっくり生起
し、このため前駆体結晶が変形、崩壊することなく焼成
し得るためと推測される。
【0021】本発明に於いては上記方法に於いて得られ
た薄片状酸化亜鉛前駆体或いはそれ以降の工程より得ら
れた薄片状酸化亜鉛を用い、該薄片状酸化亜鉛前駆体或
いは薄片状酸化亜鉛に、アンチモン、インジウム、セリ
ウム、ガリウム、錫、ジルコニウム及びチタンから選ば
れた金属或いは金属化合物の少なくとも1種を、亜鉛原
子1モル当り0.00005〜0.05モルの割合で金
属塩溶液として加え、アンモニアによる加水分解で薄片
状酸化亜鉛或いは前駆体の表面に水酸化物として被覆含
有させ、その後還元性雰囲気下で焼成して製造する。
【0022】原料の金属の水溶性化合物は特に限定され
るものではないが、普通には塩化アンチモン、弗化アン
チモン、アンチモンイソプロポキシド、硝酸インジウ
ム、硫酸インジウム、塩化インジウム、臭化インジウ
ム、インジウムイソプロポキシド、硝酸セリウム、塩化
セリウム、硫酸セリウム、酢酸セリウム、セリウムイソ
プロポキシド、硝酸ガリウム、硫酸ガリウム、ガリウム
イソプロポキシド、硫酸第一錫、硫酸第二錫、弗化第一
錫、弗化第二錫、塩化第一錫、塩化第二錫、夭化第二
錫、錫イソプロポキシド、硫酸ジルコニウム、オキシ塩
化ジルコニウム、ジルコニウムイソプロポキシド、硫酸
チタン、硫酸チタニル、塩化チタン及びチタンイソプロ
ポキシド等の金属の硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、有
機酸塩及びアルコキシド等が挙げられる。これらは、
水、又は適当に希釈した塩酸、硫酸、硝酸及び酢酸等の
酸に溶解し、或いはメタノール、エタノール及びイソプ
ロパノール等の水溶性アルコール類に溶解して供する事
もできる。
【0023】被覆は薄片状酸化亜鉛前駆体を得る工程で
の熟成後のスラリー溶液にアンチモン、錫等の可溶性塩
を添加使用し、アルカリ物質、例えばアンモニアにより
PHを微調節しつつ実施してもよく、勿論上記熟成後の
スラリー溶液のPHが高い場合には可溶性塩のみを添加
してもよく、スラリー溶液の最終PHが約7.5〜約
8.1の範囲で実施される。添加は溶液中に均一に分散
するように実施すればよく、通常攪拌下約0.5ml/
分〜約10ml/分の速度で添加することが好ましいが
この限りではない。添加金属の加水分解反応を完了させ
る為、添加後の熟成は室温又は加温下、約1時間以上の
熟成処理をすることが好ましい。また該被覆処理を複数
回行っても良い。
【0024】このようにして薄片表面に、アンチモン、
インジウム、セリウム、ガリウム、錫、ジルコニウム及
びチタンから選ばれた金属酸化物の少なくとも1種を被
着した薄片状酸化亜鉛或いは薄片状酸化亜鉛前駆体は次
いで、非還元性〜酸化性雰囲気で仮焼した後、還元性雰
囲気で焼成することにより薄片状酸化亜鉛を得ることが
できる。この場合、仮焼及び焼成条件は上記したアルミ
ニウム含有薄片状酸化亜鉛前駆体と同一範囲で実施すれ
ばよい。
【0025】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば操作が容易
でかつ、薄片の比抵抗が2.0×10 2 Ω・cm未満の
高導電性で、且つ高強度の白色系の薄片状酸化亜鉛の提
供を可能としたもので、絶縁性の各種樹脂や塗料に対し
て導電性付与材として例えば、帯電防止を要求されるI
Cトレー用、包材用、塗料用その他のプラスチック用途
に、或いは、静電記録、通電記録、放電記録によるファ
クシミリ記録紙及び一般記録紙等の情報紙用途に、更に
は、繊維及び布等の帯電防止用途に好適に利用できるの
で、その工業的価値は頗る大である。
【0026】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。なお、実施例及び比較例において用いた薄片の平
均粒径は百個の薄片の(最大径+最小径)/2の値の平
均値として求めたものであり、導電性粉末の比抵抗の測
定は、温度23℃−湿度60%RH以下の室内に於いて
測定した。またその表面抵抗の測定は、測定セルを温度
23℃のシリカゲルデシケーター内に置いて測定した。
また試料調整は以下の方法により行った。
【0027】比抵抗の測定:粉末試料1gを、銅製極板
のピストン及び受け台を有する絶縁性シリンダー内に採
り、100kg/cm2 に加圧し、マルチメーター(V
PAC 7413/Iwatsu Electric
Co.Ltd社製)で極板の接触抵抗及び全抵抗を測定
し、又、マイクロメーターで試料厚さを測定して、次の
式により比抵抗を算出した。 比抵抗(Ω・cm)=[(全抵抗−接触抵抗)×シリン
ダー断面積(cm2 )]/試料の厚さ(cm)
【0028】表面抵抗1の測定:7.5重量%ポリビニ
ールアルコール(重合度約500/和光純薬社製)水溶
液1gに、粉末試料0.16gを良く混練し、更に、超
音波処理を行って分散し、厚さ100μmのドクターブ
レードで難燃紙(紀州製紙社製)上に アプリケーター
塗工−乾燥処理して導電性情報紙を作製し、得られた導
電性情報紙の表面抵抗を16008A測定セル/432
9A高抵抗計(Yokogawa−Hewlett−P
ackard社製)、及び16008A測定セル/上記
マルチメーターで測定した。
【0029】表面抵抗2の測定:ポリ塩化ビニール樹脂
粉末100重量部(ペーストレジンPQHW:重合度約
1600/住友化学社製)、ジ−2−エチルヘキシルフ
タレート60重量部(和光純薬社製)及び安定剤3重量
部(AC−111/旭電化社製)からなるコンパウンド
1.03gを混練し、粉末試料1.17gを適当量のエ
チルアルコールと共に添加し更に混練して分散し、厚さ
200μmのドクターブレードで剥離紙(大阪紙函社
製)上にアプリケーター塗工−乾燥−150℃、20分
間成膜処理後、剥離して導電性ポリ塩化ビニールフイル
ムを作製し、得られた導電性フイルムの表面抵抗を16
008A測定セル/4329A高抵抗計(Yokoga
wa−Hewlett−Packard社製)、及び1
6008A測定セル/上記マルチメーターで測定した。
【0030】強度の測定:粉末試料0.5gを0.2%
ヘキサメタ燐酸ナトリウム水溶液100mlにホモジナ
イザー(US−300Tg:超音波分散器/リーズ&ノ
ースラップ社製)により各々1分間と10分間分散処理
し、次いで処理後の薄片の平均粒径を測定する事によ
り、(10分間分散処理後の平均粒径/1分間分散処理
後の平均粒径)×100(%)として薄片の強度を測定
した。
【0031】実施例1 硫酸亜鉛七水和物(ZnSO4 ・7H2 O/和光純薬社
製)86.7gと硫酸アルミニウム水和物(Al2 (S
4 3 ・14〜18H2 O/和光純薬社製)0.95
gを脱イオン水に加温溶解して140mlに、ヘキサメ
チレンテトラミン(C6 124 /和光純薬社製99
%)2.2gと尿素((NH2 2 CO/和光純薬社製
99%)35.2gを同様に溶解して140mlに調製
した。500mlセパラブルフラスコに脱イオン水20
mlをいれ、パドル攪拌翼で攪拌しつつ加熱して約98
℃〜約100℃の熱水とした。この熱水に攪拌しつつ調
製済み溶液を2時間かけて2連装マイクロチューブポン
プで調製容量比(140容量部/140容量部の等比流
量)で並注した。並注開始後30分の反応スラリーのP
H値は約5.7であった。並注完了後、溶液を攪拌しつ
つ加熱を継続し、熟成温度を約100℃〜約102℃に
2時間維持した後、室温以下の10℃に冷却し25%ア
ンモニア水を加えPH値を約6.3から約8.1に調節
して、更に、攪拌しつつ2時間熟成した。
【0032】次いで、該スラリー中に、塩化第一錫二水
和物(SnCl2 ・2H2 O/和光純薬社製)0.37
gと塩化アンチモン(SbCl3 /和光純薬社製)0.
034gを、予め、2規定の塩酸水溶液に加熱溶解して
調製した15ml溶液を攪拌しつつ約15分間で注加
し、その後、更に1時間熟成した。この時のPHは約
7.8であった。生成した薄片状前駆体スラリーを固液
分離、脱イオン水300ml洗浄、エチルアルコール5
0ml置換し、エチルアルコールに1時間超音波分散処
理後、スプレードライヤーで乾燥して、38.3gの薄
片状前駆体を得た。
【0033】このようにして得た薄片状前駆体3.15
gを箱型炉内に置いて、昇温速度100℃/時間で昇温
し温度950℃×5時間仮焼した後、木炭2gと共にバ
ブリング付き空気シール系の管状炉内に移して、昇温速
度200℃/時間で昇温し温度800℃×0.5時間焼
成した後、管内が減圧にならない程度に窒素を導入して
室温に冷却し、2.0gの薄片状導電性酸化亜鉛を製造
した。
【0034】このようにして得られた薄片の厚みは約
0.2μm、平均粒径約7μmで、収率は96%であっ
た。薄片の比抵抗、表面抵抗及び強度を測定した所、各
々、比抵抗=6.7×100 Ω・cm、表面抵抗1=
6.4×105 Ω、表面抵抗2=7.2×105 Ω、強
度=81%であった。叉、薄片のZn、Al、Sn、S
bの蛍光X線分析を行った結果、亜鉛原子1モル当りア
ルミニウム0.01モル、錫約0.005モル、アンチ
モン約0.0005モルの比率であった。
【0035】実施例2 実施例1において、ヘキサメチレンテトラミンと尿素を
ヘキサメチレンテトラミン44.4gに代えた他は、全
く同様にし薄片状導電性酸化亜鉛を製造した。得られた
薄片は厚み約0.2μm、平均粒径約7μmで、収率は
98%であった。薄片の比抵抗、表面抵抗及び強度を測
定した所、各々、比抵抗=1.1×10 1 Ω・cm、表
面抵抗1=5.7×105 Ω、表面抵抗2=8.1×1
5 Ω、強度=79%であった。叉、薄片のZn、A
l、Sn、Sbの蛍光X線分析を行った結果、亜鉛原子
1モル当りアルミニウム0.01モル、錫約0.05モ
ル、アンチモン約0.005モルの比率であった。
【0036】比較例1 実施例2において、得られた前駆体薄片に錫−アンチモ
ンによる表層被覆処理を実施しない他は、全く同様に前
駆体を沈澱生成及び分散乾燥して、34.0gの薄片状
前駆体を得た。この前駆体3.15gを尿素2.5gと
共にバブリング付き窒素シール系の管状炉内に置いて、
昇温速度200℃/hで昇温し温度800℃30分間焼
成した後、管内が減圧にならない程度に窒素を導入して
室温に冷却し、2.25gの薄片状導電性酸化亜鉛を製
造した。得られた薄片は厚みは約0.2μm、平均粒径
約7μmで、収率は98%であった。薄片の比抵抗、表
面抵抗及び強度を測定した所、各々、比抵抗=2.1×
10 2 Ω・cm、表面抵抗1=9.0×106 Ω、表面
抵抗2=4.5×106 Ω、強度=52%であった。
叉、薄片のZn、Alの蛍光X線分析を行った結果、亜
鉛原子1モル当りアルミニウム0.01モルの比率であ
った。
【0037】実施例3 実施例2において、塩化第一錫二水和物0.37gを塩
化第二錫水和物(SnCl4 ・nH2 O/和光純薬社
製)6.86gに、塩化アンチモン0.034gを0.
35gに代えた他は、全く同様にして薄片状導電性酸化
亜鉛を製造した。得られた薄片は厚み約0.2μm、平
均粒径約7μmで、収率は98%であった。薄片の比抵
抗、表面抵抗及び強度を測定した所、各々、比抵抗=
1.4×10 1 Ω・cm、表面抵抗1=4.1×105
Ω、表面抵抗2=7.8×105 Ω、強度=61%であ
った。叉、薄片のZn、Al、Sn、Sbの蛍光X線分
析を行った結果、亜鉛原子1モル当りアルミニウム0.
01モル、錫約0.05モル、アンチモン約0.005
モルの比率であった。
【0038】実施例4 実施例2において、塩化第一錫二水和物を硫酸第二錫
(Sn(SO4 2 :キシダ化学社製)0.092g
に、塩化アンチモンの量を0.0069gに代え、これ
を1mol/l硫酸水溶液15mlに加熱溶解して用い
た他は同様にして薄片状導電性酸化亜鉛を製造した。得
られた薄片は厚み約0.2μm、平均粒径約7μmで、
収率は98%であった。薄片の比抵抗、表面抵抗及び強
度を測定した所、各々、比抵抗=1.5×10 2 Ω・c
m、表面抵抗1=7.1×106 Ω、表面抵抗2=2.
2×106 Ω、強度=76%であった。また薄片のZ
n、Al、Sn、Sbの蛍光X線分析を行った結果、亜
鉛原子1モル当りアルミニウム0.01モル、錫約0.
001モル、アンチモン約0.0001モルの比率であ
った。
【0039】実施例5 実施例2において、塩化第一錫二水和物を硫酸亜鉛七水
和物0.87gに、塩化アンチモンを硝酸ガリウム八水
和物(Ga(NO3 3 ・8H2 O/和光純薬社製)
0.006gに代えて、水に溶解して供した他は、全く
同様にして薄片状導電性酸化亜鉛を製造した。得られた
薄片は厚み約0.2μm、平均粒径約7μmで、収率は
98%であった。薄片の比抵抗、表面抵抗及び強度を測
定した所、各々、比抵抗=1.5×10 2 Ω・cm、表
面抵抗1=7.4×106 Ω、表面抵抗2=2.5×1
6 Ω、強度=75%であった。また薄片のZn、A
l、Gaの蛍光X線分析を行った結果、亜鉛原子1モル
当りアルミニウム0.01モル、ガリウム0.0000
5モルの比率であった。
【0040】実施例6 実施例2において、塩化第一錫二水和物を硫酸チタン水
和物(Ti(SO4 2 ・nH2 O/キシダ化学社製)
1.09gに、塩化アンチモンを硫酸インジウム七水和
物(In2 (SO4 3 ・7H2 O/和光純薬社製)
0.0049gに代えて、1mol/l硫酸水溶液15
mlに加熱溶解して供した他は、全く同様にして薄片状
導電性酸化亜鉛を製造した。得られた薄片は厚み約0.
2μm、平均粒径約7μmで、収率は98%であった。
薄片の比抵抗、表面抵抗及び強度を測定した所、各々、
比抵抗=1.6×10 2 Ω・cm、表面抵抗1=7.6
×106 Ω、表面抵抗2=2.3×106 Ω、強度=7
5%であった。叉、薄片のZn、Al、Ti、Inの蛍
光X線分析を行った結果、亜鉛原子1モル当りアルミニ
ウム0.01モル、チタン約0.01モル、インジウム
約0.00005モルの比率であった。
【0041】実施例7 実施例2において、塩化第一錫二水和物をオキシ塩化ジ
ルコニウム八水和物(ZrOCl2 ・8H2 O/和光純
薬社製99%)0.69gに、塩化アンチモンを硝酸セ
リウム六水和物(Ce(NO3 3 ・6H2 O/和光純
薬社製98%)0.0073gに代え、1mol/l硫
酸水溶液15mlに溶解調製して供した他は、全く同様
にして薄片状導電性酸化亜鉛を製造した。得られた薄片
は厚み約0.2μm、平均粒径約7μmで、収率は98
%であった。薄片の比抵抗、表面抵抗及び強度を測定し
た所、各々、比抵抗=1.5×10 2 Ω・cm、表面抵
抗1=7.4×106 Ω、表面抵抗2=2.4×106
Ω、強度=75%であった。叉、薄片のZn、Al、Z
r、Ceの蛍光X線分析を行った結果、亜鉛原子1モル
当りアルミニウム0.01モル、ジルコニウム約0.0
07モル、セリウム約0.00006モルの比率であっ
た。
【0042】実施例8 実施例2において、硫酸アルミニウム水和物量を1.9
gに代えた他は全く同様にして薄片状前駆体を沈殿生成
した。並注開始30分後の反応スラリーを分取して分析
した所、PHは約5.8であった。該スラリー中より3
ケの薄片を採集し薄片表面のSEM−EDX(走査型電
子顕微鏡−エネルギー分散型X線マイクロアナライザ
ー)分析の結果、薄片表面から均一にAlを検出した。
【0043】実施例9 実施例1において、得られた薄片状前駆体を環状炉内に
置いて、昇温速度100℃/時間で昇温し温度775℃
×3時間仮焼し、続けて昇温速度200℃/時間で昇温
し1000℃×5分間焼成した他は全く同様にして薄片
状導電性酸化亜鉛を製造した。得られた薄片は厚み約
0.2μm、平均粒径約7μmで、収率は98%であっ
た。薄片の比抵抗、表面抵抗及び強度を測定した所、各
々、比抵抗=1.5×10 1 Ω・cm、表面抵抗1=
7.4×106 Ω、表面抵抗2=2.4×106 Ω、強
度=73%であった。
【0044】比較例2 実施例1において、500mlセパラブルフラスコ中の
20ml水に代えて、硫酸亜鉛七水和物と硫酸アルミニ
ウム水和物を溶解して160mlに調製し、約98℃〜
約100℃に加熱、攪拌しつつ沈澱剤水溶液(ヘキサメ
チレンテトラミンと尿素)を注加した他は、全く同様に
高温熟成、アンモニアPH微調節及び低温熟成して前駆
体を沈澱生成した。次いで、被覆処理をしない他は、全
く同様に分散乾燥、仮焼及び還元焼成して淡黄色の薄片
状導電性酸化亜鉛を製造した。得られた薄片の厚みは約
0.5μm、平均粒径約17μmで、収率は98%であ
った。薄片の比抵抗、表面抵抗及び強度を測定した所、
各々、比抵抗=2.7×10 3 Ω・cm、表面抵抗1=
1.8×108 Ω、表面抵抗2=1.3×108 Ω、強
度=61%であった。また薄片のZn、Alの蛍光X線
分析を行った結果、亜鉛原子1モル当りアルミニウム
0.01モルの比率であった。注加開始30分後の反応
スラリーを分取して分析した所、PH値は約5.3であ
った。
【0045】比較例3 実施例1において、500mlセパラブルフラスコ中の
20ml水に代えて、硫酸亜鉛七水和物、硫酸アルミニ
ウム水和物及び沈澱剤を稀硫酸で、PH約3(PH4以
上では沈澱生成)の300ml溶液に調製した後、約9
8℃〜約100℃に加熱、高温熟成、アンモニアPH微
調節及び低温熟成して前駆体を沈澱生成し、被覆処理を
しない他は全く同様に分散乾燥、仮焼及び還元焼成して
薄片状導電性酸化亜鉛を製造した。得られた薄片の厚み
は約1μm、平均粒径約50μmで、収率は97%であ
った。薄片の比抵抗、表面抵抗及び強度を測定した所、
各々、比抵抗=4.7×10 3 Ω・cm、表面抵抗1=
2.8×108 Ω、表面抵抗2=3.1×108 Ω、強
度=53%であった。また薄片のZn、Alの蛍光X線
分析を行った結果、亜鉛原子1モル当りアルミニウム
0.01モルの比率であった。注加開始30分後の反応
スラリーを分取して分析した所、PH値は約5.3であ
った。
【0046】比較例4 実施例2において、500mlセパラブルフラスコ中の
20ml水に代えて、硫酸亜鉛七水和物及び硫酸アルミ
ニウム水和物を稀硫酸に溶解して200mlに調製した
液のPHは0.7であった。一方で、調製した沈殿剤水
溶液100mlを原料液に混合した所、沈殿を生成し
た。そのPHは5.4であった。その後、約98℃〜約
100℃に加熱、高温熟成、アンモニアPH微調節及び
低温熟成して前駆体を生成、被覆処理をしない他は全く
同様に分散乾燥、仮焼及び還元焼成して薄片状導電性酸
化亜鉛を製造した。得られた薄片の厚みは約0.2μ
m、平均粒径約10μmだが、1μm以下の微粒を多く
含有するもので、収率は97%であった。薄片の比抵
抗、表面抵抗及び強度を測定した所、各々、比抵抗=
4.7×10 3 Ω・cm、表面抵抗1=2.8×108
Ω、表面抵抗2=3.1×108 Ω、強度=63%であ
った。また薄片のZn、Alの蛍光X線分析を行った結
果、亜鉛原子1モル当りアルミニウム0.01モルの比
率であった。約100℃加熱30分後の反応スラリーを
分取して分析した所、PH値は約5.6であった。
【0047】比較例5 実施例8において、原料の亜鉛塩及びアルミニウム塩を
セパラブルフラスコに溶解して160mlとし、加熱し
て約100℃に維持した。この溶液を攪拌しつつ沈殿剤
溶液140mlのみ添加した。並注開始30分後の反応
スラリーを分取して分析した所、PHは約5.4であっ
た。該スラリー中より3ケの薄片を採集し薄片表面のS
EM−EDX(走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X
線マイクロアナライザー)分析の結果、薄片表面からA
lは検出できなかった。
【0048】実施例10 実施例1において、得られた薄片状前駆体を昇温速度2
0℃/分で昇温し1000℃×1時間仮焼し、次いで同
様に還元処理して薄片状導電性酸化亜鉛を製造した。得
られた薄片の厚みは約0.3μm、平均粒径約7μm
で、収率は96%であった。薄片の比抵抗、表面抵抗及
び強度を測定した所、各々、比抵抗=6.1×10 1 Ω
・cm、表面抵抗1=6.3×107 Ω、表面抵抗2=
7.3×107 Ω、強度=52%であった。
【0049】実施例11 実施例1において、仮焼後の還元焼成を同様に昇温し8
00℃×1.5時間実施して薄片状導電性酸化亜鉛を製
造した。得られた薄片の厚みは約0.2μm、平均粒径
約7μmで、収率は96%であった。薄片の比抵抗、表
面抵抗及び強度を測定した所、各々、比抵抗=6.1×
10 0 Ω・cm、表面抵抗1=6.3×107 Ω、表面
抵抗2=7.3×107 Ω、強度=62%であった。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムを亜鉛原子1モル当り0.
    0001〜0.3モル含有してなる平均厚みが0.1〜
    2μm、平均粒径が1〜100μmで、アスペクト比が
    3〜100の薄片状酸化亜鉛表面に、アンチモン、イン
    ジウム、セリウム、ガリウム、錫、ジルコニウム及びチ
    タンから選ばれた金属酸化物の少なくとも1種を、亜鉛
    原子1モル当り0.00005〜0.05モル被着して
    なる薄片状導電性酸化亜鉛。
  2. 【請求項2】 薄片の比抵抗が1×103 Ω・cm以下
    であることを特徴とする請求項1記載の薄片状導電性酸
    化亜鉛。
  3. 【請求項3】 亜鉛原子1モル当り0.0001〜0.
    3モルのアルミニウムとなる亜鉛塩とアルミニウム塩の
    共存溶液と、ヘキサメチレンテトラミン溶液及び/又は
    尿素溶液を熱水中に等比量で添加し、加水分解を終始、
    PH5.5〜7.5に維持して薄片状塩基性亜鉛系共沈
    物を生成した後、該薄片にアンチモン、インジウム、セ
    リウム、錫、ジルコニウム及びチタンから選ばれた金属
    の水溶性化合物の少なくとも1種を、金属原子として亜
    鉛原子1モル当り0.00005〜0.05モルの割合
    で添加することにより薄片状塩基性亜鉛系共沈物の表層
    に被着せしめ、その後還元性雰囲気下で焼成することを
    特徴とする薄片状導電性酸化亜鉛の製造方法。
  4. 【請求項4】 亜鉛原子1モル当り0.0001〜0.
    3モルのアルミニウムとなる亜鉛塩とアルミニウム塩の
    共存溶液と、ヘキサメチレンテトラミン溶液及び/又は
    尿素溶液を熱水中に等比量で添加し、加水分解を終始、
    PH5.5〜7.5に維持して薄片状塩基性亜鉛系共沈
    物を生成した後、固液分離し、次いで該薄片を焼成し薄
    片状酸化亜鉛とした後、該薄片にアンチモン、インジウ
    ム、セリウム、錫、ジルコニウム及びチタンから選ばれ
    た金属の水溶性化合物の少なくとも1種を、金属原子と
    して亜鉛原子1モル当り0.00005〜0.05モル
    の割合で添加することにより薄片状酸化亜鉛の表層に被
    着せしめ、その後還元性雰囲気下で焼成することを特徴
    とする薄片状導電性酸化亜鉛の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属原子を表層に被着後の薄片状塩基性
    亜鉛系共沈物の焼成が、酸化雰囲気下に昇温速度1℃/
    分〜10℃/分、800℃〜1000℃の温度で10分
    〜10時間仮焼した後、更に還元性雰囲気下700℃〜
    850℃で10分〜3時間焼成することを特徴とする請
    求項3記載の薄片状導電性酸化亜鉛の製造方法。
  6. 【請求項6】 薄片状塩基性亜鉛系共沈物の焼成が、酸
    化雰囲気下に昇温速度1℃/分〜10℃/分、800℃
    〜1000℃の温度で10分〜10時間焼成することを
    特徴とする請求項4記載の薄片状導電性酸化亜鉛の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 還元性雰囲気下の焼成条件が温度700
    ℃〜850℃で10分〜3時間焼成することを特徴とす
    る請求項4記載の薄片状導電性酸化亜鉛の製造方法。
  8. 【請求項8】 薄片の比抵抗が1×103 Ω・cm以下
    であることを特徴とする請求項3〜7記載いずれかの薄
    片状導電性酸化亜鉛の製造方法。
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