JPH06236710A - 導電性材料およびその製造方法 - Google Patents

導電性材料およびその製造方法

Info

Publication number
JPH06236710A
JPH06236710A JP5271368A JP27136893A JPH06236710A JP H06236710 A JPH06236710 A JP H06236710A JP 5271368 A JP5271368 A JP 5271368A JP 27136893 A JP27136893 A JP 27136893A JP H06236710 A JPH06236710 A JP H06236710A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
powder
sintered body
conductive material
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP5271368A
Other languages
English (en)
Inventor
Masatoshi Shibata
雅敏 柴田
Masatsugu Oyama
正嗣 大山
Akira Umigami
暁 海上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP5271368A priority Critical patent/JPH06236710A/ja
Publication of JPH06236710A publication Critical patent/JPH06236710A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Manufacturing Of Electric Cables (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ITO、ATO(アンチモン添加酸化錫)よ
りも耐湿性に優れ、還元によっても黒化しにくく、かつ
ITO、ATOと同等の導電性を有する導電性材料を提
供する。 【構成】 一般式In2 3 (ZnO)m (m=2〜2
0)で表される六方晶層状化合物を含む粉末またはその
粉末を所定形状に成形して焼結した焼結体からなること
を特徴とする導電性材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂などの帯電防止剤
または静電制御剤、表面導電性付与剤、導電性塗料、表
示装置の透明電極などに用いられる導電性材料およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】透明、白色または淡色の導電性材料とし
ては、酸化錫にアンチモンを添加したもの(ATO)、
酸化インジウムに錫を添加したもの(ITO)、酸化亜
鉛にアルミニウムを添加したもの等が知られている。こ
れらは、粉末の状態で帯電防止または静電制御のために
合成樹脂などに添加され、樹脂の電気抵抗値を調製する
ために用いられている。また、表面導電性を付与するた
めに用いられる導電性塗料等にも添加されている(例え
ば静電塗装用のプライマーとして)。
【0003】また粉末を所定形状に成形し焼結すること
により焼結体を作製し、ターゲット材を得ている。そし
てこの焼結体からなるターゲットを用いて、スパッタ
法、蒸着法、イオンプレーティング法等で表示装置用の
透明電極がガラスや樹脂基板の上に形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、IT
O、ATOは粉末の状態では耐湿性が比較的低く、湿気
により電気抵抗値が増大するという難点を有している。
またITO、ATO粉末は還元状態では黒化するため、
樹脂に添加すると樹脂製品の自由な着色が困難になると
いう欠点を有している。またITO、ATO焼結体から
なるターゲットも還元により黒化し易いため、その特性
の経時変化が問題となっている。
【0005】本発明の目的は、ITO、ATOよりも耐
湿性に優れ、黒化しにくいとともに、ITO、ATOと
同等の導電性を有する導電性材料およびその製造方法を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の導電性材料は、一般式In2 3 (ZnO)m (m
=2〜20)で表される六方晶層状化合物を含む粉末ま
たはその粉末を所定形状に成形して焼結した焼結体から
なることを特徴とする導電性材料(以下、この導電性材
料を導電性材料Iという)である。また、一般式In2
3 (ZnO)m (m=2〜20)で表される六方晶層
状化合物に、Sn,Al,Ga,Sb,SiおよびGe
からなる群より選択される少なくとも1種の元素をIn
とZnの合量に対して40at%以下添加した化合物を
含む粉末またはその粉末を所定形状に成形して焼結した
焼結体からなることを特徴とする導電性材料もまた、上
記目的を達成する(以下、この導電性材料を導電性材料
IIという)。
【0007】一方、上記目的を達成する本発明の導電性
材料の製造方法は、インジウム化合物と亜鉛化合物とを
溶解させた溶液と、沈澱形成剤を溶解させた溶液とを反
応させて沈澱物を形成させる工程と、前記沈澱物を濾
別、乾燥した後に焼成、粉砕、還元処理して、一般式I
2 3 (ZnO)m (m=2〜20)で表される六方
晶層状化合物を含む導電性粉末を得る工程とを含み、さ
らに導電性焼結体を得る場合には、前記粉末を所定形状
に成形して焼結する工程を含むことを特徴とする導電性
材料の製造方法(以下、この方法を方法Iという)であ
る。さらに、インジウム化合物と亜鉛化合物に錫化合
物、アルミニウム化合物、ガリウム化合物、アンチモン
化合物、ケイ素化合物およびゲルマニウム化合物よりな
る群から選択される少なくとも1種の化合物を溶解させ
た溶液と、沈澱形成剤を溶解させた溶液とを反応させて
沈澱物を形成させる工程と、前記沈澱物を濾別、乾燥し
た後に焼成、粉砕、還元処理して、一般式In2
3 (ZnO)m (m=2〜20)で表される六方晶層状
化合物に、Sn,Al,Ga,Sb,SiおよびGeか
らなる群から選択される少なくとも1種の元素をInと
Znの合量に対して40at%以下添加した化合物を含
む導電性粉末を得る工程とを含み、さらに導電性焼結体
を得る場合には、前記粉末を所定形状に成形して焼結す
る工程を含むことを特徴とする導電性材料の製造方法も
また、上記目的を達成する(以下、この方法を方法IIと
いう)。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】まず、本発明の導電性材料Iは、上述した
ように一般式In2 3 (ZnO)m (m=2〜20)
で表される六方晶層状化合物を含む粉末またはその粉末
を所定形状に成形して焼結した焼結体からなるものであ
る。
【0010】ここに、「六方晶層状化合物を含む粉末ま
たは焼結体」とは、X線回折測定で、六方晶層状化合物
に帰属されるX線回折パターンを示す物質からなる焼結
体または六方晶層状化合物に帰属されるX線回折パター
ンを示す物質とともに、他の構造に帰属されるX線回折
パターンを示す物質、非晶質物質を含む粉末または焼結
体を意味する。
【0011】より具体的には、この粉末または焼結体
は、六方晶層状化合物を10重量%、より好ましくは5
0重量%以上、特に好ましくは70重量%以上含み、そ
の好ましい例として以下のものが挙げられる。
【0012】(a).In2 3 (ZnO)m (m=2〜
20)の六方晶層状化合物、 (b).In2 3 (ZnO)m (m=2〜20)の六方
晶層状化合物とIn2 3 との混合物、 (c).In2 3 (ZnO)m (m=2〜20)の六方
晶層状化合物とZnOとの混合物、 本発明の導電性材料Iにおいて、InとZnの原子比
(In/(In+Zn))は0.09〜0.8であるの
が好ましい。その理由は、0.09未満では導電性材料
の導電性が低くなり、0.8を超えると導電性材料の耐
湿、耐熱性が低下するからである。
【0013】上記のInとZnの原子比は焼結前のイン
ジウム酸化物と亜鉛酸化物の混合比を調整することによ
り得られ、焼結前の混合比により、化学的量論比率に見
合うインジウム酸化物と亜鉛酸化物から六方晶層状化合
物が生成し、残りのインジウム酸化物と亜鉛酸化物が非
晶質物質等として存在するものと推定される。
【0014】本発明の導電性材料Iは、上述したように
上記インジウム・亜鉛酸化物の粉末または焼結体からな
り、この導電性材料Iは、ITO、ATOよりも耐湿性
に優れ、還元によっても黒化しにくいとともにITO、
ATOと同等の導電性を有し、前記した各種の用途(帯
電防止剤、表面導電性付与剤、導電性塗料、表示装置の
透明電極など)に用いられる。
【0015】導電性材料Iは気相法(CVD法)、固相
法(物理混合法)などの種々の方法により製造すること
が可能であるが、後述する本発明の方法Iに従って液相
法(共沈法)により製造することが好ましい。
【0016】次に、本発明の導電性材料IIについて説明
する。
【0017】この導電性材料IIは、一般式In2
3 (ZnO)m (m=2〜20)で表される六方晶層状
化合物に、Sn,Al,Ga,Sb,SiおよびGeか
らなる群より選択される少なくとも1種の元素をInと
Znの合量に対して40at%以下添加した化合物を含
む粉末またはその粉末を所定形状に成形し焼結した焼結
体からなるものである。ここで、インジウム・亜鉛酸化
物については、導電性材料Iで説明したので、その説明
は省略する。また、本発明の導電性材料IIにおいて、S
n,Al,Ga,Sb,Si,Ge元素の割合を40a
t%以下に限定する理由は、40at%を超えて添加さ
せると、六方晶層状化合物の生成を阻害し、導電性が低
下するからである。この導電性材料IIは、正三価以上の
原子価の元素を添加しているため、前述した導電性材料
Iよりも導電性に優れている。
【0018】本発明の導電性材料IIは、上記のインジウ
ム・亜鉛酸化物に正三価以上の原子価の元素を添加した
化合物の粉末または焼結体からなるが、この導電性材料
IIは、ITO、ATOよりも耐湿性に優れ、黒化しにく
いとともにITO、ATOと同等の導電性を有するの
で、前記した各種の用途(帯電防止剤、表面導電性付与
剤、導電性塗料、表示装置の透明電極など)に用いられ
る。
【0019】導電性材料IIも気相法(CVD法)、固相
法(物理混合法)などの種々の方法により製造すること
が可能であるが、後述する本発明の方法IIに従って溶液
法(共沈法)により製造することが好ましい。
【0020】次に、本発明の方法Iおよび方法IIについ
て説明する。
【0021】まず本発明の方法Iは、前述したようにイ
ンジウム化合物と亜鉛化合物とを溶解させた溶液と、沈
澱形成剤を溶解させた溶液とを反応させて沈澱物を形成
させる工程と、前記沈澱物を濾別、乾燥した後に焼成、
粉砕、還元処理して、一般式In2 3 (ZnO)
m (m=2〜20)で表される六方晶層状化合物を含む
導電性粉末を得る工程とを含み、さらに導電性焼結体を
得る場合には、前記粉末を所定形状に成形して焼結する
工程を含むことを特徴とする。
【0022】方法Iで原料として用いるインジウム化合
物および亜鉛化合物は、酸化物または焼成後に酸化物に
なるもの(酸化物前駆体)であれば良い。インジウム酸
化物前駆体、亜鉛酸化物前駆体としては、インジウム、
亜鉛の硫化物、硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物(塩化
物、臭化物等)、炭酸塩、有機酸塩(酢酸塩、プロピオ
ン酸塩、ナフテン酸塩等)、アルコキシド(メトキシ
ド、エトキシド等)、有機金属錯体(アセチルアセトナ
ート等)等が挙げられる。
【0023】低温で完全に熱分解し、不純物が残存しな
いようにするためには、この中でも、硝酸塩、有機酸
塩、アルコキシド、有機金属錯体を用いるのが好まし
い。
【0024】方法Iにおいては、上記インジウム化合物
および亜鉛化合物を、これらを溶解する溶媒中で溶解さ
せて溶液(以下、溶液Aという)を準備する。溶媒とし
ては、水、アルコール、非プロトン性極性溶媒(DMS
O、NMP、スルホラン、THFなど)が用いられる
が、有機酸塩の溶解度が高いことから、特に炭素数1〜
5のアルコール(メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール、メトキシエタノール、エチレングリコールな
ど)が好ましい。溶液A中の金属濃度は0.01〜10
mol/リットルが好ましい。その理由は0.01mo
l/リットル未満では生産性が劣り、10mol/リッ
トルを超えると不均一な沈澱が生成するからである。
【0025】さらに、原料の溶解を促進するため、酸
(硝酸、塩酸等)やアセチルアセトン類、多価アルコー
ル(エチレングリコール等)、エタノールアミン類(モ
ノエタノールアミン、ジエタノールアミン類)を溶液中
の金属量の0.01〜10倍程度添加してもよい。
【0026】方法Iにおいて、上記溶液Aとともに、沈
澱形成剤を溶解させた溶液(以下、溶液Bという)をも
準備する。溶液Bに溶解させる沈澱形成剤としては、ア
ルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリ
ウム、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸
アンモニウム等)、有機酸(ギ酸、しゅう酸、クエン酸
等)等が用いられるが、不純物の混入を避けるため、有
機酸(特にしゅう酸)を用いることが好ましい。
【0027】また沈澱形成剤を溶解するための溶媒とし
ては、原料を溶解するために用いる上記した溶媒を用い
ることができる。
【0028】方法Iにおいては、上記溶液Aと溶液Bと
を混合反応させて沈澱物を形成させる。両溶液の混合方
法としては、(1) 溶液Aを撹拌しながら溶液Bを添加す
る方法、(2) 溶液Bを撹拌しながら溶液Aを添加する方
法、(3) 溶液Aと溶液Bを同時に添加して撹拌する方法
等がある。沈澱形成時の温度は、溶媒の融点以上沸点以
下であればよい。また、形成後に熟成を1〜50時間行
ってもよい。
【0029】方法Iによれば、上記のようにして得られ
た沈澱物を次に濾別、乾燥する。沈澱物の濾別は濾過等
の常法により行なわれる。濾別後、沈澱物から陰イオン
やアルカリ金属イオン等を除去する目的で、溶液A、B
に用いた溶媒またはその他の溶媒で濾別物を十分に洗浄
することが望ましい。濾別後の乾燥は、40〜200℃
で0.1〜100時間行うのが好ましい。低温では、乾
燥に時間がかかり過ぎ、高温では粒子の凝集が起きやす
くなる。
【0030】方法Iによれば、上記濾別、乾燥後に焼
成、粉砕、還元処理を行なう。
【0031】焼成は、300〜1200℃で0.1〜1
00時間行なうのが好ましい。低温、短時間では、酸化
物への分解が不十分であり、高温、長時間では粒子の凝
集や成分の飛散が起きやすくなる。
【0032】焼結後の粉砕はボールミル、ロールミル、
ジェットミル、パールミル等によって、粒子径が0.0
1〜10μmになるまで行なうのが好ましい。粉砕時間
は、通常1分〜500時間である。
【0033】粉砕後の還元処理は、還元性ガス(水素、
CO等)、真空、不活性ガス(窒素、アルゴン)等の雰
囲気で、温度100〜800℃で1分〜100時間行な
うのが好ましい。低温、短時間では、還元が不十分であ
り、高温、長時間では粒子の凝集や成分の飛散が起きや
すい。
【0034】方法Iによれば、上記の諸工程を行なうこ
とにより、一般式In2 3 (ZnO)m (m=2〜2
0)で表される六方晶層状化合物を含む導電性を有する
粉末が得られる。この導電性粉末は本発明の導電性材料
の一態様であり、ITO、ATOよりも耐湿性が優れ、
黒化しにくいとともにITO、ATOと同等の導電性を
有している。この粉末の粉体抵抗は例えば40Ω・cm
以下である。
【0035】方法Iにおいて、導電性焼結体を得る場合
には、上記導電性粉末を成形した後、焼結処理する。
【0036】成形は、導電性粉末に、必要であれば、ポ
リビニルアルコール、メチルセルロースワックス、ポリ
ブチルアルコール等の成形助剤等を添加し、加圧成形
法、鋳込み成形法、射出成形法等により行なうのが好ま
しい。
【0037】成形助剤を除去するために減圧下又は常圧
下で100〜800℃で脱脂を行なってもよい。
【0038】成形後の焼結は、800〜1700℃で
0.1〜100時間加熱することにより行なうのが好ま
しい。
【0039】低温、短時間では、焼結密度が不十分であ
り、高温、長時間では異常粒成長や成分の飛散が起きや
すい。特に、800〜1400℃で1〜20時間とする
のが好ましい。なお、焼結の際、加圧焼結やガス圧焼結
を行ってもよい。
【0040】このようにして得られた、一般式In2
3 (ZnO)m (m=2〜20)で表される六方晶層状
化合物を含む導電性を有する焼結体は本発明の導電性材
料の一態様であり、ITO、ATOよりも耐湿性に優
れ、還元によっても黒化しにくいとともにITO、AT
Oと同等の導電性を有している。
【0041】次に、本発明の方法IIについて説明する。
【0042】この方法IIは前述したように、インジウム
化合物と亜鉛化合物に錫化合物,アルミニウム化合物,
ガリウム化合物、アンチモン化合物、ケイ素化合物およ
びゲルマニウム化合物からなる群より選択される少なく
とも1種を加えたものを原料として用いる点でのみ上記
方法Iと異なり、他は上記方法Iと同様に行うものであ
る。
【0043】方法IIで用いる錫化合物、アルミニウム化
合物、ガリウム化合物、アンチモン化合物、ケイ素化合
物およびゲルマニウム化合物は、酸化物または焼成後に
酸化物になるもの(酸化物前駆体)であれば良い。これ
らの酸化物前駆体としては、Sn,Al,Ga,Ab,
SiおよびGeの硫化物、硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン化
物(塩化物、臭化物等)、炭酸塩、有機酸塩(酢酸塩、
プロピオン酸塩、ナフテン酸塩等)、アルコキシド(メ
トキシド、エトキシド等)、有機金属錯体(アセチルア
セトナート等)が挙げられる。
【0044】低温で完全に熱分解し、不純物が残存しな
いようにするためには、この中でも、硝酸塩、有機酸
塩、アルコキシド、有機金属錯体を用いるのが好まし
い。
【0045】方法IIにより、一般式In2 3 (Zn
O)m (m=2〜20)で表される六方晶層状化合物に
正三価以上の原子価の元素が添加された、目的とする導
電性材料II(粉末または焼結体)を得ることができる。
得られた導電性材料IIはITO、ATOよりも耐湿性に
優れ、還元によっても黒化しにくく、かつITO、AT
Oと同等の導電性を有する。
【0046】なお、方法IおよびIIで得られた粉末また
は焼結体を更に還元処理してもよい。
【0047】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0048】実施例1 (1)In2 3 (ZnO)5 六方晶層状化合物からな
る粉末の製造 硝酸インジウム6水和物350.5gと硝酸亜鉛6水和
物637.5gをエタノール5.00リットルに溶解し
て溶液Aを得た。
【0049】一方、しゅう酸2水和物475.4gをエ
タノール5.00リットルに溶解して溶液Bを得た。
【0050】室温下、容器にエタノール1.00リット
ルを入れて撹拌しておき、そこへ同じ流量に制御した溶
液AとBを同時に滴下した。滴下終了後、温度を40℃
に上げて沈澱物を4時間熟成した。その後、沈澱物を濾
過し、エタノールで洗浄し、110℃で12時間乾燥し
た。さらに、700℃で4時間焼成した。ボールミルで
の粉砕(20時間)の後、粉末を真空中で300℃、4
時間還元処理したところ、淡黄色の粉末を得た。
【0051】このようにして得られた粉末のX線回折測
定を行なったところ、In2 3 (ZnO)5 の生成が
確認された。さらに、粉末の粉体抵抗を測定したとこ
ろ、25Ω・cmであった。そしてこの粉体抵抗は、4
0℃、90%RHの条件での耐湿性試験1000時間後
にも32Ω・cmであり、耐湿性に優れていることがわ
かった。また、SEMとXMAの分析によりこの粉末は
平均粒径0.22μmで均一な組成を持つことがわかっ
た。
【0052】なお、粉体抵抗は、直径10mmの絶縁性
の容器に粉末を詰め、上下から電極となる金属性の押棒
で100kg/cm2 に加圧した時の、抵抗値と電極の
面積および電極間距離から求めた。
【0053】(2)In2 3 (ZnO)5 六方晶層状
化合物からなる焼結体の製造 (1)で得られた粉末にポリビニルアルコールを2wt
%添加し、直径150mmの金型にて100kg/cm
2 でプレス成形した。さらに、4t/cm2 で冷間静水
圧プレスにより圧密化した。
【0054】この成形体を、500℃で10分間脱脂し
た後、1200℃で4時間焼結した。このようにして得
られた焼結体は、X線回折測定によりIn2 3 (Zn
O)5 であることが確認された。また、この焼結体の密
度は92%であり、体積抵抗は5×10-3Ω・cmであ
った。
【0055】実施例2 (1)In2 3 (ZnO)3 六方晶層状化合物とIn
2 3 とを含む粉末の製造 塩化インジウム4水和物293.2gと酢酸亜鉛2水和
物351.2gをエタノール5.00リットルに溶解し
て溶液Aを得た。
【0056】一方、しゅう酸2水和物415.9gをエ
タノール5.00リットルに溶解して溶液Bを得た。
【0057】溶液Aおよび溶液Bを用いて、実施例1
(1)と同様にして淡黄色の粉末を得た。粉末のX線回
折測定を行なったところ、In2 3 (ZnO)3 とI
2 3 の生成が確認された。さらに、粉末の粉体抵抗
を測定したところ、18Ω・cmであった。そしてこの
粉体抵抗は、40℃、90%RHの条件での耐湿性試験
1000時間後にも25Ω・cmであり、耐湿性に優れ
ていることがわかった。また、SEMとXMAの分析に
よりこの粉末は平均粒径0.15μmで均一な組成を持
つことがわかった。
【0058】(2)In2 3 (ZnO)3 六方晶層状
化合物とIn2 3 を含む焼結体の製造 上記(1)で得られた粉末を用い、実施例1(2)と同
様にして焼結体を得た。この焼結体の密度は93%であ
り、体積抵抗は2×10-3Ω・cmであった。
【0059】実施例3 (1)In2 3 (ZnO)5 六方晶層状化合物とSn
2 を含む粉末の製造 硝酸インジウム6水和物350.5g、硝酸亜鉛6水和
物637.5gおよびジブトキシ錫185.1g(2
1.5wt%トルエン溶液)をメトキシエタノール5.
00リットルに溶解して溶液Aを得た。
【0060】一方、しゅう酸2水和物472.5gをエ
タノール5.00リットルに溶解して溶液Bを得た。
【0061】これらの溶液A,Bを用いて、実施例1
(1)と同様に粉末を調製した。この粉末も淡黄色であ
った。
【0062】粉末のX線回折測定を行なったところ、I
2 3 (ZnO)5 とSnO2 の生成が確認された。
さらに、粉末の粉体抵抗を測定したところ、15Ω・c
mであった。そしてこの粉体抵抗は、40℃、90%R
Hの条件での耐湿性試験1000時間後にも19Ω・c
mであり、耐湿性に優れていることがわかった。また、
SEMとXMAの分析によりこの粉末は平均粒径0.2
1μmで均一な組成を持つことがわかった。
【0063】(2)In2 3 (ZnO)5 六方晶層状
化合物とSnO2 を含む焼結体の製造 上記(1)で得られた粉末を用い、実施例1(2)と同
様にして焼結体を得た。この焼結体の密度は91%であ
り、体積抵抗は1×10-3Ω・cmであった。
【0064】実施例4 (1)In2 3 (ZnO)5 六方晶層状化合物とZn
OとGeO2 を含む粉末の製造 硝酸インジウム6水和物315.3g、硝酸亜鉛6水和
物637.5g、四塩化ゲルマニウム32.2gおよび
塩酸(35wt%)31.3gをブタノール5.00リ
ットルに溶解して溶液Aを得た。
【0065】一方、しゅう酸2水和物472.5gをブ
タノール5.00リットルに溶解して溶液Bを得た。
【0066】これらの溶液A,Bを用いて、実施例1
(1)と同様に粉末を調製した。この粉末も淡黄色であ
った。
【0067】粉末のX線回折測定を行なったところ、I
2 3 (ZnO)5 とZnOとGeO2 の生成が確認
された。さらに、粉末の粉体抵抗を測定したところ、3
2Ω・cmであった。そしてこの粉体抵抗は、40℃、
90%RHの条件での耐湿性試験1000時間後にも4
0Ω・cmであり、耐湿性に優れていることがわかっ
た。また、SEMとXMAの分析によりこの粉末は平均
粒径0.17μmで均一な組成を持つことがわかった。
【0068】(2)In2 5 (ZnO)5 六方晶層状
化合物とZnOとGeO2 を含む焼結体の製造 上記(1)で得られた粉末を用いて、実施例1(2)と
同様にして焼結体を得た。この焼結体の密度は94%で
あり、体積抵抗は8×10-3Ω・cmであった。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、ITO、ATOよりも
耐湿性に優れ、黒化しにくく、かつITO、ATOと同
等の導電性を有する導電性材料およびその製造方法が提
供された。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式In2 3 (ZnO)m (m=2
    〜20)で表される六方晶層状化合物を含む粉末または
    その粉末を所定形状に成形して焼結した焼結体からなる
    ことを特徴とする導電性材料。
  2. 【請求項2】 一般式In2 3 (ZnO)m (m=2
    〜20)で表される六方晶層状化合物に、Sn,Al,
    Ga,Sb,SiおよびGeからなる群より選択される
    少なくとも1種の元素をInとZnの合量に対して40
    at%以下添加した化合物を含む粉末またはその粉末を
    所定形状に成形して焼結した焼結体からなることを特徴
    とする導電性材料。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の粉末または焼
    結体を還元処理してなる導電性材料。
  4. 【請求項4】 粉末の粉体抵抗が40Ω・cm以下であ
    る、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性材料。
  5. 【請求項5】 インジウム化合物と亜鉛化合物とを溶解
    させた溶液と、沈澱形成剤を溶解させた溶液とを反応さ
    せて沈澱物を形成させる工程と、前記沈澱物を濾別、乾
    燥した後に焼成、粉砕、還元処理して、一般式In2
    3 (ZnO)m(m=2〜20)で表される六方晶層状
    化合物を含む導電性粉末を得る工程とを含み、さらに導
    電性焼結体を得る場合には、前記粉末を所定形状に成形
    して焼結する工程を含むことを特徴とする導電性材料の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 インジウム化合物と亜鉛化合物に錫化合
    物、アルミニウム化合物、ガリウム化合物、アンチモン
    化合物、ケイ素化合物およびゲルマニウム化合物よりな
    る群から選択される少なくとも1種の化合物を溶解させ
    た溶液と、沈澱形成剤を溶解させた溶液とを反応させて
    沈澱物を形成させる工程と、前記沈澱物を濾別、乾燥し
    た後に焼成、粉砕、還元処理して、一般式In2
    3 (ZnO)m (m=2〜20)で表される六方晶層状
    化合物に、Sn,Al,Ga,Sb,SiおよびGeか
    らなる群から選択される少なくとも1種の元素をInと
    Znの合量に対して40at%以下添加した化合物を含
    む導電性粉末を得る工程とを含み、さらに導電性焼結体
    を得る場合には、前記粉末を所定形状に成形して焼結す
    る工程を含むことを特徴とする導電性材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記粉末または焼結体を更に還元処理す
    る、請求項5または6記載の方法。
JP5271368A 1992-12-15 1993-10-29 導電性材料およびその製造方法 Withdrawn JPH06236710A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5271368A JPH06236710A (ja) 1992-12-15 1993-10-29 導電性材料およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33474592 1992-12-15
JP4-334745 1992-12-15
JP5271368A JPH06236710A (ja) 1992-12-15 1993-10-29 導電性材料およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06236710A true JPH06236710A (ja) 1994-08-23

Family

ID=26549675

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5271368A Withdrawn JPH06236710A (ja) 1992-12-15 1993-10-29 導電性材料およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06236710A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005022953A (ja) * 2003-04-01 2005-01-27 Hitachi Maxell Ltd 複合化酸化インジウム粒子およびその製造方法、ならびに導電性塗料、導電性塗膜および導電性シート
JP2007009284A (ja) * 2005-06-30 2007-01-18 Idemitsu Kosan Co Ltd 酸化インジウム−酸化亜鉛系焼結体ターゲットの製造方法
JP4560149B2 (ja) * 1999-03-05 2010-10-13 出光興産株式会社 透明導電材料、透明導電ガラス及び透明導電フィルム
EP1033355A4 (en) * 1998-08-31 2010-12-01 Idemitsu Kosan Co TARGET FOR TRANSPARENT ELECTRICALLY CONDUCTIVE LAYER, TRANSPARENT ELECTRICALLY CONDUCTIVE MATERIAL, TRANSPARENT ELECTRICALLY CONDUCTIVE GLASS AND TRANSPARENT ELECTRICALLY CONDUCTIVE LAYER
JP2013144820A (ja) * 2012-01-13 2013-07-25 Mitsubishi Materials Corp 酸化物スパッタリングターゲット及び光記録媒体用保護膜

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1033355A4 (en) * 1998-08-31 2010-12-01 Idemitsu Kosan Co TARGET FOR TRANSPARENT ELECTRICALLY CONDUCTIVE LAYER, TRANSPARENT ELECTRICALLY CONDUCTIVE MATERIAL, TRANSPARENT ELECTRICALLY CONDUCTIVE GLASS AND TRANSPARENT ELECTRICALLY CONDUCTIVE LAYER
JP4560149B2 (ja) * 1999-03-05 2010-10-13 出光興産株式会社 透明導電材料、透明導電ガラス及び透明導電フィルム
JP2005022953A (ja) * 2003-04-01 2005-01-27 Hitachi Maxell Ltd 複合化酸化インジウム粒子およびその製造方法、ならびに導電性塗料、導電性塗膜および導電性シート
JP2007009284A (ja) * 2005-06-30 2007-01-18 Idemitsu Kosan Co Ltd 酸化インジウム−酸化亜鉛系焼結体ターゲットの製造方法
JP4504271B2 (ja) * 2005-06-30 2010-07-14 出光興産株式会社 酸化インジウム−酸化亜鉛系焼結体ターゲットの製造方法
JP2013144820A (ja) * 2012-01-13 2013-07-25 Mitsubishi Materials Corp 酸化物スパッタリングターゲット及び光記録媒体用保護膜

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2695605B2 (ja) ターゲットおよびその製造方法
US20200369574A1 (en) Solid electrolyte and lithium ion battery
JP3179287B2 (ja) 導電性透明基材およびその製造方法
KR100306565B1 (ko) 투명도전막과그의제조방법,투명도전막이형성된도전성투명필름과도전성투명유리,및도전성재료
JP4560149B2 (ja) 透明導電材料、透明導電ガラス及び透明導電フィルム
JP3444655B2 (ja) 複合導電性粉末及び導電膜
JP4018974B2 (ja) 錫酸化物粉末、その製造方法及びこれを使用した高密度インジウム錫酸化物ターゲットの製造方法
JP5089386B2 (ja) In・Sm酸化物系スパッタリングターゲット
JP4994068B2 (ja) 酸化物導電性材料及びその製造方法
JP2010018457A (ja) 酸化物焼結体及びそれからなるスパッタリングターゲット
JPH04219359A (ja) 導電性酸化亜鉛焼結体
KR100444142B1 (ko) Ito 미분말 및 그의 제조방법
TWI429776B (zh) Tin oxide - Magnesium oxide sputtering target and transparent semiconductor film
JPH06236710A (ja) 導電性材料およびその製造方法
US5494652A (en) Method for preparing particles of metal oxide (tin oxide)
JP4590566B2 (ja) Ito粉体およびその製造方法、ito導電膜塗料、並びに透明導電膜
JP3590646B2 (ja) 導電性材料およびその製造方法
JP4793537B2 (ja) 可視光透過型粒子分散導電体、導電性粒子、可視光透過型導電物品、およびその製造方法
JPWO2004060807A1 (ja) 日射遮蔽用In4Sn3O12複合酸化物微粒子及びその製造方法並びに日射遮蔽膜形成用塗布液及び日射遮蔽膜及び日射遮蔽用基材
JPH06234522A (ja) 導電性材料およびその製造方法
TWI568676B (zh) ITO powder and its manufacturing method
JP2009179515A (ja) In4Sn3O12多結晶粉末及びその焼結体、並びにそれらの製造方法
JP2012216550A (ja) 透明導電膜形成用分散液、透明導電膜、および透明導電膜の製造方法
JPH0769631A (ja) 薄片状導電性酸化亜鉛及びその製造方法
KR102507912B1 (ko) 산화니켈 분말 및 그 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20010130