JP2001312095A - 磁性トナー用磁性粒子粉末 - Google Patents

磁性トナー用磁性粒子粉末

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JP2001312095A
JP2001312095A JP2000130714A JP2000130714A JP2001312095A JP 2001312095 A JP2001312095 A JP 2001312095A JP 2000130714 A JP2000130714 A JP 2000130714A JP 2000130714 A JP2000130714 A JP 2000130714A JP 2001312095 A JP2001312095 A JP 2001312095A
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oxide particles
black
particle
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JP2000130714A
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Hiromitsu Misawa
浩光 三澤
Isataka Aoki
功荘 青木
Suehiko Miura
末彦 三浦
Minoru Yoshizawa
実 好澤
Naoki Uchida
直樹 内田
Shinya Shimo
伸哉 志茂
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Toda Kogyo Corp
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Toda Kogyo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、十分な黒色度を有し、電気的特性
が優れ、しかもビニル芳香族系樹脂、アクリル系樹脂及
びこれらの共重合体樹脂等となじみやすく、これらの磁
性トナー樹脂中での分散性が良好である磁性トナー用磁
性粒子粉末を提供する。 【解決手段】 芯粒子である黒色スピネル型酸化鉄粒子
の粒子表面に微細なスピネル型酸化鉄粒子からなる表面
層が形成されており、且つ、該表面層の表面から粒子半
径に対して3.5%に相当する厚さの表面近傍層におけ
るFeO含有量が該表面近傍層に含有されるFe量に対
して8〜14重量%である平均粒子径が0.1〜0.3
μmの黒色磁性酸化鉄粒子であり、該黒色磁性酸化鉄粒
子の粒子表面が疎水基を有する有機化合物によって被覆
されている磁性トナー用磁性粒子粉末である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、十分な黒色度を有し、
電気的特性が優れ、しかもビニル芳香族系樹脂、アクリ
ル系樹脂及びこれらの共重合体樹脂等となじみやすく、
これらの磁性トナー樹脂中での分散性が良好である磁性
トナー用磁性粒子粉末に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、静電潜像現像法の一つとして、キ
ャリアを使用せずに樹脂中にマグネタイト粒子粉末等の
黒色磁性酸化鉄粒子粉末を混合分散させた複合体粒子を
現像剤として用いる所謂一成分系磁性トナーによる現像
法が広く知られ、汎用されている。
【0003】近時、レーザービームプリンターやデジタ
ル複写機の高速化や高画質化に伴って、現像剤である磁
性トナーの特性向上が強く要求されており、その為に
は、磁性トナーの帯電性能の向上が強く要求される。
【0004】磁性トナーの帯電性能は磁性粒子粉末の黒
色度及び電気的特性と密接な関係を有していることか
ら、十分な黒色度を有し、且つ、優れた電気的特性を有
する磁性粒子粉末が強く求められている。
【0005】黒色磁性酸化鉄粒子粉末の黒色度は、「粉
体及び粉末冶金」第26巻7号239〜240頁の「試
料の黒色度合はFe(II)含有量および平均粒径によ
って左右され、平均粒径0.2μmの粉末は青味を帯び
た黒色粉末であり、黒色顔料として最も好適である。…
…Fe(II)含有量が10%以上では黒色度合に若干
の差異が認められるが、試料はいずれも黒色である。F
e(II)含有量が10%以下に減少すると各試料は黒
色から赤茶色に変化する。」なる記載の通り、磁性トナ
ー用に用いられる0.1〜0.5μm程度の黒色磁性酸
化鉄粒子粉末の場合には、主にFe2+(FeO)含有
量によって左右されることが知られている。そこで、F
eO含有量が多く黒色度が高い黒色磁性酸化鉄粒子粉末
が要求されている。
【0006】磁性トナーの帯電性能は、磁性トナー表面
に露出している黒色磁性酸化鉄粒子の表面状態に大きく
依存する。特に、黒色磁性酸化鉄粒子中のFeOは磁性
トナーとしての電気抵抗を低下させるため、その含有量
及び粒子中での存在分布は磁性トナーの帯電性能を大き
く左右するものである。この事実は、特開平4−338
971号公報に「磁性酸化鉄中のFeO含有量よりも、
磁性酸化鉄の表面層におけるFe(II)の分布状態
が、トナーの様々な環境下における摩擦耐電量の安定に
寄与する…」と記載されている通りである。
【0007】前記の通り、黒色磁性酸化鉄粒子粉末の電
気的特性向上のためには磁性粒子粉末の表面層のFeO
含有量及び存在状態を最適化することが必要とされる。
【0008】一方、磁性トナーは磁性粒子と樹脂として
スチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族系樹脂、ア
クリル酸、メタクリル酸等のアクリル系樹脂及びこれら
共重合体樹脂等とを混合して製造していることから、前
記樹脂中の磁性粒子粉末の分散性が優れていることが要
求されている。
【0009】磁性粒子粉末は粒子表面が親水性であるた
め、磁性トナーの製造にあたって樹脂と混練した場合に
は、十分な分散性を得ることが困難であり、凝集粒子の
まま樹脂中に存在することになる。分散が不十分なまま
磁性トナーとして要求される大きさまで粉砕すると、粉
砕時に凝集粒子からの遊離磁性粉が発生したり、個々の
磁性トナー粒子に含有される磁性粒子の含有量が異なる
等の弊害が起こり、磁性トナーとして優れた特性を有す
る粒子を得ることができない。
【0010】そこで、磁性粒子粉末の粒子表面をシラン
カップリング剤、チタンカップリング剤などの各種カッ
プリング剤及びアルミニウム化合物、ケイ素化合物など
の各種金属元素の化合物などで被覆することによって、
磁性粒子の表面状態を改善し分散性を向上することが試
みられている。また、磁性粒子粉末は微粒子であるため
磁気的凝集を起こしやすく、樹脂との混合性を低下させ
るため、それを抑制することが要求されている。
【0011】従来、磁性粒子粉末中のFeO含有量を特
定することによって、電気的特性及び分散性を改善する
試みがなされている(特開昭58−189646号公
報、特開平3−201509号公報、特開平4−338
971号公報、特開平4−141664号公報、特開平
11−30877号公報等)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】十分な黒色度を有し、
電気的特性が優れ、しかもビニル芳香族系樹脂、アクリ
ル系樹脂及びこれらの共重合体樹脂等となじみやすく、
これらの磁性トナー樹脂中での分散性が良好である磁性
トナー用黒色磁性酸化鉄粒子粉末は現在最も要求されて
いるところであるが、前記諸特性を満たす黒色磁性酸化
鉄粒子粉末は未だ得られていない。
【0013】即ち、前出公開公報に記載の方法は、黒色
磁性酸化鉄粒子粉末全体のFeO含有量を特定したもの
(特開昭58−189646号公報、特開平3−201
509号公報、特開平11−30877号公報)及び表
面から中心に向かってFeO含有量が増加するように特
定したもの(特開平4−338971号公報、特開平4
−141664号公報)であるが、黒色磁性酸化鉄粒子
粉末の表面層のFeO含有量が多く、黒色磁性酸化鉄粒
子粉末の電気的特性が十分とは言い難いものである。
【0014】また、前出各公開公報に記載の方法は、黒
色磁性酸化鉄粒子粉末を製造する工程の乾燥工程におい
て、乾燥雰囲気、乾燥温度を制御して乾式処理によって
FeO含有量を特定範囲内に調整しているが、表面層の
みのFeO含有量が少ない黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得
ることは困難である。
【0015】そこで、本発明は、磁性トナー用黒色磁性
酸化鉄粒子粉末の分散性および電気的特性を改良するこ
とを技術的課題とする。
【0016】
【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通
りの本発明によって達成できる。
【0017】即ち、本発明は、芯粒子である黒色スピネ
ル型酸化鉄粒子の粒子表面に微細なスピネル型酸化鉄粒
子からなる表面層が形成されており、且つ、該表面層の
表面から粒子半径に対して3.5%に相当する厚さの表
面近傍層におけるFeO含有量が、該表面近傍層に含有
されるFe量に対して8〜14重量%である平均粒子径
が0.1〜0.3μmの黒色磁性酸化鉄粒子であって、
該黒色磁性酸化鉄粒子の粒子表面が疎水基を有する有機
化合物によって被覆されていることを特徴とする磁性ト
ナー用磁性粒子粉末である。
【0018】次に、本発明の構成をより詳しく説明すれ
ば次の通りである。
【0019】まず、本発明に係る磁性トナー用磁性粒子
粉末について述べる。
【0020】本発明に係る磁性トナー用磁性粒子粉末
は、黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子表面が疎水基を有す
る有機化合物で被覆された粒子からなる。
【0021】本発明における黒色磁性酸化鉄粒子とは、
芯粒子である黒色スピネル型酸化鉄粒子の粒子表面に微
細なスピネル型酸化鉄粒子からなる表面層が形成され、
且つ、該表面層の表面から粒子半径に対して3.5%に
相当する厚さの表面近傍層におけるFeO含有量が該表
面近傍層に含有されるFe量に対して8〜14重量%で
ある黒色磁性酸化鉄粒子からなる。
【0022】本発明における黒色磁性酸化鉄粒子粉末の
表面近傍層とは、芯粒子である黒色スピネル型酸化鉄粒
子の表面酸化された部分及び芯粒子の粒子表面に形成さ
れている酸化された微細なスピネル型酸化鉄粒子からな
る表面層からなる。該表面近傍層は、黒色磁性酸化鉄粒
子の表面から粒子半径に対して3.5%に相当する厚さ
である。
【0023】表面近傍層の厚さが上記範囲より薄い場合
には、電気的特性が低下するため好ましくない。上記範
囲を超える厚さの場合には、黒色磁性酸化鉄粒子粉末と
して十分な黒色度及び磁気特性が得られない。
【0024】本発明における黒色磁性酸化鉄粒子粉末の
表面近傍層は、例えば、黒色磁性酸化鉄粒子の粒子径が
0.2μmの場合には、表面から約35Åまでの部分で
ある。
【0025】本発明における黒色磁性酸化鉄粒子粉末の
表面近傍層のFeO含有量は表面近傍層に含有されるF
e量に対して8〜14重量%である。8重量%未満の場
合には、十分な黒色度を有する黒色磁性酸化鉄粒子粉末
が得られない。14重量%を超える場合には、黒色磁性
酸化鉄粒子粉末の電気的特性が低下し磁性トナーの帯電
性能が低下する。好ましくは9〜13重量%である。
【0026】本発明における黒色磁性酸化鉄粒子の表面
近傍層を除く中心部分のFeO含有量は、27〜34重
量%が好ましい。より好ましくは、28〜33重量%で
ある。
【0027】なお、本発明における黒色磁性酸化鉄粒子
の粒子全体の平均FeO含有量は18.0〜22.5重
量%が好ましい。
【0028】本発明における黒色磁性酸化鉄粒子粉末の
平均粒子径は0.1〜0.3μmである。0.1μm未
満の場合には黒色磁性酸化鉄粒子相互間の凝集力が大き
く分散性が低下する。0.3μmを超える場合には、一
個の磁性トナー粒子中に含まれる黒色磁性酸化鉄粒子の
個数が少なくなり、各磁性トナー粒子について黒色磁性
酸化鉄粒子の分布に偏りが生じ易く、その結果、磁性ト
ナーの帯電性能の均一性が損なわれる。好ましくは0.
15〜0.25μmである。
【0029】本発明における黒色磁性酸化鉄粒子粉末
は、マグネタイト粒子((FeO)・Fe、0
<x≦1)からなり、必要により、鉄以外の金属元素M
n、Ni、Zn、Cu、Mg、Co、Tiから選ばれる
1種又は2種以上の金属元素を含有してもよい。
【0030】本発明における黒色磁性酸化鉄粒子粉末の
軸比(平均最長径/平均最短径)は1.4未満が好まし
い。軸比が1.4以上の場合には、保磁力が大きくな
り、磁気的凝集力が強くなるため好ましくない。より好
ましくは1.3以下である。
【0031】本発明における黒色磁性酸化鉄粒子粉末の
BET比表面積値は5〜15m/gが好ましい。より
好ましくは6.0〜12.0m/gである。
【0032】本発明における黒色磁性酸化鉄粒子粉末の
飽和磁化値は81.0〜86.0Am/kg(81.
0〜86.0emu/g)が好ましい。より好ましくは
82.0〜85.0Am/kg(82.0〜85.0
emu/g)である。
【0033】本発明における黒色磁性酸化鉄粒子粉末の
可溶性ナトリウム塩の含有量は100ppm以下が好ま
しい。より好ましくは50ppm以下である。
【0034】本発明における黒色磁性酸化鉄粒子粉末の
帯電量が飽和する時間は、20分以下が好ましい。より
好ましくは15分以下である。
【0035】本発明における磁性酸化鉄粒子粉末の黒色
度aは+1.0以下が好ましい。より好ましくは+
0.8以下である。
【0036】本発明に係る磁性トナー用磁性粒子粉末
は、前記黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子表面が疎水基を
有する有機化合物によって被覆されている。疎水基を有
する有機化合物によって粒子表面を被覆することによっ
て、磁性トナー用樹脂中での磁性粒子の分散性が向上す
る。疎水基以外の官能基を有する有機化合物によって被
覆した場合には、樹脂とのなじみが悪くなり、分散性が
低下する。
【0037】疎水基を有する有機化合物としては、チタ
ネート系、シラン系等のカップリング剤又は汎用界面活
性剤等が用いられる。
【0038】疎水基を有するチタネート系カップリング
剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネ
ート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチ
タネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフ
ェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェー
ト)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピ
ロホスフェート)エチレンチタネート等が、疎水基を有
するシラン系カップリング剤としては、ビニルトリメト
キシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシラン、デシルトリエトキシシ
ラン等が使用できる。
【0039】汎用界面活性剤としては、周知のリン酸エ
ステル系等のアニオン界面活性剤、脂肪酸エステル系等
のノニオン界面活性剤並びにアルキルアミン等の天然油
脂誘導体等が使用できる。
【0040】疎水基を有する有機化合物の被覆量は、黒
色磁性酸化鉄粒子粉末100重量部に対して、0.5〜
5重量部が好ましく、より好ましくは1〜3重量部であ
る。0.5未満の場合には、黒色磁性酸化鉄粒子粉末の
疎水化が不十分であるので、樹脂とのなじみが改良でき
ない。5重量%を超える場合には、磁性に関与しない成
分が増加することによって磁性粒子粉末の飽和磁化が減
少し磁性トナー用として好ましくない。
【0041】本発明に係る磁性トナー用磁性粒子粉末
は、前記黒色磁性酸化鉄粒子粉末とほぼ同程度の粒子サ
イズ、軸比、FeO含有量、可溶性ナトリウム含有量、
黒色度を有している。
【0042】本発明に係る磁性粒子粉末の分散性をスチ
レンアクリル樹脂溶液の吸液量で示した場合には、吸液
量が10ml以下であることが好ましい。また、本発明
に係る磁性粒子粉末の分散性を該粒子粉末とスチレンア
クリル樹脂との混練物をシート状にした場合の樹脂膜面
の20°光沢の値で示した場合には、90%以上である
ことが好ましい。
【0043】本発明に係る磁性粒子粉末の帯電量が飽和
する時間は、10分以下が好ましい。より好ましくは5
分以下である。
【0044】次に、本発明に係る磁性粒子粉末の製造法
について述べる。
【0045】本発明に係る磁性粒子粉末は、あらかじめ
黒色磁性酸化鉄粒子粉末を製造した後、得られた黒色磁
性酸化鉄粒子粉末と疎水基を有する有機化合物とをホイ
ール型混練機又はらいかい機等の圧縮、せん断及びへら
なで作用を有する混練処理装置によって混練することに
より前記黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子表面に疎水基を
有する有機化合物を被覆することによって得ることがで
きる。
【0046】本発明における黒色磁性酸化鉄粒子粉末
は、第一鉄塩水溶液と該第一鉄塩水溶液中のFe2+
対し当量未満のアルカリ性水溶液とを反応して得られた
水酸化第一鉄塩コロイドを含む第一鉄塩反応水溶液を7
0〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを
通気して黒色スピネル型酸化鉄粒子からなる芯粒子を生
成させたpH4.0〜5.0の反応溶液に、引き続き、
酸素含有ガスを通気して該芯粒子の表面酸化を行い、次
いで、当該芯粒子の表面酸化終了後の反応溶液に水酸化
アルカリ水溶液を添加してpH値を7.0〜8.0に調
整した後、該反応溶液を70〜100℃の温度範囲に加
熱しながら酸素含有ガスを通気して当該芯粒子の粒子表
面に微細なスピネル型酸化鉄粒子を生成させて微細なス
ピネル型酸化鉄粒子からなる表面層を形成し、引き続
き、該反応溶液に酸素含有ガスを通気して該微細なスピ
ネル型酸化鉄粒子からなる表面層の酸化を行うことによ
り得ることができる。
【0047】本発明における第一鉄塩水溶液としては、
硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等を使用すること
ができる。
【0048】本発明における水酸化アルカリ水溶液とし
ては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ
金属の水酸化物水溶液、水酸化マグネシウム、水酸化カ
ルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物水溶液、ま
た、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム
等の炭酸アルカリ水溶液及びアンモニア水等を使用する
ことができる。
【0049】芯粒子の生成反応において使用する水酸化
アルカリ水溶液の量は、第一鉄塩水溶液中のFe2+
対して0.90〜0.99当量である。0.90当量未
満の場合には、後に生成する微細なスピネル型酸化鉄粒
子からなる表面層が厚くなるため、十分な黒色度を有す
る黒色磁性酸化鉄粒子粉末が得られない。0.99当量
を越える場合には、上記表面層が薄くなり、電気的特性
に優れた黒色磁性酸化鉄粒子粉末が得られない。好まし
くは0.90〜0.97当量の範囲である。
【0050】芯粒子の生成反応における反応温度範囲は
70〜100℃である。70℃未満である場合には、針
状ゲータイト粒子が混在してくる。100℃を越える場
合も黒色スピネル型酸化鉄粒子は生成するが、オートク
レーブ等の装置を必要とするため工業的に容易ではな
い。
【0051】酸化手段は酸素含有ガス(例えば、空気)
を液中に通気することにより行う。
【0052】なお、芯粒子の生成反応が終了した反応溶
液のpH値は4.0〜5.0である。芯粒子の表面酸化
は、70〜100℃の温度範囲にて行う。
【0053】前記芯粒子の表面酸化反応の後、芯粒子を
含む反応溶液に水酸化アルカリ水溶液を添加して反応溶
液のpH値を7.0〜8.0、より好ましくはpH7.
5〜8.0の範囲に調整しておく。反応溶液のpH値が
7.0未満の場合には、Fe 2+が残存するため工業的
ではない。反応溶液のpH値が8.0を越える場合に
は、結晶性の高い黒色スピネル型酸化鉄粒子層が芯粒子
の粒子表面に生成するため、この後の表面酸化処理が困
難となる。
【0054】芯粒子の粒子表面に微細なスピネル型酸化
鉄粒子からなる表面層の生成反応が終了した後、反応溶
液の前記pH値及び前記温度を維持した状態にて、微細
なスピネル型酸化鉄粒子からなる表面層の酸化反応を行
う。
【0055】尚、芯粒子の生成において、必要により、
鉄以外の金属元素で、Mn、Zn、Ni、Cu、Tiか
ら選ばれる1種又は2種以上の金属元素の金属塩を添加
することにより、前記金属元素を含有させることができ
る。
【0056】前記金属塩としては、硫酸塩、硝酸塩、塩
化物等を使用することができる。
【0057】前記金属塩の添加量は、総量としてFeに
対して好ましくは0〜10原子%、より好ましくは0〜
8原子%、さらに好ましくは0.01〜8原子%であ
る。
【0058】微細なスピネル型酸化鉄粒子からなる表面
層の酸化反応が終了した黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、水
洗、乾燥を行う。
【0059】本発明において圧縮、せん断、へらなで作
用を有する混練処理装置としては、ホイール型混練機又
はらいかい機である。ホイール型混練機としては、シン
プソンミックスマーラー、マルチマス、ストッツミル、
逆流混練機、アイリッヒミル等が適用できるが、ウエッ
トパンミル、メランジャー、ワールミックス及び速練機
はいずれも圧縮及びへらなで作用のみでせん断作用を有
しないので適用できない。
【0060】混練時の線荷重は、黒色磁性酸化鉄粒子粉
末の量及び疎水基を有する有機化合物の種類及び添加量
によって適宜選択すればよいが、黒色磁性酸化鉄粒子粉
末10kgを処理する場合には30〜120kg/cm
が好ましい。線荷重が30kg/cm未満の場合には、
圧縮、せん断及びへらなで作用が不十分となり均一処理
が困難となる。120kg/cmを超える場合は、黒色
磁性酸化鉄粒子の粒子破壊により微粒子成分ができるた
め好ましくない。より好ましい線荷重は、30〜80k
g/cmである。
【0061】また、混練時間は30〜120分が好まし
い。
【0062】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は次
の通りである。
【0063】黒色磁性酸化鉄粒子粉末及び磁性粒子粉末
の粒子形状は、透過型電子顕微鏡及び走査型電子顕微鏡
により観察したものである。
【0064】黒色磁性酸化鉄粒子粉末及び磁性粒子粉末
の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により撮影した写真
(倍率1万倍)を4倍に拡大して、300個についてマ
ーチン径により求めた値である。
【0065】黒色磁性酸化鉄粒子及び磁性粒子粉末の軸
比は、前記の拡大した写真より300個について最長径
と最短径を求め、その比(最長径/最短径)で示した。
【0066】黒色磁性酸化鉄粒子の表面からの深さの測
定及びFeO含有量は、下記の化学分析法により求めた
値で示した。
【0067】2lのビーカーに1.2lのイオン交換水
を入れて該水温が45℃になるように加温する。160
mlのイオン交換水でスラリー化した黒色磁性酸化鉄粒
子粉末10gを別途用意した320mlのイオン交換水
で洗浄しながら、該イオン交換水とともに前記2リット
ルビーカー中に加える。
【0068】次いで、前記2lのビーカー中の溶液温度
を40℃、攪拌速度を200rpmに保ちながら特級塩
酸150mlを加え、溶解を開始する。この時の黒色磁
性酸化鉄粒子粉末の濃度は、5g/l、塩酸水溶液は約
1規定になっている。
【0069】黒色磁性酸化鉄粒子粉末の溶解開始から、
溶液が透明になるまで5分毎に溶液の20mlを採取
し、0.1μmメンブランフィルターで濾過し、濾液を
採取する。
【0070】採取した濾液の内10mlを「誘導結合プ
ラズマ原子発光分光光度計 SPS−4000型」(セ
イコー電子工業(株)製)により、鉄元素の定量を行
う。
【0071】黒色磁性酸化鉄粒子粉末の鉄元素溶解率
は、以下の計算式で算出した。
【0072】鉄元素溶解率(%)=(採取サンプル中の
鉄元素濃度(mg/l))/(完全に溶解した時の鉄元
素の濃度(mg/l))×100
【0073】黒色磁性酸化鉄粒子の粒子半径に対する厚
さは、上記鉄元素溶解率を用いて算出した。
【0074】次いで、各採取サンプルのFeO含有量
は、上記の残りの濾液10mlに、イオン交換水約50
mlを加えて試料を調整し、該試料に指示薬としてジフ
ェニルアミンスルホン酸を2〜3滴加えて、0.1Nの
重クロム酸カリウム水溶液を用いて酸化還元滴定し、該
試料が青紫に着色したところを終点として滴定量を求
め、下記式によりFeOの鉄元素に対する比率(重量
%)を求めた。
【0075】FeO(重量%)=((FeOの原子量:
71.85)×0.1×滴定量(ml))/(サンプル
中の鉄元素重量(mg))×100
【0076】表面近傍層のFeO含有量としては、黒色
磁性酸化鉄粒子の粒子表面から粒子半径に対して3.5
%に相当する厚さまでに含有されるFeO含有量を該部
分に含有されるFe量に対する割合(重量%)で求め
た。
【0077】なお、黒色磁性酸化鉄粒子粉末全体のFe
O含有量は、下記の化学分析法により求めた値で示し
た。
【0078】即ち、不活性ガス雰囲気下において、黒色
磁性酸化鉄粒子粉末約0.5gを精秤し、リン酸:硫酸
が2:1の割合である混合溶液25ccを添加して溶解
する。黒色磁性酸化鉄粒子粉末を溶解した溶液を希釈
し、該希釈溶液に指示薬としてジフェニルアミンスルホ
ン酸を数滴加えた後、重クロム酸カリウム水溶液を用い
た酸化還元滴定を行った。上記希釈液が紫色を呈した時
を終点とし、該終点に至るまでに使用した重クロム酸カ
リウム水溶液の量から計算して求めた。
【0079】黒色磁性酸化鉄粒子粉末及び磁性粒子粉末
のBET比表面積値は、「MonoSorb MS−I
I」(湯浅アイオニックス(株)製)を用いBET法に
より求めた。
【0080】黒色磁性酸化鉄粒子粉末及び磁性粒子粉末
の磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−3S−1
5」(東英工業(株)製)を用いて外部磁場796kA
/m(10kOe)下で測定した値で示した。
【0081】黒色磁性酸化鉄粒子粉末の可溶性ナトリウ
ム塩の含有量は、「誘導結合プラズマ原子発光分光光度
計 SPS−4000型」(セイコー電子工業(株)
製)で測定した値で示した。
【0082】磁性粒子粉末の黒色度aは、測定用試料
片を「多光源分光測色計 MSC−IS−2D」(スガ
試験機(株)製)を用いてHunterのLab空間に
よりL値、a値、b値をそれぞれ測色し、国際照
明委員会(Commission Internati
nal e de l’Eclairage、CIE)
1976(L、a、b)均等知覚色空間に従って
表示した値で示した。aが0に近づく程黒色度に優れ
た黒色磁性酸化鉄粒子粉末となる。
【0083】磁性粒子粉末の帯電量が飽和する時間は、
下記測定法によって測定した。
【0084】即ち、磁性粒子粉末0.5gと鉄粉キヤリ
ア(パウダーテック社製 TEFV−200/300)
4.75gとを内容積が15ccのガラス製のサンプル
瓶に精秤し、ペイントコンデショナーを用いて摩擦帯電
させ、「ブローオフ帯電量測定装置」(東芝ケミカル社
製)を用いて摩擦帯電量を測定した。この時のペイント
コンデショナーを用いて摩擦帯電させた時間と摩擦帯電
量をグラフにして帯電量が安定した時間を帯電量が飽和
する時間とした。
【0085】磁性粒子粉末の帯電量が飽和する時間が短
い程、磁性粒子粉末の電気的特性が良好になることに起
因して、磁性トナーの帯電性能が向上する。
【0086】本発明に係る磁性粒子粉末の分散性のうち
吸液量は、下記測定法において測定した。
【0087】即ち、磁性粒子粉末10gとあらかじめ調
整したスチレン−アクリル樹脂溶液の吸液量として示し
た。 スチレン−アクリル(三洋化成社製 商品名「ハイマ
ーTB−1000」)とキシレンとを樹脂濃度が20重
量%になるように500mlの上ぶた付きポリエステル
容器にはかり取った後に、ペイントコンデイショナーを
用いて混合することにより樹脂溶液を調整する。 磁性粒子粉末10gを電子天秤ではかり取って100
mlのポリエステル容器に入れ、次いで、該容器中にあ
らかじめ調整しておいた樹脂溶液を50mlビュレット
を用いて滴下しながらガラス棒でかき混ぜる。 ポリエステル容器中のペーストが均一となって流動性
が高くなりガラス棒の先端から液滴が最初に自然落下し
たときを終点とする。 終点に至るまでに使用した樹脂溶液の量を吸液量とす
る。
【0088】磁性粒子粉末の吸液量が低いほど、樹脂と
の分散性が良好であることに起因して磁性トナーの帯電
性能が向上する。
【0089】本発明に係る磁性粒子粉末の分散性のうち
樹脂シートの光沢度は、下記方法によって測定した。
【0090】即ち、磁性粒子粉末15gとあらかじめ6
0℃で8時間乾燥したスチレン−アクリル樹脂(三洋化
成社製「ハイマーTB−9000」)34gと離型剤と
してポリプロピレン樹脂(三洋化成社製 「ビスコール
550P」)1gとを表面温度130℃の熱間2本ロー
ルで5分間練り込み、混練物を得た。次いで、得られた
混練物を熱間プレスにてシート状に加工し、シート状樹
脂混練物を作成した。このシート状樹脂混練物の樹脂膜
面の光沢をデジタル光沢計(スガ試験機社製UGV−5
0)を用いて入射及び反射角20°で測定した。光沢値
が大きい程、磁性粒子粉末の樹脂中での分散性が高いこ
とを示す。
【0091】磁性トナー中の磁性粒子粉末の分散性は、
磁性酸化鉄粒子粉末を下記混合割合でヘンシェルミキサ
ーにより混合し、二軸押し出し混練機(栗本鉄鋼社製
商品名:S−1)を用いて溶融混練した。混練物を冷却
後、次いで微粉砕した。さらに、これを分級して体積平
均粒子径が8〜10μm(コルターカウンター社製商品
名:Multisizer IIで測定)の磁性トナー
を製造した。得られた磁性トナー100重量部に対して
疎水性シリカ微粉末(日本アエロジル社製商品名:RX
−200)0.5重量部を外添処理し、磁性トナーを得
た。
【0092】 スチレン−アクリル系共重合樹脂: 100重量部、 磁性粒子粉末: 60重量部、 負帯電制御剤: 0.5重量部、 低分子量ワックス: 5重量部。
【0093】得られた磁性トナーをウルトラミクロトー
ム(RESEACH MANFACTURING社製
商品名:MT2C)を用いてスライスし、その断面を透
過型電子顕微鏡(倍率10000倍)で観察し、視野内
の磁性酸化鉄粒子粉末の凝集状態を観察し、4段階で評
価した。凝集物が少ないほど分散性が良いことを示す。
【0094】本発明に係る磁性粒子粉末を用いた磁性ト
ナーの画像濃度は、磁性トナーをレーザービームプリン
ター(キヤノン製 商品名レーザーショットLBP−B
406E)を用いてベタ黒(A4)を印刷し、そのベタ
黒の画像濃度をRD914(商品名、MACBETH社
製)で測定した。
【0095】なお、磁性トナーを高温高湿環境下(温度
32℃、湿度90%)に12時間放置した後に再度、画
像濃度を測定した。
【0096】<黒色磁性酸化鉄粒子粉末の製造>硫酸第
一鉄溶液(Fe2+の濃度;1.723mol/l、比
重;1.248g/cc、Fe3+/Fe2+=0.7
(mol%))31.942kg、NaOH(18.5
N)4.806l(当量比=0.95)および水17.
396lとを反応させて水酸化第一鉄コロイドを含む第
一鉄塩反応溶液を得た。次いで、90℃に維持して空気
を吹き込んで黒色スピネル型酸化鉄粒子の芯粒子の生成
反応を行った。生成反応中の反応溶液のpH値は6.7
であった。
【0097】芯粒子の生成反応が終了(NaOHがなく
なった)したところで、反応溶液のpH値が4.2に低
下した。
【0098】反応溶液のpH値が4.2の状態で、30
分間空気酸化を行い、芯粒子の表面酸化を行った。
【0099】次いで、反応溶液のpH値が7.8になる
ように前記NaOHを添加し、残った硫酸第一鉄の微細
なスピネル型酸化鉄粒子からなる表面層の生成反応を行
った。
【0100】芯粒子の表面に微細なスピネル型酸化鉄粒
子からなる表面層の生成反応が終了したところで、反応
溶液のpH値が7.8の状態のまま、引き続き、微細な
スピネル型酸化鉄粒子からなる表面層の酸化を1時間を
行った。
【0101】表面層の酸化反応終了の後、濃縮、水洗を
行って、黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得た。得られた黒色
磁性酸化鉄粒子粉末は、約2.5kgであった。
【0102】得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、平均
粒子径が0.20μm、軸比が1.1、BET比表面積
が8.0m/g、保磁力が5.17kA/m(65.
0Oe)、飽和磁化値が83.5Am/kg(83.
5emu/g)、表面近傍層のFeO含有量が10.7
重量%、表面近傍層を除く中心部のFeO含有量が3
1.0重量%、粒子全体のFeO含有量が20.8重量
%、表面層の厚さが17.2Å、表面近傍層の厚さが3
4.5Å(粒子半径に対して3.5%)、黒色度a
+0.5、分散性(44μmメッシュ残)が0%、黒色
磁性酸化鉄粒子粉末の帯電量が飽和する時間は5分であ
った。
【0103】なお、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の
溶解率と粒子表面からの厚さの関係を図1に示す。
【0104】<磁性粒子粉末の製造>得られた黒色磁性
酸化鉄粒子粉末10kgとγ−グリシドオキシプロピル
トリメトキシシラン(日本ニユカー社製 A−187)
250g(黒色磁性酸化鉄粒子粉末に対して2.5重量
部)とをシンプソンミックスマラーである「サンドミル
MPUV−2」(松本鋳造鉄工所社製)に投入して線
荷重50kg/cmで60分間混合して、黒色磁性酸化
鉄粒子粉末の粒子表面に疎水基を有する有機化合物を被
覆処理した。
【0105】得られた磁性粒子粉末は、平均粒子径が
0.20μm、BET比表面積が6.8m/g、飽和
磁化値が81.9Am/kg、黒色度aが+0.
4、磁性粒子粉末の帯電量が飽和する時間は2分、吸液
量が6.5ml、スチレン−アクリル樹脂混練物の樹脂
膜面の20°光沢値が92.5%であった。
【0106】得られた磁性粒子粉末を用いて磁性トナー
を製造した場合、磁性トナー中の磁性粒子粉末の分散性
は◎、初期画像濃度が1.5、高温高湿環境下に放置し
た後の画像濃度が1.4であった。
【0107】
【作用】本発明において最も重要な点は、黒色磁性酸化
鉄粒子粉末の表面近傍層の厚さを特定し、且つ、該表面
近傍層のFeO含有量を表面近傍層のFe量に対して8
〜14重量%とし、該黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子表
面を疎水基を有する有機化合物によって被覆することに
より、十分な黒色度を有し、電気的特性に優れ、しかも
樹脂中での分散性に優れた黒色磁性酸化鉄粒子粉末が得
られるという事実である。
【0108】本発明に係る磁性粒子粉末が十分な黒色度
を有するのは、黒色磁性酸化鉄粒子粉末の表面近傍層の
FeO含有量を少なくし、表面近傍層を除く粒子の中心
部分のFeO含有量が高いことによって、粒子全体では
十分なFeO含有量を有するためと本発明者は考えてい
る。
【0109】更に、本発明に係る磁性粒子粉末が電気的
特性に優れるのは、黒色磁性酸化鉄粒子粉末の表面近傍
層中のFeO含有量が少ないことによって、粒子の表面
近傍層の電気抵抗値が高くなり、磁性粒子粉末の帯電が
リークしにくくなるため、磁性粒子粉末の帯電量飽和時
間が短くなることによるものと考えている。
【0110】本発明に係る磁性粒子粉末が分散性に優れ
るのは、黒色磁性酸化鉄粒子粉末の表面近傍層のFeO
含有量が少ないことにより、表面近傍層の磁化値が低く
なり粒子間の磁気相互作用が小さくなり、粒子間の磁気
的凝集が抑制され、個々の粒子が独立していることに加
えて、圧縮、せん断、へらなでの三つの作用を有する混
練装置を用いて、黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子表面が
疎水基を有する有機化合物によって被覆されているの
で、粒子相互間の凝集が解きほぐされて再凝集するする
ことなく1個1個バラバラの状態で存在し、しかも、粒
子表面が高度に疎水化されていることによるものと本発
明者は考えている。
【0111】また、本発明に係る磁性粒子粉末を用いた
磁性トナーは、磁性粒子粉末が分散性に優れ、電気的特
性、即ち、帯電量の飽和時間が短いことにより、高湿高
温環境下における初期画像濃度を高く維持することがで
きる。
【0112】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げる。
【0113】被処理粒子1、2、比較被処理粒子1 芯粒子の表面酸化時の反応時間、微細なスピネル型酸化
鉄粒子からなる表面層の形成時の反応溶液のpH値及び
表面層酸化の反応時間を種々変化させた以外は前記発明
の実施の形態と同様にして黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得
た。
【0114】このときの主要製造条件を表1に、得られ
た黒色磁性酸化鉄粒子粉末の諸特性を表2に示す。
【0115】
【表1】
【0116】
【表2】
【0117】実施例1〜5、比較例1〜3 黒色磁性酸化鉄粒子粉末の種類、疎水基を有する有機化
合物の種類及び処理量、混練時の線荷重及び作動時間を
種々変化させた以外は、発明の実施の形態と同様にして
磁性粒子粉末を得た。
【0118】このときの主要製造条件を表3に、得られ
た磁性粒子粉末の諸特性を表4に示す。なお、比較例2
で使用したシランカップリング剤(日本ユニカー社製
A−1120)は親水基を有する有機化合物である。
【0119】
【表3】
【0120】
【表4】
【0121】使用例1〜5、比較使用例1〜3、参考使
用例1 磁性粒子粉末を種々変化させた以外は前記発明の実施の
形態と同様にして磁性トナーを得た。
【0122】得られた磁性トナーの諸特性を表5に示
す。
【0123】
【表5】
【0124】
【発明の効果】本発明に係る磁性粒子粉末は、十分な黒
色度を有し、電気的特性が優れ、しかもビニル芳香族系
樹脂、アクリル系樹脂及びこれらの共重合体樹脂等とな
じみやすく、これらの磁性トナー樹脂中での分散性が良
好であるので、磁性トナー用磁性粒子粉末として好適で
ある。
【0125】本発明に係る磁性粒子粉末を用いた磁性ト
ナーは、磁性粒子粉末が電気的特性及び分散性に優れて
いることにより、帯電性能に優れた磁性トナーが得られ
る。特に、本発明に係る磁性粒子粉末を用いた磁性トナ
ーは、磁性酸化鉄粒子粉末の電気的特性(帯電量が飽和
する時間が短いこと)に優れているので、高速機用とし
て好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態で得られた本発明における黒
色磁性酸化鉄粒子粉末のFeの溶解率と表面からの厚さ
の関係を表したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 好澤 実 広島県大竹市明治新開1番4 戸田工業株 式会社大竹創造センター内 (72)発明者 内田 直樹 広島県大竹市明治新開1番4 戸田工業株 式会社大竹創造センター内 (72)発明者 志茂 伸哉 広島県大竹市明治新開1番4 戸田工業株 式会社大竹創造センター内 Fターム(参考) 2H005 AA03 CA23 CA25 CA26 CB03 EA05 EA07 4G002 AA04 AA12 AB03 AE03 5E040 AB02 BB03 BC05 CA07 NN01

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯粒子である黒色スピネル型酸化鉄粒子
    の粒子表面に微細なスピネル型酸化鉄粒子からなる表面
    層が形成されており、且つ、該表面層の表面から粒子半
    径に対して3.5%に相当する厚さの表面近傍層におけ
    るFeO含有量が該表面近傍層に含有されるFe量に対
    して8〜14重量%である平均粒子径が0.1〜0.3
    μmの黒色磁性酸化鉄粒子であって、該黒色磁性酸化鉄
    粒子の粒子表面が疎水基を有する有機化合物によって被
    覆されていることを特徴とする磁性トナー用磁性粒子粉
    末。
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