JP4037014B2 - マグネタイト粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅及び/又はセリウムを含有するマグネタイト粒子及びその製造方法に関し、詳しくは、湿式法による酸化反応時に、スラリーの粘度上昇を抑えることによって、粒度分布に優れ、かつ磁気特性、とりわけ保磁力の安定性に優れた、特に静電複写磁性トナー用、静電潜像現像用キャリア用及び塗料用黒色顔料粉等の用途に用いられるマグネタイト粒子及びその工業的に効率良く生産する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
最近、電子複写機、プリンター等の磁性トナー用材料粉として、水溶液反応によるマグネタイト粒子が広く利用されている。磁性トナーとしては、各種の一般的現像特性が要求されるが、近年、電子写真技術の発達により、特にデジタル技術を用いた複写機、プリンターが急速に発達し、要求特性が高度なものになってきた。
【0003】
すなわち、従来の文字以外にもグラフィックや写真等の出力も要求されており、複写機、プリンターの中には1インチ当たり1200ドット以上の能力のものも現れ、感光体上の潜像はより緻密になってきている。そのため、現像での細線再現性の高さ、各環境下でも問題なく使用できること等が強く要求されている。
【0004】
このような要求に対して、マグネタイトを主に含有する酸化鉄粒子の改良が様々になされてきた。特に、酸化鉄粒子のバインダー樹脂への分散性についての改良が進められてきた。
【0005】
その中で、例えば特開平3−101743号公報、特開平3−101744号公報、特開平3−121464号公報、特開平3−122658号公報、特開平3−131864号公報、特開平3−131865号公報、特開平3−131866号公報、特開平3−155562号公報においては、酸化鉄粒子の平均粒子径とその標準偏差による式(1)の値が小さくなるような酸化鉄粒子について開示されている。
【0006】
【数1】
【0007】
これらの各公報に記載されている内容としては、粒子の大きさについて、粒度分布の優れた酸化鉄粒子を使用した磁性トナーは、トナーの評価において、様々な優位性が示されている。
【0008】
しかし、磁性トナー用としての酸化鉄粒子の粒度分布については、更なる向上が求められている。最近は特にハーフトーンの再現性等、単純な白黒表現によりも階調性に対して、材料粉としての酸化鉄粒子の改良も求められてきている。
【0009】
上記従来技術の中には、このような更なる粒度分布の改良手段として、ケイ素を使用することが好ましい手段として開示されている。例えば、特開平3−101743号公報によれば、水酸化第一鉄を含む懸濁液中に水可溶性ケイ酸塩(生成するマグネタイト粒子に対しSiO2 換算で0.1〜2.0重量%)を存在させると、生成するマグネタイト粒子の分布をさらによくすることができるので好ましいとされている。
【0010】
しかしながら、このようなケイ酸塩を使用することは、電子写真の分野において、温度や湿度の変化に対する環境依存性が問題となり易く、磁気特性面でも劣ることが推定できる。
【0011】
従って、粒度分布に優れ、なおかつ上記環境依存性や磁気特性等の他の諸特性を損なわない酸化鉄粒子は、いまだ十分なものが示されていない。
【0012】
一方、湿式で酸化鉄粒子を製造する場合には、第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液を中和混合して得られた水酸化第一鉄スラリーを酸素含有ガスにて酸化する方法が一般によく利用されるが、この酸化反応の際に、スラリー粘度はかなり上昇する。
【0013】
この粘度上昇が著しい場合には、酸化反応にかかわる酸素含有ガスのスラリー中での分散が不良となり、その結果生成する微細粒子の粒度分布が悪くなり、その後の反応で粒度分布を改善することは難しい。
【0014】
スラリー粘度上昇を防ぐ手段としては、スラリー濃度を下げる方法や、酸化反応を一旦止めて微細粒子の生成を制御する方法等が有効であるが、湿式製造法はバッチ式が殆どなので生産性の面から見て非常に不都合である。
【0015】
また、目標とする酸化鉄粒子の粒径がフェレ径の平均粒径が0.3μm以下の小粒径の場合には、上記粘度上昇現象の影響で、得られた酸化鉄粒子の粒度分布はさらにブロードとなり易い。
【0016】
上述の通り、粒径が小さくても粒度分布がシャープな酸化鉄粒子を得ることは難しく、その製造方法について具体的な提案は上記従来技術においてはなされていない。
【0017】
また、マグネタイトのようにFeOを含有する形態では、空気中の酸素及び熱によって酸化し易く、このような形態からなる酸化鉄粒子に要求される特性としては、使用前における酸化鉄粒子中のFeOの安定性や熱可塑性樹脂との熱混練時における耐熱性が求められる。
【0018】
酸化鉄粒子の粒径が小さい場合には、より酸化による影響を受け易く、具体的には粒度分布の悪い酸化鉄粒子においては、粒径の小さな粒子の存在によって含有FeOの劣化が著しいといった問題が発生する。
【0019】
このような耐酸化性や耐熱性の向上のために、粒子表面に耐熱性を付与する処理を行うことが従来技術にも開示されている。この中には、Si、Al、Zn成分等による被覆によって、耐熱性が向上したことが示されているが、このような元素を粒子表面に被覆すると、粉末の吸湿性が高くなったり、粉体の色相や分散性に悪い影響を与える。
【0020】
従って、本発明の目的は、粒径分布に優れ、磁気特性、とりわけ保磁力の安定性に優れ、かつ含有FeOの安定性や耐熱性に優れたマグネタイト粒子及びその製造方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記従来技術を踏まえ、マグネタイト粒子に特定量の銅及び/又はセリウム成分を含有させることにより、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0022】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、セリウムをマグネタイト粒子総量に対して0.001〜0.5重量%含有するマグネタイト粒子であって、
該マグネタイト粒子を乾燥する際、室温で真空乾燥した試料と、空気中50℃で12時間乾燥した試料のFeO含有率の差が、5重量%以下であることを特徴とするマグネタイト粒子を提供するものである。
また本発明は、銅をマグネタイト粒子総量に対して0.048〜0.5重量%含有するマグネタイト粒子であって、
該マグネタイト粒子は、第一鉄塩を含有する水溶液とアルカリ水溶液とを中和して得られた水酸化第一鉄スラリーを酸化することにより製造され、その際に、第一鉄塩の酸化反応率が1〜30%の間に水可溶性の銅塩が添加されて製造されたものであり、
該マグネタイト粒子を乾燥する際、室温で真空乾燥した試料と、空気中50℃で12時間乾燥した試料のFeO含有率の差が、5重量%以下であることを特徴とするマグネタイト粒子を提供するものである。
【0023】
また、本発明は、上記の各マグネタイト粒子の好ましい製造方法として、第一鉄塩を含有する水溶液とアルカリ水溶液とを中和して得られた水酸化第一鉄スラリーを酸化するマグネタイト粒子の製造方法において、第一鉄塩の酸化反応率が1〜30%の間に水可溶性の銅及び/又はセリウム塩を添加することを特徴とするマグネタイト粒子の製造方法を提供するものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明のマグネタイト粒子は、Fe、Cu、Ce以外のSi、Al、Mn、Ni、Zn、Mg、Ti、Co、Zr、W、Mo、P等を少なくとも1種以上含むものが主成分であればよく、さらに、分散性を向上させるために、SiやAl、あるいは有機処理剤等による表面処理を施したマグネタイト粒子であってもよい。以下の説明では、マグネタイト粒子という時には、その内容によって個々の粒子又はその集合のいずれも意味する。
【0025】
本発明のマグネタイト粒子の形状は、トナー用に適した特性を付与できるものであれば特に限定されないが、トナー用材料粉として一般的な粒状品(球状、八面体状、六面体状等)が好ましい。
【0026】
また、粒子の大きさとしては、粒子のフェレ径の平均粒径として0.05〜1μm、より好ましくは0.08〜0.5μm、さらに好ましくは0.1〜0.3μmである。
【0027】
本発明のマグネタイト粒子は、セリウムをマグネタイト粒子総量に対して0.001〜0.5重量%含有することを特徴とするものである。セリウムの含有量は、好ましくは0.002〜0.4重量%であり、より好ましくは0.004〜0.3重量%である。また本発明のマグネタイト粒子は、銅をマグネタイト粒子総量に対して0.048〜0.5重量%含有することを特徴とするものである。
【0028】
マグネタイト粒子に銅及び/又はセリウムを含有させることによる効果については後述するが、基本的には粒度分布の改善にあり、この含有率が0.001重量%未満(セリウムの場合)又は0.048重量%未満(銅の場合)の場合には、粒度分布改善効果が得られず、0.5重量%を超える場合には、磁気特性の劣化、特に飽和磁化の低下等が生じ、またその他特性への弊害が生じる。
【0029】
また、本発明のマグネタイト粒子は、熱可塑性樹脂との混練物を粉砕して得られるトナー粒子粉末の外部磁場10kOeにおける保磁力のバラツキが5Oe以下であることを特徴とする。
【0030】
この特徴は、粒子に特定の銅及び/又はセリウムを含有することにより得られるもので、粒度分布が格段に優れていることにより、保磁力の安定化を図ることが可能となる。
【0031】
また、本発明のマグネタイト粒子を乾燥する際、真空乾燥した試料と、空気中、50℃で12時間乾燥した試料のFeO含有率の差は5重量%以下である。好ましくはこのFeO含有率の差が3重量%以下であり、より好ましくは1重量%以下である。このことによって、含有FeOの安定性や耐熱性に優れる。
【0032】
次に、本発明のマグネタイト粒子の製造方法は、第一鉄塩を含有する水溶液とアルカリ水溶液とを中和して得られた水酸化第一鉄スラリーを酸化するマグネタイト粒子の製造方法において、第一鉄塩の酸化反応率が1〜30%の間に水可溶性の銅及び/又はセリウム塩を添加することを特徴とする。
【0033】
本発明においては、上記のように水酸化第一鉄スラリー中の第一鉄塩の酸化反応率が1〜30%において、水可溶性の銅及び/又はセリウム塩を添加することが重要であり、特に酸化反応率が2〜20%においての添加が好ましい。上記添加時期において第一鉄塩の酸化反応率が1%未満の場合には、反応当初よりマグネタイト微細粒子の生成が抑制を受け易く、かえって粒度分布への悪影響が生じることとなるし、第一鉄塩の酸化反応率が30%を超える場合には、スラリー粘度が落ち着いた状態なので粒度分布改善効果が期待できない。
【0034】
本発明に用いられる水可溶性の銅及び/又はセリウム塩としては、硫酸銅(II)、硝酸銅(II)や硫酸セリウム、硝酸セリウム等が例示される。また、水可溶性の銅及び/又はセリウム塩の添加方法は、一括添加でも、徐々に添加しても構わないが、効果の持続性や作業の容易さから考えると、一括添加の方が好ましい。
【0035】
マグネタイト粒子を始めとする酸化鉄粒子に銅を含有させる技術については、特公平3−53257号公報、特公平3−24412号公報、特開平9−59024号公報、及び特開平9−59025号公報等に開示されているが、いずれも銅以外の多くの元素も含む成分群の中から選択する事例であり、本発明が目的とする粒度分布の改善効果を示してはいない。また、酸化鉄粒子にセリウムを含有させる技術については、全く公知技術は見当たらない。
【0036】
マグネタイト粒子に銅及び/又はセリウムを含有させることによって、何故に粒度分布改善に効果があるかについては定かではないが、本発明者等は酸化反応時に、反応スラリー中に銅及び/又はセリウム成分を添加した際のスラリー粘度が低下する現象に着目した。
【0037】
一般に、第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液を中和混合して得られた水酸化第一鉄スラリーを酸化するマグネタイト粒子の製造方法においては、酸化反応開始よりスラリー中の第一鉄塩の酸化反応率が30%程度となるまで粘度が一旦上昇する。この上昇はスラリー中に反応で生じたマグネタイト粒子が微細であるがゆえ起こるものであり、粒子の成長が進むにつれ、収まるものと推測される。
【0038】
本発明においては、銅やセリウムの酸化還元による価数変化(Cu2+−Cu+ やCe4+−Cu3+)が、Fe2+からFe3+への酸化速度を適度に調整することにより、過剰で不均一な微細マグネタイト粒子の生成を妨害する作用があるのではないかと考えた。つまり、微細なマグネタイト粒子の発生を抑えることにより、反応スラリーの粘度が下がり、粒度分布の改善に寄与するのである。また、銅やセリウムは比較的フェライトを形成しにくい元素として知られており、少量の添加でもスラリー中に残留して、持続的なスラリー粘度の低減効果を奏するものと考えられる。
【0039】
本発明のマグネタイト粒子の製造方法によれば、特に工業的規模での低濃度スラリー反応下において、反応槽内の均一化、核生成と結晶成長の制御が困難であった従来の製造方法に対し、簡易な手段で粒度分布の優れたマグネタイト粒子を製造することができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
【0041】
〔実施例1〕
表1に示されるように、Fe2+を2.5mol/l含有する硫酸第一鉄水溶液40リットルと、NaOHを8.0mol/l含有する水酸化ナトリウム水溶液25.5リットルとを中和混合した。混合後のスラリーの液温を85℃、及び温水を用いてスラリー液量を100リットルになるように調整した後、スラリーを撹拌しながら20リットル/minにて空気を通気して酸化反応を行った。反応中にスラリー中の最高粘度(TOKIMEC.INC.製、VISCOMETER MODEL BM型にて測定)及び未反応Fe2+の測定を行った。酸化反応の途中、酸化反応率が20%に達したところでセリウムを0.1mol/l含有する溶液を3リットル添加した。酸化反応終了後、得られたマグネタイトスラリーを通常の濾過、洗浄、乾燥、粉砕工程を経てマグネタイト粒子を得た。
【0042】
このようにして得られたマグネタイト粒子を以下に示す方法にて特性、性状を評価し、得られた結果を表2に示す。また、上記により測定したスラリー中の最高粘度を併せて表2に示す。
【0043】
〔測定方法〕
(1)粒子形状と粒径測定
走査型電子顕微鏡を用い、倍率20000倍にて粒子形状観察及び200個の粒子についてフェレ径の測定を行い、平均粒径と粒径の標準偏差及び変動係数を求めた。
(2)比表面積
島津−マイクロメリテックス製2200型BET計にて測定した。
(3)磁気特性
東英工業製振動型磁力計VSM−P7型を使用し、外部磁場10kOeにて測定した。
(4)化学分析
サンプルを酸に溶解し、ICPにて測定した。
(5)樹脂との混練物における保磁力の安定性評価
マグネタイト粒子を使用したトナーを試作し、飽和磁化値のバラツキにより、保磁力の安定性の評価を行った。
マグネタイト粒子、スチレン−アクリル系熱可塑性樹脂(三洋化成(株)製、TB−1000F)、帯電制御剤(オリエント化学製、ボントロン S−34)及びワックス(三洋化成(株)製、ビスコール 550P)をそれぞれ、重量比100:100:1:2にて計量し、ヘンシェルミキサーにて混合し、さらに2軸のニーダーを使用して180℃にて溶融混練を行った。得られた混練物を冷却し、バンタムミルにて粗粉砕を、さらにジェットミルにて微粉砕を行って、大きさの異なる2種類の粉砕品の粉末粒子を得た。
得られた2種類の粉末粒子中の磁気特性について、外部磁場10kOeでの保磁力を、それぞれの粉砕品において異なる5ヶ所のサンプリングによって繰り返し測定を行い、計10回の測定での粉末の最高保磁力値と最低保磁力値の差の大きさ(保磁力値のバラツキ)をもって保磁力の安定性の評価とした。
(6)マグネタイト粒子の乾燥によるFeO劣化試験
湿式法にて得られたマグネタイト粒子の濾過、洗浄したケーキの一部を、室温で真空デシケーター中にて乾燥させたサンプルと、上記ケーキの一部を空気中で50℃の箱型乾燥機(タバイエスペック製、オーブンPH−201)にて12時間乾燥したサンプルについて、それぞれ硫酸に溶解した後、過マンガン酸カリウム標準液にて酸化還元滴定を行い、それぞれのサンプルのFeO含有量(重量%)を測定した。
【0044】
〔実施例2〜8〕
実施例1と同様に、表1に示される条件にてマグネタイト粒子を製造し、実施例1と同様に評価した結果を表2に示す。
【0045】
〔比較例1〜4〕
表1に示されるように、銅又はセリウム成分を添加することなくマグネタイト粒子を製造し、実施例1と同様に評価した結果を表2に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
表2から明らかなように、銅及び/又はセリウム成分を添加した実施例1〜8のマグネタイト粒子は、これらを添加しない比較例1〜4のマグネタイト粒子に対して、酸化反応時のスラリーの最高粘度が低く、また、粒径の変動係数も小さいことが判る。これは、酸化反応時の粘度の低下が、スラリー全体の均一な酸化反応にとって効果があるものと思われる。
【0049】
さらに、比較例1〜4のマグネタイト粒子に比べ、実施例1〜9のマグネタイト粒子は、樹脂との混練物において保磁力のバラツキが小さく、粒度分布の改善により、樹脂中でのマグネタイト粒子の分散性が優れていることが判る。また、乾燥条件の相違に基づくFeO含有率の差が小さいことから、実施例1〜9のマグネタイト粒子は、含有FeOの安定性や耐熱性に優れている。特に、比較例1のような粒子径の小さなマグネタイト粒子は、酸化の影響を受け易く、FeOの差が大きい。しかし、実施例1を見ても明らかな通り、本発明のマグネタイト粒子では、小粒径でもFeOの差は小さく酸化の影響を受けにくいことが判る。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のマグネタイト粒子は、銅及び/又はセリウム成分を含有することによって、粒度分布に優れ、磁気特性、とりわけ保磁力の安定性に優れ、かつ含有FeOの安定性や耐熱性に優れており、特に静電複写磁性トナー用材料粉、静電潜像現像用キャリア用材料粉、塗料用黒色顔料粉等の用途に最適である。また、添加する銅及び/又はセリウムによる酸化反応時のスラリー粘度低下作用により、マグネタイト粒子の粒度を揃えるのみならず、工業的なマグネタイト粒子製造における生産性も向上する。また、本発明の製造方法によって、簡易な手段で粒度分布の優れた上記マグネタイト粒子を製造することができる。
Claims (6)
- セリウムをマグネタイト粒子総量に対して0.001〜0.5重量%含有するマグネタイト粒子であって、
該マグネタイト粒子を乾燥する際、室温で真空乾燥した試料と、空気中50℃で12時間乾燥した試料のFeO含有率の差が、5重量%以下であることを特徴とするマグネタイト粒子。 - 銅をマグネタイト粒子総量に対して0.048〜0.5重量%含有するマグネタイト粒子であって、
該マグネタイト粒子は、第一鉄塩を含有する水溶液とアルカリ水溶液とを中和して得られた水酸化第一鉄スラリーを酸化することにより製造され、その際に、第一鉄塩の酸化反応率が1〜30%の間に水可溶性の銅塩が添加されて製造されたものであり、
該マグネタイト粒子を乾燥する際、室温で真空乾燥した試料と、空気中50℃で12時間乾燥した試料のFeO含有率の差が、5重量%以下であることを特徴とするマグネタイト粒子。 - 熱可塑性樹脂との混練物を粉砕して得られるトナー粒子粉末の外部磁場10kOeにおける保磁力のバラツキが5Oe以下である請求項1又は2に記載のマグネタイト粒子。
- 請求項1記載のマグネタイト粒子の製造方法であって、第一鉄塩を含有する水溶液とアルカリ水溶液とを中和して得られた水酸化第一鉄スラリーを酸化するマグネタイト粒子の製造方法において、第一鉄塩の酸化反応率が1〜30%の間に水可溶性のセリウム塩を添加することを特徴とするマグネタイト粒子の製造方法。
- 請求項2記載のマグネタイト粒子の製造方法であって、第一鉄塩を含有する水溶液とアルカリ水溶液とを中和して得られた水酸化第一鉄スラリーを酸化するマグネタイト粒子の製造方法において、第一鉄塩の酸化反応率が1〜30%の間に水可溶性の銅塩を添加することを特徴とするマグネタイト粒子の製造方法。
- 上記水酸化第一鉄スラリーの濃度が、Fe2+で1mol/l以上である請求項4又は5に記載のマグネタイト粒子の製造方法。
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