JP4259830B2 - マグネタイト粒子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マグネタイト粒子に関し、詳しくは粒子表面のFeO量が粒子内部のFeO量に相対して高いことに起因して、黒色度が高く、耐環境性に優れており、特に静電複写磁性トナー用材料粉、塗料用黒色顔料粉等の用途に主に用いられるマグネタイト粒子に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
最近、電子写真複写機、プリンター等の磁性トナー用材料として、水溶液反応によるマグネタイト粒子に代表される酸化鉄粒子が広く利用されている。磁性トナーとしては各種の一般的現像特性が要求されるが、近年、電子写真技術の発達により、特にデジタル技術を用いた複写機、プリンターが急速に発達し、要求特性がより高度になってきた。
【0003】
すなわち、従来の文字以外にもグラフィックや写真等の出力も要求されており、特にプリンターの中には1インチ当たり1200ドット以上の能力のものも現れ、感光体上の潜像はより緻密になってきている。そのため、現像での細線再現性の高さが強く要求されている。
【0004】
それに伴い、複写機、プリンターに使用されるトナー粒径が小粒径化してきている。さらに、それに伴い、トナー中に含まれる酸化鉄粒子も小粒径で黒色度が高く、かつ耐環境性に優れたものが望まれている。
【0005】
また、塗料用黒色顔料粉用途においても、塗膜や樹脂組成物の黒色度や耐老化性を改善する上で、やはり小粒径で黒色度が高く、かつ耐環境性に優れたものが望まれている。
【0006】
従来、酸化鉄粒子、特に、マグネタイト粒子等のFeO(あるいはFe2+)を含有する酸化鉄粒子の黒色度は、FeOの含有量に左右されることが良く知られている(例えば特許文献1参照)。しかし、この酸化鉄粒子中のFeO含有量は、製造後の酸化による経時劣化が進むにつれて低下し、その結果黒色度が劣化するという現象を伴う。この経時劣化は、酸化鉄粒子のおかれる環境により大きく左右され、高温高湿下での経時劣化が抑制された酸化鉄粒子が求められていることは言うまでもない。
【0007】
かかる黒色度が高く、かつ耐環境性に優れている酸化鉄粒子を得るために、従来から各種元素を酸化鉄粒子に添加する技術が開示されている。例えば、Coを含む複合酸化鉄被覆を有する酸化鉄粒子(特許文献2及び3参照)、Znを含む複合酸化鉄被覆を有する酸化鉄粒子(特許文献4参照)、Mn、Zn、Cu、Ni、Co、Mg等を含む複合酸化鉄を含有する酸化鉄粒子(特許文献5参照)等が挙げられる。
【0008】
これらの添加元素の役割は、FeOが直接外部の雰囲気に触れないように粒子を添加元素酸化物で被覆したり、FeOの代わりに黒色度が低下しないような添加元素酸化物に置き換えることにより、黒色度の劣化を抑制させているものと考えられる。
【0009】
しかし、このような方法で得られた酸化鉄粒子では、黒色度の低下を防ぎ、その経時劣化を改善することができるものの、重金属が酸化鉄粒子中に多く含まれることとなり、昨今、問題となっている環境負荷に対する影響度が大きい。また、添加元素の種類にもよるが、酸化鉄粒子に要求されるその他特性への悪影響も無視できない。例えば、添加元素による化合物が非磁性酸化物である場合、磁気特性を劣化させるし、黒色度や色相を低下させることもある。それを考慮して、添加量を減じれば、添加元素不足により、黒色度の低下や経時劣化の抑制は困難となる。
【0010】
従って、本発明の目的は、環境負荷の低いマグネタイト粒子でありながら、黒色度が高く、耐環境性に優れたマグネタイト粒子を提供することにある。
【0011】
【特許文献1】
特開平3−201509号公報
【特許文献2】
特開平6−100317号公報
【特許文献3】
特開平8−133744号公報
【特許文献4】
特開平8−133745号公報
【特許文献5】
特開平4−162050号公報
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、粒子表面のFeO量が粒子内部のFeO量に相対して高いチタン含有マグネタイト粒子であれば、上記目的が達成し得ることを知見した。
【0013】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、粒子中にチタンが、マグネタイト粒子総量に対して、0.3〜1.5質量%含有されており、かつ粒子表面から10質量%中における総Fe量に対するFeOの割合(A%)と、残りの90質量%中における総Fe量に対するFeOの割合(B%)との比A/Bが0.7〜1であるマグネタイト粒子を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明でいうマグネタイト粒子とは、FeOの高いマグネタイトを主成分とするものである。また、マグネタイト粒子というときには、その内容によって個々の粒子又はその集合のいずれも意味する。
【0015】
本発明のマグネタイト粒子は、粒子中にチタンが、マグネタイト粒子総量に対して、0.3〜1.5質量%含有されており、かつ粒子表面から10質量%中における総Fe量に対するFeOの割合(A%)と、残りの90質量%中における総Fe量に対するFeOの割合(B%)との比A/B(以下、「表面/内部FeO比」と称す)が0.7〜1であることを特徴とする。
【0016】
水溶液反応により得られる酸化鉄粒子、特にFeOの高いマグネタイト粒子は、一般的に、第一鉄塩水溶液とアルカリ溶液とを中和混合して得られた水酸化第一鉄スラリーを酸化することにより得られる。かかる公知技術で得られるマグネタイト粒子の表面/内部FeO比については、特開2001−2426号公報に記載の実施例の計算からすると、おおよそ0.3〜0.6程度である(同公報記載の粒子半径の3.5%相当厚みの粒子表面近傍層は、本発明の質量に換算して粒子表面から10質量%とほぼ合致する)。
【0017】
これに対し、本発明のマグネタイト粒子は、表面/内部FeO比が0.7〜1であるから、粒子表面近傍のFeO含有量が十分高く、黒色度は十分高い上、多少の表面酸化があっても黒色度の経時劣化の影響を受けない。
【0018】
この表面/内部FeO比が0.7未満の場合には、粒子表面近傍のFeO量が十分といえず、黒色度が低いものであったり、黒色度は高くても、経時劣化の面で劣る耐環境性の不良なマグネタイト粒子となる。また、表面/内部FeO比が1を超える場合には、黒色度や耐環境性には優れるものの、粒子表面のFeOを必要以上に高くしても、更なる本発明で目的とする効果の改善が得られない。この表面/内部FeO比は、黒色度、耐環境性の改善をより高めることを考慮すると、0.8〜1が好ましく、0.9〜1がより好ましい。
【0019】
また、本発明のマグネタイト粒子は、粒子中にチタンが、マグネタイト粒子総量に対して、0.3〜1.5質量%含有されていることが重要である。本発明においては、マグネタイト粒子中にチタンが含有されていることが、マグネタイト粒子の表面/内部FeO比が0.7〜1となることに大きく関与していることは後述するが、このチタン含有量が0.3質量%未満では、粒子表面近傍のチタン含有量が少なくなる傾向にあり、水溶液反応により得られるマグネタイト粒子の表面/内部FeO比を0.7〜1とすることが困難であり、1.5質量%を超える場合には、粒子表面近傍のチタン含有量が過剰となる傾向にあり、チタン含有量が高過ぎて、磁気特性や黒色度、色相等の他の特性不良を惹き起こすおそれがある。
【0020】
このチタン含有量は、チタン含有量をより減らし、かつ表面/内部FeO比が低下しないように調整する上で、0.4〜1.2質量%とするのが好ましく、0.4〜0.8質量%とするのがより好ましい。
【0021】
また、本発明のマグネタイト粒子は、BET法による比表面積が10〜15m2 /gであることが好ましく、この範囲の比表面積が静電複写磁性トナー用材料粉、塗料用黒色顔料粉等の用途に好適である。本来、粒径の小さなマグネタイト粒子は耐環境性の点で劣るが、本発明をもってすれば、そのようなマグネタイト粒子でも耐環境性の改善が可能なので、昨今の磁性トナーや塗料の微粒化を鑑みれば、10〜15m2 /gが好ましい。また、本発明のマグネタイト粒子は平均粒径が0.1〜1μm程度が好ましい。
【0022】
また、本発明のマグネタイト粒子は、粒状粒子であれば、球状、六面体状、多面体状等のいかなる粒子形状でも構わないが、特に黒色度が高い八面体状であることが好ましい。
【0023】
また、本発明のマグネタイト粒子は、Al、Si、P、S、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Mgを随伴不純物として含むことがあるが、その総含有量が1質量%以下であることが好ましい。Mn、Co等については従来技術で述べた通り、環境負荷軽減上、含有量が低い方が好ましい。また、Si、Alは酸化鉄粒子の分散性や流動性の改良等に使用されることが多いが、磁気特性等他の特性不良を惹き起こすおそれがあるので、Mn等の上記添加元素と同様に、含有量が低い方が好ましい。これらの添加元素については、原料由来の不可避成分として含有されることを考慮して、総含有量が1質量%を望ましい上限とした。
【0024】
また、本発明のマグネタイト粒子は、JIS K5101−1991に準拠した粉体の黒色度及び色相測定において、色差計によるL値が20以下、a値が0.1以下、b値が0.1以下であることが好ましい。このL値が20超、a値が0.1超、b値が0.1超の場合、マグネタイト粒子の黒色度や色相が不良であり、このようなマグネタイト粒子を用いた磁性トナーや塗料を使用した場合には、得られる画像や塗膜は黒色度の劣ったものとなる。
【0025】
また、本発明のマグネタイト粒子は、60℃、90%RHでの1週間曝露後のFeO劣化率が10%以下であることが好ましい。このFeO劣化率が10%を超える場合、マグネタイト粒子の耐環境性が不良であり、このようなマグネタイト粒子を用いた磁性トナーや塗料を使用した場合には、得られる画像や塗膜の黒色度は劣化を免れない。
【0026】
次に、本発明のマグネタイト粒子の好ましい製造方法について、具体的に説明する。
本発明のマグネタイト粒子は、第一鉄塩水溶液とアルカリ溶液とを中和混合して得られた水酸化第一鉄スラリーを酸化してマグネタイト粒子を製造する方法において、第一鉄塩水溶液のpHを1.5以下、かつ温度を70℃以下に調整して、4価のチタン塩及び/又はチタン酸塩を、該第一鉄塩水溶液に添加、混合することにより得られた水酸化第一鉄スラリーを使用することにより製造できる。
【0027】
ここで、特に重要なのは、第一鉄塩水溶液のpHを1.5以下、かつ温度を70℃以下に調整して、4価のチタン塩及び/又はチタン酸塩を、該第一鉄塩水溶液に添加、混合することにある。このことによって、水酸化チタン等の析出が防止される。
【0028】
上記第一鉄塩水溶液のpHを1.5以下、かつ温度を70℃以下に調整する理由は、添加する4価のチタン塩及び/又はチタン酸塩が加水分解しないようにするためである。この方法によれば、粒子の核生成から最終的な粒子成長完了に至るまで、価数4価のチタン成分が粒子内に均一に含有され、粒子表面においてもFe2+が安定して生成されることとなる。
添加するチタン塩及び/又はチタン酸塩量は、最終的なマグネタイト粒子総量に対して、0.3〜1.5質量%となるように調整するのが好ましい。
【0029】
ここで用いられる第一鉄塩は、硫酸第一鉄、塩化第一鉄等の水可溶性塩ならば特に限定されない。また、添加されるチタン塩やチタン酸塩としては、硫酸チタン(IV)、塩化チタン(IV)、硫酸チタニル、硝酸チタニル等が挙げられる。
【0030】
次に、得られた4価のチタン成分を含む第一鉄塩水溶液とアルカリ溶液とを中和混合して水酸化第一鉄スラリーを生成させる。
水酸化第一鉄スラリーを生成させる際のアルカリ溶液量は、求めるマグネタイト粒子の形状に応じて適宜調整すればよい。具体的には、水酸化第一鉄スラリーのpHを8.0未満となるようにすれば、球状粒子が得られ、pHを8.0〜9.5となるようにすれば、六面体状粒子が得られ、pHを9.5を超えるようにすれば、八面体状粒子が得られる。
使用されるアルカリ溶液は、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等の水酸化アルカリ水溶液を用いることができる。
【0031】
このようして得られた水酸化第一鉄スラリーよりマグネタイト粒子を得るためには、常法により酸素含有ガス、好ましくは空気をスラリー中に吹き込みながら酸化反応を行い、酸化反応終了後のスラリーを常法により濾過、洗浄、乾燥、粉砕処理を行う。
【0032】
【実施例】
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
【0033】
〔実施例1〕
表1に示されるように、2mol/lの硫酸第一鉄水溶液50リットルに、0.14mol/lの硫酸チタニル水溶液5リットルを、pH1.0、温度50℃の条件下で混合させ、十分撹拌する。このチタン塩含有硫酸第一鉄水溶液と、5 mol/lの水酸化ナトリウム水溶液43リットルを混合し、水酸化第一鉄スラリーを得た。この水酸化第一鉄スラリーをpH12に維持し、85℃にて空気を吹き込み酸化反応を行った。得られたマグネタイト粒子を含むスラリーを、常法により濾過、洗浄、乾燥、粉砕を行い、マグネタイト粒子を得た。
【0034】
下記に示す方法にて、得られたマグネタイト粒子の平均粒径、比表面積、磁気特性、粒子表面から10質量%中における総Fe量に対するFeOの割合、残りの90質量%中における総Fe量に対するFeOの割合、表面/内部FeO比、チタン含有量、その他金属の含有量、黒色度及び色相、60℃、90%RHでの1週間曝露前後のFeO含有量及び劣化率について評価し、その結果を表2に示す。
【0035】
<評価方法>
(1)平均粒径
走査型電子顕微鏡(30000倍)の写真を撮影し、フェレ径により算出した。
(2)比表面積
島津−マイクロメリティックス製2200型BET計にて測定した。
(3)チタン含有量、その他金属の含有量
試料を溶解し、ICPにて測定した。
(4)磁気特性
東英工業製振動試料型磁力計VSM−P7を使用し、外部磁場796kA/m及び79.6kA/mにて測定した。
(5)黒色度及び色相
試料2.0gにヒマシ油1.4ccを加え、フーバー式マーラーで練り込む。この練り込んだサンプル2.0gにラッカー7.5gを加え、さらに練り込んだ後、これをミラーコート紙上に4milのアプリケータを用いて塗布し、乾燥後、色差計(東京電色社製カラーアナライザーTC−1800型)にて測定した。
(6)粒子表面から10質量%中における総Fe量に対するFeOの割合、残りの90質量%中における総Fe量に対するFeOの割合、表面/内部FeO比3.8リットルの脱イオン水に試料25gを加え、ウォーターバスで35〜40℃に保ちながら、撹拌速度200rpmで撹拌する。このスラリー中に特級塩酸試薬424mlを溶解した塩酸水溶液(脱イオン水)1250mlを加え、溶解を開始する。
溶解開始からすべて溶解して透明になるまで、10分毎に50mlをサンプリングし、0.1μmメンブランフィルターで濾過して、濾液を採取する。
採取した濾液の内25mlをICPによって鉄元素の定量を行う。
鉄元素溶解率(%)=〔採取サンプル中の鉄元素濃度(mg/l)〕/〔完全に溶解した時の鉄元素の濃度(mg/l)〕×100
各サンプルのFeO含有量は、残りの濾液25mlに脱イオン水約75mlを加えて試料を調製して、指示薬としてジフェニルアミンスルホン酸ナトリウムを加えて、0.1N重クロム酸カリウムを用いて酸化還元滴定し、該試料が青紫色に着色したところを終点として滴定量を求め、下記式によりFeOの鉄元素に対する比率(質量%)を求めた。
FeO(質量%)=〔滴定量から計算したFe2+(mg/l)〕×〔FeOの原子量(71.85)〕/〔鉄原子量(55.85)〕/〔サンプル中の鉄元素量(mg/l)〕×100
粒子表面から10質量%中における総Fe量に対するFeOの割合、及び残りの90質量%中における総Fe量に対するFeOの割合は、各部位に含有されるFeO含有量を各部位に含有されるFe量に対する割合(質量%)で求めた。そして、下記式にて表面/内部FeO比を求めた。
表面/内部FeO比=(粒子表面から10質量%中における総Fe量に対するFeOの割合)/(残りの90質量%中における総Fe量に対するFeOの割合)
(7)60℃、90%RHでの1週間曝露前後のFeO含有量及び劣化率
過マンガン酸カリウム標準液による酸化還元滴定法を用いて、予め試料のFeO含有率を測定した。次に試料を時計皿に入れ、通風型乾燥機(タバイエスペック製オーブン、PH−201型)にて、60℃、90%RHの環境下で1週間曝露し、再びFeO含有率を測定し、下式に従ってFeO劣化率を算出した。
FeO劣化率(%)={〔曝露前FeO含有率(質量%)〕−〔曝露後FeO含有率(質量%)〕}/〔曝露前FeO含有率(質量%)〕×100
【0036】
〔比較例1〕
表1に示されるように、硫酸チタニル水溶液を用いない以外は、実施例1と同様にマグネタイト粒子を製造した。また、実施例1と同様に各種性状及び特性を評価した結果を表2に示す。
【0037】
〔比較例2〕
表1に示されるように、硫酸チタニル水溶液を硫酸第一鉄水溶液に混合する際のpHと温度を変更した以外は、実施例1と同様にマグネタイト粒子を製造した。また、実施例1と同様に各種性状及び特性を評価した結果を表2に示す。
【0038】
〔比較例3及び4〕
表1に示されるように、硫酸チタニル水溶液の混合量を変更した以外は、実施例1と同様にマグネタイト粒子を製造した。また、実施例1と同様に各種性状及び特性を評価した結果を表2に示す。
【0039】
〔比較例5〕
表1に示されるように、硫酸チタニル水溶液を混合する代わりに、ケイ酸ソーダを含む水溶液を混合した以外は、実施例1と同様にマグネタイト粒子を製造した。また、実施例1と同様に各種性状及び特性を評価した結果を表2に示す。
【0040】
〔比較例6〕
表1に示されるように、硫酸チタニル水溶液を混合する代わりに、酸化鉄粒子反応終了後、硫酸亜鉛水溶液を反応スラリー中に添加し、反応スラリーpHを9.5に調整した以外は、実施例1と同様にマグネタイト粒子を製造した。また、実施例1と同様に各種性状及び特性を評価した結果を表2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
表2から明らかな通り、実施例1のマグネタイト粒子は、表面/内部FeO比が高く維持できており、黒色度や色相に優れ、かつ高温高湿下でのFeO劣化も抑制されたものであった。
【0044】
これに対し、比較例1のマグネタイト粒子は、チタン成分を含有していないため、表面FeO量が低く、色相に劣り、高温高湿下でのFeO劣化も大きかった。
【0045】
また、比較例2のマグネタイト粒子は、チタン酸塩を添加する第一鉄塩水溶液のpHが高かったため、チタン成分が加水分解し、粒子内での価数4価のチタン成分の均一化が行えず、その結果、表面/内部FeO比が低く、色相不足で、高温高湿下でのFeO劣化も大きかった。
【0046】
また、比較例3のマグネタイト粒子は、チタン含有量が0.2質量%と少ないために、粒子表面近傍のチタン含有量が少なくなり、表面/内部FeO比を高く維持できず、高温高湿下でのFeO劣化も実施例1に比べて大きかった。
【0047】
また、比較例4のマグネタイト粒子は、チタン含有量が1.6質量%と多く、粒子表面近傍にチタン成分が過剰に存在するために、黒色度及び色相が不良であった。
【0048】
また、比較例5のマグネタイト粒子は、チタン成分の代わりにケイ素成分を含有しているため、高温高湿下でのFeO劣化率が著しく劣った。
【0049】
また、比較例6のマグネタイト粒子は、チタン成分の代わりに亜鉛成分を含有しているため、FeOの劣化率は良好であるが、黒色度及び色相が不良であった。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のマグネタイト粒子は、粒子表面のFeO量が粒子内部のFeO量に相対して高いことに起因して、環境負荷の低いマグネタイト粒子でありながら、黒色度が高く、耐環境性に優れており、特に静電複写磁性トナー用材料粉、塗料用黒色顔料粉等の用途に好適である。
Claims (6)
- 粒子中にチタンが、マグネタイト粒子総量に対して、0.3〜1.5質量%含有されており、かつ粒子表面から10質量%中における総Fe量に対するFeOの割合(A%)と、残りの90質量%中における総Fe量に対するFeOの割合(B%)との比A/Bが0.7〜1であるマグネタイト粒子。
- BET法による比表面積が10〜15m2 /gである請求項1に記載のマグネタイト粒子。
- 粒子形状が八面体状である請求項1又は2に記載のマグネタイト粒子。
- Al、Si、P、S、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Mgを随伴不純物として含み、その総含有量が1質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のマグネタイト粒子。
- JIS K5101−1991に準拠した粉体の黒色度及び色相測定において、色差計によるL値が20以下、a値が0.1以下、b値が0.1以下である請求項1〜4のいずれかに記載のマグネタイト粒子。
- 60℃、90%RHでの1週間曝露後のFeO劣化率が10%以下である請求項1〜5のいずれかに記載のマグネタイト粒子。
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