JP4150881B2 - 黒色磁性酸化鉄粒子粉末 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、黒色度及び帯電性能に優れ、しかも、低温低湿及び高温高湿などの雰囲気下でも帯電量を安定して維持できる環境安定性に優れた黒色磁性酸化鉄粒子粉末に関するものである。
【0002】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末は黒色であることから、塗料用、樹脂用、印刷インキ等の黒色着色顔料として使用することができ、殊に、磁性トナー用の黒色磁性粒子として好適である。
【0003】
【従来の技術】
マグネタイト粒子粉末は、代表的な黒色顔料であり、塗料用、印刷インク用、化粧品用、ゴム・樹脂組成物用等の着色剤として古くから汎用されている。
【0004】
特に、樹脂中にマグネタイト粒子粉末等の黒色磁性酸化鉄粒子粉末を混合分散させた複合体粒子を現像剤として用いる一成分系磁性トナーに多用されている。
【0005】
近時、レーザービームプリンターやデジタル複写機の高速化や高画質化に伴って、現像剤である磁性トナーの特性向上が強く要求されており、その為には、磁性トナーが十分な黒色度を有し、帯電性能がより向上し、更に、環境安定性、殊に、温度や湿度によって帯電量が変動することなく安定していることが強く要求される。
【0006】
そこで、黒色磁性酸化鉄粒子粉末についても、前記磁性トナーに対する要求を満足させるために、更に一層の特性改善が強く望まれている。
【0007】
即ち、黒色度、帯電性能及び環境安定性に優れた磁性トナーを得るためには、黒色磁性酸化鉄粒子粉末が十分な黒色度及び適度なFeO含有量を有し、分散性及び電気的特性がより優れており、しかも、環境安定性に優れていることが要求されている。
【0008】
黒色磁性酸化鉄粒子粉末の黒色度は、黒色磁性酸化鉄粒子中のFe2+(FeO)含有量に依存して変化することが知られており、黒色度に優れた粒子を得るためには、FeO含有量が多いことが必要である。
【0009】
一方、電気的特性の観点からいえば、黒色磁性酸化鉄粒子粉末中のFeO含有量は少ない方が好ましい。即ち、黒色磁性酸化鉄粒子粉末の電気抵抗値は該粒子粉末中のFeO含有量に依存して変化し、FeO含有量が多い場合には、電気抵抗が低くなり、磁性トナーでは使用できなくなる。そこで、適度な黒色度を有し、且つ、電気抵抗が高いことが必要とされている。
【0010】
また、磁性トナーの帯電性能は、磁性トナー表面に露出している黒色磁性酸化鉄粒子の表面状態に大きく依存する。特に、前述の通り、黒色磁性酸化鉄粒子中のFeOは磁性トナーとしての電気抵抗を低下させるため、その含有量及び粒子中での存在分布は磁性トナーの帯電性能を大きく左右するものである。この事実は、特開平4−338971号公報に「磁性酸化鉄中のFeO含有量よりも、磁性酸化鉄の表面層におけるFe(II)の分布状態が、トナーの様々な環境下における摩擦耐電量の安定に寄与する…」と記載されている通りである。
【0011】
黒色磁性酸化鉄粒子粉末の分散性は、該粒子粉末の表面状態に大きく依存することから、黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子表面をケイ素化合物又はアルミニウム化合物などで被覆することによって、黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子表面を改善し分散性の向上が試みられている。また、黒色磁性酸化鉄粒子粉末は微粒子であるため磁気的凝集を起こしやすく、樹脂との混合性を低下させるため、それを抑制することが要求されている。
【0012】
また、低温低湿や高温高湿等の環境の変化に対しても常に安定した特性を発揮することが望まれていることから、環境安定性に優れ、磁性トナーの帯電量が常に安定化していることが強く望まれている。
【0013】
従来、黒色磁性酸化鉄粒子中に鉄以外の異種元素を含有させること及び黒色磁性酸化鉄粒子を複数の層で被覆することによって諸特性を向上させる試みがなされている。(特開平7−240306号公報、特開平7−267646号公報、特開平8−48524号公報、特開平8−50369号公報、特開平8−101529号公報、特開平11−157843号公報、特開平11−189420号公報、特開平11―314919号公報、特開2000−239021号公報、特開2000−272923号公報、特開2000−335920号公報、特開2000−335921号公報、特開2000−344527号公報、特開2000−344528号公報、特開2000−10821号公報等)。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
前記諸特性を満たす黒色磁性酸化鉄粒子粉末は現在最も要求されているところであるが、未だ得られていない。
【0015】
即ち、前出特開平7−240306号公報には、粒子内部にケイ素を含有し、粒子表面にシリカとアルミナの共沈物が存在し、更に該共沈物上にFe、Ti、Zr、Si、Alから選ばれた元素の非磁性酸化物微粒子又は非磁性含水酸化物微粒子が固着されている磁性粒子粉末が記載されているが、最外層が非磁性粒子粉末であってフェライトを形成するものではなく、環境安定性に優れるとは言い難いものである。
【0016】
前出特開平7−267646号公報には、マグネタイト粒子の外殻部にZn、Mn、Cu、Ni、Co、Mg、Cd、Al、Cr、V、Mo、Ti、Snから選ばれる少なくとも一種の金属元素を含有させることが記載されているが、3相構造を有しておらず、電気抵抗値が低いだけでなく、帯電の立ち上がり及び帯電性の安定性が十分とは言い難いものである。
【0017】
前出特開平8−48524号公報には、粒子表面に鉄−亜鉛酸化物の薄膜が被覆され、その上に鉄−ケイ素酸化物の薄膜が被覆されているマグネタイト粒子が記載されているが、3相構造を有しておらず、また、最外層が異種金属元素を含有するスピネル型酸化鉄ではないことから電気抵抗値が低いだけでなく、帯電の立ち上がり及び帯電性の安定性が十分とは言い難いものである。
【0018】
前出特開平8−50369号公報には、ケイ素が表面に偏在し、且つ、Zn、Mg又はMnを含有する磁性粒子粉末が記載されているが、3相構造を有していないことから電気抵抗値が低いだけでなく、帯電の立ち上がり及び帯電性の安定性が十分とは言い難いものである。また、吸湿性の観点から環境安定性に優れるとは言い難いものである。
【0019】
前出特開平8−101529号公報には、鉄−亜鉛酸化物の薄膜で被覆された磁性粒子粉末が記載されているが、3相構造を有していないことから電気抵抗値が低いだけでなく、帯電の立ち上がり及び帯電性の安定性が十分とは言い難いものである。また、吸湿性の観点から環境安定性に優れるとは言い難いものである。
【0020】
前出特開平11−157843号公報には、粒子の中心から表面へ連続的にケイ素成分を含有し、粒子表面にケイ素成分が露出し、且つ、ケイ素成分と結合したZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Tiの中から選ばれた金属成分からなる金属化合物によって粒子外殻を被覆したマグネタイト粒子が記載されているが、粒子内部に金属成分を含有しておらず、また、中間層を有していないので、帯電量の立ち上がりの良い磁性粒子粉末とは言い難いものである。
【0021】
前出特開平11−189420号公報には、粒子の中心から表面へ連続的にケイ素成分とアルミニウム成分とを含有し、粒子表面にはケイ素成分及びアルミニウム成分が露出し、且つ、ケイ素成分及びアルミニウム成分と結合したZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Sn、Mg、Tiの中から選ばれた金属成分からなる金属化合物によって粒子外殻を被覆したマグネタイト粒子が記載されているが、粒子内部に金属成分を含有しておらず、また、中間層を有していないので、帯電量の立ち上がりが良い磁性粒子粉末とは言い難いものである。
【0022】
前出特開平11−314919号公報には、アルミナの水和物又はアルミナゾルを含む第一層で被覆され、更に、当該第一層の表面がコロイダルシリカを原料とするシリカ粒子からなる第二層で被覆されているマグネタイト粒子が記載されているが、フェライトによる被覆ではないことから電気抵抗値が低く、帯電の立ち上がり及び帯電性の安定性が十分とは言い難いものである。また、吸湿性の観点から環境安定性に優れるとは言い難いものである。
【0023】
前出特開2000−239021号公報には、AlとFeの複合酸化鉄層によって被覆された酸化鉄粒子粉末が記載されているが、3相構造を有していないことから電気抵抗値が低いだけでなく、帯電の立ち上がり及び帯電性の安定性が十分とは言い難いものである。
【0024】
前出特開2000−272923号公報には、粒子の中心から表面へ連続的にケイ素成分を含有し、ケイ素成分と結合したZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Tiの中から選ばれた金属成分からなる金属化合物によって外殻が被覆され、且つ、ケイ素成分が露出した芯部分に、Al成分を被覆した酸化鉄粒子が記載されているが、金属成分は外殻に存在し、異種金属元素を含有しない中間層を有しておらず、また、残留磁化と保磁力が低く、電気抵抗が高く帯電量の調整ができるマグネタイトが開示されているが、これは帯電の立ち上がりが十分とは言い難いものである。
【0025】
前出特開2000−335920号公報には、粒子中にMg、Na、K、Ca、Li、Ti、S、Al、Si、B、Cのうち少なくとも1種類以上含有し、粒子表面より80wt%以内の部位に含有される上記元素の総量が、上記粒子中に含まれる元素の総量に対して95wt%以上である酸化鉄粒子粉末が記載されているが、これは低比重の磁性粒子を得るためのものであり、帯電性能が十分とは言い難いものである。
【0026】
前出特開2000−335921号公報には、鉄とケイ素とAl、Ce、Mo、W、Pから選ばれる一種以上の元素とを含有する複合酸化物の薄膜で被覆された酸化鉄粒子が記載されているが、中間層が存在しないため、帯電の立ち上がりが十分とは言い難いものである。
【0027】
前出特開2000−344527号公報には、SiとFeの複合酸化鉄が粒子表面に存在する酸化鉄粒子が記載されており、また、特開2000−344528号公報には、下層がSiとFeの複合酸化鉄にて被覆され、上層がAl成分にて被覆されている酸化鉄粒子が記載されているが、いずれも異種金属元素を含むフェライトで被覆されていないことから、環境安定性に優れているとは言い難いものである。
【0028】
前出特開2001−10821号公報には、粒子表面に亜鉛と鉄との複合酸化物を有し、更に、該複合酸化物層の上に亜鉛と鉄との複合酸化物層又は亜鉛化合物層を有する酸化鉄粒子が記載されているが、同様の層を2層被覆させるため、帯電性能に優れているとは言い難いものである。
【0029】
そこで、本発明は、黒色度及び帯電性能、殊に、帯電の立ち上がりに優れ、しかも環境安定性に優れた黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得ることを技術的課題とする。
【0030】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0031】
即ち、本発明は、平均粒子径0.05〜1.0μmの黒色粒状スピネル型酸化鉄粒子であって、該黒色粒状スピネル型酸化鉄粒子は、芯部分と表層部分と該表層部分と芯部分との間に中間層とからなる三相構造を有していると共に、前記芯部分と前記表層部分の各部分に粒子の全Feに対して0.1〜10重量%のMn、Zn、Cu、Ni、Cr、Cd、Sn、Mg、Ti、Ca及びAlから選ばれたFe以外の異種金属元素の一種又は二種以上を含有しており、且つ、中間層中にFe以外の前記異種金属元素を含んでいないことを特徴とする黒色磁性酸化鉄粒子粉末である。
【0032】
また、本発明は、黒色磁性酸化鉄粒子粉末のa*が1.0以下であることを特徴とする前記黒色磁性酸化鉄粒子粉末である。
【0033】
また、本発明は、ケイ素化合物が黒色磁性酸化鉄粒子粉末の中間層、表層部分、中間層及び表層部分に存在していることを特徴とする前記黒色磁性酸化鉄粒子粉末である。
【0034】
次に、本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
【0035】
まず、本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末について述べる。
【0036】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、芯部分と表層部分と該表層部分と芯部分との間に中間層とからなる三相構造を有していると共に、前記芯部分と前記表層部分の各部分に粒子中の全Feに対して0.1〜10重量%のMn、Zn、Cu、Ni、Cr、Cd、Sn、Mg、Ti、Ca及びAlから選ばれたFe以外の異種金属元素の一種又は二種以上(以下、「異種金属元素」という。)を含有しており、且つ、中間層にFe以外の前記異種金属元素を含んでいない粒子からなる。
【0037】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子形状は、六面体状、八面体状、多面体状、粒状、球状等である。
【0038】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末の芯部分とは、粒子の中心から異種金属元素を含有していない中間層までの異種金属元素を含有するスピネル型酸化鉄からなる相である。中間層とは、芯部分の外部に存在する異種金属元素を含有しないスピネル型酸化鉄からなる相である。また、表層部分とは、異種金属元素を含有しない中間層の表面に存在する異種金属元素を含有するスピネル型酸化鉄からなる相である。
【0039】
芯部分及び表層部分における異種金属元素の含有量は、それぞれ、粒子全体のFeに対して各元素換算で0.1〜10wt%が好ましく、より好ましくは0.1〜8.0wt%、更により好ましくは0.1〜5.0wt%である。0.1wt%未満の場合には電気抵抗値が低く、良好な帯電性能が得られない。10wt%を超える場合には黒色度が低下する。
【0040】
また、芯部分及び表層部分において、異種金属元素は各層内において均一に含有させても、また、濃度勾配をつけても良い。
【0041】
なお、本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子全体での異種金属元素の含有量は、全重量に対して元素換算で0.1〜20wt%が好ましく、より好ましくは0.1〜10wt%である。
【0042】
中間層は、実質的に異種金属元素を含まない。しかしながら、通常、原料などには異種金属元素が不純物として含まれることがあるため、不可避的な不純物として異種金属元素が中間層に含まれる場合には、その含有量は100ppm以下であることが好ましい。
【0043】
また、本発明の黒色磁性酸化鉄粒子における表層部分、中間層および芯部分の量(深さ)は、後出する黒色磁性酸化鉄粒子の粒子表面からの鉄元素溶解率(%)によって表す。表層部分と中間層との境界は、粒子表面からの鉄元素溶解率が2〜40%、好ましくは4〜30%の範囲に存在する。中間層と芯部分との境界は、粒子表面からの鉄元素溶解率が通常10〜70%の範囲に存在する。即ち、表層部分は最大で粒子表面からの鉄元素溶解率で40%までであり、芯部分は最大で粒子表面からの鉄元素溶解率で10%から粒子の中心部(粒子表面からの鉄元素溶解率が100%に相当する)までであり、中間層は残部であって、粒子表面からの鉄元素溶解率が2%以上70%未満に相当する部分であることが好ましく、4%以上70%未満に相当する部分であることがより好ましい。表層部分、中間層および芯部分が前記範囲外の場合には、十分な黒色度及び良好な帯電性能を有する黒色磁性酸化鉄粒子を得ることが困難となる。
【0044】
なお、本発明においては、中間層及び表層部分を構成する黒色スピネル型酸化鉄はいずれも、層状構造を形成したものでも、多数の微粒子が集合して微粒子層構造を形成したものでもどちらでもよい。
【0045】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子においては、粒子の中間層、表層部分または中間層及び表層部分にケイ素元素を含有していてもよい。ケイ素元素の量は、黒色磁性酸化鉄粒子に対しSiO2換算で0.05〜5wt%であることが好ましい。殊に、表層部分中にケイ素化合物が存在する場合には、黒色磁性酸化鉄粒子の流動性が向上すると共に、磁性トナーにした場合にも流動性が向上するので好ましい。但し、ケイ素化合物が過剰に存在する場合には、吸湿性が高くなると共に、電気抵抗値も低下するので好ましくない。
【0046】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末は平均粒子径が0.05〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.5μmである。0.05μm未満の場合には黒色磁性酸化鉄粒子相互間の凝集力が大きく分散性が困難となる。1.0μmを超える場合には、一個の磁性トナー粒子中に含まれる磁性粒子の個数が少なくなり、各磁性トナー粒子について磁性粒子の分布に偏りが生じ易く、その結果、磁性トナーの帯電性能の均一性が損なわれる。
【0047】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末のa*は1.0以下であることが好ましい。a*が1.0を超える場合には、赤みが大きくなり、黒色度が低下するため好ましくない。なお、下限値は−1.0程度である。
【0048】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子の粒子全体のFeO含有量は16.0〜28.0重量%が好ましい。FeO含有量が16.0重量%未満の場合には黒色度が低下する。28.0重量%を越える場合には電気抵抗が低下する。
【0049】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末のBET比表面積値は3〜18m2/gが好ましく、より好ましくは3.0〜15.0m2/gである。
【0050】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末の飽和磁化値σsは70.0〜95.0Am2/kg(70.0〜95.0emu/g)が好ましく、より好ましくは75.0〜95.0Am2/kg(75.0〜95.0emu/g)である。
【0051】
本発明に係る磁性酸化鉄粒子粉末の電気抵抗値は1×106Ω・cm以上が好ましく、より好ましくは1×107Ω・cm以上である。
【0052】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末の後出する方法によって測定した帯電量の飽和時間は、10分以下が好ましく、より好ましくは5分以下である。
【0053】
また、本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子表面は下記(1)〜(3)の化合物で被覆されていてもよい
【0054】
(1)疎水基を有する有機化合物。
(2)アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる少なくとも一種からなる化合物。
(3)Al、Si、Zr及びTiから選ばれた元素の酸化物微粒子。
【0055】
前記(1)の疎水基を有する有機化合物により黒色磁性酸化鉄粒子の粒子表面の被覆することによって、磁性トナー用樹脂中での粒子の分散性が向上する。疎水基以外の官能基を有する有機化合物によって被覆した場合には、樹脂とのなじみが悪くなり、分散性が低下する。
【0056】
疎水基を有する有機化合物としては、チタネート系、シラン系等のカップリング剤又は汎用界面活性剤等が用いられる。
【0057】
疎水基を有するチタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
【0058】
疎水基を有するシラン系カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシラン、デシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0059】
汎用界面活性剤としては、周知のリン酸エステル系等のアニオン界面活性剤、脂肪酸エステル系等のノニオン界面活性剤、アルキルアミン等の天然油脂誘導体等が挙げられる。
【0060】
疎水基を有する有機化合物の被覆量は、黒色磁性酸化鉄粒子粉末100重量部に対して、0.5〜5.0重量部、好ましくは1〜4.0重量部である。0.5重量部未満の場合には、黒色磁性酸化鉄粒子の疎水化が不十分であるので、樹脂に対するなじみ性の改良が困難である。5.0重量部を超える場合には、磁性に関与しない成分が増加することによって磁性粒子の飽和磁化値が減少し磁性トナー用粒子として好ましいとは言い難い。
【0061】
疎水基を有する有機化合物で表面処理された黒色磁性酸化鉄粒子粉末のa*は1.0以下が好ましく、粒子全体のFeO含有量は16.0〜28.0重量%が好ましく、BET比表面積値は3〜18m2/gが好ましく、より好ましくは3.0〜15.0m2/gであり、飽和磁化値は60.0〜95.0Am2/kg(60.0〜95.0emu/g)が好ましく、より好ましくは65.0〜95.0Am2/kg(65.0〜95.0emu/g)であり、電気抵抗値は1×106Ω・cm以上が好ましく、より好ましくは1×107Ω・cm以上であり、帯電量の飽和時間は10分以下が好ましく、より好ましくは5分以下であり、吸液量は通常15ml/100g以下が好ましく、より好ましくは10ml/100g以下であり、スチレン−アクリル樹脂混練物の樹脂膜面の20°光沢値は85%以上が好ましく、より好ましくは90%以上である。
【0062】
前記(2)のアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる少なくとも一種からなる化合物により黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子表面を被覆することによって、樹脂とのなじみがよくなり、より分散性が向上する。
【0063】
アルミニウムの水酸化物又はアルミニウムの酸化物による被覆量は、黒色磁性酸化鉄粒子に対してAl元素として0.01〜0.5重量%が好ましい。0.01重量%未満の場合には、表面被覆効果が得られない。0.5重量%を超える場合には、アルミニウム化合物で被覆された黒色磁性酸化鉄粒子の吸湿性が高くなるため、電気的特性が低下する。好ましくは0.05〜0.3重量%である。
【0064】
ケイ素の水酸化物又はケイ素の酸化物による被覆量は、黒色磁性酸化鉄粒子粉末に対してSiO2換算で0.01〜0.5重量%が好ましい。0.01重量%未満の場合には、表面被覆効果が得られない。0.5重量%を超える場合には、ケイ素化合物で被覆された黒色磁性酸化鉄粒子の吸湿性が高くなるため、電気的特性が低下する。好ましくは0.05〜0.3重量%である。
【0065】
アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる少なくとも一種からなる化合物で被覆された黒色磁性酸化鉄粒子のa*は1.0以下が好ましく、粒子全体のFeO含有量は16.0〜28.0重量%が好ましく、BET比表面積値は3〜23m2/gが好ましく、より好ましくは3.0〜20.0m2/gであり、飽和磁化値は70.0〜95.0Am2/kg(70.0〜95.0emu/g)が好ましく、より好ましくは75.0〜95.0Am2/kg(75.0〜95.0emu/g)であり、電気抵抗値は1×106Ω・cm以上が好ましく、より好ましくは1×107Ω・cm以上であり、帯電量の飽和時間は10分以下が好ましく、より好ましくは5分以下であり、圧縮度は通常50以下が好ましく、より好ましくは45以下であり、吸油量は通常20ml/100g以下が好ましく、より好ましくは18ml/100g以下である。
【0066】
前記(3)のAl、Si、Zr及びTiから選ばれた元素の酸化物微粒子を黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子表面に付着することによって、流動性および分散性が向上する。
【0067】
本発明における酸化物微粒子としては、Al、Si、Zr及びTiから選ばれた元素の酸化物微粒子又はこれらの混合微粒子を使用することが出来る。黒色磁性酸化鉄粒子の粒子表面への付着する酸化物微粒子の粒径は通常5〜100nm、好ましくは5〜50nmである。
【0068】
本発明における前記酸化物微粒子の付着量は、黒色磁性酸化鉄粒子に対して酸化物換算で0.1〜5.0重量%、好ましくは0.25〜4.0重量%、更に好ましくは0.5〜3.0重量%である。0.1重量%未満の場合には、磁性粒子の流動性を改良することが困難であり、その結果、磁性トナーの流動性を改良することができない。5.0重量%を越える場合には、高温高湿の環境下において黒色磁性酸化鉄粒子の吸着水分量が増加し、その結果、磁性トナーの流動性も低下する傾向がある。また、磁性に関与しない酸化物微粒子が増加することによって磁性粒子の飽和磁化値はもちろん、磁性トナーの磁化値も低下する傾向がある。
【0069】
Al、Si、Zr及びTiから選ばれた元素の酸化物微粒子が付着した黒色磁性酸化鉄粒子粉末のa*は1.0以下が好ましく、粒子全体のFeO含有量は16.0〜28.0重量%が好ましく、BET比表面積値は3〜23m2/gが好ましく、より好ましくは3.0〜20.0m2/gであり、飽和磁化値は70.0〜95.0Am2/kg(70.0〜95.0emu/g)が好ましく、より好ましくは75.0〜95.0Am2/kg(75.0〜95.0emu/g)であり、電気抵抗値は1×106Ω・cm以上が好ましく、より好ましくは1×107Ω・cm以上であり、帯電量の飽和時間は10分以下が好ましく、より好ましくは5分以下であり、圧縮度は50以下が好ましく、より好ましくは45以下であり、吸油量は20ml/100g以下が好ましく、より好ましくは18ml/100g以下である。
【0070】
また、前記(3)に記載の酸化物微粒子の粒子表面がメチルシラン、トリメチルシラン及びオクチルシランから選ばれる1種又は2種以上のシラン化合物によって表面被覆された酸化物微粒子(以下、シラン化合物処理済酸化物微粒子という。)を黒色磁性酸化鉄粒子の粒子表面に付着させた場合は、分散性をより向上させることが出来ると共にシラン化合物の撥水性により電気抵抗値をより高めることが出来る。
【0071】
シラン化合物処理済酸化物微粒子の付着量は、黒色磁性酸化鉄粒子に対して0.1〜5.0重量%、好ましくは0.5〜3.0重量%である。0.1重量%未満の場合には、流動性をより改良することが困難であり、その結果、磁性トナーの流動性もより改良できない。5.0重量%を越える場合にも、本発明の目的とする効果が得られるが磁性に関与しない成分が増加することによって磁性粒子の飽和磁化値が減少し、磁性トナー用として好ましいとは言い難い。
【0072】
シラン化合物処理済酸化物微粒子が付着した黒色磁性酸化鉄粒子粉末のa*は1.0以下であり、粒子全体のFeO含有量は16.0〜28.0重量%が好ましく、BET比表面積値は3〜23m2/gが好ましく、より好ましくは3.0〜20.0m2/gであり、飽和磁化値は60.0〜95.0Am2/kg(60.0〜95.0emu/g)が好ましく、より好ましくは65.0〜95.0Am2/kg(65.0〜95.0emu/g)であり、電気抵抗値は1×106Ω・cm以上が好ましく、より好ましくは1×107Ω・cm以上であり、帯電量の飽和時間は10分以下が好ましく、より好ましくは5分以下であり、圧縮度は50以下が好ましく、より好ましくは45以下であり、吸油量は20ml/100g以下が好ましく、より好ましくは18ml/100g以下である。
【0073】
次に、本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末の製造法について述べる。
【0074】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、目的とする粒子形状、粒子径及び異種金属元素の含有量によって種々の製造法によって製造することができる。
【0075】
即ち、▲1▼第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液と最終生成物に対して0.1〜10重量%のMn、Zn、Cu、Ni、Cr、Cd、Sn、Mg、Ti、Ca及びAlから選ばれた一種又は二種以上のFe以外の異種金属元素を含む水溶液とを反応して得られたFe以外の前記異種金属元素を含有する水酸化第一鉄塩コロイドを含む第一鉄塩反応溶液に酸素含有ガスを通気することによりFe以外の前記異種金属元素を含む黒色スピネル型酸化鉄粒子を芯部分として生成させ、次いで、該芯部分を含有する第一鉄塩反応溶液に残存Fe2+に対してアルカリ水溶液を添加して酸素含有ガスを通気することにより、前記芯部分の粒子表面にスピネル型酸化鉄からなる中間層を形成させ、次いで、Fe2+が残存している状態で最終生成物に対して0.1〜10重量%のFe以外の前記異種金属元素を含む水溶液を更に添加することにより、前記中間層の表面にFe以外の前記異種金属元素を含有するスピネル型酸化鉄からなる表層部分を形成させる製造法、
▲2▼第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液と前記第一鉄塩水溶液中のFe2+に対して0.1〜10重量%のMn、Zn、Cu、Ni、Cr、Cd、Sn、Mg、Ti、Ca及びAlから選ばれた一種又は二種以上のFe以外の異種金属元素を含む水溶液とを反応して得られたFe以外の前記異種金属元素を含有する水酸化第一鉄塩コロイドを含む反応溶液に酸素含有ガスを通気することによりFe以外の前記異種金属元素を含む黒色スピネル型酸化鉄粒子を芯部分として生成させ、次いで、該芯部分を含有する反応溶液に第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液を添加して酸素含有ガスを通気することにより、前記芯部分の粒子表面にスピネル型酸化鉄からなる中間層を形成させ、次いで、粒子表面に中間層が形成されている芯部分を含む第一鉄塩反応溶液に、アルカリ水溶液と最終生成物に対して0.1〜10重量%のFe以外の前記異種金属元素とを添加して酸素含有ガスを通気することにより、前記中間層の表面にFe以外の前記異種金属元素を含有するスピネル型酸化鉄からなる表層部分を形成させる製造法、
▲3▼第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液と最終生成物に対して0.1〜20重量%のMn、Zn、Cu、Ni、Cr、Cd、Sn、Mg、Ti、Ca及びAlから選ばれた一種又は二種以上のFe以外の異種金属元素を含む水溶液とを反応して得られたFe以外の前記異種金属元素を含有する水酸化第一鉄塩コロイドを含む第一鉄塩反応溶液に酸素含有ガスを通気することにより、Fe以外の前記異種金属元素を含む黒色スピネル型酸化鉄粒子を芯部分として生成させ、次いで、該芯部分を含有する第一鉄塩反応溶液にアルカリ水溶液を添加して酸素含有ガスを通気することにより、前記芯部分の粒子表面にスピネル型酸化鉄からなる中間層を形成させ、次いで、粒子表面に中間層が形成されている芯部分を含む反応溶液に第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液と最終生成物に対して0.1〜20重量%のFe以外の前記異種金属元素とを添加して酸素含有ガスを通気することにより、前記中間層の表面にFe以外の前記異種金属元素を含有するスピネル型酸化鉄からなる表層部分を形成させる製造法、
▲4▼第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液と前記第一鉄塩水溶液中のFe2+に対して0.1〜10重量%のMn、Zn、Cu、Ni、Cr、Cd、Sn、Mg、Ti、Ca及びAlから選ばれた一種又は二種以上のFe以外の異種金属元素を含む水溶液とを反応して得られたFe以外の前記異種金属元素を含有する水酸化第一鉄塩コロイドを含む第一鉄塩反応溶液に酸素含有ガスを通気することにより、Fe以外の前記異種金属元素を含む黒色スピネル型酸化鉄粒子を芯部分として生成させ、次いで、該芯部分を含有する反応溶液に第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液とを添加して酸素含有ガスを通気することにより、前記芯部分の粒子表面にスピネル型酸化鉄からなる中間層を形成させ、次いで、粒子表面に中間層が形成されている芯部分を含む反応溶液に第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液と最終生成物に対して0.1〜10重量%のFe以外の前記異種金属元素とを添加して酸素含有ガスを通気することにより、前記中間層の表面にFe以外の前記異種金属元素を含有するスピネル型酸化鉄からなる表層部分を形成させる製造法等によって製造することができる。
【0076】
本発明における第一鉄塩水溶液としては、硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等を使用することができる。
【0077】
本発明におけるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属からなる水酸化物の水溶液、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属からなる水酸化物の水溶液、また、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸アルカリ水溶液及びアンモニア水等を使用することができる。
【0078】
本発明における異種金属元素を含有する水溶液としては、各種金属元素の炭酸塩、硝酸塩、塩化物、硫酸塩等を使用することができる。異種金属元素を含有する水溶液の添加は、反応初期であっても、反応中であってもよい。
【0079】
芯部分の生成反応において使用するアルカリ水溶液の量は、前記各製造法及び目的とする粒子形状を得るためのpHとなる様に最適量を選択すればよい。例えば、第一鉄塩水溶液中のFe2+に対して当量比で0.5〜0.95のアルカリ水溶液を添加した場合には、反応中のpH値を制御することによって、球状、六面体及び多面体粒子を得ることができる。また、当量以上のアルカリ水溶液を添加した場合には、八面体粒子を得ることができる。
【0080】
酸化は酸素含有ガス(例えば、空気)を液中に通気することにより行う。
【0081】
前記芯部分を生成させた反応溶液に前記各製造法に従って、各水溶液を添加し酸化反応を行って、芯部分の表面にスピネル型酸化鉄からなる中間層を形成する。
【0082】
また、中間層を形成する際の反応溶液のpH値を制御することによって生成するスピネル型酸化鉄を微粒子層構造又は層状構造に形成することができる。即ち、反応溶液のpH値が6.0以上8.0未満で酸化反応を行った場合には、形成される相は微粒子の集合体からなる微粒子層構造となり、pH値が8.0以上で酸化反応を行った場合には形成される相が層状構造となる。
【0083】
芯部分の粒子表面に異種金属元素を含有しないスピネル型酸化鉄からなる中間層の形成反応が終了した後、前記各製造法に従って、各水溶液を添加し酸化反応を行って、異種金属元素を含有するスピネル型酸化鉄からなる表層部分を形成する。
【0084】
異種金属元素を含有する水溶液は前記と同様のものを使用することができる。異種金属元素を含有する水溶液の添加は、反応初期であっても、反応中であってもよい。
【0085】
また、表層部分形成時の反応溶液のpH値を制御することによって生成する異種金属元素を含有するスピネル型酸化鉄を微粒子層構造又は層状構造に形成することができる。即ち、反応溶液のpH値が5.0以上8.0未満で酸化反応を行った場合には、形成される相は微粒子の集合体からなる微粒子層構造となり、pH値が8.0以上で酸化反応を行った場合には形成される相が層状構造となる。なお、微粒子が芯部分の表面に集合せず、単独で存在する場合には、本発明の効果が得られない。
【0086】
本発明における反応温度は70〜100℃である。70℃未満である場合には、針状ゲータイト粒子が混在してくる。100℃を越える場合も黒色スピネル型酸化鉄粒子は生成するが、オートクレーブ等の装置を必要とするため工業的に容易ではない。
【0087】
表層部分の形成反応を終了した後、水洗、乾燥して黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得る。
【0088】
ケイ素化合物を黒色磁性酸化鉄粒子粉末に存在させる場合には、中間層及び表層部分の各層を形成する際に添加することが好ましい。
【0089】
次に、前記(1)乃至(3)の黒色磁性酸化鉄粒子の表面処理の方法について述べる。
【0090】
前記(1)の疎水基を有する有機化合物による黒色磁性酸化鉄粒子の粒子表面の被覆は、黒色磁性酸化鉄粒子粉末と疎水基を有する有機化合物とを圧縮、せん断及びへらなで作用を有する混練処理装置によって混練することにより黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子表面に疎水基を有する有機化合物で被覆する。
【0091】
本発明において圧縮、せん断およびへらなで作用を有する混練処理装置としては、ホイール型混練機又はらいかい機が挙げられる。ホイール型混練機としては、シンプソンミックスマーラー、マルチマス、ストッツミル、逆流混練機、アイリッヒミル等が適用できるが、ウエットパンミル、メランジャー、ワールミックス及び速練機はいずれも圧縮及びへらなで作用のみでせん断作用を有しないので適用できない。
【0092】
混練時の線荷重は、黒色磁性酸化鉄粒子粉末の量及び疎水基を有する有機化合物の種類及び添加量によって適宜選択すればよいが、黒色磁性酸化鉄粒子10kgを処理する場合には30〜120kg/cmが好ましい。線荷重が30kg/cm未満の場合には、圧縮、せん断及びへらなで作用が不十分となり均一処理が困難となる。120kg/cmを超える場合は、黒色磁性酸化鉄粒子の粒子破壊により微粒子成分ができるため好ましくない。より好ましい線荷重は、30〜80kg/cmである。また、混練時間は30〜120分が好ましい
【0093】
前記(2)のアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる少なくとも一種からなる化合物による黒色磁性酸化鉄粒子の粒子表面の被覆は、黒色磁性酸化鉄粒子とアルミニウム化合物又はケイ素化合物とを含む水懸濁液のpH値を調整することによって粒子表面にアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる少なくとも一種の化合物を被覆させる。
【0094】
アルミニウム化合物としては、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩や、アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸アルカリ塩、アルミナゾル等が使用できる。
【0095】
ケイ素化合物としては、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、コロイダルシリカ等が使用できる。
【0096】
本発明における表面被覆された黒色磁性酸化鉄粒子粉末は前記被覆処理をした後、圧縮、せん断及びへらなで作用を有する前記混練処理装置を使用して混練することが好ましい。
【0097】
前記(3)のAl、Si、Zr及びTiから選ばれた元素の酸化物微粒子による黒色磁性酸化鉄粒子の粒子表面への付着は、黒色磁性酸化鉄粒子粉末と前記黒色磁性酸化鉄粒子粉末に対して酸化物換算で0.1〜5.0重量%のAl、Si、Zr及びTiから選ばれた元素の酸化物微粒子とを圧縮、せん断及びへらなで作用を有する前記混練装置を用いて混練することによって、粒子表面にAl、Si、Zr及びTiから選ばれた少なくとも1種の元素の酸化物微粒子を被覆する。
【0098】
酸化物微粒子は、上記混練に先立ってあらかじめ被処理粒子である黒色磁性酸化鉄粒子に直接添加するか、又は、黒色磁性酸化鉄粒子とAl、Si、Zr及びTiから選ばれた元素の化合物とを含む懸濁液中に、アルカリ水溶液又は酸性水溶液を添加することにより酸化物微粒子を沈澱させておいてもよい。
【0099】
混練時の線荷重は、黒色磁性酸化鉄粒子粉末の量及び酸化物微粒子の種類及び添加量によって適宜選択すればよいが、黒色磁性酸化鉄粒子粉末10kgを処理する場合には通常30〜120kg/cm、好ましくは30〜80kg/cmである。線荷重が30kg未満の場合には、添加した酸化物微粒子が処理される場合の圧縮、せん断及びへらなで作用が不十分となり均一処理が困難である。120kgを超える場合は、黒色磁性酸化鉄粒子の粒子破壊により微粒子成分ができるため好ましくない。
【0100】
また、混練時間は30〜120分が好ましく、より好ましくは30〜90分である。
【0101】
シラン化合物処理済酸化物微粒子で被覆されている酸化物微粒子の黒色磁性酸化鉄粒子の粒子表面への付着させる場合、酸化物微粒子の粒子表面がメチルシラン、トリメチルシラン及びオクチルシランから選ばれる1種又は2種以上のシラン化合物によって表面被覆された酸化物微粒子としては、市販のものを使用しても、酸化物微粒子とシラン化合物とを混練することにより得られた酸化物微粒子を使用してもよい。
【0102】
得られたシラン化合物処理済酸化物微粒子による黒色磁性酸化鉄粒子の表面処理は、前記(3)に記載の方法によって行う。
【0103】
次に、本発明における黒色磁性トナーについて述べる。
【0104】
本発明における黒色磁性トナーは、本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子及び結着剤樹脂からなり、必要に応じて離型剤、着色剤、荷電制御剤、その他の添加剤等を含有してもよい。
【0105】
黒色磁性トナーは、平均粒子径が通常3〜15μm、好ましくは5〜12μmである。
【0106】
結着剤樹脂と黒色磁性酸化鉄粒子との割合は、黒色磁性酸化鉄粒子100重量部に対して結着剤樹脂通常50〜900重量部、好ましくは50〜400重量部である。
【0107】
結着剤樹脂としては、スチレン、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステル等のビニル系単量体を重合又は共重合したビニル系重合体が使用できる。上記スチレン単量体としては、例えばスチレン及びその置換体がある。上記アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等がある。上記共重合体は、スチレン系成分を50〜95重量%含むことが好ましい。
【0108】
結着剤樹脂は、必要により、上記ビニル系重合体とともに、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂等を併用することができる。
【0109】
次に、本発明における黒色磁性トナーの製造法について述べる。
【0110】
本発明における黒色磁性トナーは、所定量の結着剤樹脂と所定量の黒色磁性酸化鉄粒子とを混合、加熱、混練、粉砕による公知の方法によって行うことができる。具体的には、黒色磁性酸化鉄粒子と結着剤樹脂とを、必要により更に離型剤、着色剤、荷電制御剤、その他の添加剤等を添加した混合物を混合機により十分に混合した後、加熱混練機によって結着剤樹脂中に黒色磁性酸化鉄粒子等を分散させ、次いで、冷却固化して樹脂混練物を得、該樹脂混練物を粉砕及び分級を行って所望の粒子サイズとすることにより得られる。
【0111】
前記混合機としては、ヘンシェルミキサー、ボールミル等を使用することが出来る。前記加熱混練機としては、ロールミル、ニーダー、二軸エクストルーダー等を使用することが出来る。前記粉砕は、カッターミル、ジェットミル等の粉砕機によって行うことができ、公知の風力分級等により行うことが出来る。
【0112】
黒色磁性トナーを得る他の方法として、懸濁重合法又は乳化重合法がある。懸濁重合法においては、重合性単量体と黒色磁性酸化鉄粒子とを、必要により更に、着色剤、重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤を添加した混合物を溶解又は分散させた単量体組成物を、懸濁安定剤を含む水相中に攪拌しながら添加して造粒し、重合させて所望の粒子サイズとすることにより得られる。乳化重合法においては、単量体と黒色磁性酸化鉄粒子とを、必要により更に着色剤、重合開始剤などを水中に分散させて重合を行う過程に乳化剤を添加することによって所望の粒子サイズとすることにより得られる。
【0113】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
【0114】
黒色磁性酸化鉄粒子粉末の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により撮影した写真(倍率1万倍)を4倍に拡大して300個について測定したマーチン径により求めた値である。
【0115】
黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子形状(粒子全体の形状と、表層部分の形状)は、透過型電子顕微鏡と走査型電子顕微鏡(日立S−800)により観察した写真(倍率5万倍)から判断した。中間層の形状は、中間層形成後のスラリーを抜き取り、水洗・濾別・乾燥したものについて観察した。
【0116】
BET比表面積値は、「Mono Sorb MS−II」(湯浅アイオニックス(株)製)を用いてBET法により求めた。
【0117】
磁気特性は「振動試料型磁力計VSM−3S−15」(東英工業(株)製)を使用し、外部磁場796kA/m(10kOe)下で測定した値で示した。
【0118】
Fe2+含有量は、下記の化学分析法により求めた値で示した。
【0119】
即ち、不活性ガス雰囲気下において、黒色磁性酸化鉄粒子粉末0.5gに対しリン酸と硫酸を2:1の割合で含む混合溶液25ccを添加し、前記黒色磁性酸化鉄粒子を溶解する。この溶解水溶液の希釈液に指示薬としてジフェニルアミンスルホン酸を数滴加えた後、重クロム酸カリウム水溶液を用いた酸化還元滴定を行った。上記希釈液が紫色を呈した時を終点とし、該終点に至るまでに使用した重クロム酸水溶液の量から計算して求めた。
【0120】
異種金属元素の存在位置および含有量は、黒色磁性酸化鉄粒子を粒子表面から順に表層部分・中間層・芯部分へと溶解し最後に粒子全体を溶解させることにより異種金属元素の量を測定し、Fe溶解率とFe溶解率の各段階における溶解液中の異種金属元素の量との関係を図の様にプロットすることにより求めた。即ち、前記採取溶液中のFe量と同時に異種金属元素の含有量を測定することによって、Fe溶解率の各段階における異種金属元素の含有量を積算値として求めた。この積算値からFe溶解率の各段階に対する異種金属元素量を算出し、Fe溶解率とFe溶解率の各段階における異種金属元素量との関係をプロットすることにより、芯部分および表層部分には異種金属元素が含有されており、中間層にはFe以外の元素が含まれないことを確認した。
【0121】
なお、黒色磁性酸化鉄粒子の溶解は下記の方法で行った。
【0122】
即ち、2lのビーカーに1.2lのイオン交換水を入れて該水温が45℃になるように加温する。160mlのイオン交換水でスラリー化した黒色磁性酸化鉄粒子粉末10gを別途用意した320mlのイオン交換水で洗浄しながら、該イオン交換水とともに前記2lビーカー中に加える。
【0123】
次いで、前記2lビーカー中の溶液温度を40℃、攪拌速度を200rpmに保ちながら特級塩酸150mlを加え、溶解を開始する。この時の黒色磁性酸化鉄粒子粉末の濃度は、5g/l、塩酸濃度は約1Nになっている。
【0124】
黒色磁性酸化鉄粒子粉末の溶解開始から、溶液が透明になるまで1〜10分の間隔で溶液20mlを採取し、0.1μmメンブランフィルターで濾過し、ろ液を採取する。
【0125】
採取したろ液の内10mlを「誘導結合プラズマ原子発光分光光度計 SPS−4000型」(セイコー電子工業(株)製)により、鉄元素および異種金属元素の定量を行う。
【0126】
なお、黒色磁性酸化鉄粒子粉末の鉄元素溶解率は、以下の計算式で算出した。
【0127】
鉄元素溶解率(%)=(採取サンプル中の鉄元素濃度(mg/l))/(完全に溶解した時の鉄元素の濃度(mg/l))×100
【0128】
また、前記Feの溶解率と異種金属元素の含有量とのプロットから、中間層の存在範囲を求めた。中間層(第2相目)の存在範囲はFe以外の異種金属元素の溶解が生じていない部分のFe溶解率(%)の範囲で表し、粒子の芯部分側をt1、粒子の表層側をt2とした。
【0129】
黒色磁性酸化鉄粒子粉末の帯電量の飽和時間は、下記測定法によって測定した。
【0130】
即ち、黒色磁性酸化鉄粒子粉末0.5gと鉄粉キャリア(パウダーテック社製TEFV−200/300)4.75gとを内容積が15ccのガラス製のサンプル瓶に精秤し、ペイントコンディショナーを用いて摩擦帯電させ、「ブローオフ帯電量測定装置」(東芝ケミカル社製)を用いて摩擦帯電量を測定した。この時のペイントコンディショナーを用いて帯電させた時間と摩擦帯電量をグラフにして、帯電量が安定した時間を帯電量の飽和時間とした。
【0131】
黒色磁性酸化鉄粒子粉末の帯電量の飽和時間が短い程、黒色磁性酸化鉄粒子粉末を使用した磁性トナーの帯電性能、特に帯電の立ち上がりが向上する。
【0132】
また、帯電量の安定性は下記の方法で測定した。
【0133】
温度23℃、湿度60%(N/N環境下)、温度15℃、湿度20%(L/L環境下)及び温度33℃、湿度80%(H/H環境下)でそれぞれ24時間静置した試料の帯電量Qを測定し、L/L環境下での帯電量Q(L/L)及びH/H環境下での帯電量Q(H/H)についてのN/N帯電量Q(N/N)に対する変化率を下記数1及び数2にて算出し、下記4段階で評価した。
【0134】
L/L及びH/Hでの変化率が共に5%未満 ◎
変化率の一方が5〜10%で、一方が5%未満 ○
変化率が共に5〜10% △
変化率のいずれか片方でも10%以上の場合 ×
【0135】
【数1】
【0136】
【数2】
【0137】
黒色磁性酸化鉄粒子粉末の電気抵抗値は、下記測定方法により測定した値で示した。
【0138】
即ち、試料0.5gを秤量し、KBr錠剤成形器(島津製作所製)を用い、ハンドプレス(島津製作所製:SSP−10形)のゲージの読み値で140kg/cm2の圧力で加圧成形する。次に、加圧成形した試料をステンレス電極間にセットする。その際、電極間をフッ素樹脂性ホルダで外部と完全に隔離する。セットした試料にホイーストンブリッジ(横河電機社製:TYPE2768型)で15Vの電圧を印可して抵抗値Rを測定する。抵抗測定後、試料の電極面積A(cm2)と厚みt(cm)を測定し、下記式により体積固有抵抗値X(Ω・cm)を計算する。電気抵抗値が1×107以上のものを「高」とし、1×106〜1×107のものを「中」、1×106未満のものを「低」とした。
【0139】
X=R/(A/t)
【0140】
黒色磁性酸化鉄粒子粉末の黒色度を示すa*は、測定用試料片を「多光源分光測色計 MSC−IS−2D」(スガ試験機(株)製)を用いてHunterのLab空間によりL*値、a*値、b*値をそれぞれ測色し、国際照明委員会(Commission International ede l’Eclairage、CIE)1976(L*、a*、b*)均等知覚色空間に従って表示した値で示した。a*が0に近づく程、黒色度に優れた黒色磁性酸化鉄粒子粉末となる。
【0141】
黒色磁性酸化鉄粒子粉末中に含まれるケイ素成分の量は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電気工業(株)製)にて測定し、黒色磁性酸化鉄粒子粉末に対してSiO2量換算で求めた値である。
【0142】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末の分散性のうち吸液量は、下記測定法において測定した。
【0143】
即ち、黒色磁性酸化鉄粒子粉末10gとあらかじめ調整したスチレン−アクリル樹脂溶液の吸液量として示した。
▲1▼スチレン−アクリル(三洋化成社製 商品名「ハイマーTB−1000」)とキシレンとを樹脂濃度が20重量%になるように500mlの上ぶた付きポリエステル容器にはかり取った後に、ペイントコンディショナーを用いて混合することにより樹脂溶液を調整する。
▲2▼黒色磁性酸化鉄粒子粉末10gを電子天秤ではかり取って100mlのポリエステル容器に入れ、次いで、該容器中にあらかじめ調整しておいた樹脂溶液を50mlビュレットを用いて滴下しながらガラス棒でかき混ぜる。
▲3▼ポリエステル容器中のペーストが均一となって流動性が高くなりガラス棒の先端から液滴が最初に自然落下したときを終点とする。
▲4▼終点に至るまでに使用した樹脂溶液の量を吸液量とする。
【0144】
黒色磁性酸化鉄粒子粉末の吸液量が低いほど、樹脂との分散性が良好であることに起因して磁性トナーの帯電性能が向上する。
【0145】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末の分散性のうち樹脂シートの光沢度は、下記方法によって測定した。
【0146】
即ち、黒色磁性酸化鉄粒子粉末15gとあらかじめ60℃で8時間乾燥したスチレン−アクリル樹脂(三洋化成社製「ハイマーTB−9000」)34gと離型剤としてポリプロピレン樹脂(三洋化成社製 「ビスコール550P」)1gとを表面温度130℃の熱間2本ロールで5分間練り込み、混練物を得た。次いで、得られた混練物を熱間プレスにてシート状に加工し、シート状樹脂混練物を作成した。このシート状樹脂混練物の樹脂膜面の光沢をデジタル光沢計(スガ試験機社製 UGV−50)を用いて入射及び反射角20°で測定した。光沢値が大きい程、黒色磁性酸化鉄粒子粉末の樹脂中での分散性が高いことを示す。
【0147】
アルミニウム化合物又はケイ素化合物で表面被覆された黒色磁性酸化鉄粒子の被覆量は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業(株)製)にて測定し、黒色磁性酸化鉄粒子に対してAl換算又はSiO2換算で求めた値である。
【0148】
Al、Si、Zr及びTiから選ばれた元素の酸化物微粒子の付着量は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業(株)製)にて測定し、黒色磁性酸化鉄粒子に対して各元素の酸化物換算で求めた値である。
【0149】
黒色磁性酸化鉄粒子の圧縮度は、カサ密度(ρa)とタップ密度(ρt)とをそれぞれ測定し、これらの値を下記式に代入して算出した値で示した。
圧縮度=〔(ρt−ρa)/ρt〕×100
尚、圧縮度が小さくなるほど流動性がより優れたものとなる。
【0150】
なお、カサ密度(ρa)は、JIS−5101の顔料試験法により測定した。
【0151】
また、タップ密度(ρt)は、カサ密度測定後の黒色磁性酸化鉄粒子粉末10gを20ccのメスシリンダー中にロートを用いて静かに充填させ、次いで、25mmの高さから自然落下させる操作を600回繰り返した後、充填している黒色磁性酸化鉄粒子粉末の量(cc)をメスシリンダーの目盛りから読み取り、この値を下記式に代入して算出した値で示した。
タップ密度(g/cc)=10(g)/容量(cc)
【0152】
黒色磁性酸化鉄粒子の吸油量は、JIS−K−5101の顔料試験法により測定した。
【0153】
<磁性トナーの製造>
下記配合割合で混合した混合物を140℃に設定された2本ロールミルで約15分間混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕した。さらにこれを分級により微粉、粗粉をカットし、体積平均径10.4μmの磁性トナーを得た。
【0154】
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 100重量部
(共重合比=85:15、Mw=25万、Tg=62℃)
黒色磁性酸化鉄粒子粉末 80重量部
負荷電制御剤 1.5重量部
低分子量エチレン−プロピレン共重合体 2重量部
【0155】
得られた磁性トナーからなる一成分系現像剤を調整し、温度23℃、湿度60%(N/N環境下)、温度15℃、湿度20%(L/L環境下)と温度33℃、湿度80%(H/H環境下)でそれぞれ24時間静置した試料の帯電量Qを測定し、L/L環境下での帯電量Q(L/L)及びH/H環境下での帯電量Q(H/H)についてN/N帯電量Q(N/N)に対する変化率を前記数1及び数2にて算出し、下記4段階で評価した。
【0156】
L/L及びH/Hでの変化率が共に5%未満 ◎
変化率の一方が5〜10%で、一方が5%未満 ○
変化率が共に5〜10% △
変化率のいずれか片方でも10%以上の場合 ×
【0157】
L/L環境下及びH/H環境下の各環境下に静置した黒色磁性酸化鉄粒子粉末を用いた磁性トナーの画像濃度は、磁性トナーをレーザービームプリンター(キヤノン製 商品名レーザーショットLBP−B406E)を用いてベタ黒(A4)を印刷し、そのベタ黒の画像濃度をRD914(商品名、MACBETH社製)で測定し、下記4段階で評価した。高温高湿環境の耐久後の画像濃度は、前記H/H環境下に放置した黒色磁性酸化鉄粒子を用いた磁性トナーについて印刷開始から5000枚印刷した時点の画像濃度を測定した。
【0158】
画像濃度:1.4以上 ◎
1.3以上1.4未満 ○
1.2以上1.3未満 △
1.2未満 ×
【0159】
磁性トナー中の黒色磁性酸化鉄粒子粉末の分散度は、磁性トナーをウルトラミクロトーム(RESEACH MANFACTURING社製 商品名:MT2C)を用いてスライスし、その断面を透過型電子顕微鏡(倍率10000倍)で観察し、視野内の磁性酸化鉄粒子粉末の凝集状態を観察し、4段階で評価した。凝集物が少ないほど分散性が良いことを示す。
【0160】
凝集物;0〜1個 分散性◎
2〜5個 ○
6〜10個 △
11個以上 ×
【0161】
磁性トナーの帯電量分布は、帯電量分布測定装置(E−イーストパーアナライザー:商品名)(細川ミクロン社製)を用いて測定した。得られた帯電量分布から、発明の実施の形態を基準(○)として、よりシャープな場合には◎とした。
【0162】
磁性トナーのカブリの程度は、前記画像濃度を測定したベタ黒の印刷物をルーペにて拡大して観察した。観察結果は発明の実施の形態を基準(○)として、よりシャープな場合には◎とした。
【0163】
磁性トナーの流動性は、「パウダーテスター PT−E型」(細川ミクロン(株))を用いて測定した。流動性指数が高い方が、流動性が良いことを示す。また、温度33℃、湿度80%の高温高湿環境下に24時間放置した磁性トナーについて前記と同様に流動性を測定した。
【0164】
<黒色磁性酸化鉄粒子粉末の生成(方法▲1▼)>
Fe2+1.6mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液26.0lと0.584molのMn元素を含む硫酸マンガン水溶液6.2lを、あらかじめ反応器中準備された4.0mol/lの水酸化ナトリウム水溶液20.1lに加え(Fe2+に対して0.95当量に該当する量とMn元素の沈殿をつくるために必要な量の合計量。)、pH6.7、温度90℃において毎分80lの空気を通気して酸化反応を行い芯部分を生成した。
この酸化反応の終了時点(水酸化ナトリウムが酸化反応に消費され反応スラリーのpHが下がり始めた時点)で反応器内に残存するFe2+を酸化するために、最終生成物に対してSiO2換算で1.0wt%のケイ酸ナトリウムを含有する水酸化ナトリウム水溶液(4.0mol/l)を2.37l添加して反応溶液のpHを9に調整し、引き続き酸化反応を行い中間層を形成した。
この酸化反応が進行する途中で、0.0584mol/lのMnを含む硫酸マンガン水溶液2.5lを添加し酸化反応を継続して表層部分を形成した後、完了した。反応終了時点でのpHは9であった。
生成した黒色磁性酸化鉄粒子を含むスラリーを通常の方法で水洗・濾別・乾燥・粉砕して黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得た。
【0165】
得られた黒色磁性酸化鉄粒子に含まれるFe以外の異種金属元素のFe溶解率に対する分布を図1に示す。この図から、Fe溶解率0%から5%まではMnが溶解しており(表層部分)、5%から15%まではMnは溶解しておらず(中間層)、15%から100%まではMnが溶解していることが分かる。即ち、芯部分と表層部分にMnが含まれており、それらの間に存在する中間層にはMnが含まれていない相が存在している。表層部分のMn含有量は0.25重量%であり、芯部分のMn含有量は0.99重量%であった。
【0166】
電子顕微鏡観察の結果から、得られた粒子は、平均粒子径0.20μmの球状粒子であり、中間層及び表層部分は層状構造であった。
【0167】
得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末のBET比表面積値は7.5m2/g、Si含有量は1.0wt%、FeO含有量は20.4wt%、a*は0.5、帯電量は−18μC/gであり、帯電量の飽和時間は5分であった。磁気特性は、飽和磁化値σsが82.5Am2/kgであった。電気抵抗は「高」、帯電量の変化率は「◎」であった。
【0168】
<使用例 磁性トナーの製造>
得られた黒色磁性酸化鉄粒子を用いて前記磁性トナーの製造法に従って磁性トナーを得た。得られた磁性トナーについてL/L環境下とH/H環境下での帯電量Qの差を求めた結果、その差が殆どなく(前記評価法による「◎」)、また、L/L環境下及びH/H環境下での画像濃度はいずれも◎であり、環境安定性が高いことが分かった。
【0169】
【作用】
本発明において最も重要な点は、3相構造を有する磁性酸化鉄粒子粉末にしたことによって、黒色度及び帯電性能に優れ、しかも、低温低湿及び高温高湿などの雰囲気下でも帯電量を安定して維持できる環境安定性に優れた黒色磁性酸化鉄粒子粉末が得られるという事実である。
【0170】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末が黒色度、帯電性能及び環境安定性に優れる理由は、未だ明らかではないが、異種金属元素を含まないスピネル型酸化鉄からなる中間層を、通常、電気抵抗が高い異種金属元素を含有するスピネル型酸化鉄である芯部分と表層部分との間に設けることによって、各部分が相互作用することによるものと推定している。
【0171】
本発明においては、黒色度、帯電性能、殊に、帯電立ち上がり性能に優れ、しかも、環境安定性に優れた黒色磁性粒子粉末であるので、該粒子粉末を用いた磁性トナーは帯電性能及び環境安定性に優れている。
【0172】
また、前記(1)の疎水基を有する有機化合物により黒色磁性酸化鉄粒子粉末が分散性に優れるのは、圧縮、せん断、へらなでの三つの作用を有する混練装置を用いて、黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子表面が疎水基を有する有機化合物によって被覆されているので、粒子相互間の凝集が解きほぐされて再凝集することなく1個1個バラバラの状態で存在し、しかも、粒子表面が高度に疎水化されていることによるものと本発明者は考えている。
【0173】
また、前記(2)のアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる少なくとも一種からなる化合物により粒子表面が被覆された黒色磁性酸化鉄粒子粉末がより分散性に優れるのは、樹脂とのなじみがよくなったためと考えている。
【0174】
また、前記(3)のAl、Si、Zr及びTiから選ばれた元素の酸化物微粒子が粒子表面に付着した黒色磁性酸化鉄粒子は流動性及び分散性が優れている理由について、圧縮、せん断、へらなでの三つの作用を有する混練装置を用いて黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子表面に酸化物微粒子を強固に付着させているので、磁性粒子粉末の粒子相互間の凝集がより解きほぐされて再凝集することなく1個1個バラバラの状態で存在すること及び粒子表面の酸化物微粒子が均一且つ緻密に付着されていることの相乗効果によるものと本発明者は考えている。
【0175】
更に、粒子表面がメチルシラン、トリメチルシラン及びオクチルシランから選ばれる1種又は2種以上のシラン化合物によって表面被覆された酸化物微粒子が付着した黒色磁性酸化鉄粒子粉末を用いた磁性トナーが流動性により優れている理由については未だ明らかではないが、微粒子が付着していること及び該微粒子表面に被覆されている疎水化剤であるシラン化合物との相乗効果によるものと本発明者は考えている。
【0176】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げる。
【0177】
実施例1、3、4、11、比較例5
黒色磁性酸化鉄粒子粉末の製造条件を種々変化させた以外は前記発明の実施の形態と同様にして黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得た。
【0178】
このときの製造条件を表1に、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の諸特性を表2及び表3に示す。
【0179】
実施例2<黒色磁性酸化鉄粒子粉末の生成(方法▲2▼)>
Fe2+1.6mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液20.0lと0.271molのMn元素を含む硫酸マンガン水溶液4.7lを、あらかじめ反応器中に準備された4.0mol/lの水酸化ナトリウム水溶液15.3lに加え(Fe2+に対して0.95当量に該当する量とMnの沈殿をつくるために必要な量の合計量。)、pH6.7、温度90℃において毎分80lの空気を通気して芯部分を生成した。
残存する硫酸第一鉄成分によって反応スラリーのpHが下がり始めた時点で、残存するFe2+に追加の硫酸第一鉄塩水溶液(1.6mol/l)4.0lを添加し、更に、最終生成物に対してSiO2換算で1.5wt%のケイ酸ナトリウムを添加した水酸化ナトリウム水溶液を反応溶液のpHが8以上となるように添加し、引き続き酸化反応を行って中間層を形成した。
残存したFe2+の約半分が酸化された時点で、反応溶液中に0.093molのCu元素を含む硫酸銅水溶液を添加し、酸化反応をpH6.5〜8.5で行った。この生成した磁性酸化鉄粒子を含む溶液を通常の方法で水洗・乾燥して黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得た。
【0180】
得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末を前記方法に従って溶解させたところ、各Fe溶解率に対する異種金属元素の存在位置は、Fe溶解率0%から40%まではCuが溶解しており(表層部分)、40%から50%までは異種金属元素は溶解しておらず(中間層)、50%から100%まではMnが溶解していることが分かる。即ち、芯部分にはMnが含まれており、表層部分にはCu及びケイ素が含まれており、それらの間に存在する中間層にはCu及びMnが含まれていない相が存在する。表層部分のCu量は粒子全体のFe量に対して0.20重量%であり、芯部分のMn量は粒子全体のFe量に対して0.50重量%であった。
【0181】
この粒子は、平均粒子径0.20μmの球状粒子であった。また中間層形成後と表層部分形成後の粒子のTEM観察から中間層は層状構造であり、表層部分は微粒子の集合体からなる微粒子層構造であった。
【0182】
このときの製造条件を表1に、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の諸特性を表2及び表3に示す。
【0183】
実施例8、12、比較例1、2
黒色磁性酸化鉄粒子の製造条件を種々変化させた以外は実施例2に記載の製造方法と同様にして黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得た。
【0184】
このときの製造条件を表1に、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の諸特性を表2及び表3に示す。
【0185】
実施例5<黒色磁性酸化鉄粒子粉末の生成(方法▲3▼)>
Fe2+1.6mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液20.0lと0.068molのZn元素を含む硫酸亜鉛水溶液4.8lを、あらかじめ反応器中準備された4.0mol/lの水酸化ナトリウム水溶液15.2lに加え(Fe2+に対して0.95当量に該当する量とZn元素の沈殿をつくるために必要な量の合計量。)、温度90℃において毎分80lの空気を通気して酸化反応を開始し、酸化反応開始直後のpHを8.9に調節し酸化反応を行い芯部分を生成した。この反応の終了時点(水酸化ナトリウムが酸化反応に消費され反応スラリーのpHが下がり始めた時点)ではZn元素は酸化鉄芯部分中に全て取り込まれ、反応溶液にはFe2+(約1.6mol)が残存した。
この残存Fe2+に対して当量の水酸化ナトリウム水溶液(4.0mol/l)を添加し引き続き酸化反応を行った。なお、水酸化ナトリウム水溶液中に最終生成物に対してSiO2換算で0.5wt%のケイ酸ナトリウムを含有させた。ここでの反応溶液のpHを9に調整し芯部分表面に層状構造のマグネタイトを形成し反応を完結させた。
この中間層まで形成した酸化鉄粒子を含む反応溶液に硫酸第一鉄水溶液(Fe2+1.6mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液4.0l)と該硫酸第一鉄水溶液のFe2+に対して当量の水酸化ナトリウム水溶液(4.0mol/l)を添加し、反応溶液のpHを7に調整して引き続き酸化反応を行った。この酸化反応が進行する途中で、0.117molのZnを含む硫酸亜鉛水溶液1.9lを添加し酸化反応を継続し、Zn及びケイ素を含む表層部分を形成した後、反応を完了した。反応終了時点での溶液のpHは7であった。生成した磁性酸化鉄粒子を含む反応溶液を通常の方法で水洗・濾別・乾燥・粉砕して黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得た。
【0186】
また中間層形成後と表層部分形成後の粒子のTEM観察から中間層は層状構造であり、表層部分は微粒子の集合体からなる微粒子層構造であった。
得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、平均粒子径0.24μmの六面体粒子であり、中間層はFeの溶解率で10%から20%の間であった。芯部分のZn量は粒子全体のFeに対して0.15重量%であり、表層部分のZn量は0.25重量%であった。
【0187】
このときの製造条件を表1に、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の諸特性を表2及び表3に示す。
【0188】
実施例5、10、比較例3、7
黒色磁性酸化鉄粒子の製造条件を種々変化させた以外は実施例5に記載の製造方法と同様にして黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得た。
【0189】
このときの製造条件を表1に、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の諸特性を表2及び表3に示す。
【0190】
実施例6<黒色磁性酸化鉄粒子粉末の生成(方法▲4▼)>
Fe2+1.6mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液20.0lと2.254molのZn元素を含む硫酸亜鉛水溶液3.7lを、あらかじめ反応器中準備された4.0mol/lの水酸化ナトリウム水溶液16.3lに加え(Fe2+に対して0.95当量に該当する量とZnの沈殿をつくるために必要な量の合計量。)、温度90℃において毎分80lの空気を通気して酸化反応を行い芯部分を作成した。
この反応の終了時点(水酸化ナトリウムが酸化反応に消費され反応スラリーのpHが下がり始めた時点)ではZn元素は酸化鉄芯部分中に全て取り込まれ、反応器内にはFe2+(約1.6mol)が残存した。この残存Fe2+に追加の硫酸第一鉄水溶液(Fe2+1.6mol/l水溶液)を1.5l加えて反応溶液中のFe2+量を4molとし、このFe2+と当量の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9で酸化反応を行い異種金属を含まない中間層を作成した。なお、水酸化ナトリウム水溶液中に最終生成物に対してSiO2換算で2.0wt%のケイ酸ナトリウムを添加した。
この中間層まで形成した酸化鉄粒子を含む反応液にさらに追加の硫酸第一鉄水溶液(Fe2+1.6mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液5.63l)とこのFe2+と当量の水酸化ナトリウム水溶液(4.0mol/l)と1.127molのZnを含む硫酸亜鉛水溶液2.8lを添加し酸化反応を行い中間層の表面にZnとケイ素を含有する表層部分を形成した。ここでの反応pHは9に調整した。反応終了時点でのpHは9であった。生成した磁性酸化鉄粒子を含む反応溶液を通常の方法で水洗・濾別・乾燥・粉砕して黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得た。
【0191】
この粒子は、平均粒子径0.10μmの球状粒子であり、中間層はFeの溶解率で20%から28%の間であった。芯部分のZn量は粒子全体のFeに対して4.0重量%であり、表面層のZn量は2.0重量%であった。また中間層形成後と表層部分形成後の粒子のTEM観察から、中間層及び表層部分は層状構造であった。
【0192】
このときの製造条件を表1に、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の諸特性を表2及び表3に示す。
【0193】
実施例7、9、13、比較例4、6
黒色磁性酸化鉄粒子粉末の製造条件を種々変化させた以外は実施例2に記載の製造方法と同様にして黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得た。
【0194】
このときの製造条件を表1に、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の諸特性を表2及び表3に示す。
【0195】
なお、表2の形態の欄の「層状」は層状構造であることを示し、「粒状」は多数の微粒子が集合した微粒子層構造であることを示す。
【0196】
【表1】
【0197】
【表2】
【0198】
【表3】
【0199】
実施例14
前記発明の実施の形態で得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末10kgとγ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(日本ニユカー社製 A−187)100g(黒色磁性酸化鉄粒子に対して1.0重量部)とをシンプソンミックスマーラーである「サンドミル
MPUV−2」(松本鋳造鉄工所社製)に投入して線荷重30kg/cmで60分間混合して、黒色磁性酸化鉄粒子の粒子表面に疎水基を有する有機化合物を被覆処理した。
【0200】
得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、平均粒子径が0.24μm、BET比表面積が7.0m2/g、飽和磁化値が81.6Am2/kg、黒色度a*が0.4、FeO含有量が20.4wt%、磁性粒子の帯電量が飽和する時間は3分、吸油量が7.2ml/100g、スチレン−アクリル樹脂混練物の樹脂膜面の20°光沢値が94.0%であった。
【0201】
このときの製造条件を表4に、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の諸特性を表5に示す。
【0202】
実施例15〜17
表面処理条件を種々変化させた以外は実施例14に記載の製造方法と同様にして黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得た。
【0203】
このときの製造条件を表4に、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の諸特性を表5に示す。なお、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子形状、平均粒子径及びFeO含有量は前記発明の実施の形態の黒色磁性酸化鉄粒子粉末と同程度であった。
【0204】
【表4】
【0205】
【表5】
【0206】
実施例18
前記発明の実施の形態で得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末1kgを含有する水懸濁液(pH10〜11)中に、温度80℃で撹拌しながら、黒色磁性酸化鉄粒子粉末に対してSiO2換算で0.1重量%の3号水ガラスを含む水溶液を滴下した後、pHを7〜9に調整して30分撹拌した。その後、濾過、水洗したの後、60℃で乾燥して粒子表面にケイ素の水酸化物が被覆した黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得た。
【0207】
得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、平均粒子径が0.24であって、BET比表面積が7.8m2/gであって、飽和磁化値が82.4Am2/kgであって、黒色度a*が0.3であって、FeO含有量が20.4wt%、帯電量の飽和時間が3分であって、圧縮度が40であって、吸油量が17ml/100gであった。
【0208】
このときの製造条件を表6に、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の諸特性を表7に示す。
【0209】
実施例19〜21
表面処理条件を種々変化させた以外は実施例18に記載の製造方法と同様にして黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得た。
【0210】
このときの製造条件を表6に、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の諸特性を表7に示す。なお、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子形状、平均粒子径及びFeO含有量は前記発明の実施の形態の黒色磁性酸化鉄粒子粉末と同程度であった。
【0211】
【表6】
【0212】
【表7】
【0213】
実施例22
前記発明の実施の形態で得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末9.9kgにBET比表面積値が170m2/gのコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテックスST−40)125g(酸化物換算として純度40%)とを、シンプソンミックスマーラーである「サンドミル
MPUV−2」(松本鋳造鉄工所製)に投入して線荷重50kg/cmで60分間混合して、前記黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子表面にシリカ微粒子を付着させた。
【0214】
得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、酸化物微粒子の付着量がSiO2換算で0.5重量%であって、BET比表面積が7.6m2/gであって、飽和磁化値が82.3Am2/kgであって、黒色度a*が0.5であって、帯電量の飽和時間が5分であって、圧縮度が42であって、吸油量が16ml/100gであった。
【0215】
このときの製造条件を表8に、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の諸特性を表9に示す。
【0216】
実施例23〜26
表面処理条件を種々変化させた以外は実施例22に記載の製造方法と同様にして黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得た。
【0217】
このときの製造条件を表8に、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の諸特性を表9に示す。なお、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子形状、平均粒子径及びFeO含有量は前記発明の実施の形態の黒色磁性酸化鉄粒子粉末と同程度であった。
【0218】
実施例27
1900gの酸化チタン微粒子(日本エアロゾル社製 P−21,BET比表面積値:170m2/g、一次粒子の平均径:21nm)と100gのシランカップリング剤 KBM−13(信越シリコーン社製:メチルシラン)とをシンプソンミックスマーラーである「サンドミル
MPUV−2」(松本鋳造鉄工所製)に投入して線荷重50kg/cmで60分間混合して、疎水化処理した酸化チタン微粒子を得た。
【0219】
得られた疎水化処理した酸化チタン微粒子100gと前記発明の実施の形態で得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末9.9kgとを、シンプソンミックスマーラーである「サンドミル
MPUV−2」(松本鋳造鉄工所製)に投入して線荷重50kg/cmで60分間混合して、前記黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子表面に疎水化処理した酸化チタン微粒子を付着させた。
【0220】
得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、酸化物微粒子の付着量がTiO2換算で1.0重量%であって、BET比表面積が7.7m2/gであって、飽和磁化値が81.7Am2/kgであって、黒色度a*が0.5であって、帯電量の飽和時間が5分であって、圧縮度が44であって、吸油量が16ml/100gであった。
【0221】
このときの製造条件を表8に、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の諸特性を表9に示す。
【0222】
実施例28
表面処理条件を種々変化させた以外は実施例27に記載の製造方法と同様にして黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得た。なお、シラン化合物で処理されたSiO2微粒子は日本アエロジル社製のR812であり、トリメチルシリル基を有する処理剤で表面処理されている。
【0223】
このときの製造条件を表8に、得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末の諸特性を表9に示す。
【0224】
【表8】
【0225】
【表9】
【0226】
使用例1〜28、比較使用例1〜7
黒色磁性酸化鉄粒子粉末の種類を種々変化させた以外は前記磁性トナーの製造と同様にして磁性トナーを得た。得られた磁性トナーの諸特性を表10乃至表13に示す。
【0227】
【表10】
【0228】
【表11】
【0229】
【表12】
【0230】
【表13】
【0231】
【発明の効果】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、黒色度が高く、帯電性能に優れ、しかも、帯電の立ち上がりが早く帯電量を安定して維持できるので、黒色磁性粒子粉末として好適である。
【0232】
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末を用いた磁性トナーは、帯電性能に優れ、しかも低温低湿又は高温高湿等の環境下でも帯電量を安定して維持することができるので、磁性トナーとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明の実施の形態で得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末のFeの溶解率の各段階における異種金属元素の含有量をプロットした図である。上段がFe溶解率の各段階におけるMn元素の溶解率を積算値で表した。下段は上段の図を元にFeの溶解率の各段階におけるMn溶解率を示した図である。
Claims (3)
- 平均粒子径0.05〜1.0μmの黒色粒状スピネル型酸化鉄粒子であって、該黒色粒状スピネル型酸化鉄粒子は、芯部分と表層部分と該表層部分と芯部分との間に中間層とからなる三相構造を有していると共に、前記芯部分と前記表層部分の各部分に粒子の全Feに対して0.1〜10重量%のMn、Zn、Cu、Ni、Cr、Cd、Sn、Mg、Ti、Ca及びAlから選ばれたFe以外の異種金属元素の一種又は二種以上を含有しており、且つ、中間層中にFe以外の前記異種金属元素を含んでいないことを特徴とする黒色磁性酸化鉄粒子粉末。
- 黒色磁性酸化鉄粒子粉末のa*が1.0以下であることを特徴とする請求項1記載の黒色磁性酸化鉄粒子粉末。
- ケイ素化合物が黒色磁性酸化鉄粒子粉末の中間層、表層部分、中間層及び表層部分に存在していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の黒色磁性酸化鉄粒子粉末。
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