JP3857040B2 - 酸化鉄粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は酸化鉄粒子及びその製造方法に関し、詳しくは酸化鉄粒子内部にTiを含有し、粒子表面に、TiとFeを必須成分とし、かつ特定の金属元素を含有する複合酸化鉄の被覆を設けることにより、磁性体の耐環境性、流動性、耐熱性等の諸特性をバランス良く向上させた、特に静電複写磁性トナー用材料粉、塗料用黒色顔料粉の用途に主に用いられる酸化鉄粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
最近電子複写機、プリンター等の磁性トナー用材料として、各種の酸化鉄粒子が広く利用されている。磁性トナーとしては各種の一般的現象特性が要求されるが、近年、電子写真技術の発達により、特にデジタル技術を用いた複写機、プリンターが急速に発達し、要求特性がより高度になってきた。
【0003】
すなわち、従来の文字以外にもグラフィックや写真等の出力も要求されており、特にプリンターの中には1インチ当たり1200ドット以上の能力のものも現れ、感光体上の潜像はより緻密になってきている。そのため、各環境下でも問題なく使用できること、流動性が高いこと、含有する酸化鉄粒子の耐熱性が高く黒色性に優れていること等が強く要求されている。
【0004】
例えば、特開平5−100474号公報において、磁性トナーについて開示されている内容に、磁性酸化鉄は耐環境性の面でいまだ改良すべき点を有していると記載されているように、トナー製造において種々の特性を満足した上に、さらに耐環境性(耐吸湿性)に優れた磁性粉が望まれている。
【0005】
また、特開平7−239571号公報においても同様に磁性粉の耐環境性、特に高温高湿下における問題点があることを指摘している。
【0006】
上記耐環境性に関しては、酸化鉄粒子の各種特性改善のための酸化鉄以外の添加成分と密接な関連性がある。その典型的な例として、酸化鉄粒子の流動性や分散性の改善、高抵抗化等に効果があるとされているSi成分の利用がある。
【0007】
具体的には、特開昭61−155223号公報、特開昭62−278131号公報、特開昭62−24412号公報、特開平5−213620号公報、特開平7−267646号公報、特開平11−157843号公報等においては、様々なSi成分の含有や被覆を有する酸化鉄粒子の開示がなされている。
【0008】
しかし、磁性酸化鉄におけるSi成分の利用により、上記効果を奏するものの、その吸湿性ゆえに、各種特性を損なわず、かつ耐環境性の面でも優れた酸化鉄粒子を得るのは困難であった。
【0009】
また、特開平5−71801号公報には、磁性トナー用の磁性粉として、流動性の良いものが望まれる旨の記載がある。
【0010】
この流動性についても、Si成分が有効とされているが、上記したように耐環境性の改善においては妨げとなる。
【0011】
さらに、特開平8−133744号公報には、磁性材使用に際しての150℃以上、殊に200℃以上の高温での色調安定性、いわゆる耐熱性の安定が磁性材に要求されている旨の記載がある。
【0012】
耐熱性に関しては、Si成分の利用以外にも、Co成分を含有した被覆(特開平6−310317号公報)やZn成分を含有した被覆(特開平6−310318号公報)を有するマグネタイト粒子の記載はあるものの、このような成分の利用により耐熱性の改善はなされるものの、これらの成分を単独で用いたのでは、耐環境性や流動性の改善は望めないだけでなく、黒色度の劣化等の他の諸特性を阻害するおそれがある。
【0013】
本発明は、これら従来技術の課題を解決すべくなされたもので、磁性体の耐環境性、流動性、耐熱性等の諸特性をバランス良く向上させた、特に静電複写磁性トナー用材料粉、塗料用黒色顔料粉の用途に主に用いられる酸化鉄粒子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討の結果、酸化鉄粒子内部にTiを含有し、粒子表面に、TiとFeを必須成分とし、かつ特定の金属元素を含有する複合酸化鉄の被覆を設けることにより、上記目的が達成し得ることを知見し、本発明に到達した。
【0015】
すなわち、本発明の酸化鉄粒子は、粒子内部にTiを含有し、粒子表面が、TiとFeを必須成分とし、かつZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Ceの中から選ばれる1種以上の金属成分を含有する複合酸化鉄によって被覆されていることを特徴とする(但し、粒子の中心から表面へ連続的にケイ素成分を含有するものを除く)
【0016】
また、本発明の酸化鉄粒子の製造方法は、予め可溶性Ti塩を含有している第一鉄塩水溶液とアルカリ溶液とを中和混合し、得られた水酸化第一鉄スラリーを酸化して酸化鉄粒子を生成させる第一段反応と、第一段反応終了スラリーに水可溶性Ti塩とZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Ceの中から選ばれる1種以上の金属成分の水可溶性塩とを含有する第一鉄塩水溶液を添加し、アルカリ溶液でpHを調整しながら酸化して複合酸化鉄の被覆を生成させる第二段反応からなることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
上述したように、本発明の酸化鉄粒子は、粒子内部にTiを含有し、粒子表面が、TiとFeを必須成分とし、かつZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Ceの中から選ばれる1種以上の金属成分を含有する複合酸化鉄によって被覆されているものである。
【0019】
ここでいう酸化鉄粒子とは、好ましくはマグネタイトを主成分とするものであり、コア(芯材)となるマグネタイトを主成分とする酸化鉄粒子にTiを含有する。以下の説明では、酸化鉄粒子としてその代表的なものであるマグネタイト粒子について説明する。また、酸化鉄粒子又はマグネタイト粒子という時には、その内容によって個々の粒子又はその集合のいずれも意味する。
【0020】
また、本発明において、複合酸化鉄によって被覆されている部分は、酸溶解による粒子の鉄元素溶解率20質量%以下の部位を指し、粒子内部とは質量20%を超える部位をそれぞれ指すものとする。
【0021】
上述した通り、Si成分をマグネタイト粒子に含有もしくは被覆させた場合に、各種特性を改善させることが可能である反面、耐環境性の面でバランスを取ることが難しい。本発明者等は、このSiの代わりとなる成分についてTiが好ましいことを知見した。即ち、Tiをマグネタイト粒子内部及び被覆中に含有させことにより、耐環境性に影響を与えず、かつマグネタイト粒子の凝集が抑制され、流動性が改善されることに着目したものである。
【0022】
また、TiとFeを必須成分とし、かつZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Ceの中から選ばれる1種以上の金属成分を含有する複合酸化鉄を粒子表面の被覆として用いることにより、耐環境性や耐熱性を改善できることも知見した。
【0023】
ここで特に重要なのは、本発明のマグネタイト粒子は、Tiが粒子内部及び被覆部分の双方に含有されていることである。このようなマグネタイト粒子であれば、マグネタイト粒子の凝集を抑制することができる。
【0024】
また、マグネタイト粒子の被覆部分が、上記のように複合酸化鉄であることも重要で、基本的には耐環境性や耐熱性の改善は、Zn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Ceの中から選ばれる1種以上の金属成分により得られるものの、これらの成分のみの酸化物やその他の化合物で構成されている場合には、磁気特性や黒色度の低下等を引き起こすことが懸念されるので、流動性の改善効果を考え合わせた場合には、マグネタイト粒子被覆部分は、TiとFeを必須成分とする複合酸化鉄とする必要がある。
【0025】
また、本発明のマグネタイト粒子は、粒子内部がTiとFeによる複合酸化鉄によりなると、上記と同様に磁気特性等の低下を抑制する上で好ましい。
【0026】
また、本発明のマグネタイト粒子は、マグネタイト粒子に対して、Tiが0.2〜3質量%含有され、かつ上記被覆部の複合酸化鉄に含まれるTiが0.1〜1質量%含有されることが好ましい。
【0027】
Ti含有量が0.2質量%未満の場合には、目的とする流動性改善の効果が得られず、3質量%を超える場合には、磁気特性低下等の弊害が生じる。また、被覆部の複合酸化鉄に含まれるTiが0.1質量%未満の場合には、目的とする流動性改善の効果が得られず、1質量%を超える場合には、磁気特性低下のみならず、黒色度の低下のおそれがある。
【0028】
また、本発明のマグネタイト粒子は、被覆部の複合酸化鉄に含まれるZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Ceの中から選ばれる1種以上の金属成分が、マグネタイト粒子に対してそれぞれ0.1〜3質量%含有されることが好ましい。
【0029】
この金属成分の含有量が0.1質量%未満の場合には、充分な耐熱性の改善効果が得られず、3質量%を超える場合には、添加に見合う効果が得られず不経済であるのみならず、黒色度等の特性不良を引き起こす。
【0030】
また、本発明のマグネタイト粒子は、常温、常湿(20℃、60%RH:RRR)下の体積電気抵抗値が1×103 Ω・cm以上、かつ10℃、20%RHと35℃、85%RHの各環境下で12時間曝露した後の体積電気抵抗値(Ω・cm)をそれぞれRLL、RHHとしたときに、下記式(1)を満足することが好ましい。
0.1≦RHH/RLL≦1・・・(1)
【0031】
このRHH/RLLが0.1未満の場合には、出力画像の環境安定性が損なわれる恐れがある。また、RHH/RLLが1を超える場合には、静電複写磁性トナー用材料粉として環境安定性、ひいては出力画像の環境安定性が損なわれるおそれがある。
【0032】
また、本発明のマグネタイト粒子は、10℃、20%RHと35℃、85%RHの各環境下で12時間曝露した後の帯電量(μC/g)をそれぞれBLL、BHHとしたときに、下記式(2)を満足することが好ましい。
|BHH−BLL|<10・・・(2)
【0033】
この|BHH−BLL|が10以上の場合には、各種環境下での帯電量の安定性に欠け、このようなマグネタイト粒子を用いた磁性トナーの帯電安定性も欠けることとなる。
【0034】
また、本発明のマグネタイト粒子は、大気中で150℃、1時間曝露した際のFeO劣化率が10%以下であることが好ましい。
【0035】
マグネタイト粒子中のFeO含有量は、マグネタイト粒子の黒色度を左右するもので、このFeO劣化率が10%を超える場合には、マグネタイト粒子の耐熱性に欠け、このようなマグネタイト粒子を用いた磁性トナーの耐熱性も欠けることになる。
【0036】
さらに、本発明のマグネタイト粒子は、JIS K5101−1991に準拠した粉体の黒色度測定において、色差計によるL値が25以下であることが好ましく、22以下がより好ましく、20以下が最も好ましい。
【0037】
このL値が25を超える場合には、黒色度不良により、磁性トナー用材料粉、塗料用黒色顔料粉として不味である。
【0038】
また、本発明のマグネタイト粒子は、凝集度が35%以下であることが好ましい。
【0039】
この凝集度が35%を超える場合には、マグネタイト粒子の凝集が著しく、流動性が不良であるのみならず、樹脂中での分散性も不良となる。
【0040】
本発明のマグネタイトの形状は、粒状であれば良く、特に限定されず、具体的には球状、六面体状、八面体状等が例示される。
【0041】
次に、本発明の製造方法について説明する。
本発明のマグネタイト粒子は、耐環境性に影響を与えず、かつマグネタイト粒子の凝集が抑制される必要があるので、マグネタイト粒子内部にTiを含有していることが重要である。
【0042】
さらに、本発明のマグネタイト粒子は、耐環境性に影響せず、かつマグネタイト粒子の流動性や耐熱性が改善されている必要があるので、マグネタイト粒子表面にTiとZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Ceの中から選ばれる1種以上の金属成分を含有する複合酸化鉄で被覆されていることが重要である。
【0043】
このようなマグネタイト粒子は、予め可溶性Ti塩を含有している第一鉄塩水溶液とアルカリ溶液とを中和混合し、得られた水酸化第一鉄スラリーを酸化してコアとなるマグネタイト粒子を生成させる第一段反応と、第一段反応終了スラリーに水可溶性Ti塩とZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Ceの中から選ばれる1種以上の金属成分の水可溶性塩とを含有する第一鉄塩水溶液を添加し、アルカリ溶液でpHを調整しながら酸化して複合酸化鉄の被覆を生成させる第二段反応からなる製造方法によって得られる。
【0044】
まず、第一段反応においては、水酸化第一鉄スラリーを生成させる前の第一鉄塩水溶液中に予め水可溶性Ti塩を添加する必要がある。生成させた水酸化第一鉄スラリー中に水可溶性Ti塩を添加した場合には、スラリー中へのTi成分の分散が不充分となり、酸化後のコアとなるマグネタイト粒子内での存在状態にバラツキが生じ好ましくない。水可溶性Ti塩の添加量は、第一段反応で得られるコアとなるマグネタイト粒子に対し、0.5〜5mo1%となるように調整するのが好ましく、0.8〜4mo1%がより好ましい。この添加量が0.5mo1%未満の場合には、マグネタイト粒子の粒子凝集の抑制効果が充分でなく、その結果として流動性に影響を及ぼす。また、添加量が5mo1%を超える場合には、磁気特性低下等の他の諸特性が低下する。
【0045】
第一段反応の際の酸化は、反応温度60〜98℃で通常の酸素含有ガス、特にコスト的に好ましい空気を用いて酸化を行えば良い。また、上述した通り、本発明のマグネタイト粒子の粒子形状は、粒状であれば限定されないが、第一段反応時のpHが8.0未満の場合には球状のマグネタイト粒子が得られ、8.0〜10.5の場合には六面体状のマグネタイト粒子が得られ、10.5を超え得た場合には八面体状のマグネタイト粒子が得られるので、いずれかの条件を選べば目的の形状とすることが可能である。
【0046】
こうして得られた第一段反応を終了したコアであるマグネタイト粒子を含むスラリーに、水可溶性Ti塩とZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Ceの中から選ばれる1種以上の金属成分の水可溶性塩とを含有する第一鉄塩水溶液を添加し、アルカリ溶液でpHを調整しながら酸化させ、第二段反応を行う。
【0047】
上記のように、第二段反応では、水可溶性Ti塩とZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Ceの中から選ばれる1種以上の金属成分の水可溶性塩とを含有する第一塩水溶液を添加する。粒子内部のTi成分は、粒子同士の凝集を防ぐために添加されているが、マグネタイト粒子の流動性は、特に粒子表面の状態に大きく左右されるので、被覆部分にもTi成分を含有させ、かつ他の特性を劣化させないよう、TiとFeとの複合酸化鉄とする必要がある。
【0048】
この複合酸化鉄の生成、つまり第二段反応の際の水可溶性Ti塩の添加量は、第二段反応で得られる複合酸化鉄に対し、0.1〜2mo1%となるように調整するのが好ましく、0.2〜1.5mo1%がより好ましい。この添加量が0.1mo1%未満の場合には、マグネタイト粒子の流動性の向上効果が充分でなく、2mo1%を超える場合には、黒色度等の他の諸特性が低下する。
【0049】
また、第二段反応においては、上記必須成分であるTiとFeの他に、Zn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Ceの中から選ばれる1種以上の金属成分の水可溶性塩を水酸化第一鉄スラリー中に添加する。
【0050】
上記金属成分を含有させることにより、本発明のマグネタイト粒子は耐熱性を向上させることができ、これらの成分が複合酸化鉄中に含まれていることにより、耐環境性を損なうこともない。
【0051】
第二段反応の際の上記金属成分の水可溶性塩の添加量は、第二段反応で得られる複合酸化鉄に対し、0.5〜20mo1%となるように調節するのが好ましく、1〜15mo1%がより好ましい。この添加量が0.5mo1%未満の場合には、マグネタイト粒子の耐熱性向上効果が充分でなく、15mo1%を超える場合には、磁気特性を始め、黒色度等の他の諸特性が低下する。
【0052】
第二段反応の際の酸化は、第一段反応と同様に、温度60〜98℃で通常の酸素含有ガス、特にコスト的に好ましい空気を用いて酸化を行えば良い。反応時のpHは、特に限定されないが、余り低い領域で反応すると複合酸化鉄による被覆中における上記金属成分の含有量が低くなり、耐熱性劣化が懸念される。従って、第一段反応のpHと同等もしくは若干高めに調節するのが好ましい。
【0053】
【実施例】
以下、実施例等に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0054】
〔実施例1〕
2.1mo1/1の硫酸第一鉄水溶液48リットルと5.0mo1/1の水酸化ナトリウム水溶液42リットルとチタンに換算して0.8mo1/1の硫酸チタニル水溶液2リットルを混合した第一鉄塩を含む水酸化第一鉄スラリーをpHを12に維持し、85℃にて44リットル/分で空気を吹き込み、酸化を一旦終了させた。
【0055】
2.1mo1/1の硫酸第一鉄水溶液12リットルに、0.5mo1/1の硫酸亜鉛水溶液1リットル、2.2mo1/1の硫酸マンガン水溶液1リットル及び0.3mo1/1の硫酸銅水溶液1リットルを混合した後、第一段反応終了スラリーに加え、5.0mo1/1の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを12に調整、維持しながら、85℃にて40リットル/分で空気を吹き込み、酸化を終了させた。
【0056】
得られたマグネタイト粒子を含むスラリーを通常の方法で、濾過、洗浄、乾燥、粉砕を行い、マグネタイト粒子を得た。
【0057】
このようにして得られたマグネタイト粒子について、粒径、比表面積、磁気特性、体積電気抵抗(耐環境性試験含む)、帯電量(耐環境性試験含む)、凝集度、FeO劣化率、黒色度、各種成分含有量(粒子全体及び被覆部分)を測定し、結果を表2及び表3に示す。
【0058】
<測定方法>
(1)粒径
透過型電子顕微鏡写真(倍率30000倍)より写真上の粒径を測定し、その平均値をもって粒径とした。
(2)比表面積
島津−マイクロメリティックス製2200型BET計にて測定した。
(3)磁気特性
東英工業製、振動試料型磁力計「VSM−P7型」(商品名)を用いて、印加磁場10KOeで測定した。
(4)体積電気抵抗
試料10gをホルダーに入れ600kg/cm2 の圧力を加えて25mmφの錠剤型に成形後、電極を取り付け150kg/cm2 の加圧状態で測定する。測定に使用した試料の厚さ、及び断面積と抵抗値から算出して、常温、常圧(20℃、60%RH)のマグネタイト粒子の体積電気抵抗値(RRR)を求めた。また、マグネタイト粒子を環境室内にて、10℃、20%RHと35℃、85%RHの各環境下で24時間曝露した試料により、RLL、RHHを測定した。体積電気抵抗の環境依存性についてはRHH/RLLの式の値にて表現した。
(5)帯電量
試料を環境室内にて、10℃、20%RHと35℃、85%RHの各環境下で12Hr曝露させ、鉄粉キャリアを用いて、プロ−オフ法にてBLL、BHHを求めた。
(6)凝集度
Hosokawa Micron製 「Power Tester TypePT−E」(商品名)を用いて、振動時間65secにて測定した。
(7)FeO劣化率
試料を時計皿に入れ、通風型乾燥機(タバイエスペック製オーブン PH−201型)にて、150℃、1時間保持し、FeOの劣化を測定した。
(8)黒色度
試料2.0gにヒマシ油1,4ccを加え、フーパー式マーラーで練り込む、この練り込んだサンプル2.0gにラッカー7.5gを加え、さらに練り込んだ後、これをミラーコート紙上に4mi1のアプリケータを用いて塗布し、乾燥後、色差計(東京電色社製、カラーアナライザTC−1800型)にて測色した。(9)各種成分含有量
サンプルを溶解し、プラズマ発光分光(ICP)にて測定した。
(10)酸溶解による表面被覆部分の各種成分含有量
50℃に温度保持した脱イオン水3.8リットルに試料25gを加えて撹拌する。温度を50℃に保持しながら、この水分散スラリーに特級塩酸を徐々に加え、塩酸水溶液濃度が3規定となるように調節し、試料を溶解する。この際に、10分毎に20mlサンプリングし、0.1 μmメンプランフィルターで濾過し、濾液を採取する。濾液をプラズマ発光分光(ICP)によって、鉄の定量を行い、予め上記(9)で定量した総鉄量に対し、溶解率が20%になった時点の各主成分元素の含有量を定量する。
【0059】
〔実施例2〜10及び比較例1〜6〕
表1に示した条件に基づき、実施例1と同様にしてマグネタイト粒子を得た。このマグネタイト粒子の特性、性状を実施例1と同様に測定又は分析し、その結果を表2及び表3に示す。
【0060】
【表1】
Figure 0003857040
【0061】
【表2】
Figure 0003857040
【0062】
【表3】
Figure 0003857040
【0063】
表2から明らかな通り、実施例1〜10のマグネタイト粒子は、体積電気抵抗や帯電量の耐環境性を損なうことなく、流動性や耐熱性に優れていることが分かる。
【0064】
これに対して、比較例1〜3のマグネタイト粒子は、Fe以外に何ら添加成分の含有、ないしは被覆していないため、体積電気抵抗や帯電量の耐環境性、流動性及び耐熱性が劣るものであった。
【0065】
比較例4のマグネタイト粒子は、Ti成分を粒子内部に含み、かつZn、Mn、Cu成分を含む被覆を有するので、耐環境性や耐熱性は改善されるものの、被覆中にTi成分を含まないことにより、流動性の面で著しく劣るものであった。
【0066】
比較例5のマグネタイト粒子は、Ti成分及びZn、Mn、Cu成分を含む被覆を有するので、耐熱性の改善は充分であり、また耐環境性も改善されるものの、Ti成分を粒子内部に含んでいないことにより、第一段反応における粒子凝集の影響を受け、流動性が不良であった。
【0067】
比較例6のマグネタイト粒子は、粒子内部にTiの代わりにSiを含有するので、流動性、耐熱性の改善は充分なものの、Si成分の吸湿性により、体積電気抵抗や帯電量の耐環境性に劣るものであった。
【0068】
比較例7のマグネタイト粒子は、Zn、Mn、Cu成分を含む被覆を有するので、耐環境性や耐熱性は改善されるものの、全くTi成分を含んでいないので、流動性の面で著しく劣るものであった。
【0069】
比較例8のマグネタイト粒子は、粒子内部及び被覆にTiを含んでいるので、流動性は改善されるものの、Zn、Mn、Cu成分等を被覆中に含まないので、体積電気抵抗や帯電量の耐環境性、及び耐熱性に劣るものであった。
【0070】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明による酸化鉄粒子は、酸化鉄粒子内部にTiを含有し、かつ粒子表面に、TiとFeを必須成分とし、かつ特定の金属元素を含有する複合酸化鉄の被覆を有することにより、磁性体の耐環境性、流動性、耐熱性等の諸特性がバランス良く向上されており、特に、静電複写磁性トナー用材料粉、塗料用黒色顔料粉の用途に好適である。また、本発明の製造方法によって、上記酸化鉄粒子が簡便に得られる。

Claims (10)

  1. 粒子内部にTiを含有し、粒子表面が、TiとFeを必須成分とし、かつZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Ceの中から選ばれる1種以上の金属成分を含有する複合酸化鉄によって被覆されていることを特徴とする酸化鉄粒子(但し、粒子の中心から表面へ連続的にケイ素成分を含有するものを除く)
  2. 上記粒子内部が、TiとFeによる複合酸化鉄によりなる請求項1記載の酸化鉄粒子。
  3. 酸化鉄粒子に対して、Tiが0.2〜3質量%含有され、かつ上記被覆部の複合酸化鉄に含まれるTiが0.1〜1質量%含有される請求項1又は2記載の酸化鉄粒子。
  4. 上記被覆部の複合酸化鉄に含まれる金属成分が、酸化鉄粒子に対してそれぞれ0.1〜3質量%含有される請求項1、2又は3記載の酸化鉄粒子。
  5. 常温、常湿(20℃、60%RH)下の体積電気抵抗値が1×103Ω・cm以上、かつ10℃、20%RHと35℃、85%RHの各環境下で12時間曝露した後の体積電気抵抗値(Ω・cm)をそれぞれRLL、RHHとしたときに、下記式(1)を満足する請求項1〜4のいずれかに記載の酸化鉄粒子。
    0.1≦RHH/RLL≦1・・・(1)
  6. 10℃、20%RHと35℃、85%RHの各環境下で12時間曝露した後帯電量(μc/g)をそれぞれBLL、BHHとしたときに、下記式(2)を満足する請求項1〜5にいずれかに記載の酸化鉄粒子。
    |BHH−BLL|<10・・・(2)
  7. 大気中で150℃、1時間曝露した際のFeO劣化率が10%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の酸化鉄粒子。
  8. JIS K−5101−1991に準拠した粉体の黒色度測定において、色差計によるL値が25以下である請求項1〜7いずれかに記載の酸化鉄粒子。
  9. 凝集度が35以下である請求項1〜8いずれかに記載の酸化鉄粒子。
  10. 請求項1記載の酸化鉄粒子の製造方法であって、予め可溶性Ti塩を含有している第一鉄塩水溶液とアルカリ溶液とを中和混合し、得られた水酸化第一鉄スラリーを酸化して酸化鉄粒子を生成させる第一段反応と、第一段反応終了スラリーに水可溶性Ti塩とZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Ceの中から選ばれる1種以上の金属成分の水可溶性塩とを含有する第一鉄塩水溶液を添加し、アルカリ溶液でpHを調整しながら酸化して複合酸化鉄の被覆を生成させる第二段反応からなることを特徴とする酸化鉄粒子の製造方法。
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