JP2011237256A - 熱型光検出器、熱型光検出装置および電子機器 - Google Patents

熱型光検出器、熱型光検出装置および電子機器 Download PDF

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Abstract


【課題】 熱型光検出器の小型化を、無理なく実現すること。
【解決手段】 熱型光検出器は、基板BSと、光吸収膜5を含む熱型光検出素子90と、熱型光検出素子を搭載する搭載部56と、一端が搭載部の一端に連結され、他端が基板の一端に支持される第1アーム部52と、一端が搭載部の他端に連結され、他端が基板の他端に支持される第2アーム部54と、を有する支持部材と、を含み、第1アーム部52には、熱型光検出素子90に電気的に接続される複数本の配線43a,43bが設けられ、第2アーム部54には、熱型光検出素子90に電気的に接続される配線が設けられず、かつ、前記第2アーム部54の長さは、第1アーム部52の長さよりも短く設定される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱型光検出器、熱型光検出装置および電子機器等に関する。
熱型光検出器としては、熱電対型素子(サーモパイル)、焦電型素子あるいはボロメーター等がある。熱電対型素子(サーモパイル)は、光吸収に伴う光吸収膜の温度上昇を、熱伝対によって直接的に検出する。
焦電型素子は、光吸収に伴う光吸収膜の温度上昇を、強磁性体の焦電効果(パイロ電子効果)を利用して検出する。例えば、強誘電体(PZT:チタン酸ジルコン酸鉛)やタンタル酸リチウム等の誘電率の大きな結晶体は、加熱したり冷却したりすると電気分極量の変化を生じる。すなわち、温度変化があると自発分極量に変化が生じて表面電荷量に変化が生じ、温度変化がないと表面電荷は中和する。分極状態が変化するのに伴い、強誘電体結晶の両端に接続される各電極間に表面電荷量の変化により生じた焦電流が流れる。焦電流(または分極量変化に伴う誘電率、分極量)を検出することによって、照射された光(赤外線等)の光量を検出することができる。また、ボロメーターは、光吸収に伴う温度上昇を、例えば感熱抵抗素子の抵抗値の変化として検出する。
また、熱型光検出素子の一つである赤外線検出素子は、小規模素子分野では、例えば人感センサーに応用され、大規模アレイ分野では、例えば赤外線カメラ装置に応用されている。かつては軍事技術として開発されたが、近年は民生品へ応用が進みはじめており、今後、赤外線検出による様々な応用が期待されている。
熱型検出素子は、例えば薄膜(メンブレン)からなる搭載部上に搭載され、搭載部は、アームによって基板から浮上した状態で支持される。アームには、基板への熱拡散を抑制しつつ、搭載部を安定的に支持する機械的強度が求められる。
熱型光検出器の構造は、例えば、特許文献1および特許文献2に記載されている。特許文献1に記載される赤外線センサーでは、熱によって抵抗値が変化する抵抗体が支持台座の上に形成されており、その支持台座は、同じ長さの一対(2本)の水平ビームにより基材上に支持されている。各水平ビームには、導電材料からなるリード(配線)が設けられている。
また、特許文献2に記載される赤外線センサー素子では、検出セル部を1本の支持部にて基板上に支持している。1本の支持部の形状としては、熱コンダクタンスを小さくするために、複数の屈曲部を有する形状(九十九折り形状)が採用されている。
特開2008−3081号公報 特開2009−229260号公報
特許文献1に記載される構造では、所定長さを有する一対の水平ビームの各々が支持台座の両側に延在することから、熱型光検出器(セル)の面積縮小(ダウンサイジング)が制限される。
また、特許文献2に記載される構造では、検出セル部が一本の支持部のみによって支持される片持ち構造が採用されることから、支持部の機械的安定性に関して不都合が生じる場合があり得る。例えば、検出セルの自重によって支持部が撓むおそれが生じる場合があり、また、片持ち構造であることから、支持部材の応力等によってねじれ等の変形が生じる可能性もある。また、支持部を何回も屈曲させることから、支持部の占有面積が増大する。また、特許文献2には、熱コンダクタンスを考慮して、複数のアームの各々を非対称化するという考え方は一切、示されていない。
本発明の少なくとも一つの態様によれば、熱型光検出器の小型化を無理なく実現することができる。
(1)本発明の熱型光検出器の一態様は、基板と、光吸収膜を含む熱型光検出素子と、
前記熱型光検出素子を搭載する搭載部と、一端が前記搭載部に連結され、前記搭載部を前記基板上にて支持する第1アーム部と、一端が前記搭載部の他端に連結され、前記搭載部を前記基板上にて支持する第2アーム部と、を有する支持部材と、を含み、前記第1アーム部には、前記熱型光検出素子に電気的に接続される複数本の配線が設けられ、かつ、前記第2アーム部の長さは、前記第1アーム部の長さよりも短く設定されている。
本態様では、搭載部が、第1アーム部および第2アーム部の各々によって支持される(両持ち構造の採用)。よって、搭載部を、各アーム部によって安定的に支持することができる。各アーム部の支持強度を高く設定することも容易である。
また、第1アーム部には、熱型検出素子に電気的に接続される複数本の配線が設けられる。また、第1アーム部の長さと第2アーム部の長さは同じではなく、第2アーム部の長さが短く設定される(つまり、第1アーム部および第2アーム部は、長さに関して非対称である)。
第1アーム部に複数本の配線が設けられることによって、例えば、第1アーム部の熱的特性(例えば、単位長さあたりの熱抵抗)と第2アーム部の熱的特性とがアンバランスになると(つまり、各アーム部の熱的特性に不均衡が生じた場合には)、素子の熱的設計に際して、第1アーム部の長さと第2アーム部の長さを、必ずしも等しくする(均等な長さとする)必要がなくなる。
このことを利用して、本態様では、第2アーム部のアーム長を短縮する。第2アーム部のアーム長の短縮によって、第2アーム部の専有面積が減少し、これに伴って、熱型光検出器のさらなる小型化が可能となる。
(2)本発明の熱型光検出器の他の態様は、前記第1アーム部の熱コンダクタンスをG1とし、前記第2アーム部の熱コンダクタンスをG2としたとき、G1≧G2が成立する。
第2アーム部の長さは、「第2アーム部の熱コンダクタンスが第1アーム部の熱コンダクタンスよりも小さくならない」という条件の下で、第1アーム部の長さよりも短くすることができる。つまり、第1アーム部の熱コンダクタンスをG1とし、第2アーム部の熱コンダクタンスをG2としたとき、G1≧G2が成立する。この条件を満たす範囲で、第2アーム部を短縮することができる。
例えば、第1アーム部に2本の配線が設けられ、第2アーム部には、例えば配線が設けられない(あるいは、1本の配線(導体層を含む)のみが設けられる)場合を想定する。
第1アーム部に複数本の配線(導電材料(例えば金属):一般に熱伝導性も高い)が設けられることから、第1アーム部と第2アーム部とが同じ長さであるとすると、第2アーム部の熱コンダクタンスよりも、第1アーム部の熱コンダクタンスの方が大きくなる。したがって、熱コンダクタンスが大きい第1アーム部の放熱が支配的となり、その第1アーム部の放熱特性を基にして熱型光検出素子の設計が行われる。つまり、第1アーム部は、基板への熱拡散を抑制するために、アーム長を長くする必要がある。
一方、第2アーム部は、例えば、電気的絶縁性材料(例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等)のみで構成され、また例えば、1本の配線を有するのみである。したがって、
第2アーム部の熱コンダクタンスは、第1アーム部の熱コンダクタンスに比べて小さく、よって、熱型光検出器における熱的な特性は、熱コンダクタンスが大きな第1アーム部の特性に依存して決定されることになる。
第2アーム部に関しては、第1アーム部の長さと同じ長さを確保して、熱抵抗を必要以上に大きく設定することには意味がない(熱的特性が第1アームによって支配的に決定されているのに、第2アーム部で熱抵抗を確保する意味がない)。よって、第2アーム部の長さは、第1アーム部の長さよりも短くすることができる。短くできる限界の長さは、第2アーム部の熱コンダクタンスが、第1アーム部の熱コンダクタンスに等しくなる長さである(これ以上、第2アーム部の長さを短くすると、今度は、第2アーム部の放熱特性が支配的となってしまい、第1アーム部を中心とした熱的設計ができなくなるからである)。第2アーム部のアーム長の短縮によって、第2アーム部の専有面積が減少し、これに伴って、熱型光検出器のさらなる小型化が可能となる。
なお、第1アーム部と第2アーム部の構成材料や断面積は同じにする方が熱型光検出器の設計上、好ましいが、これに限定されるものではなく、構成材料や断面積に差を設けることもできる。この場合であっても、第2アーム部の長さが第1アーム部の長さよりも短く設定されるという条件が満足されれば、熱型光検出器のダウンサイジングの効果を得ることができる。
(3)本発明の熱型光検出器の他の態様は、前記第1アーム部は、前記基板側に設けられる第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に設けられる、互いに電気的に分離されている第1配線および第2配線と、前記第1配線上および前記第2配線上に設けられる第2絶縁膜と、を有する。
本態様では、複数の配線の各々を、第1アーム部の内部に埋設する。各配線を第1アーム部上に形成した場合、その上にさらに絶縁膜(保護膜)を形成する必要があり、したがって、第1アーム部の熱容量が増大する。複数の配線の各々を、第1アーム部の内部に埋設すれば、第1アーム部を構成する絶縁膜が配線の保護膜を兼ねることになる。よって、配線の保護のための絶縁膜を別途、設ける必要がなく、その分、支持部材(メンブレン)50の熱容量を小さくすることができる、という利点がある。
(4)本発明の熱型光検出器の他の態様は、前記第1アーム部は、前記搭載部に連結されると共に、平面視で第1方向に延在する第1部分と、前記第1部分に連接し、平面視で前記第1方向に垂直な第2方向に延在する第2部分と、を有し、前記第2アーム部は、前記第1方向に延在する第3部分のみを有する。
本態様では、第1アーム部は、熱拡散を抑制するためにアーム長を長くする必要がある点を考慮して、第1アーム部の形状を、屈曲部を有する形状とする。つまり、第1アーム部は、第1方向に延在する第1部分と、平面視で第1方向に直交する第2方向に延在する第2部分とを含む。これによって、2次元のスペースを有効活用して、第1方向におけるアームの長さを抑制しつつ、第1アーム部の熱コンダクタンスを許容範囲内に収めることができる。一方、第2アーム部は短くてよいため、第1方向に延在する第3部分のみで足りる。本態様の支持部材(搭載部、第1アーム部、第2アーム部を含む)の平面視における形状は、コンパクトで、かつバランスがとれている。よって、この構造を単位(セル)として、熱型光検出器アレイを形成することも容易である。
(5)本発明の熱型光検出器の他の態様は、前記支持部材と前記基板との間に設けられる空洞部と、平面視で前記空洞部と重なる領域の前記基板に設けられる、少なくとも一つの回路構成要素と、を有する。
基板の、平面視で空洞部に重なる領域(つまり、空洞部の下に位置する領域)に、熱型光検出器に関係する回路構成要素(抵抗等の受動素子やトランジタ等の能動素子)を形成することによって、セルの面積を増大させることなく、回路構成要素を基板に集積することができる。この技術は、例えば、大規模アレイを構成する場合に、スケールダウンを図ることに貢献する。
(6)本発明の熱型光検出器の他の態様では、前記熱型光検出素子は、赤外線検出素子である。
本態様によれば、小型であり、かつ、搭載部が両持ちされる構造であることから機械的強度に優れ、信頼性が高い赤外線検出器を実現することができる。
(7)本発明の熱型光検出装置の一態様では、上記いずれかの熱型光検出器が複数、2次元配置されている。
これによって、複数の熱型光検出器(熱型光検出素子)が2次元に配置された(例えば、直交2軸の各々に沿ってアレイ状に配置された)、熱型光検出装置(熱型光アレイセンサー)が実現される。
(8)本発明の熱型光検出装置の他の態様は、上記(5)記載の熱型光検出器が複数、共通の前記空洞部上に設けられ、前記共通の空洞部上に設けられる複数の熱型光検出器のうちの、少なくとも一つの熱型光検出器を構成する第1アーム部は、前記共通の空洞部の底部から前記熱型光検出素子側に突出するポストによって支持されており、かつ、前記ポストは、前記第1アーム部に設けられる前記複数の配線のうちの一つと、前記基板の、平面視で前記共通の空洞部と重なる領域に設けられる回路構成要素と、を電気的に接続する導体層を含む。
基板の、共通の空洞部の下に位置する領域に回路構成要素を設けることによって、占有面積を増大させることなく、必要な回路を形成することができる。共通の空洞部を使用することによって製造上の負担が軽減され、また、熱型光検出装置のコンパクト化が実現される。また、ポストを、第1配線や第2配線と回路構成要素とを電気的に接続するためのコンタクト用配線としても利用することによって、コンタクト用配線を別途、設ける必要がなくなり、熱型光検出器のコンパクト化が可能となる。また、製造工程も簡略化することができる。
(9)本発明の他の態様では、上記(8)の態様において、前記複数の熱型光検出器には、第1熱型光検出器および第2熱型光検出器が含まれており、前記第1熱型光検出器の第2アーム部と、前記第2熱型光検出器の第1アーム部とが、共通の前記ポストによって支持されている。
これによって、一つのポストで、2本のアーム部(各アーム部は、異なる熱型光検出器のアーム部である)を支持することができ、ポストの数を減らすことができる。したがって、素子を製造する上での負担が軽減される。また、ポストの数が減少することによって、素子から基板への放熱が、効果的に抑制される。なお、第1熱型光検出器および第2熱型光検出器の各々は、例えば、隣接して配置されるのが好ましい。
(10)本発明の電子機器の一態様は、上記いずれかに記載の熱型光検出器を含む。
上述のとおり、熱型光検出器は、小型であり、かつ、搭載部が両持ちされる構造であることから機械的強度に優れ、信頼性が高い。よって、この熱型光検出器を有する電子機器も、同様の効果を享受することができる。電子機器の好適な例としては、例えば、光(温度)分布画像を出力するサーモグラフィー、車載用ナイトビジョンあるいは監視カメラ等があげられる。
このように、本発明の少なくとも一つの態様によれば、例えば、熱型光検出器の小型化を、無理なく実現することができる。
図1(A)〜図1(C)は、熱型光検出器の構成の一例を示す図 図2(A)〜図2(F)は、第1アーム部の断面構造の一例と、支持部材(メンブレン)の製造方法の一例を示す図 図3(A)〜図3(C)は、基板上に支持部材が形成されるまでの製造工程を示す図 図4(A)および図4(B)は、支持部材上に、熱分離された熱型光検出素子(焦電型の赤外線検出素子)を形成するまでの工程を示す図 熱型光検出アレイに適したアーム形状をもつ熱型光検出器の一例を示す平面図 熱型光検出アレイに適したアーム形状をもつ熱型光検出器の他の例を示す平面図 図6の例における、基板に設けられる回路の構成例を示す図 熱型光検出装置(熱型光検出アレイ)の回路構成の一例を示す回路図 電子機器の構成の一例を示す図 電子機器の構成の他の例を示す図
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
(第1の実施形態)
本実施形態では、第1アーム部と第2アーム部とを有する支持部材(メンブレン)を使用し、かつ、第1アーム部には複数本(n本:nは2以上の自然数)の配線が設けられる。一方、第2アーム部には、m本(0≦m<n)の配線が設けられる。この構成によって、第1アーム部の熱的特性(例えば、単位長さあたりの熱抵抗)と第2アーム部の熱的特性とがアンバランスになるとすると(つまり、各アーム部の熱的特性に不均衡が生じるとすると)、素子の熱的設計に際して、第1アーム部の長さと第2アーム部の長さを、必ずしも等しくする(均等な長さとする)必要がなくなる。
このことを利用して、本実施形態では、第2アーム部のアーム長を短縮する。第2アーム部のアーム長の短縮によって、第2アーム部の専有面積が減少し、これに伴って、熱型光検出器のさらなる小型化が可能となる。
以下の説明では、第1アーム部に2本の配線が設けられ(n=2)、かつ、第2アーム部には配線が設けられない(m=0)場合の構成について説明する(但し、この例は一例であり、この例に限定されるものではない)。
図1(A)〜図1(C)は、熱型光検出器の構成の一例を示す図である。図1(A)は、第1アーム部と第2アーム部との長さが同じ(共にL1)に設定されている例を示し、図1(B)および図1(C)は、第1アーム部の長さよりも第2アーム部の長さが短い例(L1>L2あるいはL1>L3)を示す。図1(B)および図1(C)の例において、熱型光検出器の小型化(ダウンサイジング)の効果が得られる。図中、G1は第1アーム部52の熱コンダクタンスを示し、G2は第2アーム部54の熱コンダクタンスを示す。
まず、図1(A)を参照する。図1(A)の最下段の図は、熱型光検出器100における支持部材(メンブレン)50および熱型光検出素子(ここでは焦電型の赤外線検出素子とする)90の平面視の形状を示す図である。図1(A)の上段の図は、最下段の図のA−A線に沿う断面図であり、図1(A)の中段の図は、最下段の図のB−B線に沿う断面図である。
熱型光検出素子(焦電型赤外線検出素子(焦電型光検出素子))90は、下部電極1と、焦電膜(強誘電体膜)2と、上部電極3と、絶縁膜(保護膜)4と、光吸収膜としての赤外線吸収膜(例えばシリコン酸化膜)5と、を有する。下部電極(第1電極)1および上部電極(第2電極)3は、例えば、3層の金属膜を積層することによって形成される。例えば、焦電膜(強誘電体膜)2から遠い位置から順に、例えばスパッタリングにて形成されるイリジウム(Ir)、イリジウム酸化物(IrOx)及びプラチナ(Pt)の三層構造とすることができる。また、焦電膜(強誘電体膜)2としては、例えばPZT(Pb(Zi,Ti)O:チタン酸ジルコン酸鉛)を用いることができる。焦電膜(強誘電体膜)2は、例えば、スパッタリング法やMOCVD法等で成膜することができる。下部電極(第1電極)1および上部電極(第2電極)3の膜厚は、例えば0.4μm程度であり、焦電膜(強誘電体膜)2の膜厚は、例えば0.1μm程度である。
また、下部電極1には、コンタクトホールCT1を経由して、第1引き出し配線6が接続される。また、上部電極3には、コンタクトホールCT3を経由して、第2引き出し配線7が接続される。また、第1引き出し配線6は、コンタクトホールCT2を経由して、第1配線43aに接続されている。第2引き出し配線7は、コンタクトホールCT4を経由して、第2配線43bに接続されている。
支持部材(メンブレン)50は、第1アーム部52と、第2アーム部54と、熱型光検出素子90を搭載する搭載部56と、を有する。搭載部56には、熱型光検出素子(焦電型の赤外線検出素子)90が搭載される。搭載部56は、第1アーム部52および第2アーム部54によって支持される。第1アーム部52は、一端が搭載部56に連結され、搭載部56を基板(図1では不図示)上にて支持する。第2アーム54は、一端が搭載部56の他端に連結され、搭載部56を基板上にて支持する。
第1アーム部52および第2アーム部54の各々によって搭載部56を支持する両持ち構造を採用することによって、各アーム部における撓みやねじれが抑制され、搭載部56を、より安定的に支持することができる。また、各アーム部の支持強度を高く設定することも容易である。
支持部材(メンブレン)50は、少なくとも一層の膜により構成することができる。図1(A)の例では、支持部材(メンブレン)50は、下層の第1絶縁膜(例えばSi膜)41および上層の第2絶縁膜(例えばSi膜)45を含んで構成される。また、第1アーム部52には、第1アーム部52には、熱型光検出素子90に電気的に接続される複数本の配線(ここでは第1配線43aと第2配線43b)が設けられ、一方、第2アーム部54には、熱型光検出素子90に電気的に接続される配線は設けられない。
また、第1配線43aおよび第2配線43bの各々は、第1アーム部52に埋め込み形成される。つまり、第1配線43aおよび第2配線43bは、第1アーム部52に埋設された配線である。よって、第1アーム部52は、基板側(下側)に設けられる第1絶縁膜41と、第1絶縁膜41上に設けられる、互いに電気的に分離されている第1配線43aおよび第2配線43bと、第1配線43a上および第2配線43b上に設けられる第2絶縁膜45と、を有することになる。
第1配線43aおよび第2配線43bの各々を第1アーム部52上に形成した場合、その上に、さらに絶縁膜(保護膜)を形成する必要があり、したがって、第1アーム部の熱容量が増大する。第1配線43aおよび第2配線43bの各々を、第1アーム部52の内部に埋設すれば、第1アーム部52を構成する絶縁膜41,45が、配線の保護膜を兼ねることになる。よって、配線の保護のための絶縁膜を別途、設ける必要がなく、その分、支持部材(メンブレン)50の熱容量を小さくすることができる。なお、配線43a,43bは、例えば、導体層としての金属(例えばアルミニュウム(Al)タングステン(W)等)によって構成することができる。
図1(A)の例では、第1アーム部52および第2アーム部54の各々の長さはL1に設定されているが、この例では、熱型光検出器100のダウンサイジングの効果が得られない。第2アーム部54は絶縁膜のみで構成されており、熱伝達が良好な金属を含む第1アーム部52に比べて熱コンダクタンスは小さいことから、第2アーム部54の長さをより短くしても問題は生じない。
つまり、第1アーム部2の長さと第2アーム部54の長さは同じに設定する必要はなく、図1(B)および図1(C)の例のように、第2アーム部54の長さを、第1アーム部52の長さに比べて短く設定して、熱型光検出器100の小型化の効果を得ることができる。図1(B)および図1(C)の例では、第1アーム部52および第2アーム部54は、長さに関して非対称である。以下、図1(B)および図1(C)の例について、具体的に説明する。
第1アーム部52のみに配線(導電材料(例えば金属):一般に熱伝導性も高い)43a,43bが設けられることから、絶縁体41,45のみからなる第2アーム部54の熱コンダクタンスG2よりも、第1アーム部52の熱コンダクタンスG1の方が大きくなる。したがって、第1アーム部52の放熱が支配的となり、その第1アーム部52の放熱特性(熱コンダクタンスG1)を基準にして熱型光検出素子の設計が行われることになる。第1アーム部52は、基板への熱拡散を抑制して所望の熱コンダクタンスG1を実現するために、アーム長L1をある程度、長く設定する必要がある。
一方、電気的絶縁性材料(例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等)のみで構成される第2アーム部54の単位長さ当たりの熱コンダクタンスは、第1アーム部52の単位長さ当たりの熱コンダクタンスよりも小さい。よって、第2アーム部54に関しては、第1アーム部52の長さと同じ長さを確保して、熱抵抗を必要以上に大きく設定することには意味がない。つまり、熱的特性が第1アーム部52によって支配的に決定されているのに、第2アーム部54で大きな熱抵抗を確保しても、放熱の抑制対策にはならない。よって、第2アーム部54の長さは、第1アーム部52の長さL1よりも短くすることができる。短くできる限界の長さは、第2アーム部54の熱コンダクタンスG2が、第1アーム部52の熱コンダクタンスG1に等しくなる長さL3である。つまり、第2アーム部54の長さをL3未満とすると、今度は、第2アーム部54の放熱特性が支配的となってしまい、第1アーム部52を中心とした熱的設計ができなくなるからである。
したがって、第1アーム部52の熱コンダクタンスG1と、第2アーム部54の熱コンダクタンスG2との間には、G1≧G2が成立する。つまり、第2アーム部54の長さは、「第2アーム部54の熱コンダクタンスG2が第1アーム部52の熱コンダクタンスG1よりも小さくならない」という条件の下で、第1アーム部52の長さよりも短くすることができる。つまり、G1≧G2という条件を満たす範囲で、第2アーム部54のアーム長を短縮することができる。
図1(B)の例では、第2アーム部54の長さはL2に設定されている。ここで、第1アーム部52の長さL1と、第2アーム部54の長さL2と、第2アーム部54の熱コンダクタンスG2が、第1アーム部52の熱コンダクタンスG1に等しくなる長さL3との間には、L1>L2>L3が成立する。第1アーム部52の熱コンダクタンスG1と、第2アーム部54の熱コンダクタンスG2との間には、G1>G2の関係が成立する。
図1(C)の例では、第2アーム部54の長さはL3に設定されている。つまり、第2アーム部54の長さは最も短く設定されている。第1アーム部52の熱コンダクタンスG1と、第2アーム部54の熱コンダクタンスG2との間には、G1=G2の関係が成立する。
図1(B)および図1(C)の例では、第2アーム部54のアーム長の短縮によって、第2アーム部4の専有面積が減少し、これに伴って、熱型光検出器100をより小型化することができる。図1(B)の例、図1(C)の例のいずれを採用するかは、熱以外の設計要因等も考慮して、適宜、決定することができる。
なお、上記の例では、第2アーム部54には配線(導体層)が設けられていないことから、第2アーム部54の熱コンダクタンスは十分に小さい。よって、例えば、図1(C)の例では、第2アーム部54の長さL3を十分に短くすることができる。よって、素子の大幅なダウンサイジングが可能である。
また、第1アーム部52と第2アーム部54の構成材料や断面積は同じにする方が熱型光検出器100の設計上、好ましいが、これに限定されるものではなく、各アーム間で、構成材料や断面積に差を設けることもできる。この場合であっても、第2アーム部54の長さ(L2,L3)が第1アーム部52の長さ(L1)よりも短く設定されるという条件が満足されれば、熱型光検出器100のダウンサイジングの効果を得ることができる。
図2(A)〜図2(F)は、第1アーム部の断面構造の一例と、支持部材(メンブレン)の製造方法の一例を示す図である。図2(B)は、図2(A)に示される支持部材50(図1(C)に示されるものと同じである)のA−A線に沿う断面図である。つまり、支持部材(メンブレン)50における第1アーム部52の断面構造が図2(B)に示されている。第1アーム部52は、基板BS上に形成されている。第1アーム部52の幅はW1であり、高さはHである。第1アーム部52に埋設して形成される第1配線43aおよび第2配線43bの幅は共にW2(W1>W2)である。
支持部材(メンブレン)50の製造方法について、図2(C)〜図2(F)を用いて説明する。まず、図2(C)に示すように、基板BS(広義の基板であり、ここでは、狭義の基板(シリコン基板等)の上に形成される絶縁層等も基板BSに含まれるものとする)上に、第1絶縁膜(例えばSi膜)41を形成する。次に、図2(D)に示すように、第1絶縁膜41上にアルミニュウム等の金属層を形成した後、パターニングして第1配線(第1配線層)43aおよび第2配線(第2配線層)43bを形成する。上述のとおり、第1配線43aおよび第2配線43bは、第1アーム部52においてのみ設けられる。次に、図2(E)に示すように、第1配線43a上および第2配線43b上に、第2絶縁膜(例えばSi膜)45を形成する。次に、図2(F)に示すように、第1絶縁膜41および第2絶縁膜45をパターニングする。これによって、図2(A)に示される支持部材(メンブレン)50(第1アーム部52、第2アーム部54ならびに搭載部56を含む)が形成される。
次に、熱型光検出器全体の製造工程について、図3および図4を用いて説明する。図3(A)〜図3(C)は、基板上に支持部材が形成されるまでの製造工程を示す図である。図4(A)および図4(B)は、支持部材上に、熱分離された熱型光検出素子(焦電型の赤外線検出素子)を形成するまでの工程を示す図である。
図3(A)の工程では、シリコン基板11上に、表面保護膜15(例えばSiO膜)を形成し、続いて、CVD法等によって所定厚みを有する絶縁膜(例えばSiO膜)13を形成する。次に、絶縁膜13上に、シリコン窒化膜(Si膜)を形成し、そのシリコン窒化膜(Si膜)をパターニングして凹部17を形成する。この空洞部15は、支持部材50における搭載部56を、基板BSから熱分離するための熱分離空洞として機能する。また、パターニング後に残存するシリコン窒化膜(Si膜)QaおよびQbは、支持部材50を直接に支持する支持体として機能する。次に、シリコン窒化膜(Si膜)QaおよびQb上、シリコン窒化膜(Si膜)QaおよびQbの側面上、ならびに絶縁膜(SiO膜)13上に、窒化チタン膜(TiN)ESを形成する。この窒化チタン膜(TiN)ESは、熱分離用の空洞部(図4(B)の参照符号17)を形成する際のエッチングストッパー膜として機能する。
図3(B)の工程では、犠牲層(例えばSiO膜)を全面に形成した後、エッチバックあるいはCMPによって、その犠牲層を凹部17に埋め込む。これによって、凹部17に埋め込まれた犠牲層10が形成される。
図3(C)の工程では、支持部材(メンブレン)50(第1配線43a、第2配線43bを含む)を形成する。支持部材(メンブレン)50は、先に示した図2(C)〜図2(F)の各工程を経て形成される。
次に、図4(A)および図4(B)を参照する。図4(A)の工程では、支持部材(メンブレン)50上に、熱型光検出素子としての赤外線検出素子90ならびに引き出し配線6を形成する。
先に説明したように、焦電型の赤外線検出素子90は、下部電極1と、焦電膜(強誘電体膜)2と、上部電極3と、絶縁膜(保護膜)4と、光吸収膜としての赤外線吸収膜(例えばシリコン酸化膜)5と、を有する。下部電極(第1電極)1および上部電極(第2電極)3は、例えば、3層の金属膜を積層することによって形成される。例えば、焦電膜(強誘電体膜)2から遠い位置から順に、例えばスパッタリングにて形成されるイリジウム(Ir)、イリジウム酸化物(IrOx)及びプラチナ(Pt)の三層構造とすることができる。また、焦電膜(強誘電体膜)2としては、例えばPZT(Pb(Zi,Ti)O:チタン酸ジルコン酸鉛)を用いることができる。焦電膜(強誘電体膜)2は、例えば、スパッタリング法やMOCVD法等で成膜することができる。下部電極(第1電極)1および上部電極(第2電極)3の膜厚は、例えば0.4μm程度であり、焦電膜(強誘電体膜)2の膜厚は、例えば0.1μm程度である。
製造方法は以下のとおりである。まず、下部電極1、焦電膜2および上部電極3を順次形成する。次に、絶縁膜(保護膜)4を形成する。次に、絶縁膜(保護膜)4をパターニングしてコンタクトホール(図1(A)〜図1(C)におけるCT1,CT3)を形成する。また、第1アーム部52における第2絶縁膜45をパターニングしてコンタクトホール(図1(A)〜図1(C)におけるCT2,CT4)を形成する。
続いてアルミニュウム等の金属層を形成し、その金属層をパターニングして引き出し配線6(および7)を形成する。次に、全面にSiO膜を形成し、そのSiO膜をパターニングして、光吸収膜(赤外線吸収膜)5を形成する。
図4(B)の工程では、犠牲層10を除去する。これによって、熱分離用の空洞部(凹部)17が形成される。
本実施形態の熱型光検出器(赤外線検出器)100は、各アーム部のアーム長が非対称であり、かつ、一方のアーム部のアーム長が短縮されていることから、小型であり、かつ、搭載部が両持ちされる構造であることから機械的強度に優れる。よって、信頼性が高い赤外線検出器等を実現することができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、複数の熱型光検出器を2次元的に配置した熱型光検出アレイの集積度の向上(つまり、アレイのダウンサイジング)に寄与するアーム形状の一例について説明する。図5は、熱型光検出アレイに適したアーム形状をもつ熱型光検出器の一例を示す平面図である。図5において、前掲の実施形態と共通する部分には、同じ参照符号を付している。
図5では、X軸方向(第1方向)に沿って2個の熱型光検出器100a,100bが配置されている。熱型光検出器100aと100bの、平面視における形状は同じである。また、図5において、熱型光検出器100bにおける参照符号にはダッシュ記号を付している。また、図5の例では、熱型光検出器100aおよび100bの各々に対応して、熱分離用の空洞部17,17’が設けられている。
先の第1実施形態では、第1アーム部52と第2アーム部54の各々が、搭載部56から、互いに反対方向に直線的に延出していたが、本実施形態(第2実施形態)では、第1アーム部52は屈曲形状を有し、一方、第2アーム部54は直線的な形状である。第1アーム部52の熱コンダクタンスG1と、第2アーム部54の熱コンダクタンスG2は、例えば等しく設定される(図1(C)の例)。
熱型光検出器100aにおいて、第1アーム部52は、搭載部56に連結されると共に、平面視で第1方向(X軸方向)に延在する第1部分a1と、第1部分a1に連接し、平面視で第1方向(X軸方向)に垂直な第2方向(Y軸方向)に延在する第2部分a2と、を有する。一方、第2アーム部54は、第1方向(X軸方向)に延在する第3部分b1のみを有する。
図5の左上に、熱型光検出器100aにおける各部の、第1方向(X軸方向)の寸法が示されている。第1アーム部52の第1方向(X軸方向)の寸法はLAであり、搭載部56の第1方向(X軸方向)の寸法はLBであり、第2アーム部54の第1方向(X軸方向)の寸法はLCである。LC<LAである。熱型光検出器100aの第1方向(X軸方向)の全体の寸法はLD(=LA+LB+LC)である。
先に説明したように、第1アーム部52は、基板BSへの熱拡散を抑制するためにアーム長を長くする必要がある。アーム部の熱コンダクタンスは、構成材料の材質で決まる係数と、断面積と、長さとの積で決定され、材質が決まれば係数が一義的に定まり、断面積はアーム部の必要強度やプロセス条件等によって決定されるが、断面積を小さくすることには限界がある。よって、アーム長さを長くして熱抵抗を増大させて、所望の熱コンダクタンスG1を実現する必要がある。よって、本実施形態では、第1アーム部52の形状を屈曲部を有する形状として、第1方向(X軸方向)の寸法は抑制しつつ、アーム長を長くし、所望の熱コンダクタンスG1を実現する。
つまり、第1アーム部52は、第1方向(X軸方向)に延在する第1部分a1と、平面視で第1方向に直交する第2方向(Y軸方向)に延在する第2部分a2とを含んでおり、これによって、2次元のスペースを有効活用して、第1方向(X軸方向)におけるアームの長さを抑制しつつ、第1アーム部52の熱コンダクタンスG1を許容範囲内に収めることができる。一方、第2アーム部54は短くてよいため、第1方向(X軸方向)に延在する第3部分b1のみで足りる。
本実施形態における支持部材(搭載部56と、これを支持する第1アーム部52および第2アーム部54とを含む)の平面視における形状は、コンパクトで、かつ機械的なバランスがとれており、ねじれや撓み等も抑制される。また、アーム長が長い第1アーム部52には、剛性が高い金属配線が2本設けられていることから、十分な機械的強度が得られる。一方、第2アーム部54は絶縁膜のみで構成されるが、アーム長が短いことから、撓み等が生じにくく、よって、機械的強度に問題は生じない。よって、この構造を単位(セル)として、例えば、大規模な熱型光検出器アレイを形成することも容易である。
本実施形態の熱型光検出器を複数、2次元的に配置する(例えば、直交2軸の各々に沿ってアレイ状に配置する)ことによって、高集積度の熱型光検出装置(熱型光アレイセンサー)を実現することができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、複数の熱型光検出器を2次元的に配置した熱型光検出アレイの集積度の向上(つまり、アレイのダウンサイジング)に寄与するアーム形状の他の例について説明する。図6は、熱型光検出アレイに適したアーム形状をもつ熱型光検出器の他の例を示す平面図である。図6の上段には、熱型光検出器100c,100dの平面視における形状が示されている。図6の中段には、図6の上段の図のA−A線に沿う断面図が示され、また、図6の下段には、図6の上段の図のB―B線に沿う断面図が示されている。図6において、前掲の実施形態と共通する部分には、同じ参照符号を付している。また、熱型光検出器100dの構成要素には、ダッシュ記号を付している。
図6に示される熱型光検出器100c,100dにおける、平面視におけるアーム部の形状は、第2実施形態と同じである。但し、引き出し配線を熱型光検出素子の上部電極に接続するためのコンタクトホール(CT1、CT3、CT1’、CT3’)の位置が、第2実施形態とは若干、異なっている。
また、本実施形態では、共通の空洞部17上に、熱型光検出器100c,100dが形成されている(第2実施形態では、各検出器毎に空洞部が形成されていた)。この点は、製造プロセスの簡素化に貢献する。本実施形態では、共通の空洞部17上において、熱型光検出素子90,90’の各々(あるいは搭載部56,56’)を基板BSから浮上した状態で保持するために、支持ポストPT1,PT1’を用いる。この支持ポストPT1,PT1’は、第1アーム部に設けられる第1配線および第2配線の各々と、基板BSの、空洞部17の下に位置する領域に設けられる回路構成要素と、を電気的に接続するためのコンタクト用配線(コンタクトプラグ)としても機能する。
つまり、共通の空洞部17上に設けられる複数の熱型光検出器90,90’・・・のうちの、少なくとも一つの熱型光検出器(例えば90)を構成する第1アーム部52は、空洞部の底部(底面)から熱型光検出素子90側(つまり上方)に突出するポストPT1によって支持されている。そして、そのポストPT1は、第1アーム部52に設けられる複数の配線43a,43bのうちの一つと、基板BSの、平面視で共通の空洞部17と重なる領域に設けられる回路構成要素(NMOSトランジスタM1a)と、を電気的に接続する導体層(コンタクトプラグP1およびコンタクトプラグP2)を含む。ポストP1’についても同様である。ポストPT1(PT1’)をコンタクト用配線としても利用することによって、コンタクト用配線を別途、設ける必要がなくなり、熱型光検出器90(90’)のコンパクト化が可能であり、また、製造工程も簡略化できる。
また、基板BSの、共通の空洞部17の下に位置する領域に回路構成要素(M1a,M2a等)を設けることによって、占有面積を増大させることなく、必要な回路を形成することができる。共通の空洞部17を使用することによって製造上の負担が軽減され、また、熱型光検出装置のコンパクト化も実現される。
また、熱型光検出器90を第1熱型光検出器とし、熱型光検出器90’を第2熱型光検出器としたとき、例えば、第1熱型光検出器90の第2アーム部54と、第2熱型光検出器90’の第1アーム部52’とが、共通のポストPT1’によって支持されている。
これによって、一つのポストで、2本のアーム部(各アーム部は、異なる熱型光検出器のアーム部である)を支持することができ、ポストの数を減らすことができる。したがって、素子を製造する上での負担が軽減される。また、ポストの数が減少することによって、素子から基板への放熱が、効果的に抑制される。図6の例では、第1熱型光検出器90および第2熱型光検出器90’の各々は、隣接して配置されている。
以下、図6の下段の図を参照して、具体的なデバイス構造について説明する。支持ポストPT1,PT1’(点線で囲んで示される)は、多層配線構造を用いて形成されている。支持ポストPT1は、第1配線43aに電気的に接続されるコンタクトプラグP1と、第2配線43bに電気的に接続されるコンタクトプラグP2と、層間絶縁膜Iと、を含んで構成される。同様に、支持ポストPT1’は、第1配線43a’に電気的に接続されるコンタクトプラグP1’と、第2配線43b’に電気的に接続されるコンタクトプラグP2’と、層間絶縁膜I’と、を含んで構成される。
また、共通の空洞部17の下に位置するシリコン基板(狭義の基板)11には、回路構成要素であるN型MOSトランジスターM1a,M2aが形成されている。N型MOSトランジスターM1aは、熱型検出素子90に対応して設けられる。N型MOSトランジスターM2aは、熱型検出素子90’に対応して設けられる。N型MOSトランジスターM1aは、ゲートG1(例えばシリコンゲート)と、ソース層(n)S1と、ドレイン層(n)D1と、を有する。同様に、N型MOSトランジスターM2aは、ゲートG2(例えばシリコンゲート)と、ソース層(n)S2と、ドレイン層(n)D2、を有する。
N型MOSトランジスターM1aと熱型検出素子90とは、多層配線を含む導体層ML1によって接続される。N型MOSトランジスターM2aと熱型検出素子90’とは、多層配線を含む導体層ML1’によって接続される。
図7は、図6の例における、基板に設けられる回路の構成例を示す図である。N型MOSトランジスター(選択トランジスター)M1aのゲートG1は、走査線W1aに接続されている。N型MOSトランジスター(選択トランジスター)M1aのソースS1は第1配線43aに接続されている。N型MOSトランジスター(選択トランジスター)M1aのドレインD1はデータ線D1aに接続されている。
N型MOSトランジスター(選択トランジスター)M2aのゲートG2は、走査線W1bに接続されている。N型MOSトランジスター(選択トランジスター)M2aのソースS2は第1配線43a’に接続されている。N型MOSトランジスター(選択トランジスター)M2aのドレインD2はデータ線D1aに接続されている。
また、熱型光検出素子90の第2配線43bには、所定電圧(電圧レベルをステップ的に変化させることができる電圧)PDr1が印可される。また、熱型光検出素子90’の第2配線43b’には、所定電圧(電圧レベルをステップ的に変化させることができる電圧)PDr2が印可される。
データ線D1aは、読み出しトランジスターM3の一端に接続される。読み出しトランジスターM3の他端はI/V変換回路510に接続される。読み出しトランジスターM3のオン/オフは、ゲートに印可される制御電圧CGによって制御される。
図7の例では、基板BSの、平面視で空洞部17と重なる領域に回路構成要素であるトランジスターM1a,M1bが形成されており、また、走査線W1a,W1bの一部、ならびにデータ線D1aの一部、が形成されている。なお、基板BSには、回路構成要素としてのダイオードや受動素子(抵抗等)も形成することができる。
平面視で空洞部17に重なる領域(つまり、空洞部17の下に位置する領域)の基板BSには、熱型光検出器に関係する回路構成要素(抵抗等の受動素子やトランジタ等の能動素子)が設けられている。これによって、セルの面積を増大させることなく、回路構成要素を基板に集積することができる。この技術は、例えば、大規模アレイを構成する場合に、スケールダウンを図ることに貢献する。
(第4実施形態)
図8は、熱型光検出装置(熱型光検出アレイ)の回路構成の一例を示す回路図である。図8の例では、複数の光検出セル(CL1〜CL4等)が、2次元的に配置されている。複数の光検出セル(CL1〜CL4等)の中から一つの光検出セルを選択するために、走査線(W1a,W1b等)と、データ線(D1a,D1b等)が設けられている。なお、セルCL1およびセルCL3の構成として、先に説明した図7に記載される構成を採用することができる。
光検出セルCL1は、熱型光検出素子90(圧電コンデンサー)と、素子選択トランジスターM1aと、を有する。熱型光検出素子90(圧電コンデンサー)の両極の電位関係は、電圧PDr1の電圧レベルを切り換えることによって反転することができる(この電圧反転によって、機械的なチョッパーを設ける必要がなくなる)。なお、光検出セルCL2も同様の構成である(他の光検出セルも構成は同じである)。
データ線D1aの電位は、リセットトランジスターM2をオンすることによって初期化することができる。検出信号の読み出し時には、読み出しトランジスターM3がオンする。焦電効果によって生じる電流は、I/V変換回路510によって電圧に変換され、アンプ601によって増幅され、A/D変換器701によってデジタルデータに変換される。
本実施形態では、複数の熱型光検出器(熱型光検出素子)が2次元的に配置された(例えば、直交2軸(X軸およびY軸)の各々に沿ってアレイ状に配置された)、熱型光検出装置(熱型光アレイセンサー)が実現される。
(第5実施形態)
図9は、電子機器の構成の一例を示す図である。図9の電子機器は、例えば赤外線カメラである。図示されるように、電子機器は、光学系400と、センサーデバイス(熱型光検出装置)410と、画像処理部420と、処理部430と、記憶部440と、操作部450と、表示部460とを含む。なお本実施形態の電子機器は図15の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば光学系、操作部、表示部等)を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。
光学系400は、例えば1または複数のレンズや、これらのレンズを駆動する駆動部などを含む。そしてセンサーデバイス410への物体像の結像などを行う。また必要であればフォーカス調整なども行う。
センサーデバイス410は、上述した本実施形態の光検出器を二次元配列させて構成され、複数の行線(走査線(あるいはワード線))と複数の列線(データ線)が設けられる。センサーデバイス410は、二次元配列された光検出器に加えて、行選択回路(行ドライバー)と、列線を介して光検出器からのデータを読み出す読み出し回路と、A/D変換部等を含むことができる。二次元配列された各光検出器からのデータを順次読み出すことで、物体像の撮像処理を行うことができる。
画像処理部420は、センサーデバイス410からのデジタルの画像データ(画素データ)に基づいて、画像補正処理などの各種の画像処理を行う。処理部430は、電子機器の全体の制御や電子機器内の各ブロックの制御を行う。この処理部430は、例えばCPU等により実現される。記憶部440は、各種の情報を記憶するものであり、例えば処理部430や画像処理部420のワーク領域として機能する。操作部450は、ユーザが電子機器を操作するためのインターフェースとなるものであり、例えば各種ボタンやGUI(Graphical User Interface)画面などにより実現される。
表示部460は、例えばセンサーデバイス410により取得された画像やGUI画面などを表示するものであり、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの各種のディスプレイにより実現される。
このように、1セル分の熱型光検出器を赤外線センサー等のセンサーとして用いる他、1セル分の熱型光検出器を直交二軸方向に二次元配置することでセンサーデバイス(熱型光検出装置)410を構成することができ、こうすると熱(光)分布画像を提供することができる。このセンサーデバイス410を用いて、サーモグラフィー、車載用ナイトビジョンあるいは監視カメラなどの電子機器を構成することができる。
上述のとおり、熱型光検出器は、小型であり、かつ、搭載部が両持ちされる構造であることから機械的強度に優れ、信頼性が高い。よって、この熱型光検出器を有する電子機器も、同様の効果を享受することができる。電子機器の好適な例としては、例えば、光(温度)分布画像を出力するサーモグラフィー、車載用ナイトビジョンあるいは監視カメラ等があげられる。
(第6実施形態)
図10は、電子機器の構成の他の例を示す図である。図10の電子機器800は、熱型光検出器100と、加速度検出素子500と、を搭載したセンサーユニット500を有する。センサーユニット500には、さらにジャイロセンサー等を搭載することもできる。センサーユニット500によって、異なる種類の物理量を測定することが可能である。センサーユニット500から出力される各検出信号は、CPU700によって処理される。
以上、いくつかの実施形態について説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。例えば、支持部材(メンブレン)の構成材料や、その形成方法等に関しては種々、変形が可能である。
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、例えば、熱型光検出器の小型化を、無理なく実現することができる。本発明は、種々の熱型光検出器(例えば、熱伝対型素子(サーモパイル)、焦電型素子、ボロメーター等)に広く適用することができる。検出する光の波長は問わない。
1 下部電極、2 焦電膜(PZT等)、3 上部電極、4 絶縁膜(保護膜)、
5 光吸収膜(赤外線吸収膜)、10 犠牲層、11 シリコン基板、
13 SiO膜、15 表面保護膜、Qa,Qb Si膜、ES TiN膜、
17 凹部、41 支持部材の構成層としての第1絶縁膜(第1部材)、
45 支持部材の構成層としての第2絶縁膜(第2部材)、
43a 第1配線、43b 第2配線、50 支持部材(メンブレン)、
52 第1アーム部、54 第2アーム部、56 素子搭載部(搭載部)、
90 熱型光検出素子(例えば焦電型の赤外線検出素子)、
100 熱型光検出器(例えば、焦電型の赤外線検出器)、
BS 基板(センサー基部)、CT1〜CT4 コンタクトホール

Claims (10)

  1. 基板と、
    光吸収膜を含む熱型光検出素子と、
    前記熱型光検出素子を搭載する搭載部と、一端が前記搭載部に連結され、前記搭載部を前記基板上にて支持する第1アーム部と、一端が前記搭載部の他端に連結され、前記搭載部を前記基板上にて支持する第2アーム部と、を有する支持部材と、
    を含み、
    前記第1アーム部には、前記熱型光検出素子に電気的に接続される複数本の配線が設けられ、かつ、前記第2アーム部の長さは、前記第1アーム部の長さよりも短く設定されていることを特徴とする熱型光検出器。
  2. 請求項1記載の熱型光検出器であって、
    前記第1アーム部の熱コンダクタンスをG1とし、前記第2アーム部の熱コンダクタンスをG2としたとき、G1≧G2が成立することを特徴とする熱型光検出器。
  3. 請求項1または請求項2記載の熱型光検出器であって、
    前記第1アーム部は、
    前記基板側に設けられる第1絶縁膜と、
    前記第1絶縁膜上に設けられる、互いに電気的に分離されている第1配線および第2配線と、
    前記第1配線上および前記第2配線上に設けられる第2絶縁膜と、
    を有することを特徴とする熱型光検出器。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の熱型光検出器であって、
    前記第1アーム部は、前記搭載部に連結されると共に、平面視で第1方向に延在する第1部分と、前記第1部分に連接し、平面視で前記第1方向に垂直な第2方向に延在する第2部分と、を有し、前記第2アーム部は、前記第1方向に延在する第3部分のみを有することを特徴とする熱型光検出器。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の熱型光検出器であって、
    前記支持部材と前記基板との間に設けられる空洞部と、
    平面視で前記空洞部と重なる領域の前記基板に設けられる回路構成要素と、
    を有することを特徴とする熱型光検出器。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の熱型光検出器であって、
    前記熱型光検出素子は、赤外線検出素子であることを特徴とする熱型光検出器。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の熱型光検出器が複数、2次元配置されていることを特徴とする熱型光検出装置。
  8. 請求項5記載の熱型光検出器が複数、共通の前記空洞部上に設けられ、
    前記共通の空洞部上に設けられる複数の熱型光検出器のうちの、少なくとも一つの熱型光検出器を構成する第1アーム部は、前記共通の空洞部の底部から前記熱型光検出素子側に突出するポストによって支持されており、かつ、前記ポストは、前記第1アーム部に設けられる前記複数の配線のうちの一つと、前記基板の、平面視で前記共通の空洞部と重なる領域に設けられる回路構成要素と、を電気的に接続する導体層を含むことを特徴とする熱型光検出装置。
  9. 請求項8記載の熱型光検出装置であって、
    前記複数の熱型光検出器には、第1熱型光検出器および第2熱型光検出器が含まれており、
    前記第1熱型光検出器の第2アーム部と、前記第2熱型光検出器の第1アーム部とが、共通の前記ポストによって支持されている、
    ことを特徴とする熱型光検出装置。
  10. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の熱型光検出器を含むことを特徴とする電子機器。
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