図1は、本発明の防蟻構造の一実施形態(第1断熱材が内断熱構造として配置され、不織布が第1断熱材の上面に配置される態様)を示す断面図、図2は、圧力損失測定装置の概略図である。
なお、図1において、紙面右側を「内側」、紙面左側を「外側」とする。
図1において、この防蟻構造1は、施工対象としての基礎2と、基礎2に配置される不織布5とを備えている。
より具体的には、この防蟻構造1は、布基礎形式の基礎構造部に適用され、このような布基礎形式の基礎構造部は、第1基礎としての布基礎3と、第2基礎としての打設コンクリート4とを備えている。また、この防蟻構造1は、断熱材としての第1断熱材7と、土台6とをさらに備えている。
布基礎3は、鉛直方向(鉛直上方および鉛直下方)に延び、厚肉の平板状に形成されている。
打設コンクリート4は、厚肉の平板状に形成され、布基礎3の内側面から水平方向一方(内側)に延びるように配置されている。
第1断熱材7を形成する断熱材料としては、例えば、樹脂発泡体が挙げられる。
そのような樹脂発泡体としては、例えば、ポリウレタン樹脂発泡体、ポリスチレン樹脂発泡体、ポリエチレン樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体、塩化ビニル樹脂発泡体、ユリア樹脂発泡体、エポキシ樹脂発泡体、メタクリル樹脂発泡体などの発泡プラスチックが挙げられる。樹脂発泡体の気泡構造は、各気泡が完全に膜で仕切られた独立気泡と、各気泡間が通気される(連通する)通気性気泡とのどちらを用いることもできる。
また、断熱材料として、上記した樹脂発泡体(発泡プラスチック)以外に、例えば、グラスウール、ロックウール(岩綿)などの綿状物、例えば、セルロース繊維(セルロールファイバー)、炭素繊維(カーボンファイバー)、アセテート繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、アクリル樹脂繊維などの人工繊維や、羊毛繊維、綿繊維、麻繊維、絹繊維などの天然繊維などの繊維状物が挙げられる。
第1断熱材7が通気性気泡の気泡構造である樹脂発泡体から形成されていれば、後述する薬剤の施工および再施工(後述)において、薬剤を第1断熱材7に施工すれば、第1断熱材7が、薬剤が担持される担体、および/または、薬剤が通過するための通路となることから、薬剤が、第1断熱材7に担持され、および/または、第1断熱材7を通過する。
そのため、薬剤を、第1断熱材7を介して不織布5に容易に施工することができる。
第1断熱材7は、打設コンクリート4の上面において、布基礎3の内側面(打設コンクリート4に隣接する隣接面)に沿って配置されている。具体的には、第1断熱材7は、鉛直方向に延びる厚肉の平板状に形成され、布基礎3の内側面と接触するように配置されている。また、第1断熱材7の上面は、布基礎3の上面と、水平方向において実質的に略面一に形成されている。
土台6は、木製であって、布基礎3の上面に配置されており、断面視略矩形状に形成されている。
不織布5は、第1断熱材7の上面全面に配置され、水平方向に沿うシート状に形成されている。また、不織布5は、上下方向に投影したときに、その内端縁および外端縁は、第1断熱材7の内側面および外側面と、それぞれ同じ位置に形成されている。なお、不織布5は、必要により、アンカーボルト、ボルト、釘、接着剤などの固定部材によって第1断熱材7の上面に固定されている。
具体的には、不織布5は、その繊維長が、15〜100mm、好ましくは、30〜80mm、さらに好ましくは、50〜80mmである。繊維長が上記範囲にあれば、シロアリの不織布5の表面における水平方向の歩行および/不織布5に対する厚み方向の貫通を有効に防止することができる。
また、不織布5の繊維径は、例えば、5〜100μm、好ましくは、10〜50μmである。繊維径が上記範囲にあれば、シロアリの不織布5の表面における水平方向の歩行および/不織布5に対する厚み方向の貫通を有効に防止することができる。
また、不織布5の目付(坪量)は、例えば、30〜1000g/m2、好ましくは、50〜500g/m2、さらに好ましくは、50〜200g/m2である。
また、不織布5は、ニードルパンチ法および/またはケミカルボンド法によって製造されている。
また、不織布5の繊維材料としては、例えば、ポリエステル(具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリウレタン、アラミド、アクリルなどの合成材料、例えば、絹、綿、麻などの天然材料が挙げられる。
また、不織布5の繊維材料として、炭素繊維も挙げられる。炭素繊維の種類としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維などが挙げられる。
不織布5の繊維材料として、好ましくは、合成材料が挙げられる。
不織布5における各繊維は、図1の拡大模式図に示すように、例えば、よじれ(ねじれ)部分を有するとともに、端部が外方(上方および水平方向)に突出する部分、つまり、毛羽立ち部分を有している。
また、不織布5は、通気性を有しており、具体的には、下記の測定による圧力損失ΔPが、例えば、0.1〜5mm水柱、好ましくは、0.5〜3mm水柱である。
(圧力損失)
まず、図2に示す圧力損失測定装置25を用意する。図2において、圧力損失測定装置25は、送風ファン14と、それの送風方向下流側に接続される第1ライン15と、第1ライン15の送風方向下流側に接続されるカラム16とを備えている。
第1ライン15には、送風方向上流側から下流側に向かって、バルブ20および流量計21が順次介装されている。
バルブ20は、開閉によって第1ライン15における送風を開始および停止する。
流量計21としては、例えば、フロート(浮き)を備えるフロートメータなどが挙げられ、フロートの高さによって、第1ライン15における送風量を測定する。
カラム16は、有底円筒形状をなし、内径が50mmである。また、カラム16の底壁(上壁)は、第1ライン15に接続されている。また、カラム16における送風方向途中(送風方向上流側端部および下流側端部の間、中央)には、直交方向(送風方向に直交する方向)に沿って配置される不織布5が設置されている。これにより、カラム16には、不織布5の送風方向上流側に、不織布5、周壁および上壁によって仕切られる上流側室22と、不織布5の送風方向下流側に、不織布5および周壁によって仕切られる下流側室23とが形成されている。
上流側室22は、第2ライン17を介して圧力計19と連通している。また、下流側室23は、第3ライン18を介して圧力計19と連通している。
圧力計19としては、例えば、マノメータなどが挙げられる。なお、マノメータには、水などの流体が充填され、両端が第2ライン17および第3ライン18にそれぞれ接続される略U字管から形成されている。圧力計19は、上流側室22の気圧(上流側圧)P1と、下流側室23の気圧(下流側圧)P2との差圧ΔP(=上流側圧P1−下流側圧P2)を、不織布5の圧力損失ΔPとして測定する。
そして、上記した圧力損失測定装置25を用意した後、まず、送風ファン14を駆動させるとともに、バルブ20を開状態とすることにより、不織布5が設置されたカラム16に、第1ライン15を介して送風する。同時に、流量計21により測定される送風量が100L/分となるように、送風ファン14の駆動量を調整する。
そして、圧力計19によって差圧ΔPを測定することにより、不織布5の送風量100L/分における圧力損失ΔPを算出する。
不織布5の圧力損失が上記した範囲内であれば、後述する再施工を容易に実施することができ、しかも、空気の流通の妨害を防止でき、例えば、木材(具体的には、後述する土台6(図1)の表面全面)を被覆する場合でも、木材の呼吸の妨害を防止することができる。
また、不織布5は、吸液(液保持)性を有しており、具体的には、下記の測定による吸水率Aが、例えば、1〜200g/g、好ましくは、2〜100g/g、好ましくは、5〜50g/gである。
(吸水率)
まず、吸水前の不織布5の重量W1を測定する。
次いで、不織布5を水に十分に浸漬し、次いで、不織布5を水から引き上げ、その後、不織布5を、例えば、1〜5分程度放置するか、あるいは、軽く絞ることにより、余剰の水を落下させた後の不織布5の重量を測定し、これを、吸水後の不織布5の重量W2として得る。
そして、下記式により、吸水率A(g/g)を算出する。
吸水率A=(吸水後の不織布5の重量W2−吸水前の不織布5の重量W1)/(吸水前の不織布5の重量W1)
不織布5の吸水率Aが上記した範囲内であれば、後述する薬剤の施工時における不織布5の薬剤(好ましくは、後述する懸濁剤、液剤として調製さる薬剤)に対する含浸量を特定範囲に設定することができる。
また、不織布5は、各繊維間同士を接着剤によって接着されることなく、形成されている。
このような不織布5の厚み(非圧縮時の厚み)T1は、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.3mm以上であり、通常、例えば、4mm以下、好ましくは、3mm以下である。
一方、不織布5の圧縮(圧力10kPaの圧縮)時の厚みT2は、例えば、0.05mm以上、好ましくは、0.1mm以上であり、通常、例えば、0.8mm以下、好ましくは、0.5mm以下である。
また、不織布5は、単層として形成することができ、あるいは、必要により、複数枚が積層された複数層の不織布層として形成することもできる。
不織布5を複数層で形成すれば、1枚の不織布5を、柔軟性の観点から薄く形成しても、不織布層の厚みを特定範囲に設定することができる。そのため、作業性を向上させることができる。
また、不織布5を複数層で形成する場合には、好ましくは、上下方向に投影したときに、各層の周端部を互いにずらすように、配置する。さらに好ましくは、各層を無荷重あるいは微小な荷重で積層する。これにより、各層間に空間(隙間)を形成することができる。
シロアリは、まず、部材の端部に取り付き、その後、部材間や部材の内部に侵入しようとするところ、不織布5の各層の周端部をずらすことにより、周端部への取り付きの回数を増加させることができるとともに、互いに位置ずれした層間の隙間にシロアリを案内することができる。
そのため、シロアリを、各層の防蟻成分と効率よく接触させることができる。その結果、防蟻効果を向上させることができる。
なお、上記した製造方法により得られる不織布5は、柔軟性および伸縮性を有している。
上記した不織布5は、繊維長が上記した特定範囲と短く、毛羽立ち部分を有し、さらに、繊維間同士が全面で接着されておらず、しかも、その隙間に空気を多く含み、荷重により容易に厚さが変わるので、シロアリが繊維間に足を取られることによって、シロアリの歩行を妨げることができるとともに、良好な通気性、および、再施工(後述)時の薬剤の良好な付着性を発現することができる。
次に、この防蟻構造1(図1)を用いた、本発明の防蟻方法の一実施形態について説明する。
まず、この方法では、布基礎形式の基礎構造部における布基礎3および打設コンクリート4と、第1断熱材7と、土台6とを上記した配置で配置する。
次いで、不織布5を、第1断熱材7の上面全面に配置する。
不織布5は、予め薬剤が含浸されている。
薬剤は、例えば、防蟻成分を含有する防蟻組成物である。
防蟻成分としては、例えば、ネオニコチノイド系化合物、ピレスロイド系化合物、有機塩素系化合物、有機リン系化合物、カルバメート系化合物、ピロール系化合物、フェニルピラゾール系化合物、オキサジアジン系化合物、セミカルバゾン系化合物、アントラニリックジアミド系化合物、植物またはその処理物あるいはその誘導体などが挙げられる。
上記した防蟻成分は、単独使用または2種以上を併用することができる。好ましくは、ネオニコチノイド系化合物が挙げられる。
ネオニコチノイド系化合物としては、例えば、(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(一般名:クロチアニジン)、N−アセチル−N−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−N’−メチル−N”−ニトログアニジン、N−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−N−メトキシカルボニル−N’−メチル−N”−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリン−2−イリデンアミン(一般名:イミダクロプリド)、3−(2−クロロチアゾール−5−イルメチル)−5−[1,3,5]オキサジアジナン−4−イルインデン−N−ニトロアミン(一般名:チアメトキサム)、(RS)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン(一般名:ジノテフラン)、(E)−N1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N2−シアノ−N1−メチルアセトアミジン(一般名:アセタミプリド)などが挙げられる。
これらネオニコチノイド系化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。ネオニコチノイド系化合物のうち、好ましくは、クロチアニジンが挙げられる。
ピレスロイド系化合物としては、例えば、アレスリン、ペルメトリン、トラロメトリン、ビフェントリン、アクリナトリン、アルファシペルメトリン、シフルトリン、シフェノトリン、プラレトリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェン、フェンバレレートなどが挙げられ、好ましくは、ペルメトリン、ビフェントリン、シフェノトリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェンが挙げられる。
有機塩素系化合物としては、例えば、ケルセンなどが挙げられる。
有機リン系化合物としては、例えば、ホキシム、ピリダフェンチオン、フェニトロチオン(MEP)、テトラクロルビンホス、ジクロフェンチオン、プロペタンホスなどが挙げられる。
カルバメート系化合物としては、例えば、カルバリル、フェノブカルブ(BPMC)、プロポクスルなどが挙げられる。
ピロール系化合物としては、例えば、クロルフェナピルなどが挙げられる。
フェニルピラゾール系化合物としては、例えば、フィプロニルなどが挙げられる。
オキサジアジン系化合物としては、例えば、インドキサカルブなどが挙げられる。
セミカルバゾン系化合物としては、例えば、α−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トリニトリル4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾンなどが挙げられる。
アントラニリックジアミド系化合物としては、例えば、クロラントラニリプロールなどが挙げられる。
植物またはその処理物あるいはその誘導体としては、例えば、特開2002−307406号公報、特開2003−252708号公報、特開2005−74776号公報に記載されたものが挙げられる。
また、防蟻組成物における防蟻成分は、不織布5に保持されることができる製剤形態であれば、特に限定されず、例えば、フロアブル剤、マイクロカプセル剤(水などの溶媒に分散されたもの)、担体担持剤などの懸濁剤、例えば、油剤、乳剤などの液剤、例えば、粉剤などとして、調製される。また、上記した懸濁剤および/または液剤に、発泡剤を配合したムース剤として調製することもできる。
好ましくは、これらのうち、防蟻成分を、溶媒に分散されたマイクロカプセル剤として調製する。マイクロカプセル剤は、後述する毛羽立ち部分における付着量を増大させることができる。
防蟻組成物における防蟻成分の重量割合は、例えば、0.001〜50重量%、好ましくは、0.01〜25重量%である。
なお、防蟻組成物には、必要により、公知の添加剤を添加することができ、そのような添加剤としては、例えば、防かび剤、抗菌剤、難燃剤、分散剤、界面活性剤、沈降防止剤、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、接着剤、オキシカルボン酸やケイフッ化物などの硬化遅延剤、アルミン酸ナトリウム、カルシウムなどの硬化促進剤、ポリプロピレン、ポリエチレン、アラミド樹脂などのコンクリート補強剤などが挙げられる。
不織布5には、薬剤を、例えば、浸漬、塗布(例えば、スプレー塗布など)などによって含浸させる。
含浸量は、例えば、10〜5000g/m2(不織布5の単位面積当たりの薬剤重量)、好ましくは、100〜2500g/m2であり、つまり、例えば、0.1〜170g/g(不織布5の単位重量当たりの薬剤重量)、好ましくは、0.4〜50g/gでもある。
その後、必要により、不織布5を乾燥させて、溶媒などを留去する。これにより、不織布5の繊維の表面には、薬剤の防蟻成分を固形状で残存させることができる。
そして、この防蟻構造1および防蟻方法によれば、繊維長が特定長さであり、かつ、特定の製造方法によって製造される不織布5を用いるので、不織布5の繊維のよじれ部分、および、不織布5の表面の毛羽立ち部分を有している。
すなわち、不織布5のよじれ部分および毛羽立ち部分によって、シロアリの歩行および侵入を物理的に阻害することができる。具体的には、シロアリは、よじれ部分および毛羽立ち部分によって、不織布5の表面を蛇行する必要があるため、自由な歩行が阻害される。とりわけ、防蟻成分がマイクロカプセル剤として調製されていれば、かかるマイクロカプセル剤が大量に付着した毛羽立ち部分に、シロアリを接触させることができる。
そのため、シロアリの不織布5の表面における水平方向の歩行、および、シロアリの不織布5に対する厚み方向(鉛直方向)の貫通を、有効に防止することができる。
その結果、より一層優れた防蟻効果を発現することができる。
また、不織布5は、柔軟性を有しているため、施工対象である基礎2の形状に対応して、柔軟に配置することができる。
なお、上記した説明では、薬剤を、不織布5に含浸させているが、例えば、塗装(塗布)することもできる。
また、上記した説明では、薬剤を、予め、第1断熱材7の配置前に浸漬しているが、例えば、上記した薬剤の浸漬に加え、第1断熱材7の配置から所定期間経過後に薬剤を再度施工(再施工)することができる。
再施工するには、例えば、不織布5、具体的には、不織布5の一端部に薬剤に塗布および/または注入する。
第1断熱材7の配置から薬剤の再施工までの期間は、例えば、3年以上、好ましくは、5年以上、通常、20年以内、好ましくは、10年以内に設定される。
この再施工では、不織布5に薬剤を施工するのみであるので、簡易な方法で優れた防蟻効果を長期にわたって確保することができる。
また、上記した説明では、不織布5を、第1断熱材7の上面のみに配置しているが、例えば、図1の仮想線で示すように、第1断熱材7の上面および布基礎3の上面に配置することもできる。
つまり、不織布5は、第1断熱材7の上面および布基礎3の上面の両面全面にわたって連続するように、配置されている。
不織布5を布基礎3の上面に配置することにより、布基礎3における防蟻効果を向上させることができる。
また、上記した説明では、不織布5を、第1断熱材7の上面に配置しているが、図1の破線で示すように、第1断熱材7の下面に配置することもできる。
不織布5は、第1断熱材7の下面全面(打設コンクリート4の上面の外端部)および布基礎3に隣接する隣接面(外側面)の下端部に連続するように、断面略L字形状に配置されている。
また、不織布5の両端部(上端部および内端部)を、必要により、布基礎3および打設コンクリート4に、例えば、上記した固定部材により固定することができる。好ましくは、接着剤により接着する。
これにより、図1の1点鎖線で示すように、布基礎3の内側面と打設コンクリート4の外側面とが互いに離間して、それらの間にクラック33が生じても、不織布5が伸縮性を有するので、不織布5においてクラック33に対応する部分が、上記した離間に追従することができ、クラック33の上端部を被覆することができる。そのため、シロアリのクラック33への侵入を防止することができる。
さらにまた、不織布5の両端部を布基礎3および打設コンクリート4に固定しつつ、その中央部を、ひだ状に形成することもできる。これにより、不織布5のクラック33に対応する部分を、中央部の伸びによって、上記した離間に容易かつ確実に追従させることができ、シロアリのクラック33への侵入を容易かつ確実に防止することができる。
また、図1には図示しないが、不織布5と土台6との間に、ねこ土台(図示せず)を設置して、不織布5と土台6との間に、適宜の隙間を形成することもできる。
また、上記した説明では、不織布5を、第1断熱材7の上面および/または下面に配置しているが、例えば、図示しないが、第1断熱材7の表面全面に配置することもできる。
すなわち、第1断熱材7の表面(上面、下面、内側面および外側面)は、不織布5によって全て被覆されている。
なお、図1の実線の実施形態では、不織布5の内端縁を、第1断熱材7の内側面と、上下方向に投影したときに、同じ位置に形成しているが、例えば、図1の仮想線で示すように、第1断熱材7の内側面より、内側に突出するように形成することもできる。
図3は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(第2断熱材が外断熱構造として配置され、不織布が第2断熱材の上面に配置される態様)を示す断面図、図4は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(断熱材が両側断熱構造として配置され、不織布が第2断熱材の下端部を被覆する態様、不織布が第2断熱材、布基礎および第1断熱材の上端部を被覆する態様、および、不織布が布基礎、打設コンクリート、第1断熱材および第3断熱材の隙間に配置される態様)を示す断面図、図5は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(不織布が、布基礎、第3断熱材および第1断熱材の間に配置される態様)を示す断面図、図6は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(不織布が第1断熱材および束に配置される態様)を示す断面図、図7および図8は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(不織布が第2断熱材および布基礎の間に配置される態様)を説明する断面図、図9は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(不織布が第2断熱材の継ぎ目に配置される態様)を示す断面図、図10は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(不織布が第2断熱材および地面の間に配置される態様)を示す断面図、図11は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(土台が不織布によって巻回される態様)を示す断面図、図12は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(不織布が布基礎および打設コンクリートに沿って断面略T字形状に配置される態様)を説明する断面図、図13は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(不織布が布基礎および打設コンクリートに沿って断面略L字形状に配置される態様)を説明する断面図、図14は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(不織布が布基礎および打設コンクリートに沿って配置され、重石に載置される態様)を示す断面図、図15〜図20は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(不織布が布基礎および打設コンクリートに沿って配置される態様)を説明する断面図および一部切欠斜視図、図21は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(不織布がべた基礎、基礎本体および第2断熱材に沿って配置される態様)を説明する断面図、図22は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(不織布が基礎本体および第2断熱材に沿って配置される態様)を説明する断面図である。
なお、以降の各図面において、上記した各部に対応する部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上記した図1の説明では、防蟻構造1において、断熱材(第1断熱材7)を、内断熱構造として配置したが、例えば、図3に示すように、断熱材(第2断熱材8)を、外断熱構造として配置し、その断熱材の表面に不織布5を配置することができる。さらには、図4および図5に示すように、断熱材(第1断熱材7および第2断熱材8)を、両側断熱構造(第1断熱材7および第2断熱材8が布基礎3の内側および外側の両側にそれぞれ配置される断熱構造)として配置し、それらの断熱材の表面に不織布5を配置することもできる。
図3において、第2断熱材8は、布基礎3の外側面(打設コンクリート4に隣接する隣接面と反対側面)に沿って配置されている。すなわち、第2断熱材8は、布基礎3の外側面と接触するように、第2断熱材8の外側面全面にわたって配置されている。また、第2断熱材8の上面は、布基礎3の上面と、水平方向において実質的に略面一に形成されている。また、不織布5の外端縁は、上下方向に投影したときに、第2断熱材8の外側面と同じ位置に形成されている。
第2断熱材8は、上記した第1断熱材7と同様の材料から形成されている。
不織布5は、第2断熱材8の上面全面に配置されている。
また、図示しないが、不織布5によって、第2断熱材8の表面全面(外側面、内側面、上面および下面)を被覆することもできる。つまり、不織布5によって第2断熱材8を全て包むこともできる。
さらに、第2断熱材8に、予め、特開2007−146159に記載されるシロアリ防除用塗料組成物を塗布して、第2断熱材8の表面(外側面および内側面を含む)にシロアリ防除用塗料組成物からなる塗膜を形成することもできる。
これにより、第2断熱材8の表面におけるシロアリの歩行をより一層効率的に阻害することができる。
また、図示しないが、第2断熱材8の外側面(基礎3に対する反対側面)には、美観の観点から、塗装を施すこともできる。
また、図3の実施形態では、不織布5の外端縁を、上下方向に投影したときに、第2断熱材8の外側面と同じ位置に形成しているが、例えば、図3の仮想線で示すように、第2断熱材8の外側面より外側に突出するように形成することもできる。
また、図4において、不織布5は、第2断熱材8の下端部を被覆している。つまり、不織布5は、第2断熱材8の内側面(布基礎3に隣接する隣接面)の下端部、下面全面および外側面(布基礎3に隣接する隣接面との反対側面)の下端部に連続するように、上方に向かって開く断面視略コ字形状に配置されている。
また、不織布5によって、第1断熱材7、布基礎3および第2断熱材8の上端部を被覆することもできる。
つまり、不織布5は、第2断熱材8の外側面の上端部および上面全面と、布基礎3の上面全面と、第1断熱材7の上面全面および内側面の上端部とに、連続するように、下方に向かって開く断面視略コ字形状に配置されている。
また、図4に示すように、不織布5を、布基礎3の内側面と打設コンクリート4の上面との連結部分が臨む隙間13に配置することもできる。
図4において、第3断熱材9が、打設コンクリート4の上面に設けられ、水平方向に延びるように配置されている。なお、第3断熱材9は、上記した第1断熱材7と同様の材料から形成されている。
第1断熱材7の下端部は、第3断熱材9の外端部の上面に載置されている。また、第1断熱材7の下端部は、打設コンクリート4の上面と第3断熱材9の厚み分の間隔を隔てて対向配置されている。また、第3断熱材9は、その外端部が、布基礎3の内側面と第1断熱材7の厚みより薄い厚み分の間隔を隔てて対向配置されている。
これにより、隙間13が、第1断熱材7の下端面、第3断熱材9の外側面、打設コンクリート4の上面および布基礎3の内側面とにより区画されている。
かかる隙間13に、不織布5が折り畳まれた状態で収容されている。
また、図5に示すように、不織布5を、第1断熱材7および第3断熱材9の間に配置することもできる。
図5において、第3断熱材9は、その外端部が、布基礎3の内側面と不織布5が配置される微少な隙間を隔てて配置されている。
また、第1断熱材7は、その下端部が、第3断熱材9の上面と不織布5が配置される微少な隙間を隔てて載置されている。
さらに、第3断熱材9の上面には、電熱線を含む電熱コンクリート11が設けられており、電熱コンクリート11は、第1断熱材7の内側面から水平方向一方(内側)に延び、電熱コンクリート11の外端部が、第1断熱材7と不織布5が配置される微少な隙間を隔てて配置されている。
そして、不織布5は、第3断熱材9の外端部および電熱コンクリート11の外端部を被覆するように、配置されている。
すなわち、不織布5は、第3断熱材9の下面の外端部、外側面全面および上面の外端部と、電熱コンクリート11の外側面全面および上面の外端部とに、連続するように、配置されている。
より具体的には、不織布5は、第3断熱材9の外端部において、第3断熱材9の下面および打設コンクリート4の上面の間と、第3断熱材9の外側面および布基礎3の内側面の間と、第3断熱材9の上面および第1断熱材7の下面の間とに、連続するように、内方に向かって開く断面視略コ字形状に配置されている。また、不織布5は、電熱コンクリート11の外端部において、第1断熱材7の内側面および電熱コンクリート11の外側面の間と、電熱コンクリート11の上面とにわたって、連続するように、断面視略L字形状に配置されている。
また、不織布5は、電熱コンクリート11の上面における一端部が、第3断熱材9の内側面から内方に向かって延びるように配置されている。
また、図5の仮想線で示すように、不織布5を、布基礎3の継ぎ目12に配置することもできる。
継ぎ目12は、布基礎3の鉛直方向途中において、水平方向に沿って形成される。また、継ぎ目12は、打設コンクリート4の上端から水平方向に延びるように形成されている。
さらに、図5の破線で示すように、不織布5を、布基礎3の表面(外側面)、つまり、第2断熱材8の裏面(内側面)に、継ぎ目12の外側部分を被覆するように、配置することもできる。
また、図6に示すように、不織布5を、基礎2および束10の両方に施工することもできる。
図6において、束10は、打設コンクリート4の上に配置され、具体的には、打設コンクリート4の上面に立設している。また、束10は、例えば、鋼などの剛性材料からなり、上下方向に延び、上下方向両端部が、略半球(または略三角形状)に形成されている。さらに、束10は、大引き24を支持している。 大引き24は、木製であって、束10の上に配置されており、断面視略矩形状に形成されている。
そして、不織布5は、束10の上端部に接触しており、具体的には、束10の上端部の上面と、大引き24の下面との間に介在されている。また、不織布5は、上下方向に投影したときに、束10の上端部を含むように形成され、具体的には、束10の上端部の上面より大きく形成されている。
また、不織布5は、中央部が、束10の上端部と大引き24とにより狭持され、周端部が、束10の上端部から露出している。また、不織布5の周端部は、鼠返し状に形成され、具体的には、束10から離間するに従って下側に湾曲する(垂れる、あるいは、撓む)ように形成されている。
そして、この束10では、シロアリの不織布5の表面における水平方向の歩行、および、シロアリの不織布5に対する厚み方向(鉛直方向)の貫通を、有効に防止することができる。
さらに、不織布5は、中央部が束10によって支持される固定部分となる一方、周端部が束10から露出する遊端部分となるため、不織布5の周端部が容易に上下方向に揺動できる。そのため、シロアリの不織布5の周端部における歩行、さらには、周端部へのシロアリの取り付きをより一層有効に阻害することができる。
その結果、より一層優れた防蟻効果を発現することができる。
また、不織布5の周端部が束10から露出することから、薬剤を不織布5の周端部に容易に塗布することができる。そのため、薬剤の再施工を容易に実施することができる。
また、不織布5は、伸縮性を有するので、束10による大引き24の確実な支持を確保することができる。
また、上記した説明では、不織布5を、束10の上端部の上面に接触させているが、例えば、図6の仮想線で示すように、束10の下端部の下面に接触させることができ、さらには、図6の破線で示すように、束10の外周面に接触させることもできる。
図6において、仮想線で示される不織布5は、束10の下端部の下面と、打設コンクリート4の上面との間に介在されている。
また、図6において、破線で示される不織布5は、束10の上下方向中央に設けられ、束10の外周面(外側面)に沿って巻回されている。
また、図6において、不織布5を基礎2および束10の両方に施工しているが、例えば、図示しないが、束10のみ(破線および仮想線で示す束10)に施工することもできる。
また、図4では、不織布5を、布基礎3の下端部と、第2断熱材8の下端部との間に配置しているが、例えば、図7および図8に示すように、布基礎3の上端部と、第2断熱材8の上端部との間に配置することもできる。
図7(b)において、この防蟻構造1では、不織布5の下端部が、布基礎3の上端部と、第2断熱材8の上端部とによって挟持される挟持部39とされている。
図7(b)に示す防蟻構造1を形成するには、まず、図7(a)に示すように、布基礎3の上端部と、第2断熱材8の上端部とによって、不織布5の挟持部39を挟持させる。
具体的には、まず、不織布5の挟持部39を布基礎3の外側面の上端部に沿って配置し、その後、第2断熱材8を、挟持部39を含む布基礎3の外側面に配置する。
なお、第2断熱材8は、例えば、接着剤を介した接着、あるいは、型枠を介した吹付などによって、挟持部39を含む布基礎3の外側面に設けられる。
また、不織布5は、折り畳まれており、具体的には、複数(具体的には、2開)折り畳まれている。詳しくは、不織布5は、2つ折されている。不織布5は、折目が下側を指向するように、配置される。
なお、2つ折される前の不織布5の幅は、図7(b)に示すように、挟持部39の長さL1の2倍の長さと、布基礎3の上面の幅(内外方向長さ)L3と、第2断熱材8の上面の幅L2との合計長さより長く調整されている。
なお、挟持部39は、内外方向に重なり合う2層構造となっている。
次いで、図7(a)の矢印および図7(b)に示すように、不織布5を展開する。
具体的には、不織布5において、2つの遊端部40を、外側および内側に拡げる。
これによって、第2断熱材8の上面、および、布基礎3の上面が、不織布5の遊端部40によって被覆される。
なお、展開後の遊端部40の外側端縁は、上下方向に投影したときに、第2断熱材8の外側面と同一位置に形成されていてもよい。つまり、遊端部40の外側端縁は、第2断熱材8の外側面と面一に形成されていてもよい。
一方、展開後の遊端部40の内側端縁は、布基礎3の内側面から内側に突出している。不織布5の突出部41は、断面略傘形状をなし、具体的には、布基礎3の上端部から内方斜め下側に向かって垂れるように、形成される。
なお、必要により、図7(c)に示すように、土台6を、布基礎3の上面に、不織布5を介して配置する。
そして、図7(b)および図7(c)の実線で示す防蟻構造1では、布基礎3と第2断熱材8との間に沿って上方に向かって侵入するシロアリの歩行を物理的に阻害することができる。さらに、布基礎3と第2断熱材8との間に沿って上方から侵入するシロアリの歩行を物理的に阻害することもできる。
しかも、不織布5の突出部41によって、布基礎3の内側面に沿って上方に向かって侵入するシロアリの歩行を阻害することもできる。つまり、不織布5の突出部41は、シロアリを下側に返すシロアリ返し(鼠返しと類似)の作用を奏することもできる。
さらに、図7(b)(および図7(c))の矢印が参照されるように、第2断熱材8の外側から第2断熱材8の上面に配置される不織布5の外端部に向けて薬剤を注入することによって、薬剤を不織布5に容易に再施工することができる。
さらに、図7(c)の仮想線で示すように、この防蟻構造1に、壁38および第4断熱材37を設けることができる。
図7(c)の仮想線で示すように、壁38は、土台6の上に配置される。壁38は、上下方向に延び、厚肉の平板状に形成されている。
第4断熱材37は、壁38の外側面および土台6の外側面に沿って、第2断熱材8の上に、不織布5を介して配置されている。第4断熱材37は、上下方向に延び、平板状に形成されている。なお、第4断熱材37は、上記した第1断熱材7と同様の材料から形成されている。
なお、図7では、不織布5を、2つ折したが、折り畳みの回数は限定されず、3つ(3つ折り)、あるいは、それを超過してもよい。
また、図7では、1枚の不織布5を用いているが、例えば、図8に示すように、複数(具体的には、2枚)の不織布5を用いることができる。
図8(b)の防蟻構造1は、図8(a)に示すように、2枚の不織布5を備えている。
図8(b)の防蟻構造1を得るには、まず、図8(a)に示すように、2枚の不織布5を、布基礎3の上端部と、布基礎3の外側に間隔を隔てて配置される第2断熱材8の上端部とに、それぞれ配置する。
具体的には、一方の不織布5を、布基礎3の上端部の外側面および上面を被覆するように、断面略L字形状に配置する。なお、一方の不織布5には、布基礎3の上端部から内方斜め下側に向かって垂れる突出部41が形成される。
他方の不織布5は、第2断熱材8の上端部の内側面および上面を被覆するように、断面略L字形状に配置される。
次いで、図8(a)の矢印および図8(b)に示すように、第2断熱材8を、布基礎3の外側面に隣接(当接)させる。
これによって、布基礎3の上端部の外側面に配置される不織布5と、第2断熱材8の上端部の内側面に配置される不織布5とが、内外方向に重なり合う。
図8(b)の防蟻構造1は、図7(b)の防蟻構造1と同様の作用効果を奏する。
また、図9に示すように、不織布5を、第2断熱材8の継ぎ目36に配置することもできる。
図9において、継ぎ目12は、第2断熱材8の鉛直方向途中において、水平方向に沿って形成される。
図9の防蟻構造1では、継ぎ目12に沿って侵入するシロアリの歩行を物理的に阻害することができる。さらに、図9の矢印が参照されるように、第2断熱材8の外側から継ぎ目12に配置される不織布5の外端部に向けて薬剤を注入することによって、薬剤を不織布5に容易に再施工することができる。
また、図9において、継ぎ目12の上側の第2断熱材8を、独立気泡の気泡構造である樹脂発泡体から形成し、継ぎ目12の下側の第2断熱材8を、通気性気泡の気泡構造である樹脂発泡体から形成することができる。
あるいは、上記の逆、つまり、継ぎ目12の上側の第2断熱材8を、通気性気泡の気泡構造である樹脂発泡体から形成し、継ぎ目12の下側の第2断熱材8を、独立気泡の気泡構造である樹脂発泡体から形成することもできる。
さらには、継ぎ目12の上側および下側の両側の第2断熱材8を、ともに独立気泡の気泡構造である樹脂発泡体から形成することができ、あるいは、ともに通気性気泡の気泡構造である樹脂発泡体から形成することもできる。
少なくとも第2断熱材8を通気性気泡の気泡構造である樹脂発泡体から形成すれば、薬剤の施工および再施工において、第2断熱材8は、薬剤が担持される担体、および/または、薬剤が通過するための通路となることから、薬剤が、第2断熱材8に担持され、および/または、第2断熱材8を通過する。
そのため、薬剤を、第2断熱材8を介して不織布5に容易に施工および/または再施工することができる。
また、図9において、継ぎ目12の上側の第2断熱材8に代えて、図9の括弧書きで示される固形薬剤48を施工することもできる。
そのような固形薬剤48は、例えば、塊(ブロック)状に形成されており、そのような固形薬剤48として、例えば、市販品を用いることができ、市販品としては、特に限定されず、具体的には、タケロックMCブロックシリーズ(水硬化型土壌処理剤、日本エンバイロケミカルズ社製)などが用いられる。
図9において、固形薬剤48は、不織布5の上に配置され、上記した、継ぎ目12の上側に形成される第2断熱材8と略同一形状に形成されている。
そして、この防蟻構造1では、固形薬剤48によって、防蟻効果をより一層発現させることができる。
また、図10に示すように、不織布5を、第2断熱材8と地面44との間に配置することもできる。
図10において、第2断熱材8は、地面44の上に、布基礎3の外側面に沿うように、不織布5を介して立設している。不織布5は、地面44の上面であって、第2断熱材8の下面に沿って配置されている。
図10の防蟻構造1では、第2断熱材8が設けられていない地面44の表面から、第2断熱材8の下面に沿って侵入するシロアリの歩行を物理的に阻害することができる。
また、図11に示すように、不織布5によって、土台6の表面全面を被覆することもできる。
図11において、土台6は、不織布5によって全て包まれている。詳しくは、不織布5は、土台6に沿って配置され、より具体的には、土台6の上面、下面、外側面および内側面の各面に連続して配置されている。つまり、土台6は、不織布5によって、例えば、少なくとも1周巻回されている。
なお、図11において、布基礎3の上端部および第2断熱材8の上端部に配置される不織布5は、図7(b)の不織布5と同様の配置で配置されている。
図11に示す防蟻構造1では、第2断熱材8の外側から第2断熱材8の上面に配置される不織布5の外端部に向けて注入された薬剤が、第2断熱材8の上面および布基礎3の上面に沿う不織布5に沿って浸透し、次いで、土台6の各面(上面、下面、外側面および内側面)にも浸透する。そのため、シロアリにより土台6の食害を保護することができる。
また、薬剤を、土台6の内側から土台6の内側面に形成される不織布5に向けて施工することもできる。
また、上記した図1および図3〜図11の説明では、防蟻構造1には、断熱材(第1断熱材7、第2断熱材8、第3断熱材9および/または第4断熱材37)を設けているが、例えば、図12〜図20に示すように、断熱材を設けることなく、不織布5を基礎2(布基礎3および/または打設コンクリート4)に沿って、それらの各面に直接配置することもできる。
図12(b)において、不織布5は、布基礎3の内側面と、打設コンクリート4の上面とに配置されている。具体的には、不織布5は、打設コンクリート4の外端部において、断面略T字形状に形成されている。また、不織布5は、その下端部が、打設コンクリート4に埋設される埋設部45とされ、遊端部40が、埋設部45から、布基礎3の内側面と、打設コンクリート4の上面とに沿うように分岐している。
図12(b)の防蟻構造1を得るには、まず、図12(a)の実線で示すように、布基礎3の内側面に沿って、2つ折りされた不織布5を配置する。なお、不織布5は、その折目が下側を指向するように配置される。
続いて、図12(b)の仮想線で示すように、打設コンクリート4を、その上部が、不織布5の下端部、つまり、埋設部45を埋設するように、打設する。
その後、図12(a)の矢印および図12(b)に示すように、不織布5を展開する。
具体的には、図12(a)の矢印で示すように、2つの遊端部40のうち、内側の遊端部40のみを内方斜め下側に拡げる。
図12の防蟻構造1では、布基礎3の内側面と、打設コンクリート4の外端部の上面とに沿って侵入するシロアリの歩行を物理的に阻害することができる。
また、図13に示すように、不織布5を、布基礎3の内側面と、打設コンクリート4の上面とに沿う断面略L字形状に配置することもできる。
図13に示す防蟻構造1は、図12の防蟻構造1と同様の作用効果を奏する。
また、図14に示すように、図13の打設コンクリート4の上面に配置される不織布5の上面に重石46を載置することもできる。
重石46は、略円柱状に形成されている。なお、図14において図示しないが、重石46を、例えば、略角柱状、粒状など、適宜の形状に形成することもできる。なお、重石46は、粒状に形成される場合には、重石46として、例えば、ガラス粒子、石粒子(具体的には、小石)などが用いられる。
重石46によって、不織布5が、施工位置からずれることを防止することができる。
そのため、布基礎3の内側面、および、打設コンクリート4の上面に沿って侵入するシロアリの歩行をより確実に阻害することができる。
なお、図14では図示しないが、重石46に代えて、公知の接着剤からなる接着剤層を、不織布5と打設コンクリート4との間に介在させて、それによって、不織布5を打設コンクリート4の上面に接着することもできる。
また、図15(a)に示すように、不織布5に堰部42を形成して、堰部42によって区画される貯留部43に、固形薬剤48を施工することもできる。
不織布5は、断面略L字形状をなし、その内端部が、堰部形成部材47の上に乗り上げており、不織布5における乗り上げ部分が堰部42とされる。
堰部形成部材47は、略円柱状に形成され、打設コンクリート4の上面において、布基礎3の内側面と内側に間隔を隔てて配置される。なお、堰部形成部材47と、布基礎3との間隔は、不織布5が布基礎3の内側面に当接し、かつ、布基礎3に乗り上げる間隔となるように、調整される。なお、堰部形成部材47の形状は、特に限定されず、例えば、略角柱状、粒状など、適宜の形状に形成することもできる。
貯留部43は、堰部42と、布基礎3の内側面に配置される不織布5とにより区画される領域である。
固形薬剤48は、上記した防蟻成分が、例えば、粒剤、粉剤などの固形状に調製された製剤である。
図15(b)の防蟻構造1を形成するには、図15(a)に示すように、まず、堰部形成部材47を、打設コンクリート4の上面において、上記した位置に配置し、次いで、不織布5を、布基礎3の内側面、および、打設コンクリート4の上面を被覆し、かつ、不織布5の内端部が、堰部形成部材47の上に乗り上げるように、配置する。これにより、貯留部43を区画する。
その後、図15(b)に示すように、固形薬剤48を、貯留部43に配置する。
この防蟻構造1では、布基礎3の内側面と、打設コンクリート4の上面とに沿って侵入するシロアリの歩行を物理的に阻害することができる。
さらに、貯留部43に配置される固形薬剤48は、堰部42によって、内側に流出することが防止される。そのため、かかる固形薬剤48によって、防蟻効果をより一層発現させることができる。
さらにまた、図15(b)に示す、固形薬剤48は、図14に示す重石46と同様の作用効果を奏することできる。
また、図13〜図15の実施形態では、不織布5を、打設コンクリート4の上に設けているが、例えば、図16および図17に示すように、打設コンクリート4の下に設けることもできる。
図16において、この防蟻構造1には、管36と、管36を被覆する不織布5とが設けられている。
管36は、打設コンクリート4の外端部の下部に沿って配置されている。具体的には、管36は、上下方向において、打設コンクリート4の下面と、地面44との間に配置され、また、内外方向において、打設コンクリート4の外側面と、布基礎3の内側面との間に配置されている。つまり、管36は、打設コンクリート4と布基礎3とが接触する角に沿って配置されている。
また、管36は、奥行方向に沿って延びる丸筒状のパイプ(チューブ)状に形成されている。これによって、管36の内部に通路37が形成されている。
管36は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリブテンなどの樹脂(プラスティック)、例えば、ステンレス、鉄などの金属などの材料から形成されている。
また、管36の外周壁には、管36の厚み方向を貫通する穴38が形成されている。
穴38は、管36の周方向および奥行方向にわたって、互いに間隔を隔てて複数配置されており、略円柱状に開口形成されている。
また、管36の奥行方向途中の上部斜め内側部には、そこから上方斜め内側に延びる注入管39が接続されており、注入管39の内部空間と、管36の通路37とが、連通している。
注入管39は、略丸筒状のパイプ(チューブ)状に形成されている。この注入管9は、奥行方向において、互いに間隔を隔てて複数配置されている。各注入管39は、その上部が、打設コンクリート4から突出し、その下部の側面が、次に説明する不織布に被覆されている。また、各注入管39は、管36と同様の材料から形成されている。
そして、不織布5は、管36の外周壁を被覆している。
具体的には、不織布5は、管36を少なくとも1周巻回するとともに、打設コンクリート4の下面の内外方向途中に配置されるように、形成されている。つまり、不織布5は、地面44の上面に配置されており、具体的には、打設コンクリート4の外端部において、管36を被覆するように、管36に沿って配置されるとともに、打設コンクリート4の内外方向途中の下面において、その下面と地面44の上面との間に配置されている。
図16の防蟻構造1を形成するには、まず、不織布5によって、管36を巻回することによって被覆し、その後、不織布5によって被覆された管36を、地面44の上に、布基礎3の内側面に沿うように配置し、その後、打設コンクリート4を、管36、注入管39の下部、および、不織布5を埋設するように、打設する。
この防蟻構造1では、図15(a)の実施形態の作用効果に加え、不織布5への薬剤の再施工を容易に実施することができる。
再施工は、薬剤を、通路37に供給することにより、薬剤を不織布5に散布することができる。具体的には、薬剤を注入管39に供給することによって、薬剤が、注入管39の内部空間、管36の通路37、および、穴38を介して、不織布5に散布される。
また、図16の実施形態では、不織布5を、管36の外周壁の全周に沿って配置しているが、例えば、図示しないが、不織布5を、管36の外周壁の下部に沿って配置することができ、あるいは、管36の外周壁の上部に沿って配置することもできる。
さらに、図16の仮想線で示すように、不織布5を、管36に巻回させることなく、布基礎3および打設コンクリート4に沿って配置することもできる。
具体的には、不織布5は、地面44の外側面および布基礎3の内側面の下端部の間と、地面44の上面の外端部および打設コンクリート4の下面の外端部の間とに、断面略L字状に、配置されている。
図16の仮想線で示す実施形態では、地面44と布基礎3の間、および、地面44と打設コンクリート4との間に侵入するシロアリの歩行を物理的に阻害することができる。
また、図17に示すように、不織布5は、打設コンクリート4の外側面および布基礎3の内側面の間と、地面44の上面の外端部および打設コンクリート4の下面の外端部の間とに、断面略L字状に、配置されている。
図17に示す実施形態では、打設コンクリート4と布基礎3の間、および、地面44と打設コンクリート4との間に侵入するシロアリの歩行を物理的に阻害することができる。
また、図1および図3〜図17の説明では、防蟻構造1を布基礎形式の基礎構造部に適用しているが、例えば、図18〜図22に示すように、べた基礎形式の基礎構造部に適用することもできる。
図18において、そのようなべた基礎形成式の基礎構造部は、基礎2を備え、そのような基礎2は、水平方向に延びる第3基礎としてのべた基礎34と、そのべた基礎34から上方に延びるように配置される基礎本体35とを備えている。
べた基礎34は、厚肉の平板状に形成されている。
基礎本体35は、厚肉の平板状に形成され、べた基礎34の外端部の上面から上方に延びるように配置されている。
また、べた基礎34の上面には、土台6が設けられている。
そして、図18に示すように、基礎2には、不織布5が、断面略T字形状をなすように、配置されている。
具体的には、不織布5は、べた基礎34の上面と、基礎本体35の下端部の下面および内側面とに設けられている。不織布5は、その外端部が、べた基礎34と基礎本体35とに挟持される挟持部39とされ、挟持部39より内側部分が、遊端部40とされる。
挟持部39は、2層構造をなし、基礎本体35の下面の内端部と、べた基礎34の上面とによって、挟持されている。
遊端部40は、上側の挟持部39の内端部から上方に略L字形状に屈曲し、基礎本体35の下端部の内側面に沿って形成されるとともに、下側の挟持部39の内端部から水平方向にべた基礎34の上面に沿って形成されている。
この防蟻構造1を形成するには、べた基礎34の上面に、図18の仮想線が参照されるように、2つ折りした不織布5を、その折り目が外側を指向するように、べた基礎34の上面に載置した後、基礎本体35を、不織布5の挟持部39をべた基礎34との間で挟持するように、配置する。
その後、図18の矢印で示すように、上側の遊端部40を展開して、基礎本体35の下端部の内側面に配置する。
この防蟻構造1では、基礎本体35の下面と、べた基礎34の上面とに沿って侵入するシロアリの歩行を物理的に阻害することができる。
また、不織布5の遊端部40に薬剤を内側から施工することによって、容易に再施工することができる。
また、図19において、不織布5は、べた基礎34の上面と、基礎本体35の下端部の下面および外側面とに設けられている。
具体的には、不織布5の挟持部39は、基礎本体35の下面の外端部と、べた基礎34の上面とによって、挟持されている。
また、遊端部40は、上側の挟持部39の内端部から上方に略L字形状に屈曲し、基礎本体35の下端部の外側面に沿って形成されるとともに、下側の挟持部39の内端部から下方に略L字形状に屈曲し、べた基礎34の外側面に沿って形成されている。
この防蟻構造1では、基礎本体35の下面と、べた基礎34の上面とに沿って侵入するシロアリの歩行を物理的に阻害することができる。
さらに、不織布5の遊端部40に薬剤を外側から施工することによって、容易に再施工することができる。
また、図20において、不織布5は、べた基礎34の外端部と、基礎本体35の下端部との両方を被覆している。
詳しくは、不織布5は、べた基礎34の外端部において、断面略L字形状をなし、べた基礎34の外端部の上面および外側面の上端部を被覆している。
また、不織布5は、基礎本体35の下端部において、上方に向かって開く断面略コ字形状をなし、基礎本体35の下面、下端部の外側面および下端部の内側面を被覆している。
図20に示す防蟻構造1は、図18および図19に示す防蟻構造1と同様の作用効果を奏する。
また、図18〜図20のべた基礎形式の基礎構造部では、断熱材を設けていないが、例えば、図21および図22に示すように、断熱材(第2断熱材)を設けることもできる。
図21(b)において、第2断熱材8は、べた基礎34の外端部の上において、基礎本体35の外側面に沿って配置されている。
すなわち、不織布5は、べた基礎34の外端部、基礎本体35の下端部、および、第2断熱材8の下端部に沿って配置されている。
具体的には、不織布5は、第2断熱材8の下端部の内側面と、基礎本体35の外側面とに挟持され、かつ、第2断熱材8の下面と、べた基礎34の外端部の上面とに挟持される部分が、挟持部39とされ、第2断熱材8の下端部の外側面と、べた基礎34の外側面とに沿って配置される部分が、遊端部40とされている。
図21(b)で示す防蟻構造1を形成するには、まず、図21(a)に示すように、2つ折りした不織布5によって、第2断熱材8の下端部を被覆する。なお、不織布5は、折目が第2断熱材8の内側面に配置されるように、第2断熱材8の下端部を被覆する。
次いで、図21(b)に示すように、下端部が不織布5によって被覆された第2断熱材8を、べた基礎34の上に、基礎本体35の外側面に沿うように配置する。その後、図21(b)の矢印で示すように、遊端部40を展開する。
図21の防蟻構造1では、第2断熱材8とべた基礎34との間、および、第2断熱材8と基礎本体35との間に侵入するシロアリの歩行を物理的に阻害することができる。
また、図22(b)に示すように、第2断熱材8を、基礎本体35の外側面に加えて、さらに、べた基礎34の外側面に形成することもでき、不織布5を、べた基礎34の外側面に形成された第2断熱材8に沿って設けることもできる。
つまり、第2断熱材8は、基礎本体35の外側面およびべた基礎34の外側面に形成されており、その上下方向途中には、水平方向に沿って形成される継ぎ目36が形成されている。
なお、基礎本体35の外側面は、べた基礎34の外側面と、上下方向に面一に形成されている。
継ぎ目36は、第2断熱材8の鉛直方向途中において、水平方向に沿って形成され、べた基礎34の上面と、水平方向に面一に形成されている。
不織布5は、基礎本体35の下端部、第2断熱材8の上側部分(継ぎ目36に対する上側部分)の下端部、および、第2断熱材8の下側部分(継ぎ目36に対する下側部分)の上端部に沿って配置されている。
具体的には、不織布5は、第2断熱材8の継ぎ目36において、第2断熱材8の上側部分および下側部分に挟持され、かつ、第2断熱材8の上側部分の下端部の内側面と、基礎本体35の外側面とに挟持される部分が、挟持部39とされ、第2断熱材8の上側部分の下端部の外側面と、第2断熱材8の下側部分の上端部の外側面とに沿って配置される部分が、遊端部40とされている。
図22(b)で示す防蟻構造1を形成するには、まず、べた基礎34の外側面に第2断熱材8の下側部分を配置する。
次いで、2つ折りした不織布5によって、第2断熱材8の上側部分の下端部を被覆する。なお、不織布5は、折目が第2断熱材8の上側部分の内側面に配置されるように、第2断熱材8の上側部分の下端部を被覆する。
次いで、図22(b)に示すように、下端部が不織布5によって被覆された第2断熱材8の上側部分を、第2断熱材8の下側部分の上に、基礎本体35の外側面に沿うように配置する。その後、図22(b)の矢印で示すように、遊端部40を展開する。
図22の防蟻構造1では、第2断熱材8の継ぎ目36の間、および、第2断熱材8の上側部分と基礎本体35との間に侵入するシロアリの歩行を物理的に阻害することができる
また、図1および図3〜図22では、防蟻構造を、施工対象が少なくとも基礎2である防蟻構造として説明しているが、例えば、図示しないが、施工対象が、基礎2以外の建材である防蟻構造に適用することもできる。
つまり、不織布5を、建材に沿って配置する。
そのような建材は、例えば、木製であって、具体的には、図示しないが、基礎2の上方に間隔を隔てて配置される天井材または天井裏材などである。建材としては、例えば、梁、例えば、天井裏の壁材などが挙げられる。
図23は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(不織布が第1被覆部材に配置される態様)を示す断面図、図24は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(不織布が第1被覆部材および第2被覆部材に配置される態様)を示す断面図である。
なお、図23および図24において、紙面手前側を「前側」、紙面奥側を「後側」とする。
上記した図1および図3〜図22の説明では、防蟻構造を、施工対象が少なくとも基礎2である防蟻構造として説明しているが、例えば、図23および図24に示すように、施工対象が、電線および/またはケーブルである防蟻構造に適用することもできる。
図23において、この防蟻構造1は、導体27と、それを被覆する第1被覆部材(シース)28と、第1被覆部材28を被覆する不織布(第1不織布)5とを備える電線29として形成されている。
導体27は、断面略円形状をなし、例えば、銅、アルミニウムなどの導電材料から形成されている。
第1被覆部材28は、断面略円環状をなし、導体27の外周面を被覆するように形成されており、例えば、上記した合成材料(不織布5の繊維材料として例示した合成材料)などの絶縁材料から形成されている。
不織布5は、断面略円環状をなし、第1被覆部材28の外周面を被覆するように巻回されている。
そして、図23に示す電線29では、シロアリの不織布5の外周面における前後方向および周方向の歩行、および、シロアリの不織布5に対する径方向の貫通を、有効に防止することができる。
その結果、より一層優れた防蟻効果を発現することができる。
なお、上記した説明では、不織布5を第1被覆部材28の外周面に設けているが、例えば、図示しないが、第1被覆部材28の内周面、つまり、第1被覆部材28と導体27との間に設けることもできる。
また、上記した説明では、本発明の防蟻構造を、1本の電線29として説明しているが、その本数は特に限定されず、例えば、図24に示すように、電線29を複数本備えるケーブル30として形成することもできる。
ケーブル30は、複数の電線29と、それらをまとめて被覆する第2被覆部材31(シース)と、第2被覆部材31を被覆する不織布(第2不織布)5とを備えている。
各電線29は、互いに隣接(近接)するように配置されている。
第2被覆部材31は、断面略円環状をなし、電線29の周囲に設けられている。
不織布(第2不織布)5は、第2被覆部材31の外周面を被覆するように巻回されている。
そして、図24に示すケーブル30では、シロアリの不織布5(第1不織布および第2不織布)の表面における前後方向および周方向の歩行、および、シロアリの不織布5に対する径方向の貫通を、有効に防止することができる。
その結果、より一層優れた防蟻効果を発現することができる。
また、図23の説明では、不織布5によって、第1被覆部材28を被覆し、図24の説明では、不織布5によって、第1被覆部材28および第2被覆部材31の両方を被覆しているが、例えば、図示しないが、第2被覆部材31のみを被覆することもできる。
図25は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(不織布が配管に配置される態様)を示す断面図、図26は、本発明の防蟻構造の他の実施形態(配管が断熱材によって被覆され、断熱材の切り目に不織布が配置される態様)を説明する斜視図を示す。
上記した図23および図24の説明では、本発明の防蟻構造を、施工対象が電線および/またはケーブルである防蟻構造として説明しているが、例えば、図25および図26に示すように、施工対象が配管である防蟻構造に適用することもできる。
図25において、配管32は、前後方向に延び、また、複数の配管32が前後方向に互いに接続されている。
具体的には、配管32としては、例えば、水道管、ガス管が挙げられ、具体的には、建物の床下、地中などに埋設されている水道管、ガス管などが挙げられる。
不織布5は、配管32の外周面を被覆するように、前後方向に沿って設けられ、配管32の周方向に巻回されている。また、不織布5は、配管32の接続部分に生じる継ぎ目12を被覆するように、前後方向に連続するように形成されている。
この配管32では、不織布5を配管32の周りに巻いたり、あるいは、配管32の周りに生じる隙間に不織布5を埋める(充填)することにより、シロアリの侵入を防止することができる。すなわち、シロアリの不織布5の外周面における前後方向および周方向の歩行、および、シロアリの不織布5に対する厚み方向(径方向)の貫通を、有効に防止することができる。
また、配管32が建物の床下または地中に埋設されていても、再施工を容易に実施することができる。
とりわけ、シロアリが配管32間の継ぎ目12に侵入することを有効に防止することができる。
また、図25の防蟻構造1には、断熱材を設けていないが、例えば、図26に示すように、断熱材54を配管32の周りに設けることもできる。
図26(a)において、断熱材54は、配管32の外周面に、前後方向に沿って配置されている。
また、断熱材54には、その前後方向を分断する切れ目51が形成されている。切れ目51は、配管32の周方向にわたって形成され、配管32の外周面を露出している。
そして、図26(a)に示すように、不織布5は、切り目51内に巻き付けられている。また、不織布は、図26(b)に示すように、切れ目51から露出する配管32の外周面を被覆している。
この防蟻構造1では、配管32に断熱効果を付与しながら、図25と同様の作用効果を奏することができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、それらに何ら制限されるものではない。
実施例1
ニードルパンチ法(乾式ニードルパンチ法)によって製造された不織布(繊維長50〜80mm、繊維径10〜30μm、目付80g/m2、非圧縮時の厚み(T1)3mm、圧縮(10kPa)時の厚み(T2)0.3mm、繊維材料:ポリエステル、商品名「クレロック」、呉羽テック社製)に、タケロックMC50スーパー(クロチアジニンの2.5重量%マイクロカプセル剤、日本エンバイロケミカルズ社製)を水で10倍に希釈した薬剤を、含浸量が約500g/m2となるように塗布し、その後、乾燥させた。
その後、得られた不織布によって、2種類の松の辺材(サイズ:30×30×150mm、20×20×10mm)をそれぞれ被覆し、不織布の両端部を糸で縫い合わせて、2種類の処理試験体を得た。
実施例2
ケミカルボンド法によって製造された不織布(繊維長30〜60mm、繊維径10〜30μm、目付90g/m2、非圧縮時の厚み(T1)3mm、圧縮(10kPa)時の厚み(T2)0.4mm、繊維材料:ポリエチレンテレフタレート、商品名「ボンデン」、呉羽テック社製)に、タケロックMC50スーパー(クロチアジニンの2.5重量%マイクロカプセル剤、日本エンバイロケミカルズ社製)を水で10倍に希釈した薬剤を、含浸量が約500g/m2となるように塗布し、その後、乾燥させた。
その後、得られた不織布によって、松の辺材(サイズ20×20×10mm)を被覆し、不織布の両端部を糸で縫い合わせて、処理試験体を得た。
比較例1
ニードルパンチ法によって製造された不織布を、スパンボンド法によって製造された不織布(繊維長100mm超過、繊維径10〜20μm、目付100g/m2、非圧縮時の厚み(T1)1mm、圧縮(10kPa)時の厚み(T2)0.4mm、繊維材料:ポリエステル、商品名「ボランス」、東洋紡績社製)に変更し、また、処理試験体を作製しなかった以外は、実施例1と同様にして処理した。
(評価)
予備試験(圧力損失および吸水率)
実施例1、2および比較例1において用いた不織布について、(i)圧力損失および(ii)吸水率をそれぞれ測定した。
(i) 圧力損失
上記した図2に示す圧力損失測定装置を用いて、送風量100L/分における不織布の圧力損失(ΔP)を測定した。
その結果、実施例1の不織布の圧力損失(ΔP)は2.1mm水柱であり、実施例2の不織布の圧力損失(ΔP)は2.0mm水柱であり、比較例1の不織布の圧力損失(ΔP)は5.8mm水柱であった。
(ii) 吸水率
まず、吸水前の各不織布の重量(W1)を測定した。その後、各不織布を水に十分に浸漬し、次いで、不織布を水から引き上げ、その後、不織布を軽く絞ることにより、余剰の水を落下させた後の吸水後の不織布の重量(W2)を測定し、上記した式によって、吸水率(A)を算出した。
その結果、実施例1の不織布の吸水率(A)は17g/gであり、実施例2の不織布の吸水率(A)は11g/gであり、比較例1の不織布の吸水率(A)は0.4g/gであった。
防蟻試験1(歩行阻害試験)
実施例1、2および比較例1において用いたサイズ30×30×150mmのそれぞれの不織布の表面に、イエシロアリを10頭ずつ置き、それらの歩行状態をそれぞれ観察した。
その結果、実施例1および2では、イエシロアリの脚部に繊維が絡みつき、歩行が困難であることを確認した。
一方、比較例1では、イエシロアリが容易に歩行することを確認した。
防蟻試験2(歩行阻害試験および防蟻試験)
直径90mm、高さ20mmのプラスチック製シャーレに、含水率を8%としたケイ砂6号を5mmの厚さで敷き詰めた砂層の上に、サイズ:20×20×10mmの松の辺材を不織布で被覆した実施例1および2の処理試験体を設置し、次いで、イエシロアリ職蟻100頭を訪虫として、砂層が乾燥しないように、湿度90%、28℃の室内に保管することにより、歩行阻害試験を実施した。
また、不織布で被覆されていない辺材を対照例として、上記した実施例1および2の処理試験体と同様に、歩行阻害試験を実施した。
その結果、実施例1および2の処理試験体では、処理試験体の表面でイエシロアリが足を取られ、歩行が困難であることが観察され、また、保管後24時間後には全頭が転倒または死に至っていた。
一方、対照例の辺材では、辺材の表面におけるイエシロアリの容易な歩行が観察され、また、保管後24時間後にはイエシロアリ全頭が健全であった。
防蟻試験3(食害試験)
実施例1の処理試験体(サイズ:30×30×150mm)を、鹿児島県のイエシロアリ生息域における野外において、「JIS K1571 木材保存剤の性能試験および性能基準の4.3.2野外試験」に準じて防蟻試験(食害試験)を実施した。
その結果、2年経過後において、実施例1の処理試験体は、イエシロアリの食害を受けなかったことを確認した。
一方、同時に試験した無処理の松の辺材がイエシロアリの食害を受けたことを確認した。