JP2016106580A - 木製品用防食シート及びこれを使用した木造建物の組立方法並びに御札 - Google Patents

木製品用防食シート及びこれを使用した木造建物の組立方法並びに御札 Download PDF

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修一 玉井
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Abstract

【課題】大雨や浸水による湿度上昇によって白蟻が木製構造材や木像に到達しても、白蟻の食害や腐朽菌による腐敗を阻止する。【解決手段】交叉姿勢の第1構造材14と第2構造材15とは、ホゾ12とホゾ穴13との嵌め合わせによって連結されている。第1構造材14の端面16に、基材19に防蟻剤を担持させると共に接着層20を有する防蟻シート17が貼り付けられている。白蟻は木材の端面(木口)から侵入する性質を持っているが、湿度上昇によって白蟻が構造体14,15の接合部に至っても、防蟻シート17から侵出又は溶出した防蟻剤が第1構造材14に移行することで、第1構造材14の食害を阻止できる。防蟻剤に加えて又は代えて、防腐剤を使用することも可能である。【選択図】図2

Description

本願発明は、木製品用防食シート、及びこの防食シートを使用した木造建物の組立方法、並びに御札に関するものである。
木造住宅において、白蟻の食害に対する多く提案され、或いは実施されている。白蟻対策は多方面から提案及び実施がなされているが、おおまかには、白蟻が建物に侵入することを阻止する方法と、建物に侵入しても構造材に到達する前に駆除する方法、及び、構造材に到達しても食害に至らせることなく駆除する方法とに大別されると云える。
建物への侵入を阻止する方法としては、例えば、ヤマトシロアリやイエシロアリは60%程度の高い湿度の環境を好んで乾燥環境は嫌う性質があることから、床下空間を換気して湿度を低下させることが行われている。建物に侵入しても構造材に到達する前に駆除する方法としては、床下の地面に防蟻シートを張ったり、床下の地面に防蟻剤を塗布することが行われている。
構造材まで到達した白蟻を駆除する方法としては、防蟻剤を構造材に塗布したり、特許文献1に開示されているように、防蟻シート(或いは防蟻フィルム)を構造材の外周面に貼り付けたりすることが行われている。
上記のとおり、我が国の固有種であるヤマトシロアリとイエシロアリは乾燥した環境を嫌う性質があり、また、これらは地中から侵入する性質があるが、外来種のアメリカカンザイシロアリは空中を飛来してくると共に乾燥した環境でも生息する性質を有しており、ヤマトシロアリやイエシロアリに対する対策が有効でないという特徴がある。この点について特許文献2には、積層構造の被覆材に防蟻剤を混入して、防蟻剤の気化作用を利用してアメリカカンザイシロアリを駆除することが開示されている。
実公平1−7682号公報 特開2011−117218号公報
床下空間の換気を行うことは、ヤマトシロアリとイエシロアリには有効である。しかし、例えば、大雨や堤防決壊等の浸水によって湿度が異常に上昇したり、換気が不十分であったり、或いは木材の含水率が高くなったりすると、白蟻がいつのまにか構造材に到達してこれを食い荒らすという事態が起こり得る。
また、特許文献1,2のような防蟻シートは構造材の保護手段として有益ではあるが、時間の経過と共に防蟻成分が消失するおそれや、構造材の端面を伝って侵入した白蟻は駆除できないという問題がある。
さて、白蟻と並ぶ木材の大敵として腐朽菌(腐敗菌)が挙げられる。白蟻が生息しない低温環境下でも腐朽菌が繁殖して建物等を倒壊に至らせることはよくあることである。人が住んでいない建築物や、建物の床部や天井部など人の管理が行き届きにくい場所など、白蟻の被害を受けやすい場所は同時に腐朽菌の被害を受けやすい場所でもある。
我が国には寺院や神社のような歴史的な木造建物が数多く存在するが、これらの建物は、管理者の数や予算も限られていて隅々まで管理の目が届いているとは言い難いと共に、解体修理はごく稀にしか行われてないため、大半が白蟻と腐朽菌の脅威に晒されていると云える。
また、我が国には仏像や歴史的人物の座像・立像などの多数の古い木像が存在しており、貴重な文化的価値を持っているが、これら木像の下端面は材料たる木材の木口面になっていることが殆どであるため、白蟻や腐朽菌が侵入しやすい状況になっている。木像を支える台座も、いわば木材を輪切りにして彫刻を施した構造になっているため、白蟻や腐朽菌が侵入しやすい状況になっている。特に、山門に配置した木像のように外気に晒されている場合は、特に白蟻と腐朽菌の被害を受けやすいと云える。従って、建物と同様に、木像やその付属物についても、白蟻や腐朽菌の被害を防止する対策が要請されている。
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
本願発明は、木製品用防食シート及びこれを使用した木造建物の組立方法、並びに御札を対象にしている。木製品用防食シートは、請求項1のとおり、建物を構成する木製構造材の端面又はホゾ穴の内面、或いは木像又はその付属品の端面に重ね配置される防食シートであって、水溶性又は吸水性の基材に防蟻剤又は防腐剤若しくは両方が担持されている。
構造材には、柱、土台、桁、梁、筋交い、根太、束、継手類など、建物を構成する全ての木材が含まれる。木像には、仏像、キリスト教系の像、神道系の神々の像、人物の座像・立像、動物の像などが挙げられる。木像は全体のみでなく、例えば四肢、首、胴部などのパーツや含まれている。木像の付属品としては、例えば台座が挙げられる。
防食シートは様々に展開できる。例えば、請求項2に記載したように、前記防蟻剤としてチアメトキサムを使用することができる。他の防蟻剤としては、チアメトキサムが含まれるネオニコチノイド系、有機リン系、ピレトリンやカプリン酸を有効成分として天然物系、フェニルピロール系なども使用可能である。防腐剤としては、ホウ素系のもの、ホウ酸系のもの(例えば8ホウ酸2ナトリウム4水塩)、クレオソート系、天然抽出物などが挙げられる。防蟻性能と防腐性能と兼備した薬剤の添加も可能である。
請求項3のように、前記基材に、当該基材を前記木製構造材に貼り付けるための貼着層を設けることができる。なお、貼着層は接着層と粘着層と両方を含んでいる。
なお、防蟻剤としては、請求項2のチアメトキサムに代えて(又はこれに加えて)、クロラントリラクロールやイミダクロプリドなども使用できる。チアメトキサムの場合、含有量は300〜3000PPM程度で高い効果を確保できる。接着層又は粘着層は水溶性であるのが好ましいと云える。チアメトキサムは、一般的には300PPMで白蟻の侵入防止効果を発揮するが、水分による溶出によって対象部位をまんべんなくカバーするには、例えば1000PPM程度の濃度があるのが好ましいと云える。
基材に接着性又は粘着性を持たせることも可能である。構造材の端面にホゾを設けている場合は、防食シートはホゾによって姿勢が保持されるので、接着層や粘着層は必ずしも必要ないと云える。接着層や粘着層を設ける場合、基材の表面にベタ塗りしてもよいし、散点状や縞模様状に塗布するなどしてもよい。貼着層(接着剤又は粘着剤)に、防蟻剤又は防腐剤のうちいずれか一方又は両方を添加しておくことも可能である。
組立方法は請求項4で特定している。すなわち、この組立方法は、端面からホゾが突出した木製の第1構造材と、外周面にホゾ穴が空けられた木製の第2構造材と、請求項1〜3のうちのいずれかに記載した防食シートとを用意して、前記第1構造材の端面に前記防食シートを貼り付けておくか、又は、前記第2構造材のうち第1構造材の端面が重なる部分に前記防食シートを貼り付けておき、次いで、前記ホゾをホゾ穴に挿入して第1構造材と第2構造材とを連結するものである。
本願発明は、請求項5のとおり、御札も含んでいる。すなわち、請求項5の発明は、寺社仏閣の木製構造材に張られる御札であって、表面に表示を施した基材とその裏面に設けた貼着層とを有しており、前記基材又は粘着層若しくは両方を水溶性又は吸水性として、水溶性又は吸水性の部分に防蟻剤又は防腐剤を含ませている。
木材は多数の繊維で構成されており、繊維は木材(構造材)の長手方向に走っている。従って、空隙も構造材の長手方向に走っており、白蟻は、端面(木口面)に侵入して、繊維(或いは空隙)に沿って内部に侵入する性質を有している。すなわち、構造材の内部にトンネルを作りながら構造材を食い荒らしていく。白蟻が構造材のホゾ穴に侵入した場合も、ホゾ穴のうち構造材の長手方向と直交した端面から侵入していく傾向を呈する。また、腐朽菌は木材の傷口から侵入しやすい傾向を呈しているが、木材の端面はいわば傷口に相当するものであるため、腐朽菌も端面から侵入しやすい。
そして、本願発明では、構造材や木像の端面やホゾ穴に防食シートが重ね配置されていることで、構造材や木像(或いはその付属品)に対する白蟻又は腐朽菌の侵入が入口で遮断される。従って、白蟻や腐朽菌が防食シートと構造材等との合わせ面に侵入しようとしても、防蟻剤又は防腐剤によって侵入が阻止される。更に、構造材の場合、その端面は他の構造材の外周面に当接していることが普通であり、防食シートは2つの構造材の間に挟まれているため、防蟻剤や腐朽菌の成分が時の経過と共に消失するような不具合も防止できる。
更に、基材は水溶性又は吸水性であるため、大雨や浸水等で湿度が高くなって白蟻又は腐朽菌が侵入しやすい条件になると、基材から防蟻剤又は防腐剤が滲出・溶出して構造材等の端面やホゾ穴の内面に付着したり構造材の内部に浸透したりして、白蟻又は腐朽菌の侵入を的確に阻止できる。なお、本願発明の防食シートは、床下換気等の他の防蟻手段と併用することが望ましい。
防蟻剤には様々のものを使用できるが、請求項2のようにチアメトキサムを使用すると、人畜に対する高い安全性を確保しつつ高い防蟻性を発揮できるため、特に好適である。また、請求項3のように貼着層(粘着層又は接着層)を設けると、建物の組立に際して防食シートを脱落不能に保持できるため、組立の手間を軽減できる利点がある。
請求項4の方法を採用すると、防食シートは第1構造材の端面と第2構造材の外周面との間に挟まれているため、上記したとおり、防蟻剤又は防腐剤の消失を的確に防止できる。
寺社の参拝者が記念等のために御札を柱や壁に貼ることはよく見受けられる。特に、札所と呼ばれている寺院では、この傾向が高い。場合によっては、堂の壁面に御札が隙間なく貼られているケースも見受けられる。そして、請求項5のように御札に防蟻又は防腐機能を持たせることにより、御札を貼るという精神的行為を通じて文化材としての建物を白蟻や腐朽菌から守ることができる。
更に述べると、古い寺社は柱や壁材がひび割れていることも多く、また、人の手が届く高さでホゾ穴やホゾが露出している場合も多く、ヒビ割れやホゾ穴等の箇所から白蟻の食害が進行したり腐敗が進行したりするおそれもあるが、防蟻性又は防腐性を持った御札でこれらひび割れ等を覆うことにより、文化的・歴史的な価値のある建造物の保護を図ることができる。
建物(木造住宅)の軸組構造の一例を示す斜視図である。 第1実施形態を示す図で、(A)は要部の分離斜視図、(B)は防蟻シートの斜視図である。 (A)は図1のIII-III 視断面図、(B)は防蟻シートが乾燥した状態での部分拡大図、(C)は防蟻シートが乾燥した状態での部分拡大図である。 第2実施形態の断面図である。 第3実施形態を示す図で、(A)はロール状に巻いた防蟻シートの正面図、(B)(C)は防蟻シートの部分断面図である。 防蟻シートの他の構造例を示す第4実施形態を示す図である。 更に防蟻シートの他の構造例を示す図であり、(A)(B)は第5実施形態を示す図、(C)〜(E)は第6実施形態を示す図、(F)〜(H)は第7実施形態を示す図である。 第8実施形態を示す断面図である。
(1).第1実施形態
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1では、木造住宅の軸組構造体の一例を示している。軸組構造体は、コンクリート製基礎1の上面に寝かせた状態に配置した土台2の群と、土台2から立設した1階主柱3及び通し柱4並びに1階間柱5の群と、1階主柱3や通し柱4や間柱5で支持された桁6及び梁7とを備えている。
桁6及び梁7で2階主柱8や2階間柱9が支持されている。交叉した土台2は火打ち土台10で連結されており、桁6と梁7は火打ち梁11で連結されている。柱3,4,5,8,9は筋交いで連結されていることが多いが、図では省略している。
柱3,4,5,8,9や桁6,梁7は木製角材で構成されており、交叉した姿勢の角材は、図2,3で土台2と主支柱3とを取り上げて例示するように、ホゾ12とホゾ穴13との嵌め合わせによって連結(接合)されている。以下では、便宜的に、ホゾ12が形成された角材を第1構造材14と称し、ホゾ穴13が空けられた角材を第2構造材15と称する(敢えて述べるまでもないが、1本の角材にホゾ12とホゾ穴13とを設けていることも多い。)。
第1構造材14の端面(木口)16には、防食シートの例としての防蟻シート17が貼り付けられており、従って、防蟻シート17は第1構造材14の端面16と第2構造材15の一側面(外周面)との間に挟圧されている。特に、主柱3の端面16に設けた防蟻シート17は、主柱3によって強く挟圧されている。防蟻シート17には、ホゾ12が嵌まる抜き穴18が空いている。
図3(B)に示すように、防蟻シート17は、基材19に多数数のドットで示す防蟻剤を担持させた構成であり、基材18は、水溶性又は吸水性の素材から成っている。水溶性の素材例としては、澱粉を薄く延ばして乾燥させたオブラートや低水溶性のPVA(ポリビニルアルコール)、又はそれらの類似物が挙げられる。防蟻剤の担持手段としては、オブラートの製造段階で乾燥前の澱粉に防蟻剤を練り込んでおいてもよいし、薄く延ばした乾燥前の半製品に防蟻剤を塗布してもよい。複数枚のオブラートを積層し、隣り合ったオブラートの間に防蟻剤を挟み込んで、全体を押さえて一体化するといったことも可能である。
防蟻剤としては、高い白蟻駆除効果を発揮しつつ人畜への毒性は低いのが好ましく、現状ではチアメトキサムが最も優れていると云える。添加量は1000〜3000ppmが好ましい。図2に示すように、基材19の片面に接着層(又は粘着層)20を設けた、接着層20を離型紙(剥離紙)21で保護しておいてもよい。当然ながら、使用に際しては離型紙は20は除去される。
防蟻シート17の厚さは必要な量の防蟻剤を担持できればよく、例えば20〜30μm程度あれば足りると云える。但し、第1構造材14の端面16は鋸で挽いただけで凹凸が大きいため、相当の厚さであっても、防蟻シート17を端面16の凹みの中に押し込むことができる。従って、100μm程度の厚さであっても、第1構造材14の端面16を第2構造材15の側面に実質的に密着させた状態で、両者の間に防蟻シート17を介在させることができると云える。
防蟻シート17は、第1構造材14の端面16と第2構造材15の側面との間に挟まれているが、白蟻は、図3(A)に点線矢印で示すように、第1構造材14の端面16に向かい、端面16から繊維の方向(或いは繊維間の隙間の方向)に沿って内部に侵入することが多い。
この点、本願実施形態では、端面16に侵入するには防蟻シート17をかじっていかねばならないが、防蟻シート17には防蟻剤が混入しているため、白蟻は第1構造材14の端面16に到達することはできない。このため、どのような種類の白蟻であっても、第1構造材14と第2構造材15との接合部の縁までは到達できても、更に進んで第1構造材14の端面に至ることはできない。
特に、大雨や浸水、或いは換気装置の長期不使用等により、第1構造材14と第2構造材15との接合部を含む箇所の湿度が例えば60%まで高まった状態に維持されると、白蟻が第1構造材14と第2構造材15との接合部の縁まで到達しやすくなるが、図3(C)に示すように、湿度が高くなると防蟻シート17の基材19が吸水して溶解することで、防蟻剤が第1構造材14の端面に付着したり内部に浸透していくため、第1構造材14の端面16のガードは一層高くなる。
つまり、基材19が吸水して溶解していくと、水分は毛細管現象で繊維の方向に沿って第1構造材14の内部に侵入していくが、防蟻剤も水分と一緒に第1構造材14に移行する傾向を呈するため、第1構造材14の端面16の箇所に防蟻剤によるバリア層が形成されるのであり、これにより、第1構造材14の端面16から白蟻が侵入することを的確に阻止できるのである。
上記の説明では土台2同士及び土台2と主柱3との関係を取り上げたが、桁6や梁7と柱3,5,8,9との関係や、土台2と火打ち土台10との関係、桁6及び梁7と火打ち梁11との関係なども同様である。
木造住宅を構成する柱の大きさは概ね決まっていることが多い。また、柱は工場で加工されることが殆どであり、ホゾ12やホゾ穴13の大きさも、柱の大きさに応じて決まっていることが多い。すなわち、柱の大きさもホゾ12の大きさも、古くからの慣習に基づいて実質的に規格化されていることが多い。従って、防蟻シート17も支柱の大きさに合わせて規格化しておくと、作業の手間を軽減できる。防蟻シート17を工場で柱の端面に貼り付けておくことも可能であり、この場合、第2構造材15に重なる部分に保護用の離型紙を貼っておいて、施工現場で離型紙を剥がしたらよい。
(2).他の実施形態
図4では第2実施形態を示している。この実施形態は、第1構造材14に蟻ホゾ23を形成した第2構造材15に蟻溝24を形成した場合において、第1構造材14の端面16に防蟻シート17を貼り付けた例を示している。蟻ホゾ23の端面にも防蟻シート17を貼り付けることは可能であり、かつ、好ましいことである。
防蟻シート17を建築現場で必要に応じて貼り付けたいという要望も多いと云える。かかる要望に応える手段として、図5の第3実施形態では、防蟻シート17をロール状に巻いて提供している。防蟻シート17の断面構造としては、図5(B)では、合成樹脂フィルム製の保護層25の表面に水溶性又は吸水性の基材19を一体的に配置して、基材19の表面に接着層又は粘着層を設けると共に、保護層25の裏面に離型層26を設けている。ロール状でなく、適当な大きさのシート形状で提供し、現場で必要な形状・大きさに裁断して使用することも可能である。
図5のうち(B)に示す例では、保護層25も第1構造材14と第2構造材15との間に挟み込まれるが、図5(C)に示す例では、基材19の表面に接着層28を設ける一方、基材19の裏面に離型フィルム28を設けており、この図5(C)の例では、離型フィルム28は使用に際して除去される。
図6に示す第4実施形態では、第1基材19aと第2基材19bとの間に防蟻剤29を挟み込んでいる。基材19a,19bは吸水性材料を使用することも可能であるし、紙やセルロース系不織布、織地などが使用できる。紙の場合は、ティッシュペーパーのように細くて短い繊維で気孔率が高いものが好ましい。図6に示す積層構造に代えて、防蟻剤を含む溶液で紙を漉くことで、内部に防蟻剤を混入させる(防蟻剤を漉き込む)ことも可能である。
図7(A)(B)では第5実施形態を示している。この実施形態では、基材19への防蟻剤29の担持手段として、基材19の表面に粉末状の防蟻剤27を塗布している。この場合は、基材19の表面に貼着層(接着層又は粘着層)を設けて、これに防蟻剤29を塗布してもよいし、基材19が乾燥する前に防蟻剤27を塗布して付着させてもよい。
紙のような吸水性基材19を使用した場合の例を、図7(C)〜(E)で第6実施形態として示している。この例では、図7(C)に示すように、防蟻剤を含む溶液30に基材19を浸漬して防蟻剤を含浸させるか、又は、図7(D)に示すように、基材19の表面に防蟻剤の溶液をノズルで噴霧して基材19に防蟻剤を含浸させ、次いで、乾燥させるという工程を経ることで、防蟻剤が担持された防蟻シート17を得ることができる。
図7(F)〜(H)に示す第7実施形態では、(F)に示すように、澱粉のような材料にチアメトキサム等の防蟻剤を混入してタンク31で混練することで粘性中間体32を製造し、この粘性中間体32を(G)に示すようにフィルム33の上に塗布して乾燥させることで蟻シート17と成し、次いで、(H)に示すように、表面に水溶性の接着層34を塗工している。
図3(A)ではホゾ穴13は非貫通状態に表示しているが、ホゾ穴13を貫通させる場合も多い。この場合、ホゾ穴13が開口したままであると、白蟻が入り込みやすくなる。この点について図8の第8実施形態態では、ホゾ穴13を防蟻シート17で覆われたプラグ35で塞いでいる。
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は上記の態様の他にも様々に具体化できる。例えば、上記の各実施形態は、防食シートとして防蟻剤のみを有する防蟻シートを採用した場合であったが、防蟻剤に代えて防腐剤を含浸させる防腐シートを採用することも可能である。或いは、1枚の基材に防蟻剤と防腐剤との両方を含ませて、防蟻性能と防腐性能とを併有する構成としてもよい。
適用対象は木造住宅には限らない。建物の場合は、例えば、寺院や神社、城、教会、古民家、古い商家、橋、舞台等の歴史的な木造建築物にも広く適用できる。寺院等の解体修理に際して、部材同士の接合部や土台に本願発明の防食シートを配置すると、文化財の保護の点からも有益であると云える。
仏像等の木像又はその付属品に適用する場合、本体の下端面やパーツ同士の接合部、台座の上面又は下面若しくは上下両面などに配置できる。基材の表裏両面に貼着層を設けることも可能であり、この場合、貼着層に防蟻剤又は防腐剤若しくは両方を添加してもよい。
御札に適用する場合は、(1) 基材を水溶性又は吸湿性素材で構成して基材に防蟻剤又は防腐剤も若しくは両方を含ませる、(2) 基材を通常の紙として水溶性の貼着層に防蟻剤又は防腐剤も若しくは両方を含浸させる、(3) 基材と貼着層とをいずれも水溶性又は吸水性として、両者に防蟻剤又は防腐剤も若しくは両方を含ませる、(4) 水溶性又は吸湿性の基材の表面に紙を貼ってこれに表示を施し、基材と貼着層とのうち少なくとも基材に防蟻剤又は防腐剤も若しくは両方を含ませる、といった構成を採用できる。
本願発明の防食シートは、実際に製造して建物や木像に適用できる。従って、産業上利用できる。
1 木造住宅の基礎
2 土台
3,8 主柱
4 通し柱
5,9 1階間柱
6 桁
7 梁
12 ホゾ
13 ホゾ穴
14 第1構造材
15 第2構造材
16 端面(木口)
17 防食シートの一例としての防蟻シート
18 抜き穴
19 基材
20 粘着層

Claims (5)

  1. 建物を構成する木製構造材の端面又はホゾ穴の内面、或いは木像又はその付属品の端面に重ね配置される防食シートであって、水溶性又は吸水性の基材に防蟻剤又は防腐剤若しくは両方が担持されている、
    木製品用防食シート。
  2. 前記防蟻剤はチアメトキサムである、
    請求項1に記載した木製品用防食シート。
  3. 前記基材に、当該基材を前記木製構造材に貼り付けるための貼着層を設けている、
    請求項1又は2に記載した木製品用防食シート。
  4. 端面からホゾが突出した木製の第1構造材と、外周面にホゾ穴が空けられた木製の第2構造材と、請求項1〜3のうちのいずれかに記載した防食シートとを用意して、前記第1構造材の端面に前記防食シートを貼り付けておくか、又は、前記第2構造材のうち第1構造材の端面が重なる部分に前記防食シートを貼り付けておき、次いで、前記ホゾをホゾ穴に挿入して第1構造材と第2構造材とを連結する、
    木造建物の組立方法。
  5. 寺社仏閣の木製構造材に張られる御札であって、表面に表示を施した基材とその裏面に設けた貼着層とを有しており、前記基材又は粘着層若しくは両方を水溶性又は吸水性として、水溶性又は吸水性の部分に防蟻剤又は防腐剤を含ませている、
    御札。
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