JP2014043764A - 断熱床下構造、および断熱床下構造に防蟻処理を施す方法 - Google Patents

断熱床下構造、および断熱床下構造に防蟻処理を施す方法 Download PDF

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Abstract

【課題】断熱床下構造のメンテナンス時に行われる防蟻剤の補充作業を容易化する。
【解決手段】断熱床下構造は、外周基礎1の内側面1aを覆うように取り付けられた断熱材10と、断熱材10の下方に位置する下側部材(2)の上面と外周基礎1の内側面1aとが交差する内角部Cを少なくとも含む箇所に配置された防蟻機能を有する防蟻剤9と、断熱材10を外周基礎1に取り付けた状態のままで補充されるメンテナンス用防蟻剤を防蟻剤9の位置へと導く案内手段(15,16)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築物を支持する枠状の外周基礎の内側面が断熱材によって覆われた断熱床下構造、および当該構造に防蟻処理を施す方法に関する。
上記のような断熱床下構造に関する従来技術として、例えば下記特許文献1が公知である。この特許文献1の床下断熱構造では、図26に示されるように、建築物を支持する枠状の外周基礎201の内側面(図26の右側の面)と、外周基礎201に囲まれた地盤Eを覆う土間コンクリート205の上面とに、それぞれ断熱材210,211が施工されている。上記外周基礎201と土間コンクリート205との接合部の上方にあたる角部、つまり、外周基礎201の内側面と土間コンクリート205の上面とが交差する内角部には、防蟻剤209が充填されている。
具体的に、上記特許文献1では、上記内角部に対応する断熱材211の側縁部の下面に、当該部を斜めにカットした切欠き部が設けられており、この切欠き部に対応した領域に、上記防蟻剤209が充填されている。
特開2005−213837号公報
上記特許文献1に開示された断熱床下構造(図26)によれば、仮に外周基礎201と土間コンクリート205との接合部に隙間が生じていたとしても、その上方にあたる上記内角部に配置された上記防蟻剤209の効果により、土中に住む白蟻が上記隙間から外周基礎201をつたって上方に這い上がることが阻止され、建築物の木質部分(土台や柱等)や断熱材に白蟻による食害が及ぶことが防止される。
しかしながら、図26に示したような位置に防蟻剤209を充填した上記特許文献1の技術では、メンテナンス性が悪化するという問題がある。例えば、建築から長期間が経過した後は、防蟻剤209を定期的に補充することが望ましいが、このような作業を行うには、断熱材210,211を一旦取り外す必要があり、作業が煩雑化してしまう。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、断熱床下構造のメンテナンス時に行われる防蟻剤の補充作業をより容易化することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、建築物を支持する枠状の外周基礎の内側面が断熱された断熱床下構造であって、上記外周基礎の内側面を覆うように取り付けられた断熱材と、上記断熱材の下方に位置する下側部材の上面と上記外周基礎の内側面とが交差する内角部を少なくとも含む箇所に配置された防蟻機能を有する防蟻剤と、上記断熱材を外周基礎に取り付けた状態のままで補充されるメンテナンス用防蟻剤を上記防蟻剤の位置へと導く案内手段とを備えた、ことを特徴とするものである(請求項1)。
本発明によれば、外周基礎の内角部を含む箇所に配置された防蟻剤に対しメンテナンス用防蟻剤を補充するメンテナンス作業の際に、案内手段を通じて、断熱材を外周基礎に取り付けた状態のまま、容易にメンテナンス用防蟻剤を補充することができる。これにより、メンテナンス用防蟻剤の補充のためにわざわざ断熱材を取り外すなどの煩雑な準備をする必要がなくなり、メンテナンスの作業性を格段に向上することができる。また、上記防蟻剤に対しメンテナンス用防蟻剤が定期的に補充されることにより、上記内角部での防蟻効果が長期間に亘って維持されるので、内角部を通った白蟻の侵入を確実に防止することができる。
本発明において、好ましくは、上記案内手段は、上記断熱材を厚み方向に貫通するガイド孔と、上記断熱材の裏面に開口する上記ガイド孔の出口から上記断熱材の裏面に沿って延び、上記断熱材の底面まで達するガイド溝とを含むものである(請求項2)。
この構成によれば、断熱材に設けられたガイド孔およびガイド溝にメンテナンス用防蟻剤を注入する等の簡単な方法により、上記防蟻剤の位置に確実にメンテナンス用防蟻剤を導入することができる。
上記構成において、より好ましくは、上記ガイド溝は、上記ガイド孔の出口から上記断熱材の裏面に沿って下方に延びる縦溝部と、縦溝部の下端から分岐して上記断熱材の底面まで延びる複数の分岐溝部とを有する(請求項3)。
この構成によれば、メンテナンス用防蟻剤が、縦溝部および複数の分岐溝部を通じて分散しつつ上記防蟻剤の位置に導入されるので、防蟻機能の補強効果が場所によって大きくばらつくのを効果的に防止することができる。
本発明において、上記案内手段は、上記断熱材の底面を少なくとも覆うように取り付けられた不織布を含むものであってもよい(請求項4)。
この構成によれば、断熱材の底面を少なくとも覆う不織布にメンテナンス用防蟻剤を含浸させるだけの簡単な方法で、上記防蟻剤の位置にメンテナンス用防蟻剤を導入することができる。なお、断熱材底面の不織布にメンテナンス用防蟻剤を含浸させるには、当該不織布の場所まで通じる孔等の経路を断熱材やその周囲の部材に設けておき、その経路を通じてメンテナンス用防蟻剤を導入することが考えられる。あるいは、断熱材の底面だけでなく、床下に露出する部分の断熱材の表面も含めて連続的に不織布を取り付けておき、その露出部分の不織布にメンテナンス用防蟻剤を散布する等により、不織布の全体にメンテナンス用防蟻剤を含浸させるようにしてもよい。
上記構成において、より好ましくは、上記断熱材は、上記下側部材の上面と上記外周基礎の内側面とを覆うように配置される下側断熱材と、下側断熱材の上面に配置される上側断熱材とを有し、上記不織布は、上記下側断熱材の全面を覆うように取り付けられている(請求項5)。
この構成によれば、防蟻剤の上方に位置することになる下側断熱材にのみ不織布を取り付ければ足り、その上の上側断熱材には不織布を取り付けなくて済むので、たとえ下側断熱材の全面を不織布によって覆ったとしても、その不織布の使用面積を効果的に抑制することができる。
本発明において、上記案内手段は、上記断熱材を厚み方向に貫通するガイド孔と、上記断熱材の裏面および底面を少なくとも覆うように取り付けられた不織布とを含むものであってもよい(請求項6)。
この構成によれば、メンテナンス用防蟻剤をガイド孔に注入しさえすれば、このガイド孔からメンテナンス用防蟻剤が漏出し、断熱材の裏面および底面に取り付けられた不織布に含浸されるので、簡単な方法でメンテナンス用防蟻剤の補充作業を行うことができる。
また、本発明は、建築物を支持する枠状の外周基礎の内側面が断熱材によって覆われた断熱床下構造に防蟻処理を施す方法であって、上記断熱材の下方に位置する下側部材の上面と上記外周基礎の内側面とが交差する内角部を少なくとも含む箇所に、防蟻機能を有する防蟻剤を配置するステップと、上記内角部に配置された防蟻剤を上から覆い且つ上記外周基礎の内側面に沿うように上記断熱材を取り付けるステップと、メンテナンス時に補充されるメンテナンス用防蟻剤を上記防蟻剤の位置へと導く案内手段を設けるステップと、上記断熱材を外周基礎に取り付けた状態のままで、上記案内手段を通じて上記メンテナンス用防蟻剤を上記防蟻剤の位置へと導入するステップとを含む、ことを特徴とするものである(請求項7)。
この方法によっても、上述した作用効果と同様の効果を得ることができる。なお、この方法において、「案内手段を設けるステップ」の実施時期は、外周基礎に断熱材を取り付ける施工時に限られず、メンテナンス時(例えばメンテナンス用防蟻剤を導入する作業の直前)であってもよい。
以上説明したように、本発明の断熱床下構造および防蟻処理方法によれば、断熱床下構造のメンテナンス時に行われる防蟻剤の補充作業をより容易化することができる。
本発明の第1実施形態にかかる断熱床下構造を示す断面図である。 上記断熱床下構造に用いられる断熱材を単体で示す斜視図である。 上記断熱材を別の角度から見た斜視図である。 上記断熱材の単体の背面図である。 図4のV−V線に沿った断面図である。 上記断熱床下構造の施工方法を説明するための説明図(その1)である。 上記施工方法の説明図(その2)である。 上記施工方法の説明図(その3)である。 上記施工方法の説明図(その4)である。 上記断熱床下構造に対し行われるメンテナンス作業を説明するための図である。 上記第1実施形態の変形例を説明するための図である。 上記第1実施形態の他の変形例を説明するための図である。 上記第1実施形態のさらに他の変形例を説明するための図である。 本発明の第2実施形態にかかる断熱床下構造を示す断面図である。 上記第2実施形態の断熱床下構造に対し行われるメンテナンス作業を説明するための図である。 上記第2実施形態の変形例を説明するための図である。 本発明の第3実施形態にかかる断熱床下構造を示す断面図である。 本発明の第4実施形態にかかる断熱床下構造を示す断面図である。 上記第4実施形態で用いられる中空構造材を単体で示す斜視図である。 本発明の第5実施形態にかかる断熱床下構造を示す断面図である。 本発明の第6実施形態にかかる断熱床下構造を示す断面図である。 図21の一部拡大図である。 本発明の第7実施形態にかかる断熱床下構造を示す断面図である。 本発明の第8実施形態にかかる断熱床下構造を示す断面図である。 本発明の第9実施形態にかかる断熱床下構造を示す断面図である。 従来の断熱床下構造を説明するための図である。
<実施形態1>
(1)断熱床下構造の全体説明
図1は、本発明の第1実施形態にかかる断熱床下構造を示す断面図である。本図に示すように、家屋等からなる建築物Tの床下部分には、建築物Tの平面形状に対応するように枠状に形成されたコンクリート材からなる外周基礎1が打設されており、この外周基礎1によって建築物Tが下から支持されている。建築物Tの床部には、その骨格を構成する木製の角材等からなる土台Taが含まれ、この土台Taが、上記外周基礎1の上面に図外のアンカーボルト等を介して固定されている。
上記外周基礎1の下端部には、地盤Eに埋設された状態で水平方向に張り出すフーチング2が一体に形成されており、これら外周基礎1とフーチング2とによって、断面逆T字状のいわゆる布基礎が形成されている。なお、フーチング2は、後述する断熱材10の下方に位置する部材であるので、本発明にかかる「下側部材」に該当する。
上記外周基礎1における床下側の側面、つまり、外周基礎1の内側面1aには、断熱材10が取り付けられている。断熱材10は、例えば発泡ポリスチレンや発泡ウレタンなど、断熱性に優れた樹脂材料からなり、外周基礎1の内側面1aと直交する方向に所定の厚みを有し、且つ外周基礎1の高さとほぼ同一の高さを有した板状の部材である(後述する図2〜図5も参照)。外周基礎1の内側面1aには、その面積に合わせて複数枚の上記断熱材10が並列に(図1では紙面に直交する方向に)並べて取り付けられている。
上記断熱材10は、例えば接着剤を介して外周基礎1の内側面1aに固定されている。断熱材10の固定に接着剤を用いる場合には、接着剤として防蟻用の薬剤が練り込まれたものを用いることが好ましい。なお、接着剤に含有され得る薬剤の具体例は、後述する防蟻剤9の説明において例示する薬剤と基本的に同じであるので、ここでは説明を省略する。
上記外周基礎1および断熱材10によって囲まれた建築物Tの床下部分には、水平方向に拡がる板状のコンクリート材からなる土間コンクリート5が敷設されており、この土間コンクリート5によって床下部分の地盤Eの上面が覆われている。
上記土間コンクリート5の周縁部には、外周基礎1(断熱材10)に近づくほど高さが低くなるように傾斜した下面を有する増厚部5aが形成されている。上記断熱材10は、その下部が上記土間コンクリート5の増厚部5aと外周基礎1との間に挟まれるような状態で上記外周基礎1に取り付けられている。
上記土間コンクリート5と地盤Eとの間には、防蟻用の薬剤が練り込まれたシート状体からなる防蟻シート7が敷設されている。防蟻シート7は、土間コンクリート5よりも広い範囲を覆うように拡がっており、その一部が土間コンクリート5の外側まではみ出している。このため、上記断熱材10とフーチング2との間には、土間コンクリート5からはみ出した上記防蟻シート7の周縁部が挟み込まれている。なお、防蟻シート7に含有され得る薬剤の具体例は、後述する防蟻剤9の説明において例示する薬剤と基本的に同じであるので、ここでは説明を省略する。
上記外周基礎1の内側面1aと上記フーチング2の上面とが交差する部分である内角部Cには、白蟻の侵入を防ぐ機能(防蟻機能)を有する防蟻剤9が充填されている。
上記防蟻剤9は、防蟻機能を有し、且つある程度の保形性を有するものであれば特にその種類を問わないが、例えば、防蟻用の薬剤が練りこまれたペースト状の樹脂組成物、防蟻用の薬剤を含有した樹脂成形体(フィルム、ペレット、板材など)、粒子状または粉体状の無機物に防蟻用の薬剤を付着させたもの、あるいは尖角形状のガラス小片、さらにはこれらを2つ以上組み合わせたものを、上記防蟻剤9として使用することができる。
また、上記防蟻剤9に含有される薬剤は、防蟻機能を有するものであれば特にその種類を問わないが、例えば、ピレスロイド様薬剤(シラフルオフェン、エトフェンプロックス等)、ピレスロイド系薬剤(ビフェントリン、サイパーメストン、デルタメスリン、パーメスリン、ペルメスリン、アレスリン、トラロメスリン等)、カーバメント系薬剤(プロボクスル、フェノブカルブ、セビン等)、クロルニコチル系薬剤(イミダクロプリド、アセタプリド、クロチアニシン等)、ニトロガニリン系薬剤(ジノテフラン等)、有機リン系殺虫剤(ホキシム、テトラクロクピンホス、フェニトロチオン、プロベタンホス等)、ピラゾール系薬剤(フィブロニル等)、クロルフェノール系薬剤(4−プロモ−2,5−ジクロルフェノール(BDCP)等)、フェニルピロール系(クロルフェナビル等)、ヒバ油、ウコン、カプリン酸、ヤシ油、パーム油等を、上記薬剤として使用することができる。
図2および図3は上記断熱材10を単体で示す斜視図、図4は断熱材10の単体の背面図、図5は図4のV−V線に沿った断面図である。なお、図5には、外周基礎1およびフーチング2を想像線で示している。以下の説明では、断熱材10の外周基礎1側の面を裏面11、断熱材10の外周基礎1とは反対側(床下側)の面を表面13、フーチング2を覆う断熱材10の下面を底面12とする。
上記断熱材10の底面12における外周基礎1側の角部、つまり、断熱材10の底面12と裏面11とが交差する角部には、断熱材10の底面12を所定深さだけ除去した底溝12aが形成されている。この底溝12aの存在により、外周基礎1の内角部Cでは、フーチング2の上面と断熱材10の底面12との間に所定容積の空間が形成されている。上記防蟻剤9は、上記底溝12aに対応する空間に閉じ込められるような状態で配置されている(図1参照)。
上記断熱材10には、断熱材10をその厚み方向に貫通するガイド孔15と、断熱材10の裏面11に開口する上記ガイド孔15の出口から上記断熱材10の裏面11に沿って延び、上記断熱材10の底面12まで達するガイド溝16とが形成されている。これらガイド孔15およびガイド溝16は、後述するメンテナンス作業時に補充される防蟻剤(メンテナンス用防蟻剤)を上記防蟻剤9の位置(ここでは内角部C)まで導く機能を果たすものであり、本発明にかかる「案内手段」に該当するものである。
上記ガイド孔15は、断熱材10の高さ方向(外周基礎1の内側面1aに沿う方向)の中間部に設けられており、断熱材10の表面13に開口する上記ガイド孔15の入口は、土間コンクリート5の上面よりも高いところに位置している。
上記ガイド溝16は、上記ガイド孔15の出口(裏面11側の開口)の形成部分から上記断熱材10の裏面11に沿って下方に延びる縦溝部17と、縦溝部17の下端から分岐して上記断熱材10の底面12まで放射状に延びる複数(図例では3つの)の分岐溝部18とを有している。各分岐溝部18は、縦溝部17の下端から断熱材10の底面12まで延びており、各分岐溝部18の下端部は、上記断熱材10の底面12に設けられた底溝12aに通じている。このように、上記分岐溝18および縦溝部17からなるガイド溝16は、上記断熱材10の裏面11に開口する上記ガイド孔15の出口と断熱材10の底溝12aとを互いに連通するように設けられている。
以上のような構造の断熱材10は、例えば次のようにして成形することができる。まず、発泡ポリスチレン等の原料を成形金型内に流し込み、断熱材10の素材を形成する。この断熱材10の素材には、成形金型のキャビティの形状に応じて、既にガイド溝16および底溝12aが形成されている。そして、最後に、断熱材10の素材にドリル加工を施し、上記ガイド溝16の上端に対応する位置にガイド孔15を形成する。以上により、ガイド孔15、ガイド溝16、および底溝12aを有する断熱材10を成形することができる。なお、押し出し成形等の連続成形により得た断熱材10の素材を所望の寸法にカットした後、ガイド孔15、ガイド溝16、底溝12aを全て加工によって形成してもよい。
(2)施工方法
次に、以上のような断熱床下構造を施工する方法について説明する。なお、この説明の前提として、地盤Eには既に外周基礎1およびフーチング2が打設されているものとする。
上記の状態から始める作業としては、まず、図6に示すように、床下部分の地盤Eにおける外周基礎1に近い部分に掘りこみ部Xを形成し、フーチング2の上面の一部を露出させる。このとき、掘り込み部Xの幅を上方側ほど広くなるように設定し、地盤Eの周面を傾斜状に形成する。
次いで、図7に示すように、外周基礎1の内側面1aとフーチング2の上面とが交差する内角部Cに防蟻剤9を配置するとともに、床下部分の地盤Eの上面を覆うように防蟻シート7を敷設する。このとき、防蟻シート7の周縁部は、上記掘り込み部X(図6)により露出したフーチング2の上面と、上記内角部Cに配置された防蟻剤9とをともに覆うように敷設される。なお、ここでの敷設作業で使用される防蟻シート7の枚数は、1枚に限られない。防蟻シート7を複数枚使用する場合は、例えば、外周基礎1に比較的近い部分のみを覆うために用意された帯状の防蟻シート7と、地盤Eの中央部を含む比較的広範な領域を覆うために用意された矩形状の防蟻シート7とを部分的に重ね合わせつつ敷設するとよい。
次いで、図8に示すように、外周基礎1に断熱材10を取り付ける。すなわち、断熱材10の裏面11を接着剤等を介して外周基礎1の内側面1aに固定することにより、外周基礎1の内側面1aとフーチング2の上面とを覆うように断熱材10を取り付ける。断熱材10の固定に接着剤を用いる場合、その接着剤としては、防蟻用薬剤を含有したものを用いるのがよい。
上記のようにして断熱材10が取り付けられると、図9に示すように、この断熱材10の底面12によって、フーチング2の上面に敷設された防蟻シート7、および内角部Cに配置された防蟻剤9が上から覆われる。このとき、防蟻剤9は、断熱材10の底面12に設けられた底溝12aに対応する空間(底溝12aと内角部Cとで囲まれた空間)に収容されるとともに、この空間に入りきらない一部の防蟻剤9は、断熱材10の底面12とフーチング2の上面との間に挟まれて引き伸ばされる。
次いで、床下部分の地盤Eを覆うように土間コンクリート5を施工する(図1参照)。このとき、床下部分の地盤Eの周縁部に形成されていた掘り込み部X(図6)にもコンクリートが流れ込み、この掘り込み部Xに対応する部分に増厚部5aが形成される。これにより、土間コンクリート5の増厚部5aと外周基礎1の内側面との間に断熱材10の下部が挟み込まれ、断熱材10がより強固に固定される。なお、土間コンクリート5の施工時、その厚みは、土間コンクリート5の上面の高さが断熱材10のガイド孔15よりも低くなるような厚みに設定される。このため、土間コンクリート5の施工後においても、ガイド孔15の入口(表面13側の開口)が塞がれることはない。
(3)メンテナンス作業
次に、以上のような方法で施工された断熱床下構造に対し、防蟻効果を維持するためのメンテナンスを行うときの作業手順について説明する。
土中の白蟻は、基本的に暗がりを行動範囲とするため、建築物Tに侵入しようという場合は、例えば外周基礎1の内側面1aと断熱材10の裏面11との隙間を通って上方に這い上がろうとする。しかしながら、当実施形態の構造では、外周基礎1とフーチング2との内角部Cに防蟻剤9が配置されているため、基本的には、この防蟻剤9によって白蟻の這い上がりが阻止される。しかしながら、防蟻剤9に含有されている薬剤の効果が経年劣化により薄れたり、防蟻剤9の体積が乾燥により収縮するなどしていれば、白蟻が防蟻剤9を通過してさらに上方まで這い上がり、建築物Tの土台Ta等が白蟻に食われるという被害(食害)が及ぶこともあり得る。このような白蟻による被害を抑えるには、上記防蟻剤9の位置(ここでは内角部C)に定期的に防蟻剤を補充することが必要である。以下では、このようなメンテナンス時に補充される防蟻剤のことを、「メンテナンス用防蟻剤」という。
当実施形態において、上記のようなメンテナンス用防蟻剤の補充作業は、断熱材10を外周基礎1に取り付けた状態のまま、断熱材10の表面13側(つまり床下側)から行うことが可能である。その一例を図10に示す。図10は、注射器20を用いてメンテナンス用防蟻剤9’を上記内角部Cに導入する場合を例示したものである。なお、メンテナンス用防蟻剤9’は、当初から内角部Cに配置されていた防蟻剤9と同じものでも、異なるものでもよい。例えば、当初の防蟻剤9が流動性に富んだものである場合には、これと同じものをメンテナンス用防蟻剤9’として使用することができる。一方、当初の防蟻剤9の流動性が低ければ、流動性の高い別の防蟻剤をメンテナンス用防蟻剤9’として使用するとよい。例えば、防蟻用の薬剤を水または溶剤に溶かしたものをメンテナンス用防蟻剤9’として使用してもよい。
図10の例において、上記メンテナンス用防蟻剤9’を補充する際に、作業者は、建築物Tの床下部分に入り込み、注射器20を用いて断熱材10の表面13側(床下側)からメンテナンス用防蟻剤9’を注入する。具体的には、メンテナンス用防蟻剤9’が内部に装填された注射器20の針先を、断熱材10のガイド孔15の入口(表面13側の開口)に挿入し、その状態で、注射器20のピストンを押し込むことにより、注射器20内のメンテナンス用防蟻剤9’をガイド孔15の内部に注入する。ガイド孔15に注入されたメンテナンス用防蟻剤9’は、ガイド孔15の出口と連続して断熱材10の裏面11に形成されたガイド溝16へと流入し、このガイド溝16を通じて断熱材10の底面12まで流下していく。
ここで、ガイド溝16は、図2、図4に示したように、ガイド孔15の出口と連続する縦溝部17とその下端から分岐する複数の分岐溝部18を有しているので、上記ガイド孔15の出口から流出したメンテナンス用防蟻剤9’は、縦溝部17および複数の分岐溝部18を通じて複数の経路に分かれながら下方へと流れていく。
上記のようにしてガイド孔15およびガイド溝16を通じて注入されたメンテナンス用防蟻剤9’は、断熱材10の底面12に設けられた底溝12aへと流入し、当該底溝12aと上記外周基礎1の内角部Cとに囲まれた空間に当初から充填されていた防蟻剤9まで到達するとともに、断熱材10の底面12とフーチング2との隙間等に滞留する。なお、防蟻剤9と断熱材10との間には防蟻シート7が敷設されているが、上記ガイド溝16を通じて流入してきたメンテナンス用防蟻剤9’は、防蟻シート7と外周基礎1の内側面1aとの隙間等を通って問題なく当初の防蟻剤9に到達する。
(4)作用効果等
以上説明したように、上記第1実施形態では、建築物Tを支持する枠状の外周基礎1の内側面1aが断熱材10によって覆われた断熱床下構造において、次のような特徴的な構成を採用した。
すなわち、上記第1実施形態では、上記外周基礎1の内側面1aと当該面と交差するフーチング2(下側部材)の上面とにより形成される内角部Cに、防蟻機能を有する防蟻剤9が配置されており、この防蟻剤9を上から覆い且つ外周基礎1の内側面1aに沿うように上記断熱材10が取り付けられている。上記断熱材10には、メンテナンス時に断熱材10の表面13側(床下側)から補充されるメンテナンス用防蟻剤9’を上記外周基礎1の内角部Cへと導く案内手段として、断熱材10を厚み方向に貫通するガイド孔15と、ガイド孔15の出口から断熱材10の裏面11に沿って延び、断熱材10の底面12まで達するガイド溝16とが設けられている。
このような第1実施形態の構成によれば、メンテナンス用防蟻剤9’の補充作業をより容易化することができる。すなわち、上記第1実施形態では、防蟻剤9が配置された外周基礎1の内角部Cにメンテナンス用防蟻剤9’を補充したい場合に、断熱材10に設けられたガイド孔15およびガイド溝16(案内手段)を通じて、断熱材10の表面13側から容易且つ確実にメンテナンス用防蟻剤9’を補充することができる。これにより、メンテナンス用防蟻剤9’の補充のためにわざわざ断熱材10を取り外すなどの煩雑な準備をする必要がなくなり、メンテナンスの作業性を格段に向上することができる。また、外周基礎1の内角部Cに配置された防蟻剤9に対し、メンテナンス用防蟻剤9’が定期的に補充されることにより、上記内角部Cでの防蟻効果が長期間に亘って維持されるので、内角部Cを通った白蟻の侵入を確実に防止することができる。
特に、上記第1実施形態では、メンテナンス用防蟻剤9’を外周基礎1の内角部Cに導く案内手段として、断熱材10を貫通するガイド孔15とその出口から断熱材10の裏面11に沿って延びるガイド溝16とを設けたため、メンテナンス時には、これらガイド孔15およびガイド溝16を通じてメンテナンス用防蟻剤9’を確実に上記内角部Cに導入することができる。
より具体的に、上記第1実施形態において、断熱材10の裏面11に設けられた上記ガイド溝16は、上記ガイド孔15の出口から断熱材10の裏面11に沿って下方に延びる縦溝部17と、縦溝部17の下端から分岐して断熱材10の底面12まで延びる複数の分岐溝部18とを有している。このような構成によれば、メンテナンス用防蟻剤9’が複数の経路に分かれて外周基礎1の内角部Cに導入されるので、この内角部Cに配置されていた防蟻剤9に上記メンテナンス用防蟻剤9’をまんべんなく補充することができ、防蟻機能の補強効果が場所によって大きくばらつくのを効果的に防止することができる。
なお、上記第1実施形態では、メンテナンス用防蟻剤9’を断熱材10のガイド孔15およびガイド溝16を通じて内角部Cに導入する際に、注射器20を用いてメンテナンス用防蟻剤9’をガイド孔15に注入するようにしたが、ガイド孔15にメンテナンス用防蟻剤9’を注入できるものであれば、注射器20に限らず適宜使用可能である。
また、上記第1実施形態では、断熱材10の底面12を部分的に切り欠いて底溝12aを形成し、この底溝12aと外周基礎1の内角部Cとにより囲まれた空間に防蟻剤9を収容するようにしたが、上記底溝12aは必須ではなく、省略してもよい。底溝12aを省略した場合、つまり図11に示すように断熱材10の底面を段差のない平坦な面12’によって構成した場合には、例えば、断熱材10の底面12’とフーチング2との間に防蟻剤9をまんべんなく引き伸ばし、両者の隙間を埋めるように防蟻剤9を配置することが望ましい。このようにした場合でも、外周基礎1の内側面1aと断熱材10との隙間を通った白蟻の侵入を確実に防止することができる。また、メンテナンス時にガイド孔15およびガイド溝16を通じてメンテナンス用防蟻剤9’が充填されたときには、特に外周基礎1の内角部Cに位置する部分の防蟻剤9の機能が強化されることになり、防蟻効果が長期間に亘り維持される。
もちろん、上記のように断熱材10の底溝12aを省略しながら、内角部Cにのみ集中的に防蟻剤9を配置してもよい。この場合、防蟻剤9は、内角部Cに近い部分の断熱材10の裏面11(裏面11の下端近傍)と外周基礎1との間、または内角部Cに近い部分の断熱材10の底面12’とフーチング2との間に挟まれることで、白蟻の侵入を阻止する機能を発揮することになる。
また、上記第1実施形態では、土間コンクリート5の上面には断熱材を配置しなかったが、図26を用いて説明した従来技術と同様に、土間コンクリート5の上面に断熱材10とは別の断熱材を配置してもよい。
また、上記第1実施形態では、建築物Tを支持する外周基礎1とその下端部に設けられたフーチング2とを備えたいわゆる布基礎の内角部C、つまり外周基礎1の内側面1aとフーチング2の上面とが交差する内角部Cに防蟻剤9を配置し、この防蟻剤9が配置された内角部Cにメンテナンス用防蟻剤9’を補充するという例について説明したが、本発明が適用可能な構造は、上記のような内角部Cに防蟻剤9を配置した例に限られない。例えば、図12に示す例では、床下部分の地盤Eを覆う土間コンクリート5’の周縁部が、外周基礎1の内側面1aまで拡がっており、これら土間コンクリート5’と外周基礎1とによって内角部C’が形成されている。そして、この内角部C’に防蟻剤9が配置され、その上方に断熱材10が取り付けられている。なお、断熱材10の下方に位置する土間コンクリート5’は、本発明にかかる「下側部材」に該当する。
さらに、図示を省略するが、フーチング2が存在しないいわゆるベタ基礎とよばれる基礎の場合にも、本発明は適用可能である。この場合、建築物Tを支持する外周基礎は、水平方向に拡がるように地盤Eに打設される底盤コンクリート(スラブ)の周縁部の上面に接合される。この場合でも、上記図12の例と同様、外周基礎と底盤コンクリートとにより内角部が形成されるので、この内角部に防蟻剤を施工することができる。
またさらに、図13に示すように、床下の地盤Eの上方に断熱材10を取り付ける場合にも、本発明は適用可能である。すなわち、図13の例では、地盤Eの上面に防蟻シート7が敷設されており、この防蟻シート7の周縁部を地盤Eとの間に挟むように断熱材10が取り付けられている。地盤Eの上面と外周基礎1の内側面1aとが交差する角部C”には防蟻剤9が配置され、この防蟻剤9を上から覆うように断熱材10が取り付けられている。なお、図13の例では、断熱材10の下方に位置する部分の地盤Eが、本発明にかかる「下側部材」に該当する。
<実施形態2>
図14は、本発明の第2実施形態を説明するための図である。なお、本図において、先の第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付すこととし、その詳細な説明を省略する。
図14に示される第2実施形態では、外周基礎1の内側面1aに取り付けられる断熱材50が、高さ方向に2分割されており、下側断熱材50Aと上側断熱材50Bとを有している。すなわち、フーチング2の上面と外周基礎1の内側面1aの一部とを覆うように下側断熱材50Aが配置され、さらに下側断熱材50Aの上面に上側断熱材50Bが配置されることにより、外周基礎1の内側面1aのほぼ全高さを覆うように断熱材50(下側および上側断熱材50A,50B)が配置されている。
上記外周基礎1の内側面1aとフーチング2の上面とが交差する内角部Cには、防蟻剤9が配置されている。
上記下側断熱材50Aの底面52における外周基礎1側の角部には、底面52を部分的に切り欠いた底溝52aが形成されており、この底溝52aと上記外周基礎1の内角部Cとに囲まれた空間に収容されるようにして上記防蟻剤9が配置されている。
上記下側断熱材50Aは、その全面が不織布60によって覆われている。すなわち、下側断熱材50Aの裏面51、底面52(底溝52aを含む)、表面53、および上面54をそれぞれ覆うように上記不織布60が取り付けられている。さらに、図示を省略するが、図14の紙面に直交する方向を下側断熱材50Aの長手方向としたとき、この長手方向の一側と他側の側面にも上記不織布60が取り付けられている。このように、不織布60は、直方体形状の下側断熱材50Aの6面全てを覆うように取り付けられている。
なお、図14では、下側断熱材50Aの各面に取り付けられた不織布60を太い実線で表している。また、図示の都合上明示されていないが、第2実施形態では、土間コンクリート5の設置範囲より外側(外周基礎1の近傍)まで拡がるように防蟻シート7が敷設されており、下側断熱材50Aの底面52とフーチング2の上面との間にも防蟻シート7は存在している。このことは、後述する他の実施形態(第3〜第9実施形態)でも同様である。
上記不織布60は、メンテナンス作業時に補充されるメンテナンス用防蟻剤を上記防蟻剤9の位置(ここでは内角部C)まで導く機能を果たすものであり、本発明にかかる「案内手段」に該当するものである。すなわち、防蟻効果を維持するために行われるメンテナンス作業においては、図15に示すように、床下に露出した部分の不織布60、より具体的には、下側断熱材50Aの表面53のうち土間コンクリート5よりも上側に位置する部分の不織布60に、例えば噴霧器70を用いてメンテナンス用防蟻剤9’が散布される。
上記噴霧器70から散布されたメンテナンス用防蟻剤9’は、上記不織布60の露出部分に含浸されて、時間経過とともに不織布60の全体に浸透する。これにより、メンテナンス用防蟻剤9’は、外周基礎1の内角部Cの近傍に位置する不織布60にまで浸透し、最終的には、当該内角部Cに配置された防蟻剤9に到達する。
以上のように、第2実施形態では、メンテナンス用防蟻剤9’を外周基礎1の内角部Cに導く案内手段として、下側断熱材50Aの全面(裏面51、底面52、表面53、上面54)を覆う不織布60を設けたため、メンテナンス時には、この不織布60にメンテナンス用防蟻剤9’を含浸させるだけの簡単な方法で、上記内角部Cにメンテナンス用防蟻剤9’を導入することができる。また、メンテナンス時にメンテナンス用防蟻剤9’が不織布60に含浸されることで、特に、下側断熱材50Aの裏面51や上面54を覆う部分の不織布60が白蟻の侵入を防止する役割を果たし、その意味でも防蟻効果が向上することになる。
特に、上記第2実施形態では、外周基礎1の内側面1aに取り付けられる断熱材50として、下側断熱材50Aおよび上側断熱材50Bを含む分割タイプの断熱材を採用したので、上記内角部Cを覆う(防蟻剤9の上方に位置する)下側断熱材50Aにのみ不織布60を取り付ければ足り、その上の上側断熱材50Bには不織布60を取り付けなくて済む。このため、たとえ下側断熱材50Aの全面を不織布60によって覆ったとしても、その不織布60の使用面積を効果的に抑制することができる。
なお、上記第2実施形態では、不織布60にメンテナンス用防蟻剤9’を含浸させるために噴霧器70(図15)を用いたが、これに代わる方法として、例えば刷毛塗り等によりメンテナンス用防蟻剤9’を不織布60に含浸させてもよい。
ところで、不織布60の露出部分に対し噴霧器70や刷毛塗りによりメンテナンス用防蟻剤9’を含浸させた場合、不織布60の材質等によっては、外周基礎1の内角部Cまでメンテナンス用防蟻剤9’が充分に浸透しないこともあり得る。そこで、メンテナンス用防蟻剤9’をより確実に内角部Cまで浸透させるために、図16に示すような方法を採用することが提案される。
図16は、メンテナンスの際に断熱材50にガイド孔61を穿孔し、このガイド孔61を用いてメンテナンス用防蟻剤9’を補充するという例を示したものである。本図に示すように、ガイド孔61は、例えば、上側断熱材50Bの下部に斜め向きに穿孔され、下側断熱材50Aにおける外周基礎1側の角部(上面54と裏面51とが交差する角部)に向けて開口している。メンテナンス用防蟻剤9’を補充する際には、上記ガイド孔61の入口から、注射器20等の注入器を用いてメンテナンス用防蟻剤9’を注入する。ガイド孔61に注入されたメンテナンス用防蟻剤9’は、不織布60のうち下側断熱材50Aの裏面51を覆う部分にいきなり注入されるので、その下端にあたる外周基礎1の内角部Cまで確実に浸透することが期待される。
なお、上記図16の例のようにガイド孔61を設けてメンテナンス用防蟻剤9’を補充する場合、不織布は、少なくとも下側断熱材50Aの裏面51および底面52を覆っていれば足りる。このとき、不織布は、下側断熱材50Aの裏面51を全面的に覆うように取り付けるのが好ましいが、上記ガイド孔61を通じてメンテナンス用防蟻剤9’が注入される箇所を少なくとも含む幅方向の一部にのみ不織布を設けるようにしてもよい。
また、上記第2実施形態では、先の第1実施形態と同様、外周基礎1の内側面1aとフーチング2の上面とが交差する内角部Cに防蟻剤9を配置したが、上記第1実施形態でも説明したとおり、防蟻剤9が配置されるのは上記のような内角部Cに限られない。例えば、図12に示したとおり、外周基礎1と土間コンクリート5’との内角部C’に防蟻剤9を配置してよいし、いわゆるベタ基礎における内角部(図示省略)に防蟻剤9を配置してもよいし、図13に示したとおり、外周基礎1と地盤Eとの内角部C”に防蟻剤9を配置してもよい。
また、上記第2実施形態では、先の実施形態と同様、下側断熱材50Aの底面52に底溝52aを形成したが、この底溝52aを省略することにより、下側断熱材50Aとして平坦な底面を有するものを用いてもよい。この場合、防蟻剤は、下側断熱材50Aの底面とフーチング2との間などに引き伸ばされるようにして配置されることになる。特に、第2実施形態において、下側断熱材50Aの底溝52aを省略した場合(下側断熱材50Aの底面を平坦に形成した場合)には、下側断熱材50Aが矩形断面をもった単純形状のものになるので、後加工が不要になり、コスト面等で有利になる。
また、上記第2実施形態では、下側断熱材50Aと上側断熱材50Bとを有する上下2分割タイプの断熱材50を用いたが、上下一体型の断熱材を用いてもよい。
<実施形態3>
図17は、本発明の第3実施形態を説明するための図である。なお、本図において、先の第1、第2実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付すこととし、その詳細な説明を省略する。
図17に示される第3実施形態では、先の第2実施形態と異なり、断熱材80の一部の面のみが不織布60によって覆われている。具体的に、不織布60は、断熱材80の裏面81の一部と底面82とを連続して覆うように取り付けられている。
断熱材80には、当該断熱材80を厚み方向に貫通するガイド孔85が設けられており、その出口(外周基礎1側の開口)は、断熱材80の裏面81に取り付けられた不織布60に対面している。
外周基礎1の内側面1aとフーチング2(下側部材)の上面とが交差する内角部Cには、防蟻剤9が配置されている。なお、当実施形態では、断熱材80の底面82に底溝82aが形成されており、防蟻剤9はこの底溝82a内に収容されるような状態で内角部Cに配置されている。
上記不織布60およびガイド孔85は、メンテナンス作業時に補充されるメンテナンス用防蟻剤9’を上記防蟻剤9の位置(ここでは内角部C)まで導く機能を果たすものであり、本発明にかかる「案内手段」に該当するものである。すなわち、防蟻効果を維持するために行われるメンテナンス作業においては、例えば注射器20を用いて、断熱材80のガイド孔85にメンテナンス用防蟻剤9’が注入される。ガイド孔85に注入されたメンテナンス用防蟻剤9’は、ガイド孔85の出口(外周基礎1側の開口)から漏出することで、断熱材80の裏面81および底面82に取り付けられた不織布60に含浸され、この不織布60を通じて上記内角部Cに配置された防蟻剤9に到達する。
なお、以上のような第3実施形態においても、先の第1、第2実施形態と同様、防蟻剤9の配置箇所は外周基礎1の内側面1aとフーチング2の上面との内角部Cに限らないし(例えば図12,13に示した内角部C’またはC”でもよい)、また、断熱材80の底面82に設けられる底溝82aは省略可能である。
また、上記第3実施形態において、断熱材80に設けられるガイド孔85は、必ずしも断熱材80の施工時に予め設けておく必要はない。例えば、メンテナンス用防蟻剤9’を補充するメンテナンスの際に、ハンドドリル等の工具を用いてガイド孔85を新規に設けることも当然に可能である。
<実施形態4>
図18は、本発明の第4実施形態を説明するための図である。なお、本図において、先の第1〜第3実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付すこととし、その詳細な説明を省略する。
図18に示される第4実施形態では、断熱材90の下面92のみを覆うように不織布60が取り付けられている。
断熱材90には、縦方向および横方向に延びるガイド孔95が設けられている。具体的に、ガイド孔95は、断熱材90の表面93に一端が開口した厚み方向に延びる横孔95aと、この横孔95aの他端(断熱材90の厚み方向の途中部)から下方に延びて断熱材90の底面92まで達する縦孔95bとを有している。
断熱材90の表面93には、中空構造材100が取り付けられている。この中空構造材100は、図19に示すように、扁平かつ長尺な四角枠状の基材と、その内部に一体に設けられた複数の仕切部材とを有しており、仕切部材によって仕切られた複数の流路102が中空構造材100の内部に形成されている。各流路102は、中空構造材100の長手方向(上下方向)に沿って互いに平行に延び、中空構造材100を長手方向に貫通している。
中空構造材100は、図18に示すように、断熱材90と土間コンクリート5との間に挟まれるような状態で、断熱材90の表面93に沿って上下方向に延びるように設けられている。中空構造材100の下端はフーチング2の上面まで達しており、中空構造材100の上端は土間コンクリート5の上面よりも若干上方の高さ位置まで延びている。
外周基礎1の内側面1aとフーチング2(下側部材)の上面とが交差する内角部Cには、防蟻剤9が配置されている。なお、当実施形態では、断熱材90の底面92に底溝92aが形成されており、防蟻剤9はこの底溝92a内に収容されるような状態で内角部Cに配置されている。
上記不織布60、ガイド孔95、および中空構造材100は、メンテナンス作業時に補充されるメンテナンス用防蟻剤9’(例えば図17参照)を上記防蟻剤9の位置(ここでは内角部C)まで導く機能を果たすものであり、本発明にかかる「案内手段」に該当するものである。
すなわち、防蟻効果を維持するために行われるメンテナンス作業においては、図18の矢印X1に示すように、断熱材90のガイド孔95にメンテナンス用防蟻剤9’が注入される。ガイド孔95に注入されたメンテナンス用防蟻剤9’は、ガイド孔95の出口(縦孔95bの下端の開口)から漏出することで、断熱材90の底面92に取り付けられた不織布60に含浸され、この不織布60を通じて上記内角部Cに配置された防蟻剤9に到達する。
また、メンテナンス作業時には、図18の矢印Y1に示すように、中空構造材100の上端開口からメンテナンス用防蟻剤9’を注入することも可能である。注入されたメンテナンス用防蟻剤9’は、中空構造材100の内部に形成された複数の流路102(図19)を通じて下方に流下する。さらに、流下したメンテナンス用防蟻剤9’は、断熱材90の下面に取り付けられた不織布60に含浸され、この不織布60を通じて上記内角部Cに配置された防蟻剤9に到達する。
なお、上記第4実施形態では、内角部Cに配置される防蟻剤9を収容するための底溝92aを断熱材90の底面92に設けたが、この底溝92aは省略してもよい。
また、上記第4実施形態では、メンテナンス用防蟻剤9’を防蟻剤9の位置(内角部C)に導く案内手段として、不織布60、ガイド孔95、および中空構造材100を設けたが、例えばガイド孔95および中空構造材100のいずれか一方は省略してもよい。また、断熱材90の底面92に取り付けられる不織布60に代えて、メンテナンス用防蟻剤9’が含浸され易い粒状物質(例えば砂)等の保水材を断熱材90の底面92とフーチング2の上面との間に配置してもよい。
<実施形態5>
図20は、本発明の第5実施形態を説明するための図である。なお、本図において、先の第1〜第4実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付すこととし、その詳細な説明を省略する。
図20に示される第4実施形態では、断熱材110の下面112のみを覆うように不織布60が取り付けられている。
断熱材110には、当該断熱材110を上下方向に貫通する第1ガイド孔115が設けられている。
土間コンクリート5には、土間コンクリート5を斜めに貫通する第2ガイド孔116が設けられている。具体的に、この第2ガイド孔116は、土間コンクリート5の上面から、断熱材110の表面113とフーチング2の上面とが交差する角部に対応する位置に向けて斜め下方に延びている。なお、土間コンクリート5にこのような第2ガイド孔116を設ける作業は、例えば、土間コンクリート5を打設する前の段階で、第2ガイド孔116に対応する位置に予め中空管(内部が空洞のパイプまたはチューブ等)を配置しておき、その状態で土間コンクリート5を打設することにより、行うことができる。これにより、土間コンクリート5の内部に上記中空管が埋め込まれた状態となり、この中空管内部の空洞が上記第2ガイド孔116として形成される。
外周基礎1の内側面1aとフーチング2(下側部材)の上面とが交差する内角部Cには、防蟻剤9が配置されている。なお、当実施形態では、断熱材110の底面112に底溝112aが形成されており、防蟻剤9はこの底溝112a内に収容されるような状態で内角部Cに配置されている。
上記不織布60、第1ガイド孔115、および第2ガイド孔116は、メンテナンス作業時に補充されるメンテナンス用防蟻剤9’(例えば図17参照)を上記防蟻剤9の位置(ここでは内角部C)まで導く機能を果たすものであり、本発明にかかる「案内手段」に該当するものである。すなわち、防蟻効果を維持するために行われるメンテナンス作業においては、図20の矢印X2に示すように、断熱材110の第1ガイド孔115にメンテナンス用防蟻剤9’が注入されるとともに、矢印Y2に示すように、土間コンクリート5の第2ガイド孔116に同じくメンテナンス用防蟻剤9’が注入される。各ガイド孔115,116に注入されたメンテナンス用防蟻剤9’は、各ガイド孔115,116の下端の出口から漏出することで、断熱材110の底面112に取り付けられた不織布60に含浸され、この不織布60を通じて上記内角部Cに配置された防蟻剤9に到達する。
なお、上記第5実施形態では、メンテナンス用防蟻剤9’を防蟻剤9の位置(内角部C)に導く案内手段として、不織布60、第1ガイド孔115、および第2ガイド孔116を設けたが、例えば第1、第2ガイド孔115,116のいずれか一方は省略してもよい。また、断熱材110の底面112に取り付けられる不織布60に代えて、メンテナンス用防蟻剤9’が含浸され易い粒状物質(例えば砂)等の保水材を断熱材110の底面112とフーチング2の上面との間に配置してもよい。
また、上記第5実施形態では、断熱材110を上下方向に貫通するように第1ガイド孔115を設けたが、断熱材110が外周基礎1の周方向(図20の紙面に直交する方向)に複数並べて設けられている場合、同方向に対面する2つの断熱材110の突き合わせ面にそれぞれ凹溝を設け、各凹溝の組み合わせによって上記第1ガイド孔115を形成してもよい。
また、上記第5実施形態では、土間コンクリート5に第2ガイド孔116を設けたが、これと同様のガイド孔を外周基礎1に設けてもよい。この場合、外周基礎1のガイド孔は、例えば外周基礎1の外側面(床下とは反対側の面)と内角部Cとを結ぶように斜めに設けるとよい。
<実施形態6>
図21は、本発明の第6実施形態を説明するための図である。なお、本図において、先の第1〜第5実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付すこととし、その詳細な説明を省略する。
図21に示される第6実施形態では、断熱材120の底面122に、防蟻剤9を収容するための底溝122aと、後述するパイプ材125の一部を収容するためのパイプ用溝122bとが形成されている。これら溝122a,122bを含む断熱材120の底面122には、不織布60が取り付けられている。
断熱材120には、その表面123および底面122に沿って延びる中空状のパイプ材125が取り付けられている。このパイプ材125は、図22に示すように、断熱材120の表面123に沿って上下方向に延びる第1部分125aと、第1部分125aの下端から断熱材120のパイプ用溝122bを通って外周基礎1に近接する方向に延びる第2部分125bと、第2部分125bの先端部から外周基礎1の周方向(図22の紙面に直交する方向)に沿って延びる第3部分125cとを有している。
パイプ材125の第1部分125aは、断熱材120と土間コンクリート5との間に挟まれるような状態で設けられており、この第1部分125aの上端は、土間コンクリート5の上面よりも若干上方の高さ位置まで延びている。
パイプ材125の第3部分125cは、その周壁に複数の孔(図示省略)を有している。
外周基礎1の内側面1aとフーチング2(下側部材)の上面とが交差する内角部Cには、断熱材120の底溝122a内に収容されるような状態で防蟻剤9が配置されている。
上記パイプ材125および不織布60は、メンテナンス作業時に補充されるメンテナンス用防蟻剤9’(例えば図17参照)を上記防蟻剤9の位置(ここでは内角部C)まで導く機能を果たすものであり、本発明にかかる「案内手段」に該当するものである。すなわち、防蟻効果を維持するために行われるメンテナンス作業においては、図21の矢印X3に示すように、パイプ材125の上端開口からメンテナンス用防蟻剤9’が注入される。注入されたメンテナンス用防蟻剤9’は、パイプ材125の内部を下方に流下し、その第3部分125cにまで流入する。さらに、第3部分125cに流入したメンテナンス用防蟻剤9’は、この第3部分125cの周壁に設けられた複数の孔から外部に漏出することで、断熱材90の下面に取り付けられた不織布60に含浸され、この不織布60を通じて上記内角部Cに配置された防蟻剤9に到達する。
なお、上記実施形態では、防蟻剤9を収容するための底溝122aと、パイプ材125を収容するためのパイプ用溝122bとを断熱材120の底面122に設けたが、これら底溝122aおよびパイプ用溝122bは省略してもよい。この場合、断熱材120の底面122とフーチング2の上面との間に、パイプ材125の分だけ隙間が形成されることになるが、この隙間に例えば粒状物質(例えば砂)等の保水材を配置し、パイプ材125から漏出したメンテナンス用防蟻剤9’を上記保水材に含浸させるようにしてもよい。
<実施形態7>
図23は、本発明の第7実施形態を説明するための図である。なお、本図において、先の第1〜第6実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付すこととし、その詳細な説明を省略する。
図23に示される第7実施形態では、外周基礎1の下端部が地盤Eの中の比較的深い位置まで埋設されている。このため、フーチング2の上面よりさらに上方の高さまで地盤Eが盛られており、当該地盤Eの上面を覆う土間コンクリート5は、フーチング2の上面よりも上方に離れた位置に敷設されている。
外周基礎1の内側面1aには、土間コンクリート5よりも低い高さ範囲も含めて、全ての内側面1aを覆うように断熱材130が取り付けられている。断熱材130は、土間コンクリート5よりも低い範囲の内側面1aを覆う下側断熱材130Aと、下側断熱材130Aよりも高い範囲の内側面1aを覆う上側断熱材130Bとを有している。下側断熱材130Aは、外周基礎1と地盤Eとの間に挟まれており、上側断熱材130Bは、外周基礎1と土間コンクリート5との間に挟まれている。
下側断熱材130Aおよび上側断熱材130Bには、不織布60が取り付けられている。具体的に、不織布60は、下側断熱材130Aの全面(つまり裏面131、底面132、表面133、および上面134を含む6面全て)を覆うとともに、上側断熱材130Bの裏面135の一部を覆うように取り付けられている。
上側断熱材130Bには、当該断熱材130Bを厚み方向に貫通するガイド孔138が設けられており、その出口(外周基礎1側の開口)は、上側断熱材130Bの裏面135に取り付けられた不織布60に対面している。
上側断熱材130Bの表面136には、先の第4実施形態で用いたのと同様の中空構造材100が取り付けられている。具体的に、中空構造材100は、上側断熱材130Bと土間コンクリート5との間に挟まれるような状態で、上側断熱材130Bの表面136に沿って上下方向に延びるように設けられている。中空構造材100の下端は下側断熱材130Aと上側断熱材130Bとの境界の高さ位置まで延びており、中空構造材100の上端は土間コンクリート5の上面よりも若干上方の高さ位置まで延びている。
外周基礎1の内側面1aとフーチング2(下側部材)の上面とが交差する内角部Cには、防蟻剤9が配置されている。なお、当実施形態では、下側断熱材130Bの底面132に底溝132aが形成されており、防蟻剤9はこの底溝132a内に収容されるような状態で内角部Cに配置されている。
上記不織布60、ガイド孔138、および中空構造材100は、メンテナンス作業時に補充されるメンテナンス用防蟻剤9’(例えば図17参照)を上記防蟻剤9の位置(ここでは内角部C)まで導く機能を果たすものであり、本発明にかかる「案内手段」に該当するものである。
すなわち、防蟻効果を維持するために行われるメンテナンス作業においては、図23の矢印X4に示すように、上側断熱材130Bのガイド孔138にメンテナンス用防蟻剤9’が注入される。ガイド孔138に注入されたメンテナンス用防蟻剤9’は、ガイド孔138の出口(外周基礎1側の開口)から漏出することで、上側断熱材130Bの裏面135に取り付けられた不織布60に含浸される。さらに、メンテナンス用防蟻剤9’は、下側断熱材130Aの全面に取り付けられた不織布60にも含浸され、この不織布60を通じて上記内角部Cに配置された防蟻剤9に到達する。
また、メンテナンス作業時には、図23の矢印Y4に示すように、中空構造材100の上端開口からメンテナンス用防蟻剤9’を注入することも可能である。注入されたメンテナンス用防蟻剤9’は、中空構造材100の内部に形成された複数の流路102(図19参照)を通じて下方に流下する。さらに、流下したメンテナンス用防蟻剤9’は、下側断熱材130Aに取り付けられた不織布60に含浸され、この不織布60を通じて上記内角部Cに配置された防蟻剤9に到達する。
なお、上記第7実施形態では、内角部Cに配置される防蟻剤9を収容するための底溝132aを下側断熱材130Aの底面132に設けたが、この底溝132aは省略してもよい。
また、上記第7実施形態では、メンテナンス用防蟻剤9’を防蟻剤9の位置(内角部C)に導く案内手段として、不織布60、ガイド孔138、および中空構造材100を設けたが、このうち中空構造材100は省略することが可能である。逆に、中空構造100を残して、上側断熱材130Bの裏面135に取り付けられている部分の不織布60とガイド孔138とを省略してもよい。
<実施形態8>
図24は、本発明の第8実施形態を説明するための図である。なお、本図において、先の第1〜第7実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付すこととし、その詳細な説明を省略する。
図24に示される第8実施形態では、先の第7実施形態と同様、外周基礎1の下端部が地盤Eの中の比較的深い位置まで埋設されており、フーチング2と土間コンクリート5とが上下に離れている。
外周基礎1の内側面1aには、断熱材140および防蟻断熱材150が取り付けられている。
防蟻断熱材150は、これまでの実施形態で用いてきたいずれの断熱材とも異なり、防蟻用の薬剤が配合された特殊な断熱材であり、それ自体、白蟻を忌避する機能を有している。この防蟻断熱材150は、土間コンクリート5よりも低い高さ範囲の内側面1aを覆うように取り付けられており、外周基礎1と地盤Eとの間に挟まれている。なお、防蟻断熱材150は、断熱材140の下方に位置するため、本発明にかかる「下側部材」に該当する。
断熱材140は、これまでの実施形態で用いてきた断熱材と同じ材質からなり、防蟻用の薬剤は配合されていない。この断熱材140は、防蟻断熱材150よりも高い範囲の外周基礎1の内側面1aを覆うように取り付けられており、外周基礎1と土間コンクリート5との間に挟まれている。
断熱材140には不織布60が取り付けられている。この不織布60は、断熱材140の裏面141の一部と底面142とをそれぞれ覆っている。
断熱材140には、当該断熱材140を厚み方向に貫通するガイド孔145が設けられており、その出口(外周基礎1側の開口)は、断熱材140の裏面141に取り付けられた不織布60に対面している。
上側断熱材140の表面143には、先の第4実施形態および第7実施形態で用いたのと同様の中空構造材100が取り付けられている。具体的に、中空構造材100は、断熱材140と土間コンクリート5との間に挟まれるような状態で、断熱材140の表面143に沿って上下方向に延びるように設けられている。中空構造材100の下端は防蟻断熱材150の上面まで延びており、中空構造材100の上端は土間コンクリート5の上面よりも若干上方の高さ位置まで延びている。
外周基礎1の内側面1aと防蟻断熱材150(下側部材)の上面とが交差する内角部Cxには、防蟻剤9が配置されている。なお、当実施形態では、断熱材140の底面142に底溝142aが形成されており、防蟻剤9はこの底溝142a内に収容されるような状態で内角部Cxに配置されている。
上記不織布60、ガイド孔145、および中空構造材100は、メンテナンス作業時に補充されるメンテナンス用防蟻剤9’(例えば図17参照)を上記防蟻剤9の位置(ここでは内角部Cx)まで導く機能を果たすものであり、本発明にかかる「案内手段」に該当するものである。
すなわち、防蟻効果を維持するために行われるメンテナンス作業においては、図24の矢印X5に示すように、断熱材140のガイド孔145にメンテナンス用防蟻剤9’が注入される。ガイド孔145に注入されたメンテナンス用防蟻剤9’は、ガイド孔145の出口(外周基礎1側の開口)から漏出することで、断熱材140の裏面141および底面142に取り付けられた不織布60に含浸され、この不織布60を通じて上記内角部Cxに配置された防蟻剤9に到達する。
また、メンテナンス作業時には、図24の矢印Y5に示すように、中空構造材100の上端開口からメンテナンス用防蟻剤9’を注入することも可能である。注入されたメンテナンス用防蟻剤9’は、中空構造材100の内部に形成された複数の流路102(図19参照)を通じて下方に流下する。さらに、流下したメンテナンス用防蟻剤9’は上記不織布60に含浸され、この不織布60を通じて上記内角部Cxに配置された防蟻剤9に到達する。
なお、上記第8実施形態では、内角部Cxに配置される防蟻剤9を収容するための底溝142aを断熱材140の底面142に設けたが、この底溝142aは省略してもよい。
また、上記第8実施形態では、メンテナンス用防蟻剤9’を防蟻剤9の位置(内角部Cx)に導く案内手段として、不織布60、ガイド孔145、および中空構造材100を設けたが、このうち中空構造材100は省略することが可能である。逆に、中空構造100を残して、断熱材140の裏面141に取り付けられている部分の不織布60とガイド孔145とを省略してもよい。
<実施形態9>
図25は、本発明の第9実施形態を説明するための図である。なお、本図において、先の第1〜第6実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付すこととし、その詳細な説明を省略する。
図25に示される第9実施形態では、先の第8実施形態(図24)と比較して、以下の点が異なる(それ以外の点は全て第8実施形態と同一である)。
・防蟻断熱材150が省略され、その部分に地盤Eが存在している。このため、断熱材140の下側に位置する「下側部材」としては、地盤Eがそれに対応する。
・外周基礎1の内側面1aと地盤Eの上面とに形成される内角部Cyに防蟻剤9が配置され、その上に断熱材140が取り付けられている。
・中空構造材100が省略されている。
・土間コンクリート5の上面に、断熱材160が敷設されている。
このような第9実施形態では、断熱材140を厚み方向に貫通するガイド孔145と、断熱材140の裏面141および底面142に取り付けられた不織布60とが、本発明にかかる「案内手段」に該当する。すなわち、防蟻効果を維持するために行われるメンテナンス作業においては、図25の矢印X6に示すように、断熱材140のガイド孔145にメンテナンス用防蟻剤9’(例えば図17参照)が注入される。ガイド孔145に注入されたメンテナンス用防蟻剤9’は、ガイド孔145の出口(外周基礎1側の開口)から漏出することで、断熱材140の裏面141および底面142に取り付けられた不織布60に含浸され、この不織布60を通じて上記内角部Cyに配置された防蟻剤9に到達する。
なお、上記第9実施形態では、外周基礎1の内側面1aを覆う断熱材140に加えて、土間コンクリート5の上面にも断熱材160を設けたが、土間コンクリート5を覆う断熱材は、他の実施形態でも同様に設けることが可能である。
1 外周基礎
2 フーチング(下側部材)
5’ 土間コンクリート(下側部材)
9 防蟻剤
9’ メンテナンス用防蟻剤
10,50,80,90,110,120,130,140 断熱材
11,51,81,131,135,141 (断熱材の)裏面
12,52,82,92,112,122,132,142 (断熱材の)底面
15,85,138,145 ガイド孔
16 ガイド溝
17 縦溝部
18 分岐溝部
50A,130A 下側断熱材
50B,130B 上側断熱材
60 不織布
C,C’,C”,Cx,Cy 内角部

Claims (7)

  1. 建築物を支持する枠状の外周基礎の内側面が断熱された断熱床下構造であって、
    上記外周基礎の内側面を覆うように取り付けられた断熱材と、
    上記断熱材の下方に位置する下側部材の上面と上記外周基礎の内側面とが交差する内角部を少なくとも含む箇所に配置された防蟻機能を有する防蟻剤と、
    上記断熱材を外周基礎に取り付けた状態のままで補充されるメンテナンス用防蟻剤を上記防蟻剤の位置へと導く案内手段とを備えた、ことを特徴とする断熱床下構造。
  2. 請求項1記載の断熱床下構造において、
    上記案内手段は、上記断熱材を厚み方向に貫通するガイド孔と、上記断熱材の裏面に開口する上記ガイド孔の出口から上記断熱材の裏面に沿って延び、上記断熱材の底面まで達するガイド溝とを含むものである、ことを特徴とする断熱床下構造。
  3. 請求項2記載の断熱床下構造において、
    上記ガイド溝は、上記ガイド孔の出口から上記断熱材の裏面に沿って下方に延びる縦溝部と、縦溝部の下端から分岐して上記断熱材の底面まで延びる複数の分岐溝部とを有する、ことを特徴とする断熱床下構造。
  4. 請求項1記載の断熱床下構造において、
    上記案内手段は、上記断熱材の底面を少なくとも覆うように取り付けられた不織布を含むものである、ことを特徴とする断熱床下構造。
  5. 請求項4記載の断熱床下構造において、
    上記断熱材は、上記下側部材の上面と上記外周基礎の内側面とを覆うように配置される下側断熱材と、下側断熱材の上面に配置される上側断熱材とを有し、
    上記不織布は、上記下側断熱材の全面を覆うように取り付けられている、ことを特徴とする断熱床下構造。
  6. 請求項1記載の断熱床下構造において、
    上記案内手段は、上記断熱材を厚み方向に貫通するガイド孔と、上記断熱材の裏面および底面を少なくとも覆うように取り付けられた不織布とを含むものである、ことを特徴とする断熱床下構造。
  7. 建築物を支持する枠状の外周基礎の内側面が断熱材によって覆われた断熱床下構造に防蟻処理を施す方法であって、
    上記断熱材の下方に位置する下側部材の上面と上記外周基礎の内側面とが交差する内角部を少なくとも含む箇所に、防蟻機能を有する防蟻剤を配置するステップと、
    上記内角部に配置された防蟻剤を上から覆い且つ上記外周基礎の内側面に沿うように上記断熱材を取り付けるステップと、
    メンテナンス時に補充されるメンテナンス用防蟻剤を上記防蟻剤の位置へと導く案内手段を設けるステップと、
    上記断熱材を外周基礎に取り付けた状態のままで、上記案内手段を通じて上記メンテナンス用防蟻剤を上記防蟻剤の位置へと導入するステップとを含む、ことを特徴とする断熱床下構造の防蟻処理方法。
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