JP6710184B2 - 防虫具 - Google Patents
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Description
(1)気化する薬剤はその効果の持続期間が非常に短く、かつ、居住している人が気化した薬剤を吸引するおそれがある。
(2)気化してもその蒸気圧が低い薬剤では、袋表面などを伝って上部へ移動できる害虫の数も増えて、高い防虫・忌避効果は期待できない。
(3)また、害虫が袋を食い破ることで薬剤と接触もしくは摂取しなければ効果(「接触毒効果」、「食毒効果」という)を発揮できない。
(4)薬剤の蒸散度合は気温の高低に大きく依存し、冬期の低温時には薬剤の蒸散度合が低下し、場所によってはその効果を期待できない。
本発明はこれら(1)〜(4)の問題を一挙に解決するためになされたものでる。
このようにすれば、地面に接地した部分では主として地面から上昇した水分が接地面側から上層に向けて順に薬剤層を溶かしていき、これにより薬効を長期に亘って維持することが可能になる。
[第一の実施形態]
図1は本発明の防虫具の第一の実施形態にかかり、(a)はその全体構成を説明する概略斜視図、(b)は(a)のX−X断面図である。
防虫具1は、防水性及び防湿性のフィルム又はシートから形成された防水・防湿シート11と、この防水・防湿シート11の上面に配置された調湿材15と、この調湿材15を被覆する防水性及び透湿性のフィルム又はシートから形成された防水・透湿シート12と、防水・防湿シート11の下面に配置された薬剤層14とを有している。
薬剤層14は、水溶性の殺虫剤や害虫忌避剤などの薬剤を含有するもので、防水・防湿シート11の下面に配置される。このような薬剤としては、例えばチアメトキサム、ジノテフラン、アセフェートなど市販のものを挙げることができる。また、薬剤層14の形態は問わないが、例えば薬剤をペースト状又は固形状にして防水・防湿シート11の下面に配置してもよい、液状又は半液状の前記薬剤を担持体に含浸、付着又は塗布して防水・防湿シート11の下面に配置してもよい。
薬剤層14は、主として調湿材15を載置する防水・防湿シート11の下面に結露する水分を利用するが、これに加えて、地面から上昇してきた水分を利用することも可能である。
透水性のシート13としては、透水性の織布や多孔のフィルムなどを挙げることができ、水溶性のシート13としては、水溶性の樹脂で形成された樹脂フィルムやシート、紙又はセルロースで形成されたフィルムやシートなどを挙げることができる。なお、薬剤の浸み出る位置や量は、多孔フィルムの孔の数や大きさ、孔の形成位置を種々選択することで、また、透水性の程度の異なる織布を選択することで、若しくは、溶解度の異なる水溶性のフィルムを選択することで、調整することが可能である。
この実施形態の防虫具1は、図1(b)に示すように床下の地面の上に並べて配置される。
薬剤層14の下面はシート13を介して地面に接地する接地面で、薬剤層14は、主として防水・透湿シート11の下面に結露した水分によって溶解されるが、地面から上昇してきた水分によっても溶解される。
シート13が、透水シートである場合は、溶け出した薬剤がシート13を透過して地面に浸みだして拡散・浸透する。また、シート13が水溶性シートである場合は、シート13が溶解した薬剤の水分及び地面から上昇してきた水分によって溶解され、これによって薬剤が地面に浸みだして拡散・浸透する。
図2は本発明の防虫具の第二の実施形態にかかり、(a)はその全体構成を説明する概略斜視図、(b)は(a)のX−X断面図である。
図2において第一の実施形態と同一部位、同一部材には同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
この第二の実施形態の防虫具2では、防水・防湿シート11にその外周縁から外側に張り出す張出し部16を有している。この実施形態では、張出し部16は防水・防湿シート11の全周に亘って形成されている。
第一及び第二の実施形態で説明したような本発明の防虫具1,2では、主として防水・防湿シート11の下面に結露した水分を利用して薬剤層14の薬剤を溶かしているが、地面に水分が含まれている場合には、地面から上昇してくる水分を利用して薬剤層14の薬剤を溶かすことも可能である。
この場合、薬剤層14を透水シートや水溶性のシート13を介在させて多層に積層し、下層側から順に薬剤層14が溶けるように構成してもよい。
図3は本発明の防虫具の第三の実施形態にかかりその断面図である。図3において第一の実施形態及び第二の実施形態と同一部位、同一部材には同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
この実施形態の防虫具3では、地面と直交する軸線方向(図の上下方向)に、透水性又は水溶性のシート13を介在させて複数の薬剤層14を積層している。
この実施形態の防虫具14では、多層の薬剤層14が順次溶解することで、長期に亘って薬効を継続することができる。
また、徐放性の粉状、粒状又はペースト状の薬剤を含浸又は内包させたもの(例えば錠剤、カプセル剤、ゼリー状剤など)を用いれば、長期にわたって薬効を継続させることができる。
本発明の防虫具1,2,3においては、シート13の透水領域又は水溶性の領域を限定することで、薬剤が地面に浸み出す領域を当該透水領域又は水溶性の領域に限定することができる。このように薬剤が浸み出す領域を限定することで、薬剤の無駄が抑制され、より長期の使用が可能になる。
図4は本発明の第四の実施形態の防虫具で(a)はこの実施形態の防虫具4を底面側から見た図、(b)は(a)のI−I方向の部分断面図、(c)はこの実施形態の防虫具の作用を説明する図である。
このようにすれば、(c)に示すように、溶解した薬剤層14の薬剤を、防虫具4の底面の外周縁からのみ地面に浸み出すようにすることができる。
また(b)に示すように、薬剤層14の内部に、外周縁に向けて傾斜するような勾配47を設けることで、溶解した薬剤を前記外周縁に向けて集中させることができる。
例えば、第二の実施形態では薬剤層14を被覆する透水性のシート23と張出し部16とを一体に形成しているが、張出し部16は、溶解した薬剤層14の薬剤をその末端まで浸透させることができればよく、シート23と別体及び別材質であってもよい。
また、本発明に薬剤層14に利用可能な薬剤は、ペースト状又は固形状のもの、担持体に前記薬剤を含浸、付着、塗布したものなどのほか、顆粒状のものや粉末状のものであってもよい。
さらに上記の説明では、防虫具1,2,3,4を地面上に平置きして設置するものとしているが、本発明の防虫具1,2,3,4は壁面や柱面などの立直面や傾斜面などにも設置することが可能である。
11 防水・防湿シート
12 防水・透湿シート
13,23,43 シート
14 薬剤層
15 調湿材
16 張出し部
46 防水・透湿性又は防水・防湿性のシート
47 勾配
Claims (8)
- 防水性及び防湿性を有する防水・防湿シートの上面に設けられ、防水性及び透湿性を有する防水・透湿シートで被覆された調湿材と、
前記防水・防湿シートの下面に設けられた水溶性の薬剤を含む薬剤層と、
を有し、
前記薬剤層を接地させ、溶解した前記薬剤が接地面に拡散又は浸透するように、前記薬剤層を前記接地面に接触させたこと、
を特徴とする防虫具。 - 前記薬剤層が通気性を有することを特徴とする請求項1に記載の防虫具。
- 前記薬剤層の少なくとも前記接地面側の一部又は全部が、透水シート又は水溶性シートで被覆されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の防虫具。
- 前記薬剤層の前記接地面側の一部を透水シート又は水溶性シートで被覆し、前記透水シート又は水溶性シートに向けて溶解した前記薬剤を導くガイドを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の防虫具。
- 前記薬剤層が、前記薬剤を担持体に含浸、付着又は塗布したものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防虫具。
- 前記薬剤層が、前記防水・防湿シートの下面に設けられ透水シート又は水溶性シートで形成された袋体に前記薬剤を充填したものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防虫具。
- 前記薬剤層から溶け出した前記薬剤が浸透するように液浸透性の部材で形成されるとともに、前記薬剤層から前記防水・防湿シートの外側に張り出す張出し部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の防虫具。
- 前記防水・防湿シートの下面に、複数の前記薬剤層を前記接地面側から積層して設け、上方の各層の間に透水シート又は水溶性シートを介在させたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の防虫具。
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WO2023157871A1 (ja) * | 2022-02-15 | 2023-08-24 | 三菱ケミカルグループ株式会社 | 樹脂フィルム、樹脂フィルムの製造方法、樹脂フィルムの使用方法、及び抗微生物活性の付与方法 |
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