JP2017071144A - 薬剤徐放性シート - Google Patents

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Abstract

【課題】アリルイソチオシアネートやピレスロイド系薬剤などの揮散性薬剤を持続的に徐放させることができ、時間経過とともに剥離や変形を起こさずに済む徐放性シートの提供。
【解決手段】揮散性薬材と樹脂とを含む混練物からなる混練物層11の両面に、揮散性薬剤を透過しうる樹脂製である透過性フィルム層12a、12bを有し、透過性フィルム層12a,12bの上に更に、上記揮散性薬剤に対して非透過性を示す表面バリア層13a、13bをそれぞれ形成してあり、表面バリア層13a、13bの一部を欠落させて、透過性フィルム層12a、12bを露出させ。又は上記混練物層を露出する薬剤透過部を分散して複数有する揮散性薬剤徐放性積層シート10。
【選択図】図1

Description

この発明は、所定の時間をかけて揮散性薬剤を放出する徐放性シートに関する。具体的には、数日間に亘って揮散性薬剤を放出し続けて、防虫抗菌その他の効果を発揮するシートに関する。
抗菌剤や防虫剤などの揮発性薬剤は、樹脂シートや樹脂混練物などの形で担持、含浸させた物から、徐々に放出させることで、その効果を持続的に享受させることが行われている。
例えば特許文献1には、ピレスロイド系薬剤を接着剤樹脂と混合し、これをポリオレフィン系シートや不織布などからなる薬剤透過性シート層で挟んだ害虫忌避積層シート状物が記載されている。ポリオレフィン系シートはピレスロイド系薬剤を透過するため、樹脂混練物として固定されているピレスロイド系薬剤が徐々に薬剤透過性シート層を通り、シート外へと放出されて、防虫効果を長期間に亘って発揮する。
また、特許文献2には、抗菌防カビ効果を有するアリルイソチオシアネートをロジンやロジンエステルに含ませた混練物層を有し、その一方の面に二軸延伸ポリエステルフィルムなどのガス非透過性フィルムを積層し、他方の面にガス透過性であるポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムを積層させ、ガス透過性の層からアリルイソチオシアネートを徐々に放出させることができる揮散性薬剤放出シート状物が記載されている。これは一時的な保存食品の表面に載せることで、アリルイソチオシアネートを放出させ、抗菌抗カビ効果を発揮させるものである。そのアリルイソチオシアネートはロジン又はロジンエステルと混練することで、蒸気圧を抑制させて蒸発速度を抑えることができる。このため特許文献2にかかるシートは、ガス透過性の表面層と混練物層とが直接接触していても、アリルイソチオシアネートの放出速度を適度に抑制し、徐放させることができる。ところが、アリルイソチオシアネートが蒸発していくと、それまでアリルイソチオシアネートにより膨潤していたロジンやロジンエステルが樹脂本来の性状に戻るため徐々に硬化し、アリルイソチオシアネートが全量放出されない場合があった。またそれに伴い、接着性が低下していく。このため、混練物層により接着されている2つの層が、放出の進行と共に剥がれていってしまうおそれがあった。また、ロジンやロジンエステルは熱溶融した上でアリルイソチオシアネートと混練するものであるため、電子レンジなどで加熱したり、輸送中に高温になると混練物層が融けて変形してしまうおそれもあった。
これに対して、アリルイソチオシアネートと数平均分子量が500〜10000のイソシアネート系ウレタンプレポリマーを用いたウレタン樹脂とを混練した抗菌防カビ剤層を有し、ポリプロピレンやポリエチレン製フィルムからなるアリルイソチオシアネート透過性フィルムで抗菌防カビ剤層を挟んだアリルイソチオシアネート徐放性シートが特許文献3に提案されている。このようなウレタン樹脂は、ロジンやロジンエステルと違って、アリルイソチオシアネートが全量放出されることで、接着力の低下や熱溶融による変形を起こすことがない。
特開2010−285417号公報 特開2003−171208号公報 特開2007−246447号公報
しかしながら、ウレタン樹脂には、ロジンやロジンエステルのように、混練したアリルイソチオシアネートの蒸気圧を抑制させる効果が無い。このため、ロジンやロジンエステルを用いた積層シートに比べて、放出期間を長くすることが難しく、使用用途が限定されてしまっていた。
これに対して、放出速度を抑えるために、ウレタン樹脂層の両面にポリエステルフィルムなどの薬剤透過性が極めて遅いフィルムを貼り合わせた積層シートにすることが考えられる。しかしそれでは、抗菌防カビ効果を発揮させるには放出量が不足しすぎてしまった。
また、放出速度を抑えるために、ウレタン樹脂層の片面にポリエステルフィルム、他面に孔開け加工したポリエステルフィルムを貼り合せた場合、ポリエステルフィルムなどは時間をかけて薬剤を吸着する性質を有するフィルムであるため、ウレタン樹脂層から一旦吸着された薬剤が容易に開放されず、抗菌防カビ効果を持続的に発揮させるには放出量が不足しすぎてしまった。
また、ウレタン樹脂層の一方の面にのみポリエステルフィルムを貼り合わせ、他方の面にポリオレフィンなどの薬剤透過性フィルムを貼り合わせた場合、薬剤透過性フィルム側からは速やかに薬剤が放出される一方で、保管中に時間をかけて薬剤を吸着するポリエステルフィルムからは容易に薬剤が放出されず、持続的な放出を実現させることはできなかった。
そこでこの発明は、揮散性薬剤を固定する樹脂を限定することなく、アリルイソチオシアネートやピレスロイド系薬剤などの揮散性薬剤を持続的に徐放させることができ、時間経過とともに剥離や変形を起こさずに済む徐放性シートを提供することを目的とする。
この発明は、揮散性薬剤を徐々に放出可能な徐放性積層シートについて、
揮散性薬剤と樹脂とを含む混練物からなる混練物層の少なくとも一方の面に接して、上記揮散性薬剤を透過しうる樹脂製である少なくとも1層の透過性フィルム層を有し、
少なくとも上記混練物層を含む層を挟んで、上記透過性フィルム層を有する側については上記透過性フィルム層よりも表面側となる位置に、上記揮散性薬剤に対して非透過性を示す表面バリア層をそれぞれ有し、
少なくとも一方の当該表面バリア層において、当該表面バリア層の一部が欠落して当該透過性フィルム層又は上記混練物層が露出する薬剤通過部を分散して複数有するものとすることにより、上記の課題を解決したのである。
上記薬剤通過部は、例えば表面から上記透過性フィルム層まで上記表面バリア層を貫通させる貫通孔として形成させたり、上記表面バリア層となる薬剤非透過層の一部を最初から欠落させたものを積層させたりすることによって形成させることができる。もし仮に混練物層の両面に薬剤非透過性フィルムを積層していると、このような薬剤通過部を形成させても、上記揮散性薬剤は上記薬剤非透過性フィルムに吸着されてほとんど放出されない。ところが、少なくとも片面に上記透過性フィルム層を介して上記表面バリア層が形成されていると、上記混練物層から上記透過性フィルム層の内部へ、上記揮散性薬剤が拡散される。上記透過性フィルム層内に拡散された上記揮散性薬剤は、時間をかけながらも上記薬剤通過部へ集まりやすく、そこから抜け出やすくなる挙動を示すことがわかった。ただし、このように上記薬剤通過部へ上記揮散性薬剤が集まるためには、上記薬剤通過部がシート面全体に広く分散して分布している必要がある。シート面の一部の領域がまとまって上記表面バリア層が欠落していると、それ以外の領域で拡散された上記揮散性薬剤が通過できなくなってしまう。
特に、上記表面バリア層から上記透過性フィルム層の内部にまで貫通させる孔を形成させていると、その孔に対して、周囲を囲む上記透過性フィルム層に拡散された上記揮散性薬剤が集中しやすくなり、放出量を適度に確保することができるので特に好ましい。
この発明にかかる積層シートを用いると、従来の揮散性薬剤徐放性シートよりも徐放期間の調整が長期間に亘って可能な徐放性積層シートを得ることができる。例えば、この徐放性積層シートでアリルイソチオシアネートを放出させることにより、1日程度の効果を発揮させる駅弁やコンビニ弁当だけでなく、4〜5日に亘って保存するおせち料理などにも抗菌防カビ効果を発揮させることができる。また、この徐放性積層シートで防虫剤を放出させると、1ヶ月程度の衣服預かり時での防虫などにも用いることができる。
この発明にかかる徐放性積層シートは、薬剤通過部の大きさや面積を調整することにより、それより短い期間や、より長い期間での徐放にも対応可能である。長期間に対応する徐放性積層シートでありながら、使用する樹脂の種類は、上記揮散性薬剤を放出可能なものであればよいため、ロジンやウレタン樹脂などの制限に限定されず、使用状況に適した多種の樹脂が選択可能となる。
この発明の第一の実施形態にかかる徐放性積層シートの断面図 接着剤により表面バリア層を接着させたこの発明の第二の実施形態にかかる徐放性積層シートの断面図 貫通孔による薬剤通過部付近の拡大概念図 第一の実施形態において、表面バリア層だけでなく透過性フィルム層まで貫通させる貫通孔を形成させた応用形態の徐放性積層シートの断面図 塗工しない部分を設けることによる薬剤通過部を有するこの発明の第三の実施形態にかかる徐放性積層シートの断面図 混練物層の片側にのみ透過性フィルムを積層させたこの発明の第四の実施形態にかかる徐放性積層シートの断面図
以下、この発明について詳細に説明する。この発明は、揮散性薬剤を放出可能な積層シートである揮散性薬剤徐放性積層シートである。
この発明にかかる揮散性薬剤徐放性積層シートの第一の実施形態の断面図を図1に示す。この実施形態にかかる徐放性積層シート10は5層構造である。その中央に、揮散性薬剤と、この揮散性薬剤と混練可能な樹脂である混練樹脂とを含み混練されたものである混練物からなる混練物層11を有する。この混練物層11を挟んで両側に、揮散性薬剤を透過しうる樹脂製である透過性フィルムからなる透過性フィルム層12a,12bをそれぞれ有する。それら透過性フィルム層12a,12bの外側となる積層シート10の両表面に、それぞれ、上記揮散性薬剤に対して非透過性を示す表面バリア層13a、13bを有する。
上記揮散性薬剤としては、上記混練樹脂と混練可能であって、かつ常温で揮散性を有し、ガス化することでなんらかの作用を発揮する薬剤を用いることができる。例えば、アリルイソチオシアネートを、抗菌防カビ作用を発揮させる薬剤として用いることができる。また、ピレトリンなどのピレスロイド系薬剤を、除虫殺虫作用を発揮させる薬剤として用いることができる。さらに、ラベンダー油、薄荷白油などの芳香剤や竹抽出物などの消臭剤などをそれぞれの用途として用いることができる。
上記混練樹脂としては、上記揮散性薬剤と混練してフィルム上に塗工できるものである必要がある。常温で混練可能でその後に硬化させるものでもよいし、加熱溶融して混練可能にさせるものでもよい。ただし、加熱溶融する上記混練樹脂は、この発明にかかる揮発性薬剤徐放性積層シートを加熱する可能性がある用途に用いると、意図せず融ける可能性がある。上記混練樹脂としては、ロジン又はロジンエステル、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、合成ゴム樹脂、ホットメルト樹脂、又はそれらを二種以上混合した樹脂などが挙げられる。ただし、上記揮散性薬剤を吸着してしまうポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂は、混練した上記揮散性薬剤を吸着してしまい、ほとんど揮散させなくしてしまうため、上記混練樹脂としては不適である。このため、上記揮散性薬剤を吸着しないか、吸着しても容易に脱離させることが可能な樹脂である必要がある。
上記混練樹脂としてロジン又はロジンエステルを用いると、これらが上記揮散性薬剤の蒸気圧を抑制して放出速度を低減できるため、放出期間を比較的長く確保しやすい。ただし、上記揮散性薬剤の揮散が進むに連れて混練物層11自体の接着能力が低下するおそれがある。
上記混練樹脂として用いる上記ウレタン樹脂は、イソシアネート系ウレタンプレポリマーからなり、空気中の水分と接触することにより硬化する一液型ウレタンポリマーか、イソシアネート系ウレタンプレポリマーとポリオールとを混合して得られる二液型ウレタンポリマーかのいずれかを用いることが出来る。いずれも、塗工後に混練物層11が硬化したものとなる。このようなウレタン樹脂を用いると、塗工後に加熱しても可塑性を示さないため、電子レンジなどで加熱されうる環境でも好適に用いることができる。また、揮散が進んでも混練物層11が透過性フィルム層12a,12bと接着する接着能力が低下するおそれがない。
上記ポリエチレン樹脂やエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、上記合成ゴム樹脂は、熱溶融液状化して上記揮散性薬剤と混練することができ、塗工後に常温に冷却して固定できる。
なお、これらの上記揮発性薬剤と上記混練樹脂との重量混合比は、1:99〜50:50であると好ましく、3:97〜30:70であるとより好ましい。1:99よりも上記揮発性薬剤が少ないと、得られる徐放性積層シートが発揮できる揮散性薬剤の効果の持続時間や放出量が少なすぎて効果が不十分なものとなってしまう。一方で、50:50よりも上記混練樹脂が少ないと、極端に混練物の粘度が低下し、上記の塗工可能な範囲に留めておくことができなくなったり、上記揮発性薬剤を固定することができず、上記混練物層を形成できなくなったりするおそれがある。
なお、上記揮散性薬剤と上記混練樹脂との他に、混練物層11は必要に応じてその他の添加剤等を含んでいてもよい。ただし、上記揮散性薬剤の放出をこの発明において必要な程度に維持できるものである必要がある。
この実施形態にかかる徐放性積層シートは、混練物層11の少なくとも片側に透過性フィルム層12aを積層されているか、又は、混練物層11を透過性フィルム層12a,12bで挟んでいる。この透過性フィルム層12a,12bを構成する上記透過性フィルムは、混練物層11に混練する上記揮発性薬剤を十分に透過し得る透過性フィルムからなるものであり、後述する薬剤通過部とともにその透過量を確保し、この発明にかかる徐放性積層シート10の用途に合わせた調整ができるものが好ましい。薬剤透過性であるとは具体的には、上記透過性フィルムのアリルイソチオシアネートの1日あたりの透過量が30℃で1g/m以上、300g/m以下であると好ましい。1g/m未満であると、透過量が少なすぎて上記揮発性薬剤による効果が十分に発揮されない。一方で、300g/mを超えると、上記透過性フィルム断面部からの透過量が多すぎて持続期間が短くなり、効果が十分に発揮されない。
上記透過性フィルムとしては、例えば、ポリプロピレン製フィルム、ポリエチレン製フィルムなどのポリオレフィン製フィルムが挙げられる。中でもポリプロピレン製フィルムが好ましく、二軸延伸ポリプロピレン製フィルムがより好ましい。また、上記透過性フィルムの厚みは特に限定されないが、9μm以上、80μm以下であると好ましく、12μm以上、60μm以下であるとより好ましい。9μm未満であると薄すぎて強度上問題となるおそれがある。一方で、80μmを超えると、徐放性積層シートの断面部からの放出量が多くなり、有効的に働かない場合や透過に時間がかかりすぎて透過性が十分でなくなるおそれがある。
混練物層11を上記透過性フィルムにより挟む方法としては、上記透過性フィルムのうちの一枚に上記混練物を塗工して、形成した混練物層11の上にもう一枚の上記透過性フィルムを接着させる方法が挙げられる。また、上記混練物を上記透過性フィルム上に塗工する方法としては、上記混練物をロール間の隙間やその回転数に応じて塗工量を調整し、転写を繰り返しながら塗工する方法や、一定の隙間を設けて塗工量を調整し、押出し塗工する方法などが挙げられる。この塗工させる装置としては、例えば、ノンソルベントラミネータやリバースコーター、リップコーターなどが挙げられる。
上記透過性フィルム上に塗工して形成させる混練物層11の塗工量は、0.5g/m以上であると好ましく、1g/m以上であるとより好ましい。0.5g/m未満であると、上記揮散性薬剤の量が少なすぎて、得られる徐放性積層シートの効果が不十分となる場合がある。一方で、20g/m以下であると好ましく、15g/m以下であるとより好ましい。20g/mを超えると、混練物層11の断面から混練物が露出してブロッキングの原因となり、断面部から上記揮散性薬剤の放出量が多くなるため好ましくない。
上記のように混練物層11を上記透過性フィルム(12a又は12bとなる)上に塗工した後、さらに、混練物層11の反対側の面に上記透過性フィルム(12b又は12aとなる)を積層させることで、混練物層11を透過性フィルム層12a,12bによって挟むことができ、混練物層11の両側の透過性フィルム層12a,12bへ上記揮散性薬剤を拡散させることができる。なお、上記の塗工や積層を行う前に、上記透過性フィルムに上記表面バリア層(13a,13b)を予め積層しておき、上記表面バリア層と反対側の面について上記の塗工や積層を行ってもよい。
この透過性フィルム層12a,12bの中に拡散された上記揮散性薬剤を適度に放出できるように、あらかじめ透過性フィルム層12a,12bの表面バリア層13a,13bに後述する薬剤通過部14を設けておく。表面バリア層13a,13b自体は、上記揮散性薬剤をほとんど通さない非透過性を示す。この非透過性であるとは、具体的には、透過量が30℃で0.1g/m・24hr.以下であることが望ましく、0.01g/m・24hr.以下であるとより望ましい。層自体が上記揮散性薬剤を透過させすぎると、薬剤通過部14による程度な揮散性量の制御が困難になってしまうからである。
このような上記揮散性薬剤に対して非透過性を示す表面バリア層13a、13bを形成させる形式としては、非透過性を示すシートを接着させる形式、非透過性を確保するための材料を蒸着させる形式、非透過性を確保する材料をコーティングさせる形式などが挙げられる。
上記の非透過性を示すシートや材料としては、例えば、アルミニウムシートや、エチレン−ビニルアルコール共重合体シート、セロファン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデンなどが挙げられる。ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのように、上記揮散性薬剤を透過しにくいものの吸着する性質が高い樹脂フィルムを用いると、上記揮散性薬剤が放出されきらずに上記徐放性積層シート中に残存しやすくなるため好ましくない。具体的には、上記揮散性薬剤の最大吸着量が、30℃の条件において、200mg/m以下となるものが好ましい。このようなシートとしては、例えば厚さ24μmのセロファンは上記揮散性薬剤としてアリルイソチオシアネートを用いた場合50mg/m程度で、ごく少量であるので好ましい。一方で、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートではアリルイソチオシアネートに対して約400mg/m程度となり、吸着量が高すぎて上記揮散性薬剤の放出を妨げる量が無視できなくなるため好ましくない。
なお、ここで規定する上記の最大吸着量の測定方法は、下記の方法による。
ガラス製デシケータ内に、その容積に対して上記揮散性薬剤であるアリルイソチオシアネートが飽和蒸気圧となるために必要なアリルイソチオシアネートを加え、各フィルム100cmをアリルイソチオシアネートと接触することのないようにデシケータ内に設置する。このガラス製デシケータを30℃にて7日間放置した後、各フィルムを取り出し、フィルム表面に結露したアリルイソチオシアネートをティッシュペーパーでふき取る。その後、さらに各フィルムを30℃で1時間放置して、過剰に付着しているアリルイソチオシアネートを揮発させてから各フィルムを回収し、テトラヒドロフランを抽出溶媒としてフィルム中に残存した量をガスクロマトグラフを用いて測定し、その値を測定すべきフィルムへの最大吸着量とみなして求める。
上記の非透過性層のうち、アルミニウムシートやセロファンなどはあらかじめ透過性フィルム層12a,12bの上に表面バリア層13a、13bを積層させる。なおこのような場合、透過性フィルム層12a,12bと表面バリア層13a,13bとの間に接着剤層16を介在させることになる。このような接着剤層16を有する第二の実施形態である7層からなる徐放性積層シート10aの断面概念図を図2に示す。
上記の非透過性を確保するための材料を蒸着する形式としては、シリカ蒸着、アルミ蒸着などが挙げられる。このうち、透明性を確保したい場合にはシリカ蒸着が好ましく、非透明にしたい場合はアルミ蒸着が好ましい。透過性フィルム層12の表面に、蒸着により薄い蒸着層である表面バリア層13が形成される。
上記の非透過性を確保するための材料をコーティングする形式としては、ポリ塩化ビニリデンやポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。有機溶媒で希釈してコーティングすることができるので作業負担が小さくなる。
上記のいずれの形式であっても、表面バリア層13a,13bは、透過性フィルム層12a,12bの全領域を覆うのではなく、透過性フィルム層12a,12b中に拡散された上記揮散性薬剤を通過させることができるように、一部が欠落して透過性フィルム層12a,12bの表面又は内部の一部が露出している。この露出している部分が、上記揮散性薬剤が通過する薬剤通過部14となる。
この欠落からなる、上記揮散性薬剤(図3中に、薬剤成分17として示す。)が通過する薬剤通過部14の具体例として、貫通孔15を設ける形態を図1及び図3の断面図に示す。この実施形態における薬剤通過部14は、表面バリア層13a,13bから透過性フィルム層12a,12bにまで貫通させた複数の貫通孔15である。これらの貫通孔15は透過性フィルム層12a,12bの表面バリア層13a,13bと接する境界面までだけではなく、図3のように内部にまで到達していると好ましい。透過性フィルム層12a,12bの途中まで拡散された上記揮散性薬剤が、貫通孔15の表面バリア層13a,13bにあたる表層部分(15a)まで到達しなくても、透過性フィルム層12a,12bにあたる深層部分(15b)に到達するだけでシート外へ到達できるため、徐放性積層シート10内に残存してしまう上記揮散性薬剤を減少させ、効率の良い徐放ができるようになるからである。
この貫通孔15が表面バリア層13a,13bの全域に対して占める面積は、0.5%以上であると好ましく、1.5%以上であるとより好ましい。0.5%未満では面積が少なすぎて十分な量の上記揮散性薬剤が通過せず、徐放に時間が掛かりすぎてしまう。一方で、50%以下が好ましく、40%以下であるとより好ましい。面積が大きすぎると表面バリア層13a,13bを設けた意味がなく、目的とする持続時間が確保しにくくなるからである。
また、貫通孔15は一つの大きな孔ではなく、表面バリア層13a,13bの全域に拡散して、細かく配置されていることが好ましい。孔の数が少ないと、孔から遠い部分の拡散が遅れやすくなったり、上記揮散性薬剤が残存しやすかったりするからである。このため、上記貫通孔の個々の平均直径は、1.0mm以下であると好ましく、0.5mm以下であるとより好ましい。一方で、表面バリア層13a,13bが貫通されていれば小さいほど好ましいが、加工が困難であるため、0.001mm以上であると好ましく、0.003mm以上であるとより好ましい。
貫通孔15の透過性フィルム層12a、12b内への到達深度は、ある程度深さがある方が上記揮散性薬剤を集約させやすい。貫通孔15は図4に示すように、表面バリア層13を貫通するだけでなく透過性フィルム層12の反対側の面まで完全に貫通させてもよいが、この場合、混練物層11の一部が露出することになり、揮散性薬剤のロスも多くなる。混練物層11の粘度が低く貫通孔15から外部に染み出す場合には、貫通孔15が透過性フィルム層12を貫通しない図1のような形態が好ましい。
貫通孔15を形成させる方法としては、上記表面バリア層13a,13bを形成させた後、針が並んだ剣山状の加熱された貫通器を押し当てて孔を開ける方法やレーザー加工、サンドブラスト、または鋭利な研磨材によって線状の傷をつけるなどの方法が挙げられる。深さを調整する場合は、貫通器の長さによって調整することができる。なお、上記表面バリア層13a、13bを積層する前に同様に剣山状の貫通器で孔を開けていると、上記表面バリア層13a,13bと透過性フィルム層12a,12bをラミネートする際に表面バリア層13a、13b表層にラミネート剤が染み出し、巻き取れなくなる場合があるので好ましくない。このため、透過性フィルム層12と表面バリア層13とを積層してから孔を開け、その上で、混練物層11を積層すると好ましい。
次に、第三の実施形態にかかる徐放性積層シート10bについて説明する。この実施形態は、表面バリア層13をそもそも形成させない部分を設けることで薬剤通過部14を確保する実施形態である。その徐放性積層シート10bの断面図を図5に示す。表面バリア層13を形成する樹脂やシートについて、予め、一部を欠落させるようにして塗工し、透過性フィルム層12を露出させている。表面バリア層13の形成部分19はバリア性を有し、非形成部分18は上記揮散性薬剤を通過させるため、非形成部分18の直下にまで到達した上記揮散性薬剤が徐々に放出される。このような形態としては、透過性フィルム層12a、12bにアンカー剤16a、16bをコーティング後、上記揮散性薬剤を透過しないポリビニルアルコールなどのエマルジョンを未塗工部分を残すようにグラビア印刷する方法が挙げられる。なお、上記揮散性薬剤は基本的にアンカー剤16a、16bのコーティングを通過しうる。
さらに、第四の実施形態として、一方の面からのみ上記揮発性薬剤を放出する徐放性積層シート10cの例を図6の断面図に示す。混練物層11の一方の面にのみ透過性フィルム層12を介して表面バリア層13aが積層又は接着され、他方の面は透過性フィルム層12を介することなく表面バリア層13cが積層、又は接着されている。この実施形態では、混練物層11との間に透過性フィルム層12を有する側である表面バリア層13aの表面からのみ貫通孔15である薬剤通過部14が形成されている。透過性フィルム層12を有さない側の表面バリア層13cには薬剤通過部14を設けない。一方、表面バリア層13a側は第一の実施形態の表面バリア層と同様の構造であり、貫通孔15周辺の上記揮散性薬剤が適度に徐放される。
上記の実施形態の他にも、上記透過性フィルムが複数枚から構成される実施形態でもよい。また、上記の第四の実施形態における表面バリア層13を単独で積層するのではなく接着剤を介して接着させてもよい。
なお、この発明においては、表面バリア層13の一部としてインキなどによる印刷が施されていてもよい。その他、表面バリア層13の表面の一部に、この発明において必要な上記揮散性薬剤のバリア性や徐放性と無関係な剤を含んでいてもよい。また、薬剤通過部14を有さない表面バリア層13cの表面に、さらに別の剤や層を重ねても、上記の第四の実施形態と同様の効果を発揮する。
次にこの発明を、実施例を挙げて具体的に示す。
まず、用いたフィルムと薬剤について説明する。
<混練物層:揮散性薬剤>
・アリルイソチオシアネート
・ピレスロイド系防虫剤(エンペントリン)
・ラベンダー油
<混練物層:混練樹脂>
・ウレタン樹脂(二液硬化型)
・合成ゴム樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合樹脂)
・ロジンエステル
<透過性フィルム層>
・20μm二軸延伸ポリプロピレン
・30μmポリエチレン
<表面バリア層>
・ポリ塩化ビニリデン
・12μmエチレン−ビニルアルコール共重合体シート
・ポリビニルアルコールエマルジョン
<薬剤吸着性フィルム>
・25μmポリエステルフィルム
・12μmポリエステルフィルム
<アンカー剤>
・ウレタン系アンカー剤(二液硬化型)
(実施例1)
ポリ塩化ビニリデンが厚さ1μmとなるように表面にコーティングされた20μm二軸延伸ポリプロピレンにレーザーで開口面積が0.5%となるように直径0.01mmの孔を開けたものを二枚用意した。アリルイソチオシアネートとウレタン樹脂を50:50(質量混合比、以下も同じ)で混合した混練物を、ノンソルベントコーターを用いて、上記のうちの一枚のポリ塩化ビニリデン非コート面に0.5g/mとなるようにコーティングして混練物層を形成した。他の一枚を、同じくポリ塩化ビニリデン非コート面が混練物層側となるように貼り合せ、徐放性積層シートを得た。断面形態は図4に相当する。得られた徐放性積層シートを、室温30℃、無風下の恒温機に置き、表1に示すそれぞれの時間経過時点における薬剤残存率(%)測定した。その結果を表1に示す。以下、各例において同様の条件で薬剤残存率を測定したデータを表1に示す。
Figure 2017071144
(実施例2)
ポリ塩化ビニリデンが厚さ2μmとなるように表面にコーティングされた20μm二軸延伸ポリプロピレンに、アリルイソチオシアネートとロジンエステルを1:99で混合した混練物を、ポリ塩化ビニリデン非コート面に20g/mとなるように押出しコーティングして混練物層を形成した。一方、上記とは別途に、ポリ塩化ビニリデンが厚さ2μmとなるように表面にコーティングされた20μm二軸延伸ポリプロピレンに、加熱された剣山状の針で開口面積が30%となるように直径1mmの貫通孔を開けたものを用意した。この孔空きシートのポリ塩化ビニリデン非コート面を、上記の形成させた混練物層側に貼り合せ、徐放性積層シートを得た。断面形態は、図4において片側のみに薬剤通過部が形成されたものとなる。
(実施例3)
12μmエチレン−ビニルアルコール共重合体と30μmポリエチレンをウレタン系アンカー剤でドライラミネートしたものを二枚作成した。うち一枚に、アリルイソチオシアネートとウレタン樹脂を20:80で混合した混練物を、ノンソルベントコーターを用いてポリエチレン面に2g/mとなるようにコーティングして混練物層を形成した。もう一枚のドライラミネートしたシートに、加熱された剣山状の針で開口面積が2%となるように直径0.2mm深さ30μmの孔を開けたものを用意し、ポリエチレン面を他方の混練物層側に貼り合せ、徐放性積層シートを得た。断面形態は、断面形状は、図4において図2のように表面バリア層が接着剤層となるアンカー剤を介したものとなっており、片側のみに薬剤通過部が形成されたものとなる。
(実施例4)
12μmエチレン−ビニルアルコール共重合体にピレスロイド系防虫剤と合成ゴム樹脂を20:80で混合した混練物を20g/mとなるように押出しコーティングして混練物層を形成した。一方、別の12μmエチレン−ビニルアルコール共重合体と30μmポリエチレンをウレタン系アンカー剤でドライラミネートしたシートに加熱された剣山状の針で開口面積が10%となるように直径0.2mm深さ20μmの孔を開け、ポリエチレン面を他方の混練物層側に貼り合せ、徐放性積層シートを得た。断面形態は、図4において片側のみに薬剤通過部が形成され、反対側に透過性フィルム層を有しないものとなる。なお、本例のみ使用した薬剤がピレスロイド系防虫剤であり、揮散速度が他の薬剤と大きく異なるため、表1中別枠とする。
(実施例5)
20μm二軸延伸ポリプロピレンにポリビニルアルコールエマルジョンをグラビア印刷機で開口面積が10%となるように直径0.5mmの未塗工部分を設けて塗工したものを二枚作成した。うち一枚に、ラベンダー油とロジンエステルを10:90で混合した混練物を、ポリビニルアルコール未塗工面に10g/mとなるように押出しコーティングして混練物層を形成し、他の一枚を、ポリプロピレン面が他方の混練物層側となるように貼り合せ、徐放性積層シートを得た。断面形態は図5においてアンカー剤を省いたものとなる。
(実施例6)
ポリ塩化ビニリデンが平均厚さ1μmとなるように表面にコーティングされた20μm二軸延伸ポリプロピレンに、アリルイソチオシアネートとロジンエステルを5:95で混合した混練物を、ポリ塩化ビニリデン非コート面に12g/mとなるように押出しコーティングして混練物層を形成した。一方、上記とは別途に、ポリ塩化ビニリデンが平均厚さ2μmとなるように表面にコーティングされた20μm二軸延伸ポリプロピレンに、鋭利な研磨材で開口面積が50%となるように幅5μm深さ3μmの線状である貫通孔となる貫通線を開けたものを用意した。この孔空きシートのポリ塩化ビニリデン非コート面を、上記の形成させた混練物層側に貼り合せ、徐放性積層シートを得た。断面形態は、図4において片側のみに薬剤通過部が形成されたものとなる。
(実施例7)
実施例1のアリルイソチオシアネートとウレタン樹脂との混合比率を0.7:99.3とした以外は同様に徐放性積層シートを得た。アリルイソチオシアネートの含有量の減少幅が大きかったため、実施例1に比べて抗菌効果が劣るものの長期徐放性能は得られた。
(実施例8)
実施例1のアリルイソチオシアネートとウレタン樹脂との混合比率を55:45とした以外は同様に徐放性積層シートを得た。混練物の粘度低下により硬化するまでにロール断面部から混練物が染み出す問題はあったが、長期徐放性能は得られた。
(実施例9)
実施例1の混練物の塗工量を0.3g/mとした以外は同様に徐放性積層シートを得た。アリルイソチオシアネートの歩留まりが30%以下となり、加工時のロスが70%となったが、長期徐放性能は得られた。
(実施例10)
実施例2の混練物の塗工量を25g/mとした以外は同様に徐放性積層シートを得た。混練物層断面部からのリーク量が多いため、実施例2に比べて徐放期間が短くなった。
(実施例11)
実施例1の表面バリア層全域に占める貫通孔の面積を0.3%とした以外は同様に徐放性積層シートを得た。実施例1に比べて、薬剤通過部の間隔が離れるため放出速度が遅くなった。
(実施例12)
実施例1の表面バリア層全域に占める貫通孔の面積を55%とした以外は同様に徐放性積層シートを得た。実施例1に比べて、放出速度が少々速い結果となった。
(実施例13)
実施例1の貫通孔直径を1.5mm、開口面積を0.8%とした以外は同様に徐放性積層シートを得た。実施例1に比べて、初期の放出量が少々速い結果となった。
(実施例14)
実施例1の貫通孔直径を0.0005mmとした以外は同様に徐放性積層シートを得た。長期徐放性能は得られたが、孔が小さすぎるために貫通孔の大きさにばらつきが生じたり、貫通されない箇所が生じた。
(実施例15)
実施例1のレーザーによる孔開け加工を徐放性積層シートを得た後で全層を貫通する穴を開けた以外は同様に徐放性積層シートを得た。ただし、穴となる部分のアリルイソチオシアネートは無駄にロスされることになった。
(比較例1)
25μmポリエステルフィルムに、アリルイソチオシアネートとウレタン樹脂を20:80で混合した混練物を、ノンソルベントコーターを用いて2g/mとなるようにコーティングして混練物層を形成させた。一方、40μm二軸延伸ポリプロピレンフィルムを他方の混練物層側に貼り合せ、徐放性積層シートを得た。25μmポリエステルフィルムに吸着されたアリルイソチオシアネート以外は1日以内に放出され、長期徐放性能は得られなかった。
(比較例2)
25μmポリエステルフィルムに、アリルイソチオシアネートとウレタン樹脂を20:80で混合した混練物を、ノンソルベントコーターを用いて2g/mとなるようにコーティングして混練物層を形成させた。一方、12μmポリエステルフィルムを他方の混練物層側に貼り合せ、徐放性積層シートを得た。しかしながら、アリルイソチオシアネートは放出されなかった。
(比較例3)
25μmポリエステルフィルムに、アリルイソチオシアネートとウレタン樹脂を20:80で混合した混練物を、ノンソルベントコーターを用いて2g/mとなるようにコーティングして混練物層を形成させた。一方、上記とは別途に12μmポリエステルフィルムに、加熱された剣山状の針で開口面積が2%となるように直径0.2mmの貫通孔を開けたものを用意し、他方の混練物層側に貼り合せ、徐放性積層シートを得た。25μmポリエステルフィルムにアリルイソチオシアネートが吸着されてほとんどアリルイソチオシアネートが放出されなかった。
(比較例4)
比較例1で得られた徐放性積層シートをアルミ袋に入れて密封し、30℃で2週間保管後、同様に徐放性能を確認した。保管期間が長くなることでポリエステルフィルムへのアリルイソチオシアネート吸着量が多くなり、アリルイソチオシアネートが有効に使用されなかった。
10、10a、10b、10c 徐放性積層シート
11 混練物層
12,12a,12b 透過性フィルム層
13,13a,13b、13c 表面バリア層
14 薬剤通過部
15 貫通孔
15a 表層部分
15b 深層部分
16 接着剤層
16a,16b アンカー剤
17 薬剤成分
18 非形成部分
19 形成部分

Claims (3)

  1. 揮散性薬剤を徐々に放出可能な徐放性積層シートであって、
    揮散性薬剤と樹脂とを含む混練物からなる混練物層の少なくとも一方の面に接して、上記揮散性薬剤を透過しうる樹脂製である少なくとも1層の透過性フィルム層を有し、
    少なくとも上記混練物層を含む層を挟んで、上記透過性フィルム層を有する側については上記透過性フィルム層よりも表面側となる位置に、上記揮散性薬剤に対して非透過性を示す表面バリア層をそれぞれ有し、
    少なくとも一方の当該表面バリア層において、当該表面バリア層の一部が欠落して当該透過性フィルム層または上記混練物層が露出する薬剤通過部を分散して複数有する、
    揮散性薬剤徐放性積層シート。
  2. 上記薬剤通過部である貫通孔が、上記表面バリア層の表面から上記透過性フィルム層の内部まで到達している請求項1に記載の揮散性薬剤徐放性積層シート。
  3. 上記薬剤通過部である貫通孔が、上記表面バリア層の表面から上記混練物層の表面まで到達している請求項1に記載の揮散性薬剤徐放性積層シート。
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