JP7256040B2 - 揮発性薬剤含有フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、揮発性薬剤含有フィルムに関する。
抗菌剤、防虫剤、香料などの常温で揮発する薬剤をフィルムに含有させ、薬剤を徐放させることで薬剤の効能を発揮させる揮発性薬剤含有フィルムが知られている。
例えば、食品の鮮度を保持し、抗菌性を付与することを目的として、揮発性の抗菌剤を含有させたフィルムが食品の包装材や食品上に載せるフィルムとして用いられている。このような抗菌剤としては、例えば、カラシやワサビに含まれるイソチオシアン酸アリルのような抗菌剤が用いられてきた。
イソチオシアン酸アリルは揮発性が高いことが知られている。これに関連して、イソチオシアン酸アリルを徐放させるための技術として、特許文献1が知られている。特許文献1では、基材上に粘着剤層を形成した後に、粘着剤層にイソチオシアン酸エステル類を含浸させる手段を採用している。また、当該文献には、粘着剤層の表面にポリエチレンやポリプロピレン等のようにイソチオシアン酸エステル類に対して透過性を有するフィルムを貼合わせることによって、イソチオシアン酸エステル類の徐放性を容易にコントロールすることができるとある。
特開平6-212136号公報
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、より長期に亘って薬剤の効能を持たせるほどには、徐放性が制御できていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、より長期に亘って薬剤の効能を持たせることのできる、揮発性薬剤含有フィルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る揮発性薬剤含有フィルムは、揮発性薬剤含有層および揮発性薬剤放出制御層を備え、放出制御層は、薬剤含有層側に配置される薬剤透過性層と、樹脂層とを含み、放出制御層の薬剤透過量は、薬剤透過性層の薬剤透過量よりも少なく、樹脂層の厚さが50nm以上3μm以下である。
上述した揮発性薬剤含有フィルムによれば、放出制御層として薬剤透過性層上に膜厚が非常に薄い樹脂層を備えるため、より長期に亘って薬剤の効能を持たせることができる。
本発明の実施形態に係る揮発性薬剤含有フィルムを示す断面図である。 変形例に係る揮発性薬剤含有フィルムを示す断面図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性の測定等は、室温(20~25℃)/相対湿度45~55%の条件で行う。また、揮発性薬剤を単に薬剤とも称する。
本発明は、揮発性薬剤含有層および揮発性薬剤放出制御層を備える揮発性薬剤含有フィルムであって、放出制御層は、薬剤含有層側に配置される薬剤透過性層と、樹脂層とを含み、放出制御層の薬剤透過量は、薬剤透過性層の薬剤透過量よりも少なく、樹脂層の厚さが50nm以上3μm以下である、揮発性薬剤含有フィルムである。
以下、揮発性薬剤含有層を単に薬剤含有層と、揮発性薬剤放出制御層を単に放出制御層とも称する。
本発明は、薬剤透過性層上に厚さが50nm以上3μm以下の樹脂層が形成されていることに特徴がある。また、放出制御層の薬剤透過量は、薬剤透過性層の薬剤透過量よりも少ない。すなわち、樹脂層の薬剤透過量は、薬剤透過性層単独よりも薬剤透過量が少ない。樹脂層の厚さは非常に薄いため、厚さ方向に起因する薬剤放出性は無視できる程度に小さい。ゆえに、樹脂層の低い薬剤放出性は樹脂層を構成する樹脂の薬剤放出性が低いことを意味する。
ここで、薬剤透過性層および放出制御層の薬剤透過量とは、1日あたりの薬剤透過量を指す。具体的には、薬剤含有層を薬剤透過性層および薬剤不透過性層で挟持したものについて、初期薬剤量が2.0gで、1日後の薬剤残存量が1.5gである場合、薬剤透過性層の1日あたりの薬剤透過量は、2.0-1.5=0.5gとなる。また、薬剤含有層を放出制御層および薬剤不透過性層で挟持したものについて、初期薬剤量が2.0gで、1日後の薬剤残存量が1.8gである場合、放出制御層の1日あたりの薬剤透過量は、2.0-1.8=0.2gとなる。この場合、放出制御層の薬剤透過量(0.2g)は、薬剤透過性層の薬剤透過量(0.5g)よりも少ないことを意味する。
放出制御層の薬剤透過量は、薬剤透過性層の薬剤透過量を1としたとき、0.01~0.8であることが好ましく、0.05~0.3であることが好ましい。放出制御層がかような透過性を有することで、薬剤の効果が発揮されやすく、また、持続時間も適当になる。
以下、図1を参照して、本実施形態に係る揮発性薬剤含有フィルム1を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る揮発性薬剤含有フィルム1を示す断面図である。
本実施形態に係る揮発性薬剤含有フィルム1は、図1に示すように、薬剤含有層10と、薬剤含有層10を挟持するように配置される第1放出制御層20および第2放出制御層30を有する。第1放出制御層20は、第1薬剤透過性層21および樹脂層22からなり、樹脂層22は最外層に配置される。また、第2放出制御層30は、第2薬剤透過性層31および樹脂層32からなり、樹脂層32は最外層に配置される。第1放出制御層の薬剤透過量は、第1薬剤透過性層の薬剤透過量よりも少なく、第2放出制御層の薬剤透過量は、第2薬剤透過性層の薬剤透過量よりも少ない。このように放出制御層が配置されることで、薬剤透過性層単独の場合よりも薬剤放出が抑制される。ゆえに、揮発性薬剤の長期徐放性が可能となる。第1放出制御層と、第2放出制御層は同じであっても、異なるものであってもよいが、同じであることが好ましい。
上記実施形態のように、放出制御層は、積層方向の少なくとも一方の最外層に配置されることが好ましい。放出制御層が最外層に配置されることで、樹脂層が最表面に配置されることとなり、樹脂層による放出制御がしやすいため、好ましい。放出制御層は、積層方向の一方の最外層にのみ配置されてもよいし、双方の最外層に配置されてもよい。双方に放出制御層を配置することで、図2のように片方に配置される形態よりも薬剤放出時間が短くなる。
以下、各構成部材について説明する。
<薬剤含有層10>
薬剤含有層10は、揮発性薬剤を含む。
揮発性薬剤としては、例えば、ラベンダー油、ハッカ油、レモン油、ローズ油、ショウノウ油、ビャクダン油、ヒノキ油、シトロネラ油、シナモン油、ティートリー油、ヒバ油、シナモン油、ユーカリ油、ユーカリシトリオドラ、コリアンダー油、タイム油などの植物精油からなる植物性香料などの天然香料、テルペン化合物、エステル化合物、芳香族化合物などからなる合成香料、あるいはそれらをブレンドした調合香料などの香料、イソチオシアン酸メチル、イソチオシアン酸エチル、イソチオシアン酸アリル、イソチオシアン酸イソブチル、イソチオシアン酸n-ブチル、イソチオシアン酸フェニル、イソチオシアン酸ベンジルなどのイソチオシアン酸エステル類などが挙げられる。
中でも、揮発性薬剤は、薬剤を高濃度担持できることから、イソチオシアン酸アリルなどのイソチオシアン酸エステルであることが好ましく、抗菌効果をより得やすいことから、イソチオシアン酸アリルであることがより好ましい。なお、イソチオシアン酸エステル類は後述の接着剤の相溶性が高く、抗菌効果をより得やすいことからも、好ましい。
さらに、「揮発性」とは、25℃において薬剤として有効な程度の揮発性を示すことを意味する。
揮発性薬剤量はフィルム中、0.01g/m以上であることが好ましい。本実施形態では、かような高い量の薬剤を担持することができる。揮発性薬剤量は0.1~20g/mであることがより好ましい。かような濃度とすることで、薬剤の効果が適切に発揮される。
薬剤含有層は、接着剤を含むことが好ましい。接着剤を含むことで、高濃度の揮発性薬剤の保持が可能となるとともに、部材の接着を目的とした新たな接着剤層を必要としないため、揮発性薬剤の放出性を制御しやすい。
薬剤含有層を形成する際に、揮発性薬剤を接着剤と混合して用いることで、有機溶媒に接着剤を溶かす必要がなくなる。すなわち、本発明の好適な形態は、揮発性薬剤が常温で液体であり、接着剤が揮発性薬剤に相溶する形態である。なお、接着剤は、揮発性薬剤と相溶するものが好ましいが、揮発性薬剤を油剤等に溶解した混合物と相溶する樹脂であってもよい。また、接着剤としては無溶剤型接着剤であることが好ましい。
接着剤としては、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン-ブチレン共重合体・スチレン(SEBS)、スチレン・エチレン-プロピレン共重合体・スチレン(SEPS)、スチレン・ブタジエン(SB)、スチレン・イソプレン(SI)、スチレン・エチレン-ブチレン共重合体(SEB)、スチレン・エチレン-プロピレン共重合体(SEP)、スチレン・ブタジエンラバー(SBR)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-エチルアクレート共重合体(EEA)及びこれらの混合物(例えば、ポリプロピレンとエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)の混合物など)などの熱可塑性エラストマー系接着剤;イソプレンゴム、ポリブテンゴム、ブチルゴム、アクリルゴムなどの合成ゴム、天然ゴムなどのゴム系接着剤;一成分湿気硬化形ウレタン樹脂系接着剤、二成分反応形ウレタン樹脂系接着剤などのウレタン系樹脂接着剤などが挙げられる。
接着剤となり得る樹脂は、揮発性薬剤と相溶する樹脂であれば、上記例示した以外の樹脂を用いることもできる。
なお、接着剤には感圧性接着剤も含まれる。感圧性接着剤としては、特に限定されず、アクリル系感圧性接着剤、ゴム系感圧性接着剤、シリコーン系感圧性接着剤、ウレタン系感圧性接着剤、ポリエステル系感圧性接着剤、ビニルアルキルエーテル系感圧性接着剤、ポリアミド系感圧性接着剤、フッ素系感圧性接着剤などを用いることができる。上記感圧性接着剤は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
感圧性接着剤としては、接着の信頼性の観点から、特にアクリル系感圧性接着剤を好適に用いることができる。アクリル系感圧性接着剤を構成するアクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とし、必要に応じて(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な単量体(共重合性単量体)を用いることにより形成される。ここで、主成分とは、単量体中50質量%以上(上限100質量%)であることを指し、好ましくは65質量%以上、より好ましくは85質量%以上である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、粘着性能の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルおよび/または(メタ)アクリル酸ブチルであることが好ましい。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な単量体の例としては、スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体またはその無水物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有単量体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合性単量体を用いる場合、アクリル系共重合体を構成する単量体成分のうち、0.1~35質量%であることが好ましく、1~15質量%であることがより好ましい。
アクリル系共重合体の重量平均分子量は特に限定されるものではないが、10万~100万であることが好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
感圧性接着剤は、例えばアクリル系共重合体が架橋剤によって架橋された架橋体であってもよい。架橋に用いられる架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。これらの架橋剤の具体例としては、後述のウレタン変性ポリウレタンの欄に記載した架橋剤が挙げられる。架橋剤の添加量は、アクリル系共重合体100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.005~3質量部であることがより好ましい。
接着剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
薬剤含有層は粘着付与剤をさらに含んでもよい。粘着付与剤としては、ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、およびこれらのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、メチルエステル、トリエチレングリコールエステル、フェノール変性物、及びフェノール変性物のエステル化物等のロジン類;テルペン重合体、テルペンフェノール、β-ピネン重合体、芳香族変性テルペン重合体、α-ピネン重合体およびテルペン系水素添加樹脂等のテルペン系樹脂;炭素数5の石油留分又は炭素数9の石油留分を重合した石油系樹脂、およびこれの水素添加樹脂などが挙げられる。
粘着付与剤を含む場合、粘着付与剤の含有量は、接着性を考慮して適宜設定されるが、接着剤100質量部に対して1~500質量部であることが好ましく、10~300質量部であることがより好ましい。
また、薬剤含有層には、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどの充填剤などを配合することもできる。これらは接着剤となり得る樹脂を揮発性薬剤に相溶させる前にあらかじめ配合しておいてもよいし、接着剤となり得る樹脂を揮発性薬剤に相溶させる際に配合してもよい。
揮発性薬剤の混合比率は、薬剤の放出性、および接着性を考慮して、薬剤含有層中、5~90質量%であることが好ましく、より好ましくは20~85質量%である。なお、薬剤は揮発性であるため、時間の経過とともに薬剤の含有量は低下する。
薬剤含有層の形成方法としては、例えば特開2000-343640号公報に記載の方法(接着剤となり得る樹脂を揮発性薬剤に溶解させて得られる溶液を、揮発性薬剤不透過性フィルムに塗布する方法)または特開平6-212136号公報(粘着剤層に揮発性薬剤を含浸保持させる方法)に記載の方法などを用いることができる。
<放出制御層20、30>
放出制御層は、揮発性薬剤の放出量を制御する層である。本実施形態においては、放出制御層は、揮発性薬剤含有フィルム1の積層方向の双方の最外層に配置されている。放出制御層は、薬剤透過性層および樹脂層の積層である。放出制御層の薬剤透過量は、薬剤透過性層の薬剤透過量よりも少ない。すなわち、樹脂層の薬剤透過量は、薬剤透過性層の薬剤透過量よりも少ないものとなる。本実施形態においては、樹脂層の厚さが50nm以上3μm以下と非常に薄い。樹脂層は、薬剤透過性の低いものが用いられる一方で、厚さが非常に薄いことで、少量の薬剤透過性を実現することができ、ゆえに、揮発性薬剤の長期徐放性が可能となる。
(薬剤透過性層21、31)
薬剤透過性層は、樹脂層の基材の役割を果たすとともに、薬剤放出を一定程度制御する。
薬剤透過性層としては、揮発性薬剤を透過するものであれば各種材料を適宜選択して使用すればよく、単層であっても複数層であってもよい。薬剤透過性層としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ乳酸などの生分解性樹脂、塩化ビニルなどの樹脂フィルム、紙、不織布、布、合成紙、そしてそれらの複合体などが挙げられる。中でも、薬剤量を制御しやすく、また機械的強度も担保されることから、薬剤透過性層は、樹脂フィルム、樹脂フィルムと紙または不織布との複合体であることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂フィルムであることがより好ましく、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムであることがさらに好ましく、ポリプロピレンフィルムであることがさらにより好ましく、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)であることが特に好ましい。
樹脂フィルムに不織布または紙を積層させる場合、通常繊維質のフィルムを積層するために樹脂フィルムの表面(外面側)に接着剤を用いて両者を接着する。接着剤としては、通常のドライラミネート法やウェットラミネート法などで用いられている接着剤が使用でき、例えば、アクリル系、ポリウレタン系、酢酸ビニル系、塩化ビニル系、ゴム系などの溶剤型接着剤又は水溶性接着剤などが好適に使用できる。
ここで、薬剤透過性層の薬剤の1日あたりの透過量は、初期の薬剤量に対して、25℃で5質量%以上(上限100質量%)であることが好ましく、10質量%以上であることが好ましい。かような透過性を有することで、薬剤の効果が発揮されやすく、また、持続時間も適当になる。
薬剤透過性層は、単層であってもよいし、複数層であってもよい。また、薬剤透過性層が複数層から構成される場合は、各層の構成が異なるものであってもよい。
薬剤透過性層の厚さ(複数層である場合にはトータルの厚さ)は、徐放性、機械的強度などを考慮して適宜設定されるが、5~200μmであることが好ましく、10~100μmであることがより好ましい。
(樹脂層22、32)
樹脂層は、樹脂を含む。
樹脂層の厚さは50nm以上3μm以下である。樹脂層の厚さがかような範囲であることで、適度な徐放性が付与される。樹脂層の厚さは、本発明の効果をより一層向上させる観点から、70nm以上0.5μm以下であることが好ましく、100nm以上0.3μm以下であることがより好ましい。
樹脂層を構成する樹脂は、放出制御層の薬剤透過量が薬剤透過性層の薬剤透過量よりも少なくなるような樹脂であれば、特に限定されるものではないが、樹脂層を構成する樹脂が、ポリエステル系樹脂およびシリコーン系樹脂の少なくとも一方を含むことが好ましい。
シリコーン系樹脂としては、付加反応型、電離放射線硬化型、縮合反応型などの硬化反応タイプのシリコーンコート剤を用いることができる。好ましくは付加反応型である。
付加硬化型としては、分子中にSi-H結合を有する基に対して反応性を有する基を有しているポリシロキサン系ポリマーと、分子中にケイ素原子に結合している水素原子(Si-H結合)を有しているポリシロキサン系ポリマーとが硬化反応するものが挙げられる。Si-H結合を有する基に対して反応性を有する基としては、例えば、ビニル基やヘキセニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
分子中にSi-H結合を有する基に対して反応性を有する基を有しているポリシロキサン系ポリマーは、分子中に2個以上のアルケニル基を有していることが好ましい。また、分子中にケイ素原子に結合している水素原子を有しているポリシロキサン系ポリマーにおいて、ケイ素原子に結合している水素原子は、分子中に2個以上有していることが好ましい。
分子中にアルケニル基を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーにおいて、アルケニル基は、主鎖又は骨格を形成しているポリシロキサン系ポリマーのケイ素原子(例えば、末端のケイ素原子や、主鎖内部のケイ素原子など)に直接結合していることが好ましい。主鎖又は骨格を形成しているポリシロキサン系ポリマーとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン系ポリマー、ポリジエチルシロキサン系ポリマー、ポリメチルエチルシロキサン系ポリマー等のポリアルキルアルキルシロキサン系ポリマーや、ポリアルキルアリールシロキサン系ポリマーの他、ケイ素原子含有モノマー成分が複数種用いられている共重合体[例えば、ポリ(ジメチルシロキサン-ジエチルシロキサン)など]などが挙げられ、ポリジメチルシロキサン系ポリマーが好ましい。
一方、分子中にケイ素原子に結合している水素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーにおいて、水素原子が結合しているケイ素原子は、主鎖中のケイ素原子、側鎖中のケイ素原子のいずれであってもよい。分子中にケイ素原子に結合している水素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーとしては、ポリジメチルハイドロジェンシロキサン系ポリマー[例えば、ポリ(ジメチルシロキサン-メチルシロキサン)等]が好ましい。
電離放射線硬化型としては、電離放射線(電子線、紫外線など)によって硬化するものであれば特に制限されず、例えば、カチオン重合により硬化するカチオン重合型、ラジカル重合により硬化するラジカル重合型、ラジカル付加重合により硬化するラジカル付加型、ヒドロシリル化反応により硬化するヒドロシリル化反応型などが挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、エステル結合を主鎖中に有する樹脂であれば特に限定されないが、非晶性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂等を用いることができる。
ポリエステルは、単量体としてのポリオールと多価カルボン酸および/またはカルボン酸無水物(本実施形態において「カルボン酸成分」ともいう。)とが共重合してなるエステル結合を主鎖中に有する重合体である。
上記のポリオールの具体例として、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、グリセリン、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
一方、上記のカルボン酸成分の具体例として、マロン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、コハク酸、グルタル酸、ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、デカジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、シクロペンタンジカルボン酸等の多価カルボン酸およびこれらの多価カルボン酸の無水物が挙げられる。
これらのポリオールおよびカルボン酸成分の組み合わせは限定されず、ポリエステルは、一種類の組み合わせに係る重合体であってもよいし、複数種類の組み合わせに係る重合体であってもよい。
さらに、ポリエステルは、ウレタン変性ポリエステルであってもよい。ウレタン変性ポリエステルの具体例として、上記のポリオールとカルボン酸成分とを縮重合させて得られた重合体の末端にヒドロキシル基を有するポリエステルポリオールに、各種のポリイソシアネート化合物を反応させて得られた重合体(ポリエステルウレタン)などを挙げることができる。
ウレタン変性ポリエステルである場合には、架橋剤を用いてもよい。すなわち、一実施形態として、樹脂層が、ウレタン変性ポリエステル樹脂および架橋剤を含むコーティング液を用いて形成されてなる形態が挙げられる。
架橋剤としては、公知の架橋剤が使用できる。例えば、以下に制限されないが、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート;ならびにジイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、ジイソシアネート化合物のビウレット体やイソシアヌレート体などのイソシアネート誘導体が挙げられる。
また、エポキシ系架橋剤としては、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミンや1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン等が挙げられる。
金属キレート系架橋剤としては、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、鉄、亜鉛、コバルト、マンガン、ジルコニウム等の金属のアセチルアセトネート錯体等が挙げられる。
中でも、本発明の所望の物性を有する粘着剤層を得やすいことから、架橋剤はイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
架橋剤の添加量は、ウレタン変性ポリウレタン樹脂に対して、1~10質量%であることが好ましい。
ポリエステル系樹脂は、市販品を用いてもよく、非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、バイロン(登録商標)200、バイロン(登録商標)600、バイロン(登録商標)885(以上、東洋紡社製)等が挙げられる。ウレタン変性ポリエステル樹脂としては、バイロン(登録商標)UR-1400、バイロン(登録商標)UR-4800、バイロン(登録商標)UR-8200(以上、東洋紡社製)等が挙げられる。ポリエステル系樹脂は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂層はコーティング層であることが好ましい。樹脂層がコーティング層であることで、樹脂層の膜厚を薄くしやすいため、樹脂層による放出制御が制御しやすい。コーティング層は、コート(塗布)により得られる層であり、コーティング液を用いて形成されてなる。コーティング液は、無溶剤系でも溶剤系でもよいが、溶剤系であることが好ましい。溶剤系とは、溶剤系樹脂を溶剤に溶解または分散させたコーティング液から形成されてなる。
溶剤としては、通常のものを使用することができるが、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン等の脂肪族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶媒、イソプロピルアルコール、メタノール等のアルコール系溶剤等を挙げることができる。
また、コーティング液には、添加剤として、表面調整剤、レベリング剤、密着性向上剤、光増感剤等を加えることもできる。
塗布液中の樹脂の含有量は、適宜設定されるが、例えば、塗布液に対して1~10質量%である。
樹脂層は、好ましくは揮発性薬剤透過性層上にコーティング液を塗布し、溶媒を乾燥させることで製造することができる。
コーティング液の塗布方法は、特に限定されず、例えば、スクリーン印刷法、ダイコート法、グラビアコート法、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、スプレーコート法等が挙げられる。生産性の観点から、ダイコート、グラビアコート法が好ましい。塗布溶液の塗布量は、所望の厚さを有するように適宜設定される。
塗布後の乾燥は、溶媒が除去される条件であれば特に制限されず、溶媒種によって適宜選択されるが、例えば、乾燥温度は、50~150℃である。また、乾燥時間は、溶媒が除去されうる時間で適宜設定される。
なお、放出制御層の樹脂層面に、薬剤不透過性フィルムからなる保護フィルムを積層することにより、揮発性薬剤含有フィルムの使用時まで揮発性薬剤が放出しないようにすることもできる。
<揮発性薬剤含有フィルムの製造方法>
揮発性薬剤含有フィルムは、特に限定されるものではないが、以下の方法によって製造することができる。
1.薬剤含有層の形成
薬剤含有層は、好ましくは接着剤を含むため、接着性を有する。このため、例えば、剥離ライナー上に薬剤含有層を形成することができる。また、図2に示すように、薬剤不透過性層を配置する場合には、薬剤不透過性層上に薬剤含有層を形成することができる。薬剤不透過性層については後述する。
2.放出制御層の形成
放出制御層の形成については上述したとおりである。
3.揮発性薬剤含有フィルムの製造
場合により剥離ライナーを除去した後、上記薬剤含有層の接着剤層面に放出制御層の揮発性薬剤透過性層面を貼付して、揮発性薬剤含有フィルムを得ることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る揮発性薬剤含有フィルム1は、薬剤含有層10および放出制御層20、30を備える揮発性薬剤含有フィルム1である。薬剤含有層10は、揮発性薬剤を含有し、放出制御層20、30は、積層方向の双方の最外層に配置され、放出制御層20は、揮発性薬剤透過性層21および樹脂層22からなる。また、放出制御層30は、揮発性薬剤透過性層31および樹脂層32からなる。このように構成された揮発性薬剤含有フィルム1によれば、放出制御層として樹脂層を備えるため、より長期に亘って薬剤の効能を持たせることができる。ゆえに、長期間効能を発揮させたい用途(例えば、食品の鮮度維持、衣類の保管)などに有効となる。
以上、実施形態を通じて本発明に係る揮発性薬剤含有フィルム1を説明したが、本発明は実施形態において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
例えば、上述した実施形態では、放出制御層20、30は、2つ設けられた。しかしながら、図2に示すように、揮発性薬剤含有フィルム2は、1つの放出制御層20を有する構成であってもよい。このとき、薬剤含有層10の放出制御層20が設けられた面と反対側の面には、薬剤不透過性層40が設けられる。薬剤不透過性層40としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアクリロニトリル、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデンなどの樹脂フィルム;樹脂フィルムに金属(例えば、アルミニウムなど)、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウムなど)などの蒸着層を設けたもの、金属箔などが挙げられる。加工性や軽量性の観点からは薬剤不透過性層は樹脂フィルムであることが好ましく、中でも、寸法安定性の観点から、薬剤不透過性層は、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。薬剤不透過性層は、延伸フィルムであってもよいし、無延伸フィルムであってもよく、工程材料を用いてキャスティング法等で形成したものであってもよい。
ここで、薬剤不透過性とは、薬剤の1日あたりの透過量が初期の薬剤量に対して、25℃で0.1質量%以下(下限0質量%)であることが好ましい。
薬剤不透過性層は、単層であってもよいし、複数層であってもよい。また、薬剤不透過性層が複数層から構成される場合は、各層の構成が異なるものであってもよい。
薬剤不透過性層の厚さ(複数層の場合はトータル厚み)は、薬剤徐放性や機械的強度を考慮して適宜設定されるが、5~200μmであることが好ましく、10~100μmであることがより好ましく、20~60μmであることがより好ましい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
[実施例1]
1.薬剤含有層の製造
イソチオシアン酸アリル1350質量部に、芳香族変性テルペン樹脂(ヤスハラケミカル社製「YSレジンTO105」)600質量部とスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体樹脂(クレイトンポリマー社製「クレイトン(登録商標)D1161J」)300質量部を攪拌しながら加えて溶解させた。得られた溶液を薬剤不透過性層である厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製「ルミラー(登録商標)T60」)にナイフコーターによりイソチオシアン酸アリルの薬剤含有層含有量が2g/mとなるように塗布した(膜厚50μm)。塗布の際、塗布温度は25℃、溶液粘度は500mPa・sで行った。その後、アルミ製の封入フィルム内に入れ、2日間放置して薬剤含有層を形成させた。
2.放出制御層の製造
シリコーン樹脂(信越化学工業社製KS-847)を溶媒であるトルエンに固形分濃度が2質量%となるように溶解してコーティング液を得た。
コーティング液を薬剤透過性層(OPP:フタムラ化学社製FOS50、厚さ50μm)上に塗布した後、乾燥温度120℃、乾燥時間1~2分で乾燥させて溶媒を除去し、樹脂層を得た(乾燥後の膜厚0.2μm)。
3.薬剤含有フィルムの製造
1.で得られた薬剤含有層の薬剤不透過性層と相対する側と、放出制御層の薬剤透過性層側とを貼付して、揮発性薬剤含有フィルムを得た。
[実施例2]
実施例1の2.放出制御層の製造において、コーティング液として次の組成のコーティング液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、揮発性薬剤含有フィルムを得た。
ウレタン変性ポリエステル樹脂(東洋紡社製バイロンUR-1400、固形分30質量%、溶媒:メチルエチルケトン/トルエン)およびイソシアネート系架橋剤(コロネートHL東ソー社製、HDIベースに多価アルコールを付加したポリイソシアネートの75%酢酸エチル溶液)を溶媒であるメチルエチルケトンに固形分濃度が2質量%となるように溶解してコーティング液を得た。なお、イソシアネート系架橋剤は、固形分でウレタン変性ポリエステル樹脂100質量部に対して4.5質量部となるように添加した。
[実施例3]
1.アクリル系共重合体の製造
還流器および攪拌機を備えたフラスコに、ブチルアクリレート90質量部、アクリル酸10質量部の組成を有するモノマー混合物、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) モノマー混合物100質量部に対して0.25質量部、および酢酸エチル(溶剤) モノマー混合物100質量部に対して200質量部を添加し、窒素置換を行いながら65℃まで加温した後、重合を行って、アクリル系共重合体を得た。得られたアクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、50万であった。
2.感圧性接着剤組成物の作製
1.で得られたアクリル系共重合体100質量部に対して、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(固形分75質量%、NCO13.2質量%)2質量部(カルボキシル基に対するイソシアネート基の当量:22mol%)を添加・混合して感圧性接着剤組成物を作製した。
3.揮発性薬剤含有フィルムの作製
2.で得られた感圧性接着剤組成物を厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製「ルミラー(登録商標)T60」、薬剤不透過性層)上にナイフコーターにより乾燥膜厚30μmとなるように塗布した後、乾燥させて、接着剤層を形成した。
この後、イソチオシアン酸アリルを含浸量が2g/mとなるようにグラビアコーターにより接着剤層に含浸させて、イソチオシアン酸アリルが保持された薬剤含有層を形成した。
この積層体の薬剤含有層側に、実施例1の2.と同様の方法で得られた放出制御層の薬剤透過性層側とを貼り合わせた。その後、アルミ製の封入フィルム内に入れ、2日間放置して接着剤層を形成させて、揮発性薬剤含有フィルムを得た。
[比較例1]
実施例1の3.において薬剤含有層の薬剤不透過性層と相対する側に放出制御層の代わりに、薬剤透過性層(OPP:フタムラ化学社製FOS50、厚さ50μm)を貼付したこと以外は、実施例1と同様にして揮発性薬剤含有フィルムを得た。
(評価方法)
上記で得られたフィルムを、100mm×100mmの大きさ(イソチオシアン酸アリルの含浸量0.02g)に切断し、23℃50%環境下に静置した。時間経過ごとにサンプル重量を測定し、初期(0h)重量からの重量変化量を測定した。
減少した重量を下記表1に示す。
Figure 0007256040000001
上記結果より、実施例1~3の揮発性薬剤含有フィルムは、比較例1の揮発性薬剤含有フィルムと比較して、より長期に亘ってイソチオシアン酸エステルの効能を持たせることができることがわかる。
1、2 揮発性薬剤含有フィルム、
10 薬剤含有層、
20、30 放出制御層、
21、31 薬剤透過性層、
22、32 樹脂層、
40 薬剤不透過性層。

Claims (6)

  1. 揮発性薬剤含有層および揮発性薬剤放出制御層を備える揮発性薬剤含有フィルムであって、
    前記放出制御層は、前記薬剤含有層側に配置される薬剤透過性層と、樹脂層とを含み、
    前記放出制御層の薬剤透過量は、前記薬剤透過性層の薬剤透過量よりも少なく、
    前記樹脂層の厚さが50nm以上3μm以下であり、
    前記樹脂層を構成する樹脂が、ポリエステル系樹脂およびシリコーン系樹脂の少なくとも一方を含む、揮発性薬剤含有フィルム。
  2. 前記樹脂層がコーティング層である、請求項1に記載の揮発性薬剤含有フィルム。
  3. 前記放出制御層は、積層方向の少なくとも一方の最外層に配置される、請求項1または2に記載の揮発性薬剤含有フィルム。
  4. 前記薬剤透過性層はポリオレフィン系樹脂フィルムである、請求項1~のいずれか1項に記載の揮発性薬剤含有フィルム。
  5. 前記揮発性薬剤が、イソチオシアン酸エステルである、請求項1~のいずれか1項に記載の揮発性薬剤含有フィルム。
  6. 前記薬剤含有層が接着剤を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の揮発性薬剤含有フィルム。
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